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特表2022-534790粘着末端型ポリヌクレオチドの直接合成のための新規のシステム、方法、および組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-08-03
(54)【発明の名称】粘着末端型ポリヌクレオチドの直接合成のための新規のシステム、方法、および組成物
(51)【国際特許分類】
   C12P 19/34 20060101AFI20220727BHJP
   C12Q 1/6876 20180101ALI20220727BHJP
   C12N 15/09 20060101ALN20220727BHJP
   C12Q 1/686 20180101ALN20220727BHJP
   C12N 9/00 20060101ALN20220727BHJP
   C12N 1/15 20060101ALN20220727BHJP
   C12N 1/19 20060101ALN20220727BHJP
   C12N 1/21 20060101ALN20220727BHJP
   C12N 5/10 20060101ALN20220727BHJP
   C12N 9/12 20060101ALN20220727BHJP
   C12N 9/16 20060101ALN20220727BHJP
【FI】
C12P19/34 Z ZNA
C12Q1/6876 Z
C12N15/09 110
C12Q1/686 Z
C12N9/00
C12N1/15
C12N1/19
C12N1/21
C12N5/10
C12N9/12
C12N9/16
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021571913
(86)(22)【出願日】2020-06-08
(85)【翻訳文提出日】2022-02-02
(86)【国際出願番号】 US2020036645
(87)【国際公開番号】W WO2020247927
(87)【国際公開日】2020-12-10
(31)【優先権主張番号】62/858,163
(32)【優先日】2019-06-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】508128082
【氏名又は名称】ザ・リージエンツ・オブ・ザ・ユニバーシテイ・オブ・コロラド、ア・ボデイー・コーポレイト
(74)【代理人】
【識別番号】110000659
【氏名又は名称】弁理士法人広江アソシエイツ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】デデッカー,ブライアン
(72)【発明者】
【氏名】アダムスウェイト,メイドソン,エル.
(72)【発明者】
【氏名】ムーア,ナサニエル,ゼット.
(72)【発明者】
【氏名】ヴァンハウゼン,ローレン,エー.
(72)【発明者】
【氏名】ヴラシティ,マッケイラ,ティ.
【テーマコード(参考)】
4B050
4B063
4B064
4B065
【Fターム(参考)】
4B050CC07
4B050KK07
4B050LL01
4B050LL05
4B063QA20
4B063QQ42
4B063QQ52
4B063QR08
4B063QR32
4B063QR35
4B063QR62
4B063QR75
4B063QR76
4B063QR77
4B063QS25
4B064AF27
4B064CA02
4B064CA05
4B064CA06
4B064CA19
4B064CC24
4B064DA01
4B065AA01X
4B065AA01Y
4B065AA57X
4B065AA57Y
4B065AA72X
4B065AA72Y
4B065AA83X
4B065AA83Y
4B065AA90X
4B065AA90Y
4B065AB01
4B065AC14
4B065BA02
4B065CA23
4B065CA44
(57)【要約】
本発明の技術は、後の遺伝子アセンブリに用いる粘着末端型DNA断片を直接的に合成するためのシステム、方法、および組成物を含む。好適な一実施形態では、本発明の技術は、追加の操作のない典型的なPCRプロトコールを用いて、任意の所望の長さと塩基組成とを有した5’突出部を有する粘着末端型DNAを直接的に合成するためのストラテジーを含む。別の実施形態では、本発明の技術は、化学修飾されたオリゴヌクレオチドプライマーをポリメラーゼ連鎖反応(PCR)に用いる粘着末端型DNAを直接的に合成することを含む。ある特定の実施形態では、本発明の技術は、従来の合成アプリケーションおよび連結アプリケーションに比べて、より大きなDNA構築物の生成を可能とし、この構築物は、本明細書に概ね記載される粘着末端型アセンブリにより形成される。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
粘着末端型DNAの直接合成の方法であって、
鋳型DNA内の標的領域にアニーリングするヌクレオチド配列を有するプライマーを生成する工程;
鋳型DNA内の標的領域にアニーリングするヌクレオチド配列と5’末端の突出領域とを有する化学修飾されたブロッキングプライマーを生成する工程であって、前記化学修飾プライマーは、選ばれた位置にブロッキング基修飾を含み、前記ブロッキング基修飾は、DNAポリメラーゼがPCR増幅中に完全に相補鎖を伸ばすことを防ぎ、その結果として5’突出部を生じる、前記工程;
前記プライマー、前記化学修飾されたブロッキングプライマー、および鋳型DNAを用いてポリメラーゼ連鎖反応(PCR)プロトコールをランする工程であって、前記PCRの前記最終産物が、複数の粘着末端型DNA産物である、前記工程;
前記複数の粘着末端型DNA産物から前記ブロッキング基を脱カップリングする工程;ならびに
前記複数の粘着末端型DNA産物のうち1つまたは複数を合わせて連結する工程、
を含む方法。
【請求項2】
前記粘着末端型DNA産物を合わせて連結する前記工程が、前記粘着末端型DNA産物を合わせて酵素により連結する工程を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記粘着末端型DNA産物を合わせて酵素により連結する前記工程が、リガーゼ酵素を用いて前記粘着末端型DNA産物を合わせて酵素により連結する工程を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記粘着末端型DNA産物を宿主細胞内に取り込む前記工程が、前記粘着末端型DNA産物が、CRISPR-Casベースの方法または他の遺伝子編集手法によって、ゲノム内に生成された切断部位内に連結され、前記宿主細胞が、細菌または真核細胞をさらに合成する、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記段階的に前記粘着末端型DNA産物を合わせて連結することが、前記粘着末端型DNA産物をin vivoで切断部位内に連結する工程を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記5’末端の前記突出領域が、可変長および可変配列を有し得る、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記5’末端の前記突出領域が、組換え二重鎖DNA分子を形成するDNA挿入部上の前記5’末端の別の突出領域に相補的であり得る、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記ブロッキング基が、前記化学修飾されたブロッキングプライマーのリン酸骨格にカップリングされたブロッキング基を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記ブロッキング基が、下記からなる群から選択されるブロッキング基を含む、請求項1に記載の方法:
ポリメラーゼの延伸をブロックする前記DNAのリン酸骨格、糖、もしくは塩基上の-オキソテトラデカ-1-イル(OXP)リン酸基修飾または化学修飾;および1-(4,5-ジメトキシ-ニトロフェニル)ジアゾエタン(DMNPE);2-(2-ニトロフェニル)プロピル;2-(2-ニトロフェニル)プロピルオキシメチル;1-(2-ニトロフェニル)エチル基;4-オキソ-1-テトラデカニル(OXP);6-ニトロピペロニルオキシメチル;アセトキシメチル;アリルオキシメチル;ベンゾイル;ベンジルオキシメチル;ジメトキシベンジルオキシメチル;イソブチリル;メトキシ;リン酸メチル;t-ブチルジメトキシシリルオキシメチル;t-ブチルジフェニルシリルオキシメチル;トリメトキシベンジルオキシメチル;トリチル;イソシアネート、ならびに光ケージ。
【請求項10】
5’リン酸を前記複数の粘着末端型DNA産物に導入する工程をさらに含み、5’リン酸を前記複数の粘着末端型DNA産物に導入するキナーゼ酵素を適用する工程を任意選択的にさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記複数の粘着末端型DNA産物から前記ブロッキング基を脱カップリングする前記工程が、酵素による脱保護、熱による脱保護、化学的な脱保護、触媒による脱保護、光ケージによる脱保護、または他の可逆的な化学反応からなる群から選択される工程を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
鋳型DNA内の標的領域にアニーリングするヌクレオチド配列と5’末端の突出領域とを有し、選ばれた位置にブロッキング基修飾を含む、化学修飾されたブロッキングプライマーであって、前記ブロッキング基修飾は、DNAポリメラーゼがPCR増幅中に完全に相補鎖を伸ばすことを防ぎ、その結果として5’突出部を生じる、化学修飾プライマー。
【請求項13】
前記ブロッキング基が、前記プライマーの任意の所望のデオキシヌクレオチド上のリン酸基上にカップリングされている、請求項12に記載の化学修飾されたブロッキングプライマー。
【請求項14】
前記ブロッキング基が、下記からなる群から選択されるブロッキング基を含む、請求項13に記載のプライマー:
ポリメラーゼの延伸をブロックする前記DNAのリン酸骨格、糖、もしくは塩基上のオキソテトラデカ-1-イル(OXP)リン酸基修飾または化学修飾;および1-(4,5-ジメトキシ-ニトロフェニル)ジアゾエタン(DMNPE);2-(2-ニトロフェニル)プロピル;2-(2-ニトロフェニル)プロピルオキシメチル;1-(2-ニトロフェニル)エチル基;4-オキソ-1-テトラデカニル(OXP);6-ニトロピペロニルオキシメチル;アセトキシメチル;アリルオキシメチル;ベンゾイル;ベンジルオキシメチル;ジメトキシベンジルオキシメチル;イソブチリル;メトキシ;リン酸メチル;t-ブチルジメトキシシリルオキシメチル;t-ブチルジフェニルシリルオキシメチル;トリメトキシベンジルオキシメチル;トリチル;イソシアネート、ならびに光ケージ。
【請求項15】
前記ブロッキング基が、前記プライマー上のデオキシヌクレオチドのリンにカップリングされ、リン酸基上に、前記プライマーの任意の所望のデオキシヌクレオチドの熱不安定基4-オキソテトラデカ-1-イル(OXP)リン酸基の修飾を含む、請求項12に記載の化学修飾されたブロッキングプライマー。
【請求項16】
粘着末端型DNAの直接合成の方法であって、
鋳型DNA内の標的領域にアニーリングするヌクレオチド配列を有するプライマーを生成する工程;
鋳型DNA内の標的領域にアニーリングするヌクレオチド配列と5’末端の突出領域とを有する化学修飾されたブロッキングプライマーを生成する工程であって、前記化学修飾プライマーは、選ばれた位置にブロッキング基修飾を含み、前記ブロッキング基修飾は、DNAポリメラーゼがPCR増幅中に完全に相補鎖を伸ばすことを防ぎ、その結果として5’突出部を生じる、前記工程;ならびに
前記プライマー、前記化学修飾されたブロッキングプライマー、および鋳型DNAを用いてポリメラーゼ連鎖反応(PCR)プロトコールをランする工程であって、前記PCRの前記最終産物が、複数の粘着末端型DNA産物である、前記工程、
を含む方法。
【請求項17】
前記ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)が、改変型ポリメラーゼ連鎖反応(mPCR)を含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記複数の粘着末端型DNA産物により細胞を形質転換する工程をさらに含む、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
前記複数の粘着末端型DNA産物が、前記細胞の内因性の細胞性DNA修復機構によって合わせて連結されて、組換え二重鎖DNA分子を形成する、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
粘着末端型DNAの直接合成の方法であって、
鋳型DNA内の標的領域にアニーリングするヌクレオチド配列と5’末端の突出領域とを有する化学修飾されたブロッキングプライマーを生成する工程であって、前記化学修飾プライマーは、選ばれた位置にブロッキング基修飾を含み、前記ブロッキング基修飾は、DNAポリメラーゼがPCR増幅中に完全に相補鎖を伸ばすことを防ぎ、その結果として5’突出部を生じる、前記工程;ならびに
プライマー、前記化学修飾されたブロッキングプライマー、および鋳型DNAを用いてポリメラーゼ連鎖反応(PCR)プロトコールをランする工程であって、前記PCRの前記最終産物が、複数の粘着末端型DNA産物である、前記工程、
