IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ イーイノテック、インコーポレイテッドの特許一覧

<>
  • 特表-液体殺菌装置 図1
  • 特表-液体殺菌装置 図2
  • 特表-液体殺菌装置 図3
  • 特表-液体殺菌装置 図4
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-08-02
(54)【発明の名称】液体殺菌装置
(51)【国際特許分類】
   C02F 1/467 20060101AFI20220726BHJP
【FI】
C02F1/467
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021568875
(86)(22)【出願日】2020-06-03
(85)【翻訳文提出日】2022-01-14
(86)【国際出願番号】 US2020035946
(87)【国際公開番号】W WO2020247514
(87)【国際公開日】2020-12-10
(31)【優先権主張番号】16/431,047
(32)【優先日】2019-06-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521503868
【氏名又は名称】イーイノテック、インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】龍華国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】キュイ、イ
(72)【発明者】
【氏名】リー、ユアンチン
【テーマコード(参考)】
4D061
【Fターム(参考)】
4D061DA02
4D061DA03
4D061DB01
4D061EA02
4D061EB04
4D061EB09
4D061EB11
4D061EB18
4D061EB20
4D061EB29
4D061EB31
4D061EB33
4D061EB35
(57)【要約】
装置は、液体を受け入れるための入口、および液体を排出するための出口を含む導管を含む。第1の多孔質電極、第2の多孔質電極、および第3の多孔質電極は、導管内で入口と出口との間に配置されている。第1の多孔質セパレータは、第1の多孔質電極と第2の多孔質電極との間に挟まれている。第2の多孔質セパレータは、第2の多孔質電極と第3の多孔質電極との間に挟まれている。第1の多孔質電極、第2の多孔質電極、および第3の多孔質電極に電力を提供するように構成された電源。液体が導管を通って流れている間、電源は、第1のタイプの電圧を第1の多孔質電極および第3の多孔質電極に供給し、第2のタイプの電圧を第2の多孔質電極に供給し、第2のタイプは第1のタイプの逆である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を受け入れるための入口、および前記液体を排出するための出口を有する導管と、
前記導管内で前記入口と前記出口との間に配置された、第1の多孔質電極、第2の多孔質電極、および第3の多孔質電極と、
前記第1の多孔質電極と前記第2の多孔質電極との間に挟まれた第1の多孔質セパレータと、
前記第2の多孔質電極と前記第3の多孔質電極との間に挟まれた第2の多孔質セパレータと、
前記第1の多孔質電極、前記第2の多孔質電極、および前記第3の多孔質電極に電力を提供するように構成された電源と
を備え、
前記液体が前記導管を通って流れている間、前記電源は、第1のタイプの電圧を前記第1の多孔質電極および前記第3の多孔質電極に供給し、第2のタイプの電圧を前記第2の多孔質電極に供給し、前記第2のタイプは前記第1のタイプの逆である、
装置。
【請求項2】
前記第1の多孔質電極、前記第2の多孔質電極、および前記第3の多孔質電極のそれぞれは、多孔質支持体、および前記多孔質支持体に連結されたナノ構造体を有する、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記多孔質支持体は複数の微細孔を含み、前記ナノ構造体は前記多孔質支持体から前記複数の微細孔に向かって突出するように配置された、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記ナノ構造体は、ナノワイヤおよびナノチューブを含む、請求項2または3に記載の装置。
