(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-08-03
(54)【発明の名称】騒音減衰部材付きの呼吸デバイス
(51)【国際特許分類】
A61M 16/12 20060101AFI20220727BHJP
A61M 16/00 20060101ALI20220727BHJP
【FI】
A61M16/12
A61M16/00 380
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021564103
(86)(22)【出願日】2019-06-06
(85)【翻訳文提出日】2021-10-26
(86)【国際出願番号】 CN2019090389
(87)【国際公開番号】W WO2020243958
(87)【国際公開日】2020-12-10
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520376373
【氏名又は名称】ヴィンセント メディカル(ドングアン)マニュファクチャリング シーオー.,エルティーディー.
(71)【出願人】
【識別番号】521241111
【氏名又は名称】ヴィンセント メディカル(ドングアン)テクノロジー シーオー.,エルティーディー.
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】特許業務法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ス,ジェビン
(72)【発明者】
【氏名】ユ,ハイビン
(72)【発明者】
【氏名】フー,ヂェンシィアン
(72)【発明者】
【氏名】レイ,ユー
(57)【要約】
本発明は、第1気体を呼吸デバイス(100)に供給するための第1気体入口(202)と、加圧気体を供給するために加圧気体源に連結可能な第2気体入口(206)と、第1気体と加圧気体とを混合するための混合室(204)と、混合室(204)の下流に設けられた騒音減衰部材(216)とを備える呼吸デバイス(100)を提供する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1気体を呼吸デバイスに供給するための第1気体入口と、
加圧気体を供給するために加圧気体源に連結可能な第2気体入口と、
前記第1気体と前記加圧気体とを混合するための混合室と、
前記混合室の下流に設けられた騒音減衰部材と、
を備える、呼吸デバイス。
【請求項2】
前記混合室は、加湿室に混合気体の流れを排出するための気体出口を更に備える、請求項1に記載の呼吸デバイス。
【請求項3】
気体内の1種または複数種の気体成分の濃度を確定するためのセンサを更に備え、前記気体は、第1気体、加圧気体および混合気体の流れからなる群から選ばれる、請求項2に記載の呼吸デバイス。
【請求項4】
前記センサは、前記騒音減衰部材の下流に設けられた超音波センサである、請求項3に記載の呼吸デバイス。
【請求項5】
前記加湿室に向かう混合気体の流れの流速を確定するための流量センサを更に備える、請求項2に記載の呼吸デバイス。
【請求項6】
前記騒音減衰部材は前記混合室と流体連通される、請求項1に記載の呼吸デバイス。
【請求項7】
前記騒音減衰部材は、円筒状またはC字状またはメッシュの形である、請求項1に記載の呼吸デバイス。
【請求項8】
前記騒音減衰部材は、気体が透過可能な膜またはフィルタとして構成される、請求項1に記載の呼吸デバイス。
【請求項9】
前記騒音減衰部材は吸音材を備える、請求項1に記載の呼吸デバイス。
【請求項10】
前記騒音減衰部材は焼結材で作製される、請求項1に記載の呼吸デバイス。
【請求項11】
前記騒音減衰部材は、焼結多孔質プラスチックを含み、前記焼結多孔質プラスチックは、焼結多孔質ポリエチレン、焼結多孔質ポリアミド、焼結多孔質ポリテトラフルオロエチレン、または焼結多孔質ポリフッ化ビニリデンから選ばれる、請求項1に記載の呼吸デバイス。
【請求項12】
前記混合室は、第1ポートで第1気体を受け入れ、第2ポートで加圧気体を受け入れる、請求項1に記載の呼吸デバイス。
【請求項13】
前記第1ポートは前記第2ポートに垂直に合致する、請求項8に記載の呼吸デバイス。
【請求項14】
前記第1気体入口は大気を供給し、前記加圧気体は酸素ガスまたは高圧酸素ガスである、請求項1に記載の呼吸デバイス。
【請求項15】
前記呼吸デバイスに取り付けられた騒音低減装置を更に備え、好ましくは、前記騒音低減装置は前記第1気体入口と流体連通され、好ましくは、前記騒音低減装置は前記混合室の上流に位置する、請求項1に記載の呼吸デバイス。
