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特表2022-534802絹で刺激されたコラーゲンの製造、及びその使用方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-08-03
(54)【発明の名称】絹で刺激されたコラーゲンの製造、及びその使用方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 38/17 20060101AFI20220727BHJP
   A61K 47/02 20060101ALI20220727BHJP
   A61K 9/14 20060101ALI20220727BHJP
   A61K 9/08 20060101ALI20220727BHJP
   A61K 9/10 20060101ALI20220727BHJP
   A61K 9/12 20060101ALI20220727BHJP
   A61K 9/06 20060101ALI20220727BHJP
   A61K 9/02 20060101ALI20220727BHJP
   A61K 9/20 20060101ALI20220727BHJP
   A61K 47/44 20170101ALI20220727BHJP
   A61K 47/10 20060101ALI20220727BHJP
   A61K 47/26 20060101ALI20220727BHJP
   A61K 9/107 20060101ALI20220727BHJP
   A61K 47/60 20170101ALI20220727BHJP
   A61P 17/00 20060101ALI20220727BHJP
   A61P 3/10 20060101ALI20220727BHJP
   A61P 19/02 20060101ALI20220727BHJP
   A61P 9/00 20060101ALI20220727BHJP
   A61P 17/02 20060101ALI20220727BHJP
   A61P 19/00 20060101ALI20220727BHJP
   A61K 8/64 20060101ALI20220727BHJP
   A61Q 19/08 20060101ALI20220727BHJP
   A61K 47/14 20060101ALI20220727BHJP
   A61P 21/00 20060101ALI20220727BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20220727BHJP
【FI】
A61K38/17
A61K47/02
A61K9/14
A61K9/08
A61K9/10
A61K9/12
A61K9/06
A61K9/02
A61K9/20
A61K47/44
A61K47/10
A61K47/26
A61K9/107
A61K47/60
A61P17/00
A61P3/10
A61P19/02
A61P9/00
A61P17/02
A61P19/00
A61K8/64
A61Q19/08
A61K47/14
A61P21/00
A61P43/00 105
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021572363
(86)(22)【出願日】2020-06-06
(85)【翻訳文提出日】2022-01-18
(86)【国際出願番号】 US2020036510
(87)【国際公開番号】W WO2020247887
(87)【国際公開日】2020-12-10
(31)【優先権主張番号】62/858,048
(32)【優先日】2019-06-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.KEVLAR
(71)【出願人】
【識別番号】516092706
【氏名又は名称】エボルブド バイ ネイチャー, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100107515
【弁理士】
【氏名又は名称】廣田 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100107733
【弁理士】
【氏名又は名称】流 良広
(74)【代理人】
【識別番号】100115347
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 奈緒子
(72)【発明者】
【氏名】グレゴリー・エイチ・アルトマン
(72)【発明者】
【氏名】マリウス・コスタッシュ
(72)【発明者】
【氏名】エヴァ・ジェネル
(72)【発明者】
【氏名】カルロス・ジェイ・ボスケス
【テーマコード(参考)】
4C076
4C083
4C084
【Fターム(参考)】
4C076AA01
4C076AA06
4C076AA08
4C076AA11
4C076AA17
4C076AA22
4C076AA24
4C076AA25
4C076AA29
4C076AA36
4C076BB11
4C076BB13
4C076BB15
4C076BB16
4C076BB31
4C076BB40
4C076DD23
4C076DD25
4C076DD37A
4C076DD38A
4C076DD46A
4C076DD67A
4C076EE23
4C076EE54A
4C076FF70
4C083AC071
4C083AC241
4C083AC421
4C083AC691
4C083AD451
4C083BB11
4C083CC03
4C083DD08
4C083DD17
4C083DD22
4C083DD33
4C083DD39
4C083EE12
4C083EE13
4C084AA02
4C084AA03
4C084BA18
4C084BA19
4C084BA20
4C084BA21
4C084BA22
4C084CA49
4C084DC50
4C084MA13
4C084MA17
4C084MA22
4C084MA23
4C084MA28
4C084MA34
4C084MA41
4C084MA43
4C084MA63
4C084MA66
4C084NA14
4C084ZA36
4C084ZA89
4C084ZA94
4C084ZA96
4C084ZB15
4C084ZC01
4C084ZC35
(57)【要約】
本開示は、対象におけるコラーゲン発現を刺激するための絹フィブロイン組成物及びその使用方法を提供する。
【選択図】なし

【特許請求の範囲】
【請求項1】
それを必要とする対象における、コラーゲン発現の刺激又は調節によって軽減される障害、疾患、又は状態の治療又は予防の方法であって、約1kDa~約5kDa、約5kDa~約10kDa、約6kDa~約17kDa、約10kDa~約15kDa、約15kDa~約20kDa、約17kDa~約39kDa、約14kDa~約30kDa、約20kDa~約25kDa、約25kDa~約30kDa、約30kDa~約35kDa、約35kDa~約40kDa、約39kDa~約54kDa、約39kDa~約80kDa、約40kDa~約45kDa、約45kDa~約50kDa、約60kDa~約100kDa、及び約80kDa~約144kDaの平均重量平均分子量と、1~約5の多分散性とを有する絹フィブロイン断片を含む組成物を、前記対象に投与することを含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記組成物が、0~500ppmの臭化リチウムを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記組成物が、0~500ppmの炭酸ナトリウムを更に含む、請求項1から2のいずれかに記載の方法。
【請求項4】
前記絹フィブロイン断片が、1~約1.5の多分散性を有する、請求項1から3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
前記絹フィブロイン断片が、約1.5~約2.0の多分散性を有する、請求項1から3のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
前記絹フィブロイン断片が、約1.5~約3.0の多分散性を有する、請求項1から3のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
前記絹フィブロイン断片が、約2.0~約2.5の多分散性を有する、請求項1から3のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
前記絹フィブロイン断片が、約2.5~約3.0の多分散性を有する、請求項1から3のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
前記絹フィブロイン断片が、前記組成物中、前記組成物の総重量に対して約0.001重量%~約10.0重量%で存在する、請求項1から8のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
前記組成物が、前記組成物の総重量に対して約0.001%(w/w)~約10%(w/w)のセリシンを更に含む、請求項1から9のいずれかに記載の方法。
【請求項11】
前記組成物が、前記絹フィブロイン断片に対して約0.001%(w/w)~約10%(w/w)のセリシンを更に含む、請求項1から9のいずれかに記載の方法。
【請求項12】
前記絹フィブロイン断片が、前記組成物に製する前の少なくとも10日間の期間、自然発生的に又は徐々にゲル化せず、水溶液中において、色又は濁度が視覚的に変化しない、請求項1から11のいずれかに記載の方法。
【請求項13】
前記絹フィブロイン断片が、前記組成物中、前記組成物の総重量に対して約0.01重量%~約10.0重量%で存在する、請求項1から12のいずれかに記載の方法。
【請求項14】
前記絹フィブロイン断片が、前記組成物中、前記組成物の総重量に対して約0.01重量%~約1.0重量%で存在する、請求項1から12のいずれかに記載の方法。
【請求項15】
前記絹フィブロイン断片が、前記組成物中、前記組成物の総重量に対して約1.0重量%~約2.0重量%で存在する、請求項1から12のいずれかに記載の方法。
【請求項16】
前記絹フィブロイン断片が、前記組成物中、前記組成物の総重量に対して約2.0重量%~約3.0重量%で存在する、請求項1から12のいずれかに記載の方法。
【請求項17】
前記絹フィブロイン断片が、前記組成物中、前記組成物の総重量に対して約3.0重量%~約4.0重量%で存在する、請求項1から12のいずれかに記載の方法。
【請求項18】
前記絹フィブロイン断片が、前記組成物中、前記組成物の総重量に対して約4.0重量%~約5.0重量%で存在する、請求項1から13のいずれかに記載の方法。
【請求項19】
前記絹フィブロイン断片が、前記組成物中、前記組成物の総重量に対して約5.0重量%~約6.0重量%で存在する、請求項1から12のいずれかに記載の方法。
【請求項20】
前記組成物が、注射可能な組成物又は外用組成物として製せられる、請求項1から19のいずれかに記載の方法。
【請求項21】
前記組成物が、薬学的に許容される担体を更に含む、請求項1から20のいずれかに記載の方法。
【請求項22】
前記薬学的に許容される担体が、薬用化粧品、懸濁液、乳濁液、粉末、溶液、分散液、又はエリキシルのうちの1以上を含む又は、として製せられる、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記薬学的に許容される担体が、ゲル、ゼリー、クリーム、ローション、フォーム、スラリー、軟膏、オイル、ペースト、坐剤、スプレー、半固体組成物、固体組成物、スティック、又はムースを含む又は、として製せられる、請求項21に記載の方法。
【請求項24】
前記薬学的に許容される担体が、ゴマ油、コーン油、綿実油、又は落花生油のうちの1以上を含む、請求項21に記載の方法。
【請求項25】
前記薬学的に許容される担体が、マンニトール又はデキストロースのうちの1以上を含む、請求項21に記載の方法。
【請求項26】
前記薬学的に許容される担体が、約0.001%~約10%(w/v)のヒアルロン酸を含む、請求項21に記載の方法。
【請求項27】
前記薬学的に許容される担体が、約1%~約10%(w/v)、約10%~約25%(w/v)、約25%~約50%(w/v)、又は約50%~約99.99%(w/v)のヒアルロン酸を含む、請求項21に記載の方法。
【請求項28】
前記薬学的に許容される担体が、脂肪族油、脂肪アルコール、脂肪酸、グリセリド、アシルグリセロール、及びリン脂質のうちの1以上を含む、請求項21に記載の方法。
【請求項29】
前記薬学的に許容される担体が、モノグリセリド、ジグリセリド、又はトリグリセリドのうちの1以上を含む、請求項21に記載の方法。
【請求項30】
前記薬学的に許容される担体が、水相を含む、請求項21に記載の方法。
【請求項31】
前記薬学的に許容される担体が、水中油型エマルジョン又は油中水型エマルジョンを含む、請求項21に記載の方法。
【請求項32】
前記薬学的に許容される担体が、炭化水素油、脂肪酸、脂肪酸油、脂肪酸エステル、又はカチオン性第4級アンモニウム塩のうちの1以上を含む、請求項21に記載の方法。
【請求項33】
前記薬学的に許容される担体の一部が、ポリエポキシリンカー、ジエポキシリンカー、ポリエポキシ-PEG、ジエポキシ-PEG、ポリグリシジル-PEG、ジグリシジル-PEG、ポリアクリレートPEG、ジアクリレートPEG、1,4-ビス(2,3-エポキシプロポキシ)ブタン、1,4-ビスグリシジルオキシブタン、ジビニルスルホン(DVS)、1,4-ブタンジオールジグリシジルエーテル(BDDE)、UV光、グルタルアルデヒド、1,2-ビス(2,3-エポキシプロポキシ)エチレン(EGDGE)、1,2,7,8-ジエポキシオクタン(DEO)、ビスカルボジイミド(BCDI)、ペンタエリスリトールテトラグリシジルエーテル(PETGE)、アジピン酸ジヒドラジド(ADH)、ビス(スルホスクシンイミジル)スベレート(BS)、ヘキサメチレンジアミン(HMDA)、1-(2,3-エポキシプロピル)-2,3-エポキシシクロヘキサン、カルボジイミド、及びそれらの任意の組合せから選択される架橋剤、架橋前駆体、又は活性化剤で修飾される、請求項21に記載の方法。
【請求項34】
