(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-07-28
(54)【発明の名称】ラクトバチルス・サケイWIKIM30を有効成分として含む癌の予防又は治療用薬学組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 35/747 20150101AFI20220721BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20220721BHJP
A23L 33/135 20160101ALI20220721BHJP
C12N 1/20 20060101ALI20220721BHJP
A23K 10/18 20160101ALI20220721BHJP
【FI】
A61K35/747
A61P35/00
A23L33/135
C12N1/20 E ZNA
A23K10/18
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021532434
(86)(22)【出願日】2019-11-28
(85)【翻訳文提出日】2021-06-04
(86)【国際出願番号】 KR2019016627
(87)【国際公開番号】W WO2020122476
(87)【国際公開日】2020-06-18
(31)【優先権主張番号】10-2018-0158674
(32)【優先日】2018-12-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2019-0082026
(32)【優先日】2019-07-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519359723
【氏名又は名称】コリア フード リサーチ インスティテュート
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】特許業務法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】チョイ,ハク・ジョン
(72)【発明者】
【氏名】ユン,ミ・スン
【テーマコード(参考)】
2B150
4B018
4B065
4C087
【Fターム(参考)】
2B150AA01
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4B018LB01
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4C087ZB26
(57)【要約】
本発明は、キムチから分離された新規なラクトバチルス・サケイWIKIM30(Lactobacillus sakei WIKIM30、寄託番号KCCM11878P)及びこれを有効成分として含む組成物に関するものである。本発明に係るラクトバチルス・サケイWIKIM30は、癌細胞が移植された動物モデル及び癌細胞株に優れた抗癌活性を示すので、ヒトや動物の癌の治療、予防、又は改善などの用途のための組成物として有用に用いられることができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ラクトバチルス・サケイWIKIM30(Lactobacillus sakei WIKIM30、寄託番号KCCM11878P)又はその培養物を有効成分として含む癌の予防又は治療用薬学組成物。
【請求項2】
前記ラクトバチルス・サケイWIKIM30は、配列番号1の核酸配列を有することを特徴とする請求項1に記載の癌の予防又は治療用薬学組成物。
【請求項3】
前記癌は、大腸癌、皮膚癌、肺癌、膵臓癌、肝臓癌、及び膀胱癌からなる群から選択されるいずれかの癌であることを特徴とする請求項1に記載の癌の予防又は治療用薬学組成物。
【請求項4】
前記肺癌は、非小細胞肺癌であることを特徴とする請求項3に記載の癌の予防又は治療用薬学組成物。
【請求項5】
前記皮膚癌は、黒色腫であることを特徴とする請求項3に記載の癌の予防又は治療用薬学組成物。
【請求項6】
前記組成物は、経口投与又は非経口投与の方法で投与可能であることを特徴とする請求項1に記載の癌の予防又は治療用薬学組成物。
【請求項7】
前記非経口投与の方法は、静脈内注射投与であるを特徴とする請求項6に記載の癌の予防又は治療用薬学組成物。
【請求項8】
前記組成物は、生菌の形態であることを特徴とする請求項1に記載の癌の予防又は治療用薬学組成物。
【請求項9】
ラクトバチルス・サケイWIKIM30(Lactobacillus sakei WIKIM30、寄託番号KCCM11878P)又はその培養物を有効成分として含む癌の予防又は改善用食品組成物。
【請求項10】
前記食品は、健康機能食品であることを特徴とする請求項9に記載の癌の予防又は改善用食品組成物。
【請求項11】
前記食品は、パン、餅、キャンディ、チョコレート、ガム、アイスクリーム、牛乳、チーズ、食肉加工品、魚肉加工品、キムチ、醤油、味噌、コチュジャン、春醤、納豆、酢、ケチャップ、カレー、ドレッシング、飲料、及び発酵乳からなる群から選択されるいずれかの食品であることを特徴とする請求項9に記載の癌の予防又は改善用食品組成物。
