(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-08-02
(54)【発明の名称】OFDMAベースバンドクロックの同期
(51)【国際特許分類】
H04L 27/26 20060101AFI20220726BHJP
H04J 1/00 20060101ALI20220726BHJP
【FI】
H04L27/26 420
H04L27/26 100
H04J1/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021570807
(86)(22)【出願日】2020-05-27
(85)【翻訳文提出日】2022-01-28
(86)【国際出願番号】 US2020034706
(87)【国際公開番号】W WO2020243175
(87)【国際公開日】2020-12-03
(32)【優先日】2019-05-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】504189151
【氏名又は名称】シュアー アクイジッション ホールディングス インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】SHURE ACQUISITION HOLDINGS,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【氏名又は名称】那須 威夫
(72)【発明者】
【氏名】ロドリゲス マイケル
(72)【発明者】
【氏名】シュ ホンフイ
(57)【要約】
OFDMA無線マイクロフォンシステムにおいてベースバンドクロックを同期させるための方法が開示される。例示的な方法は、オーディオ送信機から複数のパイロットサブキャリアを受信するステップを含む。方法は、パイロットサブキャリアに基づいてタイミングオフセット推定値を決定するステップも含む。方法は、タイミングオフセット推定値を比例積分コントローラに通すことによって同調値を決定するステップをさらに含む。方法は、同調値に基づいて基準発振器を修正することによって、修正された基準信号を決定するステップをさらに含む。方法は、修正された基準信号に基づいて(i)オーディオサンプルクロックおよび(ii)アンテナデータクロックを制御するステップをさらに含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線マイクロフォンシステムにおけるベースバンドクロック同期のための方法であって、
オーディオ送信機から複数のパイロットサブキャリアを受信するステップと、
前記パイロットサブキャリアに基づいてタイミングオフセット推定値を決定するステップと、
前記タイミングオフセット推定値を比例積分コントローラに通すことによって同調値を決定するステップと、
前記同調値に基づいて基準発振器を修正することによって、修正された基準信号を決定するステップと、
前記修正された基準信号に基づいて(i)オーディオサンプルクロックおよび(ii)アンテナデータクロックを制御するステップと
を含む、方法。
【請求項2】
複数のフレームを受信するステップをさらに含み、各フレームが前記複数のパイロットサブキャリアを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
各フレームの前記同調値を決定するステップをさらに含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
各フレームの前記修正された基準信号を決定するステップと、
各フレームの前記オーディオサンプルクロックおよび前記アンテナデータクロックを更新するステップと
をさらに含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記タイミングオフセット推定値を決定するステップが、
前記複数のパイロットサブキャリアに基づいてチャネル位相勾配を決定すること、および
前記チャネル位相勾配に基づいて前記タイミングオフセット推定値を決定すること
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記チャネル位相勾配を決定することが、
前記複数のパイロットサブキャリアのそれぞれのチャネル推定値を決定すること、
前記複数のパイロットサブキャリアの1つまたは複数のペアに対応する1つまたは複数のチャネル位相勾配値を決定すること、および
前記1つまたは複数のチャネル位相勾配値を合計すること
を含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記同調値を決定するステップが、(i)前記タイミングオフセット推定値および(ii)以前に決定されたタイミングオフセット推定値の積分に重み付き係数を適用することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
