(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-07-29
(54)【発明の名称】プレート式熱交換器、およびプレート式熱交換器の製造方法
(51)【国際特許分類】
F28F 3/08 20060101AFI20220722BHJP
F28D 9/02 20060101ALI20220722BHJP
B21D 53/04 20060101ALI20220722BHJP
【FI】
F28F3/08 311
F28D9/02
B21D53/04 C
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021569171
(86)(22)【出願日】2020-05-08
(85)【翻訳文提出日】2021-11-19
(86)【国際出願番号】 EP2020062863
(87)【国際公開番号】W WO2020234006
(87)【国際公開日】2020-11-26
(32)【優先日】2019-05-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】SE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】509005513
【氏名又は名称】アルファ-ラヴァル・コーポレート・アーベー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】イェンス・ロムルンド
【テーマコード(参考)】
3L103
【Fターム(参考)】
3L103AA11
3L103DD57
(57)【要約】
プレート式熱交換器およびプレート式熱交換器の製造方法が開示されている。プレート式熱交換器は、複数のプレート(2、3、4)を含み、それぞれのプレートは、隆起および谷部の波形(7)を備えた中央領域(6)であって、隆起および谷部が上位レベル(p´)と下位レベル(p″)との間で延在している中央領域(6)を含む。4つのポートホール領域(11)のそれぞれは、上位レベルまたは下位レベルに位置する環状平坦領域(12)を含む。プレートは、熱交換プレート(2)とエンドプレート(3、4)とで構成される。それぞれの熱交換プレートは、それぞれのポートホール領域を貫通する4つのポートホール(13)を含む。エンドプレートのそれぞれのポートホール領域は、プレート部分(20)によって閉じられる。所定数の突起が、エンドプレートの環状平坦領域から下位レベルと上位レベルのいずれかに突出している。上位レベルに突出する突起は、隣接する熱交換プレートの環状平坦領域に当接している。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プレートパッケージを形成するために互いに並んで配置された複数のプレート(2、3、4)を含むプレート式熱交換器(1)であって、各プレートが、
プレート(2、3、4)の延在面(p)と平行に延在し、隆起部および谷部の波形(7)を含む中央領域(6)であって、前記波形(7)が、主延在面(p)から離れた上位レベル(p´)と、主延在面(p)およびその反対側から離れた下位レベル(p″)との間で延在し、前記隆起部が上位レベル(p´)に到達し、前記谷部が下位レベル(p″)に到達している、中央領域(6)と、
前記中央領域(6)の周りに延在するエッジ領域(10)と、
4つのポートホール領域(11)であって、それぞれが環状平坦領域(12)を含み、前記環状平坦領域(12)が、前記上位レベル(p´)および下位レベル(p″)のうちの1つに位置する、4つのポートホール領域(11)と、
を含んでなり、
前記プレート(2、3、4)は、熱交換プレート(2)と、プレートパッケージ(5)内の熱交換プレート(2)の最も外側の1つに隣接して外側に設けられた少なくとも第1のエンドプレート(3)と、を含み、
それぞれの前記熱交換プレート(2)が、前記ポートホール領域(11)のそれぞれの1つを通って延在する4つのポートホール(13)を含み、
前記第1のエンドプレート(3)のポートホール領域(11)のそれぞれが、前記環状平坦領域(12)によって囲まれたプレート部分(20)によって閉じられている、プレート式熱交換器(1)において、
前記熱交換プレート(2)のそれぞれのポートホール(13)が、前記環状平坦領域(12)によって形成されたポートホールエッジ(14)によって画定され、
前記第1のエンドプレート(3)のそれぞれのポートホール領域(11)が、前記環状平坦領域(12)上に配置され、そこから前記下位レベル(p″)および上位レベル(p´)のいずれか1つに突出する所定数の突起(22)を含み、