【請求項12】
ラクトバチルス・サケイWIKIM30(Lactobacillus sakei WIKIM30、寄託番号KCCM11878P)又はその培養物を有効成分として含む癌の予防又は改善用食品添加剤組成物。
【請求項13】
ラクトバチルス・サケイWIKIM30(Lactobacillus sakei 、WIKIM30、寄託番号KCCM11878P)又はその培養物を有効成分として含む家畜の癌の予防又は改善用飼料組成物。
【請求項14】
前記家畜は、豚、牛、馬、羊、ウサギ、ヤギ、ラット、ハムスター、モルモット、犬、猫、鶏、七面鳥、アヒル、ガチョウ、キジ、ウズラ、コイ、フナ、及びマスからなる群から選択されるいずれか一つであることを特徴とする請求項13に記載の家畜の癌の予防又は改善用飼料組成物。
【請求項15】
ラクトバチルス・サケイWIKIM30(Lactobacillus sakei WIKIM30、寄託番号KCCM11878P)又はその培養物を有効成分として含む家畜の癌の予防又は改善用飼料添加剤組成物。
【請求項16】
請求項1~8のいずれかの組成物をヒトを除いた個体に投与する、癌の予防又は治療方法。
【請求項17】
前記投与方法及び投与量は、静脈注射の方法でラクトバチルス・サケイWIKIM30を1×10
10CFU/ml濃度で0.1ml投与するものであることを特徴とする請求項16に記載の癌の予防又は治療方法。
【請求項18】
前記投与回数は、1回投与するものであることを特徴とする請求項17に記載の癌の予防又は治療方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、キムチから分離されたラクトバチルス・サケイWIKIM30(Lactobacillus sakei WIKIM30、寄託番号KCCM11878P)を有効成分として含む癌の予防又は治療用組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
癌は、世界的に高い死亡率を見せ、西欧社会では、心血管疾患の次に最も一般的な死亡原因である。特に、食生活が欧米化し、高脂肪食の摂取が一般化し、環境汚染物質の急激な増加、飲酒量の増加などにより大腸癌、乳癌、前立腺癌などが持続的に増加する傾向にあり、人口の高齢化に加え、喫煙人口の増加及び大気汚染による肺癌が増加しているのが実情である。このような実情から、癌の早期予防及び治療を可能にし、ヒトの健康増進、健康的な生活の質の向上、及び人類の保健健康増進に寄与することができる抗癌物質の創出が切実に求められている。
【0003】
一方、乳酸菌は、ヒトと動物の口腔、腸、膣、糞便、そしてキムチのような発酵食品などに広く分布しながら、ヒトと動物の健康と密接な関連がある。乳酸菌は整腸作用、有害菌の抑制、免疫調節、血中コレステロールの低下、抗癌など、様々な健康増進効果を示している。
【0004】
現在、韓国公開特許第10-2015-0068061号(特許文献1)には、ラクトバチルス・プランタルム(Lactobacillus plantarum )PNU(KCCM11352P)又はラクトバチルス・メッセンテロイデス(Lactobacillus mesenteroides)PNU(KCCM11353P)の抗癌活性が開示されており、韓国登録特許第10-1287120号(特許文献2)には、ラクトバチルス・プランタルムDSR CK10[寄託番号:KFCC-11433P]又はラクトバチルス・プランタルムDSR M2[寄託番号:KFCC-11432P]を有効成分として含有する癌治療用薬学組成物が開示されているが、ラクトバチルス・サケイに関する抗癌活性及び優秀性については、報告されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】韓国公開特許第10-2015-0068061号
【特許文献2】韓国登録特許第10-1287120号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、ラクトバチルス・サケイ菌株を有効成分として含む癌の予防又は治療用薬学組成物を提供することである。
【0007】
また、本発明のもう一つの目的は、ラクトバチルス・サケイ菌株を有効成分として含む癌の予防、改善用食品組成物、又は食品添加剤組成物を提供することである。
【0008】
また、本発明のもう一つの目的は、ラクトバチルス・サケイ菌株を有効成分として含む癌の予防、改善用飼料組成物、又は飼料添加剤組成物を提供することである。
【0009】
また、本発明のもう一つの目的は、前記組成物を、ヒトを除いた個体に投与する癌の予防又は治療方法を提供するためのものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
