(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-08-03
(54)【発明の名称】電気化学的プロセス用の電極アセンブリ及びその回復方法
(51)【国際特許分類】
C25C 7/02 20060101AFI20220727BHJP
C25D 17/12 20060101ALI20220727BHJP
【FI】
C25C7/02 305
C25D17/12 K
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021570826
(86)(22)【出願日】2020-05-28
(85)【翻訳文提出日】2021-12-27
(86)【国際出願番号】 EP2020064890
(87)【国際公開番号】W WO2020245032
(87)【国際公開日】2020-12-10
(32)【優先日】2019-06-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521518600
【氏名又は名称】ペルマスカンド・アクチエボラグ
【氏名又は名称原語表記】PERMASCAND AKTIEBOLAG
【住所又は居所原語表記】Folkets Husvaegen 50,840 10 Ljngaverk,Sweden
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【氏名又は名称】飯野 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100219542
【氏名又は名称】大宅 郁治
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】ジマーマン、エーリク
(72)【発明者】
【氏名】アルムロート、クリスティアン
(72)【発明者】
【氏名】グスタフソン、ヨン
(72)【発明者】
【氏名】フェーデル、ペール・マグヌス
【テーマコード(参考)】
4K058
【Fターム(参考)】
4K058BB04
4K058ED06
4K058ED10
(57)【要約】
本発明は、少なくとも1つの凹穴(4)を備える電流供給要素(1)と、第1の端部(5)及び第2の端部(6)を備える少なくとも1つの電流分配バー(2)と、ここで第1の端部は少なくとも1つの凹穴に着脱可能に配置され、少なくとも1つの電流分配バーに配置された電極基板(3)とを備える、電気化学的プロセス用の電極アセンブリ(10)に関する。電流分配バーは、コア(7)及び外層(8)を備え、コアは外層によって完全に覆われている。また、本発明は、少なくとも1つの電流分配バーから電極基板を取り外すことなく、電極アセンブリの電極基板を回復させる方法に関する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気化学的プロセス用の電極アセンブリ(10、20)であって、
少なくとも1つの凹穴(4、24)を備える電流供給要素(1、21)と、
第1の端部(5、25)及び第2の端部(6、26)を備える少なくとも1つの電流分配バー(2、22)と、ここで、前記第1の端部は、前記少なくとも1つの凹穴に着脱可能に配置されるものであり、
前記少なくとも1つの電流分配バーに配置された電極基板(3)と、
を備え、
前記電流分配バーは、コア(7)及び外層(8)を備え、前記コアは、前記外層によって完全に覆われている、電極アセンブリ(10、20)。
【請求項2】
前記電流分配バー(2、22)の前記第1の端部(5、25)は、前記電流供給要素(1、21)の前記凹穴(4、24)に圧入係合で配置される、請求項1に記載の電極アセンブリ(10、20)。
【請求項3】
前記電流供給要素(1、21)の前記凹穴(4、24)は貫通穴である、請求項1又は2に記載の電極アセンブリ(10、20)。
【請求項4】
前記外層(8)は、前記電流分配バー(2、22)の前記コア(7)の長手方向に延在する表面のクラッドと、前記コアの横端面を覆う第1及び第2の外端層(9)とを備え、前記外端層は、溶接継手を介して前記横端面に配置される、請求項1~3のいずれか一項に記載の電極アセンブリ(10、20)。
【請求項5】
前記少なくとも1つの電流分配バー(2、22)の前記第1の端部(5、25)はテーパ状であり、前記電流供給要素(1、21)の前記少なくとも1つの凹穴(4、24)は、対応するテーパ形状をしている、請求項1~4のいずれか一項に記載の電極アセンブリ(10、20)。
【請求項6】
前記テーパ状の第1の端部(5、25)は、前記少なくとも1つの電流分配バー(2、22)の前記外層(8)が、前記第1の端部で漸減する厚さを備えることによって得られる、請求項5に記載の電極アセンブリ(10、20)。
【請求項7】
