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特表2022-534455ヘキサヒドロ‐β酸化合物を含む飼料用組成物およびその用途
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-07-29
(54)【発明の名称】ヘキサヒドロ‐β酸化合物を含む飼料用組成物およびその用途
(51)【国際特許分類】
   A23K 20/105 20160101AFI20220722BHJP
   A23K 40/30 20160101ALI20220722BHJP
【FI】
A23K20/105
A23K40/30 Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022516249
(86)(22)【出願日】2019-05-23
(85)【翻訳文提出日】2021-11-24
(86)【国際出願番号】 CN2019088053
(87)【国際公開番号】W WO2020232689
(87)【国際公開日】2020-11-26
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521513812
【氏名又は名称】源至技術有限公司
【氏名又は名称原語表記】WISORIG TECHNOLOGIES PTE.LIMITED
【住所又は居所原語表記】138 CECIL STREET 13-02 CECIL COURT SINGAPORE SINGAPORE 069538
(74)【代理人】
【識別番号】110002468
【氏名又は名称】特許業務法人後藤特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】彭険峰
【テーマコード(参考)】
2B150
【Fターム(参考)】
2B150AA01
2B150AA06
2B150AA07
2B150AB10
2B150AE16
2B150DA17
2B150DJ04
2B150DJ08
2B150DJ11
2B150DJ26
(57)【要約】
本出願はヘキサヒドロ‐β酸化合物を含む飼料用組成物およびその用途を提供する。本出願によって提供される飼料用組成物では、以下の一般式(I)で示されるヘキサヒドロ‐β酸化合物またはその飼料に許容される塩における少なくとも1つと選択可能な飼料に許容される佐剤を含み、
【化20】
一般式(I)では、Rはメチル基またはエチル基である。本出願では、ヘキサヒドロ‐β酸に代わり、ヘキサヒドロ‐β酸化合物ヘキサヒドロ‐コルプロンおよび/またはヘキサヒドロ‐アドルプロンを飼料用組成物の機能性成分として使用することによって、ヘキサヒドロ‐β酸の直接使用による機能成分の低い熱安定性、長期間貯蔵場合の含有量低下などの問題を回避できる同時に、ヘキサヒドロ‐β酸よりも優れた給餌動物の生産能力の改善効果をもたらした。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の一般式(I)で示されるヘキサヒドロ‐β酸化合物またはその飼料に許容される塩における少なくとも1つと選択可能な飼料に許容される佐剤を含み、
【化1】
一般式(I)では、Rはメチル基またはエチル基であり、
条件はヘキサヒドロ‐ルプロンまたはその塩を含まないことである、ことを特徴とする飼料用組成物。
【請求項2】
前記の飼料用組成物に含まれるヘキサヒドロ‐β酸化合物またはその飼料に許容される塩は、以下の式(i)で示される化合物またはその飼料に許容される塩である、ことを特徴とする請求項1に記載の飼料用組成物。
【化2】
【請求項3】
前記飼料用組成物に含まれるヘキサヒドロ‐β酸化合物またはその飼料に許容される塩は以下の式(ii)で示される化合物またはその飼料に許容される塩である、ことを特徴とする請求項1に記載の飼料用組成物。
【化3】
【請求項4】
前記の飼料用組成物に含まれるヘキサヒドロ‐β酸化合物またはその飼料に許容される塩は、以下の式(i)および式(ii)で示される化合物またはその飼料に許容される塩である、ことを特徴とする請求項1に記載の飼料用組成物。
【化4】
【請求項5】
式(i)の化合物またはその飼料に許容される塩と式(ii)の化合物またはその飼料に許容される塩の質量比率が1:(0.01~0.5)であり、
好ましくは、式(i)の化合物またはその飼料に許容される塩と式(ii)の化合物またはその飼料に許容される塩の質量比率が1:(0.25~0.5)である、ことを特徴とする請求項4に記載の飼料用組成物。
【請求項6】
前記の飼料用組成物には、追加動物飼料添加剤および/または動物飼料原料がさらに含まれる、ことを特徴とする請求項1に記載の飼料用組成物。
【請求項7】
前記追加動物飼料添加剤には、栄養飼料添加剤、非栄養添加剤および薬剤飼料添加剤からなる組から選択された1つまたは複数が含まれる、ことを特徴とする請求項6に記載の飼料用組成物。
【請求項8】
前記ヘキサヒドロ‐β酸化合物は飼料に許容される佐剤の被覆物である、ことを特徴とする請求項1~7のいずれか1項に記載の飼料用組成物。
【請求項9】
前記の飼料に許容される佐剤には、天然ポリマー材料、半合成ポリマー材料、および合成ポリマー材料からなる組から選択された1つまたは複数が含まれる、ことを特徴とする請求項8に記載の飼料用組成物。
【請求項10】
前記の飼料に許容される佐剤は天然ポリマー材料であり、
好ましくは、前記天然ポリマー材料には、デンプン、アルギン酸塩、キトサン、タンパク質またはアラビアゴムからなる組から選択された1つまたは複数が含まれる、ことを特徴とする請求項9に記載の飼料用組成物。
【請求項11】
請求項1~10のいずれか1項に記載の飼料用組成物の動物生産能力改善用の飼料添加剤の調製における用途。
【請求項12】
ヘキサヒドロ‐β酸化合物は以下の一般式(I)の化合物またはその飼料に許容される其塩における少なくとも1つであり、
【化5】
一般式(I)では、Rはメチル基またはエチル基であり、
好ましくは、前記ヘキサヒドロ‐β酸化合物は以下の式(i)で示される化合物またはその飼料に許容される塩であり、
【化6】
好ましくは、前記ヘキサヒドロ‐β酸化合物は、以下の式(ii)で示される化合物またはその飼料に許容される塩であり、
【化7】
好ましくは、ヘキサヒドロ‐β酸化合物は、以下の式(i)で示される化合物またはその飼料に許容される塩和式(ii)で示される化合物またはその飼料に許容される塩であり、
【化8】
より好ましくは、式(i)の化合物またはその飼料に許容される塩と式(ii)の化合物またはその飼料に許容される塩の質量がそれぞれ1部と0.5部未満であり、
さらに好ましくは、式(i)の化合物またはその飼料に許容される塩と式(ii)の化合物またはその飼料に許容される塩の質量比が1:(0.25~0.5)である、ことを特徴とするヘキサヒドロ‐β酸化合物の動物生産能力改善用の飼料添加剤の調製における用途。
【請求項13】
請求項1~10のいずれか1項に記載の飼料用組成物の動物飼料の調製における用途。
【請求項14】
ヘキサヒドロ‐β酸化合物は以下の一般式(I)の化合物またはその飼料に許容される塩における少なくとも1つであり、
【化9】
一般式(I)では、Rはメチル基またはエチル基であり、
好ましくは、前記ヘキサヒドロ‐β酸化合物は、以下の式(i)で示される化合物またはその飼料に許容される塩であり、
【化10】
好ましくは、前記ヘキサヒドロ‐β酸化合物は、以下の式(ii)で示される化合物またはその飼料に許容される塩であり、
【化11】
好ましくは、前記ヘキサヒドロ‐β酸化合物は、以下の式(i)で示される化合物またはその飼料に許容される塩和式(ii)で示される化合物またはその飼料に許容される塩であり、
【化12】
より好ましくは、式(i)の化合物またはその飼料に許容される塩と式(ii)の化合物またはその飼料に許容される塩の質量がそれぞれ1部と0.5部未満であり、
さらに好ましくは、式(i)の化合物またはその飼料に許容される塩と式(ii)の化合物またはその飼料に許容される塩の質量比が1:(0.25~0.5)である、ことを特徴とするヘキサヒドロ‐β酸化合物の動物飼料の調製における用途。
【請求項15】
請求項1~10のいずれか1項に記載の飼料用組成物を動物に給餌し、
または、請求項1~10のいずれか1項に記載の飼料用組成物を含む飼料を動物に給餌することを含む、ことを特徴とする動物生産能力の改善方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、動物飼料添加剤の分野に関し、具体的にヘキサヒドロ‐β酸化合物を含む飼料用組成物およびその用途に関する。
