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特表2022-534139撮像モジュールのパーティクル欠陥を解消するALD製造方法及びその生成物
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  • 特表-撮像モジュールのパーティクル欠陥を解消するALD製造方法及びその生成物 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-07-28
(54)【発明の名称】撮像モジュールのパーティクル欠陥を解消するALD製造方法及びその生成物
(51)【国際特許分類】
   C23C 16/30 20060101AFI20220721BHJP
   C23C 16/40 20060101ALI20220721BHJP
   C23C 16/42 20060101ALI20220721BHJP
   C23C 16/455 20060101ALI20220721BHJP
   G02B 1/113 20150101ALI20220721BHJP
   G02B 5/28 20060101ALI20220721BHJP
【FI】
C23C16/30
C23C16/40
C23C16/42
C23C16/455
G02B1/113
G02B5/28
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2020538658
(86)(22)【出願日】2020-05-18
(85)【翻訳文提出日】2020-07-10
(86)【国際出願番号】 CN2020090839
(87)【国際公開番号】W WO2021082402
(87)【国際公開日】2021-05-06
(31)【優先権主張番号】201911387147.X
(32)【優先日】2019-12-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】201911060808.8
(32)【優先日】2019-11-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517455340
【氏名又は名称】杭州美迪凱光電科技股▲分▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100130111
【弁理士】
【氏名又は名称】新保 斉
(72)【発明者】
【氏名】葛 文志
(72)【発明者】
【氏名】王 懿偉
(72)【発明者】
【氏名】王 剛
(72)【発明者】
【氏名】翁 欽盛
(72)【発明者】
【氏名】矢島 大和
(72)【発明者】
【氏名】江 駿楠
【テーマコード(参考)】
2H148
2K009
4K030
【Fターム(参考)】
2H148GA04
2H148GA09
2H148GA32
2H148GA60
2K009AA09
2K009BB02
2K009CC02
2K009CC03
2K009CC06
2K009CC42
2K009DD03
2K009DD04
4K030AA02
4K030AA03
4K030AA06
4K030AA14
4K030AA24
4K030BA01
4K030BA13
4K030BA17
4K030BA22
4K030BA35
4K030BA42
4K030BA43
4K030BA44
4K030BA46
4K030BB12
4K030CA05
4K030CA06
4K030CA17
4K030DA02
4K030DA08
4K030FA10
4K030HA01
4K030JA10
4K030LA15
(57)【要約】
撮像モジュールのパーティクル欠陥を解消するALD製造方法を提供し、パーティクルの生成経路を根本的に突き止めることができ、粒径がミクロンレベルのパーティクル欠陥が生じない。本発明は、上記製造方法で得られた多層膜構造、パッケージカバープレート、CLCCパッケージ及び撮像モジュールをさらに提供し、パーティクル欠陥による不良を大幅に減少させる。【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
反応キャビティにベース基板を入れ、100~400℃に加熱するステップS1と、
第1反応前駆体を原子層反応キャビティ内に導入し、ベース基板に化学吸着させ、第1膜層を形成するステップS2と、
過剰の第1反応前駆体を排出し、不活性ガスでパージするステップS3と、
第2反応前駆体を反応キャビティ内に導入し、ベース基板の表面に化学吸着された第1反応前駆体と反応させ、第1屈折率層を形成するステップS4と、
過剰の第2反応前駆体及び反応副生成物を排出し、不活性ガスでパージするステップS5と、
第3反応前駆体を反応キャビティ内に導入し、第1屈折率層の表面に化学吸着させ、第2膜層を形成するステップS6と、
過剰の第3反応前駆体を排出し、不活性ガスでパージするステップS7と、
第4反応前駆体を原子層反応キャビティ内に導入し、第1屈折率層の表面に化学吸着された第3反応前駆体と反応させ、屈折率が第1屈折率層より大きい屈折率の第2屈折率層を形成するステップS8と、
過剰の第4反応前駆体及び反応副生成物を排出するステップS9とを含む
ことを特徴とする撮像モジュールのパーティクル欠陥を解消するALD製造方法。
【請求項2】
第N-1屈折率層上に第N屈折率層を形成するステップをさらに含み、Nが3以上の正整数である
請求項1に記載の撮像モジュールのパーティクル欠陥を解消するALD製造方法。
【請求項3】
前記偶数屈折率層の屈折率が奇数屈折率層の屈折率より大きい
請求項2に記載の撮像モジュールのパーティクル欠陥を解消するALD製造方法。
【請求項4】
