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▶ シージェイ チェイルジェダン コーポレーションの特許一覧

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-07-29
(54)【発明の名称】L-ホモセリンの製造方法
(51)【国際特許分類】
   C07C 227/16 20060101AFI20220722BHJP
   C07C 229/22 20060101ALI20220722BHJP
   C07B 61/00 20060101ALN20220722BHJP
【FI】
C07C227/16
C07C229/22
C07B61/00 300
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021570164
(86)(22)【出願日】2020-09-09
(85)【翻訳文提出日】2021-11-25
(86)【国際出願番号】 KR2020012178
(87)【国際公開番号】W WO2021049876
(87)【国際公開日】2021-03-18
(31)【優先権主張番号】10-2019-0112364
(32)【優先日】2019-09-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】513178894
【氏名又は名称】シージェイ チェイルジェダン コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】特許業務法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】カン,ミン キュ
(72)【発明者】
【氏名】リー,ジュン ミン
(72)【発明者】
【氏名】キム,ミン スプ
(72)【発明者】
【氏名】キム,イ チュル
(72)【発明者】
【氏名】リー,イン サン
(72)【発明者】
【氏名】ジュン,ジュン ヤン
【テーマコード(参考)】
4H006
4H039
【Fターム(参考)】
4H006AA02
4H006AC41
4H006BA68
4H006BA72
4H006BB31
4H006BC10
4H006BC16
4H006BC19
4H006BN10
4H006BS10
4H006BU32
4H039CA60
4H039CE20
(57)【要約】
L-ホモセリン誘導体を、固体酸触媒と接触させる段階を含むL-ホモセリンの製造方法が提供される。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記化学式1で表されるL-ホモセリン誘導体を、固体酸触媒と接触させる段階を含む、L-ホモセリンの製造方法:
【化1】
前記化学式1で、
は、R-(C=O)-であり、
は、置換もしくは非置換のC-Cアルキル基、置換もしくは非置換のC-Cアルケニル基、置換もしくは非置換のC-Cアルキニル基、置換もしくは非置換のC-C10シクロアルキル基、置換もしくは非置換のC-C20アリール基、または置換もしくは非置換のC-C10ヘテロアリール基であり、
前述のアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、アリール基、及びヘテロアリール基の置換基は、互いに独立して、ハロゲン、カルボキシル基(-COOH)、アセチル基(-COCH)、アミノ基(-NH)、ニトロ基(-NO)、シアノ基(-CN)、C-Cアルキル基、C-C10アリール基またはC-C10シクロアルキル基である。
【請求項2】
前記Rが、アセチルまたはスクシニルである、請求項1に記載のL-ホモセリンの製造方法。
【請求項3】
前記接触させる段階は、前記L-ホモセリン誘導体を、水及び固体酸触媒と接触させるものである、請求項1に記載のL-ホモセリンの製造方法。
【請求項4】
前記固体酸触媒が樹脂触媒を含む、請求項1に記載のL-ホモセリンの製造方法。
【請求項5】
前記固体酸触媒が陽イオン交換樹脂触媒を含む、請求項4に記載のL-ホモセリンの製造方法。
【請求項6】
前記陽イオン交換樹脂触媒が-SOH及び-COOHのうちから選択された1以上の酸性作用基を含む、請求項5に記載のL-ホモセリンの製造方法。
【請求項7】
前記陽イオン交換樹脂触媒は、ポリスチレン・ジビニルベンゼン共重合体に、-SOH及び-COOHのうちから選択された1以上の酸性作用基が連結された構造を含む、請求項5に記載のL-ホモセリンの製造方法。
【請求項8】
前記接触は、固体酸触媒を含む樹脂塔で行われる、請求項1に記載のL-ホモセリンの製造方法。
【請求項9】
前記固体酸触媒の含量が、L-ホモセリン誘導体1当量に対し、0.1ないし10当量である、請求項1に記載のL-ホモセリンの製造方法。
【請求項10】
前記固体酸触媒を含む水溶液のpHが1ないし5である、請求項1に記載のL-ホモセリンの製造方法。
【請求項11】
前記接触は、20℃ないし150℃の温度で遂行される、請求項1に記載のL-ホモセリンの製造方法。
【請求項12】
前記接触は、0.1時間ないし20時間行われる、請求項1に記載のL-ホモセリンの製造方法。
【請求項13】
前記接触させる段階が、
L-ホモセリン誘導体を供給する段階と、
前記L-ホモセリン誘導体を、固体酸触媒と接触させ、L-ホモセリンを生成する段階と、
前記L-ホモセリンを放出する段階と、を含む、請求項1に記載のL-ホモセリンの製造方法。
【請求項14】
前記L-ホモセリンの供給、及び前記L-ホモセリンの放出が連続して行われる、請求項13に記載のL-ホモセリンの製造方法。
【請求項15】
前記L-ホモセリンを得る段階をさらに含む、請求項1に記載のL-ホモセリンの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、L-ホモセリンの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
産業界で使用される化合物は、主に、化石燃料を使用する石油化学工程で得られる物質である。該石油化学工程は、環境に有害な副産物を生成し、化石燃料の埋蔵量にも限界がある。
【0003】
従って、既存の化石燃料を使用する石油化学工程を代替し、持続可能な方法により、産業界で使用される化合物を供給する研究が試みられている。
【0004】
植物界に由来する糖を使用し、微生物の発酵による生合成を介し、多様な化合物を生産することが可能である。例えば、メチオニン、スレオニン、イソロイシンのような化合物が生合成によって生産される。
【0005】
一方、ホモセリンは、メチオニン、スレオニン、イソロイシンなどの生合成に、中間体として使用されるというように、多様な反応に使用される。
【0006】
従って、ホモセリンを簡単に製造する方法が要求される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本出願の一側面は、高い純度(purity)を有するL-ホモセリンを簡単に高い回収率で製造する方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
一側面により、
本出願においては、下記化学式1で表されるL-ホモセリン誘導体を、固体酸(solid acid)触媒と接触させる段階を含むL-ホモセリンの製造方法が提供される。
【0009】
【化1】
【0010】
前記化学式1で、
は、R-(C=O)-であり、
