(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-08-03
(54)【発明の名称】胆管癌を治療するための方法
(51)【国際特許分類】
A61K 31/506 20060101AFI20220727BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20220727BHJP
A61P 35/04 20060101ALI20220727BHJP
A61P 1/16 20060101ALI20220727BHJP
【FI】
A61K31/506
A61P35/00
A61P35/04
A61P1/16
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021570792
(86)(22)【出願日】2020-05-28
(85)【翻訳文提出日】2022-01-07
(86)【国際出願番号】 US2020034881
(87)【国際公開番号】W WO2020243273
(87)【国際公開日】2020-12-03
(32)【優先日】2019-05-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521518068
【氏名又は名称】キューイーディー セラピューティクス,インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】QED THERAPEUTICS,INC.
【住所又は居所原語表記】75 Federal Street,San Francisco,CA 94107,United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】110000202
【氏名又は名称】新樹グローバル・アイピー特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】パニクッチ,リカルド
(72)【発明者】
【氏名】モンティス,マイケル
(72)【発明者】
【氏名】リー,ガング
(72)【発明者】
【氏名】アランジョ,スーザン
(72)【発明者】
【氏名】ベルマン,クレイグ
(72)【発明者】
【氏名】ハウランド,マイケル
(72)【発明者】
【氏名】マルリーニー,ダニエル
(72)【発明者】
【氏名】ダブコウスキ,カール
【テーマコード(参考)】
4C086
【Fターム(参考)】
4C086AA01
4C086AA02
4C086BC42
4C086GA07
4C086GA12
4C086MA01
4C086MA04
4C086MA52
4C086NA05
4C086NA14
4C086ZA75
4C086ZB26
(57)【要約】
それを必要とする患者における進行性又は転移性の胆管癌を治療するための方法であって、有効量のインフィグラチニブ又はその薬学的に許容される塩を投与することを含み、前記患者は、他の療法の以前の投与の後に胆管癌の進行を有する方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
それを必要とする患者における進行性又は転移性の胆管癌を治療するための方法であって、有効量のインフィグラチニブ又はその薬学的に許容される塩を投与することを含み、前記患者は、他の療法の以前の投与の後に胆管癌の進行を有する方法。
【請求項2】
別の療法の以前の投与が、進行性又は転移性の胆管癌の治療法である請求項1に記載の方法。
【請求項3】
別の療法の以前の投与が、化学療法剤の投与である請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
化学療法剤の以前の投与がゲムシタビン含有レジメンである請求項3記載の方法。
【請求項5】
胆管癌がFGFR1遺伝子融合、転座または他の遺伝子変化を有する請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
胆管癌がFGFR2遺伝子融合、転座または他の遺伝子変化を有する請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
FGFR2遺伝子融合が、10Q26.13,AFF1,AFF4,AHCYL1,ALDH1L2,ARFIP1,BICC1,C10orf118,C7,CCDC147,CCDC6,CELF2,CREB5,CREM,DNAJC12,HOOK1,KCTD1,KIAA1217,KIAA1598,KIFC3,MGEA5,NOL4,NRAP,OPTN,PARK2,PAWR,PCMI,PHLDB2,PPHLN1,RASAL2,SFMBT2,SLMAP,SLMAP2,SORBS1,STK26,STK3,TACC3,TBC1D1,TFEC,TRA2B,UBQLN1,VCL,WAC及びZMYM4からなる群から選択されるFGFR2遺伝子融合パートナーを含む請求項6に記載の方法。
【請求項8】
胆管癌が、FGFR3遺伝子の融合、転座または他の遺伝子変化を有する請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
有効量のインフィグラチニブ又はその薬学的に許容される塩を投与することが、インフィグラチニブ又はその薬学的に許容される塩を約125mg、1日1回経口投与することを含む請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
有効量のインフィグラチニブ又はその薬学的に許容される塩を投与することが、約125mgのインフィグラチニブ又はその薬学的に許容される塩を1日1回患者に3週間連続投与し、1週間インフィグラチニブを投与しない28日間サイクルを含む請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
約125mgのインフィグラチニブ又はその薬学的に許容される塩を、100mg単位用量及び25mg単位用量として提供する請求項9又は10に記載の方法。
【請求項12】
約125mgのインフィグラチニブ又はその薬学的に許容される塩を、単位用量として提供される請求項9又は10に記載の方法。
【請求項13】
進行性又は転移性の胆管癌が組織学的又は細胞学的に確認される請求項1から12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
胆管癌が、FGFR1、FGFR2及び/又はFGFR3変異を有する請求項5から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
FGFR1、FGFR2および/またはFGFR3変異が、FGFR1 G818R,FGFR1 K656E,FGFR1 N546K,FGFR1 R445W,FGFR1 T141R,FGFR2 A315T,FGFR2 C382R,FGFR2 D336N,FGFR2 D471N,FGFR2 E565A,FGFR2 I547V,FGFR2 K641R,FGFR2 K659E,FGFR2 K659M,FGFR2 L617V,FGFR2 N549H,FGFR2 N549K,FGFR2 N549S,FGFR2 N549Y,FGFR2 N550K,FGFR2 P253R,FGFR2 S252W,FGFR2 V395D,FGFR2 V564F,FGFR2 Y375C,FGFR3 A391E,FGFR3 D785Y,FGFR3 E627K,FGFR3 G370C,FGFR3 G380R,FGFR3 K650E,FGFR3 K650M,FGFR3 K650N,FGFR3 K650T,FGFR3 K652E,FGFR3 N540S,FGFR3 R248C,FGFR3 R399C,FGFR3 S131L,FGFR3 S249C,FGFR3 S371C,FGFR3 V555M,FGFR3 V677I,FGFR3 Y373C,FGFR4 D425N,FGFR4 R183S,FGFR4 R394Q,FGFR4 R610H,FGFR4 V510L及びそれらの組み合わせからなる群から選択される請求項14記載の方法。
【請求項16】
胆管癌が、FGFR1、FGFR2及び/又はFGFR3の増幅を有する請求項5から7及び13から14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
別の療法の以前の投与が、受容体チロシンキナーゼ阻害剤の投与である請求項1又は2に記載の方法。
【請求項18】
受容体チロシンキナーゼ阻害剤が、FGFR1、FGFR2及び/又はFGFR3の選択的非共有結合阻害剤である請求項17に記載の方法。
【請求項19】
FGFR1、FGFR2及び/又はFGFR3の選択的非共有結合阻害剤が、ペミガチニブ、ロガチニブ、デラザンチニブ、Debio1347、AZD4547及びこれらの組み合わせからなる群から選択される請求項18に記載の方法。
【請求項20】
受容体チロシンキナーゼ阻害剤が、FGFR1、FGFR2、FGFR3及び/又はFGFR4の選択的非共有結合阻害剤である請求項17に記載の方法。
【請求項21】
FGFR1、FGFR2、FGFR3及び/又はFGFR4の選択的非共有結合阻害剤が、エルダフィチニブ、LY2874455、PRN1371、ASP5878及びこれらの組み合わせからなる群から選択される請求項20に記載の方法。
【請求項22】
受容体チロシンキナーゼ阻害剤が、FGFR1、FGFR2、FGFR3及び/又はFGFR4の選択的共有結合阻害剤である請求項17に記載の方法。
【請求項23】
FGFR1、FGFR2、FGFR3及び/又はFGFR4の選択的共有結合阻害剤がTAS120である請求項22に記載の方法。
【請求項24】
受容体チロシンキナーゼ阻害剤が非選択的チロシンキナーゼ阻害剤である請求項17に記載の方法。
【請求項25】
非選択的チロシンキナーゼ阻害剤が、ポナチニブ、ドビチニブ、レバタニブ、ACTB-1003、Ki8751、ルシチニブ、マシチニブ、ムブリチニブ、ニンテダニブ、オランティニブ、PD089828及びこれらの組み合わせからなる群から選択される請求項24に記載の方法。
【請求項26】
別の療法の以前の投与が、別の選択的FGFR阻害剤の投与である請求項1又は2に記載の方法。
【請求項27】
別の選択的FGFR阻害剤が、ペミガチニブ、ロガチニブ、デラザンチニブ、AZD4547、Debio1347、ASP5878、エルダフィチニブ、LY2874455、PRN1371、TAS120及びそれらの組み合わせからなる群から選択される請求項26に記載の方法。
【請求項28】
別の選択的FGFR阻害剤が、選択的共有結合型FGFR阻害剤である請求項26に記載の方法。
【請求項29】
選択的共有結合性FGFR阻害剤がTAS120である請求項28に記載の方法。
【請求項30】
別の選択的FGFR阻害剤が、選択的非共有結合型FGFR阻害剤である請求項26に記載の方法。
【請求項31】
選択的非共有結合性FGFR阻害剤が、ペミガチニブ、ロガラチニブ、デラザンチニブ、AZD4547、およびそれらの組み合わせである、請求項30に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2019年5月28日に提出された米国特許出願第62/853,431号明細書の利益及びそれに対する優先権を主張し、これは、その全体が本明細書において参照によって援用される。
【背景技術】
【0002】
胆道癌としても知られている胆管癌は、まれな、不均一な悪性疾患であり、これは、胆管細胞の、肝内、肝門周囲(perihilar)、又は遠位肝外腫瘍への悪性形質転換から生じる(Alpini et al.,2001)。米国では、およそ5,000~10,000人の患者が、毎年、肝内及び肝外胆管系の両方の胆管癌と診断される。胆管癌は、アジア及び中東において、より蔓延しており、ほとんどの場合、胆管の寄生虫感染症によるものであるとみられる(American Cancer Society,2012)。男性の方が、胆管癌を発症する可能性がわずかに高いが、発生率は、男女両方において年齢と共に増加する(Patel et al.,2002)。
【0003】
典型的に、胆管癌は、腺癌であり、予後が不良で、治療の選択肢が限られている。これは、一部、症状の発現が遅く、現在利用可能な療法に対して相対的に耐性であることによるものである。さらに、従来の化学療法及び放射線療法(RT)は、長期生存を延長するのに有効であることが示されなかった。ステント術と組み合わせた光線力学的療法は、対症療法として有効であることが報告されたが、それは、根治的ではない(Sirica,2005)。2010年4月に、ABC-02臨床試験が公開されたが、これは、患者を、シスプラチンとゲムシタビン又はゲムシタビンのみを受けるよう、無作為に割付けた患者集団における最初の第III相無作為対照臨床試験である(Valle et al.,2010)。この試験において、ゲムシタビン/シスプラチンの組み合わせは、ゲムシタビンのみと比較して、無増悪生存期間(PFS)及び全生存期間(OS)の改善を実証した。全生存期間の中央値は、シスプラチン-ゲムシタビン群において11.7ヵ月及びゲムシタビン群において8.1ヵ月であった。無増悪生存期間の中央値は、シスプラチン-ゲムシタビン群において8.0ヵ月及びゲムシタビンだけの群において5.0ヵ月であった。それでも、第一選択療法の後に再発する胆管癌患者は、治療選択肢がほとんどなく、確立された第二選択標準治療がない。現在利用可能な療法に対する奏効率は、一桁である(Lamarca et al.,2014)。
【0004】
National Comprehensive Cancer Network(NCCN)によって作成された、進行胆道癌の治療に関するごく最近のガイドラインは、単剤としての又は白金類似体(オキサリプラチン若しくはシスプラチン)と組み合わせたゲムシタビン、カペシタビン、又は5-フルオロウラシル(5-FU)の使用或いはゲムシタビン及びカペシタビンの組み合わせを、胆道癌の第一選択治療のための推奨カテゴリー1を受けているゲムシタビン及びシスプラチンの組み合わせと共に推奨している。これらの薬のうちで、主に胆道癌において使用するためにFDAによって承認されたものはない。さらに、多剤化学療法薬によるアプローチは、転移性及び/又は再発性の疾患を有する患者に持続的な利益を与えず、進行疾患の診断後に5年間生存する患者は、5%未満である。
【0005】
胆道癌の第二選択治療(例えば、ゲムシタビン及び/又はシスプラチン療法を受けた後に再発した患者のための治療)についての現在のNCCNガイドラインは、この群の患者において第二選択療法に推奨される特定の治療法についての証拠が不十分であることを示す。
【0006】
現在のEuropean Society for Medical Oncology(ESMO)ガイドラインは、フルオロピリミジンベースの療法(単独療法において又は他の細胞毒と組み合わせて)が使用されることがあるものの、第一選択治療後に進行した後には確立された第二選択全身療法はないことを示す。
【0007】
したがって、臨床成績に著しく影響を与えると思われる選択分子標的を利用することに基づく、胆管癌のための新規な治療戦略を開発する必要が実際にある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
一態様では、進行又は転移性胆管癌の治療をその必要がある患者において行うための方法であって、有効量のインフィグラチニブ又はその薬学的に許容される塩を投与することを含み、患者は、別の療法を以前に投与した後に胆管癌が進行した、方法が本明細書において提供される。
