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▶ ビトロ フラット グラス エルエルシーの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-07-28
(54)【発明の名称】ホウケイ酸塩光取り出し領域
(51)【国際特許分類】
   C03C 17/02 20060101AFI20220721BHJP
   H01L 51/50 20060101ALI20220721BHJP
   H05B 33/02 20060101ALI20220721BHJP
【FI】
C03C17/02 A
H05B33/14 A
H05B33/02
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021552920
(86)(22)【出願日】2020-03-06
(85)【翻訳文提出日】2021-09-30
(86)【国際出願番号】 US2020021392
(87)【国際公開番号】W WO2020181190
(87)【国際公開日】2020-09-10
(31)【優先権主張番号】16/295,566
(32)【優先日】2019-03-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518301590
【氏名又は名称】ビトロ フラット グラス エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】特許業務法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ハン、チェン - ハン
【テーマコード(参考)】
3K107
4G059
【Fターム(参考)】
3K107AA01
3K107BB01
3K107BB02
3K107BB03
3K107CC05
3K107DD02
3K107DD12
3K107DD22
3K107DD27
3K107EE21
3K107FF00
3K107FF08
3K107FF15
3K107FF17
4G059AA01
4G059AA08
4G059AB14
4G059AC30
4G059CA01
4G059CA08
4G059CB01
(57)【要約】
本発明は、光取り出し層(16)を有する光取り出し基板(10)に関する。光取り出し層(16)は、ホウ素、ホウ酸塩、及び/又はホウケイ酸塩、並びにナノ粒子(18)を含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の表面及び第2の表面を含むガラスと、該第1の表面上の光取り出し層とを含む光取り出し基板であって、該光取り出し層がホウケイ酸塩を含む、光取り出し基板。
【請求項2】
光取り出し層がナノ粒子をさらに含む、請求項1に記載の光取り出し基板。
【請求項3】
ナノ粒子が高屈折率材料である、請求項1又は2に記載の光取り出し基板。
【請求項4】
ナノ粒子がチタニアである、請求項2又は3に記載の光取り出し基板。
【請求項5】
光取り出し層が5nm未満の平均表面粗さを有する、請求項1~4のいずれか一項に記載の光取り出し基板。
【請求項6】
ナノ粒子が最大で40nmの直径を有する、請求項2~5のいずれか一項に記載の光取り出し基板。
【請求項7】
光取り出し層が最大2μmの厚さを有する、請求項1~6のいずれか一項に記載の光取り出し基板。
【請求項8】
第2の表面上又は第2の表面に隣接する第2の光取り出し層をさらに含み、第2の光取り出し層が少なくとも10nmの表面粗さを有する、請求項1~7のいずれか一項に記載の光取り出し基板。
【請求項9】
第2の光取り出し層の表面粗さが少なくとも50nm、最大で500nmである、請求項8に記載の光取り出し基板。
【請求項10】
第2の光取り出し層が、ガラスの第2の表面をテクスチャリングすることによって形成される、請求項8に記載の光取り出し基板。
【請求項11】
少なくとも20%、好ましくは少なくとも30%、より好ましくは少なくとも35%、最も好ましくは少なくとも37%のヘイズをさらに含む、請求項1~10のいずれか一項に記載の光取り出し基板。
【請求項12】
ガラスの第1の表面上に堆積されたアノードをさらに含む、請求項1~11のいずれか一項に記載の光取り出し基板。
【請求項13】
ガラスの第1の表面上に堆積された下層コーティングスタックをさらに含む、請求項1~12のいずれか一項に記載の光取り出し基板。
【請求項14】
溶融金属浴上にガラス溶融物を注ぐこと、及び
ガラス溶融物の温度が少なくとも600℃で725℃を越えない間に、ホウ素前駆体をガラス溶融物の上に適用すること、
を含む、光取り出し基板を作製する方法。
【請求項15】
第1の表面及び第2の表面を有する基板と、基板の第1の表面上の光取り出し層であってホウケイ酸塩層を含む光取り出し層と、光取り出し層上の透明導電性酸化物層と、発光層と、カソードと、を含む、有機発光デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
この出願は、2019年3月7日に出願された米国特許出願第16/295,566号の優先権を主張し、その開示は、その全体が参照により組み込まれる。
【0002】
(技術分野)
本発明は、基板(例えば、ガラス又はガラスリボン)内部又は基板上にホウケイ酸塩(borosilicate)層を形成すること、及び任意選択でナノ粒子をホウケイ酸塩層内に埋め込むことに関する。本発明はまた、有機発光ダイオード、太陽電池又は光起電力(PV)セル、採光窓に関するものであり、より具体的には、光の利用を改善するために増加した光散乱を有する基板に関する。
【背景技術】
【0003】
有機発光ダイオード(「OLED」)は、有機化合物を含有する発光エレクトロルミネッセンス層を有する発光デバイスである。有機化合物は、電流に応答して発光する。典型的には、有機半導体材料の発光層は、2つの電極(アノードとカソード)の間に配置される。アノードとカソードの間に電流を流すと、有機材料が発光する。OLEDは、テレビ画面、コンピューターモニター、携帯電話、PDA、時計、照明、その他の様々な電子デバイスなど、多くの用途で使用されている。
【0004】
OLEDは、液晶ディスプレイなどの従来の無機デバイスよりも多くの利点を提供する。例えば、OLEDはバックライトを必要とせずに機能する。暗い部屋のように周囲光が少ない場合、OLEDスクリーンは、従来の液晶ディスプレイよりも高いコントラスト比を実現できる。OLEDは、液晶ディスプレイやその他の照明デバイスよりも薄く、軽く、よりフレキシブルである。
【0005】
OLEDを作製する際に、典型的には、ナノ粒子が部分的又は完全に埋め込まれている光取り出し(light extraction)領域を追加する。例えば、ナノ粒子は基板内に埋め込まれていてもよい。基板がガラスである場合、ナノ粒子は、基板が725℃を越える温度にある間に、典型的には800℃を超える温度にある間に、埋め込まなければならない。ガラスリボンが、より低い温度(725℃以下など)にあるときに、ナノ粒子をガラス基板内に埋め込む必要性がある。
【発明の概要】
【0006】
本発明は、光取り出し基板に関する。基板はガラスを含む。ガラスは、第1の表面と、第1の表面の反対側にある第2の表面とを有する。光取り出し層は、第1の表面上に配置される。光取り出し層は、ホウケイ酸塩を含む。光取り出し層は、ナノ粒子を含む場合と含まない場合がある。光取り出し基板は、基板の第2の表面上(over)又はその表面上(on)に外部光取り出し層をさらに含んでもよい。内部光取り出し層は、基板の一部であってもよく、又は基板上の別個の層であってもよい。
【0007】
