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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-07-27
(54)【発明の名称】管束熱交換器
(51)【国際特許分類】
   F28F 9/02 20060101AFI20220720BHJP
   F28D 7/16 20060101ALI20220720BHJP
【FI】
F28F9/02 E
F28D7/16 A
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022504618
(86)(22)【出願日】2020-07-24
(85)【翻訳文提出日】2022-01-25
(86)【国際出願番号】 DE2020100663
(87)【国際公開番号】W WO2021013312
(87)【国際公開日】2021-01-28
(31)【優先権主張番号】102019120096.2
(32)【優先日】2019-07-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521014135
【氏名又は名称】ケルヴィオン・マシーン・クーリング・システムズ・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【弁理士】
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【弁理士】
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100191835
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 真介
(74)【代理人】
【識別番号】100221981
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 大成
(72)【発明者】
【氏名】クロラ・シュテファン
【テーマコード(参考)】
3L103
【Fターム(参考)】
3L103AA08
3L103CC02
3L103DD03
(57)【要約】
【解決手段】ハウジング2内において管束5を有する管束熱交換器であって、このハウジング2が、前記管束5を通して導くための、第1の媒体M1のための第1の流入口3および第1の流出口4と、前記ハウジング2の内部で前記管束5を囲繞する流動室7を通して導くための、第2の媒体M2のための第2の流入口8並びに第2の流出口9とを有しており、前記管束5の端部が管床部11内において配設されており、この管床部が、前記前記第2の媒体M2のための前記流動室7を、前記第1の媒体M1から分離している。前記第1の流入口3と前記管床部11との間に、流動分配器としての分離体16が配置されており、この分離体は、前記第1の媒体M1による、前記管床部11に対する流れ当てを防止し、且つ、この分離体が、導入管18を有し、この導入管が、前記分離体16と前記管床部11との間の補償スペース19をバイパスし、且つ、前記第1の媒体M1を、前記管床部11を迂回しつつ前記管6内へと導くために、この導入管が、前記管束5の個々の前記管6内へと突出する。前記第1の流入口3は、前記管束5の管6の第1のグループG1に接続されており、この第1のグループG1が、外側の包絡面37を備えており、この包絡面が、主として、管6の第2のグループG2の包絡面に隣接されており、この第2のグループが、流動体を導くように、管6の前記第1のグループG1と結合されており、および、管6の前記第2のグループG2に、前記第1の流出口4が接続されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジング(2)内において管束(5)を有する管束熱交換器であって、
このハウジング(2)が、
前記管束(5)を通して導くための、第1の媒体(M1)のための第1の流入口(3)および第1の流出口(4)と、
前記ハウジング(2)の内部で前記管束(5)を囲繞する流動室(7)を通して導くための、第2の媒体(M2)のための第2の流入口(8)並びに第2の流出口(9)とを有しており、
前記管束(5)の端部が管床部(11)内において配設されており、この管床部が、前記前記第2の媒体(M2)のための前記流動室(7)を、前記第1の媒体(M1)から分離しており、
前記第1の流入口(3)と前記管床部(11)との間に、流動分配器としての分離体(16)が配置されており、この分離体が、前記第1の媒体(M1)による、前記管床部(11)に対する流れ当てを防止し、且つ、この分離体が、導入管(18)を有し、この導入管が、前記分離体(16)と前記管床部(11)との間の補償スペース(19)をバイパスし、且つ、前記第1の媒体(M1)を、前記管床部(11)を迂回しつつ前記管(6)内へと導くために、この導入管が、前記管束(5)の個々の前記管(6)内へと突出する様式の上記装置において、
