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特表2022-534076伸縮自在のくびれ部を備えたオクルーダー
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-07-27
(54)【発明の名称】伸縮自在のくびれ部を備えたオクルーダー
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/00 20060101AFI20220720BHJP
   A61B 17/12 20060101ALI20220720BHJP
【FI】
A61B17/00 500
A61B17/12
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021569850
(86)(22)【出願日】2020-05-22
(85)【翻訳文提出日】2022-01-24
(86)【国際出願番号】 EP2020064330
(87)【国際公開番号】W WO2020234470
(87)【国際公開日】2020-11-26
(31)【優先権主張番号】19175841.6
(32)【優先日】2019-05-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521509941
【氏名又は名称】オクルテック ホールディング エージー
(74)【代理人】
【識別番号】100082072
【弁理士】
【氏名又は名称】清原 義博
(72)【発明者】
【氏名】イシルキ,ジャンセル
(72)【発明者】
【氏名】ソユテミス,セシル
(72)【発明者】
【氏名】チャヴシュオール,オルジャイ
(72)【発明者】
【氏名】モーガン,ガレス
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160DD03
4C160DD55
4C160DD65
4C160MM33
(57)【要約】
【解決手段】本発明は、構造的な心臓の欠陥のためのオクルーダーを開示しており、上記オクルーダーは、オクルーダーの軸方向長さに沿って変化するピッチを有する管状の組み合わされた構造;近位要素;遠位要素;および、近位要素と遠位要素との間に伸張する中間要素を含む。1つの態様によれば、第1のピッチから第2のピッチへのピッチの少なくとも1つの遷移部は、オクルーダーが弛緩状態にあるときに、近位要素および遠位要素の少なくとも1つの外周面よりもオクルーダーの中間要素の近くに位置している。別の態様によれば、オクルーダーは、弛緩状態から軸方向に伸張した状態まで伸張可能であり、オクルーダーによって与えられる負荷対伸びの比はN/mmで測定され、少なくとも2mm伸長したときに約0.75未満である。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
オクルーダー1であって、少なくとも1つのワイヤーの一体的な基盤本体で作られ、かつピッチを有する連続的な管状の編んだ構造を含み、前記ピッチが少なくとも1つのピッチ遷移部9を有する基盤本体の軸方向長さに沿って変化し、前記オクルーダーは、
オクルーダー1の弛緩状態において、第1の遷移部9aで外周面および遠位の内径を有する、近位の保持要素4、
オクルーダー1の弛緩状態において、第2の遷移部9bで外周面および近位の内径を有する、遠位の保持要素6、
近位の保持要素4と遠位の保持要素6の第1の遷移部9aと第2の遷移部9bの間に伸張する中間要素8、を含む形状を有するようにヒートセットされ、
ここで、
-第1のピッチから第2のピッチまでの前記ピッチの少なくとも1つのピッチ遷移部9は、オクルーダーが弛緩状態にあるときに、近位の要素と遠位の要素の少なくとも1つの外周面に対するよりも、前記オクルーダーの中間要素または中心軸の近くに位置しており、
-前記遷移部9a、9bの少なくとも1つの位置は前記中心軸10に接近し、オクルーダーが軸方向に伸張した状態であるときに、前記中間要素8の直径はその弛緩直径から減少することを特徴とする、オクルーダー1。
【請求項2】
前記ピッチの前記少なくとも1つの遷移部9は、前記オクルーダー1が弛緩状態にあるときに、前記近位の保持要素4および前記遠位の保持要素6の少なくとも1つの外周と内径との間に位置することを特徴とする、請求項1に記載のオクルーダー1。
【請求項3】
前記近位の保持要素4および前記遠位の保持要素6の少なくとも1つは、少なくとも前記第1のピッチを含み、前記中間要素8は、中間要素の軸方向の長さに沿ってのみ前記第2のピッチを含むことを特徴とする、請求項1または2に記載のオクルーダー1。
【請求項4】
前記近位の保持要素4および前記遠位の保持要素6の前記外周面の少なくとも1つは、前記オクルーダーを伸ばす際に前記内径が減少するとき、実質的に一定であることを特徴とする、請求項1~3のいずれかに記載のオクルーダー1。
【請求項5】
前記近位の保持要素および前記遠位の保持要素の少なくとも1つは、前記中間要素8のピッチとは異なる同一のピッチを有することを特徴とする、請求項1または2に記載のオクルーダー1。
【請求項6】
前記中間要素8は、前記中間要素8の軸方向長さに沿って、前記第1のピッチを有する長手方向部分と、前記第2のピッチを有する長手方向部分とを含むことを特徴とする、請求項1、2、または5に記載のオクルーダー1。
【請求項7】
前記オクルーダーは、弛緩状態から、オクルーダーの長手方向において弛緩状態よりも長い、軸方向に伸張した状態まで伸張可能であり、およびオクルーダーによって提供される負荷対伸び比はN/mmで測定され、少なくとも2mm伸張されたとき、約0.75未満であることを特徴とする、請求項1~6のいずれかに記載のオクルーダー1。
【請求項8】
前記オクルーダーによって提供される負荷対伸び比は、N/mmで測定され、少なくとも2mm~最大約6mmまで伸張されたとき、0.5N/mm未満であり、好ましくは0.75N/mm未満であり、さらに好ましくは0.25N/mm未満であることを特徴とする、請求項7に記載のオクルーダー1。
【請求項9】
弛緩状態から伸張状態まで伸張されたとき、前記中間要素の断面直径の減少は60%未満であり、好ましくは40%未満であることを特徴とする、請求項7または8に記載のオクルーダー1。
【請求項10】
前記オクルーダーが弛緩状態の50%超および弛緩状態の最大約150%の長さに伸張されるとき、前記近位の保持要素および前記遠位の保持要素の少なくとも1つの外周面は、実質的に一定であることを特徴とする、請求項1~9のいずれかに記載のオクルーダー1。
【請求項11】
前記オクルーダーが弛緩状態にあるとき、前記中間要素は、オクルーダーの長手方向軸に対して、少なくとも部分的に直線または中央がくびれている形状であることを特徴とする、請求項1~10のいずれかに記載のオクルーダー1。
【請求項12】
前記オクルーダーは、動脈管開存症(PDA)オクルーダー、弁周囲漏出装置(PLD)、経カテーテル的大動脈弁留置術PLD(TAVI-PLD)、心室中隔欠損症(VSD)オクルーダー、心房中隔欠損症(ASD)オクルーダー、卵円孔開存症(PFO)オクルーダー、左心耳(LAA)オクルーダー、心房間シャント装置、心房流量調整装置(AFR)デバイス、瘻管装置、または血管プラグ(VP)装置であることを特徴とする、請求項1~11のいずれかに記載のオクルーダー1。
【請求項13】
オクルーダー1であって、
少なくとも1つのワイヤーの一体的な基盤本体で作られ、かつピッチを有する連続的な管状の編んだ構造を含み、前記ピッチが少なくとも1つのピッチ遷移部9を有する基盤本体の軸方向長さに沿って変化し、
前記オクルーダーは、
オクルーダー1の弛緩状態において、第1の遷移部9aで外周面および遠位の内径を有する、近位の保持要素4;
オクルーダー1の弛緩状態において、第2の遷移部9bで外周面および近位の内径を有する、遠位の保持要素6;
