(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-08-03
(54)【発明の名称】圧平眼圧計のためのデバイス、及びその装置、方法、使用
(51)【国際特許分類】
A61B 3/16 20060101AFI20220727BHJP
【FI】
A61B3/16 300
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021570946
(86)(22)【出願日】2020-05-29
(85)【翻訳文提出日】2022-01-27
(86)【国際出願番号】 EP2020065017
(87)【国際公開番号】W WO2020239994
(87)【国際公開日】2020-12-03
(32)【優先日】2019-05-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FI
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521387268
【氏名又は名称】アイケア フィンランド オイ
【氏名又は名称原語表記】Icare Finland Oy.
【住所又は居所原語表記】Ayritie 22,01510 Vantaa,Finland
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100208580
【氏名又は名称】三好 玲奈
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】クッコネン,アリ
【テーマコード(参考)】
4C316
【Fターム(参考)】
4C316AA03
4C316AA20
4C316AA24
4C316AB16
4C316FA11
(57)【要約】
目までの或る距離から目の角膜(304)に少なくとも1つの液滴(302)を分与及び吐出するためのディスペンサ(106)を備える、圧平眼圧計のためのデバイス(102)であって、前記ディスペンサ(106)は、液滴(302)が角膜(304)を圧平するように少なくとも1つの液滴(302)を吐出するように構成される、デバイス(102)。対応する眼圧測定デバイス、装置、及び方法も開示されている。
【選択図】
図3a
【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧平眼圧計のためのデバイス(102)であって、前記デバイス(102)は、
- 目までの或る距離から目の角膜(304)に少なくとも1つの液滴(302)を分与及び吐出するためのディスペンサ(106)であって、
- 前記ディスペンサ(106)は、角膜(304)を圧平するように少なくとも1つの液滴(302)を吐出するように構成される、ディスペンサ(106)
を備えることを特徴とする、デバイス(102)。
【請求項2】
前記ディスペンサ(106)は、液体リザーバ(108)を備える又はこれに接続される、いずれかの先行する請求項に記載のデバイス(102)。
【請求項3】
前記液滴(302)の吐出のための圧力は、前記リザーバ(108)内に生成された圧力によって生じる、請求項2に記載のデバイス(102)。
【請求項4】
前記ディスペンサ(106)は、液滴(302)を分与及び吐出するためにソレノイド弁制御を備える、いずれかの先行する請求項に記載のデバイス(102)。
【請求項5】
前記ディスペンサ(106)は、液滴(302)を分与及び吐出するためにピエゾ制御を備える、いずれかの先行する請求項に記載のデバイス(102)。
【請求項6】
前記ディスペンサ(106)は、液滴(302)を分与及び吐出するためにマイクロチャネル及びその圧力制御を備える、いずれかの先行する請求項に記載のデバイス(102)。
【請求項7】
前記ディスペンサ(106)は、1~10マイクロリットルの体積を有する少なくとも1つの液滴(302)を分与及び吐出するように構成される、いずれかの先行する請求項に記載のデバイス(102)。
【請求項8】
前記ディスペンサ(106)は、3~5マイクロリットルの体積を有する少なくとも1つの液滴(302)を分与及び吐出するように構成される、いずれかの先行する請求項に記載のデバイス(102)。
【請求項9】
請求項1に記載のデバイスを使用する眼圧測定デバイス。