【背景技術】
【0002】
ホップ酸は、ホップ由来のα‐酸とβ酸を含む有機酸で、殺菌、抗菌や代謝生成物変更などの生物学的効果があり、動物養殖の分野で動物飼料中の抗生物質代替物として使用することができる。その中で、β酸はより強い抗菌活性を持っている。ホップ酸は安定性と溶解性が低く、通常、粉砕後動物飼料に添加・混合して使用し、または1%濃度のカリウム塩水溶液に調製し、噴霧して飼料に包むか、混合して使用し、これらの使用方法を動物養殖や生産に使用することは非常に不便である。研究によると、ホップ酸の二元水素化、四元水素化または六元水素化化合物は、ホップ酸の活性、安定性、溶解性または他の物質特性を変化させる可能性があることを提出していた。しかしながら、すぐに六元水素化β酸およびその金属塩(ヘキサヒドロ‐β酸)が熱に対して安定しなく、それを飼料に添加して室温で保存すると、飼料中のヘキサヒドロ‐β酸は急速に分解し、有効成分の含有量が減少するため、飼料添加剤としての要求を満たすことができないことが報告された。
これを鑑み、本出願を提出する。
【発明の概要】
【0003】
本出願の目的は、式(I)で示されるヘキサヒドロ‐β酸化合物またはその飼料に許容される塩における少なくとも1つと選択可能な飼料に許容される佐剤を含む飼料用組成物を提供することである。
【0004】
本出願の目的は、飼料用組成物およびヘキサヒドロ‐β酸化合物の動物生産能力改善用の飼料添加剤の調製における用途をさらに提供することである。
【0005】
本出願の目的は、飼料用組成物およびヘキサヒドロ‐β酸化合物またはその飼料に許容される塩の動物飼料の調製における用途をさらに提供することである。
【0006】
本出願の目的は、動物生産能力の改善方法を提供することである。
【0007】
本出願の少なくとも1つの目的を達成するために、以下の技術的解決策を採用している。
【0008】
一方、本出願は飼料用組成物を提供し、前記飼料用組成物は、一般式(I)で示されるヘキサヒドロ‐β酸化合物またはその飼料に許容される塩における少なくとも1つと選択可能な飼料に許容される佐剤を含む。
【化13】
一般式(I)では、Rはメチル基またはエチル基である。
条件として、前記飼料用組成物はヘキサヒドロ‐ルプロンまたはその塩を含まないことである。
【0009】
他方、本出願は、前記飼料用組成物の動物生産能力改善用の飼料添加剤の調製における用途をさらに提供する。
【0010】
他方、本出願は、前記ヘキサヒドロ‐β酸化合物またはその飼料に許容される塩の動物生産能力改善用の飼料添加剤の調製における用途をさらに提供し、ヘキサヒドロ‐β酸化合物は以下の一般式(I)で示される化合物中の少なくとも1つである。
【化14】
一般式(I)では、Rはメチル基またはエチル基である。
他方、本出願は、前記飼料用組成物の動物飼料の調製における用途をさらに提供する。
【0011】
他方、本出願は、前記ヘキサヒドロ‐β酸化合物またはその飼料に許容される塩の動物飼料の調製における用途をさらに提供し、ヘキサヒドロ‐β酸化合物は以下の一般式(I)で示される化合物中の少なくとも1つである。
【化15】
一般式(I)では、Rはメチル基またはエチル基である。
【0012】
他方、本出願は、本出願の飼料用組成物を使用して動物に給餌すること、または者、本出願の飼料用組成物を含む飼料を使用して動物に給餌することを含む動物生産能力の改善方法をさらに提供する。
【0013】
従来技術と比べて、本出願は以下のような有益な効果を含む。
【0014】
本出願者は、ヘキサヒドロ‐β酸に含まれるヘキサヒドロ‐コルプロン、ヘキサヒドロ‐アドルプロンとヘキサヒドロ‐ルプロンの3つの主成分では、ヘキサヒドロ‐ルプロンの飼料での安定性が非常に低く、これはヘキサヒドロ‐β酸の飼料での安定性が低下する主な要因であることを発見した。また、本出願者は、飼料にそれぞれ添加されたヘキサヒドロ‐コルプロンとヘキサヒドロ‐アドルプロンは、室温安定性調査試験での安定性が良好であり、動物養殖試験では動物生産能力に対する影響もヘキサヒドロ‐β酸の効果に類似し、ヘキサヒドロ‐コルプロンの動物生産能力への影響効果がヘキサヒドロ‐β酸よりも優れていることも発見した。さらに、本出願者は、ヘキサヒドロ‐アドルプロンとヘキサヒドロ‐コルプロンを組み合わせて飼料に使用すると養殖試験での養殖性能がヘキサヒドロ‐β酸よりも一層優れていることも発見した。
【0015】
本出願の任意の実施形態は、それらの間に矛盾がない限り、他の実施形態と組み合わせることができる。また、本出願の任意の実施形態では、任意の技術的特徴は、それらの間に矛盾がない限り、他の実施形態における技術的特徴に適用することができる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以上の内容は本出願のある側面を概略的に説明するが、これらに限定されない。上記内容およびその他の側面の内容を以下に完全かつ具体的に説明する。
【0017】
本出願をさらに詳細に説明する。
【0018】
以下、本出願のある実施形態を説明し、その実施例が付随する構造式および化学式によって説明される。本出願の意図は、特許請求の範囲によって定義される本出願の範囲にあるすべての代替、修正および同等の技術的解決策をカバーする。なお、本出願のある技術的特徴を明らかに説明するために、複数の独立した実施形態で別々に説明するが、単一の実施例で組み合わせて提供され得るか、または任意の適切なサブ組み合わせとして提供され得る。
【0019】
本出願に係る飼料用組成物
式(I)で示される構造を有するヘキサヒドロ‐β酸化合物またはその飼料に許容される塩の少なくとも1つと選択可能な飼料に許容される佐剤を含む安定した飼料用組成物であり、前記飼料に許容される佐剤は、飼料用担体、希釈剤、賦形剤、および溶媒からなる組から選ばれた1つまたは複数の組み合わせである。
【化16】
【0020】
式(I)では、Rはメチル基またはエチル基である。Rがメチル基である場合、前記式(I)で示されるヘキサヒドロ‐β酸化合物はヘキサヒドロ‐コルプロンであり、Rがエチル基である場合、前記式(I)で示されるヘキサヒドロ‐β酸化合物はヘキサヒドロ‐アドルプロンである。
【0021】
式(I)で示される構造を有するヘキサヒドロ‐β酸化合物は非対称中心を有し、ラセミ体、外ラセミ体、立体異性体、幾何異性体、互変異性体、単一エナンチオマー、単一ジアステレオマーおよびジアステレオマーなどの形で存在し、これらの異性体の形も本出願に含まれることが明確である。前記ヘキサヒドロ‐β酸化合物は、商業的に入手するか、または一般的な技術知識を有する化学従業者によって植物から抽出された原料を半合成調製して得られるか、または全合成によって入手することができる。
【0022】
本出願に係る「組成物」とは、有効成分として1つまたは複数の化合物を含む化合物の集合体を指す。
【0023】
本出願に記載の「含む」は、本発明で明示的に言及される内容を含むが、他の態様を排除しない、オープンな表現である。なお、本出願によって提供される飼料用組成物にはヘキサヒドロ‐ルプロンまたはその塩、エステルを含まないことに留意されたい。または、複数の実施形態では、式(I)で示されるヘキサヒドロ‐β酸化合物に加えて、他のヘキサヒドロ‐β酸化合物を含まない(不純物として避けられない少量の他のヘキサヒドロ‐β酸化合物を除く)。
【0024】
本出願に記載の「安定した飼料用組成物」とは、生産可能な安定性を有し、十分な期間内、化合物の完全性を維持して本出願に詳細に説明される動物食用に使用され得る組成物を指す。
【0025】
本出願に記載の「飼料に許容される塩」は、本発明のヘキサヒドロ‐β酸化合物と動物に無毒である有機アルカリ、無機アルカリ、有機酸または無機酸で形成される塩、またはアルカリ条件下で金属塩化物とで形成される塩である。前記の「飼料に許容される」とは、物質または組成物が化学的または毒物学的に適切でなければならず、飼料の組成または養殖動物に関連していることを意味する。
【0026】
本発明に係る有機酸には、酢酸、マレイン酸、コハク酸、マンデル酸、フマル酸、マロン酸、リンゴ酸、2‐ヒドロキシプロピオン酸、ピルビン酸、シュウ酸、グリコール酸、サリチル酸、グルクロン酸、ガラクトン酸、クエン酸、酒石酸、アスパラギン酸、グルタミン酸、安息香酸、p-トルエン酸、桂皮酸、p-トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸またはそれらの組み合わせが含まれるが、これらに限定されない。
【0027】