前記外端層(9)は、前記外層(8)の前記クラッドと同じ材料から作られている、請求項4に記載の電極アセンブリ(10、20)。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか一項に記載の電極アセンブリ(10、20)を備える電解槽。
【請求項9】
電極アセンブリ(10、20)を装着する方法であって、前記電極アセンブリは、
少なくとも1つの凹穴(4、24)を備える電流供給要素(1、21)と、
第1の端部(5、25)及び第2の端部(6、26)を備える少なくとも1つの電流分配バー(2、22)と、ここで、前記第1の端部は、前記凹穴に配置されるものであり、
前記少なくとも1つの電流分配バーに配置された電極基板(3)と、
を備え、前記第1の端部はテーパ状であり、前記少なくとも1つの凹穴は、対応するテーパ形状をしており、前記電流分配バーは、コア(7)及び外層(8)を備え、前記コアは、前記外層によって完全に覆われており、前記方法は、
前記電極基板を前記少なくとも1つの電流分配バーに取り付ける工程と、
前記電流分配バーの前記第1の端部を、前記電流供給要素の前記少なくとも1つの凹穴に圧入によって配置する工程と、
を備え、前記電流分配バーを前記電流供給要素に配置する前記工程は室温で行われる、方法。
【請求項10】
前記少なくとも1つの電流分配バー(2、22)を前記電流供給要素(1、21)に配置する前記工程は、前記電極基板(3)を前記電流分配バーに配置する前に行われる、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
請求項1~8のいずれか一項に記載の電極アセンブリ(10、20)の電極基板(3)を回復させる方法であって、
前記少なくとも1つの電流分配バー(2、22)を前記電流供給要素(1、21)から取り外す工程と、
前記少なくとも1つの電流分配バーに配置された前記電極基板(3)を洗浄プロセスにかける工程と、
前記電極基板を電気化学的に活性なコーティングで再コーティングする工程と、
前記電流分配バーの前記第1の端部(5、25)を前記電流供給要素に配置する工程と、
を備える、方法。
【請求項12】
前記洗浄プロセスは、塩浴処理及びブラスト処理のうちの少なくとも1つによって、前記電気化学的に活性なコーティングの残留物を前記電極基板(3)から除去することを備える、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記少なくとも1つの電流分配バー(2、22)の前記第1の端部(5、25)を前記電流供給要素(1、21)に配置する前記工程は圧入によって実行される、請求項11又は12に記載の方法。
【請求項14】
前記少なくとも1つの電流分配バー(2、22)の前記第1の端部(5、25)を前記電流供給要素(1、21)に配置する前記工程は室温で行われる、請求項5又は6に従属する請求項13に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電極の分野に関し、より具体的には、電気化学的プロセスにおいて使用するための電極アセンブリ、及びそのような電極アセンブリの電極基板を回復させる方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電解採取は、金属をイオン形態で担持する溶液から金属を回収することができる電気化学的プロセスの一例である。これらのプロセスは、交互に配置され、溶液に浸漬された1つ又は複数のカソード及び1つ又は複数のアノードの形態の電極を備える電解槽中で行われる。電解槽に電流を流すと、所望の金属がカソード上にめっきされる。
【0003】
電解採取用の典型的な電極アセンブリは、多くの場合ハンガーバーと呼ばれる電流供給バーを備え、該電流供給バーは、電解槽の上に水平に延在するように配置される。更に電極アセンブリは、電流供給バーに取り付けられ、そこから垂直に延在する電流分配バーを備え、電流分配バーに電気化学的に活性な電極基板が、例えば溶接によって取り付けられている。電極基板は、多くの場合、ベース構造及びベース構造に塗布された電気化学的に活性なコーティングから構成される。ベース構造及びコーティングの材料、並びに電流分配バーの材料は、電極アセンブリが使用されるプロセスに適合されている。電流分配バーは、ハンガーバーから電極基板に電流を伝導するための導電性材料から構成される。一例として、電解採取において使用されるアノードの場合、一般に使用される導電性材料は、銅及びアルミニウムである。これらの材料の、例えば腐食に対する耐性が低いことに起因して、使用される電解質溶液に対して化学的に耐性のある金属のクラッドを施す必要がある。アノードの場合、典型的には、チタンクラッド又は別のバルブ金属のクラッドが使用される。バルブ金属は、多くの場合、電極基板のベース構造にも使用される。これらの金属は、電極アセンブリが動作することが予想される電解液中で電極として接続されたときに不動態酸化膜を迅速に形成する特性を有する成膜金属として知られており、この膜は、下にある金属を電解液による腐食から保護する。
