(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-08-02
(54)【発明の名称】核酸検出用多価核酸ナノ構造体及びこれを用いた高感度核酸探針
(51)【国際特許分類】
C12Q 1/6876 20180101AFI20220726BHJP
G01N 33/53 20060101ALI20220726BHJP
G01N 33/542 20060101ALI20220726BHJP
C12N 15/11 20060101ALN20220726BHJP
【FI】
C12Q1/6876 Z ZNA
G01N33/53 M
G01N33/542 A
C12N15/11 Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021571428
(86)(22)【出願日】2020-05-28
(85)【翻訳文提出日】2022-01-27
(86)【国際出願番号】 KR2020006934
(87)【国際公開番号】W WO2020242226
(87)【国際公開日】2020-12-03
(31)【優先権主張番号】10-2019-0062639
(32)【優先日】2019-05-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521521091
【氏名又は名称】プロジニア インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】PROGENEER INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100139594
【氏名又は名称】山口 健次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100090251
【氏名又は名称】森田 憲一
(72)【発明者】
【氏名】オム スンホ
(72)【発明者】
【氏名】アン ソヨン
(72)【発明者】
【氏名】シン スンウォン
【テーマコード(参考)】
4B063
【Fターム(参考)】
4B063QA01
4B063QA13
4B063QA18
4B063QQ03
4B063QQ42
4B063QQ52
4B063QR08
4B063QR55
4B063QS24
4B063QS34
4B063QX02
(57)【要約】
本発明は、核酸バイオマーカーの探知効率を上げるための核酸プローブシステムであって、一本鎖ベースのプローブ配列を核酸ナノ構造体に集約させる方法によりバイオマーカーに対する探知効率及び検出感度を改善した発明であり、そのために開発した本発明の核酸ナノ構造体は、プローブ配列の局所的集約を用いて単純拡散による分子間衝突/反応段階の一部を構造体内部の速い反応に転換させ、構造的柔軟性によって構造体内速い信号増幅機序を活性化させることによって検出能力を増進させ、よって、検出能力を増進させ、検出限界を効果的に下げ得る効果がある。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヘアピン構造を有し、ターゲット核酸と特異的に結合する塩基配列を含むプローブ対がそれぞれ互いに相補的な配列を含む構造体核酸と連結されてプローブ-構造体鎖をそれぞれ形成し、前記それぞれのプローブ-構造体鎖は、前記構造体核酸間の相補的結合によって互いにハイブリダイズされていることを特徴とする核酸ナノ構造体。
【請求項2】
前記プローブ対のプローブはそれぞれ、互いに相補的な配列を含むことを特徴とする、請求項1に記載の核酸ナノ構造体。
【請求項3】
前記構造体核酸の3’末端にプローブが連結されることを特徴とする、請求項1に記載の核酸ナノ構造体。
【請求項4】
以下の(i)~(iii)からなる群から選ばれることを特徴とする、請求項1に記載の核酸ナノ構造体:
(i)1対のプローブを含む核酸ナノ構造体;
(ii)2対のプローブを含む核酸ナノ構造体;及び
(iii)3対のプローブを含む核酸ナノ構造体。
【請求項5】
前記1対のプローブを含む核酸ナノ構造体は、直線形の両端にプローブ対の各一本鎖プローブを含むダイマー型(D型)構造体であって、第1プローブ-第1構造体鎖及び第2プローブ-第2構造体鎖で構成されており、互いに相補的な配列を有する第1構造体鎖と第2構造体鎖が互いに相補的に結合していることを特徴とする、請求項4に記載の核酸ナノ構造体。
【請求項6】
前記1対のプローブを含む核酸ナノ構造体は、3個の二本鎖腕のうち2個の腕の端にプローブ対の各一本鎖プローブを含むY型構造体であって、
第1プローブ-第1構造体鎖、第2構造体鎖、及び第2プローブ-第3構造体鎖で構成されており、
第1構造体核酸は、第2構造体核酸の一部配列と相補的な配列及び第3構造体核酸の一部配列と相補的な配列を含み、第2構造体核酸は、第1構造体核酸の一部配列と相補的な配列及び第3構造体核酸の一部配列と相補的な配列を含み、第3構造体核酸は、第1構造体核酸の一部配列と相補的な配列及び第2構造体核酸の一部配列と相補的な配列を含み、
前記第1プローブ-第1構造体鎖、第2構造体鎖、及び第2プローブ-第3構造体鎖が互いに相補的に結合していることを特徴とする、請求項4に記載の核酸ナノ構造体。
【請求項7】
前記1対のプローブを含む核酸ナノ構造体は、十字型の4個の二本鎖腕のうち2個の腕の端にプローブ対の各一本鎖プローブを含む2腕テトラマー(2-Arm Tetramer)構造体であって、
第1プローブ-第1構造体鎖、第2構造体鎖、第3構造体鎖、及び第2プローブ-第4構造体鎖で構成されており、
第1構造体核酸は、第2構造体核酸の一部配列と相補的な配列及び第4構造体核酸の一部配列と相補的な配列を含み、第2構造体核酸は、第1構造体核酸の一部配列と相補的な配列及び第3構造体核酸の一部配列と相補的な配列を含み、第3構造体核酸は、第1構造体核酸の一部配列と相補的な配列及び第4構造体核酸の一部配列と相補的な配列を含み、第4構造体核酸は、第3構造体核酸の一部配列と相補的な配列及び第1構造体核酸の一部配列と相補的な配列を含み、
前記第1プローブ-第1構造体鎖、第2構造体鎖、第3構造体鎖、及び第2プローブ-第4構造体鎖が互いに相補的に結合していることを特徴とする、請求項4に記載の核酸ナノ構造体。
【請求項8】
前記2対のプローブを含む核酸ナノ構造体は、4個の二本鎖腕の端に2対のプローブの各一本鎖プローブを含むテトラマー型(T型)構造体であって、
第1プローブ-第1構造体鎖、第2プローブ-第2構造体鎖、第1プローブ-第3構造体鎖、及び第2プローブ-第4構造体鎖で構成されており、
第1構造体核酸は、第2構造体核酸の一部配列と相補的な配列及び第4構造体核酸の一部配列と相補的な配列を含み、第2構造体核酸は、第1構造体核酸の一部配列と相補的な配列及び第3構造体核酸の一部配列と相補的な配列を含み、第3構造体核酸は、第2構造体核酸の一部配列と相補的な配列及び第4構造体核酸の一部配列と相補的な配列を含み、第4構造体核酸は、第1構造体核酸の一部配列と相補的な配列及び第3構造体核酸の一部配列と相補的な配列を含み、前記第1プローブ-第1構造体鎖、第2プローブ-第2構造体鎖、第1プローブ-第3構造体鎖、及び第2プローブ-第4構造体鎖が互いに相補的に結合していることを特徴とする、請求項4に記載の核酸ナノ構造体。
【請求項9】
前記3対のプローブを含む核酸ナノ構造体はプローブ対の各一本鎖プローブを交互に6個の二本鎖腕の端に含むヘキサマー型(H型)構造体であって、
前記3対のプローブを含む核酸ナノ構造体はプローブ対の各一本鎖プローブを交互に6個の二本鎖腕の端に含むヘキサマー型(H型)構造体であって、
第1プローブ-第1構造体鎖、第2プローブ-第2構造体鎖、第1プローブ-第3構造体鎖、第2プローブ-第4構造体鎖、第1プローブ-第5構造体鎖、及び第2プローブ-第6構造体鎖で構成されており、
第1構造体核酸は、第2構造体核酸と相補的な配列及び第6構造体核酸の一部配列と相補的な配列を含み、第2構造体核酸は、第1構造体核酸の一部配列と相補的な配列及び第3構造体核酸の一部配列と相補的な配列を含み、第3構造体核酸は、第2構造体核酸の一部配列と相補的な配列及び第4構造体核酸の一部配列と相補的な配列を含み、第4構造体核酸は、第3構造体核酸の一部配列と相補的な配列及び第5構造体核酸の一部配列と相補的な配列を含み、第5構造体核酸は、第4構造体核酸の一部配列と相補的な配列及び第6構造体核酸の一部配列と相補的な配列を含み、第6構造体核酸は、第1構造体核酸の一部配列と相補的な配列及び第5構造体核酸の一部配列と相補的な配列を含み、前記第1プローブ-第1構造体鎖、第2プローブ-第2構造体鎖、第1プローブ-第3構造体鎖、第2プローブ-第4構造体鎖、第1プローブ-第5構造体鎖、及び第2プローブ-第6構造体鎖が互いに相補的に結合していることを特徴とする、請求項4に記載の核酸ナノ構造体請求項4に記載の核酸ナノ構造体。
【請求項10】
核酸は、DNA、RNA、又はDNA及びRNAである、請求項1に記載の核酸ナノ構造体。
【請求項11】
5’末端又は3’末端に消光剤(quencher)を含み、3’末端又は5’末端に蛍光団(fluorophore)を含む、請求項1に記載の核酸ナノ構造体。
【請求項12】
請求項1に記載の核酸ナノ構造体を含むターゲット核酸検出用組成物。
【請求項13】
請求項12に記載の核酸検出用組成物を含む診断キット。
【請求項14】
次の段階を含む核酸ナノ構造体の製造方法:
(a)ヘアピン構造を有し、ターゲット核酸と特異的に結合する塩基配列を有するプローブ対がそれぞれ互いに相補的な配列を含む構造体核酸と連結されているプローブ-構造体鎖を作製する段階;及び
(b)前記プローブ-構造体鎖を互いにアニールさせ、核酸ナノ構造体を得る段階。
【請求項15】
(a)段階において、プローブ-構造体鎖は、95℃から4℃まで-0.5℃/30秒の速度でアニールしてプローブと構造体核酸とを連結することを特徴とする、請求項14に記載の核酸ナノ構造体の製造方法。
