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特表2022-534549グラフェン六方晶窒化ホウ素ファンデルワールスヘテロ構造の太陽光エネルギー処理ユニット
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-08-02
(54)【発明の名称】グラフェン六方晶窒化ホウ素ファンデルワールスヘテロ構造の太陽光エネルギー処理ユニット
(51)【国際特許分類】
   H01L 31/074 20120101AFI20220726BHJP
   H01L 29/16 20060101ALI20220726BHJP
   H01L 31/0352 20060101ALI20220726BHJP
【FI】
H01L31/06 440
H01L29/16
H01L31/04 342Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2020570035
(86)(22)【出願日】2020-05-26
(85)【翻訳文提出日】2021-10-22
(86)【国際出願番号】 US2020034600
(87)【国際公開番号】W WO2020243118
(87)【国際公開日】2020-12-03
(31)【優先権主張番号】16/501,701
(32)【優先日】2019-05-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】16/602,537
(32)【優先日】2019-10-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520488001
【氏名又は名称】セブン・ゼットズ・トラスト
(74)【代理人】
【識別番号】100139778
【弁理士】
【氏名又は名称】栗原 潔
(72)【発明者】
【氏名】マシュー・エム・ザッカーマン
【テーマコード(参考)】
5F151
【Fターム(参考)】
5F151AA01
5F151AA08
5F151AA16
5F151CB19
5F151DA03
5F151DA07
5F151DA11
5F151FA06
5F151FA23
5F151JA22
(57)【要約】
太陽光エネルギーを電力に変換するための太陽光処理ユニット(SPU)は、二次元材料のシートからなるヘテロ構造を含む。このヘテロ構造は、六方晶窒化ホウ素(hBN)のシートに含まれるホウ素(B)と窒素(N)が、少なくとも1枚のグラフェン・シートの間に、1つ以上の炭素(C)のブックエンドとして配置されている結晶構造を生成するために利用される。吸収された各光子は、複数の電子が生成されるマルチ励起発生を生成する。SPUは、hBNのシートに垂直な外部固定磁場と、固定磁場の強さに対をなす第二の直交磁場を配置し、窒素15の共鳴磁気周波数に調整することにより、hBN内でホウ素原子の一方向へのスピン運動と窒素原子の反対方向へのスピン運動を発生させ、それにより、強化されたフォトニック吸収に必要なスピンを実現する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属ベースと、
前記金属ベース上に成膜された六方晶窒化ホウ素のp型層と、
前記六方晶窒化ホウ素のp型層上に成膜されたグラフェン層と、
前記グラフェン層上に成膜された六方晶窒化ホウ素のn型層とを含み、
前記六方晶窒化ホウ素のp型層と前記六方晶窒化ホウ素のn型層との間に挟まれた前記グラフェン層は、ヘテロ構造を形成し、
前記六方晶窒化ホウ素のn型層は、前記六方晶窒化ホウ素のp型層よりも、太陽光を受ける面に近いように構成されている、
太陽光エネルギーを電力に変換するための太陽光処理ユニット。
【請求項2】
前記六方晶窒化ホウ素のp型層と前記グラフェン層との間に六方晶窒化ホウ素の第1の絶縁層が介在され、
前記六方晶窒化ホウ素のn型層と前記グラフェン層との間に六方晶窒化ホウ素の第2の絶縁層が介在されている、
請求項1に記載の太陽光処理ユニット。
【請求項3】
前記金属ベースがニッケルを含む、
請求項1に記載の太陽光処理ユニット。
【請求項4】
前記六方晶窒化ホウ素のp型層がホウ素またはリチウムでドープされている、
請求項1に記載の太陽光処理ユニット。
【請求項5】
前記六方晶窒化ホウ素のn型層が窒素またはフッ素でドープされている、
請求項1に記載の太陽光処理ユニット。
【請求項6】
前記金属ベースが、前記太陽電池の陰極に電気的に接続されている、
請求項1に記載の太陽光処理ユニット。
【請求項7】
前記六方晶窒化ホウ素のn型層に導電層が埋め込まれており、前記導電層が前記太陽光処理ユニットの正極に電気的に接続されている、
請求項1に記載の太陽光処理ユニット。
【請求項8】
前記導電層が金を含む、
請求項7に記載の太陽光処理ユニット。
【請求項9】
レンズの近位表面が前記導電層上に堆積されている、
