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特表2022-534644Bluetoothデバイスを操作するための方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-08-03
(54)【発明の名称】Bluetoothデバイスを操作するための方法
(51)【国際特許分類】
   H04L 69/324 20220101AFI20220727BHJP
【FI】
H04L69/324
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021558952
(86)(22)【出願日】2020-05-29
(85)【翻訳文提出日】2021-11-30
(86)【国際出願番号】 EP2020064993
(87)【国際公開番号】W WO2020239985
(87)【国際公開日】2020-12-03
(31)【優先権主張番号】19305702.3
(32)【優先日】2019-05-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(31)【優先権主張番号】19306521.6
(32)【優先日】2019-11-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】502208397
【氏名又は名称】グーグル エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】Google LLC
【住所又は居所原語表記】1600 Amphitheatre Parkway 94043 Mountain View, CA U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】スーリエール,アントワーヌ
(72)【発明者】
【氏名】ジラルディエール,トマ
(57)【要約】
本発明は、ワイヤレスオーディオストリーミングの分野に関する。本発明は、BluetoothオーディオソースとBluetoothオーディオシンクとのリンク、またはマスタデバイスとスレーブデバイスとのリンクの構成を動的に管理するために使用できる。本発明は、Bluetoothデバイスを操作するための方法に関し、当該方法は、第2デバイスとの間で確立したBluetooth通信リンクでオーディオ情報を転送するステップと、Bluetoothデバイスまたは第2デバイスのいずれかにおいて動作パラメータの値が変わると、Bluetooth通信リンクの新しい動作モードを決定するステップと、新しい動作モードに基づいてBluetooth通信リンクの構成パラメータを変更するステップと、変更した構成パラメータに従ってBluetooth通信リンク上でオーディオ情報を転送するステップとを含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
Bluetoothデバイスを操作するための方法(700)であって、
第2デバイスとの間で確立(101)したBluetooth通信リンクでオーディオ情報を転送(102)するステップと、
前記Bluetoothデバイス(700)または前記第2デバイスにおいて動作パラメータの値が変化(103)すると、前記Bluetooth通信リンクの新しい動作モードを決定(104)するステップと、
前記新しい動作モードに基づいて前記Bluetooth通信リンクの構成パラメータを変更(105)するステップと、
変更した前記構成パラメータに従って前記Bluetooth通信リンク上でオーディオ情報を転送(102)するステップとを含み、
前記動作パラメータは、
バッテリー残量(202a、202b)、
前記Bluetoothデバイスまたは前記第2デバイス上でのゲームアプリケーション(402)の起動、
マルチメディアコンテンツの読み出しモード、または
マルチメディアコンテンツの品質、
のうちの1つである、方法。
【請求項2】
前記動作パラメータは、前記Bluetoothデバイス(700)または前記第2デバイス上で動作中のオペレーティングシステムに対応付けられる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記動作パラメータは、前記Bluetoothデバイス(700)または前記第2デバイス上で実行中のアプリケーションに対応付けられる、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記構成パラメータを変更(105)するステップは、Bluetoothホストによって実行される、請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記構成パラメータを変更(105)するステップは、Bluetoothコントローラによって実行される、請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記構成パラメータは、
オーディオ構成パラメータ、または
Bluetooth接続パラメータ、
のうち一方である、先行する請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記構成パラメータは、
コーデックの種類、
コーデックに対するパラメータ、
データの種類、
オーディオチャネル選択パラメータ、または
サンプリングレートパラメータ、
のうち1つのオーディオ構成パラメータである、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記構成パラメータは、
フラッシュタイムアウトパラメータ、
チャネルタイプパラメータ、
QoS(Quality of Service)パラメータ、
再送回数パラメータ、
BLEリンクパラメータのうちの1つ、
パケット種別パラメータ、および
MTU(最大送信単位)パラメータ、
のうち1つのBluetooth接続パラメータである、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
Bluetoothデバイス(700)であって、
Bluetoothチップと、
プロセッサと、
メモリとを備え、
第2デバイスとの間で確立(101)したBluetooth通信リンクでオーディオ情報を転送(102)し、
前記Bluetoothデバイス(700)または前記第2デバイスにおいて動作パラメータの値が変化(103)すると、前記Bluetooth通信リンクの新しい動作モードを決定(104)し、
決定した前記新しい動作モードに基づいて前記Bluetooth通信リンクの構成パラメータを変更(105)し、
変更した前記構成パラメータに従って前記Bluetooth通信リンク上でオーディオ情報を転送(102)するように構成される、Bluetoothデバイス(700)。
【請求項10】
前記動作パラメータは、前記Bluetoothデバイス(700)または前記第2デバイスのオペレーティングシステムに対応付けられる、請求項9に記載のBluetoothデバイス(700)。
【請求項11】
前記動作パラメータは、前記Bluetoothデバイス(700)または前記第2デバイス上で実行中のアプリケーションに対応付けられる、請求項9に記載のBluetoothデバイス(700)。
【請求項12】
Bluetoothコントローラをさらに備え、前記構成パラメータを変更(105)するステップは、前記Bluetoothコントローラによって実行される、請求項9~11のいずれか1項に記載のBluetoothデバイス(700)。
【請求項13】
前記動作パラメータは、
バッテリー残量(202a、202b)、
前記Bluetoothデバイスまたは前記第2デバイス上で起動(402)されたアプリケーションの種類、
マルチメディアコンテンツの読み出しモード、または、
マルチメディアコンテンツの品質、
のうちの1つである、請求項9~12のいずれか1項に記載のBluetoothデバイス(700)。
【請求項14】
前記構成パラメータは、
オーディオ構成パラメータ、または
Bluetooth接続パラメータ、
のうち一方である、請求項9~13のいずれか1項に記載のBluetoothデバイス(700)。
【請求項15】
前記動作パラメータは、
コーデックの種類、
コーデックに対するパラメータ、
データの種類、
オーディオチャネル選択パラメータ、または
サンプリングレートパラメータ、
のうち1つのオーディオ構成パラメータである、請求項14に記載のBluetoothデバイス(700)。
【請求項16】
前記動作パラメータは、
フラッシュタイムアウトパラメータ、
チャネルタイプパラメータ、
QoS(Quality of Service)パラメータ、
再送回数パラメータ、
BLEリンクパラメータのうち1つのパラメータ、
パケット種別パラメータ、および
MTU(最大送信単位)パラメータ、
のうち1つのBluetooth接続パラメータである、請求項14に記載のBluetoothデバイス(700)。
【請求項17】
プログラム命令を含んだコンピュータプログラムを格納した非一時的なコンピュータ読み取り可能な記憶媒体であって、前記コンピュータプログラムは、データ処理部に読み込み可能であって、前記データ処理装置によって前記コンピュータプログラムが実行されると、前記データ処理部に請求項1~8のいずれか1項に記載のステップを実行させるようになされる、非一時的なコンピュータ読み取り可能な記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の背景
本発明は、ワイヤレス通信に関し、より具体的には、Bluetooth(登録商標)ソースデバイスとBluetoothマルチメディア(オーディオまたは映像)シンクデバイスとの通信リンクの構成を動的に変更するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
「構成」とは、ソースデバイスとシンクデバイスとの間でどのようにデータが送信されるかを決定するパラメータセットを意味する。これらのパラメータは、「構成パラメータ」と称される。「構成を変更する」とは、構成パラメータセットのうち、1つまたは複数の構成パラメータを変更することを意味する。
【0003】
1つまたは複数の実施の形態では、Bluetoothシンクデバイスは、Bluetoothスピーカーであってもよい。「スピーカー」とは、電気音声信号を対応する音に変換する任意の電気音響変換器を意味する。「スピーカー」という用語は、たとえば、ステレオシステム、ヘッドホン、イヤホン、補聴器などのオーディオスピーカーを含む。オーディオソースデバイス(または、単に「ソースデバイス」、もしくは「ソース」)は、たとえば、携帯電話、ポータブルゲームプレーヤー、ポータブルメディアプレーヤ、コンピュータ、タブレット端末、テレビ、ステレオシステムの制御装置などであってもよい。以下では、ソースデバイスは、「マスタデバイス」と称される場合もある。
【0004】
Bluetoothは、歴代のバージョンを発行している組織団体(Bluetooth SIG)によって管理されている、当業者に周知の通信規格である。Bluetoothは、近距離の双方向のデータのやり取りを可能にする(これは、パーソナルゾーンを網羅するネットワークを指定するピコネットネットワークである)。そのため、Bluetooth機器の範囲は、数十メートルに限定されている。Bluetoothは、UHF帯(300MHzと3GHzとの間)に位置する電波を利用する。Bluetoothは、ケーブル接続をなくすことによって電子機器同士の接続を簡略化することを目的としている。よって、Bluetoothは、ソースマルチメディアデバイス(hi-fiシステム、カーラジオ、コンピュータ、タブレット端末、携帯電話など)間のケーブルをワイヤレス通信、および、受信したマルチメディアストリームを再生するように配置された複数のスピーカーなど、マルチメディアシンクデバイスに置き換えることを可能にする。Bluetoothスピーカーは、そのポータビリティの高さから一定の成功を収めている。
【0005】
一般的に、ソースデバイスとシンクデバイスとの間のBluetoothリンクの構成は、接続が確立されたときに決定され、その後変更されることはない。たとえば、マスタデバイスは、シンクデバイスの音声機能を取得する要求を送り、応答に基づいて適したリンクの音響パラメータを選択してもよい。
【0006】
利用可能なBluetooth帯域幅に基づいて音声ビットレートを動的に順応させるためのいくつかの方法が従来技術において提案されてきた。たとえば、米国出願第8,031,658号は、Bluetooth接続の状態に基づいてコーデックに使われるビットレートを動的に変更することを提案している。米国出願第2013/0304458号は、ソースデバイスに関し、コントローラは、通信しているBluetoothデバイス間の帯域幅に基づいた音響パラメータを変更することに順応している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
すなわち、従来の技術では、音声が途切れ途切れになることを回避し、かつユーザエクスペリエンスを改善するために、接続パラメータに基づいて音響パラメータを動的に順応させるよう提案するのみである。
【0008】
しかしながら、Bluetoothデバイス間で接続を確立するときに採用した構成が最適の構成ではない場合があるその他の状況があり、このような状況では、リンクの構成を動的に変更したいと望むであろう。
【0009】
そのため、本開示の目的は、パラメータ(必ずしも接続パラメータである必要はない)に基づいてBluetoothソースデバイスとBluetoothマルチメディアシンクデバイスとの通信リンクの構成(音響パラメータだけでなく)を動的に変更するための方法を対象とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の概要
本発明は、Bluetoothデバイスを操作するための方法に関する。この方法は、
第2デバイスとの間で確立したBluetooth通信リンクでオーディオ情報を転送するステップと、
Bluetoothデバイスまたは第2デバイスにおいて動作パラメータの値が変化すると、Bluetooth通信リンクの新しい動作モードを決定するステップと、
新しい動作モードに基づいてBluetooth通信リンクの構成パラメータを変更するステップと、
変更した構成パラメータに従ってBluetooth通信リンク上でオーディオ情報を転送するステップとを含んでもよい。
【0011】
「Bluetooth通信リンク」とは、Bluetooth Basic Rate/Enhanced Data Rate(BluetoothBR/EDR)だけでなく、Bluetooth low energy(LE)も含む(たとえばBluetoothコア仕様バージョン5.1またはそれよりも前のバージョンのBluetoothコア仕様に記載されているような)任意のBluetoothプロトコルに従って確立された通信リンクを意味する。
【0012】
1つまたは複数の実施の形態では、動作パラメータは、Bluetoothデバイスまたは第2デバイス上で動作中のオペレーティングシステムに対応付けられてもよい。
【0013】
これに代えて、動作パラメータは、Bluetoothデバイスまたは第2デバイス上で実行中のアプリケーションに対応付けられてもよい。
【0014】
1つまたは複数の実施の形態では、構成パラメータを変更するステップは、Bluetoothホストによって実行されてもよい。
【0015】
これに代えて、構成パラメータを変更するステップは、Bluetoothコントローラによって実行されてもよい。
【0016】
1つまたは複数の実施の形態では、動作パラメータは、
バッテリー残量、
Bluetoothデバイスまたは第2デバイス上で起動されたゲームアプリケーションの種類、
マルチメディアコンテンツの読み出しモード、または
マルチメディアコンテンツの品質、
のうちの1つであってもよい。
【0017】
1つまたは複数の実施の形態では、構成パラメータは、
オーディオ構成パラメータ、または
Bluetooth接続パラメータ、
のうち一方であってもよい。
【0018】
たとえば、構成パラメータは、
コーデックの種類、
コーデックに対するパラメータ、
データの種類、
オーディオチャネル選択パラメータ、または
サンプリングレートパラメータ、
のうち1つのオーディオ構成パラメータであってもよい。
【0019】
本発明の別の態様は、Bluetoothデバイスに関する。このBluetoothデバイスは、
Bluetoothチップと、
プロセッサと、
メモリとを備え、
第2デバイスとの間で確立したBluetooth通信リンクでオーディオ情報を転送し、
Bluetoothデバイスまたは第2デバイスにおいて動作パラメータの値が変化すると、Bluetooth通信リンクの新しい動作モードを決定し、
決定した新しい動作モードに基づいてBluetooth通信リンクの構成パラメータを変更し、
変更した構成パラメータに従ってBluetooth通信リンク上でオーディオ情報を転送するように構成されてもよい。
【0020】
1つまたは複数の実施の形態では、動作パラメータは、Bluetoothデバイスまたは第2デバイスのオペレーティングシステムに対応付けられてもよい。
【0021】
これに代えて、動作パラメータは、Bluetoothデバイスまたは第2デバイス上で実行中のアプリケーションに対応付けられてもよい。
【0022】
1つまたは複数の実施の形態では、Bluetoothデバイスは、Bluetoothコントローラをさらに備えてもよく、構成パラメータを変更するステップは、Bluetoothコントローラによって実行されてもよい。
【0023】
Bluetoothデバイスは、Bluetoothホストをさらに備えてもよく、代わりに、構成パラメータを変更するステップは、Bluetoothホストによって実行されてもよい。
【0024】
1つまたは複数の実施の形態では、動作パラメータは、
バッテリー残量、
Bluetoothデバイスまたは第2デバイス上で起動されたアプリケーションの種類、
マルチメディアコンテンツの読み出しモード、または、
マルチメディアコンテンツの品質、
のうちの1つであってもよい
1つまたは複数の実施の形態では、構成パラメータは、
オーディオ構成パラメータ、または
Bluetooth接続パラメータ、
のうち一方であってもよい。
【0025】
たとえば、動作パラメータは、
コーデックの種類、
コーデックに対するパラメータ、
データの種類、
