(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-07-28
(54)【発明の名称】少なくとも1つのサンプルを光学的に分析するための分光計装置
(51)【国際特許分類】
G01N 21/27 20060101AFI20220721BHJP
【FI】
G01N21/27 B
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021570782
(86)(22)【出願日】2020-05-26
(85)【翻訳文提出日】2022-01-17
(86)【国際出願番号】 EP2020064569
(87)【国際公開番号】W WO2020239762
(87)【国際公開日】2020-12-03
(32)【優先日】2019-05-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517267802
【氏名又は名称】トリナミクス ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100100354
【氏名又は名称】江藤 聡明
(74)【代理人】
【識別番号】100167106
【氏名又は名称】倉脇 明子
(74)【代理人】
【識別番号】100194135
【氏名又は名称】山口 修
(74)【代理人】
【識別番号】100206069
【氏名又は名称】稲垣 謙司
(74)【代理人】
【識別番号】100185915
【氏名又は名称】長山 弘典
(72)【発明者】
【氏名】ファローフ,ゼバスティアン
(72)【発明者】
【氏名】ゼント,ロベルト
【テーマコード(参考)】
2G059
【Fターム(参考)】
2G059AA01
2G059BB04
2G059EE02
2G059EE12
2G059JJ02
2G059KK01
(57)【要約】
少なくとも1つのサンプル(112)を光学的に分析するための分光計装置(110)が開示される。分光計装置(110)は、以下を含む。
- 少なくとも1つの入口窓(118)を備えた少なくとも1つのハウジング(116);
- 入射光(123)を構成波長のスペクトルに分離するように構成された少なくとも1つの波長選択要素(120)であって、ハウジング(116)内に配置されている波長選択要素(120);
- 構成波長の少なくとも一部を検出するように構成された少なくとも1つの検出器装置(122)であって、ハウジング(116)内に配置されている検出器装置(122);および
- 分光計装置(110)とサンプル(112)との接触を検出するための少なくとも1つの接触センサー装置(126)であって、該接触センサー装置(126)は、少なくとも1つの光学的接触センサーデバイス(128)を含み、該光学的接触センサーデバイス(128)は、前記入口窓(118)と前記サンプル(112)との接触を検出するように構成され、前記光学的接触センサーデバイス(128)は、少なくとも1つの光エミッタデバイス(130)と少なくとも1つの光検出器デバイス(134)を含み、少なくとも1つの光信号が、前記光エミッタデバイス(130)から前記光検出器デバイス(134)に送信され、前記光学的接触センサーデバイス(128)は、前記光信号の送信に対する前記サンプル(112)の存在の影響を検出するように構成された接触センサー装置(126)、
を含む、分光計装置(110)。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つのサンプル(112)を光学的に分析するための分光計装置(110)であって、
- 少なくとも1つの入口窓(118)を備えた少なくとも1つのハウジング(116);
- 入射光(123)を構成波長のスペクトルに分離するように構成された少なくとも1つの波長選択要素(120)であって、ハウジング(116)内に配置されている波長選択要素(120);
- 構成波長の少なくとも一部を検出するように構成された少なくとも1つの検出器装置(122)であって、ハウジング(116)内に配置されている検出器装置(122);および
- 分光計装置(110)とサンプル(112)との接触を検出するための少なくとも1つの接触センサー装置(126)であって、該接触センサー装置(126)は、少なくとも1つの光学的接触センサーデバイス(128)を含み、該光学的接触センサーデバイス(128)は、前記入口窓(118)と前記サンプル(112)との接触を検出するように構成され、前記光学的接触センサーデバイス(128)は、少なくとも1つの光エミッタデバイス(130)と少なくとも1つの光検出器デバイス(134)を含み、少なくとも1つの光信号が、前記光エミッタデバイス(130)から前記光検出器デバイス(134)に送信され、前記光学的接触センサーデバイス(128)は、前記光信号の送信に対する前記サンプル(112)の存在の影響を検出するように構成された接触センサー装置(126)、
を含む、分光計装置(110)。
【請求項2】
前記分光計装置(110)が、サンプル(112)を照明するための少なくとも1つの照明源(138)を備える、請求項1に記載の分光計装置(110)。
【請求項3】
前記接触センサー装置(126)が、前記入口窓(118)と前記サンプル(112)との間の接触を検出するように構成されている、請求項1または2に記載の分光計装置(110)。
【請求項4】
前記分光計装置(110)が少なくとも1つのスペーサー要素を含み、前記接触センサー装置(126)が前記スペーサー要素と前記サンプル(112)の接触を検出するように構成される、請求項1から3のいずれか一項に記載の分光計装置(110)。
【請求項5】
前記入口窓(118)が少なくとも1つの透明な材料で完全にまたは部分的に作製されている、請求項1から4のいずれか一項に記載の分光計装置(110)。
【請求項6】
前記接触センサー装置(126)は、光学的接触センサーデバイス(128)、電気接触センサーデバイス、機械的接触センサーデバイス、具体的に音響接触センサーデバイスからなる群から選択される少なくとも1つのデバイスを含む、請求項1から5のいずれか一項に記載の分光計装置(110)。
【請求項7】
前記光学的接触センサーデバイス(128)は、前記入口窓(118)を導波路として使用することによって、前記光信号を少なくとも部分的に送信するように構成され、前記光学的接触センサデバイス(128)は、前記サンプル(112)と前記入口窓(118)との間の接触が前記入口窓(118)の導波路特性を変化させるように構成される、請求項1から6のいずれか一項に記載の分光計装置(110)。
【請求項8】
前記接触センサー装置(126)が少なくとも1つの慣性センサーを含む、請求項1から7のいずれか一項に記載の分光計装置(110)。
【請求項9】
前記慣性センサーは、振動センサーまたは運動センサーのうちの少なくとも1つを含む、請求項8に記載の分光計装置(110)。
【請求項10】
前記慣性センサーが少なくとも1つの可動要素を含み、該可動要素の振動または動きの一方または両方が、前記分光計装置(110)と前記サンプル(112)の接触により変化される、請求項8または9に記載の分光計装置(110)。
【請求項11】
前記接触センサーデバイス(126)が、WiFiまたはブルートゥースモジュールのうちの少なくとも1つを含む、請求項1から10のいずれか一項に記載の分光計装置(110)。
【請求項12】
前記分光計装置(110)は、複数の接触センサー装置(126)を含み、前記分光計装置(110)は、少なくとも1つの評価装置(124)をさらに含み、前記評価装置(124)は、複数の前記接触センサー装置(126)のセンサー信号の組み合わせを評価するように構成される、請求項1から11の何れか一項に記載の分光計装置(110)
