(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-07-28
(54)【発明の名称】帯域幅が制限されたユーザ装置の改善されたローミング方法
(51)【国際特許分類】
H04W 48/16 20090101AFI20220721BHJP
H04W 52/02 20090101ALI20220721BHJP
【FI】
H04W48/16 110
H04W52/02 110
H04W48/16 132
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021570243
(86)(22)【出願日】2020-04-17
(85)【翻訳文提出日】2021-12-02
(86)【国際出願番号】 EP2020060872
(87)【国際公開番号】W WO2020239324
(87)【国際公開日】2020-12-03
(31)【優先権主張番号】PCT/CN2019/088795
(32)【優先日】2019-05-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521196512
【氏名又は名称】タレス ディアイエス エイアイエス ドイツ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100086368
【氏名又は名称】萩原 誠
(72)【発明者】
【氏名】ドン チェン
(72)【発明者】
【氏名】フォルカー ブロイアー
(72)【発明者】
【氏名】シュー シュ
【テーマコード(参考)】
5K067
【Fターム(参考)】
5K067AA43
5K067CC22
5K067DD11
5K067EE02
5K067EE10
5K067JJ72
5K067LL11
(57)【要約】
本発明は、自己のホームセルラネットワークと異なるセルラネットワークで動作するユーザ装置を動作させる方法であって、ユーザ装置が、周期的なホームネットワークスキャンサイクルに従って、ホームセルラネットワークに対する測定試行を実行するように構成され、ユーザ装置が、低測定活動期間を含む低活動モードで動作しており、周期的なホームネットワークスキャンサイクルを低活動モードの低測定活動期間と比較し、周期的なホームネットワークスキャンサイクルが低測定活動期間よりも短い場合に、周期的なホームネットワークスキャンサイクルを修正するステップを含む方法に関する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自己のホームセルラネットワーク(4a)と異なるセルラネットワーク(4)で動作するユーザ装置(1)を動作させる方法であって、前記ユーザ装置(1)が、周期的なホームネットワークスキャンサイクルに従って、前記ホームセルラネットワーク(4a)に対する測定試行を実行するように構成され、前記ユーザ装置(1)が、低測定活動期間を含む低活動モードで動作しており、
前記周期的なホームネットワークスキャンサイクルを前記低活動モードの低測定活動期間と比較し、
前記周期的なホームネットワークスキャンサイクルが前記低測定活動期間よりも短い場合に、前記周期的なホームネットワークスキャンサイクルを修正するステップを含む、ことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記低活動モードが、増加した拡張不連続受信モードを含み、前記周期的なホームネットワークスキャンサイクルを修正する前記ステップが、前記低測定活動期間を考慮し、前記低測定活動期間が、前記増加した不連続受信サイクルを補完する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記低活動モードが、リラックスモニタリングモードを含み、前記周期的なホームネットワークスキャンサイクルを修正する前記ステップが、前記低測定活動期間を考慮し、前記低測定活動期間が、隣接セル測定サイクルを補完する、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記ユーザ装置(1)が
‐静止した状態で動作されるか、
‐帯域幅制限モードで動作される、請求項1乃至3の少なくとも一項に記載の方法。
【請求項5】
前記ユーザ装置(1)が、前記セルラネットワーク(4)の基地局(3)にキャンプオンしており、
修正された周期的なホームネットワークスキャンサイクルの表示を含む信号を前記基地局(3)から受信するステップをさらに含み、
前記周期的なホームネットワークスキャンサイクルを修正する前記ステップが、前記受信した表示を考慮する、請求項1乃至4の少なくとも一項に記載の方法。
【請求項6】
前記基地局(3)から受信した前記信号が、前記低測定活動期間を考慮して前記周期的なホームネットワークスキャンサイクルを修正することに応じて受信される、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記ユーザ装置(1)がさらに、加入者識別カード(2)を備え、前記方法が、前記周期的なホームネットワークスキャンサイクル用の少なくとも2つの値を記憶するための少なくとも1つのメモリフィールドを含み、前記方法が、前記周期的なホームネットワークスキャンサイクル用の前記少なくとも2つの値のうちの、低活動モードで動作するユーザ装置(1)のために指定された値を確認するステップを含む、請求項1乃至6の少なくとも一項に記載の方法。
【請求項8】
前記ユーザ装置(1)が静止状態で動作しているかどうかを評価するステップをさらに含み、
周期的なホームネットワークスキャンサイクルを修正する前記ステップが、評価結果が静止状態動作を示す場合にのみ実行される、請求項4乃至7の少なくとも一項に記載の方法。
【請求項9】
自己のホームセルラネットワーク(4a)と異なるセルラネットワーク(4)で動作するように構成されたユーザ装置(1)であって、前記ユーザ装置(1)がさらに、周期的なホームネットワークスキャンサイクルに従って、前記ホームセルラネットワーク(4a)に対する測定試行を実行し、低測定活動期間を含む低活動モードで動作するように構成され、
前記ユーザ装置(1)がさらに、前記周期的なホームネットワークスキャンサイクルを前記低活動モードの低測定活動期間と比較し、
前記周期的なホームネットワークスキャンサイクルが前記低測定活動期間よりも短い場合に、前記周期的なホームネットワークスキャンサイクルを修正するように構成された、ことを特徴とするユーザ装置(1)
【請求項10】
