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特表2022-534224置換縮合二環式誘導体、その調製方法、および医薬におけるその適用
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-07-28
(54)【発明の名称】置換縮合二環式誘導体、その調製方法、および医薬におけるその適用
(51)【国際特許分類】
   C07D 487/04 20060101AFI20220721BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20220721BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20220721BHJP
   A61P 35/02 20060101ALI20220721BHJP
   A61K 31/519 20060101ALI20220721BHJP
   A61K 31/506 20060101ALI20220721BHJP
   A61K 31/4188 20060101ALI20220721BHJP
【FI】
C07D487/04 140
C07D487/04 CSP
A61P35/00
A61P29/00
A61P35/02
A61K31/519
C07D487/04 144
A61K31/506
C07D487/04 138
A61K31/4188
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021569422
(86)(22)【出願日】2020-05-22
(85)【翻訳文提出日】2022-01-21
(86)【国際出願番号】 CN2020091695
(87)【国際公開番号】W WO2020238776
(87)【国際公開日】2020-12-03
(31)【優先権主張番号】201910437300.9
(32)【優先日】2019-05-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TWEEN
(71)【出願人】
【識別番号】516174219
【氏名又は名称】江蘇恒瑞医薬股▲ふん▼有限公司
(71)【出願人】
【識別番号】516174208
【氏名又は名称】上海恒瑞医薬有限公司
【氏名又は名称原語表記】SHANGHAI HENGRUI PHARMACEUTICAL CO., LTD
【住所又は居所原語表記】NO. 279 WENJING ROAD, MINHANG DISTRICT, SHANGHAI 200245, CHINA
(74)【代理人】
【識別番号】100101454
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 卓二
(74)【代理人】
【識別番号】100150500
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 靖
(74)【代理人】
【識別番号】100176474
【弁理士】
【氏名又は名称】秋山 信彦
(72)【発明者】
【氏名】李 心
(72)【発明者】
【氏名】王 斌
(72)【発明者】
【氏名】白 東棟
(72)【発明者】
【氏名】賀 峰
(72)【発明者】
【氏名】陶 維康
【テーマコード(参考)】
4C050
4C086
【Fターム(参考)】
4C050AA01
4C050BB04
4C050BB05
4C050CC08
4C050EE02
4C050EE03
4C050FF10
4C050GG01
4C050HH04
4C086AA01
4C086AA02
4C086AA03
4C086CB03
4C086CB05
4C086GA16
4C086MA02
4C086MA05
4C086NA14
4C086ZB26
4C086ZB27
4C086ZC20
(57)【要約】
本開示は、置換縮合二環式誘導体、その調製方法、および医薬に置けるその
適用に関する。具体的には、本開示は、式(I):
で示される新規な置換縮合二環式誘導体、治療剤、特にERK阻害剤としてのその適用、および癌、炎症、または他の増殖性疾患を処置および/または予防するための医薬の調製におけるその適用(ここで、式(I)における置換基の定義は明細書において定義されている通りである)に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化1】
[式中、
G1、G2およびG3は、同じであるか異なっており、そしてそれぞれは、CH、CおよびNからなる群から独立して選択され;
Lは、結合またはアルキレンであり、ここで、アルキレンは、場合によりアルキル、アルコキシ、オキソ、ハロゲン、アミノ、シアノ、ニトロ、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキル、アミノアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリールおよびヘテロアリールからなる群から選択される1つまたはそれ以上の置換基によってさらに置換されていてよく;
R1はそれぞれ、同じであるか異なっており、そしてそれぞれは、水素原子、ハロゲン、アルキル、アルコキシ、ハロアルキル、ハロアルコキシ、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキル、シアノ、アミノ、ニトロ、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリールおよびヘテロアリールからなる群から独立して選択され;
R2は、水素原子、ハロゲン、アルキル、アルコキシ、ハロアルキル、ハロアルコキシ、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキル、シアノ、アミノ、ニトロ、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリールおよびヘテロアリールからなる群から選択され、ここで、アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリールおよびヘテロアリールはそれぞれ、場合によりアルキル、アルコキシ、オキソ、ハロゲン、アミノ、シアノ、ニトロ、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリールおよびヘテロアリールからなる群から選択される1つまたはそれ以上の置換基によってさらに置換されていてよく;
R3は、水素原子、ハロゲン、アルキル、アルコキシ、ハロアルキル、ハロアルコキシ、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキル、シアノ、アミノ、ニトロ、シクロアルキルおよびヘテロシクリルからなる群から選択され;
R4はそれぞれ、同じであるか異なっており、そしてそれぞれは、水素原子、ハロゲン、アルキル、アルコキシ、ハロアルキル、ハロアルコキシ、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキル、シアノ、アミノ、ニトロ、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリールおよびヘテロアリールからなる群から独立して選択され;
R5は、水素原子、ハロゲン、アルキル、アルコキシ、ハロアルキル、ハロアルコキシ、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキル、シアノ、アミノ、ニトロ、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリールおよびヘテロアリールからなる群から選択され;
R6は、水素原子、ハロゲン、アルキル、アルコキシ、ハロアルキル、ハロアルコキシ、ヒドロキシおよびヒドロキシアルキルからなる群から選択され;
R7は、水素原子、ハロゲン、アルキル、アルコキシ、ハロアルキル、ハロアルコキシ、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキル、シアノ、アミノ、ニトロ、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリールおよびヘテロアリールからなる群から選択され、ここで、アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリールおよびヘテロアリールはそれぞれ、場合によりアルキル、アルコキシ、オキソ、ハロゲン、アミノ、シアノ、ニトロ、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキル、ハロアルキル、ハロアルコキシおよびアミノアルキルからなる群から選択される1つまたはそれ以上の置換基によってさらに置換されていてよく;
nは、1、2または3であり;そして
mは、0、1または2である]
で示される化合物またはその互変異性体、メソ体、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー、またはそれらの混合物、またはそれらの薬学的に許容できる塩。
【請求項2】
式(I-1)または(I-2):
【化2】
[式中、
R5は、ハロゲン、アルキル、アルコキシ、ハロアルキル、ハロアルコキシ、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキル、シアノ、アミノ、ニトロ、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリールおよびヘテロアリールからなる群から選択され;そして
G1、G2、G3、L、m、n、R1~R4、R6およびR7は、請求項1おいて定義されている通りである]
で示される化合物またはその立体異性体、互変異性体、メソ体、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー、またはそれらの混合物、またはそれらの薬学的に許容できる塩である、請求項1に記載の式(I)で示される化合物またはその互変異性体、メソ体、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー、またはそれらの混合物、またはそれらの薬学的に許容できる塩。
【請求項3】
nが、1または2である、請求項1または2に記載の式(I)で示される化合物またはその互変異性体、メソ体、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー、またはそれらの混合物、またはそれらの薬学的に許容できる塩。
【請求項4】
式(II-1)、(II-2)、(II-3)または(II-4):
【化3】
[式中、
zは、0、1、2、3または4であり;そして
L、mおよびR1~R7は、請求項1において定義されている通りである]
で示される化合物またはその立体異性体、互変異性体、メソ体、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー、またはそれらの混合物、またはそれらの薬学的に許容できる塩である、請求項1に記載の式(I)で示される化合物またはその互変異性体、メソ体、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー、またはそれらの混合物、またはそれらの薬学的に許容できる塩。
【請求項5】
式(II-12)、(II-22)、(II-32)または(II-42):
【化4】
[式中、
R5は、ハロゲン、アルキル、アルコキシ、ハロアルキル、ハロアルコキシ、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキル、シアノ、アミノ、ニトロ、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリールおよびヘテロアリールからなる群から選択され;
zは、0、1、2、3または4であり;そして
L、m、R1~R4、R6およびR7は、請求項1において定義されている通りである]
で示される化合物またはその立体異性体、互変異性体、メソ体、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー、またはそれらの混合物、またはそれらの薬学的に許容できる塩である、請求項1または4に記載の式(I)で示される化合物またはその互変異性体、メソ体、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー、またはそれらの混合物、またはそれらの薬学的に許容できる塩。
【請求項6】
Lがアルキレンであり、ここで、アルキレンは、場合によりアルキル、アルコキシ、オキソ、ハロゲン、アミノ、シアノ、ニトロ、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキル、アミノアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリールおよびヘテロアリールからなる群から選択される1つまたはそれ以上の置換基によってさらに置換されていてよく、好ましくは、Lが-CH(R8)-[式中、R8は、アルキル、アルコキシ、オキソ、ハロゲン、アミノ、シアノ、ニトロ、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキル、アミノアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリールおよびヘテロアリールからなる群から選択される]である、請求項1~5のいずれか一項に記載の式(I)で示される化合物またはその立体異性体、互変異性体、メソ体、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー、またはそれらの混合物、またはそれらの薬学的に許容できる塩。
【請求項7】
式(III-1)、(III-2)、(III-3)または(III-4):
【化5】
[式中、
R8は、アルキル、アルコキシ、オキソ、ハロゲン、アミノ、シアノ、ニトロ、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキル、アミノアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリールおよびヘテロアリールからなる群から選択され;
zは、0、1、2、3または4であり;そして
R1、R2、R4、R5、R7およびmは、請求項1において定義されている通りである]
で示される化合物またはその立体異性体、互変異性体、メソ体、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー、またはそれらの混合物、またはそれらの薬学的に許容できる塩である、請求項1、4および6のいずれか一項に記載の式(I)で示される化合物またはその互変異性体、メソ体、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー、またはそれらの混合物、またはそれらの薬学的に許容できる塩。
【請求項8】
式(III-12)、(III-22)、(III-32)または(III-42):
【化6】
[式中、
R5は、ハロゲン、アルキル、アルコキシ、ハロアルキル、ハロアルコキシ、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキル、シアノ、アミノ、ニトロ、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリールおよびヘテロアリールからなる群から選択され;
R8は、アルキル、アルコキシ、オキソ、ハロゲン、アミノ、シアノ、ニトロ、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキル、アミノアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリールおよびヘテロアリールからなる群から選択され;
zは、0、1、2、3または4であり;そして
R1、R2、R4、R7およびmは、請求項1において定義されている通りである]
で示される化合物またはその立体異性体、互変異性体、メソ体、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー、またはそれらの混合物、またはそれらの薬学的に許容できる塩である、請求項1、4、6および7のいずれか一項に記載の化合物またはその互変異性体、メソ体、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー、またはそれらの混合物、またはそれらの薬学的に許容できる塩。
【請求項9】
R7がアリールであり、ここで、アリールは、場合によりアルキル、アルコキシ、オキソ、ハロゲン、アミノ、シアノ、ニトロ、ヒドロキシおよびヒドロキシアルキルからなる群から選択される1つまたはそれ以上の置換基によってさらに置換されていてよく;好ましくは、R7がフェニルであり、ここで、フェニルは、場合によりC1-6アルキル、C1-6アルコキシ、オキソ、ハロゲン、アミノ、シアノ、ニトロ、ヒドロキシおよびC1-6ヒドロキシアルキルからなる群から選択される1つまたはそれ以上の置換基によってさらに置換されていてよい、請求項1~8のいずれか一項に記載の式(I)で示される化合物またはその立体異性体、互変異性体、メソ体、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー、またはそれらの混合物、またはそれらの薬学的に許容できる塩。
【請求項10】
R8が、アルキル、アルコキシ、オキソ、ハロゲン、アミノ、シアノ、ニトロ、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキルおよびアミノアルキルからなる群から選択され;好ましくは、R8が、C1-6ヒドロキシアルキルまたはアミノC1-6アルキルである、請求項1~9のいずれか一項に記載の式(I)で示される化合物またはその立体異性体、互変異性体、メソ体、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー、またはそれらの混合物、またはそれらの薬学的に許容できる塩。
【請求項11】
R5が、水素原子、ハロゲン、アルキル、アルコキシ、ハロアルキル、ハロアルコキシ、ヒドロキシおよびヒドロキシアルキルからなる群から選択され、好ましくは、水素原子、ハロゲンまたはアルキルであり、より好ましくは、C1-6アルキルである、請求項1~10のいずれか一項に記載の式(I)で示される化合物またはその立体異性体、互変異性体、メソ体、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー、またはそれらの混合物、またはそれらの薬学的に許容できる塩。
【請求項12】
R2が、C1-6アルキル、3~8員ヘテロシクリルおよび5~10員ヘテロアリールからなる群から選択され、ここで、C1-6アルキル、3~8員ヘテロシクリルおよび5~10員ヘテロアリールはそれぞれ、場合によりC1-6アルキル、C1-6アルコキシ、オキソ、ハロゲン、アミノ、シアノ、ニトロ、ヒドロキシおよびC1-6ヒドロキシアルキルからなる群から選択される1つまたはそれ以上の置換基によってさらに置換されていてよい、請求項1~11のいずれか一項に記載の式(I)で示される化合物またはその立体異性体、互変異性体、メソ体、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー、またはそれらの混合物、またはそれらの薬学的に許容できる塩。
【請求項13】
R2がヘテロシクリルであり、ここで、ヘテロシクリルは、場合によりアルキル、アルコキシ、オキソ、ハロゲン、アミノ、シアノ、ニトロ、ヒドロキシおよびヒドロキシアルキルからなる群から選択される1つまたはそれ以上の置換基によってさらに置換されていてよい、請求項1~11のいずれか一項に記載の式(I)で示される化合物またはその立体異性体、互変異性体、メソ体、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー、またはそれらの混合物、またはそれらの薬学的に許容できる塩。
【請求項14】
R2がヘテロアリールであり、ここで、ヘテロアリールは、場合によりアルキル、アルコキシ、オキソ、ハロゲン、アミノ、シアノ、ニトロ、ヒドロキシおよびヒドロキシアルキルからなる群から選択される1つまたはそれ以上の置換基によってさらに置換されていてよい、請求項1~11のいずれか一項に記載の式(I)で示される化合物またはその立体異性体、互変異性体、メソ体、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー、またはそれらの混合物、またはそれらの薬学的に許容できる塩。
【請求項15】
R1が、水素原子、ハロゲン、アルキル、アルコキシ、ハロアルキル、ハロアルコキシ、ヒドロキシおよびヒドロキシアルキルからなる群から選択され、好ましくは、水素原子、ハロゲンおよびC1-6アルキルからなる群から選択され、より好ましくは、ハロゲンである、請求項1~14のいずれか一項に記載の式(I)で示される化合物またはその立体異性体、互変異性体、メソ体、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー、またはそれらの混合物、またはそれらの薬学的に許容できる塩。
【請求項16】
R4が、水素原子、ハロゲン、アルキル、アルコキシ、ハロアルキル、ハロアルコキシ、ヒドロキシおよびヒドロキシアルキルからなる群から選択され、好ましくは、水素原子またはアルキルであり、より好ましくは、水素原子またはC1-6アルキルである、請求項1~15のいずれか一項に記載の式(I)で示される化合物またはその立体異性体、互変異性体、メソ体、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー、またはそれらの混合物、またはそれらの薬学的に許容できる塩。
【請求項17】
【化7】
【化8】
からなる群から選択される、請求項1~16のいずれか一項の記載の式(I)で示される化合物またはその互変異性体、メソ体、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー、またはそれらの混合物、またはそれらの薬学的に許容できる塩。
【請求項18】
式(IA):
【化9】
[式中、
G1、G2およびG3は、同じであるか異なっており、そしてそれぞれは、CH、CおよびNからなる群から独立して選択され;
R1はそれぞれ、同じであるか異なっており、そしてそれぞれは、水素原子、ハロゲン、アルキル、アルコキシ、ハロアルキル、ハロアルコキシ、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキル、シアノ、アミノ、ニトロ、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリールおよびヘテロアリールからなる群から独立して選択され;
R2は、水素原子、ハロゲン、アルキル、アルコキシ、ハロアルキル、ハロアルコキシ、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキル、シアノ、アミノ、ニトロ、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリールおよびヘテロアリールからなる群から選択され、ここで、アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリールおよびヘテロアリールはそれぞれ、場合によりアルキル、アルコキシ、オキソ、ハロゲン、アミノ、シアノ、ニトロ、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリールおよびヘテロアリールからなる群から選択される1つまたはそれ以上の置換基によってさらに置換されていてよく;
R3は、水素原子、ハロゲン、アルキル、アルコキシ、ハロアルキル、ハロアルコキシ、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキル、シアノ、アミノ、ニトロ、シクロアルキルおよびヘテロシクリルからなる群から選択され;
R4はそれぞれ、同じであるか異なっており、そしてそれぞれは、水素原子、ハロゲン、アルキル、アルコキシ、ハロアルキル、ハロアルコキシ、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキル、シアノ、アミノ、ニトロ、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリールおよびヘテロアリールからなる群から独立して選択され;
R5は、水素原子、ハロゲン、アルキル、アルコキシ、ハロアルキル、ハロアルコキシ、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキル、シアノ、アミノ、ニトロ、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリールおよびヘテロアリールからなる群から選択され;
nは、1、2または3であり;そして
mは、0、1または2である]
で示される化合物またはその互変異性体、メソ体、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー、またはそれらの混合物、またはそれらの薬学的に許容できる塩。
【請求項19】
【化10】
からなる群から選択される、請求項18に記載の式(IA)で示される化合物またはその互変異性体、メソ体、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー、またはそれらの混合物、またはそれらの薬学的に許容できる塩。
【請求項20】
請求項1に記載の式(I)で示される化合物または互変異性体、メソ体、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー、またはそれらの混合物、またはそれらの薬学的に許容できる塩の調製方法であって、工程:
【化11】
[工程中、式(IA)で示される化合物および式(IB)で示される化合物を、アルカリ性条件下で縮合反応させて式(I)で示される化合物またはその互変異性体、メソ体、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー、またはそれらの混合物、またはそれらの薬学的に許容できる塩を得ることを含み、ここで、アルカリ性条件は、好ましくはN,N-ジイソプロピルエチルアミンであり;R6は水素原子であり;そして、G1、G2、G3、R1~R5、R7、L、mおよびnは、請求項1において定義されている通りである]
を含む方法。
【請求項21】
請求項1~17のいずれか一項に記載の式(I)で示される化合物またはその互変異性体、メソ体、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー、またはそれらの混合物、またはそれらの薬学的に許容できる塩、および1つまたはそれ以上の薬学的に許容できる担体、希釈剤または賦形剤を含む医薬組成物。
【請求項22】
ERKを阻害するための医薬の調製における、請求項1~17のいずれか一項に記載の式(I)で示される化合物またはその立体異性体、互変異性体、メソ体、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー、またはそれらの混合物、またはそれらの薬学的に許容できる塩、または請求項21に記載の医薬組成物の使用。
【請求項23】
癌、炎症、または他の増殖性疾患、好ましくは癌を処置または予防するための医薬の調製における、請求項1~17のいずれか一項に記載の式(I)で示される化合物またはその立体異性体、互変異性体、メソ体、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー、またはそれらの混合物、またはそれらの薬学的に許容できる塩、または請求項21に記載の医薬組成物の使用であって、癌は、黒色腫、肝臓癌、腎臓癌、肺癌、鼻咽頭癌、結腸直腸癌、結腸癌、直腸癌、膵臓癌、子宮頸癌、卵巣癌、乳癌、膀胱癌、前立腺癌、白血病、頭頸部扁平上皮癌、子宮頚部癌、甲状腺癌、リンパ腫、肉腫、神経芽腫、脳腫瘍、骨髄腫、星状細胞腫および神経膠腫からなる群から選択される使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、医薬分野に属し、置換縮合二環式誘導体、その調製方法および医薬におけるその適用に関する。特に、本開示は、式(I)で示される置換縮合二環式誘導体、その調製方法、それを含む医薬組成物、ERK介在疾患および障害を処置、またはMAPK-ERKシグナル伝達経路を阻害するための、ERK阻害剤としてのその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
正常細胞の増殖、分化、代謝およびアポトーシスは、生体内の細胞シグナル伝達経路によって厳密に調節されている。マイトジェン-活性化タンパク質キナーゼ(mitogen-activated protein kinase, MAPK)はシグナル伝達経路において極めて重要な役割を果たしており、細胞外シグナル調節キナーゼ(extracellular signal regulated kinase, ERK)はMAPKファミリーの一員である。RAS-RAF-MEK-ERK工程では、外因性刺激シグナルがERKに伝わり、活性化されたERKが核に移行して転写因子の活性を調節し、それにより細胞の増殖、分化、アポトーシスなどの生物学的機能を調節するか、または細胞質内の細胞骨格成分をリン酸化することによって細胞形態の調節や細胞骨格の再分布に関与する。
【0003】
