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特表2022-534607神経制御のためのシステムおよび方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-08-02
(54)【発明の名称】神経制御のためのシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
   A61N 1/365 20060101AFI20220726BHJP
【FI】
A61N1/365
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021570861
(86)(22)【出願日】2020-05-29
(85)【翻訳文提出日】2022-01-21
(86)【国際出願番号】 GB2020051307
(87)【国際公開番号】W WO2020240200
(87)【国際公開日】2020-12-03
(31)【優先権主張番号】1907605.8
(32)【優先日】2019-05-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518107132
【氏名又は名称】バイオス ヘルス リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】アーミテイジ,オリバー
(72)【発明者】
【氏名】ヘウェージ,エミール
(72)【発明者】
【氏名】エドワーズ,トリスタン
(72)【発明者】
【氏名】フォルティエ-ポアソン,パスカル
(72)【発明者】
【氏名】シュンムガム,スダカラン
(72)【発明者】
【氏名】ヤコペック,マジャジュ
(72)【発明者】
【氏名】ゴンショー,サムエル
【テーマコード(参考)】
4C053
【Fターム(参考)】
4C053JJ04
4C053JJ06
4C053JJ23
4C053KK02
4C053KK07
(57)【要約】
対象の心臓系を制御するためのシステムであって、対象における生理学的活動を検出し、検出された生理学的活動に対応する生理学的信号を生じさせるように構成された複数のセンサと、生理学的信号を受信し、少なくとも1つのモデルを使用して生理学的信号を処理して、少なくとも1つの出力信号を決定するように構成された少なくとも1つのコントローラと、少なくとも1つの出力信号を受信し、少なくとも1つの出力信号に基づいて対象の神経系に神経刺激を提供するように構成された複数の神経刺激装置と、を備える、システム。
【選択図】図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象の心臓系を制御するためのシステムであって、
対象における生理学的活動を検出し、前記検出された生理学的活動に対応する生理学的信号を生じさせるように構成された複数のセンサと、
前記生理学的信号を受信し、少なくとも1つのモデルを使用して前記生理学的信号を処理して、少なくとも1つの出力信号を決定するように構成された少なくとも1つのコントローラと、
前記少なくとも1つの出力信号を受信し、前記少なくとも1つの出力信号に基づいて前記対象の神経系に神経刺激を提供するように構成された複数の神経刺激装置と、を備える、システム。
【請求項2】
前記複数のセンサが、前記対象の神経系における神経活動を検出し、前記検出された神経活動に対応する神経データ信号を含む生理学的信号を生じさせるように構成された複数の神経変換器を含む、
前記少なくとも1つのコントローラが、前記少なくとも1つのモデルを使用して前記神経データ信号を処理して、前記対象の心機能を制御するための前記少なくとも1つの出力信号を決定し、それによって、前記提供された神経刺激が、前記対象の前記心機能を、
前記心機能の1つ以上のパラメータを、1つ以上の所定の値もしくは値の範囲に向かって移動させること、または
前記心機能の1つ以上のパラメータを、1つ以上の所定の限界値を超えないように維持すること、あるいは
前記対象の所定の生理学的反応を生じさせること、のいずれかを行うように変更するように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記少なくとも1つのコントローラが、少なくとも1つのモデルを使用して、前記対象の心機能を制御するための前記少なくとも1つの出力信号を決定し、それによって、前記提供された神経刺激が、前記対象の前記心機能を所定の限界値を有する定義された動作範囲内に維持されるように変更するように構成されている、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記少なくとも1つのコントローラが、前記個々の対象に対して、前記定義された動作範囲の前記所定の限界値を設定するように構成されている、請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
前記少なくとも1つのコントローラが、少なくとも1つのモデルを使用して前記神経データ信号を処理することによって、前記定義された動作範囲の前記所定の限界値を設定するように構成されている、請求項3または請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
前記提供された神経刺激が、前記対象の前記心機能を、前記対象の所定の生理学的反応を生じさせるように変更し、前記所定の生理学的反応が、前記心血管系の健康な機能への復帰に関連付けられている尺度である、請求項2に記載のシステム。
【請求項7】
前記尺度が、平均血圧の低下、血圧の少なくとも1つの成分の低下、駆出率の上昇、脈波伝播速度の上昇のうちの1つ以上である、請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
前記コントローラが、
少なくとも1つのモデルを使用して、前記対象の前記心臓系の望ましい動作点を決定することと、
前記対象の前記心臓系の現在の動作点を、前記決定された望ましい動作点に向かって変更するための制御決定を行うことと、
少なくとも1つのモデルを使用して、前記心機能の1つ以上のパラメータを、前記制御決定に従って、前記対象の前記心臓系の前記望ましい動作点に向かって移動させるための少なくとも1つの出力信号を決定することと、を行うように構成されている、先行請求項のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項9】
前記モデルが、前記心臓系の前記望ましい動作点を1つ以上の所定の値になるように保つように、または1つ以上の所定の限界値を超えないように維持されるように、制限される、請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
前記複数の神経刺激装置が、脳幹、上部脊髄、心臓交感神経枝、腎交感神経枝、上部迷走神経、迷走神経の心臓枝、迷走神経の腎臓枝のうちの少なくとも1つにおいて、前記対象の前記神経系に神経刺激を提供するように構成されている、先行請求項のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項11】
前記複数の神経刺激装置が、前記対象の心臓系または腎臓系のうちの少なくとも一方に至る交感神経求心性神経信号または交感神経遠心性神経信号のうちの少なくとも一方に関連する神経活動を変更するように構成されている、請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
前記複数の神経刺激装置が、神経活動を阻害するか、または神経活動を刺激するように神経活動を変更するように構成されている、請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
前記複数のセンサが、脳幹、上部脊髄、心臓交感神経枝、腎交感神経枝、上部迷走神経、迷走神経の心臓枝、迷走神経の腎臓枝、圧受容器、筋求心性神経のうちの少なくとも1つにおいて、前記対象の前記神経系における神経活動を検出するように構成された複数の神経変換器を含む、先行請求項のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項14】
前記複数の神経変換器が、前記対象の心臓系または腎臓系のうちの少なくとも一方に至る交感神経求心性神経信号または交感神経遠心性神経信号のうちの少なくとも一方に関連する神経活動を検出するように構成されている、請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
前記複数のセンサが、前記対象の迷走神経および/または脊髄における前記対象の前記神経系における神経活動を検出するように構成された複数の神経変換器を含み、
前記複数の神経刺激装置が、前記対象の前記迷走神経および/または前記脊髄に神経刺激を提供するように構成されている、先行請求項のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項16】
前記複数のセンサが、前記迷走神経における前記対象の前記神経系における神経活動を検出し、この検出された神経活動に対応する神経データ信号を含む生理学的信号を生じさせるように構成された複数の神経変換器を含む、
前記少なくとも1つのコントローラが、これらの神経データ信号を処理して、前記対象の心臓副交感神経活動に関する情報を決定するように構成されている、先行請求項のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項17】
前記複数の神経変換器が、前記対象の前記迷走神経の心臓枝における神経活動を検出するように構成されている、請求項16に記載のシステム。
【請求項18】
前記複数のセンサが、前記脊髄における前記対象の前記神経系における神経活動を検出し、この検出された神経活動に対応する神経データ信号を含む生理学的信号を生じさせるように構成された複数の神経変換器を含み、
前記少なくとも1つのコントローラが、これらの神経データ信号を処理して、前記対象の心臓交感神経活動に関する情報を決定するように構成されている、先行請求項のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項19】
前記複数の神経変換器が、前記対象のT4椎骨の頭側の神経活動を検出するように構成されている、請求項18に記載のシステム。
【請求項20】
前記複数のセンサが、前記対象の前記神経系における神経活動を、頸動脈圧受容器、大動脈圧受容器、腎求心性神経、筋求心性神経のうちの1つ以上において検出するように構成された複数の神経変換器をさらに含む、請求項15~19のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項21】
前記複数の神経刺激装置が、前記対象の前記脊髄における交感神経心臓神経経路に神経刺激を提供するように構成されている、先行請求項のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項22】
前記複数の神経刺激装置が、前記対象の前記脊髄における交感神経腎神経経路に神経刺激を提供するように構成されている、先行請求項のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項23】
前記複数の神経刺激装置が、前記対象の前記T4椎骨に対して、頭側の前記脊髄に神経刺激を提供するように構成されている、先行請求項のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項24】
前記複数の神経刺激装置が、前記対象の前記迷走神経における副交感神経腎神経経路に神経刺激を提供するように構成されている、先行請求項のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項25】
前記複数の神経刺激装置が、前記対象の前記迷走神経における副交感神経腎神経経路に神経刺激を提供するように構成されている、先行請求項のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項26】
前記複数の神経刺激装置の1つ、いくつか、またはすべてが、自然な神経活動を全体的または部分的のいずれかで遮断する神経刺激を提供するように構成されている、先行請求項のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項27】
前記複数の神経刺激装置の1つ、いくつか、またはすべてが、自然な神経活動を遮断するために、5kHz~30kHzの範囲の周波数で神経刺激を提供するように構成されている、請求項26に記載のシステム。
【請求項28】
前記コントローラは、前記複数の神経刺激装置の1つ、いくつか、またはすべてに、神経上の自然な神経活動を、前記対象の前記心機能の1つ以上のパラメータを1つ以上の所定の値を超えるように、または望ましい動作点から離れるように移動させるであろう、その神経上の自然な遠心性神経活動の検出に応答して遮断させる、少なくとも1つの出力信号を決定するように構成されている、請求項26または27に記載のシステム。
【請求項29】
前記複数の神経刺激装置の1つ、いくつか、またはすべてが、自然な神経活動を少なくとも部分的に変更する神経刺激を提供するように構成されている、先行請求項のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項30】
前記複数の神経刺激装置の1つ、いくつか、またはすべてが、自然な神経活動を少なくとも部分的に増幅する神経刺激を提供するように構成されている、先行請求項のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項31】
前記複数の神経刺激装置の1つ、いくつか、またはすべてが、自然な神経信号に追加される、適用された神経信号を生じさせる神経刺激を提供するように構成されている、先行請求項のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項32】
前記複数の神経刺激装置が、電気刺激、化学的活性化、機械的刺激、超音波刺激、熱刺激、および/またはオプトジェニック刺激のうちの少なくとも1つを提供するように構成されている、先行請求項のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項33】
前記コントローラが、前記対象の心臓の電気的活動を識別する心臓信号を受信し、前記少なくとも1つのモデルを使用して前記神経データ信号と一緒に前記心臓信号を処理して、前記少なくとも1つの出力を決定するようにさらに構成されている、先行請求項のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項34】
前記心臓信号が、心拍数、心拍数変動、P波形状、T波持続時間、T波振幅、J点、ST上昇、U波、RR間隔、信号周期、周波数プロファイル、振幅、または前記心臓の電気的活動を識別する信号から導出された他の関連する特徴のうちの少なくとも1つを含む、前記対象の心臓の電気的活動を識別する、請求項33に記載のシステム。
【請求項35】
前記少なくとも1つのコントローラが、少なくとも1つのモデルを使用して前記心臓信号を処理して、収縮期血圧、拡張期血圧、ピーク血圧、平均血圧、駆出時間、脈波伝播速度、または前記心臓系における血圧を識別する信号から導出された他の関連する特徴のうちの少なくとも1つを含む、血圧の特徴の推定値を生成するように構成されている、請求項34に記載のシステム。
【請求項36】
前記システムが、前記対象の心臓の電気的活動を検知し、前記心臓信号を生じさせるように構成された1つ以上の電気センサをさらに備える、請求項33~35のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項37】
前記コントローラが、前記対象の血圧を識別する血圧信号を受信し、前記少なくとも1つのモデルを使用して前記神経データ信号と一緒に前記血圧信号を処理して、前記少なくとも1つの出力信号を決定するようにさらに構成されている、先行請求項のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項38】
前記血圧信号が、収縮期血圧、拡張期血圧、ピーク血圧、起立性低下、平均血圧、駆出時間、脈波伝播速度、または前記心臓系における血圧を識別する前記信号から導出された他の関連する特徴のうちの少なくとも1つを含む、前記対象の血圧を識別する、請求項37に記載のシステム。
【請求項39】
前記システムが、前記対象の血圧を検知し、前記血圧信号を生成するように構成された1つ以上の血圧センサをさらに備える、請求項37または請求項38に記載のシステム。
【請求項40】
前記少なくとも1つのコントローラが、前記対象の心臓の電気的活動を識別する前記心臓信号と前記対象の血圧を識別する前記血圧信号との両方を受信し、少なくとも1つのモデルを使用して前記血圧信号および前記神経データ信号と一緒に前記心臓電気信号を処理して、前記少なくとも1つの出力信号を決定するようにさらに構成されている、請求項33~37のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項41】
前記少なくとも1つのコントローラが、前記対象の心臓の電気的活動を識別する前記心臓信号と前記対象の血圧を識別する前記血圧信号との両方を受信し、前記血圧信号と一緒に前記心臓電気信号を処理して、QA間隔、圧受容器感度、容積心拍出量、または前記心臓電気信号と血圧信号との共同相互分析から導出される他の関連特徴のうちの少なくとも1つを含む前記対象の心臓活動を識別するようにさらに構成されている、請求項40に記載のシステム。
【請求項42】
前記コントローラが、頸動脈圧受容器、大動脈圧受容器、腎求心性神経、および筋求心性神経のうちの1つ以上に関連付けられている神経活動に対応するさらなる神経データ信号を受信するようにさらに構成されている、先行請求項のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項43】
前記複数の神経センサが、頸動脈圧受容器、大動脈圧受容器、腎求心性神経、および筋求心性神経のうちの1つ以上に関連付けられている神経活動を検出し、前記さらなる神経データ信号を生じさせるように構成された神経センサをさらに含む、請求項42に記載のシステム。
【請求項44】
前記コントローラが、所定のイベントの識別に応答して前記複数の神経刺激装置に前記少なくとも1つの出力信号を提供するように構成されている、先行請求項のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項45】
前記所定のイベントが神経イベントである、請求項44に記載のシステム。
【請求項46】
前記所定のイベントが、血圧変化を示す圧受容器の発火、低血液灌流を示す腎求心性の発火、心臓のアップレギュレーションを示す交感神経の発火のうちの少なくとも1つである、請求項45に記載のシステム。
【請求項47】
前記所定のイベントが非神経イベントである、請求項44に記載のシステム。
【請求項48】
前記所定のイベントは、心拍数が高すぎるイベント、心拍数が低すぎるイベント、血糖値が高すぎるイベント、血糖値が低すぎるイベント、のうちの少なくとも1つである、請求項47に記載のシステム。
【請求項49】
前記コントローラが、所定の閾値を超える前記対象の血圧の識別に応答して、前記複数の神経刺激装置に少なくとも1つの出力信号を提供するように構成されている、請求項37または請求項38に記載のシステム。
【請求項50】
前記システムが、閉ループ心臓制御システムである、先行請求項のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項51】
前記システムが、前記対象の身体に埋め込まれる、先行請求項のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項52】
前記システムが、生体適合性材料の外面を備える、請求項51に記載のシステム。
【請求項53】
前記少なくとも1つのモデルが、更新モデル予測コントローラを含む、先行請求項のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項54】
前記少なくとも1つのモデルが、機械学習モデルを含む、先行請求項のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項55】
前記コントローラが、外部システムから前記1つ以上のモデルへの更新を受信するように構成されている、先行請求項のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項56】
前記対象の前記心臓系を制御するために前記対象の前記神経系に適用される前記神経刺激が、前記対象の別の器官の機能を健康な対象の機能に近づける、先行請求項のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項57】
