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特表2022-534462電池セルを解離可能に接触させるための装置
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  • 特表-電池セルを解離可能に接触させるための装置 図1
  • 特表-電池セルを解離可能に接触させるための装置 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-08-01
(54)【発明の名称】電池セルを解離可能に接触させるための装置
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/503 20210101AFI20220725BHJP
【FI】
H01M50/503
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021547699
(86)(22)【出願日】2020-02-25
(85)【翻訳文提出日】2021-08-16
(86)【国際出願番号】 AT2020060053
(87)【国際公開番号】W WO2020181307
(87)【国際公開日】2020-09-17
(31)【優先権主張番号】A50187/2019
(32)【優先日】2019-03-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AT
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】318017545
【氏名又は名称】ライファイゼンランデスバンク・オーバーエスターライヒ・アクチエンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【弁理士】
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【弁理士】
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100191835
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 真介
(74)【代理人】
【識別番号】100221981
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 大成
(72)【発明者】
【氏名】ヴァルトシュッツ・ゲルハルト
(72)【発明者】
【氏名】シュムーダーマイアー・ヴォルフガング
(72)【発明者】
【氏名】ドレクスラー・フロリアン
(72)【発明者】
【氏名】ドーブシュ・ペーター
【テーマコード(参考)】
5H043
【Fターム(参考)】
5H043AA17
5H043AA20
5H043BA11
5H043CA03
5H043FA05
5H043FA27
5H043JA01F
5H043JA06F
5H043JA12F
5H043LA21F
5H043LA22F
(57)【要約】
接合方向(2)とは反対方向に開放したセル収容部を備え、このセル収容部が、接点バネ基部(1)によって画成され、この接点バネ基部から、接合方向(2)とは反対方向に、電池セル(4)を外周側から包囲するための接点舌部(3)が突出する、電池セル(4)を解離可能に接触させるための装置を説明する。挿入された電池セルの相対的な位置に依存せず、並びに、十分にその直径に依存せず、周期的に機械的負荷が生じた場合でも、組立て過程を困難にすることなく確実な電気的接続を可能にする、電池セル(4)を解離可能に接続させるための装置を提案するため、接点舌部(3)が、セル収容部内に半径方向に突出する、切断された卵形の形態の接触体(5)を備えること、を提案する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
接合方向(2)とは反対方向に開放したセル収容部を備え、このセル収容部が、接点バネ基部(1)によって画成され、この接点バネ基部から、接合方向(2)とは反対方向に、電池セル(4)を外周側から包囲するための接点舌部(3)が突出する、電池セル(4)を解離可能に接触させるための装置において、
接点舌部(3)が、セル収容部内に半径方向に突出する、切断された卵形の形態の接触体(5)を備えること、を特徴とする装置。
【請求項2】
接触体(5)が、接点舌部(3)から押し出されていること、を特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
接点バネ基部(1)の周縁が、立ちハゼ継ぎ(10)を形成するように折り曲げられ、この立ちハゼ継ぎに、接点舌部(3)が接続すること、を特徴とする請求項1又は2に記載の装置。
【請求項4】