【0004】
US2010/0276281は、そのような典型的な電極アセンブリを開示している。
【0005】
電極アセンブリの使用中、電極基板の電気化学的に活性なコーティングは、経時的に活性又は有効性を失い、その結果、電解槽内でオーム損失及び高い槽電圧が生じ、これは、電気エネルギー消費の増加につながる。したがって、電極を有効のままにするためには、電極基板の電気化学的活性を回復させる必要がある。現在、電気化学的活性を回復させるために、一般には、電極基板を電流分配バーから取り外し、新しいコーティングされた電極基板と交換する。電極基板を構成する材料とそのコーティングの価値を考慮すると、使用済みの電極基板を新しいものに取り替えるのに高いコストを要する。US2010/0276281に開示されている電極アセンブリは、外すようには配置されておらず、回復を実行することができるかについての教示はない。
【0006】
US4088558は、金属電極の電極表面を新しくする方法を開示しており、この方法では、支持ライザから電極部材を取り外した後に、電極部材が再コーティングされ、その後、支持ライザに新たに装着される。電極部材の取り外しには、電極部材を支持ライザに取り付けている溶接継手の穿孔又はドリルアウトを伴う。次いで、再コーティングされた電極部材は、スポット溶接によって支持ライザに装着される。この結果、かなりの時間とエネルギーを消費するプロセスとなる。
【発明の概要】
【0007】
電気化学的プロセスのためのより効率的に回復可能な電極アセンブリを提供することが有利となる。
【0008】
この問題により対処するために、本発明の第1の態様では、少なくとも1つの凹穴を備える電流供給要素と、第1の端部及び第2の端部を備える少なくとも1つの電流分配バーと、ここで第1の端部は少なくとも1つの凹穴に着脱可能に配置され、少なくとも1つの電流分配バーに配置された電極基板とを備える、電気化学的プロセス用の電極アセンブリを提示する。電流分配バーは、コア及び外層を備え、コアは外層によって完全に覆われている。
【0009】
着脱可能に配置可能な電流分配バーにより、電極基板の電気化学的活性の回復が必要であるとき又は他の何らかの理由があるとき、電極基板が配置されたまま電流分配バーを容易に取り外すことが可能となる。更に、外層が電流分配バーのコアを完全に覆っていることに起因して、電極基板を電流分配バーから取り外すことなく回復処理にかけることが可能である。かかる回復処理は、例えば、電極、したがって電流分配器バーを塩浴に浸すことによって、電極基板を洗浄及び電極基板から残留コーティングを除去し、続いて、電極基板を再コーティングすることを含み得る。外層によって覆われていない電流分配バーの一部分、すなわちコアが露出しているところを、基板から残留コーティングを除去するための処理にかけると、典型的には、コア材料の化学反応性のほうが高いことに起因して、コアが基板コーティングよりも速い速度で溶解されることになる。これは、電流分配バーを損傷することになるため極めて望ましくない。本発明の電極アセンブリにしたがって、外層によって完全に覆われたコアを提供することによって、コアが露出せず、そのような有害な反応が防止される。それによって、電極基板は、電流分配バーに依然として取り付けられたまま、残留コーティング除去の処理を受けることができる。
【0010】
電極基板の再コーティングには、一般に、300℃~600℃の間の温度での熱処理を伴う。電流分配バーにおいて、コアの熱膨張係数は、一般に、外層の熱膨張係数よりも高い。既知の電極アセンブリでは、コア及び外層を備える電流分配バーは、多くの場合クラッドされ、長いバーとして提供されるが、これは次いで所望の長さに切断され、切断されたバーの端部はクラッドがないままである。このようなバーが熱サイクルを受けると、コア材料の熱膨張がクラッド材料の熱膨張よりも大きいことにより、コア材料がバーの端部で外層から突き出る場合があり、そこで自由に膨張可能である。しかしながら、好都合なことに、外層によって端部を含め完全に覆われたコアを備える本発明に係る電流分配バーは、そのようなコアの自由膨張を生じさせず、それによって電流分配バーの寸法安定性をもたらすことがわかった。これにより、電極を回復処理にかけた後に、電流分配バーに取り付けられた電極基板と共に電流分配バーを電流供給要素の凹穴内に再装着することが可能となる。こうして、必要なときに効率的に回復させることができ、回復のために電極基板を電流分配バーから分離する必要のない電極アセンブリが提供される。
【0011】