前記上位レベル(p´)に突出する前記第1のエンドプレート(3)の各突起(22)が、隣接する最も外側の熱交換プレート(2)の環状平坦領域(12)に当接していることを特徴とする、プレート式熱交換器(1)。
【請求項2】
前記環状平坦領域(12)が上位レベル(p´)に位置するとき、前記突起(22)が下位レベル(p″)に突出し、前記環状平坦領域(12)が下位レベル(p″)に位置するとき、前記突起(22)が上位レベル(p´)に突出していることを特徴とする、請求項1に記載のプレート式熱交換器(1)。
【請求項3】
前記プレート(2、3、4)はまた、前記プレートパッケージ(5)内の第1のエンドプレート(3)の外側に隣接して設けられた第2のエンドプレート(4)を含み、
前記第2のエンドプレート(4)のポートホール領域(11)のそれぞれが、環状平坦領域(12)に囲まれたプレート部分(20)によって閉じられ、
前記第2のエンドプレート(4)のポートホール領域(11)のそれぞれが、環状平坦領域(12)上に配置され、そこから下位レベル(p″)および上位レベル(p´)の1つに突出する所定数の突起(22)を含み、
前記上位レベル(p´)に突出する前記第2のエンドプレート(4)の各突起(22)が、隣接する前記第1のエンドプレート(3)の環状平坦領域(12)の突起(22)のそれぞれに当接していることを特徴とする、請求項1または2に記載のプレート式熱交換器(1)。
【請求項4】
前記環状平坦領域に囲まれたプレート部分は、円形で、前記環状平坦領域が上位レベル(p´)にあるときに下位レベル(p″)に位置し、前記環状平坦領域が下位レベル(p″)にあるときは上位レベル(p´)に位置していることを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載のプレート式熱交換器(1)。
【請求項5】
前記突起(22)が前記プレート部分(20)まで延在していることを特徴とする、請求項4に記載のプレート式熱交換器(1)。
【請求項6】
前記突起(22)が前記環状平坦領域(12)を横切って延在していることを特徴とする、請求項5に記載のプレート式熱交換器(1)。
【請求項7】
前記突起(22)が、前記プレート部分(20)から離れた前記環状平坦領域(12)上に配置されていることを特徴とする、請求項4に記載のプレート式熱交換器(1)。
【請求項8】
前記環状平坦領域(12)が前記プレート部分(20)に隣接していることを特徴とする、請求項4から7のいずれか一項に記載のプレート式熱交換器(1)。
【請求項9】
前記プレート部分(20)が、前記上位レベル(p´)および下位レベル(p″)のそれぞれに平坦拡張部を有する強化領域(21)を含むことを特徴とする、請求項4から8のいずれか一項に記載のプレート式熱交換器(1)。
【請求項10】
強化領域(21)が環状であることを特徴とする、請求項4から9のいずれか一項に記載のプレート式熱交換器(1)。
【請求項11】
前記突起が、前記上位レベル(p´)および下位レベル(p″)のそれぞれに平坦拡張部を有していることを特徴とする、請求項1から10のいずれか一項に記載のプレート式熱交換器(1)。
【請求項12】
プレート式熱交換器の製造方法(1)であって、
-複数のプレート(2、3、4)を設けるステップと、
-複数のプレート(2、3、4)を製造するための第1のプレス操作で複数の前記プレート(2、3、4)をプレスするステップと、
を含んでなり、
それぞれの前記プレート(2、3、4)が、
前記プレート(2、3、4)の延在面(p)と平行に延在し、隆起部および谷部の波形(7)を含む中央領域(6)であって、前記波形(7)が、主延在面(p)から離れた上位レベル(p´)と、主延在面(p)およびその反対側から離れた下位レベル(p″)との間で延在し、前記隆起部が上位レベル(p´)に到達し、前記谷部が下位レベル(p″)に到達している、中央領域(6)と、
前記中央領域(6)の周りに延在するエッジ領域(10)と、
4つのポートホール領域(11)であって、それぞれが環状平坦領域(12)を含み、前記環状平坦領域(12)が、前記上位レベル(p´)および下位レベル(p″)のうちの1つに位置する、4つのポートホール領域(11)と、
を備えた、プレート式熱交換器の製造方法(1)において、
-前記複数のプレート(2、3、4)から少なくとも第1のエンドプレート(3)および熱交換プレート(2)を選択するステップと、
-それぞれの前記熱交換プレート(2)のポートホール領域(11)のそれぞれの1つを貫通する切削操作において4つのポートホール(13)を切削するステップであって、それぞれの前記ポートホール(13)が、前記環状平坦領域(12)によって形成されたポートホールエッジ(14)によって画定されている、4つのポートホール(13)を切削するステップと、