別の実施形態では、本発明は、有機発光ダイオード(「OLED」)に関する。OLEDは、第1の表面及び第2の表面を有する基板を含む。第2の表面は、第1の表面の反対側にある。光取り出し層は、基板の第1の表面上に配置される。光取り出し層は、ホウケイ酸塩層を含む。透明導電性酸化物層は、光取り出し層の少なくとも一部の上に配置される。発光層は、透明導電性酸化物層の少なくとも一部の上に配置される。カソード層は、発光層の少なくとも一部の上に配置される。
【0008】
本発明の別の実施形態は、光取り出し基板を作製する方法に関する。この方法は、溶融金属浴上にガラス溶融物を注ぐことを含む。ガラス溶融物の温度が少なくとも600℃で725℃を超えない間に、ホウ素前駆体がガラス溶融物の上に適用される。
【0009】
本発明の別の実施形態は、光取り出し基板を作製する方法に関する。この方法は、溶融金属浴上にガラス溶融物を注ぐことを含む。ガラス溶融物は、シリコンを含有する。ガラス溶融物の温度が少なくとも600℃で725℃を超えない間に、ホウ素前駆体がガラス溶融物の上に適用される。ガラス溶融物内のシリコンは、ホウ素前駆体と反応して、ガラス溶融物上にホウケイ酸塩を形成する。
【0010】
本発明の別の実施形態は、光取り出し基板を作製する方法に関する。この方法は、溶融金属浴上にガラス溶融物を注ぐことを含む。ガラス溶融物は、シリコンを含有する。ガラス溶融物の温度が725℃未満である間に、ホウ素前駆体がガラス溶融物の上に適用される。ガラス溶融物の温度が725℃未満であるガラス溶融物の上にシリコン前駆体が適用される。シリコン前駆体とホウ素前駆体は、ガラス溶融物の上又は内部にホウケイ酸塩を形成する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1a図1aは、基板の第1の表面上に光取り出し層を備えた基板の側面断面図である。
【0012】
図1b図1bは、第1の表面において基板内に埋め込まれた光取り出し層を備えた基板の側面断面図である。
【0013】
図2a図2aは、基板の第1の表面上に光取り出し層を備え、基板の第2の表面上(on)又はその表面上(over)に外部光取り出し領域層を備えた基板の側面断面図である。
【0014】
図2b図2bは、基板の第1の表面において基板内に埋め込まれた光取り出し層と、基板の第2の表面上(on)又はその表面上(over)にある外部光取り出し層とを備えた基板の側面断面図である。
【0015】
図3a図3aは、本発明による基板の第1の表面上に光取り出し層を備えたプライバシーガラスの側面断面図である。
【0016】
図3b図3bは、本発明による第1の表面において基板内に埋め込まれた光取り出し層を備えたプライバシーガラスの側面断面図である。
【0017】
図4a図4aは、本発明による基板の第1の表面上に光取り出し層を備えた有機発光ダイオードの側面断面図である。
【0018】
図4b図4bは、本発明による基板の第1の表面内に埋め込まれた光取り出し層を備えた有機発光ダイオードの側面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本明細書で使用される場合、「左」「右」、「内側」、「外側」、「上」、「下」、などの空間的又は方向的用語は、図面に示されているように、本発明に関連する。しかしながら、本発明は様々な代替の方向をとることができ、したがって、そのような用語は限定的であると見なされるべきではないことを理解されたい。さらに、本明細書で使用される場合、本明細書及び特許請求の範囲で使用される寸法、物理的特性、処理パラメータ、成分の量、反応条件などを表すすべての数字は、すべての場合において「約」という用語によって変更されると理解されるべきである。したがって、反対の指示がない限り、以下の明細書及び特許請求の範囲に記載の数値は、本発明によって得られることが求められる所望の特性に応じて変化し得る。少なくとも、均等論の適用を請求項の範囲に限定する試みとしてではなく、各数値は、少なくとも報告された有効桁数に照らして、通常の丸め手法を適用することによって解釈されるべきである。さらに、本明細書に開示されるすべての範囲は、開始範囲値及び終了範囲値、並びにそこに含まれるすべての部分範囲を包含すると理解されるべきである。例えば、「1から10(1~10)」の指定された範囲には、最小値1と最大値10の間の(及びそれを含む)すべての部分範囲が含まれるとみなす必要があり、すなわち、最小値が1以上で始まり、最大値が10以下で終わるすべての部分範囲(1~3.3、4.7~7.5、5.5~10など)が含まれるとみなす必要がある。さらに、本明細書で参照されるすべての文書(発行された特許及び特許出願などであるがこれらに限定されない)は、その全体が「参照により組み込まれる」とみなされるべきである。量に関する言及は、特に明記しない限り、「重量パーセント」である。
【0020】
コーティングの層を指す場合、「上(over)」という用語は、「基板表面からより遠い」ことを意味する。例えば、第1の層の「上(over)」に位置する第2の層は、第2の層が、第1の層よりもそれらの層が存在する基板表面からより遠くに位置することを意味する。第2の層は、第1の層と直接接触することができ、又は1つ以上の他の層を、第2の層と第1の層との間に配置することができる。
【0021】
本明細書で参照されるすべての文書は、その全体が「参照により組み込まれる」とみなされるべきである。
【0022】
量に関する言及は、特に明記しない限り、「重量パーセント」である。
【0023】
「フィルム」という用語は、所望の又は選択された組成を有する領域を意味する。「層」は、1つ以上の「フィルム」を含む。「コーティング」は、1つ以上の「層」で構成される。「有機材料」という用語は、有機光電子デバイスを製造するために使用することができるポリマー及び低分子有機材料を含む。
【0024】
「可視光」という用語は、380nmから780nmの範囲の波長を有する電磁放射を意味する。「赤外線」という用語は、780nm超から100,000nmの範囲の波長を有する電磁放射を意味する。「紫外線」という用語は、100nmから380nm未満の範囲の波長を有する電磁エネルギーを意味する。
【0025】
「金属」及び「金属酸化物」という用語は、シリコンが従来は金属とはみなされていない場合でも、それぞれシリコン及びシリカ、並びに伝統的に認識されている金属及び金属酸化物を含む。「硬化性(curable)」という用語は、重合又は架橋することができる組成物を意味する。「硬化した(cured)」とは、材料が少なくとも部分的に重合又は架橋されており、好ましくは完全に重合又は架橋されていることを意味する。「少なくとも(at least)」とは、「以上」を意味する。「超えない(not more than)」とは、「以下」を意味する。「上流」及び「下流」という用語は、ガラスリボンの進行方向を指す。
【0026】
本明細書におけるヘイズ及び透過率の値は、ヘイズ-ガードプラスヘイズメーター(BYK-Gardner USAから市販されている)又はパーキン・エルマー・ラムダ9分光光度計を使用して決定されたものである。表面粗さの値は、Instrument Dimension 3100 原子間力顕微鏡を使用して決定された値である。
【0027】
本発明の説明は、特定の特徴を、「特に」又は「好ましくは」特定の制限内にあるものとして説明することができる(例えば、「好ましくは」、「より好ましくは」、「さらにより好ましくは」、又は「最も好ましくは」特定の制限内にあるものとして説明することができる。)。本発明は、これらの特定の又は好ましい制限に限定されるものではなく、本開示の全範囲を包含することが理解されるべきである。
【0028】
本発明は、任意の組合せで、本発明の以下の態様を含むか、それからなるか、又は本質的にそれからなる。本発明の様々な態様は、別々の図面に示されている。ただし、これは単に例示及び説明を容易にするためであることを理解されたい。本発明の実施において、1つの図面に示される本発明の1つ以上の態様は、1つ以上の他の図面に示される本発明の1つ以上の態様と組み合わせることができる。
