(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-08-02
(54)【発明の名称】クライアント側フォレンジックウォーターマーク装置、システム及び方法
(51)【国際特許分類】
H04N 21/431 20110101AFI20220726BHJP
H04N 21/435 20110101ALI20220726BHJP
H04N 21/8358 20110101ALI20220726BHJP
【FI】
H04N21/431
H04N21/435
H04N21/8358
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021571406
(86)(22)【出願日】2020-11-12
(85)【翻訳文提出日】2021-11-30
(86)【国際出願番号】 KR2020015908
(87)【国際公開番号】W WO2021101170
(87)【国際公開日】2021-05-27
(31)【優先権主張番号】10-2019-0151243
(32)【優先日】2019-11-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516046972
【氏名又は名称】インカ・エントワークス・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】INKA ENTWORKS, INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【氏名又は名称】飯野 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100219542
【氏名又は名称】大宅 郁治
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】パク、ビョンソン
(72)【発明者】
【氏名】パク、サンホ
(72)【発明者】
【氏名】ユン、ソンジュ
【テーマコード(参考)】
5C164
【Fターム(参考)】
5C164MB35P
5C164SB08S
5C164UA21S
5C164UA31S
5C164UB10P
5C164UB88P
(57)【要約】
本発明は、クライアント側フォレンジックウォーターマーク装置、システム及び方法に関し、本発明による、映像コンテンツからウォーターマークマスクを表示するウォーターマークマスク領域を選定し、ウォーターマークマスク領域に対するウォーターマーク領域情報を蓄積部に蓄積するコンテンツサーバーと通信することができるフォレンジックウォーターマーク装置は、コンテンツサーバーに、再生したい映像コンテンツを要請し、コンテンツサーバーから映像コンテンツ及びウォーターマーク領域情報を受信するダウンロード部と、ダウンロード部から入力されたウォーターマーク領域情報を利用し、ウォーターマークマスクを出力するウォーターマークマスク生成部と、ダウンロード部から入力された映像コンテンツのウォーターマークマスク領域に、ウォーターマークマスク生成部から入力されたウォーターマークマスクを重ね合わせるオーバーレイ部と、を提供することにより、クライアント側でフォレンジックウォーターマークを表示し、共謀攻撃に対応することができる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
映像コンテンツからウォーターマークマスクを表示するウォーターマークマスク領域を選定し、前記ウォーターマークマスク領域に対するウォーターマーク領域情報を蓄積部に蓄積するコンテンツサーバーと通信することができるフォレンジックウォーターマーク装置であって、
前記コンテンツサーバーに、再生したい前記映像コンテンツを要請し、前記コンテンツサーバーから前記映像コンテンツ及び前記ウォーターマーク領域情報を受信するダウンロード部と、
前記ダウンロード部から入力された前記ウォーターマーク領域情報を利用し、前記ウォーターマークマスクを出力するウォーターマークマスク生成部と、
前記ダウンロード部から入力された前記映像コンテンツの前記ウォーターマークマスク領域に、前記ウォーターマークマスク生成部から入力された前記ウォーターマークマスクを重ね合わせるオーバーレイ部と、を含むことを特徴とするフォレンジックウォーターマーク装置。
【請求項2】
前記ダウンロード部は、前記コンテンツサーバーからクライアントセッションIDをさらに受信し、
