(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-07-28
(54)【発明の名称】高密度微小突起アレイパッチを用いたワクチン接種
(51)【国際特許分類】
A61M 37/00 20060101AFI20220721BHJP
A61K 39/145 20060101ALI20220721BHJP
A61P 37/04 20060101ALI20220721BHJP
A61K 9/06 20060101ALI20220721BHJP
【FI】
A61M37/00
A61K39/145
A61P37/04
A61K9/06
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021557686
(86)(22)【出願日】2020-03-27
(85)【翻訳文提出日】2021-11-29
(86)【国際出願番号】 AU2020050296
(87)【国際公開番号】W WO2020198785
(87)【国際公開日】2020-10-08
(32)【優先日】2019-03-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】519347915
【氏名又は名称】ヴァクザス ピーティーワイ リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】特許業務法人HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】フォースター,アンガス
【テーマコード(参考)】
4C076
4C085
4C267
【Fターム(参考)】
4C076AA06
4C076BB16
4C076CC06
4C076FF68
4C085AA03
4C085BA55
4C085EE01
4C085GG04
4C085GG05
4C267AA72
4C267BB06
4C267BB24
4C267CC01
4C267GG01
(57)【要約】
本発明は、ワクチンの送達のための微小突起アレイ、特に、同等または優れた免疫原性を提供しながらも、送達されるワクチン投与量は、筋肉内注射によって注入されるワクチン投与量より少量であり得る、患者へのワクチンの送達のための、ポリマー高密度微小突起アレイの利用に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
微小突起アレイパッチ(MAP)上にコーティングされたワクチン投与量を、ヒトに投与する工程を含む、ヒトにおける免疫応答を刺激する方法。
【請求項2】
前記MAPは、基部、および合成ポリマーから作製された前記基部から伸びる多数の連続する無孔突起を備え、ここで、少なくとも1つの突起は、ワクチンで乾燥コーティングされた端部セクションへ移行する未コーティングの支持セクションを備える、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記突起は、長さが約200~300μm、前記基部における幅が約100~約120μmであり、かつ前記突起の密度は約1000~約5000突起/cm
2であり、かつ前記MAPの重量は0.1~0.6gである、請求項1または請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記MAPは、合成ポリマーから作製される、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記合成ポリマーは液晶ポリマーである、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記ヒトへ前記組成物を投与することで、前記ヒトの抗原源への曝露に因り生じる感染に対する防御免疫を提供する、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記ヒトは49~64歳である、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記ヒトは少なくとも65歳である、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記投与量は、0.5μg、1μg、2μg、2.5μg、3μg、4μg、5μg、6μg、7μg、8μg、10μg、15μg、20μg、25μg、および30μgの投与量から成る群から少なくとも1つ選ばれる投与量である、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記投与量は、2.5μg、5μg、10μg、および15μgの投与量から成る群から少なくとも1つ選ばれる投与量である、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記ワクチン投与量は、1つ以上のインフルエンザ抗原を含む、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記インフルエンザ抗原は、赤血球凝集素インフルエンザ抗原である、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記インフルエンザ抗原は、インフルエンザA抗原である、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記インフルエンザ抗原は、インフルエンザB抗原である、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記インフルエンザ抗原は、インフルエンザC抗原である、請求項12に記載の方法。
【請求項16】
前記ワクチン投与量を、前記ヒトへ少なくとも1回後続して投与する工程をさらに含む、請求項1~15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
微小突起アレイパッチ(MAP)上に乾燥コーティングされかつヒト集団においてヒトの皮膚に挿入されるワクチン投与量を、前記ヒト集団へ投与する工程を含む、前記ヒト集団における免疫応答を刺激する方法であって、
ここで、前記ワクチンの投与から少なくとも8日後に測定される、前記ヒト集団における血清変換率が少なくとも85%である、方法。
【請求項18】
微小突起アレイパッチ(MAP)上に乾燥コーティングされかつヒト集団においてヒトの皮膚に挿入されるワクチン投与量を、前記ヒト集団へ投与する工程を含む、前記ヒト集団における免疫応答を刺激する方法であって、
ここで、前記ワクチンの投与から少なくとも8日後に測定される、前記ヒト集団における血清変換率が少なくとも95%である、方法。
【請求項19】
前記ワクチン投与量は、1つ以上のインフルエンザ抗原を含む、請求項17または請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記インフルエンザ抗原は、赤血球凝集素インフルエンザ抗原である、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記インフルエンザ抗原は、インフルエンザA抗原である、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記インフルエンザ抗原は、インフルエンザB抗原である、請求項20に記載の方法。
【請求項23】
前記インフルエンザ抗原は、インフルエンザC抗原である、請求項20に記載の方法。
【請求項24】
前記投与量は、2.5~15μgの赤血球凝集素インフルエンザ抗原を含む、請求項20に記載の方法。
【請求項25】
微小突起アレイパッチ(MAP)上に乾燥コーティングされかつヒト集団においてヒトの皮膚に挿入されるワクチン投与量を、前記ヒト集団へ投与する工程を含む、前記ヒト集団における免疫応答を刺激する方法であって、
ここで、前記ワクチンの投与から少なくとも8日後に測定される、前記ヒト集団における幾何平均抗体価(GMT)が、同投与量のワクチンの筋肉内注射のGMTと比較して少なくとも6倍大きい、方法。
【請求項26】
前記ワクチンの投与から少なくとも8日後に測定される、前記ヒト集団におけるGMTが、同投与量のワクチンの筋肉内注射のGMTと比較して、約6~約10倍大きい、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
微小突起アレイパッチ(MAP)上にコーティングされたワクチン投与量を含む、ヒトにおける免疫応答を刺激するための装置。
【請求項28】
前記MAPは、基部、および合成ポリマーから作製される前記基部から伸びる多数の連続する無孔突起を備え、少なくとも1つの突起は、ワクチンで乾燥コーティングされた端部セクションへ移行する未コーティングの支持セクションを備える、請求項27に記載の装置。
【請求項29】
前記突起は、長さが約200~300μm、前記基部における幅が約100~約120μmであり、かつ前記突起の密度は約1000~約5000突起/cm
2であり、かつ前記MAPの重量は0.1~0.6gである、請求項27または請求項28に記載の装置。
【請求項30】
前記MAPは、合成ポリマーから作製される、請求項29に記載の装置。
【請求項31】
前記合成ポリマーは液晶ポリマーである、請求項30に記載の装置。
【請求項32】
前記ヒトへ前記組成物を投与することで、前記ヒトの抗原源への曝露に因り生じる感染に対する防御免疫を提供する、請求項27~31のいずれか一項に記載の装置。
【請求項33】
前記ヒトは49~64歳である、請求項27~32のいずれか一項に記載の装置。
【請求項34】
前記ヒトは少なくとも65歳である、請求項27~32のいずれか一項に記載の装置。
【請求項35】
前記投与量は、0.5μg、1μg、2μg、2.5μg、3μg、4μg、5μg、6μg、7μg、8μg、10μg、15μg、20μg、25μg、および30μgの投与量から成る群から少なくとも1つ選ばれる投与量である、請求項27~34のいずれか一項に記載の装置。
【請求項36】
前記投与量は、2.5μg、5μg、10μg、および15μgの投与量から成る群から少なくとも1つ選ばれる投与量である、請求項35に記載の装置。
【請求項37】
前記ワクチン投与量は、1つ以上のインフルエンザ抗原を含む、請求項27~36のいずれか一項に記載の装置。
【請求項38】
前記インフルエンザ抗原は、赤血球凝集素インフルエンザ抗原である、請求項37に記載の装置。
【請求項39】
前記インフルエンザ抗原は、インフルエンザA抗原である、請求項38に記載の装置。
【請求項40】
前記インフルエンザ抗原は、インフルエンザB抗原である、請求項38に記載の装置。
【請求項41】
前記インフルエンザ抗原は、インフルエンザC抗原である、請求項38に記載の装置。
【請求項42】
ヒト集団においてヒトの皮膚に挿入するよう構成される微小突起アレイパッチ(MAP)上に乾燥コーティングされたワクチン投与量を含む、前記ヒト集団における免疫応答を刺激するための装置であって、
前記ワクチンの投与から少なくとも8日後に測定される、前記ヒト集団における血清変換率が、少なくとも85%である、装置。
【請求項43】
ヒト集団においてヒトの皮膚に挿入するよう構成される微小突起アレイパッチ(MAP)上に乾燥コーティングされたワクチン投与量を含む、前記ヒト集団における免疫応答を刺激するための装置であって、
前記ワクチンの投与から少なくとも8日後に測定される、前記ヒト集団における血清変換率が、少なくとも95%である、装置。
【請求項44】
前記ワクチン投与量は、1つ以上のインフルエンザ抗原を含む、請求項42または43に記載の装置。
【請求項45】
前記インフルエンザ抗原は、赤血球凝集素インフルエンザ抗原である、請求項44に記載の装置。
【請求項46】
前記インフルエンザ抗原は、インフルエンザA抗原である、請求項45に記載の装置。
【請求項47】
前記インフルエンザ抗原は、インフルエンザB抗原である、請求項45に記載の装置。
【請求項48】
前記インフルエンザ抗原は、インフルエンザC抗原である、請求項45に記載の装置。
【請求項49】
前記投与量は、2.5~15μgの赤血球凝集素インフルエンザ抗原を含む、請求項45に記載の装置。
【請求項50】
ヒト集団においてヒトの皮膚に挿入するよう構成される微小突起アレイパッチ(MAP)上に乾燥コーティングされたワクチン投与量を含む、前記ヒト集団において免疫応答を刺激するための装置であって、
ここで、前記ワクチンの投与から少なくとも8日後に測定される、前記ヒト集団におけるGMTが、同投与量のワクチンの筋肉内注射のGMTと比較して、少なくとも6倍大きい、装置。
【請求項51】
