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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-08-02
(54)【発明の名称】シルビーム等減速ユニット
(51)【国際特許分類】
   B62D 25/20 20060101AFI20220726BHJP
   B62D 21/15 20060101ALI20220726BHJP
【FI】
B62D25/20 F
B62D21/15 B
B62D25/20 E
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021570820
(86)(22)【出願日】2020-05-30
(85)【翻訳文提出日】2022-01-24
(86)【国際出願番号】 US2020035451
(87)【国際公開番号】W WO2020243667
(87)【国際公開日】2020-12-03
(31)【優先権主張番号】62/854,964
(32)【優先日】2019-05-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517182516
【氏名又は名称】テッサラクト ストラクチュラル イノベーションズ,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】レネガー,ヘンリー,エル.
【テーマコード(参考)】
3D203
【Fターム(参考)】
3D203AA31
3D203BB07
3D203BB12
3D203BB54
3D203BB55
3D203BB56
3D203CA04
3D203CA07
3D203CA25
3D203CA56
3D203DB05
(57)【要約】
サイドシル等減速ユニット(UDU)を介して衝突エネルギーを吸収するための装置及び方法が開示される。UDUは、上部と底部とを有する第1の層であって、第1の層の上部は、等減速ユニットが車両内に設置されたときに衝突力の方向に向かって外向きになるように配置される、第1の層と、第1の層の底部に配置された第2の層であって、第1の配置のリブ及びウェブ構造を有する第2の層と、第2の層の底部に配置された第3の層であって、第2の配置のリブ及びウェブ構造を有する第3の層と、第3の層の底部に配置された第4の層であって、第4の層は、等減速ユニットが車両内に設置されたときに内向きになるように配置され、第4の層は、第1の層、第2の層、及び第3の層が圧潰することが可能となるように配置された反力ビームを含む、第4の層とを含む。UDUは、サイドシルビーム内に設置されるか又はサイドシルビームの付近に配され得る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
サイドシルビームと一体化される、前記サイドシルビーム上に配される、及び前記サイドシルビームとバッテリとの間に位置する隙間内に配されるのうちの少なくとも1つであるように配置された等減速ユニットであって、
上部と底部とを有する第1の層であって、前記第1の層の前記上部は、前記等減速ユニットが車両内に設置されたときに衝突力の方向に向かって外向きになるように配置される、第1の層と、
前記第1の層の前記底部に配置された第2の層であって、第1の配置のリブ及びウェブ構造を有する第2の層と、
前記第2の層の底部に配置された第3の層であって、第2の配置のリブ及びウェブ構造を有する第3の層と、
前記第3の層の底部に配置された第4の層であって、前記第4の層は、前記等減速ユニットが前記車両内に設置されたときに内向きになるように配置され、前記第4の層は、前記第1の層、前記第2の層、及び前記第3の層が圧潰することが可能となるように配置された反力ビームを含む、第4の層と
を含む、等減速ユニット。
【請求項2】
前記第1の層は中空である、請求項1に記載の等減速ユニット。
【請求項3】
前記第1の層は、エネルギー吸収材料で満たされる、請求項1に記載の等減速ユニット。
【請求項4】
前記エネルギー吸収材料は、金属発泡体を含む、請求項3に記載の等減速ユニット。
【請求項5】
前記第1の配置は、前記第2の配置と同じである、請求項1に記載の等減速ユニット。
【請求項6】
前記第1の配置と前記第2の配置とは異なる、請求項1に記載の等減速ユニット。
【請求項7】
前記第2の層及び前記第3の層の各々の前記リブ及びウェブ構造は、1つ又は複数のリブと1つ又は複数のウェブとを含む、請求項1に記載の等減速ユニット。
【請求項8】
前記1つ又は複数のリブは、前記それぞれの第2の層又は第3の層の上部と底部との間に少なくとも部分的に延びる、請求項7に記載の等減速ユニット。
【請求項9】
前記1つ又は複数のリブ及び前記1つ又は複数のウェブは、1つ又は複数のポケットを画定する、請求項7に記載の等減速ユニット。
【請求項10】
前記1つ又は複数のポケットは、エネルギー吸収材料で満たされる、請求項9に記載の等減速ユニット。
【請求項11】
前記エネルギー吸収材料は、金属発泡体を含む、請求項10に記載の等減速ユニット。
【請求項12】
前記1つ又は複数のポケットは、前記衝突力の前記方向に略平行に延びる、請求項10に記載の等減速ユニット。
【請求項13】
前記1つ又は複数のポケットは、第1のポケット及び第2のポケットを含み、前記第2の層及び前記第3の層の少なくとも一方の層の第1のポケットは、断面略円形である、請求項10に記載の等減速ユニット。
【請求項14】
前記1つ又は複数のポケットは、第1のポケット及び第2のポケットを含み、前記第2の層及び前記第3の層の少なくとも一方の層の第1のポケットは、断面略矩形である、請求項10に記載の等減速ユニット。
【請求項15】
前記反力ビームは、前記反力ビームの長さに沿って延びる1つ又は複数のリブを含む、請求項1に記載の等減速ユニット。
【請求項16】
前記1つ又は複数のリブは、前記第4の層の全長にわたって延びる、請求項15に記載の等減速ユニット。
【請求項17】
エネルギー吸収材料は、前記1つ又は複数のリブの間に配置される、請求項15に記載の等減速ユニット。
【請求項18】
等減速ユニットを介して、衝突エネルギーを吸収し、衝突力を制限し、及び/又は内方への撓みを制限する方法であって、前記等減速ユニットは、
上部と底部とを有する第1の層であって、前記第1の層の前記上部は、前記等減速ユニットが車両内に設置されたときに衝突力の方向に向かって外向きになるように配置される、第1の層と、
前記第1の層の前記底部に配置された第2の層と、
前記第2の層の底部に配置された第3の層であって、第2の配置のリブ及びウェブ構造を有する第3の層と、