前記ポリエポキシリンカーが、1,4-ブタンジオールジグリシジルエーテル(BDDE)、エチレングリコールジグリシジルエーテル(EGDGE)、1,6-ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリテトラメチレングリコールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル、ジグリセロールポリグリシジルエーテル、グリセロールポリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル、及びソルビトールポリグリシジルエーテルから選択される、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記組成物が、非経口的に投与される、請求項1から34のいずれかに記載の方法。
【請求項36】
前記組成物が、注射可能な組成物である、請求項1から34のいずれかに記載の方法。
【請求項37】
前記組成物が、注射によって投与される、請求項1から34のいずれかに記載の方法。
【請求項38】
前記組成物が、皮下注射、皮内注射、経皮注射、又は真皮下注射によって投与される、請求項1から34のいずれかに記載の方法。
【請求項39】
前記組成物が、筋肉内注射、静脈内注射、腹腔内注射、骨内注射、心臓内注射、関節内注射、又は海綿体内注射によって投与される、請求項1から34のいずれかに記載の方法。
【請求項40】
前記組成物が、デポー注射によって投与される、請求項1から34のいずれかに記載の方法。
【請求項41】
前記組成物が、浸潤注射によって投与される、請求項1から34のいずれかに記載の方法。
【請求項42】
前記組成物が、留置カテーテルによって投与される、請求項1から34のいずれかに記載の方法。
【請求項43】
前記組成物を投与することにより、前記対象における1以上のメタロプロテイナーゼ(MMP)の発現が低減する、請求項1から42のいずれかに記載の方法。
【請求項44】
前記コラーゲン発現を刺激又は調節することが、前記コラーゲン発現を上昇させることを含む、請求項1から43のいずれかに記載の方法。
【請求項45】
前記コラーゲン発現が、ベースレベルに対して、約1%、約2%、約3%、約4%、約5%、約6%、約7%、約8%、約9%、約10%、約11%、約12%、約13%、約14%、約15%、約16%、約17%、約18%、約19%、約20%、約21%、約22%、約23%、約24%、約25%、約26%、約27%、約28%、約29%、約30%、約31%、約32%、約33%、約34%、約35%、約36%、約37%、約38%、約39%、約40%、約41%、約42%、約43%、約44%、約45%、約46%、約47%、約48%、約49%、約50%、約51%、約52%、約53%、約54%、約55%、約56%、約57%、約58%、約59%、約60%、約61%、約62%、約63%、約64%、約65%、約66%、約67%、約68%、約69%、約70%、約71%、約72%、約73%、約74%、約75%、約76%、約77%、約78%、約79%、約80%、約81%、約82%、約83%、約84%、約85%、約86%、約87%、約88%、約89%、約90%、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%、約99%、又は約100%上昇する、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
前記コラーゲン発現が、ベースレベルに対して、約101%、約102%、約103%、約104%、約105%、約106%、約107%、約108%、約109%、約110%、約111%、約112%、約113%、約114%、約115%、約116%、約117%、約118%、約119%、約120%、約121%、約122%、約123%、約124%、約125%、約126%、約127%、約128%、約129%、約130%、約131%、約132%、約133%、約134%、約135%、約136%、約137%、約138%、約139%、約140%、約141%、約142%、約143%、約144%、約145%、約146%、約147%、約148%、約149%、約150%、約151%、約152%、約153%、約154%、約155%、約156%、約157%、約158%、約159%、約160%、約161%、約162%、約163%、約164%、約165%、約166%、約167%、約168%、約169%、約170%、約171%、約172%、約173%、約174%、約175%、約176%、約177%、約178%、約179%、約180%、約181%、約182%、約183%、約184%、約185%、約186%、約187%、約188%、約189%、約190%、約191%、約192%、約193%、約194%、約195%、約196%、約197%、約198%、約199%、又は約200%上昇する、請求項44に記載の方法。
【請求項47】
前記組成物を投与することにより、前記対象における皺の予防又は改善、前記対象における加齢性色素斑の予防又は改善、前記対象における乾燥肌の予防又は改善、又は前記対象における不均一な皮膚の色調の上昇の1以上がもたらされる、請求項1から46のいずれかに記載の方法。
【請求項48】
前記組成物を投与することにより、前記対象における皮膚のたるみの予防又は改善、前記対象における皮膚の老化の予防又は改善、前記対象における皮膚の引張強度の低下の予防又は改善、前記対象における光損傷した皮膚の予防又は改善、又は前記対象における皮膚伸展線条(ストレッチマーク)の予防又は改善の1以上がもたらされる、請求項1から46のいずれかに記載の方法。
【請求項49】
前記障害、疾患、又は状態が、皺、加齢性色素斑、乾燥肌、不均一な皮膚の色調、皮膚のたるみ、皮膚の老化、皮膚の引張強度の低下、光損傷した皮膚、又は皮膚伸展線条(ストレッチマーク)を含む、請求項1から46のいずれかに記載の方法。
【請求項50】
前記障害、疾患、又は状態が、甲状腺ホルモン誘発性心筋肥大を含む、請求項1から46のいずれかに記載の方法。
【請求項51】
前記障害、疾患、又は状態が、腱の断裂、損傷、又は裂傷を含む、請求項1から46のいずれかに記載の方法。
【請求項52】
前記腱が、小円筋腱、棘下筋腱、棘上筋腱、肩甲下筋腱、三角筋腱、二頭筋腱、三頭筋腱、腕橈骨筋腱、回外筋腱、橈側手根屈筋腱、尺側手根屈筋腱、長橈側手根伸筋腱、短橈側手根伸筋腱、腸腰筋腱、内閉鎖筋腱、長内転筋腱、腓骨又はマグナス筋腱、大殿筋又は中殿筋腱、四頭筋腱、膝蓋腱、膝窩腱、縫工筋腱、腓腹筋腱、アキレス腱、ヒラメ筋腱、前脛骨筋腱、長腓骨筋腱、長指屈筋腱、骨間筋腱、深指屈筋腱、小趾外転筋腱、母指対立筋腱、長母指屈筋腱、母指伸筋又は外転筋腱、長母趾屈筋腱、短趾屈筋腱、中様筋腱、母趾外転筋腱、長趾屈筋腱、小趾外転筋腱、眼筋腱、眼瞼挙筋腱、咬筋腱、側頭筋腱、僧帽筋腱、胸鎖乳突筋腱、頭半棘筋又は頭板状筋腱、顎舌骨筋又は甲状舌骨筋腱、胸骨舌骨筋腱、腹直筋腱、外腹斜筋腱、腹横筋腱、広背筋腱、及び脊柱起立筋腱から選択される、請求項51に記載の方法。
【請求項53】
前記障害、疾患、又は状態が、ウェルナー症候群を含む、請求項1から46のいずれかに記載の方法。
【請求項54】
前記障害、疾患、又は状態が、糖尿病性の皮膚完全性の低下を含む、請求項1から46のいずれかに記載の方法。
【請求項55】
前記障害、疾患、又は状態が、関節炎を含む、請求項1から46のいずれかに記載の方法。
【請求項56】
前記障害、疾患、又は状態が、関節リウマチを含む、請求項1から46のいずれかに記載の方法。
【請求項57】
前記障害、疾患、又は状態が、腫瘍の進行又は腫瘍の成長を含む、請求項1から46のいずれかに記載の方法。
【請求項58】
前記障害、疾患、又は状態が、心機能の低下を含む、請求項1から46のいずれかに記載の方法。
【請求項59】
前記障害、疾患、又は状態が、エーラス・ダンロス症候群を含む、請求項1から46のいずれかに記載の方法。
【請求項60】
前記障害、疾患、又は状態が、腹部大動脈瘤を含む、請求項1から46のいずれかに記載の方法。
【請求項61】
前記障害、疾患、又は状態が、創傷を含む、請求項1から46のいずれかに記載の方法。
【請求項62】
前記障害、疾患、又は状態が、皮膚又は結合組織の疾患を含む、請求項1から46のいずれかに記載の方法。
【請求項63】
前記障害、疾患、又は状態が、軟骨の疾患を含む、請求項1から46のいずれかに記載の方法。
【請求項64】
前記障害、疾患、又は状態が、再発性多発軟骨炎、ティーツェ症候群、蜂巣炎、エーラス・ダンロス症候群、ケロイド(にきびケロイドを含む)、ムコポリサダリドーシスI、壊死性障害(環状肉芽腫、リポイド類壊死症を含む)、骨形成不全症、皮膚弛緩症、皮膚筋炎、デュピュイトラン拘縮、ホモシスチン尿症、エリテマトーデス(皮膚、円板状、深在性、全身性、及び腎炎を含む)、マルファン症候群、混合性結合組織疾患、ムチン沈着症(濾胞性を含む)、ムコ多糖症(I、II、UU、IV、IV、及びVII)、粘液水腫、成年性浮腫性硬化症及び滑液嚢腫、結合組織新生物、ヌーナン症候群、骨斑紋症、硬結性紅斑を含む脂肪織炎、結節性非化膿性及び腹膜、陰茎硬化症、弾性線維性仮性黄色腫、関節炎を含むリウマチ性疾患(関節リウマチ、若年性関節リウマチ、カプラン症候群、フェルティ症候群、リウマトイド結節、強直性脊椎炎、及びスチル病)、骨増殖症、リウマチ性多発筋痛症、限局性強皮症、及び全身性強皮症(CREST症候群)から選択される、請求項1から46のいずれかに記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連技術の相互参照
本願は、参照によりその全体を本明細書に援用する2019年6月6日出願の米国仮特許出願第62/858,048号の利益を主張する。
【0002】
本開示は、絹フィブロイン組成物及びコラーゲン発現を刺激するための方法の分野に関する。
【背景技術】
【0003】
絹(シルク)は、様々な昆虫及びクモから生み出される天然高分子である。絹は、フィラメントコアタンパク質、絹フィブロイン、及び非フィラメント状タンパク質、セリシンからなる膠状コーティングを含む。
【0004】
局所又は非経口投与によるコラーゲン刺激に好適な安定した絹フィブロインペプチド溶液の必要性が存在する。
【発明の概要】
【0005】
本開示は、それを必要とする対象における、コラーゲン発現の刺激又は調節によって軽減される障害、疾患、又は状態の治療又は予防の方法であって、約1kDa~約5kDa、約5kDa~約10kDa、約6kDa~約17kDa、約10kDa~約15kDa、約15kDa~約20kDa、約14kDa~約30kDa、約17kDa~約39kDa、約20kDa~約25kDa、約25kDa~約30kDa、約30kDa~約35kDa、約35kDa~約40kDa、約39kDa~約54kDa、約39kDa~約80kDa、約40kDa~約45kDa、約45kDa~約50kDa、約60kDa~約100kDa、及び約80kDa~約144kDaの平均重量平均分子量と、1~約5の多分散性とを有する絹フィブロイン断片を含む組成物を、前記対象に投与することを含む方法を提供する。いくつかの実施形態では、組成物は、0~500ppmの臭化リチウムを更に含む。いくつかの実施形態では、組成物は、0~500ppmの炭酸ナトリウムを更に含む。いくつかの実施形態では、絹フィブロイン断片は、1~約1.5の多分散性を有する。いくつかの実施形態では、絹フィブロイン断片は、約1.5~約2.0の多分散性を有する。いくつかの実施形態では、絹フィブロイン断片は、約1.5~約3.0の多分散性を有する。いくつかの実施形態では、絹フィブロイン断片は、約2.0~約2.5の多分散性を有する。いくつかの実施形態では、絹フィブロイン断片は、約2.5~約3.0の多分散性を有する。いくつかの実施形態では、絹フィブロイン断片は、組成物中、組成物の総重量に対して約0.001重量%~約10.0重量%で存在する。いくつかの実施形態では、組成物は、組成物の総重量に対して約0.001%(w/w)~約10%(w/w)のセリシンを更に含む。いくつかの実施形態では、組成物は、絹フィブロイン断片に対して約0.001%(w/w)~約10%(w/w)のセリシンを更に含む。いくつかの実施形態では、絹フィブロイン断片は、組成物に製する前の少なくとも10日間の期間、自然発生的に又は徐々にゲル化せず、水溶液中において、色又は濁度が視覚的に変化しない。いくつかの実施形態では、絹フィブロイン断片は、組成物中、組成物の総重量に対して約0.01重量%~約10.0重量%で存在する。いくつかの実施形態では、絹フィブロイン断片は、組成物中、組成物の総重量に対して約0.01重量%~約1.0重量%で存在する。いくつかの実施形態では、絹フィブロイン断片は、組成物中、組成物の総重量に対して約1.0重量%~約2.0重量%で存在する。いくつかの実施形態では、絹フィブロイン断片は、組成物中、組成物の総重量に対して約2.0重量%~約3.0重量%で存在する。いくつかの実施形態では、絹フィブロイン断片は、組成物中、組成物の総重量に対して約3.0重量%~約4.0重量%で存在する。いくつかの実施形態では、絹フィブロイン断片は、組成物中、組成物の総重量に対して約4.0重量%~約5.0重量%で存在する。いくつかの実施形態では、絹フィブロイン断片は、組成物中、組成物の総重量に対して約5.0重量%~約6.0重量%で存在する。いくつかの実施形態では、組成物は、注射可能な組成物又は外用組成物として製せられる。いくつかの実施形態では、組成物は、薬学的に許容される担体を更に含む。いくつかの実施形態では、組成物は、皮膚科学的に許容される担体を更に含む。いくつかの実施形態では、組成物は、注射可能な許容可能な担体を更に含む。いくつかの実施形態では、薬学的に許容される担体は、懸濁液、乳濁液、粉末、溶液、分散液、又はエリキシルのうちの1以上を含む。いくつかの実施形態では、薬学的に許容される担体は、ゲル、ゼリー、クリーム、ローション、フォーム、スラリー、軟膏、オイル、ペースト、坐剤、スプレー、半固体組成物、固体組成物、スティック、又はムースを含む又は、として製せられる。いくつかの実施形態では、薬学的に許容される担体は、ゴマ油、コーン油、綿実油、又は落花生油のうちの1以上を含む。いくつかの実施形態では、薬学的に許容される担体は、マンニトール又はデキストロースのうちの1以上を含む。いくつかの実施形態では、薬学的に許容される担体は、約0.001%~約10%(w/v)のヒアルロン酸を含む。いくつかの実施形態では、薬学的に許容される担体は、約1%~約10%(w/v)、約10%~約25%(w/v)、約25%~約50%(w/v)、又は約50%~約99.99%(w/v)のヒアルロン酸を含む。いくつかの実施形態では、薬学的に許容される担体は、脂肪族油、脂肪アルコール、脂肪酸、グリセリド、アシルグリセロール、及びリン脂質のうちの1以上を含む。いくつかの実施形態では、薬学的に許容される担体は、モノグリセリド、ジグリセリド、又はトリグリセリドのうちの1以上を含む。いくつかの実施形態では、薬学的に許容される担体は、水相を含む。