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特表2022-534479技術的プロセスを制御及び/又は調節するための実行可能制御プログラムのコンピュータ支援生成のためのコンピュータ実装方法
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  • 特表-技術的プロセスを制御及び/又は調節するための実行可能制御プログラムのコンピュータ支援生成のためのコンピュータ実装方法 図1
  • 特表-技術的プロセスを制御及び/又は調節するための実行可能制御プログラムのコンピュータ支援生成のためのコンピュータ実装方法 図2
  • 特表-技術的プロセスを制御及び/又は調節するための実行可能制御プログラムのコンピュータ支援生成のためのコンピュータ実装方法 図3
  • 特表-技術的プロセスを制御及び/又は調節するための実行可能制御プログラムのコンピュータ支援生成のためのコンピュータ実装方法 図4
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-08-01
(54)【発明の名称】技術的プロセスを制御及び/又は調節するための実行可能制御プログラムのコンピュータ支援生成のためのコンピュータ実装方法
(51)【国際特許分類】
   G05B 19/042 20060101AFI20220725BHJP
【FI】
G05B19/042
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2021568876
(86)(22)【出願日】2020-04-27
(85)【翻訳文提出日】2022-01-17
(86)【国際出願番号】 AT2020060169
(87)【国際公開番号】W WO2020232486
(87)【国際公開日】2020-11-26
(31)【優先権主張番号】A50458/2019
(32)【優先日】2019-05-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AT
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521503950
【氏名又は名称】グルーバー、マルクス
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】特許業務法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】グルーバー、マルクス
【テーマコード(参考)】
5H220
【Fターム(参考)】
5H220AA04
5H220BB12
5H220CC07
5H220CX02
5H220JJ50
(57)【要約】
技術的プロセスを制御及び/又は調節するための実行可能制御プログラムのコンピュータ支援生成のためのコンピュータ実装方法において、制御プログラムの機能性は、操作インターフェース7を介して、状態Z1~Z4、入力信号E1~E3及び出力信号A1、A2によって決定され、その後、実行可能プログラム・コードに変換され、入力テーブル11は、制御プログラムの機能性を記述するために、ユーザ・インターフェース7によって埋められ、入力テーブル11の各セル中で、
次の状態への遷移を待つ信号変化S、又は
誤り検出のためにモニターされることI、又は
ランダム、
を定義することによって、入力テーブル11において技術的プロセスを完全に記述するために、技術的プロセスの各状態Z1~Z4は、入力テーブル11の行/列を割り当てられ、技術的プロセスの各入力信号E1~E3は、入力テーブル11の列/行を割り当てられ、あらゆる定義された状態において、あらゆる入力信号は、入力テーブル11における定義に従って、信号変化若しくはエラー条件に関して連続的にモニターされるか、又はランダムに設定され、結果として、プログラム・コードによってモニターされないかのいずれかである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
技術的プロセスを制御及び/又は調節するための実行可能制御プログラムのコンピュータ支援生成のためのコンピュータに実装される方法であって、以下の方法ステップ、すなわち、
操作インターフェースを介して、状態(Z1~Z4)、入力信号(E1~E3)、及び出力信号(A1、A2)によって、前記制御プログラムの機能性を定義するステップと、
前記制御プログラムの前記決定された機能性を、実行可能プログラム・コードに変換するステップとが実装される、コンピュータ実装方法において、前記ユーザ・インターフェース(7)を介して埋められた入力テーブル(11)が、前記制御プログラムを完全に記述し、前記入力テーブル(11)の各セル中で、
次の状態への遷移を待つ信号変化(S)、又は
誤り検出のためにモニターされること(I)、又は
ランダム、