請求項7に記載の太陽光処理ユニット。
【請求項10】
前記金属ベースが、前記レンズに向けて入射する電磁放射を反射するように構成されている、
請求項9に記載の太陽光処理ユニット。
【請求項11】
反射防止コーティングが前記レンズの遠位表面に堆積されている、
請求項9に記載の太陽光処理ユニット。
【請求項12】
前記レンズがホウケイ酸塩のフラットフロートガラスを含む、
請求項9に記載の太陽光処理ユニット。
【請求項13】
前記レンズの厚さが、最小0.7ミリメートルから最大1.1ミリメートルまでの範囲である、
請求項9に記載の太陽光処理ユニット。
【請求項14】
前記グラフェン層が、グラフェンの単層、グラフェンの二層、または、グラフェンの四層である、
請求項1に記載の太陽光処理ユニット。
【請求項15】
太陽光処理ユニットであって、
金属ベースと、
第1のグラフェン部分と第2のグラフェン部分に分岐したグラフェン層と、
前記第1のグラフェン部分の上に成膜され、前記太陽光処理ユニットの負端子に電気的に接続された第1の導電性層が埋め込まれている六方晶窒化ホウ素のp型層と、
前記第2のグラフェン部分に成膜され、前記太陽光処理ユニットの正極端子に電気的に接続されており第2の導電性層が埋め込まれている六方晶窒化ホウ素のn型層とを含み、
前記第1の導電性層と前記第2の導電性層とは、レンズの近位表面上に成膜されており、
前記第1のグラフェン部分と前記六方晶窒化ホウ素のp型層と前記第1の導電層は、前記第2のグラフェン部分と前記六方晶窒化ホウ素のn型層と前記第2の導電層から電気的に絶縁されており、
前記第1のグラフェン部分と前記六方晶窒化ホウ素のp型層と前記第1の導電層は、前記第2のグラフェン部分と前記六方晶窒化ホウ素のn型層と前記第2の導電層に隣接して配置されており、
前記第1のグラフェン部分と前記第2のグラフェン部分は、前記金属ベースによって互いに電気的に接続されている、
太陽光エネルギーを電力に変換するための太陽光処理ユニット。
【請求項16】
前記六方晶窒化ホウ素のp型層と前記第1のグラフェン部分との間に六方晶窒化ホウ素の第1の絶縁層が介在され、前記六方晶窒化ホウ素のn型層と前記第2のグラフェン部分との間に六方晶窒化ホウ素の第2の絶縁層が介在されている、
請求項15に記載の太陽光処理ユニット。

【請求項17】
前記太陽光処理ユニットが、前記金属ベースを横切って最小4ボルトから最大5ボルトまでの範囲の順方向バイアス電圧を印加し、
それにより、前記第1のグラフェン部分と前記六方晶窒化ホウ素のp型層と前記第1の導電層と前記金属ベースを介してベース電圧を上昇させ、太陽光スペクトルの利用可能なUV-A部分と利用可能なUV-B部分と利用可能なUV-C部分を収集するために、前記六方晶窒化ホウ素のp型層のバンドギャップを共振させるように構成され、
さらにそれにより、前記第2のグラフェン部分と前記六方晶窒化ホウ素のn型層と前記第2の導電層と前記金属ベースを介してベース電圧を上昇させ、太陽光スペクトルのUV-A部分と利用可能なUV-B部分と利用可能なUV-C部分を収集するために、前記六方晶窒化ホウ素のn型層のバンドギャップを共振させるよう構成されている、
請求項16に記載の太陽光処理ユニット。
【請求項18】
反射防止コーティングが、前記レンズの遠位表面に堆積されている、
請求項15に記載の太陽光処理ユニット。
【請求項19】
前記反射防止コーティングが、前記太陽スペクトルの利用可能なUV-A部分の20パーセント、前記太陽スペクトルの利用可能なUV-B部分の80パーセント、または、前記太陽スペクトルの利用可能なUV-C部分の90パーセントを透過するように構成されている、
請求項18に記載の太陽光処理ユニット。
【請求項20】
前記金属ベースが金を含む、
請求項15に記載の太陽光処理ユニット。
【請求項21】
前記金属ベースが導電性のバックゲートブリッジとして構成されている、
請求項15に記載の太陽光処理ユニット。
【請求項22】
前記第1の導電層および前記第2の導電層が金を含む、
請求項15に記載の太陽光処理ユニット。
【請求項23】
前記第1の導電層および前記第2の導電層が、複数のフィンガー電極でパターニングされており、前記複数のフィンガー電極が、前記近位表面の総表面積の5パーセントから25パーセントまでをカバーしている、
請求項15に記載の太陽光処理ユニット。
【請求項24】
前記複数のフィンガー電極が、前記近位表面の総表面積の15パーセントをカバーし、前記複数のフィンガー電極の数が301本であり、前記複数のフィンガー電極のそれぞれが、長さ14ミリメートル、幅15マイクロメートルであり、前記複数のフィンガー電極の各々が、互いに85マイクロメートル離れて間隔をあけている、
請求項23に記載の太陽光処理ユニット。
【請求項25】
前記六方晶窒化ホウ素のp型層が、ホウ素またはリチウムでドープされている、
請求項15に記載の太陽光処理ユニット。
【請求項26】
前記六方晶窒化ホウ素のn型層が窒素またはフッ素でドープされている、