いくつかの実施形態では、薬学的に許容される担体は、水中油型エマルジョン又は油中水型エマルジョンを含む。いくつかの実施形態では、薬学的に許容される担体は、炭化水素油、脂肪酸、脂肪油、脂肪酸エステル、又はカチオン性第4級アンモニウム塩のうちの1以上を含む。いくつかの実施形態では、薬学的に許容される担体の一部は、ポリエポキシリンカー、ジエポキシリンカー、ポリエポキシ-PEG、ジエポキシ-PEG、ポリグリシジル-PEG、ジグリシジル-PEG、ポリアクリレートPEG、ジアクリレートPEG、1,4-ビス(2,3-エポキシプロポキシ)ブタン、1,4-ビスグリシジルオキシブタン、ジビニルスルホン(DVS)、1,4-ブタンジオールジグリシジルエーテル(BDDE)、UV光、グルタルアルデヒド、1,2-ビス(2,3-エポキシプロポキシ)エチレン(EGDGE)、1,2,7,8-ジエポキシオクタン(DEO)、ビスカルボジイミド(BCDI)、ペンタエリスリトールテトラグリシジルエーテル(PETGE)、アジピン酸ジヒドラジド(ADH)、ビス(スルホスクシンイミジル)スベレート(BS)、ヘキサメチレンジアミン(HMDA)、1-(2,3-エポキシプロピル)-2,3-エポキシシクロヘキサン、カルボジイミド、及びそれらの任意の組合せから選択される架橋剤、架橋前駆体、又は活性化剤で修飾される。いくつかの実施形態では、ポリエポキシリンカーは、1,4-ブタンジオールジグリシジルエーテル(BDDE)、エチレングリコールジグリシジルエーテル(EGDGE)、1,6-ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリテトラメチレングリコールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル、ジグリセロールポリグリシジルエーテル、グリセロールポリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル、及びソルビトールポリグリシジルエーテルから選択される。いくつかの実施形態では、組成物は、非経口的に投与される。いくつかの実施形態では、組成物は、注射可能な組成物である。いくつかの実施形態では、組成物は、注射によって投与される。いくつかの実施形態では、組成物は、皮下注射、皮内注射、経皮注射、又は真皮下(subdermal)注射によって投与される。いくつかの実施形態では、組成物は、筋肉内注射、静脈内注射、腹腔内注射、骨内注射、心臓内注射、関節内注射、又は海綿体内注射(intracavernous)によって投与される。いくつかの実施形態では、組成物は、デポー(depot)注射によって投与される。いくつかの実施形態では、組成物は、浸潤注射によって投与される。いくつかの実施形態では、組成物は、留置カテーテルによって投与される。いくつかの実施形態では、組成物は、マイクロニードルによって投与される。いくつかの実施形態では、組成物を投与することにより、対象における1以上のメタロプロテイナーゼ(MMP)の発現が低減する。いくつかの実施形態では、コラーゲン発現を刺激又は調節することは、コラーゲン発現を上昇させることを含む。いくつかの実施形態では、コラーゲン発現は、ベースレベルに対して、約1%、約2%、約3%、約4%、約5%、約6%、約7%、約8%、約9%、約10%、約11%、約12%、約13%、約14%、約15%、約16%、約17%、約18%、約19%、約20%、約21%、約22%、約23%、約24%、約25%、約26%、約27%、約28%、約29%、約30%、約31%、約32%、約33%、約34%、約35%、約36%、約37%、約38%、約39%、約40%、約41%、約42%、約43%、約44%、約45%、約46%、約47%、約48%、約49%、約50%、約51%、約52%、約53%、約54%、約55%、約56%、約57%、約58%、約59%、約60%、約61%、約62%、約63%、約64%、約65%、約66%、約67%、約68%、約69%、約70%、約71%、約72%、約73%、約74%、約75%、約76%、約77%、約78%、約79%、約80%、約81%、約82%、約83%、約84%、約85%、約86%、約87%、約88%、約89%、約90%、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%、約99%、又は約100%上昇する。いくつかの実施形態では、コラーゲン発現は、ベースレベルに対して、約101%、約102%、約103%、約104%、約105%、約106%、約107%、約108%、約109%、約110%、約111%、約112%、約113%、約114%、約115%、約116%、約117%、約118%、約119%、約120%、約121%、約122%、約123%、約124%、約125%、約126%、約127%、約128%、約129%、約130%、約131%、約132%、約133%、約134%、約135%、約136%、約137%、約138%、約139%、約140%、約141%、約142%、約143%、約144%、約145%、約146%、約147%、約148%、約149%、約150%、約151%、約152%、約153%、約154%、約155%、約156%、約157%、約158%、約159%、約160%、約161%、約162%、約163%、約164%、約165%、約166%、約167%、約168%、約169%、約170%、約171%、約172%、約173%、約174%、約175%、約176%、約177%、約178%、約179%、約180%、約181%、約182%、約183%、約184%、約185%、約186%、約187%、約188%、約189%、約190%、約191%、約192%、約193%、約194%、約195%、約196%、約197%、約198%、約199%、又は約200%上昇する。いくつかの実施形態では、組成物を投与することにより、対象における皺の予防又は改善、対象における加齢性色素斑の予防又は改善、対象における乾燥肌の予防又は改善、又は対象における不均一な皮膚の色調の上昇(increasing uneven skin tone)の1以上がもたらされる。いくつかの実施形態では、組成物を投与することにより、対象における皮膚のたるみの予防又は改善、対象における皮膚の老化の予防又は改善、対象における皮膚の引張強度の低下の予防又は改善、対象における光損傷した皮膚の予防又は改善、又は対象における皮膚伸展線条(ストレッチマーク)の予防又は改善の1以上がもたらされる。いくつかの実施形態では、障害、疾患、又は状態は、皺、加齢性色素斑、乾燥肌、不均一な皮膚の色調、皮膚のたるみ、皮膚の老化、皮膚の引張強度の低下、光損傷した皮膚、又は皮膚伸展線条(ストレッチマーク)を含む。いくつかの実施形態では、障害、疾患、又は状態は、甲状腺ホルモン誘発性心筋肥大を含む。いくつかの実施形態では、障害、疾患、又は状態は、腱の断裂、損傷、
又は裂傷を含む。いくつかの実施形態では、腱は、小円筋腱、棘下筋腱、棘上筋腱、肩甲下筋腱、三角筋腱、二頭筋腱、三頭筋腱、腕橈骨筋腱、回外筋腱、橈側手根屈筋腱、尺側手根屈筋腱、長橈側手根伸筋腱、短橈側手根伸筋腱、腸腰筋腱、内閉鎖筋腱、長内転筋腱、腓骨又はマグナス筋腱、大殿筋又は中殿筋腱、四頭筋腱、膝蓋腱、膝窩腱、縫工筋腱、腓腹筋腱、アキレス腱、ヒラメ筋腱、前脛骨筋腱、長腓骨筋腱、長指屈筋腱、骨間筋腱、深指屈筋腱、小趾外転筋腱、母指対立筋腱、長母指屈筋腱、母指伸筋又は外転筋腱(Extensor or abductor pollicis tendons)、長母趾屈筋腱、短趾屈筋腱、中様筋腱、母趾外転筋腱、長趾屈筋腱、小趾外転筋腱、眼筋腱、眼瞼挙筋腱、咬筋腱、側頭筋腱、僧帽筋腱、胸鎖乳突筋腱、頭半棘筋又は頭板状筋腱、顎舌骨筋又は甲状舌骨筋腱、胸骨舌骨筋腱、腹直筋腱、外腹斜筋腱、腹横筋腱、広背筋腱、及び脊柱起立筋腱から選択される。幾つかの実施形態では、障害、疾患、又は状態は、ウェルナー症候群を含む。いくつかの実施形態では、障害、疾患、又は状態は、糖尿病性の皮膚完全性の低下を含む。いくつかの実施形態では、障害、疾患、又は状態は、関節炎を含む。いくつかの実施形態では、障害、疾患、又は状態は、関節リウマチを含む。いくつかの実施形態では、障害、疾患、又は状態は、腫瘍の進行又は腫瘍の成長を含む。いくつかの実施形態では、障害、疾患、又は状態は、心機能の低下を含む。いくつかの実施形態では、障害、疾患、又は状態は、エーラス・ダンロス症候群を含む。いくつかの実施形態では、障害、疾患、又は状態は、腹部大動脈瘤を含む。いくつかの実施形態では、障害、疾患、又は状態は、創傷を含む。いくつかの実施形態では、障害、疾患、又は状態は、皮膚又は結合組織の疾患を含む。いくつかの実施形態では、障害、疾患、又は状態は、軟骨の疾患を含む。いくつかの実施形態では、障害、疾患、又は状態は、再発性多発軟骨炎、ティーツェ症候群、蜂巣炎、エーラス・ダンロス症候群、ケロイド(にきびケロイドを含む)、ムコポリサダリドーシスI(mucopolysaddaridosis I)、壊死性障害(環状肉芽腫、リポイド類壊死症を含む)、骨形成不全症、皮膚弛緩症、皮膚筋炎、デュピュイトラン拘縮、ホモシスチン尿症、エリテマトーデス(皮膚、円板状、深在性、全身性、及び腎炎を含む)、マルファン症候群、混合性結合組織疾患、ムチン沈着症(濾胞性を含む)、ムコ多糖症(I、II、UU、IV、IV、及びVII)、粘液水腫、成年性浮腫性硬化症及び滑液嚢腫、結合組織新生物、ヌーナン症候群、骨斑紋症、硬結性紅斑を含む脂肪織炎、結節性非化膿性及び腹膜、陰茎硬化症、弾性線維性仮性黄色腫、関節炎を含むリウマチ性疾患(関節リウマチ、若年性関節リウマチ、カプラン症候群、フェルティ症候群、リウマトイド結節、強直性脊椎炎、及びスチル病)、骨増殖症、リウマチ性多発筋痛症、限局性強皮症、及び全身性強皮症(CREST症候群)から選択される。いくつかの実施形態では、障害、疾患、又は状態は、好酸球性血管リンパ球増殖症;瘢痕(cicatix)(肥大を含む);皮膚瘻、皮膚弛緩症(cuis laxa);先端皮膚炎、アトピー性皮膚炎、接触性皮膚炎(アレルギー性接触、光アレルギー性、ウルシ皮膚炎)を含む皮膚炎、刺激性皮膚炎(光毒性、おむつ皮膚炎)、職業性皮膚炎;剥離性皮膚炎、疱疹状皮膚炎、脂漏性皮膚炎、薬疹(例えば、中毒性表皮壊死症、結節性紅斑、血清病)、湿疹(異汗性湿疹、間擦疹、神経皮膚炎、及び放射線皮膚炎を含む);皮膚筋炎;紅斑(慢性遊走性、硬結性、伝染性、多形性(スティーブンス・ジョンソン症候群)、及び結節性(Sweet症候群)を含む);発疹(突発性を含む);顔面皮膚疾患(ざ瘡様発疹(ケロイド、酒さ、尋常性、及びFavre-Racouchot症候群)を含む);足部皮膚疾患(足部白癬を含む);手掌皮膚疾患;角化棘細胞腫;角化症(肥厚を含む)、真珠腫(中耳を含む)、魚鱗癬(先天性魚鱗癬様紅皮症、表皮溶解性角化症、葉状魚鱗癬、尋常性魚鱗癬、X連鎖魚鱗癬、及びシェーグレン・ラルソン症候群を含む)、膿漏性角皮症、掌蹠角化症、毛包角化症、脂漏性角化症、錯角化症、及び汗孔角化症;脚部皮膚疾患、肥満細胞症(色素性蕁麻疹)、類壊死症(環状肉芽腫及び脂肪類壊死症)、光線過敏症(光アレルギー性又は光毒性皮膚炎)、種痘様水疱症、日光皮膚炎、及び色素性乾皮症);色素異常症(銀皮症、色素増加症、メラニン沈着症、黒色表皮腫、黒子、ポイツ・ジェガース症候群、色素脱失、白皮症、まだら症、白斑、色素失調症、色素性蕁麻疹、色素性乾皮症、痒疹を含む);そう痒症(肛門及び外陰部を含む);膿皮症(膿瘡及び壊疽性膿皮症を含む);頭皮疾患;成年性浮腫性硬化症;新生児強皮症;皮膚付属器疾患(毛髪障害(脱毛症、毛包炎、多毛、多毛症、捻転毛髪症候群)を含む)、爪疾患(爪膝蓋骨症候群、陥入爪又は爪形成異常、爪真菌症、爪囲炎)、皮脂腺疾患(鼻瘤、新生物)、汗腺疾患(汗腺炎、多汗症、乏汗症、深在性、フォックス・フォアダイス病、新生物);遺伝性皮膚疾患(アルフィニズム(alfinism)、皮膚弛緩症、良性家族性天疱瘡、ポルフィリン症、先端皮膚炎、外胚葉異形成症、エリス・ファンクレフェルト症候群、部分皮膚低形成、エーラス・ダンロス症候群、表皮水疱症、魚鱗癬を含む);伝染性皮膚疾患(皮膚真菌症、ブラストミセス症、カンジダ症、黒色分芽菌症、マズラ菌症、パラコクシジオイデス症、スポロトリクム症、白癬症を含む);細菌性皮膚疾患(例えば、顔面頸部放線菌症、細菌性血管腫、膿瘡、丹毒、慢性遊走性紅斑、紅色陰癬、鼠径肉芽腫、化膿性汗腺炎、マズラ菌症、爪囲炎、ピンタ、鼻硬化症、ブドウ球菌皮膚感染症(せつ腫症、癰、膿痂疹、熱傷様皮膚症候群)、皮膚梅毒、皮膚結核、イチゴ腫);皮膚寄生虫症(幼虫移行症、リーシュマニア症、及び疥癬を含む);ウイルス性皮膚疾患(伝染性紅斑、突発性発疹、単純ヘルペス、伝染性軟属腫、いぼ)から選択される。
【0006】
本開示の実施形態を、添付図面を参照して更に説明する。図面は、必ずしも実寸に比例しておらず、概して、本開示の実施形態の原理の説明に重点が置かれている。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1A図1A図1Cは、若い皮膚と老化した皮膚におけるコラーゲン合成の概略図、及びコラーゲン合成の刺激における絹フィブロインの提案される役割を示す。図1A:健康な若い皮膚では、高密度コラーゲンマトリックス中の真皮線維芽細胞が、新たなコラーゲンを生成することによってマトリックスを継続的に強化する。若い皮膚では、真皮細胞外マトリックス(ECM)内の無傷のコラーゲンが、線維芽細胞の付着部位と機械的抵抗を提供する。線維芽細胞は伸びて新たなコラーゲン(緑色)を生成し、ECMの完全性と安定性を促進する。
図1B図1A図1Cは、若い皮膚と老化した皮膚におけるコラーゲン合成の概略図、及びコラーゲン合成の刺激における絹フィブロインの提案される役割を示す。図1B:加齢に伴い、線維芽細胞による新たなコラーゲンの産生が減少し、コラーゲンマトリックスが分解する。加齢に伴い、コラーゲン合成の低下とMMP活性の上昇により、コラーゲン原線維が断片化される。これにより、線維芽細胞の機械的張力が失われ、ECMの完全性と安定性が失われる。
図1C図1A図1Cは、若い皮膚と老化した皮膚におけるコラーゲン合成の概略図、及びコラーゲン合成の刺激における絹フィブロインの提案される役割を示す。図1C:マトリックスへのシルクフィブロインの添加は、線維芽細胞によるコラーゲン産生を刺激し、マトリックスの構造完全性を回復させる。添加された絹フィブロインは、恐らく線維芽細胞との直接的相互作用及びコラーゲン断片の架橋とによって、線維芽細胞を刺激してコラーゲンを生成する。これは、ECMの完全性の回復と、より若々しい皮膚の外観とを促進すると思われる。(Varani et al.AmJ Pathol.2006,168:1861から採用)。