前記第1反応前駆体がシランであり、前記第2反応前駆体が酸素ガス又はオゾンであり、第3反応前駆体がチタン、タンタル、又はジルコニウムを含有するガスであり、前記第4反応前駆体が水蒸気である
請求項1に記載の撮像モジュールのパーティクル欠陥を解消するALD製造方法。
【請求項5】
前記ベース基板は、ガラス、水晶又はサファイア基板である
請求項1に記載の撮像モジュールのパーティクル欠陥を解消するALD製造方法。
【請求項6】
前記屈折率層は、SiO低屈折率層LとTiO高屈折率層H;SiO低屈折率層LとNb高屈折率層H;SiO低屈折率層LとTa高屈折率層H;MgF低屈折率層LとTiO高屈折率層H;MgF低屈折率層LとNb高屈折率層H;Nb低屈折率層LとTa高屈折率層H;MgF低屈折率層L、Al高屈折率層H及びSiO低屈折率層L;Al低屈折率層L、H4高屈折率層H及びMgF低屈折率層L;Al低屈折率層L、ZrO高屈折率層H及びMgF低屈折率層Lの組み合わせのいずれかを含む
請求項3に記載の撮像モジュールのパーティクル欠陥を解消するALD製造方法。
【請求項7】
ベース基板から外へ、奇数屈折率層が酸化ケイ素であり、偶数屈折率層が酸化チタン、酸化タンタル又は酸化ジルコニウムである
請求項3に記載の撮像モジュールのパーティクル欠陥を解消するALD製造方法。
【請求項8】
ベース基板から外へ、順にシリカ層、二酸化チタン層、シリカ層、五酸化タンタル層、シリカ層である
請求項3に記載の撮像モジュールのパーティクル欠陥を解消するALD製造方法。
【請求項9】
前記製造方法の温度が好ましくは150~250℃である
請求項4に記載の撮像モジュールのパーティクル欠陥を解消するALD製造方法。
【請求項10】
請求項1ないし9のいずれかに記載の撮像モジュールのパーティクル欠陥を解消するALD製造方法で製造される
ことを特徴とする多層膜構造。
【請求項11】
前記多層膜構造では、サイズが1μm以上のパーティクルの数が0である
請求項10に記載の多層膜構造。
【請求項12】
前記ALD製造方法では、各層の膜構造の堆積完了後、次の層の膜構造の堆積前、プラズマを用いて現在の堆積層に対して衝撃改質を行うステップを含む
請求項10に記載の多層膜構造。
【請求項13】
表面粗さRa範囲が0.01nm~20nmである
請求項10に記載の多層膜構造。
【請求項14】
カバープレート基板と、カバープレート基板上に被覆される機能膜とを備え、前記機能膜は、請求項1ないし9のいずれかに記載のALD製造方法によって堆積される多層膜構造を含み、各層の膜構造の堆積完了後、次の層の膜構造の堆積前、プラズマを用いて現在の堆積層に対して衝撃改質を行うステップを含む
ことを特徴とするCLCCパッケージカバープレート。
【請求項15】
前記CLCCパッケージは、基板(1)を備え、前記基板(1)上には中央部に位置するCMOS(2)、縁位置に位置するコンデンサ抵抗(3)及び駆動モータ(4)が貼り付けられ、前記基板(1)上には仕切り壁台座(5)が設けられ、前記仕切り壁台座(5)において、基板のCMOS(2)、コンデンサ抵抗(3)及び駆動モータ(4)に対応する位置には、それぞれCMOSセンサ空位置、コンデンサ抵抗空位置及び駆動モータ空位置が設けられ、前記CMOSセンサ空位置の上面には請求項14に記載のカバープレート(6)が取り付けられている
ことを特徴とするCLCCパッケージ。
【請求項16】
請求項15に記載のCLCCパッケージを備える
ことを特徴とする撮像モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像モジュールの技術分野に関し、特に、撮像モジュールのパーティクル欠陥を解消するALD製造方法及びその生成物に関する。
【背景技術】
【0002】
スマート端末、車載機器、スキャナー、スマートフォン、プロジェクター、セキュリティ監視などの産業による、高解像度撮像に対する要求が継続的に向上し、拡張現実、3D技術及びジェスチャー認識技術が人工知能分野において広く応用されるに伴って、光学レンズ及び撮像モジュール産業は、新しい応用要求を満たすように、高速に発展するとともに、絶えず技術を革新している。
【0003】
パーティクルは、光学レンズ及び撮像モジュールに発生した欠陥であり、基板面に形成される点状突起を意味し、この点状突起は、パーティクル(particle)と呼ばれることもある。パーティクルは、主に、現在の光学コーティングプロセス(すなわち、真空熱蒸発及びマグネトロンスパッタリング)で、大きな膜材料パーティクルが不可避的に膜材料の蒸発による蒸気又はスパッタリング粒子とともに基板の表面に堆積してなるものである。点が少ないこともあり、ひどい場合、小さい点が大きく集まることもあり、よりひどい場合、大きなパーティクルが基板面に傷つき、結像効果に深刻な影響を与えていてしまうこともある。従って、結像効果を確保するために、現在、ほとんどのメーカーは、光学素子におけるパーティクルが5μm以下であることを要求している。
【0004】
しかし、現在、特定の光学性能を達成するために、ほとんど全ての光学素子の表面に様々な薄膜をコーティングし、すなわち、光の反射、分岐、色分解、フィルタリング、偏光を減少又は増加させるなどの要求を満たすために、光学部品の表面に1層又は多層の金属又は媒体薄膜をコーティングするプロセスが必要であり、光学コーティングプロセスは、主に真空熱蒸発(蒸着)及びマグネトロンスパッタリングを用い、パーティクルを制御又は減少できるのに有効な手段がない。
【0005】
