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特表2022-534145ゴルフボール用のコーティング組成物{Coating composition for golf ball}
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-07-28
(54)【発明の名称】ゴルフボール用のコーティング組成物{Coating composition for golf ball}
(51)【国際特許分類】
   C09D 167/00 20060101AFI20220721BHJP
   C09D 7/61 20180101ALI20220721BHJP
   C09D 7/63 20180101ALI20220721BHJP
【FI】
C09D167/00
C09D7/61
C09D7/63
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021525744
(86)(22)【出願日】2019-07-18
(85)【翻訳文提出日】2021-05-12
(86)【国際出願番号】 KR2019008874
(87)【国際公開番号】W WO2020241962
(87)【国際公開日】2020-12-03
(31)【優先権主張番号】10-2019-0063683
(32)【優先日】2019-05-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】514124698
【氏名又は名称】ネクセン コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】110000659
【氏名又は名称】弁理士法人広江アソシエイツ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】シン,ヨン ウー
(72)【発明者】
【氏名】ムン,ジュン ギュ
【テーマコード(参考)】
4J038
【Fターム(参考)】
4J038DD011
4J038HA446
4J038KA03
4J038KA12
4J038PB02
(57)【要約】
本発明は、ゴルフボールカバー用の塗料組成物に関するものである。より詳しくは、脱水ひまし油から由来された合成脂肪酸樹脂を配合した無光コーティング組成物に関するものである。本発明によると、無光の表面を有するゴルフボールは均一であり、繊細な無光の外観及び高精密の打撃が可能となるように視野確保を実現させることができ、また、希望する各種色相、文字及びパターンなどの標章を充実に塗布することができ、長時間紫外線に露出して生じる表面の黄変を防止することができる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
主剤及び硬化剤を含み、
前記主剤は、構造式2で表される合成脂肪酸樹脂、UV安定剤、貯蔵安定剤、シリカを含み、
[構造式2]
前記UV安定剤は、ベンゾトリアゾール系UV吸収剤とヒンダードアミン系光安定剤を含み、
前記貯蔵安定剤は、ポリアミド系安定剤を含み、
前記硬化剤は、ヘキサメチレンジイソシアネート樹脂を含み、
前記シリカは、平均粒径が1乃至2である粉末形態を含むゴルフボールのコーティング組成物。
【請求項2】
前記合成脂肪酸樹脂の含量は、前記主剤の総含量100重量部に対して25乃至50重量部である請求項1に記載のゴルフボールのコーティング組成物。
【請求項3】
前記合成脂肪酸樹脂は、重量平均分子量が3,000乃至10,000g/molであり、ヒドロキシ含有量(OH%)が3.0%以上5.0%未満である請求項1に記載のゴルフボールのコーティング組成物。
【請求項4】
前記硬化剤は、イソシアネート含有量が10乃至22質量%である請求項1に記載のゴルフボールのコーティング組成物。
【請求項5】
前記イソシアネート樹脂の含量は、前記硬化剤の総含量100重量部に対して50乃至70重量部である請求項1に記載のゴルフボールのコーティング組成物。
【請求項6】
前記UV安定剤は、前記主剤の総含量100重量部に対して1乃至3重量部である請求項1に記載のゴルフボールのコーティング組成物。
【請求項7】
前記貯蔵安定剤は、前記主剤の総含量100重量部に対して0.1乃至1.0重量部である請求項1に記載のゴルフボールのコーティング組成物。
【請求項8】
前記シリカは、前記主剤の総含量100重量部に対して3乃至15重量部である請求項1に記載のゴルフボールのコーティング組成物。
【請求項9】
前記主剤対前記硬化剤の重量比は、4:1乃至2:1である請求項1に記載のゴルフボールのコーティング組成物。
