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特表2022-534175誘電体導波管ケーブルと無線非接触回転ジョイントとを伴う自動車通信システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-07-28
(54)【発明の名称】誘電体導波管ケーブルと無線非接触回転ジョイントとを伴う自動車通信システム
(51)【国際特許分類】
   H01Q 1/12 20060101AFI20220721BHJP
   H01P 3/16 20060101ALI20220721BHJP
   H01Q 1/32 20060101ALI20220721BHJP
   H01Q 13/06 20060101ALI20220721BHJP
   H01Q 21/24 20060101ALI20220721BHJP
【FI】
H01Q1/12 E
H01P3/16
H01Q1/32 Z
H01Q13/06
H01Q21/24
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021559406
(86)(22)【出願日】2020-05-15
(85)【翻訳文提出日】2021-11-30
(86)【国際出願番号】 US2020033042
(87)【国際公開番号】W WO2020236547
(87)【国際公開日】2020-11-26
(31)【優先権主張番号】16/418,628
(32)【優先日】2019-05-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.テフロン
(71)【出願人】
【識別番号】317015065
【氏名又は名称】ウェイモ エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100126480
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 睦
(72)【発明者】
【氏名】リ,ゼ
(72)【発明者】
【氏名】ワン,ミン
(72)【発明者】
【氏名】スレイター,マイケル
【テーマコード(参考)】
5J014
5J021
5J045
5J046
5J047
【Fターム(参考)】
5J014HA02
5J021AB07
5J021HA05
5J021HA10
5J021JA06
5J045AA13
5J045CA04
5J045DA01
5J045EA10
5J045HA07
5J045NA01
5J045NA06
5J046AA01
5J046AA02
5J046MA02
5J047AA01
5J047AA02
5J047AB09
5J047BD02
5J047BF01
5J047BF11
5J047EB03
(57)【要約】
本開示のいくつかの実施形態は、通信システムを提供する。通信システムは、第1の通信ユニットと、第2の通信ユニットと、第1の通信ユニットが通信システムの回転軸を中心に第2の通信ユニットに対して回転することを可能にするように構成されている、回転ジョイントと、を含むことができる。第1の通信ユニットは、第1のアンテナを備えることができる。第2の通信ユニットは、第2のアンテナと、第2のアンテナから回転ジョイントまで延在する誘電体導波管ケーブルと、を備えることができる。第1のアンテナおよび第2のアンテナは、電磁信号を送受信することができる。したがって、システムは、第1の通信ユニットと第2の通信ユニットとの物理的接続を必要とせずに、第1の通信ユニットと第2の通信ユニットとの間で信号を確実に通信することができる。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信システムであって、
第1の通信ユニットと、
第2の通信ユニットと、
前記第1の通信ユニットが前記通信システムの回転軸を中心に前記第2の通信ユニットに対して回転することを可能にするように構成されている、回転ジョイントと、を備え、
前記第1の通信ユニットが、第1のアンテナを備え、
前記第2の通信ユニットが、
第2のアンテナと、
前記第2のアンテナから前記回転ジョイントまで延在する誘電体導波管ケーブルであって、前記誘電体導波管ケーブルの近位端が、前記第2のアンテナに結合され、前記誘電体導波管ケーブルの遠位端が、前記回転ジョイントによって画定される空間と隣接する位置で前記第2の通信ユニットに取り付けられている、誘電体導波管ケーブルと、を備え、
前記第1の通信ユニットおよび前記第2の通信ユニットが、互いに双方向通信を行うように構成されており、
前記第1のアンテナから前記第2のアンテナに送信された第1の電磁信号が、前記回転ジョイントを横切る前記第1の電磁信号の伝播に続いて、前記誘電体導波管ケーブルの前記遠位端に入り、
前記第2のアンテナから前記第1のアンテナに送信された第2の電磁信号が、前記誘電体導波管ケーブルの前記遠位端を出て、前記回転ジョイントに入り、
前記誘電体導波管ケーブルの前記遠位端の軸が、前記通信システムの前記回転軸と実質的に位置合わせされている、通信システム。
【請求項2】
車両が、前記第2の通信ユニットを備え、
前記通信システムが、前記車両と前記センサユニットとの間の双方向通信を可能にする、請求項1に記載の通信システム。
【請求項3】
前記第1のアンテナが、前記センサユニットに含まれる光検出および測距(LIDAR)センサに通信可能に結合されている、請求項2に記載の通信システム。
【請求項4】
前記誘電体導波管ケーブルが、第1の誘電体材料とは異なる第2の誘電体材料で被覆された前記第1の誘電体材料を含み、
前記第2の誘電体材料が、前記誘電体導波管ケーブル内の前記第1の電磁信号および前記第2の電磁信号の内部反射を提供するように選択される、請求項1に記載の通信システム。
【請求項5】
前記第1の誘電体材料または前記第2の誘電体材料のうちの1つ以上が、プラスチックを含む、請求項4に記載の通信システム。
【請求項6】
前記誘電体導波管ケーブルの前記遠位端が、前記第1のアンテナからおよそ0.2ミリメートル~およそ0.5ミリメートルに配置されている、請求項1に記載の通信システム。
【請求項7】
前記第1のアンテナまたは前記第2のアンテナのうちの1つ以上が、円偏波で動作するように構成されている、請求項1に記載の通信システム。
【請求項8】
前記第1の電磁信号および前記第2の電磁信号が、50~100ギガヘルツの周波数を有する、請求項1に記載の通信システム。
【請求項9】
前記第1のアンテナの中心が、前記通信システムの前記回転軸および前記誘電体導波管ケーブルの前記遠位端の前記軸と実質的に位置合わせされている、請求項1に記載の通信システム。
【請求項10】
前記第1の通信ユニットが、1つ以上の通信チップの第1のセットを備え、前記通信チップの第1のセットが前記第1のアンテナを含み、
前記第2の通信ユニットが、1つ以上の通信チップの第2のセットを備え、前記通信チップの第2のセットが、前記第2のアンテナを含む、請求項1に記載の通信システム。
【請求項11】
方法であって、
第1の通信ユニットの第1のアンテナによって、第1の電磁信号を回転ジョイントを横切って誘電体導波管ケーブルの遠位端に送信することであって、前記誘電体導波管ケーブルが、前記回転ジョイントから第2の通信ユニットの第2のアンテナまで延在し、前記誘電体導波管ケーブルの近位端が前記第2のアンテナに結合され、前記誘電体導波管ケーブルの前記遠位端が、前記回転ジョイントによって画定される空間に隣接する位置で前記第2の通信ユニットに取り付けられる、送信することと、
前記誘電体導波管ケーブルによって、前記第1の電磁信号を前記第2のアンテナに結合することと、を含み、
前記第1の通信ユニットおよび前記第2の通信ユニットが、互いに双方向通信を行うように構成されており、
前記回転ジョイントが、前記第1の通信ユニットが前記第2の通信ユニットに対して回転軸を中心に回転することを可能にするように構成されており、前記誘電体導波管ケーブルの前記遠位端の軸が前記回転軸と実質的に位置合わせされている、方法。
【請求項12】
前記第2のアンテナによって、第2の電磁信号を前記誘電体導波管ケーブルの前記近位端に送信することと、
前記誘電体導波管ケーブルによって、前記第2の電磁信号を前記回転ジョイントに結合することであって、それにより、前記第2の電磁信号が、前記誘電体導波管ケーブルの前記遠位端を出て、前記回転ジョイントに入り、前記回転ジョイントを横切って伝播し、前記第1のアンテナに入る、結合することと、をさらに含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記第1の通信ユニットが、車両に回転的に装着されたセンサユニットを備え、
前記車両が、前記第2の通信ユニットを備える、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記誘電体導波管ケーブルが、第1の誘電体材料とは異なる第2の誘電体材料で被覆された前記第1の誘電体材料を含み、
前記第2の誘電体材料が、前記誘電体導波管ケーブル内の前記第1の電磁信号の内部反射を提供するように選択される、請求項11に記載の方法。
【請求項15】
前記第1の誘電体材料または第2の誘電体材料のうちの1つ以上が、プラスチックを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記誘電体導波管ケーブルの前記遠位端が、前記第1のアンテナからおよそ0.2ミリメートル~およそ0.5ミリメートルに配置されている、請求項11に記載の方法。