【0009】
ある実施形態では、以前に投与した別の療法は、進行又は転移性胆管癌のための療法である。いくつかの実施形態では、以前に投与した別の療法は、化学療法剤の投与である。いくつかの実施形態では、以前に投与した化学療法剤は、ゲムシタビンを含有する治療法によるものである。
【0010】
ある実施形態では、胆管癌は、FGFR1遺伝子融合、転座、又は別の遺伝的変化を有する。ある実施形態では、胆管癌は、FGFR2遺伝子融合、転座、又は別の遺伝的変化を有する。いくつかの実施形態では、FGFR2遺伝子融合は、10Q26.13、AFF1、AFF4、AHCYL1、ALDH1L2、ARFIP1、BICC1、C10orf118、C7、CCDC147、CCDC6、CELF2、CREB5、CREM、DNAJC12、HOOK1、KCTD1、KIAA1217、KIAA1598、KIFC3、MGEA5、NOL4、NRAP、OPTN、PARK2、PAWR、PCMI、PHLDB2、PPHLN1、RASAL2、SFMBT2、SLMAP、SLMAP2、SORBS1、STK26、STK3、TACC3、TBC1D1、TFEC、TRA2B、UBQLN1、VCL、WAC、及びZMYM4からなる群から選択されるFGFR2遺伝子融合パートナーを含む。ある実施形態では、胆管癌は、FGFR3遺伝子融合、転座、又は別の遺伝的変化を有する。
【0011】
ある実施形態では、有効量のインフィグラチニブ又はその薬学的に許容される塩を投与することは、1日1回、約125mgのインフィグラチニブ又はその薬学的に許容される塩を経口投与することを含む。
【0012】
ある実施形態では、有効量のインフィグラチニブ又はその薬学的に許容される塩を投与することは、28日のサイクルを含み、約125mgのインフィグラチニブ又はその薬学的に許容される塩は、連続3週間(21日間)、患者に1日1回投与され、インフィグラチニブは、1週間(連続7日間)投与されない。
【0013】
ある実施形態では、約125mgのインフィグラチニブ又はその薬学的に許容される塩は、100mgの単位用量及び25mgの単位用量として提供される。ある実施形態では、約125mgのインフィグラチニブ又はその薬学的に許容される塩は、単位用量として提供される。
【0014】
ある実施形態では、進行又は転移性胆管癌は、組織学的に又は細胞学的に確認される。
【0015】
ある実施形態では、胆管癌は、FGFR1、FGFR2、及び/又はFGFR3突然変異を有する。いくつかの実施形態では、FGFR1、FGFR2及び/又はFGFR3突然変異は、FGFR1 G818R、FGFR1 K656E、FGFR1 N546K、FGFR1 R445W、FGFR1 T141R、FGFR2 A315T、FGFR2 C382R、FGFR2 D336N、FGFR2 D471N、FGFR2 E565A、FGFR2 I547V、FGFR2 K641R、FGFR2 K659E、FGFR2 K659M、FGFR2 L617V、FGFR2 N549H、FGFR2 N549K、FGFR2 N549S、FGFR2 N549Y、FGFR2 N550K、FGFR2 P253R、FGFR2 S252W、FGFR2 V395D、FGFR2 V564F、FGFR2 Y375C、FGFR3 A391E、FGFR3 D785Y、FGFR3 E627K、FGFR3 G370C、FGFR3 G380R、FGFR3 K650E、FGFR3 K650M、FGFR3 K650N、FGFR3 K650T、FGFR3 K652E、FGFR3 N540S、FGFR3 R248C、FGFR3 R399C、FGFR3 S131L、FGFR3 S249C、FGFR3 S371C、FGFR3 V555M、FGFR3 V677I、FGFR3 Y373C、FGFR4 D425N、FGFR4 R183S、FGFR4 R394Q、FGFR4 R610H、FGFR4 V510L、及びその組み合わせからなる群から選択される。
【0016】
ある実施形態では、胆管癌は、FGFR2遺伝子融合及びFGFR2突然変異を有する。
【0017】
ある実施形態では、胆管癌は、FGFR1、FGFR2及び/又はFGFR3の増幅を有する。
【0018】
ある実施形態では、以前に投与した別の療法は、受容体チロシンキナーゼ阻害剤の投与である。ある実施形態では、受容体チロシンキナーゼ阻害剤は、FGFR1、FGFR2、及び/又はFGFR3の選択的非共有結合阻害剤である。いくつかの実施形態では、FGFR1、FGFR2、及び/又はFGFR3の選択的非共有結合阻害剤は、ペミガチニブ、ロガラチニブ、デラザンチニブ、Debio1347、AZD4547、及びその組み合わせからなる群から選択される。ある実施形態では、受容体チロシンキナーゼ阻害剤は、FGFR1、FGFR2、FGFR3、及び/又はFGFR4の選択的非共有結合阻害剤である。いくつかの実施形態では、FGFR1、FGFR2、FGFR3、及び/又はFGFR4の選択的非共有結合阻害剤は、エルダフィチニブ、LY2874455、PRN 1371、ASP5878、及びその組み合わせからなる群から選択される。ある実施形態では、受容体チロシンキナーゼ阻害剤は、FGFR1、FGFR2、FGFR3、及び/又はFGFR4の選択的共有結合阻害剤である。いくつかの実施形態では、FGFR1、FGFR2、FGFR3、及び/又はFGFR4の選択的共有結合阻害剤は、TAS120である。ある実施形態では、受容体チロシンキナーゼ阻害剤は、非選択的チロシンキナーゼ阻害剤である。いくつかの実施形態では、非選択的チロシンキナーゼ阻害剤は、ポナチニブ、ドビチニブ、レバタニブ(levatanib)、ACTB-1003、Ki8751、ルシチニブ(lucitinib)、マシチニブ、ムブリチニブ、ニンテダニブ、オランチニブ、PD089828、及びその組み合わせからなる群から選択される。
【0019】
ある実施形態では、以前に投与した別の療法は、別の選択的FGFR阻害剤の投与である。いくつかの実施形態では、別の選択的FGFR阻害剤は、ペミガチニブ、ロガラチニブ、デラザンチニブ、AZD4547、Debio1347、ASP5878、エルダフィチニブ、LY2874455、PRN1371、TAS120、及びその組み合わせからなる群から選択される。ある実施形態では、別の選択的FGFR阻害剤は、選択的共有結合FGFR阻害剤である。いくつかの実施形態では、選択的共有結合FGFR阻害剤は、TAS120である。ある実施形態では、別の選択的FGFR阻害剤は、選択的非共有結合FGFR阻害剤である。いくつかの実施形態では、選択的非共有結合FGFR阻害剤は、ペミガチニブ、ロガラチニブ、デラザンチニブ、AZD4547、及びその組み合わせである。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】
図1は、実施例5においてさらに記載されるヒトVex-MR086M1尿管癌異種移植片モデル(XTS-2034)における(i)溶媒(vehicle) qd×21、(ii)エルダフィチニブ15mg/kg qd×21、(iii)インフィグラチニブ30mg/kg qd×21、及び(iv)インフィグラチニブ50mg/kg qd×21についての腫瘍増殖曲線(ある期間にわたる平均腫瘍容積)のオーバーレイを示す図である。
【
図2】
図2は、実施例5においてさらに記載されるヒトVex-MR086M1尿管癌異種移植片モデル(XTS-2034)における(i)エルダフィチニブ15mg/kg qd×21、(ii)インフィグラチニブ30mg/kg qd×21、及び(iii)インフィグラチニブ50mg/kg qd×21についての同じ時点のコントロールマウスにおける平均腫瘍容積に対する治療マウスにおける平均腫瘍容積の比(T/C%)の曲線のオーバーレイを示す図である。
【
図3】
図3は、実施例6においてさらに記載されるヒトUREx-MR2057PD-AR尿管癌異種移植片モデル(XTS-2033)における(i)溶媒 qd×21、(ii)エルダフィチニブ15mg/kg qd×21、(iii)インフィグラチニブ30mg/kg qd×21、及び(iv)インフィグラチニブ50mg/kg qd×21についての腫瘍増殖曲線(ある期間にわたる平均腫瘍容積)のオーバーレイを示す図である。
【
図4】
図4は、実施例6においてさらに記載されるヒトUREx-MR2057PD-AR尿管癌異種移植片モデル(XTS-2034)における(i)エルダフィチニブ15mg/kg qd×21、(ii)インフィグラチニブ30mg/kg qd×21、及び(iii)インフィグラチニブ50mg/kg qd×21についてのT/C%曲線のオーバーレイを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本明細書において概して記載されるように、本開示は、例えば、患者が別の療法を以前に投与した後に胆管癌が進行した場合に、進行又は転移性胆管癌の治療をその必要がある患者において行うための方法を提供する。
【0022】
定義
本発明の理解を容易にするために、多くの用語及び句について、下記に定義される。
特に定義されない限り、本明細書において使用される技術用語及び科学用語はすべて、本発明が属する当技術分野の当業者によって一般に理解されるものと同じ意味を有する。本明細書において使用される略語は、化学及び生物学の技術の範囲内にあるそれらの従来の意味を有する。本明細書において記載される化学構造及び化学式は、化学技術において知られている化学結合価の標準のルールに従って構成される。
【0023】
記載の全体にわたって、組成物及びキットが特定の構成成分を有する、含む(including)、若しくは含む(comprising)と記載される場合又はプロセス及び方法が特定のステップを有する、含む(including)、若しくは含む(comprising)と記載される場合、加えて、列挙される構成成分から本質的になる又はそれからなる本発明の組成物及びキットがあること並びに列挙される処理ステップから本質的になる又はそれからなる本発明によるプロセス及び方法があることが想定される。
【0024】
本出願において、要素又は構成成分が、一連の列挙される要素又は構成成分の中に含まれる及び/又はそれから選択されると言われる場合、要素若しくは構成成分は、列挙される要素若しくは構成成分のいずれか1つとすることができること又は要素若しくは構成成分は、2つ以上の列挙される要素若しくは構成成分からなる群から選択することができることが理解されるべきである。
【0025】
さらに、本明細書において記載される組成物又は方法の要素及び/又は特徴は、本明細書において明示されるか暗示されるかにかかわらず、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく、様々に組み合わせることができることが理解されるべきである。例えば、特定の化合物について言及される場合、その化合物は、文脈からそうとは理解されない場合を除いて、本発明の組成物の種々の実施形態において及び/又は本発明の方法において使用することができる。言い換えれば、本出願内で、実施形態は、出願についてわかりやすく簡潔に書き示すように記載され、表現されたが、実施形態は、本発明の教示及び本発明から逸れることなく、種々に組み合わせられてもよい又は分けられてもよいことが意図されており、理解されるであろう。例えば、本明細書において記載され、表現される特徴はすべて、本明細書において記載され、表現される本発明のすべての態様に適用可能とすることができることが理解されるであろう。
【0026】
冠詞「1つの(a)」及び「1つの(an)」は、文脈から不適切である場合を除いて、1つの又は1つを超える(すなわち少なくとも1つの)、冠詞の文法上の対象物を指すために本開示において使用される。例として、「1つの要素」は、1つの要素又は1つを超える要素を意味する。
【0027】
用語「及び/又は」は、そうとは示されない場合を除いて、「及び」又は「又は」を意味するために本開示において使用される。
【0028】
「少なくとも1つの」という語句は、文脈及び使用からそうとは理解されない場合を除いて、その語句の後に列挙される対象物のそれぞれ及び列挙される対象物の2つ以上の種々の組み合わせを個々に含むことが理解されるべきである。3つ以上の列挙される対象物を伴う語句「及び/又は」も、文脈からそうとは理解されない場合を除いて、同じ意味を有することが理解されるべきである。
【0029】
用語「含む(include)」、「含む(includes)」、「含むこと(including)」、「有する(have)」、「有する(has)」、「有すること(having)」、「含有する(contain)」、「含有する(contains)」、又は「含有すること(containing)」の使用は、その文法上の等価物を含め、オープンエンドで、非限定的であるとして概して理解されるべきであり、例えば、そうとは明確に述べられない又は文脈からそうとは理解されない場合を除いて、追加の列挙されていない要素又はステップを除外しない。
【0030】
用語「約」が、量に関する値の前に使用される場合、本発明はまた、そうとは明確に述べられない場合を除いて、特定の量に関する値自体をも含む。本明細書において使用されるように、用語「約」は、そうとは示されない又は文脈からそうとは推測されない場合を除いて、基準値からの±10%の変動を指す。
【0031】
本明細書における種々の場所に、変数又はパラメーターが、群で又は範囲で開示される。記載が、そのような群及び範囲のメンバーのそれぞれの及びすべての個々の副組み合わせを含むことが特に意図される。例えば、0~40の範囲の整数は、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、及び40を個々に開示することが特に意図され、1~20の範囲の整数は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、及び20を個々に開示することが特に意図される。
【0032】
本明細書における任意の及びすべての例又は例示的な言葉、例えば「などの」若しくは「を含む」の使用は、単に、本発明をより適切に例証することだけを意図するものであり、特に主張されない限り、本発明の範囲を限定するものではない。明細書中のどの言葉も、あらゆる主張されていない要素を、本発明の実施にとって不可欠なものとして示すものと解釈されるべきではない。
【0033】
一般的な事項として、パーセンテージを特定している組成物は、そうとは明記されない場合を除いて、重量によるものである。さらに、変数に定義が伴わない場合、変数コントロールについての上記の定義が適用される。
【0034】
本明細書において使用されるように、「医薬組成物」又は「医薬製剤」は、組成物を、インビボ又はエクスビボにおける診断上の又は治療上の使用にとりわけ適したものにする、不活性な又は活性なキャリアとの活性薬の組み合わせを指す。
【0035】
「薬学的に許容される」は、連邦政府若しくは州政府の規制当局又は米国以外の国々における該当する機関又は米国薬局方若しくは他の一般に認識される薬局方において掲載される機関によって、動物、より詳細にはヒトにおける使用について承認されている又は承認可能であることを意味する。
【0036】
本明細書において使用されるように、「薬学的に許容される塩」は、本発明の化合物(例えばインフィグラチニブ)中に存在してもよい酸性基又は塩基性基の任意の塩を指し、この塩は、医薬の投与と適合している。
【0037】