【請求項10】
目の眼内圧を測定するための装置(100)であって、
前記装置(100)は、
- 目までの或る距離から目の角膜(304)に少なくとも1つの液滴(302)を分与及び吐出するためのディスペンサ(106)であって、前記ディスペンサ(106)は、角膜(304)を圧平するように少なくとも1つの液滴(302)を吐出するように構成される、ディスペンサ(106)と、
- 前記角膜(304)の圧平から変形特性を測定するための光学装置(104)と、
を備えることを特徴とする、装置(100)。
【請求項11】
前記光学装置(104)は光学距離測定装置を含む、請求項9に記載の装置(100)。
【請求項12】
前記光学装置(104)は光反射測定装置を含む、請求項9~10のいずれかに記載の装置(100)。
【請求項13】
前記光学装置(104)は光干渉断層撮影装置を含む、請求項9~11のいずれかに記載の装置(100)。
【請求項14】
位置合わせパターンを生成するための光学装置を備える、請求項9~12のいずれかに記載の装置(100)。
【請求項15】
前記変形特性を測定するための光学装置(104)はさらに、前記位置合わせパターンを生成するために用いられる、請求項9~13のいずれかに記載の装置(100)。
【請求項16】
目に少なくとも1つの液滴(302)を送達し、前記目の圧平された角膜(304)の変形特性を測定する動作は、50ミリ秒未満で実行される、請求項9~14のいずれかに記載の装置(100)。
【請求項17】
眼内圧測定のために角膜を刺激する方法であって、前記方法は、
- 液滴が角膜を圧平するように、目までの或る距離から目の角膜に少なくとも1つの液滴を分与及び吐出すること
を含むことを特徴とする、方法。
【請求項18】
角膜の圧平から変形特性を光学的に測定することを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
前記変形特性から眼内圧を求めることを含む、請求項17に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
一般に、本発明は、眼内圧測定装置及び目に流体を送達するための装置に関する。特に、しかし排他的にではなく、本発明は、目に流体を送達するための及び/又は流体の吐出により眼内圧測定を行うためのデバイス、装置、方法、及び使用に関する。
【背景技術】
【0002】
流体眼圧計は以前から提示されており、それらは空気作動式の眼内圧(IOP)測定装置に関係している。おそらく、この種の最も一般的なタイプの方策は、出口から加圧空気を連続的に吹き付けることに基づいており、この加圧空気の流れは、角膜を圧平するために用いられる。結果として、この角膜の圧平の測定は、例えば光学測定手段を介してIOP又は角膜の厚さなどの特性を推定するために用いられる場合がある。
【0003】
同時に、最も研究された信頼できる眼圧計は、リバウンドタイプのものであり、これらはゴールドマン圧平眼圧計に対して比較可能及び較正可能である。これは、他の様々なIOP測定装置の操作性及び測定の検証可能性を検討するときの重要な概念である。
【0004】
本質的に、IOP測定での患者の快適さは重要な因子である。普通は、角膜を操作するための行為がより短時間で刺激性が少なければ、ユーザが測定に気づいて反応することがより少なくなる。連続的に圧平する眼圧計は、この理由から、普通は効率が低く、あまり実用的ではない。
【0005】
流体眼圧計のさらに一般的な特徴は、手持ち式の独立型デバイスとして実装するのに珍しいほど適していることである。これは何よりも、空気を加圧するには、かなりのスペースを占める圧縮及び空気圧手段などが必要であるという克服できない事実によるものである。
【0006】
従来技術の方策が先行特許出願で示されている。例えば、米国特許出願公開第2008242966号は、空気を目に向けて連続的に放出するためのシリンダ-ピストン装置によって作動される、非接触型眼圧計のための空気パルス放出デバイスを示している。プローブを使用するリバウンド型眼圧計が、本出願人の米国特許出願公開第2009306493号で提示されている。可膨張性圧平チャンバを備えた可撓性コンタクトレンズの使用に基づく非侵襲的で連続的な圧平眼圧計が米国特許出願公開第4628938号で提示されている。手動で作動されるプローブベースの眼圧計が米国特許出願公開第2003097052号で開示されている。メンブレンベースの眼圧計が英国特許出願公開第2308462号で提示されている。米国特許出願公開第2010016704号は、眼内圧測定データと目への投薬を決定する時間データを使用して目の状態を監視するための方法及びシステムを示している。点眼薬ディスペンサが米国特許出願公開第2014228783号で開示されている。