近位の保持要素4と遠位の保持要素6の第1の遷移部9aと第2の遷移部9bの間に伸張する中間要素8;
を含む形状を有するようにヒートセットされ、
ここで、
-前記オクルーダーは、弛緩状態から、オクルーダーの長手方向において弛緩状態よりも長い、軸方向に伸張した状態まで伸張可能であり、およびオクルーダーによって提供される負荷対伸びの比はN/mmで測定され、少なくとも2mm伸張されたとき、近位保持要素または遠位保持要素の歪みなしに、約0.75未満であり、
-前記遷移部9a、9bの少なくとも1つの位置はオクルーダー1の中心軸10に接近し、前記オクルーダーが軸方向に伸張した状態であるときに、前記中間要素8の直径はその弛緩直径から減少することを特徴とする、オクルーダー1。
【請求項14】
第1ピッチから第2ピッチへの前記ピッチの少なくとも1つの遷移部は、前記オクルーダーが弛緩状態にあるとき、前記近位の保持要素4および前記遠位の保持要素6の少なくとも1つの外周面よりも前記オクルーダーの中心軸または中間要素の近くに位置することを特徴とする、請求項13に記載のオクルーダー。
【請求項15】
前記ピッチの前記少なくとも1つの遷移部9は、前記オクルーダー1が弛緩状態にあるときに、前記近位の保持要素4および前記遠位の保持要素6の少なくとも1つの外周面と内径との間に位置することを特徴とする、請求項14に記載のオクルーダー1。
【請求項16】
前記オクルーダーによって提供される負荷対伸び比は、N/mmで測定され、少なくとも2mm~最大約6mmまで伸張されたとき、0.5N/mm未満であり、好ましくは0.75N/mm未満であり、さらに好ましくは0.25N/mm未満であることを特徴とする、請求項13-15のいずれかに記載のオクルーダー1。
【請求項17】
弛緩状態から伸張状態へ伸張されたときの前記中間要素の断面直径の減少は60%未満、好ましくは40%未満であることを特徴とする、請求項13-16のいずれかに記載のオクルーダー1。
【請求項18】
前記オクルーダー1が弛緩状態の50%超および弛緩状態の最大約150%の長さに伸張されるとき、前記近位の保持要素4および前記遠位の保持要素6の少なくとも1つの外周面は、実質的に一定であることを特徴とする、請求項13-17のいずれかに記載のオクルーダー1。
【請求項19】
前記オクルーダーは、動脈管開存症(PDA)オクルーダー、弁周囲漏出装置(PLD)、経カテーテル的大動脈弁留置術PLD(TAVI-PLD)、心室中隔欠損症(VSD)オクルーダー、心房中隔欠損症(ASD)オクルーダー、卵円孔開存症(PFO)オクルーダー、左心耳(LAA)オクルーダー、心房間シャント装置、心房流量調整装置(AFR)デバイス、瘻孔装置、または血管プラグ(VP)装置であることを特徴とする、請求項13-18のいずれかに記載のオクルーダー1。
【請求項20】
前記遠位の保持要素6および/または前記近位の保持要素4がディスク形状であることを特徴とする、請求項1~19のいずれかに記載のオクルーダー1。
【請求項21】
前記ディスクはヒートセットにおいて二重に折り重ねられ、前記遷移部9は前記ディスクの内層にそれぞれ配置されていることを特徴とする、請求項20に記載のオクルーダー1。
【請求項22】
前記遠位の保持要素6および/または前記中間要素8はフックを含むことを特徴とする、請求項13-19のいずれかに記載のオクルーダー1。
【請求項23】
請求項1-22のいずれかのオクルーダーを製造する方法であって、前記方法は、
ピッチを有する連続的な管状の編んだ組み合わせた構造を提供する少なくとも1つのワイヤーの一体的な基盤本体を形成する工程であって、前記ピッチが少なくとも1つのピッチ遷移部9を有する前記オクルーダーの基盤本体の軸方向長さに沿って変化する、工程と;
オクルーダー1の弛緩状態において、第1の遷移部9aで外周面および遠位の内径を有する、近位の保持要素4、
オクルーダー1の弛緩状態において、第2の遷移部9bで外周面および近位の内径を有する、遠位の保持要素6、ならびに、
近位の保持要素4と遠位の保持要素6の第1の遷移部9aと第2の遷移部9bの間に伸張する中間要素8、を含む形状を有するように基盤本体をヒートセットする工程を含み、
ここで、
第1のピッチから第2のピッチまでの前記ピッチの少なくとも1つのピッチ遷移部9は、オクルーダーが弛緩状態にあるときに、前記近位の保持要素と前記遠位の保持要素の少なくとも1つの外周面に対するよりも、前記オクルーダーの中間要素または中心軸の近くに位置しており、あるいは、
前記オクルーダーは、弛緩状態から、オクルーダーの長手方向において弛緩状態よりも長い、軸方向に伸張した状態まで伸張可能であり、およびオクルーダーによって提供される負荷対伸びの比はN/mmで測定され、少なくとも2mm伸張されたとき、近位保持要素または遠位保持要素の歪みなしに、約0.75未満であることを特徴とする、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、心房中隔欠損症(ASD)オクルーダー、卵円孔開存症(PFO)オクルーダー、PDA(動脈管開存症)オクルーダー、PLD(弁周囲漏出装置)、TAVI(経カテーテル大動脈弁留置術)PLD、VSD(心室中隔欠損症)オクルーダー、LAA(左心耳)オクルーダーなどの血管内および/または心臓オクルーダーおよび装置、AFR(心房流量調整装置)、瘻孔装置、および/またはVP(血管プラグ)装置などの相互心房分流器の分野に関係する。特に、これらの装置は、組み合わされた構造物、好ましくは編組み線構造から製造される。
【背景技術】
【0002】
オクルーダーは一般的に十分な閉塞を提供し、様々な構造的な心臓あるいは脈管疾患のための最小限に侵襲的な処置を可能にする。植え付けられた時、AFRなどの心房間の短絡装置は、装置を横切る制御された流れを可能にするのであり、例えば、国際公開第2016/038115A1号公報を参照されたい。瘻管装置は、2つの体腔間の通路を提供し得る。脈管のプラグは、脈管の閉塞を提供し得る。
血管内および/または心臓のオクルーダーおよび装置を使用する構造的な心臓あるいは血管の疾患の治療のためのインターベンション術は、確立されたルーチィーンになった。
【0003】
構造的な心疾患の治療用オクルーダーは装置の一端に一つのディスク、あるいは二つのディスクを、くびれ部の対向する端部それぞれに一つのディスクを持ちうる。ディスクは、くびれ部に対して拡大した直径を有しうる。通常は、ディスクはオクルーダーの閉塞する部分として使用される。
【0004】
2つのディスクを有するオクルーダーは、中隔壁、心臓弁、心臓弁のアニュラスなどの心臓の構造の二つの側の間、あるいは肺動脈と大動脈のような二つ血管の間に延在する場合がある。ディスクは、できれば植え付けられた時、適所にオクルーダーを維持する保持ユニットとして、心臓の構造のそれぞれの側に置くことができる。くびれ部は心臓の構造を通って伸張することができる。そのような心臓の構造は大きな可変性を持つことができる。例えば、解剖学的構造の長さおよび形状などの大きな可変性に適応するための単一のディスクを備えたオクルーダーが、いくつかの疾病の治療のために一般に使用される。単一ディスクのオクルーダーについては、ディスクかくびれ部のいずれかが、閉塞する部分として使用することができる。しかしながら、装置の閉塞する効果が歪められるように、その解剖学的構造は閉塞するくびれ部を歪め得る。そのことは、解剖学的構造にオクルーダーをしっかりと据え付けることを困難にし得る。
【0005】
特定の臨床的/解剖学的な長さのために設計された解剖学的構造に適するオクルーダーの場合、2つのディスクを備えたオクルーダー、くびれ部の伸張可能な長さが実際に要求される状況で使用される場合、ディスクはくびれ部の剛性により歪められるかもしれない。これは、ディスクによって提供される閉塞の効果の質を低下させ得る。他の構造的な心臓病は、一定の直径を持っているオクルーダー、あるいは単一のディスクだけで治療される。