真空熱蒸発は、真空条件において、物質を加熱蒸発して気化し、基板面に堆積させて固体薄膜を形成することであり、その過程は、以下のとおりである。(1)様々な形態の熱エネルギー変換方式(例えば、抵抗加熱、電子加熱、高周波誘導加熱、アーク加熱、レーザ加熱など)を用い、コーティング材粒子を蒸発又は昇華させ、所定のエネルギーを有するガス粒子にし、(2)ガス粒子があまり衝撃のない直線運動方式によりマトリックスに搬送され、(3)粒子がマトリックスの表面に堆積して凝集し、薄膜になり、(4)薄膜を構成する原子が再配列し又は化学結合が変化する。加熱及び凝集の過程が絶対に均一であることを実現できないため、大きな液滴又は大きなパーティクルが必然的に生じ、従って、光学コーティングにおけるパーティクル欠陥を効果的に制御できず、粒径が5μmを超えるパーティクルが生じる可能性が高く、これは現在、歩留まりに影響を与える要因である。
【0006】
マグネトロンスパッタリングは、真空中において荷電粒子でターゲット表面に衝撃し、衝撃された粒子を基板上に堆積させる技術であり、その過程は、以下のとおりである。(1)電子が電界Eの作用で基板へ飛びながら、アルゴン原子と衝撃し、アルゴン原子を電離させてArプラスイオン及び新しい電子を発生させ、(2)新しい電子が基板へ飛び、Arイオンが電界の作用下でカソードターゲットへ高速で飛び、ターゲット表面に高エネルギーで衝撃し、ターゲット材をスパッタリングさせ、(3)スパッタリング粒子のうち、中性のターゲット原子又は分子が基板上に堆積して薄膜を形成する。同様に、ターゲット材に衝撃する過程で、大きなパーティクルが生じる可能性が高く、さらに基板上に堆積してパーティクルを形成し、効果的に制御できない。
【0007】
従って、光学レンズ及び撮像モジュールの工業的生産では、パーティクル欠陥の発生及び数を制御するのに有効な制御方法がなく、製品の歩留まりが下がり、生産コストが高まり、より最適化された生産プロセスの開発が必要とされる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、従来技術の欠点に対して、パーティクルの生成経路を根本的に突き止めることができ、粒径がミクロンレベルのパーティクル欠陥が生じないようにすることができる、撮像モジュールのパーティクル欠陥を減少させるALD製造方法を提供することを第1の目的とする。
【0009】
本発明は、パーティクル欠陥による不良を大幅に減少させる、上記製造方法で得られた多層膜構造、パッケージカバープレート、CLCCパッケージ及び撮像モジュールを提供することを第2の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明の技術案は、以下のとおりである。
反応キャビティにベース基板を入れ、100~400℃に加熱するステップS1と、
第1反応前駆体を原子層反応キャビティ内に導入し、ベース基板に化学吸着させ、第1膜層を形成するステップS2と、
過剰の第1反応前駆体を排出し、不活性ガスでパージするステップS3と、
第2反応前駆体を反応キャビティ内に導入し、ベース基板の表面に化学吸着された第1反応前駆体と反応させ、第1屈折率層を形成するステップS4と、
過剰の第2反応前駆体及び反応副生成物を排出し、不活性ガスでパージするステップS5と、
第3反応前駆体を反応キャビティ内に導入し、第1屈折率層の表面に化学吸着させ、第2膜層を形成するステップS6と、
過剰の第3反応前駆体を排出し、不活性ガスでパージするステップS7と、
第4反応前駆体を原子層反応キャビティ内に導入し、第1屈折率層の表面に化学吸着された第3反応前駆体と反応させ、屈折率が第1屈折率層より大きい屈折率の第2屈折率層を形成するステップS8と、
過剰の第4反応前駆体及び反応副生成物を排出するステップS9とを含む、ことを特徴とする撮像モジュールのパーティクル欠陥を解消するALD製造方法。
【0011】
さらに、上記製造方法は、第N-1屈折率層上に第N屈折率層を形成するステップをさらに含み、Nが3以上の正整数である。
【0012】
さらに、上記製造方法では、前記偶数屈折率層の屈折率が奇数屈折率層の屈折率より大きい。
【0013】
さらに、上記製造方法では、前記第1反応前駆体がシラン(モノシラン、ジシラン又は置換基を有する他のシランを含む)であり、前記第2反応前駆体が酸素ガス又はオゾンであり、第3反応前駆体がチタン、タンタル、又はジルコニウムを含有するガスであり、前記第4反応前駆体が水蒸気である。
【0014】
さらに、上記製造方法では、前記ベース基板は、ガラス、水晶又はサファイア基板である。
【0015】
さらに、上記製造方法では、前記屈折率層は、SiO低屈折率層LとTiO高屈折率層H;SiO低屈折率層LとNb高屈折率層H;SiO低屈折率層LとTa高屈折率層H;MgF低屈折率層LとTiO高屈折率層H;MgF低屈折率層LとNb高屈折率層H;Nb低屈折率層LとTa高屈折率層H;MgF低屈折率層L、Al高屈折率層H及びSiO低屈折率層L;Al低屈折率層L、H4高屈折率層H及びMgF低屈折率層L;Al低屈折率層L、ZrO高屈折率層H及びMgF低屈折率層Lの組み合わせのいずれかを含む。
【0016】
さらに、上記製造方法では、ベース基板から外へ、奇数屈折率層が酸化ケイ素であり、偶数屈折率層が酸化チタン、酸化タンタル又は酸化ジルコニウムである。
【0017】
さらに、上記製造方法では、ベース基板から外へ、順にシリカ層、二酸化チタン層、シリカ層、五酸化タンタル層、シリカ層である。
【0018】
さらに、上記製造方法では、温度が好ましくは150~250℃である。
【0019】
上記ALD製造方法で製造される、ことを特徴とする多層膜構造。
【0020】
さらに、上記多層膜構造では、サイズが1μm以上のパーティクルの数が0である。
【0021】
さらに、上記ALD製造方法では、各層の膜構造の堆積完了後、次の層の膜構造の堆積前、プラズマを用いて現在の堆積層に対して衝撃改質を行うステップを含む。
【0022】
さらに、上記多層膜構造の表面粗さRa範囲が0.01nm~20nm。
【0023】