RASおよびRAFの遺伝子変異により、MAPK-ERKシグナル伝達経路が持続的に活性化され、これは、細胞の悪性形質転換・異常増殖を促進し、最終的には腫瘍が発生する(Roberts PJ et al., Oncogene, 2007, 26(22), 3291-3310)。MEK阻害剤とB-RAF阻害剤との組み合わせにより、B-RAF阻害剤の腫瘍成長阻害効果をさらに向上させ、BRAFV600EおよびV600K変異を有する黒色腫患者の無病進行期間および全生存率を有意に改善することができる(Frederick DT et al., Clinical Cancer Research, 2013.19(5), 1225-1231)。B-RAF/MEK阻害剤の組み合わせにより腫瘍を阻害することができるが、その効果は短期間的である。2~18か月以内に、ほとんどの患者は薬物耐性を発症し、腫瘍はさらに悪化する。B-RAF/MEK阻害剤に対する耐性のメカニズムは非常に複雑であり、ほとんどがERKシグナル伝達経路の再活性化に直接関係している(Smalley I et al., Cancer Discovery, 2018, 8(2), 140-142)。したがって、新しいERK阻害剤の開発は、MAPKシグナル伝達経路に変異がある患者だけでなく、B-RAF/MEK阻害剤に耐性のある患者にも効果的である。
【0004】
B-RAF/MEK阻害剤は、腫瘍の成長を阻害するだけでなく、腫瘍の免疫微小環境も調節する。B-RAF/MEK阻害剤は、腫瘍特異的抗原の発現を向上させ、抗原特異的T細胞による腫瘍の識別および死滅を改善し、免疫細胞の移動および浸潤を促進する。動物モデルにおいて、B-RAF/MEK阻害剤による治療後、腫瘍組織におけるPD-L1の発現が向上される。チェックポイント分子抗体(PD-1抗体、CTLA4抗体など)と組み合わせると、B-RAF/MEK阻害剤単独よりも腫瘍成長の阻害に効果的である(Boni A et al., Cancer Research, 2010, 70(13), 5213-5219)。研究では、ERK阻害剤はB-RAF/MEK阻害剤に類似しており、チェックポイント抗体との組み合わせにより、腫瘍微小環境を調節し、細胞毒性T細胞の機能を改善し、腫瘍成長を阻害する効果を達成することができることを示している。
【0005】
ERK阻害剤化合物が多く開発されている。その中で、BioMed Valley Discoveriesにより開発されたBVD-523は第II相臨床試験中であり、Merckにより開発されたMK-8353とAstexにより開発されたAstex-029は第I相臨床試験中である。関連する特許出願としては、WO1999061440A1、WO2001056557A2、WO2001056993A2、WO2001057022A2、WO2002022601A1、WO2012118850A1、WO2013018733A1、WO2014179154A2、WO2015103133A1、WO2016192063A1、WO2017180817A1およびWO2018049127A1が挙げられる。
【発明の概要】
【0006】
本開示の目的は、式(I):
【化1】
[式中、
G1、G2およびG3は、同じであるか異なっており、そしてそれぞれは、CH、CおよびNからなる群から独立して選択され;
Lは、結合またはアルキレンであり、ここで、アルキレンは、場合によりアルキル、アルコキシ、オキソ、ハロゲン、アミノ、シアノ、ニトロ、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキル、アミノアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリールおよびヘテロアリールからなる群から選択される1つまたはそれ以上の置換基によってさらに置換されていてよく;
R1はそれぞれ、同じであるか異なっており、そしてそれぞれは、水素原子、ハロゲン、アルキル、アルコキシ、ハロアルキル、ハロアルコキシ、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキル、シアノ、アミノ、ニトロ、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリールおよびヘテロアリールからなる群から独立して選択され;
R2は、水素原子、ハロゲン、アルキル、アルコキシ、ハロアルキル、ハロアルコキシ、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキル、シアノ、アミノ、ニトロ、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリールおよびヘテロアリールからなる群から選択され、ここで、アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリールおよびヘテロアリールはそれぞれ、場合によりアルキル、アルコキシ、オキソ、ハロゲン、アミノ、シアノ、ニトロ、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリールおよびヘテロアリールからなる群から選択される1つまたはそれ以上の置換基によってさらに置換されていてよく;
R3は、水素原子、ハロゲン、アルキル、アルコキシ、ハロアルキル、ハロアルコキシ、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキル、シアノ、アミノ、ニトロ、シクロアルキルおよびヘテロシクリルからなる群から選択され;
R4はそれぞれ、同じであるか異なっており、そしてそれぞれは、水素原子、ハロゲン、アルキル、アルコキシ、ハロアルキル、ハロアルコキシ、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキル、シアノ、アミノ、ニトロ、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリールおよびヘテロアリールからなる群から独立して選択され;
R5は、水素原子、ハロゲン、アルキル、アルコキシ、ハロアルキル、ハロアルコキシ、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキル、シアノ、アミノ、ニトロ、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリールおよびヘテロアリールからなる群から選択され;
R6は、水素原子、ハロゲン、アルキル、アルコキシ、ハロアルキル、ハロアルコキシ、ヒドロキシおよびヒドロキシアルキルからなる群から選択され;
R7は、水素原子、ハロゲン、アルキル、アルコキシ、ハロアルキル、ハロアルコキシ、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキル、シアノ、アミノ、ニトロ、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリールおよびヘテロアリールからなる群から選択され、ここで、アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリールおよびヘテロアリールはそれぞれ、場合によりアルキル、アルコキシ、オキソ、ハロゲン、アミノ、シアノ、ニトロ、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキル、ハロアルキル、ハロアルコキシおよびアミノアルキルからなる群から選択される1つまたはそれ以上の置換基によってさらに置換されていてよく;
nは、1、2または3であり;そして
mは、0、1または2である]
で示される化合物またはその互変異性体、メソ体(mesomer)、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー、またはそれらの混合物、またはそれらの薬学的に許容できる塩を提供することである。
【0007】
本開示のいくつかの態様では、式(I)で示される化合物またはその互変異性体、メソ体、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー、またはそれらの混合物、またはそれらの薬学的に許容できる塩は、式(I-1)または(I-2):
【化2】
[式中、
G1、G2、G3、L、m、n、およびR1~R7は、式(I)で示される化合物において定義されている通りであり;好ましくは、R5は、ハロゲン、アルキル、アルコキシ、ハロアルキル、ハロアルコキシ、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキル、シアノ、アミノ、ニトロ、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリールおよびヘテロアリールからなる群から選択され;そして、G1、G2、G3、L、m、n、R1~R4、R6およびR7は、式(I)で示される化合物において定義されている通りである]
で示される化合物またはその立体異性体、互変異性体、メソ体、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー、またはそれらの混合物、またはそれらの薬学的に許容できる塩である。
【0008】
本開示のいくつかの態様では実施態様では、式(I)で示される化合物またはその互変異性体、メソ体、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー、またはそれらの混合物、またはそれらの薬学的に許容できる塩において、nは1または2である。
【0009】
本開示のいくつかの態様では実施態様では、式(I)で示される化合物またはその互変異性体、メソ体、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー、またはそれらの混合物、またはそれらの薬学的に許容できる塩は、式(II-1)、(II-2)、(II-3)または(II-4):
【化3】
[式中、
zは、0、1、2、3または4であり;そして、L、mおよびR1~R7は、式(I)で示される化合物において定義されている通りである]
で示される化合物またはその立体異性体、互変異性体、メソ体、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー、またはそれらの混合物、またはそれらの薬学的に許容できる塩である。
【0010】
本開示のいくつかの態様では実施態様では、式(I)で示される化合物またはその互変異性体、メソ体、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー、またはそれらの混合物、またはそれらの薬学的に許容できる塩は、式(II-11)、(II-21)、(II-31)または(II-41):
【化4】
[式中、
zは、0、1、2、3または4であり;そして、L、mおよびR1~R7は、式(I)で示される化合物において定義されている通りであり;好ましくは、R5は、ハロゲン、アルキル、アルコキシ、ハロアルキル、ハロアルコキシ、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキル、シアノ、アミノ、ニトロ、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリールおよびヘテロアリールからなる群から選択され;zは、0、1、2、3または4であり;そして、L、m、R1~R4、R6およびR7は、式(I)で示される化合物において定義されている通りである]
で示される化合物またはその立体異性体、互変異性体、メソ体、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー、またはそれらの混合物、またはそれらの薬学的に許容できる塩である。
【0011】
本開示のいくつかの態様では実施態様では、式(I)で示される化合物またはその互変異性体、メソ体、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー、またはそれらの混合物、またはそれらの薬学的に許容できる塩は、式(II-12)、(II-22)、(II-32)または(II-42):
【化5】
[式中、
zは、0、1、2、3または4であり;L、mおよびR1~R7は、式(I)で示される化合物において定義されている通りであり;好ましくは、R5は、ハロゲン、アルキル、アルコキシ、ハロアルキル、ハロアルコキシ、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキル、シアノ、アミノ、ニトロ、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリールおよびヘテロアリールからなる群から選択され;zは、0、1、2、3または4であり;そして、L、m、R1~R4、R6およびR7は、式(I)で示される化合物において定義されている通りである]
で示される化合物またはその立体異性体、互変異性体、メソ体、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー、またはそれらの混合物、またはそれらの薬学的に許容できる塩である。
【0012】
本開示のいくつかの態様では実施態様では、式(I)で示される化合物またはその立体異性体、互変異性体、メソ体、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー、またはそれらの混合物、またはそれらの薬学的に許容できる塩において、Lはアルキレンであり、ここで、アルキレンは、場合によりアルキル、アルコキシ、オキソ、ハロゲン、アミノ、シアノ、ニトロ、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキルおよびアミノアルキルからなる群から選択される1つまたはそれ以上の置換基によってさらに置換されていてよく、好ましくは、Lは-CH(R8)-であり[式中、R8は、アルキル、アルコキシ、オキソ、ハロゲン、アミノ、シアノ、ニトロ、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキル、アミノアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリールおよびヘテロアリールからなる群から選択される]。
【0013】
本開示のいくつかの態様では実施態様では、式(I)で示される化合物またはその立体異性体、互変異性体、メソ体、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー、またはそれらの混合物、またはそれらの薬学的に許容できる塩において、Lはアルキレンであり、ここで、アルキレンは、場合によりアルキル、アルコキシ、オキソ、ハロゲン、アミノ、シアノ、ニトロ、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキルおよびアミノアルキルからなる群から選択される1つまたはそれ以上の置換基によってさらに置換されていてよく、好ましくは、ヒドロキシアルキルによってさらに置換されていてよい。
【0014】
本開示のいくつかの態様では実施態様では、式(I)で示される化合物またはその互変異性体、メソ体、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー、またはそれらの混合物、またはそれらの薬学的に許容できる塩は、式(III-1)、(III-2)、(III-3)または(III-4):
【化6】
[式中:
R8は、アルキル、アルコキシ、オキソ、ハロゲン、アミノ、シアノ、ニトロ、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキル、アミノアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリールおよびヘテロアリールからなる群から選択され;
zは、0、1、2、3または4であり;そして、
R1、R2、R4、R5、R7およびmは、式(I)で示される化合物において定義されている通りである]
で示される化合物またはその立体異性体、互変異性体、メソ体、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー、またはそれらの混合物、またはそれらの薬学的に許容できる塩である。
【0015】
本開示のいくつかの態様では実施態様では、式(I)で示される化合物またはその互変異性体、メソ体、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー、またはそれらの混合物、またはそれらの薬学的に許容できる塩は、式(III-11)、(III-21)、(III-31)または(III-41):
【化7】
[式中:
R8は、アルキル、アルコキシ、オキソ、ハロゲン、アミノ、シアノ、ニトロ、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキル、アミノアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリールおよびヘテロアリールからなる群から選択され;
zは、0、1、2、3または4であり;そして、
R1、R2、R4、R5、R7およびmは、式(I)で示される化合物において定義されている通りであり;好ましくは、R5は、ハロゲン、アルキル、アルコキシ、ハロアルキル、ハロアルコキシ、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキル、シアノ、アミノ、ニトロ、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリールおよびヘテロアリールからなる群から選択され;zは、0、1、2、3または4であり;そして、R1、R2、R4、R7およびmは、式(I)で示される化合物において定義されている通りである]
で示される化合物またはその立体異性体、互変異性体、メソ体、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー、またはそれらの混合物、またはそれらの薬学的に許容できる塩である。
【0016】
本開示のいくつかの態様では実施態様では、式(I)で示される化合物またはその互変異性体、メソ体、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー、またはそれらの混合物、またはそれらの薬学的に許容できる塩は、式(III-12)、(III-22)、(III-32)または(III-42):
【化8】
[式中:
R8は、アルキル、アルコキシ、オキソ、ハロゲン、アミノ、シアノ、ニトロ、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキル、アミノアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリールおよびヘテロアリールからなる群から選択され;
zは、0、1、2、3または4であり;そして、
R1、R2、R4、R5、R7およびmは、式(I)で示される化合物において定義されている通りであり;好ましくは、R5は、ハロゲン、アルキル、アルコキシ、ハロアルキル、ハロアルコキシ、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキル、シアノ、アミノ、ニトロ、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリールおよびヘテロアリールからなる群から選択され;zは、0、1、2、3または4であり;そして、R1、R2、R4、R7およびmは、式(I)で示される化合物において定義されている通りである]
で示される化合物またはその立体異性体、互変異性体、メソ体、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー、またはそれらの混合物、またはそれらの薬学的に許容できる塩である。
【0017】
本開示のいくつかの実施態様では、式(I)で示される化合物またはその立体異性体、互変異性体、メソ体、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー、またはそれらの混合物、またはそれらの薬学的に許容できる塩において、R7は、アリールまたはヘテロアリールであり、ここで、アリールおよびヘテロアリールはそれぞれ、場合によりアルキル、アルコキシ、オキソ、ハロゲン、アミノ、シアノ、ニトロ、ヒドロキシおよびヒドロキシアルキルからなる群から選択される1つまたはそれ以上の置換基によってさらに置換されていてよく;好ましくは、R7はアリールであり、ここで、アリールは、場合によりアルキル、アルコキシ、オキソ、ハロゲン、アミノ、シアノ、ニトロ、ヒドロキシおよびヒドロキシアルキルからなる群から選択される1つまたはそれ以上の置換基によってさらに置換されていてよく;より好ましくは、R7はフェニルであり、ここで、フェニルは、場合によりC1-6アルキル、C1-6アルコキシ、オキソ、ハロゲン、アミノ、シアノ、ニトロ、ヒドロキシおよびC1-6ヒドロキシアルキルからなる群から選択される1つまたはそれ以上の置換基によってさらに置換されていてよい。
【0018】
本開示のいくつかの実施態様では、式(I)で示される化合物またはその立体異性体、互変異性体、メソ体、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー、またはそれらの混合物、またはそれらの薬学的に許容できる塩において、R7はアリールであり、ここで、アリールは、場合によりアルキル、アルコキシ、オキソ、ハロゲン、アミノ、シアノ、ニトロ、ヒドロキシおよびヒドロキシアルキルからなる群から選択される1つまたはそれ以上の置換基によってさらに置換されていてよい。
【0019】
本開示のいくつかの実施態様では、式(I)で示される化合物またはその立体異性体、互変異性体、メソ体、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー、またはそれらの混合物、またはそれらの薬学的に許容できる塩において、R8は、アルキル、アルコキシ、オキソ、ハロゲン、アミノ、シアノ、ニトロ、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキルおよびアミノアルキルからなる群から選択され;好ましくは、ヒドロキシアルキルまたはアミノアルキルであり;より好ましくは、C1-6ヒドロキシアルキルまたはアミノC1-6アルキルである。
【0020】
本開示のいくつかの実施態様では、式(I)で示される化合物またはその立体異性体、互変異性体、メソ体、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー、またはそれらの混合物、またはそれらの薬学的に許容できる塩において、R5は、水素原子、ハロゲン、アルキル、アルコキシ、ハロアルキル、ハロアルコキシ、ヒドロキシおよびヒドロキシアルキルからなる群から選択され、好ましくは、水素原子、ハロゲンおよびアルキルからなる群から選択され、より好ましくは、C1-6アルキルであり、最も好ましくは、メチルである。
【0021】
本開示のいくつかの実施態様では、式(I)で示される化合物またはその立体異性体、互変異性体、メソ体、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー、またはそれらの混合物、またはそれらの薬学的に許容できる塩において、R5は、ハロゲン、アルキル、アルコキシ、ハロアルキル、ハロアルコキシ、ヒドロキシおよびヒドロキシアルキルからなる群から選択され、好ましくは、ハロゲンおよびアルキルからなる群から選択され、より好ましくは、C1-6アルキルであり、最も好ましくはメチルである。
【0022】
本開示のいくつかの実施態様では、式(I)で示される化合物またはその立体異性体、互変異性体、メソ体、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー、またはそれらの混合物、またはそれらの薬学的に許容できる塩において、R2は、C1-6アルキル、3~8員ヘテロシクリルおよび5~10員ヘテロアリールからなる群から選択され、ここで、C1-6アルキル、3~8員ヘテロシクリルおよび5~10員ヘテロアリールはそれぞれ、場合によりC1-6アルキル、C1-6アルコキシ、オキソ、ハロゲン、アミノ、シアノ、ニトロ、ヒドロキシおよびC1-6ヒドロキシアルキルからなる群から選択される1つまたはそれ以上の置換基によってさらに置換されていてよい。
【0023】
本開示のいくつかの実施態様では、式(I)で示される化合物またはその立体異性体、互変異性体、メソ体、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー、またはそれらの混合物、またはそれらの薬学的に許容できる塩において、R2はヘテロシクリルであり、ここで、ヘテロシクリルは、場合によりアルキル、アルコキシ、オキソ、ハロゲン、アミノ、シアノ、ニトロ、ヒドロキシおよびヒドロキシアルキルからなる群から選択される1つまたはそれ以上の置換基によってさらに置換されていてよい。
【0024】
本開示のいくつかの実施態様では、式(I)で示される化合物またはその立体異性体、互変異性体、メソ体、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー、またはそれらの混合物、またはそれらの薬学的に許容できる塩において、R2はヘテロアリールであり、ここで、ヘテロアリールは、場合によりアルキル、アルコキシ、オキソ、ハロゲン、アミノ、シアノ、ニトロ、ヒドロキシおよびヒドロキシアルキルからなる群から選択される1つまたはそれ以上の置換基によってさらに置換されていてよい。
【0025】
本開示のいくつかの実施態様では、式(I)で示される化合物またはその立体異性体、互変異性体、メソ体、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー、またはそれらの混合物、またはそれらの薬学的に許容できる塩において、R1は、水素原子、ハロゲン、アルキル、アルコキシ、ハロアルキル、ハロアルコキシ、ヒドロキシおよびヒドロキシアルキルからなる群から選択され、好ましくは、水素原子、ハロゲンおよびアルキルからなる群から選択され、より好ましくは、水素原子、ハロゲンおよびC1-6アルキルからなる群から選択され、最も好ましくはハロゲンである。
【0026】
本開示のいくつかの実施態様では、式(I)で示される化合物またはその立体異性体、互変異性体、メソ体、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー、またはそれらの混合物、またはそれらの薬学的に許容できる塩において、R4は、水素原子、ハロゲン、アルキル、アルコキシ、ハロアルキル、ハロアルコキシ、ヒドロキシおよびヒドロキシアルキルからなる群から選択され、好ましくは、水素原子またはアルキルであり、より好ましくは、水素原子またはC1-6アルキルである。
【0027】
典型的な式(I)で示される化合物は、以下の化合物またはその互変異性体、メソ体、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー、またはそれらの混合物、またはそれらの薬学的に許容できる塩を含むが、これらに限定されない:
【表1-1】
【表1-2】
【表1-3】
【表1-4】
【表1-5】
【表1-6】
【表1-7】
【0028】
別の態様では、本開示は、式(IA):
【化9】
[式中:
G1、G2およびG3は、同じであるか異なっており、そしてそれぞれは、CH、CおよびNからなる群から独立して選択され;
R1はそれぞれ、同じであるか異なっており、そしてそれぞれは、水素原子、ハロゲン、アルキル、アルコキシ、ハロアルキル、ハロアルコキシ、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキル、シアノ、アミノ、ニトロ、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリールおよびヘテロアリールからなる群から独立して選択され;
R2は、水素原子、ハロゲン、アルキル、アルコキシ、ハロアルキル、ハロアルコキシ、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキル、シアノ、アミノ、ニトロ、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリールおよびヘテロアリールからなる群から選択され、ここで、アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリールおよびヘテロアリールはそれぞれ、場合によりアルキル、アルコキシ、オキソ、ハロゲン、アミノ、シアノ、ニトロ、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリールおよびヘテロアリールからなる群から選択される1つまたはそれ以上の置換基によってさらに置換されていてよく;
R3は、水素原子、ハロゲン、アルキル、アルコキシ、ハロアルキル、ハロアルコキシ、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキル、シアノ、アミノ、ニトロ、シクロアルキルおよびヘテロシクリルからなる群から選択され;
R4はそれぞれ、同じであるか異なっており、そしてそれぞれは、水素原子、ハロゲン、アルキル、アルコキシ、ハロアルキル、ハロアルコキシ、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキル、シアノ、アミノ、ニトロ、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリールおよびヘテロアリールからなる群から独立して選択され;
R5は、水素原子、ハロゲン、アルキル、アルコキシ、ハロアルキル、ハロアルコキシ、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキル、シアノ、アミノ、ニトロ、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリールおよびヘテロアリールからなる群から選択され;
nは、1、2または3であり;そして、
mは、0、1または2である]
で示されるかご物またはその互変異性体、メソ体、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー、またはそれらの混合物、またはそれらの薬学的に許容できる塩に関する。
【0029】
典型的な式(I)で示される化合物またはその互変異性体、メソ体、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー、またはそれらの混合物、またはそれらの薬学的に許容できる塩としては、以下のものを含むが、これらに限定されない:
【表2-1】
【表2-2】
【0030】
別の態様では、本開示は、式(I)で示される化合物またはその互変異性体、メソ体、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー、またはそれらの混合物、またはそれらの薬学的に許容できる塩の調製方法であって、工程:
【化10】
[工程中、式(IA)で示される化合物と式(IB)で示される化合物とを、アルカリ性条件下で縮合反応させ、式(I)で示される化合物またはその互変異性体、メソ体、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー、またはそれらの混合物、またはそれらの薬学的に許容できる塩を得、ここで、アルカリ性条件は、好ましくはN,N-ジイソプロピルエチルアミンであり;R6は水素原子であり;そして、G1、G2、G3、R1~R5、R7、L、mおよびnは、式(I)で示される化合物において定義されている通りである]
を含む方法に関する。
【0031】
典型的な式(IB)で示される化合物としては、
【化11】
(S)-2-アミノ-2-(m-トリル)エタノールおよび(S)-2-アミノ-2-(m-クロロフェニル)エタノールを含むがこれらに限定されない。
【0032】
別の態様では、本開示は、式(I)もしくは式(II)もしくは式(III)で示される化合物、またはそれらの互変異性体、メソ体、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー、またはそれらの混合物、またはそれらの薬学的に許容できる塩、および1つまたはそれ以上の薬学的に許容できるる担体、希釈剤または賦形剤を含む医薬組成物に関する。
【0033】
さらに、本開示は、ERKを阻害するための医薬の調製における、式(I)もしくは式(II)もしくは式(III)で示される化合物またはそれらの互変異性体、メソ体、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー、またはそれらの混合物、またはそれらの薬学的に許容できる塩、またはそれらを含む医薬組成物の使用に関する。
【0034】
さらに、本開示は、癌、炎症、または他の増殖性疾患、好ましくは癌(ここで、癌は、黒色腫、肝臓癌、腎臓癌、肺癌(非小細胞性肺癌または小細胞肺癌など)、鼻咽頭癌、結腸直腸癌、結腸癌、直腸癌、膵臓癌、子宮頸癌(cervical cancer)、卵巣癌、乳癌、膀胱癌、前立腺癌、白血病、頭頸部扁平上皮細胞癌、子宮頚部癌(carcinoma of uterine cervix)、甲状腺癌、リンパ腫、肉腫、神経芽腫、脳腫瘍、骨髄腫(多発性骨髄腫など)、星状細胞腫および神経膠腫からなる群から選択される)を処置または予防するための医薬の調製における、式(I)もしくは式(II)もしくは式(III)で示される化合物またはそれらの互変異性体、メソ体、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー、またはそれらの混合物、またはそれらの薬学的に許容できる塩、またはそれらを含む医薬組成物の使用に関する。
【0035】
さらに、本開示は、ERKを阻害する方法であって、それを必要とする対象に、式(I)もしくは式(II)もしくは式(III)で示される化合物またはそれらの互変異性体、メソ体、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー、またはそれらの混合物、またはそれらの薬学的に許容できる塩、またはそれらを含む医薬組成物を投与する工程を含む方法に関する。
【0036】
さらに、本開示は、ERK介在疾患を処置または予防する方法であって、それを必要とする対象に、式(I)もしくは式(II)もしくは式(III)で示される化合物またはそれらの互変異性体、メソ体、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー、またはそれらの混合物、またはそれらの薬学的に許容できる塩、またはそれらを含む医薬組成物を投与する工程を含む方法に関する。
【0037】
さらに、本開示は、癌、炎症、または他の増殖性疾患、好ましくは癌を処置または予防する方法であって、それを必要とする対象に、式(I)もしくは式(II)もしくは式(III)で示される化合物またはそれらの互変異性体、メソ体、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー、またはそれらの混合物、またはそれらの薬学的に許容できる塩、またはそれらを含む医薬組成物を投与する工程を含み、ここで、癌は、黒色腫、肝臓癌、腎臓癌、肺癌(非小細胞性肺癌または小細胞肺癌など)、鼻咽頭癌、結腸直腸癌、結腸癌、直腸癌、膵臓癌、子宮頸癌、卵巣癌、乳癌、膀胱癌、前立腺癌、白血病、頭頸部扁平上皮細胞癌、子宮頚部癌、甲状腺癌、リンパ腫、肉腫、神経芽腫、脳 腫瘍、骨髄腫(多発性骨髄腫など)、星状細胞腫および神経膠腫からなる群から選択される、方法に関する。
【0038】
さらに、本開示は、医薬としての使用のための、式(I)もしくは式(II)もしくは式(III)で示される化合物またはそれらの互変異性体、メソ体、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー、またはそれらの混合物、またはそれらの薬学的に許容できる塩、またはそれらを含む医薬組成物に関する。
【0039】
さらに、本開示は、ERK阻害剤としての使用のための、式(I)もしくは式(II)もしくは式(III)で示される化合物またはそれらの互変異性体、メソ体、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー、またはそれらの混合物、またはそれらの薬学的に許容できる塩、またはそれらを含む医薬組成物に関する。
【0040】
さらに、本開示は、ERK介在疾患の処置または予防に使用するための、式(I)もしくは式(II)もしくは式(III)で示される化合物またはそれらの互変異性体、メソ体、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー、またはそれらの混合物、またはそれらの薬学的に許容できる塩、またはそれらを含む医薬組成物に関する。
【0041】
さらに、本開示は、癌、炎症、またはたの増殖性疾患、好ましくは癌(ここで、癌は、黒色腫、肝臓癌、腎臓癌、肺癌(非小細胞性肺癌または小細胞肺癌など)、鼻咽頭癌、結腸直腸癌、結腸癌、直腸癌、膵臓癌、子宮頸癌、卵巣癌、乳癌、膀胱癌、前立腺癌、白血病、頭頸部扁平上皮細胞癌、子宮頚部癌、甲状腺癌、リンパ腫、肉腫、神経芽腫、脳腫瘍、骨髄腫(多発性骨髄腫など)、星状細胞腫および神経膠腫からなる群から選択される)の処置または予防に使用するための、式(I)もしくは式(II)もしくは式(III)で示される化合物またはそれらの互変異性体、メソ体、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー、またはそれらの混合物、またはそれらの薬学的に許容できる塩、またはそれらを含む医薬組成物に関する。
【0042】
活性化合物は、いずれかの適切な経路による投与に適した形態で調製することができ、活性化合物は、好ましくは、単位剤形、または患者が単回投与で自己投与できる形態である。本開示の化合物または組成物の単位剤形は、錠剤、カプセル、カシェ剤、瓶詰めシロップ、粉末、顆粒、ロゼンジ、坐薬、再構成粉末または液体製剤であり得る。
【0043】
本開示の処置方法に使用される化合物または組成物の用量は、一般的に、疾患の重症度、患者の体重、および化合物の相対効果によって変動する。しかし、一般的な指針として、適当な単位用量は0.1mg~1000mgであり得る。
【0044】
本開示の医薬組成物は、活性化合物に加えて、また増量剤(希釈剤)、結合剤、湿潤剤、崩壊剤、賦形剤などを含む1つまたはそれ以上の助剤を含む。投与方法に応じて、組成物は0.1重量%~99重量%の活性化合物を含み得る。
【0045】
活性成分を含有する医薬組成物は、経口投与に適して形態、例えば、錠剤、トローチ、ロゼンジ、水性または油性懸濁液、分散性粉末または顆粒、エマルジョン、硬または軟カプセル、シロップまたはエリキシル剤であり得る。経口組成物は、医薬組成物の調製のための当該技術分野に知られているいずれかの方法によって調製することができる。このような組成物は、快適でのみやすい医薬製剤を提供するために、甘味剤、風味剤、着色剤および防腐剤からなる群より選択される1つまたはそれ以上の成分を含有することができる。錠剤は、錠剤の製造に適した非毒性の薬学的に許容できるる賦形剤と混和して有効成分を含有する。これらの賦形剤は、不活性賦形剤、造粒剤、崩壊剤、結合剤および滑沢剤であり得る。錠剤は、コーティングされていなくてもよく、薬物の味をマスクするか、または消化管における活性成分の崩壊および吸収を遅らせるための知られている技術によってコーティングされることで、長期間にわたる持続放出が提供されてもよい。
【0046】
経口製剤はまた、活性成分が不活性固体希釈剤と混合される、または活性成分が水溶性担体、油性媒体と混合される軟ゼラチンカプセルとして提供され得る。
【0047】
水性懸濁液は、水性懸濁液の製造に適した賦形剤と混合された活性成分を含む。このような賦形剤は、懸濁化剤、分散剤または湿潤剤である。水性懸濁液はまた、1つまたはそれ以上の防腐剤、1つまたはそれ以上の着色剤、1つまたはそれ以上の風味剤、および1つまたはそれ以上の甘味剤を含む。
【0048】
油性懸濁液は、活性成分を植物油または鉱油に懸濁することによって製剤化され得る。油性懸濁液は増粘剤を含有し得る。上記の甘味剤および風味剤を添加して、のみやすい製剤を提供することができる。これらの組成物は、抗酸化剤を添加することによって保存することができる。
【0049】
分散剤または湿潤剤、懸濁剤または1つまたはそれ以上の防腐剤と混合された活性成分は、水を添加することによる水性懸濁液の調製に適した分散性粉末または顆粒として調製することができる。適当な分散剤または湿潤剤および懸濁化剤は、既に上述したものが例示される。また、甘味剤、風味剤および着色剤などの追加の賦形剤も添加し得る。これらの組成物は、アスコルビン酸などの抗酸化剤を添加することによって保存される。
【0050】
本開示の医薬組成物はまた、水中油型エマルジョン形態であり得る。油相は、植物油、もしくは鉱油、またはそれらの混合物であり得る。適当な乳化剤は、天然に存在するリン脂質であり得る。エマルジョンはまた、甘味剤、香料添加剤、防腐剤および抗酸化剤を含有し得る。このような製剤はまた、粘滑剤、防腐剤、着色剤および抗酸化剤を含有し得る。
【0051】
本開示の医薬組成物は、無菌の注射可能な水溶液の形態であり得る。使用され得る許容されるビヒクルまたは溶媒は、水、リンガー溶液または等張塩化ナトリウム溶液である。無菌の注射可能な製剤は、活性成分が油相に溶解されている無菌の注射可能な水中油型マイクロ-エマルジョンであり得る。注射可能な溶液またはマイクロ-エマルジョンは、局所的なボーラス注入法によって患者の血流に導入され得る。あるいは、溶液およびマイクロ-エマルジョンは、好ましくは、本発明の化合物の一定の循環濃度を維持する方法で投与される。この一定の濃度を維持するために、連続静脈内送達装置を使用することができる。このような装置の例はDeltec CADD-PLUS.TM.5400静脈内注射ポンプである。
【0052】
本開示の医薬組成物は、筋肉内および皮下投与のための無菌の注射可能な水性または油性懸濁液の形態であり得る。このような懸濁液は、知られている技術によって上記の適当な分散剤または湿潤剤および懸濁化剤を用いて製剤化され得る。無菌の注射可能な製剤はまた、非毒性の非経腸的に許容される希釈剤または溶媒中で調製される無菌の注射可能な溶液または懸濁液であり得る。さらに、無菌固定油は、溶媒または懸濁媒体として簡単に使用できる。この目的のために、いずれかの混合固定油を使用できる。さらに、脂肪酸を使用して注射剤を調製することもできる。
【0053】
本開示の化合物は、直腸投与のための坐薬の形態で投与され得る。これらの医薬組成物は、通常の温度では個体であるが直腸では液体であり、それにより直腸で溶解して薬物を放出する適当な非刺激性賦形剤と薬物を混合することにより調製することができる。
【0054】
薬物の用量は、以下の要因を含むがこれに限定されないさまざまな要因に依存することは、当業者によく知られている:特定の化合物の活性、患者の年齢、患者の体重、患者の総体的な健康、患者の挙動、患者の食習慣、投与時間、投与経路、排出率、薬物組み合わせなど。さらに、最適な処置、例えば処置方法、式(I)で示される化合物の1日用量またはその薬学的に許容できるる塩の種類は、従来の治療レジメンによって検証することができる。
【0055】
用語部分
本明細書および特許請求の範囲で使用される用語は、特に断らない限り、以下に説明する意味を有する。
【0056】
用語「アルキル」とは、1~20個の炭素原子を含む、直鎖または分岐鎖基である飽和脂肪族炭化水素基を意味し、好ましくは1~12個の炭素原子を有するアルキル、より好ましくは1~6個の炭素原子を有するアルキルを意味する。非限定的な例としては、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、tert-ブチル、sec-ブチル、n-ペンチル、1,1-ジメチルプロピル、1,2-ジメチルプロピル、2,2-ジメチルプロピル、1-エチルプロピル、2-メチルブチル、3-メチルブチル、n-ヘキシル、1-エチル-2-メチルプロピル、1,1,2-トリメチルプロピル、1,1-ジメチルブチル、1,2-ジメチルブチル、2,2-ジメチルブチル、1,3-ジメチルブチル、2-エチルブチル、2-メチルペンチル、3-メチルペンチル、4-メチルペンチル、2,3-ジメチルブチル、n-ヘプチル、2-メチルヘキシル、3-メチルヘキシル、4-メチルヘキシル、5-メチルヘキシル、2,3-ジメチルペンチル、2,4-ジメチルペンチル、2,2-ジメチルペンチル、3,3-ジメチルペンチル、2-エチルペンチル、3-エチルペンチル、n-オクチル、2,3-ジメチルヘキシル、2,4-ジメチルヘキシル、2,5-ジメチルヘキシル、2,2-ジメチルヘキシル、3,3-ジメチルヘキシル、4,4-ジメチルヘキシル、2-エチルヘキシル、3-エチルヘキシル、4-エチルヘキシル、2-メチル-2-エチルペンチル、2-メチル-3-エチルペンチル、n-ノニル、2-メチル-2-エチルヘキシル、2-メチル-3-エチルヘキシル、2,2-ジエチルペンチル、n-デシル、3,3-ジエチルヘキシル、2,2-ジエチルヘキシル、およびそれらのさまざまな分岐鎖異性体が挙げられる。より好ましくは、アルキル基は1~6個の炭素原子を有する低級アルキルであり、非限定的な例としては、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、tert-ブチル、sec-ブチル、n-ペンチル、1,1-ジメチルプロピル、1,2-ジメチルプロピル、2,2-ジメチルプロピル、1-エチルプロピル、2-メチルブチル、3-メチルブチル、n-ヘキシル、1-エチル-2-メチルプロピル、1,1,2-トリメチルプロピル、1,1-ジメチルブチル、1,2-ジメチルブチル、2,2-ジメチルブチル、1,3-ジメチルブチル、2-エチルブチル、2-メチルペンチル、3-メチルペンチル、4-メチルペンチル、2,3-ジメチルブチルなどが挙げられる。アルキルは置換されていてもよく、置換されていなくてもよい。置換されている場合、置換基はいずれかの利用可能な結合点で置換されていてもよい。置換基は、好ましくは、H原子、D原子、ハロゲン、アルキル、アルコキシ、ハロアルキル、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキル、シアノ、アミノ、ニトロ、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリールおよびヘテロアリールからなる群から独立して選択される1つまたはそれ以上の基である。
【0057】
用語「アルコキシ」とは、-O-(アルキル)または-O-(非置換シクロアルキル)基を意味し、ここで、アルキルは上記に定義されている通りである。アルコキシの非限定的な例としては、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、シクロプロピルオキシ、シクロブチルオキシ、シクロペンチルオキシ、シクロヘキシルオキシが挙げられる。アルコキシは、場合により置換されていてもよく、置換されていなくてもよい。置換されている場合、置換基は、好ましくは、H原子、D原子、ハロゲン、アルキル、アルコキシ、ハロアルキル、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキル、シアノ、アミノ、ニトロ、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリールおよびヘテロアリールからなる群から独立して選択される1つまたはそれ以上の基である。
【0058】
用語「アルキレン」とは、親アルカンの同じ炭素原子または2つの異なる炭素原子から2つの水素原子を除去することにより得られる2つの残基を有する飽和直鎖または分枝鎖脂肪族炭化水素基を意味する。これは、1~20個の炭素原子、好ましくは1~12個の炭素原子、より好ましくは1~6個の炭素原子を有する直鎖または分枝鎖アルキレンである。アルキレンの非限定的な例としては、メチレン(-CH2-)、1,1-エチレン(-CH(CH3)-)、1,2-エチレン(-CH2CH2)-、1,1-プロピレン(-CH(CH2CH3)-)、1,2-プロピレン(-CH2CH(CH3)-)、1,3-プロピレン(-CH2CH2CH2-)、1,4-ブチレン(-CH2CH2CH2CH2-)などが挙げられるが、これらに限定されない。アルキレンは置換されていてもよく、置換されていなくてもよい。置換されている場合、置換基はいずれかの利用可能な結合点で置換されていてもよい。置換基は、好ましくは、場合によりアルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルアミノ、ハロゲン、チオール、ヒドロキシ、ニトロ、シアノ、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルコキシ、ヘテロシクロアルコキシ、シクロアルキルチオ、ヘテロシクリルチオおよびオキソからなる群から独立して選択されていてよい1つまたはそれ以上の基である。
【0059】
用語「アルケニル」とは、分子内に炭素-炭素二重結合(複数可)を含有するアルキルを意味し、ここで、アルキルの定義は上記の通りである。アルケニルは置換されていてもよく、置換されていなくてもよい。置換されている場合、置換基は、好ましくは、水素原子、アルキル、アルコキシ、ハロゲン、ハロアルキル、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキル、シアノ、アミノ、ニトロ、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリールおよびヘテロアリールからなる群から独立して選択される1つまたはそれ以上の基である。
【0060】
用語「アルキニル」とは、分子内に炭素-炭素三重結合(複数可)を含むアルキルを意味し、ここで、アルキルの定義は上記の通りである。アルケニルは置換されていてもよく、置換されていなくてもよい。置換されている場合、置換基は、好ましくは、水素原子、アルキル、アルコキシ、ハロゲン、ハロアルキル、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキル、シアノ、アミノ、ニトロ、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリールおよびヘテロアリールからなる群から独立して選択される1つまたはそれ以上の基である。
【0061】
用語「シクロアルキル」とは、3~20個の炭素原子、好ましくは3~12個(例えば、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、11個および12個)の炭素原子、好ましくは3~8個の炭素原子、より好ましくは3~6個の炭素原子を有する、飽和または部分的不飽和単環式または多環式炭化水素置換基を意味する。単環式シクロアルキルの非限定的な例としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロペンテニル、シクロヘキシル、シクロヘキセニル、シクロヘキサジエニル、シクロヘプチル、シクロヘプタトリエニル、シクロオクチルなどが挙げられる。多環式シクロアルキルは、スピロ間、縮合環または架橋環を有するシクロアルキルを含む。
【0062】
用語「スピロシクロアルキル」とは、1つの共有炭素原子(スピロ原子と称される)を介して結合されている個々の環を有し、該環は1つまたはそれ以上の二重結合を含むことができるが、いずれの環も完全π電子共役系を有しない、5~20員多環式基を意味する。スピロシクロアルキルは、好ましくは6~14員スピロシクロアルキルであり、より好ましくは7~10員(例えば、7員、8員、9員または10員)スピロシクロアルキルである。環間に共有されるスピロ原子の数によって、スピロシクロアルキルは、モノ-スピロシクロアルキル、ジ-スピロシクロアルキル、またはポリ-スピロシクロアルキルに分類することができ、スピロシクロアルキルは、好ましくはモノ-スピロシクロアルキルまたはジ-スピロシクロアルキルであり、より好ましくは4-員/4-員、4-員/5-員、4-員/6-員、5-員/5-員、または5-員/6-員モノ-スピロシクロアルキルである。スピロシクロアルキルの非限定的な例としては、
【化12】
が挙げられる。
【0063】
用語「縮合シクロアルキル」とは、5~20員全炭素多環式基であって、多環式基の各環が別の環と一対の隣接する炭素原子を共有し、1個またはそれ以上の環は1つまたはそれ以上の二重結合を含むことができるが、いずれの環も完全π電子共役系を有しない多環式基を意味する。縮合シクロアルキルは、好ましくは6~14員縮合シクロアルキルであり、より好ましくは7~10員(例えば、7員、8員、9員または10員)縮合シクロアルキルである。構成する環の数により、縮合シクロアルキルは、二環式、三環式、四環式または多環式縮合シクロアルキルに分類することができ、縮合シクロアルキルは、好ましくは二環式または三環式縮合シクロアルキルであり、より好ましくは5-員/5-員、または5-員/6-員二環式縮合シクロアルキルである。縮合シクロアルキルの非限定的な例としては、
【化13】
が挙げられる。
【0064】
用語「架橋シクロアルキル」とは、5~20員全炭素多環式基であって、多環式基のいかなる2つの環が、結合されていない2つの炭素原子を共有し、該環が1つまたはそれ以上の二重結合を有することができるが、いずれの環も完全π電子共役系を有していない、多環式基を意味する。架橋シクロアルキルは、好ましくは6~14員架橋シクロアルキルであり、より好ましくは7~10員(例えば、7員、8員、9員または10員)架橋シクロアルキルである。構成する環の数により、架橋シクロアルキルは、二環式、三環式、四環式または多環式架橋シクロアルキルに分類することができ、架橋シクロアルキルは、好ましくは、二環式、三環式または四環式架橋シクロアルキルであり、より好ましくは、二環式または三環式架橋シクロアルキルである。架橋シクロアルキルの非限定的な例としては、
【化14】
が挙げられる。
【0065】
シクロアルキル(単環式シクロアルキル、スピロシクロアルキル、縮合シクロアルキルおよび架橋シクロアルキルを含む)環は、アリール、ヘテロアリールまたはヘテロシクリルの環に縮合され得、ここで、親構造に結合される環はシクロアルキルである。非限定的な例としては、インダニル、テトラヒドロナフチル、ベンゾシクロヘプチルなど、好ましくはベンゾシクロペンチル、テトラヒドロナフチルが挙げられる。シクロアルキルは、置換されていてもよく、置換されていなくてもよい。置換されている場合、置換基はいずれかの結合点で置換されていてもよい。置換基は、好ましくは、水素原子、ハロゲン、アルキル、アルコキシ、ハロアルキル、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキル、シアノ、アミノ、ニトロ、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリールおよびヘテロアリールからなる群から独立して選択される1つまたはそれ以上の基である。
【0066】
用語「ヘテロシクリル」とは、1個またはそれ以上の環原子がN、O、S、S(O)およびS(O)2からなる群から選択されるヘテロ原子であり、ただし環内に-O-、-O-S-または-S-S-を含まなく、残りの環原子が炭素原子である、3~20員飽和または部分不飽和の単環式または多環式炭化水素置換基を意味する。好ましくは、ヘテロシクリルは3~12個(例えば3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、11個および12個)の環原子を有し、ここで、1~4個(例えば1個、2個、3個および4個)の原子はヘテロ原子であり;より好ましくは、3~8個の原子を有し、ここで、1~3個の原子はヘテロ原子であり;より好ましくは、3~6個の原子を有し、ここで、1~3個の原子はヘテロ原子であり;最も好ましくは、5または6個の原子を有し、ここで、1~3個の原子はヘテロ原子である。単環式ヘテロシクリルの非限定的な例としては、ピロリジニル、テトラヒドロピラニル、1,2,3,6-テトラヒドロピリジル、ピペリジニル、ピペラジニル、モルホリニル、チオモルホリニル、ホモピペラジニルなどが挙げられる。多環式ヘテロシクリルは、スピロ環、縮合環または架橋環を有するヘテロシクリルを含む。
【0067】
用語「スピロヘテロシクリル」とは、個々の環が1個の共有原子(スピロ原子と称される)を介して結合され、ここで、1個またはそれ以上の環原子はN、O、S、S(O)およびS(O)2からなる群から選択されるヘテロ原子であり、残りの環原子は炭素原子であり、ここで、該環は1つまたはそれ以上の二重結合を含むことができるが、いずれの環も完全π電子共役系は有しない、5~20員多環式ヘテロシクリル基を意味する。スピロヘテロシクリルは、好ましくは6~14員スピロヘテロシクリルであり、より好ましくは7~10員(例えば7員、8員、9員または10員)スピロヘテロシクリルである。環間に共有されるスピロ原子の数によって、スピロヘテロシクリルは、モノ-スピロヘテロシクリル、ジ-スピロヘテロシクリル、またはポリ-スピロヘテロシクリルに分けられ、スピロヘテロシクリルは、好ましくは、モノ-スピロヘテロシクリルまたはジ-スピロヘテロシクリルであり、より好ましくは、4-員/4-員、4-員/5-員、4-員/6-員、5-員/5-員、または5-員/6-員モノ-スピロヘテロシクリルである。スピロヘテロシクリルの非限定的な例としては、
【化15】
が挙げられる。
【0068】
用語「縮合ヘテロシクリル」とは、5~20員多環式ヘテロシクリル基であって、多環式ヘテロシクリル基の各環が別の環と一対の隣接する原子を共有し、ここで、1個またはそれ以上の環は1つまたはそれ以上の二重結合を含むことができるが、いずれの環も完全π電子共役系を有せず、ここで、1個または以上の環原子はN、O、S、S(O)およびS(O)2からなる群から選択されるヘテロ原子であり、残りの環原子は炭素原子である、多環式ヘテロシクリル基を意味する。縮合ヘテロシクリルは、好ましくは6~14員縮合ヘテロシクリルであり、より好ましくは7~10員(例えば7員、8員、9員または10員)縮合ヘテロシクリルである。構成する環の数により、縮合ヘテロシクリルは、二環式、三環式、四環式または多環式縮合ヘテロシクリルに分類することができ、縮合ヘテロシクリルは、好ましくは、二環式または三環式縮合ヘテロシクリルであり、より好ましくは、5-員/5-員または5-員/6-員二環式縮合ヘテロシクリルである。縮合ヘテロシクリルの非限定的な例としては、
【化16】
が挙げられる。
【0069】
用語「架橋ヘテロシクリル」とは、5~14員多環式ヘテロシクリル基であって、多環式ヘテロシクリル基の任意の2つの環が、結合されていない2つの原子を共有し、ここで、該環は1つまたはそれ以上の二重結合を有することができるが、いずれの環も完全π電子共役系を有せず、ここで、1個またはそれ以上の環原子はN、O、S、S(O)およびS(O)2からなる群から選択されるヘテロ原子であり、残りの環原子が炭素原子である、5~14員多環式ヘテロシクリル基を意味する。架橋ヘテロシクリルは、好ましくは6~14員架橋ヘテロシクリルであり、より好ましくは7~10員(例えば7員、8員、9員または10員)架橋ヘテロシクリルである。構成する環の数により、架橋ヘテロシクリルは、二環式、三環式、四環式または多環式架橋ヘテロシクリルに分類することができ、架橋ヘテロシクリルは、好ましくは、二環式、三環式または四環式架橋ヘテロシクリルであり、より好ましくは、二環式または三環式架橋ヘテロシクリルである。架橋ヘテロシクリルの非限定的な例としては、
【化17】
が挙げられる。
【0070】
ヘテロシクリル(単環式ヘテロシクリル、スピロヘテロシクリル、縮合ヘテロシクリルおよび架橋ヘテロシクリルを含む)環は、アリール、ヘテロアリールまたはシクロアルキルの環に縮合され得、ここで、親構造に結合される環はヘテロシクリルであり、その非限定的な例としては、
【化18】
が挙げられる。
【0071】
ヘテロシクリル(単環式ヘテロシクリル、スピロヘテロシクリル、縮合ヘテロシクリルおよび架橋ヘテロシクリルを含む)環は、アリール、ヘテロアリールまたはシクロアルキルの環に縮合され得、ここで、親構造に結合される環はヘテロシクリルであり、その非限定的な例としては、
【化19】
が挙げられる。
【0072】
ヘテロシクリルは、置換されていてもよく、置換されていなくてもよい。置換されている場合、置換基はいずれかの利用可能な結合点で置換されていてもよい。置換基は、好ましくは、水素原子、ハロゲン、アルキル、アルコキシ、ハロアルキル、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキル、シアノ、アミノ、ニトロ、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリールおよびヘテロアリールからなる群から独立して選択される1つまたはそれ以上の基である。