請求項15に記載の太陽光処理ユニット。
【請求項27】
前記金属ベースが、前記太陽電池処理ユニットの陰極に電気的に接続されている、請求項15に記載の太陽光処理ユニット。
【請求項28】
前記グラフェン層が、グラフェンの単層、グラフェンの二層、または、グラフェンの四層である、請求項15に記載の太陽光処理ユニット。
【請求項29】
前記金属ベースが、前記レンズに向かって入射する電磁放射を反射するように構成されている、
請求項15の太陽光処理ユニット。
【請求項30】
前記レンズがホウケイ酸塩フラットフロートガラスを含む、
請求項15に記載の太陽光処理ユニット。
【請求項31】
前記レンズの厚さが、最小0.7ミリメートルから最大1.1ミリメートルまでの範囲である、
請求項15に記載の太陽光処理ユニット。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、広くは、太陽光エネルギーの捕捉およびその電力への変換技術に関し、より詳細には、入射する太陽光エネルギーの変換効率性を向上するためのシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
太陽光処理ユニットにおける至高の目標は、ホウ素(B)、炭素(C)、窒素(N)の元素が、BとNが1つ以上のCを挟んでブックエンド上に配置された配列を持つB2C2N2式の二次元六方晶構造を成すことである。この理想的な結晶性二次元構造を図1に示す。また、図1には、量子的仮定に基づく数学的モデリングの出力も示されている。B2C2N2の2つの安定な異性体が存在することが予測されているが、異性体のどこにも、二次元六方晶構造に必要なパターンである、1つ以上のCを挟んだブックエンドとしてのBとNは現れない。
【0003】
一般的には、アインシュタインの質量と力の原理は宇宙空間で適用され、ニュートンの法則は地球上で適用されると考えられている。しかし、アインシュタインの質量と力の原理は、質量の連続体の反対側の端にある元素や結晶構造にも適用される。地球の月と地球の引力は、元素の原子核のファンデルワールスの引力に類似する。
【0004】
太陽光発電産業における長年のニーズに関する上記認識に基づき、本願発明は、太陽光処理ユニット(SPU)(Solar Processing Unit)、および、パネル、たとえば、2個のSPUを含む3フィート×6フィートの公称寸法(これらに限定されない)を有するパネルを提供し、それにより、より優れた太陽光エネルギー変換効率を提供し、それにより、資本投資あたりの電力ワット数を増加させ、または、少ない設置面積で電力を生成することを基本的な目的とする。
【0005】
いくつかの実施形態では、本願発明の目的は、第3の次元であるz平面において、BおよびNが配置されている所望の結晶構造が、間に1つ以上のCを有するブックエンド構造となった、2次元材料のシートのヘテロ構造を、SPUに組み込むことである。
【0006】
いくつかの実施形態では、本願発明のさらなる目的は、太陽光スペクトルの可視光部分を捕捉するために、グラフェンの二重層、またはその多重体を、SPUに組み込むことである。
【0007】
いくつかの実施形態では、本願発明のさらなる目的は、太陽スペクトルの紫外線部分および赤外線部分をそれぞれグラフェンの二重層の上および下で支配的に捕捉するために、グラフェンの二重層の上および下に、六方晶窒化ホウ素(hBN)単分子膜、またはその多重体をSPUに組み込むことである。
【0008】
いくつかの実施形態では、本願発明の別の目的は、各吸収された光子またはその一部が、各吸収された光子に対して1つ以上の電子が生成されるマルチ励起生成を生成するヘテロ構造体を生成することである。
【0009】
いくつかの実施形態では、本願発明の別の目的は、電気化学的手段によってフッ素のような強い電子陰性元素を移植し、hBN中の陽性ホウ素を電気的に相殺する材料を組み込んでn型半導体を作製することである。
【0010】
いくつかの実施形態では、本願発明の別の目的は、電気化学的手段によってリチウムのような強い電気陽性元素を移植し、hBN中の陰性窒素を電気的に相殺する材料を組み込んでp型半導体を作製することである。
【0011】
いくつかの実施形態では、本願発明の別の目的は、hBNの深さを横切るようにhBN層の外表面にn型ドーピングおよびp型ドーピングを適用して、第1に、二層グラフェンに面する表面に隣接する絶縁ゾーン、次に、n型半導体またはp型半導体のいずれかである半導体ゾーン、および、最後に、太陽照明に最も近いhBN層で正の電極を形成し、太陽照明から最も遠いhBN層で負の電極を形成するように接続可能な導電層を形成することである。
【0012】
いくつかの実施形態では、本願発明の別の目的は、正の2.68864 kg-second-ampsの磁気モーメントを有するほぼ純粋なホウ素11(原子量11)を構成するhBNシート中のホウ素と、負の0.28318 kg-second-ampsの磁気モーメントを有するほぼ純粋な窒素15(原子量15)を構成するhBNシート中の窒素とを採用することである。
