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2022-5344291-チアゾール-2-イル-ピラゾール-5-カルボン酸誘導体の結晶多形
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-07-29
(54)【発明の名称】1-チアゾール-2-イル-ピラゾール-5-カルボン酸誘導体の結晶多形
(51)【国際特許分類】
   C07D 417/04 20060101AFI20220722BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20220722BHJP
   A61K 31/427 20060101ALI20220722BHJP
【FI】
C07D417/04 CSP
A61P35/00
A61K31/427
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021570964
(86)(22)【出願日】2020-05-29
(85)【翻訳文提出日】2022-01-28
(86)【国際出願番号】 US2020035343
(87)【国際公開番号】W WO2020243584
(87)【国際公開日】2020-12-03
(31)【優先権主張番号】62/855,671
(32)【優先日】2019-05-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517421910
【氏名又は名称】バンタム、ファーマシューティカル、リミテッド、ライアビリティー、カンパニー
【氏名又は名称原語表記】BANTAM PHARMACEUTICAL, LLC
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100120617
【弁理士】
【氏名又は名称】浅野 真理
(74)【代理人】
【識別番号】100126099
【弁理士】
【氏名又は名称】反町 洋
(72)【発明者】
【氏名】アラン、クーパー
(72)【発明者】
【氏名】チョーチオン、ウー
(72)【発明者】
【氏名】シャンミン、コアン
【テーマコード(参考)】
4C063
4C086
【Fターム(参考)】
4C063AA01
4C063BB01
4C063CC62
4C063DD22
4C063EE01
4C086AA01
4C086AA02
4C086AA03
4C086BC82
4C086GA07
4C086GA10
4C086GA15
4C086MA01
4C086MA04
4C086ZB26
(57)【要約】
本開示は、概して、チアゾリルピラゾール誘導体の結晶多形、それらを含む医薬組成物、ならびに結晶多形およびそれらの組成物を使用する方法に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
4-(3-フルオロフェニル)-1-(5-(イソプロピルチオ)-4-(4-(トリフルオロメチル)シクロヘキサ-1-エン-1-イル)チアゾール-2-イル)-3-メチル-1H-ピラゾール-5-カルボン酸の、任意にその塩および/またはその水和物もしくは溶媒和物の形態における、結晶多形。
【請求項2】
前記多形が、4-(3-フルオロフェニル)-1-(5-(イソプロピルチオ)-4-(4-(トリフルオロメチル)シクロヘキサ-1-エン-1-イル)チアゾール-2-イル)-3-メチル-1H-ピラゾール-5-カルボン酸ベース化合物の、任意にその塩および/またはその水和物もしくは溶媒和物の形態における、多形である、請求項1に記載の結晶多形。
【請求項3】
無水物/無溶媒和物の形態における、請求項2に記載の結晶多形。
【請求項4】
前記結晶多形が、6.1、7.1、9.4、12.7、18.8、21.3、および22.3(2θ±0.1度)から選択される4つ以上(例えば、5つ以上)のピークを含むX線粉末回折(XRPD)パターンを提供することを特徴とする、請求項3に記載の結晶多形。
【請求項5】
前記結晶多形が、6.2、6.6、7.5、10.9、12.4、および13.3(2θ±0.1度)から選択される4つ以上(例えば、5つ以上)のピークを含むXRPDパターンを提供することを特徴とする、請求項3に記載の結晶多形。
【請求項6】
前記結晶多形が、6.4、9.1、14.3、16.6、18.4、20.1、および21.9(2θ±0.1度)から選択される4つ以上(例えば、5つ以上)のピークを含むXRPDパターンを提供することを特徴とする、請求項3に記載の結晶多形。
【請求項7】
4-(3-フルオロフェニル)-1-(5-(イソプロピルチオ)-4-(4-(トリフルオロメチル)シクロヘキサ-1-エン-1-イル)チアゾール-2-イル)-3-メチル-1H-ピラゾール-5-カルボン酸の水和物または溶媒和物の形態である、請求項1に記載の結晶多形。
【請求項8】
前記結晶多形が、6.4、14.4、16.2、17.5、19.1、22.8、および24.0(2θ±0.1度)から選択される4つ以上(例えば、5つ以上)のピークを含むXRPDパターンを提供することを特徴とする、請求項7に記載の結晶多形。
【請求項9】
前記結晶多形が、9.9、14.9、19.4、21.4、23.5、および24.1(2θ±0.1度)から選択される4つ以上(例えば、5つ以上)のピークを含むXRPDパターンを提供することを特徴とする、請求項7に記載の結晶多形。
【請求項10】
前記結晶多形が、5.8、11.5、14.5、17.3、20.8、および22.0(2θ±0.1度)から選択される4つ以上(例えば、5つ以上)のピークを含むXRPDパターンを提供することを特徴とする、請求項7に記載の結晶多形。
【請求項11】
前記結晶多形が、6.7、7.0、11.5、13.1、14.4、17.2、および22.1(2θ±0.1度)から選択される4つ以上(例えば、5つ以上)のピークを含むXRPDパターンを提供することを特徴とする、請求項7に記載の結晶多形。
【請求項12】
4-(3-フルオロフェニル)-1-(5-(イソプロピルチオ)-4-(4-(トリフルオロメチル)シクロヘキサ-1-エン-1-イル)チアゾール-2-イル)-3-メチル-1H-ピラゾール-5-カルボン酸カリウムの、任意にその水和物または溶媒和物の形態の結晶多形である、請求項1に記載の結晶多形。
【請求項13】
前記結晶多形が、6.4、7.1、10.2、12.2、14.2、19.0、19.4、および24.5(2θ±0.1度)から選択される4つ以上(例えば、5つ以上)のピークを含むXRPDパターンを提供することを特徴とする、請求項12に記載の結晶多形。
【請求項14】
前記結晶多形が、5.6、5.8、7.4、9.5、12.8、15.5、および19.5(2θ±0.1度)から選択される4つ以上(例えば、5つ以上)のピークを含むXRPDパターンを提供することを特徴とする、請求項12に記載の結晶多形。
【請求項15】
4-(3-フルオロフェニル)-1-(5-(イソプロピルチオ)-4-(4-(トリフルオロメチル)シクロヘキサ-1-エン-1-イル)チアゾール-2-イル)-3-メチル-1H-ピラゾール-5-カルボン酸ナトリウムの、任意にその水和物または溶媒和物の形態の結晶多形である、請求項1に記載の結晶多形。
【請求項16】
前記結晶多形が、7.0、10.4、12.2、13.1、14.0、18.8、および24.5(2θ±0.1度)から選択される4つ以上(例えば、5つ以上)のピークを含むXRPDパターンを提供することを特徴とする、請求項15に記載の結晶多形。
【請求項17】
前記結晶多形が、3.8、7.5、13.0、16.2、17.0、17.8、20.0、22.7、および23.7(2θ±0.1度)から選択される4つ以上(例えば、5つ以上)のピークを含むXRPDパターンを提供することを特徴とする、請求項15に記載の結晶多形。
【請求項18】
4-(3-フルオロフェニル)-1-(5-(イソプロピルチオ)-4-(4-(トリフルオロメチル)シクロヘキサ-1-エン-1-イル)チアゾール-2-イル)-3-メチル-1H-ピラゾール-5-カルボン酸L-アルギニンの、任意にその水和物または溶媒和物の形態の結晶多形である、請求項1に記載の結晶多形。
【請求項19】
前記結晶多形が、10.3、16.6、18.7、20.7、21.3、25.0、および28.2(2θ±0.1度)L-アルギニンから選択される4つ以上(例えば、5つ以上)のピークを含むXRPDパターンを提供することを特徴とする、請求項18に記載の結晶多形。
【請求項20】
4-(3-フルオロフェニル)-1-(5-(イソプロピルチオ)-4-(4-(トリフルオロメチル)シクロヘキサ-1-エン-1-イル)チアゾール-2-イル)-3-メチル-1H-ピラゾール-5-カルボン酸マグネシウムの、任意にその水和物または溶媒和物の形態の結晶多形である、請求項1に記載の結晶多形。
【請求項21】
前記結晶多形が、5.4、15.8、16.8、18.7、25.1、および38.2(2θ±0.1度)から選択される4つ以上(例えば、5つ以上)のピークを含むXRPDパターンを提供することを特徴とする、請求項20に記載の結晶多形。
【請求項22】
4-(3-フルオロフェニル)-1-(5-(イソプロピルチオ)-4-(4-(トリフルオロメチル)シクロヘキサ-1-エン-1-イル)チアゾール-2-イル)-3-メチル-1H-ピラゾール-5-カルボン酸尿素の、任意にその水和物または溶媒和物の形態の結晶多形である、請求項1に記載の結晶多形。
【請求項23】
前記結晶多形が、5.7、9.8、16.5、17.3、17.8、20.0、21.1、23.5、および26.1(2θ±0.1度)から選択される4つ以上(例えば、5つ以上)のピークを含むXRPDパターンを提供することを特徴とする、請求項22に記載の結晶多形。
【請求項24】
4-(3-フルオロフェニル)-1-(5-(イソプロピルチオ)-4-(4-(トリフルオロメチル)シクロヘキサ-1-エン-1-イル)チアゾール-2-イル)-3-メチル-1H-ピラゾール-5-カルボン酸L-プロリンの、任意にその水和物または溶媒和物の形態の結晶多形である、請求項1に記載の結晶多形。
【請求項25】
前記結晶多形が、7.7、7.9、11.9、15.9、17.4、19.7、および21.4(2θ±0.1度)から選択される4つ以上(例えば、5つ以上)のピークを含むXRPDパターンを提供することを特徴とする、請求項24に記載の結晶多形。
【請求項26】
4-(3-フルオロフェニル)-1-(5-(イソプロピルチオ)-4-(4-(トリフルオロメチル)シクロヘキサ-1-エン-1-イル)チアゾール-2-イル)-3-メチル-1H-ピラゾール-5-カルボン酸カリウム、
4-(3-フルオロフェニル)-1-(5-(イソプロピルチオ)-4-(4-(トリフルオロメチル)シクロヘキサ-1-エン-1-イル)チアゾール-2-イル)-3-メチル-1H-ピラゾール-5-カルボン酸ナトリウム、
4-(3-フルオロフェニル)-1-(5-(イソプロピルチオ)-4-(4-(トリフルオロメチル)シクロヘキサ-1-エン-1-イル)チアゾール-2-イル)-3-メチル-1H-ピラゾール-5-カルボン酸マグネシウム、
4-(3-フルオロフェニル)-1-(5-(イソプロピルチオ)-4-(4-(トリフルオロメチル)シクロヘキサ-1-エン-1-イル)チアゾール-2-イル)-3-メチル-1H-ピラゾール-5-カルボン酸尿素、
4-(3-フルオロフェニル)-1-(5-(イソプロピルチオ)-4-(4-(トリフルオロメチル)シクロヘキサ-1-エン-1-イル)チアゾール-2-イル)-3-メチル-1H-ピラゾール-5-カルボン酸L-アルギニン、
4-(3-フルオロフェニル)-1-(5-(イソプロピルチオ)-4-(4-(トリフルオロメチル)シクロヘキサ-1-エン-1-イル)チアゾール-2-イル)-3-メチル-1H-ピラゾール-5-カルボン酸L-プロリンから選択される、4-(3-フルオロフェニル)-1-(5-(イソプロピルチオ)-4-(4-(トリフルオロメチル)シクロヘキサ-1-エン-1-イル)チアゾール-2-イル)-3-メチル-1H-ピラゾール-5-カルボン酸、任意にその水和物または溶媒和物の形態の塩。
【請求項27】
請求項1~25のいずれかに記載の結晶多形または請求項26に記載の塩とともに、薬学的に許容される賦形剤、希釈剤、または担体を含む、医薬組成物。
【請求項28】
治療を必要とする対象において、過剰増殖性障害、例えば、がんを治療するための方法であって、有効量の、請求項1~25のいずれかに記載の結晶多形または請求項26に記載の塩を前記対象に投与することを含む、方法。
【請求項29】
がん細胞における細胞周期進行を阻害するための方法であって、前記方法が、前記がん細胞を、有効量の、請求項1~25のいずれかに記載の結晶多形または請求項26に記載の塩と接触させることを含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の参照】
【0001】
本出願は、2019年5月31日に出願された、米国特許仮出願番号第62/855671号の利益を主張し、その全体が本明細書に参照として組み込まれる。
【技術分野】
【0002】
本開示は、一般に、チアゾリルピラゾール誘導体の結晶多形、それらを含む医薬組成物、ならびに結晶多形およびそれらの組成物を使用する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
無制御の細胞増殖であるがんは、腫瘍形成、増殖、および場合によっては転移によって特徴付けられる多因子疾患である。合衆国では、本年、150万人を超える人々ががんと診断され、500,000人を超える人々ががんで死亡するであろう。全体として、3人のうち少なくとも1人が、一生のうちに何らかの形態のがんを発症することになる。200を超える病理組織学的に異なる種類のがんがあり、乳がん、大腸直腸がん、および前立腺がんが米国のすべての新規症例の半分以上を占めている。現在のがん治療法は、がんの局在および病期に応じて異なっているが、一般に、手術、全身療法、放射線療法、および化学療法が含まれる。抗がん法の開発に注がれてきた努力にもかかわらず、これらの多くは依然として、特定のがんに対しては効果的でないままである。
【0004】
がんの本質を表す無制御の細胞増殖は、細胞増殖の無秩序な制御のみならず、細胞成長および分裂を刺激するためのエネルギー代謝の対応する調整も伴う。細胞代謝のリプログラミングは、がん細胞の重要な分子ホールマークとして浮上している。好気的条件下では、正常な細胞は、サイトゾル内でグルコースを解糖を介して処理して、先ずピルビン酸にして、その後、ミトコンドリア内で二酸化炭素にし、建機的条件下では、解糖が好まれ、比較的少量のピルビン酸だけが酸素を消費するミトコンドリアに送り出される。増殖因子および栄養素が豊富にある場合、発がん性シグナル伝達過程は、増強された代謝を指向して、脂質、タンパク質および核酸などの高分子の合成の増加をもたらす。最終的な効果は、細胞成長および増殖の支援である。しかしながら、腫瘍形成中に、過酷な無酸素の栄養不足の環境が存在し、これが細胞およびその能力に代謝恒常性を維持するように対処させる。がん細胞は、それらのエネルギー代謝を解糖に主に解糖に制限することによって、それらのグルコース代謝をリプログラムし、したがってそれらのエネルギー産生をリプログラムすることができ、このことは初期の生化学者には、原始的かつ非効率的であるとみなされていた。これらの初期の説にもかかわらず、がん細胞の代謝シグネチャは、損傷したミトコンドリアに対する受動的な応答ではなく、同化成長を支援するために必要ながん遺伝子指向性代謝リプログラミングをもたらす。希少な栄養素増加およびより効率的な利用を可能にするがん遺伝子変異は、がんの治療における独自の標的を提示する。
【0005】
4-(3-フルオロフェニル)-1-(5-(イソプロピルチオ)-4-(4-(トリフルオロメチル)シクロヘキセン-1-エン-1-イル)チアゾール-2-イル)-3-メチル-1H-ピラゾール-5-カルボン酸(本明細書では化合物1として特定される)などの、特に有用なチアゾリルピラゾール化合物は、がんの治療について、国際公開第WO2018/102452号および同第WO2018/102453号に開示されている。これらの化合物は、細胞周期をG0/G1期において阻止し、それによりがん細胞のアポトーシスを誘発させることによってがん細胞に対して活性であると考えられている。これらの化合物はまた、がん細胞においてグルタチオン合成を阻害するとも考えられている。したがって、これらのチアゾリルピラゾール化合物は、がんの治療に有望である。
【0006】
それでもなお、既知の化合物の特定の結晶(形態学的または多形)形態は、創薬において重要である。例えば、いくつかの多形形態は、他の形状と比較して、向上した熱力学的安定性、溶解度、溶解などを示す場合がある。その結果として、いくつかの多形形態は、製剤化された医薬組成物において他の多形形態よりも好適であり得る。
【0007】
したがって、特に有用な抗がん化合物の改善された形態、およびチアゾリルピラゾール化合物の特に改善された形態の必要性が残っている。
【発明の概要】
【0008】
本開示の一態様は、4-(3-フルオロフェニル)-1-(5-(イソプロピルチオ)-4-(4-(トリフルオロメチル)シクロヘキサ-1-エン-1-イル)チアゾール-2-イル)-3-メチル-1H-ピラゾール-5-カルボン酸(本明細書では化合物1として特定される)の、任意にその水和物または溶媒和物の形態における、結晶多形を提供する。
【0009】
本開示の別の態様は、4-(3-フルオロフェニル)-1-(5-(イソプロピルチオ)-4-(4-(トリフルオロメチル)シクロヘキサ-1-エン-1-イル)チアゾール-2-イル)-3-メチル-1H-ピラゾール-5-カルボン酸の異なる塩の、任意に、その水和物または溶媒和物の形態における、結晶多形を提供する。この態様のある特定の実施形態では、塩は、4-(3-フルオロフェニル)-1-(5-(イソプロピルチオ)-4-(4-(トリフルオロメチル)シクロヘキサ-1-エン-1-イル)チアゾール-2-イル)-3-メチル-1H-ピラゾール-5-カルボン酸のカリウム、ナトリウム、マグネシウム、尿素、L-アルギニン、またはL-プロリン塩である。
【0010】
本開示の別の態様は、
4-(3-フルオロフェニル)-1-(5-(イソプロピルチオ)-4-(4-(トリフルオロメチル)シクロヘキサ-1-エン-1-イル)チアゾール-2-イル)-3-メチル-1H-ピラゾール-5-カルボン酸カリウム、
4-(3-フルオロフェニル)-1-(5-(イソプロピルチオ)-4-(4-(トリフルオロメチル)シクロヘキサ-1-エン-1-イル)チアゾール-2-イル)-3-メチル-1H-ピラゾール-5-カルボン酸ナトリウム、
4-(3-フルオロフェニル)-1-(5-(イソプロピルチオ)-4-(4-(トリフルオロメチル)シクロヘキサ-1-エン-1-イル)チアゾール-2-イル)-3-メチル-1H-ピラゾール-5-カルボン酸マグネシウム、
4-(3-フルオロフェニル)-1-(5-(イソプロピルチオ)-4-(4-(トリフルオロメチル)シクロヘキサ-1-エン-1-イル)チアゾール-2-イル)-3-メチル-1H-ピラゾール-5-カルボン酸尿素、
4-(3-フルオロフェニル)-1-(5-(イソプロピルチオ)-4-(4-(トリフルオロメチル)シクロヘキサ-1-エン-1-イル)チアゾール-2-イル)-3-メチル-1H-ピラゾール-5-カルボン酸L-アルギニン、
4-(3-フルオロフェニル)-1-(5-(イソプロピルチオ)-4-(4-(トリフルオロメチル)シクロヘキサ-1-エン-1-イル)チアゾール-2-イル)-3-メチル-1H-ピラゾール-5-カルボン酸L-プロリンから選択される塩、任意にその水和物または溶媒和物の形態を提供する。
【0011】