当業者らに知られていているように、化合物の「塩」は、無機酸又は有機酸及び塩基から誘導されてもよい。酸の例は、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、過塩素酸、フマル酸、マレイン酸、リン酸、グリコール酸、乳酸、サリチル酸、コハク酸、トルエン-p-スルホン酸、酒石酸、酢酸、クエン酸、メタン硫酸、エタンスルホン酸、ギ酸、安息香酸、マロン酸、ナフタレン-2-スルホン酸、及びベンゼンスルホン酸を含むが、これらに限定されない。シュウ酸などの他の酸は、それら自体、薬学的に許容されないが、本明細書において記載される化合物及びそれらの薬学的に許容される酸付加塩を得る際の中間体として有用な塩の調製において用いられてもよい。
【0038】
塩基の例は、アルカリ金属(例えばナトリウム及びカリウム)水酸化物、アルカリ土類金属(例えばマグネシウム及びカルシウム)水酸化物、アンモニア、並びに式中、WはC1~4アルキルである式NW4
+の化合物並びにその他同種のものを含むが、これらに限定されない。
【0039】
塩の例は、酢酸塩、アジピン酸塩、アルギン酸塩、アスパラギン酸塩、安息香酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、重硫酸塩、酪酸塩、クエン酸塩、樟脳酸塩、カンファースルホン酸塩、シクロペンタンプロピオン酸塩、二グルコン酸塩、ドデシル硫酸塩、エタンスルホン酸塩、フマル酸塩、フルコヘプタン酸塩(flucoheptanoate)、グリセロリン酸塩、ヘミ硫酸塩、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、2-ヒドロキシエタンスルホン酸塩、乳酸塩、マレイン酸塩、メタンスルホン酸塩、2-ナフタレンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、シュウ酸塩、パモ酸塩(palmoate)、ペクチン酸塩(pectinate)、ペルオキソ硫酸塩、フェニルプロピオン酸塩、ピクリン酸塩、ピバル酸塩、プロピオン酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、チオシアン酸塩、トシル酸塩(tosylate)、ウンデカン酸塩、及びその他同種のものを含むが、これらに限定されない。塩の他の例は、適したカチオンNa+、K+、Ca2+、NH4
+、及びNW4
+(WはC1~4アルキル基とすることができる)並びにその他同種のものと混ぜ合わせた本発明の化合物のアニオンを含む。
【0040】
治療上の使用のために、本発明の化合物の塩は、薬学的に許容されるとして想定される。しかしながら、薬学的に許容されない酸及び塩基の塩もまた、例えば、薬学的に許容される化合物の調製又は精製において、使用を見出してもよい。
【0041】
本明細書において使用されるように、「薬学的に許容される賦形剤」は、活性薬の対象への投与及び/又は対象による吸収を助ける物質を指し、患者に対して深刻で有害な毒性の影響を引き起こすことなく、本発明の組成物中に含むことができる。薬学的に許容される賦形剤の非限定的な例は、水、NaCl、リン酸緩衝生理食塩水などの生理食塩水、エマルション(例えば油/水又は水/油エマルションなど)、乳酸リンゲル液、生理スクロース(normal sucrose)、生理グルコース(normal glucose)、バインダー、増量剤、崩壊剤、潤滑剤、コーティング、甘味料、香料、塩類溶液(リンゲル溶液など)、アルコール、油、ゼラチン、ラクトース、アミロース、又はデンプンなどの炭水化物、脂肪酸エステル、ヒドロキシメチルセルロース(hydroxymethycellulose)、ポリビニルピロリジン、及び着色料並びにその他同種のものを含む。そのような調製物は、滅菌することができ、所望により、潤滑剤、保存剤、安定剤、湿潤剤、乳化剤、浸透圧に影響を及ぼす塩、バッファー、着色剤、及び/又は芳香族物質並びに本発明の化合物と有害に反応しないその他同種のものなどの助剤と混合することができる。賦形剤の例について、Martin,Remington’s Pharmaceutical Sciences,15th Ed.,Mack Publ. Co.,Easton,PA(1975)を参照されたい。
【0042】
「AUC」という用語は、医薬組成物の投与後の時間/血漿濃度曲線下の面積を指す。AUC0-infinityは、0時間から無限大までの血漿濃度対時間曲線下の面積を表し;AUC0-tは、0時間からt時間までの血漿濃度対時間曲線下の面積を表す。AUC値は、当技術分野において知られている方法によって決定することができることが理解されるべきである。
【0043】
投与が想定される「対象」は、ヒト(すなわち、あらゆる年齢群の男性又は女性、例えば小児対象(例えば乳児、幼児、青年)又は成人対象(例えば若年成人、中年、若しくは高齢者))並びに/或いは非ヒト動物、例えば、霊長類(例えばカニクイザル、アカゲザル)、ウシ、ブタ、ウマ、ヒツジ、ヤギ、げっ歯類、ネコ、及び/又はイヌなどの哺乳類を含むが、これらに限定されない。ある実施形態では、対象は、ヒトである。ある実施形態では、対象は、非ヒト動物である。
【0044】
用語「Cmax」は、医薬組成物の投与後の血液(例えば血漿)中の治療薬(例えばインフィグラチニブ)の最大濃度を指す。
【0045】
用語「tmax」は、治療薬(例えばインフィグラチニブ)を含む医薬組成物の投与後にCmaxに達した時の時間を指す。
【0046】
本明細書において使用されるように、「固形剤」は、固形の形態、例えば錠剤、カプセル、顆粒剤、粉剤、包、再構成可能な粉剤、ドライパウダー式吸入器、及び咀嚼錠の形態をした医薬の用量を意味する。
【0047】
本明細書において使用されるように、「投与すること」は、対象への経口投与、坐剤としての投与、局所接触、静脈内投与、非経口投与、腹腔内投与、筋肉内投与、病巣内投与、鞘内投与、頭蓋内投与、鼻腔内投与、若しくは皮下投与又は徐放性デバイス、例えばミニ浸透圧ポンプの移植を意味する。投与は、非経口及び経粘膜(例えば頬側、舌下、口蓋、歯肉、経鼻、膣、直腸、又は経皮)を含め、任意のルートによるものである。非経口投与は、例えば静脈内、筋肉内、動脈内、皮内、皮下、腹腔内、脳室内、及び頭蓋内を含む。送達の他の様式は、リポソーム製剤、点滴静注、経皮パッチなどの使用を含むが、これらに限定されない。「同時投与」によって、本明細書において記載される組成物が、1つ以上の追加の療法(例えば抗癌剤、化学療法薬、又は神経変性疾患のための治療)の投与と同時に、その直前に、又はその直後に投与されることを意味する。インフィグラチニブ又はその薬学的に許容される塩は、患者に単独で投与することができる又は同時投与することができる。同時投与は、化合物の、個々の又は組み合わせた(1つを超える化合物又は薬)、同時に起こる又は連続的な投与を含むことを意味する。したがって、調製物はまた、所望により、他の活性物質(例えば、代謝による分解を低下させるための)と組み合わせることもできる。
【0048】
用語「疾患」、「障害」及び「状態」は、本明細書において区別なく使用される。
【0049】
本明細書において使用されるように、そうとは明記されない場合を除いて、用語「治療する」、「治療こと」、及び「治療」は、対象が特定の疾患、障害、又は状態に罹患している間に行われ、疾患、障害、若しくは状態の重症度を低下させる又は疾患、障害、若しくは状態の進行を遅らせる若しくは遅延させる活動(例えば「治療上の処置」)を想定する。
【0050】
一般に、化合物の「有効量」は、所望される生物学的反応を誘起するのに、例えば、胆管癌を治療するのに十分な量を指す。当業者らによって理解されるように、本開示の化合物の有効量は、所望される生物学的エンドポイント、化合物の薬物動態、治療されている疾患、投与様式、並びに対象の年齢、体重、健康、及び状態のような因子に応じて変動してもよい。
【0051】
インフィグラチニブ
式(I)に表現されるインフィグラチニブは、3-(2,6-ジクロロ-3,5-ジメトキシフェニル)-1-{6-[4-(4-エチル-1-ピペラジン-1-イル)フェニルアミノ]-ピリミジニル-4-イル}-1-メチル尿素としても知られている選択的でATP競合的なpan-線維芽細胞増殖因子受容体(FGFR)キナーゼ阻害剤である。インフィグラチニブは、FGFR1、FGFR2、及びFGFR3のキナーゼ活性を選択的に阻害する。
【0052】
インフィグラチニブを化学合成するための方法(本明細書において提供される実施例1を含む)、インフィグラチニブのいくつかの結晶及びアモルファス形態(本明細書において記載される無水結晶一リン酸塩を含む)、並びに前記形態を調製するための方法(本明細書において提供される実施例2を含む)は、米国特許第9,067,896号明細書において記載され、これは、本明細書においてその全体が参照によって援用される。
【0053】
一態様では、進行又は転移性胆管癌の治療をその必要がある患者において行うためのインフィグラチニブ又はその薬学的に許容される塩が、本明細書において提供される。
【0054】
ある実施形態では、進行又は転移性胆管癌の治療をその必要がある患者において行うための、インフィグラチニブの薬学的に許容される塩が、本明細書において提供される。いくつかの実施形態では、インフィグラチニブの薬学的に許容される塩は、一リン酸塩である。インフィグラチニブの一リン酸塩はまた、BGJ398と称されてもよい。
【0055】
いくつかの実施形態では、インフィグラチニブの一リン酸塩は、無水結晶一リン酸塩である。いくつかの実施形態では、無水結晶一リン酸塩は、約15.0°又は15.0°±0.2°に2θに関する特徴的なピークを含む粉末X線回折(XRPD)パターンを有する。いくつかの実施形態では、無水結晶一リン酸塩の粉末X線回折パターンは、約13.7°±0.2°、約16.8°±0.2°、約21.3°±0.2°、及び約22.4°±0.2°のピークから選択される、2θに関する1つ以上の特徴的なピークをさらに含む。いくつかの実施形態では、無水結晶一リン酸塩の粉末X線回折パターンは、約9.2°、約9.6°、約18.7°、約20.0°、約22.9°、及び約27.2°のピークから選択される、2θに関する1つ以上の特徴的なピークをさらに含む。いくつかの実施形態では、無水結晶一リン酸塩は、約13.7°、約15°、約16.8、約21.3°、及び約22.4°のピークから選択される、2θに関する少なくとも3つの特徴的なピークを含むXRPDパターンを有する。いくつかの実施形態では、無水結晶一リン酸塩についての粉末X線回折パターンは、約9.2°、約9.6°、約13.7°、約15°、約16.8°、約18.7°、約20.0°、約21.3°及び約22.4°、約22.9°、並びに約27.2のピークから選択される、2θに関する1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、又は11の特徴的なピークを含んでいてもよい。
【0056】
医薬組成物
インフィグラチニブの医薬組成物及び前記医薬組成物を調製するための方法(例えば、本明細書において記載される実施例3を含む)は、米国特許出願公開第2017/0007602号明細書において記載されており、これは、本明細書においてその全体が参照によって援用される。
【0057】
一態様では、進行又は転移性胆管癌の治療をその必要がある患者において行うための、インフィグラチニブ又はその薬学的に許容される塩及び薬学的に許容される賦形剤を含む医薬組成物が、本明細書において提供される。
【0058】
ある実施形態では、本発明の教示の医薬組成物は、
(a)その遊離塩基形態をした、重量で約20%~約60%のインフィグラチニブ又はその薬学的に許容される塩;
(b)約0.5重量%~約5重量%のヒドロキシプロピルメチルセルロース;
(c)約1重量%~約4重量%の架橋ポリビニルピロリドン;並びに
(d)セルロース、ラクトース、マンニトール、及びその組み合わせからなる群から選択される増量剤;を含み、重量パーセントは、医薬組成物の総重量に基づく。
【0059】
ある実施形態では、医薬組成物は、その遊離塩基形態をした、重量で約30%~約45%のインフィグラチニブ又はその薬学的に許容される塩を含む。
【0060】
ある実施形態では、医薬組成物は、約2%~約4%のヒドロキシプロピルメチルセルロースを含む。ある実施形態では、医薬組成物は、約2%~約4%の架橋ポリビニルピロリドンを含む。
【0061】
ある実施形態では、医薬組成物は:
(e)医薬組成物の総重量に基づいて、重量で約10%~約95%の1つ以上の増量剤;
(f)医薬組成物の総重量に基づいて、重量で約0.1%~約3%の1つ以上の潤滑剤;及び
(g)医薬組成物の総重量に基づいて、重量で約0.1%~約2%の1つ以上の流動化剤をさらに含む。
【0062】
ある実施形態では、1つ以上の増量剤は、結晶セルロース、ラクトース、及び/又はマンニトールからなる群から選択される。
【0063】
ある実施形態では、医薬組成物中の1つ以上の潤滑剤は、医薬組成物の総重量に基づいて、重量で約0.2%~約2%の量で存在する。いくつかの実施形態では、1つ以上の潤滑剤は、ステアリン酸マグネシウムである。
【0064】
ある実施形態では、1つ以上の流動化剤は、医薬組成物の総重量に基づいて、重量で約0.1%~約0.5%の量で医薬製剤中に存在する。いくつかの実施形態では、1つ以上の流動化剤は、コロイド状二酸化ケイ素(コロイドケイ酸)である。
【0065】
ある実施形態では、医薬組成物中のインフィグラチニブ又はその薬学的に許容される塩の量は、約25mg~約150mg、約50mg~約150mg、約75mg~約150mg、約100mg~約150mg、約125mg~約150mg、約25mg~約125mg、約25mg~約100mg、約25mg~約75mg、約25mg~約50mg、約50mg~約125mg、約50mg~約100mg、約50mg~約75mg、約75mg~約125mg、約75mg~約100mg、又は約100mg~約125mgである。いくつかの実施形態では、医薬組成物中のインフィグラチニブ又はその薬学的に許容される塩の量は、約100mg~約150mgのインフィグラチニブ又はその薬学的に許容される塩である。
【0066】
ある実施形態では、医薬組成物中のインフィグラチニブ又はその薬学的に許容される塩の量は、約25mg、約50mg、約75mg、約100mg、約125mg、約150mg、約175mg、又は約200mgである。いくつかの実施形態では、医薬組成物中のインフィグラチニブ又はその薬学的に許容される塩の量は、約125mgである。いくつかの実施形態では、医薬組成物中のインフィグラチニブ又はその薬学的に許容される塩の量は、約100mgである。いくつかの実施形態では、医薬組成物中のインフィグラチニブ又はその薬学的に許容される塩の量は、約25mgである。
【0067】
別の態様では、進行又は転移性胆管癌の治療をその必要がある患者において行うための、約125mgのインフィグラチニブ又はその薬学的に許容される塩;及び薬学的に許容される賦形剤を含む医薬組成物が、本明細書において提供される。
【0068】
ある実施形態では、医薬組成物は、インフィグラチニブの薬学的に許容される塩の有効量を含む。いくつかの実施形態では、インフィグラチニブの薬学的に許容される塩は、一リン酸塩である。いくつかの実施形態では、インフィグラチニブの薬学的に許容される塩は、無水一リン酸塩である。いくつかの実施形態では、インフィグラチニブの薬学的に許容される塩は、15.0°±0.2°の粉末X線回折(XRPD)ピーク(2θ)によって特徴づけられる多形形態をした無水一リン酸塩である(及び本明細書において記載されるこの形態についての他のXRPDピークを含むことができる)。