【請求項16】
前記騒音低減装置は、側壁と騒音低減装置の気体出口とを有する本体と、騒音低減装置の気体入口および気体通路を形成するために前記本体と着脱可能に係合されるように構成されるカバーとを備える、請求項15に記載の呼吸デバイス。
【請求項17】
前記騒音低減装置のカバーは、前記気体通路の少なくとも一部を規定するガイド部材を備え、前記ガイド部材は、前記本体と前記カバーとの間に前記気体通路を形成するために前記本体の側壁に連結されるように構成される、請求項16に記載の呼吸デバイス。
【請求項18】
形成された前記気体通路は、前記気体出口で排出する前に、前記気体入口に対して前記気体出口の中心回りに少なくとも180度~330度の角回転を移動するように気流を導く、請求項16に記載の呼吸デバイス。
【請求項19】
前記ガイド部材はC字状となる、請求項17に記載の呼吸デバイス。
【請求項20】
前記ガイド部材は、前記本体の側壁とシールを形成する端部を含む、請求項17に記載の呼吸デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、呼吸デバイスに関し、特に、加圧気体を供給する必要がある呼吸デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
現代の臨床医学において、呼吸デバイスは、通常、呼吸器疾患(例えば、急性呼吸窮迫症候群、重篤な喘息および慢性閉塞性肺疾患)に罹患した患者に使用され、また、手術中の麻酔および呼吸管理、救急蘇生に使用され、更に、支持療法の家庭に使用されている。呼吸デバイスは、重要な医療装置であり、呼吸不全を予防して治療し、合併症を減少させて患者の生命を延ばすことができる。
【0003】
現在の呼吸デバイスは多くの欠点を有する。例えば、空気がブロワーにより呼吸デバイスに吸い込まれると、空気流と気体入口の通路との間の摩擦により騒音が発生する。呼吸デバイスが静かな環境で使用される時、または患者が寝ている時、騒音は特に著しくなり、患者に身体的および精神的な迷惑をかける可能性がある。また、大量の高周波数騒音が存在する場合、気体成分または気体の流速をモニタリングしにくい可能性がある。高圧気体を供給すると、高周波数騒音が発生する可能性があり、これらの騒音は、呼吸デバイスにおけるセンサによって行われる検出に影響を及ぼす可能性がある。
【0004】
そのため、効果的に動作して気流および気体の含有量をモニタリングするセンサを有する改良された呼吸デバイス、および/または騒音を低減する呼吸デバイスを提供することが望ましい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、現在の呼吸デバイスの気体入口により発生する/気体入口で発生する騒音の技術的問題を少なくとも解決し、および/またはユーザに搬送する気体の濃度の測定を改良することができる呼吸デバイスを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様によれば、第1気体を呼吸デバイスに供給するための第1気体入口と、加圧気体を供給するために加圧気体源に連結可能な第2気体入口と、第1気体と加圧気体とを混合するための混合室と、混合室の下流に設けられた騒音減衰部材とを備える呼吸デバイスを提供する。
【0007】
実施例において、呼吸デバイスは、呼吸デバイスに取り付けられた騒音低減装置を更に備え、該騒音低減装置は第1気体入口と流体連通される。騒音低減装置は、側壁と騒音低減装置の気体出口とを有する本体と、騒音低減装置の気体入口および気体通路を形成するために本体と着脱可能に係合されるように構成されるカバーとを備える。
【発明の効果】
【0008】
理論によって制限される意図なく、本発明の呼吸デバイスは、加圧気体の供給中およびブロワーにより駆動された大気の供給中に発生可能な騒音を実質的に最小化すると考えられる。本明細書の騒音減衰部材は、呼吸デバイス上または呼吸デバイス内に配置された1つまたは複数のセンサ(特に、周波数騒音による影響を受けやすいセンサ)により実行される測定の改良に特に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図2】呼吸デバイスの実施例における気体混合機構、および流量センサにおける騒音減衰部材の組み立ての断面図を示す。
【
図3a】気体混合機構のブロワーと超音波センサとの配置を示す。
【
図3b】混合室の第1ポートおよび第2ポートを示す。
【
