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特表2022-534658導電性セキュリティ特徴を検証するための装置および方法ならびに導電性セキュリティ特徴のための検証装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-08-03
(54)【発明の名称】導電性セキュリティ特徴を検証するための装置および方法ならびに導電性セキュリティ特徴のための検証装置
(51)【国際特許分類】
   G07D 7/026 20160101AFI20220727BHJP
   B42D 25/29 20140101ALI20220727BHJP
   G07D 7/02 20160101ALI20220727BHJP
   G07D 7/162 20160101ALI20220727BHJP
   G07D 7/00 20160101ALI20220727BHJP
【FI】
G07D7/026
B42D25/29
G07D7/02
G07D7/162
G07D7/00 D
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2021564154
(86)(22)【出願日】2020-05-13
(85)【翻訳文提出日】2021-12-20
(86)【国際出願番号】 EP2020063288
(87)【国際公開番号】W WO2020229517
(87)【国際公開日】2020-11-19
(31)【優先権主張番号】102019112388.7
(32)【優先日】2019-05-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(31)【優先権主張番号】102020108309.2
(32)【優先日】2020-03-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.ANDROID
2.JAVA
3.VISUALBASIC
(71)【出願人】
【識別番号】519275364
【氏名又は名称】プリスマーデ ラボ ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】特許業務法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ベイゲルト、カリン
(72)【発明者】
【氏名】シール、ヤン
【テーマコード(参考)】
2C005
3E041
【Fターム(参考)】
2C005HA02
2C005HA04
2C005HB09
2C005HB10
2C005JB40
2C005LB60
3E041AA01
3E041AA02
3E041AA10
3E041BA01
3E041BA02
3E041BA03
3E041BA07
3E041BB08
3E041BC04
3E041CA05
(57)【要約】
本発明は、オブジェクト、好ましくは文書、(銀行)カード、および/または容量性表面センサを備えたデバイス上の導電性セキュリティ特徴を有する製品パッケージを検証するための方法に関する。セキュリティ特徴を有するオブジェクトを表面センサ上に配置した後、特に、表面センサ上に特徴的な時間依存信号を生成するための入力手段を使用して、オブジェクトおよび導電性セキュリティ特徴に対して動的入力が実行される。検出された時間依存信号は、続いて評価される。さらに、本発明は、セキュリティ特徴を有するオブジェクトまたはその製造のための方法、その方法を実行し、容量性表面センサ上の導電性セキュリティ特徴を有する文書を検証するためのシステムまたはキットに関する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
容量性表面センサ(20)を有するデバイス(22)上の導電性セキュリティ特徴(14)を有するオブジェクト(10)を検証する方法であって、
a.容量性表面センサ(20)を備えるデバイス(22)を提供するステップと、
b.導電性セキュリティ特徴(14)を有するオブジェクト(10)を提供するステップと、
c.前記容量性表面センサ(20)上に前記オブジェクト(10)を配置するステップと、
d.前記表面センサ(20)上に特徴的な時間依存信号を生成するために入力手段(30)を使用して前記オブジェクト(20)上および前記導電性セキュリティ特徴(14)上で動的入力(32)を実行するステップと、
e.前記表面センサ(20)上での入力中に検出された前記時間依存信号を評価するステップであって、前記評価するステップは、前記導電性セキュリティ特徴(14)内のエッジを検出するステップを含む、ステップと
を含む、方法。
【請求項2】
前記特性信号が速度プロファイル(52)に関して評価され、前記エッジの検出が前記速度プロファイル(52)に基づいて実行される
ことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記特性信号が、時間依存かつ経路依存の信号である
ことを特徴とする、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
速度プロファイル(52)に基づいて前記エッジを検出するときに、前記エッジにおける前記速度プロファイル(52)の時間的に非対称な曲線が考慮される
ことを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
好ましくは導電性領域の始まりにあるリーディングエッジ、または好ましくは導電性領域の終わりにあるトレーリングエッジが前記入力手段(52)によってスワイプされたかどうかが、前記エッジの前記領域における前記速度プロファイル(52)の時間的に非対称な曲線に基づいて判定される
ことを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記オブジェクト(10)が、文書、好ましくは銀行券、カード状オブジェクト、好ましくは銀行もしくはクレジットカード、および/または製品パッケージである
ことを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記表面センサ(20)を備える前記デバイス(22)が、前記生成された信号をタッチイベントのセットとして処理し、前記タッチイベントのセットに基づいて前記時間依存信号の評価を実行する
ことを特徴とする、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記導電性セキュリティ特徴(14)の前記幾何学的形状、好ましくはその形状、輪郭、外形、ならびに特に前記エッジの存在に関する内部構造化が、前記容量性表面センサ(22)における前記時間依存信号の前記曲線を決定する
ことを特徴とする、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記導電性セキュリティ特徴(14)が、非導電性基板材料(12)に適用される
ことを特徴とする、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記導電性セキュリティ特徴(14)が、互いにガルバニック分離された少なくとも2つの個々の要素(16)を含み、好ましくは、前記導電性セキュリティ特徴(14)に対して動的入力(32)が実行されると、前記個々の要素(16)の初期領域および/または端部領域、または前記導電性セキュリティ特徴(14)の遮断部をエッジとして検出することができる
ことを特徴とする、請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記動的入力(32)が、前記セキュリティ特徴(14)全体にわたる前記入力手段(30)の略直線的なスワイプ動作を含み、前記スワイプ動作は、前記セキュリティ特徴(14)の前記最大寸法に平行であるまたは直交する
ことを特徴とする、請求項1から10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記動的入力(32)が、複数回の反復的な方法で、一方のスワイプ方向に沿っておよび/または反対に交互のスワイプ方向に沿ってスワイプ運動として実行され得る
ことを特徴とする、請求項1から11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記セキュリティ特徴(14)の少なくとも1つの好ましい方向に沿って、動的入力(32)が前記好ましい方向に沿って行われるときに導電性領域と非導電性領域との間の前記移行部がエッジとして検出され得るように、複数の導電性領域と非導電性領域とが交互に配置される
ことを特徴とする、請求項1から12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記導電性セキュリティ特徴(14)が、間隔が少なくとも10μmである少なくとも2つの個々の要素(16)またはアクティブ領域を含む
ことを特徴とする、請求項1から13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記導電性セキュリティ特徴(14)が、幅が1mm~15mmであり、および/または長さが6mm~30mmである少なくとも2つの個々の要素(16)またはアクティブ領域を含む
ことを特徴とする、請求項1から14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記導電性セキュリティ特徴(14)が、少なくとも2つの個々の要素(16)またはアクティブ領域を含み、前記個々の要素(16)の面積がそれぞれ10mm~450mmである
ことを特徴とする、請求項1から15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記導電性セキュリティ特徴(14)が、さらなる印刷された導電性要素(17)によって補完される
ことを特徴とする、請求項1から16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記導電性セキュリティ特徴(14)が、非導電性要素(19)と共存し、前記非導電性要素(19)は、好ましくは前記導電性セキュリティ特徴と視覚的に類似している
ことを特徴とする、請求項1から17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記オブジェクト(10)を前記表面センサ(20)上に配置した後に、前記入力手段(30)を前記導電性セキュリティ特徴(14)上に配置し、好ましくは、前記オブジェクト(10)を前記表面センサ(20)上で共に押圧して保持し、前記入力手段(30)と前記容量性表面センサ(20)との間で前記オブジェクト(10)を引っ張ることによって動的入力(32)がもたらされる
ことを特徴とする、請求項1から18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記オブジェクト(10)の前記検証が、区別、検証、容量認識および/または認証を含む
ことを特徴とする、請求項1から19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
容量性表面センサ(20)を有するデバイス(22)上で請求項1から20のいずれか一項に記載の方法を実行するためのオブジェクト(10)において、前記オブジェクト(10)は導電性セキュリティ特徴(14)を備え、
前記導電性セキュリティ特徴(14)は、少なくとも1つの好ましい方向に沿って導電性領域および非導電性領域を有する構造を有し、その結果、前記オブジェクト(10)が前記容量性表面センサ(20)上に配置され、前記好ましい方向に沿って特徴的な時間依存信号を生成するための入力手段(30)を使用して前記オブジェクト(10)に対して動的入力(32)が実行された後、導電性領域および非導電性領域からの1つまたは複数の移行部をエッジとして検出することができる
ことを特徴とする、オブジェクト(10)。
【請求項22】
前記導電性セキュリティ特徴(14)の前記幾何学的形状、好ましくはその形状、輪郭、外形および内部構造化が、特に前記エッジの存在に関して、前記容量性表面センサ(20)における前記時間依存信号の前記曲線を決定する
ことを特徴とする、請求項21に記載のオブジェクト(10)。
【請求項23】
前記導電性セキュリティ特徴(14)が、非導電性基板材料(12)に適用される
ことを特徴とする、請求項21または22に記載のオブジェクト(10)。
【請求項24】
前記導電性セキュリティ特徴(14)が、互いにガルバニック分離された少なくとも2つの個々の要素(16)を含み、好ましくは、前記導電性セキュリティ特徴(14)に対して動的入力(32)が実行されると、前記個々の要素(16)の初期領域および/または端部領域をエッジとして検出することができる
ことを特徴とする、請求項21から23のいずれか一項に記載のオブジェクト(10)。
【請求項25】
前記セキュリティ特徴(14)の構造化が、脱金属部(18)によって実現される
ことを特徴とする、請求項21から24のいずれか一項に記載のオブジェクト(10)。
【請求項26】
前記脱金属部(18)が、化学エッチングプロセスまたはレーザによる導電性領域、好ましくはストリップ状領域の除去を含む
ことを特徴とする、請求項25に記載のオブジェクト(10)。
【請求項27】
好ましくは請求項18から26のいずれか一項に記載の、導電性セキュリティ特徴(14)を有するオブジェクト(10)を製造および/または修正する方法が、
a.好ましくは金属の導電性表面を備えるセキュリティ特徴(14)を提供するステップであって、前記セキュリティ特徴(14)は、非導電性基板(14)に任意選択的に適用される、ステップと、
b.導電性領域および非導電性領域を有する構造を形成するために、前記セキュリティ特徴(14)の前記表面を少なくとも部分的に脱金属する(18)ステップと、
c.前記導電性セキュリティ特徴(14)を非導電性基板(14)に任意選択的に適用するステップと、
を含み、
その結果、前記オブジェクト(10)を前記容量性表面センサ(20)上に配置し、好ましい方向に沿って特徴的な時間依存信号を生成するための入力手段(30)によって動的入力(32)が前記オブジェクト(10)に対して実行された後、導電性領域および非導電性領域からの移行部をエッジとして検出することができるように、少なくとも部分的な脱金属部によって修正されたセキュリティ特徴(12)を有するオブジェクト(10)が得られる、
方法。
【請求項28】
前記導電性セキュリティ特徴(14)の前記脱金属部(18)によって生成された前記導電性領域および非導電性領域が、サイズ、間隔、および形状に関して、入力手段(30)と前記オブジェクト(10)との間の相対移動から生じる前記容量性表面センサ(20)上の前記時間依存信号が、前記オブジェクト(10)を使用せずに入力手段(30)を用いて参照入力によって決定される基準信号に対して変更されるように設計される
ことを特徴とする、請求項21から26に記載の導電性セキュリティ特徴(14)を有するオブジェクト(10)を製造および/または修正する方法。
【請求項29】
a.請求項20から26のいずれか一項に記載のオブジェクト(10)と、
b.容量性表面センサ(20)を有するデバイス(22)と、
を備える、請求項1から20のいずれか一項に記載の方法を実行するためのシステムにおいて、
前記オブジェクト(10)は、前記オブジェクト(10)を前記容量性表面センサ(20)上に配置し、特徴的な時間依存信号を生成するための入力手段(30)によって前記オブジェクト(10)に対して動的入力(32)が実行された後、前記表面センサ(20)への入力中に検出された前記時間依存信号の評価を行うことができるように設計された導電性セキュリティ特徴(14)を含み、前記評価は、好ましくは前記導電性セキュリティ特徴(14)内のエッジの検出を含む
ことを特徴とする、システム。
【請求項30】
前記システムが、前記生成された信号を評価するように構成されたデータ処理ユニットを有し、前記データ処理ユニットには、好ましくは、検出された信号を処理および評価するための、特にエッジを検出するためのコマンドを含むソフトウェア(「アプリ」)がインストールされ、好ましくは、前記オブジェクト(10)の検証は、前記信号の前記評価に基づいて、および/または前記生成された信号に関する情報もしくは特性データを、前記デバイスとデータ接続しており、かつ前記コマンドによって処理および評価するように構成されたサーバデバイスに送信するために実行され、前記ソフトウェアは、好ましくは、安全なデータ接続を確立し、前記サーバデバイス上で実行された前記コマンドの結果としてのステートメントを受信して表示するように構成される
ことを特徴とする、請求項29に記載のシステム。
【請求項31】
前記表面センサ(20)を含む前記デバイス(22)が、前記生成された信号をタッチイベントのセットとして処理し、前記ソフトウェアは、前記タッチイベントのセットに基づいて評価を実行する