オーディオチャネル選択パラメータ、または
サンプリングレートパラメータ、
のうち1つのオーディオ構成パラメータであってもよい。
【0026】
これに代えて、動作パラメータは、
フラッシュタイムアウトパラメータ、
チャネルタイプパラメータ、
QoS(Quality of Service)パラメータ、
再送回数パラメータ、
BLEリンクパラメータのうち1つのパラメータ、
パケット種別パラメータ、および
MTU(最大送信単位)パラメータ、
のうち1つのBluetooth接続パラメータであってもよい。
【0027】
別の態様は、プログラム命令を含んだコンピュータプログラムを格納した非一時的なコンピュータ読み取り可能な記憶媒体であって、コンピュータプログラムは、データ処理部に読み込み可能であって、データ処理装置によってコンピュータプログラムが実行されると、データ処理部に上記方法のステップを実行させるようになされる。本発明の特定の実施形態において用いられる非一時的なコンピュータ読み取り可能な記憶媒体の種類は、磁気ハードディスクドライブ(HDD)、固定光記憶媒体、FPGA(Field Programable Gate Array)、プログラマブルROM(Read-Only Memory)またはフラッシュRAMデバイスを含む。これらの非一時的なコンピュータ読み取り可能な記憶媒体は、スタンドアロンであってもよく、または、より大きなBluetooth対応システムの一部であってもよい。
【0028】
本発明の別の態様では、Bluetoothソースデバイスは、BluetoothシンクデバイスとのBluetooth通信リンクを指揮する。また、Bluetoothソースデバイスは、動作パラメータの変更を検出するステップと、動作パラメータの変更に基づいて通信リンクの構成パラメータを変更するステップと、構成パラメータに従って通信リンクでオーディオ情報を送信するステップとを実行する。構成パラメータの変更は、たとえば、Bluetoothシンクデバイスに構成メッセージを送信することによって実行されてもよい。
【0029】
これに加えて、動作パラメータの変更の検出は、たとえば、Bluetoothソースデバイス上で動作中のオペレーティングシステムおよび/またはアプリケーションと情報をやり取りすることによって行われてもよい。これに代えて、Bluetoothソースデバイスは、本明細書において説明する動作パラメータを含むBluetoothシンクデバイスから受信したメッセージによって、または、バッテリーの電力が低いこと、左もしくは右のスピーカーをオフに切り替えること、音響状況の変更、もしくはステレオモードとモノラルモードとを切り替えることを示すメッセージによって、動作パラメータの変更を検出してもよい。
【0030】
本発明の別の態様では、Bluetoothシンクデバイスは、Bluetoothリンクを介して通信を行うステップと、動作パラメータのローカルな変更を検出するステップと、Bluetoothリンクの構成パラメータを変更するステップとを実行し、その後、Bluetoothリンクを介してオーディオ情報を送信する。Bluetoothシンクデバイスは、メッセージングによってBluetoothソースデバイスに動作パラメータの変更を知らせてもよく、その後、Bluetoothソースデバイスからの制御メッセージに応答して構成パラメータを変更してもよく、または、好ましい構成パラメータを決定した後、所望の構成を変更するメッセージを送ってもよい。
【0031】
本発明の別の態様では、本明細書において説明する様々なステップを実行するハードウェアおよび回路を提供する。たとえば、Bluetoothデバイスは、第2のBluetoothデバイスとの通信リンクを確立するように構成されたBluetoothチップと、動作パラメータの値の変更を検出するための検出回路と、確立した通信リンクの構成パラメータを動作パラメータに基づいて決定するための決定回路と、確立した通信リンクの構成パラメータを決定した動作モードに基づいて変更するための変更回路とを備えてもよい。
【0032】
本発明のさらに別の態様では、Bluetoothデバイスは、第2デバイスにオーディオ情報を送信するためのBluetoothインターフェースモジュールを備え、当該Bluetoothインターフェースモジュールは、第2デバイスから受信した信号を受信デジタルデータに変換する、および出力デジタルデータを第2デバイスに送信される信号に変換するための無線周波数処理回路と、電力を蓄積するための、バッテリー残量を有するバッテリーと、バッテリーのバッテリー残量を検出するためのバッテリー監視回路と、アプリケーション監視プロセスとBluetooth制御プロセスとを含むオペレーティングシステムレイヤを実行するためのプロセッサとを備える。これに加えて、Bluetooth制御プロセスは、無線周波数処理部を使用して第2デバイスとのワイヤレスリンクを確立するステップを実行し、当該リンクは第1構成を有し、Bluetooth制御プロセスは、さらに、ワイヤレスリンクで送信されているオーディオ関連情報の動作パラメータを監視するステップと、動作パラメータの変更に応じてリンクの構成パラメータを変更するステップとを実行する。
【0033】
本明細書に開示する方法および装置のその他の特徴および利点は、添付の図面を参照して、非限定的な実施の形態についての下記の説明から明らかになるであろう。
【0034】
添付の図面では、本発明は、一例として示されており、限定ではない。添付の図面では、同様の要素には同じ参照番号を付してある。
【図面の簡単な説明】
【0035】
図1】本発明の実現可能な実施の形態を説明するフローチャートである。
図2】本発明の第1の実現可能な実施の形態を示す図である。
図3】本発明の第2の実現可能な実施の形態を示す図である。
図4】本発明の第3の実現可能な実施の形態を示す図である。
図5】本発明の第4の実現可能な実施の形態を示す図である。
図6】本発明を可能にするデバイスの実現可能な実施の形態である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
好ましい実施の形態の説明
図1は、本発明の実現可能な実施の形態を説明するフローチャートである。
【0037】
図1のフローチャートのステップは、マスタデバイスおよび/またはシンクデバイスによって実行されてもよい。
【0038】
第1のステップ(101)では、マスタデバイスとシンクデバイスとの間にワイヤレス通信リンクを確立する。このワイヤレス通信リンクは、Bluetoothの標準規格によって規定されたいくつかのレイヤから構成されるA2DP(Advanced Audio Distribution Profile)を用いたBluetoothリンクであってもよい。
【0039】
そのため、確立された通信リンクでオーディオ情報を転送する(102)。たとえば、オーディオ情報は、音声であってもよく、オーディオデータを組み込んだパケットを含むステレオストリームであってもよい。この方法を実装するデバイスは、マスタデバイスおよびシンクデバイスのうち少なくとも1つのBluetoothデバイスの動作パラメータの変更を検出する(103)ようにさらに構成されてもよい。
【0040】
当該変更は、この方法を実装するデバイスであればマスタデバイス側で生じてもよいし、シンクデバイス側で生じてもよい。たとえば、マスタデバイスは、その動作パラメータのうちの1つの動作パラメータの変更だけでなく、シンクデバイスの動作パラメータの変更も検出してもよい。
【0041】
動作パラメータの変更が検出されない限り(ステップ103、「N」)、マスタデバイスとシンクデバイスとのワイヤレス通信リンクの構成は変更されず、オーディオデータはこの構成に従ってこの通信リンク上で転送され続ける(102)。
【0042】
動作パラメータの変更が検出されると(ステップ103、「Y」)、マスタデバイスとシンクデバイスとの通信リンクのための新しい動作モードを決定する(104)。
【0043】
その後、決定した動作モードに従ってマスタデバイスとソースデバイスとの間でデータを送信するために、この動作モードに基づいて通信リンクの構成を変更する。これを目的に、通信リンクの少なくとも1つの構成パラメータを変更する(105)。その後、この再構成されたリンク上でオーディオデータを送受信する(102)。
【0044】
Bluetoothデバイスの「動作パラメータ」とは、Bluetoothデバイスの動作に関するパラメータ、たとえば、Bluetoothデバイス上で動作中のオペレーティングシステムに関するパラメータを意味する。
【0045】
1つまたは複数の実施の形態では、Bluetoothデバイスの動作パラメータは、Bluetoothデバイス上で実行中のアプリケーションに対応付けられてもよい。その場合、Bluetoothデバイスは、通常、マスタデバイスである、すなわち、動作パラメータは、マスタデバイス上で実行中のアプリケーションに対応付けられる。たとえば、このようなパラメータは、Bluetoothデバイス上で起動または終了されるアプリケーションの種類(ゲーム、映像またはオーディオストリーミングなど)であってもよく、Bluetoothデバイス上で起動される特定のアプリケーションであってもよい(たとえば、ユーザがスマートフォン上でSpotify(登録商標)を利用中であり、Youtube(登録商標)を起動する)。
【0046】
たしかに、特定のアプリケーションまたは特定の種類のアプリケーションを利用する際にリンクの構成を変更することは有利であろう。たとえば、2つのストリーミングアプリケーションのサンプリングレートは同じでない可能性があり、そのサンプリングレートがBluetoothデバイス上で現在起動しているアプリケーションのうち一方に一致するようにBluetoothオーディオリンクを再構成することは有利であろう(その結果、オーディオパケットを送る前の再サンプリングをしないで済む)。別の実施例によると、ゲームアプリケーションは、低遅延モードで起動する必要があってもよい。
【0047】
1つまたは複数の実施の形態では、動作パラメータは、Bluetoothデバイス(通常、マスタデバイスである)が再生するマルチメディアコンテンツに関してもよい。たとえば、動作パラメータは、マルチメディアコンテンツの読み出しモード(たとえば、モノラル/ステレオ)であってもよい。これに代えて、またはこれに加えて、動作パラメータは、マルチメディアコンテンツの品質(たとえば、圧縮レベル、高精細度/標準精細度/低精細度など)であってもよい。
【0048】
1つまたは複数の実施の形態では、動作パラメータは、マスタデバイスまたはシンクデバイスの物理コンポーネントに関するパラメータ、たとえば、バッテリー残量であってもよい。
【0049】
「動作モード」とは、マスタデバイスおよびシンクデバイスのうちの一方のハードウェアコンポーネントに関するモード、または、あるデバイスから別のデバイスにデータを送信するためのモードを意味する。たとえば、動作モードは、マスタデバイスまたはシンクデバイスの消費電力に関するモード(たとえば、省電力モード)、コンテンツの品質に関するモード(たとえば、高品質モード)、遅延に関するモードなどであってもよい。
【0050】
ソースデバイスとシンクデバイスとの通信リンクの「構成」は、ソースデバイスとシンクデバイスとの間でどのようにデータが送信されるかを決定する構成パラメータセットに対応してもよい。これらの構成パラメータは、ワイヤレス通信リンクに対応付けられたBluetooth接続パラメータ、およびアプリケーションパラメータを含んでもよい。
【0051】
Bluetooth接続パラメータとは、「Baseband」ビルディングブロック、「LMP」(「Link Manager Protocol」)ビルディングブロック、「L2CAP」(「Logical Link Control and Adaptation Protocol」)ビルディングブロック、または「SDP」(「Service Discovery Protocol」)など、Bluetoothの標準規格が規定する下位のビルディングブロックに関するパラメータを意味する。たとえば、Bluetoothパラメータは、再送回数、パケット種別、MTU(最大送信単位)、ソースデバイスのバッファメモリにあるデータパケットの有効期限を規定するFTO(または「フラッシュタイムアウト」)値、L2CAPチャネルで送信されるパケットを含めたときとそれを効果的に送信した時との間の最大遅延を規定するQoS(「Quality of Service」)パラメータなどを含んでもよい。
【0052】
アプリケーションパラメータとは、選択されたアプリケーションに関するパラメータ、すなわち、アプリケーションレイヤに関するパラメータを意味する。Bluetoothの標準規格では、オーディオの送信は、A2DP(Advanced Audio Distribution Profile)によって規定されている。A2DPプロファイルは、AVDTP(Audio/Video Distribution Transport Protocol)ビルディングブロックに基づく。AVDTPビルディングブロックは、オーディオストリームを確立し、オーディオストリームパラメータを交渉し、オーディオストリームデータを送信するためのBluetoothデバイス間のプロシージャを規定する。そのため、オーディオを送信する場合、アプリケーションパラメータは、オーディオ構成パラメータであってもよく、以下を含んでもよい。
【0053】
-送信するオーディオデータを符号化するまたは受信したオーディオデータを復号化するために使用するコーデック(コーダ/デコーダ)の種類:Bluetoothプロトコルによると、Bluetoothデバイスがサポートする唯一のコーデックはSBC(「Low Complexity Subband Codec」を指す)であるが、AAC(「Advanced Audio Coding」を指す)、LDAC、またはApt-Xなど、その他のコーデックが使用されてもよい。コーデックの種類の選択によって、オーディオコンテンツの品質が改善したり低下したりする可能性がある。
【0054】
-コーデックに対するパラメータ:たとえば、ビットレート、チャネル構成(モノラル、ステレオまたはジョイントステレオ)など。
【0055】
-オーディオチャネルごとに送信するオーディオデータの種類:たとえば、「左」、「右」、または両方の組合せ(たとえば(左+右)/2)
-サンプリングレート
-その他
なお、動作パラメータが変更された場合の新しい動作モードの決定は、自動的に引き起こされてもよく(たとえば、バッテリー残量が所定の閾値以下の場合、または、バッテリー残量の微分係数が所定の閾値以下の場合、省電力モードが自動的に起動される)、ユーザ動作によって手動で引き起こされてもよい(たとえば、ユーザがゲームを開始したときに「ゲームモード」が起動されてもよく、ユーザがゲームを終了したときに動作モードが「ゲームモード」から「標準モード」に切り替えられてもよい)。
【0056】
決定した動作モードに基づく通信リンクの構成の変更は、いくつかの方法で行われてもよい。1つまたは複数の実施の形態では、(AVDTP仕様で規定されている)AVDTPの「再構成コマンド」を使用してもよい。このコマンドによって、ストリームに参加しているデバイスがアプリケーションサービス機能を変更できるようになる。
【0057】
たとえば、次のプロシージャが用いられてもよい。まず、ストリームを停止するために「ストリーミング停止プロシージャ」を実行してもよい。次に、現在の機能設定を変更するために再構成コマンドを使用してもよい。再構成後、「ストリーミング開始プロシージャ」を使用することによってストリーミングを再起動してもよい。
【0058】
ストリーム停止プロシージャを必要としない、(たとえば、SBCコーデックのbitpoolを変更してビットレートを下げることによって)通信リンクを再構成するためのその他の技術が使用されてもよい。よって、通信リンクは、ストリーミングを遮断しないで動的に再構成される。
【0059】
あくまで例を用いた説明を目的として、図1の方法のいくつかの実施例を以下に提供する。これらの実施例のうちいくつかは、異なる動作モード候補を示した下記の表に基づく。
【0060】
【表1】
【0061】
ワイヤレス通信リンクがすでに確立されており(101)オーディオデータを転送する(102)ために利用されていると想定する。
【0062】
第1の実施例では、動作パラメータは、(マスタデバイスまたはシンクデバイスの)バッテリー残量である。ステップ103では、方法を実行中のBluetoothデバイスは、バッテリー残量が所定の閾値よりも下がったと判断してもよい。ステップ104では、通信リンクの現在の動作モードを「省電力モード」に変更してもよいと判断する。その結果、次の構成パラメータのうち少なくとも1つを変更してもよい(ステップ105)。
【0063】
-コーデック複雑性:たとえば、複雑性が低いコーデック、すなわち、処理能力をあまり必要としないコーデック圧縮技術に基づくコーデックを使用してもよい。
【0064】
-コーデックビットレート:たとえば、ビットレートが低いコーデックを使用してもよい。
【0065】
-パケットスケジューラ:たとえば、バースティトラフィックに順応させたパケットスケジューラを使用してもよい。「バースティトラフィック」とは、マスタデバイスのスケジューラが、1つの大きなパケットまたは複数の連続したパケットに含めて送信する前により多くのオーディオデータをバッファに入れることを意味し、それゆえ、イヤホン/スマートフォンのチップセットをその合間に(たとえばBluetoothプロトコルのスニフモードまたはホールドモードを利用して)スリープ状態にさせる。
【0066】
その他の構成パラメータ、たとえば、次のパラメータのうち、1つのパラメータを変更してもよい(ステップ105)。
【0067】
-ワイヤレス通信リンクで送信されるオーディオ情報のデータ転送速度
-ワイヤレス通信リンクで送信されるオーディオ情報のサンプリングレート
-ワイヤレス通信リンクで送信されるオーディオデータの任意のオーディオ構成パラメータ:たとえば、コーデック種別、コーデック関連のパラメータ、データ種別、オーディオチャネル選択パラメータ、サンプリングレートパラメータなど。
【0068】
別の実施例では、動作パラメータは、アプリケーションの種類である。ステップ103において、マスタデバイス上で起動されたアプリケーションの種類がゲームまたはリアルタイム映像アプリケーションであると検出した場合、ステップ104において、通信リンクの現在の動作モードを「低遅延モード」に変更してもよいと判断してもよい。その結果、次の構成パラメータのうち少なくとも1つを変更してもよい(ステップ105)。
