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特表2022-534696放射線不透過性タグを有するプローブ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-08-03
(54)【発明の名称】放射線不透過性タグを有するプローブ
(51)【国際特許分類】
   A61B 90/10 20160101AFI20220727BHJP
   A61B 34/20 20160101ALI20220727BHJP
【FI】
A61B90/10
A61B34/20
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021569451
(86)(22)【出願日】2020-04-27
(85)【翻訳文提出日】2021-12-20
(86)【国際出願番号】 IB2020053937
(87)【国際公開番号】W WO2020234668
(87)【国際公開日】2020-11-26
(31)【優先権主張番号】62/852,272
(32)【優先日】2019-05-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】16/797,619
(32)【優先日】2020-02-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】511099630
【氏名又は名称】バイオセンス・ウエブスター・(イスラエル)・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Biosense Webster (Israel), Ltd.
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】ゴバリ・アサフ
(72)【発明者】
【氏名】アルガウィ・イェフダ
(72)【発明者】
【氏名】グリナー・バディム
(72)【発明者】
【氏名】シットニツキー・イリヤ
(72)【発明者】
【氏名】アルトマン・アンドレス・クラウディオ
(57)【要約】
医療処置システムは、身体部分に挿入されるように構成された医療器具であって、位置信号を提供するための位置追跡トランスデューサと、遠位端と、少なくとも1つの放射線不透過性マーカーと、を含む医療器具と、位置信号に応答して、位置追跡サブシステム座標フレーム内の遠位端の少なくとも1つのロケーション及び向きを含む位置を計算するように構成された位置追跡サブシステムと、身体部分の内部及び放射線不透過性マーカーの蛍光透視画像を捕捉するための蛍光透視鏡と、位置合わせサブシステムであって、放射線不透過性マーカーの少なくとも1つのマーカー画像を含む捕捉された蛍光透視画像、及び遠位端の計算された位置を示す少なくとも1つのグラフィック表現を、ディスプレイにレンダリングし、グラフィック表現をマーカー画像と位置合わせするユーザ位置合わせ入力を受信し、受信されたユーザ位置合わせ入力に応じて、位置追跡サブシステム座標フレームを蛍光透視鏡の座標フレームと位置合わせするように構成された位置合わせサブシステムと、を含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療処置システムであって、
生体の身体部分に挿入されるように構成された医療器具であって、位置信号を提供するように構成された位置追跡トランスデューサと、シャフトと、遠位端と、少なくとも1つの放射線不透過性マーカーと、を含む医療器具と、
前記位置信号に応答して、位置追跡サブシステム座標フレーム内の前記医療器具の前記遠位端の少なくとも1つのロケーション及び向きを含む位置を計算するように構成された位置追跡サブシステムと、
前記身体部分の内部及び前記医療器具の前記少なくとも1つの放射線不透過性マーカーの蛍光透視画像を経時的に捕捉するように構成された蛍光透視鏡と、
ディスプレイと、
位置合わせサブシステムであって、
前記少なくとも1つの放射線不透過性マーカーの少なくとも1つのマーカー画像を含む捕捉された前記蛍光透視画像、及び前記遠位端の計算された前記位置を示す少なくとも1つのグラフィック表現を、前記ディスプレイにレンダリングし、
前記少なくとも1つのグラフィック表現を前記少なくとも1つのマーカー画像と位置合わせするユーザ位置合わせ入力を受信し、
受信された前記ユーザ位置合わせ入力に応じて、前記位置追跡サブシステム座標フレームを前記蛍光透視鏡の座標フレームと位置合わせするように構成された位置合わせサブシステムと、を含む、医療処置システム。
【請求項2】
前記遠位端は、前記シャフトの軸から離れるように延在するように構成された要素を含み、
前記少なくとも1つの放射線不透過性マーカーは、
前記シャフト上に配置された第1の放射線不透過性マーカーと、
前記シャフトの前記軸から離れるように延在するように構成された前記要素上に配置された第2の放射線不透過性マーカーと、を含み、
前記位置追跡サブシステムは、
前記位置信号のうちの少なくとも1つに応じて、前記位置追跡サブシステム座標フレームにおける前記医療器具の前記遠位端の第1のロケーション及び向きを含む第1の位置を計算し、
前記位置信号のうちの少なくとも1つに応じて、前記位置追跡サブシステム座標フレーム内の前記医療器具の前記遠位端の第2のロケーションを含む第2の位置を計算するように構成されており、
前記位置合わせサブシステムは、
前記第1の放射線不透過性マーカーの第1のマーカー画像と、前記第2の放射線不透過性マーカーの第2のマーカー画像と、前記遠位端の計算された前記第1の位置を示す第1のグラフィック表現と、前記遠位端の計算された前記第2の位置を示す第2のグラフィック表現と、を含む、前記捕捉された蛍光透視画像を前記ディスプレイにレンダリングし、
前記第1のグラフィック表現を前記第1のマーカー画像と位置合わせし、前記第2のグラフィック表現を前記第2のマーカー画像と位置合わせするユーザ位置合わせ入力を受信する、ように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記位置追跡トランスデューサが、前記シャフトと同軸に配置された第1のコイルを含む、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記第1の放射線不透過性マーカーが、放射線不透過性円筒を含む、請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
前記第1のコイルが、前記放射線不透過性円筒上に巻かれている、請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
前記位置追跡トランスデューサが、前記第1のコイルに直交して配置された第2のコイルを含む、請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
前記シャフトの前記軸から離れるように延在するように構成された前記要素が、膨張可能なバルーン内に含まれている、請求項3に記載のシステム。
【請求項8】