ことを特徴とする、請求項29または30のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項32】
請求項1から20のいずれか一項に記載の方法を実行するためのキットであって、
a.導電性セキュリティ特徴(14)を備える前記方法を実行するためのオブジェクト(10)であって、前記導電性セキュリティ特徴(14)は、少なくとも1つの好ましい方向に沿って導電性および非導電性領域を有する構造を有し、その結果、前記オブジェクト(10)を前記容量性表面センサ(20)上に配置し、動的入力(32)が、前記好ましい方向に沿って特徴的な時間依存信号を生成するための入力手段(30)を使用して前記オブジェクト(10)に対して実行された後、導電性領域および非導電性領域の少なくとも1つの移行部をエッジとして検出できる、オブジェクト(10)と、
b.表面センサ(20)を含むデバイス(22)にインストールするためのソフトウェア(「アプリ」)であって、前記ソフトウェアは、前記検出された信号を処理および評価するための、特にエッジを検出するためのコマンドを含み、好ましくは前記オブジェクト(10)の検証は、前記信号の評価に基づいて、および/または前記生成された信号に関する情報または特性データを、前記コマンドによって処理および評価するように構成されたデバイスとデータ接続されているサーバデバイスに送信するために実行され、前記ソフトウェアは、好ましくは、安全なデータ接続を確立し、前記サーバデバイスで実行された前記コマンドの結果のステートメントを受信して表示するように構成されている、ソフトウェアと
を備える、キット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、好ましくは、表面センサを備えるデバイス上の、導電性セキュリティ特徴を備える、オブジェクト、好ましくは文書、(銀行)カードおよび/または製品パッケージを検証するための方法、ならびにその製造のためのセキュリティ特徴備えたオブジェクトまたは方法、その方法を実装し、容量性表面センサ上の導電性セキュリティ特徴を備えた文書を検証するためのシステムまたはキットに関する。
【背景技術】
【0002】
本発明は、限定されないが、導電性セキュリティ特徴、例えばホログラム、セキュリティストリップ、セキュリティスレッドおよびパッチを検証または認証するための安全で簡単な方法に関する。
【0003】
上述のセキュリティ特徴は、とりわけ、文書、銀行券、証券、身分証明カードおよび文書、ならびに高価値の製品およびパッケージに真正性特徴として適用され、偽造から文書を保護するのに役立つ。一般的な導電性セキュリティ特徴および特にホログラムは、他の印刷パターンまたは印刷構造と比較して偽造または模倣することが困難であり、したがって貴重な文書を保護するために使用される。しかしながら、消費者およびエンドユーザにとって、ホログラムなどの導電性セキュリティ特徴は、真正性および/またはオリジナリティについて検証することが困難である。セキュリティ特徴は、通常、エンドユーザによって視覚的に検査される。特に、色変化効果、動き効果、3D効果、および特定の条件下で見えるようになる他の効果が検査される。そのような効果の検出可能性は、例えば、照明、視野角、文書の動きなどによって影響を受ける。要約すると、真正性に関するステートメントを作成するためには、それぞれのセキュリティ特徴に関する多くの知識が必要である。この知識は通常、エンドユーザには利用できず、それぞれの文書のパブリッシャが通信することも困難である。
【0004】
したがって、エンドユーザにとって容易にアクセス可能であり、観察者による主観的な判断を必要としない導電性セキュリティ要素を認証するための方法を提供する必要がある。
【0005】
従来技術では、導電性セキュリティ特徴を試験するための様々な方法が存在する。
【0006】
欧州特許第1760670号明細書は、光学的方法によるホログラムの検証のためのデバイスを記載している。
【0007】
従来技術から知られている方法のほとんどは光学的方法に基づいており、いずれの場合もセキュリティ特徴を評価または検証するために特別なデバイスを必要とする。したがって、これらの方法は、最終消費者による使用には適していないが、バリューチェーンに沿った利害関係者、例えば卸売業者、仲介業者、銀行、当局などに主に対処する。
【0008】
電子相互作用に基づくいくつかの方法もまた、先行技術から知られている。
【0009】
米国特許第2001054901号明細書は、光学的に回折する特徴の真正性を検査するための方法を記載しており、電圧が特徴に印加され、信号が検出され、記憶された信号と比較される。
【0010】
国際公開第2012038434号パンフレットは、少なくとも1つの導電性タッチ構造が非導電性基板上に配置されている容量性情報キャリアと、容量性情報キャリア、容量性表面センサ、2つの要素間の接触、および情報キャリアのタッチ構造を表面センサに接続されたデータ処理システムによって評価可能にし、情報キャリアに関連するイベントをトリガすることができる相互作用を含む情報を記録するためのシステムおよび方法を記載している。特許請求されるタッチ構造は、指先の特性を再現することを特徴とする。情報は、位置データを評価する容量性表面センサによって情報キャリアから収集される。この方法にはいくつかの欠点があり、これについては以下でより詳細に説明する。
【0011】
独国特許出願公開第102012023082号明細書は、フラットで携帯可能なデータキャリア、特に有価文書と端末デバイスとの相互作用のための方法を記載している。評価は、「容量性ディスプレイ」を有する端末デバイスによって評価される位置データに基づく。評価は、タッチ感知容量性表面が導電性構造によって影響を受ける位置を決定することに基づいており、すなわち、評価は静的信号に基づいている。この評価方法にはいくつかの欠点があり、以下に説明する。
【0012】
国際公開第2018/119525号パンフレットは、容量性タッチスクリーンによるセキュリティ文書からの情報の検索について記載している。容量信号は、位置データに基づいて評価される。
【0013】
言及された3つすべての文献において、識別された信号は、位置に基づいて評価される。位置データの評価にはいくつかの欠点がある。特に、国際公開第2012038434号パンフレットおよび独国特許出願公開第102012023082号明細書では、検出される導電性構造が特定の構造的特徴を有することが必要である。これは、円または楕円の形で実現されることが多い。これらの要素は、容量性表面センサと効果的に接触しているときに指先の特性をシミュレートするように設計されている。
【0014】
例えば、円は、導電性ライン構造によって相互接続されることが多く、8mm+/-3mmの範囲の直径を有する。
【0015】
現在使用されている容量性タッチスクリーンは、人間の指からの入力を可能な限り確実に認識するように設計されている。導電性構造のための入力デバイスとしてのスクリーンなどを「使用する」ために、導電性構造の設計は、指またはスタイラスからの入力に可能な限り適合されている。導電性構造が著しく小さい場合、それらは一般に、容量性タッチスクリーンのタッチコントローラによって認識されないか、または無視される。導電性構造が著しく大きい場合、検出された位置は再現可能または区別可能ではない。さらに、大きすぎる導電性要素が容量性タッチスクリーンと接触すると、いわゆる「キャンセルイベント」が一般に発生し、すなわち、対応する情報はタッチコントローラによって評価されないか、または無視/フィルタリングされる。
【0016】
これは、容量性タッチスクリーンによって確実かつ再現可能に検出される場合、導電性構造の狭い制限または厳密な設計規則をもたらす。言い換えれば、そのような構造の設計自由度は厳しく制限され、読み出し技術によって大きく決定される。これは、可能な限り改ざん防止であるセキュリティ特徴の提供に悪影響を及ぼす。
【0017】
国際公開第2018/119525号パンフレットでは、セキュリティ文書が容量性タッチスクリーンとアクティブに接触している間に、指またはスタイラスが不均質な表面に沿ってスワイプされる。「位置関数としての容量信号」とあり、生データへのアクセスが必要と思われる。
【0018】
国際公開第2018/119525号パンフレットは、不均質構造の材料関連の変形を記載しているにすぎず、不均質構造の設計または形態に対処していない。グラフィックには、異なる幅のストリップなどの不均質領域の一般的なパターンが示されている。不均質領域は、銀行券またはセキュリティ文書の大部分をカバーする。
【0019】
要約すると、セキュリティ特徴の容量性検出のための従来技術に記載された方法は、一方では、セキュリティ要素の設計に関して非常に限定されており、他方では、アクセスが一般に静電容量値の生データに許可されないため、スマートフォンまたはタブレットなどの市場で広く使用されている端末デバイスによって読み出されるのを助長しない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0020】
【特許文献1】欧州特許第1760670号明細書
【特許文献2】米国特許第2001054901号明細書
【特許文献3】国際公開第2012038434号パンフレット
【特許文献4】独国特許出願公開第102012023082号明細書
【特許文献5】国際公開第2018/119525号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0021】
本発明の目的は、従来技術と比較してセキュリティ特徴の設計および構成の自由度が大幅に向上した導電性セキュリティ特徴を検証するための方法を提供することである。特に、本発明の目的は、市場で広く使用されており、デバイスをさらに変更することなく導電性セキュリティ特徴を再現可能に検出することができる端末デバイス(スマートフォン、タブレット)によって、文書などのオブジェクトの実際的な検出可能性または検証を可能にすることである。
【課題を解決するための手段】
【0022】
目的は、独立請求項の特徴によって解決される。本発明の好ましい実施形態は、従属請求項に記載されている。
【0023】
一態様において、本発明は、好ましくは、容量性表面センサを有するデバイス上の導電性セキュリティ特徴を有するオブジェクトを検証する方法に関し、本方法は、
a.容量性表面センサを備えるデバイスを提供するステップと、
b.導電性セキュリティ特徴を有するオブジェクトを提供するステップと、
c.容量性表面センサ上にオブジェクトを配置するステップと、
d.表面センサ上に特徴的な時間依存信号を生成するための入力手段を使用してオブジェクト上に動的入力を行うステップと、
e.入力中に表面センサ上で検出された時間依存信号を評価するステップであって、評価は、導電性セキュリティ特徴内のエッジの検出を含む、ステップと、
を含む。
【0024】
本発明は、容量性表面センサによる導電性セキュリティ特徴、例えばホログラムの認証または検証のための方法を説明する。容量性表面センサの特別な形態は容量性タッチスクリーンであり、これは今日では、すべての一般的なスマートフォンに複合入出力インターフェースとして含まれている。容量性表面センサはまた、特定のアプリケーションのために特別に設計および構成され得る。
【0025】
導電性セキュリティ特徴、特にホログラムは、通常、金属化層を含む、すなわち通常は導電性である。導電性構造または要素が容量性表面センサと効果的に接触すると、導電性要素と表面センサとの間で局所的な容量性相互作用が起こり、すなわちセキュリティ特徴またはホログラムは表面センサの静電容量を局所的に変化させる。この局所的な静電容量変化は、表面センサの電子評価システムによって検出され、ハードウェアおよびソフトウェアによってさらに処理され得る。
【0026】
本発明は、事実上すべての市民が利用可能なデバイスの助けを借りて、これまで光学的にのみ評価することができたセキュリティ特徴の電子的で著しくより安全な検査を可能にする。言い換えれば、セキュリティ特徴の真正性を検証するための方法は排他的ではなく、非常に広い対象グループに利用可能である。
【0027】
銀行券などの有価文書、およびIDカード、パスポート、身分証明手段、ビザステッカー、出生証明書などの身分証明目的に使用される貴重な文書、ならびに保証書、公正証書などの領域では、偽造がますます一般的になってきている。ブランド製品、医薬品、または他の高価値商品も偽造されており、最終消費者またはバリューチェーンの他の参加者に潜在的な脅威をもたらす。
【0028】
本発明による認証方法は、好ましくは、ユーザ、セキュリティ特徴、およびスマートフォンまたは検査デバイスの間のインタラクティブな相互作用によって特徴付けられる。本明細書で説明されるセキュリティ特徴の改善された検査は、アプリケーション側でこれらのセキュリティ特徴、またはそれらを使用する文書をデジタルアプリケーションへのアクセスキーとして使用する可能性をもたらす。
【0029】
例えば、ユーザは、自分のスマートフォン上で電子的に銀行券の真正性を独立して確認することができる。検証後、銀行券は、スマートフォン上で、例えば、銀行券上のさらなるセキュリティ特徴または交換レートに関するノートなどの追加情報をアクティブ化する。この認識機能はまた、音響的に、視覚的に、または他の方法を介して、銀行券の種類、額面または他の情報をバリアフリーで通信するために使用され得る。
【0030】
同様に、身分証明手段またはペイメントカードは、本発明に従って電子的に読み取ることができる個々のセキュリティ特徴を備えることができる。これにより、真正性の電子的検証に加えて、ユーザの同時認識が可能になり、したがって、例えば銀行の支店内のリーダを介して、またはユーザのスマートフォン上で直接、デジタルユーザアカウントにアクセスすることが可能になる。したがって、特に電子政府および電子バンキングの分野において、本発明は、デジタルサービスへの新規かつ安全なアクセスキーの提供を可能にする。
【0031】
本発明者らは、導電性セキュリティ特徴の光学設計に対する制限効果が可能な限り少なく、さらには光学設計に統合され、同時に容量性表面センサによる再現可能な評価を可能にする構造設計のためのルールを開発することに成功した。驚くべきことに、そのような構造設計は、特にセキュリティ特徴の構造内にエッジを設けることによって達成され得る。
【0032】
エッジという用語は、好ましくは、セキュリティ特徴内の導電性領域と非導電性領域との間の移行部を意味すると理解される。ここで、例えば、導電性および非導電性領域は、ストリップの形態で交互になり得る。同様に、例えば直線状、円形、楕円形、長方形、三角形、星形などの任意のライン形状の非導電性遮断部が、平面のほぼ均質な導電性領域に存在してもよい(図3図6を参照)。平面導電性領域と非導電性遮断部との間の移行部は、本発明の意味の範囲内のエッジを表す。したがって、好ましい方向に沿った横方向プロファイルにおいて、本発明の意味の範囲内のエッジは、好ましくは、非導電性領域から導電性領域への(またはその逆の)移行部における導電性材料の急激な立ち上がり(または立ち下がり)を特徴とする。明らかに好ましくは、導電性領域および非導電性領域の寸法と比較して極めて小さい距離にわたる増加または減少を意味する。横方向プロファイルにおいて、エッジは、好ましくは、導電性材料の実質的に垂直な立ち上がりまたは立ち下がりを特徴とする。本発明によれば、エッジとして生じる不均一性は、好ましくは直線的なスワイプ動作によって特に確実に検出され得ることが認識された。
【0033】
さらに、構造化のための任意の設計は、特に安全な符号化を行うことができるように、遡及的にも脱金属によって非常に自由に提供され得る。脱金属は、好ましくは、例えば、金属製のセキュリティ特徴からのストリップ状領域の除去を含むことができる。好適には、任意の他の設計(円形、楕円形、長方形、三角形、星形など)のライン状の遮断部を平面の、好ましくは均質な導電性領域に導入するために、脱金属部を使用することもできる。様々な設計オプションを提供することにより、最高のセキュリティ要件を満たすために、セキュリティ特徴を特に高度に個別に符号化することができる。
【0034】
導電性セキュリティ特徴を評価または検査するこの方法は、いわゆる「容量フットプリント」を決定するとして見なされ得る。従来技術から、導電性構造のエッジを具体的に検出し、したがって容量性タッチスクリーンを用いて生データにアクセスすることなくほぼすべての設計要素の形状を決定する方法はこれまで知られていない。この方法は、導電性セキュリティ要素の設計において大きな設計自由度を可能にする。
【0035】
現在一般的な容量性タッチスクリーンは静電容量値を出力しないことに留意されたい。アプリケーション(アプリまたはウェブサイト)の開発者として、通常、いわゆる生データまたは静電容量値にアクセスすることはできない。これらのデータは、表面センサの電極グリッドから集積回路であるタッチコントローラによって記録および前処理され、いわゆるタッチイベントの形態で出力される。アプリケーションの開発者が利用可能なタッチイベントに関するこの情報は、通常、情報ID(それぞれのタッチの番号)、タイプ(タッチ開始、タッチムーブ、タッチ終了、タッチキャンセル)、x座標、y座標およびタイムスタンプを含む。特定の条件下では、開発者は、タッチまたは入力の直径などの追加情報にアクセスすることができる。アプリケーションすなわちアプリの開発では、自身をこのデータに限定しなければならない。
