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特表2022-534487電気自動車バッテリーを冷却および/または加熱するためのデバイス
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-08-01
(54)【発明の名称】電気自動車バッテリーを冷却および/または加熱するためのデバイス
(51)【国際特許分類】
   B60K 11/02 20060101AFI20220725BHJP
   C08L 77/00 20060101ALI20220725BHJP
   C08K 7/02 20060101ALI20220725BHJP
   C08K 3/016 20180101ALI20220725BHJP
   C08K 5/00 20060101ALI20220725BHJP
   H01M 10/613 20140101ALI20220725BHJP
   H01M 10/615 20140101ALI20220725BHJP
   H01M 10/625 20140101ALI20220725BHJP
   H01M 10/653 20140101ALI20220725BHJP
   H01M 10/651 20140101ALI20220725BHJP
   C09K 5/14 20060101ALI20220725BHJP
【FI】
B60K11/02 ZHV
C08L77/00
C08K7/02
C08K3/016
C08K5/00
H01M10/613
H01M10/615
H01M10/625
H01M10/653
H01M10/651
C09K5/14 E
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021570147
(86)(22)【出願日】2020-05-29
(85)【翻訳文提出日】2022-01-21
(86)【国際出願番号】 FR2020050924
(87)【国際公開番号】W WO2020240143
(87)【国際公開日】2020-12-03
(31)【優先権主張番号】1905717
(32)【優先日】2019-05-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】505005522
【氏名又は名称】アルケマ フランス
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】デュフォール, ニコラス
(72)【発明者】
【氏名】ラシェッド, ウィサム
【テーマコード(参考)】
3D038
4J002
5H031
【Fターム(参考)】
3D038AB01
3D038AC22
3D038AC23
4J002CL001
4J002DA057
4J002DE047
4J002DE077
4J002DE107
4J002DE117
4J002DH007
4J002EU187
4J002EW137
4J002FA046
4J002FD016
4J002FD137
4J002GQ00
5H031EE04
(57)【要約】
本発明は、電気またはハイブリッド自動車バッテリーを冷却および/または加熱するための回路において使用するように意図されるデバイスであって、- - 組成物の総重量に対して20~65重量%の、熱伝導性のない強化用繊維を含み、- 補完物が、少なくとも1つのポリアミドを主として含む母材である組成物からなる外側ケースと;- バッテリーに面して位置し、冷却剤と接するように意図され、- 組成物の総重量に対して5~65重量%の強化用繊維、- 使用される強化用繊維が熱的伝導性でない場合、総重量に対して10~20重量%の少なくとも1つの熱的伝導性成分、- 少なくとも1つの難燃剤を含み、- 補完物が、窒素原子当たり7~10個、有利には7.5~9.5個の範囲の平均炭素原子を有する単位からなる半芳香族ポリアミドおよびポリアミドから選択される少なくとも1つのポリアミドを主として含む母材である組成物からなる内側ケースと; 伝熱流体入口と;- 伝熱流体出口とを備え、バッテリーの冷却および/または加熱容積の境界を定める、デバイスに関する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気またはハイブリッド自動車バッテリーの冷却および/または加熱回路に使用するためのデバイスであって、
- 組成物の総重量に対して20~65重量%の、熱的伝導性のない強化用繊維
を含み、
- 補完物が、主として少なくとも1つのポリアミドを含む母材である
組成物からなる外側エンベロープと、
- バッテリーと反対に配列され、冷却流体と接するように意図され、
- 組成物の総重量に対して5~65重量%の強化用繊維、
- 使用される強化用繊維が熱的伝導性でない場合、総重量に対して10~20重量%の少なくとも1つの熱的伝導性成分、
- 少なくとも1つの難燃剤
を含み、
- 補完物が、窒素原子当たり7~10個、有利には7.5~9.5個の範囲の平均炭素原子を有する単位からなる半芳香族ポリアミドおよびポリアミドから選択される少なくとも1つのポリアミドを主として含む母材である
組成物からなる内側エンベロープと、
- 伝熱流体入口と、
- 伝熱流体出口と
を備え、
バッテリーの冷却および/または加熱容積の境界を定める、デバイス。
【請求項2】
外側エンベロープが、窒素原子当たり9~18個の範囲の平均炭素原子を有する単位からなる半芳香族ポリアミドおよびポリアミドから選ばれる少なくとも1つのポリアミドを含むポリアミド母材を含むことを特徴とする、請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
外側エンベロープが、PA612、PA1010、PA10T、PA10T/1010、PA11、PA12、PA11/10T、PA12/10T、PA 1012、PA 618、PA 12T、PA 1010/1012、PA BACT/6T、PA BACT/10T、PA BACT/12T、PA MPMDT/6T、PA MPMDT/10T、PA MPMDT/12T、PA MXDT/6T、PA MXDT/10T、PA MXDT/12T、PA 11/BACT/6T、PA 11/BACT/10T、PA 11/BACT/12T、PA 11/MPMDT/6T、PA 11/MPMDT/10T、PA 11/MPMDT/12T、PA 11/MXDT/6T、PA 11/MXDT/10T、PA 11/MXDT/12Tおよびその混合物から選択され、好ましくはPA12、PA 11、PA 10.10、PA 10.12およびPA11/10.Tから選択される少なくとも1つのポリアミドを含むポリアミド母材を含むことを特徴とする、請求項1または2に記載のデバイス。
【請求項4】
内側エンベロープが、PA610、PA410、PA412、PA612、PA1010、PA6T、PA6I、PA9T、PA10T、PA6T/6I、PA6T/10T、PA6T/1010、PA10T/1010およびその混合物から選択される少なくとも1つのポリアミドを含むポリアミド母材を含むことを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項5】
外側エンベロープを構成する組成物中に存在する熱伝導性のない強化用繊維が、ガラス繊維、玄武岩繊維およびアラミド繊維から選択されることを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項6】
内側エンベロープを構成する組成物中に存在する熱伝導性を有する強化用繊維が、炭素、炭素繊維、カーボンブラック、カーボンナノチューブ、膨張黒鉛、窒化アルミニウムおよび窒化ホウ素から選択されることを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項7】
内側エンベロープの熱伝導度(λ)の外側エンベロープの熱伝導度(λ)に対する比が少なくとも1.5を超えることを特徴とする、請求項1から6のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項8】
内側エンベロープを構成する組成物および外側エンベロープを構成する組成物中に存在する難燃剤が、ホスフィン酸の金属塩、ジホスフィン酸の金属塩、少なくとも1つのホスフィン酸の金属塩を含有するポリマー、ジホスフィン酸の少なくとも1つの金属塩を含有するポリマーから選択される金属塩;赤リン、酸化アンチモン、酸化亜鉛、酸化鉄、酸化マグネシウム、ホウ酸亜鉛などの金属ホウ酸塩、またはメラミンピロホスフェート、メラミンシアヌレート、シリコーン化もしくはフッ素化タイプの非滴下剤およびその混合物であることを特徴とする、請求項1から7のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項9】
バッテリー(2)が複数の隣接するセルパック(10、11、12)を備える場合、内側エンベロープ(8)は、形状の相補性によってセルの組立体を封入することを特徴とする、請求項1から8のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項10】
内側エンベロープ(8)および/または外側エンベロープ(7)が、透水性の低い層を用いて内側および/または外側を被覆されることを特徴とする、請求項1から9のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項11】
炭化水素、ヒドロフルオロカーボン、エーテル、ヒドロフルオロエーテル、ハロカーボン、CO2、NH3、SO2およびフルオロオレフィンである化合物から選択される冷媒を用いて電気またはハイブリッド自動車のバッテリーを冷却および/または加熱するための、請求項1から10のいずれか一項に定義されるデバイスの使用。
【請求項12】