【請求項16】
(b)段階において、プローブ-構造体鎖の濃度をそれぞれ500~700nMとし、40~45℃で3~10分間維持した後、4℃まで-0.5℃/30秒の速度でアニールすることを特徴とする、請求項14に記載の核酸ナノ構造体の製造方法。
【請求項17】
(b)段階において、プローブ-構造体鎖の濃度をそれぞれ800~1000nMとし、40~45℃で3~10分間維持した後、4℃まで-0.5℃/30秒の速度でアニールすることを特徴とする、請求項14に記載の核酸ナノ構造体の製造方法。
【請求項18】
(b)段階において、プローブ-構造体鎖の濃度をそれぞれ1100~1300nMとし、40~45℃で3~10分間維持した後、4℃まで-0.5℃/30秒の速度でアニールすることを特徴とする、請求項14に記載の核酸ナノ構造体の製造方法。
【請求項19】
(b)段階において、プローブ-構造体鎖の濃度をそれぞれ1700~1900nMとし、50~60℃で3~10分間維持した後、4℃まで-0.1℃/144秒の速度でアニールすることを特徴とする、請求項14に記載の核酸ナノ構造体の製造方法。
【請求項20】
請求項1に記載のナノ構造体又は請求項12に記載の核酸検出用組成物を用いたターゲット核酸の検出方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、核酸バイオマーカーの探知効率を上げるための核酸プローブシステムに関し、具体的に、一本鎖ベースのプローブ配列を核酸ナノ構造体に集約させる方法によりバイオマーカーに対する探知効率及び検出感度を改善した発明である。
【背景技術】
【0002】
特定の核酸(DNA又はRNA)又はタンパク質を検出する方法は、科学研究分野において基本的に重要な技術である。特定の核酸又はタンパク質を検出し同定可能になることにより、研究者らは、どのような遺伝的、生物学的標識が人の健康状態を示す指標となるかを判定することが可能になった。このような核酸とタンパク質を検出する方法を用いると、試料に存在する病原体遺伝子の変形、又は特定遺伝子の発現などを発見することができる。このような分子診断は、DNA又はRNAなどの疾病の根本を診断することであり、感染疾患、癌診断、遺伝疾患及びカスタマイズ診断など、様々な分野で用いられている。代表的な分子診断技術には、短時間でDNAを増幅させるPCR技術がある(Saiki,R.,et.al.,Science 239:487-91.,1998)。しかしながら、一般のPCR技術は、増幅されたDNAを確認するために電気泳動方法を用いなければならない。このような電気泳動を行うためには、アガロースゲル(Agarose gel)を作り、DNAをEtBrなどで染色して確認しなければならず、面倒だった。また、最近用いられている実時間PCR方法は、蛍光を用いるものであって、電気泳動が不要であるが、高価の使用機器と高価の蛍光試薬を使用しなければならないという不具合があった(Higuchi,R.,et.al.,Nature Biotechnology 11:1026-1030,1993)。近年、現場診断概念のPCR製品であるCepheid社のGeneXprtシステムと試薬が開発され販売されているが、装備と試薬が非常に高価であるため、一般の検査に使用することは困難である(Helb,D.,et.al.,J.Clin.Microbiol.48:229-237,2010)。他の方法として、PCR後にゲル電気泳動に代えてメンブレインを使用して確認する核酸側面流れアッセイ(Nucleic Acid Lateral Flow Assay)がある(Aveyard,J.,et.al.,Chem.Commun.,41:4251-4253,2007)。しかし、ゲル電気泳動技術に比べて複雑なため、実験室で製造して使用することは不可能であり、メンブレインに付着したプローブのシーケンスは、PCR増幅産物に応じて特異的に結合し得るように使用しなければならないという技術の限界があり、汎用するには限界点がある。特に、このようなPCRベースの塩基配列分析法は、特定の誤りに極めて脆弱であり、データ解析過程で問題が生じるため、核酸及びタンパク質検出の正確度及び感度に限界を示す。
【0003】
臨床的診断目的のために細胞や組織或いは血液から分離及び精製された核酸バイオマーカーは、その濃度が低いため、検出過程において信号増幅過程が不回避である。核酸バイオセンサーに適用される信号増幅手法には、HCR(Hybridization Chain Reaction);RCA(Rolling Circle Amplification)のような代表的な方法が提示されており、このような既存の増幅手法は、プローブのターゲット(target)認識後に発生する信号を増幅させることにフォーカスしている。しかし、このような技術を適用したバイオセンサーも同様、初期段階でプローブがターゲットを認識し、続く反応を開始する過程を必然的に含んでおり、この過程は、プローブとターゲット分子の拡散及び衝突の支配を受ける。特に、ターゲット分子の濃度が低い場合、このような衝突頻度が非常に急激に減少し、信号増幅段階の非反応或いはノイズを引き起こすが、この場合、続く増幅過程にもかかわらずターゲット検出の効率が低下する問題点がある。
【0004】
例えば、HPA(Hybridization Protection Assay);SDA(Strand Displacement Amplification)、TMA(Transcription Mediated Amplification);DKA(Dual kinetic Assay)のように優れた検出効率を示すプローブシステムが既存文献から提示されたことがあり、それらは主として、ターゲット(target)認識によって発生する信号増幅効率を上げることに重点をおいて開発された。しかし、優れた信号増幅効率を示すシステムといっても、バイオマーカーの濃度が非常に低くなるとターゲット検出及び信号増幅のための分子間衝突/反応の頻度も減り、このため、プローブシステムの反応性及び検出感度の限界が決定付けられる問題があるが、それに対する対応戦略は提示されたところがない。
【0005】
そこで、本発明らは、プローブシステム自体の反応性とバイオマーカーの検出感度の限界を根本的に改善するために鋭意努力した結果、一本鎖ベースのプローブ配列を多価(multivalent)で集約させた新規核酸ナノ構造体を開発し、該ナノ構造体の形成によるプローブの集積及びナノ構造体の柔軟性に基づいてプローブ間の衝突頻度が増加してバイオマーカーに対する探知効率が改善することを確認し、本発明を完成するに至った。
【発明の概要】
【0006】
本発明の目的は、ターゲット核酸に相補的なプローブ対を含む核酸ナノ構造体を提供することである。
【0007】
本発明の他の目的は、本発明の核酸ナノ構造体を含む核酸検出用組成物を提供することである。
【0008】
本発明のさらに他の目的は、本発明の核酸ナノ構造体の製造方法を提供することである。
【0009】
本発明のさらに他の目的は、本発明の核酸ナノ構造体を用いた核酸検出方法を提供することである。
【0010】
上記の目的を解決するために、本発明は、ヘアピン構造を有し、ターゲット核酸と特異的に結合する塩基配列を含むプローブ対がそれぞれ互いに相補的な配列を含む構造体核酸と連結されてプローブ-構造体鎖をそれぞれ形成し、前記それぞれのプローブ-構造体鎖は、前記構造体核酸間の相補的結合によって互いに連結されていることを特徴とする核酸ナノ構造体を提供する。
【0011】
本発明は、前記核酸ナノ構造体を含むターゲット核酸検出用組成物を提供する。
【0012】
本発明は、また、前記核酸検出用組成物を含む診断キットを提供する。
【0013】
本発明は、また、次の段階を含む核酸ナノ構造体の製造方法を提供する:
(a)ヘアピン構造を有し、ターゲット核酸と特異的に結合する塩基配列を含むプローブ対がそれぞれ互いに相補的な配列を含む構造体核酸と連結されているプローブ-構造体鎖を作製する段階;及び
(b)前記プローブ-構造体鎖を互いにアニールさせ、核酸ナノ構造体を得る段階。
【0014】
本発明は、また、前記核酸ナノ構造体を用いてターゲット核酸を検出する方法を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】miR-21増幅検出プローブシステムの反応過程模式図(a);DNAナノ構造体集約プローブシステムの反応過程模式図(b);及び、DNAナノ構造体プローブシステムの衝突頻度及び反応性(c)、を示す。
【0016】
【
図2】H1及びH2モチーフを含むDNAナノ構造体の合成結果に対する電気泳動分析結果を示す:(a)D-DNAの1x TBE 12%ポリアクリルアミドゲル電気泳動の結果;(b)T-DNAの1x TBE 5%ポリアクリルアミドゲル電気泳動の結果;(c)Y-DNAの1x TBE 12%ポリアクリルアミドゲル電気泳動の結果;及び(d)H-DNAの1x TBE 5%ポリアクリルアミドゲル電気泳動の結果。
【0017】
【
図3】H1及びH2モチーフの濃度(100nM)が同一である、分離状態のH1及びH2、D-DNA、T-DNA及びH-DNAの様々な濃度のmiR-21に対する反応の電気泳動分析結果(a);模式図(miR-21による分子間反応及び分子内反応による構造変化)(b);反応24時間後のmiR-21濃度別の反応程度(c);及び、反応時間別検出限界(d)を示す図である:(e)分離状態のH1及びH2の様々な濃度のmiR-21に対する時間による反応図;(f)D-DNAの様々な濃度のmiR-21に対する時間による反応度;(g)T-DNAの様々な濃度のmiR-21に対する時間による反応度;(h)H-DNAの様々な濃度のmiR-21に対する時間による反応度; α:DNAナノ構造体がデュアルアニーリングにより合成され、H1とH2が二本鎖を形成しない状 β:一般のアニーリングによりH1とH2が二本鎖を形成したDNAナノ構造体状態。