【0073】
用語「アリール」とは、π電子共役系を有する6~14員全炭素単環式または多環式縮合環(すなわち、縮合環内の各環が隣接する一対の炭素原子を縮合環内の別の環と共有する)、好ましくは6~10員全炭素単環式または多環式縮合環、例えばフェニルおよびナフチルを意味する。アリール環は、ヘテロアリール、ヘテロシクリルまたはシクロアルキルの環に縮合され得、ここで、親構造に結合される環はアリール環であり、その非限定的な例としては、
【化20】
が挙げられる。
【0074】
アリールは、置換されていてもよく、置換されていなくてもよい。置換されている場合、置換基はいずれかの利用可能な結合点で置換されていてもよい。置換基は、好ましくは、水素原子、ハロゲン、アルキル、アルコキシ、ハロアルキル、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキル、シアノ、アミノ、ニトロ、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリールおよびヘテロアリールからなる群から独立して選択される1つまたはそれ以上の基である。
【0075】
用語「ヘテロアリール」とは、O、SおよびNからなる群から選択される1~4個のヘテロ原子を有する5~14員ヘテロ芳香族系を意味する。ヘテロアリールは、好ましくは5~10員ヘテロアリールであり、より好ましくは5または6員ヘテロアリール、例えば、フリル、チエニル、ピリジル、ピロリル、N-アルキルピロリル、ピリミジニル、ピラジニル、ピリダジニル、イミダゾリル、ピラゾリル、トリアゾリル、テトラゾリルなどであり、好ましくはピリダジニルおよびピリジニルであり、より好ましくはピリダジニルである。ヘテロアリール環は、アリール、ヘテロシクリルまたはシクロアルキルの環に縮合され得、ここで、親構造に結合される環はヘテロアリール環であり、その非限定的な例としては、
【化21】
が挙げられる。
【0076】
ヘテロアリールは、場合により置換されていてもよく、置換されていなくてもよい。置換されている場合、置換基はいずれかの利用可能な結合点で置換されていてもよい。置換基は、好ましくは、水素原子、ハロゲン、アルキル、アルコキシ、ハロアルキル、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキル、シアノ、アミノ、ニトロ、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリールおよびヘテロアリールからなる群から独立して選択される1つまたはそれ以上の基である。
【0077】
用語「シクロアルキルオキシ」とは、シクロアルキル-O-基を意味し、ここで、シクロアルキルは上記に定義されている通りである。
【0078】
用語「ハロアルキル」とは、1つまたはそれ以上のハロゲンによって置換されているアルキル基であり、ここで、アルキルは上記に定義されている通りである。
【0079】
用語「重水素化アルキル」とは、1つまたはそれ以上の重水素原子によって置換されているアルキル基を意味し、ここで、アルキルは上記に定義されている通りである。
【0080】
用語「ヒドロキシ」とは-OH基を意味する。
【0081】
用語「ヒドロキシアルキル」とは、ヒドロキシによって置換されているアルキル基を意味し、ここで、アルキルは上記に定義されている通りである。
【0082】
用語「ハロゲン」とは、フッ素、塩素、臭素またはヨウ素を意味する。
【0083】
用語「ヒドロキシ」とは-OH基を意味する。
【0084】
用語「アミノ」とは-NH2基を意味する。
【0085】
用語「シアノ」とは-CN基を意味する。
【0086】
用語「ニトロ」とは-NO2基を意味する。
【0087】
用語「カルボニル」とはC=O基を意味する。
【0088】
用語「カルボキシ」とは-C(O)OH基を意味する。
【0089】
用語「アルコキシカルボニル」とは、-C(O)O(アルキル)、-C(O)O(シクロアルキル)、-OC(O)(アルキル)または-OC(O)(シクロアルキル)基を意味し、ここで、アルキルおよびシクロアルキルは上記に定義されている通りである。
【0090】
本開示はまた、さまざまな重水素化形態の式(I)で示される化合物を含む。炭素原子に結合されている利用可能な水素原子は、それぞれ独立して、重水素原子と置き換えられ得る。当業者は、関連文献を参照して、式(I)で示される化合物を重水素化形態で合成することができる。重水素化形態の式(I)で示される化合物は、市販の重水素化原材料を用いることにより調製されてもよく、重水素化試薬を用いて従来の技術によって調製されてもよく、重水素化試薬は、重水素化ボラン、テトラヒドロフラン中の三重水素化ボラン、重水素化リチウムアルミニウムハイドライド、重水素化ヨードエタン、重水素化ヨードメタンなどを含むが、これらに限定されない。
【0091】
「場合による」または「場合により」とは、次に記載される事象または環境が起こり得るが、起こる必要はないことを意味し、そのような記載は、その事象または環境が起こるか起こらないかの状況を含む。例えば、「場合によりアルキルによって置換されていてよいヘテロシクリル」は、アルキル基が存在し得るが、存在する必要はないことを意味し、このような記載は、ヘテロシクリルがアルキルによって置換されている状況とヘテロシクリルがアルキルによって置換されていない状況とを含む。
【0092】
「置換されている」とは、基中の1個またはそれ以上の水素原子が、好ましくは5個まで、より好ましくは1~3個の水素原子が、対応する数の置換基によって独立して置換されていることを意味する。言うまでもなく、置換基は可能な化学的位置にのみ存在する。当業者であれば、過度の努力なしに、実験または理論によって置換が可能であるか不可能であるかを決定することができる。例えば、遊離水素を有するアミノまたはヒドロキシと不飽和結合(オレフィンなど)を有する炭素原子との組み合わせは不安定であり得る。
【0093】
用語「医薬組成物」とは、本明細書に記載の1つまたはそれ以上の化合物またはその生理学的/薬学的に許容できる塩もしくはプロドラッグと他の化学成分、および生理学的/薬学的に許容できる担体および賦形剤などの他の成分との混合物を意味する。医薬組成物の目的は、生物への化合物の投与を容易にすることで、活性成分の吸収を促進して生物学的活性を示すことである。
【0094】
「薬学的に許容できる塩」とは、哺乳動物において安全かつ有効であり、所望の生物学的活性を有する、本開示の化合物の塩を意味する。
【0095】
本開示の化合物はまた、その同位体誘導体を含むことができる。用語「同位体誘導体」とは、1個またはそれ以上の同位体濃縮原子の存在のみで、構造が異なる化合物を意味する。例えば、水素を「重水素」または「三重水素(トリチウム)」に置き換えるか、フッ素を18F-フッ素標識(18F同位体)に置き換えるか、炭素を11C-、13C-、または14C濃縮炭素(11C-、13C-、または14C-炭素標識;11C-、13C-、または14C-同位体)に置き換えることを除いた、本開示の構造を有する化合物は、本発明の範囲内にあるものである。このような化合物は、例えば、生物学的アッセイにおける分析ツールまたはプローブとして、または疾患のインビボ診断イメージングのためのトレーサーとして、または薬力学、薬物動態学または受容体研究のためのトレーサーとして使用することができる。重水素化化合物は一般的に、非重水素化化合物に匹敵する活性を保持でき、特定の部位で重水素化すると、得られる化合物はより優れた代謝安定性を達成し、それによって特定の治療上の利点(インビボ半減期の増加または必要な投与量の減少など)を得ることができる。
【0096】
薬物または薬理学的活性剤について、用語「治療有効量」とは、無毒でありながら所望の効果を得ることができる薬物または薬剤の十分な量を意味する。有効量の決定は、受容者の年齢や全身状態、および特定の活性物質によって、人により異なる。場合における適切な有効量は、日常的な実験に従って当業者により決定することができる。
【0097】
本開示は、新規なERK阻害剤を提供し、そのような構造を有する化合物が強い阻害活性および高い選択性を有し、そのような構造を有する化合物が良好な薬物動態学的吸収性を有することを見出す。
【0098】
本開示の化合物の合成方法
本開示の目的を達成するために、本開示は、以下の技術的解決策を適用する。
【0099】
スキームI
本開示による、式(I)で示される化合物またはその互変異性体、メソ体、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー、またはそれらの混合物、またはそれらの薬学的に許容できる塩の調製方法であって、以下の工程:
【化22】
[中間体1の式(IA)で示される化合物および中間体2の式(IB)で示される化合物を、アルカリ性条件下縮合反応させて、式(I)で示される化合物を得、ここで、R1~R7、L、mおよびnは式(I)で示される化合物において定義されている通りである]
を含む方法。
【0100】
他のスキーム
式(II-1)、(II-2)、(II-3)、(II-4)、(III-1)、(III-2)、(III-3)または(III-4)で示される化合物の調製の他のスキームにおいて、以下の表に示されるように、スキーム1における中間体1の式(IA)で示される化合物を、式(II-1A)、(II-2A)、(II-3A)、(II-4A))、(III-1A)、(III-2A)、(III-3A)または(III-4A)で示される化合物に置き換え;それに応じて中間体2の式(IB)で示される化合物も置き換える:
【表3-1】
【表3-2】
【0101】
反応条件はスキームIと同じであり、つまりアルカリ性条件下縮合反応を起こして、生成物を調製する。
【0102】
上記の反応においてアルカリ性条件を提供する試薬は、有機塩基および無機塩基を含む。有機塩基は、トリエチルアミン、N,N-ジイソプロピルエチルアミン、n-ブチルリチウム、リチウムジイソプロピルアミド、酢酸カリウム、ナトリウムtert-ブトキシドおよびカリウムtert-ブトキシドを含むが、これらに限定されない。無機塩基は、水素化ナトリウム、リン酸カリウム、炭酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム、水酸化ナトリウム、水酸化リチウムおよび水酸化カリウムを含むが、これらに限定されない。アルカリ性条件を提供する試薬は、好ましくはN,N-ジイソプロピルエチルアミンである。
【0103】
上記の反応は溶媒中で行われる。使用される溶媒は、酢酸、メタノール、エタノール、n-ブタノール、トルエン、テトラヒドロフラン、ジクロロメタン、石油エーテル、酢酸エチル、n-ヘキサン、ジメチルスルホキシド、1,4-ジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテル、水、N,N-ジメチルホルムアミドおよびこれらの混合物、好ましくはN,N-ジメチルホルムアミドを含むが、これらに限定されない。
【0104】
上記の縮合反応における縮合剤は、1-(3-ジメチルアミノプロピル)-3-エチルカルボジイミドヒドロクロライド、N,N'-ジシクロヘキシルカルボジイミド、N,N'-ジイソプロピルカルボジイミド、O-(ベンゾトリアゾール-1-イル)-N,N,N',N'-テトラメチルウロニウムテトラフルオロボラート、1-ヒドロキシベンゾトリアゾール、1-ヒドロキシ-7-アザベンゾトリアゾール、O-(ベンゾトリアゾール-1-イル)-N,N,N',N'-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート、2-(7-アザベンゾトリアゾール-1-イル)-N,N,N',N'-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート、2-(7-オキソベンゾトリアゾール-1-イル)-N,N,N',N'-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート、ベンゾトリアゾール-1-イルオキシトリス(ジメチルアミノ)ホスホニウムヘキサフルオロホスフェートおよびベンゾトリアゾール-1-イル-オキシトリピロリジニルホスホニウムヘキサフルオロホスフェート、好ましくは2-(7-アザベンゾトリアゾール-1-イル)-N,N,N',N'-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェートを含むが、これらに限定されない。
【0105】
本開示の1つまたはそれ以上の実施形態の詳細は、上記の明細書に記載されている。本開示の実施または試験には、本明細書に記載したものと類似または同一のいずれかの方法および材料を用いることができるが、好ましい方法および材料について以下に記載する。明細書および特許請求の範囲によって、本開示の他の特徴、目的および利点が明らかになるであろう。明細書および特許請求の範囲において、文脈が他に明確に示さない限り、単数形は複数形の指示対象を含む。特に定義しない限り、本明細書で使用される全ての技術用語および科学用語は、本開示が属する技術分野における通常の技術者によって理解される一般的な意味を有する。本明細書で引用したすべての特許、特許出願、および刊行物は、参照により包含される。以下の実施例は、本開示の好ましい実施態様をより完全に説明するために提供される。これらの実施例は、本開示の範囲をいかなる形でも限定するものとして解釈されるべきではなく、本開示の範囲は特許請求の範囲によって定義される。
【0106】
詳細な説明
本開示は、以下の実施例を参照してさらに説明されるが、実施例は、本開示の範囲を限定するものと見なすべきではない。
【実施例
【0107】
化合物の構造は、核磁気共鳴(NMR)および/またはマススペクトロメトリー(MS)によって同定した。NMRシフト(δ)は10-6(ppm)で示す。NMRはBruker AVANCE-400機を用いて測定した。測定溶媒は、重水素化ジメチルスルホキシド(DMSO-d6)、重水素化クロロホルム(CDCl3)および重水素化メタノール(CD3OD)であり、内部標準はテトラメチルシラン(TMS)である。
【0108】
MSは、Agilent 1200 /1290 DAD- 6110/6120 Quadrupole MS液体クロマトグラフ/質量スペクトロメーター(製造業者:Agilent、MSモデル:6110/6120 Quadrupole MS)、waters ACQuity UPLC-QD/SQD(製造業者:waters、MSモデル:waters ACQuity Qda Detector /waters SQ Detector)、THERMO Ultimate 3000-Q Exactive(製造業者:THERMO、MSモデル:THERMO Q Exactive)を用いて測定した。
【0109】
高速液体クロマトグラフィー(HPLC)は、Agilent HPLC 1200DAD、Agilent HPLC 1200VWD、Waters HPLC e2695-2489高圧液体クロマトグラフを用いて測定した。
【0110】
キラルHPLC(Chiral HPLC)は、Agilent 1260 DAD高速液体クロマトグラフを用いて測定した。
【0111】
分取高速液体クロマトグラフィー(Preparative high performance liquid chromatography)は、Waters 2545-276、Waters 2767-SQ Detecor2、Shimadzu LC-20APおよびGilson GX-281分取クロマトグラフを用いて行った。
【0112】
キラル調製は、Shimadzu LC-20AP分取クロマトグラフで行った。
【0113】
使用されたCombiFlash迅速調製装置は、Combiflash Rf200(TELEDYNE ISCO)であった。
【0114】
薄層シリカゲルクロマトグラフィー(TLC)プレートとしてYantai Huanghai HSGF254またはQingdao GF254シリカゲルプレートを使用した。TLCに使用されたシリカゲルプレートの寸法は0.15mm~0.2mmであり、生成物の精製に使用されたシリカゲルプレートの寸法は0.4mm~ら0.5mmであった。
【0115】
シリカゲルカラムクロマトグラフィーの担体としてYantai Huanghai 200~300メッシュのシリカゲルを一般的に使用した。
【0116】
平均キナーゼ阻害率およびIC50値は、NovoStarマイクロプレートリーダー(BMG Co., Germany)を用いて測定した。
【0117】
本開示の知られている出発物質は、当該技術分野において知られている方法によって調製することができ、またはABCR GmbH & Co. KG、Acros Organics、Aldrich Chemical Company、Accela ChemBio Inc.、Dari Chemical Company等から購入することができる。
【0118】
特に断らない限り、反応は、アルゴン雰囲気または窒素雰囲気下で行うことができる。
【0119】
「アルゴン雰囲気」または「窒素雰囲気」とは、反応フラスコにアルゴンまたは窒素のバルーン(約1L)を設置することを意味する。
【0120】
「水素雰囲気」とは、反応フラスコに水素バルーン(約1L)を設置することを意味する。
【0121】
加圧水素化反応は、Parr 3916EKX水素化機器およびQinglan QL-500水素発生機器またはHC2-SS水素化機器を用いて行った。
【0122】
水素化反応において、一般的に反応系を真空にし、水素を充填し、上記の操作を3回繰り返した。
【0123】
マイクロ波反応には、CEM Discover-S 908860型マイクロ波反応器を使用した。
【0124】
特に断らない限り、溶液とは水溶液を意味する。
【0125】
特に断らない限り、反応温度は20℃~30℃の室温である。
【0126】
実施例における反応過程は、薄層クロマトグラフィー(TLC)を用いてモニターした。反応に用いられた展開溶媒、カラムクロマトグラフィーにおける溶離剤系、化合物の精製のための薄層クロマトグラフィーにおける展開溶媒系は、A:ジクロロメタン/メタノール系、B:n-ヘキサン/酢酸エチル系、およびC:石油エーテル/酢酸エチル系を含んでいる。溶媒の体積比は化合物の極性に応じて調整し、トリエチルアミンなどのアルカリ性試薬または酢酸などの酸性試薬を少量添加して調整することもできる。
【0127】
実施例1
(S)-N-((S)-1-(3-フルオロ-5-メトキシフェニル)-2-ヒドロキシエチル)-2-(6-(5-メチル-2-((1-メチル-1H-ピラゾール-5-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-1-オキソ-3,4-ジヒドロピロロ[1,2-c]ピリミジン-2(1H)-イル)プロパンアミド 1-P1
(R)-N-((S)-1-(3-フルオロ-5-メトキシフェニル)-2-ヒドロキシエチル)-2-(6-(5-メチル-2-((1-メチル-1H-ピラゾール-5-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-1-オキソ-3,4-ジヒドロピロロ[1,2-c]ピリミジン-2(1H)-イル)プロパンアミド 1-P2
【化23】
【化24】
【0128】
工程1
4-ブロモ-2-(2-メトキシビニル)-1-トシル-1H-ピロール 1c
(メトキシメチル)トリフェニルホスホニウムクロライド 1b(12.5g、36.6mmol)をテトラヒドロフラン150mLに溶解し、溶液を0℃に冷却した。カリウムtert-ブトキシド(4.1g、36.6mmol)を添加し、反応溶液を0.5時間攪拌した。4-ブロモ-1-トシル-1H-ピロール-2-カルボアルデヒド 1a(4.0g、612.19mmol、Journal of Organic Chemistry, 2006, vol. 71, # 11, p. 4092-4102)を添加し、反応溶液を14時間攪拌した。水100mLを添加し、反応溶液を減圧下に濃縮し、残留物をカラムクロマトグラフィーにより溶離剤系Cで精製して表題化合物1c(5.2g)を収率:79.8%で得た。
MS m/z (ESI): 356.0 [M+1]。
【0129】
工程2
2-(4-ブロモ-1-トシル-1H-ピロール-2-イル)アセトアルデヒド 1d
化合物1c(5.2g、14.6mmol)をテトラヒドロフラン20mLに溶解した後、濃塩酸15mLを添加し、反応溶液を3時間攪拌した。飽和重炭酸ナトリウムを添加してpHを7に調整した。反応溶液を酢酸エチル(150mL×2)で抽出し、有機相を濃縮して表題の粗化合物1d(4.9g)を得、それを精製せずに次の工程に直接使用した。
MS m/z (ESI): 342.1 [M+1]。
【0130】
工程3
tert-ブチル(R)-2-((2-(4-ブロモ-1-トシル-1H-ピロール-2-イル)エチル)アミノ)プロピオネート 1f
tert-ブチルD-アラニナートヒドロクロライド 1e(3.11g、21.5mmol、Shanghai Bide Pharmatech Ltd.)をメタノール25mLに溶解した後、無水炭酸カリウム(4.76g、34.4mmol)を添加し、混合物を0.5時間攪拌し、濾過して不溶物を除去した。化合物1d(4.9g、14.3mmol)を添加し、反応溶液を0℃に冷却した。ナトリウムシアノボロハイドライド(1.35g、21.5mmol)を添加し、反応溶液を14時間攪拌した。水100mLを添加し、反応溶液を酢酸エチル(150mL×2)で抽出し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下に濃縮し、カラムクロマトグラフィーにより溶離剤系Bで精製して表題化合物1f(2.2g)を収率:33%で得た。
MS m/z (ESI): 471.1 [M+1]。
【0131】
工程4
tert-ブチル(R)-2-((2-(4-ブロモ-1H-ピロール-2-イル)エチル)アミノ)プロピオネート 1g
化合物1f(2.2g、4.67mmol)をテトラヒドロフラン10mLに溶解した後、テトラヒドロフラン(1M)中のテトラブチルアンモニウムフルオライド15mLを添加し、反応溶液を65℃で1時間攪拌した。飽和重炭酸ナトリウム溶液50mLを添加し、反応溶液を酢酸エチル(100mL×2)で抽出した。有機相を濃縮し、残留物をカラムクロマトグラフィーにより溶離剤系Bで精製して表題化合物1g(700mg)を収率:47.2%で得た。
MS m/z (ESI): 317.2 [M+1]。
【0132】
工程5
tert-ブチル(R)-2-(6-ブロモ-1-オキソ-3,4-ジヒドロピロロ[1,2-c]ピリミジン-2(1H)-イル)プロパノエイト 1h
化合物1g(700mg、2.21mmol)をテトラヒドロフラン10mLに溶解した後、N,N'-カルボニルジイミダゾール(1.07g、6.62mmol)を添加し、混合物を0.5時間攪拌した。水素化ナトリウム(60%、254mg、6.62mmol)を添加し、反応溶液を14時間攪拌した。水を添加し、反応溶液を減圧下に濃縮し、残留物を薄層クロマトグラフィーにより展開溶媒系Cで精製して表題化合物1h(680mg)を収率:89.7%で得た。
MS m/z (ESI): 343.2[M+1]。
【0133】
工程6
tert-ブチル(R)-2-(1-オキソ-6-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-3,4-ジヒドロピロロ[1,2-c]ピリミジン-2(1H)-イル)プロパノエイト 1i
アルゴン雰囲気下、化合物1h(680mg、1.98mmol)を1,4-ジオキサン30mLに溶解した後、[1,1'-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム(II)ジクロライド(290mg、0.40mmol)および酢酸カリウム(389mg、3.96mmol)を連続的に添加した。反応溶液を70℃で2時間攪拌し、冷却し、セライトで濾過した。濾液を濃縮し、残留物を薄層クロマトグラフィーにより展開溶媒系Cで精製して表題化合物1i(550mg)を収率:71.1%で得た。
MS m/z (ESI): 391.2 [M+1]。
【0134】
工程7
4-クロロ-5-メチル-2-(メチルスルホニル)ピリミジン 1n
4-クロロ-5-メチル-2-(メチルチオ)ピリミジン 1m(500mg、2.86mmol、Shanghai Bide Pharmatech Ltd.)をジクロロメタン10mLに溶解した後、m-クロロペルオキシ安息香酸(1.270g、6.3mmol)を添加し、反応溶液を2時間攪拌した。反応溶液をチオ硫酸ナトリウムの飽和溶液および塩化ナトリウムの飽和溶液で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過した。濾液を減圧下に濃縮して表題の粗化合物1n(445mg)を得、それを精製せずに次の工程に直接使用した。
MS m/z (ESI): 207.2 [M+1]。
【0135】
工程8
4-クロロ-5-メチル-N-(1-メチル-1H-ピラゾール-5-イル)ピリミジン-2-アミン 1j
N-(1-メチル-1H-ピラゾール-5-イル)ホルムアミド 1o(270mg、2.15mmol、特許出願「WO201780979の明細書88頁、実施例2」に開示されている方法によって調製されたもの)をN,N-ジメチルホルムアミドに溶解した後、0℃で水素化ナトリウム(60%、250mg、6.5mmol)を添加し、混合物を0.5時間攪拌した。粗化合物1n(445mg、2.15mmol)を添加し、反応溶液をさらに2時間反応させた。水20mLを添加し、反応溶液を酢酸エチル(20mL×3)で抽出した。有機相を一緒にし、減圧下に濃縮し、得られた残留物を薄層クロマトグラフィーにより展開溶媒系Cで精製して表題化合物1j(240mg)を収率:49.7%で得た。
MS m/z (ESI): 224.3 [M+1]。
【0136】
工程9
tert-ブチル(R)-2-(6-(5-メチル-2-((1-メチル-1H-ピラゾール-5-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-1-オキソ-3,4-ジヒドロピロロ[1,2-c]ピリミジン-2(1H)-イル)プロパノエイト 1k
アルゴン雰囲気下、化合物1i(400mg、1.02mmol)をジオキサン6mLおよび水1mLに溶解した後、化合物1j(252mg、1.12mmol)、炭酸セシウム(668mg、2.05mmol)および[1,1'-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム(II)ジクロライド(150mg、0.20mmol)を連続的に添加した。反応溶液を80℃で14時間攪拌し、冷却し、セライトで濾過した。濾液を濃縮し、残留物をカラムクロマトグラフィーにより溶離剤系Aで精製して表題化合物1k(340mg)を収率:73.1%で得た。
MS m/z (ESI): 452.2[M+1]。
【0137】
工程10
(R)-2-(6-(5-メチル-2-((1-メチル-1H-ピラゾール-5-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-1-オキソ-3,4-ジヒドロピロロ[1,2-c]ピリミジン-2(1H)-イル)プロパン酸 1l
化合物1k(340mg、0.75mmol)をジクロロメタン3mLに溶解した後、トリフルオロ酢酸1mLを滴下添加した。この添加を完了した後、反応溶液を1時間攪拌した。有機相を濃縮して表題化合物1l(297mg)を収率:99%で得た。
MS m/z (ESI): 396.2 [M+1]。
【0138】
工程11
(S)-N-((S)-1-(3-フルオロ-5-メトキシフェニル)-2-ヒドロキシエチル)-2-(6-(5-メチル-2-((1-メチル-1H-ピラゾール-5-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-1-オキソ-3,4-ジヒドロピロロ[1,2-c]ピリミジン-2(1H)-イル)プロパンアミド 1-P1
(R)-N-((S)-1-(3-フルオロ-5-メトキシフェニル)-2-ヒドロキシエチル)-2-(6-(5-メチル-2-((1-メチル-1H-ピラゾール-5-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-1-オキソ-3,4-ジヒドロピロロ[1,2-c]ピリミジン-2(1H)-イル)プロパンアミド 1-P2
化合物1l(297mg、0.75mmol)および化合物1p(139mg、0.75mmol、Shanghai Haohong Biomedical Technology Co., Ltd.)をN,N-ジメチルホルムアミド5mLに溶解した後、2-(7-アザベンゾトリアゾール-1-イル)-N,N,N',N'-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート(286mg、0.75mmol)およびN,N-ジイソプロピルエチルアミン(194mg、1.5mmol)を添加した。反応溶液を14時間攪拌し、減圧下に濃縮した。残留物を分取液体クロマトグラフィー(器械モデル: Gilson 281、クロマトグラフカラム:X-Bridge、Prep 30*150mm;5μm;C18、移動相:A-水(10mM 重炭酸アンモニウム)、B-アセトニトリル、流速:30mL/min、カラム温度:室温)により精製して表題化合物1-P1および1-P2(30mg、30mg)を得た。
【0139】
単一構成の化合物(保持時間の短い)1-P1
MS m/z (ESI): 563.2 [M+1]
HPLC分析:保持時間:16.1分、純度:98.5%(クロマトグラフカラム:X-Bridge、Prep 30*150mm;5μm;移動相:A-水(10mM 重炭酸アンモニウム)、B-アセトニトリル、勾配:A 23%~42%)
1H NMR (400 MHz, CD3OD) δ 8.18 (d, 1H), 7.84 (s, 1H), 7.96 (s, 1H), 7.42-7.42 (m, 1H) 6.57-6.73 (m, 3H), 6.63-6.32 (m, 1H), 5.17-5.18 (m, 1H), 4.89-4.94 (m, 1H), 3.74-3.81 (m, 10H), 2.95-3.00 (m, 2H), 2.37 (s, 3H), 1.52 (d, 3H).
