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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-08-01
(54)【発明の名称】水性系中のスケールを制御する方法
(51)【国際特許分類】
   C08F 220/02 20060101AFI20220725BHJP
   C02F 5/00 20060101ALI20220725BHJP
   C02F 5/10 20060101ALI20220725BHJP
   C23F 11/14 20060101ALI20220725BHJP
   C08F 216/12 20060101ALI20220725BHJP
【FI】
C08F220/02
C02F5/00 620B
C02F5/10 620C
C02F5/10 620Z
C23F11/14
C08F216/12
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021570397
(86)(22)【出願日】2020-05-27
(85)【翻訳文提出日】2022-01-21
(86)【国際出願番号】 US2020034709
(87)【国際公開番号】W WO2020243176
(87)【国際公開日】2020-12-03
(31)【優先権主張番号】62/853,624
(32)【優先日】2019-05-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】19194577.3
(32)【優先日】2019-08-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】509131443
【氏名又は名称】ヌーリオン ケミカルズ インターナショナル ベスローテン フェノーツハップ
【氏名又は名称原語表記】Nouryon Chemicals International B.V.
【住所又は居所原語表記】Velperweg 76, 6824 BM Arnhem, the Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100095360
【弁理士】
【氏名又は名称】片山 英二
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100128484
【弁理士】
【氏名又は名称】井口 司
(72)【発明者】
【氏名】ロドリゲス,クリン アロイシウス
【テーマコード(参考)】
4J100
4K062
【Fターム(参考)】
4J100AE18Q
4J100AJ02P
4J100AJ09P
4J100AL03R
4J100BA03Q
4J100BA05Q
4J100BA33Q
4J100BC49Q
4J100BC66Q
4J100CA04
4J100CA05
4J100CA06
4J100DA61
4J100DA65
4J100JA01
4J100JA15
4K062AA03
4K062BB18
4K062DA01
4K062FA04
(57)【要約】
工業用水系中のスケールを防止する方法は、工業用水系に、少なくとも10mol%のカルボン酸モノマーおよび四級化ナフタルイミド蛍光モノマーを含む本明細書に開示の水処理ポリマーを投入するステップと、水系の蛍光を監視するステップとを含む。このポリマーは、排水処理中の凝集および凝固にも役立つ。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
重合混合物から形成された水処理ポリマーであって、前記重合混合物が、
(i)前記ポリマー100mol%に対して10~99.999mol%の量で存在する少なくとも1種の水溶性カルボン酸モノマー、またはその塩もしくは無水物と、
(ii)(a)全構造(I)100mol%に対して8mol%未満の構造(III)を含む構造(I)、または(b)構造(II)100mol%に対して8mol%未満の構造(VI)を含む構造(II)、を含む少なくとも1種の四級化ナフタルイミド蛍光モノマーとを含み、
構造(I)は次のとおりであり、
【化1】
[式中、
およびR41は、H、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシ、アリールアルコキシ、アルキルアリールオキシ、(メタ)アリルオキシ、ビニルベンジルオキシ、ヘテロアリール、-NO、C-Calk-O-(CHRCHO-)、-COHまたはその塩、-SOHまたはその塩、-POまたはその塩、-アルキレン-COHまたはその塩、-アルキレン-SOHまたはその塩、および-アルキレン-POまたはその塩から独立して選択され、
n=1~10であり、
およびRは、独立してC-Cアルキル、好ましくはC-Cアルキル、より好ましくはCアルキルであり、
は、(メタ)アリル、(メタ)アクリル、2-ヒドロキシ-3-(メタ)アリルオキシプロピル、1-ヒドロキシ-3-(メタ)アリルオキシプロピル、2-(ヒドロキシ)-3-(エトキシ)-プロピル、3-(アリルオキシ)-2-(3-(アリルオキシ)-2-ヒドロキシプロポキシ)-プロピル、ビニルベンジル、3-(メタ)アクリルアミドプロピル、および2-(メタ)アクリロイルオキシエチル、またはアルキルから選択され、
は、HおよびC-Cアルキルから選択され、
Aは、アルキル、アルコキシアルキル、アルキルアミドアルキル、アリールアルキル、または存在しないからなる群から選択され、但し、Aが存在しない場合、Bは窒素であり、Bはイミド窒素に直接結合することを条件とし、
Bは硫黄または窒素であり、但し、Bが硫黄である場合、RまたはRのうちの1つのみが存在することを条件とし、
Xは、塩化物イオン、臭化物イオン、水酸化物イオン、メトスルフェ-ト、硫酸イオン、スルホン酸イオン、カルボン酸イオン、リン酸イオン、およびホスホン酸イオンから好ましくは選択されるアニオン対イオンである]、
構造(II)は次のとおりであり、
【化2】
[式中、
m=1~10であり、
およびRおよびRは、それぞれ独立してアルキルであり、同一または異なっていてもよく、
は、ビニル、アルケニル、および(メタ)アリルからなる群から選択され、
Dは、酸素または存在せず、但し、Dが存在しない場合、(CHは環上の炭素に直接結合することを条件とし、
Xは、塩化物イオン、臭化物イオン、水酸化物イオン、メトスルフェ-ト、硫酸イオン、スルホン酸イオン、カルボン酸イオン、リン酸イオン、およびホスホン酸イオンから好ましくは選択されるアニオン対イオンである]、
構造(III)は次のとおりであり、
【化3】
[式中、A、B、R、R、R、およびR41は、上記で定義の通りである]、
構造(VI)は次のとおりであり、
【化4】
[式中、D、m、R~R、およびXは上記で定義の通りであり、R66はHまたはアルキルである]、
前記四級化ナフタルイミド蛍光モノマーは、前記水処理ポリマー100mol%に対して0.001~10mol%の量で前記水処理ポリマー中に存在し、
前記四級化ナフタルイミド蛍光モノマーは、前記水処理ポリマーに90%以上の程度まで組み込まれている、水処理ポリマー。
【請求項2】
前記重合混合物が、Rが、メトキシ、エトキシ、プロピルオキシ、イソプロピルオキシ、n-ブトキシ、イソブトキシ、およびtert-ブトキシまたはヒドロキシから選択されるアルコキシであり、R41がHであり、Rが、(メタ)アリル、(メタ)アクリル、2-ヒドロキシ-3-(メタ)アリルオキシプロピル、1-ヒドロキシ-3-(メタ)アリルオキシプロピル、2-(ヒドロキシ)-3-(エトキシ)-プロピル、3-(アリルオキシ)-2-(3-(アリルオキシ)-2-ヒドロキシプロポキシ)-プロピル、ビニルベンジル、3-(メタ)アクリルアミドプロピル、および2-(メタ)アクリロイルオキシエチルから選択される、構造(I)の少なくとも1種のモノマーを含む、請求項1に記載のポリマー。
【請求項3】
前記重合混合物が、RおよびR41が両方ともH以外である、構造(I)の少なくとも1種のモノマーを含む、請求項1に記載のポリマー。
【請求項4】
前記重合混合物が、RおよびR41が両方ともアルコキシである、構造(I)の少なくとも1種のモノマーを含む、請求項1に記載のポリマー。
【請求項5】
前記重合混合物が、100mol%の(a)に対して5mol%未満の(b)N-(3-ジメチルアミノプロピル)-4-メトキシ-1,8-ナフタルイミドを含む、(a)N-(3-ジメチルアミノプロピル)-4-メトキシ-1,8-ナフタルイミド、1または2-ヒドロキシ-3-(メタ)アリルオキシプロピル四級塩を含む、請求項1に記載のポリマー。
【請求項6】
(a)が、前記ポリマーに少なくとも98%の程度まで組み込まれている、請求項5に記載のポリマー。
【請求項7】
前記重合混合物が、構造(II)の少なくとも1種のモノマーを含む、請求項1に記載のポリマー。
【請求項8】
水系中のスケールを制御する方法であって、
(a)前記水系に、請求項1から7のいずれか一項に記載の水処理ポリマーを投入するステップと、
(b)前記工業用水系から発せられる蛍光シグナルを監視するステップと
を含む、方法。
【請求項9】
請求項1から7のいずれか一項に記載の水処理ポリマーを調製するプロセスであって、
(a)
(i)前記ポリマー100mol%に対して10~99.999mol%の量で存在する少なくとも1種の水溶性カルボン酸モノマー、またはその塩もしくは無水物、
(ii)(a)構造(I)100mol%に対して8mol%未満の構造(III)を含む構造(I)、または(b)構造(II)100mol%に対して8mol%未満の構造(VI)を含む構造(II)、の少なくとも1種の四級化ナフタルイミド蛍光モノマー
を含む重合混合物を重合するステップと、
(b)前記蛍光モノマーが、前記水処理ポリマーに90%以上の程度まで組み込まれることを確保するステップと
を含む、プロセス。
【請求項10】
請求項9に記載のプロセスでの使用に適した蛍光モノマーであって、
前記モノマーは、(a)全ナフタルイミド蛍光モノマー100mol%に対して8mol%未満の構造(III)を含む構造(I)、または(b)全ナフタルイミド蛍光モノマー100mol%に対して8mol%未満の構造(VI)を含む構造(II)、を含み、
構造(I)は次のとおりであり、
【化5】
[式中、
およびR41は、H、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシ、アリールアルコキシ、アルキルアリールオキシ、(メタ)アリルオキシ、ビニルベンジルオキシ、ヘテロアリール、-NO、C-Calk-O-(CHRCHO-)、-COHまたはその塩、-SOHまたはその塩、-POまたはその塩、-アルキレン-COHまたはその塩、-アルキレン-SOHまたはその塩、および-アルキレン-POまたはその塩から独立して選択され、
n=1~10であり、
およびRは、独立してC-Cアルキル、好ましくはC-Cアルキル、より好ましくはCアルキルであり、
は、(メタ)アリル、(メタ)アクリル、2-ヒドロキシ-3-(メタ)アリルオキシプロピル、1-ヒドロキシ-3-(メタ)アリルオキシプロピル、2-(ヒドロキシ)-3-(エトキシ)-プロピル、3-(アリルオキシ)-2-(3-(アリルオキシ)-2-ヒドロキシプロポキシ)-プロピル、ビニルベンジル、3-(メタ)アクリルアミドプロピル、および2-(メタ)アクリロイルオキシエチル、またはアルキルから選択され、
は、HおよびC-Cアルキルから選択され、
Aは、アルキル、アルコキシアルキル、アルキルアミドアルキル、アリールアルキル、または存在しないからなる群から選択され、但し、Aが存在しない場合、Bは窒素であり、Bはイミド窒素に直接結合することを条件とし、
Bは硫黄または窒素であり、但し、Bが硫黄である場合、RまたはRのうちの1つのみが存在することを条件とし、
Xは、塩化物イオン、臭化物イオン、水酸化物イオン、メトスルフェ-ト、硫酸イオン、スルホン酸イオン、カルボン酸イオン、リン酸イオン、およびホスホン酸イオンから好ましくは選択されるアニオン対イオンである]、
構造(II)は次のとおりであり、
【化6】
[式中、
m=1~10であり、
およびRおよびRは、それぞれ独立してアルキルであり、同一または異なっていてもよく、
は、ビニル、アルケニル、および(メタ)アリルからなる群から選択され、
Dは、酸素または存在せず、但し、Dが存在しない場合、(CHは環上の炭素に直接結合することを条件とし、
Xは、塩化物イオン、臭化物イオン、水酸化物イオン、メトスルフェ-ト、硫酸イオン、スルホン酸イオン、カルボン酸イオン、リン酸イオン、およびホスホン酸イオンから好ましくは選択されるアニオン対イオンである]、
構造(III)は次のとおりであり、
【化7】
[式中、A、B、R、R、R、およびR41は、上記で定義の通りである]、
構造(VI)は次のとおりであり、
【化8】
[式中、D、m、R~R、およびXは上記で定義の通りであり、R66はHまたはアルキルである]、蛍光モノマー。
【請求項11】
構造(I)、および全ナフタルイミド蛍光モノマー100mol%に対して8mol%未満の構造(III)の化合物を含む、請求項10に記載のモノマー。
【請求項12】
100mol%の(a)に対して5mol%未満の(b)N-(3-ジメチルアミノプロピル)-4-メトキシ-1,8-ナフタルイミドを含む、(a)N-(3-ジメチルアミノプロピル)-4-メトキシ-1,8-ナフタルイミド、1または2-ヒドロキシ-3-(メタ)アリルオキシプロピル四級塩である、請求項11に記載のモノマー。
【請求項13】
請求項9に記載のプロセスでの使用に適した蛍光モノマーであって、下記構造(I):
【化9】
[式中、
およびR41は、H、ヒドロキシ、およびC-Calk-O-(CHRCHO-)から独立して選択され、但し、RおよびR41が両方ともHであることはないことを条件とし;またはRおよびR41は両方ともアルコキシであり、
n=1~10であり、
およびRは、独立してC-Cアルキル、好ましくはC-Cアルキル、より好ましくはCアルキルであり、
は、(メタ)アリル、(メタ)アクリル、2-ヒドロキシ-3-(メタ)アリルオキシプロピル、1-ヒドロキシ-3-(メタ)アリルオキシプロピル、2-(ヒドロキシ)-3-(エトキシ)-プロピル、3-(アリルオキシ)-2-(3-(アリルオキシ)-2-ヒドロキシプロポキシ)-プロピル、ビニルベンジル、3-(メタ)アクリルアミドプロピル、および2-(メタ)アクリロイルオキシエチルから選択され、
は、HおよびC-Cアルキルから選択され、
Aは、アルキル、アルコキシアルキル、アルキルアミドアルキル、アリールアルキル、または存在しないからなる群から選択され、但し、Aが存在しない場合、Bは窒素であり、Bはイミド窒素に直接結合することを条件とし、
Bは硫黄または窒素であり、但し、Bが硫黄である場合、RまたはRのうちの1つのみが存在することを条件とし、
Xは、塩化物イオン、臭化物イオン、水酸化物イオン、メトスルフェ-ト、硫酸イオン、スルホン酸イオン、カルボン酸イオン、リン酸イオン、およびホスホン酸イオンから好ましくは選択されるアニオン対イオンである]
を含む、蛍光モノマー。
【請求項14】
N-(3-ジメチルアミノプロピル)-4-ヒドロキシ-1,8-ナフタルイミド、1または2-ヒドロキシ-3-(メタ)アリルオキシプロピル四級塩である、請求項13に記載のモノマー。
【請求項15】
およびR41が両方ともアルコキシ、または好ましくはメトキシである、請求項13に記載のモノマー。
【請求項16】
構造(I)の2種のモノマーの混合物であり、第1のモノマーでは、Rはアルコキシであり、R41はHであり、第2のモノマーでは、RおよびR41は両方ともアルコキシである、請求項13に記載のモノマー。
【請求項17】
請求項10から16のいずれか一項に記載のモノマーを他のモノマーと重合することによって調製されたポリマー。
【請求項18】
前記他のモノマーが、カチオン性、アニオン性、および/または非イオン性モノマーからなる群から選択される、請求項17に記載のポリマー。
【請求項19】
前記蛍光モノマーが、前記ポリマーに90%以上の程度まで組み込まれている、請求項17または請求項18のいずれかに記載のポリマー。
【請求項20】
水処理系での凝固または凝集の方法であって、
(a)前記水系に、請求項1から7または17から19のいずれか一項に記載の水処理ポリマーを投入するステップと、
(b)前記水処理系から発せられる蛍光シグナルを監視するステップと
を含む、方法。
【請求項21】
所与の区域がクリーニングされたかどうかを決定する方法であって、
(a)請求項1から7または17から19のいずれか一項に記載の水処理ポリマーを前記区域に適用するステップと、
(b)前記区域を少なくとも1回クリーニングするステップと、
(c)前記クリーニング後に前記区域に残る前記蛍光ナフタルイミド誘導体の存在を検出することを試みるステップであり、前記存在が検出された場合、追加のクリーニングが必要であることを示す、ステップと
を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
優先権の主張
本出願は、2019年5月28日に出願された米国仮出願第62/853,624号および2019年8月30日に出願された欧州特許出願第19194577.3号の優先権を主張し、これらの全ての内容は参考として本明細書に援用される。
【0002】
本出願は、四級化ナフタルイミドモノマーを含む蛍光水処理ポリマーでの処理によって、工業用水系中のスケールを制御する方法に関する。より詳しくは、本出願は、スケールの処理で使用する四級化ナフタルイミドモノマーを含む蛍光水処理ポリマーでの処理によって、工業用水系中のスケールを制御する方法に関し、このポリマーは検出可能な蛍光シグナルを有する。他の実施形態では、本出願は、廃水処理中およびクリーニング用途における凝集および凝固のための、開示したポリマーの使用に関する。
【背景技術】
【0003】
工業用水系は多数あり、これらに限定されないが冷却水系およびボイラ水系が挙げられる。そのような工業用水系は、腐食およびスケールの形成を受ける。
【0004】
ポリマーは、スケール形成を最小限にするために水処理工業において広く使用されている。これらのスケールは、炭酸塩、リン酸塩、硫酸塩、シュウ酸塩、シリカ、およびケイ酸塩等である。多くの水処理配合物は、腐食を最小限にするためにリン酸塩も含むであろう。多くの国は現在、水処理系において使用することができる、あるいは潜在的に環境に放出され得るリン酸塩の量を制限する規則を有する。リン酸塩の使用が可能である国でさえ、環境に放出されるリン酸塩の量を最小限にすることが望ましいと考えられる。したがって、腐食の問題を最小限にするためにpHが高くリン酸塩が少ない水系を使用することが、より一般的になっている。しかし、そのような高いpH水系は、炭酸塩スケーリングを増加させる。したがって、より良好な炭酸塩スケール制御特性を備えた工業用水系で用いる水処理ポリマーの必要がある。
【0005】
ある種類の水溶性処理ポリマーが、スケールの形成を防止し、工業用水系で腐食の発生を抑制することに有効であることが知られている。これらの水溶性処理ポリマーは、工業用水系の当業者に公知であり、スケール抑制生成物において広く使用される。そのような水溶性処理ポリマーは、約1~約100ppmの範囲の量で水に添加すると、一般にスケールに対する活性を示す。
【0006】
スケールを防止し腐食を抑制する際の水溶性処理ポリマーの有効性は、一部分において、水系中の水溶性処理ポリマーの濃度に依存する。工業用水系に添加される水溶性処理ポリマーは、多くの原因によって消費されることができ、水溶性処理ポリマーの濃度を変化させる。したがって、水中の水溶性処理ポリマーの濃度を正確に決定することができることは工業用水系の最適操作にとって重要である。
【0007】
ポリマーに蛍光モノマーを標識すると、工業用水系においてスケールおよび腐食防止剤の成分として使用される水溶性処理ポリマーの濃度を監視することができることが知られている。水溶性高分子に組み込まれた蛍光モノマーの量は、水溶性高分子の蛍光を十分に測定することができるように十分でなければならないが、処理剤として水溶性高分子の性能に悪影響を与えるほど多くてはならない。標識された水溶性処理ポリマーの濃度を、蛍光計を使用して決定することができるので、水溶性処理ポリマーの消費を直接測定することも可能である。水溶性処理ポリマーの消費は、スケーリングなどの望ましくない事象が起こっていることを通常示すので、消費を直接測定することができることは重要である。このように、水溶性処理ポリマーの消費を測定することができることによって、工業用水系中のスケーリング活性のin-situ測定においてインライン、リアルタイムを達成することができる。例えば、米国特許第5,171,450号明細書および米国特許6,280,635号明細書に、そのようなインラインリアルタイム測定システムを開示しており、本明細書によって参考として援用される。
【0008】
排水処理では、ポリマーは、凝集および凝固に典型的に使用される。これらのポリマーは、典型的には高分子量ポリマーであり、カチオン性または非イオン性モノマーを重合することによって典型的には製造される。
【0009】
ナフタルイミドおよびあるナフタルイミド誘導体は、そのような系で用いる重合可能蛍光モノマーに変換することができる公知の蛍光化合物である。ナフタルイミドは以下の構造式を有する。
【化1】
ここで、ベンゼンの炭素原子は本開示を説明することを目的とする。本開示は、2位または7位を称するために「オルト」、3位または6位を称するために「メタ」、「4」または「5」位を称するために「パラ」を使用する。
【0010】
米国特許第6,645,428号明細書は、リン酸塩スケーリング用の標識された処理ポリマーを調製するために使用することができる蛍光モノマーを開示している。米国特許第6,645,428号明細書に開示されたプロセスは、比較的大きな画分の出発非四級アミン(以下の構造(III)および構造(VI)参照)を含むモノマーをもたらす。これらの部分は重合することができる二重結合を有さないので、その結果、これらのモノマーから作製されたポリマーが、同じ非四級アミンの相当量を含むことが分かった。ポリマー中のこれらの非四級アミン部分の存在により、これらの非四級アミンの残部がさらに予想外に同じ波長領域で蛍光シグナルを付与するので、蛍光シグナルは信頼性が低くなり、一方それらはスケール防止および低減の役割を有しない。塩素は、多くの場合、水処理系での殺生物剤として使用される。塩素が存在する状態で蛍光シグナルを維持することが必要である。理論によって拘束されないが、塩素は米国特許第6,645,428号明細書のモノマーから作製されたポリマーの蛍光シグナルに悪影響を及ぼす。これは、ポリマーの不正確な測定をもたらす10%を超えるシグナル低下をもたらす。
【0011】
米国特許第6,645,428号明細書は、さらに、蛍光モノマーの標識された処理ポリマーへの37%~99%の程度の組み込みについて記載している。結果はランダムに思われ、文献は、組み込み割合を最適化する方法を教示せず、それが最適化されるべきであることさえ教示しない。処理ポリマー中の組み込まれていない蛍光モノマーの存在が問題であることが分かった。処理ポリマー中の組み込まれていないかなりの割合の蛍光モノマーの存在は、そこから放出する蛍光シグナルを信頼性の低いものにする。
【0012】
中国特許第1939945号明細書は、4-メトキシ-N-(2-N’-N’-ジメチルアミノエチル)ナフタルイミドアリル塩を無水マレイン酸および次亜リン酸ナトリウムの両方と反応させることにより蛍光ポリマーを調製するプロセスを開示している。しかし、このプロセスは、ポリマーについての反応は非常に収率が劣り、生成物は多くの未反応マレイン酸モノマーを含み、沈殿しており、実用的な適用において使用することができない生成物をもたらす問題を抱えている。