【請求項17】
前記第1の電磁信号を送信することが、円偏波電磁信号を送信することを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項18】
車両であって、
前記車両に回転的に装着されたセンサユニットと、
車両側通信ユニットと、
前記センサユニットが前記車両側通信ユニットに対して回転軸を中心に回転することを可能にするように構成されている、回転ジョイントと、を備え、
前記センサユニットが、第1のアンテナを備え、
前記車両側通信ユニットが、
第2のアンテナと、
前記第2のアンテナから前記回転ジョイントまで延在する誘電体導波管ケーブルであって、前記誘電体導波管ケーブルの近位端が前記第2のアンテナに結合され、前記誘電体導波管ケーブルの遠位端が、前記回転ジョイントによって画定される空間と隣接する位置で前記車両側通信ユニットに取り付けられている、誘電体導波管ケーブルと、を備え、
前記第1の通信ユニットおよび前記第2の通信ユニットが、互いに双方向通信を行うように構成されており、
前記第1のアンテナから前記第2のアンテナに送信された第1の電磁信号が、前記回転ジョイントを横切る前記第1の電磁信号の伝播に続いて、前記誘電体導波管ケーブルの前記遠位端に入り、
前記第2のアンテナから前記第1のアンテナに送信された第2の電磁信号が、前記誘電体導波管ケーブルの前記遠位端を出て、前記回転ジョイントに入り、
前記誘電体導波管ケーブルの前記遠位端の軸が、前記回転軸と実質的に位置合わせされている、車両。
【請求項19】
前記誘電体導波管ケーブルが、第1の誘電体材料とは異なる第2の誘電体材料で被覆された前記第1の誘電体材料を含み、
前記第2の誘電体材料が、前記誘電体導波管ケーブル内の前記第1の電磁信号および前記第2の電磁信号の内部反射を提供するように選択される、請求項18に記載の車両。
【請求項20】
前記第1のアンテナまたは前記第2のアンテナのうちの1つ以上が、円偏波電磁信号で動作するように構成されている、請求項18に記載の車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
この出願は、2019年5月21日に出願された米国特許出願第16/418,628号の優先権を主張し、その内容は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
本明細書で別段の指示がない限り、本項で記載される資料は、本出願の特許請求の範囲に対する先行技術ではなく、かつ、本項に含めることにより先行技術として認められるものでもない。
【0003】
車両は、運転手からの入力がほとんどないか、または全くない状態であっても、車両が環境を通ってナビゲートする自律モードで動作するように構成され得る。そのような自律車両は、車両が動作する環境に関する情報を検出するように構成されている1つ以上のセンサを含むことができる。車両とそれに関連するコンピュータ実装コントローラは、検出された情報を使用して環境を通ってナビゲートする。例えば、コンピュータ実装コントローラによって判定されるように、車両が障害物に近づいていることをセンサが検出した場合、コントローラは車両の方向制御を調整して、車両が障害物を迂回するようナビゲートする。
【0004】
このようなセンサには、光検出および測距(LIDAR)デバイスがある。LIDARは、シーン全体を走査しながら環境特徴への距離を能動的に推定し、環境シーンの三次元形状を示す点群位置を組み立てる。個々の点がレーザパルスを生成することにより、環境物体から反射され、戻ってくるパルスがあればそれを検出し、放射されたパルスと反射されたパルスの受信との間の時間遅延に従って反射物体までの距離を判定することにより測定される。レーザまたはレーザのセットが、シーン全体にわたって高速かつ繰り返し走査されて、シーン内の反射物体までの距離に関する連続リアルタイム情報が提供され得る。
【0005】
LIDARおよび他のセンサは、大量のデータを作成し得る。よって、このデータ、またはこのデータの変形を車両の様々なシステムに通信することが望ましい場合がある。
【発明の概要】
【0006】
車両の様々なセンサとの間の信号の通信に使用され得る電気デバイスが開示されている。例えば、1つ以上のセンサは、センサドームのような車両のルーフに装着され得る。センサの動作中、センサは、回転プラットフォーム上に装着されるなどして回転され得る。センサおよびプラットフォームは回転しているが、センサが、センサと関連付けられたデータプロセッサなどの、車両上の構成要素とデータ通信することが望ましい場合がある。したがって、回転センサと車両との間で信号を確実に通信するシステムを有することが望ましい場合がある。
【0007】
本開示のいくつかの実施形態は、通信システムを提供する。通信システムは、第1の通信ユニットと、第2の通信ユニットと、第1の通信ユニットが通信システムの回転軸を中心に第2の通信ユニットに対して回転することを可能にするように構成されている、回転ジョイントと、を含むことができる。第1の通信ユニットは、第1のアンテナを備え得る。第2の通信ユニットは、第2のアンテナを備え得る。第2の通信ユニットはまた、第2のアンテナから回転ジョイントまで延在する誘電体導波管ケーブルを備え得る。誘電体導波管ケーブルの近位端を第2のアンテナに結合することができ、誘電体導波管ケーブルの遠位端を、回転ジョイントによって画定される空間に隣接する位置で第2の通信ユニットに取り付けることができる。第1の通信ユニットおよび第2の通信ユニットは、互いに双方向通信を行うように構成することができる。第1のアンテナから第2のアンテナに送信された第1の電磁信号は、回転ジョイントを横切る第1の電磁信号の伝播に続いて、誘電体導波管ケーブルの遠位端に入ることができる。第2のアンテナから第1のアンテナに送信された第2の電磁信号は、誘電体導波管ケーブルの遠位端を出て、回転ジョイントに入ることができる。誘電体導波管ケーブルの遠位端の軸は、通信システムの回転軸と実質的に位置合わせすることができる。
【0008】
本開示のいくつかの実施形態は、方法を提供する。本方法は、第1の通信ユニットの第1のアンテナによって、第1の電磁信号を回転ジョイントを横切って誘電体導波管ケーブルの遠位端に送信することを伴い得る。誘電体導波管ケーブルは、回転ジョイントから第2の通信ユニットの第2のアンテナまで延在し得る。誘電体導波管ケーブルの近位端を第2のアンテナに結合することができ、誘電体導波管ケーブルの遠位端を、回転ジョイントによって画定される空間に隣接する位置で第2の通信ユニットに取り付けることができる。本方法はまた、誘電体導波管ケーブルによって、第1の電磁信号を第2のアンテナに結合することを伴い得る。第1の通信ユニットおよび第2の通信ユニットは、互いに双方向通信を行うように構成することができる。回転ジョイントは、第1の通信ユニットが第2の通信ユニットに対して回転軸を中心に回転することを可能にするように構成することができ、誘電体導波管ケーブルの遠位端の軸を回転軸と実質的に位置合わせすることができる。
【0009】
本開示のいくつかの実施形態は、車両を提供する。車両は、車両に回転的に装着されたセンサユニットと、車両側通信ユニットと、センサユニットが回転軸を中心に車両側通信ユニットに対して回転することを可能にするように構成された回転ジョイントと、を含むことができる。センサユニットは、第1のアンテナを備え得る。車両側通信ユニットは、第2のアンテナを備え得る。車両側通信ユニットはまた、第2のアンテナから回転ジョイントまで延在する誘電体導波管ケーブルを備え得る。誘電体導波管ケーブルの近位端を第2のアンテナに結合することができ、誘電体導波管ケーブルの遠位端を、回転ジョイントによって画定される空間に隣接する位置で車両側通信ユニットに取り付けることができる。第1の通信ユニットおよび第2の通信ユニットは、互いに双方向通信を行うように構成することができる。第1のアンテナから第2のアンテナに送信された第1の電磁信号は、回転ジョイントを横切る第1の電磁信号の伝播に続いて、誘電体導波管ケーブルの遠位端に入ることができる。第2のアンテナから第1のアンテナに送信された第2の電磁信号は、誘電体導波管ケーブルの遠位端を出て、回転ジョイントに入ることができる。誘電体導波管ケーブルの遠位端の軸は、回転軸と実質的に位置合わせすることができる。
【0010】
これらおよび他の態様、利点、および代替物は、当業者には、添付の図面を適宜参照して、以下の詳細な説明を読み取ることにより明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】例示的な自律車両の態様を示す機能ブロック図である。
図2】例示的な自律車両の複数の外観を示す。
図3】例示的な通信システムを示す。
図4】例示的な誘電体導波管ケーブルの一部を示す。
図5】アンテナを有する例示的なマイクロチップを示す。
図6】例示的な方法を示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
I.概要
