(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-07-28
(54)【発明の名称】弁修復装置のフレーム解放機構
(51)【国際特許分類】
A61F 2/24 20060101AFI20220721BHJP
【FI】
A61F2/24
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021570296
(86)(22)【出願日】2020-08-05
(85)【翻訳文提出日】2021-11-26
(86)【国際出願番号】 US2020044924
(87)【国際公開番号】W WO2021026184
(87)【国際公開日】2021-02-11
(32)【優先日】2019-08-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】506192652
【氏名又は名称】ボストン サイエンティフィック サイムド,インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】BOSTON SCIENTIFIC SCIMED,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】クランペルマン、グラハム
(72)【発明者】
【氏名】イノウエ、ジョシュア エム.
(72)【発明者】
【氏名】アンダーソン、ジェームズ エム.
【テーマコード(参考)】
4C097
【Fターム(参考)】
4C097AA27
4C097BB01
4C097BB04
4C097BB09
4C097CC01
4C097CC05
4C097CC12
4C097CC18
4C097DD01
4C097DD09
4C097DD10
4C097MM09
4C097SB09
(57)【要約】
ロープロファイルインプラント、システムおよび展開方法は、複数のアンカーハウジングによって支持されている複数のアンカーを含む。アンカーハウジングは、インプラントの展開、作動および係止中にアンカーハウジングにフレームを拘束し、係止後にフレームを解放して、治療部位からフレームを抜き出すことを可能にするように構成されている1つまたは複数の解放機構を含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
近位端と、遠位端と、フレームの前記近位端または前記遠位端のいずれかに連結されたストラットとを有するフレームと、
インプラントを備える弁輪形成術システムにおいて、
前記インプラントは、
複数のアンカーと、
複数のアンカーハウジングであって、少なくとも1つの前記アンカーハウジングが前記複数のアンカーのうちの1つを支持および保持するように構成され、前記少なくとも1つのアンカーハウジングが、前記フレームに前記少なくとも1つのアンカーハウジングを解放可能に結合するように構成されている解放機構を有する、弁輪形成術システム。
【請求項2】
前記少なくとも1つのアンカーハウジングが、
前記少なくとも1つのアンカーハウジングの前記遠位端を通って前記少なくとも1つのアンカーハウジングの近位端から延びているボアと、
前記ボアの壁を通って長手方向に延びているスロットと、を含み、
前記解放機構が、前記スロット内に配置された保持タブであって、遠位下部と、近位頭部と、前記遠位下部から前記近位頭部に延びているアームと、を備える保持タブを含み、前記保持タブが、前記近位頭部の内面が前記ボア内に延びている第1構成と、前記近位頭部の内面が前記ボアの壁と整列している第2構成と、を有する、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記ボアがアンカーを受容するサイズであり、前記アンカーは、駆動シャフトであって、近位コネクタと、前記近位コネクタに結合されている遠位アンカーシャフトと、前記遠位アンカーシャフトの周りに少なくとも部分的に延びているカラーとを含んでなる前記駆動シャフトを備える、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記ボアおよび前記カラーが、前記アンカーハウジングの前記ボア内の前記カラーの遠位移動を可能にするサイズである、請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
前記近位コネクタの第1直径が、前記カラーの第2直径よりも小さく、前記保持タブの前記近位頭部を超えた前記カラーの遠位移動が、前記アンカーハウジング内に前記アンカーを保持するように、前記近位頭部を前記第2構成に移行させる、請求項1~4のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項6】
前記保持タブの前記近位頭部が、前記近位頭部の外面に配置されたフレーム係合形状であって、前記フレームのアンカーハウジング係合形状に噛み合うサイズであるフレーム係合形状を含み、前記保持タブの前記第1構成において、前記フレーム係合形状は前記アンカーハウジング係合形状と係合し、前記第2構成において、前記フレーム係合形状は、前記アンカーハウジング係合形状を解放して、前記インプラントから前記フレームを解放する、請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
前記少なくとも1つのアンカーハウジングの前記解放機構が、
前記フレームに結合されている1次ハウジングと、
アンカーによって前記1次ハウジングに解放可能に結合されている2次ハウジングと、を備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記1次ハウジングが、前記1次ハウジングを通って延びている1次ボアと、1次ボア壁に配置された第1アンカー係合形状と、を含み、前記2次ハウジングが、前記2次ハウジングを通って延びている2次ボアと、2次ボア壁に配置された第2アンカー係合形状であって、前記第1アンカー係合形状が前記1次ボア内に延びているよりも前記2次ボア内でさらに求心方向に延びている第2アンカー係合形状とを有する、請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
前記1次ハウジングが、近位端と遠位端とを有し、前記2次ハウジングが、前記1次ハウジングの前記遠位端と噛み合い係合して、前記1次ボアを前記2次ボアに整列させるように構成されている、請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
前記1次ボアと2次ボアが前記アンカーを支えるサイズであり、前記アンカーは、駆動シャフトであって、近位コネクタと、遠位アンカーシャフトと、前記遠位アンカーシャフトの周りに少なくとも部分的に延びているカラーとを含んでなる前記駆動シャフトを備え、前記遠位アンカーシャフトが、それぞれが前記1次アンカー係合形状または前記2次アンカー係合形状の少なくとも1つに係合するように構成されている少なくとも2つの外部係合形状を有する、請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
前記第1アンカー係合形状の第1求心範囲が、前記アンカーの前記カラーの前記1次ボア内への遠位前進を可能にするように構成されており、前記第2アンカー係合形状の第2求心範囲が、前記カラーの前記2次ボア内への遠位前進を防止するように構成されている、請求項2~7のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項12】
アンカーハウジングのサブセットが、それぞれ、前記サブセットを通って延びている内腔を含み、前記インプラントは、
アンカーハウジングの前記サブセットの前記内腔を通って延びて、アンカーハウジングの前記サブセットに連結される係止コードをさらに備える、請求項2または7に記載のシステム。
【請求項13】
アンカーハウジングの前記サブセットが、それぞれ、前記1次ハウジングと前記2次ハウジングとを含み、前記内腔が前記2次ハウジングを通って延びている、請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
アンカーハウジングのサブセットが、それぞれ、前記サブセットを通って延びている内腔を含むアイレットを含み、前記インプラントは、
アンカーハウジングの前記サブセットの前記アイレットの前記内腔を通って延びて、アンカーハウジングの前記サブセットと連結される係止コードをさらに備える、請求項2または7に記載のシステム。
【請求項15】
前記少なくとも1つのアンカーハウジングが、前記1次ハウジングと前記2次ハウジングとを含み、前記アイレットが、前記2次ハウジングと結合されている、請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
複数のアンカーと、少なくとも2つのアンカーハウジングとを備えるインプラントにおいて、各アンカーハウジングが、
