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特表2022-534143ポリグリコール酸製品を生産するための統合製造方法
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  • 特表-ポリグリコール酸製品を生産するための統合製造方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-07-28
(54)【発明の名称】ポリグリコール酸製品を生産するための統合製造方法
(51)【国際特許分類】
   C08G 63/06 20060101AFI20220721BHJP
【FI】
C08G63/06
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021523970
(86)(22)【出願日】2018-10-29
(85)【翻訳文提出日】2021-06-22
(86)【国際出願番号】 CN2018112470
(87)【国際公開番号】W WO2020087219
(87)【国際公開日】2020-05-07
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521186328
【氏名又は名称】プージン ケミカル インダストリー カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】PUJING CHEMICAL INDUSTRY CO.,LTD
【住所又は居所原語表記】Room615-618, T1, Lane166, Minhong Road, Minhang District, Shanghai 201102 China
(74)【代理人】
【識別番号】110001070
【氏名又は名称】特許業務法人SSINPAT
(72)【発明者】
【氏名】ワン, サイボ―
【テーマコード(参考)】
4J029
【Fターム(参考)】
4J029AA02
4J029AB04
4J029AD01
4J029AE01
4J029AE02
4J029AE06
4J029EA03
4J029JF131
4J029JF321
4J029JF371
4J029JF471
4J029KD02
4J029KD07
4J029KE02
4J029KE05
4J029LA01
(57)【要約】
本発明は、重合、改質及び成形を含む、ポリグリコール酸製品を生産するための統合方法に関する。得られるポリグリコール酸製品は、黄色度(YI)、重量平均分子量、強度、及び平均二乗回転半径を含むポリグリコール酸の物理的及び化学的特性を最大限に保つことができる。また、ポリグリコール酸製品、及び前記統合方法を実施するための装置を提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)プレ重合反応器の中で、グリコリド、触媒、及び構成調整剤を混合し、溶融したプレ重合組成物を形成する;
(b)重合反応器の中で、前記溶融したプレ重合組成物を重合させ、溶融した重合組成物を形成する;
(c)最適化反応器の中で、前記溶融した重合組成物を最適化させ、溶融したポリグリコール酸を形成する;及び
(d)成形金型によって前記溶融したポリグリコール酸を成形させ、ポリグリコール酸製品を形成する
ことを含む、140-260℃でグリコリドからポリグリコール酸製品を生産する方法。
【請求項2】
(a)プレ重合反応器の中で、グリコリド、触媒、及び構成調整剤を混合し、溶融したプレ重合組成物を形成する;
(b)重合反応器の中で、前記溶融したプレ重合組成物を重合させ、溶融した重合組成物を形成する;
(c)成形金型によって前記溶融したポリグリコール酸を成形させ、ポリグリコール酸製品を形成する
ことを含む、140-260℃でグリコリドからポリグリコール酸製品を生産する方法。
【請求項3】
前記プレ重合反応器は、タンク反応器、フラットフロー反応器、またはチューブ型反応器であることを特徴とする、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記触媒は、希土類元素酸化物、金属マグネシウム化合物、アルカリ金属キレート化合物、有機アンチモン、及びその組み合わせからなる群より選ばれることを特徴とする、請求項1または2に記載の方法。
【請求項5】
前記アルカリ金属キレート化合物は、スズ、アンチモン、チタン、またはその組み合わせを含むことを特徴とする、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
工程(a)は、140-260℃の温度で1分間~5時間行われることを特徴とする、請求項1または2に記載の方法。
【請求項7】
前記溶融したプレ重合組成物の固有粘度が0.1-0.5dl/gで、モノマー変換率が1-100%であることを特徴とする、請求項1または2に記載の方法。
【請求項8】
溶融したプレ重合組成物を重合反応器に移すことをさらに含むことを特徴とする、請求項1または2に記載の方法。
【請求項9】
前記重合反応器は、タンク反応器、フラットフロー反応器、またはチューブ型反応器であることを特徴とする、請求項1または2に記載の方法。
【請求項10】
工程(b)は、140-260℃で、かつ10-6~0.5MPaの絶対圧力で、1分間~72時間行われることを特徴とする、請求項1または2に記載の方法。
【請求項11】
前記溶融した重合組成物の固有粘度が0.1-0.5dl/gで、モノマー変換率が50-100%であることを特徴とする、請求項1または2に記載の方法。
【請求項12】
溶融した重合組成物を最適化反応器に移すことをさらに含むことを特徴とする、請求項1または2に記載の方法。
【請求項13】
前記最適化反応器は、タンク反応器、フラットフロー反応器、またはチューブ型反応器であることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