【0013】
中国特許第10648641号明細書は、アクリル酸、イタコン酸、および次亜リン酸ナトリウムと重合され、アミン基およびエステル基の両方を含むポリマーをもたらすアミン基含有ナフタルイミドモノマーを開示している。そのようなポリマーは、アミン基が、水処理配合物に多くの場合に添加される他の化学薬品を妨げ、エステル基が不安定であり、典型的に高pHで、および水処理操作中に多くの場合に使用されるような温度およびpH条件である水処理配合物の保存の間に容易に加水分解され得る欠点を有する。
【0014】
中国特許第109824593号明細書は、水溶性四級アンモニウム蛍光モノマー、ポリマーおよびスケール低減および水処理プロセスでのそれらの使用を開示している。この文献は、加水分解性エステル基を備えたモノマーを例示しているだけである。
【0015】
米国特許出願公開第2016/002525号明細書は、1,8-ナフタルイミド単位および四級アミンビニルまたはアリル基を含む蛍光モノマー、およびとりわけ、スルホン酸基を含むポリマーへのそれらの組み込みを開示している。
【0016】
アクリル酸およびマレイン酸のホスフィノ基との共重合体は、水処理用途において炭酸塩スケール制御剤として通常使用される。しかしながら、発明者らは、重合混合物に含まれた少量の四級化ナフタルイミド蛍光モノマーであっても、ポリマーへのマレイン酸モノマーの重合を著しく妨げることができることを見出した。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
したがって、スケールの処理で用いる蛍光水処理ポリマーでの処理によって工業用水系中のスケールを制御する方法であって、典型的な工業用水処理条件下で検出でき、信頼できる蛍光シグナルを有し、従来技術の欠点がない方法を提供することは望ましい。さらに、従来技術の欠点がないモノマーおよびこれらのモノマーからなるポリマーを有することは非常に望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0018】
前述の目的を達成するために、工業用水系中のスケールを制御する方法は、
(a)水系に、重合混合物から形成された水処理ポリマー組成物を投入するステップであって、この水処理ポリマー組成物が、
(i)ポリマー100mol%に対して10~99.999mol%の量で存在する少なくとも1種の水溶性カルボン酸モノマー、またはその塩もしくは無水物と、
(ii)(a)構造(I)100mol%に対して8mol%未満の構造(III)を含む構造(I)、または(b)構造(II)100mol%に対して8mol%未満の構造(VI)を含む構造(II)、を含む少なくとも1種の四級化ナフタルイミド蛍光モノマーと
を含む重合混合物から形成されたものであり、
【0019】
構造(I)は次のとおりであり、
【化2】
[式中、
およびR41は、H、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシ、アリールアルコキシ、アルキルアリールオキシ、(メタ)アリルオキシ、ビニルベンジルオキシ、ヘテロアリール、-NO、C-Calk-O-(CHRCHO-)、-COHまたはその塩、-SOHまたはその塩、-POまたはその塩、-アルキレン-COHまたはその塩、-アルキレン-SOHまたはその塩、および-アルキレン-POまたはその塩から独立して選択され、
n=1~10であり、
およびRは、独立してC-Cアルキル、好ましくはC-Cアルキル、より好ましくはCアルキルであり、
は、(メタ)アリル、(メタ)アクリル、2-ヒドロキシ-3-(メタ)アリルオキシプロピル、1-ヒドロキシ-3-(メタ)アリルオキシプロピル、ビニルベンジル、3-(メタ)アクリルアミドプロピル、および2-(メタ)アクリロイルオキシエチル、またはアルキルから選択され、
は、HおよびC-Cアルキルから選択され、
Aは、アルキル、アルコキシアルキル、アルキルアミドアルキル、アリールアルキル、または存在しないからなる群から選択され、但し、Aが存在しない場合、Bは窒素であり、Bはイミド窒素に直接結合することを条件とし、
Bは硫黄または窒素であり、但し、Bが硫黄である場合、RまたはRのうちの1つのみが存在することを条件とし、
Xは、塩化物イオン、臭化物イオン、水酸化物イオン、メトスルフェ-ト、硫酸イオン、スルホン酸イオン、カルボン酸イオン、リン酸イオン、およびホスホン酸イオンから好ましくは選択されるアニオン対イオンである]、
【0020】
構造(II)は次のとおりであり、
【化3】
[式中、
m=1~10であり、
およびRおよびRは、それぞれ独立してアルキルであり、同一または異なっていてもよく、
は、ビニル、アルケニル、および(メタ)アリルからなる群から選択され、
Dは、酸素または存在せず、但し、Dが存在しない場合、(CHは環上の炭素に直接結合することを条件とし、
Xは、塩化物イオン、臭化物イオン、水酸化物イオン、メトスルフェ-ト、硫酸イオン、スルホン酸イオン、カルボン酸イオン、リン酸イオン、およびホスホン酸イオンから好ましくは選択されるアニオン対イオンである]、
【0021】
構造(III)は次のとおりであり、
【化4】
[式中、A、B、R、R、R、およびR41は、上記で定義の通りである]、
【0022】
構造(VI)は次のとおりであり、
【化5】
[式中、D、m、R~R、およびXは上記で定義の通りであり、R66はHまたはアルキルである]、
前記四級化ナフタルイミド蛍光モノマーは、水処理ポリマー100mol%に対して0.001~5mol%の量で前記水処理ポリマー中に存在し、
前記四級化ナフタルイミド蛍光モノマーは、前記水処理ポリマーに90%以上の程度まで組み込まれている、ステップと、
(b)前記工業用水系から発せられる蛍光シグナルを監視するステップと
を含む。
(もし他に示さなければ、組成物、例えば、固体または溶液のすべての百分率は、全組成物に対するモル百分率である。)
【0023】
以下のモノマーは、新しく、すなわち、構造(III)に関して特定のいかなる純度も必要とすることなくそれ自体請求される:構造(I)のモノマー:
【化6】
[式中、
およびR41は、H、ヒドロキシ、およびC-Calk-O(CHRCHO)から独立して選択され、但し、RおよびR41が両方ともHであることはないことを条件とし;またはRおよびR41は両方ともアルコキシであり、
n=1~10であり、
およびRは、独立してC-Cアルキル、好ましくはC-Cアルキル、より好ましくはCアルキルであり、
は、(メタ)アリル、(メタ)アクリル、2-ヒドロキシ-3-(メタ)アリルオキシプロピル、1-ヒドロキシ-3-(メタ)アリルオキシプロピル、2-(ヒドロキシ)-3-(エトキシ)-プロピル、3-(アリルオキシ)-2-(3-(アリルオキシ)-2-ヒドロキシプロポキシ)-プロピル、ビニルベンジル、3-(メタ)アクリルアミドプロピル、および2-(メタ)アクリロイルオキシエチルから選択され、
は、HおよびC-Cアルキルから選択され、
Aは、アルキル、アルコキシアルキル、アルキルアミドアルキル、アリールアルキル、または存在しないからなる群から選択され、但し、Aが存在しない場合、Bは窒素であり、Bはイミド窒素に直接結合することを条件とし、
Bは硫黄または窒素であり、但し、Bが硫黄である場合、RまたはRのうちの1つのみが存在することを条件とし、
Xは、塩化物イオン、臭化物イオン、水酸化物イオン、メトスルフェ-ト、硫酸イオン、スルホン酸イオン、カルボン酸イオン、リン酸イオン、およびホスホン酸イオンから好ましくは選択されるアニオン対イオンである]。
【0024】
その開示は、他の実施形態では、水処理ポリマーを調製するプロセスであって、
(a)
(i)ポリマー100mol%に対して10~99.999mol%の量で存在する少なくとも1種の水溶性カルボン酸モノマー、またはその塩もしくは無水物、
(ii)(a)構造(I)100mol%に対して8mol%未満の構造(III)を含む構造(I)、または(b)構造(II)100mol%に対して8mol%未満の構造(VI)を含む構造(II)、の少なくとも1種の四級化ナフタルイミド蛍光モノマー
を含む重合混合物を重合するステップと、
(b)蛍光モノマーが、水処理ポリマーに90%以上の程度まで組み込まれることを確保するステップと
を含む、プロセスに関する。
【0025】
開示は、さらに他の実施形態では、水処理系での凝固または凝集の方法であって、
(a)水系に、開示の水処理ポリマーを投入するステップと、
(b)水処理系から発せられる蛍光シグナルを監視するステップと
を含む、方法に関する。
【0026】
以下に、図面を参照して開示についてより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】N-(3-ジメチルアミノプロピル)-4-メトキシ-1,8-ナフタルイミドの化学構造を示す図である。
図2】4-メトキシ-N-(3-ジメチルアミノプロピル)-1,8-ナフタルイミド、2-ヒドロキシ-3-アリルオキシプロピル、四級アンモニウム水酸化物の化学構造を示す図である。
図3】4-メトキシ-N-(3-ジメチルアミノプロピル)-1,8-ナフタルイミド、3-(アリルオキシ)-2-(3-(アリルオキシ)-2-ヒドロキシプロポキシ)-プロピル、四級アンモニウム水酸化物の化学構造を示す図である。
図4】4-メトキシ-N-(3-ジメチルアミノプロピル)-1,8-ナフタルイミド、1-ヒドロキシ-3-アリルオキシプロピル、四級アンモニウム水酸化物の化学構造を示す図である。
図5】5重量%アミンをスパイクしたモノマー例3の試料の13CNMRスペクトルの一部分を示す図である。
図6】1重量%アミンをスパイクしたモノマー例3の試料の13CNMRスペクトルの別の部分を示す図である。
図7】0.5重量%アミンをスパイクしたモノマー例3の試料の13CNMRスペクトルの別の部分を示す図である。
図8】モノマー例3の13CNMRスペクトルの別の部分を示す図である。
図9】モノマー例3bの13CNMRスペクトルの部分を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本明細書には、水系中のスケールを制御する方法であって、系に、(i)1種以上の水溶性カルボン酸モノマーまたはそれらの塩もしくは無水物と、(ii)本明細書に開示する1種以上の四級化ナフタルイミドの蛍光モノマーとを含み、さらに任意に(iii)ホスフィノ基供与部分およびホスホネート基供与部分からなる群から選択されるリン含有部分、(iv)スルホン酸モノマー、および(v)非イオン性モノマーのいずれか1つ以上を含む重合混合物からなる蛍光水処理ポリマーを投入するステップを含む、方法が開示される。これらのスケールは、炭酸塩、リン酸塩、硫酸塩、シュウ酸塩、シリカ、およびケイ酸塩等である。
【0029】
本明細書で使用する場合、水系への水処理ポリマー組成物の「投入」という用語は、添加される全水処理ポリマー組成物の含有量の一回の添加とは対照的に、水処理ポリマーがある期間にわたって水系に添加されることを意味する。本明細書で使用する場合、水系への水処理ポリマー組成物の「投入」という用語は、連続的な流れとしての水系への水処理ポリマー組成物の添加、いくつかの断続的なショットとしての水系への水処理ポリマー組成物の添加、およびそれらの組み合わせを包含する。
【0030】
1つの実施形態では、ランゲリア飽和指数(LSI)が2の水系について、水処理ポリマーが100ppm以下で水系に投入される場合、炭酸塩を少なくとも80%抑制することが達成され、より好ましくは、水処理ポリマーが50ppm以下で水系に投入される場合、炭酸塩を少なくとも80%抑制することが達成され、最も好ましくは、水処理ポリマーが20ppm以下で水系に投入される場合、炭酸塩を少なくとも90%抑制することが達成される。1つの実施形態では、ポリマーは、LSIが2で、100、50、20、15ppmのポリマーで炭酸塩スケールの少なくとも80%抑制する。本明細書に開示した水処理ポリマーは、また、LSI値が2未満または2を超える水処理系に有効になる。
【0031】
(i)カルボン酸モノマー
この開示の目的のために、水溶性カルボン酸モノマーとしては、限定されないが、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、シトラコン酸、メサコン酸、グルタコン酸、アコニット酸、エタクリン酸、アルファ-クロロ-アクリル酸、アルファ-シアノ-アクリル酸、アルファ-クロロ-メタクリル酸、アルファ-シアノ-メタクリル酸、ベータ-メチル-アクリル酸(クロトン酸)、ベータ-アクリロキシプロピオン酸、ソルビン酸、アルファ-クロロ-ソルビン酸、アンゲリカ酸、チグリン酸、p-クロロ桂皮酸、それらの混合物、ならびにそれらの塩および無水物の1つ以上が挙げられる。1つの実施形態では、カルボン酸モノマーは、マレイン酸モノメチルおよびマレイン酸モノエチルなどの、マレイン酸およびフマル酸を含むジカルボン酸のモノアルキルエステルを含むことができる。好ましい水溶性カルボン酸モノマーは、アクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、およびメタクリル酸であり、アクリル酸が最も好ましい。
【0032】
カルボン酸モノマーは、水処理ポリマーの技術において一般に知られているように、酸、無水物、または塩の形態で重合反応混合物に添加されてもよい。
【0033】
水溶性カルボン酸モノマーに関して本明細書で使用する場合、水溶性は、モノマーの酸としての水溶解度が25℃の水100ml当たり6グラムを超え、好ましくは25℃の水100ml当たり10グラムを超え、最も好ましくは25℃の水100ml当たり15グラムを超える。
【0034】
カルボン酸モノマーは、重合混合物中に10~99.999mol%の範囲で存在する。カルボン酸モノマーは、重合反応混合物の少なくとも10mol%で、少なくとも15mol%で、少なくとも20mol%で、少なくとも25mol%で、少なくとも30mol%で、少なくとも35mol%で、少なくとも40mol%で、少なくとも45mol%で、少なくとも50mol%で、少なくとも55mol%で、少なくとも60mol%で、または少なくとも65mol%で、または少なくとも70mol%で、または少なくとも75mol%で、または少なくとも80mol%で、または少なくとも85mol%で、または少なくとも90mol%で存在することができる。カルボン酸モノマーは、重合反応混合物の99.999mol%以下、または99mol%以下、または98mol%以下、または95mol%以下で存在することができる。各場合では、mol%は、ポリマーの合計100mol%に対してである。
【0035】
しかし、ポリマーは、ホスフィノ部分を含み、少なくともカルボン酸モノマーの一部は、マレイン酸、またはその塩もしくは無水物である場合、そのときマレイン酸またはその塩もしくは無水物は、重合反応混合物の70mol%以下である。
【0036】
(ii)蛍光モノマー
本明細書において水処理ポリマーに好ましく使用される四級化ナフタルイミド蛍光モノマーは、図示する構造(I)および構造(II)の1種以上の四級化ナフタルイミドモノマー誘導体から選択される。
【0037】
【化7】
[式中、
およびR41は、H、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシ、アリールアルコキシ、アルキルアリールオキシ、(メタ)アリルオキシ、ビニルベンジルオキシ、ヘテロアリール、-NO、C-Calk-O-(CHRCHO-)、-COHまたはその塩、-SOHまたはその塩、-POまたはその塩、-アルキレン-COHまたはその塩、-アルキレン-SOHまたはその塩、および-アルキレン-POまたはその塩から独立して選択され、
n=1~10であり、
およびRは、独立してC-Cアルキル、好ましくはC-Cアルキル、より好ましくはCアルキルであり、
は、(メタ)アリル、(メタ)アクリル、2-ヒドロキシ-3-(メタ)アリルオキシプロピル、1-ヒドロキシ-3-(メタ)アリルオキシプロピル、ビニルベンジル、3-(メタ)アクリルアミドプロピル、および2-(メタ)アクリロイルオキシエチル、またはアルキルから選択され、
は、HおよびC-Cアルキルから選択され、
Aは、アルキル、アルコキシアルキル、アルキルアミドアルキル、アリールアルキル、または存在しないからなる群から選択され、但し、Aが存在しない場合、Bは窒素であり、Bはイミド窒素に直接結合することを条件とし、
Bは硫黄または窒素であり、但し、Bが硫黄である場合、RまたはRのうちの1つのみが存在することを条件とし、
Xは、塩化物イオン、臭化物イオン、水酸化物イオン、メトスルフェ-ト、硫酸イオン、スルホン酸イオン、カルボン酸イオン、リン酸イオン、およびホスホン酸イオンから好ましくは選択されるアニオン対イオンであり、
但し、
が、(メタ)アリル、(メタ)アクリル、2-ヒドロキシ-3-(メタ)アリルオキシプロピル、1-ヒドロキシ-3-(メタ)アリルオキシプロピル、ビニルベンジル、3-(メタ)アクリルアミドプロピル、2-(メタ)アクリロイルオキシエチルである場合、Rは(メタ)アリルオキシでもビニルベンジルオキシでもなく、
が(メタ)アリルオキシまたはビニルベンジルオキシである場合、Rはアルキルであることを条件とする。]、または
【0038】
【化8】
[式中、
m=1~10であり、
およびRおよびRは、それぞれ独立してアルキルであり、同一または異なっていてもよく、
は、ビニル、アルケニル、および(メタ)アリルからなる群から選択され、
Dは、酸素または存在せず、但し、Dが存在しない場合、(CHは環上の炭素に直接結合することを条件とし、
Xは、塩化物イオン、臭化物イオン、水酸化物イオン、メトスルフェ-ト、硫酸イオン、スルホン酸イオン、カルボン酸イオン、リン酸イオン、およびホスホン酸イオンから好ましくは選択されるアニオン対イオンである。]
【0039】
構造(I)では、RおよびR41は、芳香環上の異なる位置、すなわち、パラ、オルト、またはメタを有していてもよいことに注意されたい。さらに、RおよびR41は、同じ環を占めてもよい。例えば、Rは4位にあってもよく、R41は5位にあってもよく、つまり、両方はパラ置換基であるが、異なるベンゼン環上に位置してもよく;または、Rは4位に、R41は3位にあってもよく、つまり、Rはパラ置換されており、R41はメタ置換されているが、両方は同じベンゼン環上に位置してもよい。
【0040】
本明細書で使用する場合、もし他に示さなければ、他の基の単独または一部にかかわらず、「アルキル」基、例えば、「アルコキシ」または「アルキレン」は、任意の適切な炭素原子の範囲、好ましくは1~10個の炭素原子、最も好ましくは1~6個の炭素原子を有し、適切な置換基によって任意に置換されている。
【0041】
本明細書で使用する場合、もし他に示さなければ、他の基の単独または一部にかかわらず、「アリール」基、例えば、「アリールオキシ」または「アリールアルコキシ」は、任意の適切な炭素原子の範囲、好ましくは6~14個の炭素原子、最も好ましくは6~10個の炭素原子、つまり、フェニルまたはナフチルを有し、適切な置換基によって任意に置換されている。
【0042】
本明細書で使用する場合、もし他に示さなければ、他の基の単独または一部にかかわらず、「ヘテロアリール」基は、ヘテロ原子と炭素原子との任意の適切な組み合わせを有するが、好ましくは3~10個の環炭素原子、およびN、O、およびS原子からなる群から独立して選択される1~3個の環ヘテロ原子、最も好ましくはN、O、およびS原子からなる群から独立して選択される3~5個の環炭素原子および1~2個の環ヘテロ原子を有し、適切な置換基によって任意に置換されている。
【0043】
本明細書で使用する場合、もし他に示さなければ、「適切な置換基」としては、限定されないが、F、Cl,Br、またはIなどのハロゲン;NO;CN;ハロアルキル、典型的に、CF;OH;アミノ;SH;-CHO;-COH;オキソ(=O);-C(=O)アミノ;NRC(=O)R;脂肪族、典型的にアルキル、特にメチル;ヘテロ脂肪族;-OR、典型的にメトキシ;-SR;-S(=O)R;-SOR;アリル;またはヘテロアリールが挙げられ、ここで、Rは、それぞれ独立して、脂肪族、典型的にアルキル、アリル、または複素脂肪族である。ある態様では、任意の置換基は、それら自体、上記リストから選択される1つ以上の置換されていない置換基でさらに置換されてもよい。例示的な任意の置換基としては、限定されないが、-OH、オキソ(=O)、-Cl、-F、Br、C1-4アルキル、フェニル、ベンジル、-NH、-NH(C1-4アルキル)、-N(C1-4アルキル)、-NO、-S(C1-4アルキル)、-SO(C1-4アルキル)、-CO(C1-4アルキル)、および-O(C1-4アルキル)が挙げられる。
【0044】
好ましくは、RおよびR41は、H、アルコキシ、ヒドロキシ、およびC-Calk-O-(CHRCHO-)から独立して選択される。より好ましくは、RおよびR41の少なくとも1つは、独立してアルコキシであり、それは、メトキシ、エトキシ、プロピルオキシ、イソプロピルオキシ、n-ブトキシ、イソブトキシ、およびtert-ブトキシから選択することができる。
【0045】
好ましくは、Rは、2-ヒドロキシ-3-(メタ)アリルオキシプロピル、1-ヒドロキシ-3-(メタ)アリルオキシプロピル、および(メタ)アリルから選択され、2-ヒドロキシ-3-(メタ)アリルオキシプロピルがより好ましい。
【0046】
他の好ましい実施形態では、蛍光モノマーは構造(I)を有する。
【化9】
[式中、
およびR41は、H、ヒドロキシ、アルコキシ、およびC-Calk-O-(CHRCHO-)から独立して選択され、但し、RおよびR41がHではないことを条件とし、
n=1~10であり、
およびRは、独立してC-Cアルキル、好ましくはC-Cアルキル、より好ましくはCアルキルであり、
は、(メタ)アリル、(メタ)アクリル、2-ヒドロキシ-3-(メタ)アリルオキシプロピル、1-ヒドロキシ-3-(メタ)アリルオキシプロピル、ビニルベンジル、3-(メタ)アクリルアミドプロピル、および2-(メタ)アクリロイルオキシエチルから選択され、
は、HおよびC-Cアルキルから選択され、
Aは、アルキル、アルコキシアルキル、アルキルアミドアルキル、アリールアルキル、または存在しないからなる群から選択され、但し、Aが存在しない場合、Bは窒素であり、Bはイミド窒素に直接結合することを条件とし、
Bは硫黄または窒素であり、但し、Bが硫黄である場合、RまたはRのうちの1つのみが存在することを条件とし、
Xは、塩化物イオン、臭化物イオン、水酸化物イオン、およびメトスルフェ-トから好ましくは選択されるアニオン対イオンである]。
【0047】
開示のさらに他の好ましい実施形態では、プロセスでは、ナフタルイミド蛍光モノマーの混合物を使用し、RおよびR41の両方がH以外の置換基であるモノマーが存在し、さらにより好ましくは、そのようなモノマーは、0.1モル~50mol%の量で存在する。開示のさらに他の好ましい実施形態では、プロセスでは、ナフタルイミド蛍光モノマーの混合物を使用し、RおよびR41の両方がH以外の置換基であるモノマーが存在し、さらにより好ましくは、そのようなモノマーは、少なくとも0.25mol%の量、少なくとも0.5mol%、少なくとも0.75mol%で存在する。開示のさらに他の好ましい実施形態では、プロセスでは、ナフタルイミド蛍光モノマーの混合物を使用し、RおよびR41の両方がH以外の置換基であるモノマーが存在し、さらにより好ましくは、そのようなモノマーは、25mol%未満の量、10mol%未満、5mol%未満の量で存在する。RおよびR41がH以外の置換基である場合、特に、RおよびR41が両方ともアルコキシである場合のモノマーは、RおよびR41の一方がHで、他方がアルコキシ基で置換されている場合より強いシグナルを有する(5~50倍)。したがって、RおよびR41が独立してHまたは置換基である場合、およびRおよびR41が置換基である場合のモノマーの混合物は、RおよびR41が独立してHまたは置換基であり、特に、置換基がアルコキシ基である場合のモノマーより強いシグナルを有する。
