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特表2022-534435弁尖と乳頭筋または心臓壁の間の人工腱索に調節可能に張力付与するためのデバイス、システム、および方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-07-29
(54)【発明の名称】弁尖と乳頭筋または心臓壁の間の人工腱索に調節可能に張力付与するためのデバイス、システム、および方法
(51)【国際特許分類】
   A61F 2/24 20060101AFI20220722BHJP
【FI】
A61F2/24
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021571300
(86)(22)【出願日】2020-07-02
(85)【翻訳文提出日】2021-11-30
(86)【国際出願番号】 US2020040672
(87)【国際公開番号】W WO2021003372
(87)【国際公開日】2021-01-07
(31)【優先権主張番号】62/870,343
(32)【優先日】2019-07-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/873,352
(32)【優先日】2019-07-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】506192652
【氏名又は名称】ボストン サイエンティフィック サイムド,インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】BOSTON SCIENTIFIC SCIMED,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】シューイ、ダニエル
(72)【発明者】
【氏名】エッゲルト、ジョエル ティ.
(72)【発明者】
【氏名】アボット、アーロン
(72)【発明者】
【氏名】ロール、ジェームズ ピー.
(72)【発明者】
【氏名】コウデラ、クリストファー ジェイ.
【テーマコード(参考)】
4C097
【Fターム(参考)】
4C097AA21
4C097BB01
4C097BB04
4C097BB09
4C097CC01
4C097CC08
4C097CC18
4C097MM10
(57)【要約】
本開示は、一般に、患者体内に人工腱索を送達するための医療デバイスの分野に関する。人工腱索の張力を調節するためのシステムは、クリップとアンカとの間に結合可能な人工腱索を含む。クリップは心臓弁の弁尖と係合可能であり、これに対してアンカは乳頭筋または心臓壁と係合可能である。アンカは、本体部と、ロック部とを含み、ロック部は、人工腱索と結合可能であり、第1の方向での人工腱索の移動を許容するのに対して、第1の方向とは反対の第2の方向での人工腱索の移動を防止するように構成される。アクチュエータは、ロック部を選択的に解放して、第2の方向での人工腱索の選択的な移動を可能にするために、ロック部に結合されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
人工腱索の張力を調節するためのシステムであって、
クリップとアンカとの間に結合可能な人工腱索と、
心臓弁の弁尖と係合可能な前記クリップと、
乳頭筋または心臓壁と係合可能な前記アンカと
を備え、前記アンカは、
本体部、
前記人工腱索と結合可能であり、第1の方向での前記人工腱索の移動を許容するのに対して、前記第1の方向とは反対の第2の方向での前記人工腱索の移動を防止するように構成された、ロック部、および
前記ロック部に結合されたアクチュエータであって、前記ロック部を選択的に開放して、前記第2の方向での前記人工腱索の選択的移動を可能にするアクチュエータを含む、システム。
【請求項2】
前記アンカは、ハウジング部をさらに備え、前記本体部、前記ロック部、および前記アクチュエータは前記ハウジング部の中、またはその上に配置される、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
ユーザが、前記アクチュエータを起動させて、フィラメントに対して力を加えることによって前記ロック部を解放することができるように、前記アクチュエータは、カテーテルの中、またはその上に配置された、前記フィラメントに結合可能である、請求項1または2に記載のシステム。
【請求項4】
前記人工腱索が第2の方向で前記ロック部に対して力を加えるときに、前記ロック部がロックして前記人工腱索が第2の方向に移動するのを防止する、請求項1乃至3のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項5】
前記ロック部は、前記人工腱索が前記第2の方向に移動するのを防止するために、前記人工腱索をボールまたはローラと前記ロック部の壁部との間で押圧するための、ボールまたはローラを備える、請求項1乃至4のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項6】
前記アクチュエータは、前記ボールまたはローラに結合されて、前記ボールまたはローラを前記人工腱索から離れるように移動させて、前記人工腱索が前記第2の方向に移動することを可能にする、請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
前記ボールまたはローラは、前記人工腱索の軸に対して角度「α」で配向された第1の壁部と、前記人工腱索の軸に平行に配向された第2の壁部とを有する、スロット内に移動可能に設置される、請求項5に記載のシステム。
【請求項8】
前記第2の方向での前記人工腱索の移動は、前記人工腱索と前記第1および第2の壁部との間の摩擦力が前記第2の方向での前記人工腱索のさらなる移動を防止するまで、前記ボールまたはローラを前記人工腱索に対して押し付ける傾向を有する、請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
ユーザが前記ボールまたはローラを前記第1の方向に手動で移動させ、前記人工腱索、前記ボールまたはローラと、前記第1および第2の壁部との間の摩擦力を減少させ、前記人工腱索が前記第2の方向に移動することを許容することを可能にするために、前記ボールまたはローラに結合されたフィラメントをさらに備える、請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
前記人工腱索を前記第1の方向に移動させることは、前記クリップと前記アンカとの間の張力を増大させ、前記人工腱索を前記第2の方向に移動させることは、前記クリップと前記アンカとの間の張力を減少させる、請求項1乃至9のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項11】
前記ロック部は、前記人工腱索に結合して前記人工腱索が前記第2の方向に移動するのを防止するための、スプリング要素を備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項12】
前記ロック部は、前記人工腱索を係合するためのクランプを備え、前記アクチュエータは、前記クランプを前記人工腱索から係合解除するために前記クランプに結合されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項13】
前記ロック部は、第1の端部でアクチュエータに結合され、第2の端部で本体部に結合された、可撓性の編組部材を備え、前記可撓性の編組部材は、前記ハウジング部内部に配置され、前記人工腱索は、前記可撓性の編組部材と前記ハウジング部の側壁との間に配置される、請求項2に記載のシステム。
【請求項14】
前記ロック部がロック構成にあるとき、前記可撓性の編組部材が拡張されて前記人工腱索を前記ハウジング部の側壁に押し付けて、前記人工腱索が前記第1および第2の方向に移動するのを防止する、請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
前記ロック部は、前記人工腱索に係合するための係合表面を有する、回転可能なロック本体を備え、前記回転可能なロック本体は、前記係合表面と前記ロック部の本体部との間で前記人工腱索を挟み付けて、前記人工腱索の移動を防止するように回転可能である、請求項1に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に、心臓壁に対してアンカ固定するための医療デバイスの分野に関する。特に、本開示は、患者体内に人工腱索を送達するための医療デバイス、システム、および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
僧帽弁疾患は、典型的には、侵襲性の外科的介入によるか、または二重の、より小さな開口を作り出すとともに弁尖を複雑に挟み付けることによるか、または自然弁の僧帽弁置換によって修復される。これらのアプローチは、直接観察および修復の目的で僧帽弁を露出させるために、患者の胸部および心房中への開口を含むことのある、危険なバイパス手術を伴う。外科用リングの移植に伴う、患者の弁尖の切除、部分的除去、および/または修復は、患者の僧帽弁輪の直径を減少させ、それにより、弁尖を適切に癒合させるとともに、僧帽弁逆流を減少させるために、外科医によって使用される複雑な技法である。いくつかの技法は、逆流をわずかに減少させることができるが、耐久性のある解決策を提供することができず、弁の損傷した腱索を修復および/または置換することはない。したがって、僧帽弁疾患に対する経腔的な解決策が必要である。
【0003】
心臓壁に対するアンカ固定を伴う、本開示の医療デバイス、システム、および方法によって、様々な有利な医療成果が実現され得る。
【発明の概要】
【0004】
本開示の実施形態は、一般に、心臓内部に移植された人工腱索に張力付与するためのシステムおよび方法に関し得る。一態様においては、人工腱索の張力を調節するためのシステムは、クリップとアンカの間に結合可能な人工腱索を含む。クリップは、心臓弁の弁尖と係合可能であり得、これに対して、アンカは、乳頭筋または心臓壁と係合可能であり得る。アンカは、本体部と、人工腱索と結合可能であり、第1の方向での人工腱索の移動を許容するのに対して、第1の方向とは反対の第2の方向での人工腱索の移動を防止するように構成された、ロック部とを含むことができる。アクチュエータは、ロック部に結合されてもよい。アクチュエータは、ロック部を選択的に解放して、第2の方向での人工腱索の選択的移動を可能にするように、動作可能とすることができる。
【0005】
アンカは、ハウジング部を含んでもよい。いくつかの実施形態においては、本体部、ロック部、およびアクチュエータは、ハウジング部の中、またはその上に配置される。ユーザが、アクチュエータを起動させて、フィラメントに対して力を加えることによってロック部を解放することができるように、アクチュエータは、カテーテルの中、またはその上に配置されたフィラメントに結合可能とすることができる。ロック部がロックして、人工腱索が第2の方向でロック部に対して力を加えるときに、人工腱索が第2の方向に移動するのを防止する。
【0006】
ロック部は、人工腱索が第2の方向に移動するのを防止するために、人工腱索をボールまたはローラとロック部の表面との間で押圧するための、ボールまたはローラを含むことができる。アクチュエータは、ボールまたはローラに結合されて、ボールまたはローラを人工腱索から離れるように移動させて、人工腱索が第2の方向に移動することを可能にしてもよい。ボールまたはローラは、人工腱索の軸に対して角度「α」で配向された第1の壁部と、人工腱索の軸に平行に配向された第2の壁部とを有する、スロット内に移動可能に設置されることができる。第2の方向での人工腱索の移動は、人工腱索と第1および第2の表面との間の摩擦力が第2の方向での人工腱索のさらなる移動を防止するまで、ボールまたはローラを人工腱索に対して押し付ける傾向を有することができる。
【0007】
システムはまた、ユーザがボールまたはローラを第1の方向に手動で移動させ、人工腱索、ボールまたはローラと、スロットの第1および第2の壁部との間の摩擦力を減少させ、人工腱索が第2の方向に移動することを許容することを可能にするために、ボールまたはローラに結合されたフィラメントを含むこともできる。人工腱索を第1の方向に移動させることは、クリップとアンカとの間の張力を増加させることができ、人工腱索を第2の方向に移動させることは、クリップとアンカとの間の張力を減少させることができる。
【0008】
いくつかの実施形態においては、ロック部は、人工腱索に結合して人工腱索が第2の方向に移動するのを防止するための、スプリング要素を含む。他の実施形態においては、ロック部は、人工腱索を係合するためのクランプを含む。アクチュエータは、クランプを人工腱索から係合解除するためにクランプに結合されることが可能である。さらなる実施形態においては、ロック部は、第1の端部でアクチュエータに結合され、第2の端部で本体部に結合された、可撓性の編組部材を含む。可撓性の編組部材は、ハウジング部内部に配置されることが可能であり、これに対して、人工腱索は、可撓性の編組部材とハウジング部の側壁との間に配置されることが可能である。このように配設されて、ロック部がロック構成にあるとき、可撓性の編組部材が拡張されて人工腱索を側壁に押し付けて、人工腱索が第1および第2の方向に移動するのを防止することができる。さらに別の実施形態においては、ロック部は、人工腱索に係合するための係合表面を有する、回転可能なロック本体を備え、回転可能なロック本体は、係合表面とロック部の本体部との間で人工腱索を挟み付けて、人工腱索の移動を防止するように回転可能である。
【0009】
人工腱索の張力を調節するためのデバイスが開示されている。このデバイスは、乳頭筋または心臓壁と係合可能なアンカを含むことができる。アンカは、本体部と、人工腱索と結合可能であり、第1の方向での人工腱索の移動を許容するのに対して、第1の方向とは反対の第2の方向での人工腱索の移動を防止するように構成されたロック部と、を有することができる。デバイスは、ロック部に結合されたアクチュエータをさらに含んでもよく、アクチュエータは、ロック部を選択的に解放して、第2の方向での人工腱索の選択的な移動を可能にするように構成されている。
【0010】
アクチュエータは、ユーザがアクチュエータを起動させて、フィラメントに対して力を加えることによって、ロック部を解放することができるように、カテーテル内またはカテーテル上に配置されたフィラメントに結合可能としてもよい。ロック部は、人工腱索が第2方向においてロック部に対して力を加えたときに、人工腱索が第2方向に移動することを防止するために、自動的にロックしてもよい。いくつかの実施形態においては、ロック部は、人工腱索が第2の方向に移動するのを防止するために、ボールまたはローラとロック部の表面との間で人工腱索を押圧するためのボールまたはローラを備える。アクチュエータは、ボールまたはローラに結合されて、ボールまたはローラを人工腱索から離れるように移動させて、人工腱索が第2の方向に移動することを可能にすることができる。
【0011】
いくつかの実施形態においては、ロック部は、人工腱索が第2の方向に移動するのを防止するために、人工腱索に結合するためのスプリング要素を含む。他の実施形態においては、ロック部は、人工腱索に係合するためのクランプを含む。クランプを人工腱索から係合解除するために、アクチュエータが、クランプに結合されることが可能である。