図4】呼吸デバイス内に含まれ得る騒音低減装置の実施例の斜視図を示し、騒音低減装置の本体とカバーとが互いに分離する。
【
図5】カバーと係合する前の本体の実施例の正面図を示す。
【
図7】本体とカバーとが係合されている場合の騒音低減装置の実施例を示す。
【
図8】本体とカバーとが係合されている場合の騒音低減装置の実施例における気流の方向を示す。
【
図9】本明細書の呼吸デバイスに取り付けられた騒音低減装置の実施例を示す。
【0010】
本明細書の図面は、説明に使用することのみを目的としており、且つ、必ずしもスケールに従って描画される必要はない。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明は、加圧気体を供給する必要がある呼吸デバイスに関する。呼吸デバイスは、加湿器、呼吸器、ネブライザ、連続的陽圧空気装置、自動陽圧空気装置等であってもよいが、これらに限定されない。
【0012】
本発明の実施例において、呼吸デバイスは、第1気体を呼吸デバイスに供給するための第1気体入口と、加圧気体を供給するために加圧気体源に連結可能な第2気体入口と、第1気体と加圧気体とを混合するための混合室と、混合室の下流に設けられた騒音減衰部材とを備える。第1気体入口と第2入口とは互いに分離されて、2つの気体の流れが独立して呼吸デバイスに入ることを可能にする。このような場合、第2気体入口を介して入った加圧気体は、第2気体と見なされる。
【0013】
必要に応じて、本明細書における有用な気体は、通常、大気、酸素ガスリッチな空気等を含む。実施例において、第1気体は大気であり、必要に応じて、環境室温で、室温よりも高い温度、または室温よりも低い温度で呼吸デバイスに供給され得る。実施例において、第1気体は、周囲環境の環境圧力および環境室温下にある。実施例において、第2気体または加圧気体は加圧気体源により提供され、該加圧気体源は、圧縮酸素ガスタンクであってもよいが、これに限定されない。加圧気体は、周囲環境と比べてより高い圧力にある酸素ガスであってもよい。所望の操作に応じて、他の適当な加圧気体を使用してもよい。
【0014】
実施例において、混合室は第1および第2気体入口と流体連通されている。混合室は、第1ポートおよび第2ポートという2つの独立したポートを有し、第1および第2気体入口から第1気体および第2気体をそれぞれ受け入れるために用いられる。第1ポートおよび第2ポートは、混合室の異なる表面に配置されてもよく、これにより、2つの気体の流れが混合室に入ると、それらは、例えば、渦流を発生させて互いに混合し、混合気体の流れを形成することができる。特定の実施例において、第1ポートは、2つの気体の流れを徹底的に混合するように、第2ポートに垂直であるか、または第2ポートに対して一定の角度をなすように構成される。
【0015】
本発明の混合室は、混合気体の流れを呼吸デバイスの他の部分(例えば、加湿室、薬剤添加室、加熱室等)に排出するための気体出口を有する。実施例において、混合気体の流れは、ユーザに搬送される前に加湿室に排出されて、更に処理して、搬送される気体を最
適な状態にするために用いられる。
【0016】
しかし、第1気体と第2気体との混合は、特に、ユーザが休憩および/または睡眠を取ろうとする時に、迷惑をかけるのに十分な騒音および/または一定の周波数の騒音(例えば、うなった音または笛吹き音)を引き起こす可能性があることがわかった。更に、騒音の周波数により、このような騒音は、特に音が大きいおよび/または煩わしい可能性があることがわかった。また、気体と加圧気体とが混合されると、騒音が悪化する可能性があることがわかった。
【0017】
そのため、本明細書の呼吸デバイスは、加圧気体の供給中に発生可能な騒音を最小化するために、混合室の下流に設けられた騒音減衰部材を備える。騒音減衰部材は、呼吸デバイス上または呼吸デバイス内に配置された1つまたは複数のセンサにより実行される測定の改良に特に有用である。これは、高周波数騒音による影響を受けやすい超音波センサを有する呼吸デバイスに特に有利である。
【0018】