前記第1の放射線不透過性マーカーが、放射線不透過性円筒を含み、前記第1のコイルが、前記放射線不透過性円筒上に巻かれ、前記位置追跡トランスデューサが、前記第1のコイルに直交して配置された第2のコイルを含む、請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
前記シャフトの前記軸から離れるように延在するように構成された前記要素が、電極を含む細長い要素に含まれている、請求項3に記載のシステム。
【請求項10】
前記位置追跡トランスデューサが前記電極を含む、請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
前記第2の放射線不透過性マーカーが、前記電極と共配置されている、請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
前記少なくとも1つの放射線不透過性マーカーが、長手方向間隙を有する円筒を含む、請求項1に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2019年5月23日に出願されたGovariらの米国特許仮出願第62/852,272号の利益を主張する。
【0002】
(発明の分野)
本発明は、医療器具に関し、具体的には、しかしながら排他的にではなく、医療器具の位置を追跡することに関する。
【背景技術】
【0003】
CTスキャンなどの医用画像は、多くの場合、医療処置の前に捕捉され、次いで、医療器具の位置追跡座標系と位置合わせされ、それにより、医療器具が医療用スキャンと共に表示されて、医師による身体部分における医療器具のナビゲーションを補助し得る。
【0004】
例として、Graumannらの米国特許第6,317,621号は、三次元血管樹露出部におけるカテーテルナビゲーション、特に頭蓋間用途のための方法及び装置を記載しており、カテーテル位置が検出され、ナビゲーションコンピュータにおいて再構成された手術前にスキャンされた血管樹の3D画像に混合され、3D患者座標系の画像化(位置合わせ)が、患者の身体上に配置されたいくつかのマーカーを使用したインターベンションの前に3D画像座標系上に続き、これらのマーカーの位置は、カテーテルによって位置合わせされる。3D血管造影用のCアームX線デバイスのマーカーは、少なくとも2つの2D投影画像において検出され、この投影画像から3D血管造影が計算され、ナビゲーションコンピュータにおける画像化された対象に再び投影され、それぞれの2D投影画像に適用された射影マトリックスを使用して、患者座標系内のマーカー座標に関連させられ、これらのマトリックスは、血管樹の3Dボリュームセットの再構成のために既に決定されている。
【0005】
Bar-talらの米国特許出願公開第2014/0114173号は、固定された所定のパターンに配置され、かつ蛍光透視画像を生成する放射線不透過性要素に応答して、基準の蛍光透視座標系内でのモジュールの位置を規定するように構成されている放射線不透過性要素を含む、座標系位置合わせモジュールを記載している。モジュールは更に、モジュールを磁場伝達パッドに関連して所定のロケーション及び向きでパッドに固定的に接続して、磁場伝達パッドにより規定される基準の磁気座標系内での位置合わせモジュールの位置を特徴付けるように構成されている1つ又は2つ以上の接続部を含む。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の実施形態によれば、医療処置システムであって、生体の身体部分に挿入されるように構成された医療器具であって、位置信号を提供するように構成された位置追跡トランスデューサと、シャフトと、遠位端と、少なくとも1つの放射線不透過性マーカーと、を含む医療器具と、位置信号に応答して、位置追跡サブシステム座標フレーム内の医療器具の遠位端の少なくとも1つのロケーション及び向きを含む位置を計算するように構成された位置追跡サブシステムと、身体部分の内部及び医療器具の少なくとも1つの放射線不透過性マーカーの蛍光透視画像を経時的に捕捉するように構成された蛍光透視鏡と、ディスプレイと、位置合わせサブシステムであって、少なくとも1つの放射線不透過性マーカーの少なくとも1つのマーカー画像を含む捕捉された蛍光透視画像、及び遠位端の計算された位置を示す少なくとも1つのグラフィック表現を、ディスプレイにレンダリングし、少なくとも1つのグラフィック表現を少なくとも1つのマーカー画像と位置合わせするユーザ位置合わせ入力を受信し、受信されたユーザ位置合わせ入力に応じて、位置追跡サブシステム座標フレームを蛍光透視鏡の座標フレームと位置合わせするように構成された位置合わせサブシステムと、を含む、医療処置システムが提供される。
【0007】
更に、本開示の実施形態によれば、遠位端は、シャフトの軸から離れるように延在するように構成された要素を含み、少なくとも1つの放射線不透過性マーカーは、シャフト上に配置された第1の放射線不透過性マーカーと、シャフトの軸から離れるように延在するように構成された要素上に配置された第2の放射線不透過性マーカーと、を含み、位置追跡サブシステムは、位置信号のうちの少なくとも1つに応じて、位置追跡サブシステム座標フレームにおける医療器具の遠位端の第1のロケーション及び向きを含む第1の位置を計算し、位置信号のうちの少なくとも1つに応じて、位置追跡サブシステム座標フレーム内の医療器具の遠位端の第2のロケーションを含む第2の位置を計算するように構成されており、位置合わせサブシステムは、第1の放射線不透過性マーカーの第1のマーカー画像と、第2の放射線不透過性マーカーの第2のマーカー画像と遠位端の計算された第1の位置を示す第1のグラフィック表現と、遠位端の計算された第2の位置を示す第2のグラフィック表現と、を含む、捕捉された蛍光透視画像をディスプレイにレンダリングし、第1のグラフィック表現を第1のマーカー画像と位置合わせし、第2のグラフィック表現を第2のマーカー画像と位置合わせするユーザ位置合わせ入力を受信する、ように構成されている。
【0008】
更に本開示の実施形態によれば、位置追跡トランスデューサは、シャフトと同軸に配置された第1のコイルを含む。
【0009】
加えて、本開示の一実施形態によれば、第1の放射線不透過性マーカーは、放射線不透過性円筒を含む。
【0010】
更に、本開示の実施形態によれば、第1のコイルは、放射線不透過性円筒上に巻かれている。
【0011】
更に、本開示の実施形態によれば、位置追跡トランスデューサは、第1のコイルに直交して配置された第2のコイルを含む。
【0012】
更に本開示の実施形態によれば、シャフトの軸から離れる方向に延在するように構成された要素は、膨張可能なバルーン内に含まれている。
【0013】
加えて、本開示の実施形態によれば、第1の放射線不透過性マーカーは、放射線不透過性円筒を含み、第1のコイルは放射線不透過性円筒上に巻かれており、位置追跡トランスデューサは、第1のコイルに直交して配置された第2のコイルを含む。
【0014】
更に、本開示の実施形態によれば、シャフトの軸から離れる方向に延在するように構成された要素は、電極を含む細長い要素に含まれている。