【0006】
国際公開第2017/139702A1号では、脈管用の閉塞装置はピッチが変わるペタル(petal)を有することが開示されている。米国特許8313505B2号公報では、一つのピッチを有する管状のオクルーダーが開示されている。国際公開第2014/150288A2号では、脈管の治療器具は装置の有孔性を制御するように編組角を制御することが開示される。国際公開第2018/058033A1号では、LAAオクルーダーは異なるピッチを備えた多層の編組を有することが開示される。国際公開第2011/161136A1号では、様々な編んだセグメントが組み立てられた医療用インプラントは開示される。国際公開第97/42878A1号では、単一のピッチを有する管状の編組で作られた閉塞装置が開示される。欧州特許出願公開第2063791号および対応する国際公開第2008/036156A1号では、脳血管系装置は開示され、装置の端部ではないところで、管状の編組の編組角が、装置の特定の部分の拡大を制限するように制御される。国際公開第2014/110589A1では、可変ピッチを備えた閉塞装置が開示される一方で、装置における可変ピッチの目的および機能についての開示はない。国際公開第2017/214431A1号では、編組した血管用の(vaso-)閉塞部材が開示され、かつ編組の可変ピッチが開示される一方で、装置における可変ピッチの目的および機能については開示されていない。国際公開第03/065934A2号公報では、様々な編組角度がステントの様々な半径方向の強度を提供する、編組したモジュール・ステントが開示される。国際公開第2018/112203A1号では、重合体のエレクトロスパン・コーティングを備えたステントが開示される。米国出願公開US2015/238333号では、脈管の動脈瘤ステント装置が開示される。
【0007】
特定の解剖学的構造は、上記したオクルーダーのいずれの閉塞にも適していない。
【0008】
また、くびれ部によって閉塞される解剖学的構造の長さは、植え付けられたオクルーダーの寿命の間に変わり得る。例えば、構造は構造的な心臓病において拡大し得る。また、収縮が、例えば心臓の洞調律の間、あるいは細動の間に生じ得る。例えば、心耳は収縮するかもしれないし拡大するかもしれない。心臓壁は厚くなり得る。一般に、既知のオクルーダーは、周囲の移植組織について、そのように変化する解剖学的状況を生じる張力に対処することができず、組織の破裂、移植サイトでの望まれない漏出、または患者にとって恐ろしい結果をもつ装置の塞栓化にさえ潜在的に結びつく。
【0009】
したがって、長さおよび/または形状などのより大きな可変性を有する解剖学的構造の処置のために増加した耐屈曲性を備えたオクルーダーの必要性が存在する。
【発明の概要】
【0010】
従って、上記されたように、本発明の実施形態は、添付の特許請求の範囲のオクルーダーを提供することによる好ましくは、当該技術の欠陥、欠点あるいは問題を、単独あるいは任意の組み合わせで、軽減するか、緩和するか、または除去することを追求する。
【0011】
本発明は、添付の特許請求の範囲のみによって、とりわけ添付の独立請求項の範囲によって定義される。添付の特許請求の範囲の下にはない詳細な説明全体にわたる「実施形態」への言及は、単に可能な典型的な実施を表わし、したがって本発明の一部ではない。一態様では、本開示は、オクルーダーの軸方向長に沿って変化するピッチを有している、管状の組み合わされた構造とのオクルーダーを含み、ピッチの少なくとも1つの遷移部は、オクルーダーが弛緩状態にある場合、近位の要素および/または遠位の要素の外周面よりもオクルーダーの中心軸または中間部材の近くに位置している。オクルーダーは、少なくとも1つのワイヤーの一体的な基盤本体で作られ、かつピッチを有する連続的な管状の編んだ構造を含み、該ピッチは少なくとも1つのピッチ遷移部をもつ基盤本体の軸方向長さに沿って変化する。オクルーダーは、好ましくは、オクルーダーの弛緩状態において、第1の遷移部で外周面および遠位の内径を有する、近位の保持要素を含む形状を有するようにヒートセットされる。形状は好ましくは、オクルーダーの弛緩状態において、第2の遷移部で外周面および近位の内径を有する、遠位の保持要素を含む。形状は好ましくは、近位の保持要素と遠位の保持要素の第1の遷移部と第2の遷移部の間で伸張する中間要素を含む。第1のピッチから第2のピッチへの前記ピッチの少なくとも1つのピッチ遷移部は好ましくは、オクルーダーが弛緩状態にあるときに、近位要素および遠位要素の少なくとも1つの外周面に対するよりも、前記オクルーダーの中間要素または中心軸の近くに位置する。好ましくは、前記遷移部の少なくとも1つの位置は前記中心軸に接近し、オクルーダーが軸方向に伸張した状態であるとき、前記中間要素の直径はその弛緩直径から減少する。
【0012】
別の態様では、本開示は、弛緩状態から軸方向に伸張した状態まで伸張可能なオクルーダーを含み、上記オクルーダーはオクルーダーの長手方向において弛緩状態よりも長く、およびオクルーダーによって提供される負荷対伸びの比は、N/mmで測定され、少なくとも2mm伸張されたとき、約0.75未満である。第1の態様および第2の態様は相互に排他的な実施形態を形成するか、あるいは単一の実施形態に組み合わせることができる。
【0013】
本開示の第2の態様で、オクルーダーを製造する方法が提供される。前記方法は、ピッチを有する連続的な管状の編んだ組み合わされた構造を提供する少なくとも1つのワイヤーの一体的な基盤本体を形成する工程であって、上記ピッチが少なくとも1つのピッチ遷移部を持つオクルーダー基盤本体の軸方向長さに沿って変化する、工程を含む。前記方法は、オクルーダーの弛緩状態において、第1の遷移部で外周面および遠位の内径を有する、近位の保持要素を好ましくは含む形状を有するように基盤本体をヒートセットする工程を含む。形状は好ましくは、オクルーダーの弛緩状態において、第2の遷移部で外周面および近位の内径を有する、遠位の保持要素を含む。形状は、好ましくは、近位の保持要素と遠位の保持要素の第1の遷移部と第2の遷移部の間で伸張する中間要素を含む。
第1のピッチから第2のピッチへのピッチの少なくとも1つのピッチ遷移部は好ましくは、オクルーダーが弛緩状態にあるとき、近位要素および遠位要素の少なくとも1つの外周面に対するよりも、オクルーダーの中間要素または中心軸の近くに位置する。代替的に、または追加的に、オクルーダーは、弛緩状態から、弛緩状態よりもオクルーダーの長手方向に長い軸方向に伸張した状態まで伸張可能であり、オクルーダーによって提供される負荷対伸びの比は、N/mmで測定され、近位の保持要素または遠位の保持要素の歪みなしに、少なくとも2mm伸張されたときに約0.75未満である。
【0014】
本発明の実施形態は、少なくとも1つのワイヤーと、少なくとも1つのワイヤーで作られ、かつピッチを有する管状の組み合わされた構造とを含むオクルーダーを提供し、上記ピッチはオクルーダーの軸方向長さに沿って変化し、前記オクルーダーは、オクルーダーの弛緩状態において、外周面および内径を有する近位要素、オクルーダーの弛緩状態において外周面および内径を有する遠位要素、ならびに近位要素と遠位要素の間で伸張する中間要素を含む。
【0015】
第1の態様によれば、第1のピッチから第2のピッチへのピッチの少なくとも1つの遷移部は、オクルーダーが弛緩状態にあるとき、近位要素および遠位要素の少なくとも1つの外周面に対するよりも、オクルーダーの中間要素または中央の長手方向軸の近くに位置する。
【0016】
第2の態様によれば、オクルーダーは、弛緩状態から、オクルーダーの長手方向において弛緩状態よりも長い、軸方向に伸張した状態または細長い状態まで、その長手方向に伸張可能である。オクルーダーによって提供される負荷対伸び比は、N/mmで測定されるが、少なくとも2mm伸びたときに、約0.75未満である。
【0017】