【請求項5】
前記多孔質支持体は発泡体を含む、請求項2から4のいずれか一項に記載の装置。
【請求項6】
前記発泡体は導電性である、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記発泡体は銅発泡体を含む、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記ナノ構造体は、銅ナノワイヤを含む、請求項2から7のいずれか一項に記載の装置。
【請求項9】
前記ナノ構造体は、カーボンナノチューブを含む、請求項2から8のいずれか一項に記載の装置。
【請求項10】
前記第1の多孔質セパレータは第1の厚さを有し、前記第2の多孔質セパレータは第2の厚さを有し、前記第1の厚さは前記第2の厚さと異なる、請求項1から9のいずれか一項に記載の装置。
【請求項11】
前記第1の多孔質電極に配置された第3の多孔質セパレータと、
前記第3の多孔質セパレータに配置された第4の多孔質電極と
をさらに備え、
前記液体が前記導管を通って流れている間、前記電源は、前記第2のタイプの電圧を前記第4の多孔質電極に供給する、
請求項1から10のいずれか一項に記載の装置。
【請求項12】
前記第3の多孔質電極に配置された第4の多孔質セパレータと、
前記第4の多孔質セパレータに配置された第5の多孔質電極と
をさらに備え、
前記液体が前記導管を通って流れている間、前記電源は、前記第2のタイプの電圧を前記第4の多孔質電極に供給する、
請求項11に記載の装置。
【請求項13】
前記第1のタイプの電圧は正電圧であり、かつ前記第2のタイプの電圧は負電圧であり、または前記第1のタイプの電圧は前記負電圧であり、かつ前記第2のタイプの電圧は前記正電圧であり、または交流電流電源において前記第1のタイプの電圧は前記第2のタイプの電圧と逆である、請求項1から12のいずれか一項に記載の装置。
【請求項14】
前記電源は、直流電流または交流電流を前記第1の多孔質電極、前記第2の多孔質電極および前記第3の多孔質電極に提供する、請求項1から13のいずれか一項に記載の装置。
【請求項15】
前記電源は、正弦波または矩形波で交流電流を前記第1の多孔質電極、前記第2の多孔質電極および前記第3の多孔質電極に提供する、請求項1から14のいずれか一項に記載の装置。
【請求項16】
前記電源は、0.5~10Hzで前記交流電流を前記第1の多孔質電極、前記第2の多孔質電極および前記第3の多孔質電極に提供する、請求項15に記載の装置。
【請求項17】
前記第1のタイプの電圧と前記第2のタイプの電圧との間の電圧差は、約0~約40ボルトである、請求項1から16のいずれか一項に記載の装置。
【請求項18】
前記第1の多孔質セパレータおよび前記第2の多孔質セパレータは多孔質ポリマまたはポリマメッシュを含む、請求項1から17のいずれか一項に記載の装置。
【請求項19】
前記第1の多孔質セパレータおよび前記第2の多孔質セパレータは親水性である、請求項1から18のいずれか一項に記載の装置。
【請求項20】
前記第1の多孔質電極、前記第2の多孔質電極および前記第3の多孔質電極は親水性である、請求項1から19のいずれか一項に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本出願は、2019年6月4日に出願された米国出願第16/431,047号の優先権を主張し、この内容は、その全体が参照により本開示に引用される。
【背景技術】
【0002】
生物付着はよく起こる、深刻な問題であるため、細菌および他の有害な微生物を水から除去することは、飲用および公衆衛生のためだけではなく工業的にも重要なプロセスである。水殺菌のための従来の方法は、塩素処理および膜ベースのアプローチを含む。残念なことに、これらの種類のアプローチにはともに、ある特定の欠陥がある。
【0003】
