(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-08-03
(54)【発明の名称】劣化及び分解からの品目の保護方法
(51)【国際特許分類】
B05D 1/02 20060101AFI20220727BHJP
A23B 7/154 20060101ALI20220727BHJP
B05B 7/16 20060101ALI20220727BHJP
B05B 7/24 20060101ALI20220727BHJP
【FI】
B05D1/02 Z
A23B7/154
B05B7/16
B05B7/24
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021571736
(86)(22)【出願日】2020-06-04
(85)【翻訳文提出日】2022-01-31
(86)【国際出願番号】 US2020036174
(87)【国際公開番号】W WO2020247667
(87)【国際公開日】2020-12-10
(32)【優先日】2019-06-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516027797
【氏名又は名称】アピール テクノロジー,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】ロドリゲス,ガブリエル
(72)【発明者】
【氏名】ロス,ダニエル
【テーマコード(参考)】
4B169
4D075
4F033
【Fターム(参考)】
4B169AA04
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4B169KA10
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4D075AA00
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4D075EB51
4D075EB57
4D075EC07
4D075EC30
4D075EC51
4F033QA10
4F033QB02X
4F033QB03X
4F033QB17
4F033QF01X
4F033QF08X
4F033QG32
4F033QG38
(57)【要約】
1つ以上の基材の表面上で保護コーティングを形成する方法。この方法は、溶媒中にコーティング剤を含む混合物を提供すること、混合物から霧を形成することと、混合物の一部分が少なくとも1つ以上の基材の表面の一部分において蓄積するように、1つ以上の基材の外側表面と霧を接触させることを含む。次いで、例えば、蒸発又は強制対流によって、混合物からの溶媒を1つ以上の基材の表面から少なくとも部分的に除去し、1つ以上の基材の少なくとも表面の一部分においてコーティング剤から保護コーティングを形成させる。保護コーティングは、例えば、少なくともある程度は、基材を生物的又は非生物的ストレッサー、例えば質量若しくは水分損失、酸化、糸状菌、真菌又は侵襲から保護することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材の表面上で保護コーティングを形成する方法であって、
溶媒中にコーティング剤を含む混合物の液滴を含む霧を形成することと、
前記混合物の一部分が前記基材の前記表面の少なくとも一部分上で蓄積するように、前記霧を前記基材の前記表面の少なくとも一部分と接触させることと、
前記基材の前記表面上で前記混合物からの前記溶媒を少なくとも部分的に除去し、それによって、前記基材の前記表面の少なくとも一部分上で前記コーティング剤から保護コーティングが形成されることと
を含む、方法。
【請求項2】
前記基材が腐敗性である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記基材が、植物又は収穫前の製品を含む植物から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記基材が、植物又は収穫前の製品を含む植物から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記基材が、2分間未満、前記霧の中に維持される、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
基材の表面上で保護コーティングを形成する方法であって、
第1の溶媒中で第1のコーティング剤を含む第1の混合物の液滴を含む第1の霧を形成することと、
前記第1の混合物の一部分が前記基材の前記表面の少なくとも一部分上で蓄積するように、前記第1の霧を前記基材の前記表面の少なくとも一部分と接触させることと、
前記基材の前記表面上で前記第1の混合物からの前記第1の溶媒を少なくとも部分的に除去し、それによって、前記基材の前記表面の少なくとも一部分上で前記第1のコーティング剤から第1の保護コーティングを形成することと、
第2の溶媒中で第2のコーティング剤を含む第2の混合物の液滴を含む第2の霧を形成することと、
前記第2の混合物の一部分が前記基材の前記表面上の前記第1の保護コーティング、又は前記第1の保護コーティングによって不完全にコーティングされた前記基材の前記表面の少なくとも一部分の一方又は両方の上で蓄積するように、前記基材の前記表面上の前記第1の保護コーティングの少なくとも一部分、又は前記第1の保護コーティングによって不完全にコーティングされた前記基材の前記表面の少なくとも一部分の一方又は両方と前記第2の霧を接触させることと、
前記基材の表面上の前記第1の保護コーティング、又は前記第1の保護コーティングによって不完全にコーティングされた前記基材の前記表面の一方又は両方において前記第2の混合物から前記第2の溶媒を少なくとも部分的に除去し、それによって、前記基材の前記表面上の前記第1の保護コーティング、又は前記第1の保護コーティングによって不完全にコーティングされた前記基材の前記表面の一方又は両方の少なくとも一部分上に前記第2のコーティング剤から第2の保護コーティングを形成することと
を含む、方法。
【請求項7】
前記第1の混合物が前記第2の混合物と同一である、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記第1の混合物が前記第2の混合物とは異なる、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
前記第1の霧が、前記第2の霧とほぼ同じ時間量で前記基材に適用される、請求項6に記載の方法。
【請求項10】
前記第1の霧が、前記第2の霧とは異なる時間量で前記基材に適用される、請求項6に記載の方法。
【請求項11】
容器中で複数の品目の表面上で保護コーティングを形成する方法であって、
溶媒中にコーティング剤を含む混合物の液滴を含む霧を、前記容器中の1つ以上の開口部を通して前記容器に入れること
を含み、前記混合物の一部分が、前記複数の品目の前記表面の少なくとも一部分において蓄積するように、前記霧が前記容器の内部で分散し、前記複数の品目の前記表面と接触し、それによって、前記複数の品目の前記表面の少なくとも一部分において前記コーティング剤から保護コーティングが形成される、方法。
【請求項12】
前記品目が腐敗性である、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記品目が製品を含む、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記品目が、2分間未満、前記霧の中に維持される、請求項11に記載の方法。
【請求項15】
前記複数の品目の前記表面の少なくとも一部分において前記コーティング剤から前記保護コーティングを形成させることが、前記複数の品目の前記表面上で前記混合物から前記溶媒を少なくとも部分的に除去することを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項16】
前記複数の品目の前記表面の少なくとも一部分において前記コーティング剤から前記保護コーティングを形成させることが、前記容器中の前記開口部の少なくとも1つを通しての対流によって前記複数の品目を冷却させるか、又は乾燥させることを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項17】
複数の品目の表面上で保護コーティングを形成する方法であって、
溶媒中にコーティング剤を含む混合物の液滴を含む霧を筐体中で形成することと、
少なくとも部分的に前記霧が形成した後に、前記複数の品目を前記筐体中に移動させ、それによって、前記混合物の一部分が前記複数の品目の前記表面の少なくとも一部分上で蓄積するように、前記霧を前記複数の品目の前記表面の少なくとも一部分と接触させることと、
前記複数の品目の前記表面上で前記混合物から前記溶媒を少なくとも部分的に除去し、それによって、前記複数の品目の前記表面の少なくとも一部分において前記コーティング剤から前記保護コーティングが形成されることと
を含む、方法。
【請求項18】
前記品目が腐敗性である、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記品目が製品を含む、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
前記品目が、2分間未満、前記霧の中に維持される、請求項17に記載の方法。
【請求項21】
収穫前製品の表面上に保護コーティングを形成する方法であって、
溶媒中にコーティング剤を含む混合物の液滴を含む霧を形成することと、
前記混合物の一部分が、前記収穫前製品の外側表面上の少なくとも一部分において蓄積し、それによって、前記収穫前製品の前記外側表面の少なくとも一部分において前記コーティング剤から保護コーティングが形成されるように、前記収穫前製品の外側表面の少なくとも一部分に前記霧を接触させることと
を含み、前記収穫前製品の前記外側表面上での前記保護コーティングの被覆を改善するために、前記収穫前製品の周囲で開口部を通して前記霧が分散する、方法。
【請求項22】
前記収穫前製品が、2分間未満、前記霧の中に維持される、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記保護コーティングを形成することが、前記収穫前製品の前記外側表面の少なくとも一部分上で前記混合物から前記溶媒を少なくとも部分的に除去することを含む、請求項21に記載の方法。
【請求項24】
前記霧が、
(i)前記混合物を加熱して、蒸気を形成することと、
(ii)前記蒸気を冷却して、前記混合物の液滴を含む前記霧を形成することと
を含む方法によって形成される、請求項1~23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
前記霧の前記液滴が約100ミクロン以下の平均直径を有する、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記混合物を加熱することが、前記混合物を少なくとも150℃の温度に保持する熱交換器に通過させることを含む、請求項24に記載の方法。
【請求項27】
基材の表面上で保護コーティングを形成する方法であって、
溶媒中にコーティング剤を含む混合物を加熱して蒸気を形成することと、