そこで、本発明者等は、キムチからプロバイオティクスとして優れた効果を奏するとともに癌の予防及び治療効果を奏する乳酸菌菌株を見出すべく努力した結果、抗癌活性を有する新規なラクトバチルス属乳酸菌菌株であるラクトバチルス・サケイWIKIM30(Lactobacillus sakei WIKIM30、寄託番号KCCM11878P)を分離し、同定し、本発明を完成するに至った。
【0011】
本発明は、ラクトバチルス・サケイWIKIM30又はその培養物を有効成分として含む癌の予防又は治療用薬学組成物を提供する。
【0012】
また、本発明は、ラクトバチルス・サケイWIKIM30(Lactobacillus sakei WIKIM30、寄託番号KCCM11878P)又はその培養物を有効成分として含む癌の予防又は改善用食品組成物又は食品添加剤組成物を提供する。
【0013】
また、本発明は、ラクトバチルス・サケイWIKIM30(Lactobacillus sakei WIKIM30、寄託番号KCCM11878P)又はその培養物を有効成分として含む家畜の癌の予防、改善用飼料組成物、又は飼料添加剤組成物を提供する。
【0014】
また、本発明は、前記組成物を、ヒトを除いた個体に投与する癌の予防又は治療方法を提供する。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係るラクトバチルス・サケイWIKIM30は、従来の動物モデル及びヒトの癌細胞が移植された動物モデルにおいて優れた抗癌活性を示すので、ヒトや動物の癌の治療、予防、又は改善などの用途のための組成物として有用に用いられることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明に係る組成物をCT26細胞移植マウスに1回(単回:Single)又は3回(連続:Serial)静脈注射後、時間の経過につれて腫瘍細胞の大きさが変化することを観察するためのマウスの腫瘍部分の写真を示した図である。
【
図2】本発明に係る組成物をCT26細胞移植マウスに1回(単回:Single)又は3回(連続:Serial)静脈注射後、時間の経過につれて腫瘍細胞の体積の変化を測定したグラフを示した図である。
【
図3】本発明に係る組成物をB16F10皮膚黒色腫マウスに静脈注射後、時間の経過につれて腫瘍細胞の大きさが変化することを観察するためのマウスの腫瘍部分の写真を示す図である。
【
図4】本発明に係る組成物をB16F10皮膚黒色腫マウスに静脈注射後、時間の経過につれて腫瘍細胞の体積の変化を測定したグラフを示した図である。
【
図5】マウス由来の大腸癌CT26細胞株、ヒト由来の大腸癌SW620細胞株及びHCT116細胞株に、本発明に係る組成物をラクトバチルス・サケイWIKIM30を施し、細胞成長率(細胞生存アッセイ:cell viability assay)を測定したグラフを示した図である。
【
図6】ヒト由来の非小細胞肺癌H1650細胞株にラクトバチルス・サケイWIKIM30を施し、細胞成長率(細胞生存アッセイ:cell viability assay)を測定したグラフを示した図である。
【
図7】ヒト由来の膵臓癌ASPC1細胞株及びPANC1細胞株にラクトバチルス・サケイWIKIM30を施し、細胞成長率(細胞生存アッセイ:cell viability assay)を測定したグラフを示した図である。
【
図8】ヒト由来の肝癌HepG2細胞株にラクトバチルス・サケイWIKIM30を施し、細胞成長率(細胞生存アッセイ:cell viability assay)を測定したグラフを示した図である。
【
図9】ヒト由来の膀胱癌T24細胞株にラクトバチルス・サケイWIKIM30を施し、細胞成長率(細胞生存アッセイ:cell viability assay)を測定したグラフを示した図である。
【
図10】ヒト由来の正常皮膚CCD-986-sk細胞株にラクトバチルス・サケイWIKIM30を施し、細胞成長率(細胞生存アッセイ:cell viability assay)を測定したグラフを示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、実施例を通して本発明をさらに詳しく説明する。これらの実施例は、唯一本発明をより具体的に説明するためのものであり、本発明の要旨に基づいて、本発明の範囲がこれらの実施例により制限されないことは当業界における通常の知識を有する者にとって自明なことであろう。
【0018】
本発明のラクトバチルス・サケイWIKIM30(Lactobacillus sakei WIKIM30、寄託番号KCCM11878P)又はその培養物を有効成分として含む組成物は、癌の予防又は治療効果を有し、薬剤学的組成物として用いられることができる。
【0019】
ラクトバチルス・サケイWIKIM30(Lactobacillus sakei WIKIM30)は、キムチ由来の乳酸菌菌株である。たとえ本発明におけるラクトバチルス・サケイWIKIM30(Lactobacillus sakei WIKIM30)をキムチから分離し、同定したものであっても、これの入手経路がこれに限定されるものではない。
【0020】
前記ラクトバチルス・サケイWIKIM30の同定及び分類のための16S rDNA塩基配列解析の結果、配列番号1(SEQ ID NO:1)の核酸配列を有することが分かった。