工程(c)は、重合組成物を脱揮発分させることをさらに含むことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
工程(c)は、改質剤の存在下で、溶融した重合組成物を改質することを含むことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
工程(c)は、140-260℃の温度及び1-500rpmの回転速度で、1Paの絶対圧力~大気圧で、1分間~24時間行われることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記溶融したポリグリコール酸の固有粘度が、1.5-2.5dl/gであることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
前記成形金型は、前記最適化反応器の出口につながり、前記成形金型は、水中ペレット成形金型、カレンダーフィルム成形金型及びローラー、キャストフィルム成形金型及びコイリング装置、メルトブローンフィルム装置、回転成形金型繊維金型及び紡糸装置、ロッド押出金型、チューブ押出金型、及びシート押出金型からなる群より選ばれることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項19】
溶融したポリグリコール酸を、顆粒、繊維、ロッド、ボール、チューブ、シート、フィルム、またはペレット形式のポリグリコール酸製品に成形することをさらに含むことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項20】
溶融した重合混合物を、顆粒、繊維、ロッド、ボール、チューブ、シート、フィルム、またはペレット形式のポリグリコール酸製品に成形することをさらに含むことを特徴とする、請求項2に記載の方法。
【請求項21】
最終モノマー変換率が、99%を超えることを特徴とする、請求項1または2に記載の方法。
【請求項22】
請求項1または2に記載の方法によって生産される、ポリグリコール酸製品。
【請求項23】
前記ポリグリコール酸製品の分子量が、90,000-300,000であることを特徴とする、請求項22に記載のポリグリコール酸製品。
【請求項24】
前記ポリグリコール酸製品の黄色度(YI)が、9-70であることを特徴とする、請求項22に記載のポリグリコール酸製品。
【請求項25】
前記ポリグリコール酸製品の平均二乗回転半径が、38-53nmであることを特徴とする、請求項22に記載のポリグリコール酸製品。
【請求項26】
(a)グリコリド、触媒、及び構成調整剤を混合し、溶融したプレ重合組成物を形成するための、プレ重合反応器;
(b)溶融したプレ重合組成物を重合させ、溶融した重合組成物を形成するための、重合反応器;
(c)溶融した重合組成物を最適化させ、溶融したポリグリコール酸を形成するための、最適化反応器;
(d)溶融したポリグリコール酸を成形させ、ポリグリコール酸製品を形成するための、成形金型
を含む、140-260℃でグリコリドからポリグリコール酸製品を生産する装置。
【請求項27】
前記プレ重合反応器、重合反応器、及び最適化反応器は、それぞれタンク反応器、フラットフロー反応器、またはチューブ型反応器であることを特徴とする、請求項26に記載の装置。
【請求項28】
前記成形金型は、水中ペレット成形金型、カレンダーフィルム成形金型及びローラー、キャストフィルム成形金型及びコイリング装置、メルトブローンフィルム装置、回転成形金型繊維金型及び紡糸装置、ロッド押出金型、チューブ押出金型、及びシート押出金型からなる群より選ばれることを特徴とする、請求項26に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリグリコール酸製品の生産に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリグリコール酸は、最も単純な構造を持つ脂肪族ポリエステルであり、生物活性を有する最初の吸収性縫合糸材料でもある。ポリグリコール酸は、薬剤制御放出システムや整形外科用の固形ステントなど、医療分野において多くの用途がある。ポリグリコール酸は、優れた加工特性、高い機械的強度や弾性率、高い耐溶媒性、良好な生体適合性、高いガスバリア性、および生分解性を備えている。これらの特性に基づいて、ポリグリコール酸は、医療用材料に加えて、包装材料および農業用生分解性フィルムにも使用できる。
【0003】
ポリグリコール酸の工業製造は困難である。単一の反応器で得られた高分子量を有するポリマーは、その溶融粘度のゆえ、ストリップに引くことができない。反応タンク内の材料の滞留時間が異なると、反応の前後における製品の特性(例えば黄色度、重量平均分子量、固有粘度)が著しく異なる。二軸スクリューの使用によって、固相重合用の固体粉末プレポリマーが得られた(CN101374883A)。得られたポリマーは、造粒のために熱安定剤と溶融混練されるが、設備の中で溶融混練するために、酸化防止剤、不活性化剤、強化剤、及び加水分解抑制剤などの補助剤を添加する必要がある。低い反応温度の使用により、得られる材料の熱分解や着色を制御できるが、Tm+38℃より高い二次溶融温度では、得られるポリグリコール酸生成物の分子量と着色への影響がみられる(CN1827686B)。
【0004】
そのため、製品の物理的と化学的特性の改善と同時に、ポリグリコール酸の熱履歴による影響を低減させるための、ポリグリコール酸製品の連続的な工業生産方法が、依然として求められる。
【発明の概要】
【0005】
本発明は、ポリグリコール酸製品の統合生産方法及び関連装置に関する。驚くことに、本発明者らは、このような統合方法により、ポリグリコール酸の熱履歴によるポリグリコール酸から生産されるポリグリコール酸製品の特性への影響が低減されることを見出した。
【0006】