【0036】
セキュリティ文書の厚さの10%の偏差が小さい不均質領域を検出するための国際公開第2018/119525号パンフレットに記載されている方法では、誘電率または導電率は、表面センサからの静電容量値または生データにアクセスしなければ実現可能ではなく、したがって、現在のスマートフォンまたは端末デバイスの助けを借りて適用できない。表面センサからの生データの非常に複雑な評価によってのみ、そのような評価は理論的に実現可能である。実際には、生データは、対応するソフトウェアプログラムまたはアプリケーションの開発者にはアクセスできない。一般的なタッチコントローラによって提供されるデータを使用した評価への単純な転送は不可能である。
【0037】
代わりに、本発明による方法は、著しく単純化された評価を可能にし、これは特に市販のスマートフォンによっても可能になる。
【0038】
好ましくは、本発明は、セキュリティ特徴またはそのようなセキュリティ特徴を備える文書の形態のデバイス、およびセキュリティ特徴を検査するための方法の両方に関する。
【0039】
セキュリティ特徴は、好ましくは、少なくとも1つの導電性構造を含む。導電性セキュリティ特徴は、特に導電性構造の構造化によって特徴付けられるため、導電性セキュリティ特徴および導電性構造という用語は、部分的に同義的に使用され得る。
【0040】
実際には、このセキュリティ特徴は、保護されるべきオブジェクトまたはアイテムに適用される。本発明の意味の範囲内で、保護されるべきアイテムまたは保護されるべきオブジェクトは、特に、保護されるべき文書またはカード状オブジェクトである。これらの用語は、好ましくは同義的に使用される。オブジェクトは、本発明の意味の範囲内で検証オブジェクトと呼ばれることもある。
【0041】
好ましい実施形態では、本方法は、オブジェクトが文書、好ましくは銀行券、カード状オブジェクト、好ましくは銀行カードもしくはクレジットカード、および/または製品パッケージであることを特徴とする。
【0042】
保護されるべきオブジェクトは、例えば、以下を含み得る:
-文書、例えば、証書、契約書、動産抵当証券、出生証明書
-公正証書
-証券、銀行券、小切手
-銀行カード、クレジットカード
-身分証明手段、IDカード、従業員識別手段、入退管理システムの識別手段
-保証証明書、医薬品パッケージ、製品パッケージ、品質表示タグ
-製品保護ラベル、ラベル、セキュリティステッカー、ステッカー
-上記に限定されない。
【0043】
さらに好ましい実施形態では、本発明によるセキュリティ特徴は、好ましくは、非導電性基板材料、例えば紙、厚紙、合成紙、銀行券紙、ラミネート、プラスチック、箔、木材もしくは他の非導電性基板またはキャリア材料に適用される。したがって、オブジェクトは、好ましくは、非導電性基板、例えば銀行券の紙、および基板に適用された導電性セキュリティ特徴を備える。非導電性領域は好ましくは基板によって構成され、導電性領域はセキュリティ特徴によって画定される。導電性領域と非導電性領域との間の移行部は、好ましくは、本発明に従って検出することができるエッジを特徴付ける。好ましい実施形態では、セキュリティ特徴の真正性を検証するための方法は以下のステップを含むことができる:
-導電性セキュリティ特徴(文書または製品に適用される)を提供するステップ
-容量性タッチスクリーンを備えた端末デバイス、例えばスマートフォンを提供するステップ
-端末デバイス上でソフトウェア(アプリ)を提供するまたはウェブサイトにアクセスするステップ
-端末デバイスの容量性タッチスクリーン上にセキュリティ特徴またはセキュリティ特徴を含む文書を配置するステップ
-入力手段を用いて、例えば指を用いて、例えば、セキュリティ特徴を含む文書が端末デバイスの容量性タッチスクリーン上に載置されている間に、セキュリティ特徴を横切るスワイプジェスチャを指で実行することによって、入力を実行するステップ
-端末デバイスがソフトウェア内でさらなる処理を提供する、いわゆるタッチデータを記録および処理するステップ
-タッチデータを評価、検査、比較、または復号し、デバイス上でセキュリティ検査の結果を表示するか、またはデバイス上で特定のアクションを実行するステップ。
【0044】
好ましい実施形態では、導電性セキュリティ特徴は、以下の特徴を含むことができる。
【0045】
好ましい実施形態では、導電性セキュリティ特徴は、好ましくは構造化された金属および/または他の導電性材料を含む。最小または最大構造変数は、(表面センサの)電極グリッドの幾何学的形状ならびに指/入力手段の幾何学的形状から生成されることが好ましい。
【0046】
本発明は、好ましくは、装置(好ましくは文書)を検査または検証するための目的および方法をさらに含む。オブジェクトの検査は、セキュリティ特徴の真正性またはオリジナリティを判定することを目的とし得る。装置の検査は、容量性表面センサによって、例えばスマートフォンまたは他の端末デバイスの容量性タッチスクリーンによって実行される。そのような端末デバイスを使用する利点は、主に、その広い分布および一定の可用性である。これにより、任意の場所でいつでも文書を検査することができる。容量性タッチスクリーンは、主に指のジェスチャによる操作用に設計されている。グラフィカルユーザインターフェースの汎用的な操作は、異なるジェスチャ、例えばタップ、1本または複数本の指でのスワイプ、ズーム、および他の変形によって可能である。技術的には、容量性タッチスクリーンは、通常、例えば互いに直交して配置された送信電極および受信電極のグリッドからなる。
【0047】
本発明の意味の範囲内で、「容量性表面センサ」という用語は、好ましくは、電子デバイスの入力インターフェースを指す。「容量性表面センサ」の特別な形態はタッチスクリーンであり、タッチスクリーンは入力インターフェースに加えて出力デバイスまたはディスプレイとしても機能する。容量性表面センサを有するデバイスは、外部の影響または相互作用、例えば表面上のタッチまたは接触を知覚し、関連するロジックによってそれらを評価することができる。そのような表面センサは、例えば、機械の操作を容易にするために使用される。典型的には、表面センサは、スマートフォン、携帯電話、ディスプレイ、タブレットPC、タブレットノートブック、タッチパッドデバイス、グラフィックタブレット、テレビ、PDA、MP3プレーヤ、トラックパッドおよび/または容量性入力デバイスであってもよいが、これらに限定されない電子デバイスに設けられる。
【0048】
好ましくは、これらはマルチタッチ容量性表面センサである。そのような表面センサは、好ましくは、複数のタッチを同時に検出するように構成され、例えばタッチスクリーン上に表示される要素を回転またはスケーリングすることを可能にする。
【0049】
「表面センサを含むデバイス」または「表面センサを備えるデバイス」という用語のシーケンスは、好ましくは、容量性表面センサによって提供される情報をさらに評価することができる上述のような電子デバイスを指す。好ましい実施形態では、デバイスはモバイル端末である。本明細書を通して、「端末」および「デバイス」という用語は、互いに同義語として使用され、それぞれ他の用語で置き換えることができる。
【0050】
タッチスクリーンは、好ましくは、触覚スクリーン、表面センサまたはセンサスクリーンとも呼ばれる。表面センサは、ディスプレイまたはタッチスクリーンと組み合わせて使用される必要は必ずしもなく、すなわち、ディスプレイを有する必要はない。本発明の意味の範囲内で、表面センサがデバイス、オブジェクト、および/または装置に視覚的または非視覚的に統合されていることが同様に好ましい場合がある。
【0051】
表面センサは、特に、電極の構造に接続され得る、好ましくはタッチコントローラと称される少なくとも1つのアクティブ回路を備える。表面センサは、従来技術において知られており、その電極は、例えばその機能が互いに異なる電極群を含む。電極のこの構造は、好ましくは、本発明の意味の範囲内で「電極グリッド」とも呼ばれる。本発明の意味の範囲内で、表面センサの電極グリッドは電極群を含み、電極群は互いに、例えばそれらの機能が異なることが好ましい。これらは、例えば、送信電極および受信電極であってもよく、特に好ましい配置では、列および行の形態で配置され、すなわち特に、少なくとも1つの送信電極および1つの受信電極が互いに交差するまたは重なり合うノードまたは交差部を構成することができる。好ましくは、交差する送信電極および受信電極は、それらが互いに実質的に90°の角度を形成するように、ノードの領域において互いに対して整列される。
【0052】
実質的に、ほぼ、約などの用語は、好ましくは±20%未満、好ましくは±10%未満、さらにより好ましくは±5%未満、特に±1%未満の許容範囲を記載する。実質的に、ほぼ、約などの仕様は、記載された正確な値も常に開示し、それを含む。
【0053】
静電場は、好ましくは、表面センサの送信電極と受信電極との間に構成され、変化または容量性相互作用に敏感に反応する。これらの変化は、例えば、表面センサの表面を指、導電性オブジェクトおよび/または導電性構造体で触れることによって引き起こされ得る。容量性相互作用、例えば指または導電性オブジェクトへの電荷の流出は、特に静電場内の電位の局所的な変化をもたらし、これは、好ましくは、例えば、送信電極と受信電極との間の電界が、導電性構造の接触面によってタッチされる結果として局所的に低減されるという事実によって引き起こされる。このような潜在的状態の変化は、タッチコントローラの電子機器によって検出され、さらに処理されることが好ましい。
【0054】
この目的のために、タッチコントローラは、各場合に1つまたは複数の送信電極と1つまたは複数の受信電極との間で信号が送信されるように電極を制御することが好ましく、この信号は、好ましくは電気信号、例えば電圧、電流または電位(差)であり得る。容量性表面センサ内のこれらの電気信号は、タッチコントローラによって評価され、デバイスのオペレーティングシステムのために処理されることが好ましい。
【0055】
タッチコントローラからオペレーティングシステムに送信される情報は、いわゆる個々の「タッチ」または「タッチイベント」を記述し、これらはそれぞれ、個々の検出されたタッチと考えることができ、または個々の入力として記述することができる。これらのタッチは、好ましくは、パラメータ「タッチのx座標」、「タッチのy座標」、「タッチのタイムスタンプ」および「タッチの種類」によって特徴付けられる。パラメータ「x座標」および「y座標」は、タッチスクリーン上の入力の位置を記述する。各座標対は、好ましくは、入力が対応する位置でいつ発生したかを記述するタイムスタンプに関連付けられる。パラメータ「タッチイベントの種類」は、タッチスクリーン上の入力の検出された状態を記述する。とりわけ、タイプTouch Start、Touch Move、Touch EndおよびTouch Cancelは当業者に知られている。容量性表面センサ上のタッチ入力は、パラメータTouch Start、少なくとも1つのTouch MoveおよびTouch End、ならびに関連する座標およびタイムスタンプを用いて説明され得る。
【0056】
複数のタッチ入力を同時に評価できることが好ましく、従来技術ではマルチタッチ技術として知られている。投影型静電容量タッチ技術(PCT)は、マルチタッチ操作を可能にするそのような技術の一例である。
【0057】
携帯端末の標準的な使用では、電極間の電界は、指または導電性オブジェクトによってタッチされる結果として局所的に低減される、すなわち「電荷が引き出される」。同様に、導電性セキュリティ特徴を有するオブジェクトをタッチコントローラ上に配置し、入力手段を使用してその上に動的入力を行うこともまた、電界を変化させ、特性信号を生成するか、またはタッチコントローラによって検出される。
【0058】
本発明の意味の範囲内で、「動的入力中に表面センサ上で生成または検出された信号」は、好ましくは、入力シーケンス中に導電性構造と入力手段と表面センサとの間の容量性相互作用の結果として表面センサによって検出される信号を意味すると理解される。したがって、これは、例えば、表面センサによって処理されるタッチイベントの連続的な座標位置の形態の動的信号であることが好ましい。したがって、検出または生成された信号は、好ましくは時間依存信号とも呼ばれる。あるいは、検出または生成された信号は、好ましくは経路依存信号とも呼ばれる。「経路」は、好ましくは、入力シーケンス中に入力手段によってカバーされる入力ジェスチャまたは経路、およびタッチイベントの結果として生じる順次の座標位置を指す。
【0059】
本発明の意味の範囲内で、入力手段は、好ましくは指または特殊なスタイラス、例えばタッチペンである。好ましくは、入力手段は、表面センサ内の行電極と列電極との間の容量結合を変化させることができる。好ましくは、入力手段は、容量性タッチスクリーン上でタッチイベントをトリガするように構成される。特に、タッチスクリーンは人間の指入力に最適化されているため、指と表面センサとの間の形状、サイズ、および/または容量性相互作用を模倣する任意の入力手段が好ましい場合がある。
【0060】
容量性タッチスクリーン上の指の接触領域の直径は、約7~8mmである。ほとんどの市販のタッチスクリーンは、この範囲のタッチ入力の正確な位置検出のために最適化されている。タッチスクリーンがここで導電性構造を検出するために使用される場合、最小サイズおよび最大サイズに関する特定の境界条件は、導電性構造の設計(サイズ、形状、幾何学的形状、輪郭、内部構造化など)において観察されなければならない。上述したように、これは、容量性タッチスクリーンによって確実かつ再現可能に検出される場合、導電性構造の狭い制限または厳しい設計規則をもたらす。言い換えれば、そのような構造の設計自由度は厳しく制限され、読み出し技術によって大きく決定される。導電性構造の設計をわずかに調整することによって、導電性セキュリティ特徴のほぼすべての設計を容量的に読み取ることができることは全く驚くべきことであった。したがって、魅力的な外観の要件とエンドユーザが実行できる検査の容易さの要件の両方を満たす導電性セキュリティ特徴を提供することができる。
【0061】
従来技術で一般的であるように、導電性構造が位置データに基づいて読み出される場合、導電性構造は、個々の要素の最小および最大サイズ、導電性経路/接続の配置、および個々の要素間の距離に関して制限される。
【0062】
導電性構造がタッチスクリーン上の指の接触点の平均直径(7~8mm)よりも著しく小さい場合、そのような導電性の個々の要素は、通常、容量性タッチスクリーンのタッチコントローラによって検出されないか、または無視される。デバイスによっては、直径<3~5mmの要素がこれの影響を受ける。
【0063】
導電性構造がタッチスクリーン上の指の接触点の平均直径(7~8mm)よりも著しく大きい場合、検出された位置は再現可能または区別可能ではない。アプリケーションに応じて、そのような入力は、例えば、いわゆる「パームリジェクション」(手の母指球による不要な入力の認識)の範囲内でタッチコントローラによって無視されるか、または大きすぎる導電性要素が容量性タッチスクリーンと効果的に接触する場合、いわゆる「タッチキャンセルイベント」が発生し、すなわち、対応する情報はタッチコントローラによって評価されないか、または無視/フィルタリングで除外される。
【0064】
導電性構造がサイズに関する上述の制限に適合する場合、要素間の距離もまた、信頼性が高く再現可能な検出のために重要である。2つの個々の要素が近すぎる場合、タッチコントローラは、入力を2つの個々の要素ではなく、1つの大きな要素として解釈する。この効果は、タッチポイントのマージングとして説明することができ、端末またはタッチコントローラに応じて6~10mm未満の距離(中心間)で生じる。
【0065】
前述の制限のために、従来技術に記載された導電性特徴の設計自由度は厳しく制限される。本発明は、導電性構造の容量性読み取りのための新しい方法を説明し、その結果、導電性セキュリティ特徴の設計において大幅に大きな設計自由度を可能にする。タッチイベントの位置ベースの評価とは対照的に、本発明者らは、はるかに柔軟で改ざん防止性があり、同時により堅牢なタッチデータの時間ベースまたは時間依存の評価を開発した。
【0066】
好ましい実施形態では、導電性セキュリティ特徴は、互いにガルバニック分離された少なくとも2つの個々の要素を含み、好ましくは、導電性セキュリティ特徴に対して動的入力が実行されると、個々の要素の初期および/もしくは端部領域または個々の要素の前面もしくは後面をエッジとして検出することができる。動的入力は、例えば、セキュリティ特徴全体にわたる入力手段の実質的に直線的なスワイプ動作であってもよい。エッジを検出するために説明したように、速度プロファイルのジャンプを利用することが好ましい。
