(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-07-29
(54)【発明の名称】シリコーン系保護配合物
(51)【国際特許分類】
C09D 183/04 20060101AFI20220722BHJP
C09D 201/00 20060101ALI20220722BHJP
【FI】
C09D183/04
C09D201/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021570448
(86)(22)【出願日】2020-05-29
(85)【翻訳文提出日】2022-01-21
(86)【国際出願番号】 US2020035138
(87)【国際公開番号】W WO2020243441
(87)【国際公開日】2020-12-03
(32)【優先日】2019-05-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】515345436
【氏名又は名称】オートノミック マテリアルズ、インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【氏名又は名称】野田 雅一
(72)【発明者】
【氏名】ウィルソン, ジェラルド, オー.
(72)【発明者】
【氏名】ナバロ, エイドネル, ガイスター アール.
(72)【発明者】
【氏名】カシソマヤジュラ, スブラマニヤム, ヴィ.
【テーマコード(参考)】
4J038
【Fターム(参考)】
4J038CG001
4J038DB001
4J038DD001
4J038DG001
4J038DL031
4J038KA03
4J038KA04
4J038KA21
4J038NA01
4J038NA03
(57)【要約】
自己修復組成物、並びにその調製方法及び使用が開示されている。一例において、自己修復組成物は、第1のマイクロカプセル及び第2のマイクロカプセルを含む。第1のマイクロカプセルは、第1のポリジメチルシロキサン樹脂と、第1のシリコーン流体と、第1の官能化アルコキシシランと、ヒドロシリル化反応を触媒することができる触媒とを含み、第2のマイクロカプセルは、第2のポリジメチルシロキサン樹脂と、第2のシリコーン流体と、第2の官能化アルコキシシランと、水素末端ジメチルシロキサン樹脂とを含む。このようにして、自己修復組成物は、第1のマイクロカプセル及び第2のマイクロカプセルの破裂時に、それらカプセルの内容物を放出及び混合し、受動的に開始される修復プロセスを自己修復組成物に付与する。
【選択図】
図1B
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材を保護する方法であって、
配合物を前記基材に塗布するステップを含み、前記配合物が、カプセル化シリコーン系樹脂配合物を有する第1のマイクロカプセルと、カプセル化シリコーン系硬化配合物を有する第2のマイクロカプセルとを含む、方法。
【請求項2】
前記カプセル化シリコーン系樹脂配合物が、
第1のポリジメチルシロキサン樹脂と、第1のシリコーン流体と、第1の官能化アルコキシシランと、ヒドロシリル化反応を触媒することができる触媒とをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1のポリジメチルシロキサン樹脂が、ビニル末端ポリジメチルシロキサン樹脂を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記触媒が白金触媒をさらに含む、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記カプセル化シリコーン系硬化配合物が、
第2のポリジメチルシロキサン樹脂と、第2のシリコーン流体と、第2の官能化アルコキシシランと、水素末端ポリジメチルシロキサン樹脂とをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記第2のポリジメチルシロキサン樹脂が、ビニル末端ポリジメチルシロキサン樹脂を含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記第1のマイクロカプセルが、第1のポリマーマイクロカプセルシェル壁をさらに含み、
前記第2のマイクロカプセルが、第2のポリマーマイクロカプセルシェル壁をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記第1のポリマーマイクロカプセルシェル壁が、前記第2のポリマーマイクロカプセルシェル壁と同じ化学成分から構成される、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記第1のポリマーマイクロカプセルシェル壁が、前記第2のポリマーマイクロカプセルシェル壁と異なる化学成分から構成される、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
前記第1のマイクロカプセル及び前記第2のマイクロカプセルのそれぞれが、5ミクロン~50ミクロンの範囲の中央粒径値を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記配合物が固化して保護材料を形成し、
前記保護材料の劣化により、劣化箇所において前記第1のマイクロカプセル及び前記第2のマイクロカプセルが破裂し、さらに、前記カプセル化シリコーン系樹脂配合物と前記カプセル化シリコーン系硬化配合物とが混合される、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記劣化が、前記保護材料の機械的破損、引掻き傷、亀裂、切り傷、又はその他の完全性破壊のうちの1つ又は複数をさらに含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記基材を保護することが、水分の侵入を防止又は低減することによって前記基材の腐食を低減することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
基材用のコーティング又はシーラントの耐剥離性を向上させる方法であって、
固化して前記コーティング又はシーラントを形成する配合物を前記基材に塗布するステップを含み、前記配合物及び前記コーティング又はシーラントが、カプセル化シリコーン系樹脂配合物を有する第1のマイクロカプセルと、カプセル化シリコーン系硬化配合物を有する第2のマイクロカプセルとを含み、前記コーティング又はシーラントの劣化により、前記第1のマイクロカプセル及び前記第2のマイクロカプセルが破裂し、それによって、劣化箇所において前記カプセル化樹脂配合物と前記カプセル化硬化配合物とが混合され、前記コーティング又はシーラントの耐剥離性を向上させる、方法。
【請求項15】
前記劣化が、前記コーティング又はシーラントの機械的破損、引掻き傷、亀裂、切り傷、又はその他の完全性破壊のうちの1つ又は複数をさらに含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記カプセル化シリコーン系樹脂配合物が、第1のポリジメチルシロキサン樹脂と、第1のシリコーン流体と、第1の官能化アルコキシシランと、ヒドロシリル化反応を触媒することができる触媒とをさらに含み、
前記カプセル化シリコーン系硬化配合物が、第2のポリジメチルシロキサン樹脂と、第2のシリコーン流体と、第2の官能化アルコキシシランと、水素末端ポリジメチルシロキサン樹脂とをさらに含む、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
前記第1のポリジメチルシロキサン樹脂及び前記第2のポリジメチルシロキサン樹脂が、ビニル末端ポリジメチルシロキサン樹脂をそれぞれ含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記触媒が白金触媒をさらに含む、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
前記第1のシリコーン流体と前記第2のシリコーン流体とが同じである、請求項16に記載の方法。
【請求項20】
前記第1のシリコーン流体と前記第2のシリコーン流体とが異なる、請求項16に記載の方法。
【請求項21】
前記第1の官能化アルコキシランと前記第2のアルコキシシランとが同じである、請求項16に記載の方法。
【請求項22】
前記第1の官能化アルコキシランと前記第2のアルコキシシランとが異なる、請求項16に記載の方法。
【請求項23】
前記第1の官能化アルコキシラン及び前記第2のアルコキシシランが、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン及び3-グリシドキシプロピルトリエトキシシランからなる群から選択される、請求項16に記載の方法。
【請求項24】
前記第1のマイクロカプセル及び前記第2のマイクロカプセルが、さらにポリマーシェル壁から構成される、請求項14に記載の方法。
【請求項25】
前記ポリマーシェル壁が、ポリオキシメチレン尿素、ポリオキシメチレンメラミン、ポリアクリレート、ポリウレタン及びポリ尿素のうちの1つ又は複数をさらに含む、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記コーティング又はシーラントが、シリコーン系コーティング若しくはシーラント、エポキシコーティング若しくはシーラント、ポリエステルコーティング若しくはシーラント、ポリウレタンコーティング若しくはシーラント、又はアクリルコーティング若しくはシーラントのうちの1つである、請求項14に記載の方法。
【請求項27】