【0140】
単一構成の化合物(保持時間の長い)1-P2
MS m/z (ESI): 563.2 [M+1]
HPLC分析:保持時間:18.4分、純度:97.2%(クロマトグラフカラム:X-Bridge、Prep 30*150mm;5μm;移動相:A-水(10mM 重炭酸アンモニウム)、B-アセトニトリル、勾配:A 23%~42%)
MS m/z (ESI): 563.2 [M+1]
1H NMR (400 MHz, CD3OD) δ 8.22 (s, 1H), 7.96 (s, 1H), 7.58 (s, 1H), 6.59-6.75 (m, 4H), 6.48 (s, 1H), 5.17-5.19 (m, 1H), 4.95-4.96 (m, 1H), 3.72-3.81 (m, 10H), 3.02-3.05 (m, 2H), 2.43 (s, 3H), 1.50 (d, 3H).
【0141】
実施例2
(S)-2-(6-(5-クロロ-2-((テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-1-オキソ-3,4-ジヒドロピロロ[1,2-c]ピリミジン-2(1H)-イル)-N-((S)-1-(3-フルオロ-5-メトキシフェニル)-2-ヒドロキシエチル)プロパンアミド 2-P1
(R)-2-(6-(5-クロロ-2-((テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-1-オキソ-3,4-ジヒドロピロロ[1,2-c]ピリミジン-2(1H)-イル)-N-((S)-1-(3-フルオロ-5-メトキシフェニル)-2-ヒドロキシエチル)プロパンアミド 2-P2
【化25】
【化26】
【0142】
工程1
tert-ブチル(R)-2-(6-(2,5-ジクロロピリミジン-4-イル)-1-オキソ-3,4-ジヒドロピロロ[1,2-c]ピリミジン-2(1H)-イル)プロパノエイト 2b
アルゴン雰囲気下、化合物1i(580mg、1.48mmol)をジオキサン6mLおよび水1mLに溶解した後、化合物2a(327mg、1.78mmol、Shanghai Bide Pharmatech Ltd.)、炭酸ナトリウム(315mg、2.97mmol)および[1,1'-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム(II)ジクロライド(126mg、0.15mmol)を連続的に添加した。反応溶液を80℃でマイクロ波反応装置で1時間反応させ、冷却し、セライトで濾過した。濾液を濃縮し、残留物をカラムクロマトグラフィーにより溶離剤系Aで精製して表題化合物2b(200mg)を収率:32.7%で得た。
MS m/z (ESI): 411.2 [M+1]。
【0143】
工程2
tert-ブチル(R)-2-(6-(5-クロロ-2-((テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-1-オキソ-3,4-ジヒドロピロロ[1,2-c]ピリミジン-2(1H)-イル)プロパノエイト 2d
化合物2b(200mg、0.49mmol)、化合物2c(148mg、1.45mmol、Shanghai Bide Pharmatech Ltd.)およびN,N-ジイソプロピルエチルアミン(126mg、0.98mmol)をテトラヒドロフラン10mLに溶解した。反応溶液を100℃で、マイクロ波反応装置で4時間反応させ、冷却し、減圧下に濃縮した。残留物を薄層クロマトグラフィーにより展開溶媒系Cで精製して表題化合物2d(100mg)を収率:43.2%で得た。
MS m/z (ESI): 476.2 [M+1]。
【0144】
工程3
(R)-2-(6-(5-クロロ-2-((テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-1-オキソ-3,4-ジヒドロピロロ[1,2-c]ピリミジン-2(1H)-イル)プロパン酸 2e
化合物2d(100mg、0.21mmol)をジクロロメタン3mLに溶解した後、トリフルオロ酢酸1mLを滴下添加した。この添加を完了した後、反応溶液を1時間攪拌した。有機相を濃縮して表題化合物2e(88mg)を収率:99%で得た。
MS m/z (ESI): 420.1 [M+1]。
【0145】
工程4
(S)-2-(6-(5-クロロ-2-((テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-1-オキソ-3,4-ジヒドロピロロ[1,2-c]ピリミジン-2(1H)-イル)-N-((S)-1-(3-フルオロ-5-メトキシフェニル)-2-ヒドロキシエチル)プロパンアミド 2-P1
(R)-2-(6-(5-クロロ-2-((テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-1-オキソ-3,4-ジヒドロピロロ[1,2-c]ピリミジン-2(1H)-イル)-N-((S)-1-(3-フルオロ-5-メトキシフェニル)-2-ヒドロキシエチル)プロパンアミド 2-P2
化合物2e(88mg、0.21mmol)および化合物1p(38.8mg、0.21mmol)をN,N-ジメチルホルムアミド5mLに溶解した後、2-(7-アザベンゾトリアゾール-1-イル)-N,N,N',N'-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート(79.7mg、0.21mmol)およびN,N-ジイソプロピルエチルアミン(54.2mg、0.42mmol)を添加した。反応溶液を14時間攪拌し、減圧下に濃縮した。残留物を分取液体クロマトグラフィー(器械モデル:Gilson 281、クロマトグラフカラム: Sharpsil-T、X-Bridge、Prep 30*150mm;5μm;C18、移動相:A-水(10mM 重炭酸アンモニウム)、B-アセトニトリル、流速:30mL/min、カラム温度:室温)により精製して表題化合物2-P1および2-P2(30mg、30mg)を得た。
【0146】
単一構成の化合物(保持時間の短い)2-P1
MS m/z (ESI): 587.2 [M+1]
HPLC分析:保持時間:16.1分、純度:98.2%(クロマトグラフカラム:X-Bridge、Prep 30*150mm;5μm;移動相:A-水(10mM 重炭酸アンモニウム)、B-アセトニトリル、勾配:A 30%~48%)
1H NMR (400 MHz, CD3OD) δ 8.24 (s, 1H), 8.19 (s, 1H), 6.71-6.75 (m, 3H) 6.56 (d, 1H), 5.16-5.18 (m, 1H), 4.94-4.98 (m, 1H), 3.98-4.01 (m, 3H), 3.74-3.78 (m, 5H), 3.51-3.62 (m, 4H), 2.95-2.99 (m, 2H), 1.99-2.01 (m, 2H), 1.52-1.62 (m, 5H).
【0147】
単一構成の化合物(保持時間の長い)2-P2
MS m/z (ESI): 587.2 [M+1]
HPLC分析:保持時間:18.2分、純度:96.8%(クロマトグラフカラム: X-Bridge、Prep 30*150mm;5μm;移動相:A-水(10mM 重炭酸アンモニウム)、B-アセトニトリル、勾配:A 30%~48%)
1H NMR (400 MHz、CD3OD) δ 8.22 (s、1H)、8.15 (s、1H)、6.67-6.74 (m、3H) 6.56 (d、1H)、5.14-5.16 (m、1H)、4.90-4.93 (m、1H)、3.94-3.97 (m、3H)、3.56-3.97 (m、9H)、2.95-3.02 (m、2H)、1.95-1.99 (m、2H)、1.45-1.60 (m、5H)。
【0148】
実施例3
(S)-2-(2-(5-クロロ-2-((テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-8-オキソ-5,6-ジヒドロイミダゾ[1,2-a]ピラジン-7(8H)-イル)-N-((S)-1-(3-フルオロ-5-メトキシフェニル)-2-ヒドロキシエチル)プロパンアミド 3-P1
(R)-2-(2-(5-クロロ-2-((テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-8-オキソ-5,6-ジヒドロイミダゾ[1,2-a]ピラジン-7(8H)-イル)-N-((S)-1-(3-フルオロ-5-メトキシフェニル)-2-ヒドロキシエチル)プロパンアミド 3-P2
【化27】
【化28】
【0149】
工程1
(tert-ブトキシカルボニル)(2-(4-(2,5-ジクロロピリミジン-4-イル)-2-(エトキシカルボニル)-1H-イミダゾール-1-イル)エチル)スルファミン酸 3b
エチル4-(2,5-ジクロロピリミジン-4-イル)-1H-イミダゾール-2-カルボキシレート 3a(830mg、2.89mmol、特許出願「WO201780979A1の明細書114頁、実施例31」に開示されている方法によって調製したもの)、炭酸カリウム(1.2g、8.68mmol)および18-クラウン-6(0.153g、0.58mmol)をジオキサン20mLに溶解した後、tert-ブチル2,2-ジオキサチアゾリジン-3-カルボキシレートを添加した。この添加を完了した後、反応溶液を110℃まで温め、14時間反応させた。反応溶液を冷却し、濾過し、濾過ケーキをジクロロメタンで洗浄した。濾液を集め、濾液を回転蒸発により濃縮乾固して表題の粗化合物3b(1.3g)を得、それを次の工程に直接使用した。
MS m/z (ESI): 510.1 [M+1]。
【0150】
工程2
エチル1-(2-アミノエチル)-4-(2,5-ジクロロピリミジン-4-イル)-1H-イミダゾール-2-カルボキシレート 3c
粗化合物3b(1.3g、2.55mmol)をイソプロパノールヒドロクロライド溶液(5mol/L)に溶解し、1時間攪拌した。反応溶液を回転蒸発により濃縮乾固して表題の粗化合物3c(0.84g)を得、それを次の工程に直接使用した。
MS m/z (ESI):330.1 [M+1]。
【0151】
工程3
2-(2,5-ジクロロピリミジン-4-イル)-6,7-ジヒドロイミダゾ[1,2-a]ピラジン-8(5H)-オン 3d
粗化合物3c(0.84g、2.55mmol)をアンモニアのメタノール溶液(7mol/L)に溶解し、14時間攪拌した。反応溶液を濃縮し、残留物をカラムクロマトグラフィーにより溶離剤系Aで精製して表題化合物3d(0.7g、2.46mmol)を収率:59.2%で得た。
MS m/z (ESI): 284.0 [M+1]。
【0152】
工程4
2-(5-クロロ-2-((テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-6,7-ジヒドロイミダゾ[1,2-a]ピラジン-8(5H)-オン 3f
化合物3d(0.15g、0.53mmol)、化合物2c(53.40mg、0.53mmol)、N,N-ジイソプロピルエチルアミン(0.34g、2.64mmol)およびN,N-ジメチルアセトアミド(3 mL)を混合し、110℃で、マイクロ波反応装置で1.5時間反応させた。濾液を濃縮し、得られた残留物を薄層クロマトグラフィーにより展開溶媒系Aで精製して表題化合物3f(0.1g、0.29mmol)を収率:54.0%で得た。
MS m/z (ESI): 349.2 [M+1]。
【0153】
工程5
tert-ブチル2-(2-(5-クロロ-2-((テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-8-オキソ-5,6-ジヒドロイミダゾ[1,2-a]ピラジン-7(8H)-イル)プロパノエイト 3g
化合物3f(0.1g、0.29mmol)をN,N-ジメチルホルムアミド5mLに溶解し、溶液を0℃に冷却した。水素化ナトリウム(60%、20mg、0.86mmol)を添加し、反応溶液を0.5時間攪拌した。tert-ブチル2-ブロモプロピオネート(89mg、0.43mmol、Shanghai Bide Pharmatech Ltd.)を添加し、反応溶液を14時間攪拌した。濾液を濃縮し、残留物を薄層クロマトグラフィーにより展開溶媒系Aで精製して表題化合物3g(100mg)を収率:73.1%で得た。
MS m/z (ESI): 477.2 [M+1]。
【0154】
工程6
2-(2-(5-クロロ-2-((テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-8-オキソ-5,6-ジヒドロイミダゾ[1,2-a]ピラジン-7(8H)-イル)プロパン酸 3h
化合物3g(100mg、0.21mmol)をジクロロメタン10mLに溶解した後、トリフルオロ酢酸1mLを滴下添加した。この添加を完了した後、反応溶液を1時間攪拌した。有機相を濃縮して表題化合物3h(88mg)を収率:99.0%で得た。
MS m/z (ESI): 421.1 [M+1]。
【0155】
工程7
(S)-2-(2-(5-クロロ-2-((テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-8-オキソ-5,6-ジヒドロイミダゾ[1,2-a]ピラジン-7(8H)-イル)-N-((S)-1-(3-フルオロ-5-メトキシフェニル)-2-ヒドロキシエチル)プロパンアミド 3-P1
(R)-2-(2-(5-クロロ-2-((テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-8-オキソ-5,6-ジヒドロイミダゾ[1,2-a]ピラジン-7(8H)-イル)-N-((S)-1-(3-フルオロ-5-メトキシフェニル)-2-ヒドロキシエチル)プロパンアミド 3-P2
化合物3h(88mg、0.21mmol)および化合物1p(32mg、0.21mmol)をN,N-ジメチルホルムアミド5mLに溶解した後、2-(7-アザベンゾトリアゾール-1-イル)-N,N,N',N'-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート(148mg、0.63mmol)およびN,N-ジイソプロピルエチルアミン(81mg、0.63mmol)を添加した。反応溶液を14時間攪拌し、減圧下に濃縮した。残留物を分取液体クロマトグラフィー(器械モデル:Gilson 281、クロマトグラフカラム:X-Bridge、Prep 30*150mm;5μm;C18、移動相:A-水(10mM 重炭酸アンモニウム)、B-アセトニトリル、流速:30mL/min、カラム温度:室温)により精製して表題化合物3-P1および3-P2(2mg、5mg)を得た。
【0156】
単一構成の化合物(保持時間の短い)3-P1
MS m/z (ESI): 588.2 [M+1]
HPLC分析:保持時間:15.5分、純度:99.1%(クロマトグラフカラム:X-Bridge、Prep 30*150mm;5μm;移動相:A-水(10mM 重炭酸アンモニウム)、B-アセトニトリル、勾配:A 30%~45%)
1H NMR (400 MHz, CDCl3): 8.76 (s, 1H), 8.32 (s, 1H), 8.15 (s, 1H), 6.78-6.70 (m, 1H), 6.60(d, 1H), 6.57(d, 1H), 5.43-5.40 (m, 1H), 4.98-4.95 (m, 1H), 4.6-4.3 (m, 2H), 4.2-4.1 (m, 1H), 4.0-3.9 (m, 4H), 3.76 (s, 3H), 3.62-3.45 (m, 3H), 2.37-2.33 (m, 1H), 2.0-1.92 (m, 2H), 1.71-1.52 (m, 2H), 1.45 (d, 3H).
【0157】
単一構成の化合物(保持時間の長い)3-P2
MS m/z (ESI): 588.2 [M+1]
HPLC分析:保持時間:17.8分、純度:98.2%(クロマトグラフカラム:X-Bridge、Prep 30*150mm;5μm;移動相:A-水(10mM 重炭酸アンモニウム)、B-アセトニトリル、勾配:A 30%~45%)
1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ 8.76 (s, 1H), 8.32 (s, 1H), 8.15 (s, 1H), 6.78-6.70 (m, 1H), 6.60 (d, 1H), 6.57 (d, 1H), 5.43-5.40 (m, 1H), 4.98-4.95 (m, 1H), 4.6-4.3 (m, 2H), 4.2-4.1 (m, 1H), 4.0-3.9 (m, 4H), 3.76 (s, 3H), 3.62-3.45 (m, 3H), 2.37-2.33 (m, 1H), 2.0-1.92 (m, 2H), 1.71-1.52 (m, 2H), 1.45 (d, 3H).
【0158】
実施例4
(S)-2-(7-(5-クロロ-2-((テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-1-オキソ-3,4-ジヒドロピロロ[1,2-a]ピラジン-2(1H)-イル)-N-((S)-1-(3-フルオロ-5-メトキシフェニル)-2-ヒドロキシエチル)プロパンアミド 4-P1
(R)-2-(7-(5-クロロ-2-((テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-1-オキソ-3,4-ジヒドロピロロ[1,2-a]ピラジン-2(1H)-イル)-N-((S)-1-(3-フルオロ-5-メトキシフェニル)-2-ヒドロキシエチル)プロパンアミド 4-P2
【化29】
【化30】
【0159】
工程1
メチル4-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-1H-ピロール-2-カルボキシレート 4b
アルゴン雰囲気下、メチル4-ブロモ-1H-ピロール-2-カルボキシレート 4a(15g、73.52mmol、Pharmablock Sciences (Nanjing), Inc.)を1,4-ジオキサン300mLに溶解した後、4,4,4',4',5,5,5',5'-オクタメチル-2,2'-ビス(1,3,2-ジオキサボロラン)(22.41g、88.25mmol、Accela ChemBio (Shanghai) Inc.)、酢酸カリウム(14.13g、147.03mmol)および[1,1'-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム(II)ジクロライド(8g、10.93mmol)を連続的に添加した。反応溶液を90℃で16時間攪拌し、冷却し、セライトで濾過した。濾液を濃縮し、残留物を薄層クロマトグラフィーにより展開溶媒系Cで精製して表題化合物4b(10g)を収率:54.0%で得た。
MS m/z (ESI): 252.2[M+1]。
【0160】
工程2
メチル4-(2,5-ジクロロピリミジン-4-イル)-1H-ピロール-2-カルボキシレート 4c
アルゴン雰囲気下、化合物4b(5g、19.91mmol)をジオキサン100mLおよび水10mLに溶解した後、化合物2a(4g、21.81mmol、Accela ChemBio (Shanghai) Inc.)、炭酸ナトリウム(4.22g、39.82mmol)および[1,1'-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム(II)ジクロライド(2.48g、2.98mmol)を連続的に添加した。反応溶液を80℃で3時間攪拌し、冷却し、セライトで濾過した。濾液を濃縮し、残留物をカラムクロマトグラフィーにより溶離剤系Aで精製して表題化合物4c(2.6g)を収率:48.0%で得た。
MS m/z (ESI): 272.1 [M+1]。
【0161】
工程3
メチル1-(2-((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)エチル)-4-(2,5-ジクロロピリミジン-4-イル)-1H-ピロール-2-カルボキシレート 4e
化合物4c(2.2g、8.9mmol)をジオキサン20mLに溶解した後、化合物4d(1.8g、8.06mmol、Accela ChemBio (Shanghai) Inc.)、炭酸カリウム(3.35g、24.23mmol)および18-クラウン-6(427.4mg、1.6mmol)を添加した。反応溶液を110℃で14時間攪拌し、冷却し、セライトで濾過した。濾液を濃縮し、残留物をカラムクロマトグラフィーにより溶離剤系Aで精製して表題化合物4e(3.2g)を収率:95.3%で得た。
MS m/z (ESI): 415.1[M+1]。
【0162】
工程4
メチル1-(2-((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)エチル)-4-(5-クロロ-2-((テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-1H-ピロール-2-カルボキシレート 4f
化合物4e(1.56g、7.7mmol)、化合物2c(1.56g、15.4mmol、Shanghai Bide Pharmatech Ltd.)、N,N-ジイソプロピルエチルアミン(0.78g、7.7mmol)およびN,N-ジメチルアセトアミド(3mL)を混合し、110℃でマイクロ波反応装置中で1.5時間反応させた。濾液を濃縮し、得られた残留物を薄層クロマトグラフィーにより展開溶媒系Aで精製して表題化合物4f(1.7g)を収率:46%で得た。
MS m/z (ESI): 480.3 [M+1]。
【0163】
工程5
メチル1-(2-アミノエチル)-4-(5-クロロ-2-((テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-1H-ピロール-2-カルボキシレート 4g
化合物4f(1.7g、3.54mmol)をジクロロメタン10mLに溶解した後、ジオキサン(4.0M)中の塩化水素20mLを滴下添加した。この添加を完了した後、反応溶液を2時間攪拌し、減圧下に濃縮して粗化合物4g(1.4g)を得、それを精製せずに次の工程に直接使用した。
MS m/z (ESI): 380.2 [M+1]。
【0164】
工程6
7-(5-クロロ-2-((テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-3,4-ジヒドロピロロ[1,2-a]ピラジン-1(2H)-オン 4h
粗化合物4g(1.4g、3.4mmol)をアンモニアのメタノール溶液10ml(7mol/L)に溶解し、14時間攪拌した。反応溶液を減圧下に濃縮して粗化合物4h(1.1g)を得、それを精製せずに次の工程に直接使用した。
MS m/z (ESI): 348.1 [M+1]。
【0165】
工程7
tert-ブチル2-(7-(5-クロロ-2-((テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-1-オキソ-3,4-ジヒドロピロロ[1,2-a]ピラジン-2(1H)-イル)プロパノエイト 4i
化合物4h(1.4g、3.16mmol)をN,N-ジメチルホルムアミド20mLに溶解し、溶液を0℃に冷却した。水素化ナトリウム(60%、411.4mg、9.5mmol)を添加し、反応溶液を0.5時間攪拌した。tert-ブチル2-ブロモプロピオネート(992mg、4.74mmol)を添加し、反応溶液を14時間攪拌した。濾液を濃縮し、残留物を薄層クロマトグラフィーにより展開溶媒系Aで精製して表題化合物4i(1.2g)を収率:62.6%で得た。
MS m/z (ESI): 476.2 [M+1]。
【0166】
工程8
2-(7-(5-クロロ-2-((テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-1-オキソ-3,4-ジヒドロピロロ[1,2-a]ピラジン-2(1H)-イル)プロパン酸 4j
化合物4i(1.2g、2.52mmol)をジクロロメタン10mLに溶解した後、トリフルオロ酢酸1mLを滴下添加した。この添加を完了した後、反応溶液を1時間攪拌し、減圧下に濃縮して粗化合物4j(1.3g)を得、それを精製せずに次の工程に直接使用した。
MS m/z (ESI): 420.1 [M+1]。
【0167】
工程9
(S)-2-(7-(5-クロロ-2-((テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-1-オキソ-3,4-ジヒドロピロロ[1,2-a]ピラジン-2(1H)-イル)-N-((S)-1-(3-フルオロ-5-メトキシフェニル)-2-ヒドロキシエチル)プロパンアミド 4-P1
(R)-2-(7-(5-クロロ-2-((テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-1-オキソ-3,4-ジヒドロピロロ[1,2-a]ピラジン-2(1H)-イル)-N-((S)-1-(3-フルオロ-5-メトキシフェニル)-2-ヒドロキシエチル)プロパンアミド 4-P2
化合物4j(17mg、31.8μmol)および化合物1p(7.1mg、38.2μmol)をN,N-ジメチルホルムアミド5mLに溶解した後、2-(7-アザベンゾトリアゾール-1-イル)-N,N,N',N'-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート(11.2mg、47.8μmol)およびN,N-ジイソプロピルエチルアミン(12.4mg、0.1mmol)を添加し、反応溶液を14時間攪拌した。濾液を濃縮し、残留物を分取液体クロマトグラフィー(器械モデル:Gilson 281、クロマトグラフカラム:X-Bridge、Prep 30*150mm;5μm;C18、移動相:A-水(10mM 重炭酸アンモニウム)、B-アセトニトリル、流速:30mL/min、カラム温度:室温)により精製して表題化合物4-P1および4-P2(5mg、5mg)を収率:26.7%%、26.7%で得た。
【0168】
単一構成の化合物(保持時間の短い)4-P1
MS m/z (ESI): 587.2 [M+1]
HPLC分析:保持時間:17.6分、純度:96.8%(クロマトグラフカラム:X-Bridge、Prep 30*150mm;5μm;移動相:A-水(10mM 重炭酸アンモニウム)、B-アセトニトリル、勾配:A 23%~42%)
1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ 8.21 (s, 1H), 7.74 (d, 1H), 7.67 (d, 1H), 749-7.45 (m, 2H), 6.63-6.61 (m, 2H), 6.04-5.91 (m, 1H), 5.43-5.37 (m, 3H), 5.25-5.22 (m, 1H), 5.03-5.01 (m, 1H), 4.17-4.15 (m, 2H), 4.05-4.02 (m, 2H), 3.92-3.87 (m, 2H), 3.72 (s, 3H), 3.60-3.58 (m, 3H), 2.12-2.03 (m, 4H), 1.45 (d, 3H).
