(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-07-29
(54)【発明の名称】代謝物を検出するための質量分析アッセイ法
(51)【国際特許分類】
G01N 27/62 20210101AFI20220722BHJP
G01N 30/72 20060101ALI20220722BHJP
【FI】
G01N27/62 V
G01N27/62 X
G01N30/72 C
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021568933
(86)(22)【出願日】2020-05-08
(85)【翻訳文提出日】2021-11-18
(86)【国際出願番号】 US2020031982
(87)【国際公開番号】W WO2020242744
(87)【国際公開日】2020-12-03
(32)【優先日】2019-05-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2020-01-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519219977
【氏名又は名称】メタボロン,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】特許業務法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ロビンソン、リチャード、ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】エヴァンス、アン、エム.
(72)【発明者】
【氏名】フラインクマン、エリザヴェータ
【テーマコード(参考)】
2G041
【Fターム(参考)】
2G041CA01
2G041DA05
2G041EA04
2G041FA07
2G041GA09
2G041HA01
2G041LA08
(57)【要約】
液体クロマトグラフィー/質量分析によって、選択された1つ以上又は複数の分析物の存在、非存在、又は量をサンプル中で決定するための方法。この方法は、1つ又は複数の分析物のそれぞれから質量分析によって検出可能な1つ又は複数のイオンを生成するのに適した条件下でサンプルをイオン化源に供すること、液体クロマトグラフィー/質量分析により、1つ又は複数の分析物のそれぞれからの1つ又は複数のイオンの量を測定すること、及び測定された1つ又は複数のイオンの量を使用して、サンプル中の1つ以上又は複数の分析物のそれぞれの存在、非存在、又は量を決定することを含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体クロマトグラフィー/質量分析法により、試料中の、N2‐アセチル,N6,N6‐ジメチルリジン、N‐ブチリル‐ロイシン、N‐ブチリル‐フェニルアラニン、N‐スクシニル‐ロイシン、N‐スクシニル‐フェニルアラニン、o‐チラミン、フェニルアセチル‐ベータ‐アラニン、フェニルアセチルタウリン、フェニルアセチルバリン、5‐ヒドロキシインドールグルクロニド、ケノデオキシコール酸スルファート(1)、デオキシコール酸(12又は24)‐スルファート、デオキシコール酸グルクロニド、グリコウルソデオキシコール酸スルファート(1)、イソウルソデオキシコラートスルファート(1)、アスコルビン酸3‐スルファート、1‐(14又は15‐メチル)パルミトイル‐GPC(a17:0又はi17:0)、3‐ヒドロキシアジポイルカルニチン、3‐ヒドロキシマルガロイルグリシン、4‐メチルノナノイルカルニチン、アゼラオイルタウリン、ブチリルタウリン、ヘキサノイルタウリン、イソブチリルタウリン、レブリノイルカルニチン、ウンデセノイルカルニチン(C11:1)、3,5‐ジクロロ‐2,6‐ジヒドロキシ安息香酸、3‐ブロモ‐5‐クロロ‐2,6‐ジヒドロキシ安息香酸、2‐メトキシヒドロキノングルクロニド(2)、2‐メトキシヒドロキノンスルファート(2)、4‐アリルカテコールグルクロニド、4‐アリルカテコールスルファート、4‐エチルカテコールスルファート、3‐ヒドロキシ‐2‐メチルピリジンスルファート、3‐ヒドロキシ‐4‐メチルピリジンスルファート、3‐ヒドロキシピリジングルクロニド、5‐ヒドロキシ‐2‐メチルピリジンスルファート、2‐イミノピペリジン、チミジンスルファート(2)、シクロ(ala‐arg),シクロ(his‐tyr)、シクロ(his‐val)、N‐アセチルセリン‐バリン‐アルギニン、4‐ビニルグアヤコールグルクロニド、マルトールスルファート、メチルバニラートスルファート、ブチリルプトレシン、5‐アンドロステン‐3b,16a,17b‐トリオールスルファート(1)、5‐アンドロステン‐3b,16b,17a‐トリオールスルファート(1)、5‐アンドロステントリオールジスルファート、コルトロングルクロニド、デヒドロアンドロステロングルクロニド、(2‐ブトキシエトキシ)酢酸、ジブチルスルホスクシナート、3‐メチルブタノールグルクロニド、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される1つ以上又は複数の分析物の存在、非存在、又は量を決定する方法であって、
a) 1つ又は複数の分析物のそれぞれから、質量分析で検出可能な1つ又は複数のイオンを生成するのに適した条件下で、サンプルをイオン化源に供するステップ、
b) 質量分析により、1つ又は複数の分析物のそれぞれからの1つ又は複数のイオンの量を測定するステップ、及び
c) 測定された1つ又は複数のイオンの量を用いて、サンプル中の1つ以上又は複数の分析物のそれぞれの存在、非存在、又は量を決定するステップ
を含む、上記方法。
【請求項2】
前記1つ以上又は複数の分析物が、N2‐アセチル,N6,N6‐ジメチルリジン、N‐ブチリル‐ロイシン、N‐ブチリル‐フェニルアラニン、N‐スクシニル‐ロイシン、N‐スクシニル‐フェニルアラニン、(2‐ブトキシエトキシ)酢酸、1‐(14又は15‐メチル)パルミトイル‐GPC(a17:0又はi17:0)、2‐メトキシヒドロキノングルクロニド(2)、2‐メトキシヒドロキノンスルファート(2)、3,5‐ジクロロ‐2,6‐ジヒドロキシ安息香酸、3‐ブロモ‐5‐クロロ‐2,6‐ジヒドロキシ安息香酸、3‐ヒドロキシ‐2‐メチルピリジンスルファート、3‐ヒドロキシ‐4‐メチルピリジンスルファート、3‐ヒドロキシマルガロイルグリシン、3‐ヒドロキシピリジングルクロニド、4‐アリルカテコールスルファート、4‐エチルカテコールスルファート。4‐メチルノナノイルカルニチン、4‐ビニルグアヤコールグルクロニド、5‐ヒドロキシ‐2‐メチルピリジンスルファート、5‐ヒドロキシインドールグルクロニド、アスコルビン酸3‐スルファート、アゼラオイルタウリン、ブチリルプトレシン、ケノデオキシコール酸スルファート(1)、コルトロングルクロニド、シクロ(ala‐arg)、シクロ(his‐tyr)、シクロ(his‐val)、デヒドロアンドロステロングルクロニド、デオキシコール酸(12又は24)スルファート,デオキシコール酸グルクロニド、ジブチルスルホスクシナート、グリコウルソデオキシコール酸スルファート(1)、ヘキサノイルタウリン、イソウルソデオキシコラートスルファート(1)、レブリノイルカルニチン、マルトールスルファート、メチルバニラートスルファート、o‐チラミン、フェニルアセチル‐ベータ‐アラニン、フェニルアセチルタウリン、フェニルアセチルバリン、チミジンスルファート(2)、5‐アンドロステン‐3b,16a,17b‐トリオールスルファート(1)、5‐アンドロステントリオールジスルファート、5‐アンドロステン‐3b,16b,17a‐トリオールスルファート(1)、3‐メチルブタノールグルクロニド、4‐アリルカテコールグルクロニド、ブチリルタウリン、イソブチリルタウリン、N‐アセチルセリン‐バリン‐アルギニンからなる群から選択され、1つ以上又は複数の分析物の存在、非存在、又は量が単一注入で測定される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記1つ以上又は複数の分析物が、N2‐アセチル,N6,N6‐ジメチルリジン、N‐ブチリル‐ロイシン、N‐ブチリル‐フェニルアラニン、N‐スクシニル‐ロイシン、N‐スクシニル‐フェニルアラニン、(2‐ブトキシエトキシ)酢酸、2‐メトキシヒドロキノンスルファート(2)、3,5‐ジクロロ‐2,6‐ジヒドロキシ安息香酸、3‐ヒドロキシ‐2‐メチルピリジンスルファート、3‐ヒドロキシ‐4‐メチルピリジンスルファート、3‐ヒドロキシマルガロイルグリシン、3‐ヒドロキシピリジングルクロニド、4‐アリルカテコールスルファート。4‐エチルカテコールスルファート、4‐ビニルグアヤコールグルクロニド、5‐ヒドロキシ‐2‐メチルピリジンスルファート、5‐ヒドロキシインドールグルクロニド、アスコルビン酸3‐スルファート、アゼラオイルタウリン、デヒドロアンドロステロングルクロニド、デオキシコール酸グルクロニド、ジブチルスルホスクシナート、ヘキサノイルタウリン、レブリノイルカルニチン、マルトールスルファート、メチルバニラートスルファート、o‐チラミン、フェニルアセチル‐ベータ‐アラニン、フェニルアセチルタウリン、フェニルアセチルバリン、チミジンスルファート(2)、5‐アンドロステン‐3b,16a,17b‐トリオールスルファート(1)、5‐アンドロステントリオールジスルファート、5‐アンドロステン‐3b,16b,17a‐トリオールスルファート(1)、3‐ヒドロキシアジポイルカルニチン、3‐メチルブタノールグルクロニド、4‐アリルカテコールグルクロニド、ブチリルタウリン、イソブチリルタウリン、N‐アセチルセリン‐バリン‐アルギニンからなる群から選択され、1つ以上又は複数の分析物の存在、非存在、又は量が単一注入で測定される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記1つ以上又は複数の分析物が、N2‐アセチル,N6,N6‐ジメチルリジン、N‐ブチリル‐ロイシン、N‐ブチリル‐フェニルアラニン、N‐スクシニル‐ロイシン、N‐スクシニル‐フェニルアラニン、(2‐ブトキシエトキシ)酢酸、2‐イミノピペリジン、3‐ヒドロキシ‐2‐メチルピリジンスルファート、3‐ヒドロキシ‐4‐メチルピリジンスルファート、3‐ヒドロキシピリジングルクロニド、4‐エチルカテコールスルファート、5‐ヒドロキシ‐2‐メチルピリジンスルファート、アスコルビン酸3スルファート、アゼラオイルタウリン、ブチリルプトレシン、ジブチルスルホスクシナート、ヘキサノイルタウリン、レブリノイルカルニチン、o‐チラミン、フェニルアセチル‐ベータ‐アラニン、フェニルアセチルタウリン、フェニルアセチルバリン。3‐ヒドロキシアジポイルカルニチン、ブチリルタウリン、イソブチリルタウリン、N‐アセチルセリン‐バリン‐アルギニンからなる群から選択され、1つ以上又は複数の分析物の存在、非存在、又は量が単一注入で決定される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記1つ以上又は複数の分析物が、N‐ブチリルロイシン、N‐ブチリルフェニルアラニン、1‐(14又は15‐メチル)パルミトイル‐GPC(a17:0又はi17:0)、3‐ヒドロキシマルガロイルグリシン、4‐メチルノナノイルカルニチン、デオキシコール酸グルクロニド、フェニルアセチルバリン、ウンデセノイルカルニチン(C11:1)からなる群から選択され、1つ以上又は複数の分析物の存在、非存在、又は量が単一注入で測定される、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記1つ以上又は複数の分析物が、N2‐アセチル,N6,N6‐ジメチルリジン、N‐ブチリル‐ロイシン、N‐ブチリル‐フェニルアラニン、N‐スクシニル‐ロイシン、N‐スクシニル‐フェニルアラニン、o‐チラミン、フェニルアセチル‐ベータ‐アラニン、フェニルアセチルタウリン、フェニルアセチルバリン、5‐ヒドロキシインドールグルクロニド、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記1つ以上又は複数の分析物が、ケノデオキシコール酸スルファート(1)、デオキシコール酸(12又は24)‐スルファート、デオキシコール酸グルクロニド、グリコウルソデオキシコール酸スルファート(1)、イソウルソデオキシコラートスルファート、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1又は請求項2に記載の方法。
【請求項8】
前記1つ以上又は複数の分析物が、3‐ヒドロキシアジポイルカルニチン、3‐ヒドロキシマルガロイルグリシン、4‐メチルノナノイルカルニチン、アゼラオイルタウリン、ブチリルタウリン、ヘキサノイルタウリン、イソブチリルタウリン、レブリノイルカルニチン、ウンデセノイルカルニチン(C11:1)、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記1つ以上又は複数の分析物が、3,5‐ジクロロ‐2,6‐ジヒドロキシ安息香酸、3‐ブロモ‐5‐クロロ‐2,6‐ジヒドロキシ安息香酸、2‐メトキシヒドロキノングルクロニド(2)、2‐メトキシヒドロキノンスルファート(2)、4‐アリルカテコールグルクロニド、4‐アリルカテコールスルファート、4‐エチルカテコールスルファート、3‐ヒドロキシ‐2‐メチルピリジンスルファート、3‐ヒドロキシ‐4‐メチルピリジンスルファート、3‐ヒドロキシピリジングルクロニド、5‐ヒドロキシ‐2‐メチルピリジンスルファート、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1又は請求項2に記載の方法。