前記アンカーハウジングをインプラント送達システムに解放可能に結合するように構成されている解放機構と、
前記アンカーハウジングの一部を通って延びている係止内腔と、
前記少なくとも2つのアンカーハウジングの前記係止内腔を通って延びて、前記少なくとも2つのアンカーハウジングを連結する係止コードと、
を備える、インプラント。
【請求項17】
少なくとも1つのアンカーハウジングが、
前記少なくとも1つのアンカーハウジングの遠位端を通って前記少なくとも1つのアンカーハウジングの近位端から延びているボアと、
前記ボアの壁を通って長手方向に延びているスロットとを有し、
前記解放機構が、前記スロット内に配置された保持タブであって、遠位下部と、近位頭部と、前記遠位下部から前記近位頭部に延びているアームとを含んでなる保持タブを備え、前記保持タブが、前記近位頭部の内面から前記ボア内に延びている第1構成と、前記近位頭部の内面が前記ボアの前記壁と整列している第2構成とを有する、請求項16に記載のインプラント。
【請求項18】
前記インプラント送達システムがフレームを備え、前記保持タブの前記近位頭部が、前記近位頭部の外面に配置されたフレーム係合形状であって、前記フレームのアンカーハウジング係合形状と噛み合うサイズのフレーム係合形状を有し、前記保持タブの前記第1構成において、前記フレーム係合形状は前記アンカーハウジング係合形状と係合し、前記第2構成において、前記フレーム係合形状は、前記アンカーハウジング係合形状を解放して、前記インプラントから前記フレームを解放する、請求項17に記載のインプラント。
【請求項19】
前記インプラント送達システムがフレームを備え、前記少なくとも1つのアンカーハウジングの前記解放機構が、前記フレームに結合されている1次ハウジングと、アンカーによって前記1次ハウジングに解放可能に結合されている2次ハウジングとを有し、前記係止内腔が前記2次ハウジングによって設けられる、請求項18に記載のインプラント。
【請求項20】
弁輪形成方法において、
インプラントシステムを弁輪に展開するステップであって、前記インプラントシステムは、フレームと、複数のアンカーハウジングによって移動可能に支持されている複数のアンカーを含むインプラントとを備え、前記複数のアンカーハウジングは、各アンカーハウジングの解放機構によって前記フレームに解放可能に結合されている、前記インプラントシステムを弁輪に展開するステップと、
前記複数のアンカーハウジングを通して、少なくとも部分的に、前記複数のアンカーを、前記弁輪内に動かすことによって前記弁輪に前記インプラントを固定するステップと、
前記フレームの係止機構を用いて前記弁輪を係止するステップと、
各アンカーハウジングの前記解放機構を用いて前記複数のアンカーハウジングから前記フレームを解放するステップと、
前記弁輪から前記フレームを取り出すステップと、
を備える、弁輪形成方法。
【請求項21】
少なくとも1つのアンカーハウジングが、前記少なくとも1つのアンカーハウジングの遠位端を通って前記少なくとも1つのアンカーハウジングの近位端から延びているボアを有し、各アンカーハウジングの前記解放機構が、前記ボア内に配置され、保持タブが付勢されていない状態での前記フレームのアンカー係合形状との噛み合い係合のために構成されたフレーム係合形状を有する前記保持タブを含み、前記複数のアンカーハウジングから前記フレームを解放するステップは、前記保持タブが、付勢された状態に復帰して前記アンカー係合形状から前記フレーム係合形状を解放するまで前記少なくとも1つのアンカーハウジングを通してアンカーを遠位に移動させるステップを含む、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
少なくとも1つのアンカーハウジングが、前記フレームに結合されている1次ハウジングと、アンカーによって前記1次ハウジングに解放可能に結合されている2次ハウジングとを備え、各アンカーハウジングの前記解放機構が、前記1次ハウジングの1次ボア内に配置された第1アンカー係合形状と、前記2次ハウジングの2次ボア内に配置された第2アンカー係合形状であって、前記1次ボア内に延びている前記第1アンカー係合形状よりも前記第2ボア内にさらに求心方向に延びている第2アンカー係合形状とを有し、前記複数のアンカーハウジングから前記フレームを解放するステップは、前記複数のアンカーの近位アンカーカラーが前記2次ハウジング内に延びて、前記第2アンカー係合形状によってさらなる遠位移動が防止されるまで、前記1次ハウジングおよび前記2次ハウジングを通して前記複数のアンカーを遠位に移動させるステップを含む、請求項20に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に、埋め込み型医療機器の分野に関する。特に、本開示は、弁輪形成術および他の心臓治療法のための医療機器、システムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
僧帽弁閉鎖不全症(MI)(僧帽弁逆流または僧帽弁不全とも呼ばれる)は、僧帽弁輪が過剰に拡大して収縮期収縮時に弁葉が効果的に閉鎖または接合しなくなる心疾患の一種である。心室収縮時に血液の逆流が生じ、その結果、心拍出量が低下する可能性がある。たとえば弁輪の周りに弁輪形成リングを埋め込むことによって僧帽弁をその天然の形状に修復するための管腔内弁輪形成術法が導入されている。このようなインプラントに発生する問題点の1つは、それらのサイズが、インプラントと心臓壁との間の意図しない接触を引き起こす可能性があるということであり、それがインプラントの有効性を減少させることである。このような接触の機会を減少させるためにインプラントのサイズを最小限にすることが望ましく、これらの考察を考慮して、本開示の改善は有用である可能性がある。
【発明の概要】
【0003】
本開示の実施形態は、心臓弁輪などの弁輪を再形成するためのシステム、装置および方法に関する。
一態様によれば、弁輪形成術システムは、近位端と、遠位端と、フレームの近位端または遠位端のいずれかに連結されたストラットとを有するフレームと、インプラントと、を含む。インプラントは、少なくとも1つのアンカーハウジングが複数のアンカーのうちの1つを支持および保持するように構成され、少なくとも1つのアンカーハウジングがフレームに前記少なくとも1つのアンカーハウジングを解放可能に結合するように構成されている解放機構を含む、複数のアンカーと、複数のアンカーハウジングと、を含んでもよい。
【0004】
一実施形態において、少なくとも1つのアンカーハウジングは、前記少なくとも1つのアンカーハウジングの遠位端を通って少なくとも1つのアンカーハウジングの近位端から延びているボアと、ボアの壁を通って長手方向に延びているスロットと、を含んでもよい。解放機構は、スロット内に配置された保持タブを含んでもよい。一実施形態において、保持タブは、遠位下部と、近位頭部と、遠位下部から近位頭部に延びているアームと、を含んでもよい。保持タブは、近位頭部の内面がボア内に延びている第1構成と、近位頭部の内面がボアの壁と整列している第2構成と、を含んでもよい。ボアは、アンカーを受容するサイズであってもよく、アンカーは、近位コネクタと、近位コネクタに結合されている遠位アンカーシャフトと、遠位アンカーシャフトの周りに少なくとも部分的に延びているカラーと、を含む駆動シャフトを含んでもよい。いくつかの実施形態において、ボアおよびカラーは、アンカーハウジングのボア内のカラーの遠位移動を可能にするサイズであってもよい。近位コネクタの第1直径は、カラーの第2直径よりも小さくてもよく、保持タブの近位頭部を超えたカラーの遠位移動は、アンカーハウジング内にアンカーを保持するように、近位頭部を前記第2構成に復帰させてもよい。一実施形態において、保持タブの近位頭部は、近位頭部の外面に配置されたフレーム係合形状を含んでもよい。フレーム係合形状は、フレームのアンカーハウジング係合形状と噛み合うサイズであってもよい。保持タブの第1構成において、フレーム係合形状は、アンカーハウジング係合形状と係合してもよく、第2構成において、フレーム係合形状は、アンカーハウジング係合形状を解放して、インプラントからフレームを解放してもよい。
【0005】
一実施形態において、少なくとも1つのアンカーハウジングの解放機構は、フレームに結合されている1次ハウジングと、アンカーによって1次ハウジングに解放可能に結合されている2次ハウジングと、を含んでもよい。1次ハウジングは、該1次ハウジングを通って延びている1次ボアと、1次ボア壁に配置された第1アンカー係合形状と、を含んでもよい。2次ハウジングは、該2次ハウジングを通って延びている2次ボアと、2次ボア壁に配置された第2アンカー係合形状であって、第1アンカー係合形状が1次ボア内に延びているよりも2次ボア内でさらに求心方向に延びている第2アンカー係合形状と、を含んでもよい。1次ハウジングは、近位端と、遠位端と、1次ハウジングの遠位端と噛み合い係合して、1次ボアを2次ボアに整列させるように構成されていてもよい2次ハウジングと、を含んでもよい。一実施形態において、1次ボアと2次ボアは、アンカーを支持するサイズであってもよく、アンカーは、近位コネクタと、遠位アンカーシャフトと、遠位アンカーシャフトの周りに少なくとも部分的に延びているカラーと、を含む駆動シャフトを含んでもよい。遠位アンカーシャフトは、それぞれが1次アンカー係合形状または2次アンカー係合形状の少なくとも1つに係合するように構成されている少なくとも2つの外部係合形状を含んでもよい。一実施形態において、第1アンカー係合形状の第1求心範囲は、アンカーのカラーの1次ボア内への遠位前進を可能にするように構成されていてもよく、第2アンカー係合形状の第2求心範囲は、カラーの2次ボア内への遠位前進を防止するように構成されていてもよい