別の態様では、本開示は、本明細書に記載される結晶多形または塩を含む医薬組成物を提供する。
【0012】
別の態様では、本開示は、治療を必要とする対象において、がんなどの過剰増殖性障害を治療する方法を提供する。方法は、有効量の本明細書に記載される結晶多形または塩を対象に投与することを含む。
【0013】
別の態様では、本開示は、がんなどの過剰増殖性障害の治療で使用するための、本明細書に記載される結晶多形または塩を提供する。
【0014】
別の態様では、本開示は、本明細書に記載される結晶多形または塩の、がんなどの過剰増殖性障害の治療のための薬剤の調製のための使用を提供する。
【0015】
本開示の様々な態様のある特定の実施形態では、過剰増殖性障害は造血器がんである。本開示のある特定の代替的な実施形態では、過剰増殖性障害は固形腫瘍である。
【0016】
本開示の様々な態様の特定の実施形態では、過剰増殖性障害は、変異体KRAS遺伝子、例えば、ヘテロ接合変異体KRAS遺伝子を有するがん(例えば、結腸直腸がん、肺がん、または膵臓がんなどの固形腫瘍)である。
【0017】
本開示の別の態様は、がん細胞における細胞周期進行を阻害するための方法を提供する。方法は、がん細胞を、有効量の本明細書に記載される結晶多形または塩と接触させることを含む。ある特定のそのような実施形態では、がん細胞は、造血器がん細胞である。他のそのような実施形態では、がん細胞は、固形腫瘍(例えば、膵臓がん、肺がん、または結腸直腸がん)のがん細胞である。ある特定のそのような実施形態では、がん細胞は、ヘテロ接合変異体KRAS遺伝子を有する。細胞周期進行は、例えば、G0/G1期で阻害され得る。
【0018】
本開示の別の態様は、がん細胞のアポトーシスを誘導するための方法を提供する。方法は、がん細胞を、有効量の本明細書に記載される結晶多形または塩と接触させることを含む。ある特定のそのような実施形態では、がん細胞は、造血器がん細胞である。
【0019】
本開示の別の態様は、がん細胞の細胞傷害性効果を誘導するための方法を提供する。方法は、がん細胞を、有効量の本明細書に記載される結晶多形または塩と接触させることを含む。ある特定のそのような実施形態では、がん細胞は、造血器がん細胞である。他のそのような実施形態では、がん細胞は、固形腫瘍(例えば、膵臓がん、肺がん、または結腸直腸がん)のがん細胞である。ある特定のそのような実施形態では、がん細胞は、ヘテロ接合変異体KRAS遺伝子を有する。
【0020】
本開示の別の態様は、がん細胞におけるグルタチオン合成を阻害するための方法を提供する。方法は、がん細胞を、有効量の本明細書に記載される結晶多形または塩と接触させることを含む。ある特定のそのような実施形態では、がん細胞は、造血器がん細胞である。他のそのような実施形態では、がん細胞は、固形腫瘍(例えば、膵臓がん、肺がん、または結腸直腸がん)のがん細胞である。ある特定のそのような実施形態では、がん細胞は、ヘテロ接合変異体KRAS遺伝子を有する。
【0021】
本開示の他の態様および実施形態は、本明細書に提供される発明を実施するための形態を考慮して明らかである。
【0022】
添付の図面は、本開示の組成物および方法のさらなる理解を提供するために含められ、本明細書に組み込まれてその一部を構成する。図面は、本開示の1つ以上の実施形態を示しており、詳細な説明とともに本開示の原理および動作を説明するのに役立つ。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1A】結晶多形形態1(実施例2)についてのX線粉末回折(XRPD)パターンを示す。
図1B-1C】結晶多形形態1についての、それぞれ示差走査熱量測定(DSC)プロファイルおよび熱重量分析(TGA)を示す。
図1D】結晶多形形態1についてのフーリエ変換赤外(FTIR)スペクトルを示す。
図1E】動的蒸気収着(DVS)測定の前後の形態1を示す。
図1F】実施例1の形態1のXRPDパターンと、実施例3の結晶化後に得られた2つの結晶形態とのオーバーレイを示す。
図2】結晶多形形態2(実施例5)についてのXRPDパターンを示す。
図3A】結晶多形形態3(実施例6)についてのXRPDパターンを示す。
図3B】結晶多形形態3についてのTGAおよびDSCプロファイルを示す。
図4A】結晶多形形態4(実施例7)についてのXRPDパターンを示す。
図4B】結晶多形形態4についてのTGAおよびDSCプロファイルを示す。
図5A】結晶多形形態5(実施例8)についてのXRPDパターンを示す。
図5B】結晶多形形態5についてのTGAおよびDSCプロファイルを示す。
図5C】形態1と形態5との間の競合的実験のXRPDパターンのオーバーレイを示す。
図6A】結晶多形形態6(実施例10)についてのXRPDパターンを示す。
図6B】結晶多形形態6についてのTGAおよびDSCプロファイルを示す。
図7A】結晶多形形態7(実施例11)についてのXRPDパターンを示す。
図7B】結晶多形形態7についてのTGAおよびDSCプロファイルを示す。
図8】結晶多形形態8(実施例12)についてのXRPDパターンを示す。
図9A】結晶多形形態9(実施例13)についてのXRPDパターンを示す。
図9B】結晶多形形態9についてのTGAおよびDSCプロファイルを示す。
図10A】結晶多形形態10(実施例14)についてのXRPDパターンを示す。
図10B】結晶多形形態10についてのTGAおよびDSCプロファイルを示す。
図11A】結晶多形形態11(実施例15)についてのXRPDパターンを示す。
図11B】結晶多形形態11についてのTGAおよびDSCプロファイルを示す。
図12A】結晶多形形態12(実施例17)についてのXRPDパターンを示す。
図12B】結晶多形形態12についてのTGAおよびDSCプロファイルを示す。
図13A】結晶多形形態13(実施例19)についてのXRPDパターンを示す。
図13B】結晶多形形態13についてのTGAおよびDSCプロファイルを示す。
図14A】結晶多形形態14(実施例20)についてのXRPDパターンを示す。
図14B】結晶多形形態14についてのTGAおよびDSCプロファイルを示す。
図15A】結晶多形形態15(実施例21)についてのXRPDパターンを示す。
図15B】結晶多形形態15についてのTGAおよびDSCプロファイルを示す。
図16A】結晶多形形態16(実施例22)についてのXRPDパターンを示す。
図16B】結晶多形形態16についてのTGAおよびDSCプロファイルを示す。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明者らは、がんの治療に有用な新規の結晶多形を発見した。したがって、本開示の一態様は、4-(3-フルオロフェニル)-1-(5-(イソプロピルチオ)-4-(4-(トリフルオロメチル)シクロヘキサ-1-エン-1-イル)チアゾール-2-イル)-3-メチル-1H-ピラゾール-5-カルボン酸の、任意にその水和物または溶媒和物の形態における、新規な結晶多形を提供する。
【0025】
化合物が異なる結晶構造で存在する能力は、多形性として知られている。本明細書で使用される場合、「多形」は、同じ化学組成を有するが、結晶を形成する分子、原子、および/またはイオンの異なる空間配置を有する結晶形態を指す。多形は同じ化学組成を有するが、それらは充填および幾何学的配置が異なり、例えば、融点、形状、色、密度、硬度、変形性、安定性、溶解などの異なる物理的特性を示し得る。化合物の多形は、XRPDなどのX線回折分光法、および赤外線分光法(IR)などの他の方法によって実験室で識別することができる。さらに、同じ原薬または医薬品有効成分の多形体は、単独で投与することも、医薬品(医薬組成物)として製剤化することもでき、例えば、原薬の溶解度、安定性、流動性、扱いやすさ、圧縮性、および医薬品の安全性ならびに有効性に影響を与えることが、製薬業界で周知である(Brittain,H.(Ed.).(1999).Polymorphism in Pharmaceutical Solids.Boca Raton:CRC Press、およびHilfiker,Rolf(ed.).(2006)Polymorphism in the Pharmaceutical Industry.Weinheim,Germany:Wiley-VCHを参照されたい)。
【0026】
ある特定の実施形態では、本開示の結晶多形は、本明細書で「形態1」と称される、4-(3-フルオロフェニル)-1-(5-(イソプロピルチオ)-4-(4-(トリフルオロメチル)シクロヘキサ-1-エン-1-イル)チアゾール-2-イル)-3-メチル-1H-ピラゾール-5-カルボン酸(すなわち、遊離酸として)の新規な結晶多形である。ある特定の実施形態では、形態1の結晶多形は、無水物/無溶媒物である(すなわち、その結晶構造中に溶媒または水を含まない)。そのような結晶多形は、それが6.1、7.1、9.4、12.7、18.8、21.3および22.3(2θ±0.1度)から選択される4つ以上(例えば、5つ以上)のピークを含むXRPDパターンを提供することを特徴とすることができる。ある特定の実施形態では、結晶多形は、結晶多形が、6.1、7.1、9.4、12.7、18.8、21.3および22.3(2θ±0.1度)から選択される6つ以上(例えば、各々)のピークを含むXRPDパターンを提供すると特徴付けることができる。ある特定の実施形態では、本開示の結晶多形は、結晶多形が図1Aに示されるものに従ってXRPDパターンを提供することを特徴とする。
【0027】
ある特定の実施形態では、本明細書で形態1と称される本開示の結晶多形は、結晶多形が、123±2℃に吸熱ピークを有するDSCサーモグラムを提供することを特徴とする。ある特定の実施形態では、本開示の形態1の結晶多形は、結晶多形が図1Bに示されるものに従ってDSCサーモグラムを提供することを特徴とする。
【0028】
ある特定の実施形態では、本明細書で形態1と称される本開示の結晶多形は、結晶多形が2930(ブロード)±2cm-1、1709±2cm-1、1539±2cm-1、1359±2cm-1、1238±2cm-1、1165±2cm-1、1112±2cm-1、987±2cm-1、875±2cm-1、772.50±2cm-1、および690±2cm-1から選択される6つ以上(例えば、7つ以上、または8つ以上、または9つ以上)のピークを含むFTIRスペクトルを提供することを特徴とする。ある特定の実施形態では、結晶多形は、結晶多形が、2930(ブロード)±2cm-1、1709±2cm-1、1539±2cm-1、1359±2cm-1、1238±2cm-1、1165±2cm-1、1112±2cm-1、987±2cm-1、875±2cm-1、772.50±2cm-1、および690±2cm-1から選択される10個以上のピークを含むFTIRスペクトルを提供することを特徴とする。ある特定の実施形態では、結晶多形は、結晶多形が、ピーク:1709±2cm-1、1539±2cm-1、1359±2cm-1、1238±2cm-1、1165±2cm-1、1112±2cm-1、987±2cm-1、875±2cm-1、772.50±2cm-1、および690±2cm-1の各々を含むFTIRスペクトルを提供することを特徴とする。ある特定の実施形態では、本開示の結晶多形は、結晶多形が、図1Dに示されているものに従ってIFTIRスペクトルを提供することを特徴とする。
【0029】
ある特定の実施形態では、本開示の結晶多形は、本明細書で「形態2」と称される、4-(3-フルオロフェニル)-1-(5-(イソプロピルチオ)-4-(4-(トリフルオロメチル)シクロヘキサ-1-エン-1-イル)チアゾール-2-イル)-3-メチル-1H-ピラゾール-5-カルボン酸の新規な結晶多形である。ある特定の実施形態では、形態2の結晶多形は、無水物/無溶媒物である。そのような結晶多形は、結晶多形が、6.2、6.6、7.5、10.9、12.4、および13.3(2θ±0.1度)から選択される4つ以上(例えば、5つ以上)のピークを含むXRPDパターンを提供することを特徴とすることができる。ある特定の実施形態では、結晶多形は、結晶多形が、ピーク:6.2、6.6、7.5、10.9、12.4、および13.3(2θ±0.1度)の各々を含むXRPDパターンを提供することを特徴とする。ある特定の実施形態では、本開示の結晶多形は、結晶多形が図2に示されるものに従ってXRPDパターンを提供することを特徴とする。
【0030】
ある特定の実施形態では、本開示の結晶多形は、本明細書で「形態5」と称される、4-(3-フルオロフェニル)-1-(5-(イソプロピルチオ)-4-(4-(トリフルオロメチル)シクロヘキサ-1-エン-1-イル)チアゾール-2-イル)-3-メチル-1H-ピラゾール-5-カルボン酸の新規な結晶多形である。ある特定の実施形態では、形態5の結晶多形は、無水物/無溶媒物である。そのような結晶多形は、結晶多形が、6.4、7.1、17.7、18.8、19.3、および22.5(2θ±0.1度)から選択される4つ以上(例えば、5つ以上)のピークを含むXRPDパターンを提供することを特徴とする。ある特定の実施形態では、結晶多形は、結晶多形が、6.4、7.1、17.7、18.8、19.3、および22.5(2θ±0.1度)から選択される6つ以上(例えば、各々)のピークを含むXRPDパターンを提供することを特徴とする。ある特定の実施形態では、本開示の結晶多形は、結晶多形が図5Aに示されるものに従ってXRPDパターンを提供することを特徴とする。
【0031】
ある特定の実施形態では、本明細書で形態5と称される本開示の結晶多形は、結晶多形が、142±2℃に吸熱ピークを有するDSCサーモグラムを提供することを特徴とする。ある特定の実施形態では、本開示の結晶多形は、結晶多形が図5Bに示されるものに従ってDSCサーモグラムを提供することを特徴とする。
【0032】
ある特定の実施形態では、本開示の結晶多形は、本明細書で「形態8」と称される、4-(3-フルオロフェニル)-1-(5-(イソプロピルチオ)-4-(4-(トリフルオロメチル)シクロヘキサ-1-エン-1-イル)チアゾール-2-イル)-3-メチル-1H-ピラゾール-5-カルボン酸の新規な結晶多形である。ある特定の実施形態では、形態8の結晶多形は、無水物/無溶媒物である。そのような結晶多形は、結晶多形が、6.4、9.1、14.3、16.6、18.4、20.1、および21.9(2θ±0.1度)から選択される4つ以上(例えば、5つ以上)のピークを含むXRPDパターンを提供することを特徴とする。ある特定の実施形態では、結晶多形は、結晶多形が、ピーク:6.4、9.1、14.3、16.6、18.4、20.1、および21.9(2θ±0.1度)の各々を含むXRPDパターンを提供することを特徴とする。ある特定の実施形態では、本開示の結晶多形は、結晶多形が図8に示されるものに従ってXRPDパターンを提供することを特徴とする。
【0033】
本開示はまた、4-(3-フルオロフェニル)-1-(5-(イソプロピルチオ)-4-(4-(トリフルオロメチル)シクロヘキサ-1-エン-1-イル)チアゾール-2-イル)-3-メチル-1H-ピラゾール-5-カルボン酸(すなわち、遊離酸として)の水和物または溶媒和物の新規な結晶多形である。
【0034】
ある特定の実施形態では、本開示の結晶多形は、本明細書で「形態3」と称される、4-(3-フルオロフェニル)-1-(5-(イソプロピルチオ)-4-(4-(トリフルオロメチル)シクロヘキサ-1-エン-1-イル)チアゾール-2-イル)-3-メチル-1H-ピラゾール-5-カルボン酸(例えば、水和物または溶媒和物として)の新規な結晶多形である。そのような結晶多形は、それが、6.4、14.4、16.2、17.5、19.1、22.8、および24.0(2θ±0.1度)から選択される4つ以上(例えば、5つ以上)のピークを含むXRPDパターンを提供することを特徴とする。ある特定の実施形態では、結晶多形は、6つ以上(例えば、各々)のピーク:6.4、14.4、16.2、17.5、19.1、22.8、および24.0(2θ±0.1度)を含むXRPDパターンを提供することを特徴とする。ある特定の実施形態では、本開示の結晶多形は、結晶多形が図3Aに示されるものに従ってXRPDパターンを提供することを特徴とする。
【0035】
ある特定の実施形態では、本明細書で形態3と称される本開示の結晶多形は、結晶多形が、91±2℃および118±2℃に吸熱ピークを有するDSCサーモグラムを提供することを特徴とする。ある特定の実施形態では、本開示の結晶多形は、結晶多形が図3Bに示されるものに従ってDSCサーモグラムを提供することを特徴とする。
【0036】
ある特定の実施形態では、本開示の結晶多形は、本明細書で「形態4」と称される、4-(3-フルオロフェニル)-1-(5-(イソプロピルチオ)-4-(4-(トリフルオロメチル)シクロヘキサ-1-エン-1-イル)チアゾール-2-イル)-3-メチル-1H-ピラゾール-5-カルボン酸(例えば、水和物または溶媒和物として)の新規な結晶多形である。そのような結晶多形は、それが、9.9、14.9、19.4、21.4、23.5、および24.1(2θ±0.1度)から選択される4つ以上(例えば、5つ以上)のピークを含むXRPDパターンを提供することを特徴とする。ある特定の実施形態では、結晶多形は、結晶多形が、ピーク:9.9、14.9、19.4、21.4、23.5、および24.1(2θ±0.1度)の各々を含むXRPDパターンを提供することを特徴とする。ある特定の実施形態では、本開示の結晶多形は、結晶多形が図4Aに示されるものに従ってXRPDパターンを提供することを特徴とする。
【0037】
ある特定の実施形態では、本明細書で形態4と称される本開示の結晶多形は、結晶多形が、49±2℃および73±2℃に吸熱ピークを有するDSCサーモグラムを提供することを特徴とする。ある特定の実施形態では、本開示の結晶多形は、結晶多形が図4Bに示されるものに従ってDSCサーモグラムを提供することを特徴とする。
【0038】
ある特定の実施形態では、本開示の結晶多形は、本明細書で「形態6」と称される、4-(3-フルオロフェニル)-1-(5-(イソプロピルチオ)-4-(4-(トリフルオロメチル)シクロヘキサ-1-エン-1-イル)チアゾール-2-イル)-3-メチル-1H-ピラゾール-5-カルボン酸(例えば、水和物または溶媒和物として)の新規な結晶多形である。そのような結晶多形は、それが、5.8、11.5、14.5、17.3、20.8、および22.0(2θ±0.1度)から選択される4つ以上(例えば、5つ以上)のピークを含むXRPDパターンを提供することを特徴とする。ある特定の実施形態では、結晶多形は、結晶多形が、ピーク:5.8、11.5、14.5、17.3、20.8、および22.0(2θ±0.1度)の各々を含むXRPDパターンを提供することを特徴とする。ある特定の実施形態では、本開示の結晶多形は、結晶多形が図6Aに示されるものに従ってXRPDパターンを提供することを特徴とする。
【0039】
ある特定の実施形態では、本明細書で形態6と称される本開示の結晶多形は、結晶多形が、64±2℃および120±2℃に吸熱ピークを有するDSCサーモグラムを提供することを特徴とする。ある特定の実施形態では、本開示の結晶多形は、結晶多形が図6Bに示されるものに従ってDSCサーモグラムを提供することを特徴とする。
【0040】