【0029】
本発明は、光取り出し層16内に埋め込まれたナノ粒子18を含む光取り出し層16を備えた基板に関する。図1に示すように、基板10が提供される。基板10は、高い可視光透過率を有することができる。「高い可視光透過率」とは、基準波長550ナノメートル(nm)及び基準厚さ2mmで少なくとも85%、例えば少なくとも87%の可視光透過率を意味する。例えば、少なくとも90%など。例えば、少なくとも91%など。例えば、少なくとも92%など。例えば、少なくとも93%など。光取り出し層16及びナノ粒子18を有する基板10は、少なくとも20%、好ましくは少なくとも30%、より好ましくは少なくとも35%、最も好ましくは少なくとも37%のヘイズを有することができる。
【0030】
基板10は、ガラスであってもよい。例えば、基板10は、低鉄ガラスとすることができる。「低鉄」とは、総鉄含量が400百万分率(ppm)未満であることを意味し、例えば350ppm未満を意味する。例えば、総鉄含量は300ppm未満とすることができる。例えば、総鉄含有は200ppm未満とすることができる。基板10に適した材料の例としては、ソーダ石灰ケイ酸塩ガラス、例えばフロートガラスが挙げられる。基板10は、ガラスリボンであってもよい。ガラスリボンは、金属浴(錫浴など)上で浮遊する熱いガラスであり、金属浴上で浮遊しながら徐々に冷却される。ガラスリボンは、金属浴上で約1100℃から約600℃まで、徐々に冷却される。
【0031】
基板10は、任意の所望の厚さとすることができる。例えば、基板10の厚さは、0.5mm~10mm、例えば1mm~10mm、例えば1mm~4mmの範囲とすることができる。例えば、基板10の厚さは、2mm~3.2mmの範囲とすることができる。
【0032】
基板10は、第1の表面12と第2の表面14を有する。第2の表面14は、第1の表面12の反対側にある。
【0033】
図1Aに示すように、光取り出し層16は、第1の表面12の少なくとも一部の上に配置されるか、又は基板10内に部分的に埋め込まれる。光取り出し層16は、ホウケイ酸塩を含む。ホウケイ酸塩は、シリカ(SiO)と三酸化ホウ素(B)を含むガラスである。ナノ粒子18を含む光取り出し層16は、一般に平滑であり、5nm未満の平均表面粗さを有することができる。
【0034】
光取り出し層16は、以下の方法に従って、基板10の第1の表面12上に形成することができる。基板10はガラスであってもよい。基板10は、650℃以下、好ましくは630℃以下、より好ましくは620℃以下、最も好ましくは610℃以下の温度で提供され、及び/又は少なくとも400℃、好ましくは少なくとも500℃、より好ましくは少なくとも525℃、最も好ましくは少なくとも550℃の温度で提供される。例えば、基板10の温度は、約600℃であってもよい。光取り出し層16は、ホウケイ酸塩を形成するホウ素前駆体を適用することによって適用される。ホウ素前駆体は、ホウ酸トリメチル、ホウ酸トリエチル、二塩化フェニルホウ素、臭化ホウ素又はフッ化ホウ素とすることができる。1つの非限定的な実施形態では、ホウ素前駆体は、ホウ酸トリメチルである。この段落に記載された温度内でホウ素前駆体が基板10に適用されると、シリコンはガラス基板10から拡散し、ホウ素種と反応してホウケイ酸塩を形成することができる。温度が400℃未満である場合には、ホウ素前駆体がBを形成する可能性は低い。
【0035】
温度が650℃を超える場合、光取り出し層16は、(図1Bに示すように)基板10内に(少なくとも部分的に)形成される可能性が高い。したがって、本発明の代替の実施形態が図1Bに示され、光取り出し層16は、部分的又は全体的に、内部に配置され、あるいは、基板10の一体部分とすることができる。この実施形態では、光取り出し層16は、部分的又は全体的に第1の表面12の下、あるいは全体的に第1の表面の下で、第1の表面12と第2の表面14との間に配置される。
【0036】
光取り出し層16は、いくつかの方法で、基板10の第1の表面12上に形成することができる。1つの方法は、基板がガラス、例えばフロートガラス又はソーダ石灰ガラスである実施形態に関連する。この方法では、ガラス溶融物を金属浴上に注ぎ、ガラスリボンを形成する。ホウ素前駆体がガラスリボン上に適用される。ガラスリボンの温度が800℃以下、好ましくは750℃以下、最も好ましくは730℃以下、最も好ましくは725℃以下、及び500℃以上、好ましくは550℃以上、より好ましくは575℃以上、最も好ましくは600℃以上であるときに、ホウ素前駆体を適用する。例えば、ガラスリボンは約650℃の温度にすることができる。
【0037】
ガラスリボンが少なくとも500℃である場合に、ホウケイ酸塩がガラスリボンに適用されると、ガラスリボン中のシリコンの一部がホウ酸塩層内に拡散して、ホウケイ酸塩コーティングを形成する。
【0038】
あるいは、ホウ素前駆体は、基板が500℃未満、好ましくは300℃未満、より好ましくは200℃未満、最も好ましくは100℃未満であるときに、基板10上に適用することができる。例えば、基板の温度は、約20~25℃とすることができ、又は室温とすることができる。
【0039】
任意選択で、シリコン前駆体は、ホウ素前駆体が適用されてホウケイ酸塩を形成する前に、同時に、及び/又は直後に適用することができる。シリコン前駆体は、テトラエチルオルトシリケート、酢酸シリコン、シラン、クロロシラン、メチルクロロシラン、エチルクロロシラン、又は塩化シリコンとすることができる。1つの非限定的な例では、シリコン前駆体はテトラエチルオルトシリケートである。
【0040】
例えば、シリコン前駆体は、ホウ素前駆体が気化器に供給されるのと同時に気化器に供給することができる。シリコン前駆体及びホウ素前駆体は、気化器によって同時に気化され、気化したホウ素及びシリコン前駆体を形成する。気化したホウ素及びシリコン前駆体は、気化したホウ素及びシリコン前駆体がガラスリボンに適用されるコーターに供給することができる。
【0041】
別の例では、シリコン前駆体を第1の気化器に供給することができる。第1の気化器は、シリコン前駆体を気化させて、気化したシリコン前駆体を形成する。気化したシリコン前駆体はコーターに供給され、コーターは気化したシリコン前駆体をガラスリボンに適用する。気化したシリコン前駆体がガラスリボンに適用された後、気化して適用されたシリコン前駆体を含むガラスリボンに、気化したホウ素前駆体が適用される。気化したホウ素前駆体は、ホウ素前駆体を第2の気化器に供給することによって形成される。第2の気化器は、ホウ素前駆体を気化する。気化したホウ素前駆体は、第2のコーターに供給される。第2のコーターは、気化して適用された気化したシリコン前駆体を含むガラスリボンに、気化したホウ素前駆体を適用する。気化したシリコン前駆体と気化したホウ素前駆体を適用すると、ホウケイ酸塩層が形成される。ホウケイ酸塩は、ガラスリボンの温度に応じて、ガラスリボンの上に存在するか、又はガラスリボン内に埋め込まれるか、若しくはガラスリボンの一体部分となることができ、ここで、ガラスリボンの上部は、ホウケイ酸塩層を含む。
【0042】
別の例では、ホウ素前駆体を第1の気化器に供給することができる。第1の気化器は、ホウ素前駆体を気化させて、気化したホウ素前駆体を形成する。気化したホウ素前駆体はコーターに供給され、コーターは気化したホウ素前駆体をガラスリボンに適用する。気化したホウ素前駆体がガラスリボンに適用された後、気化して適用されたホウ素前駆体を含むガラスリボンに、気化したシリコン前駆体が適用される。気化したシリコン前駆体は、シリコン前駆体を第2の気化器に供給することによって形成される。第2の気化器は、シリコン前駆体を気化する。気化したシリコン前駆体は、第2のコーターに供給される。第2のコーターは、気化して適用された気化したホウ素前駆体を含むガラスリボンに、気化したシリコン前駆体を適用する。気化したホウ素前駆体と気化したシリコン前駆体を適用すると、ホウケイ酸塩層が形成される。ホウケイ酸塩は、ガラスリボンの温度に応じて、ガラスリボンの上に存在するか、又はガラスリボン内に埋め込まれるか、若しくはガラスリボンの一体部分となることができ、ここで、ガラスリボンの上部は、ホウケイ酸塩層を含む。