前記ウォーターマークマスク生成部は、前記ダウンロード部から入力された前記クライアントセッションIDを利用し、前記ウォーターマークマスクを生成して出力することを特徴とする、請求項1に記載のフォレンジックウォーターマーク装置。
【請求項3】
前記ウォーターマークマスク生成部は、前記ウォーターマークマスクを含むマスクフレームを生成し、
前記オーバーレイ部は、前記ダウンロード部から入力された前記映像コンテンツのうち、前記ウォーターマークマスク領域を含む映像フレーム上に、前記ウォーターマークマスク生成部から入力された前記マスクフレームを重ね合わせることを特徴とする、請求項2に記載のフォレンジックウォーターマーク装置。
【請求項4】
前記マスクフレームは、背景と前景とに区分し、非可視性のために、透明の程度を示すアルファ値を前記背景と前記前景とにそれぞれ異ならせて付与することを特徴とする、請求項3に記載のフォレンジックウォーターマーク装置。
【請求項5】
前記ウォーターマークマスク生成部は、前記ウォーターマーク領域情報から輝度値を抽出し、前記輝度値が所定の臨界値を基準に暗い値であると、前記背景として暗いアルファ値を選択することを特徴とする、請求項4に記載のフォレンジックウォーターマーク装置。
【請求項6】
前記マスクフレームが、前記映像コンテンツのうち、前記ウォーターマークマスク領域を含む映像フレーム上に重なり合うように、前記映像フレームに前記マスクフレームを同期化する同期管理部をさらに含むことを特徴とする、請求項3に記載のフォレンジックウォーターマーク装置。
【請求項7】
前記同期管理部は、前記ウォーターマークマスク領域を含む映像フレームに連続する映像フレームに変化がないことを示す重なり継続区間が受信されると、前記オーバーレイ継続区間の間、前記映像フレームに前記マスクフレームを重ね合わせるように、前記映像フレームに前記マスクフレームを同期化することを特徴とする、請求項6に記載のフォレンジックウォーターマーク装置。
【請求項8】
前記ウォーターマークマスクと関連し、前記コンテンツサーバーから受信された前記クライアントセッションIDが有効であるか、前記同期管理部が前記オーバーレイ継続期間に基づいて動作しているか、または前記オーバーレイ部の動作が除去され、前記映像コンテンツのみが表示されかをモニタリングする攻撃防御部をさらに含むことを特徴とする、請求項7に記載のフォレンジックウォーターマーク装置。
【請求項9】
フォレンジックウォーターマークシステムであって、
映像コンテンツから、ウォーターマークマスクを表示するウォーターマークマスク領域を選定し、前記ウォーターマークマスク領域に対するウォーターマーク領域情報を蓄積するコンテンツサーバーと、
請求項1乃至請求項8のいずれかに記載のフォレンジックウォーターマーク装置とを含み、
前記コンテンツサーバーは、前記ダウンロード部から、再生したい前記映像コンテンツの要請と共にクライアントメタデータを受信すると、前記映像コンテンツのクライアントを特定できる前記クライアントセッションIDを生成して、前記クライアントメタデータと共に前記クライアントセッションIDを前記蓄積部に蓄積することを特徴とする、フォレンジックウォーターマークシステム。
【請求項10】
前記コンテンツサーバーは、前記映像コンテンツのGOPコンテンツのうち、所定のフレームのブロックを分析して、前記ウォーターマークマスクを表示するブロックに対する位置情報を前記ウォーターマーク領域情報として蓄積することを特徴とする、請求項9に記載のフォレンジックウォーターマークシステム。
【請求項11】
映像コンテンツからウォーターマークマスクを表示するウォーターマークマスク領域を選定し、前記ウォーターマークマスク領域に対するウォーターマーク領域情報を蓄積部に蓄積するコンテンツサーバーと通信できるフォレンジックウォーターマーク装置によって行われるフォレンジックウォーターマーク方法であって、
前記コンテンツサーバーに、再生したい前記映像コンテンツを要請し、前記コンテンツサーバーから前記映像コンテンツ及び前記ウォーターマーク領域情報を受信する段階と、
前記受信する段階で受信した前記ウォーターマーク領域情報を用いて、前記ウォーターマークマスクを出力する段階と、
前記受信する段階で受信された前記映像コンテンツの前記ウォーターマークマスク領域に、前記出力する段階で出力された前記ウォーターマークマスクを重ね合わせる段階と、を含むことを特徴とするフォレンジックウォーターマーク方法。