前記第1の流入口(3)が、前記管束(5)の管(6)の第1のグループ(G1)に接続されており、
この第1のグループ(G1)が、外側の包絡面(37)を備えており、この包絡面が、主として、管(6)の第2のグループ(G2)の包絡面に隣接されており、この第2のグループが、流動体を導くように、管(6)の前記第1のグループ(G1)と結合されており、および、
管(6)の前記第2のグループ(G2)に、前記第1の流出口(4)が接続されている、
ことを特徴とする管束熱交換器。
【請求項2】
前記導入管(18)は、少なくとも、前記管床部(11)の厚さの半分にわたって延在し、
この厚さが、前記第1の媒体(M1)の流動方向に関して、この管床部(11)の上流側の側面と下流側の側面(20)との間で測定されることを特徴とする請求項1に記載の管束熱交換器。
【請求項3】
前記管束熱交換器は、二重管体安全保護熱伝達器として形成されており、この二重管体安全保護熱伝達器において、前記第1の媒体(M1)を案内する前記管(6)が、それぞれに外側管(24)内において配置されており、
従って、内側の前記管(6)と前記外側管(24)との間に、監視可能な漏洩スペースが配置されており、
前記外側管(24)のための管床部(13)が、前記第1の媒体(M1)を案内する前記管(6)のための前記管床部(11)の前記下流側の側面(20)に配置されている、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の管束熱交換器。
【請求項4】
前記第1の媒体(M1)の流動方向に見て、排出口側の管床部(12)の後ろで且つ前記第1の流出口(4)の手前に、流動集積体としての更に別の分離体が配置されており、この分離体が、排出管を備えており、
前記第1の媒体(M1)を排出口側の前記管床部(12)と前記分離体とを通って前記第1の流出口(4)へと導くために、これら排出管が、流動体を導くように、前記第1の媒体(M1)を案内する前記管(6)に接続されている、
ことを特徴とする請求項1から3のいずれか一つに記載の管束熱交換器。
【請求項5】
流入側の前記分離体(16)と流入側の前記管床部(11)との間に、集積チャンバー(33)が配置されており、この集積チャンバーに、管の前記第2のグループ(G2)が開口しており、
この集積チャンバー(33)に、前記第1の流出口(4)が接続されていることを特徴とする請求項1に記載の管束熱交換器。
【請求項6】
前記導入管(18)は、長手方向に摺動可能に、第1の媒体(M1)を案内する前記管(6)内において配置されており、
場合によっては有り得る漏洩流が、前記分離体(16)と前記管床部(11)との間の前記補償スペース(19)内において捕捉可能であることを特徴とする請求項1から5のいずれか一つに記載の管束熱交換器。
【請求項7】
前記補償スペース(19)は、流動体を導くように、前記集積チャンバー(33)と結合されていることを特徴とする請求項6に記載の管束熱交換器。
【請求項8】
前記導入管(18)は、前記分離体(16)を完全に貫通しており、且つ、入口側で、前記分離体(16)と結合されていることを特徴とする請求項1から7のいずれか一つに記載の管束熱交換器。
【請求項9】
前記第1の流入口(3)は、流れ込みチャンバー(17)に開口していることを特徴とする請求項1から8のいずれか一つに記載の管束熱交換器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の上位概念内における特徴を有する管束熱交換器に関する。
【背景技術】
【0002】
管束熱交換器は、例えば、
極低温の媒体が、円筒形状の熱交換器の下側の横断面半分内へと流入し、この熱交換器を長手方向に貫流し、この円筒形状の熱交換器の端部において、180°だけ方向転換され、且つ、管束を経て、この熱交換器の上側の半分内において、再び共通の管床部へと還流するように、構成されていることは可能である。
管床部の半円形状の管域は、管床部の下側の半分が極低温の媒体によって相応して低い温度を有し、それに対して管床部内における第2の半円形状の管域が明確により熱いことを結果として招く。
【0003】
極低温の媒体による、管床部に対する直接的な流れ当ては、この管床部の内部での応力ピークを誘起する。このことは、同様にこの媒体が方向転換されない、即ち管床部全体がこの媒体によって流れ当てられる、熱交換器の際にも言えることである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の根底をなす課題は、管床部と、管束に対する管結合部と、この管束との熱的な負荷が低減されている、管束熱交換器を提示することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この課題は、請求項1の特徴を有する管束熱交換器でもって解決される。
【発明の効果】
【0006】
従属請求項は、本発明の有利な更なる構成に関している。
【0007】