【0067】
さらに好ましい実施形態では、本方法は、導電性セキュリティ特徴の幾何学的形状、好ましくはその形状、輪郭、外形、および内部構造化が、特にエッジの存在に関して、容量性表面センサにおける時間依存信号の曲線を決定することを特徴とする。「内部構造化(internal structuring)」または「内部構造(internal structure)」という用語は、好ましくは、セキュリティ特徴の(全体的な)輪郭内の導電性および非導電性領域の分布を特徴付ける。
【0068】
セキュリティ特徴の内部構造化は、好ましくは、セキュリティ特徴内に配置された個々の要素によって画定され得る。個々の要素の配置、それらの幾何学的設計、およびそれらによって生成されたエッジは、セキュリティ特徴に個々の内部構造を与える。
【0069】
より少数のより広いストリップ状の個々の要素で設計されたセキュリティ特徴は、例えば、より多数のより薄いストリップ状の個々の要素で設計されたセキュリティ特徴とは異なる内部構造を有し、それによって2つのセキュリティ特徴の全体的な外部幾何学的形状は同一とすることができる。
【0070】
特に好ましくは、セキュリティ特徴の個々の内部構造化は、脱金属、すなわち好ましくはその後の平面層からの導電性領域の除去によって実行され得る。上記の例を参照すると、異なる内部構造を得るために、同じ外部形状を有するセキュリティ特徴から異なる数および寸法のストリップを除去することができる。
【0071】
好適には、ストリップ状の変更に加えて、任意の他の内部構造化を提供し、本方法によって確実に区別することができる。例えば、複数の異なるライン状の遮断部(円形、楕円形、長方形、三角形、星形などを含む)を均質な領域に導入することができる。高度に個別化された「内部構造」を有するセキュリティ特徴を、遮断部の配置、例えば星、円、螺旋などの配置、およびそれらの設計の両方によって得ることができる(図3図6を参照)。
【0072】
複雑なライン状の遮断部の挿入も、好ましくは、ガルバニック分離された個々の要素の形成をもたらす。例えば、連続的な円形遮断部(図7参照)の導入は、多数のガルバニック分離された個々の要素を作り出す。最も内側の個々の要素は、円形形状を有し、外側の個々の要素によって囲まれた増加する環状の個々の要素によって囲まれている。ライン状の遮断部は、例えば3mm未満、好ましくは2mm未満、特に好ましくは1mm未満の小さいライン幅を有することができ、ライン状の遮断部は、少なくとも10μm、好ましくは少なくとも50μm、特に好ましくは少なくとも100μmのライン幅を有することが好ましい。
【0073】
そのような修正されたセキュリティ特徴を表面センサ上に配置するときのタッチイベントの位置ベースの評価は、複雑な構造の解決に近づくことができない。対照的に、本発明によるエッジ検出は、そのような複雑な構造であっても、タッチイベントの速度プロファイルの評価に基づいて区別することを可能にする。好適には、検証目的のために内部構造の完全な特徴付けは必要ない。むしろ、検出可能なエッジが、他の修正を伴うセキュリティ特徴と十分に異なる好ましい方向の特性信号を生成することで十分である。
【0074】
さらに好ましい実施形態では、本方法は、導電性セキュリティ特徴が、互いにガルバニック分離された少なくとも2つの個々の要素を含み、好ましくは、導電性セキュリティ特徴に対して動的入力が実行されると、個々の要素の初期および/または端部領域、または導電性セキュリティ特徴の遮断部をエッジとして検出することができることを特徴とする。
【0075】
本発明の意味の範囲内で、個々の要素の初期および端部領域は、これらの個々の要素のエッジ領域であり、個々の要素の第1のエッジ領域は、第1の(開始)時間に好ましい方向または移動方向に沿った動的入力中に検出され、第2のエッジ領域は、第2の(終了)時間に検出される。
【0076】
別の好ましい実施形態では、本方法は、動的入力が、セキュリティ特徴全体にわたる入力手段の実質的に直線的なスワイプ運動を含み、スワイプ運動が、セキュリティ特徴の最大寸法に平行であるまたは直交することを特徴とする。
【0077】
好ましくは、スワイプ動作は、スワイプ方向に沿っておよび/または反対に交互のスワイプ方向に沿って数回繰り返されてもよい。
【0078】
セキュリティ特徴を横切る実質的に直線的なスワイプ運動は、好ましくは、方向またはピッチを変えることなく好ましい方向またはスワイプ方向に沿ってセキュリティ特徴と連続的に接触する運動である。
【0079】
この動作は繰り返し行うことができ、その結果、動作の完了後、入力手段とセキュリティ特徴との接触は、例えば入力手段を取り外すことによって終了する。その後、同じスワイプ方向に沿って以前に実行されたスワイプ動作の開始点から開始して、スワイプ動作を繰り返すことができる。開始点または終了点は、正確に決定される必要はない。むしろ、セキュリティ特徴が完全にスワイプされるように、好ましくはセキュリティ特徴の外形の外側で選択することで十分である。
【0080】
さらなる実施形態では、直線的なスワイプ運動を逆に繰り返すことができる。この点において、先行するスワイプ動作の終点からの後続のスワイプ動作は、先行する動作と比較してミラー反転され、入力手段は、好ましくは先行するスワイプ動作と後続のスワイプ動作との間の接触を停止しない。特に好ましくは、反対に交互のスワイプ方向を有するスワイプ動作シーケンスも繰り返し実行することができる。日常的な言葉では、これは、例えば、「前後にスワイプ」または「ラビング」として理解することができる。
【0081】
セキュリティ特徴の寸法は、好ましくは、セキュリティ特徴に関連する2つの実質的に直径方向に対向するエッジポイント間の距離に対応し、可能な最大寸法は、好ましくは、セキュリティ特徴上の2つのそのようなエッジポイント間の可能な最大距離である。
【0082】
当業者はさらに、「平行」および「直交」という用語に関する方法の記載された実施形態を他の向きまたは実施形態に適合させることができる。例えば、当業者は、スワイプ動作がセキュリティ特徴の最大寸法に対して平行でないまたは直交しない場合に、本発明によるすべての利点が依然として適用可能であるように、それに応じて方法を適合させる方法を理解されよう。したがって、当業者は、それらが特徴「平行」、「直交」からどの程度逸脱し得るかを知っており、それでもなお本発明による利点を実施する。
【0083】
さらに好ましい実施形態では、本方法は、複数の導電性領域および非導電性領域がセキュリティ特徴の少なくとも1つの好ましい方向に沿って交互になることを特徴とし、その結果、導電性領域と非導電性領域との間の移行部は、好ましい方向に沿って動的入力が実行されるときにエッジとして検出され得る。導電性領域はまた、非導電性領域によって互いにガルバニック分離された個々の要素として理解され得る。上記で説明したように、本発明による方法はまた、エッジ検出に基づいて複雑な形状の個々の要素の認識または区別を可能にし、本方法は、好ましくは、好ましい方向に沿ったエッジの連続的な発生によって個々の要素の配置および/または形状を確実に認識する。
【0084】
本発明の意味の範囲内で、入力手段とセキュリティ特徴との間の相対移動によって表面センサ上で生成される時間依存または経路依存信号は、セキュリティ特徴、特にその不均一性またはエッジの構造化によって変化し、特に表面センサ上で直接実行される、すなわち、好ましくは文書またはカード状オブジェクトを使用せずに、または導電性セキュリティ特徴の存在なしに実行される入力手段の入力とは異なることが好ましい。特に、一方では、入力手段を有する表面センサ上の直接的な動的入力、他方では、導電性セキュリティ特徴を有する文書またはカード状オブジェクトが入力手段と表面センサとの間に介在する動的入力、の2つの状況が区別される。
【0085】
これに関して、表面センサ上の入力手段を参照入力として用いて直接入力を参照することが好ましい場合がある。本発明の意味の範囲内で、セキュリティ特徴の構造は、直接的な動的入力の変化をもたらし、それによって、表面センサ上に時間依存信号が生成されることが好ましい。本発明の好ましい実施形態では、導電性セキュリティ特徴の導電性領域および非導電性領域は、相対移動から生じる容量性表面センサ上の時間依存信号が、セキュリティ特徴を使用せずに行われる入力手段を用いて参照入力に対して変化するように、サイズ、間隔および形状に関して形成されることが意図されている。これは、信号の変調、定義、変化、歪みまたはシフトをもたらす。
【0086】
本発明の好ましい実施形態では、容量性表面センサ上の結果として生じる時間依存または経路依存信号は、導電性セキュリティ特徴を使用せずに実行される入力手段を有する参照入力によって決定された基準信号と比較して、信号の位置、速度、方向、形状、間欠性、周波数および/または信号強度に関して少なくとも部分的に変更される。本発明の意味の範囲内で、好ましくは提案された方法によって生成され得る結果として生じる時間依存信号であることが好ましい。導電性構造の個々の要素に対する真っすぐな直線運動(実質的に直線のスワイプ動作)の形態の例示的な入力に基づいて、これは、好ましくは、本発明の意味の範囲内で、導電性セキュリティ特徴によって引き起こされる変調のために、生成された時間依存信号は、入力手段の真っすぐな直線入力と比較して異なる位置、方向、形態、速度および/または信号強度を有することができ、すなわち、例えば、空間的にオフセットされ、歪められ、および/またはシフトされ、真っすぐな直線運動(実質的に直線のスワイプ動作)とは異なる形状を有し、異なる方向を指すか、または予期しない信号強度を有するものとして表面センサによって検出されることを意味する。
【0087】
例えば、本発明の意味の範囲内の入力手段の使用の例として、ユーザが容量性表面センサ上で指をスワイプすると、表面センサは、実質的に指、すなわち入力手段によって実際にタッチされる表面センサのスクリーン上の位置でこの動きを検出する。指の真っすぐな直線運動は、好ましくは、実質的に真っすぐで直線的な均一の動きとして表面センサによって検出される。カード状オブジェクトが存在しないそのような入力は、好ましくは、本発明の意味の範囲内で参照入力と呼ばれる。
【0088】
本発明の文脈において、好ましくは、導電性セキュリティ特徴が入力手段と表面センサとの間に配置されることが意図される。好ましくは、このセキュリティ特徴は、導電性の個々の要素を含む。
【0089】
本発明の可能な実施形態では、ユーザがセキュリティ特徴を有するオブジェクト上、特にセキュリティ特徴上で指を動かすことが想定される。この場合、オブジェクトは、好ましくは表面センサ上に載置され、その結果、ユーザの指の動きは、ユーザがタッチする導電性構造の個々の要素を、それらを作動させることによって表面センサに「視認可能」にする。本発明者らは、導電性セキュリティ特徴を備えるオブジェクトを使用することにより、表面センサ上の入力を参照入力と比較して変更することができることを認識した。この変化は、好ましくは、本発明の意味の範囲内で変調と呼ばれる。これは、好ましくは、導電性構造の個々の要素が入力手段との接触によって作動し、表面センサがそれらを検出することを可能にすることによって引き起こされ、結果として生じる時間依存信号は、例えば参照入力と比較して、オブジェクト上の個々の要素の配置によって空間的に歪められる。例えば、入力手段が導電性セキュリティ特徴なしにオブジェクト上の仮想直線に沿って移動する場合、表面センサは、入力手段の直線運動を参照入力として検出する。しかしながら、入力手段と、導電性構造の個々の要素が存在する表面センサとの間にオブジェクトが存在する場合、検出された移動速度に特性偏差が生じる。
【0090】
したがって、入力手段がセキュリティ特徴上を移動するにつれて、入力手段は徐々に導電性要素と効果的に接触するようになり、すなわち入力手段は導電性要素を徐々に覆う。入力手段が導電性の個々の要素に到達すると、この時点で、表面センサ上の結果として生じる信号の位置は、この時点で入力手段と効果的に接触している個々の要素の中点の方向にシフトされることが好ましい。中心点は、好ましくは、個々の要素の幾何学的重心(領域重心)として定義される。
【0091】
1つの特定の例では、入力手段は、オブジェクトが表面センサ上にあり、オブジェクトと表面センサとの間に実質的に相対移動がない間、オブジェクト上で均一な速度でy方向に仮想直線に沿って移動する。入力手段が導電性要素と接触しない限り、結果として生じる時間依存または変位依存信号は、タイムスタンプおよびそれぞれのy座標によって事実上異なるタッチを特徴とし、信号の速度は入力手段の移動速度に事実上対応する(かつ事実上一定である)。入力手段が導電性の個々の要素に到達すると、この時点で、結果として生じる信号の位置は、好ましくは、個々の要素の方向に、またはより正確に言えば、個々の要素の中心の方向に突然シフトされ、すなわち、個々のタッチは、先行するタッチと比較してy座標に対して著しくシフトされる。結果として生じる時間依存信号の個々のタッチのパラメータを使用して、速度プロファイルを計算することができる。入力手段が導電性の個々の要素に到達する位置では、速度プロファイルは突然の急激な上昇を示し、すなわち、結果として生じる信号の速度はこの領域では高い。入力手段が導電性の個々の要素の上をさらに移動する場合、結果として生じる信号の速度は、入力手段が個々の要素の中心点または幾何学的領域の重心に達するまで再び徐々に低下する。さらに移動すると、速度は再びゆっくりと上昇し、次いで入力手段が離れるか、またはもはや導電性要素と接触しなくなるとすぐに、速度は急激に低下するか、または大きな負の上昇を伴って下降する。本発明の意味の範囲内で、特に入力手段が導電性の個々の要素と接触するか、または入力手段と導電性の個々の要素との間の接触が終了したときに、速度プロファイルの変動を検出することができることが好ましい。
【0092】
言い換えれば、このような点で信号が急激に変化する。「ジャンプ」に基づいて、すなわち時間依存信号の急激に変化する速度に基づいて、導電性要素のエッジを明確に検出することができる。通常、速度プロファイルは非対称であり、すなわち、速度の上昇が大きいジャンプの後に速度の降下が遅くなる。速度プロファイルにおけるこの上昇は、曲線の勾配を決定および評価することによって数学的に調べることができる。この非対称性は、特に信頼性の高いエッジ検出をもたらす。時間依存信号の速度プロファイルはまた、導電性の個々の要素を離れるときに急激に変化する。信号の非対称性により、復号プロセス中に、導電性の個々の要素のリーディングエッジまたはトレーリングエッジに到達したかどうか、すなわち入力手段がその時点で導電性の個々の要素に到達したかまたは導電性の個々の要素を離れたかどうかを検出することが可能である。したがって、導電性セキュリティ特徴の複雑な構造を検出することができる。個々の要素のリーディングエッジおよびトレーリングエッジまたは初期および端部領域という用語は、導電性セキュリティ特徴上の入力手段のそれぞれの移動方向に関して理解されるべきである。
【0093】
好ましい実施形態では、本方法は、速度プロファイルを使用してエッジを検出する際に、エッジにおける速度プロファイルの時間的に非対称な曲線が考慮され、好ましくは、リーディングエッジにおいて、急な速度上昇を伴うジャンプの後に、緩やかな降下を伴って速度の降下が遅くなることを特徴とする。トレーリングエッジでは、急な低下の後に平坦な上昇が続く。
【0094】
したがって、好ましい実施形態では、本方法は、速度プロファイルを使用したエッジの検出が、エッジにおける速度プロファイルの時間的に非対称な曲線を考慮に入れ、好ましくは、トレーリングエッジにおいて、速度のゆっくりとした上昇の後に急な低下を伴うジャンプが続くことを特徴とする。
【0095】
急な上昇および緩やかな降下という用語は、好ましくは、互いに対して理解されるべきであり、ある距離にわたる速度の変化量を指す。
【0096】
リーディングエッジの領域における速度プロファイルに関して、速度ジャンプの後にピークが続き、その後に速度の低下が続くことが好ましい。ピーク前の領域における速度上昇または速度プロファイルの勾配は、絶対値に関して、ピーク後の速度の降下または負の勾配よりも実質的に大きい。例えば、ピーク前の勾配は、2倍、3倍、または4倍以上であってもよい。非対称性は、速度プロファイルの曲線をピーク前に発生する領域とピーク後に発生する領域とに分割する、ピークを通過する垂直軸に関して比喩的に画定され得る。ピーク前の領域は、それに続く領域と対称ではない。
【0097】
トレーリングエッジの領域における速度プロファイルに関して、速度のゆっくりした上昇の後にピークが続き、その後に速度の急な低下が続くことが好ましい。ピーク前の領域における速度プロファイルの速度上昇または勾配は、絶対値に関して、ピーク後の速度の降下または負の勾配よりも実質的に小さい。例えば、ピーク前の勾配は、2倍、3倍、または4倍以上低くてもよい。非対称性は、速度プロファイルの曲線をピーク前に発生する領域とピーク後に発生する領域とに分割する、ピークを通過する垂直軸に関して比喩的に画定され得る。ピーク前の領域は、それに続く領域と対称ではない。