【請求項12】
前記受信する段階は、前記コンテンツサーバーからクライアントセッションIDをさらに受信して、
前記出力する段階は、前記受信する段階で受信された前記クライアントセッションIDを利用し、前記ウォーターマークマスクを生成して出力することを特徴とする、請求項11に記載のフォレンジックウォーターマーク方法。
【請求項13】
前記生成する段階は、前記ウォーターマークマスクを含むマスクフレームを生成することを含み、
前記重ね合わせる段階は、前記マスクフレームを、前記映像コンテンツのうち、前記ウォーターマークマスク領域を含む映像フレームに同期化させることにより、前記映像フレーム上に、前記生成する段階で生成した前記マスクフレームを重ね合わせることを特徴とする、請求項11または12に記載のフォレンジックウォーターマーク方法。
【請求項14】
前記ウォーターマークマスクと関連し、前記コンテンツサーバーから受信した前記クライアントセッションIDが有効であるか、または前記重ね合わせる段階の動作が除去され、前記映像コンテンツのみが表示されるかをモニタリングする段階をさらに含めることを特徴とする、請求項13に記載のフォレンジックウォーターマーク方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クライアント側フォレンジックウォーターマーク装置、システム及び方法に関し、ウォーターマークマスクを用いて、クライアント側でフォレンジックウォーターマークを表示することができるクライアント側フォレンジックウォーターマーク装置、システム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
サーバー側でフォレンジックウォーターマークを埋め込む接近方式は、たくさんのサーバーリソースが必要となるだけでなく、実時間応答性に劣るという短所がある。したがって、サーバー側でフォレンジックウォーターマークを埋め込むためには、実時間にユーザー情報を埋め込まなければならないという問題を克服しなければならない。このような問題を克服するために、前処理過程を通じて、映像コンテンツにウォーターマーク0を埋め込んだ0コンテンツファイルと、映像コンテンツにウォーターマーク1を埋め込んだ1コンテンツファイルを生成した後、ユーザー情報に基づいて、実時間に前処理過程で生成された0コンテンツファイルと1コンテンツファイルとを組み合わせてフォレンジックウォーターマークを埋め込む方式が使用されている。しかしながら、この方式は、複数のユーザーがそれぞれ自分の持ったコンテンツの一部区間を混ぜて、容易にフォレンジックウォーターマークを無力化することができるという致命的な短所がある。例えば、2人のユーザーがそれぞれダウンロードしたコンテンツセクションを混ぜて、全く違うコンテンツファイルを作り出し、サービス提供者が埋め込んだ情報を無力化することができる。
【0003】
また、映像コンテンツにハードウェアDRM(Digital Rights Management)が適用されている場合、映像を操作する方式では、ウォーターマークを埋め込むことができない。従って、ハードウェアDRMが適用されている映像コンテンツにも埋め込み可能なフォレンジックウォーターマークの表現方法が求められている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述の問題点を解決するために、本発明は、ウォーターマークマスクを用いて、クライアント側でフォレンジックウォーターマークを表示することができるクライアント側フォレンジックウォーターマーク装置、システム及び方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述の目的を達成するために、本発明の一実施例による、映像コンテンツからウォーターマークマスクを表示するウォーターマークマスク領域を選定し、前記ウォーターマークマスク領域に対するウォーターマーク領域情報を蓄積部に蓄積するコンテンツサーバーと通信することができるフォレンジックウォーターマーク装置は、前記コンテンツサーバーに、再生したい前記映像コンテンツを要請し、前記コンテンツサーバーから前記映像コンテンツ及び前記ウォーターマーク領域情報を受信するダウンロード部と、前記ダウンロード部から入力された前記ウォーターマーク領域情報を利用し、前記ウォーターマークマスクを出力するウォーターマークマスク生成部と、前記ダウンロード部から入力された前記映像コンテンツの前記ウォーターマークマスク領域に、前記ウォーターマークマスク生成部から入力された前記ウォーターマークマスクを重ね合わせるオーバーレイ部と、を含む。