【0069】
-コーデック遅延:遅延が低いコーデックを使用してもよい。これは、たとえば、高品質(かつ高帯域幅)のコーデック、すなわち、G.711のような高MOS(Mean Opinion Score)に対応つけられたコーデックを利用することによって実現されてもよい。なぜならば、このようなコーデックは、通常、符号化-復号化遅延を最も低くするように構成されているためである。
【0070】
-再送回数:この数は小さくなるように選択される。
-パケットスケジューラ:たとえば、バースティトラフィックを回避するように順応させたパケットスケジューラをマスタデバイスに使用してもよい。このようなスケジューラは、バッファに入れすぎる(これは、遅延を増やす)ことのないように、小さいパケットが遅れずに送信されることを好む。
【0071】
動作パラメータがアプリケーションの種類である場合を例に引き続き説明すると、ステップ103において、ある種類のアプリケーション(たとえば、ゲーム、音声またはリアルタイム映像アプリケーション)がマスタデバイス上で終了したことを検出すると、ステップ104において、デフォルトの構成パラメータを用いて通信リンクの現在の動作モードを「標準モード」に切り替えると判断してもよい。
【0072】
また、このような「標準モード」は、動作パラメータがバッテリー残量である場合、およびステップ103においてバッテリー残量が再び所定の閾値を上回ったことを検出した場合に使用されてもよい。
【0073】
さらに別の実施例では、動作パラメータは、特定のオーディオアプリケーション(Spotify(登録商標)、Apple Music(登録商標))である。ステップ103において、ある特定のオーディオアプリケーションがマスタデバイス上で開始されたことを検出すると、ステップ104において、通信リンクの現在の動作モードが「高品質モード」に切り替えられてもよいと判断してもよい。その結果、次の構成パラメータのうち少なくとも1つを変更してもよい(ステップ105)。
【0074】
-コーデック品質:高品質(および高い帯域幅)のコーデック、すなわち、高MOSに対応付けられたコーデックを使用してもよい。
【0075】
-コーデックビットレート:たとえば、最大ビットレートのコーデックを使用してもよい。
【0076】
-再送回数:この数は最大になるように選択される。
さらに別の実施例によると、動作パラメータの変更(103)が、オーディオソースが高圧縮率のソースから低圧縮率のソースに変わることに対応する場合、構成パラメータの変更(105)は、以下を含んでもよい。
【0077】
-コーデック構成パラメータを高圧縮から低圧縮に変更し、ワイヤレス通信リンクのスループットパラメータを大きくすること、および/または、
-ワイヤレス通信リンクのMTUを増やすこと。
【0078】
さらに別の実施例によると、マスタデバイスがスマートフォンであり、スレーブシステム201が2つのイヤホンを備える場合、動作パラメータの変更103は、オーディオデータのローカルソースが高品質ソースから低品質ソースに変わることに対応してもよい。その後、変更に応じて、データ転送速度が速い高品質リンクから、データ転送速度が下がった低品質リンクにワイヤレス通信リンクが再構成されてもよい。
【0079】
図2図3図4、および図5は、本発明の異なる実現可能な実施の形態を表す図である。
【0080】
図2図3、および図4では、マスタデバイス203は、コンピュータ、タブレットデバイス、またはスマートフォンなど、オーディオソースデバイスであってもよく、映像ソースデバイスであってもよい。マスタデバイス203は、少なくとも1つのシンクデバイスを含むスレーブシステム201に接続されてもよい。スレーブシステムは、たとえば、1つのBluetoothイヤホン/大型イヤホン、Bluetoothイヤホン/大型イヤホンのペア、1つのBluetoothスピーカー、または複数のBluetoothスピーカーであってもよい。複数のシンクデバイス(たとえば、イヤホンのペア)がある場合、マスタデバイス203は、マスタデバイス203と複数のシンクデバイス201との間にポイントツーマルチポイントリンクを作ることによって、シンクデバイス201を制御するための複数のSEPを生成するように構成されたBluetoothチップ(図2では示されていない)を備えてもよい。たとえば、Bluetoothチップは、(制御しなければならない各Bluetoothシンクデバイスに対応する)シンクSEPごとに、別個のソースSEPを生成してもよい。この構成は、ソース203からシンクデバイス201の各々までのポイントツーポイントリンクから構成されているように見える。たとえば、この実施態様については、このようなポイントツーマルチポイントリンクを作成するよう、変更したA2DPプロファイルを実装するよう構成されたBluetoothチップを提案する欧州出願第17182123.4号を参照されたい。このような実施の形態では、マスタデバイス203からシンクデバイスの各々への各リンクを再構成してもよい。
【0081】
もちろん、マスタデバイス203から複数のシンクデバイス201を制御するためのその他のソリューションを使用してもよい。
【0082】
たとえば、マスタデバイス203、第1イヤホン、および第2イヤホン(イヤホンのペア201の場合)の間でチェーン接続を確立してもよい。第1のワイヤレスリンク、たとえば、A2DP(Advanced Audio Distribution Profile)を用いたBluetoothリンクに従って、第1イヤホンをマスタデバイス203に接続してもよい。左チャネルおよび右チャネル両方についてのステレオデータを組み込んだパケットを含んだステレオストリームをマスタデバイス203から第1イヤホンに送信してもよい。第1イヤホンは、次のように構成されてもよい。
【0083】
-2つのチャネルのうち一方(たとえば、左チャネル)を基準としたオーディオデータのみを再生し、
-他方のチャネルを基準としたモノラルオーディオデータを第2のワイヤレスリンクを介して第2イヤホンに送る。第2のワイヤレスリンクは、たとえば、Bluetoothリンク(たとえば、完全ワイヤレスステレオ)であってもよく、NFMI(Near Field Magnetic Induction)リンクであってもよい。
【0084】
別のソリューションは、マスタデバイス203から2つのイヤホンのうち一方へのワイヤレスリンクから構成されてもよく、他方のイヤホンは、ワイヤレスリンクを「スニッフィング」(または「スヌーピング」)するように構成される。このソリューションによると、第1イヤホンは、第1のワイヤレスリンク、たとえば、A2DP(Advanced Audio Distribution Profile)を用いたBluetoothリンクに従ってマスタデバイス203に接続されてもよい。左チャネルおよび右チャネル両方についてのステレオデータを組み込んだ1つ以上のパケットを含むステレオストリームがマスタデバイス203から第1イヤホンに送信されてもよい。一方で、第2のワイヤレスリンク(たとえばBluetoothリンク)に従って第1イヤホンを第2イヤホンに接続してもよい。第1イヤホンと第2イヤホンとは、第2イヤホンが第1リンクをスニッフィングすること、および右チャネルを基準としたオーディオデータを検索して取り出すことを可能にするためのスニッフィング/復号化パラメータを含む、いくつかのパラメータをやり取りすることができる。しかしながら、オーディオデータは第2リンクを介してやり取りされない。このソリューションによると、第2イヤホンはマスタデバイス203に接続されておらず、第1のワイヤレスリンクをスニッフィングするように構成される。
【0085】
1つまたは複数の実施の形態では、マスタデバイス203は、スレーブデバイス201にオーディオ情報を送信するように構成されてもよく、次の構成要素を備えてもよい。
【0086】
-スレーブデバイス201から受信した信号を受信デジタルデータに変換する、および出力デジタルデータをスレーブデバイス201に送信される信号に変換するための無線周波数処理回路。出力デジタルデータは、オーディオ関連情報を含む。
【0087】
-電力を蓄積するための、バッテリー残量を有するバッテリー
-バッテリーのバッテリー残量を検出するためのバッテリー監視回路
-アプリケーション監視プロセスおよびBluetooth制御プロセスを含むオペレーティングシステムレイヤを実行するためのプロセッサ。制御プロセスは、本発明の操作方法を実行するように構成される。
【0088】
たとえば、マスタデバイス203は、イヤホンペア201、左イヤホンと右イヤホンとを含むイヤホンにオーディオ情報を送信するためのスマートフォンであってもよく、マスタデバイスは、次の構成要素を備える。
【0089】
-イヤホンから信号を受信し、イヤホンに信号を送信するための無線周波数部
-電力を蓄積するための、バッテリー残量を有するバッテリー
-バッテリーのバッテリー残量を検出するためのバッテリー監視部
-アプリケーション監視プロセスおよびBluetooth制御プロセスを含むオペレーティングシステムレイヤを実行するためのプロセッサユニット。制御プロセスは、本発明の操作方法を実行するように構成される。
【0090】
図2は、本発明の第1の実現可能な実施の形態を示す図である。
スレーブシステム201は、異なる種類のコーデック(たとえば、SBC、LDAC、Apt-Xなど)をサポートするように構成されてもよく、各コーデックは、1つまたは複数の実現可能なビットレートに対応付けられてもよい(たとえば、990kbits/s、kbps、または660kbpsのLDAC)。これに代えて、スレーブシステム201は、異なる実現可能なビットレートで1種類のコーデックをサポートするように構成されてもよい。
【0091】
スレーブシステム201は、バッテリー残量202a、202bを有し、バッテリー残量202a、202bが所定の閾値(たとえば、最大バッテリー残量の20%)を下回った場合に低バッテリー信号をマスタデバイス203に送るように構成される。たとえば、低バッテリー信号は、BLE(Bluetooth Low Energy)送信を利用することによって送られてもよく、AVRCP(Audio/Video Remote Control Profile)プロファイルを利用することによって送られてもよい。
【0092】
本実施の形態では、動作パラメータは、スレーブシステム201のバッテリー残量202a、202bである。バッテリー残量202a、202bが所定の閾値を下回るということは、図1を参照して上記で定義した動作パラメータの変更に対応する。新しい動作モードは、省電力モードであってもよく、リンク(または、ポイントツーマルチポイント送信の場合のリンク)の再構成は、コーデックの種類および/またはビットレートを変更することを含んでもよい(たとえば、ビットレートを下げる)。
【0093】
ある実施例によると、スレーブシステム201のバッテリー残量202aが所定の閾値を上回っている間、マスタデバイス203は、第1コーデック種別(たとえば、990kbpsのステレオLDAC)によって処理されたオーディオパケットをスレーブシステム201に送ってもよい(204)。スレーブシステム201のバッテリー残量202bが所定の閾値を下回る場合、スレーブシステム201は、マスタデバイス203に低バッテリー信号を送る(205)。この低バッテリー信号を受信する(205)と、マスタデバイス203において、Bluetoothオーディオリンクを省電力モードに切り替えなければならないと判断する。省電力モードでは、スレーブシステム201に送られる(206)オーディオパケットは、第2コーデック種別(たとえば、328kbpsのステレオSBC)によって処理される。
【0094】
オプションで、低バッテリー信号を受信する(205)と、マスタデバイス203を省電力モードに切り替えてもよいという確認をユーザに求めるメッセージがマスタデバイス203の画面上に表示されてもよい。この場合、1つリンク/複数のリンクの構成の変更は、明示的なユーザの動作によって引き起こされる。
【0095】
これに代えて、ユーザの確認なしで、マスタデバイス203を省電力モードに自動的に切り替えてもよい。この場合、1つリンク/複数のリンクの構成の変更は、ユーザの動作なしで引き起こされる。
【0096】
別の実施例によると、スレーブシステム201のバッテリー残量202aが所定の閾値を上回っている間、マスタデバイス203は、第1コーデック種別(たとえば、990kbpsのステレオLDAC)によって処理されたオーディオパケットをスレーブシステム201に送ってもよい(204)。スレーブシステム201のバッテリー残量202bが所定の閾値を下回る場合、スレーブシステム201において、通信リンクを省電力モードに切り替えなければならないと判断する。その後、スレーブシステム201は、この新しい動作モードに基づいて変更された構成パラメータ(複数可)を基準とした情報をマスタデバイス203に送ってもよい。情報を受信した後、マスタデバイス203は、スレーブシステム201に送る前に第2コーデック種別を用いてオーディオパケットを処理してもよい。
【0097】
もちろん、動作パラメータがマスタデバイス203のバッテリー残量である場合に同様の再構成方法を適用してもよい。このような場合、マスタデバイス203のバッテリーのバッテリー残量が低いことを検出してもよい。このような検出がなされると、いくつかの構成パラメータを変更してもよい。たとえば、ワイヤレスリンクのデータ転送速度を下げてもよい。
【0098】
図3は、本発明の第2の実現可能な実施の形態を示す図である。
スレーブシステム201は、異なる種類のコーデック(たとえば、SBC、LDAC、Apt-Xなど)をサポートするように構成されてもよく、各コーデックは、1つまたは複数の実現可能なビットレートに対応付けられてもよい(たとえば、990kbit/s、kbps、または660kbpsのLDAC)。これに代えて、スレーブシステム201は、異なる実現可能なビットレートで1種類のコーデックをサポートするように構成されてもよい。
【0099】
本実施の形態では、動作パラメータは、マスタデバイス203上で起動した特定のアプリケーションである。動作パラメータの変更は、ユーザがマスタデバイス203上で起動するアプリケーションを変更した(たとえば、ユーザがYoutube(著作権)ではなくSpotify(著作権)を利用した)ときに検出される。たしかに、2つのアプリケーションは、たとえ同じ種類のアプリケーション(たとえば、ストリーミングアプリケーション)に属していたとしても、同じサンプリングレートではない可能性があり、そのサンプリングレートが現在起動しているアプリケーションのうち一方に一致するようにBluetoothオーディオリンクを再構成することが有利であろう。このような再構成によって、マスタデバイス203のオーディオサーバがオーディオデータの再サンプリングを行わずに済む。オーディオデータを再サンプリングすると、オーディオ品質が低下してしまう。
【0100】
本実施の形態では、1つリンク/複数のリンクの構成の変更は、ユーザの動作(アプリケーションの変更)によって暗黙的に引き起こされる。
【0101】
図3を再び参照すると、ユーザは、第1のサンプリングレート(たとえば、サンプリング周波数が48000Hzであり、ビットレートが328kbpsであるステレオSBC)の第1コーデックでオーディオパケットが処理されて音声スレーブシステム201に送られる(301)第1のアプリケーションを使用してもよい。ユーザがマスタデバイス203上で新しいアプリケーションを起動する(302)と、コーデックのサンプリング周波数および/またはビットレートを変更してもよい。この変更の後、オーディオパケットは、第2のサンプリングレート(たとえば、サンプリング周波数が44100Hzであり、ビットレートが328kbpsであるステレオSBC)の第2コーデックによって処理される。
【0102】
図4は、本発明の第3の実現可能な実施の形態を示す図である。
本実施の形態では、動作パラメータは、マスタデバイス203上で起動しているアプリケーションの種類、たとえばゲームアプリケーション(たとえば、PlayerUnknown’s Battlegrounds(著作権)-PUBG、Fortnite(著作権)など)である。ユーザがマスタデバイス203上で所与の種類のアプリケーションを開始したときに、動作パラメータの変更が検出される。たしかに、特定の動作モードを必要とする種類のアプリケーションもある。たとえば、より良いゲーム体験のためには、低遅延モードが必要であろう。そのため、Bluetoothスレーブシステム201がこのような低遅延モードをサポートしている場合、マスタデバイス203とスレーブシステム201とのリンクを低遅延の構成に再構成することが有利になる。
【0103】
本実施の形態では、1つリンク/複数のリンクの構成の変更は、ユーザの動作(特定の種類のアプリケーションを開始すること)によって暗黙的に引き起こされる。
【0104】
アプリケーションを開始する前に、マスタデバイス203とスレーブシステム201とのBluetooth通信リンクは、第1の動作モード(たとえば、ソースと復号化音声との間の遅延が比較的高い標準モード)に対応してもよい。第1の動作モードでは、オーディオパケットは、第1遅延を有する第1コーデックによって処理されて音声スレーブシステム201に送られる(401)。ユーザがマスタデバイス203上で特定の種類のアプリケーション(たとえば、ゲーム)を起動する(402)と、第1遅延よりもかなり遅い第2遅延を有するようにコーデックを変更してもよい。その後、オーディオパケットは、新しいコーデックによって処理されて、マスタデバイス203からスレーブシステム201に送られる(403)。その他の状況、たとえば、動作パラメータがオーディオデータのローカルソースである場合、この動作パラメータの変更がアプリケーションの変更(たとえば、音楽再生からビデオゲームに切り替えること)に対応する場合、このような低遅延モードを起動してもよい。
【0105】
これに代えて、または補完的に、このような状況では、次の構成パラメータのうち、1つまたは複数のパラメータを変更してもよい。
【0106】
-最大パケット再送回数を減らしてもよい。
-MTUを減らしてもよい。
【0107】
-最大フラッシュタイムアウトパラメータを下げてもよい。
もちろん、2つ以上の構成パラメータを変更してもよい。たとえば、MTUおよびサンプリングレートの両方を変更することが可能である。
【0108】
図5は、本発明の第4の実現可能な実施の形態を示す図である。
本実施の形態では、スレーブシステム201は、イヤホン201a、201bのペアから構成されてもよい。