冷媒が、CO2、ハロアルカン、ハロアルケン、フルオロプロペン、フルオロプロパンおよびフルオロエタン、好ましくは1,3,3,3-テトラフルオロプロペン、2,3,3,3-テトラフルオロプロペン、1,2,3,3,3-ペンタフルオロプロペン、1,1,3,3-テトラフルオロプロペン、3,3,3-トリフルオロプロペン、2,3,3-トリフルオロプロペン、1,1,1,2-テトラフルオロエタン、1,1,2,2-テトラフルオロエタン、ペンタフルオロエタン、ジフルオロメタン、1,1-ジフルオロエタン、1,1,1,2,3,3,3-ヘプタフルオロプロパン、1,1,1-トリフルオロプロパン、1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン、1,1,1,3,3-ペンタフルオロプロパン、1,1,1,3,3-ペンタフルオロブタン、1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロブタ-2-エン、トリフルオロヨードメタン、1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペン、1-クロロ-2,3,3,3-テトラフルオロプロペン、1-クロロ-2,3,3,3-テトラフルオロプロペンおよびその混合物のから選択されることを特徴とする、請求項11に記載の使用。
【請求項13】
伝熱流体が、1,3,3,3-テトラフルオロプロペン(1234ze)、2,3,3,3-テトラフルオロプロペン(1234yf)、ジフルオロメタン、1-クロロ-3,3,3,3-テトラフルオロプロペン(HCFO-1233zd)、1-クロロ-2,3,3,3-テトラフルオロプロペン(HCFO-1224yd)、1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロブタ-2-エン(HFO-1336mzz)から選択される冷媒であり、特に伝熱流体が、単独でまたは混合物中で2,3,3,3-テトラフルオロプロペン(1234yf)またはジフルオロメタンであることを特徴とする、請求項12に記載の使用。
【請求項14】
冷媒流体が、鉱油、シリコーン油、天然パラフィン、ナフテン、合成パラフィン、アルキルベンゼン、ポリアルファオレフィン、ポリアルキレングリコール、ポリオールエステルおよび/またはポリビニルエーテルから好ましい区選択される潤滑剤を含み;潤滑剤がさらに特に好ましくはポリアルキレングリコールまたはポリオールエステルであることを特徴とする、請求項11から13のいずれか一項に記載の使用。
【請求項15】
主ループ内での伝熱流体の循環が意図される手段が設けられた、伝熱流体のための主循環ループを備える、電気またはハイブリッド自動車バッテリー用の冷却および/または加熱回路であって、主ループが、可逆的ヒートポンプ、ならびに請求項1から10のいずれか一項に定義される冷却および/または加熱デバイスに接続されていることを特徴とする、回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に電池の使用を必要とする、電気またはハイブリッドタイプの自動車の分野に関する。
【0002】
より正確には、本発明は、電気またはハイブリッド自動車用のバッテリーのための冷却および/または加熱デバイスに関する。
【背景技術】
【0003】
自動車の分野で求められる目標のうちの1つは、ますます汚染のない車両を提案することである。したがって、バッテリーを備える電気またはハイブリッド車は、徐々に燃焼エンジン車、例えば、ガスまたはディーゼル車のいずれをも置き換えることを目標としている。バッテリーは、比較的複雑な車両構成材であることがわかっている。車両中のバッテリーの位置決めに応じて、衝撃から、ならびに極端な温度および変動し得る湿度を有する可能性のある外部環境からバッテリーを保護することが必要になることがある。また、火炎のいかなるリスクも回避することが必要である。
【0004】
加えて、バッテリーのセルを破壊せず、その寿命を維持するために、バッテリーの動作温度が55℃を超えないことが重要である。逆に、例えば、冬には、バッテリーの動作を最適化するためにバッテリー温度を上げることが必要になり得る。
【0005】
したがって、電気またはハイブリッド自動車は、バッテリー用の冷却および/または加熱デバイスを必要とする。バッテリー用の冷却デバイスは、バッテリーが保護区画を含むようにバッテリーの周囲を伝熱流体が循環することにあるものが知られている。特に、今日では、バッテリーは金属区画を備えている。加えて、金属構造体に与えられる形状は、スタンピング法から得られる。しかしながら、区画の形状が、例えばその位置取りのために複雑である場合、スタンピング法は、このタイプの特異性を得るために最も効果的であるというわけではない。この区画には、また特に多湿環境に位置する場合、比較的重く、また経時的に比較的に速く破壊されるという不都合もある。
【発明の概要】
【0006】
したがって、外的環境からバッテリーを保護し、かつ熱交換器として働くことができる、軽く耐性のある構造体が求められる。したがって、デバイスの構成要素として以下のことが不可欠である。
- 輸送流体に対して防水性であり、したがって、これらの流体(および特にR134a、R-1234yfまたはR-1234zeなどのフルオロカーボン冷媒化合物に対して)、ならびに水および酸素に対してバリア性を有すること。用語「バリア性」とは、構造体が自動車の空調ラインで流体に不浸透性であり、したがって、空調ラインから雰囲気への流体の放出をさせないことを意味する。
- 長期にわたる著しい劣化を回避するために輸送流体、圧縮機油、水および酸素に対する耐薬品性を示すこと。
- 十分な機械的強度(特に破裂強度)を有するのみならず、振動減衰も可能にすること。
- 輸送流体が高温になる場合があり、環境温度もまた、特にZnCl2に対して高くなり得るとすれば、満足な耐熱性を示すこと(特に自動車の空調において、関係する部品はエンジンの近くに配置することができる)。
【0007】
したがって、上述の仕様の特異的なリストを満たす、公知の金属構造体を置き換える材料、ならびにバッテリー用の冷却および/または加熱デバイスにおいて、バッテリーと伝熱流体の間に生じる熱伝達の改善のための材料が求められている。
【0008】
これらの目標は、電気またはハイブリッド自動車バッテリー用の冷却および/または加熱回路に使用されるように意図されるデバイスであって、
- 外側エンベロープであり、
- 組成物の総重量に対して20~65重量%の、熱的伝導性のない強化用繊維を含み、
- 補完物が、主として少なくとも1つのポリアミドを含む母材である、
組成物からなる、外側エンベロープと、
- バッテリーと反対に配列され、伝熱流体と接するように意図される内側エンベロープであり、
- 組成物の総重量に対して5~65重量%の強化用繊維、
- 使用される強化用繊維が熱的伝導性でない場合、総重量に対して10~20重量%の少なくとも1つの熱的伝導性成分、
- 少なくとも1つの難燃剤
を含み、
- 補完物が、窒素原子当たり7~10個、有利には7.5~9.5個の範囲の平均炭素原子を有する単位からなる半芳香族ポリアミドおよびポリアミドから選ばれる少なくとも1つのポリアミドを主として含む母材である、
組成物からなる、内側エンベロープと、
- 伝熱流体入口と、
- 伝熱流体出口と
を備え、
バッテリーの冷却および/または加熱容積の境界を定める、
デバイスによって達成される。
【0009】
本発明によるバッテリー用の冷却および/または加熱デバイスは、金属構造体を備えるデバイスより軽量であるという利点を有する。この重量の軽減は、清浄なものと記載される車にとって所望のエネルギーまたは燃料効率に寄与する。
【0010】
このデバイスには、車内のその位置取りに応じて、夏季の高温、または冬季の低温、塩化亜鉛との接触、衝撃または高い湿度などの厳しい環境に接することを見いだすことができる。本発明によるデバイスは、これらの外部ストレスに対して満足な抵抗力を有することが観察された。
【0011】
さらに、自動車製造業者によると、バッテリーの形状が変動し得ることが観察された。事実、製造業者は、未利用であるか、または今まで比較的利用不可能であった空間にこのバッテリーを収容しようと努力している。成形または注入によるプラスチックの造形は金属板のそれより行うのが容易である。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】電気またはハイブリッド自動車のバッテリー用の冷却および/または加熱デバイスの断面図である。
図2】電気またはハイブリッド自動車の車両用バッテリーの冷却および/または加熱デバイスの一部の断面図である。これは、図1に示される外側エンベロープに対して代替の外側エンベロープ構成を示す。
図3】本発明によるデバイスを組み込んだバッテリーの冷却および/または加熱回路を示す図である。
図4】2つの伝熱ループを含む、本発明によるデバイスを組み込んだバッテリーの冷却および/または加熱回路を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の他の特徴、特色、主題および利点は、以下の記載および実施例を読めば、より一層明白になるであろう。
【0014】
本記載において使用される表現「…から…の間」および「…から…」は、示された限界の各々を含むと理解されなければならないことがさらに示される。
【0015】
デバイス
本発明によるデバイスは、
- 外側エンベロープと、
- 内側エンベロープと、
- 伝熱流体入口と、
- 伝熱流体出口と
を備え、
デバイスは、バッテリーの冷却および/または加熱容積の境界を定める。
【0016】
外側エンベロープ
外側エンベロープは、
- 組成物の総重量に対して20~65重量%の強化用繊維
を含み、
- 補完物が、主として少なくとも1つのポリアミドを含む母材である
組成物からなる。
【0017】
ポリアミド
用語「ポリアミド」は、ホモポリアミドまたはコポリアミドを同等に指す。
【0018】