様々な実施形態では、第1の態様および第2の態様は、相互に排他的な実施形態であるか、あるいは単一の実施形態へ組み合わされ得る。第1の態様および第2の態様の各々は別々にまたは一緒に、次の実施形態と組み合わされ得る。
【0018】
一実施形態では、オクルーダーが弛緩状態にある場合、ピッチの少なくとも1つの遷移部は、近位要素および遠位要素の少なくとも1つの外周面と内径の間に位置し得る。
【0019】
一実施形態では、近位要素および遠位要素の少なくとも1つは、第1のピッチを少なくとも含み、中間要素は、中間要素の軸方向の長さに沿った第2のピッチのみを含む。
【0020】
一実施形態では、内径が長手方向でオクルーダーを伸ばす際に縮小するとき、近位要素および遠位要素の外周面の少なくとも1つは、実質的に一定である。
【0021】
一実施形態では、近位要素および遠位要素の少なくとも1つは、第1のピッチのみを含む。
【0022】
一実施形態では、中間要素は、中間要素の軸方向の長さに沿って第1のピッチおよび第2のピッチを含む。
【0023】
一実施形態では、オクルーダーは、弛緩状態から、オクルーダーの長手方向において弛緩状態よりも長い軸方向に伸張した状態まで伸張可能である。
【0024】
一実施形態で、オクルーダーによって提供される負荷対伸びの比は、N/mmで測定され、少なくとも2mm~最大約6mmまで伸張されたとき、好ましくは0.5N/mm未満であり、好ましくは0.75N/mm未満であり、さらに好ましくは0.25N/mm未満である。
【0025】
実施形態において、オクルーダーが弛緩状態から伸張状態まで伸張されたとき、中間要素の断面直径の減少は60%未満であり、好ましくは40%未満である。
【0026】
実施形態において、オクルーダーが弛緩状態の50%超および弛緩状態の最大約150%の長さに伸ばされるとき、近位要素および遠位要素の少なくとも1つの外周面は、実質的に一定である。
【0027】
実施形態において、オクルーダーが弛緩状態にあるとき、中間要素は、少なくとも部分的に直線であるか、あるいは、円筒状または円錐状、鐘形、もしくは砂時計形状など、オクルーダーの長手方向軸に対して中央がくびれている形状である。
【0028】
実施形態において、オクルーダーは、例えば、PDAオクルーダー、PLD、TAVI-PLD、VSDオクルーダー、心房中隔欠損症(ASD)オクルーダー、卵円孔開存症(PFO)オクルーダー、LAAオクルーダー、AFR(心房流量調整装置)、瘻孔装置、または血管プラグ(VP)装置などの心房間シャント装置のうちの1つである。
【0029】
本発明の実施形態は、種々様々の形状を有する解剖学的構造の閉塞のために使用することができ、そのため外科医による閉塞は従来利用可能なただ一つのオプションであったオクルーダーを提供するものである。特に、本発明の延伸性は、非常に様々な形状に適合することができ、それゆえ、非常に柔軟であるオクルーダーを提供する。例えば、オクルーダーは、その間のくびれ部に対して拡大した近位要素および/または遠位要素と共に使用されたとき、中間要素のそれぞれの端部に設けられる近位要素と遠位要素を備えた閉塞を提供し得る。閉塞は、当業者に知られた適切なコーティングおよび/または織物貼付剤によって増強され得る。
【0030】
「comprises/comprising」という用語は、この明細書で使用された時、明示された特徴、整数、ステップ、あるいは構成要素の存在を明示するためにとられるが、1つ以上の他の特徴、整数、ステップ、構成要素、あるいはそれらの群の存在や追加を妨げない。
【図面の簡単な説明】
【0031】
これらの態様および他の態様、特徴、および、本発明の実施形態から可能になる利点は、本発明の実施形態の以下の記載から明白になり、解明されるであろう、ここで添付図面に言及する。
図1a図1aは、緩められたオクルーダー1にヒートセットする前に、管状の組み合わされた構造の基本的な形状の例を有する基盤本体の実施形態の側面図である。
図1b図1bは、一例の相対的な表示を備えた図1aの基盤本体の側面図であり、適切なヒートセットプロセスによって所望の形状を与えられたときに、基盤本体の部分がオクルーダー1に位置付けられている、
図2a図2aは、オクルーダーが弛緩状態にあるときに、長手方向を横切って、その近位端および遠位端に向かって見た、オクルーダーの実施形態の中心で切断された、それぞれ側面図および断面図である。
図2b図2bは、弛緩状態の図2aのオクルーダーの斜視図である。
図3a図3aは、オクルーダーが軸方向に伸張された状態または細長くされた状態にあるときに、長手方向を横切って、近位端および遠位端に向かって見た図2aのオクルーダーの中心で切断された側面図および断面図である。
図3b図3bは、軸方向に伸張された状態または細長い状態の図2aのオクルーダーの斜視図である。
図4図4aは、オクルーダーが弛緩状態にあるときに、長手方向を横切って、その近位端および遠位端に向かって見た、オクルーダーの実施形態の中心で切断された、それぞれ側面図および断面図である。
図4b図4bは、弛緩状態の図2aのオクルーダーの斜視図である。
図5a図5aは、オクルーダーが軸方向に伸張された状態または細長くされた状態にあるときに、長手方向を横切って、近位端および遠位端に向かって見た図4aのオクルーダーの中心で切断された側面図および断面図である。および
図5b図5bは、図5aで示された軸方向に伸張された状態または細長い状態の図4aのオクルーダーの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
本発明の特定の実施形態について、添付図面を参照して記載する。しかしながら、本発明は多くの異なる形態で具現化され得るので、本明細書に記載された実施形態に限定されるものと解釈されるべきでない。むしろ、この開示が完全になり完成するように、これらの実施形態が提供され、当業者に対して添付の特許請求の範囲によって定義されるような本発明の範囲を完全に伝えるだろう。添付図面で例証された実施形態の詳細な記載で使用された用語は、本発明を限定するようには意図されていない。図面において、同様の数字は同様の要素を指す。
【0033】
本発明のこの記載はオクルーダー1に関して与えられ、それはPDAオクルーダーの実施形態において例証される。本開示の他のオクルーダーは類似の形状および機能、例えば、本開示の改良を有するmVSD(筋性部心室中隔)オクルーダーなどのVSDを有し、ここで、従来のmVSDは、この改良を有しないオクルーダーとの比較測定のために以下に記載する。しかしながら、本発明は例証された実施形態に厳密に限定されないが、PDAオクルーダー、PLD、TAVI-PLD、VSDオクルーダー、心房中隔欠損症(ASD)オクルーダー、卵円孔開存症(PFO)オクルーダー、LAAオクルーダーなどの他のタイプのオクルーダー、心房壁にわたって抑制された左/右心血流を可能にするAFR(心房流量調整装置)などの心房間の短絡装置、瘻装置、または脈管プラグ(VP)装置、瘻チャネル(瘻にわたって少なくとも部分的な流れを閉塞する、あるいは流れを方向付ける)オクルーダーを形成する、追加の実施形態を含むことは心に留めておかれるべきである。
【0034】
本発明は、第1の態様および第2の態様並びに、それらの実施形態に関して記述されるだろう。第1の態様および第2の態様は互いに排他的な実施形態である。いくつかの実施形態では、第1の態様および第2の態様は単一の実施形態へ組み合わされ、それは本明細書に記載された詳細な実施形態によってさらに定義され得る。第1の態様および第2の態様に共通の構造が、まず記載されるだろう。
【0035】