ある特定の実施形態では、本開示の結晶多形は、本明細書で「形態7」と称される、4-(3-フルオロフェニル)-1-(5-(イソプロピルチオ)-4-(4-(トリフルオロメチル)シクロヘキサ-1-エン-1-イル)チアゾール-2-イル)-3-メチル-1H-ピラゾール-5-カルボン酸(例えば、水和物または溶媒和物として)の新規な結晶多形である。そのような結晶多形は、それが、6.7、7.0、11.5、13.1、14.4、17.2および22.1(2θ±0.1度)から選択される4つ以上(例えば、5つ以上)のピークを含むXRPDパターンを提供することを特徴とすることができる。ある特定の実施形態では、結晶多形は、結晶多形が、ピーク:6.7、7.0、11.5、13.1、14.4、17.2および22.1(2θ±0.1度)の各々を含むXRPDパターンを提供することを特徴とすることができる。ある特定の実施形態では、本開示の結晶多形は、結晶多形が図7Aに示されるものに従ってXRPDパターンを提供することを特徴とする。
【0041】
ある特定の実施形態では、本明細書で形態7と称される本開示の結晶多形は、結晶多形が、58±2℃および108±2℃に吸熱ピークを有するDSCサーモグラムを提供することを特徴とする。ある特定の実施形態では、本開示の結晶多形は、結晶多形が図7Bに示されるものに従ってDSCサーモグラムを提供することを特徴とする。
【0042】
本開示の別の態様は、4-(3-フルオロフェニル)-1-(5-(イソプロピルチオ)-4-(4-(トリフルオロメチル)シクロヘキサ-1-エン-1-イル)チアゾール-2-イル)-3-メチル-1H-ピラゾール-5-カルボン酸の塩、任意に、その水和物または溶媒和物の形態の結晶多形を提供する。例えば、ある特定の実施形態では、本開示は、カリウム、ナトリウム、マグネシウム、尿素、L-アルギニン、またはL-プロリン塩の結晶多形を提供する。
【0043】
本開示の結晶多形は、ある特定の実施形態では、4-(3-フルオロフェニル)-1-(5-(イソプロピルチオ)-4-(4-(トリフルオロメチル)シクロヘキサ-1-エン-1-イル)チアゾール-2-イル)-3-メチル-1H-ピラゾール-5-カルボン酸カリウムの、任意にその水和物または溶媒和物の形態の結晶多形である。
【0044】
ある特定の実施形態では、本開示の結晶多形は、本明細書で「形態9」と称される、4-(3-フルオロフェニル)-1-(5-(イソプロピルチオ)-4-(4-(トリフルオロメチル)シクロヘキサ-1-エン-1-イル)チアゾール-2-イル)-3-メチル-1H-ピラゾール-5-カルボン酸カリウムである。そのような結晶多形は、それが、6.4、7.1、10.2、12.2、14.2、19.0、19.4、および24.5(2θ±0.1度)から選択される4つ以上(例えば、5つ以上)のピークを含むXRPDパターンを提供することを特徴とする。ある特定の実施形態では、結晶多形は、結晶多形が、ピーク:6.4、7.1、10.2、12.2、14.2、19.0、19.4、および24.5(2θ±0.1度)の各々を含むXRPDパターンを提供することを特徴とする。ある特定の実施形態では、本開示の結晶多形は、結晶多形が図9Aに示されるものに従ってXRPDパターンを提供することを特徴とする。
【0045】
ある特定の実施形態では、本明細書で形態9と称される本開示の結晶多形は、結晶多形が、113±2℃に吸熱ピークを有するDSCサーモグラムを提供することを特徴とする。ある特定の実施形態では、本開示の結晶多形は、結晶多形が図9Bに示されるものに従ってDSCサーモグラムを提供することを特徴とする。
【0046】
ある特定の実施形態では、本開示の結晶多形は、本明細書で「形態10」と称される、4-(3-フルオロフェニル)-1-(5-(イソプロピルチオ)-4-(4-(トリフルオロメチル)シクロヘキサ-1-エン-1-イル)チアゾール-2-イル)-3-メチル-1H-ピラゾール-5-カルボン酸カリウム(例えば、水和物または溶媒和物として)である。そのような結晶多形は、結晶多形が、5.6、5.8、7.4、9.5、12.8、15.5、および19.5(2θ±0.1度)から選択される4つ以上(例えば、5つ以上)のピークを含むXRPDパターンを提供することを特徴とする。ある特定の実施形態では、結晶多形は、結晶多形が、ピーク:5.6、5.8、7.4、9.5、12.8、15.5、および19.5(2θ±0.1度)各々を含むXRPDパターンを提供することを特徴とする。ある特定の実施形態では、本開示の結晶多形は、結晶多形が図10Aに示されるものに従ってXRPDパターンを提供することを特徴とする。
【0047】
ある特定の実施形態では、本明細書で形態10と称される本開示の結晶多形は、結晶多形が、62±2℃および144±2℃に吸熱ピークを有するDSCサーモグラムを提供することを特徴とする。ある特定の実施形態では、本開示の結晶多形は、結晶多形が図10Bに示されるものに従ってDSCサーモグラムを提供することを特徴とする。
【0048】
本開示の結晶多形は、ある特定の実施形態では、4-(3-フルオロフェニル)-1-(5-(イソプロピルチオ)-4-(4-(トリフルオロメチル)シクロヘキサ-1-エン-1-イル)チアゾール-2-イル)-3-メチル-1H-ピラゾール-5-カルボン酸ナトリウム、任意にその水和物または溶媒和物の結晶多形である。
【0049】
ある特定の実施形態では、本開示の結晶多形は、本明細書で「形態11」と称される、4-(3-フルオロフェニル)-1-(5-(イソプロピルチオ)-4-(4-(トリフルオロメチル)シクロヘキサ-1-エン-1-イル)チアゾール-2-イル)-3-メチル-1H-ピラゾール-5-カルボン酸ナトリウムである。そのような結晶多形は、それが、7.0、10.4、12.2、13.1、14.0、18.8、および24.5(2θ±0.1度)から選択される4つ以上(例えば、5つ以上)のピークを含むXRPDパターンを提供することを特徴とする。ある特定の実施形態では、結晶多形は、結晶多形が、ピーク:7.0、10.4、12.2、13.1、14.0、18.8、および24.5(2θ±0.1度)の各々を含むXRPDパターンを提供することを特徴とする。ある特定の実施形態では、本開示の結晶多形は、結晶多形が図11Aに示されるものに従ってXRPDパターンを提供することを特徴とする。
【0050】
ある特定の実施形態では、本明細書で形態11と称される本開示の結晶多形は、結晶多形が、76±2℃に発熱ピークを有する(例えば、ブロードの)DSCサーモグラムを提供することを特徴とする。ある特定の実施形態では、本開示の結晶多形は、結晶多形が図11Bに示されるものに従ってDSCサーモグラムを提供することを特徴とする。
【0051】
ある特定の実施形態では、本開示の結晶多形は、本明細書で「形態12」と称される、4-(3-フルオロフェニル)-1-(5-(イソプロピルチオ)-4-(4-(トリフルオロメチル)シクロヘキサ-1-エン-1-イル)チアゾール-2-イル)-3-メチル-1H-ピラゾール-5-カルボン酸ナトリウムである。ある特定の実施形態では、形態12の結晶多形は、無水物/無溶媒物である。そのような結晶多形は、それが、3.8、7.5、13.0、16.2、17.0、17.8、20.0、22.7、および23.7(2θ±0.1度)から選択される4つ以上(例えば、5つ以上)のピークを含むXRPDパターンを提供することを特徴とする。ある特定の実施形態では、結晶多形は、結晶多形が、ピーク:3.8、7.5、13.0、16.2、17.0、17.8、20.0、22.7、および23.7(2θ±0.1度)の6つ以上、または7つ以上、または各々を含むXRPDパターンを提供することを特徴とする。ある特定の実施形態では、本開示の結晶多形は、結晶多形が図12Aに示されるものに従ってXRPDパターンを提供することを特徴とする。
【0052】
ある特定の実施形態では、本明細書で形態12と称される本開示の結晶多形は、結晶多形が、153±2℃に吸熱ピークを有するDSCサーモグラムを提供することを特徴とする。ある特定の実施形態では、本開示の結晶多形は、結晶多形が図12Bに示されるものに従ってDSCサーモグラムを提供することを特徴とする。
【0053】
本開示の結晶多形は、ある特定の実施形態では、4-(3-フルオロフェニル)-1-(5-(イソプロピルチオ)-4-(4-(トリフルオロメチル)シクロヘキサ-1-エン-1-イル)チアゾール-2-イル)-3-メチル-1H-ピラゾール-5-カルボン酸L-アルギニンの、任意にその水和物または溶媒和物の形態の結晶多形である。例えば、ある特定の実施形態では、4-(3-フルオロフェニル)-1-(5-(イソプロピルチオ)-4-(4-(トリフルオロメチル)シクロヘキサ-1-エン-1-イル)チアゾール-2-イル)-3-メチル-1H-ピラゾール-5-カルボン酸L-アルギニンの結晶多形は、本明細書で「形態13」と称される。ある特定の実施形態では、形態13の結晶多形は、無水物/無溶媒物である。そのような結晶多形は、それが、10.3、16.6、18.7、20.7、21.3、25.0、および28.2(2θ±0.1度)から選択される4つ以上(例えば、5つ以上)のピークを含むXRPDパターンを提供することを特徴とする。ある特定の実施形態では、結晶多形は、結晶多形が、ピーク:10.3、16.6、18.7、20.7、21.3、25.0、および28.2(2θ±0.1度)の6つ以上または各々を含むXRPDパターンを提供することを特徴とする。ある特定の実施形態では、本開示の結晶多形は、結晶多形が図13Aに示されるものに従ってXRPDパターンを提供することを特徴とする。
【0054】
ある特定の実施形態では、本明細書で形態13と称される本開示の結晶多形は、結晶多形が、231±2℃に吸熱ピークを有するDSCサーモグラムを提供することを特徴とする。ある特定の実施形態では、本開示の結晶多形は、結晶多形が図13Bに示されるものに従ってDSCサーモグラムを提供することを特徴とする。
【0055】
本開示の結晶多形は、ある特定の実施形態では、4-(3-フルオロフェニル)-1-(5-(イソプロピルチオ)-4-(4-(トリフルオロメチル)シクロヘキサ-1-エン-1-イル)チアゾール-2-イル)-3-メチル-1H-ピラゾール-5-カルボン酸マグネシウムの、任意にその水和物または溶媒和物の形態の結晶多形である。例えば、ある特定の実施形態では、4-(3-フルオロフェニル)-1-(5-(イソプロピルチオ)-4-(4-(トリフルオロメチル)シクロヘキサ-1-エン-1-イル)チアゾール-2-イル)-3-メチル-1H-ピラゾール-5-カルボン酸マグネシウムの結晶多形は、本明細書で「形態14」と称される。そのような結晶多形は、それが、5.4、15.8、16.8、18.7、25.1、および38.2(2θ±0.1度)から選択される4つ以上(例えば、5つ以上)のピークを含むXRPDパターンを提供することを特徴とする。ある特定の実施形態では、結晶多形は、それが、ピーク:5.4、15.8、16.8、18.7、25.1、および38.2(2θ±0.1度)の6つ以上、または各々を含むXRPDパターンを提供することを特徴とする。ある特定の実施形態では、本開示の結晶多形は、結晶多形が図14Aに示されるものに従ってXRPDパターンを提供することを特徴とする。
【0056】
ある特定の実施形態では、本明細書で形態14と称される本開示の結晶多形は、結晶多形が、105±2℃および137±2℃に吸熱ピークを有するDSCサーモグラムを提供することを特徴とする。ある特定の実施形態では、本開示の結晶多形は、結晶多形が図14Bに示されるものに従ってDSCサーモグラムを提供することを特徴とする。
【0057】
本開示の結晶多形は、ある特定の実施形態では、4-(3-フルオロフェニル)-1-(5-(イソプロピルチオ)-4-(4-(トリフルオロメチル)シクロヘキサ-1-エン-1-イル)チアゾール-2-イル)-3-メチル-1H-ピラゾール-5-カルボン酸尿素の、任意にその水和物または溶媒和物の形態の結晶多形である。例えば、ある特定の実施形態では、4-(3-フルオロフェニル)-1-(5-(イソプロピルチオ)-4-(4-(トリフルオロメチル)シクロヘキサ-1-エン-1-イル)チアゾール-2-イル)-3-メチル-1H-ピラゾール-5-カルボン酸尿素の結晶多形は、本明細書で「形態15」と称される。ある特定の実施形態では、形態1の結晶多形は、無水物/無溶媒物である。そのような結晶多形は、それが、5.7、9.8、16.5、17.3、17.8、20.0、21.1、23.5、および26.1(2θ±0.1度)から選択される4つ以上(例えば、5つ以上)のピークを含むXRPDパターンを提供することを特徴とする。ある特定の実施形態では、結晶多形は、結晶多形が、ピーク:5.7、9.8、16.5、17.3、17.8、20.0、21.1、23.5、および26.1(2θ±0.1度)の6つ以上、または7つ以上、または各々を含むXRPDパターンを提供することを特徴とする。ある特定の実施形態では、本開示の結晶多形は、結晶多形が図15Aに示されるものに従ってXRPDパターンを提供することを特徴とする。
【0058】
ある特定の実施形態では、本明細書で形態15と称される本開示の結晶多形は、結晶多形が、136±2℃に吸熱ピークを有するDSCサーモグラムを提供することを特徴とする。ある特定の実施形態では、本開示の結晶多形は、結晶多形が図15Bに示されるものに従ってDSCサーモグラムを提供することを特徴とする。
【0059】
本開示の結晶多形は、ある特定の実施形態では、4-(3-フルオロフェニル)-1-(5-(イソプロピルチオ)-4-(4-(トリフルオロメチル)シクロヘキサ-1-エン-1-イル)チアゾール-2-イル)-3-メチル-1H-ピラゾール-5-カルボン酸L-プロリンの、任意にその水和物または溶媒和物の形態の結晶多形である。例えば、ある特定の実施形態では、4-(3-フルオロフェニル)-1-(5-(イソプロピルチオ)-4-(4-(トリフルオロメチル)シクロヘキサ-1-エン-1-イル)チアゾール-2-イル)-3-メチル-1H-ピラゾール-5-カルボン酸L-プロリンの結晶多形は、本明細書で「形態16」と称される。そのような結晶多形は、それが、7.7、7.9、11.9、15.9、17.4、19.7、および21.4(2θ±0.1度)から選択される4つ以上(例えば、5つ以上)を含むXRPDパターンを提供することを特徴とする。ある特定の実施形態では、結晶多形は、それが、ピーク:7.7、7.9、11.9、15.9、17.4、19.7、および21.4(2θ±0.1度)の6つ以上、または各々を含むXRPDパターンを提供することを特徴とする。ある特定の実施形態では、本開示の結晶多形は、結晶多形が図16Aに示されるものに従ってXRPDパターンを提供することを特徴とする。
【0060】
ある特定の実施形態では、本明細書で形態16と称される本開示の結晶多形は、結晶多形が、168±2℃に吸熱ピークを有するDSCサーモグラムを提供することを特徴とする。ある特定の実施形態では、本開示の結晶多形は、結晶多形が図16Bに示されるものに従ってDSCサーモグラムを提供することを特徴とする。
【0061】
本開示の別の態様は、
4-(3-フルオロフェニル)-1-(5-(イソプロピルチオ)-4-(4-(トリフルオロメチル)シクロヘキサ-1-エン-1-イル)チアゾール-2-イル)-3-メチル-1H-ピラゾール-5-カルボン酸カリウム、
4-(3-フルオロフェニル)-1-(5-(イソプロピルチオ)-4-(4-(トリフルオロメチル)シクロヘキサ-1-エン-1-イル)チアゾール-2-イル)-3-メチル-1H-ピラゾール-5-カルボン酸ナトリウム、
4-(3-フルオロフェニル)-1-(5-(イソプロピルチオ)-4-(4-(トリフルオロメチル)シクロヘキサ-1-エン-1-イル)チアゾール-2-イル)-3-メチル-1H-ピラゾール-5-カルボン酸マグネシウム、
4-(3-フルオロフェニル)-1-(5-(イソプロピルチオ)-4-(4-(トリフルオロメチル)シクロヘキサ-1-エン-1-イル)チアゾール-2-イル)-3-メチル-1H-ピラゾール-5-カルボン酸尿素、
4-(3-フルオロフェニル)-1-(5-(イソプロピルチオ)-4-(4-(トリフルオロメチル)シクロヘキサ-1-エン-1-イル)チアゾール-2-イル)-3-メチル-1H-ピラゾール-5-カルボン酸L-アルギニン、
4-(3-フルオロフェニル)-1-(5-(イソプロピルチオ)-4-(4-(トリフルオロメチル)シクロヘキサ-1-エン-1-イル)チアゾール-2-イル)-3-メチル-1H-ピラゾール-5-カルボン酸L-プロリンから選択される塩、任意にその水和物または溶媒和物の形態を提供する。
【0062】
ある特定の実施形態では、4-(3-フルオロフェニル)-1-(5-(イソプロピルチオ)-4-(4-(トリフルオロメチル)シクロヘキサ-1-エン-1-イル)チアゾール-2-イル)-3-メチル-1H-ピラゾール-5-カルボン酸カリウムは、その水和物または溶媒和物の形態である。ある特定の実施形態では、4-(3-フルオロフェニル)-1-(5-(イソプロピルチオ)-4-(4-(トリフルオロメチル)シクロヘキサ-1-エン-1-イル)チアゾール-2-イル)-3-メチル-1H-ピラゾール-5-カルボン酸ナトリウムは、その水和物または溶媒和物の形態である。ある特定の実施形態では、4-(3-フルオロフェニル)-1-(5-(イソプロピルチオ)-4-(4-(トリフルオロメチル)シクロヘキサ-1-エン-1-イル)チアゾール-2-イル)-3-メチル-1H-ピラゾール-5-カルボン酸マグネシウムは、その水和物または溶媒和物の形態である。ある特定の実施形態では、4-(3-フルオロフェニル)-1-(5-(イソプロピルチオ)-4-(4-(トリフルオロメチル)シクロヘキサ-1-エン-1-イル)チアゾール-2-イル)-3-メチル-1H-ピラゾール-5-カルボン酸L-プロリンは、その水和物または溶媒和物の形態である。
【0063】
本開示の治療方法
上述したように、腫瘍形成中には、不足している栄養素の増加およびより効率的な利用を可能にする変異が好まれる。腫瘍形成性Rasは、GLUT1の発現の増強を介したグルコース取り込みと、同化経路によるグルコースの利用、および主要な細胞抗酸化物質であるグルタチオンへの変換の両方を刺激する。Rasはまた、グルタミン代謝を調節し、特にグルコースおよびグルタミン炭素を、生合成、酸化還元ホメオスタシスに、最終的には細胞の生存と増殖を支援する経路に方向付ける。細胞代謝に対するこれらの効果に加えて、Rasは細胞周期に沿った細胞の進行に影響を与えることも記載されている。具体的には、Rasは、G1期初期における、またG2期においても制限点を通過する役割を果たしているとされている。G1制限点でのRas活性は、これは、本事象が、細胞をG0期または静止期へのさらなる分裂または開始にコミットする、増殖因子シグナル伝達の重要な統合点であるため、特に重要である。Rasは、成長因子シグナル伝達を調整して、サイクリン、サイクリン依存性キナーゼ、および拮抗性サイクリン依存性キナーゼ阻害剤のレベルを調節する。Ras関連のがん遺伝子、特にKRAS(k-RasまたはV-Ki-ras2 Kirstenラット肉腫ウイルスがん遺伝子ホモログとしても知られる)も、細胞代謝に直接影響を与えることが示されている。その結果、代謝回路のグローバルな再配置される。KRASは、グルコースの利用、グルタチオン合成、酸化還元バランスおよびグルタミン代謝に対して多面的効果を有することが記されている。遍在する細胞内ペプチドであるグルタチオンは、細胞増殖の調節、解毒、抗酸化防御といった、多様な機能を有する。増加したグルタチオンレベルは、初期増殖応答(例えば、細胞を刺激して、細胞周期のG0からG1期にシフトさせる)に関連しており、細胞がS期に入るために不可欠である。グルタチオンはまた、細胞死の調節にも関与しており、おそらくは、アポトーシスと壊死の両方を調節していると思われる。加えて、グルタチオンの増加したレベルは、多くの腫瘍で報告されており、薬物および/または放射線耐性を付与し、化学療法を妨害することに関与している。したがって、グルタチオン合成の阻害剤は、ユニークな化学療法の標的になる。
【0064】