【0069】
本明細書において提供される医薬組成物は、経口(経腸)投与、非経口(注射による)投与、直腸投与、経皮投与、皮内投与、鞘内投与、皮下(SC)投与、静脈内(IV)投与、筋肉内(IM)投与、及び鼻腔内投与を含むが、これらに限定されない種々のルートによって投与することができる。いくつかの実施形態において、本明細書において開示される医薬組成物は、経口投与される。
【0070】
本明細書において提供される医薬組成物はまた、長期にわたって投与されてもよい(「長期投与」)。長期投与は、長期間にわたる、例えば、例えば3ヵ月、6ヵ月、1年、2年、3年、5年等にわたる化合物又はその医薬組成物の投与を指す又は無期限に、例えば対象の一生の間、継続されてもよい。ある実施形態において、長期投与は、長期間にわたって、血液中に一定のレベルの、例えば治療濃度域内の化合物を提供することが意図される。
【0071】
本明細書において提供される医薬組成物は、正確な投薬を容易にするために、単位投薬形態で提供されもよい。用語「単位投薬形態」は、ヒト対象及び他の哺乳類のための、単一の投薬量として適した物理的に別個の単位を指し、それぞれの単位は、適した医薬賦形剤と共同して所望の治療効果をもたらすように算出された、所定の分量の活性物質を含有する。典型的な単位投薬形態は、液体組成物の充填済みの事前に測定されたアンプル若しくは注射器又は固形組成物の場合、丸剤、錠剤、カプセル、若しくはその他同種のものを含む。
【0072】
ある実施形態では、本明細書において提供される医薬組成物は、固形剤として患者に投与される。いくつかの実施形態では、固形剤は、カプセルである。
【0073】
ある実施形態では、本明細書において提供される化合物は、単独の活性剤として投与することができる又はそれらは、他の活性剤と組み合わせて投与することができる。
【0074】
本明細書において提供される医薬組成物の説明は、主として、ヒトへの投与に適した医薬組成物に関するものであるが、そのような組成物は、あらゆる種類の動物への投与に概して適していることが当業者によって理解されるであろう。組成物を種々の動物への投与に適したようにするための、ヒトへの投与に適した医薬組成物の改変は、十分に理解されており、通常の熟練の獣医薬理学者は、通常の実験法によりそのような改変を設計する及び/又は実行することができる。医薬組成物の製剤及び/又は製造における一般的な考察は、例えばRemington:The Science and Practice of Pharmacy 21st ed.,Lippincott Williams & Wilkins,2005において見つけることができる。
【0075】
使用及び治療の方法
胆管癌は、まれな、不均一な悪性疾患であり、これは、胆管細胞の、肝内、肝門周囲、又は遠位肝外腫瘍への悪性形質転換から生じる(Alpini et al.,2001)。
【0076】
一態様では、胆管癌の治療をその必要がある患者において行うための方法が、本明細書において提供される。ある実施形態では、胆管癌は、進行又は転移性胆管癌である。ある実施形態では、患者は、別の療法を以前に投与した後に胆管癌が進行した。
【0077】
ある実施形態では、進行又は転移性胆管癌の治療をその必要がある患者において行うための方法であって:有効量のインフィグラチニブ又はその薬学的に許容される塩を投与することを含み、患者は、別の療法を以前に投与した後に胆管癌が進行した、方法が本明細書において提供される。
【0078】
ある実施形態では、以前に投与した別の療法は、進行又は転移性胆管癌を治療するための療法である。いくつかの実施形態では、以前に投与した別の療法は、化学療法剤の投与である。いくつかの実施形態では、以前に投与した化学療法剤は、ゲムシタビンを含有する治療法によるものである。いくつかの実施形態では、ゲムシタビンを含有する治療法は、ゲムシタビンを含む。いくつかの実施形態では、ゲムシタビンを含有する治療法は、ゲムシタビン及びシスプラチンを含む。
【0079】
ある実施形態では、以前に投与した別の療法は、5-フルオロウラシル、ゲムシタビン、シスプラチン、カペシタビン、オキサリプラチン、及びその組み合わせからなる群から選択される、別の化学療法剤の投与である。
【0080】
ある実施形態では、以前に投与した別の療法は、受容体チロシンキナーゼ阻害剤の投与である。
【0081】
ある実施形態では、受容体チロシンキナーゼ阻害剤は、FGFR1、FGFR2及び/又はFGFR3の選択的非共有結合阻害剤である。いくつかの実施形態では、FGFR1、FGFR2及び/又はFGFR3の選択的非共有結合阻害剤は、ペミガチニブ、ロガラチニブ、デラザンチニブ、Debio1347、AZD4547及びその組み合わせからなる群から選択される。
【0082】
ある実施形態では、受容体チロシンキナーゼ阻害剤は、FGFR1、FGFR2、FGFR3及び/又はFGFR4の選択的非共有結合阻害剤である。いくつかの実施形態では、FGFR1、FGFR2、FGFR3及び/又はFGFR4の選択的非共有結合阻害剤は、エルダフィチニブ、LY2874455、PRN 1371、ASP5878及びその組み合わせからなる群から選択される。
【0083】
ある実施形態では、受容体チロシンキナーゼ阻害剤は、FGFR1、FGFR2、FGFR3及び/又はFGFR4の選択的共有結合阻害剤である。いくつかの実施形態では、FGFR1、FGFR2、FGFR3、及び/又はFGFR4の選択的共有結合阻害剤は、TAS120である。
【0084】
ある実施形態では、受容体チロシンキナーゼ阻害剤は、非選択的チロシンキナーゼ阻害剤である。いくつかの実施形態では、非選択的チロシンキナーゼ阻害剤は、ポナチニブ、ドビチニブ、レバタニブ、ACTB-1003、Ki8751、ルシチニブ、マシチニブ、ムブリチニブ、ニンテダニブ、オランチニブ、PD089828及びその組み合わせからなる群から選択される。
【0085】
ある実施形態では、以前に投与した別の療法は、別の選択的FGFR阻害剤の投与である。いくつかの実施形態では、別の選択的FGFR阻害剤は、ペミガチニブ、ロガラチニブ、デラザンチニブ、AZD4547、Debio1347、ASP5878、エルダフィチニブ、LY2874455、PRN1371、TAS120、及びその組み合わせからなる群から選択される。いくつかの実施形態では、別の選択的FGFR阻害剤は、選択的共有結合阻害剤である。いくつかの実施形態では、選択的共有結合阻害剤は、TAS120である。いくつかの実施形態では、別の選択的FGFR阻害剤は、選択的非共有結合阻害剤である。いくつかの実施形態では、選択的非共有結合阻害剤は、ペミガチニブ、ロガラチニブ、デラザンチニブ、AZD4547及びその組み合わせである。
【0086】
ある実施形態では、胆管癌は、FGFR1遺伝子融合、転座、又は別の遺伝的変化を有する。いくつかの実施形態では、FGFR1遺伝子融合は、BAG4、ERLIN2、NTM、FGFR1OP2、TACC3及びTRPからなる群から選択されるFGFR1遺伝子融合パートナーを含む。
【0087】
ある実施形態では、胆管癌は、FGFR2遺伝子融合、転座、又は別の遺伝的変化を有する。いくつかの実施形態では、FGFR2遺伝子融合は、10Q26.13、AFF1、AFF3、AFF4、AHCYL1、ALDH1L2、ARFIP1、BAG4、BAIAP2L1、BICC1、C10orf118、C10orf68、C7、CASC15、CASP7、CCDC147、CCDC6、CELF2、CIT、COL14A1、CREB5、CREM、DNAJC12、ERLIN2、HOOK1、INA、KCTD1、KIAA1217、KIAA1598、KIAA1967、KIFC3、MGEA5、NCALD、NOL4、NPM1、NRAP、OFD1、OPTN、PARK2、PAWR、PCMI、PDHX、PHLDB2、PPAPDC1A、PPHLN1、RASAL2、SFMBT2、SLC45A3、SLMAP、SLMAP2、SORBS1、STK26、STK3、TACC1、TACC2、TACC3、TBC1D1、TEL、TFEC、TRA2B、UBQLN1、VCL、WAC、ZMYM4、及びFGFROP2からなる群から選択されるFGFR2遺伝子融合パートナーを含む。いくつかの実施形態では、FGFR2遺伝子融合は、10Q26.13、AFF1、AFF4、AHCYL1、ALDH1L2、ARFIP1、BICC1、C10orf118、C7、CCDC147、CCDC6、CELF2、CREB5、CREM、DNAJC12、HOOK1、KCTD1、KIAA1217、KIAA1598、KIFC3、MGEA5、NOL4、NRAP、OPTN、PARK2、PAWR、PCMI、PHLDB2、PPHLN1、RASAL2、SFMBT2、SLMAP、SLMAP2、SORBS1、STK26、STK3、TACC3、TBC1D1、TFEC、TRA2B、UBQLN1、VCL、WAC、及びZMYM4からなる群から選択されるFGFR2遺伝子融合パートナーを含む。
【0088】
ある実施形態では、胆管癌は、FGFR3遺伝子融合、転座、又は別の遺伝的変化を有する。いくつかの実施形態では、FGFR3遺伝子融合は、BAIAP2L1、JAKMIP1、TACC3、TNIP2、及びWHSC1からなる群から選択されるFGFR2遺伝子融合パートナーを含む。いくつかの実施形態では、FGFR3遺伝子融合は、FGFR3遺伝子融合パートナーを含み、FGFR遺伝子融合パートナーは、TACC3である。
【0089】
ある実施形態では、患者は、胆管癌が、FGFR1、FGFR2、又はFGFR3遺伝子融合、転座、又は別の遺伝的変化を有するかどうかを決定するために、例えば次世代シークエンシング、循環腫瘍DNA分析、又は蛍光発光インサイツハイブリダイゼーションアッセイを使用する分子プレスクリーニングを受ける。いくつかの実施形態では、分子プレスクリーニングは、有効量のインフィグラチニブ又はその薬学的に許容される塩の投与より前に行われる。いくつかの実施形態では、分子プレスクリーニングは、別の療法の以前の投与より前に行われる。
【0090】
ある実施形態では、胆管癌は、FGFR1、FGFR2、及び/又はFGFR3突然変異を有する。いくつかの実施形態では、FGFR1、FGFR 2及び/又はFGFR3突然変異は、FGFR1 G818R、FGFR1 K656E、FGFR1 N546K、FGFR1 R445W、FGFR1 T141R、FGFR2 A315T、FGFR2 C382R、FGFR2 D336N、FGFR2 D471N、FGFR2 E565A、FGFR2 I547V、FGFR2 K641R、FGFR2 K659E、FGFR2 K659M、FGFR2 L617V、FGFR2 N549H、FGFR2 N549K、FGFR2 N549S、FGFR2 N549Y、FGFR2 N550K、FGFR2 P253R、FGFR2 S252W、FGFR2 V395D、FGFR2 V564F、FGFR2 Y375C、FGFR3 A391E、FGFR3 D785Y、FGFR3 E627K、FGFR3 G370C、FGFR3 G380R、FGFR3 K650E、FGFR3 K650M、FGFR3 K650N、FGFR3 K650T、FGFR3 K652E、FGFR3 N540S、FGFR3 R248C、FGFR3 R399C、FGFR3 S131L、FGFR3 S249C、FGFR3 S371C、FGFR3 V555M、FGFR3 V677I、FGFR3 Y373C、FGFR4 D425N、FGFR4 R183S、FGFR4 R394Q、FGFR4 R610H、FGFR4 V510L、及びその組み合わせからなる群から選択される。いくつかの実施形態では、FGFR1、FGFR 2及び/又はFGFR3突然変異は、FGFR1 N546K、FGFR1 K656E、FGFR2 S252W、FGFR2 P253R、FGFR2 A315T、FGFR2 Y375C、FGFR2 C382R、FGFR2 N549K、FGFR2 K659E、FGFR3 R248C、FGFR3 S249C、FGFR3 G370C、FGFR3 S371C、FGFR3 Y373C、FGFR3 G380R、FGFR3 K650E、FGFR3 K650M、及びその組み合わせからなる群から選択される。
【0091】
ある実施形態では、胆管癌は、FGFR1遺伝子融合及びFGFR1突然変異を有する。ある実施形態では、胆管癌は、FGFR1遺伝子融合及びFGFR2突然変異を有する。ある実施形態では、胆管癌は、FGFR1遺伝子融合及びFGFR3突然変異を有する。
【0092】
ある実施形態では、胆管癌は、FGFR2遺伝子融合及びFGFR1突然変異を有する。ある実施形態では、胆管癌は、FGFR2遺伝子融合及びFGFR2突然変異を有する。ある実施形態では、胆管癌は、FGFR2遺伝子融合及びFGFR3突然変異を有する。
【0093】
ある実施形態では、胆管癌は、FGFR3遺伝子融合及びFGFR1突然変異を有する。ある実施形態では、胆管癌は、FGFR3遺伝子融合及びFGFR2突然変異を有する。ある実施形態では、胆管癌は、FGFR3遺伝子融合及びFGFR3突然変異を有する。
【0094】
ある実施形態では、胆管癌は、FGFR1、FGFR2及び/又はFGFR3の増幅を有する。
【0095】
ある実施形態では、有効量のインフィグラチニブ又はその薬学的に許容される塩を投与することは、約125mgのインフィグラチニブ又はその薬学的に許容される塩を投与することを含む。
【0096】
ある実施形態では、有効量のインフィグラチニブ又はその薬学的に許容される塩は、1日1回、患者に投与される。
【0097】
ある実施形態では、有効量のインフィグラチニブ又はその薬学的に許容される塩は、患者に経口投与される。
【0098】
ある実施形態では、有効量のインフィグラチニブ又はその薬学的に許容される塩を投与することは、1日1回、約25mgのインフィグラチニブ又はその薬学的に許容される塩を経口投与することを含む。
【0099】
ある実施形態では、有効量のインフィグラチニブ又はその薬学的に許容される塩を投与することは、1日1回、約50mgのインフィグラチニブ又はその薬学的に許容される塩を経口投与することを含む。
【0100】
ある実施形態では、有効量のインフィグラチニブ又はその薬学的に許容される塩を投与することは、1日1回、約75mgのインフィグラチニブ又はその薬学的に許容される塩を経口投与することを含む。
【0101】
ある実施形態では、有効量のインフィグラチニブ又はその薬学的に許容される塩を投与することは、1日1回、約100mgのインフィグラチニブ又はその薬学的に許容される塩を経口投与することを含む。
【0102】
ある実施形態では、有効量のインフィグラチニブ又はその薬学的に許容される塩を投与することは、1日1回、約125mgのインフィグラチニブ又はその薬学的に許容される塩を経口投与することを含む。
【0103】
ある実施形態では、有効量のインフィグラチニブ又はその薬学的に許容される塩を投与することは、28日のサイクルを含み、約25mgのインフィグラチニブ又はその薬学的に許容される塩は、連続3週間(21日間)、患者に1日1回投与され、続いて、インフィグラチニブは、1週間(7日間)投与されない。
【0104】
ある実施形態では、有効量のインフィグラチニブ又はその薬学的に許容される塩を投与することは、28日のサイクルを含み、約50mgのインフィグラチニブ又はその薬学的に許容される塩は、連続3週間(21日間)、患者に1日1回投与され、続いて、インフィグラチニブは、1週間(7日間)投与されない。