140-260℃でグリコリドからポリグリコール酸製品を生産する方法を提供する。上記方法は、(a)プレ重合反応器の中で、グリコリド、触媒、及び構成調整剤を混合することによって、溶融したプレ重合組成物を形成する;(b)重合反応器の中で、溶融したプレ重合組成物を重合させることによって、溶融した重合組成物を形成する;(c)最適化反応器の中で、溶融した重合組成物を最適化させることによって、溶融したポリグリコール酸を形成する;(d)成形金型で溶融したポリグリコール酸を成形させることによって、ポリグリコール酸製品を形成する、ことを含む。上記方法は、溶融したポリグリコール酸を顆粒(granules)、繊維、ロッド、ボール、チューブ、シート、フィルム、または水中ペレット(pellets)形式のポリグリコール酸製品に成形させることをさらに含んでもいい。
【0007】
140-260℃でグリコリドからポリグリコール酸製品を生産する方法を提供する。上記方法は、(a)プレ重合反応器の中で、グリコリド、触媒、及び構成調整剤を混合することによって、溶融したプレ重合組成物を形成する;(b)重合反応器の中で、溶融したプレ重合組成物を重合させることによって、溶融した重合組成物を形成する;(c)成形金型で溶融したポリグリコール酸を成形させることによって、ポリグリコール酸製品を形成する、ことを含む。
【0008】
上記プレ重合反応器は、タンク反応器、フラットフロー反応器、またはチューブ型反応器であってもいい。上記触媒は、希土類元素酸化物、金属マグネシウム化合物、アルカリ金属キレート化合物、有機アンチモン、及びその組み合わせからなる群より選んでもいい。上記アルカリ金属キレート化合物は、スズ、アンチモン、チタン、またはその組み合わせを含んでもいい。工程(a)は、140-260℃の温度で1分間~5時間行われてもいい。溶融したプレ重合組成物は、0.1-0.5dl/gの固有粘度及び/または1-100%のモノマー変換率を有してもいい。上記方法は、溶融したプレ重合組成物を重合反応器に移すことをさらに含んでもいい。
【0009】
上記重合反応器は、タンク反応器、フラットフロー反応器、またはチューブ型反応器であってもいい。工程(b)は、140-260℃の温度及び10-6-0.5MPaの絶対圧力で、1分間~72時間行われてもいい。溶融した重合組成物は、0.1-0.5dl/gの固有粘度及び/または50-100%のモノマー変換率を有してもいい。上記方法は、溶融した重合組成物を最適化反応器に移すことをさらに含んでもいい。上記方法は、溶融した重合混合物を顆粒、繊維、ロッド、ボール、チューブ、シート、フィルム、または水中ペレット形式のポリグリコール酸製品に成形させることをさらに含んでもいい。
【0010】
最適化反応器は、タンク反応器、フラットフロー反応器、またはチューブ型反応器であってもいい。工程(c)は、溶融した重合組成物を脱揮発分させることを含んでもいい。工程(c)は、改質剤の存在下で溶融した重合組成物を改質することを含んでもいい。工程(c)は、140-260℃の温度及び1-500rpmの回転速度で、1Paの絶対圧力~大気圧で1分間~24時間行われてもいい。溶融したポリグリコール酸は、1.5-2.5dl/gの固有粘度を有してもいい。
【0011】
成形金型は、最適化反応器の出口とつながってもいい。成形金型は、水中ペレット成形金型、カレンダーフィルム成形金型、テープキャスト成形金型、メルトブローンフィルム金型、回転成形金型、ロッド押出金型、チューブ押出金型、及びシート押出金型から選んでもいい。
【0012】
上記方法によれば、最終モノマー変換率は、99%を超えてもいい。
【0013】
本発明の各方法に対し、その方法によって生産されるポリグリコール酸製品を提供する。上記ポリグリコール酸製品は、90,000-300,000の分子量を有してもいい。ポリグリコール酸製品は、9-70の黄色度(YI)を有してもいい。ポリグリコール酸製品は、38-53nmの平均二乗回転半径を有してもいい。
【0014】
グリコリドからポリグリコール酸製品を生産する装置を提供する。生産は、140-260℃、160-257℃、180-245℃、または200-230℃で行われてもいい。上記装置は、プレ重合反応器、重合反応器、最適化反応器、及び成形金型を含む。プレ重合反応器の中でグリコリド、触媒、及び構成調整剤を混合することによって、溶融したプレ重合組成物を形成する。重合反応器の中で溶融したプレ重合組成物を重合させることによって、溶融した重合組成物を形成する。溶融の重合組成物を最適化させることによって、最適化反応器の中で溶融した最適化ポリグリコール酸を形成する。溶融した最適化ポリグリコール酸は、成形金型によってポリグリコール酸製品に成形される。プレ重合反応器、重合反応器、及び最適化反応器は、それぞれタンク反応器、フラットフロー反応器、またはチューブ型反応器であってもいい。成形金型は、水中ペレット成形金型、カレンダーフィルム成形金型及びローラー、キャストフィルム成形金型及びコイリング装置、メルトブローンフィルム装置、回転成形金型繊維金型及び紡糸装置、ロッド押出金型、チューブ押出金型、及びシート押出金型から選んでもいい。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1は本発明の一実施形態によるポリグリコール酸製品の生産方法を模式的に示す図である。プレ重合反応器(A)の中でグリコリド、触媒、及び構成調整剤を混合し、反応させ、溶融したプレ重合組成物を形成する。そして、溶融したプレ重合組成物を重合反応器(B)に移し、窒素ガス(N2)の存在下で重合反応させることによって、溶融した重合組成物を形成する。その後、溶融した重合組成物を最適化反応器(C)に移し、真空下で改質剤と反応させることによって、溶融したポリグリコール酸を形成する。溶融したポリグリコール酸が、顆粒、繊維、ロッド、ボール、チューブ、シート、フィルム、または水中ペレットに直接成形される。プレ重合反応器、重合反応器、及び最適化反応器は、それぞれタンク反応器、フラットフロー反応器、またはチューブ型反応器であってもいい。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明は、ポリグリコール酸製品を生産するための低温連続統合重合及び成形方法を提供し、上記方法によって、ポリグリコール酸製品が、ポリグリコール酸の理想的な化学的及び物理的特性を保つことができる。本発明者は、統合プロセスにおいて、いずれかの溶融セクションに改質剤を添加し、異なる成形要求に応じて異なる金型を使用することによって、必要温度未満の温度においても、ポリグリコール酸製品を生産できることを見出し、本発明を成し遂げた。上記必要温度は、ポリグリコール酸の溶融温度に38℃を足したもの(Tm+38℃)である。また、連続生産、多重適応性、高い変換率、及び、例えば、千トン単位の工業生産レベルを実現するという容易な工業的拡大を特徴とする、多段階設備の組み合わせからなるポリグリコール酸重合系を提供する。上記設備は、ポリグリコール酸製品を生産するための原料(例えばグリコリド)のプレ混合、重合、改質、及び成形の統合過程を担う。