前記周期的なホームネットワークスキャンサイクルを修正するために、前記ユーザ装置(1)が、前記低測定活動期間を考慮するように構成され、前記低活動モードが、
‐前記低測定活動期間が増加した不連続受信サイクルを補完する増加した拡張不連続受信モード、及び
‐前記低測定活動期間が隣接セル測定サイクルを補完するリラックスモニタリングモード、
のうちの少なくとも1つを含む、請求項9に記載のユーザ装置(1)。
【請求項11】
前記ユーザ装置(1)が前記セルラネットワーク(4)の基地局(3)にキャンプオンし、
修正された周期的なホームネットワークスキャンサイクルの表示を含む信号を前記基地局(3)から受信するようにさらに構成され、
前記周期的なホームネットワークスキャンサイクルを修正するために、前記ユーザ装置(1)が、前記受信した表示を考慮するように構成された、請求項9又は10に記載のユーザ装置(1)。
【請求項12】
前記ユーザ装置(1)が、前記ユーザ装置(1)が静止状態で動作しているかどうかを評価し、評価結果が静止状態動作を示す場合にのみ、前記周期的なホームネットワークスキャンサイクルを修正するように構成された、請求項9乃至11の少なくとも一項に記載のユーザ装置(1)。
【請求項13】
加入者識別カード(2)をさらに備える前記ユーザ装置(1)が、前記周期的なホームネットワークスキャンサイクル用の少なくとも2つの値を記憶するための少なくとも1つのメモリフィールドを含み、前記ユーザ装置がさらに、前記周期的なホームネットワークスキャンサイクル用の前記少なくとも2つの値のうちの、低活動モードで動作するユーザ装置(1)のために指定された値を前記加入者識別カードから確認するように構成された、請求項9乃至12の少なくとも一項に記載のユーザ装置(1)。
【請求項14】
少なくとも1つのユーザ装置(1)にサービスするように構成されたセルラネットワーク(4)の基地局(3)であって、前記基地局(3)が、修正された周期的なホームネットワークスキャンサイクルを示す表示を前記ユーザ装置(1)に送信するように構成された、ことを特徴とする基地局(3)。
【請求項15】
前記表示が、帯域幅が制限されたユーザ装置(1)に専用のシステム情報の同報通信で送信される、請求項14に記載の基地局(3)。
【請求項16】
前記基地局(3)にキャンプオンするユーザ装置(1)が前記周期的なホームネットワークスキャンサイクルを修正したと判定し、
これに応じて前記表示を前記ユーザ装置(1)に送信するようにさらに構成された、請求項14又は15に記載の基地局(3)。
【請求項17】
ユーザ装置(1)に通信可能に結合されるように構成された加入者識別モジュール(2)であって、周期的なホームネットワークスキャンサイクルのための少なくとも2つの値を記憶するように構成されたメモリユニットを備え、前記周期的なホームネットワークスキャンサイクルのための前記値のうちの1つが、低活動モードで動作するユーザ装置(1)のために指定された、ことを特徴とする加入者識別モジュール(2)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、セルラネットワークで動作するユーザ装置を動作させる方法に関する。本発明はまた、上記方法を用いるユーザ装置に関する。
【0002】
本発明はさらに、上記ユーザ装置にサービスする基地局に関する。
【0003】
本発明はまた、ユーザ装置に接続可能な加入者識別モジュールに関する。
【背景技術】
【0004】
無線セルラ通信の分野において、SIMカードを発行するモバイルオペレータのセルラネットワークによりカバーされていないエリアで動作しているユーザ装置は、いわゆる訪問先セルラネットワークとローミングモードで動作していることが知られている。
【0005】
最終顧客のコストを節約するために、規格には、ユーザ装置がその訪問先セルラネットワークにあまり長くとどまることを避けるために必要な措置を取ることが定められている。そのため、ユーザ装置(UE)は、ホーム公衆陸上移動体ネットワーク(HPLMN)のスキャンを定期的に実行することが想定される。
【0006】
ネットワーク構成に応じて、これは、HPLMNの適切なセルの利用可能性にすぐに気付くように数分の範囲で行われている。
【0007】
ホームネットワークに戻ることも、訪問先ネットワークのオペレータと関係手数料を分け合う必要がないホームオペレータの利益にかなう。
【0008】
UEは、周期的なホームネットワークスキャンサイクルTに従って、SIM/USIMカードに記憶されているタイマ値に応じてHPLMNをスキャンする。最初のスキャンは2分後に行われ、タイマ値に応じた後続のスキャンアプローチが、NB‐IoT、Cat‐M又はEC‐GSM IoT技術だけをサポートするのではない全てのデバイスについて6分から8時間続く可能性がある。つまり、少なくとも、例えばGSMや単純なLTEを追加でプラットフォームに実装させたデバイスはこの規則に従わなければならない。
【0009】
しかしながら、国境を越えて移動する可能性があるUEが存在することから、大抵の展開では6分の値が選ばれ、特別なデバイス用の静的なオペレータ設定の個別適応が、永続的にローミングで動作されるUEでさえもネットワークオペレータから反対されることがよくある。特にIoTデバイスを動作させるために、いわゆるV‐MNO(仮想ネットワークオペレータ)が使用されることがよくあり、V‐MNOは一定の領域内の特定のPLMNのリソースに依存し、ユーザ装置を常にローミング状態に保つ。
【0010】
しかしながら、一部のタイプのユーザ装置、特に標準未満のNB‐IoT、Cat‐Mなどで動作するユーザ装置の場合、比較的長持ちするように指定されたバッテリによって作動されるのが通例である。
【0011】
そのため、このようなユーザ装置について期間当たりの電力バジェットが計算される。ただし、これは、ユーザ装置がローミングモードで動作しており、不要なことが多いHPLMNスキャンを実行する必要がある場合に危険にさらされる。特に、トラッキングデバイス及びトレーシングデバイスは、例えばコンテナに設置される場合に、1つのエリアに長い間格納されることがあるため省電力で動作させるべきである。しかし、それらは何らかの物品と一緒に輸送されるとき、国境を越えなければならない場合がある。すなわち、定期的なHPLMNスキャンを行うことが重要である。
【0012】