Raは、置換もしくは非置換のC-Cアルキル基、置換もしくは非置換のC-Cアルケニル基、置換もしくは非置換のC-Cアルキニル基、置換もしくは非置換のC-C10シクロアルキル基、置換もしくは非置換のC-C20アリール基、または置換もしくは非置換のC-C10ヘテロアリール基であり、
前述のアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、アリール基、及びヘテロアリール基の置換基は、互いに独立して、ハロゲン、カルボキシル基(-COOH)、アセチル基(-COCH)、アミノ基(-NH)、ニトロ基(-NO)、シアノ基(-CN)、C-Cアルキル基、C-C10アリール基またはC-C10シクロアルキル基である。
【発明の効果】
【0011】
本出願の一実施例によるL-ホモセリンの製造方法は、固体酸触媒(solid acid catalyst)を使用することにより、簡単に高い純度(purity)を有するL-ホモセリンを高い回収率で製造することが可能である。
【0012】
また、本出願の一実施例によるL-ホモセリンの製造方法によれば、生産効率が顕著に向上され、触媒再生が容易であり、維持コストが低減されるが、経済性確保が可能である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本出願の一具現例によるL-ホモセリンの製造方法につき、さらに詳細に説明する。
【0014】
以下で説明される本出願の創意的思想(inventive concept)は、多様な変換を加えることができ、さまざまな実施例を有することができるが、特定実施例を例示し、詳細な説明によって詳細に説明する。しかし、それらは、本出願の創意的思想を、特定の実施形態について限定するものではなく、本出願の創意的思想の技術範囲に含まれる全ての変換、均等物または代替物を含むと理解されなければならない。
【0015】
本明細書において、第1、第2、第3、第4のような用語は、多様な構成要素の説明に使用されうるが、該構成要素は、そのような用語によって限定されるものではない。該用語は、1つの構成要素を、他の構成要素から区別する目的のみに使用される。
【0016】
本明細書において、用語「L-ホモセリン」は、ホモセリンのL-異性体である。
【0017】
本明細書において、用語「D-ホモセリン」は、ホモセリンのD-異性体である。
【0018】
本明細書において、用語「鏡像体過剰率(ee:enantiomeric excess)」は、サンプルの鏡像体純度、すなわち、サンプル内の他鏡像体を超える1つの鏡像体の百分率を意味する。例えば、L-ホモセリンの鏡像体過剰率は、ホモセリン内において、D-ホモセリンを超えるL-ホモセリンの百分率である。例えば、L-ホモセリンの鏡像体過剰率は、下記数式1で表される。
【0019】
<数1>
L-ホモセリンの鏡像体過剰率=[(L-ホモセリンの含量-D-ホモセリンの含量)/(L-ホモセリンの含量+D-ホモセリンの含量)]×100
【0020】
一具現例によるL-ホモセリンの製造方法は、下記化学式1で表されるL-ホモセリン誘導体を、固体酸(solid acid)触媒と接触させる段階を含む:
【0021】
【化2】
【0022】
前記化学式1で、
は、R-(C=O)-であり、
は、置換もしくは非置換のC-Cアルキル基、置換もしくは非置換のC-Cアルケニル基、置換もしくは非置換のC-Cアルキニル基、置換もしくは非置換のC-C10シクロアルキル基、置換もしくは非置換のC-C20アリール基、または置換もしくは非置換のC-C10ヘテロアリール基であり、
前述のアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、アリール基、及びヘテロアリール基の置換基は、互いに独立して、ハロゲン、カルボキシル基(-COOH)、アセチル基(-COCH)、アミノ基(-NH)、ニトロ基(-NO)、シアノ基(-CN)、C-Cアルキル基、C-C10アリール基またはC-C10シクロアルキル基である。
【0023】
例えば、L-ホモセリンの製造方法は、下記化学式1で表されるL-ホモセリン誘導体を、固体酸(solid acid)触媒下で加水分解反応させ、下記化学式2で表されるL-ホモセリンを準備する段階を含むものでもある。
【0024】
【化3】
【0025】
前記化学式1,2で、
は、R-(C=O)-であり、
は、置換もしくは非置換のC-Cアルキル基、置換もしくは非置換のC-Cアルケニル基、置換もしくは非置換のC-Cアルキニル基、置換もしくは非置換のC-C10シクロアルキル基、置換もしくは非置換のC-C20アリール基、または置換もしくは非置換のC-C10ヘテロアリール基であり、
前述のアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、アリール基、及びヘテロアリール基の置換基は、互いに独立して、ハロゲン、カルボキシル基(-COOH)、アセチル基(-COCH)、アミノ基(-NH)、ニトロ基(-NO)、シアノ基(-CN)、C-Cアルキル基、C-C10アリール基またはC-C10シクロアルキル基である。
【0026】
そのような本出願のL-ホモセリンの製造方法は、L-ホモセリン誘導体を出発物質として使用し、固体酸触媒(solid acid catalyst)を使用することにより、簡単に高い純度(purity)を有するL-ホモセリンを高い回収率で製造することができる。
【0027】
本出願の化学式1で表されるL-ホモセリン誘導体において、例えば、Rが、メチル(-CH)、カルボキシエチル(-CHCHCOOH)、アセチルエチル(-CHCH(C=O)CH)、2-ピラジニル(-C)、2-アミノ-5-ピリジニル(-CN-NH))、4-ピリジニル(-CN)または(3-アミノ-5-メチル)フェニル(-C(CH)(NH))でもある。特に、本出願の化学式1で表されるL-ホモセリン誘導体において、例えば、Rは、アセチルまたはスクシニルでもある。本出願の化学式1で表されるL-ホモセリン誘導体がそのような作用基を有することにより、向上された純度を有するL-ホモセリンをさらに容易に製造することができる。
【0028】
本出願のL-ホモセリン誘導体を、固体酸触媒と接触させる段階において、本出願の化学式1で表されるL-ホモセリン誘導体は、例えば、L-ホモセリン誘導体を含む発酵液からも準備される。従って、発酵過程で生成される化学式1で表されるL-ホモセリン誘導体を使用し、L-ホモセリンの効率的な製造が可能である。すなわち、本出願の方法は、本出願のL-ホモセリン誘導体を、固体酸触媒と接触させる段階前、L-ホモセリン誘導体を含む発酵液から、L-ホモセリン誘導体を準備する段階をさらに含んでもよい。本出願のL-ホモセリン誘導体を含む発酵液から、L-ホモセリン誘導体を準備する段階は、L-ホモセリン誘導体を含む発酵液から、メンブレンフィルタを介して菌体を除去する段階を含んでもよい。本出願のL-ホモセリン誘導体を含む発酵液から、メンブレンフィルタを介して菌体を除去することにより、本出願のL-ホモセリン誘導体を含む水溶液が準備される。
【0029】
本出願において、用語「L-ホモセリン誘導体を含む発酵液」は、発酵過程から生成されたL-ホモセリン誘導体を含む発酵液でもある。該発酵液は、糖を含む培地において、微生物を培養して得られた発酵液でもあり、あるいは微生物を培養して得られた発酵液を酵素転換して得られた発酵液でもある。例えば、本出願のL-ホモセリン誘導体を含む発酵液は、糖を含む培地で微生物を培養し、L-ホモセリン誘導体を直接生産した発酵液、または糖を含む培地で微生物を培養して生産したアミノ酸を酵素転換して得られたL-ホモセリン誘導体を含む発酵液でもある。本出願のL-ホモセリン誘導体を含む発酵液の製造に使用される微生物の種類は、特別に限定されるものではなく、当該技術分野において、L-ホモセリン誘導体を直接発酵生産するか、あるいは酵素転換して生産することができる微生物であるならば、いずれも可能である。