本発明に係る無機酸には、硫酸、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、リン酸などが含まれるが、これらに限定されない。
【0028】
本発明に係る「飼料に許容される塩」は、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩、亜鉛塩、銅塩、マンガン塩、コバルト塩または鉄塩などの金属塩であり得るが、これらに限定されない。
【0029】
本出願に係る「担体」は、有効成分を運ぶことができ、その分散性を改善し、良好な化学的安定性および吸着性を有する供給可能な物質を指し、それは有機担体および無機担体である。前記有機担体は粗繊維を多く含む材料であり、トウモロコシフラワー、トウモロコシコブパウダー、小麦ふすま、籾殻粉、脱脂米ぬか、米ぬか、とうもろこし茎粉、ピーナッツ殻粉などが含まれるが、これらに限定されない。前記無機担体は主にカルシウム塩と酸化ケイ素に分けられる鉱物であり、微量元素プレミックスの製造に使用され、炭酸カルシウム、ケイ酸塩、バーミキュライト、ゼオライト、セピオストーンなどを含むがこれらに限定されない。
【0030】
本出願に係る「希釈剤」は添加剤原料を材料中に均一に分配し、高濃度添加剤原料を低濃度プレミックスまたはプレミックスに希釈し、微量成分を互いに分離し、活性成分間の相互反応を減らして、活性成分の安定性を高めるが関連物質の物理的および化学的特性に影響を与えない物質を指し、有機希釈剤と無機希釈剤を含む。有機希釈剤には、トウモロコシフラワー、脱芽トウモロコシフラワー、デキストロース(グルコース)、スクロース、ふすま入りセモリナ粉、揚げ大豆粉、小麦のミッドリング、トウモロコシグルテンミールなどが含まれるが、これらに限定されなく、無機希釈剤には、石灰岩、リン酸二水素カルシウム、シェルパウダー、カオリン(白い粘土)、食卓塩および硫酸ナトリウムが含まれるが、これらに限定されない。
【0031】
前記賦形剤は物質の固有粘度を誘発する湿潤剤、物質を結合する接着剤、物質のシート全体を多くの微粒子に分解し、粒子のサイズを縮小する崩壊剤、粒子間摩擦力を低減するための保持助剤または材料の付着を防止するための粘着防止剤であり、ステアリン酸マグネシウム、タルク、植物油、ラウリル硫酸マグネシウム、デンプン、デンプンスラリー、水、無機塩、デキストリン、粉末糖などが含まれるが、これらに限定されない。
【0032】
本出願に係る「溶媒」は固体を溶解または分散させるのに必要な溶媒を指し、水、エタノール、グリセリンなどが含まれるが、これらに限定されない。
【0033】
いくつかの実施形態では、前記飼料用組成物に含まれる式(I)で示される構造を有するヘキサヒドロ‐β酸化合物は、ヘキサヒドロ‐コルプロンまたはその飼料に許容される塩、またはヘキサヒドロ‐アドルプロンまたはその飼料に許容される塩、またはヘキサヒドロ‐コルプロンまたはその飼料に許容される塩とヘキサヒドロ‐アドルプロンまたはその飼料に許容される塩の組み合わせである。
【0034】
いくつかの実施例では、前記飼料用組成物に含まれるヘキサヒドロ‐β酸化合物は、ヘキサヒドロ‐コルプロンまたはその飼料に許容される塩である。
【0035】
いくつかの実施例では、前記飼料用組成物に含まれるヘキサヒドロ‐β酸化合物は、ヘキサヒドロ‐アドルプロンまたはその飼料に許容される塩である。
【0036】
いくつかの実施例では、前記飼料用組成物に含まれるヘキサヒドロ‐β酸化合物は、ヘキサヒドロ‐コルプロンまたはその飼料に許容される塩とヘキサヒドロ‐アドルプロンまたはその飼料に許容される塩の組み合わせである。
【0037】
いくつかの実施形態では、前記飼料用組成物に含まれるヘキサヒドロ‐β酸化合物は、ヘキサヒドロ‐コルプロンまたはその飼料に許容される塩とヘキサヒドロ‐アドルプロンまたはその飼料に許容される塩の組み合わせである場合、前記ヘキサヒドロ‐コルプロンの組み合わせにおける質量が1部であり、前記ヘキサヒドロ‐アドルプロンの質量が0.01部以上0.5部未満である。
【0038】
いくつかの実施例では、前記飼料用組成物に含まれるヘキサヒドロ‐β酸化合物は、ヘキサヒドロ‐コルプロンまたはその飼料に許容される塩とヘキサヒドロ‐アドルプロンまたはその飼料に許容される塩の組み合わせである場合、前記ヘキサヒドロ‐コルプロンまたはその飼料に許容される塩の組み合わせにおける質量が1部であり、前記ヘキサヒドロ‐アドルプロンまたはその飼料に許容される塩の質量が0.5部である。
【0039】
いくつかの実施例では、前記飼料用組成物に含まれるヘキサヒドロ‐β酸化合物は、ヘキサヒドロ‐コルプロンまたはその飼料に許容される塩とヘキサヒドロ‐アドルプロンまたはその飼料に許容される塩の組み合わせである場合、前記ヘキサヒドロ‐コルプロンまたはその飼料に許容される塩の組み合わせにおける質量が1部であり、前記ヘキサヒドロ‐アドルプロンまたはその飼料に許容される塩の質量が0.25部である。
【0040】
いくつかの実施形態では、前記飼料用組成物に含まれるヘキサヒドロ‐β酸化合物は、飼料用被覆物である。
【0041】
本出願に係る「被覆物」とは、特定の機器で特定のプロセスに従って飼料に許容される佐剤または複数種類の飼料に許容される佐剤の組み合わせでヘキサヒドロ‐β酸化合物の外面を被覆することによって形成された物質であり、例えば天然または合成の飼料に許容される佐剤でヘキサヒドロ‐β酸化合物を被覆して形成されたマイクロカプセル、またはヘキサヒドロ‐β酸化合物を飼料に許容される佐剤または複数種類の飼料に許容される佐剤の組み合わせに溶解および/または分散して形成されたスケルトンタイプの小さな球形の固体物質を指す。
【0042】
さらに、前記飼料に許容される佐剤には、天然ポリマー材料、半合成ポリマー材料、および合成ポリマー材料が含まれる。
【0043】
具体的に、前記天然ポリマー材料には、デンプン、アルギン酸塩、キトサン、タンパク質またはアラビアゴムが含まれるが、これらに限定されなく、前記半合成ポリマー材料には、脂肪酸、脂肪酸グリセリド、脂肪アルコール、酢酸フタル酸セルロース、エチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースまたはカルボキシメチルセルロース塩が含まれるが、これらに限定されなく、前記合成ポリマー材料には、ポビドン、ポリアクリル樹脂、ポリビニルアルコール、ポリアミノ酸、ポリカーボネート、ポリ乳酸、ラクチドグリコリドコポリマー、ポリ乳酸‐ポリエチレングリコールブロックコポリマーなどが含まれるが、これらに限定されない。
【0044】
いくつかの実施形態では、前記飼料用組成物に含まれるヘキサヒドロ‐β酸化合物は、飼料に許容される佐剤の被覆物であり、前記飼料に許容される佐剤は脂肪酸である。
【0045】
さらに、前記脂肪酸には、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸またはステアリン酸が含まれるが、これらに限定されない。
【0046】
いくつかの実施例では、前記脂肪酸は、パルミチン酸またはステアリン酸であることが好ましい。
【0047】
いくつかの実施形態では、前記飼料用組成物に含まれるヘキサヒドロ‐β酸化合物は、飼料に許容される佐剤の被覆物であり、前記飼料に許容される佐剤は脂肪酸グリセリドである。
【0048】
さらに、前記脂肪酸グリセリドはモノ脂肪酸グリセリドであり、モノラウリン酸グリセリド、モノミリスチン酸グリセリド、モノパルミチン酸グリセリドまたはモノステアリン酸グリセリドである。
【0049】
いくつかの実施例では、前記脂肪酸は、モノパルミチン酸グリセリドまたはモノステアリン酸グリセリドであることが好ましい。
【0050】
いくつかの実施形態では、前記飼料用組成物に含まれるヘキサヒドロ‐β酸化合物は、飼料に許容される佐剤の被覆物であり、前記飼料に許容される佐剤は、トリ脂肪酸グリセリドである。
【0051】
さらに、前記トリ脂肪酸グリセリドには、トリラウリン酸グリセリド、トリミリスチン酸グリセリド、トリパルミチン酸グリセリドまたはトリステアリン酸グリセリドが含まれるが、これらに限定されない。
【0052】
いくつかの実施例では、前記脂肪酸は、トリパルミチン酸グリセリドまたはトリステアリン酸グリセリドであることが好ましい。
【0053】
いくつかの実施形態では、前記飼料用組成物に含まれるヘキサヒドロ‐β酸化合物は、飼料に許容される佐剤の被覆物であり、前記飼料に許容される佐剤は脂肪アルコールである。
【0054】