車両の動作中、信号は、車両のセンサシステムの様々なセンサと関連付けられたセンサプロセッサとの間で通信することができる。例えば、1つ以上のセンサがセンサユニットに含まれ得る。以下、「センサユニット」という用語は、車両のルーフまたは他の場所など、車両に回転的に装着される回転プラットフォームを指すために使用される。回転プラットフォームは、車両の環境の感知を提供し、かつセンサユニット内のセンサと、車両側通信ユニットなどの車両上の構成要素との間の信号(例えば、無線周波数波)の通信を容易にする様々な通信チップ(例えば、マイクロチップ)、センサ、および他の電子機器を含むことができる。
【0013】
センサユニットの動作中、センサユニットは、垂直軸を中心に回転し得る(例えば、360°)。センサユニットは回転することができるが、センサユニットが車両側の通信ユニットと通信していることが望ましい場合がある。したがって、車両とセンサユニットとの間の物理的接続を必要とせずに、回転センサユニットと車両との間で信号を確実に通信することができるシステムを有することが望ましい場合がある。
【0014】
よって、第1の通信ユニットと、第2の通信ユニットと、回転ジョイントと、第1および第2の通信ユニット間の双方向(またはいくつかの実装形態では一方向)通信を容易にするように構成された誘電体導波管ケーブルと、を含むことができる通信システムが開示される。第1の通信ユニットは、車両に回転的に装着される上記のセンサユニットを含むか、またはその形態を採り得る。したがって、「第1の通信ユニット」および「センサユニット」という用語は、本明細書では交換可能に使用される。第2の通信ユニット(本明細書では「車両側通信ユニット」または略して「車両側ユニット」とも称する)は、センサユニットと通信するように構成された、コンピューティングデバイスまたは他の電子機器などの車両上に位置する通信ユニットであり得る。センサユニットおよび車両側ユニットは各々、電磁信号を送受信するように構成されたそれぞれのアンテナを含むことができる。
【0015】
車両側ユニットは、誘電体導波管ケーブルを含むことができる。誘電体導波管ケーブルは、回転ジョイントで終端し、センサ側アンテナと車両側アンテナとの間の電磁信号(すなわち、電磁エネルギー)の通信を容易にする導波管として機能することができる。いくつかの例では、センサユニットと車両側ユニットとの間で送信される電磁信号は、50~100ギガヘルツ(GHz)の波長を有する電磁エネルギーの形態を採り得る。他の例では、電磁信号は異なる周波数を有し得る。さらに、いくつかの例では、誘電体導波管ケーブルは、可撓性のプラスチックケーブルであり得る。他の例では、ケーブルは、プラスチック以外の1つ以上の材料で構成することができる。
【0016】
本明細書において、「回転ジョイント」は、センサユニットが車両に対して(したがって、第2の通信ユニットに対して)回転することを可能にし得、かつ望ましくない信号損失をもたらすことなく、電磁エネルギーが2つのユニット間で伝播することも可能にし得る機構またはその欠如を指し得る。本質的に、回転ジョイントは、センサユニットと車両側ユニットとの間の非接触電気結合として機能し得、回転ジョイントおよび誘電体導波管ケーブルは、共に第1のアンテナを第2のアンテナに電気的に結合させることができる。いくつかの例では、回転ジョイントは、1つ以上の回転ベアリング(または回転を可能にする別のタイプの機械的要素)の形態を採ることができ、かつ誘電体導波管ケーブルの端部と回転プラットフォーム上のチップとの間にエアギャップ(例えば、およそ2ミリメートル(mm)に等しいエアギャップ)を提供することができる。エアギャップを可能な限り小さくすることが望ましい場合があるが、物理的公差と機械加工公差のために、エアギャップを0.2~0.5mmより小さくすることは実用的でない場合がある。他方、いくつかの例では、数ミリメートルのエアギャップが例内(すなわち、最大5mmのエアギャップ)でうまく機能する場合がある。
【0017】
開示された通信システムは、車両通信の文脈で様々な利点を提供することができる。例えば、誘電体導波管ケーブルは、いくつかの既存の導波管装置の代替として、より安価であり(例えば、銅などの材料と比較して)、より簡素で、より軽く、より信頼性が高く、よりかさが低い。さらに、誘電体導波管ケーブルは、望ましくない外部信号の存在に影響を受けやすい通信システム内に存在するエアギャップまたは他の構造要素(例えば、プリント回路基板(PCB)上のトレース)の量を減少させることによって、信号干渉を低減することができる。例えば、いくつかの既存の通信システムは、2つ以上のエアギャップを有することができるが、開示された通信システムは、1つのエアギャップ、すなわち、誘電体導波管ケーブルの遠位端とセンサユニット上の第1のアンテナとの間のエアギャップを含むことができる。開示された通信システムでは、電磁信号は、誘電体導波管ケーブルの長さ全体で干渉されることなく(または最小限の干渉で)伝播することができ、これは、いくつかの既存のシステムよりも長い距離になり得る。さらに、車両は電磁的にノイズの多い環境であり得るため、誘電体導波管ケーブルをシールドすることで、電磁干渉がその長さに沿ってケーブルに結合されるのを防ぐことができる。
【0018】
さらに、誘電体導波管ケーブルを使用することにより、電気からRFへの変換およびRFから電気への変換の負荷を回転ジョイントから遠ざけることができる。特に、車両側アンテナ(ならびに車両側アンテナの動作およびそのような変換を容易にする任意のチップまたは他の電子機器)は、車両制御用に指定されたコンピューティングデバイスおよび/または車両のセンサシステム用の信号プロセッサ内などの、車両側プロセッサに(例えば、その上、内部、または近くに)設置することができる。したがって、センサユニットから車両側ユニットへの(またはその逆の)通信は、そのような変換が回転ジョイントの近くで発生する必要性を排除することができる。
【0019】
開示されたシステムでは、通信チップは、主要な車両コンピュータ(例えば、プロセッサ)と同じPCB上に物理的に配置することができるので、チップが回転ジョイントの近くに位置しており、かつチップとコンピュータとの間に長いケーブル配線が必要な状況と比較して、チップとコンピュータとの間のインターフェースは数多くのPCBトレースの並列配置であり得、各々が信号を運ぶ速度はより遅い。例えば、この場合、8ビット幅または16ビット幅のPCIeインターフェースを使用して、同じPCB上に位置するチップとコンピュータ間の通信を行うことができる。コンピュータの近くにチップを配置し、かつ並列データインターフェースを使用することで、コンピュータから離れた位置にあるチップに直列化/非直列化ハードウェアを有する必要を排除することができる。さらに、チップをコンピュータの近くに配置することで、(チップがコンピュータの近くに配置されていない場合に)長い金属ケーブルを介して高速信号を確実に送信するために必要なドライバ回路およびレシーバ回路も不要になる。
【0020】
さらに、金属ケーブル(チップがコンピュータから離れた位置にある場合に使用されるケーブルなど)は、広範囲の周波数にわたって電磁干渉の放出および受信の両方の影響を受けやすい可能性があり、他の機器もまた、車両の内外を問わず、電磁干渉を放出するか、またはその影響を受けやすい場合がある。一方、本誘電体導波管は、数十ギガヘルツ(GHz)未満の周波数では干渉を受けない可能性があり、金属ケーブル全般の共通の問題であるコンピュータからの望ましくないエネルギーを放射するアンテナとして機能しないことがある。したがって、本開示の誘電体導波管は、システムが電磁両立性(EMC)性能に関してより良好に機能することを可能にする。
【0021】
さらに、上で考察されるように干渉を低減した誘電体導波管ケーブルを介して高速信号を送信できるため、誘電体導波管ケーブルは、より高速なデータ伝送速度(例えば、5ギガビット/秒のPRBS31信号などの複数ギガビット/秒)を促進し、これにより、センサユニットと車両との双方向通信の品質と効率を向上させることができる。
【0022】
自律車両の例を、図1図2に関連して以下に説明し、通信システムの例を、図3図6に関連して以下に説明する。
【0023】
II.自律車両システムの例
例示的な実施形態では、例示的な自律車両システムは、1つ以上のプロセッサ、1つ以上の形態のメモリ、1つ以上の入力デバイス/インターフェース、1つ以上の出力デバイス/インターフェース、および1つ以上のプロセッサによって実行されるとき、上述した様々な機能、タスク、能力などをシステムに実行させる機械可読命令を含み得る。
【0024】
本開示の範囲内の例示的なシステムは、以下でより詳細に説明される。例示的なシステムは、自動車に実装され得、または自動車の形態を採り得る。しかしながら、例示的なシステムはまた、自動車、トラック、オートバイ、バス、ボート、飛行機、ヘリコプター、芝刈り機、アースムーバ、ボート、スノーモービル、航空機、レクリエーション車両、遊園地車両、農機具、建設機械、トラム、ゴルフカート、電車、トロリーなどの、他の車両に実装され得、または他の車両の形態を採り得る。他の車両も可能である。
【0025】
図1は、例示的な実施形態による車両100を示す機能ブロック図である。車両100は、完全にまたは部分的に自律モードで動作するように構成され、したがって、「自律車両」と呼ばれることがある。例えば、コンピュータシステム112は、車両100のための制御システム106への制御命令を介して、自律モードにある間、車両100を制御し得る。コンピュータシステム112は、1つ以上のセンサシステム104から情報を受信し、1つ以上の制御プロセス(検出された障害物を回避するように進行方向を設定するなど)を自動化方式で受信した情報に基づかせ得る。