また、一般に、利用可能な電力バジェットに限りがあるUEについての規格は、eDRXやリラックスモニタリング状態などの省電力機能を開発してきた。どちらの場合も、省電力のアイドル期間は、6分という典型的なHPLMNスキャンの設定値よりもはるかに大きく、つまり後に中断されることになる。これらの省電力機能が、これからHPLMNスキャンの要件と相互作用する、すなわちHPLMNをスキャンする、すなわち、様々なキャリアについての周波数間測定を6分ごとに行う場合、省電力から得られる利益は大幅に減少することになる。さらに、このような挙動が意味をなすかどうかは疑わしい。すなわち、UEが一時的に静的で、リラックスモニタリング状態に突入したと評価した場合に、ホームHPLMNが現在到達可能であるにもかかわらず、なぜ6分ごとにスキャンする必要があるかは疑わしい。ネットワーク構成が変化する可能性があるが、上記密度でのスキャンは、このようなUEの省電力ニーズをあまりにも多く与え過ぎている。
【0013】
また、モノのインターネット(IoT)の分野では、このようなユーザ装置がV‐MNOサブスクリプションで動作することが多く、ローミングシナリオで動作することは見かけより可能性が高いため、ほとんどどのセルラネットワークも訪問先ネットワークである。
【0014】
このようなユーザ装置は、毎日充電されるスマートフォンのような一般的なユーザ装置と比べて、シグナリング及び/又は測定活動の大幅な低下をもたらす電力消費が少ないモードを使用しているという事実のために、電力消費が特に増大する。
【0015】
HPLMNタイマを極めて高い値に設定すれば上記の相互作用を回避できるが、トラッキングデバイス及びトレーシングデバイスとして使用されている全てのユーザ装置が利用できなくなる可能性があるという欠点が生じることがある。その結果、オペレータはこの値をデバイスタイプに基づいて動的に変化させる又は更新することを望まないため、これを変化させることを拒否する。
【0016】
ローミングシナリオに起因して、上記の電力消費が少ないモードが無効にされたり制限されたりすることで、電力バジェットがまもなく使い果たされることになる。
【0017】
したがって、本発明の目的は、上述の欠点を克服すること、及び帯域幅が制限されたユーザ装置をローミングシナリオにおいて動作させるための解決策を提案することである。
【0018】
したがって、さらなる代替的かつ有利な解決策が当該技術分野で望ましいであろう。
【発明の概要】
【0019】
このため、本発明の第1の態様によれば、請求項1に記載のユーザ装置を動作させる方法が提案される。本発明の第2の態様によれば、請求項9に記載のユーザ装置がさらに提案される。本発明の第3の態様では、請求項14に記載の基地局が提案される。本発明の第4の態様によれば、請求項17に記載の加入者識別モジュールが提案される。
【0020】
したがって、本発明の第1の態様によれば、自己のホームセルラネットワークと異なるセルラネットワークで動作するユーザ装置を動作させる方法であって、ユーザ装置が、周期的なホームネットワークスキャンサイクルに従ってホームセルラネットワーク対する測定試行を実行するように構成され、ユーザ装置が、低測定活動期間を含む低活動モードで動作し、周期的なホームネットワークスキャンサイクルを低活動モードの低測定活動期間と比較し、周期的なホームネットワークスキャンサイクルが低測定活動期間よりも短い場合に、周期的なホームネットワークスキャンサイクルを修正するステップを含む方法が提案される。
【0021】
本発明の方法は、セルラネットワークで動作するように構成されるユーザ装置に特化される。
【0022】
ユーザ装置は一般に、少なくとも送受信回路、処理回路、サービング基地局との無線エアインタフェースにアクセスするためのアンテナを備える任意の種類のデバイスである。
【0023】
サービング基地局は、セルラネットワークに属する複数の基地局のうちの1つである。サービング基地局はユーザ装置がキャンプオンしている基地局である。
【0024】
基地局は、セルラネットワークのエアインタフェースへのエントリポイントである。2G(GSM、GPRS、EDGE)、3G(UMTS、HSPA)、4G(LTE、LTE‐Catx、LTE‐M)のようなサポートされる技術に応じて、基地局は、具体的に基地局(BS)、nodeB、eNodeBとして実装される。
【0025】
ユーザ装置はさらに、低活動モードで動作するように構成される。これは具体的には、ユーザ装置による少なくともサービング基地局に対する測定活動が少なくて済むように構成された方法でユーザ装置がセルラネットワークと動作することができるモードである。この低活動モードはさらに、1つの電池で数年間動作可能であることを含み得る、そのユーザ装置の電力消費目標に沿って動作するように、ユーザ装置の電力消費を抑えることに特化されている。
【0026】
特に、据え付けのユーザ装置、具体的にはマシンタイプ通信(MTC)又はモノのインターネット(IoT)デバイスが、このような低活動モードで動作するように構成される。
【0027】
ユーザ装置はさらに加入者識別ユニットを備える。これは、登録時のセルラネットワークでの認証に必要な全てのクレデンシャルをその保護されたメモリに保持するセキュアユニットであり、一般的には取り外し可能なSIM又はUICCの場合や、一般的にはユーザ装置に半田付けされたeUICCの場合がある。
【0028】
さらに、ユーザ装置は、周期的なホームネットワークスキャンサイクルに従ってホームセルラネットワークコンポーネントに対する測定試行を実行することが想定される。このような要件は、具体的には訪問先セルラネットワークでローミングしているユーザ装置のためのセルラ通信規格に従う。ユーザ装置は、自己のホームセルラネットワークにできるだけ早く戻り、そしてネットワーク使用のためのコストを削減するために、周期的なホームネットワークスキャンサイクルに従ってホームネットワークセルをスキャンすることが想定される。
【0029】
このホームネットワークスキャンサイクルに従うことは低活動モードと矛盾するため、両要件をバランスさせる動作モードが必要である。ここで本発明の方法が役に立つ。
【0030】
この方法によれば、ローミング中のユーザ装置が、周期的なホームネットワークスキャンサイクルを確認することが提案される。その際、ユーザ装置は、この周期的なホームネットワークスキャンサイクルを低活動モードの低測定活動期間と比較する。
【0031】
好適な実施形態によれば、低活動モードが、増加した拡張不連続受信モードを含み、周期的なホームネットワークスキャンサイクルを修正するステップが、低測定活動期間を考慮し、低測定活動期間が、増加した不連続受信サイクルを補完することが提案される。
【0032】