-第2のプレス操作で所定数の突起(22)をプレスするステップであって、前記環状平坦領域(12)から前記第1のエンドプレート(3)の各ポートホール領域(11)における下位レベル(p″)および上位レベル(p´)の1つに突出させる、プレスするステップと、
を含んでなることを特徴とする、プレート式熱交換器の製造方法(1)。
【請求項13】
熱交換プレート(2)と第1のエンドプレート(3)とを組み立てて結合するステップであって、前記熱交換プレート(2)のそれぞれのポートホール(13)を通って延在し、前記第1のエンドプレート(3)によって閉じられる4つのポートホールチャネル(14~17)を備えたプレートパッケージ(5)を取得する、組み立てて結合するステップをさらに含むことを特徴とする、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記第1のエンドプレート(3)および熱交換プレート(2)の選択に加えて、前記選択するステップが、第2のエンドプレート(4)を選択することも含み、
-所定数の突起(22)をプレスするステップであって、前記環状平坦領域(12)から前記第2のエンドプレート(4)の各ポートホール領域(11)における下位レベル(p″)および上位レベル(p´)の1つに突出させる、プレスするステップをさらに含んでなることを特徴とする、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
-前記熱交換プレート(2)と前記第1のエンドプレート(3)と前記第2のエンドプレート(5)とを組み立てて結合するステップであって、前記熱交換プレート(2)のそれぞれのポートホール(13)を通って延在し、前記第1のエンドプレート(3)および前記第2のエンドプレート(4)によって閉じられる4つのポートホールチャネル(14~17)を備えたプレートパッケージ(5)を取得する、組み立てて結合するステップをさらに含んでなることを特徴とする、請求項14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前文によるプレート式熱交換器に関する。本発明はまた、請求項12の前文によるプレート式熱交換器を製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
多くのプレート式熱交換器の用途では、高強度が必要である。これは、プレート式熱交換器を介して搬送される一方または両方の媒体の使用圧力が高い場合、或いは、一方または両方の媒体の使用圧力が時間の経過とともに変化する場合に重要である。高強度の要件を満たすために、より厚い端部(エンド)プレートまたは強化プレート、つまりプレートパッケージの最も外側の位置にある2つのプレートを使用することが知られている。これらの強化プレートは、アダプタープレート、またはフレームプレートおよびプレッシャープレートとして指定され得る。
【0003】
強化プレートとしてシート、ワッシャー、または厚い平面プレートを使用することも知られている。そのようなシート、ワッシャーまたは厚い平面プレートはまた、フレームプレートおよび/またはプレッシャープレートの外側に設けられ得る。そのような追加のプレート、ワッシャーなどの不利な点は、プレート式熱交換器が製造されるとき、例えばろう付けされるとき、より多くの部品を取り付けなければならないので、製造がより複雑になり、したがってより高価になることである。
【0004】
米国特許第4,987,955号明細書(特許文献1)は、主延在面に平行に延在する複数のプレートを備えたプレート式熱交換器を開示している。プレートは、複数の熱交換プレートと、最も外側の熱交換プレートのそれぞれの外側に設けられた2つの外側カバープレートと、最も外側の熱交換プレートの1つと外側カバープレートの1つとの間に設けられた波形エンドプレートとを含む。強化外側カバープレートは平面で、熱交換プレートよりもかなり厚い厚さを有している。エンドプレートは、閉じたポートホール領域を有している。
【0005】
国際公開第2009/123518号(特許文献2)は、互いに結合された複数の熱交換プレートを含むプレート式熱交換器を開示している。各プレートは、伝熱領域と4つのポートホール領域とを有する。各ポートホール領域は、ポートホールエッジを有するポートホールを取り囲んでいる。この従来技術のプレート式熱交換器は、高強度を有する。高強度を実現するために、例えば、熱交換プレートのポートホール領域など、いくつかの対策が講じられている。熱交換プレートは、第1のエンドプレートと第2のエンドプレートとの間に設けられ、これらは両方とも平面で、熱交換プレートよりも著しく厚い厚さを有する。
【0006】