【0030】
本出願の化学式1で表されるL-ホモセリン誘導体は、例えば、下記化学式3ないし8で表される化合物でもある:
【0031】
【化4】
【0032】
本出願のL-ホモセリン誘導体は、特に、O-アセチル-L-ホモセリン、O-スクシニル-L-ホモセリンであるが、必ずしもそれらに限定されるものではなく、発酵過程で得られ、当該技術分野において、L-ホモセリンの末端酸素に置換基が連結された誘導体であるならば、いずれも可能である。本出願のL-ホモセリン誘導体を含む発酵液は、例えば、KR10-2014-0116010の実施例2に開示されたO-スクシニル-L-ホモセリン生産菌株であるCJM-BTJ/pCJ-MetA-CL(受託番号:KCCM-10872)、またはO-アセチル-L-ホモセリン生産菌株であるCJM-BTJA/pCJ-MetX-CL(受託番号:KCCM-10873)を含む培地を発酵させて得られる発酵液でもある。
【0033】
本出願のL-ホモセリン誘導体を、固体酸触媒と接触させる段階は、例えば、L-ホモセリン誘導体を、水及び固体酸触媒と接触させる段階でもある。
【0034】
該水は、例えば、蒸溜水のような純粋な水でもあるが、必ずしもそのような純粋な水に限定されるものではなく、水を主成分として含む組成物を含む。水を主成分として含む組成物が含む水の含量は、例えば、組成物全体重量に対し、50重量%ないし100重量%、60重量%ないし100重量%、70重量%ないし100重量%、80重量%ないし100重量%、90重量%ないし100重量%、95重量%ないし100重量%、または99重量%ないし100重量%である。
【0035】
本出願の固体酸触媒は、溶媒と混合しても、溶媒に溶解されず、固体状態を維持する触媒を意味する。
【0036】
本出願の固体酸触媒は、樹脂触媒(resin catalyst)を含んでもよい。具体的には、本出願の固体酸触媒は、例えば、陽イオン交換樹脂触媒(cation exchange resin catalyst)を含んでもよい。
【0037】
本出願の陽イオン交換樹脂触媒は、高分子に酸性作用基が連結された構造を有する。本出願の陽イオン交換樹脂触媒が酸性作用基を含むことにより、酸性作用基が酸触媒として作用することができる。
【0038】
本出願の陽イオン交換樹脂触媒は、高分子を含んでもよく、具体的には、前記高分子は、ポリスチレンにジビニルベンゼンが架橋された共重合体またはポリスチレンホモ重合体でもあるが、それらに限定されるものではなく、当該技術分野において、陽イオン交換樹脂触媒として使用することができる高分子であるならば、いずれも含まれてもよい。本出願の陽イオン交換樹脂触媒は、長期間の使用により、触媒活性が低下してしまう場合、再生工程を介し、触媒交換なしに再使用することができる。
【0039】
本出願の陽イオン交換樹脂触媒は、例えば、-SOH及び-COOHのうちから選択された1以上の酸性作用基を含んでもよい。本出願の陽イオン交換樹脂触媒は、そのような酸性作用基を含むことにより、酸触媒として作用することができる。本出願の-SOH作用基を含む陽イオン交換樹脂触媒は、強酸性である。該強酸性は、例えば、pH1ないし5未満である。本出願の-COOH作用基を含む陽イオン交換樹脂は、弱酸性である。該弱酸性は、例えば、pH5ないし7未満である。
【0040】
本出願の陽イオン交換樹脂触媒は、例えば、ポリスチレン・ジビニルベンゼン共重合体に、-SOH及び-COOHのうちから選択された1以上の酸性作用基が連結された構造を有することができる。
【0041】
商業的に入手することができる陽イオン交換樹脂触媒は、例えば、Amberlyst-15、Purolite CT275、TRILITE SPC160H、DOWEX M-31(H)などであるが、本出願の陽イオン交換樹脂触媒は、必ずしもそれらに限定されるものではなく、当該技術分野において、陽イオン交換樹脂触媒として使用することができるものであるならば、いずれも可能である。
【0042】
本出願の陽イオン交換樹脂触媒は、例えば、粒子状でもある。該粒子の大きさは、例えば、0.1ないし10mm、0.1ないし5mm、0.1ないし4mm、0.1ないし3mm、0.1ないし2mm、または0.1ないし1mmでもある。該粒子は、例えば、多孔性粒子でもある。該多孔性粒子が含む気孔の平均径は、10nmないし500nm、10nmないし200nm、10nmないし100nm、10nmないし90nm、20nmないし80nm、または30nmないし70nmでもある。本出願の陽イオン交換樹脂触媒が含む全体気孔体積は、0.1mL/gないし10mL/g、0.1mL/gないし5mL/g、0.1mL/gないし2mL/g、0.1mL/gないし1mL/g、0.1mL/gないし0.90mL/g、0.2mL/gないし0.8mL/g、0.3mL/gないし0.7mL/g、または0.4mL/gないし0.6mL/gでもある。該陽イオン交換樹脂触媒が、そのような粒子サイズ、気孔径及び/または全体気孔体積を有することにより、さらに向上された収率でL-ホモセリンを製造することができる。
【0043】
本出願のL-ホモセリン誘導体を、固体酸触媒と接触させる段階は、陽イオン交換樹脂触媒を含む樹脂塔(resin tower)においても行われる。
【0044】
本出願の方法は、前記接触させる段階以後、またはそれと同時に、前記L-ホモセリン誘導体を加水分解させる段階を追加して含んでもよい。
【0045】
本出願の樹脂塔は、陽イオン交換樹脂触媒が内部に充填された塔でもある。具体的には、本出願の樹脂塔内において、L-ホモセリン誘導体の加水分解が行われうる。本出願の樹脂塔内に、陽イオン交換樹脂触媒が配される方式は、特別に限定されるものではない。本出願の樹脂塔内において、本出願の陽イオン交換樹脂触媒が占める体積は、例えば、樹脂塔の全体内部体積の10%以上、20%以上、30%以上、40%以上、50%以上、60%以上、70%以上、80%以上または90%以上でもある。
【0046】
本出願の陽イオン交換樹脂触媒の含量は、例えば、化学式1で表されるL-ホモセリン誘導体1当量(equivalent)につき、0.1ないし10当量、0.1ないし5当量、0.1ないし4当量、0.1ないし3当量、0.1ないし2当量、0.1ないし1.5当量、0.1ないし1.3当量、または0.1ないし1.2当量でもある。本出願の陽イオン交換樹脂触媒の含量が、L-ホモセリン誘導体1当量に対し、0.1当量以上であるならば、前記触媒が反応速度を速くさせることができる。なお、該陽イオン交換樹脂触媒の含量が、L-ホモセリン誘導体1当量に対し、10当量以下であるならば、副産物が増大し、別途の精製工程が伴うことを防止することができ、最終目的物の純度/収率が低くなることを防止することができる。
【0047】
本出願のL-ホモセリン誘導体を、固体酸触媒と接触させる段階において、本出願の固体酸触媒を含む水溶液は、pHが、1ないし5、1ないし4.5、1ないし4.0、1ないし3.5、2ないし5、2ないし4.5、2ないし4.0、2ないし3.5、3ないし5、3ないし4.5、または3ないし3.5でもある。本出願の陽イオン交換樹脂触媒を含む水溶液が、そのような範囲のpHを有することにより、加水分解反応が効果的に進められうる。