【0043】
別の例では、シリコン前駆体を第1の気化器に供給することができる。第1の気化器は、シリコン前駆体を気化させて、気化したシリコン前駆体を形成する。気化したシリコン前駆体はコーターに供給され、コーターは気化したシリコン前駆体をガラスリボンに適用する。気化したシリコン前駆体がガラスリボンに適用された後、気化して適用されたシリコン前駆体を含むガラスリボンに、気化したホウ素前駆体及び第2の気化したシリコン前駆体が適用される。気化したホウ素前駆体及び気化したシリコン前駆体は、ホウ素前駆体及びシリコン前駆体を第2の気化器に供給することによって形成される。第2の気化器は、ホウ素前駆体及びシリコン前駆体を気化させて、気化したホウ素前駆体及びシリコン前駆体を形成する。気化したホウ素前駆体及びシリコン前駆体は、第2のコーターに供給される。第2のコーターは、気化して適用された気化したシリコン前駆体を含むガラスリボンに、気化したホウ素前駆体及びシリコン前駆体を適用する。これにより、ホウケイ酸塩層が形成される。ホウケイ酸塩は、ガラスリボンの温度に応じて、ガラスリボンの上に存在するか、又はガラスリボン内に埋め込まれるか、若しくはガラスリボンの一体部分となることができ、ここで、ガラスリボンの上部は、ホウケイ酸塩層を含む。
【0044】
別の例では、シリコン前駆体及びホウ素前駆体を第1の気化器に供給することができる。第1の気化器は、シリコン前駆体及びホウ素前駆体を気化させて、気化したシリコン前駆体及びホウ素前駆体を形成する。気化したシリコン前駆体及びホウ素前駆体はコーターに供給され、コーターは気化したシリコン前駆体及びホウ素前駆体をガラスリボンに適用する。気化したシリコン前駆体及びホウ素前駆体がガラスリボンに適用された後、気化して適用されたシリコン前駆体及びホウ素前駆体を含むガラスリボンに、気化したシリコン前駆体が適用される。気化したシリコン前駆体は、シリコン前駆体を第2の気化器に供給することによって形成される。第2の気化器は、シリコン前駆体を気化する。気化したシリコン前駆体は、第2のコーターに供給される。第2のコーターは、気化して適用された気化したシリコン前駆体及びホウ素前駆体を含むガラスリボンに、気化したシリコン前駆体を適用する。これにより、ホウケイ酸塩層が形成される。ホウケイ酸塩は、ガラスリボンの温度に応じて、ガラスリボンの上に存在するか、又はガラスリボン内に埋め込まれるか、若しくはガラスリボンの一体部分となることができ、ここで、ガラスリボンの上部は、ホウケイ酸塩層を含む。
【0045】
別の例では、シリコン前駆体を第1の気化器に供給することができる。第1の気化器は、シリコン前駆体を気化させて、気化したシリコン前駆体を形成する。気化したシリコン前駆体はコーターに供給され、コーターは気化したシリコン前駆体をガラスリボンに適用する。気化したシリコン前駆体がガラスリボンに適用された後、気化して適用されたシリコン前駆体を含むガラスリボンに、気化したホウ素前駆体が適用される。気化したホウ素前駆体は、ホウ素前駆体を第2の気化器に供給することによって形成される。第2の気化器は、ホウ素前駆体を気化する。気化したホウ素前駆体は、第2のコーターに供給される。第2のコーターは、気化して適用された気化したシリコン前駆体を含むガラスリボンに、気化したホウ素前駆体を適用する。第2のシリコン前駆体は、第1のシリコン前駆体が気化されて適用されたのと同様に、第3の気化器及び第3のコーターを介して気化されて適用されるが、第3の気化器及び第3のコーターは、第1の気化器及び第1のコーター並びに第2の気化器及び第2のコーターの下流に配置される。これにより、ホウケイ酸塩層が形成される。ホウケイ酸塩は、ガラスリボンの温度に応じて、ガラスリボンの上に存在するか、又はガラスリボン内に埋め込まれるか、若しくはガラスリボンの一体部分となることができ、ここで、ガラスリボンの上部は、ホウケイ酸塩層を含む。
【0046】
光取り出し層は、以下の代替方法によって形成することもできる。この方法では、ガラス溶融物を金属浴上に注ぎ、ガラスリボンを形成する。ホウ素前駆体がガラスリボン上に適用される。ガラスリボンの温度が650℃以下、好ましくは630℃以下、より好ましくは620℃以下、最も好ましくは610℃以下の場合に、及び/又は少なくとも400℃の温度、好ましくは少なくとも500℃、より好ましくは少なくとも525℃、最も好ましくは少なくとも550℃であるときに、ホウ素前駆体をガラスリボンに適用する。例えば、温度は約600℃であってもよい。任意選択で、シリコン前駆体は、ホウ素前駆体が適用される前に、同時に、又は直後に適用されて、上記と同じ方法でホウケイ酸塩を形成することができる。この方法により、光取り出し層16は、第1の表面上に適用される別個のホウ酸塩層又はホウケイ酸塩層を形成するが、それが基板の一部であるかのように基板10に一体化される。
【0047】
光取り出し層16は、少なくとも0.1ミクロン、好ましくは少なくとも0.25ミクロン、より好ましくは少なくとも0.4ミクロン、最も好ましくは少なくとも0.5ミクロンの厚さを有することができる。光取り出し層16は、最大で3ミクロン、好ましくは最大で2.75ミクロン、より好ましくは最大で2.5ミクロン、最も好ましくは最大で2.25ミクロンの厚さを有することができる。特定の実施形態では、取り出し層16は、基板の第1の表面12上に配置され、光取り出し層16は、少なくとも0.1ミクロン、好ましくは少なくとも0.25ミクロン、より好ましくは少なくとも0.4ミクロン、最も好ましくは少なくとも0.5ミクロンの厚さを有することができ、最大で2ミクロン、好ましくは最大で1.75ミクロン、より好ましくは最大で1.5ミクロン、最も好ましくは最大で1.25ミクロンの厚さを有することができる。他の実施形態では、光取り出し層16は、基板10の第1の表面12内に埋め込まれるか、又は部分的に埋め込まれ、光取り出し層16は、少なくとも0.5ミクロン、好ましくは少なくとも0.75ミクロン、より好ましくは少なくとも0.9ミクロン、最も好ましくは少なくとも1ミクロンの厚さを有することができ、最大で3ミクロン、好ましくは最大で2.75ミクロン、より好ましくは最大で2.5ミクロン、最も好ましくは最大で2.25ミクロンの厚さを有することができる。
【0048】
任意選択で、ナノ粒子18を光取り出し層16に埋め込むことができる。ナノ粒子は、基板よりも高い屈折率を有する材料であってもよく、すなわち、高屈折率材料である。例えば、ナノ粒子18は金属酸化物であってもよい。例えば、ナノ粒子18は、アルミナ、チタニア、酸化セリウム、酸化亜鉛、酸化スズ、シリカ、ジルコニア、それらの混合物又はそれらの合金であってもよい。他の例としては、金属ナノ粒子が挙げられる。例えば、鉄、鋼、銅、銀、金、チタンなどであるが、これらに限定されない。さらなる例としては、2つ以上の材料の合金を含む合金ナノ粒子が挙げられる。例えば、亜鉛、スズ、金、銅、銀の2つ以上の合金が挙げられる。1つの特定の実施形態では、ナノ粒子はチタニアを含む。
【0049】
ナノ粒子18は、最大50nm、好ましくは最大45nm、より好ましくは最大40nm、最も好ましくは最大35nmの直径を有することができる。ナノ粒子18は、少なくとも5nm、好ましくは少なくとも10nm、より好ましくは少なくとも15nm、最も好ましくは少なくとも20nmの直径を有することができる。