図1aおよび1bにおいて例証されるように、オクルーダー1の基盤体は、少なくとも1本のワイヤー2を含み、少なくとも1本のワイヤー2から作られた、管状の組み合わされた構造3(図1a)へと形成され得る。基盤体は、単一で、一体的な、連続的に組み合わされた構造3、例えば、2つの対向する端部を持つ単一の編組体から作られる。組み合わされた構造3は、また単一のワイヤーから作られ得る。ワイヤー2は、素線とも言う。ワイヤーは金属で作られ得る。ワイヤーは適切な高分子材料で作られ得る。素線は単一コアの重いフィラメントとして作られるかもしれないし、あるいは素線技術に類似した編組したマルチフィラメント素線のように素線(マルチフィラメント)を形成するサブエレメントでできているかもしれない。ワイヤー2は、形状記憶金属(例えば、ニチノール)のような形状記憶物質によって形成されるかもしれない。特に、ワイヤー2は高度な弾性特性を備えた形状記憶物質によって形成されるかもしれない。
【0036】
管状の組み合わされた構造3は、一般的に製織技術によって組み合わされる。望ましくは、管状の組み合わされた構造3は管状の編組として管状の組み合わされた構造3を提供するために織られる。管状の編組は既知の編組技術によって提供されるかもしれない。しかしながら、ピッチおよび/または弾性を変化させる部分は、この出願で開示された改善によって提供される。単一のピッチを備えた袋状の形状を呈した基盤体用の編組技術の好適例は、本出願と同じ出願人の国際出願第US2007/0225760A1号で開示され、すべての目的のために参照によってその全体が本明細書に組込まれる。当業者は、本開示で開示された改善に従って基盤本体を製造するために国際出願第2007/0225760A1号の教示を変更する方法を知るだろう。
【0037】
管状の組み合わされた構造3のワイヤーはピッチを持つように組み立てられ、該ピッチは管状の組み合わされた構造3のまわりのワイヤーの1回転のために要求される長手方向の距離である。図1aおよび図1bで見られるように、そのピッチはオクルーダー1の軸方向長さに沿って変化するかもしれない。第1部分3aでは、ピッチは、第2部分3bのピッチより大きいかもしれない。これはその長さに沿って管状の組み合わされた構造3の伸長性(伸縮性)または弾性を変えることを提供する。管状の組み合わされた構造3の第1、第2(およびさらに、例えば第3)部分は、変化するピッチによって異なる伸長性(伸縮性)がこのように与えられ得る。例えば、第1部分には、第2部分3bほど伸張(伸縮自在)できないようなピッチが与えられ得る。第3部分(存在する場合)には、第1部分3aあるいは第2部分3bとは異なるピッチが与えられ得る。第3部分には、一例において第1部分3aと同じピッチが与えられ得る。更なる部分は、管状の組み合わされた構造3の基盤本体における他の部分に関する部分のピッチを変えることにより定義されるかもしれない。
【0038】
例えば、ワイヤーのピッチ(すなわち、ワイヤーの巻回と、組み合わされた構造との軸の間で定義された角)、および管状の組み合わされた構造3のピック(すなわち、単位長さ毎のワイヤーの重なりの数)は、特定の用途のために望まれるように調節され得る。例えば、ワイヤーのピッチは約90度~130度、例えば約100度であり得る。また、一例として、オクルーダー1が弛緩形状にあるとき、第2部分3bのピックの数は約7~12ピック/5mm、例えば約9のピック/5mmに、になりえる。オクルーダーが約4~6mm伸張されたとき、ワイヤーのピッチは約50度~90度および/(または第2部分3bの中のピックの数は、約12~16ピック/5mm、例えば約14ピック/5mmでありえる。同時に、熱成形されたオクルーダー1の第1部分3aのピッチのピッチおよび/またはピックは、弛緩形状と伸びた形状の両方において一定であり得る。その代わりに、あるいは加えて、第1部分3aのワイヤーは、花弁状の形状を形成するために組み合わされ得る。したがって、オクルーダーが伸張状態と同様に弛緩形状にもあるとき、第1部分3aのピックは本質的に一定であり得る一方で、第2部分は伸張状態に対して弛緩形状において可変ピックを有する。
【0039】
図1aは、熱処理前で、かつその弛緩形状にオクルーダー1を形作る前に、その基本形状の多数のワイヤーの編組で作られた管状の組み合わされた構造3を例証する。さらに、図1aおよび図1bの基盤本体に組み合わされた構造3は、第1部分3aおよび第2部分3bを含み、第1部分3aは第2部分3bの遠位にある実施形態を例証する。部分が様々な(変化する)ピッチを有する場合、ピッチ遷移部9は部分間に存在する。
【0040】
他の実施形態では、基盤本体に組み合わされた構造3は、第2部分3bに近位に形成される第3部分(図1aまたは1bに示されない)を含む。第3部分は、第2部分3bのピッチとは異なるピッチ、例えば第2部分3bのピッチより大きなピッチ、を有し得る。他の実施形態では、第3部分のピッチは第2部分3bよりも小さい。
【0041】
したがって、他の実施形態はさらなる部分を有し得る。
【0042】
ついで、オクルーダー1の弛緩形状をヒートセットした後、ヒートセット・オクルーダー1はその長手方向の軸に沿って基盤本体によって定義された同じ部分を有する。基盤本体に組み合わされた構造3の部分はヒートセット・オクルーダーの部分に対して1:1に相当しないかもしれない。例えば、ピッチ遷移部9は、基盤本体に沿って固着され、したがってヒートセット・オクルーダー1に沿っても固着される。しかし、以下に詳細に記載されるように、端部円板6のようなオクルーダー要素から遷移部9bにおける中間部分8(オクルーダーの「くびれ部」とも言う)のような隣接したオクルーダー要素までの遷移部は、ピッチ遷移部9とは異なる、ヒートセット・オクルーダーの長手方向の軸に沿った遷移部あるいは位置9a、9bで存在し得る。オクルーダー1の長手方向の軸および/または軸方向の位置に沿った遷移部9a、9bの位置は、さらに変化し得る。例えば遷移部9a、9bの位置の可変性は、オクルーダー1の伸びの状態によって決定され得る。以下参照。
【0043】
したがって、ディスク4、6のようなオクルーダー1の要素は、それらの伸びに沿って異なるピッチ部分(3a、3bのような)の2つ以上の部分を持ち得る。例えば、2重に折り重ねられたディスクの、遠位のディスク6のようなインナディスク部分は、基盤本体の部分間のピッチ遷移9を含み得る一方で、図2~5で見ることができるように、くびれ部8への遷移部9bは、オクルーダー1の中心軸10に向ってより内側に位置づけられ得る。
【0044】
さらに、遷移部9a、9bの位置は、変化し得る。例えば、図2a、2bおよび3a、3b並びに4a、4bおよび5a、5bのそれぞれを参照。
【0045】
したがって、くびれ部8の長さは、部分的には遷移部9a、9bの可変位置のおかげで、そして部分的には第1部分3aおよび第2部分3bの異なるピッチのおかげで変化し得る。
【0046】
その上、くびれ部8の伸長性(伸縮性)または弾性は、さらにディスクの端部および/または外径の変形前にくびれの伸びが生じることをさらに促進するために選ばれ得る。以下参照。
【0047】
いくつかの実施形態では、第1部分3aおよび第3部分のピッチは同じであり、このことは、後述するように、オクルーダー1が伸張されるか長くされる場合に、第2部分3bに本質的に等しい力を加えることを提供する。他の実施形態において、第1部分3aおよび随意に第3部分は、図4b、5bで例証されるように、花弁状を呈したワイヤーによって形成され得る。そのような形状も図2b、3bで例証された実施形態に利用され得る。
【0048】
図1aの組み合わされた構造3は、弛緩状態あるいは細長くされない状態のオクルーダーの形状を形成し、かつさらに後述するようにオクルーダーの特性を得るために、1工程または複数の工程で熱処理され得る基本形状を形成する。ニチノールなどの形状記憶物質の熱処理はそういうものとして知られており、これ以上本明細書に記述されない。オクルーダーの一例の部分の相対的位置は、図1bで見ることができる。
【0049】