【0006】
前記ダウンロード部は、前記コンテンツサーバーからクライアントセッションID(Client-session-ID)をさらに受信することができて、前記ウォーターマークマスク生成部は、前記ダウンロード部から入力された前記クライアントセッションIDを利用し、前記ウォーターマークマスクを生成して出力することができる。
【0007】
前記ウォーターマークマスク生成部は、前記ウォーターマークマスクを含むマスクフレームを生成することができる。前記オーバーレイ部は、前記ダウンロード部から入力された前記映像コンテンツのうち、前記ウォーターマークマスク領域を含む映像フレーム上に、前記ウォーターマークマスク生成部から入力された前記マスクフレームを重ね合わせることができる。
【0008】
前記マスクフレームは、背景と前景とに区分され、非可視性のために、透明の程度を示すアルファ値を前記背景と前記前景とにそれぞれ異ならせて付与することができる。
【0009】
前記ウォーターマークマスク生成部は、前記ウォーターマーク領域情報から輝度値を抽出し、前記輝度値が所定の臨界値を基準に暗い値であれば、前記背景として暗いアルファ値を選択することができる。
【0010】
前記フォレンジックウォーターマーク装置は、前記マスクフレームが、前記映像コンテンツのうち、前記ウォーターマークマスク領域を含む映像フレーム上に重なり合うように、前記映像フレームに前記マスクフレームを同期化する同期管理部をさらに含むことができる。
【0011】
前記同期管理部は、前記ウォーターマークマスク領域を含む映像フレームに連続する映像フレームに変化がないことを示すオーバーレイ継続区間が受信されると、前記オーバーレイ継続区間(Overlay-duration)の間、前記映像フレームに前記マスクフレームを重ね合わせるように、前記映像フレームに前記マスクフレームを同期化することができる。
【0012】
前記フォレンジックウォーターマーク装置は、前記ウォーターマークマスクと関連し、前記コンテンツサーバーから受信された前記クライアントセッションIDが有効であるか、前記同期管理部が前記オーバーレイ継続期間に基づいて動作しているか、または前記オーバーレイ部の動作が除去され、前記映像コンテンツのみが表示されかをモニタリングする攻撃防御部をさらに含むことができる。
【0013】
本発明の他の実施例によるフォレンジックウォーターマークシステムは、映像コンテンツから、ウォーターマークマスクを表示するウォーターマークマスク領域を選定し、前記ウォーターマークマスク領域に対するウォーターマーク領域情報を蓄積するコンテンツサーバーと、上述のフォレンジックウォーターマーク装置とを含むことができ、前記コンテンツサーバーは、前記ダウンロード部から、再生したい前記映像コンテンツの要請と共にクライアントメタデータを受信すると、前記映像コンテンツのクライアントを特定できる前記クライアントセッションIDを生成して、前記クライアントメタデータと共に前記クライアントセッションIDを前記蓄積部に蓄積することにより、上述の目的を達成することができる。
【0014】
前記コンテンツサーバーは、前記映像コンテンツのGOPコンテンツのうち、所定のフレームのブロックを分析して、前記ウォーターマークマスクを表示するブロックに対する位置情報を前記ウォーターマーク領域情報として蓄積することができる。
【0015】
本発明のまた他の実施例による、映像コンテンツからウォーターマークマスクを表示するウォーターマークマスク領域を選定し、前記ウォーターマークマスク領域に対するウォーターマーク領域情報を蓄積部に蓄積するコンテンツサーバーと通信できるフォレンジックウォーターマーク装置によって行われるフォレンジックウォーターマーク方法は、前記コンテンツサーバーに、再生したい前記映像コンテンツを要請し、前記コンテンツサーバーから前記映像コンテンツ及び前記ウォーターマーク領域情報を受信する段階と、前記受信する段階で受信した前記ウォーターマーク領域情報を用いて、前記ウォーターマークマスクを出力する段階と、前記受信する段階で受信された前記映像コンテンツの前記ウォーターマークマスク領域に、前記出力する段階で出力された前記ウォーターマークマスクを重ね合わせる段階と、を含むことにより、上述の目的を達成することができる。
【発明の効果】