【0105】
ある実施形態では、有効量のインフィグラチニブ又はその薬学的に許容される塩を投与することは、28日のサイクルを含み、約75mgのインフィグラチニブ又はその薬学的に許容される塩は、連続3週間(21日間)、患者に1日1回投与され、続いて、インフィグラチニブは、1週間(7日間)投与されない。
【0106】
ある実施形態では、有効量のインフィグラチニブ又はその薬学的に許容される塩を投与することは、28日のサイクルを含み、約100mgのインフィグラチニブ又はその薬学的に許容される塩は、連続3週間(21日間)、患者に1日1回投与され、続いて、インフィグラチニブは、1週間(7日間)投与されない。
【0107】
ある実施形態では、有効量のインフィグラチニブ又はその薬学的に許容される塩を投与することは、28日のサイクルを含み、約125mgのインフィグラチニブ又はその薬学的に許容される塩は、連続3週間(21日間)、患者に1日1回投与され、続いて、インフィグラチニブは、1週間(7日間)投与されない。
【0108】
ある実施形態では、有効量のインフィグラチニブ又はその薬学的に許容される塩は、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、又は12回連続の28日間サイクルの間、患者に投与される。
【0109】
ある実施形態では、約125mgのインフィグラチニブ又はその薬学的に許容される塩は、単位用量として提供される。ある実施形態では、約100mgのインフィグラチニブ又はその薬学的に許容される塩は、単位用量として提供される。ある実施形態では、約75mgのインフィグラチニブ又はその薬学的に許容される塩は、単位用量として提供される。ある実施形態では、約50mgのインフィグラチニブ又はその薬学的に許容される塩は、単位用量として提供される。ある実施形態では、約25mgのインフィグラチニブ又はその薬学的に許容される塩は、単位用量として提供される。
【0110】
いくつかの実施形態では、約125mgのインフィグラチニブ又はその薬学的に許容される塩は、単位用量として提供される。いくつかの実施形態では、約125mgのインフィグラチニブ又はその薬学的に許容される塩は、100mgの単位用量及び25mgの単位用量として提供される。いくつかの実施形態では、約125mgのインフィグラチニブ又はその薬学的に許容される塩は、75mgの単位用量及び50mgの単位用量として提供される。
【0111】
ある実施形態では、約100mgのインフィグラチニブ又はその薬学的に許容される塩は、75mgの単位用量及び25mgの単位用量として提供される。いくつかの実施形態では、約100mgのインフィグラチニブ又はその薬学的に許容される塩は、2つの50mgの単位用量として提供される。
【0112】
ある実施形態では、約75mgのインフィグラチニブ又はその薬学的に許容される塩は、50mgの単位用量及び25mgの単位用量として提供される。
【0113】
ある実施形態では、約50mgのインフィグラチニブ又はその薬学的に許容される塩は、2つの25mgの単位用量として提供される。
【0114】
ある実施形態では、約125mgのインフィグラチニブ又はその薬学的に許容される塩は、患者に経口投与される。ある実施形態では、約100mgのインフィグラチニブ又はその薬学的に許容される塩は、患者に経口投与される。ある実施形態では、約75mgのインフィグラチニブ又はその薬学的に許容される塩は、患者に経口投与される。ある実施形態では、約50mgのインフィグラチニブ又はその薬学的に許容される塩は、患者に経口投与される。ある実施形態では、約25mgのインフィグラチニブ又はその薬学的に許容される塩は、患者に経口投与される。
【0115】
いくつかの実施形態では、方法は、有効量のインフィグラチニブ又はその薬学的に許容される塩を、空腹時に、その必要がある患者に投与することをさらに含む。いくつかの実施形態では、有効量のインフィグラチニブ又はその薬学的に許容される塩は、患者が食物を摂取する少なくとも1時間前に、その必要がある患者に投与されるべきである。いくつかの実施形態では、有効量のインフィグラチニブ又はその薬学的に許容される塩は、患者が食物を摂取した少なくとも2時間後に、その必要がある患者に投与されるべきである。
【0116】
ある実施形態では、進行又は転移性胆管癌は、組織学的に又は細胞学的に確認される。いくつかの実施形態では、進行又は転移性胆管癌は、組織学的に確認される。いくつかの実施形態では、進行又は転移性胆管癌は、細胞学的に確認される。
【0117】
ある実施形態では、方法は、インフィグラチニブの薬学的に許容される塩の有効量をその必要がある患者に投与することを含む。いくつかの実施形態では、インフィグラチニブの薬学的に許容される塩は、一リン酸塩である。いくつかの実施形態では、インフィグラチニブの薬学的に許容される塩は、無水一リン酸塩である。いくつかの実施形態では、インフィグラチニブの薬学的に許容される塩は、15.0°±0.2°の粉末X線回折(XRPD)ピーク(2θ)によって特徴づけられる多形形態をした無水一リン酸塩である。いくつかの実施形態では、インフィグラチニブの無水結晶一リン酸塩の多形形態は、本明細書において記載される。
【0118】
別の態様では、進行又は転移性胆管癌の治療をその必要がある患者において行うための方法であって:本明細書において開示される医薬組成物のいずれか1つを投与することを含み、患者は、別の療法を以前に投与した後に胆管癌が進行した、方法が本明細書において提供される。
【実施例】
【0119】
本明細書において記載される本開示がさらに詳しく理解されるために、以下の実施例を記載する。本出願において記載される合成の及び生物学的な実施例は、本明細書において提供される化合物、医薬組成物、及び方法を例証するために提供され、それらの範囲を限定するものとして決して解釈されるべきではない。
【0120】
実施例1:3-(2,6-ジクロロ-3,5-ジメトキシ-フェニル)-1-{6-4-(4-エチル-ピペラジン-1-イル)-フェニルアミノール-ピリミジン-4-イル}-1-メチル-尿素(インフィグラチニブ)の合成
ステップA:N-4-(4-エチル-ピペラジン-1-イル)-フェニル)-N’-メチル-ピリミジン-4,6-ジアミンの合成
ジオキサン(15mL)中4-(4-エチルピペラジン-1-イル)-アニリン(1g、4.88mmol)、(6-クロロ-ピリミジン-4-イル)-メチル-アミン(1.81g、12.68mmol、1.3eq.)、及び4N HClの混合物を、5時間150℃まで封管において加熱する。反応混合物を、濃縮し、ジクロロメタン(DCM)及び炭酸水素ナトリウムの飽和水溶液により希釈する。水層を、DCMにより分離し、抽出する。有機相を、ブラインにより洗浄し、乾燥させ(硫酸ナトリウム)、ろ過し、濃縮する。シリカゲルカラムクロマトグラフィー(DCM/MeOH、93:7)によって残渣を精製し、その後、ジエチルエーテル中でトリチュレーションし、白色固体として表題化合物を得る:ESI-MS:313.2[MH]+;tR=1.10分(勾配J);TLC:Rf=0.21(DCM/MeOH、93:7)。
【0121】
ステップB:4-(4-エチルピペラジン-1-イル)-アニリンの合成
MeOH(120mL)中1-エチル-4-(4-ニトロ-フェニル)-ピペラジン(6.2g、26.35mmol)及びラネーニッケル(2g)の懸濁液を、水素雰囲気下、RTで7時間撹拌する。反応混合物を、セライトのパッドを通してろ過し、濃縮し、紫色の固体として5.3gの表題化合物を得る:ESI-MS:206.1[MH]+;TLC:Rf=0.15(DCM/MeOH+1%NH3
aq、9:1)。
【0122】
ステップC:1-エチル-4-(4-ニトロ-フェニル)-ピペラジンの合成
1-ブロモ-4-ニトロベンゼン(6g、29.7mmol)及び1-エチルピペラジン(7.6mL、59.4mmol、2eq.)の混合物を、15時間80℃まで加熱する。RTまで冷却した後、反応混合物を、水及びDCM/MeOH、9:1により希釈する。水層を、DCM/MeOH、9:1により分離し、抽出する。有機相を、ブラインにより洗浄し、乾燥させ(硫酸ナトリウム)、ろ過し、濃縮する。シリカゲルカラムクロマトグラフィー(DCM/MeOH+1%NH3
aq、9:1)によって残渣を精製し、黄色の固体として6.2gの表題化合物を得る:ESI-MS:236.0[MH]+;tR=2.35分(純度:100%,勾配J);TLC:Rf=0.50(DCM/MeOH+1%NH3
aq、9:1)。
【0123】
ステップD:(6-クロロ-ピリミジン-4-イル)-メチル-アミンの合成
この物質は、文献において公開される手順を変更して調製した(J.Appl.Chem.1955,5,358):イソプロパノール(60mL)中市販で入手可能な4,6-ジクロロピリミジン(20g、131.6mmol、1.0eq.)の懸濁液に、内部温度が50℃を超えて上昇しないように、エタノール(40.1mL、328.9mmol、2.5eq.)中33%メチルアミンを追加する。追加が完了したら、反応混合物を、室温で1時間撹拌した。次に、水(50mL)を追加し、形成される懸濁液を、5℃まで氷浴で冷やす。沈殿した生成物を、ろ過し、冷イソプロパノール/水2:1(45mL)及び水により洗浄する。収集した物質を、45℃で一晩、真空乾燥させ、無色の粉末として表題化合物を得る:tR=3.57分(純度:>99%、勾配A)、ESI-MS:144.3/146.2[MH]+。
【0124】
ステップE:3-(2,6-ジクロロ-3,5-ジメトキシ-フェニル)-1-{6-4-(4-エチル-ピペラジン-1-イル)-フェニルアミノール-ピリミジン-4-イル}-1-メチル-尿素の合成
表題化合物は、2,6-ジクロロ-3,5-ジメトキシフェニル-イソシアネート(1.25eq.)を、トルエン中N-4-(4-エチル-ピペラジン-1-イル)-フェニル)-N’-メチル-ピリミジン-4,6-ジアミン(2.39g、7.7mmol、1eq.)の溶液に追加し、還流させながら1.5時間、反応混合物を撹拌することによって、調製した。シリカゲルカラムクロマトグラフィー(DCM/MeOH+1%NH3
aq、95:5)によって粗生成物を精製し、白色固体として表題化合物を得る:ESI-MS:560.0/561.9[MH]+;tR=3.54分(純度:100%、勾配J);TLC:Rf=0.28(DCM/MeOH+1%NH3
aq、95:5)。分析:C26H31N7O3Cl2,計算値 C,55.72%;H,5.57%;N,17.49%;O,8.56%;C1,12.65%。実測値 C,55.96%:H,5.84%:N,17.17%;O,8.46%;C1,12.57%。
【0125】
実施例2:3-(2,6-ジクロロ-3,5-ジメトキシ-フェニル)-1-{6-4-(4-エチル-ピペラジン-1-イル)-フェニルアミノール-ピリミジン-4-イル}-1-メチル-尿素の一リン酸塩形態A(BGJ398)の合成
丸底フラスコに、3-(2,6-ジクロロ-3,5-ジメトキシフェニル)-1-(6-4-(4-エチルピペラジン-1-イル)フェニルアミノール-ピリミジン-4-イル)-1-メチル-尿素(134g、240mmol)及びイソプロパノール(IPA)(2000mL)を追加した。懸濁液を撹拌し、50℃まで加熱し、水(2000mL)中リン酸(73.5g、750mmol)の溶液を、分けてそれに追加した。混合物を、30分間60℃で撹拌し、ポリプロピレンパッドを通してろ過した。パッドを、温かいIPA/水(1:1、200mL)により洗浄し、ろ液を組み合わせた。この透明溶液に、IPA(6000mL)を追加し、混合物を20分間、還流下で撹拌し、室温(25℃)までゆっくり冷却し、24時間撹拌した。白色の塩生成物を、ろ過によって収集し、IPA(2×500mL)により洗浄し、2日間、減圧下で60℃のオーブンで乾燥させ、無水結晶一リン酸塩(110g)がもたらされた。収率70%。HPLCによる純度>98%。分析:C26H34N7O7Cl2P,計算値 C,47.42%;H,5.20%;N,14.89%;O,17.01%;C1,10.77%;P.4.70%。実測値 C,47.40%;H,5.11%:N,14.71%;O,17.18%:Cl,10.73%;P 4.87%。
【0126】
実施例3:25mg、100mg及び125mg用量のインフィグラチニブ医薬製剤についての製造プロセス
以下の実施例において、製造プロセスを、すべての例示される投与量について概説する。
成分について該当する量は、下記の実施例3.1、3.2、及び3.3の配合において提供する。
【0127】
医薬配合物の製造
セルロースMK-GR、ラクトース(粉)、インフィグラチニブ、セルロースHPM 603、及び架橋ポリビニルピロリドン(PVP-XL)を、垂直湿式高剪断造粒機(例えばTK Fiedler(底部駆動型、65L)の中に、約45~50%の造粒機充填容積で、順に追加し、次に、5つの構成成分を、インペラーを60~270rpm、好ましくは150rpmに設定し;チョッパーを600~3000rpm、好ましくは1500rpmに設定して、約5分間混合し、乾燥した配合物を得た。
【0128】
精製水を、造粒液として、7分間、約385g/分の速度で(水を約2.7kgまで追加)、スプレーの圧力を1.5バールに設定し(インペラーを60~270rpm、好ましくは150rpmに設定し;チョッパーを600~3000rpm、好ましくは1500rpmに設定)、追加した。結果として生じる造粒混合物を、約3分間練る(インペラーを60~270rpm、好ましくは150rpmに設定し;チョッパーを600~3000rpm、好ましくは1500rpmに設定)。練られた造粒塊を、90~600rpmでComilを使用して、3.0mmのふるいにかける。この工程段階は、必須ではなく、省略されてもよいが、好ましくは、この工程段階は、実行される。
【0129】
顆粒剤は、≦2.2%の乾燥エンドポイントに到達するように、流動層乾燥装置、例えばGlatt GPCG 15/30又は等価物において、55~65℃、好ましくは60℃の吸気温度、約30~40℃の生成物温度、及び300~1200m3/時の吸気容積で乾燥させる。
【0130】
乾燥させた顆粒剤は、Comilにおいて800~1000μmでふるいにかける。結果として生じる乾燥させ、ふるいにかけた顆粒剤はまた、本明細書において内側相とも称される。
【0131】
外側相の賦形剤PVP XL及びAerosil 200を、およそ50~150rpmでComilにおいて900~1000μmでふるいにかけ、次に、約5分間、4~25rpm、好ましくは17rpmで混合することによって、適したコンテナー(例えばビンブレンダー、ターブラ(turbula)、又は等価物)中で内側相と組み合わせる(33~66%の粉末を充填)。
【0132】
固体は、約17rpmで約3分間、拡散ミキサー(タンブル)又はビンブレンダー(例えばBohle PM400、Turbula、若しくは等価物)において配合することによって、追加の外側相賦形剤として500rpmでふるいにかけたステアリン酸マグネシウムを追加することによってなめらかにし、カプセル充填にすぐに使うことができる最終配合物を得る。
【0133】
カプセルの製造
最終配合物は、次に、ドーシングプレート原理を有する又はドーシングチューブを有するカプセル化装置(例えばHoefliger&Karg GKF330、Bosch GKF1500、Zanasi12 E.Zanasi40 E)によって、10,000~100,000キャップ/時のカプセル化速度で且つ予圧なしで、サイズ0、1、又は3の硬ゼラチンカプセル(HGC)の中に充填する。カプセルの重量を検査し、カプセルを除塵する。