複数のパイロットサブキャリアを送信するように構成されたオーディオ送信機と、
1つまたは複数のオーディオ受信機であって、それぞれが、
前記複数のパイロットサブキャリアを受信し、
前記複数のパイロットサブキャリアに基づいてタイミングオフセット推定値を決定し、
前記タイミングオフセット推定値を比例積分コントローラに通すことによって同調値を決定し、
前記同調値に基づいて基準発振器を修正することによって、修正された基準信号を決定し、
前記修正された基準信号に基づいて(i)オーディオサンプルクロックおよび(ii)アンテナデータクロックを制御する
ように構成される、1つまたは複数のオーディオ受信機と
を備える、無線オーディオマイクロフォンシステム。
【請求項9】
前記オーディオ送信機が複数のフレームを送信するようにさらに構成され、各フレームがそれぞれの複数のパイロットサブキャリアを含み、前記1つまたは複数のオーディオ受信機がそれぞれ前記複数のフレームを受信するようにさらに構成される、請求項8に記載の無線オーディオシステム。
【請求項10】
前記1つまたは複数のオーディオ受信機がそれぞれ各フレームの前記同調値を決定するようにさらに構成される、請求項9に記載の無線オーディオシステム。
【請求項11】
前記1つまたは複数のオーディオ受信機がそれぞれ、
各フレームの前記修正された基準信号を決定し、
各フレームの前記オーディオサンプルクロックおよび前記アンテナデータクロックを更新する
ようにさらに構成される、請求項10に記載の無線オーディオシステム。
【請求項12】
前記1つまたは複数のオーディオ受信機がそれぞれ、
前記複数のパイロットサブキャリアに基づいてチャネル位相勾配を決定すること、および
前記チャネル位相勾配に基づいて前記タイミングオフセット推定値を決定すること
によって前記タイミングオフセット推定値を決定するようにさらに構成される、請求項8に記載の無線オーディオシステム。
【請求項13】
前記1つまたは複数のオーディオ受信機がそれぞれ、
前記複数のパイロットサブキャリアのそれぞれのチャネル推定値を決定すること、
前記複数のパイロットサブキャリアの1つまたは複数のペアに対応する1つまたは複数のチャネル位相勾配値を決定すること、および
前記1つまたは複数のチャネル位相勾配値を合計すること
によって前記チャネル位相勾配を決定するようにさらに構成される、請求項12に記載の無線オーディオシステム。
【請求項14】
前記1つまたは複数のオーディオ受信機がそれぞれ(i)前記タイミングオフセット推定値および(ii)以前に決定されたタイミングオフセット推定値の積分に重み付き係数を適用することによって前記同調値を決定するようにさらに構成される、請求項8に記載の無線オーディオシステム。
【請求項15】
オーディオ送信機から複数のパイロットサブキャリアを受信するように構成されたアンテナと、
前記複数のパイロットサブキャリアに基づいてタイミングオフセット推定値を決定し、
前記タイミングオフセット推定値に基づいて同調値を決定し、
前記同調値に基づいて修正された基準信号を決定し、
前記修正された基準信号に基づいて(i)オーディオサンプルクロックおよび(ii)アンテナデータクロックを制御する
ように構成された回路と
を備える、無線オーディオシステムのオーディオ受信機。
【請求項16】
前記アンテナが複数のフレームを受信するようにさらに構成され、各フレームが前記複数のパイロットサブキャリアを含み、前記回路が各フレームの前記同調値を決定するようにさらに構成される、請求項15に記載のオーディオ受信機。
【請求項17】
前記回路が、
各フレームの前記修正された基準信号を決定し、
各フレームの前記オーディオサンプルクロックおよび前記アンテナデータクロックを更新する
ようにさらに構成される、請求項16に記載のオーディオ受信機。
【請求項18】
前記回路が、
前記複数のパイロットサブキャリアに基づいてチャネル位相勾配を決定すること、および
前記チャネル位相勾配に基づいて前記タイミングオフセット推定値を決定すること
によって前記タイミングオフセット推定値を決定するようにさらに構成される、請求項15に記載のオーディオ受信機。
【請求項19】
前記回路が、
前記複数のパイロットサブキャリアのそれぞれのチャネル推定値を決定すること、
前記複数のパイロットサブキャリアの1つまたは複数のペアに対応する1つまたは複数のチャネル位相勾配値を決定すること、および
前記1つまたは複数のチャネル位相勾配値を合計すること
によって前記チャネル位相勾配を決定するようにさらに構成される、請求項18に記載のオーディオ受信機。
【請求項20】