【0012】
人工腱索の張力を調節するための方法が開示されている。この方法は、弁尖と乳頭筋または心臓壁との間に人工腱索を配置する工程と、人工腱索に対して力を加えて、人工腱索を、乳頭筋または心臓壁と係合されたアンカに対して、第1の位置から第2の位置へと移動させることによって、人工腱索の張力を調節する工程とを含むことができる。アンカのロック部は、人工腱索が第2の位置から第1の位置に向かって移動するのを防止することができる。この方法は、人工腱索が第1の位置から第2の位置へと移動された後の心臓弁の逆流特性を可視化する工程と、この可視化に基づいて第2の位置から第3の位置へと人工腱索を移動させる工程とを含むことができる。第2の位置から第3の位置へと人工腱索を移動させる工程は、人工腱索に対して力を加えることを含んでもよい。第2の位置から第3の位置へと人工腱索を移動させる工程は、人工腱索が第1の位置に向かって移動することを許容するために、ロック部を係合解除することを含んでもよい。この方法は、人工腱索が第2の位置から第3の位置へと移動された後の心臓弁の逆流特性を可視化する工程と、この可視化に基づいて人工腱索を第3の位置から第4の位置へと移動させる工程とをさらに含んでもよい。
【0013】
本開示の非限定的な実施形態は、概略的であり、縮尺通りに描かれることを意図していない添付の図を参照して、例として説明されている。図においては、図示されている、それぞれの同一またはほぼ同一の構成要素は、通常、単一の数字で表わされている。明確にするために、すべての図においてすべての構成要素がラベル付けされているわけではなく、また、当業者が開示を理解できるようにするために図解が必要でない場合には、各実施形態のすべての構成要素が示されているわけでもない。図においては以下が示される。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】血流逆流中の僧帽弁の動揺弁尖の横断面図。
図2】本開示の一実施形態による、いくつかの人工腱索が心臓弁弁尖と心臓壁との間に係合されているシステムの横断面図。
図3A】本開示の一実施形態による、人工腱索張力付与デバイスの第1の透視側面図。
図3B】本開示の一実施形態による、人工腱索張力付与デバイスの第2の透視側面図。
図4A】本開示の一実施形態による、人工腱索張力付与デバイスの第1の透視側面図。
図4B】本開示の一実施形態による、人工腱索張力付与デバイスの第2の透視側面図。
図5A】本開示の一実施形態による、人工腱索張力付与デバイスの第1の透視側面図。
図5B】本開示の一実施形態による、人工腱索張力付与デバイスの第2の透視側面図。
図6A】本開示の一実施形態による、人工腱索張力付与デバイスの斜視図。
図6B】本開示の一実施形態による、人工腱索張力付与デバイスの部分透視斜視図。
図6C】本開示の一実施形態による、人工腱索張力付与デバイスの横断面図。
図6D】アクチュエータの一実施形態と係合された、図6A~6Cの人工腱索張力付与デバイスの斜視図。
図6E】アクチュエータの一実施形態と係合された、図6A~6Cの人工腱索張力付与デバイスの部分透視斜視図。
図6F】アクチュエータの一実施形態と係合された、図6A~6Cの人工腱索張力付与デバイスの斜視図。
図6G】アクチュエータの一実施形態と係合された、図6A~6Cの人工腱索張力付与デバイスの部分透視斜視図。
図7A】本開示の一実施形態によるロック部の斜視図。
図7B】本開示の一実施形態によるロック部の横断面図。
図8A】本開示の実施形態によるロック部の透視図。
図8B】本開示の実施形態によるロック部の透視図。
図8C】本開示の実施形態によるロック部の透視図。
図8D】本開示の実施形態によるロック部の透視図。
図8E】本開示の実施形態によるロック部の透視図。
図9A】本開示の一実施形態によるクランプ式ロック部の斜視図。
図9B】本開示の一実施形態によるクランプ式ロック部の斜視図。
図9C】本開示の一実施形態によるクランプ式ロック部の斜視図。
図9D】本開示の一実施形態によるクランプ式ロック部の斜視図。
図9E】本開示の一実施形態によるクランプ式ロック部の斜視図。
図10A】本開示の一実施形態によるクランプ式ロック部の斜視図。
図10B】本開示の一実施形態によるクランプ式ロック部の斜視図。
図10C】アクチュエータの一実施形態と係合された、図10Aおよび10Bの人工腱索張力付与デバイスの斜視図。
図10D】アクチュエータの一実施形態と係合された、図10Aおよび10Bの人工腱索張力付与デバイスの斜視図。
図11A】本開示の実施形態によるスプリング・ロック式ロック部の透視図。
図11B】本開示の実施形態によるスプリング・ロック式ロック部の透視図。
図11C】本開示の実施形態によるスプリング・ロック式ロック部の透視図。
図11D】本開示の実施形態によるスプリング・ロック式ロック部の透視図。
図11E】本開示の実施形態によるスプリング・ロック式ロック部の透視図。
図11F】本開示の実施形態によるスプリング・ロック式ロック部の透視図。
図12A】本開示の一実施形態によるプランジャ・コイル・ロック式ロック部の透視図。
図12B】本開示の一実施形態によるプランジャ・コイル・ロック式ロック部の透視図。
図13】本開示の一実施形態によるスリーブ・ロック式ロック部の透視図。
図14】本開示の一実施形態によるスプリング・ウェッジ・ロック式ロック部の横断面図。
図15A】本開示の一実施形態によるスプリング・ウィンド・ロック式ロック部の斜視図。
図15B】本開示の一実施形態によるスプリング・ウィンド・ロック式ロック部の斜視図。
図16A】本開示の一実施形態による縫合ロック式ロック部の斜視図。
図16B】本開示の一実施形態による縫合ロック式ロック部の斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本開示は、記載された具体的な実施形態に限定されない。本明細書において使用される用語は、特定の実施形態を説明することのみを目的としており、添付の特許請求の範囲を超えて限定することを意図されてはいない。特に定義されない限り、本明細書において使用されるすべての技術用語は、本開示が属する当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。
【0016】
本開示の実施形態は、心臓組織への選択的アクセスのための医療デバイスおよびシステム(例えば、大腿静脈などを通して挿入された経腔的デバイス)を具体的に参照して説明されることがあるが、そのような医療デバイスおよびシステムは、心臓組織に対するアンカ固定を必要とする様々な医療処置において使用され得ることを理解されたい。開示された医療デバイスおよびシステムはまた、異なるアクセスポイントおよびアプローチ、例えば、経皮的、内視鏡的、腹腔鏡的、またはそれらの組み合わせによって挿入されてもよい。
【0017】
本明細書で使用される場合、単数形「a」、「an」、および「the」は、文脈がそうでないことを明確に示さない限り、複数形も含むことが意図されている。本明細書で使用される場合には、「comprises(備える)」および/または「comprising(備えている)」または「includes(含む)」および/または「including(含んでいる)」という用語は、記載された特徴、領域、工程、要素および/または構成要素の存在を明示はするが、1つまたは複数の他の特徴、領域、整数、工程、操作、要素、構成要素、および/またはそれらの群の存在または追加を除外するものではない。
【0018】
本明細書で使用される場合には、「近位端」は、デバイスを患者体内に導入するときに、デバイスに沿って医療専門家に対して最も近くにあるデバイスの端部を指し、「遠位端」は、移植、位置決め、または送達中に、デバイスに沿って医療専門家から最も遠くにあるデバイスまたは物体の端部を指す。
【0019】
本明細書で使用される場合には、接続詞「および」は、文脈がそうでないことを明確に示さない限り、そのように連結された構造、構成要素、特徴、その他のそれぞれを含み、接続詞「または」は、文脈がそうでないことを明確に示さない限り、そのように連結された構造、構成要素、特徴、その他の内の一つまたはその他を、単独で、または任意の組み合わせと数とで含む。
【0020】
本明細書では、すべての数値は、明示的に指示されているかどうかにかかわらず、「約」という用語によって修飾されるものと想定されている。数値の文脈において、「約」という用語は、一般に、当業者が列挙された値と同等である(すなわち、同じ機能または結果を有する)と見なす、数値の範囲を指す。多くの場合、「約」という用語は、最も近い有効数字に丸められた数値を含む場合がある。「約」という用語のその他の(すなわち、数値以外の文脈での)使用は、特に明記されない限り、明細書の文脈から理解され、それと一致するように、それらの通常の慣習的な定義を有するものと仮定されてもよい。端点による数値範囲の列挙は、端点を含む、その範囲内のすべての数値を含む(例えば、1から5は、1、1.5、2、2.75、3、3.80、4、および5を含む)。
【0021】
本明細書における「実施形態」、「いくつかの実施形態」、「その他の実施形態」などへの言及は、記載された実施形態は特定の特徴、構造、または特性を含み得るが、すべての実施形態が必ずしも特定の特徴、構造、または特性を含むものではないことを示すことが注記される。さらに、そのような句は、必ずしも同じ実施形態を指すとは限らない。さらに、特定の特徴、構造、または特性が一実施形態に関連して説明される場合、明示的に説明されているかどうかにかかわらず、明確に反対の記載がない限り、その他の実施形態に関連してそのような特徴、構造、または特性に影響を与えることは当業者の知識の範囲内である。すなわち、以下に記載される様々な個々の要素は、特定の組み合わせで明示的に示されていない場合でも、当業者によって理解されるように、その他の追加の実施形態を形成するため、または記載される実施形態を補完および/または富化するために、互いに組み合わせ可能または配置可能であると企図される。
【0022】
房室心臓弁の機能不全を含む心臓病は、患者の心拍出量を妨げ、患者の生活の質と寿命を低下させる。図1に図示される心臓154を参照すると、心臓病が進行するにつれて、乳頭筋または心臓壁152を弁尖151に接続する腱索155は、非弾性的に伸長し、破裂する可能性がある。伸長された、かつ/または破裂した腱索156は、正常な心臓機能のための弁シールを形成する能力をもはや持たない可能性がある、動揺弁尖150を生ずる可能性がある。例えば、ベクトル158の方向における異常な血流逆流が発達する可能性がある。逆流は、適切な血液供給が心臓血管系を介して送達されるのを妨げる。
【0023】
心臓病を治療するために、弁および/または腱索の1つまたは複数の弁尖の再配置、修復、および/または置換が望ましい場合がある。本開示のデバイス、システム、および方法は、単独で、またはその他のデバイス、システム、および方法と一緒に使用されて、心臓病を治療することができる。本開示の実施形態がそれによって実施されることができるデバイス、システム、および方法の例としては、以下に記載されているものが含まれるが、これらに限定はされない。米国特許出願[代理人整理番号8150.0592]、タイトルは「心臓弁の弁尖をクランプするためのデバイス、システム、および方法(DEVICES, SYSTEMS, AND METHODS FOR CLAMPING A LEAFLET OF A HEART VALVE)」、米国特許出願[代理人整理番号8150.0593]、タイトルは「人工腱索を乳頭筋または心臓壁にアンカ固定するためのデバイス、システム、および方法(DEVICES, SYSTEMS, AND METHODS FOR ANCHORING AN ARTIFICIAL CHORDAE TENDINEAE TO A PAPILLARY MUSCLE OR HEART WALL)」、および米国特許出願[代理人整理番号8150.0594]、タイトルは「人工腱索のデバイス、システム、および方法(DEVICES, SYSTEMS, AND METHODS FOR ARTIFICIAL CHORDAE TENDINEAE)」は、それぞれが本書に同日付で提出され、それぞれの全文が、すべての目的のために本明細書に援用される。本明細書に記載のデバイスの例は、本開示の実施形態または1つまたは複数の特徴を組み込むように変更されることができる。
【0024】
1つまたは複数の弁の弁尖および/または腱索の再配置、修復、および/または置換は、1つまたは複数のデバイスが、弁尖と、乳頭筋または心臓壁などの心臓組織の一部分とに対して固定されるとともに、1つまたは複数の人工腱索をそれらの間に結合することを必要とし得る。本明細書に記載の実施形態デバイスは、クリップを使用して弁尖に対して固定されてもよく、これに対して、その他の実施形態デバイスは、アンカをそれに係合させることによって、乳頭筋、心臓壁、またはその他の心臓組織の一部分に対して固定されてもよい。そのようなデバイスは、弁の弁尖を操作するために、および/または乳頭筋および/または心臓壁に取り付けられるデバイスを送達するために、その他のデバイス、システム、またはツールが係合するための固定点を提供してもよい。
【0025】
心臓弁を修復する目的で、鼓動している心臓に人工腱索を移植するためのデバイスおよび最小限に低侵襲性の方法が開示されている。いくつかの実施形態においては、弁尖クリップが心臓弁弁尖に取り付けられる。弁尖クリップは、人工腱索によって、乳頭筋や心臓壁などの心臓組織に取り付けられたアンカに接続されてもよい。弁尖クリップとアンカとを近づけたり、さらに遠ざけたりするように人工腱索の張力が調節されて、弁を通る血液の逆流を最小限に抑えてもよい。
【0026】
いくつかの実施形態においては、人工腱索は、カテーテルの近位端に隣接する場所から、張力付与されることが可能である。そのような張力付与は、弁尖クリップとアンカとの間の距離を減少させるために実行されてもよい。人工腱索が張力付与されているので、アンカは、人工腱索の位置を継続的にロックする。弁尖に対する人工腱索張力付与の影響は、医用イメージングで観察されて、弁尖の修復が達成されるまで、さらなる張力付与が実行されることが可能である。冒された心臓弁の視覚化された逆流特性によって証明されるように、人工腱索が過度に張力付与されている場合には、アクチュエータを引っ張ることによってアンカ・ロックが解放されて、弁尖クリップとアンカとの間の距離が増大されて、人工腱索の張力を低減することが可能である。この張力調節の工程は反復されることが可能である。人工腱索張力付与と弁修復に満足すると、人工腱索がカテーテルから外されて、カテーテルが心臓から取り除かれる。次いで、この手順が終了されるか、または追加の人工腱索が移植されることが可能である。
【0027】
開示されたデバイスの1つまたは複数の態様は、カテーテルまたはその他の適切な送達デバイスを使用して、弁尖、および乳頭筋および/または心臓壁などの心臓組織に送達され得ることが理解されるであろう。カテーテルは、その近位端に配置された、1つまたは複数の制御器を有して、ユーザが1つまたは複数の縫合糸、ケーブル、ワイヤなどを使用して開示されたデバイスを操作することを可能にしてもよい。
【0028】