【0169】
単一構成の化合物(保持時間の長い)4-P2
MS m/z (ESI): 587.2 [M+1]
HPLC分析:保持時間:19.1分、純度:98.2%(クロマトグラフカラム:X-Bridge、Prep 30*150mm;5μm;移動相:A-水(10mM 重炭酸アンモニウム)、B-アセトニトリル、勾配:A 23%~42%)
1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ 8.21 (s, 1H), 7.67 (d, 1H), 7.56 (d, 1H), 748-7.45 (m, 2H), 6.71-6.67 (m, 2H), 6.59-6.51 (m, 1H), 5.40-5.37 (m, 3H), 5.20-5.18 (m, 1H), 5.08-5.06 (m, 1H), 4.17-4.10 (m, 2H), 4.05-4.02 (m, 2H), 3.89-3.83 (m, 3H), 3.82 (s, 3H), 3.62-3.57 (m, 2H), 2.32-2.23 (m, 4H), 1.47 (d, 3H).
【0170】
実施例5
2-(2-(5-クロロ-2-((テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-8-オキソ-5,6-ジヒドロイミダゾ[1,2-a]ピラジン-7(8H)-イル)-N-((S)-2-ヒドロキシ-1-(m-トリル)エチル)プロパンアミド 5
【化31】
【0171】
実施例3における合成経路によって、工程7における開始化合物1pを(S)-2-アミノ-2-(m-トリル)エタノール(Shanghai Bide Pharmatech Ltd.)に置き換えて表題化合物5(12mg)を得た。
MS m/z (ESI): 554.2 [M+1]。
1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ 8.76 (s, 1H), 8.32 (s, 1H), 8.15 (s, 1H), 6.79 (s, 1 H), 6.60-6.59 (d, 1H), 6.56 (d, 1H), 5.43-5.39 (m, 1H), 4.97-4.94 (m, 1H), 4.6-4.5 (m, 1H), 4.5-4.4 (m, 1H), 4.15-4.05 (m, 1H), 4.05-3.9 (m, 4H), 3.9-3.7 (m, 2H), 3.6-3.4 (m, 2H), 2.05-1.95 (m, 2H), 1.63-1.53 (m, 2H), 1.44 (d, 3H), 1.28 (s, 3H).
【0172】
実施例6
(S)-2-(6-(5-クロロ-2-((テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-3-オキソ-1H-ピロロ[1,2-c]イミダゾール-2(3H)-イル)-N-((S)-1-(3-フルオロ-5-メトキシフェニル)-2-ヒドロキシエチル)プロパンアミド 6-P1
(R)-2-(6-(5-クロロ-2-((テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-3-オキソ-1H-ピロロ[1,2-c]イミダゾール-2(3H)-イル)-N-((S)-1-(3-フルオロ-5-メトキシフェニル)-2-ヒドロキシエチル)プロパンアミド 6-P2
【化32】
【化33】
【0173】
工程1
tert-ブチル((4-ブロモ-1H-ピロール-2-イル)メチル)-D-アラニナート 6a
化合物1e(417mg、2.30mmol、Shanghai Bide Pharmatech Ltd.)をメタノール(5mL)に溶解した後、無水炭酸カリウム(476mg、3.44mmol)を添加し、混合物を30分間攪拌し、濾過して不溶物を除去した。化合物1b(500mg、2.87mmol)を添加し、反応溶液を0℃に冷却した。水素化ホウ素ナトリウム(108mg、2.87mmol)を添加し、反応溶液を2時間攪拌した。水を添加し、反応溶液を酢酸エチル(10mL×2)で抽出し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下に濃縮し、カラムクロマトグラフィーにより溶離剤系Bで精製して表題化合物6a(600mg)を収率:68.0%で得た。
MS m/z (ESI): 303.1 [M+1]。
【0174】
工程2
tert-ブチル(R)-2-(6-ブロモ-3-オキソ-1H-ピロロ[1,2-c]イミダゾール-2(3H)-イル)プロパノエイト 6b
化合物6a(800mg、2.64mmol)およびN,N'-カルボニルジイミダゾール(513mg、3.16mmol)をテトラヒドロフラン60mLに溶解し、反応溶液を0.5時間攪拌した。水素化ナトリウム(60%、121mg、3.16mmol)を添加し、反応溶液を14時間攪拌した。水を添加し、反応溶液を減圧下に濃縮した。残留物をカラムクロマトグラフィーにより溶離剤系Bで精製して表題化合物6b(400mg)を収率:46.0%で得た。
MS m/z (ESI): 329.1 [M+1]。
【0175】
工程3
tert-ブチル(R)-2-(3-オキソ-6-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-1H-ピロロ[1,2-c]イミダゾール-2(3H)-イル)プロパノエイト 6c
アルゴン雰囲気下、化合物6b(200mg、0.61mmol)を1,4-ジオキサン3mLに溶解した後、4,4,4',4',5,5,5',5'-オクタメチル-2,2'-ビス(1,3,2-ジオキサボロラン)(184mg、0.72mmol)、酢酸カリウム(119mg、1.21mmol)および[1,1'-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム(II)ジクロライド(44mg、0.06mmol)を連続的に添加した。反応溶液を90℃で2時間攪拌し、冷却し、セライトで濾過した。濾液を濃縮し、残留物を薄層クロマトグラフィーにより展開溶媒系Cで精製して表題化合物6c(100mg)を収率:44.0%で得た。
MS m/z (ESI): 377.2[M+1]。
【0176】
工程4
4,5-ジクロロ-N-(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)ピリミジン-2-アミン 6d
化合物2a(1g、5.45 mmol)、化合物2c(551mg、5.45mmol)、N,N-ジイソプロピルエチルアミン(2g、15.47mmol)およびN,N-ジメチルアセトアミド2mLを140℃で0.5時間反応させた。反応溶液を冷却し、減圧下に濃縮した。残留物をカラムクロマトグラフィーにより溶離剤系Cで精製して表題化合物6d(120mg)を収率:8.8%で得た。
MS m/z (ESI): 248.1[M+1]。
【0177】
工程5
tert-ブチル(R)-2-(6-(5-クロロ-2-((テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-3-オキソ-1H-ピロロ[1,2-c]イミダゾール-2(3H)-イル)プロパノエイト 6e
アルゴン雰囲気下、化合物6c(100mg、0.265mmol)をジオキサン50mLに溶解した後、化合物6d(60mg、0.242mmol)、炭酸カリウム(67mg、0.485mmol)および[1,1'-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム(II)ジクロライド(18mg、0.025mmol)を連続的に添加した。反応溶液を85℃で、マイクロ波反応装置中で1.5時間反応させ、冷却し、セライトで濾過した。濾液を濃縮し、残留物をカラムクロマトグラフィーにより溶離剤系Aで精製して表題化合物6e(50mg)を収率:45.0%で得た。
MS m/z (ESI): 462.2[M+1]。
【0178】
工程6
(R)-2-(6-(5-クロロ-2-((テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-3-オキソ-1H-ピロロ[1,2-c]イミダゾール-2(3H)-イル)プロパン酸 6f
化合物6e(60mg、0.14mmol)をジクロロメタン3mLに溶解した後、トリフルオロ酢酸0.5mLを滴下添加した。この添加を完了した後、反応溶液を2時間攪拌し、減圧下に濃縮して粗化合物6f(52mg)を得、それを精製せずに次の工程に直接使用した。
MS m/z (ESI): 406.2[M+1]。
【0179】
工程7
(S)-2-(6-(5-クロロ-2-((テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-3-オキソ-1H-ピロロ[1,2-c]イミダゾール-2(3H)-イル)-N-((S)-1-(3-フルオロ-5-メトキシフェニル)-2-ヒドロキシエチル)プロパンアミド 6-P1
(R)-2-(6-(5-クロロ-2-((テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-3-オキソ-1H-ピロロ[1,2-c]イミダゾール-2(3H)-イル)-N-((S)-1-(3-フルオロ-5-メトキシフェニル)-2-ヒドロキシエチル)プロパンアミド 6-P2
粗化合物6f(52mg、0.013mmol)および化合物1p(35mg、0.019mmol)をN,N-ジメチルホルムアミド5mLに溶解した後、2-(7-アザベンゾトリアゾール-1-イル)-N,N,N',N'-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート(45mg、0.19mmol)およびN,N-ジイソプロピルエチルアミン(82mg、0.63mmol)を添加した。反応溶液を1.5時間攪拌し、減圧下に濃縮した。残留物を分取高速液体クロマトグラフィーにより精製して化合物6-P1および6-P2(12mg、12mg)を収率:16.3%、16.3%で得た。
【0180】
単一構成の化合物(保持時間の短い)6-P1
MS m/z (ESI): 573.3[M+1]
HPLC分析:保持時間:17.1分、純度:97.9%(クロマトグラフカラム:X-Bridge、Prep 30*150mm;5μm;移動相:A-水(10mM 重炭酸アンモニウム)、B-アセトニトリル、勾配:A 5%~95%)
1H NMR (400 MHz, CD3OD): δ 8.20 (s, 1H), 8.04 (s, 1H), 6.90 (s, 1H), 6.73 (s, 1H), 6.68 (d, 1H), 6.55 (d, 1H), 4.78-4.65 (m, 3H), 4.01-3.98 (m, 3H), 3.80-3.72 (m, 6H), 3.59-3.57 (m, 2H), 2.02-1.96 (m, 2H), 1.65-1.55 (m, 5H).
【0181】
単一構成の化合物(保持時間の長い)6-P2
MS m/z (ESI): 573.3[M+1]
HPLC分析:保持時間:18.5分、純度:98.2%(クロマトグラフカラム:X-Bridge、Prep 30*150mm;5μm;移動相:A-水(10mM 重炭酸アンモニウム)、B-アセトニトリル、勾配:A 25%~45%)
1H NMR (400 MHz, CD3OD): δ 8.19 (s, 1H), 8.05 (s, 1H), 6.90 (s, 1H), 6.74 (s, 1H), 6.64 (d, 1H), 6.59 (d, 1H), 4.73-4.69 (m, 3H), 4.00-3.97 (m, 3H), 3.80-3.72 (m, 6H), 3.58-3.53 (m, 2H), 2.02-1.96 (m, 2H), 1.65-1.55 (m, 5H).
【0182】
実施例7
(S)-2-(6-(5-クロロ-2-((1-メチル-1H-ピラゾール-5-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-3-オキソ-1H-ピロロ[1,2-c]イミダゾール-2(3H)-イル)-N-((S)-1-(3-フルオロ-5-メトキシフェニル)-2-ヒドロキシエチル)プロパンアミド 7-P1
(R)-2-(6-(5-クロロ-2-((1-メチル-1H-ピラゾール-5-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-3-オキソ-1H-ピロロ[1,2-c]イミダゾール-2(3H)-イル)-N-((S)-1-(3-フルオロ-5-メトキシフェニル)-2-ヒドロキシエチル)プロパンアミド 7-P2
【化34】
【化35】
【0183】
工程1
tert-ブチル(R)-2-(6-(2,5-ジクロロピリミジン-4-イル)-3-オキソ-1H-ピロロ[1,2-c]イミダゾール-2(3H)-イル)プロパノエイト 7a
アルゴン雰囲気下、化合物6c(1.2g、3.2mmol)をジオキサン30mLおよび水6mLに溶解した後、化合物2a(702mg、3.83mmol、Shanghai Bide Pharmatech Ltd.)、炭酸ナトリウム(676mg、6.37mmol)および[1,1'-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム(II)ジクロライド(233mg、0.32mmol)を連続的に添加した。反応溶液を80℃で14時間反応させ、冷却し、セライトで濾過した。濾液を濃縮し、残留物をカラムクロマトグラフィーにより溶離剤系Aで精製して表題化合物7a(400mg)を収率:31.5%で得た。
MS m/z (ESI): 397.2 [M+1]。
【0184】
工程2
tert-ブチル(R)-2-(6-(5-クロロ-2-((1-メチル-1H-ピラゾール-5-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-3-オキソ-1H-ピロロ[1,2-c]イミダゾール-2(3H)-イル)プロパノエイト 7c
アルゴン雰囲気下、化合物7a(400mg、1.01mmol)を1,4-ジオキサン15mLに溶解した後、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(92mg、0.1μmol)、4,5-ビス(ジフェニルホスフィノ)-9,9-ジメチルキサンテン(117mg、0.2μmol)、炭酸セシウム(656mg、2.01mmol)および1-メチル-5-アミノピラゾール 7b(147mg、1.51mmol、Shanghai Bide Pharmatech Ltd.)を添加した。反応溶液を100℃で14時間攪拌し、冷却し、セライトで濾過した。濾液を濃縮し、残留物を薄層クロマトグラフィーにより展開溶媒系Aで精製して表題化合物 7c(180mg)を収率:39.0%で得た。
MS m/z (ESI): 458.2 [M+1]。
【0185】
工程3
(R)-2-(6-(5-クロロ-2-((1-メチル-1H-ピラゾール-5-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-3-オキソ-1H-ピロロ[1,2-c]イミダゾール-2(3H)-イル)プロパン酸 7d
化合物7c(180mg、0.39mmol)をジクロロメタン3mLに溶解した後、トリフルオロ酢酸0.5mLを滴下添加した。この添加を完了した後、反応溶液を2時間攪拌し、減圧下に濃縮して粗化合物7d(157mg)を得、それを精製せずに次の工程に直接使用した。
MS m/z (ESI): 402.2[M+1]。
【0186】
工程4
(S)-2-(6-(5-クロロ-2-((1-メチル-1H-ピラゾール-5-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-3-オキソ-1H-ピロロ[1,2-c]イミダゾール-2(3H)-イル)-N-((S)-1-(3-フルオロ-5-メトキシフェニル)-2-ヒドロキシエチル)プロパンアミド 7-P1
(R)-2-(6-(5-クロロ-2-((1-メチル-1H-ピラゾール-5-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-3-オキソ-1H-ピロロ[1,2-c]イミダゾール-2(3H)-イル)-N-((S)-1-(3-フルオロ-5-メトキシフェニル)-2-ヒドロキシエチル)プロパンアミド 7-P2
粗化合物7d(158mg、0.39mmol)および化合物1p(73mg、0.39 mmol)をN,N-ジメチルホルムアミド5mLに溶解した後、2-(7-アザベンゾトリアゾール-1-イル)-N,N,N',N'-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート(179mg、0.47mmol)およびN,N-ジイソプロピルエチルアミン(152mg、1.18mmol)を添加した。反応溶液を14時間攪拌し、減圧下に濃縮した。残留物を分取高速液体クロマトグラフィーにより精製して化合物7-P1および7-P2(20mg、20mg)を収率:9%、9%で得た。
【0187】
単一構成の化合物(保持時間の短い)7-P1
MS m/z (ESI): 569.1[M+1]
HPLC分析:保持時間:12.4分、純度:98.2%(クロマトグラフカラム:X-Bridge、Prep 30*150 mm;5μm;移動相:A-水(10mM 重炭酸アンモニウム)、B-アセトニトリル、勾配:A 30%~46%)
1H NMR (400 MHz, CD3OD): δ 8.37 (s, 1H), 8.08 (s, 1H), 7.45 (d, 1H), 6.85 (s, 1H), 6.67-6.66 (m, 2H), 6.56-6.53 (m, 1H), 6.33 (d, 1H), 4.86-4.84 (m, 1H), 4.60 (d, 2H), 3.77-3.72 (m, 9H), 1.61 (d, 3H).
【0188】
単一構成の化合物(保持時間の長い)7-P2
MS m/z (ESI): 569.1[M+1]
HPLC分析:保持時間:14.5分、純度:97.2%(クロマトグラフカラム:X-Bridge、Prep 30*150mm;5μm;移動相:A-水(10mM 重炭酸アンモニウム)、B-アセトニトリル、勾配:A 30%~46%)
1H NMR (400 MHz, CD3OD): δ 8.37 (s, 1H), 8.10 (s, 1H), 7.44 (d, 1H), 6.75 (s, 1H), 6.68-6.66 (m, 2H), 6.56-6.53 (m, 1H), 6.33 (d, 1H), 4.86-4.84 (m, 1H), 4.60 (d, 2H), 3.80-3.74 (m, 9H), 1.56 (d, 3H).
【0189】
実施例8
(S)-N-((S)-1-(3-フルオロ-5-メトキシフェニル)-2-ヒドロキシエチル)-2-(6-(5-メチル-2-((1-メチル-1H-ピラゾール-5-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-3-オキソ-1H-ピロロ[1,2-c]イミダゾール-2(3H)-イル)プロパンアミド 8-P1
(R)-N-((S)-1-(3-フルオロ-5-メトキシフェニル)-2-ヒドロキシエチル)-2-(6-(5-メチル-2-((1-メチル-1H-ピラゾール-5-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-3-オキソ-1H-ピロロ[1,2-c]イミダゾール-2(3H)-イル)プロパンアミド 8-P2
【化36】
【0190】
実施例3における合成経路によって、工程4における開始化合物2aを化合物1jに置き換えて化合物8-P1および8-P2(5mg、5mg)を得た。
【0191】
単一構成の化合物(保持時間の長い)8-P1
MS m/z (ESI): 549.2 [M+1]
HPLC分析:保持時間:13.1分、純度:98.5%(クロマトグラフカラムX-Bridge、Prep 30*150mm;5μm;移動相:A-水(10mM 重炭酸アンモニウム)、B-アセトニトリル、勾配:A 22%~40%)1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ 8.10 (s, 1H), 7.69 (s, 1H), 7.58 (s, 1H), 6.85-6.81 (m, 3H), 6.66-6.63 (m, 1H), 6.44 (s, 1H), 5.05-5.02 (m, 1H), 4.75 (d, 1H), 4.56-4.50 (m, 2H), 3.99-3.98 (m, 2H), 3.97 (s, 3H), 3.80 (s, 3H), 2.43 (s, 3H), 1.35 (d, 3H).
【0192】
単一構成の化合物(保持時間の長い)8-P2
MS m/z (ESI): 549.2 [M+1]
HPLC分析:保持時間:15.5分、純度:97.9%(クロマトグラフカラム:X-Bridge、Prep 30*150mm;5μm;移動相:A-水(10mM 重炭酸アンモニウム)、B-アセトニトリル、勾配:A 22%~40%)
1H NMR (400 MHz, CD3OD): δ 8.24 (s, 1H), 7.77 (s, 1H), 7.59 (s, 1H), 6.78-6.75 (m, 2H), 6.70-6.59 (m, 2H), 6.49 (s, 1H), 4.95-4.93 (m, 1H), 4.86(d, 1H), 4.73 (d, 1H), 4.58 (d, 1H), 3.81-3.73 (m, 8H), 2.43 (s, 3H), 1.56 (d, 3H).
【0193】
実施例9
(S)-2-(7-(5-クロロ-2-((テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-1-オキソ-3,4-ジヒドロピロロ[1,2-a]ピラジン-2(1H)-イル)-N-((S)-2-ヒドロキシ-1-(m-トリル)エチル)プロパンアミド 9-P1
(R)-2-(7-(5-クロロ-2-((テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-1-オキソ-3,4-ジヒドロピロロ[1,2-a]ピラジン-2(1H)-イル)-N-((S)-2-ヒドロキシ-1-(m-トリル)エチル)プロパンアミド 9-P2
【化37】
【化38】
【0194】
工程1
メチル4-(2,5-ジクロロピリミジン-4-イル)-1H-ピロール-2-カルボキシレート9a
アルゴン雰囲気下、化合物4b(5g、19.92mmol)をジオキサン100mLおよび水10mLに溶解した後、化合物2a(4.38g、23.88mmol)、炭酸ナトリウム(3.16g、29.81mmol)および[1,1'-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム(II)ジクロライド(2.49g、2.99mmol)を連続的に添加した。反応溶液を80℃で3時間反応させ、冷却し、セライトで濾過した。濾液を濃縮し、残留物をカラムクロマトグラフィーにより溶離剤系Aで精製して表題化合物9a(3g)を収率:55.3%で得た。
MS m/z (ESI): 272.0 [M+1]。
【0195】
工程2
メチル1-(2-((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)エチル)-4-(2,5-ジクロロピリミジン-4-イル)-1H-ピロール-2-カルボキシレート 9b
化合物9a(2.2g、8.9mmol)をジオキサン20mLに溶解した後、化合物4d(1.8g、8.06mmol)、炭酸カリウム(3.35g、24.23mmol)および18-クラウン-6(427.4mg、1.6mmol)を連続的に添加した。反応溶液を110℃で14時間攪拌し、冷却し、セライトで濾過した。濾液を濃縮し、残留物をカラムクロマトグラフィーにより溶離剤系Aで精製して表題化合物9b(3.2g)を収率:95.3%で得た。
MS m/z (ESI): 415.1 [M+1]。
【0196】
工程3
メチル1-(2-((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)エチル)-4-(5-クロロ-2-((テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-1H-ピロール-2-カルボキシレート 9c
化合物9b(1.56g、7.7mmol)、化合物2c(1.56g、15.4mmol)、N,N-ジイソプロピルエチルアミン(0.78g、7.7mmol)およびN,N-ジメチルアセトアミド(3mL)を混合し、110℃で、マイクロ波反応装置中で1.5時間反応させた。濾液を濃縮し、得られた残留物を薄層クロマトグラフィーにより展開溶媒系Aで精製して表題化合物9c(1.7g)を収率:46%で得た。
MS m/z (ESI): 480.3 [M+1]。
【0197】
工程4
メチル1-(2-アミノエチル)-4-(5-クロロ-2-((テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-1H-ピロール-2-カルボキシレート 9d
化合物9c(1.7g、3.54mmol)をジクロロメタン10mLに溶解した後、ジオキサン(4.0M)における塩化水素20mLを滴下添加した。この添加を完了した後、反応溶液を2時間攪拌し、減圧下に濃縮して粗化合物9d(1.4g)を得、それを精製せずに次の工程に直接使用した。
MS m/z (ESI): 380.2 [M+1]。
【0198】
工程5
7-(5-クロロ-2-((テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-3,4-ジヒドロピロロ[1,2-a]ピラジン-1(2H)-オン 9e
粗化合物9d(1.4g、3.4mmol)をアンモニアのメタノール溶液10mL(7mol/L)に溶解し、14時間攪拌した。反応溶液を減圧下に濃縮して粗化合物9e(1.1g)を得、それを精製せずに次の工程に直接使用した。
MS m/z (ESI): 348.1 [M+1]。
【0199】
工程6
tert-ブチル2-(7-(5-クロロ-2-((テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-1-オキソ-3,4-ジヒドロピロロ[1,2-a]ピラジン-2(1H)-イル)プロパノエイト 9f
化合物9e(1.4g、3.16mmol)をN,N-ジメチルホルムアミド20mLに溶解し、溶液を0℃に冷却した。水素化ナトリウム(60%、411.4mg、9.5mmol)を添加し、反応溶液を0.5時間攪拌した。tert-ブチル2-ブロモプロピオネート(992mg、4.74mmol)を添加し、反応溶液を14時間攪拌した。濾液を濃縮し、残留物を薄層クロマトグラフィーにより展開溶媒系Aで精製して表題化合物9f(1.2g)を収率:62.6%で得た。
MS m/z (ESI): 476.2 [M+1]。
【0200】
工程7
2-(7-(5-クロロ-2-((テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-1-オキソ-3,4-ジヒドロピロロ[1,2-a]ピラジン-2(1H)-イル)プロパン酸 9g
化合物9f(1.2g、2.52mmol)をジクロロメタン10mLに溶解した後、トリフルオロ酢酸1mLを滴下添加した。この添加を完了した後、反応溶液を1時間攪拌し、減圧下に濃縮して粗化合物9g(1.3g)を得、それを精製せずに次の工程で直接使用した。
MS m/z (ESI): 420.1 [M+1]。
【0201】
工程8
(S)-2-(7-(5-クロロ-2-((テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-1-オキソ-3,4-ジヒドロピロロ[1,2-a]ピラジン-2(1H)-イル)-N-((S)-2-ヒドロキシ-1-(m-トリル)エチル)プロパンアミド 9-P1
(R)-2-(7-(5-クロロ-2-((テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-1-オキソ-3,4-ジヒドロピロロ[1,2-a]ピラジン-2(1H)-イル)-N-((S)-2-ヒドロキシ-1-(m-トリル)エチル)プロパンアミド 9-P2
化合物9g(120mg、0.25mmol)および化合物(S)-2-アミノ-2-(m-トリル)エタノール(44.2mg、0.29mmol)をN,N-ジメチルホルムアミド5mLに溶解した後、2-(7-アザベンゾトリアゾール-1-イル)-N,N,N',N'-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート(79.33mg、0.37mmol)およびN,N-ジイソプロピルエチルアミン(72.6mg、0.56mmol)を添加した。反応溶液を14時間攪拌し、減圧下に濃縮した。残留物を分取高速液体クロマトグラフィーにより精製して化合物9-P1および9-P2(20mg、20mg)を収率:16%、16%で得た。
【0202】
単一構成の化合物(保持時間の短い)9-P1
MS m/z (ESI): 553.2[M+1]
HPLC分析:保持時間:11.1分、純度:98.2%(クロマトグラフカラム:X-Bridge、Prep 30*150mm;5μm;移動相:A-水(10mM 重炭酸アンモニウム)、B-アセトニトリル、勾配:A 40%~60%)
1H NMR (400 MHz, CD3OD): δ 8.17 (s, 1H), 7.90 (s, 1H), 7.71 (s, 1H), 7.19-7.04 (m, 4H), 5.35-5.41 (m, 1H), 4.97-4.94 (m, 1H), 4.39-4.29 (m, 2H), 4.02-3.99 (m, 3H), 3.87-3.84 (m, 2H), 3.77-3.74 (m, 2H), 3.65-3.58(m, 2H), 2.25 (s, 3H), 2.03-2.01 (m, 2H), 1.66-1.59 (m, 2H), 1.48 (d, 3H).