さらに、前記脂肪酸には、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、パルミチルアルコールまたはステアリルアルコールが含まれるが、これらに限定されない。
【0055】
いくつかの実施例では、前記脂肪酸はパルミチルアルコールまたはステアリルアルコールであることが好ましい。
【0056】
いくつかの実施形態では、前記飼料用組成物に含まれるヘキサヒドロ‐β酸化合物は、飼料に許容される佐剤の被覆物であり、前記飼料に許容される佐剤はタンパク質である。
【0057】
さらに、前記タンパク質には、ホエータンパク質、カゼイン、ウシ血清アルブミン、オボアルブミン、ゼラチンなどが含まれるが、これらに限定されない。
【0058】
いくつかの実施例では、前記タンパク質は、ゼラチンであることが好ましい。
【0059】
いくつかの実施形態では、前記飼料用組成物に含まれるヘキサヒドロ‐β酸化合物は、飼料に許容される佐剤の被覆物であり、前記飼料に許容される佐剤はゼラチンであり、前記ゼラチンがアルギン酸ナトリウムと合わせて被覆物の佐剤を形成する。
【0060】
いくつかの実施形態では、前記飼料用組成物に含まれるヘキサヒドロ‐β酸化合物は、飼料に許容される佐剤の被覆物であり、前記飼料に許容される佐剤はデンプンである。
【0061】
さらに、前記デンプンには、高アミローストウモロコシデンプン、アミロース、微孔性デンプン、超分岐トウモロコシデンプン、ジャガイモデンプン、米デンプンまたはカスタネアヘンリーアミロースが含まれるが、これらに限定されない。
【0062】
いくつかの実施例では、前記飼料用組成物に含まれるヘキサヒドロ‐β酸化合物は、高アミローストウモロコシデンプンまたはアミロース被覆物である。
【0063】
いくつかの実施形態では、前記飼料用組成物に含まれるヘキサヒドロ‐β酸化合物は、飼料に許容される佐剤の被覆物であり、前記飼料に許容される佐剤はデンプンと他の上記の天然ポリマー材料である。
【0064】
さらに、前記デンプンには、高アミローストウモロコシデンプン、アミロース、微孔性デンプン、超分岐トウモロコシデンプン、ジャガイモデンプン、米デンプンまたはカスタネアヘンリーアミロースが含まれるが、これらに限定されなく、前記他の天然ポリマー材料はアルギン酸ナトリウムであることが好ましい。
【0065】
いくつかの実施例では、前記飼料用組成物に含まれるヘキサヒドロ‐β酸化合物は、微孔性デンプンとアルギン酸ナトリウムの被覆物である。
【0066】
いくつかの実施形態では、前記飼料用組成物に含まれるヘキサヒドロ‐β酸化合物は、飼料に許容される佐剤の被覆物であり、前記飼料に許容される佐剤は半合成ポリマー材料と他のポリマー材料とが調整されてなる。
【0067】
さらに、前記半合成ポリマー材料は、エチルセルロースであることが好ましく、他のポリマー材料は、ゼラチン、ポビドンとカルボキシメチルセルロース塩から選択される。
【0068】
具体的な実施例では、前記飼料用組成物に含まれるヘキサヒドロ‐β酸化合物は、メチルセルロースとゼラチンの被覆物である。
【0069】
いくつかの実施形態では、上記の飼料用組成物は、追加の動物飼料添加剤および/または動物飼料原料をさらに含む。
【0070】
前記動物飼料添加剤は栄養飼料添加剤、一般飼料添加剤または薬剤飼料添加剤である。
【0071】
前記栄養飼料添加剤は、飼料栄養素のバランスを取り、飼料の利用を改善し、動物に直接栄養効果を及ぼすために複合飼料に添加される少量または微量の物質を指し、アミノ酸、アミノ酸塩とその類似体、ビタミン、およびレチノイドビタミン、ミネラル要素およびその複合体(キレート)、微生物酵素製剤または非タンパク質窒素である。
【0072】
前記一般飼料添加剤は非栄養添加剤とも呼ばれ、飼料の利用を改善し、飼料の品質と品質を確保し動物の健康や代謝に有益で飼料に添加されるいくつかの非栄養物質を指し、成長促進剤、ヘルスケア剤、香料および誘引剤、飼料添加物、飼料添加物、飼料貯蔵剤および中国の漢方薬添加物を含む。
【0073】
いくつかの実施形態では、上記飼料用組成物に含まれる追加の動物飼料添加剤は栄養飼料添加剤、一般飼料添加剤、および薬剤飼料添加剤中の1つまたは複数である。
【0074】
さらに具体的には、前記非栄養添加剤は成長促進剤であり、酪酸、酪酸カルシウム、酪酸ナトリウム、タンニン酸、p-チモール、p-チモールエステル、p-チモール塩、2-ヒドロキシ安息香酸、安息香酸または安息香酸カルシウム、酸化亜鉛、硫酸亜鉛または塩化亜鉛が含まれるが、これらに限定されない。
【0075】
いくつかの実施例では、前記非栄養添加剤は酪酸カルシウムである。
【0076】
別の実施例では、前記非栄養添加剤はタンニン酸である。
【0077】
さらに具体的に、前記薬剤飼料添加剤には、動物の病気を予防し、動物の成長を促進する効果があり、担体または希釈剤を組み込むために長期間飼料に添加することができる動物用医薬品プレミックス物質が含まれるが、これらに限定されない。
【0078】
さらに具体的に、前記薬剤飼料添加剤は飼料用抗生物質であり、前記飼料用抗生物質には、ポリミキシン、サリノマイシン、アビラマイシン、バシトラシン、バージニアマイシン、ノシヘプチド、フラボマイシン、エンラマイシン、キタサマイシン、オラキンドックス、オキシテトラサイクリンまたはクロルテトラサイクリンが含まれるが、これらに限定されない。
【0079】
いくつかの実施形態では、前記動物飼料原料は、穀物およびそれらの加工製品、油糧種子およびそれらの加工製品、合法作物およびそれらの加工製品、塊茎、塊茎およびそれらの加工製品、他の種子および果実製品、ならびにその加工製品、飼料、粗飼料とその加工製品、その他の植物、藻類とその加工製品、乳製品とその副産物、陸生動物製品とその副産物、魚、その他の水生生物とその副産物、鉱物、微生物発酵製品とその副産物、その他の飼料材料およびその他の飼料材料である。
【0080】
飼料用組成物の用途
本出願は、上記の式(I)で示される構造を有するヘキサヒドロ‐β酸化合物を含む少なくとも1つと選択可能な飼料に許容される佐剤の安定した飼料用組成物での用途に関する。
【0081】
いくつかの実施形態では、上記の式(I)で示される構造を有するヘキサヒドロ‐β酸化合物を含む少なくとも1つと選択可能な飼料に許容される佐剤の安定した飼料用組成物を動物飼料添加剤の調製に応用する用途に関する。
【0082】
さらに、前記動物飼料添加剤は、動物生産能力を改善するための飼料添加剤であり、家畜飼料添加剤、家禽飼料添加剤、水産養殖動物飼料添加剤またはペット飼料添加剤が含まれるが、これらに限定されない。
【0083】
具体的には、上記の式(I)で示される構造を有するヘキサヒドロ‐β酸化合物を含む少なくとも1つと選択可能な飼料に許容される佐剤を応用した安定した飼料用組成物で家畜飼料添加剤を調製し、前記家畜には、各成長階段の豚、ウシ、ヒツジ、馬、ウサギ、ミンクなどが含まれるが、これらに限定されない。
【0084】
具体的には、上記の式(I)で示される構造を有するヘキサヒドロ‐β酸化合物を含む少なくとも1つと任意の飼料に許容される佐剤を応用した安定した飼料用組成物で家禽飼料添加剤を調製し、前記家禽には各成長階段の鶏、アヒル、ガチョウ、ハトなどが含まれるが、これらに限定されない。
【0085】
具体的には、上記の式(I)で示される構造を有するヘキサヒドロ‐β酸化合物を含む少なくとも1つと選択可能な飼料に許容される佐剤を応用した安定した飼料用組成物で水産養殖動物飼料添加剤を調製し、前記水産養殖動物には、各成長階段の魚、エビ、カニ、スッポン、タウナギなどが含まれるが、これらに限定されない。
【0086】
具体的には、上記の式(I)で示される構造を有するヘキサヒドロ‐β酸化合物を含む少なくとも1つと選択可能な飼料に許容される佐剤を応用した安定した飼料用組成物でペット飼料添加剤を調製し、前記ペットには、人工的に飼育された犬または猫が含まれるが、これらに限定されない。
【0087】
いくつかの実施例では、上記の式(I)で示される構造を有するヘキサヒドロ‐β酸化合物を含む少なくとも1つと選択可能な飼料に許容される佐剤の安定した飼料用組成物で調製された動物飼料添加剤は、プレミックス、複合プレミックス、水性剤または顆粒剤である。
【0088】
いくつかの実施形態では、上記の式(I)で示される構造を有するヘキサヒドロ‐β酸化合物を含む少なくとも1つと選択可能な飼料に許容される佐剤の安定した飼料用組成物は、動物飼料の調製に応用される。
【0089】
本出願に係る飼料は、工業的に加工、製造され動物の食用に供される製品である。
【0090】