【0048】
本出願の陽イオン交換樹脂触媒を使用し、L-ホモセリンを製造する段階において、該接触は、例えば、20℃ないし150℃、20℃ないし140℃、20℃ないし130℃、20℃ないし120℃、40℃ないし110℃、50℃ないし100℃、60℃ないし90℃、または70℃ないし90℃の温度で行われうる。該陽イオン交換樹脂触媒を使用し、L-ホモセリンを製造する段階において、該接触は、例えば、0.1ないし30時間、0.5ないし20時間、1ないし10時間、2ないし8時間、3ないし7時間、または4ないし6時間行われうる。加水分解反応がそのような温度範囲及び時間範囲で行われることにより、さらに容易にL-ホモセリンを準備することができる。
【0049】
本出願のL-ホモセリン誘導体を、固体酸触媒と接触させる段階において、樹脂塔内の圧力は、例えば、0.01atmないし1atm、0.05atmないし1atm、0.1atmないし1atm、または0.5atmないし1atmでもある。該樹脂塔内の圧力は、例えば、1atmでもある。
【0050】
本出願のL-ホモセリン誘導体を、固体酸触媒と接触させる段階は、L-ホモセリン誘導体を供給する段階、前記L-ホモセリン誘導体を前記固体酸触媒と接触させ、L-ホモセリンを生成する段階、及び/または前記L-ホモセリンを放出する段階を追加して含んでもよい。
【0051】
本出願のL-ホモセリン誘導体を、固体酸触媒と接触させる段階は、さらに具体的には、樹脂塔にL-ホモセリン誘導体を含む第1組成物を供給する段階、該樹脂塔内において、L-ホモセリン誘導体を含む第1組成物を固体酸触媒下で加水分解させ、L-ホモセリンを含む第2組成物を生成する段階、及び/または該樹脂塔から、前記L-ホモセリンを含む第2組成物を放出する段階を含んでもよい。前記樹脂塔に、L-ホモセリン誘導体を含む第1組成物を供給する段階において、前記L-ホモセリン誘導体を含む第1組成物は、供給タンクからも供給される。前記供給タンク及び/または前記樹脂塔を利用し、L-ホモセリン誘導体を大量に供給することができるので、大量の加水分解反応が短時間に行われうる。本出願の第1組成物及び第2組成物は、実質的に液体でもある。本出願の第1組成物は、例えば、L-ホモセリン誘導体を含む水溶液でもある。本出願の第2組成物は、例えば、L-ホモセリンを含む水溶液でもある。
【0052】
本出願の樹脂塔に、第1組成物の供給、及び樹脂塔からの第2組成物放出が連続して行われるか、あるいは不連続にも行われる。本出願の用語「連続して行われる」は、用語「連続式で行われる」ということと、用語「不連続に行われる」は、用語「配置式で行われる」ということと混用しても使用される。
【0053】
本出願の連続式においては、本出願の樹脂塔に第1組成物が供給される間、樹脂塔から第2組成物が放出されうる。本出願の連続式においては、例えば、樹脂塔に第1組成物が供給され、第2組成物が放出される間、樹脂塔内において、本出願のL-ホモセリン誘導体の加水分解反応が中断なしにも行われる。
【0054】
本出願の連続式は、本出願の配置式に比べ、連続したL-ホモセリンの生産が可能であるので、生産効率が顕著に改善され、樹脂触媒の分離なしに、供給液の組成変更だけにより、樹脂触媒の再生が可能である。従って、本出願の連続式は、樹脂触媒の分離及び精製が必要な配置式に比べ、樹脂触媒の再生が容易でもある。結果として、本出願の連続式は、配置式に比べ、全体的な工程の維持及び/または補修が簡単になり、維持コストが低減されるので、全体的な工程の原価が低減されうる。従って、本出願の連続式の全体的な工程の経済性が、本出願の配置式に比べ、さらに向上されうる。
【0055】
本出願の配置式においては、樹脂塔への第1組成物の供給と、樹脂塔からの第2組成物の放出とが不連続に行われる。例えば、該配置式においては、樹脂塔に、第1組成物が供給される間、樹脂塔から第2組成物が放出されるないのである。また、樹脂塔内から第2組成物が放出される間、樹脂塔に第1組成物が供給されないのである。該配置式においては、例えば、該樹脂塔に、第1組成物が供給されるか、あるいは樹脂塔から第2組成物が放出される間、本出願のL-ホモセリン誘導体の加水分解反応が行われないのである。
【0056】
本出願のL-ホモセリンの製造方法は、例えば、前述の段階以外に、本出願のL-ホモセリンを得る段階をさらに含んでもよい。
【0057】
本出願のL-ホモセリンの製造方法は、例えば、前述の段階以外に、L-ホモセリンを含む第2組成物を熟成タンク(aging tank)に供給し、結晶化されたL-ホモセリンを含む第3組成物を準備する段階、結晶化されたL-ホモセリンを含む第3組成物を分離器(separator)に供給し、分離されたL-ホモセリンを含む第4組成物を準備する段階、及び/または分離されたL-ホモセリンを含む第4組成物を乾燥器(dryer)に供給し、乾燥されたL-ホモセリンを得る段階をさらに含んでもよい。L-ホモセリンの製造方法が、そのような段階を追加して含むことによって製造されるL-ホモセリンの純度及び/または収率がさらに向上されうる。
【0058】
本出願のL-ホモセリンを含む第2組成物を熟成タンクに供給し、結晶化されたL-ホモセリンを含む第3組成物を準備する段階において、樹脂塔から放出された第2組成物を熟成タンクにおいて、常温に冷却させ、L-ホモセリンの少なくとも一部を結晶化させることができる。従って、L-ホモセリンの結晶を含む第3組成物、すなわち、スラリー溶液が準備される。該スラリー溶液にL-ホモセリンの非溶媒(non solvent)を追加し、L-ホモセリンをさらに結晶化させることができる。前記非溶媒は、例えば、エタノールである。
【0059】
結晶化されたL-ホモセリンを含む第3組成物を分離器に供給し、分離されたL-ホモセリンを含む第4組成物を準備する段階において、濾過器のような分離器を使用し、結晶化されたL-ホモセリンを分離することができる。該第4組成物は、L-ホモセリンと、若干の溶媒を含んでもよい。該第4組成物は、実質的に固体状態でもある。
【0060】
分離されたL-ホモセリンを含む第4組成物を乾燥器に供給し、乾燥されたL-ホモセリンを得る段階において、分離されたL-ホモセリンを乾燥させ、L-ホモセリン結晶粉末を、高い純度及び/または収率で得ることができる。
【0061】
本出願のL-ホモセリンの製造方法において、製造されるL-ホモセリンの収率は、例えば、10%以上、20%以上、30%以上、40%以上、50%以上、60%以上、70%以上、80%以上、90%以上、95%以上、96%以上、97%以上、98%以上または99%以上でもある。
【0062】
本出願のL-ホモセリンの製造方法において、製造されるL-ホモセリンの純度は、例えば、98%以上、98.5%以上、99%以上、99.1%以上、99.2%以上、99.3%以上、99.4%以上、99.5%以上、99.6%以上、99.6%以上、99.7%以上、99.8%以上または99.9%以上でもある。
【0063】
本出願のL-ホモセリンの製造方法において、製造されるL-ホモセリンの鏡像体過剰率(ee)は、例えば、10%ee以上、20%ee以上、30%ee以上、40%ee以上、50%ee以上、60%ee以上、70%ee以上、80%ee以上、90%ee以上、91%ee以上、92%ee以上、93%ee以上、94%ee以上、95%ee以上、96%ee以上、97%ee以上、98%ee以上または99%ee以上でもある。例えば、L-ホモセリンの製造方法において、製造されるL-ホモセリンの鏡像体過剰率は、100%eeでもある。
