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特表2022-534745MEMSアクティブ冷却装置で利用可能な改良アクチュエータ
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-08-03
(54)【発明の名称】MEMSアクティブ冷却装置で利用可能な改良アクチュエータ
(51)【国際特許分類】
   B06B 1/06 20060101AFI20220727BHJP
【FI】
B06B1/06
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021570872
(86)(22)【出願日】2020-10-28
(85)【翻訳文提出日】2021-11-29
(86)【国際出願番号】 US2020057760
(87)【国際公開番号】W WO2021112977
(87)【国際公開日】2021-06-10
(31)【優先権主張番号】62/945,001
(32)【優先日】2019-12-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】16/915,912
(32)【優先日】2020-06-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】17/023,215
(32)【優先日】2020-09-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521496984
【氏名又は名称】フロー・システムズ・インコーポレーテッド
【氏名又は名称原語表記】Frore Systems Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】110000028
【氏名又は名称】弁理士法人明成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】マクンダン・ヴィクラム
(72)【発明者】
【氏名】ガンティ・スリャプラカシュ
(72)【発明者】
【氏名】ヤラマーシー・アナンス・サラン
(72)【発明者】
【氏名】マダヴァペディー・セシャジリ・ラオ
(72)【発明者】
【氏名】サティヤマーシー・プラブ
【テーマコード(参考)】
5D107
【Fターム(参考)】
5D107AA13
5D107CC01
(57)【要約】
【解決手段】冷却システムで利用可能なアクチュエータが開示されている。アクチュエータは、固定領域および片持ちアームを備える。片持ちアームは、固定領域から外向きに伸びている。片持ちアームは、ステップ領域、延長領域、および、外側領域を備える。ステップ領域は、固定領域から外向きに伸びており、ステップ厚さを有する。延長領域は、ステップ領域から外向きに伸びており、ステップ厚さよりも薄い延長厚さを有する。外側領域は、延長領域から外向きに伸びており、延長厚さよりも厚い外側厚さを有する。
【選択図】図1C
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アクチュエータであって、
固定領域と、
前記固定領域から外向きに伸びている片持ちアームと、
を備え、
前記片持ちアームは、
前記固定領域から外向きに伸び、ステップ厚さを有するステップ領域と、
前記ステップ領域から外向きに伸び、前記ステップ厚さよりも薄い延長厚さを有する延長領域と、
前記延長領域から外向きに伸び、前記延長厚さよりも厚い外側厚さを有する外側領域と、
を備える、アクチュエータ。
【請求項2】
請求項1に記載のアクチュエータであって、前記片持ちアームは、さらに、
前記ステップ領域と前記延長領域との間に追加ステップ領域を備え、
前記追加ステップ領域は、前記ステップ厚さよりも薄く、前記延長厚さよりも厚い追加ステップ厚さを有する、アクチュエータ。
【請求項3】
請求項1に記載のアクチュエータであって、前記外側厚さは、50マイクロメートル以上かつ200マイクロメートル以下だけ前記延長厚さよりも厚く、前記外側領域は、100マイクロメートル以上かつ300マイクロメートル以下の幅を有し、前記延長領域は、前記ステップ領域から外向きに伸びる0.5ミリメートル以上かつ1.5ミリメートル以下の長さを有する、アクチュエータ。
【請求項4】
請求項1に記載のアクチュエータであって、前記ステップ領域、前記延長領域、および、前記外側領域の内の少なくとも1つは、少なくとも1つの凹部を備える、アクチュエータ。
【請求項5】
請求項4に記載のアクチュエータであって、前記少なくとも1つの凹部は、前記少なくとも1つの凹部の幅が前記固定領域からの距離と共に増大するようなテーパを含む、アクチュエータ。
【請求項6】
請求項5に記載のアクチュエータであって、前記テーパは、線形テーパ、二次テーパ、および、三次テーパから選択される、アクチュエータ。
【請求項7】
請求項4に記載のアクチュエータであって、さらに、
前記少なくとも1つの凹部が前記アクチェータの内部に存在するように構成されているカバーを備える、アクチュエータ。
【請求項8】
請求項1に記載のアクチュエータであって、さらに、
前記片持ちアームと反対側で前記固定領域から外向きに伸びている追加片持ちアームを備え、
前記追加片持ちアームは、
前記固定領域から外向きに伸び、追加ステップ厚さを有する追加ステップ領域と、
前記追加ステップ領域から外向きに伸び、前記追加ステップ厚さよりも薄い追加延長厚さを有する追加延長領域と、
前記追加延長領域から外向きに伸び、前記追加延長厚さよりも厚い追加外側厚さを有する追加外側領域と、
を備える、アクチュエータ。
【請求項9】
冷却システムであって、
アンカと、
固定領域および片持ちアームを備えている冷却素子と、
を備え、
前記固定領域は、前記アンカによって固定され、前記片持ちアームは、前記固定領域から外向きに伸び、
前記片持ちアームは、
前記固定領域から外向きに伸び、ステップ厚さを有するステップ領域と、
前記ステップ領域から外向きに伸び、前記ステップ厚さよりも薄い延長厚さを有する延長領域と、
前記延長領域から外向きに伸び、前記延長厚さよりも厚い外側厚さを有する外側領域と、
を備え、
前記冷却素子は、流体を熱発生構造に向かって駆動するために、作動された時に振動運動を行うよう構成されている、冷却システム。
【請求項10】
請求項9に記載の冷却システムであって、前記片持ちアームは、さらに、
前記ステップ領域と前記延長領域との間に追加ステップ領域を備え、
前記追加ステップ領域は、前記ステップ厚さよりも薄く、前記延長厚さよりも厚い追加ステップ厚さを有する、冷却システム。
【請求項11】
請求項9に記載の冷却システムであって、前記ステップ領域、前記延長領域、および、前記外側領域の内の少なくとも1つは、少なくとも1つの凹部を備える、冷却システム。
【請求項12】
請求項11に記載の冷却システムであって、前記冷却素子は、さらに、
前記少なくとも1つの凹部が前記冷却素子の内部に存在するように構成されているカバーを備える、冷却システム。
【請求項13】
請求項9に記載の冷却システムであって、前記冷却素子は、さらに、
前記片持ちアームと反対側で前記固定領域から外向きに伸びている追加片持ちアームを備え、
前記追加片持ちアームは、
前記固定領域から外向きに伸び、追加ステップ厚さを有する追加ステップ領域と、
前記追加ステップ領域から外向きに伸び、前記追加ステップ厚さよりも薄い追加延長厚さを有する追加延長領域と、
前記追加延長領域から外向きに伸び、前記追加延長厚さよりも厚い追加外側厚さを有する追加外側領域と、を備える、冷却システム。
【請求項14】
請求項13に記載の冷却システムであって、さらに、
複数のオリフィスを有するオリフィスプレートを備え、
前記オリフィスプレートは、前記冷却素子と前記熱発生構造との間に配置されている、冷却システム。
【請求項15】
請求項14に記載の冷却システムであって、さらに、
複数のセル壁を備え、
前記複数のセル壁は、前記複数のセル壁の一部と前記冷却素子との間に上部チャンバが形成され、前記複数のセル壁、前記オリフィスプレート、および、前記冷却素子の間に下部チャンバが形成されるように構成されており、前記上部チャンバは、前記下部チャンバと流体連通している、冷却システム。
【請求項16】
熱発生構造を冷却する方法であって、
ある周波数の振動運動を引き起こすように冷却素子を駆動することを備え、
前記冷却素子は、固定領域および片持ちアームを備え、前記片持ちアームは、前記固定領域から外向きに伸び、前記片持ちアームは、ステップ領域、延長領域、および、外側領域を備え、前記ステップ領域は、前記固定領域から外向きに伸び、ステップ厚さを有し、前記延長領域は、前記ステップ領域から外向きに伸び、前記ステップ厚さよりも薄い延長厚さを有し、前記外側領域は、前記延長領域から外向きに伸び、前記延長厚さよりも厚い外側厚さを有し、前記冷却素子は、流体を熱発生構造に向かって駆動するために、作動された時に振動運動を行うよう構成されている、方法。
【請求項17】
請求項16に記載の方法であって、前記駆動することは、さらに、
実質的に前記片持ちアームの構造共振周波数で前記冷却素子を駆動することを含む、方法。
【請求項18】
請求項17に記載の方法であって、前記駆動することは、さらに、
実質的に流体共振周波数で前記冷却素子を駆動することを含む、方法。
【請求項19】
請求項16に記載の方法であって、前記冷却素子は、前記片持ちアームと反対側で前記固定領域から外向きに伸びている追加片持ちアームを備え、
前記追加片持ちアームは、追加ステップ領域、追加延長領域、および、追加外側領域を備え、前記追加ステップ領域は、前記固定領域から外向きに伸び、追加ステップ厚さを有し、前記追加延長領域は、前記追加ステップ領域から外向きに伸び、前記追加ステップ厚さよりも薄い追加延長厚さを有し、前記追加外側領域は、前記追加延長領域から外向きに伸び、前記追加延長厚さよりも厚い追加外側厚さを有し、
前記方法は、さらに、前記周波数で前記追加片持ちアームを駆動することを備える、方法。
【請求項20】
請求項19に記載の方法であって、前記駆動の前記周波数は、実質的に、前記追加片持ちアームの追加構造共振周波数と、流体共振周波数と、の内の少なくとも一方である、方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
他の出願の相互参照
本願は、係属中の2020年6月29日出願の米国特許出願第16/915,912号「CENTRALLY PINNED MEMS-BASED PIEZEOELCTRIC COOLING SYSTEM」の一部継続出願であり、その出願は、2019年12月6日出願の米国仮特許出願第62/945,001号「CENTRALLY ANCHORED MEMS-BASED ACTIVE COOLING SYSTEMS」に基づく優先権を主張し、これら双方は、すべての目的のために参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
コンピュータデバイスが、速度および演算算能力を増すにつれて、コンピュータデバイスによって発せられる熱も増大する。様々なメカニズムが、熱の発生に対処するために提案されてきた。アクティブな装置(ファンなど)が、大型のコンピュータデバイス(ラップトップコンピュータまたはデスクトップコンピュータなど)に空気を通すために利用されうる。パッシブな冷却装置(ヒートスプレッダなど)が、より小型のモバイルコンピュータデバイス(スマートフォン、仮想現実デバイス、および、タブレットコンピュータなど)で利用されうる。しかしながら、かかるアクティブな装置およびパッシブな装置は、モバイルデバイス(スマートフォンなど)を十分に冷却できない場合がある。したがって、コンピュータデバイスのためのさらなる冷却ソリューションが望まれている。
【図面の簡単な説明】
【0003】
以下の詳細な説明および添付の図面において、本発明の様々な実施形態を開示する。
【0004】
図1A】改良アクチュエータを備えたアクティブ冷却システムの実施形態を示す図。
図1B】改良アクチュエータを備えたアクティブ冷却システムの実施形態を示す図。
図1C】改良アクチュエータを備えたアクティブ冷却システムの実施形態を示す図。
図1D】改良アクチュエータを備えたアクティブ冷却システムの実施形態を示す図。
図1E】改良アクチュエータを備えたアクティブ冷却システムの実施形態を示す図。
図1F】改良アクチュエータを備えたアクティブ冷却システムの実施形態を示す図。
【0005】
図2A】中央を固定された冷却素子を備えたアクティブ冷却システムで利用できるアクチュエータの実施形態について性能指標を示す図。
図2B】中央を固定された冷却素子を備えたアクティブ冷却システムで利用できるアクチュエータの実施形態について性能指標を示す図。
図2C】中央を固定された冷却素子を備えたアクティブ冷却システムで利用できるアクチュエータの実施形態について性能指標を示す図。
図2D】中央を固定された冷却素子を備えたアクティブ冷却システムで利用できるアクチュエータの実施形態について性能指標を示す図。
図2E】中央を固定された冷却素子を備えたアクティブ冷却システムで利用できるアクチュエータの実施形態について性能指標を示す図。
【0006】
図3A】中央を固定された冷却素子を備えたアクティブ冷却システムで利用できるアクチュエータの実施形態を示す図。
図3B】中央を固定された冷却素子を備えたアクティブ冷却システムで利用できるアクチュエータの実施形態を示す図。
図3C】中央を固定された冷却素子を備えたアクティブ冷却システムで利用できるアクチュエータの実施形態を示す図。
図3D】中央を固定された冷却素子を備えたアクティブ冷却システムで利用できるアクチュエータの実施形態を示す図。
【0007】
図4A】改良アクチュエータを備えたアクティブ冷却システムの実施形態を示す図。
図4B】改良アクチュエータを備えたアクティブ冷却システムの実施形態を示す図。
【0008】
図5】改良アクチュエータの実施形態を示す図。
【0009】
図6A】改良アクチュエータの実施形態を示す図。
図6B】改良アクチュエータの実施形態を示す図。
【0010】
図7】改良アクチュエータの実施形態を示す図。
図8】改良アクチュエータの実施形態を示す図。
図9】改良アクチュエータの実施形態を示す図。
図10】改良アクチュエータの実施形態を示す図。
図11】改良アクチュエータの実施形態を示す図。
図12】改良アクチュエータの実施形態を示す図。
図13】改良アクチュエータの実施形態を示す図。
【0011】
図14A】改良アクチュエータの実施形態を示す図。
図14B】改良アクチュエータの実施形態を示す図。
【0012】
図15A】タイルとして構成された複数の冷却セルを備え改良アクチュエータを利用するアクティブ冷却システムの実施形態を示す図。
図15B】タイルとして構成された複数の冷却セルを備え改良アクチュエータを利用するアクティブ冷却システムの実施形態を示す図。
【0013】
図16】複数の冷却セルを備えたアクティブ冷却システムの実施形態を示す図。
【0014】
図17】アクチュエータを駆動するための技術の実施形態を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明は、処理、装置、システム、物質の組成、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体上に具現化されたコンピュータプログラム製品、および/または、プロセッサ(プロセッサに接続されたメモリに格納および/またはそのメモリによって提供される命令を実行するよう構成されたプロセッサ)を含め、様々な形態で実施されうる。本明細書では、これらの実施例または本発明が取りうる任意の他の形態が、技術と呼ばれうる。一般に、開示されている処理の工程の順序は、本発明の範囲内で変更されてもよい。特に言及しない限り、タスクを実行するよう構成されるものとして記載されたプロセッサまたはメモリなどの構成要素は、或る時間にタスクを実行するよう一時的に構成された一般的な構成要素として、または、タスクを実行するよう製造された特定の構成要素として実装されてよい。本明細書では、「プロセッサ」という用語は、1または複数のデバイス、回路、および/または、コンピュータプログラム命令などのデータを処理するよう構成された処理コアを指すものとする。