ポリアミドを定義するために使用される命名法は、ISO規格1874-1:2011”Plastiques -- Materiaux polyamides (PA) pour moulage et extrusion -- Partie 1:Designation”に、特に3頁(表1および2)に記載され、当業者には周知である。
【0019】
ポリアミドは、ラクタム単位、アミノ酸単位および/またはXY単位[式中、Xはジアミンであり、Yはジカルボン酸(または二酸)である]の重縮合から得ることができる。
【0020】
ラクタムおよびアミノ酸は4~12の炭素原子を有する。好ましくは、それらは、ピロリジノン、2-ピペリジノン、カプロラクタム、アミノヘキサン酸、ペラルゴラクタム、デカノラクタム、ウンデカノラクタム、10-アミノウンデカン酸、アミノ-11-ウンデカン酸、アミノ-12-ドデカン酸、ラウリルラクタム、エナントラクタムおよびカプリロラクタムから選択される。
【0021】
有利には、ラクタムおよびアミノ酸は、C11およびC12である。
【0022】
ジアミンは、直鎖または分岐脂肪族、または脂環式、好ましくは直鎖または分岐の、特に直鎖脂肪族であってもよい。ジカルボン酸は、脂肪族、脂環式または芳香族であってもよく、好ましくは脂肪族または芳香族である。
【0023】
XY単位の重縮合から得られるポリアミドの場合には、ジアミン(X)は、C4-C36、特にC6-C22、特異的にC6-C18であってもよく、ジカルボン酸(Y)は、C4-C36、特にC6-C22、特異的にC6-C18であってもよい。
【0024】
有利には、ジアミンは、ブタンジアミン、ペンタンジアミン、2-メチル-1,5-ペンタンジアミン、1,6-ヘキサメチレンジアミン、1,7-ヘプタンジアミン、1,8-オクタンジアミン、1,9-ノナンジアミン、2-メチル-1,8-オクタンジアミン、2,2,4-トリメチルヘキサメチレンジアミン、2,4,4-トリメチルヘキサメチレンジアミン、1,10-デカンジアミン、1,11-ウンデカンジアミン、2-ブチル-2-エチル-1,5-ペンタンジアミン、1,12-ドデカンジアミン、1,13-トリデカンジアミン、1,14-テトラデカンジアミン、ヘキサデカンジアミン、オクタデカンジアミン、オクタデセンジアミン、エイコサンジアミン、ドコサンジアミン、および脂肪酸ジアミン、1,3-キシリレンジアミン(MXD)および1,4-キシリレンジアミン(PXD)、ビス(3,5-ジアルキル-4-アミノシクロヘキシル)メタン、ビス(3,5-ジアルキル-4-アミノシクロヘキシル)エタン、ビス(3,5-ジアルキル-4-アミノシクロヘキシル)プロパン、ビス(3,5-ジアルキル-4-アミノシクロヘキシル)-ブタン、ビス(3-メチル-4-アミノシクロヘキシル)メタン、または一般に「BMACM」もしくは「MACM」(以下にBと表わされる)と称される3’-ジメチル-4,4’-ジアミノ-ジシクロヘキシル-メタン、一般に「PACM」(以下にPと表わされる)と称されるp-ビス(アミノシクロヘキシル)メタン、一般に「PACP」と称されるイソプロピリデンジ(シクロヘキシルアミン)、イソホロンジアミン(以下にIPDと表わされる)、および一般に「BAMN」と称される2,6-ビス(アミノメチル)ノルボルナン、特に1,10-デカンジアミンから選択される。
【0025】
これらの脂環式ジアミンの非網羅的なリストは、刊行物”Cycloaliphatic Amines” (Encyclopaedia of Chemical Technology, Kirk-Othmer、4版(1992)、386-405頁)に与えられる。
【0026】
有利には、ジカルボン酸は、コハク酸、ペンタン二酸、アジピン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカン二酸、ドデカン二酸、ブラッシル酸、テトラデカン二酸、ヘキサデカン二酸、オクタデカン酸、オクタデセン酸、エイコサン二酸、ドコサン二酸および36の炭素を含む脂肪酸のダイマー、テレフタル酸(Tと表わされる)、イソフタル酸(Iと表わされる)、殊にドデカン二酸から選択される。
【0027】
有利には、ジアミンは、1,8-オクタンジアミン、1,9-ノナンジアミン、2-メチル-1,8-オクタンジアミン、2,2,4-トリメチルヘキサメチレンジアミン、2,4,4-トリメチルヘキサメチレンジアミン、1,10-デカンジアミン、1,11-ウンデカンジアミン、2-ブチル-2-エチル-1,5-ペンタンジアミン、1,12-ドデカンジアミン、1,13-トリデカンジアミン、1,14-テトラデカンジアミン、殊に1,10-デカンジアミンから選択され、ジカルボン酸は、セバシン酸、ウンデカン二酸、ドデカン二酸、ブラッシル酸、テトラデカン二酸、テレフタル酸(Tと表わされる)、イソフタル酸(Iと表わされる)、殊にドデカン二酸から選択される。
【0028】
より有利には、ラクタムはラウリルラクタムであり、アミノ酸は10-アミノウンデカン酸、11-アミノウンデカン酸、12-アミノ-ドデカン酸から選択され、ジアミンは、2-メチル-1,5-ペンタンジアミン、1,6-ヘキサメチレンジアミン、1,9-ノナンジアミン、2-メチル-1,8-オクタンジアミン、1,10-デカンジアミンおよび1,12-ドデカンジアミンから選択され、ジカルボン酸は、アジピン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、テレフタル酸(Tと表わされる)およびイソフタル酸(Iと表わされる)から選択される。
【0029】
非常に好ましい実施形態によると、ラクタムはラウリルラクタムであり、アミノ酸は、10-アミノウンデカン酸、11-アミノウンデカン酸、12-アミノ-ドデカン酸から選択され、ジアミンは2-メチル-1,5-ペンタンジアミン、1,6-ヘキサメチレンジアミン、1,10-デカンジアミンおよび1,12-ドデカンジアミンから選択され、ジカルボン酸は、アジピン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、テレフタル酸(Tと表わされる)およびイソフタル酸(Iと表わされる)から選択される。
【0030】
好ましくは、外側エンベロープは、窒素原子当たり9~18個の範囲の平均炭素原子を有する単位からなる半芳香族ポリアミドおよびポリアミドから選ばれる少なくとも1つのポリアミドを含むポリアミド母材を含む。
【0031】
窒素原子1個当たりの平均炭素原子数は、単位当たりの、すなわち、2個の窒素原子間の1個の連結当たりの平均炭素原子数である。ポリアミド内では、その単位は、アミド官能基:-CO-NH-によって互いに連結される。したがって、(-CO-NH-)アミド基があるのと同数の窒素原子がある。PA-XYホモポリアミドの場合には、窒素原子1個当たりの炭素原子数は、単位Xおよび単位Yの平均値である。したがって、ヘキサンジアミンおよびドデカン二酸の重縮合に由来するPA612は、窒素原子当たり9個の炭素原子を有するPAであり;言いかえれば、以下の計算、(6+12)/2に基づいて、C9 PAである。コポリアミドの場合には、窒素原子1個当たりの炭素原子数は同一の原理に従って計算される。様々なアミド単位のモル比が計算のために使用される。したがって、60%の6Tおよび40%の66を含むcoPA-6.T/6.6は、C6,6である:60%x[(6+8)/2]+40%x[(6+6)/2]=6.6。
【0032】
有利には、外側エンベロープの組成物中に存在するポリアミドは、PA612、PA1010、PA10T、PA10T/1010、PA11、PA12、PA11/10T、PA12/10T、PA 1012、PA 618、PA 12T、PA 1010/1012、PA BACT/6T、PA BACT/10T、PA BACT/12T PA MPMDT/6T、PA MPMDT/10T、PA MPMDT/12T、PA MXDT/6T、PA MXDT/10T、PA MXDT/12T、PA 11/BACT/6T、PA 11/BACT/10T、PA 11/BACT/12T、PA 11/MPMDT/6T、PA 11/MPMDT/10T、PA 11/MPMDT/12T、PA 11/MXDT/6T、PA 11/MXDT/10T、PA 11/MXDT/12Tおよびこれらの混合物から選択される。好ましくは、外側エンベロープの母材を構成するポリアミドは、PA12、PA 11、PA 1010、PA 1012およびPA11/10Tから選ばれる。
【0033】
用語「主として」は、本発明の意味内では、組成物の母材内のポリアミドの50%を超える割合を意味すると理解される。好ましくは、1つまたは複数のポリアミドは、母材の総重量に対して50~80重量%を表わす。
【0034】
好ましい実施形態によると、外側エンベロープの組成物は、組成物の総重量に対して25重量%を超えるポリアミドを含む。
【0035】
強化用繊維
本発明による外側エンベロープを構成する組成物は、組成物の総重量に対して20~65重量%の強化用繊維を含む。
【0036】
エンベロープの組成物中に存在する繊維は異なる寸法を有することができる。強化用繊維は、短くても、長くてもまたは連続的であってもよい。様々な寸法および/または様々なタイプのこれらの繊維の混合物もまた使用されてよい。
【0037】
好ましくは「短い」繊維は、200から400μmの間である。いわゆる長尺繊維は、好ましくは1000μmを超える長さを有する。ガラス繊維の長さはISO 22314:2006(E)規格に従って測定される。
【0038】
これらの強化用繊維は、
- 本発明によるエンベロープの組成物の母材中に存在する上記ポリアミドの融解温度Tmより高く、かつ重合および/または実行温度よりも高い融解温度Tm’を有する鉱物繊維;
- 本発明によるエンベロープの組成物の母材中に存在する上記ポリアミドの重合温度より高く、または融解温度Tmより高く、かつ実行温度より高い、融解温度Tm’、またはTm’でない場合にはガラス転移温度Tg’を有するポリマー状繊維またはポリマー繊維、
- 天然繊維;
- または上に引用された繊維の混合物
から選ばれてもよい。
【0039】