前記第3の層の底部に配置された第4の層であって、前記等減速ユニットが前記車両内に設置されたときに内向きになるように配置される第4の層と
を含み、前記方法は、
ポールと車両との衝突時に前記第1の層、前記第2の層、及び前記第3の層の少なくとも1つに前記ポールを埋め込むことと、
前記第4の層を撓ませることと
を含む、方法。
【請求項19】
埋め込みと撓みは同時に発生する、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記撓みは、前記第4の層を内方に撓ませることを含む、請求項18に記載の方法。
【請求項21】
前記第2の層及び前記第3の層の各々は、リブ及びウェブ構造を含む、請求項18に記載の方法。
【請求項22】
前記第1の層は中空である、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記第4の層は反力ビームを含む、請求項22に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、「SILL BEAM UNIFORM DECELERATION UNIT」という名称で2019年5月30日に出願された米国仮特許出願第62/854,964号に対する米国特許法第119条(e)の下での利益を主張するものであり、この出願は、全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
分野
開示の実施形態は、概して自動車に関し、より詳細には、正面衝突、後面衝突、及び側面衝突における自動車の性能を向上させるように配置された安全システムに関する。
【背景技術】
【0003】
背景
自動車事故は、現代世界での不幸な現実である。毎年、米国だけで数万件の事故が発生している。これらの事故は、最低でも、自動車の所有者及び保険会社に金銭的な負担をかける可能性があり、最悪のシナリオでは、車両内の運転者及び/又は他の乗員を死亡させる可能性がある。過去数十年で、自動車業界は、数例を挙げると、正面エアバッグ、側面カーテンエアバッグ、電子衝突回避システム、及び構造的衝撃吸収域などの技術革新によって、安全性において大幅な進歩を遂げてきた。また、今日の安全性に関する技術革新に伴って、自動車の安全性を更に向上させる要望がある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
概要
一実施形態によれば、等減速ユニットは、サイドシルビームと一体化される、サイドシルビーム上に配される、及びサイドシルとバッテリとの間に位置する隙間内に配されるのうちの少なくとも1つであるように配置される。等減速ユニットは、上部と底部とを有する第1の層であって、第1の層の上部は、等減速ユニットが車両内に設置されたときに衝突力の方向に向かって外向きになるように配置される、第1の層と、第1の層の底部に配置された第2の層であって、第1の配置のリブ及びウェブ構造を有する第2の層と、第2の層の底部に配置された第3の層であって、第2の配置のリブ及びウェブ構造を有する第3の層と、第3の層の底部に配置された第4の層であって、第4の層は、等減速ユニットが車両内に設置されたときに内向きになるように配置され、第4の層は、第1の層、第2の層、及び第3の層が圧潰することが可能となるように配置された反力ビームを含む、第4の層とを含む。
【0005】
別の実施形態によれば、等減速ユニットを介して、衝突エネルギーを吸収し、衝突力を制限し、及び/又は内方への撓みを制限する方法であって、等減速ユニットは、上部と底部とを有する第1の層であって、第1の層の上部は、等減速ユニットが車両内に設置されたときに衝突力の方向に向かって外向きになるように配置される、第1の層と、第1の層の底部に配置された第2の層と、第2の層の底部に配置された第3の層であって、第2の配置のリブ及びウェブ構造を有する第3の層と、第3の層の底部に配置された第4の層であって、等減速ユニットが車両内に設置されたときに内向きになるように配置される第4の層とを含む、方法が開示される。方法は、ポールと車両との衝突時に第1の層、第2の層、及び第3の層の少なくとも1つにポールを埋め込むことと、第4の層を撓ませることとを含む。
【0006】
前述の概念、及び以下に述べる追加の概念は、本開示がこの点に関して限定されないので、任意の好適な組み合わせで構成され得ることを理解されたい。
【0007】
本教示の前述及び他の態様、実施形態、及び特徴は、添付の図面と併せて以下の説明からより完全に理解することができる。
【0008】
図面の簡単な説明
添付の図面は、一定の比率で描かれるように意図されていない。図面中では、様々な図に示す同一又はほぼ同一の各構成要素は、類似の数字で表されている。明確にする目的で、全ての図面中で全ての構成要素に符号が付されているわけではない。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】NHTSAの側面衝突剛性ポール試験においてポールに衝突する過程での車両の概略断面図である。
図2】本開示の実施形態によるサイドシルUDUのエネルギー吸収を示す力対変位曲線である。
図3】衝突の開始時のポールの埋まり込みに伴う、本開示の実施形態によるサイドシルUDUのエネルギー吸収を示す力対変位曲線である。
図4A】ポールと車両との衝突中のサイドシルUDUへのポールの埋まり込みを図示する。
図4B図4AのサイドシルUDUの斜視図である。
図4C】ポールと車両との別の衝突中のサイドシルUDUへのポールの埋まり込みを図示する。
図4D図4CのサイドシルUDUの斜視図である。
図5】本開示の実施形態による車両におけるシルビームUDUの空間的配置を図示する。
図6】典型的なサイドシルビームの概略断面図である。
図7】本開示の実施形態によるシルビームUDU構成の概略断面図である。
図8】別の実施形態によるシルビームUDU構成の概略断面図である。
図9】別の実施形態によるシルビームUDU構成の概略断面図である。
図10】更に別の実施形態によるシルビームUDU構成の概略断面図である。
図11】いくつかの実施形態によるサイドシルUDUの斜視図である。
図12】エネルギー吸収材料を第1の層内に示す図10のサイドシルUDUの斜視図である。
図13】第1の層を除去した状態で示すサイドシルUDUの斜視図である。
図14】第1の層の上部を除去した状態で示すサイドシルUDUの斜視図を示す。
図15】第1の層を除去した状態で示すサイドシルUDUの斜視図を示す。
図16】第1の層及び第2の層を除去した状態で示すサイドシルUDUの斜視図を示す。
図17】サイドシルUDUの第4の層の斜視図を示す。