【0017】
本発明はポリグリコール酸の低温成形方法に関する。上記方法は、ポリグリコール酸の熱履歴の大きな影響、及びスライス(slice)成形の温度範囲による制限を考慮したものである。熱履歴が多すぎると、黄色度が増加し、平均二乗回転半径が減少し、機械的特性が悪化する。本発明は統合的な重合及び成形方法を提供する。上記方法は、スライスのための再溶融成形工程を減らし、成形温度を低減させることにより、重合及び成形の低温連続系を実現する。
【0018】
本発明の一つの目的は、ポリグリコール酸スライスの高い熱履歴による第二改質及び成形過程の特性への影響を減少することである。これは重合、改質及び成形の統合過程でポリグリコール酸を改質することによって実現され、ポリグリコール酸製品の化学的及び物理的特性が維持される。
【0019】
本発明のもう一つの目的は、改質及び加工過程において、Tm+38℃を超えるポリグリコール酸の熱履歴を除去することである。Tm+38℃以下でポリグリコール酸の成形及び改質は、反応過程でいずれかの溶融セクションに改質剤を添加し、異なる成形要求に応じて異なる成形金型及び標準ポリマー加工設備の使用によって実現されてもいい。
【0020】
本発明のもう一つの目的は、ポリグリコール酸の連続工業生産に関する問題の解決である。間接反応装置は、ポリグリコール酸材料の品質の不均一性に影響を与える可能性があるため、従来の反応装置を組み合わせて異なる装置の特性の相乗効果を発揮することによって、安定性と均一性を備えたポリグリコール酸の連続工業生産が可能になる。
【0021】
プラスチック工学の分野では、スライスの混合改質は、材料を機能化および区別化するための最も簡単な方法である。従来の混合改質法は、スライスの融点よりも高い熱履歴を提供し、混練することによって、改質された成分と材料を完全に分散及び混合させ、完全に溶融した状態を実現する。
【0022】
ポリグリコール酸の機能改質の分野では、従来の方法を使用し、ポリグリコール酸固体にTm+38℃を超える熱履歴を持たせる。示差走査熱量測定(DSC)検証によると、添加剤(例えば熱安定剤、抗酸化剤、鎖延長剤及び不活性化剤)が全く存在しない場合、Tm+38を超える温度では、坩堝中のポリグリコール酸を1分間加熱し、ポリグリコール酸の熱履歴を完全に除去した後、坩堝中の材料が黒くなる。そのため、Tm+38℃の熱履歴温度によって、ポリグリコール酸が改質または加工過程で分解し、ポリグリコール酸生成物の黄色度、重量平均分子量及び機械的特性などの指標に影響を与える。
【0023】
ポリグリコール酸の狭い加工温度範囲を考慮した上、タンク反応器、チューブ型反応器及びフラットフロー反応器の一つ以上を反応器系に組み込んでもいい。タンク反応器系は、垂直タンク反応器および/または水平セルフクリーニングタンク反応器を含んでもいい。フラットフロー反応押出系は、シングルスクリュー反応押出機及び二軸スクリュー反応押出機などのフラットフロー反応形態を含んでもいい。チューブ型反応系は、SK型静止型混合器、SV型静止型混合器、SX型静止型混合器、及びその他の静止型混合器形式を含んでもいい。その結果、溶融状態でのグリコリドの連続開環重合、オンライン改質、及び統合成形プロセスが実現できる。
【0024】
本発明者らは、連続統合反応設備において、水平流動および溶融状態での改質及び加工が同時に保てることを見出した。この時、同時流動により発生する摩擦熱が改質と成形に寄与するため、大量の熱が保たれ、炭化の可能性が少ない。そのため、材料の物理的及び化学的特性を維持するために、比較的低温条件下でポリマーを改質及び加工することができる。
【0025】
ここで使用される用語「モノマー変換率」とは、重合反応前の全モノマーに対し、重合反応後にポリマーに組み込まれるモノマーのパーセンテージである。「最終モノマー変換率」は、100%から、重合反応前の全モノマーに対して重合反応後の残りのモノマーが示すパーセンテージを引いたものとして計算できる。
【0026】
グリコリドからポリグリコール酸製品を生産する方法を提供する。上記方法は、約140-260℃、160-257℃、180-245℃、または200-230℃の温度で行われてもいい。上記方法は、混合、重合及び成形を含み、さらに重合と成形の間に最適化を含んでもよい。
【0027】
混合工程では、プレ重合反応器の中でグリコリド、触媒、及び構成調整剤を混合することによって、溶融したプレ重合組成物を形成してもいい。
【0028】
タンク反応器、フラットフロー反応器、またはチューブ型反応器を、プレ重合反応器として使用してもいい。触媒及び構成調整剤は、ウェイトレススケール(weightless weighing)または計量ポンプによってプレ重合反応器に添加してもいい。
【0029】
上記触媒は開環重合触媒であり、グリコリドの重量に対し、約0.0001-5.000wt%の量として存在してもいい。触媒は金属または非金属触媒であってもいい。上記触媒は、希土類元素酸化物、金属マグネシウム化合物、アルカリ金属キレート化合物、有機グアニジン、及びその組み合わせから選んでもいい。アルカリ金属キレート化合物は、スズ、アンチモン、チタン、またはその組み合わせを含んでもいい。
【0030】
