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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-08-03
(54)【発明の名称】微生物成長用バイオリアクタ
(51)【国際特許分類】
   C12M 1/00 20060101AFI20220727BHJP
   C12M 1/02 20060101ALI20220727BHJP
【FI】
C12M1/00 D
C12M1/02 A
【審査請求】有
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2021570347
(86)(22)【出願日】2020-07-16
(85)【翻訳文提出日】2021-11-26
(86)【国際出願番号】 EP2020070166
(87)【国際公開番号】W WO2021013698
(87)【国際公開日】2021-01-28
(31)【優先権主張番号】20195648
(32)【優先日】2019-07-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FI
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520476330
【氏名又は名称】ソーラー フーズ オーユー
(74)【代理人】
【識別番号】100127188
【弁理士】
【氏名又は名称】川守田 光紀
(72)【発明者】
【氏名】ヴァイニッカ パシ
(72)【発明者】
【氏名】ピトゥカネン ユハ-ペッカ
【テーマコード(参考)】
4B029
【Fターム(参考)】
4B029AA02
4B029BB01
4B029DA05
4B029DB01
4B029GB02
(57)【要約】
反応媒体と微生物とを含む反応混合物(102A、102B)中で微生物を成長させるバイオリアクタ(100、200、400)が開示される。このバイオリアクタは、第1反応チャンバ(104)と、第2反応チャンバ(110)と、第1反応チャンバを第2反応チャンバに接続する手段(116、206、208、410)とを備える。第1反応チャンバは、第1の数の微生物を収容する第1容積と、第1反応チャンバに反応混合物を提供する第1入力部(106)と、第1反応チャンバから余剰ガス(122)を除去する第1出力部(108)とを有する。第2反応チャンバは、第1反応チャンバの下流に配置され、第2の数の微生物を収容する第2容積と、第2反応チャンバにガスを提供する第2入力部(112)と、第2反応チャンバから反応混合物を除去する第2出力部(114)とを有する。前記接続手段は、第1反応チャンバから第2反応チャンバへと反応混合物が流れることと、第2反応チャンバから第1反応チャンバへとガスが流れることを可能にする唯一の入力部である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
反応媒体と微生物とを含む反応混合物(102A、102B)中で微生物を成長させるバイオリアクタ(100、200、400)であって、
・ 動作時に前記反応混合物を収容する第1反応チャンバ(104)と、
・ 前記第1反応チャンバの下流に配置され、動作時に前記反応混合物を収容する第2反応チャンバ(110)と、
・ 前記第1反応チャンバを前記第2反応チャンバに接続する手段(116、206、208、410)と、
を備え、
前記第1反応チャンバは、
・ 第1の数の微生物を収容する第1容積と、
・ 前記第1反応チャンバに前記反応混合物を提供する第1入力部(106)と、
・ 前記第1反応チャンバから余剰ガス(122)を除去する第1出力部(108)と、
を有し、
前記第2反応チャンバは、
・ 前記第1の数の微生物よりも多い第2の数の微生物を収容する第2容積と、
・ 前記第2反応チャンバにガスを提供する第2入力部(112)と、
・ 前記第2反応チャンバから前記反応混合物を除去する第2出力部(114)と、
を有し、
前記接続する手段は、動作時に、前記第1反応チャンバから前記第2反応チャンバへと前記反応混合物が流れることと、前記第2反応チャンバから前記第1反応チャンバへと前記ガスが流れることを可能にし、
・ 前記接続する手段は、前記ガスの前記第1反応チャンバへの唯一の入力部であり、前記反応混合物の前記第2反応チャンバへの唯一の入力部であり、
・ 前記接続する手段の断面積は、前記第1反応チャンバ又は前記第2反応チャンバの一方の断面積の最大5%であり、
・ 前記バイオリアクタは、前記第1反応チャンバに配置され、前記第1入力部及び前記第1出力部に接続されたコレクタ(118)を更に備え、前記コレクタは、前記第1反応チャンバへと前記反応混合物が流れることと、前記第1反応チャンバから前記余剰ガスが排出されることを可能にし、前記コレクタは、所定のレベル(120)まで前記反応混合物で充填され、前記反応混合物の上部に前記余剰ガスで充填されるように構成される、
バイオリアクタ。
【請求項2】
前記第2入力部(112)は複数の経路を備え、前記複数の経路のそれぞれは、前記ガスのうちの個々のガスを運んで前記第2反応チャンバ(110)へと提供する、請求項1に記載のバイオリアクタ(100、200、400)。
【請求項3】
前記第1出力部(108)と前記第2入力部(112)との間に配置された、前記余剰ガス(122)を再生するガス再生構成を更に備える、請求項1又は2に記載のバイオリアクタ(100、200、400)。
【請求項4】
前記第1反応チャンバ(104)及び前記第2反応チャンバ(110)はそれぞれ、前記反応混合物(102A、102B)及び前記ガスを内部で混合するアジテータ構成(124)を更に備える、請求項1から3のいずれかに記載のバイオリアクタ(100、200、400)。
【請求項5】
前記アジテータ構成(124)は、モーター(126)と、前記モーターに接続されたシャフト(128)と、前記シャフトに配置された複数のブレード(130)と、を備える、請求項4に記載のバイオリアクタ(100、200、400)。
【請求項6】
前記シャフト(128)に配置され、前記ブレード(130)に隣接する複数のディスクを更に備える、請求項5に記載のバイオリアクタ(100、200、400)。
【請求項7】
前記ディスクは、前記第1反応チャンバ(104)及び前記第2反応チャンバ(110)の一方の断面積に合わせた形状を有するように構成され、前記ディスクは、前記断面積よりサイズが小さく、前記ディスクと前記第1反応チャンバ又は前記第2反応チャンバの壁との間に狭い空間を生じる、請求項6に記載のバイオリアクタ(100、200、400)。
【請求項8】
前記第1反応チャンバ(104)を前記第2反応チャンバ(110)に接続する前記手段(116、206、208、410)は、長さLを有する中空構造である、請求項1から7のいずれかに記載のバイオリアクタ(100、200、400)。
【請求項9】
前記第1反応チャンバ(104)を前記第2反応チャンバ(110)に接続する前記手段(116、206、208、410)は、長さLを有する管である、請求項1から7のいずれかに記載のバイオリアクタ(100、200、400)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して微生物の成長に関し、より詳細には微生物を成長させるバイオリアクタに関する。
【背景】
【0002】
微生物の成長は、最適なバランスの環境条件下のバイオリアクタ内で行われるのが一般的である。最適なバランスの環境条件としては、バランスのとれた栄養素量、ガス、熱、pH、及び圧力が挙げられる。通常、栄養素とガスは、バイオリアクタに供給され、水、培養液等の液体媒体内に溶解する。しかし、液体媒体にガスを提供し、このガスを微生物が効果的に摂取できるように利用可能にすることに関して、バイオリアクタには問題がある。