【0109】
デフォルトでは、各イヤホンは、それぞれのオーディオデータを出力するように構成されてもよい。たとえば、ステレオオーディオコンテンツの場合、第1イヤホン201aは、2つのチャネルのうち一方(たとえば、右チャネル)を基準としたオーディオデータを再生するように構成されてもよく、第2イヤホン201bは、2つのチャネルのうち他方(たとえば、左チャネル)を基準としたオーディオデータを再生するように構成されてもよい。
【0110】
2人のユーザ501、502が別のユーザ502とオーディオコンテンツを共有したい場合、各ユーザ501、502は、マスタデバイス203に接続されたペアのイヤホンのうち、各イヤホン201a、201bを使用してもよい。しかしながら、上述したデフォルト構成では、各ユーザ501、502が2つのチャネルのうち一方に対応するオーディオコンテンツしか受信しないため、ユーザ501、502は、聴覚的に快適であると感じない。
【0111】
そのため、各イヤホン201a、201bに送られた(503、504)オーディオデータがステレオデータを組み込む「共有モード」を起動したいと望むであろう。
【0112】
たとえば、デフォルトの構成では、オーディオパケットの送信は、第1コーデック(たとえば、SBCコーデック)に基づいて行われ、右イヤホン201aは、右チャネルに対応するオーディオデータを再生するように構成され、左イヤホン201bは、左チャネルに対応するオーディオデータを再生するように構成される。たとえば、第1コーデックは、フォワーディングアーキテクチャの場合、ステレオコーデックであってもよく、ポイントツーマルチポイントアーキテクチャの場合、モノラルコーデックであってもよい。
【0113】
共有モードでは、オーディオパケットの送信は、第2コーデック(たとえば、SBCコーデック)に基づいて行われ、各パケットは、左チャネルおよび右チャネルの両方に対応するデータを含み、両方のイヤホン201aおよび201bに送られる(503、504)。そのため、両方のイヤホン201aおよび201bは、受信したパケットに基づいて同じオーディオコンテンツを再生するように構成される。第2コーデックは、モノラルコーデックであってもよく、2つのチャネル上に同じオーディオコンテンツを有するステレオコーデックであってもよい。オーディオコンテンツは、たとえば、左チャネルのダウンミックスされたチャネルと、対応する右チャネルとに対応してもよい。実現可能な実施の形態では、ユーザは、マスタデバイス203上、またはスレーブシステム201上で「共有モード」を選択してもよい。この場合、1つリンク/複数のリンクの構成の変更は、ユーザの動作によって明示的に引き起こされる。これに代えて、たとえば、2つのイヤホン201a、201bの距離が所定の閾値よりも大きいことを検出した場合に共有モードが自動的に起動される。
【0114】
図6は、本発明を可能にするデバイスについての実現可能な実施の形態である。このようなデバイスは、マスタデバイスに組み込まれてもよいし、スレーブデバイスに組み込まれてもよい。
【0115】
本実施の形態では、デバイス600は、コンピュータを備える。このコンピュータは、回路604によって実行されると回路604に本発明のステップを実行させるようになされる、回路に読み込み可能なプログラム命令を格納するためのメモリ605を備える。
【0116】
また、メモリ605は、上述した本発明のステップを実行するためのデータおよび有用な情報を格納してもよい。
【0117】
回路604は、たとえば、以下のコンポーネントであってもよい。
-コンピュータ言語の命令を解釈するようになされたプロセッサまたは処理部。当該プロセッサまたは処理部は、命令を含んだメモリを備えてもよく、当該メモリに対応付けられてもよく、または、当該メモリに取り付けられてもよい。
【0118】
-コンピュータ言語の命令を解釈するようになされたプロセッサ/処理部と当該命令を含んだメモリとの関連付け。または、
-シリコン内に本発明のステップが書き込まれた電子カード。もしくは、
-FPGAチップ(<<Field Programmable Gate Array>>を指す)など、プログラマブル電子チップ。
【0119】
このコンピュータは、本発明に係るBluetoothデバイスまたは第2デバイスのいずれかにおける動作パラメータの値の変化を基準とした情報を受信するための入力インターフェース603と、新しい動作モードに基づいてBluetooth通信リンクの構成パラメータを提供するための出力インターフェース606とを備えてもよい。
【0120】
コンピュータとのやり取りを容易にするために、画面601およびキーボード602を提供してコンピュータ回路604に接続してもよい。
【0121】
さらには、図1に表されているブロック図は、記載のデバイス600によっていくつかの命令が実行され得るプログラムの典型例である。よって、図1は、本発明の意味におけるコンピュータプログラムの一般的なアルゴリズムのフローチャートに相当してもよい。
【0122】
本発明の一実施の形態において、Bluetoothの動作は、メモリ605の第1区分に格納されたBluetooth駆動部によって指揮され、動作パラメータは、メモリ605の第2区分に格納されたオペレーティングシステムを用いて決定される。これに加えて、オペレーティングシステムは、1つ以上のアプリケーションと連動して1つ以上の動作パラメータを決定してもよい。ここで、アプリケーションは、メモリ605の第3区分に位置している。これらの機能をこのように有利に分けることによって、その他の機能を同時に変更する必要なく、各機能を独立して開発できるようになる。
【0123】
もちろん、本発明は、例として上述した実施の形態に限定されない。本発明は、上記に示したもの以外のその他の変形例およびその他の状況にも適用される。
【0124】
たとえば、動作パラメータの変更が、会議アプリケーションからストリーミングアプリケーションへのオーディオソースアプリケーションの変更に対応する場合、構成パラメータの変更は、オーディオコーデックの音質構成パラメータをより高品質なパラメータに変更することを含んでもよい。ここで、オーディオコーデックは、ストリーミングアプリケーションに関連する情報を処理する。
【0125】
音質構成パラメータは、たとえば、オーディオコーデックのサンプリングレート、オーディオコーデック選択パラメータ、または、チャネル構成をモノラルからステレオに変更する構成パラメータであってもよい。
【0126】
別の実施例によると、動作パラメータの変更が、ストリーミングアプリケーションから会議アプリケーションへのオーディオソースアプリケーションの変更に対応する場合、構成パラメータの変更は、チャネル構成パラメータを単方向音声リンクから双方向音声リンクに変更することを含んでもよい。
【0127】
スレーブシステム201が2つのイヤホン201a、201bで構成される場合、2つのイヤホンのうち一方が無効にされることが起こり得る(たとえば、このイヤホンへの通信リンクが遮断された場合)。このような状況では、一方のイヤホンが停止されたことを検出してもよく、チャネル構成を、ステレオからモノラルに切り替えてもよい。一方イヤホンの停止は、たとえば、マスタデバイス上でメッセージを受信することによって行われてもよい。
【0128】
ステレオソースからモノラルソースへのオーディオデータのローカルソースの変更を検出した場合、同様の変更を行ってもよい。この変更に応じて、ワイヤレス通信リンクをステレオリンクからモノラルリンクに再構成してもよく、その後、オーディオデータは、モノラルフォーマットでイヤホンに送信される。
【0129】
選択される実施の形態によっては、本明細書に記載の方法の各々の特定の行為、特定の動作、特定のイベント、または特定の機能は、記載した順序とは異なる順序で実行、発生、場合によっては、追加、一体化されてもよく、または、実行されなくてもよく、発生しなくてもよい。これに加えて、いくつかの実施の形態では、特定の行為、特定の動作、または特定のイベントは、連続してではなく、同時に実行されるまたは発生する。
【0130】
いくつかの詳細な例示的な実施の形態を通して説明したが、提案する方法および当該方法を実現するための設備は、当業者に明らかになる様々な代替案、変更、および改良を含む。これらの様々な変形例、変更、および改良は、添付の特許請求の範囲に示す本発明の範囲に含まれることを理解されたい。これに加えて、上述した様々な態様、特徴は、合わせて実装されてもよく、別個に実装されてもよく、または互いを代用してもよく、態様および特徴の様々な組合せならびに部分的な組合せのすべては、本発明の範囲に含まれる。これに加えて、上述したシステムおよび設備の一部は、好ましい実施の形態のために説明したモジュールおよび特徴のすべてを採り入れなくてもよい。
【0131】
また、本開示は、オーディオストリーミング分野に関する。具体的には、以下は、Bluetooth通信リンクを用いてオーディオデータストリームを送信するための方法およびデバイスに関する。
【0132】
背景技術では、Bluetoothは、極超短波帯の周波数の電波を利用して通常最大で10メートルまでに限定された距離にわたってオーディオデータをワイヤレスに送受信するための通信規格を規定する。この規格によって、Bluetoothデバイスは、そのポータビリティから、特に近距離アプリケーション用に顧客の間で非常に人気である。
【0133】
送信データおよび受信データのオーディオ品質は、ヘッドホンまたはスピーカーのようなBluetoothオーディオ出力装置にデータを転送するために用いられるデジタルオーディオエンコーダおよびデコーダ(コーデックと呼ばれる)によって主に左右される。標準のBluetoothコーデック、つまり、SBCと呼ばれる低複雑性サブバンドコーデックは、計算量を低く抑えつつ、中程度のビットレートでかなり良質のオーディオ品質を提供するように設計されている。そのため、SBCの利用は不可欠である。さらには、SBCは、最大で48kHzのサンプリング周波数のモノラルストリームおよびステレオストリームをサポートしており、ビットレートは、通常、モノラルの場合、最大で193kbit/sに設定され、ジョイントステレオストリームの場合、最大で328kbit/sに設定されている。
【0134】
送信したオーディオデータおよび受信したオーディオデータの品質を向上させるという観点から、現在のトレンドは、それぞれ最大で352kbit/sおよび990kbit/sのビットレートのBluetooth接続でオーディオをストリーミング配信できるようになるAPTXオーディオコーデック圧縮アルゴリズムまたはLDACオーディオハイブリッド符号化テクノロジーなど、ますます大量の帯域幅使用率を必要とするコーデックを提案することである。
【0135】
帯域幅が限定されているために非可逆圧縮が求められているので、このようなコーデックは、標準BluetoothプロトコルおよびSBCなどのコーデックを利用する際にオーディオ品質を損なうことを限定するように開発されている。
【0136】
しかしながら、帯域幅使用率が高いコーデックを利用することによって必ずしもオーディオストリームの品質が改善されるわけではない。なぜならば、このような品質を実現することは、オーディオストリームを送信するためにオーディオデバイスが利用する異なる符号化処理、復号化処理、ミキシング処理、およびサンプリング処理に左右されるためである。これは、Bluetoothの標準規格を使用した場合の、スマートフォンなどのソースデバイス、およびワイヤレスヘッドホンまたはスピーカーなどのシンクデバイスについて特に当てはまる。
【0137】
また、現在のオーディオ試聴デバイスが利用するストリーミングアプリケーションは、SBCなど、標準のBluetoothコーデックよりも高い圧縮率および優れたアルゴリズムを有するデバイス自体の符号化形式に依拠している。これは、複数の復号化処理、符号化処理、および再サンプリング処理によって、ソースとシンクデバイスとの間でストリーム配信されるオーディオデータが損なわれ、その結果、品質をかなり損なう可能性があることも暗示している。
【0138】
ここで、本開示のさらなる目的について説明する。
下記の第1の目的は、オーディオストリーム、具体的には、Bluetoothによって送信されるオーディオストリームの品質および遅延を改善するための方法およびデバイスを提供することである。
【0139】
上記した課題の少なくとも一部に対処するために、以下の第1の目的は、Bluetooth通信リンクでオーディオストリームを送信するための方法に関し、この方法は、ソースデバイスによって実行され、
-オーディオストリームのオーディオコーデック構成およびサンプリングレートを受信するステップを含み、このオーディオストリームは、ソースデバイス上で実行中のストリーミングアプリケーションから届き、この方法は、さらに、
-受信したオーディオコーデック構成およびサンプリングレートを用いて、ソースデバイスとシンクデバイスとの間でBluetoothオーディオストリームを構成するステップと、
-ストリーミングアプリケーションから第1オーディオストリームを受信するステップと、
-受信した第1オーディオストリームをBluetoothオーディオストリームにパケット化するステップと、
-Bluetooth通信リンクでBluetoothオーディオストリームをシンクデバイスに送信するステップとを含み、送信したBluetoothオーディオストリームは、パケット化された受信オーディオストリームを含む。
【0140】
本明細書において、Bluetoothとは、既存のバージョンおよび将来のバージョンを含む、任意のバージョンのBluetoothプロトコルを指す。現在、Bluetoothのバージョン5.1は、BASIC Rate/Enhanced Data Rateプロトコル(BR/EDRプロトコルとも呼ばれる)またはBluetooth Classicプロトコル、および(BLEプロトコルとも呼ばれる)Bluetooth Low Energyプロトコルを含む。
【0141】
本明細書において、通信リンクは、2つのデバイス間のワイヤレス通信を指定する。さらには、Bluetooth通信リンクは、たとえば、所与のソースデバイスとスマートフォンなどの所与のシンクデバイスとの間に複数のBluetooth物理リンクを含むように構成される。Bluetooth通信リンクは、ポイントツーポイント接続または単一方向リンクなど、異なる種類のリンクを含んでもよい。
【0142】
本明細書において、パケット化は、オーディオデータを複数のオーディオデータパケットに変換することを示す。このようなオーディオデータパケットは、所与の数のバイトに対応する。
【0143】
本明細書において、コーデックは、デジタルデータストリームまたは信号を符号化および/または復号化するように構成されたハードウェアコンポーネントまたはソフトウェアコンポーネントである。
【0144】
本明細書において、オーディオコーデック構成とは、コーデックの種類などの情報と、ビットレート、すなわち、ビットをある場所から別の場所に転送できる速度と、16ビットまたは24ビットなど、対応する整数サイズとを含む構成である。コーデックの種類として、SBC、AAC、MP3、APT-X、LDAC、LHDC、Vorbis、Opus、またはLC3コーデックがある。
【0145】
本明細書において、好ましくは、ストリーミングアプリケーションは、オーディオおよび/または映像データをストリーム配信するように構成されたオーディオアプリケーションまたはゲームアプリケーションである。
【0146】
第1の目的に係る方法によって、品質が損なうのを抑え、低遅延でオーディオストリームをBluetooth通信リンクで送信できるようになる。たしかに、背景技術の方法では、一般に、ソースデバイスおよび/またはシンクデバイスがオーディオストリームを符号化、復号化、および再サンプリングまたはミキシングする必要があり、その結果、体系的に、品質を損なったり、遅延が増えてしまったりする。
【0147】
本明細書において、オーディオアプリケーションは、デジタル音楽、オーディオコンテンツ、もしくは、クラウドベースのストリーミングサービスなど、ポッドキャストストリーミングサービスへのアクセスを提供する任意のアプリケーション、または一般的なアプリケーションであり得る。
【0148】
これにより、Bluetoothオーディオストリーミングパススルーを提供できるようになる。つまり、ストリーミングアプリケーションがゲームアプリケーションを含む場合、ゲームアプリケーションから直接ストリーム配信してオーディオサーバを介さないことで遅延が改善されるため、これにより、対応するオーディオデータを低遅延でBluetooth通信リンクで送信およびストリーム送信できるようになる。
【0149】
本明細書において、オーディオコーデック構成は、空であり得る。通常、空のオーディオコーデック構成は、PCMと呼ばれるパルス符号変調など符号化されていないオーディオデータ、または、PCMオーディオコーデック構成に対応するアナログオーディオ信号を指す。ある実施の形態では、Bluetooth通信リンクは、予め確立されている、すなわち、Bluetoothオーディオストリームのシンクデバイスへの送信よりも前の準備ステップにおいてソースデバイスとシンクデバイスとの間で確立されるBluetooth通信リンクである。
【0150】
ある好ましい実施の形態では、ストリーミングアプリケーションから未変更のビットストリームを受信すると、ストリーミングアプリケーションからオーディオストリームを受信する。
【0151】
本明細書において、ビットストリームは、一続きのビットである。オーディオデータのパケット化によって得られるパケットは、構造化ビットストリームデータの連続したページにグループ化、符号化または復号化され得、当該連続したページは、論理ビットストリームと呼ばれる。
【0152】
本明細書において、いくつかの論理ビットストリームを組み合わせて1つの物理ビットストリームにすることができる。物理ビットストリームが複数の論理ビットストリームを含む場合、このような論理ビットストリームは、物理ビットストリームに「ラッピングされている(wrapped)」と言うことができる。複数の論理ビットストリームを抽出するために必ずしも完全に復号化する必要はないが、物理ビットストリームから論理ビットストリームのラッピングを解くことは、復号化処理によって行うことができる。
【0153】
本明細書において、未変更のビットストリームとは、このように送信されるビットストリームであり、たとえば、オーディオアプリケーションとソースデバイスのBluetoothスタックとの間に位置するオーディオサーバによって再サンプリングされることはない。