【0098】
これらの差は、エッジの発生に非常に特徴的であり、他のジャンプまたは速度プロファイルの変動と確実に区別することができる。さらに、非対称性の発生は、エッジの前後の導電性領域および非導電性領域の分布と相関することもできる。
【0099】
したがって、好ましい実施形態では、好ましくは導電性領域の開始部におけるリーディングエッジ、または好ましくは導電性領域の端部におけるトレーリングエッジが入力手段によってスワイプされたかどうかを、エッジの領域における速度プロファイルの時間的に非対称な曲線に基づいて決定することもできる。時間依存信号の速度プロファイルでは、エッジはそれぞれピークでマークされる。ピーク前後の速度プロファイルの勾配を評価することにより、リーディングエッジとトレーリングエッジとを区別することができる。
【0100】
さらなる実施形態では、導電性セキュリティ特徴上での入力手段の反復的な前後移動(反対に交互のスワイプ方向によるスワイプ動作)が好ましい。好適には、これにより、異なるスワイプ方向でエッジを複数回スワイプすることになる。導電性セキュリティ特徴またはその個々の要素に到達したときおよび/またはそこから離れるときのすべての「ジャンプ」の複合評価は、導電性セキュリティ特徴のさらに正確なエッジ決定を可能にする。したがって、セキュリティ特徴の内部構造または「容量フットプリント」をさらにより正確に判定することができる。
【0101】
速度プロファイルという用語は、好ましくは、ポイントツーポイント速度、すなわち2つのタッチイベント間の速度を指す。これは、2つの連続するタッチイベントの経路差と時間差との商から計算される:v(y)=Δy/Δt。効果を説明するために、入力手段が移動する座標の関数としての、例えばタッチスクリーンのy座標の関数としての、ポイントツーポイント速度またはタッチツータッチ速度のグラフィック表現が有用である。そのような表現は、信号の速度プロファイルと呼ぶことができ、復号プロセスの一部としてソフトウェアアルゴリズムによって処理および評価され得る。信号の速度プロファイルは、時間依存的にまたは経路依存的に評価され得る。表面センサ上で生成された特性信号は、時間依存信号または経路依存信号と呼ばれることがある。
【0102】
容量性タッチスクリーン上で入力が実行されるとすぐに、タッチコントローラは、端末上のソフトウェアによってさらに処理されるタッチデータまたはタッチイベントの量を出力する。市販のデバイスでは、このタッチデータは実質的に以下の情報を含む:
-ID(それぞれのタッチの識別番号)、
-タイプ(タッチ開始、タッチムーブ、タッチ終了、タッチキャンセル)、
-x座標、
-y座標、および
-タイムスタンプ。
【0103】
特定の条件下では、(タッチスクリーンを有するモバイルデバイス用のソフトウェアの)開発者は、タッチの直径などのさらなる情報にアクセスする。このデータを用いて、ユーザの入力を再構成することができ、適切なまたは割り当てられたアクションをトリガすることができる。
【0104】
導電性セキュリティ特徴が容量性タッチスクリーンに配置され、指または他の入力デバイスが導電性構造を横切ってスワイプされると、信号は入力デバイス(指)と導電性構造の複合影響によって変調または変更される。したがって、ユーザによる入力ジェスチャと同様に使用される導電性セキュリティ特徴の特性であるタッチデータまたはタッチイベントのセットがタッチコントローラによって出力される。このデータは、端末上のソフトウェアによってさらに処理されるか、またはネットワーク接続を介してサーバに送信され、そこで評価される。
【0105】
入力手段との入力の組み合わせおよび導電性セキュリティ特徴による影響から生じる信号は、導電性セキュリティ特徴の影響を受けない基準信号とは異なる。基準信号は、入力ジェスチャを実質的にマッピングする、すなわち、信号は、入力をデータ信号としてマッピングするタッチイベントのセットによって特徴付けられる。例えば、最も単純なケースでは、タッチイベントのセットは、以下を含む:
-移動の開始位置の座標を有するStart Touch Event
-Touch StartとTouch Endとの間で異なる座標を有するMultiple Move Touchイベント
-ジェスチャが終了した位置でのEnd Touchイベント
【0106】
すべてのイベントはタイムスタンプによって識別され、したがって経時的に評価することもできる。用語は、説明の目的で本明細書に導入されている。基準信号の生成は、好ましくは本発明の一部ではない。
【0107】
入力手段による入力と導電性セキュリティ特徴の影響との組み合わせによって生成される特性信号は、(仮想)基準信号とは異なる。入力手段が導電性セキュリティ特徴または導電性構造と接触し、両方のオブジェクト(入力手段および導電性構造)が容量性表面センサと効果的に接触するとすぐに、時間依存信号は、例えば変位、偏差、加速、減速、遮断、削除、分割または同等の効果の形態の変化を受ける。信号はまた、指または入力手段が導電性構造を離れるときに特性特徴を示す。導電性構造が、あるポイントで、例えば標的化された脱金属部によって遮断される場合、このポイントでの特性信号は、通常、移動方向および/または移動速度の急激な変化を特徴とする。
【0108】
特性信号は、好ましくはソフトウェアによって評価される。好ましい実施形態では、いわゆる機械学習モデルが特性信号で訓練され、すなわち、特定の導電性セキュリティ特徴の信号のセットが、選択されたパラメータに基づいて記録され、特徴付けまたは分類される。適切なパラメータは、限定されないが、以下を含む:
-信号の総持続時間
-信号の長さ
-信号の振幅
-信号長
-タッチイベントの絶対数
-トラックあたりのタッチイベント数(ヒストグラム)
-タッチイベントの空間密度
-以前のタッチイベントまでの距離
-イベントツーイベント速度
-偏差の対称性
【0109】
言及されたパラメータの大部分は、信号全体ならびに信号のセクションまたは選択された領域について決定され得る。記録されたデータは、機械学習モデルによってクラスに割り当てられる。十分な量の訓練データを用いて、モデルを使用して、任意の入力またはタッチデータの量を分類することができ、すなわち、オリジナリティ/真正性をチェックすることができる。
【0110】
さらに好ましい実施形態では、本方法は、特性信号が速度プロファイルに関して評価され、エッジの検出が速度プロファイルに基づいて実行されることを特徴とする。したがって、速度プロファイルの非対称性のために、とりわけ、導電性の個々の要素のリーディングエッジまたはトレーリングエッジに到達したかどうか、すなわち入力手段がその時点で導電性の個々の要素に到達したかまたは導電性の個々の要素から離れたかどうかを検出することが好適に可能である。互いにガルバニック分離された2つの導電性要素が互いに近接しており、入力手段と次々に接触している場合、第1の要素のトレーリングエッジの影響または衝撃と、第2の要素のリーディングエッジによって引き起こされる影響とが重なり合う。したがって、導電性セキュリティ特徴の複雑な構造を検出することができる。本文書のさらなる過程で、そのような評価を実施形態の例によって説明する。
【0111】
さらに好ましい実施形態では、本方法は、特性信号が速度プロファイルに関して評価され、エッジ検出が速度プロファイルに基づいて実行され、特性信号が空間偏差または他の変調に関してさらに評価されることを特徴とする。例えば国際公開第2018 141478号パンフレットから知られているように、好ましくは複数の個々の要素を含む導電性構造を提供することによって、動的入力を偏向または変調することができる。ここで好ましく意味することは、導電性構造、または好ましくはその個々の要素は、表面センサ上の信号の偏向を引き起こすように構成され、生成された時間依存信号は、導電性構造なしで入力手段の参照入力に対して変更または変調されることである。タッチデータの評価における異なるパラメータの組み合わせは、より大きな分散および/またはより高い操作セキュリティを可能にする。
【0112】
導電性構造を含む、上述の方法による容量性読み出しに適した本発明によるオブジェクトまたはセキュリティ特徴は、以下に説明する特徴によって特徴付けられる。導電性構造は、複数の個々の要素から構成される。これらの個々の要素は、それらの機能に応じて2つの異なるタイプ、すなわちアクティブ要素および非アクティブ要素に分割され得る。アクティブ要素は、記載された方法に従って検出することができるように設計された、すなわち容量性表面センサ上に特性信号を生成するのに適した要素である。そのような要素は、特定の最小サイズを有する。非アクティブ要素(ノンアクティブ要素、受動要素)は検出できない、すなわち、それらは非常に小さいので、容量性表面センサ上に特性信号を生成しないか、または生成することができる信号は、導電性要素と組み合わされることなく入力手段を使用する入力によってのみ生成することができる信号と十分に異ならない。
【0113】
それらの最大サイズに関して、(個々の)要素は、特定のサイズを超えると、再生不可能な信号、干渉信号、またはいわゆるタッチキャンセル効果を引き起こすという事実によって本質的に制限される。
【0114】
言い換えれば、個々の要素の適切なサイズおよび幾何学的形状は、容量性タッチスクリーンによるそれらの検出可能性によって決定される。設計プロセスの目的は、一方では、再生可能な信号を生成することができる個々の要素を提供することであり、他方では、望ましくない信号または干渉信号を容量性タッチスクリーン上に生じさせないことである。
【0115】
本明細書では、導電性構造または導電性セキュリティ特徴の寸法は、好ましくは以下のように定義される:導電性構造の幅は、入力手段の意図された移動方向に対して横方向または実質的に直交して延びる;長さは、移動方向に、または入力手段の意図された移動方向に平行に延びる。
【0116】
さらに好ましい実施形態では、本方法は、導電性セキュリティ特徴が、間隔が少なくとも10μm、好ましくは少なくとも50μmである少なくとも2つの個々の要素またはアクティブ領域を含むことを特徴とする。2つの個々の要素の好ましい最小間隔は、検出される特性信号が2つの領域間の移行部(エッジ)で速度プロファイルのジャンプを好適に再現することを特に確実に保証し、その結果、信号に基づいてセキュリティ特徴を区別することができる。
【0117】
2つの個々の要素間の間隔は、好ましくは、例えば脱金属によるライン状の遮断部によって構成され得る。したがって、ライン状の遮断部はまた、好ましくは少なくとも10μm、好ましくは少なくとも50μmのライン幅を有するべきである。
【0118】
好ましい実施形態では、ライン状の遮断部、したがって個々の要素の間隔は、3mm未満、好ましくは2mm未満、1mm未満である。したがって、10μm~3mm、好ましくは50μm~2μm、または50μm~1mmの間の遮断部の極めて小さいライン幅によって、様々な異なる構造化を小さい領域で実行することができる。好ましい実施形態では、この目的のために、例えばレーザまたは化学エッチングによる脱金属の方法が使用される。脱金属部の製造には一定の公差があることが当業者に知られている。
【0119】
この場合、遮断部が視覚的に目立たないように、特に細いライン幅を実装することも好ましい場合がある。
【0120】
いくつかの実施形態では、ライン状の遮断部、したがって個々の要素の間隔は、したがって、好ましくは500μm未満、200μm未満、または100μm未満であってもよい。好適には、そのような細い遮断部であっても、本発明によるエッジ検出によって確実に検出される。
【0121】
さらに好ましい実施形態では、本方法は、導電性セキュリティ特徴が、幅が1mm~15mmであり、および/または長さが6mm~30mmである少なくとも2つの個々の要素またはアクティブ領域を含むことを特徴とする。個々の要素は、長さまたは幅について記載されたサイズの領域に構成され得る。
【0122】
別の好ましい実施形態では、長さは個々の要素の最大寸法であり、幅は長さに実質的に直交する。
【0123】
別の好ましい実施形態では、導電性セキュリティ特徴は、少なくとも2つの個々の要素またはアクティブ領域を含み、個々のアクティブ要素の各々の面積は10mm~450mmである。
【0124】
以下の表は、個々の要素の寸法ならびに導電性セキュリティ特徴の設計のための設計規則をまとめたものである。導電性構造の関連するパラメータは、非アクティブ要素、すなわち検出不能要素、およびアクティブ要素、すなわち検出可能要素についてそれぞれ与えられる。与えられた値は、容量性タッチスクリーンを備えた現在利用可能な一般的なスマートフォンでの実験によって決定された。当業者は、異なるタイプの表面センサが、導電性構造の設計に適合した設計規則を必要とし得ることを認識されよう。
【表1】
【0125】
導電性構造の総面積は、好ましくは少なくとも15mmであり、その最大値はタッチスクリーンまたはタッチディスプレイのサイズによって制限される。
【0126】
上記の表に示されている個々の要素の大きさのオーダー、ならびに導電性セキュリティ特徴の設計のための設計規則は、本明細書の作成時に一般的に使用されている表面センサの特徴に関する。特に、表面センサの分解能および電極グリッドの幾何学的形状、例えば電極グリッドの行と列との間の距離などの特徴は、個々の要素の適切な大きさのオーダーに影響を及ぼす。以下の表では、これらの大きさは、表面センサの電極グリッドの空間周期長Lの倍数として一般化される。
【0127】
さらに好ましい実施形態では、本方法は、導電性セキュリティ特徴が、幅が0.2L~4Lであり、および/または長さが1.2L~8Lである少なくとも2つの個々の要素またはアクティブ領域を含み、Lは、好ましくは表面センサの電極グリッドの空間周期長を表すことを特徴とする。
【表2】
【0128】
導電性構造の総面積は、好ましくは少なくとも1*Lであり、その最大値はタッチスクリーンのサイズによって制限される。
【0129】
本発明を、好ましい実施形態を参照して以下にさらに説明する。
【0130】
特定の実施形態では、容量性タッチスクリーンは、導電性セキュリティ特徴の静電容量検査のための端末、例えばスマートフォン、タブレットの容量性タッチスクリーン、または情報端末もしくはセルフサービス端末で使用され得る。銀行券は、例えば、セキュリティストリップまたはスレッドを含むことが多い。銀行券を容量性タッチスクリーン上に置き、そのようなセキュリティ特徴に沿ってまたはそれにわたってジェスチャを実行することによって、容量性タッチスクリーン内に特徴的な動的信号が生成され、これはソフトウェアアルゴリズムを使用して評価され得る。
【0131】
以下の図を参照してより詳細に説明するように、例えば、入力手段または指を使用して、導電性構造またはセキュリティ特徴に沿ってジェスチャを行うことができる。導電性構造は、好ましくは1つまたは複数の部分にあり、遮断部を含むことができる。
【0132】
好適には、これらの遮断部またはエッジは、検出された時間依存信号において識別され得る。信号曲線を明確にするために、タッチイベントを記録し、例えば対応するxy座標の点としてそれらを表すことが有用である(図2を参照)。タッチイベントまたはドットは、タッチスクリーン上に徐々に、すなわち時間的にオフセットして現れる。セキュリティ特徴上の導電性構造のエッジに対応して、さもなければタッチポイントまたは時間依存信号の実質的に均一な曲線に遮断部またはギャップが生じる。
【0133】
好ましくは、評価は、時間依存信号の速度プロファイルに基づく(図2cを参照)。各タッチポイントについて、タイムスタンプは、容量性タッチスクリーンを備えた共通端末で利用可能であり、ソフトウェアにおける信号プロファイルの評価に使用され得る。現在見ているタッチイベントおよび前のタッチイベントのxy座標およびタイムスタンプから、タッチイベントごとに速度を計算することができる(図2cを参照)。特に、導電性構造または導電性セキュリティ特徴のエッジおよび/または遮断部は、入力手段を使用してスワイプジェスチャを実行するときに時間依存信号のジャンプを引き起こし、したがって速度プロファイルの変化も検出可能になる。この速度プロファイルから、導電性構造の形状、輪郭、内部構造化および/または外形について結論を引き出すことができ、したがって、導電性セキュリティ特徴を検出、認証、検証または区別することができる。
【0134】
特に、時間依存信号のジャンプは、導電性構造またはセキュリティ特徴、すなわち好ましくは導電性領域と非導電性領域との間の移行部におけるエッジと相関する。そのような検出は、特に迅速かつ信頼性が高い。さらに、そのような検出は、特に改ざん防止である。導電性セキュリティ特徴の存在なしにそのような信号を生成することは事実上不可能である。このため、入力時には、セキュリティ特徴またはセキュリティ特徴を含む文書(またはオブジェクト)がタッチスクリーン上に存在していたことが一義的に証明できる。このオブジェクトの存在の証明は、多くの異なる適用分野を有する。