【0003】
従来、バイオリアクタには、ガスがバイオリアクタ底部から、バイオリアクタ内部に収容された液体媒体へと、所定の圧力下で送り込まれる。典型的には、ガスがバイオリアクタ底部からバイオリアクタ上部に上昇するのに掛かる時間(「滞留時間」と称する)は、微生物によるガスの摂取に比例する。更に、ガスは泡(気泡)を液体媒体内に形成する。ガスが微生物に摂取されるように、気泡が網羅する面積を最大化するため、当該気泡のサイズは最小限にとどめる必要がある。したがって、液体媒体内にガスを適切に溶解させ、滞留時間を延ばし、大きなサイズの気泡を小さなサイズの気泡に分割(小型化)するための様々なシステムが、バイオリアクタに備えられている。この例としては、ガススパージャ、ポンプ、ミキサー、タービン、様々な形状の構成(例えば、U字管構成)等が挙げられる。しかし、液体媒体の通気のための各種システムにもかかわらず、ガスの一部は溶解せず、バイオリアクタ上部に溜まってしまう。更に、気泡の小型化時に、バイオリアクタ内に無液体領域(キャビテーションとも称する)が形成されてしまう。その結果、溶解していないガスは微生物に利用できず、無液体領域は、バイオリアクタ及びその実施システムのエネルギ効率に悪影響を及ぼす。
【0004】
ガスがより利用されるように、従来からリアクタカスケードが利用されている。リアクタカスケードは、ガスの消費量を最大化するため、複数のバイオリアクタが直列に後続配置されたものである。しかし、従来のリアクタカスケード設定において、未使用ガスは、最終的に個々のバイオリアクタそれぞれの上部のヘッドスペースに到達する。未使用ガスは、互いに対しても、バイオリアクタの壁にも、圧力を掛ける。これは、爆発、高反応性等の障害に帰結する。更に、このようなシステムは、哺乳類細胞等の成長の遅い培養の成長のみに対応しており、集中的な微生物成長には対応していない。
【0005】
文献US3298821Aには、廃棄有機材料を分解する処理が記載されている。これは、廃棄材料を略矩形断面床において水平に移動させながら、この材料に好気細菌消化を実施するものである。同処理は、当該床に割れ目を形成することを含む。割れ目は、当該床の移動方向に対して垂直な、当該床の幅全体に延在し、当該床の上面から、当該床の底に向けて下方に延在する。この際、当該床の略矩形断面の構成が維持される。これにより、当該割れ目を通じて、かつ当該床周りに空気を通すことによって、当該床が制御された通気に曝されて、効率的で迅速な好気細菌消化が促進され得る。
【0006】
別の文献CN102191277Aには、水素生成用のトレイ式バイオリアクタが記載されている。バイオマスが、光ファイバートレイと、U字形状の熱交換トレイを交互に通過する。還流水素の気泡効果により、懸濁液熱交換及び暗所/明暗発酵により、連続した水素生成処理が実現される。
【0007】
更に別の文献WO2014176852A1には、培養ボックスと、気泡発生器とを備える微生物培養デバイスが記載されている。培養ボックスには、気泡誘導構造が設けられ、これによって栄養素内容物とともに気泡が上方に移動するように誘導される。
【0008】
更に別の文献KR101366260B1には、バイオリアクタ装置が記載されている。リアクタは、下水用の浄化処理空間を提供する。リアクタの底に下水入口管及び空気入口管が取り付けられる。少なくとも1つの空気拡散プレートが、外形にスリットを有する三角錐形状に固定される。下水と空気は、スリットを通じて上方へと通されるが、空気の一部は下部に残る。空気出口管及び下水出口管は、リアクタの上端に接続される。
【0009】
更に別の文献KR20080097893Aには、有機廃棄物発酵用のリアクタが記載されている。このリアクタは複数のチャンバを有する。リアクタの上部には、廃棄物用の入口と、ガス出口とが配置されている。リアクタの底には、酸素ディフューザと反応混合物出口とが配置されている。所定の角度範囲内で、撹拌シャフトが前後に回転する。更に、リアクタ内に形成された各媒体層を通るかき混ぜシャフトから、左右方向に分岐するようにかき混ぜ器が設けられる。
【0010】
更に別の文献WO2014064338A1には、有機廃棄物を処理する容器と、この容器内に有機廃棄物を供給する入口と、処理済みの有機廃棄物を廃棄物として前記容器から排出する出口と、当該容器内で有機廃棄物を運ぶ少なくとも1つの支持構造を含む支持手段と、当該容器内で有機廃棄物を運ぶ少なくとも1つの支持構造上で、有機廃棄物を移動させる移動手段と、当該容器内にガスを供給する供給手段と、排ガスを排出するガス排出手段とを備える、有機廃棄物を処理する構成が記載されている。前記供給手段は、少なくとも1つの支持構造上で運ばれる有機廃棄物に、ガスを向けるように構成される。前記移動手段は、前記容器内に存在する有機廃棄物に送り込まれる有機廃棄物が混合することを少なくとも部分的に防止するために、前記容器内に前記入口を介して供給された有機廃棄物を、前記入口から前記出口の方向に移動させるように構成される。
【0011】
更に別の文献US3314765Aには、廃棄物を投入する入口をその上部に有し、処理済みの有機材料を排出する出口をその底に有する中空シリンダを備える、細菌消化機が記載されている。このシリンダは、内部の複数の水平プレートにより、複数の積み重なったドラム形状区画に分割されている。各プレートは、有機材料の下方流を可能とする、少なくとも1つの移送口を有するように形成される。同軸回転シャフト手段が、シリンダの上から底まで、すべての区画を貫通する。
【0012】
したがって、上述の記載に照らし、従来のバイオリアクタの設計についての種々の欠点を解消する必要がある。
【摘要】
【0013】
本開示は、反応媒体と微生物とを含む反応混合物中で微生物を成長させるバイオリアクタの提供を意図する。本開示は、バイオリアクタ内の反応混合物におけるガスの低溶解及び不完全利用という現存する問題の解決策を提供することを意図する。本開示の目的は、従来技術の問題を少なくとも部分的に解消する解決策を提供することであり、より長いガスの滞留時間を実現し、その結果、微生物の最適な成長のために反応混合物中のガスの完全に近い利用を達成するバイオリアクタの効率的及びロバストな設計を提供する。
【0014】
ある態様では、本開示の実施形態は、反応媒体と微生物とを含む反応混合物中で微生物を成長させるバイオリアクタを提供する。このバイオリアクタは、
・ 動作時に前記反応混合物を収容する第1反応チャンバと、
・ 前記第1反応チャンバの下流に配置され、動作時に前記反応混合物を収容する第2反応チャンバと、
・ 前記第1反応チャンバを前記第2反応チャンバに接続する手段と、
を備え、
前記第1反応チャンバは、
・ 第1の数の微生物を収容する第1容積と、
・ 前記第1反応チャンバに前記反応混合物を提供する第1入力部と、
・ 前記第1反応チャンバから余剰ガスを除去する第1出力部と、
を有し、
前記第2反応チャンバは、
・ 前記第1の数の微生物よりも多い第2の数の微生物を収容する第2容積と、
・ 前記第2反応チャンバにガスを提供する第2入力部と、
・ 前記第2反応チャンバから前記反応混合物を除去する第2出力部と、
を有し、
前記接続する手段は、動作時に、前記第1反応チャンバから前記第2反応チャンバへと前記反応混合物が流れることと、前記第2反応チャンバから前記第1反応チャンバへと前記ガスが流れることを可能にし、
・ 前記接続する手段は、前記ガスの前記第1反応チャンバへの唯一の入力部であり、前記反応混合物の前記第2反応チャンバへの唯一の入力部であり、