図18】いくつかの実施形態による等減速ユニットの一部分の拡大図である。
図19】2つの外板層間に互いに接合された薄壁のリブ及びウェブの行列を有する衝突パッドを備えた等減速ユニットを示す。
図20】いくつかの実施形態による等減速ユニットの一部分の拡大図である。
図21】いくつかの実施形態による等減速ユニットの一部分の拡大図である。
図22】いくつかの実施形態による等減速ユニットの一部分の拡大図である。
図23】いくつかの実施形態による等減速ユニットの一部分の拡大図である。
図24】いくつかの実施形態による等減速ユニットの一部分の拡大図である。
図25】中空管で形成され、2つの外板層間に互いに接合され且つ低密度の多孔性マトリックスで満たされた衝突パッドを有する等減速ユニットの一部分の拡大図である。
図26】延性で高強度で低弾性の材料から形成され、2つの外板間に互いに接合され且つ粘性材料で満たされた薄壁のリブ及びウェブで構成された衝突パッドを備えた等減速ユニットの一部分の拡大図である。
図27】いくつかの実施形態によるUDUの衝突パッドである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
詳細な説明
自動車事故は、現代世界の不幸な現実である。自動車業界は、数例を挙げると、正面エアバッグ、側面カーテンエアバッグ、電子衝突回避システム、及び構造的衝撃吸収域などの技術革新によって、過去数十年で安全性において大幅な進歩を遂げてきたが、自動車の安全性を更に向上させる要望が依然としてある。
【0011】
様々な衝突状況で車両乗員を保護するための側面衝突保護の必要性は、あらゆる車両設計において依然として重要な要素である。しかしながら、バッテリ駆動の電気自動車(「EV」)の急増に伴い、車両乗員を保護する必要性が、側面衝突事象中に車両バッテリを保護する必要性と同時に生じている。例えば、リチウムイオン電池などの、ある特定のバッテリ化学的構造が車両衝突中に破裂した場合、バッテリが発火する可能性があり、火炎が車両全体に急速に広がる可能性がある。本発明者は、車両業界が、車体横断車両構造を過度に補強せずに又は過剰な質量を追加せずに、車両乗員及びEVバッテリを保護できる、側面衝撃衝突の解決策を依然として必要としていることを認識している。
【0012】
電柱、交通標識、及び樹木などの剛性の細長い部材との衝突に関係する車両側面の耐衝撃性に関して、車両の側面構造において相当量の衝撃エネルギーを吸収することが必要であるとみなされている。実際に、米国運輸省道路交通安全局(「NHTSA:US National Highway Traffic Safety Administration」)は、直径10インチ(254mm)の剛性ポール構造との衝撃を受けた車両の相対的な有効性を測定するために、側面衝突剛性ポール試験と呼ばれる車両試験を定義している。この試験によれば、側面ポール衝突での運転者の負傷を防止するために、車両構造は、乗員室内への貫入を防止して、加速を生存可能範囲に制限できなければならない。
【0013】
理解されるように、車両の乗員を保護するための側面衝突安全性の目標は、全ての車両に不可欠である。しかしながら、本発明者は、そのような側面衝突安全性を達成するための要件が車両のタイプに応じて異なり得ることを認識している。例えば、車両は、サイズ、重量が異なり、異なる構成要素を有し得る。本出願人は更に、開示の安全装置の1つが、異なるタイプの衝突において使用されるように、並びに側面衝突安全性に対処するためにシルビーム内又は近傍などの、車両の異なる箇所に挿入及び/又は一体化されるように特別に設計され得ることを認識している。
【0014】
EVでは、バッテリ電源パックは、車両内のいくつかの異なる場所に位置し得る。例えば、バッテリは、トランクスペースのほぼ近傍になど、車両の後部に、車両の前部に、及び/又は車両の下側に位置し得る。理解されるように、車両の前部のバッテリは、正面衝突の際に損傷を受けることになり得、その一方で、車両の後部に位置するバッテリは、追突の際に損傷を受けることになり得る。車両の床下に位置するバッテリは、あらゆる方向からの衝撃から大部分が保護され得る。
【0015】
車両の下に位置するバッテリに関して、バッテリパックは、車両の地上高を大幅に低下させないためにフロアパンの下に収まるように平坦化され得る。いくつかの実施形態では、平坦なバッテリ配置におけるセルの数を増加させて車両の電力及び範囲を増加させるために、バッテリパックの断面積が増加され得る。このようなバッテリパックの断面積の増加によって、バッテリパックの外周が、車両の、ロッカービームとしても知られている、シルビーム構造側まで又は更にはシルビーム構造まで達し得る。
【0016】
理解されるように、シルビームは、車両の両側(例えば、車両の第1の側面及び第2の側面)に位置し得、車両の主要な前後構造部材としての役割を果たし得る。側面衝突の際に、シルビームはまた、剪断荷重及び曲げ荷重を支持し得る。本発明者は、シルビームがポール状構造とのEVの側面衝突での過剰な撓み又は過剰な局所変形を許容する場合に、シルビームがバッテリパックに衝突し得、これにより、バッテリが破裂及び/又は圧潰し得ることを認識している。いくつかの実施形態では、バッテリパック、又はバッテリパック筐体は、バッテリセルが環境にさらされるように破裂した又は破壊された場合に、火災が起こり得る。
【0017】
本発明者は、フロアパンの下に位置するEVバッテリパックを保護することは、衝突エネルギーを吸収すること、衝突力を制限すること、及び/又はシルビームとバッテリパックとの接触を防止するためにシルビームの内方への撓みを制限することを含み得ることを認識している。例えば、NHTSAの側面衝突剛性ポール試験においてポール100に衝突する過程(符号Fが付された力の方向を参照)での車両であって、第1のサイドシルビーム102a及び第2のサイドシルビーム102bと、フロアパン106の下に位置するバッテリパック104とを有する車両の概略断面図を示す、図1を参照されたい。図1に図示するように、本出願人は、シルの撓みXを最小限に抑え且つ隙間Yを最大にしてバッテリパックへの貫入を最小限に抑えるか又は更には防止することによって利点が実現され得ることを認識している。そのような例では、サイドシルの変位を制限することによって、フロアパンの下に装着されたバッテリが保護され得る。
【0018】
理解されるように、典型的な小型EVは、約3500ポンド(1588kg)の重量を有し得る。この重量は、車両の設計とバッテリパックのサイズとに応じて大きく異なり得る。側面衝突剛性ポール試験の32km/hrの速度では、3500ポンドの車両の総運動エネルギーは約62kJであり得る。バッテリパックへの貫入を防止するために吸収しなければならない総衝突エネルギーの一部は、車両のサイドシルビームの設計に依存し得る。