【0013】
いくつかの実施形態では、本願発明の別の目的は、hBNのシートに垂直に配置された外部固定磁場と、固定磁場の強さに応じて対になって配置された第2の直交磁気とを配置し、窒素-15に続いてホウ素-11の共鳴磁気周波数に調整することによって、hBNのその軸の周りに、ホウ素原子の1回転でのスピン運動と、窒素原子の反対回転でのスピン運動を作り出すことであり、これらは、強化された光吸収のために必要なスピンを達成するために結合される。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】B2C2N2結晶構造の二次元理想的かつ実現可能な二次元六方晶構造を示す図である。
図2】ホウ素および窒素への電気化学的付着のための1種または複数のドーパントを選択することができる元素群の電気陰性度を示す図である。
図3】六方晶窒化ホウ素に強電子陰性元素と強電陽性元素を注入して、n型半導体とp型半導体を作成する状態を示す図である。
図4】本願発明の好ましい実施形態に係るヘテロ構造の断面図である。
図5】窒素とホウ素の同位体の特性と磁気モーメントを示す図である。
図6】いくつかの元素の核を回転させるために必要な、直交磁場と固定磁界(Fixed Magnetic Field)と共鳴核磁気周波数(Resonant Nuclear Magnetic Frequencies)の対の配置を示す図である。
図7図4の5層のヘテロ構造体(実施形態5)に相当する本願発明の実施形態7の3層サイドバイサイドヘテロ構造体の断面図である。
図8図4の3層のヘテロ構造体、実施形態6に相当する本願発明の2(2)層のサイドバイサイドヘテロ構造体(実施形態8)の断面図である。
図9】2つの六方晶窒化ホウ素層とグラフェン層が、太陽照明に最も近いパターン化された導電面と底部導電面との間に挟まれていることを示す、CAD(コンピュータ支援設計)出力に基づく図8の組立図である。
図10】本願発明の図8のヘテロ構造を有する、寸法31.75mm角の太陽光処理ユニットの写真である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図面におけるすべての図は、本願発明の特定のバージョンを説明するためのものであり、本願発明の範囲を限定することを意図するものではない。
【0016】
六方晶窒化ホウ素(hBN)のホウ素と窒素間のπ結合は、六方晶構造の炭素の炭素間のπ結合よりも少なくとも一桁大きい。したがって、グラフェンではホウ素を炭素に、あるいは、窒素を炭素に置換することは可能だが、hBNでは可能ではない。しかし、図1に示すように、B, C, Nの必要な配列は二次元では実現できない。本願発明では、B,C,Nの必要な配列を達成するために、単分子膜を積層したり、組み合わせて成長させたりすることによる、三次元のヘテロ構造を採用する。
【0017】
三次元構造に存在するB、C、Nの間のファンデルワールス力は、二次元構造のπ結合による力の代用になる。これらの力は質量依存性を有する。本願発明では、B、C、Nの質量は、炭素の質量はほぼ同等であり、窒素の質量は16.6%だけ大きく、ホウ素の質量は11.7%だけ小さな値で類似している。
【0018】
上下にhBNブックエンドを有するグラフェンの太陽光処理ユニット(SPU)単分子膜の最も単純な実施形態において、光子の吸収から生じる電子を移動させるためには、太陽に最も近いhBN層がn型半導体であり、太陽から最も遠いhBN層がp型半導体である必要がある。これは、hBNに電気陰性度の高い元素を電気化学的に注入してホウ素の電気陰性度を下げてn型半導体とし、hBNに電気陰性度の低い元素を注入して窒素の電気陰性度を下げてp型半導体とすることで達成される。ホウ素と窒素に電気化学的に付着させるためのドーパントを1種以上選択できる元素群の電気陰性度を図2に示す。
【0019】
SPUは、n型ブックエンドとp型ブックエンドの間に電気陰性度の差がある場合に機能する。しかし、SPUの性能はhBNブックエンド間の電気陰性度の差に比例して向上する。図2の電気陰性度データから、hBN中のホウ素にフッ素を電気化学的に注入してn型半導体を作製し、hBN中の窒素にリチウムを電気化学的に注入してp型半導体を作製したときに、電気陰性度の差が最大になることがわかる。この作業を行うためには、いくつかのイオン注入方法が利用可能だが、イオン注入の好ましい方法は、基板へのイオンの送達に使用されているイオン導入(iontophoretically)である。
【0020】
