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特表2022-534359電気的接続のためのコーティング削除
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-07-29
(54)【発明の名称】電気的接続のためのコーティング削除
(51)【国際特許分類】
   C03C 17/36 20060101AFI20220722BHJP
   C03C 27/12 20060101ALI20220722BHJP
   C03C 15/00 20060101ALI20220722BHJP
【FI】
C03C17/36
C03C27/12 M
C03C15/00
C03C27/12 L
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021565746
(86)(22)【出願日】2020-05-29
(85)【翻訳文提出日】2021-11-04
(86)【国際出願番号】 US2020035126
(87)【国際公開番号】W WO2020243433
(87)【国際公開日】2020-12-03
(31)【優先権主張番号】62/853,865
(32)【優先日】2019-05-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】000002200
【氏名又は名称】セントラル硝子株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100086232
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 博通
(74)【代理人】
【識別番号】100092613
【弁理士】
【氏名又は名称】富岡 潔
(72)【発明者】
【氏名】ボグスロウスキー,カタリナ
【テーマコード(参考)】
4G059
4G061
【Fターム(参考)】
4G059AA01
4G059AB07
4G059AC12
4G059AC13
4G059BB08
4G059DA01
4G059DB04
4G059EA02
4G059EA03
4G059EA04
4G059EA05
4G059EA12
4G059EB04
4G059GA02
4G059GA04
4G061AA04
4G061AA30
4G061BA02
4G061CD18
(57)【要約】
車両用グレージング用の電気的に接続されたコーティングされた基板を製造する方法は、導電層を有するコーティングを基板の表面上に提供するステップと、このコーティングに開口部を形成するステップと、一方の側に導電性キャリアを有する電気的コネクタを、上記開口部に重ねて上記コーティングに貼り付けるステップと、を含み、上記導電層に電気的に接続するように上記導電性キャリアが上記開口部を埋める。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気的に接続されるコーティングされた基板を製造する方法であって、
導電性材料を有する導電性コーティングを基板の表面上に提供し、
このコーティングに開口部を形成し、
一方の側に導電性キャリアを有する電気的コネクタを、上記開口部に重ねて上記導電性コーティングに貼り付け、ここで、上記導電性キャリアは少なくとも部分的に上記開口部を埋め、これにより上記導電性材料が上記電気的コネクタに電気的に接続される、
方法。
【請求項2】
上記導電性コーティングが発熱可能なものである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
上記導電性コーティングが、赤外線反射コーティング、ナノワイヤーコーティング、低放射率コーティング、透明導電性酸化物、を含む群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
上記導電性コーティングが赤外線反射コーティングである、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
上記導電性コーティングは少なくとも1つの導電層を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
上記の少なくとも1つの導電層が少なくとも2層の銀層を含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
上記の少なくとも1つの導電層が少なくとも3層の銀層を含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
上記開口部は、周波数型の形状を有する波形構造を含み、上記周波数型の形状は、正弦波形状、三角波形状または四角形波形状のうちの少なくとも1つを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
上記開口部は、周期的構造のパターンを有する、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
上記パターンは、電気的接続のためのバスバー領域を横切って形成されている、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
上記開口部は、線形に延びている、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
上記開口部は、垂直柱の形状をなしている、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
上記開口部の形成は、レーザーエッチングを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
上記レーザーエッチングは、干渉レーザービームを使用する、請求項14に記載の方法。
【請求項15】
上記開口部の形成は、物理的な摩耗または化学的エッチングを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