カプセル化シリコーン系樹脂配合物を含む第1のマイクロカプセルと、カプセル化シリコーン系硬化配合物を含む第2のマイクロカプセルとを含む、自己修復組成物。
【請求項28】
前記自己修復組成物が、基材に塗布されると固化して保護コーティング又はシーラントを形成し、
前記保護コーティング又はシーラントが、シリコーン系コーティング若しくはシーラント、エポキシコーティング若しくはシーラント、ポリエステルコーティング若しくはシーラント、ポリウレタンコーティング若しくはシーラント、又はアクリルコーティング若しくはシーラントのうちの1つである、請求項27に記載の自己修復組成物。
【請求項29】
前記カプセル化シリコーン系樹脂配合物が、第1のポリジメチルシロキサン樹脂と、第1のシリコーン流体と、第1の官能化アルコキシシランと、ヒドロシリル化反応を触媒することができる触媒とを含み、
前記カプセル化シリコーン系硬化配合物が、第2のポリジメチルシロキサン樹脂と、第2のシリコーン流体と、第2の官能化アルコキシシランと、水素末端ジメチルシロキサン樹脂とを含む、請求項27に記載の自己修復組成物。
【請求項30】
前記第1のポリジメチルシロキサン樹脂及び前記第2のポリジメチルシロキサン樹脂が、ビニル末端ポリジメチルシロキサン樹脂をさらに含む、請求項29に記載の自己修復組成物。
【請求項31】
前記第1のシリコーン流体と前記第2のシリコーン流体とが同じであるか又は異なり、
前記第1のシリコーン流体及び前記第2のシリコーン流体が、ヘキサメチルジシロキサン、オクタメチルトリシロキサン、及びデカメチルテトラシロキサンのうちの1つ又は複数をさらに含む、請求項29に記載の自己修復組成物。
【請求項32】
前記第1の官能化アルコキシシラン及び前記第2の官能化アルコキシシランが同じであるか又は異なり、
前記第1の官能化アルコキシシラン及び前記第2の官能化アルコキシシランが、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン又は3-グリシドキシプロピルトリエトキシシランのうちの1つ又は複数をさらに含む、請求項29に記載の自己修復組成物。
【請求項33】
前記触媒が白金触媒である、請求項29に記載の自己修復組成物。
【請求項34】
前記第1のマイクロカプセル及び前記第2のマイクロカプセルが、ポリマーシェル壁をそれぞれ有する、請求項27に記載の自己修復組成物。
【請求項35】
前記第1のマイクロカプセル及び前記第2のマイクロカプセルの前記ポリマーシェル壁が同じであるか又は異なり、
前記ポリマーシェル壁が、ポリオキシメチレン尿素、ポリオキシメチレンメラミン、ポリアクリレート、ポリウレタン及びポリ尿素のうちの1つ又は複数をさらに含む、請求項34に記載の自己修復組成物。
【請求項36】
シリコーン系樹脂配合物を第1のマイクロカプセルに封入するステップ及びシリコーン系硬化配合物を第2のマイクロカプセルに封入するステップと、
第1の量の前記第1のマイクロカプセルと、第2の量の前記第2のマイクロカプセルとを流体マトリックスに添加して、自己修復組成物を得るステップとを含む、自己修復組成物を調製する方法。
【請求項37】
前記流体マトリックスが、シリコーン系マトリックス、エポキシマトリックス、ポリエステルマトリックス、ポリウレタンマトリックス、又はアクリルマトリックスのうちの1つをさらに含む、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
前記第1のマイクロカプセルと前記第2のマイクロカプセルとを前記流体マトリックスに添加する前に、前記第1のマイクロカプセルと前記第2のマイクロカプセルとを粉末に乾燥させるステップをさらに含む、請求項36に記載の方法。
【請求項39】
前記第1の量と前記第2の量とが同じである、請求項36に記載の方法。
【請求項40】
前記第1の量と前記第2の量とが異なる、請求項36に記載の方法。
【請求項41】
前記第1のマイクロカプセル及び前記第2のマイクロカプセルのそれぞれが、シェル壁をさらに含む、請求項36に記載の方法。
【請求項42】
前記シェル壁がポリマーシェル壁をさらに含み、
前記ポリマーシェル壁が、ポリオキシメチレン尿素、ポリオキシメチレンメラミン、ポリアクリレート、ポリウレタン及びポリ尿素のうちの1つ又は複数を含む、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
前記シリコーン系樹脂配合物が、第1のポリジメチルシロキサン樹脂と、第1のシリコーン流体と、第1の官能化アルコキシシランと、ヒドロシリル化反応を触媒することができる触媒とをさらに含み、
前記シリコーン系硬化配合物が、第2のポリジメチルシロキサン樹脂と、第2のシリコーン流体と、第2の官能化アルコキシシランと、水素末端ジメチルシロキサン樹脂とをさらに含む、請求項36に記載の方法。
【請求項44】
前記第1のポリジメチルシロキサン樹脂及び前記第2のポリジメチルシロキサン樹脂が、ビニル末端ジメチルシロキサン樹脂をさらに含む、請求項43に記載の方法。
【請求項45】
前記第1の官能化アルコキシシラン及び前記第2の官能化アルコキシシランが、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン又は3-グリシドキシプロピルトリエトキシシランのうちの1つ又は複数をさらに含む、請求項43に記載の方法。
【請求項46】
前記触媒が白金触媒である、請求項43に記載の方法。
【請求項47】
前記白金触媒が、H
2PtCl
6及びC
24H
54O
3Pt
2Si
6のうちの1つ又は複数である、請求項46に記載の方法。
【請求項48】
前記第1のマイクロカプセル及び前記第2のマイクロカプセルが、5ミクロン~50ミクロンの範囲の中央粒径をそれぞれ有する、請求項36に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
[0001]本出願は、2019年5月29日出願の米国特許仮出願第62/854,005号に基づく先の出願日の優先権利益を主張し、その開示全体は、参照によって本明細書に詳細に援用される。
【0002】
[技術分野]
[0002]本開示は、保護材料、コーティング、シーラント及び接着剤に関し、特に、保護材料、コーティング、シーラント及び接着剤用のシリコーン系配合物に関する。
【0003】
[背景]
[0003]シリコーン系配合物は、典型的には、それらの疎水性及び柔軟性を様々な資産の保護のために使用し得る用途で使用される。そのため、それらの配合物は通常、水分の多い環境、及びより脆い材料にひび割れや破損を引き起こし得る熱サイクルを受けやすい環境で使用される、コーティング、シーラント及び接着剤の配合物において使用される。シリコーン保護材料は、多様な基材に対し接着力が弱いことも知られている。これらの配合物が最も効率的な接着促進剤を組み込むように設計されている場合、使用中の損傷により、しばしば水分が侵入する通路が生まれる。損傷が発生した後の材料/基材境界面への水分の浸透により、基材への材料の接着力が急速に低下することがある。シリコーン系材料への水分の侵入口を作り、結果として接着力損失及び基材保護の低下を生じさせる損傷の問題に対する現在の商業的解決策はない。現状は一般に、損傷及び最終的な接着力損失の可能性を減らす機械的特性を備える、改善された樹脂化学に焦点を合わせている。しかし、実際に損傷が発生した場合、下にある基材が露出するか、又は基材に一層到達しやすくなるため、水分の侵入、接着力損失、及び保護の低下の影響を受けやすくなる。
【0004】
[0004]実施形態は、添付の図面と併せて以下の詳細な説明によって容易に理解される。実施形態は、添付の図面の図において、限定としてではなく例として示されている。
【図面の簡単な説明】
【0005】
【
図1A】
図1A及び
図1Bは、シリコーン系コーティング又はシーラント配合物を示す概略図である。
図1Aは標準的な配合物を示し、
図1Bは、2つの異なるタイプのマイクロカプセル(アンパーマー(AMPARMOR)(商標)1043A及び1043B)を組み込んだ配合物を示している。
【
図1B】
図1A及び
図1Bは、シリコーン系コーティング又はシーラント配合物を示す概略図である。
図1Aは標準的な配合物を示し、
図1Bは、2つの異なるタイプのマイクロカプセル(アンパーマー(AMPARMOR)(商標)1043A及び1043B)を組み込んだ配合物を示している。
【
図2】金属基材上の引掻き傷の構成を示す概略図である。
【
図3-1】FIG.3A~FIG.3Eは、コーティングされた基材の300時間の塩霧曝露(ASTM B117-19、Standard Practice for Operating Salt Spray (Fog) Apparatus、ASTMインターナショナル、ペンシルベニア州ウェストコンショホッケン、2019年)、ASTMインターナショナル、ペンシルベニア州ウェストコンショホッケン)後の、傷による接着力損失及び代表画像を共に示すグラフ及び対応するデジタル画像である。FIG.3Aは、標準的な湿気-オキシム硬化ポリジメチルシロキサン(PDMS)コーティング(対照)、並びにアンパーマー1043を3重量%、6重量%及び10重量%付加的に組み込んだバージョンでコーティングされた冷間圧延鋼(CRS)基材に加えられた引掻き傷から測定された接着力損失の定量化を比較して示すグラフである。FIG.3Bは、対照PDMSコーティングでコーティングされたCRS基材の画像である。FIG.3Cは、アンパーマー1043を3重量%組み込んだPDMSコーティングでコーティングされたCRS基材の画像である。FIG.3Dは、アンパーマー1043を6重量%組み込んだPDMSコーティングでコーティングされたCRS基材の画像である。FIG.3Eは、アンパーマー1043を10重量%組み込んだPDMSコーティングでコーティングされたCRS基材の画像である。