を定義することによって、前記入力テーブル(11)において前記技術的プロセスを完全に記述するために、前記技術的プロセスの各状態(Z1~Z4)が、前記入力テーブル(11)の行/列を割り当てられ、前記技術的プロセスの各入力信号(E1~E3)が、前記入力テーブル(11)の列/行を割り当てられ、
あらゆる定義された状態において、あらゆる入力信号が、前記入力テーブル(11)における前記定義に従って、信号変化若しくはエラー条件に関して連続的にモニターされるか、又はランダムに設定され、結果として、前記プログラム・コードによってモニターされないかのいずれかであることを特徴とする、コンピュータ実装方法。
【請求項2】
前記入力テーブル(11)からの前記実行可能制御プログラムの作成中に、ワーキング・テーブル(12)が作成され、前記ワーキング・テーブル(12)において、前記ワーキング・テーブル(12)の第2の領域(14)において前記次の状態(Z1~Z4)への前記遷移のための予想される入力信号(14におけるMx)を定義することによって、及び前記ワーキング・テーブル(12)の第3の領域(15)において誤り検出のためのモニターされる入力信号(15におけるMx)を定義することによって、前記ワーキング・テーブル(12)において前記技術的プロセスを完全に記述するために、前記技術的プロセスのあらゆる状態(Z1~Z4)が、前記ワーキング・テーブル(12)の行/列を割り当てられ、前記技術的プロセスのあらゆる入力信号(E1~E3)が、前記ワーキング・テーブル(12)の第1の領域(13)における列/行を割り当てられることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記状態(Z1~Z4)の間に置かれた前記ワーキング・テーブル(12)のさらなる行/列中で、1つの行が各々、ある状態から後続の状態への前記遷移のために提供され、前記予想される入力信号(14におけるMx)は、これらの行/列において、すべてがビット・ゼロを有するか、又はすべてがビット1を有しなければならないことを特徴とする、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
入力信号(E1~E3)の各理論的に可能な組合せが、前記ワーキング・テーブル(12)における前記技術的プロセスの前記完全な記述を検証するために、制御テーブル(16)において、前記ワーキング・テーブル(12)の状態(Z1~Z4)、又は前記ワーキング・テーブル(12)の前記第3の領域(15)におけるモニターされたエラー、又は前記ワーキング・テーブル(12)における遷移を割当て可能であることを特徴とする、請求項1から3までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
表示手段(8)を用いた、前記ワーキング・テーブル(セクション14における12)に基づく、前記制御プログラムによる、前記制御のシミュレーション及び/又は前記技術的プロセスの調節中に、現在の状態から次の状態(Z1~Z4)への前記遷移について予想されるそれぞれの次の入力信号(M1~M4としてのE1~E3)がマークされることを特徴とする、請求項1から4までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
プロセッサ上で実行されるように、及び制御コンピュータ(1)上で実行されたとき、請求項1から5までのいずれか一項に記載の前記プロセス・ステップを行うように適合された制御プログラムを備える、記憶媒体。
【請求項7】
制御コンピュータ(1)上で実行されたとき、請求項1から5までのいずれか一項に記載の方法を実行するための実行可能な命令を備える、コンピュータ・プログラム製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、技術的プロセスを制御及び/又は調節するための実行可能制御プログラムのコンピュータ支援生成のためのコンピュータ実装方法であって、制御プログラムの機能性が、操作インターフェースを介して、状態、入力信号及び出力信号によって決定され、その後、実行可能プログラム・コードに変換される、コンピュータ実装方法に関する。
【背景技術】
【0002】
たとえば、製造設備における技術的プロセスの制御又は調節は、複数の入力信号が提供されるシステム・コンピュータによって行われる。システム・コンピュータのためのそのような入力信号は、たとえば、シリンダー中のピストンの位置をモニター(「監視」ともいう)する位置センサーに、又は容器中の液体の温度をモニターする温度センサーに、又は製品の乾燥時間を設定するタイマーに由来し得る。技術的プロセスは、入力信号、出力信号、状態、及びエラー条件の形態の複数のプロセス変数を備え、非常に単純な技術的プロセスでさえ、これらのプロセス変数の大部分によって影響を及ぼされる。より多くの技術的構成要素が、技術的プロセスによって制御又は調節されなければならなくなるほど、技術的プロセスが備えるプロセス変数の数は、より大きくなる。たとえば、ガソリンを生産するための精練所に関して、精練所の個々の技術的構成要素が、いくつの入力信号及び出力信号を備えるか、並びにそれらがいくつの状態にあり得るかは、直ちに明らかであり、そのため、これらのプロセス変数のすべての可能性の組合せは、ガソリンを生産するための技術的プロセスのたいてい扱いにくい多数の計画された及び未計画のシーケンスを生じる。