拡張不連続受信モード(eDRX)では、UEがeDRXサイクルごとに1回その隣接セルをスキャンするだけでよく、それに応じてページングを受信する。eDRXは、UEが最小限の活動を、アイドル移動度に関連した上記eDRXサイクル測定において1回だけ行う交渉に基づく拡張スリープ持続時間であり、eDRXは、Cat‐Mの場合は最大45分間持続し、NB‐IoTの場合は最大3時間持続することができる。
【0033】
ユーザ装置がページングされず、その活動を行い、かつ送信するデータがない場合に、ユーザ装置はeDRXスリープサイクルに再び入る。すなわち、eDRXサイクルは非常に頻繁に連続して実行される。つまり、ほとんどの時間、ユーザ装置は1つの隣接セル探索及びページングのスキャンが中断されるだけで、上記eDRXサイクルの間深いスリープ状態にある。ページングが受信されない場合、上記低パワーモードにとどまる。eDRXは、隣接セル測定がDRXサイクルごとに1回実行され、通常のDRXサイクルが最大10.24秒間持続し、典型的なDRXサイクルが2.56秒又は1.28秒ほどで使用されるのに対し、eDRXがCat‐Mで最大45分間持続し、NB‐IoTで最大3時間持続すると仮定すると、膨大な省電力ポテンシャルを有する。この省電力は、それらのアプリケーションが容認できるeDRX期間の着信が1回だけ到達できることを犠牲にして達成される。
【0034】
別の好適な実施形態によれば、低活動モードがリラックスモニタリングモードを含み、周期的なホームネットワークスキャンサイクルを修正するステップが低測定活動期間を考慮し、低測定活動期間が隣接セル測定サイクルを補完することが提案される。
【0035】
リラックスモニタリングの場合、UEは、サービングセルが常に(一定時間)受信窓内にあるかどうかを評価している。リラックスモニタリングに入ったユーザ装置は、受信電力レベルに関する一定の範囲内のサービングセルを受信したことを評価している。サービングセルが上記の範囲内にとどまる限り、UEは、他のモビリティに関する周波数内及び周波数間セル測定の全てを最大24時間続けて中断し、サービングセルの定期的な測定だけを行うことがある。
【0036】
その結果、UEは、一時的に静止しており、サービングセルが上記受信品質窓内にとどまる限り、周波数内及び周波数間隣接セル測定を24時間に1回だけ行うことを導き出す。HPLMNスキャンの8時間の構成可能な最大値でさえも、この構成に従ってHPLMNスキャンを実行する場合に不要な中断を生じさせることになる。
【0037】
周期的なホームネットワークスキャンサイクルと低活動モードの低測定活動期間との比較の結果、周期的なホームネットワークスキャンサイクルが低測定活動期間よりも長く持続するかどうかが分かる。具体的には、この長い持続は、測定活動期間を越える所定の閾値、例えばx%を含む。
【0038】
この場合には、周期的なホームネットワークスキャンサイクルは、低測定活動期間を考慮して修正される。
【0039】
好ましくは、周期的なホームネットワークスキャンサイクルは、低測定活動期間の値を取る。代替的に、周期的なホームネットワークスキャンサイクルは、低測定活動期間とほぼ一致するように増加される。これも道理にかなっている。なぜなら、ユーザ装置は、移動しておらず、同じセル内にとどまっているため、第1のスキャン試行後の後続の試行のうちの1つにHPLMNを見つける可能性が極めて低いと評価しているからである。
【0040】
別の好適な実施形態によれば、上記セルラネットワークの基地局にキャンプオンしているユーザ装置が、修正された周期的なホームネットワークスキャンサイクルの表示を含む信号を上記基地局から受信するステップをさらに含み、周期的なホームネットワークスキャンサイクルを修正するステップが上記受信した表示を考慮することが提案される。
【0041】
この実施形態によれば、周期的なホームネットワークスキャンサイクルが、基地局、特にサービング基地局から受信した表示を考慮に入れて修正されることが提案される。これは、好ましくは低測定活動期間を考慮して周期的なホームネットワークスキャンサイクルを修正する代替的な方法である。
【0042】
この実施形態は、低測定活動期間について、すなわち、低測定活動期間が周期的なホームネットワークスキャンサイクルを上回ることを基地局に知らせることを含むことがある。
【0043】
好ましくは、修正は、訪問先セルラネットワークがホームセルラネットワークに接続した後に実行される。
【0044】
さらに好適な実施形態では、基地局から受信した信号が、低測定活動期間を考慮して周期的なホームネットワークスキャンサイクルを修正することに応じて受信されることが提案される。
【0045】
この実施形態は、セルラネットワークの、すなわち基地局の好みに応じるだけでなく、ここではユーザ装置側での修正に応じて、周期的なホームネットワークスキャンサイクルを適応させる課題を有する。
【0046】
この実施形態は特に、ユーザ装置が、修正された周期的なホームネットワークスキャンサイクルについて基地局に知らせることを含む。
【0047】
この実施形態は、ユーザ装置による、修正された周期的なホームネットワークスキャンサイクルに関する決定を却下する手段を基地局に与える。
【0048】
少なくともこれは、ユーザ装置の電力消費要件を以前よりもよく考慮するために、周期的なホームネットワークスキャンサイクルの増加をもたらす可能性が高くなる。しかしながら、修正された周期的なホームネットワークスキャンサイクルがセルラネットワークには長過ぎると思われる場合、この実施形態は、有利にはこの状況を緩和する手段を提供する。
【0049】
本発明の方法を用いれば、たとえ訪問先セルラネットワークで動作していても、このようなIoTデバイスの当初の想定どおりに電力消費が大幅に削減されることが達成される。
【0050】
これは、ユーザ装置が少なくとも
‐静止した状態で動作している、又は
‐帯域幅制限モードで動作している
別の好適な実施形態と関連して特に有利である。
【0051】
特に、第1のオプションでは、周期的なホームネットワークスキャンサイクルの増加は全く害がないか、少なくとも著しい害がない。ユーザ装置が静止状態で動作している、つまり、例えば(計量デバイスのように)壁に取り付けられていたり、(POSデバイスのように)定められた半径内でのみ動作したりするために、移動していないか又は少なくとも移動度が低い場合、24時間後にホームセルラネットワーク基地局が見えているか否かで状況が著しく変わることは期待できない。
【0052】
付加的又は代替的に、ユーザ装置が帯域幅制限モードで動作していることが提案される。これは特に、NB‐IoTやCat‐Mのような、4G/5Gなどの準標準に関する。
【0053】