【0064】
本出願のL-ホモセリンの製造は、例えば、量産のために、L-ホモセリン製造用システムにおいても行われるが、必ずそのような例示的な具現例に限定されるものではなく、当該技術分野において使用可能な工程、反応器、システム及び/または方法であるならば、いずれも可能である。
【0065】
本出願のL-ホモセリン製造用システムは、例えば、供給タンク、樹脂塔、結晶化器、熟成タンク、分離器及び/または乾燥器を含んでもよい。代案としては、L-ホモセリン製造用システムにおいて、熟成タンクが結晶化器の役割も同時に行うことにより、結晶化器が省略されうる。本出願のL-ホモセリン製造用システムは、例えば、供給タンク、樹脂塔、結晶化器、熟成タンク、分離器及び/または乾燥器を含んでもよい。
【0066】
本出願の供給タンクは、L-ホモセリン誘導体を含む第1組成物を含んでもよく、第1組成物を、樹脂塔の上部に供給することができる。本出願の供給タンクが含む第1組成物は、菌体が除去された組成物でもある。代案としては、供給タンクが含む第1組成物は、発酵液でもある。本出願の供給タンクが発酵液を含む場合、供給タンクの出口、または供給タンクと樹脂塔との間にメンブレンフィルタを配し、発酵液から菌体を除去することができる。
【0067】
本出願の樹脂塔は、前述のように、陽イオン交換樹脂触媒を含んでもよい。本出願の樹脂塔が陽イオン交換樹脂触媒を含むことにより、樹脂塔内において、L-ホモセリン誘導体を含む第1組成物が、加水分解反応により、L-ホモセリンを含む第2組成物にも転換される。該樹脂塔の形態は、特別に限定されるものではなく、当該技術分野において使用する形態であるならば、いずれも可能である。本出願の樹脂塔の温度は、例えば、20℃ないし150℃、20℃ないし140℃、20℃ないし130℃、20℃ないし120℃、40℃ないし110℃、50℃ないし100℃、60℃ないし90℃、または70℃ないし90℃でもある。本出願の樹脂塔に供給された第1組成物が、第2組成物に転換され、樹脂塔から放出されるまでの所要時間は、例えば、0.1ないし30時間、0.5ないし20時間、1ないし10時間、2ないし8時間、3ないし7時間、または4ないし6時間でもある。本出願の樹脂塔の材料は、ステンレス鋼でもある。例えば、本出願の樹脂塔の材料は、耐酸性を有するステンレス鋼でもある。
【0068】
本出願の結晶化器は、第2組成物が含むL-ホモセリンの少なくとも一部を結晶化させることができる。該結晶化は、温度低下、非溶媒の追加などによっても行われる。結晶化時間は、0.1ないし30時間、0.5ないし20時間、または1ないし10時間でもある。本出願の結晶化温度は、1ないし30℃、10ないし30℃、または20ないし30℃でもある。本出願の結晶化器は、例えば、強制循環式濃縮管でもある。具体的には、本出願の結晶化器は、例えば、真空ポンプ、コンデンサ、撹拌器及び冷却用ジャケットのうちから選択された1以上を含んでもよい。本出願の結晶化器の材料は、ステンレス鋼でもある。例えば、本出願の結晶化器の材料は、耐酸性を有するステンレス鋼でもある。
【0069】
本出願の熟成タンクは、L-ホモセリンの結晶を含む組成物を安定化させ、続く分離器におけるL-ホモセリン結晶の分離にさらに容易に一助ともなる。本出願の熟成時間は、0.1ないし30時間、0.5ないし20時間、または1ないし10時間でもある。本出願の熟成温度は、1ないし30℃、10ないし30℃、または20ないし30℃でもある。本出願の熟成タンクの材料は、ステンレス鋼でもある。例えば、本出願の熟成タンクの材料は、耐酸性を有するステンレス鋼でもある。本出願の分離器は、L-ホモセリンを含む組成物から、L-ホモセリン結晶を分離することができる。本出願の分離器は、例えば、ベルト式分離器、遠心分離器などでもある。
【0070】
本出願の乾燥器は、分離されたL-ホモセリン結晶から、残留水分のような揮発性成分を除去することができる。本出願の乾燥器は、例えば、オーブン、流動層乾燥器などでもある。乾燥温度は、20ないし100℃、30ないし80℃、または40ないし60℃でもある。本出願の乾燥器の圧力は、1気圧または1気圧未満でもある。本出願の乾燥時間は、0.1ないし30時間、0.5ないし20時間、または1ないし10時間でもある。例えば、本出願の流動層乾燥器は、連続した乾燥が可能であるという利点がある。
【0071】
例えば、本出願のL-ホモセリン製造用システムを使用したL-ホモセリンの製造は、次のようにも行われる。
【0072】
供給タンクから樹脂塔の上部に、L-ホモセリン誘導体を含む第1組成物が供給されうる。前記樹脂塔内において、L-ホモセリン誘導体を含む第1組成物が、固体酸触媒下において、加水分解反応を進め、L-ホモセリンを含む第2組成物にも転換される。前記樹脂塔下部から、L-ホモセリンを含む第2組成物が放出されうる。前記樹脂塔下部から放出された第2組成物が結晶化器にも供給される。前記結晶化器において、第2組成物が含むL-ホモセリンの少なくとも一部が結晶化されうる。前記結晶化されたL-ホモセリンを含む組成物が熟成タンクに供給され、安定化されうる。前記安定化された組成物が分離器に供給され、分離器において、L-ホモセリン結晶を分離することができる。前記分離されたL-ホモセリン結晶を乾燥器に供給し、乾燥されたL-ホモセリン粉末を得ることができる。
【0073】
例えば、前記熟成タンクにおいて、結晶化及び安定化が同時に進められる場合、前記結晶化器は、省略されうる。
【0074】
例えば、本出願のL-ホモセリン製造用システムを使用したL-ホモセリンの製造は、次のようにも行われる。
【0075】
供給タンクから樹脂塔の上部に、L-ホモセリン誘導体を含む第1組成物が供給されうる。前記樹脂塔内において、L-ホモセリン誘導体を含む第1組成物が、固体酸触媒下において、加水分解反応を進め、L-ホモセリンを含む第2組成物にも転換される。前記樹脂塔下部から、L-ホモセリンを含む第2組成物が放出されうる。前記樹脂塔下部から放出された第2組成物が、熟成タンクに供給されうる。前記熟成タンクにおいて、第2組成物が含むL-ホモセリンの少なくとも一部が結晶化され、結晶化されたL-ホモセリンを含む組成物が安定化されうる。前記安定化された組成物が分離器に供給され、分離器において、L-ホモセリン結晶を分離することができる。前記分離されたL-ホモセリン結晶を乾燥器に供給し、乾燥されたL-ホモセリン粉末を得ることができる。前記結晶化器が熟成タンクに併合されることにより、システム及び製造工程がさらに簡単になりうる。前記結晶化器が併合された熟成タンクは、熟成タンクに、真空ポンプ、コンデンサ、撹拌器及び冷却用ジャケットのうちから選択された1以上の装置が付加された構造を有することができる。そのような構造を有することにより、熟成及び結晶化が同時に行われうる。
【0076】
本明細書において、用語「アルキル」は、完全飽和された分枝状または非分枝状(あるいは、直鎖または線形)の炭化水素を言う。
【0077】
「アルキル」の非制限的な例としては、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、n-ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、n-ヘキシル、3-メチルヘキシル、2,2-ジメチルペンチル、2,3-ジメチルペンチル、n-ヘプチルなどを挙げることができる。
【0078】