【0003】
DE 10 2015 109 662 A1は、実行可能制御プログラムのコンピュータ支援生成のためのそのような方法であって、制御プログラムの機能性が、グラフィック・ユーザ・インターフェースを介して技術者によって設定される、方法を開示している。ブロック図中のブロックは、状態を識別し、信号線は、技術的プロセスのある状態から次の状態への遷移を識別する。そのようなグラフィック・ユーザ・インターフェースは、単純な技術的プロセスにおいてさえ複雑であるので、この現況技術は、制御プログラムのグラフィック・モデルをサブモデルに分解することを記述する。しかしながら、グラフィック・ユーザ・インターフェースを分解することによって、それはより複雑になる。この知られている方法のさらなる欠点は、方法によって生成された技術的プロセスを制御又は調節するための制御プログラムの実行中に、予期しないエラー状態があり、そのエラーは、技術的プロセスの障害を生じ、後に生産損失をもたらしたということである。
【0004】
EP 0 707 248 A1は、実行可能制御プログラムのコンピュータ実装生成のためのさらなる方法であって、ここでも、グラフィック・ユーザ・インターフェースは、技術的プロセスの機能性を設定するために使用される、方法を開示している。グラフィック・ユーザ・インターフェースの複雑さを低減するために、グラフィック・オブジェクトのあるグループは、プログラム属性によって「ビュー(view)」に割り当てられ、そのため、グラフィック・オブジェクトのグループは、それぞれのプログラム属性をアクティブにするか又は非アクティブにすることによって、表示されるか又は非表示にされ得る。ユーザ・インターフェースの古典的な行/テーブルタイプ表示(line/table-type display)は、それがおそらく十分に明瞭でないので、不利なものとして述べられている。この方法のさらなる欠点は、方法を用いて生成された技術的プロセスを制御又は調節するための制御プログラムの実行中に、予期しないエラー状態があり、そのエラーは、技術的プロセスの障害を生じ、後に生産損失をもたらしたということであった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】DE 10 2015 109 662 A1
【特許文献2】EP 0 707 248 A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
技術の欠点を回避する、技術的プロセスを制御及び/又は調節するための実装可能な制御プログラムのコンピュータ支援生成のためのコンピュータ実装方法を作成することが、本発明の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によれば、本目的は、請求項1に記載のプロセスのプロセス・ステップを用いて達成される。
【0008】
本発明は、知られているプロセスにおいて、技術的プロセスを記述するための操作インターフェースが、プロセスを、すべてのそれの異なる状態、及び入力信号のすべての可能な組合せを用いて制御又は調節されるために、完全に記述しないことを見つけることに基づく。知られている操作インターフェースは、状態、さらに計画通りに進んでいる技術的プロセスの状態遷移、並びにある定義されたエラー状態を記述するのに適しているが、考慮に入れられない、入力信号の組合せ、又は状態のシーケンスが常にある。しばしば、理由は、そのような状態又は入力信号のそのような組合せが起こることは不可能であることを、技術的プロセスを定義する技術者が確信することである。技術的プロセスが、かなり多くの技術的構成要素を有するとすぐに、最も頻繁な理由は、操作インターフェースが、定義された様式ですべての可能な組合せを扱うための助けを提供しないことになる。
【0009】
本発明は、信号変化若しくはエラー条件に関していずれかで連続的に、入力テーブルにおける定義に従って、あらゆる定義された状態におけるあるあらゆる入力信号をモニターすることによって、又はランダムにそれを設定し、結果としてそれをモニターしないことによってのいずれかで、この問題を解決する。結果として、技術的プロセスの逸脱は、直ちに認識される。加えて、技術的プロセスの完全説明を提供する入力テーブルの本発明の構造は、すべての状態及び状態遷移の構造化定義を可能にし、これは、ある入力信号組合せが、前もって考慮されず、それゆえ、プロセスが動作している間に生産における損失につながることを防ぎ、これは、検査テーブルによって検証され得る。ある場所における技術的プロセスを制御するための制御プログラムを作成するためのコード生成器のためのすべての情報を含んでいる、入力テーブルにおける技術的パラメータのこの新しい連結を用いて、生産プロセスの停止を低減する技術目的は解決され、そのため、本発明のテクニシティ(technicity)が提供される。