【0019】
本開示の態様によれば、安全装置は、衝突エネルギーを吸収し、衝突力を制限し、及び/又はシルビームの内方への撓みを制限するように配置された、本明細書ではサイドシルUDU及びサイドビームUDUとも呼ばれる、サイドシルビーム等減速ユニット(「UDU」)を含み得る。いくつかの実施形態では、サイドシルUDUは、サイドシルビームを通過する衝突エネルギーを吸収し得、車両に作用する力を最小限に保ち得る。いくつかの実施形態では、サイドシルUDUは、車両フレーム構造の既存のシルビーム前後部材と同じスペース及び/又は隣接するスペース内に収まるように設計され得る細長い構造を含み得る。例えば、いくつかの実施形態では、サイドシルUDUは、既存のサイドシルの代わりに使用され得る。サイドシルUDUは、サイドシルの少なくとも一部分と一体化され(例えば、少なくとも一部分に挿入され)得る。サイドシルUDUはまた、サイドシル上に又はサイドシルとバッテリとの間に配され得る。
【0020】
いくつかの実施形態では、サイドシルUDUは、1つ又は複数の層を備えた多層構造を含み得る。そのような実施形態では、1つ又は複数の層の各々は、衝突エネルギーを吸収し、衝突力を制限し、及び/又はシルビームの内方への撓みを制限するように配置され得る。例えば、いくつかの実施形態では、サイドシルUDUは、ポールがUDUに衝突したときの力を均一にするように配置された外側の第1の層を含み得る。そのような実施形態では、サイドシルUDUは、圧潰エネルギーを吸収するように配置された第2及び第3の中間層を含み得る。例えば、いくつかの実施形態では、第2の層及び第3の層の各々は、外板とリブ及びウェブ構造とを含み得る。いくつかの実施形態では、第2の層は、第1の層の底部に配置され得、第3の層は、第2の層の底部に配置され得る。サイドシルUDUはまた、反力ビームとして機能するように配置された内向きの第4の層(例えば、第3の層の底部に配置された)を含み得る。例えば、第4の層は、特定の車両用のシルビームについての許容可能な貫入と比較して大きく撓むことなしに、第1の層、第2の層、及び第3の層が圧潰することを可能にし得る。いくつかの実施形態では、1つ又は複数の層は、金属発泡体などの、多孔質材料を含み得る、エネルギー吸収材料を含み得る。
【0021】
理解されるように、サイドシルUDUは、いくつかの実施形態では4つの層を有するものとして説明されているが、サイドシルUDUは、より多い又はより少ない層を有し得る。例えば、サイドシルUDUは、外向きの層と、内向きの層と、唯一の中間層と(例えば、合計3つの層)を有し得る。サイドシルUDUはまた、1つ若しくは複数の異なるセクション及び/又は特性を層内に備えた単層のみを含み得る。例えば、異なるセクションの特性は、上記で説明した異なる層の特性に対応し得る。
【0022】
いくつかの実施形態では、層の各々は、別々に形成されて、(例えば、ねじ又はボルト、接着剤、溶接、又は別の好適な取付機構によって)互いに取り付けられ得る。サイドシルUDUはまた、互いに一体に形成される1つ又は複数の層を含み得る。例えば、サイドシルUDUは、多層を備えたモノリシック構造であり得る。
【0023】
いくつかの実施形態では、サイドシルUDUは、シルビームの長さに沿って少なくとも部分的に延びるように構成され得る。例えば、いくつかの実施形態では、サイドシルは、シルビームの全長にわたって延び得る。そのような実施形態では、サイドビームUDUは、側面衝撃衝突(例えば、側面ポール衝突)中に車両構造及び車両乗員を保護するように配置され得る。
【0024】
いくつかの実施形態では、サイドシルUDUの多層配置によって、UDUが所望の挙動を有するようにUDUの各層を特別に設計することが可能になる。例えば、いくつかの実施形態では、各層の剛性は、側面衝突中に連続的な圧潰を生じさせるように構成され得る。いくつかの実施形態では、連続的な圧潰は、所与の設計での理想的なエネルギー吸収に近づき得る、より滑らかな力対変位曲線を生成し得る。例えば、従来のサイドシルの変位曲線と比較してシルビームUDUについてのより滑らかな変位曲線を示す、図2を参照されたい。いくつかの実施形態では、車両のサイドシル領域の利用可能なスペースでのエネルギー吸収を最適化することによって、衝撃力が制御され及び/又は最小限に抑えられ得る。
【0025】
いくつかの実施形態では、サイドシルUDUは、サイドシルUDUの上(例えば、第1、第2、第3の)層の1つ又は複数にポールが埋め込まれることを可能にすることによって、サイドシル内へのポールの相対変位を増大させ得る。いくつかの実施形態では、UDUへのポールの追加の埋まり込み距離は、UDUの総エネルギー吸収を増加させ得る。例えば、図2に示すように、構造の最大許容変位は、いくつかの実施形態ではYmmであり得る。そのような実施形態では、サイドビームUDUによって吸収される総エネルギー(ポールのF-D曲線の下の領域によって示す)は、ポールの埋まり込みによって増加され得る。例えば、ポールの埋まり込み距離と表示された領域の曲線の下の領域を参照されたい。いくつかの実施形態では、ポールの埋まり込みによって、シルビームUDUの圧潰距離が効果的に増加する。
【0026】
図2は、衝突衝撃の終了時のポール埋まり込み距離を示しているが、ポール埋まり込み距離が衝突の開始時にも生じ得ることが理解されよう。例えば、図3に示すように、UDUへのポールの埋まり込みは、衝突の開始時に示され、その後、衝突中に割増のエネルギー吸収を生じさせる。図2と同様に、また図3に示すように、ポールの埋まり込みによって、シルビームUDUの圧潰距離が効果的に増加する。
【0027】
図4A図4Dは、ポールと車両との衝突時のポールの埋まり込みを示すシミュレーションモデルである。図4A及び図4Bは、車両とポールとの衝突時のサイドシルUDUの上層へのポールの埋まり込みを図示している。図4C及び図4Dは、サイドシルUDUの下側反力ビーム層が内方に撓む間の上層へのポールの埋まり込みを図示している。いくつかの実施形態では、埋まり込みと撓みは同時に発生し得る。
【0028】