・ 前記接続する手段の断面積は、前記第1反応チャンバ又は前記第2反応チャンバの一方の断面積の最大5%であり、
・ 前記バイオリアクタは、前記第1反応チャンバに配置され、前記第1入力部及び前記第1出力部に接続されたコレクタを更に備え、前記コレクタは、前記第1反応チャンバへと前記反応混合物が流れることと、前記第1反応チャンバから前記余剰ガスが排出されることを可能にし、前記コレクタは、所定のレベルまで前記反応混合物で充填され、前記反応混合物の上部に前記余剰ガスで充填されるように構成される。
【0015】
本開示の実施形態は、従来技術における上述の問題を実質的になくすか、又は少なくとも部分的にこれに対処し、微生物の最適な成長のためにバイオリアクタ内のガスの効果的な供給とガスの利用向上を可能とするものである。更に、本開示の実施形態は、液体結合用により大きな表面積を提供するように、小サイズの気泡の生成を可能とする。これによって、微生物により吸収されるように、反応混合物とガスとの適切な混合を保証する。
【0016】
本開示の更なる態様、効果、特徴、及び目的は、添付の請求項との関連で解釈される図面及び例示的な実施形態の詳細説明から明らかになるであろう。
【0017】
本開示の特徴は、添付の請求項に定義される本開示の範囲から逸脱することなく、様々な組合せで組み合わされ得ることが理解されよう。
【0018】
上述の摘要及び例示的な実施形態の以下の詳細説明は、添付の図面との関連で読むことによって、よりよく理解される。本開示の説明の目的のため、本開示の例示的な構成が図面に示されている。しかし、本開示は本明細書に開示された特定の方法及び装置に限定されない。更に、当業者であれば、図面は縮尺どおりでないことを理解されよう。可能な場合、同様の要素は同じ番号によって示されている。
【図面の簡単な説明】
【0019】
以下に、下記の図面を参照して例示のためにのみ本開示の実施形態を説明する。
図1】本開示の実施形態に係るバイオリアクタのブロック図である。
図2】本開示の別の実施形態に係るバイオリアクタのブロック図である。
図3】本開示の実施形態に係る図1のコレクタの概略図である。
図4】本開示の更に別の実施形態に係るバイオリアクタのブロック図である。
図5】本開示の更に別の実施形態に係るバイオリアクタのブロック図である。
【0020】
添付の図面では、下線を引いた数字を使用して、その数字が上に位置する品目、又はその数字が隣接する品目を示す。下線を引いていない数字は、その数字と品目を結び付ける線によって特定される品目に関連する。矢印を伴う下線を引いていない数字は、その矢印が指している全体の品目を特定するために使用される。
【実施形態の詳細説明】
【0021】
以下の詳細説明では、本開示の実施形態及びこれらの実施形態が実施可能な方法を示している。本開示を実施する一部の形態を開示してきたが、当業者であれば、本開示を実施又は実用化する他の実施形態も可能であることを認識するであろう。
【0022】
1つの態様では、本開示の実施形態は、反応媒体と微生物とを含む反応混合物中で微生物を成長させるバイオリアクタを提供する。このバイオリアクタは、
・ 動作時に前記反応混合物を収容する第1反応チャンバと、
・ 前記第1反応チャンバの下流に配置され、動作時に前記反応混合物を収容する第2反応チャンバと、
・ 前記第1反応チャンバを前記第2反応チャンバに接続する手段と、
を備え、
前記第1反応チャンバは、
・ 第1の数の微生物を収容する第1容積と、
・ 前記第1反応チャンバに前記反応混合物を提供する第1入力部と、
・ 前記第1反応チャンバから余剰ガスを除去する第1出力部と、
を有し、
前記第2反応チャンバは、
・ 前記第1の数の微生物よりも多い第2の数の微生物を収容する第2容積と、
・ 前記第2反応チャンバにガスを提供する第2入力部と、
・ 前記第2反応チャンバから前記反応混合物を除去する第2出力部と、
を有し、
前記接続する手段は、動作時に、前記第1反応チャンバから前記第2反応チャンバへと前記反応混合物が流れることと、前記第2反応チャンバから前記第1反応チャンバへと前記ガスが流れることを可能にし、
・ 前記接続する手段は、前記ガスの前記第1反応チャンバへの唯一の入力部であり、前記反応混合物の前記第2反応チャンバへの唯一の入力部であり、
・ 前記接続する手段の断面積は、前記第1反応チャンバ又は前記第2反応チャンバの一方の断面積の最大5%であり、
前記バイオリアクタは、前記第1反応チャンバに配置され、前記第1入力部及び前記第1出力部に接続されたコレクタを更に備え、前記コレクタは、前記第1反応チャンバへと前記反応混合物が流れることと、前記第1反応チャンバから前記余剰ガスが排出されることを可能にし、前記コレクタは、所定のレベルまで前記反応混合物で充填され、前記反応混合物の上部に前記余剰ガスで充填されるように構成される。
【0023】
本開示は、反応媒体と微生物とを含む前記反応混合物中で微生物を成長させる上述のバイオリアクタを提供する。本開示のバイオリアクタは、互いに垂直(下流)に配置され、接続する手段により接続される2つ以上の反応チャンバを備える。下流構成に配置された反応チャンバは、反応媒体及びガスが向流方向に流れることを可能とする。向流方向は、ガスが微生物の最適な成長のために効率的に消費されるように、反応混合物中のガスのより長い滞留時間を可能にする。バイオリアクタは、最適なサイズの気泡を形成するように配置され、これによって微生物の最適な成長のためのガスの効率的な消費が更に可能となる。バイオリアクタの設定及び反応混合物とガスの向流によって、異なる反応チャンバにおいて異なる成長段階を維持する結果となり、成長が最も高位置の反応チャンバで開始し、最も低位置のチャンバで進行すると有利である。更に、バイオリアクタは、微生物を成長させるための全体的にエネルギ効率の高いバイオリアクタを提供するために、成長時に微生物を効果的に引き抜く。加えて、容器(すなわちコレクタ)がバイオリアクタに配置され、呼び容積を有するコレクタの上部においてのみ余剰ガスを収集し、これによってバイオリアクタの安全性を向上する。
【0024】
本開示は、反応媒体と微生物とを含む前記反応混合物中で微生物を成長させるバイオリアクタを提供する。本開示を通して、用語「バイオリアクタ」は、規定の制御された物理的、化学的条件下で、細胞の培養、生物の成長、及びそこから医薬品としての関心生体分子の生成のために必要な生体反応及び/又は生化学反応を意図した容器を指す。医薬品としての関心生体分子は、適正製造基準(Good Manufacturing Practice:GMP)条件下の適正製造基準に従った工程を使用して成長させた、ワクチン、薬品、ホルモン剤、酵素、抗体、バイオ医薬品、プラスミドDNA、ウイルス、ファージ、タンパク質、ペプチド、及び脂質を含む群から選択されてもよいが、これらに限定されない。バイオリアクタは、円筒形、円錐形、立方状、又は立方体等の形状を有してもよい。任意で、バイオリアクタの形状は、そのバイオリアクタの所望の容積及び用法に基づいて選択されてもよい。例えば、円筒形のバイオリアクタは、同じ高さ及び断面積を有する立方状のバイオリアクタよりも容積が大きい。任意で、バイオリアクタの容積は、例えば10リットル、100リットル、200リットル、1000リットル、5000リットル、10000リットル、20000リットル、50000リットル、100000リットル、200000リットル等である。
【0025】