【0021】
したがって、配列番号1(SEQ ID NO:1)の16S rDNA塩基配列を有する本発明の微生物を、ラクトバチルス・サケイWIKIM30(Lactobacillus sakei WIKIM30)と命名し、韓国微生物保存センターに2015年9月10日付で寄託した(寄託番号KCCM11878P)。
【0022】
本発明のラクトバチルス・サケイWIKIM30は、プロバイオティクスであって、乳酸菌の一般的な整腸効果及び免疫増強効果を有する。ラクトバチルス属の乳酸菌が整腸効果、免疫増強効果を有することは周知の事実である。
【0023】
本発明において、「プロバイオティクス(probiotics)」とは、「ヒトを含む動物の消化管内で宿主の腸内微生物環境を改善し、宿主の健康に有益な影響を与える、生きている微生物」という意味で理解される。プロバイオティクスは、プロバイオティクス活性を有する、生きている微生物であって、単一又は複合菌株の形で、ヒトや動物に乾燥した細胞の形態や発酵産物の形態で供給される場合、宿主の腸内菌叢に有益な影響を及ぼすことができる。
【0024】
前記癌は、膀胱癌、乳癌、黒色腫瘍、甲状腺癌、副甲状腺癌、直腸癌、咽喉癌、喉頭癌、食道癌、膵臓癌、胃癌、舌癌、皮膚癌、脳腫瘍、子宮癌、胆嚢癌、口腔癌、結腸癌、肛門付近癌、肝臓癌、肺癌、及び大腸癌からなる群から選択されるいずれかの癌であることができ、好ましくは、大腸癌、 皮膚癌, 肺癌、膵臓癌、肝臓癌、又は膀胱癌であることができるが、これらに限定されない。本発明に係る組成物に含まれるラクトバチルス・サケイWIKIM30は、生菌体又は死菌体として存在することができ、また、乾燥又は凍結乾燥された形態で存在することもできる。様々な組成物内に含ませるのに適した乳酸菌の形態及び製剤化の方法は、当業者に広く知られている。
【0025】
前記組成物は、経口又は非経口投与することができる。非経口投与の場合には、静脈内注入、皮下注入、筋肉注入、腹腔注入、内皮投与、局所投与、鼻内投与、肺内投与、及び直腸内投与などで投与することができ、好ましくは静脈内注入方法で投与することができるが、これらに限定されない。
【0026】
前記組成物の適切な投与量は、製剤化方法、投与方式、患者の年齢、体重、性別、病態、食べ物、投与時間、投与経路、排泄速度、及び反応性などの要因に応じて多様に処方することができる。
【0027】
本発明の組成物が薬剤学的組成物に活用される場合、本発明の薬剤学的組成物は、前記の有効成分の外に、薬剤学的に適切で生理学的に許容される補助剤を用いて製造することができ、前記補助剤としては、賦形剤、崩壊剤、甘味料、結合剤、被覆剤、膨張剤、潤滑剤、滑沢剤又は香味剤などが用いられることができる。
【0028】
前記薬剤学的組成物は、投与のために、前記した有効成分に加えて、さらに薬剤学的に許容可能な担体を1種以上含んで薬剤学的組成物として好ましく製剤化することができる。
【0029】
例えば、錠剤又はカプセル剤の形態に製剤化するために、有効成分は、エタノール、グリセロール、水などのような経口、非毒性の薬剤学的に許容可能な不活性担体と結合することができる。また、所望する又は必要な場合、適合する結合剤、潤滑剤、崩壊剤、及び発色剤もまた混合物として含まれることができる。適合する結合剤は、これらに限定されるものではないが、澱粉、ゼラチン、グルコース又はベータ-ラクトースのような天然糖、トウモロコシ甘味料、アカシア、トラガント又はオレイン酸ナトリウムのような天然及び合成ガム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、安息香酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、塩化ナトリウム等を含む。崩壊剤は、これらに限定されるものではないが、澱粉、メチルセルロース、アガー、ベントナイト、キサンタンガムなどが含まれる。液状溶液に製剤化される組成物において、許容可能な薬剤学的担体としては、滅菌及び生体に適したものとして、食塩水、滅菌水、リンゲル液、緩衝食塩水、アルブミン注射溶液、デキストロース溶液、マルトデキストリン溶液、グリセロール、エタノール、及びこれらの成分のうち1成分以上を混合して用いることができ、必要に応じて抗酸化剤、緩衝液、静菌剤など他の通常の添加剤を添加することができる。また、希釈剤、分散剤、界面活性剤、結合剤、及び潤滑剤を付加的に添加し、水溶液、懸濁液、乳濁液などのような注射用剤形、丸薬、カプセル、顆粒又は錠剤に製剤化することができる。
【0030】
さらに、当該分野の適切な方法として、Remington´s Pharmaceutical Science、Mack Publishing Company、Easton PAに開示されている方法を用いて、各疾患に応じて又は成分に応じて好ましく製剤化することができる。
【0031】
本発明のラクトバチルス・サケイWIKIM30(Lactobacillus sakei WIKIM30、寄託番号KCCM11878P)又はその培養物を有効成分として含む組成物は、癌の予防又は改善用食品組成物又は食品添加剤組成物として用いられることができる。