【0134】
【0135】
【0136】
【0137】
実施例4:進行又は転移性胆管癌を有する成人患者における経口インフィグラチニブ(BGJ398)の試験
目的及び根拠
この試験は、標的選択的pan-FGFR阻害剤BGJ398の有効性を、遺伝的に選択された進行又は転移性胆管癌を有する患者に単剤として投与された場合に、全奏効率の推定を通して評価するために設計される。
【0138】
ベースライン時及び進行時のこれらの腫瘍の分子的特性評価により、有望な治療の組み合わせ並びに一次耐性及び獲得耐性のメカニズムについての理解を深めることができる。
【0139】
主要目的
RECIST v1.1(Eisenhauer et al.,2009)に従う画像中央判定によって判断される総合奏功によって測定される、FGFR2遺伝子融合若しくは転座又は他のFGFR遺伝的変化を有する進行又は転移性胆管癌を有する患者における単剤BGJ398の有効性を評価する。
【0140】
副次的目的
治験責任医師によって判断される総合奏功;治験責任医師によって及びRECIST v1.1に従って画像中央判定によって判断される無増悪生存期間、最良総合奏功、病勢コントロール;並びに全生存期間によって測定される、単剤BGJ398の有効性をさらに評価する。
【0141】
有害事象(AE)及び重篤有害事象(SAE)のタイプ、頻度、及び重症度によって単剤BGJ398の安全性及び忍容性について特性評価する。
【0142】
BGJ398及びその代謝産物の特定のトラフ値及び2時間又は4時間血漿濃度を決定する。
【0143】
25mg及び100mgの用量の薬物動態プロファイルについて特性評価する。
【0144】
試験デザイン
これは、FGFR遺伝的変化を有する進行又は転移性胆管癌患者におけるBGJ398抗腫瘍活性を評価するための多施設非盲検単一群第II相試験である。125mgの経口単独療法BGJ398を、各28日のサイクルの最初の3週間(21日間)、1日1回投与する。125mgの開始用量を、100mg、75mg、又は50mgまで低下させてもよい。治療期間を、サイクル1の1日目に始め、疾患進行、許容できない毒性、インフォームドコンセントの撤回、又は死亡まで継続する。患者は、RECIST v1.1基準を使用して、疾患進行又は試験の中止まで8週間毎にX線検査で抗腫瘍反応について評価する。
【0145】
患者集団
進行疾患のためのシスプラチン及びゲムシタビンを含有する治療法又はシスプラチンに対して不耐性であるとみなされる患者のためのゲムシタビンを含有する治療法の後に、放射線学的進行の証拠を有する、FGFR2遺伝子融合若しくは転座又は他のFGFR遺伝的変化を有する、組織学的に又は細胞学的に確認された進行又は転移性胆管癌を有する成人の患者を登録する。男性及び女性両方の18歳を超えるおよそ160人以下の成人の患者を、登録する。患者の3つのコホートは、以下の試験集団を含む:
・コホート1:約120人の患者、FGFR2遺伝子融合又は転座を有する108人及び他のFGFR遺伝的変化を有する12人。
・コホート2:FGFR2遺伝子融合又は転座以外のFGFR遺伝的変化を有する約20人の患者。
・コホート3:これまでにFGFR阻害剤を受けたことがあるFGFR2遺伝子融合又は転座を有する約20人以下の患者。
【0146】
主な組み入れ基準
診断の時点で組織学的に又は細胞学的に確認された胆管癌を有する患者。胆嚢又はファーテル膨大部の癌を有する患者は、適格ではない。
【0147】
以下のFGFR遺伝子変化についての現地の又は中央検査機関による決定の文書:
・コホート1:FGFR2遺伝子融合又は転座。
・コホート2:以下のうちの1つ:(a)FGFR1融合若しくは転座、(b)FGFR3融合若しくは転座、又は(c)活性化突然変異であることが知られており、表4に示されるFGFR1/2/3突然変異。
【0148】
【表4】
・コホート3:FGFR2遺伝子融合又は転座。
【0149】
患者は、進行又は転移性疾患のためのシスプラチンあり又はなしのゲムシタビンを含有する治療法を少なくとも1回、これまでに受けている。患者は、これまでの治療法の後に病勢進行の証拠を有していなければならない又はこれまでの治療が毒性のため中止された場合、測定可能な若しくは評価可能な疾患の証拠を継続してとっている。
【0150】
ECOGパフォーマンスステータス≦1(2のECOGパフォーマンスステータスを有する患者は、個別に検討されてもよい)。ECOGパフォーマンスステータスは、表5に示されるように判断される。
【0151】
【0152】
コホート3のみ:BGJ398/インフィグラチニブ以外のFGFR阻害剤によりこれまでに治療されたことがあることが文書に記録されている。
【0153】
主な除外基準
MEK阻害剤(すべてのコホート)、BGJ398/インフィグラチニブ(すべてのコホート)、又は選択的FGFR阻害剤(コホート1及び2のみ)によりこれまでに治療されたことがある又は現在治療中である。
【0154】
眼科検査によって確認される水疱性/バンド角膜症、角膜擦過傷、炎症/潰瘍、角結膜炎を含むが、これらに限定されない角膜又は網膜障害/角膜症の証拠が現在ある。
【0155】
軟部組織、腎臓、腸、心筋、血管系、及び肺を含むが、これらに限定されない広範な組織石灰化の病歴がある及び/又は証拠が現在ある、ただし、リンパ節の石灰化、軽度の肺実質の石灰化、及び無症候性冠動脈石灰化を除く。
【0156】
経口BGJ398の吸収をかなり変化させる可能性がある消化管(GI)機能障害又はGI疾患(例えば潰瘍性疾患、コントロール不良の悪心、嘔吐、下痢、吸収不良症候群、小腸切除)。
【0157】
内分泌によるカルシウム/リン酸の恒常性の変化、例えば副甲状腺障害、副甲状腺摘出術の病歴、腫瘍溶解、腫瘍性石灰沈着症等の証拠が現在ある。
【0158】
CYP3A4の既知の強力な阻害剤又は誘発因子である薬による治療を並行して受けている。血清リン及び/又はカルシウム濃度を増加させる薬剤は、除外される。患者は、酵素誘発性抗てんかん薬を受けることは許可されない。
【0159】
コホート3のみ:FGFR2遺伝子中にV564F突然変異が存在することが知られている。
【0160】
有効性の判断
RECIST v1.1に従う抗腫瘍反応及び生存期間。
【0161】
安全性の判断
有害事象(AE)の報告並びに臨床検査パラメーター、バイタルサイン、眼科的判断、及び心イメージングにおけるベースラインからの変化。
【0162】
他の判断
薬物動態の判断:血液サンプルを、BGJ398及びその代謝産物の血漿濃度の測定のために収集する。
【0163】
バイオマーカーの判断:ベースライン時の及び疾患進行の発症の後の(入手可能な場合はいつでも)腫瘍サンプル由来の次世代DNAシークエンシングデータの解析を通して癌治療に対して耐性になるメカニズムを調べるために、保存腫瘍サンプル又は新たに得た腫瘍サンプルを、収集する。
【0164】
ベースライン時の腫瘍組織における遺伝的変化、臨床反応、及び耐性の発症との相関関係について調べるための無細胞DNA解析のために、血液サンプルを、スクリーニング時に及び試験の全体を通じて収集する。
【0165】
データ解析
十分な数の患者を解析に利用できるようにするために、この治験計画に参加している施設からのデータを、組み合わせる。データを、人口統計学的特性及びベースライン特性、有効性及び安全性についての観察結果及び測定値、並びにすべての関連するPK測定値及びPD測定値に関して要約する。カテゴリーデータは、頻度及びパーセンテージとして提供する。連続データについては、平均値、標準偏差、中央値、25及び75パーセンタイル、最小値、並びに最大値が、提供される。
【0166】
結果
試験治療をスタートさせる前に、患者5010004は、経口エルダフィチニブによる治療を受けていた。エルダフィチニブによる治療は、X線撮影による疾患進行のために、およそ2ヵ月後に中止された。すなわち、患者の最良反応は、病勢進行であった。
【0167】
患者5010004は、次に、エルダフィチニブによる治療の中止のおよそ2ヵ月後に、試験治療をスタートさせた。インフィグラチニブによる治療の間、患者の反応は、RECIST v1.1により現地の治験責任医師によって行われる追跡調査によって決定した。患者が、最初の3回の追跡調査で、すなわち、少なくとも約4ヵ月間、病勢安定を有したことが決定された。試験治療は、およそ5ヵ月後、病勢進行のために中止した。試験の概要を、表6に示す。
【0168】
【0169】
実施例5:ヌードマウスにおいて確立されたFGFR3突然変異型Vex-MR086M1患者由来尿管癌異種移植片モデルにおける単剤として使用したインフィグラチニブ及びエルダフィチニブの抗腫瘍活性についてのインビボにおける評価
目的
免疫不全雌マウスにおいて開発されたFGFR3突然変異VEx-MR086M1患者由来尿管癌異種移植片モデルにおいて、FGRF1-4チロシンキナーゼ阻害剤エルダフィチニブと比較した、単剤として使用したインフィグラチニブの抗腫瘍活性を決定する。
【0170】
ヒト腫瘍異種移植片モデル
Vex-MR086M1ヒト腫瘍異種移植片モデルは、最初の効果の後にエルダフィチニブによる治療下で膀胱癌が進行した患者の転移性病変から得た(表7)。患者の腫瘍及び患者由来異種移植片(PDX)は、FGFR3突然変異(S249C)を有する。PDXモデルは、1週間につき5日連続投薬された15mg/kgのエルダフィチニブ(Carbosynth(登録商標))による治療をもとに開発された。
【0171】
【0172】
動物及び飼育条件
体重が18~25グラムの非近交系胸腺欠損(nu/nu)雌マウス(HSD:胸腺欠損ヌードFoxn1nu)(ENVIGO、Gannat、France)を、操作の少なくとも6日前に、飼料及び水を自由に摂取できる動物施設において順応するように割り付けた(表8)。
【0173】
【0174】
動物の飼育
マウスは、順化期間の間、最大7匹及び実験段階の間、最大6匹の群で収容した。マウスは、滅菌で無塵の穂軸の床敷を敷いたポリスルホン(PSU)プラスチックの個別換気ケージ(IVC)(mm 213W×362D×185H、Allentown、USA)内に収容した。飼料及び水は、滅菌した。動物は、明暗サイクル(人工光の14時間概日サイクル)並びにコントロールされた室温及び湿度下で収容した。環境条件をモニターし、データを、Central Animal House Archivesに保存した。
【0175】
餌及び水の供給
飲料水は、自由に与えた。各マウスに、試験の全体を通じて、毎日、完全ペレット食(150-SP-25、SAFE)を与えた。動物の飼料及び水についての分析証明書は、CERFEの敷地に保存した。
【0176】
動物の識別
動物はすべて、各実験の前に体重を量り、耳パンチによる付番方式のユニークなパターンによって識別した。各ケージは、以下について示す紙のタグによって識別した:ケージ番号、マウスの株及び数、腫瘍コード、実験の日付。
【0177】
被験化合物及び製剤
インフィグラチニブの調製及び溶媒群の治療のためのインフィグラチニブ溶媒(50% 50mM酢酸緩衝液+50%PEG300 pH4.6)を、2ステップで調製した。
【0178】
第1のステップ、pH4.6+/-0.05の50mM酢酸緩衝液の調製:必要な量の酢酸ナトリウム三水和物の重量を量り、滅菌脱イオン水中に溶解した。次に、氷酢酸(1Lに対して1.5ml)を溶液に追加し、pHを、HCl 1Nにより4.6+/-0.5に調整した。滅菌脱イオン水は、最終容量に仕上げるために使用した。
【0179】
第2のステップ、50% 50mM酢酸緩衝液+50%PEG300 pH4.6溶媒の調製:pH4.6の50mM酢酸緩衝液を、少なくとも1分間、磁気撹拌しながらPEG300(比1:1、v/v)と混合した。
【0180】
原液を、遮光キャビネットにおいて1ヵ月間、+4℃で保管した。一定分量を、治療の週毎に作製した。
【0181】
3及び5mg/ml遊離塩基(それぞれ3.51及び5.85mg/ml塩形態)のインフィグラチニブ(BGJ398)の投薬液は、1.17の塩形態/遊離塩基の比率を考慮しながら、必要な量のインフィグラチニブの重量を量り、次に、完全に溶解するまで磁気撹拌しながら(少なくとも15分間)、インフィグラチニブ溶媒(50%の50mM酢酸緩衝液+50%PEG300 pH4.6)を追加して、調製した。調製物は、遮光キャビネットにおいて7日間、+4℃で保管した。
【0182】
滅菌脱イオン水中のHP-β-CD(Kleptose)20%(エルダフィチニブ調製用)を、磁気撹拌しながら、必要な量の滅菌脱イオン水中に必要な量のHP-β-CDを溶解して、調製した。原液を、遮光キャビネットにおいて1ヵ月間、+4℃で保管した。
【0183】
1.5mg/mlのエルダフィチニブの投薬液は、必要な量のエルダフィチニブの重量を量り、次に、完全に溶解するまで磁気撹拌しながらHP-β-CD 20%を追加して、調製した。調製物は、遮光キャビネットにおいて7日間、+4℃で保管した。
【0184】
腫瘍移植片モデルの誘発
同じ継代の腫瘍を、3~24匹のマウス(ドナーマウス、継代(n-1))に皮下移植した。これらの腫瘍が1470~1688mm3に到達したら、ドナーマウスを、頸椎脱臼によって屠殺し、腫瘍を、無菌的に切除し、解剖した。壊死部分を除去した後に、腫瘍を、体積がおよそ20mm3の断片にカットし、移植の前に培養培地中に移した。
【0185】
59匹のマウスを、100mg/kg塩酸ケタミン及び10mg/kgキシラジンにより麻酔し、次に、皮膚を、クロルヘキシジン溶液により消毒し(aseptize)、肩甲骨間部の高さのところで切開し、20mm3腫瘍断片を、皮下組織中に置いた。皮膚を、クリップで閉じた。
【0186】
実験が同じであるマウスはすべて、同日中に移植した。
【0187】
治療段階
試験において、62.5~196mm3の間のVEx-MR086M1により確立された増殖性の腫瘍(P9.1.1/0)を有する28匹のマウスを、それらの腫瘍量に従って、各治療群において腫瘍容積平均値及び腫瘍容積中央値が均一になるように割り付けた(表9)。治療は、5匹以下のマウスを収容する箱にランダムに割り当て、腫瘍の移植の36日後に開始した(47%の組み入れ率)。試験は、治療のスタートから21日後に終了した。
【0188】
【0189】
腫瘍測定及び動物の観察結果
腫瘍容積は、治療期間の間、1週間に3回、カリパスにより垂直方向の腫瘍直径を測定することによって評価した。
動物はすべて、腫瘍サイズの測定と同時に体重を量った。相対的な体重減少(RBW減少)は、治療の副作用とみなした。
マウスは、外見、行動、及び臨床上の変化について毎日観察した。
病気の徴候はすべて、あらゆる行動の変化又は治療に対する反応と共に、各動物について記録した。
【0190】
試験デザイン
合計4群を、表10において要約されるように使用した。各群は、最初、7匹のマウスを含んだ。
群1では、溶媒を、21日間(D0~D21)、毎日、経口ルートによって10ml/kgで投与した。
群2では、エルダフィチニブを、21日間(D0~D21)、毎日、経口ルートによって15mg/kg(10ml/kg)で投与した。
群3及び4では、インフィグラチニブを、21日間(D0~D21)、毎日、経口ルートによって30及び50mg/kg(10ml/kg)で、それぞれ投与した。
すべての治療用量は、投薬の時に体重に対して調整した。
【0191】
【0192】
体重減少又は有害現象が生じた場合に実施される措置