【請求項10】
前記1つ以上又は複数の分析物が、N‐アセチルセリン‐バリン‐アルギニン、シクロ(ala‐arg)、シクロ(his‐tyr)、シクロ(his‐val)、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1又は請求項2に記載の方法。
【請求項11】
前記1つ以上又は複数の分析物が、4‐ビニルグアヤコールグルクロニド、マルトールスルファート、メチルバニラートスルファート、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記1つ以上又は複数の分析物が、5‐アンドロスタン‐3b,16a,17b‐トリオールスルファート(1)、5‐アンドロステン‐3b,16b,17a‐トリオールスルファート(1)、5‐アンドロステントリオールジスルファート、コルトロングルクロニド、デヒドロアンドロステロングルクロニド、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1又は請求項2に記載の方法。
【請求項13】
前記1つ以上又は複数の分析物が、3‐メチルブタノールグルクロニド、2‐イミノピペリジン、(2‐ブトキシエトキシ)酢酸、ジブチルスルホスクシナート、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
イオン化源がネガティブイオン化モードで動作する、請求項2又は請求項3に記載の方法。
【請求項15】
イオン化源がポジティブイオン化モードで動作する、請求項4又は請求項5に記載の方法。
【請求項16】
2以上の分析物の量が決定される、請求項1~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
3以上の分析物の量が決定される、請求項1~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
4以上の分析物の量が決定される、請求項1~10、12~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
5以上の分析物の量が決定される、請求項1~10、12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
10以上の分析物の量が決定される、請求項1~4、6、9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
25以上の分析物の量が決定される、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
40以上の分析物の量が決定される、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
55以上の分析物の量が決定される、請求項1に記載の方法。
【請求項24】
前記液体クロマトグラフィーが、高速液体クロマトグラフィー、超高速液体クロマトグラフィー、及び乱流液体クロマトグラフィーからなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項25】
質量分析がタンデム質量分析である、請求項1に記載の方法。
【請求項26】
分析物がイオン化の前に誘導体化されない、請求項1に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
本出願は、2019年5月31日に出願された米国仮特許出願第62/855,004号、及び2020年1月23日に出願された米国仮特許出願第62/964,683号の利益を主張する。これらのそれぞれの全内容は参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
本発明の背景を説明するための以下の情報は、本発明の理解を助けるために提供されるものであって、本発明の先行技術を構成又は説明するものとして認められない。
【0003】
本明細書には、サンプル中の1つ以上又は複数の分析物の存在、非存在、又は量を決定する方法が記載されている。測定される分析物は、N2‐アセチル,N6,N6‐ジメチルリジン、N‐ブチリル‐ロイシン、N‐ブチリル‐フェニルアラニン、N‐スクシニル‐ロイシン、N‐スクシニル‐フェニルアラニン、o‐チラミン、フェニルアセチル‐ベータ‐アラニン、フェニルアセチルタウリン、フェニルアセチルバリン、5‐ヒドロキシインドールグルクロニド、ケノデオキシコール酸スルファート(1)、デオキシコール酸(12又は24)スルファート、デオキシコール酸グルクロニド、グリコウルソデオキシコール酸スルファート(1)、イソウルソデオキシコラートスルファート(1)、アスコルビン酸3‐スルファート、1‐(14又は15‐メチル)パルミトイル‐GPC(a17:0又はi17:0)、3‐ヒドロキシアジポイルカルニチン、3‐ヒドロキシマルガロイルグリシン、4‐メチルノナノイルカルニチン、アゼラオイルタウリン、ブチリルタウリン、ヘキサノイルタウリン、イソブチリルタウリン、レブリノイルカルニチン、ウンデセノイルカルニチン(C11:1)、3,5‐ジクロロ‐2,6‐ジヒドロキシ安息香酸、3‐ブロモ‐5‐クロロ‐2,6‐ジヒドロキシ安息香酸、2‐メトキシヒドロキノングルクロニド(2)、2‐メトキシヒドロキノンスルファート(2)、4‐アリルカテコールグルクロニド、4‐アリルカテコールスルファート、4‐エチルカテコールスルファート、3‐ヒドロキシ‐2‐メチルピリジンスルファート、3‐ヒドロキシ‐4‐メチルピリジンスルファート、3‐ヒドロキシピリジングルクロニド、5‐ヒドロキシ‐2‐メチルピリジンスルファート、2‐イミノピペリジン、チミジンスルファート(2)、シクロ(ala‐arg)、シクロ(his‐tyr)、シクロ(his‐val)、N‐アセチルセリン‐バリン‐アルギニン、4‐ビニルグアヤコールグルクロニド、マルトールスルファート、メチルバニラートスルファート、ブチリルプトレシン、5‐アンドロステン‐3b,16a,17b‐トリオールスルファート(1)、5‐アンドロステン‐3b,16b,17a‐トリオールスルファート(1)、5‐アンドロステントリオールジスルファート、コルトロングルクロニド、デヒドロアンドロステロングルクロニド、(2‐ブトキシエトキシ)酢酸、ジブチルスルホスクシナート、3‐メチルブタノールグルクロニド、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される1つ以上又は複数の分析物を含むことができる。
【発明の概要】
【0004】
本発明の第1の態様では、方法は、液体クロマトグラフィー/質量分析によりサンプル中の、N2‐アセチル,N6,N6‐ジメチルリジン、N‐ブチリル‐ロイシン、N‐ブチリル‐フェニルアラニン、N‐スクシニル‐ロイシン、N‐スクシニル‐フェニルアラニン、o‐チラミン、フェニルアセチル‐ベータ‐アラニン、フェニルアセチルタウリン、フェニルアセチルバリン、5‐ヒドロキシインドールグルクロニド、ケノデオキシコール酸スルファート(1)、デオキシコール酸(12又は24)‐スルファート、デオキシコール酸グルクロニド、グリコウルソデオキシコール酸スルファート(1)、イソウルソデオキシコラートスルファート(1)、アスコルビン酸3‐スルファート、1‐(14又は15‐メチル)パルミトイル‐GPC(a17:0又はi17:0)、3‐ヒドロキシアジポイルカルニチン、3‐ヒドロキシマルガロイルグリシン、4‐メチルノナノイルカルニチン、アゼラオイルタウリン、ブチリルタウリン、ヘキサノイルタウリン、イソブチリルタウリン、レブリノイルカルニチン、ウンデセノイルカルニチン(C11:1)、3,5‐ジクロロ‐2,6‐ジヒドロキシ安息香酸、3‐ブロモ‐5‐クロロ‐2,6‐ジヒドロキシ安息香酸、2‐メトキシヒドロキノングルクロニド(2)、2‐メトキシヒドロキノンスルファート(2)、4‐アリルカテコールグルクロニド、4‐アリルカテコールスルファート、4‐エチルカテコールスルファート、3‐ヒドロキシ‐2‐メチルピリジンスルファート、3‐ヒドロキシ‐4‐メチルピリジンスルファート、3‐ヒドロキシピリジングルクロニド、5‐ヒドロキシ‐2‐メチルピリジンスルファート、2‐イミノピペリジン、チミジンスルファート(2)、シクロ(ala‐arg)、シクロ(his‐tyr)、シクロ(his‐val)、N‐アセチルセリン‐バリン‐アルギニン、4‐ビニルグアヤコールグルクロニド、マルトールスルファート、メチルバニラートスルファート、ブチリルプトレシン、5‐アンドロステン‐3b,16a,17b‐トリオールスルファート(1)、5‐アンドロステン‐3b,16b,17a‐トリオールスルファート(1)、5‐アンドロステントリオールジスルファート、コルトロングルクロニド、デヒドロアンドロステロングルクロニド、(2‐ブトキシエトキシ)酢酸、ジブチルスルホスクシナート、3‐メチルブタノールグルクロニド、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される1つ以上又は複数の分析物の存在、非存在、又は量を決定することを含む。一実施形態では、この方法は、1つ以上又は複数の分析物のそれぞれから質量分析によって検出可能な1つ又は複数のイオンを生成するのに適した条件下でサンプルをイオン化源に供することを含む。別の実施形態では、分析物は、イオン化の前に誘導体化されない。生物学的サンプルから分析物を抽出し、質量分析による検出の前に分析物をクロマトグラフィーで分離する方法も提供される。
【0005】
一実施形態では、1つ又は複数の分析物は、例えば、生化学的会合又は化学構造によって分類することができる。この実施形態の一例では、1つ又は複数の分析物は、生化学的会合又は化学構造に基づいて生化学的クラスに分類することができる。別の例では、1つ又は複数の分析物は、生化学的クラスのサブクラスにさらに分類することができる。
【0006】
一実施形態では、分析物N2‐アセチル,N6,N6‐ジメチルリジン、N‐ブチリル‐ロイシン、N‐ブチリル‐フェニルアラニン、N‐スクシニル‐ロイシン、N‐スクシニル‐フェニルアラニン、o‐チラミン、フェニルアセチル‐ベータ‐アラニン、フェニルアセチルタウリン、フェニルアセチルバリン、及び5‐ヒドロキシインドールグルクロニドは、アミノ酸として分類することができる。別の実施形態では、分析物N2‐アセチル,N6,N6‐ジメチルリジンは、アミノ酸誘導体としてさらに分類することができる。分析物N‐ブチリル‐ロイシン、N‐ブチリル‐フェニルアラニン、N‐スクシニル‐ロイシン、及びN‐スクシニル‐フェニルアラニンは、短鎖脂肪酸抱合体としてさらに分類することができる。分析物フェニルアセチル‐ベータ‐アラニン、フェニルアセチルタウリン、及びフェニルアセチルバリンは、フェニル酢酸抱合体としてさらに分類することができる。o‐チラミンは化学物質としてさらに分類することができる。5‐ヒドロキシインドールグルクロニドは、芳香族グルクロニドとしてさらに分類することができる。
【0007】
別の実施形態では、分析物ケノデオキシコール酸スルファート(1)、デオキシコール酸(12又は24)‐スルファート、デオキシコール酸グルクロニド、グリコウルソデオキシコール酸スルファート(1)、及びイソウルソデオキシコラートスルファート(1)は、胆汁酸に分類することができる。さらなる実施形態では、分析物ケノデオキシコール酸スルファート(1)、デオキシコール酸(12又は24)‐スルファート、デオキシコール酸グルクロニド、グリコウルソデオキシコール酸スルファート(1)、及びイソウルソデオキシコラートスルファート(1)は、胆汁酸のスルファート又はグルクロニドとしてさらに分類することができる。
【0008】
別の実施形態において、分析物アスコルビン酸3‐スルファートは、補因子代謝に関与するものとして分類することができる。さらなる実施形態において、分析物アスコルビン酸3‐スルファートは、補因子代謝の硫酸化分析物としてさらに分類することができる。
【0009】
別の実施形態では、分析物1‐(14又は15‐メチル)パルミトイル‐GPC(a17:0又はi17:0)は、複合脂質として分類することができる。
【0010】
別の実施形態では、分析物3-ヒドロキシアジポイルカルニチン、3-ヒドロキシマルガロイルグリシン、4-メチルノナノイルカルニチン、アゼラオイルタウリン、ブチリルタウリン、ヘキサノイルタウリン、イソブチリルタウリン、レブリノイルカルニチン、及びウンデセノイルカルニチン(C11:1)は、脂肪アシル抱合体として分類することができる。さらなる実施形態では、分析物3-ヒドロキシアジポイルカルニチン、3-ヒドロキシマルガロイルグリシン、4-メチルノナノイルカルニチン、アゼラオイルタウリン、ブチリルタウリン、ヘキサノイルタウリン、イソブチリルタウリン、レブリノイルカルニチン、及びウンデセノイルカルニチン(C11:1)は、カルニチン、グリシン、又はタウリンの脂肪アシル抱合体としてさらに分類することができる。
【0011】