構成調整剤の存在量は、グリコリド重量に対し、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10wt%以下、好ましくは約5wt%以下であってもいい。構成調整剤は、例えばアルキルモノオール、アルキルポリオール、及びポリエチレングリコール(PEG)などの、分岐または長鎖構造を有する一つ以上のコモノマーまたはポリマーから選んでもいい。
【0031】
プレ重合反応器において、反応温度は、グリコリドの溶融温度(TmGL)83℃~ポリグリコール酸の溶融温度(Tm)220℃であってもいい。反応温度の下限は、好ましくはTmGL+20℃、より好ましくはTmGL+40℃であってもいい。反応温度の上限は、好ましくはTm-20℃、より好ましくはTm-40℃であってもいい。反応時間は、約1分間~約5時間、好ましくは約5分間~約4時間、より好ましくは約10分間~約3時間であってもいい。
【0032】
溶融したプレ重合組成物は、プレ重合反応器の中でモノマーグリコリドから形成されるポリグリコール酸を含む。モノマー変換率は、約30-80、10-90、または1-100%であってもいい。
【0033】
溶融したプレ重合組成物は、約0.01-1.00、0.05-0.75、または0.1-0.5dl/gの固有粘度を有してもいい。溶融したプレ重合組成物は、溶融体輸送によってプレ重合反応器から重合反応器に移してもいい。
【0034】
重合工程では、重合反応器の中で溶融したプレ重合組成物を重合させることによって、溶融した重合組成物を形成する。
【0035】
重合反応器は、タンク反応器、フラットフロー反応器、またはチューブ型反応器から選んでもいい。例えば反応温度、反応時間、及び系圧力などの様々な重合条件を調整することにより、プレ重合組成物の更なる鎖延長が実現できる。反応温度は、ポリグリコール酸の結晶化温度(Tc)+10℃~ポリグリコール酸の溶融温度(Tm)+37℃であってもいい。反応温度の下限は、好ましくはTc+20℃、より好ましくはTc+40℃であってもいい。反応温度の上限は、好ましくはTm+20℃、より好ましくはTm℃であってもいい。反応時間は、約1分間~約72時間、好ましくは約5分間~約48時間、より好ましくは約10分間~約24時間であってもいい。系圧力(絶対圧力)の上限は、0.5MPa、好ましくは0.2MPa、より好ましくは0.1MPaであってもいい。下限は、約10-6MPa、好ましくは約10-4MPa、より好ましくは約10-2MPaであってもいい。
【0036】
溶融した重合組成物は、ポリグリコール酸を含む。重合反応器の中で形成されるポリグリコール酸は、約0.1-2.0または0.5-1.5dl/gの固有粘度を有してもいい。重合反応器の中で、グリコリドのモノマー変換率は、約40-100、50-100、または60-100%であってもいい。重合反応器中におけるポリグリコール酸組成物は、溶融体輸送によって最適化反応器に移してもいい。
【0037】
改質工程では、最適化反応器の中で、改質剤で溶融した重合組成物を改質することによって、溶融の最適化ポリグリコール酸を製造してもいい。
【0038】
最適化反応器は、タンク反応器、フラットフロー反応器、またはチューブ型反応器であってもいい。最適化工程は、改質剤の存在下で、溶融した重合組成物を脱揮発分させる、及び/または溶融した重合組成物を改質することを含んでもいい。
【0039】
上記改質剤は、抗酸化剤、金属不活性化剤、加水分解防止剤、光安定剤、無機成分、鎖延長剤、及びその組み合わせからなる群より選んでもいい。上記抗酸化剤は、BASF Irganox 168、101、245、1024、1076、1098、3114、MD 1024、1025;ADEKA AO-60、80;STAB PEP-36、8T;Albemarle AT-10、245、330、626、702、733、816、1135の一つ以上からなる群より選んでもいい。金属不活性化剤は、MD24、Chel-180、XL-1、CDA10、及びCDA6からなる群より選んでもいい。上記加水分解防止剤は、一つ以上のカルボジイミドからなる群より選んでもいい。光安定剤は、BASF Chel-180、Eastman OABH、Naugard XL-1、MD24、シュウ酸誘導体、例えばADEKA STAB CDA-1、6、テルペン、サリチル酸誘導体、ベンゾトリアゾール、テルペン、及びその組み合わせからなる群より選んでもいい。無機成分は、ガラス繊維、炭素繊維、カーボンナノチューブ、タルク、及び炭酸カルシウムからなる群より選んでもいい。鎖延長剤は、ADR4300、CESA、またはその組み合わせであってもいい。
【0040】
最適化反応における反応系の温度、回転速度、及び真空度を調節することによって、最適化効果をコントロールすることができる。反応温度の上限は256℃、ポリグリコール酸の溶融温度(Tm)+37℃、好ましくはTm+20℃、より好ましくはTm+10℃であってもいい。反応温度の下限は160℃、ポリグリコール酸の結晶化温度(Tc)+20℃、好ましくはTc+30℃、より好ましくはTc+40℃であってもいい。スクリュー回転速度は約1-500rpmであってもいい。回転速度の上限は約300rpm、より好ましくは約200rpmであってもいい。下限は好ましくは約25rpm、より好ましくは約50rpmであってもいい。系内真空度(絶対圧力)は、約1Pa~約大気圧、好ましくは約1-5,000Pa、より好ましくは約1-100Paの範囲内であってもいい。反応時間は、約1分間~約24時間、好ましくは約5分間~約12時間、より好ましくは約10分間~約6時間であってもいい。最適化されたポリグリコール酸は、約0.1-3、0.5-2.5、または1.5-2.5dl/gの固有粘度を有してもいい。
【0041】
成形工程では、成形金型で溶融したポリグリコール酸または溶融した重合組成物を成形させることによって、ポリグリコール酸製品を形成してもいい。
【0042】