【発明の概要】
【0007】
本発明の実施形態の目的は、従来技術の装置で明らかな前述の欠点のうちの1つ以上を少なくとも軽減することである。この目的は、一般に、本開示に係るデバイス、装置、及び方法で達成される。
【0008】
本発明の利点は、目の表面に衝突するときにプローブ眼圧計のプローブに匹敵する個別の流体ドーズの生成が可能となることである。したがって、リバウンド眼圧計の特徴を備えた流体眼圧計が本発明で得られる。
【0009】
本発明のもう1つの利点は、測定のために小さい個別の液滴を使用することであり、これは、目の角膜への流体の連続的な流れに基づく流体眼圧計よりも快適な測定イベントを提供する。実際の痛みがなくても、流体の連続的な流れは患者に不快感を与え、測定中は避けるべき、まばたき及び目の動きにつながることがよくある。
【0010】
本発明の一態様は、圧平眼圧計のためのデバイスであって、前記デバイスは、
- 目までの或る距離から目の角膜に少なくとも1つの液滴を分与及び吐出するためのディスペンサであって、
- 前記ディスペンサは、液滴が角膜を圧平するように少なくとも1つの液滴を吐出するように構成される、ディスペンサ
を備えることを特徴とするデバイスである。
【0011】
本発明の一態様は、請求項1に記載のデバイスを使用する眼圧測定デバイスである。
【0012】
本発明の一態様は、目の眼内圧を測定するための装置であって、前記装置は、
- 圧平眼圧計のためのデバイスであって、
〇目までの或る距離から目の角膜に少なくとも1つの液滴を分与及び吐出するためのディスペンサであって、前記ディスペンサは、液滴が角膜を圧平するように少なくとも1つの液滴を吐出するように構成される、ディスペンサ
を備える、デバイスと、
- 角膜の圧平から変形特性を測定するための光学装置と、
を備えることを特徴とする装置である。
【0013】
本発明の一態様は、眼内圧測定のために角膜を刺激する方法であって、前記方法は、
- 液滴が角膜を圧平するように目までの或る距離から目の角膜に少なくとも1つの液滴を分与及び吐出すること、
を含むことを特徴とする方法である。
【0014】
本発明の別の態様は、液体薬剤の液滴又は或る量の液体薬剤を含む液滴を目に送達するためのデバイスの使用である。
【0015】
上記に簡単に概説されているように、本発明の様々な態様の有用性は、各特定の実施形態に応じた複数の課題から生じる。
【0016】
本発明の異なる実施形態はまた、添付の従属請求項で開示される。
【0017】
「いくつかの」という表現は、本明細書では、1から始まる任意の正の整数を指す場合がある。「複数の」という表現は、それぞれ2から始まる任意の正の整数を指す場合がある。
【0018】
「例示的な」という用語は、本明細書では、唯一の又はただ1つの好ましい選択肢ではなく、例となる又は例のような特徴を指す。
【0019】
「吐出」及び「吐出する」という表現は、或る場所又は位置から或る量の流体を駆出する、押し出す、又は排出する作用を指すのに用いられる。
【0020】
「刺激」及び「刺激する」という表現は、角膜に力を加えて角膜を圧平する及び角膜の反力を生じさせる作用を指すのに用いられる。
【0021】
本発明のいくつかの例示的な実施形態を、添付の図面を参照しながらより詳細に概説する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本発明に係る装置の動作概念の概観を示す図である。
【
図2a】本発明に係るデバイスの異なる実施形態を示す図である。
【
図2b】本発明に係るデバイスの異なる実施形態を示す図である。
【
図2c】本発明に係るデバイスの異なる実施形態を示す図である。
【
図3a】本発明に係るディスペンサの異なる実施形態の詳細を示す図である。
【
図3b】本発明に係るディスペンサの異なる実施形態の詳細を示す図である。
【
図4a】本発明に係る装置を使用する眼圧計デバイスの一般的な図である。