更に、先行技術における既知の解決策では、電流供給要素と接触して配置される電流分配バーの第1の端部は、電流供給要素と電流分配バーとの接触のための良好な導電性接触面を提供して電気エネルギー損失を最小限に保つために、クラッドが剥がされている。しかしながら、開示された本発明の電極アセンブリでは、驚くべきことに、電流分配バーの外層によって引き起こされる電気エネルギー損失はプロセスにとってわずかなものであることがわかった。これは、一般に、0.1~5mmの範囲内に含まれる、比較的薄い外層の厚さによるものである。好ましい実施形態では、外層の厚さは、0.5~3mmの範囲内に含まれる。したがって、端面を含めコア全体を覆う、着脱可能に配置された電流分配バーの外層を提供することにより、電極アセンブリが動作するプロセスのエネルギー消費量を妥協することなく、電流分配バーを電極基板と共に電流供給要素から取り外し、得られたユニットを回復処理にかけることが可能になる。
【0012】
一実施形態によれば、電極は、複数の電流分配バーを備え、電流供給要素は、対応する数の凹穴を備え、それにより各電流分配バーの第1の端部は、電流供給要素の凹穴内に配置される。
【0013】
電極アセンブリの一実施形態によれば、少なくとも1つの電流分配バーの第1の端部は、圧入係合で少なくとも1つの凹穴内に配置される。1つ又は複数の電流分配バーを電流供給要素に着脱するために、圧入工具を使用することができる。圧入は、電流分配バーと電流供給要素との良好な係合を保証するために高温で行うことができる。しかしながら、電極アセンブリの一実施形態によれば、少なくとも1つの電流分配バーの第1の端部はテーパ状であり、少なくとも1つの凹穴は、対応するテーパ形状をしている。電流分配バーのテーパ状の第1の端部と、凹穴の対応するテーパ形状とを提供することにより、第1の端部の凹穴への圧入が容易になり、室温で電流分配バーを電流供給要素に装着することが可能になる。その結果、電極アセンブリの装着プロセスにおいて時間とエネルギーが節約される。
【0014】
電極アセンブリの一実施形態によれば、電流分配バーのテーパ状の第1の端部は、該外層が第1の端部で漸減する厚さを備えることによって得られる。電流分配バーの第1の端部の外層の厚さの漸減は、例えば、第1の端部の端に向かって漸増する程度に外層の一部分を除去するように、第1の端部の外層を機械加工することによって、例えば旋削することによって得ることができる。電流分配バーのテーパ状の第1の端部を得るための他の代替例、例えば静水圧プレス又は機械プレスによるものなども、本発明の概念内で可能である。
【0015】
電極アセンブリの一実施形態によれば、電流供給要素の凹穴は貫通穴である。これにより、1つ又は複数の電流分配バーの電流供給要素からの取り外しが容易になる。
【0016】
電極アセンブリの一実施形態によれば、外層は、電流分配バーのコアの長手方向に延在する表面のクラッドと、コアの横端面を覆う第1及び第2の外端層とを備え、ここにおいて、外端層は、溶接によってコアのそれぞれの端部に配置される。したがって、電流分配バーは、クラッドを備える長いバーを所望の長さに切断し、続いて、外端層、例えばキャップを、コアの露出した横端面上に溶接して横端面を完全に覆うことによって得ることができる。外端層で横端面を覆う代替の方法、例えば締結要素又はコーティング法によるものなども、本発明の概念内で可能である。
【0017】
電極アセンブリの一実施形態によれば、外端層はクラッドと同じ材料でできている。外層は、プロセス環境において不活性な材料から構成される。比較的酸性からわずかに塩基性の環境、すなわち酸化性環境で使用するための電極アセンブリの一実施形態では、外層は、典型的には、チタン又はタンタルなどのバルブ金属を備える。アルカリ性又は還元性環境で使用するための電極アセンブリの一実施形態では、外層はニッケル又はステンレス鋼を備える。
【0018】
電極アセンブリの一実施形態によれば、コアは良好な電気導体を備える。一般に、コア材料は、銅、アルミニウム、銀、及び亜鉛の中から選択される。
【0019】
本発明の第2の態様によれば、本明細書に開示される1つ又は複数の電極アセンブリを備える電解槽が提供される。一実施形態によれば、電極アセンブリは、アノードとして使用するように適合されている。別の実施形態によれば、電極アセンブリは、カソードとして使用するように適合されている。
【0020】
本発明の第3の態様によれば、少なくとも1つの凹穴を備える電流供給要素と、第1及び第2の端部を備える少なくとも1つの電流分配バーと、ここで該第1の端部は凹穴に配置され、少なくとも1つの電流分配バーに配置された電極基板と、を備える電極アセンブリを装着する方法が提供される。第1の端部はテーパ状であり、少なくとも1つの凹穴は対応するテーパ形状をしている。本方法は、電極基板を少なくとも1つの電流分配バーに取り付ける工程と、圧入によって電流分配バーの第1の端部を電流供給要素の少なくとも1つの凹穴に配置する工程とを備え、電流分配バーを電流供給要素に配置する工程は室温で行われる。電流分配バーのテーパ状の第1の端部及び対応するテーパ状の凹穴により、電流分配バーと電流供給要素との圧入係合が容易になり、圧入を室温で行うことが可能になる。これにより、電極アセンブリの設置が効率的になる。