さらに、上記の式(I)で示される構造を有するヘキサヒドロ‐β酸化合物を含む少なくとも1つと選択可能な飼料に許容される佐剤を応用した安定した飼料用組成物で調製された動物飼料は、家畜飼料、家禽飼料、水産養殖動物飼料またはペット飼料である。
【0091】
具体的には、上記の式(I)で示される構造を有するヘキサヒドロ‐β酸化合物を含む少なくとも1つと選択可能な飼料に許容される佐剤を応用した安定した飼料用組成物で家畜飼料を調製し、前記家畜には、各成長階段の豚、ウシ、ヒツジ、馬、ウサギ、ミンクなどが含まれるが、これらに限定されない。
【0092】
具体的には、上記の式(I)で示される構造を有するヘキサヒドロ‐β酸化合物を含む少なくとも1つと選択可能な飼料に許容される佐剤を応用した安定した飼料用組成物で家禽飼料を調製し、前記家禽には、各成長階段の鶏、アヒル、ガチョウ、ハトなどが含まれるが、これらに限定されない。
【0093】
具体的には、上記の式(I)で示される構造を有するヘキサヒドロ‐β酸化合物を含む少なくとも1つと選択可能な飼料に許容される佐剤を応用した安定した飼料用組成物で水産養殖動物飼料を調製し、前記水産養殖動物には、各成長階段の魚、エビ、カニ、スッポン、タウナギなどが含まれるが、これらに限定されない。
【0094】
具体的には、上記の式(I)で示される構造を有するヘキサヒドロ‐β酸化合物を含む少なくとも1つと選択可能な飼料に許容される佐剤を応用した安定した飼料用組成物でペット飼料を調製し、前記ペットには、人工的に飼育された犬または猫が含まれるが、これらに限定されない。
【0095】
いくつかの実施形態では、上記の式(I)で示される構造を有するヘキサヒドロ‐β酸化合物を含む少なくとも1つと選択可能な飼料に許容される佐剤の安定した飼料用組成物で調製された飼料は、単一飼料、濃縮飼料、複合飼料、複合プレミックスまたは濃縮補助飼料である。
【0096】
具体的には、前記配合飼料は完全な複合飼料である。
【0097】
養殖動物生産能力を改善する方法
いくつかの給餌実施形態では、養殖者は、上記の式(I)で示される構造を有するヘキサヒドロ‐β酸化合物を含む少なくとも1つと選択可能な飼料に許容される佐剤の安定した飼料用組成物または前記飼料用組成物で調製された動物飼料添加剤と飼料を混合して動物に給餌し、動物の生産能力を顕著に改善することができる。
【0098】
選択可能に、前記飼料用組成物は、飼料添加剤プレミックス、飼料添加剤複合プレミックス、顆粒剤または水性剤であり、飼料と混合して動物に給餌する。
【0099】
いくつかの実施例では、前記飼料用組成物は飼料添加剤プレミックスである。
【0100】
いくつかの実施例では、前記飼料用組成物は飼料添加剤複合プレミックスである。
【0101】
いくつかの実施例では、前記飼料添加剤はプレミックス、複合プレミックス、顆粒剤または水性剤であり、動物飼料と均一に混合して動物に給餌する。
【0102】
前記動物は家畜、家禽、水産養殖動物またはペットである。
【0103】
具体的には、前記家畜には、各成長階段の豚、ウシ、ヒツジ、馬、ウサギ、ミンクなどが含まれるが、これらに限定されなく、前記家禽には各成長階段の鶏、アヒル、ガチョウ、ハトなどが含まれるが、これらに限定されなく、前記水産養殖動物には各成長階段の魚、エビ、カニ、スッポン、タウナギなどが含まれるが、これらに限定されなく、前記ペットには人工的に飼育された犬または猫が含まれるが、これらに限定されない。
【0104】
いくつかの実施例では、養殖者は、ヘキサヒドロ‐β酸化合物およびそのラセミ体、立体異性体、幾何異性体、互変異性体、溶媒和物または飼料に許容される塩の飼料添加剤を飼料とともに離乳豚に給餌し、離乳豚の1日の平均体重増加の増加率および飼料変換率が顕著に改善される。
【0105】
いくつかの実施例では、養殖者は、上記の式(I)で示される構造を有するヘキサヒドロ‐β酸化合物を含む少なくとも1つと飼料に許容される佐剤の安定した飼料用組成物または前記飼料用組成物で調製された動物飼料添加剤を飼料とともにブロイラーに給餌し、ブロイラーの飼料対肉の比率を顕著に減らし飼料変換率を高める。
【0106】
いくつかの実施例では、養殖者は、上記の式(I)で示される構造を有するヘキサヒドロ‐β酸化合物を含む少なくとも1つと飼料に許容される佐剤の安定した飼料用組成物または前記飼料用組成物で調製された動物飼料添加剤を飼料とともに魚に給餌する。
【0107】
いくつかの実施例では、養殖者は、上記の式(I)で示される構造を有するヘキサヒドロ‐β酸化合物を含む少なくとも1つと飼料に許容される佐剤の安定した飼料用組成物または前記飼料用組成物で調製された動物飼料添加剤を飼料とともに子犬に給餌する。
【0108】
別の給餌実施例では、養殖者は、上記の式(I)で示される構造を有するヘキサヒドロ‐β酸化合物を含む少なくとも1つと飼料に許容される佐剤の安定した飼料用組成物で調製された動物飼料を動物に給餌し、動物の生産能力を顕著に改善することができる。
【0109】
選択可能に、前記飼料用組成物は濃縮飼料、複合飼料、複合プレミックスまたは濃縮補助飼料であり、動物飼料として動物に給餌され得る。
【0110】
前記飼料添加剤プレミックス飼料とは、ミネラル微量元素、ビタミン、微生物、アミノ酸中のいずれか2つ以上の栄養飼料添加剤を主成分として、本出願によって提供されるヘキサヒドロ‐β酸化合物またはその他の飼料添加剤、担体、および(または)希釈剤を一定の割合で調製し均一に混合したものであり、その中で、栄養飼料添加剤の含有量が該当する動物の特定の生理学的階段の基本的な栄養ニーズを満たし、複合飼料、濃縮補助飼料または動物飲用水での添加量が0.1%以上10%以下である。
【0111】
前記濃縮飼料とは、主にタンパク質、ミネラル、飼料添加剤を一定の割合で調製された飼料を指す。
【0112】
前記複合飼料とは、養殖動物の栄養ニーズに応じて、複数種類の飼料原料と飼料添加剤を一定の割合で調製した飼料を指す。
【0113】
前記濃縮補助飼料とは、草食動物の栄養を補うために、複数種類の飼料原料と飼料添加剤を一定の割合で調製した飼料を指す。
【0114】
いくつかの実施例では、前記飼料用組成物は完全な複合飼料である。
【0115】
以下、実施例を併せて本出願の実施形態を詳細に説明するが、当業者であれば、以下の実施例は本出願を説明するためのみに使用され、本出願の範囲を限定するものとみなされるべきではないことを理解できる。実施例では具体的な条件を示さない場合、従来の通常条件またはメーカーの推奨条件で実施するものとする。使用される試薬または機器はメーカーが示されず、すべて市販されて購入できる通常の製品である。
【0116】
実施例A ヘキサヒドロ‐β酸化合物の半合成調製法
係る技術分野の当業者であれば、本出願のヘキサヒドロ‐β酸化合物を調製するための他の方法も本出願の範囲に含まれるべきであるのを理解できる。例えば、本出願の例示されていないヘキサヒドロ‐β酸化合物の合成は、前記技術分野の当業者によって修飾方法、例えば干渉基を適切に保護し、他の試薬または反応条件の通常変更によって完了できる。
【0117】
A1 β酸の調製
5Lのビーカーに、ホップエキス1kg、純水3L、およびエタノール1Lを順次加え、攪拌してエキスを溶解し、KOHアルカリ性溶液0.5Lを滴下して溶液pHを13に調節し、静置し、不溶性物質を濾過で除去する。ろ液にCOガスを吹き込んでろ液のpHを8.5に調節し、冷却して2h静置し、吸引濾過して粗生成物を得る。
【0118】
上記の粗生成物をn‐ヘキサン200mLに溶解し、水で洗浄し(150mL×3)、有機相濃縮してペーストを得、その後KOHアルカリ性溶液300mLを加えてpHを12.5に調節して溶解させ、n‐ヘキサンで洗浄し(200mL×3)、有機相を除去し、水相に酸を加えpHを8.5に調節し、n‐ヘキサンを加えて抽出し(200mL×3)、有機層を合わせて無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で濃縮し有機層を除去することによって、400gの結晶状β酸を得る。HPLC含有量分析結果によると、前記β酸結晶の主成分は‐コルプロン、‐アドルプロン、およびルプロンである。
【0119】
A2 ヘキサヒドロ‐β酸の調製
50gのβ酸を95%エタノール溶液300mLに溶解し、10%Pd/C1.7gを加え、水素ガスで置換し、室温で一晩攪拌する。反応の終了までHPLC監視する。反応液を濾過し、ろ液を濃縮して46gのヘキサヒドロ‐β酸結晶を得る。
【0120】
A3 ヘキサヒドロ‐β酸の主成分の分離と精製
A3.1 ヘキサヒドロ‐コルプロンの調製
【化17】
【0121】