n型およびp型半導体を作成するためのhBN中の強い電気陰性元素および強い電気陽性元素のインプラント(注入)を図3に示す。フッ素のイオン注入(Iontophoretic implantation)は、hBNの上面から行われ、0.35nmの深さにわたって3層ドーピング構造(最初に、プラス(+)の電極で外界と接続できる導電性ゾーン、次にn型半導体ゾーン、そして最後に絶縁体ゾーン)を形成する。リチウムのイオン注入は、下部hBNの下面から行われ、0.35nmの深さにわたって3層ドーピング構造(最初に絶縁体ゾーンがあり、次にp型半導体ゾーンがあり、最後に外界に負(-)の電極によって取り付けられる導電性ゾーン)を形成する。
【0021】
本願発明の好ましい実施形態に係るヘテロ構造体の断面を図4に示す。「スタック」のコア要素は、2層のグラフェンである。1つの好ましい実施形態は、2層のグラフェンを成長させて、層が整列した状態にすることを含む。代替的実施形態では、グラフェンの2単層が互いに重ねて配置される。この二重層のグラフェンは、太陽スペクトルの可視光部分の一次吸収体である。グラフェンのブックエンドは、上にhBNの層があり、下にhBNの別の層がある。太陽源に近接するhBN層は、スペクトルの紫外部分を吸収する位置であり、太陽源に遠位のhBN層は、スペクトルの赤外部分を吸収する位置である。0.35nmにわたる3層ドーピング構造は、太陽源に最も近いhBN層にリチウムをイオン注入し、太陽源から最も遠いhBN層にフッ素を注入することにより製造される。ソーラー・スペクトル・エネルギーの経路は、最初に反射防止コーティングが施されたレンズを通過し、次に「スタック」を通過し、最後にベース上の反射コーティングを通過して、吸収されなかった光子が「スタック」を通過して上向きに通過して吸収の機会を増やすことができるようになっている。
【0022】
窒素とホウ素にはそれぞれ2種類の同位体がある。それぞれの重い同位体が本願発明の好ましい形態であるが、これは、これらの形態が核内の中性子と陽子の数が同じではないためである。これらの不均衡は、それらの同位体の磁気モーメントをもたらす。窒素とホウ素の同位体とその磁気モーメントを図5に示す。原子量15の窒素15の磁気モーメントは負の0.28318kg秒アンペアである。また、原子量11のホウ素11の磁気モーメントは、正の2.688864kg秒アンペアである。これらのより重いホウ素と窒素の同位体から製造されたhBNシートを必要な磁場に配置すると、ホウ素11が1回転でスピンし、窒素11が反対の回転方向にスピンすることになる。元素のスピンは、「スタック」による太陽スペクトルの紫外線と赤外線部分の吸収を高める結果を産む。
【0023】
いくつかの元素の核を回転させるために必要な直交磁場と固定磁場(Fixed Magnetic Field)と共鳴核磁気周波数(Resonant Nuclear Magnetic Frequencies)の対の配置を図6に示す。ホウ素と窒素の重い同位体から生成されるhBNを図6に示す幾何学的配置に配置し、必要なスピンを達成するために結合するホウ素11に続いて窒素15の核磁気共鳴を生成する高周波を交互に行うシーケンスを採用することで、強化された光吸収が達成される。
【0024】
図4の5層のヘテロ構造体5に相当する本願発明の3層のサイドバイサイドヘテロ構造体の、本願発明の実施形態7の断面を図7に示す。電子と正孔のためのU字型の経路を作成することによって層の数を最小限にすることを目的とした、太陽光エネルギーの変換のためのSPUは、以下のように表される。分岐し、それぞれの半分が他の部分から電気的に絶縁されているグラフェンの層に電気的に接続された金ベース;グラフェンの片側に六方晶窒化ホウ素を蒸着した層と、グラフェンの残りの半分に六方晶窒化ホウ素を蒸着した層;六方晶窒化ホウ素の上に形成された六方晶窒化ホウ素のp型層;、六方晶窒化ホウ素の上に六方晶窒化ホウ素と電気的に絶縁された六方晶窒化ホウ素に蒸着されたn型の六方晶窒化ホウ素;太陽光照射側の反射防止膜付きレンズ上にSPUの負端子に接続する導電層を形成するために金を注入したp型六方晶窒化ホウ素;SPUのマイナス端子に接続する導電層を形成するための太陽光照射側の反射防止膜付きレンズに蒸着された金を注入したn型六方晶窒化ホウ素。SPUは、ホウ素をドープした六方晶窒化ホウ素のp型層がレンズ上のパターン化された金を介して750マイクロメートル角の負端子に接続され、窒素をドープした六方晶窒化ホウ素のn型層がレンズ上のパターン化された金を介してマイクロメートル角の負端子に接続された状態で製造される。一つの好ましい実施形態では、グラフェンの2層を成長させることを含む。別の実施形態では、グラフェンの2つの半分を電気的に接続する金の上の電極は、スペクトルの紫外部分のn型およびp0型のhBN層による吸収を助けるために、最小5ボルトおよび最大5ボルトの順方向バイアス電圧を供給される。本願発明のSPUは、UV-C、UV-B、UV-Cんの太陽スペクトルで、利用可能な紫外線部分の20%、80%、90%をそれぞれ透過させることができる反射防止材コーティングが施された、厚さ0.7mm以上のホウケイ酸塩フラットフロートガラスのレンズ上に積層することにより製造される。