図2図2は、コラーゲン生成が、絹の組成に依存することを示す。様々な絹濃度での細胞内コラーゲン産生は、絹の種類の関数として示される。刺激率(%)は、ネガティブコントロールと比較したコラーゲン形成の上昇である。絹の平均MW組成:絹A=低MW(約14kDa~約30kDaから選択される平均重量平均分子量);絹B=中MW(約39kDa~約54kDaから選択される平均重量平均分子量)。
図3A図3A及び図3Bは、DAPIで対比染色された2×5時間の低MWシルク(RITC標識)に曝露させたEFT-400組織の断面を示す。図3Aは、5×の倍率の画像であり、組織の厚み全体を示す。
図3B図3A及び図3Bは、DAPIで対比染色した2×5時間の低MWシルク(RITC標識)に曝露させたEFT-400組織の断面を示す。図3Bは、10×の倍率の画像であり、表皮に焦点を合わせている。
図4A図4A及び図4Bは、DAPIで対比染色した2×5時間の中MWシルク(FITC標識)に曝露させたEFT-400組織の断面を示す。図4Aは、5×の倍率の画像であり、組織の厚み全体を示す。
図4B図4A及び図4Bは、DAPIで対比染色した2×5時間の中MWシルク(FITC標識)に曝露させたEFT-400組織の断面を示す。図4Bは、10×の倍率の画像であり、表皮に焦点を合わせている。
図5図5は、本開示の絹フィブロインタンパク質断片(SPF)を生成するための様々な実施形態を示すフローチャートである。
図6図6は、抽出及び溶解の各工程中に、本開示の絹タンパク質断片溶液を生成するプロセスにおいて変更することができる様々なパラメータを示すフローチャートである。
【0008】
詳細な説明
絹フィブロイン又は絹フィブロイン断片を作製する方法は知られており、例えば、米国特許第9,187,538号明細書、同第9,511,012号明細書、第9,517,191号明細書、同第9,522,107号明細書、同第9,522,108号明細書、同第9,545,369号明細書、及び同第10,166,177号明細書に記載されている。動物の毛髪のコーティング用途を含むコーティング用途において、絹フィブロイン又は絹フィブロイン断片を使用する方法は知られており、例えば、米国特許出願公開第20160222579号明細書及び同第20160281294号明細書に記載されている。化粧品用途で絹フィブロイン又は絹フィブロイン断片を使用する組成物及び方法は公知であり、例えば、米国特許出願公開第20180280274号明細書及び同第20180008522号明細書、並びに国際公開第2019005848号に記載されている。本明細書に引用される刊行物はいずれも、参照によりその全体を援用する。
【0009】
定義
前のセクション及び本明細書の残りの記載において、特段の断りがない限り、本明細書に使用される技術用語及び科学用語はいずれも、本発明が属する技術分野の当業者によって通常理解される意味と同一の意味を有する。本明細書中で言及される特許及び刊行物はいずれも、参照によりその全体を援用する。
【0010】
パーセンテージ、部、及び比はいずれも、特段の断りがない限り、本発明のコラーゲンブースティング組成物の総重量に基づく。記載される成分に関連する係る重量はいずれも、活性レベルに基づくので、特段の断りがない限り、市販材料に含まれ得る溶媒や副生成物は含まない。用語「重量パーセント」は、本明細書中、「wt.%」又は%w/wとして示すことができる。
【0011】
本明細書においては、用語「a」、「an」、又は「the」は、通常、単数形及び複数形の両方を包含すると解釈される。
【0012】
本明細書においては、用語「約」は、通常、当業者によって決定される、許容可能な誤差範囲を含む特定の数値を意味し、これは、数値がどのように測定又は決定されるか、即ち、測定系の制約に一部依存する。例えば、「約」は、所定の数値の±20%、±10%、又は±5%の範囲を意味する。
【0013】
本明細書においては、用語「皮膚科学的に許容される担体」は、例えば、過度の毒性、非相溶性、不安定性、アレルギー反応などの悪影響を引き起こすことなく、哺乳動物のケラチン組織と接触させて使用するのに好適な担体を意味する。皮膚科学的に許容される担体としては、限定するものではないが、水、液体又は固体の皮膚軟化剤、保湿剤、溶媒などが挙げられる。
【0014】
本明細書においては、界面活性剤の用語「親水性-親油性バランス」(HLB)は、分子の異なる領域の値を計算することによって決定される、親水性又は疎水性の程度の尺度であり、Griffinの方法:HLB=20Mh/M(式中、Mhは、界面活性剤の親水性部分の分子質量、Mは、界面活性剤分子全体の分子質量である)によって記述され、0~20のスケールで結果を与える。HLB値が0の場合、完全に親油性の分子に対応し、値が20の場合は、完全に親水性の分子に対応する。HLB値は、分子の界面活性剤特性を予測するために使用することができ、HLB<10:脂溶性(水不溶性)、HLB>10:水溶性(不脂溶性)、HLB=1~3:消泡剤、3~6:W/O(油中水型)乳化剤、7~9:湿潤及び展着剤、8~16:O/W(水中油型)乳化剤、13~16:界面活性剤、16~18:可溶化剤又はハイドロトロープである。
【0015】
本明細書においては、「平均重量平均分子量」は、同一組成物の絹フィブロイン又はその断片の重量平均分子量の、2以上の別々の実験の読み取り値によって決定される2以上の値の平均を意味する。
【0016】
本明細書においては、ポリマーの「多分散性(PD)」という用語は、通常、ポリマーの分子量分布の広さの尺度として使用され、多分散性PD=Mw/Mnの式で定義される。
【0017】
本明細書においては、用語「実質的に均質」は、同定された分子量の周りに正規分布で分布する絹フィブロインベースのタンパク質断片を意味し得る。本明細書においては、用語「実質的に均質」は、本開示の組成物全体に亘って、成分又は添加剤、例えば、絹フィブロイン断片、皮膚科学的に許容される担体などの均一な分布を意味し得る。
【0018】
本明細書においては、用語「絹フィブロインペプチド」、「絹フィブロインタンパク質断片」、及び「絹フィブロイン断片」は、相互変換可能に使用される。分子量又はアミノ酸単位の数は、分子サイズが重要なパラメータになるときに定義する。
【0019】
SPFの定義及び性質
本明細書において、「絹タンパク質断片」(SPF)は、本明細書に定義される「絹フィブロイン断片」、本明細書に定義される「組換え絹断片」、本明細書に定義される「クモシルク断片」、本明細書に定義される「絹フィブロイン様タンパク質断片」、及び/又は本明細書に定義される「化学的に修飾された絹断片」のうちの1以上を含む。SPFは、本明細書に記載の任意の分子量の値又は範囲、及び本明細書に記載の任意の多分散性の値又は範囲を有することができる。本明細書において、いくつかの実施形態では、用語「絹タンパク質断片」は、また、天然に存在する絹ポリペプチド又はその変異体、天然に存在するシルクポリペプチドのアミノ酸配列、又はそれらの組合せから、それぞれ独立して選択される少なくとも2つの同一繰り返し単位を含む又はからなる絹タンパク質を意味する。
【0020】
SPFの分子量及び多分散性
実施形態では、本開示の組成物は、約1~約5kDaから選択される平均重量平均分子量を有するSPFを含む。実施形態では、本開示の組成物は、約5~約10kDaから選択される平均重量平均分子量を有するSPFを含む。実施形態では、本開示の組成物は、約10~約15kDaから選択される平均重量平均分子量を有するSPFを含む。実施形態では、本開示の組成物は、約15~約20kDaから選択される平均重量平均分子量を有するSPFを含む。実施形態では、本開示の組成物は、約14~約30kDaから選択される平均重量平均分子量を有するSPFを含む。実施形態では、本開示の組成物は、約20~約25kDaから選択される平均重量平均分子量を有するSPFを含む。実施形態では、本開示の組成物は、約25~約30kDaから選択される平均重量平均分子量を有するSPFを含む。実施形態では、本開示の組成物は、約30~約35kDaから選択される平均重量平均分子量を有するSPFを含む。実施形態では、本開示の組成物は、約35~約40kDaから選択される平均重量平均分子量を有するSPFを含む。実施形態では、本開示の組成物は、約39~約54kDaから選択される平均重量平均分子量を有するSPFを含む。実施形態では、本開示の組成物は、約40~約45kDaから選択される平均重量平均分子量を有するSPFを含む。実施形態では、本開示の組成物は、約45~約50kDaから選択される平均重量平均分子量を有するSPFを含む。実施形態では、本開示の組成物は、約50~約55kDaから選択される平均重量平均分子量を有するSPFを含む。実施形態では、本開示の組成物は、約55~約60kDaから選択される平均重量平均分子量を有するSPFを含む。実施形態では、本開示の組成物は、約60~約65kDaから選択される平均重量平均分子量を有するSPFを含む。実施形態では、本開示の組成物は、約65~約70kDaから選択される平均重量平均分子量を有するSPFを含む。実施形態では、本開示の組成物は、約70~約75kDaから選択される平均重量平均分子量を有するSPFを含む。実施形態では、本開示の組成物は、約75~約80kDaから選択される平均重量平均分子量を有するSPFを含む。実施形態では、本開示の組成物は、約80~約85kDaから選択される平均重量平均分子量を有するSPFを含む。実施形態では、本開示の組成物は、約85~約90kDaから選択される平均重量平均分子量を有するSPFを含む。実施形態では、本開示の組成物は、約90~約95kDaから選択される平均重量平均分子量を有するSPFを含む。実施形態では、本開示の組成物は、約95~約100kDaから選択される平均重量平均分子量を有するSPFを含む。実施形態では、本開示の組成物は、約100~約105kDaから選択される平均重量平均分子量を有するSPFを含む。実施形態では、本開示の組成物は、約105~約110kDaから選択される平均重量平均分子量を有するSPFを含む。実施形態では、本開示の組成物は、約110~約115kDaから選択される平均重量平均分子量を有するSPFを含む。実施形態では、本開示の組成物は、約115~約120kDaから選択される平均重量平均分子量を有するSPFを含む。実施形態では、本開示の組成物は、約120~約125kDaから選択される平均重量平均分子量を有するSPFを含む。実施形態では、本開示の組成物は、約125~約130kDaから選択される平均重量平均分子量を有するSPFを含む。実施形態では、本開示の組成物は、約130~約135kDaから選択される平均重量平均分子量を有するSPFを含む。実施形態では、本開示の組成物は、約135~約140kDaから選択される平均重量平均分子量を有するSPFを含む。実施形態では、本開示の組成物は、約140~約145kDaから選択される平均重量平均分子量を有するSPFを含む。実施形態では、本開示の組成物は、約145~約150kDaから選択される平均重量平均分子量を有するSPFを含む。実施形態では、本開示の組成物は、約150~約155kDaから選択される平均重量平均分子量を有するSPFを含む。実施形態では、本開示の組成物は、約155~約160kDaから選択される平均重量平均分子量を有するSPFを含む。実施形態では、本開示の組成物は、約160~約165kDaから選択される平均重量平均分子量を有するSPFを含む。実施形態では、本開示の組成物は、約165~約170kDaから選択される平均重量平均分子量を有するSPFを含む。実施形態では、本開示の組成物は、約170~約175kDaから選択される平均重量平均分子量を有するSPFを含む。実施形態では、本開示の組成物は、約175~約180kDaから選択される平均重量平均分子量を有するSPFを含む。実施形態では、本開示の組成物は、約180~約185kDaから選択される平均重量平均分子量を有するSPFを含む。実施形態では、本開示の組成物は、約185~約190kDaから選択される平均重量平均分子量を有するSPFを含む。実施形態では、本開示の組成物は、約190~約195kDaから選択される平均重量平均分子量を有するSPFを含む。実施形態では、本開示の組成物は、約195~約200kDaから選択される平均重量平均分子量を有するSPFを含む。実施形態では、本開示の組成物は、約200~約205kDaから選択される平均重量平均分子量を有するSPFを含む。実施形態では、本開示の組成物は、約205~約210kDaから選択される平均重量平均分子量を有するSPFを含む。実施形態では、本開示の組成物は、約210~約215kDaから選択される平均重量平均分子量を有するSPFを含む。実施形態では、本開示の組成物は、約215~約220kDaから選択される平均重量平均分子量を有するSPFを含む。実施形態では、本開示の組成物は、約220~約225kDaから選択される平均重量平均分子量を有するSPFを含む。実施形態では、本開示の組成物は、約225~約230kDaから選択される平均重量平均分子量を有するSPFを含む。実施形態では、本開示の組成物は、約230~約235kDaから選択される平均重量平均分子量を有するSPFを含む。実施形態では、本開示の組成物は、約235~約240kDaから選択される平均重量平均分子量を有するSPFを含む。実施形態では、本開示の組成物は、約240~約245kDaから選択される平均重量平均分子量を有するSPFを含む。実施形態では、本開示の組成物は、約245~約250kDaから選択される平均重量平均分子量を有するSPFを含む。実施形態では、本開示の組成物は、約250~約255kDaから選択される平均重量平均分子量を有するSPFを含む。実施形態では、本開示の組成物は、約255~約260kDaから選択される平均重量平均分子量を有するSPFを含む。実施形態では、本開示の組成物は、約260~約265kDaから選択される平均重量平均分子量を有するSPFを含む。実施形態では、本開示の組成物は、約265~約270kDaから選択される平均重量平均分子量を有するSPFを含む。実施形態では、本開示の組成物は、約270~約275kDaから選択される平均重量平均分子量を有するSPFを含む。実施形態では、本開示の組成物は、約275~約280kDaから選択される平均重量平均分子量を有するSPFを含む。実施形態では、本開示の組成物は、約280~約285kDaから選択される平均重量平均分子量を有するSPFを含む。実施形態では、本開示の組成物は、約285~約290kDaから選択される平均重量平均分子量を有するSPFを含む。実施形態では、本開示の組成物は、約290~約295kDaから選択される平均重量平均分子量を有するSPFを含む。実施形態では、本開示の組成物は、約295~約300kDaから選択される平均重量平均分子量を有するSPFを含む。実施形態では、本開示の組成物は、約300~約305kDaから選択される平均重量平均分子量を有するSPFを含む。実施形態では、本開示の組成物は、約305~約310kDaから選択される平均重量平均分子量を有するSPFを含む。実施形態では、本開示の組成物は、約310~約315kDaから選択される平均重量平均分子量を有するSPFを含む。実施形態では、本開示の組成物は、約315~約320kDaから選択される平均重量平均分子量を有するSPFを含む。実施形態では、本開示の組成物は、約320~約325kDaから選択される平均重量平均分子量を有するSPFを含む。実施形態では、本開示の組成物は、約325~約330kDaから選択される平均重量平均分子量を有するSPFを含む。実施形態では、本開示の組成物は、約330~約335kDaから選択される平均重量平均分子量を有するSPFを含む。実施形態では、本開示の組成物は、約335~約340kDaから選択される平均重量平均分子量を有するSPFを含む。実施形態では、本開示の組成物は、約340~約345kDaから選択される平均重量平均分子量を有するSPFを含む。実施形態では、本開示の組成物は、約345~約350kDaから選択される平均重量平均分子量を有するSPFを含む。