さらなる態様によれば、インプラントは、複数のアンカーと、少なくとも2つのアンカーハウジングと、を含む。各アンカーハウジングは、アンカーハウジングをインプラント送達システムに解放可能に結合するように構成されている解放機構を含む。インプラントは、アンカーハウジングの一部を通って延びている係止内腔と、少なくとも2つのアンカーハウジングの係止内腔を通って延びて、少なくとも2つのアンカーハウジングを連結する係止コードも含む。
【0006】
一実施形態において、少なくとも1つのアンカーハウジングは、少なくとも1つのアンカーハウジングの遠位端を通って少なくとも1つのアンカーハウジングの近位端から延びているボアと、ボアの壁を通って長手方向に延びているスロットと、を含んでもよい。解放機構は、スロット内に配置された保持タブであって、遠位下部と、近位頭部と、遠位下部から近位頭部に延びているアームと、を含む保持タブを含んでもよく、保持タブは、近位頭部の内面がボア内に延びている第1構成と、近位頭部の内面がボアの壁と整列している第2構成と、を含んでもよい。一実施形態において、インプラント送達システムは、フレームを含んでもよく、保持タブの近位頭部は、近位頭部の外面に配置されたフレーム係合形状であって、フレームのアンカーハウジング係合形状と噛み合うサイズのフレーム係合形状を含んでもよい。一実施形態において、保持タブの第1構成において、フレーム係合形状は、アンカーハウジング係合形状と係合してもよく、第2構成において、フレーム係合形状は、アンカーハウジング係合形状を解放して、インプラントからフレームを解放してもよい。一実施形態において、インプラント送達システムはフレームを含んでもよく、少なくとも1つのアンカーハウジングの解放機構は、フレームに結合されている1次ハウジングと、アンカーによって1次ハウジングに解放可能に結合されている2次ハウジングと、を含んでもよい。係止内腔は、2次ハウジングによって提供されてもよい。
【0007】
さらなる態様によれば、弁輪形成方法は、フレームと、複数のアンカーハウジングによって移動可能に支持されている複数のアンカーを含むインプラントと、を含むインプラントシステムを弁輪に展開するステップを含む。複数のアンカーハウジングは、各アンカーハウジングの解放機構によってフレームに解放可能に結合されている。方法は、複数のアンカーハウジングを通して弁輪内に少なくとも部分的に複数のアンカーを動かすことによってインプラントを弁輪に固定するステップと、フレームの係止機構を用いて弁輪を係止するステップと、各アンカーハウジングの解放機構を用いて複数のアンカーハウジングからフレームを解放するステップと、弁輪からフレームを取り出すステップと、を含む。
【0008】
一実施形態において、方法少なくとも1つのアンカーハウジングは、少なくとも1つのアンカーハウジングの遠位端を通って少なくとも1つのアンカーハウジングの近位端から延びているボアを含んでもよく、各アンカーハウジングの解放機構は、ボア内に配置され、保持タブが付勢されていない状態でのフレームのアンカー係合形状との噛み合い係合のために構成されたフレーム係合形状を有する保持タブを含んでもよい。複数のアンカーハウジングからフレームを解放するステップが、保持タブが、付勢された状態に復帰してアンカー係合形状からフレーム係合形状を解放するまで少なくとも1つのアンカーハウジングを通してアンカーを遠位に移動させるステップを含んでもよい。
【0009】
一実施形態において、少なくとも1つのアンカーハウジングは、フレームに結合されている1次ハウジングと、アンカーによって1次ハウジングに解放可能に結合されている2次ハウジングと、を含んでもよい。各アンカーハウジングの解放機構は、1次ハウジングの1次ボア内に配置された第1アンカー係合形状と、2次ハウジングの2次ボア内に配置された第2アンカー係合形状であって、1次ボア内に延びている第1アンカー係合形状よりも第2ボア内にさらに求心方向に延びている第2アンカー係合形状と、を含んでもよい。複数のアンカーハウジングからフレームを解放するステップは、複数のアンカーの近位アンカーカラーが2次ハウジング内に延びて、第2アンカー係合形状によってさらなる遠位移動が防止されるまで、1次ハウジングおよび2次ハウジングを通して複数のアンカーを遠位に移動させるステップを含んでもよい。
【0010】
このような構成により、柔軟性の向上と、心臓組織との意図しない接触の可能性の低減とを有するロープロファイル弁輪インプラントが提供される。
縮尺どおりに描かれているものではない模式図である添付の図面を参照しながら、本開示の非限定的な実施形態を例として説明する。図において、それぞれの同一のまたはほぼ同一の図示された構成要素は、通常、単一の数字で表されている。明確にするために、すべての構成要素がすべての図でラベル付けされているわけでもなく、また当業者が開示を理解できるようにするために図解が必要でない場合、各実施形態のすべての構成要素が示されているわけでもない。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】様々な実施形態において開示されているアンカーハウジングを含むインプラントの一実施形態の図である。
【
図2A】本開示の実施形態に従って構成されたアンカーハウジングのフレームの頂部を示す。
【
図2C】
図2Aに開示されているアンカーハウジングを含むインプラントの一部の一実施形態の断面図の図解である。
【
図3】アンカーハウジングを通って前進したアンカーを示す、
図2Aに開示されているアンカーハウジングを含むインプラントの一部の一実施形態の断面図の図解である。
【
図4A】本明細書で開示されているフレーム解放機構および解放されたインプラント構成要素の一実施形態を示す。
【
図4B】本明細書で開示されているフレーム解放機構および解放されたインプラント構成要素の一実施形態を示す。
【
図5A】本開示によるモジュラーアンカーハウジングの一実施形態を示す。
【
図5B】本開示によるモジュラーアンカーハウジングの一実施形態を示す。
【
図5C】本開示によるモジュラーアンカーハウジングの一実施形態を示す。
【
図5D】本開示によるモジュラーアンカーハウジングの一実施形態を示す。
【
図6】インプラントの例示的な展開方法の間の
図5A~
図5Dのアンカーハウジングを示す。
【
図7A】本開示によるアンカーハウジングのフレーム解放機構の一実施形態を示す。
【
図7B】本開示によるアンカーハウジングのフレーム解放機構の一実施形態を示す。
【
図8A】本明細書で開示されている、アンカーハウジングを通って延びている内腔を含むアンカーハウジングの様々な実施形態を示す。
【
図8B】本明細書で開示されている、アンカーハウジングを通って延びている内腔を含むアンカーハウジングの様々な実施形態を示す。
【
図8C】本明細書で開示されている、アンカーハウジングを通って延びている内腔を含むアンカーハウジングの様々な実施形態を示す。
【
図9A】本明細書で開示されている、アンカーハウジングの部分を含む弁輪形成術構成要素を展開し取り出す方法の一実施形態を示す。
【
図9B】本明細書で開示されている、アンカーハウジングの部分を含む弁輪形成術構成要素を展開し取り出す方法の一実施形態を示す。
【
図9C】本明細書で開示されている、アンカーハウジングの部分を含む弁輪形成術構成要素を展開し取り出す方法の一実施形態を示す。
【
図10】本明細書で開示されている、フレームの解放を含むインプラントの展開の制御のために使用してもよい例示的なハンドルの実施形態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本明細書において様々な実施形態で開示されるロープロファイルインプラント、システムおよび展開方法は、一般に、近位端と遠位端とを有する管状フレームを含む。一実施形態において、フレームは、心臓弁のカスタム再形成のために構成される。フレームの遠位端は、1つまたは複数のアンカーハウジングを含み、各アンカーハウジングは、該アンカーハウジングを通して治療部位の組織に前進可能なアンカーを保持する。様々な実施形態において、アンカーハウジングは、心臓弁のカスタム再形成を制御および維持するためにまたは制御もしくは維持するために、アンカーハウジングの少なくとも一部を通って延びている内腔であって、アンカーハウジング同士を結び付けるための係止コードを支持するように構成されている内腔を含んでもよい。