【0010】
本発明の方法のさらなる有利な実装形態が、図を参照しながら以下で説明される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の第1の実装形態実例による、制御プログラムによって制御される技術的プロセスの技術的構成要素を示す図である。
図2】ユーザからの入力を介して入力テーブルにおいて技術的プロセスを完全に記述するための本発明のステップを示す図である。
図3】表示手段上に少なくとも部分的に表示され、入力テーブルから埋められたワーキング・テーブルを示す図である。
図4】入力テーブル及びワーキング・テーブルを通した技術的プロセスの完全な記述を検査するための、表示手段上に同じく表示可能である検査テーブルを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1は、本発明の第1の例示的な実施例による、制御プログラムによって制御される技術的プロセスの技術的構成要素を示す。制御コンピュータ1は、シリンダー3のピストン2を「後方」位置から「前方」位置に、及びその逆に移動させるために、制御プログラムを実行するように設計される。ボタン4が押されたとき、それは、制御コンピュータ1に第1の入力信号E1を発する。第1のセンサー5が、「後方」位置にあるピストン2を検出したとき、第1のセンサー5は、制御コンピュータ1に第2の入力信号E2を発する。第2のセンサー6が、「前方」位置にあるピストン2を検出したとき、第2のセンサー6は、制御コンピュータ1に第3の入力信号E3を発する。入出力ユニット7は、ディスプレイ8、ボタン4、及び情報を入力するための図示されていないさらなるボタンを備える。制御コンピュータ1は、「後方」位置から「前方」位置にピストン2を移動させるために、第1のバルブ9に出力信号A1を発する。制御コンピュータは、「前方」位置から「後方」位置にピストン2を移動させるために、第2のバルブ10に出力信号A2を発する。
【0013】
数個の技術的構成要素しか備えない単純なシステムによって実行されるべき一連の技術的プロセスは、以下のように要約され得、すなわち、ピストン2が「後方」位置にあり、ボタン4が押されたとき、制御コンピュータ1は、第1のバルブ9に第1の出力信号A1を発し、そのため、ピストン2は、「前方」位置に移動する。ピストン2が「前方」位置にあり、ボタン4が押されたとき、制御コンピュータ1は、第2のバルブ10に出力信号A2を発し、そのため、ピストン2は、「後方」位置に移動する。状態Z1~Z4における技術的プロセスのこのシーケンスは、図2中に示されているシステムの完全記述に向かう第1のステップである。
【0014】
図2は、第2のステップにおいて、入力テーブル11における一連の技術的プロセスのこの定義に基づいて、シーケンスが、ユーザによる入力を介してビット指向マター(bit-oriented matter)でどのように設定され得るかを示す。シーケンスの4つの状態Z1~Z4は、入力テーブル11の4つの行中に含まれており、入力信号E1~E3は、入力テーブル11の列中に含まれている。連続的にボタン4を押すことが、「前方」から「後方」への、及び再び「前方」へのピストン2の位置の制御されない変化につながるべきではないので、逆の第1の入力信号

が、さらなる入力信号として別個の列中に含まれている。本発明の方法の第3のステップにおいて、入力信号E1~E3及び

は、次いで、論理を介して状態と連結される。
【0015】
これを行うために、ユーザは、信号変化Sがそれぞれの状態Z1~Z4においてモニターされなければならないとき、入力テーブル11のある行中に「S」をエンターする。たとえば、状態Z1において、システムは、ボタン4からの入力信号E1を待つ。加えて、ユーザは、入力信号がそれぞれの状態Z1~Z4においてモニターされなければならないとき、入力テーブル11のセル中に「I」をエンターする。たとえば、状態Z1において、入力信号E2は、ピストンが「後方」位置において検出されることを確実にするために、ビット「1」を有しなければならない。ユーザが「S」又は「I」をエンターしないすべての他のセルは、任意の値を含んでいることがあり、換言すれば、入力信号E1~E3は、この状態において、一連の技術的プロセスに対する影響を有することなしに、ビット「0」又はビット「1」のいずれかを有し得る。しかしながら、文字「S」及び「I」を用いたマーキングは、もちろん、入力オプションの1つの実例にすぎず、ユーザは、入力テーブル11を埋めるとき、任意の数又は字を使用し得る。