前記回路が、(i)前記タイミングオフセット推定値および(ii)以前に決定されたタイミングオフセット推定値の積分に重み付き係数を適用することによって前記同調値を決定するようにさらに構成される、請求項15に記載のオーディオ受信機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
相互参照
本出願は、2019年5月29日に出願された米国特許出願第16/425,694号の優先権を主張し、その内容全体は本明細書に組み込まれる。
【0002】
本出願は、一般に、通信に直交周波数分割多重接続(OFDMA:orthogonal frequency division multiple access)を使用する無線オーディオシステムおよびデバイス、具体的にはオーディオサンプルクロックおよびアンテナデータクロックを有するオーディオデバイスの、タイミングおよび周波数の同期に関する。
【背景技術】
【0003】
直交周波数分割多重方式(OFDM)は、複数の搬送周波数でデジタルデータを符号化する方法である。サブキャリアがともに送信されて、広帯域高速通信リンクを形成する。この通信リンクは、デジタルテレビおよびオーディオ放送、DSLインターネットアクセス、ワイヤレスネットワーク、電力線ネットワーク、ならびにモバイル通信を含む多くの目的に使用され得る。
【0004】
OFDMAオーディオシステムでは、アクセスポイントおよび1人または複数の加入者が存在し得る。加入者デバイスは、フレームタイミングおよびシンボルタイミングが維持されるように、アクセスポイントに対するそれぞれのアンテナデータクロックにおけるあらゆる周波数オフセットを補正しなければならない。これにより加入者デバイスは、アクセスポイントでデータを適切に送受信することができる。
【0005】
既存の加入者デバイスは、サンプルを挿入またはドロップすることによって発生するオーディオの歪みを防ぐサンプルレート変換ブロックを含み得る。しかし、サンプルレート変換ブロックは、追加のリソースを必要とし、オーディオ経路にレイテンシを発生させる。
【0006】
したがって、特に高品質のオーディオアプリケーションのコンテキストにおいて追加のサンプルレート変換ブロックを必要とせず、したがって、必要なリソースを削減してオーディオ経路のレイテンシの原因を取り除く、OFDMAベースバンドクロック同期のための方法およびシステムについての機会がある。
【発明の概要】
【0007】
本開示の実施形態は、共通の基準からそれぞれのベースバンドクロックを生成することによって、無線マイクロフォンシステムの加入者のベースバンドクロックをアクセスポイントにロックするための方法およびシステムを提供することによって、上記の問題のいくつかを軽減することを意図している。アクセスポイント(「オーディオ送信機」とも呼ぶ)および各加入者デバイス(「オーディオ受信機」とも呼ぶ)はすべて、基準発振器に基づいて設定された1つまたは複数のベースバンドクロックを含む(すなわち、オーディオサンプルクロックおよび/またはデータサンプルクロックを制御する)。本開示の実施形態は、すべての加入者とアクセスポイントのベースバンドクロックが同期するように、測定された位相差に基づいて各加入者デバイスの基準発振器を同調させることを含み得る。
【0008】
例示的な方法は、オーディオ送信機から複数のパイロットサブキャリアを受信するステップを含む。方法は、パイロットサブキャリアに基づいてタイミングオフセット推定値を決定するステップも含む。方法は、タイミングオフセット推定値を比例積分コントローラに通すことによって同調値を決定するステップをさらに含む。方法は、同調値に基づいて基準発振器を修正することによって、修正された基準信号を決定するステップをさらに含む。方法は、修正された基準信号に基づいて(i)オーディオサンプルクロックおよび(ii)アンテナデータクロックを制御するステップをさらに含む。
【0009】
本発明の原理が採用され得る様々な方法を示す例示的な実施形態を示した以下の詳細な説明および添付図面から、これらの実施形態および他の実施形態ならびに様々な置換えおよび態様が明らかになり、より十分に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本開示のいくつかの実施形態による、無線通信システムの簡略化されたブロック図である。
【
図2】本開示のいくつかの実施形態による、
図1のシステムの例示的な加入者デバイスの簡略化された信号プロセス流れ図である。
【
図3】本開示のいくつかの実施形態による、
図2のサンプルタイミングオフセット推定器の簡略化された信号プロセス流れ図である。
【