一実施形態において、バイオリアクタは、このバイオリアクタ内で処理される内容物に対して不活性である材料から製造される。一例では、この製造に使用される材料は、ステンレス鋼(例えば、タイプ304、316又は316リットル)、他の好適な金属又は合金、ガラス材料、繊維、セラミック、プラスチック材料及び/又はこれらの組合せであってもよい。更に、製造材料は典型的には防水性であり、微生物の濃縮、バイオマスの生成、撹拌力、通気力、作動圧、温度、酸、アルカリ等の生物学的、生化学的、及び/又は機械的な各種工程における摩耗作用に耐え得る強度を有する。典型的には、バイオリアクタは、反応混合物の重量を保持するために十分な厚さを有し、生物学的、生化学的、及び/又は機械的な各種工程を実施する。一例では、反応混合物の大きな重量を保持するバイオリアクタは、そのため厚みがある。更に、バイオリアクタは好ましくは、例えば121℃、圧力2.5バールの水蒸気による蒸気滅菌の滅菌条件に耐える。
【0026】
本開示を通して、用語「反応混合物」は、微生物を成長させるために用いられる、反応チャンバ内に供給される構成物質を示す。この反応混合物は、反応媒体と微生物とを含む。反応媒体は、栄養素を有する、又は有さない液相を含み、微生物のための栄養素及び成長媒体として機能する。任意で、液相は、水、海水、汽水、酪農流出液等の再生された工程用水、塩水媒体、及び/又はこれらの組合せからなる群から選択される。更に、液相は、炭素、マグネシウム、カリウム、リン、硫黄、鉄、亜鉛、マンガン、窒素(例えば、アンモニア、尿素、硝酸塩、亜硝酸塩、アミノ酸、(可溶性、不溶性、又は加水分解された)タンパク質の形態)、動物由来成分、酪農廃棄物、酵母、脂肪酸、アルコール、多糖、ミネラル、ビタミン、成長因子、酸、塩基、抗生物質、消泡剤、界面活性剤等の追加された栄養素を含んでもよい。
【0027】
前記反応混合物は、最適な成長条件下でより多くの微生物の生成のための出発材料として機能する微生物の接種材料を含むことが理解されよう。用語「微生物」は、藻、細菌、藍色細菌、酵母、真菌、古細菌等を指す。バイオリアクタは、微生物の成長に必要な、規定の制御された生理的条件を提供する。任意で、バイオリアクタを使用して、植物細胞、真菌、ハイブリドーマ細胞株等の真核細胞を培養する。最初に、バイオリアクタに無菌で維持された微生物培養からある分量の接種材料を播種する。更に、最適な成長に到達するための規定された期間にわたり、微生物を制御された環境で成長させる。微生物の最適な成長は、後に使用するために続いて収穫されるそのバイオマス又は微生物の成長副産物に関連する。任意で、反応混合物は、無菌状態で滅菌振とうフラスコ内等、バイオリアクタ外で準備され、その後、無菌状態で反応チャンバに移される。
【0028】
一実施形態によると、ガスは、酸素、二酸化炭素、一酸化炭素、窒素、水素、不活性ガス、窒素の酸化物、メタンなどを含むが、これらに限定されない。栄養素媒体とは別に、微生物には最適な成長のためのガスが必要であることが理解されよう。このガスは、バイオリアクタ内部の反応混合物中に溶解している。例えば、酸素が溶解した形で微生物に提供される。典型的には、通気と呼ばれる工程の間、継続的に溶解酸素が微生物に提供される。ガスの反応混合物への溶解量は、そのガスの滞留時間に比例する。本開示全体を通じて、用語「滞留時間」は、バイオリアクタ内にガスがとどまった期間を指す。一例では、ガスの滞留時間は、気泡の形で反応混合物において、10分から30分の範囲であってもよい。任意で、大きい気泡と比べて、小さい気泡のほうが体積当たりの表面積が大きく、したがって、浮力がより小さく、滞留時間はより長くなる。
【0029】
本開示を通して、用語「反応チャンバ」は、生体反応及び/又は生化学反応が行われる、バイオリアクタ内の容器を指す。反応チャンバは、円筒形、円錐形、立方状、又は立方体等の特定の形状を有してもよい。典型的には、反応チャンバは、特定の容積を有する三次元中空構造又はコンテナである。例えば、この三次元容積は、長さ、高さ、幅、直径等の寸法についてのパラメータによって定義されてもよい。更に、反応チャンバは、一様な断面、一様でない断面、又はこれらの組合せを有してもよい。
【0030】
前記バイオリアクタは、前記第1反応チャンバと、前記第2反応チャンバとを備える。典型的には、前記バイオリアクタは、2つ(すなわち、前記第1及び第2)又はそれ以上の反応チャンバを備える。更に、前記第1及び第2反応チャンバは、構造的に互いに類似し、例えば、寸法、構造のための材料等に基づく。あるいは、前記第1及び第2反応チャンバは、構造的に類似していなくてもよい。前記第1及び第2反応チャンバは、機能的に互いに類似していることが理解されよう。更に、バイオリアクタ内の反応チャンバの数に基づいて、反応混合物中のガスの滞留時間は増加してもよく、これによって反応混合物中のガスの溶解量が増え、バイオリアクタ内での微生物の最適な成長が可能となる。更に、微生物の所望の生成量又は出力に基づいて、バイオリアクタは、反応チャンバをより少なく(例えば、2~10)又はより多く(例えば、11~20)備えてもよい。
【0031】
前記第1反応チャンバは、動作時に反応混合物を収容する。本開示で使用される「動作時に」という用語は、バイオリアクタが所与のユーザーによって作動されている場合に限定されると解釈されるのではなく、バイオリアクタの構造的態様と機能的態様の両方を含むことを意図することが理解されよう。更に、動作中の第1反応チャンバには、遅滞期(微生物の成長が開始しようとしている、又は正に開始したとき)、対数期(微生物の成長が急速に進むとき)、又は静止期(成長が停止した、又は停止しようとしているとき)のうちの少なくともいずれかの成長期における微生物を含む。あるいは、成長媒体が常に追加され、反応混合物が常に取り除かれる連続培養の場合、微生物の成長は、成長率が一定となる定常状態に達し得る。
【0032】
前記第1反応チャンバは、第1の数の微生物を収容する前記第1容積を有する。用語「第1容積」は、第1反応チャンバの寸法に基づいて形成された第1反応チャンバ内部の空間を指す。一例では、円筒形状を有する第1反応チャンバは、その高さ及び半径に基づく第1容積を有する。別の例では、第1反応チャンバが立方体形状を有する場合、第1容積は第1反応チャンバの長さ、幅、高さに基づく。更に、動作中、反応混合物は第1の数の微生物を有する第1反応チャンバへと提供又は供給されることが理解されよう。典型的には、第1の数の微生物は、第1反応チャンバに収容された反応混合物中に存在する微生物の数又はパーセンテージである。
【0033】
前記第1反応チャンバは、前記第1反応チャンバに前記反応混合物を提供する前記第1入力部を有する。任意で、前記第1入力部は、ある長さを有する管状の構造であり、前記第1反応チャンバに成長媒体を提供する入口として機能する。第1入力部のための成長媒体は、バイオリアクタの外部に設けられ得る成長媒体貯蔵部から提供されてもよい。更に、成長媒体貯蔵部から第1反応チャンバへと成長媒体が流れることを可能にするポンプが使用されてもよい。加えて、前記第1入力部は、前記第1入力部を介した前記第1反応チャンバへの成長媒体の供給を調整する調整器に動作可能に接続されてもよい。細胞は、典型的には、別の供給入口を介して、工程開始時に一度に第1反応チャンバへと供給される。
【0034】