【0154】
ある好ましい実施の形態では、方法は、
-オーディオサーバから、第2オーディオストリームと呼ばれる少なくとも1つのその他のオーディオストリームを受信するステップと、
-受信した第2オーディオストリームを、シンクデバイスにBluetooth通信リンクで送信するステップとをさらに含む。
【0155】
本明細書において、オーディオサーバは、オーディオリソースまたはオーディオフローを管理および/またはその他のシステムと共有するように構成された任意のプラットフォームであり、これらのシステムは、特に、ソースデバイスとシンクデバイスとを備える。たとえば、オーディオリソースまたはオーディオフローは、オーディオアプリケーションからの音楽、ソーシャルメディアからの音による通知、スケジューリングアプリケーションの時計アラームの音などを含む。
【0156】
本明細書において、オーディオサーバは、オーディオハードウェアインターフェースと、オペレーティングシステムと、コンピュータと、オーディオデータを格納できるもしくはオーディオデータのストリームを受送信できる電子回路または任意の種類のコンピュータ読み取り可能な媒体とを備え得る。このオーディオサーバは、インターネットのようなネットワークに接続することができる。
【0157】
これによって、2つのオーディオストリームを用いたハイブリッドストリーミング方法が提供される。当該2つのオーディオストリームは、1つのBluetoothオーディオストリームにカプセル化されている。
【0158】
これにより、第1の目的の方法は、オーディオデータを送信およびストリーミング配信するための別のパスを生成できるようになる。このパスは、背景技術の方法において必要なオーディオサーバ候補を経由しない。そのため、これにより、Bluetooth通信リンクの受信側で品質を損なうことを暗に示す符号化処理、復号化処理、ミキシング処理、または再サンプリング処理を実行しないで済む。
【0159】
また、これにより、オーディオサーバからオーディオストリームを受送信するステップを含む既知の方法と比較して、品質が損なうのを抑え、低遅延でオーディオストリームを送信できるようになる。なぜならば、これら既知の方法では、このようなオーディオストリームをストリーミングアプリケーションから届くオーディオストリームとミキシング処理する必要があり、結果、品質を損なってしまうためである。また、これら既知の方法では、オーディオサーバがオーディオサーバまたはシンクデバイスのサンプリングレートを用いてオーディオストリームをミキシング処理または再サンプリング処理する必要があり、結果、品質を損なってしまい、遅延も増加する可能性がある。
【0160】
ある好ましい実施の形態では、Bluetoothオーディオストリームは、マルチコントリビューションタイプのBluetoothオーディオストリームであり、方法は、受信した第2オーディオストリームのオーディオコーデック構成およびサンプリングレートを用いて、第2オーディオストリームをBluetoothオーディオストリームにパケット化するステップをさらに含む。
【0161】
これによって、2つのオーディオストリームを用いたハイブリッドストリーミング方法が提供される。当該2つのオーディオストリームは、1つのBluetooth通信リンク上で2つのBluetoothオーディオストリームにカプセル化されている。
【0162】
本明細書において、Bluetoothオーディオストリームがマルチコントリビューションであるということは、オーディオコーデック構成(または、サンプリングレート)が一般的な方法で使われていることを暗示している。すなわち、第1オーディオストリームおよび第2オーディオストリームの両方のオーディオコーデック構成(または、サンプリングレート)を用いてBluetoothオーディオストリームを構成する。そうすると、当該Bluetoothオーディオストリームは、マルチコントリビューションタイプのBluetoothオーディオストリームに相当する。
【0163】
ある好ましい実施の形態では、方法は、
-シンクデバイスが、ソースデバイスが送信した複数のBluetoothオーディオストリームを受信するステップと、
複数のBluetoothオーディオストリームを混合オーディオストリームにミキシングするステップと、
-シンクデバイスにおいて混合オーディオストリームをレンダリングするステップとをさらに含む。
【0164】
これにより、Bluetooth通信リンクの受信側での複数のオーディオストリームの品質および/または遅延が改善される。
【0165】
ある好ましい実施の形態では、方法は、ストリーミングアプリケーションから受信したオーディオストリームおよび/または受信した第2オーディオストリームをコンテナにラッピングするステップをさらに含み、当該コンテナは、Bluetoothオーディオストリームに配置される。
【0166】
これにより、複数のストリームが異なるオーディオコーデック構成および/またはサンプリングレートに対応していても同じパケットで送信することが可能になるよう、これらのオーディオストリームを1つのコンテナにカプセル化できるようになる。すなわち、これによって、2つのオーディオストリームを用いたハイブリッドストリーミング方法が提供される。2つのオーディオストリームは、ソースデバイスから1つのコンテナに含めて送られる1つのコンテナにカプセル化されている。
【0167】
実施の形態では、ストリーミングアプリケーションおよびオーディオサーバは、それぞれ異なるコーデックを利用するため、異なるオーディオコーデック構成および異なるサンプリングレートを利用する。たとえば、アプリケーションは、オーディオストリーミングには高品質のコーデックを利用し、オーディオサーバは、通知には低品質のコーデックを利用している場合がある。
【0168】
たとえば、オーディオサーバの1つまたは複数のエンコーダによって作成された1つまたは複数の論理ビットストリームを、Oggストリームを使用してカプセル化することができる。符号化されると、オーディオサーバの論理ビットストリームをアプリケーション論理ビットストリームとともにコンテナに包むことができ、両方の論理ビットストリームは、同じパケットを使用してシンクデバイスに送信される。その後、シンクデバイスは、2つの論理ビットストリームのラッピングを解いて、それらをそれぞれのコーデックを用いて別個に復号化し、出力される1つのRAWストリームにミキシングする。
【0169】
本明細書において、コンテナとは、メディアペイロードのフォーマットを規定するエンティティである。音声ペイロードのフォーマットを規定する音声コンテナを、1つまたは複数のコーデックに対応付けることができる。たとえば、LATMコンテナは、AACコーデックに対応付けることができ、Oggコンテナは、VorbisまたはOpusコンテナに対応付けることができる。
【0170】
ある好ましい実施の形態では、コンテナは、Ogg-Vorbisコンテナである。
ある好ましい実施の形態では、第1オーディオストリームと呼ばれるストリーミングアプリケーションから受信したオーディオストリーム、および第2オーディオストリームは、コンテナにラッピングされ、第1オーディオストリームおよび第2オーディオストリームのBluetoothオーディオストリームへのパケット化は、ラッピングされた第1オーディオストリームおよび第2オーディオストリームを用いて行われる。
【0171】
ある好ましい実施の形態では、第1オーディオストリームまたは第2オーディオストリームは、Vorbis形式で符号化されたストリームであり、または、第1オーディオストリームおよび第2オーディオストリームは、Vorbis形式で符号化されたストリームである。
【0172】
ある実施の形態では、オーディオストリームを送信するために少なくとも2つのBluetooth論理リンクが使われる。
【0173】
これにより、少なくとも2つのオーディオストリームを送信するためのハイブリッドストリーミング方法が提供される。特に、2つのオーディオストリームは、2つのBluetoothオーディオストリームにカプセル化されて、Bluetooth通信リンクで送信される。
【0174】
これにより、少なくとも2つのBluetooth論理リンクが利用できるため、オーディオストリームをより柔軟に送信できるようになる。第1のBluetooth論理リンク上にオーディオサーバを経由しない確立済みのBluetoothオーディオストリームがすでに存在しているとしても、たとえば、ソースデバイス上で実行中の別のアプリケーションから発生する通知を収集するために第2のBluetooth論理リンク上で第2のBluetoothオーディオストリームを利用できる。よって、これにより、2つのBluetoothオーディオストリームを同じ論理チャネル上で送信したり、2つの異なる論理チャネル上で送信したりできるようになる。
【0175】
たとえば、ストリーミングアプリケーションがゲームアプリケーションである場合、ゲームアプリケーションは、ソースデバイスが備えるBluetoothスタックにオーディオデータを直接ストリーム配信することができる。しかしながら、2つの異なるBluetooth論理リンク上で少なくとも2つのBluetoothオーディオストリームを利用するほうがより柔軟である。なぜならば、少なくとも1つのBluetoothオーディオストリームを使用してゲームアプリケーションからの高品質オーディオをレンダリングすることができ、少なくとも別のBluetoothオーディオストリームを使用して、ソースデバイス上で実行中のソーシャルメディアアプリケーションからの通知またはオーディオサーバから届く音による通知など、別のソースからの音をレンダリングすることができるためである。これら2つの論理リンクは、同じBluetooth物理リンクを利用しているか、2つの異なるBluetooth物理リンクを利用しているかのいずれかである。
【0176】
ある好ましい実施の形態では、方法は、
-受信した第2オーディオストリームを第2のBluetoothオーディオストリームと呼ばれる別のBluetoothオーディオストリームにパケット化するステップを含み、当該第2のBluetoothオーディオストリームは、ソースデバイスとシンクデバイスとの間で構成された第1のBluetoothオーディオストリームと呼ばれるBluetoothオーディオストリームとは別個であり、この方法は、さらに、
-Bluetooth通信リンクで第2のBluetoothオーディオストリームをシンクデバイスに送信するステップを含み、当該第2のBluetoothオーディオストリームは、第1のBluetoothオーディオストリームと多重化されている。
【0177】
本明細書において、多重化は、AVDTPプロトコル、または、Bluetooth通信リンクでオーディオストリームを送信するように順応させたその他のプロトコルなど、1つ以上のプロトコルを用いて行われる。
【0178】
ある好ましい実施の形態では、第1のBluetoothオーディオストリームまたは第2のBluetoothオーディオストリームは、Bluetooth通信リンクのBR/EDRリンクで送信され、または、第1のBluetoothオーディオストリームおよび第2のBluetoothオーディオストリームは、Bluetooth通信リンクのBR/EDRリンクで送信される。
【0179】
ある好ましい実施の形態では、第2のBluetoothオーディオストリームは、Bluetooth通信リンクのBLEリンクで送信される。
【0180】
ある好ましい実施の形態では、Bluetoothオーディオストリームの送信は、オーディオコーデック構成およびサンプリングレートについてのシンクデバイスとのネゴシエーションに成功すると行われる。
【0181】
これにより、オーディオコーデック構成およびサンプリングレートの両方をシンクデバイスが必ずサポートするようになる。また、これにより、ストリーミングアプリケーションの本来のコーデックおよび本来のサンプリングレートをシンクデバイスがサポートできるかどうかをストリーミングアプリケーション自体が確認できるようになる。
【0182】
第2の目的によると、下記は、Bluetooth通信リンクでBluetoothオーディオストリームを受信するための方法に関し、この方法は、シンクデバイスによって実行され、
-ソースデバイスが送信した複数のBluetoothオーディオストリームをBluetooth通信リンクで受信するステップと、
-受信した複数のBluetoothオーディオストリームを混合オーディオストリームにミキシングするステップと、
-混合オーディオストリームをレンダリングするステップとを含む。
【0183】
第2の目的の方法の実施の形態では、受信した複数のBluetoothオーディオストリームのうち少なくとも1つの第1のBluetoothオーディオストリームは、パケット化オーディオストリームを含み、当該オーディオストリームを第1のBluetoothオーディオストリームにパケット化することは、ソースデバイスによって行われ、第1のBluetoothオーディオストリームは、ソースデバイスによって第1オーディオストリームのオーディオコーデック構成およびサンプリングレートを用いてソースデバイスとシンクデバイスとの間で構成され、オーディオコーデック構成およびサンプリングレートは、ソースデバイスが受信し、第1オーディオストリームは、ソースデバイス上で実行中のストリーミングアプリケーションから届く。
【0184】
第2の目的の方法の実施の形態では、第1のBluetoothオーディオストリームの送信は、オーディオコーデック構成およびサンプリングレートについてのシンクデバイスとのネゴシエーションに成功するとソースデバイスによって行われる。
【0185】
ある実施の形態では、第2の目的の方法は、
-Bluetooth通信リンク上で少なくとも第2オーディオストリームをソースデバイスから受信するステップをさらに含み、第2オーディオストリームは、ソースデバイスによってオーディオサーバから受信され、第2オーディオストリームは、第1オーディオストリームとは異なる。
【0186】
ある実施の形態では、第2の目的の方法は、
-Bluetooth通信リンク上で第2のBluetoothオーディオストリームデバイスをソースデバイスから受信するステップをさらに含み、第2のBluetoothオーディオストリームは、第1のBluetoothオーディオストリームと多重化されており、受信した第2オーディオストリームは、ソースデバイスによって第2のBluetoothオーディオストリームにパケット化され、当該第2のBluetoothオーディオストリームは、第1のBluetoothオーディオストリームとは別個である。
【0187】
第3の目的によると、下記は、コンピューティングデバイスに読み込み可能なコンピュータプログラム命令を格納したコンピュータ読み取り可能な媒体を備えたコンピュータプログラムプロダクトに関し、コンピュータプログラム命令は、コンピューティングデバイスによって読み込まれて実行されると、
-コンピュータデバイスに、先行する請求項のいずれかに記載の方法のステップを実行させるようになされる。
【0188】
第4の目的によると、下記は、Bluetooth通信リンクでオーディオストリームを送信するためのソースデバイスに関し、ソースデバイスは、
-ソースデバイス上で実行中のストリーミングアプリケーションのオーディオストリームのオーディオコーデック構成およびサンプリングレートを受信し、
-受信したオーディオコーデック構成およびサンプリングレートを用いて、ソースデバイスとシンクデバイスとの間でBluetoothオーディオストリームを構成し、
-ストリーミングアプリケーションからオーディオストリームを受信し、
-受信したオーディオストリームをBluetoothオーディオストリームにパケット化し、
-Bluetoothオーディオストリームをシンクデバイスに送信するように構成され、Bluetoothオーディオストリームは、パケット化された受信オーディオストリームを含む。
【0189】
第5の目的によると、下記は、Bluetooth通信リンクでBluetoothオーディオストリームを受信するためのシンクデバイスに関し、シンクデバイスは、
-ソースデバイスが送信した複数のBluetoothオーディオストリームをBluetooth通信リンクで受信し、
-複数のBluetoothオーディオストリームを混合オーディオストリームにミキシングし、
-シンクデバイスにおいて混合オーディオストリームをレンダリングするように構成される。
【0190】
第5の目的のシンクデバイスの実施の形態では、受信した複数のBluetoothオーディオストリームのうち少なくとも1つのBluetoothオーディオストリームはパケット化オーディオストリームを含み、当該オーディオストリームを少なくとも1つのBluetoothオーディオストリームにパケット化することは、ソースデバイスによって行われ、少なくとも1つのBluetoothオーディオストリームは、ソースデバイスによって第1オーディオストリームのオーディオコーデック構成およびサンプリングレートを用いてソースデバイスとシンクデバイスとの間で構成され、オーディオコーデック構成およびサンプリングレートは、ソースデバイスが受信し、第1オーディオストリームは、ソースデバイス上で実行中のストリーミングアプリケーションから届く。
【0191】
第6の目的によると、下記は、Bluetooth通信リンクでBluetoothオーディオストリームを送信および受信するためのシステムに関し、当該システムは、第4の目的に記載のソースデバイスと、第5の目的に記載のシンクデバイスとを備える。
【0192】
ここで、さらなる図面の簡単な説明を記載する。
以下に説明するように、本開示の目的のその他の特徴、詳細、および利点は、添付の図面を参照して、非限定例として提供される下記の詳細な説明から明らかになるであろう。
【0193】
図7は、本開示の第1の態様に係る、方法のステップの例を示す図である。
図8は、本開示の第1の態様に係る、方法のステップのフローチャートを示す図である。
【0194】
図9は、本開示に係る、Bluetoothデータパケットの構造の例を示す図である。
【0195】
図10は、本開示の第2の態様に係る、方法のステップを示す図である。
図11は、本開示の第3の態様に係る、方法のステップのフローチャートである。
【0196】
図12は、本開示の第3の態様に係る、方法のステップを示す図である。
図13は、本開示の第3の態様に係る、Bluetooth通信リンクを示す図である。
【0197】
図14は、本開示の第4の態様に係る、方法のステップのフローチャートを示す図である。