【0015】
更に、本開示の実施形態によれば、位置追跡トランスデューサは、電極を含む。
【0016】
更に、本開示の実施形態によれば、第2の放射線不透過性マーカーは、電極と共配置されている。
【0017】
加えて、本開示の実施形態によれば、少なくとも1つの放射線不透過性マーカーは、長手方向間隙を有する円筒を含む。
【0018】
本開示の別の実施形態によれば、医療処置方法であって、医療器具を生体の身体部分に挿入することと、医療器具の位置追跡トランスデューサによって提供される位置信号に応じて、位置追跡サブシステム座標フレーム内の医療器具の遠位端の少なくとも1つのロケーション及び向きを含む位置を計算することと、蛍光透視鏡を使用して、身体部分の内部及び医療器具の少なくとも1つの放射線不透過性マーカーの蛍光透視画像を経時的に捕捉することと、少なくとも1つの放射線不透過性マーカーの少なくとも1つのマーカー画像を含む捕捉された蛍光透視画像、及び遠位端の計算された位置を示す少なくとも1つのグラフィック表現をディスプレイにレンダリングすることと、少なくとも1つのグラフィック表現を少なくとも1つのマーカー画像と位置合わせするユーザ位置合わせ入力を受信することと、受信したユーザ位置合わせ入力に応じて、位置追跡サブシステム座標フレームを蛍光透視鏡の座標フレームと位置合わせすることと、を含む、方法も提供される。
【0019】
更に、本開示の実施形態によれば、遠位端は、医療器具のシャフトの軸から離れるように延在するように構成された要素を含み、少なくとも1つの放射線不透過性マーカーは、シャフト上に配置された第1の放射線不透過性マーカーと、シャフトの軸から離れるように延在するように構成された要素上に配置された第2の放射線不透過性マーカーと、を含み、方法が、更に、位置信号のうちの少なくとも1つに応じて、位置追跡サブシステム座標フレームにおける医療器具の遠位端の第1のロケーション及び向きを含む第1の位置を計算することと、位置信号のうちの少なくとも1つに応じて、位置追跡サブシステム座標フレーム内の医療器具の遠位端の第2のロケーションを含む第2の位置を計算することと、第1の放射線不透過性マーカーの第1のマーカー画像と、第2の放射線不透過性マーカーの第2のマーカー画像と、遠位端の計算された第1の位置を示す第1のグラフィック表現と、遠位端の計算された第2の位置を示す第2のグラフィック表現と、を含む、捕捉された蛍光透視画像をディスプレイにレンダリングすることと、第1のグラフィック表現を第1のマーカー画像と位置合わせし、第2のグラフィック表現を第2のマーカー画像と位置合わせするユーザ位置合わせ入力を受信することと、を含む。
【0020】
更に、本開示の実施形態によれば、位置追跡トランスデューサは、シャフトと同軸に配置された第1のコイルを含む。
【0021】
更に、本開示の実施形態によれば、第1の放射線不透過性マーカーは、放射線不透過性円筒を含む。
【0022】
加えて、本開示の実施形態によれば、第1のコイルは、放射線不透過性円筒上に巻かれている。
【0023】
更に、本開示の実施形態によれば、位置追跡トランスデューサは、第1のコイルに直交して配置された第2のコイルを含む。
【0024】
更に、本開示の実施形態によれば、シャフトの軸から離れる方向に延在するように構成された要素は、膨張可能なバルーン内に含まれる。
【0025】
更に、本開示の実施形態によれば、第1の放射線不透過性マーカーは、放射線不透過性円筒を含み、第1のコイルは放射線不透過性円筒上に巻かれており、位置追跡トランスデューサは、第1のコイルに直交して配置された第2のコイルを含む。
【0026】
加えて、本開示の実施形態によれば、シャフトの軸から離れる方向に延在するように構成された要素は、電極を含む細長い要素に含まれる。
【0027】
更に、本開示の実施形態によれば、位置追跡トランスデューサは、電極を含む。
【0028】
更に、本開示の実施形態によれば、第2の放射線不透過性マーカーは、電極と共配置されている。
【0029】
更に、本開示の実施形態によれば、少なくとも1つの放射線不透過性マーカーは、長手方向間隙を有する円筒を含む。
【図面の簡単な説明】
【0030】
本発明は、添付の図面と併せて、以下の詳細な説明から理解されよう。
図1】本発明の一実施形態に従って構築されかつ動作する医療システムの部分的に絵画的な部分ブロック図である。
図2図1のシステムのプロセッサのブロック図である。
図3】生体の身体部分に挿入されている、図1のシステムの医療器具の概略図である。
図4】医療器具のガイドワイヤが身体部分内に延在されていることを示す、図3の医療器具の概略図である。
図5図4のガイドワイヤ上に延在するバルーンデバイスの概略図である。
図6】膨張している図5のバルーンデバイスの膨張可能バルーンの概略図である。
図7】医療器具のトランスデューサの断面図を含む、図6の医療器具の概略図である。
図8】捕捉された蛍光透視画像と、医療器具の遠位端の計算された位置を示すグラフィック表現と、を含むユーザインターフェース画面の概略図である。
図9】グラフィック表現の初期ユーザ位置合わせ後の図8のユーザインターフェース画面の概略図である。
図10】グラフィック表現の更なるユーザ位置合わせ後の図9のユーザインターフェース画面の概略図である。
図11】グラフィック表現の更なるユーザ位置合わせ後の図10のユーザインターフェース画面の概略図である。
図12図1のシステムにおいて使用する位置合わせ方法における例示的なステップを含むフロー図である。
図13図1のシステムと共に使用するためのマルチプロングプローブの概略図である。
図14図1のシステムにおいて使用するための代替的な放射線不透過性マーカーの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
概論
前述のように、CTスキャンなどの医用画像は、多くの場合、医療処置の前に捕捉され、次いで、医療器具の位置追跡座標系と位置合わせされ、それにより、医療器具が医療用スキャンと共に表示されて、医師による身体部分内の医療器具のナビゲーションを補助し得る。
【0032】
いくつかの状況では、例えば、医療処置が本来予想されるより複雑になるため、又は他の理由のために、医師は、医療処置中に蛍光透視画像を捕捉するために蛍光透視鏡を導入することを望み得る。身体部分がどのように医療用具に対して移動しているかを見るために、蛍光透視鏡の座標フレームは、医療器具を追跡する追跡システムの座標フレームと位置合わせされる必要がある。処置中の位置合わせは問題となり得る。例えば、医療処置に遅延を追加せず、かつ移動する医療器具に対する身体部分の正確な画像を提供するために、どうしたら位置合わせは迅速かつ正確に行われ得るであろうか。
【0033】
本発明の実施形態は、蛍光透視鏡処置中に導入し、トランスデューサを使用して医療器具を追跡する位置追跡サブシステムの座標フレームと蛍光透視鏡の座標フレームを迅速かつ正確に位置合わせする能力を有する医療処置システムを提供する。2つの座標フレームの位置合わせが成功した後、蛍光透視画像は、身体部分のリアルタイム蛍光透視画像に対する移動する医療器具の位置を正確に示すために、蛍光透視画像の上に重ね合わされた医療器具の表現と共に表示することができる。