理論に束縛されることを意図しないが、本発明者らは、本明細書に記載される結晶多形または塩は、G0/G1期で細胞周期を停止させることによってがん細胞に対して活性であると考える。したがって、上記で示唆したように、本明細書に記載される結晶多形または塩は、様々な方法および使用において採用することができる。例えば、本開示のある特定の実施形態にでは、治療を必要とする対象において、過剰増殖性障害を治療するための方法は、有効量の、本明細書に記載される結晶多形または塩を対象に投与することを含む。本開示の他の実施形態では、本明細書に記載される結晶多形または塩が、過剰増殖性障害の治療に使用するために提供される。本開示の他の実施形態は、本明細書に記載される結晶多形または塩の、過剰増殖性障害の治療用の薬剤の調製のための使用を提供する。これらの実施形態の各々では、過剰増殖性障害は、例えば、がんであり得る。
【0065】
本発明者らは、ある特定の実施形態では、現在記載されている結晶多形または塩が、がん細胞における細胞周期の進行を阻害すると判定した。したがって、本開示の別の実施形態は、がん細胞において細胞周期進行を阻害するための方法を提供し、本方法は、がん細胞を、有効量の本明細書に記載される結晶多形または塩と接触させることを含む。ある特定のそのような実施形態では、細胞周期の進行は、G0/G1期で阻害される。
【0066】
G0/G1期で細胞周期の進行を阻害することは、ある特定の実施形態では、がん細胞のアポトーシスを誘導することができる。したがって、本開示の別の実施形態は、造血器がん細胞などのがん細胞においてアポトーシスを誘導するための方法を提供する。方法は、がん細胞を、有効量の本明細書に記載される結晶多形または塩と接触させることを含む。しかしながら、他の実施形態では、例えば、ある特定の固形腫瘍では、重要な治療効果が存在するためにアポトーシスが必要ではない場合もある。
【0067】
本発明者らは、本明細書に記載される結晶多形または塩が、ある特定の実施形態では、(例えば、上記のアポトーシス機構を通じて、または代替的な機構を通じて)がん細胞に対して細胞傷害性効果を誘導し得ると判定した。したがって、本開示の別の実施形態は、がん細胞に対して細胞傷害性効果を誘導するための方法を提供する。方法は、がん細胞を、有効量の本明細書に記載される結晶多形または塩と接触させることを含む。
【0068】
本発明者らは、本明細書に記載される結晶多形または塩が、ある特定の実施形態では、がん細胞においてグルタチオン合成を阻害し得ると判定した。したがって、本開示の別の実施形態は、がん細胞においてグルタチオン合成を阻害するための方法を提供する。方法は、がん細胞を、有効量の本明細書に記載される結晶多形または塩と接触させることを含む。
【0069】
本明細書で記載される方法、結晶多形または塩、および使用を、様々な異なる種類のがん、または、様々な異なる種類のがんの細胞に対して用いることができる。例えば、本明細書で別様に記載される方法、結晶多形または塩、および使用のある特定の実施形態では、がんは造血器がんである。他の実施形態では、がんは固形腫瘍である。
【0070】
本明細書で別様に記載される方法、結晶多形または塩、および使用のある特定の実施形態では、がんは、リンパ腫(例えば、バーキットリンパ腫、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、毛様細胞性リンパ腫、マントル細胞リンパ腫、T細胞リンパ腫、皮膚T細胞リンパ腫、B細胞リンパ腫、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、ダブルヒットリンパ腫、ワルデンシュトレームマクログロブリン血症、原発性中枢神経系(CNS)リンパ腫、および、血管内大細胞型Bリンパ腫(ILBCL))である。他のこのような実施形態では、がんは、白血病(例えば、急性リンパ性白血病(ALL)、急性骨髄性白血病(AML)、急性骨髄芽球性白血病、慢性リンパ性白血病(CLL)、慢性骨髄性白血病(CML)、慢性好中球白血病(CNL)、慢性骨髄単球性白血病(CMML)、侵襲性NK細胞白血病、急性多形質白血病、および真性多血症)、急性および慢性T細胞およびB細胞白血病である。他のこのような実施形態において、がんは形質細胞新生物(例えば多発性骨髄腫)である。
【0071】
しかしながら、当業者であれば、本明細書において提供する開示から、本明細書で記載される方法、結晶多形または塩、および使用を、様々な他の種類のがんで用いることができることを理解するであろう。例えば、本明細書で別様に記載される方法、結晶多形または塩、および使用のある特定の実施形態では、がんは、例えば、本明細書で別様に記載される方法、結晶多形または塩および使用のある特定の実施形態では、がんは、虫垂がん、骨がん(例えば、ユーイング肉腫、骨肉腫および悪性線維性組織球腫)、気管支腫瘍、原発性不明のがん、慢性骨髄増殖性腫瘍、結腸および直腸がん、頭頸部がん(頭頸部扁平上皮がん(HNSCC)を含む)、白血病(例えば、急性リンパ芽球性白血病(ALL)、急性骨髄性白血病(AML)、急性骨髄性白血病、慢性リンパ性白血病(CLL)、慢性骨髄性白血病(CML)、慢性好中球性白血病(CNL)、慢性骨髄性白血病(CMML)、進行性NK細胞白血病、急性二表現型白血病、および多発性細胞性白血病)、急性および慢性T細胞およびB細胞白血病)、リンパ腫(例えば、バーキットリンパ腫、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、毛細胞リンパ腫、外套膜細胞リンパ腫、T細胞リンパ腫、皮膚T細胞リンパ腫、B細胞リンパ腫、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、ダブルヒットリンパ腫、ワルデンシュトレームマクログロブリン血症、原発性中枢神経系(CNS)リンパ腫、および血管内大細胞型B細胞リンパ腫(ILBCL))、形質細胞新生物(多発性骨髄腫など)、骨髄異形成症候群、骨髄異形成/骨髄増殖性腫瘍および慢性骨髄増殖性腫瘍、膵臓がんおよび膵臓神経内分泌腫瘍(例えば、膵島細胞腫瘍)、小腸がん、軟部肉腫、ならびに扁平上皮がんから選択される。
【0072】
そして、本明細書で別様に記載される方法、結晶多形または塩、および使用の他の実施形態では、がんは、副腎皮質がん、副腎皮質がん、AIDS関連がん(例えば、カポジ肉腫、AIDS関連リンパ腫、バーキットリンパ腫など)および原発性CNSリンパ腫)、肛門がん、付属器がん、星状細胞腫(例えば、小児小脳または大脳)、胆管がん(例えば、胆管がん)、膀胱がん、骨がん(例えば、ユーイング肉腫、骨肉腫および悪性線維性組織球腫)、脳腫瘍(例、多形性神経芽細胞腫、小脳星状細胞腫、脳星状細胞腫/悪性神経膠腫、上衣腫、髄芽細胞腫、乏突起膠腫、テント上原始神経外胚葉性腫瘍、および視覚経路および視床下部神経膠腫)、脳幹神経膠腫、乳がん、気管支腫瘍、胃腸がん様腫瘍、がん様腫瘍、原発不明のがん腫、心臓(心臓)腫瘍、中枢神経系がん(例えば、非定型奇形腫/ラブドイド腫瘍、胚性腫瘍、および胚細胞腫瘍)、頸部がん、小児がん、軟骨肉腫、慢性骨髄増殖性新生物、結腸および直腸がん、頭蓋咽頭腫、線維形成性小円形細胞腫瘍、非浸潤性乳管がん(DCIS)、子宮内膜がん、表皮腫、上皮血管内皮腫(EHE)、食道がん、鼻腔神経芽細胞腫、頭蓋外胚細胞腫瘍、性腺外胚細胞腫瘍、眼がん(例えば、眼内黒色腫、網膜芽細胞腫)、ファロピウス管がん、胆嚢がん、胃(胃の)がん、胃腸間質性腫瘍(GIST)、妊娠性栄養芽細胞性疾患(GTD)、神経膠腫、毛状細胞白血病、頭頸部がん(例えば、頭頸部扁平上皮がん(HNSCC))、肝細胞(肝臓)がん、組織球症、ランゲルハンス細胞、下咽頭がん、腎臓がん、ランゲルハンス細胞組織球症、喉頭がん、喉頭がんおよび乳頭腫症、白血病(例えば、急性リンパ芽球性白血病(ALL)、急性骨髄性白血病(AML)、急性骨髄芽球白血病、慢性リンパ球性白血病(CLL)、慢性骨髄性白血病(CML)、慢性好中球性白血病(CNL)、慢性骨髄単球性白血病(CMML)、侵襲性NK細胞白血病、急性二表現型白血病、および多発性赤血球血症)、急性および慢性T-細胞およびB細胞白血病)、唇および口腔がん、肝臓がん、肺がん(例えば、小細胞肺がん、非小細胞肺がん(NSCLC)、肺腺がん、肺がん、および肺扁平上皮がん)、肺がん様腫瘍、リンパ腫(例えば、バーキットリンパ腫、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、毛状細胞リンパ腫、マントル細胞リンパ腫、T細胞リンパ腫、皮膚T細胞リンパ腫、B細胞リンパ腫、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、ダブルヒットリンパ腫、ワルデンシュトレームマクログロブリン血症、原発性中枢神経システム(CNS)リンパ腫、および血管内大細胞型B細胞リンパ腫(ILBCL))、男性乳がん、髄膜腫、中皮腫、NUT遺伝子を含む正中線管がん、口腔がん、多発性内分泌腫瘍症候群、形質細胞新生物(例えば、多発性骨髄腫)、真菌症、骨髄異形成症候群、骨髄異形成/骨髄増殖性新生物および慢性骨髄増殖性新生物、鼻腔および副鼻腔がん、鼻咽頭がん(NPC)、神経芽細胞腫、口腔がん、唇および口腔がんおよび口腔咽頭がん、卵巣がん、膵臓がんおよび膵臓神経内分泌腫瘍(例えば、膵島細胞腫瘍)、傍神経節腫、副甲状腺がん、陰茎がん、咽頭がん、フェオクロモサイトーマ、下垂体腫瘍、胸膜肺芽細胞腫、原発性腹膜がん、前立腺がん、網膜芽細胞腫、横紋筋肉腫、唾液腺がん、セザリー症候群、皮膚がん(例えば、基底細胞がんおよび扁平上皮がん、メルケル細胞がん、および黒色腫)、小腸がん、軟組織肉腫、扁平上皮がん、胃(胃の)がん、精巣がん、喉がん、胸腺がんおよび胸腺がん、甲状腺がん、腎骨盤および尿管の移行細胞がん、尿道がん、子宮がんおよび子宮肉腫、膣がん、血管腫瘍、外陰部がん、ならびにウィルムス腫瘍から選択される。
【0073】
例えば、本明細書で別様に記載される方法、結晶多形または塩、および使用のいくつかの特定の実施形態では、がんは固形腫瘍である。固形腫瘍は様々な実施形態におけるもの、例えば肺がん、結腸直腸がん、または膵がんであることができる。
【0074】
本明細書で別様に記載される方法、結晶多形または塩、および使用のある特定の実施形態では、がんはびまん性大細胞型B細胞リンパ腫である。
【0075】
KRAS変異は、膵臓がんの>90%で、結腸がんの50%で、および肺腺がんの25%で見出されている。したがって、本明細書で別様に記載される方法、結晶多形または塩、および使用のある特定の実施形態では、がんは変異体KRAS遺伝子、例えば、ヘテロ接合変異体を有する。
【0076】
当業者であれば、現在の当業者の状況を考慮して、本開示に基づいて、本明細書に記載される結晶多形体または塩の有効量および投与量を決定するであろう。
【0077】
本明細書で使用する場合、用語「細胞」とは、インビトロ、エクスビボ、またはインビボの細胞を指すことを意味する。いくつかの実施形態において、エクスビボ細胞は、哺乳類などの生命体から切除した組織サンプルの一部であることができる。いくつかの実施形態において、インビトロ細胞は、細胞培養液中の細胞であることができる。いくつかの実施形態において、インビボ細胞は、哺乳類などの生命体に生息する細胞である。
【0078】
本明細書で使用する場合、用語「個体」、「患者」、または「対象」は同じ意味で用いられ、哺乳類、好ましくはマウス、ラット、他の齧歯類、ウサギ、イヌ、ネコ、ブタ、ウシ、ヒツジ、ウマ、または霊長類、そして最も好ましくはヒトを含む、任意の動物を意味する。
【0079】
本明細書で使用する場合、語句「治療に有効な量」または「有効量」とは、研究者、獣医、医師、または他の臨床医により、組織、系、動物、個体、またはヒトにて求められている生物学的または医学的応答を誘発する、活性結晶多形の量を意味する。
【0080】
ある特定の実施形態では、有効量は、
(i)疾患の進行を阻害するために、
(ii)予防的使用に、例えば、疾患、状態、または障害を予め診断されている、または別様においてそのリスクがあり得るが、その疾患の病状または全症候をまだ経験していない、または示していない個体における、疾患、状態、または障害を予防もしくはその発症を制限するために、
(iii)疾患を阻害するために、例えば、病気、状態、または疾患の病状もしくは全症候を経験している、または示している個体における、病気、状態、または疾患の阻害;
(iv)参照した疾患を緩和するために、例えば、疾患の重症度の低下といった、疾患、状態、または障害の病状もしくは全症候を経験している、または示している個体における、疾患、状態、または障害を緩和する(すなわち、病状および/または全症候を逆転する)ために、または
(v)参照した生物学的効果を引き出すために好適な量であり得る。
【0081】
本明細書で使用する場合、用語「治療」および「治療すること」は、(i)例えば病気またはその症状の重症度の低下、または疾患の進行の阻害といった、疾患、状態、または障害の病状または全症候を経験している、または示している個体における、疾患、状態、または障害の緩和(すなわち、病状および/または全症候の逆転または改善)などの、参照した疾患、状態、または障害(もしくはその症状)を緩和すること、または(ii)参照した生物学的効果(例えばアポトーシスの誘導、またはグルタチオン合成の阻害)の誘発を意味する。
医薬組成物および剤形
【0082】
本明細書に記載される結晶多形または塩は、医薬組成物の形態で有用に提供することができる。そのような組成物は、本明細書に記載の前述の態様または実施形態のうちのいずれか1つによる多形とともに、薬学的に許容される賦形剤、希釈剤、または担体を含む。医薬組成物は、例えば、錠剤、カプセル、または非経口製剤の形態であり得るが、当業者は、結晶多形が多種多様な医薬組成物で提供され得ることを理解するであろう。
【0083】
本開示の結晶多形または塩は、例えば、1種以上の薬学的に許容される担体、希釈剤、または賦形剤を含有する投薬単位形態で、経口、局所、非経口、吸入もしくはスプレーにより、または直腸投与されることができる。本明細書で使用する場合、用語「非経口」は、経皮、皮下、血管内(例えば静脈内)、筋肉内、または髄腔内注射または注入技術などを含む。本開示の結晶多形を含む薬剤は、本明細書に記載される任意の適切な製剤および剤形で提供することができる。
【0084】
医薬組成物は、本明細書にて開示する結晶多形または塩を使用して作製することができる。例えば、一実施形態において、医薬組成物は、薬学的に許容される担体、希釈剤または賦形剤、および、構造式のいずれか1つを参照して上述した結晶多形を含む。
【0085】
本明細書にて開示した医薬組成物において、本開示の1つ以上の結晶多形または塩は、1つ以上の薬学的に許容される担体、希釈剤または賦形剤、および所望する場合、その他の有効成分と会合して存在することができる。本開示の結晶多形または塩を含有する医薬組成物は、例えば錠剤、トローチ剤、ロゼンジ、水性もしくは油性懸濁液、分散性粉末もしくは顆粒、エマルション、ハードもしくはソフトカプセル、またはシロップ剤もしくはエリキシル剤として、経口使用に好適な形態で存在することができる。
【0086】
経口使用を意図する組成物は、医薬組成物を製造するための任意の好適な方法に従い調製することができ、そのような組成物は、薬学的に上品かつ口に合う調製物を提供するために、甘味剤、香料添加剤、着色剤、および保存剤からなる群から選択される1種以上の剤を含有することができる。錠剤は、錠剤の製造に好適な無毒性の、薬学的に許容される賦形剤との混合体となった有効成分を含有する。これらの賦形剤は例えば、不活性希釈剤、例えば炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、ラクトース、リン酸カルシウム、またはリン酸ナトリウム;顆粒化および崩壊剤、例えばコーンスターチまたはアルギン酸;結着剤、例えばデンプン、ゼラチン、またはアカシア、および、潤滑剤、例えばステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、またはタルクであることができる。錠剤はコーティングされていなくてよい、または、既知の技術によりコーティングされてよい。場合によっては、そのようなコーティングは、胃腸管での崩壊および吸収を遅らせる好適な技術により調製することができ、これによって、より長い時間にわたり維持される作用を提供することができる。例えば、グリセリルモノステアレートまたはグリセリルジステアレートなどの時間遅延材料を用いることができる。
【0087】
経口使用のための製剤は、活性成分が不活性な固体希釈剤、例えば炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、もしくはカオリンと混合されるハードゼラチンカプセルとしても提示することができ、または、活性成分が水もしくは油媒体、例えばピーナッツオイル、流動パラフィン、またはオリーブ油と混合されるソフトゼラチンカプセルとして提示することができる。
【0088】
経口使用のための製剤は、ロゼンジとしても提示することができる。
【0089】
水性懸濁液は、水性懸濁液の製造に好適な賦形剤との混合体となった活性材料を含有する。このような賦形剤は、懸濁化剤、例えばカルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロプロピルメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルピロリドン、トラガカントゴム、およびアラビアゴム;分散剤または湿潤剤、例えば自然に存在するリン脂質、ホスファチド、例えばレシチン、またはアルキレンオキシドの脂肪酸との縮合生成物、例えばポリオキシエチレンステアレート、または、エチレンオキシドの、長鎖脂肪族アルコールとの縮合生成物、例えばヘプタデカエチレンオキシセタノール、または、エチレンオキシドの、脂肪酸およびヘキシトールに由来する部分エステルとの縮合生成物、例えばポリオキシエチレンソルビトールモノオレエート、または、エチレンオキシドの、脂肪酸およびヘキシトール無水物に由来する部分エステルとの縮合生成物、例えばポリエチレンソルビタンモノオレエートであることができる。水性懸濁液は、1種以上の防腐剤、例えばエチルまたはn-プロピルp-ヒドロキシベンゾエート、1種以上の着色剤、1種以上の香料添加剤、および、1種以上の甘味剤、例えばスクロースまたはサッカリンもまた含有することができる。
【0090】
油性懸濁液は、有効成分を植物油、例えば落花生油、オリーブ油、ゴマ油、もしくはココナッツ油、または流動パラフィンなどの鉱油に懸濁させることにより製剤化することができる。油性懸濁液は増粘剤、例えば蜜蝋、ハードパラフィン、またはセチルアルコールを含有することができる。甘味剤および香料添加剤を添加して、味の良い経口調製物を提供することができる。これらの組成物は、アスコルビン酸などの抗酸化剤を添加することにより保存されることができる。
【0091】
水を添加することにより水性懸濁液を調製するのに好適な、分散性粉末および顆粒は、分散剤または湿潤剤、懸濁化剤、および1種以上の防腐剤との混合体の有効成分を提供する。好適な分散剤または湿潤剤または沈殿防止剤は、上で既に言及したものにより例示される。追加の賦形剤、例えば甘味剤、香料添加剤、および着色剤もまた、存在することができる。
【0092】
医薬組成物もまた、水中油型エマルションの形態であることができる。油相は植物油もしくは鉱油、またはこれらの混合物であることができる。好適な乳化剤は、自然に存在するガム、例えばアラビアゴムまたはトラガカントゴム、自然に存在するリン脂質、例えば大豆まめ、レシチン、ならびに、脂肪酸およびヘキシトールに由来するエステルまたは部分エステル、無水物、例えばソルビタンモノオレエート、ならびに、上記部分エステルと、エチレンオキシドとの縮合生成物、例えばポリオキシエチレンソルビタンモノオレエートであることができる。エマルションは、甘味剤および香料添加剤もまた含有することができる。