【0048】
構造(I)および(II)の四級化ナフタルイミド蛍光モノマーは、第1級、第2級、または第3級アミン、またはエステルである置換基を実質的に含まないことが好ましい。この特徴は、2つの著しい利点を有する。最初に、水処理配合物は、典型的に高いpH領域にあり、腐食防止剤として使用されるアゾールを可溶性にする。これらの高いpH配合物中に存在するエステル置換基は、モノマーのナフタルイミド基を加水分解し、ポリマーから切断することができる。水系中のこの遊離ナフタルイミドは、ポリマーの一部でない蛍光シグナルを発し、系中のポリマーの量の測定が不正確になる。第2に、塩素または次亜塩素酸塩は、水処理系において水処理ポリマーと共に酸化性殺菌剤として典型的に使用される。第1級、第2級、または第3級アミンは、存在する場合、これらの蛍光モノマーのシグナル強度または最適の発光波長を変化し得るクロロアミンを形成し、さらに、系中のポリマーの量の測定が不正確になる。
【0049】
本明細書で使用する場合、用語「アミン基を実質的に含まない」、または「エステル基を実質的に含まない」は、非四級化蛍光ナフタルイミド誘導体モノマー(または他の非蛍光モノマー)が、第1級、第2級または第3級アミン基、またはエステル基をそれぞれ10mol%未満、5mol%未満、1mol%未満有する、または有しないことを意味する。mol%は、各場合において、蛍光(または非蛍光)モノマー100mol%に基づく。
【0050】
構造(I)および(II)の四級化ナフタルイミド蛍光モノマーは、本明細書の実施例に開示するように、重合反応混合物に添加されて水処理ポリマーを作製するモノマー組成物として調製される。
【0051】
構造(I)の四級化ナフタルイミド蛍光モノマーを使用する場合、好ましくは、モノマー組成物は、構造(III)の非モノマー化ナフタルイミド化合物を実質的に含まない。
【0052】
【化10】
[式中、
およびR41は、H、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシ、アリールアルコキシ、アルキルアリールオキシ、(メタ)アリルオキシ、ビニルベンジルオキシ、ヘテロアリール、-NO、C-Calk-O-(CHRCHO-)n、-COHまたはその塩、-SOHまたはその塩、-POまたはその塩、-アルキレン-COHまたはその塩、-アルキレン-SOHまたはその塩、および-アルキレン-POまたはその塩から独立して選択され、
n=1~10であり、
およびRは、独立してC-Cアルキル、好ましくはC-Cアルキル、より好ましくはCアルキルであり、
は、HおよびC-Cアルキルから選択され、
Aは、アルキル、アルコキシアルキル、アルキルアミドアルキル、アリールアルキル、または存在しないからなる群から選択され、但し、Aが存在しない場合、Bは窒素であり、Bはイミド窒素に直接結合することを条件とし、
Bは硫黄または窒素であり、但し、Bが硫黄である場合、RまたはRのうちの1つのみが存在することを条件とする]。
【0053】
構造(I)のモノマーは、構造(III)の化合物を実質的に含まないとは、構造(I)のモノマーが、モノマー例3に詳述するようにNMRによって測定する場合の不純物として、構造(I)の全体モル量に対して構造(III)の非モノマー化合物を好ましくは8mol%未満、好ましくは7mol%未満、より好ましくは6mol%未満、より好ましくは5mol%未満、より好ましくは3mol%未満、より好ましくは2mol%未満、最も好ましくは1.5mol%未満有し、さらには全く有さないことを意味する。
【0054】
構造(III)のこの非モノマー化合物は、重合することができないが、まだ蛍光シグナルを発するであろう。驚くべきことに、構造(III)の化合物の蛍光シグナルは、実施例16、18および22において例示するように、ポリマーに組み込まれたモノマーからの蛍光シグナルとほぼ同じくらい強い。さらに驚くべきことに、実施例18および22においても例示するように、構造(I)のモノマーについての励起および発光波長は、構造(III)の非モノマーのものとほぼ同一である。したがって、インライン蛍光測定は、ポリマー中に存在する構造(I)のモノマーと構造(III)の非モノマーとの差を水処理ポリマー溶液中の不純物として伝えることができず、擬似シグナルが起こる。したがって、構造(III)の不純物を最小化する、または除去することは重要である。開示の1つの実施形態では、重合性二重結合は、非四級化ナフタルイミド前駆体を、重合性二重結合を含むモノマーと反応させることによって四級化ナフタルイミド前駆体に導入される。構造(III)の不純物の量は、この反応工程で、重合性二重結合を含む、有意に過剰モルのモノマーを使用することによって除去または最小化することができる。これはモノマー例3のステップ3において説明され、ここで、重合性二重結合を含むアリルグリシジルエーテルモノマーを過剰に添加する。重合性二重結合を含むモノマーは、モノマー合成反応混合物中で、少なくとも50%モル過剰、少なくとも60%、または少なくとも70%、または少なくとも80%、または少なくとも90%、または少なくとも100%モル過剰としてモノマー合成反応混合物に添加することができる。しかし、構造(III)の不純物を最小化するために他の方法を使用することができることは、開示の範囲内である。
【0055】
同様に、構造(II)の四級化ナフタルイミド蛍光モノマーを使用する場合、好ましくは、モノマー組成物は、構造(VI)の四級化ナフタルイミド蛍光モノマーを実質的に含まない。
【0056】
【化11】
[式中、
m=1~10であり、
およびRおよびRは、それぞれ独立してアルキルであり、同一または異なっていてもよく、
は、ビニル、アルケニル、および(メタ)アリルからなる群から選択され、
Dは、酸素または存在せず、但し、Dが存在しない場合、(CHは環上の炭素に直接結合することを条件とし、
Xは、塩化物イオン、臭化物イオン、水酸化物イオン、メトスルフェ-ト、硫酸イオン、スルホン酸イオン、カルボン酸イオン、リン酸イオン、およびホスホン酸イオンから好ましくは選択されるアニオン対イオンであり、
66は、Hまたはアルキルである]。
【0057】
構造(VI)の化合物を実質的に含まないとは、構造(II)のモノマーを含むモノマー組成物が、組成物中のナフタルイミド化合物の総量に対して構造(VI)の非モノマー化合物を、好ましくは8mol%未満有し、好ましくは7mol%未満有し、好ましくは6mol%未満有し、より好ましくは5mol%未満、より好ましくは3mol%未満、より好ましくは2mol%未満、最も好ましくは1.5mol%未満有し、またはさらに完全に含まないことを意味する。構造(VI)のこの非モノマー化合物は、重合することができないが、まだ蛍光シグナルを発するであろう。構造(II)は、アリルアミンを使用することによって典型的に調製される。このアリルアミンは、アンモニアやアルキルアミンなどの不純物を有する可能性があり、それは(VI)の不純物をもたらす。純粋なアリルアミンを使用することによって、(VI)の不純物を最小化することができる。したがって、アリルアミンの純度は、好ましくは95%、より好ましくは98%、最も好ましくは99%である。
【0058】
もし他に示さなければ、本明細書で使用する場合、第1の物質が第2の物質を「実質的に含まない」とは、上記検討するように、第1の物質は、第1の物質100mol%に対して第2の物質を、好ましくは8mol%未満有し、好ましくは7mol%未満有し、好ましくは6mol%未満有し、より好ましくは5mol%未満有し、より好ましくは3mol%未満有し、より好ましくは2mol%未満有し、最も好ましくは1.5mol%未満有し、またはさらには完全に含まないことを意味する。
【0059】
好ましい実施形態では、ポリマーは、構造(I)のモノマーを含み、Rは、ヒドロキシであり、またはメトキシ、エトキシ、n-プロピルオキシ、イソプロピルオキシ、n-ブトキシ、イソブトキシ、およびtert-ブトキシから選択されるアルコキシであり、R41はHであり、ポリマー組成物は、構造(III)の化合物を実質的に含まない。この実施形態の特に好ましい亜属では、Rは、メタアリル、(メタ)アクリル、2-ヒドロキシ-3-(メタ)アリルオキシプロピル、1-ヒドロキシ-3-(メタ)アリルオキシプロピル、2-(ヒドロキシ)-3-(エトキシ)-プロピル、3-(アリルオキシ)-2-(3-(アリルオキシ)-2-ヒドロキシプロポキシ)-プロピル、ビニルベンジル、3-(メタ)アクリルアミドプロピル、および2-(メタ)アクリロイルオキシエチルから選択される。
【0060】
好ましい実施形態では、ポリマーが構造(I)の四級化ナフタルイミド蛍光モノマーを含み、Rがアルコキシ、アルコキシアミン、アルキル、アリル、アルカリル、またはC-Calk-O-(CHRCHO-)であり、R41はHである場合、ポリマーは、構造(IV)の四級化ナフタルイミド蛍光モノマーのハロゲン化誘導体を実質的に含まない。
【0061】
【化12】
[式中、A、B、X、R、R、およびRは上記のように定義され、R42は、クロロ、ブロモ、およびヨードから選択されるハロゲンである]。
【0062】
他の実施形態では、水処理ポリマーを作製するために重合反応混合物に添加される構造(II)の四級化ナフタルイミド蛍光モノマーを含む組成物は、特に、Dが構造(II)において酸素である場合、構造(V)のハロゲン化不純物を実質的に含まない。
【0063】
【化13】
[式中、Rは上記のように定義され、R42は、クロロ、ブロモ、およびヨードから選択されるハロゲンである]。
【0064】
驚くべきことに、構造(I)のモノマーが、同じ構造式の前駆体から調製されるが、RまたはR41がハロゲンであり、または構造(II)のモノマーが、同じ構造式の前駆体から調製されるが、R42はハロゲンである場合、これらの前駆体は、水処理ポリマー中に残留したままであれば、本明細書の実施例17において説明するように、阻害水処理ポリマーの蛍光シグナルを抑制し、発光および吸収を低波長に移動させることができる。ハロゲン誘導体は、例えば、アルコキシ基を含み、不純物として存在する構造(I)の誘導体の合成において中間体である。水系中のスケールを制御する方法では、蛍光は、構造(I)または構造(II)の四級化蛍光モノマーの最大吸収および発光で監視される。四級化ナフタルイミドモノマーが、不純物としてハロゲンモノマーを含む場合、いくつかのポリマー鎖は、四級化ナフタルイミドモノマーなどおよびハロゲン誘導体を有するであろう。最も重要なことには、ポリマーから来るシグナルがあるので、かなりの量のハロゲン誘導体不純物は、発せられたシグナルが測定される波長で下位シグナルを付与し、したがって、水系中のポリマーの量の不正確な決定が処理される。また、シグナルが低波長にシフトされるので、ハロゲン誘導体不純物の蛍光シグナルは、銅腐食防止剤として日常的に使用される水処理配合物のアゾール成分のシグナルに干渉する可能性がある。したがって、これらのハロゲン不純物を最小化、または除去する必要がある。これは、モノマー合成反応の進行を監視し、ハロゲン不純物の量が所望のレベルに低下するまで反応を継続することによって達成される。
【0065】
構造(IV)または構造(V)のハロゲン化不純物を実質的に含まないとは、ポリマーを合成するためにそれぞれ使用される構造(I)または(II)のモノマー組成物が、液体クロマトグラフィーを使用して面積パーセントで測定された場合、不純物として、構造(IV)または(V)を、好ましくは10%未満、より好ましくは5%未満有し、最も好ましくは2%未満を有し、またはさらに完全に含まないことを意味する。
【0066】
好ましい蛍光モノマーは、N-(3-ジメチルアミノプロピル)-4-メトキシ-1,8-ナフタルイミド、塩化メタリル四級塩である。
【0067】
他の好ましい蛍光モノマーは、N-(3-ジメチルアミノプロピル)-4-メトキシ-1,8-ナフタルイミド、1または2-ヒドロキシプロピル四級塩である。
【0068】
他の好ましい蛍光モノマーは、N-(3-ジメチルアミノプロピル)-4-ヒドロキシ-1,8-ナフタルイミド、1または2-ヒドロキシプロピル四級塩である。
【0069】
特に好ましい蛍光モノマーは、100mol%の(a)に対して8mol%未満の(b)N-(3-ジメチルアミノプロピル)-4-メトキシ-1,8-ナフタルイミドを含む、(a)N-(3-ジメチルアミノプロピル)-4-メトキシ-1,8-ナフタルイミド、1または2-ヒドロキシ-3-(メタ)アリルオキシプロピル四級塩である。
【0070】
四級化ナフタルイミド誘導体である蛍光モノマーは、ポリマーの10mol%未満で、好ましくはポリマーの5mol%未満で、より好ましくはポリマーの2mol%未満で、最も好ましくは1mol%未満で存在する。四級化ナフタルイミド蛍光モノマーは、ポリマーの少なくとも0.001mol%、好ましくはポリマーの少なくとも0.005mol%、好ましくは少なくとも0.01mol%、最も好ましくはポリマーの少なくとも0.05mol%で存在する。
【0071】
好ましいモノマーは、(a)Rが2-ヒドロキシ-3-(メタ)アリルオキシプロピルである構造(I)のモノマー、(b)Rが1-ヒドロキシ-3-(メタ)アリルオキシプロピルである構造(I)のモノマー、および以下の化合物
【化14】
[式中、R31、R32、およびR33は、独立してHまたはアルキルである]
の、(a):(b):(c)が20:20:1~1:1:2のモル比の混合物である。
【0072】
(iii)リン含有部分
ポリマーに組み込むことができる任意のリン含有部分は、重合性ホスホネート含有モノマー、ホスフィン酸、ホスフィネート基、ホスホン酸またはホスホネート基のうちのいずれか1つ以上に由来し得る。
【0073】
重合性ホスホネートモノマーとしては、限定されないが、ビニルホスホン酸およびビニルジホスホン酸、イソプロペニルホスホン酸、イソプロペニルホスホン酸無水物、(メタ)アリルホスホン酸、エチリデンジホスホン酸、ビニルベンジルホスホン酸、2-(メタ)-アクリルアミド-2-メチルプロピルホスホン酸、3-(メタ)-アクリルアミド-2-ヒドロキシプロピルホスホン酸、2-メタクリルアミドエチルホスホン酸、ベンジルホスホン酸エステル、および3-(メタ)アリルオキシ-2-ヒドロキシプロピルホスホン酸が挙げられる。
【0074】
ホスフィン酸またはホスフィネート基は、重合混合物に以下の構造を有する分子を含めることによって、ホスフィノ基としてポリマーに組み込まれてもよい。
【化15】
[式中、R20は、H、C-Cアルキル、フェニル、アルカリ金属またはアルカリ土類金属原子の等価物、アンモニウムイオン、またはアミン残基である]。ホスフィン酸基またはホスフィネート基をポリマーに組み込むことができるこれらの部分としては、限定されないが、次亜リン酸ナトリウムなどの次亜リン酸およびその塩が挙げられる。
【0075】
ホスホン酸またはホスホネート基は、以下の構造を有する分子を重合混合物に含めることによって、ポリマーに組み込まれてもよい。
【化16】
[式中、R20またはR21は、独立してH、C-Cアルキル、フェニル、アルカリ金属またはアルカリ土類金属原子の等価物、アンモニウムイオン、またはアミン残基である]。これらの部分としては、限定されないが、オルト亜リン酸およびその塩、ならびに亜リン酸ジメチル、亜リン酸ジエチル、および亜リン酸ジフェニルなどの誘導体が挙げられる。
【0076】
1種以上のリン部分は、20mol%以下の範囲で水処理ポリマー中に存在してもよく、他の態様では10mol%以下、さらに他の態様では5mol%以下、さらに他の態様では3mol%以下で存在してもよく、存在しなくてもよい。
【0077】
マレイン酸とホスフィノ基との共重合体は、ホスフィノ基を有さないマレイン酸単独重合体と比較して優れた炭酸塩抑制能を有する。同様に、マレイン酸とアクリル酸およびホスフィノ基との共重合体は、また、良好な炭酸塩の抑制をもたらし、50~99mol%の範囲のマレイン酸含有量を有するポリマーは、より良好な性能を有する。驚くべきことに、発明者らは、マレイン酸成分が重合混合物の70mol%を超える、マレイン酸/ホスフィノ重合混合物またはマレイン酸/アクリル酸/ホスフィノ重合混合物のいずれかでは、構造(I)または構造(II)の四級化ナフタルイミド蛍光モノマーの存在が、マレイン酸の重合を抑制するであろうということが分かった。これは、重合反応物から分離することができない大量の未反応マレイン酸を引き起こし、得られたポリマー溶液を使用不可能にする。したがって、重合反応物がホスフィノ基を含み、少なくともカルボン酸モノマーの一部がマレイン酸である場合、マレイン酸は、重合反応混合物の70mol%以下で存在するであろう。
【0078】
(iv)スルホン酸モノマー
任意の水溶性スルホン酸モノマーとしては、限定されないが、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸(「AMPS」)、ビニルスルホン酸、ナトリウム(メタ)アリルスルホン酸塩、スルホン化スチレン、(メタ)アリルオキシベンゼンスルホン酸、ナトリウム1-(メタ)アリルオキシ2ヒドロキシプロピルスルホン酸塩、エトキシル化アリルアルコールスルホン酸、ならびにそれらの組み合わせおよびそれらの塩の1つ以上が挙げられる。実施形態では、スルホン酸基は、重合後にポリマーに組み込むことができる。この種のスルホン酸基の例は、スルホメチルアクリルアミドおよびスルホエチルアクリルアミドである。例えば、ポリマーがアクリルアミドを含む場合、アクリルアミド部分は、ホルムアルデヒドおよびメタノールと反応してスルホメチルアクリルアミドを形成することができる。
【0079】
1つの実施形態では、スルホン酸モノマーの量は、ポリマーの90mol%未満であり、より好ましくはポリマーの60mol%未満であり、より好ましくはポリマーの25mol%未満であり、最も好ましくはポリマーの15mol%未満であり、存在しなくてもよい。
【0080】
好ましい実施形態では、ポリマーがスルホン酸基を含んでおり、ポリマーが炭酸塩を抑制するために使用される場合、ポリマーは、優れた炭酸塩の抑制を付与するために、ジカルボン酸、リン部分、または非イオン性基を含むべきである。
【0081】
(v)非イオン性モノマー
この開示の目的のために、非イオン性モノマーは、任意のpH領域で、水中で電荷を発現することができないモノマーとして定義される。非イオン性モノマーは、水溶性非イオン性モノマーおよび低水溶性非イオン性モノマーを含む。低水溶性非イオン性モノマーが好ましい。
【0082】
好ましい実施形態では、非イオン性モノマーは、アミン基を実質的に含まないことが好ましい。
【0083】
水溶性非イオン性モノマーに関して本明細書で使用する場合、水溶性は、モノマーの水溶解度が25℃で水100ml当たり6グラムを超えることを意味する。
【0084】
水溶性非イオン性モノマーの例としては、(メタ)アクリルアミド、N,Nジメチルアクリルアミド、アクリロニトリル、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートおよびヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートなどのヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、既に重合されたビニルアセテート基の加水分解に典型的に由来するビニルアルコール、1-ビニル-2-ピロリドン、ビニルラクタム、アリルグリシジルエーテル、(メタ)アリルアルコール、(メタ)アリルアルコールエトキシレート、アルコキシポリアルキルエングリコール、特に、メトキシポリエチレングリコール等が挙げられる。
【0085】
1つの実施形態では、非イオン性モノマーは、水溶解度が25℃で100ml当たり6g未満、好ましくは25℃で100ml当たり3g未満である非イオン性モノマーとして定義される低水溶性非イオン性モノマーである。
【0086】
低水溶性非イオン性モノマーの例としては、限定されないが、C-C18アルキルエステル、C-C18アルキル置換(メタ)アクリルアミド、芳香族モノマー、α-オレフィン、マレイン酸とイタコン酸のC-Cアルキルジエステル、ビニルアセテート、メタクリル酸グリシジル、(メタ)アクリロニトリル等が挙げられる。(メタ)アクリル酸のC-C18アルキルエステルとしては、限定されないが、メチルメタクリレート、メチルアクリレート、エチルアクリレート、n-ブチルアクリレート、n-ブチルメタクリレート、t-ブチルアクリレートおよびt-ブチルメタクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート等が挙げられる。C-C18アルキル置換(メタ)アクリルアミドとしては、限定されないが、N,N-ジエチルアクリルアミド、t-ブチルアクリルアミド、およびt-オクチルアクリルアミド等が挙げられる。芳香族モノマーとしては、限定されないが、スチレン、アルファメチルスチレン、ベンジル(メタ)アクリレート等が挙げられる。α-オレフィンとしては、プロペン、1-ブテン、ジイソブチレン、1ヘキセン等が挙げられる。好ましい非イオン性低水溶性非イオン性モノマーは、スチレン、メチル(メタ)アクリレート、ジイソブチレン、ビニルアセテート、およびt-ブチルアクリルアミドである。より好ましい非イオン性低水溶性非イオン性モノマーはスチレン、ジイソブチレン、およびt-ブチルアクリルアミドである。
【0087】
1つの実施形態では、水溶性非イオン性モノマーの量は、ポリマーの90mol%未満、より好ましくはポリマーの60mol%未満、より好ましくはポリマーの25mol%未満、最も好ましくはポリマーの15mol%未満であり、存在しなくてもよい。
【0088】
1つの実施形態では、低水溶性非イオン性モノマーの量は、ポリマーの90mol%以下、より好ましくはポリマーの60mol%未満、より好ましくはポリマーの25mol%未満、最も好ましくはポリマーの15mol%未満であり、存在しなくてもよい。
【0089】
好ましい実施形態では、ポリマーは、カルボン酸モノマー、本開示の蛍光モノマー、および低水溶性非イオン性モノマーを含む。
【0090】
重合
上に示すように、水処理ポリマーは、
(a)
(i)ポリマー100mol%に対して10~99.999mol%の量で存在する少なくとも1種の水溶性カルボン酸モノマー、またはその塩もしくは無水物、
(ii)(a)構造(I)100mol%に対して8mol%未満の構造(III)を含む構造(I)、または(b)構造(II)100mol%に対して8mol%未満の構造(VI)を含む構造(II)、の少なくとも1種の四級化ナフタルイミド蛍光モノマー
を含む重合混合物を重合するステップと、
(b)蛍光モノマーが、水処理ポリマーに90%以上の程度まで組み込まれることを確保するステップと
を含むプロセスによって調製される。
【0091】
好ましい実施形態では、蛍光モノマーは、水処理ポリマーに、少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%、より好ましくは少なくとも97%、より好ましくは少なくとも98%、より好ましくは少なくとも99%、最も好ましくは検出できない程度まで組み込まれる。
【0092】
他の好ましい実施形態では、蛍光モノマーは構造(I)を有し、各場合に、構造(I)100mol%に対して3mol%未満、または2mol%未満の構造(III)を有し、蛍光モノマーは、水処理ポリマーに少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%の程度まで組み込まれる。特に好ましい実施形態では、蛍光モノマーは構造(I)を有し、構造(I)100mol%に対して2mol%未満の構造(III)を有し、蛍光モノマーは、水処理ポリマーに少なくとも98%の程度まで組み込まれる。