上記基板は、ガラス基板、ポリマーフィルム、ポリマー板、のいずれか1つからなる、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
上記導電性キャリアは、その中に分散した導電性粒子を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
上記導電性粒子は、3ナノメートルから95マイクロメートルの平均寸法を有する、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
上記導電性粒子は、5ナノメートルから20ナノメートルの平均寸法を有する、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
上記導電性キャリアは、導電性粒子がその中に分散した塑性樹脂を含む、請求項17に記載の方法。
【請求項21】
上記導電性コーティングの最上層は非導電性である、請求項1に記載の方法。
【請求項22】
上記電気的コネクタにフレックスコネクタをはんだ付けすることをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項23】
第1面および第2面を有し、第1面が車両外部へ面する第1の基板と、
第3面および第4面を有し、第4面が車両内部へ面する第2の基板と、
上記第1の基板と上記第2の基板との間に形成されたポリマー中間膜と、
上記第2面および上記第3面の一方の上に形成された導電性コーティングであって、該導電性コーティング内の導電性材料を露出させる開口部を備えて形成されてなる導電性コーティングと、
一方の側に導電性キャリアを有する電気的コネクタであって、上記導電性キャリアが少なくとも部分的に上記開口部を埋めるように、上記開口部に重なって上記コーティングの上に直接に配置されている、電気的コネクタと、
を含む車両用グレージング。
【請求項24】
上記コーティングが、上記第2のガラス基板の第3面上に設けられている、請求項23に記載の車両用グレージング。
【請求項25】
上記コーティングが発熱可能なものである、請求項23に記載の車両用グレージング。
【請求項26】
上記コーティングが、赤外線反射コーティング、ナノワイヤーコーティング、低放射率コーティング、透明導電性酸化物、を含む群から選択される、請求項23に記載の車両用グレージング。
【請求項27】
上記コーティングが赤外線反射コーティングである、請求項23に記載の車両用グレージング。
【請求項28】
上記導電性材料が少なくとも2層の銀層を含む、請求項23に記載の車両用グレージング。
【請求項29】
上記導電性材料が少なくとも3層の銀層を含む、請求項28に記載の車両用グレージング。
【請求項30】
上記開口部は、周波数型の形状を有する波形構造を含み、上記周波数型の形状は、正弦波形状、三角波形状または四角形波形状のうちの少なくとも1つを含む、請求項23に記載の車両用グレージング。
【請求項31】
上記開口部は、線形に形成されている、請求項23に記載の車両用グレージング。
【請求項32】
上記開口部は、垂直柱の形状をなしている、請求項23に記載の車両用グレージング。
【請求項33】
上記開口部は、レーザーエッチング、物理的な摩耗、化学的エッチング、のいずれか1つによって形成されている、請求項23に記載の車両用グレージング。
【請求項34】
上記基板は、ガラス基板、ポリマーフィルム、ポリマー板、のいずれか1つからなる、請求項23に記載の車両用グレージング。
【請求項35】
上記導電性キャリアは、その中に分散した導電性粒子を含む、請求項23に記載の車両用グレージング。
【請求項36】
上記導電性粒子は、3ナノメートルから95マイクロメートルの平均寸法を有する、請求項35に記載の車両用グレージング。
【請求項37】
上記導電性粒子は、5ナノメートルから20ナノメートルの平均寸法を有する、請求項36に記載の車両用グレージング。
【請求項38】
上記導電性キャリアは、導電性粒子がその中に分散した塑性樹脂を含む、請求項35に記載の車両用グレージング。
【請求項39】
上記導電性コーティングの最上層は非導電性である、請求項23に記載の車両用グレージング。
【請求項40】
上記電気的コネクタは銅テープである、請求項23に記載の車両用グレージング。
【請求項41】
上記銅テープに取り付けられた第2のコネクタをさらに含む、請求項40に記載の車両用グレージング。
【請求項42】
上記第2のコネクタはフレックスコネクタである、請求項41に記載の車両用グレージング。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この出願は、2019年5月29日出願の「電気的接続のためのコーティング削除」という名称の米国特許仮出願第62/853,865号の優先権を主張し、その内容は全体が参照として本明細書に組み込まれている。
【0002】
本開示は、概して、車両用導電性ラミネートグレージング(例えば、車両用ウインドシールド)の製造方法に関する。より具体的には、本開示は、車両用ラミネートウィンドウの上もしくは中の導電性コーティングへ1つないし複数の電気的接続を提供するためのコーティング削除技術によるバスバーの形成に関する。
【背景技術】
【0003】
車両用ウィンドウの導電性コーティングは、ウィンドウの加熱などの種々の用途を有する。雪、氷あるいは霜を溶かすために、発熱可能な車両用ラミネートウィンドウが構成されることがあり、これは冬季あるいは寒冷地で特に有用であり得る。このような加熱機能は、車両用ラミネートウィンドウ上の赤外線反射(IRR)コーティングによって提供することができ、これはまた、車両内への赤外線日射を大幅に低減し、車両内の快適性を改善する。
【0004】