【0135】
別の好ましい実施形態では、本方法は、オブジェクトの検証が、区別、検証、容量性検出および/または認証を含むことを特徴とする。
【0136】
「区別」、「検証」、「容量検出」および「認証」という用語は、互いに部分的に同義であり、同じおよび/または類似の概念的内容を含む。本発明の意味の範囲内で、検証は、とりわけ、好ましくは、異なるセキュリティ特徴間の「区別」を可能にし、次いで、セキュリティ特徴が適用されるオブジェクト間の「区別」を可能にする。一方、セキュリティ特徴の認証は、好ましくは、そのような特徴の真正性の検査である。このような使用例は、例えば、偽造に関する銀行券の検証に非常に関連し得る。
【0137】
さらに好ましい実施形態では、本方法は、オブジェクトを表面センサ上に配置した後、入力手段が導電性セキュリティ特徴上に配置され、好ましくはオブジェクトがそれと共に表面センサ上に押圧されて保持され、それにより、入力手段と容量性表面センサとの間でオブジェクトを引っ張ることによって動的入力が実行されることを特徴とする。記載された代替案は、入力手段とセキュリティ特徴との間の相対移動によって(前述の実施形態と同様に)時間依存信号を生成する。前述の実施形態とは異なり、相対移動は、入力手段が所定の位置に実質的に固定されている間にセキュリティ特徴が「引き抜かれる」ことによって引き起こされる。この場合に容量性タッチスクリーン上で生成される時間依存信号は、本質的に、容量性表面センサ上の入力手段の位置の周りで振動するタッチイベントを特徴とし、この動きは特定の速度プロファイルを有する。
【0138】
速度プロファイルの説明:
本発明の意味の範囲内で、速度の変動が生じること、すなわち、例えば、入力手段の高速移動が低速時間依存信号に変調されることも好ましい場合がある。時間依存信号が特定の速度プロファイルを有することも好ましい場合がある。例えば、入力手段が導電性構造を有さないカード状オブジェクト上の仮想直線に沿って移動する場合、表面センサは、直線を表し、ほぼ一定の速度を有する時間依存信号を参照入力として検出する。しかしながら、入力手段と表面センサとの間にカード状オブジェクトが存在し、その上に導電性構造の個々の要素が、例えばカード状オブジェクト上に特定の間隔で存在する場合、入力手段がカード状オブジェクト上を移動すると、表面センサは、特定の速度プロファイルを有する結果として生じる信号を検出する。この場合、入力手段がカード状オブジェクト上を移動するにつれて、入力手段は、カード状オブジェクト上の導電性要素と容量性またはガルバニック効果的に徐々に接触するようになる、すなわち、入力手段は、導電性要素を徐々に覆う。入力手段が導電性の個々の要素に到達すると、結果として生じる信号の位置は、この時点で個々の要素の中心の方向にシフトされることが好ましい。
【0139】
1つの具体例では、入力手段は、カード状オブジェクト上で実質的に均一な速度でy方向に仮想直線に沿って移動する。入力手段が導電性要素と接触しない限り、結果として生じる時間依存信号は、タイムスタンプおよびそれぞれのy座標に実質的に応じて異なるタッチを特徴とし、信号の速度は入力手段の移動速度に本質的に対応する(かつほぼ一定である)。入力手段が導電性の個々の要素に到達する場合、この時点で、結果として生じる信号の位置は、好ましくは、個々の要素の方向または個々の要素の中心の方向にシフトされ、すなわち、個々のタッチは、先行するタッチと比較してy座標に対して著しくシフトされる。速度プロファイルは、結果として生じる時間依存信号の個々のタッチまたはタッチイベントのパラメータを使用して計算され得る。本発明の意味の範囲内で、速度プロファイルの変化は、入力手段が導電性の個々の要素と接触するときに特に明らかであることが好ましい。言い換えれば、このような点で信号が急激に変化する。「ジャンプ」に基づいて、すなわち時間依存信号の急激に変化する速度に基づいて、導電性要素のエッジを明確に検出することができる。通常、速度プロファイルは非対称であり、すなわち、速度の上昇が大きいジャンプの後に速度の降下が遅くなる。
【0140】
速度プロファイルという用語は、好ましくは、ポイントツーポイント速度、すなわち2つのタッチイベント間の速度を指す。これは、2つの連続するタッチイベントの経路差と時間差との商から計算される:v(y)=Δy/Δt。効果を説明するために、入力手段が移動する座標の関数としての、例えばタッチスクリーンのy座標の関数としての、ポイントツーポイント速度またはタッチツータッチ速度のグラフィック表現が有用である。そのような表現は、信号の速度プロファイルと呼ぶことができ、復号プロセスの一部としてソフトウェアアルゴリズムによって処理および評価され得る。
【0141】
速度データのさらなる評価の過程で、例えば、ポイントツーポイント速度またはタッチツータッチ速度の平均値を決定し、平均速度からの局所偏差に関して全体的な信号を評価することが有用であり得る。絶対数としてではなく、さらなる信号処理のためにすべての決定された速度値を使用することがさらに好ましく、それらを相対データに変換するか、またはデータを正規化することがさらに好ましい場合がある。このステップは、入力手段の移動速度に大きく依存しない信号の評価を可能にする。
【0142】
シグナルを評価するための他の適切なパラメータは、以下を含む:
-信号の総持続時間
-信号の長さ
-信号の振幅
-信号周波数
-タッチイベントの絶対数
-トラックあたりのタッチイベント数(ヒストグラム)
-タッチイベントの空間密度
-以前のタッチイベントまでの距離
-偏差の対称性
【0143】
セキュリティ特徴またはホログラムは、オブジェクトの表面に配置されるか、または特に多層カードの場合、多層体(オブジェクト)の内層に配置されることが当業者に知られている。導電性セキュリティ特徴が好ましくはいわゆるセキュリティスレッドである場合、これは、例えば、部分的に表面上に存在し、部分的に紙に埋め込まれる。そのようなスレッドは、例えば銀行券の製造のためのセキュリティ紙の製造中に紙に既に埋め込まれている。本明細書に記載の発明により、導電性セキュリティ特徴が多層オブジェクト内に部分的または完全に埋め込まれていても、導電性セキュリティ特徴を電子的に検証することが可能である。容量性表面センサにおける信号の生成は、表面センサと、導電性セキュリティ特徴と、場合によっては入力手段との間の容量性相互作用に基づく。直接のガルバニック接触は、入力手段にも表面センサにも必要とされない。
【0144】
さらなる態様では、本発明は、好ましくはオブジェクト、好ましくは文書、(銀行)カードまたは容量性表面センサを有するデバイス上で説明された方法を実行するための製品に関し、オブジェクトは、導電性セキュリティ特徴を備え、導電性セキュリティ特徴は、少なくとも1つの好ましい方向に沿って導電性および非導電性領域を有する構造を有し、その結果、オブジェクトが容量性表面センサ上に配置され、好ましい方向に沿って特徴的な時間依存信号を生成するための入力手段によって動的入力がオブジェクトに対して実行された後、導電性および非導電性領域からの移行部をエッジとして検出することができる。
【0145】
当業者は、容量性表面センサを有するデバイス上の導電性セキュリティ特徴を有するオブジェクトを検証するための最初に記載された方法に関連して開示された好ましい実施形態および利点が、特許請求されるオブジェクトに等しく適用されることを認識されよう。同様に、オブジェクトの記載された好ましい実施形態、特にそのセキュリティ特徴は、好ましくは特許請求される方法で使用され得る。
【0146】
さらに好ましい実施形態では、本発明は、記載された方法を実行するためのオブジェクトに関し、このオブジェクトは、少なくとも1つの好ましい方向に沿って導電性領域および非導電性領域を有する構造を有する導電性セキュリティ特徴を備え、その結果、オブジェクトが容量性表面センサ上に配置され、好ましい方向に沿って特徴的な時間依存信号を生成するための入力手段によって動的入力がオブジェクトに対して実行された後、導電性領域および非導電性領域からの移行部をエッジとして検出することができる。
【0147】
さらに好ましい実施形態では、オブジェクトは、導電性セキュリティ特徴の幾何学的形状、好ましくはその形状、輪郭、外形、ならびに特にエッジの存在に関する内部構造化が、容量性表面センサにおける時間依存信号の曲線を決定することを特徴とする。
【0148】
別の好ましい実施形態では、オブジェクトは、導電性セキュリティ特徴が非導電性基板材料に適用されることを特徴とする。
【0149】
さらに好ましい実施形態では、オブジェクトは、導電性セキュリティ特徴が、互いにガルバニック分離された少なくとも2つの個々の要素を含み、好ましくは、導電性セキュリティ特徴に対して動的入力が実行されるときに、個々の要素の初期および/または端部領域をエッジとして検出することが可能であることを特徴とする。さらに好ましい実施形態では、オブジェクトは、セキュリティ特徴の構造化が脱金属によって行われることを特徴とし、脱金属は、好ましくは化学エッチングプロセスまたはレーザによる導電性領域、好ましくはストリップ状領域またはライン状の遮断部の除去を含む。様々な脱金属プロセスが、当業者の専門知識または標準的な文献に基づいて当業者に知られている(とりわけ、Monika Kassmann(ed.),Grundlagen der Verpackung:Leitfaden fur die facherubergreifende Verpackungsausbildung,2nd revised and extended edition 2014,DIN Deutsches Institut fur Normung e.V.Beuth Verlag GmbH Berlinを参照)。
【0150】
好ましい実施形態では、オブジェクトは、この1つのセキュリティ特徴が、ライン状の遮断部(直線の非導電性領域)が存在する平面の、好ましくは実質的に均質な導電性領域を含み、ライン状の遮断部は、好ましくは平面導電性領域を2つ以上のガルバニック分離された個々の要素に分割することを特徴とする。実質的に均質とは、好ましくは、平面領域が、ライン状の遮断部を除いて導電性材料を有する均質な表面によって形成されることを意味する(例えば、図6を参照)。ライン状の遮断部は、好ましくは、例えば3mm未満、2mm未満、1mm未満の小さいライン幅を有することができ、ライン状の遮断部は、少なくとも10μm、好ましくは少なくとも50μm、特に好ましくは少なくとも100μmのライン幅を有することが好ましい。
【0151】
特に、より複雑な構造化は、例えば、平坦な、好ましくは実質的に均質な導電性領域に組み込まれた星形、円形、三角形などの非導電性ラインによっても達成することができる。
【0152】
特に好ましい実施形態では、導電性セキュリティ特徴、特にホログラムは、例えば、ワニス処理、重ね印刷、積層、重ね貼り、または当業者に知られている同様の方法によって部分的または完全に覆われる。本発明による方法を実行するために、カバー層が光学的に透明または不透明になるように設計されているかどうか、すなわち導電性セキュリティ特徴の一部がおそらく覆われるかどうかは無関係である。本発明による容量評価の利点により、カバーされるセキュリティ特徴は、それにもかかわらず、その完全な(カバーされない)形態および特性で検出され得る。
【0153】
導電性セキュリティ特徴の標的化された脱金属、すなわち導電性材料の標的化された除去によって、容量性表面センサ内の信号を特に変更することができる。そのような脱金属部は、(保護)ラッカーの部分印刷およびその後の化学エッチングプロセスによって、または代替的に、人間の目に見えないようにレーザによって非常に細かく行うことができる。しかしながら、導電性セキュリティ特徴におけるガルバニック遮断部に対応するそのような脱金属部は、容量性表面センサ上の時間依存信号を変化させる。
【0154】
本発明の一実施形態は、導電性セキュリティ特徴と、光学的に類似または同一に見える非導電性カラー層とを組み合わせることを含む。非導電性カラー構造の助けを借りて、導電性セキュリティ特徴の静電容量検出に影響を与えることなく、導電性セキュリティ特徴の光学設計を補足または拡張または変更することができ、すなわち、そのような非導電性要素はタッチスクリーンに対して受動的な効果を有する。導電性セキュリティ特徴と追加の非導電性要素とのそのような組み合わせの目的は、例えば、脱金属部を隠し、セキュリティ特徴のより高い設計の自由度、セキュリティ特徴の光学的変化などを可能にすることである。
【0155】
本発明の別の実施形態は、導電性セキュリティ特徴を追加の導電層と組み合わせることを含む、すなわち、追加の印刷された導電性要素が追加される。この追加の導電層は、可視であってもよく、または不可視もしくは透明であってもよい。いずれの場合でも、追加の導電層または要素は、タッチスクリーン上で検出可能な信号を変更する。導電層としての追加の導電性インクは、様々な印刷方法、例えばグラビア印刷、凹版印刷、インタリオ、フレキソ印刷、スクリーン印刷、オフセット印刷、インクジェット印刷、または箔塗布方法、例えば冷箔塗布、ホットスタンプまたは熱転写印刷を使用して塗布され得る。導電性の光学的に透明な層のために、例えば、導電性ポリマー、金属酸化物またはカーボンナノチューブに基づく材料が利用可能である。
【0156】
別の好ましい実施形態では、記載された方法は、導電性セキュリティ特徴が別の印刷された導電性要素によって修正されることを特徴とする。
【0157】
さらに好ましい実施形態では、記載された方法は、導電性セキュリティ特徴が非導電性要素と共に存在することを特徴とする。これは、好ましくは、導電性セキュリティ特徴と光学的に類似または同一に見える非導電性インク層との組み合わせに対応する。
【0158】
好ましい実施形態では、導電層は、導電性セキュリティ特徴(ガルバニック接触)と直接接触してもよい。あるいは、中間層としての保護ラッカーの使用も可能である。この場合、導電性セキュリティ特徴と追加の印刷された導電性要素との間に容量結合が存在する。また、適用後に導電性セキュリティ要素を覆うことができるいわゆる剥離ラッカーまたはプライマーまたは保護ラッカーは、印刷された導電層との直接のガルバニック接触を防止する。この変形例は、例えば、導電性セキュリティ特徴のメタライゼーションを腐食または導電性インクの構成要素との相互作用から保護するために特に好適であり得る。タッチスクリーン上の結果として生じる信号は、ガルバニック結合および容量結合の両方の場合に、いずれの場合にも導電性要素によって変更される。
【0159】
上述した2つの実施形態(非導電性インクと組み合わされた導電性セキュリティ特徴および導電性インクと組み合わされた導電性セキュリティ特徴)の組み合わせももちろん可能である。
【0160】
導電性構造またはセキュリティ特徴は、好ましくは、非導電性基板上の導電性領域によって構成され、セキュリティ特徴の導電性領域の遮断部は、非導電性領域を形成する。
【0161】
本発明の好ましい実施形態では、基板は、非導電性材料、好ましくはプラスチック、紙、銀行券紙、厚紙、複合材、セラミック、織物、または前述の材料の組み合わせからなる。特に、基板は、好ましくは可撓性で軽量である非導電性材料である。半透明または不透明の基板を使用してもよい。好ましいプラスチックとしては、特にPVC、PETG、PV、PETX、PEおよび合成紙が挙げられる。
【0162】
好ましい実施形態では、セキュリティ特徴または導電性構造は、好ましくは導電性インク、金属、金属化箔、金属粒子またはナノ粒子、導電性粒子、特にカーボンブラック、グラファイト、グラフェン、ATO(アンチモンスズ酸化物)、導電性ポリマー、特にPEDOT:PSS(ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)、ポリスチレンスルホネート)、PANI(ポリアニリン)、ITO、EDot、塩、ポリアセチレン、ポリピロール、ポリチオフェン、導電性繊維、および他の導電性材料の種類もしくはコーティング、またはそれらの組み合わせからなる群から選択される導電性材料によって形成される。
【0163】
シート抵抗は、好ましくは、基板上の層に適用された材料の電気抵抗を指す。典型的には、電気シート抵抗はRと略され、単位(オーム/スクエア)を有する。10万オーム/スクエア未満、好ましくは1万オーム/スクエア未満または1000オーム/スクエア未満の電気シート抵抗を有する導電層が特に好ましい。
【0164】
好ましい実施形態では、導電性構造またはセキュリティ特徴の領域における導電性材料の被覆面積は100%である。導電性構造の領域における導電性材料の被覆面積が100%未満であること、すなわち、導電性構造が導電性材料で完全に充填されていないことも好ましい場合がある。この場合、導電性構造の個々の要素は、閉じた外形ラインによって囲まれていることが好ましい。外形ライン内で、個々の要素は、例えば、それぞれの個々の要素内に導電性経路を形成するように構成されたグリッド、モジュール式グリッド、または不規則な充填パターンで充填される。この変化は、例えば、導電性材料を節約するために好ましい場合がある。導電性構造の個々の要素内の導電性材料の被覆面積は、25%より大きいことが好ましく、より好ましくは40%より大きく、最も好ましくは60%より大きい。