別の実施形態では、分析物3,5‐ジクロロ‐2,6‐ジヒドロキシ安息香酸、3‐ブロモ‐5‐クロロ‐2,6‐ジヒドロキシ安息香酸、2‐メトキシヒドロキノングルクロニド(2)、2‐メトキシヒドロキノンスルファート(2)、4‐アリルカテコールグルクロニド、4‐アリルカテコールスルファート、4‐エチルカテコールスルファート、3‐ヒドロキシ‐2‐メチルピリジンスルファート、3‐ヒドロキシ‐4‐メチルピリジンスルファート、3‐ヒドロキシピリジングルクロニド、及び5‐ヒドロキシ‐2‐メチルピリジンスルファートは、芳香族化合物として分類することができる。さらなる実施形態において、分析物3,5‐ジクロロ‐2,6‐ジヒドロキシ安息香酸及び3‐ブロモ‐5‐クロロ‐2,6‐ジヒドロキシ安息香酸は、ハロゲン化安息香酸誘導体としてさらに分類することができる。分析物2‐メトキシヒドロキノングルクロニド(2)、2‐メトキシヒドロキノンスルファート(2)、4‐アリルカテコールグルクロニド、4‐アリルカテコールスルファート、及び4‐エチルカテコールスルファートは、フェノールのスルファート又はグルクロニドとしてさらに分類することができる。分析物3‐ヒドロキシ‐4‐メチルピリジンスルファート、3‐ヒドロキシピリジングルクロニド、及び5‐ヒドロキシ‐2‐メチルピリジンスルファートは、ピリジンのスルファート又はグルクロニドとしてさらに分類することができる。
【0012】
別の実施形態において、分析物チミジンスルファート(2)は、ヌクレオチドとして分類することができる。さらなる実施形態において、分析物チミジンスルファート(2)は、硫酸化ヌクレオチドとしてさらに分類することができる。
【0013】
別の実施形態において、分析物N‐アセチルセリン‐バリン‐アルギニン、シクロ(ala‐arg)、シクロ(his‐tyr)、及びシクロ(his‐val)は、ペプチドとして分類することができる。さらなる実施形態において、分析物N‐アセチルセリン‐バリン‐アルギニンは、修飾ペプチドとしてさらに分類することができる。分析物シクロ(ala‐arg)、シクロ(his‐tyr)、及びシクロ(his‐val)は、環状ジペプチドとしてさらに分類することができる。
【0014】
別の実施形態において、分析物4‐ビニルグアヤコールグルクロニド、マルトールスルファート、及びメチルバニラートスルファートは、植物代謝産物として分類することができる。さらなる実施形態において、分析物4‐ビニルグアヤコールグルクロニド、マルトールスルファート、及びメチルバニラートスルファートは、植物代謝産物のスルファート又はグルクロニドとしてさらに分類することができる。
【0015】
別の実施形態では、分析物ブチリルプトレシンは、ポリアミンとして分類することができる。さらなる実施形態において、分析物ブチリルプトレシンは、短鎖脂肪酸抱合体としてさらに分類することができる。
【0016】
別の実施形態では、分析物5‐アンドロステン‐3b,16a,17b‐トリオールスルファート(1)、5‐アンドロステン‐3b,16b,17a‐トリオールスルファート(1)、5‐アンドロステントリオールジスルファート、コルトロングルクロニド、及びデヒドロアンドロステロングルクロニドは、ステロイドホルモン抱合体として分類することができる。さらなる実施形態では、分析物5‐アンドロステン‐3b,16a,17b‐トリオールスルファート(1)、5‐アンドロステン‐3b,16b,17a‐トリオールスルファート(1)、5‐アンドロステンエトリオールジスルファート、コルトロングルクロニド、及びデヒドロアンドロステロングルクロニドは、ステロイドホルモンのスルファート又はグルクロニドとしてさらに分類することができる。
【0017】
別の実施形態では、分析物3‐メチルブタノールグルクロニド、2‐イミノピペリジン、(2‐ブトキシエトキシ)酢酸、及びジブチルスルホスクシナート(スルホコハク酸ジブチル)は、生体異物として分類することができる。さらなる実施形態において、分析物3‐メチルブタノールグルクロニドは、生体異物のグルクロニドとしてさらに分類することができる。分析物2‐イミノピペリジン、(2‐ブトキシエトキシ)酢酸、及びジブチルスルホスクシナートは、化学的生体異物として分類することができる。
【0018】
一実施形態では、質量分析はタンデム質量分析である。
【0019】
一実施形態では、この方法は、単一注入を使用する液体クロマトグラフィー/質量分析により、サンプル中の、N2‐アセチル,N6,N6‐ジメチルリジン、N‐ブチリル‐ロイシン、N‐ブチリル‐フェニルアラニン、N‐スクシニル‐ロイシン、N‐スクシニル‐フェニルアラニン、(2‐ブトキシエトキシ)酢酸、1‐(14又は15‐メチル)パルミトイル‐GPC(a17:0又はi17:0)、2‐メトキシヒドロキノングルクロニド(2)、2‐メトキシヒドロキノンスルファート(2)、3,5‐ジクロロ‐2,6‐ジヒドロキシ安息香酸、3‐ブロモ‐5‐クロロ‐2,6‐ジヒドロキシ安息香酸、3‐ヒドロキシ‐2‐メチルピリジンスルファート、3‐ヒドロキシ‐4‐メチルピリジンスルファート、3‐ヒドロキシマルガロイルグリシン、3‐ヒドロキシピリジングルクロニド、4‐アリルカテコールスルファート、4‐エチルカテコールスルファート、4‐メチルノナノイルカルニチン、4‐ビニルグアヤコールグルクロニド、5‐ヒドロキシ‐2‐メチルピリジンスルファート、5‐ヒドロキシインドールグルクロニド、アスコルビン酸3‐スルファート、アゼラオイルタウリン、ブチリルプトレシン、ケノデオキシコール酸スルファート(1)、コルトロングルクロニド、シクロ(ala‐arg)、シクロ(his‐tyr)、シクロ(his‐val)、デヒドロアンドロステロングルクロニド、デオキシコール酸(12又は24)‐スルファート、デオキシコール酸グルクロニド、ジブチルスルホスクシナート、グリコウルソデオキシコール酸スルファート(1)、ヘキサノイルタウリン、イソウルソデオキシコラートスルファート(1)、レブリノイルカルニチン、マルトールスルファート、メチルバニラートスルファート、o-チラミン、フェニルアセチル‐ベータ‐アラニン、フェニルアセチルタウリン、フェニルアセチルバリン、チミジンスルファート(2)、5‐アンドロステン‐3b,16a,17b‐トリオールスルファート(1)、5‐アンドロステントリオールジスルファート、5‐アンドロステン‐3b,16b,17a‐トリオールスルファート(1)、3‐メチルブタノールグルクロニド、4‐アリルカテコールグルクロニド、ブチリルタウリン、イソブチリルタウリン、N‐アセチルセリン‐バリン‐アルギニン、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される1つ以上又は複数の分析物の存在、非存在、又は量を決定することを含む。
【0020】
一実施形態では、この方法は、単一注入を使用した液体クロマトグラフィー/質量分析により、サンプル中の、N2‐アセチル,N6,N6‐ジメチルリジン、N‐ブチリル‐ロイシン、N‐ブチリル‐フェニルアラニン、N‐スクシニル‐ロイシン、N‐スクシニル‐フェニルアラニン、(2‐ブトキシエトキシ)酢酸、2‐メトキシヒドロキノンスルファート(2)、3,5‐ジクロロ‐2,6‐ジヒドロキシ安息香酸、3‐ヒドロキシ‐2‐メチルピリジンスルファート、3‐ヒドロキシ‐4‐メチルピリジンスルファート、3‐ヒドロキシマルガロイルグリシン、3‐ヒドロキシピリジングルクロニド、4‐アリルカテコールスルファート、4‐エチルカテコールスルファート、4‐ビニルグアヤコールグルクロニド、5‐ヒドロキシ‐2‐メチルピリジンスルファート、5‐ヒドロキシインドールグルクロニド、アスコルビン酸3‐スルファート、アゼラオイルタウリン、デヒドロアンドロステロングルクロニド、デオキシコール酸グルクロニド、ジブチルスルホスクシナート、ヘキサノイルタウリン、レブリノイルカルニチン、マルトールスルファート、メチルバニラートスルファート、o‐チラミン、フェニルアセチル‐ベータ‐アラニン、フェニルアセチルタウリン、フェニルアセチルバリン、チミジンスルファート(2)、5‐アンドロステン‐3b,16a,17b‐トリオールスルファート(1)、5‐アンドロステントリオールジスルファート、5‐アンドロステン‐3b,16b,17a‐トリオールスルファート(1)、3‐ヒドロキシアジポイルカルニチン、3‐メチルブタノールグルクロニド、4‐アリルカテコールグルクロニド、ブチリルタウリン、イソブチリルタウリン、N‐アセチルセリン‐バリン‐アルギニン、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される1つ以上又は複数の分析物の存在、非存在、又は量を決定することを含む。
【0021】
一実施形態では、この方法は、単一注入を使用する液体クロマトグラフィー/質量分析により、サンプル中の、N2‐アセチル,N6,N6‐ジメチルリジン、N‐ブチリル‐ロイシン、N‐ブチリル‐フェニルアラニン、N‐スクシニル‐ロイシン、N‐スクシニル‐フェニルアラニン、(2‐ブトキシエトキシ)酢酸、2‐イミノピペリジン、3‐ヒドロキシ‐2‐メチルピリジンスルファート、3‐ヒドロキシ‐4‐メチルピリジンスルファート、3‐ヒドロキシピリジングルクロニド、4‐エチルカテコールスルファート、5‐ヒドロキシ‐2‐メチルピリジンスルファート、アスコルビン酸3‐スルファート、アゼラオイルタウリン、ブチリルプトレシン、ジブチルスルホスクシナート、ヘキサノイルタウリン、レブリノイルカルニチン、o‐チラミン、フェニルアセチル‐ベータ‐アラニン、フェニルアセチルタウリン、フェニルアセチルバリン、3‐ヒドロキシアジポイルカルニチン、ブチリルタウリン、イソブチリルタウリン、N‐アセチルセリン‐バリン‐アルギニン、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される1つ以上又は複数の分析物の存在、非存在、又は量を決定することを含む。
【0022】
一実施形態では、この方法は、単一注入を使用する液体クロマトグラフィー/質量分析により、サンプル中の、N‐ブチリル‐ロイシン、N‐ブチリル‐フェニルアラニン、1‐(14又は15‐メチル)パルミトイル‐GPC(a17:0又はi17:0)、3‐ヒドロキシマルガロイルグリシン、4‐メチルノナノイルカルニチン、デオキシコール酸グルクロニド、フェニルアセチルバリン、ウンデセノイルカルニチン(C11:1)、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される1つ以上又は複数の分析物の存在、非存在、又は量を決定することを含む。
【0023】
いくつかの実施形態では、2以上、3以上、4以上、5以上、6以上、7以上、10以上、20以上、30以上、40以上の量、最大52の分析物の量が単一注入で測定される。2つ以上の分析物の量が決定されるとき、その2つ以上の分析物は、「複数の分析物」と呼ばれることがある。
【0024】
実施形態では、分析されるサンプルの量(すなわち、サンプル体積又は試験サンプル体積)は、10μlから200μlであり得る。たとえば、サンプル体積は10μl、15、20、25、30、40、50μl、60、70、80、90、100、120、140、160、180、又は200μl、又は10~200μlのその他の体積である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
詳細な説明
サンプル中の、N2‐アセチル,N6,N6‐ジメチルリジン、N‐ブチリル‐ロイシン、N‐ブチリル‐フェニルアラニン、N‐スクシニル‐ロイシン、N‐スクシニル‐フェニルアラニン、o‐チラミン、フェニルアセチル‐ベータ‐アラニン、フェニルアセチルタウリン、フェニルアセチルバリン、5‐ヒドロキシインドールグルクロニド、ケノデオキシコール酸スルファート(1)、デオキシコール酸(12又は24)‐スルファート、デオキシコール酸グルクロニド、グリコウルソデオキシコール酸スルファート(1)、イソウルソデオキシコラートスルファート(1)、アスコルビン酸3‐スルファート、1‐(14又は15‐メチル)パルミトイル‐GPC(a17:0又はi17:0)、3‐ヒドロキシアジポイルカルニチン、3‐ヒドロキシマルガロイルグリシン、4‐メチルノナノイルカルニチン、アゼラオイルタウリン、ブチリルタウリン、ヘキサノイルタウリン、イソブチリルタウリン、レブリノイルカルニチン、ウンデセノイルカルニチン(C11:1)、3,5‐ジクロロ‐2,6‐ジヒドロキシ安息香酸、3‐ブロモ‐5‐クロロ‐2,6‐ジヒドロキシ安息香酸、2‐メトキシヒドロキノングルクロニド(2)、2‐メトキシヒドロキノンスルファート(2)、4‐アリルカテコールグルクロニド、4‐アリルカテコールスルファート、4‐エチルカテコールスルファート、3‐ヒドロキシ‐2‐メチルピリジンスルファート、3‐ヒドロキシ‐4‐メチルピリジンスルファート、3‐ヒドロキシピリジングルクロニド、5‐ヒドロキシ‐2‐メチルピリジンスルファート、2‐イミノピペリジン、チミジンスルファート(2)、シクロ(ala‐arg)、シクロ(his‐tyr)、シクロ(his‐val)、N‐アセチルセリン‐バリン‐アルギニン、4‐ビニルグアヤコールグルクロニド、マルトールスルファート、メチルバニラートスルファート、ブチリルプトレシン、5‐アンドロステン‐3b,16a,17b‐トリオールスルファート(1)、5‐アンドロステン‐3b,16b,17a‐トリオールスルファート(1)、5‐アンドロステントリオールジスルファート、コルトロングルクロニド、デヒドロアンドロステロングルクロニド、(2‐ブトキシエトキシ)酢酸、ジブチルスルホスクシナート、3‐メチルブタノールグルクロニド、及びそれらの組み合わせからなる代謝物の群から選択される1つ以上又は複数の分析物の存在、非存在、又は量を決定するための方法が記載される。サンプル中の1つ以上又は複数の分析物の存在、非存在、又は量を決定するための質量分析法が記載されている。この方法では、UPLCやHILICなどの液体クロマトグラフィーステップを使用して、選択した分析物の分離(精製、濃縮)を質量分析法と組み合わせて実行し、サンプル中の1つ以上又は複数の分析物の定量の自動化に適したハイスループットアッセイシステムを提供する。