【0034】
医療器具は、医療器具の位置追跡トランスデューサの所与の特別な関係内に医療器具上に配置され、以下により詳細に記載されるように、2つの座標フレームのロールを含むロケーション、向きの両方の位置合わせを可能にする放射線不透過性マーカーを含む。
【0035】
蛍光透視鏡が導入されるとき、放射線不透過性マーカーは、捕捉された蛍光透視画像に見られる。放射線不透過性マーカーは、蛍光透視画像内の医療器具のロールを含むロケーション及び向きを示すために十分な情報を提供する。医療器具の位置はまた、位置追跡トランスデューサによって提供される位置信号から計算され、位置追跡サブシステムの座標フレーム内の医療器具のロールを含む少なくとも1つのロケーション及び向きを提供する。
【0036】
一実施形態では、医療器具は、シャフト及び膨張可能なバルーンを含む。シャフトは、シャフトと同軸である放射線不透過性円筒上に巻かれた第1のコイルと、第1のコイルに直交して配設された第2のコイルと、を含む。バルーンは、その上に配置された放射線不透過性マーカーを含む。放射線不透過性円筒は、蛍光透視画像内の医療器具のロケーション及び向き(ロールを除く)を示す。バルーン上に配置された放射線不透過性マーカーは、蛍光透視画像内の医療器具のロールを示す。第1及び第2のコイルは共に、シャフトのロケーション及び向き(ロールを含む)を示す信号を提供する。第1のコイルのロケーション及び向きによって画定される円筒は、蛍光透視画像のうちの1つの上に重ね合わされる。第2のコイルの信号によって計算されたロールによって画定される要素もまた、蛍光透視画像の上に重ね合わされる。次いで、ユーザは、重ね合わされた円筒及び要素を操作して、それらを、それぞれ放射線不透過性円筒及びバルーン放射線不透過性マーカーの画像と位置合わせする。ユーザ位置合わせ入力は、蛍光透視鏡座標フレームと位置追跡サブシステム座標フレームとの間の差を定義する。次いで、ユーザ位置合わせ入力を使用して、2つの座標フレームを互いに位置合わせする。
【0037】
他の実施形態では、コイルは放射線不透過性円筒の上に巻かれているのではなく、医療器具の別の部分に巻かれ、放射線不透過性円筒に対して既知の空間的関係を有する。
【0038】
別の実施形態では、シャフト及びシャフトから延在するプロングを有するプローブが使用され得る。プローブは、シャフトに、典型的にはシャフトと同軸に配置された放射線不透過性円筒上に巻かれたコイルを含む。コイルからの信号を使用して、プローブのロケーション及び向き(ロールを除く)を計算し得る。プロングはまた、複数の電極を含む。電極のうちの1つを使用して、プローブのロールを決定し得る。放射線不透過性マーカーはまた、例えば、プローブのロールを決定するために使用される電極に隣接して、又はこれと共配置されたプロングのうちの1つに配置され得る。あるいは、ロールは、放射線不透過性円筒上に巻かれた上述のコイルに直交して配置された第2のコイルを使用して決定され得る。同軸コイルのロケーション及び向きによって画定される円筒は、蛍光透視画像の上に重ね合わされる。第2のコイルの信号によって計算されたロールによって画定される要素もまた、蛍光透視画像の上に重ね合わされる。次いで、ユーザは、重ね合わされた円筒及び要素を操作して、それらを、それぞれ放射線不透過性円筒及びプロング放射線不透過性マーカーの画像と位置合わせする。ユーザ位置合わせ入力は、蛍光透視鏡座標フレームと位置追跡サブシステム座標フレームとの間の差を定義する。次いで、ユーザ位置合わせ入力を使用して、2つの座標フレームを互いに位置合わせする。
【0039】
医療用器具は、バルーン又は複数のプロングを含むことに限定されるものではなく、シャフトの軸から離れるように延在する要素を有する遠位端を有する任意の医療器具を含み得、シャフトの軸から離れるように延在する要素上に配置された放射線不透過性マーカーに基づいて、医療器具のロールに関する有意義なデータを提供する。要素がシャフトの軸から離れるように延在する必要がある程度は、所望の位置合わせ精度に依存し得る。
【0040】
いくつかの実施形態では、単一の放射線不透過性マーカーを使用して、ロールを含むロケーション、向きを整列させ得る。例えば、放射線不透過性マーカーは、長手方向間隙を有する円筒を含み得る。同軸コイル及び直交して配置されたコイルによって提供される信号から計算されたロケーション及び向き(ロールを含む)によって画定される、同様のサイズの長手方向間隙を有する円筒が、蛍光透視画像のうちの1つの上に重ね合わされる。次いで、ユーザは、重ね合わされた円筒を操作して、放射線不透過性円筒の画像が、円筒の長手方向間隙を含む円筒に位置合わせされる。ユーザ位置合わせ入力は、蛍光透視鏡座標フレームと位置追跡サブシステム座標フレームとの間の差を定義する。次いで、ユーザ位置合わせ入力を使用して、2つの座標フレームを互いに位置合わせする。
【0041】
システムの説明
参照により本明細書に組み込まれる文書は本出願の一体部とみなされるべきであり、いかなる用語も、それらの組み込まれた文書内で、本明細書で明示的又は暗示的に行われる定義と相反するように定義される場合を除き、本明細書における定義のみが考慮されるべきである。
【0042】
ここで図面に目を向け、本発明の実施形態に従って構築されかつ動作する医療処置システム20の部分的に絵画的な、部分的なブロック図である図1と、図1のシステムのプロセッサのブロック図である図2とがここで参照される。医療処置システム20は、典型的には、患者22の鼻洞又は別の身体部位(脳又は心臓など)の侵襲的及び/又は調査的処置中に使用される。
【0043】
処置のために、磁場放射アセンブリ24は、例えば、患者22が横たわっているベッド23にアセンブリ24を固定することによって、患者22の頭部の後ろ及び/又は周りに位置決めされ得る。描写される例における磁界放射アセンブリ24は、馬蹄形のフレームに固定された5つの磁界放射器26を備え、フレームは、磁界放射器26が患者22の頭部を囲むように患者22の下又は周りに配置される。あるいは、より少数の又はより多数の放射器26が、様々な異なる構成で使用されてもよい。磁界放射器26は、磁界放射アセンブリ24に近接して身体部位が位置し、かつ患者22のヘッドを含む領域30内に対応する周波数で交番磁界を放射するように構成されている。
【0044】
交流磁場は、位置追跡トランスデューサ32において信号を誘導する。位置追跡トランスデューサ32は、医療器具28の位置を追跡するために医療器具28上に配置されて示されている。いくつかの実施形態において、医療器具28は、膨張可能なバルーン60を含み得る。ほんの一例として、医療器具28は、身体部位に挿入するためのプローブ、内視鏡、及び/又はENTツール、吸引ツール、マイクロデブリーダ、シェーバ、及び/又は把持具などの外科用ツールのうちの任意の1つ又は2つ以上を含んでもよい。
【0045】