塩素処理は典型的に、処理される水中に塩素種が十分に散逸することを可能にするための最大1時間または複数時間までのインキュベーション時間が伴う、緩慢なプロセスである。また、塩素処理は、発がん性種を含む、有害な酸化副生成物を生じるおそれがあり、塩素処理設備は、導入および維持の両方の観点から資本集約的であり得る。
【0004】
従来の膜ベースのアプローチは典型的に、膜全体にわたる高い圧力損失、および膜の詰まりを伴い得る、細菌のサイズ排除に基づいて作用する。それに加えて、従来の膜ベースのアプローチはエネルギ集約的であり得、膜全体にわたって流量が低くなるおそれがある。
【発明の概要】
【0005】
本明細書に記載されるのは、水、または飲用および工業的用途のための他の液体を殺菌するための装置である。
【0006】
一実施形態において、本開示は、液体を受け入れるための入口、および液体を排出するための出口を含む導管、ならびに導管内で入口と出口との間に配置された、第1の多孔質電極、第2の多孔質電極、および第3の多孔質電極を含む装置を記載する。第1の多孔質セパレータは、第1の多孔質電極と第2の多孔質電極との間に挟まれている。第2の多孔質セパレータは、第2の多孔質電極と第3の多孔質電極との間に挟まれている。電源は、第1の多孔質電極、第2の多孔質電極、および第3の多孔質電極に電力を提供するように構成されている。液体が導管を通って流れている間、電源は、第1のタイプの電圧を第1の多孔質電極および第3の多孔質電極に供給し、第2のタイプの電圧を第2の多孔質電極に供給し、第2のタイプは第1のタイプの逆である。電源は、任意の波形を有する直流電流または交流電流であり得る。
【0007】
いくつかの実施形態において、第1の多孔質電極、第2の多孔質電極、および第3の多孔質電極のそれぞれは、多孔質支持体、および多孔質支持体に連結されたナノ構造体を含む。
【0008】
いくつかの例において、多孔質支持体は複数の微細孔を含み、ナノ構造体は多孔質支持体から微細孔に向かって、または他の方向に、突出するように配置されている。いくつかの実施形態において、ナノ構造体は、ナノワイヤおよびナノチューブを含む。いくつかの実施形態において、多孔質支持体は発泡体を含む。発泡体は導電性であってもよい。いくつかの実施形態において、発泡体は金属発泡体を含む。金属発泡体は、銅、ニッケル、または他の適切な金属を含んでもよい。
【0009】
いくつかの実施形態において、ナノ構造体は、銅ナノワイヤおよび/またはカーボンナノチューブを含む。
【0010】
いくつかの実施形態において、第1の多孔質セパレータは第1の厚さを有し、第2の多孔質セパレータは第2の厚さを有する。第1の厚さは第2の厚さと異なる。
【0011】
いくつかの実施形態において、装置は、第1の多孔質電極に配置された第3の多孔質セパレータ、および第3の多孔質セパレータに配置された第4の多孔質電極をさらに含む。液体が導管を通って流れている間、電源は、第2のタイプの電圧を第4の多孔質電極に供給する。
【0012】
いくつかの実施形態において、装置は、第3の多孔質電極に配置された第4の多孔質セパレータ、および第4の多孔質セパレータに配置された第5の多孔質電極をさらに含む。液体が導管を通って流れている間、電源は、第2のタイプの電圧を第4の多孔質電極に供給する。
【0013】
いくつかの実施形態において、第1のタイプの電圧は正電圧であり、かつ第2のタイプの電圧は負電圧であり、または第1のタイプの電圧は負電圧であり、かつ第2のタイプの電圧は正電圧である。電源は、直流電流または交流電流を多孔質電極に提供する。いくつかの実施形態において、電源は、正弦波または矩形波で交流電流を多孔質電極に提供する。いくつかの例において、電源は、0.5~10Hzで交流電流を多孔質電極に提供する。第1のタイプの電圧と第2のタイプの電圧との間の電圧差は、約0~約40ボルトである。
【0014】
いくつかの実施形態において、多孔質セパレータおよび多孔質電極は親水性である。
【図面の簡単な説明】
【0015】
本技術の様々な実施形態のある特定の特徴は、添付した特許請求の範囲において詳細に記述する。本発明の原理が用いられる例証的な実施形態を記述する以下の詳細な説明、および添付の図面を参照することにより、本技術の特徴および利点のよりよい理解が得られるであろう。