【0026】
本発明をさらに詳細に説明する前に、以下の用語が定義される。
【0027】
定義:
「固相抽出」という用語は、複雑な混合物(すなわち、移動相)の成分が、固体粒子クロマトグラフィー充填材料(すなわち、固相又は固定相)を使用してそれらの物理的及び化学的特性に従って分離されるサンプル調製プロセスを指す。固体粒子充填材料は、カートリッジタイプの装置(例えば、カラム)に含まれ得る。
【0028】
「分離」という用語は、複雑な混合物をその成分分子又は代謝物に分離するプロセスを指す。一般的な例示的な実験室分離技術には、電気泳動及びクロマトグラフィーが含まれる。
【0029】
「クロマトグラフィー」という用語は、分離される成分(すなわち、化学成分)が2つの相の間に分配され、一方が静止(固定相)であり、他方(移動相)が決まった方向に移動する物理的分離方法を指す。移動相は、気体(「ガスクロマトグラフィー」、「GC」)又は液体(「液体クロマトグラフィー」、「LC」)であり得る。クロマトグラフィー出力データは、本明細書に記載の方法の実施形態で使用することができる。
【0030】
「液体クロマトグラフィー」又は「LC」という用語は、流体が細かく分割された物質のカラムを通って又は毛細管通路を通って均一に移動するときに、流体溶液の1つ又は複数の成分を選択的に阻害するプロセスを指す。阻害は、移動相が固定相に対して移動するときに、1つ又は複数の固定相と移動相との間の混合物の成分の分布に起因する。「液体クロマトグラフィー」の例には、「逆相液体クロマトグラフィー」又は「RPLC」、「高速液体クロマトグラフィー」又は「HPLC」、「超高速液体クロマトグラフィー」又は「UPLC」又は「UHPLC」、又は親水性相互作用クロマトグラフィー又は「HILIC」が含まれる。
【0031】
「保持時間」という用語は、サンプルが分離装置に導入されてからのクロマトグラフィープロセスにおける経過時間を指す。サンプルの成分の保持時間は、サンプルを分離装置に注入する時間と、サンプルの成分が固定相を含む分離装置のその部分を溶出する(例えば、出る)時間との間のクロマトグラフィープロセスにおける経過時間を指す。
【0032】
サンプル成分の「保持指数」又は「RI」という用語は、サンプル成分の保持時間又は保持係数を、サンプル成分のピークの前後に溶出された標準の保持時間に関連付ける、補間線形又は対数によって得られる数を指し、既知の標準の分離特性を使用して系統的エラーを除去するメカニズムである。
【0033】
「分離指数」という用語は、分離技術によって分離された化学成分に関連する測定基準を指す。クロマトグラフィー分離技術の場合、分離指数は保持時間又は保持指数である可能性がある。非クロマトグラフィー分離技術の場合、分離指数は化学成分が移動した物理的距離である可能性がある。
【0034】
本明細書で使用される場合、「分離情報」及び「分離データ」という用語は、分離指数に関して化学成分の存在又は非存在を示すデータを指す。例えば、分離データは、特定の時間に溶出する特定の質量を有する化学成分の存在を示し得る。分離データは、時間の経過とともに溶出する化学成分の量が増加し、ピークに達し、その後減少することを示すことができる。分離指数(時間など)にわたってプロットされた化学成分の存在のグラフは、グラフィカルなピークを表示する場合がある。したがって、分離データの文脈内では、「ピーク情報」及び「ピークデータ」という用語は、「分離情報」及び「分離データ」という用語と同義である。
【0035】
「質量分析」(MS)という用語は、標的分子をイオン化又はイオン化及び断片化し、次にそれらの質量/電荷比に基づいてイオンを分析して、「分子指紋」として機能する質量スペクトルを生成することを含む、分子を測定及び分析するための技術を指す。物体の質量/電荷比の決定は、電磁エネルギーがその物体によって吸収される波長を決定する手段によって行うことができる。イオンの質量電荷比を決定するために一般的に使用される方法はいくつかあり、イオン軌道と電磁波との相互作用を測定する方法、イオンが特定の距離を移動するのにかかる時間を測定する方法、又はその両方の組み合わせがある。これらのフラグメント質量測定からのデータをデータベースに対して検索して、ターゲット分子の識別を取得できる。
【0036】
「ネガティブモードで動作する」又は「ネガティブエレクトロスプレーイオン化(ESI)モードで動作する」又は「ネガティブイオン化モードで動作する」という用語は、ネガティブイオンが生成及び検出される質量分析法を指す。「ポジティブモードで動作する」又は「ポジティブエレクトロスプレーイオン化(ESI)モードで動作する」又は「ポジティブイオン化モードで動作する」という用語は、ポジティブイオンが生成及び検出される質量分析法を指す。
【0037】
「質量分析器」という用語は、イオンの混合物をそれらの質量電荷比(「m/z」)比によって分離する質量分析計内の装置を指す。
【0038】
「m/z」という用語は、イオンの質量数をその電荷数で割ることによって形成される無次元量を指す。これは長い間「質量電荷比」と呼ばれてきた。
【0039】
本明細書で使用される場合、「源」(「ソース」)又は「イオン化源」という用語は、分析されるサンプルをイオン化する質量分析計内の装置を指す。イオン化源の例には、エレクトロスプレーイオン化(ESI)、大気圧化学イオン化(APCI)、加熱エレクトロスプレーイオン化(HESI)、大気圧光イオン化(APPI)、水素炎イオン化検出器(FID)、マトリックス支援レーザー脱離イオン化(MALDI)等が挙げられる。
【0040】
本明細書で使用される場合、「検出器」という用語は、イオンを検出する質量分析計内の装置を指す。
【0041】
「イオン」という用語は、電荷を含む任意の物体を指し、これは、例えば、物体に電子を追加するか、又は物体から電子を除去することによって形成することができる。
【0042】
「質量スペクトル」という用語は、質量分析計によって生成されたデータのプロットを指し、典型的には、x軸にm/z値及びy軸に強度値を含む。
【0043】
「スキャン」という用語は、特定の分離指数に関連する質量スペクトルを指す。たとえば、クロマトグラフィー分離技術を使用するシステムは、複数のスキャンを生成する場合があり、各スキャンは異なる保持時間で行われる。
【0044】
「実行時間」という用語は、サンプル注入から機器データの生成までの時間を指す。
【0045】
「タンデムMS」という用語は、「一次MS」と呼ばれる第1のMSステップが実行され、その後、一般に「二次MS」と呼ばれる後続のMSステップの1つ又は複数が実行される操作を指す。一次MSでは、一次マススペクトルの作成中に、1つ(場合によっては複数)の化学成分を表すイオンが検出及び記録される。イオンによって表される物質は、二次MSにかけられる。そこでは、対象の物質が断片化されて、物質がサブコンポーネントに分解され、二次質量スペクトルとして検出及び記録される。真のタンデムMSでは、一次MSの対象イオンと、二次MS中に生成されるピークとの間に明確な関係がある。一次MSで対象となるイオンは「親」又は前駆体イオンに対応し、二次MSで生成されるイオンは親イオンのサブコンポーネントに対応し、本明細書では「娘」又は「生成物」イオンと呼ばれる。
【0046】
したがって、タンデムMSは、複雑な混合物中の化学成分の親娘関係を表すデータ構造の作成を可能にする。この関係は、親イオンと娘イオンの相互関係を示す樹状構造で表すことができ、娘イオンは親イオンのサブコンポーネントを表す。タンデムMSは、たとえば「孫娘」イオンを決定するために娘イオンで繰り返される場合がある。したがって、タンデムMSは2つのレベルのフラグメンテーション(断片化)に限定されず、「MSn」とも呼ばれるマルチレベルMSを指すために一般的に使用される。「MS/MS」という用語は「MS2」の同義語である。簡単にするために、以下の「娘イオン」という用語は、二次又は高次(すなわち、一次ではない)MSによって生成される任意のイオンを指す。
【0047】
「分析物」、「代謝物」、「生化学的」又は「化合物」は、有機及び無機の小分子を指す。この用語は、大きなタンパク質(例えば、分子量が2,000、3,000、4,000、5,000、6,000、7,000、8,000、9,000、又は10,000を超えるタンパク質)、大きな核酸(例えば、分子量が2,000、3,000、4,000、5,000、6,000、7,000、8,000、9,000、又は10,000を超える核酸)、又は大きな多糖類(たとえば、分子量が2,000、3,000、4,000、5,000、6,000、7,000、8,000、9,000、又は10,000を超える多糖類)のような巨大分子を含まない。
【0048】
「サンプル」は、任意のタイプのサンプルであってもよく、複雑な混合物、環境サンプル、又は植物サンプル若しくは動物サンプルなどの生物学的サンプルを含む、天然又は合成起源の試料又は培養物を含むことができる。複雑な混合物は、化粧品、サプリメント、食品及び飲料を含む、治療薬及び消費財などの合成製剤であり得る。環境サンプルとは、表面物質、土壌、水、工業用サンプルなどの環境物質、及び食品や乳製品の加工機器、装置、機器、器具、使い捨て及び非使い捨てアイテムから得られたサンプルを指す。動物サンプルは、例えば、ヒト、マウス、非ヒト霊長類、ウサギ又は他の哺乳動物などの哺乳動物、又は例えば、ショウジョウバエ又はゼブラフィッシュサンプルなどの非哺乳動物サンプルからのものであり得る。対象となる生物学的サンプルには、血液、血漿、血清、糞便、単離されたリポタンパク質画分、唾液、尿、リンパ液、及び脳脊髄液、組織サンプル、細胞サンプル、皮膚サンプル、植物サンプル、又は真菌サンプルが含まれる。生物学的サンプルは、所望の分析物を検出するのに適した任意の生物学的材料を含むことができ、細胞性及び/又は非細胞性材料を含むことができる。生物学的サンプルには、細胞培養物、培養及び発酵培地、液体及び固体の食品及び飼料製品、乳製品、穀物、野菜、肉及び肉の副産物、廃棄物などの成分も含まれる。サンプルは、例えば、血液、血漿、血清、皮膚、表皮組織、脂肪組織、大動脈組織、肝臓組織、尿、脳脊髄液、溝滲出液、羊水、又は細胞サンプルなどの任意の適切な生物学的組織又は体液から単離することができる。サンプルは、例えば、血液サンプルが濾紙上で吸い取られて乾燥される乾燥血液スポットであり得る。別の例では、サンプルは、Sebutape(登録商標)などのスキンテープから分離できる。サンプルは、既知の量の1つ又は複数の分析物を有する対照(参照)サンプル、又は1つ又は複数の分析物の存在、非存在又は量が不明であるか、又は決定される必要がある試験(実験)サンプルであり得る。
【0049】
「対象」は、任意の動物を意味するが、好ましくは、例えば、ヒト、サル、非ヒト霊長類、マウス、イヌ、ウサギ又はラットなどの哺乳動物である。
【0050】
「内部標準」は、分析されるすべてのサンプルに添加される既知の濃度の分析物である。本明細書で使用される場合、内部標準は「回収標準」及び「再構成標準」を指す。
【0051】
「回収標準」という用語は、分析物抽出中に既知の濃度でサンプルに添加され、サンプル抽出の品質を評価するために使用される内部標準を指す。
【0052】
「再構成標準」という用語は、サンプル抽出後に既知の濃度でサンプルに添加され、機器の性能を監視するために使用される内部標準を指す。
【0053】
I.サンプル準備と品質管理(QC)
分析物を含むサンプル抽出物は、サンプル中に存在する可能性のある巨大分子(例えば、タンパク質、核酸、脂質)から分析物を分離することによって調製される。サンプル中の一部又はすべての分析物がタンパク質に結合している可能性がある。MS分析の前に、さまざまな方法を使用して、分析物とタンパク質の間の相互作用を破壊することができる。例えば、分析物をサンプルから抽出して液体抽出物を生成する一方で、存在する可能性のあるタンパク質を沈殿させて除去することができる。タンパク質は、例えば、酢酸エチル又はメタノールの溶液を使用して沈殿させることができる。サンプル中のタンパク質を沈殿させるために、酢酸エチル又はメタノール溶液をサンプルに加え、次に混合物を遠心分離機で回転させて、抽出された分析物を含む液体上清を沈殿したタンパク質から分離することができる。一例では、メタノールと水の溶液を使用して、サンプルから分析物を抽出することができる。
【0054】
他の実施形態では、分析物は、タンパク質を沈殿させることなくタンパク質から放出することができる。たとえば、ギ酸溶液をサンプルに添加して、タンパク質と分析物の間の相互作用を破壊することができる。あるいは、硫酸アンモニウム、ギ酸のエタノール溶液、又はギ酸のメタノール溶液をサンプルに添加して、タンパク質を沈殿させることなくタンパク質と分析物の間のイオン相互作用を破壊することができる。
【0055】