図4】本開示のいくつかの実施形態による、例示的な方法を示す流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下の説明は、本発明の1つまたは複数の特定の実施形態を、その原理に従って説明し、図示し、例示している。この説明は、本発明を本明細書に記載の実施形態に限定するために提供されるものではなく、当業者がこれらの原理を理解し、その理解により、原理を適用して、本明細書に記載の実施形態だけでなくこれらの原理に従って思い付き得る他の実施形態も実践できるようにするような方法で、本発明の原理を説明および教示するために提供される。本発明の範囲は、文字通りまたは均等論に基づき、添付の特許請求の範囲に含まれ得るすべてのそのような実施形態を網羅することを意図している。
【0012】
説明および図面において、同様のまたは実質的に同様の要素には同じ参照番号がラベル付けされ得ることに留意されたい。しかし、これらの要素には、たとえば異なる番号をラベル付けすることによってより明確な説明が容易になる場合などは、異なる番号がラベル付けされることがある。さらに、本明細書に記載の図面は、必ずしも一定の縮尺で描かれているわけではなく、場合によっては特定の特徴をより明確に描写するために比率が誇張されていることがある。このようなラベル付けおよび描画の実施は、必ずしも根本的な実質的目的を意味するものではない。上記のように、本明細書は、本明細書で教示される本発明の原理に従って、全体として捉えられ、解釈され、当業者に理解されることを意図している。
【0013】
上述したように、本開示の実施形態は、OFDMAを使用する無線オーディオシステムおよびデバイス通信、ならびに無線オーディオシステムのデバイス間のベースバンド同期のための方法およびシステムに関する。加入者デバイスがアクセスポイントと適切に通信するには、加入者デバイスは、フレームおよびシンボルのタイミングが維持されるように、アクセスポイントに対するあらゆる周波数オフセットを補償できなければならない。いくつかの例において、これは、アクセスポイントと加入者のベースバンドクロックとの間の周波数および位相のロックによって行われ得る。ベースバンドクロックは、アクセスポイントおよび加入者によって、それぞれのアンテナを介してデータ(すなわち、オーディオデータ、制御信号、パイロット信号など)を送受信するため、入力オーディオをサンプリングするため、および他の様々な目的のために使用され得る。
【0014】
無線オーディオデバイスのベースバンドクロック間の周波数および位相のロックは、アクセスポイントを有することによって容易になる場合があり、1人または複数の加入者は、共通の基準発振器からそれぞれのベースバンドクロックをすべて生成する。各加入者は、アクセスポイント基準との周波数および位相のロックを維持するために、ベースバンドクロックのいずれか1つからの(さらには、他の加入者からの)位相オフセット測定値に基づいて加入者自身の基準発振器を同調させることができる。これにより、共通の基準からすべてのベースバンドクロックが生成されるので、所与の加入者のすべてのベースバンドクロックがそれぞれのアクセスポイント基準にロックされることになる。
【0015】
本開示の実施形態において、加入者は、アクセスポイントと加入者との間の通信中に各フレームに対して取得される、加入者とアクセスポイントとの間のサンプルクロックタイミング(すなわち、位相)オフセット測定値に基づいて、その基準周波数(すなわち、基準発振器)を同調させることができる。OFDMAシステムにおける送信サンプルクロックと受信サンプルクロックとの間のタイミングオフセットは、周波数領域でプロットされたときにチャネル位相勾配をもたらす。この勾配は、サンプルクロックのタイミングオフセットに比例する。したがって、(アクセスポイントからの)送信信号と(加入者での)受信信号との間のチャネル位相オフセットの勾配を決定することによって、遅延、したがってタイミングオフセット測定値を決定することができる。次いで、このタイミングオフセット測定値を使用して、加入者基準発振器を同調させることができる。次いで、同調された基準発振器を使用して、加入者のアンテナデータクロックおよびオーディオサンプルクロックを制御し、それによって加入者とアクセスポイントのベースバンドクロックを同期させることができる。また、フレームごとにタイミングオフセット測定値を決定することによって、加入者オーディオデバイスの基準発振器を継続的に同調させて、「定常状態」の同期を維持することができる。さらに、基準発振器に基づいて加入者オーディオデバイスのアンテナデータクロックとオーディオサンプルクロックの両方を制御することによって、両方のクロックが互いに同期し、アクセスポイントの対応するクロックと同期する。
【0016】
図1は、本開示の方法および装置が使用され得る無線オーディオ通信システムまたは環境100の例示的な簡略化されたブロック図を示す。無線オーディオ通信システムは、アクセスポイント110および複数の加入者デバイス120A~Nを含み得る。