【0093】
他の好ましい実施形態では、蛍光モノマーは構造(II)を有し、各場合に、構造(II)100mol%に対して3mol%未満、または2mol%未満の構造(VI)を有し、蛍光モノマーは、水処理ポリマーに少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%の程度まで組み込まれる。特に好ましい実施形態では、蛍光モノマーは構造(II)を有し、構造(II)100mol%に対して2mol%未満の構造(VI)を有し、蛍光モノマーは、水処理ポリマーに少なくとも98%の程度まで組み込まれる。
【0094】
他の好ましい実施形態では、蛍光モノマーは、N-(3-ジメチルアミノプロピル)-4-メトキシ-1,8-ナフタルイミド、塩化メタリル四級塩であり、蛍光モノマーは、水処理ポリマーに少なくとも98%の程度まで組み込まれる。
【0095】
他の好ましい実施形態では、蛍光モノマーは、N-(3-ジメチルアミノプロピル)-4-メトキシ-1,8-ナフタルイミド、1または2-ヒドロキシプロピル四級塩であり、蛍光モノマーは、水処理ポリマーに少なくとも98%の程度まで組み込まれる。
【0096】
さらに他の好ましい実施形態では、蛍光モノマーは、N-(3-ジメチルアミノプロピル)-4-ヒドロキシ-1,8-ナフタルイミド、1または2-ヒドロキシプロピル四級塩であり、蛍光モノマーは、水処理ポリマーに少なくとも98%の程度まで組み込まれる。
【0097】
さらに他の特に好ましい実施形態では、蛍光モノマーは、100mol%の(a)に対して3mol%未満の(b)N-(3-ジメチルアミノプロピル)-4-メトキシ-1,8-ナフタルイミドを含む、(a)N-(3-ジメチルアミノプロピル)-4-メトキシ-1,8-ナフタルイミド、1または2-ヒドロキシ-3-(メタ)アリルオキシプロピル四級塩であり、蛍光モノマーは、水処理ポリマーに少なくとも98%の程度まで組み込まれる。
【0098】
1つの実施形態では、重合混合物はさらに、
(iii)水処理ポリマー100mol%に対して0~20mol%の量で存在する少なくとも1種のリン部分、
(iv)水処理ポリマー100mol%に対して0~40mol%の量で存在する少なくとも1種のスルホン酸モノマー、
(v)水処理ポリマー100mol%に対して0~20mol%の量で存在する少なくとも1種の非イオン性モノマー
を含む。
【0099】
蛍光水処理ポリマーの重合は、当該技術で公知のように、開始剤が存在する状態で、標準重合条件下で適切な溶媒中で実行される。1つの態様では、反応溶媒は、水、または水とイソプロパノールなどのアルコールとの混合物とすることができる。得られたポリマー溶液は、適切な塩基で所望のpHに中和することができる。中和は、重合前、重合中もしくは重合後、またはそれらの組み合わせで行うことができる。
【0100】
ポリマー組成物は、採用された反応条件下でフリーラジカルを遊離することができる任意の開始剤または開始系が存在する状態で、水媒体中で重合混合物から好ましくは調製される。フリーラジカル開始剤は、全モノマーの重量に対して約0.01重量%~約3重量%の量で存在する。実施形態では、開始系は、25℃で水中に少なくとも0.1重量パーセントまで可溶性である。適切な開始剤としては、限定されないが、過酸化物、アゾ開始剤の他に、エリソルビン酸などのレドックス系、および金属イオンに基づく開始系が挙げられる。開始剤は、さらに、過酸化水素、過酸化ベンゾイル、過酸化アセチル、および過酸化ラウリルなどの無機および有機過酸化物の両方、クメンヒドロペルオキシドおよびt-ブチルヒドロペルオキシドなどの有機ヒドロペルオキシドが挙げられる。実施形態では、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム、および過硫酸アンモニウムなどの無機過酸化物が好ましい。他の実施形態では、開始剤は、Feおよび過酸化水素、その他に他の過酸化物と組み合わせたFeを含む金属イオンに基づく開始系を含む。過酢酸などの有機過酸を使用することができる。過酸化物および過酸は、亜硫酸水素ナトリウム、ナトリウムホルムアルデヒド、またはアスコルビン酸、遷移金属、ヒドラジンなどの還元剤で任意に活性化することができる。好ましい系は、過硫酸ナトリウムまたはアンモニウム、または鉄を備えたレドックス系および過酸化水素を備えた過硫酸塩などの過硫酸塩のみである。アゾ開始剤、特に水溶性アゾ開始剤も使用してもよい。水溶性アゾ開始剤としては、限定されないが、2,2’-アゾビス[2-(2-イミダゾリン-2-イル)プロパン]二塩酸塩、2,2’-アゾビス[2-(2-イミダゾリン-2-イル)プロパン]二硫酸塩二水和物、2,2’-アゾビス(2-メチルプロピオンアミジン)二塩酸塩、2,2’-アゾビス[N-(2-カルボキシエチル)-2-メチルプロピオンアミジン]水和物、2,2’-アゾビス{2-[1-(2-ヒドロキシエチル)-2-イミダゾリン-2-イル]プロパン}二塩酸塩、2,2’-アゾビス[2-(2-イミダゾリン-2-イル)プロパン]、2,2’-アゾビス(1-イミノ-1-ピロリジノ-2-エチルプロパン)二塩酸塩、2,2’-アゾビス{2-メチル-N-[1,1-ビス(ヒドロキシメチル)-2-ヒドロキシエチル]プロピオンアミド}、2,2’-アゾビス[2-メチル-N-(2-ヒドロキシエチル)プロピオンアミド]等が挙げられる。
【0101】
好ましい実施形態では、蛍光モノマーは、水処理ポリマーに、未反応蛍光モノマーができるだけ低いまたは検出できない程度まで組み込まれる。すべての重合反応の終わりに未反応蛍光モノマーの量を測定することは重要である。反応の間に試料をとり、反応に対する未反応蛍光モノマーを測定して蛍光モノマーの組み込みを可能な限り確保し、最小量の未反応蛍光モノマーを確保することは重要である。未反応蛍光モノマーが所望するよりも高い場合、それはいくつかの方法で最小化することができる。他のモノマーに対する蛍光モノマーの供給速度を調整して蛍光モノマーの組み込みをさらに得、残留蛍光モノマーが最小化されることを確かめる必要がある。蛍光モノマー濃度が反応の間に増加している場合、それは他のモノマーが好ましくは互いに反応していることを意味する。その場合には、蛍光モノマー供給時間を短くする、および/または他のモノマーの供給時間を長くする。これにより、蛍光モノマーは、他の(おそらくより反応性の)モノマーと反応する高い可能性がある。しかし、蛍光モノマーを急激に使い切った場合、逆のことを行う必要がある。その場合に、蛍光モノマー供給時間を長くする、および/または他のモノマーの供給時間を短くする。これにより、蛍光モノマーは、他の(おそらく反応性のより低い)モノマーと反応する高い可能性がある。
【0102】
当業者は、アクリル酸または2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸などのモノマーが反応的であり、未反応蛍光モノマーを、特にそれがアリル基を有する場合残し得ることを実現するであろう。この場合、蛍光モノマーの一部を充填物に添加し、他の部分を単独でまたは他のモノマーとともに供給し、またはモノマー供給を上に詳述するように調整してもよい。
【0103】
ほとんどの場合、初期充填中に蛍光モノマーをすべて有することは好ましくない。しかし、蛍光モノマーおよび他のモノマーの両方が非反応性である場合、それらは両方とも充填物に入っていてもよい。蛍光モノマーがアリルであり、他のモノマーがマレイン酸や(メタ)アリルスルホン酸塩等のアリルのように非反応性である場合が当てはまる。
【0104】
ポリマー実施例29において説明するように、開始剤の供給は、全モノマーの供給と同じくらい長い必要があり、または15~30分モノマーの供給を超えてもよい。未反応蛍光モノマーを最小化する他の方法としては、限定されないが、温度を上昇させる、モノマーの総量に対して開始剤の濃度を増加させる、または開始剤の種類を変更することが挙げられる。さらに、最適pHを見つけて蛍光モノマーを反応させることが役立つことがある。イソプロピルアルコールのようなアルコールなどの共溶媒を添加することが、特に未反応蛍光モノマーが二重結合に結合した芳香族基(Rは構造(I)中のビニルベンジルである)を含む場合に役立つであろう。
【0105】
ポリマーの分子量は、例えば、メルカプタン、第二鉄塩および第二銅塩、重亜硫酸塩、およびより低級二級アルコール、好ましくはイソプロパノールなどの連鎖移動剤を含む本技術において使用される各種化合物によって制御されてもよい。好ましい重量平均分子量は、50000未満、好ましくは30000未満、最も好ましくは20000未満である。好ましい重量平均分子量は、1000を超え、より好ましくは2000を超える、最も好ましくは3000を超える。
【0106】
中和
当業者は、カルボン酸モノマーが、重合前に、または重合中に典型的に部分的にまたは完全に中和されてモノマーの反応性を増大させ、それらのポリマーへの組み込みを向上させることを認識するであろう。ポリマーは、酸として供給される、または部分的に中和されてもよい。これにより、水処理配合者が低pH酸性配合物および高pHアルカリ配合物中でこれらのポリマーを配合することが可能となる。
【0107】
適切な中和剤としては、限定されないが、アルカリまたはアルカリ土類金属水酸化物、アンモニアまたはアミンが挙げられる。中和剤は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウム、またはそれらの混合物とすることができる。適切なアミン中和剤としては、限定されないが、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等が挙げられる。
【0108】
アンモニアまたはアミンを利用することができるが、1つの実施形態では、ポリマーは、アンモニウムまたはアミン塩を実質的に含まない。アンモニウムまたはアミン塩を実質的に含まないとは、ポリマー中の酸性基は、10モルパーセント未満のアンモニアまたはアミン中和剤、好ましくは5モルパーセント未満のアンモニアまたはアミン中和剤、より好ましくは2モルパーセント未満のアンモニアまたはアミン中和剤で中和され、最も好ましくは全く中和されない。他の実施形態では、過硫酸アンモニウムなどのアンモニウムまたはアミン含有開始剤、または連鎖移動系は利用されない。驚くべきことに、アンモニウムまたはアミン塩が存在すると、ポリマーの次亜塩素酸塩漂白剤の安定性が減少することが分かった。ポリマーは次亜塩素酸塩漂白剤に安定である。1つの実施形態では、最初の遊離塩素の半分以上が10ppmの活性ポリマーが存在する状態で25℃、pH9で1時間後に維持される場合に、ポリマーは、pH9で次亜塩素酸塩漂白剤を維持する。
【0109】
腐食防止剤
水処理配合物は、腐食防止剤などの他の成分を含んでいてもよい。これらの腐食防止剤は、水処理系中に存在し得る銅、鋼、アルミニウム、または他の金属の耐食を防止することができる。アゾールは、銅腐食防止剤としてこれらの水処理配合物において典型的に使用される。ベンゾトリアゾールは、酸性配合物で典型的に配合される。トリルトリアゾールは、アルカリ性配合物に配合される。腐食防止剤が使用される場合、配合者は、選択した腐食防止剤に適しているpH領域を選択して、選択したpH領域でこれらのアゾールの所望の溶解度を達成する。当業者は、他のアゾールまたはアゾール非含有銅腐食防止剤がこれらのポリマーと組み合わせて使用されてもよいことを認識するであろう。さらに、他の金属の耐食を防止する腐食防止剤も使用することができる。
【0110】
水処理配合物およびその使用方法
本明細書の方法に従って、ポリマー組成物は、水性系に直接投入されてもよく、または様々な水処理組成物に配合され、次いでこれが水性系に投入されてもよい。
【0111】
次いで、投入を受けた水系の蛍光発光を監視する。そのような監視は、例えば、米国特許第5,171,450号明細書、米国特許第5,986,030号明細書、および米国特許第6,280,635号明細書に開示するような公知技術を使用して達成することができる。インライン監視などの蛍光監視は、ユーザーが水性系中でスケールを緩和するために使用される水処理ポリマーの量を監視することを可能にする。これは、カルシウムおよび/または炭酸マグネシウムスケーリングが問題であるストレス系において特に役立つ。
【0112】
ストレス系は、本明細書で使用する場合、ランゲリア飽和指数が少なくとも2.0である系を意味する。ランゲリア飽和指数またはLSIは、水中でカルシウムおよび/または炭酸マグネシウム析出の電位を予測するために使用される一般的な方法である。この指数は、水の現在の状態で、問題の水の実際のpHとカルシウムおよび/または炭酸マグネシウムの飽和pHとの差に基づく(実際のpH-飽和pH=LSI係数)。その結果、LSI係数0は、水が平衡状態にあることを示す。0を超えるLSI係数は、水が過飽和されることを示し、何らかの処理なしで炭酸カルシウムおよび/または炭酸マグネシウムを析出する。LSIが大きいほど、析出およびスケーリングのための推進力は大きい。多くの要因がLSIの増加に寄与することができる。pH値を増加させることは、LSIの増加に直接効果を有する。カルシウムおよび/またはマグネシウム、およびアルカリ濃度を増加させること、温度を上昇させること、伝導度を増加させることは、すべて間接的に、問題の水の飽和pHを低下させることによって、LSI係数を増加させる。2.0を超えるLSI係数は、2.5~3.0の係数が非常に高ストレスと考えられる当該分野で、一般に考えられるストレス状態である。オルトリン酸塩の量の最小化には、より高度なストレス系をもたらす腐食を最小化するためにより高いpHの使用を必要とする。したがって、オルトリン酸塩が少ない、またはオルトリン酸塩処理系を有しないことは有利である。この開示の目的のために、少ないオルトリン酸塩系は、10ppm未満のオルトリン酸塩、より好ましくは8ppm未満のオルトリン酸塩、最も好ましくは6ppm未満のオルトリン酸塩を意味する。オルトリン酸塩系を有しないとは、オルトリン酸塩が1ppm未満または好ましくは0ppmであることを意味する。上に引用するような水系中に存在し得るオルトリン酸塩が、開示の水溶性蛍光水処理ポリマーの成分(iii)の任意のホスフィノ基部分、ホスホノ基部分、およびペンダントホスホネート基部分とは異なることに留意されたい。
【0113】
本明細書に開示するような水処理ポリマーは、非ストレス水系およびLSI値が2以上のストレス水系の両方に有効である。1つの態様では、蛍光水処理ポリマーが、100ppm以下の初期処理率で、1つの実施形態では、50ppm以下の初期処理率、1つの実施形態では25ppm以下の初期処理率、1つの実施形態では20ppm以下の初期処理率、1つの実施形態では10ppm以下の初期処理率、1つの実施形態では5ppm以下の初期処理率でLSIが2の系に投入される場合、開示する蛍光水処理ポリマーの使用により、少なくとも80%の炭酸塩の抑制が達成され、ここで、ポリマー濃度はすべて活性ポリマーの量に関して述べられ、炭酸塩の抑制は、実施例8に記載した試験プロトコルを使用して測定される。大量の水が低レベルの堆積物を維持するために連続的に処理されるある非ストレス水性系では、ポリマーは、0.5ppmのような低いレベルで使用されてもよい。使用するポリマーのレベルの上下限範囲は、処理される特有の水性系に依存するであろう。蛍光発光を測定することによって水系中のポリマーの量を正確に監視することによって、ポリマーの最小量の使用が可能となる。これは、好ましい経済的影響および環境影響の両方を有する。
【0114】
当業者は、開示した方法の蛍光水処理ポリマーが、不活性トレーサーを含む配合物において使用することができることを認識するであろう。これらのトレーサーとしては、限定されないが、2-ナフタレンスルホン酸、ローダミン、フルオレセイン、および1,3、6、8-ピレンテトラスルホン酸、四ナトリウム塩(PTSA)が挙げられる。これは、米国特許第5,171,450号明細書および米国特許第6,280,635号明細書に記載されるような系の完全な監視を可能にする。
【0115】
凝集および凝固用ポリマー
凝集および凝固用ポリマーは、上記するように、少なくとも1種の水溶性カチオン性エチレン性不飽和モノマーおよび/または少なくとも1種の水溶性非イオン性モノマーを含む。
【0116】
本明細書で使用する場合、用語「カチオン性エチレン性不飽和モノマー」は、それが四級化されるので、水溶液中の正電荷を発現することができる、または正電荷を常に有するエチレン性不飽和モノマーを意味する。本開示の実施形態では、カチオン性エチレン性不飽和モノマーは、少なくとも1つのアミン官能基を有する。
【0117】
本明細書で使用する場合、用語「アミン塩」は、アミン官能基の窒素原子が、共有結合して1~3つの有機基を形成し、アニオンに会合することを意味する。
【0118】
凝集または凝固の目的のための水溶性非イオン性またはカチオン性モノマーに関して本明細書で使用する場合、「水溶性」は、モノマーの水溶解度が、25℃で水100ml当たり6グラムを超えることを意味する。
【0119】
カチオン性エチレン性不飽和モノマーとしては、限定されないが、N,Nジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート、N-アルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート、N,Nジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリルアミド、およびN-アルキルアミノアルキル(メタ)アクリルアミドが挙げられ、ここで、アルキル基は、独立してC1-18直鎖状、分枝鎖状、または環状部分である。ビニルピリジンなどのモノマーを含む芳香族アミンを使用してもよい。さらに、加水分解でアミン部分を発生するビニルホルムアミド、ビニルアセトアミドなどの非環式モノマーを使用してもよい。好ましくは、カチオン性エチレン性不飽和モノマーは、N,N-ジメチルアミノエチルメタクリレート、tert-ブチルアミノエチルメタクリレート、N,N-ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド、3-(ジメチルアミノ)プロピルメタクリレート、2-(ジメチルアミノ)プロパン-2-イルメタクリレート、3-(ジメチルアミノ)-2,2-ジメチルプロピルメタクリレート、2-(ジメチルアミノ)-2-メチルプロピルメタクリレート、および4-(ジメチルアミノ)ブチルメタクリレートの1つ以上、ならびにそれらの混合物から選択される。最も好ましいカチオン性エチレン性不飽和のモノマーは、N,N-ジメチルアミノエチルメタクリレート、tert-ブチルアミノエチルメタクリレート、およびN,N-ジメチルアミノプロピルメタクリルアミドである。
【0120】
四級化されるカチオン性エチレン性不飽和モノマーとしては、限定されないが、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート塩化メチル四級塩、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート塩化ベンジル四級塩、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート硫酸メチル四級塩、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド塩化メチル四級塩、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド硫酸メチル四級塩、ジアリルジメチル塩化アンモニウム、(メタ)アクリルアミドプロピルトリメチル塩化アンモニウム等が挙げられる。
【0121】
この目的のための水溶性非イオン性モノマーの例としては、(メタ)アクリルアミド、N,Nジメチルアクリルアミド、アクリロニトリル、ヒドロキシ-エチル(メタ)アクリレートおよびヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、既に重合されたビニルアセテート基の加水分解に典型的に由来するビニルアルコール、1-ビニル-2-ピロリドン、ビニルラクタム、アリルグリシジルエーテル、(メタ)アリルアルコール等が挙げられる。好ましいモノマーは、(メタ)アクリルアミドである。高分子量ポリアクリルアミドポリマーは、逆相乳化重合によって典型的に製造される。この開示の蛍光モノマーは、これらのモノマーを重合プロセスのアクリルアミド水相に溶解することによってこれらのポリマーに組み込むことができる。
【0122】
ポリマーを水処理系において凝固または凝集に使用する場合、方法は、
(a)水系に水処理ポリマーを投入するステップと、
(b)水処理系から発せられる蛍光シグナルを監視するステップと
を含む。
【0123】
クリーニング用途用ポリマー
クリーニング用途用ポリマーは、本明細書に記載するように、少なくとも1種の非四級化蛍光ナフタルイミド誘導体モノマーから形成される。1つの実施形態では、開示は、所与の区域がクリーニングされたかどうかを決定する方法であって、
(a)ポリマーを区域に適用するステップと、
(b)区域を少なくとも1回クリーニングするステップと、
(c)前記クリーニング後に区域に残る蛍光ナフタルイミド誘導体の存在を検出することを試みるステップであり、存在が検出された場合、追加のクリーニングが必要であることを示す、ステップと
を含む、方法に関する。
【0124】
理想的には、蛍光ナフタルイミド誘導体が、クリーニング後に区域に残っていると検出される場合、残留蛍光ナフタルイミド誘導体をもはや検出することができなくなるまで、必要に応じて区域は再びクリーニングされるべきであり、残留蛍光ナフタルイミド誘導体を検出することができないことは、区域が完全にクリーンであることを示す。
【0125】
1つの実施形態では、ポリマーは、偶発的な接触によってではなく、クリーニングされる表面上で、迅速に乾燥し、透明であり、容易に除去される、膜形成組成物の一部としてもたらされる。表面上に堆積された膜は、蛍光ナフタルイミド誘導体の存在により、紫外線光下で蛍光を発し、UVフラシュライトなどの携帯UV発光光源での検査によって容易に可視化することができる。
【0126】
適切な組成物ならびにそれらの調製および使用は、米国特許公開第2016/0002525号明細書に記載されており、その全体の内容は参照としてここに組み込まれる。典型的には、組成物は、溶媒および増粘剤を含むであろう。使用可能状態の配合物は、1つの実施形態では、約1~約30重量%の蛍光ポリマー、約60~約99重量%の溶媒、および約0.05~約1重量%の増粘剤を含むであろう。好ましくは、使用可能状態の組成物は、約4~約25重量%の蛍光ポリマー、約50~約95重量%の溶媒、および約0.1~約0.4重量%の増粘剤を含む。より好ましくは、使用可能状態の組成物は、約8~約16%の蛍光ポリマー、約67~約91重量%の溶媒、約0.1~約0.4重量%の増粘剤、約0.1~約0.7重量%の防腐剤、および任意のpH調整剤を含む。組成物は、濃縮物として配合することもでき、その場合には、界面活性剤に対する蛍光ポリマーの重量比、増粘剤に対する蛍光ポリマーの重量比、または成分の他の相対的比率は、使用可能状態の組成物と同様であるが、組成物はより少ない量の溶媒を含むであろう。
【0127】