「アルキル」中の1以上の水素原子は、ハロゲン原子、ハロゲン原子で置換されたC-C20アルキル基(例:CCF、CHCF、CHF、CClなど)、C-C20アルコキシ基、C-C20アルコキシアルキル基、ヒドロキシ基、ニトロ基、シアノ基、アミノ基、アミジノ基、ヒドラジン、ヒドラゾン、カルボキシル基やその塩、スルホニル基、スルファモイル(sulfamoyl)基、スルホン酸基やその塩、リン酸基やその塩、C-C20アルキル基、C-C20アルケニル基、C-C20アルキニル基、C-C20ヘテロアルキル基、C-C20アリール基、C-C20アリールアルキル基、C-C20ヘテロアリール基、C-C20ヘテロアリールアルキル基、C-C20ヘテロアリールオキシ基、C-C20ヘテロアリールオキシアルキル基またはC-C20ヘテロアリールアルキル基によっても置換される。
【0079】
本明細書において、用語「ハロゲン」は、フッ素、臭素、塩素、ヨウ素などを含んでもよい。
【0080】
本明細書において、用語「アルコキシ」は、「アルキル-O-」を示し、該アルキルは、前述の通りである。アルコキシ基は、例えば、メトキシ基、エトキシ基、2-プロポキシ基、ブトキシ基、t-ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基などを挙げることができる。アルコキシのうち1以上の水素原子は、前述のアルキル基の場合と同一置換基によっても置換される。
【0081】
本明細書において、用語「アルケニル」は、少なくとも1つの炭素・炭素二重結合を有する分枝状または非分枝状の炭化水素を言う。アルケニル基の非制限的な例としては、ビニル基、アリル基、ブテニル基、プロペニル基、イソブテニル基などを挙げることができ、アルケニルのうち1以上の水素原子は、前述のアルキル基の場合と同一置換基によっても置換される。
【0082】
本明細書において、用語「アルキニル」は、少なくとも1つの炭素・炭素三重結合を有する分枝状または非分枝状の炭化水素を言う。該「アルキニル」の非制限的な例としては、エチニル、ブチニル、イソブチニル、イソプロピニルなどを挙げることができる。
【0083】
本明細書において、用語「アルキニル」のうち1以上の水素原子は、前述のアルキル基の場合と同一置換基によっても置換される。
【0084】
本明細書において、用語「アリール」は、芳香族環が、1以上の炭素環に選択的に融合された基も含むものでもある。該「アリール」の非制限的な例として、フェニル、ナフチル、テトラヒドロナフチルなどがある。該「アリール」基のうち1以上の水素原子は、前述のアルキル基の場合と同じ置換基によって置換可能である。
【0085】
本明細書において、用語「ヘテロアリール」は、N、O、PまたはSのうちから選択された1以上のヘテロ原子を含み、残り環原子が炭素である単環(monocyclic)または二環(bicyclic)の有機基を意味しうる。ヘテロアリール基は、例えば、1ないし5個のヘテロ原子を含んでもよく、5ないし10環員(ring member)を含んでもよい。前記SまたはNは、酸化され、さまざまな酸化状態を有することができる。
【0086】
該ヘテロアリールの例としては、チエニル、フリル、ピロリル、イミダゾリル、ピラゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、1,2,3-オキサジアゾリル、1,2,4-オキサジアゾリル、1,2,5-オキサジアゾリル、1,3,4-オキサジアゾリル、1,2,3-チアジアゾリル、1,2,4-チアジアゾリル、1,2,5-チアジアゾリル、1,3,4-チアジアゾリル、イソチアゾール-3-イル、イソチアゾール-4-イル、イソチアゾール-5-イル、オキサゾール-2-イル、オキサゾール-4-イル、オキサゾール-5-イル、イソオキサゾール-3-イル、イソオキサゾール-4-イル、イソオキサゾール-5-イル、1,2,4-トリアゾール-3-イル、1,2,4-トリアゾール-5-イル、1,2,3-トリアゾール-4-イル、1,2,3-トリアゾール-5-イル、テトラゾリル、ピリド-2-イル、ピリド-3-イル、2-ピラジン-2-イル、ピラジン-4-イル、ピラジン-5-イル、2-ピリミジン-2-イル、4-ピリミジン-2-イルまたは5-ピリミジン-2-イルを有することができる。
【0087】
該ヘテロアリールは、ヘテロ芳香族環が、1以上のアリール、脂環族(cyclyaliphatic)またはヘテロ環に選択的に融合された場合を含んでもよい。
【0088】
以下の実施例及び比較例を介し、本出願についてさらに詳細に説明される。ただし、該実施例は、本出願を例示するためのものであり、それらだけで本出願の範囲が限定されるものではない。
【0089】
比較例1:塩酸触媒1.02当量
培養が終わった発酵液から、メンブレンフィルタを介して菌体を除去し、O-アセチル-L-ホモセリンを含む水溶液を得た。
【0090】
該O-アセチル-L-ホモセリンを含む水溶液40mL(O-アセチル-L-ホモセリン濃度300g/L、74.5mmol)を反応器に供給した後、該反応器に、6N HCl 12.4mL(76.0mmol、1.02当量)を徐々に投入し、pH0.1~1.0の反応溶液を準備した。準備された反応溶液を80℃に昇温させた後、3時間反応させた。HPLCで反応終了を確認した。
【0091】
該反応が終了し、生成物を含む溶液を濃縮管に移送した後、480g/Lの濃度に濃縮し、濃縮液を準備した。該濃縮液を熟成タンクに移送した後、25℃に冷却させ、生成物を結晶化させた。結晶化された生成物を含むスラリー溶液に、エタノール157mLを徐々に投入し、生成物をさらに結晶化させた。結晶化された生成物を分離した後、エタノール52mLで洗浄し、50℃で乾燥させ、L-ホモセリン結晶を得た。
【0092】
該L-ホモセリンの回収率は、45.9%であり、純度は、98.0%であった。
【0093】
比較例2:塩酸触媒3.06当量
培養が終わった発酵液から、メンブレンフィルタを介して菌体を除去し、O-アセチル-L-ホモセリンを含む水溶液を得た。
【0094】
該O-アセチル-L-ホモセリンを含む水溶液300mL(O-アセチル-L-ホモセリン濃度186g/L、346.2mmol)を反応器に供給した後、該反応器に、6N HCl 187.3mL(1、059.5mmol、3.06当量)を徐々に投入し、pH0.1~1.0の反応溶液を準備した。準備された反応溶液を80℃に昇温させた後、3時間反応させた。HPLCで反応終了を確認した。
【0095】
該反応が終了し、生成物を含む溶液を濃縮管に移送した後、480g/Lの濃度に濃縮し、濃縮液を準備した。該濃縮液を熟成タンクに移送した後、25℃に冷却させ、生成物を結晶化させた。結晶化された生成物を含むスラリー溶液に、エタノール1,460mLを徐々に投入し、生成物をさらに結晶化させた。結晶化された生成物を分離した後、エタノール490mLで洗浄し、50℃で乾燥させ、L-ホモセリン結晶を得た。
【0096】
該L-ホモセリンの回収率は、52.7%であり、純度は、98.1%であった。
【0097】
比較例3:硫酸触媒1.07当量
培養が終わった発酵液から、メンブレンフィルタを介して菌体を除去し、O-アセチル-L-ホモセリンを含む水溶液を得た。
【0098】
該O-アセチル-L-ホモセリンを含む水溶液40mL(O-アセチル-L-ホモセリン濃度300g/L、74.5mmol)を反応器に供給した後、該反応器に、98% HSO 4.3ml(79.3mmol、1.07当量)を徐々に投入し、pH0.1~1.0の反応溶液を準備した。準備された反応溶液を80℃に昇温させた後、5時間反応させた。HPLCで反応終了を確認した。
【0099】