【0026】
自律車両100は、完全自律型または部分的自律型であり得る。部分的自律型車両では、いくつかの機能は、任意選択的に、一時的にまたは常時、手動で(例えば、運転者によって)制御され得る。さらに、部分的自律型車両は、完全手動動作モードと、部分的自律型および/または完全自律型動作モードとの間で切り替わるように構成され得る。
【0027】
車両100は、推進システム102、センサシステム104、制御システム106、1つ以上の周辺機器108、電源110、コンピュータシステム112、およびユーザインターフェース116を含む。車両100は、より多く、またはより少ないサブシステムを含むことができ、各サブシステムは、任意選択的に複数の構成要素を含むことができる。さらに、車両100のサブシステムおよび構成要素の各々は、相互に接続され得、および/または通信し得る。したがって、本明細書に記載された車両100の1つ以上の機能は、任意選択的に、追加の機能的または物理的構成要素の間で分割されてもよく、またはより少ない機能的または物理的構成要素に組み合わされ得る。いくつかのさらなる例では、追加の機能的および/または物理的構成要素が、図1によって図示された例に追加され得る。
【0028】
推進システム102は、車両100に動力運動を提供するように動作可能な構成要素を含むことができる。いくつかの実施形態では、推進システム102は、エンジン/モータ118、エネルギー源119、トランスミッション120、およびホイール/タイヤ121を含む。エンジン/モータ118は、エネルギー源119を機械的エネルギーに変換する。いくつかの実施形態では、推進システム102は、任意選択的に、エンジンおよび/またはモータの一方または両方を含むことができる。例えば、ガス-電気ハイブリッド車両は、ガソリン/ディーゼルエンジンと電気モータの両方を含むことができる。
【0029】
エネルギー源119は、電気エネルギーおよび/または化学エネルギーなどのエネルギー源を表し、それは、その全部または一部が、エンジン/モータ118に電力を供給し得る。すなわち、エンジン/モータ118は、エネルギー源119を機械的エネルギーに変換してトランスミッションを動作させるように構成され得る。いくつかの実施形態では、エネルギー源119は、ガソリン、ディーゼル、他の石油系燃料、プロパン、他の圧縮ガスベースの燃料、エタノール、ソーラーパネル、バッテリー、コンデンサー、フライホイール、回生ブレーキシステム、および/または他の電力源などを含むことができる。エネルギー源119は、車両100の他のシステムにエネルギーを提供することもできる。
【0030】
トランスミッション120は、エンジン/モータ118からホイール/タイヤ121に機械的動力を伝達するのに好適な適切なギアおよび/または機械的要素を含む。いくつかの実施形態では、トランスミッション120は、ギアボックス、クラッチ、ディファレンシャル、ドライブシャフト、および/または車軸などを含む。
【0031】
ホイール/タイヤ121は、車両100が移動する道路などの表面に摩擦牽引力を与えながら、車両100を安定して支持するように配置される。したがって、ホイール/タイヤ121は、車両100の性質に応じて構成および配置される。例えば、ホイール/タイヤは、一輪車、自転車、オートバイ、三輪車、または自動車/トラックの四輪形態として配置され得る。6つ以上のホイールを含むものなど、他のホイール/タイヤ形状も可能である。車両100のホイール/タイヤ121の任意の組み合わせは、他のホイール/タイヤ121に対して差動的に回転するように動作可能であり得る。ホイール/タイヤ121は、任意選択的に、トランスミッション120にしっかりと取り付けられた少なくとも1つのホイールと、走行面と接触する対応するホイールのリムに結合された少なくとも1つのタイヤと、を含むことができる。ホイール/タイヤ121は、金属とゴムの任意の組み合わせ、および/または他の材料もしくは材料の組み合わせを含み得る。
【0032】
センサシステム104は、概して、車両100の周辺環境に関する情報を検出するように構成されている1つ以上のセンサを含む。例えば、センサシステム104は、全地球測位システム(GPS)122、慣性測定ユニット(IMU)124、RADARユニット126、レーザ距離計/LIDARユニット128、カメラ130、および/またはマイクロフォン131を含むことができる。センサシステム104はまた、車両100の内部システムを監視するように構成されているセンサ(例えば、Oモニタ、燃料計、エンジンオイル温度、ホイール速度センサなど)を含むことができる。センサシステム104に含まれる1つ以上のセンサは、1つ以上のセンサの位置および/または配向を修正するために、別々におよび/または集合的に作動されるように構成され得る。
【0033】
GPS122は、車両100の地理的位置を推定するように構成されているセンサである。この目的のために、GPS122は、地球に対する車両100の位置に関する情報を提供するように動作可能なトランシーバを含むことができる。
【0034】
IMU124は、慣性加速度に基づいて車両100の位置および配向の変化を感知するように構成されているセンサ(例えば、加速度計およびジャイロスコープ)の任意の組み合わせを含むことができる。
【0035】
RADARユニット126は、車両100のローカル環境内の物体を感知するために無線信号を利用するシステムを表し得る。いくつかの実施形態では、物体を感知することに加えて、RADARユニット126および/またはコンピュータシステム112は、物体の速度および/または進行方向を感知するように追加的に構成され得る。RADARユニット126は、任意のアンテナ、導波管ネットワーク、通信チップ、および/またはRADAR動作を容易にし得る他の構成要素を含み得る。
【0036】
同様に、レーザ距離計またはLIDARユニット128は、レーザを使用して車両100が位置している環境内の物体を感知するように構成されている任意のセンサであり得る。レーザ距離計/LIDARユニット128は、他のシステム構成要素の中でもとりわけ、1つ以上のレーザ源、レーザスキャナ、および1つ以上の検出器を含むことができる。レーザ距離計/LIDARユニット128は、(例えば、ヘテロダイン検出を使用して)コヒーレントまたはインコヒーレント検出モードで動作するように構成され得る。
【0037】
カメラ130は、車両100の周辺環境の複数の画像を捕捉するように構成されている1つ以上のデバイスを含むことができる。カメラ130は、スチルカメラまたはビデオカメラであり得る。いくつかの実施形態では、カメラ130は、カメラが装着されているプラットフォームを回転および/または傾斜させることなどにより、機械的に移動可能であり得る。このように、車両100の制御プロセスは、カメラ130の動きを制御するように実装することができる。
【0038】
センサシステム104はまた、マイクロフォン131を含むことができる。マイクロフォン131は、車両100の周辺環境からの音を捕捉するように構成され得る。場合によっては、複数のマイクロフォンはマイクロフォンアレイとして、またはおそらくは複数のマイクロフォンアレイとして配置され得る。
【0039】
制御システム106は、車両100およびその構成要素の加速を調節する動作を制御するように構成される。加速をもたらすために、制御システム106は、ステアリングユニット132、スロットル134、ブレーキユニット136、センサフュージョンアルゴリズム138、コンピュータビジョンシステム140、ナビゲーション/経路指定システム142、および/または障害物回避システム144などを含む。
【0040】
ステアリングユニット132は、車両100の進行方向を調整するように動作可能である。例えば、ステアリングユニットは、車両の方向転換を行うように、1つ以上のホイール/タイヤ121の軸を調整し得る。スロットル134は、例えば、エンジン/モータ118の動作速度を制御し、次に、トランスミッション120およびホイール/タイヤ121を介して車両100の前進加速度を調整するように構成される。ブレーキユニット136は、車両100を減速させる。ブレーキユニット136は、摩擦を使用して、ホイール/タイヤ121を減速させ得る。いくつかの実施形態では、ブレーキユニット136は、回生ブレーキプロセスによってホイール/タイヤ121を誘導的に減速させて、ホイール/タイヤ121の運動エネルギーを電流に変換する。
【0041】
センサフュージョンアルゴリズム138は、センサシステム104からのデータを入力として受け入れるように構成されているアルゴリズム(またはアルゴリズムを記憶するコンピュータプログラム製品)である。データは、例えば、センサシステム104のセンサで感知された情報を表すデータを含み得る。センサフュージョンアルゴリズム138は、例えば、カルマンフィルタ、ベイジアンネットワークなどを含むことができる。センサフュージョンアルゴリズム138は、センサシステム104からのデータに基づいて、車両の周辺環境に関する評価を提供する。いくつかの実施形態では、評価は、車両100の周辺環境における個々の物体および/もしくは特徴の評価、特定の状況の評価、ならびに/または特定の状況に基づく車両100と環境における特徴との間の潜在的な干渉の評価(例えば、衝突および/または衝撃の予測など)を含むことができる。
【0042】