【請求項10】
請求項1乃至請求項9のいずれか一項に記載のコーティング組成物でコーティングされたことを特徴とするゴルフボール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はゴルフボールカバー用の塗料組成物に関する。より詳しくは、脱水ひまし油から由来された合成脂肪酸樹脂を配合した無光コーティング組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に性能に優れるゴルフボールとは、飛距離に優れ、その上、スピン力(spin rate)に優れてアイアンショットをするとき、コントロールに優れるのがいいゴルフボールである。
【0003】
一方、このようなゴルフボール自体の性能以外に追加に重要な要素はゴルフボールを打撃するとき、飛距離と着地点などを正確に予測すること、及びパッティングにおける正確なライン分析と進行方向を予想することである。このためにプレーヤーは、ゴルフボールの打撃時またはパッティング時に非常に高い集中力を要する。
【0004】
一般的に使用されるゴルフボールは、飛距離を考慮して表面に光沢度が高いコーティング層(すなわち、有光コーティング)を含んでいる。しかし、このような有光コーティングを含むゴルフボールは、日光下で競技者に光が反射する場合があり、これはプレーヤーの集中力を阻害する。また、ゴルフボールの打撃地点を正確に把握することが難しくなる恐れがある。
【0005】
また、有光コーティングは、長い時間使用することによって、その表面が長時間、紫外線に露出することで黄変現象が発生するようになり、美観上でも悪い影響を及ぼすことになる。
【0006】
このような有光コーティング組成物の問題点を考慮して、最近はゴルフボールの性能や物性の低下なしに表面の光沢を減少させ、黄変現象を防止することができるゴルフボールのコーティング組成物に対する需要が増加している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、本発明が解決しようとする課題は、物性の低下なくゴルフボールの表面の光沢が減少され黄変現象が防止されたコーティング組成物を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明は主剤と硬化剤を含み、主剤としては脱水ひまし油から由来された合成脂肪酸樹脂、UV安定剤、貯蔵安定剤、及びシリカを含み、硬化剤としてはヘキサメチレンジイソシアネート樹脂を含むゴルフボール用のコーティング組成物を提供する。
【0009】
本発明に係るゴルフボール用の無光コーティング組成物において、上記脱水ひまし油から由来された合成脂肪酸樹脂は、下記構造を有する脂肪酸の脱水重合によって製造された樹脂であることが好ましい。
【0010】
[構造式1]
【0011】
本発明の一実施例によると、上記UV安定剤はベンゾトリアゾール系UV吸収剤、及びヒンダードアミン系光安定剤を含むことが好ましく、上記貯蔵安定剤はポリアミド系安定剤を含むことが好ましく、上記硬化安定剤はヘキサメチレンジイソシアネート樹脂を含むことが好ましい。
【0012】
本発明の一実施例によると、上記シリカは平均粒径が1乃至2である粉末形態であることが好ましく、その含量は上記主剤の総含量100重量部に対して3~15重量部であることが好ましい。
【0013】
本発明の一実施例によると、上記合成脂肪酸樹脂の含量は、上記主剤の総含量100重量部に対して25~50重量部であることが好ましい。
【0014】
本発明の一実施例によると、上記合成脂肪酸樹脂は、重量平均分子量が3,000~10,000g/molであり、ヒドロキシ含有量(OH%)が3.0~5.0%であることが好ましい。
【0015】
本発明の一実施例によると、上記硬化剤は、イソシアネート含量が10~22重量%であることが好ましい。また、上記ヘキサメチレンジイソシアネート樹脂の含量は硬化剤の総含量100重量部に対して50~70重量部であることが好ましい。
【0016】
本発明の一実施例によると、上記UV安定剤の含量は、上記主剤の総含量100重量部に対して1~3重量部であることが好ましい。また、上記貯蔵安定剤は、上記主剤の総含量100重量部に対して0.1~1.0重量部であることが好ましい。
【0017】
本発明の一実施例によると、主剤:硬化剤の割合は4:1乃至2:1であることが好ましい。
【発明の効果】
【0018】
本発明の長所として、無光の表面を有するゴルフボールは、均一かつ纎細な無光の外見及び高精密の打撃が可能となるように視野確保を実現させることができ、また希望する各種色相、文字及びパターンなどの標章を充実に塗布することができ、長時間の紫外線に露出して生じる表面の黄変を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明をさらに詳しく説明する。