【請求項13】
前記分光計装置(110)は、前記接触センサー装置(126)が前記分光計装置(110)と前記サンプル(112)の接触を検出したときに、少なくとも1つの前記サンプル(112)の光学分析を自動的にトリガーするように構成される、請求項1から12のいずれか一項に記載の分光計装置(110)。
【請求項14】
前記分光計装置(110)が携帯型分光計装置(110)である、請求項1から13のいずれか一項に記載の分光計装置(110)。
【請求項15】
少なくとも1つのサンプル(112)を光学的に分析するための方法であって、以下の工程:
i)請求項1から14のいずれか一項に記載の分光計装置(110)を提供する工程;
ii)分析される少なくとも1つのサンプル(112)を前記分光計装置(110)に近づける工程;
iii)前記接触センサー装置(126)を使用することにより、前記分光計装置(110)と前記サンプル(112)との接触を検出する工程;および
iv)前記分光計装置(110)を使用することにより、前記サンプル(112)の少なくとも1つの光学分析を実行する工程
を含む。
【請求項16】
分光計装置(110)を参照する請求項1から14のいずれか一項に記載の分光計装置(110)の使用であって、赤外線検出アプリケーション、分光アプリケーション、排気ガス監視アプリケーション、燃焼プロセス監視アプリケーション、汚染監視アプリケーション、工業プロセス監視アプリケーション、化学プロセス監視アプリケーション、食品加工プロセス監視アプリケーション、水質モニタリングアプリケーション、空気質監視アプリケーション、品質管理アプリケーション、排気制御アプリケーション、ガス検知アプリケーション、ガス分析アプリケーション、化学センシングアプリケーションからなる群から選択された目的のための分光計装置(110)の使用。
【請求項17】
分光計装置(110)を参照する請求項1から14のいずれか一項に記載の分光計装置(110)で使用するためのコンピュータプログラムであって、該コンピュータプログラムが前記分光計装置(110)の前記評価装置(124)により実行されるときに、前記評価装置(124)に前記分光計装置(110)の少なくとも1つの前記接触センサー装置(126)によって提供される少なくとも1つのセンサー信号を評価させ、前記分光計装置(110)と前記サンプル(112)の接触を検出させる命令を含むコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、分光計装置、少なくとも1つのサンプルを光学的に分析するための方法、分光計装置の使用、および分光計装置で使用するためのコンピュータプログラムに関する。そのような装置および方法は、特に、赤外線(IR)スペクトル領域、具体的に近赤外線(NIR)および中赤外線(MidIR)スペクトル領域での調査または監視の目的で、一般に使用することができる。ただし、さらに多くの種類のアプリケーションが可能である。
【背景技術】
【0002】
赤外線(IR)スペクトル領域、特に近赤外線(NIR)スペクトル領域での調査のための様々な分光計装置およびシステムが知られている。分光計装置およびシステムは、一般に、入射光を構成波長のスペクトルに分離するための1つまたは複数の波長選択要素と、構成波長を検出するための1つまたは複数の検出器装置、例えば1つまたは複数のプリズム、グレーティング、フィルターなどを含む。特に、線形可変フィルター(LVF)と検出器アレイの組み合わせを含む分光計装置がすでに提案されている。本明細書では、LVFは、サンプルとも呼ばれる物体から捕捉された光を構成波長信号のスペクトルに分離するために指定され、一方、検出器アレイは複数のピクセルを含み、複数のピクセルのそれぞれは、各構成波長のパワー読み取り値を提供する複数の構成波長信号の少なくとも一部を受信するように配置されている。通常、入射光がLVFの受信面に垂直な仕方でLVFに衝突するように、調整装置がこの目的で使用されるが、一般に、光スループットが低く、対雑音比も低い。
【0003】
US2018/231415A1には、密閉型ベンチトップ分析装置、システムプロセス、およびそれに関連する技術が記載されている。ベンチトップ分析装置は、プローブとサンプルを囲むエンクロージャーを有し得る。コンプライアンスコンポーネントは、閉じられているエンクロージャーの蓋に基づいて動作可能な構成にあるエンクロージャーに関連するコンプライアンスルールなど、1つまたは複数のコンプライアンスルールの充足度を決定できる。コンプライアンスルールが満たされていると決定された場合、コンプライアンスコンポーネントは、プローブを介したサンプルの検査のための光エネルギーの放出を可能にし得る。
【0004】
さらに、EP1063501A1は、光学測定装置、特に開始位置と測定位置との間で移動可能および/または圧縮可能かつ伸長可能であり、開始位置にバイアスされているフロントユニット、固定リアユニット、前記フロントユニットが前記測定位置に位置しているか否か指示するセンサーを有する分光装置の測定ヘッドについて記載している。ここで、前記フロントユニットは、さらに、前記フロントユニットに対してサンプルを配置するための3つのキャリアポイントを有し、前記少なくとも3つのキャリアポイントは、前記サンプルがそれぞれのキャリアポイントと接触しているかどうかを示すセンサーを備えている。
【0005】
現場での応用のために、携帯型分光計装置が開発されてきた。したがって、様々な例の1つとして、US2014/131578A1は、サンプルに向けるための照明源と、サンプルと第1の焦点比で相互作用する光を捕捉するため、および第1の焦点比よりも低い第2の焦点比でLVFに光を送達するためのテーパーライトパイプ(TLP)とを含む携帯型分光計デバイスを開示している。さらに、WO97/08537A1は、サンプル材料を識別するためのサンプルの赤外線反射率測定のための携帯型装置が、携帯型ハウジングに組み込まれた自己完結型のポータブルユニットであると説明している。本発明の文脈においても使用され得るさらなる携帯型分光計および分光計の原理については、Richard A. Crocombe, “Handheld spectrometers in 2018 and beyond: MOEMS, photonics, and smartphones,” Proc. SPIE 10545, MOEMS and Miniaturized Systems XVII, 105450C (22 February 2018); doi: 10.1117/12.2286492 を参照することができる。
【0006】
さらに、US2004/147984A1は、適切なヘッド内で少なくとも1つの低出力光放射源を使用する装置を記載しており、これは、治療領域上にかなりの期間保持することができ、または治療領域上を各治療中、何度も移動することができる。装置、携帯型発光アプリケーター(LEA)または発光皮膚アプリケーター(LESA)は、放射線が皮膚に適用されるときに患者の皮膚表面上を移動するように適合されたブラシまたはローラーの形態であり得る。 LEAまたはLESAの皮膚接触面には、皮膚をマッサージして放射線を照射できる突起や剛毛などの隆起がある。さらに、治療領域に光放射を送達する装置が開示され、装置は皮膚接触デバイスに接合されるように適合された後付けの改造ハウジングを含む。
【0007】
JP S60 241260Aには、接触状態を常に高精度に検出する小型の接触センサーが記載されている。一対の圧電素子がバイブレータ上に設けられており、一方の圧電素子は振動するバイブレータに使用され、他方の圧電素子に振動によって発生する力を検出するための手段が設けられている。サンプルがバイブレータに接触し、バイブレータの振動が制限されると、サンプルの接触状態が検出手段で検出される。