前記第1反応チャンバは、前記第1反応チャンバから余剰ガスを除去する前記第1出力部を有する。前記第1入力部と同様に、前記第1出力部は、ある長さを有する管状の構造であり、前記第1反応チャンバからの余剰ガスの出口として機能する。任意で、前記第1出力部は、前記第1出力部を介して余剰ガスの流出を調整する調整器に動作可能に接続されてもよい。本開示を通して、用語「余剰ガス」は、過剰又は未使用の、すなわち、微生物によって消費されていないある部分又は量のガスを指す。典型的には、ガスは反応混合物中に存在する微生物の数に基づく所定の量に基づいて、バイオリアクタに提供される。言い換えると、成長させる微生物の所望の量及び微生物のガスを利用する能力に関する認識に基づき、ガス及び反応混合物の量が決定される。更に、余剰ガスは、バイオリアクタ内の反応混合物中に適切に混ぜられていないガスであり、よって微生物による消費に使用できない。更に、余剰ガスは、より大きな気泡サイズを有するガスであり、よってバイオリアクタ内の反応混合物中の最大面積を網羅することができない。任意で、余剰ガスの量は、微生物の成長期の異なる長さに依存する。任意で、余剰ガスの量は、好気成長、嫌気成長、微好気成長等の微生物の成長に利用される戦略に依存する。更に、前記第2反応チャンバの余剰ガスを、前記第1反応チャンバが受け取る。その後、前記第1反応チャンバから除去された余剰ガスは、前記第1出力部と前記第2入力部との間に配置された余剰ガス貯蔵部に貯蔵されてもよい。
【0035】
前記バイオリアクタは、前記第1反応チャンバに配置され、前記第1入力部及び前記第1出力部に接続されたコレクタを更に備える。用語「コレクタ」は、前記反応チャンバのサイズと比べて実質的にサイズが小さく、前記第1反応チャンバに配置されたコンテナ又は容器を指す。前記コレクタは、前記第1入力部及び前記第1出力部の下流に配置され、すなわち、前記第1反応チャンバと、前記第1入力部及び前記第1出力部との間に配置される。前記コレクタは、前記第1反応チャンバへと前記反応混合物が流れることと、前記第1反応チャンバから前記余剰ガスが排出されることを可能にする。
【0036】
前記コレクタは、所定のレベルまで前記反応混合物で充填され、前記反応混合物の上部に前記余剰ガスで充填されるように構成される。典型的には、反応混合物は前記第1入口によって前記コレクタへと供給され、その結果、反応混合物を前記第1反応チャンバが、その後、前記第2反応チャンバが受け取る。前記第1及び第2反応チャンバが充填されると、前記コレクタも充填される。反応混合物の流れは、反応混合物で前記第1及び第2反応チャンバが完全に充填され、前記コレクタが部分的に充填されるように調整されてもよいことが理解されよう。したがって、前記コレクタ内の反応混合物の所定のレベルは、反応混合物が前記コレクタの容積の2分の1を占め、余剰ガスが残りの2分の1を占める際の状態に関連し得る。余剰ガスは、前記コレクタ内の反応混合物の上部の空間を占めることが理解されよう。前記コレクタは、前記コレクタ内の余剰ガス用の上部空間は小さく、よって、前記コレクタ内の余剰ガスの蓄積を最小限に抑えるように構成される。実際、前記コレクタは2つの異なる技術的効果をもたらす。第一に、前記コレクタは、反応混合物の第1反応チャンバへの通過と、第1反応チャンバから出る余剰ガスの通過を可能にする。第二に、コレクタは、所定のレベルまで反応混合物で充填されるように構成される容器として機能し、その結果、余剰ガスは反応混合物の上部(すなわち、コレクタの残りの容積)にある。動作中に、第1反応チャンバ及び第2反応チャンバは反応混合物で完全に充填され、コレクタは反応混合物で所定のレベルまで部分的に充填され、これによって余剰ガスはコレクタの残りの容積のみを占めることが可能になる。余剰ガスは危険な場合があり、これは、混ぜると望ましくない反応が起こることによる。よって、コレクタを使用することにより、反応チャンバ内の危険であり得るガスの蓄積を効果的に調整する。このように、コレクタの技術的効果は、第1リアクタチャンバ内の危険であり得るガスの蓄積を調整することである。
【0037】
前記コレクタは、前記第1反応チャンバへと前記反応混合物が流れることと、前記第1反応チャンバから前記余剰ガスが排出されることを可能にする入口/出口を備える。更に任意で、コレクタは、入口/出口に粗ろ過フィルタを備え、反応チャンバに堆積してそのはがれ及び/又は腐食を引き起こす粗い懸濁粒子をコレクタによって取り除くことが可能になる。更に任意で、粗ろ過フィルタは、第1反応チャンバに接続されたコレクタの底端に配置された別の開口に搭載される。
【0038】
前記第2反応チャンバは、前記第1反応チャンバの下流に配置される。前記第2反応チャンバは、動作時に反応混合物を収容する。本開示で使用される「動作時に」という用語は、バイオリアクタが所与のユーザーによって作動されている場合に限定されると解釈されるのではなく、バイオリアクタの構造的態様と機能的態様の両方を含むことを意図することが理解されよう。前記第2反応チャンバは、前記第1反応チャンバよりも垂直方向に低く配置される。上述の配置は、前記第1反応チャンバから前記第2反応チャンバへと前記反応混合物が流れることを可能にする。前記第1及び第2反応チャンバの配置により、前記第2反応チャンバから前記第1反応チャンバへと前記ガスが流れることを更に可能にする(以下に詳細に説明する)。前記反応混合物は、重力効果によって前記第1反応チャンバから前記第2反応チャンバへと流れる。一方、前記ガスは、重力及び浮力効果によって前記第2反応チャンバから前記第1反応チャンバへと流れる。
【0039】
任意で、前記第1及び第2反応チャンバが共通の垂直軸を共有するように、前記第1反応チャンバを前記第2反応チャンバの上に配置する。あるいは、共通の垂直軸を共有しないように、第1反応チャンバを第2反応チャンバの上に配置してもよい。すなわち、第2反応チャンバは、第1反応チャンバに隣接して、その下流に配置される。このような場合、第1及び第2反応チャンバは垂直方向に離れている。別の実施形態では、第2反応チャンバは、第1反応チャンバの直下ではなく、第2反応チャンバの上面が第1反応チャンバの底面よりも高い位置にあるように垂直方向に離れている。
【0040】
一実施形態によると、前記バイオリアクタの土台の上部に、前記第1反応チャンバは第1高さに配置され、前記第2反応チャンバは第2高さに配置される。ここで、好ましくは第2高さが0であり、すなわち、第2反応チャンバは、バイオリアクタの土台に直接配置される。任意で、追加の反応チャンバが、互いに、かつ第1及び第2反応チャンバに対して垂直の配置で、第1反応チャンバと第2反応チャンバとの間に配置されてもよい。一例では、バイオリアクタの土台の上部に、HがHよりも大きくなるように、第1反応チャンバは高さHに配置され、第2反応チャンバは高さHに配置される。このような例では、バイオリアクタの土台の上部に、HがH未満、HがH未満、かつHがH未満となるように、第3反応チャンバが高さHに配置され、第4の反応チャンバが高さHに配置され、第5の反応チャンバが高さHに配置されてもよい。
【0041】
前記第2反応チャンバは、反応混合物を収容する。本明細書で上述するように、前記第2反応チャンバは、前記第1反応チャンバから反応混合物を受け取る。第2反応チャンバ内では微生物が成長期にあることが理解されよう。更に、第2反応チャンバは、第2の数の微生物を収容する第2容積を有する。ここで、第2の数の微生物は、定常条件における第1の数の微生物よりも多い。用語「第2容積」は、第2反応チャンバの寸法に基づいて形成された第2反応チャンバ内部の空間を指す。一例では、前記第2反応チャンバは、その高さ及び半径に基づく第2容積を有する円筒形状を有してもよい。更に、本明細書において上述のように、第2反応チャンバは、第1反応チャンバと構造的に同一であっても、又は異なっていてもよい。
【0042】
前記第2反応チャンバ内の第2の数の微生物は、前記第1反応チャンバ内の第1の数の微生物よりも多い。典型的には、第2反応チャンバ内の微生物の成長は、第1反応チャンバ内の微生物の成長よりも勝り、この点はより詳細に後述する。
【0043】