本発明に従う管束熱交換器は、ハウジング内において管束を備えており、その際、このハウジングが、前記管束を通して導くための、第1の媒体のための第1の流入口および第1の流出口を備えている。更に、このハウジングは、前記ハウジングの内部で前記管束を囲繞する流動室を通して導くための、第2の媒体のための第2の流入口並びに第2の流出口を備えている。
この熱交換器は、前記管を保持するためおよび両方の前記媒体を互いに分離するために、管床部を備えている。
【0008】
前記第1の流入口と前記管床部との間に、流動分配器としての分離体が配置されている。この分離体は、前記第1の媒体による、前記管床部に対する直接的な流れ当てを防止するという機能を有している。第1の媒体が、それにも拘らず、管束内へと流入可能とするために、この分離体に導入管が配置されている。
この導入管は、前記分離体と前記管床部との間の補償スペースをバイパスし、且つ、前記管束の個々の管内へと突出する。この導入管を用いて、前記第1の媒体は、前記管床部を迂回しつつ、直接的に前記管内へと導かれる。この管床部に対して、直接的には、流れは当たらない。
【0009】
直接的に流れに当てられた分離体は、特に極低温の媒体によるこの流れ当ての際に強度に冷却され、このことは、本発明に従い、管床部内における熱的な応力に対して如何なる影響力も有していない。何故ならば、管床部が、分離体から分離されているからである。
管床部は、ただ直接的にハウジングを介して分離体と結合されているだけである。管床部と、管結合部と、および、同様に管とは、著しく負荷を軽減される。
【0010】
個々の導入管は、特に、強固に管束の管と結合されていない。このことによって、導入管と、管束の管との間の熱的な長さ変化は補償される。分離体は、管床部の熱的な分離のための役目を果たす。
【0011】
流入口と流出口とがハウジングの一方の端部において位置しており、それに対してこのハウジングの他方の端部において方向転換チャンバーが配置されている、管束熱交換器は、管床部の内部で、構造様式に起因して、より大きな熱に伴う応力を有している。
管床部内における温度勾配は、より大きい。例えば、第1の流入口における極低温の媒体の温度は、-160℃の値であり、且つ、第1の流出口において、+50℃の値である。管床部の内部での温度差は、この場合に約200℃以上である。
【0012】
従って、管床部が上側の半分と下側の半分に区分されていることは意図されている。前記第1の流入口は、前記管束の前記管の第1のグループに接続されており、この第1のグループが、管の第2のグループに隣接されている。この第1のグループは、外側の包絡面を備えており、この包絡面が、主として、即ち50%よりも多く、前記第2のグループの包絡面に隣接されている。
第2のグループが、第1のグループを、180°よりも多くにわたって、縁取りする、もしくは、囲繞する、および、特に完全に取り囲むことは可能である。管の第2のグループは、その場合に、基本的にリング形状に管の第1のグループを囲んで配置されている。換言すれば、同様に芯部領域および縁部領域という言葉が用いられ得る。これら領域は、強制的に、厳格に同心的ではない。
基本的に、管の内側のグループと外側のグループとの間で区別され得、その際、外側のグループとしての第2のグループが、第1の内側のグループよりも多くの割合分の管を有し、これら管がハウジングに隣接されている。
【0013】
端部側の方向転換部または同様に方向転換チャンバーを経て、第1の媒体は、先ず第一に第1のグループを通って、および、方向転換の後、第2のグループを通って、再び還流される。管の両方のグループは、同様に、共通の管床部に接続されている。確かに、より有利な温度勾配が、半円形状の管域との比較において与えられる。極低温の媒体の場合、芯部領域内において、ハウジングの移行部への縁部領域内においてより、遥かに低い温度が支配的である。温度勾配は、星形状に、芯部領域と外側の領域との間で延びる。
流動分配器としての役目を果たし且つ管床部の芯部領域を直接的な流れ当てから保護する、分離体との組み合わせにおいて、
管床部が、管のこれらグループの本発明に従う配置の際に著しく遮蔽され、且つ、このことによって、明確に、従来の諸管形態を有する配置よりも少ない、熱的に誘起される応力に曝らされていることは達成される。
このことは、特に、極低温のガスの使用の際、または、液状の窒素の際に有利である。何故ならば応力ピークが切りつめられるからである。縁部から中心を横切ってまで延びる温度勾配の代わりの、半径方向に延びる温度勾配は、同様に管束の内部でのより良好な応力分布も生じさせる。
【0014】
更なる利点は、熱交換器-(流入)チャンバーの内部での、分離組込み構造体の不必要条件によって、約20%より多くの管の割合分が、管床部もしくは円筒形状のハウジングの内部での同じ公称直径において設備され得ることである。より小さな公称直径によって、高圧使用の際の必要な壁厚は、著しく低減する。
類似して、このことは、同じ管数の際の熱伝達器の外套直径の減少を意味する。このことによって、質量および製造コストは低減され得る。