【0021】
ゴルフボールは、構造とカラーによって様々な種類に区分されるが、コア(Core)とそのコアを取り囲んでいるカバーからなる2層(2-Layer)構造のツーピース(2-Piece)ゴルフボール、コアに外層で取り囲んでその上にカバーからなる3層(3-Layer)構造のスリーピース(3-Piece)ゴルフボール、コアに3層、4層で取り囲んだフォーピース(4-Piece)ゴルフボール、ファイブピース(5-Piece)ゴルフボール、そしてカバーに各種カラー色相を加えたカラーゴルフボールなどでさらに多い構造と多様な形態でゴルフボールが発展しつつある。
【0022】
本発明は、この全ての構造のゴルフボールで特に表面用の無光コーティング組成物を提供することによって、正確な打撃を確保し、競技力の向上を図ることができ、紫外線による表面の黄変を防止してゴルフボールの美観を向上することができる。
【0023】
このために、本発明に係るゴルフボールの無光コーティング組成物は、主剤と硬化剤を含み、主剤としては脱水ひまし油から由来された合成脂肪酸樹脂、UV安定剤、貯蔵安定剤、及びシリカを含み、硬化剤としてはヘキサメチレンジイソシアネート樹脂を含む。上記脱水ひまし油から由来された合成脂肪酸樹脂は、下記構造を有する脂肪酸の脱水重合によって製造された樹脂であることが好ましい。
【0024】
[構造式1]
【0025】
上記合成脂肪酸は、脱水ひまし油を出発物質とし、高温、触媒下でエチレンの置換反応によって製造されることができる。
【0026】
【0027】
上記のような置換反応によって、脱水ひまし油に炭素数9の炭素鎖(R)を結合して[構造式1]の化合物(R-C(O)OH)を製造することができる。
【0028】
一方、上記合成脂肪酸の脱水重合によって、下記のような構造の合成脂肪酸樹脂が得られる。
【0029】
[構造式2]
【0030】
本発明の一実施例によると、上記合成脂肪酸樹脂は、重量平均分子量が3,000~10,000g/molであり、ヒドロキシ含有量(OH%)が3.0~5.0%であることが好ましい。
【0031】
上記合成脂肪酸樹脂の含量は、上記主剤の総含量100重量部に対して25~50重量部であることが好ましい。
【0032】
本発明で上記合成脂肪酸樹脂は、主鎖内に芳香族環を含まないので、コーティング組成物の主成分として使用する場合、UVによる黄変現象を防止することができる。従来のポリウレタン樹脂などは芳香族イソシアネートを使用して製造されるところ、太陽光の紫外線によって黄変がよく生じる問題があった。すなわち、波長領域が290~400nmである紫外線エネルギーは、高分子の化学的二重結合、特に、芳香族イソシアネートの芳香族環の化学的二重結合を破壊し、連鎖切断、架橋結合などが生じる自由ラジカルを生成して究極的に発色団による変色を招く問題があった。延いては、このような紫外線による酸化作用によって変色、光沢や透明性の低下、白化現象の発生、製品の割れ、機械的物性の低下などの現象が現われる問題があった。したがって、主鎖内に芳香族環を含まない本発明の樹脂は、このような紫外線による変色などの問題が生じない長所がある。
【0033】
その他に、本発明の合成脂肪酸樹脂は他の樹脂に比べて、塗膜を形成するとき、材質の硬度(toughness)が強く、コーティング対象樹脂との付着力が強いというさらなる長所がある。
【0034】
一方、本発明の無光コーティング組成物において、上記UV安定剤はベンゾトリアゾール系UV吸収剤、及びヒンダードアミン系光安定剤を含むことが好ましく、上記貯蔵安定剤はポリアミド系安定剤を含むことが好ましく、上記硬化安定剤はヘキサメチレンジイソシアネート樹脂を含むことが好ましい。
【0035】
上記UV安定剤は、紫外線による樹脂を構成する各元素間の解離を防止するために使用される。紫外線の波長領域の光エネルギーは71~100Kcal/molであって、このような紫外線による劣化は酸素存在下で生じる酸化反応である。このような光酸化を防止するUV安定剤は、紫外線の浸透を遮断することで、紫外線によって樹脂が酸化されることを遅延させる化合物として、UV吸収剤、紫外線防止剤などが使用されてもよく、好ましくはベンゾトリアゾール系UV吸収剤及びヒンダードアミン系光安定剤を使用してもいい。ヒンダードアミン系光安定剤は、特に高分子樹脂に適合しており、熱安定性にも効果を奏するため特に好ましい。
【0036】
上記貯蔵安定剤は、主剤と硬化剤が混合する前に主剤内の成分間の化学反応を抑制して保管性を向上させる役割をし、好ましくはポリアミド系安定剤を含む。