より多くの材料を含むより厚い強化プレートのさらなる欠点は、より高い熱慣性である。このより高い熱慣性のために、プレート式熱交換器の熱疲労性能は、特に強化プレートに最も隣接して内部に設けられた熱交換プレートにおいて低下する。熱交換プレートはより薄い材料で製造されているため、媒体の温度により迅速に適応し、それにより、熱交換プレートと強化プレートの間に望ましくない温度差が生じ、熱に依存する応力が発生する。
【0007】
さらに、より厚い強化プレートは、材料の消費が大きくなり、したがってプレート式熱交換器のコストが増加するという欠点をもたらす。
【0008】
米国特許第8,181,696号明細書(特許文献3)は、複数のプレートを備えたプレート式熱交換器を開示している。プレートは主延在面に平行に延在し、いくつかの熱交換プレートと2つの強化エンドプレートとを含む。熱交換プレートは互いに隣り合って設けられ、第1のプレート間隔および第2のプレート間隔を備えたプレートパッケージを形成する。それぞれの熱交換プレートは、プレートパッケージを貫通してポートを形成する4つのポートホールを有する。熱交換プレートは、プレートパッケージの片側にある最も外側の熱交換プレートと、プレートパッケージの反対側にある最も外側の熱交換プレートとを含む。プレートパッケージ内のプレート隙間のうちの2つは、プレートパッケージのそれぞれの側でそれぞれの最も外側のプレート隙間を形成し、これらは、最も外側の熱交換プレートのそれぞれの1つによって外側に区切られている。強化エンドプレートは、最も外側の熱交換プレートのそれぞれの外側に設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】米国特許第4,987,955号明細書
【特許文献2】国際公開第2009/123518号
【特許文献3】米国特許第8,181,696号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、上記の欠点を改善し、高強度のプレート式熱交換器を提供することである。特に、閉じたエンドプレートのポートホール領域の強度を向上させることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
目的は、最初に規定されたプレート式熱交換器によって達成され、その特徴は、
熱交換プレートの各ポートホールは、環状平坦領域によって形成されたポートホールのエッジによって画定され、
第1のエンドプレートのそれぞれのポートホール領域は、環状平坦領域上に配置され、環状平坦領域から下位レベルおよび上位レベルの1つに突出する所定数の突起を含み、
上位レベルに突出する、第1のエンドプレートのそれぞれの突起は、隣接する最も外側の熱交換プレートの環状平坦領域に当接している。
【0012】
閉じたポートホール領域を有する第1のエンドプレートは、環状平坦領域から突出する突起のおかげで、特にポートホール領域内および領域で、熱交換プレートよりも高い強度を有し得る。突起が隣接する熱交換プレートの環状平坦領域に隣接しているので、第1のエンドプレートのポートホール領域、さらにはプレートパッケージのすべてのプレートのポートホール領域に対しても堅固な支持が創生され得る。
【0013】
そのような第1のエンドプレートは、多くのプレート式熱交換器用途において、より高価で、プレート式熱交換器を著しく重くする厚い平面カバープレートに取って代わり得る。
【0014】
熱交換プレートの環状平坦領域は、隣接する熱交換プレートの環状平坦領域に隣接することができ、したがって、環状平坦領域は、これらの2つの隣接する熱交換プレート間に形成されるプレート隙間を閉じるためのシーリングとして機能する。
【0015】
熱交換プレートは、プレートパッケージ内に配置されて、第1の流体のための第1のプレート隙間および第2の流体のための第2のプレート隙間を形成し得る。第1のプレート隙間および第2のプレート隙間は、プレートパッケージ内に交互の順序において配置され得る。熱交換プレートは同一であってもよいが、1つおきの熱交換プレートは延在面において180°回転され得る。
【0016】
本発明の一実施形態によれば、上位レベルに突出する第1のエンドプレートの各突起は、隣接する最も外側の熱交換プレートの環状平坦領域に接合されている。このような接合により、強度がさらに向上する。
【0017】
本発明の一実施形態によれば、突起は、環状平坦領域が上位レベルに位置する場合は下位レベルに突出し、環状平坦領域が下位レベルに位置する場合は上位レベルに突出する。
【0018】
本発明の一実施形態によれば、プレートはまた、プレートパッケージ内の第1のエンドプレートの外側に隣接して設けられる第2のエンドプレートを含み、
第2のエンドプレートのそれぞれのポートホール領域は、環状平坦領域に囲まれたプレート部分によって閉じられており、