いくつかの実施形態では、サイドシルUDUは、側面衝突事象において既存のシルビームの代わりになるように又は既存のシルビームを補完するために、車輪格納部に装着され得るUDUと同様の衝突パッド構造を利用し得る。例えば、いくつかの実施形態では、サイドシルUDUは、2015年11月24日に出願された「Uniform Deceleration Unit」という名称の国際出願PCT/US2015/062366号及び2019年4月16日に出願された「Uniform Deceleration Unit」という名称の国際出願PCT/US2019/027741号で説明されているものなどの、衝突パッドを利用し得、これらの明細書の各々は、全体が参照により本明細書に組み込まれる。例えば、サイドシルUDUは、外板と内側リブ及びウェブ構造又は内側管状構造とを備えた衝突パッドを含み得る。理解されるように、サイドシルUDUはまた、国際出願PCT/US2015/062366号又は国際出願PCT/US2019/027741号で説明されているUDUとしての構成要素及び/又は配置のいずれかを含み得る。例えば、いくつかの実施形態では、サイドシルUDUの1つ又は複数の層は、衝突パッドの1つで、又は上記用途の1つにおけるUDUの配置の1つを用いて形成され得る。例示の例では、サイドシルUDUは、4つの衝突パッド層を含み得る。
【0029】
いくつかの実施形態では、車両の側面において車両が剛性ポールに衝突する衝突状況では、シルビームがポールに接触し得る。シルビームとポールとの間に力が蓄積すると、シルビームUDUが変形(圧潰)され得、圧潰の過程で、シルビームUDUは、運動エネルギーを歪エネルギーに変換することによって、車両の運動エネルギーの大部分を吸収し得る。
【0030】
側面衝突事象のある時点では、シルビームUDUは弾性変形し得、衝突力の増加に伴って、UDUが塑性変形し得る。例えば、シルビームUDUの外板は弾性変形し得、次いで、衝突力の増加に伴って、外板が塑性変形し得る。シルビームUDUが外板構造の内側に多孔質材料(例えば、金属発泡体)を含む実施形態では、多孔質材料はまた、衝突力の増加に伴って変形を開始し得る。いくつかの実施形態では、衝突パッドが塑性変形するときに、衝突エネルギーが吸収される。いくつかの実施形態では、側面ドアを貫通する及び床に装着されたバッテリパックを貫通するシルビームの貫入を最小限に抑えるか又は防止するために十分なエネルギーが吸収され得る。いくつかの実施形態では、シルビームUDUが塑性変形によってエネルギーを吸収するときに、シルビームに作用する力が低減され得る。このような実施形態では、側面衝突の影響が軽減され得る。
【0031】
ここで、シルビーム102aと、Aピラー108と、Bピラー110と、ヒンジピラー111とを有する車両の例示的な内側フレームを図示する、図5に移る。本開示の実施形態によれば、サイドシルUDU112は、車両のサイドシル上及び/又はサイドシル内に収まるエネルギー吸収構造(例えば、軽量エネルギー吸収構造)を含み得る。例えば、図5に示すように、シルビームUDUは、車両の既存のシルビーム102a上に位置するか、シルビーム102a内に位置するか、又はシルビーム102aと一体化され得る。理解されるように、この図では1つのサイドビーム及びそれぞれのサイドシルUDUのみが示されているが、車両は、車両の反対側の第2の側に第2のサイドシルUDUとシルビームとを含み得る。
【0032】
いくつかの実施形態では、サイドシルUDUは、座屈又は衝撃吸収作用が後に続く衝突状況において所定の最大力においてピークを有するように設計された外板構造と、後に所定の距離にわたって比較的一定の力で圧潰する多孔質材料とを含み得る。本明細書の目的で、外板構造は、サイドシルUDUの所与の層の外側構造を含み得る。そのような構造では、最大圧潰力は予め設定され得、圧潰距離は予め設定され得、吸収されるエネルギーの量は、圧潰力と圧潰距離とに基づいて予め決定され得る。その結果は、特定の車両の質量及び構造的アーキテクチャに応じて調整され得る非常に効率的なエネルギー吸収システムであり得る。
【0033】
理解されるように、車両のシルビームにはいくつかの基本設計がある。図6は、典型的なサイドシルビーム構造を示している。この図に示すように、サイドシルは、内側シルパネル114と、外側シルパネル116と、内側ダイヤフラムパネル118と、キャッスルレール(castle rail)120とを含み得る。いくつかの実施形態では、シルは、内側シルパネルと内側ダイヤフラムパネルとキャッスルレールとで形成された構造ボックス122を含み得る。シルはまた、いくつかの実施形態では強度を加え得る、外側ボックス124を含み得る。いくつかの実施形態では、外側ボックスは、内側構造ボックスよりも弱い強度を加える。サイドシルはまた、ジャッキポイント用の内側ブレース125を含み得る。理解されるように、他の実施形態では、図6に示すシルアセンブリに関する多くの変形形態が存在し得る。
【0034】
図7は、本開示の実施形態によるシルビームUDUを示している。この図に示すように、サイドシルUDU112は、シルビーム102aの外側に取り付けられ得る。例えば、サイドシルUDUは、外側シルパネル116に取り付けられ得る。いくつかの実施形態では、そのような配置は、シルビーム自体の設計を大幅に変更せずに、UDUの形態に大きな自由度を与え得る。いくつかの実施形態では、シルビームは、UDUが力に反応し、圧潰してエネルギーを吸収することを可能にし得、これにより、側面衝突(例えば、側面ポール衝突)中にバッテリ104へのシルビームの侵入を防止し得る。いくつかの実施形態では、UDUの長さ、及びシルとUDU外板などのUDUとの間の合わせ面の外形は、車両の対応する形状に適合するように設計され得る。
【0035】
理解されるように、UDU衝突パッドは、シルビームの外側に取り付けられるものとして示されているが、他の実施形態では、UDU衝突パッドは、シルビームの外側シルパネル内に配され得る。理解されるように、そのような実施形態では、サイドシルUDUの形状及びサイズは、外側シルパネルの形状及び側面に対応し得る。例えば、1つ又は複数の層は、サイドシルUDUの形状及びサイズがサイドパネルの形状及びサイズに対応するように、異なる形状及びサイズを有し得る。
【0036】
図8は、シルビームUDUの別の構成を示している。この図に示すように、いくつかの実施形態では、サイドシルUDU112は、内側構造ボックス122になど、シルビーム102aの内側に取り付けられ得る。例えば、いくつかの実施形態では、サイドシルUDUは、内側構造ボックス内に配され得る。そのような実施形態では、サイドシルUDUの形状及びサイズは、内側構造ボックスの形状及びサイズに対応し得る。
【0037】
別の実施形態では、図9に示すように、サイドシルUDUは、シルビーム102aとバッテリ104との間に位置する隙間内に配され得る。そのような実施形態では、UDU衝突パッドは、シルビーム又は車両の別の部分に取り付けられ得る。
【0038】