前記パッケージカバープレートは、カバープレート基板と、カバープレート基板上に被覆される機能膜とを備え、前記機能膜は、上記ALD製造方法によって堆積される多層膜構造を含み、各層の膜構造の堆積完了後、次の層の膜構造の堆積前、プラズマを用いて現在の堆積層に対して衝撃改質を行うステップを含む。通常のALD堆積プロセスは、単層膜堆積のみに適用でき、多層膜構造の堆積過程に、現在の膜が堆積された後、堆積面が変化したため、次の膜を順調に堆積できない状況が生じ、本発明は、各層の膜構造後、プラズマ衝撃によって表面改質を行うことによって、多層膜の順調な堆積を実現する、ことを特徴とするCLCCパッケージカバープレート。
【0024】
前記CLCCパッケージは、基板を含み、前記基板上には、中央部に位置するCMOS、縁位置に位置するコンデンサ抵抗及び駆動モータが貼り付けられ、前記基板上には仕切り壁台座が設けられ、前記仕切り壁台座において、基板のCMOS、コンデンサ抵抗及び駆動モータに対応する位置には、それぞれCMOSセンサ空位置、コンデンサ抵抗空位置及び駆動モータ空位置が設けられ、前記CMOSセンサ空位置の上面には上記したカバープレートが取り付けられている、ことを特徴とするCLCCパッケージ。
【0025】
上記CLCCパッケージを備える、ことを特徴とする撮像モジュール。
【発明の効果】
【0026】
該技術案の生じた有益な効果は、以下のとおりである。
(1)ALD(Atomic layer deposition、原子層堆積)によって、高・低屈折率の膜層を光学素子に交互に堆積することができ、反応材料が気体の形態で反応キャビティにおいてベース基板上に吸着によって堆積し、蒸発又はスパッタリング過程がなくなり、それによりパーティクル欠陥を引き起こすソースを解消し、従って、大粒子のパーティクル欠陥を形成することがなく、それにより、撮像モジュールの結像品質を大幅に向上させ、撮像モジュールの加工過程におけるALDの実用性が活用される。
【0027】
(2)本発明による製品は、原子層堆積によって光学素子へのコーティングを達成し、反応材料は蒸発又はスパッタリングを行わずに、吸着によってベース基板上に堆積し、従って、大粒子のパーティクル欠陥を形成することがなく、それにより、撮像モジュールの結像品質を大幅に向上させ、製品歩留まりを向上させ、且つ光学コーティングがより滑らかになり、堅牢度がより高く、実用性がより高い。
【0028】
(3)本発明のカバープレートは、表面を微細に制御することにより、表面に大きなサイズのパーティクルが生じないことを確保し、従来技術により要求される5μmよりも遥かに低く、CMOS画素の向上を制限する不利な要素を解消し、CLCCパッケージ及び撮像モジュールの画素のレベルを大幅に向上させる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】本発明に係る多層膜の構造模式図である。
図2】本発明に係るCLCCパッケージの構造模式図である。
図3】金属顕微鏡の接眼レンズ10X、対物レンズ100Xでの実施例1のカバープレートの模式図である。
図4】実施例1のカバープレート表面のAFM図である。
図5】実施例1のカバープレート表面の三次元AFM図である。
図6】金属顕微鏡の接眼レンズ10X、対物レンズ100Xでの比較例のカバープレートの模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、図面及び実施形態と組み合わせて本発明についてさらに説明する。
【0031】
反応キャビティにベース基板を入れ、100~400℃に加熱するステップS1と、
第1反応前駆体を原子層反応キャビティ内に導入し、ベース基板に化学吸着させ、第1膜層を形成するステップS2と、
過剰の第1反応前駆体を排出し、不活性ガスでパージするステップS3と、
第2反応前駆体を反応キャビティ内に導入し、ベース基板の表面に化学吸着された第1反応前駆体と反応させ、第1屈折率層を形成するステップS4と、
過剰の第2反応前駆体及び反応副生成物を排出し、不活性ガスでパージするステップS5と、
第3反応前駆体を反応キャビティ内に導入し、第1屈折率層の表面に化学吸着させ、第2膜層を形成するステップS6と、
過剰の第3反応前駆体を排出し、不活性ガスでパージするステップS7と、
第4反応前駆体を原子層反応キャビティ内に導入し、第1屈折率層の表面に化学吸着された第3反応前駆体と反応させ、屈折率が第1屈折率層より大きい屈折率の第2屈折率層を形成するステップS8と、
過剰の第4反応前駆体及び反応副生成物を排出するステップS9とを含む、ことを特徴とする撮像モジュールのパーティクル欠陥を解消するALD製造方法。
【0032】
ステップS2~S9を周期的に繰り返して行うことができ、屈折率が異なる多層膜を製造し、すなわち、第N-1屈折率層上に第N屈折率層を形成し、Nが3以上の正整数である。一般的に、偶数屈折率層の屈折率が奇数屈折率層の屈折率より大きい。このような膜層の配列がシートの光透過率を増加させ、モジュールが良好な光学性質を有するようにすることができ、また、ALD原子層堆積の方法を用いることで、ミクロンサイズのパーティクル欠陥を解消し、結像品質を向上させることができる。
【0033】
反応前駆体は、膜層の材料、厚み及び直列接続方式の選択に応じて、所望の中心波長及び透過帯域幅λによって確定される。本発明では、第1反応前駆体がシランであり、第2反応前駆体が酸素ガス又はオゾンであり、第3反応前駆体がチタン、タンタル、又はジルコニウムを含有するガス(例えば、ヨウ化チタン(IV)ガス、塩化タンタルVガス、ヨウ化ジルコニウム(IV)ガス又は他のチタン、タンタル、又はジルコニウムを含有する有機ガス)であり、第4反応前駆体が水蒸気であることが好ましい。温度は、反応前駆体の分解温度と堆積レートに関連し、反応前駆体の分解温度以下であるが、所定の堆積レートを有するように要求される。