【0016】
制御コンピュータ1のための実行可能制御プログラムのコンピュータ支援生成のために、上記で説明された技術的プロセスを、制御された様式で制御コンピュータ1によって動作させるために、次に、制御プログラムが、入力テーブル11、いずれのプログラムの機能がワーキング・テーブル12から認識可能であるのか、さらにいずれがディスプレイ8上に表示可能であるのかに基づいて、制御コンピュータ1又は別のコンピュータによって生成される。図3中に示されているワーキング・テーブル12の第1のセクション13において、4つの状態Z1~Z4は、行中に含まれており、入力信号E1~E3及び

は、列中に含まれている。入力テーブル11におけるユーザの入力に従って、ビット「0」及び「1」が、制御プログラムの機能性を完全に記述するために、ワーキング・テーブル12の第1のセクション13において挿入され、ワーキング・テーブル12の第1のセクション13のフィールドは、入力信号が入力テーブル11における入力に従ってこの状態でランダムであり得るとき、空のままにされ得る。
【0017】
図3は、ワーキング・テーブル12の4つのさらなる行中に含まれる、ある状態からそれぞれ後続する状態への状態遷移をも有する、本発明のワーキング・テーブル12を示す。さらなる列において、バルブ9及び10への制御コンピュータ1の出力信号A1及びA2も含まれた。ワーキング・テーブル12のこの第1のセクション13は、システムのいずれかの及びすべての可能な状態において、図1に従って、システムの技術的構成要素のすべての入力E1~E3並びにすべての出力A1及びA2を記述する。
【0018】
ワーキング・テーブル12の第2のセクション14において、状態Z1~Z4及び状態遷移は、4つの列M1~M4において行列ビット(matrix bit)Mxを割り当てられた。列M1~M4は、入力E1、

E2及びE3に対応し、行列ビットMxは、システムがこの状態においてこの入力信号を待つときはいつでも、ビット「1」を示し、この入力信号が次の状態に続くのを制御コンピュータ1が待つときはいつでも、ビット「0」を示す。
【0019】
ワーキング・テーブル12の第3のセクション15において、入力テーブル11中のユーザによる入力に対応するエラー状態が、含まれており、そこから生成された制御プログラムによってモニターされ、そのエラー状態は、制御プログラムが、ワーキング・テーブルの第2のセクション14及び第3のセクション15におけるビットの巡回比較(cyclic comparison)を行うとき、不一致の場合、それぞれの状態又は状態遷移におけるディスプレイ8上のエラー・メッセージにつながることになる。ワーキング・テーブル12のこの第3のセクションは、ユーザの入力に従って埋められ、図4中に示されている本発明の検査テーブル16の助けをかりて検証又は検査され得、これは、以下で説明される。
【0020】
検査テーブル16において、3つの入力信号E1~E3のすべての可能なビット組合せが、行中に含まれており、実行可能制御プログラムを作成する制御コンピュータ又はコンピュータは、入力テーブル11及び/又はワーキング・テーブル12に基づいて、これらのビット組合せの各々について、ビット組合せが何を意味するかを指定する。たとえば、ビット組合せ1-1-1は、換言すれば、すべての3つの入力信号がスイッチング電圧を有するときは、ピストン2が、「後方」位置にある第1のセンサー5によって、及び「前方」位置にある第2のセンサー6によって同時に検出され得ないので、システムのエラー状態があるにちがいないことを意味する。ビット組合せ0-1-1の場合、再び、入力信号E2及びE3の両方がスイッチング電圧を有するので、システムの同じエラー状態が、このビット組合せの場合にも存在する。この検査テーブル16は、実際に、入力信号E1~E3の任意の可能な組合せが意味又は処理を割り当てられたことを、ユーザが検査するのに役立つ。任意の可能な状態又は状態遷移中のシステムのすべての入力のこのシームレスなモニターは、技術的プロセスを制御及び/又は調節するための特に信頼できる制御プログラムを提供する。
【0021】
入力テーブル11におけるビットを手動で設定することによって、技術的プロセスの機能性のこの完全な記述を完了した後に、技術的プロセスを制御及び/又は調節するための実行可能制御プログラムのコンピュータ支援生成が、ユーザによって開始され得る。当業者は、たとえば、DE 10 2015 109 662 A1に記載されているような、テーブル又はグラフィック・モデルによって記述されたプロセスの、機械語又はより高度なプログラミング言語の実行可能制御プログラムへのこの自動翻訳に精通しているであろう。本説明は、それゆえ、本発明が、技術的プロセスのシームレスな表記述の分野内にあるので、ここでは詳述しない。実行可能プログラム・コードを生成した後、それは、制御コンピュータ1のプログラム・ストレージにロードされ、技術的プロセスは、定義された状態、たとえば、状態Z1にもたらされ、制御プログラムの実行は、ユーザによって開始される。制御コンピュータ1、又は制御プログラムの作成を伴う別のコンピュータによって作成された、ワーキング・テーブル12、及び随意に検査テーブル16の部分は、ユーザが通知され続けるために、技術的プロセスの実行の前に、その間に、及びその後に、ディスプレイ8上に表示され得る。