ヘキサヒドロ‐β酸をn‐ヘキサンで再結晶してヘキサヒドロ‐コルプロン結晶を得、純度が98.6%である。ヘキサヒドロ‐コルプロンの構造特性データはHNMR(500MHz, DMSO‐d6): δ(ppm) 3.94‐4.01(m, 1H), 2.39(t, 2H), 1.78‐1.82(m, 4H), 1.47‐1.51(m, 1H), 1.28‐1.35(m, 4H), 1.11(q, 6H), 0.95‐1.01(m, 4H), 0.91(d, 18H)、LC‐MS(ESI, pos. ion)m/z: 407 [M+H]+である。
【0122】
A3.2 ヘキサヒドロ‐ルプロンの調製
【化18】
【0123】
ヘキサヒドロ‐β酸を分取クロマトグラフィーによって分離し純度99.1%のヘキサヒドロ‐ルプロンを得た。ヘキサヒドロ‐ルプロンの構造特性データはHNMR(500MHz, DMSO‐d6): δ(ppm) 3.86‐3.90(m, 1H) , 2.39(t, 2H), 1.80‐1.83(m, 4H), 1.59‐1.60(m, 2H), 1.47‐1.52(m, 5H), 1.11(d, 3H), 0.90‐0.96(m, 7H), 0.86(d, 18H)、LC‐MS(ESI, pos. ion)m/z: 421[M+H]+である。
【0124】
A3.3 ヘキサヒドロ‐アドルプロンの調製
【化19】
【0125】
ヘキサヒドロ‐β酸を分取クロマトグラフィーによって分離し純度98.9%のヘキサヒドロ‐アドルプロンを得た。ヘキサヒドロ‐アドルプロンの構造特性データはHNMR(500MHz, DMSO‐d6): δ(ppm) 2.82‐2.84(m, 2H), 2.37‐2.40(m, 2H), 2.00‐2.05(m, 1H), 1.80‐1.88(m, 4H), 1.77‐1.80(m, 1H), 1.34‐1.51(q, 2H), 1.29‐1.33(m, 2H), 0.90‐0.96(m, 4H), 0.86‐0.90(m, 24H)、LC‐MS(ESI, pos. ion)m/z: 421 [M+H]+である。
【0126】
実施例B ヘキサヒドロ‐β酸化合物の被覆物の調製
B1 デンプン被覆物の調製方法
15gのヘキサヒドロ‐コルプロンまたはヘキサヒドロ‐アドルプロンを秤量し、酢酸エチル/エタノール(v/v=1:1)60mLに溶解して溶液を得る。高アミローストウモロコシデンプン40gを190mLの脱イオン水に加え、均一に攪拌し、65℃に加熱してペースト状になる。ヘキサヒドロ‐コルプロン溶液をゆっくりと高アミローストウモロコシデンプンのペースト状液に加え、高速ホモジナイザーの回転速度を10000r/minに調節して乳剤を得た。得られた乳剤を液体輸送管を介して噴霧乾燥機に輸送し、入口温度を170℃とし、デンプンマイクロカプセル被覆物を調製した。このような調製工程を経ったヘキサヒドロ‐コルプロンによる被覆物を被覆物1とし、ヘキサヒドロ‐アドルプロンによる被覆物を被覆物2とする。
【0127】
B2 ゼラチン被覆物の調製方法
それぞれ適量のゼラチンとアルギン酸ナトリウムを秤量して蒸留水に溶解し、一定濃度のゼラチン溶液とアルギン酸ナトリウム溶液を調整し、適量のヘキサヒドロ‐コルプロンまたはヘキサヒドロ‐アドルプロンを秤量して、酢酸エチル/エタノール混合溶液に溶解して溶液を得た。ヘキサヒドロ‐コルプロンまたはヘキサヒドロ‐アドルプロン溶液をトゥイーン80‐スパン80(1:1.5)を含むゼラチン溶液とアルギン酸ナトリウム溶液の混合液に加え、60℃に加熱し、高速剪断機によって10000r/minで10分間剪断された後高速攪拌してそれを適量の蒸留水に分散し、10%酢酸水溶液を加えpHを4.0~4.2に調節し、継続的に攪拌しながら温度を5℃に下げ、CaCl溶液を加えて固化し、氷水浴で2.5h静置し、濾過し、45℃下で真空乾燥して粉末状の被覆物を得た。このような調製工程を経ったヘキサヒドロ‐コルプロンによる被覆物を被覆物3とし、ヘキサヒドロ‐アドルプロンによる被覆物を被覆物4とする。
【0128】
B3 ステアリン酸被覆物の調製方法
ヘキサヒドロ‐コルプロンを1:50の割合でシリカに加え、均一に混合する。高速万能粉砕機にステアリン酸を加え、ヘキサヒドロ‐コルプロン、シリカとステアリン酸の割合が1:50:10になるように、ヘキサヒドロ‐コルプロンとシリカの混合物をゆっくりと加え、十分に混合し粉砕した後恒温乾燥オーブンに移して、80~85℃まで乾燥し、ステアリン酸を溶かして取り出し、室温まで冷却し、ヘキサヒドロ‐コルプロンステアリン酸被覆物(被覆物5)を得た。
【0129】
ヘキサヒドロ‐アドルプロンステアリン酸被覆物の調製方法は上記と同様であり、得られた被覆物を被覆物6とする。
【0130】
B4 パルミチン酸被覆物の調製方法
パルミチン酸被覆物の調製プロセスはB3と同様であり、恒温乾燥オーブン中の乾燥温度を70~75℃とする。得られたヘキサヒドロ‐コルプロンパルミチン酸被覆物を被覆物7とし、ヘキサヒドロ‐アドルプロンパルミチン酸被覆物を被覆物8とする。
【0131】
B5 単ステアリン酸グリセリド被覆物の調製方法
単ステアリン酸グリセリド被覆物の調製プロセスはB3と同様であり、恒温乾燥オーブン中の乾燥温度を90~95℃とする。得られたヘキサヒドロ‐コルプロン単ステアリン酸グリセリド被覆物を被覆物9とし、ヘキサヒドロ‐アドルプロン単ステアリン酸グリセリド被覆物を被覆物10とする。
【0132】
B6 モノパルミチン酸グリセリド被覆物の調製方法
モノパルミチン酸グリセリド被覆物の調製プロセスはB3と同様であり、恒温乾燥オーブン中の乾燥温度を85~90℃とする。得られたヘキサヒドロ‐コルプロンモノパルミチン酸グリセリド被覆物を被覆物11とし、ヘキサヒドロ‐アドルプロンモノパルミチン酸グリセリド被覆物を被覆物12とする。
【0133】
B7 ステアリルアルコール被覆物の調製方法
ステアリルアルコール被覆物の調製プロセスはB3と同様であり、恒温乾燥オーブン中の乾燥温度を70~75℃とする。得られたヘキサヒドロ‐コルプロン被覆物を被覆物13とし、ヘキサヒドロ‐アドルプロン被覆物を被覆物14とする。
【0134】
B8 パルミチルアルコール被覆物の調製方法
パルミチルアルコール被覆物の調製プロセスはB3と同様であり、恒温乾燥オーブン中の乾燥温度を60~65℃とする。得られたヘキサヒドロ‐コルプロン被覆物を被覆物15とし、ヘキサヒドロ‐アドルプロン被覆物を被覆物16とする。
【0135】
実施例C ヘキサヒドロ‐β酸化合物飼料用組成物の調製
本発明に係るヘキサヒドロ‐β酸化合物の飼料用組成物での遊離状態または被覆状態のヘキサヒドロ‐β酸化合物の含有量が0.00001%以上であり、異なる動物の異なる成長階段または飼料工業の製品特性(例えば飼料添加剤、飼料添加剤原料、飼料原料など)の使用可能性に応じて含有量を調整し、異なる飼料配方の栄養物質と非栄養物質の比率に応じて含有量を調整して飼料レシピの要件を満たす。以下、基本的な顆粒状プレミックスを例にして、本発明の飼料用組成物を例示的に解釈し、任意の類似のレシピまたはレシピ成分の非相乗効果の変更や追加も本発明の趣旨と一致している。
【0136】
飼料用組成物の調製方法:原料と佐剤を混合機に投入して均一に混合し、1.3%ヒドロキシプロピルメチルセルロース水溶液と100:35の割合で造粒機内に投入し、混合し始めてカッターを3~5分間動作させ、造粒後、流動床に入り30分間乾燥した後16メッシュのスクリーンを通過させる。
【0137】
原料:実施例Aで調製されたヘキサヒドロ‐β酸化合物と実施例Bで調製されたヘキサヒドロ‐β酸化合物の被覆物。
佐剤:トウモロコシデンプン。
製品レシピ:表1に示される。
【0138】
【表1-1】
【表1-2】
【0139】
実施例D ヘキサヒドロ‐β酸化合物の飼料製品の調製
D1 肉豚飼料の調製
肉豚に適した飼料(飼料D1と呼ばれる)は、トウモロコシ大豆粕基本飼料、ヘキサヒドロ‐コルプロンを含み、完全な複合飼料の使用量で、ヘキサヒドロ‐コルプロンの使用量が25ppmであり、使用される飼料原料は超微粉砕され、膨張化飼料加工造粒プロセスに従って顆粒飼料に調製される。
【0140】
D2 肉豚飼料の調製
肉豚に適した飼料(飼料D2と呼ばれる)は、トウモロコシ大豆粕型基本飼料、ヘキサヒドロ‐アドルプロンを含み、完全な複合飼料の使用量で、ヘキサヒドロ‐アドルプロンの使用量が25ppmであり、使用される飼料原料は超微粉砕され、膨張化飼料加工造粒プロセスに従って顆粒飼料に調製される。
【0141】
D3 肉豚飼料の調製