【0032】
前記食品組成物は、健康機能食品の形態であることができる。
【0033】
前記「健康機能食品」は、健康機能食品に関する法律に従って人体に有用な機能性を有する原料や成分を用いて製造し、加工した食品を意味(第3条第1号)し、「機能性」とは、人体の構造及び機能に対して栄養素を調整したり、生理学的作用などのような保健用途に有用な効果を得ること(同条第2号)を意味する。
【0034】
前記食品組成物は、食品添加物をさらに含むことができ、「食品添加物」としての適否は、他の規定がない限り、食品薬学品安全処にて承認された食品添加物公典の総則及び一般試験法等に従って当該品目に関する規格及び基準により判定する。
【0035】
前記「食品添加物公典」に収載された品目としては、例えば、ケトン類、グリシン、クエン酸カリウム、ニコチン酸、ケイ皮酸などの化学的合成品、カキ色素、カンゾウエキス、結晶セルロース、グアーガムなどの天然添加物、L-グルタミン酸ナトリウム製剤、麺類添加アルカリ剤、保存料製剤、タール色素製剤などの混合製剤類が挙げられる。
【0036】
本発明の有効成分が含まれた食品としては、パン、餅類、堅果類、キャンディ類、チョコレート類、チューインガム、ジャム類のような菓子類、アイスクリーム類、氷菓類、アイスクリーム粉末類のようなアイスクリーム製品類、牛乳類、低脂肪牛乳類、乳糖分解牛乳、加工乳類、ヤギ乳、発酵乳類、バター乳類、濃縮乳類、乳クリーム類、バター類、天然チーズ、加工チーズ、粉乳類、乳清類のような乳加工品類、食肉加工品、鶏卵加工品、ハンバーガーのような食肉製品類、練り物、ハム、ソーセージ、ベーコンなどの魚肉加工品のような魚肉製品類、ラーメン類、乾麺類、生麺類、揚げ麺類、糊化乾麺類、改良半生類、冷凍麺類、パスタ類のような麺類、果実飲料、野菜類飲料、炭酸飲料、豆乳類、ヨーグルトなどの乳酸菌飲料、混合飲料のような飲料、醤油、味噌、コチュジャン、春醤、納豆、混合醤油、酢、ソース類、トマトケチャップ、カレー、ドレッシングのような調味食品、マーガリン、ショートニング及びピザが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0037】
前記したものの他に、本発明の組成物は、種々の栄養剤、ビタミン、電解質、風味剤、着色剤、エフェクト酸及びその塩、アルギン酸及びその塩、有機酸、保護性コロイド増粘剤、pH調整剤、安定化剤、防腐剤、グリセリン、アルコール、炭酸飲料に用いられる炭酸化剤などを含むことができる。その他に本発明の組成物は、天然フルーツジュース、フルーツジュース飲料、及び野菜飲料を製造するための果肉を含むことができる。これらの成分は、独立して又は組み合わせて用いられることができる。
【0038】
本発明の有効成分を含む飲料組成物は、他の成分には特別な制限はなく、通常の飲料のように様々な香味剤又は天然炭水化物などを追加成分として含有することができる。前記した天然炭水化物の例は、単糖類(例えば、ブドウ糖、果糖など); 二糖類(例えば、マルトース、シュークロスなど); 及び多糖類(例えば、デキストリン、シクロデキストリンなど)のような通常の糖、及びキシリトール、ソルビトール、エリスリトールなどの糖アルコールである。前記したもの以外の香味剤として天然香味剤(ソーマチン、ステビア抽出物(例えば、レバウジオシドA、グリシルヒジンなど))、及び合成香味剤(サッカリン、アスパルテームなど)を有利に用いることができる。
【0039】
また、本発明のラクトバチルス・サケイWIKIM30(Lactobacillus sakei WIKIM30、寄託番号KCCM11878P)又はその培養物を有効成分として含む組成物は、家畜の癌の予防、改善用飼料組成物、又は飼料添加剤組成物として用いられることができる。
【0040】
前記組成物が飼料添加剤として製造される場合、前記組成物は20~90%の高濃縮液、粉末、又は顆粒の形態で製造することができる。前記の飼料添加剤は、クエン酸、フマル酸、アジピン酸、乳酸、リンゴ酸などの有機酸やリン酸ナトリウム、リン酸カリウム、酸性ピロリン酸、ポリリン酸塩(重合リン酸塩)などのリン酸塩や、ポリフェノール、カテキン、α-トコフェロール、ローズマリーエキス、ビタミンC、緑茶抽出物、甘草エキス、キトサン、タンニン酸、フィチン酸などの天然抗酸化剤のいずれか又は一つ以上をさらに含むことができる。飼料として製造される場合、前記組成物は、通常の飼料の形態で製剤化されることができ、通常の飼料成分を共に含むことができる。
【0041】
前記飼料及び飼料添加剤は、穀物、例えば、粉砕又は破砕された小麦、オーツ麦、大麦、トウモロコシ、及び米;植物性タンパク質飼料、例えば、菜の花、大豆、及びヒマワリを主成分とする飼料;動物性タンパク質飼料、例えば、血粉、肉骨粉、骨粉、及び魚粉;糖分及び乳製品、例えば、各種粉乳及び乳清粉末からなる乾燥成分などをさらに含むことができ、それ以外にも栄養補助食品剤、消化及び吸収向上剤、成長促進剤などをさらに含むことができる。
【0042】