実施例において、騒音減衰部材は、例えば、混合室から排出された混合気体の流れの流路に沿って混合室と流体連通されている。流路に沿って騒音減衰部材を設けることにより、動作中に発生可能な騒音を効果的に最小化する。騒音減衰部材は、特に、高周波数騒音で発生する騒音を吸収および/または低減するために用いられる。実施例において、騒音減衰部材は吸音材で作製され、特に、焼結材であるが、これに限定されない。吸音材は、多孔質セラミック、多孔質プラスチック、または多孔質ポリマーフォームのような多孔質材料であってもよく、騒音を吸収するために用いられる。実施例において、吸音材は焼結プラスチックであり、好ましくは、多孔質のものであり、焼結ポリエチレン(PE)、焼結ポリアミド(PA)、焼結ポリテトラフルオロエチレン(PTEE)または焼結ポリフッ化ビニリデン(PVDF)から選ばれる。別の実施例において、騒音減衰部材は金属焼結材で作製され、好ましくは、多孔質のものであり、銀、ニッケル、チタン、アルミニウム、鋼、ステンレス鋼、青銅等のうちの1種または複数種を含んでもよい。
【0019】
騒音減衰部材は、望ましくない騒音を吸収または低減するように、流路に沿って位置決めされる任意の形状に構成され得る。実施例において、騒音減衰部材は、円筒状またはC字状またはメッシュの形であってもよい。別の実施例において、騒音減衰部材は、気体が透過可能な膜またはフィルタに構成され得、且つ、このような騒音減衰部材は、更に乱流フィルタとして機能でき、気体を呼吸デバイスの他の部分に排出する前に気体内の乱流を最小化することで、騒音を低減する。呼吸デバイスは、1つ以上の騒音減衰部材を備えてもよく、且つ、各騒音減衰部材は、異なる形状に構成でき、流路に沿って異なる位置に設けられ、好ましくは、混合室の下流に設けられる。
【0020】
また、驚くべきことに、望ましくない騒音を吸収および/または低減することは、センサ、特に超音波センサまたは高周波数超音波センサにより実行される測定の精度の改良に寄与することがわかった。
【0021】
実施例において、呼吸デバイスは、第1気体、加圧気体または混合気体の流れのうちの1種または複数種の気体成分の濃度を確定するためのセンサを備える。該センサは、超音波センサ、特に高周波数超音波センサであってもよい。実施例において、超音波センサは、混合室の下流に配置されて混合気体の流れの濃度を確定する、および/または次の処理室(例えば、加湿室)に入る前に配置される。特定の実施例において、超音波センサは、発生した騒音を効果的に最小化するように、騒音減衰部材の下流に設けられている。
【0022】
呼吸デバイス内の気流をより良くモニタリングするために、呼吸デバイスは気体の流速、特に加湿室に向かう混合気体の流れの流速を確定するための流量センサを更に備えても
よい。本分野でよく知られている流量センサは、本発明における流路内の任意の場所に適用できる。
【0023】
本発明の呼吸デバイスは、第1気体入口と流体連通されている騒音低減装置を更に備えてもよい。騒音低減装置との組み合わせは、更に第1気体入口で発生可能な騒音の低減に寄与することができる。
【0024】
図面を参照すると、
図1は、呼吸デバイス100の実施例を示し、該呼吸デバイスは加湿気体をユーザに供給するための加湿器として提供される。呼吸デバイス100は、気体を加湿室102に供給して処理するように、その中に気体混合機構(
図2の200を参照する)を備える。処理後に、加湿気体は、加湿室102上の排出ポート104に連結された呼吸回路を介してユーザに搬送される。
【0025】
図2、
図3aおよび
図3bを参照し、気体混合機構200は、大気が混合室204内に入ることを可能にする第1気体入口202と、加圧気体源に連結できて混合室204に加圧気体(特に、高圧酸素ガスであるが、これに限定されない)を供給するための第2気体入口206とを備える。シールリング208は、加圧気体の漏れを回避または最小化するために、第2気体入口206と混合室204との間に設けられてもよい。混合室204は、混合気体の流れを排出するための気体出口210および逆止弁212を更に備える。逆止弁212は、気体の逆流を防止するために、混合室204における溝213に設けられてもよい。逆止弁212は、当業者が理解できる任意の設計を有してもよい。該実施例において、逆止弁212は、開口215aをカバーするように構成されたシリコーン樹脂フィルムを備える。開口215aをカバーするシリコーン樹脂フィルムまたは該シリコーン樹脂フィルムの一部は、一方向の気流が第2気体入口206から周囲へ流れることのみを許容し、且つ、開口215bは、気流が混合室204に入ることを許容する。例えば、加圧気体が呼吸デバイス100に入る、特に混合室204に入ると、圧力が十分に高くなって開口215aをカバーするシリコーン樹脂フィルムを持ち上げることができ、且つ、加圧気体が開口215aを介して流れ出ることが可能である。漏れた気体は、開口215aを介せずに、開口215bを介して混合室204に戻ることができる。
【0026】