【0037】
上記硬化安定剤は、硬化過程で樹脂組成物が変質されるか、変形されることを防止する役割をし、好ましくはメチレンジイソシアネート樹脂を含む。
【0038】
本発明の一実施例によると、上記UV安定剤の含量は、上記主剤の総含量100重量部に対して1~3重量部であることが好ましい。また、上記貯蔵安定剤は上記主剤の総含量100重量部に対して0.1~1.0重量部であることが好ましい。
【0039】
本発明のゴルフボールの無光コーティング組成物は、主剤に消光剤として無機粒子を含むことでコーティングの反射率が抑制され、それによって光沢度が低下するようになる。無機粒子としては平均粒径が1乃至2である粉末形態のシリカを含むことが好ましい。
【0040】
上記シリカの含量は、上記主剤の総含量100重量部に対して3~15重量部であることが好ましい。
【0041】
本明細書において平均粒径とは、全体体積を100%とした粒度の累積分布曲線において50体積%に該当する累積平均粒径(D50)を意味する。平均粒径D50は、当業者に周知方法で測定され、例えば粒度分析機(particle size analyzer)で測定するか、TEM(transmission electron microscope)写真またはSEM(scanning electron microscope)写真で測定することもできる。その他の方法の例としては、動的光散乱法(dynamic light-scattering)を用いた測定装置を用いて測定した後、データ分析を実施してそれぞれのサイズ範囲に対して粒子数が計数され、その計算を通じて平均粒径D50が容易に得られる。
【0042】
上記無機粒子は、上記シリカ粒子以外にAl、AlPO、MgO、TiO、ZrO、Feのような金属及び半金属の酸化物;モンモリロナイト、アタパルジャイト、ベントナイト、パリゴルスカイト、スメクタイト、ホルマイト、珪藻土、白土、珪砂、石灰石、カオリン、粘土、滑石(タルク)、ろう石、パールストーン、ナトリウムシリケート、ナトリウムアルミニウムシリケート、マグネシウムアルミニウムシリケート、シリカヒドロゲル、フュームドシリカ(fumed silica)、湿式シリカ(precipitated silica)、アルミナゼオライト、分子篩(molecular sieve)、逆相シリカなどの天然鉱物、加工及び活性化された鉱物系の無機酸化物;低分子ポリエチレン微粒子、中分子ポリエチレン微粒子など有機系粒子;及びステアリン酸アルミニウム;中で選ばれた少なくとも1種を含むことができる。
【0043】
一方、主剤以外に含まれる上記硬化剤としては、ヘキサメチレンジイソシアネート樹脂を含むことが好ましく、この時、ヘキサメチレンジイソシアネート樹脂の含量は、硬化剤の総含量100重量部に対して50~70重量部であることが好ましい。また、硬化剤内でのイソシアネート含量は10~22重量%であることが好ましい。
【0044】
本発明の一実施例によると、主剤:硬化剤の割合は、4:1乃至2:1であることが好ましい。
【0045】
一方、本発明の無光コーティング組成物は、発明の効果を害しない範囲内で追加の添加剤を好適に含むことができる。可能な添加剤としては、ブロー成形及び発泡剤、蛍光増白剤、染料、蛍光剤、増白剤、消泡剤、加工助剤、ナノフィラー、酸化防止剤、安定剤、軟化剤、芳香成分、可塑剤、耐衝撃性改良剤、酸コポリマーワックス及び界面活性剤などを含むことができるが、これらに限定されない。また、フィラーの具体的な例としては、高比率粉末または金属酸化物フィラー、無機フィラー、ナノフィラー及び研削ゴルフボールのリサイクル材料を含むが、これらに限定されない。
【0046】
以下で本発明の好ましい実施例及び比較例を記述する。以下の実施例は、本発明を例証するためのものであって、本発明の範囲を限定して解釈されるものではない。
【0047】
実施例
脱水ひまし油来由の炭素数9を有する合成脂肪酸(Isononanoic Acid)(構造式1)、無水フタル酸、二官能基アルコール、三官能基アルコール、ティン(Sn)反応触媒をフラスコに投入した。混合物を窒素ガス注入下で160℃に昇温、1時間維持した。この時、脱水が始まりながら反応が進行する。その後、3~4時間にわたって230℃に昇温し脱水反応を円滑にした。水分流出コンデンサの上部(Top)の温度が90℃以下となったとき、キシレン溶剤を投入して還流反応を円滑にした。還流反応を維持しながらながら酸価(Solid):10以下になったとき、反応を終了し冷却した。冷却後、150℃以下で希釈溶剤を投入して撹拌した。(要求粘度、要求不揮発分の規格範囲を守る。)
【0048】
試験例1