【0017】
アクセスポイント110は、任意の好適なコンピューティングデバイスとすることができ、プロセッサ、メモリ、アンテナ、および/または1つまたは複数の他の信号処理構成要素もしくはコンピューティング構成要素を含み得る。いくつかの例において、アクセスポイント110は、オートミキサー、ラップトップもしくはデスクトップコンピュータ、または加入者デバイス120A~Nを含む様々な他のデバイス(たとえば、複数の無線オーディオデバイス)と通信するように構成された任意の他のデバイスとすることができる。
【0018】
アクセスポイント110は、本開示(および添付図面)に記載されているものなど、様々な機能または動作を実行するように構成され得る。アクセスポイント110は、たとえば、プロセッサおよびメモリを含む様々な構成要素を含み得る。アクセスポイント110は、ディスプレイ、ユーザインターフェース、および/または1つまたは複数の他の電子構成要素も含み得る。プロセッサは、汎用プロセッサ(たとえば、マイクロプロセッサ)および/または専用プロセッサ(たとえば、デジタル信号プロセッサ(DSP))を含み得る。プロセッサは、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラベースのプラットフォーム、集積回路、1つまたは複数のフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、および/または1つまたは複数の特定用途向け集積回路(ASIC:application-specific integrated circuit)などであるがこれらに限定されない、任意の好適な処理デバイスまたは処理デバイスのセットとすることができる。メモリは、揮発性メモリ(たとえば、不揮発性RAM、磁気RAM、強誘電体RAMなどを含むRAM)、不揮発性メモリ(たとえば、ディスクメモリ、フラッシュメモリ、EPROM、EEPROM、メモリスタベースの不揮発性ソリッドステートメモリなど)、変更不可能なメモリ(たとえば、EPROM)、読み取り専用メモリ、および/または大容量記憶デバイス(たとえば、ハードドライブ、ソリッドステートドライブなど)とすることができる。いくつかの例において、メモリは、複数の種類のメモリ、具体的には揮発性メモリおよび不揮発性メモリを含む。メモリは、本開示の方法を動作するためのソフトウェアなどの1つまたは複数の命令セットが埋め込まれ得るコンピュータ可読媒体とすることができる。命令は、本明細書に記載の方法または論理のうちの1つまたは複数を具現化し得る。たとえば、命令は、命令の実行中、メモリ、コンピュータ可読媒体のうちのいずれか1つまたは複数の中に、かつ/またはプロセッサの中に、完全にまたは少なくとも部分的に存在する。
【0019】
「非一過性コンピュータ可読媒体」および「コンピュータ可読媒体」という用語は、集中型もしくは分散型データベースなどの単一の媒体もしくは複数の媒体、ならびに/または、1つまたは複数の命令セットを記憶する関連するキャッシュおよびサーバを含む。さらに、「非一過性コンピュータ可読媒体」および「コンピュータ可読媒体」という用語は、プロセッサによって実行するための命令セットを記憶、符号化、もしくは保持することが可能であるか、または本明細書に開示される方法もしくは動作のうちのいずれか1つまたは複数をシステムに実行させる、任意の有形の媒体を含む。「コンピュータ可読媒体」という用語は、本明細書で使用される場合、任意のタイプのコンピュータ可読記憶デバイスおよび/または記憶ディスクを含むように、また伝搬信号を除外するように明示的に定義される。
【0020】
いくつかの例において、アクセスポイント110は、基地局、集中型コントローラ、または同時に複数の無線オーディオ加入者デバイスと通信するように構成された他のコンピューティングデバイスとすることができる。たとえば、アクセスポイントは会議室で動作することができ、加入者デバイスは、会議環境を提供するためにアクセスポイントと通信する複数のマイクロフォンとすることができる。他の例も同様に可能である。
【0021】
アクセスポイント110は、1つまたは複数の加入者デバイス120A~Nとの無線オーディオ通信を可能にする1つまたは複数のアンテナ、および基準発振器を含み得る。基準発振器は、アクセスポイントの1つまたは複数のベースバンドクロックを制御するために使用され得る。たとえば、様々なデータの送受信のタイミングを制御するために、アンテナサンプルクロックが、基準発振器に基づいて制御され得る。
【0022】