いくつかの実施形態において、抽出物は、本明細書に記載の、液体クロマトグラフィー、電気泳動、濾過、遠心分離、及び親和性分離を含む様々な方法に供して、サンプル中の1つ以上の他の成分と比較して選択された分析物の量を精製又は濃縮することができる。
【0056】
II.クロマトグラフィー
質量分析の前に、分析物抽出物は、電気泳動、濾過、遠心分離、親和性分離、又はクロマトグラフィーなどの1つ又は複数の分離方法に供することができる。一実施形態では、分離方法は、例えば、超高速LC(UHPLC、UPLC)を含む液体クロマトグラフィー(LC)を含むことができる。
【0057】
いくつかの実施形態において、UHPLCは、逆相カラムクロマトグラフィーシステム、親水性相互作用クロマトグラフィー(HILIC)、又は混合相カラムクロマトグラフィーシステムを使用して実施することができる。
【0058】
LC用のカラムヒーター(又はカラムマネージャー)は、約25℃から約80℃の温度に設定することができる。例えば、カラムヒーターは、約30℃、40℃、50℃、60℃、70℃などに設定することができる。
【0059】
一例では、UHPLCは、HILICシステムを使用して実施することができる。別の例では、UHPLCは、逆相カラムクロマトグラフィーシステムを使用して実施することができる。システムは、2つ以上の移動相を含むことができる。移動相は、例えば、移動相A、移動相B、移動相A’、及び移動相B’と呼ばれることがある。
【0060】
2つの移動相A及びBを使用する例示的な実施形態では、移動相Aは水中の重炭酸アンモニウムを含むことができ、移動相Bはメタノール及び水中の重炭酸アンモニウムを含むことができる。重炭酸アンモニウムの濃度は1mMから10mMの範囲であってもよく、メタノールの濃度は1%から99%の範囲であってもよい。いくつかの例では、移動相A中の重炭酸アンモニウムの濃度は、3.0、3.5、4.0、4.5、5.0、5.5、6.0、6.5、7.0、7.5、8.0、又は8.5mMであってもよい。いくつかの例では、移動相B中の重炭酸アンモニウムの濃度は、3.0、3.5、4.0、4.5、5.0、5.5、6.0、6.5、7.0、7.5、8.0、又は8.5mMであってもよく、メタノールの濃度は、90、91、92、93、94、95、96、97、98、又は99%であってもよい。
【0061】
一例では、線形勾配溶出をクロマトグラフィーに使用することができる。線形勾配溶出の開始条件には、移動相(例えば、移動相B)の濃度及び/又はカラムを通る移動相(例えば、移動相B)の流速が含まれ得る。開始条件は、1つ又は複数の分析物の分離及び/又は保持のために最適化することができる。勾配条件は、分析物の分離及び/又は保持のために最適化することもでき、選択した流速に応じて変化させることができる。たとえば、初期条件は、移動相Bが0.5%、流速が350μL/分である場合がある。移動相Bは50~75%に増加し、約4.5分で約75~99%に増加し、1~2分間維持することができる。移動相Bは5.7分で0.5%に戻る可能性があり、次のサンプル注入の前に1分未満維持される可能性がある。合計実行時間は6.5分以下の場合がある。
【0062】
別の実施形態では、移動相Aは、ギ酸アンモニウム、アセトニトリル、メタノール、及び水を含むことができ、移動相Bは、ギ酸アンモニウム及びアセトニトリルを含むことができる。ギ酸アンモニウムの濃度は0.1mMから100mMの範囲であってもよく、アセトニトリルの濃度は0%から100%の範囲であってもよい。いくつかの実施形態では、移動相のpHは塩基性であってもよく、pH8からpH14の範囲であってもよい。いくつかの例において、移動相A中のギ酸アンモニウムの濃度は、1mM、5mM、10mM、15mM、20mM、25mM、又は50mMであってもよく、アセトニトリルの濃度は60、70、80、又は90%であってもよい。他の例では、移動相B中のギ酸アンモニウムの濃度は、1mM、5mM、10mM、15mM、20mM、25mM、又は50mMであってもよく、アセトニトリルの濃度は、30%、40%、50%、又は60%であってもよい。クロマトグラフィーには線形勾配溶出を使用できる。たとえば、初期条件は5%の移動相Bと500μL/分の流速であってもよい。移動相Bは、約3~4分で約40~60%に増加し、4~6分で約75~99%に増加し、そして約1分間維持することができる。移動相Bは6~7分で5%に戻ることができ、次のサンプル注入の前に約1分間維持することができる。合計実行時間は6.8分以下になる場合がある。
【0063】
さらに別の例では、移動相Aは、パーフルオロペンタン酸(PFPA)、ギ酸、及び水を含むことができ、移動相Bは、PFPA、ギ酸、及びメタノールを含むことができる。PFPAの濃度は、約0.01から約0.50%であってもよく、ギ酸の濃度は、約0.001から約1.0%であってもよい。いくつかの例では、移動相A中のPFPAの濃度は、0.03、0.04、0.05、0.06、0.07、0.08、0.09、0.1、0.2、又は0.3%であってもよく、ギ酸の濃度は、0.001、0.005、0.1、0.2、0.3、0.4、又は0.5%であってもよい。他の例では、移動相B中のPFPAの濃度は、0.03、0.04、0.05、0.06、0.07、0.08、0.09、0.1、0.2、又は0.3%であってもよく、ギ酸の濃度は、0.001、0.005、0.1、0.2、0.3、0.4、又は0.5%であってもよい。クロマトグラフィーには線形勾配溶出を使用できる。たとえば、初期条件は5%の移動相B及び350μL/分の流速である。移動相Bは、約3.3分で約75~99%に増加することができる。移動相Bは3.4分までに5%に戻ることができ、次のサンプル注入前に1分未満維持することができる。合計実行時間は3.4分以下になる場合がある。
【0064】
さらに別の例では、移動相Aは、パーフルオロペンタン酸(PFPA)、ギ酸、及び水を含むことができ、移動相Bは、PFPA、ギ酸、アセトニトリル、及びメタノールを含むことができる。PFPAの濃度は約0.01から約0.50%であってもよく、ギ酸の濃度は約0.001から約1.0%であってもよく、メタノールの濃度は1から99%であってもよく、アセトニトリルの濃度は1から99%であってもよい。いくつかの例では、移動相A中のPFPAの濃度は、0.03、0.04、0.05、0.06、0.07、0.08、0.09、0.1、0.2、又は0.3%であってもよく、ギ酸の濃度は、0.001、0.005、0.1、0.2、0.3、0.4、又は0.5%であってもよい。他の例では、移動相B中のPFPAの濃度は、0.03、0.04、0.05、0.06、0.07、0.08、0.09、0.1、0.2、又は0.3%であってもよく、ギ酸の濃度は、0.001、0.005、0.1、0.2、0.3、0.4、又は0.5%であってもよく、メタノールの濃度は20%、30%、40%、50%、60%、又は70%であってもよく、アセトニトリルの濃度は20%、30%、40%、50%、60%、又は70%であってもよい。クロマトグラフィーには線形勾配溶出を使用できる。たとえば、初期条件は、40%の移動相B及び600μL/分の流速であってもよい。移動相Bは1分で約99%に増加し、2.5分未満維持することができる。移動相Bは約3.4分で40%に戻ることができる。合計実行時間は3.4分以下になる場合がある。
【0065】
III.質量分析
1つ又は複数の分析物は、例えば、質量分析によってイオン化することができる。質量分析は、分画されたサンプルをイオン化し、さらに分析するための荷電分子を作成するためのイオン化源を含む質量分析計を使用して実行される。サンプルのイオン化は、例えば、エレクトロスプレーイオン化(ESI)によって実施することができる。他のイオン源には、例えば、大気圧化学イオン化(APCI)、加熱エレクトロスプレーイオン化(HESI)、大気圧光イオン化(APPI)、水素炎イオン化検出器(FID)、又はマトリックス支援レーザー脱離イオン化(MALDI)が含まれ得る。イオン化方法の選択は、いくつかの考慮事項に基づいて決定することができる。例示的な考慮事項には、測定される分析物、サンプルのタイプ、検出器のタイプ、及びポジティブモード又はネガティブモードの選択が含まれる。
【0066】
1つ又は複数の分析物は、ポジティブ又はネガティブのモードでイオン化されて、1つ又は複数のイオンを生成することができる。たとえば、分析物N2‐アセチル,N6,N6‐ジメチルリジン、N‐ブチリル‐ロイシン、N‐ブチリル‐フェニルアラニン、N‐スクシニル‐ロイシン、N‐スクシニル‐フェニルアラニン、(2‐ブトキシエトキシ)酢酸、1‐(14又は15‐メチル)パルミトイル‐GPC(a17:0又はi17:0)、2‐メトキシヒドロキノングルクロニド(2)、2‐メトキシヒドロキノンスルファート(2)、3,5‐ジクロロ‐2,6‐ジヒドロキシ安息香酸、3‐ブロモ‐5‐クロロ‐2,6‐ジヒドロキシ安息香酸、3‐ヒドロキシ‐2‐メチルピリジンスルファート、3‐ヒドロキシ‐4‐メチルピリジンスルファート、3‐ヒドロキシマルガロイルグリシン、3‐ヒドロキシピリジングルクロニド、4‐アリルカテコールスルファート、4‐エチルカテコールスルファート、4‐メチルノナノイルカルニチン、4‐ビニルグアヤコールグルクロニド、5‐ヒドロキシ‐2‐メチルピリジンスルファート、5‐ヒドロキシインドールグルクロニド、アスコルビン酸3‐スルファート、アゼラオイルタウリン、ブチリルプトレシン、ケノデオキシコール酸スルファート(1)、コルトロングルクロニド、シクロ(ala‐arg)、シクロ(his‐tyr)、シクロ(his‐val)、デヒドロアンドロステロングルクロニド、デオキシコール酸(12又は24)‐スルファート、デオキシコール酸グルクロニド、ジブチルスルホスクシナート、グリコウルソデオキシコール酸スルファート(1)、ヘキサノイルタウリン、イソウルソデオキシコラートスルファート(1)、レブリノイルカルニチン、マルトールスルファート、メチルバニラートスルファート、o‐チラミン、フェニルアセチル‐ベータ‐アラニン、フェニルアセチルタウリン、フェニルアセチルバリン、チミジンスルファート(2)、5‐アンドロステン‐3b,16a,17b‐トリオールスルファート(1)、5‐アンドロステントリオールジスルファート、5‐アンドロステン‐3b,16b,17a‐トリオールスルファート(1)、3‐メチルブタノールグルクロニド、4‐アリルカテコールグルクロニド、ブチリルタウリン、イソブチリルタウリン、N‐アセチルセリン‐バリン‐アルギニン、3‐ヒドロキシアジポイルカルニチン、及びそれらの組み合わせは、ネガティブモードでイオン化することができる。
【0067】
さらに別の例では、分析物N2-アセチル,N6,N6‐ジメチルリジン、N‐ブチリル‐ロイシン、N‐ブチリル‐フェニルアラニン、N‐スクシニル‐ロイシン、N‐スクシニル‐フェニルアラニン、(2‐ブトキシエトキシ)酢酸、1‐(14又は15‐メチル)パルミトイル‐GPC(a17:0又はi17:0)、2‐メトキシヒドロキノングルクロニド(2)、2‐メトキシヒドロキノンスルファート(2)、3,5‐ジクロロ‐2,6‐ジヒドロキシ安息香酸、3‐ブロモ‐5‐クロロ‐2,6‐ジヒドロキシ安息香酸、3‐ヒドロキシ‐2‐メチルピリジンスルファート、3‐ヒドロキシ‐4‐メチルピリジンスルファート、3‐ヒドロキシマルガロイルグリシン、3‐ヒドロキシピリジングルクロニド、4‐アリルカテコールスルファート、4‐エチルカテコールスルファート、4‐メチルノナノイルカルニチン、4‐ビニルグアヤコールグルクロニド、5‐ヒドロキシ‐2‐メチルピリジンスルファート、5‐ヒドロキシインドールグルクロニド、アスコルビン酸3‐スルファート、アゼラオイルタウリン、ブチリルプトレシン、ケノデオキシコール酸スルファート(1)、コルトロングルクロニド、シクロ(ala‐arg)、シクロ(his‐tyr)、シクロ(his‐val)、デヒドロアンドロステロングルクロニド、デオキシコール酸(12又は24)‐スルファート、デオキシコール酸グルクロニド、ジブチルスルホスクシナート、グリコウルソデオキシコール酸スルファート(1)、ヘキサノイルタウリン、イソウルソデオキシコラートスルファート(1)、レブリノイルカルニチン、マルトールスルファート、メチルバニラートスルファート、o‐チラミン、フェニルアセチル‐ベータ‐アラニン、フェニルアセチルタウリン、フェニルアセチルバリン、チミジンスルファート(2)、5‐アンドロステン‐3b,16a,17b‐トリオールスルファート(1)、5‐アンドロステントリオールジスルファート、5‐アンドロステン‐3b,16b,17a‐トリオールスルファート(1)、3‐メチルブタノールグルクロニド、4‐アリルカテコールグルクロニド、ブチリルタウリン、イソブチリルタウリン、N‐アセチルセリン‐バリン‐アルギニン、3‐ヒドロキシアジポイルカルニチン、及びそれらの組み合わせは、ポジティブモードでイオン化することができる。
【0068】