【0013】
一態様によれば、各アンカーハウジングは、インプラント展開および心臓弁再形成中にフレームをアンカーハウジングに拘束し、心臓弁再形成後にフレームを解放して治療部位からフレームを除去するように構成されている1つまたは複数の解放機構を含んでもよい。アンカーハウジングは、組織内へのアンカーの展開後にアンカーハウジング内にアンカーを固定するように構成されている少なくとも1つの保持形状も含んでもよい。得られるロープロファイルインプラントは、インプラントと心臓壁との間の不慮の接触の可能性とそれに関連する副作用とを減少させ、軽量のフレーム材料の使用を可能にする。なぜなら、フレームが除去され、したがって慢性使用のために作られる必要がないためである。
【0014】
インプラントのこれらおよびその他の有益な態様および展開方法について、さらに詳細に以下で述べる。本開示の実施形態は、僧帽弁を具体的に参照して述べてもよいが、本明細書で開示されている原理には、たとえば三尖弁輪を含む任意の弁輪の再建を促進するために容易に適用できる可能性と、任意の他の拡張、弁不全、弁漏れおよび他の同様な心不全状態に同様に役立つ可能性と、の両方または一方がある。
【0015】
本明細書で用いる場合、用語「遠位」は、患者に医療機器を挿入する際に医療専門家から最も離れている端部を指す一方で、用語「近位」は、患者に医療機器を挿入する際に医療専門家から最も近い端部を指す。
【0016】
図1は、心臓弁または他の心臓形状の周りに配置してもよいフレーム110を含むインプラント100を示す。明確にするために、必ずしもすべてのインプラントの構成要素に番号を付しているわけではない。一実施形態において、フレーム110は、フレームの中心点を通って近位から遠位に延びているフレーム中心軸Yに沿って円周方向かつ部分的に軸方向に延びていてもよい。フレーム110は、フレーム中心軸に対して大略的に対称であってもよいが、必ずしも対称である必要はない。フレーム110は、大略的に管状形状を形成してもよく、本明細書において、「管状」は、円形の形状だけでなく、他の丸い、または別様に閉じた形状を含む。フレーム110は、形状、サイズおよび/または構成を変更するように構成されていてもよい。たとえば、フレーム110は、送達前、送達中、組織係合中および係止中などの異なる段階での展開において、様々な形状、サイズ、構成などを想定してもよい。
【0017】
一実施形態によれば、フレーム110は、フレーム110の全部または一部を形成してもよい1本または複数本のストラット112で形成されてもよく、ストラット112は、金属合金、形状記憶材料(たとえばニッケルチタン合金または他の金属)、複数の金属合金、プラスチック、ポリマー、複合物、他の適切な材料またはそれらの組み合わせで形成される細長い構造部材を含んでもよい。
図1では、16本のストラット112が示されているが、いくつかの実施形態において、ストラットが16本よりも少ないかまたは多くてもよいことは当然である。
【0018】
一実施形態において、フレーム110のストラット112は、同じモノリシック材料構成要素(たとえば素管)で形成されてもよい。したがって、ストラット112への言及は、同じ広範な構成要素の異なる部分への言及であってもよい。あるいは、ストラット112への言及は、別々に形成されて(たとえば溶接または他の方法によって)永久的に取り付けられた構成要素への言及であってもよい。いくつかの実施形態において、ストラット112は、着脱可能に結合されて近位頂部150および遠位頂部152を形成する別個の構成要素であってもよい。たとえば、ストラット112は、それらの近位頂部でアクチュエータ130によって結合され、それらの遠位頂部でアンカーハウジング120によって結合されて示されている。
【0019】
いくつかの実施形態において、用語「頂部」、「複数の頂部」などは、本明細書で用いる場合、および参照によって本願に組み込まれる任意の参照で使用される場合、別途記載のない限り、用語「クラウン」、「複数のクラウン」などと同義で使用されてもよい。一実施形態において、「頂部」は、フレームの近位部または遠位部を含んでもよい。
【0020】
一実施形態において、アクチュエータ130は、フレーム110の近位端に回転可能に保持されるアクチュエータシャフト134を含む。たとえば、アクチュエータシャフト134の頭部は、アクチュエータカラー132内に含まれ、フレーム110の近位頂部150において窓部または他の開口部(図示せず)に保持されて、アクチュエータカラー132内のシャフト134の回転を可能にしてもよい。アクチュエータシャフト134は、近位端に配置された駆動カプラ136を含んでもよい。
【0021】
アクチュエータカラー132は、駆動カプラ136に結合されているアクチュエータ駆動管によるアクチュエータシャフト134の回転がアクチュエータシャフト134の上およびストラット112の上にアクチュエータカラー132を軸方向に移動させるようにアクチュエータシャフト134の形状と相互作用するように構成されている、内部形状を含んでもよい。いくつかの実施形態において、アクチュエータカラーの軸方向の移動または拘束に適用される「軸方向」は、少なくとも部分的に近位方向または遠位方向であってフレームを通って(たとえば近位から遠位に)延びている中心軸に平行または大略的に平行な方向を含む。
図1に示すように、ストラット112は、近位頂部から離れて対向する方向に延びている。アクチュエータカラー132の遠位移動は、アクチュエータカラー132内でストラット112をまとめて引っ張り、それによって、弁輪のカスタマイズのためにアンカーハウジング120間の距離を減少させる。アクチュエータカラー132は、関連するアンカー対の再形成目的で独立して作動させてもよい。
【0022】
インプラントは、さらに、係止コード140によって結合されているアンカーハウジング120を含む。様々な実施形態において以下説明するように、アンカーハウジングは、アンカーハウジング120の少なくとも一部からフレーム110を解放するように構成されている1つまたは複数の解放機構を含んでもよい。アンカーハウジング120は、アンカーハウジング120内にアンカー124を保持するように構成されている1つまたは複数の保持形状を含んでもよい。いくつかの実施形態において、係止コード140は、ナイロンまたは他の縫合材料でできていてもよく、アンカーハウジング120からのフレーム110の解放の前またはその後に、アンカーハウジング120の相対位置を保持および変更するようにまたは保持もしくは変更するように用いられてもよい。
【0023】
各アンカーハウジング120は、
図1で螺旋シャフトを含んで示されているアンカーシャフト127に結合されている近位頭部126を有するアンカー124を保持する。アンカー124の近位頭部に配置された駆動カプラ125は、駆動管(図示せず)の補完的な形状と協働して、アンカーハウジング120を通してアンカー124を組織内に軸方向に移動させるように構成されている。さらに詳しく以下で説明するように、アンカーハウジング120によってアンカー124が組織内に動かされた時点で、フレーム110はアンカーハウジング120の少なくとも一部から解放されてもよい。
【0024】
図2Aは、カスタマイズ可能なロープロファイルインプラント200の一実施形態の断面図を示しており、図中、ストラット212a、212h、アンカー211a、211eおよびアンカーハウジング210a、210eが断面図で示されている。インプラント200は、複数本のストラット212a~212hを含むフレーム223を含む。隣接するストラットがアンカーハウジング210a~210eによって遠位端で結合されて示されており、たとえばストラット212aは、アンカー頭部スリーブ213a内に配置され、ストラット212hは、アンカー頭部スリーブ213h内に配置されている。一実施形態において、アンカーハウジング210aは、展開中にストラット212aを保持し、展開後にストラット212aを解放し、および/または、展開されたアンカー211aを組織係合後にアンカーハウジング210aに固定するように構成されている。アンカーハウジングは、インプラントを調節/固定するための係止コード220を摺動可能に支持するための、該アンカーハウジングを通って延びている内腔を含んでもよい。
図2Aにおいて、アンカーハウジング210aおよび210eは、保持タブ217a、217eを強調するために断面図で示されている。一実施形態において、保持タブ217a、217eは、アンカーハウジングからのフレームの保持/解放と、アンカーハウジングへのアンカーの固定とを可能にする二重目的に役立たせてもよい。アンカーハウジングの一部としてフレーム保持/解放機構を提供することによって、患者および罹患した弁の特定のニーズまたは患者もしくは罹患した弁の特定のニーズによる弁輪インプラントをカスタマイズするためにフレームを有益に用い、後にそれを解放してインプラントプロファイルを最小限にすることが可能となる。アンカーハウジング内にアンカー固定機構を提供することによって、慢性使用中の、アンカーの移動およびバックアウトに関連する問題が減少する。