【0015】
本発明の有利な更なる構成において、導入管は、少なくとも、管床部の厚さの半分にわたって延在している。この厚さは、第1の媒体の流動方向に関して、この管床部の上流側の側面と下流側の側面との間で測定される。
有利には、導入管は、管床部を完全に貫通しており、従って、第1の媒体、例えば極めて低い温度を有する極低温の媒体が、この管床部内における管の固定位置から離れて導入される。管が管床部と溶接されていることは可能である。より良好なアクセス可能性に基づいて、管床部とのこれら管の溶接は、流れ当て側から行われる。
導入管が、管の流れ当て側のこれら結合位置をバイパスし、且つ、特に極低温の媒体を深く管束の管内へと導くというやり方で、これら管と管床部との間の結合位置は、付加的に負荷を軽減される。
【0016】
本発明の更に有利な更なる実施形態において、管束熱交換器は、二重管体安全保護熱伝達器として形成されている。二重管体安全保護熱伝達器において、第1の媒体を案内する管は、それぞれに外側管内において配置されている。第2の媒体は、ただ外側管だけと接触する。第1の媒体は、ただ内側の管だけと接触する。
内側の管と外側管との間に、監視可能な漏洩スペースが位置する。外側管は、これら外側管のための管床部内において固定されている。この管床部は、内側管のための管床部の下流側の側面に位置している。
これら管床部は、互いに間隔をおいて配置されており、従って、共通の監視可能な漏洩スペースが存在し、この漏洩スペースが、内側管と外側管との間の全ての中間スペースに接続されている。この漏洩スペースは、この漏洩スペース内における検査媒体の圧力を監視するための検査スペースとしても使用される。
【0017】
本発明の有利な実施形態において、更に別の分離体が設けられており、この更に別の分離体が、流動集積体としての役目を果たし、この更に別の分離体が、第1の媒体の流動方向に見て、排出口側の管床部の後ろで且つ第1の流出口の手前に配置されている。
この構造形態は、1つの管束熱交換器と関連があり、この管束熱交換器において、第1の流入口が、特に円筒形状のハウジングの一方の端部において位置し、第1の流出口が、この円筒形状のハウジングの反対側の端部において位置する。この構造形態において、第1の媒体は、その結果として、端部側の集積チャンバー内において方向転換されない。同様にそのような管束熱交換器からの流出の際にも、分離体は、管床部における応力ピークを低減するために、有意義であり得る。
この分離体は、排出管を備えており、第1の媒体を排出口側の管床部とこの分離体とを通って第1の流出口へと導くために、これら排出管が、流動体を導くように、第1の媒体を案内する管に接続されている。
排出管の拡散的で熱的な長さ変化を管束および管床部に対して補償するために、分離体と管床部との間に、補償スペースが位置する。有利な方法において、ここで扱われているのは、管束熱交換器の流入側の構成のための鏡対称的な配置である。管束熱交換器の両方の端部が、この意味において同一に構成されていることは可能である。
【0018】
本発明の更なる構成において、流入側の管床部の手前に、集積チャンバーが配置されている。この集積チャンバーに、管の前記第2のグループが開口している。集積チャンバーに、第1の流出口が接続されている。この集積チャンバーは、基本的にリング形状に形成されている。この集積チャンバーが、補償スペースから液密に画成されていることは可能である。
有利には、集積チャンバーは、流動体を導くように、補償スペースと結合されている。この補償スペースは、有利には、分離体と管床部との間の熱的な長さ変化の補償のためだけでなく、導入管が有利には長手方向に摺動可能に管束の管内において配置されていることによって生じる漏洩の収容のためにも利用される。
有利には、導入管は、単に遊隙を有して第1の媒体を案内する管内へと差し込まれているだけであり、その際、熱に起因する長さ変化を補償するために十分である幅狭の環状間隙が残る。但し、特にガス状の媒体において、補償スペースへの制限された漏洩流が生じる。この補償スペースは、それに応じて、第1の媒体の漏洩流によって充填される。
【0019】
特に有利な方法において、補償スペースは、同時に、還流する媒体のための集積チャンバーの構成要素である。漏洩流は、通常、これら漏洩流が、無視され得る程に少ない。流入管と管束の管との間に、密閉手段が配置されていることは可能である。
【0020】
導入管が、分離体を完全に貫通しており、且つ、入口側で、分離体と結合されている場合、特に有利と見なされる。分離体は、有利にはハウジングに溶接されている固有の構造部材である。これら導入管は、他方また、しかも有利には流れ当て側で、従って導入管の第1の入口の方に向けられた側で、この分離体と結合されている。これら導入管は、例えば、材料構造一体的に分離体と結合されている。
製造は、管床部と結合されている管束の製造と匹敵する。その結果として、分離体が、管床部と類似して円板形状の本体として形成されていることは可能であり、この円板形状の本体が、複数の開口部を有しており、これら開口部内に導入管が装入されている。