前記第2反応チャンバは、前記第2反応チャンバにガスを提供する前記第2入力部を有する。任意で、第2入力部は、ある長さを有する管状の構造であり、第2反応混合物にガスを提供する入口として機能する。第2入力部は、第2反応チャンバの側壁に設けられてよい。更に、第2入力部は、第2反応チャンバの底端に設けられてよい。バイオリアクタ外に設けられ得るガス貯蔵部から、第2入力部用のガスが提供され得る。更に、ガスがガス貯蔵部から第2反応チャンバに流れることができるように、ポンプが利用されてよい。加えて、ガスの第2反応チャンバ内への第2入力部を介した供給を調整するための調整器に、第2入力部が動作可能に接続されてよい。任意で、ガスは、ガス貯蔵部内に圧力下で、すなわち圧縮状態で貯蔵され得る。更に、ガスの流量は、コントローラ構成によって制御され得、すなわち、コントローラ構成は、ガス貯蔵ユニットから第2の反応チャンバに流れるガスの量及び/又は速度を調整することができる。一例では、ガスの流量は、ガスの体積/反応混合物の体積/分(vvm)で0.1から2の範囲である。
【0044】
任意で、第2入力部は、気泡を生成するための複数の開口部を有するノズルを含み得る。ノズル、例えば、スパージャは、第2入力部の端で突起として機能し得、ガスを気泡として第2反応チャンバに分散させるための小孔などの複数の開口部を備える。ノズルの複数の開口を通じて散布されたガスにより、小さな気泡と大きな気泡の組合せが得られる。更に、ノズルの開口の直径は、例えば、0.5から200μm(マイクロメートル)、好ましくは1から30μm、より好ましくは3から10μmであり得る。ノズルにおける開口の直径は、例えば0.5、0.7、1、2、3、5、7、10、15、20、22、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、110、120、130、140、又は150μmから、1、2、3、5、7、10、15、20、22、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、又は200μmであり得る。任意で、気泡の形状は、管状、球形、半球形、楕円形、半楕円形、及び/又はそれらの組合せのいずれかである。「散布」、「散布された」又は「散布している」という用語は、スパージャ(又はディフューザ又はノズル)を使用することによって、反応混合物などの液体にガスを注入する処理を指す。任意で、散布は、発酵、オゾン処理、酸化、水素化などの用途での更なる反応のために、通気及び炭酸化などでガスを液体に溶解するために使用される。あるいは、散布は、ストリッピング用途などで、反応混合物から汚染物質を除去するのに使用される。
【0045】
一実施形態において、前記第2入力部は複数の経路を備え、これら経路のそれぞれは、前記ガスのうちの個々のガスを運んで前記第2反応チャンバへと提供する。一例では、第2の入力部は、少なくとも、ガスのための2つ以上の通路を実現するための分離部を含む。前記複数の通路のそれぞれは、前記第2の反応チャンバに提供される前記ガスの個々のガスを運ぶための専用入力部として機能する。この専用入力部により、発熱反応などの望ましくない反応を引き起こす可能性のあるガスの混合が防止される。一例では、前記第2入力部は、酸素ガスを運ぶ第1経路、二酸化炭素を運ぶ第2経路、水素ガスを運ぶ第3経路等を備える。任意で、第2入力部は、前記第2反応チャンバ内の異なる位置に配置された第2入口の群によって形成され得る。
【0046】
前記第2反応チャンバは、前記第2反応チャンバから反応混合物を除去する前記第2出力部を有する。前記第2入力部と同様に、第2出力部は、ある長さを有する管状の構造であり、前記第2反応チャンバからの第2容積分の微生物を含む反応混合物の出口として機能する。任意で、前記第2出力部は、前記第2出力部を介して反応混合物の流出を調整する調整器に動作可能に接続されてもよい。任意で、第2出力部は、第2反応チャンバの側壁に設けられ得る。更に、第2出力部は、第2の反応チャンバの底端で、第2の入力の反対側に設けられ得る。任意で、第2反応チャンバから反応混合物を除去するのにポンプが使用され得る。本明細書で上述したように、第2反応チャンバ内の第2の数の微生物は、第1反応チャンバ内の第1の数の微生物よりも多い。第2反応チャンバから除去される反応混合物は、進行した成長期、すなわち対数期の微生物を有することが理解されたい。すなわち、第2入口によって提供されるガスは、主に第2反応チャンバの反応混合物と接触し、第2反応チャンバの反応混合物中に存在する微生物がガスを大幅に消費し、微生物の大幅な成長が実現可能となる。したがって、第2反応チャンバの底端にある微生物は、第2反応チャンバの上端にある微生物よりも、より良い又はより早い成長率となる。任意で、第2反応チャンバで最適な成長が実現されるように、遅滞期又は初期対数期にある第1反応チャンバの反応混合物を収容するため、第2反応チャンバの反応混合物は常に除去される。任意で、第2の反応チャンバから除去された反応混合物は、出力反応混合物貯蔵部に貯蔵される。
【0047】
一実施形態において、前記第1反応チャンバ及び前記第2反応チャンバはそれぞれ、前記反応混合物及び前記ガスを内部で混合するアジテータ構成を更に備える。本明細書で使用される用語「アジテータ構成」は、ガス及び反応混合物を混ぜる回転デバイスを指す。前記アジテータ構成は、反応混合物及びガスをかき混ぜ、これによって前記第1及び第2反応チャンバ内の圧力を増加させる。更に、前記アジテータ構成は、反応混合物を規定された方向(中心から離れて円を描くように)に流れさせ、反応混合物がガスと適切に混ざるようにする。一例では、前記アジテータ構成は、時計回り方向、反時計回り方向、又はその両方に回転するように構成され、動作可能である。更に、前記アジテータ構成の回転速度は、例えば100~1000rpm又は400~600rpmの範囲であってもよい。例えば、この回転速度は、100、150、200、250、300、350、400、450、500、550、600、650、700、又は750rpmから、200、250、300、350、400、450、500、550、600、650、700、750、800、850、900、950、又は1000rpmまでとすることができる。
【0048】
一実施形態において、前記アジテータ構成は、モーターと、前記モーターに接続されたシャフトと、前記シャフトに配置された複数のブレードとを備える。モーター、具体的には、モーターのシャフトは、モーターのシャフトの回転をアジテータ構成のシャフトに伝達することを可能にするシャフトカップリングにより、アジテータ構成のシャフトの端に直接結合される。モーターは第1及び第2反応チャンバ外側に取り付けられ、シャフト及びブレードは第1及び第2反応チャンバの内部に配置されることが理解されよう。あるいは、モーターのシャフトは、ベルト及びプーリ構成を使用して、アジテータ構成のシャフトの端に結合され得る。ブレードは、アジテータ構成のシャフトに強固に結合されており、シャフトの回転に伴って回転するように動作可能である。任意で、ブレードは、垂直方向に離れるように、シャフトに強固に結合されたブレードの群又は組を含む。更に任意で、ブレードの群のそれぞれは、2つ以上のブレードを含み得る。本明細書に記載のとおり、第1及び第2反応チャンバのそれぞれは、別個のアジテータ構成を含む。あるいは、第1及び第2反応チャンバは、共通アジテータ構成を含み得る。すなわち、第1及び第2反応チャンバの両方を通るシャフトを有するものである。更に、ブレードはシャフトに結合され、シャフトはモーターに(直接又はベルト及びプーリ構成を使用して)結合される。
【0049】