自動車用グレージング用の発熱可能型IRRコーティング技術によって提供され得るコーティングは、物理蒸着(PVD)技術(例えば、真空スパッタリング)または化学蒸着(CVD)技術によって堆積された少なくとも1層の金属銀、通常は2層ないし3層の金属銀層、を含む。発熱可能型IRRコーティングはまた、所望の屈折率への適合、接着の促進、熱膨張の補償、製造中(例えば、曲げ工程中)ないし実際の使用中における腐食や傷の低減、のための他のいくつかの薄い層を含み得る。発熱可能型IRRコーティングにおけるこれらの薄膜層の各々は、発熱可能型IRRコーティングが透明ないし半透明であるように、数十ナノメートルの厚さを有し得る。
【0005】
発熱可能型IRRコーティング中の金属銀層は導電性であるが、最上層を含む他のほとんどの層は、誘電体または絶縁体であるため、非導電性である(例えば、金属酸化物、金属窒化物、金属酸窒化物)。バスバーは、導電性コーティングがなされたガラスの露出面の上にスクリーン印刷された銀などの導電性材料のストリップを含み得る。銀バスバーを介して、外部電源(例えば、車両のDCバッテリー)から自動車用ラミネートウィンドウにおける発熱可能型IRRコーティングの銀層に電圧が供給され得る。
【0006】
当技術分野で知られている発熱可能型車両用ラミネートウィンドウの従来の製造方法においては、発熱可能型IRRコーティングがガラス面上に堆積され、任意選択的に、バスバー配置のためにガラス面上に銀ペーストエナメルのスクリーン印刷がなされる。銀ペーストエナメルは、乾燥され、かつ予備焼成される。外側ガラス板と内側ガラス板とを組み合わせた後、これらガラス板は、公知の自重曲げ工程を通して、同時に曲げられ得る。この熱曲げ工程中に、バスバー内の銀粒子が移動し、非導電性サブ層を通って発熱可能型IRRコーティングに浸透し、コーティング内の導電性銀層と外部電源との間に電気的接続を形成する。銀粒子の移動および浸透は、いかなる焼成工程でも発生し得る。
【0007】
熱は銀バスバーの領域に集中する可能性があるため、このような銀バスバーによってガラス基板に不均一な加熱プロファイルが生じ、銀バスバーの周囲に望ましくない残留応力が生じることがある。結果的に、ガラス基板は、銀バスバーの領域が銀バスバーのない残りのガラス基板と異なる形で加熱されるため、銀バスバーの領域で強度が低下し得る。さらに、銀バスバーを熱処理することで、ガラス基板への強い結合を形成することがあり、銀バスバーの破断がガラス基板へ拡がり、結果として、ガラス基板の破損をもたらし得る。銀バスバーは、ガラス基板よりも弱い表面となり、上記のようにして、より容易に破壊し得る。
【発明の概要】
【0008】
ここで開示されるのは、電気的に接続されるコーティングされた基板を製造する方法であって、導電層を有するコーティングを基板の表面上に提供するステップと、開口部を形成するようにコーティングに削除部を形成するステップと、一方の側に導電性キャリアを有する電気的コネクタを、上記開口部に重ねて上記導電性コーティングに直接に貼り付けるステップと、を備え、上記導電性キャリアは、上記開口部を埋め、上記導電層に電気的に接続する。
【0009】
本開示の他の態様では、車両用グレージングは、第1面および第2面を有し、第1面が車両外部へ面する第1の基板と、第3面および第4面を有し、第4面が車両内部へ面する第2の基板と、上記第1の基板と上記第2の基板との間に形成されたポリマー中間膜と、上記第2面および上記第3面のいずれか一方の上に形成された導電層を含むコーティングであって、上記導電層を露出させる開口部を備えて形成されてなるコーティングと、一方の側に導電性キャリアを有する電気的コネクタであって、上記導電層と電気的に接続するように、上記開口部に重なって上記コーティングに直接に貼り付けられている、電気的コネクタと、を含む。
【0010】
添付の図面は、本明細書に組み込まれ、その一部を構成するものであって、本開示の1つまたは複数の例示的な態様を示し、詳細な説明とともに、本開示の原理および実施を説明するのに寄与する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本開示による発熱可能型IRRコーティングを使用した車両用グレージングの製造方法におけるレーザー構造化の工程を示す図。
図2】本開示による車両用グレージングの製造方法における導電性テープの貼り付け工程を示す図。
図3】本開示による車両用グレージングの製造方法における電気的コネクタの形成工程を示す図。
図4】本開示による車両用グレージングの製造方法におけるラミネーションの形成工程を示す図。
図5】本開示の例示的な態様によるガラス上のコーティングに施されるレーザーエッチング工程を示す図。
図6】本開示の例示的な態様による開口部上に導電性テープを貼り付ける工程を示す図。
図7】本開示の例示的な態様による電気的配線工程を示す図。
図8】本開示の例示的な態様による導電性テープ貼り付け工程における開口部周囲の詳細を示す断面図。
図9】本開示の他の例示的な態様によるコーティング形成工程を示す図。
図10】本開示の他の例示的な態様によるレーザーエッチング工程を示す図。
図11】本開示の他の例示的な態様によるテープ貼り付け工程を示す図。
図12】本開示の他の例示的な態様による開口部充填工程を示す図。
図13】本開示の他の例示的な態様によるコネクタはんだ付け工程を示す図。
図14】本開示の他の例示的な態様によるガラスおよびポリマー中間膜の組立工程を示す図。
図15】本開示のさらに他の例示的な態様による車両用グレージングの製造方法を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下の説明では、説明の目的で、本開示の1つまたは複数の態様の理解を促進するために特定の詳細が示されている。しかしながら、いくつかまたはすべての場合において、以下で説明される特定の設計の詳細を適用せずに、以下で説明される任意の態様を実施できることは明らかであろう。本開示は、コーティング積層体中に1つあるいは複数の導電層を有する導電性コーティングや他の導電性材料の配合を有する導電性コーティングを含む、任意の導電性コーティングの解決策に関する。本明細書の記述は特定の実施形態を参照することがあるが、この出願は、特定の導電性コーティング材料に限定されない。