【0018】
【
図4】miR-21による分子内反応によるD-DNA、Y-DNA、2-Arm T-DNAの構造変化の結果を示す模式図、及び実時間反応度測定のための蛍光染料及び消光剤の位置情報(a);各プローブシステムの様々なmiR-21濃度条件に対する初期反応速度(b);各プローブシステムの反応時間別検出限界(c);及び様々な濃度のmiR-21に対する時間によるD-DNA(d)、Y-DNA(e)及び2-Arm T-DNA(f)の反応度を示す図である。
【0019】
【
図5】DNAナノ構造体の形成と構造体内塩基対間距離分析のために用いられたoxDNA核酸シミュレーションプログラムのパラメータを示す図である。
【0020】
【
図6】D-DNA(a);T-DNA(b);及びH-DNA(c)のoxDNAシミュレーション分析を用いた分子H1及びH2モチーフ間の距離を示す図である。
【0021】
【
図7】D-DNA、T-DNA及びH-DNAのH1及びH2モチーフ間の距離が特定距離に到達する回数を示す図である。
【0022】
【
図8】スモルコフスキ方程式によって計算された各DNAナノ構造体のH1及びH2モチーフの分子間反応の衝突頻度と、oxDNAシミュレーション分析から類推された各DNAナノ構造体H1及びH2モチーフの分子内反応の衝突頻度とを比較した図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
特に断らない限り、本明細書で使われる技術的及び科学的用語はいずれも、本発明の属する技術の分野における熟練した専門家によって通常理解されるのと同じ意味を有する。一般に、本明細書における命名法は、本技術分野でよく知られており、通常使われるものである。
【0024】
特に断りのない限り、本明細書において、核酸は、左側から右側に5’→3’配向で記録される。明細書中に列挙された数値範囲は、範囲を定義する数字を含み、定義された範囲内のそれぞれの整数又は任意の非整数分画を含む。
【0025】
本願に記述されたものと類似又は等価である任意の方法及び材料が、本発明をテストするための実行において用いられ得るが、好ましい材料及び方法が本願で記述される。
【0026】
本発明では、標的核酸検出のための高感度プローブシステムを開発しようとし、一本鎖ベースのプローブ配列を多価(multivalent)で含む新規核酸ナノ構造体を作製し、該核酸ナノ構造体を用いて標的核酸を検出する場合に、ナノ構造体の柔軟性に基づいてプローブ間の衝突頻度が増加し、バイオマーカーに対する探知効率が改善することを確認した。
【0027】
本発明は、一観点において、ヘアピン構造を有し、ターゲット核酸と特異的に結合する塩基配列を含むプローブ対がそれぞれ互いに相補的な配列を含む構造体核酸と連結されてプローブ-構造体鎖をそれぞれ形成し、前記それぞれのプローブ-構造体鎖は、前記構造体核酸間の相補的結合によって互いにハイブリダイズされていることを特徴とする核酸ナノ構造体に関する。
【0028】
本発明で使われる用語“核酸ナノ構造体”は、ターゲット核酸に相補的な配列を含むプローブ対、構造体核酸、蛍光団及び消光剤を含む構造体を含む。本発明において、前記核酸ナノ構造体は、ダイマー型(D型)、Y型、テトラマー型(T型)、又はヘキサマー型(H型)であり得るが、これに限定されるものではない。
【0029】
本発明において用語“プローブ”とは、特定配列を含む核酸(例、バイオマーカー)と特異的結合をなし得る、短くは数塩基から長くは数百塩基までに該当するRNA又はDNAなどの核酸断片を意味し、ラベリングされているので、特定核酸の存在の有無が確認できる。プローブは、オリゴヌクレオチド(oligonucleotide)プローブ、一本鎖DNA(single stranded DNA)プローブ、RNAプローブなどの形態で作製されてよい。
【0030】
本発明において、プローブ対は、ヘアピン構造を有する一対の一本鎖プローブを意味し、本明細書において、前記それぞれのプローブは、区分のために、“第1プローブ”及び“第2プローブ”との名称で使われる。本明細書の一部において、説明の便宜のために、ターゲット核酸と特異的に結合したプローブを“第1プローブ”と、即時的分子内反応により前記第1プローブと結合したプローブを“第2プローブ”と称するが、命名順序によって序数を変えて使用してもよい。前記“第1”及び“第2”などの序数は、プローブ対を構成する各プローブを区分するために明示したもので、権利範囲を制限するためのものではなく、“構造体核酸”を区分するために同じ方法で用いられた。
【0031】
本発明において、前記プローブ対のいずれか一つ以上が、相補的なターゲット核酸と特異的に結合する塩基配列を含むことを特徴とし得る。
【0032】
本発明において、前記プローブ対のプローブはそれぞれ、互いに相補的な配列を含むことを特徴とし得る。好ましくは、即時的プローブ間の反応のために、一つのプローブのヘアピン構造以外の配列一部が、他のプローブの配列一部と相補的であることを特徴とし、より好ましくは、一つのプローブのヘアピン構造が解けた時の一本鎖として表される配列の一部が、他のプローブの配列一部と相補的であることを特徴とし得る(
図1、
図3)。
【0033】
本発明の用語“構造体核酸”とは、前記プローブを集約させ、多価の核酸ナノ構造体の形成を誘導するオリゴ核酸を意味する。
【0034】
本発明において、前記構造体核酸は、一部に互いに相補的な配列を含むので、ハイブリダイズにより核酸ナノ構造体を形成することができる。
【0035】
本発明において、前記構造体核酸が3個以上である場合に、各構造体核酸は、他の1個以上の構造体核酸の一部配列と相補的な配列を含み、ハイブリダイズにより核酸ナノ構造体を形成することができる。
【0036】
本発明において、前記構造体核酸は、その単独で用いられてもよく、プローブに連結されてプローブ-構造体鎖の形態で用いられてもよい。前記構造体の核酸は、2個以上の他の構造体核酸の全部又は一部と相補的な配列を含むことができ、その組合せによって核酸ナノ構造体の形態が変わってよい。本発明の一実施例において、配列番号1~配列番号9の配列を有する構造体核酸が用いられたが、これに限定されるものではない。
【0037】
‘プローブ’と‘構造体核酸’との連結、又は‘プローブ又は構造体核酸’と‘消光剤(quencher)又は蛍光団(fluorophore)’との連結の文脈において使われた本発明の用語“連結”とは、プローブ、構造体、消光剤及び蛍光団の間が通常の技術者にとって認識可能な方法で結合していることを意味する。前記‘連結’は、例えば、水素結合、共有結合、電気的結合、ファンデルワールス結合などによって直接に結合したものでよく、リンカーなどによって間接に結合してもよい。本発明の一実施例において、プローブと構造体核酸との連結は、プローブの5’末端と構造体核酸の3’末端とがリン酸ジエステル結合で連結され、プローブ又は構造体と消光剤又は蛍光団との結合は共有結合で連結されているが、これに限定されるものではない。
【0038】
本発明の用語“相補的”とは、互いにハイブリダイズ可能なヌクレオチド塩基間の関係を説明するために使われる。例えば、ワトソンクリック塩基対結合のように、DNAにおいてアデノシンはチミンと相補的であり、シトシンはグアニンと相補的である。したがって、本発明は、また、本願に開示されたり或いは使用された完全に相補的な配列の他、実質的に類似な核酸配列によって“相補的”である配列も含む。
【0039】
本発明において、“プローブ”及び“構造体核酸”で用いられた“互いに相補的な配列”は、それぞれ独立した意味で使われる。
【0040】
本発明において、前記プローブ対を構成する2つの一本鎖プローブのいずれか一プローブがターゲット核酸と結合する場合に、ヘアピン構造が解けることを特徴とし得る。
【0041】
本発明において、前記ターゲット核酸と結合したプローブのヘアピン構造が解けた後、即時的分子内反応により、前記プローブ対を構成する他のプローブと相補的に結合することを特徴とし得る。
【0042】
本発明において、ターゲット核酸と結合したプローブが、即時的分子内反応により、前記プローブ対を構成する他のプローブと相補的に結合する場合に、前記他のプローブのヘアピン構造が解けることを特徴とし得る。
【0043】
本発明の用語“即時的分子内反応”とは、前記第1プローブ及び第2プローブが相補的な配列による結合を形成し、これによって起こり得る反応を意味し、本発明の核酸ナノ構造体の形成により、個別のプローブ分子の反応に比べて著しく高い反応性を示すことができる。前記反応は、各具現例によって
図1(b)、
図3(b)及び
図4(a)に詳細に示されている。
【0044】
本発明において、前記プローブ対を構成する2つのプローブが相補的に結合する場合に、ターゲット核酸が分離され、他の核酸ナノ構造体と反応できることを特徴とし得る。
【0045】
本発明において、前記第1プローブ及び第2プローブの結合によってターゲット核酸が分離されても、ヘアピン構造の形成が抑制され、持続して線形プローブの形態を維持し、検出信号(例えば、蛍光)を発生させることを特徴とし得る。
【0046】
本発明による核酸ナノ構造体は、一つの構造体に複数個(multivalent)のプローブ配列を含んでおり、標的核酸と結合可能なプローブが空間的に集約している一方、腕の個数と柔軟性は高いので、プローブ間の接近性、衝突頻度が上がり、標的核酸に対する感度が高くなり、検出限界が下がることを特徴とする。
【0047】
本発明において、“ターゲット核酸”は、検出しようとする標的となる核酸を意味する。前記ターゲット核酸は、好ましくは一本鎖であることを特徴とし、例えば、miRNA、siRNA、piwiRNA、snoRNAなどの短いRNA断片であり得るが、これに限定されるものではない。本発明において、前記“ターゲット核酸”は、好ましくは、10~40bpの塩基配列であることを特徴とし得るが、これに限定されるものではない。