【0093】
いくつかの実施形態において、薬学的に許容される担体、希釈剤、または賦形剤は水ではない。その他の実施形態において、水は組成物の50%未満を占める。いくつかの実施形態において、50%未満の水を含む組成物は、少なくとも1%、2%、3%、4%、または5%の水を有する。その他の実施形態において、含水量は、組成物中に微量で存在する。
【0094】
いくつかの実施形態において、薬学的に許容される担体、希釈剤、または賦形剤はアルコールではない。その他の実施形態において、アルコールは組成物の50%未満を占める。いくつかの実施形態において、50%未満のアルコールを含む組成物は、少なくとも1%、2%、3%、4%、または5%のアルコールを有する。その他の実施形態において、アルコール含量は、組成物中に微量で存在する。
【0095】
シロップ剤およびエリキシル剤を、甘味剤、例えばグリセロール、プロピレングリコール、ソルビトール、グルコース、またはスクロースとともに製剤化することができる。このような製剤は、粘滑剤、防腐剤、風味添加剤、および着色剤もまた含有することができる。医薬組成物は無菌注射可能な水性または油性懸濁液の形態であることができる。この懸濁液を、上述した、好適な分散剤または湿潤剤、および沈殿防止剤を使用する当該技術に従い製剤化することができる。無菌注射可能な調製物は、例えば1,3-ブタンジオールでの溶液としての、無毒性の全身で許容される希釈剤または溶媒中での、無菌注射可能な溶液または懸濁液であることもまた可能である。使用可能な許容されるビヒクルおよび溶媒には、水、リンゲル液、および等張性塩化ナトリウム溶液がある。加えて、無菌の不揮発性油を溶媒または懸濁媒として使用することができる。この目的のために、合成モノグリセリドまたは合成ジグリセリドを含む任意の無刺激性の不揮発性油を用いることができる。さらに、オレイン酸などの脂肪酸が注射液の調製において用途を見出される。
【0096】
本開示の結晶多形または塩は、例えば薬剤の直腸投与のために、座薬の形態で投与されることもまた可能である。これらの組成物は、結晶多形を、常温で固体であるが、直腸温では液体であるが故に、直腸内で溶解して薬剤を放出する、好適な非刺激性賦形剤と混合することにより調製することができる。そのような材料としては、カカオバターおよびポリエチレングリコールが挙げられる。
【0097】
本開示の結晶多形または塩は、滅菌媒体中で全身投与することもまた可能である。薬剤は、使用するビヒクルおよび濃度に応じて、ビヒクルに懸濁することができるか、または溶解することができるかのいずれかである。有利には、局所麻酔薬、防腐剤、および緩衝剤などのアジュバントをビヒクルに溶解することができる。
【0098】
組成物は、有効成分の単位用量剤形に製剤化することができる。用語「単位用量剤形」とは、各単位が、好適な薬学賦形剤と会合して所望の治療効果を生み出すように計算された、所定の量の活性物質を含有する、ヒト対象および他の哺乳類のための一体型用量として好適な、物理的に個別となった単位を意味する。
【0099】
活性結晶多形は幅広い用量範囲にまたがり効果的であることができ、一般的に、薬学的に有効な量で投与される。しかし、実際に投与される結晶多形の量は通常、治療される状態、選択した投与経路、投与される実際の結晶多形、個体患者の年齢、体重、および応答、患者の症状の重症度などを含む、関連する状況に従い、医師により決定されることが理解されるであろう。
【0100】
錠剤などの固体組成物を調製するために、主な有効成分を薬学的賦形剤と混合し、本明細書で記載される結晶多形の均一混合物を含有する、固体予製剤組成物を形成する。これらの予製剤組成物を均質と呼ぶ場合、有効成分は典型的には、組成物を通して均一に分散し、組成物が、錠剤、丸薬、およびカプセルなどの等しく効果的な単位用量剤形に速やかに細分化することができるようになる。この固体予製剤を次に、例えば、本明細書で記載される結晶多形の、0.1~約500mgの有効成分を含有する、上述した種類の単位用量剤形に細分化する。
【0101】
錠剤または丸薬をコーティングして、または別様において調合して、作用が長引く利点が得られる用量剤形をもたらすことができる。例えば、錠剤またはピル、経口避妊薬は、内部投与成分および外部投与成分を含むことができ、後者は、前者を覆うエンベロープの形態である。2つの構成成分は1つの腸溶性層により分離することができ、この層は、胃の中での崩壊に耐える役割を果たし、内部構成要素が無傷で十二指腸まで通過するか、または放出が遅れるようにすることができる。種々の材料をこのような腸溶性層またはコーティングに使用することができ、このような材料としては、このような材料を含む多数の高分子酸、および高分子酸の混合物、例えばセラック塗料、セチルアルコール、および酢酸セルロースが挙げられる。
【0102】
患者に投与される結晶多形または組成物の量は、投与されているもの、予防または治療といった、投与の目的、患者の状態、投与方法などに応じて変化する。治療用途において、組成物を、既に病気を患う患者に、病気、およびその合併症の症状を治癒する、または少なくとも部分的に停止させるのに十分な量で投与することができる。有効用量は治療されている病状、ならびに、病気の重症度、患者の年齢、体重、および全身状態などの因子に応じた、付き添っている臨床医の判断により左右される。
【0103】
患者に投与される組成物は、上記の医薬組成物の形態であることができる。これらの組成物は、従来の滅菌技術によって滅菌することができる、または滅菌濾過することができる。水溶液は、そのまま使用するために包装するか、または凍結乾燥することができ、凍結乾燥された調製物は、投与前に滅菌水性担体と組み合わされる。結晶多形調製のpHは典型的には3~11、より好ましくは5~9、および最も好ましくは7~8である。特定の前述の賦形剤、担体、または安定剤を用いることで、薬学的塩の形成がもたらされることが理解されよう。
【0104】
結晶多形または塩の治療用量は、例えば、治療がなされる具体的な使用、結晶多形の投与方法、患者の健康および状態、ならびに、処方する医師の判断に応じて変化することができる。医薬組成物中での、本明細書で記載される結晶多形の比率または濃度は、用量、化学的性質(例えば疎水性)、および投与経路を含む多数の因子に応じて、変化することができる。例えば、本明細書で記載される結晶多形または塩は、非経口的投与のために、約0.1~約10%(重量/体積)の結晶多形を含有する水性生理学緩衝溶液にて提供することができる。いくつかの典型的な用量範囲は、1日当たり、約1μg/体重1kg~約1g/体重1kgである。いくつかの実施形態において、用量範囲は、1日当たり、約0.01mg/体重1kg~約100mg/体重1kgである。用量は、病気または疾患の種類および進行の程度、特定の患者の全体的な健康状態、選択した結晶多形の相対的な生物学的有効性、賦形剤の製剤、およびその投与経路などの変数に左右される可能性が高い。有効量は、インビトロまたは動物モデル試験系に由来する用量-反応曲線から外挿することができる。
【0105】
本明細書で記載される結晶多形は、抗ウイルス剤、ワクチン、抗体、免疫増強剤、免疫抑制剤、抗炎症作用剤などの、任意の医薬品を含むことができる、1つ以上の追加の有効成分と組み合わせて製剤化することもまた可能である。
【0106】
当業者であれば、本明細書の医薬製剤に記載される結晶多形または塩を製剤化するであろう。例えば、結晶多形の物理化学的特性、薬学的に有効な量に必要な結晶多形または塩の量、および所望の投与経路に基づく。
【実施例
【0107】
本開示の結晶多形または塩の調製は、以下の実施例によってさらに例示されるが、これらは、範囲または趣旨において本開示を特定の手順およびそれらに記載される結晶多形または塩に限定するものとして解釈されるべきではない。
【0108】
実施例1:4-(3-フルオロフェニル)-1-(5-(イソプロピルチオ)-4-(4-(トリフルオロメチル)シクロヘキセン-1-エン-1-イル)チアゾール-2-イル)-3-メチル-1H-ピラゾール-5-カルボン酸(化合物1)の調製
化合物1は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、国際特許出願公開第WO2018/102453号に化合物番号5として記載されている。
【0109】
3-(2-ブロモ-5-クロロフェノキシ)オキセタン
ジアゾカルボン酸ジイソプロピル(292mg、1.45mmol)を、THF(4.2mL)中の2-ブロモ-5-クロロフェノール(200mg、0.964mmol)、オキセタン-3-オール(89mg、1.2mmol)、およびトリフェニルホスフィン(379mg、1.45mmol)の溶液に添加した。反応混合物を室温で18時間撹拌した。酢酸エチルを添加し、混合物を1NのNaOH(3×)で洗浄した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で蒸発させた。粗生成物を、ヘキサン中の酢酸エチルの溶液(10%)を使用するシリカゲル上でのフラッシュクロマトグラフィーによって精製して、表題化合物(208mg、0.789mmol、82%)を得た。
【0110】
2-(4-クロロ-2-(オキセタン-3-イルオキシ)フェニル)-4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン
脱気したジオキサンを、3-(2-ブロモ-5-クロロフェノキシ)オキセタン(100mg、0.379mmol)、ピナコールジボラン(116mg、0.455mmol)、[1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]二塩化パラジウム(II)(28mg、0.038mmol)、および酢酸カリウム(112mg、1.14mmol)の混合物に添加した。反応混合物を、85Cに18時間加熱した。混合物をセライト上で濾過し、パッドをジオキサンで洗浄した。濾液を蒸発させて、表題化合物(219mg、186%、NMR分析からの50w/w%)を得て、これをそのまま使用した。
【0111】
2-クロロ-5-(イソプロピルチオ)チアゾール
ヘキサン中のn-BuLiの2.5M溶液(20.5mL、51.2mmol)を、2-クロロチアゾール(4.9g、41.0mmol)のTHF溶液(117mL)に-78Cで添加した。反応混合物を同じ温度で30分間撹拌した。ジイソプロピルジスルフィド(13.1mL、82.0mmol)を反応物に添加し、同じ温度で1.5時間撹拌した。水を添加して反応をクエンチし、次いでEtOを添加した。反応混合物を分液漏斗に移し、水層をEtO(3×)で抽出した。合わせた有機層を、NaSO上で乾燥させ、真空下で濃縮した。粗生成物を、ヘキサン中のEtOAcの溶液(0~5%勾配)を使用するシリカゲル上でのフラッシュクロマトグラフィー(乾式充填)によって精製し、表題化合物(2.31g、11.9mmol、29%)を黄色液状物として得た。
【0112】
4-ブロモ-2-クロロ-5-(イソプロピルチオ)チアゾール
ジクロロメタン(「DCM」)中の臭素の2M溶液(72.7μL、1.42mmol)を、DCM中の2-クロロ-5-(イソプロピルチオ)チアゾール(250mg、1.29mmol)の溶液に滴加した。反応物を、室温で3時間攪拌した。A solution of NaSO溶液を添加し、水層をDCM(3×)で抽出した。合わせた有機層を、ブラインで洗浄し、NaSO上で乾燥させ、真空下で濃縮した。粗生成物を、ヘキサン中のDCMの溶液(50~100%の勾配)を使用するシリカゲル上でのフラッシュクロマトグラフィー(乾式充填)によって精製し、表題化合物(271mg、0.99mmol、77%)を黄色液状物として得た。
【0113】
4-ブロモ-2-ヒドラジニル-5-(イソプロピルチオ)チアゾール
DIPEA(64μL、0.37mmol)を、ガラスマイクロ波バイアルのNMP(2mL)中のヒドラジン塩酸塩(13.0mg、0.18mmol)および4-ブロモ-2-クロロ-5-(イソプロピルチオ)チアゾール(50.0mg、0.18mmol)に添加した。バイアルを密封し、マイクロ波放射で150Cに1時間加熱した。粗生成物を逆フラッシュクロマトグラフィー(C18、10mMのNHCOH緩衝液を有するHO中の0~40~70%のMeCNの勾配を使用)で精製し、EtOで抽出子、真空下で濃縮した後、表題化合物29.0mg、0.11mmol、59%)を黄色固形物として得た。
【0114】
2-(メトキシイミノ)-3-(2-ニトロベンジル)-4-オキソペンタン酸メチル
アセトピルビン酸メチル(1.0g、6.94mmol)、塩酸メトキシヒドロキシルアミン(0.58g、6.94mmol)、およびモレキュラーシーブ(2.5g)を、窒素入口を備えた火炎乾燥した丸底フラスコに入れた。乾燥DMF(23mL)を添加し、丸底フラスコをホイルで覆い、室温で一晩撹拌した。反応混合物をEtOAc(150mL)で希釈し、有機相を水(3×50mL)およびブライン(1×50mL)で洗浄し、NaSOで乾燥させ、濾過し、真空下で濃縮して、表題化合物(1.07g、6.16mmol、89%)を赤色液状物として得た。
【0115】
1-(4-ブロモ-5-(イソプロピルチオ)チアゾール-2-イル)-3-メチル-1H-ピラゾール-5-カルボン酸メチル
メチル2-(メトキシイミノ)-3-(2-ニトロベンジル)-4-オキソペンタノエート(4.00g、23.1mmol)をMeOH(115mL)に溶解した。4-ブロモ-2-ヒドラジニル-5-(イソプロピルチオ)チアゾール(6.19g、23.1mmol)を添加し、次いで、12NのHCl(7.70mL、92.4mmol)を反応混合物に滴加した。反応混合物を、一晩加熱還流させた。粗生成物を真空下で濃縮し、ヘキサン中のEtOAcの溶液(5~20%勾配)を使用するシリカゲルでのフラッシュクロマトグラフィー(乾式充填)によって精製し、ヘキサン中のDCMの溶液(10~50%勾配)を使用するシリカゲル上でのフラッシュクロマトグラフィー(乾式充填)によって2回精製し、表題化合物(1.89g、5.02mmol、22%)を橙色油状物として得た。
【0116】
4-ブロモ-1-(4-ブロモ-5-(イソプロピルチオ)チアゾール-2-イル)-3-メチル-1H-ピラゾール-5-カルボン酸メチル
MeCN中の臭素の2M溶液(3.32mL、6.64mmol)を、DCM/MeCN(7mL、1:1)の溶液中のメチル1-(4-ブロモ-5-(イソプロピルチオ)チアゾール-2-イル)-3-メチル-1H-ピラゾール-5-カルボン酸塩(500mg、1.33mmol)の溶液に滴加した。反応物を、室温で5時間攪拌した。NaSO溶液を添加し、水層をEtO(3×)で抽出した。合わせた有機層を、ブラインで洗浄し、NaSO上で乾燥させ、真空下で濃縮した。粗生成物を、ヘキサン中のDCMの溶液(20%)を使用するシリカゲル上でのフラッシュクロマトグラフィーによって精製し、表題化合物(421mg、0.93mmol、70%)を橙色固形物として得た。
【0117】
4-ブロモ-1-(5-(イソプロピルチオ)-4-(4-(トリフルオロメチル)シクロヘキセン-1-エン-1-イル)チアゾール-2-イル)-3-メチル-1H-ピラゾール-5-カルボン酸メチル
磁気攪拌棒および室温での窒素流を備えた5mLのガラスマイクロ波バイアルに、メチル4-ブロモ-1-(4-ブロモ-5-(イソプロピルチオ)チアゾール-2-イル)-3-メチル-1H-ピラゾール-5-カルボキシレート(100mg、0.220mmol)、4,4,5,5-テトラメチル-2-(4-(トリフルオロメチル)シクロヘキセン-1-エン-1-イル)-1,3,2-ジオキサボロラン(51.6mg、0.187mmol)、およびKCO152mg、1.10mmol)を入れ窒素および真空サイクルを実行した(2×)。窒素ガスをTHF(2mL)の溶液を通じて泡立て、次いで、溶液をマイクロ波バイアルに添加し、続いて触媒Pd(dtbpf)Cl(14.3mg、0.022mmol)を添加した。バイアルに蓋をして、90℃の油浴に16時間入れた。溶媒を真空下で蒸発させ、粗生成物を、ヘキサン中のEtOAcの溶液(0~10%勾配)を使用するシリカゲル上でのフラッシュクロマトグラフィー(乾式充填)によって精製し、表題化合物(47.4mg、0.090mmol、41%)を黄色油状物として得た。
【0118】
4-(3-フルオロフェニル)-1-(5-(イソプロピルチオ)-4-(4-(トリフルオロメチル)シクロヘキセン-1-エン-1-イル)チアゾール-2-イル)-3-メチル-1H-ピラゾール-5-カルボン酸
磁気攪拌棒と室温での窒素流を備えた5mLのガラスマイクロ波バイアルに、メチル4-ブロモ-1-(5-(イソプロピルチオ)-4-(4-(トリフルオロメチル)シクロヘキセン-1-エン-1-イル)チアゾール-2-イル)-3-メチル-1H-ピラゾール-5-カルボン酸塩(47.4mg、0.090mmol)、3-フルオロフェニルボロン酸(15.2mg、0.108mmol)およびNaCO(47.9mg、0.452mmol)を入れ窒素および真空サイクルを実行した(2×)。窒素ガスをジオキサン/水の溶液(2mL、4:1)を通して泡立て、次いで、溶液をマイクロ波バイアルに添加し、続いて触媒Pd(PPh(10.4mg、0.009mmol)を添加した。バイアルに蓋をし、85℃の油浴に16時間入れた。反応混合物をEtOAcで希釈し、抽出漏斗に移した。層を分離させ、水層をEtOAc(3×)で抽出した。合わせた有機層を、NaSO上で乾燥させ、濾過し、真空下で濃縮した。THF/MeOH(2mL、1:1)および1MのNaOH(181μL、0.181mmol)を添加し、反応物を室温で16時間撹拌した。生成物をHPLC-MS(カラムX-Bridge 30×50、55~75%MeCN/NHCOH 10mM、pH3.8/流速45ml/分/11分)を使用して精製し、凍結乾燥後、表題化合物(12.8mg、0.024mmol、27%)を黄色固形物として得た。
【0119】
H NMR(500MHz、DMSO)δ7.53-7.42(m、1H)、7.30-7.23(m、2H)、7.22-7.15(m、1H)、6.41(s、1H)、3.32-3.22(m、1H)、2.74-2.60(m、1H)、2.50-2.33(m、3H)、2.26(s、3H)、2.23-2.15(m、1H)、2.07-1.97(m、1H)、1.57-1.46(m、1H)、1.23(dd、J=6.7、3.4Hz、6H);MS(m/z):526.3[M+1]
【0120】
4-(3-フルオロフェニル)-2-[5-イソプロピルスルファニル-4-[4-(トリフルオロメチル)シクロヘキセン-1-イル]チアゾール-2-イル]-5-メチル-ピラゾール-3-カルボン酸ナトリウム
4-(3-フルオロフェニル)-1-(5-(イソプロピルチオ)-4-(4-(トリフルオロメチル)シクロヘキセン-1-エン-1-イル)チアゾール-2-イル)-3-メチル-1H-ピラゾール-5-カルボン酸を、テトラヒドロフラン中の水酸化ナトリウムで処理し、続いて溶媒を蒸発させ、固形物を水で洗浄して粗ナトリウム塩を提供することによって、そのナトリウム塩に変換することができる。あるいは、メチルエステルの鹸化を、粗ナトリウム塩を直接提供する条件下で実施することができる。
【0121】