【0008】
さらに、WO01/48684A2として公開されているEP1240617A2 A1は、接触に敏感なデバイス上の接触に関連する情報を計算するために曲げ波振動を使用する方法および装置を説明している。この方法は、曲げ波を支持することができる接触感知デバイスに部材を提供する工程、部材内の曲げ波伝播を測定して測定された曲げ波信号を決定するために部材に取り付けられる手段を提供する工程、接触に関連する情報を計算しするために測定された曲げ波信号を処理する工程を含む。
【0009】
しかしながら、具体的に現場での携帯型分光計装置のアプリケーションは、測定精度に関して課題につながる可能性がある。したがって、多くの場合、反射モードで動作する分光計は、サンプルに対して明確に定義された接触状態にある必要がある。通常、分光計装置の入口窓または機械的スペーサーがサンプルに接触する。一例として、入口窓を分析対象の油に浸す必要がある場合や、機械的スペーサーを分析対象の木材の表面に接触する必要がある場合がある。分光計装置のサンプルへの接触が不十分または十分に定義されていない場合、サンプルからの光の減衰が正しく評価されない可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
したがって、既知の分光計装置の上記の課題および欠点に対処する装置および方法を提供することが望ましい。具体的には、過酷な環境条件下でも、現場で再現性の高い分光計測定を可能にする装置と方法を提案する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この問題は、分光計装置、少なくとも1つのサンプルを光学的に分析する方法、分光計装置の使用、および独立クレームの特徴を備えた分光計装置で使用するためのコンピュータプログラムによって対処される。単独の方法で、または任意の組み合わせで実現され得る有利な実施形態は、従属請求項に記載されている。
【0012】
以下で使用されるように、用語「持つ」、「有する」または「含む」またはそれらの任意の文法的変形は、非排他的な方法で使用される。したがって、これらの用語は、これらの用語によって導入された特徴に加えて、この文脈で説明されるエンティティにさらなる特徴が存在しない状況、および1つまたは複数のさらなる特徴が存在する状況の両方を指し得る。一例として、「AはBを持つ」、「AはBを有する」および「AはBを含む」という表現は両方とも、B以外に他の要素がAに存在しない状況(すなわち、AがBのみから成る状況)と、Bに加えて、要素C、要素CおよびD、またはさらなる要素など、1つ以上の要素がエンティティAに存在する状況を指し示す。
【0013】
さらに、特徴または要素が1回または1回以上存在し得ることを示す「少なくとも1つ」、「1つまたは複数」という用語または同様の表現は、通常、それぞれの特徴または要素を導入するときに一度だけ使用されることに留意されたい。以下では、ほとんどの場合、それぞれの特徴または要素を参照するとき、それぞれの特徴または要素が一度または複数回存在する可能性があるという事実にもかかわらず、「少なくとも1つ」または「1つまたは複数」という表現は繰り返されない。
【0014】
さらに、以下で使用されるように、用語「好ましくは」、「より好ましくは」、「特別に」、「より特別に」、「具体的に」、「より具体的に」または同様の用語は、オプションの特徴と併せて代替の可能性を制限せずに使用される。したがって、これらの用語によって導入される機能はオプションの機能であり、クレームの範囲を制限することを意図したものではない。本発明は、当業者が認識するように、代替の特徴を使用することによって実施することができる。同様に、「本発明の実施形態において」または同様の表現によって導入された特徴は、本発明の代替の実施形態に関する制限なし、本発明の範囲に関する制限なし、および、そのようにして導入された特徴を本発明の他の任意または非任意の特徴と組み合わせる可能性に関して制限なしの任意の特徴であることを意図している。
【0015】
本発明の第1の態様では、少なくとも1つのサンプルを光学的に分析するための分光計装置が提案される。分光計装置は以下を有する:
- 少なくとも1つの入口窓を備えた少なくとも1つのハウジング;
- 入射光を構成波長のスペクトルに分離するように構成された少なくとも1つの波長選択要素、波長選択要素は、ハウジング内に配置されている;
- 構成波長の少なくとも一部を検出するように構成された少なくとも1つの検出器装置、検出器装置はハウジング内に配置されている;および
- 分光計装置とサンプルとの接触を検出するための少なくとも1つの接触センサー装置。
【0016】
「分光計装置」という用語は広義の用語であり、当業者にその通常の慣習的な意味を与えられるべきであり、特別なまたはカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、限定されないが、少なくとも1つのサンプルを光学的に分析することができ、それによってサンプルの少なくとも1つのスペクトル特性に関する情報の少なくとも1つの項目を生成することができるデバイスを指すことができる。具体的には、この用語は、スペクトルの対応する波長またはその分割、例えば波長間隔に関して信号強度を記録することができるデバイスを指すことができ、信号強度は、好ましくは、さらなる評価に使用できる電気信号として提供され得る。分光計装置は、追加的または代替的に、フーリエ変換分光計装置として完全にまたは部分的に具体化することもできる。分光計装置は、一般に、例えば、反射モードで、および/または透過モードで操作可能であり得る。
【0017】
分光計装置は、具体的には、携帯型分光計装置であり得る。「携帯型」という用語は広義の用語であり、当業者にその通常の慣習的な意味を与えられるべきであり、特別なまたはカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。具体的には、この用語は、限定されないが、人間のユーザーによって可動性および/または移動することができ、特に人間のユーザーによって運ぶことができ、特に人間によって片手で運ぶことができるデバイスの特性を指すことができる。具体的には、携帯型装置は、人間のユーザーによって運ばれるように、例えば、500mmを超えない、具体的には300mmを超えない寸法に決定され得る。追加的または代替的に、人間のユーザーによって携帯されるため、携帯型装置は、5kg、具体的には3kgを超えない。あるいは0.5kgを超えない重量を有し得る。
【0018】
「分析する」という用語または「分析」という用語は広義の用語であり、当業者に通常の慣習的な意味を与えられるべきであり、特別なまたはカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。これらの用語は、具体的には、限定されないが、サンプルの特性に関する情報の少なくとも1つの項目を導出する工程を指すことができる。したがって、「光学的に分析する」または「光学的分析」という用語は、分光学的手段などの光学的手段を使用することによる分析の工程、または分析を指す。具体的には、分光計装置は、サンプルの少なくとも1つのスペクトル特性に関する情報の少なくとも1つの項目を導出するように構成され得る。一例として、分光計装置は、反射スペクトルおよび/または透過スペクトルのスペクトル範囲にわたる強度の少なくとも1つの分布など、サンプルに関するスペクトル情報の少なくとも1つの項目を導出するように構成され得る。追加的または代替的に、分析は、フーリエ変換分光分析であり得るか、またはそれを含み得る。ただし、他の例も可能である。携帯型分光計装置は、具体的には、スペクトル情報の少なくとも1つの項目を代表する、アナログおよび/またはデジタル信号などの電子情報の少なくとも1つの項目を提供するように構成され得る。