【0016】
図1】一例の実施形態による液体殺菌装置を描写する概略図である。
【0017】
図2】一例の実施形態による多孔質電極の一部を描写する概略図である。
【0018】
図3】一例の実施形態による別の液体殺菌装置を描写する概略図である。
【0019】
図4】一例の実施形態による液体殺菌装置を描写する概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下の詳細な説明において、ある特定の具体的な詳細が、本発明の様々な実施形態の十分な理解を提供するために記載される。しかしながら、本発明がこれらの詳細がなくとも実践され得ることは、当業者には理解されるであろう。それに加えて、本発明の様々な実施形態が本明細書で開示される一方で、当業者の一般共通の知見に従い、本発明の範囲内で、多くの改変および修正がなされてもよい。そのような修正は、実質的に同じやり方で同じ結果を達成するために、本発明の任意の態様に対する公知の均等物の置換を含む。
【0021】
文脈において別段に求められない限り、本明細書および特許請求の範囲にわたって、「comprises(備える)」および「comprising(備える)」などの、単語「comprise(備える)」およびその変形は、オープンで包括的な意味である、すなわち、「を含むが、これらに限定されない」として解釈されるものとする。本明細書にわたる数値の範囲の列挙は、その範囲を規定する値を含む、その範囲に含まれる個々の値それぞれに個別に言及することを略して表記したものであることが意図され、個々の値それぞれは、本明細書に個別に列挙されているものとして本明細書に組み込まれる。さらに、文脈において明確に別段の指示がない限り、単数形の「a」、「an」、および「the」は、複数の指示対象を含む。
【0022】
本明細書にわたる、「一実施形態」または「ある実施形態」への言及は、その実施形態に関連して説明される特定の特徴、構造、または特性が、本発明の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。したがって、本明細書にわたる様々な箇所における語句「一実施形態において」または「ある実施形態において」が見られても、必ずしもすべてが同じ実施形態に言及しているわけではなく、しかし、いくつかの例において、言及している場合がある。さらに、特定の特徴、構造、または特性は、1つまたは複数の実施形態において、任意の好適な仕方で、組み合わされる場合がある。
【0023】
本明細書に記載される様々な実施形態は、水、ならびに飲用および工業的用途のための他の液体を殺菌するための装置を対象とする。一実施形態において、水殺菌装置は、液体を受け入れるための入口、および液体を排出するための出口を含む導管、ならびに導管内で入口と出口との間に配置された、第1の多孔質電極、第2の多孔質電極、および第3の多孔質電極を含む。第1の多孔質セパレータは、第1の多孔質電極と第2の多孔質電極との間に挟まれている。第2の多孔質セパレータは、第2の多孔質電極と第3の多孔質電極との間に挟まれている。電源は、第1の多孔質電極、第2の多孔質電極、および第3の多孔質電極に電力を提供するように構成されている。液体が導管を通って流れている間、電源は、第1のタイプの電圧を第1の多孔質電極および第3の多孔質電極に供給し、第2のタイプの電圧を第2の多孔質電極に供給し、第2のタイプは第1のタイプの逆である。
【0024】
ここから、添付の図面を用いて実施形態を説明する。最初に、図1に言及する。図1は、一例の実施形態による液体殺菌装置100を例示する概略図である。装置100は、液体を受け入れるための入口102、および液体を排出するための出口104を有する導管101を含む。装置100は、すべて導管101内に配置されている、複数の多孔質電極106a~c(集合的に106)、および多孔質セパレータ108a~b(集合的に108)をさらに含む。例示される実施形態において、装置100は、3つの多孔質電極106a~c、および2つの多孔質セパレータ108a~bを含む。多孔質セパレータ108のそれぞれは、2つの隣り合う多孔質電極106の間に挟まれている。