上記実施例で得られた合成脂肪酸樹脂に消光剤A、B、C三種類のタイプをそれぞれ10%含むコーティング組成物を製造してその厚さ別に光沢度の変化を測定した。
【0049】
【表1】
【0050】
消光剤A及びBはグレードが異なるシリカ(SiO)100%のものであり、消光剤Cはシリカ80重量%に微晶質ワックス(MICROCRYSTALLINE WAX;CAS No.63231-60-7)20重量%を混合したものである。シリカ100%の場合(消光剤A及びB)が、低含量にも消光効果に優れ、塗膜厚さによる光偏差も大きくないと確認された。
【0051】
上記光沢度は、BYK-Gardner Micro-Tri-Gloss Meterを用いて常温/常圧(25℃/1気圧)から測定し、照射光の入射光は60°で進行した。
【0052】
一方、本発明に係る合成脂肪酸樹脂を含むコーティング組成物内のUV安定剤の割合を異にして黄変性を測定した。UV安定剤はTINUVIN(ベンゾトリアゾール系)を使用した。
【0053】
【表2】
【0054】
上記UV安定剤は、TINUVIN400で、2-[4-[2-Hydroxy-3-tridecyloxypropyl]oxy]-2-hydroxyphenyl]-4,6-bis(2,4-dimethylphenyl)-1,3,5-triazineまたは2-[4-[2-hydroxy-3-didecyloxypropyl]oxy]-2-hydroxyphenyl]-4,6?bis(2,4-dimethylphenyl)-1,3,5-triazineである。
【0055】
【0056】
[TINUVIN400]
上記UV安定剤は、含量が増加するほど黄変防止効果が増加するが、主剤全体に対して1.0重量%~1.5重量%以上になると、含量対比の効果が大きくないと確認された。
【0057】
上記色差値は、X-Rite社の[Multi-Angle Spectrophotometer MA94]を用いて常温/常圧(25℃/1気圧)で測定し、US照射光は313nmのものを使用して24時間周期に測定した(1d、2dは、日付(day)を表する)。該当時間の経過後に測定されるΔE*ab値で、ΔE*abは基準になる試片のWhite-Blackを測定するL*t値、Red-Greenを測定するa*t値、Yellow-Blueを測定するb*t値で、光照射が完了された試片のL*、a*、b*の偏差を総合的に計算した。
図1
図2
【手続補正書】
【提出日】2021-12-08
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0037
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0037】
上記硬化安定剤は、硬化過程で樹脂組成物が変質されるか、変形されることを防止する役割をし、好ましくはヘキサメチレンジイソシアネート樹脂を含む。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0047
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0047】
実施例
脱水ひまし油来由の炭素数9を有する合成脂肪酸(Isononanoic Acid)(構造式1)、無水フタル酸、二官能基アルコール、三官能基アルコール、ティン(Sn)反応触媒をフラスコに投入した。混合物を窒素ガス注入下で160℃に昇温、1時間維持した。この時、脱水が始まりながら反応が進行する。その後、3~4時間にわたって230℃に昇温し脱水反応を円滑にした。水分流出コンデンサの上部(Top)の温度が90℃以下となったとき、キシレン溶剤を投入して還流反応を円滑にした。還流反応を維持しながら酸価(Solid):10以下になったとき、反応を終了し冷却した。冷却後、150℃以下で希釈溶剤を投入して撹拌した。(要求粘度、要求不揮発分の規格範囲を守る。)
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0054
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0054】
上記UV安定剤は、TINUVIN400で、2-[4-[2-Hydroxy-3-tridecyloxypropyl]oxy]-2-hydroxyphenyl]-4,6-bis(2,4-dimethylphenyl)-1,3,5-triazineまたは2-[4-[2-hydroxy-3-didecyloxypropyl]oxy]-2-hydroxyphenyl]-4,6bis(2,4-dimethylphenyl)-1,3,5-triazineである。
【国際調査報告】