【0019】
「サンプル」という用語は広義の用語であり、当業者にその通常の慣習的な意味を与えられるべきであり、特別なまたはカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。この用語は、限定されないが、具体的には、分析される任意の量の材料、要素、またはデバイスを指すことができる。具体的には、サンプルは、1つまたは複数の液体、粉末、ペレット、粒子、または気体の量などの材料の量であり得る。一例として、サンプルは、穀物などの固体バルク材料を含み得る。しかしながら、サンプルはまた、果物または野菜などの固形物であり得るか、またはそれらを含み得る。他の例も可能である。サンプルとアプリケーションの具体例を以下でさらに詳しく説明する。
【0020】
「ハウジング」という用語は広義の用語であり、当業者にその通常の慣習的な意味を与えられるべきであり、特別なまたはカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、限定されないが、1つまたは複数の他の要素を完全にまたは部分的に取り囲み、および/または機械的カバーを提供するように構成された要素または要素の組み合わせを指すことができる。したがって、一例として、ハウジングは、プラスチック材料または金属の少なくとも1つで作られた少なくとも1つの剛性ハウジングなど、少なくとも1つの剛性ハウジングであり得るか、またはそれを含み得る。リムは、具体的には、フォームフィット接続、フォースフィット接続、または材料係合による接続のうちの1つまたは複数によるハウジングとの係合のために構成され得る。したがって、例として、以下でさらに詳細に概説されるように、リムは、1つまたは複数の接続要素を提供するか、または提供し得、および/または分光計装置の前面を完全にまたは部分的に取り囲むことができる可撓性フレームおよび/またはシーリングフレームを提供し得る。
【0021】
「入口窓」という用語は広義の用語であり、当業者にその通常の慣習的な意味を与えられるべきであり、特別なまたはカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、限定されないが、ガラス、石英、サファイア、またはプラスチック材料の1つまたは複数で作られた光学的に透明な要素などの任意の要素、または光がハウジング内に入ることを許す携帯型分光計装置の開口部を指すことができる。したがって、一例として、入口窓は、ハウジング内の開口部であり得るか、またはそれを含み得る。開口部は、空であってもよく、またはガラス要素、石英要素、またはプラスチック要素からなる群から選択される1つまたは複数の透明要素などの1つまたは複数の透明要素で完全にまたは部分的に満たされていてもよい。
【0022】
「波長選択要素」という用語は広義の用語であり、当業者にその通常の慣習的な意味を与えられるべきであり、特別なまたはカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、限定されないが、波長に依存する仕方で、光を透過、反射、偏向、または散乱の1つまたは複数に適した任意の要素または要素の組み合わせを指すことができる。一例として、波長選択要素は、以下からなる群から選択される少なくとも1つの要素であり得るか、またはそれらを含み得る。その群とは、光学プリズム、波長選択光学フィルター、特に長さ可変フィルター、波長選択マイクロ光学デバイス、特にフーリエ変換分光計で使用するためのマイクロオプトエレクトロメカニカル(MOEM)デバイスである。
【0023】
「検出器装置」という用語は広義の用語であり、当業者にその通常の慣習的な意味を与えられるべきであり、特別なまたはカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。この用語は、限定されないが、具体的には、少なくとも1つの物理的、化学的、または生物学的パラメータを監視および/または記録することができる任意のデバイスまたはデバイスの組み合わせを指すことができる。具体的には、検出器装置は、入射光を記録および/または監視するように構成されたデバイスなど、少なくとも1つの光検出器デバイスを備えることができる。検出器装置は、可視スペクトル範囲、紫外線スペクトル範囲、または赤外線スペクトル範囲、具体的には近赤外線スペクトル範囲(NIR)のうちの1つまたは複数において感度が高くあり得る。したがって、検出器装置は、具体的には、少なくとも1つの光学センサー、例えば、光学半導体センサーなどの光学検出器要素であり得るか、またはそれを含み得る。一例として、特に、検出器装置が近赤外線スペクトル範囲などの赤外線スペクトル範囲で感度が高い場合、半導体センサーは、以下を含む群から選択される少なくとも1つの材料を含む少なくとも1つの半導体センサーであり得るか、またはそれを含み得る。その群とは、PbS、PbSe、In-GaAs、および拡張InGaAsである。一例として、検出器装置は、少なくとも1つのCCDまたはCMOSデバイスなどの少なくとも1つの光検出器を含み得る。検出器装置は、具体的には、複数のピクセル化されたセンサーを含む少なくとも1つの検出器アレイを含み得、ピクセル化されたセンサーのそれぞれは、構成波長の少なくとも1つの少なくとも一部を検出するように構成される。しかしながら、追加的または代替的に、検出器装置はまた、少なくとも1つの単一ピクセル検出器デバイス、具体的には少なくとも1つの単一ピクセル光学検出器要素を含み得る。後者は、分光計装置が、単一ピクセルフーリエ変換分光計装置などの単一ピクセル分光計装置として完全にまたは部分的に具体化される場合に特に使用され得る。
【0024】
「接触センサー装置」という用語は広義の用語であり、当業者にその通常の慣習的な意味を与えられるべきであり、特別なまたはカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、限定されないが、デバイスと別の要素または材料との間の接触を検出または感知するように構成された任意のデバイスを指すことができる。したがって、以下でさらに詳細に概説されるように、接触センサー装置は、接触センサー装置と別の要素または材料との間の接触または非接触を示す、少なくとも1つの信号、具体的には電子信号を生成するように具体的に構成され得る。その中で、直接の物理的接触が検出され得、および/または他の要素または材料の近接性、例えば、事前に定義された距離内の近接性が検出され得る。したがって、接触センサー装置は、検出される要素または材料と直接接触していてもよく、または1つまたは複数の中間要素または接触センサー装置を覆う1つまたは複数の層等の層を介して、検出されるべき要素または材料と間接的に接触していてもよい。
【0025】
分光計装置は、特に、反射モードで動作するように構成することができる。本明細書で使用される場合、反射モードは、分光計装置が、サンプルによって反射または散乱された光を分析するように構成される、分光計装置の動作モードである。その中で、サンプルによって反射または散乱された光は、周囲光および/または分光計装置によって生成され、および/または分光計装置によってサンプル上に向けられ、その後、サンプルによって反射または散乱される光であり得る。ここで、反射された散乱光の少なくとも一部は、分光計装置によって分析され得る。
【0026】