【0016】
以下では、本発明の原理を示す図面を参照しつつ、本発明の1または複数の実施形態の詳細な説明を行う。本発明は、かかる実施形態に関連して説明されているが、どの実施形態にも限定されない。本発明の範囲は、特許請求の範囲によってのみ限定されるものであり、本発明は、多くの代替物、変形物、および、等価物を含む。以下の説明では、本発明の完全な理解を提供するために、多くの具体的な詳細事項が記載されている。これらの詳細事項は、例示を目的としたものであり、本発明は、これらの具体的な詳細事項の一部または全てがなくとも特許請求の範囲に従って実施可能である。簡単のために、本発明に関連する技術分野で周知の技術事項については、本発明が必要以上にわかりにくくならないように、詳細には説明していない。
【0017】
半導体デバイスが、ますますパワフルになるにつれて、動作中に発せられる熱も増大する。例えば、モバイルデバイス(スマートフォン、タブレットコンピュータ、ノートブック、および、仮想現実デバイスなど)用のプロセッサは、高クロック速度で動作するが、かなりの量の熱を発生しうる。発生する熱の量のため、プロセッサは、比較的短期間しか最高速度で動作できない。この期間が経過した後、スロットリング(例えば、プロセッサのクロック速度の減速)が起きる。スロットリングは、熱の発生を低減できるが、プロセッサの速度ひいてはプロセッサを利用する機器の性能に悪影響を与える。技術が5G以降の世代に移行すると、この問題は、悪化すると予想される。
【0018】
より大型のデバイス(ラップトップまたはデスクトップコンピュータなど)は、回転翼を有する電動ファンを備える。ファンは、内部の構成要素の温度上昇に応じて給電されうるファンである。ファンは、より大型のデバイスを通して空気を駆動することで、内部の構成要素を冷却する。しかしながら、かかるファンは、典型的に、モバイルデバイス(スマートフォンなど)にとって、または、より薄いデバイス(タブレットコンピュータなど)にとって、大きすぎる。ファンは、空気の境界層が構成要素の表面に存在して、冷却したい高温表面における空気流の空気速度を制限することから、有効性が制限され、また、過剰な量のノイズを発生しうる。パッシブな冷却ソリューションは、熱交換器に熱を伝達するために、ヒートスプレッダならびにヒートパイプまたはベイパーチャンバなどの構成要素を含む。ヒートスプレッダは、ホットスポットでの温度上昇をいくぶん緩和するが、現在および将来のデバイスで発生する熱の量に十分に対処することができない。同様に、ヒートパイプまたはベイパーチャンバは、発生した過剰な熱を除去するのに十分な量の熱伝達を提供できない。したがって、比較的小型のモバイルデバイスおよび比較的大型のデバイスで利用できる冷却ソリューションが望まれている。
【0019】
冷却システムの文脈で記載されているが、本明細書に記載の技術および/または装置は、その他の応用例で用いられてもよい。例えば、アクチュエータが、他の応用例で用いられてもよい。さらに、装置は、中央を固定されたアクチュエータ(すなわち、冷却素子)の文脈で記載されている。しかしながら、いくつかの実施形態において、アクチュエータは、端部に沿って固定されてもよい。いくつかのかかる実施形態において、アクチュエータの一部(例えば、半分)のみが利用されてよい。
【0020】
冷却システムで利用可能なアクチュエータについて説明する。アクチュエータは、固定領域および片持ちアームを備える。片持ちアームは、固定領域から外向きに伸びている。片持ちアームは、ステップ領域、延長領域、および、外側領域を備える。ステップ領域は、固定領域から外向きに伸びており、ステップ厚さを有する。延長領域は、ステップ領域から外向きに伸びており、ステップ厚さよりも薄い延長厚さを有する。外側領域は、延長領域から外向きに伸びており、延長厚さよりも厚い外側厚さを有する。いくつかの実施形態において、外側厚さは、50マイクロメートル以上かつ200マイクロメートル以下だけ延長厚さよりも厚い。外側領域は、100マイクロメートル以上かつ300マイクロメートル以下の幅を有してよい。延長領域は、いくつかの実施形態において、ステップ領域から外向きに伸びる0.5ミリメートル以上かつ1.5ミリメートル以下の長さを有する。
【0021】
いくつかの実施形態において、片持ちアームは、さらに、ステップ領域と延長領域との間に追加ステップ領域を含む。追加ステップ領域は、ステップ厚さよりも薄く、延長厚さよりも厚い追加ステップ厚さを有する。
【0022】
いくつかの実施形態において、アクチュエータのステップ領域、延長領域、および、外側領域の内の少なくとも1つが、1または複数の凹部を含む。凹部は、凹部の幅が固定領域からの距離と共に増大するようなテーパを含む。例えば、テーパは、線形テーパ、二次テーパ、および、三次テーパから選択されてよい。その他のテーパも可能である。いくつかの実施形態において、アクチュエータは、凹部がアクチェータの内部に存在するように構成されているカバーを備える。
【0023】
いくつかの実施形態において、アクチュエータは、追加片持ちアームを備える。追加片持ちアームは、片持ちアームと反対側で固定領域から外向きに伸びている。追加片持ちアームは、追加ステップ領域、追加延長領域、および、追加外側領域を備える。追加ステップ領域は、追加ステップ厚さを有する。追加延長領域は、追加ステップ領域から外向きに伸びており、追加ステップ厚さよりも薄い追加延長厚さを有する。追加外側領域は、追加延長領域から外向きに伸びており、追加延長厚さよりも厚い追加外側厚さを有する。
【0024】
アクチュエータは、冷却システムにおいて冷却素子として利用可能である。冷却システムは、アンカおよびアクチュエータを備える。冷却素子(すなわち、アクチュエータ)は、固定領域でアンカに固定されている。冷却素子は、熱発生構造に向かって流体を駆動するために、作動された時に振動運動するよう構成されている。いくつかの実施形態において、冷却システムは、オリフィスを有するオリフィスプレートを備える。オリフィスプレートは、冷却素子と熱発生構造との間に配置されている。いくつかの実施形態において、冷却システムは、上部チャンバが、複数のセル壁の一部と冷却素子との間に形成され、下部チャンバが、複数のセル壁、オリフィスプレート、および、冷却素子の間に形成されるように構成されているセル壁を備える。上部チャンバは、下部チャンバと流体連通している。
【0025】
いくつかの実施形態において、熱発生構造を冷却するための方法が記載されている。方法は、或る周波数の振動運動を引き起こすように冷却素子を駆動する工程を備える。冷却素子は、いくつかの実施形態において、本明細書に記載のアクチュエータである。いくつかの実施形態において、冷却素子は、実質的に片持ちアームの構造共振周波数で駆動される。いくつかの実施形態において、冷却素子は、流体共振周波数またはそれに近い周波数で駆動される。
【0026】
図1A図1Fは、熱発生構造102と共に利用可能であり、中央を固定された冷却素子120を備えたアクティブ冷却システム100の実施形態例を示す図である。明確にするために、特定の構成要素だけが図示されている。図1A図1Fは、正確な縮尺ではない。対称に図示されているが、冷却システム100は、対称である必要はない。図1Aおよび図1C図1Fは、アクチュエータすなわち冷却素子120を利用する冷却システムを図示している。図1Bは、冷却素子120の側面図である。
【0027】
冷却システム100は、ベント112を有する上部プレート110と、冷却素子120と、オリフィス132を有するオリフィスプレート130と、支持構造(すなわち「アンカ」)160と、システム内に形成されたチャンバ140および150(集合的にチャンバ140/150)と、を備える。冷却素子120は、その中央領域でアンカ160によって支持されている。冷却素子の外周の一部(例えば、チップ123)に近く、外周の一部を含む冷却素子120の領域が、作動時に振動する。いくつかの実施形態において、冷却素子120のチップ123は、アンカ160から最も遠い外周の部分を含み、冷却素子120の作動中に最大のたわみを受ける。明確にするために、冷却素子120の1つのチップ123のみが、図1Aで符号を付されている。
【0028】
図1Aは、中立位置にある冷却システム100を示している。したがって、冷却素子120は、実質的に平坦である様子が示されている。同相動作中、冷却素子120は、図1Cおよび図1Dに示す位置の間で振動するように駆動される。この振動運動は、流体(例えば、空気)をベント112に引き込んで、チャンバ140および150を通過させ、高速および/または高流量でオリフィス132から流出させる。例えば、流体が熱発生構造102に衝突する速度は、少なくとも30メートル/秒でありうる。いくつかの実施形態において、流体は、少なくとも45メートル/秒の速度で熱発生構造102に向かうように冷却素子120によって駆動される。いくつかの実施形態において、流体は、少なくとも60メートル/秒の速度で熱発生構造102に向かうように冷却素子120によって駆動される。その他の速度も、いくつかの実施形態において可能でありうる。また、冷却システム100は、冷却素子120の振動運動によってオリフィス132を通してチャンバ140/150に戻る流体がほとんどまたは全くないように構成されている。
【0029】
熱発生構造102は、冷却システム100によって冷却されることが望ましい。いくつかの実施形態において、熱発生構造102は、熱を発生させる。例えば、熱発生構造は、集積回路であってよい。いくつかの実施形態において、熱発生構造102は、冷却されることが望ましいが、それ自体は熱を発生しない。熱発生構造102は、(例えば、熱を発生させる近くの物体から)熱を伝導してもよい。例えば、熱発生構造102は、ヒートスプレッダまたはベイパーチャンバであってよい。したがって、熱発生構造102は、プロセッサなどの個々の集積回路構成要素、他の集積回路、ならびに/もしくは、1または複数のチップパッケージを含む半導体構成要素、センサ、光学デバイス、1または複数のバッテリ、コンピュータデバイスなどの電子デバイスのその他の構成要素、ヒートスプレッダ、ヒートパイプ、冷却が望まれるその他の電子構成要素および/またはその他のデバイス、を含みうる。
【0030】
また、冷却システム100が利用されることが望ましいデバイスは、冷却システムを配置する空間が限られている場合がある。例えば、冷却システム100は、コンピュータデバイスで用いられてよい。かかるコンピュータデバイスは、スマートフォン、タブレットコンピュータ、ラップトップコンピュータ、タブレット、2in1ラップトップ、携帯型ゲームシステム、デジタルカメラ、仮想現実ヘッドセット、拡張現実ヘッドセット、複合現実ヘッドセット、および、その他の薄いデバイス、を含みうるが、これらに限定されない。冷却システム100は、モバイルコンピュータデバイスおよび/または少なくとも1つの寸法で空間が限られているその他のデバイスの中に設置可能な微小電気機械システム(MEMS)冷却システムであってよい。例えば、冷却システム100の全体高さ(熱発生構造102の上部から上部プレート110の上部まで)は、2ミリメートル未満であってよい。いくつかの実施形態において、冷却システム100の全体高さは、1.5ミリメートル以下であってもよい。いくつかの実施形態において、全体高さは、250マイクロメートル以下である。いくつかの実施形態において、この全体高さは、1.1ミリメートル以下である。いくつかの実施形態において、全体高さは、1ミリメートル以下である。同様に、オリフィスプレート130の底部と熱発生構造102の上部との間の距離yは、小さくてよい。いくつかの実施形態において、yは、200マイクロメートル以上かつ1ミリメートル以下である。いくつかの実施形態において、yは、200マイクロメートル以上かつ300マイクロメートル以下である。したがって、冷却システム100は、コンピュータデバイスおよび/または少なくとも1つの寸法で空間が限られているその他のデバイスで利用可能である。ただし、空間の制限があまりないデバイスで、および/または、冷却以外の目的で、冷却システム100を利用することを妨げるものではない。1つの冷却システム100が図示されているが(例えば、1つの冷却セル)、複数の冷却システム100が、熱発生構造102に関連して利用されてもよい。例えば、一次元アレイまたは二次元アレイの冷却セルが用いられてよい。
【0031】
冷却システム100は、熱発生構造102を冷却するために用いられる流体と連通する。流体は、気体または液体であってよい。例えば、流体は、空気であってよい。いくつかの実施形態において、流体は、冷却システム100が存在するデバイスの外側からの(例えば、デバイスにおける外部ベントを通して提供された)流体を含む。いくつかの実施形態において、流体は、冷却システムが存在するデバイス内で(例えば、密閉されたデバイス内で)循環する。
【0032】
冷却素子120は、アクティブ冷却システム100の内部を、上部チャンバ140および下部チャンバ150に分割していると考えることができる。上部チャンバ140は、冷却素子120、側面、および、上部プレート110によって形成されている。下部チャンバ150は、オリフィスプレート130、側面、冷却素子120、および、アンカ160によって形成されている。上部チャンバ140および下部チャンバ150は、冷却素子120の外周で接続され、共にチャンバ140/150(例えば、冷却システム100の内部チャンバ)を形成している。
【0033】
上部チャンバ140のサイズおよび構成は、セル(冷却システム100)の寸法、冷却素子120の運動、および、動作周波数の関数であってよい。上部チャンバ140は、高さh1を有する。上部チャンバ140の高さは、所望の流量および/または速度で、オリフィス132を通して下部チャンバ140へ流体を駆動するのに十分な圧力を提供するよう選択されてよい。また、上部チャンバ140は、冷却素子120が作動時に上部プレート140に接触しない十分な高さを有する。いくつかの実施形態において、上部チャンバ140の高さは、50マイクルメートル以上かつ500マイクロメートル以下である。いくつかの実施形態において、上部チャンバ140は、200マイクロメートル以上かつ300マイクロメートル以下の高さを有する。
【0034】
下部チャンバ150は、高さh2を有する。いくつかの実施形態において、下部チャンバ150の高さは、冷却素子120の運動を許容するのに十分である。したがって、冷却素子120のどの部分も、通常動作中にオリフィスプレート130に接触しない。下部チャンバ150は、一般に、上部チャンバ140よりも小さく、オリフィス132への流体の逆流を低減するのに役立ちうる。いくつかの実施形態において、下部チャンバ150の高さは、(冷却素子120の最大たわみ)+(5マイクロメートル以上かつ10マイクロメートル以下)である。いくつかの実施形態において、冷却素子120のたわみ(例えば、チップ123のたわみ)は、10マイクロメートル以上かつ100マイクロメートル以下の振幅を有する。いくつかのかかる実施形態において、冷却素子120のたわみの振幅は、10マイクロメートル以上かつ60マイクロメートル以下である。ただし、冷却素子120のたわみの振幅は、冷却システム100を通した所望の流量および冷却システム100の構成などの要素に依存する。したがって、下部チャンバ150の高さは、一般に、冷却システム100を通した流量および冷却システム100のその他の構成要素に依存する。
【0035】