【0025】
図4の5層ヘテロ構造体と同等の本願発明の実施形態7の3層サイドバイサイドヘテロ構造体の断面を図7に示す。電子と正孔のためのU字型の経路を作ることによって層の数を最小限にすることを目的とした、太陽光エネルギーの変換のためのSPUは、以下の要素から構成される。分岐し、それぞれの半分が他の部分から電気的に絶縁されているグラフェンの層に電気的に接続された金ベース;グラフェンの一方の半分に蒸着された六方晶窒化ホウ素の層;グラフェンの他方の半分に蒸着された六方晶窒化ホウ素の別の層;六方晶窒化ホウ素の上に蒸着された六方晶窒化ホウ素のp型層;六方晶窒化ホウ素から電気的に絶縁されている六方晶窒化ホウ素に蒸着されたn型六方晶窒化ホウ素;SPUの負端子に接続する導電層を形成するために、太陽光側の反射防止膜付きレンズに金を蒸着したp型六方晶窒化ホウ素;SPUの負端子に接続する導電層を形成するために、太陽光側の反射防止膜付きレンズに金を蒸着したn型六方晶窒化ホウ素。SPUは、ホウ素をドープした六方晶窒化ホウ素のp型層がレンズ上のパターン化された金を介して750マイクロメーター角の負端子に接続され、窒素をドープした六方晶窒化ホウ素のn型層がレンズ上のパターン化された金を介して750マイクロメーター角に接続された状態で製造される。一つの好ましい実施形態は、グラフェンの2つの層を成長させることを含む。別の実施形態では、グラフェンの2つの半分を電気的に接続する金上の電極は、スペクトルの紫外部分のn型およびp型hBN層による吸収を助けるために、最小4ボルトおよび最大5ボルトの順方向バイアス電圧を供給される。本願発明のSPUは、太陽スペクトルのUV-A、UV-B、UV-Cの利用可能な紫外線部分の20%、80%、90%をそれぞれ透過させることができる反射防止材コーティングが施された、厚さ0.7mm以上のホウケイ酸塩フラットフロートガラスのレンズ上に積層して製造される。
【0026】
図4の実施形態6の3層ヘテロ構造体に相当する、本願発明の実施形態8の2層サイドバイサイドヘテロ構造体の断面図を図8に示す。電子と正孔のためのU字型の経路を作成することによって層の数を最小限にすることを目的とした、太陽光エネルギーの変換のためのSPUは、以下のように構成される。分岐され、それぞれの半分が互いに電気的に絶縁されているグラフェン層の金ベースの電気的接続;グラフェンの半分に堆積された六方晶窒化ホウ素のp型の層;グラフェンから電気的に絶縁されているグラフェンの他の半分に堆積された六方晶窒化ホウ素のn型の層;太陽光側の反射防止膜付きレンズに金を蒸着してSPUの負端子に接続する導電層を形成したp型六方晶硝酸ホウ素;太陽光側の反射防止膜付きレンズに金を蒸着してSPUの負端子に接続する導電層を形成したn型六方晶硝酸ホウ素を蒸着したp型六方晶硝酸ホウ素。SPUは、ホウ素をドープした六方晶窒化ホウ素のo型層がレンズ上のパターン化された金を介して750マイクロメートル角の負端子に接続され、窒素をドープした六方晶窒化ホウ素のn型層がレンズ上のパターン化された金を介して750マイクロメートル角の負端子に接続された状態で製造される。一つの好ましい実施形態では、グラフェンの2つの層を成長させることを含む。別の実施形態では、金上の電極は、グラフェンの2つの半分を電気的に接続し、スペクトルの紫外線部分のn型およびp型六方晶窒化ホウ素層の吸収を助けるために、最小5ボルトおよび最大4ボルトの順方向バイアス電圧を供給する。本願発明のSPUは、厚さ0.7mm以上のホウケイ酸塩フラットフロートガラスのレンズ上に、太陽スペクトルのUV-A、UV-BおよびUV-Cの利用可能な紫外線部分の20%、80%および90%をそれぞれ透過させることができる反射防止材料コーティングを太陽スペクトルに面した面に積層することによって製造される。
【0027】
コンピュータ支援設計(CAD)出力に基づく図8の組立図では、六方晶窒化ホウ素とグラフェンの2層を、太陽光に最も近いパターン化された導電面で挟み込まれている。図9に底面の導電面を示す。n型およびp型ドープ六方晶窒化ホウ素とグラフェンの光活性層を並べて配置することで、層をなくして各活性部のサイズを半分にすることで、SPUの製造を簡略化することができ、製造歩留まりを向上できる。層に欠陥があると、機能しない、あるいは機能が低下した製品となり、価値のない製品となり、廃棄されなければならない。欠陥は、層の数と層の面積の両方の関数であり、したがって、両方のパラメータを増加させると増加する。層の面積を二分することで、生産歩留まりが向上する。層の数を3層から2層に減らすことで、生産歩留まりが向上する。
【0028】