本発明に適している無機繊維の例は、ナノチューブまたはカーボンナノチューブ(CNT)、カーボンナノ繊維またはグラフェンの繊維を含む炭素繊維;シリカ繊維、例えば、ガラス繊維、特にタイプE、RまたはS2;ボロン繊維;セラミック繊維、特に炭化ケイ素繊維、炭化ホウ素繊維、ホウ素炭窒化物繊維、窒化ケイ素繊維、窒化ホウ素繊維、玄武岩繊維;金属および/またはその合金を含む繊維またはフィラメント;金属酸化物繊維、特にアルミナ(Al)の繊維;メタル化ガラス繊維およびメタル化炭素繊維などのメタル化繊維、または先に引用された繊維の混合物である。
【0040】
本発明に適しているポリマー繊維として、以下を列挙することができる:
- 母材中に存在するポリアミドまたはポリアミドの混合物が非晶質である場合、そのガラス転移温度Tgを超える;または母材中に存在するポリアミドまたはポリアミドの混合物が半結晶性である場合、そのTmを超えるTgを有する非晶質熱可塑性ポリマーに基づいた繊維。有利には、それらは、半結晶性熱可塑性ポリマーに基づき、母材が非晶質である場合、母材中に存在するポリアミドまたはポリアミド混合物のTgを超え、または母材が半結晶性である場合、母材中に存在するポリアミドまたはポリアミドの混合物のTmを超える融点Tmを有する。したがって、以下の強化材を構成する有機繊維について最終複合材の熱可塑性母材による含浸の間に融解のリスクはない;
- とりわけ、不飽和ポリエステル、エポキシ樹脂、ビニルエステル、フェノール樹脂、ポリウレタン、シアノアクリレートおよびビスマレイミド樹脂などのポリイミド、メラミンなどのアミンの、グリオキサールまたはホルムアルデヒドなどのアルデヒドとの反応から得られるアミノ樹脂から選ばれる熱硬化性ポリマー繊維;
- とりわけ、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)から選ばれる熱可塑性ポリマー繊維;
- ポリアミド繊維;
- アラミド繊維(ケブラー(登録商標)などの)および芳香族ポリアミド、例えば、式:PPDT、MPDI、PAAおよびPPAの1つを有するもの[PPDおよびMPDはそれぞれp-フェニレンジアミンおよびm-フェニレンジアミンであり、PAAはポリアリールアミドであり、PPAはポリフタルアミドである];
- ポリアミド/ポリエーテルなどのポリアミドブロック共重合体の繊維、ポリアリールエーテルケトン(PAEK)、例えば、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエーテルケトンケトン(PEKK)、ポリエーテルケトンエーテルケトンケトン(PEKEKK)の繊維。
【0041】
天然起源の繊維、特に植物繊維の中で、亜麻、リシン、木材、ケナフ、ココナッツ、麻、ジュート、リグニン、竹、絹、特にクモの糸に基づく繊維、サイザルおよび他のセルロース繊維、特にビスコースを列挙することができる。これらの植物繊維は、ポリマー母材の接着および含浸を改善するために純粋で、コーティング層で処理または被覆して使用することができる。
【0042】
強化用繊維は、また繊維で編みまたは織った織物になり得る繊維状材料を構成することができる。
【0043】
また、それは担持糸を含む繊維に対応することができる。これらの成分繊維は、単独でまたは混合物中に使用されてもよい。したがって、有機繊維は、ポリマー母材に含浸させるために、また予備含浸繊維状材料を形成するために鉱物繊維と混合されてもよい。
【0044】
有機繊維ストランドは幾つかの坪量を有することができる。それらはさらに幾つかの幾何形状を有することができる。次に、繊維は、細片、層または小片の形態になることができるフェルトまたは不織布を構成する短繊維形態、または一方向(UD)繊維もしくは不織繊維の2D織物、組みひももしくはストランドを構成する連続繊維形態にすることができる。繊維状材料の成分繊維は、さらに、異なる幾何形状を有するこれらの強化用繊維の混合物の形態をとることができる。
【0045】
好ましくは、繊維状材料は、連続炭素、ガラスまたは炭化ケイ素繊維またはその混合物、特に炭素繊維で構成される。それは、ロービングまたは幾つかのロービングの形態で使用される。
【0046】
好ましい短い強化用繊維は、メタル化繊維を含む炭素繊維、E、R、S2などのメタル化ガラス繊維を含むガラス繊維、アラミド繊維(ケブラー(登録商標)などの)または芳香族ポリアミド、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエーテルケトンケトン(PEKK)繊維、ポリエーテルケトンエーテルケトンケトン(PEKEKK)繊維またはその混合物などのポリアリールエーテルケトン(PAEK)繊維から選ばれる短繊維である。
【0047】
好ましくは、強化用繊維は、ガラス、炭素、セラミックおよびアラミド繊維またはその混合物から選択される。
【0048】
好ましくは、本発明によるデバイスの外側エンベロープは、断熱性を有する。この好ましい実施形態によると、強化用繊維は、好ましくはガラス繊維、玄武岩繊維およびアラミド繊維から選ばれる。
【0049】
使用される繊維の大きさ、すなわち、短い、長いまたは連続的かに応じて、組成物中の強化用繊維含有率は異なっていてもよい。
【0050】
したがって、短い強化用繊維の場合、繊維含有率は、好ましくは20から60重量%の間の強化用繊維である。長いまたは連続的な強化用繊維の場合には、繊維含有率は、優先的には40から65重量%の間の強化用繊維である。
【0051】
難燃剤
本発明によるデバイスの外側エンベロープを構成する組成物は、少なくとも1つの難燃剤を含んでもよい。
【0052】
好ましくは、防炎剤は、例えば米国特許出願公開第2008/0,274,355号に記載のハロゲンを含まない防炎剤、および特に、ホスフィン酸金属塩、ジホスフィン酸の金属塩から選ばれる金属塩、ホスフィン酸の少なくとも1つの金属塩を含有するポリマー、ジホスフィン酸の少なくとも1つの金属塩を含有するポリマーから選択される。防炎剤は、また、赤リン、酸化アンチモン、酸化亜鉛、酸化鉄、酸化マグネシウム、ホウ酸亜鉛などの金属ホウ酸塩、メラミンピロホスフェート、メラミンシアヌレート、およびシリコーン添加またはフッ化物添加タイプの非滴下剤から選択することができる。防炎剤はまた前述の遅延剤の混合物であってもよい。
【0053】
また、それらは、ハロゲン化難燃剤、例えば、臭素化またはポリ臭素化ポリスチレン、臭素化ポリカルボネートまたは臭素化フェノールであってもよい。
【0054】
難燃剤は、また下記式(I)のホスフィン酸の金属塩、および下記式(II)のジホスフィン酸の金属塩から選択されてもよい:
[式中、
R1およびR2は、互いに独立して、直鎖または分岐C1-C6アルキル基またはアリール基を指し;
R3は直鎖または分岐のC1-C10アルキレン基、C6-C10アリーレン基、C6-C10アルキルアリーレン基、またはC6-C10アリールアルキレン基を表わし、
Mは、Mg、Ca、Al、Sb、Sn、Ge、Ti、Zn、Fe、Zr、Ce、Bi、Sr、Mn、Li、Na、Kおよび/またはプロトン化アミン塩基であり、
- mは1~4の範囲の整数であり;
- nは1~4の範囲の整数であり;
- xは1~4の範囲の整数であり;
nおよびmは、塩が電荷を担持しないことを意味する中性となるように選ばれる]。
【0055】
好ましくは、Mはカルシウム、マグネシウム、アルミニウムまたは亜鉛イオンを表わす。
【0056】
好ましくは、R1およびR2は、互いに独立して、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、ターシャリ-ブチル、n-ペンチルおよび/またはフェニル基を指す。
【0057】
好ましくは、R3はメチレン、エチレン、n-プロピレン、イソプロピレン、n-ブチレン、tert-ブチレン、n-ペンチレン、n-オクチレン、n-ドデシレン、フェニレン、ナフタレン、メチルフェニレン、エチルフェニレン、ターシャリ-ブチルフェニレン、メチルナフタレン、エチルナフタレン、tert-ブチルナフタレン、フェニルメチレン、フェニルエチレン、フェニルプロピレンまたはフェニルブチレン基を表わす。
【0058】
難燃剤は、ジエチルホスフィン酸(CAS No.225789-38-8)のアルミニウム塩である、Clariantによって販売されている商品名Exolit OP 1230を有するものであってもよい。
【0059】
とりわけ、難燃剤含有率は、組成物の総重量に対して0から30重量%の間、好ましくは15から25重量%、とりわけ17から22重量%の間である。
【0060】
耐衝撃性改良剤
本発明によるデバイスのエンベロープを構成する組成物は、少なくとも1つの耐衝撃性改良剤を含んでもよい。好ましくは本発明によるデバイスのエンベロープを構成する組成物は、組成物の総重量に対して0~20重量%の少なくとも1つの耐衝撃性改良剤を含んでもよい。
【0061】
耐衝撃性改良剤は、有利には、規格ISO 178に従って測定して50%RHで100MPa未満の曲げ弾性率、および2013年の規格11357-2に従って測定して0℃未満のTgを有するポリマーによって構成される。
【0062】
ポリアミドのガラス転移温度Tgは、ISO規格1 1357-2:2013に従って示差走査熱量計(DSC)を使用して2回目の加熱経路の後に測定される。加熱および冷却の速度は20℃/minである。
【0063】
好ましくは、耐衝撃性改良剤は、1つまたは複数のポリオレフィンからなり、その一部またはすべては、カルボン酸、カルボン酸無水物から選ばれる官能基、およびエポキシド官能基を有する。非常に特異的に、ポリオレフィンは、エラストマーエチレンおよびプロピレン共重合体(EPR)、エラストマーエチレン-プロピレン-ジエン共重合体(EPDM)およびエチレン/(メタ)アクリル酸アルキル共重合体から選ぶことができる。
【0064】
組成物は、ISO規格178に従って50%RHで測定して300MPaを超える、有利には800MPaを超える曲げ弾性率を有する、上記組成物の総重量に対して最大20重量%の半結晶性ポリオレフィンまたはポリオレフィンの混合物を含んでもよい。