前記ワクチンの投与から少なくとも8日後に測定される、前記ヒト集団におけるGMTが、同投与量のワクチンの筋肉内注射のGMTと比較して、約6~約10倍大きい、請求項25に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
〔背景技術〕
本発明は、ワクチンの送達のための微小突起アレイパッチ(MAP)、特に、同等または優れた免疫原性を提供しながらも、送達されるワクチン投与量が筋肉内注射によって送達されるワクチン投与量より少量(投与量節約型)である、患者へのワクチンの送達のためのポリマー高密度微小突起アレイパッチ(HD-MAP)の利用に関する。
【0002】
〔先行技術〕
本明細書中の先行公開(またはそれに由来する情報)、または既知の事項への言及は、先行公開(またはそれに由来する情報)または既知の事項が本明細書の関連する試みの分野における一般常識の一部を形成している、ということの承認、是認または何らかの示唆としてみなされない、かつみなされるべきではない。
【0003】
多くのワクチン接種は、今なお1853年に発明された針および注射器を使用して、筋肉内に注射されている。特に、資源の不足した国において、低減された投与量の、安価で、耐熱性があり、自己投与可能で、かつ無痛のワクチン接種を利用可能にするために、より効率的なワクチンの送達方法が必要とされている。例えばワクチンで乾燥コーティングされたシリコン微小突起皮膚パッチ(Fernandoら 2018)のような、ワクチンおよび薬を皮膚に送達するために使われるパッチが開発されている。皮膚は、抗原提示細胞が高濃度に存在するため、ワクチンを送達するのに理想的な部位である(Fernando 2010)。シリコンパッチを用いて行われた研究では、従来の針および注射器を用いた筋肉内ワクチン接種で得られる免疫応答と類似の免疫応答が、1回の投与量15μgで生じることが観察された。
【0004】
様々な微小突起・微小針アレイおよびそれらのアレイを介してワクチンを投与するための方法がある。新規のワクチン送達技術を開発する際の考慮事項の一つが、ワクチン接種に必要な数百万の投与量を、世界的に製造する能力である。費用は考慮事項であり、かつアレイ投与は針および注射器による投与の費用より安価、または同等でなければならない。溶解針マイクロアレイが研究されているが(Rouphael 2017、Hirobe 2015)、これら溶解針パッチは、必要な量で、かつ針および注射器と同等な費用で、無菌条件下での大量生産が可能であるかは疑わしい。溶解微小針の別の欠点は、各臨床ワクチン接種が、皮膚内で溶解するまで、針の設計に依存して、最低限20分間~6時間かかることである。このような長い滞留時間は多量のワクチン接種を大幅に遅らせるであろう。対照的に、連続する不活化合成ポリマーを用いて作製されたパッチは、安価で大量生産することが可能である。ワクチンは、適用後、2分間以内に皮膚内で急速に溶解するワクチンの薄層を用いて、ポリマー上に乾燥コーティングされる。微小突起アレイ上に直接ワクチンをコーティングするための自動コーティング法が開発され、ワクチンコーティングパッチの大量生産が達成されている。
【0005】
高密度微小突起アレイを用いて皮膚に存在するAPCにワクチンを送達する場合、マウスのような、いくつかの前臨床モデルにおいて、従来の針および注射器を用いた筋肉内注射と比較して、免疫原性の増強および投与量の低減が観察されている。ワクチン乾燥コーティング微小突起アレイ皮膚パッチを用いたヒトにおける投与量の低減は、実証されていない。中空微小針アレイを通して、液体のインフルエンザワクチンを皮膚へ送達することで、筋肉内注射と比較して最大5倍の投与量の低減がヒトにおいて達成され得ることが、研究で示されている(Van Damme Vaccine 2009 27 p454)。投与量の低減は、高い需要により抗原供給が制限されるパンデミック下のような状況において、より多くのワクチン投与量を入手可能にするであろう。さらに、必要な抗原投与量を低減することができれば、抗子宮頸癌ワクチンのような高価なワクチンを、資源の乏しい国々にとってより手頃な価格とすることが可能である。
【0006】
ワクチンが安定しており、かつ針および注射器と同じ有効性を有する低減された投与量を投与することが可能な、ワクチン接種の装置および方法が必要とされている。さらに、再形成を回避し、かつ免疫原性の発現を増加させるGMP条件下で、低コストで大量生産できるワクチン接種のための装置が必要とされている。投与量節約および非常に手頃な費用でのMAPの大量生産の容易性に加え、MAPはさらなる利点を有する。ワクチン乾燥コーティングMAPは、一般的に、針および注射器を用いた注射に必要な液体ワクチンよりも耐熱性が高い。
【0007】
〔発明の概要〕
一広範な形態では、本発明の態様は、微小突起アレイパッチ(MAP)上にコーティングされたワクチン投与量をヒトに投与する工程を含む、ヒトにおける免疫応答を刺激する方法の提供に努める。
【0008】
一実施形態では、MAPは、基部、および合成ポリマーから作製された基部から伸びる多数の連続する無孔突起を備え、ここで、少なくとも1つの突起は、ワクチンで乾燥コーティングされた端部セクションへ移行する未コーティングの支持セクションを備える。
【0009】
一実施形態では、突起の長さが約200~300μm、基部における幅が約100~約120μmであり、かつ突起の密度は約1000~約5000突起/cm2であり、かつMAPの重量は0.1~0.6gである。
【0010】
一実施形態では、MAPは合成ポリマーから作製される。
【0011】
一実施形態では、合成ポリマーは液晶ポリマーである。
【0012】
一実施形態では、ヒトへ組成物を投与することで、ヒトの抗原源への曝露に因り生じる感染に対する防御免疫を提供する。
【0013】
一実施形態では、ヒトは49~64歳である。
【0014】
一実施形態では、ヒトは少なくとも65歳である。
【0015】
一実施形態では、投与量は、0.5μg、1μg、2μg、2.5μg、3μg、4μg、5μg、6μg、7μg、8μg、10μg、15μg、20μg、25μg、および30μgの投与量から成る群から少なくとも1つ選ばれる投与量である。
【0016】
一実施形態では、投与量は、2.5μg、5μg、10μg、および15μgの投与量から成る群から少なくとも1つ選ばれる投与量である。
【0017】
一実施形態では、ワクチン投与量は、1つ以上のインフルエンザ抗原を含む。
【0018】
一実施形態では、インフルエンザ抗原は、赤血球凝集素インフルエンザ抗原である。
【0019】
一実施形態では、インフルエンザ抗原は、インフルエンザA抗原である。
【0020】
一実施形態では、インフルエンザ抗原は、インフルエンザB抗原である。
【0021】
一実施形態では、インフルエンザ抗原は、インフルエンザC抗原である。
【0022】
一実施形態では、ワクチン投与量を、ヒトへ少なくとも1回後続して投与する工程をさらに含む。
【0023】
一広範な形態では、本発明の態様は、微小突起アレイパッチ(MAP)上に乾燥コーティングされかつヒト集団においてヒトの皮膚に挿入されるワクチン投与量を、ヒト集団へ投与する工程を含む、ヒト集団における免疫応答を刺激する方法を提供するよう努めるのであって、
ここで、ワクチンの投与から少なくとも8日後に測定される、ヒト集団における血清変換率が、少なくとも85%である。
【0024】
一広範な形態では、本発明の態様は、微小突起アレイパッチ(MAP)上に乾燥コーティングされかつヒト集団においてヒトの皮膚に挿入されるワクチン投与量を、ヒト集団へ投与する工程を含む、ヒト集団における免疫応答を刺激する方法を提供するよう努めるのであって、
ここで、ワクチンの投与から少なくとも8日後に測定される、ヒト集団における血清変換率が少なくとも95%である。
【0025】
一実施形態では、ワクチン投与量は、1つ以上のインフルエンザ抗原を含む。
【0026】
一実施形態では、インフルエンザ抗原は、赤血球凝集素インフルエンザ抗原である。
【0027】
一実施形態では、インフルエンザ抗原は、インフルエンザA抗原である。
【0028】
一実施形態では、インフルエンザ抗原は、インフルエンザB抗原である。
【0029】
一実施形態では、インフルエンザ抗原は、インフルエンザC抗原である。
【0030】
一実施形態では、投与量は2.5~15μgの赤血球凝集素インフルエンザ抗原を含む。
【0031】
一広範な形態では、本発明の態様は、微小突起アレイパッチ(MAP)上に乾燥コーティングされかつヒト集団においてヒトの皮膚に挿入されるワクチン投与量を、ヒト集団へ投与する工程を含む、ヒト集団における免疫応答を刺激する方法を提供するよう努めるのであって、
ここで、ワクチンの投与から少なくとも8日後に測定される、ヒト集団における幾何平均抗体価(GMT)が、同投与量のワクチンの筋肉内注射のGMTと比較して少なくとも6倍大きい。
【0032】
一実施形態では、ワクチンの投与から少なくとも8日後に測定される、ヒト集団におけるGMTが、同投与量のワクチンの筋肉内注射のGMTと比較して、約6~約10倍大きい。
【0033】
一広範な形態では、本発明の態様は、微小突起アレイパッチ(MAP)上にコーティングされたワクチン投与量を含む、ヒトにおける免疫応答を刺激するための装置を提供するよう努める。
【0034】
一実施形態では、MAPは、基部、および合成ポリマーから作製される基部から伸びる多数の連続する無孔突起を備え、少なくとも1つの突起は、ワクチンで乾燥コーティングされた端部セクションへ移行する未コーティングの支持セクションを備える。
【0035】
一実施形態では、突起は、長さが約200~300μm、基部における幅が約100~約120μmであり、かつ突起の密度は約1000~約5000突起/cm2であり、かつMAPの重量は0.1~0.6gである。
【0036】
一実施形態では、MAPは、合成ポリマーから作製される。
【0037】
一実施形態では、合成ポリマーは液晶ポリマーである。
【0038】
一実施形態では、ヒトへ組成物を投与することで、ヒトの抗原源への曝露に因り生じる感染に対する防御免疫を提供する。
【0039】
一実施形態では、ヒトは49~64歳である。
【0040】
一実施形態では、ヒトは少なくとも65歳である。
【0041】
一実施形態では、投与量は、0.5μg、1μg、2μg、2.5μg、3μg、4μg、5μg、6μg、7μg、8μg、10μg、15μg、20μg、25μg、および30μgの投与量から成る群から少なくとも1つ選ばれる投与量である。
【0042】
一実施形態では、投与量は、2.5μg、5μg、10μg、および15μgの投与量から成る群から少なくとも1つ選ばれる投与量である。
【0043】
一実施形態では、ワクチン投与量は、1つ以上のインフルエンザ抗原を含む。
【0044】
一実施形態では、インフルエンザ抗原は、赤血球凝集素インフルエンザ抗原である。
【0045】
一実施形態では、インフルエンザ抗原は、インフルエンザA抗原である。
【0046】
一実施形態では、インフルエンザ抗原は、インフルエンザB抗原である。
【0047】
一実施形態では、インフルエンザ抗原は、インフルエンザC抗原である。
【0048】
一広範な形態では、本発明の態様は、ヒト集団においてヒトの皮膚に挿入するよう構成される微小突起アレイパッチ(MAP)上に乾燥コーティングされたワクチン投与量を含む、ヒト集団における免疫応答を刺激するための装置を提供するよう努めるのであって、
ワクチンの投与から少なくとも8日後に測定される、ヒト集団における血清変換率が、少なくとも85%である。
【0049】
一広範な形態では、本発明の態様は、ヒト集団においてヒトの皮膚に挿入するよう構成される微小突起アレイパッチ(MAP)上に乾燥コーティングされたワクチン投与量を含む、ヒト集団における免疫応答を刺激するための装置を提供するよう努めるのであって、
ワクチンの投与から少なくとも8日後に測定される、ヒト集団における血清変換率が、少なくとも95%である。
【0050】
一実施形態では、ワクチン投与量は、1つ以上のインフルエンザ抗原を含む。
【0051】
一実施形態では、インフルエンザ抗原は、赤血球凝集素インフルエンザ抗原である。
【0052】
一実施形態では、インフルエンザ抗原は、インフルエンザA抗原である。
【0053】
一実施形態では、インフルエンザ抗原は、インフルエンザB抗原である。
【0054】
一実施形態では、インフルエンザ抗原は、インフルエンザC抗原である。
【0055】
一実施形態では、投与量は、2.5~15μgの赤血球凝集素インフルエンザ抗原を含む。
【0056】