前記蒸気を冷却して、前記混合物の液滴を含む霧を形成することと、
前記混合物の一部分が前記基材の前記表面の少なくとも一部分上で蓄積し、それによって、前記基材の前記表面の少なくとも一部分において前記コーティング剤から保護コーティングが形成されるように、前記基材の前記表面と前記霧を接触させることと
を含む、方法。
【請求項28】
前記基材が、2分間未満、前記霧の中に維持される、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記保護コーティングを形成することが、前記基材の前記表面上で前記混合物から前記溶媒を少なくとも部分的に除去することを含む、請求項27に記載の方法。
【請求項30】
前記液滴が約100ミクロン以下の平均直径を有する、請求項1~23又は27~29のいずれか一項に記載の方法。
【請求項31】
前記溶媒を少なくとも部分的に除去することが、前記溶媒を蒸発させることを含む、請求項1~10、15、17~19、23又は29のいずれか一項に記載の方法。
【請求項32】
前記溶媒の少なくとも95%が30分以内に蒸発する、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記保護コーティングの厚さが少なくとも0.1ミクロンである、請求項1~23又は27~29のいずれか一項に記載の方法。
【請求項34】
前記保護コーティングが食用である、請求項1~23又は27~29のいずれか一項に記載の方法。
【請求項35】
前記溶媒が水又はエタノールを含む、請求項1~23又は27~29のいずれか一項に記載の方法。
【請求項36】
前記コーティング剤が、モノマー、オリゴマー、脂肪酸、エステル、アミド、アミン、チオール、カルボン酸、エーテル、脂肪族ワックス、アルコール又は塩を含む、請求項1~23又は27~29のいずれか一項に記載の方法。
【請求項37】
前記コーティング剤が、式I:
【化1】
(式中、
Rは-H、-グリセリル、-C
1~C
6アルキル、-C
2~C
6アルケニル、-C
2~C
6アルキニル、-C
3~C
7シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール又はカチオン部分から選択され、各アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリール又はヘテロアリールは、ハロゲン(例えば、Cl、Br又はI)、ヒドロキシル、ニトロ、-CN、-NH
2、-SH、-SR
15、-OR
14、-NR
14R
15、C
1~C
6アルキル、C
2~C
6アルケニル若しくはC
2~C
6アルキニルから選択される1つ以上の基によって任意選択的に置換され;
R
1、R
2、R
5、R
6、R
9、R
10、R
11、R
12及びR
13は、それぞれの存在において、それぞれ独立して、-H、-(C=O)R
14、-(C=O)H、-(C=O)OH、-(C=O)OR
14、-(C=O)-O-(C=O)R
14、-O(C=O)R
14、-OR
14、-NR
14R
15、-SR
14、ハロゲン、-C
1~C
6アルキル、-C
2~C
6アルケニル、-C
2~C
6アルキニル、-C
3~C
7シクロアルキル、アリール又はヘテロアリールであり、各アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリール又はヘテロアリールは、1つ以上の-OR
14、-NR
14R
15、-SR
14又はハロゲンによって任意選択的に置換され;
R
3、R
4、R
7及びR
8は、それぞれの存在において、それぞれ独立して、-H、-OR
14、-NR
14R
15、-SR
14、ハロゲン、-C
1~C
6アルキル、-C
2~C
6アルケニル、-C
2~C
6アルキニル、-C
3~C
7シクロアルキル、アリール又はヘテロアリールであり、各アルキル、アルキニル、シクロアルキル、アリール又はヘテロアリールは、1つ以上の-OR
14、-NR
14R
15、-SR
14又はハロゲンによって任意選択的に置換されるか;或いは
R
3及びR
4は、それらが結合している炭素原子と組み合わせられて、C
3~C
6シクロアルキル、C
4~C
6シクロアルケニル又は3員~6員環複素環を形成することが可能であり;及び/又は
R
7及びR
8は、それらが結合している炭素原子と組み合わせられて、C
3~C
6シクロアルキル、C
4~C
6シクロアルケニル又は3員~6員環複素環を形成することが可能であり;
R
14及びR
15は、それぞれの存在において、それぞれ独立して、-H、アリール、ヘテロアリール、-C
1~C
6アルキル、-C
2~C
6アルケニル又は-C
2~C
6アルキニルであり;
前記記号
【化2】
は、単結合又はシス若しくはトランス二重結合を表し;
nは、0、1、2、3、4、5、6、7又は8であり;
mは、0、1、2又は3であり;
qは、0、1、2、3、4又は5であり;且つ
rは、0、1、2、3、4、5、6、7又は8である)の化合物を含む、請求項1~23又は27~29のいずれか一項に記載の方法。
【請求項38】
保護コーティングを基材に適用するためのアセンブリであって、
溶媒中にコーティング剤を含む混合物をその中に有するリザーバーと、
熱交換器と、
前記混合物を前記熱交換器に強制的に通過させるために構成されるポンプと
を含み、前記熱交換器は、前記熱交換器に強制的に通過させるため、前記混合物が蒸気になるために十分高い温度まで加熱されることが可能である、アセンブリ。
【請求項39】
ノズルをさらに含み、前記蒸気が前記ノズルを出ると霧になり、そして前記霧の液滴が前記混合物を含むように前記アセンブリが構成される、請求項38に記載のアセンブリ。
【請求項40】
前記コーティング剤が、モノマー、オリゴマー、脂肪酸、エステル、アミド、アミン、チオール、カルボン酸、エーテル、脂肪族ワックス、アルコール又は塩を含む、請求項38~39のいずれか一項に記載のアセンブリ。
【請求項41】
前記溶媒が、水、エタノール又はその組合せを含む、請求項40に記載のアセンブリ。
【請求項42】
前記コーティング剤が、式I:
【化3】
(式中、
Rは-H、-グリセリル、-C
1~C
6アルキル、-C
2~C
6アルケニル、-C
2~C
6アルキニル、-C
3~C
7シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール又はカチオン部分から選択され、各アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリール又はヘテロアリールは、ハロゲン(例えば、Cl、Br又はI)、ヒドロキシル、ニトロ、-CN、-NH
2、-SH、-SR
15、-OR
14、-NR
14R
15、C
1~C
6アルキル、C
2~C
6アルケニル若しくはC
2~C
6アルキニルから選択される1つ以上の基によって任意選択的に置換され;
R
1、R
2、R
5、R
6、R
9、R
10、R
11、R
12及びR
13は、それぞれの存在において、それぞれ独立して、-H、-(C=O)R
14、-(C=O)H、-(C=O)OH、-(C=O)OR
14、-(C=O)-O-(C=O)R
14、-O(C=O)R
14、-OR
14、-NR
14R
15、-SR
14、ハロゲン、-C
1~C
6アルキル、-C
2~C
6アルケニル、-C
2~C
6アルキニル、-C
3~C
7シクロアルキル、アリール又はヘテロアリールであり、各アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリール又はヘテロアリールは、1つ以上の-OR
14、-NR
14R
15、-SR
14又はハロゲンによって任意選択的に置換され;
R
3、R
4、R
7及びR
8は、それぞれの存在において、それぞれ独立して、-H、-OR
14、-NR
14R
15、-SR
14、ハロゲン、-C
1~C
6アルキル、-C
2~C
6アルケニル、-C
2~C
6アルキニル、-C
3~C
7シクロアルキル、アリール又はヘテロアリールであり、各アルキル、アルキニル、シクロアルキル、アリール又はヘテロアリールは、1つ以上の-OR
14、-NR
14R
15、-SR
14又はハロゲンによって任意選択的に置換されるか;或いは
R
3及びR
4は、それらが結合している炭素原子と組み合わせられて、C
3~C
6シクロアルキル、C
4~C
6シクロアルケニル又は3員~6員環複素環を形成することが可能であり;及び/又は
R
7及びR
8は、それらが結合している炭素原子と組み合わせられて、C
3~C
6シクロアルキル、C
4~C
6シクロアルケニル又は3員~6員環複素環を形成することが可能であり;
R
14及びR
15は、それぞれの存在において、それぞれ独立して、-H、アリール、ヘテロアリール、-C
1~C
6アルキル、-C
2~C
6アルケニル又は-C
2~C
6アルキニルであり;
前記記号
【化4】
は、単結合又はシス若しくはトランス二重結合を表し;
nは、0、1、2、3、4、5、6、7又は8であり;
mは、0、1、2又は3であり;
qは、0、1、2、3、4又は5であり;且つ
rは、0、1、2、3、4、5、6、7又は8である)の化合物を含む、請求項38~39のいずれか一項に記載のアセンブリ。
【請求項43】
前記溶媒が、水、エタノール又はその組合せを含む、請求項42に記載のアセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
[0001] 本出願は、その内容及び開示が参照によって本明細書に完全に組み込まれる、2019年6月4日出願の米国仮特許出願第62/857,207号に対する優先権及びそれからの利点を主張する。
【0002】
技術分野
[0002] 本開示は、腐敗速度を低下させ、それらの貯蔵寿命を延長するために、製品、農産品及び他の腐敗性の品目を処理する方法に関するものである。
【背景技術】
【0003】
背景
[0003] 環境に暴露されるとき、植物及び生鮮商品など一般的な農産品は、劣化及び分解(すなわち腐敗)に高度に影響されやすい。農産品の劣化は、例えば、農産品の外部表面からの雰囲気中への蒸発性水分損失の結果としての非生物的な手段、環境から農産品に拡散する酸素による酸化、表面への機械的損傷、及び/又は光誘発劣化(すなわち光分解)によって起こる可能性がある。さらにまた、生物的ストレッサー、例えば、細菌、真菌、ウイルス及び/又は有害生物が農産品に寄生し、分解する可能性がある。
【0004】
[0004] 腐敗に対する自然防御として、全ての陸生植物の空気表面は、クチンとして知られる、薄く高度に架橋したポリエステルによって被覆されている。このクチン層の上に食用コーティングを堆積させることによって、表面摩耗抵抗を助けながら、水分損失及び/又は酸化が減少することが示されている。食用コーティングは、最初に溶媒にコーティングの成分を添加し、混合物(例えば、溶液、懸濁液、コロイド又はエマルジョン)を形成すること、次いで混合物を表面に適用すること、そして最後に溶媒を蒸発させることによって、コーティング成分からコーティングを形成することを可能にすることによって製品上に堆積させることができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