【0013】
種々の用途においてガラス板を正確に曲げる要求があり、これには、ヘッドアップディスプレイ(HUD)のための大きな投影領域の形成や、大型パノラマウインドシールドのような設計の自由度を改善するためのより複雑な形状の製造、が含まれる。内側ガラス板と外側ガラス板とが曲げ工程の間重ねられている自重曲げでは、このような正確な曲げ形状を提供できない場合がある。所望の形状を達成するためのプレスを含む、より正確な曲げ工程では、ガラス基板を対に重ねたまま曲げるのではなく、ガラス基板を個々に曲げることが必要となり得る。
【0014】
驚いたことに、本発明者は、ここに記載する方法および製品がウインドシールドを含むグレージングを通してコーティングを加熱するに必要な電力を提供することを見いだした。特に、ここに記載する方法および製品は、ウインドシールドのようなグレージングに適用されかつグレージングの大部分にコーティングされたコーティングの加熱に使用され得る。以下の記載においては、単一のガラスの曲げ工程あるいは対としたガラスの曲げ工程、例えば自重曲げ、が使用され得る。
【0015】
本明細書では、とりわけ、コーティング内の導電層に電気的接続を提供するように、コーティング中に少なくとも1つの開口部を形成するプロセスが開示されている。開口部は、熱曲げ工程の前または後に形成することができる。開口部は、物理的摩耗、化学的エッチング、レーザーエッチング、を含むがこれらに限定されない任意の適当な手段によって形成され得る。ここに記載の開口部は、コーティングの全体あるいは一部を貫通して延びる。コーティングとしては、積層および非積層材料を含む任意の形態の導電性材料および非導電性材料を含み得る。
【0016】
図1図4を参照すると、車両用グレージングの製造方法が図示されている。初めに、図1に示すように、大きな平らなガラス基板120つまりガラス板、通常は、例えば、当該技術分野で知られているフロート法によって製造されたソーダライムガラス基板/板、が準備され、かつ製品に応じた所望の寸法および形状となるように切断される。ガラス基板120は、約0.05mm~10.0mm、好ましくは約0.5mm~3.0mm、より好ましくは約1.0mm~2.4mmの厚さ、を有し得る。車両用グレージングを組み立てるためには、対のガラス基板つまり第1のガラス基板と第2のガラス基板とが用いられ、いずれか一方のガラス基板が発熱可能型コーティングを備えて形成され得る。
【0017】
発熱可能型コーティング102は、ガラス基板120が切断される前ないし後、ガラス基板120を曲げる前ないし後、にガラス基板102に施され得る。いくつかの実施形態においては、発熱可能型コーティング102は、複数の誘電体層および銀を含む少なくとも2層の導電層を含み得る。発熱可能型コーティング102の厚さは薄く、数ナノメートルから数サブマイクロメートルの範囲、好ましくは約100~500nmの範囲、であり得る。導電層は、導電層が電気的に絶縁されるように、誘電体層の間に位置し得、コーティング層は、一般に、化学的堆積、スパッタリング、あるいは当該分野で知られている他の任意の方法、によって形成され得る。発熱可能型コーティング102の最上層は、非導電性であり得、絶縁層として機能し得る。
【0018】
発熱可能型コーティング102を備えて形成されたガラス基板120は、研磨および曲げがなされ得る。曲げ工程は、自重曲げまたはプレス曲げ工程を含み得、この工程では、車両用ウィンドウに適合する円筒形や球形を含む所望の三次元形状を得るように、ソーダライムガラスからなるガラス基板120が加熱されかつ曲げられ得る。発熱可能型コーティング102は、熱処理(例えば、熱的強化工程あるいは曲げ工程中)の前・後で生存し得ること、すなわち、機械的および/または化学的に耐性を有することが望ましい。例えば、発熱可能型コーティング102は、酸化せず、可視光透過率が70%未満とならず、欠陥を示さないこと、が望まれ得る。いくつかの実施形態においては、発熱可能型コーティング102は、曲げ工程の後にガラス基板120に施され得る。
【0019】
レーザー構造化が曲げ工程の後に形成され得る。図1に示すように、ガラス基板100上の発熱可能型コーティング102に開口部104が形成され得る。いくつかの実施形態においては、レーザーによって開口部が形成され得、レーザーが発熱可能型コーティング102の一部を削除して開口部104を残す。好ましくは、開口部104は少なくとも1つの導電層つまり発熱可能型コーティング102内の導電部に達しており、より好ましくは、開口部104は発熱可能型コーティング102内の各導電層つまり各導電部に達している。開口部104は、コーティング102内の導電層ないし導電部の各々が開口部104を通して露出するように、形成され得る。いくつかの実施形態においては、開口部104の各々は、線形に形成され、かつ、直線の周期的なパターンをなすように形成され得る。開口部104は、導電層ないしコーティングの要素を露出させるために任意の形状であり得、円形、楕円形、島状、波状、柱状、または線形、の形態を含む。島形の開口部は、発熱可能型コーティング102を削除しない部分の周囲を囲むコーティング削除部を含み得る。このような開口部104は、他の領域が開口部無しとして残るように、ガラス基板120の縁部近くに配置され得る。特に、開口部104は、開口部がガラス基板120の互いに対向する縁部に形成され得るように、ガラス基板120の上縁および下縁の近くに、あるいは、ガラス基板120の左縁および右縁の近くに、形成され得る。
【0020】