【0021】
電極アセンブリを装着する方法の一実施形態によれば、少なくとも1つの電流分配バーを電流供給要素に配置する工程は、電極基板を電流分配バーに取り付ける前に行われる。
【0022】
本発明の第4の態様によれば、本明細書に開示される電極アセンブリを回復させる方法が提供される。本方法は、少なくとも1つの電流分配バーを電流供給要素から取り外す工程と、電極基板を洗浄プロセスにかける工程と、電極基板を電気化学的に活性なコーティングで再コーティングする工程と、少なくとも1つの電流分配バーの第1の端部を電流供給要素に配置する工程とを備える。電流分配バーの外面全体が電極アセンブリの処理環境において不活性であることに起因して、電極基板を洗浄及び再コーティングのために電流分配バーから取り外す必要がない。それどころか、着脱可能に配置された電流分配バーを、電流供給要素から取り外し、表面損傷も寸法の歪みも被ることなく回復プロセスにかけることができ好都合である。これにより、時間とエネルギーの節約が可能となる。電極基板の新しい電極基板への交換を伴う解決策に対して、本明細書に開示される電極アセンブリを回復させる方法は更に有意な経済的利点をもたらす。
【0023】
電極アセンブリを回復させる方法の一実施形態によれば、少なくとも1つの電流分配バーの第1の端部を電流供給要素に配置する工程は圧入によって実行される。電流分配バーと電流供給要素との圧入係合を達成するために圧入工具を使用してもよく、容易かつ迅速に電流分配バーを装着できる。
【0024】
少なくとも1つの電流分配バーの第1の端部及び電流供給要素の少なくとも1つの凹穴がテーパ状である電極アセンブリを回復させる方法の一実施形態によれば、少なくとも1つの電流分配バーの第1の端部を電流供給要素に配置する工程は室温で行われる。これにより、電極アセンブリの装着プロセスの時間とエネルギーの節約が可能になる。
【0025】
電極アセンブリを回復させる方法の一実施形態によれば、洗浄プロセスは、塩浴処理及びブラスト処理のうちの少なくとも1つによって、電極基板から電気化学的に活性なコーティングの残留物を除去することを備える。塩浴処理によってコーティングの可能性残留物を除去することにより、そのような残留物中に含有され、一般に高価値の材料である金属を後に回収することが可能となる。残留コーティングを電極基板から除去するためにブラスト処理を使用するとき、後続の鉱物精製工程において金属を回収してもよい。これは、回復プロセスに価値を付加し、経済的利益及び環境的利益の両方をもたらす。
【0026】
次に本発明について、添付図面を参照してより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】本発明の一実施形態に係る電極アセンブリの斜視図である。
【
図3】
図1に示す電極アセンブリの一部分の部分破断図である。
【
図4】
図1に示す電極アセンブリの電流供給要素及び電流分配バーの一部分の断面図である。
【
図5】本発明の別の実施形態に係る電極アセンブリの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
図1を参照すると、電解槽で使用するための、電気化学的プロセス用の電極アセンブリ10が提示されている。電極アセンブリ10は、電流供給要素1、電流分配バー2、及び電流分配バー2に配置された電極基板3を備える。電流供給要素1は、ここでは細長いバーであり、一般に電解槽を横切って水平に延在するように配置可能である。しかしながら、電流供給バー1は必ずしも直線状である必要はなく、例えば、湾曲していてもよいし、その1つ又は複数の部分で屈曲していてもよい。図示の実施形態では、電流供給要素1は、長方形の断面を有する。しかしながら、電流供給要素1の断面は、例えば、正方形、円形、又は楕円形などの任意の他の好適な形状をしていてもよい。電流供給要素1は、好ましくは、これらに限定されないが銅、アルミニウム、銀、及び亜鉛などの導電性材料から作られている。好ましい実施形態では、電流供給要素1は銅製である。更に電流供給要素1には、電流分配バー2と係合するための少なくとも1つの凹穴4が設けられている。電流分配バー2は、電流供給要素1の長手方向延在部に対して直角に延在するように配置される。各電流分配バー2は、第1の端部5(
図2参照)及び第2の端部6を備える。電流分配バー2の第1の端部5は、電流供給要素1のそれぞれの凹穴4内に配置される。一般に、及び
図1に示す実施形態によれば、電流分配バー2は、水平に配置された電流供給要素1から下方に垂直に延在する。
図1の例示的な実施形態では、電極アセンブリ10は、電流供給要素1の4つの凹穴4と、4つの電流分配バー2とを備える。しかしながら、凹穴4の数は4つに限定されず、電極アセンブリ10の寸法に依存して1つ以上に変更することができる。これに応じて、電流分配バー2の数は、電流供給要素1の凹穴4の数に対応するように変更することができる。電流分配バー2は、ここでは円筒形状である。しかしながら、例えば矩形などの任意の他の好適な形状も電流分配バー2のために可能である。