[0005] コーティング成分を含む混合物は、でコーティングされる製品に多数の方法適用可能である。例えば、製品を混合物の浴に浸漬し、その後、それらを除去し、乾燥用ラックに置くことができる。代わりに、混合物で製品を噴霧することが可能であり、同時に完全な被覆を確実にするために、任意選択的に回転することが可能である。コーティングを堆積させるために使用される堆積方法が、商業的な施設で製品を洗浄、処理及び分類するために使用される他のプロセス及び装置と互換性を有しながら、製品の完全な(又はほぼ完全な)被覆をもたらすことが典型的に望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0006】
概要
[0006] それらを劣化及び分解(例えば腐敗)から保護するために、基材(例えば、製品、腐敗性の品目又は他の品目)を処理する方法及びデバイスが本明細書に記載される。この方法は、溶媒中にコーティング剤を含む混合物(例えば、溶液、コロイド、懸濁液又はエマルジョン)から、基材の外側表面上で保護コーティングを形成することを一般に含む。混合物は、約100ミクロン以下の平均直径を有する混合物の液滴から形成される霧を形成すること、そして混合物の一部分が基材の表面の少なくとも一部分上に蓄積するように、霧を基材表面と接触させることによって表面に適用される。次いで、混合物からの溶媒を(例えば蒸発又は強制対流によって)表面から少なくとも部分的に除去し、そして表面上に残るコーティング剤によって保護コーティングが形成される。保護コーティングは、例えば基材を保存するために、そしてそれらを機械的損傷から、又は生物的若しくは非生物的ストレッサー、例えば質量若しくは水分損失、酸化、糸状菌、真菌又は侵襲から保護することにおいて有用であり得る。
【0007】
[0007] したがって、第1の態様において、基材の表面上で保護コーティングを形成する方法は、溶媒中にコーティング剤を含む混合物の液滴を含む霧を形成すること、そして混合物の一部分が基材の表面の少なくとも一部分上で蓄積するように、霧を基材の表面の少なくとも一部分と接触させることを含むことが可能である。この方法は、基材の表面上で混合物からの溶媒を少なくとも部分的に除去することをさらに含み、それによって、基材の表面の少なくとも一部分上でコーティング剤から保護コーティングが形成される。
【0008】
[0008] 第2の態様において、基材の表面上で保護コーティングを形成する方法は、第1の溶媒中で第1のコーティング剤を含む第1の混合物の液滴を含む第1の霧を形成すること、そして第1の混合物の一部分が基材の表面の少なくとも一部分上で蓄積するように、第1の霧を基材の表面と接触させることを含むことが可能である。この方法は、基材の表面上で混合物からの第1の溶媒を少なくとも部分的に除去することをさらに含み、それによって、基材の表面の少なくとも一部分上で第1のコーティング剤から第1の保護コーティングが形成される。この方法は、第2の溶媒中で第2のコーティング剤を含む第2の混合物の液滴を含む第2の霧を形成すること、そして第2の混合物が基材の表面上の第1の保護コーティングの一部分、又は第1の保護コーティングによって不完全にコーティングされた基材の表面の少なくとも一部分の一方又は両方の上で蓄積するように、基材の表面上の第1の保護コーティング、又は第1の保護コーティングによって不完全にコーティングされた基材の表面の一方又は両方と第2の霧を接触させることをさらに含むことが可能である。この方法は、基材の表面上で第2の混合物から第2の溶媒を少なくとも部分的に除去し、それによって、第1の保護コーティングによって不完全にコーティングされた基材の表面、又は基材の表面上の第1の保護コーティングの一方又は両方の少なくとも一部分上に第2のコーティング剤から第2の保護コーティングが形成されることをさらに含むことができる。第1の混合物は第2の混合物と同一であるか、又は異なることが可能である。第1の霧は、第2の霧とほぼ同じ時間量で、又は第2の霧とは異なる時間量で基材に適用されることが可能である。
【0009】
[0009] 第3の態様において、容器中で複数の品目の表面上で保護コーティングを形成する方法は、溶媒中にコーティング剤を含む混合物の液滴を含む霧を発生させることを、容器中の1つ以上の開口部を通して容器に入れることを含み得る。次いで、霧は容器の内部で分散し、複数の品目と接触し、それによって、複数の品目の少なくとも一部分においてコーティング剤から保護コーティングが形成され得る。
【0010】
[0010] 第4の態様において、複数の品目の表面上で保護コーティングを形成する方法は、溶媒中にコーティング剤を含む混合物の液滴を含む霧を筐体中で形成することを含むことが可能である。この方法は、少なくとも部分的に霧が形成した後に、複数の品目を筐体中に移動させ、それによって、混合物の一部分が複数の品目の表面上で蓄積するように、霧を複数の品目と接触させることをさらに含むことができる。この方法は、品目の表面上で混合物から溶媒を少なくとも部分的に除去することも含むことが可能であり、それによって、複数の品目の表面の少なくとも一部分においてコーティング剤から保護コーティングが形成される。
【0011】
[0011] 第5の態様において、収穫前製品の表面上に保護コーティングを形成する方法は、溶媒中にコーティング剤を含む混合物の液滴を含む霧を形成することを含むことが可能である。この方法は、混合物の一部分が、収穫前製品の表面上で蓄積し、それによって、収穫前製品の表面の少なくとも一部分においてコーティング剤から保護コーティングが形成されるように、収穫前製品の外側表面に霧を接触させることをさらに含むことが可能である。さらにまた、収穫前製品の外側表面上での保護コーティングの被覆を改善するために、収穫前製品の周囲で開口部を通して霧が分散する。
【0012】
[0012] 第6の態様において、基材の表面上で保護コーティングを形成する方法は、溶媒中にコーティング剤を含む混合物を加熱して蒸気を形成すること、蒸気を冷却して霧を形成することを含むことが可能である。この方法は、混合物の一部分が基材の表面上で蓄積し、それによって、基材の表面の少なくとも一部分においてコーティング剤から保護コーティングが形成されるように、基材の表面と霧を接触させることをさらに含むことができる。
【0013】
[0013] 第7の態様において、保護コーティングを基材に適用するためのアセンブリは、溶媒中にコーティング剤を含む混合物をその中に有するリザーバーを含むことが可能である。アセンブリは、熱交換器と、混合物を熱交換器に強制的に通過させるために構成されるポンプとをさらに含むことが可能である。熱交換器は、熱交換器に強制的に通過させるため、混合物が蒸気になるために十分高い温度まで加熱されることが可能である。
【0014】
[0014] 単独で、又は互いに組み合わせて、本明細書で記載される方法又はアセンブリのいずれも、以下のステップ又は特徴の1つ以上を含むことができる。基材又は品目は腐敗性であることが可能である。基材又は品目としては、植物、又は製品、例えば収穫前若しくは収穫後製品を挙げることができる。基材又は品目は、混合物の一部分が基材又は品目の表面上に蓄積するように、2分間未満、霧の中に維持されることが可能である。基材又は品目の表面の少なくとも一部分においてコーティング剤から保護コーティングを形成させることには、基材又は品目の表面において混合物から溶媒を少なくとも部分的に除去することを含むことが可能である。溶媒の少なくとも95%を30分後又はそれ未満に蒸発させることができる。基材又は品目においてコーティング剤から保護コーティングを形成させることは、容器中の開口部の少なくとも1つを通しての対流によって基材又は品目を冷却するか、又は乾燥させることを含むことが可能である。霧を形成することは、混合物を加熱して蒸気を形成すること、及び蒸気を冷却して霧を形成することを含むことが可能である。霧の液滴は、約100ミクロン以下の平均直径を有することが可能である。混合物を加熱することは、少なくとも150℃の温度に保持された熱交換器に混合物を通過させることを含むことが可能である。保護コーティングの厚さは、少なくとも0.1ミクロンであることが可能である。保護コーティングは食用であることが可能である。溶媒は、水及び/又はエタノールを含むことが可能である。コーティング剤は、モノマー、オリゴマー、脂肪酸、エステル、アミド、アミン、チオール、カルボン酸、エーテル、脂肪族ワックス、アルコール又は塩を含むことが可能である。コーティング剤は、以下に定義される式Iの化合物を含むことが可能である。アセンブリはノズルをさらに含むことが可能であり、そして任意選択的にアセンブリは、蒸気がノズルを出ると霧になり、そして霧の液滴がコーティング剤及び溶媒を含むことが可能であるように構成されることが可能である。
【0015】
[0015] 本明細書で使用される場合、「基材」は、その表面上で保護コーティングが形成される、いずれの物体又は材料も意味する。多くの用途においてコーティングが基材の全外側表面上で形成されているが、いくつかの用途においては、コーティングは全外側表面を被覆しなくてもよく、又は基材の外側表面の一部分を暴露する孔又は多孔性領域を含んでもよい。
【0016】
[0016] 本明細書で使用される場合、「カチオン部分」は、いずれの有機又は無機の正に帯電したイオンでもある。
【0017】
[0017] 全体で以下の略語が使用される。ヘキサデカン酸(すなわち、パルミチン酸)は「PA」と略される。オクタデカン酸(すなわち、ステアリン酸)「SA」と略される。テトラデカン酸(すなわち、ミリスチン酸)は「MA」と略される。(9Z)-オクタデセン酸(すなわち、オレイン酸)は「OA」と略される。ドデカン酸(例えば、ラウリン酸)は「LA」と略される。ウンデカン酸(例えば、ウンデシル酸)は「UA」と略される。デカン酸(例えば、カプリン酸)は「CA」と略される。1,3-ジヒドロキシプロパン-2-イルパルミテート(すなわち、2-グリセロパルミテート)は「PA-2G」と略される。1,3-ジヒドロキシプロパン-2-イルオクタデカノエート(すなわち、2-グリセロステアレート)は「SA-2G」と略される。1,3ジヒドロキシプロパン-2-イルテトラデカン酸(すなわち、2-グリセロミリステート)は「MA-2G」と略される。1,3-ジヒドロキシプロパン-2-イル(9Z)-オクタデセノエート(すなわち、2-グリセロオレエート)は「OA-2G」と略される。2,3-ジヒドロキシプロパン-1-イルパルミテート(すなわち、1-グリセロパルミテート)は「PA-1G」と略される。2,3-ジヒドロキシプロパン-1-イルオクタデカノエート(すなわち、1-グリセロステアレート)は「SA-1G」と略される。2,3-ジヒドロキシプロパン-1-イルテトラデカノエート(すなわち、1-グリセロミリステート)は「MA-1G」と略される。2,3-ジヒドロキシプロパン-1-イル(9Z)-オクタデセノエート(すなわち、1-グリセロオレエート)は「OA-1G」と略される。2,3-ジヒドロキシプロパン-1-イルドデカノエート(すなわち、1-グリセロラウレート)は「LA-1G」と略される。2,3-ジヒドロキシプロパン-1-イルウンデカノエート(すなわち、1-グリセロウンデカノエート)は「UA-1G」と略される。2,3-ジヒドロキシプロパン-1-イルデカノエート(すなわち、1-グリセロカプレート)は「CA-1G」と略される。ステアリン酸のナトリウム塩は「SA-Na」と略される。ミリスチン酸のナトリウム塩は「MA-Na」と略される。パルミチン酸のナトリウム塩は「PA-Na」と略される。ステアリン酸のカリウム塩は「SA-K」と略される。ミリスチン酸のカリウム塩は「MA-K」と略される。パルミチン酸のカリウム塩は「PA-K」と略される。ステアリン酸のカルシウム塩は「SA-Ca」と略される。ミリスチン酸のカルシウム塩は「MA-Ca」と略される。パルミチン酸のカルシウム塩は「PA-Ca」と略される。ステアリン酸のマグネシウム塩は「SA-Mg」と略される。ミリスチン酸のマグネシウム塩は「MA-Mg」と略される。パルミチン酸のマグネシウム塩は「PA-Mg」と略される。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図面の簡単な説明