上部プレート110は、流体が冷却システム100に引き込まれる際に通りうるベント112を備える。上部ベント112は、チャンバ140における所望の音圧に基づいて選択されたサイズを有してよい。例えば、いくつかの実施形態において、ベント112の幅wは、500マイクロメートル以上かつ1000マイクロメートル以下である。いくつかの実施形態において、ベント112の幅は、250マイクロメートル以上かつ2000マイクロメートル以下である。図の実施形態において、ベント112は、上部プレート110の中心に配置された開口部である。別の実施形態において、ベント112は、他の場所に配置されてもよい。例えば、ベント112は、上部プレート110の端部の1つにより近くてもよい。ベント112は、円形、長方形、または、その他の形状のフットプリントを有してよい。単一のベント112が図示されているが、複数のベントが用いられてもよい。例えば、ベントは、上部チャンバ140の縁部に向かってオフセットされてよく、または、上部チャンバ140の側面に配置されてよい。上部プレート110は実質的に平坦であると図示されているが、いくつかの実施形態において、トレンチおよび/またはその他の構造が、上部チャンバ140の構成および/または上部プレート110の上方の領域を変更するために、上部プレート110に提供されてもよい。
【0036】
冷却素子120は、固定領域122および片持ちアーム121を備える。固定領域122は、冷却システム100内でアンカ160によって支持(例えば、所定位置に保持)されている。片持ちアーム121は、冷却素子120が作動されることに応じて、振動運動を行う。各片持ちアーム121は、ステップ領域124、延長領域126、および、外側領域128を備える。明確にするために、片持ちアーム121、ステップ領域124、延長領域126、および、外側領域128のみが、図1Bで符号を付されている。図1A図1Fに示す実施形態において、固定領域122は、中央に配置されている。ステップ領域124は、固定領域122から外向きに伸びている。延長領域126は、ステップ領域124から外向きに伸びている。外側領域128は、延長領域126から外向きに伸びている。他の実施形態において、固定領域122が、アクチュエータの一方の端部にあり、外側領域128が、反対側の端部にあってもよい。かかる実施形態において、アクチュエータは、端部を固定される。
【0037】
延長領域126は、ステップ領域124の厚さ(ステップ厚さ)よりも薄く、外側領域128の厚さ(外側厚さ)よりも薄い厚さ(延長厚さ)を有する。したがって、延長領域126は、凹部になっていると見なされてよい。延長領域126は、より大きい下部チャンバ150を提供すると見られてもよい。いくつかの実施形態において、外側領域128の外側厚さは、ステップ領域124のステップ厚さと同じである。いくつかの実施形態において、外側領域128の外側厚さは、ステップ領域124のステップ厚さとは異なる。外側領域128の外側厚さおよびステップ領域124のステップ厚さは各々、320マイクロメートル以上かつ360マイクロメートル以下である。他の実施形態において、その他の厚さも可能である。いくつかの実施形態において、外側厚さは、50マイクロメートル以上かつ200マイクロメートル以下だけ延長厚さよりも厚い。換言すると、ステップ(ステップ厚さおよび延長厚さの差)は、50マイクロメートル以上かつ200マイクロメートル以下である。いくつかの実施形態において、外側ステップ(外側厚さおよび延長厚さの差)は、50マイクロメートル以上かつ200マイクロメートル以下である。外側領域128は、100マイクロメートル以上かつ300マイクロメートル以下の幅oを有してよい。延長領域は、いくつかの実施形態において、ステップ領域から外向きに伸びる0.5ミリメートル以上かつ1.5ミリメートル以下の長さeを有する。いくつかの実施形態において、外側領域128は、固定領域122からの方向の単位長さあたりの質量が延長領域126よりも大きい。この質量の差は、外側領域128のより大きいサイズ、冷却素子120の部分の間の密度の差、および/または、別のメカニズムに起因してよい。
【0038】
アンカ(支持構造)160は、冷却素子120の中央部分で冷却素子120を支持している。したがって、冷却素子120の外周の少なくとも一部は、固定されておらず、自由に振動する。いくつかの実施形態において、アンカ160は、冷却素子120の中心軸に沿って(例えば、図1A図1Fにおいて紙面と垂直に)伸びている。いくつかの実施形態において、振動する冷却素子120の一部(例えば、チップ123を含む片持ちアーム121)が、片持ち状態で運動する。したがって、冷却素子120の片持ちアーム121は、蝶の翅に類似した方法で(すなわち、同じ位相で)、および/または、シーソーに類似した方法で(すなわち、異なる位相で)運動してよい。したがって、片持ち状態で振動する冷却素子120の片持ちアーム121は、いくつかの実施形態では同じ位相で、そして、他の実施形態では異なる位相で振動する。いくつかの実施形態において、アンカ160は、冷却素子120の軸に沿って伸びていない。かかる実施形態では、冷却素子120の外周のすべての部分が、自由に振動する(例えば、クラゲに類似する)。図の実施形態において、アンカ160は、冷却素子120の底部から冷却素子120を支持している。他の実施形態において、アンカ160は、別の方法で冷却素子120を支持してもよい。例えば、アンカ160は、上部から冷却素子120を支持してもよい(例えば、冷却素子120が、アンカ160からぶら下がっている)。いくつかの実施形態において、アンカ160の幅aは、0.5ミリメートル以上かつ4ミリメートル以下である。いくつかの実施形態において、アンカ160の幅は、2ミリメートル以上かつ2.5ミリメートル以下である。アンカ160は、冷却素子120の10パーセント以上かつ50パーセント以下を占めてよい。
【0039】
冷却素子120は、熱発生構造102の遠位にある第1側と、熱発生構造102の近位にある第2側と、を有する。図1A図1Fに示す実施形態において、冷却素子120の第1側は、(上部プレート110に近い)冷却素子120の上部であり、第2側は、(オリフィスプレート130に近い)冷却素子120の底部である。冷却素子120は、図1Aおよび図1C図1Fに示すように、振動運動を行うよう作動される。冷却素子120の振動運動は、熱発生構造102の遠位の冷却素子120の第1側から(例えば、上部チャンバ140から)熱発生構造102の近位の冷却素子120の第2側へ(例えば、下部チャンバへ)流体を駆動する。また、冷却素子120の振動運動は、ベント112を通して上部チャンバ140へ流体を引き込み、上部チャンバ140から下部チャンバ150へ流体を送り、下部チャンバ150からオリフィスプレート130のオリフィス132を通して流体を駆動する。
【0040】
冷却素子120は、冷却素子120が振動する際の所望の周波数に依存する長さLを有する。いくつかの実施形態において、冷却素子120の長さは、4ミリメートル以上かつ10ミリメートル以下である。いくつかのかかる実施形態において、冷却素子120は、6ミリメートル以上かつ8ミリメートル以下の長さを有する。冷却素子120の奥行き(例えば、図1A図1Fに示す紙面に垂直な奥行き)は、Lの4分の1からLの2倍まで様々であってよい。例えば、冷却素子120は、長さと同じ奥行きを有してよい。冷却素子120の厚さtは、冷却素子120の構成および/または冷却素子120が作動される際の所望の周波数に基づいて、異なってよい。いくつかの実施形態において、8ミリメートルの長さを有し、20キロヘルツ以上かつ25キロヘルツ以下の周波数で駆動される冷却素子120について、冷却素子の厚さは、200マイクロメートル以上かつ350マイクロメートル以下である。チャンバ140/150の長さCは、冷却素子120の長さLに近い。例えば、いくつかの実施形態において、冷却素子120の端部と、チャンバ140/50の壁との間の距離dは、100マイクロメートル以上かつ500マイクロメートル以下である。いくつかの実施形態において、dは、200マイクロメートル以上かつ300マイクロメートル以下である。
【0041】
冷却素子120は、上部チャンバ140における流体の圧力波の音響共振の共振周波数および冷却素子120の構造共振の共振周波数の両方と同じまたは近い周波数で駆動されてよい。振動運動を行う冷却素子120の部分は、冷却素子120の共振(「構造共振」)でまたはその付近で駆動される。振動を行う冷却素子120のこの部分は、いくつかの実施形態において、1または複数の片持ちアーム121であってよい。構造共振の振動の周波数は、構造共振周波数と呼ばれている。冷却素子112を駆動する際に構造共振周波数を利用することは、冷却システム100の電力消費を削減する。また、冷却素子120および上部チャンバ140は、この構造共振周波数が、上部チャンバ140を通して駆動される流体中の圧力波における共振(上部チャンバ140の音響共振)に対応するように構成されていてよい。かかる圧力波の周波数は、音響共振周波数と呼ばれている。音響共振時に、圧力の節が、ベント112の近くで発生し、圧力の腹が、冷却システム100の外周の近く(例えば、冷却素子120のチップ123の近く、かつ、上部チャンバ140と下部チャンバ150との間の接続の近く)で発生する。これらの2つの領域の間の距離は、C/2である。したがって、C/2=nλ/4であり、ここで、λは、流体の音波長であり、nは、奇数(例えば、n=1、3、5、など)である。最低次モードに対しは、C=λ/2である。チャンバ140の長さ(例えば、C)は、冷却素子120の長さに近いので、いくつかの実施形態において、L/2=nλ/4もほぼ正しく、ここで、λは流体の音波長であり、nは奇数である。したがって、冷却素子120が駆動される周波数γは、冷却素子120の構造共振周波数と同じまたは近い周波数である。周波数γは、少なくとも上部チャンバ140の音響共振周波数と同じまたは近い周波数である。上部チャンバ140の音響共振周波数は、一般に、温度およびサイズなどのパラメータによる変化が、冷却素子120の構造共振周波数ほどは著しくない。したがって、いくつかの実施形態において、冷却素子120は、音響共振周波数よりも、構造共振周波数で(またはその近くの周波数で)駆動されてよい。
【0042】
オリフィスプレート130は、オリフィス132を有する。特定の数および分布のオリフィス132が図示されているが、別の数および/または別の分布が用いられてもよい。単一のオリフィスプレート130が、単一の冷却システム100のために用いられている。他の実施形態において、複数の冷却システム100が、オリフィスプレートを共有してもよい。例えば、複数のセル100が、所望の構成で一緒に提供されてよい。かかる実施形態において、セル100は、同じサイズおよび構成であってもよいし、異なるサイズおよび/または構成であってもよい。オリフィス132は、熱発生構造102の表面と垂直に方向付けられた軸を有する様子が示されている。他の実施形態において、1または複数のオリフィス132の軸は、別の角度であってもよい。例えば、軸の角度は、略ゼロ度および非ゼロの鋭角から選択されてよい。また、オリフィス132は、オリフィスプレート130の表面の法線と実質的に平行である側壁を有する。いくつかにおいて、オリフィスは、オリフィスプレート130の表面の法線に対して非ゼロの角度の側壁を有してもよい。例えば、オリフィス132は、円錐形であってもよい。さらに、オリフィスプレース130は実質的に平坦であると図示されているが、いくつかの実施形態において、トレンチおよび/またはその他の構造が、下部チャンバ150の構成および/またはオリフィスプレート130と熱発生構造102との間の領域を変更するために、オリフィスプレート130に提供されてもよい。
【0043】
オリフィス132のサイズ、分布、および、位置は、熱発生構造102の表面へ駆動される流体の流量を制御するように選択される。オリフィス132の位置および構成は、下部チャンバ150からオリフィス132を通ってジェットチャネル(オリフィスプレート130の底部と熱発生構造102の上部との間の領域)へ至る流体流を増大/最大化するよう構成されていてよい。また、オリフィス132の位置および構成は、ジェットチャネルからオリフィス132を通る吸引流(例えば、逆流)を低減/最小化するよう選択されてよい。例えば、オリフィスの位置は、オリフィス132を通して下部チャンバ150に流体を引き込む冷却素子120のアップストローク(チップ123がオリフィスプレート13から離れるストローク)時の吸引が低減されるのに十分にチップ123から離れていることが望ましい。また、オリフィスの位置は、冷却素子120のアップストローク時の吸引により、上部チャンバ140からのより高い圧力が流体を上部チャンバ140から下部チャンバ150へ押すことが可能になるように十分にチップ123に近いことが望ましい。いくつかの実施形態において、アップストローク時に、上部チャンバ140から下部チャンバ150への流量と、ジェットチャネルからオリフィス132を通る流量との比(「正味流量比」)は、2:1よりも大きい。いくつかの実施形態において、正味流量比は、少なくとも85:15である。いくつかの実施形態において、正味流量比は、少なくとも90:10である。所望の圧力、流量、吸引、および、正味流量比を提供するには、オリフィス132は、冷却素子120のチップ123から距離r1以上、かつ、チップ123から距離r2以下にあることが望ましい。いくつかの実施形態において、r1は、100マイクロメートル以上であり(例えば、r1≧100μm)、r2は、1ミリメートル以下である(例えば、r2≦1000μm)。いくつかの実施形態において、オリフィス132は、冷却素子120のチップ123から200マイクロメートル以上の位置にある(例えば、r1≧200μm)。いくつかのかかる実施形態において、オリフィス132は、冷却素子120のチップ123から300マイクロメートル以上の位置にある(例えば、r1≧300μm)。いくつかの実施形態において、オリフィス132は、100マイクロメートル以上かつ500マイクロメートル以下の幅を有する。いくつかの実施形態において、オリフィス132は、200マイクロメートル以上かつ300マイクロメートル以下の幅を有する。いくつかの実施形態において、オリフィスの間隔sは、100マイクロメートル以上かつ1ミリメートル以下である。いくつかのかかる実施形態において、オリフィスの間隔は、400マイクロメートル以上かつ600マイクロメートル以下である。いくつかの実施形態において、オリフィス132は、また、オリフィスプレート130の面積の特定のわずかな部分を占めることが望ましい。例えば、オリフィス132は、オリフィス132を通る流体の所望の流量を達成するために、オリフィスプレート130のフットプリントの5パーセン以上かつ15パーセント以下を占めてよい。いくつかの実施形態において、オリフィス132は、オリフィスプレート130のフットプリントの8パーセント以上かつ12パーセント以下を占める。
【0044】
いくつかの実施形態において、冷却素子120は、圧電体を用いて作動される。したがって、冷却素子120は、圧電型冷却素子であってよい。冷却素子120は、冷却素子120に取り付けられまたは一体化された圧電体によって駆動されてよい。いくつかの実施形態において、冷却素子120は、冷却システム100内の別の構造上に圧電体を提供することを含むがこれに限定されない別の方法で駆動される。以下では、冷却素子120および類似の冷却素子を圧電型冷却素子と呼ぶが、圧電体以外のメカニズムが冷却素子を駆動するために用いられうる可能性もある。いくつかの実施形態において、冷却素子120は、基板上に圧電体層を備える。基板は、ステンレス鋼、Ni合金、および/または、ハステロイ基板であってよい。いくつかの実施形態において、圧電体層は、基板上に薄膜として形成された複数のサブ層を含む。他の実施形態において、圧電体層は、基板に付着されたバルク層であってよい。かかる圧電型冷却素子120は、さらに、圧電体を活性化するために用いられる電極を備える。基板は、いくつかの実施形態において、電極として機能する。他の実施形態において、下部電極が、基板と圧電体層との間に提供されてもよい。シード層、キャッピング層、不動態化層、または、その他の層を含むがこれらに限定されないその他の層が、圧電型冷却素子に備えられてもよい。このように、冷却素子120は、圧電体を用いて作動されてよい。
【0045】