【0198】
図15は、本開示に係る第4の態様に係る、方法のステップを示す図である。
図16は、本開示に係る第4の態様に係る、Bluetooth通信リンクを示す図である。
【0199】
図17は、本開示の第5の態様に係る、方法のステップのフローチャートを示す図である。
【0200】
図18は、本開示に係る第5の態様に係る、Bluetooth通信リンクを示す図である。
【0201】
図19は、本開示の第6の態様に係る、方法のステップのフローチャートを示す図である。
【0202】
図20は、本開示の第6の態様に係る、方法のステップを示す図である。
図21は、本開示の第6の態様に係る、Bluetooth通信リンクを示す図である。
【0203】
図22は、本開示の態様に係る、回路の構造を示す図である。
ここで、これらの態様について説明する。
【0204】
図7は、本開示の第1の実施の形態に係る、Bluetooth通信リンクでオーディオストリームを送信するための簡略化した方法のステップを示す図である。第1の態様に係る方法は、オーディオデータADを、符号化オーディオビットストリームとして符号化するステップを含み、符号化オーディオビットストリームは、オーディオストリーミングアプリケーション40によってシンクデバイス20に提供される。
【0205】
たとえば、このオーディオストリーミングアプリケーションは、(たとえば、リモートサーバ上の)オーディオアプリケーションまたはゲームアプリケーションである。たとえば、シンクデバイス20は、スピーカーである、または、ウェアラブルヘッドホンを含む。
【0206】
オーディオデータADは、BluetoothスタックBSでシンクデバイス20に提供される。BluetoothスタックBSは、ソースデバイス10、たとえば、スマートフォンに含まれている。
【0207】
本明細書において、BluetoothスタックBSは、ソースデバイス10の組込みシステムの実装など、Bluetoothプロトコルスタックの実装を指す。
【0208】
ある態様では、BluetoothスタックBSは、以下に説明するように、オペレーティングシステムを有するマイクロコントローラおよび/またはチップセットを備え、L2CAPおよびAVDTPプロトコルなど、様々なプロトコルをサポートするように構成される。
【0209】
ステップS1では、オーディオストリーミングアプリケーション40がソースデバイス10にオーディオデータADを送信し、オーディオデータは、変更されることなく(すなわち、ソースデバイスのオーディオサーバを経由することなく)、ソースデバイス10によって直接そのBluetoothスタックBSに送られる。
【0210】
これにより、オーディオストリーミングアプリケーション40のストリーミングアプリケーションは、中間デバイス/サーバによる復号化処理、符号化処理、および/または(再)サンプリング処理を必要としないで、BluetoothスタックBSにオーディオデータADを提供できるようになる。
【0211】
ステップS2では、BluetoothスタックBSが受信したオーディオデータADを、パケット化オーディオデータPADにパケット化する。
【0212】
ある態様では、オーディオデータADおよびパケット化オーディオデータPADの少なくとも一方は、Bluetoothデータパケットである。Bluetoothデータパケットは、Bluetoothワイヤレスオーディオリンクを用いて送信することができる。
【0213】
ステップS3では、ソースデバイス10がシンクデバイス20にパケット化オーディオデータPADを送信する。この送信は、1つ以上のBluetoothオーディオストリーム上で行われる。
【0214】
ステップS4では、シンクデバイス20は、受信したパケット化オーディオデータPADを復号化し、復号化したデータをオーディオ出力OUT、たとえば、PCM信号またはブロードキャスト音楽の形式で送る。
【0215】
図8は、本開示の第1の態様に係る、方法のステップのフローチャートを示す図である。
【0216】
ソースデバイス10の入力INを通してオーディオデータAD1、特に、符号化オーディオビットストリームを受信すると、ストリーミングアプリケーション40は、ソースデバイス10のBluetoothスタックBSにオーディオデータAD1を直接提供する。
【0217】
これにより、ソースデバイス10またはソースデバイス10が備え得るオーディオサーバ30によってAD1に対して行われるであろうミキシングステップ、再サンプリングステップ、および/または符号化ステップのいずれも省略できる。
【0218】
ソースデバイス10上で実行中のストリーミングアプリケーション40のオーディオストリームのオーディオコーデック構成およびサンプリングレートを用いて、ソースデバイス10によってオーディオデータAD1が構成される。オーディオデータAD1はBluetoothスタックBSに提供されるが、BluetoothスタックBSは、オーディオデータAD1をパケット化してサードパーティデバイス、ここでは、具体的にはシンクデバイス20に送信する。
【0219】
特に、オーディオデータAD1は、ストリーミングアプリケーション40のオーディオストリームのオーディオコーデック構成およびサンプリングレートを用いて構成済みBluetoothオーディオストリームにパケット化される。
【0220】
好ましくは、予め確立されたリンク、ここでは、Bluetooth通信リンクL1を使用して、パケット化されたオーディオデータまたは構成済みBluetoothオーディオストリームが送信される。Bluetooth通信リンクL1は、ソースデバイス10とシンクデバイス20との間で確立または予め確立された1つ以上のBluetooth物理リンクおよび1つ以上のBluetooth論理リンクを含み得る。
【0221】
受信すると、パケット化されたオーディオデータは、シンクデバイス20によって復号化される。続いて、復号化されたパケットは、シンクデバイス20の出力OUTを通してブロードキャストまたはストリーム配信され得る。
【0222】
これにより、上述したステップすべてにおいて非可逆送信および/または非可逆圧縮をしないで済む。特に、これにより、オーディオサーバの使用を省略できるようになる。
【0223】
図9は、本開示に係る、Bluetoothデータパケットの構造の例、より具体的には、Bluetooth通信リンクを利用してデータを送信するためのこのような構造を示す図である。
【0224】
図示したように、BluetoothデータパケットBTDPは、いくつかのレイヤ、パケット、パケットデータユニット、フレームおよび/またはビットストリームを含む。特に、BluetoothデータパケットBTDPは、PDUと呼ばれるプロトコルデータユニットに対応するL2CAPと呼ばれる論理リンク制御およびアダプテーションプロトコル(logical link control and adaptation protocol)を含む。L2CAPは、CIDと呼ばれる2つのチャネル識別子間でデータをやり取りするためのBluetoothデータパケットBTDPのプロトコルレイヤを規定する。
【0225】
また、有利には、L2CAPは、1つ以上のBluetooth転送プロトコルを実装するリンクマネージャレイヤを規定する。L2CAPは、さらには、データパケットの分割、データパケットのアセンブル、データパケットのリアセンブル、および/または多重化を可能にする。
【0226】
L2CAPプロトコルにより、さらには、デバイスのBluetoothチップ間に論理リンクを確立できるようになる。L2CAPプロトコルのパラメータは、その他のプロトコルサポートする機能など、ソースデバイスの特徴によって異なってもよい。
【0227】
好ましくは、L2CAPプロトコルは、AVDTPと呼ばれるオーディオ/ビデオ配信トランスポートプロトコルを含む。AVDTPは、Bluetoothオーディオデータトランスポートプロトコルである。AVDTPプロトコルは、いくつかのBluetoothデバイス間のバイナリトランザクションを規定し、SEPと呼ばれる2つのストリームエンドポイント間でオーディオストリームおよび/または映像ストリームを確立できるようにする。
【0228】
有利には、AVDTPプロトコルは、ストリームを設定する、およびL2CAPプロトコルを使用してオーディオストリームをストリーム配信するように構成される。AVDTPプロトコルは、さらには、ストリームパラメータのネゴシエーションを可能にし、AVDTPプロトコル自体がオーディオストリームを管理できる。
【0229】
AVDTPプロトコルおよびL2CAPプロトコルは、たとえばソースデバイスとシンクデバイスとの間でデータをBluetooth通信リンクでやり取りすることを可能にする。
【0230】
図示したように、AVDTPプロトコルは、コンテナCTと呼ばれるメディアペイロードを含み、コンテナCT自体は符号化フレームENCを含む。
【0231】
好ましくは、コンテナCTは、メディアペイロードヘッダと、1つ以上の符号化フレームとを含む。
【0232】
本明細書において、コンテナCTは、物理ビットストリームを規定し、少なくとも1つの符号化フレームENCは、論理ビットストリームを規定する。物理ビットストリームは、符号化されたデータおよび関連するメタデータの両方を含んでもよい。
【0233】
本明細書において、少なくとも1つの符号化フレームは、Advanced Audio CodingコーデックまたはAACコーデックを用いて符号化されるオーディオデータに対応する。AACコーデックは、非可逆デジタル音声圧縮のためのオーディオ符号化標準規格であり、有利には、同じビットレートのMP3コーデックを用いた場合に実現できる音質よりも良い音質が得られる。
【0234】
図10は、本開示の第2の態様に係る、方法のステップを示す図である。
第2の態様の方法のステップでは、第1モードと同様にBluetooth通信リンクでオーディオストリームを送信できるが、この送信は、オーディオコーデック構成およびサンプリングレートについてのネゴシエーションに成功すると行われる。ステップS10では、ソースデバイス10とシンクデバイス20との間でBluetooth通信リンクが開いている、すなわち、確立される。ソースデバイス10上で実行中のストリーミングアプリケーションがオーディオデータを送れる状態になると、このストリーミングアプリケーションは、新しいストリームを開くことを要求できる。これに代えて、または同時に、Bluetooth通信リンクを開く際に既存ストリームの再構成を要求できる。
【0235】
Bluetooth通信リンクを確立している間に、ステップS15においてオプションのネゴシエーションフェーズを実行できる。
【0236】
このネゴシエーションフェーズは、ストリームの1つ以上のパラメータがシンクデバイス20によってサポートされているかどうかを確認することを含む。たとえば、当該1つ以上のパラメータは、開かれるまたは再構成されるストリームの引数として渡される。
【0237】
この1つ以上のパラメータは、ソースデバイス10上で実行中のストリーミングアプリケーションのオーディオストリームの少なくとも1つのオーディオコーデック構成および1つのサンプリングレートを含む。要求されるコーデックおよびサンプリングレートは、ストリームの引数として渡すことができる。
【0238】
ステップS15では、シンクデバイス20がオーディオコーデック構成および/またはサンプリングレートをサポートしない場合、新しいストリームを開くための基本となる要求または既存ストリームを再構成するための基本となる要求は、ステップS20において拒否される。
【0239】
ステップS15では、後述するが、シンクデバイス20がコーデックおよびサンプリングレートをサポートする場合、要求は受け付けられ、ソースデバイス10は、ステップS40を含む後続のステップを実行する。
【0240】
ステップS40では、新しいストリームの構成を実行し、適宜、1つ以上のパラメータを用いて既存ストリームを再構成する。特に、当該構成は、ストリーミングアプリケーションのオーディオストリームのオーディオコーデック構成およびサンプリングレートを用いて行われる。
【0241】
好ましくは、ソースデバイス10のHCIと呼ばれるホストコントローラインターフェースを使用してステップS40を実行する。
【0242】
本明細書において、HCIは、コントローラサブシステムとホストサブシステムとの間のオプションの標準インターフェースである。単純な機能を有するBluetoothデバイス(たとえば、ヘッドセット)では、ホストおよびコントローラは、同じマイクロプロセッサ上に実装することができ、または、内蔵ソフトウェアインターフェースとして実装することができる。ソースデバイス10のHCIは、ステップS40において、ストリーム、たとえば、BluetoothA2DPストリームの構成または再構成を行うことができる。
【0243】
ステップS50では、ソースデバイス10がストリーミングアプリケーションからオーディオストリームを受信する。
【0244】
ステップS60では、ソースデバイスが、受信したオーディオストリームを、オーディオコーデック構成およびサンプリングレートを用いてステップS40において構成されたBluetoothオーディオストリームにパケット化する。
【0245】
ステップS70では、ソースデバイス10がパケット化された受信オーディオストリームを含んだBluetoothオーディオストリームをシンクデバイス20に送信する。
【0246】
図11は、本開示の第3の態様に係る、方法のステップのフローチャートを示す図である。第3の態様では、ソースデバイス10の入力INからのオーディオデータAD1だけでなく、ソースデバイス10に含まれるオーディオサーバ30が送信したオーディオデータAD2(このオーディオデータAD2は、たとえば、システム音声による通知のオーディオデータであってもよい)もBluetoothスタックBSによって受信される。
【0247】
その後、AD1およびAD2は、ストリーミングアプリケーション40のオーディオストリームのオーディオコーデック構成およびサンプリングレートを用いて、構成済みBluetoothオーディオストリームにパケット化される。
【0248】
その後、構成済みBluetoothオーディオストリームは、確立したBluetoothリンクL1を用いてソースデバイス10からシンクデバイス20に送信され、パケット化されたオーディオデータAD1およびAD2は、シンクデバイス20によってパケット化が解除され、レンダリング、ブロードキャスト、出力OUTを通してさらにストリーム配信される前にオプションで1つ以上の別個のステップにおいて復号化される。
【0249】
パケット化が解除された後、シンクデバイス20によって別個のステップにおいてオーディオデータが復号化された場合、続いて、レンダリング、ブロードキャスト、または出力OUTを通してさらにストリーム配信される前に復号化されたデータをミキシングまたは多重化することができる(その後、Bluetoothオーディオストリームは、データのミキシング方法についての情報、たとえば、シンクデバイス側のオーディオデータごとのそれぞれの割合/値を追加で含んでもよい)。
【0250】
これによって、複数のオーディオソースを組み合わせることができるようになる。有利には、たとえば、これにより、ソースデバイス10上で実行中のストリーミングアプリケーション40が提供する音楽ファイルを視聴しながら、音声通知、たとえば、ソースデバイス10上にインストールされたソーシャルメディアアプリケーションからの通知を同時に受信できるようになる。
【0251】
好ましくは、1つ以上または2つ以上のオーディオソースが存在する場合、対応するオーディオデータを少なくとも1つのオーディオサーバにおいてミキシングし、既存ストリームが再構成されたときのストリーミングアプリケーション40のサンプリングレートに対応するシンクデバイス20のサンプリングレートを使用して再サンプリングしてもよい。
【0252】
すなわち、図示した態様によって、ストリーミングアプリケーション40および少なくとも1つのオーディオサーバ30を含むいくつかのオーディオソースが、簡略化した音声リンクパスをストリーミングアプリケーションに使用できるようになる。
【0253】
図12は、本開示の第3の態様に係る、Bluetooth通信リンクでオーディオストリームを送信するための方法のステップを示す図である。
【0254】
特に、第3の態様の方法のステップは、第1の態様および第2の態様と同様に、Bluetooth通信リンクでオーディオストリームを送信することを可能にするが、同時または連続して実行される2つのステップS51およびS52に受信ステップS50が置き換えられている点で異なる。ステップS51は、ソースデバイス10がストリーミングアプリケーション40から第1のオーディオデータAD1を受信するステップを含み、ステップS52は、ソースデバイス10がオーディオサーバ30から第2のオーディオデータAD2を受信するステップを含む。
【0255】
図13は、本開示の第3の態様を実行するためのBluetooth通信リンクを示す図である。
【0256】
特に、2つのオーディオストリームのパケット化に対応するBluetoothオーディオストリームBTSTRMがソースデバイス10からシンクデバイス20に送信される。BluetoothオーディオストリームBTSTRMは、第1のコントリビューションASTRM1と、第2のコントリビューションASTRM2とを含む。好ましくは、第1のコントリビューションASTRM1は、ソースデバイス10上で実行中のストリーミングアプリケーションが提供するオーディオストリームであり、第2のコントリビューションASTRM2は、オーディオサーバが提供するオーディオストリームである。
【0257】
好ましくは、BluetoothオーディオストリームBTSTRMは、A2DP Bluetoothオーディオストリームである。
【0258】
BluetoothオーディオストリームBTSTRMは、論理リンクLL1、好ましくはACL-U論理リンクによって有効化される。
【0259】
本明細書において、論理リンクは、どのような種類の情報がBluetoothオーディオストリームBTSTRMによって運ばれるかを規定するリンクである。たとえば、当該論理リンクは、制御データまたはユーザデータを搬送し、当該ユーザデータは、フレーム化データと非フレーム化データとにさらに分割されている。
【0260】
好ましくは、論理リンクLL1は、論理トランスポートLT1、好ましくはACL論理トランスポートによって運ばれる。
【0261】