図2に示すように、開口部104の形成後に、電気的コネクタとして機能する電気的テープが開口部104に重ねて取り付けられ得る。電気的テープは、銅テープ106,108を含み得、導電性キャリアが銅テープの上に配置される。銅テープは、銅テープへのコネクタのはんだ付け性を改善するために、例えば予備はんだ工程でもって表面処理され得る。銅テープ106,108は、発熱可能型IRRコーティング102内の導電層に開口部104を介して電気的に接続するバスバーとして機能するために、約6~10mm、好ましくは約6~8mm、の幅を有し得る。銅テープ106,108は、導電性キャリアを含み得、この導電性キャリアは、車両用接着剤中に分散した金属粒子ないし他の導電性粒子を含み得る。導電性キャリアは、接着剤であり得る。この実施形態においては、銅テープは、該テープの一方の側に導電性接着剤を備え、この導電性接着剤は、銅テープをガラス基板120に貼り付ける前に除去される剥離紙ないしフィルムによってカバーされ得る。銅テープ106,108の貼り付け時には、銅テープ106,108を所定の領域に接着するように、銅テープ106,108の前側がガラス基板120に押し付けられ得る。この貼り付け工程中に、追加の熱を加えることなく、導電性キャリアの形状が、開口部104の形状内に適合するように変化し得る。そして導電性キャリアは、下記のように、発熱可能型コーティング内の露出した導電層に電気的に接続され得る。
【0021】
さらに、フレックスコネクタを含み得るコネクタ112が、任意の適当なはんだ付け工程によって適用された図示しないはんだペーストを介して、銅テープ106,108上に設けられ得る。図3に示すように、コネクタ112は、ガラス基板120の領域外に位置するジョイント部材110に結合され得る。
【0022】
コネクタ112が設けられた後に、ガラス基板120は、図4に示すように、車両用グレージングを提供するために他のガラス基板とラミネートされる。ラミネーションは、ガラス基板120を覆う例えばポリビニルブチラール(PVB)からなる通常約0.85mm以下の厚さの中間膜114と、銅テープ106,108と、を配置すること、さらに、中間膜114の上に別のガラス基板を配置すること、を含み得る。
【0023】
上記のプロセスによれば、銅テープは、ガラス軟化点よりも高い温度でなされるいかなる熱処理にも晒されることがなく、ガラス上に形成され得るバスバーの存在にガラス曲げ工程が影響されない。銅テープは、作業者ないし機械によって容易に取り扱え、他のいかなる熱処理もなしに固定され得る。
【0024】
本明細書に開示される方法は、電気的接続が可能なグレージングの適切な製造を提供し得る。図5図7を参照すると、開口部および電気的接続の配置のための詳細な工程が図示されている。図5に示すように、ガラス基板120が発熱可能型コーティングを有するように準備され得る。発熱可能型コーティングは、薄いフィルムのスパッタリングもしくは堆積によって形成され得る。発熱可能型コーティングは、下側誘電体層122、下側銀層124、中間誘電体層126、上側銀層128、上側誘電体層130、を含み得る。下側誘電体層122、中間誘電体層126、上側誘電体層130の各々は、同じもしくは異なる材料からなる1つあるいは複数の誘電体層を含み得る。好適な誘電体材料としては、酸化チタン(TiOx)、窒化ケイ素(Sixy)、酸化ケイ素(SiOx)、酸化ニオブ(Nb25)、酸化アルミニウム(Al23など)、窒化ケイ素ジルコニウム(SixZryz)、酸化スズ(SnOx)、酸化亜鉛(ZnOx)、酸窒化ケイ素(Sixyz)、およびこれらの組み合わせ、あるいは他の適当な誘電体材料、を含み得る。下側銀層124および上側銀層128は、発熱可能型コーティングの導電層として機能し得、銀(Ag)を含み得る。代替として、導電層は、金、銅、チタン、ニッケル、クロム、または、酸化インジウムスズ(ITO)を含む透明導電性酸化物(TCO)などの他の適当な導電性材料、を含み得、好ましくは金属であり得る。導電性材料はさらに赤外線反射性であり得る。上記のように、発熱可能型コーティングが3層以上の銀層を含む場合は、3層の銀層を含む発熱可能型コーティングの全体の厚さTは、2層の銀層を含む発熱可能型コーティングの全体の厚さTよりも比較的に厚くなり得る。例えば、3層の銀層を含む発熱可能型コーティングの全体の厚さTは、好ましくは、約300~500ナノメートルの範囲にあり得、一方、2層の銀層を含む発熱可能型コーティングの全体の厚さTは、好ましくは、約150~250ナノメートルの範囲にあり得る。銀層は、好ましくは、5~20ナノメートル、より好ましくは、9~12ナノメートル、の厚さを有し得る。発熱可能型コーティング102は、ガラス基板120が適当なガラス曲げ方法によって曲げられる前または後に、ガラス基板120上に形成され得る。
【0025】
特定の実施形態では、開口部132が、レーザーエッチング法によって発熱可能型コーティング102内に形成され得る。他の実施形態では、開口部132は、機械的摩耗を含む他の適当な方法および複数の方法の組み合わせによって形成され得る。発熱可能型コーティングにおける開口部132は、各銀層124,128を通って延び得るが、ガラス基板120の表面を越えては延びていない。いくつかの実施形態においては、開口部132は、1つの銀層を通って延びるが全ての銀層を通って延びてはいない。開口部132は、図5に示すように、傾斜した側壁を有し得るが、ガラス基板120の表面に垂直な直立壁を有するようにも形成され得る。いくつかの実施形態では、開口部132内の層状コーティング積層構造は、層状の垂直面のように見え得る。これは、長年に亘って積み重なった異なる鉱物からなる地層が露出した崖に似ている。銀層124,128は、開口部132の内側側面に露出し得、この露出部は、銀層124,128の厚さであり得る。
【0026】
いくつかの実施形態においては、発熱可能型コーティングは、3層の銀層を含み得る。3層より多いか以下の銀層のコーティング、ナノワイヤーコーティング、低放射率コーティングを含む、積層および非積層の他の導電性コーティングの設計が、本開示の態様に従って企図され得ることを理解されたい。いくつかの実施形態では、導電性コーティングとしては、例えば取り扱い性の向上のための非導電性トップコーティングを有する透明導電性酸化物(例えば、インジウムスズ酸化物)や金属層などの材料を含み得る。
【0027】