いくつかの実施形態において、冷却システム100は、導管(chimney)(図示せず)またはその他のダクトを備える。かかるダクトは、加熱された流体が熱発生構造102から離れるように流れるための経路を提供する。いくつかの実施形態において、ダクトは、熱発生構造102から遠位の上部プレート110の側に流体を戻す。いくつかの実施形態において、ダクトは、その代わりに、熱発生構造102に平行な方向へ、または、熱発生構造102に垂直であるが反対方向へ(例えば、紙面の下方に向かって)、熱発生構造102から離れるように流体を方向付けてもよい。装置の外部の流体が冷却システム100で用いられる装置では、ダクトは、加熱された流体をベントに導いてよい。かかる実施形態において、さらなる流体が、流入ベントから提供されてもよい。デバイスが密閉されている実施形態において、ダクトは、ベント112に近く熱発生構造102から遠い領域に戻る遠回りの経路を提供してよい。かかる経路は、熱発生構造102の冷却に再利用される前に、流体が熱を放散することを可能にする。他の実施形態において、ダクトは、省略され、または、別の方法で構成されてもよい。このように、流体は、熱発生構造102から熱を取り除くことが可能になる。
【0046】
冷却システム100の動作について、図1A図1Fの文脈で説明する。特定の圧力、ギャップサイズ、および、流れのタイミングの文脈で説明されているが、冷却システム100の動作は、本明細書の説明には依存しない。図1C図1Dは、冷却システム100の同相動作を図示している。図1Cを参照すると、冷却素子120は、片持ちアーム121およびチップ123が上部プレート110から離れて動くように、作動されている。したがって、図1Cは、冷却素子120のダウンストロークの終わりを図示していると考えることができる。冷却素子120の振動運動のために、下部チャンバ150のギャップ152は、サイズが減少しており、ギャップ152Bとして示されている。逆に、上部チャンバ140のギャップ142は、サイズが増大し、ギャップ142Bとして示されている。ダウンストローク中、冷却素子120が中立位置にある時の外周において、より低い(例えば、最小の)圧力が発生する。ダウンストロークが継続すると、図1Cに示すように、下部チャンバ150のサイズが減少し、上部チャンバ140のサイズが増大する。したがって、流体は、オリフィスプレート130の表面および/または熱発生構造102の上面と垂直の方向またはそれに近い方向へ、オリフィス132から駆動される。流体は、オリフィス132から熱発生構造102に向かって高速で(例えば、35メートル/秒を超える速度で)駆動される。いくつかの実施形態において、流体は、その後、熱発生構造102の表面に沿って熱発生構造102の外周に向かって移動し、そこでの圧力は、オリフィス132付近よりも低い。また、ダウンストローク中、上部チャンバ140のサイズは増大し、より低い圧力が上部チャンバ140に存在する。結果として、流体は、ベント112を通して上部チャンバ140へ引き込まれる。ベント112内に入ってオリフィス132を通り熱発生構造102に沿って流れる流体の動きが、図1Cに符号なしの矢印で示されている。
【0047】
また、冷却素子120は、片持ちアーム121ひいてはチップ123が熱発生構造102から離れて上部プレート110に向かって動くように作動される。したがって、図1Dは、冷却素子120のアップストロークの終わりを図示していると考えることができる。冷却素子120の運動のために、ギャップ142は、サイズが減少しており、ギャップ142Cとして示されている。ギャップ152は、サイズが増大し、ギャップ152Cとして示されている。アップストローク中、冷却素子120が中立位置にある時の外周において、より高い(例えば、最大の)圧力が発生する。アップストロークが継続すると、図1Dに示すように、下部チャンバ150のサイズが増大し、上部チャンバ140のサイズが減少する。したがって、流体は、上部チャンバ140(例えば、チャンバ140/150の外周)から下部チャンバ150へ駆動される。このように、冷却素子120のチップ123が上方に動くと、上部チャンバ140は、入ってくる流体が速度を増して下部チャンバ150へ向かって駆動されるためのノズルとして機能する。下部チャンバ150への流体の動きが、図1Dに符号なしの矢印で示されている。冷却素子120およびオリフィス132の位置および構成は、吸引を低減し、ひいては、アップストローク中の(熱発生構造102とオリフィスプレート130との間の)ジェットチャネルからオリフィス132への流体の逆流を低減するように選択される。したがって、冷却システム100は、ジェットチャネルから下部チャンバ10に入る加熱流体の逆流を過度に引き起こすことなしに、上部チャンバ140から下部チャンバ150へ流体を駆動することができる。
【0048】
図1Cおよび図1Dに示す位置の間の運動は繰り返される。したがって、冷却素子120は、図1Aおよび図1C図1Dに示す振動運動を行うことで、ベント112を通して上部プレート110の遠位側から上部チャンバ140内に流体を引き込み、上部チャンバ140から下部チャンバ150へ流体を送り、オリフィス132を通して熱発生構造102へ向かって流体を押し出す。上述のように、冷却素子120は、冷却素子120の構造共振周波数またはその付近の周波数で振動するように駆動される。いくつかの実施形態において、これは、片持ちアーム121の構造共振に対応する。さらに、冷却素子120の構造共振周波数は、チャンバ140/150の音響共振と一致するよう構成されている。構造共振周波数および音響共振周波数は、一般に、超音波領域にあるように選択される。例えば、冷却素子120の振動運動は、15kHz~30kHzの周波数であってよい。いくつかの実施形態において、冷却素子120は、20kHz以上かつ30kHz以下の周波数で振動する。冷却素子120の構造共振周波数は、冷却システム100の音響共振周波数の10パーセント以内である。いくつかの実施形態において、冷却素子120の構造共振鳴周波数は、冷却システム100の音響共振周波数の5パーセント以内である。いくつかの実施形態において、冷却素子120の構造共振鳴周波数は、冷却システム100の音響共振周波数の3パーセント以内である。結果として、効率および流量が高められうる。ただし、その他の周波数が用いられてもよい。
【0049】
熱発生構造102に向かって駆動された流体は、熱発生構造102の上面と実質的に垂直(鉛直)に移動しうる。いくつかの実施形態において、流体の動きは、熱発生構造102の上面の法線に対して非ゼロの鋭角を有してもよい。いずれの場合でも、流体は、熱発生構造102において薄くなり、および/または、流体の境界層に開口部を形成しうる。結果として、熱発生構造102からの熱の伝達が改善されうる。流体は、熱発生構造102で逸れて、熱発生構造102の表面に沿って移動する。いくつかの実施形態において、流体は、熱発生構造102の上面と実質的に平行な方向に移動する。したがって、熱発生構造102からの熱が、流体によって除去されうる。流体は、冷却システム100の端部において、オリフィスプレート130と熱発生構造102との間の領域から出る。冷却システム100の端部にある導管またはその他のダクト(図示せず)が、熱発生構造102から流体を運び去ることを可能にする。他の実施形態において、加熱された流体は、別の方法で熱発生構造102から遠くへ移動されてもよい。流体は、熱発生構造102から伝達された熱を別の構造または周囲環境へ交換しうる。したがって、上部プレート110遠位端側の流体は、比較的冷たいままでありうるため、さらなる熱除去を可能にする。いくつかの実施形態において、流体は循環されて、冷却後に上部プレート110の遠位側に戻る。他の実施形態において、加熱された流体は運び去られて、冷却素子110の遠位側で新たな流体に置き換えられる。結果として、熱発生構造102は、冷却されうる。
【0050】
図1E図1Fは、中央を固定された冷却素子120を備えたアクティブ冷却システム100の実施形態を示しており、冷却素子が異なる位相で駆動されている。より具体的には、アンカ160の両側にある(したがって、アンカ160によって支持されている冷却素子120の中央固定領域122の両側にある)冷却素子120の片持ちアーム121が、異なる位相で振動するように駆動されている。いくつかの実施形態において、アンカ160の両側にある冷却素子120の片持ちアーム121は、180度または180度近くずれた位相で駆動される。したがって、冷却素子120の一方の片持ちアーム121が、上部プレート110に向かって振動し、それと同時に、冷却素子120の他方の片持ちアーム121が、オリフィスプレート130/熱発生構造102に向かって振動する。冷却素子120の片持ちアーム121の上部プレート110に向かう動き(アップストローク)は、上部チャンバ140内の流体をアンカ160のその側の下部チャンバ150へ駆動する。冷却素子120の部分のオリフィスプレート130に向かう動きは、オリフィス132を通って熱発生構造102に向かうように流体を駆動する。したがって、高速(例えば、同相動作に関して上述した速度)で移動する流体が、アンカ160の両側のオリフィス132から交互に駆動される。流体の運動は、図1Eおよび図1Fに符号なしの矢印で示されている。
【0051】
図1Eおよび図1Fに示す位置の間の運動は繰り返される。したがって、冷却素子120は、図1A図1E、および、図1Fに示す振動運動を行うことで、交互に、冷却素子120の各側についてベント112を通して上部プレート110の遠位側から上部チャンバ140内に流体を引き込み、上部チャンバ140の各側から下部チャンバ150の対応する側へ流体を送り、アンカ160の各側のオリフィス132を通して熱発生構造102へ向かって流体を押し出す。上述のように、冷却素子120は、冷却素子120の構造共振周波数またはその付近の周波数で振動するように駆動される。さらに、冷却素子120の構造共振周波数は、チャンバ140/150の音響共振と一致するよう構成されている。構造共振周波数および音響共振周波数は、一般に、超音波領域にあるように選択される。例えば、冷却素子120の振動運動は、同相振動について記載した周波数の運動であってよい。冷却素子120の構造共振周波数は、冷却システム100の音響共振周波数の10パーセント以内である。いくつかの実施形態において、冷却素子120の構造共振鳴周波数は、冷却システム100の音響共振周波数の5パーセント以内である。いくつかの実施形態において、冷却素子120の構造共振鳴周波数は、冷却システム100の音響共振周波数の3パーセント以内である。結果として、効率および流量が高められうる。ただし、その他の周波数が用いられてもよい。
【0052】
異相振動中に熱発生構造102に向かって駆動された流体は、同相動作について上述したのと類似した方法で、熱発生構造102の上面と実質的に垂直(鉛直)に移動しうる。同様に、冷却システム100の端部にある導管またはその他のダクト(図示せず)が、熱発生構造102から流体を運び去ることを可能にする。他の実施形態において、加熱された流体は、別の方法で熱発生構造102から遠くへ移動されてもよい。流体は、熱発生構造102から伝達された熱を別の構造または周囲環境へ交換しうる。したがって、上部プレート110遠位端側の流体は、比較的冷たいままでありうるため、さらなる熱除去を可能にする。いくつかの実施形態において、流体は循環されて、冷却後に上部プレート110の遠位側に戻る。他の実施形態において、加熱された流体は運び去られて、冷却素子110の遠位側で新たな流体に置き換えられる。結果として、熱発生構造102は、冷却されうる。
【0053】
同相振動または異相振動のために作動される冷却システム100を用いると、ベント112を通して引き込まれてオリフィス132を通して駆動された流体が、熱発生構造102から熱を効率的に放散させうる。流体は、十分な速度(例えば、少なくとも30メートル/秒)で、いくつかの実施形態においては熱発生構造に対して実質的に垂直に、熱発生構造に衝突するので、熱発生構造における流体の境界層は、薄くなり、および/または、部分的に除去されうる。その結果、熱発生構造102と、移動する流体との間の熱伝達が改善される。熱発生構造が、より効率的に冷却されるので、対応する集積回路は、より高い速度および/または電力で長時間にわたって動作されてよい。例えば、熱発生構造が高速度プロセッサに対応する場合、かかるプロセッサは、スロットリングまでに、より長時間にわたって実行されてよい。したがって、冷却システム100を利用するデバイスの性能が向上されうる。さらに、冷却システム100は、MEMSデバイスであってよい。その結果として、冷却システム100は、スマートフォン、その他の携帯電話、仮想現実ヘッドセット、タブレット、2in1コンピュータ、ウェアラブル、携帯ゲーム機など、利用可能なスペースか限られている、より小型および/またはモバイル型のデバイスでの利用に適しうる。したがって、かかるデバイスの性能は向上されうる。冷却素子120は、15kHz以上の周波数で振動されてよいので、ユーザは、冷却素子の作動に関連するノイズを全く聞きえない。構造共振周波数および/または音響共振周波数またはその付近の周波数で駆動される場合、冷却システムを動作させる際に用いられる電力が、大幅に低減されうる。冷却素子120は、振動中に上部プレート110ともオリフィスプレート130とも物理的に接触しない。したがって、冷却素子120の共振は、より容易に維持されうる。より具体的には、冷却素子120とその他の構との間の物理的接触は、冷却素子120の共振条件を妨げうる。これらの条件を妨げると、共振させずに冷却素子120を駆動しうる。したがって、冷却素子120の作動を維持するために、さらなる電力を利用する必要が生じる。さらに、冷却素子120によって駆動される流体の流量が減少しうる。これらの問題は、上述のように、圧力差および流量を利用して回避される。改善された静かな冷却の利点は、限られた追加電力で達成されうる。さらに、冷却素子120の異相振動は、冷却素子100の重心の位置をより安定なままにすることを可能にする。トルクが冷却素子120に掛かるが、重心の移動による力は、低減または排除される。結果として、冷却素子120の動きによる振動が低減されうる。さらに、冷却装置100の効率が、冷却素子120の2つの側に異相振動運動を利用することによって改善されうる。片持ちアーム121の異相振動中に、冷却システム100を通しての振動も低減されうる。その結果として、冷却システム100を組み込んだデバイスの性能が改善されうる。さらに、冷却システム100は、高い流量および/または流速が望ましいその他の応用例(例えば、熱発生構造102が存在する、または、存在しない)で利用可能でありうる。
【0054】
改良冷却素子120の利用は、冷却システム100の性能をさらに高めうる。延長領域126は、ステップ領域124および外側領域128よりも薄い。この結果として、延長領域126に対応する冷却素子120の底部に空洞が存在する。この空洞の存在は、冷却システム100の効率を改善するのに役立つ。図1Aおよび図1C図1Fに関して論じたように、片持ちアーム121は、アップストローク時に上部プレート110に向かい、ダウンストローク時に上部プレート110から離れるように振動する。片持ちアーム121が上部プレート110に向かって運動する時、上部チャンバ140内のより高圧の流体が、片持ちアーム121の運動に抵抗する。さらに、下部チャンバ150における吸引も、アップストローク中に片持ちアーム121の上方への運動に抵抗する。片持ちアーム121のダウンストローク時には、下部チャンバ150内で上昇した圧力と、上部チャンバ140における吸引が、片持ちアーム121の下方への運動に抵抗する。しかしながら、延長領域126に対応する片持ちアーム121内の空洞の存在が、アップストローク中に下部チャンバ150における吸引を緩和する。空洞も、ダウンストローク中に下部チャンバ150における圧力の上昇を低減する。吸引および圧力上昇の大きさが低減されるので、片持ちアーム121は、流体を通ってより容易に運動しうる。これは、冷却システム100を通して流体の流れを駆動する上部チャンバ140内のより高い圧力を実質的に維持しながら達成されうる。したがって、効率が改善されうる。
【0055】