を含む方法。
【請求項21】
粘着末端型DNAの直接合成の方法であって、
鋳型DNA内の標的領域にアニーリングするヌクレオチド配列を有するプライマーを生成する工程;
鋳型DNA内の標的領域にアニーリングするヌクレオチド配列と5’末端の突出領域とを有する化学修飾されたブロッキングプライマーを生成する工程であって、
前記化学修飾されたブロッキングプライマーが、前記ヌクレオチド配列上の選ばれた位置にブロッキング基アクセプターを取り込み、前記ブロッキング基アクセプターが、可逆的なブロッキング基修飾にカップリングされるように構成される、前記工程;
可逆的なブロッキング基修飾を前記ブロッキング基アクセプターにカップリングする工程であって、それゆえに、前記可逆的なブロッキング基修飾は、DNAポリメラーゼがPCR増幅中に完全に相補鎖を伸ばすことを防ぎ、その結果として5’突出部を生じる、前記工程;
前記プライマー、前記化学修飾されたブロッキングプライマー、および鋳型DNAを用いてポリメラーゼ連鎖反応(PCR)プロトコールをランする工程であって、前記PCRの前記最終産物が、複数の粘着末端型DNA産物である、前記工程;
前記複数の粘着末端型DNA産物から前記ブロッキング基を脱カップリングする工程;ならびに
前記複数の粘着末端型DNA産物のうち1つまたは複数を合わせて連結する工程、
を含む方法。
【請求項22】
前記化学修飾されたブロッキングプライマー上の選ばれた位置にブロッキング基アクセプターを取り込む工程が、前記化学修飾されたブロッキングプライマー上の選ばれた位置にチオリン酸基を取り込む工程を含む、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
可逆的なブロッキング基修飾を前記ブロッキング基アクセプターにカップリングする工程が、ハロゲン化アルキルを前記チオリン酸基にカップリングする工程を含み、それゆえに、前記ハロゲン化アルキルは、DNAポリメラーゼがPCR増幅中に完全に相補鎖を伸ばすことを防ぎ、その結果として5’突出部を生じる、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
ハロゲン化アルキルを前記チオリン酸基にカップリングする前記工程が、SN2反応を介してハロゲン化アルキルを前記チオリン酸にカップリングする工程を含む、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記カップリングする工程が、前記化学修飾されたブロッキングプライマーが合成された後に実施される、請求項23に記載の方法。
【請求項26】
前記ハロゲン化アルキルが、トリメチルロックを含む、請求項24に記載の方法。
【請求項27】
前記トリメチルロックが、以下の式を有するトリメチルロックを含み:
【化1】


式中、
R1が、以下からなる群から選択されるR-惹起基であり:
【化2】


R2がハロゲン化物である、
請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記可逆的なブロッキング基修飾を前記ブロッキング基アクセプターにカップリングする前記工程が、チオエステラーゼまたはエステラーゼ惹起性の可逆的なブロッキング基修飾を前記ブロッキング基アクセプターにカップリングする工程を含む、請求項21に記載の方法。
【請求項29】
前記可逆的なブロッキング基修飾を前記ブロッキング基アクセプターにカップリングする前記工程が、β-グルクロニダーゼ惹起性の可逆的なブロッキング基修飾を前記ブロッキング基アクセプターにカップリングする工程を含む、請求項21および22に記載の方法。
【請求項30】
前記粘着末端型DNA産物を合わせて連結する前記工程が、前記粘着末端型DNA産物を合わせて酵素により連結する工程を含む、請求項21に記載の方法。
【請求項31】
前記粘着末端型DNA産物を合わせて酵素により連結する前記工程が、リガーゼ酵素を用いて前記粘着末端型DNA産物を合わせて酵素により連結する工程を含む、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記粘着末端型DNA産物を合わせて連結する前記工程が、前記突出5’領域をin vivoで合わせて相補的に対合させる工程を含む、請求項21に記載の方法。
【請求項33】
前記段階的に前記粘着末端型DNA産物を合わせて連結する前記工程が、内因性の細胞性DNA修復機構を用いて前記粘着末端型DNA産物をin vivoで合わせて連結する工程を含む、請求項21に記載の方法。
【請求項34】
前記5’末端の前記突出領域が、可変長および可変配列を有し得る、請求項21に記載の方法。
【請求項35】
前記5’末端の前記突出領域が、組換え二重鎖DNA分子を形成するDNA挿入部上の前記5’末端の別の突出領域に相補的であり得る、請求項21に記載の方法。
【請求項36】
前記複数の粘着末端型DNA産物に5’リン酸を導入する工程をさらに含む、請求項21に記載の方法。
【請求項37】
5’リン酸を前記複数の粘着末端型DNA産物に導入する前記工程が、5’リン酸を前記複数の粘着末端型DNA産物に導入するキナーゼ酵素を適用する工程を含む、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
前記複数の粘着末端型DNA産物から前記ブロッキング基を脱カップリングする前記工程が、酵素による脱保護、熱による脱保護、化学的な脱保護、触媒による脱保護、光ケージによる脱保護、または他の可逆的な化学反応からなる群から選択される工程を含む、請求項21に記載の方法。
【請求項39】
鋳型DNA内の標的領域にアニーリングするヌクレオチド配列と5’末端の突出領域とを有する化学修飾されたブロッキングプライマーであって、前記化学修飾されたブロッキングプライマーが、前記ヌクレオチド配列上の選ばれた位置にブロッキング基アクセプターを取込み、前記ブロッキング基アクセプターが、可逆的なブロッキング基修飾にカップリングされるように構成されて、それゆえにDNAポリメラーゼがPCR増幅中に完全に相補鎖を伸ばすことを防ぎ、その結果として5’突出部を生じるか、または、鋳型DNA内の標的領域にアニーリングするヌクレオチド配列と5’末端の突出領域とを有する前記化学修飾されたブロッキングプライマーが、前記化学修飾されたブロッキングプライマーが、可逆的なブロッキング基修飾により修飾されたホスホロアミダイト化合物を取り込む、化学修飾されたブロッキングプライマー。
【請求項40】
前記ブロッキング基アクセプターが、チオリン酸基を含む、請求項39に記載の組成物。
【請求項41】
前記可逆的なブロッキング基修飾が、前記チオリン酸基とカップリングされるように構成されたハロゲン化アルキルを含み、それゆえに、前記ハロゲン化アルキルは、DNAポリメラーゼがPCR増幅中に完全に相補鎖を伸ばすことを防ぎ、その結果として5’突出部を生じる、請求項40に記載の組成物。
【請求項42】
前記ハロゲン化アルキルが、SN2反応を介して前記チオリン酸にカップリングされるように構成されるハロゲン化アルキルを含む、請求項41に記載の組成物。
【請求項43】
前記ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)が、改変型ポリメラーゼ連鎖反応(mPCR)を含む、請求項41に記載の組成物。
【請求項44】
前記PCR反応またはmPCR反応が、細胞を形質転換するためにさらに用いられ得る複数の粘着末端型DNA産物を生成し、前記複数の粘着末端型DNA産物が、前記細胞の内因性の細胞性DNA修復機構によって合わせて連結されて、組換え二重鎖DNA分子を形成する、請求項41および43に記載の組成物。
【請求項45】
前記化学修飾されたブロッキングプライマーが合成された後に、前記可逆的なブロッキング基修飾が前記ブロッキング基アクセプターにカップリングされる、請求項39に記載の組成物。
【請求項46】
前記ハロゲン化アルキルが、トリメチルロックを含む、請求項42に記載の組成物。
【請求項47】
前記トリメチルロックが、以下の式を有するトリメチルロックを含み:
【化3】


式中、
R1が、以下からなる群から選択されるR-惹起基であり:
【化4】


R2がハロゲン化物である、
請求項46に記載の組成物。
【請求項48】
前記可逆的なブロッキング基修飾が、前記ブロッキング基アクセプターにカップリングするように構成されたチオエステラーゼまたはエステラーゼ惹起性の可逆的なブロッキング基修飾を含む、請求項39に記載の組成物。
【請求項49】
前記可逆的なブロッキング基修飾が、前記ブロッキング基アクセプターにカップリングするように構成されたβ-グルクロニダーゼ惹起性の可逆的なブロッキング基修飾を含む、請求項39および40に記載の組成物。
【請求項50】
粘着末端型DNAの直接合成の方法であって、
鋳型DNA内の標的領域にアニーリングするヌクレオチド配列を有するプライマーを生成する工程;
鋳型DNA内の標的領域にアニーリングするヌクレオチド配列と5’末端の突出領域とを有する化学修飾されたブロッキングプライマーを生成する工程であって、前記化学修飾されたブロッキングプライマーが、前記ヌクレオチド配列上の選ばれた位置にブロッキング基アクセプターを取り込み、前記ブロッキング基アクセプターが、可逆的なブロッキング基修飾にカップリングされるように構成される、前記工程;
可逆的なブロッキング基修飾を前記ブロッキング基アクセプターにカップリングする工程であって、それゆえに、前記可逆的なブロッキング基修飾は、DNAポリメラーゼがPCR増幅中に完全に相補鎖を伸ばすことを防ぎ、その結果として5’突出部を生じる、前記工程;
前記プライマー、前記化学修飾されたブロッキングプライマー、および鋳型DNAを用いてポリメラーゼ連鎖反応(PCR)プロトコールをランする工程であって、前記PCRの前記最終産物が、複数の粘着末端型DNA産物である、前記工程、
を含む方法。
【請求項51】
前記ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)が、改変型ポリメラーゼ連鎖反応(mPCR)を含む、請求項50に記載の方法。
【請求項52】
前記複数の粘着末端型DNA産物により細胞を形質転換する工程をさらに含む、請求項50に記載の方法。
【請求項53】
前記複数の粘着末端型DNA産物が、前記細胞の内因性の細胞性DNA修復機構によって合わせて連結されて、組換え二重鎖DNA分子を形成する、請求項52に記載の方法。
【請求項54】
粘着末端型DNAの直接合成の方法であって、
鋳型DNA内の標的領域にアニーリングするヌクレオチド配列と5’末端の突出領域とを有する化学修飾されたブロッキングプライマーを生成する工程であって、前記化学修飾されたブロッキングプライマーが、前記ヌクレオチド配列上の選ばれた位置にブロッキング基アクセプターを取り込み、前記ブロッキング基アクセプターが、可逆的なブロッキング基修飾にカップリングされるように構成される、前記工程;
可逆的なブロッキング基修飾を前記ブロッキング基アクセプターにカップリングする工程であって、それゆえに、前記可逆的なブロッキング基修飾は、DNAポリメラーゼがPCR増幅中に完全に相補鎖を伸ばすことを防ぎ、その結果として5’突出部を生じる、前記工程;ならびに
プライマー、前記化学修飾されたブロッキングプライマー、および鋳型DNAを用いてポリメラーゼ連鎖反応(PCR)プロトコールをランする工程であって、前記PCRの前記最終産物が、複数の粘着末端型DNA産物である、前記工程、
を含む方法。
【請求項55】
粘着末端型DNAの直接合成の方法であって、
鋳型DNA内の標的領域にアニーリングするヌクレオチド配列を有するプライマーを生成する工程;
鋳型DNA内の標的領域にアニーリングするヌクレオチド配列と5’末端の突出領域とを有する化学修飾されたブロッキングプライマーを生成する工程であって、前記化学修飾されたブロッキングプライマーは、可逆的なブロッキング基修飾により修飾されたホスホロアミダイト化合物を取り込み、前記可逆的なブロッキング基修飾は、DNAポリメラーゼがPCR増幅中に完全に相補鎖を伸ばすことを防ぎ、その結果として5’突出部を生じる、前記工程;
前記プライマー、前記化学修飾されたブロッキングプライマー、および鋳型DNAを用いてポリメラーゼ連鎖反応(PCR)プロトコールをランする工程であって、前記PCRの前記最終産物が、複数の粘着末端型DNA産物である、前記工程;
前記複数の粘着末端型DNA産物から前記ブロッキング基を脱カップリングする工程;ならびに
前記複数の粘着末端型DNA産物のうち1つまたは複数を合わせて連結する工程、
を含む方法。
【請求項56】
前記可逆的なブロッキング基修飾は、DNAオリゴヌクレオチドのリン酸骨格とカップリングされるように構成されたハロゲン化アルキルを含み、DNAポリメラーゼがPCR増幅中に完全に相補鎖を伸ばすことを防ぎ、その結果として5’突出部を生じる、請求項55に記載の方法。
【請求項57】
前記化学修飾されたブロッキングプライマーが合成される前に、前記ホスホロアミダイトが可逆的なブロッキング基修飾を取り込む、請求項56に記載の方法。
【請求項58】
前記ハロゲン化アルキルが、トリメチルロックを含む、請求項56に記載の方法。
【請求項59】
前記トリメチルロックが、以下の式を有するトリメチルロックを含む、請求項58に記載の方法。
【請求項60】
前記可逆的なブロッキング基修飾が、チオエステラーゼまたはエステラーゼ惹起性の可逆的なブロッキング基修飾を含む、請求項55に記載の方法。
【請求項61】
前記可逆的なブロッキング基修飾が、β-グルクロニダーゼ惹起性の可逆的なブロッキング基修飾を含む、請求項55に記載の方法。
【請求項62】