該実施例において、混合室は、第1気体入口202を受け入れるための第1ポート207と、第2気体入口206を受け入れるための第2ポート209とを有する。該実施例において、第1気体ポート207は第2ポート209と離間して、該第2ポートに垂直に合致する。第1ポートは、周囲環境から大気を受け入れるために、ブロワー205に連結されてもよい。加圧気体が第2気体入口206を介して呼吸デバイス100に入ると、大気は同時に第1気体入口202を介して混合室204に入って加圧気体と混合する。続いて、2つの気体の流れは混合室204で徹底的に混合される。その後、形成された混合気体の流れは、混合室204の下流に位置して該混合室に接続された流量センサ214を介して排出される。該実施例において、流量センサ214は、オペレータが気流をモニタリングできるように、混合気体の流れが混合室204に存在してから該混合気体の流れの流速を確定するように構成される。
【0027】
該実施例において、騒音減衰部材216は、流量センサ214の一端または流量センサ214の下流端に設けられている。
図2において、騒音減衰部材216は、焼結多孔質PEのような吸音材で作製され、呼吸デバイスによる高周波数騒音を吸収することができる。特に、高周波数騒音は、通常、第2気体入口206で加圧気体を供給する中に発生する騒音であり、および/または混合室204で2つの気体の流れを混合する中に発生する騒音である。騒音減衰部材216は、円筒状に構成され、流量センサ214と係合可能なサイズを有する。騒音減衰部材216は一端で流量センサ214と係合され、且つ、混合気体の流れが呼吸デバイス100の他の部分へ流れ続けることを許容する。
図2に示すよう
に、騒音減衰部材216は、流量センサ214内に挿入可能な円筒本体217aと、円筒本体217aの直径よりも大きい直径を有する端部217bとを有する。端部217bは、騒音減衰部材216を適当な位置に保持するように、騒音減衰部材216の呼吸デバイス100における動きを制限する。端部217bは、流量センサ214と呼吸デバイス100の他の部材との間の接続に寄与することもできる。騒音減衰部材216のこのような構造は、製造過程において、および部材間の安定した接続により騒音を最小化する上で有用である。
【0028】
実施例において、混合室204と流量センサ214との間に追加の騒音減衰部材211を提供してもよい。追加の騒音減衰部材211は、気体が通過可能な多孔質膜として提供され得る。これは、前記気体が流量センサ214に入る前に混合気体の流れ内の乱流を最小化することに寄与することができる。このような配置は、騒音の低減にも寄与できる。追加の騒音減衰部材211は、上記のような前記吸音材で作製され得る。
【0029】
呼吸デバイス100内に気体を検出するための超音波センサ(
図3bの218を参照)を備える実施例において、騒音減衰部材216は、ほとんど(全部ではない場合)の望ましくない高周波数騒音を吸収、低減または隔離するように、超音波センサの上流に位置決めされることが好ましく、後の下流で実行される測定に使用される。これは、超音波センサにより実行される検出の精度の改良に特に有用である。
【0030】
図3aに示すように、超音波センサ218は流量センサ214および騒音減衰部材216の下流に配置され、混合気体の流れにおける加圧気体の濃度を確定し、特に混合気体通路220における酸素ガスの含有量を確定する。その後、混合気体はチューブ222を介して加湿室102に入る。呼吸デバイスに流量センサが備えられない実施例において、騒音減衰部材は流路に沿って混合室204と加湿室102との間の超音波センサ218の上流の任意の場所に配置され得ることが理解されるべきである。騒音減衰部材216は流路に沿って取り付けられる任意の形状に構成され得ることも理解されるべきである。
【0031】
理論によって制限される意図なく、本発明の呼吸デバイス100における騒音減衰部材216の存在は、気体検出の精度を改良でき、オペレータがユーザに搬送する気体をモニタリングすることを可能にすると考えられる。
【0032】
また、
図1に示すように、呼吸デバイス100は、大気を呼吸デバイス100に供給する際に発生する騒音を更に最小化するように、ハウジング106に取り付けられて混合室の上流に位置する騒音低減装置400を更に備える。
図4~
図9は、騒音低減装置400の実施例を示し、該騒音低減装置はカバー402と本体404とを備える。カバー402および本体404は、好ましくは個別に製造され、且つ、ロック手段(例えば、スライドまたは螺合)により互いに着脱可能に係合され得る。
【0033】