図1に示されるように、多孔質セパレータ108aは、多孔質電極106aと106bとの間に挟まれており、多孔質セパレータ108bは、多孔質電極106bと106cとの間に挟まれている。多孔質電極106および多孔質セパレータ108は、次々に、それらの間に間隙なしに積み重ねられている。3つの多孔質電極および2つの多孔質セパレータが図1において例示されているが、本開示はそれに限定されない。より多くの多孔質電極および多孔質セパレータを導管101内に配置して、小型のかつ効率的な液体殺菌装置を、必要およびその適用に基づいて、形成することができる。
【0025】
装置100は、多孔質電極106に電力を提供するように構成された電源110をさらに含む。一実施形態において、電源110は、第1のタイプの電圧を多孔質電極106aおよび106cに供給し、第2のタイプの電圧を多孔質電極106bに供給する。第2のタイプは第1のタイプの逆である。たとえば、第1のタイプおよび第2のタイプはそれぞれ、正および負であり、またはその逆であり得る。いくつかの実施形態において、第1のタイプの電圧と第2のタイプの電圧との間の電圧差は、約0ボルトおよび約40ボルトまでであり、または約20ボルトおよび約40ボルトまでである。
【0026】
いくつかの実施形態において、電源は、直流電流または交流電流を多孔質電極に提供する。いくつかの実施形態において、交流電流は、正弦波または矩形波を含む。いくつかの実施形態において、交流電流の周波数は、0.5~10Hz、または0.5~1Hzである。
【0027】
多孔質電極106および多孔質セパレータ108は、装置100の筐体112の中に配置されている。多孔質セパレータ108は、2つの隣り合う多孔質電極106の間の絶縁を提供する多孔質ポリマまたはメッシュを含んでもよい。いくつかの実施形態において、多孔質電極106および多孔質セパレータ108のための材料は、それらが親水性であるか、またはそれらが殺菌するように設計された水もしくは液体に対する高透過性を有するように、選択される。入口102および出口104は、上流の管または容器、および下流の管または容器とそれぞれ接続されるための取付機構(図示せず)を含んでもよい。
【0028】
多孔質電極106のそれぞれは、多孔質支持体、および多孔質支持体に連結されたナノ構造体を含む。図2に言及する。図2は、一例の実施形態による多孔質電極200の一部を例示する概略図である。多孔質電極200は、多孔質支持体202、および多孔質支持体202と連結された複数のナノ構造体204を含む。一実施形態において、多孔質支持体202は、発泡体、および発泡体206中に埋め込まれた微細孔206を含んでもよい。
【0029】
多孔質支持体はまた、絶縁性であるか、導電性であるか、もしくは半導電性である材料で形成され得るか、または特性の組み合わせを有する材料の組み合わせで形成され得る。たとえば、多孔質支持体202は、銅発泡体を含んでもよい。いくつかの実施形態において、多孔質支持体202は、マトリックス、または織られていることも織られていないこともある繊維のネットワークを含む繊維状材料を含んでもよい。繊維状材料の例としては、紙、ならびに綿、亜麻、および大麻などの天然繊維で形成されたものと、アクリル、ポリエステル、レーヨンなどの合成繊維で形成されたものとを含む織物およびフェルト、ならびに炭素布の形態の炭素繊維が挙げられる。透過性または半透過性の膜、スポンジ、および金属または他の導電性の材料で形成されたメッシュなどの他のタイプの多孔質支持体が企図される。
【0030】