【
図3-2】FIG.3A~FIG.3Eは、コーティングされた基材の300時間の塩霧曝露(ASTM B117-19、Standard Practice for Operating Salt Spray (Fog) Apparatus、ASTMインターナショナル、ペンシルベニア州ウェストコンショホッケン、2019年)、ASTMインターナショナル、ペンシルベニア州ウェストコンショホッケン)後の、傷による接着力損失及び代表画像を共に示すグラフ及び対応するデジタル画像である。FIG.3Aは、標準的な湿気-オキシム硬化ポリジメチルシロキサン(PDMS)コーティング(対照)、並びにアンパーマー1043を3重量%、6重量%及び10重量%付加的に組み込んだバージョンでコーティングされた冷間圧延鋼(CRS)基材に加えられた引掻き傷から測定された接着力損失の定量化を比較して示すグラフである。FIG.3Bは、対照PDMSコーティングでコーティングされたCRS基材の画像である。FIG.3Cは、アンパーマー1043を3重量%組み込んだPDMSコーティングでコーティングされたCRS基材の画像である。FIG.3Dは、アンパーマー1043を6重量%組み込んだPDMSコーティングでコーティングされたCRS基材の画像である。FIG.3Eは、アンパーマー1043を10重量%組み込んだPDMSコーティングでコーティングされたCRS基材の画像である。
【
図4-1】FIG.4A~FIG.4Eは、コーティングされた基材の1,000時間の塩霧曝露(ASTM B117)後の、傷からの接着力損失を示すグラフ及び対応するデジタル画像である。FIG.4Aは、標準的な湿気-オキシム硬化PDMSコーティング(対照)、並びにアンパーマー1043を3重量%、6重量%及び10重量%付加的に組み込んだバージョンでコーティングされたCRS基材に加えられた引掻き傷から測定された接着力損失の概要を比較して示すグラフである。FIG.4Bは、対照PDMSコーティングでコーティングされたCRS基材の画像である。FIG.4Cは、アンパーマー1043を3重量%組み込んだPDMSコーティングでコーティングされたCRS基材の画像である。FIG.4Dは、アンパーマー1043を6重量%組み込んだPDMSコーティングでコーティングされたCRS基材の画像である。FIG.4Eは、アンパーマー1043を10重量%組み込んだPDMSコーティングでコーティングされたCRS基材の画像である。
【
図4-2】FIG.4A~FIG.4Eは、コーティングされた基材の1,000時間の塩霧曝露(ASTM B117)後の、傷からの接着力損失を示すグラフ及び対応するデジタル画像である。FIG.4Aは、標準的な湿気-オキシム硬化PDMSコーティング(対照)、並びにアンパーマー1043を3重量%、6重量%及び10重量%付加的に組み込んだバージョンでコーティングされたCRS基材に加えられた引掻き傷から測定された接着力損失の概要を比較して示すグラフである。FIG.4Bは、対照PDMSコーティングでコーティングされたCRS基材の画像である。FIG.4Cは、アンパーマー1043を3重量%組み込んだPDMSコーティングでコーティングされたCRS基材の画像である。FIG.4Dは、アンパーマー1043を6重量%組み込んだPDMSコーティングでコーティングされたCRS基材の画像である。FIG.4Eは、アンパーマー1043を10重量%組み込んだPDMSコーティングでコーティングされたCRS基材の画像である。
【
図5A】
図5A及び
図5Bは、対照の湿気-オキシム硬化PDMSコーティングと、アンパーマー1043を3重量%、6重量%及び10重量%組み込んだバージョンとの電気化学的特性評価を比較して示すグラフである。
図5Aはインピーダンスのボードプロットを示し、
図5Bは、位相角のボードプロットを示している。
【
図5B】
図5A及び
図5Bは、対照の湿気-オキシム硬化PDMSコーティングと、アンパーマー1043を3重量%、6重量%及び10重量%組み込んだバージョンとの電気化学的特性評価を比較して示すグラフである。
図5Aはインピーダンスのボードプロットを示し、
図5Bは、位相角のボードプロットを示している。
【
図6】FIG.6A及びFIG.6Bは、コーティングされたCRS基材の断面の比較を示すデジタル画像である。FIG.6Aは、湿気-オキシム硬化PDMSコーティングでコーティングされた基材を示している。FIG.6Bは、アンパーマー1043を10重量%組み込んだ同じ湿気-オキシム硬化PDMSコーティングでコーティングされた基材を示している。
【
図7A】
図7A~
図7Cは、第1のシリコーンシーラント層(
図7A)、第1のシーラント層上に配置されたポリエステルメッシュ(
図7B)、及びポリエステルメッシュ上に塗布された最終シリコーンシーラント層(
図7C)を示す、ASTM C794サンプルの調製の一連のデジタル画像を示す図である。
【
図7B】
図7A~
図7Cは、第1のシリコーンシーラント層(
図7A)、第1のシーラント層上に配置されたポリエステルメッシュ(
図7B)、及びポリエステルメッシュ上に塗布された最終シリコーンシーラント層(
図7C)を示す、ASTM C794サンプルの調製の一連のデジタル画像を示す図である。
【
図7C】
図7A~
図7Cは、第1のシリコーンシーラント層(
図7A)、第1のシーラント層上に配置されたポリエステルメッシュ(
図7B)、及びポリエステルメッシュ上に塗布された最終シリコーンシーラント層(
図7C)を示す、ASTM C794サンプルの調製の一連のデジタル画像を示す図である。
【
図8】完成したASTM C794(ASTM C794-01、Standard Test Method for Adhesion-in-Peel of Elastomeric Joint Sealants、ASTMインターナショナル、ペンシルベニア州ウェストコンショホッケン、2001年)試験片を示すデジタル画像であり、メッシュストリップの位置、及びシーラントを損傷するために使用された傷を示している。
【
図9】2つの異なる視野角からASTM C794引張試験のセットアップを示す、1組のデジタル画像である。画像は、テスト用の荷重フレームに配置された、PDMSシーラントでシーリングされたCRS基材を示している。
【
図10】対照シーラント配合物、並びにアンパーマー1043を3重量%、6重量%及び10重量%組み込んだ配合物について得られた剥離試験結果の概要を示すグラフである。試験された各配合物について、乾燥サンプル(ASTM B117条件に曝露されていない)を、ASTM B117条件に500時間及び1,000時間曝露されたサンプルと比較している。
【
図11】FIG.11A~FIG.11Dは、対照シーラント配合物、並びにアンパーマー1043を3重量%、6重量%及び10重量%組み込んだ配合物の剥離試験後に取得された一連のデジタル画像である。剥離試験は、ASTM B117条件に曝露されなかったサンプルで実施された。
【
図12】FIG.12A~FIG.12Dは、対照シーラント配合物、並びにアンパーマー1043を3重量%、6重量%及び10重量%組み込んだ配合物の剥離試験後に取得された一連のデジタル画像である。剥離試験は、ASTM B117条件に1,000時間曝露されたサンプルで実施された。
【
図13】対照シーラント配合物、並びにアンパーマー1043を3重量%、6重量%及び10重量%組み込んだ配合物について得られた剥離試験結果の概要を示すグラフである。乾燥サンプル(浸漬されていないサンプル)について評価した剥離強度を、脱イオン水に7日間浸漬したものと比較している。
【
図14】FIG.14A~FIG.14Dは、対照シーラント配合物、並びにアンパーマー1043を3重量%、6重量%及び10重量%組み込んだ配合物の剥離試験後に取得された一連のデジタル画像を示す図である。剥離試験は、サンプルを室温で14日間硬化させた後に実施した。
【
図15】FIG.15A~FIG.15Dは、対照シーラント配合物、並びにアンパーマー1043を3重量%、6重量%及び10重量%組み込んだ配合物の剥離試験後に取得された一連のデジタル画像を示す図である。剥離試験は、サンプルを室温で14日間硬化させ、脱イオン水に7日間浸漬させた後に実施した。
【0006】
[本発明の実施形態の詳細な説明]
[0020]以下の詳細な説明では、本明細書の一部を構成する添付の図面を参照する。添付の図面では、実施され得る実施形態を例として示している。本開示の範囲を逸脱することなく、他の実施形態を用いることもでき、構造的又は論理的な変更を行うこともできることを理解されたい。従って、以下の詳細な説明は、限定する意味で捉えられるべきものではなく、実施形態の範囲は、添付の特許請求の範囲及びそれらの均等物によって定義される。
【0007】
[0021]実施形態の理解の助けとなり得るように、様々な操作を複数の別個の操作として順番に説明することがあるが、説明の順番は、これらの操作が順序に依存することを意味すると解釈されるべきではない。
【0008】
[0022]説明では、上下、前後、及び頂部/底部などの観点別の説明を用いることがある。このような説明は、議論を容易にするために用いられるものに過ぎず、本開示の実施形態の用途を制限するようには意図されていない。
【0009】
[0023]「連結された(coupled)」及び「接続された(connected)」という用語、並びにそれらの派生語が用いられる場合がある。これらの用語は、互いの同義語として意図されていないと理解されたい。そうではなく、特定の実施形態では、「接続された」は、2つ以上の要素が互いに直接物理的又は電気的に接触していることを示すために用いられ得る。「連結された」は、2つ以上の要素が直接物理的又は電気的に接触していることを意味し得る。ただし、「連結された」はまた、2つ以上の要素が互いに直接には接触していないが、それでも互いに協働又は相互作用することも意味し得る。