該実施例において、カバー402および本体404は、熱硬化性プラスチック、樹脂、高分子材料等のようなプラスチックで作製できる。このようなプラスチックは本分野で知られており、且つ、通常、例えば、ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン、ポリメチルメタクリレート、ベークライト、メラミンホルムアルデヒド、ポリスルホン、ポリエーテルイミド、ポリエチレンテレフタレート、尿素-ホルムアルデヒド、ポリエーテルエーテルケトンおよび
それらの組み合わせの材料を含む。また、プラスチックは、例えば、コーティング層を含み、抗菌化合物をプラスチックに組み込むこと等により抗菌化合物を結合することができる。
【0034】
図5は、カバー402と係合する前の本体404の実施例を示す。本体404は騒音低
減装置の気体出口406を有し、呼吸デバイス100に取り付けられている。該実施例において、本体404に側壁410で囲まれたキャビティ408が構成されている。側壁410は内面412の周辺から垂直に延出し、第1端部411を含む。側壁410の構造に応じて、キャビティ408は開放されてもよいし、閉鎖されてもよい。該実施例において、キャビティ408は開放され、側壁410はC字状に構造され、即ち、開放部分414が残っている。側壁410の少なくとも一部は、緊密なシールを形成するためにカバー402に連結されてもよい。
【0035】
キャビティ408は、その中にフィルタ415(破線に示すように)を収容することができる。気体が呼吸デバイスに入る前に、気体(特に、大気)から埃、花粉、カビ、細菌等を濾過するために、フィルタ415を提供してもよい。フィルタ415が本体404のキャビティ408内に着脱可能に配置されている実施例において、フィルタ415は、濾過後の気体に埃、花粉、カビ、細菌等がなく、または少なくとも量が減少された埃、花粉、カビ、細菌等を有することを保つように、ランダムまたは規則的に新たなフィルタに置き換えられてもよい。理論によって制限される意図なく、呼吸デバイスが臨床用途に適用される場合、これは特に有利であると考えられる。更に、フィルタ415は、気体が騒音低減装置100を通過する際にキャビティ408内で発生する騒音を低減するための騒音抑圧装置として機能することもできると考えられる。必要に応じて、フィルタ415は、例えば、紙フィルタ、フォームフィルタ、コットンフィルタ、高性能微粒子エアフィルタ、HEPAフィルタ等であってもよい。当業者は、様々な適当なフィルタが本発明の騒音低減装置100に適用可能であることを理解できる。
【0036】
該実施例において、騒音低減装置の気体出口406は径方向にずれ、支持構造416により支持され、該支持構造は、騒音低減装置の気体出口406に連結された内面412に複数の直立突起418を有する。騒音低減装置の気体出口406は呼吸デバイスにおける気体経路に合致して乱流の形成を低減することができる。当業者は、類似する目的を実現するために、騒音低減装置の気体出口406をキャビティ408の中心に位置決めしてもよいことを理解できる。
【0037】
キャビティ408は、内面412における収束部分420を更に備えてもよく、該収束部分は、気体の流れに寄与するように、騒音低減装置の気体出口406に向かって収束する。騒音低減装置の気体出口406に向かって気体の流れを導くほか、支持構造416は、更にフィルタ415を適当な位置に保持することに寄与してもよい。理論によって制限される意図なく、更に、直立突起418および支持構造416は、本体404および/またはカバー402の構造的完全性を更に強化できると考えられる。直立突起418および収束部分420はフィルタ415を支持し、これは、フィルタ415と内面412との分離に寄与し、フィルタ415の有効表面積を増加させ、従って濾過された気体の流れの量を増加させることができる。これは、その作業負荷を減少させて発生した騒音を更に低減することにより、呼吸デバイス100のブロワー205の保護に相乗的に役立つことができる。該実施例において、支持構造416の直立突起418は、騒音低減装置の気体出口406から連続的または不連続的に径方向に延出するように構成される。
【0038】
図4および
図5の実施例において、本体404は、カバー402と着脱可能に係合されるように構成される。好ましくは、本体404は、カバー402に係合されてからカバー402により閉鎖される。本体404は2つのスロット422(またはタブ)を備えてもよく、前記2つのスロット(またはタブ)は、側壁410の実質的に直径方向に反対側にそれぞれ配置され、カバー402における対応するタブ(またはスロット)と相補的にスライドロックするために用いられる。