理解されるように、送達デバイスが、ユーザが心臓内部の目標とされる場所において、開示されたデバイスを送達、移植、および操作することを可能にするように構成されている限り、送達デバイスの特定の性質は、本開示にとって重要ではない。
【0029】
開示されたデバイスの送達、係合、および操作は、蛍光透視法、超音波、心臓内エコーなどの既知の視覚化技術を使用することによって容易化され得ることも理解されるであろう。
【0030】
図2は、本開示による、心臓弁の弁尖150と乳頭筋または心臓壁152との間に1つまたは複数のフィラメント200、202を接続するためのシステムの実施形態を示す。理解されるように、(人工腱索として機能する)フィラメント200、202は、種々の適切な材料のいずれかで製造された縫合糸を備えてもよく、その非限定的な例として、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)が挙げられる。本開示がフィラメントに言及する場合、そのようなフィラメントは人工腱索を含むことが理解されるであろう。アンカ204は、心臓154の乳頭筋または心臓壁152に取り付けられ得る。アンカ204のそれぞれはまた、人工腱索として機能するアンカリング・フィラメント202の端部に取り付けられ得る。アンカリング・フィラメント202は、弁尖150に結合された複数の弁尖クリップ206にさらに取り付けられたフィラメント200に取り付けられている。医療専門家は、フィラメント200および202が心臓154の自然腱索を複製および/または置換して、弁の弁尖150と共に機能するように、それらの長さおよび張力を調節してもよい。医療専門家は、経食道心エコー図、蛍光透視法、その他を介して観察され得る心臓弁逆流観察に応じて、フィラメント200、202の張力を調節してもよい。フィラメント200、202は、一端において弁尖クリップ206によって弁尖150に対して固定され、第2の端部においてアンカ204によって乳頭筋または心臓壁152に対して固定されることが可能である。中間フィラメントおよび/または複数のフィラメントの使用が企図されている。例えば、図示された実施形態に示されるように、1つのアンカリング・フィラメント202と、1つのアンカ204が、複数の弁尖クリップ206と共に使用され得るように、単一のアンカリング・フィラメント202が1つまたは複数のフィラメント200に結合され得る。いくつかの実施形態においては、フィラメント200およびアンカリング・フィラメント202は、心臓154中へのシステムの送達中に、1つまたは複数の弁尖クリップ206と、アンカ204に結合され得る。
【0031】
ここで、図3A~3Bを参照すると、本開示による人工腱索302の張力を調節するためのデバイス300の実施形態が図示されている。デバイス300は、組織係合部306、本体部308、およびロック部310を有する、アンカを備えてもよい。記載されるように、ロック部310は、人工腱索が第1の方向(矢印「A」)に移動するのを許容するのに対して、人工腱索が第1の方向と反対の第2の方向(矢印「B」)に移動するのを防止するように、人工腱索302に結合可能としてもよい。このようにして、ユーザは、人工腱索をそれにかかる張力を増加させる傾向のある方向(例えば、第1の方向)に移動させることが可能であり、移動が停止されると、人工腱索は、ロック部310によって所定の位置に保持され、それによって、加えられた張力を維持する。
【0032】
人工腱索が、第1の端部324および第2の端部326を有するものとして、図3A、3Bに示されている。いくつかの実施形態においては、第1の端部324は制御フィラメント(図示せず)に結合されてもよく、制御フィラメントは、カテーテルを通り、ユーザが人工腱索302の張力を操作することができる場所まで伸びる。いくつかの実施形態においては、第1の端部324は、制御フィラメントがそれを介して結合されてもよい、ループまたはその他の接続メカニズムを含んでもよい。張力付与手順が完了すると、制御フィラメントは、第1の端部324から取り外されて、カテーテルを経由して取り除かれてもよい。人工腱索302の第2の端部326は、心臓内部で延びて、1つまたは複数の弁尖クリップ206(図2)に対して直接的または間接的に結合してもよい。いくつかの実施形態においては、第2の端部326は、フィラメント200(図2)に結合してもよく、フィラメント200は、1つまたは複数の弁尖クリップ206に結合する。
【0033】
図示の実施形態においては、ロック部310は、固定された停止部材312と、ローラ314とを備え、ローラ314は、ロック部310および/またはロック部を取り囲むハウジング部318に配置された、スロット316内に移動可能に設置されている。停止部材312およびローラ314は形状が円筒形であるように図示されているが、形状は重要ではなく、他の形状が企図される。例えば、停止部材312は、ローラが停止部材に接触するときに、ローラ314が矢印「B」の方向(第2の方向)に移動し続けることを防止する突起またはその他の表面特徴であってもよい。ローラ314は、より詳細に説明されるように、スロット316に沿って移動可能である限り、他の形状(テーパ状、曲線状など)で設けられてもよい。いくつかの実施形態においては、ロック部310は、ハウジング部318内部に配置されている。いくつかの実施形態においては、本体部308およびロック部310は、ハウジング部318の中またはその上に配置されることが可能である。
【0034】
前述のように、停止部材312は、ロック部310内部に固定され得、ローラ314は、スロット316内部で移動可能であってもよい。見て分かるように、スロット316の第1の壁部320は、人工腱索302の軸に対して角度「α」で配向されてもよく、一方、スロットの第2の壁部322は、人工腱索の軸に平行に配向されてもよい。ローラ314は、人工腱索302に接触して、人工腱索がローラ314に対して第1の方向(矢印「A」)に移動することを許容するとともに、人工腱索が第2の方向(矢印「B」)に移動するのを防止してもよい。
【0035】
使用中、スロット316に対して、停止部材312は固定されてもよい。ローラ314および人工腱索302は、ローラ314が人工腱索302に接触するように、スロット316内部に配置されることが可能である。ロック解除構成と呼ばれる、図示された構成では、ローラ314は、人工腱索302を押圧して、ロック部310の第1の壁部320と係合させるが、人工腱索が第1の方向(矢印「A」)に移動するのを防止する程度までではない。この構成では、ユーザが人工腱索の第1の端部324に対して力を加えて人工腱索の第2の端部326と、1つまたは複数の関連する弁尖クリップ206(図2を参照)との間に張力を加えることにより、人工腱索302が、第1の方向(矢印「A」)に移動されることが可能である。ローラ314は、人工腱索302と共に2者の間の摩擦力により、第1の方向に移動することができるが、前述のように、この摩擦は、人工腱索302がローラ314を通過して移動することを防止しない。人工腱索302の目標位置および/または張力が達成されると、人工腱索の張力は、自然に、人工腱索を第2の方向(矢印「B」)に移動させる傾向があってもよい。したがって、人工腱索302とローラ314との間の摩擦は、ローラ314を、人工腱索と共に第2の方向(矢印「B」)に移動させる。しかしながら、スロット316の角度のある性質のために、第2の方向へのローラ314の移動は、ローラ314を人工腱索302に向かって移動させ、したがって、ローラは、人工腱索に逆らって増加する力を加え、この結果として、ローラ、人工腱索、およびスロット316の第2の壁部322の間の摩擦が増大することになる。ローラ314の移動は、表面間の摩擦により人工腱索302が第2の方向(矢印「B」)にそれ以上動くのが防止されるまで継続し得る。
【0036】
いくつかの実施形態においては、矢印「A」の方向への人工腱索の移動は、デバイス300と心臓弁の弁尖150との間の人工腱索302を締め付ける傾向がある。デバイス300が乳頭筋または心臓壁152に結合されている場合、心臓弁を通る血液の逆流に対する効果を達成するために、人工腱索302の張力が達成されてもよい。逆流の観察は、経食道心エコー図、蛍光透視法、その他を介して観察されて、人工腱索302が適所にある状態で、逆流に対する効果が達成されたかどうかを判定してもよい。観察時に、ユーザが人工腱索302の張力は増大されるべきと判定した場合、ユーザは、人工腱索に対して追加の張力を加えて、それを第1の方向(矢印「A」)にさらに移動させ、その後に追加の観察、その他を続けてもよい。
【0037】
観察時に、ユーザが人工腱索302の張力は低減されるべきと判定した場合、人工腱索は、第2の方向(矢印「B」)に移動させられることができる。しかしながら、記載されたように、ロック部の配設は、人工腱索302の第2の方向への移動を防止する場合がある。したがって、ロック部310は、アクチュエータ328を含んでもよく、アクチュエータ328は、ローラ314を第1の方向(矢印「A」)に手動で移動させて、人工腱索302、ローラ314、およびスロット316の第2の壁部322の間の摩擦力を低減して、人工腱索302を第2の方向に移動させて、人工腱索302の張力を目標量だけ低減するように構成されている。図示の実施形態においては、アクチュエータ328は、ローラ314の中央部分を通って配置されたフィラメントである。アクチュエータ328は、カテーテルを通り、ユーザがアクチュエータを作動させてロック部310を「ロック解除」することができる場所まで伸びることができる。
【0038】
張力が低減されると、逆流の観察が、経食道心エコー図、蛍光透視法、その他を介して再び観察されて、目標効果が達成されたかどうかを判定してもよい。心臓弁逆流に対する目標効果が達成されるまで、第1および/または第2の方向での人工腱索302の追加の調節が行われることが可能である。張力付与手順が完了すると、アクチュエータ328はローラ314から取り外されて、カテーテルを経由して取り除かれてもよい。
【0039】
図4A~4Bを参照すると、本開示による人工腱索402の張力を調節するためのデバイス400の実施形態が示されている。記載されるように、ロック部410は、人工腱索が第1の方向(矢印「A」)に移動することを許容するのに対して、人工腱索が第1の方向と反対の第2の方向(矢印「B」)に移動するのを防止するように、人工腱索402に結合可能としてもよい。このようにして、ユーザは、人工腱索402をそれにかかる張力を増大させる傾向のある方向(例えば、第1の方向)に移動させることができ、移動が停止されると、人工腱索は、ロック部410によって所定の位置に保持され、それによって、加えられた張力を維持する。
【0040】
図4A~4Bの実施形態は、ローラの代わりに、デバイス400のロック部410が、人工腱索402に対して係合してロックするためのボール部材414を含むことを除いて、図3A~3Bのデバイス300と同一または類似の方法で配設されて動作することができる。デバイス400の残りの要素は、デバイス300と同じにすることができ、100だけ増大された、図3A~3Bにおける参照番号で示されており、デバイス400の動作は実質的に同じにすることが可能であり、簡単にするために、同様の要素および動作の上記の説明を参照する。
【0041】
したがって、ボール部材414は、ローラ314に関して説明したのと同じ方法で、人工腱索402を選択的にロックおよび解放するように動作可能となるように、角度の付いたスロット416内部に存在する。アクチュエータ428は、ボール部材414の一部分を通して設けられてもよく、前述のアクチュエータ328と同一または類似の方法で、ボール部材414を手動で移動させてロック部をロック解除するように操作され得る。
【0042】
ここで、図5A~5Bを参照すると、本開示による人工腱索502の張力を調節するためのデバイス500の実施形態が図示されている。デバイス500は、組織係合部506、本体部508、およびロック部510を有するアンカを備えてもよい。記載されるように、ロック部510は、人工腱索が第1の方向(矢印「A」)に移動することを許容するのに対して、人工腱索が第1の方向と反対の第2の方向(矢印「B」)に移動するのを防止するように、人工腱索502に結合可能としてもよい。このようにして、ユーザは、人工腱索502をそれにかかる張力を増加させる傾向のある方向に移動させることができ、移動が停止されると、人工腱索は、ロック部510によって所定の位置に保持され、加えられた張力を維持する。
【0043】
人工腱索が、第1の端部524および第2の端部526を有するものとして、図5A、5Bに示されている。第1の端部524は、いくつかの実施形態においては、制御フィラメント(図示せず)に結合されてもよく、制御フィラメントは、カテーテルを通り、ユーザが人工腱索502の位置を操作する(例えば、移動させる)ことができる場所まで伸びる。いくつかの実施形態においては、第1の端部524は、制御フィラメントがそれを介して結合されてもよい、ループまたはその他の接続メカニズムを含んでもよい。張力付与手順が完了すると、制御フィラメントは第1の端部524から取り外され、カテーテルを経由して取り除かれてもよい。人工腱索502の第2の端部526は、心臓内部で延びて、1つまたは複数の弁尖クリップ206(図2)に対して直接的または間接的に結合してもよい。いくつかの実施形態においては、第2の端部526は、フィラメント200(図2)に結合してもよく、フィラメント200は、1つまたは複数の弁尖クリップ206に結合する。
【0044】
図示された実施形態においては、ロック部510は、人工腱索502の一部分がその中に配置されるハウジング部512を備える。ハウジング部512は、第1の端部518においてアクチュエータ520に結合され、第2の端部516において本体部508に結合された、可撓性の編組部材514を収納することができる。可撓性の編組部材514は、ハウジング部512内部で中央に配置されてもよく、一方、人工腱索502は、可撓性の編組部材514とハウジング部512の側壁522との間に配置されてもよい。いくつかの実施形態においては、可撓性の編組部材514は、ニチノールを含む。一つの例示的な実施形態においては、可撓性の編組部材514は、可撓性の編組部材と人工腱索502との間の摩擦係合を増強するために、その少なくとも一部分の上に配置された摩擦増強コーティングを有する。
【0045】
アクチュエータ520は、第1および第2の方向(それぞれ矢印「A」および「B」)に移動可能であり、可撓性の編組部材514をロック構成とロック解除構成との間で移動させてもよい。可撓性の編組部材514がロック解除構成にあるとき、人工腱索は、第1の方向(矢印「A」)または第2の方向(矢印「B」)に移動されることが可能である。可撓性の編組部材514がロック構成にあるとき、人工腱索は、第1の方向(矢印「A」)または第2の方向(矢印「B」)に移動されることが可能である。いくつかの実施形態においては、アクチュエータ520(またはアクチュエータに結合された別個の部材)は、ユーザが患者の体外の場所からアクチュエータの位置を手動で調節できるとともに、可撓性の編組部材514をロック構成とロック解除構成との間で選択的に移動させることができるように、カテーテルを通って延びてもよい。
【0046】