さらに、外側領域128の存在が、冷却システム100を通して駆動されている流体の中で片持ちアーム121が運動する能力を高めうる。外側領域128は、より大きい質量、ひいては、より高い運動量を有する。その結果として、外側領域128は、冷却システム100を通して駆動されている流体の中で片持ちアーム121が運動する能力を高めうる。片持ちアーム121のたわみの振幅も、増大されうる。これらの利点は、より厚いステップ領域124の利用によって片持ちアーム121の剛性を維持しつつ達成されうる。したがって、冷却システム100の効率が、さらに改善されうる。
【0056】
その改善は、以下のように理解されてもよい。冷却素子120の効率の測定値をQとすることができる。Qの値は、少なくとも部分的には、冷却素子120と周囲の流体(すなわち、空気などの気体または液体)との相互作用、冷却素子120内の構造的損失、冷却素子120の固定、および/または、その他の特徴によって、決定される。Qは、δres=Q×δstaticで定義されると考えることができ、ここで、δresは、共振時のたわみであり、δstaticは、対応する静的たわみである。Qの値が大きいほど、共振時のたわみが大きくなり、たわみの減衰が遅くなる(すなわち、減衰が小さくなる)。冷却素子120の改良構成により、冷却素子は、周囲の流体の中でより良好に運動できる。その結果、より高い静的たわみが達成され、たわみが共振時により良好に増幅され、冷却素子120を駆動するために消費される電力が削減され、たわみがよりゆっくりと消失しうる(すなわち、小さい減衰を受けうる)。したがって、冷却素子120のQ、ひいては、冷却システム100の効率が、冷却素子120の構成によって向上されうる。
【0057】
改良冷却素子120の利用は、冷却システム100の信頼性も改善しうる。延長領域126は、その厚さが低減されているため、外側領域128およびやステップ領域124よりも剛性が低くなりうる。この剛性の低下により、振動中の冷却素子120への応力が軽減される。冷却素子120は、故障の可能性が低くなりうる。したがって、冷却システム100の信頼性が改善されうる。
【0058】
例えば、図2A図2Eは、冷却素子200の性能に関するグラフ200A、200B、200C、200D、および、200Eの実施形態例を示す。グラフ200A、200B、200C、200D、および、200Eは、説明を目的としたものにすぎず、冷却素子120および/または冷却システム100のすべての実施形態の性能を示すことを意図していない。グラフ200Aは、均一な厚さを有する冷却素子について、たわみ204A(y)と、チャンバ140および150内の圧力202A(P)とを示す曲線を含む。グラフ200Bは、冷却素子120について、チャンバ140および150内の圧力202B(P)と、たわみ204B(y)とを示す曲線を含む。曲線204Aおよび204Bのたわみの振幅は、図に示す実施形態において同じである。いくつかの実施形態において、たわみの振幅は、4マイクロメートルである。延長領域126の下に空洞が存在するため、圧力曲線202Bは、冷却素子120についてチャンバ内で発生する圧力が、均一なアクチュエータについて圧力曲線202Aによって示されている圧力よりも小さいことを示している。したがって、片持ちアーム121は、冷却システム100内の流体の中でより容易かつ効率的に運動しうる。したがって、効率が改善されうる。
【0059】
同様に、グラフ200C、200D、および、200Eは、均一な冷却素子(グラフ200C)および冷却素子120の2つの実施形態(グラフ200Dおよび200E)について、冷却素子のたわみ(y)に対する応力(δ)を示している。グラフ200Cは、アンカ160の端部に近い単一の高応力領域を示している。これは、均一な冷却素子がたわんだ時に最も高い応力を受ける位置である。グラフ200Dおよび200Eは、冷却素子120の応力が、アンカ160付近(すなわち、冷却素子120が自由に振動する場所)およびステップ領域124と延長領域126との間の移行部付近の2つの位置に集中していることを示している。しかしながら、冷却素子120の構成は、これらの領域で冷却素子120が受ける応力の大きさを低減する。冷却素子120が受ける応力が比較的小さいため、冷却素子120は、故障の可能性が低くなりうる。その結果として、信頼性が改善されうる。
【0060】
図3A図3Dは、アクティブ冷却システム(冷却システム100など)と類似した冷却システム300A、300B、300C、および、300Dの実施形態を示す平面図である。図3A図3Dは、正確な縮尺ではない。簡単のために、冷却素子320A、320B、320C、および、320D、ならびに、アンカ360A、360B、360C、および、360Dの部分のみが、それぞれ示されている。冷却素子220A、320B、320C、および、320Dは、冷却素子120と類似している。したがって、冷却素子320A、320B、320C、および/または、320Dに用いられるサイズおよび/または材料は、冷却素子120のものと類似していてよい。アンカ(支持構造)360A、360B、360C、および、360B Dは、アンカ160と類似しており、破線で示されている。
【0061】
冷却素子320Aおよび320Bについて、アンカ360Aおよび360Bが、中央に配置され、それぞれ、冷却素子320Aおよび320Bの中心軸に沿って伸びている。したがって、振動するように作動される片持ち部分(すなわち、片持ちアーム)は、アンカ360Aおよび360Bの右側および左側にある。いくつかの実施形態において、冷却素子320Aおよび/または320Bは、連続構造であり、その中の2つの部分が作動される(例えば、アンカ360Aおよび360Bの外側の片持ち部分)。いくつかの実施形態において、冷却素子320Aおよび/または320Bは、別個の片持ち部分を備えており、片持ち部分は、それぞれ、アンカ360Aおよび360Bに取り付けられていて、作動されるしたがって、冷却素子320Aおよび320Bの片持ち部分は、蝶の翅に類似した方法(同相)またはシーソーに類似した方法(異相)で振動するよう構成されていてよい。図3Aおよび図3Bにおいて、Lは、冷却素子の長さであり、図1A図1Fに図示したものと類似する。また、図3Aおよび図3Bでは、冷却素子320Aおよび320Bの奥行きPが示されている。
【0062】
また、図2A図2Bには、圧電体323が点線で示されている。圧電体223は、冷却素子320Aおよび320Bを作動させるために用いられる。圧電体の文脈で記載されているが、冷却素子360Aおよび360Bを作動させるための別のメカニズムが用いられてもよい。かかる別のメカニズムは、圧電体323の位置にあってもよいし、別の場所に配置されてもよい。冷却素子360Aにおいて、圧電体323は、片持ち部分に固定されてもよいし、冷却素子320Aに一体化されてもよい。さらに、圧電体323は、図2Aおよび図2Bにおいて特定の形状およびサイズを有するものとして示されているが、その他の構成が用いられてもよい。
【0063】
図3Aに示す実施形態において、アンカ360Aは、冷却素子320Aの奥行き全体に伸びている。したがって、冷却素子360Aの外周の一部が固定されている。冷却素子360Aの外周の固定されていない部分は、振動運動を行う片持ち部分の一部である。他の実施形態において、アンカは、中心軸の長さ全体に伸びている必要はない。かかる実施形態では、冷却素子の外周全体が固定されていない。しかしながら、かかる冷却素子は、それでも、本明細書に記載の方法で振動するよう構成されている片持ち部分を有する。例えば、図3Bにおいて、アンカ360Bは、冷却素子320Bの外周まで伸びていない。したがって、冷却素子320Bの外周は、固定されていない。しかしながら、アンカ360Bは、冷却素子320Bの中心軸に沿って伸びている。この場合でも、冷却素子320Bは、片持ち部分が振動するように作動される(例えば、蝶の翅と類似している)。
【0064】
冷却素子320Aは長方形として図示されているが、冷却素子は、別の形状を有してもよい。いくつかの実施形態において、冷却素子320Aの角が、丸みを帯びていてもよい。図3Bの冷却素子320Bは、丸みのある片持ち部分を有する。その他の形状も可能である。図3Bに示す実施形態において、アンカ360Bは、中空であり、開口部363を備える。いくつかの実施形態において、冷却素子320Bは、アンカ360Bの領域内に1または複数の開口部を有する。いくつかの実施形態において、冷却素子320Bは、1または複数の開口部がアンカ360Bの領域内に存在するように、複数の部分を備える。結果として、流体が、冷却素子320Bを通して、そして、アンカ360Bを通して引き込まれうる。したがって、冷却素子320Bは、上部プレート(上部プレート110など)の代わりに用いられてよい。かかる実施形態において、冷却素子320Bの開口部と、開口部363は、ベント112と類似した方法で機能しうる。さらに、冷却素子300Aおよび300Bは、中央領域で支持されている様子が図示されているが、いくつかの実施形態において、冷却素子320Aおよび/または320Bの一方の片持ち部分が省略されてもよい。かかる実施形態において、冷却素子320Aおよび/または320Bは、一方の端部またはその近くで支持または固定されている一方で、少なくとも反対側の端部の少なくとも一部が自由に振動運動を行う、と考えられてよい。いくつかのかかる実施形態において、冷却素子320Aおよび/または320Bは、振動運動を行う単一の片持ち部分を備えてよい。
【0065】
図3D図3Dは、アクティブ冷却システム(冷却システム100など)と類似した冷却システム300Cおよび300Dの実施形態を示す平面図である。簡単のために、冷却素子320Cおよび320Dならびにアンカ360Cおよび360Dのみが、それぞれ示されている。冷却素子320Cおよび320Dは、冷却素子120と類似している。したがって、冷却素子320Cおよび/または320Dに用いられるサイズおよび/または材料は、冷却素子120のものと類似していてよい。アンカ360Aおよび360Dは、アンカ160と類似しており、破線で示されている。
【0066】
冷却素子320Cおよび320Dについて、アンカ360Cおよび360Dは、それぞれ、冷却素子320Cおよび320Dの中央領域に限定されている。したがって、アンカ360Cおよび360Dを囲む領域が、振動運動を行う。したがって、冷却素子320Cおよび320Dは、クラゲに類似した方法、または、傘の開閉と同様の方法で、振動するよう構成されていてよい。いくつかの実施形態において、冷却素子320Cおよび320Dの外周全体が、同じ位相で振動する(例えば、すべてが一緒に上下に動く)。他の実施形態において、冷却素子320Cおよび320Dの外周の複数部分が、異なる位相で振動する。図3Cおよび図3Dにおいて、Lは、冷却素子の長さ(例えば、直径)であり、図1A図1Fに図示したものと類似する。冷却素子320Cおよび320Dは円形として図示されているが、冷却素子は、別の形状を有してもよい。さらに、圧電体(図3C図3Dには図示せず)および/またはその他のメカニズムが、冷却素子320Cおよび320Dの振動運動を駆動するために用いられてよい。
【0067】
図3Dに示す実施形態において、アンカ360Dは、中空であり、開口部363を有する。いくつかの実施形態において、冷却素子320Dは、アンカDの領域内に1または複数の開口部を有する。いくつかの実施形態において、冷却素子320Dは、1または複数の開口部がアンカ360Dの領域内に存在するように、複数の部分を備える。結果として、流体が、冷却素子320Dを通して、そして、アンカ360Dを通して引き込まれうる。流体は、開口部363を通して出て行きうる。したがって、冷却素子320Dは、上部プレート(上部プレート110など)の代わりに用いられてよい。かかる実施形態において、冷却素子320Dの開口部と、開口部363は、ベント112と類似した方法で機能しうる。
【0068】
冷却システム(冷却システム100など)は、冷却素子320A、320B、320C、320D、および/または、類似の冷却素子を利用できる。また、かかる冷却システムは、冷却システム100の利点を共有しうる。冷却素子320A、320B、320C、320D、および/または、類似の冷却素子を用いる冷却システムは、高速で熱発生構造に向かって流体をより効率的に駆動しうる。その結果、熱発生構造と、移動する流体との間の熱伝達が改善される。熱発生構造が、より効率的に冷却されるので、対応するデバイスは、より高い速度および/または電力で長時間にわたって動作するなど、動作の改善を示しうる。冷却素子320A、320B、320C、320D、および/または、類似の冷却素子を用いる冷却システムは、利用可能なスペースか限られている、より小型および/またはモバイル型のデバイスでの利用に適しうる。したがって、かかるデバイスの性能は改善されうる。冷却素子320A、320B、320C、320D、および/または、類似の冷却素子は、15kHz以上の周波数で振動されてよいので、ユーザは、冷却素子の作動に関連するノイズを全く聞きえない。冷却素子320A、320B、320C、320D、および/または、類似の冷却素子の音響共振周波数および/または構造共振周波数またはその付近の周波数で駆動される場合、冷却システムを動作させる際に用いられる電力が、大幅に低減されうる。冷却素子S20A、320B、320C、320D、および/または、類似の冷却素子は、利用中にプレートと物理的に接触しえないため、共振をより容易に維持することが可能になる。改善された静かな冷却の利点は、限られた追加電力で達成されうる。その結果として、冷却素子320A、320B、320C、320D、および/または、類似の冷却素子を組み込んだデバイスの性能が改善されうる。
【0069】
図4A図4Bは、上部中央を固定された冷却素子を備えたアクティブ冷却システム400の実施形態を示す。図4Aは、中立位置にある冷却システム400を示す側面図である。図4Bは、冷却システム400を示す上面図である。図4A図4Bは、正確な縮尺ではない。簡単のために、冷却システム400の一部のみが図示されている。図4A図4Bを参照すると、冷却システム400は、冷却システム100と類似している。したがって、類似した構成要素は、同様の符号を有する。例えば、冷却システム400は、熱発生構造402と共に利用され、熱発生構造102は、熱発生構造102と類似している。
【0070】
冷却システム400は、ベント412を有する上部プレート410と、冷却素子420と、オリフィス432を備えたオリフィスプレート430と、ギャップを有する上部チャンバ440と、ギャップを有する下部チャンバ450と、アンカ(すなわち支持構造)460と、を備えており、これらの構成要素は、それぞれ、ベント112を有する上部プレート110と、冷却素子120と、オリフィス132を備えたオリフィスプレート130と、ギャップ142を有する上部チャンバ140と、ギャップ152を有する下部チャンバ150と、アンカ(すなわち支持構造)160と、に類似している。したがって、冷却素子420は、冷却素子420の外周の少なくとも一部が自由に振動するように、アンカ460によって中央を支持されている。いくつかの実施形態において、アンカ460は、(例えば、アンカ360Aおよび/または360Bに類似した方法で)冷却素子420の軸に沿って伸びている。他の実施形態において、アンカ460は、冷却素子420の中央部分の近くのみに存在する(例えば、アンカ360Cおよび/または360Dに類似している)。図4Aおよび図4Bでは明示的に符号を付されていないが、冷却素子420は、固定領域と、ステップ領域、延長領域、および、外側領域を含む片持ちアームと、を備えており、これらの構成要素は、それぞれ、アンカ領域122、片持ちアーム121、ステップ領域124、延長領域126、および、外側領域128に類似している。いくつかの実施形態において、冷却素子420の片持ちアームは、同じ位相で駆動される。いくつかの実施形態において、冷却素子420の片持ちアームは、異なる位相で駆動される。
【0071】