前記飼料添加剤は、動物に単独で投与したり、食用担体中において他の飼料添加物と組み合わせて投与することもできる。また、前記飼料添加剤は、トップドレッシングとして、又はこれらの動物飼料に直接混合するか、又は飼料とは別途の経口剤形として、容易に動物に投与することができる。前記飼料添加剤を動物飼料とは別途に投与する場合、当該技術分野において周知のごとく、薬剤学的に許容可能な食用担体と組み合わせて、すぐに放出又は徐放性製剤で製造することができる。これらの食用担体は、固体又は液体、例えば、トウモロコシのでんぷん、ラクトース、スクロース、大豆フレーク、ピーナッツ油、オリーブ油、ゴマ油及びプロピレングリコールであることができる。固体担体が使用される場合、飼料添加物は錠剤、カプセル剤、散剤、トローチ又は含糖錠剤又は微分散性形態のトップドレッシングであることができる。液体担体が用いられる場合、飼料添加剤はゼラチン軟質カプセル剤、シロップ剤、懸濁液、エマルジョン剤、又は溶液剤の剤形であることができる。
【0043】
また、前記飼料及び飼料添加剤は補助剤、例えば、保存剤、安定化剤、湿潤剤、又は乳化剤、溶液促進剤などを含有することができる。前記の飼料添加剤は、鍼灸、噴霧、又は混合し、動物の飼料に添加して用いられることができる。
【0044】
本発明の飼料又は飼料添加剤は、哺乳類、家禽及び魚類を含む多数の動物の食餌に適用することができる。
【0045】
前記哺乳類として、ブタ、ウシ、ウマ、ヒツジ、ウサギ、ヤギ、齧歯類、及び、マウス、ハムスター、モルモットなどの実験用齧歯類だけでなく、愛玩動物(例えば、イヌ、ネコ)などに用いることができ、前記家禽として、ニワトリ、シチメンチョウ、アヒル、ガチョウ、キジ、及びウズラなどにも用いることができ、前記魚類として、コイ、フナ、マスなどに用いることができるが、これらに限定されるものではない。
【0046】
また、本発明のラクトバチルス・サケイWIKIM30(Lactobacillus sakei WIKIM30、寄託番号KCCM11878P)又はその培養物を有効成分として含む組成物は、ヒトを除いた個体に投与する癌の予防又は治療方法を提供することができる
【実施例】
【0047】
実施例1.菌株の分離及び培養
ラクトバチルス・サケイWIKIM30(寄託番号KCCM11878P)は、世界キムチ研究所微生物遺伝子銀行から分譲を受け、実験を行った。
【0048】
分譲を受けたラクトバチルス・サケイWIKIM30の単一コロニーをMRS寒天(agar)培地に継代して30℃で48時間培養した後、培養された単一コロニーをMRS液体培地10mlに接種して、37℃で24時間200rpmで振とう培養した。培養後、菌体を8,000rpmで5分間遠心分離して培養液を除去し、PBS(リン酸緩衝生理食塩水:Phosphate Buffered Saline)溶液に3回洗浄して、残りの培地成分を除去した。
【0049】
実施例2.実験動物(マウス)の条件
実験に用いられた実験動物は、雄5週齢のBALB/cマウス、C57BL/6マウス(オリエントバイオ、韓国)の供給を受け、室温20±2℃、湿度55±15%が維持されるSPF環境の動物飼育室で1週間の安定化期間を経て、実験期間の間飼育した。飼料は、抗生物質が添加されていない一般的なペレット飼料を供給し、水は随時摂取できるようにした。実験の進行は、世界キムチ研究所の動物実験倫理委員会で承認されたプロトコルに従ってすべての動物の飼育、実験、及び安楽死を行った。腫瘍の大きさの変化の観察は、3.14×(長さ×高さ×幅)/6の式を用いて腫瘍の体積(mm3)を測定して行った。
【0050】
実施例3.CT26マウス大腸癌細胞移植動物モデルの作製
3-1.細胞培養
CT26マウス大腸癌細胞(韓国細胞株銀行、韓国)は、購入して用いた。CT26マウス大腸癌細胞は、10%牛胎児血清と1%ペニシリン-ストレプトマイシン(penicillin-streptomycin)を含むDMEM培地(Hyclone、米国)を用いて、5%CO2、37℃の条件で培養した。
【0051】
3-2.細胞移植癌動物モデルの作製
CT26細胞移植動物モデルを作製するために6週齢のBALB/cマウス(18~21g)を実験に用いた。培養したマウス大腸癌細胞CT26は、1×105細胞を収穫(harvest)した後、50μlのPBSで再浮遊した後、マウスの右大腿部(thigh)皮下に注入した。
【0052】
実施例4.CT26細胞移植動物モデルでの抗腫瘍効果の解析
腫瘍が約80~100mm3の体積を有するCT26細胞移植マウスの尾にラクトバチルス・サケイWIKIM30を静脈内注射した。
【0053】
投与量及び投与周期による抗腫瘍効果を解析するために、前記CT26細胞移植マウスにラクトバチルス・サケイWIKIM30が含有された組成物をPBSを用いて、1×10
9 CFU/0.1mlと5×10
8 CFU/0.1mlを用意し、それぞれの腫瘍移植マウスに1回又は3回静脈内注射し、陰性対照群にはPBSを投与した。時間の経過につれてCT26細胞移植マウスの大腸癌の腫瘍の大きさの変化を肉眼で確認した結果を
図1に示した。また、時間の経過につれてCT26細胞移植マウスで腫瘍の大きさの体積の変化を測定した結果を