コンピュータビジョンシステム140は、カメラ130によって捕捉された画像を処理および分析して、車両100の周辺環境内の物体および/または特徴を識別し得る。検出された特徴/物体は、交通信号、道路の境界、他の車両、歩行者、および/または障害物などを含むことができる。コンピュータビジョンシステム140は、任意選択的に、物体認識アルゴリズム、多視点三次元復元(SFM:Structure From Motion)アルゴリズム、ビデオトラッキング、および/または利用可能なコンピュータビジョン技術を採用して、検出された特徴/物体の分類および/または識別を行い得る。いくつかの実施形態では、コンピュータビジョンシステム140は、環境をマッピングし、知覚された物体を追跡し、物体の速度を推定するなどのために追加的に構成され得る。
【0043】
ナビゲーションおよび経路指定システム142は、車両100の走行経路を判定するように構成される。例えば、ナビゲーションおよび経路指定システム142は、例えば、ユーザインターフェース116を介したユーザ入力に従って設定することができ、最終目的地に至る車道ベースの経路に沿って一般的に車両を前進させながら、知覚された障害物を実質的に回避する経路に沿って車両の移動を行うために、一連の速度および指示進行方向を判定することができる。ナビゲーションおよび経路指定システム142は追加的に、知覚された障害物、交通パターン、天候/道路状況などに基づいて、車両100が動作している間に、走行経路を動的に更新するように構成され得る。いくつかの実施形態では、ナビゲーションおよび経路指定システム142は、車両100の走行経路を判定するために、センサフュージョンアルゴリズム138、GPS122、および1つ以上の所定の地図からのデータを組み込むように構成され得る。
【0044】
障害物回避システム144は、車両100の周辺環境内の潜在的な障害物を識別、評価、および回避、または別の方法で通り抜けるように構成されている制御システムを表し得る。例えば、障害物回避システム144は、制御システム106内の1つ以上のサブシステムを操作して、旋回操縦、方向転換操縦、制動操縦などを行うことにより、車両のナビゲーションに変化をもたらし得る。いくつかの実施形態では、障害物回避システム144は、周囲の交通パターン、道路状況などに基づいて、実行可能な(「利用可能な」)障害物回避操縦を自動的に判定するように構成される。例えば、障害物回避システム144は、他のセンサシステムが、旋回するであろう車両に隣接する領域内にある車両、建設障壁、他の障害物などを検出した場合に、旋回操縦が行われないように構成され得る。いくつかの実施形態では、障害物回避システム144は、利用可能な操作であり、かつ車両内の乗員の安全を最大限に配慮した操作を自動的に選択し得る。例えば、障害物回避システム144は、車両100の車内の加速度が最小になると予測される回避操縦を選択し得る。
【0045】
車両100はまた、車両100と外部センサ、他の車両、他のコンピュータシステム、および/または車両100の乗員などのユーザとの間の対話を可能にするように構成されている周辺機器108を含む。例えば、乗員、外部システムなどから情報を受信するための周辺機器108は、無線通信システム146、タッチスクリーン148、マイクロフォン150、および/またはスピーカ152を含むことができる。
【0046】
いくつかの実施形態では、周辺機器108は、車両100のユーザがユーザインターフェース116と対話するための入力を受信するように機能する。この目的のために、タッチスクリーン148は、車両100のユーザに情報を提供することと、タッチスクリーン148を介して示されたユーザからの情報をユーザインターフェース116に伝えることとの両方が可能である。タッチスクリーン148は、静電容量感知、抵抗感知、光学感知、表面音響派プロセスなどを介して、ユーザの指(またはスタイラスなど)からのタッチ位置およびタッチジェスチャの両方を感知するように構成され得る。タッチスクリーン148は、タッチスクリーン表面に平行な方向または平面的な方向、タッチスクリーン表面に法線の方向、またはその両方での指の動きを感知することができ、タッチスクリーン表面に加えられる圧力のレベルを感知することもできる。車両100の乗員はまた、音声コマンドインターフェースを利用し得る。例えば、マイクロフォン150は、車両100のユーザから音声(例えば、音声コマンドまたは他の音声入力)を受信するように構成され得る。同様に、スピーカ152は、車両100のユーザに音声を出力するように構成され得る。
【0047】
いくつかの実施形態では、周辺機器108は、車両100と、車両の周辺環境内のデバイス、センサ、他の車両などの外部システム、および/または交通情報、気象情報などの車両の周辺に関する有用な情報を提供する車両から物理的に離れた位置にあるコントローラ、サーバなどの外部システムとの間の通信を可能にするように機能する。例えば、無線通信システム146は、1つ以上のデバイスと直接または通信ネットワークを介して無線通信することができる。例えば、無線通信システム146では、符号分割多元接続(CDMA)、進化データ最適化(EVDO)、グローバル移動体通信システム(GSM)/汎用パケット無線サービス(GPRS)などの3Gセルラ通信、および/またはワールドワイドインターオペラビリティフォーマイクロウェーブアクセス(WiMAX)もしくはロングタームエボリューション(LTE)などの4Gセルラ通信を任意選択的に使用し得る。追加的に、または代替的に、無線通信システム146は、例えば、WiFiを使用して無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)と通信し得る。いくつかの実施形態では、無線通信システム146は、例えば、赤外線リンク、Bluetooth(登録商標)、および/またはZigBee(登録商標)を使用して、デバイスと直接通信し得る。無線通信システム146は、車両および/または道路沿いのガソリンスタンド間の公共および/または私的データ通信を含むことができる1つ以上の専用狭域通信(DSRC)デバイスを含むことができる。様々な車両通信システムなど、信号に埋め込まれた情報を送受信するための他の無線プロトコルも、本開示の文脈内で無線通信システム146によって採用され得る。
【0048】
上記のように、電源110は、周辺機器108、コンピュータシステム112、センサシステム104などにおける電子機器などの、車両100の構成要素に電力を提供することができる。電源110は、例えば、電力を供給される様々な構成要素に電気エネルギーを貯蔵および放電するために充電可能なリチウムイオン電池または鉛酸電池を含むことができる。いくつかの実施形態では、電池の1つ以上のバンクは、電力を提供するように構成され得る。いくつかの実施形態では、電源110およびエネルギー源119は、一部の全電気自動車のように、共に実装され得る。
【0049】
車両100の機能の多くまたはすべては、センサシステム104、周辺機器108などからの入力を受信して、適切な制御信号を推進システム102、制御システム106、周辺機器108などに通信して、周囲に基づいて車両100を自動運転させるコンピュータシステム112を介して制御され得る。ここで、コンピュータシステム112は、データストレージ114などの非一時的なコンピュータ可読媒体に記憶された命令115を実行する少なくとも1つのプロセッサ113(少なくとも1つのマイクロプロセッサを含むことができる)を含む。コンピュータシステム112はまた、車両100の個々の構成要素またはサブシステムを分散方式で制御するように機能する複数のコンピューティングデバイスを表し得る。
【0050】
いくつかの実施形態では、データストレージ114は、図1に関連して上述したものを含めて、車両100の様々な機能を実行するためにプロセッサ113によって実行可能な命令115(例えば、プログラム論理)を含んでいる。データストレージ114は、推進システム102、センサシステム104、制御システム106、および周辺機器108のうちの1つ以上に、データを送信するため、データを受信するため、相互作用するため、および/または制御するための命令を含む、追加の命令も含み得る。
【0051】
命令115に加えて、データストレージ114は、他の情報のうち、とりわけ、道路地図、経路情報などのデータを記憶し得る。そのような情報は、自律モード、半自律モード、および/または手動モードでの車両100の動作中に車両100およびコンピュータシステム112によって使用され、最終目的地への利用可能な道路を選択し、センサシステム104からの情報を解釈するなどを行い得る。
【0052】
車両100および関連するコンピュータシステム112は、車両100の車内の乗員などの車両100のユーザに情報を提供し、および/または車両100のユーザから入力を受信する。ユーザインターフェース116は、それに応じて、コンピュータシステム112と車両の乗員との間の通信を可能にするために、無線通信システム146、タッチスクリーン148、マイクロフォン150、および/またはスピーカ152など、周辺機器108のセット内に1つ以上の入力/出力デバイスを含むことができる。
【0053】