【0065】
この耐衝撃性改良剤は官能化ポリオレフィン(B1)であってもよい。
【0066】
本発明によると、官能化ポリオレフィン(B1)は以下のポリマーを意味すると理解される。
【0067】
官能化ポリオレフィン(B1)は、反応性単位、すなわち、官能基を有するアルファオレフィンポリマーであってもよい。そのような反応性単位はカルボン酸、無水物またはエポキシの官能基である。
【0068】
アルファオレフィンまたはジオレフィンのホモポリマーまたは共重合体は、例えば、エチレン、プロピレン、1-ブテン、1-オクテン、ブタジエンなどの、ポリオレフィンの例として挙げることができ、より特定すると以下を挙げることができる。
- エチレンのホモポリマーおよび共重合体、特にLDPE、HDPE、LLDPE(直鎖低密度ポリエチレン)、VLDPE(非常に低密度のポリエチレン)およびメタロセンポリエチレン;
- プロピレンのホモポリマーまたは共重合体;
- エチレン/プロピレンなどのエチレン/アルファオレフィン共重合体、EPR(エチレンプロピレンゴムの短縮形)およびエチレン/プロピレン/ジエン(EPDM)。
- スチレン/エチレン-ブテン/スチレン(SEBS)、スチレン/ブタジエン/スチレン(SBS)、スチレン/イソプレン/スチレン(SIS)、スチレン/エチレン-プロピレン/スチレン(SEPS)のブロック共重合体;
- 不飽和カルボン酸の塩またはエステル、例えば、(メタ)アクリル酸アルキル(例えばアクリル酸メチル)、または酢酸ビニル(EVA)などの飽和カルボン酸のビニルエステルから選ばれる少なくとも1つの生成物との、エチレンの共重合体(コモノマーの割合は40重量%に達することができる)。
【0069】
上に記載のこれらのポリオレフィンは、カルボン酸、無水物またはエポキシの官能基などの反応性単位(官能基)によってグラフト化、共重合、または三元重合することができる。
【0070】
より具体的には、これらのポリオレフィンは、(メタ)アクリル酸グリシジルなどの不飽和エポキシドによって、または(メタ)アクリル酸などのカルボン酸(これは完全にまたは部分的にZnなどの金属によって中和することができる)もしくは対応する塩もしくはエステルによって、または無水マレイン酸などのカルボン酸無水物によってグラフト化、または共重合または三元重合される。
【0071】
官能化ポリオレフィン(B1)は、下記の、無水マレイン酸またはメタクリル酸グリシジルのグラフト化(コ)ポリマーから選択することができ、グラフト率は、以下の例えば0.01~5重量%である。
- PE、PPの、プロピレン、ブテン、ヘキセンまたはオクテンとの、例えば35~80重量%のエチレンを含むエチレンの共重合体;
- エチレン/プロピレンなどのエチレン/アルファオレフィン共重合体、EPR(エチレンプロピレンゴムの短縮形)およびエチレン/プロピレン/ジエン(EPDM);
- スチレン/エチレン-ブテン/スチレン(SEBS)、スチレン/ブタジエン/スチレン(SBS)、スチレン/イソプレン/スチレン(SIS)、スチレン/エチレン-プロピレン/スチレン(SEPS)のブロック共重合体;
- 最大40重量%の酢酸ビニルを含有する、エチレンと酢酸ビニルの共重合体(EVA);
- 最大40重量%の(メタ)アクリル酸アルキルを含有する、エチレンと(メタ)アクリル酸アルキルの共重合体;
- 最大40重量%のコモノマーを含有する、エチレン、酢酸ビニル(EVA)と(メタ)アクリル酸アルキルの共重合体。
【0072】
官能化ポリオレフィンは、例えばPE/EPR混合物であり、その重量比は、例えば40/60から90/10の間で広く変動してよく、上記混合物は、無水物、特に無水マレイン酸で、例えば0.01~5重量%のグラフト率に従って共グラフト化されている。
【0073】
官能化ポリオレフィン(B1)は、またモノアミンポリアミド(またはポリアミドオリゴマー)(欧州特許出願公開第0,342,066号に記載の生成物)と縮合した主として無水マレイン酸でグラフト化されたプロピレンを含むエチレン/プロピレン共重合体から選択することができる。
【0074】
官能化ポリオレフィン(B1)はまた少なくとも以下の単位の共重合体またはターポリマーであってもよい。
(1)エチレン;
(2)メタクリル酸アルキルまたは飽和カルボン酸ビニルエステル;および
(3)マレイン酸もしくはメタクリル酸無水物などの無水物、またはメタクリル酸グリシジルなどのエポキシ。
【0075】
後者のタイプの官能化ポリオレフィンの例として、下記の共重合体を挙げることができ、エチレンは、好ましくは共重合体の少なくとも60重量%であり、ターモノマー(官能基)は、例えば以下の共重合体の0.1~12重量%である:
- エチレン/(メタ)アクリル酸アルキル/(メタ)アクリル酸または無水マレイン酸またはメタクリル酸グリシジルの共重合体;
- エチレン/酢酸ビニル/無水マレイン酸またはメタクリル酸グリシジル共重合体;
- エチレン/酢酸ビニルまたは(メタ)アクリル酸アルキル/(メタ)アクリル酸または無水マレイン酸またはメタクリル酸グリシジル共重合体。
【0076】
先の共重合体において、(メタ)アクリル酸はZnまたはLiを用いて塩形成することができる。用語「(メタ)アクリル酸アルキル」は、(B1)においてC1~C8のメタクリル酸アルキルおよびアクリル酸アルキルを表わし、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n-ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸2-エチル-ヘキシル、アクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸メチルおよびメタクリル酸エチルから選ぶことができる。
【0077】
さらに、先に引用されたポリオレフィン(B1)はまた、任意の好適な方法または薬剤(ジエポキシ、二酸、ペルオキシドなど)によって架橋されてもよい;官能化ポリオレフィンという用語はまた、先に引用されたポリオレフィンの、例えば、これらと反応することができる、二酸、二無水物、ジエポキシなどの二官能性試薬との混合物、または一緒に反応することができる少なくとも2つの官能化ポリオレフィンの混合物を含む。
【0078】
上述の共重合体(B1)は、統計的にまたは順次共重合され、直鎖または分岐構造を有することができる。
【0079】
これらのポリオレフィンの分子量、指数MFI、密度はまた、当業者には公知であり、広く変動してもよい。MFIは、メルトフローインデックスの短縮形であり、融解したときの流動度の尺度である。それは規格ASTM 1238に従って測定される。
【0080】
有利には、官能化ポリオレフィン(B1)は、アルファオレフィン単位、およびエポキシ、カルボン酸またはカルボン酸無水物官能基などの極性の反応性官能基を担持する単位を含む任意のポリマーから選ばれる。そのようなポリマーの例として、本出願人からのLotader(登録商標)などのエチレン、アクリル酸アルキル、無水マレイン酸もしくはメタクリル酸グリシジルのターポリマー、または本出願人からのOrevac(登録商標)などの無水マレイン酸グラフト化ポリオレフィン、およびエチレン、アクリル酸アルキル、(メタ)アクリル酸のターポリマーを挙げることができる。また、欧州特許第0,342,066号に記載のような、カルボン酸無水物グラフト化ポリプロピレン、次いで、ポリアミドまたはポリアミドモノアミンオリゴマーと縮合したホモポリマーまたは共重合体を挙げることができる。
【0081】
より具体的には、官能化ポリオレフィン(B1)は、次のとおりである。
- エチレン、アクリル酸アルキルおよび無水マレイン酸ターポリマー;
- エチレン、アクリル酸アルキルおよびメタクリル酸グリシジルターポリマー;
- 無水マレイン酸グラフト化ポリプロピレンおよびポリエチレン;
- 無水マレイン酸グラフト化エチレンおよびプロピレン共重合体および可能性としてジエンモノマー;
- 無水マレイン酸グラフト化エチレンおよびオクテン共重合体;
およびその混合物。
【0082】
官能化ポリオレフィン(B1)は、組成物の総重量に対して0から20重量%の間、好ましくは1から10重量%の間の濃度で存在する。
【0083】
有利には、本発明による組成物は、少なくとも1つの非官能化ポリオレフィン(B2)を含むことができる。
【0084】
非官能化ポリオレフィン(B2)は従来通りに例えば、エチレン、プロピレン、1-ブテン、1-オクテン、ブタジエンなどの、アルファオレフィンまたはジオレフィンのホモポリマーまたは共重合体である。例として、以下を挙げることができる:
- ポリエチレン、特にLDPE、HDPE、LLDPE(直鎖低密度ポリエチレン)、VLDPE(非常に低密度のポリエチレン)およびメタロセンポリエチレンのホモポリマーおよび共重合体;
- プロピレンのホモポリマーまたは共重合体;
- エチレン/プロピレンなどのエチレン/アルファオレフィン共重合体、EPR(エチレンプロピレンゴムの短縮形)、およびエチレン/プロピレン/ジエン(EPDM);
- スチレン/エチレン-ブテン/スチレン(SEBS)、スチレン/ブタジエン/スチレン(SBS)、スチレン/イソプレン/スチレン(SIS)、スチレン/エチレン-プロピレン/スチレン(SEPS)ブロック共重合体;
- 不飽和カルボン酸の塩またはエステル、例えば、(メタ)アクリル酸アルキル(例えばアクリル酸メチル)、または酢酸ビニル(EVA)などの飽和カルボン酸のビニルエステルから選ばれる少なくとも1つの生成物との、エチレンの共重合体(コモノマーの割合は40重量%に達することがある);
およびその混合物。
【0085】
上述の共重合体(B2)は、統計的にまたは順次共重合され、直鎖構造または分岐構造を有することができる。
【0086】