具体的には、分光計装置は、サンプルを照明するための少なくとも1つの照明源を含み得る。照明源は、具体的には、以下からなる群から選択される少なくとも1つの要素を含み得る。その群とは、LED、レーザー、白熱灯、具体的には、少なくとも1つの抵抗性加熱要素、より具体的には炭化ケイ素、より具体的にはグロバー(globar)を含む抵抗性加熱要素を含む白熱灯である。光源とも呼ばれる少なくとも1つの照明源は、分光計装置のハウジングの内側に完全にまたは部分的に配置され得、および/または分光計装置のハウジングの外側に完全にまたは部分的に配置され得、および/または分光計装置のハウジングに完全にまたは部分的に統合され得る。少なくとも1つの照明源がハウジング内に配置されている場合、サンプルの照明は、ハウジングの入口窓を通して完全にまたは部分的に行われ得、および/または少なくとも1つの別個の照明開口部を通して完全にまたは部分的に行われ得る。
【0027】
接触センサー装置は、具体的に、入口窓とサンプルとの間の接触を検出するように構成され得る。したがって、入口窓とサンプルとの間の接触は、入口窓への圧力を検出することによって、入口窓とサンプルとの間の接触を光学的に検出することによって、または入口窓の振動特性の変化を検知するなど他の検出手段によってなど、様々な方法で検出することができる。一般に、一例として、接触センサー装置は、光学的接触センサーデバイス、電気的接触センサーデバイス、または機械的接触センサーデバイスのうちの少なくとも1つを含み得、音響接触センサーデバイスのオプションを含む。
【0028】
追加的または代替的に、分光計装置は、少なくとも1つのスペーサー要素を含み得る。本明細書で使用される場合、「スペーサー要素」という用語は、具体的には、限定されないが、分光計装置、分光計装置のハウジング、入口窓、または分光計装置の他の要素に、所定の距離でサンプルを運ぶまたは保つように構成された任意の要素または要素の組み合わせを指すことができる。したがって、一例として、スペーサー要素は、少なくとも1つのスペーサーバー、少なくとも1つのスペーサーリングなどを含み得る。
【0029】
少なくとも1つのスペーサー要素が分光計装置によって構成される場合、接触センサー装置はまた、スペーサー要素とサンプルとの接触を完全にまたは部分的に検出するように構成され得る。この場合も、光学的接触センサーデバイス、機械的接触センサーデバイス、電気的接触センサーデバイスのうちの1つまたは複数を使用することなどによって、スペーサー要素とサンプルとの接触を検出するために様々な感知原理を適用することができる。
【0030】
上で概説したように、入口窓は、完全にまたは部分的に、少なくとも1つの透明な材料でできていてもよい。一例として、透明材料は、完全にまたは部分的に、1つまたは複数の有機透明材料または無機透明材料、例えば、透明プラスチック材料、ガラスまたは石英またはサファイアのうちの少なくとも1つから作製され得る。
【0031】
上で概説したように、一般に、例としての接触センサー装置は、以下からなる群から選択される少なくとも1つのデバイスを含み得る。その群とは、電気接触センサーデバイス、機械的接触センサーデバイス、具体的には1つまたは複数の押しボタン、音響接触センサーデバイスである。
【0032】
したがって、接触センサー装置は、少なくとも1つの光学的接触センサーデバイスを含み得る。光学的接触センサーデバイスは、入口窓とサンプルとの接触を検出するように構成することができる。一例として、光学的接触センサーデバイスは、少なくとも1つの光エミッタデバイスおよび少なくとも1つの光検出器デバイスを含み得、ここで、少なくとも1つの光信号は、光エミッタデバイスから光検出器デバイスに送信される。光学的接触センサーデバイスは、光信号の伝達に対するサンプルの存在の影響を検出するように構成される。一例として、光エミッタデバイスは、入口窓の縁に配置された、少なくとも1つの発光ダイオードおよび/または少なくとも別のタイプの光源を含み得る。一例として、光検出器デバイスは、少なくとも1つのフォトダイオードおよび/または別のタイプの感光性要素を含み得、入口窓の反対側の縁に配置され得る。一般に、光学的接触センサーデバイスは、入口窓を導波路として使用することによって、光信号を少なくとも部分的に送信するように構成することができる。光学的接触センサーデバイスは、サンプルと入口窓との間の接触が入口窓の導波路特性を変化させるように構成され得る。したがって、一般に、要素または材料が光導波路に接触すると、例えば、導波路と要素または材料との間の界面での屈折率比の変動により、導波路の導波特性が変化する可能性がある。一例として、液体の透明な材料が導波路に接触すると、光のアウトカップリングが発生し、導波路の導波特性が低下する可能性がある。一般に、光学的接触センサーデバイスは、送信された信号を分析することによって、例えば、信号伝送の劣化と導波特性の劣化を検出することによって、これらの変化を検出することができる。
【0033】
追加的または代替的に、接触センサー装置は、少なくとも1つの慣性センサーを含む。「慣性センサー」という用語は広義の用語であり、当業者にその通常の慣習的な意味を与えられるべきであり、特別なまたはカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。この用語は、限定されないが、具体的には、少なくとも1つの要素の慣性の変化を検出するように構成されたセンサーを指すことができる。したがって、一例として、慣性センサーは、少なくとも1つの振動センサーおよび/または少なくとも1つのモーションセンサーであり得るか、またはそれらを含み得る。一例として、振動センサーは、少なくとも1つの振動面または膜などの少なくとも1つの振動質量を含み得、その振動特性は、振動質量と周囲環境との間の接触に依存し、および/または振動要素を少なくとも1つの材料で覆うことに依存する。したがって、振動質量の共振周波数のシフトを検出することなどによって、振動質量の振動特性の変化を検出することによって、サンプルなどの材料との減衰接触などの振動質量の慣性変化が検出され得る。一例として、振動膜がサンプルと接触すると、振動膜の振動は一般に減衰される。同様に、移動要素がサンプルに接触すると、他のタイプの動きが減衰する場合がある。慣性特性のこれらの変化は、例えば、電子的に検出され得る。慣性センサーは、一般に、少なくとも1つの可動要素を含み得、可動要素の振動または動きの一方または両方は、分光計装置、特に慣性センサーのサンプルとの接触によって変化し得る。慣性センサーは、追加的または代替的に、少なくとも1つの振動要素を含み得、ここで、分光計装置とサンプルとの接触は、振動要素の少なくとも1つの振動特性を変化させる。
【0034】
上で概説したように、少なくとも1つの接触センサー装置は、少なくとも1つの電子接触センサー装置であり得るか、またはそれを含み得る。その中で、少なくとも1つの電子接触センサー装置は、例として、少なくとも1つの電磁エミッタを含み得る。具体的には、電磁エミッタは、少なくとも1マイクロメートル、例えば、少なくとも1ミリメートル、または少なくとも1メートルでさえの波長範囲の電磁波を放出するように構成され得る。一例として、接触センサー装置は、WiFiまたはブルートゥース(登録商標)モジュールのうちの少なくとも1つを含み得る。したがって、一例として、サンプルの存在によるWiFiおよび/またはブルートゥース(登録商標)信号の反射および/または送信の変化は、接触センサー装置によって検出され得る。
【0035】