変化するピッチ部に加えて、管状の組み合わされた構造3の伸長性(伸縮性)または弾性は、ヒートセット処理によってさらに定義され得、当業者であれば実施方法が分かるように、様々なパラメーターを備えた部分で行うことができる。伸長性(伸縮性)または弾性は、このようにヒートセット・オクルーダー1の長手方向の軸に沿って変化し得るように定義され得る。例えば、中間要素8は、ディスク4、6のように、1つあるいは2つの端部より高い伸長性(伸縮性)を有することができる。
【0050】
熱処理の後、オクルーダーは一般的に自己伸張可能である。折り畳んだ時、例えば、カテーテルシースにおける送達中、オクルーダーは、さらに抑制しなければ、ヒートセットされた弛緩形状に弾力的に戻る。オクルーダーは再度完全にあるいは少なくとも部分的に折り畳まれ得、再び自己拡張し得る。望ましくは、高度に弾性を有する材料はニチノールのような線材ストランドが提供される。
【0051】
図2a-2bは、オクルーダーの弛緩状態あるいは細長くされない状態を例証する。オクルーダー1は、オクルーダー1の弛緩状態において、外周面5および内径D1aを持っている近位要素4を含み得る。追加的に、あるいは代替的に、オクルーダー1は、オクルーダー1の弛緩状態において、外周面7および内径D1bを持っている遠位要素6を含み得る。中間要素8は近位要素4と遠位要素6との間に伸び得る。
【0052】
特に、遠位要素6は遠位の保持要素であり得る。特に、近位要素4は近位の保持要素であり得る。保持手段は、差し込まれた時、適所にオクルーダー1を維持する能力を意味する。例えば、保持要素は保持ディスクであり得る。
【0053】
近位要素4および遠位要素6の各々は、オクルーダー1のディスクを形成し得る。
【0054】
オクルーダー1は近位要素4および/または遠位要素5、すなわち、近位のディスクおよび/または遠位のディスクを含む。
【0055】
近位要素4/遠位要素6は、例えば、実質的に円形、卵形、実質的に正方形、腎臓状の形状(例えば、TAVI PLD用)などであり得る。
【0056】
さらに、近位要素および/または遠位要素は、カップ状であり得る、すなわち、その外周はオクルーダー1の近位方向と遠位方向に曲がっていてもよい。
【0057】
さらに、近位要素/遠位要素はドーム状を呈し得る(端部表面で凸状の外表面)。
【0058】
いくつかの実施形態では、近位要素4および/または遠位要素6はその中心から曲げられる。他の実施形態では、近位要素4および/または遠位要素6の一部だけが曲げられる。
【0059】
さらに、近位要素/遠位要素には、例えば、ワイヤーの溶接された端部あるいは締め付けられた端部のような、接続要素を「隠す」ため、かつ端部表面を越えて突出しないようにするために、追加的におよび/または代替的に凹所が設けられ得、したがって、差し込まれた時、オクルーダー表面に取り付けるために、改善された内皮化および/または血栓の縮小された危険を提供する。
【0060】
中間部材8は、オクルーダー1のくびれ部を形成し得る。中間部材8の最大外径は、近位要素4および遠位要素6の最大外径より小さいかもしれない。
【0061】
いくつかの実施形態では、中間部材8は、中間部材8の軸の長さに沿った第1のピッチと第2のピッチとを含む。さらに、図2bおよび3bで見られるように、中間部分8は、その長さに沿ってより大きなピッチおよびより小さなピッチを備えた1またはいくつかの部分のように、その長さに沿って変化するピッチを有し得る。これは、さらに中間部分8の弾性特性を増強する。
中間部分8は、一例において、近位要素4および遠位要素6よりも、オクルーダーの長手方向で実質的により高い弾性を持っている。
【0062】
第1の態様によれば、オクルーダー1が弛緩状態あるいは細長されない状態であるとき、第1のピッチから第2のピッチまでのピッチの少なくとも1つのピッチ遷移部9は、近位要素4および遠位要素6の少なくとも1つの外周面5、7よりも、オクルーダー1の内径D1および/または中心軸10の方により接近して位置づけられる。ピッチ・遷移9は、一例においてディスク要素の形をしている2重に折り重ねられた遠位要素の内側ディスク部分(オクルーダーの端部から遠ざかり、かつオクルーダーの長手方向の中間および/または中心に向かって配向された)で生じる。遠位要素は外径または軸方向の面を有し得る。ピッチ遷移部9は、外周面5、7よりも、オクルーダーの内径D1および/または中心軸10の方に接近して位置づけられる。これは、近位要素4および遠位要素6の少なくとも1つよりも高い中間部材8の伸長性(伸縮性)または弾性に寄与する。
【0063】
第2の態様によれば、オクルーダー1は弛緩状態から軸方向に伸張した状態まで延長され得るか、または延長され得、伸張状態は弛緩状態よりもオクルーダーの長手方向において長い。オクルーダー1はN/mmで測定された負荷対伸び比を有し得る。後述するように、負荷対伸び比が測定され得る。オクルーダーが、オクルーダー1の中心または長手方向10に沿った軸方向で少なくとも2mm伸張されるか延長されると、オクルーダー1によって提供される負荷対伸び比は約0.75N/mmより小さい場合がある。この長さ伸張/オクルーダー・延伸範囲に関する負荷対伸び比は、近位要素4および/または遠位要素4を実質的に歪めずに提供され得る。ディスク形状が維持される、および/または、その外径/外周面が緩んだヒートセットされた形状から変更されないとき、近位要素4および/または遠位要素4は、一般的に歪められない。したがって、オクルーダー1が大きな範囲にわたり差し込まれる時、移植場所にとどまるために、遠位要素によって保持能力が提供される。従って、当該比は、近位要素4および遠位要素6の少なくとも1つより、高い中間部材8の伸長性(伸縮性)または弾性をそれぞれ定義する。したがって、オクルーダー1は、差し込まれる期間(長期)の間でさえ解剖的変異に対して、有利に適応可能である一方で、(近位要素4でおよび/または遠位要素6が歪められないので)保持性を維持した。さらに伸張されると、軸方向に伸張した状態の範囲の端部を越えて、オクルーダーは形状を歪め得る(これは、例えば、移植用の送達シースへとオクルーダーを折り畳むと時に望まれる)。
【0064】
以下において、第1の態様のみ、第2の態様のみ、または組み合わせた第1の態様と第2の態様と組み合わされた実施形態が記載されるであろう。
【0065】
いくつかの実施形態では、オクルーダー1によって提供される負荷対伸び比は0.5N/mm未満であり、好適には0.75N/mm未満である。いくつかの実施形態では、さらに0.25N/mm未満であり得る。オクルーダー1があらかじめ定められた長手方向の長さに伸張されるか延長されると、負荷対伸び比が提供される。あらかじめ定められた長さは、例えば、少なくとも2mm、かつ最大約6mm以内であり得る。上述した歪が生じる前に、従来の装置と比較して、大きな範囲にわたりオクルーダー1は、高度に伸縮自在である。
【0066】
図2aは、オクルーダー1(中心視)の側面図、および中間部分8を横切って切り取られた断面図、近位要素4に向かって見られた図(底面図)、並びに遠位要素6に向かって見られた図(平面図)である。図3aは、伸張状態でオクルーダー1を見た類似の図を含んでいる。近位要素4および遠位要素6の各々は、外径5または外周面7をそれぞれ形成する二重層の外縁部を持った組み合わされた構造3の二重層によって形成され得る。従って、図2aの底面図で例証されるように、近位要素4の遷移部9aは近位要素4の遠位側に位置づけられ得る。同様に、図2aの上面図で例証されるように、遠位要素6の遷移部9bは遠位要素6の近位側に位置づけられ得る。
【0067】
図で見ることができるように、遷移部9a、9bは、オクルーダー1の伸長状態に依存して変化し得る軸方向位置(長手方向の中心軸10までの距離)を有し得る一方で、外径5または外周面7は、オクルーダー1の大きな伸び/延伸範囲内で伸長する際に実質的に一定のままである。
【0068】