有利には、非官能化ポリオレフィン(B2)は、ポリプロピレンおよび任意のエチレンホモポリマーまたはエチレン共重合体、およびブテン、ヘキセン、オクテンまたは4-メチル-1-ペンテンなどの高級アルファオレフィンコモノマーのホモポリマーまたは共重合体から選ばれる。PP(ポリプロピレン)、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、直鎖低密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、および、非常に低密度のポリエチレンを例として引用することができる。これらのポリエチレンは、当業者には、フリーラジカル法、Ziegler触媒法、またはより近年はメタロセン触媒作用からの生成物であると知られている。本出願人により商品名EVATANE(登録商標)の下で市販されているものなどのエチレンおよび酢酸ビニル(EVA)の共重合体も好ましい。
【0087】
本発明によるデバイスの外側エンベロープを構成する組成物が、1つまたは複数の非官能化ポリオレフィンを含む場合、(A)のMFI、ならびに(B1)および(B2)のMFIは広い範囲にわたって選ぶことができるが、しかしながら、(B1)および(B2)の粘度が(B1)および(B2)の分散を改善するために近いことが推奨される。
【0088】
非官能化ポリオレフィンは、組成物の総重量に対して0から20重量%の間、好ましくは1から10重量%の間の濃度で存在する。
【0089】
耐衝撃性改良剤はまた、エステル官能基によって連結されたポリアミドブロックおよびポリエーテルブロックから形成された共重合体であってもよい。これらの製品は、仏国特許第2273021号に記載され、PEBAX(登録商標)という商品名の下でArkemaによって販売されている。
【0090】
ポリアミドブロック(以下PAと略)およびポリエーテルブロック(以下PEと略)を含む共重合体は、反応性末端を有するポリアミドブロックの、反応性末端を有するポリエーテルブロックとの共重縮合の結果である。例えば、下記を反応させることができる。
- ポリエーテルジオール、およびカルボン二酸ポリアミド、
- ポリエーテルジアミンおよびカルボン二酸ポリアミド;
- ポリエーテルジオールおよびジアミンポリアミド。
【0091】
ジカルボン酸鎖末端とのブロックポリアミドは、例えば、鎖調節剤カルボン二酸の存在下でポリアミド前駆体の縮合から生じる。例えばジアミン鎖末端のブロックポリアミドは、鎖調節剤ジアミンの存在下でポリアミド前駆体の縮合から生じる。したがって、ブロック間の結合は、エステル結合またはアミド結合、いずれかである。PAブロックおよびPEブロックを含むポリマーは、単一のPAブロックおよび単一のPEブロックを含んでもよい。
【0092】
また、それらは、ポリアミドを構成する1つまたは複数のモノマーの幾つかの構造上同一のPAブロック、およびランダムに分布した同一のPEを含んでもよい。上記ポリマーはPEブロックおよびPAブロック前駆体の並発反応によって調製されてもよい。PAブロックの形成中に鎖調節剤が作用する瞬間に応じて非常に変動する長さを有するPEブロックおよびPAブロックを有するポリマーが生じるが、しかしまた様々な試薬が、ランダムに反応してポリマー鎖に沿ってランダムに(統計的に)分布する。
【0093】
本発明によるデバイスの外側エンベロープを構成する組成物は、組成物の総重量に対して0~30重量%、好ましくは0.1~25%、より好ましくは5~20%の少なくとも1つの耐衝撃性改良剤を含む。
【0094】
添加剤
本発明によるデバイスの外側エンベロープを構成する組成物は、また0~20%の添加剤を含んでもよい。
【0095】
好ましくは、エンベロープを形成する組成物中に存在する添加剤は、熱安定剤、可塑剤、潤滑剤、有機または無機顔料、抗UV剤、帯電防止剤、鉱物充填剤、および有機充填剤、例えば、タルク、炭酸カルシウム、二酸化チタン、酸化亜鉛および有機充填剤から選択される。
【0096】
充填剤の中で、シリカ、酸化チタンまたはさらにガラスビーズを列挙することができる。
【0097】
熱安定剤は、銅系安定剤、有機安定剤およびその混合物から選ぶことができる。
【0098】
銅系安定剤は、塩化第一銅、塩化第二銅、臭化第一銅、臭化第二銅、ヨウ化第一銅、ヨウ化第二銅、酢酸第一銅および酢酸第二銅などの銅系化合物から選ばれる1つまたは複数の構成分子で構成することができる。銀などの他の金属のハロゲン化物および酢酸塩を列挙することができる。これらの銅系化合物は、典型的にはアルカリ金属のハロゲン化物に会合する。周知の例は、CuI:KI比が典型的には両端の値を含めて1:5~1:15の間にある、CuIおよびKIの混合物である。そのような安定剤の一例はCibaのPolyadd P201である。銅を含有する安定剤についてのさらなる詳細は、米国特許第2,705,227号に見いだされる。より最近には、BrueggemannのBruggolen H3336、H3337、H3373のような銅錯体などの銅系安定剤が現われた。銅系安定剤は、ハロゲン化銅、酢酸銅、少なくとも1つのハロゲン化アルカリ金属との混合物中のハロゲン化銅または酢酸銅、およびその混合物、好ましくはヨウ化銅とヨウ化カリウム(CuI/KI)の混合物から選ばれる。
【0099】
有機安定剤は、次のものから選ばれてもよいが、これらに限定されない:
- フェノール抗酸化剤、例えば、CibaのIrganox 245、Irganox 1010、Irganox 1098、CibaのIrganox MD1024、Great LakesのLowinox 44B25;
- ホスファイトなどのリン系安定剤、例えばCibaのIrgafos 168;
- UV吸収剤、例えば、CibaのTinuvin 312、
- 先に述べたHALS、
- アミンタイプ安定剤、例えば、CromptonのNaugard 445、またはさらに、ヒンダードアミンタイプ、例えば、CibaのTinuvin 770、
- 多官能性安定剤、例えば、ClariantのNylostab S-EED。
【0100】
これらの有機安定剤の2つまたはそれ以上の混合物を明白に思い描くことができる。
【0101】
組成物内の熱安定剤の量は、好ましくは組成物の総重量に対して0.05から5重量%の間にある。
【0102】
好ましくは、組成物中に存在する添加剤は、一般に、組成物の総重量に対して0.1~15重量%、好ましくは1~15重量の濃度を有する。
【0103】
車内のバッテリーの位置に応じて、当業者は、強化用繊維、耐衝撃性改良剤または添加剤の含有率を適応させる方法を知っている。バッテリーが荷物区画中に位置すれば、その外部区画は厳しい外部環境にそれほど露出しない。強化用繊維および耐衝撃性改良繊維のパーセントは、特許請求の範囲より低い範囲にあってもよい。しかし、バッテリーが周囲の空気に接している場合、強化用および耐衝撃性改良剤の含有率はより高くなり、組成物は、抗酸化剤またはUVフィルターなどの添加剤を含まなければならない。
【0104】
本発明の好ましい実施形態によると、外側エンベロープは、
- 組成物の総重量に対して20~65重量%の、熱的伝導性のない強化用繊維、
- 総重量に対して0.1~30重量%の少なくとも1つの耐衝撃性改良剤、
- 0~30%の難燃剤;
- 組成物の総重量に対して0~20重量%の添加剤
からなり、
- 補完物が、主として少なくとも1つのポリアミドを含む母材である
組成物からなる。
【0105】
本発明の別の好ましい実施形態によると、外側エンベロープは
- 組成物の総重量に対して20~65重量%の、熱的伝導性のない強化用繊維、
- 総重量に対して0.1~30重量%の少なくとも1つの耐衝撃性改良剤、
- 15~25%の難燃剤、
- 組成物の総重量に対して0~20重量%の添加剤
を含み、
- 補完物が、主として少なくとも1つのポリアミドを含む母材である、
む組成物からなる。
【0106】
本発明の別の好ましい実施形態によると、外側エンベロープは、
- 組成物の総重量に対して40~65重量%の、熱的伝導性のない強化用繊維、
- 総重量に対して5~20重量%の少なくとも1つの耐衝撃性改良剤、
- 15~25%の難燃剤;
- 組成物の総重量に対して1~20重量%の添加剤を含
み、
- 補完物が、主として少なくとも1つのポリアミドを含む母材である
組成物から作られている。
【0107】
本発明の別の好ましい実施形態によると、外側エンベロープは、
- 組成物の総重量に対して40~65重量%の、熱的伝導性のない強化用繊維、
- 総重量に対して5~20重量%の少なくとも1つの耐衝撃性改良剤、
- 15~25%の難燃剤;
- 組成物の総重量に対して1~20重量%の添加剤
からなり、
- 補完物が、主として少なくとも1つのポリアミドを含む母材である
る組成物からなる。
【0108】
内側エンベロープ
内側エンベロープは、バッテリーと反対に配列され、伝熱流体に接するように意図され、
- 総重量に対して5~65重量%の強化用繊維組成物、
- 使用される強化用繊維が熱伝導性でない場合、総重量に対して10~20重量%の少なくとも1つの熱的伝導性成分、
- 少なくとも1つの難燃剤
を含み、
- 補完物が、窒素原子当たり7~10個、有利には7.5~9.5個の範囲の平均炭素原子を有する単位からなる半芳香族ポリアミドおよびポリアミドから選ばれる少なくとも1つのポリアミドを主として含む母材である
組成物からなる。
【0109】
ポリアミド
外側エンベロープについて上記で定義されたポリアミドのように、内側エンベロープに適しているポリアミドはホモポリアミドまたはコポリアミドであってもよい。
【0110】
ホモポリアミドを製造するために使用されるラクタムおよびアミノ酸は、7から10個の間の、窒素原子1個当たり平均値炭素原子数を有する必要がある。有利には、ラクタムおよびアミノ酸はC10である。
【0111】
内側エンベロープを構成する組成物の母材中に存在するポリアミドを得るための有用なモノマーは、外側層のポリアミドのリストから選択される。
【0112】