同じことは集積チャンバーとして利用される分離体の構造に関しても言えることであり、この分離体が、単一指向的に長手方向に貫流する管束において、排出口側に組み付けられている。
【0021】
本発明は、第1の流入口が、分離体に、必要のある場合に直接的に向かい合って位置することを可能にする。この分離体に対しての直接的な流れ当ては、この意味において管床部もしくは管束に対しての、ただ間接的な流れ当てだけに基づいて、管束熱交換器および特に管束の内部での熱的な応力に対して無害である。
もちろん、本発明は、流入口が、分離体に対して180°から逸脱する角度において配置されており、従って、流入する第1の媒体が方向転換されることを排除しない。
【0022】
第1の流入口が、流れ込みチャンバーに開口している場合、有利と見なされる。流れ込みチャンバーが、必要に応じてホッパー形状に拡大されていることは可能である。この流入口の断面が、管束の断面または分離体の断面に相応している必要は無い。
流れ込みチャンバーは、流入する媒体を、均等に分離体内における全ての開口部もしくは個々の導入管に対して、およびこれに伴って、均等に管束に対して分配することのために利用される。
【0023】
本発明を、以下で、図5から11までとの関連のもとで、詳しく説明する。他の以下に説明される図1から4までは、単に請求された本発明の図解のためだけに利用され、且つ、本発明の如何なる実施形態でもない。これら図は、概略的に図示された実施例を示している。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】第1の構造形態における管束熱交換器の長手方向断面図である(従来技術)。
図2】第1の構造形態に従う管束熱交換器の端部領域の長手方向断面図である(一方向バージョン)。
図3】第2の構造形態に従う管束熱交換器の端部領域内の長手方向断面図である。
図4】端部側の方向転換チャンバーを有する管束熱交換器の長手方向断面図である(従来技術)。
図5】本発明の第1の実施形態における熱交換器の端部領域の長手方向断面図である(多方向バージョン)。
図6】本発明に従う熱交換器の管床部の端面図である。
図7】更に別の実施形態における熱交換器の端部領域の長手方向断面図である(多方向バージョン)。
図8】更に別の実施形態に従う管束熱交換器の端部領域の、更に別の実施例の長手方向断面図である(多方向バージョン)。
図9】管束の注視の方向からの、図8に従う管束熱交換器の頭部片の図である。
図10図8の実施例に従う分離体の端面側の図である。
図11図8の構造形態に従う管束熱交換器の管床部の端面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
図1は、従来技術のための管束熱交換器1を示している。この管束熱交換器1に基づいて、重要な構成要素が掲げられ、これら構成要素は、同様に以下の、図5からの本発明に従う構造形態においても、再び見い出だされる。
【0026】
管束熱交換器1は、ハウジング2を備えている。ハウジング2は円筒形である。このハウジング2は、図面の平面内において左側に第1の流入口3を、および、図面の平面内において右側に第1の流出口4を、この第1の流入口3内へと流入するおよびこの第1の流出口4から流出する第1の媒体M1のために備えている。
第1の媒体M1は、管束5を通って導かれる。この管束5の内、より良好な具体的な説明のために、ただ1つの単独の管6だけが図示されている。
【0027】
管束5は、第2の媒体M2のための流動室7によって囲繞されている。第2の媒体M2は、図面の平面内において右側で、第2の流入口8を経て、流動室7を通って、ハウジング2の他方の端部における第2の流出口9へと流動する。その際、第2の媒体M2は、数回にわたって、ハウジング2の内部で方向転換させられる。この目的のために、ハウジング2内において、方向転換薄板10が配置されており、従って、第2の媒体M2の流動経路が延長される。
第2の媒体M2は、第1の媒体M1と接触しない。この目的のために、管束5の管6は、第1の流入口における管床部11内において、および、第1の流出口4における管床部12において固定されている。
この実施例において、管束熱交換器は、二重管体安全保護熱伝達器として形成されている。このために、それぞれの管6は、外側管によって囲繞されており、この外側管が、第1の流入口3における第2の管床部13内において、もしくは、第1の流出口4における第2の管床部14内において結合されている。管床部11と管床部13との間、もしくは、管床部12と管床部14との間の中間スペースは、漏洩認識のために監視され得る。この目的のために、管床部11と管床部13、もしくは、管床部12と管床部14とは、相互に少しの間隔をおいて位置している。
【0028】
図2は、管束熱交換器15を示している。この管束熱交換器15において、図1に対して言及された参照符号は、基本的に同じ構造の構成要素のために引き続き使用される。