図2に示した。
【0054】
図1に示すように、陰性対照群(PBS)に比してラクトバチルス・サケイWIKIM30を静脈内注入した場合、13日が経過した後に腫瘍細胞が肉眼で確認できるほどに小さくなったことを観察した。また、
図2に示すように、CT26細胞移植マウスの大腸癌の腫瘍の大きさがラクトバチルス・サケイWIKIM30を1×10
9 CFU/0.1mlを1回又は3回注射した場合、13日後に陰性対照群に比して約4.6倍、約3.5倍の抗腫瘍効果があることを確認することができ、5×10
8 CFU/0.1mlを1回又は3回注射した場合、13日後に陰性対照群に比して約3.5倍、約2.8倍の抗腫瘍効果が観察された。これにより、投与量及び周期は、1×10
9 CFU/0.1mlを1回(単回:single)投与したことが抗腫瘍効果に最も優れていることが確認できた。
【0055】
実施例5.マウス皮膚黒色腫B16F10細胞の腫瘍の大きさの変化
5-1.細胞培養
B16F10マウス黒色腫細胞(韓国細胞株銀行、韓国)は、購入して用いた。B16F10マウス黒色腫細胞は、10%牛胎児血清と1%ペニシリン-ストレプトマイシン(penicillin-streptomycin)を含むDMEM培地(Hyclone、米国)を用いて、5%CO2、37℃の条件で培養した。
【0056】
5-2.細胞移植癌動物モデルの作製
B16F10細胞移植動物モデルを作製するために6週齢のC57BL/6マウス(18~21g)を実験に用いた。培養したマウス黒色腫細胞B16F10は、それぞれ1×105細胞を収穫(harvest)した後、50μlのPBSで再浮遊した後、マウスの右大腿部(thigh)皮下に注入した。
【0057】
5-3.B16F10細胞移植動物モデルでの抗腫瘍効果の解析
腫瘍が約80~100mm
3の体積を有するB16F10細胞移植マウスの尾にラクトバチルス・サケイWIKIM30を静脈内注射した。ラクトバチルス・サケイWIKIM30は、PBSを用いて1×10
10 CFU/ml菌数に定量して用意し、0.1ml(1×10
9CFU)を実験動物に静脈注射し、陰性対照群にはPBSを投与した。時間の経過につれてB16F10細胞移植マウスの大腸癌の腫瘍の大きさの変化を肉眼で確認した結果を
図3に示した。
【0058】
図3に示すように、陰性対照群(PBS)に比してラクトバチルス・サケイWIKIM30を静脈内注入した場合、14日が経過した後に腫瘍細胞が肉眼で確認できるほどに小さくなったことが観察された。
【0059】
また、時間の経過につれてB16F10細胞移植マウスで腫瘍の大きさの体積の変化を測定した結果を
図4に示した。
【0060】
図4に示すように、B16F10細胞移植マウスの大腸癌の腫瘍の大きさがラクトバチルス・サケイWIKIM30を注射した場合、14日後に陰性対照群に比して約3.5倍の抗腫瘍効果があることを確認した。
【0061】
実施例6.In vitro抗癌活性効能の解析
6-1.細胞株の準備
ラクトバチルス・サケイWIKIM30の抗癌活性効果を観察するためにCell counting Kit-8を用いて、細胞成長率(細胞生存アッセイ:cell viability assay)を測定した。抗癌活性効能の実験に用いられた細胞は、マウス由来の大腸癌CT26細胞株、ヒト由来の大腸癌SW620及びHCT116細胞株、ヒト由来の非小細胞肺癌H1650細胞株、ヒト由来の膵臓癌ASPC1及びPANC1細胞株、ヒト由来の肝癌HepG2細胞株、ヒト由来の膀胱癌T24細胞株、及び正常な皮膚細胞株であるCCD-986-sk細胞株を用いた。
【0062】
マウス由来の大腸癌CT26細胞株は、10%FBS(ウシ胎児血清:fetal bovine serum)と1%ペニシリン/ストレプトマイシン(penicillin/streptomycin)を添加したDMEM培地を用いて、5%CO2、37℃の条件で継代培養し、成長期の細胞を用いて実験した。培養されたB16F10細胞は、0.25%トリプシン(trypsin)-EDTAで培養器に37℃で3分間施し、細胞を脱着してからDPBSで2回洗浄した後、1×104細胞/ウェルで用意した。
【0063】
ヒト由来の癌細胞SW620、HCT116、H1650、ASPC1、PANC1、HepG2及びT24細胞株は、10%FBS(ウシ胎児血清:fetal bovine serum)と1%ペニシリン/ストレプトマイシン(penicillin/streptomycin)を添加したRPMI培地を用いて、5%CO2、37℃の条件で継代培養し、成長期の細胞を用いて実験した。培養されたSW620、HCT116、H1650、ASPC1、PANC1、HepG2及びT24細胞は、0.25%トリプシン(trypsin)-EDTAで培養器に37℃で3分間施し、細胞を脱着してからDPBSで2回洗浄した後、1×104細胞/ウェルで用意した。
【0064】