【0010】
[0024]説明の目的のために、「A/B」又は「A及び/又はB」の形の句は、(A)、(B)、又は(A及びB)を意味する。説明の目的のために、「A、B及びCのうちの少なくとも1つ」の形の句は、(A)、(B)、(C)、(A及びB)、(A及びC)、(B及びC)、又は(A、B及びC)を意味する。説明の目的のために、「(A)B」の形の句は、(B)又は(AB)、すなわち、Aは任意の要素であることを意味する。
【0011】
[0025]本説明では、「実施形態(embodiment)」又は「実施形態(embodiments)」という用語を用いる場合があり、これらの用語はそれぞれ、同じ又は異なる実施形態のうちの1つ又は複数を指す場合がある。また、実施形態に関して用いられる「含む(comprising)」、「含む(including)」、「有する(having)」などの用語は、同義語である。
【0012】
[0026]本明細書に開示されるのは、保護材料(例えば、コーティング又はシーラント)に若干の劣化(例えば、引掻き傷、切り傷等)が生じた後、下にある基材に対する接着力を維持するための、保護材料の性能を改善する組成物、調製方法及びその使用方法である。いくつかの例において、保護材料はシリコーン系保護材料を含み得る。いくつかの例において、シリコーン系保護材料は、室温加硫(RTV)シリコーン系保護材料(例えば、1K、2Kなど)を含み得る。他の例において、保護材料はエポキシ保護材料を含み得る。別の例において、保護材料は、ポリエステル保護材料を含み得る。別の例において、保護材料は、ポリウレタン保護材料を含み得る。さらに他の例において、保護材料は、アクリル保護材料を含み得る。
【0013】
[0027]開示される態様は、互いに比較して、少なくともある程度異なる内部組成物又は配合物を有する2つの別々のマイクロカプセルを含む、デュアルマイクロカプセルの使用に基づく。デュアルマイクロカプセルは、コーティング、シーラント、接着剤、又はそれらのいくつかの組合せを含むがこれらに限定されない保護材料に、基材に塗布する前に組み込まれる。一例において、基材は金属であり得る。別の例において、基材は金属合金(例えば、別の金属又は非金属と混合された金属)であり得る。別の例において、基材はプラスチックを含み得る。さらに別の例において、基材はセラミックを含み得る。基材は、保護材料から構成されるコーティング、シーラント及び/又は接着剤を付与され得る任意の材料を含み得ることが理解され得る。
【0014】
[0028]保護材料が傷付くと、両方のタイプのマイクロカプセルが破裂し、それにより、劣化箇所でマイクロカプセルの個々の内容物が放出されることがある。破裂すると、2つの異なるタイプ又は種類のマイクロカプセル内の成分が一緒に混合され、混合により重合反応が開始され、次いで、少なくとも部分的に劣化を修復又は抑制する新しい材料が形成される。各マイクロカプセルの内容物(例えば、ポリマー前駆体配合物)は、互いに反応して、例えば、ポリマーシリコーン材料を形成し得る。完全にシリコーン系材料から構成されるポリマー前駆体配合物を使用することにより、シリコーン保護材料が傷付いた後の、該保護材料への濡れ広がり及び接着が容易になる。本明細書で論じられる場合、濡れ広がりとは、ポリマー前駆体配合物と付着面(例えば、シリコーン保護材料及び/又は基材)との間の接触面積及び(1つ又は複数の)引力を最大化するようにポリマー前駆体配合物が表面を流れて覆うことを指す。
【0015】
[0029]より詳細には、本明細書で論じられるポリマー前駆体配合物は、金属基材への重合フィルムの接着を促進するための1種又は複数のアルコキシシランを含む。両方のカプセルタイプ(例えば、第1のセットの内部成分を有する第1のカプセル、及び第2のセットの内部成分を有する第2のカプセル)は、コーティング、シーラント又は接着剤などのシリコーン系保護材料(又は上記の他のタイプの保護材料)に、基材に塗布する前に組み込むことができる。例えば引掻き傷又は切り傷によるシリコーン系保護材料の劣化により、マイクロカプセルが破裂し、それにより、劣化箇所でマイクロカプセルの個々の内容物が放出される。劣化箇所で、両方のカプセルタイプの内容物が混合され、ヒドロシリル化反応が開始する。ヒドロシリル化反応により硬化フィルムが形成されるが、該フィルムは、保護材料の基材への接着力を復活させ得、さらに劣化箇所への水分の侵入を軽減することに寄与し得る。
【0016】
[0030]この2段階システムを示す概略図を
図1A~
図1Bに示す。
図1Aは、基材に塗布されるマトリックスにマイクロカプセルが組み込まれていない例を示している。
図1Aに示されるように、そのようなマトリックスは、硬化又は押出しシリコーン系ポリマー材料を含み得、基材は、例えば、金属基材(例えば、CRS又はブラストされた鋼)を含み得る。一方、
図1Bは、カプセル化樹脂配合物を含む第1のマイクロカプセル(例えば、アンパーマー(商標)1043A)、及びカプセル化硬化剤配合物を含む第2のマイクロカプセル(例えば、アンパーマー(商標)1043B)がマトリックスに組み込まれ、基材に塗布された例を示す。
図1Aと同様に、
図1Bのマトリックスは、硬化又は押出しシリコーン系ポリマー材料を含み得、基材は、例えば、金属基材(例えば、CRS又はブラストされた鋼)を含み得る。いくつかの例において、開示されるマイクロカプセル化シリコーン系ポリマー前駆体配合物を含有するシリコーン保護材料は、異なる基材の組合せを含むがこれに限定されない広範囲の基材の保護又は接合のために使用される。例えば、開示されるマイクロカプセル化シリコーン系ポリマー前駆体配合物を含有するシリコーン保護材料は、金属基材を接合するため、ゴム基材を接合するため、金属基材をゴム基材に接合するためなどに使用され得る。
【0017】
[0031]本開示の態様は、第1のマイクロカプセル及び第2のマイクロカプセルを含む自己修復組成物に関する。実施形態において、第1のマイクロカプセルは、カプセル化シリコーン系樹脂配合物を含む。カプセル化シリコーン系樹脂配合物は、第1のマイクロカプセル内に含有又は封入されていると理解され得る。カプセル化シリコーン系樹脂配合物は、第1のポリジメチルシロキサン樹脂と、第1のシリコーン流体と、第1の官能化アルコキシシランと、ヒドロシリル化反応を触媒することができる触媒とを含む、第1の多成分組成物を含み得る。実施形態において、第2のマイクロカプセルは、カプセル化シリコーン系硬化配合物を含む。カプセル化シリコーン系硬化配合物は、第2のマイクロカプセル内に含有又は封入されていると理解され得る。カプセル化シリコーン系硬化配合物は、第2のポリジメチルシロキサン樹脂と、第2のシリコーン流体と、第2の官能化アルコキシシランと、水素末端ジメチルシロキサン樹脂とを含む、第2の多成分組成物を含み得る。実施形態において、第1のポリジメチルシロキサン樹脂と第2のポリジメチルシロキサン樹脂とは同じであり、例えば、同じ化学式を有する。他の実施形態において、第1のポリジメチルシロキサン樹脂と第2のポリジメチルシロキサン樹脂とは異なり、例えば、異なる化学式を有する。実施形態において、第1のシリコーン流体と第2のシリコーン流体とは同じであり、例えば、同じ化学式、及び/又は同じ相対パーセントの化学成分若しくは構成物質の混合物を有する。実施形態において、第1のシリコーン流体と第2のシリコーン流体とは異なり、例えば、異なる化学式、及び/又は異なる相対パーセントの化学成分の混合物を有する。
【0018】
[0032]特定の実施形態において、第1及び第2の官能化アルコキシシランの官能基は、一般的なシリコン系のコーティング、接着剤及び/又はシーラントバインダー樹脂系などの、一般的なコーティング、接着剤及び/又はシーラントバインダー樹脂系と反応するように選択される。開示される官能化アルコキシシランで使用する官能基の例には、グリシジル、ビニル、アクリレート、イソシアネート、ヒドロキシル、アミン、チオール、カルボキシル、アミド、脂肪酸又はアルキド基のうちの1つ又は複数が含まれるが、これらに限定されない。一実施形態において、第1のポリジメチルシロキサン樹脂は、限定されるものではないがビニル末端ジメチルシロキサン樹脂などの、ビニル末端シロキサン樹脂を含む。別の実施形態において、第1のポリジメチルシロキサン樹脂は、アクリレート末端シロキサン樹脂を含む。一実施形態において、第1のシリコーン流体は、環状シロキサン又はシクロメチコンなどの第1のシロキサン流体である。一例において、第1のシリコーン流体は、ヘキサメチルジシロキサン、オクタメチルトリシロキサン、ドデカメチルペンタシロキサン、テトラデカメチルヘキサシロキサン、及びデカメチルテトラシロキサンのうちの1つ又は複数である。一実施形態において、第1の官能化アルコキシシランは、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、メタクリルプロピルトリメトキシシラン、及びメタクリルプロピルトリエトキシシランのうちの1つ又は複数を含む。一実施形態において、ヒドロシリル化反応を触媒することができる触媒は、白金触媒を含む。そのような例の1つとしては、スパイヤー(Speier)触媒(H2PtCl6)が挙げられる。別の例としては、カルステッド(Karstedt)触媒(C24H54O3Pt2Si6)が挙げられる。ヒドロシリル化反応の触媒作用に使用できる、他の同様の誘導体が本明細書で検討される。一実施形態において、第2のポリジメチルシロキサン樹脂は、ビニル末端ジメチルシロキサン樹脂である。一実施形態において、第2の官能化アルコキシシランは、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン又は3-グリシドキシプロピルトリエトキシシランのうちの1つ又は複数を含む。