【0029】
電極基板3は、電流分配バー2に配置され、電流分配バー2の、それぞれの第1の端部5の近くの一部分から、そのそれぞれの第2の端部6に向かって延在する。図示の実施形態では、電極基板3は、矩形のシートである。しかしながら、電極基板3は、メッシュ状であってもよいし、又は目的に好適な任意の他の形状及び構造をしていてもよい。電極基板3は、一般に、処理環境に対して不活性な材料のベース構造と、そこに配置された電気化学的に活性なコーティングとを備える。そのような電気化学的に活性なコーティング及びベース構造の例は、当技術分野において既知であり、例えば、EP1670973に開示されている。好ましい実施形態では、電極基板のベース構造はチタンを備え、コーティングは、ルテニウム及びイリジウムを備える。しかしながら、前述のEP1670973に開示されているものなど、ベース構造及びコーティングの他の材料も可能である。
【0030】
引き続き
図1及び
図2を参照すると、各電流分配バー2の第1の端部5は、電流供給要素1の対応する凹穴4内に着脱可能に配置される。したがって、凹穴4の寸法は、電流分配バー2をその中に挿入することができるような寸法である。好ましくは、各電流分配バー2の第1の端部5は、対応する凹穴4内に圧入によって配置される。そのため、凹穴4は、電流分配バー2の第1の端部5の直径よりもわずかに小さい直径を有する。ここでは電流分配バー2及び凹穴4は、断面が円形として示されているが、例えば矩形などの別の形状の電流分配バー2及び凹穴4を設けることも、開示された電極アセンブリ10の概念内で可能である。
【0031】
電流分配バー2を凹穴4内に圧入するためには、ここで両方とも一定の直径であるが、一般に、電流分配バー2の第1の端部5及び/又は電流供給要素1の凹穴4の加熱が必要である。しかしながら、
図3に示すように、電極アセンブリのこの実施形態によれば、電流分配バー2のわずかにテーパ状の第1の端部5及び対応したテーパ状の凹穴4を設けることにより、室温での圧入によって、すなわち、電流供給要素1の温度が電流分配バー2の温度よりも高くなるように電流供給要素1又は電流分配バー2の温度を変更することなく、第1の端部5を該凹穴4内に配置することが可能になることがわかった。これにより、電流供給要素1に電流分配バー2を素早く、より少ないエネルギー消費で装着することが可能となり、したがって、電極アセンブリ10のより効率的な装着が可能となる。代替の実施形態では、電流分配バー2の第1の端部5及び凹穴4は、一定の寸法であり、したがって、テーパ形状をしていない。
【0032】
引き続き
図3を参照すると、凹穴4は貫通穴である。電流分配バー2が係合するための貫通穴4を電流供給要素1に設けると、電流分配バー2を電流供給要素1から外すことが容易になる。
図3に示す実施形態によれば、貫通穴4がわずかに円錐形状をしているとき、電流分配バー2の第1の端部5が相補的な円錐形状をしていれば、外すことが特に容易になる。しかしながら、代替の実施形態によれば、貫通穴ではない凹穴4を設けることも可能である。更にそのような非貫通穴は、わずかにテーパ状であり、電流分配バー2の対応したテーパ状の第1の端部5と係合するようなものであってもよい。また、非貫通穴は、別の実施形態によれば、一定の断面をしており、対応して一定の寸法を有する電流分配バー2の第1の端部5と係合するようなものであってもよい。
【0033】
図3に部分的に示す電極アセンブリ10を装着するために、電極基板3が電流分配バー2に取り付けられる。電極基板3の電流分配バー2への取り付けは、一実施形態では溶接によって達成される。他の代替例としては、締結要素、はんだ付け、又は導電性接着剤の使用を含む。続いて、電流分配バー2が、圧入によって、電流供給要素1の凹穴4、ここでは貫通穴に配置される。より具体的には、電流分配バー2の第1の端部5が凹穴4に挿入される。第1の端部5及び貫通穴4がテーパ状であることに起因して、電流分配バー2の電流供給要素1への配置は、室温で行うことができる。第1の端部5及び貫通穴4が一定の寸法である別の実施形態では、電流分配バー2の電流供給要素1への圧入は、高温で行われる。
【0034】
電極アセンブリ10を装着する代替の方法によれば、1つ又は複数の電流分配バー2を電流供給要素1に配置する工程は、電極基板3を1つ又は複数の電流分配バー2に配置する前に行われる。
【0035】
次に