ポリグリコール酸のTm+38℃の熱履歴による分解及び着色の問題を解決するために、最適化反応器の出口にあるストリップ状の金型を、下流の製品に対応する成形金型に変えてもいい。成形金型は、水中ペレット成形金型、カレンダーフィルム成形金型及びローラー、キャストフィルム成形金型及びコイリング装置、メルトブローンフィルム装置、回転成形金型繊維金型及び紡糸装置、ロッド押出金型、チューブ押出金型、及びシート押出金型から選んでもいい。
【0043】
得られるポリグリコール酸製品は、黄色度(YI)、重量平均分子量、強度、及び平均二乗回転半径を含むポリグリコール酸の物理的及び化学的特性を最大限に保つことができる。
【0044】
ポリグリコール酸製品は、約50,000-400,000、90,000-300,000、または250,000-300,000の分子量を有してもいい。ポリグリコール酸製品の分子量と、ポリグリコール酸の製造に用いるポリグリコール酸の分子量との差は、約5%、10%、15%、または20%以下であってもいい。
【0045】
ポリグリコール酸製品は、約1-100、2-90、5-80、または9-70の黄色度(YI)を有してもいい。ポリグリコール酸製品の黄色度と、ポリグリコール酸の製造に用いるポリグリコール酸の黄色度との差は、約5%、10%、15%、または20%以下であってもいい。
【0046】
ポリグリコール酸製品の強度は、約180MPa-90MPa、165MPa-100MPa、または155MPa-105MPaであってもいい。ポリグリコール酸製品の強度と、ポリグリコール酸の製造に用いるポリグリコール酸の強度との差は、約5%、10%、15%、または20%以下であってもいい。
【0047】
ポリグリコール酸製品は、約20-70、30-60、または38-53nmの平均二乗回転半径を有してもいい。ポリグリコール酸製品の平均二乗回転半径と、ポリグリコール酸の製造に用いるポリグリコール酸の平均二乗回転半径との差は、約5%、10%、15%、または20%以下であってもいい。
【0048】
グリコリドからポリグリコール酸製品を生産する装置を提供する。生産は、140-260℃、160-257℃、180-245℃、または200-230℃で行われてもいい。上記装置は、プレ重合反応器、重合反応器、最適化反応器、及び成形金型を含む。プレ重合反応器の中でグリコリド、触媒、及び構成調整剤を混合することによって、溶融したプレ重合組成物を形成する。重合反応器の中で溶融したプレ重合組成物を重合させることによって、溶融した重合組成物を形成する。溶融した重合組成物を最適化させることによって、最適化反応器の中で溶融した最適化ポリグリコール酸を形成する。溶融した最適化ポリグリコール酸は、成形金型によってポリグリコール酸製品に成形される。プレ重合反応器、重合反応器、及び最適化反応器は、それぞれタンク反応器、フラットフロー反応器、またはチューブ型反応器であってもいい。成形金型は、水中ペレット成形金型、カレンダーフィルム成形金型及びローラー、キャストフィルム成形金型及びコイリング装置、メルトブローンフィルム装置、回転成形金型繊維金型及び紡糸装置、ロッド押出金型、チューブ押出金型、及びシート押出金型から選んでもいい。
【0049】
ここで、数量、パーセントなどの測定可能な値に関する場合、規定値から±20%または±10%、より好ましくは±5%、さらに好ましくは±1%、最も好ましくは±0.1%の変化は合理的であるため、使用される用語「約」とは、このような変化が含まれることを意味する。
【実施例
【0050】
[実施例1] ポリグリコール酸製品
ポリグリコール酸製品1-28及び対照製品1-4を製造し、それらの物理的及び化学的特性を測定した。
【0051】
ポリグリコール酸製品1は、グリコリドから製造した。プレ重合タンクの中で、120℃で、グリコリド、グリコリドの重量に対し0.5部である二塩化スズ二水和物(開環重合触媒)、及びグリコリドの重量に対し0部であるラウリルアルコール(構成調整剤)を60分間均一に混合した。プレ重合反応器の材料を重合反応器に移し、0.1MPaの絶対圧力及び200℃で300分間反応させた。重合反応器はフラットフロー反応器であり、それは静止型混合器、二軸スクリューユニット、または水平ディスク型反応器であってもいい。220℃、200RPMの混合速度、及び50Paの絶対圧力で、重合反応器中の材料を最適化反応器に30分間移した。得られる混合物に対し造粒した。反応条件は表1にまとめる。
【0052】
表1に示される反応条件以外では、ポリグリコール酸製品1の製造と同様にポリグリコール酸製品2-25を製造した。
【0053】
対照製品1(C1)は、グリコリドから製造した。重合反応器の中で、0.1MPaの絶対圧力及び200℃で、グリコリド、グリコリドの重量に対し0.05部である二塩化スズ二水和物(開環重合触媒)、及びグリコリドの重量に対し0.05部であるラウリルアルコール(構成調整剤)を180分間混合し、重合を行った。重合の後に、得られたペレットを冷却し、粉砕した。160℃で、720分間更なる重合を行った。結果は表1に示される。反応条件は表1にまとめる。
【0054】
ポリグリコール酸製品5と対照製品1(C1)をそれぞれ冷却し、最適化反応器の出口にある金型で造粒することによって、スライスを形成した。
【0055】
最終造粒金型をフィルム成形アセンブリ、繊維成形アセンブリ、またはロッドアセンブリに変えることにより、得られたポリグリコール酸を押出して、薄膜、繊維、またはロッド形式のポリグリコール酸製品を製造する以外では、ポリグリコール酸製品5と同様にポリグリコール酸製品26-28を製造した。反応条件は表2にまとめる。
【0056】
得られたポリグリコール酸をそれぞれフィルム成形機、紡績機、またはシングルスクリューロッド製造機に添加し、Tm+38℃を超える熱履歴を提供することによって、成形機の中で完全に溶融させ、薄膜、繊維、またはロッド形式のポリグリコール酸製品2-4を形成する以外では、対照製品1と同様に対照製品2-4(C2-4)を製造た。反応条件は表2にまとめる。
【0057】
以下の試験において、ポリグリコール酸製品1-28及び対照製品1-4を測定し、その結果が表1と2に示される。