管束熱交換器15は、第1の媒体M1のための第1の流入口3を有する円筒形のハウジング2を備えている。円筒形のハウジング2の内部で、管束5が、詳細に図示されていない第2の媒体のための流動室7を通って延びており、この第2の媒体は、図1内において図示されている第2の流入口8もしくは第2の流出口9を経て、ハウジング2内へと、および、このハウジング2から流動可能である。
管束5の管6は、管床部11内において固定されている。付加的に、管床部11と流入口3との間に、分離体16が位置している。ハウジング2の頭部片35内における、ホッパー形状に拡大された流れ込みチャンバー17内の扇状に図示された矢印に基づいて明確にしているように、この分離体は、流動分配器として利用される。
頭部片35が管床部11と、および、この管床部11が、他方また、ハウジング2の円筒形の部分と溶接されている。全ての管束熱交換器15は円筒形である。従って、同様に管床部11、分離体16、および、それに所属の頭部片35も、この実施例において円筒形である。
分離体16は、円板形状に構成されており、且つ、複数の貫通開口部を備えており、これら貫通開口部内において、導入管18が延びている。これら導入管18は、管6に対して一直線に並んで配置されており、従って、それぞれに1つの導入管18が、管束5の管6に、軸線方向において一直線に並んで、向かい合って位置している。
導入管18は、全て、同じ長さを備えている。これら導入管は、分離体16を貫いて延在しており、且つ、管床部11の手前の間隙状の補償スペース19をバイパスする。これら導入管は、管床部11の下流側の側面20に至るまで延在し、且つ、これに伴って、同様に管床部11全体も貫通している。
【0029】
媒体M1が第1の流入口3を通って流れ込みチャンバー17内へと流入する場合、専ら分離体16もしくはこの分離体内において配置されている導入管18に対して、直接的に打ち寄せて流れる。管床部11に対して、直接的には打ち寄せて流れない。媒体M1は、管床部11の下流側の側面で初めて、管束5内へと流入する。熱的な長さ変化の補償のために、導入管18は、管束5の管6に対して、長手方向に摺動可能に移動可能である。
場合によっては有り得る漏洩流は、補償スペース19内において捕捉される。ここで、この漏洩流は、漏洩可能ではない。何故ならば、補償スペース19が一方の側で分離体16によって、および、周囲側で頭部片35によって区画されているからである。第1の媒体M1は、ただ管束5の管6内へと流入可能なだけである。
【0030】
図2は、管束5の管6が、上流側の側面21で、特に溶接技術的に固定されていることを示している。同様に導入管18も、入口側で、第1の媒体M1の方に向けられた、分離体16の前面22において固定されている。
【0031】
図3の構造形態は、図2の構造形態と、管束熱交換器23が二重管体安全保護熱伝達器として形成されていることによって相違している。基本的な機能態様に関して、図2のための説明が引き合いに出される。同様に、そこで導入されている参照符号は、図3のためにも引き受けられる。
付加的に、図3の構造形態は、媒体M1を案内するそれぞれの管6に対して、外側管24を備えており、この外側管が、入口側の管床部13(図1参照)内において固定されている。外側管24とそれぞれの管6との間に、監視可能な漏洩スペースが位置する。
外側管24のための管床部13が、管束5の管6のための管床部11に対して、少しの間隔で配置されていることによって、管床部11と管床部13との間の中間スペース25にわたって、漏洩監視が実施され得る。この目的のために、中間スペース25は、媒体M1のための管6と外側管24との間の漏洩スペースと結合されている。漏洩監視は図示されていない。
【0032】
図2の構造形態との相違において、導入管18は、同様に外側管24のための第2の管床部13をも通って延在している。それに応じて、導入管18は、第2の管床部13の下流側の側面26で終端している。全ての更に別の構造的な特徴は、図2の実施例と同一である。
【0033】
図4は、従来技術のための更に別の管束熱交換器27を示している。図1の管束熱交換器に対する重要な相違は、この管束熱交換器27が、方向転換チャンバー28を、図面の平面内において右側に備えていることであり、その際、第1の媒体M1のための第1の流入口3と第1の流出口4とが、図面の平面内において左側に配置されている。
ハウジング2は、円筒形である。それに応じて、ここで、管床部11内における円形状の管形態が与えられる。管束熱交換器27は、これまた同様に、二重管体安全保護熱伝達器として形成されており、従って、詳細に図示されていない外側管のための、同様にそれぞれに1つの第2の管床部13も存在する。第2の媒体M2は、この実施例において、第2の流入口8を経て流入する。
第1の構造形態と全く同様に、第1の流出口4は、第2の流入口8に隣接して配置されている。ただ第1の流入口3だけが、第2の流出口9から離れて配置されている。下方から流れ込む媒体M1を上側で流出する媒体M1から分離するために、図面の平面内において左側で流入側の端部に、チャンバー29内において、分離薄板30が位置している。