第2のエンドプレートのそれぞれのポートホール領域は、環状平坦領域上に配置され、環状平坦領域から下位レベルおよび上位レベルの1つに突出する所定数の突起を含み、
上位レベルに突出する、第2のエンドプレートの各突起が、隣接する第1のエンドプレートの環状平坦領域の突起のそれぞれに当接している。
【0019】
第1のエンドプレートの外側に設けられたそのような第2のエンドプレートは、特にポートホール領域内およびその領域で、強度をさらに改善し得る。
【0020】
本発明の一実施形態によれば、上位レベルに突出する、第2のエンドプレートの突起のそれぞれは、隣接する第1のエンドプレートの環状平坦領域の突起のそれぞれの1つに接合されている。このような接合により、強度がさらに向上する。
【0021】
本発明の一実施形態によれば、環状平坦領域に囲まれるプレート部分は円形で、環状平坦領域が上位レベルに位置する場合は下位レベルに強化領域を含み、環状平面領域が下位レベルに位置する場合は上位レベルに強化領域を含む。環状平坦領域に対するプレート部分の強化領域のそのような突起は、ポートホール領域を強化し得る。
【0022】
本発明の一実施形態によれば、突起はプレート部分まで延在する。したがって、突起は、プレート部分に向かっておよびプレート部分まで延在するビームとして形作られ得る。したがって、突起はプレート部分に隣接し得る。
【0023】
本発明の一実施形態によれば、突起は、環状平坦領域を横切って延在する。例えば、突起は、環状平坦領域の幅全体にわたって延在し得る。
【0024】
本発明の一実施形態によれば、突起は、プレート部分から離れた環状平坦領域上に配置されている。
【0025】
本発明の一実施形態によれば、環状平坦領域はプレート部分に隣接している。例えば、環状平坦領域は、環状平坦領域の全内周に沿ってプレート部分に隣接し得る。
【0026】
本発明の一実施形態によれば、強化領域は、上位レベルおよび下位レベルのうちの1つに平坦拡張部を有する。
【0027】
本発明の一実施形態によれば、強化領域は環状である。強化領域のそのような環状形状は、プレート部分の強度をさらに改善することができる。
【0028】
本発明の一実施形態によれば、突起は、それぞれ、上位レベルおよび下位レベルに平坦拡張部を有する。突起の平坦拡張部は、隣接する熱交換プレートの環状平坦領域に対して、または隣接する第1または第2のエンドプレートのそれぞれの突起に対して比較的大きな接触領域を確保し得る。
【0029】
この目的は、最初に規定された方法によっても達成され、この方法は、
-複数のプレートから少なくとも第1のエンドプレートおよび熱交換プレートを選択するステップと、
-それぞれの熱交換プレートの各ポートホール領域に4つのポートホールを切削するステップであって、各ポートホールが、環状平坦領域によって形成されるポートホールのエッジによって画定される、4つのポートホールを切削するステップと、
-第2のプレス操作で所定数の突起をプレスするステップであって、突起が環状平坦領域から、第1のエンドプレートの各ポートホール領域の下位レベルおよび上位レベルのいずれかに突出している、プレスするステップと、
によって特徴付けられる。
【0030】
本発明の変形によれば、この方法は、
-熱交換プレートと第1のエンドプレートとを組み立てて結合するステップであって、熱交換プレートのそれぞれのポートホールを通って延在し、第1のエンドプレートによって閉じられる4つのポートホールチャネルを備えたプレートパッケージを取得する。上位レベルに突出する、第1のエンドプレートの各突起は、隣接する最も外側の熱交換プレートの環状平坦領域に隣接し得る。
【0031】
本発明の変形例によれば、第1のエンドプレートおよび熱交換プレートの選択に加えて、選択ステップが、第2のエンドプレートを選択することも含み、この方法は、
-所定数の突起をプレスするステップであって、突起を環状平坦領域から第2のエンドプレートの各ポートホール領域における下位レベルおよび上位レベルの1つに突出させる、突起をプレスするステップをさらに含む。
【0032】
本発明の変形例によれば、この方法は、
-熱交換プレートと第1エンドプレートと第2エンドプレートとを組み立てて結合するステップであって、熱交換プレートのそれぞれのポートホールを通って延在し、第1のエンドプレートおよび第2のエンドプレートによって閉じられる4つのポートホールチャネルを備えたプレートパッケージを取得する、組み立てて結合するステップをさらに含み得る。上位レベルに突出する、第2のエンドプレートのそれぞれの突起は、隣接する第1のエンドプレートの環状平坦領域の突起のそれぞれの1つに当接し得る。
【図面の簡単な説明】
【0033】