【
図4b】本発明に係る装置を使用する眼圧計デバイスの一般的な図である。
【
図5a】本発明に係る装置の動作原理を示す図である。
【
図5b】本発明に係る装置の動作原理を示す図である。
【
図5c】本発明に係る装置の動作原理を示す図である。
【
図5d】本発明に係る装置の動作原理を示す図である。
【
図6】本発明に係る方法の一実施形態を例示するフローチャートである。
【
図7】本発明に係るディスペンサをテストするためのセットアップを例示する図である。
【
図8a】
図7のセットアップでの異なる測定による偏差の測定を示すグラフである。
【
図8b】
図7のセットアップでの異なる測定による偏差の測定を示すグラフである。
【
図9】リバウンド眼圧計でのIOP測定のセットアップを例示する図である。
【
図10a】
図9のセットアップでの異なる測定による偏差の測定を示すグラフである。
【
図10b】
図9のセットアップでの異なる測定による偏差の測定を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1は、本発明に係る装置(100)の動作概念の概観を示す図である。装置(100)は、目までの或る距離から目の角膜に少なくとも1つの液滴を分与及び吐出するためのディスペンサを備えるデバイス(102)を備える。デバイス(102)のディスペンサは、液滴が角膜を刺激して圧平するように少なくとも1つの液滴を吐出するように構成される。装置(100)はさらに、デバイス(102)に加えて、刺激された角膜の変形特性を測定するための、例えばエミッタ及びレシーバを備え得る、光学装置(104)を備える。
【0024】
光学装置(104)はさらに、角膜への液滴の分与及びIOP測定を目的とする位置合わせパターンを生成するための装置を備え得る。
【0025】
装置(100)のデバイス(102)は、目から或る距離に配置され、その距離は、好ましくは4~10mmの範囲内である。
【0026】
装置(100)は、好ましくは、目に少なくとも1つの液滴を送達すること及び目の刺激された角膜の変形特性を測定することを含む動作全体を50ms未満で行うように構成される。
【0027】
図2a、
図2b、
図2cは、本発明に係るデバイス(102)の異なる実施形態を示す。デバイス(102)は、好ましくは、少なくともリザーバ(108)、力又は圧力を生成する手段、及び/又はディスペンサ(106)からの液滴の分与を制御する手段を備える又はこれらに接続される。
【0028】
図2aは、リザーバ(108)に接続されたディスペンサ(106)と、圧力を生成及び/又は制御する手段を示しており、リザーバ(108)は、圧力コントローラ(110)に接続される。圧力コントローラ(110)は、リザーバ(108)内の圧力を、例えばおよそ0.4バールに上げるために用いられる。ディスペンサ(106)は、リザーバ(108)で加圧された液体を分与及び吐出するために、ソレノイドコントローラ(112)で制御される弁制御ソレノイドを備える。ソレノイドは、所定の又は好ましい速度、液体、運動エネルギー、又はモーメントの測度で加圧液体の分与及び吐出をもたらすために一度におよそ5ミリ秒開くように構成することができる。
【0029】
図2bは、リザーバ(108)に接続されたディスペンサ(106)を示している。この実施形態では、ディスペンサ(106)に及びリザーバからディスペンサ(106)につながる導管に入る液体の量を制御するために、レギュレータ(114)又はポンプが用いられる。デバイス(102)はまた、導管及びディスペンサ(106)から空気を吹き出すためのシステムを備え得る。ディスペンサ(106)は、所定の又は好ましい速度、液体、運動エネルギー、又はモーメントの測定量でディスペンサ(106)から液体を分与及び吐出するために、ディスペンサ(106)の作動を容易にするべくピエゾの動作を制御するためのコントローラ(116)に接続されるピエゾアクチュエータを備える。
【0030】