このような帯域幅制限モードは、ユーザ装置、特により高い帯域幅要件の他のモードで動作することができないユーザ装置のシグナリングを減らすように設計される。
【0054】
このような帯域幅制限対応ユーザ装置は特に低活動モードで動作することが想定されているため、本発明の方法はこのようなユーザ装置に完全に適している。
【0055】
別の好適な実施形態によれば、ユーザ装置が加入者識別カードをさらに備え、方法が、周期的なホームネットワークスキャンサイクル用の少なくとも2つの値を記憶するための少なくとも1つのメモリフィールドを含み、方法が、周期的なホームネットワークスキャンサイクルのための上記少なくとも2つの値のうちの、低活動モードで動作するユーザ装置のために指定された値を確認するステップを含むことが提案される。
【0056】
この実施形態は、備えられた加入者識別カード、具体的にはSIMカード、UICC、USIM又はeUICCに関する。
【0057】
このような加入者識別カードは、周期的なホームネットワークスキャンサイクル用の値を記憶するように構成される少なくとも1つのメモリフィールドを含む、値を記憶するためのメモリユニットを備える。
【0058】
上記加入者識別カードは、周期的なホームネットワークスキャンサイクル用の少なくとも2つの値を記憶することが想定されている。好ましくは、一方の値は正規のユーザ装置専用であり、もう一方は低活動モード又は関連モードで動作するユーザ装置専用である。このような関連モードは、静止状態動作、特定の帯域幅低減技術における、又はeDRXやリラックスモニタリングのような電力消費を低減するモードにおける動作である場合がある。
【0059】
この実施形態によれば、ユーザ装置は、通常の動作のための周期的なホームネットワークスキャンサイクルについての値と、ユーザ装置が低活動モードで動作している場合の低活動モードで動作するための値とを加入者識別カードから受け取ることが想定されている。
【0060】
したがって、ユーザ装置が低活動モードで動作しており、低測定活動期間が通常の周期的なホームネットワークスキャンサイクルよりも大きいことが分かったときに、周期的なホームネットワークスキャンサイクルを修正するステップが低測定活動期間を考慮していることで、周期的なホームネットワークスキャンサイクルが、低活動モードのために指定される、加入者識別カードに記憶されている第2の値に設定される。
【0061】
この実施形態は、何が周期的なホームネットワークスキャンサイクルに適切な値であるかを決定する又は基地局と交渉することからユーザ装置を解放する。
【0062】
好ましくは、方法は、ユーザ装置が低活動モードで動作していることが分かること、及び、好ましくは周期的なホームネットワークスキャンサイクルが低測定活動期間よりも短いことが分かった後に、周期的なホームネットワークスキャンサイクルを加入者識別カードから受け取った値に修正することを含む。
【0063】
別の有利な実施形態によれば、方法が、ユーザ装置が静止状態で動作しているかどうかを評価するステップをさらに含み、周期的なホームネットワークスキャンサイクルを修正するステップが、評価結果が静止状態動作を示す場合にのみ実行されることが提案される。
【0064】
この実施形態によれば、将来、通常モードであるが、待機時、すなわち自動車が駐車されている間に動作できる、電力消費が抑えられたモードで動作することを好むユーザ装置も存在し得る状況に対処される。このようなユーザ装置の動作モードに応じて、HPLMNスキャン密度及び周期性を適応させることが好ましい。
【0065】
すなわち、そのHPLMN内にない自動車が、あたりをドライブする際に、具体的にはSIM/USIMカードに設定される周期的なホームネットワークスキャンサイクルに従ってそのHPLMNをスキャンすることになる。しかしながら、駐車され、低活動モードで動作される場合に、周期的なホームネットワークスキャンサイクルは、この実施形態に従って現在適用されている低活動モードを考慮したサイクルに適応される。
【0066】
NB‐IoT、Cat‐M1又はEC‐GSM IoTのみからなるデバイスでは、第1のスキャンは2時間後に行われ、タイマ値に応じた後続のスキャンアプローチは、2時間から240時間続く可能性があり、その場合、ステップは2時間から84時間及びその後4時間毎の粒度を有する(TS23.122 Rel.14.4.0及びTS31.122 Rel.14.4.0参照)。
【0067】
概説され以下で解決される問題は、両方のデバイスタイプ、つまり、単純なNB‐IoT、Cat‐M、EC‐GSM IoTデバイスと、NB‐IoT、Cat‐M又はEC‐GSM IoT以外の任意の他の技術、すなわちLTEやGSMもサポートするユーザ装置とに存在する。NB‐IoT及びCat‐M技術があらゆる国及びネットワークに広がっていないため、これらのユーザ装置は、これらの技術又は各技術が展開されていないエリアに到達した場合に圏外になることを回避するために、タイプLTE又はGSMのバックアップ技術を有することが多い。したがって、より短いスキャンサイクルは、どちらが現在アクティブな技術であるかに関係なく、これらのユーザ装置に適用される。つまり、HPLMNスキャンが6分から8時間毎に行われる必要があるため、HPLMNスキャンタイマがeDRXサイクルよりも大きく、24時間がリラックスモニタリングに使われる限り、設定されることすらできない可能性が非常に高い。
【0068】
これは、フォールバック技術を用いるそのようなユーザ装置の場合に、問題はそれに応じて厳しい形で存在することを意味する。大抵の場合、周期的スキャン時間がリラックスモニタリングのために設定されたeDRXサイクルよりも小さいため、最小値は設定可能な最大値を下回ることになる。
【0069】
単純なNB‐IoTデバイスの場合、eDRXサイクル持続時間を下回る周期的なホームネットワークスキャンサイクルを設定することができ、これは、24時間のリラックスモニタリングスキャンタイマを下回るCat‐M1及びNB‐IoTの値にもいえる。
【0070】
したがって、LTE又はGSMのフォールバック技術を用いたNB‐IoT又はCat‐Mのような帯域幅低減技術を用いるこのようなユーザ装置に対しても、提案される解決策は適用可能である。ただし、以上で説明したように、課題及び解決策は上記のデバイスタイプに限定されることはなく、むしろ例として用いられる。
【0071】
特に、国境を越えるデバイスが単純なLTEデバイスと同様の挙動を有するため、これらには同じ値が用いられることが多い。
【0072】