アンカ460は、上方から冷却素子420を支持している。したがって、冷却素子420は、アンカ460から吊り下げられている。アンカ460は、上部プレート410から吊り下げられている。上部プレート410は、ベント413を備える。アンカ460の両側にあるベント412は、流体がチャンバ440の側面へ流れるための経路を提供する。
【0072】
冷却システム100に関して上述したように、冷却素子420は、冷却素子420の構造共振周波数またはそれに近い周波数で振動するように駆動されてよい。さらに、冷却素子420の構造共振周波数は、チャンバ440/450の音響共振と一致するよう構成されていてよい。構造共振周波数および音響共振周波数は、一般に、超音波領域にあるように選択される。例えば、冷却素子420の振動運動は、冷却システム100に関して記載した周波数の運動であってよい。結果として、効率および流量が高められうる。ただし、その他の周波数が用いられてもよい。
【0073】
冷却システム400は、冷却システム100と類似した方法で動作する。したがって、冷却システム400は、冷却システム100の利点を共有しうる。したがって、冷却システム400を利用するデバイスの性能が改善されうる。冷却素子120と類似した方法で構成されている冷却素子420の利用は、効率および信頼性を改善しうる。さらに、アンカ460から冷却素子420を吊り下げることが、性能をさらに高めうる。特に、他の冷却セル(図示せず)に影響しうる冷却システム400における振動が低減されうる。例えば、冷却素子420の運動に起因して上部プレート410で引き起こされる振動が少なくなりうる。結果的に、冷却システム400と、冷却システム400を組み込んだデバイスの他の冷却システム(例えば、他のセル)または他の部分との間のクロストークが低減されうる。したがって、性能が高められうる。
【0074】
図5は、冷却素子すなわちアクチュエータ520の実施形態を示す側面図である。図5は、正確な縮尺ではない。冷却素子520は、冷却素子120に類似している。したがって、冷却素子520は、固定領域122および片持ちアーム121と類似している固定領域522および片持ちアーム521を備える。固定領域522は、冷却システム(冷却システム100および/または400など)内でアンカ(アンカ160および/または460など)によって所定位置に保持されている。片持ちアーム521は、冷却素子520が駆動されることに応じて、振動運動を行う。各片持ちアーム521は、ステップ領域124、延長領域124、および、外側領域128とそれぞれ類似しているステップ領域524、延長領域526、および、外側領域528を備える。図に示す実施形態において、固定領域522は、中央に配置されている。ステップ領域524は、固定領域522から外向きに伸びている。延長領域526は、ステップ領域524から外向きに伸びている。外側領域528は、延長領域526から外向きに伸びている。他の実施形態において、固定領域522が、アクチュエータの一方の端部にあり、外側領域528が、反対側の端部にあってもよい。かかる実施形態において、アクチュエータは、端部を固定される。延長領域526、ステップ領域524、および、外側領域528は、それぞれ、延長領域126、ステップ領域124、および、外側領域128の寸法と類似した寸法を有してよい。さらに、外側領域128に関して上述したように、外側領域528は、固定領域522からの単位距離あたりの質量が延長領域526よりも大きい。
【0075】
各片持ちアーム521は、さらに、追加ステップ領域529を備える。追加ステップ領域529は、ステップ領域524と延長領域526との間にある。追加ステップ領域529の厚さは、ステップ領域524のステップ厚さと、延長領域526の延長厚さとの間である。追加ステップ領域の厚さの範囲は、冷却素子520が振動する際の所望の周波数に基づいて変更されてよい。
【0076】
冷却素子500は、冷却素子120と類似した方法で、冷却システム(冷却システム100および/または400など)内で動作する。したがって、冷却素子500を組み込んだ冷却システムは、冷却システム100の利点を共有する。したがって、かかる冷却システムを利用するデバイスの性能が改善されうる。冷却素子520の利用は、さらに、効率および信頼性を改善しうる。したがって、性能が高められうる。
【0077】
図6A図6Bは、例えば、冷却システム100および/または400において、冷却素子として利用可能な改良アクチュエータ600の実施形態を示す。したがって、アクチュエータ600は、冷却素子600として記載されている。図6A図6Bは、正確な縮尺ではない。図6Aは、固定領域602および片持ちアーム601を備えた冷却素子600を示す側面図である。図6Bは、片持ちアーム601の底面斜視図を示す。固定領域602は、冷却システム(冷却システム100および/または400など)内でアンカ(アンカ160および/または460など)によって所定位置に冷却素子600を支持または保持するために用いられてよい。片持ちアーム601は、冷却素子600が駆動されることに応じて、振動運動を行う。各片持ちアーム601は、ステップ領域604および凹部領域606を備える。図に示す実施形態において、固定領域602は、中央に配置されている。ステップ領域604は、固定領域602から外向きに伸びている。凹部領域606は、ステップ領域604から外向きに伸びている。他の実施形態において、固定領域602が、アクチュエータの一方の端部にあり、凹部領域606が、反対側の端部で終わっていてもよい。かかる実施形態において、アクチュエータは、端部を固定される。さらに、その他の領域(図示せず)が、アクチュエータ600に含まれてもよい。
【0078】
凹部領域606は、テーパ607、上端部(またはカバー)608、および、凹部609を備える。テーパ607の間の凹部609は、冷却素子600内のくぼみである。したがって、冷却素子600が冷却システム(冷却システム100および/または400など)で利用される場合、凹部609は、下部チャンバのサイズを増大させると見なされうる空洞を提供する。テーパ608は、固定領域602からの距離が長くなるにつれて減少する幅を有する。同様に、凹部609は、固定領域602からの距離が長くなるにつれて増大する凹部幅を有する。例えば、テーパ(すなわち、幅の変化)は、線形テーパ、二次テーパ、および、三次テーパから選択されてよい。その他のテーパも可能である。いくつかの実施形態において、テーパ607および凹部609は、一定の幅を有してもよい(すなわち、テーパ状でなくてもよい)。
【0079】
動作中、冷却素子600は、冷却素子120と類似した方法で機能する。したがって、冷却素子600は、振動運動を行うように駆動されうる。冷却システム(冷却システム100および/または400など)で利用される場合、冷却素子600は、本明細書に記載された速度で流体を駆動しうる。したがって、冷却素子600は、熱発生構造を効果的に冷却するために用いられてよい。さらに、凹部609は、冷却素子120の延長領域126と類似した方法で、片持ちアーム601のアップストローク/ダウンストローク中の吸引/圧力上昇を低減しうる。したがって、効率がさらに高められうる。さらに、テーパ607は、片持ちアーム601が振動運動中に受ける応力を低減しうる。結果的に、冷却素子600の信頼性が改善されうる。
【0080】
図7は、冷却素子(冷却素子600など)の一部となりうる片持ちアーム701の一実施形態を示す斜視図である。図7は、正確な縮尺ではない。片持ちアーム701は、片持ちアーム701を一部として含む冷却素子を支持または保持するために用いられうる固定領域(図示せず)に隣接していてよい。片持ちアーム701は、いくつかの実施形態において、中央を固定された冷却素子の一部、または、端部を固定された冷却素子の一部、であってよい。片持ちアーム701は、かかる冷却素子が駆動されることに応じて、振動運動を行う。片持ちアーム701は、ステップ領域704および凹部領域706を備える。ステップ領域704は、固定領域(図示せず)から外向きに伸びている。凹部領域706は、ステップ領域704から外向きに伸びている。その他の領域(図示せず)が、片持ちアーム701に含まれてもよい。
【0081】
凹部領域706は、テーパ707、下端部(またはカバー)708、および、凹部709を備える。テーパ707および凹部709は、それぞれ、テーパ607および凹部609と類似している。片持ちアーム701が、冷却システム(冷却システム100および/または400など)で利用される場合、下端部708は、下部チャンバに隣接する。したがって、片持ちアーム子701が冷却システム(冷却システム100および/または400など)で利用される場合、凹部709は、上部チャンバのサイズを増大させると見なされうる空洞を提供する。テーパ708は、ステップ領域704からの距離が長くなるにつれて減少する幅を有する。例えば、テーパ(すなわち、幅の変化)は、線形テーパ、二次テーパ、および、三次テーパから選択されてよい。その他のテーパも可能である。いくつかの実施形態において、テーパ707および凹部709は、一定の幅を有してもよい(すなわち、テーパ状でなくてもよい)。
【0082】
動作中、片持ちアーム701は、冷却素子600の片持ちアーム601と類似した方法で機能する。したがって、片持ちアーム701は、振動運動を行うように駆動されうる。冷却システム(冷却システム100および/または400など)で利用される場合、片持ちアーム701は、本明細書に記載された速度で流体を駆動しうる。したがって、片持ちアーム701は、熱発生構造を効果的に冷却するために用いられてよい。さらに、凹部709は、片持ちアーム701のダウンストローク/アップストローク中の吸引/圧力上昇を低減しうる。したがって、効率が改善されうる。さらに、テーパ707は、片持ちアーム701が振動運動中に受ける応力を低減しうる。結果的に、片持ちアーム701の信頼性が改善されうる。
【0083】
図8は、冷却素子(冷却素子600など)の一部となりうる片持ちアーム801の一実施形態を示す斜視図である。図8は、正確な縮尺ではない。片持ちアーム801は、片持ちアーム801を一部として含む冷却素子を支持または保持するために用いられうる固定領域(図示せず)に隣接していてよい。片持ちアーム801は、いくつかの実施形態において、中央を固定された冷却素子の一部、または、端部を固定された冷却素子の一部、であってよい。片持ちアーム801は、かかる冷却素子が駆動されることに応じて、振動運動を行う。片持ちアーム801は、ステップ領域804および凹部領域806を備える。ステップ領域804は、固定領域(図示せず)から外向きに伸びている。片持ちアーム801は、さらに、追加凹部領域816を備える。凹部領域806は、追加凹部領域816から外向きに伸びている。その他の領域(図示せず)が、片持ちアーム800に含まれてもよい。
【0084】
凹部領域806は、冷却素子600の凹部領域606、テーパ607、上端部608、および、凹部609と類似したテーパ807、上端部808、および、凹部809を備える。追加凹部領域816は、テーパ817、下端部(またはカバー)818、上端部808、および、凹部(図8では符号なし)を備える。テーパ817および凹部は、それぞれ、テーパ807および凹部809と類似している。ただし、テーパ817およびそれに対応する凹部は、下端部818および上端部808によって囲まれている。いくつかの実施形態において、凹部領域816の側面も囲まれてよい。片持ちアーム801が冷却システム(冷却システム100および/または400など)で利用される場合、上端部808は上部チャンバに隣接し、下端部818は下部空洞に隣接する。したがって、片持ちアーム子801が冷却システム(冷却システム100および/または400など)で利用される場合、凹部809は、下部チャンバのサイズを増大させると見なされうる空洞を提供する。したがって、片持ちアーム801のアップストローク中の下部チャンバにおける吸引、および、片持ちアーム801のダウンストローク中の圧力上昇が、緩和されうる。結果として、片持ちアーム801は、チャンバ内の流体の中でより効率的に移動しうる。しかしながら、追加凹部領域816は、上端部808および下端部818の存在により、周囲のチャンバ内の圧力に有意な影響を与えない。その代わり、追加凹部領域816は、応力を低減する。
【0085】
動作中、片持ちアーム801は、冷却素子600の片持ちアーム601と類似した方法で機能する。したがって、片持ちアーム801は、振動運動を行うように駆動されうる。冷却システム(冷却システム100および/または400など)で利用される場合、片持ちアーム801は、本明細書に記載された速度で流体を駆動しうる。したがって、片持ちアーム801は、熱発生構造を効果的に冷却するために用いられてよい。さらに、凹部809は、片持ちアーム801のアップストローク/ダウンストローク中の吸引/圧力上昇を低減しうる。したがって、効率が改善されうる。さらに、テーパ808およびテーパ817は共に、片持ちアーム801が振動運動中に受ける応力を低減しうる。結果的に、片持ちアーム801の信頼性が改善されうる。
【0086】
図9は、アクチュエータすなわち冷却素子900の実施形態を示す側面図である。図9は、正確な縮尺ではない。冷却素子900は、冷却素子600と類似しており、冷却システム(冷却システム100および/または400など)で利用可能である。したがって、冷却素子900は、固定領域602および片持ちアーム601と類似している固定領域902および片持ちアーム901を備える。固定領域602は、冷却システム(冷却システム100および/または400など)内でアンカ(アンカ160および/または460など)によって所定位置に保持されている。片持ちアーム901は、冷却素子900が駆動されることに応じて、振動運動を行う。図に示す実施形態において、固定領域902は、中央に配置されている。他の実施形態において、固定領域902が、アクチュエータの一方の端部にあり、凹部領域906が、反対側の端部にあってもよい。かかる実施形態において、アクチュエータは、端部を固定される。
【0087】
各片持ちアーム901は、片持ちアーム601、701、および、801と類似している。したがって、各片持ちアームは、ステップ領域904、凹部領域906、および、追加領域916を備える。凹部領域906および916は、テーパ607および凹部609と類似したテーパ(明示的に図示せず)および凹部(明示的に図示せず)を備える。図の実施形態において、凹部領域906は、上部カバーおよび下部カバーを有する。したがって、凹部領域906は、実質的に周囲のチャンバ内の圧力を変えることなしに、片持ちアーム901のこの部分における振動による応力を低減しうる。追加凹部領域916は、応力を低減すると共に、冷却素子900が取り付けられている上部チャンバ内の圧力に影響を与えうる。
【0088】
冷却素子900は、冷却素子600と類似した方法で機能する。したがって、片持ちアーム901は、振動運動を行うように駆動されうる。冷却システム(冷却システム100および/または400など)で利用される場合、冷却素子900は、本明細書に記載された速度で流体を駆動しうる。したがって、冷却素子は、熱発生構造を効果的に冷却するために用いられてよい。さらに、凹部領域906および916は、片持ちアーム901のダウンストローク/アップストローク中の吸引/圧力上昇を低減しうる。したがって、効率が改善されうる。さらに、凹部領域90および91は共に、片持ちアーム901が振動運動中に受ける応力を低減しうる。結果的に、冷却素子900の信頼性が改善されうる。
【0089】
図10は、アクチュエータすなわち冷却素子1000の実施形態を示す側面図である。図10は、正確な縮尺ではない。冷却素子1000は、冷却素子600と類似しており、冷却システム(冷却システム100および/または400など)で利用可能である。したがって、冷却素子1000は、固定領域602および片持ちアーム601と類似している固定領域1002および片持ちアーム1001を備える。固定領域1002は、冷却システム(冷却システム100および/または400など)内でアンカ(アンカ160および/または460など)によって所定位置に保持されている。片持ちアーム1001は、冷却素子1000が駆動されることに応じて、振動運動を行う。図に示す実施形態において、固定領域1002は、中央に配置されている。他の実施形態において、固定領域1002が、アクチュエータの一方の端部にあり、凹部領域1006が、反対側の端部にあってもよい。かかる実施形態において、アクチュエータは、端部を固定される。