【0022】
以下で、ワーキング・テーブル12及び検査テーブル16におけるシームレスな記述に基づいて生成されたプログラム・コードの実行を介して制御コンピュータ1によって制御される一連の技術的プロセスが説明される。状態1において、ピストン2は、「後方」位置にあり、これは、第1のセクション13において、第1のセンサー5の入力信号E2のみが、ビット「1」又はスイッチング電圧を有し、第2のセクション14において、行列ビットM1が、ボタン4、換言すれば、入力信号E1が、状態2に進む前に必要とされるので、ビット「1」を有する理由である。第3のセクション15において、状態1の第1の行中で、ボールド・フォントで示されている行列ビットM3は、それがビット「1」を有するかどうかの事実に関してモニターされることが分かるであろう。ビット「0」が存在する、換言すれば、第1のセンサー5の入力信号E2が、ピストン2が「後方」位置になく、これにより、状態1が存在しないことを示す場合、ディスプレイ8によってユーザに表示されることになるエラーがある。ディスプレイ8上に示されるワーキング・テーブル12を見ることによって、ユーザは、技術的プロセスが、いずれの状態にあるのか、及びいずれのセンサーが、入力信号として予期しないセンサー信号を発するのかを知ることができる。ピストンの実際の位置を見ることによって、ユーザは、システムのエラーを容易に認識し、たとえば、第1のセンサー5を交換することによってそれを補正することができる。
【0023】
その上、第3のセクション15において通常フォントで示されている行列ビットM1は、入力信号E1が、ボタン4が押された後、スイッチング電圧を有することを示すビット「1」をそれがすでに有するかどうかの事実に関して、第1の状態Z1においてモニターされる。このモニターされる進行状況WSBが、行「2への遷移」中に与えられているビットによって、制御コンピュータ1によって検出されたとき、制御コンピュータ1は、システムの状態2に進み、第1のバルブ9に出力信号A1を発し、その後、ピストン2は、「前方」位置に移動する。状態2から状態3への進行状況は、ピストン2が「前方」位置に達し、入力信号E3が、状態Z2の第3のセクションにおけるモニターされる行列ビットM4中のビット「1」に対応するスイッチング電圧を有するとき、達せられる。状態3において、システムは、再び、第3のセクション15におけるモニターされる行列ビットM1中のビット「1」に対応する、ボタン4が押された後の入力信号E1を待つ。ボタン4が押されたとき、制御コンピュータは、状態4に進み、第2のバルブ10に出力信号A2を発し、そのため、ピストン2は、「後方」位置に移動する。第1のセンサー5が、第3のセクション15におけるモニターされる行列ビット2中のビット「1」を通して検出される、入力信号E2を制御コンピュータ1に発するとすぐに、制御コンピュータは、状態1にスイッチバックし、その後、技術的プロセス全体は、一回通して動作される。進行状況WSBは、常に、ビット「0」を有するワーキング・テーブル12の第2のセクション14におけるすべての行列ビットMxによって特徴づけられる。本発明の別の実施例変形形態では、進行状況WSBは、ビット「1」を有するすべての行列ビットMxによって特徴づけられ得る。
【0024】
検査テーブル16は、ワーキング・テーブル12にエンターされるビットが全部揃っているかどうかを検査することを可能にするが、ワーキング・テーブル12を作成することは、検査テーブル16を用いてそれを検査することがなくても可能である。
【0025】
ワーキング・テーブル12は、もちろん、行及び列に関して反対に作成及び使用されてもよいと言える。この場合、状態Z1~Z4は、列中に含まれていることになり、入力信号E1~E3、出力信号A1及びA2、並びに行列ビットMxは、行中に配置されることになる。この代替配置も、システムの技術的プロセスが、制御コンピュータ1を用いて実行されるべき実行可能プログラム・コードのコンピュータ支援作成を可能にするために、完全に記述されるという利点を提供する。技術的プロセスを制御及び/又は調節するためのプログラム・コードを実行するとき、これにより、入力信号のすべての可能な組合せが、あらかじめ設定された処理を生じることが保証される。もし「状態機械」の次の状態がエンターされるか、又はユーザが、定義されたエラーを表示されるのであれば、これは、テーブルにおける情報に基づく即時の解決を可能にする。