一実施形態において、前記バイオリアクタは、前記シャフトに配置され、前記ブレードに隣接する複数のディスクを更に備える。これらのディスクは、前記第1及び第2反応チャンバそれぞれの内部にサブチャンバを形成可能とする。例えば、前記第1反応チャンバ内の所与のディスクは、第1サブチャンバ及び第2サブチャンバを形成する。一実施形態において、前記ディスクは、前記第1及び第2反応チャンバの一方の断面積に合わせた形状を有するように構成される。更に、前記ディスクは、前記断面積よりサイズが小さく、前記ディスクと前記第1反応チャンバ又は前記第2反応チャンバとの間に狭い空間を生じる。この狭い空間は、前記サブチャンバ間に(すなわち、前記第1サブチャンバから前記第2サブチャンバへと)前記反応混合物が(重力による下向き方向に)流れることを可能にする。更に、前記ガスは、前記サブチャンバ間に(すなわち、前記第2サブチャンバから前記第1サブチャンバへと)(浮力による上向き方向に)流れる。前記ディスクによって、ガスの滞留時間が長くなる。更に、前記ディスクによって、反応混合物とガスとの混合効率が上がる。
【0050】
一実施形態において、前記バイオリアクタは、前記第1出力部と前記第2入力部との間に配置された、前記余剰ガスを再生するガス再生構成を更に備える。このガス再生構成は、本質的に、第1反応チャンバからの第1の出力部を第2の反応チャンバの第2入力部に流体結合する細長経路又は管状構造を含むことが理解されよう。任意で、前記ガス再生構成は、余剰ガス貯蔵部及びガス貯蔵部に結合される。前記ガス再生構成は、余剰ガスの流れを制御するためのバルブ及び調整器を含み得る。更に、前記ガス再生構成は、当技術分野で知られているガス分離構成を含み得る。このガス分離装置は、ガス混合物を個々のガスに分離するように動作可能であり得る。分離されたガスはその後、第2反応チャンバの第2入力部に送られる。一例では、前記ガス再生装置は、余剰ガスに存在し得る不純物をすべて除去する。
【0051】
前記バイオリアクタは、前記第1反応チャンバを前記第2反応チャンバに接続する手段を備える。この接続する手段は、動作時に、前記第1反応チャンバから前記第2反応チャンバへと前記反応混合物が流れることと、前記第2反応チャンバから前記第1反応チャンバへと前記ガスが流れることを可能にする。本開示を通して、用語「接続する手段」は、前記第1反応チャンバと前記第2反応チャンバとの間に配置された、その間の反応混合物とガスの流れを可能にするための経路を指す。典型的には、前記バイオリアクタは、前記反応チャンバ間を接続するための単一の手段を含む。例えば、前記バイオリアクタが第1、第2、第3及び第4反応チャンバを含む場合、接続するための単一で個別の手段が、前記第1及び第2反応チャンバ、前記第2及び第3反応チャンバ、ならびに前記第3及び第4反応の間に配置される。別の実施形態では、前記バイオリアクタは、前記反応チャンバ間を接続するための複数の手段を含み得る。
【0052】
一実施形態によると、前記接続する手段は、反応混合物及びガスに向流を提供することを可能にし、これによって、前記バイオリアクタ内のガス滞留時間を長くすることができる。反応混合物及びガスの向流によって、微生物によって、その最適な成長のためにガスを効率的に消費することが可能になる。これにより更に、前記反応チャンバ内での余剰ガスの生成を低減することが可能になり得る。
【0053】
前記接続する手段は、前記ガスの前記第1反応チャンバへの唯一の入力部であり、前記反応混合物の前記第2反応チャンバへの唯一の入力部である。典型的には、前記接続する手段は、ガスが第2反応チャンバから第1反応チャンバに入るための唯一の入力部として機能する(又は唯一の経路を提供する)。本明細書で上述したように、ガスの第2入力部は第2反応チャンバ上に配置される。したがって、ガスは重力及び浮力により、第2反応チャンバから第1反応チャンバに移動する傾向がある。前記接続するための手段は、重力により、反応混合物が第1反応チャンバから第2反応チャンバに入るための唯一の入力部として更に機能する(又は唯一の経路を提供する)。上述のように、反応混合物の第1の入力部は、第1反応チャンバ上に配置される。したがって、反応混合物は、重力により第1反応チャンバから第2反応チャンバに移動する傾向がある。唯一のガス入力部により、反応チャンバ内のガスの滞留時間が長くなることが理解されよう。
【0054】
更に、前記接続する手段の断面積は、前記第1反応チャンバ又は前記第2反応チャンバの一方の断面積の最大5%である。前記接続するための手段は、特定の量の反応混合物及びガスがそれを通じて流れるように、特定のサイズを有することが理解されよう。更に、接続するための手段のサイズは、チャンバのサイズよりもかなり小さい。最大5%のサイズを選択することの技術的効果は、ガスの流れを制限することである。サイズが5%を超えると、第2チャンバから第1チャンバへのガスの流れが速すぎる。ガスの流れが速すぎると、ガスが第2反応チャンバで反応するのに十分な時間がとれなくなる。
【0055】
一実施形態において、前記前記第1反応チャンバを前記第2反応チャンバに接続する手段は、長さLを有する中空構造である。別の実施形態では、前記第1反応チャンバを前記第2反応チャンバに接続する手段は、長さLを有する管である。長さLは上述の長さLよりも長くてもよい。一実施形態において、前記接続する手段は、前記第1反応チャンバと前記第2反応チャンバとの間の経路として機能する細長又は短い中空構造のいずれかである。更に、前記接続する手段は、前記第1及び第2反応チャンバに溶接によって強固に結合され得るか、又はねじ山、ナット、ねじ、リベットなどにより取り外し可能に結合され得る。反応チャンバの相対位置に基づいて、前記接続する手段は様々な長さとなり得ることが理解されよう。例えば、前記第1及び第2反応チャンバが共通の垂直軸を共有し、前記第2反応チャンバが前記第1反応チャンバの真下に配置される場合、前記接続する手段は、長さLを有する短い中空構造(例えば、前記第1反応チャンバの直径の約10%、例えば、前記第1反応チャンバの直径の5、7、10、12又は20%で、ある直径を有する短い中空の円筒形物体)となる。あるいは、前記第1及び第2反応チャンバが共通の垂直軸を共有せず、垂直方向に離れている場合、前記接続する手段は、細長い中空構造、すなわち、長さLよりも長い長さLを有する管(チューブの同義語)である。そのような管の直径は、例えば、前記第1反応チャンバ直径の約10%、例えば、前記第1反応チャンバの直径の5、7、10、12又は20%であり得る。
【0056】
一実施形態によると、本開示のバイオリアクタは、前記反応混合物中で微生物を成長させる単一の反応チャンバを備えてもよい。このような場合、ガス及び反応混合物は、単一の反応チャンバ、すなわち、第1入力部及び出力部などの要素に提供され、第2入力部及び出力部は、単一の反応チャンバ上に配置される。更に、前記バイオリアクタは、前記単一の反応チャンバに対する単一のアジテータ構成を備える。本明細書において上述のように、前記アジテータ構成は、シャフトと、モーターと、複数のブレードとを備える。更に、前記アジテータ構成は、前記シャフトに配置され、前記ブレードに隣接する1つ以上のディスクを更に備える。これらのディスクは、単一の反応チャンバ内に複数のサブ反応チャンバを形成する。更に、前記ディスクは、単一の反応チャンバの断面積よりサイズが小さく、これによってサブ反応チャンバ間に狭い経路が生じる。この狭い経路は、向流方向に前記サブ反応チャンバ間を前記反応混合物及び前記ガスが流れることを可能にする。言い換えると、前記狭い経路は、サブ反応チャンバを接続するための手段として機能し、ガスと反応混合物の間の向流を可能とする。したがって、濃度差が、ディスクがない従来の反応チャンバよりも反応チャンバの上部と下部の間で大きくなるが、前記サブ反応チャンバ間において、リアクタカスケードよりも多くの交換が生じる。更に、前記ディスクは、単一の反応チャンバ内でガスを反応混合物と混合するためにブレードとともに回転するように動作可能である。