治療期間の間、行動又は臨床徴候の全般的な変化は、できるだけ早く治験依頼者に通知した(平日は24時間以内-週末は48時間以内)。
【0193】
以下の場合には、腫瘍容積によって:
- 体重減少≧15%(腫瘍容積≦1100mm3)又は
- 体重減少≧10%(腫瘍容積>1100mm3)、
治験依頼者に、一刻も早く知らせた(平日は24時間以内-週末は48時間以内)。
【0194】
次に、以下の措置をとる:
- 当該の動物について治療をストップした;体重減少が<10%になったら、治療を再開した。
- DietGel Recovery(登録商標)を、群全体に与え、体重減少を観察し、該当する動物の体重を、体重減少が<10%になるまで、毎日量った;DietGel Recovery(登録商標)の追加は、体重減少が<10%になったらストップした。
【0195】
倫理的な屠殺についての基準
以下の条件の1つを満たした場合、各動物を即時屠殺した:
-挙動又は臨床徴候の全般的な変化
-腫瘍容積≧1764mm3
-即時の介入を要する体重減少(BWL)
・腫瘍≦1100mm3を持っているマウス:
登録の日の体重と比較していかなる時点においてもBWL≧20%
登録の日の体重と比較して48時間維持されるBWL≧15%(2日間又は3回連続の測定値)。
・腫瘍>1100mm3を持っているマウス:
登録の日の体重と比較していかなる時点においてもBWL≧15%
登録の日の体重と比較して48時間維持されるBWL≧10%(2日間又は3回連続の測定値)。
【0196】
エンドポイント/試験終了
倫理的屠殺基準に到達したマウスのみ、適切な時に屠殺した。実験群全体は、実験期間の終わりに終わらせた。
【0197】
実験のエンドポイントは、以下の通りとした:
-3週間の治療段階。
【0198】
腫瘍サンプリング
腫瘍が500~847mm3に到達したら、4つの腫瘍を、FFPE及びRNA-later(登録商標)用に予備のマウスから収集した。
【0199】
各化合物及び各用量について、新鮮な腫瘍サンプルを、FFPE及びRNA Later(56サンプル:28FFPE及び28RNA later)用に、試験の終わりに又は倫理的屠殺の時に(週末を除く)、群毎にすべてのマウスから収集した。
【0200】
FFPE用の腫瘍サンプリング
腫瘍の1/2を、FFPE用に処理した:腫瘍を、24時間10%のホルマリン中で固定し、エタノール70%中に移し、次に、パラフィン包埋のためにAlthisiaに送った(すなわち28+4FFPE腫瘍サンプル)。
【0201】
正確なサンプリング時間、ホルマリン固定及びエタノール中での保管の期間を、各腫瘍サンプリングについて書き留めた。
【0202】
エタノール70%中での腫瘍保管の期間は、2週間を超えなかった。
【0203】
腫瘍サンプルは、腫瘍サンプルのサイズが1つの標準的な組織診断カセットに合わない場合、全体を分割して、パラフィン中に包埋した。腫瘍が大きすぎる場合、2つのカセットを作製した。
【0204】
サンプルを、下記に記載されるAlthisiaの手順に従って、脱水し、Peloris(Leica)のパラフィン中に含浸した:
- 異なる濃度及び温度のエタノール中に7回浸漬
- 異なる濃度及び温度のキシレン中に3回浸漬
- 真空雰囲気中65℃のパラフィン中に3回浸漬。
処理後、サンプルを、パラフィンブロック(Diawaxパラフィン)中に包埋した。
脱水サイクルから外れる時間を、記録した。
【0205】
腫瘍RNAサンプリング
RNA用に1/2の腫瘍:腫瘍を、4×4×1mmの断片にカットし、RNA later(登録商標)中に移し、24時間4℃で保管し、次に、RNA later(登録商標)を除去し、サンプルを、保管のために-80℃に移した。
【0206】
正確なサンプリング時間を、各サンプルについて書き留めた(すなわち28+4RNA later(登録商標)サンプル)。
【0207】
データ解析-データ処理
生データはすべて、付番した登記簿に紐付けられた適切な形式で記録し、保管し、コンピュータシステムによって処理した。
0日目を、組み入れの日とみなした。実験日は、この定義に従って続けて付番した。治療期間は、0日目に始めた。
記録は、平均値±平均値の標準誤差(m±sem)として表わした。
相対的な体重(RBW)は、治療のスタート時の体重によって体重を割ることによって、測定毎に算出する。
個々の体重減少パーセント(%BWL)=100-(BWx/BW0×100)、BWxは、治療の間の任意の日のBWであり、BW0は、組み入れの日のBWである。
平均体重減少パーセント(%BWL)=100-(平均BWx/平均BW0×100)、BWxは、治療の間の任意の日の平均BWであり、BW0は、組み入れの日の平均BWである。
平均相対的体重曲線は、各実験群について、時間に対する平均RBWをプロットすることによって得た。デルタ相対的体重(コントロール群の相対的体重と比較した治療群の相対的体重)は、統計解析に使用した。
式TV(mm3)=[長さ(mm)×幅(mm)2]/2が使用され、長さ及び幅は、それぞれ、腫瘍の最も長い及び最も短い直径である。
腫瘍増殖曲線は、各実験群について、時間に対するmm3での平均腫瘍容積をプロットすることによって得た。デルタ腫瘍容積(コントロール群の相対的腫瘍容積と比較した治療群の相対的腫瘍容積)は、統計解析に使用した。
個々の腫瘍増殖遅延(TGD)は、個々の腫瘍が最初の腫瘍容積の3~5倍に到達するのに必要とされる日数での時間として、算出した。増殖遅延中央値/群は、算出し、表において報告した。
腫瘍増殖遅延指数(TGDI)は、コントロール群における増殖遅延中央値によって割った治療群における増殖遅延中央値として、算出した。
治療群の平均腫瘍容積(T)とコントロール群の平均腫瘍容積(C)との間のパーセンテージ比を、算出した。
腫瘍増殖率は、式DT/T0によって評価し、DTは、検討した日と登録の日との間の腫瘍容積(TV)における差であり、T0は、D0の平均TVである。そのため、DT/T0<0は、DxxのTVがD0の平均TVと比較して減少していることを意味し、DT/T0>0は、DxxのTVがD0の平均TVと比較して増加していることを意味する。結果は、表において、パーセントで表わし([DT/T0]×100)、Dxxは、コントロール群が終わる日とする。腫瘍容積測定値に基づくRECISTに似た分類に関して、発明者らは、20%>[DT/T0]×100>-30%の範囲を上回る又は下回る腫瘍を、それぞれ、進行している又は退縮しているとみなすとして以前に定義した1。統計解析は、マン-ホイットニーノンパラメトリック比較検定によって、各測定値について行った。各治療群を、コントロール群と比較した。
【0208】
結果-忍容性データ、臨床観察
この試験において、実験期間の間、週に3回、マウスの体重を量った。
群1において、21日間(D0~D21)毎日経口ルートによって10ml/kgで投与した溶媒は、忍容性良好であり、平均体重減少はD13で3.1%であり、最大の個々の体重減少はD11の10.1%であった。関連する目立った徴候は、実験期間の間に報告されなかった。
群2において、21日間(D0~D21)毎日経口ルートによって15mg/kg(10ml/kg)で投与したエルダフィチニブは、1匹のマウスを除いて、忍容性良好であり、平均体重減少はなく、最大の個々の体重減少はD17の10.6%であった(D11からD18までp<0.05)。D17のマウス#16のBWL>15%のために、DietGel Recovery(登録商標)を、D17に群全体に与えた。関連する目立った徴候は、実験期間の間に報告されなかった。
群3において、21日間(D0~D21)毎日経口ルートによって30mg/kg(10ml/kg)で投与したインフィグラチニブは、忍容性良好であり、平均体重減少はD21で2.1%であり、最大の個々の体重減少はD18の8.6%であった。マウスはすべて、D13からD21(試験の終わり)まで、胸骨の高さにくぼみを有した。胸骨の高さにくぼみがあるという特性について株特異的なモディファイヤーを否定することはできない。他のいかなる臨床上の症状も報告されなかった。
群4において、21日間(D0~D21)毎日経口ルートによって50mg/kg(10ml/kg)で投与したインフィグラチニブは、忍容性を示し、平均体重減少は10.3%であり、最大の個々の体重減少はD18の19.8%であった。この群におけるインフィグラチニブ治療マウスの相対的体重は、各時点で溶媒コントロール群と比較して有意差はなかった。D6~D8のマウス#53(3日間連続のBWL>15%のためにD8に屠殺)、D18~D21のマウス#67、並びにD18及びD21のマウス#21についてのBWL>15%のために、DietGel Recovery(登録商標)を、群全体に与えた。治療は、D6からD8まで(マウス#53について)、D18からD20まで(マウス#67及び#21について)、中断した。マウスはすべて、D11又はD13からD21(試験の終わり)まで、胸骨の高さにくぼみを有した。胸骨の高さにくぼみがあるという特性について株特異的なモディファイヤーを否定することはできない。他のいかなる臨床上の症状も報告されなかった。
【0209】
抗腫瘍有効性データ
腫瘍増殖曲線(ある期間の間の平均腫瘍容積)を、
図1に図示する。各治療群についてのT/Cパーセント値を、表11に示し、
図2に図示する。統計解析を、表12に示す。
この試験において、実験期間の間、週に3回、マウスの体重を量った。
群2において、21日間(D0~D21)毎日経口ルートによって15mg/kg(10ml/kg)で投与したエルダフィチニブは、コントロール群と比較して、統計的に有意な腫瘍増殖阻害を誘発した(D11からD15までp<0.05;TGDI=1.71;最も良いT/C=D15の48.37%、及びΔT/T0=D18(コントロール群の終わり)の465.31%)。
群3において、21日間(D0~D21)毎日経口ルートによって30mg/kg(10ml/kg)で投与したインフィグラチニブは、コントロール群と比較して、統計的に有意な腫瘍増殖阻害を誘発した(D6にp<0.05、D8からD18までp<0.01;TGDi>2.06、最も良いT/C%=D15の14.81%、及びΔT/T0=D18(コントロール群の終わり)の77.83%)。30mg/kgのインフィグラチニブは、15mg/kgのエルダフィチニブよりも、高い腫瘍増殖阻害を示した(D11からD21までp<0.05)。インフィグラチニブ治療腫瘍の平均腫瘍容積は、D18(エルダフィチニブ治療群の終わり)のエルダフィチニブ治療腫瘍よりも、3.2倍低かった。
群4において、21日間(D0~D21)毎日経口ルートによって50mg/kg(10ml/kg)で投与したインフィグラチニブは、コントロール群と比較して、統計的に有意な腫瘍増殖阻害を誘発した(D6にp<0.05、D8からD18までp<0.01;TGDi>2.06、最も良いT/C%=D15の13.13%、及びΔT/T0=D18(コントロール群の終わり)の44.04%)。50mg/kgのインフィグラチニブは、15mg/kgのエルダフィチニブよりも、高い腫瘍増殖阻害を示した(D11からD21までp<0.05)。インフィグラチニブ治療腫瘍の平均腫瘍容積は、D18(エルダフィチニブ治療群の終わり)のエルダフィチニブ治療腫瘍よりも、3.8倍低かった。
【0210】
体重データ及び臨床観察に基づくと、単独療法として使用した化合物はすべて、忍容性を示した。しかしながらインフィグラチニブは、最も高い用量50mg/kgでわずかな進行性のBWLを誘発し、1匹のマウスは、48時間の間のBWL>15%のために屠殺した。
【0211】
15mg/kg、qdx21のエルダフィチニブ単独療法は、わずかな抗腫瘍活性を示す。
30及び50mg/kg、qdx21のインフィグラチニブ単独療法は、統計的に有意な腫瘍増殖阻害を実証した。Vex-MR086M1モデルにおいて、インフィグラチニブは、エルダフィチニブと比較して、統計的に有意な抗腫瘍活性を実証した。
【0212】
【0213】
【0214】
実施例6:ヌードマウスにおいて確立されたFGFR3突然変異型UREx-MR2057PD-AR患者由来尿管癌異種移植片モデルにおける、単剤として使用したインフィグラチニブ及びエルダフィチニブの抗腫瘍活性のインビボにおける評価
目的
免疫不全雌マウスにおいて開発されたFGFR3突然変異UREx-MR2057PD-AR患者由来尿管癌異種移植片モデルにおいて、単剤として使用し、FGRF1-4チロシンキナーゼ阻害剤エルダフィチニブ(Erda)と比較した、QED Therapeutics被験化合物インフィグラチニブ、ATP競合的FGFR1-3チロシンキナーゼ阻害剤の抗腫瘍活性を決定する。
【0215】
ヒト腫瘍異種移植片モデル
UREx-MR2057PD-ARモデルは、Erdaによる治療下での進行後に尿路上皮癌を有する患者の転移性病変から確立された。Erdaより前の治療歴は、わからないが、外科手術、そのうえ非標的化学療法を伴ったと思われる。患者の腫瘍は、FGFR3突然変異、FGFR3 S249C(アミノ酸249のセリンがシステインに突然変異している)を保有し、これは、FGFR3受容体の恒常的活性化をもたらす、FGFR3細胞外免疫グロブリン様ドメインにおける既知の発癌性突然変異である。インフィグラチニブは、FGFR3 S249C突然変異型尿路上皮癌患者において、臨床上の有効性を示す(Pal SK,Cancer Discovery,2018)。
【0216】
【0217】
動物及び飼育条件
体重が18~25グラムの非近交系胸腺欠損(nu/nu)雌マウス(HSD:胸腺欠損ヌードFoxn1nu)(ENVIGO、Gannat、France)を、操作の少なくとも6日前に、飼料及び水を自由に摂取できる動物施設において順応するように割り付けた(表14)。
【0218】
【0219】
動物の飼育
マウスは、順化期間の間、最大7匹及び実験段階の間、最大6匹の群で収容した。マウスは、滅菌で無塵の穂軸の床敷を敷いたポリスルホン(PSU)プラスチックの個別換気ケージ(IVC)(mm 213W×362D×185H、Allentown、USA)内に収容した。飼料及び水は、滅菌した。動物は、明暗サイクル(人工光の14時間概日サイクル)並びにコントロールされた室温及び湿度下で収容した。環境条件をモニターし、データを、Central Animal House Archivesに保存した。
【0220】
餌及び水の供給
飲料水は、自由に与えた。各マウスに、試験の全体を通じて、毎日、完全ペレット食(150-SP-25、SAFE)を与えた。動物の飼料及び水についての分析証明書は、CERFEの敷地に保存した。
【0221】
動物の識別
動物はすべて、各実験の前に体重を量り、耳パンチによる付番方式のユニークなパターンによって識別した。
【0222】
各ケージは、以下について示す紙のタグによって識別した:ケージ番号、マウスの株及び数、腫瘍コード、実験の日付。
【0223】
被験化合物及び製剤
インフィグラチニブの調製及び溶媒群の治療のためのインフィグラチニブ溶媒(50% 50mM酢酸緩衝液+50%PEG300 pH4.6)を、2ステップで調製した。
【0224】
第1のステップ、pH4.6+/-0.05の50mM酢酸緩衝液の調製:必要な量の酢酸ナトリウム三水和物の重量を量り、滅菌脱イオン水中に溶解した。次に、氷酢酸(1Lに対して1.5ml)を溶液に追加し、pHを、HCl 1Nにより4.6+/-0.5に調整した。滅菌脱イオン水は、最終容量に仕上げるために使用した。
【0225】