本発明は、様々な実施形態の説明を通じて、そして本明細書に添付された図面を参照して、より詳細に説明される。
【0034】
【
図1】本発明の第1の実施形態によるプレート式熱交換器の平面図を概略的に示す。
【
図2】
図1の線II-IIに沿った長手方向断面図を概略的に示す。
【
図3】
図1のプレート式熱交換器のプレートの平面図を概略的に示す。
【
図4】
図1のプレート式熱交換器の熱交換プレートの一部の平面図を概略的に示す。
【
図5】
図1のプレート式熱交換器の第1または第2のエンドプレートの一部の平面図を概略的に示す。
【
図6】
図1のプレート式熱交換器の第2の実施形態による、第1または第2のエンドプレートの一部の平面図を概略的に示す。
【
図7】第1の実施形態による、プレートパッケージ内の第1および第2のエンドプレートのポートホール領域のうちの2つを通る断面図を概略的に示す。
【
図8】第1の実施形態による、プレートパッケージ内の第1および第2のエンドプレートのポートホール領域のうちの2つを通る断面図を概略的に示す。
【
図9】熱交換プレートまたは第1若しくは第2のエンドプレートにさらに処理される中間プレートの一部の平面図を概略的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0035】
図1および
図2は、プレート式熱交換器1を開示している。プレート式熱交換器1は、プレート式熱交換器1のプレートパッケージ5を形成するように互いに並んで配置された複数のプレート2、3、4を含む。
【0036】
プレートパッケージ5のプレート2、3、3は、例えば、ろう付け材料によって、そしてろう付けプロセスを通じて、互いに恒久的に接合され得る。
【0037】
プレート2、3、4のそれぞれは、それぞれの延在面pと平行に延在する。
【0038】
プレート2、3、4のそれぞれは、
図3を参照して、プレート2、3、4の延在面pと平行に延在する中央領域6を含む。中央領域6は、隆起部および谷部の波形7を含むか、またはそれらからなる。波形7は、主延在面pから離れた上位レベルp´と、主延在面pから離れ、主延在面pの反対側にある下位レベルp″との間で延在し、隆起部が上位レベルp´に到達し、谷部が下位レベルp″に到達する。
【0039】
プレート2、3は、プレートパッケージ内で互いに積み重ねられて、第1の媒体用の第1のプレート隙間8と、第2の媒体用の第2のプレート隙間9とを形成する。第1のプレート隙間8および第2のプレート隙間9は、
図2に示されるように、プレートパッケージ5内で交互の順序で配置されている。
【0040】
プレート2、3、4のそれぞれは、中央領域6の周りに延在し、それを取り囲むエッジ領域10を備えている。エッジ領域10は、中央領域6に隣接し得る。エッジ領域10は、延在面pに対して傾斜したフランジからなるか、またはそれを含み得る。
図2を参照されたい。
【0041】
プレート2、3、4のそれぞれは、4つのポートホール領域11を含み、エッジ領域10内に、好ましくはプレート2、3、4のそれぞれのコーナー領域に設けられ。
図3を参照されたい。ポートホール領域11は、中央エリア6に配置されてもよい。
【0042】
ポートホール領域11のそれぞれは、環状平坦領域12を備える。環状平坦領域12は、上位レベルp´および下位レベルp″のうちの1つに位置する。開示された実施形態において、環状平坦領域12のうちの2つは、上位レベルp´に位置し、他の2つの環状平坦領域12は、下位レベルp″に位置する。
【0043】
第1の実施形態では、プレート2、3、4は、熱交換プレート2と、プレートパッケージ5内の熱交換プレート2の最も外側の1つに隣接して外側に設けられた第1のエンドプレート3と、
図2に見られ得るように、プレートパッケージ5の第1のエンドプレート3に隣接して外側に設けられた第2のエンドプレート4とを含む。
【0044】
[熱交換プレート2]
図3に見られるように、熱交換プレート2のそれぞれは、対応するポートホール領域11を通って延在する4つのポートホール13を備える。熱交換プレート2のポートホール13のそれぞれは、環状平坦領域12によって形成されたポートホールエッジ14によって規定される。
【0045】
熱交換プレート2のポートホール13は、4つのポートホールチャネル14~17を形成し、これらは、第1のプレート隙間8への第1の媒体用の第1の入口ポートホール14と、第1のプレート隙間8からの第1の媒体用の第1の出口ポートホール15と、第2のプレート隙間8への第2の媒体用の第2の入口ポートホール16と、第2のプレート隙間8からの第2の媒体用の第2の出口ポートホール17とを形成し得る。
【0046】