前記システムは、前記システムが制御している心機能パラメータを変更するように更新される、先行請求項のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項58】
前記システムが、別個の疾患に関連する2つ以上の別個の心機能を同時に制御する、先行請求項のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項59】
前記少なくとも1つのコントローラが、
前記対象の心機能を健康な対象の心機能に近づけるための少なくとも1つの出力信号を決定するように構成された少なくとも1つの第1のモデル、および
前記別の器官の機能を健康な対象の機能に近づけるための少なくとも1つの出力信号を決定するように構成された第2のモデルを使用して、神経データ信号を処理するように構成されている、先行請求項のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項60】
先行請求項のいずれか一項に記載の閉ループ心機能制御システムと、外部システムと、を備えるシステム。
【請求項61】
前記外部システムが、機械学習によって前記少なくとも1つのモデルへの更新を生成し、前記生成された前記少なくとも1つのモデルへの更新を、前記閉ループ心機能制御システムに送信するように構成された少なくとも1つの機械学習手段を備える、請求項60に記載のシステム。
【請求項62】
前記外部システムが、心臓制御システムの前記動作に関するデータおよび前記コントローラからの前記対象に関するデータを受信し、前記心臓制御システムに対する対象の結果尺度を計算するように構成された少なくとも1つの報告システムを備える、請求項60または請求項61に記載のシステム。
【請求項63】
前記外部システムが、前記対象に提供されている治療に関して前記心臓制御システムに通知するように構成された少なくとも1つの治療情報システムを含む、請求項60~62のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項64】
前記外部システムが、前記外部システムによって保持される前記対象に関する個人情報へのアクセスを制御するように構成された少なくとも1つのセキュリティシステムを含む、請求項60~63のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項65】
閉ループ心機能制御を実行するための方法であって、
請求項1~59のいずれか一項に記載のシステムを対象の身体に埋め込むことと、
前記システムを動作させることと、を含む、方法。
【請求項66】
対象の少なくとも1つの心臓交感神経の遠心性神経活動を調節するように構成されたシステムであって、
少なくとも1つの出力信号を決定するように構成された少なくとも1つのコントローラと、
前記対象の前記少なくとも1つの心臓交感神経に前記少なくとも1つの出力信号を適用するように構成された複数の神経刺激装置と、を備え、
前記少なくとも1つの出力信号が、前記対象に生理学的反応を生じさせるように、前記少なくとも1つの心臓交感神経の前記遠心性神経活動を調節する、システム。
【請求項67】
前記少なくとも1つの心臓交感神経が、脊髄内にある、請求項66に記載のシステム。
【請求項68】
前記少なくとも1つの心臓交感神経が、脊髄から心臓に至る心臓交感神経枝にある、請求項66に記載のシステム。
【請求項69】
前記生理学的反応が、前記対象の心血管系の健康な機能への復帰に関連付けられている尺度である、請求項66~68のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項70】
生理学的反応が、血圧の低下、駆出率の上昇のうちの1つ以上である、請求項69に記載のシステム。
【請求項71】
前記少なくとも1つの出力信号が、自然な神経活動を少なくとも部分的に変更する神経刺激を提供するように構成されている、請求項66~70のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項72】
前記少なくとも1つの出力信号が、自然な神経活動を少なくとも部分的に増幅する神経刺激を提供するように構成されている、請求項66~71のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項73】
前記少なくとも1つの出力信号が、自然な神経信号に追加される、適用された神経信号を生じさせる神経刺激を提供するように構成されている、請求項66~72のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項74】
少なくとも1つの出力信号が、自然な神経活動を全体的または部分的のいずれかで遮断する神経刺激を提供するように構成されている、請求項66~70のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項75】
前記少なくとも1つの出力信号が、自然な神経活動を遮断するために、5kHz~30kHzの範囲の周波数にある、請求項74に記載のシステム。
【請求項76】
前記少なくとも1つの出力信号が、電気刺激、化学的活性化、機械的刺激、超音波刺激、熱刺激、および/またはオプトジェニック刺激のうちの少なくとも1つを含む、請求項66~75のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項77】
前記少なくとも1つのコントローラが、モデルを使用して前記対象の検出された神経活動を処理することによって、前記少なくとも1つの出力信号を決定する、請求項66~76のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項78】
前記モデルが、機械学習モデルである、請求項77に記載のシステム。
【請求項79】
前記システムが、閉ループ制御システムである、請求項76または請求項77に記載のシステム。
【請求項80】
対象の少なくとも1つの腎交感神経の遠心性神経活動を調節するように構成されたシステムであって、
少なくとも1つの出力信号を決定するように構成された少なくとも1つのコントローラと、
前記対象の前記少なくとも1つの腎交感神経に前記出力信号を適用するように構成された複数の神経刺激装置と、を備え、
前記出力信号が、前記対象に生理学的反応を生じさせるように、前記少なくとも1つの腎交感神経の前記遠心性神経活動を調節する、システム。
【請求項81】
前記少なくとも1つの腎交感神経が、脊髄内にある、請求項80に記載のシステム。
【請求項82】
前記少なくとも1つの腎交感神経が、脊髄から腎臓系に至る腎交感神経枝内にある、請求項80に記載のシステム。
【請求項83】
前記生理学的反応が、前記対象の前記心血管系の健康な機能への復帰に関連付けられている尺度である、請求項80~82のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項84】
前記生理学的反応が、血圧の低下、駆出率の上昇のうちの1つ以上である、請求項83に記載のシステム。
【請求項85】
前記少なくとも1つの出力信号が、自然な神経活動を少なくとも部分的に変更する神経刺激を提供するように構成されている、請求項80~84のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項86】
前記少なくとも1つの出力信号が、自然な神経活動を少なくとも部分的に増幅する神経刺激を提供するように構成されている、請求項80~85のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項87】
前記少なくとも1つの出力信号が、自然な神経信号に追加される、適用された神経信号を生じさせる神経刺激を提供するように構成されている、請求項80~86のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項88】
前記少なくとも1つの出力信号が、自然な神経活動を全体的または部分的のいずれかで遮断する神経刺激を提供するように構成されている、請求項80~84のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項89】
前記少なくとも1つの出力信号が、自然な神経活動を遮断するために、5kHz~30kHzの範囲の周波数にある、請求項88に記載のシステム。
【請求項90】
前記少なくとも1つの出力信号が、電気的刺激、化学的活性化、機械的刺激、超音波刺激、熱刺激、および/またはオプトジェニック刺激のうちの少なくとも1つを含む、請求項80~89のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項91】
前記少なくとも1つのコントローラが、モデルを使用して前記対象の検出された神経活動を処理することによって、前記少なくとも1つの出力信号を決定する、請求項80~90のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項92】
前記モデルが、機械学習モデルである、請求項91に記載のシステム。
【請求項93】
前記システムが、閉ループ制御システムである、請求項91または請求項92に記載のシステム。
【請求項94】
対象の少なくとも1つの心臓副交感神経の遠心性神経活動を調節するように構成されたシステムであって、前記システムが、
少なくとも1つの出力信号を決定するように構成された少なくとも1つのコントローラと、
前記対象の前記少なくとも1つの心臓副交感神経に前記出力信号を適用するように構成された複数の神経刺激装置と、を備え、
前記出力信号が、前記対象に生理学的反応を生じさせるように、前記少なくとも1つの心臓副交感神経の前記遠心性神経活動を調節する、システム。
【請求項95】
前記少なくとも1つの心臓副交感神経線維が、迷走神経内にある、請求項94に記載のシステム。
【請求項96】
前記少なくとも1つの心臓副交感神経線維が、迷走神経の心臓枝にある、請求項94に記載のシステム。
【請求項97】
前記生理学的反応が、前記対象の心血管系の健康な機能への復帰に関連付けられている尺度である、請求項94~96のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項98】
前記生理学的反応が、血圧の低下、駆出率の上昇のうちの1つ以上である、請求項97に記載のシステム。
【請求項99】
前記少なくとも1つの出力信号が、自然な神経活動を少なくとも部分的に変更する神経刺激を提供するように構成されている、請求項94~98のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項100】
前記少なくとも1つの出力信号が、自然な神経活動を少なくとも部分的に増幅する神経刺激を提供するように構成されている、請求項94~99のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項101】
前記少なくとも1つの出力信号が、自然な神経信号に追加される、適用された神経信号を生じさせる神経刺激を提供するように構成されている、請求項94~100のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項102】
少なくとも1つの出力信号が、自然な神経活動を全体的または部分的のいずれかで遮断する神経刺激を提供するように構成されている、請求項94~98のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項103】
前記少なくとも1つの出力信号が、自然な神経活動を遮断するために、5kHz~30kHzの範囲の周波数にある、請求項102に記載のシステム。
【請求項104】
前記少なくとも1つの出力信号が、電気的刺激、化学的活性化、機械的刺激、超音波刺激、熱刺激、および/またはオプトジェニック刺激のうちの少なくとも1つを含む、請求項94~103のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項105】
前記少なくとも1つのコントローラが、モデルを使用して前記対象の検出された神経活動を処理することによって、前記少なくとも1つの出力信号を決定する、請求項94~104のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項106】
前記モデルが、機械学習モデルである、請求項105に記載のシステム。
【請求項107】
前記システムが、閉ループ制御システムである、請求項105または請求項106に記載のシステム。
【請求項108】
対象の圧受容器に関連付けられている少なくとも1つの神経の求心性神経活動を調節するように構成されたシステムであって、前記システムが、
少なくとも1つの出力信号を決定するように構成された少なくとも1つのコントローラと、
前記対象の少なくとも1つの圧受容器に関連付けられている前記少なくとも1つの神経に前記出力信号を適用するように構成された複数の神経刺激装置と、を備え、
前記出力信号が、前記少なくとも1つの圧受容器に関連付けられている前記少なくとも1つの神経の前記求心性神経活動を調節して、前記対象に生理学的反応を生じさせる、システム。
【請求項109】
前記少なくとも1つの圧受容器に関連付けられている前記少なくとも1つの神経が、迷走神経内にある、請求項108に記載のシステム。
【請求項110】
前記少なくとも1つの圧受容器に関連付けられている前記少なくとも1つの神経が、頸動脈洞神経である、請求項108に記載のシステム。
【請求項111】
前記少なくとも1つの圧受容器に関連付けられている前記少なくとも1つの神経が、舌咽神経である、請求項108に記載のシステム。
【請求項112】
前記少なくとも1つの圧受容器に関連付けられている前記少なくとも1つの神経が、迷走神経または骨盤神経の腎副交感神経線維である、請求項108に記載のシステム。
【請求項113】
前記生理学的反応が、前記対象の前記心血管系の健康な機能への復帰に関連付けられている尺度である、請求項108~112のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項114】
前記生理学的反応が、血圧の低下、駆出率の上昇のうちの1つ以上である、請求項113に記載のシステム。
【請求項115】
前記少なくとも1つの出力信号が、自然な神経活動を少なくとも部分的に変更する神経刺激を提供するように構成されている、請求項108~114のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項116】
前記少なくとも1つの出力信号が、自然な神経活動を少なくとも部分的に増幅する神経刺激を提供するように構成されている、請求項108~115のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項117】
前記少なくとも1つの出力信号が、自然な神経信号に追加される、適用された神経信号を生じさせる神経刺激を提供するように構成されている、請求項108~116のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項118】
少なくとも1つの出力信号が、自然な神経活動を全体的または部分的のいずれかで遮断する神経刺激を提供するように構成されている、請求項108~114のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項119】
前記少なくとも1つの出力信号が、自然な神経活動を遮断するために、5kHz~30kHzの範囲の周波数にある、請求項118に記載のシステム。
【請求項120】
前記少なくとも1つの出力信号が、電気的刺激、化学的活性化、機械的刺激、超音波刺激、熱刺激、および/またはオプトジェニック刺激のうちの少なくとも1つを含む、請求項108~119のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項121】
前記少なくとも1つのコントローラが、モデルを使用して前記対象の検出された神経活動を処理することによって、前記少なくとも1つの出力信号を決定する、請求項108~120のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項122】
前記モデルが、機械学習モデルである、請求項121に記載のシステム。
【請求項123】
前記システムが、閉ループ制御システムである、請求項121または請求項122に記載のシステム。
【請求項124】
対象の心臓活動を決定するように構成されたシステムであって、前記システムが、
前記対象の少なくとも1つの心臓交感神経の遠心性神経活動を受信し、前記受信された遠心性神経活動から導出される神経データ信号を生じさせるように構成された少なくとも1つの神経変換器と、
前記神経データ信号を処理して、前記処理された神経データ信号を提供し、前記処理された神経データ信号を使用して、前記対象の心機能を決定するように構成された少なくとも1つのプロセッサと、を備える、システム。
【請求項125】
前記少なくとも1つのプロセッサが、前記神経データ信号を処理して、処理された神経データ信号を提供するように構成された少なくとも1つのモデルを含む、請求項124に記載のシステム。
【請求項126】
前記少なくとも1つのモデルが、少なくとも1つの機械学習モデルである、請求項125に記載のシステム。
【請求項127】
前記少なくとも1つのプロセッサが、前記神経データ信号を処理して、前記神経データ信号から1つ以上の神経バイオマーカを識別するように構成されている、請求項124~126のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項128】
前記少なくとも1つの心臓交感神経が、脊髄内にある、請求項124~127のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項129】
前記少なくとも1つの心臓交感神経が、心臓に至る心臓交感神経枝内にある、請求項124~128のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項130】
前記少なくとも1つのプロセッサが、前記処理された神経データ信号を使用して、1つ以上の心血管モデルに前記心臓の交感神経駆出を通知するように構成されている、請求項124~129のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項131】
前記少なくとも1つのプロセッサが、前記処理された神経データ信号を使用して、前記対象の現在の心臓活動を決定するように構成されている、請求項124~130のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項132】
前記システムが、
前記対象の前記決定された心臓活動を使用して、前記少なくとも1つの出力信号を決定するように構成された少なくとも1つのコントローラと、
前記少なくとも1つの出力信号を前記対象の神経系に適用して、前記対象に生理学的反応を生じさせるように構成された複数の神経刺激装置と、をさらに備える、請求項124~131のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項133】
前記生理学的反応が、前記対象の心血管系の健康な機能への復帰に関連付けられている尺度である、請求項132に記載のシステム。
【請求項134】
前記生理学的反応が、平均血圧の低下、血圧の少なくとも1つの成分の低下、駆出率の上昇、脈波伝播速度の上昇のうちの1つ以上である、請求項133に記載のシステム。
【請求項135】
前記少なくとも1つの出力信号が、自然な神経活動を少なくとも部分的に変更する神経刺激を提供するように構成されている、請求項132~134のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項136】
前記少なくとも1つの出力信号が、自然な神経活動を少なくとも部分的に増幅する神経刺激を提供するように構成されている、請求項132~135のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項137】
前記少なくとも1つの出力信号が、自然な神経信号に追加される、適用された神経信号を生じさせる神経刺激を提供するように構成されている、請求項132~136のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項138】
前記少なくとも1つの出力信号が、自然な神経活動を全体的または部分的のいずれかで遮断する神経刺激を提供するように構成されている、請求項132または133のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項139】