全体として、本開示のオクルーダーは、小径を備えた遷移部を回避する。特定の実施形態におけるオクルーダーは、小径を備えた遷移部を有していない。とりわけ、このオクルーダーは、遠位要素6または近位要素4のような端部要素と、中間要素8との間に遷移部を有していない。柔軟な織物の変化するピッチおよび/または部分は、互いに対してオクルーダーの部分の耐屈曲性を向上させる。とりわけ、伸縮性は従来の装置よりも良好であるばかりでなく、オクルーダーの各要素同士に対する枢動または傾斜運動の起こり得る改善が、編組ピッチ遷移部間の配列、およびオクルーダー要素間の遷移部9a、9bの相対的位置によって提供される。小径を備えた遷移部はこのように省略されることもあれば、一方で一部の実施形態では存在する場合がある。
【0069】
いくつかの実施形態では、ピッチの少なくとも1つの遷移部9は、オクルーダー1が弛緩状態にあるとき、外周面5、7と、近位要素4および遠位要素6の少なくとも1つの内径D1a、D1bとの間に位置する。
【0070】
例えば、近位要素4および遠位要素5の少なくとも1つは、少なくとも第1ピッチを含み得る。中間要素8は、中間要素8の軸方向の長さのみに沿って第2ピッチを含み得る。従って、中間要素8は、一例では、組み合わされた管状構造3の第2の部分3bのみから形成することができる。同様に、近位要素4および/または遠位要素5は、組み合わされた構造3の第1の部分3a/第3の部分のみから形成することができる。
【0071】
従って、遷移部9は、中間要素8、および近位要素4/遠位要素6に橋渡しを行い得る。従って、いくつかの実施形態では、近位要素4および遠位要素6の少なくとも1つは、第1ピッチのみを含む。
【0072】
図3a~3bは、オクルーダー1の伸張された状態、または細長くされた状態を例証する。そこでは、オクルーダー1の軸方向長さが、伸張されるか細長くされる。この状態で、オクルーダーの中間部8は伸張/細長くされる。オクルーダーは長手方向に伸張される。しかし、近位要素4および/または遠位要素6の長手方向での軸方向長さまたは厚さは、歪められることなく、実質的に一定のままである。更に、オクルーダー1の細長くされた状態における中間要素8の内径D3は、弛緩状態に比べて縮小されている。一方、近位要素4および/または遠位要素6の外周面は、歪められることなく、実質的に一定のままである。L2>L1であるとき、D3<D2であるが、D1は実質的に不変である。これは、中間要素8と近位要素4および/または遠位要素6の剛性の変動に起因するものであり、このためそれぞれの伸縮性は異なる。
【0073】
図2a~3bで例証されるように、内径D1a、D1bが、その長手方向または中心軸10に沿ってオクルーダー1を伸ばすか細長くするのに際して縮小されるとき、近位要素4および遠位要素6の外周面5、7の少なくとも1つは、それぞれ実質的に一定である。これは例えば、組み合わされた管状構造3の第1の部分3a、第2の部分3b、および随意に第3の部分の変化するピッチを設けることにより提供される。
【0074】
いくつかの実施形態では、オクルーダーが軸方向の長さで弛緩状態から伸展状態まで伸張されるときの中間要素8の断面の直径は、上述した歪が生じることなく、直径D2から直径D3まで60%未満、好ましくは40%未満縮小する。
【0075】
同様に、いくつかの実施形態では、オクルーダー1が長さにおいて、非伸張または緩んだ長さL1から、弛緩状態の50%を超え、および弛緩状態の最大約150%まで伸張されるか細長くされた長さL2へと延長されるとき、近位要素4および遠位要素6の少なくとも1つの外周または直径7は、実質的に一定である。
【0076】
図2a~2bで例証された実施形態では、中間要素8は、円筒状か円錐形などの形状において少なくとも部分的に直線状か、またはくびれている。しかし、他の実施形態では、オクルーダー1が弛緩状態にある場合、中間要素8は、オクルーダー1の長手方向の軸または中心軸10に対して鐘形あるいは砂時計の形状を呈している。近位要素4および/または遠位要素6の形状並びに中間部8の形状は、1つまたは複数の工程での熱処理の間、および形状記憶物質の熱処理中に同じまたは異なる温度を使用して、1つあるいはいくつかの型によって成型され得る。当業者は、オクルーダー1のために選ばれた実際の材料、基盤本体に沿って選ばれたピッチおよびそれらの配分、オクルーダーの長手方向の軸に沿ったオクルーダー要素の配分、オクルーダー1の所望の部分における織物の柔軟性または硬さに依存して、本明細書において開示されるような所望の装置を得るために、適切な硬化温度および凝結時間並びにヒートセットの分布を選択することになる。これは、近位要素4および遠位要素6のオクルーダー1の端部に向かって配向された少なくとも外側と比較して大きい、上述された中間要素8の弾性に寄与する。中間要素は、このように要素4、6より柔軟な織物を持つようにヒートセットされ得る。中間要素8は、第1ピッチおよび第2ピッチの両方を備えた部分を有し得る。そのような中間要素は、熱処理により、隣接した要素よりも柔軟な織物を有し得る。このため中間要素8は、隣接した要素4、6の編組した織物の柔軟性/弾性/伸縮性と異なる、同一の編組した柔軟性/弾性/伸縮性を備えたピッチの2つの部分を有し得る。遠位要素6および/または近位要素4は、第1および第2ピッチの両方を備えた部分を有し得る。第1ピッチは第3ピッチと同一であり得る。熱処理後、オクルーダー1は成型要素から取り出され、変形された後にその緩んだ形状を実質的に保持する。
【0077】
オクルーダー1の端部の少なくとも1つは、カテーテルに基づいた送達用の送達装置にオクルーダー1を取り付けるためのアタッチメント要素11を含み得る。アタッチメント要素11はレーザー溶接接合部などの接合部であり得る。例証された実施形態では、組み合わされた構造3の基盤本体は、袋状を呈している。即ち、ワイヤー2は近位端に起点をなし、遠位端へ組み合わされ、ついで近位端へと組み合わされることで元に戻る。他の実施形態では、組み合わされた構造3は、クランプなどのアタッチメント要素を備えた管状であり、各端部でワイヤー2の自由端部を束ねる。オクルーダー1を取り付けるためのアタッチメント要素11は、オクルーダー1の中心軸10に設けられてもよい。オクルーダー1を取り付けるためのアタッチメント要素11はまた、AFRなどの中心軸10から中心ずれした場所に設けられてもよい。本出願と出願人が同一である国際公開第WO09/016265A2号は、すべての目的のために参照によりその全体が本明細書に組み込まれているものであり、この国際公開では、ワイヤー2の自由端部を束ね、両端を固定する製造方法が開示されている。従って、このような実施形態では、ワイヤー2の一端はオクルーダーの遠位端部に位置づけられ、ワイヤー2の他端はオクルーダー1の近位端に位置づけられる(図示せず)。
【0078】
図4a~4b、5a~5bは、近位要素14および遠位要素16の外周面の代替形状を備えた一実施形態を例証する。中間要素8は、図2a~3bに関して記述されたものと同じ形状を呈する。更に、近位要素14と、遠位要素16と、中間要素8へのトランジション部9a、9bとは、図2a~3bに関して記載されるように設計されてもよい。近位要素14および遠位要素17は、例証されているように第1の直径D1と第2の直径D5を有する。従って、図2a~3bに関して記載された構成と同じ構成を有する要素は、同じ参照符号を有する。
【0079】
図4a~4b、5a~5bを例証した実施形態は、例えばPVLオクルーダーである。PVLオクルーダーおよび分厚い形状は、本出願と出願人が同一である国際公開第WO2013/041721号に開示されており、この国際公開は、すべての目的のために参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。国際公開第WO2013/041721のPVL装置のディスクおよびくびれ部には、本明細書に記載された改善が有利に提供され得る。しかし、ディスク16またはディスク14は、ディスクの対向する軸方向の部分に、凹状の曲面部と、凸状の外周面5、7を有する。このことは、凹状の曲面部分が、植込まれた際に人工弁に並置されるか、または隣接するときに、特に都合が良い。凸曲面状の対向する外周面は、弁傍の漏れの有利な閉塞を提供しつつ、PVLオクルーダーを適所に都合良く保持するために、特定の目標領域において解剖学的に有利である。