【0050】
光取り出し層16内のナノ粒子18は、0.1重量パーセント~50重量パーセントの範囲で存在することができ、例えば0.1重量パーセント~40重量パーセント、例えば0.1重量パーセント~30重量パーセント、例えば0.1重量パーセント~20重量パーセント、例えば0.1重量パーセント~10重量パーセント、例えば0.1重量パーセント~8重量パーセント、例えば0.1重量パーセント~6重量パーセント、例えば0.1重量パーセント~5重量パーセント、例えば0.1~2重量パーセント、例えば0.1~1重量パーセント、例えば0.1~0.5重量パーセント、例えば0.1~0.4重量パーセント、例えば0.1~0.3重量パーセント、例えば0.2重量パーセント~10重量パーセント、例えば0.2重量パーセント~5重量パーセント、例えば0.2重量パーセント~1重量パーセント、例えば0.2重量パーセント~0.8重量パーセント、例えば0.2重量パーセント~0.4重量パーセントの範囲で存在することができる。
【0051】
図2に示すように、一実施形態では、物品1は、基板10の第2の表面14上に配置された外部光取り出し層22をさらに含んでもよい。外部光取り出し層22は、粗面化された外面を有する金属酸化物コーティングなどのコーティングによって形成することができる。外部光取り出し層22に有用な酸化物の例としては、シリカ、アルミナ、酸化亜鉛、チタニア、ジルコニア、酸化スズ、及び/又はそれらの混合物又は合金が挙げられる。外部光取り出し層22は、5nm~500nmの範囲の平均表面粗さ(Ra)を有することができ、例えば25nm~500nm、例えば50nm~500nm、例えば50nm~200nm、例えば100nm~200nmの範囲の平均表面粗さを有することができる。外部光取り出し層22は、100nm~250nmの範囲の二乗平均平方根粗さ(Rq)を有することができ、例えば150nm~200nmの範囲の二乗平均平方根粗さを有することができる。外部光取り出し層22は、10nm~500nmの範囲の厚さを有することができ、例えば50nm~500nm、例えば100nm~500nmの範囲の厚さを有することができる。外部光取り出し層22は、単層又は任意選択で多層コーティングとすることができる。
【0052】
外部光取り出し層22の粗さは、いくつかの技術によって形成することができる。1つの技術は、粗面化された外面を有するコーティングを形成することである。コーティングは、シリカ、アルミナ、酸化亜鉛、チタニア、ジルコニア、酸化スズ、又はそれらの混合物などの金属酸化物とすることができる。あるいは、外部光取り出し層22は、例えば機械的摩耗又は化学エッチングなどにより、基板の表面を機械的に粗面化することなどにより、ガラスの第2の表面14をテクスチャリングすることによって形成することができる。
【0053】
ナノ粒子18を含む光取り出し層16は、様々な用途で使用することができる。一実施形態では、図3A及び図3Bに示すように、物品1はプライバシーグレージングである。物品1は基板10を有する。光取り出し層16は、基板10の第1の表面12の少なくとも一部の上に形成されるか、又は第1の表面12において基板10内に埋め込まれる。光取り出し層16は、上記のようにナノ粒子18を含む。任意のコーティング24が存在してもよい。任意のコーティング24は、OLED物品において使用される以下に説明するような1つ以上の層であってもよい。例えば、任意のコーティング24は、アノード層であってもよい。あるいは、任意のコーティング24は、金属酸化物、金属窒化物、金属酸窒化物、又は金属とすることができる。例えば、任意のコーティング24は、酸化亜鉛、スズ酸亜鉛、酸化スズ、窒化シリコン、チタニア、シリカ、アルミナ、銀、金、銅、それらの混合物又はそれらの合金であってもよい。光源26は、物品1の縁部28に隣接して配置されている。光源26が非アクティブ化されると、物品1は第1の透明度レベルを有する。光源26がアクティブであるとき、ナノ粒子18は、光源26からの光波30を散乱させ、物品は第2の透明度レベルを有する。ナノ粒子18による光波30の散乱のために、第2の透明度レベルは第1の透明度レベルよりも低い。
【0054】
別の実施形態では、光取り出し層16は、有機発光ダイオード(「OLED」)において使用することができる。したがって、物品1はOLEDである。この実施形態では、図4A及び図4Bに示すように、OLED1は、基板10と、基板10の第1の表面12上にナノ粒子18を含む光取り出し層16と、基板10の第2の表面14上の外部光取り出し層22と、カソード32と、発光層34と、アノード36とを含む。
【0055】
カソード32は、任意の従来のOLEDカソードとすることができる。適切なカソード32の例としては、バリウム及びカルシウムが挙げられるが、これらに限定されない。
【0056】
発光層34は、当該技術分野で知られている従来の有機エレクトロルミネセンス層とすることができる。そのような材料の例としては、有機金属キレート(例えば、Alq)、蛍光及びリン光染料、及び共役デンドリマーなどの小分子が挙げられるが、これらに限定されない。適切な材料の例としては、トリフェニルアミン、ペリレン、ルブレン、及びキナクリドンが挙げられる。あるいは、エレクトロルミネセンス高分子材料も知られている。そのような導電性ポリマーの例としては、ポリ(p-フェニレンビニレン)及びポリフルオレンが挙げられる。蓄光材料も使用することができる。そのような材料の例としては、イリジウム錯体などの有機金属錯体がドーパントとして添加されているポリ(n-ビニルカルバゾール)などのポリマーが挙げられる。
【0057】
アノード36は、導電性の透明な材料とすることができ、例えば、金属酸化物材料、例えば、限定されないが、イリジウム酸化スズ(ITO)又はアルミニウムドープ酸化亜鉛(AZO)とすることができる。
【0058】
本発明はさらに、基板上に光取り出し層を形成する方法に関する。基板が提供され、当該基板は、金属フロート浴におけるガラスリボンである。基板は、金属フロート浴に浮かんでいる。基板は温度を有している。基板の温度は、850℃未満、好ましくは800℃未満、最も好ましくは750℃未満、最も好ましくは725℃未満、及び400℃超、好ましくは550℃超、より好ましくは575℃超、最も好ましくは600℃超である。例えば、温度は約650℃にすることができる。基板が前記の温度にある間に、ホウ素前駆体がその基板上に適用される。任意選択で、ホウ素前駆体の適用前、適用中、又は適用直後に、シリコン前駆体が適用される。好ましくは、基板が前記の温度にある間に、シリコン前駆体がその基板上に適用される。任意選択で、ホウ素前駆体の適用前、適用中、又は適用直後に、ナノ粒子前駆体が適用される。あるいは、ナノ粒子を適用することはできず、それにより、コーティングされた物品は、内部光取り出し層内にナノ粒子を有さない。
【0059】
本発明はさらに、基板上に光取り出し層を形成する方法に関する。基板が提供され、当該基板は、金属フロート浴におけるガラスリボンである。基板は、金属フロート浴に浮かんでいる。基板は温度を有している。ナノ粒子前駆体は、ナノ粒子が基板内に完全に埋め込まれるように又は基板内に部分的に埋め込まれるように、基板に適用される。基板の温度は、850℃未満、好ましくは800℃未満、最も好ましくは750℃未満、最も好ましくは725℃未満、及び500℃超、好ましくは550℃超、より好ましくは575℃超、最も好ましくは600℃超である。例えば、温度は約650℃にすることができる。基板が前記の温度にある間に、ホウ素前駆体がその基板上及びそのナノ粒子上に適用される。任意選択で、ホウ素前駆体の適用前、適用中、又は適用直後に、シリコン前駆体が適用される。基板が前記の温度にある間に、任意のシリコン前駆体をその基板上に適用することができる。
【0060】