一広範な形態では、本発明の態様は、ヒト集団においてヒトの皮膚に挿入するよう構成される微小突起アレイパッチ(MAP)上に乾燥コーティングされたワクチン投与量を含む、ヒト集団における免疫応答を刺激するための装置を提供するよう努めるのであって、
ワクチンの投与から少なくとも8日後に測定される、ヒト集団におけるGMTが、同投与量のワクチンの筋肉内注射のGMTと比較して、少なくとも6倍大きい、装置。
【0057】
一実施形態では、ワクチンの投与から少なくとも8日後に測定される、ヒト集団におけるGMTが、同投与量のワクチンの筋肉内注射のGMTと比較して、約6~約10倍大きい。
【0058】
本発明の広範な形態および各特徴は、同時および/または独立して使用でき、別個の広範な形態への言及は、制限することを意図していないことが理解されるだろう。さらに、方法の特徴は、システムまたは装置を用いて実行可能であり、かつシステムまたは装置の特徴は、方法を用いて実行可能であることが理解されるだろう。
【0059】
〔図面の簡単な説明〕
本発明の様々な実施例および実施形態について、以下、添付の図面を参照して説明する。
【0060】
図1Aは、ポリマー微小突起アレイパッチの写真である。
【0061】
図1Bは、インクジェットコーティング法を用いてワクチンでコーティングされたポリマーアレイの微小突起の写真である。
【0062】
図1Cは、微小突起アレイアプリケーターの写真である。
【0063】
図1Dは、アプリケーターを用いた前腕への微小突起アレイの適用の写真である。
【0064】
図2は、ワクチンでコーティングされた微小突起アレイの走査型電子顕微鏡写真である。
【0065】
図3Aおよび3Bは、本実施例に記載される研究AおよびBのための設計のフローチャートである。
【0066】
図4Aは、5μg投与量ワクチンについての、時間に対する赤血球凝集素のμgのプロットである。
【0067】
図4Bは、15μg投与量ワクチンについての、時間に対する赤血球凝集素のμgのプロットである。
【0068】
図5は、いくつかのワクチン製剤に対する赤血球凝集素阻害力価のプロットである。ここで、記号NPは、微小突起アレイ皮内投与であり、かつIMは、筋肉内注射である、
図6は、研究Aにおけるいくつかのワクチン製剤についての、1日目対22日目の赤血球凝集素阻害力価のプロットである。ここで、記号NPは、微小突起アレイ皮内投与であり、かつIMは、筋肉内注射である、
図7は、研究Aでの時間に対する赤血球凝集素阻害力価のプロットである。
【0069】
図8は、研究Aでの22日目のマイクロ中和力価(microneutralization titer)のプロットである。
【0070】
図9は、研究1日目(ワクチン接種前)、4、8、22および61日目におけるパートBおける被験者の赤血球凝集阻止(HAI)力価のプロットである。パートBおける被験者は、以下を用いてワクチン接種された:手掌側前腕(volar forearm)に適用されたHD-MAPにより送達される、15、10、5、または2.5μgHA/投与量のA/Singapore/GP1908/2015 H1N1(MAP-FA-15、MAP-FA-10、MAP-FA-5、MAP-FA-2.5);未コーティングのHD-MAP(MAP-FA-0);上腕(upper arm)に適用されたHD-MAPにより送達される15μgHA/投与量のA/Singapore/GP1908/2015 H1N1(MAP-UA-15);またはAfluria(登録商標)四価ワクチンの構成要素としての筋肉内注射(IM-QIV-15)。記号は幾何平均抗体価(GMT)を表し、エラーバーは95%信頼区間を示す。
【0071】
図10は、以下を用いたワクチン接種後、1日目(ワクチン接種前)および22日目におけるパートBおける被験者のマイクロ中和力価のプロットである:手掌側前腕に適用されたHD-MAPにより送達される、15、10、5、または2.5μgHA/投与量のA/Singapore/GP1908/2015 H1N1(MAP-FA-15、MAP-FA-10、MAP-FA-5、MAP-FA-2.5);未コーティングのHD-MAP(MAP-FA-0);上腕に適用されたHD-MAPにより送達される15μgHA/投与量のA/Singapore/GP1908/2015 H1N1(MAP-UA-15);またはAfluria(登録商標)四価ワクチンの構成要素としての筋肉内注射(IM-QIV-15)。棒グラフはGMTを表し、記号は各被験者の力価を表し、エラーバーは95%信頼区間を示す。
【0072】
図11Aは、中点ELISA力価のプロットであり、
図11Bは、HA特異的FcR結合抗体についての1日目に対する22日目の中点力価の倍数変化のプロットである。二量体の可溶性組換えFcγRIIIに関与するA/Singapore/GP1908/2015一価精製収穫物に対して特異的な抗体を、ELISAによって測定した。記号は1日目前および22日目後の免疫化の個々の応答を表し、水平線は中間反応(media response)を示す(A);エラーバーを有する棒グラフは四分位数間領域を伴う中央値を表す(B)。
【0073】
図12は、唾液試料中のインフルエンザ特異的IgA力価のプロットである。被験者は、以下のいずれかを用いてワクチン接種された:HD-MAPにより手掌側前腕(MAP‐FA‐15)または上腕(MAP‐UA‐15)へ送達される15μgのA/Singapore/GP1908/2015 H1N1、またはAfluria(登録商標)四価ワクチン(IM-QIV-15)の構成要素としての筋肉内注射または未コーティングのHD-MAP(MAP-FA-0)。ワクチン接種前(1日目)、4日目、8日目および22日目の4つの時点で測定した。各時点についての群ごとの吸光度を平均し、1日目と比較した。そして、ワクチン接種前(1日目)と比較した倍数変化をプロット表示した。記号は群ごとの全被験者の平均を表し、エラーバーは95%信頼区間を示す。
【0074】
図13A~13Fは、ワクチン接種前後の記憶細胞(MBC)の頻度のプロットである。HA特異的MBCの頻度を、フローサイトメトリーによって、低温保存したPMBC試料中で評価した。生きたCD19+、IgD-B細胞について試料をゲートし、特異性を、単独での、またはA/New Caledonia/1999もしくは安定化H1N1ステムプローブと組み合わせての、A/Michigan/2015プローブへの結合に基づいて決定した。
図13Aおよび13Bは、A/Michigan/2015 H1N1である;
図13Cおよび13Dは、A/New Caledonia/1999である;
図13Eおよび13FはH1ステムである。結果は、
図13A、13Cおよび13E中、1日目および22日目のプローブ結合細胞の頻度として表され、記号は1日目前および22日目後の免疫化の個々の応答を表し、水平線は中間反応を示す。一方、基準値と比較した22日目の倍数変化が
図13B、13Dおよび13Fに示され、棒グラフは倍数変化の中央値を表し、エラーバーは四分位数間領域を伴う中央値を表す。
【0075】
〔好ましい実施形態の詳細な説明〕
広範な一形態では、本発明の態様はワクチンの送達のための微小突起アレイ、特に、同等または優れた免疫原性を提供しながらも、送達されるワクチン投与量が筋肉内注射によって送達されるワクチン投与量より少ない(投与量節約型)である、患者へのワクチンの送達のためのポリマー高密度微小突起アレイの使用に関する。本発明の装置および方法はまた、ワクチンの耐熱性、使用の容易さ、受容性およびワクチンの再形成の回避を提供する。
【0076】
インフルエンザは、65歳以上の成人において、重大な罹患率および死亡率を引き起こす。該年齢群におけるワクチン接種率、免疫原性および実効性を改善するための戦略が必要とされている。現在、この集団群のIIVは、十分な免疫応答を獲得するために、MF59などの化学的アジュバントまたは多くの投与量の抗原(例えば、1投与量あたり、1株あたり60μgのHA)を必要とする。MAP送達でみられる免疫原性の増強は、HD-MAPがワクチン投与量の増加に対する代替アプローチを提供することを示している。
【0077】
さらに、標準的な製剤と比較して例外的な、MAP上のワクチンの耐熱性は、コールドチェーンへの依存を排除し、コールドチェーンからの逸脱を原因とするワクチンの浪費を低減させる。また、より安定したワクチンは、ワクチンの貯蔵期間に失われる効力を補うために、パッチを過剰に使用する必要性を排除する。本発明の装置および方法の使用は、投与量あたりに必要とされる抗原の量が低減されるので、ワンシーズンまたはパンデミック下において、基本的なワクチン製造施設から生産され得るワクチン投与量の数を増大させ得る。季節性インフルエンザ製品の世界的な受容能力は、TIV製剤からQIV製剤への切り替えにより、2013年から2015年の間に低下し、パンデミックワクチン製品は、投与量節約型戦略の実行に依存している。不活化ポリオウイルスワクチンまたは黄熱ワクチンのように、長期供給の制約や費用によって使用が制限される世界的に健康上重要な多くのワクチンにとって、投与量節約および防御免疫の迅速な開始がまた、貴重な特性となるであろう。これらワクチンは、耐熱性、使用の容易さ、受容性、および再形成の回避などの本発明の他の重要な特性もまた有益であろう低資源環境において、多くの場合必要とされる。
【0078】
本発明の装置および方法は、微小突起アレイパッチ(MAP)を含む。パッチは、幅Wおよび短径Bを有し、突起は間隔によって分離される。突起は正方形または長方形の配列に沿った微小突起の規則的な反復によって画定されるアレイ中に提供され得る。しかし、回転噴霧コーティングに適合する、突起の円形配列のような突起の別の配列もまた使用され得る。ターゲティング精度のさらなる改善または向上のために、基板は、コーティングされる特徴が回転の中心点から放射線上に配置されるか、同心円上または連続螺旋上に配置されるように設計され得る。基板は、各円弧において間隔を有する特徴が所与の半径に対してモーターの工程数(整数)に一致するように設計され得る。各突起は、生物被験者の組織を貫通するための先端を備え、突起は、典型的には、基部から先端まで先細りとなる外形を有する(
図1A~1D)。
【0079】
微小突起アレイは、異なるワクチン抗原または賦形剤のような他の物質が各領域でコーティングされ得るような領域に分割され得る。例えば、微小突起アレイは、異なるワクチン抗原または賦形剤のような他の物質が適用され得る場合、半分または4つの均等区間に分割され得る。これらの領域は、均等な数の微小突起または不均等な数の微小突起を有し得る。別の実施形態では、いくつかの微小突起は未コーティングであり得る。
【0080】
微小突起アレイの突起密度は、1,000~7500/cm2、または1500~7500/cm2、1500~5000/cm2、1500~2500/cm2、2000~7500/cm2、2000~5000/cm2、2000~4000/cm2、2000~3000/cm2、2500~7500/cm2、2500~5000/cm2、2500~4000/cm2、2500~3000/cm2もしくは3000~7500/cm2、または3000~5000/cm2、3000~4000/cm2、4000~7500/cm2、4000~5000/cm2もしくは5000~7500/cm2であり得る。本発明のアプリケーターは、高密度微小突起アレイを皮膚に突出させるためにしばしば利用される。このような高密度アレイは、手動で適用され得る力では皮膚の弾性に打ち勝つのに不十分となるに足るサイズおよび密度の微小突起アレイである。突起は、典型的には10μm~200μm、30μm~150μm、50μm~120μm、より典型的には70μm~100μmで分離され、これによりパッチは、10~1000突起/mm2、より典型的には1000~3000突起/mm2を有する。
【0081】
突起の長さは、100μm~700μm、100μm~600μm、100μm~500μm、100μm~400μm、100μm~300μm、100μm~250μm、100μm~200μm、150μm~700μm、150μm~600μm、150μm~500μm、150μm~400μm、150μm~300μm、150μm~250μm、150μm~200μm、200μm~700μm、200μm~600μm、200μm~500μm、200μm~400μm、200μm~300μm、200μm~250μm、225μm~700μm、225μm~600μm、225μm~500μm、225μm~400μm、225μm~300μm、225μm~250μm、250μm~700μm、250μm~600μm、250μm~500μm、250μm~400μmまたは250μm~300μmであり得る。