前記粘着末端型DNA産物を合わせて連結する前記工程が、前記粘着末端型DNA産物を合わせて酵素により連結する工程を含む、請求項55に記載の方法。
【請求項63】
前記粘着末端型DNA産物を合わせて酵素により連結する前記工程が、リガーゼ酵素を用いて前記粘着末端型DNA産物を合わせて酵素により連結する工程を含む、請求項62に記載の方法。
【請求項64】
前記粘着末端型DNA産物を合わせて連結する前記工程が、前記突出5’領域をin vivoで合わせて相補的に対合させる工程を含む、請求項55に記載の方法。
【請求項65】
前記段階的に前記粘着末端型DNA産物を合わせて連結することが、内因性の細胞性DNA修復機構を用いて前記粘着末端型DNA産物をin vivoで合わせて連結する工程を含む、請求項55に記載の方法。
【請求項66】
前記5’末端の突出領域が、可変長および可変配列を有し得る、請求項55に記載の方法。
【請求項67】
前記5’末端の前記突出領域が、組換え二重鎖DNA分子を形成するDNA挿入部上の前記5’末端の別の突出領域に相補的であり得る、請求項55に記載の方法。
【請求項68】
前記複数の粘着末端型DNA産物に5’リン酸を導入する工程をさらに含む、請求項55に記載の方法。
【請求項69】
5’リン酸を前記複数の粘着末端型DNA産物に導入する前記工程が、5’リン酸を前記複数の粘着末端型DNA産物に導入するキナーゼ酵素を適用する工程を含む、請求項68に記載の方法。
【請求項70】
前記複数の粘着末端型DNA産物から前記ブロッキング基を脱カップリングする前記工程が、酵素による脱保護、熱による脱保護、化学的な脱保護、触媒による脱保護、光ケージによる脱保護、または他の可逆的な化学反応からなる群から選択される工程を含む、請求項55に記載の方法。
【請求項71】
粘着末端型DNAの直接合成の方法であって、
鋳型DNA内の標的領域にアニーリングするヌクレオチド配列を有するプライマーを生成する工程;
鋳型DNA内の標的領域にアニーリングするヌクレオチド配列と5’末端の突出領域とを有する化学修飾されたブロッキングプライマーを生成する工程であって、前記化学修飾されたブロッキングプライマーは、可逆的なブロッキング基修飾により修飾されたホスホロアミダイト化合物を取り込み、前記可逆的なブロッキング基修飾は、DNAポリメラーゼがPCR増幅中に完全に相補鎖を伸ばすことを防ぎ、その結果として5’突出部を生じる、前記工程;ならびに
前記プライマー、前記化学修飾されたブロッキングプライマー、および鋳型DNAを用いてポリメラーゼ連鎖反応(PCR)プロトコールをランする工程であって、前記PCRの前記最終産物が、複数の粘着末端型DNA産物である、前記工程、
を含む方法。
【請求項72】
前記ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)が、改変型ポリメラーゼ連鎖反応(mPCR)を含む、請求項71に記載の方法。
【請求項73】
前記複数の粘着末端型DNA産物により細胞を形質転換する工程をさらに含む、請求項72に記載の方法。
【請求項74】
前記複数の粘着末端型DNA産物が、前記細胞の内因性の細胞性DNA修復機構によって合わせて連結されて、組換え二重鎖DNA分子を形成する、請求項73に記載の方法。
【請求項75】
鋳型DNA内の標的領域にアニーリングするヌクレオチド配列と5’末端の突出領域とを有する化学修飾されたブロッキングプライマーを生成する工程を含む、粘着末端型DNAの直接合成の方法であって、前記化学修飾されたブロッキングプライマーは、可逆的なブロッキング基修飾により修飾されたホスホロアミダイト化合物を取り込み、前記可逆的なブロッキング基修飾は、DNAポリメラーゼがPCR増幅中に完全に相補鎖を伸ばすことを防ぎ、その結果として5’突出部を生じる、方法。
【請求項76】
プライマー、前記化学修飾されたブロッキングプライマー、および鋳型DNAを用いてポリメラーゼ連鎖反応(PCR)プロトコールをランする工程をさらに含み、前記PCRの前記最終産物が、複数の粘着末端型DNA産物である、請求項75に記載の方法。
【請求項77】
前記粘着末端型DNA産物が、宿主細胞内に取り込まれ、前記粘着末端型DNA産物が、CRISPR-Casベースの方法または他の遺伝子編集手法によって、ゲノム内に生成された切断部位内に連結され、前記宿主細胞が、細菌または真核細胞をさらに含む、請求項1~76のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2019年6月6日出願の米国仮特許出願第62/858,163号の利益および優先権を請求するものである。上記に引用された出願の明細書および図の全体は、ここに参照によりその全体を組み込まれる。
【0002】
本発明の技術は、組換えDNAアセンブリの分野に関し、具体的には、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)において化学修飾プライマーを用いた粘着末端型DNAの直接合成に関する。
【背景技術】
【0003】
組換えポリヌクレオチドアセンブリ手法は、遺伝子配列の組合せを工学的に開発するために、何十年にもわたって科学者達に利用されてきた。例えば、合成DNA配列の使用は、実験室の場を越えて、ワクチン、ヒトインスリン、忌虫作物を生み出すために用いられてきており、細菌に生物燃料および合成プラスチックを生産させるよう操作する能力が進展している。より具体的には、組換えDNAアセンブリ手法によって、数多くの目的に使用し得る新規のDNAの組合せを作り出すことが可能になっている。遺伝子アセンブリは、制限酵素の発見により当技術分野に導入されたものであり、制限酵素は、DNAを切断し、次いで大きなDNA構築物に連結することのできる、簡便な方法をもたらした。具体的には、制限エンドヌクレアーゼは、特異的なDNA配列を認識し、そのDNAを認識配列の内部または近くで平滑末端型または粘着末端型の断片に切断する。平滑末端型断片は同じ塩基対で切断され、まっすぐな切り口を生じる(図1A)。あるいは、DNAは「粘着末端」として知られる突出領域を作り出すように切断され、この粘着末端では、DNAの1本の単鎖が典型的には4塩基対を突出させている(図1B)。粘着末端は、塩基の対合を介してアセンブリされるように特異的にDNA断片に符合する際に重要である。制限エンドヌクレアーゼを用いて、異なるDNA配列上に粘着末端型領域を生成し、これらの断片を相補的に対合させて新しいDNA構築物を作り出すことを可能にすることができる。
【0004】
制限エンドヌクレアーゼは、新しいDNA種を最初に構築することを可能にする;しかし、この方法には欠点がある。制限部位配列は、スプライシング接合部を指定するように導入されるため、これらの配列は、DNA配列全体を通じてユニークある必要がある。ゆえに、連結する遺伝子アセンブリが大きくなるほど、ユニークな制限部位配列を見つけるのは不可能となってゆく。断片を連結した後には、望まない傷跡を最終産物に生じる認識部位がさらに存在し、それにより、翻訳の間にアミノ酸配列への修飾が生じる可能性がある。これらの初期の発見以来、科学者達は、制限酵素の持つこれらの固有の制約を回避する、DNA構築物をアセンブリするための効率的な方法を探し求めてきた。様々なDNA配列をアセンブリするために複数の手法が開発されてきたが、やはり多くは効率が悪く、1つの反応で複数の断片をアセンブリできないことが判明している。
【0005】
例えば、ごく最近のDNA構築物アセンブリツールであるGolden Gate Assemblyは、DNAをその認識配列の下流で粘着末端型に切断することのできるIIS型制限エンドヌクレアーゼの性質を利用する。これにより、4塩基対の突出部を有する粘着末端型断片を、任意のヌクレオチド配列に作ることが可能になる(図2)。この方法は、最終産物に傷跡が存在するという問題を取り除く一方で、依然として重大な制約がある。Golden Gate Assemblyは、ミスマッチとなる傾向のある4塩基対の突出部を作ることができるに過ぎない。また、この方法では、所望の突出部となる正確な位置に、必要な酵素認識部位が存在することが求められる。この制限部位はまた、プラスミドではユニークであって挿入配列ではそうでないものでなければならない。制限部位が存在しない場合は、所望の酵素部位を含有するプライマーを用いて、図4に概ね略述されるようにPCRを介して挿入することができよう。しかし、これは科学者に簡便かつ迅速な手順をもたらすことはなく、1反応でアセンブリ可能な断片の数に制約を与える可能性がある。
【0006】
Gibson Assemblyという名の別の手法は、生物学研究者に広く用いられている。この方法では、二重鎖DNA断片の重複領域を用いて、1本のチューブかつ1反応でDNA産物をアセンブリすることができる。エキソヌクレアーゼを用いて、各DNA断片の5’領域を刈り込みながら戻り、DNAの相補一本鎖領域を曝露する。次いで、これらの鎖を合わせて連結し、ポリメラーゼによりギャップを埋め、二重鎖DNA断片を産生する(図3)。Gibson Assemblyは、組換えDNA技術に1ステップの解決策を提供する一方で、大きな20~80塩基対の重複を有する熟練の設計も要する。また、エキソヌクレアーゼとポリメラーゼとを1ステップの反応で用いる際には、その結果として分子間の相反する動力学に起因して酵素効率の低下を生じるという、大きな難点がある。Gibson Assemblyはまた、エキソヌクレアーゼの活性が制御されていない場合に用いることの出来るDNA断片のサイズに制約を抱えており、それゆえに小さなDNA断片を用いることができない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
以上から分かるように、現在の手法の制約または困難なく、科学者にとって遺伝子アセンブリをさらに容易なものとすることのできる、簡単で費用効果の高い方法が求められている。重要なことに、そのような方法の改善により、1反応でアセンブリされるDNA断片の数を増やし、DNA断片の長さを増やすことが可能となる。下記に記載されるように、本発明者らは、化学修飾プライマー、標準的なポリメラーゼ連鎖反応(PCR)プロトコール、および連結方法のみを用いた、組換えDNAアセンブリに対する新規のアプローチを明示している。この方法論は、他の方法に比べて迅速、簡単、かつ有効であり、組換えDNAを作り出す手段を向上することを可能にする。この手法は合成生物学として重要であり、自然界に存在しない生物システムの創出は、研究の将来、ヒトの健康、および環境の持続可能性において主要な様相となりつつある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本願発明の技術の一態様は、組換えDNAを合成するための、具体的には、粘着末端型DNAオリゴヌクレオチドを直接的に合成するためのシステム、方法、および組成物を含む。好適な一実施形態では、本発明の技術は、追加の操作のない典型的なPCRプロトコールを用いて、任意の所望の長さの突出部を含み任意の場所に粘着末端型DNA断片を直接的に合成するためのストラテジーを含む。
【0009】
本願発明の技術の別の態様は、制限酵素を用いず、それゆえに部位特異的な認識配列の必要性を排除する、5’突出粘着末端を有するDNAオリゴヌクレオチドを直接的に合成するためのシステム、方法、および組成物を含む。本願発明の技術の別の態様は、化学修飾DNAプライマーの使用を介して、5’突出粘着末端を有するDNAオリゴヌクレオチドを直接的に合成するためのシステム、方法、および組成物を含む。本願発明の技術の別の態様は、化学修飾プライマーによる改変型ポリメラーゼ連鎖反応(mPCR)プロトコールを用いて、5’突出粘着末端型DNA断片を有するDNAオリゴヌクレオチドを直接的に合成する新規の方法のためのシステム、方法、および組成物を含む。本願発明の技術の別の態様は、一本鎖の突出産物がその配列、場所、および長さをカスタマイズ可能な場合に、5’突出粘着末端型DNAを有するDNAオリゴヌクレオチドとして直接的に合成するシステム、方法、および組成物を含む。
【0010】
本願発明の技術の別の態様は、化学修飾オリゴヌクレオチドプライマーによる標準ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)プロトコールを用いて、5’突出粘着末端型DNAを有するDNAオリゴヌクレオチドを直接的に合成する新規の方法のためのシステム、方法、および組成物を含む。本発明の別の態様は、ポリメラーゼの伸長活性および/またはエキソヌクレアーゼ活性を妨げる化学修飾オリゴヌクレオチドプライマー、またはブロッキングプライマーを含む。一実施形態では、化学修飾オリゴヌクレオチドプライマー、またはブロッキングプライマーは、ポリメラーゼを立体的に阻止し、その伸長活性および/またはエキソヌクレアーゼ活性を妨げる場合がある。
【0011】
本発明の別の態様は、さらに形質転換工程に用いて機能的なDNA構築物を作り出すことのできる粘着末端型増幅DNA断片を作り出すために、化学修飾されたフォワードプライマーおよびリバースプライマーをPCRに使用するためのシステム、方法、および組成物を含む。本発明の別の態様は、さらに連結工程に用いて機能的なDNA構築物を作り出すことのできる粘着末端型増幅DNA断片を作り出すために、化学修飾されたフォワードプライマーおよびリバースプライマーをPCRに使用するためのシステム、方法、および組成物を含む。好適な一実施形態では、化学修飾基またはブロッキング基は、プライマー上のヌクレオシドまたはDNAリン酸骨格にカップリングされていてもよい。本発明の別の態様は、さらに形質転換工程に用いて機能的なDNA構築物を作り出すことのできる粘着末端型増幅DNA断片を作り出すために、化学修飾されたフォワードプライマーおよびリバースプライマーならびに非修飾プライマーをPCRに使用するためのシステム、方法、および組成物を含む。本発明の別の態様は、キナーゼの適用を経て化学修飾されてさらに連結酵素により連結され得る粘着末端型増幅DNA断片を作り出すために、化学修飾されたフォワードプライマーおよびリバースプライマーならびに非修飾プライマーをPCRに使用するためのシステム、方法、および組成物を含む。