【0048】
一具現例において、核酸ナノ構造体は、3’末端にそれぞれのプローブ対が連結された構造体核酸を含むことができる。
【0049】
一具現例において、核酸ナノ構造体は、1対、2対又は3対のプローブを一構造体内に含むことができ、1対のプローブを含む構造体は、直線形の両端にプローブ対の各一本鎖プローブを含むダイマー構造体、3個の二本鎖腕のうち、2個の腕の端にプローブ対の各一本鎖プローブを含むY型構造体、及び十字型の4個の二本鎖腕のうち2個の腕の端にプローブ対の各一本鎖プローブを含む2腕テトラマー(2-Arm Tetramer)構造体を含むことができ;2対のプローブを一構造体内に含む核酸ナノ構造体は、4個の二本鎖腕の端に含むテトラマー構造体であり;及び、3対のプローブを一構造体内に含む核酸ナノ構造体は、プローブ対の各一本鎖プローブを交互に6個の二本鎖腕の端に含むヘキサマー構造体であり得る(
図3(b)及び
図4(a)参照)。
【0050】
本発明の各プローブ対は、同一のプローブ対が1対、2対又は3対で使用されることが好ましいが、これに限定されるものではなく、同一の又は異なるターゲット核酸に特異的に結合する異なるプローブ対が組み合わせられて使用されてもよい。
【0051】
本発明において、1対のプローブを含む核酸ナノ構造体は、直線形の両端にプローブ対の各核酸構造体模型のプローブを含むダイマー型(D型)構造体であることを特徴とし得る。
【0052】
本発明において、前記ダイマー型(D型)構造体は、第1プローブ-第1構造体鎖と第2プローブ-第2構造体鎖で構成されており、互いに相補的な配列を含む第1構造体鎖と第2構造体鎖が互いに相補的に結合していることを特徴とし得る。
【0053】
本発明において、1対のプローブを含む核酸ナノ構造体は、3個の二本鎖腕のうち2個の腕の端にプローブ対の各一本鎖プローブを含むY型構造体であることを特徴とし得る。
【0054】
本発明において、前記Y型構造体は、第1プローブ-第1構造体鎖、第2構造体鎖及び第2プローブ-3構造体鎖で構成されており、
第1構造体核酸は、第2構造体核酸の一部配列と相補的な配列及び第3構造体核酸の一部配列と相補的な配列を含み、第2構造体核酸は、第1構造体核酸の一部配列と相補的な配列及び第3構造体核酸の一部配列と相補的な配列を含み、第3構造体核酸は、第1構造体核酸の一部配列と相補的な配列及び第2構造体核酸の一部配列と相補的な配列を含み、
前記第1プローブ-第1構造体鎖、第2構造体鎖及び第2プローブ-第3構造体鎖が互いに相補的に結合していることを特徴とし得る。
【0055】
本発明において、1対のプローブを含む核酸ナノ構造体は、十字型の4個の二本鎖腕のうち2個の腕の端にプローブ対の各一本鎖プローブを含む2腕テトラマー構造体であることを特徴とし得る。
【0056】
本発明において、前記2腕テトラマー構造体は、第1プローブ-第1構造体鎖、第2構造体鎖、第3構造体鎖及び第2プローブ-第4構造体鎖で構成され、
第1構造体核酸は、第2構造体核酸の一部配列と相補的な配列及び第4構造体核酸の一部配列と相補的な配列を含み、第2構造体核酸は、第1構造体核酸の一部配列と相補的な配列及び第3構造体核酸の一部配列と相補的な配列を含み、第3構造体核酸は、第2構造体核酸の一部配列と相補的な配列及び第4構造体核酸の一部配列と相補的な配列を含み、第4構造体核酸は、第3構造体核酸の一部配列と相補的な配列及び第1構造体核酸の一部配列と相補的な配列を含み、
前記第1プローブ-第1構造体鎖、第2構造体鎖、第3構造体鎖及び第2プローブ-第4構造体鎖が互いに相補的に結合していることを特徴とし得る。
【0057】
本発明において、2対のプローブを含む核酸ナノ構造体は、4個の二本鎖腕の端に2対のプローブの各一本鎖プローブを含むテトラマー型(T型)構造体であることを特徴とし得る。
【0058】
本発明において、前記テトラマー型(T型)構造体は、第1プローブ-第1構造体鎖、第2プローブ-第2構造体鎖、第1プローブ-第3構造体鎖及び第2プローブ-第4構造体鎖で構成されており、
第1構造体核酸は、第2構造体核酸の一部配列と相補的な配列及び第4構造体核酸の一部配列と相補的な配列を含み、第2構造体核酸は、第1構造体核酸の一部配列と相補的な配列及び第3構造体核酸と相補的な配列を含み、第3構造体核酸は、第2構造体核酸の一部配列と相補的な配列及び第4構造体核酸と相補的な配列を含み、第4構造体核酸は、第1構造体核酸の一部配列と相補的な配列及び第3構造体核酸の一部配列と相補的な配列を含み、
前記第1プローブ-第1構造体鎖、第2プローブ-第2構造体鎖、第1プローブ-第3構造体鎖及び第2プローブ-第4構造体鎖が互いに相補的に結合していることを特徴とし得る。
【0059】
本発明において、前記3対のプローブを含む核酸ナノ構造体は、プローブ対の各一本鎖プローブを交互に6個の二本鎖腕の端に含むヘキサマー型(H型)構造体であることを特徴とし得る。
【0060】
本発明において、前記ヘキサマー型(H型)構造体は、第1プローブ-第1構造体鎖、第2プローブ-第2構造体鎖、第1プローブ-第3構造体鎖、第2プローブ-第4構造体鎖、第1プローブ-第5構造体鎖及び第2プローブ-第6構造体鎖で構成されており、
第1構造体核酸は、第2構造体核酸の一部配列と相補的な配列及び第6構造体核酸の一部配列と相補的な配列を含み、第2構造体核酸は、第1構造体核酸の一部配列と相補的な配列及び第3構造体核酸の一部配列と相補的な配列を含み、第3構造体核酸は、第2構造体核酸の一部配列と相補的な配列及び第4構造体核酸の一部配列と相補的な配列を含み、第4構造体核酸は、第3構造体核酸の一部配列と相補的な配列及び第5構造体核酸の一部配列と相補的な配列を含み、第5構造体核酸は、第4構造体核酸の一部配列と相補的な配列及び第6構造体核酸の一部配列と相補的な配列を含み、第6構造体核酸は、第1構造体核酸の一部配列と相補的な配列及び第5構造体核酸の一部配列と相補的な配列を含み、
前記第1プローブ-第1構造体鎖、第2プローブ-第2構造体鎖、第1プローブ-第3構造体鎖、第2プローブ-第4構造体鎖、第1プローブ-第5構造体鎖、及び第2プローブ-第6構造体鎖が互いに相補的に結合していることを特徴とし得る。
【0061】
一具現例において、それぞれのプローブに連結された相補的な構造の構造体核酸を含むことができ、それぞれのヘアピン構造のプローブに連結された構造体核酸は、互いに相補的な配列を含むことができ、それぞれのプローブ及び構造体が連結された一本鎖核酸のそれぞれの末端には、蛍光団又は消光剤が連結されてよい。
【0062】
本発明の一実施例において、D構造体の場合、第1プローブの末端には消光剤が付着しており、第2構造体一本鎖核酸の末端には蛍光団が付着しているので、第1プローブ及び第1構造体一本鎖核酸と第2プローブ及び第2構造体一本鎖核酸とが相補的に結合しており、第1プローブがヘアピン構造を備えている場合には、有意の蛍光信号が検出されない(
図3(b)のαD-DNA参照)。ここで、前記の第1構造体一本鎖核酸と第2構造体一本鎖核酸とが相補的に結合した状態の第1プローブがターゲット核酸配列と分子内反応をして構造が変更されることにより、消光剤と蛍光団が遠ざかって蛍光信号を放出する(
図3(b)のβD-DNA参照)。
【0063】
一具現例において、1対のプローブを一構造体内に含む核酸ナノ構造体(ダイマー構造体)は、プローブ対の第1プローブに連結された第1構造体核酸を含む一本鎖核酸;及びプローブ対の第2プローブに連結された第2構造体核酸を含む一本鎖核酸を含み、第1構造体核酸と第2構造体核酸は互いに相補的であり得る。
【0064】
一具現例において、1対のプローブを一構造体内に含む核酸ナノ構造体(Y型構造体)は、プローブ対の第1プローブに連結された第1構造体核酸を含む一本鎖核酸;第2構造体核酸を含む一本鎖核酸;及びプローブ対の第2プローブに連結された第3構造体核酸を含み、第1構造体核酸は、第2構造体核酸及び第3構造体核酸の一部配列と相補的であり、第2構造体核酸は、第1構造体核酸及び第3構造体核酸の一部配列と相補的であり、第3構造体核酸は、第1構造体核酸及び第2構造体核酸の一部配列と相補的であり得る。
【0065】
一具現例において、1対のプローブを一構造体内に含む核酸ナノ構造体(2腕T構造体)は、プローブ対の第1プローブに連結された第1構造体核酸を含む一本鎖核酸;第2構造体核酸を含む一本鎖核酸;第3構造体核酸;及びプローブ対の第2プローブに連結された第4構造体核酸を含み、第1構造体核酸は、第2構造体核酸及び第4構造体核酸の一部配列と相補的であり、第2構造体核酸は、第1構造体核酸及び第3構造体核酸の一部配列と相補的であり、第3構造体核酸は、第2構造体核酸及び第4構造体核酸の一部配列と相補的であり、第4構造体核酸は、第1構造体及び第3構造体核酸の一部配列と相補的であり得る。
【0066】
一具現例において、2対のプローブを一構造体内に含む核酸ナノ構造体(T構造体)は、プローブ対の第1プローブに連結された第1構造体核酸を含む一本鎖核酸;プローブ対の第2プローブに連結された第2構造体核酸を含む一本鎖核酸;プローブ対の第1プローブに連結された第3構造体核酸;及びプローブ対の第2プローブに連結された第4構造体核酸を含み、第1構造体核酸は、第2構造体核酸及び第4構造体核酸の一部配列と相補的であり、第2構造体核酸は、第1構造体核酸及び第3構造体核酸の一部配列と相補的であり、第3構造体核酸は、第2構造体核酸及び第4構造体核酸の一部配列と相補的であり、第4構造体核酸は、第1構造体及び第3構造体核酸の一部配列と相補的であり得る。
【0067】