肉豚に適した飼料(飼料D3と呼ばれる)は、トウモロコシ大豆粕型基本飼料、ヘキサヒドロ‐コルプロン‐高アミローストウモロコシデンプン被覆物を含み、完全な複合飼料の使用量でヘキサヒドロ‐コルプロン‐高アミローストウモロコシデンプン被覆物の使用量がヘキサヒドロ‐コルプロンで25ppmであり、使用される飼料原料は超微粉砕され、膨張化飼料加工造粒プロセスに従って顆粒飼料に調製される。
【0142】
D4 肉豚飼料の調製
肉豚に適した飼料(飼料D4と呼ばれる)は、トウモロコシ大豆粕型基本飼料、ヘキサヒドロ‐アドルプロン‐ゼラチン被覆物を含み、完全な複合飼料の使用量でヘキサヒドロ‐アドルプロン‐ゼラチン被覆物の使用量がヘキサヒドロ‐アドルプロンで25ppmであり、使用される飼料原料は超微粉砕され、膨張化飼料加工造粒プロセスに従って顆粒飼料に調製される。
【0143】
D5 肉豚飼料の調製
肉豚に適した飼料(飼料D5と呼ばれる)は、トウモロコシ大豆粕型基本飼料、ヘキサヒドロ‐コルプロン、およびヘキサヒドロ‐アドルプロンを含み、完全な複合飼料の使用量でヘキサヒドロ‐コルプロンとヘキサヒドロ‐アドルプロンの使用量がそれぞれ17ppmと8ppmであり、使用される飼料原料は超微粉砕され、膨張化飼料加工造粒プロセスに従って顆粒飼料に調製される。
【0144】
D6 肉豚飼料の調製
肉豚に適した飼料(飼料D6と呼ばれる)は、トウモロコシ大豆粕型基本飼料、ヘキサヒドロ‐コルプロンステアリン酸被覆物(被覆物5)を含み、完全な複合飼料の使用量でヘキサヒドロ‐コルプロンの使用量が25ppmであり、使用される飼料原料は超微粉砕され、膨張化飼料加工造粒プロセスに従って顆粒飼料に調製される。
【0145】
D7 肉豚飼料の調製
肉豚に適した飼料(飼料D7と呼ばれる)は、トウモロコシ大豆粕型基本飼料、ヘキサヒドロ‐コルプロンパルミチン酸被覆物(被覆物7)を含み、完全な複合飼料の使用量でヘキサヒドロ‐コルプロンの使用量が25ppmであり、使用される飼料原料は超微粉砕され、膨張化飼料加工造粒プロセスに従って顆粒飼料に調製される。
【0146】
D8肉豚飼料の調製
肉豚に適した飼料(飼料D8と呼ばれる)は、トウモロコシ大豆粕型基本飼料、ヘキサヒドロ‐コルプロンモノパルミチン酸グリセリド被覆物(被覆物11)を含み、完全な複合飼料の使用量でヘキサヒドロ‐コルプロンの使用量が25ppmであり、使用される飼料原料は超微粉砕され、膨張化飼料加工造粒プロセスに従って顆粒飼料に調製される。
【0147】
D9肉豚飼料の調製
肉豚に適した飼料(飼料D9と呼ばれる)は、トウモロコシ大豆粕型基本飼料、ヘキサヒドロ‐コルプロンステアリルアルコール被覆物(被覆物13)を含み、完全な複合飼料の使用量でヘキサヒドロ‐コルプロンの使用量が25ppmであり、使用される飼料原料は超微粉砕され、膨張化飼料加工造粒プロセスに従って顆粒飼料に調製される。
【0148】
実施例E ヘキサヒドロ‐β酸化合物の化学安定性研究
60℃の安定性試験条件下でのヘキサヒドロ‐β酸化合物およびその質量分率1%のプレミックス、およびヘキサヒドロ‐β酸化合物に関する飼料の室温条件下での化学的安定性を調査した。
【0149】
E1 実験機器
薬剤安定性培養箱、Waters高速液体クロマトグラフィー(HPLC)などを用意する。
【0150】
E2 標準品
ヘキサヒドロ‐コルプロン、ヘキサヒドロ‐ルプロン、ヘキサヒドロ‐アドルプロンである。
【0151】
E3実験品
実施例Aで調製されたヘキサヒドロ‐コルプロン、ヘキサヒドロ‐ルプロン、ヘキサヒドロ‐アドルプロン、ヘキサヒドロ‐β酸、実施例Bで調製された被覆物、実施例Cで調製された組成物1~2、実施例Dで調製された飼料D1~D9である。
【0152】
E4実験試薬
メタノール(クロマトグラフィーグレード)、リン酸(分析グレードの純度)。
【0153】
E5実験手順
E5.1 標準溶液の調製
それぞれ50mgの標準品を秤量し、適量のメタノールを加え超音波で溶解し、50mLのメスフラスコに定容し、作業用原液を調製した。適量の作業用原液を取り、メタノールでそれぞれ濃度25ppm、125 ppm、250ppm、500ppm、1000ppmの作業液に希釈し、HPLCで測定する。サンプル濃度とHPLCピーク面積応答値が線形であるかどうかを確認し、標準曲線を作成した。
【0154】
E5.2実験品溶液の調製
正確に適量のヘキサヒドロ‐コルプロン、ヘキサヒドロ‐ルプロン、ヘキサヒドロ‐アドルプロン、ヘキサヒドロ‐β酸、関連する組成物をそれぞれ秤量し、適量のメタノールを加え超音波で溶解し、500ppmの溶液(ヘキサヒドロ‐β酸/ヘキサヒドロ‐β酸化合物で)を調製し、0.22μmろ過膜で濾過されHPLC検出を行った。
【0155】
正確に適量の関連する飼料をそれぞれ秤量し、適量のメタノールを加え超音波で溶解し、50ppm溶液を調製し、0.22μmろ過膜濾で過後されHPLC検出を行った。
【0156】
E6検出条件
クロマトグラフィーカラム:waters Symmetry C18カラム(250mm*4.6mm、5μm)カラム、
流動相:0.02%リン酸:メタノール=5:95(v:v)、
検出波長:223nm、
カラム温度:25℃、
投与量:10μL、
流速:1 ml/分。
【0157】
E7 試験方法
熱安定性試験:実験品を培養皿に入れ、5mm以下の薄い層に広げ、60℃の薬剤安定性培養箱に入れ、5日目、10日目にサンプリングしてHPLC検出を行い、各サンプルに3回サンプリングし、検出結果を以下の表2に示す。
【0158】
室温安定性試験:実験品を室温環境に置き、5日目、10日目にサンプリングしてHPLC検出を行い、各サンプルを3回サンプリングし、検出結果を以下の表2に示す。
【0159】
【表2-1】
【表2-2】
【表2-3】
【0160】
表2の結果から分かるように、ヘキサヒドロ‐β酸に含まれる3の主成分はそれぞれヘキサヒドロ‐コルプロン、ヘキサヒドロ‐ルプロン、およびヘキサヒドロ‐アドルプロンであり、安定性研究によって化合物およびその被覆物の熱安定性、および飼料製品中の主成分の室温安定性を調査した。
【0161】
60℃の熱安定試験では、ヘキサヒドロ‐β酸中のヘキサヒドロ‐コルプロンの含有量が試験10日目に約10%低下し、他の2つの成分の含有量が約20%低下し、ヘキサヒドロ‐β酸が1%プレミックスとして調製される場合、試験10日目に成分ヘキサヒドロ‐コルプロンの含有量が最初よりも約2.4%低下し、他の2つの成分の含有量が約12%低下し、なお、ヘキサヒドロ‐コルプロン、ヘキサヒドロ‐ルプロン、およびヘキサヒドロ‐アドルプロンの3つの単体およびそれらを調製した被覆物と1%プレミックスの60℃下での安定性を別々に調査し、10日の試験期内、単体ヘキサヒドロ‐コルプロンおよびその被覆物1、被覆物3と1%プレミックス物質の分解量がそれぞれ0.9%、0.33%、0.19%、および2.6%であり、単体ヘキサヒドロ‐アドルプロンおよびその被覆物2、被覆物4と1%プレミックス物質の分解量がそれぞれ3.4%、0.64%、0.99%、および4.3%であり、単体ヘキサヒドロ‐ルプロンおよびその1%プレミックス物質の分解量がそれぞれ7.2%と8.8%である。
【0162】
これから見ると、ヘキサヒドロ‐β酸混合物全体の耐熱性が低く、単体ヘキサヒドロ‐コルプロンとヘキサヒドロ‐アドルプロンまたは両者の被覆物または両者のプレミックスの耐熱性が試験期内の変化量が5%未満であり、安定した特性を反映している。なお、60℃の熱安定試験では、それぞれヘキサヒドロ‐コルプロンとヘキサヒドロ‐アドルプロンの被覆物に対して、10日の試験期内の熱安定性を調査し、表2の結果から分かるように、有効物質の含有量の低下量が1%未満であり、ヘキサヒドロ‐コルプロンとヘキサヒドロ‐アドルプロンの単体よりも安定性が大幅に改善される。
【0163】
飼料の室温安定性試験では、25ppmヘキサヒドロ‐β酸を含む飼料において、各成分の含有量が最初よりも急激に減少し、試験終了時、ヘキサヒドロ‐ルプロンとヘキサヒドロ‐アドルプロンの含有量が0になり、ヘキサヒドロ‐コルプロンの37.69%に減少し、それぞれ25ppmのヘキサヒドロ‐コルプロン(飼料D1)、ヘキサヒドロ‐ルプロン、ヘキサヒドロ‐アドルプロン(飼料D2)、ヘキサヒドロ‐コルプロンのデンプン被覆物(飼料D3)とヘキサヒドロ‐アドルプロンのゼラチン被覆物(飼料D4)を含む飼料の室温安定試験では、10日の飼料安定性調査期内に、ヘキサヒドロ‐ルプロン組が試験終了時にその含有量が95%減少し、ヘキサヒドロ‐アドルプロン組が約5.2%減少し、ヘキサヒドロ‐コルプロン組が約3.1%減少し、ヘキサヒドロ‐コルプロンのデンプン被覆物の主成分の含有量が0.7%減少し、ヘキサヒドロ‐アドルプロンのゼラチン被覆物の主成分の含有量が約1.7%減少した。このため、飼料中のヘキサヒドロ‐コルプロンとヘキサヒドロ‐アドルプロンの貯蔵プロセスは、良好な短期安定性を有する。