前記少なくとも1つの出力信号が、自然な神経活動を遮断するために、5kHz~30kHzの範囲の周波数にある、請求項138に記載のシステム。
【請求項140】
前記少なくとも1つの出力信号が、電気的刺激、化学的活性化、機械的刺激、超音波刺激、熱刺激、および/またはオプトジェニック刺激のうちの少なくとも1つを含む、請求項132~139のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項141】
前記少なくとも1つのコントローラが、モデルを使用して前記対象の検出された神経活動を処理することによって、前記少なくとも1つの出力信号を決定する、請求項132~140のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項142】
前記モデルが、機械学習モデルである、請求項141に記載のシステム。
【請求項143】
対象の心血管活動を決定するように構成されたシステムであって、前記システムが、
前記対象の少なくとも1つの腎交感神経の遠心性神経活動を受信し、前記受信された遠心性神経活動から導出される神経データ信号を生じさせるように構成された少なくとも1つの神経変換器と、
前記神経データ信号を処理して、前記処理された神経データ信号を提供し、前記処理された神経データ信号を使用して、前記対象の心血管活動を決定するように構成された少なくとも1つのプロセッサと、を備える、システム。
【請求項144】
前記少なくとも1つのプロセッサが、前記神経データ信号を処理して、処理された神経データ信号を提供するように構成された少なくとも1つのモデルを含む、請求項143に記載のシステム。
【請求項145】
前記少なくとも1つのモデルが、少なくとも1つの機械学習モデルである、請求項144に記載のシステム。
【請求項146】
前記少なくとも1つのプロセッサが、前記神経データ信号を処理して、前記神経データ信号から1つ以上の神経バイオマーカを識別するように構成されている、請求項143~145のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項147】
前記少なくとも1つの腎交感神経が、脊髄内にある、請求項143~146のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項148】
前記少なくとも1つの腎交感神経が、腎臓に至る腎交感神経枝内にある、請求項143から146のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項149】
前記少なくとも1つのプロセッサが、前記処理された神経データ信号を使用して、1つ以上の心血管モデルに腎臓系の交感神経駆出を通知するように構成されている、請求項143~148のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項150】
前記少なくとも1つのプロセッサが、前記処理された神経データ信号を使用して、前記対象の現在の心血管活動を決定するように構成されている、請求項143~149のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項151】
前記システムが、
前記対象の前記決定された心血管活動を使用して、前記少なくとも1つの出力信号を決定するように構成された少なくとも1つのコントローラと、
前記少なくとも1つの出力信号を前記対象の神経系に適用して、前記対象に生理学的反応を生じさせるように構成された複数の神経刺激装置と、をさらに備える、請求項143~150のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項152】
前記生理学的反応が、前記対象の心血管系の健康な機能への復帰に関連付けられている尺度である、請求項151に記載のシステム。
【請求項153】
前記生理学的反応が、平均血圧の低下、血圧の少なくとも1つの成分の低下、駆出率の上昇、脈波伝播速度の上昇のうちの1つ以上である、請求項152に記載のシステム。
【請求項154】
前記少なくとも1つの出力信号が、自然な神経活動を少なくとも部分的に変更する神経刺激を提供するように構成されている、請求項143~153のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項155】
前記少なくとも1つの出力信号が、自然な神経活動を少なくとも部分的に増幅する神経刺激を提供するように構成されている、請求項143~154のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項156】
前記少なくとも1つの出力信号が、自然な神経信号に追加される、適用された神経信号を生じさせる神経刺激を提供するように構成されている、請求項143~155のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項157】
前記少なくとも1つの出力信号が、自然な神経活動を全体的または部分的のいずれかで遮断する神経刺激を提供するように構成されている、請求項143~156のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項158】
前記少なくとも1つの出力信号が、自然な神経活動を遮断するために、5kHz~30kHzの範囲の周波数にある、請求項157に記載のシステム。
【請求項159】
前記少なくとも1つの出力信号が、電気的刺激、化学的活性化、機械的刺激、超音波刺激、熱刺激、および/またはオプトジェニック刺激のうちの少なくとも1つをさらに含む、請求項151~158のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項160】
前記少なくとも1つのコントローラが、モデルを使用して前記対象の検出された神経活動を処理することによって、前記少なくとも1つの出力信号を決定する、請求項151~159のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項161】
前記モデルが、機械学習モデルである、請求項160に記載のシステム。
【請求項162】
対象の心血管活動を決定するように構成されたシステムであって、前記システムが、
前記対象の少なくとも1つの腎神経の求心性神経活動を受信し、前記受信された遠心性神経活動から導出される神経データ信号を生じさせるように構成された少なくとも1つの神経変換器と、
前記神経データ信号を処理して、前記処理された神経データ信号を提供し、前記処理された神経データ信号を使用して、前記対象の心血管活動を決定するように構成された少なくとも1つのプロセッサと、を備える、システム。
【請求項163】
前記少なくとも1つのプロセッサが、前記神経データ信号を処理して、処理された神経データ信号を提供するように構成された少なくとも1つのモデルを含む、請求項162に記載のシステム。
【請求項164】
前記少なくとも1つのモデルが、少なくとも1つの機械学習モデルである、請求項163に記載のシステム。
【請求項165】
前記少なくとも1つのプロセッサが、前記神経データ信号を処理して、前記神経データ信号から1つ以上の神経バイオマーカを識別するように構成されている、請求項162~164のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項166】
前記少なくとも1つの腎神経が、脊髄内にある、請求項162~165のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項167】
前記少なくとも1つの腎神経が、迷走神経内にある、請求項162~165のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項168】
前記少なくとも1つの腎神経が、骨盤神経内にある、請求項162~165のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項169】
前記少なくとも1つの腎神経が、腎臓に至る腎交感神経枝内にある、請求項162から165のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項170】
前記少なくとも1つのプロセッサが、前記処理された神経データ信号を使用して、1つ以上の心血管モデルに、末梢圧、末梢灌流、高血圧疾患の進行、腎臓活動のうちの少なくとも1つを通知するように構成されている、請求項162~169のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項171】
前記少なくとも1つのプロセッサが、前記処理された神経データ信号を使用して、前記対象の現在の心血管活動を決定するように構成されている、請求項162~170のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項172】
前記システムが、
前記対象の前記決定された心血管活動を使用して、前記少なくとも1つの出力信号を決定するように構成された少なくとも1つのコントローラと、
前記少なくとも1つの出力信号を前記対象の神経系に適用して、前記対象に生理学的反応を生じさせるように構成された複数の神経刺激装置と、をさらに備える、請求項162~171のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項173】
前記生理学的反応が、前記対象の心血管系の健康な機能への復帰に関連付けられている尺度である、請求項172に記載のシステム。
【請求項174】
前記生理学的反応が、平均血圧の低下、血圧の少なくとも1つの成分の低下、駆出率の上昇、脈波伝播速度の上昇のうちの1つ以上である、請求項173に記載のシステム。
【請求項175】
前記少なくとも1つの出力信号が、自然な神経活動を少なくとも部分的に変更する神経刺激を提供するように構成されている、請求項172~174のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項176】
前記少なくとも1つの出力信号が、自然な神経活動を少なくとも部分的に増幅する神経刺激を提供するように構成されている、請求項174~175のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項177】
前記少なくとも1つの出力信号が、自然な神経信号に追加される、適用された神経信号を生じさせる神経刺激を提供するように構成されている、請求項172~176のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項178】
少なくとも1つの出力信号が、自然な神経活動を全体的または部分的のいずれかで遮断する神経刺激を提供するように構成されている、請求項172または173に記載のシステム。
【請求項179】
前記少なくとも1つの出力信号が、自然な神経活動を遮断するために、5kHz~30kHzの範囲の周波数にある、請求項178に記載のシステム。
【請求項180】
前記少なくとも1つの出力信号が、電気的刺激、化学的活性化、機械的刺激、超音波刺激、熱刺激、および/またはオプトジェニック刺激のうちの少なくとも1つをさらに含む、請求項172~179のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項181】
前記少なくとも1つのコントローラが、モデルを使用して前記対象の検出された神経活動を処理することによって、前記少なくとも1つの出力信号を決定する、請求項172~180のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項182】
前記モデルが、機械学習モデルである、請求項181に記載のシステム。
【請求項183】
対象の心機能に関連付けられている信号を受信するように構成されたシステムであって、前記システムが、
前記対象の血圧の上昇および下降に関連付けられている少なくとも1つの信号を生じさせるように構成された少なくとも1つのセンサと、
前記対象の心臓への遠心性神経活動に関連付けられている少なくとも1つの信号を生じさせるように構成された少なくとも1つのセンサと、を備え、
前記システムが、血圧の変化のタイミングおよび大きさを記録するように構成されており、
前記システムが、心臓への自然な遠心性神経信号のタイミングおよび大きさを登録するように構成されており、
前記システムが、心臓への自然な遠心性神経信号のタイミングと、任意の対応する血圧変化のタイミングとの間の関係を決定するように構成されており、
前記システムが、自然な遠心性神経信号の大きさと、対応する血圧変化の大きさとの間の関係を決定するように構成されている、システム。
【請求項184】
血圧の上昇および下降に関連付けられている前記受信された信号が、前記対象の圧受容器に由来する求心性神経活動から導出される、請求項183に記載のシステム。
【請求項185】
前記受信された信号が、血圧の上昇および下降を拍動ごとに捕捉するために、10Hzよりも高い周波数でサンプリングされる、請求項183または184に記載のシステム。
【請求項186】
前記対象の血圧の上昇および下降に関連付けられている少なくとも1つの信号を生じさせるように構成された前記少なくとも1つのセンサが、少なくとも1つの神経変換器である、請求項183~185のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項187】
前記対象の心臓への遠心性神経活動に関連付けられている少なくとも1つの信号を生じさせるように構成された前記少なくとも1つのセンサが、少なくとも1つの神経変換器である、請求項183~186のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項188】
前記システムが、
前記対象の前記血圧に関連付けられている前記受信された少なくとも1つの信号を使用して、少なくとも1つの出力信号を決定するように構成された少なくとも1つのコントローラと、
前記少なくとも1つの出力信号を前記対象の神経系に適用して、前記対象に生理学的反応を生じさせるように構成された複数の神経刺激装置と、をさらに備える、請求項183~187のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項189】
前記生理学的反応が、前記対象の心血管系の健康な機能への復帰に関連付けられている尺度である、請求項188に記載のシステム。
【請求項190】
前記生理学的反応が、平均血圧の低下、血圧の少なくとも1つの成分の低下、駆出率の上昇、脈波伝播速度の上昇のうちの1つ以上である、請求項189に記載のシステム。
【請求項191】
前記対象の血圧の上昇および下降に関連付けられている前記少なくとも1つの信号の前記タイミングが、前記コントローラに対する入力信号として使用される、請求項188~190のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項192】
前記対象の血圧の上昇および下降に関連付けられている前記少なくとも1つの信号の大きさが、前記コントローラに対する入力信号として使用される、請求項188~191のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項193】
前記少なくとも1つの出力信号が、自然な神経活動を少なくとも部分的に変更する神経刺激を提供するように構成されている、請求項188~192のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項194】
前記少なくとも1つの出力信号が、自然な神経活動を少なくとも部分的に増幅する神経刺激を提供するように構成されている、請求項188~193のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項195】
前記少なくとも1つの出力信号が、自然な神経信号に追加される、適用された神経信号を生じさせる神経刺激を提供するように構成されている、請求項188~194のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項196】
前記少なくとも1つの出力信号が、自然な神経活動を全体的または部分的のいずれかで遮断する神経刺激を提供するように構成されている、請求項188または195のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項197】
前記少なくとも1つの出力信号が、自然な神経活動を遮断するために、5kHz~30kHzの範囲の周波数にある、請求項196に記載のシステム。
【請求項198】
前記少なくとも1つの出力信号が、電気的刺激、化学的活性化、機械的刺激、超音波刺激、熱刺激、および/またはオプトジェニック刺激のうちの少なくとも1つをさらに含む、請求項188~197のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項199】
前記少なくとも1つのコントローラが、モデルを使用して前記対象の検出された神経活動を処理することによって、前記少なくとも1つの出力信号を決定する、請求項188~198のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項200】
前記モデルが、機械学習モデルである、請求項199に記載のシステム。
【請求項201】
任意の血圧変化のタイミングに対する心臓への遠心性神経活動の前記タイミングが、前記圧受容器の感度として知られる、前記圧受容器応答の遅延である、請求項183~200のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項202】
任意の血圧変化の大きさに対する心臓への遠心性神経活動の前記大きさが、前記圧受容器応答の利得である、請求項183~201のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項203】
対象の圧受容器感度を決定する方法であって、前記方法が、
前記対象の血圧の上昇および下降に関連付けられている少なくとも1つの信号を受信することと、
前記対象の心臓への遠心性神経活動に関連付けられている少なくとも1つの信号を受信することと、
血圧の変化のタイミングおよび大きさを登録することと、
前記心臓への自然な遠心性神経信号のタイミングおよび大きさを登録することと、
前記心臓への前記自然な遠心性神経信号のタイミングと、任意の対応する血圧変化のタイミングとの間の関係を決定することと、
前記自然な遠心性神経信号の大きさと、任意の対応する血圧変化の大きさとの間の関係を決定することと、
前記決定されたタイミングの関係および大きさの関係を使用して圧受容器感度を決定することと、を含む、方法。
【請求項204】
血圧の上昇および下降に関連付けられている前記受信された信号が、前記対象の圧受容器に由来する求心性神経活動から導出される、請求項203に記載の方法。
【請求項205】
前記受信された信号が、血圧の上昇および下降を拍動ごとに捕捉するために、10Hzよりも高い周波数でサンプリングされる、請求項203または204に記載の方法。
【請求項206】
前記対象の血圧の上昇および下降に関連付けられている前記少なくとも1つの信号が、少なくとも1つの神経データ信号である、請求項203~205のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項207】
前記対象の心臓への遠心性神経活動に関連付けられている前記少なくとも1つの信号が、少なくとも1つの神経データ信号である、請求項203~206のいずれか一項に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、神経制御のためのシステムおよび方法、具体的には閉ループ心臓制御のためのシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
人間または動物の体の心機能を制御または調節するために、多くの電子装置が使用され、提案されてきた。
【0003】
能動電子装置を備える一連のペースメーカーが存在し、これらの装置は、人間または動物の体内に移植され、所定の速度に心拍を調節するために、心筋、例えば、心臓神経と心筋との接合部で終端する電極を使用して、心筋を直接電気的に刺激するように構成されている。
【0004】
一連の埋め込み型能動電気装置も存在し、これらの装置は、人間または動物の身体に埋め込まれ、埋め込まれた電極を使用して迷走神経を電気的に刺激することによって心機能を制御するように構成されている。適切な形態の刺激を適用することにより、心不全に苦しむ対象に望まれ得るように心機能を促進するように、または高血圧に苦しむ対象に望まれ得るように心機能を低下させるように構成することができる。
【0005】