第2のステップ、50% 50mM酢酸緩衝液+50%PEG300 pH4.6溶媒の調製:pH4.6の50mM酢酸緩衝液を、少なくとも1分間、磁気撹拌しながらPEG300(比1:1、v/v)と混合した。
【0226】
原液を、遮光キャビネットにおいて1ヵ月間、+4℃で保管した。一定分量を、治療の週毎に作製した。
【0227】
3及び5mg/ml遊離塩基(それぞれ3.51及び5.85mg/ml塩形態)のインフィグラチニブ(BGJ398)の投薬液は、1.17の塩形態/遊離塩基の比率を考慮しながら、必要な量のインフィグラチニブの重量を量り、次に、完全に溶解するまで磁気撹拌しながら(少なくとも15分間)、インフィグラチニブ溶媒(50%の50mM酢酸緩衝液+50%PEG300 pH4.6)を追加して、調製した。調製物は、遮光キャビネットにおいて7日間、+4℃で保管した。
【0228】
滅菌脱イオン水中のHP-β-CD(Kleptose)20%(エルダフィチニブ調製用)を、磁気撹拌しながら、必要な量の滅菌脱イオン水中に必要な量のHP-β-CDを溶解して、調製した。原液を、遮光キャビネットにおいて1ヵ月間、+4℃で保管した。
【0229】
1.5mg/mlのエルダフィチニブの投薬液は、必要な量のエルダフィチニブの重量を量り、次に、完全に溶解するまで磁気撹拌しながらHP-β-CD 20%を追加して、調製した。調製物は、遮光キャビネットにおいて7日間、+4℃で保管した。
【0230】
腫瘍移植片モデルの誘発
同じ継代の腫瘍を、3~24匹のマウス(ドナーマウス、継代(n-1))に皮下移植した。これらの腫瘍が1372~1568mm3に到達したら、ドナーマウスを、頸椎脱臼によって屠殺し、腫瘍を、無菌的に切除し、解剖した。壊死部分を除去した後に、腫瘍を、体積がおよそ20mm3の断片にカットし、移植の前に培養培地中に移した。
【0231】
44匹のマウスを、100mg/kg塩酸ケタミン及び10mg/kgキシラジンにより麻酔し、次に、皮膚を、クロルヘキシジン溶液により消毒し、肩甲骨間部の高さのところで切開し、20mm3腫瘍断片を、皮下組織中に置いた。皮膚を、クリップで閉じた。
【0232】
実験が同じであるマウスはすべて、同日中に移植した。
【0233】
治療段階
試験において、62.5~171.15mm3の間のUREx-MR2057PD-ARにより確立された増殖性の腫瘍(P9.1.1/0)を有する32匹のマウスを、それらの腫瘍量に従って、各治療群において腫瘍容積平均値及び腫瘍容積中央値が均一になるように割り付けた(表15)。治療は、5匹以下のマウスを収容する箱にランダムに割り当て、腫瘍の移植の9日後に開始した(75%の組み入れ率)。試験は、治療のスタートから21日後に終了した。
【0234】
【0235】
腫瘍測定及び動物の観察結果
腫瘍容積は、治療期間の間、1週間に3回、カリパスにより垂直方向の腫瘍直径を測定することによって評価した。
動物はすべて、腫瘍サイズの測定と同時に体重を量った。相対的な体重減少(RBW減少)は、治療の副作用とみなした。
マウスは、外見、行動、及び臨床上の変化について毎日観察した。
病気の徴候はすべて、あらゆる行動の変化又は治療に対する反応と共に、各動物について記録した。
【0236】
試験デザイン
合計4群を、表16において要約されるように使用した。各群は、最初、8匹のマウスを含んだ。
群1では、溶媒を、21日間(D0~D21)、毎日、経口ルートによって10ml/kgで投与した。
群2では、エルダフィチニブを、21日間(D0~D21)、毎日、経口ルートによって15mg/kg(10ml/kg)で投与した。
群3及び4では、インフィグラチニブを、21日間(D0~D21)、毎日、経口ルートによって30及び50mg/kg(10ml/kg)で、それぞれ投与した。
すべての治療用量は、投薬の時に体重に対して調整した。
【0237】
【0238】
体重減少又は有害現象が生じた場合に実施される措置
治療期間の間、行動又は臨床徴候の全般的な変化は、できるだけ早く治験依頼者に通知した(平日は24時間以内-週末は48時間以内)。
【0239】
以下の場合には、腫瘍容積によって:
-体重減少≧15%(腫瘍容積≦1100mm3)又は
-体重減少≧10%(腫瘍容積>1100mm3)、
治験依頼者に、一刻も早く知らせた(平日は24時間以内-週末は48時間以内)。
【0240】
次に、以下の措置をとる:
-当該の動物について治療をストップした;体重減少が<10%になったら、治療を再開した。
-DietGel Recovery(登録商標)を、群全体に与え、体重減少を観察し、該当する動物の体重を、体重減少が<10%になるまで、毎日量った;DietGel Recovery(登録商標)の追加は、体重減少が<10%になったらストップした。
【0241】
倫理的な屠殺についての基準
以下の条件の1つを満たした場合、各動物を即時屠殺した:
-挙動又は臨床徴候の全般的な変化
-腫瘍容積≧1764mm3
-即時の介入を要する体重減少(BWL)
・腫瘍≦1100mm3を持っているマウス:
登録の日の体重と比較していかなる時点においてもBWL≧20%
登録の日の体重と比較して48時間維持されるBWL≧15%(2日間又は3回連続の測定値)。
・腫瘍>1100mm3を持っているマウス:
登録の日の体重と比較していかなる時点においてもBWL≧15%
○登録の日の体重と比較して48時間維持されるBWL≧10%(2日間又は3回連続の測定値)。
【0242】
エンドポイント/試験終了
倫理的屠殺基準に到達したマウスのみ、適切な時に屠殺した。実験群全体は、実験期間の終わりに終わらせた。
実験のエンドポイントは、以下の通りとした:
-3週間の治療段階。
【0243】
腫瘍サンプリング
腫瘍が500~726mm3に到達したら、5つの腫瘍を、FFPE及びRNA-later(登録商標)用に予備のマウスから収集した。
【0244】
各化合物及び各用量について、新鮮な腫瘍サンプルを、FFPE及びRNA later(64サンプル:32FFPE及び32RNA later)用に、試験の終わりに又は倫理的屠殺の時に(週末を除く)、群毎にすべてのマウスから収集した。
【0245】
FFPE用の腫瘍サンプリング
腫瘍の1/2を、FFPE用に処理した:腫瘍を、24時間10%のホルマリン中で固定し、エタノール70%中に移し、次に、パラフィン包埋のためにAlthisiaに送った(すなわち32+5FFPE腫瘍サンプル)。
正確なサンプリング時間、ホルマリン固定及びエタノール中での保管の期間を、各腫瘍サンプリングについて書き留めた。
エタノール70%中での腫瘍保管の期間は、2週間を超えなかった。
腫瘍サンプルは、腫瘍サンプルのサイズが1つの標準的な組織診断カセットに合わない場合、全体を分割して、パラフィン中に包埋した。腫瘍が大きすぎる場合、2つのカセットを作製した。
サンプルを、下記に記載されるAlthisiaの手順に従って、脱水し、Peloris(Leica)のパラフィン中に含浸した:
-異なる濃度及び温度のエタノール中に7回浸漬
-異なる濃度及び温度のキシレン中に3回浸漬
-真空雰囲気中65℃のパラフィン中に3回浸漬。
処理後、サンプルを、パラフィンブロック(Diawaxパラフィン)中に包埋した。
脱水サイクルから外れる時間を、記録した。
【0246】
腫瘍RNAサンプリング
RNA用に1/2の腫瘍:腫瘍を、4×4×1mmの断片にカットし、RNAlater中に移し、24時間4℃で保管し、次に、RNAlaterを除去し、サンプルを、保管のために-80℃に移した。
正確なサンプリング時間を、各サンプルについて書き留めた(すなわち32+5RNA laterサンプル)。
【0247】
データ解析-データ処理
生データはすべて、付番した登記簿に紐付けられた適切な形式で記録し、保管し、コンピュータシステムによって処理した。
0日目を、組み入れの日とみなした。実験日は、この定義に従って続けて付番した。治療期間は、0日目に始めた。
記録は、平均値±平均値の標準誤差(m±sem)として表わした。
相対的な体重(RBW)は、治療のスタート時の体重によって体重を割ることによって、測定毎に算出する。
個々の体重減少パーセント(%BWL)=100-(BWx/BW0×100)、BWxは、治療の間の任意の日のBWであり、BW0は、組み入れの日のBWである。
平均体重減少パーセント(%BWL)=100-(平均BWx/平均BW0×100)、BWxは、治療の間の任意の日の平均BWであり、BW0は、組み入れの日の平均BWである。
平均相対的体重曲線は、各実験群について、時間に対する平均RBWをプロットすることによって得た。デルタ相対的体重(コントロール群の相対的体重と比較した治療群の相対的体重)は、統計解析に使用した。
【0248】
式TV(mm3)=[長さ(mm)×幅(mm)2]/2が使用され、長さ及び幅は、それぞれ、腫瘍の最も長い及び最も短い直径である。
腫瘍増殖曲線は、各実験群について、時間に対するmm3での平均腫瘍容積をプロットすることによって得た。デルタ腫瘍容積(コントロール群の相対的腫瘍容積と比較した治療群の相対的腫瘍容積)は、統計解析に使用した。
個々の腫瘍増殖遅延(TGD)は、個々の腫瘍が最初の腫瘍容積の3~5倍に到達するのに必要とされる日数での時間として、算出した。増殖遅延中央値/群は、算出し、表において報告した。
腫瘍増殖遅延指数(TGDI)は、コントロール群における増殖遅延中央値によって割った治療群における増殖遅延中央値として、算出した。
治療群の平均腫瘍容積(T)とコントロール群の平均腫瘍容積(C)との間のパーセンテージ比を、算出した。
【0249】
腫瘍増殖率は、式[Ty/Tx]-1によって評価し、Tyは、検討した日の平均腫瘍容積であり、Txは、DXの平均TVである。「-1」は、登録の日と比較するために使用する。そのため、[Ty/Tx]-1<1である場合、DYのTVが、DXの平均TVと比較して減少していることを意味し、[Ty/Tx]-1>1である場合、DYのTVが、DXの平均TVと比較して増加していることを意味する。結果を、表においてパーセントで表した。
【0250】
統計解析は、マン-ホイットニーノンパラメトリック比較検定によって、各測定値について行った。各治療群を、コントロール群と比較した。
【0251】
結果-忍容性データ、臨床観察
この試験において、実験期間の間、週に3回、マウスの体重を量った。
群1において、21日間(D0~D21)毎日経口ルートによって10ml/kgで投与した溶媒は、忍容性良好であり、最大平均体重減少はなく、最大の個々の体重減少はD3の1.2%であった。関連する目立った徴候は、実験期間の間に報告されなかった。
群2において、21日間(D0~D21)毎日経口ルートによって15mg/kg(10ml/kg)で投与したエルダフィチニブは、忍容性良好であり、最大平均体重減少はなく、最大の個々の体重減少はD3の4.9%であった。関連する目立った徴候は、実験期間の間に報告されなかった。
群3において、21日間(D0~D21)毎日経口ルートによって30mg/kg(10ml/kg)で投与したインフィグラチニブは、忍容性良好であり、平均体重減少はなく、最大の個々の体重減少はD3の3.5%であった。マウスはすべて、D15からD21(試験の終わり)まで、胸骨の高さにくぼみを有した。胸骨の高さにくぼみがあるという特性について株特異的なモディファイヤーを否定することはできない。他のいかなる臨床上の症状も、報告されなかった。
群4において、21日間(D0~D21)毎日経口ルートによって50mg/kg(10ml/kg)で投与したインフィグラチニブは、忍容性を示し、平均体重減少は6.6%であり、最大の個々の体重減少はD21の17.8%であった(D17からD19までp<0.001)。D19のマウス#32のBWL>15%のために、DietGel Recovery(登録商標)を、群全体に与え、治療は、D19からD21まで中断した。マウスはすべて、D15からD21(試験の終わり)まで、胸骨の高さにくぼみを有した。胸骨の高さにくぼみがあるという特性について株特異的なモディファイヤーを否定することはできない。他のいかなる臨床上の症状も、報告されなかった。
【0252】
結果-抗腫瘍有効性データ
腫瘍増殖曲線(ある期間の間の平均腫瘍容積)を、
図3に図示する。各治療群についてのT/Cパーセント値を、表17に示し、
図4に図示する。統計解析を、表18に示す。
この試験において、実験期間の間、週に3回、マウスの体重を量った。
群2において、21日間(D0~D21)毎日経口ルートによって15mg/kg(10ml/kg)で投与したエルダフィチニブは、コントロール群と比較して、いかなる統計的に有意な腫瘍増殖阻害も実証しなかった(TGDI=1.01;最も良いT/C=D3の87.71%及びΔT/T0=D17(群の終わり)の1450.67%)。
群3において、21日間(D0~D21)毎日経口ルートによって30mg/kg(10ml/kg)で投与したインフィグラチニブは、コントロール群と比較して、統計的に有意な腫瘍増殖阻害を誘発した(D7からD12までp<0.05、D14からD17までp<0.01、及びD19のp<0.001;TGDi=1.20、最も良いT/C%=D19の51.66%、及びΔT/T0=D19(コントロール群の終わり)の909.42%)。
群4において、21日間(D0~D21)毎日経口ルートによって50mg/kg(10ml/kg)で投与したインフィグラチニブは、コントロール群と比較して、統計的に有意な腫瘍増殖阻害を誘発した(D5のp<0.05、D7からD12までp<0.01、及びD14からD19までp<0.001;TGDi=1.79、最も良いT/C%=D19の37.38%、及びΔT/T0=D19(コントロール群の終わり)の650.26%)。50mg/kgのインフィグラチニブは、30mg/kgよりも高い腫瘍増殖阻害を示した(D10からD21までp<0.05)。
【0253】
体重データ及び臨床観察に基づくと、単独療法として使用した化合物はすべて、忍容性を示した。しかしながら、インフィグラチニブは、最も高い用量50mg/kgで、わずかであるが、統計学的に有意な進行性のBWLを誘発した。
15mg/kg、qdx21のエルダフィチニブ単独療法は、いかなる抗腫瘍活性も示さなかった。
単独療法として投与した30及び50mg/kg、qdx21のインフィグラチニブは、統計的に有意な、用量依存的な腫瘍増殖阻害を実証した(30及び50mg/kgで投薬したインフィグラチニブの間で、D10からD21までp<0.05)。
【0254】
【0255】
【0256】
参照による援用
本出願は、様々な発行済みの特許、公開特許出願、雑誌記事、及び他の刊行物に言及し、すべて、参照によって本明細書において援用される。援用される参考文献のいずれか及び本発明の明細書の間に矛盾がある場合、本明細書が統制をとる。加えて、先行技術の範囲内にある本開示のいかなる特定の実施形態も、任意の1つ又はそれ以上の請求項から明示的に除外されてもよい。そのような実施形態が当業者に知られているとみなされるので、それらは、除外について明示的に本明細書において記載されていなくても、除外されてもよい。本開示の任意の特定の実施形態は、先行技術の存在有無に関係するかどうかにかかわらず、理由のいかんにかかわらず、任意の請求項から除外することができる。
等価物
本発明は、その精神又は本質的な特徴から逸脱することなく、他の特定の形態で例示されてもよい。そのため、前述の実施形態は本明細書において記載される本発明を限定するものではなく、あらゆる点において例示とみなされるべきである。本発明の範囲は、したがって、前述の説明ではなく添付の請求項によって示され、請求項と同等の意味及び範囲内にある変化はすべて、請求項に包含されることが意図される。
【国際調査報告】