アクセスポイント110は、様々なフォーマットで様々な通信プロトコルを使用して1つまたは複数の無線オーディオ加入者デバイス120A~Nにデータを送信するように構成され得る。たとえば、アクセスポイント110は、データがフレームで送信されるOFDMA方式を使用してデータを送信することができる。各フレームは、複数のサブキャリアを含むことができ、複数のサブキャリアのうちのいくつかは、データを送信するために使用され、複数のサブキャリアのうちのいくつかは、アクセスポイントを加入者と同期するために使用されるパイロットサブキャリアであり、複数のサブキャリアのうちのいくつかは、周波数スペクトル内の隣接チャネルまたはサブチャネルからの干渉から保護するための「ガード」サブキャリアである。一例では、所与のチャネルが、64個の異なるサブキャリアに分割され得る。チャネルは、52個のデータサブキャリア、4個のパイロットサブキャリア、および8個のガードサブキャリアを含み得る。これらの数は単に一例として使用されており、他の数も使用できることを理解されたい。
【0023】
各パイロットサブキャリアは、特定の既知の周波数で送信され得、オーディオまたは制御情報を伝送しないように構成され得る。各パイロットサブキャリアの既知の周波数位置により、フレームを受信する加入者は、位相偏移、したがってアクセスポイント110と加入者との間のタイミングオフセットを決定することができる。これについては、以下でさらに詳細に説明する。
【0024】
無線オーディオ加入者デバイス120A~Nは、ポータブル無線オーディオ受信機、マイクロフォン、会議システム、スピーカ、および/またはアクセスポイント110に通信可能に結合され得る任意の他のデバイスとすることができる。本明細書に開示する実施形態について、それぞれがマイクロフォンである加入者デバイスを参照して説明しているが、本明細書に開示する概念および特徴を他のタイプの加入者デバイスにも適用できることを理解されたい。
【0025】
各無線オーディオ加入者デバイス120A~Nは、1つまたは複数のアンテナ、基準発振器、アンテナを介したアンテナ/シンボル送受信用のベースバンドクロック、オーディオサンプリング用のベースバンドクロック、ならびに本明細書に記載の機能、具体的には
図2および
図3に関して説明される信号処理機能を実行するのに適した処理構成要素およびメモリ構成要素を含み得る。特に、加入者デバイス120A~Nのプロセッサおよび/またはメモリに関しては、アクセスポイント110のプロセッサおよび/またはメモリに関する本明細書の開示が、各加入者デバイス120A~Nにも適用される。
【0026】
各無線オーディオ加入者デバイスのアンテナは、アンテナからデータがサンプリングされるレートを決定するアンテナデータクロックに基づいて動作し得る。基準発振器は、アンテナデータクロックを含み得る様々なベースバンドクロックを制御するために加入者デバイスによって使用される。無線オーディオ加入者デバイスは、マイクロフォンに着信するオーディオ信号がサンプリングされるレートを決定するオーディオサンプリング用のベースバンドクロックも含む。
【0027】
図2は、本開示のいくつかの実施形態による、
図1のシステムの例示的な無線オーディオ加入者デバイスの簡略化された信号プロセス流れ
図200である。加入者デバイス120A~Nのうちのいずれか1つまたは複数は、
図2に関して説明される構成要素および機能を含み得る。
【0028】
図200は、アンテナ202、無線周波数(RF:radio frequency)受信機204、アナログ対デジタル変換器(ADC:analog to digital converter)206、フーリエ変換ブロック(FFTブロック)208、サンプルタイミングオフセット推定器210、比例積分コントローラ212、基準発振器218、第1および第2の位相ロックループ220および222、ならびにオーディオサンプルクロック224を図示する。
【0029】
アンテナ202は、単一のアンテナであり得るか、または複数のアンテナを含み得る。複数のアンテナは、アレイ状に配置され得る。RF受信機204は、OFDMA信号を検出するように構成され得る。
【0030】
ADC206は、RF受信機から信号を受信するように構成され得る。ADC206は、入力信号を特定のレートでサンプリングするように構成されているので、サンプラと呼ばれることもある。サンプリングレートは、アンテナデータクロックに基づいて決定され、アンテナデータクロックは、以下に説明するように基準発振器218に基づいて決定される。FFTブロック208は、ADC206からのサンプリングされた入力信号を周波数領域に変換するように構成される。
【0031】
無線オーディオ加入者が2つ以上のアンテナを含む場合、各アンテナは、対応するRF受信機(204)、ADC(206)、およびFFTブロック(208)を有し得る。各アンテナのFFTブロックの出力は、サンプルタイミングオフセット推定器210に供給され得る。
【0032】