1つの実施形態では、溶媒は、水、メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、n-ブタノール、2-ブタノール、イソブタノール、n-ペンタノール、アミルアルコール、4-メチル-2-ペンタノール、2-フェニルエタノール、n-ヘキサノール、2-エチルヘキサノール、ベンジルアルコール、エチレングリコール、エチレングリコールフェニルエーテル、エチレングリコールモノ-n-ブチルエーテルアセテート、プロピレングリコール、プロピレングリコールモノおよびジアルキルエーテル、プロピレングリコールフェニルエーテル、プロピレングリコールジアセテート、ジプロピレングリコール、ジプロピレングリコールモノおよびジアルキルエーテル、トリプロピレングリコールモノおよびジアルキルエーテル、1,3-プロパンジオール、2-メチル-1,2-ブタンジオール、3-メチル-1,2-ブタンジオール、グリセリン、ギ酸メチル、ギ酸エチル、ギ酸n-プロピル、ギ酸イソプロピル、ギ酸n-ブチル、酢酸メチル、酢酸n-プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸イソブチル、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸プロピル、ジメチルホルムアミド、プロピオン酸n-プロピル、プロピオン酸n-ブチル、プロピオン酸n-ペンチル、酢酸アミル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトン、エチルアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、ギ酸、酢酸、プロパン酸、ブタン酸、アセトン、アセトニトリル、アセトアルデヒド、ジメチルスルホキシド、テトラヒドロフラン、またはそれらの混合物から好ましくは選択される。
【0128】
1つの特に好ましい実施形態では、溶媒は水を含む。水は、脱イオン水、水道水、軟水、およびそれらの組み合わせを含めて任意の源からとすることができる。組成物中の水の量は、約40~約99重量%、好ましくは約60~約95重量%、より好ましくは約70~約90重量%の範囲である。
【0129】
1つの実施形態では、増粘剤は、キサンタンガム、グアーガム、変性グアー、多糖、プルラン、アルギナート、変性スターチ、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、疎水変性ヒドロキシエチルセルロース、疎水変性ヒドロキシプロピルセルロース、ポリアクリレート、ビニルアセテート/アルコール共重合体、カゼイン、ウレタン共重合体、ジメチコーンPEG-8ポリアクリレート、ポリ(DL-乳酸-コ-グリコール酸)、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ペクチン、またはそれらの組み合わせから好ましくは選択される。
【0130】
組成物は、さらに、界面活性剤、防腐剤、pH調整剤、およびそれらの組み合わせを含むこともできる。
【実施例
【0131】
モノマーの合成
モノマーの合成は、出発原料として4-クロロ-1,8-ナフタル無水物を使用する多段階プロセスである。第1のステップでは、無水物はアミドに変換され、このステップは、トルエンなどの非水溶媒において実行されてもよい。アミドは、次いで後続反応ステップにおいて所望に応じて他の基と置換されてもよく、それはメタノールまたはプロパノールなどのアルコールベースの溶媒系で行うことができる。最終生成物中の不純物として望ましくない中間体の存在を最小化するために、選択されたモル過剰量の反応物を使用することができ、反応の進行を監視して反応が実質的に完了することを確保することができる。反応物の低速添加は、所望の最終生成物へのより完全な変換を促進することもできる。
【0132】
モノマー例1:
N-(3-ジメチルアミノプロピル)-4-メトキシ-1,8-ナフタルイミド、塩化メタリル四級塩の合成。構造(I)で:RおよびR41は、H、メトキシから独立して選択され、または両方ともメトキシであり、RおよびRは両方ともCH(Cアルキル)であり、Rはメタリルであり、Aはプロピル(Cアルキル)であり、Bは窒素であり、Xはクロリドである。モノマーは、最小残存量のN-(3-ジメチルアミノプロピル)-4-メトキシ-1,8-ナフタルイミド(構造(III)に対応する)を有する。構造(III)で:RおよびR41は、H、メトキシから独立して選択され、または両方ともメトキシであり、RおよびRは両方ともCH(Cアルキル)であり、Aはプロピル(Cアルキル)であり、Bは窒素である。
【0133】
ステップ1:N-(3-ジメチルアミノプロピル)-4-クロロ-1,8-ナフタルイミドの合成
【化17】
【0134】
滴下漏斗窒素取込口/排出口、熱電対、磁気撹拌子、および加熱マントルを備えたフラスコに、4-クロロ-1,8-ナフタル無水物48.9g(0.2102mol)(Alfa Aeserから得られた純度>94%)およびトルエン700mLを添加した。LC分析は、それが4,5-ジクロロ-1,8-ナフタル無水物画分の3面積%を有していることを示した。次に、N-ジメチルアミノプロピルアミン(DMAPA)22.6g(0.2212mol)を、滴下漏斗内に入れ、室温で15分間フラスコにゆっくり添加した。添加中に22℃~32℃までの発熱を観察した。
【0135】
滴下漏斗をディーンスターク蒸留ヘッドと取り替えた。反応混合物を、次いで45℃に30分間加熱し、温度を、60℃に45分間、70℃に69分間、90℃に140分間、110℃に135分間、115℃に85分間徐々に上昇させた。反応混合物を反応の間に異なるポイントで、薄層クロマトグラフィー(TLC)で検査し、無水物がもはや存在しなかった場合に停止した。水を合計1.6グラム蒸留した。
【0136】
溶媒を、回転蒸発によって除去し、得られた湿った固体の真空処理後に黄色乾燥粉末65.6g(0.2070mol、収率:99%)を得た。生成物のH-NMRスペクトルによりターゲット構造を確認した。
【0137】
ステップ2:N-(3-ジメチルアミノプロピル)-4-メトキシ-1,8-ナフタルイミドの合成
【化18】
【0138】
ステップ1からのN-(3-ジメチルアミノプロピル)-4-クロロ-1,8-ナフタルイミド(0.0971mol)30.76g、およびメタノール275gを、滴下漏斗、窒素取込口/排出口、磁気撹拌子、熱電対、および加熱マントルを備えたフラスコ内に入れた。混合物を50℃に加熱し、均一溶液になった。5.4Mナトリウムメトキシドを含むメタノール溶液28mL(0.1512mol)を、滴下漏斗内に入れた。ナトリウムメトキシド溶液を、フラスコに45分間ゆっくり添加した。反応温度を65℃に上昇させた。反応を、この温度で10時間撹拌し続けた。TLC分析をこの間に数回実行して反応進行を監視した。反応がTLC分析に基づいて不完全のようであったので、ナトリウムメトキシド溶液8mL(0.0432mol)をさらに添加した。合計0.1944モルのナトリウムメトキシドを使用して2:1のモル過剰量をもたらした。
【0139】
反応混合物を冷却し、酢酸5.2g(0.0872mol)を添加して、残留ナトリウムメトキシドを中和した。ロータリーエバポレーターを使用して、反応混合物から溶媒を除去した後にスラリーを得た。このスラリーに酢酸エチル200mLを添加し、得られた混合物を真空ろ過して不溶性塩を除去した。酢酸エチルをろ液から蒸発させて黄色固体を得た。ヘプタン/酢酸エチル溶液またはヘプタン溶液のいずれかから黄色固体を再結晶することによって最終生成物を得た。3つの再結晶物を得た:ヘプタン/酢酸エチルから第1の再結晶物15.32グラム、ヘプタンからの第2の再結晶物8.92グラム、ヘプタンからの第3の再結晶物2.8グラム、合計27.9グラム、0.0893mol、収率:92%。H-NMRスペクトルによりターゲット構造を確認した。
【0140】
ステップ2:N-(3-ジメチルアミノプロピル)-4-メトキシ-1,8-ナフタルイミド、塩化メタリル四級塩の合成
【化19】
【0141】
ステップ2からのN-(3-ジメチルアミノプロピル)-4-メトキシ-1,8-ナフタルイミド26.88g(0.0861mol)、炭酸水素ナトリウム1.24g(0.0148mol)、およびイソプロパノール150gを、磁気撹拌子、熱電対、窒素取込口/排出口、および滴下漏斗を備えたフラスコ内に入れた。その混合物を55℃に加熱した。混合物はこの温度で均質になった。
【0142】
塩化メタリル12.49g(0.1349mol)を滴下漏斗内に入れ、55℃で30分間反応物に添加した。反応の温度をその後65℃に上昇させ、この温度で3時間撹拌した。アリコートを得、溶媒を取り除いた。この試料のHCl滴定は、0.3meq/gの遊離アミンを示した(出発アミンについては3.2meq/g)。これは、出発アミンの9.3%が未反応と計算される。
【0143】
反応物を65℃でさらに2時間撹拌し、次いで、HCl滴定は0.27meq/gを示した。塩化メタリル5.55g(0.0613mol)を次いで反応混合物に添加し、混合物を65℃でさらに2.5時間撹拌した。HCl滴定は、0.11meq/gの遊離アミンを示した。これは、出発アミンの3.4%が未反応と計算される。これは、アミンについての反応を連続的に監視し、必要に応じてさらなる反応物を添加することによって、どのように構造(III)のアミンを最小化することができるかを示す。
【0144】
冷却後、炭酸水素ナトリウムをろ別し、溶媒を取り除いて得られる溶液の体積を原体積のおよそ3分の1に低減した。この溶液を室温で放置し、生成物を終夜再結晶させた。結晶化材料を真空ろ過によって集め、集めた黄色固体を真空下で乾燥した。橙色/黄色固体29.7グラム(回収率:86%)を得た。H-NMR分析は、得られた材料がターゲット構造に一致することを示した。
【0145】
試料を、メタノール中に約8mg/mlで溶解した後に、HPLC/UV300nm/ELSD/MSによって分析し、N-(3-ジメチルアミノプロピル)-4-メトキシ-1,8-ナフタルイミド、塩化メタリル四級塩(87.1面積%)、N-(3-ジメチルアミノプロピル)-1,8-ナフタルイミド、塩化メタリル四級塩(4.3面積%)、N-(3-ジメチルアミノプロピル)-4-メトキシ-1,8-ナフタルイミド(構造(III)に対応する(1.41面積%)、N-(3-ジメチルアミノプロピル)-クロロ-1,8-ナフタルイミド、塩化メタリル四級塩(構造(IV)に対応する)(1.5面積%)、およびN-(3-ジメチルアミノプロピル)-4,5-ジメトキシ-1,8-ナフタルイミド、塩化メタリル四級塩(3.01面積%)を含むことが分かり、後者は構造(I)に対応し、ここで、RまたはRはメチルであり、Rは(メタ)アリルであり、Aはプロピルであり、Bは窒素であり、XはCl対イオンであり、RおよびR41は両方ともメトキシである。これは、出発4-クロロ-1,8-ナフタル無水物材料中の4,5-ジクロロ-1,8-ナフタル無水物画分から製造した。RおよびR41が両方ともメトキシである画分は、RおよびR41がHまたはメトキシである主生成物の端でより強い蛍光シグナルを有する。したがって、この部分のより高い画分が望ましい。従って、出発4-クロロ-1,8-ナフタル無水物材料中の4,5-ジクロロ-1,8-ナフタル無水物画分のより高い画分が好ましい。
【0146】
HPLC条件
カラム Agilent Porashell C8 4mm x 50mm
時間0 100% 25mm ギ酸アンモニウム 20%アセトニトリル/0%メタノール中でpH3.0
時間10 30% 25mmAF 20%アセトニトリル/70%メタノール中でpH3.0
流量 1.0ml/分
マススペックのための陽イオン検出
【0147】
モノマー例2:
N-(3-ジメチルアミノプロピル)-4-(メタ)アリルオキシ-1,8-ナフタルイミド、2-ヒドロキシプロピルクォトの合成
【0148】
構造(I)で:Rは(メタ)アリルオキシであり、R41はHであり、BはNであり、Aはプロピルであり、RおよびRはメチルであり、Rは2ヒドロキシプロピルであり、Xは水酸化物対イオンである。
【0149】
【化20】
【0150】
ステップ1:N-(3-ジメチルアミノプロピル)-4-クロロ-1,8-ナフタルイミドの合成
モノマー例1のステップ1参照
【0151】
ステップ2:N-(3-ジメチルアミノプロピル)-4-(メタ)アリルオキシ-1,8-ナフタルイミドの合成
水酸化カリウム(7.83g、0.1400mol)および(メタ)アリルアルコール(388.8g、5.40mol)を、窒素取込口/排出口、熱電対、加熱マントル、および機械式撹拌機を備えたフラスコに入れる。混合物を50℃で撹拌して水酸化カリウムを溶解する。水酸化カリウムを完全に溶解した後、N-(3-ジメチルアミノプロピル)-4-クロロ-1,8-ナフタルイミド(65.6g、0.194mol)を粉末として一度に溶液に添加する。反応物を55℃で加熱し、TLC分析によって監視した。3時間後の温度で、TLC分析は不完全な反応を示した。さらなる水酸化カリウム(3.38g、0.0602mol)を添加し、反応物をさらに60℃に加熱する。さらなるサンプリングには、水酸化カリウム(添加合計KOH=27.58g、0.4915mol)の4以上の添加が要求され、反応物は、合計22時間55~60℃である。室温に冷却した後、生成物を溶液から沈殿させる。固体生成物を真空ろ過によって集め、フラスコをイソプロパノールで洗浄した。固体を集め、水で洗浄して形成される塩化カリウム塩を取り除く。混合物をもう一度ろ過し、得られた固体を真空で乾燥させて、粉末生成物を得る。
【0152】
ステップ3:クォト誘導体の合成
N-(3-ジメチルアミノプロピル)-4-(メタ)アリルオキシ-1,8-ナフタルイミド、2-ヒドロキシプロピルクォト
100mlの丸底フラスコに、上記ステップ2の粉末N-(3-ジメチルアミノプロピル)-4-(メタ)アリルオキシ-1,8-ナフタルイミド(9.6mmol)3.38g、水40gを充填し、プロピレンオキシド1.16g(20mmol)を次いで添加した。混合物を4時間60℃に加熱して、水溶性の透明な生成物を得た。
【0153】
モノマー例3:
4-メトキシ-N-(3-ジメチルアミノプロピル)-1,8-ナフタルイミド、1または2-ヒドロキシ-3-アリルオキシプロピル、四級塩。構造(I)で:RおよびR41は、H、メトキシから独立して選択され、または両方ともメトキシであり、RおよびRの両方ともCH(Cアルキル)であり、Rは2-ヒドロキシ-3-(メタ)アリルオキシプロピルまたは1-ヒドロキシ-3-(メタ)アリルオキシプロピルであり、Aはプロピル(Cアルキル)、Bは窒素であり、Xは水酸化物である。モノマーは、100%過剰なアリルグリシジルエーテルを使用する、最小残存量のN-(3-ジメチルアミノプロピル)-4-メトキシ-1,8-ナフタルイミド(構造(III)に対応する)を有する。構造(III)で:RおよびR41は、H、ヒドロキシから独立して選択され、または両方ともヒドロキシである。RおよびRは両方ともCH(Cアルキル)であり、Aはプロピル(Cアルキル)であり、Bは窒素である。
【0154】
ステップ3:N-(3-ジメチルアミノプロピル)-4-クロロ-1,8-ナフタルイミドの合成
【化21】
【0155】
滴下漏斗、窒素取込口/排出口、熱電対、磁気撹拌子、および加熱マントルを備えたフラスコに、4-クロロ-1,8-ナフタル無水物(0.2102mol)(Alfa Aesar製純度:>94%)48.9gおよびトルエン700mLを添加した。4-クロロ-1,8-ナフタル無水物は、LCによるおよそ3面積%の4,5-クロロ-1,8-ナフタル無水物を有することが分かった。4,5-クロロ-1,8-ナフタル無水物は、RおよびR41が両方ともメトキシであるモノマー構造を生成し、RおよびR41がHおよびメトキシから独立して選択されるモノマーよりも強い蛍光シグナルを有する。したがって、出発4-クロロ-1,8-ナフタル無水物材料中により高い画分の4,5-クロロ-1,8-ナフタル無水物を有していることは有利である。次に、N-ジメチルアミノプロピルアミン(DMAPA)22.6g(0.2212mol)を滴下漏斗内に入れ、室温で15分間フラスコにゆっくり添加した。添加中に22℃~32℃までの発熱を観察した。
【0156】
滴下漏斗をディーンスターク蒸留ヘッドと取り替えた。次いで反応混合物を45℃に30分間加熱し、温度を60℃に45分間、70℃に69分間、90℃に140分間、110℃に135分間、115℃に85分間に徐々に上昇させた。反応混合物を反応の間に異なるポイントで、薄層クロマトグラフィー(TLC)で検査し、無水物がもはや存在しなかった場合に停止した。水を合計1.6グラム蒸留した。
【0157】
溶媒は、回転蒸発によって除去し、得られた湿った固体の真空処理後に黄色乾燥粉末65.6g(0.2070mol、収率:99%)を得た。生成物のH-NMRスペクトルによりターゲット構造を確認した。
【0158】
【化22】
【0159】
ステップ2:N-(3-ジメチルアミノプロピル)-4-クロロ-1,8-ナフタルイミド30.21グラム(0.0954mol)(上記ステップ1から)およびメタノール(250グラム)を、滴下漏斗、窒素取込口/排出口、磁気撹拌子、熱電対、および加熱マントルを備えたフラスコ内に入れた。混合物を65℃に加熱し、均一溶液になった。5.4Mナトリウムメトキシドのメタノール溶液36mL(0.1944mol)を、滴下漏斗に入れた。ナトリウムメトキシド溶液を、45分間フラスコにゆっくり添加した。反応物をこの温度で2時間撹拌した。TLC分析をこの間に数回実行して反応進行を見た。ナトリウムメトキシド溶液(0.0324mol)6mLをさらにTLC分析に基づいて添加した。反応物をさらに4時間加熱した。TLC分析は事実上出発原料を示さなかった。
【0160】
反応混合物を冷却した後、酢酸(7.53グラム、0.1255mol)を中和するために添加した。溶媒を蒸発させて濃いスラリーをもたらした。酢酸エチル約100mLをこのスラリーに添加し、得られた混合物を真空ろ過して不溶性塩を除去し、塩を酢酸エチル50mLで洗浄した。混ぜ合わせたろ液を、ロータリーエバポレーションによって原体積の半分に濃縮した。ヘプタン100mLを再結晶のために添加した。生成物22.62グラムを再結晶から得た(回収率:76%)。
【0161】
【化23】
【0162】
ステップ3:N-(3-ジメチルアミノプロピル)-4-メトキシ-1,8-ナフタルイミド(上記ステップ2から、9.98グラム、0.03683mol)および脱イオン水(101.5グラム)を、熱電対、加熱マントル、窒素取込口/排出口、および磁気撹拌子を備えたフラスコ内に入れた。次いで混合物を60℃に加熱し、混合物は黄色懸濁液になった。アリルグリシジルエーテル(AGE、Acros A0384473、純度:>99% COA規定純度:99.9%、7.21グラム、0.0632mol)をシリンジ内に入れ、フラスコに50分間ゆっくり添加した。反応混合物は、赤色になり均質になり、AGE添加の完了の2時間後に加熱を停止した。
【0163】
LCデータは、所望のモノマーが70.6面積%であり、出発N-(3-ジメチルアミノプロピル)-4-メトキシ-1,8-ナフタルイミドが3.7面積%だったことを示す。遊離アミン含有量が低いことを確かめるために反応の終わりに近づくにつれて、LCまたはTLCまたは他の便利な手段により反応を分析することは重要である。そうでない場合に、遊離アミン含有量が所望のレベル未満になるまで、AGEを添加し続ける。次いで、モノマーの全モルに対するアミンのモル量を、13CNMRによって決定する。LCまたはTLCの方法は近似であり、以下に使用するNMR方法は、mol%を正確に測定することができ、より長く行うことは、最終組成物を決定する好ましい方法である。しかし、当業者は、NMR方法によってLCまたはTLC方法を較正することができ、これを、特に工業規模で最低量の構造(III)が最終生成物に残ることを確保するために使用することができることを理解するであろう。
【0164】
重合性四級部分の合計mol%に対する構造(III)のN-(3-ジメチルアミノプロピル)-4-メトキシ-1,8-ナフタルイミドのmol%(図1)は、1.2mol%である13CNMRによる検出限界以下であった(下記NMR方法参照)。したがって、構造(I)の重合性四級部分の合計mol%に対する構造(III)のN-(3-ジメチルアミノプロピル)-4-メトキシ-1,8-ナフタルイミドのmol%は、1.2mol%未満であった。構造(I)の重合性四級部分の合計モルは、四級電荷を有し、重合することができる、または連鎖移動などの他の手段によってポリマーに組み込むことができるモノマーのすべての形態のモルの合計である。これらの重合性四級部分またはモノマーは、1つの重合性二重結合を有する部分(図2および4)、2つの重合性二重結合を有する(図3)、または連鎖移動剤としてポリマーに組み込むことができる二級アルコールを有する部分を含む。
【0165】
NMR方法の詳細:
試料を、DO150μLを添加した試料1mLを使用して、水溶液として調製し、13CNMRによって分析した。
13CNMRスペクトルを、45°パルス、5s緩和遅延、および12,500スキャンを使用して、Varian 400MHzNMR分光計上に得た。スペクトルを逆ゲートデカップリングで得て、NOE(核オーバーハウザー効果)を除去し、定量的なスペクトルを得た。使用するパラメーターを下記表に示す。
【0166】
52.5~51.0ppmのピークによって表される、四級部分(図2の矢印によって説明するメチル基参照)の2つのメチル基の全体を200に設定し、44ppmのまわりのピークによって表わされるアミン(図1中の矢印によって説明するメチル基参照)のNMeカーボンを使用して、構造(I)の重合性四級部分の合計mol%に対する構造(III)のアミンのmol%を算出した。
【0167】
【表A】
【0168】
結果
・検出限界は、モノマー例3のステップIIのアミンが10、5、2、1、および0.5重量%であるモノマー例3をスパイクすることによって決定した。
・5重量%アミンでスパイクした試料の13CNMRスペクトル(図5参照)は、アミンのNMeカーボンが44ppmの近くに現われることを明らかにする。
・アミンピークは、1重量%の試料の13CNMRスペクトル(図6参照)においてかろうじて検出可能であり、0.5重量%の試料の13CNMRスペクトル中のノイズにある(図7参照)。
・1重量%のスパイクした試料中の構造(I)の重合性四級部分の合計mol%に対するN-(3-ジメチルアミノプロピル)-4-メトキシ-1,8-ナフタルイミドアミンのmol%をスペクトルから1.2mol%と算出し、これを検出限界とした。
・モノマー例3の試料の13CNMRスペクトルを、アミンについてのピークを示さない(図8参照)。したがって、モノマー例3における構造(I)の重合性四級部分のmol%の合計に対する構造(III)のN-(3-ジメチルアミノプロピル)-4-メトキシ-1,8-ナフタルイミドアミンのmol%は、1.2mol%を大きく下回る。
【0169】
モノマー例3a(比較):
米国特許第6,645,428号明細書の実施例6は、4-メトキシ-N-(3-ジメチルアミノプロピル)-1,8-ナフタルイミド、2-ヒドロキシ-3-アリルオキシプロピル、四級塩モノマーを作製する方法を開示する。発明者らは、ステップ2の最後に溶媒を取り除かなった以外この公報の実施例6を繰り返した:
ステップ1:
加熱マントル、温度調節器、凝縮器、および撹拌機を備えた500ml反応容器に、氷酢酸40.1g、3-ジメチルアミノプロピルアミン10.5g、および4-クロロ-1,8-ナフタル無水物23.3gを充填した。固体のすべてを溶解して琥珀色の着色溶液をもたらした。反応物を122℃に加熱し、その温度で3時間保持した。反応混合物を冷却し、水200gおよび50%水酸化ナトリウム60.9gで希釈した。得られたスラリーをろ過し、その固体を真空下で2時間乾燥した。固体生成物のおよそ34.3gを得た。
ステップ2:
加熱マントル、温度調節器、凝縮器、および撹拌機を備えた250ml反応容器に、N-(3-ジメチルアミノプロピル)-4-クロロ-1,8-ナフタルイミド(上記ステップ1から)9.98g、25%ナトリウムメトキシド13.6g、およびメタノール40.6gを充填した。混合物を67℃に5時間加熱した。反応物は橙色で濁っていた。反応生成物を室温に冷却し、濃HCl3.1gを含む水135.5gを添加した。ここで、反応物は、橙色/赤着色の清澄液であった。
ステップ3:
反応生成物を撹拌し、アリルグリシジルエーテル3.7gを添加した。反応生成物を60℃に加熱し、その温度で3時間保持した。4-メトキシフェノール(重合防止剤)0.1gを次いで添加した。
【0170】
上記反応生成物をLC分析した:所望の生成物4-メトキシ-N-(3-ジメチルアミノプロピル)-1,8-ナフタルイミド、2-ヒドロキシ-3-アリルオキシプロピル四級塩は、61.5面積パーセントであった。出発アミン4-メトキシ-N-(3-ジメチルアミノプロピル)-1,8-ナフタルイミドは、(構造(III)に対応していた)(16.9面積%)。
【0171】
望ましくない出発原料に対する所望の生成物の割合は、ほぼ3:1である。米国特許第6,645,428号明細書の発明者は、構造(III)の材料の悪影響を理解しなかったが、生成物のほぼ25%が望ましくない材料である例を例示していないであろう。N-(3-ジメチルアミノプロピル)-1,8-ナフタルイミドの吸収および発光波長が所望の生成物と同じであることが驚きであるので、構造(III)の材料を最小化することは明らかではなかったであろう。より驚くべきことに、N-(3-ジメチルアミノプロピル)-1,8-ナフタルイミドのシグナルはモノマー3aのものよりも強い。N-(3-ジメチルアミノプロピル)-4-メトキシ-1,8-ナフタルイミドを重合することができないので、ポリマーにおいて実施例3aのモノマーを使用すると、プロセスで、出発点でのシグナルにおいて20~40%の誤差が生じる(ポリマー例22における蛍光性の表6参照)。水を再使用し、濃縮サイクルが増加すると、誤差は20%~100%以上まで増大する。実使用では、ポリマーを10%の誤差内に検出する必要がある。このように、実施例6に従って製造されたモノマーの実用性は、よくても最小であり、最悪の場合使用できない。さらに、このモノマー組成物で作製されたポリマーは、殺生物性の性能にとって極めて重要な用途で遊離塩素を維持しないであろう。
【0172】
米国特許第6,645,428の実施例6は、4mol%過剰アリルグリシジルエーテルを使用し、モノマー例3(上記に詳述)は、ほぼ100mol%近づくことが出発N-(3-ジメチルアミノプロピル)-4-メトキシ-1,8-ナフタルイミドを最小化することが必要なことを示す。これは、当業者にとって明らかではなかったであろう。
【0173】
モノマー例3b(比較):
発明者らは、米国特許第6,645,428号明細書の実施例6を繰り返し、今回除去を利用した:
ステップ1:
加熱マントル、温度調節器、凝縮器、および撹拌機を備えた500ml反応容器に、氷酢酸21ml、3-ジメチルアミノプロピルアミン10.5g、および4-クロロ-1,8-ナフタル無水物23.3gを充填した。反応物を122℃に加熱し、その温度で3時間保持した。反応混合物を冷却し、水200gおよび50%水酸化ナトリウム60.9gで希釈した。得られたスラリーをろ過し、固体を真空下で2時間乾燥させた。
ステップ2:
加熱マントル、温度調節器、凝縮器、および撹拌機を備えた250ml反応容器に、N-(3-ジメチルアミノプロピル)-4-クロロ-1,8-ナフタルイミド(上記ステップ1から)9.98g、25%ナトリウムメトキシド13.6g、およびメタノール40.6gを充填した。混合物を67℃に5時間加熱した。反応物を室温に冷却している間、過剰ナトリウムメトキシドを12M塩酸でpH10.5まで中和した。米国特許第6,645,428号明細書には除去の範囲に関する記載はない。発明者らは、当初、溶媒を完全に除去することを試みたが、残留物は粘着性があり、ロータリーエバポレーターにおいて使用されるストリッピングフラスコから取り除くことができなかった。したがって、発明者らは、米国特許第6,645,428号明細書の発明者がこの程度まで溶媒を除去しなかったと結論を出した。したがって、発明者らは、次いで、残留物があまりにも粘着性があり、ストリッピングフラスコからそれを取り除くことができなくなる直前に溶媒を除去することを試みた。この第2の試みでは、米国特許第6,645,428号明細書の記載と一致して、橙色残留物のような粘度の高い糖蜜を得たが、残留物をやはりフラスコから取り除くことができた。橙色残留物のようなこの粘度の高い糖蜜の固体を測定し、70%であり、残りがメタノールであることが分かった。発明者らは、ステップ2が完成まで進んだ場合、これらの固体は、N-(3-ジメチルアミノプロピル)-4-メトキシ-1,8-ナフタルイミド29.5グラムおよび塩化ナトリウム11.6グラムを含むと算出した。したがって、N-(3-ジメチルアミノプロピル)-4-メトキシ-1,8-ナフタルイミドは、固体の含有量の71.8%、または橙色残留物のような粘度の高い糖蜜の50重量%であった。
ステップ3:
100ml丸底フラスコに、N-(3-ジメチルアミノプロピル)-4-メトキシ-1,8-ナフタルイミド3.0g(9.6mmol)であるステップ2からの橙色残留物のような粘度の高い糖蜜6.0g、脱イオン水37g、およびアリルグリシジルエーテル1.15g(10mmol)を充填した。反応生成物を60℃に加熱し、その温度で2.5時間保持し、次いで室温に冷却した。
【0174】
モノマー例3において詳述した13CNMR手順によって測定された構造(I)の重合性四級部分の合計mol%に対するN-(3-ジメチルアミノプロピル)-4-メトキシ-1,8-ナフタルイミドのmol%は、8.6mol%であった(図9参照)。
【0175】
望ましくない出発原料に対する所望の生成物の割合は非常に高い。発明者らは、構造(III)の材料の悪影響を理解しなかった、または生成物のほぼ10%が望ましくない材料である例を例示していなかったであろう。N-(3-ジメチルアミノプロピル)-1,8-ナフタルイミドの吸収および発光波長が所望の生成物と同じであることが驚きであるので、構造(III)の材料を最小化することは明らかではなかったであろう。より驚くべきことに、N-(3-ジメチルアミノプロピル)-1,8-ナフタルイミドのシグナルはモノマー3bのものより強い。N-(3-ジメチルアミノプロピル)-4-メトキシ-1,8-ナフタルイミドを重合することができないので、ポリマーにおいて実施例3bのモノマーを使用すると、プロセスで、出発点でのシグナルにおいて10%の誤差が生じる。水を再使用し、濃縮サイクルが増加すると、誤差は10%~50%以上まで増大する。実使用では、誤差に各濃縮サイクルを乗じるので、ポリマーを、プロセスにおいて出発点で10%の誤差内に、好ましくは5%誤差未満、より好ましくは1.5%誤差未満、最も好ましくは少しも存在しないことを検出する必要がある。水が不足するようになっているので、3~7の濃縮サイクルを有することが一般的であり、特定の領域においてさらに高い。このように、米国特許第6,645,428号明細書の実施例6に従って製造されたモノマーの実用性は、よくても最小であり、最悪の場合使用できない。さらに、このモノマー組成物で作製されたポリマーは、殺生物性の性能にとって極めて重要な用途で遊離塩素を維持しないであろう。
【0176】
米国特許第6,645,428号明細書の実施例6は、4mol%過剰アリルグリシジルエーテルを使用し、モノマー例3(上記に詳述)は、ほぼ100mol%過剰以上が出発N-(3-ジメチルアミノプロピル)-4-メトキシ-1,8-ナフタルイミドを最小化することを必要とすることを示す。これは、当業者にとって明らかでなかったであろう。これは、本開示に従って出発N-(3-ジメチルアミノプロピル)-4-メトキシ-1,8-ナフタルイミドを最小化する好ましい方法であるが、当業者は、これを行う他の方法があることを理解するだろう。
【0177】
モノマー例4:
4-メトキシ-N-(3-ジメチルアミノプロピル)-1,8-ナフタルイミド、1または2-ヒドロキシ-3-アリルオキシプロピル、四級塩。構造(I)で:RおよびR41は、H、メトキシから独立して選択され、または両方ともメトキシであり、RおよびRは両方ともCH(Cアルキル)であり、Rは2-ヒドロキシ-3-(メタ)アリルオキシプロピルまたは1-ヒドロキシ-3-(メタ)アリルオキシプロピルであり、Aはプロピル(Cアルキル)であり、Bは窒素であり、Xは水酸化物および硫酸塩である。モノマーは、100%過剰アリルグリシジルエーテルを使用する、最小残存量のN-(3-ジメチルアミノプロピル)-4-メトキシ-1,8-ナフタルイミド(構造(III)に対応する)を有する。構造(III)で:RおよびR41は、H、メトキシから独立して選択され、または両方ともメトキシであり、RおよびRは両方ともCH(Cアルキル)であり、Aはプロピル(Cアルキル)であり、Bは窒素である。
【0178】
ステップ4:N-(3-ジメチルアミノプロピル)-4-ブロモ-1,8-ナフタルイミドの合成
【化24】
【0179】
4-ブロモ-1,8-ナフタル酸無水物(TCI、Lot#:RQYXL、36.07グラム、0.1302mol)およびトルエン(Acros Lot#:1878076、300グラム)を、窒素取込口/排出口、ディーンスターク蒸留ヘッド、凝縮器、熱電対、およびシリンジポンプ吸引口を備えたフラスコ内に入れた。溶液を55℃に加熱した。
【0180】
TCIカタログは、材料が95%を超える純度であり、この特定バッチが、98%純度を示す分析証明書を有することを示す。
【0181】
4-ブロモ-1,8-ナフタル酸無水物をTCIから購入し、合成前に分析した。それは、自社GC/MS分析表1に基づいて99.3面積%の純度のようであった。他の不純物およびこれらの不純物の面積%を下記表に示す。
【0182】
【表B】
【0183】
GC条件:
カラム Agilent DB-5 30M x 0.32mm 0.5um
オーブンプログラム 105℃、2分間保持、320℃に10℃/分、5分間保持
インジェクタ 285℃
キャリヤーガス ヘリウム40cm/秒
分流 60ml/分
注入 1ul
試料 テトラヒドロフラン中の12.4mg/ml
検出 全イオン電流、Agilent 5975C GC/MS
【0184】
3-(3-ジメチルアミノ)-1-プロピルアミン(DMAPA)(Acros Lot#:A0371713、14.11グラム、0.4463mol)を、Air-Titeプラスチック30mLシリンジ内に入れた。シリンジを次いでフィッシャー単一シリンジポンプ上にセットした。供給速度をセットして1時間でDMAPAの添加を完了した。添加を55℃で開始した。混合物は当初は白いスラリーであり、DMAPAの添加を70℃で完了した場合、このスラリーは、黄色の溶液になった。
【0185】
DMAPA添加の完了後、反応温度を、2時間で60、65、75、80、95、および110℃に段階的に上昇させた。反応混合物を、110℃で2.5時間加熱した。水1.6グラムを蒸留した。
【0186】
加熱後、生成物を、溶媒除去および真空乾燥によって分離した。最終生成物は、重さが48.0グラム(定量的収率)であった。試料のH-NMRスペクトルによりターゲット構造を確認し、生成物は高純度のように思われた。
【0187】
ステップ2:N-(3-ジメチルアミノプロピル)-4-メトキシ-1,8-ナフタルイミドの合成
【化25】
【0188】
メタノール(400mL)および水酸化カリウム(Mallinckrodt、Lot#:6984KLHM、14.28g、0.2545mol)を、窒素取込口/排出口、磁気撹拌子、熱電対、および加熱マントルを備えたフラスコ内に入れた。混合物を60℃に加熱し、混合物は均一溶液になった。溶液に、過剰の発熱を回避するために、N-(3-ジメチルプロピル)-4-ブロモ-1,8-ナフタルイミド(ステップ1から、47.53グラム、0.0954mol)を少量添加した。反応混合物の温度は、この添加中に64℃に上昇した。混合物は均一溶液であった。
【0189】
反応混合物を撹拌し、65℃に5時間加熱した。TLC(シリカゲル、酢酸エチル中に25重量%トリエチルアミン)を使用して反応進行を監視した。出発原料を消費しなかった(TLC板材上で完全に消えなかった)。アリコートをH-NMRによって分析し、それは、残留する出発原料が約6mol%と算出した。
【0190】
溶媒を蒸発して粘性のあるスラリーをもたらした。酢酸エチル約400mLをこのスラリーに添加し、得られた混合物を真空ろ過して不溶性塩を除去し、塩を酢酸エチル50mLで洗浄した。混ぜ合わせたろ液を、ロータリーエバポレーションによって原体積の半分に濃縮し、そのとき、不溶物(生成物ではない)が現れた。この不溶物はおそらく塩であり、水洗浄を行って不溶物を除去した。
【0191】
最終生成物の再結晶を、冷却装置中でn-ヘプタン200mLおよび酢酸エチル250mLで行った。純生成物27.65グラム(0.08852mol、回収率:67.3%)をろ過および真空処理後に分離し、この生成物の純度はLC-UVによって98.6%であった。
【0192】
遊離アミン前駆体、N-(3-ジメチルアミノプロピル)-4-メトキシ-1,8-ナフタルイミドの純度
ステップ2の後、N-(3-ジメチルアミノプロピル)-4-メトキシ-1,8-ナフタルイミドを表2におけるその純度(RASUS20011001)についてのLCによって分析した。分析の結果および対応する分子構造(見いだされた式にのみ基づく)を表2に示す。
【0193】
【表C】
【0194】
ステップ3:N-(3-ジメチルアミノプロピル)-4-メトキシ-1,8-ナフタルイミドおよびアリルグリシジルエーテルからの四級アンモニウムモノマーの溶液の調製
【化26】
【0195】
N-(3-ジメチルアミノプロピル)-4-メトキシ-1,8-ナフタルイミド(ステップ2から、10.41グラム、0.033mol)および脱イオン水(97.73グラム)を、熱電対、加熱マントル、窒素取込口/排出口、および磁気撹拌子を備えたフラスコ内に入れた。次いで混合物を60℃に加熱し、混合物は黄色の懸濁液になった。アリルグリシジルエーテル(AGE、Acros A0384473、7.28グラム、0.0638mol)をシリンジ内に入れた。AGEをフラスコに50分間ゆっくり添加し、反応混合物は赤色になり、均質になった。加熱は、AGEの添加の完了後2時間で停止した。得られた溶液を遊離アミン含有量について分析し、それはLCによって0.008重量%であった。遊離アミン含有量が低いことを確かめるために反応の終わりに近づくにつれて、LCまたは他の便利な手段により反応を分析することは重要である。そうでない場合に、遊離アミン含有量が所望のレベル未満になるまで、AGEを添加し続ける。モノマーの全モルに対するアミンのモル量を、13CNMRによって決定する。
【0196】
四級モノマーの合計mol%に対する、N-(3-ジメチルアミノプロピル)-4-メトキシ-1,8-ナフタルイミドのmol%は、1.2mol%である13CNMRによる検出限界以下であった。したがって、四級モノマーの合計mol%に対する、N-(3-ジメチルアミノプロピル)-4-メトキシ-1,8-ナフタルイミドのmol%は、1.2mol%未満であった。
【0197】
この溶液のpHは12であった。最終反応生成物溶液100gを得て、pHを0.1N硫酸を使用して7にして4-メトキシ-N-(3-ジメチルアミノプロピル)-1,8-ナフタルイミド、1または2-ヒドロキシ-3-アリルオキシプロピル、四級アンモニウム水酸化物/硫酸塩を得た。最終反応生成物溶液100gを得、pHを、アクリル酸を使用して3にして、4-メトキシ-N-(3-ジメチルアミノプロピル)-1,8-ナフタルイミド、1または2-ヒドロキシ-3-アリルオキシプロピル、四級アンモニウムアクリレート塩を得た。
【0198】
モノマー例5:4-(トリ(エチレングリコール)モノメチルエーテル)-N-(3-ジメチルアミノプロピル)-1,8-ナフタルイミド、1または2-ヒドロキシ-3-アリルオキシプロピル、四級塩
構造(I)で:RおよびR41はHまたはCalk-O-(CHRCHO-)から独立して選択され、RはHであり、n=1であり、RおよびRは両方ともCH(Cアルキル)であり、Rは2-ヒドロキシ-3-(メタ)アリルオキシプロピルまたは1-ヒドロキシ-3-(メタ)アリルオキシプロピルであり、Aはプロピル(Cアルキル)であり、Bは窒素であり、Xは水酸化物である。
【0199】
ステップI:N-(3-ジメチルアミノプロピル)-4-クロロ-1,8-ナフタルイミドの合成
4-クロロ-1,8-ナフタル無水物(99.36グラム、0.4271mol)およびトルエン(600グラム)を、窒素取込口/排出口、ディーンスターク蒸留ヘッド、凝縮器、熱電対、およびシリンジポンプ吸引口を備えたフラスコ内に入れた。溶液を55℃に加熱した。3-ジメチルアミノ-1-プロピルアミン(45.6グラム、0.4463mol)を50mLシリンジ内に入れた。シリンジを次いでシリンジポンプ上にセットした。供給速度をセットし、1時間で添加を完了した。添加を55℃で開始した。
【0200】
添加の完了後、反応温度は、2時間で60、65、75、80、95、および105℃に段階的に上昇させた。反応混合物を、105℃で2.5時間加熱した。水6.0グラムを蒸留した。
【0201】
生成物を真空乾燥によって分離した。最終生成物は、重さが134.16グラムであった(回収率:99%)。H-NMR分析によりターゲット構造を確認し、生成物は高純度のように思われた。
【0202】
ステップII:4-(トリ(エチレングリコールモノメチルエーテル)-N-(3-ジメチルアミノプロピル)-1,8-ナフタルイミド
水素化ナトリウム(2.93グラム、鉱油に分散した60重量%、0.0733mol)を、窒素取込口/排出口、磁気撹拌子、熱電対、および加熱マントルを備えたフラスコ内に入れた。水素化ナトリウムを乾燥ヘキサンで2回洗浄して鉱油を除去した。トリエチレングリコールモノメチルエーテル(TEGME、76.15グラム、0.4638mol)をフラスコにゆっくり添加して激しい水素発生を防止した。TEGMEの添加中に、反応混合物は窒素下にあり、温度は室温からの47℃に上昇した。N-(3-ジメチルアミノプロピル)-4-クロロ-1,8-ナフタルイミド(20.26グラム、0.0640mol)を、固体としてフラスコに添加した。フラスコを60℃に加熱し、反応混合物をこの温度で2時間撹拌した。アリコートを反応混合物から取り出し、TLC技術(溶離剤:酢酸エチル中に20%トリエチルアミン)によって分析した。TLCは、出発原料を示さなかった。
【0203】
酢酸(0.58グラム、0.0097mol)を反応混合物に添加し、TEGMEの量の約半分を0.3トールで72℃で混合物から蒸発した。酢酸エチルを添加して塩を析出し、塩をろ別した。酢酸エチルを、ロータリーエバポレーターを使用してろ液から蒸発した。酢酸約20mLを、得られた油状材料に添加して目標のアミンの塩を形成し、ジエチルエーテル400mLを塩に添加した。塩(粘性油)を、デカンテーションによってジエチルエーテル層から分離した。ジエチルエーテルのさらなる200mLを油に添加し、再びジエチルエーテルをデカントした。トリエチルアミン約30mLを油に添加し、過剰トリエチルアミンを蒸発させ、粘性油27.7グラムを得た。この油は、あまり純粋ではなかった。
【0204】
この油2グラムを、10重量%トリエチルアミンを含む酢酸エチル溶液を使用してシリカゲル(60グラム)カラムクロマトグラフィーによって精製した。得られた油は、より純粋であったが、H-NMR分析によってTEGME25mol%をいまだ含んでいた。
【0205】
油は、600mLを超える酢酸エチルに溶解し、溶液を水で数回洗浄した。有機質層を乾燥した後、溶媒を取り除き、真空処理して最終生成物14グラムを得た(LC分析により0.0315mol、収率:50%、79面積%の純度)。
【0206】
HPLC条件を記載する:
カラム Agilent Porashell C8 4mm x 50mm
移動相A 50mm AFph3.0、Dアセトニトリル
時間0 90%A/10%D
時間10 50%A/50%D
時間10.1 90%A/10%D
停止時間 14分
射出 1.0μl
流量 1ml/分
陽イオン
【0207】
ステップIII:4-(トリ(エチレングリコール)モノメチルエーテル)-N-(3-ジメチルアミノプロピル)-1,8-ナフタルイミド、1または2-ヒドロキシ-3-アリルオキシプロピル、四級塩
4-(トリ(エチレングリコール)モノメチルエーテル)-N-(3-ジメチルアミノプロピル)-1,8-ナフタルイミド(16.37グラム、0.03683mol)および脱イオン水(151.5グラム)を、熱電対、加熱マントル、窒素取込口/排出口、および磁気撹拌子を備えたフラスコ内に入れた。次いで混合物を55℃に加熱し、混合物は均質の黄色溶液になった。アリルグリシジルエーテル(AGE)(4.5グラム、0.03943mol)をシリンジ内に入れた。AGEをフラスコに30分間ゆっくり添加した。反応混合物は赤色になった。加熱はAGE添加の完了後20分で停止した。アリコートをH-NMRのために採取した。アリコートを真空下で乾燥し、CDCl中でH-NMRを実行した。CDCl溶液からのH-NMRスペクトルは、出発原料とターゲット材料の割合が約2対1であることを示した。
【0208】
さらにAGE3.0グラムを反応混合物に添加し、混合物を55℃でさらに4時間撹拌した。H-NMR分析を行い、出発原料はなかった。同じ試料のLC-MS/UVの分析は、62面積%(UVによる)の目標四級および微量の出発アミンの形成を示した。
【0209】
固体含有量は、180℃で湿度計によって分析して12.83重量%であった。理論含有量は12重量%である。
【0210】
HPLC条件
試料5ulを水1.0mlで希釈した。試料を、記載した条件でLC/UV300nm/ELSD/MSによって分析した。
カラム Agilent Porashell C8 4mm x 50mm
移動相A 50mm AFph3.0、Dアセトニトリル
時間0 90%A/10%D
時間10 50%A/50%D
時間10.1 90%A/10%D
停止時間 14分
射出 1.0μl
流量 1ml/分
陽イオン
【0211】
ポリマー例
ポリマー例1:
初期仕込量が190.1gの脱イオン水を、撹拌機、水冷凝縮器、熱電対用入口ポート、およびモノマーおよび開始剤溶液の添加用アダプターを備えた1リットルガラス反応容器に添加した。反応容器の内容物を95℃に加熱した。アクリル酸298.4g(4.14モル、ポリマーの94.4mol%)、N-(3-ジメチルアミノプロピル)-4-メトキシ-1,8-ナフタルイミド、塩化メタリル四級塩4.18g(モノマー例1のモノマー)(式量:403、0.01038モル、ポリマーの0.24mol%)から構成された混合モノマー溶液を混合し、次いで慎重な低速添加によって4時間撹拌しながら反応容器に供給した。脱イオン水72gに溶解した次亜リン酸ナトリウム一水和物24.1g(0.23モル、ポリマーの5.25mol%)の第2の溶液を混合し、次いで、慎重な低速添加によって4時間撹拌しながら反応容器に添加した。水68.4グラムに溶解された過硫酸ナトリウムの開始剤溶液6.7グラムを、モノマー溶液と同時にスタートして、4時間15分間同時に添加した。反応生成物を次いで95℃で60分間保持した。ポリマー溶液を冷却し、次いで50%水酸化ナトリウム40gで中和した。最終ポリマー溶液は、固形分が約47.2%であり、pHが3.6であった。
【0212】
ポリマー例2:
脱イオン水130.9gと混合された、初期仕込量が86.9gの無水マレイン酸(0.89モル、ポリマーの24.95mol%)を、撹拌機、水冷凝縮器、熱電対用入口ポート、およびモノマーおよび開始剤溶液の添加用アダプターを備えた1リットルガラス反応容器に添加した。その混合物を65℃に加熱した。無水マレイン酸を、65℃より高い温度を維持しながら、50%水酸化ナトリウム35.5g使用して中和した。次いで、イソプロピルアルコール129.9gを反応容器に添加した。次に、硫酸鉄アンモニウム六水和物0.0810gを反応容器に添加した。反応容器の内容物を84℃に加熱した。アクリル酸164.6g(2.29モル、ポリマーの64.3mol%)、メチルメタクリレート16g(0.16モル、ポリマーの4.5mol%)、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸ナトリウム塩の50%溶液97.3g(0.21モル、ポリマーの6mol%)、2-プロパノール17gに溶解されたN-(3-ジメチルアミノプロピル)-4-メトキシ-1,8-ナフタルイミド、塩化メタリル四級塩3.59g(モノマー例1のモノマー)(式量:403、0.0089モル、ポリマーの0.25mol%)から構成された混合モノマー溶液を混合し、次いで慎重な低速添加によって4時間撹拌しながら反応容器に供給した。過硫酸ナトリウム10グラムおよび35%過酸化水素33.8gの開始剤溶液を水32.7グラムに溶解し、モノマー溶液と同時にスタートして4時間同時に添加した。反応生成物を次いで85℃で60分間保持した。反応容器を次いで蒸留のためにセットした。水とイソプロピルアルコールの共沸混合物244.6gを、次いで蒸留した。脱イオン水188.6gを蒸留中に滴下した。最終ポリマー溶液は、固形分が48.3%であり、pHが3.2であった。
【0213】
ポリマー例3:
脱イオン水157.1gおよび硫酸鉄アンモニウム六水和物0.0575gと混合された初期仕込量が229.4gの無水マレイン酸を、撹拌機、水冷凝縮器、熱電対用入口ポート、およびモノマーおよび開始剤溶液の添加用アダプターを備えた1リットルガラス反応容器に添加した。混合物を85℃に加熱した。N-(3-ジメチルアミノプロピル)-4-メトキシ-1,8-ナフタルイミド、塩化メタリル四級塩0.59g(モノマー例1のモノマー)(式量:403)を一度に反応容器に添加した。35%過酸化水素26gの開始剤溶液を、最初の1時間添加した。反応生成物を次いで95℃に加熱した。35%過酸化水素153.15gの開始剤溶液を次の4.5時間添加した。2-プロパノール2.8gに溶解されたN-(3-ジメチルアミノプロピル)-4-メトキシ-1,8-ナフタルイミド、塩化メタリル四級塩0.59gを1時間、2時間、および3時間のマークで一度に反応容器に添加した。過酸化水素の供給が完了した後、反応物を95℃で45分間保持した。N-(3-ジメチルアミノプロピル)-4-メトキシ-1,8-ナフタルイミド、塩化メタリル四級塩は全ポリマーの0.25mol%であり、残りはマレイン酸であった。最終ポリマー溶液は、固形分が48.3%であり、pHが3.2であった。残留マレイン酸は、9300ppmであることが分かった。無水マレイン酸229.4gは、水と反応させる場合、マレイン酸271.5gになる。したがって、溶液中の全マレイン酸量は47.8重量パーセントである。したがって、マレイン酸変換率は98%である。マレイン酸は非常に反応性が低いので、95%を超えるマレイン酸変換率が許容可能であると考えられる。
【0214】
ポリマー例4:
脱イオン水241.3gと混合された初期仕込量が113.4gの無水マレイン酸(1.16モル、ポリマーの49.9mol%)を、撹拌機、水冷凝縮器、熱電対用入口ポート、およびモノマーおよび開始剤溶液の添加用アダプターを備えた1リットルガラス反応容器に添加した。無水マレイン酸を50%水酸化ナトリウム92.4gを使用して中和した。次に、硫酸鉄アンモニウム六水和物0.0528gを反応容器に添加した。反応容器の内容物を95℃に加熱した。アクリル酸83.2g(1.155モル、ポリマーの49.8mol%)、2-プロパノール11gに溶解されたN-(3-ジメチルアミノプロピル)-4-メトキシ-1,8-ナフタルイミド、塩化メタリル四級塩2.33g(モノマー例1のモノマー)(式量:403、0.0058モル、ポリマーの0.25mol%)から構成された混合モノマー溶液を混合し、次いで慎重な低速添加によって4時間撹拌しながら反応容器に供給した。過硫酸ナトリウム7.5グラムおよび35%過酸化水素106gを水30グラムに溶解した開始剤溶液を、モノマー溶液と同時にスタートして4時間同時に添加した。反応生成物を次いで95℃で60分間保持した。最終ポリマー溶液は、固形分が34.4%であり、pHが4.3であった。残留マレイン酸は、23ppmであることが分かり、変換率は99.9%を超え、優れている。
【0215】
ポリマー例5:
初期仕込量が130.5gの脱イオン水を、撹拌機、水冷凝縮器、熱電対用入口ポート、およびモノマーおよび開始剤溶液の添加用アダプターを備えた1リットルガラス反応容器に添加した。反応容器の内容物を60℃に加熱し、窒素でスパージした。アクリル酸88.12g(1.22モル、ポリマーの49.7mol%)、50%アクリルアミド溶液175.2g(1.23モル、ポリマーの50.24mol%)、2-プロパノール4.95gに溶解されたN-(3-ジメチルアミノプロピル)-4-メトキシ-1,8-ナフタルイミド、塩化メタリル四級塩(モノマー例1のモノマー)(式量:399、0.00258モル、ポリマーの0.105mol%)から構成された混合モノマー溶液を混合し、次いで慎重な低速添加によって2時間撹拌しながら反応容器に供給した。過硫酸アンモニウム2.56グラムを水30グラムに溶解した開始剤溶液を、モノマー溶液と同時にスタートして、2時間同時に添加した。41%亜硫酸水素ナトリウム20.7gを水15gに溶解した溶液を、モノマー溶液と同時にスタートして、2時間同時に添加した。反応生成物を、次いで60℃で60分間保持した。ポリマー溶液を冷却し、次いで50%水酸化ナトリウム31gで中和した。最終ポリマー溶液は、固形分が約41%であり、pHが4.5であった。
【0216】
実施例6:蛍光シグナル
ポリマー例1~4からの各ポリマー試料を10ppmまで水で希釈し、pHを9に調整し、蛍光シグナルを、島津製作所RF-6000型蛍光分光計を使用して、表1に示したような励起波長での試料の励起および発光波長での測定によって決定した。
【0217】
【表1】
【0218】
表1中のデータは、この開示のポリマーが良好な蛍光シグナルを有していることを示す。
【0219】
実施例7:炭酸塩抑制
様々なポリマーを、典型的な冷却水状態における炭酸カルシウムの析出を防止する能力、一般に閾値抑制と称する特性について評価した。冷却に使用される工業用水系において典型的な条件をシミュレートするために、アルカリに対するカルシウム濃度の重量比が1.000:1.448である溶液を調製した。一般に、アルカリ度が比例してより低い水は、より高いレベルのカルシウムに達することができ、比例的に多い量のアルカリを含む水は、より低いレベルのカルシウムに達することができる。濃度サイクルは一般的な用語であるので、1サイクルは、この場合、カルシウム濃度がCaCO(Caとしての40.0mg/L)としてCa100.0mg/Lと等しいレベルであるために選択される。濃度の1サイクルでの完全な水条件(つまり補給水の条件)は、以下のとおりだった:
【0220】
シミュレートされた補給水条件:
CaCO(Caとして40.0mg/L)(濃度の1サイクル)としての100.00mg/LのCa
CaCOとしての49.20mg/LのMg(Mgとして12.0mg/L)
CaCOとして2.88mg/LのLi(Liとして0.4mg/L)
144.80Mアルカリ(HCOとして144.0mg/L)
13.40Pアルカリ(COとして16.0mg/L)
【0221】
材料:
・125mLフラスコプラットフォームを含む1つのインキュベーター/振盪機
・スクリューキャップ付エルレンマイヤーフラスコ(125mL)
・脱イオン水
・化学てんびん
・0.0mLと2.5mLの間で分注することができる電子ピペット
・250サイクル硬さ溶液
・所望の処理の公知の活性固体を使用して調製された10,000mg/Lの処理溶液
・NaOHの10%および50%溶液
・250サイクルアルカリ溶液
・0.2μmシリンジフィルターまたは0.2μmフィルター膜
・容量フラスコ(100mL)
・濃硝酸
次のセクションの溶液調合剤を参照されたい。
【0222】
溶液調合剤:
使用される化学薬品はすべて、試薬級であり、指示値の±0.0005gで、化学てんびんで重量測定した。溶液はすべて30日間の試験内でなされた。硬度およびアルカリ溶液を、脱イオン水を使用して、1リットル容量フラスコ内で調製した。次の量の化学薬品をこれらの溶液を調製するために使用した。
250サイクル硬度溶液:
10,000mg/LのCa→CaCl・2HO36.6838g
3,000mg/LのMg→MgCl・6HO25.0836g
100mg/LのLi→LiCl0.6127g
250サイクルアルカリ溶液:
36,000mg/LのHCO→NaHCO48.9863g
4,000mg/LのCO→NaCO7.0659g
【0223】
10,000mg/Lの処理溶液:
供給処理において活性生成物の割合を使用して、10,000mg/Lの活性処理溶液250mLを、テストされるすべての処理のために作製した。溶液のpHを、試料カップまたはビーカーに秤量したポリマーを添加し、脱イオン水でほぼ90mLに充填することによって、50%および10%NaOH溶液を使用して、8.70~8.90に調整した。この溶液のpHを、次いで、pHが8.00に達するまで、最初に50%NaOH溶液を添加し、次いでpHが8.70に等しくなるまで10%NaOHを使用することによって、およそ8.70に調整した。溶液を、次いで250mL容量フラスコに注いだ。試料カップまたはビーカーを脱イオン水ですすぎ、最終250mLに到達するまで、この水をフラスコに添加した。秤量する処理生成物の量を以下のようにして算出した:
【0224】
【数1】
【0225】
テストセットアップ手順:
インキュベーター振盪機をオンし、あらかじめ加熱する50℃の温度に設定した。スクリューキャップ付フラスコを、3グループ準備し、各処理の三重試験を可能にし、異なる処理の試験を可能にした。1つの残りのフラスコを、未処理ブランクとして使用した。
【0226】
脱イオン水96.6グラムを各フラスコに秤量した。
【0227】
2.5mL電気ピペットを使用して、補給水の四サイクルをシミュレートするために、硬度溶液1.20mLを各フラスコに添加した。
【0228】
250μLの電子ピペットを使用して、所望の処理溶液200μLを各フラスコに添加して20ppmの活性処置量を達成した。電気ピペットについて新しい先端を各処理溶液に使用し、したがって、交差汚染は起こらなかった。
【0229】
2.5mL電気ピペットを使用して、LSI値が2.79の補給水の四サイクルをシミュレートするために、アルカリ溶液1.20mLを各フラスコに添加した。アルカリの添加を、添加部位で貯留する高アルカリ濃度からの時期尚早なスケール生成を発生しないようにフラスコを攪拌しながら行った。
【0230】
処理溶液の代わりに脱イオン水を添加したこと以外、1つの「ブランク」溶液を、上記処理された溶液と全く同じ方法で調製した。
【0231】
蓋を外したフラスコをすべて、振盪機プラットフォーム上に置き、扉口を閉じた。振盪機を250rpm、50℃で17時間動作させた。
【0232】
処理溶液およびアルカリ溶液の両方の代わりに脱イオン水を使用したこと以外、上記処理された溶液の調製と全く同じ方法で「全」溶液を調製した。この溶液に蓋をして、振盪機の外に終夜放置した。
【0233】
試験分析手順:
一旦17時間が経過すると、フラスコを振盪機から取り除き、1時間冷却した。各フラスコ溶液を、0.2μmフィルター膜を通してろ過した。硝酸250μlを各ろ液10mlに添加し、各ろ液を、誘導結合プラズマ(ICP)光学発光システムによってリチウム、カルシウム、およびマグネシウム濃度について直接分析した。「全」溶液を同じ方法で分析した。
【0234】
結果の算出:
一旦リチウム、カルシウム、およびマグネシウム濃度がすべての振盪機試料、および「全」溶液において知られていたならば、パーセント抑制を各処理について算出した。リチウムは、各フラスコ(典型的に、原体積の約10パーセント)において蒸発のトレーサーとして使用した。「全」溶液で分かったリチウム濃度も、すべてのフラスコ中の出発濃度であると仮定した。振盪機試料中のリチウムの濃度を、各々「全」試料で分かったリチウム濃度で除した。これらの結果は、蒸発により、濃度係数の増加をもたらした。「全」溶液で分かったカルシウムおよびマグネシウム濃度もすべてのフラスコ中の出発濃度であると仮定した。これらの濃度に各振盪機試料の算出した各蒸発係数を掛けることによって、各振盪機試料の最終的な意図されるカルシウムおよびマグネシウム濃度を決定した。「ブランク」のカルシウムおよびマグネシウム濃度を、カルシウムおよびマグネシウムの実際のおよび意図される濃度の両方から引き、次いで得られた実際の濃度を得られた意図される濃度で除し、100を掛けることによって、各処理された試料のパーセント抑制を算出した。三回の処理を平均してより正確な結果をもたらした。
【0235】
【表2】
【0236】
上記テストでは、80%抑制を超えるものは許容可能であると考えられる。表2のこれらのデータは、ポリマー例1-4での本明細書に開示した方法を使用して炭酸塩抑制性能が優れていることを示す。
【0237】
ポリマー例8:
初期仕込量が108.6gの脱イオン水を、撹拌機、水冷凝縮器、熱電対用入口ポート、およびモノマーおよび開始剤溶液の添加用アダプターを備えた1リットルガラス反応容器に添加した。反応容器の内容物を95℃に加熱した。50%水酸化ナトリウム27gおよび硫酸鉄アンモニウム六水和物0.0616gを添加した。アクリル酸170.52g(2.37モル、ポリマーの95.2mol%)、N-(3-ジメチルアミノプロピル)-4-メトキシ-1,8-ナフタルイミド、塩化メタリル四級塩の10%水溶液26.7g(モノマー例1のモノマー)(式量:427、0.00625モル、ポリマーの0.25mol%)から構成された混合モノマー溶液を混合し、次いで慎重な低速添加によって4時間撹拌しながら反応容器に添加した。次亜リン酸ナトリウム一水和物13.8g(0.119モル、ポリマーの4.78mol%)を水41.2gに溶解した溶液を、モノマー溶液と同時にスタートして4時間同時に添加した。過硫酸ナトリウム3.8グラムを水39グラムに溶解した開始剤溶液を、モノマー溶液と同時にスタートして、4時間15分同時に添加した。反応生成物を次いで95℃で60分間保持した。ポリマー溶液を冷却し、次いで50%水酸化ナトリウム23gで中和した。最終ポリマー溶液は、固形分が約45%であり、pHが4.0であった。
【0238】
ポリマー例9:
脱イオン水153.3gおよびイソプロピルアルコール152.6の初期仕込量を、撹拌機、水冷凝縮器、熱電対用入口ポート、およびモノマーおよび開始剤溶液の添加用アダプターを備えた1リットルガラス反応容器に添加した。次に、硫酸鉄アンモニウム六水和物0.095gを反応容器に添加した。反応容器の内容物を84℃に加熱した。アクリル酸193.3g(2.68モル、ポリマーの93.2mol%)、メチルメタクリレート18.8g(0.188モル、ポリマーの6.5mol%)、および2-プロパノール6.9gに溶解されたN-(3-ジメチルアミノプロピル)-4-メトキシ-1,8-ナフタルイミド、塩化メタリル四級塩1.45g(モノマー例1のモノマー)(式量:403、0.00359モル、ポリマーの0.125mol%)から構成された混合モノマー溶液を混合し、次いで慎重な低速添加によって4時間撹拌しながら反応容器に供給した。過硫酸ナトリウム11.75グラムおよび35%過酸化水素39.3gを水38.3グラムに溶解した開始剤溶液を、モノマー溶液と同時にスタートして4時間同時に添加した。反応生成物を次いで85℃で60分間保持した。反応容器を次いで蒸留のためにセットした。水とイソプロピルアルコールの共沸混合物242gを、次いで蒸留した。50%水酸化ナトリウム41.6gを脱イオン水221.4gに溶解した溶液を蒸留中に滴下した。最終ポリマー溶液は、固形分が38.6%であり、pHが4.0であった。
【0239】
ポリマー例10:
脱イオン水130gおよびイソプロピルアルコール130.2gの初期仕込量を、撹拌機、水冷凝縮器、熱電対用入口ポート、およびモノマーおよび開始剤溶液の添加用アダプターを備えた1リットルガラス反応容器に添加した。次に、硫酸鉄アンモニウム六水和物0.081gを反応容器に添加した。反応容器の内容物を84℃に加熱した。アクリル酸168.4g(2.29モル、ポリマーの91.4mol%)および2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸ナトリウム塩、50%溶液97.4g(0.21モル、ポリマーの8.5mol%)、および2-プロパノール6gに溶解されたN-(3-ジメチルアミノプロピル)-4-メトキシ-1,8-ナフタルイミド、塩化メタリル四級塩1.25g(モノマー例1のモノマー)(式量:403、0.0031モル、ポリマーの0.125mol%)から構成された混合モノマー溶液を混合し、次いで慎重な低速添加によって4時間撹拌しながら反応容器に供給した。過硫酸ナトリウム10.01グラムおよび35%過酸化水素33.4gを水38.3グラムに溶解した開始剤溶液を、モノマー溶液と同時にスタートして4時間同時に添加した。反応生成物を次いで85℃で60分間保持した。反応容器を次いで蒸留のためにセットした。水とイソプロピルアルコールの共沸混合物222gを、次いで蒸留した。50%水酸化ナトリウム35.5gを脱イオン水200gに溶解した溶液を蒸留中に滴下した。最終ポリマー溶液は、固形分が39.6%であり、pHが4.1であった。
【0240】
ポリマー例11:(比較)
中国特許第1939945号明細書の実施例1に概略された手順に従うこの比較例では、ポリマーはホスフィノ部分を含み、マレイン酸モノマーの量は85mol%を超える。オーバーヘッド撹拌機、熱電対、コントローラー、加熱マントル、およびモノマーおよび開始剤を緩速供給するための入口ポートを備えた500ml反応容器に、水81g、無水マレイン酸142.5g(0.485モル、ポリマーの89.2mol%)、次亜リン酸ナトリウム一水和物7.5g(0.0235モル、ポリマーの4.34mol%)、バナジウム(V)酸化物0.125g、およびN-(3-ジメチルアミノプロピル)-4-メトキシ-1,8-ナフタルイミド、塩化メタリル四級塩0.104g(モノマー例1のモノマー)(0.000258モル、ポリマーの0.047mol%)を充填した。反応混合物を80℃に加熱した。アクリル酸7.5g(0.0347モル、ポリマーの6.5mol%)を水11.8gに溶解したモノマー溶液を2時間添加した。同時に、35%過酸化水素70.7gを2時間添加した。その反応物は発熱し、供給物の添加中に100~105℃で保持した。供給を完了した後、反応物をその温度で1時間保持した。未反応マレイン酸をLCによって測定した。変換率は40%未満であることが分かった。室温まで冷却し、反応混合物の沈殿した固体は、未反応マレイン酸であった。生成物のバイアルは、底にバイアル体積のおよそ20%を満たした白色沈殿物上に赤茶色溶液を含んでいた。この比較例は、高マレイン酸とポリマーおよび四級化ナフタルイミド蛍光モノマー中のホスフィノ部分とを組み合わせることで、マレイン酸の重合が抑制され、重合生成物中に未反応マレイン酸を残して、得られた反応混合物を使用不可能にすることを明らかに示す。残留マレイン酸は、HPLCによって以下のように測定した:
【0241】
機器:HPLC
試料調製:42mMリン酸5mLに分散した試料75mg、次いで、42mMリン酸中に1/100希釈液
キャリブレーション:42mMリン酸中で調製された標準物
移動相:42mMリン酸
流量:600μL/分
カラム:Phenomenex Rezex ROA-有機酸H+300mm x 7.8mm
検出器:205nmで監視するUV検出器
【0242】
残留マレイン酸は、溶液の35.5重量パーセントであることが分かった。無水マレイン酸142.5gは、マレイン酸の全重量パーセントが52.4%でマレイン酸168.7gになる。したがって、マレイン酸変換率は、およそ32.2%である。
【0243】
ポリマー例12:(比較)
この比較例では、ポリマーは、ホスフィノ部分を含み、マレイン酸モノマーの量は70mol%を超える。オーバーヘッド撹拌機、熱電対、コントローラー、加熱マントル、およびモノマーおよび開始剤を緩速供給するための入口ポートを備えた反応容器に、水120g、無水マレイン酸84.99g(0.866モル、ポリマーの74.92mol%)、50%水酸化ナトリウム溶液56.35g、硫酸鉄アンモニウム六水和物0.0264gを充填した。反応混合物を85℃に加熱した。アクリル酸16.63g(0.23モル、ポリマーの19.96mol%)、イソプロピルアルコール2.73gに溶解されたN-(3-ジメチルアミノプロピル)-4-メトキシ-1,8-ナフタルイミド、塩化メタリル四級塩0.60g(モノマー例1のモノマー)(0.00148モル、ポリマーの0.13mol%)、水20gと混合された次亜リン酸ナトリウム一水和物6.12g(0.058モル、ポリマーの4.99mol%)のモノマー溶液を4時間添加した。同時に、35%過酸化水素60g、過硫酸ナトリウム3.7gを水15gに溶解した溶液を4時間添加した。反応物を供給物の添加の間に85℃で保持した。供給を完了した後、反応物をその温度で1時間保持した。次に、第三級ブチルヒドロペルオキシド0.15gを水1.25gに溶解した溶液を5分間保持された反応物に一度に添加した。その後に、エリソルビン酸0.15gを水1.25gに溶解した溶液を、30分間添加した。反応物を85℃で30分間保持した。次いで試料を得て、未反応マレイン酸を、上記実施例11に記載するようなHPLCによって測定した。残留マレイン酸は、8.2重量パーセントであることが分かった。マレイン酸変換率は69.9パーセントと算出した。室温まで冷却し、反応混合物の沈殿した固体は、未反応マレイン酸であった。生成物のバイアルは、底にバイアル体積のおよそ35%を満たした白色沈殿物上に混濁黄色溶液を含んでいた。
【0244】
実施例は、高マレイン酸(75mol%)とホスフィノ部分および四級化ナフタルイミド蛍光モノマーとを組み合わせることで、マレイン酸の重合が抑制され、得られた反応混合物を使用不可能にすることを明らかに示す。
【0245】
ポリマー例13:
オーバーヘッド撹拌機、熱電対、コントローラー、加熱マントル、およびモノマーおよび開始剤を緩速供給するための入口ポートを備えた反応容器に、水86g、無水マレイン酸45.32g(0.46モル、ポリマーの50mol%)、50%水酸化ナトリウム溶液36.96g、硫酸鉄アンモニウム六水和物0.0211gを充填した。反応混合物を95℃に加熱した。アクリル酸30g(0.42モル、ポリマーの45mol%)、イソプロピルアルコール2.4gに溶解されたN-(3-ジメチルアミノプロピル)-4-メトキシ-1,8-ナフタルイミド、塩化メタリル四級塩0.50g(モノマー例1のモノマー)(0.0012モル、ポリマーの0.13mol%)、水6gと混合された次亜リン酸ナトリウム一水和物4.89g(0.05モル、ポリマーの5mol%)のモノマー溶液を、4時間添加した。同時に、35%過酸化水素42g、水12gに溶解された過硫酸ナトリウム3gを4時間添加した。反応物を供給物の添加の間95℃で保持した。供給を完了した後、反応物をその温度で1時間保持した。室温まで冷却し、反応混合物は透明な溶液であり、沈殿した固体を有さなかった。残留マレイン酸は、実施例11に記載のHPLC手順によって40ppmであることが分かった。マレイン酸変換率は99.9%を超えると算出された。マレイン酸変換率は99.7%と算出された。ポリマーを、pHを9に調節し10ppm活性物質に希釈した。蛍光強度は、377および460の励起および発光波長でそれぞれ2912だった。