【0012】
本発明の別の態様は、粘着末端型増幅DNA断片を作り出すために、化学修飾されたフォワードプライマーおよびリバースプライマーをPCRに使用するためのシステム、方法、および組成物を含み、リン酸基上の化学修飾またはブロッキング修飾は、プライマーの任意の所望のデオキシヌクレオチド上の熱不安定基4-オキソテトラデカ-1-イル(OXP)リン酸基の修飾を含む。
【0013】
本発明の別の態様は、粘着末端型増幅DNA断片を作り出すために、化学修飾されたフォワードプライマーおよびリバースプライマーをPCRに使用するためのシステム、方法、および組成物を含み、化学修飾またはブロッキング修飾は、DNAのリン酸骨格、糖、または塩基に付加されたブロッキング基として、光ケージを含む。本発明の別の態様は、粘着末端型増幅DNA断片を作り出すために、化学修飾されたフォワードプライマーおよびリバースプライマーをPCRに使用するためのシステム、方法、および組成物を含み、化学修飾またはブロッキング修飾は、DNAリン酸骨格に付加された1-(4,5-ジメトキシ-ニトロフェニル)ジアゾエタン(DMNPE)をケージング基として含む。
【0014】
本発明の別の態様は、宿主によりin vivoでその内因性のDNA修復機構によって連結され得る粘着末端型増幅DNA断片を作り出すために、化学修飾されたフォワードプライマーおよびリバースプライマーならびに非修飾プライマーをPCRに使用するためのシステム、方法、および組成物を含む。
【0015】
別の好適な態様では、本発明は、in vitroでまたは宿主によりin vivoでその内因性のDNA修復機構によって連結され得る粘着末端型増幅DNA断片を作り出すために、化学修飾されたフォワードプライマーおよびリバースプライマーならびに非修飾プライマーをPCRまたは他の類似のシステムに使用するためのシステム、方法、および組成物を含み、DNA断片は、本発明の技術を用いない同様のシステムで産生される従来のDNA構築物よりも大きな構築物を形成してもよい。
【0016】
本発明の別の態様は、さらに連結工程に用いて機能的なDNA構築物を作り出すことのできる粘着末端型増幅DNA断片を作り出すために、化学修飾されたフォワードプライマーおよびリバースプライマーならびに非修飾プライマーをPCRに使用するためのシステム、方法、および組成物を含む。好適な一実施形態では、化学修飾またはブロッキング基は、プライマー上のヌクレオシドまたはDNAリン酸骨格にカップリングされていてもよい。追加的な態様では、化学修飾基またはブロッキング基は、1つまたは複数のプロセスを通じて除去されても脱保護されてもよく、そのようなプロセスとしては、以下に限定されないが、酵素による脱保護、熱による脱保護、化学的な脱保護、触媒による脱保護、光ケージによる脱保護、または他の可逆的な化学反応が挙げられる。
【0017】
本発明の別の態様は、その一実施形態における従来のポリメラーゼ-DNA機構をブロックするようにオリゴヌクレオチドを修飾するために使用され得る、様々な可逆的な化学反応性物質を含んでいてもよい。可逆的な化学反応性物質の組成物は、可逆的なブロッキング基修飾として作用してもよく、この修飾は、DNAポリメラーゼがPCR増幅中に完全に相補鎖を伸ばすことを防ぎ、その結果として5’突出部を生じる。好適な一態様では、様々なR惹起基を有する「トリメチルロック」組成物の変形物が、オリゴヌクレオチドまたはオリゴヌクレオチドサブユニットに、例えばホスホロアミダイトにカップリングされていてもよく、オリゴヌクレオチドから化合物を除去する特異的な惹起物質として作用してもよい。特異的なR基に、化学物質、フォトン、または酵素により基全体の除去を惹起することができる。
【0018】
本発明の別の態様は、ハロゲン化物(I、Br&Cl)と可逆的化学反応性物質組成物とのカップリングの生成、例えばトリメチルロックがハロゲン化アルキルを生成することなどを含んでいてもよい。ハロゲン化アルキルを、次いで、特定の場所にチオリン酸基を含有する既に合成されたオリゴヌクレオチドに付加することができ、オリゴヌクレオチドサブユニット、例えばホスホロアミダイトなどにカップリングしてもよい。ハロゲン化アルキルは、可逆的なブロッキング基修飾として作用してもよく、この修飾は、DNAポリメラーゼがPCR増幅中に完全に相補鎖を伸ばすことを防ぎ、その結果として5’突出部を生じる。
【0019】
本発明の技術のさらに別の目的は、下記の記載および図面から明らかとなる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1図1AおよびBは、制限エンドヌクレアーゼの例である。切断部位を青い矢印によって標示する。(A)DNAを平滑末端型に切断する制限エンドヌクレアーゼの例である。結果として生じるのは、突出領域を持たない2つのDNA断片である。(B)DNAを粘着末端型に切断する制限エンドヌクレアーゼの例である。結果として生じるのは、赤で標示された突出領域である。
図2図2は、Golden Gate Assemblyの例である。IIS型制限酵素は特異的な認識配列を有する。この酵素は、次いで、青い矢印によって標示された認識配列の下流を切断する。消化の結果として生じるのは、粘着末端型DNA断片である。この断片は、次いで、他の相補DNA断片に連結することができ、その結果として組換えDNA産物を生じる。
図3図3は、Gibson Assemblyの例である。2つの二重鎖DNA断片は、青で標示された最適な重複領域を有するように設計されている。エキソヌクレアーゼを用いてDNAの5’末端を分解し、相補突出領域を残す。これらの断片を相補塩基対で合わせて連結し、ギャップをポリメラーゼによって埋める。結果として生じるのは、組換え二重鎖DNAである。
図4図4は、ポリメラーゼ連鎖反応の概要および例である。増幅を意図されている二重鎖DNA鋳型を、高熱条件に置き、相補DNA鎖を変性させる。次いで、反応物を冷却し、2つのプライマーを鋳型DNA鎖の3’末端にアニーリングさせる。プライマーのフリー3’-OHにポリメラーゼが結合する最適なポリメラーゼ活性温度に、反応物を加熱する。次いで、ポリメラーゼはdNTPを5’から3’への方式で添加し、鋳型鎖に相補性のあるDNAを作製する。産物は、鋳型DNAと同一のDNA鎖である。次いで、反応物を様々なサイクルについて再び加熱し、DNA増幅を可能にするものとなる。
図5図5は、化学修飾プライマーを用いて5’粘着末端型DNA断片を産生するPCR反応である。2つのプライマーがPCRに必要である。一方のプライマーを標準的な方法によって作製し、他方を黄色のボックスで標示されるOXP修飾により作製する。ポリメラーゼは、プライマー1のフリー3’-OH末端から延伸し、プライマー2上のOXP基によって立体的にブロックされてゆき、それによりポリメラーゼはDNAから脱落する。PCRの結果として生じるのは、粘着末端型増幅DNAである。挿入部は、鋳型に対する相補突出部を含んでおり、連結されて、二重鎖組換えDNAを生じる。
図6図6は、4-オキソ-1-テトラデカニル(OXP)構造を有する例示的なブロッキングプライマーである:(A)OXPの構造;および(B)DNAリン酸骨格に付加しているOXP基。
図7図7は、OXPの反応性について提案した機構である。(A)PCR溶液は酸-塩基成分を含む緩衝液を含有する。この塩基は、高温でOXP修飾と相互作用し得る。この塩基は、水素分子を受け取る反応種である。水素をOXP基から除去すると、カルボアニオンが形成される。(B)不安定なカルボアニオンは、迅速に電子を移動させてより安定な二重結合を形成することができる;しかし、その結果、電子は電気陰性度の高い酸素分子上に押しやられる。負電荷の酸素は、DNAリン酸骨格からのOXP基の解離を引き起こす好都合な環状構造を形成することのできる反応種である。
図8図8は、ポリメラーゼ連鎖反応サーマルサイクラーの条件である。標準的なPCR条件を黒で標示する。青の点線で標示されたOXP修飾プライマーを用いた実験的なPCR条件は、標準的なPCR条件に比べて温度が低く、時間が短く、サイクルが減っている。
図9図9は、質量分析データ内の分析したPCR産物と、この産物の対応する図および分子量計算値である。
図10図10は、20反応サイクルのPCRについて示された質量分析データである。(A)画分1。分析では、n-1切頭体の主産物が明らかになった(ヌクレオチド付加がOXP修飾後の最初のヌクレオチドで相補鎖上で停止している)。他の主産物としては、OXP付加のない完全長の相補的なリバース産物とフォワード産物とが挙げられた。(B)画分2。分析では、OXPがやはり付加された強度の高いフォワード産物が明らかになり、これはn-1切頭体に対する相補産物である。
図11図11は、質量スペクトル解析で検出されたPCR産物の相対量のグラフ表示である。サイクル5、10、15、 20、および 25を示す; 対応するPCR産物を下記にグラフに示す。
図12図12は、後に合わせて連結することのできる粘着末端型PCR産物を作り出すための概念実証の概要である。この実施形態では、プラスミドを、ヌクレオチドギャップを持つ2つの部分に分断したが、一方のギャップは、クロラムフェニコール耐性遺伝子(紫線としてプラスミドに示す)内にある。この2つのDNA断片は突出OXP修飾プライマーを側面に配置されている。最適条件によるPCRを実施した結果、6塩基対の粘着末端型領域を有するDNA断片を生じた。この相補的な粘着末端型領域を合わせて連結して再びプラスミドを形成し、再びヌクレオチドギャップとプラスミド耐性とを導入した。このプラスミドで大腸菌を形質転換した。クロラムフェニコールプレート上でのコロニーの増殖により粘着末端型連結を確認した。
図13図13は、PCR産物のゲル電気泳動である。産物1および産物2はそれぞれプラスミドの半片を示している。非修飾のPCRプライマーを用いて対照をランした。ゲルは、標準的なプライマーとOXP修飾プライマーとの両方により鋳型が首尾良く増幅されたことを示した。PCR条件は以下の通りとした:95℃で0秒間、55℃で0秒間、72℃で5秒間。PCRを6サイクル(8.5分間)または10サイクル(15分間)のどちらかでランした。ゲルは、形成された約3.1ng/ulの産物を示した。
図14図14は、連結効率の概要である。PCR産物は3’水酸基および5’水酸基を有する。キナーゼ酵素を用いて5’水酸基をリン酸基に変換した。次いで、T7リガーゼを用いた連結を起こすことができ、その結果、完全に機能的なプラスミドを生じた。
図15図15は、遺伝子アセンブリに用いる5’突出粘着末端を有したDNAの直接的な合成の概要である。
図16図16A~Dは、その一実施形態で従来のポリメラーゼ-DNA機構をブロックするようにオリゴヌクレオチドを修飾するために使用され得る、可逆的化学反応性物質の例である。(A)オリゴヌクレオチドから化合物を除去する特異的な惹起物質として作用する様々なR基を持つ、「トリメチルロック」のバリエーションである。特異的なR基に、化学物質、フォトン、または酵素により基全体の除去を惹起することができる。(B)チオエステラーゼ活性によって除去される可逆的化学反応物質の一例であり、(C)エステラーゼ活性によって除去される可逆的化学反応物質の一例である。(D)ベータ-グルクロニダーゼ活性によって除去される可逆的化学反応物質の一例である。
図17図17A~Bは、その一実施形態で従来のポリメラーゼ-DNA機構をブロックするようにオリゴヌクレオチドを修飾するために使用され得る、可逆的化学反応性物質を付加するための方法の例を示す。(A)可逆的化学反応性物質を、オリゴヌクレオチド合成中に導入された修飾ホスホロアミダイトを介して付加する。1つまたは複数の部位をオリゴヌクレオチド上で修飾してもよい。この可逆的化学反応性物質は、特定の立体化学を用いて付加されてもよいし、ラセミ混合物として付加されてもよい。(B)可逆的化学反応性物質を、求核置換反応を介して直接的に合成オリゴヌクレオチドに付加する。ハロゲン化物(I、Br&Cl)をまず、可逆的化学反応性物質(R)に付加する。このハロゲン化アルキルを、次いで、特定の場所にチオリン酸基を含有する既に合成されたオリゴヌクレオチドに付加することができる。この可逆的化学反応性物質を、次いで、求核置換反応を介してオリゴヌクレオチドに付加する。1つまたは複数の部位をオリゴヌクレオチド上で修飾してもよい。この可逆的化学反応性物質は、特定の立体化学を用いて付加されてもよいし、ラセミ混合物として付加されてもよい。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明は、様々に組み合わされ得る種々の態様を含む。以下の記載は、本発明の構成要素を挙げ、本発明の実施形態の一部を記載するために示される。これらの構成要素は、初歩的な実施形態により挙げられるが、任意の方式および任意の数で組み合わされて、追加的な実施形態を作り出し得ることが理解されるべきである。様々に記載された実施例および好適な実施形態は、明示的に記載されたシステム、手法、および適用のみに本発明を限定するものと解釈されるべきではない。さらに、この記載は、本願または任意の後続の出願における任意の数の開示された構成要素により、それぞれの構成要素のみにより、ならびにまたすべての構成要素の任意のおよびすべての様々な置換えおよび組合せにより、すべての様々な実施形態、システム、手法、方法、デバイス、および適用の記載および特許請求の範囲を支持し包含するものと理解されるべきである。