【0165】
好ましい実施形態では、導電性構造またはセキュリティ特徴は、箔転写方法、例えば冷箔転写、ホットスタンプ、箔転写方法および/または熱転写によって、カード状オブジェクトの好ましくは可撓性の基板材料に適用され得るが、これらの適用方法に限定されない。特に、オフセット印刷、グラビア印刷、フレキソ印刷および/またはスクリーン印刷などの印刷方法を使用して、例えば金属粒子、ナノ粒子、炭素、グラフェンおよび/または導電性ポリマーに基づく導電性インクを使用して、カード状オブジェクトを製造することができ、および/またはこれはインクジェット方法であってもよく、これらの印刷方法および/または材料に限定されない。本発明の意味の範囲内で、導電性構造を少なくとも1つのさらなる層で覆うことも好ましい場合があり、この層は、紙ベースまたはフィルムベースの積層材料または少なくとも1つのラッカー/インク層であってもよい。この層は、光学的に透明であっても不透明であってもよい。
【0166】
さらなる態様では、本発明は、好ましくは、導電性セキュリティ特徴を有するオブジェクトを製造および/または修正する方法に関し、本方法は、
a.好ましくは金属の導電性表面を備えるセキュリティ特徴の提供であって、セキュリティ特徴は、任意選択的に非導電性基板に適用される、提供と、
b.導電性領域および非導電性領域を有する構造を形成するための表面の少なくとも部分的な脱金属部と、
c.非導電性基板上のオブジェクトへの導電性セキュリティ特徴の任意の適用と、
を含み、
その結果、適用された導電性セキュリティ特徴を有するオブジェクトを容量性表面センサ上に配置し、好ましい方向に沿って特徴的な時間依存信号を生成するための入力手段によってオブジェクト上に動的入力を行った後、導電性領域および非導電性領域からの移行部をエッジとして検出することができるように、少なくとも部分的な脱金属によって修正されたセキュリティ特徴を備えたオブジェクトが得られる。
【0167】
そのような手順によって、特に柔軟な設計を有するセキュリティ特徴を得ることができ、これは最高のセキュリティ要件を満たし、したがって特に貴重なオブジェクト(貴重な文書)などの検証にも使用され得る。
【0168】
これに関連して、セキュリティ特徴の修正は、銀行券紙などの非導電性基板への適用の前と、その後の両方で実行されてもよい。むしろ、好ましくは、脱金属は、キャリア材料上に任意選択的に存在する露出したセキュリティ特徴と、オブジェクトに既に適用されているセキュリティ特徴との両方で実行され得る。
【0169】
脱金属という用語は、好ましくは、セキュリティ特徴からの導電性領域の除去を意味する。この用語は、特にホログラフィックフォイル(好ましくは金属フォイル)の設計の分野から当業者に知られている。記載されたプロセスの文脈では、除去された導電性材料は金属であってもよいが、脱金属という用語は、本発明の意味の範囲内で他の導電性材料の除去を意味することも意図されている。
【0170】
例えば、セキュリティ特徴は、電気材料のライン状ストリップを除去することによって個別化されるほぼ均質な平面導電性領域を含むことができる(図6を参照)。脱金属部によって生じる遮断部は、好ましくは脱金属とも呼ばれる。
【0171】
好ましい実施形態では、レーザビームおよび/または化学エッチングを使用して脱金属が行われる。
【0172】
さらに好ましい実施形態では、製造および/または修正の方法は、導電性セキュリティ特徴の脱金属によって生成された導電性領域および非導電性領域が、サイズ、間隔、および形状に関して構成され、入力手段とオブジェクトとの間の相対移動から生じる容量性表面センサ上の時間依存信号が、オブジェクトを使用せずに入力手段を用いて参照入力によって確立された基準信号に対して修正されることを特徴とする。
【0173】
当業者は、容量性表面センサを有するデバイス上の導電性セキュリティ特徴を有するオブジェクトを検証するための最初に記載された方法に関連して開示された好ましい実施形態および利点が、セキュリティ特徴を生成および/または修正するための特許請求された方法に等しく適用され、その逆も同様であることを認識されよう。
【0174】
さらなる態様では、本発明は、記載された方法を実行するための、好ましくは容量性表面センサを有するデバイス上の導電性セキュリティ特徴を有するオブジェクトを検証するためのシステムに関し、システムは、
a.本発明によるオブジェクトまたはその好ましい実施形態と、
b.容量性表面センサを有するデバイスと、
を備え、
オブジェクトは、オブジェクトを容量性表面センサ上に配置し、特徴的な時間依存信号を生成するための入力手段を使用してオブジェクト上で動的入力を実行した後、表面センサ上での入力中に検出された時間依存信号の評価を行うことができるように設計されたセキュリティ特徴を備え、評価は、導電性セキュリティ特徴内のエッジの検出を含む。
【0175】
本発明によるシステムは、好ましくは、オブジェクトを検証するために、表面センサへの動的入力によって生成された信号を検出および評価するように適合される。
【0176】
好ましい実施形態では、システムは、生成された信号を評価するように構成されたデータ処理ユニットを備え、ソフトウェア(「アプリ」)は、好ましくは、検出された信号を評価し、特にエッジを検出し、検出された信号を訓練データと比較するためのコマンドを含むデータ処理ユニットにインストールされ、オブジェクトの検証は、好ましくは、信号の評価および訓練データとの比較を介して、および/または生成された信号に関する情報もしくは特性データを、デバイスとデータ接続されており、前述のコマンドによる評価のために構成されたサーバデバイスに送信するために実行され、ソフトウェアは、好ましくは、安全なデータ接続を確立し、サーバデバイス上で実行されたコマンドの結果としてのステートメントを受信して表示するように構成される。
【0177】
タッチイベントのセットとしての検出信号の処理は、スマートフォンなどの電子デバイスのオペレーティングシステムまたはタッチコントローラによって実行されることが好ましい。データ処理ユニットにインストールされたソフトウェア(「アプリ」)は、好ましくは、検出されたタッチイベントのセットに基づいて信号を評価する。ソフトウェアは、好ましくは、本方法について詳細に説明したように、検出された時間依存信号を評価するためのコマンドを含む。当業者であれば、検出された信号を評価する、またはそれを訓練データと比較する方法に関連して開示された好ましい実施形態またはステップは、好ましくは、対応するコマンドを含むソフトウェア(「アプリ」)によって実行されることを認識されよう。
【0178】
さらに好ましい実施形態では、ソフトウェアは、クラウドサービスまたはインターネットサービスの形態で少なくとも部分的に提供され、デバイスは、インターネットを介してタッチデータまたはタッチイベントをクラウド内のアプリケーションに送信する。この場合も、検出された信号を評価するための、特にエッジを検出するための、および検出された信号を訓練データと比較するためのコマンドを含むデータ処理ユニット上にソフトウェア(「アプリ」)が提供され、好ましくは、オブジェクトの検証は、信号の評価および訓練データとの比較を介して実行される。
【0179】
しかしながら、デバイスのデータ処理ユニットにインストールされたソフトウェアは、必ずしもすべての計算集約的なステップをデバイス上で独立して実行するとは限らない。代わりに、検出された時間依存信号またはタッチイベントのセットに関するデータは、訓練データとの比較および/または信号の特性の決定のために(外部データ処理ユニットを用いて)クラウド内のソフトウェアアプリケーションに送信される。好ましい実施形態では、タッチデータを記録または取得するためのソフトウェアは、デバイスのブラウザであってもよい。
【0180】
信号を訓練データと比較するためのコマンドを含むことが好ましいクラウドサービスとしてのソフトウェアは、信号をタッチイベントのセットの形態で処理し、その結果を、表面センサを備えるデバイス、またはデバイスにインストールされたソフトウェアもしくはブラウザに送り返す。デバイス上のソフトウェアは、好ましくは、結果をさらに処理し、例えば、それらの表示を制御することができる。
【0181】
ソフトウェアの好ましい特徴が以下に記載される場合、当業者は、これらが、好ましくは、ステップを完全にデバイス上で実行するソフトウェア、および速度プロファイルの決定またはエッジの検出およびそれらの訓練データとの比較などのいくつかの(好ましくは計算集約的な)ステップをクラウドサービスの外部データ処理ユニットにアウトソースしたソフトウェアに等しく適用されることを認識する。当業者であれば、アルゴリズムのどのステップがデバイス自体で、またはクラウド上の外部データ処理ユニットによって実行されるかにかかわらず、検出された信号の意図された評価は統一概念として理解されるべきであることを認識されよう。好ましい実施形態では、例えば、信号のエッジを検出するための速度プロファイルの決定はまた、デバイス上のソフトウェアによって実行され、エッジまたは速度プロファイルとクラウドサービスによってアウトソースされた訓練データとの比較を行うことができる。
【0182】
さらに好ましい実施形態では、システムは、表面センサを備えるデバイスが生成された信号をタッチイベントのセットとして処理し、ソフトウェアおよび/またはサーバデバイスがタッチイベントのセットに基づいて評価を実行することを特徴とする。
【0183】
タッチイベントは、好ましくは、タッチコントローラによって検出された電子パラメータが変化したときに容量性表面センサを有するデバイスのオペレーティングシステムによって提供されるソフトウェアイベントを指す。
【0184】
オペレーティングシステムは、好ましくは、デバイスのハードウェア、特に容量性表面センサまたはタッチコントローラと通信するソフトウェアを指し、ソフトウェア(「アプリ」)などの他のプログラムをデバイス上で実行することを可能にする。容量性表面センサを有するデバイス用のオペレーティングシステムの例には、様々なスマートフォン、タブレットコンピュータまたはメディアプレーヤを実行するための、AppleのiPhone(登録商標)、iPad(登録商標)およびiPod Touch(登録商標)用のiOSまたはAndroidが含まれる。オペレーティングシステムは、デバイスのハードウェア、特に容量性表面センサまたはタッチコントローラを制御および監視する。好ましくは、特許請求されるシステムのオペレーティングシステムは、検出された信号を反映するタッチイベントのセットを提供する。
【0185】
セキュリティ特徴上の動的入力としての実質的に直線的なスワイプ運動は、例えば、タッチ開始、タッチムーブ、およびタッチ終了として認識されてもよく、タッチのxまたはy座標およびタイムスタンプは、時間履歴および速度プロファイルを計算するために使用される。
【0186】
y軸上の直線に沿ったスワイプ運動がセキュリティ特徴上で実質的に均一な速度で発生する場合、平均して、タッチから計算された速度は入力手段の運動速度に対応し、ほぼ一定である。上で詳細に説明したように、速度プロファイルにおける「ジャンプ」は、導電性領域と非導電性領域との間の移行部において生じる。特に、導電性の個々の要素に到達するときのリーディングエッジ、またはそれを離れるときのトレーリングエッジは、速度において特徴的な上昇および降下をもたらす。ソフトウェアは、好ましくは、個々のタッチまたはタッチイベントのパラメータに基づいて速度プロファイルを計算し、速度プロファイルの変動またはジャンプを分析し、それによってエッジを検出するように構成される。
【0187】
データ処理ユニットは、好ましくは、データ、好ましくはタッチイベントを受信、送信、記憶および/または処理するのに適しておりかつ構成されたユニットである。データ処理ユニットは、好ましくは、集積回路、プロセッサ、プロセッサチップ、データを処理するためのマイクロプロセッサおよび/またはマイクロコントローラ、ならびにデータメモリ、例えばハードディスク、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読み出し専用メモリ(ROM)、またはデータを記憶するためのフラッシュメモリさえも備える。対応するデータ処理ユニットは、携帯端末またはスマートデバイスなどの表面センサを有する市販の電子デバイスに存在する。
【0188】
ソフトウェア(「アプリ」)は、C/C++、C#、Objective-C、Java、Basic/VisualBasicまたはKotlinなどの任意のプログラミング言語またはモデルベースの開発環境で記述され得る。コンピュータコードは、デバイスの読み出しもしくは制御または別のハードウェア構成要素に固有の専用コンピュータ言語で記述されたサブルーチンを含むことができる。特に、ソフトウェアは、検証のためにこれらを訓練データセットと比較するために、(好ましくはタッチイベントのセットに基づいて)信号のエッジまたはジャンプを決定する。
【0189】
この目的のために、上述したように、ソフトウェアは、好ましくは、速度プロファイル、ならびに必要に応じて、特にエッジの存在に関して、動的入力の実行中に検出された信号を特徴付けるさらなる動的特性を取得する。
【0190】
動的特性データは、好ましくは、タッチイベントのセットの局所速度、極大値、最小値、局所偏向、および/または振幅であってもよい。
【0191】
特に検出された信号を特徴付ける速度プロファイルならびにそれらのジャンプまたは変動および偏差を含む動的特性の全体を、好ましくは、適用されたセキュリティ特徴を識別または検証するために訓練データセットと比較することができるデータセットに組み合わせることができる。
【0192】
好ましい実施形態では、データセットのマッチングは、記録、訓練データ、または較正データから事前に作成された機械学習モデル(人工ニューラルネットワーク)を使用して行われる。例えば、セキュリティ特徴を有するデバイスが表面センサ上に配置され、複数の動的入力、好ましくはスワイプ動作が記録されるこの目的のために、訓練データが生成されてもよい。例えば、特定のセキュリティ特徴に関する訓練データセットを生成することができる。エッジのない基準構造またはより複雑な内部構造のための訓練データセットも考えられる。
【0193】
好ましくは、訓練データという用語は、検証されるべきセキュリティ特徴上で検出された信号が生成される可能性のステートメントを可能にする任意のデータを指す。好ましくは、訓練データは、データ処理ユニット上のコンピュータ使用可能またはコンピュータ可読媒体に記憶されてもよい。業界で使用されている任意のファイルフォーマットが適切であり得る。訓練データは、別個のファイルまたはデータベースに記憶されてもよく、および/または(例えば、ソースコードにおいて)ソフトウェアに統合されてもよい。好ましくは、訓練データは、アルゴリズムによって計算された統計モデルの基礎を構成する。学習フェーズの後、統計モデルは、任意の入力データを分類または解釈することができる。好ましい実施形態では、機械学習モデルは、初期学習フェーズが完了した後であっても使用中に学習を継続するように構成され、したがってモデルは経時的により正確になるか、または市場に出現する新しいスマートフォンや識別もしくは発見された偽造品などの変化する状況に適合させることができる。
【0194】
セキュリティ特徴の可能な設計の複雑さと、ソフトウェアがこの所与の適切な評価を再構築できる高い精度のために、そのような検証は特に安全であり、操作から保護される。オブジェクトの検証を実行するための機械学習モデルの使用は、タッチデータの評価に特によく適しており、これは、これらが非常に多様に生じるためである。デバイスの表面センサの種類、オペレーティングシステム、セキュリティ特徴の設計、可能な製造上のばらつきまたは公差、およびユーザによる個々の入力に応じて、多数の異なる変形形態はすべて有効な信号である。これらを高い検出精度および確実性で検証または検出するために、機械学習モデルの使用は、静的アルゴリズムよりも特に適切であり好ましい。
【0195】
さらに、好ましくは動的な特性値の決定に基づいて、ソフトウェアは、信号の操作を排除するために一連の妥当性チェックを実行することもできる。
【0196】
例えば、スワイプ動作の場合、ソフトウェアは、入力の時間履歴および速度プロファイルを訓練データと比較して、ジャンプの対称性または非対称性(セキュリティ特徴におけるそれらの位置にかかわらず)が予想されるエッジまたは遮断部についての妥当な確率で発生するかどうかをチェックすることが好ましい場合がある。
【0197】