一例では、N2‐アセチル,N6,N6‐ジメチルリジン、N‐ブチリル‐ロイシン、N‐ブチリル‐フェニルアラニン、N‐スクシニル‐ロイシン、N‐スクシニル‐フェニルアラニン、(2‐ブトキシエトキシ)酢酸、1‐(14又は15‐メチル)パルミトイル‐GPC(a17:0又はi17:0)、2‐メトキシヒドロキノングルクロニド(2)、2‐メトキシヒドロキノンスルファート(2)、3,5‐ジクロロ‐2,6‐ジヒドロキシ安息香酸、3‐ブロモ‐5‐クロロ‐2,6‐ジヒドロキシ安息香酸、3‐ヒドロキシ‐2‐メチルピリジンスルファート、3‐ヒドロキシ‐4‐メチルピリジンスルファート、3‐ヒドロキシマルガロイルグリシン、3‐ヒドロキシピリジングルクロニド、4‐アリルカテコールスルファート、4‐エチルカテコールスルファート、4‐メチルノナノイルカルニチン、4‐ビニルグアヤコールグルクロニド、5‐ヒドロキシ‐2‐メチルピリジンスルファート、5‐ヒドロキシインドールグルクロニド、アスコルビン酸3‐スルファート、アゼラオイルタウリン、ブチリルプトレシン、ケノデオキシコール酸スルファート(1)、コルトロングルクロニド、シクロ(ala‐arg)、シクロ(his‐tyr)、シクロ(his‐val)、デヒドロアンドロステロングルクロニド、デオキシコール酸(12又は24)‐スルファート、デオキシコール酸グルクロニド、ジブチルスルホスクシナート、グリコウルソデオキシコール酸スルファート(1)、ヘキサノイルタウリン、イソウルソデオキシコラートスルファート(1)、レブリノイルカルニチン、マルトールスルファート、メチルバニラートスルファート、o‐チラミン、フェニルアセチル‐ベータ‐アラニン、フェニルアセチルタウリン、フェニルアセチルバリン、チミジンスルファート(2)、5‐アンドロステン‐3b,16a,17b‐トリオールスルファート(1)、5‐アンドロステントリオールジスルファート、5‐アンドロステン‐3b,16b,17a‐トリオールスルファート(1)、3‐メチルブタノールグルクロニド、4‐アリルカテコールグルクロニド、ブチリルタウリン、イソブチリルタウリン、N‐アセチルセリン‐バリン‐アルギニン、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される1つ以上又は複数の分析物は、ネガティブモードでイオン化することができ、単一注入で測定することができる。
【0069】
別の例では、N2‐アセチル,N6,N6‐ジメチルリジン、N‐ブチリル‐ロイシン、N‐ブチリル‐フェニルアラニン、N‐スクシニル‐ロイシン、N‐スクシニル‐フェニルアラニン、(2‐ブトキシエトキシ)酢酸、2‐メトキシヒドロキノンスルファート(2)、3,5‐ジクロロ‐2,6‐ジヒドロキシ安息香酸、3‐ヒドロキシ‐2‐メチルピリジンスルファート、3‐ヒドロキシ‐4‐メチルピリジンスルファート、3‐ヒドロキシマルガロイルグリシン、3‐ヒドロキシピリジングルクロニド、4‐アリルカテコールスルファート、4‐エチルカテコールスルファート、4‐ビニルグアヤコールグルクロニド、5‐ヒドロキシ‐2‐メチルピリジンスルファート、5‐ヒドロキシインドールグルクロニド、アスコルビン酸3‐スルファート、アゼラオイルタウリン、デヒドロアンドロステロングルクロニド、デオキシコール酸グルクロニド、ジブチルスルホスクシナート、ヘキサノイルタウリン、レブリノイルカルニチン、マルトールスルファート、メチルバニラートスルファート、o‐チラミン、フェニルアセチル‐ベータ‐アラニン、フェニルアセチルタウリン、フェニルアセチルバリン、チミジンスルファート(2)、5‐アンドロステン‐3b,16a,17b‐トリオールスルファート(1)、5‐アンドロステントリオールジスルファート、5‐アンドロステン‐3b,16b,17a‐トリオールスルファート(1)、3‐ヒドロキシアジポイルカルニチン、3‐メチルブタノールグルクロニド、4‐アリルカテコールグルクロニド、ブチリルタウリン、イソブチリルタウリン、N‐アセチルセリン‐バリン‐アルギニン、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される1つ以上又は複数の分析物は、ネガティブモードでイオン化することができ、単一注入で測定できる。
【0070】
別の例では、N2‐アセチル,N6,N6‐ジメチルリジン、N‐ブチリル‐ロイシン、N‐ブチリル‐フェニルアラニン、N‐スクシニル‐ロイシン、N‐スクシニル‐フェニルアラニン、(2‐ブトキシエトキシ)酢酸、2‐イミノピペリジン、3‐ヒドロキシ‐2‐メチルピリジンスルファート、3‐ヒドロキシ‐4‐メチルピリジンスルファート、3‐ヒドロキシピリジングルクロニド、4‐エチルカテコールスルファート、5‐ヒドロキシ‐2‐メチルピリジンスルファート、アスコルビン酸3スルファート、アゼラオイルタウリン、ブチリルプトレシン、ジブチルスルホスクシナート、ヘキサノイルタウリン、レブリノイルカルニチン、o‐チラミン、フェニルアセチル‐ベータ‐アラニン、フェニルアセチルタウリン、フェニルアセチルバリン、3‐ヒドロキシアジポイルカルニチン、ブチリルタウリン、イソブチリルタウリン、N‐アセチルセリン‐バリン‐アルギニン、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される1つ以上又は複数の分析物は、ポジティブモードでイオン化することができ、単一注入で測定することができる。
【0071】
別の例では、N‐ブチリル‐ロイシン、N‐ブチリル‐フェニルアラニン、1‐(14又は15‐メチル)パルミトイル‐GPC(a17:0又はi17:0)、3‐ヒドロキシマルガロイルグリシン、4‐メチルノナノイルカルニチン、デオキシコール酸グルクロニド、フェニルアセチルバリン、ウンデセノイルカルニチン(C11:1)、及びそれらの組み合わせは、ポジティブモードでイオン化でき、単一注入で測定できる。
【0072】
質量分析計機器の設定は、所与の分析方法及び/又は使用される特定の質量分析計に対して最適化することができる。機器は、さまざまなガス、たとえば、窒素、ヘリウム、アルゴン、又はゼロエアを使用できる。一実施形態では、質量分析は、ThermoQ‐Exactive質量分析計を使用して実行することができる。一例では、質量分析計は、ネガティブエレクトロスプレーイオン化(ESI)モードで操作することができる。イオンスプレー電圧設定は、約-0.5kVから約-5.5kVの範囲であり得る。一実施形態では、電圧は-3.2kVに設定することができる。ソース温度は、約200℃から約500℃の範囲であり得る。一実施形態では、ソース温度は300℃に設定することができる。キャピラリー温度は、約200℃から約500℃の範囲であり得る。一実施形態では、キャピラリー温度は300℃に設定することができる。シースガスは、約40から約90単位の範囲であり得る。一実施形態では、シースガスは70単位に設定される。補助ガスは、約0から約90単位の範囲であり得る。一実施形態では、補助ガスは25に設定することができる。Sレンズ無線周波数(RF)レベルは、20から60の範囲であり得る。一実施形態では、SレンズRFレベルは40に設定することができる。段階的衝突エネルギーは、約-30Vから約-90Vの範囲であり得る。
【0073】
別の例では、MS機器は、ネガティブESIモードで動作することができる。イオンスプレー電圧の設定は、-0.5kVから-5.5kVの範囲である。一実施形態では、電圧は-3.2kVに設定することができる。ソース温度は、約200℃から約500℃の範囲であり得る。一実施形態では、ソース温度は300℃に設定することができる。キャピラリー温度は、約200℃から約500℃の範囲であり得る。一実施形態では、キャピラリー温度は300℃に設定することができる。シースガスは、約40から約90単位の範囲であり得る。一実施形態では、シースガスは70単位に設定される。補助ガスは、約0から約90単位の範囲であり得る。一実施形態では、補助ガスは20に設定することができる。Sレンズ無線周波数(RF)レベルは、20から60の範囲であり得る。一実施形態では、SレンズRFレベルは40に設定することができる。段階的衝突エネルギー(CE)は、約-30Vから約-90Vの範囲であり得る。
【0074】
別の例では、MS機器は、ポジティブESIモードで動作することができる。イオンスプレー電圧の設定は、0.5kVから6.0Vの範囲である。一実施形態では、電圧は4.0kVに設定することができる。ソース温度は、約200℃から約500℃の範囲であり得る。一実施形態では、ソース温度は300℃に設定することができる。キャピラリー温度は、約100℃から約500℃の範囲であり得る。一実施形態では、キャピラリー温度は250℃に設定することができる。シースガスは、約40から約90単位の範囲であり得る。一実施形態では、シースガスは70単位に設定される。補助ガスは、約0から約90単位の範囲であり得る。一実施形態では、補助ガスは15に設定することができる。Sレンズ無線周波数(RF)レベルは、20から60の範囲であり得る。一実施形態では、SレンズRFレベルは40に設定することができる。段階的衝突エネルギーは、約30Vから約90Vの範囲であり得る。
【0075】
別の例では、MS機器は、ポジティブESIモードで動作することができる。イオンスプレー電圧の設定は、0.5kVから6.0Vの範囲である。一実施形態では、電圧は4.2kVに設定することができる。ソース温度は、約200℃から約500℃の範囲であり得る。一実施形態では、ソース温度は400℃に設定することができる。キャピラリー温度は、約200℃から約500℃の範囲であり得る。一実施形態では、キャピラリー温度は350℃に設定することができる。シースガスは、約20から約90単位の範囲であり得る。一実施形態では、シースガスは45単位に設定される。補助ガスは、約0から約90単位の範囲であり得る。一実施形態では、補助ガスは30に設定することができる。Sレンズ無線周波数(RF)レベルは、20から60の範囲であり得る。一実施形態では、SレンズRFレベルは40に設定することができる。段階的衝突エネルギーは、約30Vから約90Vの範囲であり得る。
【0076】
サンプルがイオン化された後、正又は負に帯電したイオンを分析して、質量電荷比を決定することができる。質量電荷比を決定するための例示的な適切な分析器には、四重極分析器、イオントラップ分析器、及び飛行時間分析器が含まれる。イオンは、フルスキャンモード、例えばエレクトロスプレーイオン化(ESI)を使用して検出することができる。
【0077】
分析結果は、タンデムMSによって生成されたデータを含むことができる。例示的な実施形態では、タンデムMSは、正確な質量のタンデムMSであってもよい。たとえば、正確な質量のタンデム質量分析では、オービトラップアナライザーを使用できる。タンデムMSを使用すると、複雑な混合物中の化学成分の親娘関係を表すデータ構造を作成できる。この関係は、親イオンと娘イオンの相互関係を示す樹状構造で表すことができ、娘イオンは親イオンのサブコンポーネントを表す。
【0078】
例えば、一次質量スペクトルは、5つの別個のイオンを含むことができ、これらは、5つのグラフィカルなピークとして表すことができる。プライマリMSの各イオンは親イオンである可能性がある。各親イオンは、その特定の親イオンの娘イオンを示すマススペクトルを生成する二次MSに供することができる。
【0079】
親/娘の関係を拡張して、分離された成分(例えば、クロマトグラフィー状態から溶出する成分)と一次MSで検出されたイオンとの間の関係、及び分析されるサンプルと分離された成分との間の関係を説明することができる。
【0080】
質量分析計は、通常、ユーザーにイオンスキャン(すなわち、所与の範囲にわたる特定の質量/電荷(m/z)を有する各イオンの相対的存在量)を提供する。質量分析データは、ピークの検出と統合を可能にするソフトウェアを使用して処理できる。この処理からの出力により、m/z比、保持時間、及び曲線下面積値のリストを生成することができる。ソフトウェアはまた、例えば、信号対雑音比、高さ及び幅の閾値などのピーク検出の基準を指定することができる。
【0081】
IV.キット
N2‐アセチル,N6,N6‐ジメチルリジン、N‐ブチリル‐ロイシン、N‐ブチリル‐フェニルアラニン、N‐スクシニル‐ロイシン、N‐スクシニル‐フェニルアラニン、o‐チラミン、フェニルアセチル‐ベータ‐アラニン、フェニルアセチルタウリン、フェニルアセチルバリン、5‐ヒドロキシインドールグルクロニド、ケノデオキシコール酸スルファート(1)、デオキシコール酸(12又は24)‐スルファート、デオキシコール酸グルクロニド、グリコウルソデオキシコール酸スルファート(1)、イソウルソデオキシコラートスルファート(1)、アスコルビン酸3‐スルファート、1‐(14又は15‐メチル)パルミトイル‐GPC(a17:0又はi17:0)、3‐ヒドロキシアジポイルカルニチン、3‐ヒドロキシマルガロイルグリシン、4‐メチルノナノイルカルニチン、アゼラオイルタウリン、ブチリルタウリン、ヘキサノイルタウリン、イソブチリルタウリン、レブリノイルカルニチン、ウンデセノイルカルニチン(C11:1)、3,5‐ジクロロ‐2,6‐ジヒドロキシ安息香酸、3‐ブロモ‐5‐クロロ‐2,6‐ジヒドロキシ安息香酸、2‐メトキシヒドロキノングルクロニド(2)、2‐メトキシヒドロキノンスルファート(2)、4‐アリルカテコールグルクロニド、4‐アリルカテコールスルファート、4‐エチルカテコールスルファート、3‐ヒドロキシ‐2‐メチルピリジンスルファート、3‐ヒドロキシ‐4‐メチルピリジンスルファート、3‐ヒドロキシピリジングルクロニド、5‐ヒドロキシ‐2‐メチルピリジンスルファート、2‐イミノピペリジン、チミジンスルファート(2)、シクロ(ala‐arg)、シクロ(his‐tyr)、シクロ(his‐val)、N‐アセチルセリン‐バリン‐アルギニン、4‐ビニルグアヤコールグルクロニド、マルトールスルファート、メチルバニラートスルファート、ブチリルプトレシン、5‐アンドロステン‐3b,16a,17b‐トリオールスルファート(1)、5‐アンドロステン‐3b,16b,17a‐トリオールスルファート(1)、5‐アンドロステントリオールジスルファート、コルトロングルクロニド、デヒドロアンドロステロングルクロニド、(2‐ブトキシエトキシ)酢酸、ジブチルスルホスクシナート、3‐メチルブタノールグルクロニド、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される1つ以上又は複数の分析物をアッセイするためのキットが本明細書に記載されている。例えば、キットは、1つ又は複数のアッセイに十分な量で回収標準又は再構成標準に使用するための既知の濃度の1つ又は複数の内部標準、クロマトグラフィーカラム、包装材料、及び使用説明書を含むことができる。例示的な実施形態では、内部標準は標識することができ(同位体標識又は放射性標識など)、キットは予め作製された移動相溶液を含むことができ、及び/又はキットは移動相試薬及び移動相溶液を調製するための説明書を含むことができる。キットはまた、試薬を使用して1つ又は複数の分析物を測定するための有形の形態で(例えば、取扱説明書などの紙又は電子媒体に)記録された説明書を含むことができる。