使用において、可撓性の編組部材514の第2の端部516は、本体部508に対して、固定されてもよく、これに対して、可撓性の編組部材の第1の端部518は、アクチュエータ520と共に移動してもよい。アクチュエータ520を第1の方向(矢印「A」)に移動させると、可撓性の編組部材514に、図5Aのロック解除構成をとらせ、この場合に、可撓性の編組部材の第1の外径「OD1」は、人工腱索502の第1の方向(矢印「A」)への移動を妨げない。アクチュエータ520を第2の方向(矢印「B」)に移動させると、可撓性の編組部材514にロック構成をとらせて、この場合に、可撓性の編組部材514は、第1の外径「OD1」よりも大きい第2の外径「OD2」を有するように拡張される。
【0047】
いくつかの実施形態においては、アクチュエータ520は、第1の方向(矢印「A」)に移動可能であり、その結果、可撓性の編組部材514は、ハウジング部512の内径「ID」と同じである第2の外径「OD2」をとる。図5Bに示される、このロック構成では、可撓性の編組部材514の外径「OD2」は、人工腱索502を押圧して、ハウジング部512の側壁522と係合させるのに、十分な大きさである。いくつかの実施形態においては、人工腱索502に逆らう可撓性腱索部材514の力は、人工腱索502、可撓性腱索部材514、およびハウジング部512の側壁522の間の摩擦をもたらし、この摩擦は、人工腱索502が、第1または第2の方向のいずれかに移動するのを防止する。
【0048】
いくつかの実施形態においては、人工腱索を矢印「A」の方向に移動させると、デバイス500と心臓弁の弁尖150(図2)との間で、人工腱索502を締め付ける傾向がある。デバイス500が乳頭筋または心臓壁152(図2)に結合されている場合、心臓弁を通る血液の逆流に対する効果を達成するために、人工腱索502において張力が達成されてもよい。逆流の観察は、経食道心エコー図、蛍光透視法、その他を介して観察されて、人工腱索502が適所にある状態で、目標効果が達成されたかどうかを判定してもよい。観察時に、ユーザが人工腱索502の張力は増大されるべきと判定した場合、ユーザは、アクチュエータ520を第1の方向(矢印「A」)に移動させて、人工腱索502を、側壁522に対する摩擦ロックから解放することができる。次いで、ユーザは、人工腱索に対して追加の張力を加えて(例えば、カテーテルの近位端から操作可能な制御フィラメントを使用して)、それを第1の方向(矢印「A」)にさらに移動させることができる。目標張力が達成されると、アクチュエータ520は第2の方向(矢印「B」)に移動されて、人工腱索502を側壁522に対してロックすることができる。これに続いて、逆流の追加の観察、その後に追加の張力付与、その他を続けることができる。
【0049】
観察の結果、使用者が人工腱索502の張力は低減されるべきと判定した場合、人工腱索は第2の方向(矢印「B」)に移動されてもよい。このような場合、ユーザは、アクチュエータ520を第1の方向(矢印「A」)に移動させて、人工腱索502を側壁522に対する摩擦ロックから解放し、人工腱索の張力を低減させて、それを第1の方向(矢印「A」)にさらに移動させることができる。低減された張力が達成されると、アクチュエータ520が第2の方向(矢印「B」)に移動され、人工腱索502を側壁522に対してロックしてもよい。これに続いて、逆流の追加の観察、その後に追加の張力付与/張力解除、その他を続けることができる。
【0050】
張力付与手順が完了すると、アクチュエータ520は、例えば、圧着、切断および接合、かしめ、またはその他の機械的技術によって、ハウジング部に対してロックされてもよい。アクチュエータ520の残りの部分(すなわち、カテーテル内にある部分)は、ハウジング部512に対してロックされたままのアクチュエータの部分から接続解除されて、カテーテルを経由して取り除かれ得る。制御フィラメントは、同様に、人工腱索502の第1の端部524から結合解除され、カテーテルを経由して取り除かれることが可能である。
【0051】
ここで図6A~6Cを参照すると、本開示による、人工腱索602の張力を調節するためのデバイス600の実施形態が示されている。デバイス600は、組織係合部606、本体部608、およびロック部610を有するアンカを備えてもよい。記載されるように、ロック部610は、人工腱索602に結合可能であり、ロック部がロック解除構成にあるときに人工腱索が移動することを許容し、ロック部がロック構成にあるときに人工腱索が移動するのを防止することができる。このようにして、ユーザは、人工腱索602をそれにかかる張力を増大させる傾向のある方向に移動させることができ、移動が停止されると、人工腱索は、ロック部610によって所定の位置に保持されて、加えられた張力を維持することができる。
【0052】
人工腱索602が、第1の端部624および第2の端部626を有するものとして、図6A、6Bに示されている。第1の端部624は、いくつかの実施形態において、制御フィラメント(図示せず)に結合されてもよく、制御フィラメントは、カテーテルを通り、ユーザが人工腱索602の位置を操作する(例えば、移動させる)ことができる場所まで伸びる。いくつかの実施形態においては、第1の端部624は、制御フィラメントがそれを介して結合されてもよい、ループまたはその他の接続メカニズム(図示せず)を含んでもよい。張力付与手順が完了すると、制御フィラメントは、第1の端部624から取り外され、カテーテルを経由して取り除かれてもよい。人工腱索602の第2の端部626は、心臓内部で延びて、1つまたは複数の弁尖クリップ206(図2)に対して直接的または間接的に結合してもよい。いくつかの実施形態においては、第2の端部626は、フィラメント200(図2)に結合してもよく、フィラメント200は、1つまたは複数の弁尖クリップ206に結合する。
【0053】
図示の実施形態においては、ロック部610は、ベアリング部材614がその内部に配置されているハウジング部612と、本体部608の反対側のハウジング部612の端部に結合された、コイル部616とを備える。ベアリング部材614は、人工腱索602に対して垂直に配向されるように、ハウジング部612内部に配置されてもよい。ベアリング部材614は、反対側の端部で、ハウジング部612の対向する内面618、620に結合されて、ベアリング部材をハウジング部に対してロックすることができる。いくつかの非限定の例示的な実施形態においては、ベアリング部材614は、ハウジング部612に対してその軸のまわりで回転可能であってもよい。人工腱索602は、コイル部616内の縦方向開口622を通って配置されてもよく、人工腱索の第1および第2の端部624、626がコイル部の上端部628を通って延びるように、ベアリング部材614のまわりにループを形成してもよい。
【0054】
図6Cにおいて最もよく見て分かるように、ロック部610がロック構成にあるとき、コイル部616の縦方向開口622は、人工腱索602の直径「D」の2倍よりも小さい内径「CID」を有し得る。したがって、ロックされた構成においては、コイル部616は、人工腱索602の2つの部分に内向きの力を加えてそれらを一緒に圧迫し、人工腱索がコイル部に対して移動するのを防止してもよい。
【0055】
ロック部610をロック解除構成に配設するために、アクチュエータ630は、コイル部616と係合して、内径「CID」を選択的に増大させて、人工腱索がコイル部616を通って移動することを許容する量だけ、人工腱索602の2つの部分に加えられる力を減少させてもよい。いくつかの実施形態においては、アクチュエータ630(またはアクチュエータに結合された別個の部材)は、ユーザが患者の体外の場所からアクチュエータの位置を手動で調節できるように、カテーテルを通って延びてもよい。
【0056】
アクチュエータ630は、管腔632およびテーパ付きの先端部634を有する、中空プッシュ・ロッドであってよい。管腔632は、その内径が人工腱索602の直径「D」の2倍より大きく、人工腱索が内部で自由に移動することを可能にするように、寸法決めされてもよい。アクチュエータ630はまた、人工腱索の第2の端部626がそこから突出して弁尖クリップ206(図2)につながることを可能にするための、縦方向スロット636を含み得る。第1の端部624は、アクチュエータ630の管腔632内部に受け入れられて、前述の方法で制御フィラメントに接続することが可能である。
【0057】
使用中、アクチュエータ630を第1の方向「C」に移動させると、テーパ付きの先端部634を、コイル部616の上端部628に係合させる。アクチュエータ630を第1の方向「C」にさらに駆動すると、コイル部616を広げて離し、コイル部616の内径「CID」を増大させる。使用中、アクチュエータ630は、テーパ付きの先端部634がベアリング部材614に隣接して設置されるまで、コイル部616と係合するように駆動されてもよい。図6Fおよび6Gに示される、この位置では、コイル部616は、人工腱索を挟み付けないように、拡張構成にある。すなわち、ロック部610は、ユーザが人工腱索の位置を調節して、デバイス600と、1つまたは複数の取り付けられた弁尖クリップ206(図2)との間の張力を調節することを可能にする、ロック解除構成にあるのが示されている。アクチュエータ630を第2の方向「D」に動かすことにより、コイル部616の内径「CID」が、ロック部610を、ロック構成に戻すことを可能にし、ロック構成においては、コイル部の内径「CID」が人工腱索602の直径「D」の2倍よりも小さく、したがって、人工腱索が第1または第2の方向「A」、「B」に移動するのを防止する。
【0058】
いくつかの実施形態においては、矢印「A」の方向への人工腱索602の移動は、デバイス600と心臓弁の弁尖150(図2)との間で人工腱索602を締め付ける傾向がある。デバイス600が乳頭筋または心臓壁152(図2)に結合されている場合、心臓弁を通る血液の逆流に対する目標効果を達成するために、人工腱索602において目標張力が達成されてもよい。逆流の観察は、経食道心エコー図、蛍光透視法、その他を介して観察され、人工腱索602が適所にある状態で、目標効果が達成されたかどうかを判定してもよい。観察時に、ユーザが人工腱索602の張力は増大されるべきと判定した場合、ユーザが人工腱索に対して追加の張力を加えて、それを第1の方向(矢印「A」)にさらに移動させることができるように、ユーザは、アクチュエータ630を移動させてコイル部616の内径「CID」を拡張させて、人工腱索602のセグメントを、相互に対する、およびコイル部の内面に対する摩擦ロックから、解放してもよい。目標張力が達成されると、アクチュエータ630が移動されて、コイル部616の内径「CID」を元の位置に戻し、人工腱索602のセグメントを相互に対して、およびコイル部の内面に対してロックすることができる。これに続いて、逆流の追加の観察、その後に追加の張力付与、その他を続けることができる。
【0059】
観察時に、ユーザが人工腱索602の張力は低減されるべきと判定した場合、人工腱索は、第2の方向(矢印「B」)に移動されてもよい。そのような場合、ユーザが人工腱索の張力を低減して、それを第2の方向(矢印「B」)に移動させることができるように、ユーザは、アクチュエータ630を移動させて、人工腱索602のセグメントを、相互に対する摩擦ロック、およびコイル部616の内面に対する摩擦ロックから解放してもよい。目標の低減張力が達成されると、アクチュエータ630が移動されて、コイル部616の内径「CID」を元の位置に戻し、人工腱索602のセグメントを相互に、およびコイル部の内面に対して、ロックしてもよい。これに続いて、逆流の追加の観察、その後に追加の張力付与/張力解除、その他を続けることができる。
【0060】
張力付与手順が完了すると、アクチュエータ630は、例えば、圧着、切断および接合、かしめ、またはその他の機械的技術によって、ハウジング部に対してロックされてもよい。アクチュエータ630の残りの部分(すなわち、カテーテル内にある部分)は、接続解除されて、カテーテルを経由して取り除かれ得る。
【0061】
ここで、図7A~7Bを参照すると、本開示による人工腱索702の張力を調節するためのロック部700の実施形態が図示されている。ロック部700は、図3A~6Aのデバイス300~600に関係して開示されたロック部のいずれかと適当に相互交換されてもよい。すなわち、乳頭筋または心臓壁に結合され得るアンカと、心臓弁の弁尖に結合され得るクリップとの間で、ユーザが人工腱索に張力付与および/または張力解除することに加えて、人工腱索をロックすることを可能にする特徴を含むアンカを提供するために、ロック部700は、前述の組織係合部、本体部、およびハウジング部のいずれかと組み合わされてもよい。
【0062】
記載されるように、ロック部700は、人工腱索が第1の方向(矢印「A」)に移動することを許容するのに対して、人工腱索が第1の方向と反対の第2の方向(矢印「B」)に移動するのを防止するように、人工腱索702に結合可能としてもよい。このようにして、ユーザは、人工腱索702をそれにかかる張力を増大させる傾向のある方向に移動させることができ、移動が停止されると、人工腱索は、ロック部700によって所定の位置に保持され、それによって加えられた張力を維持する。
【0063】
人工腱索が、第1の端部724および第2の端部726を有するものとして、図7A、7Bに示されている。第1の端部724は、いくつかの実施形態においては、制御フィラメント(図示せず)に結合されてもよく、制御フィラメントは、カテーテルを通り、ユーザが人工腱索702の位置を操作する(例えば、移動させる)ことができる場所まで伸びる。いくつかの実施形態においては、第1の端部724は、制御フィラメントがそれを介して結合されてもよい、ループまたはその他の接続メカニズムを含んでもよい。張力付与手順が完了すると、制御フィラメントは第1の端部724から取り外され、カテーテルを経由して取り除かれてもよい。人工腱索702の第2の端部726は、心臓内部で延びて、1つまたは複数の弁尖クリップ206(図2)に対して直接的または間接的に結合してもよい。いくつかの実施形態においては、第2の端部726は、フィラメント200(図2)に結合してもよく、フィラメント200は、1つまたは複数の弁尖クリップ206に結合する。
【0064】
図示された実施形態においては、ロック部700は、人工腱索702がそれを通して配置される開口703A、Bを有する、本体部701を備える。本体部701は、それを通して人工腱索702を受け入れるためのボア706を有する、ロック本体704を収容することができる。ロック本体704は、本体部701内部でロック本体を移動させるために使用されることができる、アクチュエータ708に結合された、(具体的な形状は重要ではないが)概して長方形の部材であり得る。
【0065】
ロック本体704は、本体部701内の開口710内部に受け入れられることが可能である。開口710は、第1および第2の壁部712、714を有してもよい。図示された実施形態においては、第1の壁部712は、ロック部700がロック解除構成(図7A)にあるときに、ロック本体704の第1の側部716に平行に配向される。第2の壁部714は、第1の壁部712に対して傾斜角で配向されてもよい。
【0066】
図7Aのロック解除構成において、人工腱索702は、本体部701内の開口703A、Bを通過する実質的に直線状の経路、およびロック本体704のボア706に沿って配置されている。この構成において、人工腱索702は第1および第2の方向(それぞれ、矢印「A」および「B」)に移動可能であって、人工腱索の張力を増大または減少させる。
【0067】