【0034】
この構造様式の管束熱交換器において、-この管束熱交換器が二重管体安全保護熱伝達器として形成されているか、または、一重管体熱伝達器として形成されているかどうかに依存せずに-付加的な分離体16が設けられていることは、図5および7の実施例内において図示されているように可能である。この分離体16は、図2および3の実施例の分離体と相違がない。同様に管床部11も、同一に構成されている。但し、頭部片32は、異なって構成されている。媒体M1は、第1の流入口3を経て頭部片32内へと流入し、分離体16内における個々の導入管18内へと流入するために、引き続いて流れ込みチャンバー17を貫流する。媒体M1は、ここで、管束5の管6内へと流入する。
図1の実施例との相違において、媒体M1は、但し管6のただ第1のグループG1内だけへと流入する。この第1のグループG1の管は、導入管18が食い込んでいる管6である。これら管は、管束5の芯部を形成し、この管束において、P1内における全ての矢印(M1の流動方向)が、図面の平面内において左側から右側へと延びている。
第1のグループG1の管6は、図4内において参照符号28によって表示されている方向転換チャンバーに開口している。そこで、同様に管床部12が配置されており、従って、第1の媒体M1が、芯部領域から流出し、且つ、管6の第1のグループG1を囲繞する管6内へと導かれる。この第1のグループG1を囲繞する管のグループは、管6の第2のグループG2である。この第2のグループG2は、第1のグループG1の半径方向に外側で位置している。この第2のグループG2は、可能な限り、第1のグループG1を、いわば周囲側で囲繞している。
【0035】
図6は、管床部11の端側面への注視の方向に向けての管域の例を示している。管6の第1のグループG1は、Xでもって識別表示されている。これら管6内へと、第1の媒体M1が、図面の平面内へと流れ込む。この第1の媒体M1は、第2の管床部12の後ろで方向転換され、且つ、第2のグループG2の管6を経て再び還流する。これら管6は、中心における点でもって識別表示されている。この点は、反対の流動方向を明瞭に示している。
この図6は、更に、第1のグループG1の包絡面37を示している。包絡面37は、管6の第1のグループG1を囲繞している。この包絡面は、断続的な線でもって描かれている。この包絡面は、物理的に存在するのではなく、むしろ、単に、第1のグループG1と第2のグループG2との間の境界を表示しているだけである。
更に、この包絡面37に基づいて、この包絡面が、第2のグループG2の包絡面の50%よりも多くに対して隣接していることが認識され得る。第2のグループG2の内側の包絡面は、内側のグループG1の外側の包絡面37に相応する。これら第2のグループG2の内側の包絡面と内側のグループG1の外側の包絡面37とは、合同に重なり合って位置する。従って、これら両方の包絡面は、ただ部分的に隣接しているのではなく、むしろ、第2のグループG2の包絡面が第1のグループG1の包絡面37を囲繞している。
【0036】
還流する媒体M1は、第2のグループG2の管6から集積チャンバー33内へと流動する。この集積チャンバー33は、リング形状に構成されている。外側の、もしくは、第2のグループG2の、全ての管6は、集積チャンバー33に開口している。頭部片32内におけるこの集積チャンバー33は、媒体のための第1の流出口4に接続されている。この場合、この第1の流出口は、図面の平面内において上側に位置している。図4の実施例におけるような分離薄板は、必要ではない。
分離体16は、還流する媒体M1を、流れ込む媒体から分離する。付加的に、分離体16は、大部分は、集積チャンバー33の内部に位置し、且つ、集積チャンバー33内における還流する媒体M1によって周囲を流過される。同時に、このことによって、同様に補償スペース19も集積チャンバー33の内部に位置する。補償スペース19は、流動体を導くように、集積チャンバー33と結合されている。従って、場合によっては有り得る漏洩流は、補償スペース19から集積チャンバー33内へと侵入可能であり、且つ、同様に第1の媒体M1のための第1の流出口4を経て流出可能である。
【0037】
図7の実施例は、図5の実施例と、専ら、相応する外側管24と結合されている第2の管床部13が設備されていることだけによって相違している。
その他の点では、図5に対する説明、および、そこで導入されている参照符号、もしくは、既に同様に二重管体安全保護熱伝達器としての構造形態を示している、図3に対する先行する説明を参照頂きたい。図7に従う管束熱交換器34は、それ故に、図5および3の構造形態の組み合わせである。
【0038】