接点舌部(3)が、セル収容部に対して凸に湾曲され、接触体(5)が、それぞれ湾曲の頂部の領域内に配置されていること、を特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、接合方向とは反対方向に開放したセル収容部を備え、このセル収容部が、接点バネ基部によって画成され、この接点バネ基部から、接合方向とは反対方向に、電池セルを外周側から包囲するための接点舌部が突出する、電池セルを解離可能に接触させるための装置に関する。
【背景技術】
【0002】
欧州特許出願公開第3096372号明細書から、2つの電池セルを直列に接触させるための接点バネが知られている。接点バネは、接点舌部を備え、これら接点舌部は、第1の電池セルを包囲し、この電池セルを、第2の電池セルと材料固着式に結合する。特に、不均等に形成された又は接点バネ内に不完全に着座した大きい電池セルの場合、接点舌部から、十分に大きいクランプ力を電池セルの外周に加えることができず、そのため、動的に機械的負荷が生じた場合、例えば21700型の円形セルのような大きい直径を備えた高容量の電池セルのために、十分確実な接触を保証することができない。加えて、接点舌部によって形成されたセル収容部内への電池セルの挿入時、及び、このセル収容部内での電池セルの何らかの相対運動時、接点舌部のシャープエッジな形成に基づいて電池セル外周が徐々に損傷される、及び/又は、接点舌部自体が何らかの酸化防止コーティングを施されるとの欠点がある。更に、接点舌部と電池セル外周の間の接触面が変化することに基づいて可変の接触抵抗が生じ、これは、不都合な電気的動作条件をもたらす。この理由から、通常は、接点バネと電池セルの間の材料固着式の結合が好ましい。
【0003】
従って接触箇所へのアクセスが困難な場合でも材料固着式の結合を達成するため、相応に高い電流の印加時でも材料固着式の結合を可能にする溶接点を接点バネ上に設けることが、既に提案されている(米国特許第6120564号明細書、欧州特許出願公開第2087554号明細書、欧州特許出願公開第2048723号明細書、特開2003-077453号公報)。但し、その欠点は、理解可能であるように、組立て時の制約及び欠陥のある電池セルの交換性の欠如とは別に、溶接時に生じる電流と温度が、電池セルへの損傷を生じさせ得ることである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】欧州特許出願公開第3096372号明細書
【特許文献2】米国特許第6120564号明細書
【特許文献3】欧州特許出願公開第2087554号明細書
【特許文献4】欧州特許出願公開第2048723号明細書
【特許文献5】特開2003-077453号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従って、本発明の根底にある課題は、挿入された電池セルの相対的な位置に依存せず、並びに、十分にその直径に依存せず、周期的に機械的負荷が生じた場合でも、組立て過程を困難にすることなく確実な電気的接続を可能にする、電池セルを解離可能に接続させるための装置を提案することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、接点舌部が、セル収容部内に半径方向に突出する、切断された卵形として形成された接触体を備えることによって、提起された課題を解決する。相対的な位置に応じて、貫通部によって包囲された電池セルとの不確定な接触面を備える、従来技術から知られた接点バネとは異なり、切断された卵形の形態の、好ましくは半球の形態の接触体を本発明により設けることによって、接点舌部と外周の間の接触面が設定され、これにより、接触体もしくは接点舌部と電池セルの間に限定的な接触抵抗が生じる。この接触抵抗は、振動のために装置の周期的な機械的変形が生じる場合でも、十分に一定である。更に、接触体の丸められた表面に基づいて、表面の損傷は、接触体が接点舌部を電池セルのそれぞれの表面外周から切り離すので、回避することができる。
【0007】
同時に単純な製造条件を伴う改善された電気的接触は、接触体が、接点舌部から押し出されている場合に得られる。これにより、接触体は、1つの作業ステップで製造することができ、丸められた表面は、表面の損傷を回避するために、特別な後加工なしで得ることができる。異物層抵抗を低減するため、接触体は、酸化防止コーティングを備えることができる。このようなコーティングは、本発明の特に有利な実施形態では、接点舌部が接触体を押し出す前に既に当業者にとって十分なコーティング厚さを備えており、これにより、成形後に、セル収容部内へ突出する接触体表面が、閉じた酸化防止コーティングを備えることによって形成することができる。コーティングとして、例えばニッケル又は金を、異物層抵抗を低下させるための酸化防止手段として使用することができる。
【0008】