本開示のいくつかの例示的な実施形態では、コーティングは、基板の大部分を横切って延び得る。コーティングされていないままの基板の1つまたは複数の部分があり得る。しかしながら、基板は、コーティングされていない表面積よりもコーティングされている表面積を多く有し得る。いくつかの実施形態では、基板は全体がコーティングされ得、本明細書に記載の開口部とは別のコーティングされていない領域を提供するように、コーティングの一部が除去される。特定の実施形態では、開口部は、波形パターンを有し得、この波形パターンは周期的構造であっても非周期的構造であってもよい。いくつかの実施形態では、開口部は、正弦波、三角波、または四角形波構造、を有し得る。波形パターンの開口部は、不連続な削除によって形成され得る。例えば、別個の削除部を一連に形成して、波形パターンを形成し得る。これは、個々の開口部を互いに一直線に形成して波として現れるようにすることを含み得る。個々の開口部は、さらに、丘部を有するクレーター形状を開口部内に含むことができ、丘部の高さが変化した波形パターンとし得る。例えば、丘部の高さは、コーティング表面の高さ以下になり得る。開口部は、さらに、導電性材料を露出させるための垂直柱として形成され得る。本明細書において「垂直柱」という用語は、ガラス基板の主面に対し垂直に延びる内壁ないし縁を有する開口部を指す。
【0028】
さらに、コーティングの下側導電層ないし材料を露出させるために、線形開口部を含む、波状や柱状ではない構造を使用できる。線形の開口部としては、コーティングを通して形成された線形開口部を含み得、これは、直線状または実質的に直線状の線を含み得るが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、線形開口部は、少なくとも1つの湾曲や折り返しを含み得る。線形の開口部は、下の導電層への接触を増加させるいかなる形状であってもよく、コーティング表面に関して垂直および/または非垂直の削除を含む。好ましくは、線形開口部は、15mm以下の長さであり得、より好ましくは、12mm以下の長さであり得る。好ましくは、バスバー領域内の線形開口部は、5mm以下の間隔、より好ましくは3mm以下の間隔、より好ましくは1.5mm以下の間隔、を有し得る。線形開口部は、一方向に長いので、方向付けられていてもよい。線形開口部は、好ましくは、導電性コーティング中の電流に平行であり、開口部を覆う銅テープのような線形開口部に貼り付けられるコネクタに対して直交する。線形開口部が電流に対して直交するように形成されていると、電気的接続を阻害して接続を切断する可能性がある。削除された開口部が電流に平行であると、より低い抵抗が得られ得る。
【0029】
開口部のパターンは、任意の形状または形態で、周期的または非周期的であり得る。好ましくは、パターンは、バスバー接続のための領域に形成され得る。より好ましくは、パターンは、バスバー領域全体にわたって形成され得る。開口部の周期は、開口部に形成される電気的接続に影響を与え得る。開口部は、電気的接続を形成するために導電性材料へのアクセスを提供する。導電性材料へのアクセスをより多く提供することで、バスバーにおける改善された接続を提供し、接触抵抗を減少させ、電気的接続の均一性を高めることができる。
【0030】
電気的センサーの設置のために自動車用グレージングをレーザー削除するものとして当該技術分野で知られているレーザー電源を、コーティングにおける開口部の提供のために使用することができる。例えば、532nmの波長および10kHzの周波数を有するパルス緑色レーザー、あるいは、波長1059~1065nmの赤外線レーザー、を生成する装置が使用され得る。さらに、電力、パルス、および/または周波数が、周期的または非周期的に変化し、あるいはスキャンされ得る。ガルバノスキャナを用いてあるいは用いずに、スキャン中のレーザーの焦点変化を使用することもできる。別の例では、空間位相変調器またはホログラフィック光学系を備えたレーザー加工技術を使用し得る。好ましくは、レーザー加工としては、削除部を形成するために干渉レーザービームを含み得る。干渉レーザーは、集束レーザービームよりも安定でエネルギー効率の高いシステムを提供し得る。干渉レーザービームにより本明細書に記載の削除開口部を形成するために、アキシコンレンズを使用し得る。さらに、三次元的に曲げられたガラス基板上に開口部が確実に形成され得るように、干渉ビームがコーティング上に集束され得る。
【0031】
開口部はさらに、表面の傷付けを含む、適当な任意の形態の物理的摩耗によって形成され得る。さらに、開口部を形成するために、化学的エッチングを使用し得る。化学的エッチングは、開口部の箇所を分離するためのマスクの使用を含み得る。化学的エッチングは、さらに、コーティング上にエッチングパターンを描くためのオイルペンの使用を含み得る。さらに、コーティングは、任意の削除方法の組み合わせを使用して開口させることができる。
【0032】
開口部132が形成されると、図6に示すように、露出された導電層への接続が形成され得る。図示例では、テープの裏側に導電性キャリア134を有する銅テープ136がこの接続に使用され得る。銅テープ136は、金属板やフォイルなどの他の電気接続手段と交換可能である。銅テープ136は、コネクタ(銅テープ)の下側に接着剤として機能する導電性キャリア134を含み得、これは、コーティングに作成された開口部132を完全にまたは少なくとも部分的に満たし得る。好ましい実施形態では、導電性キャリア134は、開口部132の上に貼り付けられる前は、剥離紙ないしフィルムで覆われ得る。このような剥離紙は、導電性キャリア134がコーティング表面上に貼り付けられる前に、導電性キャリア134から除去され得る。上記のように、導電性キャリア134は、金属粒子または任意の他の導電性材料を含み得る。いくつかの実施形態では、導電性キャリア134は、銀粒子を含み得るが、金、パラジウム、ニッケル、銅、亜鉛、スズ、金属合金、などの金属の他の粒子、および、グラファイト、グラフェン、カーボンナノチューブ、などのさらなる炭素粒子、およびそれらの組み合わせ、を含み得る。銅テープ136または他のコネクタが開口部132の上に貼り付けられると、導電性キャリア134は、開口部132の形状に一致するか、または部分的に一致するようにその形状が変化し得る。これにより開口部132の内側表面が導電性キャリア134に接触し得る。いくつかの実施形態では、銅テープ136または他の適当なコネクタに圧力が加えられ、この圧力によって、導電性キャリア134が開口部132内に、あるいはさらに開口部132内へと、押し込まれ得る。導電性キャリア134は、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ポリカーボネート樹脂、車両用樹脂に好適な同様の他の樹脂、などの車両用樹脂を含み得る。