【0022】
本願発明の技術の一実施形態は、組換えDNAを合成するための、具体的には、粘着末端型DNAオリゴヌクレオチドを直接的に合成するためのシステム、方法、および組成物を含む。好適な一実施形態では、本発明の技術は、粘着末端型DNAを直接的に合成するストラテジーを含み、この実施形態では、追加の操作のない典型的なPCRプロトコールを用いて、任意の所望の長さと配列とを持つ突出部を含んで任意の場所に5’突出DNA断片を有する粘着末端型DNAを直接的に合成するためのストラテジーを含む。
【0023】
本願発明の技術の別の実施形態は、制限酵素を用いず、それゆえに部位特異的な認識配列の必要性を排除する、5’突出粘着末端を有するDNAを直接的に合成するためのシステム、方法、および組成物を含む。本願発明の技術の別様は、化学修飾されたブロッキングオリゴヌクレオチドプライマーの使用を介して、5’突出粘着末端を有するDNAを直接的に合成するためのシステム、方法、および組成物を含む。本願発明の技術の別の実施形態は、化学修飾されたオリゴヌクレオチドプライマーによる改変型PCRプロトコールを用いて、5’突出粘着末端型DNAを有するDNAを直接的に合成する新規の方法のためのシステム、方法、および組成物を含む。本願発明の技術の別の実施形態は、一本鎖の突出産物がその配列、場所、および長さをカスタマイズ可能な、5’突出粘着末端型DNAを有するDNAを直接的に合成するシステム、方法、および組成物を含む。
【0024】
本願発明の技術の別の実施形態は、化学修飾オリゴヌクレオチドプライマーによる標準ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)プロトコールを用いて、5’突出粘着末端型DNAを有するDNAを直接的に合成する新規の方法のためのシステム、方法、および組成物を含む。本発明の別の実施形態は、ポリメラーゼの伸長活性および/またはエキソヌクレアーゼ活性を妨げる化学修飾オリゴヌクレオチドプライマー、またはブロッキングプライマーを含む。一実施形態では、化学修飾プライマー、またはブロッキングプライマーは、ポリメラーゼを立体的に阻止し、その伸長活性および/またはエキソヌクレアーゼ活性を妨げる場合がある。本発明の別の実施形態は、さらに形質転換工程に用いて機能的なDNA構築物を作り出すことのできる粘着末端型増幅DNA断片を作り出すために、化学修飾されたフォワードプライマーおよびリバースプライマーをPCRに使用するためのシステム、方法、および組成物を含む。
【0025】
本発明の別の実施形態は、さらに連結工程に用いて機能的なDNA構築物を作り出すことのできる粘着末端型増幅DNA断片を作り出すために、化学修飾されたフォワードプライマーおよびリバースプライマーをPCRに使用するためのシステム、方法、および組成物を含む。好適な一実施形態では、化学修飾基またはブロッキング基は、プライマー上のヌクレオシドまたはDNAリン酸骨格にカップリングされていてもよい。本発明の別の実施形態は、さらに形質転換工程に用いて機能的なDNA構築物を作り出すことのできる粘着末端型増幅DNA断片を作り出すために、化学修飾されたフォワードプライマーおよびリバースプライマーならびに非修飾プライマーをPCRに使用するためのシステム、方法、および組成物を含む。
【0026】
本発明の別の実施形態は、キナーゼの適用を経て化学修飾されてさらに連結酵素により連結され得る粘着末端型増幅DNA断片を作り出すために、化学修飾されたフォワードプライマーおよびリバースプライマーならびに非修飾プライマーをPCRに使用するためのシステム、方法、および組成物を含む。本発明の別の実施形態は、粘着末端型増幅DNA断片を作り出すために、化学修飾されたフォワードプライマーおよびリバースプライマーをPCRに使用するためのシステム、方法、および組成物を含み、化学修飾またはブロッキング修飾は、化学修飾またはブロッキング修飾は、DNAのリン酸骨格、 糖、または塩基上に、ポリメラーゼ延伸をブロックする4-オキソテトラデカ-1-イル(OXP)リン酸基修飾または任意の化学修飾を含む。
【0027】
本発明の別の実施形態は、粘着末端型増幅DNA断片を作り出すために、化学修飾されたフォワードプライマーおよびリバースプライマーをPCRに使用するためのシステム、方法、および組成物を含み、化学修飾またはブロッキング修飾は、DNAのリン酸骨格に付加されたブロッキング基として、光ケージを含む。本発明の別の実施形態は、粘着末端型増幅DNA断片を作り出すために、化学修飾されたフォワードプライマーおよびリバースプライマーをPCRに使用するためのシステム、方法、および組成物を含み、化学修飾またはブロッキング修飾は、DNAリン酸骨格に付加された1-(4,5-ジメトキシ-ニトロフェニル)ジアゾエタン(DMNPE)をケージング基として含む。
【0028】
本発明の別の実施形態は、宿主によりin vivoでその内因性のDNA修復機構によって連結され得る粘着末端型増幅DNA断片を作り出すために、化学修飾されたフォワードプライマーおよびリバースプライマーならびに非修飾プライマーをPCRに使用するためのシステム、方法、および組成物を含む。本発明の別の実施形態は、さらに連結工程に用いて機能的なDNA構築物を作り出すことのできる粘着末端型増幅DNA断片を作り出すために、化学修飾されたフォワードプライマーおよびリバースプライマーならびに非修飾プライマーをPCRに使用するためのシステム、方法、および組成物を含む。好適な一実施形態では、化学修飾基またはブロッキング基は、プライマー上のヌクレオシドまたはDNAリン酸骨格にカップリングされていてもよい。追加的な実施形態では、化学修飾基またはブロッキング基は、1つまたは複数のプロセスを通じて除去されても脱保護されてもよく、そのようなプロセスとしては、以下に限定されないが、酵素による脱保護、熱による脱保護、化学的な脱保護、触媒による脱保護、光ケージによる脱保護、または他の可逆的な化学反応が挙げられる。
【0029】
好適な一実施形態では、本発明の技術は、PCRまたは他の同様のプロトコールを用いて増幅され得るポリヌクレオチド、好ましくはDNAポリヌクレオチドを直接的に合成するためのシステム、方法、および組成物を含み、そのようなDNA産物は、粘着末端型部分を含んでいてもよい。この好適な実施形態では、合成されたDNA産物は、カスタマイズ可能な長さと配列とを持つ5’粘着末端突出領域を含むことがある。そのような5’粘着末端突出領域は、ハイブリダイズおよび/または連結されて組換えDNA産物を形成し得るように、互いに相補性であってもよい。
【0030】
実施形態では、化学修飾プライマーまたはブロッキングプライマーは、PCRまたは他の類似のDNA複製の過程に取り込まれてもよい。好適な一実施形態では、ブロッキングプライマーは、1つまたは複数のブロッキング基をプライマーに追加することを介して生成されてもよい。このブロッキング基は、プライマーに沿って任意の場所に配置されていてもよく、さらにデオキシヌクレオシドまたはプライマーのリン酸骨格にカップリングされてもよい。
【0031】
図15に概ね示されるように、好適な一実施形態では、ブロッキングプライマーは、化学ブロッキング基、例えばOXPなどをリン酸プライマー修飾として含んでいてもよい。またこの実施形態で示されるように、化学ブロッキング基は、下記に記載されるように、5’プライム末端まで延伸している残りの塩基対が粘着末端型DNA産物の5’突出領域を形成するように、プライマーの3’末端のより近くに配置されてもよい。他の箇所に述べられるように、粘着末端型DNA産物の5’突出領域の長さおよび塩基組成は、ユーザが特定のアプリケーションまたはニーズに応じて直接的に設計してもよい。一実施形態では、本発明は、OXPをリン酸プライマー修飾として含んでいてもよく、このリン酸プライマー修飾は、時間、温度、およびサイクルを縮めた効率的なPCRプロトコールで産物を生成するのに使用され得る。ブロッキングプライマー、および好ましくはOXP修飾プライマーをPCRに使用すると、結果としてリン酸基修飾に対し切頭を生じることがある。
【0032】
好適な一実施形態では、本発明は、6塩基対からなる例示的な5’突出産物を作り出すための修飾プライマーをPCRに含むことがあり、上記塩基対は、現行の方法で作られる4塩基対突出部に比べて、16倍のアニーリング特異性の増加をもたらす。5’突出産物は、任意の所望の塩基対の長さの突出部からなるものとすることができる。上述の通り、ある特定の実施形態では、長さおよび配列をカスタマイズし得る。例えば、ある特定の実施形態では、修飾プライマーを標準的なまたはカスタマイズされたPCRプロトコールと共に用いて、例示的な5’突出ポリヌクレオチド産物を作り出し得るが、そのようなポリヌクレオチド産物は、以下からなる群から選択され得る:1から4個の塩基対からなる5’突出ポリヌクレオチド産物;1から6個の塩基対からなる5’突出ポリヌクレオチド産物;1から10個の塩基対からなる5’突出ポリヌクレオチド産物;1から20個の塩基対からなる5’突出ポリヌクレオチド産物;1から30個の塩基対からなる5’突出ポリヌクレオチド産物;1から40個の塩基対からなる5’突出ポリヌクレオチド産物;1から50個の塩基対からなる5’突出ポリヌクレオチド産物;1から60個の塩基対からなる5’突出ポリヌクレオチド産物;1から70個の塩基対からなる5’突出ポリヌクレオチド産物;1から80個の塩基対からなる5’突出ポリヌクレオチド産物;1から90個の塩基対からなる5’突出ポリヌクレオチド産物;1から100個の塩基対からなる5’突出ポリヌクレオチド産物;100塩基対超からなる5’突出ポリヌクレオチド産物。
【0033】
別の好適な実施形態では、本発明は、さらに連結され得る例示的な5’突出ポリヌクレオチド産物を作り出すための修飾プライマーをPCRに使用することを含むことがある。好適な一実施形態では、複数の粘着末端型DNA鎖は、以降にエンドヌクレアーゼ消化を施されず、PCRから直接的に合成され、特異的に合わせて連結されて、例えば、機能的な遺伝子または発現ベクターなどを形成することがある。
【0034】
別の好適な実施形態では、本発明は、例示的な5’突出ポリヌクレオチド産物を作り出すための修飾プライマーをPCRに使用することを含んでいることがあり、上記ポリヌクレオチド産物は、1つまたは複数の宿主生物、例えば細菌または他の真核細胞などを形質転換するために使用され、さらに細胞の内因性のDNA修復機構によってin vivoで連結されてもよい。別の好適な実施形態では、本発明は、1つまたは複数の化学修飾プライマーまたはブロッキングプライマーの生成を含んでいてもよい。カップリングできるおよび/または修飾プライマーから除去できるブロッキング修飾または基の例としては、以下に限定されないが、ポリメラーゼ延伸をブロックするDNAリン酸骨格、糖、または塩基上の4-オキソテトラデカ-1-イル(OXP)リン酸基修飾または任意の化学修飾、例えば:1-(4,5-ジメトキシ-ニトロフェニル)ジアゾエタン(DMNPE);2-(2-ニトロフェニル)プロピル;2-(2-ニトロフェニル)プロピルオキシメチル;1-(2-ニトロフェニル)エチル基;4-オキソ-1-テトラデカニル(OXP);6-ニトロピペロニルオキシメチル;アセトキシメチル;アリルオキシメチル;ベンゾイル;ベンジルオキシメチル;ジメトキシベンジルオキシメチル;イソブチリル;メトキシ;リン酸メチル;t-ブチルジメトキシシリルオキシメチル;t-ブチルジフェニルシリルオキシメチル;トリメトキシベンジルオキシメチル;トリチル;およびイソシアネートが挙げられる。
【0035】
再び図15を概ね参照すると、一実施形態では、化学修飾プライマーまたはブロッキングプライマーを、PCRにおいて非修飾プライマーに対合させて、粘着末端型DNA産物を直接的に合成してもよい。好適な一実施形態では、本方法は、第1の非修飾プライマーと、少なくとも1つの化学修飾を有する第2のプライマーとを構築することを含む場合があり、上記化学修飾は、ブロッキング基を第2のプライマーに追加することを含む。このブロッキング基は、ブロッキングプライマーの3’末端の近くに位置していてもよい。このブロッキングプライマーはさらに、1)骨格リン酸基またはヌクレオシドを保護する;および/または2)鋳型鎖上でポリメラーゼの延伸をブロックしてもよい。好適な一実施形態では、化学ブロッキング基はOXPブロッキング修飾を含む。しかし、追加の好適な実施形態は、ブロッキングプライマー上でリン酸基を保護し得る他の化学ブロッキング基を含むことがある。
【0036】
再び図15を参照すると、第1のプライマーおよびブロッキングプライマーは、PCRに組み込まれてもよいし、他のDNA増幅過程に組み込まれてもよい。この実施形態では、少なくとも1つの二重鎖DNA鋳型が、第1ラウンドのPCRプロセスに供される結果、2本の一本鎖DNA(ssDNA)鎖、すなわち5’-3’ssDNA鎖と3’-5’ssDNA鎖とが生成され得る。第1の非修飾プライマーは、第1のssDNAの3’末端上の対応する位置にアニーリングまたはハイブリダイズし得る。化学修飾プライマーまたはブロッキングプライマーは、第2のssDNAの対応する3’末端にアニーリングし得るが、この場合、ssDNA突出領域が5’方向に延伸することがある。ポリメラーゼは、プライミングされた領域にカップリングし、二重鎖DNAポリヌクレオチド(dsDNA)を形成する鋳型鎖に沿って延伸するものとなる。この第1ラウンドのPCRの後では、標準的なPCRプロトコールで予想されるように、第1のssDNAが、平滑末端を有するdsDNA鋳型となっている。図15に強調表示されているように、第2のssDNAは、5’粘着末端突出領域を有するdsDNA鋳型となっている。