バッテリセル底部において脱ガスする電池セルの場合でも本発明による装置を使用することができるようにし、同時にセル収容部内での電池セルの確実な着座を改善するため、接点バネ基部の周縁が、立ちハゼ継ぎを形成するように折り曲げられ、この立ちハゼ継ぎに、接点舌部が接続すること、が提案される。立ちハゼ継ぎは、電池セル外周の終端部分を包囲するので、電池セルの底側から流出するガスの接点舌部の間の横からの流出が防止され、そのために設けられた脱ガス通路(この脱ガス通路は、例えばそのために設けられた接点バネ基部内の開口に接続する)に導くことができる。同時に、立ちハゼ継ぎは、接点バネ基部とそれに接続する接点舌部を補強するので、電池セルから流出する高温ガスを導出するための何らかの開口があるにもかかわらず、接点舌部の電池セル外周に作用するクランプ力を高めることができる。これにより、接触体から伝達された接点法線力と比例して上昇する電気伝導率が高められる。電池セルから流出する高温ガスを導出するための開口は、例えば、接点バネ基部に接続しかつ別の電池セルとの直列の接続を可能にする蛇行又は螺旋状の接続導体によって構成することもできる。
【0009】
接点舌部によって加えられるクランプ力が大きい場合でも装置内への電池セルの穏やかな挿入が達成され得るように、本発明による装置の特に実用的な実施形態では、接点舌部が、セル収容部に対して凸に湾曲され、接触体が、それぞれ湾曲の頂部の領域内に配置されていることが推奨される。これら措置のため、接点舌部によって発生されるクランプ力の特に効率的な伝達を達成することができるが、それは、電池セル外周に作用する接点法線力が最大化され、集中抵抗が最小化されるからである。本発明による湾曲によって接点舌部の剛性が高められるにもかかわらず、電池セルの挿入プロセスは、接点舌部によって形成されるセル収容部の、頂部後に接合方向とは反対方向に拡大する横断面積によって容易化することができる。
【0010】
図面には、発明対象を例えば図示する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】2つの電池セルを互いに電気的に接続する本発明による装置の側面図
図2】拡大した尺度で示した本発明による装置の1つの実施例の斜視図
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明による装置は、接合方向2とは反対方向に接点バネ基部1から突出する接点舌部3を備えた接点バネ基部1を備える。図1に図示した第1の電池セル4を包囲し、この電池セルを電気的に接続するため、接点舌部3は、接点バネ基部1の周囲側に配置され、こうして、接合方向2とは反対方向に開放したセル収容部を構成する。第1の電池セル4は、接点舌部3によって解離可能に装置と結合され、これにより、一方では、セル収容部に対する電池セル4の相対運動によって可能な鋼さ補償が、周期的な機械的動作条件下で達成され、他方では、セル収容部内への電池セル4の挿入時の組立て過程が容易化される。この解離可能な結合にもかかわらず、動作的に確実で均等な接触を保証するため、接点舌部3は、好ましくは図2からわかるように、電池外周側を卵形に形成された接触体5を備え、これら接触体は、接点舌部3の湾曲の頂部の領域に配置されている。この独特の形状により、セル収容部に対する電池セル4の相対的な位置に依存せずに、全ての接点舌部3で、ほぼ合同の接触面が提供される。卵形の接触体5が、加圧成形プロセス、例えばプレスによって形成されるとの事実に基づいて、予め形成されたなんらかのコーティングへの損傷を防止することができ、これにより、電池4のライフサイクルが著しく延長される。
【0013】
装置が2つの電池セル4,6を直列に接触させるために使用される場合、接点バネ基部1から、蛇行状の接続導体7は跳ね出ることができ、この接続導体は、第2の電池セル6との材料固着式の結合のために、電池セル6の極8を包囲する極収容部9を備える。接続導体7の特に図2でわかる蛇行状の形成により、接合方向2に及び接合方向2とは反対方向に、機械的な公差補償を行なうことができ、接続導体7の狭幅のウェブは、同時に過電流時のヒューズとして使用することができる。
【0014】
特に穏やかな接合条件は、接点舌部3が、接合方向2とは逆方向に、丸められた先細り部と、セル収容部、即ち電池セル4に対して凸の湾曲を備える場合に得られ、これにより、特に、接点バネ基部1の周縁が立ちハゼ継ぎ10を形成するように折り曲げられている場合、大きく寸法設定された電池セルでも、確実な接触のための十分に高いクランプ力を発生させることができる。有利には、立ちハゼ継ぎ10は、噛合い係合式に電池セル4に隣接するので、電池セル4から両側に流出する何らかの脱ガス流の横からの流出を防止することができる。電池セル6の極8と極収容部9の間のできるだけプロセス的に確実な材料固着式の結合も可能にするため、極収容部9は、周囲側に配置された位置合わせフィン11を備え、これら位置合わせフィンは、調整のため、例えばはんだごて用の当接面として機能することができる。
図1
図2
【国際調査報告】