一般に、接触センサー装置は、少なくとも1つの近接センサーデバイスを含み得る。「近接センサー」という用語は広義の用語であり、当業者にその通常の慣習的な意味を与えられるべきであり、特別なまたはカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。この用語は、限定されないが、具体的には、要素または物体の近接、例えば所定の範囲内の近接を検出するように構成された任意のセンサーまたはセンサーデバイスを指すことができる。近接を感知するために、電子近接センサー、例えば誘導型近接センサーなどの様々なセンサー原理が一般に知られている。具体的には、接触センサー装置は、少なくとも1つの静電容量式近接センサー装置を含み得る。一例として、静電容量式近接センサー装置は、少なくとも1つのコンデンサーを含み得、その静電容量は、物体または要素の近接性によって変化する。したがって、サンプルの近接は、容量性近接センサー装置の静電容量を変化させる可能性がある。静電容量の変化が検出され得る。
【0036】
分光計装置は、単一の接触センサー装置または複数の接触センサー装置を含み得る。複数の接触センサー装置が含まれる場合、これらの接触センサー装置のそれぞれは、センサー信号を提供することができる。分光計装置は、少なくとも1つの処理ユニットまたはプロセッサを有する少なくとも1つの評価装置など、少なくとも1つの評価装置を備えることができる。評価装置は、一般に、複数の接触センサー装置のセンサー信号の組み合わせを評価するように構成することができる。したがって、一例として、評価装置は、少なくとも1つのデータ処理ユニットを備えることができ、データ処理ユニットは、センサー信号を評価するためのプログラミングによって構成することができる。具体的には、データ処理ユニットは、複数の接触センサー装置のセンサー信号に数学的アルゴリズムを適用するように構成され得る。一例として、評価装置は、センサー信号にカルマンフィルターを適用するように構成され得る。カルマンフィルターをセンサー信号に適用することにより、測定データの推定を生成することができ、および/またはセンサー信号の誤差を低減することができる。それにより、サンプルの近接性および/または分光計装置を備えたサンプルのコンテキストに関するより信頼できる情報を生成することができる。
【0037】
分光計装置は、具体的に、接触センサー装置が分光計装置とサンプルとの接触を検出したときに、少なくとも1つのサンプルを光学的に分析することを自動的にトリガーするように構成され得る。したがって、例として、評価装置は、一般に、分光計装置を制御することができ、および/または分光計装置の制御装置と協調することができる。少なくとも1つの接触センサー装置の少なくとも1つのセンサー信号が、分光計装置とサンプルとの接触、および/またはサンプルの近接、例えば、所定の範囲内での近接を一旦示すと、評価装置および/または制御装置は、分光計装置からサンプルへの光ビームの放出をトリガーし得、および/または検出器装置を、光を検出するようにトリガーし得る。すなわち、構成波長の少なくとも一部を検出し得る。
【0038】
本発明のさらなる態様では、少なくとも1つのサンプル、具体的には少なくとも1つの液体サンプルを光学的に分析するための方法が開示される。この方法は、以下の工程を含む。工程は、具体的には、指定された順序で実行できる。しかし、1つまたは複数の工程を完全にまたは部分的に同時に実行するオプションを含め、別の順序も可能である。さらに、1つまたは複数の工程は、繰り返される方法で実行され得る。この方法は、リストされていない追加の工程を含み得る。この方法は、以下の工程を含む。
【0039】
i)請求項のいずれか1つ記載の少なくとも1つの分光計装置を提供する工程;
ii)分析される少なくとも1つのサンプルを分光計装置に近づける工程;
iii)接触センサー装置を使用して、分光計装置とサンプルとの接触を検出する工程;および
iv)分光計装置を使用してサンプルの少なくとも1つの光学分析を実行する工程。
【0040】
さらなる態様において、例えば、上記に開示された実施形態のいずれか1つによる、および/または以下により詳細に開示される実施形態のいずれか1つによる、本発明の分光計装置の使用が開示される。使用の目的は、以下からなる群から選択される。その群とは、赤外線検出アプリケーション;分光アプリケーション;排気ガス監視アプリケーション;燃焼プロセス監視アプリケーション;汚染監視アプリケーション;工業プロセス監視アプリケーション;化学プロセス監視アプリケーション;食品加工プロセス監視アプリケーション;水質モニタリングアプリケーション;空気質監視アプリケーション;品質管理アプリケーション;排気制御アプリケーション;ガス検知アプリケーション;ガス分析アプリケーション;化学センシングアプリケーションである。
【0041】
本明細書でさらに開示および提案されるのは、本発明による分光計装置で使用するためのコンピュータプログラムである。コンピュータプログラムは、コンピュータプログラムが分光計装置の評価装置によって実行されると、評価装置に、分光計装置の少なくとも1つの接触センサー装置によって提供される少なくとも1つのセンサー信号を評価させ、分光計装置とサンプルの接触を検出させる。指示は、具体的には、評価デバイスに、複数の接触センサー装置のセンサー信号の組み合わせを評価させることができる。
【0042】
本明細書でさらに開示および提案されるのは、プログラムがコンピュータまたはコンピュータネットワーク上で実行されるときに、本明細書に含まれる1つまたは複数の実施形態において本発明による方法を実行するためのコンピュータ実行可能命令を含むコンピュータプログラムである。具体的には、コンピュータプログラムは、コンピュータ可読データキャリアおよび/またはコンピュータ可読データ記憶装置に記憶され得る。したがって、具体的には、上記の工程iii)またはiv)の1つ、2つ以上、またはすべてでさえ、コンピュータまたはコンピュータネットワークを使用することによって、好ましくはコンピュータプログラムを使用することによって実行され得る。
【0043】
プログラムがコンピュータまたはコンピュータネットワーク上で実行されるときに、本明細書に含まれる1つまたは複数の実施形態において本発明による方法を実行するために、本明細書でさらに開示および提案されるのは、プログラムコード手段を有するコンピュータプログラム製品である。具体的には、プログラムコード手段は、コンピュータ可読データキャリアおよび/またはコンピュータ可読データ記憶装置に記憶され得る。
【0044】
本明細書でさらに開示および提案されるのは、データキャリアまたはその上に格納されたデータ構造を有するコンピュータ可読データ記憶装置であり、これらは、コンピュータまたはコンピュータネットワーク、例えば、コンピュータまたはコンピュータネットワークの作業メモリまたはメインメモリにロードされた後、は、本明細書に開示される1つまたは複数の実施形態による方法を実行することができる。
【0045】
本明細書でさらに開示および提案されるのは、プログラムがコンピュータまたはコンピュータネットワーク上で実行される場合、開示された1つまたは複数の実施形態による方法を実行するために、機械可読キャリアおよび/またはコンピュータ可読データ記憶装置に記憶されたプログラムコード手段を有するコンピュータプログラム製品である。本明細書で使用される場合、コンピュータプログラム製品は、プログラムを取引可能な製品と呼ぶ。製品は、一般に、紙の形式などの任意の形式で、またはコンピュータで読み取り可能なデータキャリア上に存在してもよい。具体的には、コンピュータプログラム製品は、データネットワークを介して配布され得る。
【0046】
最後に、本明細書に開示および提案されるのは、本明細書に開示される1つまたは複数の実施形態による方法を実行するための、コンピュータシステムまたはコンピュータネットワークによって読み取り可能な命令を含む変調データ信号である。