一具現例において、3対のプローブを一構造体内に含む核酸ナノ構造体(H-構造体)は、プローブ対の第1プローブに連結された第1構造体核酸を含む一本鎖核酸;プローブ対の第2プローブに連結された第2構造体核酸を含む一本鎖核酸;プローブ対の第1プローブに連結された第3構造体核酸;プローブ対の第2プローブに連結された第4構造体核酸;プローブ対の第1プローブに連結された第5構造体核酸;及びプローブ対の第2プローブに連結された第6構造体核酸を含み、第1構造体核酸は、第2構造体核酸及び第6構造体核酸の一部配列と相補的であり、第2構造体核酸は、第1構造体核酸及び第3構造体核酸の一部配列と相補的であり、第3構造体核酸は、第2構造体核酸及び第4構造体核酸の一部配列と相補的であり、第4構造体核酸は、第3構造体及び第5構造体核酸の一部配列と相補的であり、第5構造体核酸は、第4構造体核酸及び第6構造体核酸の一部配列と相補的であり、第6構造体核酸は、第1構造体核酸及び第5構造体核酸の一部配列と相補的であり得る。
【0068】
一具現例において、構造体核酸は、配列番号1の塩基配列を含むS1、配列番号2の塩基配列を含むS2、配列番号3の塩基配列を含むS3、配列番号4の塩基配列を含むS4、配列番号5の塩基配列を含むS5、配列番号6の塩基配列を含むS6、配列番号7の塩基配列を含むS7、配列番号8の塩基配列を含むS8、又は配列番号9の塩基配列を含むS9、又はその組合せを含むことができ、一実施例において、本発明のD構造体は、S1及びS8を含み、T構造体はS1、S2、S3及びS4を含み、H構造体はS1、S2、S3、S5、S6及びS7を含み、Y構造体はS1、S2及びS9を含み、2腕T構造体はS1、S2、S3及びS4を含む。
【0069】
本発明において、前記核酸ナノ構造体は、消光剤(quencher)及び蛍光団(fluorophore)を含むことを特徴とし得る。
【0070】
一具現例において、5’末端又は3’末端に消光剤(quencher)を含み、3’末端又は5’末端に蛍光団(fluorophore)を含むことができる。
【0071】
一具現例において、蛍光団は、FAM、TET、HEX、Cy3、TMR、ROX、Texas red、Cy5、Cy5.5、JOE、VIC、NED、CAL Fluor Orange 560、CAL Fluor Red 590、CAL Fluor Red 610、Quasar 570、Oyster 556、Oyster 645、LC red 640、LC red 670、LC red 705及び量子点(Quantum dot)からなる群から選ばれてよい。
【0072】
一具現例において、消光剤は、DDQ-I、DDQ- II、Dabcyl、Eclipse、Iowa black FQ、Iowa black RQ、BHQ-1、BHQ-2、BHQ-3、QSY-21、QSY-7、金ナノ粒子、炭素ナノチューブ、グラフェン、FAM、TET、HEX、Cy3、TMR、ROX、Texas red、Cy5、Cy5.5、JOE、VIC、NED、CAL Fluor Orange 560、CAL Fluor Red 590、CAL Fluor Red 610、Quasar 570、Oyster 556、Oyster 645、LC red 640、LC red 670、LC red 705及び量子点(Quantum dot)からなる群から選ばれてよい。
【0073】
一具現例において、本発明のターゲット核酸に相補的なプローブ対を一構造体内に含む核酸ナノ構造体は、ヘアピン構造によって互いに反応しないプローブ対がターゲット核酸の触媒役割によって順次に反応してヘアピン構造が解けることにより、相補的結合によって二本鎖を形成し、それぞれの消光剤によって消光された蛍光団が発光し得る。
【0074】
一具現例において、核酸は、DNA、RNA、又はDNA及びRNAであってよい。
【0075】
一具現例において、本発明のプローブは、ホスホラミダイト固体支持体方法、又はその他周知の方法を用いて化学的に合成できる。このような核酸配列は、また、当該分野に公知された多くの手段を用いて変形させることができる。このような変形の非制限的な例には、メチル化、カプセル化、天然ヌクレオチドの一つ以上の同族体への置換、及びヌクレオチド間の変形、例えば、荷電されていない連結体(例えば、メチルホスホネート、ホスホトリエステル、ホスホロアミデート、カルバメートなど)又は荷電された連結体(例えば、ホスホロチオエート、ホスホロジチオエートなど)への変形がある。
【0076】
本発明の核酸ナノ構造体は、検出過程の反応物である核酸プローブを核酸ナノ構造体に集約させることにより、反応過程が分子間反応ではなく分子内反応で起き得るようにする。したがって、溶液上に分散されていた反応物を一分子に集約させ、制限された量の触媒によって速くて効率的な反応を誘導し、反応を阻害していた反応物の拡散過程が一部省略され、核酸構造体内部プローブ間の高い衝突頻度をもたらすことにより、反応性、診断感度及び検出速度が改善する。
【0077】
一具現例において、本発明の核酸ナノ構造体は、ターゲット核酸であるmiR-21(配列番号19)に対して、プローブ対としてH1(配列番号20)及びH2(配列番号21);及び、構造体核酸としてS1(配列番号1)、S2(配列番号2)、S3(配列番号3)、S4(配列番号4)、S5(配列番号5)、S6(配列番号6)、S7(配列番号7)、S8(配列番号8)、S9(配列番号9)、S1H1(配列番号10)、S2H2(配列番号11)、S3H1(配列番号12)、S4H2(配列番号13)、S5H2(配列番号14)、S6H1(配列番号15)、S7H2(配列番号16)、S8H2(配列番号17)、S9H2(配列番号18)、又はそれらの組合せを含む核酸ナノ構造体であり得る。
【0078】
一観点において、本発明は、核酸ナノ構造体を含む核酸検出用組成物に関する。
【0079】
本発明において用語“試料(サンプル)”は、対象又は患者から得た組織、細胞、血液、血清、小便、唾液、血漿又は体液を含み、組織又は細胞サンプルの供給源は、新鮮な、凍結した及び/又は保存された臓器又は組織サンプル又は生検又は吸引物からの固形組織;血液又は任意の血液構成分;対象の妊娠又は発生の任意の時点における細胞であってよい。組織サンプルは、また、1次又は培養細胞、又は細胞株であってよい。
【0080】
本発明において、用語“検出”又は“測定”は、検出又は測定された対象の濃度を定量することを意味する。
【0081】
本発明において、“ターゲット核酸”は、検出しようとする標的となる核酸を意味する。前記ターゲット核酸は、好ましくは一本鎖であることを特徴とし、例えば、miRNA、siRNA、piwiRNA、snoRNAなどの短いRNA断片であり得るが、これに限定されるものではない。本発明において、前記“ターゲット核酸”は、好ましくは10~40bpの塩基配列であることを特徴とし得るが、これに限定されるものではない。
【0082】
他の観点において、本発明は、本発明のターゲット核酸検出用組成物を含む診断キットに関する。
【0083】
さらに他の観点において、本発明は、次の段階を含む核酸ナノ構造体の製造方法に関する:
(a)ヘアピン構造を有し、ターゲット核酸と特異的に結合する塩基配列を有するプローブ対がそれぞれ互いに相補的な配列を含む構造体核酸と連結されているプローブ-構造体鎖を作製する段階;及び
(b)前記プローブ-構造体鎖を互いにアニールさせ、核酸ナノ構造体を得る段階。
【0084】
一具現例において、95℃から4℃まで-0.5℃/30秒の速度でアニールしてプローブと構造体核酸を連結し、プローブ-構造体鎖を作製できる。
【0085】
一具現例において、プローブ-構造体鎖の濃度をそれぞれ500~700nMとし、40~45℃で3~10分間維持した後、4℃まで-0.5℃/30秒の速度でアニールすることによってD構造体を作製できる。
【0086】
一具現例において、プローブ-構造体鎖の濃度をそれぞれ800~1000nMとし、40~45℃で3~10分間維持した後、4℃まで-0.5℃/30秒の速度でアニールすることによってY構造体を作製できる。
【0087】
一具現例において、プローブ-構造体鎖の濃度をそれぞれ1100~1300nMとし、40~45℃で3~10分間維持した後、4℃まで-0.5℃/30秒の速度でアニールすることによって2腕T構造体又はT構造体を作製できる。
【0088】
一具現例において、プローブと連結された構造体核酸の濃度をそれぞれ1700~1900nMとし、50~60℃で3~10分間維持した後、4℃まで-0.1℃/144秒の速度でアニールすることによってH構造体を作製できる。
【0089】
一具現例において、核酸ナノ構造体の一部であるプローブ対のプローブ一本鎖のそれぞれのヘアピン構造が解けたり或いは他の配列と更なる結合を成さない状態を維持しながら、構造体中心の二本鎖腕を形成するためにアニーリングを2回にわたって行ってよく、構造体を構成する各一本鎖(D構造体は2本、T構造体は4本、H構造体は6本、Y構造体は3本、2腕T構造体は4本)を個別にアニールしてプローブ一本鎖モチーフのヘアピン構造を完成した後、このヘアピン構造が解けないように初期温度を低温に設定して前記一本鎖をアニールすることができる。
【0090】
さらに他の観点において、本発明は、前記核酸ナノ構造体又は前記核酸検出用組成物を用いた核酸の検出方法に関する。
【実施例】
【0091】
以下、実施例を用いて本発明をより詳細に説明する。これらの実施例は単に本発明を例示するためのものであり、本発明の範囲がこれらの実施例によって制限されると解釈されないことは、当業界における通常の知識を有する者にとって明らかであろう。
【0092】
実施例1.検出プローブ対を含むDNAナノ構造体の合成
1-1.分離状態H1及びH2の合成
目的核酸であるmiR-21の探知のためのヘアピン(hairpin)構造を有するプローブ対であるH1及びH2を等温鎖置換(isothermal strand displacement)反応によって蛍光信号増幅を誘導した。具体的に、ヘアピン構造の解け(unwinding)を蛍光信号増加から確認できるように、H1配列の3’末端にBHQ2(black hole quencher 2)、5’末端にCy5蛍光団が置換された配列を使用し、H1配列の濃度が300nM、NaCl(aq)の濃度が200mMである溶液を100μL作り、熱循環器(thermal cycler)で95℃を5分間維持後に、95℃から4℃まで-0.5℃/30秒の速度でアニールした。H2配列も同じ方法で準備した。