【0037】
再び図15を参照すると、プロトコールが本明細書に特定されているPCRにおける第2の加熱サイクルおよびアニーリングサイクルでは、修飾ブロッキングプライマーは、5’ssDNAにアニーリングし得るが、その5’ssDNAはポリメラーゼによって延伸されて、ポリメラーゼは5’粘着性末端突出領域を有するdsDNA鋳型を形成する。第1の非修飾プライマーは、ブロッキングプライマーからブロッキング化学基を取り込んでいるssDNA鋳型の3’末端上の対応する位置にアニーリングし得るが、この場合、ブロッキング化学基はリン酸骨格を保護している。ポリメラーゼはプライマー位置で付加し、伸長鎖の延伸を開始し得るが、やがてブロッキング化学基に到達し、このブロッキング化学基はポリメラーゼの延伸をブロックする。その結果、ポリメラーゼは鎖から解離し、鎖は5’粘着末端突出領域を有するdsDNA産物を形成する。図15に見られるように、PCRは十分なサイクルに供されて、所望の量の粘着末端型DNA産物を直接的に合成することができる。
【0038】
ある特定の実施形態では、ブロッキング化学基は、粘着末端型DNA産物から脱カップリングされてもよい。この脱保護工程は、ブロッキング保護基を切断することによって達成されることがあり、この場合、PCR反応後にポリヌクレオチドの骨格から酵素により、熱により、化学触媒、光ケージ、または他の可逆的な化学反応を介して達成される。
【0039】
上述のように、代替の実施形態では、化学修飾またはブロッキング修飾は、種々の可逆的な化学反応を用いてオリゴヌクレオチドに行われてもよく、そのような物質の一部は当技術分野に説明されている。これらの可逆的な化学反応は、合成後のDNAオリゴヌクレオチド内に化学修飾またはブロッキング修飾を導入するために用いられてもよい。
【0040】
図17Bを概ね参照すると、実施例によってかつ限定なく、この実施形態では、オリゴヌクレオチドは、チオリン酸基を配列内の特定の位置に取り込んで合成されてもよく、その可逆的な化学反応では、化学修飾またはブロッキング修飾が付加される。図17Bにさらに示されるように、可逆的な化学基(R)はハロゲン化アルキルへと形成されていることがあり、ここではヨウ素(I)を可逆的なブロッキング基に付加することにより示されているが、DNAオリゴヌクレオチドの所望のリン酸基に付加された可逆的な化学修飾またはブロッキング修飾を形成している可能性がある。
【0041】
この実施形態では、粘着末端型DNAオリゴヌクレオチドは、設計されたようにアセンブリされ得るが、上記のように、リガーゼは、ブロッキング基が可逆的な機構によって除去されるまで、鎖に結合しその間のホスホジエステル結合を触媒することができないものとなる。図16A図16Bに示されるように、トリメチルロック上の様々なR基は、PCR反応が完了すると、または所望に応じて、脱保護工程の間にオリゴヌクレオチドから基を除去するための惹起物質として作用することができる。特異的なR基、例えば図1Bに特定されるものなどは、基全体を除去するために惹起することができる。例示的なR基惹起物質としては、化学惹起性R基、光惹起性R基、フォトン惹起性R基、または酵素惹起性R基が挙げられ得る。図16B図16Dに示されるように、例示的なR基惹起物質としては、チオエステラーゼ活性により除去されるR基惹起物質が挙げられ得るとともに、R基惹起物質としては、エステラーゼ活性により除去されるR基惹起物質、ならびにグルクロニダーゼ活性、具体的にはベータ-グルクロニダーゼ活性により除去されるR基惹起物質が挙げられ得る。
【0042】
別の実施形態では、本発明は、オリゴヌクレオチド合成の間に可逆的な化学反応性物質をヌクレオシドホスホロアミダイトにカップリングする方法を含む。本明細書に用いられる際に、「ホスホロアミダイト」または「ヌクレオシドホスホロアミダイト」とは、概してオリゴヌクレオチド、核酸の比較的短い断片、およびそれらの類似体を合成するために用いられる、天然または合成のヌクレオシドの誘導体を意味する。
【0043】
図17Aを概ね参照して、可逆的な化学化合物の一例を、オリゴヌクレオチド合成の間に取り込まれた修飾ホスホロアミダイトを介して付加してもよい。1つまたは複数の部位をオリゴヌクレオチド上で修飾してもよい。この可逆的な化学反応性物質は、特異的な立体化学を用いて付加されてもよいし、ラセミ混合物として付加されてもよい。図17Bに示されるように、可逆的な化学反応性物質、例えば図16に特定されるトリメチルロックまたは他の組成物を、求核置換反応を介して直接的に合成オリゴヌクレオチドに付加してもよい。また図17Bに示されるように、ハロゲン化物をまず、可逆的化学反応物質(R)に付加してもよい。このハロゲン化アルキルを、次いで、特定の場所にチオリン酸基を含有する既に合成されたオリゴヌクレオチドに付加することができる。この可逆的化学反応性物質を、次いで、求核置換反応を介してオリゴヌクレオチドに付加する。図16に記載されるように、一実施形態では、PCR反応が完了すると、または所望に応じて、様々なR基惹起物質を有するトリメチルロックを用いて、脱保護工程の間にオリゴヌクレオチドから基を除去してもよい。
【0044】
追加的な実施形態では、新たに生成された粘着末端型DNA鎖を、上記に概ね記載される方法を介して直接的に合成され得る別の粘着末端型DNA鎖に連結してもよい。この好適な実施形態では、粘着末端型DNA鎖鋳型を、相補的な5’粘着末端型突出領域を有する粘着末端型DNA鎖挿入部とカップリングしてもよい。上記のように、5’粘着末端突出領域の長さおよび配列を、ユーザが工学的に開発してもよい。その結果、ある特定の実施形態では、リガーゼ酵素を用いて2本の鎖をカップリングし得る一方で、一部の場合では、そのようなアニーリングが連結酵素の不在下で起こり得る。ある特定の実施形態では、生成された粘着末端型DNAは、例えば、細菌や真核細胞などの宿主細胞に導入されてもよく、細胞内では、それらは、CRISPR-Casベースの方法または他の遺伝子編集手法によって生成された特定の切断部位内に連結され得る。この新規の方法は、組換えDNA産物を生成するためのみではなく、特異的に生成された粘着末端を含むDNAで宿主細胞を効率的に形質転換するためにも用いられ得る。
【0045】
また、本明細書に記載される様々な実施は、本開示の範囲を逸脱することなく、記載または開示される任意の他の実施と組み合わせて利用できることも理解されたい。ゆえに、本開示のある特定の実施による製品、部材、要素、デバイス、装置、システム、方法、プロセス、組成物、および/またはキットは、本開示の範囲を逸脱することなく、本明細書に開示される他の実施に記載される性質、特徴、構成要素、部材、要素、工程、および/またはその他(システム、方法、装置、および/またはその他を含む)を含むか、組み込むか、またはその他含めることができる。そのため、1つの実施に関連して特定の特徴を参照することは、前記実施内での適用のみに限定されるものと解釈されるべきではない。
【0046】
用語「核酸」または「核酸分子」は、一本鎖および二重鎖の形状のDNA;一本鎖の形状のRNA;および二重鎖の形状のRNA(dsRNA)を含む。用語「ヌクレオチド配列」または「核酸配列」とは、別個の一本鎖または二本鎖のどちらかとしての、センス鎖とアンチセンス鎖との両方の核酸を指す。用語「リボ核酸」(RNA)は、iRNA(阻害性RNA)、dsRNA(二重鎖RNA)、siRNA(低分子干渉RNA)、mRNA(メッセンジャーRNA)、miRNA(マイクロRNA)、hpRNA(ヘアピンRNA)、tRNA(転移RNA)、対応するアシル化アミノ酸により荷電しているか非荷電であるかに関わらず)、およびcRNA(相補RNA)を含む。用語「デオキシリボ核酸」(DNA)は、cDNA、ゲノムDNA、およびDNA-RNAハイブリッドを含む。用語「核酸セグメント」および「ヌクレオチド配列セグメント」、またはさらに一般には「セグメント」は、両ゲノム配列、リボソームRNA配列、転移RNA配列、メッセンジャーRNA配列、オペロン配列、およびペプチド、ポリペプチド、もしくはタンパク質をコードするかまたはコードするよう適応され得る低分子開発型ヌクレオチド配列を含む、機能的な用語として当業者に理解されるものとなる。具体的には、核酸としては、限定なく、DNA、RNA、cDNA、gDNA、ssDNA、dsDNA、またはそれらの任意の組合せを挙げることができる。
【0047】
用語「プライマー」または「オリゴヌクレオチド」とは、相補配列を含有する第2の核酸分子(「標的」)と塩基対を形成することのできる、画定された配列の単鎖の核酸分子を指す。結果として得られるハイブリッドの安定性は、長さ、GC含量、および起こる塩基対の程度に依存する。塩基対の程度は、プローブと標的分子との間の相補性の度合い、およびハイブリダイゼーション条件のストリンジェンシーの度合いなどのパラメーターによって影響される。ハイブリダイゼーションのストリンジェンシーの度合いは、パラメーター、例えば温度、塩濃度、およびホルムアミドなどの有機分子の濃度などによって影響され、当業者に公知の方法によって決定される。プローブ、プライマー、およびオリゴヌクレオチドは、当業者に周知されている方法によって、検出可能に標識されてもよいし、放射性、蛍光性、または非放射性のいずれかにより標識されてもよい。色素に結合しているdsDNAが、dsDNAを検出するために用いられてもよい。「プライマー」は、ポリメラーゼによって延伸されるように特異的に構成されるのに対し、「プローブ」または「オリゴヌクレオチド」は、そのように構成されていてもされていなくてもよいことを理解されたい。
【0048】
「ブロッキングプライマー」とは、ポリメラーゼの作用をブロッキングするかまたは阻止するように特異的に構成されているプライマーを含むことを意味する。用語「ブロッキング化学修飾」または「ブロッキング化学基」は、ヌクレオシドであるかまたはリン酸骨格であるかまたは他の結合位置であるかに関わらず、核酸鎖内に共有結合により連結された任意の化学基を含み、ポリメラーゼの延伸および/またはポリメラーゼの酵素的エキソヌクレアーゼ活性をブロッキングすることができる。
【0049】
また本明細書に用いられる際に、用語「ハイブリダイゼーション」とは、1本の単鎖の核酸が別の単鎖の核酸に、例えばプライマー鎖が鋳型鎖に、それぞれの単鎖の相補的なワトソン・クリック塩基間の水素結合を介して結合し、それによって二重鎖の核酸ハイブリッドまたはその他当技術分野に公知の複合体を生成することを指す。一般的には、用語「ハイブリダイズする」、「アニーリングする」、および「対」は、この反応を記載するために当技術分野で互換的に用いられるため、同様に本明細書では互換的に用いられる。ハイブリダイゼーションは、2本の一本鎖のDNA分子の間、もしくは2本の一本鎖のRNA分子の間、一本鎖DNAと一本鎖RNAとの間で進み、二重鎖の核酸複合体を形成し得る。
【0050】
PCRは本明細書にて実施例で用いられる増幅方法であるが、プライマーを用いる任意の増幅方法が適する場合があることを理解されたい。そのような適した工程としては、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR);鎖置換増幅(SDA);核酸配列ベース増幅(NASBA);カスケードローリングサークル増幅(CRCA)、DNAのループ媒介性等温増幅(LAMP);核酸の等温キメラプライマー誘発性増幅(ICAN);標的ベースヘリカーゼ依存性増幅(HDA);転写媒介性増幅(TMA)などが挙げられる。そのため、用語PCRが用いられる場合は、他の代替の増幅方法を含むものと理解されるべきである。別個のサイクルを含まない増幅方法については、サイクルまたはCpで測定が行われる反応時間を用いてもよいし、本明細書に記載の実施形態において追加的なPCRサイクルを追加する追加的な反応時間を追加してもよい。プロトコールをそれに従って調整することが必要となり得ることを理解されたい。
【0051】
一部の実施形態では、PCRは、任意の適したPCR方法を含む。例えば、PCRとしては、ポリメラーゼ連鎖反応を用いていくつかの異なる核酸配列を同時に増幅する、マルチプレックスPCRを挙げることができる。マルチプレックスPCRは、複数のプライマーセットを用いることができ、いくつかの異なる核酸配列を同時に増幅することができる。一部の場合では、マルチプレックスPCRは、複数のプライマーセットを単一のPCR反応に採用して、異なる核酸標的配列に特異的な異なる核酸配列のアンプリコンを産生することができる。マルチプレックスPCRは、複数の個別のPCR反応の代わりに単一のPCR反応を用いて、異なる核酸標的配列のアンプリコンを生成するのに役立つ特徴を有するものとすることができる。
【0052】
また、本明細書に用いられる際には、用語「粘着末端」または「5’突出部」とは、二重鎖DNAの5’末端に任意の数の突出型非塩基対塩基を含む二重鎖DNA、例えば図5に概ね示されるようなものを指す。
【0053】
また、本明細書に用いられる際に、用語「変性」とは、二重鎖の核酸を分離して一本鎖の核酸を生成する過程を意味する。この過程は「融解」ともよばれる。二重鎖の核酸の変性は、様々な方法によって達成することができるが、本明細書では主に加熱によって行う。
【0054】
また、本明細書に用いられる際には、用語「一本鎖DNA」は、多くの場合に「ssDNA」と略されるものとなり、用語「二重鎖DNA」は、多くの場合に「dsDNA」と略されるものとなり、用語「二重鎖RNA」は、多くの場合に「dsRNA」と略されるものとなる。用語「RNA」が、別途示さない限り一本鎖であるRNAの全般的な状態を指すことは、本明細書に含意されている。