【0025】
一態様によれば、各アンカーハウジング210a~210eは、各アンカーハウジング210a~210eを通ってアンカー211a~211eが移動して組織に係合してもよいように、大略的に外周において、アンカーの外径に整合するボア233a、233eなどのボアを含む。各ボア233a、233eは、ボア壁に配置されたねじ山、リッジ、カットなどのアンカー係合形状を含んでもよい。アンカー係合形状は、アンカーと相互作用してアンカーハウジングを通してアンカーを移動させてもよく、たとえば、ボア233aの壁に配置された係合形状は、アンカー211aのターンが、アンカー211aの駆動装置216aの回転中にそれに沿って乗ってアンカーの遠位または近位移動を提供するリッジを含んでもよい。一態様によれば、各アンカーハウジングは、少なくとも部分的にボアの近位端に延びているレッジ255a、255eなどのアンカー係合形状を含んでもよい。様々な実施形態において、さらに詳しく以下で説明するように、レッジ255a、255eは、ボアを通してアンカーの前進を導く係合形状と、ボア内へのアンカーの保持形状の前進を防止して、アンカーの保持形状を下記のようにアンカーハウジングにロックすることを可能にする保持形状としての両方に役立つ。保持タブ217a、217eは、ボアのスロット内に配置されてもよい。
【0026】
保持タブ217aは、
図2Bにおいて、アンカーハウジング210aに拘束されてもよくまたはアンカーハウジング210aと一体であってもよい遠位下部246を含むことが断面図でさらに詳細に示されている。保持タブ217aは、アンカーハウジング210aの近位面260の上部に延びている近位頭部244と、遠位下部246を近位頭部244に連結している、弾力性のあるアーム245と、をさらに含む。一実施形態において、弾力性のあるアーム245は、形状記憶金属(たとえばニチノール(登録商標))、スプリング強化ステンレス鋼、PEEKプラスチックもしくは他の強固な柔軟性材料または複数の材料の組み合わせで構成されてもよい。一実施形態において、弾力性のあるアームは、ボア233aの中心軸に向けて付勢され、
図2Bに示す付勢されていない位置と、ボア233aによって規定される空間容積253aに近位頭部244が干渉する付勢された位置との間のアーム245の自由な移動のためにボアのスロット内に位置決めされてもよい。さらに詳しく以下で説明するように、ボア233aによって規定される空間容積253aに対する近位頭部244の干渉によって、ボア233a内にアンカーをロックして、使用中のアンカーバックアウトを防止してもよい。
【0027】
一態様によれば、近位頭部244は、アンカーロックに適した形状を含んでもよい。たとえば、近位頭部244は、アンカーハウジング210aのボア233aの中心軸に向いた内面243を含んでもよい。内面243は、アンカーのねじ山間の間隔に応じて選択された内のり高さ(IFH)を有していてもよい。内面243は、アンカーの保持形状と協働して、アンカーハウジング210a内にアンカーを保持してもよい。
【0028】
たとえば、
図2Cは、駆動装置216aに結合して示されている駆動カプラ257を含む近位シャフト215を有するアンカー211aを示す。カラー221は、近位シャフト215から径方向に延びており、また螺旋シャフト219は、近位シャフト215に結合して示されている。アンカー211aは、アンカーハウジング210aのボア233aを通って延びて示されている。保持アーム217aの近位頭部244のIF
Hは、螺旋シャフトのターンの間に入ることなく、またアンカーの移動に干渉することなく、保持アーム217aの近位頭部244の内面243が螺旋シャフト219の外面に沿って動くことを可能にするために、螺旋シャフト219のターン間の最大間隔に等しいかまたは該最大間隔を超えてもよい。
【0029】
様々な実施形態において、アンカー211aなどのアンカーは、ステンレス鋼、コバルトクロム、白金イリジウム、ニッケルチタン、他の適切な材料またはそれらの組み合わせなどの適切な生体適合性金属合金によって作られてもよい。各アンカーは、心臓組織への侵入を容易にするために、その遠位点または先頭のターンにおいて尖っていてもよい。各アンカーは、全軸方向長さが約10~約15ミリメートル(mm)であってもよい。いくつかの実施形態において、アンカーは、全軸方向長さが10~15ミリメートル(mm)よりも短くてもよいし、または長くてもよい。「全」軸方向長さとは、遠位侵入チップの端部から、反対側である駆動カプラ257の近位端までのアンカーの軸方向長さを意味する。螺旋シャフト219は、軸方向長さで、すなわち軸方向で、約6~約12ミリメートル(mm)であってもよい。いくつかの実施形態において、アンカーの螺旋部分は、軸方向長さで6~12ミリメートル(mm)よりも短くてもよいし、または長くてもよい。アンカーの頭部および他の非螺旋部分またはアンカーの頭部もしくは他の非螺旋部分は、軸方向長さで約3~約4ミリメートル(mm)であってもよい。いくつかの実施形態において、螺旋径の範囲は、コイルのピッチ角が約20度になるように、(0.13センチ~0.20センチ(0.050インチ~0.080インチ))まで広がってよく、ピッチは(0.08センチ~0.20センチ)0.030インチ~0.080インチ))まで広がってよい。
【0030】
一実施形態において、カラー221は、組織内へのアンカー211aの展開後に、弾力性のあるアーム217aの近位頭部244の内面243と協働してアンカーハウジング210aにアンカー211aをロックするための、アンカー211aの保持形状を提供する。一実施形態において、カラー221の直径は、螺旋シャフト219の外径と関係する。いくつかの実施形態において、カラー221の直径は螺旋シャフト219の外径に整合する。いくつかの実施形態において、駆動カプラ257aは、カラー221よりも小さい直径を有する。たとえば、
図2Cに示すように、駆動カプラ257aの直径は、螺旋シャフト219の内径を通って延びている駆動シャフト215の直径と一致してもよい。駆動装置216aの外径は、カラー221の外径と一致してもよいしそれを超えてもよい。
【0031】
図2Bに戻って参照すると、一実施形態において、アームの長さL
Aは、保持アーム217aの近位頭部244の遠位端とアンカーハウジング210aの近位面260との間のオフセット251が、アンカーの保持形状の厚さと少なくとも等しいように選択される。たとえば、アンカーの保持形状がカラー221を含む実施形態(
図2C)において、アーム245が付勢された位置に移動して近位頭部244がボアの中心軸に向かって前進するときに、オフセットは、アンカーハウジング210aの近位面260によって形成されるレッジ255aと保持タブ217aの近位頭部244の遠位表面252との間でカラー221aが保持されることを可能にするように選択される。したがって、アーム長さL
Aは、アンカーハウジングの高さ(AH
H)にアンカーの保持形状の厚さを足した長さと少なくとも等しくてもよい。言い換えれば、オフセット251は、アンカーの保持形状の厚さを超えるかまたは該厚さと等しくてもよい。
【0032】
いくつかの実施形態において、アンカーの保持形状に加えて、近位頭部244は、フレームの保持および解放または保持もしくは解放のために、フレームのアンカーハウジング係合形状と嵌合するのに適したフレーム係合形状をさらに含んでもよい。たとえば、近位頭部244は、近位頭部の外面に配置されたリップ242などの突起を含んでもよく、ここで、「内部」または「内側」は、ボアに向いた近位頭部の表面を指し、「外部」または「外側」表面は、内面以外の表面を意味する。一実施形態において、リップ242は、アンカーハウジング210a内のアンカーハウジングスリーブ213aを通って延びているフレームのストラットのスロットに摺動可能に係合するサイズである。
【0033】
たとえば、
図2Cは、アンカーハウジングスリーブ213a内に配置され、保持アーム217aの近位頭部244のリップ242に摺動可能に係合するように適合されたスロット254を含むストラット212aを示す。そのように係合されると、リップ242はスリーブ213a内にストラット212aを保持して、ストラット212aをハウジング210aに結合させる。代替実施形態において、近位頭部244の外面は、フレームのストラットに設けられるタブまたは他の突起を摺動可能に受容するように構成されているスロットまたは他の開口部を含んでもよい。いずれかの実施形態において、付勢されていない位置から付勢された位置へのアーム245の移行によって、フレームのスロット254からリップ242が解放され、それによってハウジング210aのアンカーハウジングスリーブ213aからストラット212aが解放される。一実施形態において、リップ242または他の突起の長さは、保持アーム217aが付勢された位置にあるとき、ストラット212a内のスロット254からリップ242が完全に解放されることを確実にするように選択されてもよい。