【0039】
カバー402に目を向け、その背面図を示す
図6を参照し、カバー402は側壁424
と内面426とを備え、騒音低減装置100を形成するために該カバーが本体404と係合されている場合、該内面は本体404の内面(
図5の412を参照する)に面している。側壁424は内面426の周辺から垂直に延出し、且つカバー402を部分的に囲んでキャビティ428を形成する。該実施例において、キャビティ428は開放され、側壁424は、側壁424で第2端部430および第3端部432をそれぞれ規定して開放部分434を残すために、実質的にC字状に構成されている。
【0040】
カバー402はガイド部材436を有し、該ガイド部材は、内面426から実質的に垂直に延出するように構成される。ガイド部材436自体は、気体通路438の少なくとも一部を規定し、本体404とカバー402とが係合されている場合に本体とカバーとの間に気体通路438を形成するように構成される。当業者は、所望の設計および騒音低減要求に応じて、コーツ螺旋(Cotes’s spiral)、アルキメデス螺旋および黄金螺旋を含む螺旋のようなガイド部材の可能な構造を使用してもよいことを理解できる。好ましくは、ガイド部材436により囲まれた面積は、フィルタ415の有効濾過面積を増加させて気体抵抗を低減し、騒音の発生を更に低減するように、騒音低減装置の気体出口406の面積の少なくとも2倍である。
【0041】
該実施例において、ガイド部材436は実質的にC字状となる。ガイド部材436は、開口444を規定する第4端部440および第5端部442を有し、該開口は開放部分434に合致し、且つ、本体404とカバー402とが係合されている場合、該開口は本体404の側壁410により閉鎖される。第4端部440は、本体404とカバー402とが係合されている場合、本体404の第1端部411との追加係合および位置固定のための突起446を備える。
【0042】
第4端部440および第2端部430は共に気体通路438の一部である流れ偏向部分448を規定し、気体の進入レベルを増加するための拡大部分を提供し、気体が螺旋状に気体通路に流れ込むことに寄与する。流れ偏向部分448は、騒音の呼吸デバイス内部のブロワーから外部環境への伝達を回避することもできる。
【0043】
該実施例において、カバー402は本体404と着脱可能に係合され、且つ、係合されてから本体404を閉鎖することが好ましい。本体404に類似し、2つのタブ450は、側壁424の実質的に直径方向に反対側にそれぞれ配置され、本体404における対応するスロット422と相補的にスライドロックしてバヨネットマウントを形成するために用いられることができる。
【0044】
図7は、本体404とカバー402とがスライド可能に互いにロックされている場合の騒音低減装置400を示す。該実施例において、本体404は、配向されてカバー402のキャビティ(
図6の428を参照)内に挿入され、これにより、タブ(
図6の450を参照)はスロット(
図5の422を参照)内に受け入れられる。本体404またはカバー402の僅かな回動は、ロック機構452であるバヨネットロックによりこれらの2つの部材をロックし、それらを適当な位置に保持する。本発明において、ロック機構452は、本体404に配置された少なくとも1つのスロット422と、カバー402に配置された少なくとも1つの対応するタブ(
図6の450を参照)とを備える。別の実施例において、ロック機構452は、カバー402および本体404に配置された、ロック装置としての一対の磁性部材を備えてもよい。当業者は、本明細書では、プッシュロック、スライドロック、ねじ、プラグおよび/またはそれらの組み合わせのような他のロック装置を使用してもよいことを理解できる。
【0045】
該図において、本体404の外面454に騒音低減装置の気体出口406が示され、該騒音低減装置の気体出口は、呼吸デバイス100に取り付けられ、呼吸デバイス100内
部のブロワー205と流体連通するために用いられる。本体404によりカバーされていない流れ偏向部分448は、側壁424の第2端部430に近接するように示されている。流れ偏向部分448に近接するのは、側壁(
図5の410を参照)と側壁424との間に配置された騒音低減装置の気体入口456である。側壁410の第1端部411は騒音低減装置の気体入口456に近接して配置されている。2つのタブ460(1つのみを示す)は、スライドにより呼吸デバイス100に着脱可能に取り付けられるために、外面454の実質的に直径方向に反対の端部に設けられている。当業者は、呼吸デバイスの構造に応じて、螺合のような他のロック手段を使用してもよいことを理解できる。