【0093】
1-2.ダイマーDNA(D-DNA)構造体の合成
目的核酸であるmiR-21の探知のためのヘアピン(hairpin)構造を有するプローブ対であるH1及びH2をダイマ-構造(2個の二本鎖腕を有する(1対のH1及びH2含む)。)で有するナノ構造体を合成した。具体的に、ヘアピン構造の解けを蛍光信号増加から確認できるように、S1H1配列の3’末端にBHQ2(black hole quencher 2)、S8H2配列の5’末端にCy5蛍光団が置換された配列を使用し、S1H1又はS8H2配列の濃度が600nM、NaCl(aq)の濃度が200mMである溶液をそれぞれ50μL作り、熱循環器で95℃を5分間維持した後、95℃から4℃まで-0.5℃/30秒の速度でアニールした。その後、NaCl(aq)濃度が200mMで、配列の濃度がそれぞれ600nMであるS1H1及びS8H2溶液を50μLずつ混ぜた後、43.5℃で5分間維持した熱循環器で4℃まで-0.5℃/30秒の速度でアニールした。これにより、最終的に、構造体の濃度が300nMで、NaCl(aq)の濃度が200mMである100μLのD-DNA溶液を完成した。
【0094】
1-3.テトラマーDNA(T-DNA)構造体の合成
目的核酸であるmiR-21の探知のためのヘアピン(hairpin)構造を有するプローブ対であるH1及びH2を、テトラマー構造(4個の二本鎖腕を有する(2対のH1及びH2含む)。)で有するナノ構造体を合成した。具体的に、S1H1配列及びS3H1配列の各3’末端にBHQ2が、S2H2配列及びS4H2配列の各5’末端にCy5蛍光団が置換された配列を使用し、S2H2、S3H1、S4H2又はS1H1配列の濃度が1200nMで、NaCl(aq)の濃度が200mMである溶液をそれぞれ25μL作り、熱循環器で95℃を5分間維持後に95℃から4℃まで-0.5℃/30秒の速度でアニールした。その後、NaCl(aq)濃度が200mMで、配列の濃度が各1200nMであるS1H1、S2H2、S3H1及びS4H2溶液を25μLずつ混ぜた後、43.5℃で5分間維持した熱循環器で43.5℃から4℃まで-0.5℃/30秒の速度でアニールし、最終的に、構造体の濃度が300nMで、NaCl(aq)の濃度が200mMである100μLのT-DNA溶液を完成した。
【0095】
1-4.ヘキサマーDNA(H-DNA)構造体の合成
目的核酸であるmiR-21の探知のためのヘアピン(hairpin)構造を有するプローブ対であるH1及びH2をヘキサマー構造(6個の二本鎖腕を有する(3対のH1及びH2含む)。)で有するナノ構造体を合成した。具体的に、S1H1配列、S3H1配列及びS6H1配列の3’末端にBHQ2が、S2H2配列、S5H2配列及びS7H2配列の5’末端にCy5蛍光団が置換された配列を使用したし、S2H2、S3H1、S5H2、S6H1、S7H2又はS1H1配列の濃度が1800nMで、NaCl(aq)の濃度が200mMである溶液を16.7μLずつ作り、熱循環器で95℃を5分間維持した後、95℃から4℃まで-0.5℃/30秒の速度でアニールした。上記で準備した、NaCl(aq)濃度が200mMで、各配列の濃度が各1800nMであるS1H1、S2H2、S3H1、S5H2、S6H1及びS7H2溶液を16.7μLずつ混ぜ、熱循環器で55℃を5分間維持した後、55℃から4℃まで-0.1℃/144秒の速度でアニールした。最終的に、構造体の濃度が300nMで、NaCl(aq)の濃度が200mMである100μLのH-DNA溶液を完成した。
【0096】
1-5.Y型DNA(Y-DNA)構造体の合成
DNAナノ構造体の柔軟性比較のために、一対のH1及びH2モチーフを含むDNAナノ構造体として、Y-DNA構造体(総3個の二本鎖腕のうち2個の腕にのみH1及びH2モチーフを含む。)を合成した。具体的に、S1H1配列の3’末端にBHQ2が、S9H2配列の5’末端にCy5蛍光団が置換された配列を使用し、S2、S9H2又はS1H1配列の濃度が900nMで、NaCl(aq)の濃度が200mMである溶液を33.3μLずつ作り、熱循環器で95℃を5分間維持した後、95℃から4℃まで-0.5℃/30秒の速度でアニールした。上記のように準備した、NaCl(aq)濃度が200mMで、配列の濃度が各900nMであるS1H1及びS9H2溶液を33.3μLずつ混ぜ、熱循環器で43.5℃を5分間維持した後、43.5℃から4℃まで-0.5℃/30秒の速度でアニールすることにより、最終的に、構造体の濃度が300nMで、NaCl(aq)の濃度が200mMである100μLのY-DNA溶液を完成した。
【0097】
1-6.2腕T-DNA構造体の合成
DNAナノ構造体の柔軟性比較のために、一対のH1及びH2モチーフを含むDNAナノ構造体として、T-DNA構造体(総4個の二本鎖腕のうち2個の腕にのみH1及びH2モチーフを含む。)を合成した。具体的に、S1H1配列の3’末端にBHQ2が、S2配列の5’末端にCy5蛍光団が置換された配列を使用し、S2、S3、S4H2又はS1H1配列の濃度が1200nMで、NaCl(aq)の濃度が200mMである溶液をそれぞれ25μL作り、熱循環器で95℃を5分間維持した後、95℃から4℃まで-0.5℃/30秒の速度でアニールした。このように製造したNaCl(aq)濃度が200mMで、各配列の濃度が各1200nMであるH1S1、S2、S3及びS4H2溶液を25μLずつ混ぜ、熱循環器で43.5℃を5分間維持した後、43.5℃から4℃まで-0.5℃/30秒の速度でアニールした。最終的に、構造体の濃度が300nMで、NaCl(aq)の濃度が200mMである100μLの2腕T-DNA溶液を完成した。
【0098】
前記実施例1で製造及び使用されたプローブ対、構造体核酸及びターゲット核酸の塩基配列は、次表の通りである。
【0099】
【0100】
実施例2.ナノ構造体合成の有無の確認
前記実施例1で作製したD-DNA、T-DNA、H-DNA及びY-DNA構造体の合成されたか否かを確認するために、1x TBE 5%又は12%ポリアクリルアミドゲル電気泳動(1xトリス/ボレート/EDTAポリアクリルアミドゲル電気泳動)を行った。
【0101】
その結果、
図2に示すように、D-DNA、T-DNA、H-DNA及びY-DNA構造体がいずれも成功的に合成されたことが分かった(
図2)。
【0102】
実施例3.分離状態プローブシステムとDNAナノ構造体プローブが集約されたシステムの目的物質に対する反応性比較
3-1.分離状態H1及びH2
NaCl(aq)の濃度が50mMで、miR-21配列の濃度が各0nM、30nM、60nM、90nM、120nM、150nM、180nM、210nM、240nM、300nM、450nM又は600nMである溶液16.7μLと、前記実施例1で合成した300nMの分離状態のH1及びH2溶液をそれぞれ16.7μLずつ混合し、最終的にH1及びH2の濃度が各100nMで、miR-21の濃度が0nM、10nM、20nM、30nM、40nM、50nM、60nM、70nM、80nM、100nM、150nM又は200nMであり、NaCl(aq)の濃度が150mMとなるようにした。Cy5蛍光団及び消光剤からmiR-21による反応を示すH1のヘアピン構造の解けを測定可能であるので、37℃で分光器を用いて640nmの波長でCy5蛍光団を刺激(excitation)して670nmの放出(emission)波長の強度を24時間の間に3分間隔で測定することにより、様々な濃度のmiR-21に対する時間による反応度を確認し(
図3(e))、miR-21濃度別プローブの反応前後の電気泳動分析(
図3(a))、反応24時間後のmiR-21濃度別の反応程度(
図3(c))、及び反応時間別検出限界(
図3(d))を確認した(
図3)。
【0103】
3-2.D-DNA
200mM NaCl(aq)溶液16.7μL、miR-21配列の濃度がそれぞれ0nM、30nM、60nM、90nM、120nM、150nM、180nM、210nM、240nM、300nM、450nM又は600nMである溶液16.7μL、及び前記実施例1で合成した300nMのD-DNA構造体溶液16.7μLを混合し、最終的に、構造体の濃度が100nMで、NaCl(aq)の濃度が150mMとなるようにした。その後、37℃で分光器を用いて640nmの波長でCy5蛍光団を刺激して670nmの放出波長の強度を24時間の間に3分間隔で測定することにより、様々な濃度のmiR-21に対する時間による反応度を確認し(
図3(f))、miR-21濃度別プローブの反応前後の電気泳動分析(
図3(a))、反応24時間後のmiR-21濃度別の反応程度(
図3(c))、及び反応時間別検出限界(
図3d)を確認した(
図3)。
【0104】
3-3.T-DNA
前記実施例1で合成した300nMのT-DNA構造体溶液8.3μLを、前記2-1におけるように様々な濃度のmiR-21溶液16.7μL及び200mM NaCl(aq)溶液25μLを混合し、最終的に、構造体の濃度が50nMであり、NaCl(aq)の濃度が150mMとなるようにした。その後、37℃で分光器を用いて640nmの波長でCy5蛍光団を刺激して670nmの放出波長の強度を24時間の間に3分間隔で測定することにより、様々な濃度のmiR-21に対する時間による反応度を確認し(
図3(g))、miR-21濃度別プローブの反応前後の電気泳動分析(
図3(a))し、反応24時間後のmiR-21濃度別の反応程度(
図3(c))、及び臨床及び実験標準機関(Clinical and Laboratory Standards Institution,CLSI)のガイドラインに基づいて計算した反応時間別検出限界(