本願発明の図8のヘテロ構造を有する31.75ミリメートル(1.25インチ)各正方形のSPUの写真を図10に示す。レンズ上の金パターンは、レンズの表面積の最小5パーセントから最大25パーセントをカバーし、本願発明のこの好ましい実施形態では、長さ14ミリメートル、幅15マイクロメートル、および間隔メートルのフィンガー電極301で、レンズの表面積の15パーセントをカバーする。1.25インチ角のSPUは、太陽光発電向け製品であるアレイのタイルとしての電気性能を個別に試験する生産単位である。このプロセスは、4インチ以上の直径の生産ウェハ上の1つのSPUだけが電気性能試験に失敗した場合に、SPU全体を廃棄する必要がなくし、生産歩留まりを向上する。
【0029】
太陽光エネルギーを電力に変換するためのシステムおよび方法に関する本願発明の特定の詳細および実施形態を開示したが、本願発明の精神または範囲から逸脱することなく、多数の変更および追加が可能であることを当業者は理解されたい。特に、提示された好ましい実施形態が、単に本明細書で明らかにされたより広範な発明を例示しているに過ぎないことを念頭に置くべきである。したがって、主要な特徴を念頭に置き、好ましい実施形態に含まれるすべての特徴を組み込まない一方で、それらの主要な特徴のみを組み込んだ実施形態を作ることができることは明らかであろう。
【0030】
したがって、本願発明を保護するために最終的に採用される特許請求の範囲は、本願発明者に与えられる保護の範囲を規定するものである。それらの請求項は、本願発明の精神および範囲から逸脱しない限りにおいて、同等の解釈を含むものとみなされるものとする。以下の請求項の複数は、特定の機能を実行する手段としての特定の要素を、時に材料の構造の再説明なしに表現することができることに、さらに留意しなければならない。法律が要求するように、そのような請求項は、本明細書に明示的に記載されている対応する構造および材料だけでなく、その等価物もカバーするように解釈されるものとする。
【0031】
(追加記述)
図4に示すように、本願発明に係るいくつかの実施形態は、太陽光エネルギーを変換するための太陽光処理ユニットであってもよい。本願発明のいくつかの実施形態は、金属ベース102と、六方晶窒化ホウ素のp型層104と、グラフェン層106と、六方晶窒化ホウ素のn型層108とから構成されてもよい。金属ベース102は、ニッケルから構成されていてもよい。六方晶窒化ホウ素104のp型層は、金属ベース102上に成膜される。六方晶窒化ホウ素のp型層104には、ホウ素またはリチウムがドープされていてもよい。そして、六方晶窒化ホウ素104のp型層上にグラフェン層106が堆積される。グラフェン層106は、グラフェンの単層であってもよいし、グラフェンの二層であってもよいし、グラフェンの四層であってもよい。グラフェン層106の層上には、最終的に六方晶窒化ホウ素のn型層108が成膜される。六方晶窒化ホウ素のn型層108は、窒素またはフッ素をドープしてもよい。このように配置することで、グラフェン層106を六方晶窒化ホウ素のp型層104と六方晶窒化ホウ素のn型層108との間に挟み込むことができ、ヘテロ構造を形成することができる。さらに、六方晶窒化ホウ素のn型層108は、六方晶窒化ホウ素のp型層104よりも太陽光に打たれる面に近いように構成されている。
【0032】
本願発明のこれらの実施形態では、六方晶窒化ホウ素の第1の絶縁層110および六方晶窒化ホウ素の第2の絶縁層112がさらに含まれてもよい。六方晶窒化ホウ素の第1の絶縁層110は、六方晶窒化ホウ素のp型層104とグラフェン層106との間に介在し、六方晶窒化ホウ素の第2の絶縁層112は、六方晶窒化ホウ素のn型層108とグラフェン層106との間に介在する。
【0033】
本願発明のこれらの実施形態は、正端子114、負端子116、および導電層120をさらに含んでいてもよい。金属ベース102は、負端子116に電気的に接続されている。六方晶窒化ホウ素のn型層108は、導電層120が正端子114と電気的に接続できるように、導電層120に埋め込まれている。導電層120は金を含んでよい。
【0034】
本願発明のこれらの実施形態は、レンズ122と反射防止コーティング124とをさらに含んでもよい。レンズ122の近位表面は導電層120上に堆積され、反射防止コーティング124はレンズ122の遠位表面に堆積される。レンズ122は、ホウケイ酸塩フラットフロートガラスで構成されていてもよい。さらに、レンズ122の厚さは、最小0.7mmから最大1.1mmの範囲であってもよい。さらに、金属ベース102は、レンズ122に向かって衝突するあらゆる電磁放射(たとえば、光)を反射するように構成されていてもよい。
【0035】