【0246】
ポリマー例14:
オーバーヘッド撹拌機、熱電対、コントローラー、加熱マントル、およびモノマーおよび開始剤を緩速供給するための入口ポートを備えた反応容器に、水112g、無水マレイン酸63.43g(0.65モル、ポリマーの60mol%)、50%水酸化ナトリウム溶液51.75g、硫酸鉄アンモニウム六水和物0.0246gを充填した。反応混合物を95℃に加熱した。アクリル酸27.19g(0.38モル、ポリマーの35mol%)、イソプロピルアルコール2.4gに溶解されたN-(3-ジメチルアミノプロピル)-4-メトキシ-1,8-ナフタルイミド、塩化メタリル四級塩0.56g(モノマー例1のモノマー)(0.0014モル、ポリマーの0.13mol%)、水7gと混合された次亜リン酸ナトリウム一水和物5.71g(0.05モル、ポリマーの5mol%)のモノマー溶液を、4時間添加した。同時に、35%過酸化水素49g、水14gに溶解された過硫酸ナトリウム3.5gを4時間添加した。反応物を供給物の添加の間95℃で保持した。供給を完了した後、反応物をその温度で1時間保持した。室温まで冷却し、反応混合物は透明な溶液であり、沈殿した固体を有さなかった。残留マレイン酸は、実施例11に記載のHPLC手順によって550ppmであることが分かった。マレイン酸変換率は99.7%と算出された。ポリマーを、pHを9に調整し10ppm活性物質に希釈した。蛍光強度は、375および460の励起および発光波長でそれぞれ3438だった。
【0247】
ポリマー例15:
オーバーヘッド撹拌機、熱電対、コントローラー、加熱マントル、およびモノマーおよび開始剤を緩速供給するための入口ポートを備えた反応容器に、水112g、無水マレイン酸74g(0.75モル、ポリマーの70mol%)、50%水酸化ナトリウム溶液60.38g、硫酸鉄アンモニウム六水和物0.0246gを充填した。反応混合物を95℃に加熱した。アクリル酸19.42g(0.27モル、ポリマーの25mol%)、イソプロピルアルコール2.4gに溶解されたN-(3-ジメチルアミノプロピル)-4-メトキシ-1,8-ナフタルイミド、塩化メタリル四級塩0.56g(モノマー例1のモノマー)(0.0014モル、ポリマーの0.13mol%)、水7gと混合された次亜リン酸ナトリウム一水和物5.71g(0.05モル、ポリマーの5mol%)のモノマー溶液を、4時間添加した。同時に、35%過酸化水素49g、水14gに溶解された過硫酸ナトリウム3.5gを4時間添加した。反応物を供給物の添加中に95℃で保持した。供給を完了した後、反応物をその温度で1時間保持した。室温まで冷却し、反応混合物は透明な溶液であり、沈殿した固体を有さなかった。残留マレイン酸は、実施例11に記載のHPLC手順によって2800ppmであることが分かった。マレイン酸変換率は98.9%と算出された。ポリマーを、pHを9に調整し10ppm活性物質に希釈した。蛍光強度は、376および461の励起および発光波長でそれぞれ3585だった。
【0248】
実施例16:マレイン酸変換率
ホスフィノ基を備えた、備えない試料についての残留マレイン酸を表3に示す。ホスフィノ部分が存在して得られた重合反応生成物を図1に示す。
【0249】
【表3】
【0250】
実施例3および4は、ホスフィノ基を備えないマレイン酸を含むポリマーが良好な変換率を有していることを明らかに示す。比較すると、比較例11および12は、ホスフィノ基が存在すると、マレイン酸重合が非常に抑制され、マレイン酸が75mol%以上である場合、得られたポリマー溶液が使用できなくなることを示す。驚くべきことに、実施例13、14および15は、マレイン酸が70mol%以下であり、ホスフィノ基が存在する場合、マレイン酸重合は抑制されず、それは有効なポリマーをもたらすことを示す。
【0251】
ポリマー例17:(比較)
初期仕込量が190.1gの脱イオン水を、撹拌機、水冷凝縮器、熱電対用入口ポート、およびモノマーおよび開始剤溶液の添加用アダプターを備えた1リットルガラス反応容器に添加した。反応容器の内容物を95℃に加熱した。アクリル酸298.4g(4.14モル、ポリマーの94.4mol%)、N-(3-ジメチルアミノプロピル)-4-メトキシ-1,8-ナフタルイミド、塩化メタリル四級塩4.12g(式量:397、0.01038モル、ポリマーの0.24mol%)から構成された混合モノマー溶液を混合し、次いで慎重な低速添加によって4時間撹拌しながら反応容器に供給した。脱イオン水72gに溶解した次亜リン酸ナトリウム一水和物24.1g(0.23モル、ポリマーの5.25mol%)の第2の溶液を混合し、次いで、慎重な低速添加によって4時間撹拌しながら反応容器に添加した。水68.4グラムに溶解された過硫酸ナトリウム6.7グラムの開始剤溶液を、モノマー溶液と同時にスタートして4時間15分間同時に添加した。反応生成物を次いで95℃で60分間保持した。ポリマー溶液を冷却し、次いで50%水酸化ナトリウム40gで中和した。最終ポリマー溶液は、固形分が約48.5%であり、pHが3.6であった。
【0252】
【表4】
【0253】
表4のこれらのデータは、ポリマー例17のクロロ誘導体が、励起および発光波長の最大値を低波長に移動することを示す。さらに、蛍光シグナルの強度はより低い。ハロゲン誘導体N-(3-ジメチルアミノプロピル)-4-クロロ-1,8-ナフタルイミド、塩化メタリル四級塩は、N-(3-ジメチルアミノプロピル)-4-メトキシ-1,8-ナフタルイミド、塩化メタリル四級塩の合成での不純物である。N-(3-ジメチルアミノプロピル)-4-メトキシ-1,8-ナフタルイミド、塩化メタリル四級塩の吸収および発光の最大値でポリマーを監視する。N-(3-ジメチルアミノプロピル)-4-メトキシ-1,8-ナフタルイミド、塩化メタリル四級塩モノマーは、不純物としてハロゲンモノマーを含む場合、いくつかのポリマー鎖は、四級化ナフタルイミドモノマー等、ハロゲン誘導体を有するであろう。最も重要なことには、2つのシグナルがポリマーに由来するので、相当な量のハロゲン/クロロ不純物は、より下位シグナルをもたらし、励起および発光の異なる最大値を有し、そのとき、水処理系でポリマーの量の測定が不正確になる。また、シグナルは低波長にシフトされるので、ハロゲン/クロロ不純物の蛍光シグナルは、銅腐食防止剤として日常的に使用される水処理配合物のアゾール成分のシグナルを妨害し得る。したがって、モノマーの合成の間に製造されたこれらのハロゲン不純物を最小化、または除去する必要がある。好ましい実施形態では、N-(3-ジメチルアミノプロピル)-4-メトキシ-1,8-ナフタルイミドモノマーは、N-(3-ジメチルアミノプロピル)-4-クロロ-1,8-ナフタルイミドの10mol未満%、好ましくは5mol%未満、より好ましくは2mol%未満、またはさらに完全に含まない。
【0254】
実施例18;蛍光測定
10ppmおよびpH9の実施例1のポリマーについての蛍光シグナルを測定した。また、実施例1において使用されるモノマーを合成するために使用される中間体N-(3-ジメチルアミノプロピル)-4-メトキシ-1,8-ナフタルイミド非モノマー中間体の蛍光強度を、pH9、および59ppbで測定した。10ppmのポリマー中に存在したモノマーの量であるので、59ppbを使用した。
【0255】
【表5】
【0256】
これらのデータは、構造(III)の非モノマー中間体の蛍光強度が、モノマーの蛍光強度に驚くほど高く非常に近いことを示す。より重要なことには、励起および発光波長は、モノマーおよび構造(III)の中間体についてほぼ正確に同じである。したがって、インライン測定は、ポリマーに存在するモノマーと不純物として存在する構造(III)の中間体との差を表すことができるであろう。したがって、構造(III)の不純物を最小化、または除去することは重要である。
【0257】
ポリマー例19:
キシレン100グラムおよび無水マレイン酸100gを、撹拌機、水冷凝縮器、熱電対用入口ポート、およびモノマーおよび開始剤溶液の添加用アダプターを備えた1リットルガラス反応容器に添加する。混合物を加熱還流する。第三級ブチルパー-2-エチルヘキサノエート10gおよびキシレン50gの開始剤溶液を、2時間添加する。粉末N-(3-ジメチルアミノプロピル)-4-(メタ)アリルオキシ-1,8-ナフタルイミド、2-ヒドロキシプロピルクォト0.4gを、30、60、および90分で開始剤の添加の開始時に反応容器に添加する。反応生成物を4時間加熱還流し、次いで90℃に冷却する。水50gを添加し、キシレンを、スチームを導入することによって除去する。反応の終わりに透明水溶液を得る。
【0258】
ポリマー例20:(比較)
脱イオン水140gおよびイソプロピルアルコール34.7gの初期仕込量を、撹拌機、水冷凝縮器、熱電対用入口ポート、およびモノマーおよび開始剤溶液の添加用アダプターを備えた1リットルガラス反応容器に添加した。反応容器の内容物を84℃に加熱した。アクリル酸120.8g、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸ナトリウム塩、50%溶液161.3g、およびモノマー3a溶液14.1g(6%4-メトキシ-N-(3-ジメチルアミノプロピル)-1,8-ナフタルイミド、2-ヒドロキシ-3-アリルオキシプロピル、四級塩)から構成された混合モノマー溶液を混合し、次いで慎重な低速添加によって3時間撹拌しながら反応容器に供給した。過硫酸ナトリウム2.86グラムを水47.8グラムに溶解した開始剤溶液を、モノマー溶液と同時にスタートして4時間同時に添加した。反応生成物を次いで85℃で60分間保持した。反応容器を蒸留のためにセットした。水とイソプロピルアルコールの共沸混合物62.6gを、次いで蒸留した。50%水酸化ナトリウム57.7gを脱イオン水115.6gに溶解した溶液を蒸留中に滴下した。最終ポリマー溶液は、固形分が37.5%であり、pHが4.8であった。
【0259】
ポリマー例21:
脱イオン水185.4gおよびイソプロピルアルコール45.9gの初期仕込量を、撹拌機、水冷凝縮器、熱電対用入口ポート、およびモノマーおよび開始剤溶液の添加用アダプターを備えた1リットルガラス反応容器に添加した。反応容器の内容物を84℃に加熱した。アクリル酸159.9g、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸ナトリウム塩、50%溶液213.6g、およびモノマー3(4-メトキシ-N-(3-ジメチルアミノプロピル)-1,8-ナフタルイミド、1または2-ヒドロキシ-3-アリルオキシプロピル、四級塩(N-(3-ジメチルアミノプロピル)-4-メトキシ-1,8-ナフタルイミド)が最小量で残存する)10.3%)から構成される混合モノマー溶液を混合し、次いで慎重な低速添加によって3時間撹拌しながら反応容器に供給した。過硫酸ナトリウム3.8グラムを水45グラムに溶解した開始剤溶液を、モノマー溶液と同時にスタートして、3.5時間同時に添加した。反応生成物を次いで85℃で60分間保持した。反応容器を次いで蒸留のためにセットした。水とイソプロピルアルコールの共沸混合物82.8gを、次いで蒸留した。脱イオン水162gを蒸留中滴下した。最終ポリマー溶液は、固形分が約37.7%であり、pHが1.9であった。
【0260】
ポリマー例22:
出発N-(3-ジメチルアミノプロピル)-4-メトキシ-1,8-ナフタルイミド、モノマー例3および3a(比較)からのモノマー、およびポリマー例20(比較)およびポリマー例21のポリマーについての蛍光シグナルを、10ppmのポリマー、およびpH7での45ppbのN-(3-ジメチルアミノプロピル)-4-メトキシ-1,8-ナフタルイミドおよびモノマーで測定した。
【0261】
【表6】
【0262】
これらの蛍光データは、吸収および発光についての最大波長が、すべて同じ、すなわち、それぞれ376および460であったことを示す。より重要なことには、N-(3-ジメチルアミノプロピル)-4-メトキシ-1,8-ナフタルイミド出発原料は、およそ20%の未反応の出発N-(3-ジメチルアミノプロピル)-4-メトキシ-1,8-ナフタルイミドアミンを有するモノマー例3aのものよりも強いシグナルを有する。このように、ポリマー例20は、ポリマーに組み込まれない相当な量の未反応N-(3-ジメチルアミノプロピル)-4-メトキシ-1,8-ナフタルイミドアミンを有するであろう。このポリマーのシグナルは、およそ20%のスタート誤差を有し、この誤差は、最終用途での濃縮サイクルが増加するとともに増加するであろう。ポリマーを、5~10%未満の誤差の精度で有用であることを検出する必要があるので、比較例のモノマーおよびポリマーはそうではない。
【0263】
実験の他のセットでは、実施例20(比較)および21のポリマーについての蛍光シグナルは、1ppmの塩素が存在する状態で、pH7で測定した。
【0264】
【表7】
【0265】
これらのデータは、1ppmの塩素が存在する状態で実施例20のポリマー(比較)が、蛍光シグナルがおよそ15%低下することを示す。比較すると、この開示ポリマー例21のポリマーは、1ppmの塩素が存在する状態でさえ、そのシグナルを維持する傾向がある。前述したように、ポリマー蛍光シグナルは、実際的な実行可能性を有するために10%未満の範囲内で正確である必要がある。これらのデータは、この開示のモノマーおよびポリマーが、従来技術のものより優れていることを示す。
【0266】
ポリマー例23:
脱イオン水103.85グラムおよびStar DRI 42(TateおよびLyle製)88.52グラムを含む反応容器を、188°Fに加熱した。無水マレイン酸0.22グラムおよび35%過酸化水素3.58グラムを反応容器に140°Fで添加した。アクリル酸28.8グラムおよびモノマー例3からの溶液2.7949グラムを含む混合モノマー溶液を、反応容器に2時間添加した。過硫酸ナトリウム3.7986グラムを脱イオン水41.66グラムに溶解した開始剤溶液を、反応容器に2時間30分間同時に添加した。反応生成物を188°Fでさらに30分間保持した。加熱の終わりに、反応容器を160°Fに冷却した。反応混合物中に一度に亜硫酸水素ナトリウム2.24グラムを添加し、その温度でさらに15分間保持した。脱イオン水15.32グラムに水酸化ナトリウム15.32グラムを溶解した溶液を、反応容器に15分間添加した。ポリマー溶液を次いで15分間混合し、室温に冷却した。Proxel GXL0.49グラムを、反応容器に添加し、5分間混合した。最終ポリマーは、固形分が41.5%、pHが4.58で黄色溶液であった。
【0267】
ポリマー例24:
脱イオン水140.80グラムおよび塩化ナトリウム15.26グラムを含む反応容器を132°Fに加熱した。ジアリルジメチルアンモニウムクロリド(65%水溶液)65.5グラム、ジメチルアミノエチルメタクリレート塩化メチル(75%水溶液)8.78グラム、およびモノマー例3からの溶液2.04グラムを含む混合モノマー溶液を、反応容器に4時間添加した。VA-044(和光製)0.1519グラムを脱イオン水37.48グラムに溶解した開始剤溶液を、反応容器に4時間同時に添加した。反応生成物を132°Fでさらに30分間保持した。加熱の終わりに、脱イオン水5.02グラムにVA-044の0.1512グラムを溶解した溶液を一度に添加し、溶液を180°Fで1時間加熱した。最終ポリマーは、固形分が24.9%、pHが4.26で黄色溶液であった。
【0268】
ポリマー例25:
脱イオン水148.75グラムおよび硫酸ナトリウム57.73グラムを含む反応容器を144°Fに加熱した。反応容器が144°Fに達した場合、エチレンジアミン四酢酸0.11グラムを反応容器に添加した。アクリルアミド52.8グラム、ジメチルアミノエチルメタクリレート塩化メチル(75%水溶液)59.9グラム、グリセリン5.6グラム、およびモノマー例3からのモノマー溶液2.75グラムを含む混合モノマー溶液を、反応容器に3時間添加した。V-50(和光製)0.4443グラムを脱イオン水44.29グラムに溶解した開始剤溶液を、反応容器に3時間同時に添加した。反応生成物を144°Fでさらに2時間保持した。加熱の終わりに、脱イオン水1.03グラムにVA-50の0.0109グラムを溶解した溶液を一度に添加し、溶液を144°Fで1時間加熱した。最終ポリマーは、固形分が27.0%、pHが3.32で黄色溶液であった。
【0269】
ポリマー例26:
脱イオン水98.97グラムおよびジアリルジメチルアンモニウムクロリド(65%水溶液)174.92グラムを含む反応容器を、窒素を注入しながら155°Fに加熱した。アクリル酸32.34グラム、モノマー例3からのモノマー溶液9.97グラム、およびヒドロキシプロピルアクリレート36.96グラムのモノマー混合物溶液を調製した。過硫酸アンモニウム0.78グラムを脱イオン水32.45グラムに溶解した開始剤溶液も調製した。反応容器が155°Fに達した場合、Versene100の0.2615グラムを反応容器に添加した。次に、モノマー溶液6.9mlを一度に添加し、5分間混合した。開始剤溶液7.8mlを5分間の終わりに一度に添加した。反応温度を170°F未満に維持した。温度が155°Fで安定していた場合、モノマーおよび開始剤溶液を同時に3時間供給した。供給の終わりに、反応容器を170Fで2時間保持した。次に、反応温度を185Fまで上昇し、その温度で1時間保持した。反応溶液を室温に冷却し、水酸化ナトリウム12.25グラムおよび脱イオン水271.12グラムの溶液を添加し、15分間混合した。最終ポリマーは、固形分が27.4%、pHが3.72の不透明な溶液であった。
【0270】
ポリマー例27:
脱イオン(DI)水70.51グラムおよびイソプロピルアルコール64.42グラムを含む反応容器を183°Fに加熱した。硫酸鉄アンモニウム0.1736グラムを脱イオン水15グラムに溶解した溶液3グラムを準備した。アクリル酸50.0グラム、スチレン50.5グラム、メタクリル酸2.5グラム、およびモノマー例3からのモノマー溶液0.4041グラムを含むモノマー溶液を、3時間30分間反応容器に添加した。過硫酸ナトリウム4.6グラムを脱イオン水28.89グラムに溶解した開始剤溶液を、反応容器に4時間同時に添加した。脱イオン水21.25グラムに3-メルカプトプロピオン酸4.0グラムを含む溶液も、3時間15分間同時に添加した。反応生成物を188°Fでさらに1時間保持した。加熱の終わりに、シリコーンS-100の0.06グラムを反応容器に添加した。反応容器を蒸留のためにセットし、130.0グラムの共沸蒸留物を蒸留した。蒸留中に、脱イオン水95.15グラムに腐食性溶液62.60グラムを添加した。蒸留の終わりに、反応容器を90°Fに冷却した。最終ポリマーは、固形分が35.3%、pHが9.29で不透明な琥珀色溶液であった。
【0271】
実施例28:蛍光シグナルの強度
示した実施例からのポリマー試料を水中で10ppmまで希釈した。蛍光シグナルを、表8に示すような励起波長での試料の励起および発光波長での測定によって決定した。
【0272】
【表8】
【0273】
ポリマー例29
無水マレイン酸162.6gを脱イオン水544.5gと混合した初期仕込量を、撹拌機、水冷凝縮器、熱電対用入口ポート、およびモノマーおよび開始剤溶液の添加用アダプターを備えた2リットルガラス反応容器に添加した。混合物を65℃に加熱した。無水マレイン酸を、65℃を超える温度を維持しながら50%水酸化ナトリウム66.4gを使用して中和した。次に、硫酸鉄アンモニウム六水和物0.1514gを反応容器に添加した。反応容器の内容物を84℃に加熱した。アクリル酸307.9g、メチルメタクリレート29.8g、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸ナトリウム塩、50%溶液181.9g、N-(3-ジメチルアミノプロピル)-4-メトキシ-1,8-ナフタルイミド、2-ヒドロキシ-3-(メタ)アリルオキシプロピル四級塩92.5g(モノマー例3の10.3%モノマー溶液)から構成された混合モノマー溶液を混合し、次いで慎重な低速添加によって4時間撹拌しながら反応容器に供給した。過硫酸ナトリウム37.4グラムおよび35%過酸化水素125.1gの開始剤溶液を、水93.9グラムに溶解し、モノマー溶液と同時にスタートして4時間同時に添加した。反応生成物を次いで85℃で60分間保持した。エリソルビン酸0.9gは、水7g中にある状態で販売され、次いで添加された。最終ポリマー溶液は、固形分が39.3%、pHが4.0であった。
【0274】
残留物N-(3-ジメチルアミノプロピル)-4-メトキシ-1,8-ナフタルイミド、2-ヒドロキシ-3-(メタ)アリルオキシプロピル四級塩は、LC(下記方法参照)によって測定され、20ppm、または99.6%変換率を超える検出限界未満であることが分かった。
【0275】
N-(3-ジメチルアミノプロピル)-4-メトキシ-1,8-ナフタルイミド、2-ヒドロキシ-3-(メタ)アリルオキシプロピル四級塩は、十分に少量でない場合、発明者らは、このモノマーをアクリル酸および2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸ナトリウム塩の80%と混合し、その混合物を4時間添加し、次の1時間、アクリル酸および2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸ナトリウム塩の残り20%を添加し、開始剤溶液を5時間供給することができた。これは、アクリル酸および2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸ナトリウム塩を投入し、その混合物を4時間添加し、アクリル酸および2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸ナトリウム塩の20%の残りを添加すると仮定すると、蛍光モノマーと反応するチャンスを与えるであろう。発明者らは、最後の1時間蛍光モノマーの消失を監視するであろう。それがおよそ30分間消費された場合、発明者らは、アクリル酸、および2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸ナトリウム塩20%の供給を30分まで短縮するであろう。それが1時間で消費されない場合、発明者らは、アクリル酸および2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸ナトリウム塩20%の供給を90分まで延長するであろう。あるいは、それが1時間で消費されない場合、発明者らは、蛍光モノマーをアクリル酸および2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸ナトリウム塩の60%と混合し、その混合物を3時間添加し、アクリル酸および2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸ナトリウム塩の残り40%を次の2時間添加し、開始剤溶液を5時間供給するであろう。
【0276】
LC方法:
カラム:Zorbax SB-C8 StableBond 4.6mm x 250mm 5ミクロン
検出器:Waters2998 PDA検出器;走査201~600nm;364nmでの定量
流量:1mL/分
注入量:25μL
移動相A:水中の25mM酢酸ナトリウム
移動相B:メタノール
勾配:5分間80%A、5.5分で30%Aへの直線的変化、18.5分間30%Aを保持
希釈剤:50%移動相A/50%移動相B
試料:希釈剤10mL中の試料600mg
基準:10%活性モノマー3をスパイク試料に使用した。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
【国際調査報告】