図4を参照すると、電極アセンブリ10の一実施形態によれば、電流分配バー2は、コア7及び外層8から構成されている。コア7は、例えば、銅、アルミニウム、及び銀などの導電性材料で作られている。このような材料は、多くの場合、電極アセンブリ10が使用される処理環境、すなわち電解槽の電解質溶液に対して反応性がある。そのため、処理環境が、例えば、コア7の深刻な腐食を引き起こす可能性があり、したがって電極アセンブリ10の耐久性が短くなるので、電流分配バー2は、コア7が処理環境、例えば電解液と化学反応することを防止するように配置された外層8を更に備える。ここで、コア7は、処理環境において不活性である材料から選択される外層8においてクラッドされている。アノードとして使用される電極アセンブリ10の一実施形態では、例えば、外層8は、好ましくは、これらに限定されないがチタン及びタンタルなどのバルブ金属の群から選択される。好ましい実施形態では、外層8はチタン製であり、コア7は銅製である。
【0036】
外層8は、電流分配バー2のコア7を、その端面を含め完全に覆っている。コア7の端面は、図示の実施形態では、コア7の対応する端面に溶接されたキャップからなるそれぞれの外端層9によって覆われている。このようなキャップは、ここでは、電流分配バー2のコアのクラッドと同じ材料でできている。別の実施形態では、キャップはクラッドとは異なる材料でできている。いずれの場合においても、外端層9の材料は、電極アセンブリ10が使用される処理環境において不活性である、すなわち、処理環境と化学反応しない材料から選択される。当業者は、外端層9が、コア7の端面に溶接されるキャップとは異なる方法で設けられてもよいことを理解する。例えば、外端層9は、締結要素、はんだ付け、又は導電性接着剤によって締結されてもよい。別の実施形態では、外端層9は、コア7の対応する端面にコーティングとして堆積される。外端層9の厚さ及び係合は、電流分配バー2が電流供給要素1から取り外されるときに、外端層9、特に第1の端部5の外端層9にかけられる力に耐えるようなものである。
【0037】
更に、
図4の例示的な実施形態では、電流分配バー2の第1の端部はテーパ状である。テーパ形状は、ここでは、第1の端部5の外層8が第1の端部5の端に向かって漸減する厚さを有することによってもたらされる。外層8の厚さの漸減は、一般に、外層8が第1の端部5の端に向かって徐々に摩耗するように第1の端部5を機械加工することによって得られる。外層8の総減厚は、電流分配バー2の減厚されていない部分における外層の厚さよりも小さい。したがって、外層8は、電流分配バー2のいかなる箇所でも完全にはなくならない。すなわち、外層8は、コア7を完全に包囲している。これは、電流分配バー2を電流供給要素1から取り外した後でも、全体に反応性のコア材料が外層8によって完全に封入されたままであるので、非常に有利である。これにより、電流分配バー2に取り付けられた基板3を回復処理にかけることが可能となり、この回復処理は、例えば、電極基板3を電流分配バー2から引き離す必要なく電流分配バー2を電流供給要素1から取り外した後に、基板3から残留コーティングを除去し、基板3を新たにコーティングすることを含む。
【0038】
図5を参照すると、電気化学的プロセスのための電極アセンブリ20の代替の実施形態が提示されている。この実施形態によれば、電極アセンブリ20は、ブロックの形態の2つの電流供給要素21を備える。この実施形態の電流供給要素21は、電解槽の両側に配置可能である。電流供給要素21の各々は、ブロック形状の電流供給要素21の片側からその反対側まで延在する2つの凹穴24を備える。
図5の部分破断詳細図に示すように、凹穴24は、ここでは貫通穴である。代替の実施形態では、凹穴24は貫通穴ではなく、すなわち、電流供給要素21を完全に貫通しては延在しない。
図1~
図4を参照して先の実施形態について説明したように、凹穴24はテーパ状であり得る。しかしながら、一定の直径を有する凹穴24を設けることも、本発明の概念内で可能である。
【0039】
更に電極アセンブリ20は、それぞれ第1の端部25及び第2の端部26を備える4つの電流分配バー22を備える。第1の端部25及び各電流分配バー22は、電流供給要素21のうちの1つの凹穴24内に配置される。この例示的な実施形態の第1の端部25は、わずかにテーパ状であり、電流分配バー22の凹穴24内への圧入が容易になる。別の実施形態では、第1の端部25は一定の寸法である。凹穴24及び電流分配バー22の数は4つに限定されず、電極アセンブリが使用されるプロセスの要件に適合させることができる。
【0040】
第1の端部25に隣接する電流分配バー22の一部分が、電流供給要素21の凹穴24から水平に延在する。更に電流分配バー22は、1つ又は2つの屈曲部分27を備え、それによって電流分配バー22は、その第2の端部26が第1の端部25の延在部に対して実質的に直角に、すなわち垂直に延在するように屈曲している。電流分配バー22の屈曲部分27の角度は、電流分配バー22の垂直に延在する部分が間隔を空けて並列に配置されるように、電流分配バー22ごとに異なってよい。これにより、先の実施形態について説明したのと同じ方法で、電極アセンブリ20の電極基板3を電流分配バー22に締結することができる。図示の実施形態では、電極アセンブリ20の最も外側の2つの電流分配バー22の屈曲部分27の角度は、約90°である。電極アセンブリ20の中央に配置された2つの電流分配バー22の各々は、90°を超える、より具体的には約135°の角度を有する2つの屈曲部分27を備える。しかしながら、当業者が理解できるように、異なる角度の屈曲部分27を設けることも、電極アセンブリ20の概念内で可能である。