好ましくは、ユーザ装置が、一般に帯域幅低減技術で動作可能である一方で、フォールバック技術で動作しているかどうかを判断し、したがって、帯域幅低減技術に切り替わり、特に帯域幅低減技術のために想定された低測定活動期間を考慮しながら、周期的なホームネットワークスキャンサイクルを修正することがさらに有利である。
【0073】
これによって、本発明の方法をより多くのユーザ装置、具体的にはローミングシナリオにおいて制限された電力バジェットを有するユーザ装置に適用することが可能である。
【0074】
本発明の第2の態様によれば、自己のホームセルラネットワークと異なるセルラネットワークで動作するように構成されたユーザ装置であって、ユーザ装置が、周期的なホームネットワークスキャンサイクル(T)に従って、ホームセルラネットワークに対する測定試行を実行し、低測定活動期間を含む低活動モードで動作するようにさらに構成され、
ユーザ装置がさらに、周期的なホームネットワークスキャンサイクルを低活動モードの低測定活動期間と比較し、周期的なホームネットワークスキャンサイクルが低測定活動期間よりも短い場合に、低測定活動期間を考慮して周期的なホームネットワークスキャンサイクルを修正するように構成されたユーザ装置が提案される。
【0075】
本発明のこの態様は、セルラネットワークの基地局とともに動作するためのユーザ装置に関する。そのため、ユーザ装置は、特にアンテナと併用されて、エアインタフェースを介して基地局と通信することを可能にする送受信回路を備える。
【0076】
さらに、ユーザ装置は、少なくとも送受信回路を制御するソフトウェアを実行するように構成された処理回路を備える。
【0077】
好ましくは、ユーザ装置はさらに制御ユニットを備え、制御ユニットは、好ましくは、例えばセルラネットワークにより通信可能にユーザ装置と結合されたリモートサーバに、送受信回路を介して送信されることが想定されるセンサデータを収集することが指定されたアプリケーションである。
【0078】
したがって、ユーザ装置は、好ましくは制御ユニットと、モデム又は通信モジュールとも呼ばれる通信ユニットとを備え、通信ユニットは、送受信回路と、好ましくはプロセス回路とを備える一方、制御ユニットは、好ましくは呼出インターフェイスを介して通信ユニットを制御するように構成される追加の処理回路を有する。
【0079】
本発明のこの態様は、本発明の第1の態様の利点を共有する。
【0080】
本発明の第3の態様によれば、少なくとも1つのユーザ装置にサービスするように構成されたセルラネットワークの基地局であって、修正された周期的なホームネットワークスキャンサイクルを示す表示をユーザ装置に送信するように構成された基地局が提案される。
【0081】
本発明のこの態様は、好ましくは複数の基地局を備えるセルラネットワークの基地局に関する。
【0082】
この基地局は、本発明の第2の態様に係るユーザ装置との無線通信を行うための送受信回路を有する。基地局はさらに、MME、HSSなどといったセルラネットワークの他のコンポーネントと通信するための通信回路を有する。
【0083】
本発明のこの態様の基地局はまた、修正された周期的なホームネットワークスキャンサイクルの表示を送信することによって、少なくとも1つのキャンピングユーザ装置と通信するように構成される。
【0084】
この態様によれば、基地局を介したセルラネットワーク、又は基地局それ自体は、特にユーザ装置が低活動モードで動作している場合に、周期的なホームネットワークスキャンサイクルの設定に影響を及ぼす可能性を有する。これは、基地局が知っていることが好ましい情報である。
【0085】
その結果、これに対して基地局は、周期的なホームネットワークスキャンサイクルを修正するために考慮するこの表示をユーザ装置に提供する。
【0086】
これは、特にユーザ装置がセルラネットワーク要求を考慮することなく、単独でそのような決定を行う傾向がある場合に、基地局又はセルラネットワークにその値を採用する手段を与えることから有利である。
【0087】
どのようにして表示をユーザ装置に提供するかについては少なくとも2つの代替案がある。
【0088】
本発明のこの態様の有利な実施形態によれば、上記表示が、帯域幅が制限されたユーザ装置に専用のシステム情報の同報通信で送信されることが提案される。
【0089】
この同報通信は、ユーザ装置が基地局に周期的なホームネットワークスキャンサイクルを修正する意思を示すことなく必要な情報を収集することを可能にする。
【0090】
好ましくは、同報通信された情報は、SIB又はM‐SIBの一部である。
【0091】
付加的又は代替的に、このシグナリングは、オンデマンドSIB、すなわち作動されたユーザ装置からの要求メッセージの場合がある、同報通信が定期的ではないSIBを介して実行される。
【0092】
別の実施形態によれば、基地局がさらに、基地局にキャンプオンするユーザ装置が周期的なホームネットワークスキャンサイクルを修正したと判定し、これに応じて上記表示を上記ユーザ装置に送信するように構成されることが提案される。
【0093】
この代替的な解決策では、ユーザ装置は、修正された周期的なホームネットワークスキャンサイクルについて基地局に知らせる。これに応じて基地局は、好ましくは専用シグナリングで、低活動モードのユーザ装置に対して周期的なホームネットワークスキャンサイクルの表示を送信する。
【0094】
本発明の第4の態様によれば、ユーザ装置に通信可能に結合されるように構成された加入者識別モジュールであって、周期的なホームネットワークスキャンサイクルのための少なくとも2つの値を記憶するように構成されたメモリユニットを備え、周期的なホームネットワークスキャンサイクルのための上記値のうちの1つが低活動モードで動作するユーザ装置のために指定された加入者識別モジュールが提案される。
【0095】
本発明のこの態様は、本発明の第2の態様に係るユーザ装置に通信可能に結合された加入者識別モジュールに関する。
【0096】
加入者識別モジュールは、情報、具体的には設定パラメータ及び認証クレデンシャルを永続的に記憶するためのメモリユニットを備える。
【0097】
加入者識別モジュールはさらに、情報、具体的にはメモリユニットに記憶されている情報を要求する、接続されたユーザ装置のための通信インターフェイスを備える。
【0098】
さらに、加入者識別モジュールは、ユーザ装置の通信ユニットにより、セルラネットワークコンポーネント、すなわちセルラネットワークを通じてアクセス可能なリモートサーバと透過的に通信するための手段を提供する。
【0099】
これは上記サーバへのアクセスチャネルを提供する。
【0100】