コンピュータシステム112は、車両および/または環境条件を示す様々なサブシステム(例えば、推進システム102、センサシステム104、および/または制御システム106)から受信した入力、ならびにユーザの好みを示すユーザインターフェース116からの入力に基づいて、車両100の動作を制御する。例えば、コンピュータシステム112は、制御システム106からの入力を利用して、センサシステム104および障害物回避システム144によって検出された障害物を回避するようにステアリングユニット132を制御することができる。コンピュータシステム112は、車両100およびそのサブシステムの多くの態様を制御するように構成され得る。しかし、一般的に、緊急時または単にユーザが起動したオーバーライドに応答するような場合などは、自動化されたコントローラ駆動の動作を手動でオーバーライドするための規定が設けられている。
【0054】
本明細書に記載された車両100の構成要素は、それぞれのシステム内またはシステム外の他の構成要素と相互接続して動作するように構成され得る。例えば、カメラ130は、自律モードで動作している間、車両100の環境に関する情報を表す複数の画像を捕捉することができる。環境は、他の車両、信号機、交通標識、道路標識、歩行者などを含み得る。コンピュータビジョンシステム140は、センサフュージョンアルゴリズム138、コンピュータシステム112などと協調して、データストレージ114に予め記憶された物体認識モデルに基づいて、および/または他の技術によって、環境の様々な態様を分類および/または認識することができる。
【0055】
車両100は、車両100の様々な構成要素、例えば、無線通信システム146、コンピュータシステム112、データストレージ114、およびユーザインターフェース116が車両100に統合されるものとして記載され、図1に示されているが、これらの構成要素のうちの1つ以上は、任意選択的に、車両100とは別個に装着されるか、または関連付けられ得る。例えば、データストレージ114は、例えば、クラウドベースのサーバ内などのように、車両100から、部分的にまたは完全に分離して存在し得る。したがって、車両100の機能要素のうちの1つ以上は、別々にまたは共に配置されたデバイス要素の形態で実装され得る。車両100を構成する機能デバイス要素は、概して、有線および/または無線方式で共に通信可能に結合され得る。
【0056】
例示的な車両200は、センサユニット202と、無線通信システム204と、RADARユニット206と、レーザ距離計ユニット208と、カメラ210と、を含む。さらに、例示的な車両200は、図1の車両100に関連して説明された構成要素のいずれかを含むことができる。RADARユニット206および/またはレーザ距離計ユニット208は、潜在的な障害物の存在について周辺環境を能動的に走査することができ、車両100のRADARユニット126および/またはレーザ距離計/LIDARユニット128と同様であり得る。
【0057】
センサユニット202は、車両200の上部に装着され、車両200の周辺環境に関する情報を検出し、情報の表示を出力するように構成された1つ以上のセンサを含む。例えば、センサユニット202は、カメラ、RADAR、LIDAR、距離計、および音響センサの任意の組み合わせを含むことができる。センサユニット202は、センサユニット202内の1つ以上のセンサの配向を調整するように動作可能であり得る1つ以上の移動可能なマウントを含むことができる。一実施形態では、移動可能なマウントは、車両200の周囲の各方向から情報を得るようにセンサを走査することができる回転プラットフォームを含み得る。別の実施形態では、センサユニット202の移動可能なマウントは、角度および/または方位の特定の範囲内での走査方式で移動可能であり得る。センサユニット202は、例えば、自動車のルーフの上に装着され得るが、他の装着位置も可能である。追加的に、センサユニット202のセンサは、異なる位置に分散され得、1つの位置に併置されなくてもよい。いくつかの可能なセンサタイプおよび装着位置には、RADARユニット206およびレーザ距離計ユニット208が含まれる。さらに、センサユニット202の各センサは、センサユニット202の他のセンサとは独立して移動または走査されるように構成され得る。
【0058】
例示的な構成では、1つ以上のRADARスキャナ(例えば、RADARユニット206)は、車両200の前方付近に配置され、無線反射物体の存在を、自動車200の前方の領域を能動的に走査し得る。RADARスキャナは、例えば、車両200の他の特徴によって塞がれることなく、車両200の前進経路を含む領域を照明するために好適な場所に置かれ得る。例えば、RADARスキャナは、フロントバンパー、フロントヘッドライト、カウル、および/またはボンネットなどの中またはその近くに、埋め込まれるおよび/または装着されるように置かれ得る。さらに、1つ以上の追加のRADAR走査デバイスは、例えば、リアバンパー、サイドパネル、ロッカーパネル、および/または車台などの中またはその近くにそのようなデバイスを含むことによって、無線反射物体の存在を、車両200の側面および/または後部を能動的に走査するように配置され得る。
【0059】
無線通信システム204は、図2に示されるように、車両200のルーフに配置され得る。代替的に、無線通信システム204は、完全にまたは部分的に、他の場所に配置され得る。無線通信システム204は、車両200の外部または内部のデバイスと通信するように構成され得る無線送信機および受信機を含み得る。具体的には、無線通信システム204は、例えば、車両通信システムまたは道路沿いのガソリンスタンドにおいて、他の車両および/またはコンピューティングデバイスと通信するように構成されているトランシーバを含み得る。そのような車両通信システムの例は、専用の短距離通信(DSRC)、無線周波数識別(RFID)、およびインテリジェント輸送システム向けに提案されている他の通信規格を含む。
【0060】
カメラ210は、車両200の環境の複数の画像を捕捉するように構成されている、スチルカメラ、ビデオカメラなどの感光性機器であり得る。この目的のために、カメラ210は、可視光を検出するように構成され得、追加的または代替的に、赤外光または紫外光などのスペクトルの他の部分からの光を検出するように構成され得る。カメラ210は、二次元検出器とすることができ、任意選択的に、感度の三次元空間範囲を有し得る。いくつかの実施形態では、カメラ210は、例えば、カメラ210から環境内のいくつかの点までの距離を示す二次元画像を生成するように構成されている距離検出器を含むことができる。この目的のために、カメラ210は、1つ以上の範囲検出技術を使用し得る。
【0061】
例えば、カメラ210は、車両200が環境中の物体を、グリッドまたはチェッカーボードパターンなどの所定の光パターンで照明し、カメラ210を用いて周辺環境からの所定の光パターンの反射を検出する構造化光技術を用いて、距離情報を提供し得る。反射光パターンの歪みに基づいて、車両200は、物体上の点までの距離を判定し得る。所定の光パターンは、赤外光、またはそのような測定に好適な他の波長の放射線で構成され得る。
【0062】
カメラ210は、車両200のフロントガラスの内側に装着され得る。具体的には、カメラ210は、車両200の配向に対して前方から見た画像を捕捉するように置かれ得る。カメラ210の他の装着位置および視野角もまた、車両200の内側または外側のいずれかで使用され得る。さらに、カメラ210は、調整可能な視野を提供するように動作可能な関連する光学系を有し得る。さらに、カメラ210は、パン/チルト機構などを介して、カメラ210のポインティング角度を変えるために移動可能なマウントを用いて車両200に装着され得る。
【0063】
III.通信システムの例
次に、開示された通信システムを、図3図4図5、および図6に関してより詳細に説明する。
【0064】
図3は、例示的な通信システム300を示している。通信システム300は、第1の通信ユニット302(これは「センサユニット302」とも呼ばれる)と、第2の通信ユニット304(これは「車両側ユニット304」とも呼ばれる)と、回転ジョイント306と、を含むことができる。回転ジョイント306は、センサユニット302が通信システム300の回転軸308を中心に車両側ユニット304に対して回転可能であるように構成することができ、かつ望ましくない程度の信号損失をもたらすことなく電磁信号がセンサユニット302と車両側ユニット304との間を伝播可能にすることができる。
【0065】
センサユニット302は、第1のアンテナを含む1つ以上の通信チップの第1のセットを含むことができる。図3に示される代表的な例として、センサユニット302は、第1のアンテナ312を含む第1の通信チップ310を含むことができる。第1の通信チップ310は、通信システム300の回転軸308が第1のアンテナ312の中心と実質的に位置合わせされるように(すなわち、第1のアンテナ312が回転軸308を中心に回転するように)、センサユニット302の位置に位置付けられ、それと結合することができる。
【0066】
車両側ユニット304は、第2のアンテナを含む1つ以上の通信チップの第2のセットを含むことができる。図3に示される代表的な例として、車両側ユニット304は、第2のアンテナ316を含む第2の通信チップ314を含むことができる。実際には、第2の通信チップ314は、通信システム300の車両側の表面(図示せず)に取り付けられるか、または別の方法で結合され得る。
【0067】
第1の通信チップ310、第2の通信チップ314、および/または通信システム300の一部として存在する任意の他のチップは、RFから電気への変換および電気からRFへの変換を実行するように構成することができる。