医療器具28の遠位端62の位置は、遠位端62に取り付けられた位置追跡トランスデューサ32の位置及び向き座標を追跡する位置追跡サブシステム64を使用して追跡され得る。位置追跡トランスデューサ32は、トランスデューサ32の位置を示す信号を出力するように構成されている。信号は、プロセッサ38上で動作する位置追跡サブシステム64によって処理されて、医療器具28.の遠位端62の位置を追跡する。位置追跡サブシステム64が磁気追跡サブシステムである実施形態では、位置追跡トランスデューサ32は、少なくとも1つのコイル、典型的には2つ又は3つの直交して配置されたコイルを含む。その他の実施形態では、位置追跡サブシステム64は、医療器具28の少なくとも1つの電極(位置追跡トランスデューサ32に含まれる)によって放出される信号に基づき医療器具28の位置を追跡するために、複数のヘッド表面電極を使用する電気ベースの追跡サブシステムであり得る。位置追跡サブシステム64は、例えば、位置追跡トランスデューサ32が少なくとも1つの超音波トランスデューサを含む超音波ベースの追跡システムであるがこれらに限定されない任意の好適なロケーション追跡サブシステムを用いて実装され得る。位置追跡サブシステム64を使用して、医師54は、以下により詳細に記載される身体部位内で医療器具28の遠位端62を前進させる。
【0046】
以下により詳細に記載されるように、位置追跡トランスデューサ32は医療器具28に取り付けられ、位置追跡トランスデューサ32のロケーション及び向きの決定により、患者22(生体)の身体部位に可逆的に挿入され得る、医療器具28の遠位端62(又はその他のロケーション)のロケーション及び向きを追跡することが可能になる。
【0047】
磁場放射器26などの磁場放射器を用いたシステムは、患者に挿入されたエンティティの追跡を目的としたものであり、参照により本明細書中に組み込まれているGovariらの米国特許出願公開第2016/0007842号に記載されている。更に、Biosense Webster(33 Technology Drive,Irvine,CA 92618 USA)製のCarto(登録商標)システムは、磁場によって照射される領域内のコイルのロケーション及び向きを見つけるために、本明細書に記載されるのと同様の追跡システムを使用する。
【0048】
放射器26を含むシステム20の要素は、1つ又は2つ以上のメモリ42と通信する処理ユニットを含むプロセッサ38により制御され得る。典型的には、これらの要素はケーブルを介してプロセッサ38に接続され得、例えば、放射器26はケーブル58を介してプロセッサ38に接続され得る。代替的に、又は追加的に、この要素は、プロセッサ38に無線で連結され得る。プロセッサ38は、キーパッド、及び/又はマウス若しくはトラックボールなどのポインティングデバイスを典型的に含む動作制御装置51を備えるコンソール50内に取り付けられ得る。コンソール50はまた、医療器具28の近位端52などの医療処置システム20の他の要素にケーブル19を介して接続される。医師54は、処置を実行しつつ、動作制御装置51を使用してプロセッサ38と対話し、プロセッサ38は、システム20によって生成される結果をディスプレイ56上に提示し得る。
【0049】
いくつかの実施形態では、医療処置を実施する前に、患者22のCT画像が取得されている。CT画像は、プロセッサ38によるその後の検索のためにメモリ42内に記憶される。図1では、ディスプレイ56が、医師54が身体部位内で医療器具28を誘導するための補助として使用することのできる以前のCTスキャン(又は他の適切なスキャン)の画面59を表示している様子が示されている。CT画像は、医療器具28の表現がディスプレイ56上のCT画像と共に表示され得るように、磁気座標系と位置合わせされ得る。
【0050】
実際には、プロセッサ38のこれらの機能の一部又はすべては、組み合わせて単一の物理的構成要素とするか、あるいは複数の物理的構成要素を使用して具現化され得る。これらの物理的構成要素は、ハードワイヤードデバイス若しくはプログラマブルデバイス、又はこれら2つの組み合わせを備えてもよい。いくつかの実施形態では、プロセッサの機能のうちの少なくとも一部は、好適なソフトウェアの制御下でプログラム可能なプロセッサによって実行されてもよい。このソフトウェアは、例えばネットワークを介して電子的形態でデバイスにダウンロードされてもよい。代替的に又は追加的に、このソフトウェアは、光学的メモリ、磁気的メモリ又は電子的メモリなどの有形の非一時的なコンピュータ可読媒体に記憶されていてもよい。
【0051】
医療処置システム20はまた、蛍光透視画像を捕捉するための蛍光透視鏡40を含んでもよい。医療処置システム20はまた、プロセッサ38上で実行される位置合わせサブシステム44を含む。蛍光透視鏡40及び位置合わせサブシステム44は、図7~14を参照して以下でより詳細に説明される。
【0052】
ここで図3を参照すると、図3は、生体の身体部分に挿入されている、図1のシステム20の医療器具28の概略図である。医療器具28の遠位端62は、患者22の副鼻腔に挿入されて示されている。図3は、医療器具28がガイド46を含むことを示す。ガイド46は、直線からいくつかの湾曲構造の範囲の複数の構成で固定され得る。
【0053】
ここで図4を参照すると、図4は、医療器具28のガイドワイヤ48が身体部分内に延在させられていることを示す、図3の医療器具28の概略図である。ガイドワイヤ48は、ガイド46内から身体部分へと延在させられている。ガイドワイヤ48は、ガイド46の遠位端が固定された方向に概ね延在する。
【0054】
ここで図5を参照するが、図5は、図4のガイドワイヤ48上に延在させられた医療器具28のバルーンデバイス66の概略図である。図5では、バルーンデバイス66は、バルーンが収縮した状態で示されている。バルーンデバイス66は、以下で図6及び図7を参照してより詳細に説明される。
【0055】
次に、図5のバルーンデバイス66の膨張可能バルーン60が膨張させられた概略図である図6が参照される。膨張可能バルーン60は、任意の好適な医療処置のために膨張させられ得る。図6の実施例では、膨張可能バルーン60は、副鼻腔拡張を実施するために膨張させられている。膨張可能バルーン60は、例えば、空気又は生理食塩水などの液体を使用して、任意の好適な方法を用いて膨張させられ得る。医療器具28の好適なベース設計は、米国カリフォルニア州アーヴィンのAcclarent,Inc.によって製造されたRELIEVA SCOUT(登録商標)Multi-Sinus Dilation Systemに基づき得る。医療器具28は、膨張可能バルーン60を有するENTツールとして本明細書に記載されている。医療器具28は、生体の任意の好適な身体部分に使用するための任意の好適な医療器具であり得る。
【0056】
ここで図7を参照するが、図7は、医療器具28のトランスデューサ32の断面図72を含む、図6の医療器具28の概略図である。図7は、72-1及び72-2とラベル付けされた2つの断面図72を含む。断面図72-1の両方は、医療器具28の様々な層を示す長手方向断面図である。
【0057】