プレートパッケージ5の第1のエンドプレート3および第2のエンドプレート4の反対側に位置する最も外側の熱交換プレート2は、第1の媒体および第2の媒体のためのポートホールチャネル14~17との連通を可能にする導管を取り付けるための最も外側のフレームプレートを形成し得る。
【0047】
それぞれの熱交換プレート2は同一である。熱交換プレート2がプレートパッケージ5内に互いに配置される場合、1つおきの熱交換プレート2は、延在面pにおいて180°回転され得る。その結果、1つおきの熱交換プレート2は、下位レベルp″に位置する2つの環状平坦領域12であって、隣接する熱交換プレート2がある場合に、隣接する熱交換プレート2の上位レベルp´に位置するそれぞれの環状平坦領域12に隣接する2つの環状平坦領域12を有し得る。1つおきの熱交換プレート2はまた、上位レベルp´に位置する2つの環状平坦領域12を有し、隣接する熱交換プレート2が存在する場合に、隣接する熱交換プレート2上のそれぞれの環状平坦領域12に隣接する。
【0048】
[第1のエンドプレート3および第2のエンドプレート4]
第1のエンドプレート3の4つのポートホール領域11は、上位レベルp´に位置する2つの環状平坦領域12であって、隣接する熱交換プレート2上で下位レベルp″に位置するそれぞれの環状平坦領域12に隣接する2つの環状平坦領域12を形成し、さらに、下位レベルp″に位置する2つの環状平坦領域12であって、第2のエンドプレート4上で上位レベルp´に位置するそれぞれの環状平坦領域12に隣接する2つの環状平坦領域12を形成する。
図5および
図7を参照されたい。
【0049】
図5では、上位レベルp´の1つの環状平坦領域12が右側に開示され、下位レベルp″の1つの環状平坦領域12が左側に開示されている。
【0050】
第1のエンドプレート3および第2のエンドプレート4のポートホール領域11のそれぞれは、環状平坦領域12に囲まれたプレート部分20によって閉じられている。プレート部分20は、円形であってもよく、または少なくとも環状平坦領域12に隣接する円形の外側輪郭を有し得る。プレート部分20は、プレートの一部、例えば金属プレートであり、プレス操作方法によってプレート2、3、4に形成された開始プレートを形成している。熱交換プレート2において、プレート部分20は、切削操作によって除去されている。
【0051】
プレート部分20は、環状平坦領域12が上位レベルp´に位置する場合は下位レベルp″に位置し、環状平坦領域が下位レベルp″に位置する場合は上位レベルp´に位置する強化領域21を有し得る。強化領域21は、それぞれ、上位レベルp´および下位レベルp″に平坦拡張部を有し得る。強化領域21は環状であり得る。
【0052】
図5および
図7に見られるように、第1のエンドプレート3のポートホール領域11のそれぞれは、環状平坦領域12上に配置され、環状平坦領域12から下位レベルp″および上位レベルp´の1つに突出する所定数の突起22を備えている。突起22は、環状平坦領域12が上位レベルp´に位置する場合、下位レベルp″に突出し、環状平坦領域12が下位レベルp″に位置する場合、上位レベルp´に突出し得る。
図5の左側の上位レベルp´に突出する第1のエンドプレート3のそれぞれの突起22は、隣接する最も外側の熱交換プレート2の環状平坦領域12に当接している。
【0053】
また、
図5および
図7を参照すると、第2のエンドプレート4のポートホール領域11のそれぞれはまた、環状平坦領域12上に配置され、環状平坦領域12から下位レベルp″および上位レベルp´の1つに突出する所定数の突起22を含み得ることが分かる。また、第2のエンドプレート4に関して、突起22は、環状平坦領域12が上位レベルp´に位置する場合、下位レベルp″に突出し、環状平坦領域12が下位レベルp″に位置する場合、上位レベルp´に突出し得る。
図5の左側の上位レベルp´に突出する第2のエンドプレート4のそれぞれの突起は、隣接する第1のエンドプレート3の環状平坦領域12の突起22のそれぞれの1つに当接し得る。
【0054】
したがって、
図5および
図7は、第1のエンドプレート3および第2のエンドプレート4の両方を示し得る。第1のエンドプレート3および第2のエンドプレート4は、プレートパッケージ5の延在面pにおいて互いに180°回転されていることに留意されたい。
【0055】
図5に示された第1の実施形態では、突起22はプレート部分20まで延在する。特に、突起22は、環状平坦領域12を横切って延在し、例えば、ポートホール領域11の中心点に対して半径方向に沿って、環状平坦領域12を横切ってビームを形成し得る。突起22の間で、環状平坦領域12は、プレート部分20に隣接し得る。
【0056】