人工腱索702を所定の位置にロックするために、アクチュエータ708は、第1の方向(矢印「A」)に移動されてもよい。この移動は、ロック本体704が本体部701内の開口710の角度のついた第2の壁部714に係合するまで、ロック本体704を第1の方向(矢印「A」)に移動させることができる。角度の付いた第2の壁部714と係合すると、ロック本体704の下部は移動を停止することができ、これに対して、ロック本体の上部は、角度の付いた第2の壁部に近づくまで移動し続けることができ、その結果、ロック本体は回転して図7Bに示される傾斜構成をとる。この構成(ロック構成と呼ばれる)において、ロック本体704内のボア706は、本体部701内の第1および第2の開口703A、Bに対して傾斜角で配向されている。この配向において、ロック本体704は、人工腱索702を挟み付け、その結果、人工腱索は、ボア706または第1および第2の開口703A、Bを通って自由に移動することはできない。
【0068】
このように配設されて、アクチュエータ708を第1および第2の方向(矢印「A」および「B」)に移動させることによって、ユーザは、ロック部700を選択的にロック、およびロック解除することができる。いくつかの実施形態においては、アクチュエータ708(またはアクチュエータに結合された別個の部材)は、カテーテルを通って延びて、ユーザが、患者の体外の場所からアクチュエータの位置を手動で調節することができる。
【0069】
ロック部700はまた、アクチュエータ無しでロックおよびロック解除され得る。すなわち、いくつかの実施形態においては、人工腱索702が第1の方向「A」に移動されると、人工腱索とロック本体704の間の摩擦力が、ロック本体を、第1の壁部712に向かって移動させて、本体部701内でボア706と開口703A、Bを整列させて、ロック部700をロック解除することができる。同様に、人工腱索702が第2の方向「B」に移動されるとき、人工腱索とロック本体704の間の摩擦力は、ロック本体704を、第2の壁部714に向かって移動させることができ、ロック本体を傾斜させて(図7B)、ボア706内部で人工腱索を挟み付け、人工腱索がそこを通過してさらに移動するのを防止する。
【0070】
人工腱索702の張力付与および張力解除は、ロック部700をロック解除し、張力を調節し、次いでロック部を再ロックすることによって、達成されてもよい。人工腱索702の張力の再調節が後に続く、可視化が、図1~6Cの実施形態に関係して先述された方法で、実行されてもよい。
【0071】
張力付与手順が完了すると、アクチュエータ708は、例えば、圧着、切断および接合、かしめ、またはその他の機械的技術によって所定の位置に対してロックされてもよい。アクチュエータ708の残りの部分(すなわち、カテーテル内にある部分)は、アクチュエータのその部分から接続解除されて、カテーテルを経由して取り除かれてもよい。
【0072】
次に図8Aを参照すると、本開示による人工腱索802の張力を調節するためのロック部800の実施形態が図示されている。ロック部800は、図3A~6Aのデバイス300~600に関係して開示されたロック部のいずれかと適当に相互交換されてもよい。すなわち、乳頭筋または心臓壁に結合され得るアンカと、心臓弁の弁尖に結合され得るクリップとの間で、ユーザが人工腱索に張力付与および/または張力解除することに加えて、人工腱索をロックすることを可能にする特徴を含むアンカを提供するために、ロック部800は、前述の組織係合部、本体部、およびハウジング部のいずれかと組み合わされてもよい。
【0073】
記載されるように、ロック部800は、人工腱索が第1の方向(矢印「A」)に移動することを許容するのに対して、人工腱索が第1の方向と反対の第2の方向(矢印「B」)に移動するのを防止するように、人工腱索802に結合可能としてもよい。このようにして、ユーザは、人工腱索802をそれにかかる張力を増大させる傾向のある方向に移動させることができ、移動が停止されると、人工腱索は、ロック部800によって所定の位置に保持され、それによって加えられた張力を維持する。
【0074】
人工腱索が、第1の端部824および第2の端部826を有するものとして、図8Aに示されている。第1の端部824は、いくつかの実施形態においては、制御フィラメント(図示せず)に結合されてもよく、制御フィラメントは、カテーテルを通り、ユーザが人工腱索802の位置を操作する(例えば、移動させる)ことができる場所まで伸びる。いくつかの実施形態においては、第1の端部824は、制御フィラメントがそれを介して結合されてもよい、ループまたはその他の接続メカニズムを含んでもよい。張力付与手順が完了すると、制御フィラメントは、第1の端部824から取り外されて、カテーテルを経由して取り除かれてもよい。人工腱索802の第2の端部826は、心臓内部で延びて、1つまたは複数の弁尖クリップ206(図2)に対して直接的または間接的に結合してもよい。いくつかの実施形態においては、第2の端部826は、フィラメント200(図2)に結合してもよく、フィラメント200は、1つまたは複数の弁尖クリップ206に結合する。
【0075】
図示された実施形態においては、ロック部800は、人工腱索802がそれを通して配置される開口803を有する、本体部801を備える。本体部801は、人工腱索802を選択的に係合するための係合表面806を有する、回転可能なロック本体804を収容することができる。いくつかの実施形態においては、係合表面806は、曲線形状を有してもよく、係合表面と人工腱索の間の係合を強化するように構成された、表面テクスチャまたは表面特徴を含むこともできる。回転可能なロック本体804は、ピン805にさらに結合されてもよく、ピンは、本体部801に結合されて、こうして回転可能なロック本体が本体部801に対して回転することを可能にする。
【0076】
このように配設されて、人工腱索802が第1の方向(矢印「A」)に移動されるとき、回転可能なロック本体が人工腱索を挟み付けないように、人工腱索と回転可能なロック本体804の係合表面806の間の接触が、回転可能なロック本体をピン805のまわりで回転させる。人工腱索802が第2の方向(矢印「B」)に移動されるとき、人工腱索と回転可能なロック本体804の係合表面806との接触が、回転可能なロック本体を逆方向にピン805のまわりで回転させ、回転可能なロック本体に係合表面と本体部801の間で人工腱索を挟み付けさせ、人工腱索のさらなる移動を防止する。
【0077】
いくつかの実施形態においては、矢印「A」の方向への人工腱索802の移動は、人工腱索と心臓弁の弁尖150(図2)との間の張力を増加させる傾向がある。ロック部800が、乳頭筋または心臓壁152に結合されているデバイスに組み込まれている場合には、心臓弁を通る血液の逆流に対する目標効果を達成するために、人工腱索802において目標張力が達成されてもよい。逆流の観察は、経食道心エコー図、蛍光透視法、その他を介して観察され、人工腱索802が適所にある状態で、目標効果が達成されたかどうかを判定してもよい。観察時に、ユーザが人工腱索802の張力は増大されるべきと判定した場合に、ユーザは、人工腱索に対して追加の張力を加えて、それを第1の方向(矢印「A」)にさらに移動させ、その後に追加の観察、その他を続けてもよい。
【0078】
観察時に、ユーザが人工腱索802の張力は低減されるべきと判定した場合、人工腱索は、第2の方向(矢印「B」)に移動されてもよい。しかしながら、記載されるように、ロック部800の配設は、人工腱索802の第2の方向への移動を防止する場合がある。したがって、人工腱索802が第2の方向(矢印「B」)に移動することができるように、ロック部800は、回転可能なロック本体804を人工腱索から離れるように手動で回転させて、人工腱索802、回転可能なロック本体、および本体部801の間の摩擦力を低減するように構成された、アクチュエータ808を含んでもよく、このことは、人工腱索の張力の目標の低減をもたらすことができる。図示された実施形態においては、アクチュエータ808は、回転可能なロック本体804の中央部分を通って配置されたフィラメントである。アクチュエータ808は、カテーテルを通り、ユーザがアクチュエータを作動させてロック部800を「ロック解除」することができる場所まで伸び得る。
【0079】
張力が低減されると、逆流の観察が、経食道心エコー図、蛍光透視法、その他を介して観察されて、目標効果が達成されたかどうかを判定してもよい。心臓弁逆流に対する目標効果が達成されるまで、第1および/または第2の方向での人工腱索802の追加の調節が行われることができる。張力付与手順が完了すると、アクチュエータ808が、回転可能なロック本体804から取り外され、カテーテルを経由して取り除かれてもよい。
【0080】
図8Bは、それらの間に人工腱索802を受け入れることができる、第1および第2の対向する回転可能なロック本体804A、Bを含む、ロック部800の代替の実施形態を図示する。この実施形態の操作は、図8Aの実施形態の操作と同じであっても、類似していてもよい。例えば、人工腱索が「B」方向に移動しようとすると、それは両方のロック本体804A、Bを回転させ、ロック本体は、それらの間に人工腱索を挟み付ける。
【0081】
図8C~8Dは、単一の回転可能なロック本体804および整列部材809を含む、ロック部800のさらなる代替実施形態を図示している。整列部材805は、回転可能なロック本体804に対して固定されて、動作中に、回転可能なロック本体を目標方位に維持することができる。整列部材809は、人工腱索802がそのまわりに配置される、ベアリング部材807を含み、人工腱索802に、ロック部800を通る所定の蛇行経路を横切ることを強制してもよい。したがって、人工腱索802が第1の方向(矢印「A」)に移動されると、回転可能なロック本体804の係合面811に加えられる力に加えて、人工腱索もベアリング部材807に対して力を加え、整列部材809にロック本体804を引き上げさせて、回転可能なロック本体をロック構成(図8D)からロック解除構成(図8E)へと回転させる傾向がある。同様に、人工腱索802が第2の方向(矢印「B」)に移動されると、ロック本体の係合面811に加えられる力に加えて、人工腱索はまた、ベアリング部材807に対して力を加え、整列部材809にロック本体804を引き下げさせて、回転可能なロック本体をロック解除構成(図8E)からロック構成(図8D)へと回転させる傾向がある。
【0082】
ここで、図9A~9Eを参照すると、本開示による人工腱索902の張力を調節するためのロック部900A~Eの様々な実施形態が図示されている。いくつかの実施形態においては、人工腱索902は、制御フィラメント(図示せず)に結合されることができる第1の端部924を有してもよく、制御フィラメントは、カテーテルを通り、ユーザが人工腱索902の位置を操作する(例えば、移動させる)ことができる場所まで伸びる。人工腱索は、心臓内部で延びて、1つまたは複数の弁尖クリップ206(図2)に対して直接的または間接的に結合してもよい、第2の端部926を有してもよい。いくつかの実施形態においては、第2の端部926は、フィラメント200(図2)に結合してもよく、フィラメント200は、1つまたは複数の弁尖クリップ206に結合する。ロック部900A~Eは、図3A~6Aのデバイス300~600に関係して開示されたロック部のいずれかと適当に相互交換されてもよい。すなわち、乳頭筋または心臓壁に結合され得るアンカと、心臓弁の弁尖に結合され得るクリップとの間で、ユーザが人工腱索に張力付与および/または張力解除することに加えて、人工腱索をロックすることを可能にする特徴を含むアンカを提供するために、ロック部900A~Eは、前述の組織係合部、本体部、およびハウジング部のいずれかと組み合わされてもよい。
【0083】
ロック部900A~Eの実施形態は、様々な共通の特徴を含む。例えば、ロック部900A~Eのそれぞれは、本体部901A~Eおよびクランプ要素904A~Eを含むことが可能であり、ここで、クランプ要素は、それらの間に人工腱索902の一部分をクランプするために本体部901A~Eと係合するようにバイアスされている。いくつかの非限定的な例示的実施形態においては、クランプ要素904A~Eは、ヒンジ905A~Eを介して、本体部901A~Eと係合するようにバイアスされてもよく、このヒンジは、いくつかの実施形態においては、クランプ要素および本体部と同じ材料で作製された薄い可撓性ヒンジを含む、リビング・ヒンジである。クランプ要素904A~Eは、本体部901A~Eの一体的に形成された部分であるか、または任意の適切な技術(例えば、溶接、接着、圧入)によって本体部に結合される別個の部品であることが可能である。
【0084】
クランプ要素904A~Eは、人工腱索902と係合し、対応する本体部901A~Eの係合面910A~Eに対して人工腱索を押し付ける、クランプ面906A~Eを有することができる。クランプ面906A~Eは、様々な形状のいずれかを有し、また、あるいはその代わりに、表面テクスチャリングまたはコーティングを含み、クランプ面と人工腱索902との間の係合を強化することができる。係合面910A~Eは、関連するクランプ面906A~Eの形状に対応する、またはそれと協調する形状を有してもよく、また、係合面と人工腱索902との間の係合を強化するために、表面テクスチャリングまたはコーティングを含んでもよい。
【0085】
図9Aのロック部900Aは、本体部901Aの係合面910A内の対応する凹部909A内部に受け入れ可能な複数のバーブ(barb)907Aを有する、クランプ面906Aを含む。図9Bのロック部900Bは、本体部901Bの係合面910Bの対応する曲面によって受け入れ可能である弯曲した幾何学形状を有する、クランプ面906Bを含む。図9Cのロック部900Cは、本体部901Cの係合面910Cの平坦表面と係合可能である複数のバーブ907Cを有する、クランプ面906Cを含む。図9Dのロック部900Dは、複数の弯曲部分907Dを備える、クランプ面906Dを含み、複数の弯曲部分は、本体部901Dの係合面910D内の対応する凹部909D内部に受け入れ可能である。図9Eのロック部900Eは、複数の突起907Eを有するクランプ面906Eを含み、突起は、本体部901Eの係合面910E内の対応する凹部909E内部に受け入れ可能である。
【0086】
ロック部900A~Eは、ロック構成において図示されている。したがって、図示された構成では、ロック部900A~Eは、人工腱索902が第1の方向(矢印「A」)に移動することを許容し、人工腱索が第1の方向と反対の第2の方向(矢印「B」)に移動するのを防止する。理解できるように、人工腱索902を第1の方向(矢印「A」)に移動させると、クランプ要素904A~Eが関連する本体部901A~Eから離れて移動する傾向があり、構成要素間の摩擦を低減して、人工腱索の通過を許容する。対照的に、人工腱索を第2の方向(矢印「B」)に移動させると、クランプ要素904A~Eを関連する本体部901A~Eに向かって移動させる傾向があり、このことは、構成要素間の摩擦を増加させ、人工腱索をロック部900A~Eに対してロックする。
【0087】