【0055】
別途示されない限り、具体的な核酸配列もまた、その保存的改変バリアント(例えば縮重コドン置換)、相補性(または相補)配列、および逆相補配列、ならびに標示を含意された配列を、包含することを含意する。特に、縮重コドン置換は、1つまたは複数の選択された(または全ての)コドンの第3の位置が混合塩基および/またはデオキシイノシン残基に置換された配列を生成することによって達成されることがある(例えばBatzer et al., Nucleic Acid Res. 19:5081 (1991);Ohtsuka et al., J.Biol. Chem. 260:2605-2608 (1985):およびRossolini et al.,Mol. Cell. Probes 8:91-98 (1994)を参照)。核酸コドンの縮重があるために、様々な異なるポリヌクレオチドを用いて、同一のポリペプチドをコードすることができる。下記の表1aは、どの核酸コドンがどのアミノ酸をコードするのかに関する情報を含む。
【0056】
用語「遺伝子」または「配列」とは、いくつかの方式で遺伝子産物(例えばポリペプチドまたは機能性RNA)の発現を制御することのできる適切な調節配列に動作可能に接合されたコード領域を指す。遺伝子は、コード領域(オープンリーディングフレーム、ORF)に先行して(上流)および続いて(下流)DNAの非翻訳調節領域(例えばプロモーター、エンハンサー、レプレッサーなど)、ならびに妥当であれば、個々のコード領域(すなわちエクソン)の間に介在配列(すなわちイントロン)を含む。
【0057】
本明細書に用いられる際の用語「構造遺伝子」は、mRNAに転写されて次いで特定のポリペプチドに特徴的なアミノ酸の配列に翻訳される、DNA配列を意味することを意図されている。
【0058】
用語「およそ」および「約」とは、参照の量、レベル、値、または量に対して、30%程度で、別の実施形態では20%程度で、第3の実施形態では10%程度で、変化する量、レベル、値、または量を指す。本明細書に用いられる際に、単数形「a」、「an」、および「the」は、文脈が別途明確に記述しない限り、複数への言及を含む。
【0059】
用語「トリメチルロック」トリメチルロックは、3つのメチル基を近接近で含む官能基である。これらの3つのメチル基間の立体的相互作用は、ラクトン反応および脱離基の遊離を促進する。トリメチルロックは、組成物の脱カップリングを容易にし得る1つまたは複数のR基惹起物質をさらに含むことがある。
【0060】
用語「可逆的な化学反応」または「可逆的な化学反応」は、分子を修飾するための利用可能な方法を広く説明し、そのようなものとしては、分子上のある基を所望の官能基に交換すること、例えばオリゴヌクレオチド上の化学修飾またはブロッキング修飾などが挙げられる。使用後、化学修飾またはブロッキング修飾は、除去するか、または所望に応じて、任意選択的にさらに第2の官能基に交換することができる。基の簡便な交換性は、可逆的な反応により影響を受け、この反応では、所望に応じて反応を順方向または逆方向へ向けるように、平衡条件が各段階で制御される。この官能化の後、官能基の追加を同じ交換反応によって逆転させることができるが、異なる平衡条件下で行う。さらに、分子に追加される官能基を、以降の交換反応によってそれ自体で交換することができる。
【0061】
「チオエステラーゼ」とは、特異的にチオール基で分子のチオエステル結合を加水分解すること(水の存在下でエステル結合を酸およびアルコールに分割すること)のできるポリペプチドを指す。
【0062】
「エステラーゼ」とは、加水分解とよばれる水を含む化学反応において、エステルを酸およびアルコールに分割するヒドロラーゼ酵素を指す。
【0063】
本明細書に用いられる際に、「ベータ-グルクロニダーゼ」、「β-グルクロニダーゼ」とは、β-D-グルクロニドの加水分解を触媒する酵素を指す。
【0064】
本明細書に用いられる際に、「アルキル」とは、通常、二級、三級、または環状の炭素原子を含有する炭化水素である。別途記述されない限り、直鎖または分岐鎖の炭化水素は、指定の炭素原子数を有し(すなわち、C1-C10は1個から10個の炭素原子を意味する)、直鎖、分岐鎖、または環状の置換基を含む。例としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、tert-ブチル、ペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、およびシクロプロピルメチルが挙げられる。最も好適なのは、(C1-C6)アルキル、例えば、以下に限定されないが、エチル、メチル、イソプロピル、イソブチル、n-ペンチル、n-ヘキシル、およびシクロプロピルメチルである。
【0065】
例えば、アルキル基は、1個から20個の炭素原子(すなわちC1-C20アルキル)、1個から8個の炭素原子(すなわちC1-C8アルキル)、または1個から6個の炭素原子(すなわちC1-C6アルキル)を有するものとすることができる。適したアルキル基の例としては、以下に限定されないが、メチル(Me、-CEE)、エチル(Et、-CHCH)、1-プロピル(n-Pr、n-プロピル、-CHCHCH)、2-プロピル(i-Pr、i-プロピル、-CH(CH)、1-ブチル(n-Bu、n-ブチル、-CHCHCHCH)、2-メチル-1-プロピル(i-Bu、i-ブチル、-CEECE[(CE[3)2)、2-ブチル(s-Bu、s-ブチル、-CH(CH)CHCH)、2-メチル-2-プロピル(t-Bu、t-ブチル、-C(CEE)3)、1-ペンチル(n-ペンチル、-CHCHCHCHCH)、2-ペンチル(-CH(CH)CHCHCH)、3-ペンチル(-CH(CHCH)、2-メチル-2-ブチル(-C(CEE)2CEECEE)、3-メチル-2-ブチル(-CE1(CEE)CE[(CEE)2)、3-メチル-1-ブチル(-CHCHCH(CH)、2-メチル-1-ブチル(-CHCH(CH)CHCH)、1-ヘキシル(-CHCHCHCHCHCH)、2-ヘキシル(-CH(CH)CHCHCHCH)、3-ヘキシル(-CH(CHCH)(CHCHCH))、2-メチル-2-ペンチル(-C(CHCHCHCH)、3-メチル-2-ペンチル(-CH(CH)CH(CH)CHCH)、4-メチル-2-ペンチル(-CH(CH)CHCH(CH)、3-メチル-3-ペンチル(-C(CH)(CHCH)、2-メチル-3-ペンチル(-CH(CHCH)CH(CH)、2,3-ジメチル-2-ブチル(-C(CHCH(CH)、3,3-ジメチル-2-ブチル(-CH(CH)C(CH、およびオクチル(-(CHCH)が挙げられる。
【0066】
一部の実施形態では、アルキルは、少なくとも1つのアルキル基に置換されたアミノ基を指す「アルキルアミノ」としてもよい。アミノ基の非限定的な例としては、-NH、-NH(CH)、-N(CH、-NH(CHCH)、-N(CHCH、-NH(フェニル)、-N(フェニル)、NH(ベンジル)、-N(ベンジル)などが挙げられる。置換アルキルアミノとは、概して、上記に定義されたようなアルキルアミノ基を指し、この基では、本明細書に定義されるように、少なくとも1つの置換アルキルがアミノ窒素原子に付加されている。置換アルキルアミノの非限定的な例としては、-NH(アルキレン-C(O)-OH)、-NH(アルキレン-C(O)-O-アルキル)、-N(アルキレン-C(O)-OH)、-N(アルキレン-C(O)-O-アルキル)などが挙げられる。
【0067】
一部の実施形態では、アルキルは、「ヘテロアルキル」としてもよく、このアルキルは、1つまたは複数の炭素原子がO、N、またはSなどのヘテロ原子に置き換えられているアルキル基を指す。例えば、親分子に付加しているアルキル基の炭素原子がヘテロ原子(例えばO、N、またはS)に置き換えられている場合、結果として得られるヘテロアルキル基はそれぞれ、アルコキシ基(例えば-OCHなど)、アミン(例えば-NHCH、-N(CHなど)、またはチオアルキル基(例えば-SCH)である。親分子に付加していないアルキル基の非末端炭素原子がヘテロ原子(例えばO、N、またはS)に置き換えられている場合、結果として得られるヘテロアルキル基はそれぞれ、アルキルエーテル(例えば-CHCH-O-CHなど)、アルキルアミン(例えば-CHNHCH、-CHN(CHなど)、またはチオアルキルエーテル(例えば-CH-S-CH)である。アルキル基の末端炭素原子がヘテロ原子(例えばO、N、またはS)に置き換えられている場合、結果として得られるヘテロアルキル基はそれぞれ、ヒドロキシアルキル基(例えば-CHCH-OH)、アミノアルキル基(例えば-CHNH)、またはアルキルチオール基(例えば-CHCH-SH)である。ヘテロアルキル基は、例えば、1個から20個の炭素原子、1個から10個の炭素原子、または1個から6個の炭素原子を有するものとすることができる。C1-C6ヘテロアルキル基とは、1個から6個の炭素原子を有するヘテロアルキル基を意味する。
【0068】
一部の実施形態では、アルキルは置換されて、例えば「置換アルキル」とされてもよく、この置換アルキルでは、1つまたは複数の水素原子が、それぞれ独立して、水素不含の置換基に置き換えられている。典型的な置換基としては、以下に限定されないが、-X、-R、-O?、=O、-OR、-SR、-S?、-NR 、-N 、=NR、-CX、-CN、-OCN、-SCN、-N=C=O、-NCS、-NO、-NO、=N、-N、-NHC(=O)R、-OC(=O)R、-NHC(=O)NR 、-S(=O)-、-S(=O)OH、-S(=O)、-OS(=O)OR、-S(=O)NR 、-S(=O)R、-OP(=O)(OR、-P(=O)(OR、-P(=O)(O?)、-P(=O)(OH)、-P(O)(OR)(O?)、-C(=O)R、-C(=O)X、-C(S)R、-C(O)OR、-C(O)O?、-C(S)OR、-C(O)SR、-C(S)SR、-C(O)NR 、-C(S)NR 、-C(=NR)NR が挙げられ、式中、各Xは、独立して、ハロゲン:F、Cl、Br、またはIであり;各Rは、独立して、H、アルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロサイクル、または保護基もしくはプロドラッグ部分である。アルキレン基、アルケニレン基、およびアルキニレン基もまた、同様に置換されていることがある。別途示されない限り、用語「置換される」が、置換可能な2つ以上の部分を有するアリールアルキルなどの基と併せて用いられる場合は、その置換基は、アリール部分、アルキル部分、またはその両方に付加しているものとすることができる。
【0069】
一部の実施形態では、アルキルは、「任意選択的に置換される」ことがある。本発明の化合物の特定の部分(例えば、任意選択的に置換されたアルキル基)に関連する際の用語「任意選択的に置換される」とは、すべての置換基が水素であるか、または上記部分中の1つまたは複数の水素が、「置換される」という定義の下に列挙されたものなどの置換基により置き換えられ得る、一部分を指す。
【0070】
本明細書に用いられる際に、単独または別の置換基の一部としての用語「ハロ」または「ハロゲン」とは、別途記述のない限り、フッ素、塩素、臭素、またはヨウ素原子を意味し、好ましくは、フッ素、塩素、または臭素、さらに好ましくは、フッ素または塩素を意味する。
【0071】
用語「ハロゲン」あるいは、「ハロゲン化物」とは、フッ素、塩素、臭素、またはヨウ素原子を意味する。
【0072】
概ね記載されている本発明は、以下の実施例を参照してさらに容易に理解されるものとなり、これらの実施例は、本発明の実施形態のある特定の態様を説明するためにのみ含まれている。本実施例は本発明を限定することを意図されておらず、それゆえに当業者は、上記の教示および以下の実施例から、他の手法および方法が特許請求の範囲を満たすことができ、特許請求の範囲に記載の発明の範囲を逸脱することなく採用され得ることを、認識するものとなる。実際に、本発明がその好適な実施形態を参照して具体的に示され記載される一方で、添付の特許請求の範囲の包含する本発明の範囲を逸脱することなく、形態および詳細の様々な変更がそこに行われ得ることを、当業者は理解するものとなる。
【実施例
【0073】
実施例1:化学修飾されたブロッキングプライマーを用いて5’粘着末端型DNA断片を産生するPCR反応
図4に示されるように、通常のプライマーをPCRに用いることによって、平滑末端のDNA断片が産生するものとなる。図5に概ね示されるように、本発明の技術の一実施形態では、本発明者らは、標準的なPCRプロトコールに用いられた際に、結果として鋳型鎖上にポリメラーゼの立体障害を生じ、5’一本鎖突出部をもたらし、それゆえに粘着末端型DNA断片をPCRから作り出す能力を生じる、化学修飾プライマーを生成した。
【0074】
図6A図6Bに示されるように、ブロッキングプライマーともよばれる例示的な化学修飾プライマーを、プライマーの任意の所望のデオキシヌクレオチド上のリン酸基に接合する単一の-オキソテトラデカ-1-イル(OXP)リン酸基修飾を含むように構築した。
【0075】
実施例2:修飾ブロッキングプライマーにおけるOXP反応性の機構
一般に、95℃下のPCR緩衝駅溶液中のOXP修飾プライマーは、半減期が約8.5分間であることが示されている。とりわけ、図7に略述されるように、OXP基は、高温で反応性となってゆき、その結果、完全にDNAリン酸骨格から解離し得る。PCRに用いられる緩衝液は、酸-塩基組成物を含む。加熱すると、溶液中の塩基は、カルボアニオン中間体を形成させるOXP基と反応し得る。このカルボアニオンは不安定であり、電子を移動させて二重結合を形成し、それゆえに電子を電気陰性度の高い酸素に押しやる。酸素は、負電荷かつ反応性となっており、OXP修飾に働きかけて好ましい5員環の環状化合物を速やかに形成させ、完全にDNAから切断することができる。