更に別の実施形態では、図10に示すように、UDUは、シルビームと一体化され得る。例えば、いくつかの実施形態では、サイドシルUDUは、シルビーム、又はシルビームの少なくとも一部に取って代わり得る。例えば、UDUは、内側構造ボックスと外側シルパネルの両方に一体化されるものとして示されているが、いくつかの実施形態では、UDUは、内側構造ボックスのみに及び/又は外側シルパネルのみに一体化され得る。理解されるように、そのような例では、一体化されたシルビームUDU部分は、一体化されていないシルビーム(例えば、外側シルパネルに及び/又は内側シルパネル及びシルビームのキャッスルレール)に取り付けられ得る。
【0039】
いくつかの実施形態では、一体型のシルビームUDUは、車両のAピラー108、Bピラー110、及び/又はヒンジピラー111などの、1つ又は複数のピラー(例えば、図5を参照)に取り付けられ得る。理解されるように、一体型のシルビームUDUはまた、車両の他の部分に取り付けられ得る。シルビームUDUは、ボルト、ねじ、溶接、又は別の取付機構によってなど、任意の好適な方法によって車両に取り付けられ得る。
【0040】
図11及び図12は、本開示の実施形態によるサイドシルUDUの例を図示している。これらの図に示するように、サイドシルUDU112は、多層構造を含み得る。例えば、サイドシルUDUは、いくつかの実施形態では、第1の層126、第2の層128、第3の層130、及び第4の層132を有し得る。いくつかの実施形態では、第1の層126は、外向きであり得る。本明細書の目的では、外向きであることは、サイドシルUDUが自動車に設置されたときに第1の層が車両の外側に面し得ることを意味する。例えば、図10に示すように、第1の層は、衝撃衝突事象中に衝突力Fを受ける第1の層となるように配置され得る。
【0041】
いくつかの実施形態では、第1の層は、ポールがサイドシルUDUに衝突したときの力を均一にするように配置され得る。いくつかの実施形態では、第1の層は、横断リブのない、中空であり得る(図14も参照)。そのような実施形態では、第1の層は、荷重がより広い領域にわたって分散され、次いで第2の層に分散されることを可能にし得る。いくつかの実施形態では、図11に示すように、第1の層は、金属発泡体などのエネルギー吸収材料134で満たされ得る。いくつかの実施形態では、第1の層の側壁(例えば、外板)は、厚さ/剛性Aを有し得る。
【0042】
いくつかの実施形態では、第2の層は、横断リブ135が圧潰するときに力をほぼ最大許容レベルまで上昇させる横断リブ135(図13及び15も参照)を含み得る。いくつかの実施形態では、図13に示すように、横断リブは、リブが互いに協働して略矩形断面形状を有するポケット136を形成する、「製氷皿」型の配置を有し得る。例えば、リブのいくつかは、第2の層の長手方向軸線に略平行に延び得、その一方で、他のリブは、長手方向軸線に略垂直に延び得る。そのような実施形態では、リブは、互いに略垂直又は略平行に延びる。
【0043】
他の実施形態では、図15に示すように、第2の層128は、管状リブを含み得る。いくつかの実施形態では、管状リブは、第2の層の長手方向軸線に沿って、一列に整列され得る。いくつかの実施形態では、管状リブは、略円形断面形状を有するポケット136を形成し得る。いくつかの実施形態では、管状リブは、短く真っ直ぐなリブを介して外板138に且つ互いに接続され得る。
【0044】
図13及び図15では、リブは第2の層の上部と底部との間に延びるものとして示されているが、他の実施形態では、1つ又は複数のリブは、層の上部と底部との間に部分的にのみ延び得る。リブの高さは、リブ毎に異なり得るが、層全体にわたって同じであり得る。
【0045】
いくつかの実施形態では、第2の層は、リブ及びウェブ構造を含み得る。いくつかの実施形態では、第2の層の基部139は、1つ又は複数の横断リブが延びるウェブ139を形成し得る。理解されるように、ウェブは、第2の層の上部と底部との間の他の部分に位置し得る。
【0046】
いくつかの実施形態では、第2の層はまた、リブポケットの内側に、発泡体などの、エネルギー吸収材料(例えば、図10及び11を参照)を含み得る。いくつかの実施形態では、ポケット136は、リブ間(又はリブと外板との間)に形成され、ポケットは、層厚さの約70%の圧潰距離にわたって力をそのレベルに保持するような大きさとされる。理解されるように、全てのポケットがエネルギー吸収材料で満たされる必要はない。例えば、いくつかの実施形態では、ポケットのサブセットのみがエネルギー吸収材料を含み得る。いくつかの実施形態では、第2の層の側壁は、厚さ/剛性A+Δaである。
【0047】
いくつかの実施形態では、第3の層はまた、横断リブを含み得る。図16に示すように、リブは、第2の層のリブと同様に、管状であり得る。いくつかの実施形態では、図16に示すように、第3の層は、2列の管状リブを含み得、管状リブは、第2の層内のリブのよりも小さい。第2の層と同様に、第3の層は、隣接する管状リブと外板138との間に、より小さく真っ直ぐなリブを含み得る。理解されるように、リブは、同じ高さであり得るか、又は異なる高さであり得る。
【0048】
第2の層と同様に、第3の層もまた、リブ及びウェブ構造を含み得る。そのような実施形態では、第3の層の底部は、横断リブが延びるウェブを形成し得る。理解されるように、ウェブはまた、第3の層の上部と底部との間の他の部分に位置し得る。
【0049】
いくつかの実施形態では、図15及び図16に示すように、管のサイズ及びレイアウトは、第2の層と第3の層との間に剛性の勾配を生じさせるように第2の層と第3の層とで異なり得る。これらの図に示すように、管の全てはまた、層間で配置が異なり得るとしても、サイドシルUDUが車両内に設置されたときに車の横断方向に平行に配置され得る。例えば、図15及び図16に示すように、第3の層は、第2の層と比較してより多くのより小さな管を含み得る。いくつかの実施形態では、第3の層は、第3の層よりも先に順番に第2の層を圧潰させるために、第2の層よりも高い剛性を有するように配置される。そのような実施形態では、管状リブ部材の厚さ、及びより小さく真っ直ぐなリブの厚さは、第2の層よりも第3の層の方が厚いことがある。
【0050】
いくつかの実施形態では、第3の層のリブは、最大許容レベルの95%±20%以内まで圧潰力を上昇させ続け得る。いくつかの実施形態では、第3の層は、リブ間(又はリブと外板との間)に形成されたポケットのうちの少なくともいくつかのポケットの内側にエネルギー吸収材料(例えば、発泡体)を含み得、ポケットは、層厚さの約70%の圧潰距離にわたって力をそのレベルに保持するような大きさとされる。いくつかの実施形態では、第2の層の側壁は、厚さ/剛性A+Δa+Δbである。
【0051】