【0034】
図3は、ストラット212a、212b、212cに結合され、遠位に展開されたアンカー211a、211bを支持するアンカーハウジング210a、210bを示す。
図3において、アンカー211a、211bは、組織に係合した構成で示され、駆動装置216aおよび216bは前進して、アンカーハウジング210a、210bによってそれぞれのアンカー211a、211bを移動させている。移動は、たとえば、アンカー211aのカラー221が、保持タブ217aの近位頭部244およびレッジ255aを通り越して遠位に前進して、アンカー211aのさらなる遠位移動が阻止されるまで続けられる。駆動装置216a、216bの外面は、それらの付勢されていない構成で保持タブ217a、217bを保持する。
【0035】
図4Aは、アンカー展開後の、上記で開示されたフレーム解放およびアンカー固定機構を含むアンカーハウジングを示す。
図4Aにおいて、アンカーハウジング210aおよび関連する構成要素が断面図で示されている。レッジ255a、255b(見えない)によってカラー221a、221bのさらなる遠位前進が防止されるような螺旋アンカー219a、219bの遠位前進後に、アンカー駆動装置216a、216bは駆動カプラ225a、225bから解放されてもよい。駆動カプラ225aからの駆動装置216aの解放は、保持タブ217a、217bの付勢に抗して作用する、近位頭部244にかかる力を軽減し、保持タブ217aのアーム245がその付勢された位置に復帰することを可能にする。
図4Aで示されている付勢された位置において、保持タブ217aの近位頭部244は、ボアの中心軸に向けて前進し、保持タブ217aの近位頭部244とアンカーハウジングのレッジ255aとの間にカラー221を保持するために、シャフト215aのカラー221の上に近位頭部244をロックする。
【0036】
一実施形態において、ボアの中心軸に向けての求心方向への近位頭部244の前進は、ストラット212aのスロット224からリップ242を抜き出し、ストラット212aがハウジング210aのスリーブ213aから解放されることを可能にする。その結果、アンカーハウジング、アンカーおよび係止コード220のみからなるロープロファイルインプラントが心腔内に留まる。
【0037】
図4Bは、アンカー211a~211eが心臓組織などの組織450に打ち込まれ、かつフレームが心腔から抜き出された後に留まってもよいインプラント200の一部を示す。
図4Bに示されるように、アンカーハウジング210a~210e、アンカー211a~211eおよび係止コード220のみが心腔内に留まる。得られるインプラントの高さは、アンカーハウジング210a~210eと、駆動カプラ257a~257eがアンカーハウジングから延びている近位範囲の高さにまで減少している。その結果、インプラントプロファイルが大幅に減少し、心臓形状との不慮の接触の可能性が最小化される可能性がある。
【0038】
図5A~
図5Dは、心腔からの除去のために弁輪形成術構成要素を解放し、治療部位への展開後にアンカーハウジング内にアンカーを保持するように構成されている保持/解放機構を含むアンカーハウジングの他の実施形態の様々な斜視図を提供する。アンカーハウジング500は、1次アンカーハウジングと2次アンカーハウジングとの嵌合係合を提供するスエージ、レールまたは他の形状を含む1次アンカーハウジング510および2次アンカーハウジング520を含むモジュラーソリューションを提供する。1次および2次アンカーハウジングは、心臓弁輪に打ち込むアンカーを支持するために十分な構造的完全性を有する金属材料およびポリマーまたは金属材料もしくはポリマーから形成されてもよい。また、材料は、生体適合性および疲労抵抗性に基づいて選択されてもよい。材料は、ステンレス鋼、ニッケルチタン、コバルトクロム、熱分解炭素、Nitinol、ポリマー材料(たとえばPEEK)、および/または他の適切なフレーム材料を含むことができるであろう。場合によって、アンカースリーブは、線維症および凝固の両方または一方を防止するために、薬物溶出性材料でコーティングされてもよい。
【0039】
1次アンカーハウジング510は、弁輪形成術システムのフレームまたは他の調整機構を有する固定付属品のために構成されてもよい。たとえば、1次アンカーハウジング510は、
図1のもののようなフレームのストラットを1つまたは複数固定して収容するサイズのフレームスリーブ514を含むことが示されている。スリーブ514は、1次ハウジング510を通ってまたは1次ハウジング510を部分的に通って延びていてもよい。1次ハウジングは、該1次ハウジングを通って延びているボア512を含んでもよい。
図5Dに示すように、レッジ553は、ボア512内に少なくとも部分的に延びていてもよい。
【0040】
アンカーハウジング500は、ボア522を含む2次ハウジング520も含んでもよい。2次ハウジングは、
図5B、
図5Cおよび
図5Dに示すように、ボア512がボア522と整列するように、1次ハウジングと対をなして積み重ねられていてもよい。2次ハウジングは、ボア522内に求心方向に延びているレッジ555を含んでもよい。一実施形態において、1次ハウジング510のレッジ553と2次ハウジングのレッジ555との間の空間は、レッジ553とレッジ555とが、ボア512、522を通したアンカーの遠位移動中にアンカーを導くアンカー係合形状を提供するように、螺旋アンカーの1つまたは複数のターンを支持するために選択される。一態様によれば、ボア512、522内に配置された螺旋アンカーのターンは、1次ハウジングを2次ハウジングに結合する。
【0041】
一態様によれば、1次ハウジングのレッジ553の求心範囲は、2次ハウジングのレッジの求心範囲よりも小さい。アンカーの保持形状は、レッジ553による干渉なしに、保持形状がボア512を通って前進することを可能にするが、第2ボア522内への保持形状のさらなる遠位移動を阻止する求心範囲を含む。
【0042】
図6は、
図5A~
図5Dで開示されたようなモジュラーアンカーハウジング650(
図6で断面図で示されている)を含むインプラントシステム600の一部の一実施形態を示す。アンカーハウジング650は、アンカー611によって2次ハウジング620に結合されている1次ハウジング610を含む。1次ハウジング610は、フレームのストラット612aと一体的であってもよいし、またはフレームのストラット612aに固定的に取り付けられてもよい。たとえば、1次ハウジングのアンカーハウジングスリーブ614に含まれるタブまたはフランジ630は、ストラット612a内に設けられているスロットまたは開口部と固定的に係合してもよい。あるいは、1次ハウジング610は、成型されるかまたは別様にストラット612aと一体化されてもよい。アンカー611の近位端は、駆動カプラ625を含む駆動シャフト615を含む。螺旋アンカーシャフト619は、駆動シャフト615に結合されて支持される。カラー621を含むアンカーの保持形状は、駆動カプラ625と螺旋アンカーシャフト619との間の駆動シャフトの周りに配置されている。駆動装置618を取り囲むかまたは部分的に取り囲む、シース617を含む駆動装置616は、アンカー611を組織内に打ち込むために駆動カプラ625に結合されてもよい。
【0043】
一態様によれば、カラー621はシャフト615から径方向外側に延びている。カラーの径方向範囲は、レッジ653からの干渉なしに1次ハウジング610のボア内にカラーが収まることを可能にするのに十分小さいが、レッジ655による2次ハウジング620内のボア内への進入を防止するのに十分大きくてもよい。係止コード622は、2次ハウジング620内に配置された係止内腔626を通って延びて、インプラントのアンカーハウジングを係止または別様に固定してもよい。
【0044】
図7Aは、アンカー611の1次アンカーハウジング610内への移動後のインプラントシステム600の一部を示す。
図7Aに示すように、カラー621の直径は、1次ハウジング610のボアよりも小さく、したがってカラー621は、カラー621のさらなる遠位移動が、2次ボア620のレッジ655によって阻止されるまで、レッジ653を過ぎて遠位に移動させることができる。
【0045】
図7Bにおいて、アンカーは、レッジ655によってカラー621のさらなる遠位移動が阻止されるまで遠位に前進している。
図7Bに示すように、アンカー611の最初のターン777は、レッジ655の遠位に向く面と係合し、2次ハウジング620からのアンカー611の近位解放を防止する。アンカー611が2次ハウジング620で固定されると、1次ハウジング610(結合されているフレーム710とともに)は、駆動装置618の遠位端からシース617を取り出して駆動カプラ625から駆動装置618を分離することによって2次ハウジング620から解放してもよい。分離されると、矢印700で示されるようにフレーム710を除去して、結合されている1次アンカーハウジング610とともに、心腔からフレーム710を取り出してもよい。