【0019】
[0033]一実施形態において、組成物は、コーティング、シーラント及び/又は接着剤などのシリコーン系保護材料をさらに含む。
【0020】
[0034]本明細書の実施形態において、第1のマイクロカプセル及び第2のマイクロカプセルのそれぞれは、第1の多成分組成物及び第2の多成分組成物をそれぞれカプセル化するシェル壁を有する。例において、シェル壁は、ポリマーシェル壁を含み得る。第1のマイクロカプセルのシェル壁は、いくつかの実施形態において、第2のマイクロカプセルと同じ材料/化学成分から構成されてもよい。ただし、他の実施形態において、第1のマイクロカプセルのシェル壁は、第2のマイクロカプセルとは異なる材料/化学成分から構成されてもよい。第1のマイクロカプセルと第2のマイクロカプセルとの間で材料/化学成分が同じであるいくつかの例では、材料/化学成分の比率が異なっていてもよいが、他の例では、比率が同じであってもよい。一実施形態において、ポリマーシェル壁は、ポリオキシメチレン尿素(尿素-ホルムアルデヒド)を含む。別の実施形態において、ポリマーシェル壁は、ポリオキシメチレンメラミン(メラミン-ホルムアルデヒド)を含む。別の実施形態において、ポリマーシェル壁は、ポリアクリレート、ポリウレタン、ポリスチレン、及びポリ尿素のうちの1つ又は複数を含む。ポリマーシェル壁の上記成分は、第1のマイクロカプセル及び第2のマイクロカプセルのそれぞれについて、任意の組合せ及び任意の量で使用することができる。
【0021】
[0035]自己修復組成物を調製する方法も開示される。本方法は、シリコーン系樹脂配合物を第1のマイクロカプセルに封入するステップと、シリコーン系硬化配合物を第2のマイクロカプセルに封入するステップとを含む。本方法はさらに、第1の量の第1のマイクロカプセルと、第2の量の第2のマイクロカプセルとを流体マトリックスに添加して、自己修復組成物を得るステップを含む。一例において、流体マトリックスは、シリコーン系マトリックス、エポキシマトリックス、ポリエステルマトリックス、ポリウレタンマトリックス、又はアクリルマトリックスのうちの1つをさらに含む。本方法は、第1のマイクロカプセル及び第2のマイクロカプセルを流体マトリックスに添加する前に、第1のマイクロカプセル及び第2のマイクロカプセルを粉末状に乾燥させるステップをさらに含み得る。ただし、他の例において、本方法が乾燥プロセスを含まず、第1のマイクロカプセル及び第2のマイクロカプセルが湿潤形態で流体マトリックスに添加される場合があることが理解され得る。
【0022】
[0036]本方法のいくつかの例において、第1の量の第1のマイクロカプセル及び第2の量の第2のマイクロカプセルは同じ量を含み得るが、他の例において、第1の量及び第2の量は、異なる量を含み得る。
【0023】
[0037]本方法の一例において、第1のマイクロカプセル及び第2のマイクロカプセルのそれぞれは、シェル壁をさらに含む。シェル壁は、一例として、ポリマーシェル壁を含み得る。いくつかの実施形態において、シェル壁は、ポリオキシメチレン尿素、ポリオキシメチレンメラミン、ポリアクリレート、ポリウレタン、及びポリ尿素のうちの1つ又は複数を含む。シェル壁は、いくつかの実施形態では第1のマイクロカプセルと第2のマイクロカプセルとの間で同じであってもよいが、本開示の範囲から逸脱することなく、他の実施形態では異なっていてもよい。
【0024】
[0038]本方法の一例において、シリコーン系樹脂配合物は、第1のポリジメチルシロキサン樹脂と、第1のシリコーン流体と、第1の官能化アルコキシシランと、ヒドロシリル化反応を触媒することができる触媒とをさらに含む。シリコーン系硬化配合物は、第2のポリジメチルシロキサン樹脂と、第2のシリコーン流体と、第2の官能化アルコキシシランと、水素末端ジメチルシロキサン樹脂とをさらに含む。いくつかの例において、第1のポリジメチルシロキサン樹脂及び第2のポリジメチルシロキサン樹脂は、ビニル末端ジメチルシロキサン樹脂をさらに含む。いくつかの例において、第1の官能化アルコキシシラン及び第2の官能化アルコキシシランは、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン又は3-グリシドキシプロピルトリエトキシシランのうちの1つ又は複数をさらに含む。いくつかの例において、触媒は、白金触媒をさらに含む。白金触媒はH2PtCl6であってもよく、C24H54O3Pt2Si6であってもよい。
【0025】
[0039]いくつかの例において、第1のマイクロカプセル及び第2のマイクロカプセルは、1ミクロン~50ミクロンの範囲の中央粒径を有し得る。いくつかの例において、前記範囲は5~30ミクロンの間であり得る。さらに他の例において、前記範囲は10~25ミクロンの間であり得る。さらに他の例において、前記範囲は5~50ミクロンの間であり得る。その他のより大きい又はより小さい中央粒径の範囲が本明細書で検討される。
【0026】
[0040]別の態様において、基材を保護する方法が本明細書に開示されている。本方法は、固化又は硬化して保護材料になる配合物を基材に塗布するステップを含み、配合物は、カプセル化シリコーン系樹脂配合物を有する第1のマイクロカプセルと、カプセル化シリコーン系硬化配合物を有する第2のマイクロカプセルとを含む。
【0027】
[0041]本方法の一例において、カプセル化シリコーン系樹脂配合物は、第1のポリジメチルシロキサン樹脂と、第1のシリコーン流体と、第1の官能化アルコキシシランと、ヒドロシリル化反応を触媒することができる触媒とをさらに含む。一例として、第1のポリジメチルシロキサン樹脂は、ビニル末端ポリジメチルシロキサン樹脂を含む。別の例として、触媒は、白金触媒をさらに含む。
【0028】
[0042]本方法の一例において、カプセル化シリコーン系硬化配合物は、第2のポリジメチルシロキサン樹脂と、第2のシリコーン流体と、第2の官能化アルコキシシランと、水素末端ポリジメチルシロキサン樹脂とをさらに含む。そのような一例において、第2のポリジメチルシロキサン樹脂は、ビニル末端ポリジメチルシロキサン樹脂を含む。
【0029】
[0043]本方法の一例において、第1のマイクロカプセルは、第1のポリマーマイクロカプセルシェル壁をさらに含み、第2のマイクロカプセルは、第2のポリマーマイクロカプセルシェル壁をさらに含む。いくつかの例において、第1のポリマーマイクロカプセルシェル壁は、第2のポリマーマイクロカプセルシェル壁と同じ化学成分から構成される。別の例において、第1のポリマーマイクロカプセルシェル壁は、第2のポリマーマイクロカプセルシェル壁と異なる化学成分から構成される。第1のマイクロカプセル及び第2のマイクロカプセルは、1~40ミクロンの範囲、好ましくは5~30ミクロンの範囲、さらにより好ましくは10~25ミクロンの範囲の中央粒径を有し得る。いくつかの例において、第1のマイクロカプセル及び第2のマイクロカプセルは、5~50ミクロンの範囲の中央粒径を有し得る。
【0030】
[0044]そのような方法では、保護材料の劣化により、劣化箇所において第1のマイクロカプセル及び第2のマイクロカプセルが破裂し、さらに、カプセル化シリコーン系樹脂配合物とカプセル化シリコーン系硬化配合物とが混合される。本明細書で論じられる場合、劣化とは、保護材料の機械的破損、引掻き傷、亀裂、切り傷、又はその他の形における完全性破壊のうちの1つ又は複数を指す場合がある。基材を保護することは、劣化を受けての水分の侵入を防止又は低減することによって基材の腐食を低減することを含み得る。これに加えて又はこれに代えて、基材を保護することは、基材への配合物の接着力を改善すること、及び/又は基材への配合物の接着力に関して配合物の耐剥離性を向上させることを含み得る。
【0031】
[0045]本方法のいくつかの例において、配合物は、流体マトリックスをさらに含み得る。流体マトリックスは、第1のマイクロカプセル及び第2のマイクロカプセルが添加されたマトリックスを含み得る。いくつかの例において、流体マトリックスは、シリコーン系流体マトリックスを含み得る。他の例において、流体マトリックスは、エポキシ流体マトリックス、ポリエステル流体マトリックス、ポリウレタン流体マトリックス、アクリル流体マトリックス、又はポリスチレン流体マトリックスのうちの1つを含み得る。
【0032】
[0046]さらに別の態様では、基材用のコーティング、シーラント又は接着剤の耐剥離性を向上させる方法が、本明細書にて開示される。本方法は、基材に塗布すると固化してコーティング、シーラント又は接着剤になる配合物を基材に塗布するステップを含み、前記配合物及びコーティング、シーラント又は接着剤が、カプセル化シリコーン系樹脂配合物を有する第1のマイクロカプセルと、カプセル化シリコーン系硬化配合物を有する第2のマイクロカプセルとを含む。そのような方法では、コーティング、シーラント又は接着剤の劣化により、第1のマイクロカプセル及び第2のマイクロカプセルが破裂し、それによって、劣化箇所においてカプセル化樹脂配合物とカプセル化硬化配合物とが混合され、コーティング、シーラント、又は接着剤の耐剥離性を向上させる。劣化は、コーティング、シーラント又は接着剤の機械的破損、引掻き傷、亀裂、切り傷、へこみ又はその他の完全性破壊のうちの1つ又は複数を含み得る。
【0033】
[0047]本方法の一例において、カプセル化シリコーン系樹脂配合物は、第1のポリジメチルシロキサン樹脂と、第1のシリコーン流体と、第1の官能化アルコキシシランと、ヒドロシリル化反応を触媒することができる触媒とをさらに含む。カプセル化シリコーン系硬化配合物は、第2のポリジメチルシロキサン樹脂と、第2のシリコーン流体と、第2の官能化アルコキシシランと、水素末端ポリジメチルシロキサン樹脂とをさらに含む。