次いで、粗ナトリウム塩を再結晶化させ得る。1つの調製では、56g(0.10mol)の粗ナトリウム塩をテトラヒドロフラン(500mL)に溶解し、そして濾過した。この溶液にアセトニトリル(250mL)を添加し、溶液を減圧下50℃で350mLに濃縮した。アセトニトリル(250mL)を再度添加し、得られた溶液を減圧下50℃で300mLに濃縮し、結晶化させた。この混合物にアセトニトリル(250mL)を添加し、減圧下、50℃で再び500mLに濃縮した。次いで、混合物を50℃で1時間放置させ、次いで20℃に1時間冷却し、次いで0℃に30分間冷却した。得られた混合物を濾過し、固形物を冷アセトニトリル(2×100mL、0℃)で洗浄し、減圧下で、35℃で乾燥させて、ナトリウム塩(54.7g、98%)を得た。MS(m/z):525.85[M-Na+2]H NMR(500MHz、DMSO-d)δ14.16(br s、1H)、7.50-7.55(m、1H)、7.23-7.31(m、3H)、6.44(m、1H)、3.32(m、1H)、2.68-2.74(m、1H)、2.55-2.64(m、1H)、2.43-2.55(m、1H)、2.30(s、3H)、2.20-2.30(m、1H)、2.02-2.09(m、1H)、1.50-1.60(m、1H)、1.26(d、6H、J=7.5Hz)。13C NMR(126MHz、DMSO-d)δ163.51、162.37、161.58、157.70、154.94、150.62、133.49、132.86、132.79、131.44、131.23、131.16、129.80、127.98、127.59、125.55、125.52、125.38、122.20、120.09、116.14、115.96、115.35、115.19、42.50、26.71、24.56、23.15、23.07、21.64、12.76。
【0122】
4-(3-フルオロフェニル)-2-[5-イソプロピルスルファニル-4-[4-(トリフルオロメチル)シクロヘキセン-1-イル]チアゾール-2-イル]-5-メチル-ピラゾール-3-カルボン酸(1)
5Lのフラスコに、上記のナトリウム塩(52.0g、94.9mmol)および脱イオン水中の10%アセトニトリル(1.0L)を入れた。混合物を50℃まで温め、次いで0.1NのHCl(1.0当量)で滴下で処理した。添加が進むにつれて、スラリーの変化が認められ、それはより厚くなった。添加が1.0当量に近づくと、pHは約3に低下し、完全なプロトン化を確実にするための目標pHは4未満である。2時間後、混合物を22℃に冷却し、濾過し、水で洗浄し、空気乾燥させて、表題化合物1を結晶形態1として得た(51.76g、99%収率)。H NMR(500MHz、DMSO-d)δ14.16(s、1H)、7.50-7.55(m、1H)、7.25-7.30(m、3H)、6.44(s、1H)、3.28-3.34(quint、1H)、2.69-2.73(d、1H)、2.44-2.48(m、2H)、2.29(s、3H)2.24-2.27(m、2H)、2.04-2.08(m、1H)、1.51-1.59(m、1H)、1.26(d、6H)。13C NMR(500MHz、CDCl)δ163.46、162.46、161.51、156.70、152.70、152.35、133.41、132.85、131.94、131.03、129.76、125.39、121.61、116.79、115.22、42.69、37.92、26.89、24.68、23.02、21.48、12.30。19F NMR(500MHz、CDCl)δー73.62(s)、-113.17(クインテッド)。MS(m/z):526.3[M+1]
【0123】
実施例2:結晶多形形態1
4-(3-フルオロフェニル)-1-(5-(イソプロピルチオ)-4-(4-(トリフルオロメチル)シクロヘキサ-1-エン-1-イル)チアゾール-2-イル)-3-メチル-1H-ピラゾール-5-カルボン酸(化合物1)の結晶多形形態1を、XRPDによって特性化した。図1Aは、XRPDパターンを提供し、図1Dは、FTIRスペクトルを提供する。この結晶多形は、TGA、DSC、および偏光顕微鏡法(PLM)によっても特性化した。それぞれ、図1Bおよび図1CのDSCおよびTGAによって示されるように、形態1は、101.2℃での融解吸熱の開始、123.4℃での吸熱ピーク、および150℃前のごくわずかな重量損失を示した。PLM画像は、形態1を針状の複屈折結晶として示した。これらの結果に基づいて、形態1は、無水物とみなされた。
【0124】
実施例3:結晶多形1の大規模貧溶媒添加晶析
実施例1で得られた化合物1(2.088g)を20mLバイアルに配置し、50℃で2mLのアセトン中に溶解させ、次いで濾過した。濾液に、実施例2からの結晶多形形態1の103.1mgを種晶添加した。種晶添加した濾液に、12mLの水をゆっくりと添加し、得られた懸濁液を室温で一晩攪拌した。
【0125】
次いで、温度サイクルを使用して結晶化度を改善した。懸濁液を50℃で30分間維持し、次いで、温度を0.1℃/分の速度で20℃まで降下させ、続いて0.5℃/分の速度で50℃まで上昇させた。次いで、温度を0.1℃/分の速度で20℃まで降下させ、続いて0.5℃/分の速度で50℃まで上昇させた。最後に、温度を0.1℃/分の速度で20℃まで降下させ、20℃で維持した後、固形物を単離させた。貧溶媒添加晶析は、約1.5g(約67%)の結晶多形をもたらし、これは、形態1の参照物に一致した。
【0126】
TGAおよびDSC測定は、150℃で0.1%の重量損失、120.0℃で吸熱ピークを示した。PLM画像は、試料内にD10=0.16μm、D50=0.36μm、およびD90=3.72μm(5分間の超音波処理後にはD10=0.16μm、D50=0.35μm、およびD90=1.42μm)の粒径分布(PSD)を有する試料中の棒状複屈折結晶を示した。動的蒸気収着(DVS)は、25℃/80%の相対湿度で0.6%の吸水率を示し、形態1がわずかに吸湿性であることを示した。図1Eに示すように、DVSの前後で形態の変化は観察されなかった。
【0127】
リバース貧溶媒添加晶析も、50℃で1mLのアセトン中約1.1gスケールで成功した。溶解した化合物を濾過し、濾液を、実施例2からの結晶多形形態1(6mLの水に97mgの種)を予め種晶添加した水溶液にゆっくりと添加した(約50μL/秒)。得られた懸濁液を室温で24時間撹拌し、濾過し、水で洗浄し、そして2日間空気乾燥させた。リバース貧溶媒添加晶析は、約1g(約85%)の結晶多形をもたらし、これは、形態1の参照物に一致した。図1Fに提供されるように、貧溶媒添加晶析およびリバース貧溶媒添加晶析の両方とも、形態1の参照物と一致する結晶多形をもたらした。
【0128】
実施例4:結晶多形形態1の溶解度および安定性
結晶多形形態1の溶解度を、生物学的に関連する培質:水、人工胃液(SGF)、空腹時人工腸液(FaSSIF)、および飽食時人工腸液(FeSSIF)中で試験した。例えば、結晶多形を溶媒に懸濁し、400rpm、37℃で1時間、4時間、24時間撹拌した後、濾過した。上清濃度を、HpLC(移動相A:HO中0.1%のNH、移動相B:アセトニトリル;流速:0.8mL/分;注入量:5μL)により測定した。残りの固形物を、XRPDによって試験した。溶解度およびpHを表1にまとめた。加えて、水中のXRPD、SGF、およびFeSSIFでは形状の変化は観察されず、FaSSIFの多形では、約31 2θ度に1つの未知のピークが観察された。
【表1】
【0129】
物理的および化学的安定性の評価は、応力印加条件下で結晶多形形態1について実行した。実験では、約10mgの多形体を4mLのガラスバイアルに入れ、40℃/75%のRHで1週間保存した。分解を評価するためにHPLCを利用し、結晶多形を評価するためにXPRDを使用した。両方の試験は、形態1は40℃/75%のRHで1週間、物理的に安定している(すなわち、多形は変化せず、劣化が最小限であるか、または全くない)ことを示した。
【0130】
実施例5:結晶多形形態2
結晶多形形態1(20mg)を、0.2~0.9mLのメチルtert-ブチルエーテル(MTBE)に懸濁させた。得られたスラリーを室温で4日間撹拌し、その後、残りの固形物を単離し、XRPDに供した。図2に示されたXRPDパターンは、形態2が準安定であり、周囲条件下で乾燥時に形態1に部分的に変換されることを示唆した。
【0131】
実施例6:結晶多形形態3
結晶多形形態1(20mg)を、0.2~0.9mLの1,4-ジオキサン:HO(1:3の体積比)中に懸濁させた。得られたスラリーを室温で4日間撹拌し、その後、残りの固形物を単離し、XRPDに供した。図3Aは、形態3についてのXRPDパターンを提供する。この結晶多形は、TGA、DSC、およびPLMによっても特性化される。図3BのTGAおよびDSCデータによって示されるように、形態3は、91.3℃および117.7℃で吸熱ピークを示し、100℃までに3.8%の重量損失を示した。PLM画像は、形態3を棒状の複屈折結晶として表示した。これらの結果に基づいて、形態3は、水和物または溶媒和物とみなされた。
【0132】
実施例7:結晶多形形態4
結晶多形形態1(20mg)を、0.2~0.9mLのジメチルホルムアミド:HO(1:3の体積比)中に懸濁させた。得られたスラリーを室温で4日間撹拌し、その後、残りの固形物を単離し、XRPDに供した。図4Aは、形態4についてのXRPDパターンを提供する。この結晶多形は、TGA、DSC、およびPLMによっても特性化される。図4BのTGAおよびDSCデータによって示されるように、形態4は、49.4℃および72.9℃で吸熱ピークを示し、100℃までに2.5%の重量損失を示した。PLM画像は、形態4を不規則形状の複屈折結晶として表示した。これらの結果に基づいて、形態4は、水和物または溶媒和物とみなされた。
【0133】
実施例8:結晶多形形態5
結晶多形形態1(20mg)を、0.2~0.9mLの2-メチルテトラヒドロフラン:n-ヘプタン(1:6の体積比)中に懸濁させた。得られたスラリーを室温で4日間撹拌し、その後、残りの固形物を単離し、XRPDに供した。図5Aは、形態5についてのXRPDパターンを提供する。この結晶多形は、TGA、DSC、およびPLMによっても特性化される。図5BのTGAおよびDSCデータによって示されるように、形態5は、141.9℃での吸熱ピーク、および分解前にごくわずかな重量損失を示した。PLM画像は、形態5を不規則形状の複屈折結晶として表示した。これらの結果に基づいて、形態5は、無水物とみなされた。
【0134】
実施例9:形態1と形態5との間の変換
形態1と形態5との間の熱力学的安定性の関係を決定するために、スラリー変換実験を実施した。具体的には、形態1の試料を、室温で、1.0mLのHO:アセトン(9:1の体積比)または0.8mLのHO:エタノール(3:1の体積比)に添加した。1時間の平衡化後、懸濁液を濾過して、飽和溶液形態1を得た。形態1:形態5(1:1)の各飽和溶液に添加した。室温で2日間または3日間撹拌した後、XRPD分析のために固形物を単離した。図5Cに示されるように、形態1のみが観察された。その結果、形態1は、室温で形態5よりも熱力学的に安定していると決定した。
【0135】
実施例10:結晶多形形態6
結晶多形形態1(20mg)を、0.2~0.9mLのメタノール:HO(937:63の体積比)中に懸濁させた。得られたスラリーを室温で4日間撹拌し、その後、残りの固形物を単離し、XRPDに供した。図6Aは、形態6についてのXRPDパターンを提供する。この結晶多形は、TGA、DSC、およびPLMによっても特性化される。図6BのTGAおよびDSCデータによって示されるように、形態6は、64.3℃および119.5℃で吸熱ピークを示し、80℃までに2.9%の重量損失を示した。PLM画像は、形態6を不規則形状の複屈折結晶として表示した。これらの結果に基づいて、形態6は、水和物または溶媒和物とみなされた。
【0136】
実施例11:結晶多形形態7
結晶多形形態1(15mg)を、0.5mLのアセトン中に懸濁させた。得られた視覚的に透明な溶液を、5~10個のピンホールを有するParafilm(登録商標)で覆い、室温で蒸発させた。残りの固形物を単離し、XRPDに供した。図7Aは、形態7についてのXRPDパターンを提供する。この結晶多形は、TGA、DSC、およびPLMによっても特性化される。図7BのTGAおよびDSCデータによって示されるように、形態7は、52.2℃および108.4℃で吸熱ピークを示し、130℃までに1.4%の重量損失を示した。PLM画像は、形態7を不規則形状の複屈折結晶として表示した。これらの結果に基づいて、形態7は、水和物または溶媒和物とみなされた。
【0137】
実施例12:結晶多形形態8
結晶多形形態1(20mg)を、0.2~0.9mLのテトラヒドロフラン:HO(1:9の体積比)中に懸濁させた。得られたスラリーを室温で4日間撹拌し、その後、残りの固形物を単離し、XRPDに供した。図8に示されたXRPDパターンは、形態8が準安定であり、周囲条件下で乾燥時に形態1に部分的に変換されることを示唆した。
【0138】
実施例13:9結晶多形形態
結晶多形形態1の溶液(0.3mL中20mg)を酢酸エチル中のKOHの溶液(KOH:形態1の1:1のモル比)0.3mLと混合し、次いで室温で2日間から5日間撹拌した。固形物を単離し、XRPDに供した。湿った固形物をまた、50℃で2時間真空乾燥させ、次いでXRPDに供した。図9Aは、乾燥中に多形の変化が観察されなかった形態9のXRPDパターンを示している。この結晶多形は、TGA、DSC、およびPLMによっても特性化される。図9BのTGAおよびDSCデータによって示されるように、形態9は、112.9℃で吸熱ピークを示し、130℃までに1.2%の重量損失を示した。PLM画像は、形態9を棒状の複屈折結晶として表示した。これらの結果に基づいて、形態9は、水和物または溶媒和物とみなされた。
【0139】
実施例14:結晶多形形態10
結晶多形形態1の溶液(0.3mL中20mg)をメタノール中のKOHの溶液(KOH:形態1の1:1のモル比)0.3mLと混合し、次いで室温で2日間から5日間撹拌した。固形物を単離し、XRPDに供した。湿った固形物をまた、50℃で2時間真空乾燥させ、次いでXRPDに供した。図10Aは、乾燥中に多形の変化が観察されなかった形態10のXRPDパターンを示している。この結晶多形は、TGA、DSC、およびPLMによっても特性化される。図10BのTGAおよびDSCデータによって示されるように、形態10は、61.8℃および143.8℃で吸熱ピークを示し、150℃までに4.3%の重量損失を示した。PLM画像は、形態10を不規則形状の複屈折結晶として表示した。これらの結果に基づいて、形態10は、水和物または溶媒和物とみなされた。
【0140】
実施例15:結晶多形形態11
結晶多形形態1の溶液(0.3mL中20mg)を酢酸エチル中のNaOHの溶液(NaOH:形態1の1:1のモル比)0.3mLと混合し、次いで室温で2日間から5日間撹拌した。固形物を単離し、XRPDに供した。湿った固形物をまた、50℃で2時間真空乾燥させ、次いでXRPDに供した。図11Aは、乾燥中に多形の変化が観察されなかった形態11のXRPDパターンを示している。この結晶多形は、TGA、DSC、およびPLMによっても特性化される。図11BのTGAおよびDSCデータによって示されるように、形態11は、75.6℃で吸熱ピークを示し、90℃までに2.7%の重量損失を示した。PLM画像は、形態11を棒状の複屈折結晶として表示した。これらの結果に基づいて、形態11は、水和物または溶媒和物とみなされた。
【0141】
実施例16:結晶多形形態11の溶解度
結晶多形形態11の溶解度を、生物学的に関連する媒質:水、SGF、FaSSIF、およびFeSSIF中で試験した。例えば、結晶多形を溶媒に懸濁し、400rpm、37℃で1時間、4時間、および24時間撹拌した後、濾過した。上清を濃度についてHPLCにより測定、残りの固形物をXRPDにより試験した。溶解度およびpHを表2にまとめた。加えて、水およびFaSSIF中では、XRPDにより形態変化は観察されなかった。形態11は、SGFおよびFeSSIF中では形態1に変換した。
【表2】
【0142】
実施例17:結晶多形形態12
結晶多形形態1の溶液(0.3mL中20mg)をメタノール中のNaOHの溶液(NaOH:形態1の1:1のモル比)0.3mLと混合し、次いで室温で2日間から5日間撹拌した。固形物を単離し、XRPDに供した。湿った固形物をまた、50℃で2時間真空乾燥させ、次いでXRPDに供した。図12Aは、乾燥中に多形の変化が観察されなかった形態12のXRPDパターンを示している。この結晶多形は、TGA、DSC、およびPLMによっても特性化される。図12BのTGAおよびDSCデータによって示されるように、形態12は、152.8℃で吸熱ピークを示し、160℃までに15.8%の重量損失を示した。PLM画像は、形態12を不規則形状の複屈折結晶として表示した。これらの結果に基づいて、形態12は、無水物とみなされた。
【0143】
実施例18:形態11と形態12との間の変換
形態11と形態12との間の熱力学的安定性の関係を決定するために、スラリー変換実験を実施した。具体的には、形態12(2.5mg)を、室温で1.0mLの4%のジクロロメタンに添加した。1時間の平衡化後、懸濁液を濾過して、飽和溶液形態12を得た。形態11:形態12(1:1)の各飽和溶液に添加した。室温で30分間撹拌した後、XRPD分析のために固形物を単離した。図12Cに示されるように、形態11のみが観察された。その結果、形態11は、室温で形態12よりも熱力学的に安定していると決定された。形態11溶液(1mLの4%のジクロロメタン中の2.5mg)および形態12溶液(1mLの4%のジクロロメタン中の2.5mg)のpHを、それぞれ、8.25および7.98であると測定した。
【0144】
実施例19:結晶多形形態13
結晶多形形態1の溶液(0.3mL中20mg)をメタノール中のL-アルギニンの溶液(L-アルギニン:形態1の1:1のモル比)0.3mLと混合し、次いで室温で2日間から5日間撹拌した。固形物を単離し、XRPDに供した。湿った固形物をまた、50℃で2時間真空乾燥させ、次いでXRPDに供した。図13Aは、乾燥中に多形の変化が観察されなかった形態13のXRPDパターンを示している。この結晶多形は、TGA、DSC、およびPLMによっても特性化される。図13BのTGAおよびDSCデータによって示されるように、形態13は、160.8℃および230.9℃での吸熱ピーク、および分解前にごくわずかな重量損失を示した。PLM画像は、形態13を板状の複屈折結晶として表示した。これらの結果に基づいて、形態13は、無水物とみなされた。
【0145】
実施例20:結晶多形形態14
結晶多形形態1の溶液(0.3mL中20mg)をメタノール中のMg(OH)の溶液(Mg(OH):形態1の1:1のモル比)0.3mLと混合し、次いで室温で2日間から5日間撹拌した。固形物を単離し、XRPDに供した。湿った固形物をまた、50℃で2時間真空乾燥させ、次いでXRPDに供した。図14Aは、乾燥中に多形の変化が観察されなかった形態14のXRPDパターンを示している。この結晶多形は、TGA、DSC、およびPLMによっても特性化される。図14BのTGAおよびDSCデータによって示されるように、形態14は、104.5℃および137.2℃で吸熱ピークを示し、120℃までに5.8%の重量損失を示した。PLM画像は、形態14を不規則形状の複屈折結晶として表示した。これらの結果に基づいて、形態14は、水和物または溶媒和物とみなされた。
【0146】
実施例21:結晶多形形態15
結晶多形形態1の溶液(0.3mL中20mg)をメタノール中の尿素の溶液(尿素:形態1の1:1のモル比)0.3mLと混合し、次いで室温で2日間から5日間撹拌した。固形物を単離し、XRPDに供した。湿った固形物をまた、50℃で2時間真空乾燥させ、次いでXRPDに供した。図15Aは、乾燥中に多形の変化が観察されなかった形態15のXRPDパターンを示している。この結晶多形は、TGA、DSC、およびPLMによっても特性化される。図15BのTGAおよびDSCデータによって示されるように、形態15は、136.0℃での吸熱ピーク、および分解前にごくわずかな重量損失を示した。PLM画像は、形態15を不規則形状の複屈折結晶として表示した。これらの結果に基づいて、形態15は、無水物とみなされた。