【0046】
これにより、フレーム解放機構を含むアンカーハウジングの様々な実施形態が、示され説明されてきた。アンカーハウジングを弁輪に固定するために、アンカーハウジングは、リングおよび拡張可能フレーム(組織係合構成に拡張してもよい)またはリングもしくは拡張可能フレーム(組織係合構成に拡張してもよい)を含む弁輪形成術システムに組み込まれてもよい。いくつかの実施形態において、インプラントを弁輪に固定した後、かつフレームを除去する前に、弁輪径を減少させて弁の能力を修復するために、弁輪の係止にフレームを使用してもよい。係止は達成されてもよいが、
図1について説明したように、たとえば、ストラットに沿ってカラーを動かすことによるフレームの駆動によって。フレームサイズを低減する他の方法は、カラーをストラット上に摺動させるか、またはアンカーハウジングを通してもしくはフレームの周りに別様に係止コードを装着して、再形成が達成されるまで係止コードを抜き出すことを含む。アクチュエータまたは他の係止方法を用いるフレームについては、係止コードは、再形成された構成にアンカーを保持または別様に結合させるために使用してもよい。
【0047】
一実施形態によれば、本明細書で開示されているアンカーハウジングは、アンカーハウジングの少なくとも一部を通して配置された係止内腔を含むように変更されてもよい。係止内腔は、
図4Bの係止コード220または
図6の係止コード622などの係止コードを支持してもよく、どちらも、再形成された構成にインプラントのアンカーハウジングを再構成して別様に結合させるためにまたは再構成するかもしくは別様に結合させるために使用してもよい。
【0048】
図8Aおよび
図8Bは、アンカー(図示せず)を支持するように構成されているアンカーボア830と、フレームの1本または複数本のストラット(図示せず)を支持するように構成されているアンカーハウジングスリーブ820とを有するアンカーハウジング800を示す。係止内腔885は、アンカーハウジング800のボディ810上またはボディ810と一体的に形成される係止形状840を通って延びている。係止形状840はアンカーハウジング800の近位面上に配置されて示されているが、本開示はそれに限定されず、フランジ811などのアンカーハウジングの他の部分を通って係止内腔が延びている実施形態も本開示の範囲内であるとみなされる。
【0049】
図8Cは、アンカーボア845および、アンカーハウジングボディ855を通って延びているアンカーハウジングスリーブ835も含む、アンカーハウジング825を示す。アンカーハウジング825は、アンカーハウジング825のボディ855から近位に延びているアイレット865を含む。係止内腔875は、アンカーハウジング825のアイレット865によって規定される。一実施形態において、アイレットは、アンカーハウジングに基づく慢性動悸からのストレスや緊張を軽減するように構成されている回転式アイレットを含んでもよい。
【0050】
アンカー同士を係止するために様々な他の方法を使用してもよい。たとえば、いくつかの実施形態において、フレームは、フレーム圧縮に向けて付勢されているとともにアンカーインプラントの適切なアンカー配置中に強制的に開かれる、形状記憶材料で構成されてもよい。本開示は、インプラントの圧縮または拡張のための特定の方法に限定されない。
【0051】
ここで
図9A~
図9Cを参照すると、弁輪形成術システム900は、遠位端920に弁輪形成術構成要素930を有する展開カテーテル910を含む。展開カテーテル910の遠位端は、たとえば、ガイドワイヤ925を用いて、僧帽弁輪の上および/または周りおよび/または部分的に周りに構成要素を位置決めするために、左心房に経管的に操作されてもよい。一態様によれば、展開カテーテルは、たとえば、2016年9月29日に出願され、参照によって本願に組み込まれる「Methods for Deployment of Heart Valve Devices Using Intravascular Ultrasound Imaging」と題された米国特許出願第15/280004号で述べられているような様々な位置決め機能および画像機能を有していてもよい。
【0052】
ここで
図9Bを参照すると、展開カテーテル910の遠位端920が適切に位置決めされたとき、弁輪形成術構成要素930は、(展開カテーテル910の遠位端を通して構成要素930を進めるか、または構成要素の上に遠位シースを抜き出すことによって)露出され、組織係合直径まで拡張されてもよい。たとえば、フレームが、拡張された状態に向けて付勢されたNitinolまたは他の形状記憶材料または超弾性材料で形成されている場合、拡張は自然に起こる可能性がある。代替実施形態において、拡張は、たとえば、インフレータブルバルーンなどを用い、フレーム内に加わる力を用いて機械的に制御されてもよい。本明細書で開示されているシステムおよび方法は、位置決めにリングまたは拡張可能なフレームを用いる、弁輪再建用アンカーを位置決めするための特定の機構に限定されず、たとえば、2014年12月24日に出願された米国特許第9610156号「Mitral Valve Inversion Prostheses」、2015年11月24日に出願された米国特許第9180005号「Adjustable Endoluminal Mitral Valve Ring」、および2016年11月16日に出願された「Implantable Device And Deployment System For Reshaping a Heart Valve Annulus」と題された米国特許出願第15/352288号で述べられている方法(それぞれ参照によって本願に組み込まれる)を用いてもよい。
【0053】
ここで
図9Cを参照すると、心臓弁への弁輪形成術構成要素の展開後に、弁輪を調整して弁の能力を修復するために、弁輪形成術構成要素は係止または別様に圧縮されてもよい。本明細書において、アンカーハウジングは、次いで弁輪形成術構成要素のサブセット960を解放して、アンカーと、アンカーハウジング911と、係止コード931と、を含むインプラント970を残してもよい。
【0054】
図10は、本明細書で開示されるフレーム解放およびアンカー保持機構を含むアンカーハウジングを含むインプラント1001を組織内に展開するために使用してもよい、例示的な展開システム1000の斜視図である。展開システム1000は、すべて基部1002に支持および固定された、ステアラブルシース1010、シースステアリングノブ1003、アンカーノブ1004、係止ノブ1006、インプラント1001、心臓内心エコー像(ICE:Intra‐Cardiac Echocardiography)プローブ1027を含む。係止ノブ1006およびアンカーノブ1004は、張力を維持するためにばね懸架式であってもよい。アンカーノブ1004の回転は、アンカーを、アンカーハウジング内に、さらには弁輪組織内に、回転前進させてもよい。固定後、アンカーノブを上述のように制御して、フレームと、アンカーハウジングの少なくとも一部と、の両方または一方をインプラント1001から解放してもよい。
【0055】
したがって、使用後に弁輪形成術フレームまたは他の構成要素を保持および解放または保持もしくは解放するように構成されているアンカーハウジングを含む弁輪形成術システムの様々な実施形態が、示され説明されてきた。本開示の実施形態は、心臓組織への選択的アクセスのための医療機器およびシステム(たとえば、大腿静脈などを通して挿入される経管的装置)に具体的に言及して説明されているが、このような医療機器およびシステムが、心臓組織を固定することを必要とする様々な医療処置に使用されてもよいことは認められるべきである。開示された医療機器およびシステムは、経皮的、内視鏡的、腹腔鏡的またはそれらの組み合わせなどの様々なアクセスポイントおよびアクセスアプローチを介して挿入されてもよい。
【0056】
本明細書で用いる場合、単数形「ある(a)、」「ある(an)」および「その(the)」は、文脈によって明確に否定されない限り、それらの複数形も含むものとする。本明細書で用いられる用語「comprise(含む)」および/または「含んでいる(comrising)」または「含む(includes)」および/または「含んでいる(including)」は、記載された特徴、領域、ステップ、要素および/または構成要素の存在を指定するが、1つまたは複数のそれらの他の特徴、領域、整数、ステップ、操作、要素、構成要素および/またはグループの存在または追加を排除しない。
【0057】
本明細書で用いる場合、接続詞「および(and)」は、文脈によって明確に否定されない限り、そのように結合される構造、構成要素、特徴などのそれぞれを含み、接続詞「または(or)」は、文脈によって明確に否定されない限り、そのように結合される構造、構成要素、特徴などの一方または他方を、単一ならびに任意の組み合わせおよび数で含む。
【0058】