図2cは、本質的にディスペンサ(106)に又はその一部として含まれるリザーバ(108)に液体が貯蔵される、一体化されたカセット式デバイス(102)としてのディスペンサ(106)を示している。ディスペンサ(106)は、所定の又は好ましい速度、液体、運動エネルギー、又はモーメントの測度でのディスペンサ(106)からの液体の分与及び吐出を容易にするためにマイクロチャネル又はピエゾを備え、これらは、ディスペンサ(106)に少なくとも機能的に接続されたコントローラ(118)で制御される。カセット式デバイス(102)は、シングルショット又はマルチショット作動デバイス(102)とすることができ、したがって、1つのデバイス(102)を1つのIOP測定のみに又は別の好ましい量のIOP測定に用いることができる。
【0031】
実施形態のいずれかに係るディスペンサ(106)は、1~10マイクロリットルの体積又は好ましくは3~5マイクロリットルの体積を有する少なくとも1つの液滴を分与及び吐出するように構成することができる。液体は、涙液に類似する組成を備え、該液体は、さらに又は代替的に、目に投与可能な量の薬剤を含み得る。液滴の液体は好ましくは透明である。
【0032】
デバイス(102)はまた、ディスペンサ(106)をすすぐための手段を備え得る。
【0033】
図3a及び
図3bは、本発明に係るディスペンサ(106)の異なる実施形態の詳細を示す。
【0034】
図3aは、ソレノイドの作動によって液滴が分与及び吐出されるディスペンサ(106)の設計を示している。このディスペンサ(106)は、本明細書では、ソレノイドにより作動されるルビーボールバルブ(120)を有する管状の外壁(130a)を備える。このディスペンサ(106)には、リザーバに接続された導管(124)によって加圧液体が供給される。外壁(130a)を取り囲むコイル(126)に電流が供給され、それにより、小さいオリフィス(128a)から或る量の加圧液体が放出されるようにソレノイドプランジャ(122)の動きが制御される。オリフィス(128a)は、例えば直径0.15~0.6mmのサファイアオリフィスであり得る。
【0035】
図3bは、ピエゾ作動によって液滴が分与及び吐出されるディスペンサ(106)の設計を示している。このディスペンサ(106)は、本明細書では、ガラスを含む管状の外壁(130b)を備える。このディスペンサ(106)には、リザーバに接続された導管(124)によって加圧液体が供給される得る。代替的に、液体は、加圧された状態でディスペンサ内に直接貯蔵され得る。ガラス管を取り囲む圧電材料(132)に、電極(134a、134b)により電流が供給され、これにより、圧電材料(132)がガラス管に押し付けられ、さらに、液滴が、ガラス管の小さいオリフィス(128b)から押し出される。ガラスオリフィス(128b)は、例えば、直径0.02~0.12mmである。この実施形態のオリフィス(128b)は、圧電装置によってディスペンサ(106)の外壁(130b)にさらなる力が加えられないときには、ガラス管内の液体が毛細管効果により定位置に保持されるため、閉鎖されない。
【0036】
図4a及び
図4bは、本発明に係る装置(100)を使用する眼圧計装置(200)、すなわち、眼圧測定デバイスの一般的な図である。
図4a及び
図4bは、手持ち式眼圧計装置(200)での本発明の1つの一般的な用途を示している。
【0037】
眼圧計装置(200)は、適切な材料で作製されたケースコンポーネント(136)で形成され、その中に、IOP測定に不可欠なすべてのコンポーネントが収められている。本発明に係るデバイス(102)は、装置(200)において、少なくとも液体が供給される取り外し不可能な装置として、又は少なくとも1つの液滴を或る圧力で一方向に分与及び吐出するためにリザーバ(108)及びディスペンサ(102)を備える単一のユニットとして用いられ得る。このような単一のユニットは、ワンショット又はマルチショットカートリッジであり得る。単一のユニットは、再使用不可能又は再使用可能であり得る。したがって、装置(200)は、別個のレセプタクル又は外部液体導管を必要とせずに、このような単一のユニットの挿入を容易にするように構成することができる。デバイス(102)は、装置(200)から機械的な力又は電流を送達するための電気的又は機械的接続手段、ボタン(138)又は装置(200)のトリガを押すことなどにより単一のユニットからの液滴の分与及び吐出を容易にするためのデバイス(102)を含み得る。
【0038】
この実施形態では、ケース又は本体コンポーネント(136)は、本質的に細長く、その上端に額支持部(140)を含み、これは、測定する目の方向に液滴が吐出される距離を調整するのに用いられる。額支持部(140)は、例えば手動で回転させることができるホイール(142)によって特異的に調節可能である。