図8は、異なって構成された頭部片36を有する、更に別の実施例を示している。この実施例において、第1の流入口3は、分離体16に直接的に向かい合って位置していない。第1の流入口3は、端面側に偏心的に、および、基本的に頭部片36の下側の半分において位置している。この第1の流入口3は、供給導管を介して、流れ込みチャンバー17内へと通じている。
流れ込みチャンバー17は、この実施例において、頭部片36内において中心にではなく、むしろ、離心的に配設されている。この流れ込みチャンバーは、主として、頭部片36の下側の半分において位置している。この流れ込みチャンバーは、他の実施例との相違において、同様にホッパー形状ではなく、むしろ、この断面図内において矩形状であり、および、基本的に図9内における管床部の管形態に対して適合されている。
【0039】
図9は、管束の注視の方向から見ての、流れ込みチャンバー17への眺望における頭部片36を示している。流れ込みチャンバー17は、基本的にこの注視の方向から、丸くされた角部を有して、半円形状もしくは半円筒形状に構成されている。この流れ込みチャンバー17の下側の領域内において、第1の流入口3へのアクセス部が位置している。
集積チャンバー33に、上側の領域内において、第1の流出口4(図8)への貫通部が接続されている。この集積チャンバー33は、基本的に円形であり、且つ、流れ込みチャンバー17を周囲側で囲繞している。
【0040】
図10は、詳細図において、分離体16を示している。この分離体16は、図9の流れ込みチャンバー17内に装入される。組み立て状況は、図8内において示されている。組込み位置において、分離体16は、周囲側で液密状態に、流れ込みチャンバー17と溶接されており、且つ、この流れ込みチャンバーを、集積チャンバー33に対して閉鎖している。図8内において見て取れるように、分離体16内における個々の貫通開口部38内へと、導入管18が装入されている。
【0041】
分離体16内における貫通開口部38の穿孔パターンは、図11に従う管床部11内における穿孔形態に相応する。図6の実施例においてのように、Xでもって識別表示されている管6は、第1のグループG1の管を表示している。図11は、第1のグループG1と第2のグループG2との間の境界部としての包絡面37を示している。第2のグループG2の内側の包絡面は、第1のグループG1の外側の包絡面37と同一である。
図6の実施例との相違は、第1のグループG1が、第2のグループG2に対して管床部11の下側へと位置ずれされて配設されていることにある。極低温の媒体の使用の際に、これら管6のこの配置、もしくは、グループG1、G2の配置は有利であり得る。
【0042】
管6の第1のグループG1は、全体的に主として、管床部11の下側の半分内において位置している。この実施例は、管6の2つのグループG1、G2が、同心的に配置されている必要がないこと、しかしながら、少なくとも、第1のグループG1の主たる周囲領域に、第2のグループG2の管6が配置されていることを明瞭に示している。
例えば水平面内においてそのような状況である場合のように、第2のグループG2の側方の管6を第1のグループG1の管6の傍らに配置することがスペースの理由から可能でない場合、管床部11内におけるこれら位置は、自由な状態に留まる。この場合、管床部11の縁部からの第1のグループG1の管6の間隔、もしくは、取り囲むハウジング2の内側からのこの間隔は、このハウジング2への、この第2のグループG2の、外側に位置する管6の間隔よりも大きい。
【0043】
詳細に図示されていない実施形態において、図11の管形態において、最も下側の両方の管をグループG1に所属させること、即ち、流れ込み管として使用することは、しかもその上可能である。同様にこの場合でも、第1のグループG1の管6の3つの側面、および、これに伴って主たる部分が、これらの共通の包絡面に関して、外側で、第2のグループG2によって囲繞される。
【符号の説明】
【0044】
1 管束熱交換器
2 ハウジング
3 第1の流入口
4 第1の流出口
5 管束
6 管束5の管
7 流動室
8 第2の流入口
9 第2の流出口
10 方向転換薄板
11 管床部
12 管床部
13 外側管のための管床部
14 外側管のための管床部
15 管束熱交換器
16 分離体
17 流れ込みチャンバー
18 導入管
19 補償スペース
20 管床部11の下流側の側面
21 管床部11の上流側の側面
22 分離体16の前面
23 管束熱交換器
24 外側管
25 管床部11と、外側管のための管床部13との間の、中間スペース
26 外側管のための管床部13の下流側の側面
27 管束熱交換器
28 方向転換チャンバー
29 チャンバー
30 分離薄板
31 管束熱交換器
32 頭部片
33 集積チャンバー
34 管束熱交換器
35 頭部片
36 頭部片
37 管6の第1のグループG1の包絡面
38 分離体16内における貫通開口部
G1 管6の第1のグループG1
G2 管6の第2のグループG2
P1 矢印P1
M1 第1の媒体
M2 第2の媒体
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
【国際調査報告】