【0147】
実施例22:結晶多形形態16
結晶多形形態1の溶液(0.3mL中20mg)をメタノール中のMg(OH)の溶液(Mg(OH):形態1の1:1のモル比)0.3mLと混合し、次いで室温で2日間から5日間撹拌した。固形物を単離し、XRPDに供した。湿った固形物をまた、50℃で2時間真空乾燥させ、次いでXRPDに供した。図16Aは、乾燥中に多形の変化が観察されなかった形態16のXRPDパターンを示している。この結晶多形は、TGA、DSC、およびPLMによっても特性化される。図16BのTGAおよびDSCデータによって示されるように、形態16は、168.3℃で吸熱ピークを示し、170℃までに1.0%の重量損失を示した。PLM画像は、形態16を不規則形状の複屈折結晶として表示した。これらの結果に基づいて、形態16は、水和物または溶媒和物とみなされた。
【0148】
実施例2~22の一般的な方法論および機器
X線粉末回折は、45kV、40mA(Kα1(Å):1.540598、Kα2(Å):1.544426、Kα2/Kα1強度比::0.50)のCuKα放射線源で動作するSiゼロバックグラウンドホルダー上でPanalytical X’Pert3粉末XRPDを使用する標準的な技法によって得た。2θ位置は、Panalytical Si参照標準ディスクに対して較正された。走査パラメータは3~40°2θ(±0.0131°)の範囲で、約0.04°2θ/分の速度で連続走査した。
【0149】
熱重量分析(TGA)および示差走査熱量測定(DSCは、すべてTA InstrumentsのTA Q500またはQ550(TGAについて)およびTA Q2000(DSCについて)を使用した標準的技法で得た。DSCはインジウム参照標準で較正され、試料は25℃~350℃の温度プログラムを使用して10℃/分の速度で分析された。TGAはニッケル参照標準を使用して較正され、試料は10℃/分の速度で25℃~350℃の温度プログラムを使用して分析された。
【0150】
偏光顕微鏡法(PLM)画像は、Nikon DS-Fi2正立顕微鏡に室温で取り込まれた。
【0151】
動的水蒸気吸着(DVS)は、Surface Measurement Systems(London、United Kingdom)のSMS DVS Intrinsicで、以下のパラメータを使用して測定した:温度:25℃;試料サイズ:10~20mg;ガスおよび流速:Nおよび200mL/分;dm/dt:0.002%/分;分.dm/dt安定性持続時間:10分;最大平衡時間:180分;相対湿度(RH)範囲:0%RH-95%RH-0%RH;RHステップサイズ:10%。
【0152】
本明細書に開示されるフーリエ変換赤外分光法(FTIR)スペクトルデータは、2cm-1の分解能で、合計20走査で動作する減衰全反射(ATR)モードで、Shimadzu FTIR分光計を使用する標準的技法によって得た。
【0153】
生物学的実施例1:BJAB細胞の細胞生存率
BJAB細胞(DSMZ)を、RPMI1640増殖培地+10%のFBS中で、37℃/5%のCOで維持し、34継代前に使用する。細胞を白色のCorning Costarの96ウェルアッセイプレートに、50μLの培地中に2500個細胞/ウェルで播種する。試験結晶多形の段階希釈を、細胞培養培地/FBS+0.2%のDMSO中で行い、50μLの容量でアッセイプレートに移す(最終0.1%のDMSO)。プレートを37℃で72時間維持する。細胞増殖に対する化合物の効果を、Cell Titer Glo試薬(Promega)を使用して、製造元の指示に従って評価する。簡単に言うと、100μLの試薬をウェルごとに添加し、10分間のインキュベーション後、プレートリーダー(Tecan F200PRO)でルミネッセンス値を決定する。未処置の対照と比較したルミネッセンスシグナルのパーセントは、各化合物濃度に対して計算し、EC50値は、Prism(GraphPad)を使用して非線形回帰分析による用量反応データから決定する。データは、上記複合表にまとめている。mTor阻害剤のTorin1(Liu,et al.(2010)J.Med.Chem.53,7146.)を対照として使用する。データは、上記の複合表にまとめている。
【0154】
生物学的実施例2:3つの細胞株を使用した治療後のグルタチオンレベルの測定
BJAB、HCT116、および正常なヒト肺線維芽細胞(NHLF)を、それぞれRPMI(Wisent)、McCoy’s(Wisent)、またはFGM-2(Lonza)培地で維持する。総グルタチオン測定では、5000個の細胞/ウェル(BJABまたはHCT116)または10,000個細胞/ウェル(NHLF)を、50μLの容量で透明底96ウェルアッセイプレート(Thermo Fisher)に移す。湿潤紙を入れた密封されていないビニール袋の中で、5%のCO中、37℃で一晩インキュベートする。試験結晶多形化合物を、培地に0.4%のDMSOに加えたもので段階希釈し、各希釈液50μL/ウェルをアッセイプレートに移す。アッセイプレートは、湿潤紙を入れた密封されていないビニール袋に入れて、5%のCO中で、37℃で指定された時間インキュベートする。総グルタチオン測定では、GSH-Glo(商標)試薬(Promega)を、提供されたルシフェリン-NT(1:100)、グルタチオンS-トランスフェラーゼ(1:100)、およびDTT(1mM最終)をGSH-Glo(商標)反応緩衝液に希釈して調製し、100μLをアッセイプレートに添加し、室温で30分間インキュベートした後、100μLのルシフェリン検出試薬を添加する。プレートを暗所で、室温で10分間維持する。ルミネッセンスは、Tecan Infinite 200Proを使用して測定する。
【0155】
生物学的実施例3:処置された細胞の細胞周期分析
熱不活化ウシ胎児血清を添加したマッコイ培地で増殖させたHCT116細胞(3×10個細胞)を、6ウェルプレートに播種し、一晩接着させる。細胞を血清飢餓(0%FBS)の、5μMの試験結晶多形化合物またはDMSOビヒクル対照で24時間処置することによって、二通りの試料を調製する。採取の2時間前に、複製DNAを、10μMのEdU(5-エチニル-2’-デオキシウリジン、Thermo Fisher)で標識付けする。接着細胞および浮遊細胞の両方を採取し、4%パラホルムアルデヒドのPBS溶液中で、室温で15分間固定させる。次に、細胞を0.25%(体積/体積)のトリトンX-100/0.5%のBSA/PBSの溶液中で、室温で20分間透過処理する。これに続いて、OG488-アジドによるクリック反応が起こり、以下のように、EdU取り込みを検出する:細胞を100mMのTris-HCl pH 7.6、4mMのCuSO4、10μMのOG488-アジド、および100mMのアスコルビン酸を含む反応混合物中で30分間インキュベートする。0.5%BSA/PBS洗浄緩衝液中で繰返し洗浄することによって、過剰な試薬を除去する。細胞を500μLのDAPI染色液(PBS中、1μg/mLのDAPIおよび50μg/mLのRNAse A)に再懸濁する。
【0156】
フローサイトメトリー分析は、青色(488nm)、赤色(633nm)、および紫色(405nm)のレーザーを備えたLSRIIフローサイトメータ(BD Biosciences)で実行する。OG488分析は、505LPミラーおよび530/30BPフィルタを用いて488nmの励起および検出を使用して実行する。DAPI分析は、405nmの励起および442/16BPフィルタによる検出を使用して実行する。電圧設定は、FSC=324、SSC=276、OG488=215、DAPI=351である。DAPIによる細胞周期分析は、線形軸スケールを使用して実行する。EdUには対数スケールを使用する。データ分析は、FCS Expressソフトウェアバージョン6(DeNovo Software)を使用して実行する。
【0157】
本開示の様々な例示的実施形態には、限定されるものではないが、以下にリストされた列挙する実施形態が挙げられ、これらは、技術的または論理的に矛盾していない任意の数および任意の併用で組み合わせることができる。
実施形態1。4-(3-フルオロフェニル)-1-(5-(イソプロピルチオ)-4-(4-(トリフルオロメチル)シクロヘキサ-1-エン-1-イル)チアゾール-2-イル)-3-メチル-1H-ピラゾール-5-カルボン酸の、任意にその水和物または溶媒和物の形態における、結晶多形。
実施形態2。無水物/無溶媒和物の形態における、実施形態1に記載の結晶多形。
実施形態3。結晶多形が、6.1、7.1、9.4、12.7、18.8、21.3、および22.3(2θ±0.1度)から選択される4つ以上(例えば、5つ以上)のピークを含むX線粉末回折(XRPD)パターンを提供することを特徴とする、実施形態1または実施形態2に記載の結晶多形。
実施形態4。結晶多形が、6.1、7.1、9.4、12.7、18.8、21.3、および22.3(2θ±0.1度)から選択される6つ以上(例えば、各々)のピークを含むX線粉末回折(XRPD)パターンを提供することを特徴とする、実施形態1または実施形態2に記載の結晶多形。
実施形態5。結晶多形が、図1Aに示されるものに従ってXRPDパターンを提供することを特徴とする、実施形態1~4のいずれかに記載の結晶多形。
実施形態6。123±2℃に吸熱ピークを有する示差走査熱量測定(DSC)サーモグラムを提供することを特徴とする、実施例1~5のいずれかに記載の結晶多形。
実施形態7。結晶多形が、図1Bに示されるものに従ってDSCサーモグラムを提供することを特徴とする、実施形態1~6のいずれかに記載の結晶多形。
実施形態8。結晶多形が、2930(ブロード)±2cm-1、1709±2cm-1、1539±2cm-1、1359±2cm-1、1238±2cm-1、1165±2cm-1、1112±2cm-1、987±2cm-1、875±2cm-1、772.50±2cm-1、および690±2cm-1から選択される6つ以上(例えば、7つ以上、または8つ以上、または9つ以上)のピークを含むフーリエ変換赤外分光法(FTIR)スペクトルを提供することを特徴とする、実施形態1~7のいずれかに記載の結晶多形。
実施形態9。結晶多形が、図1Dに示されているものに従ってFTIRスペクトルを提供することを特徴とする、実施形態1~7のいずれかに記載の結晶多形。
実施形態10。結晶多形が、6.2、6.6、7.5、10.9、12.4、および13.3(2θ±0.1度)から選択される4つ以上(例えば、5つ以上)のピークを含むXRPDパターンを提供することを特徴とする、実施形態1または実施形態2に記載の結晶多形。
実施形態11。結晶多形が、ピーク:6.2、6.6、7.5、10.9、12.4、および13.3(2θ±0.1度)の各々を含むXRPDパターンを提供することを特徴とする、実施形態1または実施形態2に記載の結晶多形。
実施形態12。結晶多形が、図2に示されるものに従ってXRPDパターンを提供することを特徴とする、実施形態1、2、10、および11のいずれかに記載の結晶多形。
実施形態13。結晶多形が、6.4、7.1、17.7、18.8、19.3、および22.5(2θ±0.1度)から選択される4つ以上(例えば、5つ以上)のピークを含むXRPDパターンを提供することを特徴とする、実施形態1または実施形態2に記載の結晶多形。
実施形態14。ピーク:6.4、7.1、17.7、18.8、19.3、および22.5(2θ±0.1度)の各々を含むXRPDパターンを提供することを特徴とする、実施形態1または実施形態2に記載の結晶多形。
実施形態15。結晶多形が、図5Aに示されるものに従ってXRPDパターンを提供することを特徴とする、実施形態1、2、13、および14のいずれかに記載の結晶多形。
実施形態16。142±2℃に吸熱ピークを有するDSCサーモグラムを提供することを特徴とする、実施例1、2、および13~15のいずれかに記載の結晶多形。
実施形態17。結晶多形が、図5Bに示されるものに従ってDSCサーモグラムを提供することを特徴とする、実施形態1、2、および13~16のいずれかに記載の結晶多形。
実施形態18。結晶多形が、6.4、9.1、14.3、16.6、18.4、20.1、および21.9(2θ±0.1度)から選択される4つ以上(例えば、5つ以上)のピークを含むX線粉末回折(XRPD)パターンを提供することを特徴とする、実施形態1または実施形態2に記載の結晶多形。
実施形態19。結晶多形が、ピーク:6.4、9.1、14.3、16.6、18.4、20.1、および21.9(2θ±0.1度)の各々を含むXRPDパターンを提供することを特徴とする、実施形態1または実施形態2に記載の結晶多形。
実施形態20。結晶多形が、図8に示されるものに従ってXRPDパターンを提供することを特徴とする、実施形態1、2、18、および19のいずれかに記載の結晶多形。
実施形態21。4-(3-フルオロフェニル)-1-(5-(イソプロピルチオ)-4-(4-(トリフルオロメチル)シクロヘキサ-1-エン-1-イル)チアゾール-2-イル)-3-メチル-1H-ピラゾール-5-カルボン酸の水和物または溶媒和物の形態である、実施形態1に記載の結晶多形。
実施形態22。結晶多形が、6.4、14.4、16.2、17.5、19.1、22.8、および24.0(2θ±0.1度)から選択される4つ以上(例えば、5つ以上)のピークを含むXRPDパターンを提供することを特徴とする、実施形態21に記載の結晶多形。
実施形態23。結晶多形が、6.4、14.4、16.2、17.5、19.1、22.8、および24.0(2θ±0.1度)から選択される6つ以上(例えば、各々)のピークを含むXRPDパターンを提供することを特徴とする、実施形態21に記載の結晶多形。
実施形態24。結晶多形が、図3Aに示されるものに従ってXRPDパターンを提供することを特徴とする、実施形態21~23のいずれかに記載の結晶多形。
実施形態25。91±2℃および118±2℃に吸熱ピークを有するDSCサーモグラムを提供することを特徴とする、実施例21~24のいずれかに記載の結晶多形。
実施形態26。結晶多形が、図3Bに示されるものに従ってDSCサーモグラムを提供することを特徴とする、実施形態21~25のいずれかに記載の結晶多形。
実施形態27。それが、9.9、14.9、19.4、21.4、23.5、および24.1(2θ±0.1度)から選択される4つ以上(例えば、5つ以上)のピークを含むXRPDパターンを提供することを特徴とする、実施形態21に記載の結晶多形。
実施形態28。結晶多形が、ピーク:9.9、14.9、19.4、21.4、23.5、および24.1(2θ±0.1度)の各々を含むXRPDパターンを提供することを特徴とする、実施形態21に記載の結晶多形。
実施形態29。結晶多形が、図4Aに示されるものに従ってXRPDパターンを提供することを特徴とする、実施形態21、27、および28のいずれかに記載の結晶多形。
実施形態30。49±2℃および73±2℃に吸熱ピークを有するDSCサーモグラムを提供することを特徴とする、実施例21および27~29のいずれかに記載の結晶多形。
実施形態31。結晶多形が、結晶多形が、図4Bに示されるものに従ってDSCサーモグラムを提供することを特徴とする、実施形態21および27~30のいずれかに記載の結晶多形。
実施形態32。それが、5.8、11.5、14.5、17.3、20.8、および22.0(2θ±0.1度)から選択される4つ以上(例えば、5つ以上)のピークを含むXRPDパターンを提供することを特徴とする、実施形態21に記載の結晶多形。
実施形態33。ピーク:5.8、11.5、14.5、17.3、20.8、および22.0(2θ±0.1度)の各々を含むXRPDパターンを提供することを特徴とする、実施形態21に記載の結晶多形。
実施形態34。結晶多形が、図6Aに示されるものに従ってXRPDパターンを提供することを特徴とする、実施形態21、32、および33のいずれかに記載の結晶多形。
実施形態35。64±2℃および120±2℃に吸熱ピークを有するDSCサーモグラムを提供することを特徴とする、実施例21および32~34のいずれかに記載の結晶多形。
実施形態36。結晶多形が、図6Bに示されるものに従ってDSCサーモグラムを提供することを特徴とする、実施形態21および32~35のいずれかに記載の結晶多形。
実施形態37。それが、6.7、7.0、11.5、13.1、14.4、および22.1(2θ±0.1度)から選択される4つ以上(例えば、5つ以上)のピークを含むXRPDパターンを提供することを特徴とする、実施形態21に記載の結晶多形。
実施形態38。結晶多形が、ピーク:6.7、7.0、11.5、13.1、14.4、17.2および22.1(2θ±0.1度)の各々を含むXRPDパターンを提供することを特徴とすることができる、実施形態21に記載の結晶多形。
実施形態39。結晶多形が、図7Aに示されるものに従ってXRPDパターンを提供することを特徴とする、実施形態21、37、および38のいずれかに記載の結晶多形。
実施形態40。58±2℃および108±2℃に吸熱ピークを有するDSCサーモグラムを提供することを特徴とする、実施例21および37~39のいずれかに記載の結晶多形。
実施形態41。結晶多形が、図7Bに示されるものに従ってDSCサーモグラムを提供することを特徴とする、実施形態21および37~40のいずれかに記載の結晶多形。
実施形態42。4-(3-フルオロフェニル)-1-(5-(イソプロピルチオ)-4-(4-(トリフルオロメチル)シクロヘキサ-1-エン-1-イル)チアゾール-2-イル)-3-メチル-1H-ピラゾール-5-カルボン酸カリウムの、任意にその水和物または溶媒和物の形態の結晶多形。
実施形態43。結晶多形が、6.4、7.1、10.2、12.2、14.2、19.0、19.4、および24.5(2θ±0.1度)から選択される4つ以上(例えば、5つ以上)のピークを含むXRPDパターンを提供することを特徴とする、実施形態42に記載の結晶多形。
実施形態44。結晶多形が、6.4、7.1、10.2、12.2、14.2、19.0、19.4、および24.5(2θ±0.1度)から選択される各々のピークを含むXRPDパターンを提供することを特徴とする、実施形態42に記載の結晶多形。
実施形態45。結晶多形が、図9Aに示されるものに従ってXRPDパターンを提供することを特徴とする、実施形態42~44のいずれかに記載の結晶多形。
実施形態46。113±2℃に吸熱ピークを有するDSCサーモグラムを提供することを特徴とする、実施例42~45のいずれかに記載の結晶多形。
実施形態47。結晶多形が、図9Bに示されるものに従ってDSCサーモグラムを提供することを特徴とする、実施形態42~46のいずれかに記載の結晶多形。
実施形態48。結晶多形が、5.6、5.8、7.4、9.5、12.8、15.5、および19.5(2θ±0.1度)から選択される4つ以上(例えば、5つ以上)のピークを含むXRPDパターンを提供することを特徴とする、実施形態42に記載の結晶多形。
実施形態49。結晶多形が、5.6、5.8、7.4、9.5、12.8、15.5、および19.5(2θ±0.1度)の各々を含むXRPDパターンを提供することを特徴とする、実施形態42に記載の結晶多形。
実施形態50。結晶多形が、図10Aに示されるものに従ってXRPDパターンを提供することを特徴とする、実施形態42、48、および49のいずれかに記載の結晶多形。
実施形態51。62±2℃および144±2℃に吸熱ピークを有するDSCサーモグラムを提供することを特徴とする、実施例42および48~50のいずれかに記載の結晶多形。