本発明のこの態様に係る加入者識別モジュールは、ユーザ装置の周期的なホームネットワークスキャンサイクルを設定するための少なくとも2つの値を記憶する。
【0101】
通信インターフェイスによって、ユーザ装置はこのような値を要求することがある。その際、第1の値は、低活動モードで動作していないときの周期的なホームネットワークスキャンサイクルと見なされる。
【0102】
第2の値は、低活動モードで動作しているときの周期的なホームネットワークスキャンサイクルと見なされる。
【0103】
好ましくは、特に上記低活動モードの起動又は停止と同時に、各値を別々に要求することはユーザ装置に委ねられている。このオプションは、加入者識別モジュールにおけるこのような値の変化に反応的であるという利点を有する。
【0104】
好ましくは、このような値は、リモートサーバへの透過的なアクセスチャネルによって設定される。これによって、リモートサーバは、自発的に又は要求に応じて、ユーザ装置の周期的なホームネットワークスキャンサイクルのための少なくともそのような値を、OTA遠隔設定を介して更新することがある。
【0105】
その結果、ユーザ装置は、低活動モードの起動と同時にそのような値を加入者識別モジュールに要求するとき、最新の更新値を確実に受信する。
【0106】
好ましくは、ユーザ装置は、低活動モードの各サイクルから得られた、周期的なホームネットワークスキャンサイクルのための値を提供しながら、そのような値を加入者識別モジュールに要求する。
【0107】
加入者識別モジュールは、好ましくはこの値をリモートサーバに、例えば更新要求の一部として提供するように構成される。したがって、リモートサーバ、又はリモートサーバが関連付けられたセルラネットワークは、このようにユーザ装置による周期的なホームネットワークスキャンサイクルの修正に反応することがある。
【0108】
このように、この発明は、有利には示された課題を解決し、これに応じてユーザ装置及びセルラネットワークの要求をバランスさせるために、周期的なホームネットワークスキャンサイクルを修正するための方法及び装置を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0109】
以下の記述及び添付図面はいくつかの例示的な態様を詳細に示しているが、実施形態の原理を用いることができる種々の方法のほんの一部しか示していない。本発明の特徴及び利点は、限定的ではなく例示的な例として与えられる有利な実施形態の以下の記述及び添付図面を読むときに現れるだろう。
【0110】
【
図1】セルラネットワークと連携する、本発明が実施形態として適用されるタイプのユーザ装置の図。
【
図2】本発明の方法の実施形態を表すフローチャート。
【
図3】本発明の方法の別の実施形態を示すシーケンス図。
【発明を実施するための形態】
【0111】
図1は、本発明が実施形態として適用されるタイプのユーザ装置1を模式的に示している。ユーザ装置は、少なくともトランシーバ回路TCを制御するための処理回路PCを備え、トランシーバ回路TCはセルラネットワークの基地局3との無線信号のやりとりを可能にする。好ましくは、ユーザ装置は、3G、4G、又は4G以降のセルラ標準を実装する基地局とともに動作することができる。好ましくは、ユーザ装置は、NB‐IoTやCat‐Mのような、帯域幅低減ユーザ装置用に設計された準標準をサポートする。
【0112】
この実施形態におけるユーザ装置1は、電源PSである電池で動作するIoTデバイスを構成するか又はIoTデバイスの一部であり、ユーザ装置がある期間、例えば数年規模で動作できるようにする、所定期間の電力バジェットを割り当てられている。
【0113】
また、この実施形態のユーザ装置1は、加入者識別モジュール2に接続され、加入者識別モジュール2は、セルラネットワークで動作するための少なくとも認証クレデンシャルを記憶することができる。さらに、加入者識別モジュール2は、適用可能な周期的なホームネットワークスキャンサイクルの1つ以上の値を記憶することができる。
【0114】
この示された実施形態の状況では、ユーザ装置1は、セルラネットワーク4の複数の基地局のうちの1つである基地局3にキャンプオンしている。基地局3は、セルラネットワーク4のMME6に通信可能に結合され、データベースVLR7及びHSS8にアクセスすることができる。
【0115】
この実施形態では、ユーザ装置1は、図示されたセルラネットワーク4を運営するネットワークオペレータと異なるネットワークオペレータにより発行された加入者識別モジュール2を保持する。これは、第2のセルラネットワーク(以下、ホームネットワーク4a)を運営する第2のネットワークオペレータである。ただし、両ネットワークオペレータは、第2のネットワークオペレータのUSIM2を備えたユーザ装置1が第1のネットワークオペレータのセルラネットワーク4で動作することを可能にするローミング契約を結んでいる。
【0116】
セルラネットワーク4は通常、セルラネットワークに登録しているユーザ装置1からのクレデンシャル及び追加データについて、ホーム加入者サーバ(HSS)8にあるセルラネットワークの加入者をチェックする。ただし、ローミングしているユーザ装置1については、訪問先ロケーションレジスタ(VLR)7内が調べられる。そこで加入者データをまだ利用できない場合、セルラネットワーク4は、加入者がセルラネットワーク4で動作する資格があるかどうか、またどの程度あるかを、サービングゲートウェイ5を通じてホームネットワーク4aに要求する。そして、それらのデータは将来のアクセスのためにVLR7に記憶される。
【0117】
サービングゲートウェイ5を通じて、インターネットへのさらなるアクセスが、ユーザ装置とリモートサーバ(図示せず)との間のIPベースのトラフィックのために確立される。
【0118】
図2は、前に示したようなユーザ装置1のための本発明の方法の例示的な実施形態をフローチャートに示している。
【0119】
ユーザ装置は、ステップS1に示すようにIoTデバイスであり、訪問者としてセルラネットワーク4とともに動作している。つまり、前の図に示されたようにローミングしている。
【0120】
ユーザ装置は、IoTデバイスであるため、節電することを好む。そのため、eDRX選好が存在するか、また長いeDRXサイクルが確立されたかどうかをUSIMに問い合わせている。これは典型的には登録時に行われる。
【0121】
次に、決定ステップS2において、eDRXが(依然として)アクティブであるかどうかがチェックされる。
【0122】
eDRXがアクティブである場合、方法のフローはステップS4に分岐する。そうでない場合、方法のフローはステップS3に分岐する。