【0033】
図8は、開口部132が形成された領域の断面を示している。コーティング中の導電層すなわち下側銀層124および上側銀層128は、9~12ナノメートルの厚さを有する比較的薄い層であるため、導電性キャリア134が比較的大きなサイズの導電性粒子を含むと、導電性粒子が銀層124,128の露出端に接触する可能性が低くなり、導電性粒子と銀層124、128との間の電気的接続が減少し得る。直径が大きいと、導電性粒子が離れて配置され、銀層124,128と接続可能な粒子の表面積が制限され得る。いくつかの実施形態では、導電性キャリア134内の導電性粒子は、銅テープ136と銀層124,128との間に効率的な電気的接続を形成するように、比較的小さな直径を有するように選択され得る。2層銀コーティングでコーティング全体の厚さTが約150~250ナノメートル、または、3層銀コーティングで約300~500ナノメートル、である場合、導電性キャリア134内の導電性粒子の平均直径Dは、3~50ナノメートル、好ましくは5~20ナノメートル、より好ましくは7~15ナノメートル、であり得る。導電性キャリア134内の導電性粒子の密度は、発熱可能型コーティングへの接続にさらに影響し得る。導電性粒子は、電流が銅テープ136および銀層124、128から流れ得るような密度を有し得る。好ましくは、導電性粒子は、導電性粒子間に電流が流れるように互いに物理的に接触している。好ましい粒子サイズは、コーティングの厚さに依存し得、銀層の厚さや他の要因に応じて変化し得る。いくつかの実施形態においては、35~90ミクロンの直径を有する金属粒子が、導電性キャリア内に容易に使用され得る。平均直径Dは、導電性キャリア中の導電性粒子の観察された最小直径および最長直径の平均値を計算するように、顕微鏡または電子顕微鏡によって測定され得る。
【0034】
銅テープ136が開口部132上に配置された後、図7に示すように、コネクタ140が銅テープ136の前面に提供され得る。特定の実施形態では、コネクタ140は、図7に示すように、銅テープ136にはんだ付けされ得る。はんだ付けは、鉛フリーはんだ138を含み得る。コネクタ140は、フレックスコネクタなどの任意の適当なコネクタであり得る。
【0035】
このような方法によって形成されたバスバーは、ガラス軟化点よりも高い温度にさらされることがない。他の方法では、バスバーの領域においてガラス基板の曲げに影響を及ぼし得る。
【0036】
さらに詳細な例において、図9図14は、車両用グレージング上の発熱可能型コーティングに接続する断面の工程図を示している。最初に、導電性コーティング121を備えたガラス基板120が準備され得る。発熱可能型コーティングであり得る導電性コーティング121は、ガラスまたはポリマーフィルムを含む任意の適当な基板上に形成され得る。例えば、導電性コーティングは、グレージング内にラミネートされるポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム上に形成され得る。コーティングがガラス基板に施される場合は、コーティングは、任意のガラス表面に適用され得る。第1面および第2面を有する第1のガラス基板が車両用グレージングの外側に設けられる場合、第1面は車両外部に面し、第3面および第4面を有する第2のガラス基板が、車両用グレージングの内側に設けられ、第4面が車内に面する。ラミネートグレージングでは、好ましくは、コーティングは、第2面、第3面、第4面のうちの少なくとも1つの上にある。コーティングが第3面上に形成される場合、不透明エナメル(例えば、黒色エナメルプリント)が、第1のガラス基板の第2面上に設けられ得る。ガラス基板120は、0.05mm~10mm、好ましくは0.5mm~3.0mm、より好ましくは1.0mm~2.4mm、の厚さを有し得る。ラミネートグレージング内を含むいくつかの実施形態では、ガラス基板は、0.05mm~2.4mm、好ましくは0.5mm~1.8mm、より好ましくは1.0mm~1.6mm、の厚さを有し得る。
【0037】
発熱可能型コーティング121は、ガラス基板120の表面、例えば、第2のガラス基板の第3面上に形成され得る。導電層を有する発熱可能型コーティング121は、図9に示すように、限定されるものではないが、物理蒸着または原子層堆積を含む任意の適当な手段によって堆積され得る。
【0038】
発熱可能型コーティング121を形成した後、図10に示すように、開口部132が発熱可能型コーティング121内に形成され得る。ガラス基板120は、発熱可能型コーティング121に開口部132を形成する前または後に曲げられ得る。開口部132は、いくつかの実施形態では、開口部132内に発熱可能型コーティング121の導電層の端部を露出させるように、レーザーエッチング工程によって形成され得る。
【0039】
開口部132が形成される場合、導電性キャリア134を有するコネクタ136は、図11に示すように配置され得る。コネクタ136は、好ましくは、銅テープなどの金属フォイル、または、金属板を含み得る。図11では、コネクタ136は銅テープで示されている。導電性キャリア134は、効率的な導電性のために、アクリル、エポキシ、シリコーン樹脂などの車両用接着剤に分散された、金属粒子(例えば、銀粒子)あるいは他の導電性粒子を含み得る。典型的な手順では、コネクタ136は、開口部132に面して配置される接着剤背面を有し得る。銅テープ136が開口部132の上に直接に貼り付けられたときに、開口部132は、導電性キャリア134によって埋められ、あるいは、部分的に埋められ得る。