【0026】
本発明の方法は、ただ1つのシリンダー3と、2つの位置に可動であるにすぎない1つのピストン2とをもつ非常に単純な技術的プロセスに関して説明された。それの実際の利点は、たとえば、半又は完全自動生産プロセスの場合のように、複数の異なる技術的デバイスを備える技術的プロセスを用いて記述される手法を使用するとき、明らかになる。
図1
図2
図3
図4
【手続補正書】
【提出日】2021-03-11
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
技術的プロセスを制御及び/又は調節するための実行可能制御プログラムのコンピュータ支援生成のためのコンピュータに実装される方法であって、以下の方法ステップ、すなわち、
操作インターフェースを介して、状態(Z1~Z4)、入力信号(E1~E3)、及び出力信号(A1、A2)によって、前記制御プログラムの機能性を定義するステップと、
前記制御プログラムの前記決定された機能性を、実行可能プログラム・コードに変換するステップとが実装される、コンピュータ実装方法において、前記ユーザ・インターフェース(7)を介して埋められた入力テーブル(11)が、前記制御プログラムを完全に記述し、前記入力テーブル(11)の各セル中で、
次の状態への遷移を待つ信号変化(S)、又は
誤り検出のためにモニターされること(I)、又は
ランダム、
を定義することによって、前記入力テーブル(11)において前記技術的プロセスを完全に記述するために、前記技術的プロセスの各状態(Z1~Z4)が、前記入力テーブル(11)の行/列を割り当てられ、前記技術的プロセスの各入力信号(E1~E3)が、前記入力テーブル(11)の列/行を割り当てられ、
あらゆる定義された状態において、あらゆる入力信号が、前記入力テーブル(11)における前記定義に従って、信号変化若しくはエラー条件に関して連続的にモニターされるか、又はランダムに設定され、結果として、前記プログラム・コードによってモニターされないかのいずれかであり、入力テーブル(11)からの前記実行可能制御プログラムのコンピュータ支援生成中に、チェックテーブル(16)が、ビットの組み合わせの意味または処理が割り当てられた入力信号(E1~E3)情報のすべての可能なビットの組み合わせを提供する、ことを特徴とする、コンピュータ実装方法。
【請求項2】
前記入力テーブル(11)からの前記実行可能制御プログラムの作成中に、ワーキング・テーブル(12)が作成され、前記ワーキング・テーブル(12)において、前記ワーキング・テーブル(12)の第2の領域(14)において前記次の状態(Z1~Z4)への前記遷移のための予想される入力信号(14におけるMx)を定義することによって、及び前記ワーキング・テーブル(12)の第3の領域(15)において誤り検出のためのモニターされる入力信号(15におけるMx)を定義することによって、前記ワーキング・テーブル(12)において前記技術的プロセスを完全に記述するために、前記技術的プロセスのあらゆる状態(Z1~Z4)が、前記ワーキング・テーブル(12)の行/列を割り当てられ、前記技術的プロセスのあらゆる入力信号(E1~E3)が、前記ワーキング・テーブル(12)の第1の領域(13)における列/行を割り当てられることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記状態(Z1~Z4)の間に置かれた前記ワーキング・テーブル(12)のさらなる行/列中で、1つの行が各々、ある状態から後続の状態への前記遷移のために提供され、前記予想される入力信号(14におけるMx)は、これらの行/列において、すべてがビット・ゼロを有するか、又はすべてがビット1を有しなければならないことを特徴とする、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
入力信号(E1~E3)の可能なビットの組合せの各々が、前記ワーキング・テーブル(12)における前記技術的プロセスの前記完全な記述を検証するために、前記制御テーブル(16)において、前記ワーキング・テーブル(12)の状態(Z1~Z4)、又は前記ワーキング・テーブル(12)の前記第3の領域(15)におけるモニターされたエラー、又は前記ワーキング・テーブル(12)における遷移を割当て可能であることを特徴とする、請求項から3までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
表示手段(8)を用いた、前記ワーキング・テーブル(12)に基づく、前記制御プログラムによる、前記制御のシミュレーション及び/又は前記技術的プロセスの調節中に、現在の状態から次の状態(Z1~Z4)への前記遷移について予想されるそれぞれの次の入力信号(M1~M4としてのE1~E3)がマークされることを特徴とする、請求項から4までのいずれか一項に記載の方法。
【国際調査報告】