【0047】
本発明のコンピュータで実施される態様を参照すると、本明細書に開示される1つまたは複数の実施形態による方法の1つまたは複数の工程またはすべての工程でさえ、コンピュータまたはコンピュータネットワークを使用して実行または支持され得る。したがって、一般に、データの提供および/または操作を含む任意の工程は、コンピュータまたはコンピュータネットワークを使用することによって実行され得る。一般に、これらの工程は、通常、サンプルの提供および/または実際の測定を実行する特定の側面などの手作業を必要とする工程を除いて、任意の工程を含み得る。
【0048】
分光計装置および方法は、この種の既知の装置および方法に勝る複数の利点を提供する。したがって、具体的には、分光計装置および方法は、上記の技術的課題に対処する。具体的には、分光計装置は、過酷な条件下で現場に適用することができ、それでも、明確で再現性のある測定セットアップを提供することができる。分光計装置は、特に入口窓またはスペーサーがサンプルと接触している場合、それ自体でサンプルとの接触を検出することができる。これにより、サンプルからの光の減衰を常に正確に推定できるため、測定の再現性が大幅に向上する可能性がある。
【0049】
要約し、さらに可能な実施形態を除外することなく、以下の実施形態を想定することができる。
【0050】
実施形態1:少なくとも1つのサンプルを光学的に分析するための分光計装置であって、以下を含む:
- 少なくとも1つの入口窓を備えた少なくとも1つのハウジング;
- 入射光を構成波長のスペクトルに分離するように構成された少なくとも1つの波長選択要素であって、ハウジング内に配置されている波長選択要素:
- 構成波長の少なくとも一部を検出するように構成された少なくとも1つの検出器装置であって、ハウジング内に配置されている検出器装置;
- 分光計装置とサンプルとの接触を検出するための少なくとも1つの接触センサー装置。
【0051】
実施形態2:分光計装置が反射モードで動作するように構成される、実施形態1に記載の分光計装置。
【0052】
実施形態3:分光計装置が、サンプルを照明するための少なくとも1つの照明源を含む、実施形態1または2に記載の分光計装置。
【0053】
実施形態4:接触センサー装置が、入口窓とサンプルとの間の接触を検出するように構成される、実施形態1から3のいずれか1つに記載の分光計装置。
【0054】
実施形態5:分光計装置が少なくとも1つのスペーサー要素を含み、接触センサー装置がスペーサー要素とサンプルとの接触を検出するように構成される、実施形態1から4のいずれか1つに記載の分光計装置。
【0055】
実施形態6:入口窓が少なくとも1つの透明な材料で完全にまたは部分的に作られている、実施形態1から5のいずれか1つに記載の分光計装置。
【0056】
実施形態7:接触センサー装置が、光学的接触センサーデバイス、電機接触センサーデバイス、機械接触センサーデバイス、特に音響接触センサーデバイスから成る群から選択される少なくとも1つの装置を含む、実施形態1から6のいずれか1つに記載の分光計装置。
【0057】
実施形態8:接触センサー装置が少なくとも1つの光学的接触センサーデバイスを含む、実施形態1から7のいずれか1つに記載の分光計装置。
【0058】
実施形態9:光学的接触センサーデバイスが、入口窓とサンプルとの接触を検出するように構成される、実施形態8に記載の分光計装置。
【0059】
実施形態10:光学的接触センサーデバイスが、少なくとも1つの光エミッタデバイスおよび少なくとも1つの光検出器デバイスを含み、少なくとも1つの光信号が光エミッタデバイスから光検出器デバイスに送信され、光学的接触センサーデバイスは、光信号の送信に対するサンプルの存在の影響を検出するように構成される、実施形態8または9に記載の分光計装置。
【0060】
実施形態11:光学的接触センサーデバイスは、入口窓を導波路として使用することによって、光信号を少なくとも部分的に送信するように構成される、実施形態10に記載の分光計装置。
【0061】
実施形態12:光学的接触センサーデバイスは、サンプルと入口窓との間の接触が入口窓の導波路特性を変化させるように構成される、実施形態11に記載の分光計装置。
【0062】
実施形態13:接触センサー装置が、少なくとも1つの慣性センサーを含む、実施形態1から12のいずれか1つに記載の分光計装置。
【0063】
実施形態14:慣性センサーが、振動センサーまたは運動センサーのうちの少なくとも1つを含む、実施形態13に記載の分光計装置。
【0064】
実施形態15:慣性センサーが少なくとも1つの可動要素を含み、可動要素の振動または運動の一方または両方が、分光計装置のサンプルへの接触によって変化する、実施形態13または14に記載の分光計装置。
【0065】
実施形態16:慣性センサーが少なくとも1つの振動要素を含み、分光計装置とサンプルとの接触が、振動要素の少なくとも1つの振動特性を変化させる、実施形態13から15のいずれか1つに記載の分光計装置。
【0066】
実施形態17:接触センサー装置が少なくとも1つの電磁エミッタを含む、実施形態1から16のいずれか1つに記載の分光計装置。
【0067】
実施形態18:接触センサー装置が、WiFiまたはブルートゥース(登録商標)モジュールのうちの少なくとも1つを含む、実施形態1から17のいずれか1つに記載の分光計装置。
【0068】
実施形態19:接触センサー装置が少なくとも1つの近接センサー装置を含む、実施形態1から18のいずれか1つに記載の分光計装置。
【0069】
実施形態20:接触センサー装置が少なくとも1つの静電容量式近接センサー装置を含む、実施形態1から19のいずれか1つに記載の分光計装置。
【0070】
実施形態21:分光計装置は、複数の接触センサーデバイスを含み、分光計デ装置は、さらに少なくとも1つの評価装置を含み、評価装置は、複数の接触センサー装置のセンサー信号の組み合わせを評価するように構成される、実施形態1から20のいずれか1つに記載の分光計装置。
【0071】
実施形態22:評価装置が少なくとも1つのデータ処理ユニットを含み、データ処理ユニットは、複数の接触センサー装置のセンサー信号に数学的アルゴリズムを適用するためのプログラミングによって構成される、実施形態21に記載の分光計装置。
【0072】
実施形態23:評価装置が、センサー信号にカルマンフィルターを適用するように構成される、実施形態21または22に記載の分光計装置。
【0073】
実施形態24:接触センサー装置が分光計装置とサンプルとの接触を検出したときに、分光計装置が少なくとも1つのサンプルの光学分析を自動的にトリガーするように構成される、実施形態1から23のいずれか1つに記載の分光計装置。
【0074】
実施形態25:分光計装置が携帯型分光計装置である、実施形態1から24のいずれか1つに記載の分光計装置。
【0075】
実施形態26:少なくとも1つのサンプルを光学的に分析するための方法であって、以下の工程を含む方法:
i)実施形態のいずれか1つに記載の分光計装置を提供する工程;
ii)分析する少なくとも1つのサンプルを分光計装置に近づける工程:
iii)接触センサー装置を使用して、分光計装置とサンプルとの接触を検出する工程;
iv)分光計装置を使用してサンプルの少なくとも1つの光学分析を実行する工程。
【0076】