【0123】
ここで、ユーザ装置がリラックスモニタリングで動作しているかどうかがチェックされる。その場合には、決定ステップS5に分岐し、この例示的な実施形態では周期的なホームネットワークスキャンサイクルを補完するHPLMNスキャン周期性Tが、この実施形態におけるリラックスモニタリングの持続時間である24時間よりも低いかどうかがチェックされる。
【0124】
この場合には、リラックスモニタリングに合うように、ステップS8においてHPLMNスキャン周期性はT=24時間に設定され、動作が継続する。そうでない場合には、HPLMNスキャン周期性は、ステップS7に示されるように不変のままである。
【0125】
ステップS4では、ユーザ装置がeDRXで動作している場合に分岐する。そのため、ステップS4では、HPLMNスキャン周期性TがeDRXサイクルよりも低いかどうかがチェックされる。
【0126】
この場合には、ステップS6において、HPLMNスキャン周期性TがeDRXサイクルに設定され、そうでない場合は、ここでもステップS7に分岐し、HPLMNスキャン周期性Tは不変のままである。
【0127】
好ましくは、この方法のフローは、ユーザ装置の登録後に一度確立される必要がある。更新は特に、パラメータのうちの1つ、例えばeDRXサイクル、デフォルトのHPLMNスキャン周期性又はリラックスモニタリングサイクルが変化する場合に可能である。
【0128】
所定期間後の定期的なチェックもまた、別の基地局に移った場合や他の外部トリガと同様に役立つことがある。
【0129】
また、ステップS6及び/又はS8では、ユーザ装置が、装着されているUSIMにおいてeDRXやリラックスモニタリングのような少なくとも1つの低活動モードで動作するローミングデバイス用の値をチェックするときに、他の値が修正されたHPLMNスキャン周期性に選ばれることがある。
【0130】
次に、
図3に示されるシーケンス図には、本発明の方法の効果が示されている。
【0131】
このシーケンス図は、加入者識別モジュール2と、ユーザ装置1と、訪問先セルラネットワークの基地局3と、セルラネットワークの各MMEとの間のメッセージフローを示す。
【0132】
シーケンス図は、ユーザ装置の初期接続がステップS11において完了していると仮定する。
【0133】
そして、ユーザ装置は、eDRX選好があらかじめ設定されているかどうかを、USIM2へのメッセージM1で確認する。これは特にIoTデバイス及び対応するサブスクリプションの場合である。典型的には、IoTサブスクリプションは、正規のスマートフォンサブスクリプションよりも安価であり、その結果、USIM2はセルラネットワークのあまり干渉的でない使用をサポートするデータを保持している。
【0134】
メッセージM2によって、ユーザ装置は、この場合eDRX選好が利用可能であることが知らされる。通常、ユーザ装置は、例えば基地局3の同報通信チャネルを通じて、基地局自体がeDRXをサポートできるかどうかも分かる。この例示的な実施形態では、このような場合が仮定される。
【0135】
次に、循環動作の通常のセットが正規の手順に従って実行される。この場合、これはまず、基地局へのメッセージM3で始まるトラッキングエリア更新TAUである。基地局は、トラッキングエリアがまだ有効である場合に、MMEへのメッセージM4で転送し、受諾を示す応答メッセージをメッセージM5で入手する。これはユーザ装置へメッセージM6で転送される。
【0136】
したがって、メッセージM3~M6によって、通常の成功したTAU要求が実行される。TAU要求頻度はDRXサイクルによって支配される。
【0137】
次に、ホームPLMNスキャンがメッセージM7で実行される。これは、ホームPLMNの基地局が近接し、再選択を行えるほど十分に強力かどうかをチェックする活動である。
【0138】
このホームPLMNスキャンを行う頻度は、加入者識別カード(USIM)に、通常は6分の範囲内で事前設定されており、第1のスキャンは2分後に行われる。この値はオペレータによって事前設定及び提供される。
【0139】
この例示的な実施形態では、ホームセルラネットワーク4aの基地局は見つからない。
【0140】
次に、ユーザ装置は、M1/M2におけるeDRX選好要求に従って、ステップS12においてeDRXサイクルを活性化する。つまりDRXは驚くべき時間だけ拡張される。好ましくは、この活性化はまたメッセージM8で基地局に通知される。
【0141】
これによって、TAU要求は通常のDRXを用いるよりもめったに現れない。ユーザ装置1によりトリガされるTAU要求及びデータ交換がない場合、ユーザ装置は通常、何もする必要がないため、スリープモードのような著しく活動が低下したモードに入る可能性がある。ただし、ローミングシナリオでは、それでもHPLMNスキャンが実行される必要がある。
【0142】
しかしながら、本発明の方法に従えば、HPLMNスキャンの周期性Tは、具体的にはeDRXが活性化される場合に、eDRXサイクルの量まで増加される。代替的に、値はUSIMから、例えばメッセージM2によって取得される。
【0143】
したがって、ステップS13において、スリープモードは活性化され、その間TAU要求もHPLMNスキャンも実行されない。
【0144】
スリープモードを終了させた後、eDRXサイクルが終了したとき、メッセージM9~M12によるTAU要求は実行される。
【0145】
さらに、メッセージM13によって、ホームPLMNスキャンが再度実行される。
【0146】
その後、ステップS14においてeDRXタイマが再起動され、S3から始まる動作フローが再開する。
【0147】
以上の詳細な説明において、例示により、本発明が実施される特定の実施形態を示す添付図面が参照される。これらの実施形態は、当業者が本発明を実施することができるように十分詳細に記載される。異なっていたとしても、本発明の様々な実施形態は必ずしも互いに排他的ではないことは理解されるべきである。例えば、一実施形態と関連して本明細書に記載される特定の特徴、構造、又は特性は、本発明の範囲を逸脱することなく、別の実施形態において実現されてもよい。加えて、開示される各実施形態の範囲内の個別要素の位置又は配置は、本発明の範囲を逸脱することなく変更されてもよいことは理解されるべきである。したがって、以上の詳細な説明は、限定的な意味で受け取られるべきではなく、本発明の範囲は、請求項が権利を得ることができる全範囲の同等物とともに、適切に解釈された、添付の請求項によってのみ定義される。
【国際調査報告】