好ましい実施形態によると、内部層のポリアミドは、PA610、PA410、PA412、PA612、PA1010、PA6T、PA6I、PA9T、PA10T、PA6T/6I、PA6T/10T、PA6T/1010、PA10T/1010およびその混合物から選択される。好ましくは、内側エンベロープ母材を構成するポリアミドは、PA 610、PA612、PA9T、PA10TおよびPA1010から選ばれる。
【0113】
強化用繊維
内側エンベロープを構成する組成物中に存在する強化用繊維は、外側エンベロープについて上に列挙されたものと同一である。
【0114】
伝導性成分
本発明によるデバイスの内側エンベロープを構成する組成物は、組成物の総重量に対して10~20重量%、好ましくは12~18%の少なくとも1つの熱伝導性成分を含む。
【0115】
熱伝導性成分は、それを受け取るポリマー母材に、熱伝導度を与えること、またはそうでなければその熱伝導度を上げることを可能にする。
【0116】
熱伝導性成分は、炭素、炭素繊維、カーボンブラック、例えば、商品名Ensaco 250Gの下でImerysによって販売されているもの、例えばMB Graphistrength(登録商標)の形態の下でArkemaによって販売されているもののようなカーボンナノチューブ(CNTと表わされる)、例えばTimrex(登録商標)C-THERM(商標)製品ラインのような膨張黒鉛、特にImerysによって販売されているTimrex(登録商標)C-THERM(商標)001製品、窒化アルミニウムおよび窒化ホウ素、の中から選ぶことができる。
【0117】
例えば、炭素繊維、CNT、カーボンナノ繊維またはグラフェンなどの選択される強化用繊維が熱伝導性を有することは可能である。この事象においては、組成物は熱伝導性成分を含まなくてもよい。
【0118】
難燃剤
内側エンベロープを構成する組成物中に存在する難燃剤は、外側エンベロープについて上文に列挙されたものと同一である。
【0119】
耐衝撃性改良剤
内側エンベロープを構成する組成物中に存在する耐衝撃性改良剤は、外側エンベロープについて上文に列挙されたものと同一である。
【0120】
添加剤
内側エンベロープの組成物中に存在する添加剤は外側エンベロープについて上文に列挙されたものと同一である。
【0121】
本発明の好ましい実施形態によると、内側エンベロープは、
- 総重量に対して5~65重量%の強化用繊維組成物、
- 使用される強化用繊維が熱的伝導性でない場合、総重量に対して10~20重量%の少なくとも1つの熱伝導性成分、
- 15~25%の難燃剤;
- 総重量に対して0~30重量%の少なくとも1つの耐衝撃性改良剤、
- 組成物の総重量に対して0~20重量%の添加剤
を含み、
- 補完物が、主として少なくとも1つのポリアミドを含む母材である
組成物からなる。
【0122】
本発明の好ましい実施形態によると、内側エンベロープは、
- 総重量に対して5~65重量%の強化用繊維組成物、
- 使用される強化用繊維が熱的伝導性でない場合、総重量に対して10~20重量%の少なくとも1つの熱伝導性成分、
- 15~25%の難燃剤;
- 総重量に対して5~20重量%の少なくとも1つの耐衝撃性改良剤、
- 組成物の総重量に対して1~20重量%の添加剤
を含み、
- 補完物が、主として少なくとも1つのポリアミドを含む母材である
組成物からなる。
【0123】
本発明の好ましい実施形態によると、内側エンベロープは、
- 総重量に対して5~65重量%の強化用繊維組成物、
- 使用される強化用繊維が熱的伝導性でない場合、総重量に対して10~20重量%の少なくとも1つの熱伝導性成分、
- 15~25%の難燃剤;
- 総重量に対して5~20重量%の少なくとも1つの耐衝撃性改良剤、
- 組成物の総重量に対して1~20重量%の添加剤
からなり、
- 補完物が、主として少なくとも1つのポリアミドを含む母材である
組成物からなる。
【0124】
本発明の別の好ましい実施形態によると、内側エンベロープは、
- 組成物の総重量に対して5~65重量%の、熱的伝導性を有する強化用繊維、
- 15~25%の難燃剤;
- 総重量に対して0~30重量%の少なくとも1つの耐衝撃性改良剤、
- 組成物の総重量に対して0~20重量%の添加剤
を含み、
- 補完物が、主として少なくとも1つのポリアミドを含む母材である
組成物からなる。
【0125】
本発明の別の好ましい実施形態によると、内側エンベロープは、
- 組成物の総重量に対して5~65重量%の、熱的伝導性を有する強化用繊維、
- 15~25%の難燃剤;
- 総重量に対して5~20重量%の少なくとも1つの耐衝撃性改良剤、
- 組成物の総重量に対して1~20重量%の添加剤
を含み、
- 補完物が、主として少なくとも1つのポリアミドを含む母材である
組成物からなる。
【0126】
本発明の別の好ましい実施形態によると、内側エンベロープは、
- 組成物の総重量に対して5~65重量%の、熱的伝導性を有する強化用繊維、
- 15~25%の難燃剤;
- 総重量に対して5~20重量%の少なくとも1つの耐衝撃性改良剤、
- 組成物の総重量に対して1~20重量%の添加剤
を含み、
- 補完物が、主として少なくとも1つのポリアミドを含む母材である
組成物からなる。
【0127】
本発明の別の好ましい実施形態によると、内側エンベロープは、
- 組成物の総重量に対して5~65重量%の、熱的伝導性を有する強化用繊維、
- 15~25%の難燃剤;
- 総重量に対して5~20重量%の少なくとも1つの耐衝撃性改良剤、
- 組成物の総重量に対して1~20重量%の添加剤
からなり、
- 補完物が、主として少なくとも1つのポリアミドを含む母材である
組成物からなる。
【0128】
有利には、バッテリーが複数の隣接したセルパックを備える場合、内側エンベロープは、形状の相補性によってセルの組立体を封入する。
【0129】
別の特色によると、内側エンベロープおよび外側エンベロープは、透水性の低い層で内側および/または外側を被覆することができる。
【0130】
透水性の低い1つまたは複数の層を有することによって、水分バリア効果を提供することができ、伝熱流体または本発明によるデバイスの外側の環境に対してバッテリーを密封することを意味する。
【0131】
本発明の目的として、内側は、伝熱流体用の通路に面して配置された層を意味すると理解される。
【0132】
本発明の意味において、外側は、本発明によるデバイスの外側に面してまたはバッテリーに面して配置された層であって、層の反対側が、伝熱流体用の通路に面して配置されているものを意味すると理解される。
【0133】
特に、選択される伝熱流体が液体、例えばフッ素化化合物である実施形態によれば、透水性の低い層は、その位置取りに従って、バッテリーに向かうまたは冷却および/または加熱デバイスの外側に向かう流体の漏れを回避するように働く。
【0134】
好ましい実施形態によると、この/これらの層は、EVOH、ポリオレフィン、例えばポリプロピレンまたはポリエチレン、すなわち、HDPE、LDPEのものとすることができる。
【0135】
伝導度測定
好ましくは、内側エンベロープの熱伝導度(λ)の外側エンベロープの熱伝導度(λ)に対する比は、少なくとも1.5を超え、好ましくは1.5~300、より特定すると2~100、より優先的に2~50の範囲である。
【0136】
好ましくは外側エンベロープの熱伝導度(λ)は、10W.m-1.K-1と等しいかまたはそれ未満、好ましくは0.1から10W.m-1.K-1の間、とりわけ0.3から1W.m-1.K-1の間である。
【0137】
材料の熱伝導度測定は、例えばISO 22007-2規格に記載のHOT DISK技術によってなされる。
【0138】
対流係数も、デバイス中で、エンベロープと流体流動の間の伝熱を認定するために使用することができる。本発明によるデバイスにおいて、外側エンベロープは、流体とエンベロープ材料の間の伝熱をほとんどまたはまったく許さない。対照的に、内側エンベロープの材料はバッテリーの近くの、またはそのバッテリーに接する内側エンベロープと流体の間の伝熱を最大にするために選ばれる。
【0139】
組成物を調製する方法
本発明は、また上記で定義された組成物を調製する方法を包含する。この方法によると、組成物は、強化用繊維のサイズを考慮しつつ、溶融状態押出、圧密化、またはさらにローラーミキサーなど、本発明による組成物および任意選択でその他の添加剤を含有する均一な混合物を得ることを可能にする任意の方法によって調製することができる。
【0140】
有利には、混合または混練するための熱可塑性工業からの通常のデバイス、例えば二軸スクリュー型押出機などの押出機、および混練機、例えばBUSSコニーダーが使用される。
【0141】
デバイスを製造する方法
繊維のサイズに応じて、本発明によるバッテリーデバイスを様々な技法により作製することができる。
【0142】
繊維が短い場合、本発明によるバッテリーデバイスは、上記で定義された通りの少なくとも1つの組成物の、射出、押出、共押出、熱間圧縮、および多重射出によって得ることができる。
【0143】
繊維が長くまたは連続的である場合、本発明によるバッテリーデバイスは、引抜き成型、フィラメントワインディング、熱圧着、注入成型、樹脂トランスファー成型(RTM)、構造化反応および射出成型(S-RIM)、または射出-圧縮成型から選ばれる様々な技法によって作製することができる。特定の密閉成型技法は、RTMまたはS-RIMまたは射出-圧縮である。ここでRTMにおける「樹脂」という用語は、強化用繊維を含まない、本発明による組成物を特定する。
【0144】
特定の実施形態によると、製造方法は、
- 金型内に強化用繊維を適用するステップ、次いで
- 本発明による組成物の前駆体組成物に上記繊維を含浸させる、少なくとも1つのステップ
を含んでいてもよい。
【0145】
回路
本発明は、主ループ内で伝熱流体を循環させることが意図される手段が設けられた、主伝熱流体循環ループを備える、電気またはハイブリッド自動車バッテリー用の冷却および/または加熱回路にも関する。
【0146】
さらに、主ループは、可逆的ヒートポンプ、ならびに先に記載のような冷却および/または加熱デバイスに接続される。
【0147】