【0203】
単一構成の化合物(保持時間の長い)9-P2
MS m/z (ESI): 553.2[M+1]
HPLC分析:保持時間:12.5分、純度:97.2%(クロマトグラフカラム:X-Bridge、Prep 30*150mm;5μm;移動相:A-水(10mM 重炭酸アンモニウム)、B-アセトニトリル、勾配:A 40%~60%)
1H NMR (400 MHz, CD3OD): δ 8.18 (s, 1H), 7.93 (s, 1H), 7.71 (s, 1H), 7.24-7.08 (m, 4H), 5.38-5.33 (m, 1H), 4.98-4.95 (m, 1H), 4.39-4.29 (m, 2H), 4.02-3.99 (m, 3H), 3.87-3.84 (m, 2H), 3.76-3.73 (m, 2H), 3.62-3.56 (m, 2H), 2.35 (s, 3H), 2.03-2.01 (m, 2H), 1.67-1.58 (m, 2H), 1.48 (d, 3H).
【0204】
実施例10
(S)-N-((S)-2-ヒドロキシ-1-(m-トリル)エチル)-2-(7-(5-メチル-2-((1-メチル-1H-ピラゾール-5-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-1-オキソ-3,4-ジヒドロピロロ[1,2-a]ピラジン-2(1H)-イル)プロパンアミド 10-P1
(R)-N-((S)-2-ヒドロキシ-1-(m-トリル)エチル)-2-(7-(5-メチル-2-((1-メチル-1H-ピラゾール-5-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-1-オキソ-3,4-ジヒドロピロロ[1,2-a]ピラジン-2(1H)-イル)プロパンアミド 10-P2
【化39】
【化40】
【0205】
工程1
メチル4-(2-クロロ-5-メチルピリミジン-4-イル)-1H-ピロール-2-カルボキシレート 10b
アルゴン雰囲気下、化合物4b(12g、47.79mmol)をジオキサン100mLおよび水10mLに溶解した後、化合物10a(8.6g、52.51mmol、Accela ChemBio (Shanghai) Inc.)、炭酸ナトリウム(10.1g、95.58mmol)および[1,1'-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム(II)ジクロライド(5.85g、7.18 mmol)を連続的に添加した。反応溶液を80℃で3時間反応させ、冷却し、セライトで濾過した。濾液を濃縮し、残留物をカラムクロマトグラフィーにより溶離剤系Aで精製して表題化合物10b(2g)を収率:16.6%で得た。
MS m/z (ESI): 252.1[M+1]。
【0206】
工程2
メチル1-(2-((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)エチル)-4-(2-クロロ-5-メチルピリミジン-4-イル)-1H-ピロール-2-カルボキシレート 10c
化合物10b(1g、3.97mmol)をジオキサン20mLに溶解した後、化合物4d(887mg、3.97mmol)、炭酸カリウム(1.65g、11.9mmol)および18-クラウン-6(210mg、0.79mmol)を連続的に添加した。反応溶液を110℃で14時間攪拌し、冷却し、セライトで濾過した。濾液を濃縮し、残留物をカラムクロマトグラフィーにより溶離剤系Aで精製して表題化合物10c(800mg)を収率:51%で得た。
MS m/z (ESI): 395.1[M+1]。
【0207】
工程3
メチル1-(2-アミノエチル)-4-(2-クロロ-5-メチルピリミジン-4-イル)-1H-ピロール-2-カルボキシレート 10d
化合物10c(800mg、2mmol)をジクロロメタン3mLに溶解した後、ジオキサン(4.0M)中の塩化水素5mLを滴下添加した。この添加を完了した後、反応溶液を2時間攪拌し、減圧下に濃縮して粗化合物10d(638mg)を得、それを精製せずに次の工程に直接使用した。
MS m/z (ESI): 295.1 [M+1]。
【0208】
工程4
7-(2-クロロ-5-メチルピリミジン-4-イル)-3,4-ジヒドロピロロ[1,2-a]ピラジン-1(2H)-オン 10e
粗化合物10d(600mg、2.04mmol)をアンモニアのメタノール溶液10mL(7mol/L)に溶解し、14時間を攪拌した。反応溶液を減圧下に濃縮して粗化合物10e(534mg)を得、それを精製せずに次の工程に直接使用した。
MS m/z (ESI): 263.2 [M+1]。
【0209】
工程5
tert-ブチル2-(7-(2-クロロ-5-メチルピリミジン-4-イル)-1-オキソ-3,4-ジヒドロピロロ[1,2-a]ピラジン-2(1H)-イル)プロパノエイト 10f
化合物10e(0.6g、2.28mmol)をN,N-ジメチルホルムアミド5mLに溶解し、溶液を0℃に冷却した。水素化ナトリウム(60%、262mg、6.84mmol)を添加し、反応溶液を0.5時間攪拌した。tert-ブチル2-ブロモプロピオネート(955mg、4.57mmol)を添加し、反応溶液を14時間攪拌した。濾液を濃縮し、残留物を薄層クロマトグラフィーにより展開溶媒系Aで精製して表題化合物10f(600mg)を収率:67.2%で得た。
MS m/z (ESI): 391.1 [M+1]。
【0210】
工程6
tert-ブチル2-(7-(5-メチル-2-((1-メチル-1H-ピラゾール-5-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-1-オキソ-3,4-ジヒドロピロロ[1,2-a]ピラジン-2(1H)-イル)プロパノエイト 10g
アルゴン雰囲気下、化合物10h(150mg、0.38mmol)をジオキサン6mLに溶解した後、化合物7b(56mg、0.58mmol)、炭酸セシウム(375mg、1.15mmol)、4,5-ビス(ジフェニルホスフィノ)-9,9-ジメチルキサンテン(35mg、38.2μmol)およびトリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(35mg、38μmol)を連続的に添加した。反応溶液を90℃で14時間攪拌し、冷却し、セライトで濾過した。濾液を濃縮し、残留物をカラムクロマトグラフィーにより溶離剤系Aで精製して表題化合物10g(100mg)を収率:57.7%で得た。
MS m/z (ESI): 452.3 [M+1]。
【0211】
工程7
2-(7-(5-メチル-2-((1-メチル-1H-ピラゾール-5-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-1-オキソ-3,4-ジヒドロピロロ[1,2-a]ピラジン-2(1H)-イル)プロパン酸 10h
化合物10g(100mg、0.21mmol)をジクロロメタン5mLに溶解した後、トリフルオロ酢酸1mLを滴下添加した。この添加を完了した後、反応溶液を1時間攪拌し、減圧下に濃縮して粗化合物10h(107mg)を得、それを精製せずに次の工程で直接使用した。
MS m/z (ESI): 396.2 [M+1]。
【0212】
工程8
(S)-N-((S)-2-ヒドロキシ-1-(m-トリル)エチル)-2-(7-(5-メチル-2-((1-メチル-1H-ピラゾール-5-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-1-オキソ-3,4-ジヒドロピロロ[1,2-a]ピラジン-2(1H)-イル)プロパンアミド 10-P1
(R)-N-((S)-2-ヒドロキシ-1-(m-トリル)エチル)-2-(7-(5-メチル-2-((1-メチル-1H-ピラゾール-5-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-1-オキソ-3,4-ジヒドロピロロ[1,2-a]ピラジン-2(1H)-イル)プロパンアミド 10-P2
化合物10h(107mg、0.21mmol)および(S)-2-アミノ-2-(m-トリル)エタノール(38mg、0.25mmol)をN,N-ジメチルホルムアミド5mLに溶解した後、2-(7-アザベンゾトリアゾール-1-イル)-N,N,N',N'-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート(100mg、0.26mmol)およびN,N-ジイソプロピルエチルアミン(81mg、0.63mmol)を添加した。反応溶液を14時間攪拌し、減圧下に濃縮した。残留物を分取液体クロマトグラフィー(器械モデル:Gilson 281、クロマトグラフカラム:X-Bridge、Prep 30*150mm;5μm;C18、移動相:A-水(10mM 重炭酸アンモニウム)、B-アセトニトリル、流速:30mL/min、カラム温度:室温)により精製して表題化合物10-P1および10-P2(17mg、17mg)を収率:(15%、15%)で得た。
【0213】
単一構成の化合物(保持時間の短い)10-P1
MS m/z (ESI): 529.3 [M+1]
HPLC分析:保持時間:11.3分、純度:98.2%(クロマトグラフカラム:X-Bridge、Prep 30*150mm;5μm;移動相:A-水(10mM 重炭酸アンモニウム)、B-アセトニトリル、勾配:A 25%~39%)。
1H NMR (400 MHz, CD3OD): δ 8.14 (s, 1H), 7.55 (s, 1H), 7.46 (s, 1H), 7.42 (s, 1H), 7.19-7.06 (m, 3H), 7.02 (d, 1H), 6.32 (s, 1H), 5.36 (q, 1H), 5.00-4.93 (m, 1H), 4.24-4.02 (m, 2H), 3.74 (s, 6H), 3.65-3.54 (m, 1H), 2.35 (s, 3H), 2.22 (s, 3H), 1.46 (d, 3H).
【0214】
単一構成の化合物(保持時間の長い)10-P2
MS m/z (ESI): 529.3 [M+1]
HPLC分析:保持時間:12.5分、純度:98.5%(クロマトグラフカラム:X-Bridge、Prep 30*150mm;5μm;移動相:A-水(10mM 重炭酸アンモニウム)、B-アセトニトリル、勾配:A 25%~39%)。
1H NMR (400 MHz, CD3OD): δ 8.14 (s, 1H), 7.55 (s, 1H), 7.44 (d, 2H), 7.25-7.04 (m, 4H), 6.33 (s, 1H), 5.33 (q, 1H), 5.00-4.95 (m, 1H), 4.41-4.18 (m, 2H), 3.88-3.68 (m, 7H), 2.34 (d, 6H), 1.43 (d, 3H).
【0215】
実施例11
(S)-2-(6-(5-クロロ-2-((テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-1-オキソ-3,4-ジヒドロピロロ[1,2-c]ピリミジン-2(1H)-イル)-N-((S)-2-ヒドロキシ-1-(m-トリル)エチル)プロパンアミド 11-P1
(R)-2-(6-(5-クロロ-2-((テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-1-オキソ-3,4-ジヒドロピロロ[1,2-c]ピリミジン-2(1H)-イル)-N-((S)-2-ヒドロキシ-1-(m-トリル)エチル)プロパンアミド 11-P2
【化41】
【化42】
【0216】
化合物2e(70mg、0.17mmol)および化合物(S)-2-アミノ-2-(m-トリル)エタノール(25mg、0.17mmol)をN,N-ジメチルホルムアミド5mLに溶解した後、2-(7-アザベンゾトリアゾール-1-イル)-N,N,N',N'-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート(70mg、0.18mmol)およびN,N-ジイソプロピルエチルアミン(64mg、0.49mmol)を添加した。反応溶液を14時間攪拌し、減圧下に濃縮した。残留物を分取液体クロマトグラフィー(器械モデル:Gilson 281、クロマトグラフカラム:Sharpsil-T、Prep30*150mm;5μm;C18、移動相:A-水(0.1%トリフルオロ酢酸)、B-アセトニトリル、流速:30mL/min、カラム温度:室温)により精製して表題化合物11-P1および11-P2(15mg、15mg)を収率:(16.2%、16.2%)で得た。
【0217】
単一構成の化合物(保持時間の短い)11-P1
MS m/z (ESI): 553.2 [M+1]
HPLC分析:保持時間:16.6分、純度:97.2%(クロマトグラフカラム:Sharpsil-T、Prep 30*150mm;5μm;移動相:A-水(0.1%トリフルオロ酢酸)、B-アセトニトリル、勾配:A 31%~49%)
1H NMR (400 MHz, CD3OD) δ 8.29(s, 1H), 8.22(s, 1H), 7.15-7.19 (m, 4H), 6.77 (s, 1H), 5.19 (d, 1H), 4.91-4.94 (m, 1H), 3.98-4.01 (m, 3H), 3.74-3.77(m, 2H), 3.57-3.59 (m, 4H), 3.51-3.54 (m, 1H), 2.92-2.93 (m, 1H), 2.28 (s, 3H), 1.99-2.02 (m, 2H), 1.61-1.63 (m, 2H), 1.50 (d, 3H).
【0218】
単一構成の化合物(保持時間の長い)11-P2
MS m/z (ESI): 553.2 [M+1]
HPLC分析:保持時間:17.5分、純度:96.2%(クロマトグラフカラム:Sharpsil-T、Prep 30*150mm;5μm;移動相:A-水(0.1%トリフルオロ酢酸)、B-アセトニトリル、勾配:A 31%~49%)
MS m/z (ESI): 553.2 [M+1]
1H NMR (400 MHz, CD3OD) δ 8.19(s, 1H), 8.13(s, 1H), 7.06-7.21 (m, 4H), 6.69 (s, 1H), 5.17 (d, 1H), 4.95-4.97 (m, 1H), 3.75-3.98 (m, 3H), 3.72-3.75 (m, 2H), 3.50-3.59 (m, 4H), 3.08-3.10 (m, 1H), 2.96-2.97 (m, 1H), 2.31 (s, 3H), 1.96-1.99 (m, 2H), 1.59-1.60 (m, 2H), 1.44 (d, 3H).
【0219】
実施例12
(S)-N-((S)-1-(3-フルオロ-5-メトキシフェニル)-2-ヒドロキシエチル)-2-(7-(5-メチル-2-((1-メチル-1H-ピラゾール-5-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-1-オキソ-3,4-ジヒドロピロロ[1,2-a]ピラジン-2(1H)-イル)プロパンアミド 12-P1
(R)-N-((S)-1-(3-フルオロ-5-メトキシフェニル)-2-ヒドロキシエチル)-2-(7-(5-メチル-2-((1-メチル-1H-ピラゾール-5-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-1-オキソ-3,4-ジヒドロピロロ[1,2-a]ピラジン-2(1H)-イル)プロパンアミド 12-P2
【化43】
【0220】
実施例10における合成経路によって、工程8における開始化合物(S)-2-アミノ-2-(m-トリル)エタノールを化合物1pに置き換えて表題化合物12-P1および12-P2(20mg、20mg)を得た。
【0221】
単一構成の化合物(保持時間の短い) 12-P1
MS m/z (ESI): 563.2 [M+1]
HPLC分析:保持時間:11.01分、純度:96.2%(クロマトグラフカラム:Sharpsil-T、Prep 30*150mm;5μm;移動相:A-水(0.1%トリフルオロ酢酸)、B-アセトニトリル、勾配:A 21%~39%)
1H NMR (400 MHz, CD3OD) δ 8.19 (s, 1H), 7.69 (s, 1H), 7.52-7.54 (m, 2H), 6.66-6.72 (m, 2H), 6.54-6.55 (m, 1H), 6.45 (s, 1H), 5.32-5.37 (m, 1H), 4.95-4.96 (m, 1H), 4.25-4.28 (m, 2H), 3.73-3.81 (m, 10H), 2.42 (s, 3H), 1.51(d, 3H).
【0222】
単一構成の化合物(保持時間の長い)12-P2
MS m/z (ESI): 563.2 [M+1]
HPLC分析:保持時間:16.3分、純度:98.2%(クロマトグラフカラム:Sharpsil-T、Prep 30*150mm;5μm;移動相:A-水(0.1%トリフルオロ酢酸)、B-アセトニトリル、勾配:A 21%~39%)
1H NMR (400 MHz, CD3OD) δ 8.20 (s, 1H), 7.76 (s, 1H), 7.63 (s, 1H), 7.55 (s, 1H), 6.65-6.75 (m, 4H), 5.34-5.35 (m, 1H), 4.94-4.95 (m, 1H), 4.33-4.40 (m, 2H), 3.72-3.88 (m, 10H), 2.45 (s, 3H), 1.48 (d, 3H).
【0223】
実施例13
(S)-2-(7-(5-クロロ-2-((テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-1-オキソ-3,4-ジヒドロピロロ[1,2-a]ピラジン-2(1H)-イル)-N-((S)-1-(3-クロロフェニル)-2-ヒドロキシエチル)プロパンアミド 13-P1
(R)-2-(7-(5-クロロ-2-((テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-1-オキソ-3,4-ジヒドロピロロ[1,2-a]ピラジン-2(1H)-イル)-N-((S)-1-(3-クロロフェニル)-2-ヒドロキシエチル)プロパンアミド 13-P2
【化44】
【0224】
実施例9における合成経路によって、工程8における開始化合物(S)-2-アミノ-2-(m-トリル)エタノールを化合物(S)-2-アミノ-2-(m-クロロフェニル)エタノール(Shanghai Bide Pharmatech Ltd.)に置き換えて化合物13-P1および13-P2(18mg、18mg)を得た。
【0225】
単一構成の化合物(保持時間の短い)13-P1
MS m/z (ESI): 573.1 [M+1]
HPLC分析:保持時間:12.1分、純度:96.8%(クロマトグラフカラム:X-Bridge、Prep 30*150mm;5μm;移動相:A-水(10mM 酢酸アンモニウム)、B-アセトニトリル、勾配:A 29%~44%)
1H NMR (400 mHz, CDCl3): δ 8.09 (s, 1H), 7.92 (s, 1H), 7.85(s, 1H), 7.25-7.18 (m, 4H), 5.44-5.38 (m, 1H), 5.06-5.02 (m, 1H), 4.20-4.15 (m, 3H), 4.06-4.03 (m, 2H), 3.96-3.94 (m, 1H), 3.89-3.87 (m, 1H), 3.79-3.75 (m, 1H), 3.62-3.57 (m, 3H), 2.06-2.03 (m, 2H), 1.80-1.77 (m, 2H), 1.49 (d, 3H).
【0226】
単一構成の化合物(保持時間の長い)13-P2
MS m/z (ESI): 573.1[M+1]
HPLC分析:保持時間:13.2分、純度:97.2%(クロマトグラフカラム:X-Bridge、Prep 30*150mm;5μm;移動相:A-水(10mM 酢酸アンモニウム)、B-アセトニトリル、勾配:A 29%~44%)
1H NMR (400 mHz, CD3OD): δ 8.53-8.51 (d, 1H), 8.22 (s, 1H), 8.00 (s, 1H), 7.72 (s, 1H), 7.39 (s, 1H), 7.30-7.28 (m, 2H), 5.37-5.32 (m, 1H), 5.00-4.95 (m, 1H), 4.43-4.37 (m, 1H), 4.36-4.31 (m, 1H), 4.02-3.99 (m, 3H), 3.85-3.82 (m, 2H), 3.79-3.71 (m, 2H), 3.62-3.56 (m, 2H), 2.04-2.01 (m, 2H), 1.69-1.59 (m, 2H), 1.47 (d, 3H).
【0227】
実施例14
(S)-2-(2-(5-クロロ-2-(((S)-1-ヒドロキシプロパン-2-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-8-オキソ-5,6-ジヒドロイミダゾ[1,2-a]ピラジン-7(8H)-イル)-N-((S)-1-(3-フルオロ-5-メトキシフェニル)-2-ヒドロキシエチル)プロパンアミド 14-P1
(R)-2-(2-(5-クロロ-2-(((S)-1-ヒドロキシプロパン-2-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-8-オキソ-5,6-ジヒドロイミダゾ[1,2-a]ピラジン-7(8H)-イル)-N-((S)-1-(3-フルオロ-5-メトキシフェニル)-2-ヒドロキシエチル)プロパンアミド 14-P2
【化45】
【化46】
【0228】
工程1
(S)-1-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)プロパン-2-アミン 14b
化合物14a(2g、26.6mmol、Shanghai Haohong Biomedical Technology Co., Ltd.)およびイミダゾール(3.6g、52.9mmol)をジクロロメタン80mLに溶解した後、氷浴中でtert-ブチルジメチルクロロシラン(6g、39.8mmol)を添加し、反応溶液を14時間攪拌した。水を添加し、反応溶液をジクロロメタン(80mL×2)で抽出した。有機相を一緒にし、塩化ナトリウムの飽和溶液で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過した。濾液を減圧下に濃縮し、残留物をカラムクロマトグラフィーにより溶離剤系Cで精製して表題化合物 14b(4.0g)を収率:79.3%で得た。
MS m/z (ESI): 190.2 [M+1]。
【0229】
工程2
(S)-2-(2-(5-クロロ-2-(((S)-1-ヒドロキシプロパン-2-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-8-オキソ-5,6-ジヒドロイミダゾ[1,2-a]ピラジン-7(8H)-イル)-N-((S)-1-(3-フルオロ-5-メトキシフェニル)-2-ヒドロキシエチル)プロパンアミド 14-P1
(R)-2-(2-(5-クロロ-2-(((S)-1-ヒドロキシプロパン-2-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-8-オキソ-5,6-ジヒドロイミダゾ[1,2-a]ピラジン-7(8H)-イル)-N-((S)-1-(3-フルオロ-5-メトキシフェニル)-2-ヒドロキシエチル)プロパンアミド 14-P2
実施例3における合成経路によって、工程3における開始化合物2cを化合物14bに置き換えて化合物14-P1および14-P2(20mg、20mg)を得た。
【0230】
単一構成の化合物(保持時間の短い)14-P1
MS m/z (ESI): 562.2 [M+1]
HPLC分析:保持時間:15.4分、純度:96.8%(クロマトグラフカラム:X-Bridge、Prep 30*150mm;5μm;移動相:A-水(10mM 重炭酸アンモニウム)、B-アセトニトリル、勾配:A 25%~45%)
1H NMR (400 MHz, CD3OD): δ 8.27 (s, 1H), 8.06 (s, 1H), 6.82(s, 1H),6.81-6.73 (m, 1H), 6.61-6.57 (m, 1H), 5.45-5.43 (m, 1H), 4.99-4.97 (m, 1H), 4.61-4.51 (m,1H), 4.37-4.34 (m, 1H), 4.31-4.15 (m,1H), 3.92-3.89 (m, 2H), 3.79 (s, 3H), 3.78-3.72 (m, 1H), 3.59-3.58 (m, 2H),1.44 (d, 3H), 1.29-1.23 (m, 1H), 1.22 (d, 3H).