【
図1】[0018]
図1は、霧を発生させる噴霧器の概略図であり、霧は基材に適用される。
【
図2】[0019]
図2は、基材の表面上に保護コーティングを形成する方法を示す。
【
図3】[0020]
図3は、容器中で複数の品目の表面上に保護コーティングを形成する方法を示す。
【
図4】[0021]
図4は、複数の品目の表面上に保護コーティングを形成する別の方法を示す。
【
図5】[0022]
図5は、収穫前の製品の表面上に保護コーティングを形成する方法を示す。
【
図6】[0023]
図6は、容器中で霧をアボカドに適用するように構成された噴霧器の写真である。
【
図7】[0024]
図7は、本明細書に記載の噴霧によってコーティングされる製品又は他の基材を満たすことが可能であるチャンバーの写真である。
【
図8】[0025]
図8は、本明細書に記載の噴霧によってコーティングされ、次いで周囲条件中で貯蔵されたイチゴの質量損失率のプロットである。
【
図9】[0026]
図9は、本明細書に記載の噴霧によってコーティングされ、次いで冷蔵条件中で貯蔵されたイチゴの質量損失率のプロットである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
[0027] 図中の類似の数字は、類似の素子を表す。
【0020】
詳細な説明
[0028] 保護コーティングは、品目を機械的損傷、劣化、分解、腐敗から保護するため、そして品目の内外への水分及びガス移動に対するバリアとして、様々な用途において使用可能である。収穫後の製品などの腐敗性の品目の場合、品目からの水分損失速度及び品目への酸素拡散速度を減少させることによって貯蔵寿命を増加させるために食用コーティングが使用されてきた。最初にコーティングの成分(本明細書中、「コーティング剤」)を溶媒に添加して、混合物(例えば、溶液、懸濁液、コロイド又はエマルジョン)を形成し、次いで混合物を品目の表面に適用し、最後に(例えば、蒸発又は強制対流によって)溶媒を除去し、それによって、品目の表面上でコーティング剤からコーティングを形成することによって、コーティングを品目の表面上に堆積することが可能である。
【0021】
[0029] 本明細書中、コーティングされた基材の被覆を増加させることが可能であり、溶媒への暴露過度によって引き起こされる可能性のある損傷を回避し、且つ製品などの品目が流通のために包装される多数の構成と互換性を有する保護コーティングを堆積させるためのプロセスが記載される。各プロセスにおいて、霧は、溶媒中にコーティング剤を含む混合物から形成され、そして霧の液滴は1つ以上の基材の表面に適用される。本明細書で使用される場合、「霧」は、約150ミクロン未満の平均直径を有する液滴の集合を意味する。特に霧の液滴は雰囲気中で有効に懸濁し、重力の影響を受けて地面の方へ定着するにはかなりの時間を要するように、十分に小さくてよい。重力が液滴を地面に引き寄せる前に、霧の液滴は、小さい又は狭い開口部を通して拡散することが可能であり、それによって、従来のスプレーコーティング方法と比較して、改善された表面被覆をもたらすことが可能である。例えば、複数の基材を含む容器中に適用される霧は、開口部を通して基材の間で拡散することが可能であり、そして最終的に、従来のスプレーでは典型的に接近不可能であった基材表面上に定着することが可能である。
【0022】
[0030] 本明細書で記載される霧のいずれも、湿霧又は乾霧として形成されることが可能である。湿霧は、乾霧より大きい液滴から形成される。例えば、湿霧は約25~100ミクロン(いくつかの実施形態においては約30ミクロン)の平均直径を有する液滴を典型的に含み得るが、乾霧は約5~20ミクロン(いくつかの実施形態においては約10ミクロン)の平均直径を有する液滴を典型的に含み得る。場合によっては、霧が乾霧であるか、又は少なくとも5ミクロン、少なくとも10ミクロン、少なくとも15ミクロン若しくは少なくとも20ミクロンの平均直径を有する液滴から形成されることが好ましくなり得る。乾霧が使用される場合、及び/又は液滴が非常に小さい場合、場合によっては、基材表面の十分な被覆を達成するために必要とされる時間は長くなる可能性がある。霧の液滴が十分に大きい場合、及び/又は霧が十分に高密度である場合、基材の十分な被覆は、基材が3分間未満、2分間未満、90秒間未満、75秒間未満、1分間未満、50秒間未満、40秒間未満又は30秒間未満で霧の中に維持される場合に達成可能である。
【0023】
[0031] 本明細書に記載される混合物(例えば、溶媒中にコーティング剤を含む溶液、懸濁液、コロイド又はエマルジョン)から形成されるいずれの霧(湿霧及び乾霧)も、以下の熱噴方法によって形成されることが可能である。流体タンク内に含まれる混合物を、ポンプ、例えば高圧ポンプで高温熱交換器中に強制的に通過させ、混合物を蒸発させる。熱交換器は、少なくとも150℃、少なくとも200の℃、少なくとも250の℃又は少なくとも300℃の温度に保持されることが可能である。次いで、この蒸気を雰囲気中に排出させる。蒸気が比較的より冷たい雰囲気と接触し、膨張し始めると、それは霧を構成する小さい液滴へと凝縮する。限定されないが、超音波噴霧、又は回転アトマイザー若しくはパルスジェット熱噴霧器の使用を含む、当業者が認識可能な他の熱的及び非熱方法を使用して、霧を形成することも可能である。
【0024】
[0032]
図1は、本明細書のいずれかの霧を発生する噴霧器100、次いで基材の表面上に保護コーティングを形成するために基材110に適用される霧の概略図を示す。噴霧器100は、霧が形成される流体(例えば、コーティング剤及び溶媒混合物)を含むリザーバー102を含む。ポンプ112によって流体が熱交換器104中を強制通過し、そこで流体は十分高い温度まで加熱されて蒸発する。次いで、ノズル106を通して蒸気が雰囲気中に排出され、そこで蒸気は凝縮し、霧108になる。次いで、(例えば基材110を直接噴霧することによって、又は最初に霧108を形成して、次いで基材110を霧108中に配置することによって)霧108を基材110の表面に向け、そこで霧は拡散し、最終的に基材110の表面上に定着する(例えば蓄積する)。いくつかの実施において、基材110と霧108との間の温度差によって、霧の液滴は基材110の表面に蓄積及び/又は付着する。基材110の表面の十分な被覆が達成されたら(当業者によって容易に決定される特徴)、基材を霧から取り出し、そして例えば蒸発及び/又は強制対流によって、基材110の表面上にある混合物からの溶媒を少なくとも部分的に除去する。コーティング剤は基材110の表面上に残り、保護コーティングを形成する。
【0025】
[0033]
図2は、基材の表面上に保護コーティングを形成する方法200を示す。最初に溶媒中にコーティング剤を含む混合物(例えば、溶液、懸濁液、エマルジョン又はコロイド)から霧が形成される(ステップ202)。霧は、例えば、本明細書に記載のいずれかの噴霧方法によって形成可能である。次に、基材を霧の中に配置し、そして混合物の一部分が基材の表面上に蓄積するように、霧を基材の表面と接触させる(ステップ204)。場合によっては、霧の中に基材を配置することは、基材を適所に保持し、そして霧が基材と接触させるようにすることを含む。その他の場合、霧の中に基材を配置することは、霧を形成すること、次に霧の中に基材を移動させることを含む。最終的に、混合物による基材の表面の十分な被覆が達成された後、溶媒は、基材の表面において混合物から少なくとも部分的に除去され、それによって、表面の少なくとも大多数においてコーティング剤から保護コーティングが形成される(ステップ206)。例えば、溶媒を蒸発させること(そして任意選択的に蒸発を促進するために基材を同時に加熱すること)によって、(例えば基材上へ空気又は窒素又は別のガスを吹きつけることによる)強制対流、又はその組合せによって、溶媒の除去(又は部分的な除去)を達成することができる。
【0026】
[0034]
図2の方法200によって、混合物を基材の表面に適用して、保護コーティングを形成するために使用される他の技術以上の以下の利点の1つ以上を提供することができる。(i)基材(又は基材を保持する容器)は、(典型的にディップコーティングに必要とされるような)混合物の適用の間に手動で取り扱われる必要がない。(ii)溶媒への基材の曝露が減少することによって、溶媒によって基材に引き起こされ得る損傷又は劣化の減少をもたらすことが可能である。(iii)場合によっては、従来のスプレーコーティングと比較して、特に不規則な形状の表面を有する基材に関して、液滴による表面の被覆の改善及び/又は複雑な被覆を達成することができる。(iv)場合によっては、従来のスプレーコーティングの場合に必要とされ得る適用の間に回転又は他の様式での移動を必要とせずに基材の全表面を処理することができる。(v)多くの場合、混合物が噴霧によって適用される場合、他の適用技術と比較して、基材を実質的により速く乾燥させることができる(そして溶媒は少なくとも部分的に除去される)。例えば、溶媒の少なくとも90%(例えば少なくとも95%)を、30分以内、25分以内、20分以内、15分以内、10分以内、5分以内、3分以内又は1分以内で表面から除去することが可能である。
【0027】
[0035] 品目及び基材上に保護コーティングを形成するための本明細書に記載の噴霧方法は、容器中の複数の基材(例えば、リーファー若しくは他の輸送容器中の製品、変性雰囲気パッケージに含まれる製品、又は輸送用の箱若しくは他の容器中に包装される製品)にコーティングを適用するために有用となり、且つ有利となる可能性がある。例えば、コーティング混合物を品目に適用するために容器から品目を取り除くのではなく、混合物の液滴を含む霧を、例えば容器の開口部を通して容器中に向けることができる。次いで、隣接する基材の間で開口部を通して霧は拡散し、容器中の基材の暴露表面の大多数と接触する。
【0028】
[0036] 上記を考慮して、容器中で複数の品目上に保護コーティングを形成する方法300は
図3に示される。最初に未コーティングの品目を容器中に配置するか、又は受け取る(ステップ302)。次に、本明細書に記載されるいずれかの混合物の液滴を含む霧を、容器の1つ以上の開口部を通して方向づける(ステップ304)。次いで、混合物の一部分が品目の表面において蓄積するように、容器の内部に霧を分散させて、容器中の品目と接触させる(ステップ306)。本開示の他の方法によると、次いで、溶媒を品目の表面において少なくとも部分的に混合物から除去することができ、そしてコーティングは、品目の少なくとも大多数の表面において混合物中のコーティング剤から形成されることが可能である。任意選択的に、(例えば、開口部の1つ以上を通して空気、窒素又は別のガスに吹きつけることによって)容器中の1つ以上の開口部を通して対流によって品目を冷却又は乾燥させることができる。