サンプルタイミングオフセット推定器210は、FFTブロック208の出力(すなわち、フレーム)を受信し、アクセスポイント110と加入者との間のタイミングオフセット推定値を決定するように構成される。これについては、
図3に関してより詳細に説明する。
【0033】
図3は、サンプルタイミングオフセット推定器210の簡略化されたプロセス流れ
図300を示す。サンプルタイミングオフセット推定器210は、FFTブロック208からの入力としてフレーム302を取り込む。サンプルタイミングオフセット推定器210は、複数のアンテナに対応する複数のフレームを入力として受信し、各フレームを本明細書に開示するように処理するように構成されることを理解されたい。フレーム302は、フレーム302の帯域幅全体に分散された複数のリソースブロック304A~Nを含む。各リソースブロックは、2つのパイロットサブキャリア(たとえば、パイロットサブキャリア310aおよび310b)を有し、各パイロットサブキャリアは、期待される周波数を有する。サンプルタイミングオフセット推定器210は最初に、リソースブロック内の両方のパイロットサブキャリアのチャネル推定値を決定し、次いで、サブキャリアk+D 310Bでのチャネル推定値にサブキャリアk 310Aでのチャネル推定値の複素共役を乗算することによってチャネル位相勾配を計算する。サンプルタイミングオフセット推定器210は、ノイズおよび周波数選択性フェージングの影響を除去するために、すべてのリソースブロック304A~N(および、それらの対応するパイロットサブキャリアのペア)にわたってこの計算を繰り返し、得られたチャネル位相勾配値を累積する。
【0034】
サンプルタイミングオフセット推定器210はまた、加入者が2つ以上のアンテナを含む場合、複数のアンテナにわたるサンプルタイミングオフセットを推定するように構成される。パイロットサブキャリアのチャネル推定値を計算して各リソースブロック内のチャネル推定値を乗算する同じプロセスが、追加のアンテナのFFT出力を使用して繰り返され、得られたチャネル位相勾配値は、最初のアンテナからの合計で累積される。
【0035】
(周波数スペクトルにおける)チャネル位相の勾配は、アクセスポイントと加入者との間のタイミングオフセットに比例する。累積されたチャネル位相勾配をスケーリングすることによって、フレーム302についてサンプルにおけるタイミングオフセットを推定することができる。次いで、タイミングオフセット推定値は、サンプルタイミングオフセット推定器210によって出力される。
【0036】
PIコントローラ212は、タイミングオフセット推定値を受信する。PIコントローラは、以前に決定されたタイミングオフセット推定値214の重み付き積分、および重み付きの現在のタイミングオフセット推定値216を含む。PIコントローラは、アクセスポイント110と加入者との間のオフセットでの高速初期収束と、円滑な定常状態動作との間のトレードオフに基づいて、重みを調整することができる。最新のタイミングオフセットに大きい重みを付けると収束が速くなるが、システムは、一時的なノイズおよび中断の影響を受けやすくなる。最新のタイミングオフセットに小さい重みを使用すると収束が遅くなるが、PIコントローラの定常状態動作中の変化が円滑になり、したがって、システムが急激な変化およびノイズの影響を受けにくくなる。PIコントローラ212は、基準発振器218によって使用される同調値を出力する。
【0037】
基準発振器218は、PIコントローラによって出力された同調信号を取り込む。同調信号を使用して、アクセスポイント110と加入者との間のタイミングオフセットを低減するように基準発振器を修正する。
【0038】
基準発振器218の出力は、2つの位相ロックループ(PLL)220および222に渡される。第1のPLL220は、オーディオサンプルクロック224のベースバンドクロック周波数信号を生成する。第2のPLL222は、アンテナのサンプリングを制御するために、ADC206のベースバンドクロック周波数信号を生成する。
【0039】
オーディオサンプルクロック224は、加入者デバイスがマイクロフォンを含む場合、オーディオデータを収集する。同じ基準発振器を使用してオーディオサンプルクロックにベースバンドクロック信号を提供すること、およびADC206を介したデータの送受信を行うことによって、システムは、レイテンシの問題を軽減し、サンプルのドロップおよび追加の必要性を排除するとともに、他の動作上の利点を提供することができる。
【0040】
図4は、本開示の実施形態による、例示的な方法400の流れ図を示す。方法400により、無線オーディオ加入者デバイスは、その基準発振器を、そのベースバンドクロックをアクセスポイントと同期させるように調整することが可能になり得る。