様々な実施形態によると、伝熱流体は、ガス、例えば、空気、液体、例えば、グリコール水、炭化水素化合物、ヒドロフルオロカーボン、エーテル、ヒドロフルオロエーテル、CO2、NH3、SO2およびフルオロオレフィンから選択される。
【0148】
好ましくは、冷媒は、炭化水素化合物、ヒドロフルオロカーボン、エーテル、ヒドロフルオロエーテル、ハロゲン化炭素、CO2、NH3、SO2およびフルオロオレフィンから選択される。
【0149】
一実施形態において、伝熱流体は、CO2、ハロアルカン、ハロアルケン、フルオロプロペン、フルオロプロパンおよびフルオロエタンから、好ましくは1,3,3,3-テトラフルオロプロペン、2,3,3,3-テトラフルオロプロペン、1,2,3,3,3-ペンタフルオロプロペン、1,1,3,3-テトラフルオロプロペン、3,3,3-トリフルオロプロペン、2,3,3-トリフルオロプロペン、1,1,1,2-テトラフルオロエタン、1,1,2,2-テトラフルオロエタン、ペンタフルオロエタン、ジフルオロメタン、1,1-ジフルオロエタン、1,1,1,2,3,3,3-ヘプタフルオロプロパン、1,1,1-トリフルオロプロパン、1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン、1,1,1,3,3-ペンタフルオロプロパン、1,1,1,3,3-ペンタフルオロブタン、1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロブタ-2-エン、トリフルオロヨードメタン、1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペン、1-クロロ-2,3,3,3-テトラフルオロプロペン、1-クロロ-2,3,3,3-テトラフルオロプロペンおよびその混合物から選択される冷媒流体である。
【0150】
本発明の文脈においては、「HFO-1234yf」は2,3,3,3-テトラフルオロプロペンを指し、「HCFO-1233zd」は1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペンを指し、「HCFO-1224yd」は1-クロロ-2,3,3,3-テトラフルオロプロペンを指し、「HFO-1336mzz」は1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロブタ-2-エンを指す。
【0151】
好ましい一実施形態において、伝熱流体は、1,3,3,3-テトラフルオロプロペン(1234ze)、2,3,3,3-テトラフルオロプロペン(HFO-1234yfまたは1234yf)、ジフルオロメタン(HFC-32)から選択される冷媒であり;特に、伝熱流体は単独でまたは混合物で、2,3,3,3-テトラフルオロプロペン(1234yf)およびジフルオロメタンである。
【0152】
伝熱流体は、2,3,3,3-テトラフルオロプロペン(HFO-1234yf)とジフルオロメタン(HFC-32))の、混合物の総重量に対して20~95重量%のHFO-1234yfの範囲の割合の混合物であってもよく、100%までの補完物はHFC-32である。伝達流体は、混合物HFO-1234yf/HFC-32の、混合物の総重量に対して重量パーセントで27.5/72.5;35/65;42.5/57.5;45/55;55/45;57.5/42.5;70/30;78.5/21.5;80/20および90/10のうちの1つであってもよい。
【0153】
有利には、上記冷媒流体は、好ましくは鉱油、シリコーン油、天然パラフィン、ナフテン、合成パラフィン、アルキルベンゼン、ポリアルファオレフィン、ポリアルキレングリコール、ポリオールエステル、および/またはポリビニルエーテルから選択される潤滑剤を含み;さらに特に好ましくは、潤滑剤はポリアルキレングリコールまたはポリオールエステルである。
【0154】
本発明の特徴によると、回路は、主ループに接続された少なくとも1つの二次ループを備えていてもよく、1つまたは複数の二次ループは、自動車の車両客室に、および/または自動車がハイブリッドである場合は自動車の電動機および/または自動車の内燃機関に接続された電子回路に接続される。
【0155】
有利には、回路は、先に定義されたものなどの主ループから少なくとも1つの二次ループへの伝熱を制御するために構成された、制御デバイスを備えてもよい。
【0156】
他の目標、利点および特色は、純粋に例証となる実施例として与えられ、以下の記載から添付図面を参照して明らかになるであろう。
【0157】
図1は、電気またはハイブリッド自動車用バッテリーの、内側エンベロープおよび外側エンベロープを備える冷却および/または加熱デバイスの断面図である。
【0158】
図2は、電気またはハイブリッド自動車の車両用バッテリーの、内側および外側エンベロープを備える冷却および/または加熱デバイスの一部の断面図であって、図2は、図1に示される外側エンベロープの代替の外側エンベロープ構成を示す。
【0159】
図1から図2は、本発明に準拠する電気またはハイブリッド車バッテリー用の冷却および/または加熱デバイスの2つの実施形態を示す。
【0160】
図1において、示された本発明1による冷却および/または加熱デバイスは2つのエンベロープを備える。内側エンベロープ2はバッテリー3に面して配置される。外側エンベロープ4は、伝熱流体5の流動を意図した、内側エンベロープ2を備えた通路を形成する。デバイス1には、伝熱流体5の通路のために入口6および出口7が設けられる。
【0161】
示された実施例において、空間8はバッテリー3と内側エンベロープ2の間に設けられる。代替によると、内側エンベロープ2は、バッテリー3と伝熱流体5の間の伝熱を最適化するために少なくとも一部バッテリーに接して配置することができる。
【0162】
従来、バッテリー3は、複数の隣接したセルパックを備える。図2に示される別の実施例によると、内側エンベロープ2は、2つの隣接したセルパックの間に挿入される。図2は、3つの同一のセルパック9、10および11を備えたバッテリー3の一部を概略的に示す。4つの壁、それぞれ9a、9b、9c、9dおよび10a、10b、10c、10dをそれぞれ備える隣接したパック9および10が言及される。示された実施例において、内側エンベロープ2は、パック9の壁9a、9b、9c、9d、およびパック10の壁10a、10b、10c、10dに一部面して配置される。
【0163】
したがって、内側エンベロープ2は、バッテリー3のセルパックに最も接近して延在し、それらの形状に沿い、そうしてより良好なエネルギー回収のためにバッテリー3と伝熱流体5の間で伝熱を改善する。有利には、バッテリー3の複雑な幾何形状に対して適応したそのようなエンベロープ2は、ポリアミド組成物のために容易にかつ迅速に製作することができる。
【0164】
有利には、内側エンベロープおよび外側エンベロープは、透水性の低い層で被覆することができる。層(図示せず)は内側であっても外側であってもよい。
【0165】
好ましくは、透水性の低い少なくとも1つの層は、内側エンベロープ2に接して、内側に、すなわち伝熱流体5に接して配置される。
【0166】
伝熱流体5の機能は、2つ以上の温度供給源間で熱を移すことである。この流体はガス、空気またはさらに液体であってもよい。
【0167】
図3は、本発明の特別の実施形態による回路を説明する。回路20は、バッテリーを封入する本発明21によるデバイス、膨張弁22、熱交換器23、四方バルブ24および圧縮機25を備える。熱交換器23は空気/伝熱流体タイプ、好ましくは冷媒である。回路20の冷媒、および送風機によって供給される空気流動は、熱交換器23を通過する。この同じ空気流動の一部またはすべては、例えば、ハイブリッド車(図示せず)の内燃機関の冷却システムまたは客室の熱交換器を通過する。空気流動の方向は、回路20の動作モード、バッテリー要件、およびハイブリッド車の内燃機関要件に依存する。
【0168】
冷凍モードにおいて、すなわち、バッテリーが熱を発生する場合、圧縮機25によって作動される冷媒は、バルブ24を通過し、次いでコンデンサーとして働くデバイス21(すなわちそれは熱を外に向かって放出する)を通り、次いで膨張弁22を通り、次いでエバポレーターとして働く交換器23を通り、そうして自動車の客室の内側でパルス駆動されるように意図された空気の流動の冷却をする。
【0169】
ヒートポンプモードにおいて、すなわちバッテリーが加熱される必要がある、例えば、運転開始中に、冷媒流動方向はバルブ24を介して逆転される。デバイス21がエバポレーターとして働いている間に、熱交換器23はコンデンサーとして働く。次いで、熱交換器23は、自動車の客室を意図した空気流動を加熱することを可能にする。
【0170】
冷却回路の熱交換器は、内燃機関の必要性に従ってバルブによって起動することができる(エンジンに入る空気を加熱するか、またはこのエンジンによって生じたエネルギーを回収する)。
【0171】
さらに、蒸気圧縮回路は、別個の熱交換器との異なる分岐を備えてよく、冷媒流動をこれらの分岐に通すか通さないかは動作モードによる。場合によって、代替として、または加えて、蒸気圧縮回路は、例えば1つまたは幾つかの三方または四方バルブを備えた、冷媒流動の方向を変化させる手段を備えてもよい。
【0172】
図4は本発明の別の実施形態による回路を説明する。回路30は、2つの伝熱流体循環ループ32および36、空気が循環する1つのループ32および冷媒が循環する1つのループ36を備える。ループ32は、バッテリーおよび空気/流体タイプの熱交換器33を封入する、本発明31によるデバイスを備える。このループ32は、バッテリーを加熱または冷却するための空気流動を含む。送風機は空気を循環させるためにこのループに組み込むことができる。また、熱交換器33は、ループ36の一部であり、圧縮機34、熱交換器35および膨張弁37を備える。熱交換器35は、ハイブリッド車の特別の事例で車両の客室または熱機関に接続されてもよい。
図1
図2
図3
図4
【国際調査報告】