【0029】
[0037] いくつかの実施において、本明細書に記載の1つ以上の霧は筐体中で形成され、次いで、コーティングされる1つ以上の品目を筐体中に通過させ、それによって、それらが筐体を通過すると、霧の液滴によって品目の表面を少なくとも部分的に被覆することができる。例えば、霧の液滴が品目の表面に適用されるように、霧が形成される包囲された領域中にコンベアシステム上(又はコンベアシステムによって移動する木枠中)の品目を通過させることができる。
【0030】
[0038] 上記を考慮して、複数の品目上に保護コーティングを形成する別の方法400が
図4に示される。最初に、筐体中で、溶媒中にコーティング剤を含む混合物から霧を形成する(ステップ402)。霧を少なくとも部分的に形成した後、未コーティング品目を筐体中に移動させ、そして品目の十分な表面被覆が達成されるまで、混合物の少なくとも一部分が品目の表面において蓄積するように、霧を品目と接触させる(ステップ404)。次いで、混合物からの溶媒を品目の表面から少なくとも部分的に除去し、それによって、品目の表面上に保護コーティングを形成する(ステップ406)。
【0031】
[0039] いくつかの実施形態において、溶媒の少なくとも10質量%、例えば15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%又は100質量%は、品目及び/又は基材の表面から除去される。除去された溶媒の質量パーセントは、当業者に知られる方法を使用して容易に決定することができる。例えば、除去される溶媒の質量パーセントは、次の方程式によって決定することができる。
【数1】
式中、M
xは時間xにおける基材の質量であり、M
uは未コーティング基材の質量であり、そしてM
cは、それがコーティングされた直後のコーティングされた基材の質量である。さらに例えば、溶媒に起因するスペクトルのピーク、例えば水又はアルコールのピーク特徴であるOH伸縮が経時的に監視される赤外線分光学などの視覚による技術を使用して、基材の表面から除去された溶媒のパーセントを代替的に監視することができる。
【0032】
[0040] 本明細書に記載の噴霧方法は、霧が収穫前の製品の周囲で開口部を通して分散して、収穫前の製品の外側表面上の保護コーティングの被覆を改善することが可能であるため、収穫前の製品の表面上で保護コーティングを形成するためにも有利となることが可能である。収穫前の製品上に保護コーティングを形成する方法は、
図5に示される。最初に、溶媒中にコーティング剤を含む混合物の液滴を含む霧が形成される(ステップ502)。次いで、霧の中の混合物の液滴が収穫前の製品の外側表面と接触し、混合物の一部分が収穫前の製品の表面において蓄積するように、霧を収穫前の製品を含む1つ以上の植物に方向づける(ステップ504)。霧は製品の周囲で開口部を通して拡散することが可能であり、それによって、霧の液滴中の混合物によって製品の被覆が改善される。最終的に、保護コーティングが収穫前の製品の表面の少なくとも一部分においてコーティング剤から形成されるように、(例えば溶媒を蒸発させることによって)混合物からの溶媒は製品から少なくとも部分的に除去される(ステップ506)。
【0033】
[0041] 本明細書に記載の噴霧方法を使用して保護コーティングが適用された後、収穫前の製品を収穫することができる。製品が収穫されたら、必要に応じて、本明細書に記載の噴霧方法を使用して、又はコーティング剤を含む混合物の、より従来のスプレー、ミスト若しくはブラシ適用によって、又は本明細書に記載のコーティング剤を含む混合物中に基材を浸漬することによって、第2の保護コーティングを製品の表面に適用することができる。混合物からの溶媒の少なくとも一部分をその後除去することによって、収穫された製品の表面の少なくとも一部分上で(又はその収穫前コーティングの表面上で)、第2の保護コーティングがコーティング剤から形成される。
【0034】
[0042]
図2~5に示されるもの、及び上記されるものを含む、コーティングを形成するための本明細書に記載される噴霧方法のいずれに関しても、複数の噴霧層(すなわち、品目を連続して噴霧し、乾燥させることによって形成される複数のコーティング層)を、コーティングされる品目に適用することができる。例えば、第1の混合物の第1の液滴を含む第1の霧を形成することができる。第1の混合物は、第1の溶媒中に第1のコーティング剤を含み、そして第1の液滴を品目の表面に向けることが可能である。次いで、(例えば蒸発によって)第1の溶媒を表面から少なくとも部分的に除去し、品目の表面上に第1のコーティング剤からコーティングの第1の層を形成することができる。次いで、基材を二度目に噴霧することが可能であり、その後、乾燥させて、基材の表面上(又はその第1のコーティング上で)保護コーティングの第2の層を形成することができる。コーティングの第2の層を形成するために使用される混合物は、第1の層を形成するために使用される第1の混合物と同一であっても、又は異なってもよい。第1の霧中での品目の滞留時間は、第2の霧中での品目の滞留時間と同一であっても、又は異なってもよい。追加的な層(例えば、第3の層、第4の層など)のために、このプロセスをさらに繰り返すことができる。
【0035】
[0043] 本明細書に記載の噴霧方法は、基材の表面上でコーティングを形成するための他の方法と組み合わせることもできる。例えば、本開示による保護コーティングのベース層は、本明細書に記載の噴霧方法を使用して適用することができる。次いで、本明細書に記載の噴霧方法を使用して、又は基材の表面における本明細書に記載のコーティング剤を含む混合物のスプレー、ミスト若しくはブラシ適用、又はコーティング剤を含む混合物中に基材を浸漬することを含むがこれらに限定されないより伝統的な方法によって、保護コーティングの追加的な層を基材の表面に適用することができる。或いは、本明細書に記載の噴霧方法を使用して、すでに基材の表面上に存在する、好ましくは本開示の噴霧方法によって適用された保護コーティングを強化してもよい。例えば、本明細書に記載の保護コーティングを有する基材は、本開示の噴霧方法を使用して、本明細書に記載のコーティング混合物で2回目又はその後の処置を受けることができる。例えば、本明細書に記載の噴霧方法は、以前に基材に適用されたが、経時的に摩耗及び断裂を経験し始めたコーティングを強化して、それによって保護コーティングの有益な効果を延長するために機能することができる。
【0036】
[0044] 本明細書に記載の霧のいずれの液滴も、例えば、100ミクロン未満、95ミクロン未満、90ミクロン未満、85ミクロン未満、80ミクロン未満、75ミクロン未満、70ミクロン未満、65ミクロン未満、60ミクロン未満、55ミクロン未満、50ミクロン未満、45ミクロン未満、40ミクロン未満、35ミクロン未満、30ミクロン未満、25ミクロン未満、20ミクロン未満、15ミクロン未満、10ミクロン未満、5ミクロン未満、1~100ミクロン、1~95ミクロン、1~90ミクロン、1~85ミクロン、1~80ミクロン、1~75ミクロン、1~70ミクロン、1~65ミクロン、1~60ミクロン、1~55ミクロン、1~50ミクロン、1~45ミクロン、1~40ミクロン、1~35ミクロン、1~30ミクロン、1~25ミクロン、1~20ミクロン、1~15ミクロン、1~10ミクロン、1~5ミクロン、5~100ミクロン、5~95ミクロン、5~90ミクロン、5~85ミクロン、5~80ミクロン、5~75ミクロン、5~70ミクロン、5~65ミクロン、5~60ミクロン、5~55ミクロン、5~50ミクロン、5~45ミクロン、5~40ミクロン、5~35ミクロン、5~30ミクロン、5~25ミクロン、5~20ミクロン、5~15ミクロン、5~10ミクロン、25~100ミクロン、25~95ミクロン、25~90ミクロン、25~85ミクロン、25~80ミクロン、25~75ミクロン、25~70ミクロン、25~65ミクロン、25~60ミクロン、25~55ミクロン、25~50ミクロン、25~45ミクロン又は25~40ミクロンの平均直径を有することが可能である。
【0037】
[0045] いくつかの実施形態において、本明細書に記載の方法を使用して、1つ以上の基材の表面を本開示による霧と接触させることによって、1つ以上の基材の表面の50~100%を被覆する保護コーティングが得られる。例えば、いくつかの実施形態において、本明細書に記載の保護コーティングは、基材の表面の50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%を被覆する。
【0038】
[0046] コーティング剤は、上記の方法によって基材の表面の少なくとも一部分において保護コーティングを形成することができる化合物のいずれの化合物又は組合せでもあることが可能である。得られるコーティングが、少なくともある程度は基材を生物的及び/又は非生物的ストレッサーから保護するように、コーティング剤を配合することができる。例えば、コーティングは酸素及び/又は水の移動を防止又は抑制することができ、それによって、蒸発/浸透/蒸発による酸化及び/又は水分の損失から、少なくともある程度は基材を防ぐことができる。得られるコーティングが、少なくともある程度はCO2、エチレン及び/又は他のガスの移動に対するバリアを提供するように、コーティング剤を追加的に又は代わりに配合することができる。基材が腐敗性であり及び/又は食用である場合、例えば、基材が植物、農産物又は製品の一部である場合、コーティング剤は、好ましくは消費しても安全であり、無味である非毒性化合物から構成される。例えば、コーティング剤は、その脂肪酸及び/又は塩若しくはエステルから形成されることが可能であるか、又はそれを含むことが可能である。脂肪酸エステルは、例えば、エチルエステル、メチルエステル又はグリセリルエステル(例えば、1-グリセリル若しくは2-グリセリルエステル)であることが可能である。
【0039】
[0047] 本明細書に記載のいずれの混合物中のコーティング剤は、例えば、その脂肪酸及び/又は塩若しくはエステルを含むことができる。いくつかの実施において、コーティング剤は、モノアシルグリセリド(例えば、1-モノアシルグリセリド又は2-モノアシルグリセリド)を含む。いくつかの実施形態において、コーティング剤は、モノマー、オリゴマー、脂肪酸、エステル、アミド、アミン、チオール、カルボン酸、エーテル、脂肪族ワックス、アルコール又は塩(有機若しくは無機塩)の少なくとも1つを含む。モノマー、オリゴマー、脂肪酸、エステル、アミド、アミン、チオール、カルボン酸、エーテル、脂肪族ワックス、アルコール、塩又はその組合せは、例えば、クチンなどの植物物質から誘導されることが可能である。
【0040】