本明細書において、論理トランスポートは、どの種類の特徴がストリームによって搬送されるかを規定するワイヤレス転送である。また、論理トランスポートは、1つ以上の論理リンクをサポートでき、当該特徴は、特に、キャスティング種別、スケジューリング動作、肯定応答/反復メカニズム、フロー制御、およびシーケンス番号付けを含む。特に、Bluetooth論理トランスポートは、論理トランスポートの種類によっては、異なる種類の論理リンクを搬送することができ、いくつかのBluetooth論理リンクが用いられる場合、これらのBluetooth論理リンクを同じ論理トランスポートに多重化することができる。
【0262】
論理トランスポートの例として、非同期接続指向またはACL、同期接続指向またはSCO、拡張同期接続指向またはeSCO、アクティブスレーブブロードキャストまたはASB、コネクションレススレーブブロードキャストまたはCSB、LE非同期接続またはLE ACL、LE広告ブロードキャストまたはADVB、LE周期的広告ブロードキャストまたはPADVB、トランスポートなどが挙げられる。その他の例として、LE接続等時性ストリームおよびブロードキャスト等時性ストリームなどが挙げられる。
【0263】
BluetoothオーディオストリームBTSTRM、論理リンクLL1および論理トランスポートLT1は、通信リンクを規定する。よって、通信リンクは、2つのデバイス間の少なくとも1つの物理リンクによって規定される。さらには、当該通信リンクは、1つ以上の物理リンクを含み、2つのデバイス、今回のケースではソースデバイス10とシンクデバイス20との間のワイヤレス通信を規定する。
【0264】
BluetoothオーディオストリームBTSTRM、論理リンクLL1および論理トランスポートLT1は、BR/EDR物理リンクなど、物理リンクPL1を規定する。
【0265】
本明細書において、物理リンクは、ワイヤレスデバイス間のベースバンド接続を可能にするBR/EDR物理リンクまたはLE物理リンクである。BR/EDR物理リンクは、BR/EDR有効物理リンク、およびBR/EDRコネクションレススレーブブロードキャスト物理リンクを含む。LE物理リンクは、LE有効物理リンク、LE広告物理リンク、LE周期的物理リンク、およびLE等時性物理リンクを含む。
【0266】
好ましくは、物理リンクPL1は、有効なBR/EDR物理リンクまたはLE等時性物理リンクである。
【0267】
図14は、本開示の第4の態様に係る、方法のステップのフローチャートを示す図である。
【0268】
この第4の態様では、ストリーミングアプリケーション40のオーディオコーデック構成およびサンプリングレートを使用して、ストリーミングアプリケーション40から受信するオーディオデータAD1を構成済みのBluetoothオーディオストリームにパケット化する。同時にまたは連続して、第2オーディオストリームのオーディオコーデック構成およびサンプリングレートを使用して、オーディオサーバ30から届く第2オーディオストリームに対応するオーディオデータAD2をBluetoothオーディオストリームにパケット化する。
【0269】
代替例として、2つのオーディオストリームは、同じオーディオコーデック構成およびサンプリングレートを使用する。すると、図示したように、これらの2つのオーディオストリームを同じBluetooth通信リンクL1で送信することが可能になる。
【0270】
AD1およびAD2は、同じBluetoothオーディオストリームにパケット化されると、後に、シンクデバイス20によってパケット化を解除して復号化することができる。特に、AD1およびAD2の各々について、同時にまたは連続してパケット化の解除および復号化を行うことができる。
【0271】
図15は、本開示の第4の態様に係る、方法のステップを示す図である。特に、これらの方法のステップにより、1つのBluetooth通信リンクで2つのオーディオストリームを送信できるようになる。
【0272】
ステップS10では、上述したように、ソースデバイスとシンクデバイスとのBluetoothリンクを開く、または予め確立する。好ましくは、これは、ソースデバイス上で実行中のストリーミングアプリケーションが少なくとも1つのオーディオストリームを開くように要求したときに実行される。
【0273】
ステップS41では、当該少なくとも1つのBluetoothオーディオストリームを、ストリーミングアプリケーション40のオーディオコーデック構成およびサンプリングレートで構成または再構成する。
【0274】
ステップS41に続いてまたは同時に実行されるステップS42では、少なくとも1つの別のBluetoothオーディオストリームを、オーディオサーバ30のオーディオコーデック構成およびサンプリングレート、またはストリーミングアプリケーションのオーディオコーデック構成およびサンプリングレートで構成または再構成する。
【0275】
ステップS51では、ソースデバイス10がストリーミングアプリケーション40から第1オーディオストリームと呼ばれるオーディオストリームを受信する。ステップS51に続いてまたは同時に実行されるステップS52では、ソースデバイスがオーディオサーバ30から第2オーディオストリームと呼ばれるオーディオストリームを受信する。
【0276】
ステップS61では、ステップS41においてストリーミングアプリケーションのオーディオコーデック構成およびサンプリングレートを用いて構成された第1オーディオストリームを、ソースデバイスがBluetoothオーディオストリームにパケット化する。
【0277】
ステップS61に続いてまたは同時に実行されるオプションのステップS62では、ソースデバイスが第2オーディオストリームをBluetoothオーディオストリームにパケット化する。
【0278】
ステップS70では、パケット化された第1オーディオストリームと第2オーディオストリームとを含んだBluetoothオーディオストリームをソースデバイス10がシンクデバイス20に送信する。
【0279】
ステップS70の代わりに、ステップS61およびS62の後にここで示していない2つの別個の送信ステップS71およびS72が続いてもよい。このような状況では、第1のパケット化オーディオストリームおよび第2のパケット化オーディオストリームを別個の論理リンクによって送信することができる。
【0280】
図16は、本開示の第4の態様を実行するためのBluetooth通信リンクを示す図である。
【0281】
図示したように、2つのBluetoothオーディオストリームBTSTRM1およびBTSTRM2は、1つのBluetooth通信リンクでソースデバイス10からシンクデバイス20に送信される。
【0282】
特に、第1のBluetoothオーディオストリームBTSTRM1は、第1のコントリビューションASTRM1を含み、第2のBluetoothオーディオストリームBTSTRM2は、第2のコントリビューションASTRM2を含み、第1のコントリビューションASTRM1は、ソースデバイス10上で実行中のストリーミングアプリケーション40が提供するオーディオストリームであり、第2のコントリビューションASTRM2は、オーディオサーバ30が提供するオーディオストリームである。
【0283】
好ましくは、BluetoothオーディオストリームBTSTRM1およびBTSTRM2は、各々、A2DP Bluetoothオーディオストリームであり、Bluetoothオーディオストリームは、ACL論理トランスポートなど、1つの論理トランスポートLT1によって運ばれるACL-U論理リンクなどの1つの論理リンクLL1によって有効化される。BluetoothオーディオストリームBTSTRM1およびBTSTR2、論理リンクLL1および論理トランスポートLT1は、物理リンクPL1、好ましくは、BR/EDR有効物理リンクを規定する。
【0284】
図17は、本開示の第5の態様に係る、方法のステップのフローチャートを示す図である。
【0285】
特に、第5の態様の方法のステップは、第4の形態の方法のステップと同様であるが、Bluetooth通信リンクL1に加えて、ソースデバイス10とシンクデバイス20との間で少なくとも1つの別のBluetooth論理リンクLL2が開かれている点において異なる。これにより、2つの別個のBluetooth論理リンクで1つ以上のオーディオストリームを送信できるようになる。
【0286】
たとえば、ストリーミングアプリケーション40がストリームを開くように要求したときに、ステップS10において少なくとも別のリンクLL2が開かれる。
【0287】
図18は、本開示の第5の態様を実行するための2つのBluetooth通信リンクを示す図である。
【0288】
図示したように、2つのBluetoothオーディオストリームBTSTRM1およびBTSTRM2がソースデバイス10からシンクデバイス20に送信される。第1のBluetoothオーディオストリームBTSTRM1は、第1のコントリビューションASTRM1を含み、第2のBluetoothオーディオストリームBTSTRM2は、第2のコントリビューションASTRM2を含む。ここでも、第1のコントリビューションASTRM1は、ストリーミングアプリケーション40が提供するオーディオストリームであり、第2のコントリビューションASTRM2は、オーディオサーバ30が提供するオーディオストリームである。
【0289】
BluetoothオーディオストリームBTSTRM1は、ACL-U論理リンクなど、論理リンクLL1によって有効化され、BluetoothオーディオストリームBTSTRM2は、LE-S論理リンクなど、別の論理リンクLL2によって有効化される。
【0290】
論理リンクLL1は、ACL論理トランスポートなど、論理トランスポートLT1によって運ばれ、論理リンクLL2は、LE接続等時性論理トランスポートなど、別の論理トランスポートLT2によって運ばれる。
【0291】
BluetoothオーディオストリームBTSTRM1、論理リンクLL1および論理トランスポートLT1は、物理リンクPL1、好ましくは、BR/EDR有効物理リンクを規定する。BluetoothオーディオストリームBTSTRM2、論理リンクLL2および論理トランスポートLT2は、物理リンクPL2、好ましくは、LE等時性物理リンクを規定する。
【0292】
図19は、本開示の第6の態様に係る、方法のステップのフローチャートを示す図である。
【0293】
特に、これらの方法のステップは、第1の態様、第2の態様、および第3の態様の方法のステップと同様であるが、オーディオデータAD1およびAD2をOggコンテナなどのコンテナにラッピングすることによって当該オーディオデータのパケット化が行われる点で異なる。これにより、その後パケット化されてソースデバイス10とシンクデバイス20との間で確立したBluetooth通信リンクで送信される物理ビットストリームが得られる。
【0294】
シンクデバイス20によって受信された後、コンテナまたは物理ビットストリームは、引き続きパケット化を解除され、ラッピングが解かれる。その後、後続の復号化ステップが実行され、ストリーミングアプリケーションに対応する物理ビットストリームの論理ビットストリームについて1つの復号化ステップが実行され、オーディオサーバに対応する物理ビットストリームの論理ビットストリームについて別の復号化ステップが実行される。これら2つの復号化ステップは、別個に実行することができ、1つの復号化ステップとして合わせて実行することもできる。
【0295】
図20は、本開示の第6の態様に対応する方法のステップを示す図である。
具体的には、ステップS51において第1オーディオストリームを受信した後、ステップS52において第2オーディオストリームを受信した後、ステップS55において、2つのオーディオストリームは、コンテナCTにパケット化され、その後ステップS65においてパケット化され、最終的にステップS75においてシンクデバイス20に送信される。
【0296】
図21は、本開示の第6の態様を実行するためのBluetooth通信リンクを示す図である。
【0297】
具体的には、ソースデバイス10からシンクデバイス20にBluetoothオーディオストリームBTSTRM1が送信される。BluetoothオーディオストリームBTSTRM1は、第1のコントリビューションASTRM1と、第2のコントリビューションASTRM2とを含む。第1のコントリビューションASTRM1は、ソースデバイス10上で実行中のストリーミングアプリケーションが提供するオーディオストリームであり、第2のコントリビューションASTRM2は、オーディオサーバが提供するオーディオストリームである。
【0298】
今回の場合、これら2つのコントリビューションASTRM1およびASTRM2は、ソースデバイス10からシンクデバイス20に送信される前にコンテナCTにカプセル化される。
【0299】
ここでも、オーディオストリームBTSTRM1、論理リンクLL1および論理トランスポートLT1が規定するBluetooth通信リンクは、1つ以上の物理リンクを含み得、ソースデバイス10とシンクデバイス20との間のワイヤレス通信を規定する。
【0300】
ここでも、好ましくは、BluetoothオーディオストリームBTSTRM1、論理リンクLL1および論理トランスポートLT1は、BR/EDR物理リンクなど、物理リンクPL1を規定する。
【0301】
ここで、有利には、コンテナCTは、Ogg-Vorbisコンテナである。Bluetoothの標準規格は、オーディオデータを1つのオーディオストリームにパケット化できるようにするに過ぎないが、Ogg-Vorbisコンテナを使用することにより、複数のオーディオストリームを同じパケットに含めることが可能になる。すなわち、Ogg-VorbisコンテナまたはOggストリームコンテナを使用することにより、1つ以上の論理ビットストリームをカプセス化することが可能になる。
【0302】
また、これにより、対応するパケットの境界を見つけるために復号化することに頼らずにオーディオデータを適切に分けて戻すために必要な情報をシンクデバイス20に提供できるようになる。この場合、オーディオサーバ30が提供するオーディオデータを符号化するために使用されるコーデックは、コンテナCTと互換性がなければならない。
【0303】
符号化されると、オーディオサーバから届く論理ビットストリームを、ストリーミングアプリケーションの論理ビットストリームとともにコンテナにラッピングできる。その後、両方の論理ビットストリームは、同じパケットに含めてシンクデバイス20に送られる。次に、シンクデバイス20は、2つの論理ビットストリームのラッピングを解き、それぞれのコーデックを用いて別個に復号化でき、復号化結果のミキシングを行って1つのストリームが出力される。
【0304】
図22は、本開示の態様に係る方法、具体的には、複数のマルチメディアデバイスを管理するときにBluetooth通信リンクでオーディオストリームを送受信するための方法を実装するように順応させたデバイス1000を示す図である。
【0305】
ある態様では、デバイス1000は、Bluetoothチップを備える。Bluetoothチップは、電子回路に組み込まれる、または、ソースデバイスまたはシンクデバイスなど、任意の種類の電子機器に組み込まれる。
【0306】
図示したように、デバイス1000は、記憶空間1002、たとえば、ランダムアクセスメモリ1002を含むメモリMEMを備える。また、記憶空間1002は、ROMまたはフラッシュメモリなど、不揮発性メモリであり得、コンピュータプログラムプロダクトを格納するように構成された記録媒体を提供することができる。
【0307】
デバイス1000は、たとえば、プロセッサPROCを備えるまたはプロセッサPROCである回路が搭載された処理部1004をさらに備える。処理部1004は、これまでの図面を参照して本明細書において説明した管理方法を実装するコンピュータプログラムなど、プログラムによって制御され得る。処理部1004は、前述した態様のいずれかを例に説明したステップを実行するための命令を格納することができる。
【0308】
また、デバイス1000は、オーディオデータ、オーディオストリーム、コンテナまたは任意のビットストリームのようなデータを格納するためのデータベース1010を備えてもよい。データベース1010は、オーディオコーデック構成またはサンプリングレートなど、任意の情報をさらに格納することができる。
【0309】
デバイス1000は、入力インターフェース1006と、出力インターフェース1008とをさらに備える。入力インターフェース1006と、出力インターフェース1008は、外部デバイスからマルチメディアデバイスへの通信、およびマルチメディアデバイスから外部デバイスへの通信を確立するように構成される。たとえば、出力インターフェース1008は、デバイス1000がBluetoothを介してその他のデバイスと接続することを可能にする、Bluetoothによってその他のデバイスとデータをやり取りするための通信モジュールであり得る。好ましくは、通信モジュールは、Bluetooth通信モジュールを含む。
【0310】
ある態様によると、Bluetoothチップは、本開示において説明したステップのうち1つ以上を実装するように構成される。
【0311】
本明細書において、説明およびその関連するクレームを解釈する場合、「comprise」、「include」、「incorporate」、「contain」,「is」、ならびに「have」などの表現は、一般的な意味として解釈される、つまり、明確に定義されていないその他の要素または構成要素も存在することを可能にすると解釈されるべきである。単数を指す場合は複数も指すと解釈されるべきであり、複数を指す場合は単数も指すと解釈されるべきである。
【0312】
本発明の態様を例示および説明したが、本発明の正確な範囲を逸脱することなく、様々なその他の変更が行われてもよく、均等物に置き換えられてもよいことが当業者によって理解されるであろう。これに加えて、本発明の範囲を逸脱することなく、特定の状況を本発明の態様の教示に合わせるための多くの変更が行われてもよい。さらには、本発明の態様は、上述した特徴をすべて含まなくてもよい。そのため、本発明は、開示した特定の態様に限定されないが、本発明は、添付の特許請求の範囲に含まれる態様をすべて含むことが意図される。当業者であれば、説明に開示した様々な要素を変更してもよいこと、および、本発明の範囲を逸脱することなく、開示および/またはクレームした様々な態様を組み合わせてもよいことが容易に分かるであろう。
【0313】
さらには、本開示は、下記の節A~Rに係る実施の形態を含む。
A.