【0034】
ベース基板は、ガラス、水晶又はサファイア基板である。
【0035】
屈折率層は、SiO低屈折率層LとTiO高屈折率層H;SiO低屈折率層LとNb高屈折率層H;SiO低屈折率層LとTa高屈折率層H;MgF低屈折率層LとTiO高屈折率層H;MgF低屈折率層LとNb高屈折率層H;Nb低屈折率層LとTa高屈折率層H;MgF低屈折率層L、Al高屈折率層H及びSiO低屈折率層L;Al低屈折率層L、H4高屈折率層H及びMgF低屈折率層L;Al低屈折率層L、ZrO高屈折率層H及びMgF低屈折率層Lの組み合わせのいずれかを含む。
【0036】
1つの実施例では、ベース基板から外へ、奇数屈折率層が酸化ケイ素、偶数屈折率層が酸化チタン、酸化タンタル又は酸化ジルコニウムである。
【0037】
他の実施例では、ベース基板から外へ、順にシリカ層、二酸化チタン層、シリカ層、五酸化タンタル層、シリカ層であってもよい。
【0038】
ステップS2及び/又はS4の温度が好ましくは320~370℃、ステップS6及び/又はS8の温度が好ましくは220~270℃である。原料ガスの導入は、パルスによる導入を用いることができ、電磁弁の開閉を制御することによって、ガスの導入・停止を制御し、電磁弁の開閉時間を制御することによって薄膜の堆積厚みに影響を与える。
【0039】
多層膜構造であって、図1に示すように、上記ALD製造方法で製造され、サイズが1μm以上のパーティクルの数が0であり、表面粗さRa範囲が0.01nm~20nmである。ALD製造方法では、各層の膜構造の堆積完了後、次の層の膜構造の堆積前、プラズマを用いて現在の堆積層に対して衝撃改質を行うステップを含む。改質に用いられるプラズマ電圧が100~1000V、電流が100~1000mA、時間が1~2分間であることが好ましく、さもないと、堆積された膜層の性能と厚みに影響を与える恐れがある。
【0040】
CLCCパッケージカバープレートであって、カバープレート基板と、カバープレート基板上に被覆される機能膜とを備え、前記機能膜は、上記ALD製造方法によって堆積される多層膜構造を含み、各層の膜構造の堆積完了後、次の層の膜構造の堆積前、プラズマを用いて現在の堆積層に対して衝撃改質を行うステップを含む。通常のALD堆積プロセスは、単層膜の堆積のみに適用でき、多層膜構造の堆積過程に、現在の膜が堆積された後、堆積面が変化したため、次の膜を順調に堆積できない状況が生じ、本発明は、各層の膜構造の後、プラズマ衝撃によって表面改質を行うことによって、多層膜の順調な堆積を実現する。
【0041】
CLCCパッケージであって、図2に示すように、CLCCパッケージは、基板1を備え、前記基板1上には、中央部に位置するCMOS 2、縁位置に位置するコンデンサ抵抗3及び駆動モータ4が貼り付けられ、前記基板1上には仕切り壁台座5が設けられ、前記仕切り壁台座5において、基板のCMOS 2、コンデンサ抵抗3及び駆動モータ4に対応する位置には、それぞれCMOSセンサ空位置、コンデンサ抵抗空位置及び駆動モータ空位置が設けられ、前記CMOSセンサ空位置の上面には、カバープレート6が取り付けられている。
【0042】
撮像モジュールであって、上記CLCCパッケージを備える。
【0043】
実施例1
撮像モジュールであって、図2~5に示すように、CLCCパッケージを備え、CLCCパッケージは、基板1を備え、前記基板1上には、中央部に位置するCMOS 2、縁位置に位置するコンデンサ抵抗3及び駆動モータ4が貼り付けられ、前記基板1上には仕切り壁台座5が設けられ、前記仕切り壁台座5において、基板のCMOS 2、コンデンサ抵抗3及び駆動モータ4に対応する位置には、それぞれCMOSセンサ空位置、コンデンサ抵抗空位置及び駆動モータ空位置が設けられ、前記CMOSセンサ空位置の上面には、カバープレート6が取り付けられており、カバープレート6の表面パーティクルのサイズが1μm以下であり、粗さRaが1.342nmである。
【0044】
上記カバープレートは、ガラス基板にシリカ低屈折率層L及び五酸化タンタル高屈折率層Hが被覆される撮像モジュールの光学素子である。低屈折率層層Lは、厚みが100~200nm、屈折率が1.46~1.50であり、高屈折率層層Hは、厚みが80~120nm、屈折率が2.05~2.2である。
【0045】
上記カバープレートは、ALD製造方法を用い、ALD製造方法の過程は、以下のとおりである。
まずガラス基板を原子層反応キャビティに入れ、0.6Paまで真空引きし、150℃に加熱するS1、
不活性ガスをキャリアとし、SiH(シラン)を第1反応前駆体として反応キャビティに30~50ms導入し、ベース基板の表面に化学吸着して第1膜層を形成するS2、
余分な第1反応前駆体(SiH)を排出し、不活性ガス(例えば、ヘリウムガス、アルゴンなど)で20~30sパージするS3と、
不活性ガスをキャリアとし、オゾン(O)を第2反応前駆体として原子層反応キャビティに20ms導入し、第1膜層と反応させてシリカ低屈折率層Lを形成するS4、
完全に反応した後、第2反応前駆体オゾン及び第1反応前駆体(SiH4)が第2反応前駆体オゾンと反応した副生成物を排出し、不活性ガス(例えば、ヘリウムガス、アルゴンなど)で20~30sパージし、プラズマ衝撃によって表面改質を行うS5、
不活性ガスをキャリアとし、塩化タンタルVガスを第3反応前駆体として反応キャビティに20~30ms導入し、低屈折率層Lの改質後の表面に吸着させ、第2膜層を形成するS6、
余分な第3反応前駆体(塩化タンタルVガス)を排出し、不活性ガス(例えば、ヘリウムガス、アルゴンなど)で20~30sパージするS7、
不活性ガスをキャリアとし、水蒸気を第4反応前駆体として原子層反応キャビティに20ms導入し、第2膜層と反応させ、五酸化タンタル屈折率層Hを形成するS8、