【0090】
各片持ちアーム1001は、片持ちアーム601、701、および、801と類似している。したがって、各片持ちアームは、ステップ領域1004および凹部領域1006を備える。凹部領域1006は、テーパ607および凹部609と類似したテーパ(明示的に図示せず)および凹部(明示的に図示せず)を備える。図の実施形態において、凹部領域1006は、上部カバーおよび下部カバーを有する。したがって、凹部領域1006は、実質的に周囲のチャンバ内の圧力を変えることなしに、片持ちアーム1001のこの部分における振動による応力を低減しうる。
【0091】
冷却素子1000は、冷却素子600と類似した方法で機能する。したがって、片持ちアーム1001は、振動運動を行うように駆動されうる。冷却システム(冷却システム100および/または400など)で利用される場合、冷却素子1000は、本明細書に記載された速度で流体を駆動しうる。したがって、冷却素子1000は、熱発生構造を効果的に冷却するために用いられてよい。さらに、凹部領域1006は、片持ちアーム1001が振動運動中に受ける応力を低減しうる。結果的に、冷却素子1000の信頼性が改善されうる。
【0092】
図11図13は、冷却素子(冷却素子600など)の一部となりうる片持ちアーム1101、1201、および、1301の実施形態を示す。図11図13は、正確な縮尺ではない。片持ちアーム1101、1201、および/または、1301は、片持ちアーム1101、1201、および/または、1301を一部として含む冷却素子を支持または保持するために用いられうる固定領域(図示せず)に隣接していてよい。片持ちアーム1101、1201、および/または、1301は、いくつかの実施形態において、中央を固定された冷却素子の一部、または、端部を固定された冷却素子の一部、であってよい。片持ちアーム1101、1201、および、1301は各々、かかる冷却素子が駆動されることに応じて、振動運動を行う。片持ちアーム1101は、ステップ領域1104および凹部領域1106を備える。固定領域1102も示されている。ステップ領域1104は、固定領域1102から外向きに伸びている。凹部領域1106は、ステップ領域1104から外向きに伸びている。片持ちアーム1201は、ステップ領域1204および凹部領域1206を備える。固定領域1202も示されている。ステップ領域1204は、固定領域1202から外向きに伸びている。凹部領域1206は、ステップ領域1204から外向きに伸びている。片持ちアーム1301は、ステップ領域1304および凹部領域1306を備える。固定領域1302も示されている。ステップ領域1304は、固定領域1302から外向きに伸びている。凹部領域1306は、ステップ領域1304から外向きに伸びている。その他の領域(図示せず)が、片持ちアーム1101、1201、および/または、1301に含まれてもよい。
【0093】
凹部領域1106、1206、および、1306は、それぞれ、テーパ1107、1207、および、1307を備え、それぞれ、凹部1109、1209、および、1309を備える。片持ちアーム1101、1201、および、1301は、片持ちアーム1101、1201、および、1301の剛性を調整するために、それぞれ、テーパ1107、1207、および、1307の変動も利用できることを示唆している。例えば、テーパ1107、1207、および、1307は、それぞれ対応するステップ領域1104、1204、および、1304と、それぞれ対応する凹部領域1106、1206、および、1306との間の移行部からの距離の二乗に比例して、幅が減少してよい。破線1108、1208、および、1308は、それぞれ対応するテーパ1107、1207、および、1037の幅が、それぞれ対応するステップ領域1104、1204、および、1304と、それぞれ対応する凹部領域1106、1206、および、1306との間の移行部からの距離と共に線形的に変化した場合に、どのように減少しうるのかを示している。さらに、テーパ1107、1207、および、1307は、異なる割合で幅が減少する。テーパ1107は、端部における幅の減少が最も大きい(例えば、約90パーセントパーセント)。テーパ1207は、反対側の端部における減少の割合がより小さい(例えば、約75パーセント)。テーパ1307は、反対側の端部における減少の割合が最も小さい(例えば、約50パーセント)。その他の幅の変動(例えば、三乗)およびその他のテーパ量が用いられてもよい。テーパの幅が変化する方法と、幅が変化する量とを調整することにより、片持ちアームの剛性と、応力の低減とを変化させることができる。
【0094】
片持ちアーム1101、1201、および、1301は、冷却素子600の片持ちアーム601と類似した方法で機能する。したがって、片持ちアーム1101、1201、および、1301は、振動運動を行うように駆動されうる。冷却システム(冷却システム100および/または400など)で利用される場合、片持ちアーム1101、1201、および、1301は、本明細書に記載された速度で流体を駆動しうる。したがって、片持ちアーム1101、1201、および、1301は、熱発生構造を効果的に冷却するために用いられてよい。さらに、凹部領域は、剛性を維持しつつ、応力を低減するよう構成可能である。結果的に、片持ちアーム1101、1201、および、1301の信頼性が改善されうる。
【0095】
図14Aおよび図14Bは、アクチュエータすなわち冷却素子1400の実施形態を示す側面図および底面図である。図14A図14Bは、正確な縮尺ではない。冷却システム1400は、冷却素子120および冷却素子600と類似している。冷却素子1400は、冷却システム(冷却素子100および/または400など)で利用可能である。したがって、冷却素子1400は、固定領域122および602ならびに片持ちアーム121および601と類似している固定領域1422および片持ちアーム1421を備える。固定領域1422は、冷却システム(冷却システム100および/または400など)内でアンカ(アンカ160および/または460など)によって所定位置に保持されている。片持ちアーム1421は、冷却素子1400が駆動されることに応じて、振動運動を行う。図に示す実施形態において、固定領域1422は、中央に配置されている。他の実施形態において、固定領域1422は、アクチュエータの一方の端部にあってもよい。
【0096】
各片持ちアーム1421は、片持ちアーム121、ならびに、片持ちアーム601、701、および、801と類似している。したがって、各片持ちアームは、ステップ領域124、延長領域126、および、外側領域128と類似しているステップ領域1424、延長領域1426、および、外側領域1428を備える。片持ちアーム1421は各々、テーパ627および凹部629に類似したテーパ1427および凹部1429を有する凹部領域1406を備える。したがって、延長領域1426の一部も凹部になっている。いくつかの実施形態において、ステップ領域1424および/または外側領域1428が、延長領域1426の代わりに、または、それに加えて、凹部および/またはテーパを備えてもよい。このように、冷却素子120の構成と、冷却素子600、900、および/または、1000、ならびに/もしくは、片持ちアーム701、801、1101、1201、および/または、1301の凹部とを、様々な方法で組み合わせてよい。
【0097】
冷却素子1400は、冷却素子120および600と類似した方法で機能する。したがって、片持ちアーム1401は、振動運動を行うように駆動されうる。冷却システム(冷却システム100および/または400など)で利用される場合、冷却素子1400は、本明細書に記載された速度で流体を駆動しうる。したがって、冷却素子1400は、熱発生構造を効果的に冷却するために用いられてよい。さらに、流体の中を移動する片持ちアーム1401の能力が向上され、振動運動中に片持ちアーム1401が受ける応力が低減されうる。結果的に、冷却素子1400の効率、性能、および、信頼性が改善されうる。
【0098】
様々な冷却素子120、420、600、900、1000、および、1400、ならびに、様々な片持ちアーム701、801、1101、1201、および、1301について説明し、特定の特徴を明らかにした。冷却素子120、420、600、900、1000、および、1400、ならびに、様々な片持ちアーム701、801、1101、1201、および、1301の様々な特徴を、本明細書に明示的に示されていない方法で組み合わせることができる。
【0099】
図15A図15Bは、タイルとして構成された複数の冷却セルを備えたアクティブ冷却システム1500の実施形態を示す。図15Aは、上面図を示し、図15Bは、側面図を示している。図15A図15Bは、正確な縮尺ではない。冷却システム1500は、4つの冷却セル1501を備えており、それらの冷却セルは、本明細書に記載されている冷却システム(冷却システム100および/または400など)の内の1または複数に類似している。2×2構成の4つの冷却セル1501が示されているが、いくつかの実施形態において、別の数および/または別の構成の冷却セル1501が用いられてもよい。図の実施形態において、冷却セル1501は、開口部1512を有する共有上部プレート1510と、冷却素子1520と、オリフィス1532を備えた共有オリフィスプレート1530と、上部チャンバ1540と、下部チャンバ1550と、アンカ(支持構造)1560と、を備えており、これらの構成要素は、開口部112を有する上部プレート110と、冷却要素120と、オリフィス132を有するオリフィスプレート130と、上部チャンバ140と、下部チャンバ150と、アンカ160と、に類似している。冷却素子920の文脈で示されているが、冷却素子120、420、600、900、1000、および、1400、ならびに、様々な片持ちアーム701、801、1101、1201、および、1301の任意の組み合わせが用いられてよい。下部アンカ1560が示されているが、他の実施形態において、上部アンカが用いられてもよい。図の実施形態において、冷却素子1520は、異なる位相で(すなわち、シーソーに類似した方法で)駆動されている。さらに、或るセル内の冷却素子1520が、隣接するセル内の冷却素子と異なる位相で駆動されている。
【0100】
冷却システム1500の冷却セル1501は、冷却システム100および/400と類似した方法で機能する。その結果として、本明細書に記載されている利点が、冷却システム1500によって共有されうる。近くのセル内の冷却素子が異なる位相で駆動されるため、冷却システム1500における振動が低減されうる。複数の冷却セル1501が利用されるので、冷却システム1500は、冷却力が改善されうる。
【0101】
図16は、複数の冷却セル1601を備えた冷却システム1600の実施形態を示す上面図である。図16は、正確な縮尺ではない。冷却セル1601は、本明細書に記載されている冷却システム(冷却システム100および/または400など)の内の1または複数に類似している。冷却システム1600に示すように、冷却セル1601は、所望のサイズおよび構成の二次元アレイに配列されてよい。いくつかの実施形態において、冷却システム1600は、複数のタイル160で構成されていると見なされうる。このように、所望の冷却力および構成が実現されうる。
【0102】
図17は、冷却システムを動作させるための方法1700の実施形態例を示すフローチャートである。方法1700は、簡単のために図示されていない工程を備えてもよい。方法1700は、圧電型冷却システム100の文脈で説明されている。ただし、方法1700は、本明細書に記載のシステムおよびセルを含むがそれらに限定されないその他の冷却システムで用いられてもよい。
【0103】
冷却システム内の冷却素子の内の1または複数が、工程1702で振動するよう作動される。工程1702では、所望の周波数を有する電気信号が、冷却素子を駆動するために用いられる。いくつかの実施形態において、冷却素子は、工程1702で、構造共振周波数および/または音響共振周波数で、もしくは、それらに近い周波数で、駆動される。駆動周波数は、15kHz以上であってよい。複数の冷却素子が工程1702で駆動される場合、冷却素子は、異なる位相で駆動されてもよい。いくつかの実施形態において、冷却素子は、実質的に180度ずれた位相で駆動される。さらに、いくつかの実施形態において、個々の冷却素子が、異なる位相で駆動される。例えば、1つの冷却素子の異なる部分が、反対方向に振動するよう駆動されてよい(すなわち、シーソーに類似する)。いくつかの実施形態において、個々の冷却素子が、同じ位相で駆動されてもよい(すなわち、蝶に類似する)。さらに、駆動信号は、アンカ、冷却素子、または、アンカおよび冷却素子の両方に供給されてよい。さらに、アンカが、屈曲しおよび/または平行移動するように駆動されてもよい。
【0104】
圧電型冷却素子からのフィードバックが、工程1704で、駆動電流を調整するために用いられる。いくつかの実施形態において、調整は、冷却素子および/または冷却システムの1または複数の音響共振周波数および/または構造共振周波数と同じまたは近い周波数に、周波数を維持するために用いられる。特定の冷却素子の共振周波数が、例えば、温度変化に起因して変動する場合がある。工程1704でなされる調整は、共振周波数の変動を考慮することを可能にする。
【0105】
例えば、圧電型冷却素子120が、工程1702で、その1または複数の構造共振周波数で駆動されてよい。この共振周波数は、上部チャンバ140の音響共振周波数と同じまたは近くてもよい。これは、アンカ160内の圧電体層(図1A図1Fでは図示せず)および/または冷却素子120内の圧電体層を駆動することによって達成されうる。工程1704で、フィードバックは、冷却素子120を、共振状態に維持するため、そして、複数の冷却素子が駆動されるいくつかの実施形態においては、180度ずれた位相に維持するために、用いられる。したがって、冷却システム100を通して熱発生構造102へ流体流を駆動する冷却素子120の効率が維持されうる。いくつかの実施形態において、工程1704は、冷却素子120を流れる電流および/またはアンカ160を流れる電流をサンプリングし、共振および低入力電力を維持するように電流を調整することを含む。
【0106】
結果として、冷却素子(冷却素子120、420、600、900、1000、および、1400など)、ならびに、様々な片持ちアーム701、801、1101、1201、および、1301は、上述のように動作しうる。このように、方法1700は、本明細書に記載の圧電型冷却システムの利用を提供する。したがって、圧電型冷却システムは、より低い電力で、より効率的かつ静かに、半導体デバイスを冷却しうる。
【0107】
上述の実施形態は、理解しやすいようにいくぶん詳しく説明されているが、本発明は、提供された詳細事項に限定されるものではない。本発明を実施する多くの代替方法が存在する。開示されている実施形態は、例示であり、限定を意図するものではない。
図1A
図1B
図1C
図1D
図1E
図1F
図2A
図2B
図2C
図2D
図2E
図3A
図3B
図3C
図3D
図4A
図4B
図5
図6A
図6B
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14A
図14B
図15A
図15B
図16
図17
【手続補正書】
【提出日】2022-01-06
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0030
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0030】