【0076】
実施例3:効率的なポリメラーゼ連鎖反応(PCR)プロトコール
本発明者らは、短いDNA断片と、OXP修飾フォワードプライマーと、未修飾リバースプライマーとを用いたPCRを設計した。OXP修飾が熱的に不安定であることから、低温下で、時間を短縮して、およびサイクル数を制限して、PCRを最適化した。これらの条件は増幅時に有効であったとともに、OXP基の安定性も保持した。本来は不安定性のないまたは低い化学基は、そのような改変PCRプロトコールを必要とすることはなかった。図8に呈示されるように、本発明者らの設計により、サーマルサイクラー条件は、85℃で0秒間、65℃で0秒間、72℃で0秒間が最適であることが見出され、それぞれ様々なサイクル数(25サイクル、20サイクル、15サイクル、10サイクル、および5サイクル)でランした。本発明のサーマルサイクラー条件は、ランさせたサイクル数に依存して、標準的な条件よりもおよそ16.5倍~3.5倍早い。
【0077】
実施例4:PCR産物の質量分析
図9に示されるように、質量分析をPCR産物に対し5サイクル、10サイクル、15サイクル、20サイクル、および25サイクルについて実施し、突出産物があったか否か、および切頭がどこに発生したかを決定した。データでは、主な産物が、対向するDNA鎖上のOXP修飾の位置に対する伸長鎖のn-1切頭体であることが示された。サイクル20の質量分析データが図10に示されているが、ここでは、ポリメラーゼがDNA鎖を伸長する能力を有し、やがて鋳型鎖上のOXPの立体障害がポリメラーゼを取り払い、延伸中の鎖に任意の別のヌクレオチドが追加されるのを妨げたことが示されている。図10にさらに示されるように、他の主なPCR産物は、無傷のOXPを有するフォワード産物を含み、このDNA鎖はn-1切頭型産物に相補的である。無傷のOXPを含まない完全長のリバース産物および完全長のフォワード産物も、強度の高い産物として目立っていた。この完全長のフォワード産物およびリバース産物は、高温でのOXPプライマーの不安定性に起因するものと予想された。OXPリン酸修飾がDNAから脱落した際に、ポリメラーゼが完全長のリバース鎖に相補的なフォワード鎖を完全に延伸することが可能となった。質量分析データでは、PCRにOXP修飾プライマーを使用することが、OXPリン酸修飾基に対する、伸長中の鎖上でのn-1切頭型産物を作り出す際に有効であることが示された。
【0078】
図11に呈示されるように、異なるサイクル条件から得られた質量分析データは、異なる結果を有していた。10サイクル、15サイクル、および20サイクルで行われたPCRは、類似の質量分析データを有していた。サイクルが増加するほど、n-1切頭型産物の強度が高かった。5サイクルのPCRのデータは、サイクルの量が僅かであるために、様々な切頭型の低強度の産物を含んで不確かなものであった。25サイクルのPCRは、他の多様な切頭体と共にn-1切頭型産物が非常に低い強度で存在するという一貫性のない結果を生じたが、それはOXPの不安定性に起因する可能性が大きい。OXP修飾を用いるとともに明確な量のn-1接頭型産物を得るために最適化された条件は、10~20サイクルのPCRを用いるものであった。
【0079】
実施例5:化学修飾されたブロッキングプライマー上に存在するOXP修飾によるポリメラーゼの不安定化
PCR産物の5’一本鎖突出部は、ポリメラーゼが相補DNAをその完全長まで延伸できないことに起因する。一実施形態では、これは、OXP修飾がDNA鎖に沿ったポリメラーゼの進行を立体的に阻止することに起因し得るが、あるいは代替の実施形態では、酵素のエキソヌクレアーゼ編集機能に起因するものとすることができる。本発明者らは、本発明のこの実施形態では、ファミリーBのDNAポリメラーゼであるPhusionポリメラーゼを用いた。このクラスのポリメラーゼは、極めて識別可能な特徴を有し、掌、親指、および指の構造を有する手として、ならびに3’-5’エキソヌクレアーゼ編集因子として記載されている。ポリメラーゼによって相補DNA鎖が合成されている際に、掌は鋳型DNAを保持し、親指はDNAを所定位置にロックし、指はdNTPの取込みを支援する。誤ったヌクレオチドが添加されれば、伸長中の鎖はエキソヌクレアーゼ活性部位内にスイングして編集が行われるものとなる。
【0080】
さらに、DNA損傷は、ポリメラーゼの延伸能力に影響し、それによってポリメラーゼ活性とエキソヌクレアーゼ活性との動力学的なバランスに影響を及ぼす可能性がある。その結果、DNAの延伸が阻害される可能性があり、これはPhusionのような有効性の高いエキソヌクレアーゼ・ポリメラーゼで最も起こり得ることである。鋳型DNA鎖上のOXP修飾は、外来性であるため、ポリメラーゼドメインに熱力学的な不安定性をもたらし得る。ポリメラーゼ活性部位がDNAへの親和性を失う場合がある一方で、エキソヌクレアーゼ活性部位は親和性を上げ、エラーを補修しようとする。しかし、エキソヌクレアーゼは、DNA骨格上の損傷を補修する機構を持たない。この2つの活性部位は利用されず、ポリメラーゼは延伸できない状態であり、エキソヌクレアーゼは編集できない状態である。どちらの部位も親和性が低下しているため、それらの構造は解離し、それによって伸長鎖を延伸できないものとなる。
【0081】
実施例6:粘着末端型DNAを直接的に合成するためのストラテジー
本発明者らがOXP修飾に対する、相補鎖上のn-1として切頭体を決定した後、本発明者らは、OXP修飾プライマーおよびPCR方法を用いて、合わせて連結して機能的なDNA構築物を形成することのできる粘着末端型DNAを作り出すためのシステムを実証した。図12に示されるように、プラスミドを2つのDNA断片に分断して、クロラムフェニコール耐性に必要な塩基を除去した。除去されたヌクレオチドを再導入するものとなる突出領域を含んで各DNA断片の末端の側面に位置する、OXP修飾プライマーを設計した。OXP修飾をプライマーの7番目のヌクレオチド位置でリン酸上に配し、6塩基対の突出部を生じるものとした。OXP基の安定性を支持するように、PCRを低温下で、最小限のサイクルで、および従来のPCRより8倍少ない時間で最適化した。図13に確認されるように、結果として得られたPCRの産物は、6塩基対の一本鎖突出領域を5’末端に含む、2つの増幅されたDNA断片であった。次いで、粘着末端型DNA産物を合わせて連結し、元のプラスミドを再形成した。クロラムフェニコール耐性が回復し、適正な抗生物質選択プレート上で粘着末端型の成功を検出することができた。
【0082】
実施例7:粘着末端型DNAを効率的に連結するためのストラテジー
リガーゼ酵素は、3’水酸基および5’リン酸を利用して、2本のDNA鎖間にホスホジエステル結合を形成し鎖を合わせて連結する。ここでは、PCR産物がDNAの3’末端と5’末端との両方に水酸基を有することに注目されたい。図14にさらに示されるように、一実施形態では、キナーゼ酵素を用いて5’リン酸を導入した。将来的には、適切な5’リン酸を所定位置に含む、OXP修飾プライマーを設計することができる。主に粘着末端型産物を産生するように、好適なPCRプロトコールが設計されるものの、OXPの不安定性ゆえに、ある種の平滑末端型産物の部分が存在することがある。粘着末端のみが合わせて連結し易くなるように、本発明者らは、粘着末端型DNAを連結する能力のみを有するT7リガーゼ酵素を用いた。このようにして、本発明者らは、平滑末端型産物が合わせて連結するいかなる可能性も排除した。
【0083】
表1に略述されるように、6サイクルおよび10サイクルによるPCR物を形質転換し、クロラムフェニコール抗生物質プレートに播いた。コロニーの成長は、6サイクルと10サイクルとの両方で、OXP修飾プライマーおよびT7リガーゼを用いて産生されたDNAに顕著であった。注目すべきことに、6サイクルのPCRについては、T7リガーゼを追加することなく、OXPにより産生されたDNAについて定量可能な数のコロニーの成長があった。このことは、リガーゼを用いるクローニングがより効率的であったが、必要ではなかったことを示していた。
【0084】
その結果、本発明の一実施形態では、リガーゼを使用することなく、例示的な細菌である大腸菌に存在する天然の修復機構を利用することなく、連結が成功しコロニーが成長する。具体的な好適な一実施形態では、可変長の5’突出部、例えば10~15個の突出部は、リガーゼを追加せずかつ内因性の細菌性修復機構を用いないDNAアセンブリにおいて堅牢性があり得る。
【0085】
実施例8:材料および方法
短いDNA鋳型のPCR:用いる80塩基対の鋳型をpET32(a)プラスミドからPCRした。次いで、ゲル抽出キット(キアゲン)を用いて、PCRの産物をゲル抽出した。以下のプライマー(FWD:TCGCCGCATACACTATTCTC(配列番号1)およびREV:CTGTCATGCCATCCGTAAGA(配列番号2)を用いて、80塩基対にPCRを行った。Phusion High-fidelity PCR Master Mix(サーモフィッシャー)を用いてPCRを行った。次いで、ゲル抽出キット(キアゲン)を用いて、産物をゲル抽出した。80塩基対の鋳型、リバースプライマーREV:CTGTCATGCCATCCGTAAGA(配列番号3)、および修飾OXPプライマーC*AGAGCAACTCGGTCGCCGCATACACTATTCTC(配列番号4)(式中、*はdA-4-オキソテトラデカ-1-イル(OXP)リン酸基修飾を標示する)を、5、10、15、20、25という様々なサイクルで、以下のサーマルサイクラー条件下でランした:85℃で0秒間、65℃で0秒間、72℃で0秒間。フェノールクロロホルム抽出により、産物を精製した。
【0086】
質量分析:質量分析はTriLink Biotechnologiesにより実施した。
【0087】
結晶学的構造:ポリメラーゼの結晶構造は、Kroppらにより示されており、受入コード「50MF」を用いてタンパク質データバンクからダウンロードした。Pymolソフトウェアを用いて、タンパク質構造を評価した。
【0088】
小型プラスミドのPCR:1,869塩基対の「小型プラスミド」を用いた。4つの標準プライマーを用いて、小型プラスミドを2つの線状断片に分割し、ゲル抽出キット(キアゲン)を用いてゲル抽出した。OXP修飾プライマーをTriLink Biotechnologiesに依頼した:
GTTCTTACGATGCCATTGGGATATATC(配列番号5)
ATCAGG***GATAACGCAGGAAAGAACATG(配列番号6)
AAGAAC**TTTTGAGGCATTTCAGTCAG(配列番号7)
CCTGATCTGTGGATAACCGTAGTCGG(配列番号8)
【0089】
)はdT4-オキソテトラデカ-1-イル(OXP)リン酸基修飾を標示し、(**)はdA4-オキソテトラデカ-1-イル(OXP)リン酸基修飾を標示し、(***)はdG-4-オキソテトラデカ-1-イル(OXP)リン酸基修飾を標示する。OXPプライマー(第1および第2)を一方のDNA断片上に用い、OXPプライマー(第3および第4)を他方のDNA断片上に用いた。Phusion High Fidelity Master Mix(サーモサイエンティフィック)を用いてPCRを行った。OXPプライマーを用いたPCR条件は以下の通りとした:95℃で0秒間、55℃で0秒間、72℃で5秒間。サイクルは1~10サイクルと様々であった。PCR purification Kit(キアゲン)を用いてPCR産物を精製した。精製したDNAを次いで95℃で45分間加熱し、余分なOXP化学反応性物質を除いた。
【0090】
リン酸化:所与のプロトコールに従いT4ポリヌクレオチドキナーゼ酵素を用いて(ニューイングランドバイオラボラトリーズ(NEB))、DNAをリン酸化した。連結:所与のプロトコールに従いT4DNAリガーゼまたはT7DNAリガーゼを用いて(NEB)、DNAを連結した。株:所与のプロトコールに従い10ulの化学受容性DH4アルファ細胞(NEB)を0.5ulのDNAにより形質転換して用いて、すべての形質転換を完了した。
【0091】
【表1】

【0092】
参考文献
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【0093】
配列表
配列番号1
フォワードプライマー、人工
TCGCCGCATACACTATTCTC
配列番号2
リバースプライマー、人工
CTGTCATGCCATCCGTAAGA
配列番号3
リバースプライマー、人工
CTGTCATGCCATCCGTAAGA
配列番号4
修飾プライマー、人工
C*AGAGCAACTCGGTCGCCGCATACACTATTCTC
配列番号5
修飾プライマー、人工
GTTCTT*ACGATGCCATTGGGATATATC
配列番号6
修飾プライマー、人工
ATCAGG***GATAACGCAGGAAAGAACATG
配列番号7
修飾プライマー、人工
AAGAAC**TTTTGAGGCATTTCAGTCAG
配列番号8
修飾プライマー、人工
CCTGAT*CTGTGGATAACCGTAGTCGG

はdT4-オキソテトラデカ-1-イル(OXP)リン酸基修飾を標示する。
**はdA4-オキソテトラデカ-1-イル(OXP)リン酸基修飾を標示する。
***はdG-4-オキソテトラデカ-1-イル(OXP)リン酸基修飾を標示する。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
【配列表】
2022534790000001.app
【国際調査報告】