実施形態27:分光器装置に言及する実施形態1から25のいずれか1つに記載の分光器装置の使用であって、以下からなる群から選択される目的のための使用。赤外線検出アプリケーション;分光アプリケーション;排気ガス監視アプリケーション;燃焼プロセス監視アプリケーション;汚染監視アプリケーション;工業プロセス監視アプリケーション;化学プロセス監視アプリケーション;食品加工プロセス監視アプリケーション;水質モニタリングアプリケーション;空気質監視アプリケーション;品質管理アプリケーション;モーションコントロールアプリケーション;排気制御アプリケーション;ガス検知アプリケーション;ガス分析アプリケーション;化学センシングアプリケーション。
【0077】
実施形態28:分光器装置に言及する実施形態1から25のいずれか1つに記載の分光計装置で使用するためのコンピュータプログラムであって、コンピュータプログラムが分光計装置の評価装置によって実行されるとき、評価装置に分光計装置の少なくとも1つの接触センサー装置によって提供される少なくとも1つのセンサー信号を評価し、分光計装置とサンプルとの接触を検出する命令を含むコンピュータプログラム。
【0078】
実施形態29:命令により、評価デバイスに、複数の接触センサー装置のセンサー信号の組み合わせを評価させる、実施形態28に記載のコンピュータプログラム。
【0079】
さらなる任意の特徴および実施形態は、好ましくは従属請求項と併せて、実施形態の後続の説明においてより詳細に開示される。その中で、それぞれの任意の特徴は、当業者が理解するように、孤立した方法で、ならびに任意の実行可能な組み合わせで実現することができる。本発明の範囲は、好ましい実施形態によって制限されない。この実施形態は、図に概略的に示されている。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【
図1】接触センサー装置を含む分光計装置の例示的な実施形態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0081】
図1に、分光計装置110の例示的な実施形態を示す。分光計装置110は、具体的な例では、移動式または携帯型の分光計装置として具体化することができる。
図1では、分光計装置110は、断面図で示されている。分光計装置110は、少なくとも1つのサンプル112を分析するように構成される。例えば、
図1には、液体サンプル112が示されている。それでも、分光計装置110はまた、固体サンプル、例えば、穀物、果物または野菜などの他のタイプのサンプル112に適用され得る。さらなる例も可能である。
図1のセットアップでは、分光計装置110は、分光計装置110のフロントエンド114をサンプル112に浸漬することなどによって、分光計装置110がサンプル112と物理的に接触して示されている。
【0082】
分光計装置110は、ハウジング116を備える。ハウジング116は、少なくとも1つの入口窓118を有する。分光計装置110は、さらに、ハウジング116内に配置され、入射光123を構成波長のスペクトルに分離するように構成された少なくとも1つの波長選択要素120を備える。分光計装置110は、ハウジング116内に配置され、構成波長の少なくとも一部を検出するように構成された少なくとも1つの検出器装置122をさらに含む。分光計装置110はさらに、少なくとも1つの評価装置124、例えば、少なくとも1つのプロセッサを有する評価装置124を有する。ここで、評価装置124は、例として、少なくとも1つの検出器装置122の検出器信号を評価するように構成され得る。
【0083】
分光計装置110は、分光計装置110とサンプル112との接触を検出するように構成された少なくとも1つの接触センサー装置126をさらに備える。一例として、接触センサー装置126は、入口窓118とサンプル112の接触を検出するように構成され得る。したがって、一例として、接触センサー装置126は、光学的接触センサーデバイス128であるか、またはそれを含み得る。光学的接触センサーデバイス128は、一例として、少なくとも1つの光エミッタデバイス130を含み得、一例として入口窓118のリム132に配置することができる。入口窓118は、導波特性を有する光学的に透明な材料で完全にまたは部分的に作製することができる。したがって、光学的接触センサーデバイス128は、少なくとも1つの光検出器デバイス134を、例えば、入口窓118の対向リム136にさらに含み得る。光エミッタデバイス130は、入口窓118に光を放出することができる。入口窓118において、光は、入口窓118の導波特性のために、対向縁136と光検出器デバイス134に導かれる。しかしながら、サンプル112と接触すると、入口窓118の導波特性が変化する。したがって、サンプル112との接触が確立されると、光エミッタデバイス130から光検出デバイス134に送信される信号が変化する。信号のこの変化は、分光計装置110とサンプル112との間の接触を検出するために使用され得る。一例として、光学的接触センサーデバイス128は、評価デバイス124および/または別個の制御または評価装置によって制御され得る。
【0084】
分光計装置110は、具体的には、反射モードで操作することができる。この目的のために、分光計装置110は、1つまたは複数の照明源138を含み得る。一例として、少なくとも1つの照明源138は、完全にまたは部分的に、ハウジング116の内側および/またはハウジング116の外側に配置され得る。
【0085】
図1のセットアップでは、例として、光学的接触センサーデバイス128が示されている。それでも、他のタイプの接触センサー装置126を使用することができる。したがって、上で概説したように、電気的および/または機械的接触センサー装置を追加的にまたは代替的に使用することができる。例として、慣性測定ユニットを使用した振動または運動の変化を使用することができる。一例として、分光計装置110とサンプル112との間の接触が確立されると、振動および/または運動は減少する。この測定原理は、分光計装置110が携帯型分光計装置110であっても使用することができる。追加的または代替的に、例として、電気測定原理を接触センサー装置126に使用することができる。したがって、例として、WiFiおよび/またはブルートゥース(登録商標)モジュールが実装される可能性がある。その中で、特に、モジュールがサンプル112の近くにある場合、サンプル112への接触による信号減衰を検出することができる。これらの例示的な実施形態は、光学的接触センサーデバイス128を使用することに加えて、他の測定原理が可能である。
【0086】
測定原理のそれぞれは、一般に、サンプル112への接触についての指標を与えるので、これらの検出方法のうちの1つまたは複数を組み合わせることさえできる。したがって、例として、信号は、評価デバイス128に提供され得る。そこで、信号は、例として、カルマンフィルターによって監視される数学的モデルに組み合わされ得る。
【符号の説明】
【0087】
110 分光計装置
112 サンプル
114 フロントエンド
116 ハウジング
118 入口窓
120 波長選択要素
122 検出器装置
123 光
124 評価装置
126 接触センサー装置
128 光学的接触センサーデバイス
130 光エミッタデバイス
132 リム
134 光検出器デバイス
136 対向リム
138 照明源
【先行技術文献】
【特許文献】
【0088】
【特許文献1】US 2014/131578 A1
【特許文献2】Richard A. Crocombe, "Handheld Spectrometers in 2018 and beyond: MOEMS, photonics, and smartphones,”Proc. SPIE 10545, MOEMS and Miniaturized Systems XVII, 105450C (22 February 2018): doi: 10.1117/12.2286492
【国際調査報告】