医療用器具28は、2つの位置追跡トランスデューサ32(32-1及び32-2とラベル付けされている)を含む。位置追跡トランスデューサ32-1は、医療器具28のシャフト68と同軸上に配置されたコイルであり得る。コイルであり得る位置追跡トランスデューサ32-2は、位置追跡トランスデューサ32-1に直交して配置されている。位置追跡トランスデューサ32-1、32-2は一緒に、医療器具28の遠位端62のロールを含むロケーション及び向きを計算するために使用され得る信号を提供する。位置追跡トランスデューサ32は、膨張可能バルーン60の遠位端に配置されているものとして示されている。いくつかの実施形態では、位置追跡トランスデューサ32は、医療器具28上の任意の好適なロケーション、例えば、シャフト68の任意の好適なロケーションに配置され得る。
【0058】
医療器具28は、シャフト68上に配置された放射線不透過性マーカー70を含む。いくつかの実施形態では、放射線不透過性マーカー70は、図7に示すような放射線不透過性円筒を含む。いくつかの実施形態では、位置追跡トランスデューサ32-1はコイルであり、コイルは放射線不透過性円筒上に巻かれている。
【0059】
医療用器具28はまた、シャフト68の軸から離れるように延在するように構成された遠位端62の要素(例えば、膨張可能バルーン60内に含まれる)上に配置された放射線不透過性マーカー74を含む。
【0060】
放射線不透過性マーカー70、74は、例えば、ステンレス鋼又は鉄であるが、これらに限定されない、任意の好適な放射線不透過性材料から構成され得、これは生体適合性材料で好適にコーティングされている。
【0061】
断面図72-1、72-1は、ガイドワイヤ48がガイド46内に配置されており、ガイド46がバルーンデバイス66の内側層76及び外側層78によって包囲されており、位置追跡トランスデューサ32が内側層76と外層78との間に挟まれていることを示す。
【0062】
断面図72-1は、内側層76を包囲する放射線不透過性マーカー70(例えば、放射線不透過性円筒)を示し、位置追跡トランスデューサ32-1のコイルは、放射線不透過性マーカー70上にシャフト68と同軸に巻かれていることを示す。断面図72-2は、位置追跡トランスデューサ32-2のコイルが位置追跡トランスデューサ32-1のコイルに直交して巻かれていることを示す。
【0063】
放射線不透過性マーカー70は、後述する位置合わせをより容易に計算するために、位置追跡トランスデューサ32-1と同じロケーションに便利には配置され得る。いくつかの実施形態では、位置追跡トランスデューサ32-1は、放射線不透過性マーカー70から異なるロケーションに配置され得、放射線不透過性マーカー70と位置追跡トランスデューサ32-1との間の所与の空間的関係の間の補償は、位置合わせ計算を実行する際に考慮される。
【0064】
ここで図8を参照すると、図8は、撮影された蛍光透視画像82と、医療用器具28の遠位端62の計算された位置を示すグラフィック表現84(84-1及び84-2とラベル付けされている)を含むユーザインターフェース画面80の概略図である。図7もまた参照されたい。撮影された蛍光透視画像82は、放射線不透過性マーカー70のマーカー画像86と、放射線不透過性マーカー74のマーカー画像88とを含む。ユーザインターフェース画面80内のグラフィック表現84-1の位置決めは、位置追跡トランスデューサ32-1によって提供される信号に基づいて、放射線不透過性マーカー70の計算されたロケーション及び向きに対応する。ユーザインターフェース画面80内のグラフィック表現84-2の位置決めは、位置追跡トランスデューサ32-2によって提供される信号に基づいて、放射線不透過性マーカー74の計算されたロケーションに対応する。放射線不透過性マーカー74のロケーションは、位置追跡トランスデューサ32-2の計算されたロールに従って、膨張可能バルーン60の円周の周りの位置に基づいて計算され得、円周はまた放射線不透過性マーカー74を通過する。
【0065】
位置合わせプロセスの一部として、医師54は、グラフィック表現84-1及びグラフィック表現84-2がそれぞれマーカー画像86及びマーカー画像88と位置合わせされるように、操作制御装置51を使用してグラフィック表現84を操作する。医師54は、それらを任意の好適な方向(上下、左右、対角線など)でユーザインターフェース画面80を横切って移動させ、それらを後方に移動させ、それらを前方に移動させ、グラフィック表現84の向き及び回転(ロール)を変更することによって、グラフィック表現84を操作し得る。グラフィック表現84が、同じアイテム(例えば、医療用器具28)上の異なる位置(例えば、放射線不透過性マーカー70及び放射線不透過性マーカー74)に対応するので、グラフィック表現84は、グラフィック表現84間の同じ空間的関係を維持して自動的に移動させられる。それにもかかわらず、医師54が、最初に、円筒(例えば、マーカー画像86を有するグラフィック表現84-1)を最初に位置合わせし、次いでグラフィック表現84-2をマーカー画像88とその後に位置合わせすることを試みることは、より直感的であり得る。
【0066】
ここで、グラフィック表現84の初期ユーザ位置合わせ後の、図8のユーザインターフェース画面80の概略図である図9を参照する。図9は、グラフィック表現84がマーカー画像86及びマーカー画像88.に近づくように移動させられていることを示す。
【0067】
ここで、グラフィック表現84の更なるユーザ位置合わせ後の、図9のユーザインターフェース画面80の概略図である図10を参照する。図10は、グラフィック表現84-1が時計回りに回転させられ、マーカー画像86とほぼ位置合わせさせられているが、グラフィック表現84-2はマーカー画像88とまだ位置合わせされていないことを示す。
【0068】
ここで、グラフィック表現84の更なるユーザ位置合わせ後の、図10のユーザインターフェース画面80の概略図である図11を参照する。グラフィック表現84は、グラフィック表現84-2がマーカー画像88とほぼ位置合わせされるまで、グラフィック表現84-1の軸の周りを回転させられている。グラフィック表現84-1、84-2がマーカー画像86及びマーカー画像88とそれぞれ位置合わせされると、ユーザ位置合わせ入力は、蛍光透視鏡40の座標フレームを位置追跡サブシステム64の座標フレームと位置合わせするために使用される(図2)。
【0069】
ここで図12を参照すると、図12は、図1のシステム20で使用する位置合わせ方法における例示的なステップを含むフロー図90である。位置追跡サブシステム64(図2)は、位置追跡トランスデューサ32(図7)によって提供される位置信号に応答して、位置追跡サブシステム座標フレーム内の医療器具28の遠位端62の少なくとも1つのロケーション及び向き(ロールを含む)を含む位置を計算する(ブロック92)ように構成されている。
【0070】
いくつかの実施形態では、位置追跡サブシステム64は、位置追跡トランスデューサ32-1によって提供される位置信号に応答して、位置追跡サブシステム座標フレーム内の医療器具28の遠位端62(例えば、放射線不透過性マーカー70)の第1のロケーション及び向きを含む第1の位置を計算し、位置追跡トランスデューサ32-2によって提供される位置信号に応答して、位置追跡サブシステム座標フレーム内の医療器具28の遠位端62(例えば、放射線不透過性マーカー74)の第2のロケーションを含む第2の位置を計算するように構成されている。