図6は、第1のエンドプレート3および第2のエンドプレート4の第2の実施形態を示し、これは、突起22がプレート部分20から離れた環状平坦領域12上に配置されているという点で第1の実施形態とは異なる。第2の実施形態では、突起22は、環状平坦領域12上に孤立した突起または島を形成し得る。したがって、環状平坦領域12は、
図6に示されるように、環状平坦領域の全周長に沿ってプレート部分20に隣接し得る。
【0057】
第1のエンドプレート3と第2のエンドプレート4との間のプレート隙間を通って媒体が流れてはならず、最も外側の熱交換プレート2と第1のエンドプレート3との間のプレート隙間を通って媒体が流れてはならないことに留意されたい。
【0058】
[第3の実施形態]
本発明の第3の実施形態は、第2のエンドプレート4が省略されているという点で、第1および第2の実施形態とは異なる。したがって、プレート式熱交換器1は、熱交換プレート2を有し、第1のエンドプレート3がプレートパッケージ5の外側エンドプレートを形成するプレートパッケージ5を備えている。したがって、ポートホールチャネル14~17は、第1のエンドプレート3のそれぞれのプレート部分20によって閉じられている。媒体は、第1のエンドプレート3と最も外側の熱交換プレート2との間のプレート隙間を通って流れることはできない。
【0059】
[製造方法]
第1および第2の実施形態によるプレート式熱交換器は、以下に説明するように製造され得る。
【0060】
平面金属板などの複数のプレート2、3、4が提供される。複数のプレート2、3、4は、第1のプレス操作でプレスされて、複数のプレート2、3、4が生成され、プレート2、3、4のそれぞれは、中央領域6、エッジ領域10、および4つのポートホール領域11を備える。第1のプレス操作により、中央領域6は、プレート2、3、4の延在面pと平行に延在し、隆起部および谷部の波形7を含み得る。上述したように、波形(7)が、主延在面(p)から離れた上位レベル(p´)と、主延在面(p)およびその反対側から離れた下位レベル(p″)との間で延在し、隆起部が上位レベル(p´)に到達し、谷部が下位レベル(p″)に到達している。さらに、第1のプレス操作によって、中央領域6の周りに延在するエッジ領域10と、上位レベルp´および下位レベルp″の1つに位置する環状平坦領域12を備えた4つのポートホール領域11のそれぞれをもたらし得る。中間プレートを形成するプレート2、3、4の一部が
図9に示されている。
【0061】
次に、この方法は、前記複数のプレート2、3、4から第1のエンドプレート3、第2のエンドプレート4、および所定数の熱交換プレート2を選択する次のステップを含む。
【0062】
次に、4つのポートホール13が、
図9に示され上述された第1のプレス操作によって得られたそれぞれの熱交換プレート2のポートホール領域11のそれぞれの1つを貫通させる次の切削操作により切削される。切削操作は、それぞれのポートホール13が、環状平坦領域12によって形成されたポートホールエッジ14によって画定されるように実行され得る。
【0063】
第2のプレス操作では、
図9に示される中間プレートがプレスされて、環状平坦領域12から第1エンドプレート3のそれぞれのポートホール領域11の下位レベルp″と上位レベルp´のいずれか1つに突出する所定数の突起22が作成される。
【0064】
次に、この方法は、熱交換プレート2、第1のエンドプレート3および第2のエンドプレート4を互いに組み立てて接合するステップであって、熱交換プレート2のそれぞれのポートホール13を通って延在し、第1のエンドプレート3および第2のエンドプレート4によって閉じられている4つのポートホールチャネル14~17を有するプレートパッケージ5を得る、ステップを含む。
【0065】
第3の実施形態によるプレート式熱交換器を製造するために、第1のエンドプレート3のみがプレート式熱交換器のプレートパッケージ5に含まれているので、第2のエンドプレート4の第2のプレス操作を省くことができる。
【0066】
本発明は、上記で開示および説明された実施形態に限定されず、以下の特許請求の範囲内で修正および変更することができる。
【符号の説明】
【0067】
1 プレート式熱交換器
2 熱交換プレート
3 第1のエンドプレート
4 第2のエンドプレート
5 プレートパッケージ
6 中央領域
8 第1のプレート隙間
9 第2のプレート隙間
10 エッジ領域
11 ポートホール領域
12 環状平坦領域
13 ポートホール
14 第1の入口ポートホール、ポートホールチャネル、ポートホールエッジ
15 第1の出口ポートホール、ポートホールチャネル
16 第2の入口ポートホール、ポートホールチャネル
17 第2の出口ポートホール、ポートホールチャネル
20 プレート部分
21 強化領域
22 突起
p 延在面
p´ 上位レベル
p″ 下位レベル
【国際調査報告】