【0058】
A.重量平均分子量及びその分布
5mmol/Lトリフルオロ酢酸ナトリウムのヘキサフルオロイソプロパノール溶液中にサンプルを溶かし、0.05-0.3wt%(質量分率)の溶液を作製した。そして、0.4μmの孔径を有するポリテトラフルオロエチレンフィルターで、この溶液をろ過した。ろ過後の溶液20μLをゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)インジェクターに添加し、サンプルの分子量を確定した。分子量の補正には、分子量の異なる5つのメタクリル酸メチルの標準分子量を用いた。
【0059】
B.黄色度(YI)の値
表面が滑らかで明らかな突起がない製品を選び、中国深セン市南山区深セン三恩時科学技術社のNSシリーズ測色計を使用して、製品の黄色度(YI)を測定した。ASTM E313に基づき、10度の観察角度、同社のD65の観察光源、及び反射光測定の条件下で三回測定を行い、平均値を算出し、製品の黄色度(YI)を確定した。
【0060】
C.強度測定
GBT-1040-2006に基づき、スライス/ペレット、薄膜、及びロッド製品を1B、2、4及び5などの標準テストストリップに加工した。繊維製品の引張試験方法は、GBT-14337-2008に基づいて行われた。この測定は、Instron 3366万能材料試験機によって行われ、その他の測定条件は全てISO標準に準じて行われた。製品28及び対照製品4のロッドについては、高温における材料の特性に注目するため、引張強度試験の温度を150℃に変えた。
【0061】
D.モノマー変換率
重量分析によって、サンプルのモノマー変換率を測定した。約0.5gのサンプルを密閉の容器に置き、15mlのヘキサフルオロイソプロパノールを正確に添加した。混合物を密封し、60℃の水浴で3-4時間溶かした。溶解が終わると、サンプル溶液を100ml丸底(平底)フラスコに移した。10mlのアセトンを正確に入れた。重合物を沈殿させるために振って、固体生成物を得た。沈殿物をろ過した。固体生成物を40℃の真空乾燥オーブンに置いた。48時間乾燥した後、固体物質の質量を量り、W1として記録した。モノマー変換率はW1/0.5であった。
【0062】
E.平均二乗回転半径
ドイツALV社のCGS-5022F型レーザースキャトロメータ(He/Neレーザー出力:22mW)を使用し、平均二乗回転半径を測定することにより、ポリマーの平均二乗回転半径を測定した。50℃での真空オーブンの中で、恒量になるまでポリマーサンプルを乾燥させた。25℃で、溶媒としてヘキサフルオロイソプロパノール(HPLCグレード)を使用し、濃度C0=0.001g/gであるポリマー/ヘキサフルオロイソプロパノール溶液を作製した。四つの濃度C0、3/4C0、1/2C0及び1/4C0を有するポリマー/ヘキサフルオロイソプロパノール溶液は、希釈及び0.2μmフィルターでのろ過によって作製された。測定波長は632.8nm;散乱角の範囲は15-150度;測定温度は25±0.1℃である。
【0063】
F.固有粘度
サンプル約0.125gを量り、ヘキサフルオロイソプロパノール25mlに溶かし、25℃での恒温水浴を行った。ウベローデ粘度計を用いて、固有粘度(η)を測定した。平均値を三回測定した。各測定における流出時間が0.2秒以下であった。
【0064】
ここで、特定の実施例を参照して本発明を例示、説明してきたが、本発明は、示された詳細に限定されるものではない。本発明から逸脱しない限り、特許請求の範囲と同等の範囲内で様々な修正を詳細に行うことができる。
【0065】
【表1-1】
【0066】
【表1-2】
【0067】
【表1-3】
【0068】
【表1-4】
【0069】
注釈:Tr1、tr1、η1はそれぞれ製造前の反応段階(A)における反応温度、反応時間及び生成物粘度である。Tr2、tr2、η2、PaA1は重合段階(B)における反応温度、反応時間、生成物粘度及び圧力である。Tr3、tr3、η3、PaA2は最適化反応段階(C)における反応温度、反応時間、生成物粘度及び圧力であり、Rgはポリグリコール酸製品の平均二乗回転半径である。
【0070】
【表2】
【0071】
注釈:Mw0はA、B及びC反応段階を通った生成物の分子量である。Mw1は成形過程後の製品の分子量である。YI0はA、B及びC反応段階後の生成物の黄色度である。YI1は成形過程後の製品の黄色度である。
図1
【手続補正書】
【提出日】2021-07-16
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)プレ重合反応器の中で、グリコリド、触媒、及び構成調整剤を混合し、溶融したプレ重合組成物を形成する;
(b)重合反応器の中で、前記溶融したプレ重合組成物を重合させ、溶融した重合組成物を形成する;
(c)最適化反応器の中で、前記溶融した重合組成物を最適化させ、溶融したポリグリコール酸を形成する;及び
(d)成形金型によって前記溶融したポリグリコール酸を成形させ、ポリグリコール酸製品を形成する
ことを含む、140-260℃でグリコリドからポリグリコール酸製品を生産する方法。
【請求項2】
(a)プレ重合反応器の中で、グリコリド、触媒、及び構成調整剤を混合し、溶融したプレ重合組成物を形成する;
(b)重合反応器の中で、前記溶融したプレ重合組成物を重合させ、溶融した重合組成物を形成する;
(c)成形金型によって前記溶融したポリグリコール酸を成形させ、ポリグリコール酸製品を形成する
ことを含む、140-260℃でグリコリドからポリグリコール酸製品を生産する方法。
【請求項3】
前記プレ重合反応器は、タンク反応器、フラットフロー反応器、またはチューブ型反応器であることを特徴とする、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記触媒は、希土類元素酸化物、金属マグネシウム化合物、アルカリ金属キレート化合物、有機グアニジン系などの一つ以上の金属または非金属触媒からなる群より選ばれることを特徴とする、請求項1または2に記載の方法。
【請求項5】