【0068】
センサユニット302および車両側ユニット304の各々は、通信チップを有するものとして示され、説明されているが、他の実施形態では、センサユニット302と車両側ユニット304との間の通信(すなわち、第1のアンテナ312と第2のアンテナ316との間)は、他の電子デバイスを使用して、そのようなチップを使用せずに発生させることができる。
【0069】
通信システム300は、センサユニット302と車両側ユニット304との間の電磁信号の双方向通信を可能にするように構成することができる。実際には、電磁信号は、車両上のセンサデータプロセッサ(図示せず)とセンサユニット上のセンサ(図示せず)との間で通信するための経路の一部として使用され得る。これを容易にするために、第1のアンテナ312は、第1の通信チップ310が使用して、電磁信号を第1の通信チップ310との間で通信するように構成することができる。同様に、第2のアンテナ316は、第2の通信チップ314が使用して、第2の通信チップ314との間で電磁信号を通信するように構成することができる。多くの場合、特に無線周波数では、このような通信チップとの間のインターフェースは非効率的であり、および/または設計が難しい場合がある。したがって、チップ通信を改善するために、それぞれの通信チップは、センサユニット302と車両側ユニット304との間で通信される信号などの信号を、通信チップの外部の構成要素と通信し、そのような信号を構成要素から受信することができる、第1のアンテナ312または第2のアンテナ316などの1つ以上のアンテナを含むことができる。
【0070】
第1の通信チップ310および/または第2の通信チップ314(したがって、第1のアンテナ312および第2のアンテナ316)は、それぞれの1つ以上のプロセッサ(図示せず)に直接結合されるか、または近接(例えば、ミリメートル以内)させることができる。例えば、第1の通信チップ310は、センサユニット302のLIDARセンサの一部であり得、LIDARセンサに関連付けられた第1のプロセッサに結合することができる。同様に、第2の通信チップ314は、車両側ユニット304のLIDAR処理システムの一部である第2のプロセッサに結合することができる。第1のプロセッサは、LIDARデータを取得するようにLIDARセンサに指示する信号など、第2の通信チップ314から受信した信号を変換するか、または別の方法で処理するように構成することができる。第2のプロセッサは、取得されたLIDARデータを表す信号など、第1の通信チップ310から受信された信号を変換するか、または別の方法で処理するように構成することができる。したがって、センサユニット302と車両側ユニット304との間のLIDAR信号の双方向通信が可能であり得る。
【0071】
さらに示されるように、車両側ユニット304は、第2の通信チップ314から回転ジョイント306まで延在する誘電体導波管ケーブル318を含むことができる。誘電体導波管ケーブル318は、プラスチック、ポリテトラフルオロエチレン、および/または他の誘電体材料から構成することができ、それらのうちの1つ以上は可撓性であり得る。動作中、誘電体導波管ケーブル318は、回転ジョイント306と第2のアンテナ316との間で、第2の通信チップ314との間で信号を搬送する導波管として機能することができる。通信システム300の信頼性を高め、信号の不連続性の可能性を低減するために、いくつかの例では、誘電体導波管ケーブル318は、第2の誘電体材料で被覆された第1の誘電体材料を含むことができ、ここで第1および第2の誘電体材料は異なる誘電体材料であり、第2の誘電体材料は、誘電体導波管ケーブル318内の電磁信号の内部反射を提供するように選択することができる。いくつかの例では、第1の誘電体材料および/または第2の誘電体材料は、プラスチックを含むことができる。実際には、誘電体導波管ケーブル318の直径が、誘電体導波管ケーブル318を伝播する信号の波長よりも著しく小さい場合、概して、単一の伝播モードのみがサポートされる。誘電率(または屈折率)の基本的な制約は、コア材料の誘電率がクラッドよりも高いことである。したがって、いくつかの例では、空気中の露出したテフロン(PTFE)ロッドが誘電体ケーブルに効果的であり得る。別の例として、ポリエチレンの誘電率は約2.3であり、PTFEの誘電率は約2.0であるため、原則として、PTFEで覆われたポリエチレンを使用することができる。さらに別の例として、PVCの誘電率は約3.0であるため、PVCもまた、誘電体導波管ケーブル318として使用することができる。さらに、材料によるエネルギー吸収など、他の要因も関係してくる可能性がある。例えば、一般に、動作周波数で少量のエネルギーを吸収する材料を有することが望ましい。誘電体導波管ケーブル318を形成するために使用し得る多くの異なる材料および材料の組み合わせが存在する。
【0072】
誘電体導波管ケーブル318は、車両のサイズおよび第2の通信チップ314の位置などの様々な要因に応じて長さを変えることができる。1つの用途では、誘電体導波管ケーブル318は、少なくとも1.5mの長さであり得るが、他の長さも同様に使用することができる。一般に、本開示は、ケーブルの長さが増加するにつれて(延びている金属トレースと比較して)、より有利となり得る。さらに、いくつかの例では、誘電体導波管ケーブル318は、光ファイバケーブルの形態を採ることができる。
【0073】
さらに示されるように、誘電体導波管ケーブル318は、近位端320および遠位端322を含むことができ、これらの各々は、信号が通過することができるそれぞれの開口を含む。誘電体導波管ケーブル318の近位端320は、第2の通信チップ314に結合することができる。近位端320を第2の通信チップ314に結合する様態は、RF結合および/または物理的接続の形態など、様々な形態を採ることができる。RF結合は、アンテナ、開放端導波管、またはRFエネルギーを結合し得る他の構造の形態を採ることができる。物理的接続は、通信チップのポートへの誘電体導波管ケーブル318の当接、または他の物理的接続の形態を採ることができる。第2の通信チップ314への近位端320の結合は、電磁エネルギーが誘電体導波管ケーブル318を介して第2の通信チップ314から直接収集されることを可能にすることができる。
【0074】
誘電体導波管ケーブル318の遠位端322は、回転ジョイント306によって画定される空間に隣接する位置で、車両側ユニット304に取り付けることができる。遠位端322は、機械的クランプ、ねじ、および/または他のタイプの締結装置などの締結装置324を使用して取り付けることができる。いくつかの例では、締結装置324は、プラスチックなどの誘電体材料から構成することができる。
【0075】
誘電体導波管ケーブル318の遠位端322は、車両側ユニット304に対するセンサユニット302の回転が誘電体導波管ケーブル318を回転させないように締結することができる。さらに、誘電体導波管ケーブル318の遠位端322は、遠位端322の軸(例えば、遠位端322の中心を通る軸)が通信システム300の回転軸308と実質的に位置合わせされるように締結および位置付けることができる。遠位端322の軸、第1のアンテナ312の中心、および回転軸308は実質的に位置合わせすることができるので、図3の回転軸308を示す点線は、通信システム300の動作中に遠位端322および第1のアンテナ312がその周りを回転し得る軸を表すことができる。
【0076】
いくつかの例では、遠位端322は、遠位端322の開口の位置が回転ジョイント306によって画定される空間に隣接するように(例えば、開口および車両側ユニット304の隣接する表面が実質的に同一平面上にあるように)位置付けおよび取り付けることができる。代替的に、例として図3に示されるように、遠位端322は、遠位端322の開口の位置が回転ジョイント306によって画定される空間内にあるように、位置付けおよび取り付けることができる。開口が回転ジョイント306によって画定される空間に隣接しているか、または空間内にあるかに関係なく、遠位端322は、第1のアンテナ312の所定の距離内、例えば、第1のアンテナ312からおよそ2mm内に位置するように位置付けることができる。遠位端322を第1のアンテナ312に近づけることにより、回転ジョイント306内の信号干渉の可能性を低減することができ、それでも、誘電体導波管ケーブル318を回転させることなく、センサユニット302の回転を可能にする。
【0077】
上記のように、誘電体導波管ケーブル318は、第2の通信チップ314、したがって第2のアンテナ316を車両側プロセッサ(例えば、コンピュータビジョンシステム140など、図1に示される制御システム106の一部として含まれるプロセッサ)に(例えば、上または内部)配置することができるので、電気からRFおよびRFから電気への変換の負荷を回転ジョイントから有利に移動させることができる。したがって、センサユニット302から車両側ユニット304への(またはその逆の)通信は、そのような変換が回転ジョイント306の近くで発生する必要性を排除することができる。さらに、上記のように、第1の通信チップ310と第2の通信チップ314との間で搬送される信号は、誘電体導波管ケーブル318の長さ全体にわたって最小限の干渉で、または干渉なしで伝播することができる。
【0078】