本発明はさらに、基板上に光取り出し層を形成する方法に関する。基板が提供され、当該基板は、金属フロート浴におけるガラスリボンである。基板は、金属フロート浴に浮かんでいる。基板は温度を有している。ナノ粒子前駆体は、ナノ粒子が基板内に完全に埋め込まれるように又は基板内に部分的に埋め込まれるように、基板に適用される。基板の温度は、850℃未満、好ましくは800℃未満、最も好ましくは750℃未満、最も好ましくは725℃未満、及び500℃超、好ましくは550℃超、より好ましくは575℃超、最も好ましくは600℃超である。例えば、温度は約650℃にすることができる。基板が前記の温度にある間に、ホウ素前駆体がその基板上及びそのナノ粒子上に適用される。ホウ素前駆体は、ナノ粒子前駆体の適用と同時に(例えば、共沈)、又はナノ粒子前駆体が適用された直後に適用してもよい。任意選択で、ホウ素前駆体の適用前、適用中、又は適用直後に、シリコン前駆体が適用される。
【0061】
本発明はさらに、基板上に光取り出し層を形成する方法に関する。基板が提供され、当該基板は、ガラス又はガラスリボンである。ナノ粒子前駆体は、ナノ粒子が基板内に完全に埋め込まれるように、基板内に部分的に埋め込まれるように、又は基板の上に置かれるように、基板に適用される。基板は温度を有している。その温度は、650℃以下、好ましくは630℃以下、より好ましくは620℃以下、最も好ましくは610℃以下、及び/又は少なくとも400℃の温度、好ましくは少なくとも500℃、より好ましくは少なくとも525℃、最も好ましくは少なくとも550℃の温度である。例えば、基板10の温度は、約600℃であってもよい。基板が前記の温度にある間に、ホウ素前駆体がその基板上に適用される。任意選択で、第1のホウ素前駆体、及び/又は第2のホウ素前駆体の適用前、適用中、又は適用直後に、シリコン前駆体が適用される。
【0062】
本発明はさらに、基板上に光取り出し層を形成する方法に関する。基板が提供され、当該基板は、ガラス又はガラスリボンである。ナノ粒子前駆体は、ナノ粒子が基板内に完全に埋め込まれるように、基板内に部分的に埋め込まれるように、又は基板の上に置かれるように、基板に適用される。基板は温度を有している。その温度は、650℃以下、好ましくは630℃以下、より好ましくは620℃以下、最も好ましくは610℃以下、及び/又は少なくとも400℃の温度、好ましくは少なくとも500℃、より好ましくは少なくとも525℃、最も好ましくは少なくとも550℃の温度である。例えば、基板10の温度は、約600℃であってもよい。基板が前記の温度にある間に、ホウ素前駆体がその基板上に適用される。ホウ素前駆体は、ナノ粒子前駆体の適用と同時に(例えば、共沈)、又はナノ粒子前駆体が適用された直後に適用してもよい。任意選択で、第1のホウ素前駆体、及び/又は第2のホウ素前駆体の適用前、適用中、又は適用直後に、シリコン前駆体が適用される。
【0063】
本発明はさらに、基板上に光取り出し層を形成する方法に関する。基板が提供され、当該基板は、ガラス又はガラスリボンである。ナノ粒子前駆体は、ナノ粒子が基板内に完全に埋め込まれるように、基板内に部分的に埋め込まれるように、又は基板の上に置かれるように、基板に適用される。基板は温度を有している。その温度は、500℃以下、好ましくは300℃以下、より好ましくは200℃以下、最も好ましくは100℃以下の温度である。例えば、基板10の温度は、20~25℃の間であってもよく、又は室温とすることができる。基板が前記の温度にある間に、ホウ素前駆体がその基板上に適用される。任意選択で、第1のホウ素前駆体、及び/又は第2のホウ素前駆体の適用前、適用中、又は適用直後に、シリコン前駆体が適用される。
【0064】
本発明はさらに、基板上に光取り出し層を形成する方法に関する。基板が提供され、当該基板は、ガラス又はガラスリボンである。ナノ粒子前駆体は、ナノ粒子が基板内に完全に埋め込まれるように、基板内に部分的に埋め込まれるように、又は基板の上に置かれるように、基板に適用される。基板は温度を有している。その温度は、500℃以下、好ましくは300℃以下、より好ましくは200℃以下、最も好ましくは100℃以下の温度である。例えば、基板10の温度は、20~25℃の間であってもよく、又は室温とすることができる。基板が前記の温度にある間に、ホウ素前駆体がその基板上に適用される。ホウ素前駆体は、ナノ粒子前駆体の適用と同時に(例えば、共沈)、又はナノ粒子前駆体が適用された直後に適用してもよい。任意選択で、第1のホウ素前駆体、及び/又は第2のホウ素前駆体の適用前、適用中、又は適用直後に、シリコン前駆体が適用される。
【0065】
別の実施形態では、本発明はさらに、基板上に光取り出し層を形成する方法に関する。基板が提供され、当該基板は、金属フロート浴におけるガラスリボンである。基板は、金属フロート浴に浮かんでいる。基板は温度を有している。光取り出し層は、基板上に形成されるか、又は基板内に部分的に埋め込まれる。基板の温度は、850℃未満、好ましくは800℃未満、最も好ましくは750℃未満、最も好ましくは725℃未満、及び500℃超、好ましくは550℃超、より好ましくは575℃超、最も好ましくは600℃超である。例えば、温度は約650℃にすることができる。基板が光取り出し層の第1の部分を形成する温度にある間に、第1のホウ素前駆体がその基板上に適用される。ナノ粒子前駆体は、ナノ粒子が光取り出し層の第1の部分内に完全に埋め込まれるか、又は部分的に埋め込まれるように、光取り出し層の第1の部分の後に適用される。光取り出し層の第1の部分でコーティングされた基板の温度が、850℃未満、好ましくは800℃未満、最も好ましくは750℃未満、最も好ましくは725℃未満、及び500℃超、好ましくは550℃超、より好ましくは575℃超、最も好ましくは600℃超であるときに、ナノ粒子前駆体を適用することができる。例えば、温度は約650℃にすることができる。あるいは、ナノ粒子前駆体が適用されるときの温度は、650℃以下、好ましくは630℃以下、より好ましくは620℃以下、最も好ましくは610℃以下、及び/又は少なくとも400℃の温度、好ましくは少なくとも500℃、より好ましくは少なくとも525℃、最も好ましくは少なくとも550℃にすることができる。例えば、基板10の温度は、約600℃であってもよい。あるいは、ナノ粒子前駆体が適用されるときの温度は、500℃以下、好ましくは300℃以下、より好ましくは200℃以下、最も好ましくは100℃以下にすることができる。例えば、基板10の温度は、20~25℃の間であってもよく、又は室温とすることができる。第2のホウ素前駆体は、一般に平滑な表面を生成するようにナノ粒子上に適用され、その平均表面粗さは5nm未満である。光取り出し層の第1の部分でコーティングされた基板及びナノ粒子の温度が、850℃未満、好ましくは800℃未満、最も好ましくは750℃未満、最も好ましくは725℃未満、及び500℃超、好ましくは550℃超、より好ましくは575℃超、最も好ましくは600℃超であるときに、第2のホウ素前駆体を適用することができる。例えば、温度は約650℃にすることができる。あるいは、その温度が650℃以下、好ましくは630℃以下、より好ましくは620℃以下、最も好ましくは610℃以下、及び/又は少なくとも400℃の温度、好ましくは少なくとも500℃、より好ましくは少なくとも525℃、最も好ましくは少なくとも550℃であるときに、第2のホウ素前駆体を適用することができる。例えば、温度は約600℃であってもよい。あるいは、第2のホウ素前駆体が適用されるときの温度は、500℃以下、好ましくは300℃以下、より好ましくは200℃以下、最も好ましくは100℃以下にすることができる。例えば、基板の温度は、20~25℃の間であってもよく、又は室温とすることができる。第1のホウ素前駆体及び第2のホウ素前駆体は、同じ前駆体とすることができる。任意選択で、第1のホウ素前駆体、及び/又は第2のホウ素前駆体の適用前、適用中、又は適用直後に、シリコン前駆体が適用される。