[0048] 脂肪酸(例えば、パルミチン酸、ステアリン酸、ミリスチン酸及び/又は他の脂肪酸)及び/又はそのエステル若しくは塩を含むコーティング剤は、ヒトが消費しても安全であることが可能であり、そして様々な製品における質量損失及び酸化を減少することにおいて有効であるコーティングを形成するためのコーティング剤として使用することが可能である。例えば、パルミチン酸、ミリスチン酸、ステアリン酸、パルミチン酸の1-グリセリルエステル(すなわち、2,3-ジヒドロキシプロパン-1-イルパルミテート、本明細書中では「PA-1G」)、パルミチン酸の2-グリセリルエステル(すなわち、1,3-ジヒドロキシプロパン-2-イルパルミテート、本明細書中では「PA-2G」)、ミリスチン酸の1-グリセリルエステル(すなわち、2,3-ジヒドロキシプロパン-1-イルテトラデカノエート、本明細書中では「MA-1G」)、ステアリン酸の1-グリセリルエステル(すなわち、2,3-ジヒドロキシプロパン-1-イルオクタデセノエート、本明細書中では「SA-1G」)及び/又は他の脂肪酸又はその塩若しくはエステルの種々の組合せを含むコーティング剤から形成されるコーティングは、多くの種類の製品、例えばフィンガーライム、アボカド、ブルーベリー及びレモンにおける質量損失率を減少することにおいて有効であることが示された。本明細書のいずれのコーティング剤も、上記の化合物のいずれかを含むことができる。
【0041】
[0049] いくつかの実施において、コーティング剤は、式I:
【化1】
(式中、
Rは-H、-グリセリル、-C
1~C
6アルキル、-C
2~C
6アルケニル、-C
2~C
6アルキニル、-C
3~C
7シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール又はカチオン部分から選択され、各アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリール又はヘテロアリールは、ハロゲン(例えば、Cl、Br又はI)、ヒドロキシル、ニトロ、-CN、-NH
2、-SH、-SR
15、-OR
14、-NR
14R
15、C
1~C
6アルキル、C
2~C
6アルケニル若しくはC
2~C
6アルキニルから選択される1つ以上の基によって任意選択的に置換され;
R
1、R
2、R
5、R
6、R
9、R
10、R
11、R
12及びR
13は、それぞれの存在において、それぞれ独立して、-H、-(C=O)R
14、-(C=O)H、-(C=O)OH、-(C=O)OR
14、-(C=O)-O-(C=O)R
14、-O(C=O)R
14、-OR
14、-NR
14R
15、-SR
14、ハロゲン、-C
1~C
6アルキル、-C
2~C
6アルケニル、-C
2~C
6アルキニル、-C
3~C
7シクロアルキル、アリール又はヘテロアリールであり、各アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリール又はヘテロアリールは、1つ以上の-OR
14、-NR
14R
15、-SR
14又はハロゲンによって任意選択的に置換され;
R
3、R
4、R
7及びR
8は、それぞれの存在において、それぞれ独立して、-H、-OR
14、-NR
14R
15、-SR
14、ハロゲン、-C
1~C
6アルキル、-C
2~C
6アルケニル、-C
2~C
6アルキニル、-C
3~C
7シクロアルキル、アリール又はヘテロアリールであり、各アルキル、アルキニル、シクロアルキル、アリール又はヘテロアリールは、-OR
14、-NR
14R
15、-SR
14又はハロゲンによって任意選択的に置換されるか;或いは
R
3及びR
4は、それらが結合している炭素原子と組み合わせられて、C
3~C
6シクロアルキル、C
4~C
6シクロアルケニル又は3員~6員環複素環を形成することが可能であり;及び/又は
R
7及びR
8は、それらが結合している炭素原子と組み合わせられて、C
3~C
6シクロアルキル、C
4~C
6シクロアルケニル又は3員~6員環複素環を形成することが可能であり;
R
14及びR
15は、それぞれの存在において、それぞれ独立して、-H、アリール、ヘテロアリール、-C
1~C
6アルキル、-C
2~C
6アルケニル又は-C
2~C
6アルキニルであり;
記号
【化2】
は、単結合又はシス若しくはトランス二重結合を表し;
nは、0、1、2、3、4、5、6、7又は8であり;
mは、0、1、2又は3であり;
qは、0、1、2、3、4又は5であり;且つ
rは、0、1、2、3、4、5、6、7又は8である)の1つ以上の化合物を含む。
【0042】
[0050] いくつかの実施形態において、Rは、-H、-CH3又は-CH2CH3から選択される。いくつかの実施形態において、Rは、-H、-グリセリル、-C1~C6アルキル、-C2~C6アルケニル、-C2~C6アルキニル、-C3~C7シクロアルキル、アリール又はヘテロアリールから選択され、各アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリール又はヘテロアリールは、1つ以上のC1~C6アルキル又はヒドロキシルによって任意選択的に置換される。いくつかの実施形態において、Rはカチオン部分である。式Iの化合物は、塩(例えば、Rはカチオン部分である場合)、例えば、SA-Na、PA-Na又はMA-Naなどのナトリウム塩、SA-K、PA-K、又はMA-Kなどのカリウム塩、SA-Ca、PA-Ca又はMA-Caなどのカルシウム塩、或いはSA-Mg、PA-Mg又はMA-Mgなどのマグネシウム塩を含むことができる。
【0043】
[0051] いくつかの実施形態において、コーティング剤としては、モノアシルグリセリド(例えば、1-モノアシルグリセリド又は2-モノアシルグリセリド)が挙げられる。1-モノアシルグリセリド及び2-モノアシルグリセリドの間の差異は、グリセリルエステルの結合点である。したがって、いくつかの実施形態において、コーティング剤は、式I-A:
【化3】
(式中、
各R
aは、独立して、-H又は-C
1~C
6アルキルであり;
各R
bは、-H、-C
1~C
6アルキル又は-OHから独立して選択され;
R
1、R
2、R
5、R
6、R
9、R
10、R
11、R
12及びR
13は、それぞれの存在において、それぞれ独立して、-H、-(C=O)R
14、-(C=O)H、-(C=O)OH、-(C=O)OR
14、-(C=O)-O-(C=O)R
14、-O(C=O)R
14、-OR
14、-NR
14R
15、-SR
14、ハロゲン、-C
1~C
6アルキル、-C
2~C
6アルケニル、-C
2~C
6アルキニル、-C
3~C
7シクロアルキル、アリール又はヘテロアリールであり、各アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリール又はヘテロアリールは、1つ以上の-OR
14、-NR
14R
15、-SR
14又はハロゲンによって任意選択的に置換され;
R
3、R
4、R
7及びR
8は、それぞれの存在において、それぞれ独立して、-H、-OR
14、-NR
14R
15、-SR
14、ハロゲン、-C
1~C
6アルキル、-C
2~C
6アルケニル、-C
2~C
6アルキニル、-C
3~C
7シクロアルキル、アリール又はヘテロアリールであり、各アルキル、アルキニル、シクロアルキル、アリール又はヘテロアリールは、-OR
14、-NR
14R
15、-SR
14又はハロゲンによって任意選択的に置換されるか;或いは
R
3及びR
4は、それらが結合している炭素原子と組み合わせられて、C
3~C
6シクロアルキル、C
4~C
6シクロアルケニル又は3員~6員環複素環を形成することが可能であり;及び/又は
R
7及びR
8は、それらが結合している炭素原子と組み合わせられて、C
3~C
6シクロアルキル、C
4~C
6シクロアルケニル又は3員~6員環複素環を形成することが可能であり;
R
14及びR
15は、それぞれの存在において、それぞれ独立して、-H、アリール、ヘテロアリール、-C
1~C
6アルキル、-C
2~C
6アルケニル又は-C
2~C
6アルキニルであり;
記号
【化4】
は、単結合又はシス若しくはトランス二重結合を表し;
nは、0、1、2、3、4、5、6、7又は8であり;
mは、0、1、2又は3であり;
qは、0、1、2、3、4又は5であり;且つ
rは、0、1、2、3、4、5、6、7又は8である)の化合物(例えば、2-モノアシルグリセリド)を含む。
【0044】
[0052] いくつかの実施形態において、コーティング剤は、式I-B:
【化5】
(式中、
各R
aは、独立して、-H又は-C
1~C
6アルキルであり;
各R
bは、-H、-C
1~C
6アルキル又は-OHから独立して選択され;
R
1、R
2、R
5、R
6、R
9、R
10、R
11、R
12及びR
13は、それぞれの存在において、それぞれ独立して、-H、-(C=O)R
14、-(C=O)H、-(C=O)OH、-(C=O)OR
14、-(C=O)-O-(C=O)R
14、-O(C=O)R
14、-OR
14、-NR
14R
15、-SR
14、ハロゲン、-C
1~C
6アルキル、-C
2~C
6アルケニル、-C
2~C
6アルキニル、-C
3~C
7シクロアルキル、アリール又はヘテロアリールであり、各アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリール又はヘテロアリールは、1つ以上の-OR
14、-NR
14R
15、-SR
14又はハロゲンによって任意選択的に置換され;
R
3、R
4、R
7及びR
8は、それぞれの存在において、それぞれ独立して、-H、-OR
14、-NR
14R
15、-SR
14、ハロゲン、-C
1~C
6アルキル、-C
2~C
6アルケニル、-C
2~C
6アルキニル、-C
3~C
7シクロアルキル、アリール又はヘテロアリールであり、各アルキル、アルキニル、シクロアルキル、アリール又はヘテロアリールは、1つ以上の-OR
14、-NR
14R
15、-SR
14又はハロゲンによって任意選択的に置換されるか;或いは
R
3及びR
4は、それらが結合している炭素原子と組み合わせられて、C
3~C
6シクロアルキル、C
4~C
6シクロアルケニル又は3員~6員環複素環を形成することが可能であり;及び/又は
R
7及びR
8は、それらが結合している炭素原子と組み合わせられて、C
3~C
6シクロアルキル、C
4~C
6シクロアルケニル又は3員~6員環複素環を形成することが可能であり;
R
14及びR
15は、それぞれの存在において、それぞれ独立して、-H、アリール、ヘテロアリール、-C
1~C
6アルキル、-C
2~C
6アルケニル又は-C
2~C
6アルキニルであり;
記号
【化6】
は、単結合又はシス若しくはトランス二重結合を表し;
nは、0、1、2、3、4、5、6、7又は8であり;
mは、0、1、2又は3であり;
qは、0、1、2、3、4又は5であり;且つ
rは、0、1、2、3、4、5、6、7又は8である)の化合物(例えば、1-モノアシルグリセリド)を含む。
【0045】
[0053] 本明細書の混合物中で使用されるいずれのコーティング剤も、以下の脂肪酸化合物の1つ以上を含むことができる。
【化7】
【化8】
【化9】
【化10】
【0046】
[0054] 本明細書の混合物中で使用されるいずれのコーティング剤も、以下の脂肪酸メチルエステル化合物の1つ以上を含むことができる。
【化11】
【化12】
【化13】
【化14】
【0047】
[0055] 本明細書の混合物中で使用されるいずれのコーティング剤も、以下の脂肪酸エチルエステル化合物の1つ以上を含むことができる。
【化15】
【化16】