余分な第4反応前駆体(水蒸気)及び第3反応前駆体(塩化タンタルVガス)が第4反応前駆体(水蒸気)と反応した副生成物を排出し、不活性ガス(例えば、ヘリウムガス、アルゴンなど)で20~30sパージするS9。
【0046】
本実施例では、直径200mmのシートをバッチ生産し、1カートンあたり、合計21枚とし、金属顕微鏡によって表面のパーティクル状況を監視したところ、すべてのカバープレートには、粒径が1μmより大きいパーティクルが観察されておらず、歩留まりが100%であった。
【0047】
比較実施例
本実施例のターゲット製品は、実施例1と同様であり、用いる真空熱蒸発の製造方法の過程は、以下のとおりである。
まずベース基板ガラスを治具に入れ、治具をドームホルダーに置き、ドームホルダーをコーティング機のチャンバーに入れるステップS1。
【0048】
SiO(シリカ)及びTiO(二酸化チタン)をそれぞれチャンバーにおける左側及び右側の坩堝に入れ、チャンバードアを閉め、0.0001~0.001Paまで真空引きし、温度を50~400℃範囲に設定し、チャンバー内部を真空引きの範囲に維持するステップS2。
【0049】
SiO(シリカ)の所在する位置の電子銃を起動し、電子銃が設定された膜厚になるまで作動し、作動終了後、残りの分子がガスにより吸引され、TiO(二酸化チタン)の位置での電子銃が自動的に起動されてコーティングするステップS3。
【0050】
機器が設定されたフィルムコーティングの層数に応じてコーティングを繰り返すステップS4。
【0051】
比較実施例の製品に対して金属顕微鏡によってパーティクルの状況を監視した結果、図6に示すように、粒径が5μm以上のパーティクル欠陥が観察された。実施例1と同様のバッチ試験を行い、該製造方法で得られた生成物は、パーティクル欠陥(粒径が5μm以上)による不良率が70%であった。
【0052】
実施例2
撮像モジュールであって、CLCCパッケージを備え、CLCCパッケージは、基板1を備え、前記基板1上には、中央部に位置するCMOS 2、縁位置に位置するコンデンサ抵抗3及び駆動モータ4が貼り付けられ、前記基板1上には仕切り壁台座5が設けられ、前記仕切り壁台座5において、基板のCMOS 2、コンデンサ抵抗3及び駆動モータ4に対応する位置には、それぞれCMOSセンサ空位置、コンデンサ抵抗空位置及び駆動モータ空位置が設けられ、前記CMOSセンサ空位置の上面には、カバープレート6が取り付けられており、カバープレート6の表面パーティクルのサイズが10nm以下であり、粗さRaが1.340nmである。
【0053】
上記カバープレートは、ガラス基板にシリカ低屈折率層L及び二酸化チタン高屈折率層Hが被覆される撮像モジュールの光学素子である。低屈折率層層Lは、厚みが100~200nm、屈折率が1.46~1.50であり、高屈折率層層Hは、厚みが10~50nm、屈折率が2.28~2.35である。
【0054】
上記カバープレートは、ALD製造方法を用い、ALD製造方法の過程は、以下のとおりである。
まずガラス基板を反応キャビティに入れ、0.6Paまで真空引きし、250℃に加熱するS1、
SiH(シラン)を第1反応前駆体として原子層反応キャビティに好ましくは30~50ms導入し、ベース基板の表面に化学吸着して第1膜層を形成するS2、
余分な第1反応前駆体(SiH)を排出し、不活性ガス(例えば、ヘリウムガス、アルゴンなど)で20~30sパージするS3、
オゾン(O)を第2反応前駆体として反応キャビティに20ms導入し、第1膜層と反応させてシリカ低屈折率層Lを形成するS4、
完全に反応した後、第2反応前駆体オゾン及び第1反応前駆体(SiH4)が第2反応前駆体オゾンと反応した副生成物を排出し、不活性ガス(例えば、ヘリウムガス、アルゴンなど)で20~30sパージし、プラズマ衝撃によって表面改質を行うS5、
ヨウ化チタン(IV)ガスを第3反応前駆体として原子層反応キャビティに好ましくは30~50ms導入し、低屈折率層Lの表面に吸着させ、第2膜層を形成するS6、
余分な第3反応前駆体(ヨウ化チタン(IV)ガス)を排出し、不活性ガス(例えば、ヘリウムガス、アルゴンなど)で20~30sパージするS7、
水蒸気を第4反応前駆体として原子層反応キャビティに35ms導入し、第2膜層と反応させ、二酸化チタン屈折率層Hを形成するS8、
余分な第4反応前駆体(水蒸気)及び第3反応前駆体(ヨウ化チタン(IV)ガス)が第4反応前駆体(水蒸気)と反応した副生成物を排出し、不活性ガス(例えば、ヘリウムガス、アルゴンなど)で20~30sパージするS9。
【0055】
本実施例では、サイズ80×76×0.21mmのシートをバッチ生産し、1カートンあたり、156枚とし、金属顕微鏡によってパーティクルの状況を監視し、すべてのカバープレートには、粒径が1μmより大きいパーティクルが観察されておらず、歩留まりが100%であり、パーティクルのサイズをさらに観察し、粒径が10nmより大きいパーティクルが観察されてなかった。
【0056】
実施例3
撮像モジュールであって、CLCCパッケージを備え、CLCCパッケージは、基板1を備え、前記基板1上には、中央部に位置するCMOS 2、縁位置に位置するコンデンサ抵抗3及び駆動モータ4が貼り付けられ、前記基板1上には仕切り壁台座5が設けられ、前記仕切り壁台座5において、基板のCMOS 2、コンデンサ抵抗3及び駆動モータ4に対応する位置には、それぞれCMOSセンサ空位置、コンデンサ抵抗空位置及び駆動モータ空位置が設けられ、前記CMOSセンサ空位置の上面には、カバープレート6が取り付けられており、カバープレート6の表面パーティクルのサイズ≦50nm、粗さRaが9.440nmである。
【0057】
上記カバープレートは、水晶基板上にシリカ低屈折率層L及び二酸化ジルコニウム高屈折率層Hが被覆される撮像モジュールの光学素子である。低屈折率層層Lは、厚みが100~200nm、屈折率が1.46~1.50であり、高屈折率層層Hは、厚みが35~75nm、屈折率が1.98~2.07である。