【0071】
蛍光透視鏡40は導入され、身体部分の内部及び医療器具28の放射線不透過性マーカー70,74の蛍光透視画像を経時的に捕捉する(ブロック94)ように構成されている。
【0072】
位置合わせサブシステム44は、放射線不透過性マーカー70のマーカー画像86及び放射線不透過性マーカー74のマーカー画像88を含む捕捉された蛍光透視画像を、ディスプレイ56にレンダリングし(ブロック96)、蛍光透視画像上に、遠位端62の計算された位置を示す位置におけるグラフィック表現84(例えば、第1の計算位置におけるグラフィック表現84-1、及び第2の計算位置におけるグラフィック表現84-2)を重ね合わせるように構成されている。
【0073】
位置合わせサブシステム44は、それぞれのグラフィック表現84をマーカー画像86、88のそれぞれと位置合わせする(例えば、グラフィック表現84-1をマーカー画像86と位置合わせしかつグラフィック表現84-2をマーカー画像88と位置合わせする)ユーザ位置合わせ入力を受信する(ブロック98)ように構成されている。位置合わせサブシステム44は、受信されたユーザ位置合わせ入力に従って、ユーザインターフェース画面80(図8図11)上でマーカー画像86、88に対してグラフィック表現84を移動させる(ブロック100)ように構成されている。ブロック98及び100のステップは、ユーザインターフェース画面80上のグラフィック表現84の移動に対する複数の更新を可能にし得る。
【0074】
位置合わせサブシステム44は、受信されたユーザ位置合わせ入力に応じて位置追跡サブシステム座標フレームを蛍光透視鏡40の座標フレームと位置合わせするように構成されており(ブロック102)、これにより、グラフィック表現84を、それらの元の位置から、マーカー画像86、88と位置合わせされたそれらの最終位置にもたらす。
【0075】
位置追跡サブシステム座標フレームが蛍光透視鏡40の座標フレームと位置合わせされると、プロセッサ38は、医療器具28をその上に表示した蛍光透視画像をディスプレイ56にレンダリングするように構成されている。
【0076】
図13も参照すると、図13は、図1のシステム20と共に使用するためのマルチプロングプローブ104の概略図である。マルチプロングプローブ104は、シャフト106及び複数のプロング108とを含み、各プロング108は、複数の電極110を含む。簡略化のために、電極110のうちの一部のみにラベルが付けられている。マルチプロングプローブ104の例は、Biosense Webster of 33 Technology Drive、Irvine、CA 92618 USAによって製造されるCARTO PENTARAY(登録商標)カテーテルである。マルチプロングプローブ104は、シャフト106上に配置されかつシャフト106と同軸である放射線不透過性円筒マーカー114上に巻かれたコイル112を含む。コイル112は、外側層116で覆われている。コイル112は、位置追跡トランスデューサとして構成されており、放射線不透過性円筒114のロケーション及び向きを計算するために位置信号を位置追跡サブシステム64(図2)に提供する。
【0077】
プロング108のうちの1つプロング108-1の電極110のうちの1つである電極110-1は、プロング108-1の上の放射線不透過性層マーカー118の上に配置されており、したがって放射線不透過性層マーカー118と共配置されている。プロング108-1は、シャフト106の軸から離れるように延在するように構成された細長い要素である。電極110-1は、位置追跡トランスデューサとして使用されてよく、位置信号を位置追跡サブシステム64に提供して、放射線不透過性層118の位置(例えば、ロケーション)を計算し、これにより、マルチプロングプローブ104のロールが位置合わせさせられる。
【0078】
ここで、図1のシステム20において使用するための代替的な放射線不透過性マーカー120の概略図である図14を参照する。いくつかの実施形態では、単一の放射線不透過性マーカー120が、図7の円筒状の放射線不透過性マーカーと置き換わっており、ロールを含むロケーション、向きを位置合わせするために使用され得る。例えば、単一の放射線不透過性マーカー120は、長手方向間隙122を有する円筒を含み得る。同軸コイル32-1(図7)及び直交配置されたコイル32-2(図7)によって提供される信号から計算されたロケーション及び向き(ロールを含む)によって定義される、同様のサイズの長手方向間隙を有する円筒が、ユーザインターフェース画面80における蛍光透視画像のうちの1つの上に重ね合わされる(図8図11)。次いで、医師54は、放射線不透過性円筒のマーカー画像に対して、重ね合わされた円筒を操作し、円筒の長手方向間隙を含む円筒を位置合わせする。ユーザ位置合わせ入力は、ロールを含むロケーション及び向きに関する蛍光透視鏡座標フレームと位置追跡サブシステム座標フレームとの間の差を定義する。次いで、ユーザ位置合わせ入力を使用して、2つの座標フレームを互いに位置合わせする。
【0079】
本発明の様々な特徴が、明確性のために別個の実施形態の文脈において記載されており、これらが単一の実施形態に組み合わされて提供されてもよい。逆に、簡潔にするために単一の実施形態の文脈において記載されている本発明の様々な特徴が、別々に又は任意の好適な部分組合せで提供されてもよい。
【0080】
上に記載される実施形態は、例として引用されており、本発明は、上記の明細書に具体的に図示及び記載されたものによって限定されない。むしろ、本発明の範囲は、上記の明細書に記載された様々な特徴のコンビネーション及びサブコンビネーションの両方、並びに前述の記載を読むと当業者が思い付くであろうが、先行技術に開示されていないその変形及び修正を含む。
【0081】
〔実施の態様〕
(1) 医療処置システムであって、
生体の身体部分に挿入されるように構成された医療器具であって、位置信号を提供するように構成された位置追跡トランスデューサと、シャフトと、遠位端と、少なくとも1つの放射線不透過性マーカーと、を含む医療器具と、
前記位置信号に応答して、位置追跡サブシステム座標フレーム内の前記医療器具の前記遠位端の少なくとも1つのロケーション及び向きを含む位置を計算するように構成された位置追跡サブシステムと、
前記身体部分の内部及び前記医療器具の前記少なくとも1つの放射線不透過性マーカーの蛍光透視画像を経時的に捕捉するように構成された蛍光透視鏡と、
ディスプレイと、
位置合わせサブシステムであって、
前記少なくとも1つの放射線不透過性マーカーの少なくとも1つのマーカー画像を含む捕捉された前記蛍光透視画像、及び前記遠位端の計算された前記位置を示す少なくとも1つのグラフィック表現を、前記ディスプレイにレンダリングし、
前記少なくとも1つのグラフィック表現を前記少なくとも1つのマーカー画像と位置合わせするユーザ位置合わせ入力を受信し、