【0016】
上述の構成により、本発明は、クライアント側でフォレンジックウォーターマークを表示することにより、共謀攻撃に対応することができる。
【0017】
また、本発明は、映像コンテンツにハードウェアDRM(Digital Rights Management)が適用されている場合でも、フォレンジックウォーターマークを表示することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の一実施例によるフォレンジックウォーターマーク装置を示すブロック図である。
【
図2】
図1のブロック分析部で選択されたブロックの一例を示す。
【
図3】
図1のウォーターマークマスク生成部に生成されたウォーターマークマスクフレームの一例を示す。
【
図4】
図1の同期管理部で管理されるオーバーレイ継続区間の一例を示す。
【
図5】
図1のコンテンツオーバーレイ部で重ねられた映像の一例を示す。
【
図6】本発明の他の実施例によるフォレンジックウォーターマーク方法を示す流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、添付の図面を参照し、本発明によるクライアント側フォレンジックウォーターマーク装置、システム及び方法の好ましい実施例を説明する。ちなみに、本発明を説明するにあたって、本発明の構成要素を指す用語は、それぞれの構成要素の機能を考慮して命名されたもので、本発明の技術的構成要素を限定する意味として理解されてはならない。
【0020】
図1は、本発明の一実施例によるフォレンジックウォーターマーク装置を示すブロック図であり、
図2は、
図1のブロック分析部で選択されたブロックの一例を示す図であって、
図3は、
図1のウォーターマークマスク生成部に生成されたウォーターマークマスクフレームの一例を示す図であり、
図4は、
図1の同期管理部で管理されるオーバーレイ継続区間の一例を示す図であって、
図5は、
図1のコンテンツオーバーレイ部で重ねられた映像の一例を示す図である。
【0021】
図1に示されたように、フォレンジックウォーターマークシステムは、コンテンツサーバー110及びフォレンジックウォーターマーク装置120を含む。
【0022】
コンテンツサーバー110は、フレーム抽出部112、ブロック分析部114、コンテンツ蓄積部116及びデータベース蓄積部118を含む。
【0023】
フレーム抽出部112は、映像コンテンツからイントラフレームを抽出する。 映像コンテンツは、複数のGOP(Group Of Pictures)を含むことができる。ここで、GOPは、フレーム内の符号化映像であるイントラフレーム(I frame)、フレーム間の順方向予測の符号化映像である予測フレーム(P frame)、及び双方向予測符号化映像である双方向予測フレーム(B frame)を含み、例えば、一つのGOPは、I、B、B、P、B、B、P、B、B、P、B、B、P、B、Bから構成できる。 ここで、フレーム抽出部114が抽出するフレームの例としてイントラフレームが用いられただけで、予測フレーム(P frame)と双方向予測フレーム(B frame)を排除するわけではない。
【0024】
ブロック分析部114は、フレーム抽出部112から抽出されて出力されたイントラフレームの入力を受けて、完全なウォーターマーク情報を表現できるブロックを分析し、フォレンジックウォーターマーク装置120でウォーターマークマスクが表示されるフレームを選択することができる。この場合、一つのフレーム内に全てのペイロードを表現できるブロックがあるかを分析し、そのフレームを選択することができる。
【0025】
ブロック分析部114は、符号化された映像のイントラフレームから所定大きさ以下のブロック、即ち、符号化された映像の最も小さいブロックを選択する。 ブロック分析部114は、例えば、イントラフレームから4×4の予測ブロックの輝度(luminance)信号を選択することができる。これにより、イントラフレームにおいて所定大きさより大きいブロックで符号化されたブロックは、ウォーターマーク情報を埋め込むブロック候補群から除外される。所定大きさより大きいブロックで符号化されたブロックを候補群から除く理由は、これらのブロックの映像が平坦な(smooth)映像に近いため、このようなブロックにウォーターマークが埋め込まれた場合、目立つ可能性が大きいからである。したがって、HEVC規格において、あるブロックが32×32、32×16、16×32及び16×16のブロックのいずれかによって符号化されている場合、このブロックは、平坦化映像に近いものと考慮され、AVC規格において、あるブロックが16×16、8×16及び16×8のブロックのいずれかによって符号化されている場合、このブロックは、平坦化映像に近いものと考慮される。