該反応が終了し、生成物を含む溶液を濃縮管に移送した後、480g/Lの濃度に濃縮し、濃縮液を準備した。該濃縮液を熟成タンクに移送した後、25℃に冷却させ、生成物を結晶化させた。結晶化された生成物を含むスラリー溶液に、エタノール132mLを徐々に投入し、生成物をさらに結晶化させた。結晶化された生成物を分離した後、エタノール44mLで洗浄し、50℃で乾燥させ、L-ホモセリン結晶を得た。
【0100】
該L-ホモセリンの回収率は、44.7%であり、純度は、98.0%であった。
【0101】
比較例4:硫酸触媒3.06当量
培養が終わった発酵液から、メンブレンフィルタを介して菌体を除去し、O-アセチル-L-ホモセリンを含む水溶液を得た。
【0102】
該O-アセチル-L-ホモセリンを含む水溶液330mL(O-アセチル-L-ホモセリン濃度300g/L、620.5mmol)を反応器に供給した後、該反応器に、98% HSO 103.8ml(1、898.7mmol、3.06当量)を徐々に投入し、pH0.1~1.0の反応溶液を準備した。準備された反応溶液を80℃に昇温させた後、5時間反応させた。HPLCで反応終了を確認した。
【0103】
該反応が終了し、生成物を含む溶液を濃縮管に移送した後、480g/Lの濃度に濃縮し、濃縮液を準備した。該濃縮液を熟成タンクに移送した後、25℃に冷却させ、生成物を結晶化させた。結晶化された生成物を含むスラリー溶液に、エタノール1,300mLを徐々に投入し、生成物をさらに結晶化させた。結晶化された生成物を分離した後、エタノール430mLで洗浄し、50℃で乾燥させ、L-ホモセリン結晶を得た。
【0104】
該L-ホモセリンの回収率は、55.9%であり、純度は、98.1%であった。
【0105】
比較例5:酢酸触媒1.03当量
培養が終わった発酵液から、メンブレンフィルタを介して菌体を除去し、O-アセチル-L-ホモセリンを含む水溶液を得た。
【0106】
該O-アセチル-L-ホモセリンを含む水溶液40mL(O-アセチル-L-ホモセリン濃度300g/L、74.5mmol)を反応器に供給した後、該反応器に99%酢酸4.4ml(76.7mmol、1.03当量)を徐々に投入し、pH1.0~2.0の反応溶液を準備した。準備された反応溶液を80℃に昇温させた後、5時間反応させた。HPLCで反応終了を確認した。
【0107】
該反応が終了し、生成物を含む溶液を濃縮管に移送した後、480g/Lの濃度に濃縮し、濃縮液を準備した。該濃縮液を熟成タンクに移送した後、25℃に冷却させ、生成物を結晶化させた。結晶化された生成物を含むスラリー溶液に、エタノール132mLを徐々に投入し、生成物をさらに結晶化させた。結晶化された生成物を分離した後、エタノール44mLで洗浄し、50℃で乾燥させ、L-ホモセリン結晶を得た。
【0108】
該L-ホモセリンの回収率は、6.2%であり、純度は、98.0%であった。
【0109】
比較例6:酢酸触媒3.06当量
培養が終わった発酵液から、メンブレンフィルタを介して菌体を除去し、O-アセチル-L-ホモセリンを含む水溶液を得た。
【0110】
該O-アセチル-L-ホモセリンを含む水溶液1,030mL(O-アセチル-L-ホモセリン濃度320g/L、620.5mmol)を反応器に供給した後、該反応器に99%酢酸108.5ml(1898.7mmol、3.06当量)を徐々に投入し、pH1.0~2.0の反応溶液を準備した。準備された反応溶液を80℃に昇温させた後、5時間反応させた。HPLCで反応終了を確認した。
【0111】
該反応が終了し、生成物を含む溶液を濃縮管に移送した後、480g/Lの濃度に濃縮し、濃縮液を準備した。該濃縮液を熟成タンクに移送した後、25℃に冷却させ、生成物を結晶化させた。結晶化された生成物を含むスラリー溶液に、エタノール1,300mLを徐々に投入し、生成物をさらに結晶化させた。結晶化された生成物を分離した後、エタノール430mLで洗浄し、50℃で乾燥させ、L-ホモセリン結晶を得た。
【0112】
該L-ホモセリンの回収率は、5%であり、純度は、98.7%であった。
【0113】
実施例1:固体樹脂触媒(Amberlyst-15樹脂)、配置式
培養が終わった発酵液から、メンブレンフィルタを介して菌体を除去し、O-アセチル-L-ホモセリンを含む水溶液を得た。
【0114】
該O-アセチル-L-ホモセリンを含む水溶液40mL(O-アセチル-L-ホモセリン濃度300g/L、74.5mmol)を反応器に供給した後、該反応器に、固体陽イオン交換樹脂(Amberlyst-15樹脂)を74.46g(74.5mmol、1当量)を投入し、pH2.0~3.0の反応溶液を準備した。準備された反応溶液を85℃に昇温させた後、5時間反応させた。HPLCで反応終了を確認した。
【0115】
該反応が終了し、生成物を含む溶液を濃縮管に移送した後、480g/Lの濃度に濃縮し、濃縮液を準備した。該濃縮液を熟成タンクに移送した後、25℃に冷却させ、生成物を結晶化させた。結晶化された生成物を含むスラリー溶液に、エタノール120mLを徐々に投入し、生成物をさらに結晶化させた。結晶化された生成物を、固体陽イオン交換樹脂から分離した後、エタノール40mLで洗浄し、50℃で乾燥させ、L-ホモセリン結晶を得た。
【0116】
該L-ホモセリンの回収率は、72%であり、純度は、99.3%であった。
【0117】
固体陽イオン交換樹脂で使用されたAmberlyst-15樹脂の物性は、次の通りである。
【0118】
a)物理的物性(physical properties)
共重合体:スチレン・ジビニルベンゼン
マトリックス:マクロ多孔性(macroporous)
タイプ:強酸陽イオン(stong acid cation)
作用基:スルホン酸(sulfonic acid)
物理的形態:灰色(gray)、不透明(opaque)、球形ビード(spherical bead)
【0119】
b)窒素BET
表面積:53m/g
全体気孔体積(total pore volume):0.40cc/g
平均気孔径(average pore diameter):300Å
【0120】
c)化学的物性(chemical properties)
出荷されたイオン形態(ionic form as shipped):H
酸地点濃度(concentration of acid site):≧4.70当量/kg(乾燥重量容量(dry weight capacity)≧4.70当量/kg)
触媒揮発性(catalyst volatilites):1.6%
【0121】
d)粒子サイズ(particle size)
<300μm:≦0.5%
<425μm:≦2.0%
【0122】
e)(溶媒内での)スウェリング(swelling(in solvent))
フェノール:38%
【0123】
f)密度(density)
出荷重量(shipping weight):610g/L
【0124】
実施例2:固体樹脂触媒(Amberlyst-15樹脂)、配置式
培養が終わった発酵液から、メンブレンフィルタを介して菌体を除去し、O-アセチル-L-ホモセリンを含む水溶液を得た。
【0125】
該O-アセチル-L-ホモセリンを含む水溶液3,000mL(O-アセチル-L-ホモセリン濃度100g/L、1,861.5mmol)を反応器に供給した後、該反応器に固体陽イオン交換樹脂(Amberlyst-15樹脂)を1,861.5g(1,861.5mmol、1当量)を投入し、pH4.5の反応溶液を準備した。準備された反応溶液を85℃に昇温させた後、5時間反応させた。HPLCで反応終了を確認した。