【0021】
いくつかの実施形態では、本開示の組成物は、約1kDa~約145kDaから選択される重量平均分子量と、1~約5(多分散性1を含むがこれに限定されない)、1~約1.5(多分散性1を含むがこれに限定されない)、約1.5~約2、約1.5~約3、約2~約2.5、約2.5~約3、約3~約3.5、約3.5~約4、約4~約4.5、及び約4.5~約5から選択される多分散性とを有する組成物#1001~#2450から選択されるSPF組成物を含む。
【0022】
本明細書において、「低分子量」、「低MW」、又は「low-MW」SPFは、約5kDa~約38kDa、約14kDa~約30kDa、又は約6kDa~約17kDaから選択される重量平均分子量又は平均重量平均分子量を有するSPFを含むことができる。いくつかの実施形態では、あるSPFの目的低分子量は、約5kDa、約6kDa、約7kDa、約8kDa、約9kDa、約10kDa、約11kDa、約12kDa、約13kDa、約14kDa、約15kDa、約16kDa、約17kDa、約18kDa、約19kDa、約20kDa、約21kDa、約22kDa、約23kDa、約24kDa、約25kDa、約26kDa、約27kDa、約28kDa、約29kDa、約30kDa、約31kDa、約32kDa、約33kDa、約34kDa、約35kDa、約36kDa、約37kDa、又は約38kDaの重量平均分子量であることができる。
【0023】
本明細書において、「中分子量」、「中MW」、又は「mid-MW」SPFは、約31kDa~約55kDa又は約39kDa~約54kDaから選択される重量平均分子量又は平均重量平均分子量を有するSPFを含むことができる。いくつかの実施形態では、あるSPFの目的中分子量は、約31kDa、約32kDa、約33kDa、約34kDa、約35kDa、約36kDa、約37kDa、約38kDa、約39kDa、約40kDa、約41kDa、約42kDa、約43kDa、約44kDa、約45kDa、約46kDa、約47kDa、約48kDa、約49kDa、約50kDa、約51kDa、約52kDa、約53kDa、約54kDa、又は約55kDaであることができる。
【0024】
本明細書において、「高分子量」、「高MW」、又は「high-MW」SPFは、約55kDa~約150kDaから選択される重量平均分子量又は平均重量平均分子量を有するSPFを含むことができる。いくつかの実施形態では、あるSPFの目的高分子量は、約55kDa、約56kDa、約57kDa、約58kDa、約59kDa、約60kDa、約61kDa、約62kDa、約63kDa、約64kDa、約65kDa、約66kDa、約67kDa、約68kDa、約69kDa、約70kDa、約71kDa、約72kDa、約73kDa、約74kDa、約75kDa、約76kDa、約77kDa、約78kDa、約79kDa、又は約80kDaであることができる。
【0025】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の分子量(例えば、低分子量シルク、中分子量シルク、高分子量シルク)は、当業者によって理解されるように、それぞれのSPFに含有されるアミノ酸の概数に変換することができる。当業者である。例えば、アミノ酸の平均重量は、約110ダルトン(即ち、110g/mol)であり得る。したがって、いくつかの実施形態では、線状タンパク質の分子量を110ダルトンで除すことで、それに含有されるアミノ酸残基数を概算することができる。
【0026】
実施形態では、本開示の組成物におけるSPFは、1~約5.0から選択される多分散性を有する(多分散性1を含むがこれに限定されない)。実施形態では、本開示の組成物におけるSPFは、約1.5~約3.0から選択される多分散性を有する。実施形態では、本開示の組成物におけるSPFは、1~約1.5から選択される多分散性を有する(多分散性1を含むがこれに限定されない)。実施形態では、本開示の組成物におけるSPFは、約1.5~約2.0から選択される多分散性を有する。実施形態では、本開示の組成物におけるSPFは、約2.0~約2.5から選択される多分散性を有する。実施形態では、本開示の組成物におけるSPFは、約2.5~約3.0から選択される多分散性を有する。実施形態では、本開示の組成物におけるSPFは、約3.0~約3.5から選択される多分散性を有する。実施形態では、本開示の組成物におけるSPFは、約3.5~約4.0から選択される多分散性を有する。実施形態では、本開示の組成物におけるSPFは、約4.0~約4.5から選択される多分散性を有する。実施形態では、本開示の組成物におけるSPFは、約4.5~約5.0から選択される多分散性を有する。
【0027】
実施形態では、本開示の組成物におけるSPFは、1の多分散性を有する。実施形態では、本開示の組成物におけるSPFは、約1.1の多分散性を有する。実施形態では、本開示の組成物におけるSPFは、約1.2の多分散性を有する。実施形態では、本開示の組成物におけるSPFは、約1.3の多分散性を有する。実施形態では、本開示の組成物におけるSPFは、約1.4の多分散性を有する。実施形態では、本開示の組成物におけるSPFは、約1.5の多分散性を有する。実施形態では、本開示の組成物におけるSPFは、約1.6の多分散性を有する。実施形態では、本開示の組成物におけるSPFは、約1.7の多分散性を有する。実施形態では、本開示の組成物におけるSPFは、約1.8の多分散性を有する。実施形態では、本開示の組成物におけるSPFは、約1.9の多分散性を有する。実施形態では、本開示の組成物におけるSPFは、約2.0の多分散性を有する。実施形態では、本開示の組成物におけるSPFは、約2.1の多分散性を有する。実施形態では、本開示の組成物におけるSPFは、約2.2の多分散性を有する。実施形態では、本開示の組成物におけるSPFは、約2.3の多分散性を有する。実施形態では、本開示の組成物におけるSPFは、約2.4の多分散性を有する。実施形態では、本開示の組成物におけるSPFは、約2.5の多分散性を有する。実施形態では、本開示の組成物におけるSPFは、約2.6の多分散性を有する。実施形態では、本開示の組成物におけるSPFは、約2.7の多分散性を有する。実施形態では、本開示の組成物におけるSPFは、約2.8の多分散性を有する。実施形態では、本開示の組成物におけるSPFは、約2.9の多分散性を有する。実施形態では、本開示の組成物におけるSPFは、約3.0の多分散性を有する。実施形態では、本開示の組成物におけるSPFは、約3.1の多分散性を有する。実施形態では、本開示の組成物におけるSPFは、約3.2の多分散性を有する。実施形態では、本開示の組成物におけるSPFは、約3.3の多分散性を有する。実施形態では、本開示の組成物におけるSPFは、約3.4の多分散性を有する。実施形態では、本開示の組成物におけるSPFは、約3.5の多分散性を有する。実施形態では、本開示の組成物におけるSPFは、約3.6の多分散性を有する。実施形態では、本開示の組成物におけるSPFは、約3.7の多分散性を有する。実施形態では、本開示の組成物におけるSPFは、約3.8の多分散性を有する。実施形態では、本開示の組成物におけるSPFは、約3.9の多分散性を有する。実施形態では、本開示の組成物におけるSPFは、約4.0の多分散性を有する。実施形態では、本開示の組成物におけるSPFは、約4.1の多分散性を有する。実施形態では、本開示の組成物におけるSPFは、約4.2の多分散性を有する。実施形態では、本開示の組成物におけるSPFは、約4.3の多分散性を有する。実施形態では、本開示の組成物におけるSPFは、約4.4の多分散性を有する。実施形態では、本開示の組成物におけるSPFは、約4.5の多分散性を有する。実施形態では、本開示の組成物におけるSPFは、約4.6の多分散性を有する。実施形態では、本開示の組成物におけるSPFは、約4.7の多分散性を有する。実施形態では、本開示の組成物におけるSPFは、約4.8の多分散性を有する。実施形態では、本開示の組成物におけるSPFは、約4.9の多分散性を有する。実施形態では、本開示の組成物におけるSPFは、約5.0の多分散性を有する。
【0028】
いくつかの実施形態では、低、中、及び/又は高分子量のSPFの組合せを有する本明細書に記載の組成物において、係る低、中、及び/又は高分子量のSPFは、同一又は異なる多分散性を有することができる。
【0029】
絹フィブロイン断片
絹フィブロイン又は絹フィブロインタンパク質断片の製造方法、及びそれらの様々な分野における用途は知られており、例えば、それらの全体を参照により本明細書に援用する米国特許第9,187,538号明細書、同第9,511,012号明細書、同第9,517,191号明細書、同第9,522,107号明細書、同第9,522,108号明細書、同第9,545,369号明細書、同第10,166,177号明細書、同第10,287,728号明細書、及び同第10,301,768号明細書に記載されている。カイコBombyx moriの生絹は、絹フィブロイン(約75%)とセリシン(約25%)の2種類の主要タンパク質で構成される。絹フィブロインは、剛性と強度を提供する半結晶構造を有する繊維状タンパク質である。本明細書においては、用語「絹フィブロイン」は、約37万Daの重量平均分子量を有するBombyx moriの繭の繊維を意味する。カイコの粗繊維は、フィブロインの二重の糸からなる。これらの二重繊維を互いに保持する接着物質がセリシンである。絹フィブロインは、重量平均分子量が約35万Daの重鎖(H鎖)と、重量平均分子量が約25,000Daの軽鎖(L鎖)から構成される。絹フィブロインは、高分子量のポリマーの主成分を占める大きな疎水性ドメインを有する両親媒性ポリマーである。疎水性領域は、小さな親水性スペーサによって中断されており、鎖のN末端とC末端も親水性が高い。H鎖の疎水性ドメインは、Gly-Ala-Gly-Ala-Gly-Serの繰り返しヘキサペプチド配列とGly-Ala/Ser/Tyrジペプチドの繰り返しを含み、これにより、安定した逆平行シート結晶子を形成することができる。L鎖のアミノ酸配列は非繰り返し的であるので、L鎖は、より親水性が高く、比較的弾性がある。絹フィブロイン分子の親水性(Tyr,Ser)及び疎水性(Gly,Ala)鎖セグメントは、絹フィブロイン分子の自己組織化を可能にするように交互に配列される。
【0030】
本明細書では、様々な用途のために複数の産業に亘って使用することができる純粋且つ高度にスケーラブルな絹フィブロイン-タンパク質断片混合溶液を生成するための方法が提供される。特定の理論に拘束されることを望むものではないが、これらの方法は、本明細書に記載の任意のSPF(組換え絹タンパク質を含むがこれに限定されない)の断片化、及び絹様又はフィブロイン様タンパク質の断片化に等しく適用可能であると考えられる。
【0031】
本明細書においては、用語「フィブロイン」は、カイコフィブロイン及び昆虫又はクモのシルクタンパク質を含む。実施形態では、フィブロインは、Bombyx moriから得られる。Bombyx moriの生絹は、絹フィブロイン(約75%)とセリシン(約25%)の2種類の主要タンパク質で構成される。絹フィブロインは、剛性と強度を提供する半結晶構造を有する繊維状タンパク質である。本明細書においては、用語「絹フィブロイン」は、約37万Daの重量平均分子量を有するBombyx moriの繭の繊維を意味する。これらの不溶性絹フィブロインフィブリルの、水溶性絹フィブロインタンパク質断片への変換は、濃縮中性塩(例えば、8~10Mの臭化リチウム)の添加を必要とし、これが、フィブロインタンパク質を水に対して不溶性にする、分子間及び分子内のイオン結合及び水素結合に干渉する。絹フィブロインタンパク質断片の製造方法、及び/又はその組成物は知られており、例えば、米国特許第9,187,538号明細書、同第9,511,012号明細書、同第9,517,191号明細書、同第9,522,107号明細書、同第9,522,108号明細書、同第9,545,369号明細書、及び同第10,166,177号明細書に記載されている。
【0032】
カイコBombyx moriの生絹繭を細断した。細断した絹の繭をNaCOの水溶液中で、約100℃で約60分間処理して、セリシンを除去した(脱ガム)。水の使用量は、生絹の重量の約0.4倍に相当し、NaCOの量は、生絹繭片の重量の約0.848倍である。得られた脱ガム後の絹繭片を、約60℃にて3回脱イオン水で濯いだ(濯ぎごとに20分間)。各サイクルの濯ぎ水の量は、0.2L×生絹繭片の重量とした。脱ガム後の絹繭片から余分な水分を除去した。DI水洗浄工程の後、湿った脱ガム後絹繭片を室温で乾燥した。脱ガム後絹繭片をLiBr溶液と混合し、混合物を約100℃に加熱した。加温混合物をドライオーブンに入れ、約100℃で約60分間加熱して、天然の絹タンパク質を完全に溶解させた。得られた絹フィブロイン溶液を濾過し、接線流濾過(TFF)及び10kDaメンブレンを使用して脱イオン水に対して72時間透析した。得られた絹フィブロイン水溶液の濃度は、約8.5重量%である。次いで、8.5%の絹溶液を水で希釈して、1.0%w/vの絹溶液を得た。次いで、TFFを使用して、純粋な絹溶液を、水に対して20.0%w/w絹の濃度に更に濃縮することができる。
【0033】
一連の水の交換による絹の透析は、手動で時間のかかるプロセスであるが、透析に先立ち、絹溶液を希釈するなど、特定のパラメータを変更することにより加速することができる。透析プロセスは、半自動装置、例えば接線流濾過システムを使用することにより、製造のためにスケールアップすることができる。
【0034】