【0057】
別の態様では、本開示の実施形態は、微生物を成長させる方法を提供し、この方法は、
・ 反応媒体と微生物とを含む反応混合物を提供することと、
・ ガスを提供することと、
・ 前記ガス及び前記反応媒体を向流方向に流すことによって前記ガスを前記反応媒体と混ぜることと、
・ 成長させた微生物及び/又は余剰ガスを引き抜くことと、を含む。
図面の詳細説明
【0058】
図1を参照すると、本開示の一実施形態に係る微生物を成長させるバイオリアクタ100のブロック図が示されている。バイオリアクタ100は、反応混合物102Aを収容する第1反応チャンバ104を備える。第1反応チャンバ104は、第1の数の微生物を収容する第1容積と、第1反応チャンバ104に反応混合物102Aを提供する第1入力部106と、第1反応チャンバ104から余剰ガス(より詳細に後述する)を除去する第1出力部108とを有する。
【0059】
バイオリアクタ100は、第1反応チャンバ104の下流に配置され、反応混合物102Bを収容する第2反応チャンバ110を備える。第2反応チャンバ110は、(反応混合物102B内の)第2の数の微生物を収容する第2容積を有する。第2反応チャンバ110は、第2反応チャンバ110にガスを提供する第2入力部112と、第2反応チャンバ110から反応混合物102Bを除去する第2出力部114とを有する。
【0060】
バイオリアクタ100は、第1反応チャンバ104を第2反応チャンバ110に接続する手段116を備える。接続する手段116は、第1反応チャンバ104から第2反応チャンバ110へと反応混合物102Aが流れることと、第2反応チャンバ110から第1反応チャンバ104へとガスが流れることを可能にする。反応混合物(反応混合物102A、102B等)の流れは実線の矢印で、ガスの流れは点線の矢印で示す。図示されるように、接続する手段116は長さLを有し、第2反応チャンバ110は第1反応チャンバ104の直下に配置される。
【0061】
バイオリアクタ100は、第1反応チャンバ104に配置され、第1入力部106及び第1出力部108に接続されたコレクタ118を更に備える。コレクタ118は、第1反応チャンバ104へと反応混合物(反応混合物102等)が流れることと、第1反応チャンバ104から余剰ガス122が排出されることを可能にする。図示されるように、コレクタ118は、所定のレベル120まで反応混合物102Cで充填され、反応混合物102Cの上部に余剰ガス122で充填されるように構成される。反応混合物(すなわち、102A、102B、102C)は、それぞれ第1反応チャンバ104、第2反応チャンバ110、コレクタ118内に収容されていることに基づいて示されていることが理解されよう。
【0062】
第1反応チャンバ104及び第2反応チャンバ110はそれぞれ、反応混合物102A、102B及びガスを内部で混合するアジテータ構成124を更に備える。アジテータ構成124は、モーター126と、モーター126に接続されたシャフト128と、シャフト128に配置された複数のブレード130とを備える。
【0063】
図2を参照すると、本開示の別の実施形態に係る微生物を成長させるバイオリアクタ200のブロック図が示されている。バイオリアクタ200は、機能的かつ実質的な構造が図1のバイオリアクタ100と同様であることが理解されよう。例えば、バイオリアクタ200は、第1入力部106及び第1出力部108を有する第1反応チャンバ104を備える。バイオリアクタ200は、第1反応チャンバ104に配置されたコレクタ118と、アジテータ構成124とを更に備える。バイオリアクタ200は、第2入力部112及び第2出力部114を有する第2反応チャンバ110を備える。ただし、バイオリアクタ200は、第1反応チャンバ104と第2反応チャンバ110との間に第3(又は中間)反応チャンバ202を備える。第3反応チャンバ202は、第3の数の微生物を収容する第3容積を備える。ここで、第3の数の微生物は(第2反応チャンバ110の)第2の数の微生物よりも少なく、(第1反応チャンバ104の)第1の数の微生物よりも多い。更に、第1反応チャンバ104は、接続する手段206によって第3反応チャンバ202に接続され、第2反応チャンバ110は、接続する手段208によって第3反応チャンバ202に接続される。
【0064】
図3を参照すると、本開示の一実施形態に係る図1のコレクタ118の概略図が示されている。図示されるように、コレクタ118は、第1入力部106及び第1出力部108に接続される。コレクタ118は、動作時に、所定のレベル120まで反応混合物102Cで充填され、反応混合物102Cの上部に余剰ガス122で充填されるように構成される。コレクタ118は、第1反応チャンバ104(図1に示す)へと反応混合物102Cが流れることと、第1反応チャンバ104から余剰ガスが排出されることを可能にする入口/出口302を備える。
【0065】
図4を参照すると、本開示の更に別の実施形態に係る微生物を成長させるバイオリアクタ400のブロック図が示されている。バイオリアクタ400は、機能的かつ実質的な構造が図1のバイオリアクタ100と同様であることが理解されよう。例えば、バイオリアクタ400は、第1入力部106及び第1出力部108を有する第1反応チャンバ104を備える。バイオリアクタ400は、第1反応チャンバ104に配置されたコレクタ118を更に備える。更に、バイオリアクタ400は、第2入力部112及び第2出力部114を有する第2反応チャンバ110を備える。ただし、第1反応チャンバ104及び第2反応チャンバ110は、垂直方向に離れている。更に、第2チャンバ110は、(図1に示されるように)第1反応チャンバ104の直下ではなく、垂直方向に離れて配置され、第2反応チャンバ110の上面402は第1反応チャンバ104の底面404よりも高い位置にある。バイオリアクタ400は、長さLを有するように示されている接続する手段410を更に備える。
【0066】
図5を参照すると、本開示の更に別の実施形態に係る微生物を成長させるバイオリアクタ500のブロック図が示されている。図示されるように、バイオリアクタ500は、反応混合物504中で微生物を成長させる単一の反応チャンバ502を備える。単一の反応チャンバ502は、第1入力部506と、第1出力部508と、第2入力部510と、第2出力部512とを備える。更に、バイオリアクタ500は、アジテータ構成514を備える。アジテータ構成514は、モーター516と、シャフト518と、複数のブレード520とを備える。アジテータ構成514は、シャフト518に配置され、ブレード520に隣接する1つ以上のディスク522を更に備える。ディスク522は、反応チャンバ502内に、502A、502B、502C、及び502Dで示すサブ反応チャンバを形成する。ディスク522は、反応チャンバ502の断面積よりサイズが小さく、これによってサブ反応チャンバ502A、502B、502C、及び502D間に狭い経路524が生じる。この狭い経路524は、向流方向に、サブ反応チャンバ502A、502B、502C、及び502D間を反応混合物504及びガスが流れることを可能にする。
【0067】
上述の本開示の実施形態に対して、添付の請求項に定義された本開示の範囲を逸脱することなく、変形が可能である。本開示を記載し請求するために使用される「含む」、「備える」、「内蔵する」、「有する」、「である」等の表現は、非包括的に解釈されるように意図され、すなわち、明示的に記載されていない品目、構成要素、又は要素の存在も可能にする。単数形で言及されたものは、複数のものにも関連すると解釈される。
図1
図2
図3
図4
図5
【国際調査報告】