【0080】
さらに別の実施形態では、オクルーダーは、LAAオクルーダー用など、単一の近位要素を有する。中間要素は、組み合わされた構造により形成されるとともに、中間要素の直径を超えない直径を有する筒状体などの突出部(lobe)を形成し得る。図2a~3bに関して記載されたように、中間要素または突出部は伸縮自在であり得る。遠位要素6(存在する場合)および/または中間要素8にはフックが取り付けられ、LAAなどの解剖学的構造と係合し得る。フックがベッセルウォールに係合した後、中間構造部は伸張され、近位要素は解剖学的構造の外側に位置づけられる場合がある。中間要素および/または突出部の伸縮性により、オクルーダーは、より柔軟となって、解剖学的構造の形状と一致し、オクルーダーの性能が向上する。
【0081】
LAAオクルーダーは、例えば本出願と出願人が同一である国際公開第WO2019197569号に開示されており、この国際公開は、すべての目的のために参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。WO2019197569に開示されるLAAデバイスは、本発明の開示に記載される改善とともに、くびれ部分および盤を有利に提供することができる。
【0082】
実施形態では、LAAオクルーダーはさらに、代替的または追加的に上述のフックに対する遠位結合要素を有し得る。このようなLAAオクルーダーは、例えば、本出願と出願人が同一である米国特許第8100938号に開示されており、この米国特許は、すべての目的のために参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。米国特許第8100938号に開示されるLAA装置は、本発明の開示に記載される改善とともに、くびれ部分および盤を有利に提供することができる。
【0083】
AFR装置は、植込み時にオクルーダーを横切る制御流を可能にする。例えば、本出願と出願人が同一であり、すべての目的のために参照によりその全体が本明細書に組み込まれる国際公開第WO2016/038115号公報を参照されたい。国際公開第WO2016/038115号公報に開示されたAFR装置は、本発明の開示に記載される改善とともに、くびれ部分および盤を有利に提供することができる。オクルーダー1は、国際公開第WO2016/038115号公報に示されかつ記載されるようなスルーチャネル、例えば国際公開第WO2016/038115号公報の図面および明細書中のスルーチャネル106を有し得る。オクルーダー1を取り付けるためのアタッチメント要素11はまた、国際公開第WO2016/038115号公報に開示されるように中心軸10から中心ずれした状態で提供されてもよく、基盤本体3には、本開示によるAFRを提供するためにヒートセットに際して適切なチャネルが設けられ得る。二重層ディスクが、例えば国際公開第WO2016/038115号公報の図4c、および対応する詳細な説明に示されている。これら特定のAFR要素は、参照により本明細書に組み込まれる。第1ピッチ部3aは、折り重ねられた二重層ディスクの1つまたは両方における内側層の一部であり得る。これは、本明細書ではAFR装置の一例において、有利なオクルーダー1を提供する。
【0084】
負荷と伸びとの比は、AMETEK Sensor1、Test&Clibrationにより、装置番号10017およびBrand Lloyd Instrumentsを用いた引張試験機などの引張試験機を使用して求めることができる。試験手順は、次を含む:
-固定した比較対照にオクルーダー1の一端を、引張試験機にオクルーダー1の他端を取り付ける工程。
-引張試験機を用いて、オクルーダーのくびれ部を3Nまで伸張する工程であって、引張試験速度は600mm/分である。3Nは、少ない力でオクルーダーの伸縮性を実証するために、最大の適応力として選ばれる。
-近位要素および/または遠位要素の形状を歪めることなく、オクルーダーの伸張または伸びの量を記録する工程。
-オクルーダーにかけられた張力を放出し、伸張挙動の可逆性、即ち、装置が張力の放出後に変形を生じさせることなく元の形状に戻ることを観察する工程。
【0085】
以下の表は、上述のD1、D2、D3、L1、およびL2の範囲以内にある試験実施形態AおよびBを例証する:
【0086】
【表1】
【0087】
試験方法は、上記に定義されるとともに、比較対照としてOcclutech(登録商標)mVSDオクルーダー(サイズ4)、商品番号71VSD04を使用する実施形態AおよびBに適用した。71VSD04 mVSDオクルーダーは、ピッチが1つである基盤本体から作られる。実施形態AおよびBの全体形状は、図2bおよび3bに例証される形状に相当する。従って、実施形態AおよびBは、盤として形成される近位要素および遠位要素、並びに伸張可能なくびれ部の形にある中間要素を有している。盤の形状は円形である。mVSDオクルーダーは、全体的に同様の形状を呈するが、より均一であり従来の伸縮性を有している。即ち、中間要素の弾性は、近位要素および/または遠位要素の伸縮性と同様であり、単一のピッチ編組から作られる。中間要素またはくびれ部は直径4mmであり、近位要素および遠位要素(盤)は直径10mmであり、くびれ部または中間要素は高さ7mmである。
【0088】
mVSD装置に対する本発明の実施形態の伸縮挙動を、以下の表に例証する。
【0089】
【表2】
【0090】
試験サンプルは、同一の原材料および滅菌法を有している。編組およびヒートセットのピッチは、mVSDオクルーダーに対して実施形態AとBとの間で変動する。上記特性を達成するために適用可能な編組パターンおよびヒートセットの多数の組み合わせが存在し、いずれも本発明の実施形態に関して上述されるような開示の範囲内にある。
【0091】
上記の表から認められるように、本発明の実施形態は、従来の装置よりも長く伸長または伸張され得る。特に、本試験は、本発明の実施形態によるオクルーダーが、復元可能に、即ち伸長後の装置の長さや盤直径などの元の形状を変形させることなく伸縮または伸長され得ることを実証する。
【0092】
・適用荷重が3Nである場合、100%~150%
・適用荷重が1Nである場合、50%~100%
【0093】
これを規則的なオクルーダーと比較する必要がある。この規則的なオクルーダーは、mVSDオクルーダーにより例証され、伸長後の装置の長さや盤直径などの元の形状を変形させることなく復元可能に伸縮または伸長されることを特徴とする。
【0094】
・適用荷重が3Nである場合、0%~35%
・適用荷重が1Nである場合、0%~30%
【0095】
また、前述の記載、並びに/あるいは前述の図面および/または後述する特許請求の範囲のいずれかもしくはそれらの任意の組み合わせに開示される特徴は、本発明をその多様な形態で実現するための材料であることも、認識されたい。後述の特許請求の範囲に使用する時、用語「含む(comprirse)」、「含む(include)」、「有する(have)」、およびそれらの複合物は、「~を含むがこれらに限定されない」を意味する。
【0096】
本発明は、特定の実施形態に関して上述されている。しかし、上記以外の実施形態は、本発明の範囲内で等しく実施可能である。上記以外の様々な方法の工程は、本発明の範囲内に提供することができる。本発明の様々な特徴および工程は、記載したもの以外の組み合わせにおいて組み合わせることができる。本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲によってのみ制限される。
図1a
図1b
図2a
図2b
図3a
図3b
図4a
図4b
図5a
図5b
【国際調査報告】