いくつかの実施形態においては、人工腱索902を矢印「A」の方向に移動させると、人工腱索と心臓弁の弁尖150(図2)との間の張力を増大させる傾向がある。ロック部900A~Eが、乳頭筋または心臓壁152に結合されているデバイスに組み込まれている場合には、心臓弁を通る血液の逆流に対する目標効果を達成するために、人工腱索902において目標張力が達成されてもよい。逆流の観察は、経食道心エコー図、蛍光透視法、その他を介して観察され、人工腱索902が適所にある状態において、目標効果が達成されたかどうかを判定してもよい。観察時に、ユーザが人工腱索902の張力は増大されるべきと判定した場合、ユーザは、人工腱索に対して追加の張力を加えて、それを第1の方向(矢印「A」)にさらに移動させ、その後に追加の観察、その他を続けてもよい。
【0088】
観察時に、ユーザが人工腱索902の張力は低減されるべきと判定した場合、人工腱索は、第2の方向(矢印「B」)に移動されてもよい。しかしながら、記載されるように、ロック部900A~Eの配設は、人工腱索902の第2の方向への移動を防止する場合がある。したがって、ロック部900A~Eは、アクチュエータ908を含んでもよく、アクチュエータ908は、ヒンジ905A~Eのまわりでクランプ要素904A~Eを手動で回転させ、クランプ要素を人工腱索および本体部901A~Eから離れるように移動させて、人工腱索902、クランプ要素904A~Eおよび本体部901A~Eの間の摩擦力を低減して、人工腱索902を第2の方向(矢印「B」)に移動させるように構成される。人工腱索902を第2の方向に移動させることは、人工腱索の張力の目標の低減をもたらすことができる。図示の実施形態においては、アクチュエータ908は、ロック部900A~Eのクランプ要素904A~Eに結合されたフィラメントである。アクチュエータ908は、カテーテルを通り、ユーザがアクチュエータを作動させてロック部900A~Eを「ロック解除」することができる場所まで伸びていてもよい。
【0089】
張力が低減されると、逆流の観察が、経食道心エコー図、蛍光透視法、その他を介して観察され、目標効果が達成されたかどうかを判定してもよい。心臓弁逆流に対する目標効果が達成されるまで、第1および/または第2の方向での人工腱索902の追加の調節が行われることが可能である。張力付与手順が完了すると、アクチュエータ908は、ロック部900A~Eから取り外されて、カテーテルを経由して取り除かれてもよい。
【0090】
ここで図10Aおよび10Bを参照すると、本開示による人工腱索1002の張力を調節するためのロック部1000の実施形態が図示されている。ロック部1000は、図3A~6Aのデバイス300~600に関係して開示されたロック部のいずれかと適当に相互交換されてもよい。したがって、乳頭筋または心臓壁に結合され得るアンカと、心臓弁の弁尖に結合され得るクリップとの間で、ユーザが人工腱索に張力付与および/または張力解除することに加えて、人工腱索をロックすることを可能にする特徴を含むアンカを提供するために、ロック部1000は、前述の組織係合部、本体部、およびハウジング部のいずれかと組み合わされてもよい。
【0091】
ロック部1000は、ヒンジ1006によって一端で結合された第1および第2のクランプ部材1004A、Bを備えてもよく、このヒンジ1006は、1つの非限定の例示的実施形態においては、リビング・ヒンジである。第1および第2のクランプ部材1004A、Bは、リビング・ヒンジによって相互に向かって(例えば、図10Bに示される閉じた構成において)バイアスされてもよい。第1および第2のクランプ部材1004A、Bはそれぞれ、それらの間に人工腱索1002を係合するためのクランプ面1000A、Bを有することができる。図示された実施形態においては、クランプ面1000A、Bは、複数の突起1006A、B、および1008A、Bを含む。複数の突起のそれぞれは、対向するクランプ面1000A、Bの隣接する突起間に受け入れられることが可能である。
【0092】
第1および第2のクランプ部材1004A、Bのそれぞれの上端部1010A、Bは、組み合わさって、それを通して人工腱索1002を受け入れるための、開口1012を形成してもよい。開口1014はまた、それを通して人工腱索1002を受け入れるためのヒンジ1006内にも設けられることが可能である。
【0093】
図10Aは、ロック解除構成で図示されたロック部1000を示し、この構成は、人工腱索1002が、ロック部に対して移動することを許容し得る。対照的に、図10Bは、ロック構成におけるロック部1000を示し、この構成においては、人工腱索1002は、ロック部に対して移動することが防止される。理解されるように、ロック構成において、人工腱索1002は、複数の突起1006A、B、および1008A、Bの形状に適合するように強制される。突起と、人工腱索1002の間の摩擦力は、人工腱索が第1または第2の方向のいずれかに移動することを防止することができる。
【0094】
いくつかの実施形態においては、矢印「A」方向への人工腱索1002の移動は、人工腱索と心臓弁の弁尖150(図2)との間の張力を増大させる傾向がある。そのような場合には、ユーザは、ロック部1000がロック解除構成(図10B)をとり、人工腱索が第1の方向(矢印「A」)に移動するのを許容して、人工腱索の張力を増大させるように、再構成してもよい。ロック部1000が、乳頭筋または心臓壁152に結合されているデバイス中に組み込まれている場合には、心臓弁を通る血液の逆流に対する目標効果を達成するために、人工腱索1002において目標張力が達成されてもよい。逆流の観察は、経食道心エコー図、蛍光透視法、その他を介して観察され、人工腱索1002が適所にある状態において、目標効果が達成されたかどうかを判定してもよい。観察時に、ユーザが人工腱索1002の張力は増大されるべきと判定した場合、ロック部はロック解除されて、ユーザは、人工腱索に対して追加の張力を加えて、それを第1の方向(矢印「A」)にさらに移動させ、その後に追加の観察、その他を続けてもよい。
【0095】
観察時に、ユーザが人工腱索1002の張力は低減されるべきと判定した場合には、人工腱索は、第2の方向(矢印「B」)に移動されてもよい。そのような場合には、ユーザは、ロック部1000がロック解除構成(図10B)をとり、人工腱索1002が第2の方向(矢印「B」)に移動することを許容して、人工腱索の張力を低減するように、再構成してもよい。目標の低減張力が達成されると、ロック部1000は、ロック構成(図10A)をとり、人工腱索1002をロック部1000に対してロックするように再構成されてもよい。これに続いて、逆流の追加の観察、その後に追加の張力付与/張力解除、その他を続けることができる。
【0096】
ロック部1000をロック解除構成に配設するために、アクチュエータ1030は、第1および第2のクランプ部材1004A、Bと係合してそれらを引き離すことで、人工腱索1002がロック部を通って移動することができるように、人工腱索(図示せず)に対して加えられたクランプ力を低減または除去してもよい。いくつかの実施形態においては、アクチュエータ1030(または、アクチュエータに結合された別個の部材)は、ユーザが患者の体外の場所からアクチュエータの位置を手動で調節できるように、カテーテルを通って延びてもよい。
【0097】
アクチュエータ1030は、管腔1032およびテーパ付きの先端部1034を有する、中空プッシュ・ロッドであってもよい。管腔1032は、人工腱索1002を収容し、人工腱索1002が内部で自由に移動することを可能にするように寸法決めされてもよい。
【0098】
使用において、アクチュエータ1030を第1の方向「C」に移動させると、テーパ付きの先端部1034を、第1および第2のクランプ部材1004A、Bによって形成された開口1012に係合させる。アクチュエータ1030を第1の方向「C」にさらに駆動すると、第1および第2のクランプ部材1004A、Bを、人工腱索1002が第1および第2の方向(図10A、Bにおける矢印「A」、「B」)に移動できるような量だけ、広げて離す。次いで、ユーザは、人工腱索1002の位置を調節して、アンカと1つまたは複数の取り付けられた弁尖クリップ206(図2)との間の張力を調節してもよい。アクチュエータ1030を第2の方向「D」(図10D)に移動させると、第1および第2のクランプ部材1004A、Bがロック部1000をロック構成に戻すことを許容し、この構成においては、第1および第2のクランプ部材が人工腱索1002に対してクランプして、それによって人工腱索が第1または第2の方向「A」、「B」に移動するのを防止する。
【0099】
次に、図11Aおよび11Bを参照すると、本開示による人工腱索1102の張力を調節するためのロック部1100の実施形態が図示されている。ロック部1100は、図3A~6Aのデバイス300~600に関係して開示されたロック部のいずれかと適当に相互交換されてもよい。すなわち、乳頭筋または心臓壁に結合され得るアンカと、心臓弁の弁尖に結合され得るクリップとの間で、ユーザが人工腱索に張力付与および/または張力解除することに加えて、人工腱索をロックすることを可能にする特徴を含むアンカを提供するために、ロック部1100は、前述の組織係合部、本体部、およびハウジング部のいずれかと組み合わされてもよい。
【0100】
人工腱索が、第1の端部1124および第2の端部1126を有するものとして、図11A、11Bに示されている。第1の端部1124は、いくつかの実施形態においては、制御フィラメント(図示せず)に結合されてもよく、制御フィラメントは、カテーテルを通り、ユーザが人工腱索1102の位置を操作する(例えば、移動させる)ことができる場所まで伸びる。いくつかの実施形態においては、第1の端部1124は、制御フィラメントがそれを介して結合されてもよい、ループまたはその他の接続メカニズムを含んでもよい。張力付与手順が完了すると、制御フィラメントは、第1の端部1124から取り外されて、カテーテルを経由して取り除かれてもよい。
【0101】
ロック部1100は、本体部1104、プランジャ1106、スプリング部材1108、およびエンド・キャップ1110を備えてもよい。図示された実施形態において、スプリング部材1108は、シリコーンまたはその他の圧縮性材料で作製されてもよい。スプリング部材は、プランジャ1106を弾力的に係合して、ロック部1100をロック位置にバイアスする形状に成型されてもよい。スプリング部材1108の圧縮性のために、プランジャ1106に対する力の付加は、スプリング部材1108を圧縮して、ロック部1100をロック位置からロック解除位置まで移動させることができる。本体部1104は、そこを通して人工腱索1102を受け入れるための第1および第2の横方向開口1112、1114を含んでもよい。プランジャ1106は、そこを通り人工腱索1102を受け入れるための開口1116を含んでもよい。
【0102】
図11Aは、ロック解除構成において図示されているロック部1100を示し、この構成においては、第1および第2の横方向開口112、114が、プランジャ1106における開口1116と整列されている。このことは、人工腱索1102が、ロック部に対して、第1および第2の方向(矢印「A」、「B」)のいずれかに移動することを許容し得る。対照的に、図11Bはロック構成におけるロック部1100を示しており、この構成においては、プランジャ1106は矢印「C」の方向に移動され、その結果、開口1116は、本体部1104の第1および第2の横方向開口1112、1114との整列から外れている。そのような配設は、プランジャの表面と本体部との間で人工腱索1102を挟み付け、人工腱索がロック部に対して、第1および第2の方向(矢印「A」、「B」)のいずれかに移動するのを防止し得る。いくつかの実施形態においては、エンド・キャップ1110は、ロック部1100が図11Bのロック構成にバイアスされるように、スプリング部材1108がそれを押圧して、プランジャ1106を矢印「C」の方向にバイアスすることが可能である、固定表面を提供してもよい。アクチュエータ1118は、プランジャ1106に結合されて、ユーザがプランジャを図11Bに示される構成(ロック状態)から図11Aに示される構成(ロック解除状態)へと移動させることを可能にすることができる。例えば、ユーザは、アクチュエータ1118に対して力を加え、アクチュエータは、プランジャ1106に対して力を加えて、スプリング部材1108のバイアスを克服することによって、矢印「C」と逆の方向に移動させることができる。人工腱索1102が第1または第2の方向のいずれかに移動できるように、開口1116が本体部1104の第1および第2の横方向開口1112、1114と整列されるように、プランジャ1106が移動されてもよい。
【0103】
いくつかの実施形態においては、人工腱索1102を矢印「A」の方向に移動させることは、人工腱索と心臓弁の弁尖150(図2)との間の張力を増大させる傾向がある。ロック部1100が、乳頭筋または心臓壁152に結合されているデバイス中に組み込まれている場合には、心臓弁を通る血液の逆流に対する目標効果を達成するために、人工腱索1102において目標張力が達成されてもよい。逆流の観察は、経食道心エコー図、蛍光透視法、その他を介して観察されて、人工腱索1102が適所にある状態において、目標効果が達成されたかどうかを判定してもよい。観察時に、ユーザが人工腱索1102の張力は増大されるべきと判定した場合には、ユーザは、ロック部1100がロック解除構成(図11A)をとり、人工腱索1102が第1の方向(矢印「A」)に移動されて人工腱索の張力を増大させることを許容するように、再構成してもよい。
【0104】
観察時に、ユーザが人工腱索1102の張力は低減されるべきと判定した場合には、人工腱索は、第2の方向(矢印「B」)に移動されてもよい。そのような場合には、ユーザは、ロック部1100がロック解除構成(図11A)をとり、人工腱索1002が第2の方向(矢印「B」)に移動することを許容して、人工腱索の張力を低減するように、再構成してもよい。
【0105】
目標の低減張力が達成されると、ロック部1100は、ロック構成(図11B)をとり、人工腱索1102をロック部1100に対してロックするように再構成されてもよい。これに続いて、逆流の追加の観察、その後に追加の張力付与/張力解除、その他を続けることができる。
【0106】
アクチュエータ1118は、カテーテルを通り、ユーザがアクチュエータを作動させて、ロック部1100をロック解除できる場所まで伸びてもよい。張力付与手順が完了すると、アクチュエータ1118はロック部1100から取り外されて、カテーテルを経由して取り除かれてもよい。
【0107】
図11C~Fは、図11A~Bに関係して記載された概念の代替的実施形態を図示している。すなわち、これらの実施形態のそれぞれは、本体部1104C~F、プランジャ1106C~F、スプリング部材1108C~F、およびエンド・キャップ1110C~Fを含む。本体部1104C~F4は、それを通して人工腱索1102を受け入れるための第1および第2の横方向開口1112C~F、1114C~Fを含んでもよい。プランジャ1106C~Fは、それを通して人工腱索1102を受け入れるための対応する開口1116C~Fを含んでもよい。
【0108】