さらに示されるように、回転ジョイント306は、ベアリング326を含むことができ、ベアリング326の各々は、ベアリングの一方の側でセンサユニット302に装着され、ベアリングの別方の側で車両側ユニット304に装着することができる。そのように配置されると、ベアリング326は、車両側ユニット304に対してセンサユニット302の回転を可能にすることができる。ベアリング326は、本システムで可能なベアリングの一例であり、ベアリングの他の形状、サイズ、および構成も可能である。追加的または代替的に、回転ジョイント306は、車両側ユニット304に対するセンサユニット302の回転およびセンサユニット302と車両側ユニット304との間の信号の伝播を可能にするうえで役立ち得るベアリングスリーブ、スリップリングなどの他の物理的構成要素を含むことができる。
【0079】
さらに示されるように、回転ジョイント306はまた、センサユニット302と車両側ユニット304との間に形成されたエアギャップを含むことができる。エアギャップは、およそ1~3mmであってもよく、その範囲外であってもよい。通信システム300の動作中、センサユニット302の振動および回転は、エアギャップの間隔および遠位端322と第1のアンテナ312との位置合わせを変化させることができる。したがって、通信システム300の構成要素を調整することで、電気的結合をギャップの変動および回転とは機能的に独立させるか、またはそれらに反応しないようにする一方で、結合を最大化させることができる。
【0080】
センサユニット302(したがって、第1のアンテナ312)の回転に起因して起こり得る潜在的な交差分極に対処するために、第1のアンテナ312および/または第2のアンテナ316は、円偏波電磁信号を生成するように構成することができる。
【0081】
通信システム300の動作例では、第1のアンテナ312は、第1の電磁信号を第2のアンテナ316に送信することができる。特に、第1のアンテナ312によって送信された第1の電磁信号は、回転ジョイント306を横切って伝播し、次いで、誘電体導波管ケーブル318の遠位端322に入ることができる。言い換えれば、第1の電磁信号は、回転ジョイント306と誘電体導波管ケーブル318との間の他の媒体(例えば、中間導波管構造)を通って伝播しないことがあり、代わりに、回転ジョイント306を横切る伝播に続いて誘電体導波管ケーブル318に入ることができる。いくつかの実装形態では、第1の電磁信号は、回転ジョイント306を横切る伝播の直後に誘電体導波管ケーブル318に入ることがある。誘電体導波管ケーブル318に入った後、第1の電磁信号は、誘電体導波管ケーブル318を通って伝播し、近位端320を出て、第2のアンテナ316によって受信され得る。
【0082】
同様に、第2のアンテナ316は、第2の電磁信号を第1のアンテナ312に送信することができる。特に、第2のアンテナ316は、第2の電磁信号を誘電体導波管ケーブル318の近位端320に送信することができる。誘電体導波管ケーブル318に入った後、第2の電磁信号は、誘電体導波管ケーブル318を通って伝播することができる。次いで、第2の電磁信号は、遠位端322を出て、回転ジョイント306に入り、回転ジョイント306を横切って伝播し、第1のアンテナ312によって受信され得る。いくつかの実装形態では、第2の電磁信号は、遠位端322を出て、回転ジョイント306に直接入ることがある。他の動作例も可能である。
【0083】
上記のように、誘電体導波管ケーブル318の遠位端322の軸および第1のアンテナ312の中心は両方とも、通信システム300の回転軸308と実質的に位置合わせすることができる。したがって、センサユニット302および車両側ユニット304は、一方側の他方側に対する回転に関係なく、通信し続けることができる。
【0084】
いくつかの実施形態では、誘電体導波管ケーブル318は、近位端320および/または遠位端322に、導波管発射構造を含むことができる。いくつかの例では、発射構造は、単に導波管の開放端であり得る。他の例では、アンテナ、またはホーンなどのアンテナのような構造は、導波管の端部に結合され得る。いくつかの例では、最適化された発射構造は、アンテナのフィールドを導波管の伝播モードに一致させる構造であり得る。これは、例えば、誘電体レンズの形態を採り得る。いくつかの発射構造では、導波管の端部を先細りにして円錐を形成することが有利となり得る。他の可能な発射構造が可能である。
【0085】
図4は、遠位端322において例示的な導波管発射構造400を含む誘電体導波管ケーブル318の一部を示している。
【0086】
図5は、アンテナ504を有する例示的なマイクロチップ502を示す。アンテナ504は、マイクロチップ502を出入りする信号を通信するために、マイクロチップ502によって使用され得る。いくつかの例では、図3の第1の通信チップ310および/または第2の通信チップ314は、マイクロチップ502の形態を採ることができる。
【0087】
上述の実装態様の多くの変形も可能であり、各々が車両とセンサユニットとの間の通信を有利かつ確実に提供する。
【0088】
図6は、例示的な方法600を示す。ブロック602において、本方法は、第1の通信ユニットの第1のアンテナによって、第1の電磁信号を回転ジョイントを横切って誘電体導波管ケーブルの遠位端に送信することを含む。誘電体導波管ケーブルは、回転ジョイントから第2の通信ユニットの第2のアンテナまで延在することができる。誘電体導波管ケーブルの近位端を第2のアンテナに結合することができ、誘電体導波管ケーブルの遠位端を、回転ジョイントによって画定される空間に隣接する位置で第2の通信ユニットに取り付けることができる。
【0089】
ブロック604において、本方法は、誘電体導波管ケーブルによって、第1の電磁信号を、1つ以上の通信チップの第2のセットの第2のアンテナに結合することを含む。
【0090】
したがって、方法600は、回転ジョイントから離れたRFから電気への変換および電気からRFへの変換の負荷の干渉および移動を最小限に抑えながら、車両側構成要素(例えば、図3の第2の通信チップ314)がセンサ側構成要素(例えば、図3の第1の通信チップ310)とRF通信することを可能にすることができる。
【0091】
例示的な方法600では、第1の通信ユニット(例えば、1つ以上の通信チップの第1のセット)および第2の通信ユニット(例えば、1つ以上の通信チップの第2のセット)は、互いに双方向の通信を行うように構成することができる。さらに、回転ジョイントは、第1の通信ユニットが第2の通信ユニットに対して回転軸を中心に回転することを可能にするように構成することができ、誘電体導波管ケーブルの遠位端の軸を回転軸と実質的に位置合わせすることができる。いくつかの例では、第1のアンテナの中心を、同様に回転軸と実質的に位置合わせすることができる。
【0092】
いくつかの実施形態では、例示的な方法600は、第2のアンテナによって、第2の電磁信号を誘電体導波管ケーブルの近位端に送信することをさらに含むことができる。さらに、例示的な方法600はまた、誘電体導波管ケーブルによって、第2の電磁信号を回転ジョイントに結合することを含むことができ、それにより、第2の電磁信号は、誘電体導波管ケーブルの遠位端を出て、回転ジョイントに入り、回転ジョイントを横切って伝播し、第1のアンテナに入る。
【0093】
いくつかの実施形態では、第1の通信ユニットは、車両に回転的に装着されたセンサユニットを含むことができ、車両は、第2の通信ユニットを含むことができる。
【0094】
いくつかの実施形態では、第1のアンテナは、センサユニットに含まれるLIDARセンサに通信可能に結合することができる。
【0095】
いくつかの実施形態では、誘電体導波管ケーブルは、第1の誘電体材料とは異なる第2の誘電体材料で被覆された第1の誘電体材料を含むことができ、第2の誘電体材料は、誘電体導波管ケーブル内の第1の電磁信号の内部反射を提供するように選択される。いくつかの例では、第1の誘電体材料または第2の誘電体材料のうちの1つ以上は、プラスチックを含むことができる。
【0096】
いくつかの実施形態では、誘電体導波管ケーブルの遠位端は、第1のアンテナからおよそ0.2mm~およそ0.5mmに配置することができる。
【0097】
いくつかの実施形態では、第1の電磁信号を送信する行為は、円偏波電磁信号を送信することを伴い得る。
【0098】
いくつかの実施形態では、第1の電磁信号は、50~100ギガヘルツの周波数を有し得る。
【0099】
本明細書で使用される「実質的に(substantially)」、「およそ(appropriately)または「約(about)」という用語は、列挙された特性、パラメータ、値、または幾何学的平面性が、正確に達成される必要はないが、例えば、許容誤差、測定誤差、測定精度の限界、および当業者に既知の他の要因を含む、偏差または変動が、特性によって提供されることが意図された効果を排除しない量で起き得ることを意味する。
【0100】
様々な例示的な態様および例示的な実施形態が本明細書において開示されているが、他の態様および実施形態は、当業者には明らかであろう。本明細書において開示される様々な例示的な態様および例示的な実施形態は、例示を目的とするものであり、限定することを意図するものではなく、真の範囲および趣旨は、以下の特許請求の範囲により示される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【国際調査報告】