実施形態52。結晶多形が、図10Bに示されるものに従ってDSCサーモグラムを提供することを特徴とする、実施形態42および48~51のいずれかに記載の結晶多形。
実施形態53。4-(3-フルオロフェニル)-1-(5-(イソプロピルチオ)-4-(4-(トリフルオロメチル)シクロヘキサ-1-エン-1-イル)チアゾール-2-イル)-3-メチル-1H-ピラゾール-5-カルボン酸ナトリウムの、任意にその水和物または溶媒和物の形態の結晶多形。
実施形態54。結晶多形が、7.0、10.4、12.2、13.1、14.0、18.8、および24.5(2θ±0.1度)から選択される4つ以上(例えば、5つ以上)のピークを含むXRPDパターンを提供することを特徴とする、実施形態53に記載の結晶多形。
実施形態55。結晶多形が、7.0、10.4、12.2、13.1、14.0、18.8、および24.5(2θ±0.1度)から選択されるピーク各々を含むXRPDパターンを提供することを特徴とする、実施形態53に記載の結晶多形。
実施形態56。結晶多形が、図11Aに示されるものに従ってXRPDパターンを提供することを特徴とする、実施形態53~55のいずれかに記載の結晶多形。
実施形態57。76±2℃に吸熱ピークを有するDSCサーモグラムを提供することを特徴とする、実施例53~56のいずれかに記載の結晶多形。
実施形態58。結晶多形が、図11Bに示されるものに従ってDSCサーモグラムを提供することを特徴とする、実施形態53~57のいずれかに記載の結晶多形。
実施形態59。それが、3.8、7.5、13.0、16.2、17.0、17.8、20.0、22.7、および23.7(2θ±0.1度)から選択される4つ以上(例えば、5つ以上)のピークを含むXRPDパターンを提供することを特徴とする、実施形態53に記載の結晶多形。
実施形態60。結晶多形が、3.8、7.5、13.0、16.2、17.0、17.8、20.0、22.7、および23.7(2θ±0.1度)から選択されるピーク各々を含むXRPDパターンを提供することを特徴とする、実施形態53に記載の結晶多形。
実施形態61。結晶多形が、図12Aに示されるものに従ってXRPDパターンを提供することを特徴とする、実施形態53、59、および60のいずれかに記載の結晶多形。
実施形態62。153±2℃に吸熱ピークを有するDSCサーモグラムを提供することを特徴とする、実施例53および59~61のいずれかに記載の結晶多形。
実施形態63。結晶多形が、図12Bに示されるものに従ってDSCサーモグラムを提供することを特徴とする、実施形態53および59~62のいずれかに記載の結晶多形。
実施形態64。4-(3-フルオロフェニル)-1-(5-(イソプロピルチオ)-4-(4-(トリフルオロメチル)シクロヘキサ-1-エン-1-イル)チアゾール-2-イル)-3-メチル-1H-ピラゾール-5-カルボン酸L-アルギニンの、任意にその水和物または溶媒和物の形態の結晶多形。
実施形態65。結晶多形が、10.3、16.6、18.7、20.7、21.3、25.0、および28.2(2θ±0.1度)L-アルギニンから選択される4つ以上(例えば、5つ以上)のピークを含むXRPDパターンを提供することを特徴とする、実施形態64に記載の結晶多形。
実施形態66。結晶多形が、10.3、16.6、18.7、20.7、21.3、25.0、および28.2(2θ±0.1度)L-アルギニンから選択されるピーク各々を含むXRPDパターンを提供することを特徴とする、実施形態64に記載の結晶多形。
実施形態67。結晶多形が、図13Aに示されるものに従ってXRPDパターンを提供することを特徴とする、実施形態64~66のいずれかに記載の結晶多形。
実施形態68。231±2℃に吸熱ピークを有するDSCサーモグラムを提供することを特徴とする、実施例64~67のいずれかに記載の結晶多形。
実施形態69。結晶多形が、図13Bに示されるものに従ってDSCサーモグラムを提供することを特徴とする、実施形態64~68のいずれかに記載の結晶多形。
実施形態70。4-(3-フルオロフェニル)-1-(5-(イソプロピルチオ)-4-(4-(トリフルオロメチル)シクロヘキサ-1-エン-1-イル)チアゾール-2-イル)-3-メチル-1H-ピラゾール-5-カルボン酸マグネシウムの、任意にその水和物または溶媒和物の形態の結晶多形。
実施形態71。結晶多形が、5.4、15.8、16.8、18.7、25.1、および38.2(2θ±0.1度)から選択される4つ以上(例えば、5つ以上)のピークを含むXRPDパターンを提供することを特徴とする、実施形態70に記載の結晶多形。
実施形態72。結晶多形が、5.4、15.8、16.8、18.7、25.1、および38.2(2θ±0.1度)から選択されるピーク各々を含むXRPDパターンを提供することを特徴とする、実施形態70に記載の結晶多形。
実施形態73。結晶多形が、図14Aに示されるものに従ってXRPDパターンを提供することを特徴とする、実施形態70~72のいずれかに記載の結晶多形。
実施形態74。105±2℃および137±2℃に吸熱ピークを有するDSCサーモグラムを提供することを特徴とする、実施例70~73いずれかに記載の結晶多形。
実施形態75。結晶多形が、図14Bに示されるものに従ってDSCサーモグラムを提供することを特徴とする、実施形態70~74のいずれかに記載の結晶多形。
実施形態76。4-(3-フルオロフェニル)-1-(5-(イソプロピルチオ)-4-(4-(トリフルオロメチル)シクロヘキサ-1-エン-1-イル)チアゾール-2-イル)-3-メチル-1H-ピラゾール-5-カルボン酸尿素の、任意にその水和物または溶媒和物の形態の結晶多形。
実施形態77。結晶多形が、5.7、9.8、16.5、17.3、17.8、20.0、21.1、23.5、および26.1(2θ±0.1度)から選択される4つ以上(例えば、5つ以上)のピークを含むXRPDパターンを提供することを特徴とする、実施形態76に記載の結晶多形。
実施形態78。結晶多形が、5.7、9.8、16.5、17.3、17.8、20.0、21.1、23.5、および26.1から選択されるピーク各々を含むXRPDパターンを提供することを特徴とする、実施形態76に記載の結晶多形。
実施形態79。結晶多形が、図15Aに示されるものに従ってXRPDパターンを提供することを特徴とする、実施形態76~78のいずれかに記載の結晶多形。
実施形態80。136±2℃に吸熱ピークを有するDSCサーモグラムを提供することを特徴とする、実施例76~79のいずれかに記載の結晶多形。
実施形態81。結晶多形が、図15Bに示されるものに従ってDSCサーモグラムを提供することを特徴とする、実施形態76~80のいずれかに記載の結晶多形。
実施形態82。4-(3-フルオロフェニル)-1-(5-(イソプロピルチオ)-4-(4-(トリフルオロメチル)シクロヘキサ-1-エン-1-イル)チアゾール-2-イル)-3-メチル-1H-ピラゾール-5-カルボン酸L-プロリンの、任意にその水和物または溶媒和物の形態の結晶多形。
実施形態83。結晶多形が、7.7、7.9、11.9、15.9、17.4、19.7、および21.4(2θ±0.1度)から選択される4つ以上(例えば、5つ以上)のピークを含むXRPDパターンを提供することを特徴とする、実施形態82に記載の結晶多形。
実施形態84。結晶多形が、7.7、7.9、11.9、15.9、17.4、19.7、および21.4(2θ±0.1度)から選択されるピーク各々を含むXRPDパターンを提供することを特徴とする、実施形態82に記載の結晶多形。
実施形態85。結晶多形が、図16Aに示されるものに従ってXRPDパターンを提供することを特徴とする、実施形態82~84のいずれかに記載の結晶多形。
実施形態86。168±2℃に吸熱ピークを有するDSCサーモグラムを提供することを特徴とする、実施例82~85のいずれかに記載の結晶多形。
実施形態87。結晶多形が、図16Bに示されるものに従ってDSCサーモグラムを提供することを特徴とする、実施形態82~86のいずれかに記載の結晶多形。
実施形態88。
4-(3-フルオロフェニル)-1-(5-(イソプロピルチオ)-4-(4-(トリフルオロメチル)シクロヘキサ-1-エン-1-イル)チアゾール-2-イル)-3-メチル-1H-ピラゾール-5-カルボン酸カリウム、
4-(3-フルオロフェニル)-1-(5-(イソプロピルチオ)-4-(4-(トリフルオロメチル)シクロヘキサ-1-エン-1-イル)チアゾール-2-イル)-3-メチル-1H-ピラゾール-5-カルボン酸カナトリウム、
4-(3-フルオロフェニル)-1-(5-(イソプロピルチオ)-4-(4-(トリフルオロメチル)シクロヘキサ-1-エン-1-イル)チアゾール-2-イル)-3-メチル-1H-ピラゾール-5-カルボン酸カマグネシウム、
4-(3-フルオロフェニル)-1-(5-(イソプロピルチオ)-4-(4-(トリフルオロメチル)シクロヘキサ-1-エン-1-イル)チアゾール-2-イル)-3-メチル-1H-ピラゾール-5-カルボン酸尿素、
4-(3-フルオロフェニル)-1-(5-(イソプロピルチオ)-4-(4-(トリフルオロメチル)シクロヘキサ-1-エン-1-イル)チアゾール-2-イル)-3-メチル-1H-ピラゾール-5-カルボン酸L-アルギニン、
4-(3-フルオロフェニル)-1-(5-(イソプロピルチオ)-4-(4-(トリフルオロメチル)シクロヘキサ-1-エン-1-イル)チアゾール-2-イル)-3-メチル-1H-ピラゾール-5-カルボン酸L-プロリンから選択される、4-(3-フルオロフェニル)-1-(5-(イソプロピルチオ)-4-(4-(トリフルオロメチル)シクロヘキサ-1-エン-1-イル)チアゾール-2-イル)-3-メチル-1H-ピラゾール-5-カルボン酸、任意にその水和物または溶媒和物の塩。
実施形態89。実施形態1~87のいずれかに記載の結晶多形または実施形態88に記載の塩とともに、薬学的に許容される賦形剤、希釈剤、または担体を含む、医薬組成物。
実施形態90。治療を必要とする対象において、過剰増殖性障害、例えば、がんを治療するための方法であって、有効量の、実施形態1~87のいずれかに記載の結晶多形または実施形態88に記載の塩を対象に投与することを含む、方法。
実施形態91。過剰増殖性障害、例えば、がんの治療において使用するための、実施形態1~87のいずれかに記載の結晶多形または実施形態88に記載の塩。
実施形態92。実施形態1~8のいずれかに記載の結晶多形または実施形態88に記載の塩の、過剰増殖性障害、例えば、がんの治療用の薬剤の調製のための、使用。
実施形態93。がん細胞における細胞周期進行を阻害するための方法であって、がん細胞を、有効量の、実施形態1~87のいずれかに記載の結晶多形または実施形態88に記載の塩と接触させることを含む、方法。
実施形態94。細胞周期進行が、細胞周期のG0/G1期において阻害される、実施形態93に記載の方法。
実施形態95。がん細胞のアポトーシスを誘導するための方法であって、がん細胞を、有効量の、実施形態1~87のいずれかに記載の結晶多形または実施形態88に記載の塩と接触させることを含む、方法。
実施形態96。がん細胞に対して細胞傷害性効果を誘導するための方法であって、がん細胞を、有効量の、実施形態1~87のいずれかに記載の結晶多形または実施形態88に記載の塩と接触させることを含む、方法。
実施形態97。がん細胞においてグルタチオン合成を阻害するための方法であって、がん細胞を、有効量の、実施形態1~87のいずれかに記載の結晶多形または実施形態88に記載の塩と接触させることを含む、方法。
実施形態98。がんが、造血器がんである、実施形態90~97のいずれかに記載の方法、結晶多形、塩、または使用。
実施形態99。がんが、リンパ腫(例えば、バーキットリンパ腫、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、毛状細胞リンパ腫、外套膜細胞リンパ腫、T細胞リンパ腫、皮膚T細胞リンパ腫、B細胞リンパ腫、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、ダブルヒットリンパ腫、ワルデンシュトレームマクログロブリン血症、原発性中枢神経系(CNS)リンパ腫、および血管内大細胞型B細胞リンパ腫(ILBCL))、白血病(例えば、急性リンパ芽球性白血病(ALL)、急性骨髄性白血病(AML)、急性骨髄性白血病、慢性リンパ性白血病(CLL)、慢性骨髄性白血病(CML)、慢性好中球性白血病(CNL)、慢性骨髄単球性白血病(CMML)、侵襲性NK細胞白血病(急性混合型白血病、および真性赤血球増加症)、急性および慢性T細胞およびB細胞白血病)、ならびに血漿細胞新生物(例えば、多発性骨髄腫)から選択される、実施形態90~97のいずれかに記載の方法、結晶多形、塩、または使用。
実施形態100。がんが、副腎皮質がん、副腎皮質がん、AIDSに伴うがん(例えば、カポジ肉腫、AIDSに伴うリンパ腫、バーキットリンパ腫、および原発性CNSリンパ腫など)、肛門がん、虫垂がん、星状細胞腫(例えば、小児期小脳または大脳)、胆管がん(例えば、胆管がん)、膀胱がん、骨肉がん(例えば、ユーイング肉腫、骨肉腫、悪性線維性組織球腫)、脳腫瘍(例えば、多形性膠芽腫、小脳星状細胞腫、大脳星状細胞腫/悪性神経膠腫、脳室上衣腫、髄芽腫、乏突起膠腫、テント上原始神経外胚葉性腫瘍、視覚伝達路および視床下部神経膠腫)、脳幹神経膠腫、乳がん、気管支腫瘍、胃腸カルチノイド腫瘍、カルチノイド腫瘍、未知の原発性がん、心(心臓)腫瘍、中枢神経系がん(例えば、非典型的奇形/横紋筋肉腫様腫瘍、胚性腫瘍、および胚細胞腫瘍)、子宮頸がん、小児期がん、軟骨肉腫、慢性骨髄増殖性腫瘍形成、結腸および直腸がん、頭蓋咽頭腫、線維形成性小円形細胞腫瘍、非浸潤性乳管がん(DCIS)、子宮内膜がん、脳室上衣腫、類上皮血管内皮腫(EHE)、食道がん、食道神経芽細胞腫、頭蓋外胚細胞腫瘍、性腺外胚細胞腫瘍、眼がん(例えば、眼内黒色腫、網膜芽細胞腫)、卵管がん、胆嚢がん、胃(gastric)(胃(stomach))がん、消化管間質腫瘍(GIST)、妊娠性絨毛疾患(GTD)、神経膠腫、毛様細胞白血病、頭頸がん(例えば、頭頸扁平上皮がん(HNSCC))、肝細胞(肝)がん、組織球症、ランゲルハンス細胞、下咽頭がん、腎臓がん、ランゲルハンス細胞組織球症、喉頭がん、喉頭がんおよび乳頭腫症、白血病(例えば、急性リンパ芽球性白血病(ALL)、急性骨髄性白血病(AML)、急性骨髄性白血病、慢性リンパ性白血病(CLL)、慢性骨髄性白血病(CML)、慢性好中球性白血病(CNL)、慢性骨髄性白血病(CMML)、侵襲性NK細胞白血病(急性多形質白血病、および真性赤血球増加症)、急性および慢性T細胞およびB細胞白血病)、唇がん、口腔がん、肝臓がん、肺がん(例えば、小細胞肺がん、非小細胞肺がん(NSCLC)、肺線がん、肺扁平上皮がん)、肺カルチノイド腫瘍、リンパ腫(例えば、バーキットリンパ腫、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、毛様細胞性リンパ腫、マントル細胞リンパ腫、T細胞リンパ腫、皮膚T細胞リンパ腫、B細胞リンパ腫、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、ダブルヒットリンパ腫、ワルデンシュトレームマクログロブリン血症、原発性中枢神経系(CNS)リンパ腫、および血管内大細胞型B細胞リンパ腫(ILBCL))、男性乳がん、髄膜腫、中皮腫、NUT遺伝子が関与する正中線路がん腫、口がん、多発性内分泌腺腫症症候群、形質細胞新生物(例えば、多発性骨髄腫)、菌状息肉症、骨髄異形成症候群、骨髄異形成/骨髄増殖性腫瘍形成および慢性骨髄増殖性腫瘍形成、鼻腔および副鼻腔がん、鼻咽頭がん(NPC)、神経芽細胞腫、口腔がん、唇がんおよび口腔がんおよび口腔咽頭がん、卵巣がん、膵臓がんおよび膵臓神経内分泌腫瘍(例えば、膵島細胞腫瘍)、傍神経節腫、副甲状腺がん、陰茎がん、咽頭がん、褐色細胞腫、下垂体腫瘍、胸膜肺芽腫、原発性腹膜がん、前立腺がん、網膜芽細胞腫、横紋筋肉腫、唾液腺がん、セザリー症候群、皮膚がん(例えば、基底および扁平上皮細胞がん、メルケル細胞がん、黒色腫)、小腸がん、軟部組織の肉腫、扁平上皮がん、胃(gastric)(胃(stomach))がん、精巣がん、喉がん、胸腺腫および胸腺がん、甲状腺がん、腎盂および尿管の移行細胞がん、尿道がん、子宮がんおよび子宮肉腫、膣がん、血管性腫瘍、外陰がん、ならびにウィルムス腫瘍からなる群から選択される、実施形態90~97のいずれかに記載の方法、結晶多形、塩、または使用。
実施形態101。がんが、虫垂がん、骨肉腫(例えば、ユーイング肉腫、骨肉腫、および悪性線維性組織球腫)、気管支腫瘍、未知の原発性がん、慢性骨髄増殖性腫瘍形成、結腸および直腸がん、頭頸がん(頭頸扁平上皮細胞がん(HNSCC)を含む))、白血病(例えば、急性リンパ性白血病(ALL)、急性骨髄性白血病(AML)、急性骨髄芽球性白血病、慢性リンパ性白血病(CLL)、慢性骨髄性白血病(CML)、慢性好中球性白血病(CNL)、慢性骨髄単球性白血病(CMML)、侵襲性NK細胞白血病(急性多形質白血病、および真性赤血球増加症)、急性および慢性T細胞およびB細胞白血病)、リンパ腫(例えば、バーキットリンパ腫、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、毛様細胞性リンパ腫、マントル細胞リンパ腫、T細胞リンパ腫、皮膚T細胞リンパ腫、B細胞リンパ腫、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、ダブルヒットリンパ腫、ワルデンシュトレームマクログロブリン血症、原発性中枢神経系(CNS)リンパ腫、および血管内大細胞型B細胞リンパ腫(ILBCL))、形質細胞新生物(例えば、多発性骨髄腫)、骨髄異形成症候群、骨髄異形成/骨髄増殖性腫瘍形成および慢性骨髄増殖性腫瘍形成、膵臓がんおよび膵臓神経内分泌腫瘍(例えば、膵島細胞腫瘍)、小腸がん、軟部組織肉腫、ならびに扁平上皮がんからなる群から選択される、実施形態90~97のいずれかに記載の方法、結晶多形、塩、または使用。
実施形態102。がんが、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫である、実施形態90~97のいずれかに記載の方法、結晶多形、塩、または使用。
実施形態103。がんが、結腸直腸がんである、実施形態90~97のいずれかに記載の方法、結晶多形、塩、または使用。
実施形態104。がんが、変異体KRAS遺伝子を有する、実施形態90~103のいずれかに記載の方法、結晶多形、塩、または使用。
実施形態105。がんが、ヘテロ接合変異体KRAS遺伝子を有する、実施形態90~103のいずれかに記載の方法、結晶多形、塩、または使用。
【0158】
この明細書全体を通して、特許および印刷された刊行物に対して多くの言及がなされてきた。引用された参考文献および印刷された刊行物は、参照によりそれらの全体が本明細書に個々に組み込まれる。
【0159】
最後に、本明細書に開示される本発明の実施形態は、本発明の原理を例示したものであることを理解するべきである。採用され得る他の変更は、本発明の範囲内である。したがって、例として、ただし、限定するものではなく、本発明の代替構成も、本明細書の教示に従って利用されてもよい。したがって、本発明は、示され説明されたとおりのものに正確には限定されない。
図1A
図1B
図1C
図1D
図1E
図1F
図2
図3A
図3B
図4A
図4B
図5A
図5B
図5C
図6A
図6B
図7A
図7B
図8
図9A
図9B
図10A
図10B
図11A
【図
図11B
図12A
図12B
図13A
図13B
図14A
【図
図14B
図15A
図15B
【図
図16A
図16B
【国際調査報告】