前記アルカリ金属キレート化合物は、スズ、アンチモン、チタン、またはその組み合わせを含むことを特徴とする、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
工程(a)は、140-260℃の温度で1分間~5時間行われることを特徴とする、請求項1または2に記載の方法。
【請求項7】
前記溶融したプレ重合組成物の固有粘度が0.1-0.5dl/gで、モノマー変換率が1-100%であることを特徴とする、請求項1または2に記載の方法。
【請求項8】
溶融したプレ重合組成物を重合反応器に移すことをさらに含むことを特徴とする、請求項1または2に記載の方法。
【請求項9】
前記重合反応器は、タンク反応器、フラットフロー反応器、またはチューブ型反応器であることを特徴とする、請求項1または2に記載の方法。
【請求項10】
工程(b)は、140-260℃で、かつ10-6~0.5MPaの絶対圧力で、1分間~72時間行われることを特徴とする、請求項1または2に記載の方法。
【請求項11】
前記溶融した重合組成物の固有粘度が0.1-0.5dl/gで、モノマー変換率が50-100%であることを特徴とする、請求項1または2に記載の方法。
【請求項12】
溶融した重合組成物を最適化反応器に移すことをさらに含むことを特徴とする、請求項1または2に記載の方法。
【請求項13】
前記最適化反応器は、タンク反応器、フラットフロー反応器、またはチューブ型反応器であることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
工程(c)は、重合組成物を脱揮発分させることをさらに含むことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
工程(c)は、改質剤の存在下で、溶融した重合組成物を改質することを含むことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
工程(c)は、140-260℃の温度及び1-500rpmの回転速度で、1Paの絶対圧力~大気圧で、1分間~24時間行われることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記溶融したポリグリコール酸の固有粘度が、1.5-2.5dl/gであることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
前記成形金型は、前記最適化反応器の出口につながり、前記成形金型は、水中ペレット成形金型、カレンダーフィルム成形金型及びローラー、キャストフィルム成形金型及びコイリング装置、メルトブローンフィルム装置、回転成形金型繊維金型及び紡糸装置、ロッド押出金型、チューブ押出金型、及びシート押出金型からなる群より選ばれることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項19】
溶融したポリグリコール酸を、顆粒、繊維、ロッド、ボール、チューブ、シート、フィルム、またはペレット形式のポリグリコール酸製品に成形することをさらに含むことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項20】
溶融した重合混合物を、顆粒、繊維、ロッド、ボール、チューブ、シート、フィルム、またはペレット形式のポリグリコール酸製品に成形することをさらに含むことを特徴とする、請求項2に記載の方法。
【請求項21】
最終モノマー変換率が、99%を超えることを特徴とする、請求項1または2に記載の方法。
【請求項22】
請求項1または2に記載の方法によって生産される、ポリグリコール酸製品。
【請求項23】
前記ポリグリコール酸製品の重量平均分子量が、90,000-300,000であることを特徴とする、請求項22に記載のポリグリコール酸製品。
【請求項24】
前記ポリグリコール酸製品の黄色度(YI)が、9-70であることを特徴とする、請求項22に記載のポリグリコール酸製品。
【請求項25】
前記ポリグリコール酸製品の平均二乗回転半径が、38-53nmであることを特徴とする、請求項22に記載のポリグリコール酸製品。
【請求項26】
(a)グリコリド、触媒、及び構成調整剤を混合し、溶融したプレ重合組成物を形成するための、プレ重合反応器;
(b)溶融したプレ重合組成物を重合させ、溶融した重合組成物を形成するための、重合反応器;
(c)溶融した重合組成物を最適化させ、溶融したポリグリコール酸を形成するための、最適化反応器;
(d)溶融したポリグリコール酸を成形させ、ポリグリコール酸製品を形成するための、成形金型
を含む、140-260℃でグリコリドからポリグリコール酸製品を生産する装置。
【請求項27】
前記プレ重合反応器、重合反応器、及び最適化反応器は、それぞれタンク反応器、フラットフロー反応器、またはチューブ型反応器であることを特徴とする、請求項26に記載の装置。
【請求項28】
前記成形金型は、水中ペレット成形金型、カレンダーフィルム成形金型及びローラー、キャストフィルム成形金型及びコイリング装置、メルトブローンフィルム装置、回転成形金型繊維金型及び紡糸装置、ロッド押出金型、チューブ押出金型、及びシート押出金型からなる群より選ばれることを特徴とする、請求項26に記載の装置。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0029
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0029】
上記触媒は開環重合触媒であり、グリコリドの重量に対し、約0.0001-5.000wt%の量として存在してもいい。触媒は金属または非金属触媒であってもいい。上記触媒は、希土類元素酸化物、金属マグネシウム化合物、アルカリ金属キレート化合物、有機グアニジン系などの一つ以上の金属または非金属触媒から選んでもいい。アルカリ金属キレート化合物は、スズ、アンチモン、チタン、またはその組み合わせを含んでもいい。
【国際調査報告】