【0082】
突起は、1つ以上のステップショルダー(step shoulder)(不連続部)を有し得る。不連続部を備える場合、これは、典型的には、少なくとも1つの不連続部が真皮に達し、突起の貫通が停止し、先端が真皮層内に延在するように配置される。不連続部は、典型的には、先端の端部から50~200μm、50~190μm、50~180μm、50~170μm、50~160μm、50~150μm、50~140μm、50~130μm、50~120μm、50~110μm、50~100μm、50~90μm、50~80μm、60~200μm、60~190μm、60~180μm、60~170μm、60~160μm、60~150μm、60~140μm、60~130μm、60~120μm、60~110μm、60~100μm、60~90μm、60~80μm、70~200μm、70~190μm、70~180μm、70~170μm、70~160μm、70~150μm、70~140μm、70~130μm、70~120μm、70~110μm、70~100μm、70~90μm、70~80μm、80~200μm、80~190μm、80~180μm、80~170μm、80~160μm、80~150μm、80~140μm、80~130μm、80~120μm、80~110μm、80~100μm、80~90μm、90~200μm、90~190μm、90~180μm、90~170μm、90~160μm、90~150μm、90~140μm、90~130μm、90~120μm、90~110μm、90~100μm、100~200μm、100~190μm、100~180μm、100~170μm、100~160μm、100~150μm、100~140μm、100~130μm、100~120μm、100~110μmに配置される。不連続部は、微小突起上の薬物/ワクチン/賦形剤のより大きなローディングを提供し得る。
【0083】
微小突起アレイは、特に限定されないが金属、シリコン、ポリマー、およびプラスチックを含む任意の適切な材料から作製され得る。ポリマーおよびプラスチックは、好ましい材料である。好ましい材料は、液晶ポリマーを含むがこれに限定されない。微小突起アレイのいくつかの実施形態での全体質量は、約0.3gmである。微小突起アレイは、皮膚との機械的な連結を改善し、高速リップリング適用、すなわち「高速/低質量」システムの効果を緩和するために、全体的に弱い凸状のパッチを有し得る。微小突起アレイの質量は、1g未満、または0.9g未満、0.8g未満もしくは0.7g未満、または0.6g未満、0.5g未満もしくは0.6g未満、または0.5g未満、0.4g未満、0.3g未満、0.2g未満、0.1g未満もしくは0.05g未満であり得る。微小突起アレイは、約0.05g~約2g、または約0.05g~約1.5g、約0.05g~約1.0gもしくは約0.05g~約0.9g、または約0.05g~約0.8gもしくは約0.05g~約0.7g、または約0.05~約0.6g、約0.05g~約0.5gもしくは約0.05g~約0.4g、または約0.05~約0.3gもしくは約0.05g~約0.2g、または約0.05g~約0.1g、約0.1g~約1.0gもしくは約0.1g~約0.9g、または約0.1g~約0.8gもしくは約0.1g~約0.7g、または約0.1g~約0.6g、約0.1g~約0.5gもしくは約0.1g~約0.4g、または約0.1g~約0.3gもしくは約0.1g~約0.2gであり得る。アプリケーター/微小突起システムの一実施形態では、アレイの質量は約0.3gであり、アレイは、アプリケーターによって約20~26m/秒の速度で発射される。
【0084】
いくつかの実施形態では、1つ以上のコーティングが同じ突起に適用され得る。例えば、異なるコーティングが、1つ以上の層に適用され得、同時に、もしくは前記層が順に溶解する場合は異なる時間に、被験者内の組織へ送達するための、同じ、もしくは異なる材料が提供される。
【0085】
本発明の装置および方法において使用される抗原の量は、免疫応答を提供するのに必要な量を含む。投与量は、0.1μg、0.5μg、1μg、2μg、2.5μg、3μg、4μg、5μg、6μg、7μg、8μg、9μg、10μg、15μg、20μg、25μg、および30μg投与量であり得る。投与量は、約1μg~約100μg、約1μg~約75μg、約1μg~約50μg、約1μg~約25μg、約1μg~約15μg、約1μg~約10μg、約1μg~約5μg、約2.5μg~約100μg、約2.5μg~約75μg、約2.5μg~約50μg、約2.5μg~約25μg、約2.μg~約15μg、約2.5μg~約10μg、約2.5μg~約5μg、約5μg~約100μg、約5μg~約75μg、約5μg~約50μg、約5μg~約25μg、約5μg~約15μg、約5μg~約10μg、約10μg~約100μg、約10μg~約75μg、約10μg~約50μg、約10μg~約25μg、約10μg~約15μg、約15μg~約100μg、約15μg~約75μg、約15μg~約50μg、約15μg~約25μg、約20μg~約100μg、約20μg~75μg、約20μg~約50μg、約20μg~約25μgの範囲で変動し得る。各投与量は複数の抗原または複数の物質を含み得る。
【0086】
好ましい実施形態において、微小突起アレイの微小突起は、微小突起上で急速に乾燥する小さな液滴を迅速に提供する無菌プリントヘッド型装置によってコーティングされる。好ましい実施形態において、ワクチン製剤のようなコーティングは、微小突起の上部で急速に乾燥し、送達可能なワクチンの量(
図2)を増加させる。無菌プリントヘッド装置は、連続的に、または代替的方法のいずれかで、複数の液滴を微小突起に送達し得る。
【0087】
本発明の装置および方法は、より少ない投与量のワクチンを使用する場合、従来の針および注射器を使用した筋肉内注射と比較して、皮膚へのMAPワクチン送達を用いて、同等または優れた抗体力価を提供する。したがって、本発明の装置および方法は、従来の針および注射器を使用した筋肉内注射と比較して、皮膚へのMAPワクチン送達を用いて、投与量を複数倍低減する。本発明の装置および方法は、筋肉内注射と比較して、ワクチン量を、1.1倍~100倍、1.1倍~50倍、1.1倍~25倍、1.1倍~20倍、1.1~15倍、1.1~10倍、1.1~5倍、1.5倍~100倍、1.5倍~50倍、1.5倍~25倍、1.5倍~20倍、1.5~15倍、1.5~10倍、1.5~5倍、2倍~100倍、2倍~50倍、2倍~25倍、2倍~20倍、2~15倍、2~10倍、2倍~5倍、3倍~100倍、3倍~50倍、3倍~25倍、3倍~20倍、3~15倍、3~10倍、3~5倍、4倍~100倍、4倍~50倍、4倍~25倍、4倍~20倍、4~15倍、4~10倍、4~5倍、5倍~100倍、5倍~50倍、5倍~25倍、5倍~20倍、5~15倍、または5倍~10倍低減する。
【0088】
針および注射器に対するMAPワクチン送達の他の利点は、ワクチンがMAP上に乾燥コーティングされているため、ワクチンがさらなる耐熱性を有し、また危険な廃棄物を残さないことである。インフルエンザワクチンは、HD-MAP上に最高40℃で乾燥コーティングで保存された場合、少なくとも12ヶ月間安定した。これは、コールドチェーンを維持することが困難な資源の乏しい国において特に有用である。別の利点は、MAP微小突起が肉眼では見えず、したがって針を恐れている人および子供にワクチン接種をする場合に、極めて貴重であるということである。HD‐MAPにおけるより高密度な微小突起は、ワクチン接種中の皮膚においてより高度な危険シグナルを誘導し、身体的アジュバンテーション(adjuvantation)を導き免疫原性を増強し得る。
【0089】
本発明の装置および方法は、同時点に測定される従来の針および注射器での筋肉内注射と比較して、皮膚へのMAPワクチン送達を使用して、より高値の幾何平均抗体価(GMTs)を提供する。本発明の装置および方法は、筋肉内注射と比較して、GMTを2倍~500倍、2倍~100倍、2倍~50倍、2倍~25倍、2倍~20倍、2~15倍、2~10倍、2~5倍、5倍~500倍、5倍~100倍、5倍~50倍、5倍~25倍、5倍~20倍、5~15倍、5~10倍、10倍~500倍、10倍~100倍、10倍~50倍、10倍~25倍、10倍~20倍、10~15倍、20倍~500倍、20倍~100倍、20倍~50倍、20倍~25倍、50~500倍、または50倍~100倍増加させる。
【0090】
ワクチン接種後の抗体の検出は、従来の針および注射器を使用した筋肉内注射と比較して、皮膚へのMAPワクチン送達を利用する場合により急速に生じる。
【0091】
本発明の装置および方法は、感染性因子(例えばインフルエンザ)に対して比較的低投与量の抗原を用いる集団において、防御免疫応答を提供する。
【0092】
血清反応性とは、HAI抗体力価が少なくとも4倍に増加し、ワクチン接種後の最低力価が40であることを意味する。血清保護とは、ワクチン接種前の抗体価が40未満の被験者のうち、ワクチン接種後の最低HAI力価が40に達することを意味する。抗HA抗体反応の血清変換率は、保護ワクチン接種後の力価が1:40以上である各群中の被験者の割合と定義される。血清保護率は、HAI力価が、ワクチン接種前に1:10未満、かつワクチン接種後に1:40以上である被験者の百分率である。しかしながら、最初の力価が1:10以上であれば、ワクチン接種後の抗体量が、少なくとも4倍増加している必要がある。
【0093】
本発明の別の態様において、本発明の組成物の投与により生じる免疫応答は、方法に依存する投与量をもって大多数の高齢レシピエントの機能的(HAI)抗体を誘導する、本明細書中に請求される組成物、方法、または使用が提供される。特定の実施形態では、組成物は、7日後、14日後、または28日後に、力価が約50を超える中和抗体反応を誘導する。他の実施形態では、組成物は、7日後、14日後、または28日後に、力価が約100を超える中和抗体反応を誘導する。他の実施形態では、組成物は、7日後、14日後、または28日後に、力価が約150を超える中和抗体反応を誘導する。別の実施形態では、組成物は、7日後、14日後、または28日後に、約200を超える中和抗体反応を誘導する。
【0094】
従って、本発明の一態様において、集団における組成物の投与により生じる免疫応答が、以下の基準の1つを満たす、または超える、本明細書中に請求される組成物、方法、または使用が提供される。
【0095】
-50%、55%、60%、65%、70%、75%、85%、90%、95%、または99%を超える血清変換率。
【0096】
-50%、55%、60%、65%、70%、75%、85%、90%、95%、または99%を超える血清保護率。
【0097】
-ワクチン接種後の中和抗体価において、2倍、3倍、4倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、10倍、またはそれ以上の増加平均。
【0098】
ヒトに投与されるワクチン組成物の量に言及する場合の「有効量」とは、被験者へ投与される場合に治療有効性に十分な量である、組成物の量または投与量を指す(例えば、被験者における免疫応答を刺激するのに十分な量、被験者における防御免疫を提供するのに十分な量)。
【0099】
ワクチン組成物は、単独で、またはワクチン組成物に対して有害に反応しない従来の賦形剤(例えば、薬学的または生理学的に許容可能な有機または無機の担体物質)との混合物として投与され得る。ワクチン組成物中で、ワクチン組成物を安定化する物質が使用され得る。従来のワクチンは免疫応答を増強するためのアジュバントを含み得る一方で、本発明の製剤は、好ましくはアジュバントなしで使用される。
【0100】
被験者に投与される投与量および頻度(単回または複数回投与量)は、例えば、抗原への曝露の結果として生じる感染への曝露以前に、例えば、被験者の健康、体重、体格指数および食事、または健康関連問題を含む種々の因子に依存して変化し得る。他の治療計画または薬剤が、本発明の方法および組成物、蛋白質またはポリペプチドと共に使用され得る。
【0101】
組成物は、単回投与量または複数回投与量(例えば、少なくとも2回投与量)でヒトに投与され得る。被験者に複数回投与量が投与される場合、2回目または3回目の投与量は初回投与の数日(例えば、1、2、3、4、5、6、7)、数週(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10)、数月(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10)または数年(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10)後に投与され得る。例えば、組成物の2回目の投与量は、融合タンパク質を含む組成物の1回目の投与量の投与後、約7日、約14日または約28日目に投与され得る。