現在、これらの装置は、対象の状態に関する情報を提供する身体変数、または対象の心機能の自然な制御に関する情報をエンコードする神経活動などの活動に対するいかなる反応も伴わずに刺激を提供する。例えば、高血圧(高い血圧)の治療は、対象の測定された血圧、または対象の脳の血圧の自然な制御に関する情報をエンコードした神経活動に対するいかなる反応も伴わずに、所定の時間に刺激を提供する装置によって提供されることがある。
【0006】
改善された有効性を提供するために、リアルタイムで、またはリアルタイムに近い身体活動により反応する方法で、人間または動物の体の心機能を制御できることが望ましい。
【0007】
以下に説明する実施形態は、上述した既知のアプローチの欠点のいずれかまたは全てを解決する実装形態に限定されるものではない。
【発明の概要】
【0008】
本概要は、以下の詳細な説明でさらに説明される概念の選択を簡略化した形態で紹介するために提供されるものである。本概要は、特許請求される主題の主要な特徴または本質的な特徴を識別することを意図せず、特許請求される主題の範囲を決定する際の補助として使用されることも意図しておらず、本発明の働きを容易にし、および/または実質的に同様の技術的効果を達成するために機能する変形例および代替的特徴は、本明細書に開示される本発明の範囲内に収まるとみなされるべきである。
【0009】
第1の態様では、本開示は、対象の心臓系を制御するためのシステムであって、対象における生理学的活動を検出し、検出された生理学的活動に対応する生理学的信号を生じさせるように構成された複数のセンサと、生理学的信号を受信し、少なくとも1つのモデルを使用して生理学的信号を処理して、少なくとも1つの出力信号を決定するように構成された少なくとも1つのコントローラと、少なくとも1つの出力信号を受信し、少なくとも1つの出力信号に基づいて対象の神経系に神経刺激を提供するように構成された複数の神経刺激装置と、を備える、システムを提供する。
【0010】
第2の態様では、本開示は、第1の態様による閉ループ心機能制御システムと、外部システムと、を備えるシステムを提供する。
【0011】
第3の態様では、本開示は、閉ループ心機能制御を実行するための方法を提供すること、第1の態様によるシステムを対象の身体に埋め込むこと、およびシステムを動作させること、を行うための方法を提供する。
【0012】
第4の態様では、本開示は、対象の少なくとも1つの心臓交感神経の遠心性神経活動を調節するように構成されたシステムであって、少なくとも1つの出力信号を決定するように構成された少なくとも1つのコントローラと、対象の少なくとも1つの心臓交感神経に少なくとも1つの出力信号を適用するように構成された複数の神経刺激装置と、を備え、少なくとも1つの出力信号が、対象に生理学的反応を生じさせるように、少なくとも1つの心臓交感神経の遠心性神経活動を調節する、システムを提供する。
【0013】
第5の態様では、本開示は、対象の少なくとも1つの腎交感神経の遠心性神経活動を調節するように構成されたシステムであって、出力信号を決定するように構成された少なくとも1つのコントローラと、対象の少なくとも1つの腎交感神経に出力信号を適用するように構成された複数の神経刺激装置と、を備え、少なくとも1つの出力信号が、対象に生理学的反応を生じさせるように、少なくとも1つの腎交感神経の遠心性神経活動を調節する、システムを提供する。
【0014】
第6の態様では、本開示は、対象の少なくとも1つの心臓副交感神経の遠心性神経活動を調節するように構成されたシステムであって、出力信号を決定するように構成された少なくとも1つのコントローラと、対象の少なくとも1つの心臓副交感神経に出力信号を適用するように構成された複数の神経刺激装置と、を備え、少なくとも1つの出力信号が、対象に生理学的反応を生じさせるように、少なくとも1つの心臓副交感神経の遠心性神経活動を調節する、システムを提供する。
【0015】
第7の態様では、本開示は、対象の圧受容器に関連付けられている少なくとも1つの神経の求心性神経活動を調節するように構成されたシステムであって、システムが、少なくとも1つの出力信号を決定するように構成された少なくとも1つのコントローラと、対象の少なくとも1つの圧受容器に関連付けられている少なくとも1つの神経に出力信号を適用するように構成された複数の神経刺激装置と、を備え、出力信号が、対象に生理学的反応を生じさせるように、少なくとも1つの圧受容器に関連付けられている少なくとも1つの神経の求心性神経活動を調節する、システムを提供する。
【0016】
第8の態様では、本開示は、対象の心臓活動を決定するように構成されたシステムであって、システムが、対象の少なくとも1つの心臓交感神経の遠心性神経活動を受信し、受信された遠心性神経活動から導出される神経データ信号を生じさせるように構成された少なくとも1つの神経変換器と、神経データ信号を処理して、処理された神経データ信号を提供し、処理された神経データ信号を使用して、対象の心機能を決定するように構成された少なくとも1つのプロセッサと、を備える、システムを提供する。
【0017】
第9の態様では、本開示は、対象の心血管活動を決定するように構成されたシステムであって、システムが、対象の少なくとも1つの腎交感神経の遠心性神経活動を受信し、受信された遠心性神経活動から導出される神経データ信号を生じさせるように構成された少なくとも1つの神経変換器と、神経データ信号を処理して、処理された神経データ信号を提供し、処理された神経データ信号を使用して、対象の心血管活動を決定するように構成された少なくとも1つのプロセッサと、を備える、システムを提供する。
【0018】
第10の態様では、本開示は、対象の心血管活動を決定するように構成されたシステムであって、システムが、対象の少なくとも1つの腎神経の求心性神経活動を受信し、受信された遠心性神経活動から導出される神経データ信号を生じさせるように構成された少なくとも1つの神経変換器と、神経データ信号を処理して、処理された神経データ信号を提供し、処理された神経データ信号を使用して、対象の心血管活動を決定するように構成された少なくとも1つのプロセッサと、を備える、システムを提供する。
【0019】
第11の態様では、本開示は、対象の心機能に関連付けられている信号を受信するように構成されたシステムであって、システムが、対象の血圧の上昇および下降に関連付けられている少なくとも1つの信号を生じさせるように構成された少なくとも1つのセンサと、対象の心臓への遠心性神経活動に関連付けられている少なくとも1つの信号を生じさせるように構成された少なくとも1つのセンサと、を備え、システムが、血圧の変化のタイミングおよび大きさを記録するように構成されており、システムが、心臓への自然な遠心性神経信号のタイミングおよび大きさを登録するように構成されており、システムが、心臓への自然な遠心性神経信号のタイミングと、任意の対応する血圧変化のタイミングとの間の関係を決定するように構成されており、システムが、自然な遠心性神経信号の大きさと、対応する血圧変化の大きさとの間の関係を決定するように構成されている、システムを提供する。
【0020】
第12の態様では、本開示は、対象の圧受容器感度を決定する方法であって、方法が、対象の血圧の上昇および下降に関連付けられている少なくとも1つの信号を受信することと、対象の心臓への遠心性神経活動に関連付けられている少なくとも1つの信号を受信することと、血圧の変化のタイミングおよび大きさを登録することと、心臓への自然な遠心性神経信号のタイミングおよび大きさを登録することと、心臓への自然な遠心性神経信号のタイミングと、任意の対応する血圧変化のタイミングとの間の関係を決定することと、自然な遠心性神経信号の大きさと、任意の対応する血圧変化の大きさとの間の関係を決定することと、決定されたタイミングの関係および大きさの関係を使用して圧受容器感度を決定することと、を含む、方法を提供する。
【0021】
本明細書に記載された方法は、例えば、プログラムがコンピュータ上で実行され、コンピュータプログラムがコンピュータ可読媒体上に具現化されている場合に、本明細書に記載された方法の全てのステップを実行するように適合されたコンピュータプログラムコード手段を含むコンピュータプログラムの形態で、有形記憶媒体上の機械可読形態のソフトウェアによって実行されてもよい。有形(または非一時的)記憶媒体の例には、ディスク、サムドライブ、メモリカードなどが含まれ、伝播信号は含まれない。ソフトウェアは、方法のステップを任意の好適な順序で、または同時に実行することができるように、並列プロセッサまたは直列プロセッサでの実行に好適であり得る。
【0022】
本出願は、ファームウェアおよびソフトウェアが価値を有し、個別に取引可能な商品である可能性があることを認めている。「ダム」または標準ハードウェアで実行または制御するソフトウェアを包含して、目的の機能を実行することを目的としている。また、シリコンチップの設計またはユニバーサルプログラマブルチップの構成に使用されるHDL(ハードウェア記述言語)ソフトウェアなどのハードウェアの構成を「記述」または定義して、目的の機能を実行するソフトウェアも包含することも目的としている。
【0023】
上述の態様の各々の特徴および/または実施形態は、当業者にとって明らかであるように、適切に組み合わせることができ、本発明の任意の態様と組み合わせることができる。実際、実施形態の順序および好ましい特徴の順序付けおよび場所は、単に示唆であり、特徴自体に何の関係もない。好ましいおよび/または任意選択の特徴の各々が、態様および実施形態の全てのみならず、好ましい特徴の各々とも交換可能および/または組み合わせ可能であることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0024】
本発明の実施形態は、例として、以下の図面を参照して説明される。
【0025】
図1】第1の実施形態による心臓制御システムの第1の例の概略図である。
図2図1の心臓制御システムのシステムのコントローラ部分のより詳細な図である。
図3】第1の実施形態による心臓制御システムの第2の例の概略図である。
図4】第1の実施形態による心臓制御システムの第3の例の概略図である。
図5】第1の実施形態による心臓制御システムの第4の例の概略図である。
図6】第1の実施形態による心臓制御システムの第5の例の概略図である。
図7】第1の実施形態の神経制御システムにおけるデータフローの例を表す説明図である。
図8】第2の実施形態による心臓制御システムの一例の概略図である。
図9】圧受容器の感度を決定する方法の説明図である。
【0026】
同様の特徴を示すために、図面全体を通して共通の参照符号が使用されている。しかしながら、図面全体にわたって使用される特徴の参照番号が変化する場合でも、これは、交換不可能であるか、または別個のものとして解釈されるべきではないことに留意されたい。実際、特段の記載がない限り、全ての実施形態の同様の構成要素を参照する、および/または同様の機能を有する、全ての特徴は、交換可能および/または組み合わせ可能である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明の実施形態は、例としてのみ以下に説明される。これらの例は、これを達成することができる唯一の方式ではないが、出願人にとって現在既知の本発明を実施する最良の方式を表す。本明細書は、例の機能と、例を構築および操作するための一連のステップを説明する。しかしながら、同じまたは同等の機能および配列は、異なる例によって達成されてもよい。
【0028】
例示的な例、説明、および/または実施形態は個別の見出しの下に提供されているが、これらの見出しは、本明細書に構造を提供するための知識として単に役立つであろうことに留意されたい。疑義を避けるために、任意の実施形態に説明される特徴は、任意の他の実施形態の特徴と組み合わせ可能であり、および/または任意の実施形態は、反対の明示的な記載が本明細書に提供されない限り、任意の他の実施形態と組み合わせ可能である。簡単に言うと、本明細書に説明される特徴は、別個のまたは排他的であることを意図するものではなく、相補的および/または交換可能であることを意図する。
【0029】
本開示は、機械学習技術を使用して神経データを分析し、身体変数を望ましい身体状態と一致させるか、または少なくともそれに近づけるために必要な少なくとも1つの出力神経刺激をリアルタイムで決定し、出力神経刺激を生成し、そして、閉ループ神経制御システムを提供する神経制御システムを提供する。
【0030】
本開示はまた、改善されたリアルタイム性能を提供する心臓制御システムおよび方法も提供する。
【0031】
人間などの哺乳動物の神経系は、概して、複数のニューロンを含む神経で構成されており、中枢神経系(CNS)および末梢神経系(PNS)の2つの主要部から構成されることを理解すべきである。本明細書において対象と呼ばれる、大部分の動物および人間では、CNSは、脳および脊髄を含み、これらは、特別な神経で構成されている。PNSは、体性神経系(SoNS)および自律神経系(ANS)を含み、これらは、限定ではなく単に例として、求心性神経(例えば、感覚神経)、遠心性神経(例えば、運動神経)、および/または混合神経などの、多くの異なるタイプの神経で構成されている。SoNSは、限定ではなく単に例として、運動および感覚のための意識的な運動制御を担持し得る。ANSは、限定ではなく単に例として、対象の身体機能の無意識の器官制御または無意識の制御を担持し得る。
【0032】
SoNSは、身体運動の自発的な制御(例えば、骨格筋の制御)と関連付けられる。例えば、SoNSでは、求心性神経は、感覚ニューロンを含み、身体からCNSに感覚を中継する役割を有し、遠心性神経は、非感覚ニューロンを含み、以下に説明されるように身体変数とも呼ばれ得る、神経情報、指令、意思を、CNSから身体に送り出す(例えば、筋肉収縮を刺激する)役割を有する。ANSは、限定ではなく単に例として、交感神経系(SNS)、副交感神経系(PSNS)および腸神経系(ENS)を含む。
【0033】
ANSは、対象の器官制御および恒常性の維持に関連しており、ANSの成分であるSNSおよびPSNSは、それぞれ器官の闘争および逃走およびチルミーアウトメカニズムに関連している。SNSは主に器官機能をアップレギュレーションするように作用するが、PSNSは主に器官機能をダウンレギュレーションするように作用する。SNSの神経線維は、主に脳幹から脊髄を通って下に送られ、複数の小さな交感神経枝が脊髄から標的器官に突き出ている。PSNSの神経線維は、主に脳幹から10個の脳神経を通ってルーティングされ、そのうちのいくつかは首を通過し、その後、さまざまな標的器官に分岐する。9番目の脳神経(舌咽神経)と10番目の脳神経(迷走神経)は、PSNSの最も注目すべき分岐点のいくつかである。これらのルーティングは、脊髄の外に存在するわずかな数のSNS線維の大部分に対して正確であるが、一部のPSNS神経線維は脊髄を経由しており、特に解剖学的に骨盤領域に存在する器官(例えば、膀胱、下部消化管、生殖器官)の機能に関連するものである。
【0034】
PNSは、本質的に、CNSを対象の他のあらゆる身体機能/身体部位/部分(例えば、筋肉、器官、細胞)に接続する神経セットである。神経は、CNSへ/からの神経インパルスまたは信号の送信のための導管として機能する。例えば、CNSから神経インパルス、信号または情報を送信するSoNS神経は、遠心性神経(例えば、運動神経)と呼ばれるが、対象の身体の1つ以上の部位/部分からCNSに神経インパルス、信号または情報を送信する他のSoNS神経は、求心性神経(例えば、感覚神経)と呼ばれる。SoNS内のいくつかの神経は、遠心性および求心性の両方の機能を有し得、混合神経と呼ばれ得る。
【0035】
本質的に、神経系は、各神経が、神経インパルスまたは信号などの受信または送信を行う複数のニューロンまたはニューロンの束で構成される神経セットで構成される。ニューロンは、神経が神経情報を迅速かつ正確に対象の他の細胞、身体機能、または身体の身体部位/部分に送信および伝播することを可能にする、特別な細胞構造を有する。例えば、神経内のニューロンは、それらが、神経活動としても知られている、電気化学的勾配の形態で神経インパルスまたは信号を送ることを可能にする、軸索と呼ばれる長い構造を含む。ニューロン集団は、対象の1つ以上の神経上の場所または標的部位にクラスタ化された1つ以上のニューロンを含むか、または表し得る。
【0036】
本質的に、神経活動は、1つ以上の神経または神経組織のセクションをしばしば構成する1つ以上のニューロン(またはニューロン集団)に存在する任意の電気的、機械的、化学的または時間的活動を含むかまたは表すことができる。神経活動は、限定されるものではなく、単に例として、対象の身体と関連付けられた情報および/または対象の身体に影響を与える環境に関する情報を伝達し得る。神経活動によって伝達される情報は、神経データ、神経情報、神経意思、末端効果、組織状態、身体状態、神経状態または身体の状態、ならびに/あるいは神経活動内に担持されるか、もしくは含有され、解釈される、および/またはニューロンもしくはニューロン集団によって対象の身体に渡される、情報を表す任意の他のデータ、変数または情報を表すデータを含み得る。例えば、神経データは、1つ以上のニューロンまたはニューロン集団の神経活動により含まれるかまたは伝えられる情報またはデータを表す任意のデータを含んでもよい。神経データは、限定ではなく例として、対応する神経活動と関連付けられた1つ以上の身体変数の推定値を代表するデータ、あるいは神経活動によって運ばれるか、または含まれるか、または伝えられる情報を代表する他のデータ、変数、または情報を含むことができる。
【0037】
この情報は、身体と関連付けられた1つ以上の変数として情報理論的観点で表すことができ、本明細書では身体変数と呼ばれる。身体変数は、埋め込み型または着用型医療機器を含む、身体のいくつかの部分の状態を説明するエンドエフェクトまたは組織状態を含む。身体変数は、それ自体が、この情報の役割または機能、および身体によるそれの使用に基づいて、状態、感覚、制御または他の変数として分類され得る。身体変数は、神経系の部分の神経活動を介してCNSに、またはCNSから送信され得る。1つ以上の神経場所での神経活動の1つ以上の事例は、1つ以上の身体変数、その部分、および/またはそれらの組み合わせのエンコーディングであると言うことができる。例えば、神経の1つ以上のニューロンの神経活動は、身体の部位によって生成または変調されて、身体の他の部位による受信のための1つ以上の身体変数をエンコードし、身体の他の部位は、神経活動をデコードして、身体変数、その部分および/またはそれらの組み合わせに対するアクセスを得る。身体変数のエンコーディングおよびデコーディングの両方は、CNSおよび/または身体組織によって実施され得、それゆえに、対象の身体の周囲の情報の送信を容易化する。身体変数は、身体変数の状態に関する情報の提供のためにCNSに向けて送信される求心性信号、またはエンドエフェクタ器官もしくは組織で身体変数を変更するためにCNSから送信される遠心性信号であり得る。
【0038】
1つ以上の身体変数のグループの値は、本明細書では身体状態と呼ばれる。対象の身体状態は、1つ以上の関連する身体変数の収集の特定の時点での値である。
【0039】
身体の器官系における身体変数の例は、しばしばANSでエンコードされ、例としてのみ、現在の心拍数または血圧、現在の呼吸数、現在の血液の酸素濃度、心臓のペーシングに関する指示、血圧を変化させるための血管の拡張または収縮に関する指示などのパラメータが挙げられるが、これらに限定されるものではない。身体変数は、生のエンコードまたはこれらの組み合わせのいずれかであり得、例えば、身体変数は、発汗、排便、呼吸困難、歩行、運動、ランニングなどの器官全体もしくは器官構築物の現在の活動または身体機能もしくは作用全体の測定値を含み得ることが理解され、これらの各々は、複数のよりきめの細かい身体変数の組み合わせとして説明され得ることが理解される。ANSでは、身体変数の各事例は、変更された器官機能、器官機能の変更、または身体機能の変更(例えば、1つ以上の身体変数または器官もしくは組織の状態)と関連付けられ得る。他の例では、身体変数は、限定ではなく単に例として、器官測定および/または活動の変更などのANS内の任意の活動と関連付けられ得る。
【0040】
身体変数のいくつかの例を説明してきたが、これは、単純化のためであり、例としてのみであるが、本開示はそれほど限定されるものではなく、対象の身体によって生成され得、身体部分間または身体の周りに神経活動として送られ得る身体変数が複数存在することは、当業者に理解されるであろう。神経活動は、1つ以上の身体変数、その部分および/またはそれらの組み合わせをエンコードし得るが、対象の1つ以上の身体変数が測定可能である、導出可能である、ならびに/または対象のそのような身体変数と関連付けられた測定値を検出および/もしくは生成することができるセンサからのセンサデータに基づいて計算され得ることが当業者によって理解されるべきである。また、身体変数が任意の1つのパラメータの直接測定値であり、エリア内の活動または機能の一般化されたパラメータとして表され得ることも当業者によって理解されるべきである。これは、うつ病を経験する、てんかん発作を起こす、不安を経験す、片頭痛を有するなどの低レベルの機能に容易に関連付けることができない精神状態などの身体変数を含むことになる。