図11C~Fは、ロック解除構成にあるロック部1100C~Fを示し、この構成は、人工腱索1102がロック部に対して第1および第2の方向(矢印「A」、「B」)のいずれかに移動することを許容し得る。ロック構成(図示せず)において、プランジャ1106C~Fは、スプリング部材1108C~Fの力の下で、矢印「C」の方向に移動されて、その結果として、開口1116C~Fは、プランジャの表面と本体部との間で人工腱索1102を挟み付け得る、本体部1104C~Fのそれぞれの第1および第2の横方向開口1112C~F、1114C~Fとの整列から外れて、人工腱索がロック部に対して、第1および第2の方向(矢印「A」、「B」)のいずれかに移動するのを防止する。いくつかの実施形態においては、エンド・キャップ1110は、ロック部1100C~Fがロック構成にバイアスされるように、スプリング部材1108C~Fがそれを押圧して、プランジャ1106C~Fを矢印「C」の方向にバイアスすることが可能である、固定表面を提供してもよい。アクチュエータ1118C~Fは、プランジャ1106に結合されて、ユーザが、図11Aおよび11Bに関係して先述された方法で、スプリング部材1188C~Fのバイアスを克服することによって、プランジャをロック構成からロック解除構成まで移動させることを可能にしてもよい。人工腱索1102の張力の調節は、図11AおよびBに関係して記述されたのと同じ方法で進行することができる。
【0109】
次に図12Aおよび12Bを参照すると、本開示による人工腱索1202の張力を調節するための、ロック部1200の実施形態が図示されている。ロック部1200は、図3A~6Aのデバイス300~600に関係して開示されたロック部のいずれかと適当に相互交換されてもよい。すなわち、乳頭筋または心臓壁に結合され得るアンカと、心臓弁の弁尖に結合され得るクリップとの間で、ユーザが人工腱索に張力付与および/または張力解除することに加えて、人工腱索をロックすることを可能にする特徴を含むアンカを提供するために、ロック部1200は、前述の組織係合部、本体部、およびハウジング部のいずれかと組み合わされてもよい。
【0110】
人工腱索が、第1の端部1224および第2の端部1226を有するものとして、図12Aに示されている。第1の端部1224は、いくつかの実施形態においては、制御フィラメント(図示せず)に結合されてもよく、制御フィラメントは、カテーテルを通り、ユーザが人工腱索1202の位置を操作する(例えば、移動させる)ことができる場所まで伸びる。いくつかの実施形態においては、第1の端部1224は、制御フィラメントがそれを介して結合されてもよい、ループまたはその他の接続メカニズムを含んでもよい。張力付与手順が完了すると、制御フィラメントは第1の端部1224から取り外されて、カテーテルを経由して取り除かれてもよい。
【0111】
ロック部1200は、本体部1204、プランジャ1206、スプリング部材1208およびエンド・キャップ1210を備えてもよい。本体部1204は、それを通して人工腱索1202を受け入れるための、横方向開口1212を含んでもよい。プランジャ1206は、それを通して人工腱索1202を受け入れるとともに、人工腱索をプランジャの上端部1217を通って外に誘導するための、対応する開口1216を含んでもよい。
【0112】
図12Aは、ロック構成におけるロック部1200を示し、このロック構成は、人工腱索1202がロック部に対して第1および第2の方向(矢印「A」、「B」)のいずれかに移動するのを防止することができる。この構成において、人工腱索1202は、本体部1204の内面1218に対して押圧されて、これは、人工腱索がロック部1200に対して第1および第2の方向(矢印「A」、「B」)のいずれかに移動するのを防止する。いくつかの実施形態においては、エンド・キャップ1210は、ロック部1200が図12Aのロック構成にバイアスされるように、スプリング部材1208がそれを押圧して、プランジャ1206を矢印「A」の方向にバイアスすることが可能である、固定表面を提供してもよい。アクチュエータ1220は、プランジャ1206に結合されて、プランジャを、図12Aに示されるロック構成から、図12Bに示されるロック解除構成へと移動させてもよい。例えば、アクチュエータ1220を経由してプランジャ1206に対して力を加えて、プランジャを矢印「B」の方向に移動させると、スプリング部材1208のバイアスを克服して、人工腱索1202がプランジャ1206と本体部1204の内面1218の間で圧縮されることがないように、プランジャを移動させてもよい。図12Bのこのロック解除構成において、人工腱索1202は、ロック部1200を通って引っ張られて、関連するアンカと1つまたは複数の弁尖クリップ206(図2)との間の張力を調節することができる。
【0113】
いくつかの実施形態においては、人工腱索1202を矢印「A」の方向に移動させると、人工腱索と心臓弁の弁尖150(図2)との間の張力を増大させる傾向がある。ロック部1200が、乳頭筋または心臓壁152に結合されているデバイス中に組み込まれている場合には、心臓弁を通る血液の逆流に対する目標効果を達成するために、人工腱索1202において目標張力が達成されてもよい。逆流の観察は、経食道心エコー図、蛍光透視法、その他を介して観察されて、人工腱索1202が適所にある状態で、目標効果が達成されたかどうかを判定してもよい。観察時に、ユーザが人工腱索1202の張力は増大されるべきと判定した場合には、ユーザは、ロック部1200がロック解除構成をとり、人工腱索1202が第1の方向に移動されて人工腱索の張力を増大させることを許容するように、再構成してもよい。
【0114】
観察時に、ユーザが人工腱索1202の張力は低減されるべきと判定した場合には、人工腱索は、第2の方向(矢印「B」)に移動されてもよい。そのような場合には、ユーザは、ロック部1200がロック解除構成をとり、人工腱索1202が第2の方向(矢印「B」)に移動することを許容して、人工腱索の張力を低減するように、再構成してもよい。目標の低減張力が達成されると、ロック部1200は、ロック構成をとり、人工腱索1202をロック部100に対してロックするように再構成されてもよい。これに続いて、逆流の追加の観察、その後に追加の張力付与/張力解除、その他を続けることができる。
【0115】
アクチュエータ1220は、カテーテルを通り、ユーザがアクチュエータを作動させて、ロック部1200をロック解除することができる場所まで伸びてもよい。張力付与手順が完了すると、アクチュエータ1220はロック部1200から取り外されて、カテーテルを経由して取り除かれてもよい。
【0116】
次に、図13を参照すると、本開示による人工腱索1302の張力を調節するためのロック部1300の実施形態が図示されている。ロック部1300は、図3A~6Aのデバイス300~600に関係して開示されたロック部のいずれかと適当に相互交換されてもよい。すなわち、乳頭筋または心臓壁に結合され得るアンカと、心臓弁の弁尖に結合され得るクリップとの間で、ユーザが人工腱索に張力付与および/または張力解除することに加えて、人工腱索をロックすることを可能にする特徴を含むアンカを提供するために、ロック部1300は、前述の組織係合部、本体部、およびハウジング部のいずれかと組み合わされてもよい。
【0117】
人工腱索が、第1の端部1324および第2の端部1326を有するものとして、図13に示されている。第1の端部1324は、いくつかの実施形態においては、制御フィラメント(図示せず)に結合されてもよく、制御フィラメントは、カテーテルを通り、ユーザが人工腱索1302の位置を操作する(例えば、移動させる)ことができる場所まで伸びる。いくつかの実施形態においては、第1の端部1324は、制御フィラメントがそれを介して結合されてもよい、ループまたはその他の接続メカニズムを含んでもよい。張力付与手順が完了すると、制御フィラメントは第1の端部1324から取り外されて、カテーテルを経由して取り除かれてもよい。人工腱索1302の第2の端部1326は、心臓内部で延びて、1つまたは複数の弁尖クリップ206(図2)に対して直接的または間接的に結合してもよい。いくつかの実施形態においては、第2の端部1326は、フィラメント200(図2)に結合してもよく、フィラメント200は、1つまたは複数の弁尖クリップ206に結合する。
【0118】
図示された実施形態において、ロック部1300は、縦方向開口1314を有するハウジング部1312を備え、縦方向開口1314の内部には、スプリング要素1316およびプランジャ1318が配置される。スプリング要素1316は、ハウジング部の肩部1320とプランジャ1318の面1322との間に配置されて、プランジャに肩部から離れるようにバイアスしてもよい。スプリング要素およびプランジャは、縦方向開口1314内部で移動可能であり得る。チューブ要素1328は、スプリング要素1316内部に配置され得、プランジャ1318に結合された第1の端部1328Aと、ロック部1300の第1の端部1330の近くのハウジング部に結合された第2の端部1328Bとを有してもよい。1つの非限定の例示的実施形態においては、チューブ要素1328は、シリコーンなどの弾性材料で作製されている。人工腱索1302の一部分は、人工腱索の第1の端部がロック部1300の第1の端部1330から延びて、第2の端部がロック部の第2の端部1332から延びるように、チューブ要素1328内部に配置されてもよい。
【0119】
チューブ要素1328は、その内径「TID」が、ロック解除構成において、人工腱索1302が第1および第2の方向(それぞれ矢印「A」および「B」)に移動することを許容するように、寸法決めされるように構成されてもよい。チューブ要素1328は、それが人工腱索1302を圧迫して、人工腱索が、チューブ要素に対して移動するのを防止するように、内径「TID」が低減される、ロック構成をとるように構成可能であり得る。いくつかの実施形態においては、チューブ要素1328は、チューブ要素の第1の端部1328Aを第2の方向(矢印「B」)に移動させることによってロック構成に移動され、またチューブ要素は、チューブ要素の第1の端部を第1の方向(矢印「A」)に移動させることによってロック解除構成に移動される。
【0120】
図13は、ロック構成におけるロック部1300(およびチューブ要素1328)を示しており、このロック構成においては、スプリング要素1316がバイアスをかけて、プランジャ1318をハウジング部1312の第2の端部1332に向かって(すなわち、第2の方向(矢印「B」)に)移動させる。これにより、チューブ要素1328が延びて、その結果として、その内径「TID」が人工腱索をしっかりと押して摩擦ロックを生成し、人工腱索1302がロック部を通って移動するのを防止する。
【0121】
アクチュエータ1334は、プランジャ1318に結合されて、プランジャをハウジング部1312の第1の端部1330に向かって(すなわち、第1の方向(矢印「A」)に)選択的に移動させることができ、その結果、内径「TID」は、人工腱索からの力を解放し、摩擦を低減して、人工腱索1302がロック部1300を通って移動することを許容する。いくつかの実施形態においては、アクチュエータ1334(またはアクチュエータに結合された別個の部材)は、カテーテルを通って延びてもよく、その結果として、ユーザは、患者の体外の場所から、アクチュエータを手動で調節して、ロック部1300をロック構成とロック解除構成との間で移動させることができる。
【0122】
アクチュエータ1334は、第1および第2の方向(それぞれ矢印「A」および「B」)に移動可能であり、プランジャ1318およびチューブ要素1328をロック構成とロック解除構成との間で移動させてもよい。チューブ要素1328がロック解除構成にあるとき、人工腱索1302は、第1の方向(矢印「A」)または第2の方向(矢印「B」)に移動されることが可能である。チューブ要素1328がロック構成にあるとき、人工腱索は、第1の方向(矢印「A」)または第2の方向(矢印「B」)のいずれかに移動することが防止される。
【0123】
いくつかの実施形態においては、人工腱索1302を矢印「A」の方向に移動させることは、人工腱索と心臓弁の弁尖150(図2)との間の張力を増大させる傾向がある。人工腱索1302の張力を調節することにより、心臓弁を通る血液の逆流に対する目標効果を達成してもよい。逆流の観察は、経食道心エコー図、蛍光透視法、その他を介して観察されて、人工腱索1302が適所にある状態で、目標効果が達成されたかどうかを判定してもよい。観察時に、ユーザが人工腱索1302の張力は増大されるべきと判定した場合には、ユーザは、アクチュエータ1334を第1の方向(矢印「A」)に移動させて、人工腱索1302をチューブ要素1328内部の摩擦ロックから解放してもよい。次いで、ユーザは、(例えば、カテーテルの近位端から操作可能な制御フィラメントを使用して)人工腱索に対して追加の張力を加えて、それを第1の方向(矢印「A」)にさらに移動させてもよい。目標張力が達成されると、アクチュエータ1334は、チューブ要素1328内部で、人工腱索1302をロックする量だけ、第2の方向(矢印「B」)に移動されてもよい。これに続いて、逆流の追加の観察、その後に追加の張力付与、その他を続けることができる。
【0124】
観察時に、ユーザが人工腱索1302の張力は低減されるべきと判定した場合には、人工腱索は、第2の方向(矢印「B」)に移動されてもよい。そのような場合には、ユーザは、アクチュエータ1334を第1の方向(矢印「A」)に移動させて、チューブ要素1328内部の摩擦ロックから人工腱索1302を解放するとともに、人工腱索の張力を低減し、それを第1の方向(矢印「A」)にさらに移動させてもよい。目標の低減張力が達成されると、アクチュエータ1334は、チューブ要素1328内部で人工腱索1302をロックする量だけ、第2の方向(矢印「B」)に移動されてもよい。これに続いて、逆流の追加の観察、その後に追加の張力付与/張力解除、その他を続けることができる。
【0125】
張力付与手順が完了すると、アクチュエータ1334は、例えば、圧着、切断および接合、かしめ、またはその他の機械的技術によって、ハウジング部に対してロックされてもよい。アクチュエータ1334の残りの部分(すなわち、カテーテル内にある部分)は、接続解除されて、カテーテルを経由して取り除かれてもよい。制御フィラメントは、同様に、人工腱索1302の第1の端部1324から結合解除され、カテーテルを経由して取り除かれることが可能である。
【0126】
次に、図14を参照すると、本開示による人工腱索1402の張力を調節するためのロック部1400の実施形態が図示されている。ロック部1400は、図3A~6Aのデバイス300~600に関係して開示されたロック部のいずれかと適当に相互交換されてもよい。すなわち、乳頭筋または心臓壁に結合され得るアンカと、心臓弁の弁尖150(図2)に結合され得るクリップとの間で、ユーザが人工腱索に張力付与および/または張力解除することに加えて、人工腱索をロックすることを可能にする特徴を含むアンカを提供するために、ロック部1400は、前述の組織係合部、本体部、およびハウジング部のいずれかと組み合わされてもよい。
【0127】
ロック部1400は、浮遊ブロック部1406およびロック要素1408を受け入れる、ハウジング部1404を含んでもよい。浮遊ブロック部1406は、三角形状を有し、ハウジング部1404内部で移動可能であってもよい。ロック要素1408は、同様に、ハウジング部1404内部で移動可能であって、浮遊ブロック部1406の第1の側部に向かって配向された突起1410を含んでもよい。
【0128】
ハウジング部1404はまた、人工腱索をハウジング部の第1の側部1414からハウジング部の第2の側部1416に案内するための溝1412を含んでもよい。溝1412は、人工腱索を、浮遊ブロック部1406の斜辺側側部1418に対して、次に浮遊ブロック部の第2の側部1420に対して案内するように構成されてもよい。すなわち、溝1412は、人工腱索1402を浮遊ブロック部1406の2つの側部のまわりに案内し、次に、人工腱索をハウジング部1404の外に誘導してもよい。