【0041】
前述の実施形態と同様に、電流分配バー22は、コア7及び外層8を備える。更に外層は、コア7全体が外層8によって包囲されるように外端層9を備える。電流供給要素21は、電流分配バー22に電流を伝導するための導電性材料で作られている。電流分配バーは、同様に、電極基板3に電流を伝導するための導電性材料で作られている。電極アセンブリ20の構成要素のための可能な材料は、本明細書で前述したものと同じである。
【0042】
開示される電極アセンブリ10、20の電極基板3の効率が減少し、回復させる必要があるとき、電流供給要素1、21から1つ又は複数の電流分配バー2、22を取り外す第1の工程と、電極基板3を洗浄プロセスにかける第2の工程と、電極基板3を電気化学的に活性なコーティングで再コーティングする第3の工程と、電流分配バー2、22を電流供給要素1、21に配置する第4の工程とを備える方法にしたがって、電極アセンブリ10、20を外し、電極基板3を回復させることができる。1つ又は複数の電流分配バー2、22を電流供給要素1、21から取り外す第1の工程は、前述のように、電流分配バー2、22のテーパ状の第1の端部及び凹穴4、24を設けることによって容易になる。貫通穴である凹穴4、24を電流供給要素1、21に設けることによって更に容易になる。しかしながら、高温で取り外し工程を行うことにより、一定の断面をしている第1の端部5、25を備える電流分配バー2、22の取り外しも可能となる。
【0043】
電流分配バー2、22及びそれに取り付けられた電極基板3の取り外しに続いて、電極基板3を洗浄プロセスにかける工程が行われる。洗浄プロセスは、一般に、摩耗した電気化学的に活性なコーティングの残留物を電極基板3から取り除くことを備え、それにより、電極基板3は新しいコーティングを塗布する前に清浄となる。洗浄プロセスは、好ましくは、最大450℃までの温度に加熱された塩浴を伴う、US5141563に開示されているような処理によって行われる。このような処理により、残留コーティングの有用な要素を再利用のために回収することが可能となる。可能な別の洗浄プロセスはブラスト処理である。電極基板を洗浄して残留コーティングを除去するための他の代替の方法を使用してもよい。
【0044】
第3の工程の再コーティングは、一般に、300℃~600℃の間の異なる温度で段階的に行われる。外層8などの電流分配バー2、22の外面が電極アセンブリ10、20の処理環境において不活性な材料でできていることに起因して、洗浄及び再コーティングのために電流分配バー2、22を電極基板3から取り外す必要はない。それどころか、電流分配バー2、22と電極基板3とを備える構造を、電流分配バー2、22に損傷を与えることなく、洗浄及びコーティングプロセスに共にかけることができる。
【0045】
電流分配バー2、22を電流供給要素1に配置する工程は、一般に、電流分配バー2、22の第1の端部5、25を電流供給要素1、21の凹穴4、24に圧入することによって行われる。電流分配バー2、22の第1の端部5、25及び電流供給要素1の凹穴4、24がテーパ状である電極アセンブリの実施形態では、配置する工程は、好ましくは室温で行われる。
【0046】
本発明について、図面及び前述の説明において詳細に例示及び説明したが、そのような例示及び説明は、例示的又は実例的なものであって限定的なものではないとみなすべきである。本発明は、開示された実施形態に限定されるものではない。本発明は、概して、コア及び外層を有する電流分配バーを備える電極アセンブリを使用する、いかなるプロセスにも適用可能である。かかるプロセスの例には、電解採取、電気亜鉛めっき、電解遊離、クロルアルカリダイアフラムプロセス、及びモノポーラ塩素酸塩アノードを使用するプロセスがある。
【0047】
開示された実施形態に対する他の変形例は、図面、開示、及び添付の特許請求の範囲の参酌から、請求項に記載の発明を実施するにあたり当業者が理解及び達成することができる。特許請求の範囲において、「備える」という語は他の要素又は工程を除外するものではなく、不定冠詞「a」又は「an」は複数を除外するものではない。単にある手段が相互に異なる従属請求項に記載されているということだけでは、これらの手段の組合せを有利に使用できないことを示さない。特許請求の範囲におけるいずれの参照符号も、範囲を限定するものとして解釈するべきではない。
【国際調査報告】