【0041】
身体変数という用語が本明細書で説明および使用されているが、これは、単に例であり、本開示がそのように限定されるものではないが、1つ以上の他の分野(例えば、医療分野、医薬品分野、生物医学分野、臨床医、バイオマーカ分野、ゲノミクス分野、医療工学分野)からの他の同等の用語が、身体変数という用語の代わりに使用されるか、または身体変数という用語と互換的もしくはさらにそれと併せて使用され得ることが当業者によって理解されることになり、他の同様の用語としては、限定ではなく単に例として、ECG、心拍数、パルス、血圧、体温、呼吸数、痛み、月経周期、心拍数変動、パルスオキシメトリ、血中グルコース、歩行速度などの、臨床医が患者監視に使用するパラメータを説明するために臨床医によって頻繁に使用される生命徴候、限定ではなく単に例として、タンパク質レベル、またはいくつかの生物学的状態または条件の測定可能な指標などを説明するために生物学者によって使用され得、脳深部刺激および脊髄刺激臨床分野によって、脳波状態または他の神経イベントの記録、および限定ではなく、動きを含む環境条件の測定を指すためにさらに採用されている用語である、バイオマーカ、ECG、心拍数、血中グルコース、および/もしくは血圧などのようなものを説明するために科学者によって頻繁に使用され得、ECG、心拍数、血圧、血中グルコースなどの生理学的変数を記録するための移植を行うData Sciences Internationalによっても使用される用語である、生理学的変数/生理学的データ、ECoG、ECG、EKGなどの生物学的系から入ってくる信号記録を説明するために臨床工学技士によって頻繁に使用される、1つ以上の生物学的信号、限定ではなく単に例として、ゲノム情報、エピジェネティクス、表現型、遺伝子型、限定ではなく単に例として、トランスクリプトミクス、プロテオミクス、メタボロミクス、マイクロバイオミクスを含み得る他の「オミクス」、および/または他のオミクス関連分野などを含む遺伝学分野での対象に関する任意の情報、パラメータメトリック、ならびに/あるいは対象の全身、対象の任意の部位および/または細部と関連付けられた数、メトリック、状態、変数または情報などを説明する任意の他の用語、の用語または分野のうちの1つ以上を限定ではなく単に例として含む。
【0042】
本明細書では身体変数の例が与えられているが、これは、単なる例であり、説明は、そのように限定されないが、身体変数が、限定ではなく単に例として、対象の全身、対象の任意の部分、部位および/または細部のいくつかの状態を説明する任意の数、パラメータ、メトリック、変数または情報であり得るため、身体変数のリストが非常に大きいこと、ならびに身体変数が、1つ以上の身体変数または他の身体変数などの1つ以上の組み合わせに基づくか、またはそれらから導出され得ることが当業者によって理解されるべきである。例えば、神経学的レベル、バイオマーカレベル、細胞レベル、および/または組織レベルで測定された身体変数は、対象の生命徴候、対象の生理学的メタデータ、対象の身体、身体の部位、もしくは全身に関する何らかのものを説明する1つ以上の身体変数を表すセンサデータ、対象の身体、身体の細部の部位などの状態、動き、もしくは出力、それらの変更、ならびに/またはそれらおよび/もしくは本明細書に説明されるものの組み合わせに関するなどのシステム全体の状態レベルで観察される身体変数を形成するために組み合わされ得ることが理解される。したがって、1つ以上のより高いレベルの詳細で説明される1つ以上の身体変数は、1つ以上のより低いレベルの詳細で説明される1つ以上の身体変数の組み合わせに基づき得る。
【0043】
1つ以上のニューロン集団を利用し、それによって、対象の神経系に直接リンクをもたらすことが可能であるが、装置から対象の神経系への身体変数と同等であるか、またはそれを直接表すニューロン集団内の神経活動の形態で、標的化された応答を呼び起こすために、ニューロン集団によって生成された神経活動からの身体変数を取り込んで解釈する際、および/または神経刺激信号を提供もしくは適用する際に問題が存在している。身体変数は、複数のニューロンからの非常に短い電気パルスと関連付けられた神経活動によって自然に表され得る。神経活動は、神経学的信号として、1つ以上のニューロンまたはニューロン集団に隣接する1つ以上の神経レシーバによって受信され得る。これらの神経学的信号は、サンプリングされ得、神経学的信号サンプリングは、典型的には、異常に大きく、処理に扱いにくく、通常、対象/実験固有である情報豊富なデータセットを提供する。これは、神経活動としてエンコードされた身体変数などの、神経学的信号の情報内容を表すと考えられるいくつかの主要な特徴を抽出することによって、神経学的信号を理解する試みに繋がっている。
【0044】
ここでは、神経活動のサンプルまたはサンプルのアンサンブルを神経バイオマーカと呼ぶ。神経バイオマーカは、生物学的プロセス、病原性プロセス、および/または1つ以上の神経集団を監視することによって観察される治療的介入に対する薬理反応を含む、身体変数の客観的測定である。ここで、神経バイオマーカは、病状の客観的な兆候を表すことができる。神経バイオマーカは、取得した神経集団活動の特徴として、単独で、または特徴の線形または非線形の組み合わせとして測定され得、これは、信号を処理することによって計算されるか、1つ以上の機械学習手段によって学習することができ、機械学習プロセッサによって、継続的またはバッチで実行され得る。機械学習プロセッサで実行される1つ以上の機械学習モデルは、1人以上の患者の神経系からのデータ、複数の期間にわたる1人の患者からのデータ、または神経データまたは活動の合成またはシミュレーションまたは生物学的ソースによってトレーニングされている神経バイオマーカを計算し得る。次に、学習された神経バイオマーカを、同じ兆候を有する患者の集団全体にわたる神経系の活動の時間およびまたは対象不変の定常表現として、または単一の患者、または神経データまたは活動の合成またはシミュレーションまたは生物学的ソースで観察された場合の疾患の表現として使用することができることが、当業者によって理解される。したがって、神経バイオマーカは、現在の神経活動が特定の病状または他の生理学的状態の指標として、理解され、したがって治療決定、治療設計またはスクリーニングの基礎として使用され得るか、またはそれ自体が、神経的、治療的または他の手段による直接的または間接的な調節のための有用な目標と考慮され得る、反復可能な特徴を表す。
【0045】
神経活動としてエンコードされた身体変数(複数可)を捕捉および/または解釈し、心機能に関連付けられている1つ以上の身体変数(複数可)の正確な推定値を形成し、1つ以上の心機能に関連付けられている閉ループ制御を実行することができるシステムが望まれている。
【0046】
図1は、第1の実施形態による閉ループ心臓制御システム1の第1の例の概略図を示している。図2は、閉ループ心臓制御システム1のコントローラ部分をより詳細に示している。
【0047】
図1に示されるように、図示された第1の実施形態では、閉ループ心臓制御システム1は、人間または動物の対象2の身体に埋め込まれている。閉ループ心臓制御システム1は、コントローラ3と、いくつかの神経変換器4と、いくつかの神経刺激装置5と、を含む。
【0048】
閉ループ心臓制御システム1の神経変換器4および神経刺激装置5は、対象2の身体に埋め込まれ、対象2の神経系6との相互作用のために構成されている。コントローラ3は、埋め込まれた電気コネクタ7によって神経変換器に接続され、埋め込まれた電気コネクタ8によって神経刺激装置5に接続されている。
【0049】
図1は、対象2の神経系6の簡略化された概略図を含む。神経系6は、図を容易に理解できるようにし、閉ループ心臓制御システム1の動作を説明するために、図において高度に簡略化され、幾何学的に歪めて示されていることが理解されるであろう。図1に示されるように、神経系6は、脳幹60と、両方とも脳幹60に接続されている脊髄61および迷走神経62と、を含む。脊髄61およびそれに接続された神経は、一般に交感神経系と呼ばれ、迷走神経およびそれに接続された神経は、一般に副交感神経系と呼ばれる。
【0050】
図1の神経系の簡略化された概略図は、心血管系制御に関連するPSNSおよびSNSの主要な態様をカバーしている。心臓器官自体の機能と末梢血管系の機能との両方を含む心臓血管機能は、脳幹を心臓、腎臓系、および血管系を双方向に接続する交感神経および副交感神経の信号伝達の複雑な相互作用によって神経的に制御される。脊髄61は、交感神経線維を、活動時に収縮性および速度を含む心臓活動を増加させるように機能する心臓に運ぶ。さらに、脊髄61は交感神経線維を、活動時に水分摂取を増加させるように機能する腎臓系に、および活動時に血管収縮を引き起こす血管系に運ぶ。迷走神経62は、副交感神経線維を、活動時に収縮性および拍動速度を含む心臓活動の低下を引き起こす心臓に運ぶ。脊髄61と迷走神経62との両方は、副交感神経線維を、活動時に水分摂取量の減少を引き起こす腎臓系に、および活動時に血管拡張を引き起こす血管系に運ぶ。さらに、大動脈壁、頸動脈弓、および腎臓に存在する圧受容器タンパク質は、迷走神経、頸動脈洞神経、ならびに腎迷走神経および骨盤内臓神経の組み合わせの神経線維を介して、圧力変化情報を脳幹7にそれぞれ伝達する。これらのシステムは、心血管系の恒常性を維持するように機能する制御の異なるタイムスケールを有する複数の制御ループをもたらす。例えば、大動脈壁の圧受容器の起立と頸動脈弓の発火に関連する瞬間的な圧力低下の間の非常に短い時間スケールでは、脳幹が心臓器官への交感神経の発火を増加させ、心臓の収縮力が増加して起立性血圧低下を補うようになる。より長い時間スケールでは、腎臓系は、血液量が増加するように水分摂取量を減少させることによって低血液灌流に反応し、その結果、系内の圧力が増加して、身体の端により多くの血液を得る。全体として、恒常性を維持することができる心血管副成分と神経信号伝達の複数の複雑な相互作用があることが理解されるであろう。
【0051】
図示された第1の実施形態の例では、神経変換器4は、脊髄61の中またはその近くで対象2の身体に埋め込まれ、脊髄61の神経における生理学的活動を検出し、対応する生理学的信号を生じさせるセンサとして機能する。具体的には、神経変換器4は、脊髄61の少なくとも1つの心臓交感神経の遠心性神経活動を受信および検出し、神経データ信号を含む対応する生理学的信号を生じさせるセンサとして機能する。神経変換器4は、この検出された遠心性神経活動に対応する電気神経データ信号を生成し、埋め込まれた電気コネクタ7を通じて神経データ信号をコントローラ3に送信する。
【0052】
いくつかの例では、神経変換器4は、対象2の身体に、対象2のT4椎骨における脊髄61の中もしくはその近く、または対象2のT4椎骨の頭側、すなわち、T4椎骨と脳幹60との間に埋め込まれている。しかしながら、これは必須ではなく、神経変換器4は他の位置に埋め込まれてもよい。
【0053】
図2に示すように、コントローラ3は、入力通信モジュール30と、出力通信モジュール31と、処理モジュール32と、データストア33と、通信モジュール34と、を備える。処理モジュール32は、1つ以上のプロセッサを備えてもよい。
【0054】
閉ループ心臓制御システム1の動作において、入力通信モジュール30は、埋め込まれた電気コネクタ7を通じて神経変換器4から神経データ信号を受信する。受信された神経データ信号は、データストア33に記憶され、処理モジュール32によって処理されて、処理された神経データ信号を提供し、次に、これらは、対象の現在の心機能を決定するために使用される。次に、決定された心機能は、データストア33に記憶され得る。処理された神経データ信号を提供するための受信された神経データ信号の処理は、1つ以上の神経バイオマーカを識別するために神経データ信号を処理することを含み得る。次に、処理モジュール32は、対象の決定された現在の心機能およびデータストア33から取得された所定の望ましい心機能、例えば、望ましい心機能身体設定値を処理して、所定の望ましい心機能と比較して対象の現在の心機能に、望ましい方法で影響を与える1つ以上の出力信号を決定する。次に、決定された出力信号は、出力通信モジュール35によって、埋め込まれた電気コネクタを通じて神経刺激装置5に送られる。心機能は、心臓活動と呼ばれることもある。
【0055】
所定の望ましい心機能は、外部システムからコントローラ3の通信モジュール34を通じて閉ループ心臓制御システム1に提供され、その後の使用のためにデータストア33に記憶され得る。所定の望ましい心機能は、通信モジュール34を通じて必要に応じて更新され得る。通信モジュール34は、閉ループ心臓制御システム1のコントローラ3と外部システムとの間の無線通信をサポートする。あるいは、所定の望ましい心機能は、閉ループ心臓制御システム1自体のコントローラ3によって決定され得る。
【0056】
決定された出力信号が対象の現在の心機能に影響を与える望ましい方法は、任意の特定の実装形態において、所定の望ましい心機能が定義される方法、および対象の望ましい結果に応じて変化し得る。例えば、所定の望ましい心機能が、心機能のパラメータの1つ以上の所定の値または値の範囲として定義される場合、決定された出力信号は、対象の心機能パラメータのうちの1つ以上を、対応する所定の値または値の範囲に向かって変更するように、または対応する所定の値の範囲内に留まるように決定され得る。他の例では、所定の望ましい心機能が心機能のパラメータの1つ以上の所定の限界値として定義される場合、決定された出力信号は、これらの限界値が通過するのを防ぐために対象の心機能パラメータのうちの1つ以上を変更するように決定され得る。他の例では、所定の望ましい心機能が対象の生理学的反応として定義される場合、決定された出力信号は、望ましい生理学的反応を生じさせるように対象の心機能を変更するように決定され得る。対象の望ましい所定の生理学的反応は、心血管系の健康な機能への復帰に関連付けられている尺度であり得る。例えば、対象の望ましい所定の生理学的反応は、平均血圧の低下、血圧の少なくとも1つの成分の低下、駆出率の上昇、脈波伝播速度の上昇のうちの1つ以上であり得る。上記で識別された例は、網羅的であることを意図しておらず、代替構成が使用されてもよい。
【0057】
いくつかの例では、所定の望ましい心機能は、所定の限界値を有する定義された動作範囲として定義され得る。そのような例では、特定の対象に対する所定の限界値は、コントローラ3によって設定され得る。コントローラは、例えば、経時的な対象の心機能の分析に基づいて所定の限界値を設定することができ、そのような分析は、例えば、少なくとも1つのモデルを使用して処理された神経データ信号に基づいていてもよい。
【0058】
図示された第1の実施形態では、神経刺激装置5は、迷走神経62の神経の中またはその近くで対象2の身体に埋め込まれ、迷走神経62の神経に神経刺激を提供する刺激装置として機能する。具体的には、神経刺激装置5は、迷走神経62の少なくとも1つの心臓副交感神経の遠心性神経活動を調節して対象に生理学的反応を生じさせる神経刺激を提供する刺激装置として機能する。
【0059】
神経刺激装置5が、埋め込まれた電気コネクタ8を通じてコントローラ3から出力信号を受信すると、神経刺激装置5は、受信された出力信号に基づいて、迷走神経62の少なくとも1つの心臓副交感神経に神経刺激を提供する。迷走神経62の少なくとも1つの心臓副交感神経のこの神経刺激は、少なくとも1つの心臓副交感神経上の自然な神経活動を調節して、対象に生理学的反応を生じさせ、したがって、対象2の心臓活動に影響を及ぼし、変更することができる。
【0060】
図示された第1の実施形態では、コントローラ3の処理モジュール32は、1つ以上のモデル、例えば、機械学習(ML)モデルを使用して、受信された神経データ信号から対象の現在の心機能を決定し、および/または出力信号を決定する。上述した例では、2段階のプロセスが使用され、ここで、1つ以上の第1のMLモデルを使用して、受信された神経データ信号から対象の現在の心機能を決定することができ、1つ以上の第2のMLモデルを使用して、対象の決定された現在の心臓活動および所定の望ましい心臓活動からの出力信号を決定することができる。他の例では、1つ以上のMLモデルを使用して、受信された神経データ信号および望ましい心機能などの所定の生理学的反応から直接出力信号を決定する単一段階プロセスを使用することができる。
【0061】
神経データ信号が交感神経心臓神経の生理学的活動に関連するいくつかの例では、処理された神経データ信号は、例えば、対象の現在の心機能を少なくとも部分的に決定するために心臓系の交感神経駆動の1つ以上の心血管モデルに通知するために使用されてもよい。心臓系の交感神経ドライブのこれらの心血管モデルは、MLモデルであり得る。
【0062】
神経データ信号が交感神経腎神経の生理学的活動に関連するいくつかの例では、処理された神経データ信号は、例えば、対象の現在の心機能を少なくとも部分的に決定するために腎臓系の交感神経駆動の1つ以上の心血管モデルに通知するために使用されてもよい。腎臓系の交感神経ドライブのこれらの心血管モデルは、MLモデルであり得る。
【0063】
神経データ信号が腎神経の求心性神経活動に関連するいくつかの例では、処理された神経データ信号は、例えば、対象の現在の心機能を少なくとも部分的に決定するために末梢血圧、末梢灌流、高血圧症の進行、または腎臓活動のうちの少なくとも1つを1つ以上の心血管モデルに通知するために使用されてもよい。心臓の交感神経ドライブのこれらの心血管モデルは、MLモデルであり得る
【0064】
図示された図1の例では、神経データ信号は、対象の心臓交感神経活動に関する情報を決定するために、コントローラによって処理され得る。次に、決定された心臓交感神経活動を使用して、対象の現在の心機能を決定し、および/または出力信号を決定することができる。
【0065】
神経刺激装置5は、対象の神経組織の目標領域において神経活動をもたらすまたは変更する機能を行う任意の装置を備えてもよい。これには、限定されるものではないが、例として、電気刺激、化学的活性化、機械的刺激、および/または光遺伝学的刺激などの動作モダリティが含まれ得る。神経刺激装置5のすべてが同じである必要はない。いくつかの例では、神経刺激装置5は、一緒に使用されている異なるモダリティを使用して動作する神経刺激装置を含み得る。神経刺激装置5は、適切な出力信号を選択することによって、神経活動を少なくとも部分的に変更し、神経活動を少なくとも部分的に増加、刺激、もしくは増幅するか、または神経活動を少なくとも部分的に減少または阻害するように構成され得る。
【0066】
神経刺激装置が神経活動を増加させるように構成されている例では、それらは、自然な神経信号に追加される適用された神経信号を生成する神経刺激を提供するように構成され得る。
【0067】
神経刺激装置が神経活動を減少させるように配置されている例では、それらは、自然な神経活動を全体的または部分的のいずれかで遮断する神経刺激を提供するように構成され得る。そのような例では、神経刺激装置は、自然な神経活動を遮断するために、5kHz~30kHzの範囲の周波数で神経刺激を提供するように構成され得る。
【0068】
適用される刺激パターンの選択が神経活動に異なる影響を与えることは当業者によって理解されるであろう。求心性線維および遠心性線維は異なる直径および特性を有し、異なる刺激パラメータは異なるタイプの線維の反応を開始させることができる。電極の構成、刺激パターンおよび波形を変更することで、さまざまな線維を目標にすることができる。刺激はまた、神経活動を誘発または調節するためにも使用することができる。低周波刺激または目標パターンは、神経に沿って伝達され、自然信号として最終器官によって受信されるニューロンまたはニューロンのグループに活動電位を誘発することができる。高周波では、閾値以下の刺激が線維の伝播速度に影響を与え、信号を低減または変調することができる。より高い振幅および代替のパターンでは、刺激を使用して、活動電位伝播の既知のメカニズムを活用し、伝導ブロックを提供して、自然な神経活動を阻止することができる。したがって、刺激の選択を使用して、神経活動に異なる効果を誘発することができることが理解される。
【0069】
図示された第1の実施形態の第1の例では、神経変換器4は、脊髄61の中またはその近くで対象2の身体に埋め込まれ、脊髄61の神経における生理学的活動を検出し、対応する生理学的信号を生成するセンサとして機能し、それによって、神経変換器4は、脊髄61の少なくとも1つの心臓交感神経の遠心性神経活動を受信および検出し、対応する神経データ信号を生じさせるためのセンサとして機能する。他の例では、神経変換器4は、神経変換器4が少なくとも1つの心臓交感神経の遠心性神経活動を検出することができる位置において、対象2の身体内の他の場所に埋め込まれ得る。例えば、神経変換器4は、脊髄61と心臓との間に延びる神経系の心臓交感神経枝における少なくとも1つの心臓交感神経の遠心性神経活動を検出するように構成され得る。