【0129】
ロック要素1408は、突起1410が人工腱索1402を係合して、それを浮遊ブロック部1406の第2の側部1420に対して押圧することができるように設置されてもよい。同時に、突起1410は、浮遊ブロック部1406を下方に強制し、その結果として、浮遊ブロック部の斜辺側側部1418は、人工腱索1402を、溝1412の対向する表面に対して押圧する。これらの要素の移動は、人工腱索をロック部1400に対してロックして、その結果として、人工腱索は、第1の方向および第2の方向に移動することが防止される。このようなロック構成が図14に示されている。
【0130】
アクチュエータ1422はロック要素1408に結合されて、突起1410を人工腱索1402から遠ざかるように移動させ、その結果として、人工腱索が第1および第2の方向(それぞれ矢印「A」および「B」)に移動することが可能にされる。いくつかの実施形態においては、アクチュエータ1422(またはアクチュエータに結合された別個の部材)は、カテーテルを通って延びてもよく、その結果として、ユーザは、患者の体外の場所から、アクチュエータを手動で調節して、ロック部1400をロック構成とロック解除構成との間で移動させることができる。
【0131】
いくつかの実施形態においては、人工腱索1402を矢印「A」の方向に移動させることは、人工腱索と心臓弁の弁尖150(図2)との間の張力を増大させる傾向がある。人工腱索1402の張力を調節することにより、心臓弁を通る血液の逆流に対する目標効果を達成してもよい。逆流の観察は、経食道心エコー図、蛍光透視法、その他を介して観察されて、人工腱索1402が適所にある状態で、目標効果が達成されたかどうかを判定してもよい。観察時に、ユーザが人工腱索1402の張力は増大されるべきと判定した場合には、ユーザは、突起1410が人工腱索から離れる方向に移動して、人工腱索が移動するのを許容するように、アクチュエータ1422を移動させてもよい。次いで、ユーザは、(例えば、カテーテルの近位端から操作可能な制御フィラメントを使用して)人工腱索1402に対して追加の張力を加えて、それを第1の方向(矢印「A」)にさらに移動させてもよい。目標張力が達成されると、アクチュエータ1422は移動されて、それによって突起1410を人工腱索に向かって移動させ、人工腱索を突起とブロック部1406の間でロックしてもよい。これに続いて、逆流の追加の観察、その後に追加の張力付与、その他を続けることができる。
【0132】
観察時に、ユーザが人工腱索1402の張力は低減されるべきと判定した場合には、人工腱索は、第2の方向(矢印「B」)に移動されてもよい。そのような場合には、ユーザは、アクチュエータ1422を移動させて、突起1410とブロック部1406の間から人工腱索1402を解放するとともに、人工腱索の張力を低減して、それを第2の方向(矢印「B」)にさらに移動させてもよい。目標の低減張力が達成されると、突起1410が人工腱索1402と係合してさらなる移動を防止するように、アクチュエータ1422は移動されてもよい。これに続いて、逆流の追加の観察、その後に追加の張力付与/張力解除、その他を続けることができる。
【0133】
張力付与手順が完了すると、アクチュエータ1422は、例えば、圧着、切断および接合、かしめ、またはその他の機械的技術によって、ハウジング部に対してロックされてもよい。アクチュエータ1422の残りの部分(すなわち、カテーテル内にある部分)は、接続解除されて、カテーテルを経由して取り除かれてもよい。制御フィラメントは、同様に、人工腱索1402の第1の端部1424から結合解除され、カテーテルを経由して取り除かれることが可能である。人工腱索1402の第2の端部1426は、心臓内部で延びて、1つまたは複数の弁尖クリップ206(図2)に直接的または間接的に結合してもよい。いくつかの実施形態においては、第2の端部1426は、フィラメント200(図2)に結合してもよく、フィラメント200は、1つまたは複数の弁尖クリップ206に結合する。
【0134】
ここで、図15Aおよび15Bを参照すると、本開示による人工腱索1502の張力を調節するためのロック部1500の実施形態が図示されている。ロック部1500は、図3A~6Aのデバイス300~600に関係して開示されたロック部のいずれかと適当に相互交換されてもよい。すなわち、乳頭筋または心臓壁に結合され得るアンカと、心臓弁の弁尖に結合され得るクリップとの間で、ユーザが人工腱索に張力付与および/または張力解除することに加えて、人工腱索をロックすることを可能にする特徴を含むアンカを提供するために、ロック部1500は、前述の組織係合部、本体部、およびハウジング部のいずれかと組み合わされてもよい。
【0135】
人工腱索が、第1の端部1524および第2の端部1526を有するものとして、図15A、15Bに示されている。第1の端部1524は、いくつかの実施形態においては、制御フィラメント(図示せず)に結合されてもよく、制御フィラメントは、カテーテルを通り、ユーザが人工腱索1502の張力を操作することができる場所まで伸びる。いくつかの実施形態においては、第1の端部1524は、制御フィラメントがそれを介して結合されてもよい、ループまたはその他の接続メカニズムを含んでもよい。張力付与手順が完了すると、制御フィラメントは第1の端部1524から取り外されて、カテーテルを経由して取り除かれてもよい。人工腱索1502の第2の端部1526は、心臓内部で延びて、1つまたは複数の弁尖クリップ206(図2)に対して直接的または間接的に結合してもよい。いくつかの実施形態においては、第2の端部1526は、フィラメント200(図2)に結合してもよく、フィラメント200は、1つまたは複数の弁尖クリップ206に結合する。
【0136】
ロック部1500は、第1および第2のスプリング端部1506、1508を有するコイル・スプリング要素1504と、人工腱索1502がそれを通して配置される、中央リング部1510とを備えてもよい。第1および第2のスプリング端部1506、1508は、ロック部1500の本体部1511内の第1および第2の凹部1507、1509のそれぞれの内部に固定されてもよい。アクチュエータ1512は、中央リング部1510がアクチュエータを回転させることによって回転され得るように、中央リング部の一部分に結合されてもよい。アクチュエータ1512は、制御要素が移動されるとき、アクチュエータおよび中央リング部1510が回転されるように、カテーテルの近位端から操作可能なフィラメントなどの、制御要素1514に結合されてもよい。
【0137】
コイル・スプリング要素1504は、第1の回転方向(矢印「RDA」)または第2の回転方向(矢印「RDB」)のいずれかに捩れるように自然にバイアスされてもよい。図示された実施形態においては、コイル・スプリング要素1504は、スプリングの休止状態がロック部1500(図15A)のロック構成と関連するように、第1の回転方向(「RDA」)に捩れるようにバイアスされている。ロック構成において、人工腱索1502は、中央リング部1510のまわりに巻き付けられて、人工腱索が第1または第2の方向「A」、「B」に移動するのを防止する。
【0138】
ロック部1500をロック解除構成(図15B)に移動させるために、制御要素1514は、作動方向(矢印「C」)に移動されることが可能である。この移動は、アクチュエータ1512および中央リング部1510を、第2の回転方向「RDB」に回転させ、このことは、図15Bに示されるように、人工腱索が中央リング部を通ってまっすぐ伸びるまで、人工腱索1502を中央リング部から巻き戻す。
【0139】
いくつかの実施形態においては、人工腱索1502を矢印「A」の方向に移動させることは、人工腱索と心臓弁の弁尖150(図2)との間の張力を増大させる傾向がある。人工腱索1502の張力を調節することにより、心臓弁を通る血液の逆流に対する目標効果を達成してもよい。逆流の観察は、経食道心エコー図、蛍光透視法、その他を介して観察されて、人工腱索1502が適所にある状態で、目標効果が達成されたかどうかを判定してもよい。観察時に、人工腱索1502の張力は増大されるべきである場合には、コイル・スプリング要素1504は、第1または第2の方向(「RDA」、「RDB」)に、適当に回転されて、人工腱索1502がそれを通過するのを許容してもよい。ユーザは、(例えば、カテーテルの近位端から操作可能な制御フィラメントを使用して)人工腱索1502に対して追加の張力を加えて、それを第1の方向(矢印「A」)にさらに移動させてもよい。目標張力が達成されると、コイル・スプリング要素1504は、第1または第2の方向(「RDA」、「RDB」)に適当に回転されて、人工腱索を挟み付けて、第1または第2の方向(それぞれ、矢印「A」および「B」)への人工腱索のさらなる移動を防止してもよい。これに続いて、逆流の追加の観察、その後に追加の張力付与、その他を続けることができる。
【0140】
観察時に、ユーザが人工腱索1502の張力は低減されるべきと判定した場合には、人工腱索は、第2の方向(矢印「B」)に移動されてもよい。そのような場合には、ロック部1500は、先述されたように、ロック解除構成へ移動されてもよく、次いで、ユーザは、人工腱索の張力を低減して、それを第2の方向(矢印「B」)にさらに移動させてもよい。目標の低減張力が達成されると、ロック部1500は、先述されたように、ロック構成に戻されて、さらなる移動を防止することができる。これに続いて、逆流の追加の観察、その後に追加の張力付与/張力解除、その他を続けることができる。
【0141】
ここで、図16Aおよび16Bを参照すると、本開示による人工腱索1602の張力を調節するためのロック部1600の実施形態が図示されている。ロック部1600は、図3A~6Aのデバイス300~600に関係して開示されたロック部のいずれかと適当に相互交換されてもよい。すなわち、乳頭筋または心臓壁に結合され得るアンカと、心臓弁の弁尖に結合され得るクリップとの間で、ユーザが人工腱索に張力付与および/または張力解除することに加えて、人工腱索をロックすることを可能にする特徴を含むアンカを提供するために、ロック部1600は、前述の組織係合部、本体部、およびハウジング部のいずれかと組み合わされてもよい。
【0142】
ロック部1600は、人工腱索1602の第1の端部1604に結合されてもよい。一実施形態において、第1の端部1604は、ロック部1600の本体部1608内の突起1606に対して結び付けられるか、またはその他の方法で固定される。人工腱索1602の一部分は本体部1612内部の凹部1610に配置されて、ロック部の上部表面1614を通って出てもよい。
【0143】
図16Bに示されるように、人工腱索1602の第2の端部1616は、第2の端部がロック部1600から離れて延びられるように、本体部1612内部で、それ自体の内側、および凹部1610の底部および側部1618、1620のそれぞれのまわりに張り通されてもよい。いくつかの実施形態においては、人工腱索1602は、複数のフィラメント(例えば、編み込まれるか、または縄に撚られている)を備え、前述の方法でそれ自体の内部に張り通されることを可能にする。図16Bに示されるように、人工腱索1602は、このように、1つまたは複数の弁尖クリップ206(図2)に直接的に、または間接的に結合可能である、ループ1622を形成することができる。人工腱索1602の第2の端部1616は、ユーザがフィラメントに対して力を加えることによって人工腱索1602を操作できるように、カテーテルの中、またはその上に、配置されたフィラメントに結合されてもよい。代替的に、人工腱索1602の第2の端部1616は、ユーザが第2の端部を直接的に操作できるように、それ自体がカテーテルを通って配置されてもよい。
【0144】
人工腱索1602は、人工腱索(または、それに取り付けられたフィラメント)の第2の端部1616に対する力の付加時に、第1の方向(矢印「A」)に移動されることができる。しかしながら、人工腱索1602がそれ自体の内側で張り通されることから生じる摩擦が、人工腱索とロック部1600の凹部1610と境界を接する隅部1624、1626との相互作用とともに、第2の方向(矢印「B」)における人工腱索の逆移動を防止する。
【0145】
ロック部1600をロック解除する(すなわち、人工腱索1602が第2の方向「B」に移動することを許容する)ために、ロック部に直接隣接する人工腱索1602に結合されたアイレット1628に力が加えられることが可能である。別個の制御要素(例えば、フィラメント)は、ユーザが別個の制御フィラメントに対して力を加えることによって、ロック部1600をロック解除できるように、アイレット1628に結合されてもよい。このようなアイレットに対する力の付加は、第2の方向(矢印「B」)における移動を防止する傾向のある、摩擦力およびその他の力を克服することができる。
【0146】
いくつかの実施形態においては、人工腱索1602を矢印「A」の方向に移動させることは、人工腱索と心臓弁の弁尖150(図2)との間の張力を増大させる傾向がある。人工腱索1602の張力を調節することにより、心臓弁を通る血液の逆流に対する目標効果を達成してもよい。逆流の観察は、経食道心エコー図、蛍光透視法、その他を介して観察されて、人工腱索1602が適所にある状態で、目標効果が達成されたかどうかを判定してもよい。観察時に、ユーザが人工腱索1602の張力は増大されるべきであると判定した場合には、力が第2の端部1616(または、それに取り付けられたフィラメント)に対して加えられて、人工腱索を第1の方向(矢印「A」)に移動させて、追加の張力を人工腱索1602に対して加えてもよい。これに続いて、逆流の追加の観察、その後に追加の張力付与、その他を続けることができる。
【0147】
観察時に、ユーザが人工腱索1602の張力は低減されるべきであると判定した場合には、人工腱索は、アイレット1628に力をかけることによって、第2の方向(矢印「B」)に移動されてもよい。これに続いて、逆流の追加の観察、その後に追加の張力付与/張力解除、その他を続けることができる。
【0148】
本明細書に開示され、請求されるすべてのデバイスおよび/または方法は、本開示に照らせば、過度の実験を行うことなく、作製され、実行されることが可能である。本開示のデバイスおよび方法は、好ましい実施形態に関して説明されてきたが、当業者には、本開示の概念、精神および範囲から逸脱することなく、変形形態が、本明細書に記載されるデバイスおよび/または方法に対して、および方法の工程または工程の順序において適用され得ることは、明らかであろう。当業者にとって明白であるそのようなすべての同様の代替物および修正は、添付の特許請求の範囲によって定義される本開示の精神、範囲および概念の範囲内であると見なされる。
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図4A
図4B
図5A
図5B
図6A
図6B
図6C
図6D
図6E
図6F
図6G
図7A
図7B
図8A
図8B
図8C
図8D
図8E
図9A
図9B
図9C
図9D
図9E
図10A
図10B
図10C
図10D
図11A-11B】
図11C
図11D
図11E
図11F
図12A
図12B
図13
図14
図15A
図15B
図16A
図16B
【国際調査報告】