受信された前記ユーザ位置合わせ入力に応じて、前記位置追跡サブシステム座標フレームを前記蛍光透視鏡の座標フレームと位置合わせするように構成された位置合わせサブシステムと、を含む、医療処置システム。
(2) 前記遠位端は、前記シャフトの軸から離れるように延在するように構成された要素を含み、
前記少なくとも1つの放射線不透過性マーカーは、
前記シャフト上に配置された第1の放射線不透過性マーカーと、
前記シャフトの前記軸から離れるように延在するように構成された前記要素上に配置された第2の放射線不透過性マーカーと、を含み、
前記位置追跡サブシステムは、
前記位置信号のうちの少なくとも1つに応じて、前記位置追跡サブシステム座標フレームにおける前記医療器具の前記遠位端の第1のロケーション及び向きを含む第1の位置を計算し、
前記位置信号のうちの少なくとも1つに応じて、前記位置追跡サブシステム座標フレーム内の前記医療器具の前記遠位端の第2のロケーションを含む第2の位置を計算するように構成されており、
前記位置合わせサブシステムは、
前記第1の放射線不透過性マーカーの第1のマーカー画像と、前記第2の放射線不透過性マーカーの第2のマーカー画像と、前記遠位端の計算された前記第1の位置を示す第1のグラフィック表現と、前記遠位端の計算された前記第2の位置を示す第2のグラフィック表現と、を含む、前記捕捉された蛍光透視画像を前記ディスプレイにレンダリングし、
前記第1のグラフィック表現を前記第1のマーカー画像と位置合わせし、前記第2のグラフィック表現を前記第2のマーカー画像と位置合わせするユーザ位置合わせ入力を受信する、ように構成されている、実施態様1に記載のシステム。
(3) 前記位置追跡トランスデューサが、前記シャフトと同軸に配置された第1のコイルを含む、実施態様2に記載のシステム。
(4) 前記第1の放射線不透過性マーカーが、放射線不透過性円筒を含む、実施態様3に記載のシステム。
(5) 前記第1のコイルが、前記放射線不透過性円筒上に巻かれている、実施態様4に記載のシステム。
【0082】
(6) 前記位置追跡トランスデューサが、前記第1のコイルに直交して配置された第2のコイルを含む、実施態様5に記載のシステム。
(7) 前記シャフトの前記軸から離れるように延在するように構成された前記要素が、膨張可能なバルーン内に含まれている、実施態様3に記載のシステム。
(8) 前記第1の放射線不透過性マーカーが、放射線不透過性円筒を含み、前記第1のコイルが、前記放射線不透過性円筒上に巻かれ、前記位置追跡トランスデューサが、前記第1のコイルに直交して配置された第2のコイルを含む、実施態様7に記載のシステム。
(9) 前記シャフトの前記軸から離れるように延在するように構成された前記要素が、電極を含む細長い要素に含まれている、実施態様3に記載のシステム。
(10) 前記位置追跡トランスデューサが前記電極を含む、実施態様9に記載のシステム。
【0083】
(11) 前記第2の放射線不透過性マーカーが、前記電極と共配置されている、実施態様10に記載のシステム。
(12) 前記少なくとも1つの放射線不透過性マーカーが、長手方向間隙を有する円筒を含む、実施態様1に記載のシステム。
(13) 医療処置方法であって、
医療器具を生体の身体部分に挿入することと、
前記医療器具の位置追跡トランスデューサによって提供される位置信号に応じて、位置追跡サブシステム座標フレーム内の前記医療器具の遠位端の少なくとも1つのロケーション及び向きを含む位置を計算することと、
蛍光透視鏡を使用して、前記身体部分の内部及び前記医療器具の少なくとも1つの放射線不透過性マーカーの蛍光透視画像を経時的に捕捉することと、
前記少なくとも1つの放射線不透過性マーカーの少なくとも1つのマーカー画像を含む捕捉された前記蛍光透視画像、及び前記遠位端の計算された前記位置を示す少なくとも1つのグラフィック表現をディスプレイにレンダリングすることと、
前記少なくとも1つのグラフィック表現を前記少なくとも1つのマーカー画像と位置合わせするユーザ位置合わせ入力を受信することと、
受信した前記ユーザ位置合わせ入力に応じて、前記位置追跡サブシステム座標フレームを前記蛍光透視鏡の座標フレームと位置合わせすることと、を含む、方法。
(14) 前記遠位端は、前記医療器具のシャフトの軸から離れるように延在するように構成された要素を含み、
前記少なくとも1つの放射線不透過性マーカーは、
前記シャフト上に配置された第1の放射線不透過性マーカーと、
前記シャフトの前記軸から離れるように延在するように構成された前記要素上に配置された第2の放射線不透過性マーカーと、を含み
前記方法が、更に
前記位置信号のうちの少なくとも1つに応じて、前記位置追跡サブシステム座標フレームにおける前記医療器具の前記遠位端の第1のロケーション及び向きを含む第1の位置を計算することと、
前記位置信号のうちの少なくとも1つに応じて、前記位置追跡サブシステム座標フレーム内の前記医療器具の前記遠位端の第2のロケーションを含む第2の位置を計算することと、
前記第1の放射線不透過性マーカーの第1のマーカー画像と、前記第2の放射線不透過性マーカーの第2のマーカー画像と、前記遠位端の計算された前記第1の位置を示す第1のグラフィック表現と、前記遠位端の計算された前記第2の位置を示す第2のグラフィック表現と、を含む、前記捕捉された蛍光透視画像を前記ディスプレイにレンダリングすることと、
前記第1のグラフィック表現を前記第1のマーカー画像と位置合わせし、前記第2のグラフィック表現を前記第2のマーカー画像と位置合わせするユーザ位置合わせ入力を受信することと、を含む、実施態様13に記載の方法。
(15) 前記位置追跡トランスデューサが、前記シャフトと同軸に配置された第1のコイルを含む、実施態様14に記載の方法。
【0084】
(16) 前記第1の放射線不透過性マーカーが、放射線不透過性円筒を含む、実施態様15に記載の方法。
(17) 前記第1のコイルが、前記放射線不透過性円筒上に巻かれている、実施態様16に記載の方法。
(18) 前記位置追跡トランスデューサが、前記第1のコイルに直交して配置された第2のコイルを含む、実施態様17に記載の方法。
(19) 前記シャフトの前記軸から離れるように延在するように構成された前記要素が、膨張可能なバルーン内に含まれる、実施態様15に記載の方法。
(20) 前記第1の放射線不透過性マーカーが、放射線不透過性円筒を含み、前記第1のコイルが、前記放射線不透過性円筒上に巻かれ、前記位置追跡トランスデューサが、前記第1のコイルに直交して配置された第2のコイルを含む、実施態様19に記載の方法。
【0085】
(21) 前記シャフトの前記軸から離れるように延在するように構成された前記要素が、電極を含む細長い要素に含まれる、実施態様15に記載の方法。
(22) 前記位置追跡トランスデューサが前記電極を含む、実施態様21に記載の方法。
(23) 前記第2の放射線不透過性マーカーが、前記電極と共配置されている、実施態様22に記載の方法。
(24) 前記少なくとも1つの放射線不透過性マーカーが、長手方向間隙を有する円筒を含む、実施態様13に記載の方法。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
【国際調査報告】