【0070】
同様に、図示された第1の実施形態の第1の例では、神経刺激装置5は、迷走神経62の中またはその近くで対象2の身体に埋め込まれ、迷走神経62の神経に神経刺激を提供する刺激装置として機能し、それによって、神経刺激装置5は、迷走神経62の少なくとも1つの心臓副交感神経の遠心性神経活動を調節するための神経刺激を提供するための刺激装置として機能する。他の例では、神経刺激装置5は、神経刺激装置5が少なくとも1つの心臓副交感神経に神経刺激を提供することができる位置において、対象2の身体内の他の場所に埋め込まれ得る。例えば、神経刺激装置5は、迷走神経の心臓枝における少なくとも1つの心臓副交感神経に神経刺激を提供するように構成され得る。
【0071】
図3は、第1の実施形態による閉ループ心臓制御システム1の第2の例の概略図を示している。
【0072】
図3に示されるように、図示された第1の実施形態の第2の例では、閉ループ心臓制御システム1は、人間または動物の対象2の身体に埋め込まれている。図示された第2の例の閉ループ心臓制御システム1は、第1の例と同じであるが、対象2の神経系6における異なる位置において位置付けられた神経刺激装置5を用いて異なるように構成されている。
【0073】
図示された第2の実施形態の例では、神経変換器4は、脊髄61の中またはその近くで対象2の身体に埋め込まれ、第1の例と同様の方法で脊髄61の神経における生理学的活動を検出し、対応する生理学的信号を生じさせるためのセンサとして機能する。具体的には、神経変換器4は、脊髄61の少なくとも1つの心臓交感神経の遠心性神経活動を受信および検出し、対応する神経データ信号を生じさせるセンサとして機能する。
【0074】
図示された第1の実施形態の第2の例では、神経刺激装置5は、脊髄61の神経の中またはその近くで対象2の身体に埋め込まれ、脊髄61の神経に神経刺激を提供するための刺激装置として機能する。具体的には、神経刺激装置5は、脊髄61の少なくとも1つの心臓交感神経の遠心性神経活動を調節するための神経刺激を提供する刺激装置として機能する。
【0075】
いくつかの例では、神経刺激装置5は、対象2の身体に、対象2のT4椎骨における脊髄61の中もしくはその近く、または対象2のT4椎骨の頭側、すなわち、T4椎骨と脳幹60との間に埋め込まれている。しかしながら、これは必須ではなく、神経刺激装置5は他の位置に埋め込まれてもよい。
【0076】
図示された第1の実施形態の第2の例では、神経刺激装置5がコントローラ3から出力信号を受信すると、神経刺激装置5は、受信された出力信号に基づいて脊髄61の少なくとも1つの心臓交感神経に神経刺激を提供する。脊髄61の少なくとも1つの心臓交感神経のこの神経刺激は、少なくとも1つの心臓交感神経の自然な神経活動を調節し、したがって、対象2の心臓活動に影響を及ぼし、変更する。
【0077】
図示された第2の実施形態の第1の例では、神経変換器4は、脊髄61の中またはその近くで対象2の身体に埋め込まれ、脊髄61の神経における生理学的活動を検出し、対応する生理学的信号を生成するセンサとして機能し、それによって、神経変換器4は、脊髄61の少なくとも1つの心臓交感神経の遠心性神経活動を受信および検出し、対応する神経データ信号を生じさせるためのセンサとして機能する。他の例では、神経変換器4は、神経変換器4が少なくとも1つの心臓交感神経の遠心性神経活動を検出することができる位置において、対象2の身体の他の場所に埋め込まれ得る。例えば、神経変換器4は、脊髄61と心臓との間に延びる神経系の心臓交感神経枝における少なくとも1つの心臓交感神経の遠心性神経活動を検出するように構成され得る。
【0078】
同様に、図示された第2の実施形態の第1の例では、神経刺激装置5は、脊髄61の中またはその近くで対象2の身体に埋め込まれ、脊髄61の神経に神経刺激を提供する刺激装置として機能し、それによって、神経刺激装置5は、脊髄61の少なくとも1つの心臓交感神経の遠心性神経活動を調節するための神経刺激を提供するための刺激装置として機能する。他の例では、神経刺激装置5は、神経刺激装置5が少なくとも1つの心臓交感神経に神経刺激を提供することができる位置において、対象2の身体の他の場所に埋め込まれ得る。例えば、神経刺激装置5は、脊髄61と心臓との間に延びる神経系の心臓交感神経枝における少なくとも1つの心臓交感神経に神経刺激を提供するように構成され得る。
【0079】
図4は、第1の実施形態による閉ループ心臓制御システム1の第3の例の概略図を示している。
【0080】
図4に示されるように、図示された第1の実施形態の第3の例では、閉ループ心臓制御システム1は、人間または動物の対象2の身体に埋め込まれている。図示された第3の例の閉ループ心臓制御システム1は、第1の例と同じであるが、対象2の神経系6の異なる位置に位置付けられた神経変換器4および神経刺激装置5を用いて異なるように構成されている。
【0081】
図示された第1の実施形態の第3の例では、神経変換器4は、対象2の少なくとも1つの腎交感神経の遠心性神経活動を受信および検出し、対応する神経データ信号を生じさせるためのセンサとして機能する位置において、対象2の身体に埋め込まれている。
【0082】
図示された第1の実施形態の第3の例では、神経刺激装置5は、脊髄61の少なくとも1つの腎交感神経の遠心性神経活動を調節するための神経刺激を提供する刺激装置として機能する位置において、対象2の身体に埋め込まれて、対象に生理学的反応を生じさせる。
【0083】
図示された第1の実施形態の第3の例では、神経刺激装置5がコントローラ3から出力信号を受信すると、神経刺激装置5は、受信された出力信号に基づいて少なくとも1つの腎交感神経に神経刺激を提供する。少なくとも1つの腎交感神経のこの神経刺激は、少なくとも1つの腎交感神経の自然な神経活動を調節するため、対象2の心臓活動に影響を与え、変更する。
【0084】
図示された第1の実施形態の第3の例では、神経変換器4は、脊髄61の中またはその近くで対象2の身体に埋め込まれ、脊髄61の神経における生理学的活動を検出し、対応する生理学的信号を生成するセンサとして機能することができ、それによって、神経変換器4は、脊髄61の少なくとも1つの腎交感神経の遠心性神経活動を受信および検出し、対応する神経データ信号を生じさせるためのセンサとして機能するか、または神経変換器4が少なくとも1つの腎交感神経の求心性神経活動を検出できる位置において、対象2の身体の他の場所に埋め込まれてもよい。例えば、神経変換器4は、脊髄61と腎臓との間に延びる神経系の腎交感神経枝における少なくとも1つの腎交感神経の遠心性神経活動を検出するように構成され得る。
【0085】
他の例では、神経変換器4は、脊髄61の中またはその近くで対象2の身体に埋め込まれ、脊髄61の神経における生理学的活動を検出し、対応する生理学的信号を生成するためのセンサとして機能し、それによって、神経変換器4は、脊髄61の少なくとも1つの腎神経の求心性神経活動を受信および検出し、対応する神経データ信号を生じさせるためのセンサとして機能するか、または神経変換器4が少なくとも1つの腎神経の求心性神経活動を検出できる位置において対象2の身体内の他の場所に埋め込まれてもよい。例えば、神経変換器4は、脊髄61と腎臓との間に延びる神経系の腎臓枝における少なくとも1つの腎神経の求心性神経活動を検出するように構成され得る。
【0086】
同様に、図示された第1の実施形態の第3の例では、神経刺激装置5は、脊髄61の中またはその近くで対象2の身体に埋め込まれ、脊髄61の神経に神経刺激を提供するための刺激装置として機能することができ、それによって、神経刺激装置5は、脊髄61の少なくとも1つの腎交感神経の遠心性神経活動を調節するための神経刺激を提供する刺激装置として機能するか、または神経刺激装置5が少なくとも1つの腎交感神経に神経刺激を提供することができる位置において対象2の身体内の他の場所に埋め込まれてもよい。例えば、神経刺激装置5は、脊髄61と腎臓との間に延びる神経系の腎交感神経枝における少なくとも1つの腎交感神経に神経刺激を提供するように構成され得る。
【0087】
第1の実施形態のさらなる例では、神経変換器4は、神経変換器4が対象の少なくとも1つの腎神経の求心性神経活動を検出することができる位置において、対象2の身体に埋め込まれ得る。例えば、神経変換器4は、脊髄61、または迷走神経62、または脊髄61と脊髄の間に延びる神経系の骨盤神経、または脊髄61と腎臓との間に延びる神経系の腎交感神経枝における少なくとも1つの腎神経の求心性神経活動を検出するように構成され得る。
【0088】
図5は、第1の実施形態による閉ループ心臓制御システム1の第4の例の概略図を示している。
【0089】
図5に示されるように、図示された第1の実施形態の第4の例では、閉ループ心臓制御システム1は、人間または動物の対象2の身体に埋め込まれている。図示された第4の例の閉ループ心臓制御システム1は、第1の例と同じであるが、対象2の神経系6の異なる位置に位置付けられた神経変換器4および神経刺激装置5を用いて異なるように構成されている。
【0090】
図示された第1の実施形態の第4の例では、神経変換器4は、迷走神経の腎臓枝の中またはその近くで対象2の身体に埋め込まれ、迷走神経の腎臓枝の神経における生理学的活動を検出し、対応する生理学的信号を生じさせるためのセンサとして機能し、それによって、神経変換器4は、迷走神経の腎臓枝の少なくとも1つの腎神経の遠心性神経活動を受信および検出し、対応する神経データ信号を生じさせるためのセンサとして機能する。
【0091】
図示された第1の実施形態の第4の例では、神経刺激装置5は、少なくとも1つの圧受容器に関連付けられている神経の中またはその近くで対象2の身体に埋め込まれ、具体的には、頸動脈圧受容器に接続された頸動脈洞神経または舌骨神経、および/または大動脈圧受容器に接続された迷走神経の一部の中またはその近くに位置し、それによって、神経刺激装置5は、対象2の圧受容器に関連付けられている少なくとも1つの神経に神経刺激を提供すための刺激装置として機能する。神経刺激装置5は、頸動脈圧受容器および大動脈圧受容器のいずれかまたは両方に関連付けられている少なくとも1つの神経に神経刺激を提供することができる。この例では、対象2の圧受容器に関連付けられている少なくとも1つの神経は、求心性神経であり得る。
【0092】
図示された第1の実施形態の第4の例では、神経刺激装置5がコントローラ3から出力信号を受信すると、神経刺激装置5は、受信された出力信号に基づいて圧受容器に関連付けられている少なくとも1つの神経に神経刺激を提供する。圧受容器に関連付けられている少なくとも1つの神経のこの神経刺激は、圧受容器に関連けられている少なくとも1つの神経の自然な神経活動を調節し、したがって、対象2の心臓活動に影響を及ぼし、変更する。
【0093】
図示された第1の実施形態の第4の例では、神経変換器4は、迷走神経の腎臓枝の中またはその近くで対象2の身体に埋め込まれ、迷走神経の腎臓枝の神経における生理学的活動を検出し、対応する生理学的信号を生じさせるためのセンサとして機能し、それによって、神経変換器4は、迷走神経の腎臓枝の少なくとも1つの腎神経の遠心性神経活動を受信および検出し、対応する神経データ信号を生じさせるためのセンサとして機能する。他の例では、神経変換器4は、神経変換器4が迷走神経の少なくとも1つの腎神経の遠心性神経活動を検出することができる位置において、対象2の身体内の他の場所に埋め込まれ得る。例えば、神経変換器4は、迷走神経62の他の点で少なくとも1つの腎神経の遠心性神経活動を検出するように構成され得る。
【0094】
第1の実施形態の第4の例では、神経変換器4は、迷走神経の腎臓枝の中もしくはその近く、または迷走神経上の他の場所で対象2の身体に埋め込まれ、迷走神経の神経における生理学的活動、特に迷走神経の少なくとも1つの腎神経の遠心的神経活動を検出するためのセンサとして機能してもよい。他の例では、神経変換器4は、迷走神経の腎臓枝の中もしくはその近く、または迷走神経上の他の場所で対象2の身体に埋め込まれ、迷走神経の神経における生理学的活動、特に迷走神経の少なくとも1つの腎神経の求心性神経活動を検出し、対応する神経データ信号を生じさせるためのセンサとして機能してもよい。
【0095】
図示された第1の実施形態の第4の例では、神経刺激装置5は、頸動脈圧受容器に接続された頸動脈洞神経もしくは舌骨神経、および/または大動脈圧受容器に接続された迷走神経の一部の中もしくはその近くで対象2の身体に埋め込まれ、対象2の圧受容器に関連付けられている少なくとも1つの神経に神経刺激を提供するための刺激装置として機能する。他の例では、神経刺激装置5は、神経刺激装置5が対象2の圧受容器に関連付けられている少なくとも1つから少なくとも1つの神経に神経刺激を提供することができる位置において、対象2の身体内の他の場所に埋め込まれ得る。例えば、神経刺激装置5は、迷走神経または骨盤神経の少なくとも1つの腎副交感神経線維に神経刺激を提供するように構成され得る。
【0096】
図6は、第1の実施形態による閉ループ心臓制御システム1の第5の例の概略図を示している。
【0097】
図6に示されるように、図示された第1の実施形態の第5の例では、閉ループ心臓制御システム1は、人間または動物の対象2の身体に埋め込まれている。図示された第5の例の閉ループ心臓制御システム1は、第1の例と同じであるが、対象2の神経系6の異なる位置に位置付けられた神経変換器4および神経刺激装置5を用いて異なるように構成されている。
【0098】
図示された第1の実施形態の第5の例では、神経変換器4は、迷走神経の腎臓枝の中またはその近くで対象2の身体に埋め込まれ、迷走神経の腎臓枝の求心性神経における生理学的活動を検出し、対応する生理学的信号を生じさせるためのセンサとして機能し、それによって、神経変換器4は、迷走神経の腎臓枝の少なくとも1つの腎神経の求心性神経活動を受信および検出し、対応する神経データ信号を生じさせるためのセンサとして機能する。神経変換器4は、迷走神経における求心性神経活動を検出し、この検出された神経活動に対応する神経データ信号を含む生理学的信号を生じさせるように構成されており、それに応じてコントローラは、これらの神経データ信号を処理して、対象の心臓副交感神経活動に関する情報を決定することになる。
【0099】
図示された第1の実施形態の第5の例では、神経刺激装置5は、脊髄と腎臓との間に延びる神経系の腎迷走神経および/もしくは腎交感神経枝(胸腰部脾神経)、ならびに/または脊髄と腎臓との間に延びる神経系の腎副交感神経枝(骨盤脾神経)の中またはその近くで対象2の体内に埋め込まれており、それによって、神経刺激装置5は、少なくとも1つの遠心性交感神経腎神経および/または遠心性副交感神経腎神経に神経刺激を提供するための刺激装置として機能する。いくつかの例では、神経刺激装置5は、少なくとも1つの遠心性交感神経および少なくとも1つの遠心性副交感神経に神経刺激を提供することができる。
【0100】
図示された第1の実施形態の第5の例では、神経刺激装置5がコントローラ3から出力信号を受信すると、神経刺激装置5は、少なくとも1つの遠心性交感神経腎神経および少なくとも1つの遠心性副交感神経腎神経に神経刺激を提供する。少なくとも1つの交感神経腎神経および少なくとも1つの遠心性副交感神経腎神経のこの神経刺激は、少なくとも1つの交感神経腎神経および少なくとも1つの遠心性副交感神経腎神経の自然な神経活動を調節し、したがって心臓に影響を及ぼし、そして対象2の心臓活動を変更する。
【0101】
図示された第1の実施形態の第5の例では、神経変換器4および神経刺激装置5は、迷走神経の腎臓枝の中またはその近くで対象2の身体に埋め込まれて、迷走神経の生理学的活動を検出するか、または迷走神経の腎臓枝または迷走神経の腎臓枝の神経をそれぞれ刺激するためのセンサとして機能し得る。他の例では、神経変換器4および神経刺激装置5は、神経変換器4および神経刺激装置5が迷走神経の少なくとも1つの腎神経と相互作用することができる位置において、対象2の身体内の他の場所に埋め込まれ得る。例えば、神経変換器4および神経刺激装置5は、それぞれ、求心性神経活動を検出し、迷走神経62の他の点で少なくとも1つの腎神経の遠心性神経活動を調節するように構成され得る。
【0102】
代替例では、神経変換器4は、迷走神経の心臓枝の中またはその近くで対象2の身体に埋め込まれ、迷走神経の心臓枝の神経における生理学的活動を検出するためのセンサとして機能し得る。そのような例では、システムはまた、頸動脈圧受容器、大動脈圧受容器、腎求心性神経、および筋求心性神経のうちの1つ以上において、対象の神経系の神経活動を検出するように構成されたさらなる神経変換器4を含み得る。
【0103】
上述した図示された第1の実施形態の例は、対象2の神経系のいくつかの異なる位置において構成された神経変換器4および神経刺激装置5を有する。これらの異なる位置は網羅的なものではなく、例としてのみ提供されている。異なる例における神経変換器4および神経刺激装置5の異なる位置は、他の例では異なる組み合わせで構成され得、対象2の神経系における他の位置において構成された神経変換器および/または神経刺激装置によって置き換えられるか、または組み合わされ得ることを理解されたい。
【0104】
いくつかの例では、複数の神経変換器は、脳幹、上部脊髄、心臓交感神経枝、腎交感神経枝、上部迷走神経、迷走神経の心臓枝、迷走神経の腎臓枝、腎求心性神経、筋求心性神経、および/または圧受容器のうちの1つ以上において対象の神経系の神経活動を検出するように構成され得る。圧受容器は、頸動脈圧受容器および/または大動脈圧受容器を含み得る。このリストは、純粋に例として提供されており、網羅的であることを意図していない。複数の神経変換器は、対象の心臓系または腎臓系のうちの少なくとも一方に至る交感神経求心性神経信号または交感神経遠心性神経信号のうちの少なくとも一方に関連する神経活動を検出するように構成され得る。
【0105】
いくつかの例では、複数の神経刺激装置は、脳幹、上部脊髄、心臓交感神経枝、腎交感神経枝、上部迷走神経、迷走神経の心臓枝、および/または迷走神経の腎臓枝のうちのいずれか1つ以上において、対象の神経系に神経刺激を提供するように構成され得る。このリストは、純粋に例として提供されており、網羅的であることを意図していない。複数の神経刺激装置は、対象の心臓系または腎臓系のうちの少なくとも一方に至る交感神経求心性神経信号または交感神経遠心性神経信号のうちの少なくとも一方に関連付けられている神経活動を変更するように構成され得る。
【0106】
いくつかの例では、複数の神経刺激装置は、脊髄における交感神経心臓神経経路、脊髄における副交感神経神経経路、迷走神経における副交感神経神経経路、および/または迷走神経における副交感神経腎神経経路のうちの1つ以上において、神経刺激を提供するように構成され得る。
【0107】
いくつかの例では、複数の神経変換器は、迷走神経および/または脊髄における対象の神経系における神経活動を検出するように構成され得、複数の神経刺激装置は、迷走神経および/または脊髄に神経刺激を提供するように構成され得る。
【0108】
神経変換器4が神経刺激装置5とは別個の装置であることは必須ではないことを理解されたい。検知および刺激の両方が対象2の神経系における同じ位置で実行される実装形態において、神経変換器4および神経刺激装置5のいくつかまたはすべては、二重目的のセンサ/刺激装置に組み合わせることができる。したがって、図示された機能的分離は、物理的分離を示すものではない。検知と刺激の両方を同じ位置で実行できるこのような実装の例を図3図4、および図6に示す。
【0109】
信号は、任意の好適な方法で、コントローラ3と、神経変換器4と、神経刺激装置5と、の間で運ばれ得る。図示された例では、これらの信号は有線通信システムによって運ばれるが、他の例では無線通信システムが使用されてもよい。
【0110】
図1図6に示される神経変換器4に加えて、閉ループ心臓制御システム1はまた、対象2の身体変数パラメータ値に関する身体変数データを取得し、この身体変数データを閉ループ心臓制御システム1のコントローラ3に提供するように構成されたセンサから情報を受信し得る。これらのセンサは、例えば、ウェアラブルセンサまたは組み込み型センサであり得る。センサは、有線または無線通信システムなどの任意の好適な手段によって閉ループ心臓制御システム1と通信するように構成され得る。いくつかの例では、センサは、閉ループ心臓制御システム1に含まれ得る。
【0111】
図7は、図1図6の例における第1の実施形態による、閉ループ心臓制御システム1を通るデータフローの具体例を表す図である。
【0112】