【0040】
図12は、銅テープ136が開口部132に接着された箇所の断面を示している。この取り付けにより、銅テープ136は、発熱可能型コーティング121の導電層に電気的に接続され得、ガラス基板を曲げるときの高温にバスバーが晒されることがない。
【0041】
銅テープ136と発熱可能型コーティング122内の導電層とが電気的に接続された後、図7に対応した図13に示すように、コネクタ140が銅テープ136上に設けられ得る。特定の例では、コネクタ140は、フレックスコネクタであり得る。コネクタ140は、図13に示すように、銅テープ136にはんだ付けされ得、これは鉛フリーはんだ138を含み得る。.鉛フリーはんだ138は、一般的なはんだ付け方法によって適用され得る。
【0042】
発熱可能型コーティングがラミネートグレージングの内側に配置されるべき場合は、コネクタ140は、PVB中間膜144によって覆われ得る。次に、ガラス基板146が、PVB中間膜144上に配置され、図14に示すように、該中間膜144が第1のガラス基板120と第2のガラス146との間に配置され得る。このようなガラス基板120,146と中間膜144の積層体は、グレージングを得るように一体にラミネートされ得る。
【0043】
このように説明した実施形態では、ガラス基板120は無機ガラス材料で作られているが、本明細書で説明されているように、基板は、無機ガラス以外の材料、例えば、有機ガラスまたはポリマーのフィルムないし板で形成され得る、ことに留意されたい。このような有機ガラスまたはポリマー材料としては、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、または任意の他の適当な樹脂材料、または樹脂-ガラスの複合材料、のフィルムないし板を含み得る。
【0044】
本開示の態様によれば、図15を参照すると、ガラス表面上に導電性コーティングを有する導電性車両用ラミネートウィンドウの製造工程は、以下のステップを含み得る。
【0045】
ステップS1000は、第1面および第2面を有する平坦な外側ガラス板の準備(例えば、切断および研削)のためのステップを含む。
【0046】
ステップS1001は、第3面および第4面を有する平坦な内側ガラス板の準備のためのステップを含み、発熱可能型コーティングは、第2面または第3面の上に堆積される。発熱可能型コーティングは、物理蒸着または原子層堆積を含む適当な手段によって堆積され得るが、これには限定されず、発熱可能型IRRコーティングを含み得る。
【0047】
ステップS1002は、例えば、金型プレス曲げによる、内側ガラス板および外側ガラス板のそれぞれの単一ガラス曲げのためのステップを含む。いくつかの実施形態では、ガラスは対として曲げられ得る。
【0048】
ステップS1003は、発熱可能型コーティングに例えば波状の周期的なギャップなどを作成するように、レーザー削除を実行するためのステップを含む。いくつかの代替の実施形態では、レーザー削除は、ガラス曲げ工程の前に実行され得る。
【0049】
ステップS1004は、一方の面に導電性接着剤を有する導電性テープを準備し、この導電性テープを、導電性接着剤でもってギャップを埋め、あるいは、部分的に埋めるように、周期的なギャップが形成された領域に貼り付けるためのステップを含む。
【0050】
ステップS1005は、はんだ付け工程によって導電性テープに電気的コネクタを取り付けるためのステップを含む。例えば、導電性銅フォイルが開口部を横切ってコーティングに貼り付けられ、次いで、適当なコネクタが銅フォイルにはんだ付けされ得る。
【0051】
ステップS1006は、内側ガラス板と外側ガラス板の間にポリマー中間膜(例えば、ポリビニルブチラールPVBの厚さ約0.8mmのシート)を配置し、ラミネート工程(例えば、オートクレーブ)を行うためのステップを含む。
【0052】
他の実施形態では、レーザー削除部は、線形削除部の形態であり得る。さらに、削除部は、物理的な摩耗または化学エッチングによって形成されてもよい。削除部は、コーティング内の分離した垂直柱をさらに含み得る。
【0053】
他の導電性コーティングを、開示された方法でさらに使用することができる。例えば、コーティングとしては、赤外線反射コーティング、ナノワイヤーコーティング、または低放射率コーティング、を含み得る。コーティングは、発熱可能なもの、および/または、電力源として機能するものであり得る。適当ないかなるガラス基板も、本明細書に開示されている構成に使用することができる。
【0054】
本開示の上記の説明は、当業者が本開示を作成または使用できるようにするために提供されている。本開示に対する種々の修正は、当業者には容易に明らかであり、本明細書に規定される共通の原理は、本開示の精神または範囲から逸脱することなく、他の変形に適用され得る。例えば、限定ではないが、本開示に開示された削除は、2層、3層あるいはより多層の銀機能層を含む発熱可能型IRRコーティングを備えた発熱可能型ラミネートグレージング(ウインドシールドに限定されない)において統合アンテナ回路(または配線)を作成するための削除にも適用できる。さらに、図面に関連する上記の説明は、例を説明するものであり、実施可能な特許請求の範囲内における唯一の例を表すものではない。
【0055】
さらに、説明された態様および/または実施形態の要素は単数形で説明またはクレームされ得るが、単数形への限定が明示的に述べられていない限り、複数形も含まれる。さらに、特に明記しない限り、任意の態様および/または実施形態のすべてまたは一部を、他の任意の態様および/または実施形態のすべてまたは一部と共に利用することができる。従って、本開示は、本明細書で説明される例および設計に限定されず、本明細書で開示される原理および新規の特徴に一致する最も広い範囲が与えられる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
【国際調査報告】