【0058】
上記カバープレートは、ALD製造方法を用い、ALD製造方法の過程は、以下のとおりである。
まず水晶基板を反応キャビティに入れ、0.6Paまで真空引きし、400℃に加熱するS1、
SiH4(シラン)を第1反応前駆体として原子層反応キャビティに好ましくは15~20msパルスで導入し、ベース基板の表面に化学吸着して第1膜層を形成するS2、
余分な第1反応前駆体(SiH)を排出し、不活性ガス(例えば、ヘリウムガス、アルゴンなど)で20~30sパージするS3、
オゾン(O)を第2反応前駆体として原子層反応キャビティに15~20ms導入し、第1膜層と反応させてシリカ低屈折率層Lを形成するS4、
完全に反応した後、第2反応前駆体オゾン及び第1反応前駆体(SiH)が第2反応前駆体オゾンと反応した副生成物を排出し、不活性ガス(例えば、ヘリウムガス、アルゴンなど)で20~30sパージし、プラズマ衝撃によって表面改質を行うS5、
ヨウ化ジルコニウム(IV)ガスを第3反応前駆体として原子層反応キャビティに15~20ms導入し、低屈折率層Lの表面に吸着させ、第2膜層を形成するS6、
余分な第3反応前駆体(ヨウ化ジルコニウム(IV)ガス)を排出し、不活性ガス(例えば、ヘリウムガス、アルゴンなど)で20~30sパージするS7、
水蒸気を第4反応前駆体として原子層反応キャビティに15~20ms導入し、第2膜層と反応させ、二酸化チタン屈折率層Hを形成するS8、
余分な第4反応前駆体(水蒸気)及び第3反応前駆体(ヨウ化ジルコニウム(IV)ガス)が第4反応前駆体(水蒸気)と反応した副生成物を排出し、不活性ガス(例えば、ヘリウムガス、アルゴンなど)で20~30sパージするS9。
【0059】
本実施例では、直径300mmのシートをバッチ生産し、1カートンあたり、12枚とし、金属顕微鏡によってパーティクルの状況を監視し、すべてのカバープレートには、粒径が1μmより大きいパーティクルが観察されておらず、歩留まりが100%であり、パーティクルのサイズをさらに観察し、粒径が50nmより大きいパーティクルが観察されてなかった。
【0060】
実施例4
撮像モジュールであって、CLCCパッケージを備え、CLCCパッケージは、基板1を備え、前記基板1上には、中央部に位置するCMOS 2、縁位置に位置するコンデンサ抵抗3及び駆動モータ4が貼り付けられ、前記基板1上には仕切り壁台座5が設けられ、前記仕切り壁台座5において、基板のCMOS 2、コンデンサ抵抗3及び駆動モータ4に対応する位置には、それぞれCMOSセンサ空位置、コンデンサ抵抗空位置及び駆動モータ空位置が設けられ、前記CMOSセンサ空位置の上面には、カバープレート6が取り付けられており、カバープレート6の表面パーティクルのサイズが100nm以下であり、粗さRaが7.581nmである。
【0061】
上記カバープレートは、サファイア基板上にシリカ低屈折率層L及び二酸化チタン高屈折率層Hが被覆される撮像モジュールの光学素子である。低屈折率層層Lは、厚みが100~200nm、屈折率が1.47~1.51であり、高屈折率層層Hは、厚みが10~50nm、屈折率が2.28~2.35である。
【0062】
上記カバープレートは、ALD製造方法を用い、ALD製造方法の過程は、以下のとおりである。
まずサファイア基板を原子層反応キャビティに入れ、0.6Paまで真空引きし、100℃に加熱するS1、
SiH(シラン)を第1反応前駆体として原子層反応キャビティに30~50ms導入し、ベース基板の表面に化学吸着して第1膜層を形成するS2、
余分な第1反応前駆体(SiH)を排出し、不活性ガス(例えば、ヘリウムガス、アルゴンなど)で20~30sパージするS3、
酸素ガス(O)を第2反応前駆体として原子層反応キャビティに20~40ms導入し、第1膜層と反応させてシリカ低屈折率層Lを形成するS4、
完全に反応した後、第2反応前駆体オゾン及び第1反応前駆体(SiH)が第2反応前駆体オゾンと反応した副生成物を排出し、不活性ガス(例えば、ヘリウムガス、アルゴンなど)で20~30sパージし、プラズマ衝撃によって表面改質を行うS5、
ヨウ化チタン(IV)ガスを第3反応前駆体として原子層反応キャビティに15~30ms導入し、低屈折率層Lの表面に吸着させ、第2膜層を形成するS6、
余分な第3反応前駆体(ヨウ化チタン(IV)ガス)を排出し、不活性ガス(例えば、ヘリウムガス、アルゴンなど)で20~30sパージするS7、
水蒸気を第4反応前駆体として原子層反応キャビティに15~30ms導入し、第2膜層と反応させ、二酸化チタン屈折率層Hを形成するS8、
余分な第4反応前駆体(水蒸気)及び第3反応前駆体(ヨウ化チタン(IV)ガス)が第4反応前駆体(水蒸気)と反応した副生成物を排出し、不活性ガス(例えば、ヘリウムガス、アルゴンなど)で20~30sパージするS9。
【0063】
本実施例では、サイズが77×77×0.21mmの製品をバッチ生産し、1カートンあたり、169枚とし、金属顕微鏡によってパーティクルの状況を監視し、すべてのカバープレートには、粒径が1μmより大きいパーティクルが観察されておらず、歩留まりが100%であり、パーティクルのサイズをさらに観察し、粒径が100nmより大きいパーティクルが観察されてなかった。
【0064】
実施例5
撮像モジュールであって、CLCCパッケージを備え、CLCCパッケージは、基板1を備え、前記基板1上には、中央部に位置するCMOS 2、縁位置に位置するコンデンサ抵抗3及び駆動モータ4が貼り付けられ、前記基板1上には仕切り壁台座5が設けられ、前記仕切り壁台座5において、基板のCMOS 2、コンデンサ抵抗3及び駆動モータ4に対応する位置には、それぞれCMOSセンサ空位置、コンデンサ抵抗空位置及び駆動モータ空位置が設けられ、前記CMOSセンサ空位置の上面には、カバープレート6が取り付けられており、カバープレート6の表面パーティクルのサイズが10nm以下であり、粗さRaが0.622nmである。