いくつかの実施形態では、絹溶液は、90℃で30分間、90℃で60分間、100℃で30分間、及び100℃で60分間などの様々な調製条件パラメータの下で調製される。簡単に説明すると、9.3MのLiBrを調製し、室温で少なくとも30分間放置した。5mLのLiBr溶液を1.25gの絹に添加し、60℃のオーブンに入れた。各セットのサンプルは、4、6、8、12、24、168、及び192時間で取り出した。
【0035】
いくつかの実施形態では、絹溶液は、90℃で30分間、90℃で60分間、100℃で30分間、及び100℃で60分間などの様々な調製条件パラメータの下で調製される。簡単に説明すると、9.3MのLiBr溶液を、60℃、80℃、100℃、又は沸騰の4つの温度のいずれかまで加熱した。5mLの温LiBr溶液を1.25gの絹に添加し、60℃のオーブンに入れた。各セットのサンプルは、1、4、及び6時間で取り出した。
【0036】
いくつかの実施形態では、絹溶液は、例えば、以下のような様々な調製条件パラメータの下で調製される。次の4種類の異なる絹抽出条件を用いた:90℃で30分間、90℃で60分間、100℃で30分間、及び100℃で60分間。簡単に説明すると、9.3MのLiBr溶液を、60℃、80℃、100℃、又は沸騰の4つの温度のいずれかまで加熱した。5mLの温LiBr溶液を1.25gの絹に添加し、LiBrと同温のオーブンに入れた。各セットのサンプルは、1、4、及び6時間で取り出した。各サンプル1mLを、7.5mLの9.3MのLiBrに添加し、粘度試験のために冷蔵した。
【0037】
いくつかの実施形態では、SPFは、未加工で未洗浄の、部分的に洗浄された、又は洗浄済みのカイコ繊維を、中性の臭化リチウム塩で溶解することによって得られる。未加工のカイコシルクは、セリシンを除去し、断片混合物の所望の重量平均分子量(MW)及び多分散性(PD)を達成するために、選択された温度及び他の条件下で処理される。プロセスパラメータの選択は、使用目的に応じて、明確な最終絹タンパク質断片特性を達成するために変更することができる。結果として得られる最終断片溶液は、100万分の1(ppm)から検出不能なレベルのプロセス汚染物質を含む絹フィブロインタンパク質断片と水であり、医薬品、医療及び消費者のアイケア市場で許容されるレベルである。SPFの濃度、サイズ、及び多分散性は、使用目的と性能要件に応じて更に変更することができる。
【0038】
図5は、本開示の純粋な絹フィブロインタンパク質断片(SPF)を生成するための様々な実施形態を示すフローチャートである。図示した工程の全てが、本開示の全ての絹溶液を製造するために必ずしも必要とされる訳ではないことを理解すべきである。図5に示されるように、工程A、繭(熱処理後又は熱処理前)、絹繊維、絹粉末、クモシルク、又は組換えクモシルクを絹源として使用することができる。Bombyx moriの生絹繭を開始物質として用いる場合、繭を小片、例えばほぼ同一サイズの断片に切断することができる(工程B1)。次いで、生絹を抽出し、濯いでセリシンを除去する(工程C1a)。これにより、実質的にセリシンを含まない生絹が得られる。実施形態では、水を84℃~100℃(理想的には沸騰)の温度に加熱し、次いで、NaCO(炭酸ナトリウム)を、NaCOが完全に溶解するまで沸騰水に添加する。生絹を沸騰水/NaCO(100℃)に添加し、約15~90分間浸漬する。より長い時間煮沸すると、絹タンパク質の断片がより小さくなる。実施形態では、水の体積は、約0.4×生絹重量に等しく、NaCO量は、約0.848×生絹重量に等しい。実施形態では、水の体積は、生糸重量の0.1×生絹重量に等しく、NaCO量は、2.12g/Lに維持される。
【0039】
続いて、水に溶解したNaCO溶液を排出し、過剰な水/NaCOを絹フィブロイン繊維から除去する(例えば、手、機械を使用するスピンサイクルなどによりフィブロイン抽出物を濯ぎ除去する(ring out))。得られた絹フィブロイン抽出物を温水から熱水で濯いで、残存している吸着セリシン又は汚染物質を、典型的には、約40℃~約80℃の温度範囲で除去し、水の体積を少なくとも1回変更する(必要に応じて多数回繰り返す)。得られた絹フィブロイン抽出物は、実質的にセリシンが低減された絹フィブロインである。実施形態では、得られた絹フィブロイン抽出物を、約60℃の温度にて水で濯ぐ。実施形態では、各サイクルの濯ぎ水の体積は、0.1L~0.2L×生絹重量に等しい。濯ぎ効果を最大にするために、濯ぎ水を攪拌、回転、又は循環させることが有利なことがある。濯ぎ後、抽出された絹フィブロイン繊維から余分な水が除去される(例えば、手又は機械を使用してフィブロイン抽出物をリングアウトする)。或いは、圧力、温度、若しくは他の試薬、又はそれらの組合せなどの当業者に知られた方法を、セリシン抽出の目的で使用することができる。或いは、絹糸腺(100%セリシンフリーの絹タンパク質)を、ワーム(worm)から直接取り除くこともできる。これにより、タンパク質構造の変化を伴わずに、セリシンを含まない液体絹タンパク質が得られる。
【0040】
次いで、抽出されたフィブロイン繊維を完全に乾燥させる。乾燥したら、抽出した絹フィブロインを、周囲温度と沸騰温度との間の温度で絹フィブロインに添加される溶媒を使用して溶解する(工程C1b)。実施形態では、溶媒は、臭化リチウム(LiBr)の溶液である(LiBrの沸騰は、140℃で生じる)。或いは、抽出したフィブロイン繊維を乾燥せずに湿らせて溶媒に入れる。次いで、溶媒濃度を変化させて、乾燥させた絹を溶媒に添加するときと同様の濃度を達成することができる。LiBr溶媒の最終濃度は、0.1M~9.3Mであり得る。抽出されたフィブロイン繊維の完全な溶解は、溶解溶媒の濃度と共に処理時間及び温度を変えることによって達成することができる。他の溶媒をもちいてもよく、例えば、リン酸塩、リン酸、硝酸カルシウム、塩化カルシウム溶液又は無機塩の他の濃縮水溶液が挙げられるが、これらに限定されない。完全に溶解させるには、絹繊維を予め加熱した溶媒溶液に完全に浸漬し、約60℃~約140℃の温度で1~168時間維持する必要がある。実施形態では、絹繊維は、溶媒溶液内に完全に浸漬され、次いで、約100℃の温度で約1時間、乾燥オーブンに入れる必要がある。
【0041】
絹フィブロイン抽出物がLiBr溶液に添加される(又はその逆)の際の温度は、フィブロインを完全に溶解するのに必要な時間、及び最終的なSPF混合溶液の分子量と多分散性に影響を与える。実施形態では、絹溶媒溶液濃度は、20%w/v以下である。更に、導入又は溶解中の攪拌を使用して、様々な温度及び濃度での溶解を促進することができる。LiBr溶液の温度は、作製される絹タンパク質断片混合物の分子量と多分散性を制御する。実施形態では、温度がより高いと、絹をより迅速に溶解し、プロセスのスケーラビィティを高め、絹溶液の大量生産を提供する。実施形態では、80℃~140℃の温度に加熱されたLiBr溶液を使用することにより、完全な溶解を達成するためのオーブン中で必要とされる時間が短縮される。溶解溶媒の60℃以上で時間と温度を変化させると、ネイティブな絹フィブロインタンパク質の元の分子量から形成されたSPF混合溶液のMWと多分散性を変化させ且つ制御する。
【0042】
或いは、繭全体を、抽出を行わずに、LiBrなどの溶媒に直接入れることもできる(工程B2)。これは、後に、カラム分離及び/又はクロマトグラフィー、イオン交換、塩及び/又はpHによる化学沈殿、及び又は酵素消化及び濾過又は抽出などの疎水性及び親水性タンパク質を分離するための当技術分野で知られている方法を使用して、絹及び溶媒溶液からのシルクワーム粒子の濾過及びセリシン除去を必要とする(工程C2)。これらの方法はいずれも、標準的なタンパク質分離方法の一般的な例であるが、限定されるものではない。或いは、カイコを除去した熱処理されていない繭を、抽出を行わずに、LiBrなどの溶媒に入れることもできる。前記方法は、セリシンの分離に使用することができ、熱処理されていない繭に含まれるワームの破片が著しく少ないという利点を有する。
【0043】
透析は、その溶液を、ある体積の水に対して透析させることによって、得られる溶解したフィブロインタンパク質断片溶液から、溶解溶媒を除去する(工程E1)ために使用することができる。透析の前の予備濾過は、絹及びLiBr溶液から、残骸(即ち、カイコの残り)を除去する(工程D)助けとなる。一例では、透析及び望むなら可能性のある濃縮の前に、0.1%~1.0%絹-LiBr溶液を濾過するために、3μm又は5μmのフィルタを200~300mL/minの流量で使用する。上述したような、本明細書で開示する方法は、特に、スケールアップ可能なプロセス法をもたらすことを考慮した場合、濾過及び下流での透析が容易になるように、濃度を、9.3MのLiBrから、0.1M~9.3Mの範囲に低下させるために時間及び/又は温度を使用することである。或いは、追加的な時間又は温度を用いることなく、9.3MのLiBr-絹タンパク質断片溶液を、水で希釈して残骸濾過及び透析を容易にすることができる。所望の時間及び温度の濾過での溶解の結果は、公知のMW及び多分散性の半透明粒子フリーの室温での保管安定性のある(shelf-stable)絹タンパク質断片LiBr溶液である。溶媒が除去されるまで、透析水を定期的に変える(例えば、1時間、4時間後に水を変え、次いで12時間毎に合計6回水を変える)ことが有利である。水体積変更の総数は、絹タンパク質溶解及び断片化のために使用される溶媒の得られる濃度をもとにして、変動させることができる。透析後、最終絹溶液を更に濾過して、残留する残骸(即ち、カイコの残り)を除去することができる。
【0044】
或いは、生体分子の分離及び精製のための迅速で効率的な方法である接線流濾過(TFF)を、得られる溶解フィブロイン溶液から溶媒を除去する(工程E2)のに使用することができる。TFFは、非常に純粋な絹タンパク質断片水溶液を提供し、制御された繰り返し可能な仕方で、大容積の溶液をもたらすためのプロセスのスケールアップ可能性を可能にする。TFFの前に、絹及びLiBrの溶液を希釈することができる(水か又はLiBrの中で20%~0.1%絹へ)。TFF処理の前での上述したような予備濾過は、フィルタ効率を維持することができ、残骸粒子の存在の結果としての、フィルタの表面上での絹ゲル境界層の発生を潜在的に回避させる。TFFの前の予備濾過はまた、得られる水だけの溶液の自然発生的又は長期的なゲル化を引き起こす可能性のある、絹及びLiBr溶液から残留する残骸(即ち、カイコの残り)を除去する(工程D)助けにもなる。再循環させるか又はワンパス(single pass)のTFFは、0.1%絹~30.0%絹(より好ましくは0.1%~6.0%絹)の範囲の水-絹タンパク質断片溶液を作製するために使用することができる。溶液中での絹タンパク質断片混合物の所望の濃度、分子量及び多分散性に基づいて、異なるカットオフサイズのTFF膜を必要とする可能性がある。1~100kDaの範囲の膜は、例えば、抽出煮沸時間の長さ、又は溶解溶媒(例えば、LiBr)中での時間及び温度を変動させることによって作製される分子量絹溶液を変動させるのに必要である可能性がある。一実施形態では、TFF5又は10kDaの膜は、絹タンパク質断片混合溶液を精製し、最終的な所望の絹と水の比をもたらすために使用される。その上に、TFFワンパス、TFF、及び流下膜式蒸発器などの当業界で公知の他の方法を、溶解溶媒(例えば、LiBr)の除去に続いて、溶液を濃縮するために使用することができる(0.1%~30%絹の範囲の所望濃度が得られる)。これは、水ベースの溶液を作製するために当業界で公知の標準的なHFIP濃度法の代替法として使用することができる。より大きい細孔膜を、小さい絹タンパク質断片を濾別し、よりタイトな多分散性の値を有する及び/又は有しないより高分子量の絹の溶液を作製するために利用することもできる。
【0045】
LiBr及びNaCO検出のためのアッセイは、蒸発光散乱検出器(ELSD)を備えたHPLCシステムを使用して実施することができる。計算は、濃度に対してプロットされた被分析物についての得られたピーク面積の線形回帰によって実施した。本開示のいくつかの処方物のうちの2つ以上のサンプルを、サンプル調製及び分析のために使用した。一般に、異なる処方物の4つのサンプルを、10mL容量フラスコ中に直接量り込んだ。サンプルを5mLの20mMギ酸アンモニウム(pH3.0)に懸濁し、時々振とうしながら2~8℃で2時間維持して、フィルムから検体を抽出した。2時間後、溶液を20mMギ酸アンモニウム(pH3.0)で希釈した。メスフラスコのサンプル溶液をHPLCバイアルに移し、炭酸ナトリウムと臭化リチウムの推定のためHPLC-ELSDシステムに注入した。
【0046】
絹タンパク質処方物中のNaCO及びLiBrを定量化するために開発された分析手法は、10~165μg/mLの範囲で線形であることが分かった。注入精度のRSDは、それぞれ炭酸ナトリウム及び臭化リチウムについて、面積では2%及び1%であり、保持時間では0.38%及び0.19%であった。この分析手法は、絹タンパク質処方物中の炭酸ナトリウム及び臭化リチウムの定量的決定に適用することができる。
【0047】
図6は、抽出及び溶解工程の際に、本開示の絹タンパク質断片溶液を作製するプロセスの間に改変することができる種々のパラメータを示すフローチャートである。選択方法のパラメータは、目的とする用途、例えば分子量及び多分散性に応じて明確な最終溶液の特徴を達成するように変更することができる。例示した工程の全てが、必ずしも、本開示の全ての絹溶液を加工するために必要とされる訳ではないことを理解すべきである。
【0048】
実施形態では、以下の工程にしたがって、広範な用途に有用な絹タンパク質断片が調製される。即ち、カイコBombyx moriから絹繭の断片を形成する工程と;NaCO水溶液中、約100℃で約60分間、その断片を抽出する工程(ここで、水の体積は約0.4×未加工の絹重量と等しく、NaCOの量は約0.848×絹フィブロイン抽出物を形成させるための断片重量である)と;濯ぎ水の体積で、1濯ぎ当たり約60℃で約20分間、絹フィブロイン抽出物を3回濯ぐ工程と(各サイクルについての濯ぎ水は約0.2L×断片重量に等しい);過剰の水を、絹フィブロイン抽出物から除去する工程と;絹フィブロイン抽出物を乾燥する工程と;乾燥絹フィブロイン抽出物をLiBr溶液に溶解する工程と(LiBr溶液を最初に約100℃に加熱して絹及びLiBr溶液を作製し、これを維持する);絹及びLiBr溶液を、乾燥オーブン中に約100℃で約60分間置いて完全な溶解、並びに所望の分子量及び多分散性を有する混合物への天然の絹タンパク質構造の更なる断片化を達成する工程と;その溶液を濾過してカイコから残留する残骸を除去する工程と;その溶液を水で希釈して1.0重量%絹溶液を得る工程と;接線流濾過(TFF)を使用してその溶液から溶媒を除去する工程とを含む。一実施形態では、絹溶液を精製するために10kDaの膜を利用し、最終的な所望の絹と水の比をもたらす。次いで、TFFを使用して、絹溶液を、水中2.0重量%の濃度の絹に更に濃縮することができる。