第2の層及び第3の層は異なる配置を有するものとして示されているが、第2の層内のリブのサイズ、形状、及び配置は、第3の層のものと同じであり得ることが理解されよう。理解されるように、リブは、管状及び/又は矩形状の配置を有するものとして示されているが、他の実施形態では、他の好適な配置を有し得る。例えば、リブは、正方形、三角形、楕円形、他の多角形又は他の好適な断面形状を有するポケットを作り出し得る。
【0052】
また図11図12図13及び図17に示すように、サイドシルUDUは、特定の車両用のシルビームについての許容可能な貫入と比較して第4の層が大きく撓むことなしに、第1の層、第2の層、及び第3の層が圧潰することを可能にするために、反力ビームとして機能するように設計された第4の層132を含み得る。いくつかの実施形態では、第4の層は、層の全長にわたって延びるリブ135を含む。理解されるように、他の実施形態では、リブは、第4の層の長さに沿って部分的にのみ延び得る。これらの図に示すように、リブは、互いに平行に配置される真っ直ぐなリブのみを含み得る。いくつかの実施形態では、リブは、第4の層の上部と底部との間に全体にわたって延びる。リブはまた、第4の層の上部と底部との間に部分的にのみ延び得る。いくつかの実施形態では、リブは、第4の層の上部及び/又は底部に略垂直に延びる。
【0053】
第4の層は、リブ間(又はリブと外板との間)に画定されたポケットのうちの1つ又は複数のポケット内における、エネルギー吸収材料(例えば、発泡体)の有無にかかわらず設計することができる。いくつかの実施形態では、第4の層はまた、最大許容衝突力を超えることなしに側面ポール衝突での最大撓みを防止し得るビーム状構造を含み得る。
【0054】
理解されるように、第1の層、第2の層、第3の層、及び第4の層は、同じ断面形状及びサイズを有するように構成され得る。いくつかの実施形態では、図11図13に例として示すように、層の各々は、略矩形形状を有し得る。層はまた、他の実施形態では(例えば、サイドシル内又はサイドシルに隣接する隙間内に収まるように)異なる断面形状及びサイズを有し得る。
【0055】
いくつかの実施形態では、第1の層、第2の層、第3の層、及び第4の層は、異なる高さを有し得る。本明細書の目的では、層の高さは、層の上部と底部との間の距離を含み得る。理解されるように、サイドシルUDUが車両内に設置されたときに、層の上部は上向きでないことがある。例えば、図11図17は、各層の上部が上向き方向に向けられた、第1の層、第2の層、第3の層、及び第4の層を図示している。しかしながら、自動車内に設置されたときに、層の上部は、衝突衝撃の方向に向かって外向きであり得る。
【0056】
いくつかの実施形態では、各層の外板の厚さは層毎に異なり得るが、各層の外板の厚さは同じであり得る。いくつかの実施形態では、内側リブの厚さは、層毎に異なり得るが、各層について同じであり得る。理解されるように、そのような実施形態では、外板及び/又は内側リブの厚さは、サイドシルUDUの特定の挙動を達成するように選択され得る。
【0057】
いくつかの実施形態では、各層は、層の上部を形成するカバー板と、基部とを含み得る。いくつかの実施形態では、基部は、リブ及びウェブ構造のウェブを形成し得る。
【0058】
既に説明したように、いくつかの実施形態では、サイドシルUDUの1つ又は複数の層は、衝突パッド(例えば、衝突パッド層)によって形成され得る。いくつかの実施形態では、衝突パッド内の主要なエネルギー吸収層は、多孔性マトリックスであり得る(例えば、図18を参照)。いくつかの実施形態では、衝突パッド内の主要なエネルギー吸収層として多孔性材料を使用する代わりに、延性で高強度で比較的低弾性の材料から形成された薄壁のリブ及びウェブの行列が使用され得る。この構成は、鋳造、鍛造、又は他の金属成形技術によって製作され得る。この構成はまた、付加的な技術プロセスによって形成され得る。リブ及びウェブの行列はまた、強度及び剛性の所望の特性を与えるように設計された人工材料の複合材から製作され得る。図19及び図27は、外板と、UDUの衝突パッド内の主要なエネルギー吸収層として機能するリブ及びウェブ構造の行列とを備えた衝突パッドの例を示している。いくつかの実施形態では、リブ及びウェブ構造は、衝突パッドのより広い領域にわたる衝突力の拡散を容易にするのを補助するために、高抗張力材料層で覆われ得る。例えば、図27に示すように、発泡体は、リブ及びウェブ構造によって形成された少なくとも1つのポケットに挿入され得る。
【0059】
いくつかの実施形態では、衝突パッドの主要なエネルギー吸収層は、薄壁管のアレイ26から構成され得る(例えば、図20を参照)。例えば、管は、図15及び図16の第2の層及び第3の層内に示すものと同様であり得る。いくつかの実施形態では、薄壁管のアレイは、車両の車体横断軸線に平行な向きに配置され得る。管の群は、延性があり、強度が高く且つ弾性が比較的低い1つ又は複数の材料を用いた、単層、二重層、又は多層のいずれかとすることができる。この構成は、押出成形、鋳造、及び他の成形技術を含む様々な方法によって形成され得る。管アレイは、1つの連続部として生成され得るか、又は互いに接合された複数の別個の管から形成され得る。管アレイはまた、強度及び剛性の所望の特性を与えるように設計された人工材料の複合材から製作することができる。この構成はまた、付加的な技術プロセスによって形成され得る。
【0060】
いくつかの実施形態では、管アレイは、高粘性材料28で満たされ得る(図21を参照)。この構成では、管は、管が圧潰されると外力の印加時に粘性材料が特定の経路を辿るように強いられ得るように、配置及び接続され得る。管アレイへの衝突力の印加に伴って、粘性材料は、最終的に狭い開口又はオリフィスを通して管アレイから押し出され得る。エネルギーを吸収する管アレイの変形に加えて、粘性材料の流れがエネルギーを吸収し得る。
【0061】
いくつかの実施形態では、管アレイは、長柱状構造30で満たされ得る(図22を参照)。柱状構造は、管の内側に位置し、管の軸線に垂直であり、車両の車体横断軸線に平行な向きに配置され得る。柱状構造は、管アレイが圧潰したときに座屈し得る。管アレイの圧潰によって吸収されるエネルギーに加えて、管内側の柱状構造の座屈によって追加のエネルギーが吸収され得る。
【0062】
いくつかの実施形態では、衝突パッドの主要なエネルギー吸収層は、車両の車体横断軸線に平行な向きに配置された比較的薄壁の管のアレイで構成され得る(例えば、図24を参照)。管の形状は、丸形、矩形、又は別の閉じた幾何学的若しくは有機的形状であり得る。管は、軽量高強度材料の層の間に挟まれ得る。管の群は、延性があり、強度が高く且つ弾性が比較的低い1つ又は複数の材料を用いた、単層、二重層、又は多層のいずれかであり得る。この構成は、押出成形、鋳造、及び他の金属成形技術を含む様々な方法によって形成され得る。管アレイは、1つの連続部として生成され得るか、又は互いに接合された複数の別個の管から形成され得る。管アレイはまた、強度及び剛性の所望の特性を与えるように設計された人工材料の複合材から製作され得る。この構成はまた、付加的な技術プロセスによって形成され得る。