図4の流れ図は、メモリに記憶された機械可読命令を表し、機械可読命令は、プロセッサによって実行されると1つまたは複数のシステムまたはデバイスに本明細書に記載の1つまたは複数の機能を実行させることができる1つまたは複数のプログラムを含み得る。例示的なプログラムを
図4に示す流れ図を参照して説明しているが、本明細書に記載の機能を実行するための他の多くの方法を代替的に使用してもよい。たとえば、ブロックの実行の順序を再配置し、または互いに連続してもしくは並列して実行することができ、方法400を実行するために、ブロックを変更する、削除する、および/または組み合わせることができる。さらに、方法400は、
図1~
図3の構成要素に関連して開示されているので、これらの構成要素のいくつかの機能については以下で詳細に説明しない。
【0041】
方法400は、ブロック402で開始する。ブロック404において、方法400は、アクセスポイントからフレームを受信することを含む。
図3に関して上述したように、フレームは、データサブキャリア、パイロットサブキャリアなどの複数のサブキャリアを含み得る。
【0042】
ブロック406において、方法400は、フレームのパイロットサブキャリアのチャネル推定値を決定することを含み得る。次いで、ブロック408において、チャネル推定値を使用して、各リソースブロック内のパイロットサブキャリアのペアのチャネル位相勾配を決定する。ブロック410において、方法400は、加入者によって使用されるすべてのアンテナにわたって、パイロットサブキャリアのすべてのペアについて位相偏移を合計することを含む。
【0043】
ブロック412において、方法400は、各リソースブロックおよび各アンテナのチャネル位相勾配値の合計に基づいてタイミングオフセット推定値を決定することを含み得る。このタイミングオフセット推定値は、サンプルで測定される。
【0044】
ブロック414において、方法400は、タイミングオフセット推定値に基づいて加入者基準発振器の同調値を決定することを含み得る。これは、タイミングオフセット推定値を比例積分コントローラに通すことを含むことができ、比例積分コントローラは、現在のタイミングオフセット、および過去のタイミングオフセットの積分に重みを加算する。これによって、加入者はいくつかのシナリオにおいて高速収束を実現することが可能になり、同時に、円滑な定常状態の動作も可能になる。
【0045】
ブロック416において、方法400は、同調値に基づいて基準発振器を修正することを含み得る。基準発振器は、加入者の1つまたは複数のベースバンドクロックを制御するために使用される基準周波数を提供することができる。
【0046】
ブロック418において、方法400は、同調値によって修正された基準発振器に基づいてアンテナデータクロックおよびオーディオサンプルクロックを制御することを含み得る。同じ基準発振器周波数に基づいてオーディオサンプルクロックとアンテナデータクロックの両方を制御することにより、加入者は、レイテンシを軽減し、オーディオサンプルを挿入またはドロップする必要から生じる問題を回避することができる。次いで、方法400は、ブロック404に戻り、アクセスポイントから次のフレームを受信することができる。方法を繰り返して、定常状態のフィードバックループを形成し、オーディオサンプルクロックおよびアンテナデータクロックがアクセスポイントのベースバンドクロックと同期した状態に確実に保つことができる。次いで、方法400はブロック420で終了し得る。
【0047】
図中のプロセスの説明またはブロックは、プロセス内の特定の論理機能またはステップを実装するための1つまたは複数の実行可能命令を含むモジュール、セグメント、またはコードの一部を表すものとして理解されるべきであり、当業者によって理解されるように、関連する機能に応じて、実質的に同時にまたは逆の順序を含む、図示した順序または説明した順序から順不同で機能が実行され得る代替の実装形態は、本発明の実施形態の範囲内に含まれる。
【0048】
本開示は、本技術の真の、意図された、公正な範囲および趣旨を制限するものではなく、本技術に従って様々な実施形態を作成および使用する方法を説明することを意図している。前述の説明は、網羅的であること、または開示された正確な形式に限定されることを意図していない。上記の教示に照らして修正または変形が可能である。実施形態は、記載された技術の原理およびその実際の適用の最良の例示を提供し、当業者が企図される特定の用途に適した様々な修正を加えて、様々な実施形態において技術を利用できるようにするために選択および説明されたものである。このような修正および変形はすべて、それらが公正に、合法的に、公平に権利を与えられる範囲に従って解釈されるとき、本特許出願の係属中に修正され得る添付の特許請求の範囲およびそのすべての均等物によって決定される実施形態の範囲内である。
【国際調査報告】