【0034】
[0048]本方法のいくつかの例において、第1のポリジメチルシロキサン樹脂及び第2のポリジメチルシロキサン樹脂のそれぞれは、ビニル末端ポリジメチルシロキサン樹脂をそれぞれ含む。触媒は白金触媒を含み得る。第1のシリコーン流体と第2のシリコーン流体とは、いくつかの例では同じであってもよいが、他の例では異なっていてもよい。第1の官能化アルコキシシランと第2の官能化アルコキシシランとは、いくつかの例では同じであってもよいが、他の例では異なっていてもよい。ある特定の例において、第1の官能化アルコキシシラン及び第2のアルコキシシランは、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン及び3-グリシドキシプロピルトリエトキシシランからなる群から選択される。
【0035】
[0049]本方法のいくつかの例において、第1のマイクロカプセル及び第2のマイクロカプセルは、さらにポリマーシェル壁から構成される。ポリマーシェル壁は、ポリオキシメチレン尿素、ポリオキシメチレンメラミン、ポリアクリレート、ポリウレタン、ポリスチレン、及びポリ尿素のうちの1つ又は複数であり得る。いくつかの例において、第1のマイクロカプセルのポリマーシェル壁は、第2のマイクロカプセルのポリマーシェル壁と同じ化学成分から構成されてもよいが、他の例では、化学成分は、本開示の範囲から逸脱することなく異なっていてもよい。
【0036】
[0050]本方法のいくつかの例において、基材用のコーティング、シーラント又は接着剤は、シリコーン系、又はエポキシ、ポリエステル、ポリウレタン若しくはアクリルであり得る。
【0037】
[0051]シリコーンコーティングにおける性能改善
[0052]本明細書に開示されるマイクロカプセルの成分としてのシラン及びシロキサンの使用により、コア材料混合物の均質性を改善することができ、熱安定性の向上、及び典型的な塗料溶剤への溶解度の低下により、得られるカプセルの耐性を向上させることができる。得られるカプセルの耐性におけるそのような改善は、カプセル内のマイクロカプセルコア材料混合物を維持し、カプセルシェル壁の完全性を維持することに有利に寄与することがある。本明細書に開示されるマイクロカプセルの使用を含むこの自己修復技術を、市販の湿気-オキシム硬化シリコーンコーティングで評価した。詳細には、カプセルタイプA(アンパーマー(商標)1043A)及びカプセルタイプB(アンパーマー(商標)1043B)を、それぞれ以下の実施例1及び実施例2に概説されるように調製した。湿気硬化シリコーンコーティングの自己修復バージョンは、実施例5に記載されているように、コーティングに規定量のタイプA及びタイプBカプセルを重量/重量比1:1で添加することによって調製された。次いで、実施例3に記載されているように準備された冷間圧延鋼基材(CRS)に、ドローダウンバーを使用して450~500ミクロンの乾燥フィルム厚(DFT)で、得られた配合物を塗布した。次いで、コーティングされた基材に、156ミクロン及び500ミクロンの引掻き器具を使用して傷を付けた。コーティングされた基材上の異なる傷の寸法及び傷の相互関係の例証的な例は、
図2に示されている通りである。コーティングの塗布、引掻き、及び試験手順の完全な説明は、実施例5及び7に示されている。傷を付けたパネルを室温で24時間平衡化させた後、次いで塩霧(ASTM B117)に曝露した。次いで、塩霧に曝露した異なるパネルのセットを300時間及び1,000時間で評価した。
【0038】
[0053]300時間まで曝露した結果を
図3-1及び
図3-2のFIG.3A~FIG.3Eにまとめる。塩霧に300時間曝露されたサンプルについて、傷周辺の接着力損失及び腐食クリープは、標準的な市販の湿気硬化シリコーンコーティングでのみ観察された。詳細には、ASTM 1654、方法2(ASTM D1654-08(2016)e1、Standard Test Method for Evaluation of Painted or Coated Specimens Subjected to Corrosive Environments、ASTMインターナショナル、ペンシルベニア州ウェストコンショホッケン、2016年)に記載されているようにこすることにより、傷周辺のコーティングにおける接着力を評価すると、標準的な市販の湿気硬化シリコーンコーティング(対照)の傷周辺でのみ、接着力損失が観察された。このコーティングでは15mmを超える接着力損失が観察され(FIG.3A)、コーティングを除去すると、下にある基材における相当量の腐食が明らかになった(FIG.3B)。比較すると、タイプA及びタイプBカプセルを、タイプA:タイプB 1:1の比率、且つ合計濃度3重量%、6重量%及び10重量%で組み込んだ同じコーティングのバージョンでは、接着力損失は観察されなかった(FIG.3A及びFIG.3C~FIG.3E)。FIG.3Aにおいて、対照は符号305で表され、3重量%バージョンは符号310で表され、6重量%バージョンは符号315で表され、10重量%バージョンは符号320で表されている。別で同様に準備して傷を付けた異なるパネルのセットを、塩霧に1,000時間曝露した。これらのパネルの評価で得られた結果を
図4-1及び
図4-2のFIG.4A~FIG.4Eに示す。1,000時間の塩霧曝露後、対照は、両方の傷周辺における著しい接着力損失を示し、傷周辺で測定された接着力損失の程度は、300時間の塩霧曝露後の156ミクロン傷周辺における15mm(FIG.3Aを参照)から、1,000時間後の、両方の傷周辺における約25mmの接着力損失(FIG.4A)へと増加した。さらに、対照では、表面のほぼ全体に著しい腐食が示された(FIG.4B)。タイプA及びタイプBカプセルを組み込んだバージョンはすべて、対照と比較して優れた性能を示した。300時間の塩霧曝露後、カプセルを組み込んだバージョンのいずれにおいても接着力損失又は腐食クリープは観察されなかったが(FIG.3A~FIG.3Eを参照)、1,000時間の曝露後、タイプA及びタイプBカプセルを3重量%組み込んだコーティング配合物において、評価時に接着力損失及び腐食クリープが観察された(FIG.4A、500ミクロン傷)。しかし、自己修復添加剤を6重量%及び10重量%組み込んだ配合物でコーティングされた基材については、接着力損失又は腐食クリープは観察されなかった(FIG.4A及びFIG.4D~FIG.4E)。FIG.4Aにおいて、対照は符号405で表され、3重量%バージョンは符号410で表され、6重量%バージョンは符号415で表され、10重量%バージョンは符号420で表されている。これらの結果は、タイプA及びタイプBのマイクロカプセルを組み込むことにより得られる、接着力及び耐腐食性の改善の調整可能なレベルを意味する。言い換えると、より腐食性の高い環境又はより長期間の使用で必要な保護配合物の場合、より高い濃度(例えば、6重量%及び10重量%)でタイプA及びタイプBカプセルが必要な場合があるが、より穏やかな条件又はより短い期間の場合は、より低い濃度(3重量%)で十分な場合がある。
【0039】
[0054]標準的な湿気-オキシム硬化シリコーンコーティングでコーティングされたCRSパネル、並びにタイプA及びタイプBカプセルの組合せを3重量%、6重量%及び10重量%組み込んだバージョンを、電気化学インピーダンス分光法(EIS)によってさらに評価した(さらなる詳細については実施例8を参照)。評価は、200~250ミクロンの乾燥フィルム厚でコーティングされた基材で実施された。パネルは500ミクロンの引掻き器具を使用して傷を付け、EISによる評価の前に室温で48時間平衡化された。得られたインピーダンスのボードプロット、及び位相角のボードプロットを
図5A及び
図5Bにそれぞれ示す。
図5Aに示されるように、タイプA及びタイプBカプセルの組合せ(アンパーマー1043)を10重量%組み込んだ配合物は、10
4Hz未満のすべての周波数で、対照と比較して高いインピーダンスを示した。アンパーマー1043を6重量%組み込んだ配合物は、10
3Hz未満の周波数で、対照と比較して高いインピーダンスを示した。最後に、アンパーマー1043を3重量%組み込んだ配合物のインピーダンスは、すべての周波数で対照のインピーダンスとほとんど同じ値を辿り、2.5Hz未満の周波数で、対照と比較してわずかに高いインピーダンスを示した。より高い周波数でのインピーダンス特性は、一般に、傷に近いコーティングの細孔抵抗及びコーティング容量に関連している。アンパーマー1043を6重量%及び10重量%組み込んだコーティング配合物が示すインピーダンスは、マイクロカプセルの組み込み、及びコーティングが引掻きによって損傷した際にこれらのカプセルから修復剤が放出されることにより、傷に近いコーティングの細孔抵抗、及び対応するコーティングのコーティング容量における改善が得られたことを示唆する。さらに、より低い周波数でのインピーダンス特性は、コーティングされた鋼基材と、傷の中に存在する電解質溶液との境界面における二重層容量及び電荷移動抵抗と相関させることができる。このように、対照と比較して、0.1Hzにおいてアンパーマー1043マイクロカプセルを組み込んだもので観察されたインピーダンスの増加は、コーティングの傷における耐腐食性の改善に起因する可能性がある。
【0040】
[0055]
図5Bに示される位相角データは、コーティングの抵抗性及び容量性の挙動の程度を示している。
図5Bに示すように、評価されたすべてのコーティング配合物は、位相角測定において同様の傾向を示し、より高い周波数及びより低い周波数でより抵抗性の挙動が観察され、中周波数領域でより容量性の挙動が観察された。