【0026】
ブロック分析部114は、所定大きさ以下のブロックのみから構成されたマクロブロックを選択する。ブロック分析部114は、例えば、AVC規格の場合、符号化された映像のイントラフレームから選択された4×4のサブブロックのみから構成された16×16のマクロブロックを選択することができる。
【0027】
ブロック分析部114は、選択されたマクロブロックの量子化係数の中で、0ではない量子化係数(nonzero quantized coefficients:NNZ)の数が所定の個数(Nt)より大きいかどうかを確認する。NNZの数が所定の個数(Nt)より大きい場合、ブロック分析部114は、当該ブロックを、ウォーターマーク情報の埋め込み可能なブロックとして選択する。NNZが小さい場合は、映像復号化過程で当該マクロブロックの元の情報をたくさん失ってしまい、同期化エラーが大きくなる可能性があるため、それらを考慮して所定の個数(Nt)を設定することが重要である。
【0028】
ブロック分析部114は、ウォーターマーク情報を埋め込めるマクロブロックの数が、ウォーターマーク情報をペイロードする数の所定個数、例えば64個以上であれば、そのマクロブロックをウォーターマーク情報が表示されるフレームとして選択する。ブロック分析部114で分析した結果によるブロックの一例が
図2に示されている。
図2において、フレームがそれぞれイントラフレームに該当するとすれば、第1GOPのイントラフレーム(Frame-1)及び第1GOPのイントラフレーム(Frame-3)が、フォレンジックウォーターマーク装置120でウォーターマークマスクが表示されるフレームとして選択されたことになる。
【0029】
一方、フォレンジックウォーターマーク装置120において、ウォーターマークマスクが重ねられた映像は、時間的フリッカー(temporal flicker)が生じ得る。 ブロック分析部114は、このような時間的フリッカーを防止または減少させるために、擬似動きベクター(pseudomotion vector)を計算し、ウォーターマークマスクが表示される最終マクロブロックを決定することができる。
【0030】
ブロック分析部114は、ウォーターマークマスクが表示される最終マクロブロックが決定されると、フレーム情報(Frame Number)及びフレーム内のブロックの位置情報(Block-Location)をデータベース蓄積部118に蓄積する。一方、ブロック分析部は、ウォーターマークマスクが表示される最終マクロブロックの輝度情報を蓄積することができる。
【0031】
コンテンツ蓄積部116は、映像コンテンツと完全に同一なコンテンツを蓄積することができ、装置によっては、ウォーターマークマスクが後からフレーム上に表示されるという情報がシーケンスヘッダに含まれたコンテンツを蓄積することができるが、映像フレーム自体に変形があるわけではないため、本発明では、このような全てのコンテンツを映像コンテンツとして統一して使用する。
【0032】
データベース蓄積部118には、ブロック分析部114で選択されたフレーム情報と、フレーム内のブロックの位置情報と、輝度情報とがウォーターマーク領域情報として蓄積される。このウォーターマーク領域情報は、後でフォレンジックウォーターマーク情報を表示するように、フォレンジックウォーターマーク装置120に送信される。フォレンジックウォーターマーク装置120から映像コンテンツが要請され、コンテンツ再生時点でフォレンジックウォーターマーク装置120またはユーザーなどを特定できるクライアントセッションID(Client-Session-ID)が生成された場合は、データベース蓄積部118にクライアントメタデータと共にこのクライアントセッションIDも蓄積される。
【0033】
フォレンジックウォーターマーク装置120は、ダウンロード部122、ウォーターマークマスク生成部124、同期管理部126、オーバーレイ部128、ディスプレイ部130、及び攻撃防御部132を含む。
【0034】