本明細書におけるすべての数値は、明示されているか否かにかかわらず、用語「約」によって修飾されていることが想定されている。用語「約」は、数値の文脈において、一般に、記載された数と同等である(すなわち同じ機能または結果を有する)と当業者がみなす数値の範囲を意味する。多くの場合、用語「約」は、最も近い有効数字に丸められた数を含んでもよい。用語「約」の他の使用(すなわち、数値以外の文脈で)は、特に記載のない限り、明細書の文脈から理解され明細書の文脈と一致する、通常および通例の定義を有することが想定されてもよい。終点による数値範囲の列挙は、終点を含むその範囲内のすべての数値を含む(たとえば1~5には、1、1.5、2、2.75、3、3.80、4、および5が含まれる)。
【0059】
本明細書における「実施形態」、「いくつかの実施形態」、「他の実施形態」などへの言及は、記載された実施形態が、特定の特徴、構造または特性を含んでもよいが、すべての実施形態が必ずしも特定の特徴、構造または特性を含むわけではないことに留意されたい。さらに、そのような語句は、必ずしも同じ実施形態を指すとは限らない。さらに、ある実施形態に関連して特定の特徴、構造または特性が述べられる場合、明示的に説明されているかどうかにかかわらず、そうでないと明確に記載されていない限り、他の実施形態に関連してそのような特徴、構造または特性に影響を与えることは当業者の知識の範囲内である。すなわち、特定の組み合わせが明示的に示されていない場合であっても、本明細書で説明される様々な個々の要素は、それにもかかわらず、当業者には理解されるように、他の追加の実施形態を形成するために、または記載された実施形態を補完して強化するためにまたは補完もしくは強化するために、互いに組み合わせ可能または配置可能であると企図される。
【0060】
本明細書において開示および請求されている装置および方法または装置もしくは方法は、本開示に照らして、過度の実験を要することなく作製および実行することができる。本開示の装置および方法の様々な実施形態が説明されてきたが、本開示の概念、精神および範囲から逸脱することなく、装置および方法または装置もしくは方法に、また本明細書で説明される方法のステップまたはステップの順序に、バリエーションを加えることができることは、当業者には明らかであろう。当業者に明らかなそのような同様な代替物および修正は、すべて、添付の特許請求の範囲によって規定される本開示の精神、範囲および概念の範囲内であるとみなされる。
【手続補正書】
【提出日】2021-11-26
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
近位端と、遠位端と、フレームの前記近位端または前記遠位端のいずれかに連結されたストラットとを有するフレームと、
インプラントを備える弁輪形成術システムにおいて、
前記インプラントは、
複数のアンカーと、
複数のアンカーハウジングであって、少なくとも1つの前記アンカーハウジングが前記複数のアンカーのうちの1つを支持および保持するように構成され、前記少なくとも1つのアンカーハウジングが、前記フレームに前記少なくとも1つのアンカーハウジングを解放可能に結合するように構成されている解放機構を有する、弁輪形成術システム。
【請求項2】
前記少なくとも1つのアンカーハウジングが、
前記少なくとも1つのアンカーハウジングの前記遠位端を通って前記少なくとも1つのアンカーハウジングの近位端から延びているボアと、
前記ボアの壁を通って長手方向に延びているスロットと、を含み、
前記解放機構が、前記スロット内に配置された保持タブであって、遠位下部と、近位頭部と、前記遠位下部から前記近位頭部に延びているアームと、を備える保持タブを含み、前記保持タブが、前記近位頭部の内面が前記ボア内に延びている第1構成と、前記近位頭部の内面が前記ボアの壁と整列している第2構成と、を有する、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記ボアがアンカーを受容するサイズであり、前記アンカーは、駆動シャフトであって、近位コネクタと、前記近位コネクタに結合されている遠位アンカーシャフトと、前記遠位アンカーシャフトの周りに少なくとも部分的に延びているカラーとを含んでなる前記駆動シャフトを備える、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記ボアおよび前記カラーが、前記アンカーハウジングの前記ボア内の前記カラーの遠位移動を可能にするサイズである、請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
前記近位コネクタの第1直径が、前記カラーの第2直径よりも小さく、前記保持タブの前記近位頭部を超えた前記カラーの遠位移動が、前記アンカーハウジング内に前記アンカーを保持するように、前記近位頭部を前記第2構成に移行させる、請求項1~4のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項6】
前記保持タブの前記近位頭部が、前記近位頭部の外面に配置されたフレーム係合形状であって、前記フレームのアンカーハウジング係合形状に噛み合うサイズであるフレーム係合形状を含み、前記保持タブの前記第1構成において、前記フレーム係合形状は前記アンカーハウジング係合形状と係合し、前記第2構成において、前記フレーム係合形状は、前記アンカーハウジング係合形状を解放して、前記インプラントから前記フレームを解放する、請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
前記少なくとも1つのアンカーハウジングの前記解放機構が、
前記フレームに結合されている1次ハウジングと、
アンカーによって前記1次ハウジングに解放可能に結合されている2次ハウジングと、を備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記1次ハウジングが、前記1次ハウジングを通って延びている1次ボアと、1次ボア壁に配置された第1アンカー係合形状と、を含み、前記2次ハウジングが、前記2次ハウジングを通って延びている2次ボアと、2次ボア壁に配置された第2アンカー係合形状であって、前記第1アンカー係合形状が前記1次ボア内に延びているよりも前記2次ボア内でさらに求心方向に延びている第2アンカー係合形状とを有する、請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
前記1次ハウジングが、近位端と遠位端とを有し、前記2次ハウジングが、前記1次ハウジングの前記遠位端と噛み合い係合して、前記1次ボアを前記2次ボアに整列させるように構成されている、請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
前記1次ボアと2次ボアが前記アンカーを支えるサイズであり、前記アンカーは、駆動シャフトであって、近位コネクタと、遠位アンカーシャフトと、前記遠位アンカーシャフトの周りに少なくとも部分的に延びているカラーとを含んでなる前記駆動シャフトを備え、前記遠位アンカーシャフトが、それぞれが前記1次アンカー係合形状または前記2次アンカー係合形状の少なくとも1つに係合するように構成されている少なくとも2つの外部係合形状を有する、請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
前記第1アンカー係合形状の第1求心範囲が、前記アンカーの前記カラーの前記1次ボア内への遠位前進を可能にするように構成されており、前記第2アンカー係合形状の第2求心範囲が、前記カラーの前記2次ボア内への遠位前進を防止するように構成されている、請求項2~7のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項12】
アンカーハウジングのサブセットが、それぞれ、前記サブセットを通って延びている内腔を含み、前記インプラントは、
アンカーハウジングの前記サブセットの前記内腔を通って延びて、アンカーハウジングの前記サブセットに連結される係止コードをさらに備える、請求項2または7に記載のシステム。
【請求項13】
アンカーハウジングの前記サブセットが、それぞれ、前記1次ハウジングと前記2次ハウジングとを含み、前記内腔が前記2次ハウジングを通って延びている、請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
アンカーハウジングのサブセットが、それぞれ、前記サブセットを通って延びている内腔を含むアイレットを含み、前記インプラントは、
アンカーハウジングの前記サブセットの前記アイレットの前記内腔を通って延びて、アンカーハウジングの前記サブセットと連結される係止コードをさらに備える、請求項2または7に記載のシステム。
【請求項15】
前記少なくとも1つのアンカーハウジングが、前記1次ハウジングと前記2次ハウジングとを含み、前記アイレットが、前記2次ハウジングと結合されている、請求項14に記載のシステム。
【国際調査報告】