ヒト由来の正常な皮膚細胞CCD-986-sk細胞株は、10%FBS(ウシ胎児血清:fetal bovine serum)と1%ペニシリン/ストレプトマイシン(penicillin/streptomycin)を添加したRPMI培地を用いて、5%CO2、37℃の条件で継代培養して成長期の細胞を用いて実験した。培養されたCCD-986-sk細胞は、0.25%トリプシン(trypsin)-EDTAで培養器に37℃で3分間施し、細胞を脱着してからDPBSで2回洗浄した後、1×104細胞/ウェルで用意した。
【0065】
6-2.細胞成長率(細胞生存アッセイ:cell viability assay)測定の結果
本発明は、大腸癌(3種)、肺癌(1種)、膵臓癌(2種)、肝臓癌(1種)、及び膀胱癌(1種)の細胞を培養した後、ラクトバチルス・サケイWIKIM30を施した細胞の細胞成長率(細胞生存アッセイ:cell viability assay)を測定し、ラクトバチルス・サケイWIKIM30を施していない癌細胞の吸光度を100%の成長率を基準に抗癌活性効能を確認した。
【0066】
細胞成長率(細胞生存アッセイ:cell viability assay)は、MOI1濃度で施した後、72時間培養し、培養後Cell counting Kit-8試薬を施した後、吸光度(OD 450nm)を測定した。ラクトバチルス・サケイWIKIM30を施していない細胞(対照:control)の吸光度を100%基準にラクトバチルス・サケイWIKIM30を施した細胞成長率を計算し、実験結果を下記に記載した。
【0067】
マウス由来の大腸癌CT26細胞株、ヒト由来の大腸癌SW620、及びHCT116細胞株にラクトバチルス・サケイWIKIM30を施し、細胞成長率を測定した結果を
図5に示した。
【0068】
図5に示すように、ラクトバチルス・サケイWIKIM30を施したマウス由来のCT26細胞株で61.0%、ヒト由来の大腸癌SW620細胞株で83.3%、ヒト由来の大腸癌HCT116細胞株で67.3%の細胞成長率が測定された。前記の結果から、ラクトバチルス・サケイWIKIM30を施した大腸癌細胞株の場合、細胞成長率が著しく阻害されるため、大腸癌に対して優れた抗癌活性効能を有することが確認できる。
【0069】
また、ヒト由来の非小細胞肺癌H1650細胞株にラクトバチルス・サケイWIKIM30を施し、細胞成長率を測定した結果を
図6に示した。
【0070】
図6に示すように、ラクトバチルス・サケイWIKIM30を施したヒト由来の非小細胞肺癌H1650細胞株で59.1%の細胞成長率が測定された。前記の結果から、ラクトバチルス・サケイWIKIM30を施した肺癌細胞株の場合、細胞成長率が著しく阻害されるため、肺癌に対して優れた抗癌活性効能を有することが確認できる。
【0071】
また、ヒト由来の膵臓癌ASPC1及びPANC1細胞株にラクトバチルス・サケイWIKIM30を施し、細胞成長率を測定した結果を
図7に示した。
【0072】
図7に示すように、ラクトバチルス・サケイWIKIM30を施したヒト由来の膵臓癌ASPC1細胞株で35.6%、ヒト由来の膵臓癌PANC1細胞株で51.6%の細胞成長率が測定された。前記の結果から、ラクトバチルス・サケイWIKIM30を施した膵臓癌細胞株の場合、細胞成長率が著しく阻害されるため、膵臓癌に対して優れた抗癌活性効能を有することが確認できる。
【0073】
また、ヒト由来の肝癌HepG2細胞株にラクトバチルス・サケイWIKIM30を施し、細胞成長率を測定した結果を
図8に示した。
【0074】
図8に示すように、ラクトバチルス・サケイWIKIM30を施したヒト由来の肝癌HepG2細胞株では、18.8%の細胞成長率が測定された。前記結果からラクトバチルス・サケイWIKIM30を施した肝臓癌細胞株の場合、細胞成長率が著しく阻害されるため、肝癌に対して優れた抗癌活性効能を有することが確認できる。
【0075】
また、ヒト由来の膀胱癌T24細胞株にラクトバチルス・サケイWIKIM30を施し、細胞成長率を測定した結果を
図9に示した。
【0076】
図9に示すように、ラクトバチルス・サケイWIKIM30を施したヒト由来の膀胱癌T24細胞株で53.9%の細胞成長率が測定された。前記の結果から、ラクトバチルス・サケイWIKIM30を施した膀胱癌細胞株の場合、細胞成長率が著しく阻害されるため、膀胱癌に対して優れた抗癌活性効能を有することが確認できる。
【0077】
前記実験と対比してヒト由来の正常な皮膚CCD-986-sk細胞株にラクトバチルス・サケイWIKIM30を施し、細胞成長率を測定した結果を
図10に示した。
【0078】
図10に示すように、ラクトバチルス・サケイWIKIM30を施した正常な皮膚細胞株では、細胞成長率が97.4%で測定されており、前記の結果からラクトバチルス・サケイWIKIM30が正常な皮膚細胞株に対しては、毒性を持たないことを確認することができる。
【0079】
両側検定t-検定(t-test)は、陰性対照群とラクトバチルス・サケイWIKIM30処理群の間に腫瘍成長において統計的に有意な差を決定した。P<0 .05は、すべての腫瘍成長のグラフ解析について有意に考慮された。
【0080】
【受託番号】
【0081】
KCCM11878P
【配列表】
【国際調査報告】