【0039】
装置(200)はさらに、例えば、測定結果が表示される液晶パネル及び関連する制御ボタンなどである、ディスプレイ及び制御コンポーネント(144)を含む。装置(200)はまた、押されたときに目に向けて液滴を放出する、操作スイッチ(138)を備える。
【0040】
動作電力は、乾電池又はバッテリから得ることができ、装置(200)はさらに、外部充電デバイス又は電源を接続できるソケットを有することができる。装置(200)を快適に使用できるようにするために、いくつかの狭幅部(146)が用いられ得る。
【0041】
図5a、
図5b、
図5c、及び
図5dは、本発明に係る装置(100)の動作原理を示している。これらの図は、液滴(302)の吐出と、その結果としての角膜(304)の圧平と、その変形特性の測定を示している。
【0042】
図5aは、或る位置にあり、角膜(304)と位置合わせされている装置を示している。
【0043】
図5bは、ディスペンサ(102)から吐出される液滴(302)を示している。ディスペンサは、ディスペンサ(102)からの液体の分与及び吐出を制御するために制御電子回路及び/又は液体導管(148)と接続され得る。液滴は、
1/2mv^2
のエネルギーの測度で吐出される。
【0044】
したがって、吐出される液滴の好ましいエネルギーを設定するために、液体の体積及び種類、並びに、液体の速度に関連する様々な構成を使用することができ、これは様々な用途及びディスペンサ(102)と角膜(304)との距離の観点から有益であり得る。液滴(302)の体積は、粘度及び/又は表面張力及び/又は密度などの液体特性を考慮して選択することができる。液滴に生じた運動エネルギー、又はこのようなエネルギー又はモーメントの測度は、好ましくは、目の表面への液滴の衝撃が同様の変形を引き起こすようにリバウンド眼圧計のプローブと同様である、又はその圧平時間は、測定のために目に接触するリバウンド眼圧計プローブと同様である。したがって、液体及びその吐出速度の測度は、目に与えることを目的とする好ましい刺激量を考慮して最適化することができ、その最適化は、トノメトリの分野で広く議論されているリバウンドトノメトリを考慮して行うことができる。
【0045】
図5cは、衝突前の、目の角膜(304)に移動する液滴(302)を示している。
【0046】
図5dは、目の角膜(304)を刺激する液滴(302)を示している。液滴(302)と角膜(304)との衝突後に、角膜(304)は、液滴(302)のエネルギー、角膜の硬さ、及び目のIOPに応じて湾曲する。光学装置(104)は、液滴(302)によって角膜(304)に生じた変形の測度を検出するように構成される。光学装置(104)は、好ましくは、角膜(304)での反射、角膜(304)までの距離(の変化)、又は光干渉断層撮影(OCT)の測定に基づくことができる。
【0047】
いくつかの実施形態では、光学装置(104)はまた、目のイメージングを含む又はこれに基づくことができる。このタイプの光学装置では、角膜(304)の画像のセットが取り込まれ、随意的に、該画像の時点でのイメージング装置の設定の情報と共に、そこから角膜(304)の変形及びトポロジーが検出される。
【0048】
別の実施形態によれば、例えばスキャンすることによって目にグリッドを形成することができ、このグリッドは、角膜(304)の変形特性のトポグラフ情報を提供するのに用いることができる。
【0049】
角膜(304)の特性及び変形特性を決定するために、圧平の大きさ、並びに、角膜(304)の回復量及び速度を用いることができる。
【0050】
光学装置(104)は、好ましくは、不可視スペクトルで動作するように構成される。しかしながら、光学装置(104)はさらに、ディスペンサ(102)の吐出を角膜(304)及びその測定対象と位置合わせするために、十字線などの可視位置合わせパターンを備え得る。光学装置(104)はまた、随意的に患者がディスペンサの吐出を患者の角膜(304)と位置合わせできるようにするために、患者の固定目標を備え得る。実現可能な固定目標が、例えばPCT公開番号WO2014/202840 A1で提示されている。
【0051】