【0102】
本明細書中では、範囲はおよそ1つの特定の値から、および/またはおよそ別の特定の値まで、として表され得る。そのような範囲が表される場合、別の態様は1つの特定の値から、および/または他の特定の値まで、を含む。同様に、先行詞「約」を使用することによって値が概数として示される場合、特定の値が別の態様を形成することが理解されるであろう。さらに、各範囲の終点は、他方の終点と関連して重要でもあり、および他方の終点とは独立して重要でもあることが理解されるであろう。
【0103】
〔実施例〕
[実施例1]
=被験者および研究デザイン=
少なくとも30%が男性であり、少なくとも30%が女性である、計210人の健康な被験者(年齢18~50歳、BMI18~30kg/m
2)が、研究のために採用された。パートA:健康な被験者60人(15人の群4つ);パートB:健康な被験者150人(20人の群7つに加え、皮膚パンチ生検を実施された5人の群2つ)。研究デザインを
図3Aおよび3Bに示す。これらの群に加えて、さらに10人の被験者を採用し、本研究のパートBにおいてワクチン接種部位の生検を実施した。
【0104】
以下に記載する実施例は2部構成で行われた。本研究は、Nucleus Network Pty Ltd(Melbourne、VIC)で実施された、2部構成の、無作為化された、部分的二重盲検式の、プラセボ対照試験であった。主な目的は、HD―MAPによって送達されるA/Singapore/GP1908/2015 H1N1(A/Sing)一価ワクチンの安全性および耐用性を、未コーティングHD-MAPおよびA/Sing HAタンパク質とおおよそ同じ投与量を送達する四価季節性インフルエンザワクチン(QIV)の筋肉内注射と比較して、測定することであった。探索的転帰は、標準的な1株あたり15μgのHA/投与量でA/Singを筋肉内注射した場合と比較して、4つの投与量レベルのA/Singを用いた前腕へのHD-MAPの適用に対する免疫応答を評価することであり、かつ追加試験およびHD-MAP適用部位のパンチ生検を介した局所的皮膚反応の検定および評価を通して免疫応答のさらなる尺度を評価することである。
【0105】
いずれの実験においても、被験者は1回ワクチン接種され、分析のために、接種前(1日目)および接種後(4、8、22、および61日目))に彼らの血液を採取した。第1のパート(A)は、各々が以下のいずれか1つを用いてワクチン接種された、15人の被験者の群4つからなる:1)手掌側前腕に適用される抗原無しのMAP対照(A-MAP-FA-0);2)前腕に適用されるMAP A/Singapore/GP1908/2015[H1N1]、15μg血球凝集素[HA]/投与量(A-MAP-FA-15);3)三角筋中に筋肉内(IM)注射される15μgのA/Singapore/GP1908/2015 H1N1 HA抗原(A-IM-ASing15);4)三角筋中に筋肉内(IM)注射される、15μgのA/Singapore/GP1908/2015 H1N1 HA抗原に加えてインフルエンザ抗原を3株含むAfluria(登録商標)四価2017/18(Seqirus(商標)、USA)(A-IM-QIV-15)。実験の第1のパートでは、1、22日目の抗体反応を、ELISAおよび赤血球凝集阻止アッセイ(HAI)によって測定した。
【0106】
パート(A)の研究結果の評価後に、実験の第2のパート(B)を実施した。研究の第2のパート試験は、20人ごとの被験者の群7つからなる。5つの群は、前腕に漸減の投与量(15、10、5、2.5および0μgHA)が適用されたMAPを用いて、A/Singapore/GP1908/2015(H1N1)がワクチン接種された(それぞれ、MAP-FA-15、MAP-FA-10、MAP-FA-5、MAP-FA-2.5、およびMAPFA-0)。さらなる一群は、MAPを使用して三角筋を覆う上腕に、15μgのHAをワクチン接種された(MAP-UA-15)。最終群は、三角筋中に筋肉内(IM)注射される、15μgのA/Singapore/GP1908/2015 H1N1 HA抗原を含むAfluria(登録商標) Quad 2018(Seqirus(商標)、オーストラリア)をワクチン接種された(IM-QIV-15)。1日目(ワクチン接種前)、ワクチン接種後4、8、22、および61日目の抗体反応を、赤血球凝集阻止アッセイ(HAI)およびウイルスマイクロ中和アッセイ(VMN)(1日目および22日目のみ)を使用して測定した。また、ワクチン接種後1、4、8、22日目に唾液を採取した。唾液試料はELISAを使用して分析し、インフルエンザ抗原特異的分泌型IgAを決定した。
【0107】
略語:A/Sing=分裂不活化A/Singapore/GP1908/2015(H1N1)ウイルスの赤血球凝集素。IM 15ug 四価=三角筋中に筋肉内(IM)注射される、15μgのA/Sing HA抗原を含むAfluria(登録商標)四価 2018(Seqirus(商標)、Australia)ワクチン。SD=標準偏差;N=北、E=東、S=南、W=西。
【0108】
[実施例2]
=微小突起アレイパッチ(MAP)=
本研究で使用されるMAPは、5,000/cm
2の密度で、約3136個の微小突起を含む10×10mmの正方形である。各微小突起は、長さが約250μm、基部における幅が120μmであり、25μm未満の鋭部まで先細りになっている(
図2)。各突起の先端上に個々の液滴を堆積させる「Direct-jet」プロセス164(Vaxxas Pty Ltd, Australia)を使用して、ガンマ線を照射した(25kGy以上、Steritech, Australia)HD-MAPの163個の先端にワクチンを無菌的に適用した。
【0109】
HD-MAPは、A/Sing 2.5μgおよび5.0μgの2つの異なる投与量(2.5μgおよび5μgHD-MAPsと称される)、ならびに未コーティング(プラセボ)HD-MAPを送達するために製造された。コーティング後、HD-MAPをアルミニウム製MediCan容器(Amcor, UK)に入れ、ホイルで密閉し、使用するまで乾燥剤と共に2~8℃で保存した。抗原コーティングHD-MAPは製造後6ヶ月以内に使用した。
【0110】
20m/秒±2m/秒の速度でパッチを放出する携帯ばね装置アプリケーターを用いて、MAPを皮膚に適用した。微小突起は、平均125μm前後の深さまで表皮および真皮を貫通した。
【0111】
合成ポリマーMAPを射出成形によって作製した。ポリマー材料は、微小突起を形成するポリマーの能力、効果的な皮膚貫通を可能にするポリマーの硬度、適切なポリマー延性、ガンマ線照射滅菌との材料適合性、皮膚組織と接触する場合の合成ポリマーの生体適合性に基づいて選択された。
【0112】
[実施例3]
=ワクチン=
cGMP不活性分裂インフルエンザA/Singapore/GP1908/2015(H1N1)、(IVR-180A)ウイルスワクチンは、Seqirus Pty Ltd, Australia(一価のプールされた収穫物(Monovalent Pooled Harvest)(MPH))から入手した。赤血球凝集素(HA)抗原が、MAPコーティングおよびその後の保管中に効能を確実に保持するために、安定化賦形剤スルホブチルエーテルβシクロデキストリン(SBECD、Captisol(登録商標),Cydex Pharmaceuticals, Kansas, USA)を、MAPと共に使用されるワクチン溶液に加えた。4.8mg/mlのHAを少量の40%w/v SBECD溶液(洗浄用水中、Baxter)と混合して、A/Singapore(コーティング溶液)を含む2%w/v SBECD溶液にした。一価A/Singaporeの筋肉内注射のために、抗原製剤をpH試験済の無菌食塩水で希釈した。四価ワクチンの筋肉内注射のために、市販のワクチンを使用した。研究の第1のパートでは、Seqirus(商標), USAからのAfluria(登録商標)四価インフルエンザワクチン2017-2018(Northern Hemisphere)を使用した。パートBのために、Afluria(登録商標)四価ワクチン2018(Southern Hemisphere球)を使用した。Afluria(登録商標)四価 Northern Hemisphere 2017/18ワクチンは、以下の各分裂不活化ウイルス型のHAを、名目上15μg含んでいた:A/Singapore/GP1908/2015(H1N1)、IVR-180A;A/Hong Kong/4801/2014(H3N2)、NYMC X-263B;B/Phuket/3073/2013 BVR-1B;およびB/Brisbane/46/2015。Afluria(登録商標)四価Southern Hemisphere2018ワクチンは、以下の各ウイルス型のHAを、名目上15μg含んでいた:A/Michigan/45/2015(H1N1)pdm09様ウイルス(A/Singapore/GP1908/2015(IVR-180A));A/Singapore/INFIMH-16-0019/2016(H3N2)様ウイルス(A/Singapore/INFIMH-16-0019/2016(IVR-186));B/Phuket/3073/2013様ウイルス(B/Phuket/3073/2013(BVR-1B));およびB/Brisbane/60/2008様ウイルス(B/Brisbane/46/2015)。
【0113】
A/Sing MAPを生産するために、滅菌A/Singapore抗原をフィルター滅菌SBECD溶液に添加し、直接ジェットコーティング法によってMAP微小突起の先端上にコーティングした。A/Singapore抗原は、リン酸緩衝生理食塩水中の粒子の懸濁液として受容される。したがってMAP上の抗原の最終固形調合物は、HAタンパク質、他のタンパク質(A/シンガポールバルク由来)、SBECDおよび緩衝塩から成る。その後、コーティングMAPを直ちに製品パック中にホイルで密閉し、無菌室から取り出し、2~8℃で保存した。製品の製造および試験を単純化するために、必要な投与量を送達するために3つのパッチを適用した。15μgの群の被験者は3×5μgのパッチを受け、10μgの群の被験者は2×5μgおよび1×プラセボパッチを受け、5μgの群の被験者は1×5μgおよび2×プラセボパッチを受け、2.5μgの群の被験者は1×2.5μgおよび2×プラセボパッチを受け、0μgの群の被験者は3×プラセボパッチを受けた。適用の順番は、無作為化され、盲検式であった。
【0114】
MAPアプリケーター装置(CAPD)は、MAPを確実かつ再現性をもって皮膚に適用するように設計された、携帯式ばね動力装置であった。MAPアプリケーターは、バネによって生じる機械的な力を利用して、微小突起の密なアレイが皮膚を裂くために十分に、短距離(5mm未満)で20m/秒の高速度までMAPを加速させる。CAPDは、MAPを取り付け、配置し、保持するために磁石を使用する。CAPDは使い捨て装置であり、皮膚コンディショニング環(skin conditioning ring)と共に使用される。皮膚コンディショニング環は、MAP投与領域周辺の皮膚に接する。皮膚環を作動させるためには、約30ニュートンの下向きの力が必要であり、その結果、MAP投与のための皮膚のプレコンディショニングが生じる。
【0115】
MAP上に乾燥コーティングされたA/Singapore/GP1908/2015 HA抗原は安定であることが示された(酵素結合免疫検定法によって測定され、MAP上にコーティングした後、最高40℃の温度で12ヶ月間)(参照)(
図Y)。プラセボMAP(MAP-プラセボ/FA群)はガンマ線滅菌(25kGy以上、Steritech, Australia)した。全てのMAPをアルミニウムMediCan容器(Amcor, UK)に入れ、ホイルで密閉し、使用までの間2~8℃で保存した(
図4)。
【0116】
[実施例4]
=免疫原性の評価=