ダウンロード部122は、コンテンツサーバー110に視聴しようとするコンテンツを要請し、ダウンロードされたコンテンツを管理して再生する。ダウンロード部122は、コンテンツサーバー110から映像コンテンツだけではなく、クライアントセッションID、ウォーターマーク領域情報、及びオーバーレイ継続期間を受信する。
【0035】
ウォーターマークマスク生成部124は、ダウンロード部122からクライアントセッションID及びウォーターマーク領域情報を受信する。ウォーターマークマスク生成部124は、クライアントセッションIDを使用してウォーターマークマスクを生成し、ウォーターマーク領域情報を用いてマスクフレームのブロックにウォーターマークマスクを提供する。
図1では、ウォーターマークマスクがフォレンジックウォーターマーク装置120で生成されるものとして説明されているが、ウォーターマークマスクは、コンテンツサーバー110からも受信することができる。
【0036】
ウォーターマークマスクは、映像コンテンツ上に半透明の形で重ねられる。 したがって、ウォーターマークマスクは、可視的に識別することができない。ウォーターマークマスク生成部124に生成されたウォーターマークマスクフレームの一例が
図3に示されている。
【0037】
図3に示されたように、例えば、クライアントセッションIDがABCである場合、ウォーターマークマスクは、マスクフレーム内にABCと表示される。この場合、非可視性のために、透明度を表すアルファ(alpha)でウォーターマークを表示することができるが、完全透明は、0.0であって、完全不透明は、1.0である。本実施例では、このようなアルファの表示として、例えば、(1)背景(Background):Black Alpha0.0及び前景(Foreground):White Alpha0.1、(2)背景:Black Alpha0.1及び前景:White Alpha0.0、(3)背景:White Alpha0.0及び前景:Black Alpha0.1、(4)背景:White Alpha0.1及び前景:Black Alpha0.0を使用した。このようなアルファ値は、ウォーターマーク領域情報に含まれた輝度情報を利用して選択することができる。例えば、コンテンツ映像の輝度が暗いと、背景は、Black Alphaを選択し、輝度値によってBlack Alpha値を選択して、コンテンツ映像の輝度が明るいと、背景は、White Alphaを選択し、輝度値によってWhite Alpha値を選択する。ここで、実施例のアルファ値は例示であって、輝度情報によって変更できる。
【0038】
同期管理部126は、ウォーターマークマスクが映像コンテンツの適切な時点に重ね合わせられるように、コンテンツフレームとマスクフレームとを同期化させる。一つのウォーターマークマスクは、1つ以上のフレームにわたって、その上に重ね合わせられる。同期管理部126で管理されるオーバーレイ継続区間の一例が
図4に示されている。
図4に示されているように、ウォーターマークマスク1(Overlay-Mask-1)は、3つのフレームにわたって、その上に重なり合っており、ウォーターマーク2(Overlay-Mask-2)は、1つのフレームにのみ重なり合っている。
【0039】
図4では、ウォーターマークマスク1は、3つのフレームにわたって、その上に重なり合っているが、これは、例えば動画のGOPにおいてIフレームに連続した2つのフレームにウォーターマークマスク1を表示することを意味する。この場合、それはIフレームに連続した2つのフレームの場面には、時間的変化がないことを意味し、このような情報は、コンテンツのGOPヘッダ情報などから得ることができる。
【0040】
オーバーレイ部128は、マスクフレームを、再生されるコンテンツフレーム上に重ね合わせる。コンテンツオーバーレイ部128で重ね合わせられた映像の一例が
図5に示されている。オーバーレイ部128は、必要に応じて、コンテンツフレームの色相及び濃度などを考慮し、マスクフレームの濃度などを変えてマスクフレームを重ね合わせることができる。
【0041】
ディスプレー部130は、オーバーレイ部128で重ね合わせられた動画を表示する。この場合、ディスプレー部130に表示された動画では、肉眼でウォーターマークマスクを認識することができない。
【0042】