【0082】
一実施形態では、N2‐アセチル,N6,N6‐ジメチルリジン、N‐ブチリル‐ロイシン、N‐ブチリル‐フェニルアラニン、N‐スクシニル‐ロイシン、N‐スクシニル‐フェニルアラニン、(2‐ブトキシエトキシ)酢酸、1‐(14又は15‐メチル)パルミトイル‐GPC(a17:0又はi17:0)、2‐メトキシヒドロキノングルクロニド(2)、2‐メトキシヒドロキノンスルファート(2)、3,5‐ジクロロ‐2,6‐ジヒドロキシ安息香酸、3‐ブロモ‐5‐クロロ‐2,6‐ジヒドロキシ安息香酸、3‐ヒドロキシ‐2‐メチルピリジンスルファート、3‐ヒドロキシ‐4‐メチルピリジンスルファート、3‐ヒドロキシマルガロイルグリシン、3‐ヒドロキシピリジングルクロニド、4‐アリルカテコールスルファート、4‐エチルカテコールスルファート、4‐メチルノナノイルカルニチン、4‐ビニルグアヤコールグルクロニド、5‐ヒドロキシ‐2‐メチルピリジンスルファート、5‐ヒドロキシインドールグルクロニド、アスコルビン酸3‐スルファート、アゼラオイルタウリン、ブチリルプトレシン、ケノデオキシコール酸スルファート(1)、コルトロングルクロニド、シクロ(ala‐arg)、シクロ(his‐tyr)、シクロ(his‐val)、デヒドロアンドロステロングルクロニド、デオキシコール酸(12又は24)‐スルファート、デオキシコール酸グルクロニド、ジブチルスルホスクシナート、グリコウルソデオキシコール酸スルファート(1)、ヘキサノイルタウリン、イソウルソデオキシコラートスルファート(1)、レブリノイルカルニチン、マルトールスルファート、メチルバニラートスルファート、o‐チラミン、フェニルアセチル‐ベータ‐アラニン、フェニルアセチルタウリン、フェニルアセチルバリン、チミジンスルファート(2)、5‐アンドロステン‐3b,16a,17b‐トリオールスルファート(1)、5‐アンドロステントリオールジスルファート、5‐アンドロステン‐3b,16b,17a‐トリオールスルファート(1)、3‐メチルブタノールグルクロニド、4‐アリルカテコールグルクロニド、ブチリルタウリン、イソブチリルタウリン、N‐アセチルセリン‐バリン‐アルギニン、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される1つ以上又は複数の分析物をアッセイするためのキットが提供される。
【0083】
別の実施形態において、N2‐アセチル,N6,N6‐ジメチルリジン、N‐ブチリル‐ロイシン、N‐ブチリル‐フェニルアラニン、N‐スクシニル‐ロイシン、N‐スクシニル‐フェニルアラニン、(2‐ブトキシエトキシ)酢酸、1‐(14又は15‐メチル)パルミトイル‐GPC(a17:0又はi17:0)、2‐メトキシヒドロキノングルクロニド(2)、2‐メトキシヒドロキノンスルファート(2)、3,5‐ジクロロ‐2,6‐ジヒドロキシ安息香酸、3‐ブロモ‐5‐クロロ‐2,6‐ジヒドロキシ安息香酸、3‐ヒドロキシ‐2‐メチルピリジンスルファート、3‐ヒドロキシ‐4‐メチルピリジンスルファート、3‐ヒドロキシマルガロイルグリシン、3‐ヒドロキシピリジングルクロニド、4‐アリルカテコールスルファート、4‐エチルカテコールスルファート、4‐メチルノナノイルカルニチン、4‐ビニルグアヤコールグルクロニド、5‐ヒドロキシ‐2‐メチルピリジンスルファート、5‐ヒドロキシインドールグルクロニド、アスコルビン酸3‐スルファート、アゼラオイルタウリン、ブチリルプトレシン、ケノデオキシコール酸スルファート(1)、コルトロングルクロニド、シクロ(ala‐arg)、シクロ(his‐tyr)、シクロ(his‐val)、デヒドロアンドロステロングルクロニド、デオキシコール硫酸(12又は24)‐スルファート、デオキシコール酸グルクロニド、ジブチルスルホスクシナート、グリコウルソデオキシコール酸スルファート(1)、ヘキサノイルタウリン、イソウルソデオキシコラートスルファート(1)、レブリノイルカルニチン、マルトールスルファート、メチルバニラートスルファート、o‐チラミン、フェニルアセチル‐ベータ‐アラニン、フェニルアセチルタウリン、フェニルアセチルバリン、チミジンスルファート(2)、5‐アンドロステン‐3b,16a,17b‐トリオールスルファート(1)、5‐アンドロステントリオールジスルファート、5‐アンドロステン‐3b,16b,17a‐トリオールスルファート(1)、3‐メチルブタノールグルクロニド、4‐アリルカテコールグルクロニド、ブチリルタウリン、イソブチリルタウリン、N‐アセチルセリン‐バリン‐アルギニン、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される1つ以上又は複数の分析物をアッセイするためのキットが提供される。
【0084】
別の実施形態において、N2‐アセチル,N6,N6‐ジメチルリジン、N‐ブチリル‐ロイシン、N‐ブチリル‐フェニルアラニン、N‐スクシニル‐ロイシン、N‐スクシニル‐フェニルアラニン、(2‐ブトキシエトキシ)酢酸、2‐イミノピペリジン、3‐ヒドロキシ‐2‐メチルピリジンスルファート、3‐ヒドロキシ‐4‐メチルピリジンスルファート、3‐ヒドロキシピリジングルクロニド、4‐エチルカテコールスルファート、5‐ヒドロキシ‐2‐メチルピリジンスルファート、アスコルビン酸3‐スルファート、アゼラオイルタウリン、ブチリルプトレシン、ジブチルスルホスクシナート、ヘキサノイルタウリン、レブリノイルカルニチン、o‐チラミン、フェニルアセチル‐ベータ‐アラニン、フェニルアセチルタウリン、フェニルアセチルバリン、3‐ヒドロキシアジポイルカルニチン、ブチリルタウリン、イソブチリルタウリン、N‐アセチルセリン‐バリン‐アルギニン、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される1つ以上又は複数の分析物をアッセイするためのキットが提供される。
【0085】
別の実施形態では、N‐ブチリル‐ロイシン、N‐ブチリル‐フェニルアラニン、1‐(14又は15‐メチル)パルミトイル‐GPC(a17:0又はi17:0)、3‐ヒドロキシマルガロイルグリシン、4‐メチルノナノイルカルニチン、デオキシコール酸グルクロニド、フェニルアセチルバリン、ウンデセノイルカルニチン(C11:1)、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される1つ以上又は複数の分析物をアッセイするためのキットが提供される。
【実施例】
【0086】
例
I.サンプル調製
サンプル調製は、96ウェルプレートで実施された。100ulのサンプルを96ウェルプレートの適切なウェルにプレーティングした。サンプルから分析物を抽出するために、抽出手順の品質を決定するために使用される回収標準の混合物を含む500μLの100%メタノールをサンプルに添加した。次に、サンプルをGenogrinderで675SPMで2分間攪拌して混合した。次に、沈殿したタンパク質をペレット化するために、プレートを遠心分離機で2800rpmで10分間(1100G)回転させた。85μlの上清のアリコートを5つの新しいプレート(4X384ウェル120μLスクエアウェルプレート及び1X96ウェルPCRプレート)のそれぞれに移した。メタノール抽出物のアリコートを、乾燥するまで窒素下で乾燥させた。
【0087】
サンプル分析のために、プレーティングされ、乾燥されたサンプル抽出物は、再構成標準を含む再構成溶媒中で再構成された。再構成溶媒と再構成標準は、特定の分析法のために最適化される。再構成溶媒は次のとおりである。方法1(LC/MSネガティブ)の場合、6.5mM重炭酸アンモニウム;方法2(LC極性/MSネガティブ)の場合、15%H2O/5%MeOH/80%ACN(10mMギ酸アンモニウム)pH10.8;方法3(LC/MSポジティブ初期)の場合、0.1%ギ酸、0.5%PFPA水溶液;方法4(LC/MSポジティブ後期)の場合、90%イソプロパノール/10%H2O 0.1%ギ酸 0.05%PFPA。再構成標準を使用して、クロマトグラフィーのピークを調整し、機器の性能を監視した。サンプルプレートを密封し、各プレートを2200rpmで1分間ボルテックスし、室温の水浴で5分間超音波処理した(方法2プレートの場合は30分)。超音波処理に続いて、プレートを2800rpm(1100G)で5分間回転させ、サンプル中の粒子をペレット化した。
【0088】
II.データ処理と分析
各方法のサンプルの各セットについて、ピーク面積の相対標準偏差(RSD)を、抽出効率、機器性能、カラム完全性、クロマトグラフィー、及び質量較正を確認するために、各再構成又は回収標準について計算した。これらの再構成及び回収標準のいくつかは、保持指数(RI)マーカーとして機能し、保持時間とアライメントについてチェックされた。ピークの検出と統合には、社内ソフトウェアを使用した。この処理からの出力により、m/z比、保持時間、及び曲線下面積値のリストが生成された。ソフトウェアは、シグナル対ノイズ比、高さ、幅のしきい値など、ピーク検出の基準を指定した。欠落している値がある場合は、特定の化合物で観測された最小値が代入された。
【0089】
QCサンプルを含むサンプルセットは、固定RI値が割り当てられた再構成標準を利用する保持指数に基づいてクロマトグラフィーで整列された。実験ピークのRIは、値が変化しない隣接するRIマーカー間の線形フィットを仮定することによって決定された。RIの利点は、サンプルのpHやカラムの経過時間などの系統的な変動によって引き起こされる保持時間のドリフトを補正することである。各化合物のRIは、2つの横方向保持マーカーとの溶出関係に基づいて指定された。社内のソフトウェアパッケージを使用して、統合され、整列されたピークを、本物の標準の社内ライブラリ(化学ライブラリ)と照合し、本明細書で説明する4つのLC/MS法に固有の未知の化合物を日常的に検出した。照合一致は保持指数値に基づいており、RIユニットの範囲はLC/MS法と比較して異なっていた。実験スペクトルは、本物の標準のライブラリスペクトルと比較され、順方向及び逆方向のスコアが割り当てられた。完全な順方向スコアは、実験スペクトルのすべてのイオンが正しい比率で本物の標準のライブラリに見つかったことを示し、完全な逆スコアは、すべての本物の標準ライブラリイオンが実験スペクトルに正しい比率で存在したことを示す。順方向スコアと逆方向スコアが比較され、提案された照合に対してMS/MSフラグメンテーションスペクトルスコアが与えられた。その後、すべての照合一致が手動又は自動で確認され、照合一致が承認又は拒否された。各照合は、質量、RI、スコアに基づいてレビューされ、照合が評価され、上記の基準が満たされた場合に照合一致が承認された。
【0090】
化学ライブラリー、名前の付いた化合物及び日常的に検出される未知の化合物を同定するための統合された整列ピークを一致させる方法、及びサンプル中の小分子を同定するためのコンピューター可読コードに関するさらなる詳細は、米国特許第7,561,975号に見出すことができる。これは、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0091】
III.品質管理。
サンプル抽出及び機器実行手順の品質を制御するための方法が導入された。技術的な複製は、個々のテスト/実験サンプルのそれぞれのアリコートを組み合わせることによって作成された。又は、血漿サンプルの場合は、市販のソースからのプールされた血漿サンプルが使用された。技術的な複製サンプルは、上記のように抽出された。プロセスの変動性を評価するために、技術的な複製サンプルの抽出物を各機器のデータセットごとに4回注入した。追加の品質管理として、各LC/MS法のサンプルセットの一部として3つの水アリコートも抽出され、アーティファクト識別用のプロセスブランクとして機能した。すべてのQCサンプルには、特定のLC/MS法の回収標準と再構成標準が含まれていた。回収標準と再構成標準を使用して、抽出効率と機器の性能を評価し、イオン同定の保持指数マーカーとして機能した。回収及び再構成標準は、同位体標識されているか、標識されていないか、内在性イオンの検出を妨げないように選択された外因性分子とした。
【0092】
例1:液体クロマトグラフィー/質量分析(LC/MS)法1