また、冷却システム100が利用されることが望ましいデバイスは、冷却システムを配置する空間が限られている場合がある。例えば、冷却システム100は、コンピュータデバイスで用いられてよい。かかるコンピュータデバイスは、スマートフォン、タブレットコンピュータ、ラップトップコンピュータ、タブレット、2in1ラップトップ、携帯型ゲームシステム、デジタルカメラ、仮想現実ヘッドセット、拡張現実ヘッドセット、複合現実ヘッドセット、および、その他の薄いデバイス、を含みうるが、これらに限定されない。冷却システム100は、モバイルコンピュータデバイスおよび/または少なくとも1つの寸法で空間が限られているその他のデバイスの中に設置可能な微小電気機械システム(MEMS)冷却システムであってよい。例えば、冷却システム100の全体高さ(熱発生構造102の上部から上部プレート110の上部まで)は、2ミリメートル未満であってよい。いくつかの実施形態において、冷却システム100の全体高さは、1.5ミリメートル以下であってもよい。いくつかの実施形態において、全体高さは、250マイクロメートル以下である。いくつかの実施形態において、この全体高さは、1.1ミリメートル以下である。いくつかの実施形態において、全体高さは、1ミリメートル以下である。同様に、オリフィスプレート130の底部と熱発生構造102の上部との間の距離yは、小さくてよい。いくつかの実施形態において、yは、200マイクロメートル以上かつ1ミリメートル以下である。いくつかの実施形態において、yは、200マイクロメートル以上かつ300マイクロメートル以下である。したがって、冷却システム100は、コンピュータデバイスおよび/または少なくとも1つの寸法で空間が限られているその他のデバイスにおいて利用可能である。ただし、空間の制限があまりないデバイスで、および/または、冷却以外の目的で、冷却システム100を利用することを妨げるものではない。1つの冷却システム100が図示されているが(例えば、1つの冷却セル)、複数の冷却システム100が、熱発生構造102に関連して利用されてもよい。例えば、一次元アレイまたは二次元アレイの冷却セルが用いられてよい。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0033
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0033】
上部チャンバ140のサイズおよび構成は、セル(冷却システム100)の寸法、冷却素子120の運動、および、動作周波数の関数であってよい。上部チャンバ140は、高さh1を有する。上部チャンバ140の高さは、所望の流量および/または速度で、オリフィス132を通して下部チャンバ150へ流体を駆動するのに十分な圧力を提供するよう選択されてよい。また、上部チャンバ140は、冷却素子120が作動時に上部プレート110に接触しない十分な高さを有する。いくつかの実施形態において、上部チャンバ140の高さは、50マイクルメートル以上かつ500マイクロメートル以下である。いくつかの実施形態において、上部チャンバ140は、200マイクロメートル以上かつ300マイクロメートル以下の高さを有する。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0034
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0034】
下部チャンバ150は、高さh2を有する。いくつかの実施形態において、下部チャンバ150の高さは、冷却素子120の運動を許容するのに十分である。したがって、冷却素子120のどの部分も、通常動作中にオリフィスプレート130に接触しない。下部チャンバ150は、一般に、上部チャンバ140よりも小さく、オリフィス132への流体の逆流を低減するのに役立ちうる。いくつかの実施形態において、下部チャンバ150の高さは、(冷却素子120の最大たわみ)+(5マイクロメートル以上かつ10マイクロメートル以下)である。いくつかの実施形態において、冷却素子120のたわみ(例えば、チップ123のたわみ)は、10マイクロメートル以上かつ100マイクロメートル以下の振幅を有する。いくつかのかかる実施形態において、冷却素子120のたわみの振幅は、10マイクロメートル以上かつ60マイクロメートル以下である。ただし、冷却素子120のたわみの振幅は、冷却システム100を通した所望の流量および冷却システム100の構成などの要素に依存する。したがって、下部チャンバ150の高さは、一般に、冷却システム100を通した流量および冷却システム100のその他の構成要素に依存する。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0041
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0041】
冷却素子120は、上部チャンバ140における流体の圧力波の音響共振の共振周波数および冷却素子120の構造共振の共振周波数の両方と同じまたは近い周波数で駆動されてよい。振動運動を行う冷却素子120の部分は、冷却素子120の共振(「構造共振」)でまたはその付近で駆動される。振動を行う冷却素子120のこの部分は、いくつかの実施形態において、1または複数の片持ちアーム121であってよい。構造共振の振動の周波数は、構造共振周波数と呼ばれている。冷却素子120を駆動する際に構造共振周波数を利用することは、冷却システム100の電力消費を削減する。また、冷却素子120および上部チャンバ140は、この構造共振周波数が、上部チャンバ140を通して駆動される流体中の圧力波における共振(上部チャンバ140の音響共振)に対応するように構成されていてよい。かかる圧力波の周波数は、音響共振周波数と呼ばれている。音響共振時に、圧力の節が、ベント112の近くで発生し、圧力の腹が、冷却システム100の外周の近く(例えば、冷却素子120のチップ123の近く、かつ、上部チャンバ140と下部チャンバ150との間の接続の近く)で発生する。これらの2つの領域の間の距離は、C/2である。したがって、C/2=nλ/4であり、ここで、λは、流体の音波長であり、nは、奇数(例えば、n=1、3、5、など)である。最低次モードに対しは、C=λ/2である。チャンバ140の長さ(例えば、C)は、冷却素子120の長さに近いので、いくつかの実施形態において、L/2=nλ/4もほぼ正しく、ここで、λは流体の音波長であり、nは奇数である。したがって、冷却素子120が駆動される周波数γは、冷却素子120の構造共振周波数と同じまたは近い周波数である。周波数γは、少なくとも上部チャンバ140の音響共振周波数と同じまたは近い周波数である。上部チャンバ140の音響共振周波数は、一般に、温度およびサイズなどのパラメータによる変化が、冷却素子120の構造共振周波数ほどは著しくない。したがって、いくつかの実施形態において、冷却素子120は、音響共振周波数よりも、構造共振周波数で(またはその近くの周波数で)駆動されてよい。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0042
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0042】
オリフィスプレート130は、オリフィス132を有する。特定の数および分布のオリフィス132が図示されているが、別の数および/または別の分布が用いられてもよい。単一のオリフィスプレート130が、単一の冷却システム100のために用いられている。他の実施形態において、複数の冷却システム100が、オリフィスプレートを共有してもよい。例えば、複数のセル100が、所望の構成で一緒に提供されてよい。かかる実施形態において、セル100は、同じサイズおよび構成であってもよいし、異なるサイズおよび/または構成であってもよい。オリフィス132は、熱発生構造102の表面と垂直に方向付けられた軸を有する様子が示されている。他の実施形態において、1または複数のオリフィス132の軸は、別の角度であってもよい。例えば、軸の角度は、略ゼロ度および非ゼロの鋭角から選択されてよい。また、オリフィス132は、オリフィスプレート130の表面の法線と実質的に平行である側壁を有する。いくつかの実施形態において、オリフィスは、オリフィスプレート130の表面の法線に対して非ゼロの角度の側壁を有してもよい。例えば、オリフィス132は、円錐形であってもよい。さらに、オリフィスプレース130は実質的に平坦であると図示されているが、いくつかの実施形態において、トレンチおよび/またはその他の構造が、下部チャンバ150の構成および/またはオリフィスプレート130と熱発生構造102との間の領域を変更するために、オリフィスプレート130に提供されてもよい。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0043
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0043】
オリフィス132のサイズ、分布、および、位置は、熱発生構造102の表面へ駆動される流体の流量を制御するように選択される。オリフィス132の位置および構成は、下部チャンバ150からオリフィス132を通ってジェットチャネル(オリフィスプレート130の底部と熱発生構造102の上部との間の領域)へ至る流体流を増大/最大化するよう構成されていてよい。また、オリフィス132の位置および構成は、ジェットチャネルからオリフィス132を通る吸引流(例えば、逆流)を低減/最小化するよう選択されてよい。例えば、オリフィスの位置は、オリフィス132を通して下部チャンバ150に流体を引き込む冷却素子120のアップストローク(チップ123がオリフィスプレート13から離れるストローク)時の吸引が低減されるのに十分にチップ123から離れていることが望ましい。また、オリフィスの位置は、冷却素子120のアップストローク時の吸引により、上部チャンバ140からのより高い圧力が流体を上部チャンバ140から下部チャンバ150へ押すことが可能になるように十分にチップ123に近いことが望ましい。いくつかの実施形態において、アップストローク時に、上部チャンバ140から下部チャンバ150への流量と、ジェットチャネルからオリフィス132を通る流量との比(「正味流量比」)は、2:1よりも大きい。いくつかの実施形態において、正味流量比は、少なくとも85:15である。いくつかの実施形態において、正味流量比は、少なくとも90:10である。所望の圧力、流量、吸引、および、正味流量比を提供するには、オリフィス132は、冷却素子120のチップ123から距離r1以上、かつ、チップ123から距離r2以下にあることが望ましい。いくつかの実施形態において、r1は、100マイクロメートル以上であり(例えば、r1≧100μm)、r2は、1ミリメートル以下である(例えば、r2≦1000μm)。いくつかの実施形態において、オリフィス132は、冷却素子120のチップ123から200マイクロメートル以上の位置にある(例えば、r1≧200μm)。いくつかのかかる実施形態において、オリフィス132は、冷却素子120のチップ123から300マイクロメートル以上の位置にある(例えば、r1≧300μm)。いくつかの実施形態において、オリフィス132は、100マイクロメートル以上かつ500マイクロメートル以下の幅を有する。いくつかの実施形態において、オリフィス132は、200マイクロメートル以上かつ300マイクロメートル以下の幅を有する。いくつかの実施形態において、オリフィスの間隔sは、100マイクロメートル以上かつ1ミリメートル以下である。いくつかのかかる実施形態において、オリフィスの間隔は、400マイクロメートル以上かつ600マイクロメートル以下である。いくつかの実施形態において、オリフィス132は、また、オリフィスプレート130の面積の特定のわずかな部分を占めることが望ましい。例えば、オリフィス132は、オリフィス132を通る流体の所望の流量を達成するために、オリフィスプレート130のフットプリントの5パーセン以上かつ15パーセント以下を占めてよい。いくつかの実施形態において、オリフィス132は、オリフィスプレート130のフットプリントの8パーセント以上かつ12パーセント以下を占める。
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0049
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0049】
熱発生構造102に向かって駆動された流体は、熱発生構造102の上面と実質的に垂直(鉛直)に移動しうる。いくつかの実施形態において、流体の動きは、熱発生構造102の上面の法線に対して非ゼロの鋭角を有してもよい。いずれの場合でも、流体は、熱発生構造102において薄くなり、および/または、流体の境界層に開口部を形成しうる。結果として、熱発生構造102からの熱の伝達が改善されうる。流体は、熱発生構造102で逸れて、熱発生構造102の表面に沿って移動する。いくつかの実施形態において、流体は、熱発生構造102の上面と実質的に平行な方向に移動する。したがって、熱発生構造102からの熱が、流体によって除去されうる。流体は、冷却システム100の端部において、オリフィスプレート130と熱発生構造102との間の領域から出る。冷却システム100の端部にある導管またはその他のダクト(図示せず)が、熱発生構造102から流体を運び去ることを可能にする。他の実施形態において、加熱された流体は、別の方法で熱発生構造102から遠くへ移動されてもよい。流体は、熱発生構造102から伝達された熱を別の構造または周囲環境へ交換しうる。したがって、上部プレート110遠位端側の流体は、比較的冷たいままでありうるため、さらなる熱除去を可能にする。いくつかの実施形態において、流体は循環されて、冷却後に上部プレート110の遠位側に戻る。他の実施形態において、加熱された流体は運び去られて、冷却素子120の遠位側で新たな流体に置き換えられる。結果として、熱発生構造102は、冷却されうる。
【手続補正8】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0062
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0062】
また、図A~図Bには、圧電体323が点線で示されている。圧電体223は、冷却素子320Aおよび320Bを作動させるために用いられる。圧電体の文脈で記載されているが、冷却素子320Aおよび320Bを作動させるための別のメカニズムが用いられてもよい。かかる別のメカニズムは、圧電体323の位置にあってもよいし、別の場所に配置されてもよい。冷却素子320Aにおいて、圧電体323は、片持ち部分に固定されてもよいし、冷却素子320Aに一体化されてもよい。さらに、圧電体323は、図2Aおよび図2Bにおいて特定の形状およびサイズを有するものとして示されているが、その他の構成が用いられてもよい。
【手続補正9】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0063
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0063】
図3Aに示す実施形態において、アンカ360Aは、冷却素子320Aの奥行き全体に伸びている。したがって、冷却素子320Aの外周の一部が固定されている。冷却素子320Aの外周の固定されていない部分は、振動運動を行う片持ち部分の一部である。他の実施形態において、アンカは、中心軸の長さ全体に伸びている必要はない。かかる実施形態では、冷却素子の外周全体が固定されていない。しかしながら、かかる冷却素子は、それでも、本明細書に記載の方法で振動するよう構成されている片持ち部分を有する。例えば、図3Bにおいて、アンカ360Bは、冷却素子320Bの外周まで伸びていない。したがって、冷却素子320Bの外周は、固定されていない。しかしながら、アンカ360Bは、冷却素子320Bの中心軸に沿って伸びている。この場合でも、冷却素子320Bは、片持ち部分が振動するように作動される(例えば、蝶の翅と類似している)。
【国際調査報告】