多孔質支持体202の微細孔サイズは、不活性化されることになる微生物の典型的なサイズに基づいて選択することができる。たとえば、細菌の場合、微細孔サイズは、不活性化されることになる細菌の典型的なサイズより大きくなるように選択することができ、それによって、多孔質支持体の詰まりがほとんどないか、全くない状態で、細菌の通過を可能にする。いくつかの実施形態において、多孔質支持体202は、少なくとも約5μm、または少なくとも約10μm、かつ最大約1mmまでなどの、十分にマイクロメートル範囲内であるサイズにされた微細孔206を含み得る。いくつかの例において、微細孔サイズは、約5μm~約900μm、約10μm~約800μm、約10μm~約700μm、約10μm~約600μm、約10μm~約500μm、約20μm~約400μm、約30μm~約300μm、約40μm~約300μm、約50μm~約300μm、または約50μm~約200μmの範囲であり得る。他のタイプの微生物の場合、微細孔サイズは、それらの微生物の典型的なサイズに従って適切に選択することができる。たとえば、ウイルスの場合、微細孔サイズは、少なくとも約100nm、かつ最大約1μmまでなどのナノメートル範囲にあるように選択することができる。認識され得るように、多孔質支持体の微細孔はサイズの分布を有し得、微細孔サイズとは、サイズの分布にわたり有効なサイズ、またはサイズの分布の平均もしくはメジアンを指し得る。
【0031】
多孔質支持体202は、その多孔率によって特徴付けられてもよく、多孔率は、微細孔、または多孔質支持体における任意の他の開放された空所の存在に由来する空隙の度合いの尺度である。多孔率は、全体積に対する空隙の体積の比として表すことができ、すなわち、0と1との間、または百分率で0%と100%との間である。いくつかの実施形態において、多孔質支持体は、少なくとも約0.05、または少なくとも約0.1、かつ最大約0.95までである多孔率を有し得、より詳細には、多孔率は、約0.1~約0.9、約0.2~約0.9、約0.3~約0.9、約0.4~約0.9、約0.5~約0.9、約0.5~約0.8、または約0.6~約0.8の範囲であり得る。多孔率を決定する手法は、たとえば、ポロシメトリ、および光学的または走査手法を含む。
【0032】
ナノ構造体204は、ナノワイヤ、ナノチューブ、またはこれらの構造体の複数もしくは組み合わせを含んでもよい。ナノ構造体204は、それの材料組成、形状、およびサイズに関して特徴付けられてもよい。ナノ構造体は、絶縁性であるか、導電性であるか、もしくは半導電性である材料で形成され得るか、または、コア-シェルもしくは多層構成におけるなどの特性の組み合わせを有する材料の組み合わせで形成されたヘテロ構造体であり得る。ナノ構造体を形成するための手法は、たとえば、摩滅、噴霧熱分解、ホット射出、レーザアブレーション、および溶液ベース合成を含む。
【0033】
例示される実施形態において、多孔質電極200は、多孔質支持体202およびナノ構造体204の高表面積、ならびに効果的な細菌の不活性化を提供する、ナノ構造体の近傍における誘導電界を有する電気的機構を介した殺菌を提供する。多孔質支持体202が絶縁性である場合、少なくともナノ構造体204のサブセットは、多孔質電極200に導電性を付与するために、導電性、または半導電性であり得る。たとえば、ナノ構造体は、金属、金属合金、金属ケイ化物、金属酸化物、半導体、導電性ポリマ、そのような材料のドープされた形態、またはそのような材料の組み合わせで形成することができる。いくつかの例において、ナノ構造体は、銅、金、ニッケル、パラジウム、白金、銀、炭素(たとえば、グラフェンの形態で)、もしくは別のIVB族元素(たとえば、ケイ素またはゲルマニウム)、IVB-IVB族二元合金(たとえば、炭化ケイ素)、IIB-VIB族二元合金(たとえば、酸化亜鉛)、IIIB-VB族二元合金(たとえば、窒化アルミニウム)、またはIB族(または11族)元素、IIB族(または12族)元素、IIIB族(または13族)元素、IVB族(または14族)元素、VB族(または15族)元素、VIB族(または16族)元素、およびVIIB族(または17族)元素の、別の二元、三元、四元、もしくはより高次の合金で形成することができる。
【0034】