【0063】
いくつかの実施形態では、衝突パッドの主要なエネルギー吸収層は、車両の車体横断軸線を横断する向きに配置され且つ金属発泡体又はハニカム材料などの非常に低密度の多孔性材料で満たされた薄壁管のアレイで構成され得る(例えば、図24を参照)。管の群は、延性があり、強度が高く且つ弾性が比較的低い1つ又は複数の材料を用いた、単層、二重層、又は多層のいずれかとすることができる。この構成は、押出成形、鋳造、及び他の金属成形技術を含む様々な方法によって形成され得る。管アレイは、1つの連続部として生成され得るか、又は互いに接合された複数の別個の管から形成され得る。管アレイはまた、強度及び剛性の所望の特性を与えるように設計された人工材料の複合材から製作され得る。この構成はまた、付加的な技術プロセスによって形成され得る。
【0064】
いくつかの実施形態では、衝突パッドの主要なエネルギー吸収層は、車両の車体横断軸線に平行な向きに配置され且つ金属発泡体又はハニカム材料などの非常に低密度の多孔性材料で満たされた比較的薄壁の管のアレイで構成され得る(例えば、図25を参照)。管の形状は、丸形、矩形、又は別の他の閉じた幾何学的若しくは有機的形状であり得る。管は、軽量高強度材料の層の間に挟まれ得る。管の群は、延性があり、強度が高く且つ弾性が比較的低い1つ又は複数の材料を用いた、単層、二重層、又は多層のいずれかであり得る。この構成は、押出成形、鋳造、及び他の金属成形技術を含む様々な方法によって形成され得る。管アレイは、1つの連続部として生成され得るか、又は互いに接合された複数の別個の管から形成され得る。管アレイはまた、強度及び剛性の所望の特性を与えるように設計された人工材料の複合材から製作され得る。この構成はまた、付加的な技術プロセスによって形成され得る。
【0065】
いくつかの実施形態では、衝突パッド内の主要なエネルギー吸収層は、延性で高強度で比較的低弾性の材料から形成され、金属発泡体又はハニカム材料などの非常に低密度の多孔性材料で満たされた薄壁のリブ及びウェブの行列で構成され得る(例えば、図27を参照)。この構成は、鋳造、鍛造、又は他の金属成形技術によって製作され得る。この構成はまた、付加的な技術プロセスによって形成され得る。リブ及びウェブの行列はまた、強度及び剛性の所望の特性を与えるように設計された人工材料の複合材から製作され得る。代替的に、リブ及びウェブ構造は、衝突パッドのより広い領域にわたる衝突力の拡散を容易にするのを補助するために、高抗張力材料層で覆われ得る。
【0066】
当業者によって理解されるように、UDUの個別の構成要素は、多種多様な成形方法を使用して、多種多様な材料から製作され、一般に利用できる多種多様な方法を使用してアセンブリに接合され得る。例示的な材料としては、本開示の範囲を限定するものではないが、高強度と低密度と比較的低コストとの組み合わせを有することで知られているアルミニウム合金が挙げられるが、炭素繊維複合材、ポリマー複合材、金属基複合材、鋼鉄を含む層状複合材、及び高強度プラスチックも挙げられる。例えば、衝突パッドは、単位体積当りの質量が約3,000kg/m未満であり、降伏強度が少なくとも180MPaであり、ヤング率が少なくとも500MPaである材料で構成され得る。多孔性が実質的にゼロよりも大きい多孔性材料は、高強度と低密度との組み合わせとして特に興味深いものであり得る。例えば、衝突パッドは、単位体積当りの質量が約1,000kg/m未満である多孔性材料で構成され得る。例示的な成形方法としては、ここでも本開示の範囲を限定するものではないが、打ち抜き加工、鍛造、鋳造、機械加工、及び印刷が挙げられる。接合方法は、圧着、ねじ、若しくは無頭釘を含む単純な機械的接合、通常の溶接、摩擦撹拌溶接、高強度接着剤の塗布、又はこれらの任意の組み合わせを含み得る。理解されるように、UDUの各構成要素は、同じ材料で及び/又は同じ製造技術によって作製され得、構成要素はまた、異なる材料で及び/又は異なる製造技術によって作製され得る。
【0067】
本教示を種々の実施形態及び例と併せて説明してきたが、本教示がそのような実施形態又は例に限定されることは意図されていない。むしろ、本教示は、当業者によって理解されるように、種々の代替形態、修正形態、及び等価物を包含する。よって、前述の説明及び図面は、単なる例にすぎない。
【0068】
本発明の種々の態様は、単独で、組み合わせて、又は前述で説明した実施形態では具体的に述べられていない様々な配置で使用され得るので、その適用において、前述の説明に記載した又は図面に図示した構成要素の詳細及び配置に限定されるものではない。例えば、一実施形態で説明する態様は、他の実施形態で説明する態様と任意の方式で組み合わされ得る。
【0069】
また、本発明は、方法として具現化され得、この方法の例が提供されている。方法の一部として実施される行為は、任意の好適な方法で順序付けられ得る。よって、例示の実施形態では連続的な行為として示されているが、いくつかの行為を同時に実施することを含み得る、例示の順序と異なる順序で行為が実施される実施形態が構成され得る。
【0070】
請求項の要素を修飾する、特許請求の範囲における「第1の」、「第2の」、「第3の」などの序数の用語の使用は、それ自体で、1つの請求項の要素の別の請求項の要素に対する優先順位、優位性、若しくは順序、又は方法の行為が実施される時間的な順序を暗示するものでは決してなく、請求項の要素を区別するために、単に、ある特定の名称を有する1つの請求項の要素を、同じ(序数の用語の使用を除く)名称を有する別の要素と区別する符号として使用されているにすぎない。
【0071】
また、本明細書で使用される表現及び用語は、説明を目的とするものであり、限定的なものとみなされるべきではない。本明細書における「含む(including)」、「備える(comprising)」、又は「有する(having)」、「収容する(containing)」、「伴う(involving)」、及びそれらの変化形の使用は、以降に列挙する項目及びそれらの等価物、並びに追加の項目を包含することを意味している。
図1
図2
図3
図4A
図4B
図4C
図4D
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
【国際調査報告】