【化17】
【化18】
【化19】
【0048】
[0056] 本明細書の混合物中で使用されるいずれのコーティング剤も、以下の脂肪酸2-グリセリルエステル化合物の1つ以上を含むことができる。
【化20】
【化21】
【化22】
【化23】
【化24】
【0049】
[0057] 本明細書の混合物中で使用されるいずれのコーティング剤も、以下の脂肪酸1-グリセリルエステル化合物の1つ以上を含むことができる。
【化25】
【化26】
【化27】
【化28】
【化29】
【化30】
【化31】
【0050】
[0058] 本明細書のコーティング剤は、以下の脂肪酸塩の1つ以上を含むことができる。Xはカチオン対イオンであり、nはカチオン対イオンの電荷状態(すなわち、プロトン等価電荷数)を表す。
【化32】
【化33】
【化34】
【化35】
【化36】
(式中、いくつかの実施形態において、nは1、2又は3である)
【0051】
[0059] 混合物(例えば、溶液、懸濁液、エマルジョン又はコロイド)を形成するためにコーティング剤が添加される溶媒は、そのいずれかの組合せを含む、極性、無極性、プロトン性又は非プロトン性溶媒のいずれでもあることが可能である。使用可能な溶媒の例としては、水、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、アセトン、酢酸エチル、クロロホルム、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、メチルtert-ブチルエーテル、アルコール、他のいずれの適切な溶媒又はその組合せを挙げることができる。得られる混合物は、農産品などの腐敗性の品目上にコーティングを形成するために適切になることが可能である。使用される溶媒次第で、溶媒のコーティング剤の溶解度限度は、特定の適用に関して望ましいものよりも低くなり得る。例えば、式Iの化合物がコーティング剤として使用され、そして溶媒が水である(又は主に水である)場合、コーティング剤の溶解度限度は比較的低くなり得る。これらの場合、溶媒にコーティング剤の所望の濃度を添加し、懸濁液又はコロイドを形成することは、まだ可能性があり得る。
【0052】
[0060] 上記の多数の溶媒(特に水及びエタノール)は、多くの場合、製品又は他の農産品などの食用製品に適用される混合物中で安全に、且つ有効に使用されることが可能であるが、水、又は少なくとも約40体積%(多くの場合、より高い体積%)の水である別の溶媒を使用することは有利となる可能性がある。これは水が他の適切な溶媒より典型的に安価であり、そしてより高い揮発性及び/又はより低い発火点を有する溶媒(例えば、アセトン又はイソプロパノール若しくはエタノールなどのアルコール)よりも安全に機能することが可能でもあるためである。したがって、本明細書に記載のいずれの混合物に関しても、溶媒又は混合物は、質量又は体積で、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%又は少なくとも約99%が水であることが可能である。いくつかの実施において、溶媒は水及びエタノールの組合せを含み、そして任意選択的に、体積で、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%又は少なくとも約99%の水であることが可能である。いくつかの実施において、溶媒又は混合物は、質量又は体積で約40%~100%の水、質量又は体積で約40%~99%の水、質量又は体積で約40%~95%の水、質量又は体積で約40%~90%の水、質量又は体積で約40%~85%の水、質量又は体積で約40%~80%の水、質量又は体積で約50%~100%の水、質量又は体積で約50%~99%の水、質量又は体積で約50%~95%の水、質量又は体積で約50%~90%の水、質量又は体積で約50%~85%の水、質量又は体積で約50%~80%の水、質量又は体積で約60%~100%の水、質量又は体積で約60%~99%の水、質量又は体積で約60%~95%の水、質量又は体積で約60%~90%の水、質量又は体積で約60%~85%の水、質量又は体積で約60%~80%の水、質量又は体積で約70%~100%の水、質量又は体積で約70%~99%の水、質量又は体積で約70%~95%の水、質量又は体積で約70%~90%の水、質量又は体積で約70%~85%の水、質量又は体積で約80%~100%の水、質量又は体積で約80%~99%の水、質量又は体積で約80%~97%の水、質量又は体積で約80%~95%の水、質量又は体積で約80%~93%の水、質量又は体積で約80%~90%の水、質量又は体積で約85%~100%の水、質量又は体積で約85%~99%の水、質量又は体積で約85%~97%の水、質量又は体積で約85%~95%の水、質量又は体積で約90%~100%の水、質量又は体積で約90%~99%の水、質量又は体積で約90%~98の水、或いは質量又は体積で90%~97%の水であることが可能である。
【0053】
[0061] 溶媒中でのコーティング剤の溶解度を改善するために、又はコーティング剤を溶媒中で懸濁若しくは分散させるために、コーティング剤に乳化剤がさらに含まれることが可能である。コーティングが植物又は他の食用製品上に形成される場合、乳化剤は消費しても安全であることが好ましくなり得る。さらにまた、乳化剤がコーティング中に組み込まれないか、又は乳化剤がコーティング中に組み込まれる場合、コーティングの性能若しくは消費される食用製品の能力を低下させないことが好ましくなる。
【0054】
[0062] いくつかの実施形態において、実質的な含水量を有する溶媒(例えば、少なくとも50体積%が水である溶媒)中でコーティング剤の溶解度を増加させるか、又はコーティング剤を懸濁若しくは分散させるために、有機塩(例えば、Rがカチオン部分である式Iの化合物)がコーティング剤に添加されるが、ただし、(式Iの化合物の濃度と比較して)塩の濃度が低すぎないことを条件とする。さらにまた、添加される塩は、その後形成されるコーティングの性能を実質的に低下させることがないべきであるが、ただし、(式Iの化合物の濃度と比較して)塩の濃度が高すぎないことを条件とする。
【0055】
[0063] 混合物(例えば、溶媒、溶液、懸濁液、コロイド又はエマルジョン)中のコーティング剤の濃度は、例えば、約1mg/mL~約200mg/mLの範囲内、例えば、約1~150mg/mL、1~100mg/mL、1~90mg/mL、1~80mg/mL、1~75mg/mL、1~70mg/mL、1~65mg/mL、1~60mg/mL、1~55mg/mL、1~50mg/mL、1~45mg/mL、1~40mg/mL、2~200mg/mL、2~150mg/mL、2~100mg/mL、2~90mg/mL、2~80mg/mL、2~75mg/mL、2~70mg/mL、2~65mg/mL、2~60mg/mL、2~55mg/mL、2~50mg/mL、2~45mg/mL、2~40mg/mL、5~200mg/mL、5~150mg/mL、5~100mg/mL、5~90mg/mL、5~80mg/mL、5~75mg/mL、5~70mg/mL、5~65mg/mL、5~60mg/mL、5~55mg/mL、5~50mg/mL、5~45mg/mL、5~40mg/mL、10~200mg/mL、10~150mg/mL、10~100mg/mL、10~90mg/mL、10~80mg/mL、10~75mg/mL、10~70mg/mL、10~65mg/mL、10~60mg/mL、10~55mg/mL、10~50mg/mL、10~45mg/mL又は10~40mg/mLであることが可能である。
【0056】
[0064] 本明細書に記載のいずれの混合物も、エタノール又はクエン酸などの抗菌薬をさらに含むことが可能である。いくつかの実施において、抗菌薬は溶媒の一部分又はその成分である。本明細書に記載のいずれの混合物も、重炭酸ナトリウムなどの他の成分又は添加剤をさらに含むことが可能である。
【0057】
[0065] いくつかの実施において、農産品上の本明細書に記載のコーティング剤から形成されるコーティングは、農産物の表面エネルギーを変換するように構成されることが可能である。本明細書に記載のコーティングの種々の特性は、コーティングの架橋密度、その厚さ又はその化学組成を調整することによって調整可能である。これは、例えば、収穫後の果物又は製品の熟成を制御するために使用することができる。例えば、主に二官能性又は多官能性モノマー単位を含むコーティング剤から形成されるコーティングは、例えば、単官能性モノマー単位を含むものよりも高い架橋密度を有することができる。したがって、場合によっては、二官能性又は多官能性モノマー単位から形成されるコーティングは、単官能性モノマー単位から形成されるコーティングと比較して、より遅い熟成速度をもたらすことが可能である。
【0058】
[0066] 本明細書に記載のいずれのコーティング剤も、コーティングを含有する霧と一緒に表面へと運搬されるか、又は別々に堆積して、その後コーティングによって封入される(例えば、コーティングは追加的な材料の周囲で少なくとも部分的に形成される)か、又は別々に堆積して、その後コーティングによって支持される(例えば、追加的な材料は、コーティングの外側表面に固定される)追加的な材料をさらに含むことができる。そのような追加的な材料の例としては、細胞、生物学的シグナル分子、ビタミン、鉱物、顔料、芳香剤、酵素、触媒、抗真菌薬、抗生物質及び/又は持効性薬剤を含むことができる。追加的な材料はコーティングされた製品及び/又はコーティングの表面と非反応性であることが可能であるか、或いは代替的に表面及び/又はコーティングと反応性であることが可能である。
【0059】
[0067] いくつかの実施において、コーティングが誘導される混合物は、例えば、コーティングの粘度、蒸気圧、表面張力又は溶解度を変性するために構成される添加剤を含むことができる。添加剤は、例えば、コーティングの化学安定性を増加させるために構成されることが可能である。例えば、添加剤は、コーティングの酸化を抑制するために構成される酸化防止剤であることが可能である。いくつかの実施において、添加剤は、コーティングの溶融温度又はガラス遷移温度を低下させることができるか、又は増加させることができる。いくつかの実施において、添加剤は、例えば農産物(又は本明細書に記載の他の製品のいずれか)を保護するために、コーティングを通過する水蒸気、酸素、CO2若しくはエチレンの拡散係数を低下させるためか、又はコーティングがより多くの紫外(UV)光を吸収することを可能にするように構成される。いくつかの実施において、添加剤は、意図的な臭気、例えば芳香(例えば、花、果物、植物、新鮮味、香水などの香り)を提供するように構成されることが可能である。いくつかの実施において、添加剤は色を提供するように構成されることが可能であり、例えば、染料又は米食品医薬品局(US Food and Drug Administration)(FDA)によって承認される着色添加剤を含むことが可能である。
【0060】