ナノ構造体204は、回転楕円体、四面体、三脚形、円盤形、ピラミッド形、箱形、立方体形、円柱形、管状、ならびにいくつかの他の幾何学的形状および非幾何学的形状などの、様々な形状のうち任意のものを有し得る。ナノ構造体の例としては、フラーレン、銅ナノワイヤ、ニッケルナノワイヤ、銀ナノワイヤ、ゲルマニウムナノワイヤ、シリコンナノワイヤ、カーボンナノチューブ(たとえば、単層カーボンナノチューブおよび多層カーボンナノチューブ)、およびコアシェルナノワイヤ(たとえば、別の材料で形成されたコアを囲む、銅、ニッケル、または銀で形成されたシェル)が挙げられる。いくつかの実施形態において、組み込まれたナノ構造体の少なくともサブセットは、ナノチューブ、ナノワイヤ、またはナノチューブとナノワイヤの組み合わせなどの、高アスペクト比ナノ構造体に相当する。高アスペクト比ナノ構造体は、多孔質支持体の構成繊維へのより強く直接的な連結のための大きい表面積を有し得、そのような連結を提供するための化学的戦略を必要としない。高アスペクト比ナノ構造体はまた、隣接するナノ構造体間の接点形成の発生を増大させ、ナノ粒子の使用と比べて、ホッピングまたはトンネル事象の数を減らすことによって、効率的な電荷輸送ネットワークを形成することができる。しかしながら、ナノ粒子は、高アスペクト比ナノ構造体と組み合わせて、またはその代わりに、使用され得ることが企図される。
【0035】
いくつかの実施形態において、ナノ構造体204におけるナノワイヤは、約1nm~約200nm、約1nm~約150nm、約10nm~約100nm、約20nm~約100nm、約30nm~約100nm、または約40nm~約100nmの範囲の平均またはメジアン径、約500nm~約100μm、約800nm~約50nm、約1μm~約40μm、約1μm~30μm、約1μm~約20μm、または約1μm~約10μmの範囲の平均またはメジアン長さ、および約5~約2,000、約50~約1,000、約100~約900、約100~約800、約100~約700、約100~約600、または約100~約500の範囲の平均またはメジアンアスペクト比を有する。
【0036】
いくつかの実施形態において、ナノ構造体204におけるナノチューブは、約1nm~約200nm、約1nm~約150nm、約10nm~約100nm、約20nm~約100nm、約30nm~約100nm、または約40nm~約100nmの範囲の平均またはメジアン径(たとえば、外径)、約500nm~約100μm、約800nm~約50μm、約1μm~約40μm、約1μm~30μm、約1μm~約20μm、または約1μm~約10μmの範囲の平均またはメジアン長さ、および約5~約2,000、約50~約1,000、約100~約900、約100~約800、約100~約700、約100~約600、または約100~約500の範囲の平均またはメジアンアスペクト比を有する。
【0037】
多孔質電極200は、約1,000Ω/sq以下の、約500Ω/sq以下の、約400Ω/sq以下の、約300Ω/sq以下の、約200Ω/sq以下の、約100Ω/sq以下の、約50Ω/sq以下の、約25Ω/sq以下の、または約10Ω/sq以下の、かつ最小約1Ω/sqまでの、最小約0.1Ω/sqまでの、またはそれより小さい、シート抵抗を有する。
【0038】
いくつかの実施形態において、ナノ構造体204は、ナノ構造体204が多孔質支持体202から微細孔206に向かって突出するように、たとえば、図2における左側の微細孔206に対するナノ構造体204のように、多孔質支持体202と連結されてもよい。これらのナノ構造体204の軸は微細孔206の表面に対して実質的に垂直である。いくつかの実施形態において、ナノ構造体204は、対応する微細孔206の周りに配置され、たとえば、図2における右側の微細孔206に対するナノ構造体204である。これらのナノ構造体204の軸は微細孔206の表面に対して実質的に平行である。図2における他の微細孔のためのナノ構造体は省略される。他のタイプの連結構造が企図される。たとえば、ナノ構造体204は、微細孔206の表面に対してランダムに絡まっていてもよい。
【0039】
ナノ構造体204を多孔質支持体202に組み込むことは、様々なやり方で行うことができる。たとえば、ナノ構造体204を形成し、次いで水溶液または非水溶液中に分散させてインクを形成することができる。レオロジを調整するための界面活性剤、分散剤、および他の添加剤も、含まれ得る。分散されたナノ構造体204を含むインクは、噴霧、印刷、ロールコーティング、カーテンコーティング、グラビアコーティング、スロットダイ、カップコーティング、ブレードコーティング、浸漬、ディップコーティング、およびピペッティングなどで、溶液の乾燥または他の除去が後に続く、いくつかのコーティング手法のうち任意のものを用いて、多孔質支持体202に適用することができる。ナノ構造体204は、多孔質支持体202の表面を前駆体溶液に晒すことなどによって、多孔質支持体202上でインサイツで形成され得ることも企図される。