図6は、本発明に係る方法の一実施形態を例示するフローチャートである。
【0052】
起動と呼ばれる602で、装置の機能が、設定、チェック、及び/又は校正され得る。
【0053】
604で、ディスペンサが、動作距離に設定され、患者の目の高さに合わせられる。デバイスのオペレータは、患者に測定を行う医師であってよく、又はいくつかの実施形態では、患者が自分で測定を行うことができる。
【0054】
606で、ディスペンサが、IOP測定を行う角膜の位置と位置合わせされる。
【0055】
608で、質量mの液滴が角膜の位置に向けて速度vで分与及び吐出される。分与は、1~10マイクロリットル又は3~5マイクロリットルなどの好ましいサイズ又は体積、及び、涙液に類似する組成を有する生理食塩水又は他の好ましい分与される液体などの体積及び使用される液体に応じた質量の液滴を生成するように制御することができる。分与と吐出は同時に行うことができ、したがって、吐出はパルスとしてもたらされ、分与される量(体積)も決まる。
【0056】
610で、液滴によって生じた圧平が検出される。検出される圧平の変形特性は、角膜変形の1つ以上の異なる特性を包含し得る。例えば、測定は、目又は角膜の変形量又は形状又は変形速度を含み得る。圧平の検出は、角膜との物理的接触なしに光学的に行われる。
【0057】
612で、検出された圧平のうちの1つ以上から目のIOPが計算される。目のIOPを計算するためにいくつかの圧平測定及び変形測定を行うことができる。測定位置が原因で測定が不正確であることが発見される場合には、ディスペンサを再び位置合わせすることもできる。
【0058】
614で、測定値及び計算されたIOP結果を、保存する、オペレータに表示する、又は別のデバイスに送信することができる。
【0059】
図7は、本発明に係るディスペンサ(106)をテストするためのセットアップを例示する図である。このセットアップは、人工眼(402)に発射することを目的とするソレノイド作動ディスペンサ(106)を含む。このセットアップでの人工眼(402)は、張力のあるシリコーン膜を含む。ディスペンサ(106)から分与及び吐出された液滴によって引き起こされる人工眼(402)での変形が、このセットアップではCCDレーザ変位センサKeyence LK-G32を含む光学装置(404)によって検出及び測定される。
【0060】
図8a及び
図8bは、
図7のセットアップでの異なる測定による偏差の測定を示すグラフである。
【0061】
図8aは、圧力17mmHgで4μlの液滴が吐出されたときの人工眼(402)の偏差を、y=mm、x=0.25msでのサンプリングで示している。
【0062】
図8bは、圧力17mmHgでいくつかの4μlの液滴が吐出されたときの人工眼(402)の偏差を、y=mm、x=0.25msでのサンプリングで示している。
【0063】
図9は、本発明に係るディスペンサ(106)と測定結果を比較するために、リバウンド眼圧計(500)でのIOP測定のセットアップを例示している。このセットアップは、人工眼(402)に発射することを目的とするリバウンド眼圧計Icare tonometer ic100を含む。このセットアップでの人工眼(402)は、張力のあるシリコーン膜を含む。リバウンド眼圧計(500)からのプローブによって引き起こされる人工眼(402)での変形が、このセットアップではCCDレーザ変位センサKeyence LK-G32を含む光学装置(404)によって検出及び測定される。
【0064】
図10a及び
図10bは、
図9のセットアップでの異なる測定による偏差の測定を示すグラフである。
【0065】
図10aは、圧力17mmHgでのリバウンド眼圧計(500)の測定による人工眼(402)の偏差を、y=mm、x=0.25msでのサンプリングで示している。
【0066】
図10bは、圧力17mmHgでのリバウンド眼圧計(500)のいくつかの測定による人工眼(402)の偏差を、y=mm、x=0.25msでのサンプリングで示している。
【0067】
本発明の範囲は、付属の請求項及びその均等物によって決定される。当業者は、開示された実施形態が例示する目的でのみ構築されたことを再認識し、本明細書で概説された革新点は、本発明の各特定の使用例により良好に適合する、さらなる実施形態、実施形態の組み合わせ、変形例、及び均等物を包含する。
【国際調査報告】