図3(d))を確認した(
図3)。その結果、電気泳動でγ構造が確認された。
【0105】
3-4.H-DNA
前記実施例1で合成した300nMのH-DNA構造体溶液5.5μLを、前記2-1におけるように様々な濃度のmiR-21溶液16.7μL及び200mM NaCl(aq)溶液27.8μLを混合し、最終的に、構造体の濃度が33.3nMであり、NaCl(aq)の濃度が150mMとなるようにした。その後、37℃で分光器を用いて640nmの波長でCy5蛍光団を刺激して670nmの放出波長の強度を24時間の間に3分間隔で測定することにより、様々な濃度のmiR-21に対する時間による反応度を確認し(
図3h)、miR-21濃度別プローブの反応前後の電気泳動分析(
図3a)、反応24時間後のmiR-21濃度別の反応程度(
図3c)、及び反応時間別検出限界(
図3d)を確認した(
図3)。
【0106】
3-5.分離状態H1及びH2、D-DNA、T-DNA、及びH-DNAの最終反応程度較及び検出限界計算
各配列に付着した蛍光強度の変化を用いてH1のヘアピン構造の解けた程度、すなわち各プローブシステムの反応程度を24時間測定した
図3の(e)、(f)、(g)及び(h)の結果に基づき、各構造体の様々なmiR-21濃度に対する反応程度測定24時間目の反応程度を、各サンプルの反応程度は各構造体が200nMのmiR-21を使用した場合に到達した平衡状態の蛍光値を100%と仮定し、平衡に到達した程度を用いて比較した結果、H-DNA、T-DNA、D-DNA、及び分離状態H1及びH2の順に低い濃度のmiR-21に対する高い反応程度を示した(図(3c))。また、24時間の間に蛍光強度の変化により測定された各プローブシステムの反応程度に基づき、臨床及び実験標準機関(Clinical and Laboratory Standards Institution,CLSI)のガイドラインに基づき、反応時間別検出限界を下記式1で計算した結果、分離状態のH1及びH2と比較したとき、分子間反応に代えて分子内反応が起きるD-DNA、T-DNA及びH-DNAの検出限界が大幅に減ったことが確認でき、反応12時間後からH-DNA、T-DNA、D-DNAの順に検出限界が低く現れた(
図3(d))。なお、同一濃度のH1又はH2モチーフ条件(100nM)において、H-DNAの構造体では、H-DNAの構造体自体の濃度が低い(33.3nM)ため、
図1(b)に示した分子間衝突頻度が比較的低く、初期速度及び反応性が他のプローブシステムに比べて低下したことが見られた。
【0107】
[数1]
検出限界の蛍光値=陰性対照群の蛍光値+1.645*(陰性対照群の蛍光値の標準偏差)+1.645*(低濃度サンプル蛍光値の標準偏差)
(陰性対照群:miR-21の濃度が0nMである場合;及び低濃度サンプル:miR-21の濃度が10nMである場合)
【0108】
3-6.Y-DNA
前記実施例1で合成した300nMのY-DNA構造体溶液16.7μLを、前記2-1におけるように様々な濃度のmiR-21溶液16.7μL及び200mM NaCl(aq)溶液16.7μLを混合し、最終的に、構造体の濃度が100nMで、NaCl(aq)の濃度が150mMとなるようにした。その後、37℃で分光器を用いて640nmの波長でCy5蛍光団を刺激し、670nmの放出波長の強度を24時間の間に3分間隔で測定することにより、様々な濃度のmiR-21に対する時間による反応度を確認し(
図4(e))、初期反応速度(
図4(b))及び反応時間別検出限界(
図4(c))を確認した。
【0109】
3-7.2腕T-DNA
前記実施例1で合成した300nMの2腕T-DNA構造体溶液16.7μLを、前記2-1におけるように様々な濃度のmiR-21溶液16.7μL及び200mM NaCl(aq)溶液16.7μLと混合し、最終的に、構造体の濃度が100nMであり、NaCl(aq)の濃度が150mMとなるようにした。その後、37℃で分光器を用いて640nmの波長でCy5蛍光団を刺激し、670nmの放出波長の強度を24時間の間に3分間隔で測定することにより、様々な濃度のmiR-21に対する時間による反応度を確認し(
図4(f))、初期反応速度(
図4(b))及び反応時間別検出限界(
図4(c))を確認した。
【0110】
3-8.検出限界計算及び初期反応速度比較
各配列に付着した蛍光強度の変化を用いてH1のヘアピン構造の解けた程度、すなわち各プローブシステムの反応程度を24時間の間に測定した
図4の(d)、(e)及び(f)の結果に基づき、各構造体の各miR-21濃度におけるグラフを最も近いS字形ウェイブル(weibull)モデルに合わせて回帰して時間による反応程度に対する式を導出し、これにより、グラフの反応開始1時間目の勾配、すなわち反応速度を計算した結果、反応開始から1時間目の各プローブシステム別反応速度をmiR-21濃度によって比較した初期反応速度において、0nMから40nMまでのmiR-21濃度条件では2腕T-DNA、Y-DNA及びD-DNAの順に反応速度が速く現れ、50nM以上のmiR-21濃度条件では2腕T-DNA、Y-DNA、D-DNAの順に反応が飽和状態に到達し、反応速度が減少し始めた(図(4b))。また、臨床及び実験標準機関(Clinical and Laboratory Standards Institution,CLSI)のガイドラインに基づいて各プローブシステムの反応時間別検出限界を導出した結果、H1及びH2モチーフ間の連結部品の柔軟性が大きい2腕T-DNA、Y-DNA及びD-DNAの順に検出限界が低く現れた(
図4(c))。
【0111】
実施例4.oxDNAシミュレーションプログラムを用いたDNAナノ構造体内におけるプローブ間の距離測定及び衝突頻度計算
4-1.構造体形成段階の塩基対間の距離及び衝突頻度の計算
DNAナノ構造体の形成と構造体内塩基対間の距離の分析のために、
図5に記載されたパラメータを用いたDNA核酸シミュレーションプログラムを用いて、各構造体のH1モチーフがmiR-21と結合した状態のD-DNA、T-DNA及びH-DNAの構造を分析した。具体的に、プログラム上で各構造体を形成するために、各構造体において相補的に結合する配列の末端から2番目の塩基対を“trap”機能によって結んだ。また、構造が比較的複雑なH-DNAの場合にのみ、さらに、末端から三番目の塩基対にもmutual trap機能を適用した(Mutual trap:異なる2塩基の座標上の距離を任意に近づかせる機能で、一般に配列間の円滑な二重結合形成のために用いる機能)。
【0112】
4-2.構造体内塩基対間の距離の分析
DNAナノ構造体に集約されたH1、H2モチーフ間の分子内反応時の距離を測定するために、配列ベースのMD(molecular dynamic)シミュレーションを用いて、前記4-1の実際に反応が始まるmiR-21が結合した状態のH1モチーフの3’末端から8番目の塩基とH2モチーフの5’末端から1番目の塩基(H1とH2間の相補結合が始まる塩基対)との間の距離を測定し、D-DNA、T-DNA及びH-DNAはそれぞれ1つ、4つ、9つのH1、H2モチーフ組合せの間の距離を測定した(
図6)。
【0113】
4-3.H1及びH2の有効衝突頻度の計算
前記4-2で測定したDNAナノ構造体内H1及びH2モチーフ間の相補結合が始まる塩基対間の距離分布のうち、一般に、oxDNAプログラム距離単位1(一般に通用される塩基対間に有効な反応が起こるための十分の距離)に到達する回数と時間を測定し、衝突頻度を計算した(
図7)。そのために、
図6で測定したモチーフ間の距離に基づき、H1及びH2モチーフ間の距離が1である時の回数を基準に分子内の衝突頻度を計算した。
【0114】
実施例5.分離状態のH1及びH2の衝突頻度の理論的計算
既存の一本鎖ベースの診断システムに該当する分離状態のH1及びH2のプローブ間衝突頻度は、水溶液内拡散反応に基づくスモルコフスキ方程式によって理論的に計算した。具体的に、スモルコフスキの液相における溶質の凝固モデル(Smoluchowski coagulation model)の一部を用いて分離状態のH1及びH2の衝突頻度を計算し、中心となる一つの粒子に向かってブラウン運動(Brownian motion)によって分散される粒子の個数を考慮し、フィックの法則(Fick’law)により、半径がrである全ての中心粒子を囲んでいる粒子を通過して結局に中心粒子に到達する一つの粒子のフラックス(flux)、すなわち、中心粒子との衝突頻度を、下記式2で示すことができる。
【0115】
[数2]
F=4πRDυ0
(F:フラックス(flux);D:拡散係数(diffusivity);R:2粒子の中心間の距離;及びυ0:バルク(bulk)濃度)
【0116】
ここで、衝突する粒子の半径が同一であるとすれば、ストークス-アインシュタイン方程式(Stokes-Einstein equation)により、拡散係数を下記式3で示すことができる。
【0117】
[数3]
D=2KBT/3πηR
(kB:ボルツマン定数;及びη:溶液の粘度)
【0118】
前記式3を式2に代入し、溶液の粘度を実験条件によって759.873μPa・sと仮定すれば、分離状態のH1及びH2の衝突頻度は、2710s
-1と計算される。これを、前記実施例4のoxDNAシミュレーション分析から類推された各DNAナノ構造体H1、H2モチーフの分子内反応の衝突頻度と比較した結果、分離状態のH1及びH2は、分子間衝突頻度が
図1(a)におけるように1つのmiR-21に対して2回起きたが、D-DNA、T-DNA及びH-DNAの反応過程で起きる1回の分子内反応では、衝突頻度が分離状態のH1及びH2の分子間反応の衝突頻度に比べて少なくは5倍、多くは500倍以上大きいことが見られた。このことから、分離状態のH1及びH2に比べて、H1及びH2モチーフがDNAナノ構造体に集約されている本発明の構造体プローブシステムの高い反応性が確認できた(