【0040】
ナノ構造体204と多孔質支持体202との間の連結は、多孔質支持体202の微細孔206内のナノ構造体の機械的な絡み合い、多孔質支持体202の構成繊維もしくは発泡体に対するインクの付着特性、構成繊維もしくは発泡体の表面電荷、構成繊維もしくは発泡体の官能基、またはこれらの機構の組み合わせに依拠し得る。いくつかの実施形態において、ナノ構造体204と多孔質支持体202との間の連結は、ファンデルワールス相互作用、水素結合、疎水性力に基づく結合、π-π相互作用に基づく結合、および静電相互作用に基づく結合(たとえば、陽イオンと陰イオンとの間の、または双極子-双極子相互作用)などの共有結合および非共有結合を含む化学結合の形成を伴い得る。
【0041】
図3は、一例の実施形態による別の液体殺菌装置300を例示する概略図である。装置300は、図1における装置100と類似しており、多孔質電極106aに配置されたさらなる多孔質セパレータ108c、および多孔質セパレータ108cに配置されたさらなる多孔質電極106dを含む。液体が導管101を通って流れている間に、電源110は、第1のタイプの電圧を多孔質電極106aおよび106cに供給し、第2のタイプの電圧を多孔質電極106bおよび106dに供給し、またはその逆であり、または交流電圧を供給する。
【0042】
図4は、一例の実施形態による別の液体殺菌装置400を例示する概略図である。装置400は、図3における装置300と類似しており、多孔質電極106cに配置されたさらなる多孔質セパレータ108d、および多孔質セパレータ108dに配置されたさらなる多孔質電極106eを含む。液体が導管101を通って流れている間に、電源110は、第1のタイプの電圧を多孔質電極106aおよび106cに供給し、第2のタイプの電圧を多孔質電極106b、106d、および106eに供給し、またはその逆であり、または交流電圧を供給する。装置300および400の動作により、細菌または他の望ましくない微生物を不活性化する効率が向上される。いくつかの実施形態において、装置400には、細菌不活性化効率をさらに向上させるために、多孔質電極106dおよび106eに、より多くの多孔質セパレータおよび多孔質電極が設けられてもよい。
【0043】
いくつかの実施形態において、装置100、300、および400の、細菌、ウイルス、および原生動物(シスト)の不活性化効率は、少なくとも約95%、または少なくとも約98%、かつ最大約99%まで、最大約99.5%まで、最大99.9%まで、最大約99.99%まで、最大99.999%まで、または最大99.9999%までである。そのような不活性化効率は、約0.1sec~約1min、約0.1sec~約50sec、約0.5sec~約40sec、約0.5sec~約30sec、約0.5sec~約20sec、約0.5sec~約10sec、または約0.5sec~約5secの範囲におけるなどの、短いインキュベーション時間で達成することができる。
【0044】
本発明の前述の説明は、例示および説明の目的で提供された。網羅的であること、または開示される正確な形態に本発明を限定することを意図するものではない。本発明の広さおよび範囲は、上述の例示的な実施形態のいずれによっても限定されるべきではない。当業者には、多くの修正および変更が明らかとなろう。修正および変更は、開示される特徴の任意の関連した組み合わせを含む。実施形態は、本発明の原理およびその実際の適用を最良に説明し、それにより、他の当業者が、企図される特定の使用に適する、様々な実施形態に関して、および様々な修正と共に、本発明を理解することを可能にするために、選ばれかつ記載された。本発明の範囲は、以下の特許請求の範囲およびその均等物によって定義されることが意図される。
図1
図2
図3
図4
【国際調査報告】