攻撃防御部132は、ウォーターマークマスクを除去する外部攻撃があるかどうかをモニタリングする。攻撃防御部132は、オーバーレイ部128に提供されるウォーターマーク領域情報とクライアントセッションIDとが有効であるかをモニタリングし、同期管理部126がウォーターマーク領域情報とオーバーレイ継続期間情報とに基づいて動作しているかをモニタリングする。また、攻撃防御部132は、オーバーレイ部128の動作が除去されて、ディスプレイ部130に映像コンテンツのみが表示されているかなどをモニタリングする。モニタリング中に外部攻撃を検知すると、再生を停止し、ディスプレイ部130に映像コンテンツが表示されないようにする。
【0043】
図6は、本発明のまた一つの実施例によるフォレンジックウォーターマーク方法を示す流れ図である。
【0044】
フレーム抽出部112は、映像コンテンツから所定のフレーム、例えばイントラフレームを抽出する(S602)。ブロック分析部114は、フレーム抽出部112から抽出されて出力されたイントラフレームの入力を受けて、完全なウォーターマーク情報を表現できるブロックを分析し、フォレンジックウォーターマーク装置120でウォーターマークマスクが表示されるフレームを選択する(S604)。ブロック分析部114は、ウォーターマークマスクが表示されるマクロブロックが決定されると、フレーム情報及びフレーム内のブロックの位置情報をデータベース蓄積部に蓄積する(S606)。一方、ブロック分析部は、ウォーターマークマスクが表示されるマクロブロックの輝度情報をさらに蓄積することができる。
【0045】
コンテンツ蓄積部116には、オリジナルコンテンツ、即ち、映像コンテンツと完全に同一のコンテンツが蓄積される(S608)。コンテンツサーバー110によっては、ウォーターマークマスクが後からフレーム上に表示されるという情報がシーケンスヘッダに含まれたコンテンツがコンテンツ蓄積部116に蓄積されることができるが、映像フレーム自体に変形があるわけではないため、本発明では、このような全てのコンテンツをオリジナルコンテンツとして統一して使用する。
【0046】
フォレンジックウォーターマーク装置120から映像コンテンツが要請され、コンテンツ再生時点でフォレンジックウォーターマーク装置120またはユーザーなどを特定できるクライアントセッションIDが生成された場合は、データベース蓄積部118にクライアントメタデータと共に、該クライアントセッションIDを蓄積する(S610)。
【0047】
ダウンロード部122は、コンテンツサーバー110から映像コンテンツとウォーターマーク領域情報を受信するS612。ダウンロード部122は、ウォーターマーク領域情報の他に、クライアントセッションID及びオーバーレイ継続期間をさらに受信することができる。
【0048】
ウォーターマークマスク生成部124は、ダウンロード部122からクライアントセッションID及びウォーターマーク領域情報を受信する。ウォーターマークマスク生成部124は、クライアントセッションIDを使用してウォーターマークマスクを生成し、ウォーターマーク領域情報を用いてマスクフレームのブロックにウォーターマークマスクを提供し、マスクフレームを出力する(S614)。
【0049】
同期管理部126は、ウォーターマークマスクが映像コンテンツの適切な時点に重なり合うよう、コンテンツフレームとマスクフレームとを同期化させる(S616)。一つのウォーターマークマスクは、1つ以上のフレームにわたって、その上に重なり得る。
【0050】
オーバーレイ部128は、マスクフレームを、再生されるコンテンツフレーム上に重ね合わせる(S618)。コンテンツオーバーレイ部128で重ねられた映像の一例が
図5に示されている。オーバーレイ部128は、必要で応じて、コンテンツフレームの色相及び濃度などを考慮し、マスクフレームの濃度などを変えてマスクフレームを重ね合わせることができる。
【0051】
ディスプレー部130は、オーバーレイ部128で重ね合わせられた動画を表示する(S620)。この場合、ディスプレー部130に表示された動画では、肉眼でウォーターマークマスクを認識することができない。
【0052】
本発明の実施例では、ブロックを分析して選択することを例示として説明したが、場合によっては、固定されたブロックを選択して利用することもできる。
【0053】
以上、説明した本発明の実施例は、本発明の技術思想を例示的に示したものに過ぎず、本発明の保護範囲は、以下の特許請求範囲によって解すべきである。また、本発明の属する技術分野で通常の知識を有する者であれば、本発明の本質的な特性を逸脱することなく様々な変更や修正を加えることがき、本発明と同等の範囲内にある全ての技術思想は、本発明の権利範囲に含まれるものと解すべきである。
【国際調査報告】