【0041】
[0056]アンパーマー1043を組み込んだコーティング配合物について観察された接着力維持及び耐腐食性の改善の原因となる機構の特徴をさらに明らかにするために、対照でコーティングされた典型的なCRSパネル、及びアンパーマー1043を10重量%組み込んだ配合物でコーティングされたパネルの断面を、走査電子顕微鏡(SEM)によって評価した。両サンプルを比較する画像を
図6のFIG.6A~FIG.6Bに示す。対照の断面は比較的滑らかな形態を示したが(FIG.6A)、アンパーマー1043カプセルを含有するコーティングの断面には破裂したマイクロカプセルが見られる(FIG.6B)。アンパーマー1043を組み込んだ配合物の断面における破裂したマイクロカプセルの存在により、埋め込まれたカプセルから修復剤が放出されることによる耐腐食性改善の機構がさらに確認される。
【0042】
[0057]シリコーンシーラント及び接着剤の性能改善
[0058]湿気-オキシム硬化PDMSをベースとするシーラント配合物について、同様の評価を実施した。これらの評価では、ASTM C794手順に従って、
図7に示すように、清浄なCRS基材にシーラント配合物を塗布した(さらなる詳細については実施例6を参照)。第1のシリコーンシーラント層を塗布して、約500~550ミクロンの湿潤フィルムを得た(
図7A)。2枚の薄い融着強化ポリエステル繊維メッシュの1インチ×10インチストリップの端を、3インチ×5インチパネルの3インチ側に沿って0.5インチ離して湿潤フィルム上に置いた(
図7B)。最終シリコーンシーラント層を塗布して、乾燥フィルム厚の合計を1,000~1,100ミクロンとした(
図7C)。サンプルを室温で14日間硬化させた。
【0043】
[0059]評価したシーラント配合物は、自己修復添加剤を一切含まない対照、及び自己修復添加剤を3重量%、6重量%及び10重量%組み込んだバージョンを含んでいた。異なるシーラント配合物の剥離強度を、ASTM C794に従って評価した。上記
図7A~
図7Cのサンプルにおけるポリエステルメッシュの固定していない端は、180°後ろに折り返され、500ミクロンの引掻き器具を使用して、
図8に示されるように、メッシュの縁に沿ってシーラントに基材まで切り込みを入れることによって、サンプルを損傷した。3セットのサンプルを評価した。第1のセットのサンプルにおける剥離強度は、引掻き直後に評価し(本明細書では「乾燥」条件と呼ぶ)、残りの2セットのサンプルにおける剥離強度は、それぞれ500時間の塩霧曝露後(ASTM B117)、及び1,000時間の塩霧曝露後に評価した。剥離試験を開始するにあたり、剥離試験の剥離プロセスの開始を容易にするために、硬化シーラントに小さなプレカットを付けた。荷重フレームグリップの一式は、プレカットを含有する側に固定した。もう一式のグリップは、損傷した領域に対して180°後ろに折り返されたメッシュに固定した(
図8~
図9を参照)。メッシュに予負荷をかけ、メッシュの固定していない端に最も近い傷の横に隣接するように引き上げた。メッシュは、1インチの傷に沿って50mm/分の速度で後ろへ剥離した。荷重をかけられた各メッシュの剥離強度は、1インチセクションに沿った平均剥離強度として記録した。評価された配合物のタイプごとに、それぞれ2枚のポリエステルメッシュを備えた3つのパネルを試験した。
【0044】
[0060]評価されたシーラント配合物について得られた剥離強度の結果を
図10にまとめる。上記の乾燥条件は符号1005で表され、500時間の塩霧曝露条件は符号1010で表され、1,000時間の塩霧曝露条件は符号1015で表されている。分かりやすくするため、各符号は対照条件についてのみ示されているが、対照条件として示されているものと同じ条件が、同じ順序で3重量%、6重量%及び10重量%の各サンプルに適用されることが理解され得る(例えば、乾燥条件の後に500時間の塩霧条件が続き、次いで1,000時間の塩霧条件が続く)。対照シーラント配合物の場合、塩霧曝露の増加とともに剥離強度が低下することが観察された。これらの結果は、上述したコーティング評価で行われた観察結果と一致している。メッシュに隣接する基材に至る傷の形での損傷により、シーラント/基材境界面での腐食につながる塩霧の入り口が作られたと理解され得る。予想通り、シーラント/基材境界面における腐食により、シーラントの剥離強度が低下し、曝露時間が長くなると(1,000時間対500時間)、剥離強度がより大幅に低下した。剥離試験後のシーラントサンプルの評価により、塩霧曝露がない場合、対照はシリコーンシーラントの凝集破壊を示し(
図11のFIG.11A)、1,000時間の塩霧曝露後、下にあるCRSは著しく腐食し、シーラントの基材への接着力が低下した(
図12のFIG.12A)ことが確認された。ASTM B117条件に曝露されなかったアンパーマー1043を3重量%、6重量%及び10重量%組み込んだシーラント配合物(符号1005)はすべて、対照と同様の剥離強度を示し、これは、シーラント配合物へのアンパーマー1043の組み込みが、シーラントの剥離強度に悪影響を及ぼさなかったことを示唆している(
図10)。さらに、
図10にもまとめられているように、アンパーマー1043を組み込んだシーラント配合物について、剥離強度維持の改善が観察された(3重量%、6重量%及び10重量%の条件と比較した対照について、符号1010及び符号1015を参照)。アンパーマー1043を組み込んだシーラント配合物で記録された剥離強度と一致して、ASTM B117条件に曝露されなかったサンプルのセットの剥離試験後に評価された、対応するサンプルで凝集破壊が観察され(
図11のFIG.11B~FIG.11D)、加えて、ASTM B117条件に1,000時間曝露されたサンプルのいくつかでも凝集破壊が観察された(
図12のFIG.12B~FIG.12D)。後者の一連の結果により、引掻きによってシーラントに損傷を与えた場合の、損傷箇所でのアンパーマー1043を含む修復剤の放出及びその後の重合の利点が示されている。
【0045】
[0061]非金属基材上におけるアンパーマー1043を組み込んだシリコーン系シーラント又は接着剤の改善を実証するため、基材としてTPO(熱可塑性ポリオレフィン)を使用して同様の剥離強度試験片を調製した(実施例6及び実施例9を参照)。
図8に示されるように、サンプルに傷を付け、CRSサンプルについて上で説明したように、荷重フレームに向けて荷重をかけた(
図9を参照)。得られた剥離試験結果を
図13にまとめる。標準的なシーラントの場合、脱イオン水に7日間浸漬したサンプルでは、剥離強度が3.5pliから1.4pliへと60%低下した。アンパーマー1043を組み込んだサンプルでは、剥離強度の大幅な低下は見られなかった。
図13において、乾燥条件は符号1305で表され、浸漬条件は符号1310で表される。分かりやすくするため、符号は対照サンプルについてのみ示されているが、各条件は、3重量%、6重量%及び10重量%の各サンプルにも適用されることが理解され得る(対照サンプルと同様に、乾燥条件の後に浸漬条件が続く)。CRSに塗布されたシーラント配合物について行われた観察結果と一致して、TPOに塗布された対照及び3重量%シーラント配合物は、水に浸漬されなかったサンプルにおいて凝集破壊を示したが(
図14のFIG.14A~FIG.14B)、6重量%及び10重量%シーラント配合物は凝集破壊を示さなかった(
図14のFIG.14C~FIG.14D)。脱イオン水に7日間浸漬すると、アンパーマー1043を一切含まない標準的なシリコーンシーラントは、上記の
図13に記載される剥離強度の低下と一致する接着破壊を示した(
図15のFIG.15Aを参照)。同様に、浸漬後、実質的に低下を示さなかった剥離強度(
図13、3重量%~10重量%サンプル)と一致して、3重量%、6重量%及び10重量%を組み込んだシーラント配合物のバージョンはすべて、脱イオン水に7日間浸漬した後の対照に見られるように、ある程度のレベルの凝集破壊を示したが、接着破壊を示さなかった(
図15のFIG.15B~FIG.15D)。
【0046】
[0062]まとめると、これらの結果は、CRSからTPOまでの範囲に及ぶ基材上に留まるようにシリコーン系保護材料(又は他の材料)の性能を改善するという観点から、本明細書に開示されるように、シリコーン系保護材料(又は他の材料)にデュアルマイクロカプセルを組み込むことの利点を実証している。例えば、本開示のデュアルマイクロカプセルシステムを欠くそのような保護材料は、目的の用途への十分な接着力を示すことがめったにない可能性があり、損傷により破壊された場合、保護材料/基材境界面における水分の侵入及び/又は腐食と密接な関係のある接着力損失が加速されることがある。本開示のデュアルマイクロカプセルの使用は、損傷又は劣化事象後の接着を促進することがあり、これにより、基材及びその保護材料をより長く使用し続けることが可能になることがある。これにより、修繕周期が長くなり、保護材料が保護する資産の存続期間にわたってダウンタイム及び人件費が制限されるため、エンドユーザーに価値がもたらされることがある。
【0047】