【0231】
単一構成の化合物(保持時間の長い)14-P2
MS m/z (ESI): 562.2 [M+1]
HPLC分析:保持時間:17.2分、純度:97.2%(クロマトグラフカラム:X-Bridge、Prep 30*150mm;5μm;移動相:A-水(10mM 重炭酸アンモニウム)、B-アセトニトリル、勾配:A 25%~45%)。
1H NMR (400 MHz, CD3OD): δ 8.27 (s, 1H), 8.06 (s, 1H), 6.82 (s, 1H), 6.81-6.73 (m, 1H), 6.61-6.57 (m, 1H), 5.45-5.43 (m, 1H), 4.99-4.97 (m, 1H), 4.61-4.51 (m, 1H), 4.37-4.34 (m, 1H), 4.31-4.15 (m, 1H), 3.92-3.89 (m, 2H), 3.79 (s, 3H), 3.78-3.72 (m, 1H), 3.59-3.58 (m, 2H), 1.44 (d, 3H), 1.29-1.23 (m, 1H), 1.22 (d, 3H).
【0232】
実施例15
(R)-2-(7-(5-クロロ-2-(((S)-1-ヒドロキシプロパン-2-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-1-オキソ-3,4-ジヒドロピロロ[1,2-a]ピラジン-2(1H)-イル)-N-((S)-1-(3-フルオロ-5-メトキシフェニル)-2-ヒドロキシエチル)プロパンアミド 15
【化47】
【0233】
実施例4における合成経路によって、工程4における開始化合物2cを化合物14bに置き換えて化合物15(20mg)を得た。
MS m/z (ESI): 561.2 [M+1]。
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 8.20 (s, 1H), 7.60 (s, 1H), 6.71-6.74 (m, 2H), 6.53-6.63 (m, 2H), 5.37-5.40 (m, 1H), 5.07-5.20 (m, 3H), 4.32-4.36 (m, 2H), 4.14-4.16 (m, 2H), 3.69-3.81 (m, 7H), 1.15-1.25 (m, 5H).
【0234】
実施例16
(S)-2-(6-(5-クロロ-2-((テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-1-オキソ-3,4-ジヒドロピロロ[1,2-c]ピリミジン-2(1H)-イル)-N-((S)-1-(3-クロロフェニル)-2-ヒドロキシエチル)プロパンアミド 16-P1
(R)-2-(6-(5-クロロ-2-((テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-1-オキソ-3,4-ジヒドロピロロ[1,2-c]ピリミジン-2(1H)-イル)-N-((S)-1-(3-クロロフェニル)-2-ヒドロキシエチル)プロパンアミド 16-P2
【化48】
【0235】
実施例11における合成経路によって、工程10における開始化合物(S)-2-アミノ-2-(m-トリル)エタノールを化合物(S)-2-アミノ-2-(m-クロロフェニル)エタノールに置き換えて化合物16-P1および16-P2(30mg、30mg)を得た。
【0236】
単一構成の化合物(保持時間の短い)16-P1
MS m/z (ESI): 573.1 [M+1]
HPLC分析:保持時間:15.4分、純度:96.8%(クロマトグラフカラム:X-Bridge、Prep 30*150mm;5μm;移動相:A-水(10mM 重炭酸アンモニウム)、B-アセトニトリル、勾配:A 33%~51%)。
1H NMR (400 mHz, CDCl3): δ 8.49 (s, 1H), 8.10 (s, 1H), 7.25 (s, 1H), 7.18 (s, 1H), 7.03 (d, 1H), 6.75 (s, 1H), 5.22-5.17 (m, 1H), 5.07-5.03 (m, 1H), 4.20-4.14 (m, 1H), 4.06-4.03 (m, 2H), 3.99-3.88 (m, 2H), 3.60-3.55 (m, 3H), 3.47-3.44 (m, 1H), 3.03-2.97 (m, 3H), 2.07-2.04 (m, 2H), 1.78-1.76 (m, 2H), 1.53 (d, 3H).
【0237】
単一構成の化合物(保持時間の長い)16-P2
MS m/z (ESI): 573.1 [M+1]
HPLC分析:保持時間:17.5分、純度:97.2%(クロマトグラフカラム:X-Bridge、Prep 30*150mm;5μm;移動相:A-水(10mM 重炭酸アンモニウム)、B-アセトニトリル、勾配:A 33%~51%)。
1H NMR (400 mHz, CDCl3): δ 9.18 (s, 1H), 8.47 (s, 1H), 8.10 (s, 1H), 7.34-7.30 (m, 3H), 7.22-7.21 (m, 1H), 7.08 (s, 1H), 6.75 (s, 1H), 5.23-5.18 (m, 1H), 5.07 (s, 1H), 4.36 (s, 1H), 4.14 (s, 1H), 4.07-4.04 (m, 2H), 3.93-3.91 (m, 1H), 3.85-3.80 (m, 1H), 3.74-3.69 (m, 1H), 3.67-3.64 (m, 1H), 3.65-3.60 (m, 2H), 3.17-3.12 (m, 1H), 3.06-3.01 (m, 1H), 2.06-2.03 (m, 2H), 1.80-1.78 (m, 2H), 1.54 (d, 3H).
【0238】
実施例17
(S)-N-((S)-1-(3-フルオロ-5-メトキシフェニル)-2-ヒドロキシエチル)-2-(7-(5-メチル-2-((テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-1-オキソ-3,4-ジヒドロピロロ[1,2-a]ピラジン-2(1H)-イル)プロパンアミド 17-P1
(R)-N-((S)-1-(3-フルオロ-5-メトキシフェニル)-2-ヒドロキシエチル)-2-(7-(5-メチル-2-((テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-1-オキソ-3,4-ジヒドロピロロ[1,2-a]ピラジン-2(1H)-イル)プロパンアミド 17-P2
【化49】
【0239】
実施例10における合成経路によって、工程6における開始化合物7bを化合物2cに置き換え、工程8における開始化合物(S)-2-アミノ-2-(m-トリル)エタノールを化合物1pに置き換えて表題化合物17-P1および17-P2(6mg、6mg)を得た。
【0240】
単一構成の化合物(保持時間の短い)17-P1
MS m/z (ESI): 567.2 [M+1]
HPLC分析:保持時間:12.4分、純度:98.6%(クロマトグラフカラム:X-Bridge、Prep 30*150mm;5μm;移動相:A-水(10mM 重炭酸アンモニウム)、B-アセトニトリル、勾配:A 25%~39%)。
1H NMR (400 MHz, CD3OD): δ 8.01 (s, 1H), 7.57 (s, 1H), 7.47 (s, 1H), 6.78-6.62 (m, 2H), 6.54 (d, 1H), 5.34 (q, 1H), 4.29-4.14 (m, 2H), 4.10-3.89 (m, 3H), 3.88-3.64 (m, 8H), 3.57 (t, 2H), 2.30 (s, 3H), 2.04-1.97 (m, 2H), 1.64-1.53 (m, 2H), 1.49 (d, 3H).
【0241】
単一構成の化合物(保持時間の長い)17-P2
MS m/z (ESI): 567.2 [M+1]
HPLC分析:保持時間:13.5分、純度:99.2%(クロマトグラフカラム:X-Bridge、Prep 30*150mm;5μm;移動相:A-水(10mM 重炭酸アンモニウム)、B-アセトニトリル、勾配:A 25%~39%)。
1H NMR (400 MHz, CD3OD): δ 8.02 (s, 1H), 7.59 (s, 1H), 7.48 (s, 1H), 6.75 (s, 1H), 6.69 (d, 1H), 6.59 (d, 1H), 5.34 (q, 1H), 4.45-4.23 (m, 2H), 4.13-3.93 (m, 3H), 3.91-3.66 (m, 8H), 3.58 (t, 2H), 2.31 (s, 3H), 1.99 (s, 2H), 1.65-1.56 (m, 2H), 1.46 (d, 3H).
【0242】
実施例18
(S)-N-((S)-2-ヒドロキシ-1-(m-トリル)エチル)-2-(7-(2-((1-メチル-1H-ピラゾール-5-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-1-オキソ-3,4-ジヒドロピロロ[1,2-a]ピラジン-2(1H)-イル)プロパンアミド 18-P1
(R)-N-((S)-2-ヒドロキシ-1-(m-トリル)エチル)-2-(7-(2-((1-メチル-1H-ピラゾール-5-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-1-オキソ-3,4-ジヒドロピロロ[1,2-a]ピラジン-2(1H)-イル)プロパンアミド 18-P2
【化50】
【0243】
実施例10における合成経路によって、工程1における開始化合物10aを2,4-ジクロロピリミジンを置き換えて化合物18-P1および18-P2(30mg、30mg)を得た。
【0244】
単一構成の化合物(保持時間の短い)18-P1
MS m/z (ESI): 515.3 [M+1]
HPLC分析:保持時間:13.2分、純度:96.8%(クロマトグラフカラム:X-Bridge、Prep 30*150mm;5μm;移動相:A-水(10mM 酢酸アンモニウム)、B-アセトニトリル、勾配:A 20%~36%)。
1H NMR (400 mHz, CDCl3): δ 8.34(s, 1H), 7.49(s, 1H), 7.39 (s, 2H), 7.12-7.09 (m, 2H), 7.03-7.00 (m, 3H), 6.93 (m,1H), 6.70 (s, 1H), 6.33 (s, 1H), 5.43-5.38 (m, 1H), 5.01-5.00 (m, 1H), 4.10-4.05 (m, 1H), 3.97-3.95 (m, 1H), 3.86-3.82 (m, 2H), 3.81 (s, 3H),3.68-3.63 (m, 1H), 3.53-3.48 (m, 1H), 2.24-2.21 (m, 1H), 1.44(d, 3H).
【0245】
単一構成の化合物(保持時間の長い)18-P2
MS m/z (ESI): 515.3 [M+1]
HPLC分析:保持時間:15.4分、純度:97.2%(クロマトグラフカラム:X-Bridge、Prep 30*150mm;5μm;移動相:A-水(10mM 酢酸アンモニウム)、B-アセトニトリル、勾配:A 20%~36%)。
1H NMR (400 mHz, CDCl3): δ 8.29 (s, 1H), 7.76 (s, 1H), 7.51 (s, 1H), 7.24-7.22 (m, 2H), 7.18-7.16 (m, 2H), 7.11-7.10 (m, 2H), 6.79 (s, 1H), 6.33 (s, 1H), 5.40-5.36 (m, 1H), 5.13 (s, 1H), 4.24-4.21 (m, 1H), 4.05-4.01 (m, 1H), 3.91-3.79 (m, 6H), 3.73-3.68 (m, 1H), 2.35 (s, 3H), 2.24-2.22 (m, 1H), 2.06-2.04 (m, 1H).
【0246】
実施例19
(S)-N-((S)-2-ヒドロキシ-1-(m-トリル)エチル)-2-(1-オキソ-7-(2-((テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-3,4-ジヒドロピロロ[1,2-a]ピラジン-2(1H)-イル)プロパンアミド 19-P1
(R)-N-((S)-2-ヒドロキシ-1-(m-トリル)エチル)-2-(1-オキソ-7-(2-((テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-3,4-ジヒドロピロロ[1,2-a]ピラジン-2(1H)-イル)プロパンアミド 19-P2
【化51】
【0247】
実施例9における合成経路によって、工程1における開始化合物2aを2,4-ジクロロピリミジンに置き換えて化合物19-P1および19-P2(60mg、30mg)を得た。
【0248】
単一構成の化合物(保持時間の短い)19-P1
MS m/z (ESI): 519.2 [M+1]
HPLC分析:保持時間:11.6分、純度:98.1%(クロマトグラフカラム:X-Bridge、Prep 30*150mm;5μm;移動相:A-水(10mM 酢酸アンモニウム)、B-アセトニトリル、勾配:A 25%~39%)。
H NMR (400 MHz, CD3OD): δ8.15 (d, 1H), 7.96 (s, 1H), 7.21-7.14 (m, 4H), 7.00 (d, 1H), 6.54 (s, 1H), 5.20 (q, 1H), 4.98-4.97 (m, 1H), 4.01-3.98 (m, 3H), 3.77-3.74 (m, 2H), 3.63-3.45 (m, 4H), 2.91-2.89 (m, 2H), 2.29 (s, 3H), 2.03-2.01 (m, 2H), 1.64-1.60(m, 2H), 1.49 (d, 3H).
【0249】
単一構成の化合物(保持時間の長い)19-P2
MS m/z (ESI): 519.2 [M+1]
HPLC分析:保持時間:12.7分、純度:98.5%(クロマトグラフカラム:X-Bridge、Prep 30*150mm;5μm;移動相:A-水(10mM 酢酸アンモニウム)、B-アセトニトリル、勾配:A 25%~39%)。
H NMR (400 MHz, CD3OD):δ 8.16 (d, 1H), 7.96 (s, 1H), 7.20-7.10 (m, 4H), 7.00 (d, 1H), 6.54 (s, 1H), 5.19 (q, 1H), 4.98-4.95 (m, 1H), 4.01-3.98 (m, 3H), 3.76-3.55 (m, 6H), 3.20-2.98 (m, 2H), 2.34 (s, 3H), 2.04-2.01 (m, 2H), 1.64-1.60(m, 2H), 1.47 (d, 3H).
【0250】
生物学的アッセイ
試験例1:ERK1酵素活性試験
【0251】
1.試験目的
本実験の目的は、ERK1酵素活性に対する本開示の化合物の阻害能力を検出し、IC50に基づき化合物のインビトロ活性を評価することである。この実験では、ADP-GloTMキナーゼアッセイキットを使用した。酵素の作用により、基質をリン酸化し、同時にADPを生成させた。ADP-Glo試薬を添加し、反応系中の未反応ATPを除去し、反応により生成したADPをキナーゼ検出試薬で検出した。化合物の存在下、シグナル値を測定することにより、化合物の阻害率を計算した。
【0252】
2.実験方法
酵素および基質の調製: ERK1(1879-KS-010、R&D)および基質(AS-61777、anaspec)をそれぞれ、緩衝液中、0.75ng/μlおよび100μMに調製し、次いで得られた酵素溶液および基質溶液を2:1の体積比で混合溶液に調製して後で使用することにした。ATPを緩衝液で300μMに希釈した。化合物をDMSO(ジメチルスルホキシド、Shanghai Titan Scientific Co., Ltd.)に溶解して、初期濃度20mM 貯蔵液(stock solution)を調製し、次にBravoを用いて化合物を調製した。最後に、384ウェルプレートの各ウェルに、酵素および基質の混合溶液3μLおよび異なる濃度の化合物(初期濃度は50μM、4倍希釈)1μLを添加し、プレートを30℃で10分間インキュベートし、最後に300μM ATP溶液1μLを各ウェルに添加し、プレートを30℃で2時間インキュベートした。その後、ADP-Glo 5μLを添加し、プレートを30℃で40分間インキュベートした。その後、キナーゼ検出緩衝液10μLを添加し、プレートを30℃で40分間インキュベートした。384ウェルプレートを取り出し、マイクロプレートリーダー(BMG labtech, PHERAstar FS)にセットし、マイクロプレートリーダーによって化学発光を測定した。
【0253】
3.データ分析
Microsoft Excel、Graphpad Prism 5を用いて、データを処理し分析した。得られた化合物のIC50値の結果を下の表に示す。
【表4】

【0254】
結論: 本開示の化合物は、ERK1酵素活性に対して有意な阻害効果を有する。
【0255】
試験例2:ERK2酵素活性試験
1.試験目的
本実験の目的は、ERK2酵素活性に対する本開示の化合物の阻害能力を検出し、IC50に基づき化合物のインビトロ活性を評価することである。この実験では、ADP-GloTMキナーゼアッセイキットを使用した。酵素の作用により、基質をリン酸化し、同時にADPを生成させた。ADP-Glo試薬を添加し、反応系中の未反応ATPを除去し、反応により生成したADPをキナーゼ検出試薬で検出した。化合物の存在下、シグナル値を測定することにより、化合物の阻害率を計算した。
【0256】
2.実験方法
酵素および基質の調製: ERK2(1879-KS-010、R&D)および基質(custom peptide, Gill Biochemical)をそれぞれ緩衝液(40mM Tris、20mM MgCl2、0.1mg/ml BSA、50μM DTT)で0.75ng/μlおよび1500μMにに調製し、酵素溶液および基質溶液を2:1の体積比で混合溶液に調製して後で使用することにした。ATPを緩衝液で500μMに希釈した。化合物をDMSO(ジメチルスルホキシド、Shanghai Titan Scientific Co., Ltd.)に溶解して、初期濃度20mM 貯蔵液(stock solution)を調製し、次にBravoを用いて化合物を調製した。最後に、384ウェルプレートの各ウェルに、酵素および基質の混合溶液3μLおよび異なる濃度の化合物(初期濃度は50μM、4倍希釈)の基質1μLを添加し、プレートを30℃で10分間インキュベートし、最後に500μM ATP溶液1μLを各ウェルに添加し、プレートを30℃で2時間インキュベートした。その後、ADP-Gloを5μL添加し、プレートを30℃で40分間インキュベートした。その後、キナーゼ検出緩衝液10μLを添加し、プレートを30℃で40分間インキュベートした。384ウェルプレートを取り出し、マイクロプレートリーダー(BMG labtech, PHERAstar FS)にセットし、マイクロプレートリーダーによって化学発光を測定した。
【0257】
3.データ分析
Microsoft Excel、Graphpad Prism 5を用いて、データを処理し分析した。得られた化合物のIC50値の結果を下の表に示す。
【表5】

【0258】
結論: 本開示の化合物は、ERK2酵素活性に対して有意な阻害効果を有する。
【0259】
試験例3:Colo205腫瘍細胞に対するインビトロ増殖阻害試験
【0260】
1.試験目的
この実験の目的は、Colo205細胞(CCL-222、ATCC)の増殖に対する本開示の化合物の阻害活性をインビトロで試験することである。細胞を異なる濃度の化合物でインビトロで処理した。3日間培養後、CTG (CellTiter-Glo(登録商標) Luminescent Cell Viability Assay, Promega, Catalog No. G7573)試薬で細胞増殖を試験し、IC50値により化合物のインビトロ活性を評価した。
【0261】
2.実験方法
以下では、Colo205細胞のインビトロ増殖阻害試験法を例にとり、腫瘍細胞に対する本開示の化合物のインビトロ増殖阻害活性を試験する方法を説明する。また、この方法は、他の腫瘍細胞に対するインビトロ増殖阻害活性試験にも適用可能であるが、これに限定されない。
【0262】
Colo205細胞を消化し、遠心分離した後、再懸濁した。この単一細胞懸濁液をよく混合し、細胞培養液(RPMI1640+2% FBS)で生細胞密度を5.0×104細胞/mlに調整し、96ウェル細胞培養プレートに95μL/ウェルを添加した。96ウェルプレートの周辺ウェルには、100μLの培地のみを添加した。培養プレートをインキュベーターで24時間インキュベートした(37℃、5%CO2)。
【0263】
化合物をDMSO(ジメチルスルホキシド、Shanghai Titan Scientific Co., Ltd.)に溶解し、初期濃度20mM 貯蔵液(stock solution)として調製した。低分子化合物の初期濃度は2mMであり、その後4倍希釈して9点とし、10点目はDMSOとした。別の96ウェルプレートを取り、各ウェルに90μLの細胞培養液(RPMI1640+2% FBS)を添加した。その後、各ウェルに異なる濃度の試験試料を10μLずつ添加した。よく混合した後、異なる濃度の試験試料を5μLずつ細胞培養プレートに添加した。各試料には2つの重複した穴がある。培養プレートをインキュベーターで3日間インキュベートした(37℃、5%CO2)。96ウェル細胞培養プレートを取り出した。CTGの溶液50μLを各ウェルに添加し、プレートを室温で10分間インキュベートした。マイクロプレートリーダー(BMG labtech, PHERAstar FS)にて、化学発光を測定した。
【0264】
3.データ分析
【0265】
Microsoft Excel、Graphpad Prism 5を用いて、データを処理し分析した。得られた化合物のIC50値の結果を下の表に示す。
【表6】

【0266】
結論: 本開示の化合物は、Colo205腫瘍細胞の増殖に対して有意な阻害効果を有する。
【0267】
薬物動態評価
【0268】
試験例4.マウスにおける本開示の化合物の薬物動態アッセイ
【0269】
1.要約
試験動物としてマウスを使用した。化合物1-P2、2-P2、4-P2、6-P2、9-P2、10-P2および11-P2を投与した後、異なる時点での血漿中の薬物濃度をLC/MS/MS法により測定した。本開示の化合物の薬物動態挙動をマウスで研究し評価した。
【0270】
2. 試験プロトコル
【0271】
2.1 試験化合物
化合物1-P2、2-P2、4-P2、6-P2、9-P2、10-P2および11-P2。
【0272】
2.2 試験動物
C57マウス63匹(雌、7群に均等に分ける)をShanghai Jiesijie Laboratory Animal Co., LTD. (認証番号:SCXK(Shanghai)2013-0006)から購入した。
【0273】
2.3 試験化合物の調製
試験化合物の一定量を秤量し、5体積%のDMSOおよび5% Tween 80に溶解した後、90体積%の生理食塩水を添加して0.1mg/mLの無色透明の溶液を調製した。
【0274】
2.4 投与
一晩絶食後、C57マウスに試験化合物を投与量2mg/kg、投与体積0.2ml/10gで胃内投与した。
【0275】
3.操作
マウスに試験化合物を胃内投与した。投与前および投与の0.25時間、0.5時間、1.0時間、2.0時間、4.0時間、6.0時間、8.0時間、11.0時間および24.0時間後に0.1mlの採血を行った。試料をヘパリン処理したチューブに保存し、3500rpmで10分間遠心分離して血漿を分離した。血漿試料は-20℃で保存した。
【0276】
濃度の異なる試験化合物を胃内投与した後のマウスの血漿中の試験化合物の含有量を測定した:投与後の各時点でラット血漿25μLを採取した後、内部標準カンプトテシン溶液(100ng/mL)50μLおよびアセトニトリル200μLを添加した。得られた溶液を5分間ボルテックス混合(vortex-mixed)し、10分間(4000rpm)遠心分離した。血漿試料から上清を4μL採取し、LC/MS/MS分析を行った。
【0277】
4.薬物動態パラメーターの結果
本開示の化合物の薬物動態パラメーターを以下に示す:
【表7】

【0278】
結論: 本開示の化合物は、良好に吸収され、薬物動態において優れた優位性を有する。
【国際調査報告】