【0065】
上記カバープレートは、サファイア基板上に5層の光学コーティングが被覆される光学素子である。5層の光学コーティングは、低屈折率・高屈折率の形態で組合せられ、サファイア基板に周期的に堆積し、最後層が低屈折率で終わる。5層の光学コーティングは、ベース基板から外へ、順に以下のとおりである。
層厚100~200nm、屈折率1.46~1.50のシリカ低屈折率層L1、
層厚10~50nm、屈折率2.28~2.35の二酸化チタン高屈折率層H1、
層厚100~200nm、屈折率1.46~1.50のシリカ低屈折率層L2、
層厚80~120nm、屈折率2.05~2.2の五酸化タンタル高屈折率層H2、
層厚5~300nm、屈折率1.46~1.50のシリカ低屈折率層L3。
【0066】
上記カバープレートは、ALD製造方法を用い、ALD製造方法の過程は、以下のとおりである。
まずサファイア基板を原子層反応キャビティに入れ、0.6Paまで真空引きし、200℃に加熱するS1、
SiH(シラン)を第1反応前駆体として原子層反応キャビティに30~50ms導入し、ベース基板の表面に化学吸着して第1膜層を形成するS2、
余分な第1反応前駆体(SiH)を排出し、不活性ガス(例えば、ヘリウムガス、アルゴンなど)で15sパージするS3、
酸素ガス(O)を第2反応前駆体として原子層反応キャビティに導入し、第1膜層と反応させてシリカ低屈折率層L1を形成するS4、
完全に反応した後、第2反応前駆体オゾン及び第1反応前駆体(SiH)が第2反応前駆体オゾンと反応した副生成物を排出し、不活性ガス(例えば、ヘリウムガス、アルゴンなど)で15sパージし、プラズマ衝撃によって表面改質を行うS5、
塩化タンタルVガスを第3反応前駆体として原子層反応キャビティに10~30ms導入し、低屈折率層L1の表面に吸着させ、第2膜層を形成するS6、
余分な第3反応前駆体(塩化タンタルVガス)を排出し、不活性ガス(例えば、ヘリウムガス、アルゴンなど)で15sパージするS7、
水蒸気を第4反応前駆体として原子層反応キャビティに導入し、第2膜層と反応させ、二酸化チタン屈折率層H1を形成するS8、
余分な第4反応前駆体(水蒸気)及び第3反応前駆体(塩化タンタルVガス)が第4反応前駆体(水蒸気)と反応した副生成物を排出し、不活性ガス(例えば、ヘリウムガス、アルゴンなど)で15sパージし、プラズマ衝撃によって表面改質を行うS9、
SiH(シラン)を第5反応前駆体として原子層反応キャビティに30~50ms導入し、ベース基板の表面に化学吸着させて第3膜層を形成するS10、
余分な第5反応前駆体(SiH)を排出し、不活性ガス(例えば、ヘリウムガス、アルゴンなど)で15sパージするS11、
オゾン(O)を第6反応前駆体として原子層反応キャビティに導入し、第3膜層と反応させてシリカ低屈折率層L2を形成するS12、
余分な第6反応前駆体オゾン及び第5反応前駆体(SiH)が第6反応前駆体オゾンと反応した副生成物を排出し、不活性ガス(例えば、ヘリウムガス、アルゴンなど)で15sパージし、プラズマ衝撃によって表面改質を行うS13、
塩化タンタルVガスを第7反応前駆体として原子層反応キャビティに10~30ms導入し、低屈折率層L2の表面に吸着し、第4膜層を形成するS14、
余分な第7反応前駆体(塩化タンタルVガス)を排出し、不活性ガス(例えば、ヘリウムガス、アルゴンなど)で15sパージするS15、
水蒸気を第8反応前駆体として原子層反応キャビティに導入し、第4膜層と反応させ、五酸化タンタル屈折率層H2を形成するS16、
余分な第8反応前駆体(水蒸気)及び第7反応前駆体(塩化タンタルVガス)が第8反応前駆体(水蒸気)と反応した副生成物を排出し、不活性ガス(例えば、ヘリウムガス、アルゴンなど)で15sパージし、プラズマ衝撃によって表面改質を行うS17、
SiH(シラン)を第9反応前駆体として原子層反応キャビティに10~50ms導入し、ベース基板の表面に吸着させて第5膜層を形成するS18、
余分な第9反応前駆体(SiH)を排出し、不活性ガス(例えば、ヘリウムガス、アルゴンなど)で15sパージするS19、
オゾン(O)を第10反応前駆体として原子層反応キャビティに導入し、第5膜層と反応させてシリカ低屈折率層L3を形成するS20、
完全に反応した後、余分な第10反応前駆体オゾン及び第9反応前駆体(SiH)が第10反応前駆体オゾンと反応した副生成物を排出し、不活性ガス(例えば、ヘリウムガス、アルゴンなど)で15sパージするS21。
【0067】
本実施例では、直径200mmのシートをバッチ生産し、1カートンあたり、合計21枚とし、金属顕微鏡によってパーティクルの状況を監視し、すべてのカバープレートには、粒径が1μm以上のパーティクルが観察されておらず、歩留まりが100%であり、パーティクルのサイズをさらに観察し、粒径が10nmより大きいパーティクルが観察されてなかった。
【0068】
以上の実施形態は、本発明を説明するためのものに過ぎず、本発明を制限するものではなく、当業者であれば、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく、さらに様々な変化及び変形を行うことができ、従って、すべての等価技術案も本発明の範囲に属し、本発明の特許範囲が請求項で限定される。
【符号の説明】
【0069】
1 基板
2 CMOS
3 コンデンサ抵抗
4 駆動モータ
5 仕切り壁台座
6 カバープレート
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【国際調査報告】