[0063]塩霧曝露において、及び本明細書で論じられるような電気化学的方法を介して評価される場合、自己修復性能(劣化事象(例えば、亀裂、引掻き傷、機械的破損など)後に、下にある基材への接着力を維持する、コーティング又は保護材料の性能)は、かなりの程度まで濃度に依存することが示された。マイクロカプセルを6重量%及び10重量%組み込んだ配合物は、1,000時間の塩霧曝露後に、コーティングされたサンプルに作られた傷周辺の接着力損失を示さなかった。コーティングサンプルと比較して、少なくとも100%厚いシーラントサンプルでは、配合物に組み込まれたアンパーマー1043の3重量%~10重量%の間において濃度依存性が低かった。この観察結果は、コーティングと比較して厚いシーラントの、損傷箇所で送達可能な修復剤の量(体積又は質量)の増加によるものと思われる。例えば、マイクロカプセルの質量分率を一定(例えば、3重量%)に保ちつつ、材料(コーティング又はシーラント)の厚さを2倍(例えば、500ミクロンから1,000ミクロン)に増やすことで、損傷箇所で送達可能な修復剤の量が2倍に増加する。言い換えれば、カプセルを3重量%含有し、1,000ミクロンの厚さで塗布された配合物の損傷箇所で送達可能な修復剤の量は、カプセルを6重量%含有し、500ミクロンの厚さで塗布された配合物の損傷箇所で送達可能な修復剤の量に等しい。
【実施例】
【0048】
[0064]実施例1及び2.カプセルタイプA(実施例1)及びカプセルタイプB(実施例2)の調製
[0065]脱イオンH2O200mLを、清浄な1,000mLの容器に測って入れた。前もって調製された5重量%ポリ(エチレン-co-無水マレイン酸)(E400 EMAコポリマー)溶液50mLを容器に添加した。次いで、尿素5g、NH4Cl0.5g、及びレゾルシノール0.5g(前もって粉砕したもの)を容器に添加し、すべての成分が完全に溶解するまで溶液を混合した。溶液のpHは2.3~2.4の間であると測定され、5重量%NaOH溶液を滴下することによってpH3.5に調整した。次いで、容器をプログラム可能なホットプレート上の水浴中にセットした。ミキサーブレード又はホモジナイザーを容器に入れ、指定された速度(25ミクロンカプセルの場合2,000RPM、10ミクロンカプセルの場合6,000RPM)で溶液にせん断力を加え始めた。次いで、マイクロカプセル化するコア相(カプセルタイプA調製用のカプセルコアA、及びカプセルタイプB調製用のカプセルコアB)を添加した(異なるカプセルタイプを作製するための別々の溶液)。エマルジョンの粒径を光学顕微鏡で測定し、粒径が所望の範囲内にあることを確認した。10~15分ミリングした後、37重量%ホルムアルデヒド水溶液12.77gを容器に添加した。泡立ちを防ぐために、オクタノール10~15滴を一定間隔で添加した。ホットプレートを起動して、反応混合物の温度を1℃/分(60℃/時間)の速度で55℃に上昇させた。次いで、タイマーを4時間に設定した。反応完了後、カプセルの単離プロセスを開始する前に、反応混合物を室温まで冷却した。反応混合物を完全に洗浄して、過剰の界面活性剤及びあらゆる未反応成分を除去した。洗浄したカプセルを脱イオン水で再スラリー化し、噴霧乾燥して、乾燥粉末状のマイクロカプセルを得た。
【0049】
[0066]実施例3.金属基材の準備
[0067]80グリットのベルトサンダーを使用して4方向に研磨することによって、SSPC-SP3鋼基材を準備した。次いで、リントフリー布を使用して、基材をアセトンで洗浄した。次いで、圧縮空気を基材上に吹き付けて、残っているあらゆるほこりの粒子を除去した。SSPC-SP6及びSSPC-SP10基材は、すでにブラストされた状態で入手した。アセトン及びリントフリー布を使用して、これらの基材を簡単に洗浄した。次いで、圧縮空気を基材上に吹き付けて、残っているあらゆるほこりの粒子を除去した。
【0050】
[0068]実施例4.熱可塑性ポリオレフィン基材の準備
[0069]この作業で使用された基材は、熱可塑性ポリオレフィン(TPO)及び冷間圧延鋼(CRS)であった。TPO膜を2インチ×4インチ片にカットし、エポキシ接着剤を使用してCRSパネルに接着した。TPO表面を石鹸及び脱イオン水で洗浄し、空気乾燥させた。シリコーンシーラントを塗布する前に、2K水性エポキシプライマーをTPO表面に塗布して、乾燥フィルム厚を1~2ミルとした。
【0051】
[0070]実施例5.シリコーンコーティングの調製及び塗布
[0071]直径25μmのアンパーマー(商標)1043A及びアンパーマー(商標)1043Bを計量し、空気で満たされた小さな密封された容器内で共流動化した。得られた混合物を、全体の濃度が0、3、6及び10重量%となるように、1Kシリコーンコーティングに後添加した。パドルミキサーアタッチメントを備えた電動ドリルを使用してコーティングを混合した。マイクロカプセル濃度の増加に伴い、粘度が著しく上昇した。
【0052】
[0072]ASTM D823実践E手順に従い、ドローダウンバーを使用して、洗浄されたCRSパネルに直接コーティングを塗布した。コーティングが塗布されて、EIS試験用の8~10ミルの乾燥フィルム、接着試験用の18~20ミルの乾燥フィルムを得た。サンプルを室温で14日間硬化させた。
【0053】
[0073]実施例6.剥離試験用試験片の調製
[0074]ASTM C794手順に従い、
図7に示す一連のステップで、シーラントを洗浄されたCRS又はプライマー塗布済みのTPO(実施例4を参照)に塗布した。第1の層を塗布して、20~22ミルの湿潤フィルムを得た。2枚の薄い融着強化ポリエステル繊維メッシュの1インチ×10インチストリップの端を、パネルの3インチ側に沿って0.5インチ離してフィルム上に置いた。最終層を塗布して、40~44ミルの総厚さを得た。サンプルを室温で14日間硬化させた。
【0054】
[0075]実施例7.塩霧曝露後の引掻き及び接着力評価
[0076]ASTM D823に従って調製した各パネルを、エリクセン(Erichsen)製モデル639パネル引掻き試験機に取り付けられた156μmのヴァンラー(van Laar)引掻き器具及び500μmのシッケンズ(Sikkens)式引掻き器具を使用して損傷した。傷は長さ1インチ、間隔2インチであった。パネルを室温で2日間平衡化させた。パネルの保護されていない領域は、透明なポリエステルシーリングテープを使用してシーリングされ、次いで、300時間及び1,000時間ASTM B117試験にかけた。
【0055】
[0077]ASTM B117試験後、ASTM D823に従って調製したCRSパネルについて、ASTM D1654手順A方法2に概説される通りにして、接着力損失を評価した。パネル表面に対し垂直に且つ傷に対し平行に保持した丸いスパチュラを使用して、接着したコーティングを緩やかに除去した。スライディングキャリパーを使用して、傷に沿った6つの点から接着力損失を測定した。各条件について3つのパネルを評価した。
【0056】
[0078]実施例8.電気化学インピーダンス分光法(EIS)による評価
[0079]電気化学的特性評価は、3重量%NaCl溶液、及びVMP3マルチチャンネルポテンショスタット(米国バイオロジック(Biologic)製VMP3)での3電極電気化学的セットアップを使用して実施した。評価される、コーティングされた金属表面に、基材に固定されたゴム製のOリングでガラスシリンダーを取り付け、3重量%NaCl溶液を充填した。次いで、参照電極(標準銀/塩化銀電極)及び対極(白金線)を電解質溶液に挿入した。試験するサンプル(コーティングされた金属基材)に、作用電極を接続した。試験総面積は7cm2であった。インピーダンス測定を行う前に、システムが安定して平衡状態にあることを確認するために、開回路電位(OCP)を15分間測定した。インピーダンス測定は、10mVの正弦波電圧を印加し、周波数を0.1Hz~100kHzまで変化させることにより、OCPで実行した。コーティングされたパネルは、500μmの引掻き器で損傷し、EIS測定値を取得する前に48時間平衡化させた。
【0057】
[0080]EIS測定は、アンパーマー1043を0、3、6及び10重量%組み込んだ、傷を付けたコーティングで実施された。
【0058】
[0081]実施例9.剥離強度の評価
[0082]エリクセン製モデル639パネル引掻き試験機に取り付けられた500μmのシッケンズ式引掻き器具を使用して、ASTM C794に従って調製したパネルを損傷した。ポリエステル繊維メッシュの側面に沿って、長さ1インチの2本の平行な傷を配置した。パネルを室温で2日間平衡化させ、次いで透明なポリエステルシーリングテープを使用してシーリングした。完成したサンプルを
図8に示す。TPOパネルの半分を室温で乾燥させたままにし、残りの半分を脱イオン水に7日間浸漬した。CRSパネルを、乾燥、ASTM B117条件での500時間、及び1,000時間の3つのグループに分けた。接着剥離強度は、ASTM C794パネルで測定した。ポリエステルメッシュの固定していない端を180°後ろに折り返し、かみそりの刃を使用して、シリコーンと基材との境界面に沿って切り込みを入れた。引張試験用にセットされた荷重フレームに、パネルを固定した。グリップの一式は、新しい切り傷を含有する側に固定した。もう一式のグリップは、新しい切り傷に対して180°後ろに折り返されたメッシュに固定した。試験のセットアップを
図8~
図9に示す。メッシュに予負荷をかけ、傷が始まる点まで引き上げた。メッシュは、1インチの傷に沿って2インチ/分の速度で後ろへ剥離した。各メッシュの剥離強度は、1インチセクションに沿った平均剥離強度として記録した。それぞれ2枚のポリエステルメッシュを備えた3つのパネルについて、各状態を評価した。
【0059】
[0083]特定の実施形態について図示・説明したが、当業者であれば、同じ目的を達成するように意図された広範囲の代替及び/又は均等の実施形態又は具体化物を用いて、その範囲を逸脱することなく、図示・説明した実施形態を置換でき得ることを理解する。当業者であれば、実施形態は非常に広範囲の方法で実施され得ることを容易に理解する。本出願は、本明細書で検討した実施形態に対するいかなる翻案や変形もカバーするように意図される。従って、実施形態は、請求項及びその均等物によってのみ制限されることは明らかである。
【国際調査報告】