本願発明のいくつかの他の実施形態は、電子および正孔のためのU字型の経路を作ることによって層の数を最小限にすることを目的としている。これらの実施形態は、金属ベース202、六方晶窒化ホウ素のp型層204、グラフェン層206、六方晶窒化ホウ素のn型層208、第1導電層210、第2導電層212、正端子214、負端子216、および、レンズ218を含んでよい。グラフェン層206は、第1のグラフェン部分2061と第2のグラフェン部分2062とに分岐している。グラフェン層206は、グラフェンの単層、グラフェンの二層、またはグラフェンの四層であってもよい。六方晶窒化ホウ素のp型層204は、第1のグラフェン部分1061上に堆積され、第1の導電層210が負端子216と電気的に接続できるように、第1の導電層210に埋め込まれる。六方晶窒化ホウ素のp型層2004は、ホウ素またはリチウムがドープされていてもよく、第1の導電層210は金を含んでいてもよい。同様に、第2のグラフェン部分2062上に堆積された六方晶窒化ホウ素のn型層208は、第2の導電層212が正端子214と電気的に接続できるように、第2の導電層212が埋め込まれている。六方晶窒化ホウ素のn型層2008は、窒素またはフッ素がドープされていてもよく、第2の導電層212は金を含んでいてよい。この配置により、第1のグラフェン部分2051、六方晶窒化ホウ素のp型層204、および、第1の導電層210は、第2のグラフェン部分2062、六方晶窒化ホウ素のn型層208、および、第2の導電層212から電気的に絶縁され、同時に、第1のグラフェン部分2061および第2のグラフェン部分2062が金属ベース202によって互いに電気的に接続されることを可能にする。金属ベース202は、金で構成されていてもよく、導電性バックゲートブリッジとして構成されていてもよい。また、金属ベース202は、負端子216と電気的に接続されていてもよい。また、第1のグラフェン部2061、六方晶窒化ホウ素のp型層204、および、第1の導電層210は、第2のグラフェン部2062、六方晶窒化ホウ素のn型層208、および、第2の導電層212に隣接して配置されている。さらに、第1の導電層210および第2の導電層212は、ともにレンズ218の近位表面に堆積されている。
【0036】
図7図8、および、図9に示すように、本願発明のこれらの実施形態は、六方晶窒化ホウ素の第1の絶縁層220と、六方晶窒化ホウ素の第2の絶縁層2202とをさらに含んでいてもよい。六方晶窒化ホウ素の第1の絶縁層220は、六方晶窒化ホウ素のp型層204と第1のグラフェン部分2061との間に介在する。同様に、六方晶窒化ホウ素の第2の絶縁層2202は、六方晶窒化ホウ素のn型層2008と第2のグラフェン部分2062との間に介在する。本願発明はまた、金属ベース202を横切って、最小4ボルトから最大5ボルトまでの範囲の順方向バイアス電圧を印加し、それによって、第1のグラフェン部分2061、六方晶窒化ホウ素204のp型層、第1の導電層210、および金属ベース202を介してベース電圧を上昇させ、利用可能なUV-A部分を収集するために、六方晶窒化ホウ素204のp型層のバンドギャップを共振させるように構成されてもよい。太陽スペクトルの利用可能なUV-A部分、利用可能なUV-B部分、および、利用可能なUV-C部分を収集するために、第2のグラフェン部分2062、六方晶窒化ホウ素208のn型層、第2の導電層2122、および金属ベース202を介してベース電圧を上昇させて、六方晶窒化ホウ素208のn型層のバンドギャップを共振させることにより、太陽スペクトルの利用可能なUV-A部分、利用可能なUV-B部分、および利用可能なUV-C部分を収集する。
【0037】
本願発明のこれらの実施形態は、反射防止コーティング224をさらに含んでもよい。反射防止コーティング224は、レンズ218の遠位表面上に堆積される。反射防止コーティング224は、太陽スペクトルの利用可能なUV-A部分の20パーセントを透過し、太陽スペクトルの利用可能なUV-B部分の80パーセントを透過し、または、太陽スペクトルの利用可能なUV-C部分の90パーセントを透過するように構成されてよい。レンズ218は、ホウケイ酸塩フラットフロートガラスで構成されていてよい。さらに、レンズ218の厚さは、最小0.7ミリメートルから最大1.1ミリメートルの範囲であってもよい。さらに、金属ベース202は、レンズ218に向かって衝突するあらゆる電磁放射(たとえば光)を反射するように構成されていてもよい。
【0038】
本願発明のこれらの実施形態では、第1の導電性層210および第2の導電性層212は、複数のフィンガー電極でパターニングされてもよい。複数のフィンガー電極は、近位表面の総表面積の最小5パーセントから最大25パーセントまでをカバーしてもよい。しかし、好ましくは、複数のフィンガー電極は、近位表面の総表面積の15パーセントをカバーする。複数のフィンガー電極は、好ましくは、合計301本から構成される。複数のフィンガーの各々は、好ましくは、長さが14ミリメートル、幅が15マイクロメートルである。複数のフィンガー電極は、好ましくは、互いに85マイクロメートル間隔である。
【0039】
本願発明を、その好ましい実施形態に関連して説明してきたが、本願発明の精神および範囲から逸脱することなく、他の多くの可能な修正および変形が可能であることを理解されたい。
図1
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【国際調査報告】