【0046】
図8を参照し、本体404とカバー402とが係合されている場合、本体404の側壁410は気体通路438内に受け入れられ、且つ、本体404はカバー402により閉鎖される。第1端部411の位置は破線として示され、突起446とシールを形成し、且つ、側壁410とガイド部材436との間に平面螺旋状の気体通路438を規定するために、ガイド部材436の第4端部440に隣接し、ここで、第5端部442と側壁410との間に間隔があけられて隙間443を形成し、且つ、該実施例において、騒音低減装置の気体入口456は、騒音低減装置の気体出口406に垂直になるように構成される。フィルタ(
図5の415を参照)が本体404に配置されている実施例において、本体404とカバー402とが係合されている場合、ガイド部材436は、フィルタ415をガイド部材436と本体404との間に挟み込むことでフィルタ415を適当な位置に保持するように、フィルタ415に接触する。これは、気体がフィルタ415を通過する際、本体404とカバー402との間のフィルタ415の振動の回避にも寄与する。
【0047】
動作中に、大気は、呼吸デバイス100のブロワー205を介して騒音低減装置の気体入口456に吸い込まれることが好ましく、ここで、気体は、気体抵抗を維持するまたは低減することでより平滑な気体の流れを実現するために、広い断面の流れ偏向部分448から狭い断面の気体通路438へ移動する。続いて、気体は、気体通路438、隙間443を通過し、開口444に流れる。その後、気体はフィルタ415を通過し、本体404とカバー402とが係合されている場合、該フィルタがガイド部材436に接触し、且つ、最終的に騒音低減装置の気体出口406(矢印に示されるように)に到達する。当業者は、このような構造を利用することにより、入った気体が強制的に騒音低減装置の気体入口456から騒音低減装置の気体出口406の中心458回りに少なくとも330度の角回転βを移動して騒音低減装置の気体出口406に到達することを理解できる。代替例において、形成された気体通路438は、騒音低減装置の気体出口406で排出する前に、騒音低減装置の気体入口456に対して騒音低減装置の気体出口406の中心458回りに少なくとも180度、少なくとも270度または少なくとも300度の角回転βを移動するように気流を導くことができる。
【0048】
図9を参照し、騒音低減装置400は呼吸デバイス100に取り付けられている。本体404はタブ460により呼吸デバイス100の一側に取り付けられる。カバー402におけるタブ450は、対応するスロット422とスライド可能にロックするように配向される。気体通路438を規定するためのシールは、第1端部411とガイド部材136の突起446とで形成される。
【0049】
本発明における騒音低減装置400は、気流の乱流および抵抗をより大きな程度で低減し、変動する気流と騒音低減装置の気体入口との間の摩擦による騒音(特に、大気と加圧気体とを混合する前)を低減することにより、第1気体入口での顕著な騒音低減効果を提供することができる。また、カバー402に位置するガイド部材436の構造は、気体通路438を洗浄するより容易かつ便利な方式を提供する。カバー402は本体404から離脱でき、且つ、医療機器の常用の消毒方法に対応する。このような配置は、ガイド部材436で摩耗または損傷が発見された場合にカバー402の交換をするのに役立ち、摩耗
または損傷は、入った気体の乱流の流れを増加させて騒音を引き起こす可能性がある。
【0050】
以上の内容により、本発明の呼吸デバイスおよび前述した騒音低減装置に連結された呼吸デバイスは、動作中の騒音の発生が少なく、気体含有量をより良好に測定できるようにすると考えられる。本明細書の呼吸デバイスは、従来のデバイスに対して実質的な改良を打ち出した。
【0051】
以上は、本発明の実施可能な例のみを示して記述しており、本発明の精神から逸脱しない場合、修正および/または変更を行ってもよいことが理解されるべきである。
【0052】
更に、明確にするために、個別の実施例の文脈で記述された本発明のいくつかの特徴は、組み合わせて単一の実施例に提供されてもよいことが更に理解されるべきである。逆に、簡潔にするために、単一の実施例の文脈で記述された本発明の様々な特徴も別々に提供されてもよいし、任意の適当なサブコンビネーションで提供されてもよい。
【国際調査報告】