クロマトグラフィー及び質量分析法は、単一注入における1つ以上又は複数の分析物の存在、非存在、又は量を決定するために開発された。最終的に抽出され、再構成されたサンプルの5.0μLの単一の固定アリコートが、分析された各サンプルのUPLCカラムに注入された。固定ループオートサンプラー、並列カラム再生用の2つのバイナリ溶媒マネージャー、及びカラムマネージャーを備えたWaters Acquity UPLCシステムを、逆相カラム(Waters ACQUITY BEH C18、2.1x100mm 1.7μm粒子サイズ)を使用した液体クロマトグラフィーに使用した。質量分析は、ThermoQ‐Exactive質量分析計を使用してサンプル抽出物に対して実行された。
【0093】
サンプルに対して液体クロマトグラフィーを実施した。移動相Aは水中の重炭酸アンモニウムであり、移動相Bはメタノールと水中の重炭酸アンモニウムとした。線形勾配溶出は、0.5%移動相B及び350μL/分の流速の初期条件で実行された。
【0094】
クロマトグラフィーカラムからの溶離液は、質量分析計のエレクトロスプレー源に直接かつ自動的に導入された。機器はネガティブESIモードで操作された。イオンスプレー電圧は-3.2kV、ソース温度は300℃、キャピラリー温度は300℃、シースガスは70単位、補助ガスは25単位、SレンズRFは40に設定した。合計実行時間は6.5分であった。
【0095】
一例では、LC/MS法1は、N2‐アセチル,N6,N6‐ジメチルリジン、N‐ブチリル‐ロイシン、N‐ブチリル‐フェニルアラニン、N‐スクシニル‐ロイシン、N‐スクシニル‐フェニルアラニン、(2‐ブトキシエトキシ)酢酸、1‐(14又は15‐メチル)パルミトイル‐GPC(a17:0又はi17:0)、2‐メトキシヒドロキノングルクロニド(2)、2‐メトキシヒドロキノンスルファート(2)、3,5‐ジクロロ‐2,6‐ジヒドロキシ安息香酸、3‐ブロモ‐5‐クロロ‐2,6‐ジヒドロキシ安息香酸、3‐ヒドロキシ‐2‐メチルピリジンスルファート、3‐ヒドロキシ‐4‐メチルピリジンスルファート、3‐ヒドロキシマルガロイルグリシン、3‐ヒドロキシピリジングルクロニド、4‐アリルカテコールスルファート、4‐エチルカテコールスルファート、4‐メチルノナノイルカルニチン、4‐ビニルグアヤコールグルクロニド、5‐ヒドロキシ‐2‐メチルピリジンスルファート、5‐ヒドロキシインドールグルクロニド、アスコルビン酸3‐スルファート、アゼラオイルタウリン、ブチリルプトレシン、ケノデオキシコール酸スルファート(1)、コルトロングルクロニド、シクロ(ala‐arg)、シクロ(his‐tyr)、シクロ(his‐val)、デヒドロアンドロステロングルクロニド、デオキシコール酸(12又は24)‐スルファート、デオキシコール酸グルクロニド、ジブチルスルホスクシナート、グリコウルソデオキシコール酸スルファート(1)、ヘキサノイルタウリン、イソウルソデオキシコラートスルファート(1)、レブリノイルカルニチン、マルトールスルファート、メチルバニラートスルファート、o‐チラミン、フェニルアセチル‐ベータ‐アラニン、フェニルアセチルタウリン、フェニルアセチルバリン、チミジンスルファート(2)、5‐アンドロステン‐3b,16a,17b‐トリオールスルファート(1)、5‐アンドロステントリオールジスルファート、5‐アンドロステン‐3b,16b,17a‐トリオールスルファート(1)、3‐メチルブタノールグルクロニド、4‐アリルカテコールグルクロニド、ブチリルタウリン、イソブチリルタウリン、N‐アセチルセリン‐バリン‐アルギニン、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される1つ以上又は複数の分析物の存在、非存在、又は量を決定するために開発された。分析物は、LC/MS法1を使用してコントロールサンプルで測定された。LC/MS法1を使用して測定されたすべての分析物の同一性は、分析物の保持指数(RI)、質量、及びMS/MSフラグメンテーションパターンデータを対応する本物の化学標準で得られた保持指数(RI)、質量、及びMS/MSフラグメンテーションパターンデータと照合することによって確認された。
【0096】
例2:液体クロマトグラフィー/質量分析(LC/MS)法2
クロマトグラフィー及び質量分析法は、単一注入における1つ以上又は複数の分析物の存在、非存在、又は量を決定するために開発された。最終的に抽出されたサンプルの5.0μLの単一の固定アリコートが、分析された各サンプルのUPLCカラムに注入された。固定ループオートサンプラー、並列カラム再生用の2つのバイナリ溶媒マネージャー、及びカラムマネージャーを備えたWaters Acquity UPLCシステムを、HILICカラム(Waters ACQUITY BEH アミド、2.1x150mm 1.7μm粒子サイズ)を使用した液体クロマトグラフィーに使用した。質量分析は、ThermoQ‐Exactive質量分析計を使用してサンプル抽出物に対して実行された。
【0097】
液体クロマトグラフィーをサンプルに対して実施した。移動相Aはギ酸アンモニウム(pH10.8)、アセトニトリル、メタノール、及び水であり、移動相Bはギ酸アンモニウム(pH10.8)及びアセトニトリルとした。線形勾配溶出は、5%の移動相Bと500μL/分の流速の初期条件で実行された。
【0098】
クロマトグラフィーカラムからの溶離液は、質量分析計のエレクトロスプレー源に直接かつ自動的に導入された。機器はネガティブESIモードで操作された。イオンスプレー電圧は-3.2kV、ソース温度は300℃、キャピラリー温度は300℃、シースガスは70単位、補助ガスは20単位、SレンズRFは40に設定した。合計実行時間は6.8分であった。
【0099】
この例では、LC/MS法2は、N2‐アセチル,N6,N6‐ジメチルリジン、N‐ブチリル‐ロイシン、N‐ブチリル‐フェニルアラニン、N‐スクシニル‐ロイシン、N‐スクシニル‐フェニルアラニン、(2‐ブトキシエトキシ)酢酸、2‐メトキシヒドロキノンスルファート(2)、3,5‐ジクロロ‐2,6‐ジヒドロキシ安息香酸、3‐ヒドロキシ‐2‐メチルピリジンスルファート、3‐ヒドロキシ‐4‐メチルピリジンスルファート、3‐ヒドロキシマルガロイルグリシン、3‐ヒドロキシピリジングルクロニド、4‐アリルカテコールスルファート、4‐エチルカテコールスルファート、4‐ビニルグアヤコールグルクロニド、5‐ヒドロキシ‐2‐メチルピリジンスルファート、5‐ヒドロキシインドールグルクロニド、アスコルビン酸3‐スルファート、アゼラオイルタウリン、デヒドロアンドロステロングルクロニド、デオキシコール酸グルクロニド、ジブチルスルホスクシナート、ヘキサノイルタウリン、レブリノイルカルニチン、マルトールスルファート、メチルバニラートスルファート、o‐チラミン、フェニルアセチル‐ベータ‐アラニン、フェニルアセチルタウリン、フェニルアセチルバリン、チミジンスルファート(2)、5‐アンドロステン‐3b,16a,17b‐トリオールスルファート(1)、5‐アンドロステントリオールジスルファート、5‐アンドロステン‐3b,16b,17a‐トリオールスルファート(1)、3‐ヒドロキシアジポイルカルニチン、3‐メチルブタノールグルクロニド、4‐アリルカテコールグルクロニド、ブチリルタウリン、イソブチリルタウリン、N‐アセチルセリン‐バリン‐アルギニン、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される1つ以上又は複数の分析物の存在、非存在、又は量を決定するために開発された。分析物は、LC/MS法2を使用してコントロールサンプルで測定された。LC/MS法2を使用して測定されたすべての分析物の同一性は、分析物の保持指数(RI)、質量、及びMS/MSフラグメンテーションパターンデータを対応する本物の化学標準で得られた保持指数(RI)、質量、及びMS/MSフラグメンテーションパターンデータと照合することによって確認された。
【0100】
例3:液体クロマトグラフィー/質量分析(LC/MS)法3
クロマトグラフィー及び質量分析法は、単一注入における1つ以上又は複数の分析物の存在、非存在、又は量を決定するために開発された。最終的に抽出されたサンプルの5.0μLの単一の固定アリコートが、分析された各サンプルのUPLCカラムに注入された。固定ループオートサンプラー、並列カラム再生用の2つのバイナリ溶媒マネージャー、及びカラムマネージャーを備えたWaters Acquity UPLCシステムを、逆相カラム(Waters ACQUITY BEH C18、2.1x100mm 1.7μm粒子サイズ)を使用した液体クロマトグラフィーに使用した。質量分析は、ThermoQ‐Exactive質量分析計を使用してサンプル抽出物に対して実行された。
【0101】
液体クロマトグラフィーをサンプルに対して実施した。移動相AはPFPA、ギ酸、及び水であり、移動相BはPFPA、ギ酸、及びメタノールとした。線形勾配溶出は、5%移動相Bと350μL/分の流速の初期条件で実行された。
【0102】
クロマトグラフィーカラムからの溶離液は、質量分析計のエレクトロスプレー源に直接かつ自動的に導入された。機器はポジティブESIモードで操作された。イオンスプレー電圧は4.0kV、ソース温度は300℃、キャピラリー温度は250℃、シースガスは70単位、補助ガスは15単位、SレンズRFは40に設定した。合計実行時間は3.4分であった。
【0103】
この例では、LC/MS方法3は、N2‐アセチル,N6,N6‐ジメチルリジン、N‐ブチリル‐ロイシン、N‐ブチリル‐フェニルアラニン、N‐スクシニル‐ロイシン、N‐スクシニル‐フェニルアラニン、(2‐ブトキシエトキシ)酢酸、2‐イミノピペリジン、3‐ヒドロキシ‐2‐メチルピリジンスルファート、3‐ヒドロキシ‐4‐メチルピリジンスルファート、3‐ヒドロキシピリジングルクロニド、4‐エチルカテコールスルファート、5‐ヒドロキシ‐2‐メチルピリジンスルファート、アスコルビン酸3‐スルファート、アゼラオイルタウリン、ブチリルプトレシン、ジブチルスルホスクシナート、ヘキサノイルタウリン、レブリノイルカルニチン、o‐チラミン、フェニルアセチル‐ベータ‐アラニン、フェニルアセチルタウリン、フェニルアセチルバリン、3‐ヒドロキシアジポイルカルニチン、ブチリルタウリン、イソブチリルタウリン、N‐アセチルセリン‐バリン‐アルギニン、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される1つ以上又は複数の分析物の存在、非存在、又は量を決定するために開発された。分析物は、LC/MS法3を使用してコントロールサンプルで測定された。LC/MS法3を使用して測定されたすべての分析物の同一性は、分析物の保持指数(RI)、質量、及びMS/MSフラグメンテーションパターンデータを対応する本物の化学標準で得られた保持指数(RI)、質量、及びMS/MSフラグメンテーションパターンデータと照合することによって確認された。
【0104】
例4:液体クロマトグラフィー/質量分析(LC/MS)法4
クロマトグラフィー及び質量分析法は、単一注入における1つ以上又は複数の分析物の存在、非存在、又は量を決定するために開発された。最終的に抽出されたサンプルの5.0μLの単一の固定アリコートが、分析された各サンプルのUPLCカラムに注入された。固定ループオートサンプラー、並列カラム再生用の2つのバイナリ溶媒マネージャー、及びカラムマネージャーを備えたWaters Acquity UPLCシステムを、逆相カラム(Waters ACQUITY BEH C18、2.1x100mm 1.7μm粒子サイズ)を使用した液体クロマトグラフィーに使用した。質量分析は、ThermoQ‐Exactive質量分析計を使用してサンプル抽出物に対して実行された。
【0105】
液体クロマトグラフィーをサンプルに対して実施した。移動相AはPFPA、ギ酸、及び水であり、移動相BはPFPA、ギ酸、アセトニトリル、及びメタノールとした。線形勾配溶出は、40%の移動相Bと600μL/分の流速の初期条件で実行された。
【0106】
クロマトグラフィーカラムからの溶離液は、質量分析計のエレクトロスプレー源に直接かつ自動的に導入された。機器はポジティブESIモードで操作された。イオンスプレー電圧は4.2kV、ソース温度は400℃、キャピラリー温度は350℃、シースガスは45単位、補助ガスは30単位、SレンズRFは40に設定した。合計実行時間は3.4分であった。
【0107】
この例では、LC/MS法4は、N‐ブチリル‐ロイシン、N‐ブチリル‐フェニルアラニン、1‐(14又は15‐メチル)パルミトイル‐GPC(a17:0又はi17:0)、3‐ヒドロキシマルガロイルグリシン、4‐メチルノナノイルカルニチン、デオキシコール酸グルクロニド、フェニルアセチルバリン、ウンデセノイルカルニチン(C11:1)、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される1つ以上又は複数の分析物の存在、非存在、又は量を決定するために開発された。分析物は、LC/MS法4を使用してコントロールサンプルで測定された。LC/MS法4を使用して測定されたすべての分析物の同一性は、分析物の保持指数(RI)、質量、及びMS/MSフラグメンテーションパターンデータを対応する本物の化学標準で得られた保持指数(RI)、質量、及びMS/MSフラグメンテーションパターンデータと照合することによって確認された。
【国際調査報告】