【0049】
何ら特定の理論に拘束されることを望むものではないが、抽出(即ち、時間及び温度)、LiBr(即ち、絹フィブロイン抽出物に添加する又はその逆の場合のLiBr溶液の温度)及び溶解(即ち、時間及び温度)パラメータを変動させると、異なる粘度、均一性及び色を有する溶媒及び絹溶液がもたらされる。また、何ら特定の理論に拘束されることを望むものではないが、抽出のための温度を上昇させること、抽出時間を延長すること、絹を溶解させる場合、出現時及び長期に亘って、より高い温度のLiBr溶液を使用すること(例えば、ここで示すようなオーブン中、又は代替の熱源)の温度での時間を延ばすことは、いずれも、粘性がより低く、より均一な溶媒及び絹溶液をもたらす。
【0050】
抽出工程は、そこで60℃~100℃の温度が維持される、より大きな容器、例えば工業用洗浄機械中で遂行することができる。濯ぎ工程を、マニュアルでの濯ぎサイクルを排除する工業用洗浄機械において遂行することもできる。LiBr溶液中への絹の溶解は、対流式オーブン以外の容器、例えば撹拌槽型反応器中で行うことができる。一連の水の変更によって絹を透析する工程はマニュアルであり、時間集中的なプロセスである。これは、特定のパラメータを変更すること、例えば透析前に絹溶液を希釈することによって加速することができる。透析プロセスは、半自動装置、例えば接線流濾過システムを使用することによって、製造のためにスケールアップすることができる。
【0051】
抽出(即ち、時間及び温度)、LiBr(即ち、絹フィブロイン抽出物に添加する又はその逆の場合のLiBr溶液の温度)及び溶解(即ち、時間及び温度)パラメータを変動させると、異なる粘度、均一性及び色を有する溶媒及び絹溶液がもたらされる。抽出のための温度を上昇させること、抽出時間を延長すること、絹を溶解させる場合、出現時及び長期に亘って、より高い温度のLiBr溶液を使用すること(例えば、ここで示すようなオーブン中、又は代替の熱源)の温度での時間を延ばすことは、いずれも、粘性がより低く、より均一な溶媒及び絹溶液をもたらす。殆ど全てのパラメータは実行可能な絹溶液をもたらすが、4~6時間より短い時間で完全な溶解を達成させるような方法が、プロセススケールアップ可能性のために好ましい。
【0052】
実施形態では、約6kDa~約17kDaから選択される重量平均を有する絹フィブロインタンパク質断片の溶液は、以下の工程にしたがって調製される:絹源を沸騰(100℃)炭酸ナトリウム水溶液に、約30分間~約60分間の処理時間添加することによって絹源を脱ガムする;溶液からセリシンを除去して、検出不能なレベルのセリシンを含む絹フィブロイン抽出物を生成する;絹フィブロイン抽出物から溶液を排出させる;臭化リチウム溶液に絹フィブロイン抽出物を入れるときの開始温度約60℃~約140℃を有する臭化リチウムの溶液に絹フィブロイン抽出物を溶解する;絹フィブロイン-臭化リチウムの溶液を約140℃のオーブンで最大1時間維持する;絹フィブロイン抽出物から臭化リチウムを除去する;絹タンパク質断片の水溶液を生成する。ここで、前記水溶液は、約6kDa~約17kDaから選択される重量平均分子量と、1~約5又は約1.5~約3.0の多分散性とを有する断片を含む。前記方法は、溶解工程の前に絹フィブロイン抽出物を乾燥させることを更に含むことができる。絹フィブロインタンパク質断片の水溶液は、高速液体クロマトグラフィー臭化リチウムアッセイを使用して測定したとき、300ppm未満の臭化リチウム残留物を含み得る。絹フィブロインタンパク質断片の水溶液は、高速液体クロマトグラフィー炭酸ナトリウムアッセイを使用して測定したとき、100ppm未満の炭酸ナトリウム残留物を含み得る。絹フィブロインタンパク質断片の水溶液は凍結乾燥することができる。いくつかの実施形態では、絹フィブロインタンパク質断片溶液は、ゲル、粉末、及びナノファイバーを含む様々な形態に更に加工することができる。
【0053】
実施形態では、約17kDa~約39kDaから選択される重量平均分子量を有する絹フィブロインタンパク質断片の溶液は、以下の工程にしたがって調製される:絹源を沸騰(100℃)炭酸ナトリウム水溶液に、約30分間~約60分間の処理時間添加することによって脱ガムする;溶液からセリシンを除去して、検出不能なレベルのセリシンを含む絹フィブロイン抽出物を生成する;絹フィブロイン抽出物から溶液を排出させる;臭化リチウム溶液に絹フィブロイン抽出物を入れるときの開始温度約80℃~約140℃を有する臭化リチウムの溶液に絹フィブロイン抽出物を溶解する;絹フィブロイン-臭化リチウムの溶液を約60℃~約100℃のオーブンで最大1時間維持する;絹フィブロイン抽出物から臭化リチウムを除去する;絹フィブロインタンパク質断片の水溶液を生成する。ここで、絹フィブロインタンパク質断片の水溶液は、約10ppm~約300ppmの臭化リチウム残留物を含み、絹タンパク質断片の水溶液は、約10ppm~約100ppmの炭酸ナトリウム残留物を含み、絹フィブロインタンパク質断片の水溶液は、約17kDa~約39kDaから選択される重量平均分子量と、1~約5又は約1.5~約3.0の多分散性とを有する断片を含む。前記方法は、溶解工程の前に、絹フィブロイン抽出物を乾燥させることを更に含むことができる。絹フィブロインタンパク質断片の水溶液は、高速液体クロマトグラフィー臭化リチウムアッセイを使用して測定したとき、300ppm未満の臭化リチウム残留物を含み得る。絹フィブロインタンパク質断片の水溶液は、高速液体クロマトグラフィー炭酸ナトリウムアッセイを使用して測定したとき、100ppm未満の炭酸ナトリウム残留物を含み得る。
【0054】
いくつかの実施形態では、約6kDa~約17kDaから選択される平均重量分子量を有する絹フィブロインタンパク質断片の水溶液を調製するための方法は、以下の工程を含む:絹源を沸騰(100℃)炭酸ナトリウム水溶液に、約30分間~約60分間の処理時間添加することによって脱ガムする;溶液からセリシンを除去して、検出不能なレベルのセリシンを含む絹フィブロイン抽出物を生成する;絹フィブロイン抽出物から溶液を排出させる;臭化リチウム溶液に絹フィブロイン抽出物を入れるときの開始温度約60℃~約140℃を有する臭化リチウムの溶液に絹フィブロイン抽出物を溶解する;絹フィブロイン-臭化リチウムの溶液を約140℃のオーブンで少なくとも1時間維持する;絹フィブロイン抽出物から臭化リチウムを除去する;約6kDa~約17kDaから選択される平均重量分子量と、1~約5又は約1.5~約3.0の多分散性とを有する断片を含む水溶液を生成する。前記方法は、溶解工程の前に、絹フィブロイン抽出物を乾燥させることを更に含むことができる。純粋な絹フィブロインタンパク質断片の水溶液は、高速液体クロマトグラフィー臭化リチウムアッセイを使用して測定したとき、300ppm未満の臭化リチウム残留物を含み得る。純粋な絹フィブロインタンパク質断片の水溶液は、高速液体クロマトグラフィー炭酸ナトリウムアッセイを使用して測定したとき、100ppm未満の炭酸ナトリウム残留物を含み得る。前記方法は、純粋な絹フィブロインタンパク質断片の水溶液に治療薬を添加することを更に含むことができる。前記方法は、抗酸化剤又は酵素のうちの1つから選択される分子を、純粋な絹フィブロインタンパク質断片の水溶液に添加することを更に含むことができる。前記方法は、純粋な絹フィブロインタンパク質断片の水溶液にビタミンを添加することを更に含むことができる。ビタミンは、ビタミンC又はその誘導体であり得る。純粋な絹フィブロインタンパク質断片の水溶液は、凍結乾燥することができる。前記方法は、純粋な絹フィブロインタンパク質断片の水溶液に、アルファヒドロキシ酸を添加することを更に含むことができる。アルファヒドロキシ酸は、グリコール酸、乳酸、酒石酸、及びクエン酸からなる群から選択することができる。前記方法は、純粋な絹フィブロインタンパク質断片の水溶液に、約0.5%~約10.0%の濃度で、ヒアルロン酸又はその塩形態を添加することを更に含むことができる。前記方法は、酸化亜鉛又は二酸化チタンのうちの少なくとも1つを添加することを更に含むことができる。前記方法で製造された純粋な絹フィブロインタンパク質断片の水溶液からフィルムを製造することができる。前記フィルムは、約1.0重量%~約50,0重量%のビタミンC又はその誘導体を含み得る。前記フィルムは、約2.0重量%~約20.0重量%の含水量を有し得る。前記フィルムは、約30.0重量%~約99.5重量%の純粋な絹フィブロインタンパク質断片を含む得る。ゲルは、前記方法で生成された純粋な絹フィブロインタンパク質断片の水溶液から製造することができる。前記ゲルは、約0.5重量%~約20.0重量%のビタミンC又はその誘導体を含み得る。前記ゲルは、少なくとも2%の絹含量と、少なくとも20%のビタミン含量とを有し得る。
【0055】
いくつかの実施形態では、約17kDa~約39kDaから選択される平均重量平均分子量を有する絹フィブロインタンパク質断片の水溶液を調製するための方法は、以下の工程を含む:絹源を沸騰(100℃)炭酸ナトリウム水溶液に、約30分間~約60分間の処理時間添加することによって脱ガムする;溶液からセリシンを除去して、検出不能なレベルのセリシンを含む絹フィブロイン抽出物を生成する;絹フィブロイン抽出物から溶液を排出させる;臭化リチウム溶液に絹フィブロイン抽出物を入れるときの開始温度約80℃~約140℃を有する臭化リチウムの溶液に絹フィブロイン抽出物を溶解する;絹フィブロイン-臭化リチウムの溶液を約60℃~約100℃のオーブンで少なくとも1時間維持する;絹フィブロイン抽出物から臭化リチウムを除去する;絹フィブロインタンパク質断片の水溶液を生成する。ここで、純粋な絹フィブロインタンパク質断片の水溶液は、約10ppm~約300ppmの臭化リチウム残留物を含み、純粋な絹フィブロインタンパク質断片の水溶液は、約10ppm~約100ppmの炭酸ナトリウム残留物を含み、純粋な絹フィブロインタンパク質断片の水溶液は、約17kDa~約39kDaから選択される重量平均分子量と、1~約5又は約1.5~約3.0の多分散性とを有する断片を含む。前記方法は、溶解工程の前に、絹フィブロイン抽出物を乾燥させることを更に含むことができる。純粋な絹フィブロインタンパク質断片の水溶液は、高速液体クロマトグラフィー臭化リチウムアッセイを使用して測定したとき、300ppm未満の臭化リチウム残留物を含み得る。純粋な絹フィブロインタンパク質断片の水溶液は、高速液体クロマトグラフィー炭酸ナトリウムアッセイを使用して測定したとき、100ppm未満の炭酸ナトリウム残留物を含み得る。前記方法は、純粋な絹フィブロインタンパク質断片の水溶液に治療薬を添加することを更に含むことができる。前記方法は、抗酸化剤又は酵素のうちの1つから選択される分子を、純粋な絹フィブロインタンパク質断片の水溶液に添加することを更に含むことができる。前記方法は、純粋な絹フィブロインタンパク質断片の水溶液にビタミンを添加することを更に含むことができる。ビタミンは、ビタミンC又はその誘導体であり得る。純粋な絹フィブロインタンパク質断片の水溶液は、凍結乾燥することができる。前記方法は、純粋な絹フィブロインタンパク質断片の水溶液に、アルファヒドロキシ酸を添加することを更に含むことができる。アルファヒドロキシ酸は、グリコール酸、乳酸、酒石酸、及びクエン酸からなる群から選択することができる。前記方法は、純粋な絹フィブロインタンパク質断片の水溶液に、約0.5%~約10.0%の濃度で、ヒアルロン酸又はその塩形態を添加することを更に含むことができる。前記方法は、酸化亜鉛又は二酸化チタンのうちの少なくとも1つを添加することを更に含むことができる。前記方法で製造された純粋な絹フィブロインタンパク質断片の水溶液からフィルムを製造することができる。前記フィルムは、約1.0重量%~約50.0重量%のビタミンC又はその誘導体を含み得る。前記フィルムは、約2.0重量%~約20.0重量%の含水量を有し得る。前記フィルムは、約30.0重量%~約99.5重量%の純粋な絹フィブロインタンパク質断片を含む得る。ゲルは、前記方法で生成された純粋な絹フィブロインタンパク質断片の水溶液から製造することができる。前記ゲルは、約0.5重量%~約20.0重量%のビタミンC又はその誘導体を含み得る。前記ゲルは、少なくとも2%の絹含量と、少なくとも20%のビタミン含量とを有し得る。
【0056】
いくつかの実施形態では、約39kDa~約80kDaから選択される重量平均分子量を有する絹フィブロインタンパク質断片の溶液は、以下の工程にしたがって調製される:絹源を沸騰(100℃)炭酸ナトリウム水溶液に、約30分間の処理時間添加することによって脱ガムする;溶液からセリシンを除去して、検出不能なレベルのセリシンを含む絹フィブロイン抽出物を生成する;絹フィブロイン抽出物から溶液を排出させる;臭化リチウム溶液に絹フィブロイン抽出物を入れるときの開始温度約80℃~約140℃を有する臭化リチウムの溶液に絹フィブロイン抽出物を溶解する;絹フィブロイン-臭化リチウムの溶液を約60℃~約100℃のオーブンで最大1時間維持する;絹フィブロイン抽出物から臭化リチウムを除去する;絹フィブロインタンパク質断片の水溶液を生成する。ここで、絹フィブロインタンパク質断片の水溶液は、約10ppm~約300ppmの臭化リチウム残留物、約10ppm~約100ppmの炭酸ナトリウム残留物、約39kDa~約80kDaから選択される重量平均分子量と、1~約5又は約1.5~約3.0の多分散性とを有する断片を含む。前記方法は、溶解工程の前に、絹フィブロイン抽出物を乾燥させることを更に含むことができる。絹フィブロインタンパク質断片の水溶液は、高速液体クロマトグラフィー臭化リチウムアッセイを使用して測定したとき、300ppm未満の臭化リチウム残留物を含み得る。絹フィブロインタンパク質断片の水溶液は、高速液体クロマトグラフィー炭酸ナトリウムアッセイを使用して測定したとき、100ppm未満の炭酸ナトリウム残留物を含み得る。いくつかの実施形態では、前記方法は、純粋な絹フィブロインタンパク質断片の水溶液に活性剤(例えば、治療薬)を添加することを更に含むことができる。前記方法は、抗酸化剤又は酵素のうちの1つから選択される分子を、純粋な絹フィブロインタンパク質断片の水溶液に添加することを更に含むことができる。前記方法は、純粋な絹フィブロインタンパク質断片の水溶液にビタミンを添加することを更に含むことができる。ビタミンは、ビタミンC又はその誘導体であり得る。純粋な絹フィブロインタンパク質断片の水溶液は、凍結乾燥することができる。前記方法は、純粋な絹フィブロインタンパク質断片の水溶液に、アルファヒドロキシ酸を添加することを更に含むことができる。アルファヒドロキシ酸は、グリコール酸、乳酸、酒石酸、及びクエン酸からなる群から選択することができる。前記方法は、純粋な絹フィブロインタンパク質断片の水溶液に、約0.5%~約10.0%の濃度で、ヒアルロン酸又はその塩形態を添加することを更に含むことができる。前記方法は、酸化亜鉛又は二酸化チタンのうちの少なくとも1つを添加することを更に含むことができる。前記方法で製造された純粋な絹フィブロインタンパク質断片の水溶液からフィルムを製造することができる。前記フィルムは、約1.0重量%~約50.0重量%のビタミンC又はその誘導体を含み得る。前記フィルムは、約2.0重量%~約20.0重量%の含水量を有し得る。前記フィルムは、約30.0重量%~約99.5重量%の純粋な絹フィブロインタンパク質断片を含む得る。ゲルは、前記方法で生成された純粋な絹フィブロインタンパク質断片の水溶液から製造することができる。前記ゲルは、約0.5重量%~約20.0重量%のビタミンC又はその誘導体を含み得る。前記ゲルは、少なくとも2重量%の絹含量と、少なくとも20重量%のビタミン含量とを有し得る。