血清試料を1日目(接種前)、4、8、22、および61日目に採取し、1日目と22日目について、赤血球凝集阻止(HAI)およびウイルスマイクロ中和(VMN)アッセイで試験した。HAIアッセイは以前に記載されているとおりに実施した(Fernando et al 2018)。簡単に述べると、HAIのための血清試料を受容体破壊酵素(Denka Seiken Co Ltd, Japan)で処理し、洗浄し充填された七面鳥の赤血球細胞(TRBC)に、室温(RT)で30分間吸着させた。試験前に、TRBCをPBS中で1%v/vに希釈した。1:10から開始する2倍の血清希釈液を調製し、4HAユニット/25μLのA/Singapore/GP1908/2015ウイルス(WHO Collaborating Centre, Australia)を各試験用ウェルに添加し、室温(RT)で45分間インキュベートした。TRBCを添加し、室温でさらに30分間培養した。HAI力価は、ウイルスによるTRBCの凝集を完全に阻害した血清の最高希釈率の逆数とした。
【0117】
VMNアッセイは、以前に記載されているとおりに実施した(Fernando et al 2018)。簡単に述べると、血清試料を、56℃で30分間加熱し不活性化した。1:100から開始する2倍の血清希釈液を調製し、100 TCID50のA/Singapore/GP1908/2015ウイルス(WHO Collaborating Centre, Australia)を各試験用ウェルに添加した。A/Singapore/GP1908/2015ウイルスによるMDCK細胞の感染予防を、インフルエンザ核タンパクのELISA検出を使用して試験した。
【0118】
抗体依存性細胞傷害性(ADCC)を媒介可能な抗体を、可溶性組換えFcγRIIIA受容体二量体と架橋する、固定化A/Sing MPH特異的抗体の能力を検出するELISAを用いて分析した(22)。MAP-FA-0群、MAP-FA-15群、MAP-UA-15群およびIM-QIV-15群の被験者から1日目および22日目に採取した血清試料を試験した。簡単に述べると、96ウェルのNunc Maxisorp プレート(Thermofisher Scientific, USA)を、4℃で16時間、PBS中の50ngのA/Singapore/GP1908/2015 HAでコーティングし、PBS+0.05% Tween20(PBST)で洗浄し、SuperBlock(Thermofisher Scientific)でブロックした後、2連の連続希釈血清試料(1:20~1:43,740)を添加した。プレートを37℃で1時間インキュベートし、次いでPBSTを用いて洗浄した。FcγRIIIA Val158外部ドメインビオチン二量体(0.1μg/mL)を添加し、37℃で1時間インキュベートし、次いでPBSTを用いて洗浄した。抗体-FcγRIIIA錯体を、1:10,000希釈のストレプトアビジン-HRP(Thermofisher Scientific)を用いて検出し、3,3’,5,5’-テトラメチルベンジジン基質(Sigma-Aldrich, USA)を用いて展開した。反応を0.16M H2SO4で停止させ、吸光度を450nmで測定した。最大半減シグナル(EC50)を与える血清濃度を、適合曲線(4パラメーター対数回帰)およびGraphPad Prism(GraphPad Software, USA)を使用して決定した。
【0119】
[実施例5]
=唾液中のIgA=
1日目、4日目、8日目および22日目に、MAP-FA-0群、MAP-FA-15群、MAP-UA-15群およびIM-QIV-15群の被験者から唾液試料を採取した。被験者は、Salivette(登録商標)唾液コレクター(Sarstedt, France)の綿棒を約1分間噛んだ。遠心分離後、上清(唾液)を-80℃で保存した。インフルエンザ特異的IgAをELISAにより検出した。具体的には、PBS(PBSA)中の4mg/mL BSA中で連続希釈した唾液試料を、A/Singapore/GP1908/2015 HA MPH(2μg/mlで60μl/ウェル)で一晩予めコーティングされたNunc Maxisorpプレート(Thermofisher Scientific, USA)に添加し、PBSAでブロックした。A/Sing HA特異的IgAの存在を、HRP-1結合ヤギ抗ヒトポリクローナルIgA(PA1-74395, Thermofisher Scientific, USA)およびABTS 232基板(Sera-Care, USA)を用いて検出した。反応を1% SDSで停止させ、吸光度を405nmで測定した。
【0120】
[実施例6]
=記憶B細胞=
1日目および22日目に、MAP-FA-0群、MAP-FA-15群、MAP-UA-15群およびIM-QIV-15群の被験者から末梢血単核細胞(PBMC)を採取および低温保存し、使用するまで液体237窒素中に保存した。A/Michigan/45/2015、A/New Caledonia/20/1999および安定化H1N1ステムドメインのためのフローサイトメトリープローブとして使用するための組換えHAタンパク質を、以前に報告されたとおりに誘導した(23)。HA特異的B細胞を、SA-PE、SA-APC、またはSA-Ax488(Thermofisher Scientific)に結合したHAプローブとの共染色によって、低温保存されたヒトPBMC内で同定した。表面染色用モノクローナル抗体は以下を含む:CD19-ECD(J3-119)(Beckman Coulter, USA)、IgM-BUV395(G20-127)、CD21-BUV737(B-ly4)、IgD-Cy7PE(IA6-2)、IgG-BV786(G18-145)(BD 243 Biosciences, USA)、CD14-BV510(M5E2)、CD3-BV510(OKT3)、CD8a-BV510(RPA-T8)、CD16-BV510(3G8)、CD10-BV510(HI10a)、CD27-BV605(Biolegend, USA)およびIgA-Vio450(REA1014)245(Miltenyi, USA)。SAと相互作用するB細胞のバックグラウンドは、SA-BV510(BD 246 Biosciences)で染色することによって除外した。Aqua Live/Deadアミン反応性色素(Thermofisher Scientific)を用いて細胞生存率を評価した。18個の蛍光色素を検出するように構成されたBD Fortessaを使用して試料を採取し、FlowJoソフトウェアバージョン9.5.2(TreeStar, USA)を使用して分析を行った。
【0121】
[実施例7]
=T細胞のフローサイトメトリー=
CD4+およびCD8+T細胞によるサイトカイン産生を、Landryらによって記載された方法を改変して使用し評価した(24)。PBMCを解凍し、1.5×106/ウェルで平板培養し、6時間静置した。洗浄後、PBMCを、A/Sing MPH(20μg/ml)で20時間、またはA/Sing HA配列(Mimotopes Pty Ltd, Australia)にわたる重複合成ペプチド(11個のアミノ酸が重複する17個のアミノ酸長、5μg/ml)のプールで6時間、刺激した。培地のみ、およびPMA/イオノマイシンを、それぞれネガティブコントロールおよびポジティブコントロールとして使用した。ゴルジブロッカー(モネンシンおよびブレフェルジンA)を、インキュベート終了の5時間前に添加した。細胞を、表面染色Live/Dead Aqua(生存率のために)、抗CD3 BV785、抗CD4 FITC、抗CD8 APC/Cy7(すべてBiolegendから)で標識し、次いで固定し、透過性をもたせ、抗IFN-γ Ax647、抗TNF-α BV421、および抗IL-2 PE(すべてBiolegendから)で標識した。最後の洗浄工程から24時間以内にBecton Dickinson LSR Fortessa X20上で、試料を分析した。約500,000の事象を得て、生データを、最初にFlowJoを用いて分析し(各サイトカインについて正のパーセント値を得るために)、その後SPICE(http://exon.niaid.nih.gov/spice)ソフトウェアを使用して、バックグラウンド減算値を分析した。
【0122】
[実施例8]
=耐熱性=
A/SingでコーティングされたHD-MAPを、2~8℃、25℃±2℃/60%±5%相対湿度(RH)および40℃±2℃/60%±5%RHで、12か月間保存した。指定された時点で、20~28℃での水浴超音波処理を使用して、1mLの溶出緩衝液(0.041%w/wヒプロメロース、0.0295%w/wトレハロース二水和物)中のHD-MAPからコーティングを溶出し、酵素免疫アッセイによってHAの効力を決定した(Bodle et al, 2013)。
【0123】
[実施例9]
=統計分析=
スチューデントのt検定を用いて、HAI力価およびMN力価の倍数増加を群間で比較した。連続補正を伴うピアソンのχ
2検定(SAS version 9.4, SAS Institute Inc., USA)を用いて、血清保護または血清変換された被験者の割合を群間で比較した。本試験は初期段階の試験であるため、有効性の探索的分析はADCCおよび記憶B細胞応答アッセイに適応しておらず、クラスカル・ワリスのノンパラメトリック検定(多重比較のための補正なし)およびダンの多重比較後検定(Dunn’s multiple comparison post-test)を用いて、全群を比較した。1日目および22日目の、CD4
+細胞によるサイトカイン産生の群内比較を、ウィルコクソン順位和検定を用いて行った。
〔結果〕
=安定性=
臨床での製造に先立って安定したデータを得るために、GLP安定性試験を行い、HD-MAP上にローディングされる5μgおよび15μgのHA A/Singを試験した。このローディング範囲は、本研究での使用を意図したHA A/Singのローディングの範囲を包含するように選択された。HD-MAPあたり5μgおよび15μgでコーティングされたA/Sing抗原は、2~8℃または40℃で少なくとも12ヶ月間保存した場合に安定していた(
図4)。
【0124】
=血清学的反応=
パートAおける被験者の1、4、8、22および61日目のHAI抗体の幾何平均抗体価(GMT)を
図5に示す。上記のデータは、MAPによって皮膚に送達された2.5μgが、針と注射器を使用して単独で、または四価ワクチンの一部としてのいずれかで送達された15μgのA/Singapore HAによって誘導されるHAI力価と統計的に相違ないHAI力価を誘導することを示している。ヒトに筋肉内送達される15μgの投与量と比較すると、MAPを使用した場合、抗原の投与量が6倍低減される。投与量を2.5μg未満に低減させてもなお筋肉内注射に匹敵する抗体力価を維持することができ得る。MAPにおいてマウスモデルでの投与量の低減が示されていたが、それがヒトで示されたのは今回が初めてである。22日目の時点では、ワクチン接種群間に統計的に有意な相違は見られなかった。
図6は、試験Aにおけるいくつかのワクチン製剤について、1日目対22日目の赤血球凝集素阻害力価のプロットである。
図7は、試験Aでの時間に対する赤血球凝集素阻害力価のプロットである。
図8は、試験Aでの22日目のマイクロ中和力価のプロットである。
【0125】
HAI GMT、血清保護率、血清変換率およびGMT力価の倍数増加を、表1に示す。表1は、試験Bについて、血清保護率、血清変換率およびGMTの倍数増加の観点において、ワクチン接種に対する赤血球凝集阻止反応がワクチン接種前水準を超えることを示している。
【0126】
【0127】
パートBおける被験者の1、4、8、22および61日目のHAI抗体の幾何平均抗体価(GMT)を
図9に示す。未コーティングのHD-MAPを受けた被験者では、HAI力価の増加は認められなかった。HD-MAPまたはIMのいずれかによってワクチン接種を受けた被験者では、4日目の力価は基準値を超えて上昇しなかったが、8日目では、GMTは、MAP-FA-10群(GMT437、254~751 95%CI)、MAP-UA-15群(GMT243、133~442 95%CI)およびMAP-FA-15(GMT219、112~427 95%CI)群で最も高かった。基準値からのGMT力価の増加は、IM-QIV-15群(GMT83、42~161 95%CI)よりも8日目で有意に高かった(MAP-FA-10 p=0.0002、MAP-UA-15 p=0.0167、MAP-FA-15 p=0.0384)。力価は、22日目まで全実薬群において増加を続け、MAP-FA-10群およびMAP-UA-15群の22日目(それぞれ、p=0.0011およびp=0.0201)において、およびMAP-FA-10群およびMAP-UA-15群の61日目(それぞれ、p=0.0062およびp=0.0277)において、IM-QIV-15群より有意に高いままであった。MAP-FA-2.5群(HAの標準投与量の1/6を受けた被験者)のGMIは、いずれの時点でもIM-QIV-15群のGMIと比べて有意差は認められなかった(4日目p=0.4034;8日目p=0.7449;22日目p=0.9312、61日目p=0.7297)。さらに、22日目では、HAI 405 GMTは、MAP-FA-15(GMT320、161~638 95%CI)群およびMAP-UA-15(GMT368、198~683 95%CI)群で類似しており、これは、HD-MAPの適用部位が後続する抗体反応に影響を及ぼさないことを示す。