検出された信号の動的特性、特に速度プロファイルの決定、および訓練データセットとの比較は、好ましくは、信号の妥当性のチェック、および検証または認証目的のための訓練データへのその割り当ての両方を可能にする。ソフトウェアによる評価は、様々な方法で実施することができ、いくつかのステップを含むことができる。好ましくは、表面センサを含むデバイスのデバイスパラメータ、例えば表面センサまたはタッチスクリーンの分解能を最初に決定することができる。
【0198】
これにより、タッチイベントステップのセットを含む信号を好ましくは事前フィルタリングし、信号の特定の特性を増幅または適合させることができる。したがって、好適には、ソフトウェアは特定の種類のデバイスに限定されず、異なる電子デバイスに最適な結果を提供することができる。
【0199】
信号をフィルタリングした後、信号の時間曲線、速度、およびデータ密度などのパラメータを計算することによって、信号の妥当性をチェックすることができる。したがって、既知のまたは較正された訓練データとの比較および/または定義された閾値との比較および/または統計モデルによる処理によって、任意の操作を確実に除外することができる。
【0200】
特に好ましくは、信号の多数の多様な特性値およびパラメータがその後に決定または計算される。この目的のために、とりわけ、タッチイベントの開始、終了、移動、終了、座標、幾何学的特性に関する情報、タイムスタンプ、局所速度、極大値、最小値、局所偏向および/または振幅についての特性値を決定することができる。
【0201】
特に、特性値は、検出された信号自体と、導電性セキュリティ特徴によるその修正とを比較するのに適しているべきである。続いて、好ましくは機械学習アルゴリズムを使用して、信号を復号するために、取得されたデータセットと、例えばデータベース内に配置された訓練データセットとを比較することができる。復号は、好ましくは、既知のセキュリティ特徴についての予想信号への検出信号の割り当て、または統計的機械学習モデルによるクラスへの検出信号の割り当てを意味する。
【0202】
別の態様では、本発明は、容量性表面センサを有するデバイス上で導電性セキュリティ特徴を有するオブジェクトを検証するための、本明細書に記載の方法を実行するためのキットに関し、キットは、
a.導電性セキュリティ特徴を備える、方法を実行するためのオブジェクトであって、導電性セキュリティ特徴は、少なくとも1つの好ましい方向に沿って導電性および非導電性領域を有する構造を有し、その結果、オブジェクトを容量性表面センサ上に配置し、好ましい方向に沿って特徴的な時間依存信号を生成するための入力手段によってオブジェクト上に動的入力を行った後、導電性領域および非導電性領域からの移行部がエッジとして検出可能になる、オブジェクトと、
b.表面センサを含むデバイスにインストールするためのソフトウェア(「アプリ」)であって、このソフトウェアは、検出された信号を評価するためのコマンド、特にエッジを検出するためのコマンド、および検出された信号を訓練データと比較するためのコマンドを含み、好ましくは、信号の評価および訓練データとの比較に基づいて、および/または生成された信号に関する情報もしくは特性データを、前述のコマンドによる評価のために構成されたデバイスとデータ接続されているサーバデバイスに送信するためにオブジェクトの検証が行われ、ソフトウェアは、好ましくは、安全なデータ接続を確立し、サーバデバイス上で実行されたコマンドの結果のステートメントを受信して表示するように構成されている、ソフトウェアと、
を備える。
【0203】
任意選択で、キットは、デバイスにソフトウェアをインストールするため、および/または記載された手順を実行するための説明書をさらに備えてもよい。
【0204】
当業者は、記載された方法またはオブジェクトに関連して開示された好ましい実施形態および利点が、特許請求されるシステムまたはキットに等しく適用可能であり、その逆も同様であることを認識されよう。
【0205】
前述の説明および以下の実施形態の利点、特徴および詳細はそれぞれ、本発明を実現するために個々にまたは任意の組み合わせで好ましい場合があることに留意されたい。したがって、本発明の個々の態様に関する開示は、常に相互に参照され得る。
【0206】
以下では、本発明を、実施例および図面を用いてより詳細に説明するが、これらに限定されない。
【図面の簡単な説明】
【0207】
図1a】有価文書(10銀行券)およびスマートフォンを使用する方法の好ましい実施形態の図である。
図1b】有価文書(10銀行券)およびスマートフォンを使用する方法の好ましい実施形態の別の図である。
図1c】有価文書(10銀行券)およびスマートフォンを使用する方法の好ましい実施形態のさらに別の図である。
図2a】3つの個々の要素およびスマートフォンを有する単純な導電性セキュリティ特徴を使用する方法の別の実施形態の図である。
図2b】3つの個々の要素およびスマートフォンを有する単純な導電性セキュリティ特徴を使用する方法の別の実施形態の別の図である。
図2c】3つの個々の要素およびスマートフォンを有する単純な導電性セキュリティ特徴を使用する方法の別の実施形態のさらに別の図である。
図3a】好ましい導電性セキュリティ特徴の図である。
図3b】好ましい導電性セキュリティ特徴の別の図である。
図3c】好ましい導電性セキュリティ特徴のさらに別の図である。
図4】非導電性インク層と組み合わせた好ましいセキュリティ特徴の図である。
図5】追加の印刷された導電性要素を有する好ましいセキュリティ特徴の図である。
図6】脱金属によるホログラムまたはセキュリティ特徴の可能な修正の概略図である。
図7】セキュリティ特徴を有する有価文書が入力手段と容量性表面センサとの間を通って引っ張られる方法の代替実施形態の図である。
図8】セキュリティスレッドまたはいわゆるウィンドウスレッドを含む好ましいセキュリティ特徴を有する銀行券の図である。
図9】本発明のさらなる態様を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0208】
図面の詳細な説明
図1aは、端末22の容量性タッチスクリーン20上のセキュリティストリップの形態の導電性セキュリティ特徴14と、ジェスチャ32がセキュリティストリップ14に沿って実行される入力手段30とを有する有価文書10、特に銀行券を示す。時間依存信号50の信号曲線、信号の偏向および速度プロファイル52は、導電性特徴14の幾何学的形状、ならびにセキュリティストリップ14に沿って、セキュリティストリップ14もしくはその一部上で、またはセキュリティストリップ14に対して横方向に入力手段30によって実行されるジェスチャ32によって決定または固定される。
【0209】
一連の銀行券の銀行券10のセキュリティ特徴14は、典型的には、幾何学的形状、構成または設計、幅、長さ、個々の要素16の数、要素16間の接続の設計、ウィンドウの存在、脱金属部18の位置および設計、ならびに他の特徴において異なる。これらの特徴の総計/合計は、有価文書10が容量性表面センサ20に接触し、入力手段30を使用してセキュリティ特徴14に沿ってジェスチャ32が実行されると、容量性表面センサ20上に特性信号50を生成する。この特性信号50は、時間依存信号52の形態の動的信号であってもよい。このことから、セキュリティ特徴のいわゆる「容量フットプリント」は、ソフトウェアの助けを借りて決定され得る。
【0210】
図1bは、時間依存信号50の表現を示す。信号曲線を説明するために、タッチイベントを記録し、例えば対応するxy座標の点としてそれらを表すことが有用である。タッチイベントまたはドットは、タッチスクリーン20上に徐々に、すなわち時間的にオフセットされ、ジェスチャ32の実行と時間的に相関して生成される。明確にするために、タッチドットは、あたかも記録されているかのように、容量性タッチスクリーン20のxy座標系に集められて表示される。
【0211】
図1cは、時間依存信号50の速度プロファイル52を示す。タイムスタンプは、容量性タッチスクリーン20を有する共通端末22内の各タッチポイントについて利用可能であり、ソフトウェア内の信号曲線を評価するために使用され得る。現在見ているタッチイベントおよび前のタッチイベントのxy座標およびタイムスタンプから、タッチイベントごとに速度を計算することができる。図1cの図では、信号の速度は、信号50のy座標の関数として示されている。各セキュリティ特徴14は、個々の速度プロファイル52を有する。
【0212】
図2a~図2cは、速度プロファイル分析に基づいて容量性タッチスクリーン20上の個々のストリップを有する導電性セキュリティ特徴14を検出する方法を示す。
【0213】
図2aは、基板材料12上に配置された導電性構造14を有する文書10を示す。文書は、端末22の容量性タッチスクリーン20、この場合はスマートフォンの容量性タッチスクリーン上に配置される。入力手段30または指は、導電性構造14に沿ってジェスチャ32を実行するために使用される。導電性構造14は、1つまたは複数の部分にあり、複数の導電性の個々の要素16を含み、遮断部を有することができる。
【0214】
図2bは、時間依存信号50の表現を示す。この表現は、図1bの信号表現に対応する。図2aを参照すると、文書10上の導電性構造14の遮断部に対応して、タッチポイントの実質的に均一な曲線に遮断部または間隙が見られる。
【0215】
図2cは、時間依存信号50の速度プロファイル52を示す。各タッチポイントまたはタッチイベントについて、タイムスタンプは、容量性タッチスクリーン20を有する共通端末22で利用可能であり、ソフトウェアにおける信号曲線の評価に使用され得る。現在見ているタッチイベントおよび前のタッチイベントのxy座標およびタイムスタンプから、タッチイベントごとに速度を計算することができる。これを図2cに示す。導電性構造14は信号のジャンプを引き起こし、したがって速度プロファイル52も変化することが分かる。この速度プロファイル52から、導電性構造14について結論を引き出すことができ、したがって導電性セキュリティ特徴14を検出、検証、または区別することができる。
【0216】
図3aは、オブジェクト10に適用された別の導電性セキュリティストリップ14の図である。前の図で説明したように、入力手段30を使用して、容量性タッチスクリーン20上に載置されたセキュリティストリップ14に沿ってジェスチャ32を実行する。セキュリティストリップ14は、ジェスチャ32の方向に異なる脱金属部18を有する。これらは、異なる形状、例えば星形であってもよい。脱金属部18の領域では、導電性セキュリティ特徴14は、いくつかの場所ではセキュリティ特徴14の全幅にわたって、他の場所では部分的にのみ電気的に遮断される。
【0217】
図3bは、有価文書10、特にホログラムパッチの形態の導電性セキュリティ特徴14を有する銀行券を示し、導電性特徴14の幾何学的形状、特にまた脱金属領域18は、検出された信号の偏向ならびに速度プロファイル52を決定する。
【0218】
図3cは、ホログラムを有する身分証明手段または銀行カードなどの身分証明カード10を示す。入力手段30を使用して、図1bおよび図2bに示すように、ジェスチャ32によって表面センサ20上に特性信号50を生成することができる。
【0219】
図4は、図3aに示すセキュリティ特徴14のさらなる実施形態を示す。ここで、導電性セキュリティ特徴14は、同一の光学的外観を有する非導電性塗料層19によって補完されている。したがって、どのポイントでセキュリティ特徴14が導電性であるか、導電性でないか、または脱金属部18を有するかは、ユーザには視覚的に明らかではない。その目的は、例えば、脱金属部18を隠し、セキュリティ特徴の設計の自由度を高めることなどである。
【0220】
図5は、導電性セキュリティ特徴14が追加の層または追加の印刷された導電性要素17で補完されている実施形態の図である。この追加の層17は、可視であってもよいし、不可視または透明であってもよい。いずれの場合も、信号を変更する。図4および図5の実施形態の組み合わせもここで可能である。
【0221】
図6は、内部構造またはエッジの発生に関して異なる、ホログラム14の3つの異なる変形例を示す。ホログラム14または導電性セキュリティ特徴14はすべて、同じ外部幾何学的形状および形状を有する。これらは、部分的な脱金属部18に関して異なる。左ホログラム14は脱金属されていない。中間ホログラム14は、垂直遮断部によって部分的に脱金属されている。右ホログラム14は、45°の角度でライン状の脱金属部18によって変更されている。これらの脱金属部18を、人間の目に見えないように、すなわち視覚的に示されている3つのホログラム14が同じように見えるように非常に細かくすることができる。それにもかかわらず、本発明による方法を用いて、好適には市販のスマートフォンによる容量認識によって、信頼できる区別または検証を行うことができる。
【0222】
図7は、代替的な使用変形例の図である。この点まで説明した場合の代替として、セキュリティ要素14を有する文書10が表面センサ20上に配置され、入力手段30が導電性セキュリティ要素14上でスワイプされ、以下の相互作用が可能である:
-文書/装置10が表面センサ20上に配置される
-入力手段30が、導電性セキュリティ特徴14上に配置される(それにより、文書10を表面センサ20上に押圧する)
-文書10が、入力手段30と容量性タッチスクリーン20との間で引っ張られる。
【0223】
これまでに説明した使用の変形例の代替として、さらなる変形例が図7に示されている:導電性セキュリティ特徴14を備える文書10は、表面センサ20上に載置され、入力手段30によって表面センサ20上に固定または押圧される。ここで、文書10は、入力手段30が導電性セキュリティ特徴14と接触するように、入力手段30と容量性タッチスクリーン20との間で引っ張られる。このプロセスの間、入力手段30および表面センサ20は、実質的に互いに対して移動しない。セキュリティ特徴14は、文書10のこの移動の結果として入力手段30と接触するが、入力手段は既に表面センサ20と動作可能に接触している。同時に、容量性タッチスクリーン20上の信号50が偏向または変更される。
【0224】
図8は、別の実施形態を示す。銀行券10は、セキュリティ特徴14としてセキュリティスレッドまたはいわゆるウィンドウスレッドを含むことが多い。そのようなセキュリティスレッド14は、銀行券紙12に埋め込まれ、銀行券10の所定のポイントで紙面(ウィンドウ)に来る。上面図では、セキュリティスレッド14は部分的に見える。透明な図では、そのようなウィンドウスレッドがその全長にわたって見える。観察者には、そのようなスレッド14が紙12に織り込まれているように見える。このタイプのスレッド14は、製紙プロセス中に銀行券10に挿入される。ウィンドウスレッドとして金属化セキュリティスレッド14を紙12に挿入すると、スマートフォン22のタッチスクリーン20によって評価することができる特徴的な容量信号が得られる。指または入力手段30は、入力ジェスチャ32を実行するとき、ウィンドウスレッド14のウィンドウ領域および非ウィンドウ領域と徐々に接触する。言い換えれば、入力手段32は、交互にガルバニック有効接触およびウィンドウスレッドと容量効果的に接触しているか、または、金属スレッド14と入力手段30との間の距離は、入力手段が入力ジェスチャ中に現在ウィンドウ領域上にあるかまたはその間にあるかに応じて変化する。そのような金属化セキュリティスレッド14の構造または設計を調整することにより、再生可能な信号を生成し、スマートフォン22上で検証することができる。入力手段がウィンドウ領域と非ウィンドウ領域との間の境界に触れるときはいつでも、信号は、例えば、入力手段30の多かれ少なかれ一定の移動速度と比較して、速度の著しい変化を示す。
【0225】
図9は、市場特有のセキュリティ証明に基づいて、本発明の2つの関連する態様を示す概要図を示す。第1のアプリケーション側の態様は、スマートフォン20と組み合わせた銀行券10の認証に関し、本発明による容量検証を光学認証によって補完することができる。本発明の第2の態様は、例えば、以下の一連の潜在的なソフトウェアサービスに関する:
-銀行券10とそのセキュリティ特徴14に関する情報の提供
-決済アプリケーションとの相乗効果
-連邦政府の銀行および中央銀行からの情報の提供
-市民が額面金額を認識するのを支援する、例えば視覚障害者を支援する
【0226】
これらのアプリケーションは、本発明による導電性セキュリティ特徴14の容量性検出によって、費用効果が高く、環境に優しく、データ保護に準拠し、ユーザに優しい方法で提供され得る。
【符号の説明】
【0227】
10 オブジェクト、例えば文書または銀行カード
12 基板材料
14 導電性セキュリティ特徴(ホログラム、ストリップ、スレッド、パッチ)
16 導電性要素
17 印刷された導電性要素
18 脱金属部
19 非導電性要素
20 容量性タッチスクリーンまたは表面センサ
22 デバイス
30 入力デバイス(指、ペン)
32 動的入力または操作トラック(ジェスチャ)
50 時間依存信号の表示
52 時間依存信号の速度プロファイル
図1a
図1b
図1c
図2a
図2b
図2c
図3a
図3b
図3c
図4
図5
図6
図7
図8
図9
【国際調査報告】