【0126】
該反応が終了し、生成物を含む溶液を濃縮管に移送した後、480g/Lの濃度に濃縮し、濃縮液を準備した。該濃縮液を熟成タンクに移送した後、25℃に冷却させ、生成物を結晶化させた。結晶化された生成物を含むスラリー溶液に、エタノール9,000mLを徐々に投入し、生成物をさらに結晶化させた。結晶化された生成物を、固体陽イオン交換樹脂から分離した後、エタノール3,000mLで洗浄し、50℃で乾燥させ、L-ホモセリン結晶を得た。
【0127】
該L-ホモセリンの回収率は、73.2%であり、純度は、99.1%であった。
【0128】
実施例3:固体樹脂触媒(Amberlyst-15樹脂)、配置式
培養が終わった発酵液から、メンブレンフィルタを介して菌体を除去し、O-アセチル-L-ホモセリンを含む水溶液を得た。
【0129】
該O-アセチル-L-ホモセリンを含む水溶液1,280mL(O-アセチル-L-ホモセリン濃度185g/L、1,471.6mmol)を反応器に供給した後、該反応器に固体陽イオン交換樹脂(Amberlyst-15樹脂)を1,471.6g(1,471.6mmol、1当量)を投入し、pH4.5の反応溶液を準備した。準備された反応溶液を85℃に昇温させた後、5時間反応させた。HPLCで反応終了を確認した。
【0130】
該反応が終了し、生成物を含む溶液を濃縮管に移送した後、480g/Lの濃度に濃縮し、濃縮液を準備した。該濃縮液を熟成タンクに移送した後、25℃に冷却させ、生成物を結晶化させた。結晶化された生成物を含むスラリー溶液に、エタノール3,840mLを徐々に投入し、生成物をさらに結晶化させた。結晶化された生成物を、固体陽イオン交換樹脂から分離した後、エタノール1,470mLで洗浄し、50℃で乾燥させ、L-ホモセリン結晶を得た。
【0131】
該L-ホモセリンの回収率は、71.5%であり、純度は、99.0%であった。
【0132】
実施例4:固体樹脂触媒(Purolite CT275樹脂)、配置式
培養が終わった発酵液から、メンブレンフィルタを介して菌体を除去し、O-アセチル-L-ホモセリンを含む水溶液を得た。
【0133】
該O-アセチル-L-ホモセリンを含む水溶液300mL(O-アセチル-L-ホモセリン濃度100g/L、186.2mmol)を反応器に供給した後、該反応器に固体陽イオン交換樹脂(Purolite CT275樹脂)186.2g(186.2mmol、1当量)を投入し、pH4.5の反応溶液を準備した。準備された反応溶液を85℃に昇温させた後、5時間反応させた。HPLCで反応終了を確認した。
【0134】
該反応が終了し、生成物を含む溶液を濃縮管に移送した後、480g/Lの濃度に濃縮し、濃縮液を準備した。該濃縮液を熟成タンクに移送した後、25℃に冷却させ、生成物を結晶化させた。結晶化された生成物を含むスラリー溶液に、エタノール900mLを徐々に投入し、生成物をさらに結晶化させた。結晶化された生成物を、固体陽イオン交換樹脂から分離した後、エタノール300mLで洗浄し、50℃で乾燥させ、L-ホモセリン結晶を得た。
【0135】
該L-ホモセリンの回収率は、81.6%であり、純度は、99.4%であった。
【0136】
固体陽イオン交換樹脂で使用されたPurolite CT275樹脂の物性は、次の通りである。
【0137】
高分子構造:ジビニルベンゼンで架橋されたマクロ多孔性ポリスチレン(macroporous polystyrene crosslinked with divinylbenzene)
外観(appearance):球形ビード(spherical beads)
作用基:スルホン酸(sulfonic acid)
イオン形態(ionic form):H形態
乾燥重量容量(dry weight capacity(min.))5.2当量/kg(H形態)
水分維持率(moisture retention):51ないし59%(H形態)
粒子サイズ範囲(partice size range):425ないし1,200μm
<425μm(max.):1%
均一性係数(uniformity coefficient(max.)):1.7
表面積(surface area):20ないし40m/g
気孔体積(pore volume):0.4ないし0.6mL/g
メジアン気孔径(median pore diameter):400ないし700Å
表面酸性酸強度(surface acidity acid strength):60kJ/mol
比重(specific gravity):1.2
出荷重量(shipping weight(approx.)):755~790g/L(47.2ないし49.4lb/ft
温度限界(temperature limit):130℃(266.0゜F)
【0138】
実施例5:固体樹脂触媒(Purolite CT275樹脂)、連続式
培養が終わった発酵液から、メンブレンフィルタを介して菌体を除去し、O-アセチル-L-ホモセリンを含む水溶液を得た。
【0139】
該O-アセチル-L-ホモセリンを含む水溶液300mL(O-アセチル-L-ホモセリン濃度100g/L、186.2mmol)を樹脂塔下部に、一定速度で連続して供給した後、樹脂塔上部から、同一速度で反応生成物を含む溶液を放出した。
【0140】
該樹脂塔内部には、Purolite CT275樹脂186.2g(186.2mmol、1当量)が充填されており、該樹脂塔内部は、pH3.2、温度は、85℃であった。水溶液が該樹脂塔を通過する時間は、5時間であった。反応生成物を含む溶液において、HPLCで反応終了を確認した。
【0141】
該樹脂塔から放出された生成物を含む溶液を濃縮管で移送させ、480g/Lの濃度に濃縮された濃縮液を準備した。準備された該濃縮液を熟成タンクに移送した後、25℃に冷却させ、生成物を結晶化させた。
【0142】
結晶化された生成物を含むスラリー溶液に、エタノール900mLを徐々に投入し、生成物をさらに結晶化させた。
【0143】
結晶化された生成物を分離器で分離した。分離された生成物をエタノール300mLで洗浄し、乾燥器で50℃で乾燥させ、L-ホモセリン結晶を得た。
【0144】
該L-ホモセリンの回収率は、81.6%であり、純度は、99.4%であった。
【0145】
前記比較例1ないし6、及び実施例1ないし5における反応条件、触媒種類、回収率などを、下記表1に示した。
【0146】
純度は、生成物から、ホモセリン以外の他固形分不純物を除いた含量である。
【0147】
回収率は、投入されたL-ホモセリン誘導体から得られる該L-ホモセリンの理論値に対する実際生成された該L-ホモセリンの比率である。
【0148】
【表1】
【0149】
前記表1から分かるように、実施例1ないし5の固体酸触媒を使用する製造方法によるとき、液体酸触媒を使用する比較例1ないし6の製造方法に比べ、得られるL-ホモセリンの回収率及び純度が向上された。また、実施例5の連続式製造方法は、実施例1ないし4に比べても、連続したL-ホモセリンの生産が可能であるので、生産効率がさらに上昇し、樹脂触媒の分離も精製もなく、供給液の組成変更だけにより、樹脂触媒の再生が容易であり、維持コスト低減のさらなる効果がある。
【産業上の利用可能性】
【0150】
L-ホモセリンの製造方法は、固体酸触媒を使用することにより、簡単に高い純度を有するL-ホモセリンを高い回収率で製造することが可能である。
【0151】
また、L-ホモセリンの製造方法によれば、生産効率が顕著に向上され、触媒再生が容易であり、維持コストが低減されるが、経済性確保が可能である。
【国際調査報告】