【0128】
8日目のGMTにおける429倍数増加は、MAP-FA-10群およびMAP-UA-15群430(それぞれ、22.6および18.4)において、IM-QIV-15群(1.0)(それぞれ、p=0.0069およびp=0.0095 431)と比較して有意に高く、これは、筋肉内注射と比較してより迅速な抗体応答を示す。基準値からの倍数432変化は、22日目および61日目のMAP-UA-15群において有意に高いままであった433(それぞれ、p=0.0240およびp=0.0265)。HD-MAPにより送達されたワクチンを受けたパートAの被験者において観察されたHAI力価は、どの時点においても試験Bにおける対応する群と有意差はなく(すなわち、MAP-FA-15と比較したA-MAP-FA-15、すべてのp値>0.4180)、これは、抗体の送達および誘導の一貫性を示す。パートAおよびBにおいてIM-QIV-15によって誘導されたGMTはまた、4、8、および22日目では有意差はなかったが、61日目では試験Aにおいてより高かった(p=0.0320)。
【0129】
1日目(ワクチン接種前)および22日目における、パートBの全パートBおける被験者から得られた血清試料に対してMNアッセイを実施した。HAI抗体と同様に、ワクチンを受けた全治療群において、1日目から22日目まで力価が増加した(
図10)。MAP-FA-10群およびMAP-UA-15群における22日目のMN力価は、IM-QIV-15群よりも有意に高かった(それぞれ、p=0.0005およびp=0.0096)。HAIの結果と同様に、MAP-FA-2.5(1/6投与量)(GMT5,301、2,509~11,196 95%CI)群およびIM-QIV-15(GMT3,880 1,924~7,824 95%CI)群における22日目のMN GMTは類似していた(
図10)。
【0130】
ADCCを媒介することができるHA特異的FcR結合抗体力価を、1日目および22日目に検定した。中点力価は、MAP-FA-15群、MAP-FA-0群、MAP-UA-15群およびIM-QIV-15群においてワクチン送達後に有意に増加したが(それぞれ、p<0.001、p<0.001、p=0.002)、MAP-FA-0群においては有意に増加しなかった(p>0.99)(
図X3A)。これら3つの実薬群における22日目での中点力価間に有意差は認められず(いずれの比較もp>0.99)、結果が群内変動の程度に相当する基準値からの倍数変化として表された場合についても有意差は認められなかった(
図11)。
【0131】
MAP-FA-0群、MAP-FA-15群、MAP-UA-15群およびIM-QIV-15群の被験者から1、4、8および22日目に採取された試料について、唾液中のインフルエンザ特異的IgAをELISAにより検定した。いずれの群においても、1日目と比較して力価の有意な増加は認められなかった。しかしながら、8日目のMAP-FA-15群およびMAP-UA-15群において基準値を超える1.92倍および1.57倍の増加が認められたのに対し、MAP-FA-0群(1.01倍)については増加が認められず、同時点でのIM-QIV-15群においては1.22倍の増加が認められた。IgA力価は22日目にはほぼ基準値レベルに戻った(
図12)。
【0132】
蛍光標識組換えHAを使用したフローサイトメトリーに基づくアッセイを用いて、免疫化後のHA特異的B細胞の頻度および特異性を検定した。HA-Michiganプローブ結合記憶B細胞(MBC)(抗原的にA/Singapore/GP1908/2015に一致)の頻度は、QIVまたは活性HD-MAP(MAP-FA-15p<0.0001、MAP-UA-15p<0.0001およびIM-QIV-15p<0.0001)のいずれかによる免疫化後22日目に上昇したが、プラセボ群(MAP-FA-0p<0.0001)では上昇しなかった。しかしながら、22日目でのHA-ミシガン特異的MBCの頻度は、3つのワクチン群において有意差が認められなかった(全ての比較についてp>0.99)。H1N1交差反応性を検定するためにA/New Caledonia/99プローブへの結合を用いたところ、A/Michigan/15結合細胞のごく一部のみがHA認識交差反応性を示した。MAP-FA-15(p<0.0001)群およびMAP-UA-15(p<0.0001)群において1日目および22日目の間に頻度について有意な増加が認められ、IM-QIV-15群(p=0.0522)において頻度の程度はより低かった。この場合も、22日目でのワクチン群におけるMBC頻度に差は認められなかった(すべての比較についてp<0.99)。同様のパターンが、HA-スタークドメインプローブに結合する交差反応性B細胞で認められた。MAP-FA-15群(p=0.006)およびIM_QIV-15群(p=0.468)において、1日目から22日目まで有意な拡大が認められた。MAP-UA-15群の拡大は、おそらく群内変動性(p=0.167)のために、有意性を獲得しなかった。22日目の実薬HD‐MAP群とIM群との間でスターク反応性MBC頻度に差はなかった(全ての比較についてp>0.99)。
図13A~F。
【0133】
T細胞反応を、MAP-FA-0群、MAP-FA-15群、MAP-UA-15群およびIM-QIV-15群の被験者から1日目および22日目に採取したPBMC中のIFN-γ、IL-2およびTNF-αを産生するインフルエンザ特異的CD4+およびCD8+Tの頻度を分析することによって検定した。PBMCを、A/Sing MPHまたはA/Sing HA配列にわたる536の重複ペプチドのいずれかで刺激した。
【0134】
MAP-FA-15群、MAP-UA-15群およびIM-QIV-15群において、1日目と比較して22日目に、インビトロでのペプチドによる刺激後のIFN-γ、IL-2またはTNF-αを産生するCD4+細胞の全体的な頻度の増加が認められたが、MAP-FA-0群では認められなかった(
図8A)。特に、MAP-FA-15群(p=0.0002)、MAP-UA-15群(p=0.0045)およびIM-QIV-15(p=0.0110)群について、3種類のサイトカインすべて(IFN-γ、TNF-αおよびIL-2)を発現する多機能性CD4+T細胞の存在量が1日目と比較して22日目で有意に増加した。また、MAP-FA-15群(p=0.0008)、MAP-UA-15群(p=0.0003)およびIM-QIV群(p=0.0012)において、TNF-αおよびIL-2を産生するCD4+細胞の有意な増加が認められた。また、MAP-FA-15群では、TNF-αのみ(p=0.0053)、またはIFN-γと共にTNF-α(p=0.0013)を発現するCD4+細胞が有意に増加した(
図8A)。MAP-FA-15、MAP-UA-15群およびIM-QIV-15群を互いの群と比較した場合、22日目におけるいずれかのサイトカインの組み合わせを産生するCD4+T細胞の割合において統計的有意差は認められなかった(すべての比較についてp>0.0565)。
【0135】
ワクチン接種前後のサイトカイン産生CD4+細胞の全体的な頻度は、重複ペプチドと比較して、A/Sing MPHによる刺激の後でより大きかった。これは、おそらくMPH製剤内に存在するエピトープの数がより多いことによる。A/Sing MPH刺激は、ペプチド刺激と比較して、TNF-αのみを産生するCD4+細胞をより多く誘導すると思われた。しかしながら、MAP-FA-15、MAP-UA-15およびIM-QIV-15群を互いに比較した場合、22日目における各サイトカインの組み合わせを産生するCD4+T細胞の割合に統計的有意差は何ら認められなかった(全ての比較についてp>0.0515)。
【0136】
ペプチドプールおよびA/Sing MPHに対する1日目および22日目のCD8+T細胞の反応も測定したが、CD4+の反応と比較して弱かった。CD8+T細胞反応が弱かったことは、再刺激のために使用される抗原(不活化、分割A/Sing MPHおよび17アミノ酸ペプチド)の性質が、CD4+T細胞の刺激および検出に有利であったことを考慮すると驚くにはあたらなかった。
【0137】
本研究は、臨床におけるMAP投与量節約を実証した。HD-MAPの安全性および反応原性プロファイルは、同様のH1N1抗原、A/California/7/2009(3、18)を使用するシリコンナノパッチで観察される安全性および反応原性プロファイルと非常に類似しており、ワクチン接種から7日後も紅斑が依然として存在するという事実は、インフルエンザワクチンの皮内(ID)送達とも一致している。上腕または前腕の掌側表面へのHD‐MAP適用後にHAIまたはMNT反応における差異は認められなかった。
【0138】
血清保護および血清変換された被験者の割合に関して、本研究におけるHD-MAP送達によって誘導されたHAI反応は、不活化インフルエンザワクチン(IIV)の針および注射器を使用した筋肉内注射で以前に認められたHAI反応と類似していた。しかしながら、初期の8日時点でのより高いHAI力価によって示されるようなHD-MAP送達で見られるより迅速な抗体反応は、皮内注射部位をTLR7アゴニスト(34)である局所アジュバントイミキモドを用いて前処置しない限り、IIVの皮内注射では認められていない。ワクチン接種後すぐに季節性インフルエンザまたはトラベルワクチンを送達するためにHD-MAPを使用することによってより高い力価を獲得することは、ワクチンを受ける者にとって有益であり、パンデミックインフルエンザ株に対するワクチンおよび感染爆発の対応で使用されるワクチンに適用することが示された場合、特に貴重であるだろう。
【0139】
特定地域および世界的なインフルエンザの流行の影響を抑えるために、現在の季節性ワクチンよりも幅広く防御効果を発揮し、より長時間持続する免疫を誘導する1インフルエンザワクチンが必要とされている。研究から、ADCC媒介抗体は中和抗体が結合するエピトープよりも保存されているエピトープを認識し、異種株に対する防御に寄与する可能性があることが示唆されている。ADCC誘導能力を有する抗体の誘導は、IM注射と比較してHD-MAPを用いてワクチン接種された群で観察される力価がわずかに高いというHAIおよびMNデータに対する反応と同様の反応パターンに従っていた。HA-スタークおよび歴史的なH1N1 HAプローブを認識するB細胞の頻度もまた、HD‐MAPワクチンの筋肉内注射後に同程度増加した。
【0140】
いくつかのHD-MAP群は、筋肉内注射と比較して、ワクチン接種後8、22および61日目で統計的により高い反応を示し、1/6投与量で、全投与量筋肉内注射と同等の抗体レベルを引き起こした。
【0141】
合成ポリマーMAPワクチンは、被験者にとって安全かつ許容可能である。MAPは分裂不活化A/Singapore/GP1908/2015(H1N1)ウイルス抗原(2.5μgのHA)をヒトの皮膚に送達することができ、従来の15.0μgのHA筋肉内ワクチン接種によって生成されるHA特異的抗体反応と同等のHA特異的抗体反応を獲得し得る。この6倍の投与量の低減はワクチンの費用を低減できることを意味し、特にパンデミックの場合のように入手可能な抗原が制限されている場合には、より多くのワクチンを入手可能にすることができる可能性がある。さらに、インフルエンザワクチンに加えて大部分のワクチンについてもこれらの投与量の低減が可能であるならば、抗子宮頸癌ワクチンのような高価なワクチンの費用を削減することが、資源の乏しい国々がこれらの高価なワクチンを容易に入手するのに役立つであろう。
【0142】
2.5μgのHAという低投与量のMAP送達は、IM QIV(15μgのHA/投与量)と同様のHAIおよびMNT力価を誘導した。8日目の血清変換率および血清保護率は、MAP送達でより高い。MAPの前腕および上腕への適用との間で違いは見られなかった。MAPは、優れた高温安定性を有する。
【0143】
本明細書および後続する特許請求の範囲全体を通して、文脈上別段の要求がない限り、「備える(comprise)」という語および「備える(comprises)」または「備えている(comprising)」などの変形型は、記載される整数、整数の群または工程を含むことを意味すると理解されるが、他の整数または整数の群を除外するものではない。本明細書で使用される場合、別段の記載がない限り、「約」という語は±20%を意味する。