Bluetooth通信リンクでオーディオストリームを送信するための方法であって、この方法は、ソースデバイスによって実行され、
-第1オーディオストリームのオーディオコーデック構成およびサンプリングレートを受信するステップを含み、第1オーディオストリームは、ソースデバイス上で実行中のストリーミングアプリケーションから届き、この方法は、さらに、
-受信したオーディオコーデック構成およびサンプリングレートを用いて、ソースデバイスとシンクデバイスとの間の第1のBluetoothオーディオストリームを構成するステップと、
-ストリーミングアプリケーションから第1オーディオストリームを受信するステップと、
-受信した第1オーディオストリームを第1のBluetoothオーディオストリームにパケット化するステップと、
-Bluetooth通信リンクで第1のBluetoothオーディオストリームをシンクデバイスに送信するステップとを含み、送信したBluetoothオーディオストリームは、パケット化された受信オーディオストリームを含む、方法。
【0314】
B.
ストリーミングアプリケーションから未変更のビットストリームを受信すると、ストリーミングアプリケーションから第1オーディオストリームを受信するステップが実行される、節Aに記載の方法。
【0315】
C.
-オーディオサーバ(30)から、少なくとも第2オーディオストリーム(AD2)を受信するステップをさらに含み、当該第2オーディオストリームは、第1オーディオストリームとは異なり、さらに、
-受信した第2オーディオストリームを、シンクデバイスにBluetooth通信リンクで送信するステップを含む、節Aまたは節Bのいずれか1項に記載の方法。
【0316】
D.
第1のBluetoothオーディオストリームは、マルチコントリビューションタイプのBluetoothオーディオストリームであり、方法は、受信した第2オーディオストリームのオーディオコーデック構成およびサンプリングレートを用いて、第2オーディオストリームを第1のBluetoothオーディオストリームにパケット化するステップをさらに含む、請求項Cに記載の方法。
【0317】
E.
ストリーミングアプリケーションから受信した第1オーディオストリームおよび/または受信した第2オーディオストリームをコンテナ(CT)ラッピングするステップを含み、当該コンテナは、第1のBluetoothオーディオストリームに配置される、請求項Cに記載の方法。
【0318】
F.
コンテナは、Ogg-Vorbisコンテナである、請求項Eに記載の方法。
【0319】
G.
第1オーディオストリームまたは第2オーディオストリームは、Vorbis形式で符号化されたストリームであり、または、第1オーディオストリームおよび第2オーディオストリームは、Vorbis形式で符号化されたストリームである、節Eに記載の方法。
【0320】
H.
-受信した第2オーディオストリームを第2のBluetoothオーディオストリームにパケット化するステップを含み、当該第2のBluetoothオーディオストリームは、第1のBluetoothオーディオストリームとは別個であり、この方法は、さらに、
-Bluetooth通信リンクで第2のBluetoothオーディオストリームをシンクデバイスに送信するステップを含み、当該第2のBluetoothオーディオストリームは、第1のBluetoothオーディオストリームと多重化されている、節Cに記載の方法。
【0321】
I.
第1のBluetoothオーディオストリームまたは第2のBluetoothオーディオストリームは、Bluetooth通信リンクのBR/EDRリンクで送信され、または、第1のBluetoothオーディオストリームおよび第2のBluetoothオーディオストリームは、Bluetooth通信リンクのBR/EDRリンクで送信される、節Hに記載の方法。
【0322】
J.
第2のBluetoothオーディオストリームは、Bluetooth通信リンクのBLEリンクで送信される、節Hに記載の方法。
【0323】
K.
第1のBluetoothオーディオストリームの送信は、オーディオコーデック構成およびサンプリングレートについてのシンクデバイスとのネゴシエーションに成功すると行われる、先行する節のいずれか1項に記載の方法。
【0324】
L.
コンピューティングデバイスに読み込み可能なコンピュータプログラム命令を格納したコンピュータ読み取り可能な媒体を備えたコンピュータプログラムプロダクトであって、コンピュータプログラム命令は、コンピューティングデバイスによって読み込まれて実行されると、
-コンピュータデバイスに、節A~Kに記載の方法のステップを実行させるようになされる、コンピュータプログラムプロダクト。
【0325】
M.
Bluetooth通信リンクでBluetoothオーディオストリームを受信するための方法であって、この方法は、シンクデバイスによって実行され、
-ソースデバイスが送信した複数のBluetoothオーディオストリームをBluetooth通信リンクで受信するステップと、
-受信した複数のBluetoothオーディオストリームを混合オーディオストリームにミキシングするステップと、
-混合オーディオストリームをレンダリングするステップとを含み、受信した複数のBluetoothオーディオストリームのうち少なくとも1つの第1のBluetoothオーディオストリームは、パケット化オーディオストリームを含み、当該オーディオストリームを第1のBluetoothオーディオストリームにパケット化することは、ソースデバイスによって行われ、第1のBluetoothオーディオストリームは、ソースデバイスによって第1オーディオストリームのオーディオコーデック構成およびサンプリングレートを用いてソースデバイスとシンクデバイスとの間で構成され、オーディオコーデック構成およびサンプリングレートは、ソースデバイスが受信し、第1オーディオストリームは、ソースデバイス上で実行中のストリーミングアプリケーションから届き、第1のBluetoothオーディオストリームの送信は、オーディオコーデック構成およびサンプリングレートについてのシンクデバイスとのネゴシエーションに成功するとソースデバイスによって行われる、方法。
【0326】
N.
-Bluetooth通信リンク上で少なくとも第2オーディオストリームをソースデバイスから受信するステップをさらに含み、第2オーディオストリームは、ソースデバイスによってオーディオサーバから受信され、第2オーディオストリームは、第1オーディオストリームとは異なる、節Mに記載の方法。
【0327】
O.
-Bluetooth通信リンク上で第2のBluetoothオーディオストリームデバイスをソースデバイスから受信するステップをさらに含み、第2のBluetoothオーディオストリームは、第1のBluetoothオーディオストリームと多重化されており、受信した第2オーディオストリームは、ソースデバイスによって第2のBluetoothオーディオストリームにパケット化され、当該第2のBluetoothオーディオストリームは、第1のBluetoothオーディオストリームとは別個である、節Nに記載の方法。
【0328】
P.
Bluetooth通信リンクでオーディオストリームを送信するためのソースデバイスに関し、ソースデバイスは、
-ソースデバイス上で実行中のストリーミングアプリケーションの第1オーディオストリームのオーディオコーデック構成およびサンプリングレートを受信し、
-受信したオーディオコーデック構成およびサンプリングレートを用いて、ソースデバイスとシンクデバイスとの間で第1のBluetoothオーディオストリームを構成し、
-ストリーミングアプリケーションから第1オーディオストリームを受信し、
-受信したオーディオストリームを第1のBluetoothオーディオストリームにパケット化し、
-第1のBluetoothオーディオストリームをシンクデバイスに送信するように構成され、第1のBluetoothオーディオストリームは、パケット化された受信オーディオストリームを含む、ソースデバイス。
【0329】
Q.
Bluetooth通信リンクでBluetoothオーディオストリームを受信するためのシンクデバイスであって、シンクデバイスは、
-ソースデバイスが送信した複数のBluetoothオーディオストリームをBluetooth通信リンクで受信し、
-受信した複数のBluetoothオーディオストリームを混合オーディオストリームにミキシングし、
-混合オーディオストリームをレンダリングするように構成され、受信した複数のBluetoothオーディオストリームのうち少なくとも1つのBluetoothオーディオストリームはパケット化オーディオストリームを含み、当該オーディオストリームを少なくとも1つのBluetoothオーディオストリームにパケット化することは、ソースデバイスによって行われ、少なくとも1つのBluetoothオーディオストリームは、ソースデバイスによって第1オーディオストリームのオーディオコーデック構成およびサンプリングレートを用いてソースデバイスとシンクデバイスとの間で構成され、オーディオコーデック構成およびサンプリングレートは、ソースデバイスが受信し、第1オーディオストリームは、ソースデバイス上で実行中のストリーミングアプリケーションから届く、シンクデバイス。
【0330】
R.
Bluetooth通信リンクでBluetoothオーディオストリームを送信および受信するためのシステムであって、当該システムは、節Pに記載のソースデバイスと、節Qに記載のシンクデバイスとを備える。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
【手続補正書】
【提出日】2021-12-14
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
Bluetoothデバイスを操作するための方法(700)であって、
第2デバイスとの間で確立(101)したBluetooth通信リンクでオーディオ情報を転送(102)するステップと、
前記Bluetoothデバイス(700)または前記第2デバイスにおいて動作パラメータの値が変化(103)すると、前記Bluetooth通信リンクの新しい動作モードを決定(104)するステップと、
前記新しい動作モードに基づいて前記Bluetooth通信リンクの構成パラメータを変更(105)するステップと、
変更した前記構成パラメータに従って前記Bluetooth通信リンク上でオーディオ情報を転送(102)するステップとを含み、
前記動作パラメータは、
バッテリー残量(202a、202b)、
前記Bluetoothデバイスまたは前記第2デバイス上でのゲームアプリケーション(402)の起動、
マルチメディアコンテンツの読み出しモード、または
マルチメディアコンテンツの品質、
のうちの1つである、方法。
【請求項2】
前記動作パラメータは、前記Bluetoothデバイス(700)または前記第2デバイス上で動作中のオペレーティングシステムに対応付けられる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記動作パラメータは、前記Bluetoothデバイス(700)または前記第2デバイス上で実行中のアプリケーションに対応付けられる、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記構成パラメータを変更(105)するステップは、Bluetoothホストによって実行される、請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記構成パラメータを変更(105)するステップは、Bluetoothコントローラによって実行される、請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記構成パラメータは、
オーディオ構成パラメータ、または
Bluetooth接続パラメータ、
のうち一方である、請求項1~5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記構成パラメータは、
コーデックの種類、
コーデックに対するパラメータ、
データの種類、
オーディオチャネル選択パラメータ、または
サンプリングレートパラメータ、
のうち1つのオーディオ構成パラメータである、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記構成パラメータは、
フラッシュタイムアウトパラメータ、
チャネルタイプパラメータ、
QoS(Quality of Service)パラメータ、
再送回数パラメータ、
BLEリンクパラメータのうちの1つ、
パケット種別パラメータ、および
MTU(最大送信単位)パラメータ、
のうち1つのBluetooth接続パラメータである、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
Bluetoothデバイス(700)であって、
Bluetoothチップと、
プロセッサと、
メモリとを備え、
第2デバイスとの間で確立(101)したBluetooth通信リンクでオーディオ情報を転送(102)し、
前記Bluetoothデバイス(700)または前記第2デバイスにおいて動作パラメータの値が変化(103)すると、前記Bluetooth通信リンクの新しい動作モードを決定(104)し、
決定した前記新しい動作モードに基づいて前記Bluetooth通信リンクの構成パラメータを変更(105)し、
変更した前記構成パラメータに従って前記Bluetooth通信リンク上でオーディオ情報を転送(102)するように構成される、Bluetoothデバイス(700)。
【請求項10】
前記動作パラメータは、前記Bluetoothデバイス(700)または前記第2デバイスのオペレーティングシステムに対応付けられる、請求項9に記載のBluetoothデバイス(700)。
【請求項11】
前記動作パラメータは、前記Bluetoothデバイス(700)または前記第2デバイス上で実行中のアプリケーションに対応付けられる、請求項9に記載のBluetoothデバイス(700)。
【請求項12】
Bluetoothコントローラをさらに備え、前記構成パラメータを変更(105)するステップは、前記Bluetoothコントローラによって実行される、請求項9~11のいずれか1項に記載のBluetoothデバイス(700)。
【請求項13】
前記動作パラメータは、
バッテリー残量(202a、202b)、
前記Bluetoothデバイスまたは前記第2デバイス上で起動(402)されたアプリケーションの種類、
マルチメディアコンテンツの読み出しモード、または、
マルチメディアコンテンツの品質、
のうちの1つである、請求項9~12のいずれか1項に記載のBluetoothデバイス(700)。
【請求項14】
前記構成パラメータは、
オーディオ構成パラメータ、または
Bluetooth接続パラメータ、
のうち一方である、請求項9~13のいずれか1項に記載のBluetoothデバイス(700)。
【請求項15】
前記動作パラメータは、
コーデックの種類、
コーデックに対するパラメータ、
データの種類、
オーディオチャネル選択パラメータ、または
サンプリングレートパラメータ、
のうち1つのオーディオ構成パラメータである、請求項14に記載のBluetoothデバイス(700)。
【請求項16】
前記動作パラメータは、
フラッシュタイムアウトパラメータ、
チャネルタイプパラメータ、
QoS(Quality of Service)パラメータ、
再送回数パラメータ、
BLEリンクパラメータのうち1つのパラメータ、
パケット種別パラメータ、および
MTU(最大送信単位)パラメータ、
のうち1つのBluetooth接続パラメータである、請求項14に記載のBluetoothデバイス(700)。
【請求項17】
プログラム命令を含んだコンピュータプログラムであって、前記コンピュータプログラムは、データ処理部に読み込み可能であって、前記データ処理によって前記コンピュータプログラムが実行されると、前記データ処理部に請求項1~8のいずれか1項に記載のステップを実行させるようになされる、コンピュータプログラム
【国際調査報告】