図示された図7の例では、閉ループ心臓制御システム1は、心臓の身体状態をその心臓の身体状態の望ましい値に一致させるか、または少なくともそれに近づけるために、対象の心臓の身体状態の閉ループ制御を行うために使用される。これを行うために、対象の心臓系の望ましい動作点、または制御されている心臓の身体状態の望ましい値に対応する理想的な心臓の身体の設定値100が設定される。この理想的な身体設定値100は、固定され得るか、または対象に関する情報に基づいて決定され得る。理想的な身体設定値100は、任意の特定の実装形態において適切であるように、事前設定され得るか、コントローラ3によって決定され得るか、または別のシステムによって心臓制御システム1に提供され得る。身体的設定値とは、制御システムの設定値の本発明の技術分野における標準的な意味を意味し、身体変数または身体状態の望ましい値または目標値である。身体変数または身体状態の設定値からの逸脱は、自動制御に負のフィードバックを使用するエラー制御規制の1つの基礎である。
【0113】
理想的な身体設定値100がコントローラ3によって決定されるいくつかの例では、コントローラ3は、MLモデルなどの少なくとも1つのモデルを使用して、対象の心臓系の望ましい動作点を決定することができる。そのような例では、少なくとも1つのモデルは、心臓系の望ましい動作点を1つ以上の所定の値になるように保つように、または1つ以上の所定の限界値を超えないように維持されるように制限され得る。
【0114】
図7の具体例では、心臓の身体状態は対象の心拍数であり、理想的な心臓の身体設定点100は特定の心拍数値である。いくつかの例では、心拍数の望ましい値は、例えば、他の身体変数、例えば、対象の現在の血圧または現在の身体活動レベルまたは全体的な心血管の健康に基づいて、神経制御システム1のコントローラ3によって計算され得る。他の例では、心拍数の設定値の望ましい値は、臨床医によって神経制御システム1に提供され得る。
【0115】
心臓制御システム1の動作において、神経変換器4は、対象2の神経系から対象2の身体状態に関連する神経データを取得する。図示された例では、さらなるセンサが、身体変数パラメータ値に関する身体変数データを取得する。図7は、神経変換器4によって生じされられ得る対象の心拍数に関連するフルスペクトルマルチチャンネル神経データ101、および追加のセンサによって生じされられ得る血圧値の形態での身体変数データ102の例示的な例を示している。
【0116】
図7の例では、神経データ101および身体変数データ102は、神経変換器4および追加のセンサによって、処理のためにコントローラ3に提供される。コントローラ3では、神経データ101および身体変数データ102は、機械学習(ML)処理の対象となる。ML処理は、神経復号化機械学習(ML)モデル104を使用して全スペクトルマルチチャネル神経データ101を処理して、神経バイオマーカ、この例では分類された神経バイオマーカ112を識別することを含む。図7の例はさらに、コントローラ105によって身体変数データ102に適用される信号処理105を示している。この信号処理105がMLモデルを使用することは必須ではない。
【0117】
図7の図示の例では、身体変数データ102は、一連の血圧値を含む血圧信号である。
【0118】
一般に、MLモデルは、フォワードパスモデルなどの機械学習技術によって以前に生成され、心臓制御システム1に提供されたモデルである。一般に、機械学習は、心臓制御システム1自体のコントローラ3によって実際に実行されることはなく、現在利用可能な技術では、このような機械学習は、一般に、埋め込まれた装置に実際に提供されるコンピューティングリソースを要求する。ただし、将来的には、コントローラ3内での機械学習の実施が実用化される可能性がある。
【0119】
図7の例では、MLモデル104によって生じさせられた分類された神経バイオマーカ112および信号処理105によって生じさせられた出力データが組み合わされて、現在の心臓の身体状態、この例では具体的には心拍数が決定される。次に、この決定された現在の心臓の身体状態(現在の心拍数)は、加算接合部106において理想的な心臓の身体の設定値(特定の心拍数値)100と比較されて、心臓の身体状態(心拍数)の値の望ましい変化を計算して、心臓の体の状態(心拍数)を理想的な心臓の体の設定値(特定の心拍数の値)100と一致させるか、または少なくともそれに近づける。加算接合部106は、決定された心臓の身体状態(心拍数)値と理想的な心臓の身体設定値(特定の心拍数値)100の値との入力を比較し、これらの値の差を出力する。図7に示されるように、加算接合部106の出力は、フィードバック制御システムで一般的に使用されるように、PIDコントローラ113によるPID(比例積分微分)計算で使用され得る。PID制御器は当業者によく知られているので、本明細書でこれを詳細に説明する必要はない。図示の第1の例では、加算接合部106は、その2つの入力の単純な減算を実行する。他の例では、より複雑な操作など、異なる比較が実行され得る。したがって、コントローラ3は、対象の心臓系の現在の動作点を決定された望ましい動作点に向かって変更するための制御決定を行う。
【0120】
図示された図7の例では、加算接合部106によって生じさせられた身体状態の値の望ましい変化は、さらなるMLモデルを使用したデータ処理の対象となり、望ましい変化をもたらすのに必要な神経刺激信号である出力信号のセットを決定する。例えば、心機能の1つ以上のパラメータを、以前に行われた制御決定に従って、対象の心臓系の望ましい動作点に向かって移動させること。図7に示されるように、さらなるMLモデルは、可能な刺激のライブラリから神経刺激信号の適切なセットを出力信号として選択するシミュレーションライブラリ選択器108であり得る。出力信号として選択される神経刺激信号のセットは、例えば、神経刺激装置5のどれが神経刺激信号を生じさせるか、およびこれらの神経刺激信号のタイミングおよび変調を定義してもよい。図7は、神経刺激信号のセットを含む、適用された刺激信号のパターンである出力信号のセットの例示的な例109を示している。
【0121】
図示された図7の例では、決定された神経刺激信号のセットは、コントローラ3によって出力信号として生じさせられ、それによって、コントローラ3は、神経刺激装置5が望ましい神経刺激信号のセットを生成して対象2の神経系に適用するのに必要なように、神経刺激装置5の選択されたものに出力信号として電気的な神経刺激制御信号を送信する。
【0122】
いくつかの例では、コントローラ3は、対象の心機能を健康な対象の心機能に近づけるために少なくとも1つの出力信号を決定および生じさせるように構成された少なくとも1つのモデルを使用して少なくとも1つの出力信号を生じさせるように構成され得る。そのような例では、理想的な心臓の身体の設定値100は、健康な対象の値に対応するように選択され得る。
【0123】
いくつかの例では、コントローラ3は、神経上で検出された自然な遠心性活動が、対象の心機能の1つ以上のパラメータを、所定の限界値などの1つ以上の所定の値を超えるように、または望ましい動作点から離れるように移動する効果を有することを識別し、神経刺激装置のうちの1つ以上に、その神経上で検出された自然な遠心性活動を遮断させる出力信号を決定し、生じさせることによって、この識別に応答するように構成され得る。
【0124】
いくつかの例では、コントローラ3は、MLモデルとして身体モデルを使用して、MLモデル104によって生じさせられた分類された神経バイオマーカ112と信号処理105によって生じさせられた出力データとを組み合わせて、現在の心臓の身体状態、特に心拍数を決定してもよい。身体モデル114は、対象の身体の内部動的モデルであり、これは、制御のための最適な動作を計算するためにコントローラ3によって使用される。身体モデルは、例えば、ホワイトボックスモデル、入力/出力モデル、状態空間モデル、またはシステムの他の任意のモデルであり得る。モデルは、モデル予測制御プロセス(MPC)プロセスを使用して、対象の現在の身体状態の推定または予測を生成するために使用され得、モデルは、更新モデル予測コントローラを含み得る。したがって、身体の推定または予測された現在の状態は、MLデータ処理103によって生じさせられた神経バイオマーカ104および/または追加のセンサからのデータの組み合わせによって通知され得る。身体モデル予測コントローラは当業者によく知られているので、本明細書でこれを詳細に説明する必要はない。
【0125】
身体モデルを使用する例では、コントローラ3は、過去の刺激の履歴およびその後の身体変数の変化を使用して、身体モデルを更新することができる。
【0126】
いくつかの例では、コントローラ3は、設定値計算機を使用して、受信された身体変数データおよび/または神経信号データを使用して、理想的な身体の設定値100の推定値を計算し、この推定された理想的な身体の設定点100を加算接合部106に出力してもよい。あるいは、設定値計算機は、他のソースから理想的な身体設定値を計算するためのデータを受信してもよい。
【0127】
いくつかの例では、加算接合部106を使用せず、MLモデルを使用して理想的な身体設定値を提供することができる。
【0128】
身体状態が対象の心拍数である例では、設定値計算機は、例えば、血圧の身体変数が危険なレベルまで増加するか、または危険なほど急速に増加している場合に、心拍数の身体設定値を低下させることを選択してもよい。
【0129】
図示された図7の例では、血圧値102は、追加のセンサによって提供される。他の例では、血圧値は、圧受容器に関連付けられている1つ以上の神経からの神経変換器によって取得された神経データから決定され得、血圧値は、例えば、MLモデルを使用して決定され得る。
【0130】
上述した閉ループ心臓制御システム1のシステムアーキテクチャおよび動作方法は、閉ループ心臓制御システム1が、リアルタイムの神経情報に基づく効果的な閉ループ制御を可能にする制御ループを提供することを可能にする。さらに、心臓制御システム1は、受信された神経信号から導出された心臓性能および/または生物学的もしくは医学的に関連する特徴に直接基づいて閉ループ性能を提供することができる。
【0131】
対象2の神経系における神経変換器4および神経刺激装置5の位置が、神経変換器4の少なくともいくつかが神経刺激装置5によって生成された神経刺激信号を直接受信し得るようなものである例では、コントローラ3は、神経刺激装置5と神経変換器4との間のクロストークが受信された神経データの品質を低下させるのを防ぐために、神経刺激信号の持続時間の間、神経変換器4の影響を受けたものによる神経データの記録を停止してもよい。いくつかの例では、影響を受けた神経データは、刺激中にブランケットゼロに置き換えられ得る。いくつかの例では、神経変換器4は、神経刺激信号の持続時間の間、オフにされるか、または非アクティブ化され得る。
【0132】
実施例では、コントローラ3は、単一の身体変数を制御するために、神経刺激信号の単一の出力を提供する。他の例では、コントローラ3は、複数の身体変数を制御するために、神経刺激信号の複数のセットを提供することができる。
【0133】
上述した図7の例では、コントローラ3は、神経変換器4からの神経データと、身体変数パラメータ値、具体的には血圧値に関する身体変数データを取得するように構成されたさらなるセンサからの血圧値を含む血圧信号と、を使用して、出力信号を決定する。いくつかの例では、血圧信号は、収縮期血圧、拡張期血圧、ピーク血圧、起立性低下、平均血圧、駆出時間、脈波伝播速度、または心臓系における血圧を識別する前記信号から導出された他の関連する特徴のうちの少なくとも1つを含む、対象の血圧を識別する。
【0134】
他の例では、コントローラ3は、神経変換器4からの神経データおよび好適なさらなるセンサからの他の身体変数パラメータ値を使用することができる。いくつかの例では、さらなるセンサは、対象の心臓の電気的活動を識別する心臓信号の形態で身体変数パラメータ値を提供するように構成され得、コントローラは、この心臓信号を神経データと一緒に処理して、MLモデルなどのモデルを使用した1つ以上の出力信号を決定する。そのような例では、心臓信号は、心拍数、心拍数変動、P波形状、T波持続時間、T波振幅、J点、ST上昇、U波、RR間隔、信号周期、周波数プロファイル、振幅、または前記心臓の電気的活動を識別する信号から導出された他の関連する特徴のうちの少なくとも1つを含む、対象の心臓の電気的活動を識別し得る。この列挙は網羅的なものではなく、例としてのみ提供されている。
【0135】
いくつかの例では、コントローラ3は、神経変換器4からの神経データと、さらなるセンサからの血圧信号および心臓信号の両方と、を受信し、これらを処理して、MLモデルなどのモデルを使用して1つ以上の出力信号を決定するように構成され得る。
【0136】
いくつかの例では、コントローラ3は、さらなるセンサから血圧信号および心臓信号の両方を受信し、これらを一緒に処理して、QA間隔、圧受容器感度、容積心拍出量、または心臓電気信号と血圧信号との共同相互分析から導出される他の関連特徴のうちの少なくとも1つを含む対象の心臓活動を識別するように構成され得る。
【0137】
コントローラ3は、受信された神経データに基づいて実質的に連続的に出力信号を生じさせるように構成され得る。いくつかの例では、コントローラ3は、所定のイベントの識別に応答して少なくとも1つの出力信号を提供するように構成され得る。所定のイベントは、例えば、受信された神経データに基づいて識別された神経イベントであり得る。他の例では、所定のイベントは、例えば、他の非神経受信データから識別された非神経イベントであり得る。非神経受信データは、いくつかの例では、さらなるセンサからのデータであってもよい。
【0138】
所定のイベントが神経イベントである例では、所定のイベントは、例えば、血圧変化を示す圧受容器の発火、低血液灌流を示す腎求心性の発火、および心臓のアップレギュレーションを示す交感神経の発火のうちの1つ以上であり得る。所定のイベントが非神経イベントである例では、所定のイベントは、例えば、心拍数が高すぎるイベント、心拍数が低すぎるイベント、血糖が高すぎるイベント、血糖が低すぎるイベントのうちの1つ以上であり得る。これらの列挙は単なる例示であり、網羅的であることを意図したものではない。
【0139】
いくつかの例では、コントローラ3は、対象の心機能を健康な対象の心機能に近づけるために少なくとも1つの出力信号を決定するために使用されるモデル(単数または複数)に加えて、別の器官の機能を健康な対象の機能に近づけるための少なくとも1つの出力信号を決定するように構成された少なくとも1つのさらなるモデルを含み得る。
【0140】
いくつかの例では、コントローラ3は、所定の閾値を超える対象の血圧の識別に応答して、少なくとも1つの出力信号を生じさせるように構成され得る。
【0141】
図8は、第2の実施形態による閉ループ心臓制御システム10の概略図を示している。
【0142】
第2の実施形態による閉ループ心臓制御システム10は、第1の実施形態のシステム1と同様であり、コントローラ13と、いくつかの神経変換器14と、いくつかの神経刺激装置15と、を備える。これらは、第1の実施形態による閉ループ心臓制御システム1の対応する部分と同様の方法で動作する。
【0143】
図示された図8の第2の実施形態による閉ループ心臓制御システム10の例では、神経変換器14および神経刺激装置15は、図1の第1の実施形態の第1の例の神経変換器4および神経刺激装置5に対応する位置に構成されている。これらは、上述した第1の実施形態と同様の方法で他の位置に構成することができる。
【0144】
第2の実施形態による閉ループ心臓制御システム10は、神経変換器14に加えて、いくつかのさらなるセンサ16をさらに備える。センサ16は、対象2の身体変数に関するデータを検出し、この身体変数データを、典型的には通信モジュール34を通じてコントローラ13に提供するように構成され得る。身体変数データは、例えば、血圧、心拍数、または他の身体変数パラメータの値であり得る。センサ16はまた、高レベルの身体活動など、対象2の身体に影響を及ぼし得るイベントを識別するためのセンサを含み得る。センサ16はまた、患者の状態を理解することに関連する個別のイベントを検出するまれなイベントセンサを含み得、これらは、例として、睡眠/覚醒への移行、薬の服用、暖かいまたは寒い温度の環境に入ることなどが含まれるが、これらに限定されない。センサ16は、埋め込みセンサ、ウェアラブルセンサ、およびウェアラブル装置に含まれるセンサを含み得る。センサ16は、対象の心臓の電気的活動を検知し、心臓信号を生成するように構成された1つ以上の電気センサを含み得る。センサ16は、対象の血圧を検知し、血圧信号を生成するように構成された1つ以上の血圧センサを含み得る。
【0145】
第2の実施形態による閉ループ心臓制御システム10では、コントローラ13は、身体変数データおよび/またはセンサ16から受信された他のデータを使用して、神経変換器14からの神経データと組み合わせて、対象の現在の心臓活動を決定してもよい。
【0146】
第2の実施形態による閉ループ心臓制御システム10は、他の外部システム17と通信するように構成されている。コントローラ13は、通信モジュール34を通じてこれらの外部システム17と通信することができる。
【0147】
外部システム17は、閉ループ心臓制御システム10をサポートするためのいくつかの異なる機能を提供され得る。外部システム17は、例えば、クラウドサーバーのネットワークによって提供され得る。
【0148】
外部システム17は、更新機18を備え得る。閉ループ心臓制御システム10は、閉ループ心臓制御システム10の動作に関するデータおよび対象2に関するデータを更新機に送信することができる。更新機18は、心臓制御システム10によって提供されたデータに基づいて、クラウドコンピュータなどの高性能コンピュータを使用して機械学習モデルを再トレーニングする機械学習データ処理再トレーニングシステムおよび機械学習コントローラ再トレーニングシステムを含み得る。この再トレーニングは、新しく改良された機械学習モデルを開発している機械学習研究者からの入力を使用して実行され得る。この再トレーニングはまた、心臓制御システム10に加えて他の心臓制御システムから受信されたデータに基づくことができる。
【0149】
更新機18は、心臓制御システム10から受信された神経データ、および場合によっては他のソースからの他のデータも使用する機械学習トレーニングによって、更新された機械学習モデルを生成する。更新機18は、定期的に、または必要に応じて、更新された機械学習モデルまたは機械学習モデルの更新を心臓制御システム10に送信し得る。心臓制御システム10は、必要に応じて、更新機18または他の更新機から更新された機械学習モデルまたは機械学習モデルの更新を受信し、これらを使用して、コントローラ13によって使用される機械学習モデルまたはモデルを更新または置換する。
【0150】
機械学習モデルの更新は、受信された神経データ、計算された神経バイオマーカ、出力信号、記録された神経データ、他のセンサからのデータおよび/または身体状態を表すデータおよび/または神経制御システムによって保存された他のデータに基づいて計算され得る。更新は、リハビリテーションまたは再較正期間中のガイドされた活動の特定の期間中に心臓制御システム10によって記録されたデータに基づいて生成され得る。更新機18は、自動化されたクラウドシステムによって提供され得る。
【0151】
いくつかの例では、更新機18は、ローカルの有線または無線接続を介した手動接続であり得る。いくつかの例では、更新は、長期治療を計算するための1つ以上の機械学習システムによって自動的に計算され得る。いくつかの例では、更新は、治療を行う臨床医によって選択され得る。
【0152】
心臓制御システム10と上述した更新機18との相互作用は、心臓制御システム10に外部制御ループを提供することを可能にし、対象から取得されたデータおよび心臓制御システム10の性能に基づいて使用される機械モデルの更新を可能にする。この外部制御ループは、心臓制御システム10の動作と比較して、比較的低速、または比較的高い遅延/潜時である。外部制御ループは、機械学習モデルの性能を可能にし、したがって、心臓制御システム10が心臓制御システム10および他の心臓制御システムによってより多くのデータが収集されるにつれて、時間とともに改善されることを可能にする。
【0153】
いくつかの例では、更新機18は、心臓制御システム10を更新して、心臓制御システム10が制御する対象の心機能パラメータを変更するように構成され得る。
【0154】
上述した機械学習モデルのデータ処理は、例としてのみ説明されており、データを処理するために多くのタイプのアーキテクチャを利用して、任意の数の機械学習モデルが使用され得ることを理解されたい。いくつかの例では、複数の機械学習モデルが、多数決、状態空間モデル、または複数の機械学習モデルの出力に基づいて装置出力動作を決定する他の意思決定モジュールと並行して同時に実行され得る。異なる機械学習モデルは異なるタイプであり得、異なるタイムスケールで動作する。
【0155】