【0066】
別の実施形態では、本発明はさらに、基板上に光取り出し層を形成する方法に関する。基板が提供され、当該基板は、金属フロート浴におけるガラスリボンである。基板は、金属フロート浴に浮かんでいる。基板は温度を有している。光取り出し層は、基板上に形成されるか、又は基板内に部分的に埋め込まれる。基板の温度は、850℃未満、好ましくは800℃未満、最も好ましくは750℃未満、最も好ましくは725℃未満、及び500℃超、好ましくは550℃超、より好ましくは575℃超、最も好ましくは600℃超である。例えば、温度は約650℃にすることができる。基板が光取り出し層の第1の部分を形成する温度にある間に、第1のホウ素前駆体がその基板上に適用される。ナノ粒子前駆体は、ナノ粒子が光取り出し層の第1の部分内に完全に埋め込まれるか、又は部分的に埋め込まれるように、光取り出し層の第1の部分の後に適用される。光取り出し層の第1の部分でコーティングされた基板の温度が、850℃未満、好ましくは800℃未満、最も好ましくは750℃未満、最も好ましくは725℃未満、及び500℃超、好ましくは550℃超、より好ましくは575℃超、最も好ましくは600℃超であるときに、ナノ粒子前駆体を適用することができる。例えば、温度は約650℃にすることができる。あるいは、ナノ粒子前駆体が適用されるときの温度は、650℃以下、好ましくは630℃以下、より好ましくは620℃以下、最も好ましくは610℃以下、及び/又は少なくとも400℃の温度、好ましくは少なくとも500℃、より好ましくは少なくとも525℃、最も好ましくは少なくとも550℃にすることができる。例えば、基板10の温度は、約600℃であってもよい。あるいは、ナノ粒子前駆体が適用されるときの温度は、500℃以下、好ましくは300℃以下、より好ましくは200℃以下、最も好ましくは100℃以下にすることができる。例えば、基板10の温度は、20~25℃の間であってもよく、又は室温とすることができる。第2のホウ素前駆体は、一般に平滑な表面を生成するようにナノ粒子上に適用され、その平均表面粗さは5nm未満である。光取り出し層の第1の部分でコーティングされた基板及びナノ粒子の温度が、850℃未満、好ましくは800℃未満、最も好ましくは750℃未満、最も好ましくは725℃未満、及び500℃超、好ましくは550℃超、より好ましくは575℃超、最も好ましくは600℃超であるときに、第2のホウ素前駆体を適用することができる。例えば、温度は約650℃にすることができる。あるいは、その温度が650℃以下、好ましくは630℃以下、より好ましくは620℃以下、最も好ましくは610℃以下、及び/又は少なくとも400℃の温度、好ましくは少なくとも500℃、より好ましくは少なくとも525℃、最も好ましくは少なくとも550℃であるときに、第2のホウ素前駆体を適用することができる。例えば、温度は約600℃であってもよい。あるいは、第2のホウ素前駆体が適用されるときの温度は、500℃以下、好ましくは300℃以下、より好ましくは200℃以下、最も好ましくは100℃以下にすることができる。例えば、基板の温度は、20~25℃の間であってもよく、又は室温とすることができる。第2のホウ素前駆体は、ナノ粒子前駆体の適用と同時に(例えば、共沈)、又はナノ粒子前駆体が適用された直後に適用してもよい。第1のホウ素前駆体及び第2のホウ素前駆体は、同じ前駆体とすることができる。任意選択で、第1のホウ素前駆体、及び/又は第2のホウ素前駆体の適用前、適用中、又は適用直後に、シリコン前駆体が適用される。
【実施例
【0067】
[例1]
【0068】
内部光取り出し層を有する基板を形成した。光取り出し層を、スズフロート浴におけるガラスリボン上に適用し、ライン速度を用いて2.0mmのガラスを作製した。ガラスリボンの温度が約725℃のときに、ホウ素前駆体であるホウ酸トリメチルをガラスリボンに適用した。ホウ素前駆体の理解に基づくと、温度は600~725℃の範囲であってもよい。得られた生成物は、ガラスと一体化した内部光取り出し層を有していた。光取り出し層は、ホウ酸塩(B)とシリカ(SiO)の形態で、20~30原子%のホウ素と10~20原子%のシリコン(酸素を除く)を含有しており、したがって、内部光取り出し層はホウケイ酸塩で構成されていた。ガラスリボンを冷却し、切断し、包装した。これにより、第三者は透明な導電性酸化物コーティング及び/又は他のOLEDパネルコーティングを適用することができる。
[例2]
【0069】
ナノ粒子を含む光取り出し層を有する基板を形成した。基板はソーダ石灰ガラスであった。チタン前駆体、すなわちチタンイソプロポキシドを、ガラス上に適用した。ホウ素前駆体、すなわちホウ酸トリメチルを適用してホウ酸塩層を形成し、チタニア粒子を被覆し、平滑な表面を生成した。このプロセスは、低温炉で行われ、その温度は、チタニア粒子をガラス表面上に堆積させ、その粒子を平滑なB層で覆うのに十分であった。その温度は約600℃であった。得られた層は、0.7ミクロンの深さにおいてB層内に完全に埋め込まれたチタニア粒子を有し、そのB層の厚さは1~1.25ミクロンであった。
【0070】
この形態(morphology)は、最初にB層を形成し、次いでTiO粒子を適用し、その粒子をB層内に埋め込むことができることを意味する。あるいは、最初に0.3ミクロンのBを適用し、次いでチタニア粒子とB前駆体を共沈させて、光取り出し層の上部を形成することができることを意味する。
【0071】
光取り出し層のXPS分析によれば、シリコンがB層内に存在したことを示しており、これは、ガラスからB層内へのシリコンの拡散によって引き起こされ、それによってホウケイ酸塩が形成されたことを示している。このことは、ホウ素前駆体を堆積するときに、シリコン前駆体を堆積し又は共堆積する必要性を排除し得ることを意味しており、それでもホウケイ酸塩層を形成し得ることを意味する。
【0072】
本発明は、以下の番号付けされた条項においてさらに説明される。
【0073】
条項1:第1の表面及び第2の表面を含むガラスと、該第1の表面上の光取り出し層とを含む光取り出し基板(light extraction substrate)であって、該光取り出し層がホウケイ酸塩(borosilicate)を含む、光取り出し基板。
【0074】
条項2:光取り出し層がナノ粒子をさらに含む、条項1に記載の光取り出し基板。
【0075】
条項3:ナノ粒子が高屈折率材料である、条項1又は2に記載の光取り出し基板。
【0076】
条項4:ナノ粒子がチタニアである、条項2又は3に記載の光取り出し基板。
【0077】
条項5:光取り出し層が5nm未満の平均表面粗さを有する、条項1~4のいずれかに記載の光取り出し基板。
【0078】
条項6:ナノ粒子が最大で40nmの直径を有する、条項2~5のいずれかに記載の光取り出し基板。
【0079】
条項7:光取り出し層が最大2μmの厚さを有する、条項1~6のいずれかに記載の光取り出し基板。
【0080】
条項8:第2の表面上又は第2の表面に隣接する第2の光取り出し層をさらに含み、第2の光取り出し層が少なくとも10nmの表面粗さを有する、条項1~7のいずれかに記載の光取り出し基板。
【0081】
条項9:第2の光取り出し層の表面粗さが少なくとも50nm、最大で500nmである、条項8に記載の光取り出し基板。
【0082】
条項10:第2の光取り出し層が、ガラスの第2の表面をテクスチャリングすることによって形成される、条項8に記載の光取り出し基板。
【0083】
条項11:少なくとも20%、好ましくは少なくとも30%、より好ましくは少なくとも35%、最も好ましくは少なくとも37%のヘイズをさらに含む、条項1~10のいずれかに記載の光取り出し基板。
【0084】