[0068] 本明細書に記載のコーティング剤又はそれから形成されるコーティングのいずれも、風味がないか、又は高い味閾値、例えば上記500ppmを有することが可能であり、そして無臭であるか、又は高い匂い閾値を有することが可能である。いくつかの実施形態において、本明細書に記載のいずれかのコーティングに含まれる材料は、実質的に透明であることが可能である。例えば、コーティングで含まれるコーティング剤、溶媒及び/又は他のいずれの添加剤も、それらが実質的に同一又は類似の屈折率を有するように選択されることが可能である。それらの屈折率を適合させることによって、それらは、光散乱を低下させて、光透過を改善するように光学的に適合され得る。例えば、類似の屈折率を有するか、又はクリアで透明な特性を有する材料を利用することによって、実質的に透明な特徴を有するコーティングを形成することができる。
【0061】
[0069] 本明細書に記載のコーティング剤の組成物は、高純度であることが可能である。例えば、組成物は、ジグリセリド、トリグリセリド、タンパク質、多糖、フェノール、リグナン、芳香酸、テルペノイド、フラボノイド、カロチノイド、アルカロイド、アルコール、アルカン及び/又はアルデヒドを実質的に含まないことが可能である(例えば、10質量%未満、9質量%未満、8質量%未満、7質量%未満、6質量%未満、又は5%、4%、3%、2%又は1質量%未満)。いくつかの実施形態において、コーティング剤は、10質量%未満(例えば、9質量%、8質量%、7質量%、6質量%、5質量%、4質量%、3質量%、2質量%又は1質量%未満)のジグリセリドを含む。いくつかの実施形態において、コーティング剤は、10質量%未満(例えば、9質量%、8質量%、7質量%、6質量%、5質量%、4質量%、3質量%、2質量%又は1質量%未満)のトリグリセリドを含む。
【0062】
[0070] いくつかの実施において、堆積されたコーティングは、コーティングが肉眼で透明であるように約1500nm未満の厚さを有することが可能である。例えば、堆積されたコーティングは、(その間の全ての範囲を含めて)約10nm、約20nm、約30nm、約40nm、約50nm、約100nm、約150nm、約200nm、約250nm、約300nm、約350nm、約400nm、約450nm、約500nm、約550nm、約600nm、約650nm、約700nm、約750nm、約800nm、約850nm、約900nm、約950nm、1,000nm、約1,100nm、約1,200nm、約1,300nm、約1,400nm又は約1,500nmの厚さを有することが可能である。コーティングは、基材を少なくとも部分的に保護するため、又は水、酸素及び/又は他のガスの移動に対して十分なバリアを提供してその保護を提供するために十分厚いことが可能である。例えば、保護コーティングは、少なくとも約10nm、約20nm、約30nm、約40nm、約50nm、約100nm、約150nm、約200nm、約250nm、約300nm、約350nm、約400nm、約450nm、約500nm、約550nm、約600nm、約650nm、約700nm、約750nm、約800nm、約850nm、約900nmの厚さを有することが可能である。
【0063】
[0071]
図6は、容器604中で霧をアボカドに適用するために構成される噴霧器602の写真である。噴霧器602によって生じる霧が孔を通して容器604中に注入されるように、噴霧器のノズルは容器604の側面上の孔に隣接する。作動間に、注入される霧が、隣接するアボカドの間で開口部を通して容器に充填され、拡散するように、容器の上部にふた(図示せず)が固定される。
図6に示される配置において、容器に入る霧の流れは、直接アボカドに向けられず;アボカドは、注入される霧の流れより上に配置される。しかしながら、いくつかの適用において、注入される霧の流れと一列に並べて、又はそれより下に直接基材を配置することが好ましくなり得る。
【0064】
[0072]
図7は、コーティングされることになっていて、次いで、本明細書に記載の噴霧技術によってコーティングされる製品又は他の基材で満たすことができるチャンバー702の写真である。基材をチャンバー702中に入れたらドアを閉鎖し、そして(例えば、
図6の噴霧器602を使用して)例えばチャンバーの側面の孔(図示せず)を通して霧をチャンバー中に注入する。いくつかの実施において、1つ以上の開口部を有する容器(例えば、
図6中の容器604又は他の変性雰囲気のパッケージング)中に複数の基材を入れて、そして容器をチャンバー702に入れる。霧はチャンバー702中に注入され、次いで、基材上にコーティングを形成するために、容器内の基材に霧が適用可能であるように、容器中の孔を通して拡散する。
【実施例】
【0065】
実施例
[0073] 以下の実施例は、本明細書に開示されるプロセスを使用してコーティングされたか、又は未コーティングのイチゴの質量損失率を比較する。これらの実施例は、例証となることのみを目的としており、本開示の範囲を限定するものではない。各実施例において、混合物を用いてイチゴを噴霧し、次いで、周囲条件下で混合物から溶媒を蒸発させることによってコーティングを形成した。各コーティングのための混合物は、水に50mg/mLのコーティング剤を添加して、懸濁液を形成することによって調製された。コーティング剤は94:6の質量比で混合されたSA-1G及びSA-Naを含んだ。混合物から霧を発生させるために、Burgess Professional 982 Thermo-Fogger(
図6中に描写される噴霧器602)を使用した。霧を形成するために、混合物を噴霧器のリザーバー中に入れ、バレル温度をそのデフォルト値に設定し、そして霧(スプレーではない)が噴霧器のノズルを通して排出される値まで、フロー率を調整した。
【0066】
実施例1:噴霧器によってコーティングされ、周囲条件で貯蔵されたイチゴの質量損失率
[0074] それぞれ約3Lの体積を有する12個の従来のイチゴクラムシェル(貯蔵容器)にイチゴを入れた(1つのクラムシェルあたり、約55個のイチゴ)。イチゴを入れたクラムシェルを、1グループあたりクラムシェル3個の4つのグループに分けた。第1グループのクラムシェルは未処置であった(対照グループ)。第2のグループのクラムシェルは、以下の通り、それぞれ経時的に処理された。
図6に示される68Lの容器604中にクラムシェルを入れ、そして
図6中に示されるアボカドのための機構と同様に、噴霧器から排出される霧を、チャンバーの側面の孔を通して90秒間、容器に充填した。
図6中のアボカドと同様に、イチゴを入れたクラムシェルは、容器中に注入される霧の流れと一列に並べて配置されなかった。そのように、霧が容器を充填したら、クラムシェルの孔を通して、そして隣接するイチゴの間で液滴が拡散し、イチゴの暴露表面に接触した。次いで、クラムシェルをチャンバーから取り出し、そしてクラムシェルのふたを開けずに、又はイチゴをクラムシェルから取り出さずに、約10分間、周囲条件(約23℃~27℃の範囲の温度及び約40%~55%の範囲の温度)でイチゴを乾燥させた。第3のグループのクラムシェルは、第2のグループのクラムシェルと同様に処理されたが、各クラムシェルに2層の霧を適用させた。すなわち、クラムシェルに入れたそれぞれのイチゴに霧の第1の層を適用し、10分間周囲条件で乾燥させた後、クラムシェルを68L容器に戻し、そして同一条件下で2回目の噴霧を行い、次いで、10分間周囲条件で再び乾燥させた。第4のグループのクラムシェルは、上記されたものと同一の手順を使用して、第4のグループのそれぞれのクラムシェルに3層の霧が適用されたことを除き、第1及び第2のグループのクラムシェルと同様に処理された。
【0067】
[0075] 次いで、4つのグループのイチゴをそれらのそれぞれのクラムシェル中に保持し、周囲条件で貯蔵し、そして種々の時間間隔でイチゴを入れたクラムシェルの重量を測定することによって、それぞれのグループのイチゴの平均質量損失率を測定した。それぞれのグループのイチゴの平均質量損失率を
図8に示す。バー802は第1のグループのイチゴ(未処置)に相当し、バー804は第2のグループのイチゴ(1層の霧で処理される)に相当し、バー806は第3のグループのイチゴ(2層の霧で処理される)に相当し、そしてバー808は第4のグループのイチゴ(3層の霧で処理される)に相当する。示されるように、未処置のイチゴ(バー802)は約3.5%の質量損失率を示し、1層の霧で処理されたイチゴ(バー804)は約2.5%の質量損失率を示し、2層の霧で処理されたイチゴ(バー806)は約2.3%の質量損失率を示し、そして3層の霧で処理されたイチゴ(バー808)は約2.4%の質量損失率を示した。
【0068】
実施例2:噴霧器によってコーティングされ、冷蔵貯蔵条件で貯蔵されたイチゴの質量損失率
[0076] それぞれ約3Lの体積を有する12個の従来のイチゴクラムシェル(貯蔵容器)にイチゴを入れた(1つのクラムシェルあたり、約55個のイチゴ)。イチゴを入れたクラムシェルを、1グループあたりクラムシェル3個の4つのグループに分けた。第1グループのクラムシェルは未処置であった(対照グループ)。第2のグループのクラムシェルは、それぞれの層の噴霧時間が20秒であったことを除き、上記実施例の第3のグループ(バー806)に相当するものと同一の手順を使用して、2層の霧でそれぞれ処理された。第3のグループのクラムシェルは、それぞれの層の噴霧時間が45秒であったことを除き、第2のグループに相当するものと同一の手順を使用して、2層の霧で処理された。第4のグループのクラムシェルは、それぞれの層の噴霧時間が90秒であったことを除き、第2及び第3のグループに相当するものと同一の手順を使用して、2層の霧でそれぞれ処理された。
【0069】
[0077] 次いで、4つのグループのイチゴをそれらのそれぞれのクラムシェル中に保持し、4℃の温度及び90%の相対湿度の冷蔵貯蔵条件で貯蔵し、そして種々の時間間隔でイチゴを入れたクラムシェルの重量を測定することによって、それぞれのグループのイチゴの平均質量損失率を測定した。それぞれのグループのイチゴの平均質量損失率を
図9に示す。バー902は第1のグループのイチゴ(未処置)に相当し、バー904は第2のグループのイチゴ(2層の霧、1層に対して20秒の噴霧時間)に相当し、バー906は第3のグループのイチゴ(2層の霧、1層に対して45秒の噴霧時間)に相当し、そしてバー908は第4のグループのイチゴ(2層の霧、1層に対して90秒の噴霧時間)に相当する。示されるように、未処置のイチゴ(バー902)は約1.24%の質量損失率を示し、2層の霧、1層に対して20秒の噴霧時間で処理されたイチゴ(バー904)は約0.79%の質量損失率を示し、2層の霧、1層に対して45秒の噴霧時間で処理されたイチゴ(バー906)は約0.80%の質量損失率を示し、そして2層の霧、1層に対して90秒の噴霧時間で処理されたイチゴ(バー908)は約0.76%の質量損失率を示した。
【0070】
[0078] 噴霧システム及び関連する使用方法の種々の実施が記載された。しかしながら、それらは一例として示されただけであり、そして形態及び詳細の種々の変更が行われてよいことは理解されるべきである。例えば、食用及び非食用基材を含めて、肉、家禽、植物、布地/衣類材料、医薬品、医療用装置又は他の基材などの他の種類の基材を処理(例えばコーティング)するために、本明細書に記載の噴霧システムを使用することもできる。上記の方法及びステップは特定の順序で実行される特定の事象を示すが、本開示の利点を有する当業者は、特定のステップの順番が変更されてもよく、そしてそのような変更は、本開示の変形に従うものであることを認識するであろう。したがって、他の実施は以下の請求の範囲内である。
【国際調査報告】