【0144】
当業者であれば、多数の変形および改変は見かけ上となることを理解するであろう。当業者にとって見かけ上のこのような全ての変形および改変は、本発明が以前に広く説明した精神および範囲内に入ると考えられるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0145】
【
図1】
図1Aは、ポリマー微小突起アレイパッチの写真である。
図1Bは、インクジェットコーティング法を用いてワクチンでコーティングされたポリマーアレイの微小突起の写真である。
図1Cは、微小突起アレイアプリケーターの写真である。
図1Dは、アプリケーターを用いた前腕への微小突起アレイの適用の写真である。
【
図2】
図2は、ワクチンでコーティングされた微小突起アレイの走査型電子顕微鏡写真である。
【
図3A】
図3Aおよび3Bは、本実施例に記載される研究AおよびBのための設計のフローチャートである。
【
図3B】
図3Aおよび3Bは、本実施例に記載される研究AおよびBのための設計のフローチャートである。
【
図4A】
図4Aは、5μg投与量ワクチンについての、時間に対する赤血球凝集素のμgのプロットである。
【
図4B】
図4Bは、15μg投与量ワクチンについての、時間に対する赤血球凝集素のμgのプロットである。
【
図5】
図5は、いくつかのワクチン製剤に対する赤血球凝集素阻害力価のプロットである。ここで、記号NPは、微小突起アレイ皮内投与であり、かつIMは、筋肉内注射である、
【
図6】
図6は、研究Aにおけるいくつかのワクチン製剤についての、1日目対22日目の赤血球凝集素阻害力価のプロットである。ここで、記号NPは、微小突起アレイ皮内投与であり、かつIMは、筋肉内注射である、
【
図7】
図7は、研究Aでの時間に対する赤血球凝集素阻害力価のプロットである。
【
図8】
図8は、研究Aでの22日目のマイクロ中和力価(microneutralization titer)のプロットである。
【
図9】
図9は、研究1日目(ワクチン接種前)、4、8、22および61日目におけるパートBおける被験者の赤血球凝集阻止(HAI)力価のプロットである。パートBおける被験者は、以下を用いてワクチン接種された:手掌側前腕(volar forearm)に適用されたHD-MAPにより送達される、15、10、5、または2.5μgHA/投与量のA/Singapore/GP1908/2015 H1N1(MAP-FA-15、MAP-FA-10、MAP-FA-5、MAP-FA-2.5);未コーティングのHD-MAP(MAP-FA-0);上腕(upper arm)に適用されたHD-MAPにより送達される15μgHA/投与量のA/Singapore/GP1908/2015 H1N1(MAP-UA-15);またはAfluria(登録商標)四価ワクチンの構成要素としての筋肉内注射(IM-QIV-15)。記号は幾何平均抗体価(GMT)を表し、エラーバーは95%信頼区間を示す。
【
図10】
図10は、以下を用いたワクチン接種後、1日目(ワクチン接種前)および22日目におけるパートBおける被験者のマイクロ中和力価のプロットである:手掌側前腕に適用されたHD-MAPにより送達される、15、10、5、または2.5μgHA/投与量のA/Singapore/GP1908/2015 H1N1(MAP-FA-15、MAP-FA-10、MAP-FA-5、MAP-FA-2.5);未コーティングのHD-MAP(MAP-FA-0);上腕に適用されたHD-MAPにより送達される15μgHA/投与量のA/Singapore/GP1908/2015 H1N1(MAP-UA-15);またはAfluria(登録商標)四価ワクチンの構成要素としての筋肉内注射(IM-QIV-15)。棒グラフはGMTを表し、記号は各被験者の力価を表し、エラーバーは95%信頼区間を示す。
【
図11A】
図11Aは、中点ELISA力価のプロットであり、
図11Bは、HA特異的FcR結合抗体についての1日目に対する22日目の中点力価の倍数変化のプロットである。二量体の可溶性組換えFcγRIIIに関与するA/Singapore/GP1908/2015一価精製収穫物に対して特異的な抗体を、ELISAによって測定した。記号は1日目前および22日目後の免疫化の個々の応答を表し、水平線は中間反応(media response)を示す(A);エラーバーを有する棒グラフは四分位数間領域を伴う中央値を表す(B)。
【
図11B】
図11Aは、中点ELISA力価のプロットであり、
図11Bは、HA特異的FcR結合抗体についての1日目に対する22日目の中点力価の倍数変化のプロットである。二量体の可溶性組換えFcγRIIIに関与するA/Singapore/GP1908/2015一価精製収穫物に対して特異的な抗体を、ELISAによって測定した。記号は1日目前および22日目後の免疫化の個々の応答を表し、水平線は中間反応(media response)を示す(A);エラーバーを有する棒グラフは四分位数間領域を伴う中央値を表す(B)。
【
図12】
図12は、唾液試料中のインフルエンザ特異的IgA力価のプロットである。被験者は、以下のいずれかを用いてワクチン接種された:HD-MAPにより手掌側前腕(MAP‐FA‐15)または上腕(MAP‐UA‐15)へ送達される15μgのA/Singapore/GP1908/2015 H1N1、またはAfluria(登録商標)四価ワクチン(IM-QIV-15)の構成要素としての筋肉内注射または未コーティングのHD-MAP(MAP-FA-0)。ワクチン接種前(1日目)、4日目、8日目および22日目の4つの時点で測定した。各時点についての群ごとの吸光度を平均し、1日目と比較した。そして、ワクチン接種前(1日目)と比較した倍数変化をプロット表示した。記号は群ごとの全被験者の平均を表し、エラーバーは95%信頼区間を示す。
【
図13A】
図13A~13Fは、ワクチン接種前後の記憶細胞(MBC)の頻度のプロットである。HA特異的MBCの頻度を、フローサイトメトリーによって、低温保存したPMBC試料中で評価した。生きたCD19+、IgD-B細胞について試料をゲートし、特異性を、単独での、またはA/New Caledonia/1999もしくは安定化H1N1ステムプローブと組み合わせての、A/Michigan/2015プローブへの結合に基づいて決定した。
図13Aおよび13Bは、A/Michigan/2015 H1N1である;
図13Cおよび13Dは、A/New Caledonia/1999である;
図13Eおよび13FはH1ステムである。結果は、
図13A、13Cおよび13E中、1日目および22日目のプローブ結合細胞の頻度として表され、記号は1日目前および22日目後の免疫化の個々の応答を表し、水平線は中間反応を示す。一方、基準値と比較した22日目の倍数変化が
図13B、13Dおよび13Fに示され、棒グラフは倍数変化の中央値を表し、エラーバーは四分位数間領域を伴う中央値を表す。
【
図13B】
図13A~13Fは、ワクチン接種前後の記憶細胞(MBC)の頻度のプロットである。HA特異的MBCの頻度を、フローサイトメトリーによって、低温保存したPMBC試料中で評価した。生きたCD19+、IgD-B細胞について試料をゲートし、特異性を、単独での、またはA/New Caledonia/1999または安定化H1N1ステムプローブと組み合わせての、A/Michigan/2015プローブへの結合に基づいて決定した。
図13Aおよび13Bは、A/Michigan/2015 H1N1である;
図13Cおよび13Dは、A/New Caledonia/1999である;
図13Eおよび13FはH1ステムである。結果は、
図13A、13Cおよび13E中、1日目および22日目のプローブ結合細胞の頻度として表され、記号は1日目前および22日目後の免疫化の個々の応答を表し、水平線は中間反応を示す。一方、基準値と比較した22日目の倍数変化が
図13B、13Dおよび13Fに示され、棒グラフは倍数変化の中央値を表し、エラーバーは四分位数間領域を伴う中央値を表す。
【
図13C】
図13A~13Fは、ワクチン接種前後の記憶細胞(MBC)の頻度のプロットである。HA特異的MBCの頻度を、フローサイトメトリーによって、低温保存したPMBC試料中で評価した。生きたCD19+、IgD-B細胞について試料をゲートし、特異性を、単独での、またはA/New Caledonia/1999または安定化H1N1ステムプローブと組み合わせての、A/Michigan/2015プローブへの結合に基づいて決定した。
図13Aおよび13Bは、A/Michigan/2015 H1N1である;
図13Cおよび13Dは、A/New Caledonia/1999である;
図13Eおよび13FはH1ステムである。結果は、
図13A、13Cおよび13E中、1日目および22日目のプローブ結合細胞の頻度として表され、記号は1日目前および22日目後の免疫化の個々の応答を表し、水平線は中間反応を示す。一方、基準値と比較した22日目の倍数変化が
図13B、13Dおよび13Fに示され、棒グラフは倍数変化の中央値を表し、エラーバーは四分位数間領域を伴う中央値を表す。
【
図13D】
図13A~13Fは、ワクチン接種前後の記憶細胞(MBC)の頻度のプロットである。HA特異的MBCの頻度を、フローサイトメトリーによって、低温保存したPMBC試料中で評価した。生きたCD19+、IgD-B細胞について試料をゲートし、特異性を、単独での、またはA/New Caledonia/1999または安定化H1N1ステムプローブと組み合わせての、A/Michigan/2015プローブへの結合に基づいて決定した。
図13Aおよび13Bは、A/Michigan/2015 H1N1である;
図13Cおよび13Dは、A/New Caledonia/1999である;
図13Eおよび13FはH1ステムである。結果は、
図13A、13Cおよび13E中、1日目および22日目のプローブ結合細胞の頻度として表され、記号は1日目前および22日目後の免疫化の個々の応答を表し、水平線は中間反応を示す。一方、基準値と比較した22日目の倍数変化が
図13B、13Dおよび13Fに示され、棒グラフは倍数変化の中央値を表し、エラーバーは四分位数間領域を伴う中央値を表す。
【
図13E】
図13A~13Fは、ワクチン接種前後の記憶細胞(MBC)の頻度のプロットである。HA特異的MBCの頻度を、フローサイトメトリーによって、低温保存したPMBC試料中で評価した。生きたCD19+、IgD-B細胞について試料をゲートし、特異性を、単独での、またはA/New Caledonia/1999または安定化H1N1ステムプローブと組み合わせての、A/Michigan/2015プローブへの結合に基づいて決定した。
図13Aおよび13Bは、A/Michigan/2015 H1N1である;
図13Cおよび13Dは、A/New Caledonia/1999である;
図13Eおよび13FはH1ステムである。結果は、
図13A、13Cおよび13E中、1日目および22日目のプローブ結合細胞の頻度として表され、記号は1日目前および22日目後の免疫化の個々の応答を表し、水平線は中間反応を示す。一方、基準値と比較した22日目の倍数変化が
図13B、13Dおよび13Fに示され、棒グラフは倍数変化の中央値を表し、エラーバーは四分位数間領域を伴う中央値を表す。
【
図13F】
図13A~13Fは、ワクチン接種前後の記憶細胞(MBC)の頻度のプロットである。HA特異的MBCの頻度を、フローサイトメトリーによって、低温保存したPMBC試料中で評価した。生きたCD19+、IgD-B細胞について試料をゲートし、特異性を、単独での、またはA/New Caledonia/1999または安定化H1N1ステムプローブと組み合わせての、A/Michigan/2015プローブへの結合に基づいて決定した。
図13Aおよび13Bは、A/Michigan/2015 H1N1である;
図13Cおよび13Dは、A/New Caledonia/1999である;
図13Eおよび13FはH1ステムである。結果は、
図13A、13Cおよび13E中、1日目および22日目のプローブ結合細胞の頻度として表され、記号は1日目前および22日目後の免疫化の個々の応答を表し、水平線は中間反応を示す。一方、基準値と比較した22日目の倍数変化が
図13B、13Dおよび13Fに示され、棒グラフは倍数変化の中央値を表し、エラーバーは四分位数間領域を伴う中央値を表す。
【国際調査報告】