【0164】
なお、それぞれ25ppmヘキサヒドロ‐コルプロン(飼料D1)、ヘキサヒドロ‐ルプロン、ヘキサヒドロ‐アドルプロン(飼料D2)、ヘキサヒドロ‐コルプロンのデンプン被覆物(飼料D3)とヘキサヒドロ‐アドルプロンのゼラチン被覆物(飼料D4)を含む飼料は、室温安定性試験で試験期間を90日間に延長し、飼料D1のヘキサヒドロ‐コルプロンと飼料D2中のヘキサヒドロ‐アドルプロンの飼料中での含有量が徐々に低下し、試験終期の90日目に含有量がそれぞれ約32%と34%減少し、飼料D3中のヘキサヒドロ‐コルプロン高アミローストウモロコシデンプン被覆物中のヘキサヒドロ‐コルプロンと、飼料D4中のヘキサヒドロ‐アドルプロンゼラチン被覆物中のヘキサヒドロ‐アドルプロンの含有量が約3%減少し、ヘキサヒドロ‐コルプロンのステアリン酸被覆物、パルミチン酸被覆物、モノパルミチン酸グリセリド被覆物、ステアリルアルコール被覆物の飼料中のヘキサヒドロ‐コルプロンの含有量の減少量が3%以下である。このため、ヘキサヒドロ‐β酸中の成分の化合物であるヘキサヒドロ‐コルプロンとヘキサヒドロ‐アドルプロンは、ヘキサヒドロ‐β酸から分離された後プレミックスまたは飼料での短期安定性調査において、含有量の変化がわずかであるが、90日の長期安定性調査において、顕著な分解が発見され、飼料の一時的な未使用場合の貯蔵に適しないが、ヘキサヒドロ‐コルプロンの異なる材料の被覆物が調査期間での含有量変化がわずかであるため、ヘキサヒドロ‐コルプロンまたはヘキサヒドロ‐アドルプロンを被覆物に変換することによって、化合物の安定性を大幅に向上させて有効物質の分解が遅くなり、有効含有量が維持され得る。
【0165】
実施例F 養殖試験
実施例F1 ヘキサヒドロ‐β酸化合物の肉豚生産能力に対する影響
67日齢の同様の体重の合計240頭の「Duroc-landrace-yorkshire」三品種交雑種リーン子豚をランダムに8処理組に分け、各組に3つの重複があり、各重複の雄豚と雌豚は全体の半分、合計10頭がある。実験前に、豚舎と調理器具を滅菌する。同じ給餌および管理条件下で、同じ給餌および飲用で、別々の囲いに収容される。試験期間に、試験豚が自由に給餌および水飲用とし、1日2回給餌する。各試験をそれぞれ対照組(1組)と試験2~8組に分ける。その中で、対照組に基本飼料を与え、試験2~8にそれぞれ基本飼料に加えてヘキサヒドロ‐β酸、ヘキサヒドロ‐β酸化合物、ヘキサヒドロ‐β酸化合物被覆物を加えた飼料を与え、試験2~8組の各添加剤の有効成分の濃度を25ppmとし、具体的に表3に示される。
【0166】
飼養プロセス全体で、各試験組に他の酸化防止成分や成長促進剤を追加しない。試験周期が14日で、各重複を単位として、試験14日目に飼料を供給せず水を供給するまま12時間後体重を量り、各試験組の毎日平均飼料摂取量(ADFI、g/d*頭)、1日の平均体重増加(ADG、g/d*頭)と飼料対肉の比率(FCR)を健さんした。以下の式によって計算した。
毎日平均飼料摂取量=(飼料総量-残り量)/(試験日数×重複豚の数)、
1日の平均体重増加=(試験終期平均体重-試験初期平均体重)/試験日数、
飼料対肉の比率=毎日平均飼料摂取量/1日の平均体重増加。
【0167】
試験結果が表3に示される。
【0168】
【表3】
【0169】
表3の結果から分かるように、本実験では、摂取量、体重増加と飼料変換率の3つの面から実験品の試験豚の生産能力に対する影響を比較および調査し、各試験組と対照組の比較では、変化量が5%超えると顕著な変化が発生したと見なされる。
【0170】
具体的には、摂取量に関して、試験2~12組の摂取量は対照組と比較して変化量がそれぞれ‐1.60%、2.40%、‐1.03%、1.49%、‐0.11%、1.37%、1.95%、0.34%、1.14%、0.11%、および0.23%であり、効果に対する影響が顕著ではなく、体重増加に関し、試験2~12組の1日の平均体重増加量は対照組と比較して変化量がそれぞれ0.84%、12.57%、0、2.79%、6.42%、10.61%、12.29%、9.78%、10.61%、10.06%、および6.14%であり、その中で、ヘキサヒドロ‐コルプロン、ヘキサヒドロ‐アドルプロン、被覆物1、被覆物4と試験組12の試験豚の1日の平均体重増加が対照組よりも顕著に増加し、飼料対肉の比率に関し、試験2~12組の飼料対肉の比率が対照組と比較してそれぞれ2.38%、8.99%、0.98%、3.98%、6.16%、8.45%、9.11%、8.86%、8.94%、および5.58%減少した。
【0171】
このため、ヘキサヒドロ‐コルプロン、ヘキサヒドロ‐アドルプロン、被覆物1、被覆物4、被覆物5、被覆物7、被覆物11、被覆物13と試験組12は、ヘキサヒドロ‐β酸よりも優れた動物生産能力変更効果を有し、その中でヘキサヒドロ‐コルプロンは試験豚の体重増加および飼料変換率についての改善効果が非常に顕著である。
【0172】
実施例F2 ヘキサヒドロ‐β酸化合物のブロイラー生産能力に対する影響
試験では、単一因子ランダム設計を採用し、1日齢、体重が同様で平均体重が50gの黄色い羽のブロイラー720羽を選択し、8処理組にランダムに分け、各組に6つの重複があり、雄と雌が各半分で、各重複に15羽の黄色い羽のブロイラーがある。実験前に鶏舎と調理器具を滅菌する。実験期間中、同じ鶏舎で同じ飼養管理条件下でケージで飼養する。基礎飼料は主にトウモロコシ-大豆粕であり、飼養プロセス全体に、他の酸化防止成分や成長促進剤が添加されていなかった。各試験はそれぞれ対照組(1組)と試験2~8組に分ける。その中で、対照組には基本飼料を与え、試験2~8にそれぞれ基本飼料に加えてヘキサヒドロ‐β酸、ヘキサヒドロ‐β酸化合物、ヘキサヒドロ‐β酸化合物被覆物を加えた飼料を与え、試験2~8組に各添加剤の有効成分の濃度を21ppmとし、具体的には表4に示される。
【0173】
試験期間を30日とし、実験鶏が自由に飲んだり飼料を食べたり、1日2回給餌する。各重複を単位で、31日目体重を量り(12時間給餌せず、水のみを与える)、実験鶏の飼料消費量を統計し、各組の実験鶏の毎日平均飼料摂取量(ADFI、g/d*羽)、1日の平均体重増加(ADG、g/d*羽)、および飼料対肉の比率(FCR)を計算し、以下の式によって計算した。
飼料対肉の比率(FCR)= 毎日平均飼料摂取量/1日の平均体重増加。
【0174】
試験結果が表4に示される。
【0175】
【表4】
【0176】
表4の結果から分かるように、本実験では、摂取量、体重増加および飼料変換率の3つの側面から、実験品の試験鶏の生産能力に対する影響を比較および調査し、各試験組は対照組と比較して、変化量が5%超えると顕著な変化が発生したと見なされる。
【0177】
具体的に、摂取量に関し、試験2~8組の添加剤の試験鶏の摂取量に対する影響は、対照組よりも変化量がそれぞれ1.61%、0.26%、‐0.85%、1.03%、‐2.48%、0.81%、および‐1.39%であり、体重増加に関し、試験2~8組の添加剤の試験鶏の1日の平均体重増加に対する影響は、対照組よりもそれぞれ7.72%、8.86%、1.90%、6.27%、4.93%、9.55%、および5.57%増加し、飼料対肉の比率に関し、試験2~8組は対照組よりも飼料対肉の比率の低下率がそれぞれ5.14%、7.94%、2.80%、4.67%、7.01%、7.94%、および6.54%であった。
【0178】
このため、各試験組の添加剤は試験鶏の摂取量に影響を与えず、ヘキサヒドロ‐ルプロン試験組以外に、他の各試験組では試験鶏の1日の平均体重増加が顕著に改善される。飼料対肉の比率の減少率から見て、同様の使用量ではヘキサヒドロ‐アドルプロンはヘキサヒドロ‐β酸と近い改善効果を有するが、ヘキサヒドロ‐コルプロンの試験鶏の飼料変換率に対する影響効果はヘキサヒドロ‐β酸よりも良好であり、被覆物1、被覆物4、および試験8組の試験鶏の飼料変換率に対する影響効果は、対照組よりも顕著な改善作用をもたらした。
【0179】
工業上の実用性
本出願では、ヘキサヒドロ‐β酸に代わり、ヘキサヒドロ‐β酸化合物ヘキサヒドロ‐コルプロンおよび/またはヘキサヒドロ‐アドルプロンを飼料用組成物の機能性成分として使用することによって、ヘキサヒドロ‐β酸の直接使用による機能成分の低い熱安定性、長期間貯蔵場合の含有量低下などの問題を回避できる同時に、ヘキサヒドロ‐β酸よりも優れた給餌動物の生産能力の改善効果をもたらした。
【国際調査報告】