外部システム17は、臨床医報告システム19を含み得る。閉ループ心臓制御システム10は、閉ループ心臓制御システム10の動作に関するデータおよび対象2に関するデータを臨床医報告システム19に送信することができる。臨床医報告システム19は、このデータを使用して、心臓制御システム10の対象の結果尺度を計算することができる。対象の結果尺度は、対象の心臓の性能および/または健康、ならびに心臓制御システム10によってどれだけの有益な効果が達成されているかに関する測定基準または他の指標を提供し得る。対象の結果尺度は、対象2の治療を担当する臨床医などの監督者に報告され、対象に関してとるべきさらなる行動を検討する際に考慮されてもよい。
【0156】
外部システム17は、治療情報システム20を含み得る。治療情報システム20は、対象2に提供されている治療に関して心臓制御システム10に通知するように構成されている。治療情報システム20は、心臓制御システム10が対象の心機能に対する治療のあらゆる影響を考慮に入れることができるように、心臓制御システム10が動作を開始するときに、対象2に提供される治療に関して心臓制御システム10に通知してもよい。さらに、治療情報システム20は、心臓制御システム10に、対象2に提供されている治療の更新または変更を通知することができる。これらの更新または治療の変更が対象2の心機能に影響を与える場合、心臓制御システム10は、これらを考慮に入れるために適切な変更を行うことができる。
【0157】
外部システム17は、セキュリティシステム21を含むことができる。セキュリティシステム21は、心臓制御システム10によって外部システム17に渡された、または他の方法で外部システム17によって保持された対象2に関する個人情報へのアクセスを制御し、保護することができる。さらに、セキュリティシステム21は、許可されていないまたは悪意のある活動を防ぐために、外部システム17による心臓制御システム10への更新などの情報の送信を制御することができる。
【0158】
いくつかの例では、外部システム17の異なる部分18~21は、単一の統合されたシステムであり得、他の例では、それらは、別個のシステムであり得る。いくつかの例では、外部システム17の部品18~21の一部のみが提供され得る。
【0159】
閉ループ心臓制御システム1および10のいくつかの例では、コントローラ3または13は、対象の血圧の上昇および下降に関連付けられている少なくとも1つの信号を受信するように構成され得る。この一例を図7に示し、一連の血圧値を含む血圧信号がコントローラ3によって受信される。図7を参照して上述したように、この血圧信号は、神経刺激装置に送信される少なくとも1つの出力信号を決定するためにコントローラによって使用され得る。
【0160】
第3の実施形態では、閉ループ心臓制御システムは、第1および第2の実施形態のシステム1および10に類似しており、コントローラと、いくつかの神経変換器と、いくつかの神経刺激装置と、を備える。これらは、閉ループ心臓制御システム1の対応する部分と同様の方法で、第1および第2の実施形態に従って動作する。
【0161】
第3の実施形態では、1つ以上の神経変換器は、対象の心臓に伝わる遠心性神経活動を受信および検出するためのセンサとして機能するように構成されている。したがって、1つ以上の神経変換器は、副交感神経遠心性神経心臓活動を受信および検出するように、したがって少なくとも1つの副交感神経遠心性心臓活動センサ205として機能するように、および/または交感神経遠心性神経心臓活動を受信および検出するように構成され、したがって、少なくとも1つの交感神経遠心性心臓活動センサ206として機能する。例えば、神経変換器は、図1および図2に示される第1の実施形態の第1および第2の例と同様に構成され得る。少なくとも1つの副交感神経遠心性心臓活動センサ205および/または少なくとも1つの交感神経遠心性心臓活動センサ206として機能する神経変換器は、検出された遠心性神経活動に関連付けられている少なくとも1つの神経データ信号を生じさせ、この少なくとも1つの神経信号を処理のためにコントローラに送信する。
【0162】
コントローラは、受信された少なくとも1つの神経データ信号を処理して、心臓への検知された自然な遠心性神経信号のタイミングおよび大きさを決定および登録するように構成されている。前の実施形態と同様に、コントローラは、1つ以上のモデルを使用することができ、これは、この処理を実行するためのMLモデルであり得る。
【0163】
第3の実施形態では、少なくとも1つのさらなるセンサが、対象の血圧の上昇および下降に関連付けられている少なくとも1つの信号を生じさせるように構成されている。少なくとも1つのさらなるセンサはまた、1つ以上の神経変換器によっても提供され得る。これらの神経変換器は、対象の圧受容器に由来する求心性神経活動、特に対象の腎圧受容器または心臓圧受容器に由来する求心性神経活動を受信および検出するように構成され得る。例えば、神経変換器は、頸動脈洞神経、頸動脈圧受容器に接続された舌骨神経、大動脈圧受容器に接続された迷走神経の一部、または骨盤神経の中またはその近くで対象の身体に埋め込まれ得る。したがって、神経変換器は、腎求心性圧受容器用の少なくとも1つの神経センサ201、および/または心臓求心性圧受容器用の少なくとも1つの神経センサ202を提供して、対象の血圧の上昇および下降に関連付けられている少なくとも1つの神経データ信号を生じさせ、血圧の上昇および下降に関連付けられている少なくとも1つの神経データ信号を処理のためにコントローラに送信することができる。あるいは、またはさらに、第3の実施形態では、少なくとも1つの血圧センサ203は、対象の血圧の上昇および下降に関連付けられている少なくとも1つの血圧信号を生じさせ、これを処理のためにコントローラに送信するように構成される。
【0164】
コントローラは、血圧の上昇および下降に関連付けられている受信された少なくとも1つの神経データ信号および/または少なくとも1つの血圧信号を処理して、対象の血圧の変化のタイミングおよび大きさを決定および登録するように構成されている。前の実施形態と同様に、コントローラは、1つ以上のモデルを使用することができ、これは、この処理を実行するためのMLモデルであり得る。
【0165】
いくつかの例では、血圧の上昇および下降、ならびに対応するタイムスケールを有する神経活動を拍動ごとに捕捉するために、さまざまな受信信号がすべて10Hzを超える周波数でサンプリングされる。
【0166】
コントローラは、心臓への自然な遠心性神経信号のタイミングを血圧変化のタイミングに対して関連付け、心臓への自然遠心性神経信号のタイミングと任意の対応する血圧の変化のタイミングとの間の関係を決定するように構成されている。コントローラはさらに、自然な遠心性神経信号の大きさ、または計算された遠心性心臓反応を、対応する血圧変化の大きさと関連付け、自然な遠心性神経信号の大きさと任意の対応する血圧変化の大きさとの関係を決定するように構成されている。
【0167】
圧受容器は、血圧の変化に応答して拍動ごとに発火する自然な圧力感受性ニューロンであり、つまり、圧受容器は、血圧が上昇および下降するたびに、心拍サイクルごとに発火および減速を繰り返す。脳幹は、受信された圧受容器の信号伝達に応答して、心臓への交感神経経路と副交感神経経路との両方で即時の遠心性神経活動を制御する。この自然なメカニズムは、起立性血圧低下などの生理学的パラメータを制御する。第2から第2の圧受容器信号伝達に対する脳幹の感度または応答性は、一般に圧受容器感度と呼ばれ、伝統的に、心拍数の変化(ECGで測定)と拍動ごとの血圧の変化との位相シフトおよび振幅応答によって測定され、多くの心疾患の診断に使用されている。
【0168】
心臓への自然な遠心性神経信号と対応する血圧変化との間の決定されたタイミングおよび大きさの関係は、圧受容器の感度もしくは反応を決定するためにコントローラ3によって使用され得るか、または圧受容器の感度もしくは反応を決定するために使用するために他のシステムに提供され得る。決定されたタイミングおよび大きさの関係ならびに/または決定された圧受容器の感度もしくは応答は、心臓の健康を決定するため、および/または対象の心臓の状態を診断するために使用され得る。
【0169】
第3の実施形態では、コントローラは、血圧の上昇および下降に関連付けられている受信された少なくとも1つの神経信号および/または少なくとも1つの血圧信号を使用して、第1および第2の実施形態を参照して説明したものに対応する方法で、神経刺激装置に送信される少なくとも1つの出力信号を決定するようにも構成され得る。いくつかの例では、コントローラは、少なくとも1つの出力信号を決定するために、対象の血圧の変化の決定された大きさを使用するように構成され得る。いくつかの例では、コントローラは、少なくとも1つの血圧信号の大きさを使用して、少なくとも1つの出力信号を決定するように構成され得る。
【0170】
本発明の心臓制御システムで使用され得る圧受容器感度を決定する方法の例は、図9に概略的に示されている。
【0171】
図9には、第3の実施形態で使用することができる圧受容器感度を決定する方法200が示されている。
【0172】
方法200では、腎臓圧受容器に関連付けられている少なくとも1つの求心性神経から神経データを収集する少なくとも1つの神経変換器201、心臓圧受容器に関連付けられている少なくとも1つの求心性神経から神経データを収集する少なくとも1つの神経変換器202、および血圧データを収集する少なくとも1つの血圧センサ203のうちの少なくとも1つによって、血圧変化イベントに関するデータが収集される。次に、血圧変化イベントに関して収集されたデータは、検出ステップ204で処理されて、検知された血圧変化イベントのタイミングおよび振幅を検出する。
【0173】
血圧変化イベントに関するデータが神経変換器によって収集された神経データである例では、検出ステップ204は、上述したように、MLモデルの使用を含み得る。
【0174】
同時に、心臓活動に関連する神経データは、少なくとも1つの副交感神経遠心性心臓神経から神経データを収集する少なくとも1つの副交感神経遠心性心臓活動センサ205、および少なくとも1つの交感神経遠心性心臓神経から神経データを収集する少なくとも1つの交感神経遠心性心臓活動センサ206のうちの少なくとも1つによって収集される。少なくとも1つの副交感神経遠心性心臓活動センサ205および少なくとも1つの交感神経遠心性心臓活動センサ206は、好適に位置している神経変換器を含み得る。次に、心臓活動に関して収集されたデータは、検出ステップ207で処理されて、血圧変化イベントに起因する脳幹からの神経信号伝達の変化を検出し、これらの神経信号伝達の変化に対応する心拍数のタイミングおよび振幅の変化を決定する。
【0175】
センサ205および/または206によって収集された神経データは、検出ステップ207で処理することができ、上述したように、MLモデルの使用を含むことができる。
【0176】
次に、検出ステップ204で検出された感知された血圧変化イベントの振幅と、検出ステップ207で決定された心拍数の変化の振幅とが比較されて、神経応答振幅ステップ208で神経応答振幅を計算し、検出ステップ204で検出された検知された血圧変化イベントのタイミングと、検出ステップ207で決定された心拍数の変化のタイミングとが比較されて、神経応答タイミングステップ209で神経応答タイミングを計算する。
【0177】
次に、計算された神経応答振幅および計算された神経応答タイミングを使用して、圧受容器感度計算ステップ210において圧受容器感度を計算する。
【0178】
次に、計算された圧受容器感度は、心臓制御システムによってその計算に使用され得る。他の例では、計算された気圧感度が他のシステムに出力されてもよい。
【0179】
上述した実施形態は、心臓制御システムに関する。心臓制御システムは、別個の疾患または状態に関連する2つ以上の別個の心機能を同時に制御するように構成され得る。さらに、システムは、心臓制御システムのみであることに限定されず、いくつかの例では、出力信号は、対象の別の器官の機能を健康な対象の機能にさらに近づけるための神経刺激を提供するように構成され得る。
【0180】
上述した例では、モデルが使用されており、これらのモデルは機械学習(ML)モデルであり得る。他の例では、代替タイプのモデルを使用することができる。他の例では、神経データの処理は、モデルを使用せずに実行することができる。
【0181】
図示された例では、コントローラは通信モジュールを備えている。他の例では、通信機能は、コントローラとは別個の通信モジュールまたは装置によって提供され得る。
【0182】
上述した例では、心臓制御システムは、制御信号を神経刺激装置5に出力する。代替例では、心臓制御システムは、代わりに、MLデータ処理などのML神経処理によって識別された神経バイオマーカを出力することができる。出力された識別された神経バイオマーカは、例えば、神経バイオマーカを処理することができる装置に送信され、対象の神経系に適用される神経刺激信号の基礎として使用されてもよい。
【0183】
いくつかの例では、神経刺激装置によって刺激される目標神経刺激部位は、神経刺激に対する過敏症または過敏症を可能にするように構成されたウイルスベクターまたは薬剤で処理され得る。
【0184】
図示された例では、心臓制御システムのすべての部分が対象の体内に埋め込まれている。いくつかの他の例では、神経変換器および刺激装置を対象の身体に埋め込むことができ、心臓制御システム1のコントローラ3は対象の身体の外側で実行される。
【0185】
いくつかの例では、対象の身体に埋め込まれる心臓制御システムの少なくともいくつかの部分は、生体適合性材料の外面を有する。
【0186】
いくつかの例では、心臓制御システムを使用して、心機能の自律神経制御を実行することができる。いくつかの例では、心臓制御システムを使用して、PID制御を実行することができる。
【0187】
いくつかの例では、神経データ収集および神経刺激は、完全に同じ埋め込み型装置および電極上で、異なる電極接点、異なる電極、および異なるチップを有するが、同じケーシングに収容されたチップまたは電極を有する同じチップ上で、または完全に別個に実行され得る。外部システムへの情報の送信は、自宅にいるときまたは充電中に接続されたローカルな基地局を経由したものであってもよいし、携帯電話またはWiFiデータ接続を介した直接接続であってもよい。
【0188】
いくつかの例では、神経変換器および神経刺激装置は、神経刺激装置と神経変換器との間のクロストークを排除するために、異なるモダリティを使用して動作するように構成され得る。例えば、神経変換器は電気的検知によって動作し、神経刺激装置は光遺伝学的刺激によって動作する。
【0189】
図示された例では、コントローラは単一のデータストアを備える。代替例では、単一のデータストアを複数のデータストアに置き換えることができる。特に、いくつかの例では、複数の異なるタイプのデータの各々に専用のデータストアが存在してもよい。
【0190】
図示された例では、コントローラは単一のプロセッサを備える。他の例では、複数のプロセッサを使用することができる。いくつかの例では、専用の機械学習プロセッサを使用して、機械学習モデルベースのプロセスを実行することができる。
【0191】
コントローラのモジュールは、ソフトウェアおよび/またはハードウェアで定義することができる。
【0192】
図示された例では、心臓制御システムは、単一の装置として形成された単一のコントローラを有する。これは必須ではなく、他の例では、心臓制御システムは複数のコントローラを含み得、そして1つ以上のコントローラは分散システムとして形成され得る。
【0193】
上述した例では、システムは閉ループ心臓制御システムである。これは必須ではない。いくつかの例では、システムは、閉ループ制御を提供しない心臓制御システムであり得る。
【0194】
本発明の説明されている実施形態では、システムは、任意の形態のコンピューティングおよび/または電子装置として実装され得る。
【0195】
コントローラは、ルーティング情報を収集および記録するために装置の動作を制御するコンピュータ実行可能命令を処理するためのマイクロプロセッサ、コントローラ、または任意の他の好適なタイプのプロセッサである1つ以上のプロセッサを含み得る。いくつかの例では、例えば、システムオンチップアーキテクチャが使用される場合、プロセッサは、方法の一部をハードウェア(ソフトウェアまたはファームウェアではなく)で実装する1つ以上の固定機能ブロック(アクセラレータとも呼ばれる)を含んでもよい。オペレーティングシステムまたは任意の他の好適なプラットフォームソフトウェアを含むプラットフォームソフトウェアは、アプリケーションソフトウェアが装置上で実行されることを可能にするために、コンピューティングベースの装置に提供されてもよい。
【0196】
コンピュータ実行可能命令は、コンピューティングベースの装置によってアクセス可能な任意のコンピュータ可読媒体を使用して提供され得る。コンピュータ可読媒体は、例えば、メモリおよび通信媒体などのコンピュータ記憶媒体を含み得る。メモリのような、コンピュータ可読記憶媒体は、コンピュータ可読命令、データ構造、プログラムモジュールまたは他のデータなどの情報を記憶するための任意の方法または技術で実装される揮発性および不揮発性、取り外し可能または取り外し不可能媒体を含み得る。コンピュータ記憶媒体には、RAM、ROM、EPROM、EEPROM、フラッシュメモリまたはその他のメモリ技術、CD-ROM、デジタル多用途ディスク(DVD)またはその他の光学ストレージ、磁気カセット、磁気テープ、磁気ディスクストレージまたは他の磁気記憶装置、またはコンピューティング装置がアクセスするための情報を保存するために使用され得る他の非伝送媒体が挙げられるが、これらに限定されない。対照的に、通信媒体は、コンピュータ可読命令、データ構造、プログラムモジュール、または他のデータを、搬送波または他の輸送メカニズムなどの変調されたデータ信号で具体化し得る。本明細書で定義されるように、コンピュータ記憶媒体は、通信媒体を含まない。
【0197】
「コンピュータ」という用語は、本明細書では、命令を実行することができるような処理能力を備えた任意の装置を指すために使用される。当業者は、そのような処理能力が多くの異なる装置に組み込まれ、したがって「コンピュータ」という用語がPC、サーバ、携帯電話、携帯情報端末、および他の多くの装置を含むことを理解するであろう。
【0198】
当業者は、プログラム命令を記憶するために利用されるストレージ装置がネットワークにわたって分散されることができることを認識するであろう。例えば、リモートコンピュータは、ソフトウェアとして説明されたプロセスの例を記憶することができる。ローカルまたはターミナルコンピュータは、リモートコンピュータにアクセスし、プログラムを実行するためにソフトウェアの一部または全てをダウンロードすることができる。あるいは、ローカルコンピュータは、必要に応じてソフトウェアの一部をダウンロードするか、ローカル端末でソフトウェア命令を実行するか、リモートコンピュータ(またはコンピュータネットワーク)でソフトウェア命令を実行してもよい。当業者はまた、当業者に既知の従来の技術を利用することにより、ソフトウェア命令の全てまたは一部がDSP、プログラム可能論理アレイなどの専用回路によって実行されてもよいことを認識するであろう。
【0199】
上述の利益および利点は、一実施形態に関係する場合もあれば、いくつかの実施形態に関係する場合もあることが理解されよう。実施形態は、述べられた課題のいずれかまたは全てを解決するもの、または述べられた利益および利点のいずれかまたは全てを有するものに限定されるものではない。
【0200】
「an」という項目への任意の言及は、それらの項目の1つ以上を指す。「備える(comprising)」という用語は、本明細書では、識別された方法ステップまたは要素を含むことを意味するために使用されるが、そのようなステップまたは要素は、排他的リストを含まず、方法または装置は、追加のステップまたは要素を含むことができる。
【0201】
本明細書に記載される方法のステップの順序は例示的なものであるが、ステップは、任意の好適な順序で、または必要に応じて同時に実行されてもよい。さらに、本明細書で説明される主題の範囲から逸脱することなく、ステップを追加または置換することができ、または個々のステップを任意の方法から削除することができる。上記の例のいずれかの態様を、記載された他の例のいずれかの態様と組み合わせて、求められる効果を失うことなく、さらなる例を形成することができる。
【0202】
好ましい実施形態の上記の説明は、例としてのみ与えられており、当業者によって様々な変更が行われることができることが理解されるであろう。様々な実施形態がある程度の特殊性をもって、または1つ以上の個々の実施形態を参照して上記で説明されてきたが、当業者は、本発明の趣旨または範囲から逸脱することなく、開示された実施形態に多数の変更を加えることができる。
図1
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図9
【国際調査報告】