図8)。すなわち、増大した診断感度が、構造体内に集約されたプローブ配列によるものであることが分かる。
【0119】
2つのヘアピン構造を有するモチーフであるH1及びH2は、等温鎖置換反応によりmiR-21が検出でき、2種のモチーフが関与することにより、miR-21は検出プローブと分離、再利用が可能であり、これは、検出シグナルの増幅を可能にし、その過程でプローブとmiR-21との間には2回の分子間反応が起きた(
図1(a))。2モチーフであるH1及びH2が二本鎖構造に集約されることにより、分離されたH1及びH2の分子間反応2がより即時的に且つ速く分子内反応に変わり(
図1(b))、分離状態だったH1及びH2はDNAナノ構造体への集約によって各モーティブ間の衝突頻度が増加し、これによって、プローブシステムの反応性が増加した(
図1(c))。
【産業上の利用可能性】
【0120】
本発明の核酸ナノ構造体は、プローブ配列を局地的に集約させた構造により、単純拡散による分子間衝突/反応段階の一部を核酸構造体内部の速い反応に切り替えることができ、構造的柔軟性を用いた核酸構造体内信号増幅機序を速く活性化させることによって標的核酸に対する検出能力を増進させ、検出能力を向上させ、よって、標的核酸に対する最終検出限界を効果的に下げることができる。
【0121】
以上、本発明の内容の特定の部分を詳細に記述してきたが、当業界における通常の知識を有する者にとって、このような具体的記述は単に好ましい実施の態様であるだけで、これによって本発明の範囲が制限されない点は明らかであろう。したがって、本発明の実質的な範囲は、添付する請求項及びそれらの等価物によって定義されるといえよう。
【配列表】
【手続補正書】
【提出日】2022-01-27
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヘアピン構造を有
するプローブ対がそれぞれ互いに相補的な配列を含む構造体核酸と連結されてプローブ-構造体鎖をそれぞれ形成し、
前記プローブ対のプローブはターゲット核酸と特異的に結合する塩基配列及び互いに相補的な配列を含み、前記それぞれのプローブ-構造体鎖は、前記構造体核酸間の相補的結合によって互いにハイブリダイズされていることを特徴とする核酸ナノ構造体。
【請求項2】
前記構造体核酸の3’末端にプローブが連結されることを特徴とする、請求項1に記載の核酸ナノ構造体。
【請求項3】
以下の(i)~(iii)からなる群から選ばれることを特徴とする、請求項1に記載の核酸ナノ構造体:
(i)1対のプローブを含む核酸ナノ構造体;
(ii)2対のプローブを含む核酸ナノ構造体;及び
(iii)3対のプローブを含む核酸ナノ構造体。
【請求項4】
前記1対のプローブを含む核酸ナノ構造体は、直線形の両端にプローブ対の各一本鎖プローブを含むダイマー型(D型)構造体であって、第1プローブ-第1構造体鎖及び第2プローブ-第2構造体鎖で構成されており、互いに相補的な配列を有する第1構造体鎖と第2構造体鎖が互いに相補的に結合していることを特徴とする、請求項
3に記載の核酸ナノ構造体。
【請求項5】
前記1対のプローブを含む核酸ナノ構造体は、3個の二本鎖腕のうち2個の腕の端にプローブ対の各一本鎖プローブを含むY型構造体であって、
第1プローブ-第1構造体鎖、第2構造体鎖、及び第2プローブ-第3構造体鎖で構成されており、
第1構造体核酸は、第2構造体核酸の一部配列と相補的な配列及び第3構造体核酸の一部配列と相補的な配列を含み、第2構造体核酸は、第1構造体核酸の一部配列と相補的な配列及び第3構造体核酸の一部配列と相補的な配列を含み、第3構造体核酸は、第1構造体核酸の一部配列と相補的な配列及び第2構造体核酸の一部配列と相補的な配列を含み、
前記第1プローブ-第1構造体鎖、第2構造体鎖、及び第2プローブ-第3構造体鎖が互いに相補的に結合していることを特徴とする、請求項
3に記載の核酸ナノ構造体。
【請求項6】
前記1対のプローブを含む核酸ナノ構造体は、十字型の4個の二本鎖腕のうち2個の腕の端にプローブ対の各一本鎖プローブを含む2腕テトラマー(2-Arm Tetramer)構造体であって、
第1プローブ-第1構造体鎖、第2構造体鎖、第3構造体鎖、及び第2プローブ-第4構造体鎖で構成されており、
第1構造体核酸は、第2構造体核酸の一部配列と相補的な配列及び第4構造体核酸の一部配列と相補的な配列を含み、第2構造体核酸は、第1構造体核酸の一部配列と相補的な配列及び第3構造体核酸の一部配列と相補的な配列を含み、第3構造体核酸は、第
2構造体核酸の一部配列と相補的な配列及び第4構造体核酸の一部配列と相補的な配列を含み、第4構造体核酸は、第3構造体核酸の一部配列と相補的な配列及び第1構造体核酸の一部配列と相補的な配列を含み、
前記第1プローブ-第1構造体鎖、第2構造体鎖、第3構造体鎖、及び第2プローブ-第4構造体鎖が互いに相補的に結合していることを特徴とする、請求項
3に記載の核酸ナノ構造体。
【請求項7】
前記2対のプローブを含む核酸ナノ構造体は、4個の二本鎖腕の端に2対のプローブの各一本鎖プローブを含むテトラマー型(T型)構造体であって、
第1プローブ-第1構造体鎖、第2プローブ-第2構造体鎖、第1プローブ-第3構造体鎖、及び第2プローブ-第4構造体鎖で構成されており、
第1構造体核酸は、第2構造体核酸の一部配列と相補的な配列及び第4構造体核酸の一部配列と相補的な配列を含み、第2構造体核酸は、第1構造体核酸の一部配列と相補的な配列及び第3構造体核酸の一部配列と相補的な配列を含み、第3構造体核酸は、第2構造体核酸の一部配列と相補的な配列及び第4構造体核酸の一部配列と相補的な配列を含み、第4構造体核酸は、第1構造体核酸の一部配列と相補的な配列及び第3構造体核酸の一部配列と相補的な配列を含み、前記第1プローブ-第1構造体鎖、第2プローブ-第2構造体鎖、第1プローブ-第3構造体鎖、及び第2プローブ-第4構造体鎖が互いに相補的に結合していることを特徴とする、請求項
3に記載の核酸ナノ構造体。
【請求項8】
前記3対のプローブを含む核酸ナノ構造体はプローブ対の各一本鎖プローブを交互に6個の二本鎖腕の端に含むヘキサマー型(H型)構造体であって、
第1プローブ-第1構造体鎖、第2プローブ-第2構造体鎖、第1プローブ-第3構造体鎖、第2プローブ-第4構造体鎖、第1プローブ-第5構造体鎖、及び第2プローブ-第6構造体鎖で構成されており、
第1構造体核酸は、第2構造体核酸と相補的な配列及び第6構造体核酸の一部配列と相補的な配列を含み、第2構造体核酸は、第1構造体核酸の一部配列と相補的な配列及び第3構造体核酸の一部配列と相補的な配列を含み、第3構造体核酸は、第2構造体核酸の一部配列と相補的な配列及び第4構造体核酸の一部配列と相補的な配列を含み、第4構造体核酸は、第3構造体核酸の一部配列と相補的な配列及び第5構造体核酸の一部配列と相補的な配列を含み、第5構造体核酸は、第4構造体核酸の一部配列と相補的な配列及び第6構造体核酸の一部配列と相補的な配列を含み、第6構造体核酸は、第1構造体核酸の一部配列と相補的な配列及び第5構造体核酸の一部配列と相補的な配列を含み、前記第1プローブ-第1構造体鎖、第2プローブ-第2構造体鎖、第1プローブ-第3構造体鎖、第2プローブ-第4構造体鎖、第1プローブ-第5構造体鎖、及び第2プローブ-第6構造体鎖が互いに相補的に結合していることを特徴とする
、請求項
3に記載の核酸ナノ構造体。
【請求項9】
核酸ナノ構造体の核酸は、DNA、RNA、又はDNA及びRNAである、請求項1に記載の核酸ナノ構造体。
【請求項10】
5’末端又は3’末端に消光剤(quencher)を含み、3’末端又は5’末端に蛍光団(fluorophore)を含む、請求項1に記載の核酸ナノ構造体。
【請求項11】
請求項1に記載の核酸ナノ構造体を含むターゲット核酸検出用組成物。
【請求項12】
請求項
11に記載の核酸検出用組成物を含む診断キット。
【請求項13】
次の段階を含む核酸ナノ構造体の製造方法:
(a)ヘアピン構造
を有するプローブ対がそれぞれ互いに相補的な配列を含む構造体核酸と連結され
、前記プローブ対のプローブはターゲット核酸と特異的に結合する塩基配列及び互いに相補的な配列を含む、プローブ-構造体鎖を作製する段階;及び
(b)前記プローブ-構造体鎖を互いにアニールさせ、核酸ナノ構造体を得る段階。
【請求項14】
(a)段階において、プローブ-構造体鎖は、95℃から4℃まで-0.5℃/30秒の速度でアニールしてプローブと構造体核酸とを連結することを特徴とする、請求項
13に記載の核酸ナノ構造体の製造方法。
【請求項15】
(b)段階において、プローブ-構造体鎖の濃度をそれぞれ500~700nMとし、40~45℃で3~10分間維持した後、4℃まで-0.5℃/30秒の速度でアニールすることを特徴とする、請求項
13に記載の核酸ナノ構造体の製造方法。
【請求項16】
(b)段階において、プローブ-構造体鎖の濃度をそれぞれ800~1000nMとし、40~45℃で3~10分間維持した後、4℃まで-0.5℃/30秒の速度でアニールすることを特徴とする、請求項
13に記載の核酸ナノ構造体の製造方法。
【請求項17】
(b)段階において、プローブ-構造体鎖の濃度をそれぞれ1100~1300nMとし、40~45℃で3~10分間維持した後、4℃まで-0.5℃/30秒の速度でアニールすることを特徴とする、請求項
13に記載の核酸ナノ構造体の製造方法。
【請求項18】
(b)段階において、プローブ-構造体鎖の濃度をそれぞれ1700~1900nMとし、50~60℃で3~10分間維持した後、4℃まで-0.1℃/144秒の速度でアニールすることを特徴とする、請求項
13に記載の核酸ナノ構造体の製造方法。
【請求項19】
請求項1に記載のナノ構造体又は請求項
11に記載の核酸検出用組成物を用いたターゲット核酸の検出方法。
【国際調査報告】