条項12:ガラスの第1の表面上に堆積されたアノードをさらに含む、条項1~11のいずれかに記載の光取り出し基板。
【0085】
条項13:ガラスの第1の表面上に堆積された下層コーティングスタック(underlayer coating stack)をさらに含む、条項1~12のいずれかに記載の光取り出し基板。
【0086】
条項14:第1の表面及び第2の表面を有する基板と、基板の第1の表面上の光取り出し層であって、ホウケイ酸塩層を含む光取り出し層と、光取り出し層上の透明導電性酸化物層と、発光層と、カソードと、を含む、有機発光デバイス。
【0087】
条項15:光取り出し層がナノ粒子をさらに含む、条項14に記載の有機発光デバイス。
【0088】
条項16:ナノ粒子が高屈折率材料である、条項15に記載の有機発光デバイス。
【0089】
条項17:ナノ粒子がチタニアである、条項15又は16に記載の有機発光デバイス。
【0090】
条項18:光取り出し層が5nm未満の平均表面粗さを有する、条項14~17のいずれかに記載の有機発光デバイス。
【0091】
条項19:ナノ粒子が最大で5nmの直径を有する、条項14~18のいずれかに記載の有機発光デバイス。
【0092】
条項20:光取り出し層が最大2μmの厚さである、条項14~19のいずれかに記載の有機発光デバイス。
【0093】
条項21:少なくとも50nmの平均表面粗さを有する基板の第2の表面上に配置された外部光取り出し層をさらに含む、条項14~20のいずれかに記載の有機発光デバイス。
【0094】
条項22:第2の表面上又は第2の表面に隣接する第2の光取り出し層をさらに含み、第2の光取り出し層が少なくとも10nmの表面粗さを有する、条項14~21のいずれかに記載の有機発光デバイス。
【0095】
条項23:第2の光取り出し層の表面粗さが少なくとも50nm、最大で500nmである、条項22に記載の有機発光デバイス。
【0096】
条項24:第2の光取り出し層が、ガラスの第2の表面の表面をテクスチャリングすることによって形成される、条項22又は23の有機発光デバイス。
【0097】
条項25:少なくとも20%、好ましくは少なくとも30%、より好ましくは少なくとも35%、最も好ましくは少なくとも37%のヘイズをさらに含む、条項14~24のいずれかに記載の有機発光デバイス。
【0098】
条項26:ガラスの第1の表面上に堆積されたアノードをさらに含む、条項24~25のいずれかに記載の有機発光デバイス。
【0099】
条項27:ガラスの第1の表面上に堆積された下層コーティングスタックをさらに含む、条項14~26のいずれかに記載の有機発光デバイス。
【0100】
条項28:溶融金属浴上にガラス溶融物を注ぐこと(pouring)、及び、ガラス溶融物の温度が少なくとも600℃で725℃を越えない間に、ホウ素前駆体をガラス溶融物の上に適用すること(applying)、を含む、光取り出し基板を作製する方法。
【0101】
条項29:ホウ素前駆体がガラス溶融物に適用されてホウケイ酸塩を生成する、条項28に記載の方法。
【0102】
条項30:ガラス溶融物の温度が少なくとも650℃であり、ホウ素前駆体がシリコン前駆体なしで適用されてホウケイ酸塩を形成する、条項28又は29に記載の方法。
【0103】
条項31:ホウケイ酸塩を形成するために、シリコン前駆体を適用することをさらに含む、条項28~30のいずれかに記載の方法。
【0104】
条項32:ガラス溶融物の温度が少なくとも600℃で725℃を越えない間に、シリコン前駆体を適用することをさらに含む、条項28~31のいずれかに記載の方法。
【0105】
条項33:ホウ素前駆体によって形成された層内にナノ粒子を形成するために、ナノ粒子前駆体を適用することをさらに含む、条項28~32のいずれかに記載の方法。
【0106】
条項34:ホウ素前駆体工程を適用すると同時にシリコン前駆体を適用することをさらに含む、条項28~33のいずれかに記載の方法。
【0107】
条項35:ナノ粒子前駆体が、ホウ素前駆体の適用工程と同時に適用される、条項33又は34に記載の方法。
【0108】
条項36:ナノ粒子前駆体が四塩化チタンを含む、条項33~35のいずれかに記載の方法。
【0109】
条項37:ナノ粒子がチタニアを含む、条項33~36のいずれかに記載の方法。
【0110】
条項38:光取り出し基板を作製する方法であって、当該方法は、溶融金属浴上にシリコン又はシリカを含むガラス溶融物を注ぐこと、及び、ガラス溶融物の温度が少なくとも600℃で725℃を越えない間に、ホウ素前駆体をガラス溶融物の上に適用すること、を含み、ガラス溶融物内のシリコン又はシリカは、ホウ素前駆体と反応して、ガラス溶融物上にホウケイ酸塩を形成する。
【0111】
条項39:ガラス溶融物の温度が少なくとも650℃であり、ホウ素前駆体がシリコン前駆体なしで適用されてホウケイ酸塩を形成する、条項38に記載の方法。
【0112】
条項40:ガラス溶融物の温度が850℃未満であり、シリコン前駆体を適用することをさらに含む、条項38に記載の方法。
【0113】
条項41:ホウ素前駆体によって形成された層内にナノ粒子を形成するために、ナノ粒子前駆体を適用することをさらに含む、条項38~40のいずれかに記載の方法。
【0114】
条項42:ホウ素前駆体工程を適用すると同時にシリコン前駆体を適用することをさらに含む、条項38、40、又は41に記載の方法。
【0115】
条項43:ナノ粒子前駆体が、ホウ素前駆体の適用工程と同時に適用される、条項38~42のいずれかに記載の方法。
【0116】
条項44:ナノ粒子前駆体が四塩化チタンを含む、条項43に記載の方法。
【0117】
条項45:ナノ粒子がチタニアを含む、条項43又は44に記載の方法。
【0118】
条項46:光取り出し基板を作製する方法であって、当該方法は、溶融金属浴上にシリコンを含むガラス溶融物を注ぐこと、ホウ素前駆体を725℃未満の温度を有するガラス溶融物の上に適用すること、及び、シリコン前駆体を725℃未満の温度を有するガラス溶融物の上に適用すること、を含み、シリコン前駆体とホウ素前駆体は、ガラス溶融物の上又は内部にホウケイ酸塩を形成する。
【0119】
条項47:ホウ素前駆体がガラス溶融物に適用されてガラス溶融物内にホウケイ酸塩を生成する、条項46に記載の方法。
【0120】
条項48:ホウ素前駆体によって形成された層内にナノ粒子を形成するために、ナノ粒子前駆体を適用することをさらに含む、条項46又は47に記載の方法。
【0121】
条項49:ホウ素前駆体工程を適用すると同時にシリコン前駆体を適用することをさらに含む、条項46~48のいずれかに記載の方法。
【0122】
条項50:ナノ粒子前駆体が、ホウ素前駆体の適用工程と同時に適用される、条項48又は49に記載の方法。
【0123】
条項51:ナノ粒子前駆体が四塩化チタンを含む、条項48~50のいずれかに記載の方法。
【0124】
条項52:ナノ粒子がチタニアを含む、条項48~51のいずれかに記載の方法。
【0125】
条項53:光取り出し基板が、少なくとも20%、好ましくは少なくとも30%、より好ましくは少なくとも35%、最も好ましくは少なくとも37%のヘイズを含む、条項46~51のいずれかに記載の方法。
【0126】
本発明は、現在最も実用的で好ましい実施形態であると考えられているものに基づいて例示する目的で詳細に説明してきたが、そのような詳細はその目的のためだけであり、本発明は開示された実施形態に限定されるものではなく、むしろ、添付の特許請求の範囲の精神及び範囲内にある修正及び均等な構成を網羅することを意図していることを理解されたい。例えば、本発明は、可能な範囲で、任意の実施形態の1つ以上の特徴を、任意の他の実施形態の1つ以上の特徴と組み合わせることができることを企図していることを理解されたい。
図1a
図1b
図2a
図2b
図3a
図3b
図4a
図4b
【国際調査報告】