【0057】
絹タンパク質断片の分子量は、抽出時間及び温度を含む抽出工程の際に使用される特定のパラメータ;臭化リチウム中への絹の浸漬時のLiBr温度、及びその溶液を特定の温度で維持する時間を含む溶解工程の際に使用される特定のパラメータ;並びに濾過工程の際に使用される特定のパラメータに基づいて制御することができる。開示する方法を用いてプロセスパラメータを制御することによって、5kDa~200kDa又は10kDa~80kDaから選択される様々な異なる分子量で2.5以下の多分散性を有する絹フィブロインタンパク質溶液を作製することができる。異なる分子量を有する絹溶液を達成するためにプロセスパラメータを変更することによって、2.5以下の所望の多分散性を有するある範囲の断片混合物最終製品を、所望の性能要件に基づいて、目的とすることができる。例えば、眼薬を含む高分子量の絹フィルムは、低分子量のフィルムよりも遅い放出速度に制御でき、アイケア製品における送達ビヒクルとして理想のものとすることができる。更に、2.5超の多分散性を有する絹フィブロインタンパク質溶液を達成することができる。更に、平均分子量及び多分散性が異なる2種類の溶液を混合して、組合せ溶液を作製することができる。或いは、ワームから直接取り出された液体絹糸腺(100%セリシンフリーの絹タンパク質)を、本開示の絹フィブロインタンパク質断片溶液のいずれかと併用することができる。純粋な絹フィブロインベースのタンパク質断片組成物の分子量は、屈折率検出器(RID)を備えた高圧液体クロマトグラフィー(HPLC)を使用して決定した。多分散性は、Cirrus GPCオンラインGPC/SECソフトウェアバージョン3.3(Agilent)を使用して計算した。
【0058】
処理パラメータが異なると、分子量が様々な再生絹フィブロイン、及びペプチド鎖サイズ分布(多分散性、PD)を生じることがある。これは、続いて、機械的強度、水溶性などの、再生絹フィブロインの性能に影響を及ぼす。
【0059】
未加工の絹繭を処理して絹溶液にする際にパラメータを変動させた。これらのパラメータの変動は、得られる絹溶液のMWに影響を及ぼした。操作したパラメータには、(i)抽出の時間及び温度、(ii)LiBrの温度、(iii)溶解オーブンの温度、及び(iv)溶解時間が含まれた。抽出時間を変動させた効果を判定するために実験を実施した。表1~表7に結果をまとめる。以下がそのまとめである。
- 30分間のセリシン抽出時間は、60分間のセリシン抽出時間より大きい分子量をもたらした
- 分子量は、オーブン中での時間と共に減少する
- 140℃ LiBr及びオーブンは、9500Daの分子量より低い信頼区間のローエンドをもたらした
- 1時間及び4時間の時点での30min抽出は、絹を消化しなかった
- 1時間時点での30min抽出は、35,000Daという信頼区間のローエンドを有する有意に高い分子量をもたらした
- 信頼区間のハイエンドに達した分子量の範囲は、18000~216000Da(特定の上限値を有する溶液を提供するために重要である)であった
【表1】
【表2】
【表3】
【表4】
【表5】
【表6】
【0060】
抽出温度を変動させた効果を判定するために実験を実施した。表7にその結果をまとめる。以下がそのまとめである。
- 90℃でのセリシン抽出は、100℃でのセリシン抽出より高いMWをもたらした
- 90℃と100℃はいずれも、オーブン中で経時的にMWを低下させることを示す
【表7】
【0061】
絹に添加する場合の臭化リチウム(LiBr)温度を変動させた効果を判定するために実験を実施した。表8~表9にその結果をまとめる。以下がそのまとめである:
- 分子量又は信頼区間に対する影響はなし(全て、CI~10500~6500Da)
- 試験は、LiBrが添加され、溶解し始めると、室温でその質量の大部分が絹であるため、LiBr-絹溶解の温度は元のLiBr温度を下回って急激に低下することを示す
【表8】
【表9】
【0062】
オーブン/溶解温度の効果を判定するために実験を実施した。表10~表14にその結果をまとめる。以下がそのまとめである:
- オーブン温度は、30min抽出した絹より、60min抽出した絹について、より効果が小さい。理論に拘束されることを望むものではないが、30min絹は、抽出の際の分解がより小さく、したがってオーブン温度は、より大きいMWに対してより大きい効果を示しており、絹の分解部分がより少ないと考えられる。
- 60℃対140℃オーブンについて、30min抽出した絹は、より高いオーブン温度で、より低いMWの非常に有意な効果を示し、60min抽出した絹は、効果はあったがそれは遥かに小さいものであった
- 140℃オーブンは、~6000Daで信頼区間におけるローエンドをもたらした
【表10】
【表11】
【表12】
【表13】
【表14】
【0063】
カイコBombyx moriの生絹繭を細断した。生絹繭をNaCO水溶液(約100℃)で約30分間~約60分間煮沸し、セリシンを除去(脱ガム)した。使用した水の体積は、約0.4×生絹重量に相当し、NaCOの量は、約0.848×生絹繭断片の重量である。得られた脱ガム後の絹繭片を、約60℃にて3回脱イオン水で濯いだ(濯ぎごとに20分間)。各サイクルの濯ぎ水の体積は、0.2L×生絹繭片の重量とした。脱ガム後の絹繭片から余分な水を除去した。DI水洗浄工程の後、湿った脱ガム後の絹繭片を室温で乾燥させた。脱ガム後の絹繭片をLiBr溶液と混合し、混合物を約100℃に加熱した。温めた混合物を乾燥オーブンに入れ、約60℃~約140℃の温度で約60分間加熱して、ネイティブな絹タンパク質の完全溶解を達成した。得られた溶液を室温まで冷却した後、透析して、3,500DaのMWCO膜を使用してLiBr塩を除去した。臭化オークトン(Br)二重接合イオン選択性電極(Oakton Bromide (Br) double-junction ion-selective electrode)で読み取った加水分解フィブロイン溶液で測定したBrイオンが1ppm未満になるまで、Di水中で複数回の交換を行った。
【0064】
得られた絹フィブロイン水溶液は、約6kDa~約16kDa、約17kDa~約39kDa、及び約39kDa~約80kDaから選択される平均重量平均分子量と、約1.5~約3.0の多分散性とを有する純粋な絹フィブロインタンパク質断片を含む、約8.0%w/vの濃度を有する。8.0%w/vをDI水で希釈して、コーティング溶液で、1.0%w/v、2.0%w/v、3.0%w/v、4.0%w/v、5.0%w/vを得た。
【0065】
接線流濾過(TFF)を使用することにより、様々な%絹濃度が生成される。いずれの場合も、1%絹溶液を供給フィード(input feed)として使用した。開始体積として、750~18,000mLの1%絹溶液を使用した。溶液をTFFで透析濾過して、臭化リチウムを除去する。残留LiBrの所定レベルを下回ると、溶液を限外濾過し、水を除去して濃度を上昇させる。以下の例を参照。
【0066】
6種類の絹溶液を、標準的な絹構造にて使用し、以下の結果を得た:
溶液#1は、絹濃度5.9重量%、平均MW19.8kDa、及び2.2PDIである(60分間の煮沸抽出、100℃のLiBr溶解1時間で作製)。
溶液#2は、絹濃度6.4重量%である(30分間の煮沸抽出、60℃のLiBr溶解4時間で作製)
溶液#3は、絹濃度6.17重量%である(30分間の煮沸抽出、100℃のLiBr溶解1時間で作製)
溶液#4は、絹濃度7.30重量%である。7.30%の絹溶液を、バッチ当たり100gの絹繭の30分間抽出バッチから生成した。次いで、抽出した絹繊維を、100℃のオーブン中、100℃の9.3MのLiBrを使用して1時間溶解させた。バッチ当たり100gの絹繊維を溶解して、LiBrに20%の絹を作製した。次いで、LiBrに溶解した絹を1%絹に希釈し、5μmフィルタで濾過して大きな破片を除去した。TFFの開始体積/透析濾過体積として、15,500mLの1%濾過絹溶液を使用した。LiBrを除去したら、溶液を約1300mLの体積に限外濾過した。次いで、1262mLの7.30%絹を回収した。残りの溶液の除を助けるために水をフィードに添加し、次いで、547mLの3.91%絹を回収した。
溶液#5は、絹濃度6.44重量%である。6.44重量%の絹溶液を、バッチ当たり25、33、50、75、及び100gの絹繭の60分間抽出バッチから生成した。次いで、抽出した絹繊維を、100℃のオーブン中、100℃の9.3MのLiBrを使用して1時間溶解させた。バッチ当たり35、42、50、及び71gの絹繊維を溶解して、LiBrに20%の絹を作製した。次いで、LiBrに溶解した絹を1%絹に希釈し、5μmフィルタで濾過して大きな破片を除去した。TFFの開始体積/透析濾過体積として、17,000mLの1%濾過絹溶液を使用した。LiBrを除去したら、溶液を約3000mLの体積に限外濾過した。次いで、1490mLの6.44%絹を回収した。残りの溶液の除去を助けるために水をフィードに添加し、次いで、1454mLの4.88%絹を回収した。
溶液#6は、絹濃度2.70重量%である。2.70%の絹溶液を、バッチ当たり25gの絹繭の60分間抽出バッチから生成した。次いで、抽出した絹繊維を、100℃のオーブン中、100℃の9.3MのLiBrを使用して1時間溶解させた。バッチ当たり35.48gの絹繊維を溶解して、LiBrに20%の絹を作製した。次いで、LiBrに溶解した絹を1%絹に希釈し、5μmフィルタで濾過して大きな破片を除去した。TFFの開始体積/透析濾過体積として、1000mLの1%濾過絹溶液を使用した。LiBrを除去したら、溶液を約300mLの体積に限外濾過した。次いで、312mLの2.7%絹を回収した。
【0067】
高分子量の絹フィブロイン溶液の調製を、表15に示す。
表15.絹フィブロイン溶液の調製及び性質
【表15】
【0068】
生地に適用するための絹の水性コーティング組成物を、以下の表16及び表17に示す。
【表16】
【表17】
【0069】
3種類の絹溶液をフィルム作製に用い、以下の結果を得た。
溶液#1は、絹濃度5.9%、平均MW19.8kDa、及び2.2PDである(60分間の煮沸抽出、100℃のLiBr溶解1時間で作製)。
溶液#2は、絹濃度6.4%である(30分間の煮沸抽出、60℃のLiBr溶解4時間で作製)
溶液#3は、絹濃度6.17%である(30分間の煮沸抽出、100℃のLiBr溶解1時間で作製)
【0070】
フィルムは、Rockwoodら(Nature Protocols; Vol. 6; No. 10; published on-line Sep. 22, 2011; doi:10.1038/nprot.2011.379)にしたがって作製した。4mLの1%又は2%(wt/vol)絹水溶液を100mmペトリ皿に添加し(絹の体積は、フィルムの厚みや薄さによって異なるが、重要ではない)、カバーを外して一晩乾燥させた。真空デシケーターの底を水で満たした。乾燥フィルムをデシケーターに入れ、真空にして、皿から取り出す前にフィルムを4時間水アニーリングした。溶液#1からキャストされたフィルムは、構造的に連続したフィルムにはならなかった。フィルムは、ひびが入り、いくつかの部分になった。フィルムのこれらの部分は、水アニーリング処理にもかかわらず、水に溶解した。
【0071】
様々な分子量及び/又は分子量の組合せの絹溶液は、ゲル用途向けに最適化することができる。以下は、このプロセスの例を示すが、用途又は配合を制限することを意図するものではない。3種類の絹溶液をゲル作製に用い、以下の結果を得た。
溶液#1は、絹濃度5.9%、平均MW19.8kDa、及び2.2PDである(60分間の煮沸抽出、100℃のLiBr溶解1時間で作製)。
溶液#2は、絹濃度6.4%である(30分間の煮沸抽出、60℃のLiBr溶解4時間で作製)
溶液#3は、絹濃度6.17%である(30分間の煮沸抽出、100℃のLiBr溶解1時間で作製)
【0072】
「Egel」は、Rockwoodらに記載される電気ゲル化プロセスである。簡単に説明すると、10mlの絹水溶液を50mlのコニカルチューブに添加し、1対の白金線電極を絹溶液に浸漬する。白金電極に20ボルトの電位を5分間印加し、電源をオフにしてゲルを回収した。溶液#1は、5分間に亘る印加電流でEGELを生成しなかった。
【0073】
溶液#2及び#3は、公開されている西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)プロトコルにしたがってゲル化した。挙動は、公開された溶液の典型的なものであった。
【0074】
材料及び方法:絹の分子量の測定には、以下の機器及び材料を使用する:ケムステーションソフトウェアver.10.01を備えたAgilent1100;屈折率検出器(RID);分析バランス;メスフラスコ(1000mL、10mL、及び5mL);HPLCグレードの水;ACSグレードの塩化ナトリウム;ACSグレードのリン酸水素二ナトリウム二塩基性七水和物;リン酸;デキストランMW標準-公称分子量5kDa、11.6kDa、23.8kDa、48.6kDa、及び148kDa;50mLのPET又はポリプロピレンディスポーザブル遠心分離管;目盛り付きピペット;テフロン(登録商標)製キャップ付きの琥珀色のガラスHPLCバイアル;Phenomenex PolySep GFC P-4000カラム(サイズ:7.8mm×300mm)。
【0075】
手続工程:
A)1Lの移動相(0.0125Mリン酸ナトリウム緩衝液中の0.1M塩化ナトリウム溶液)の調製
250mLの清潔で乾燥したビーカーを取り、バランスに置き、重量を風袋引きする。ビーカーにリン酸水素二ナトリウム七水和物約3.3509gを添加する。秤量したリン酸水素二ナトリウムの正確な重量を書き留める。ビーカーに100mLのHPLC水を添加することにより、秤量したリン酸ナトリウムを溶解する。ビーカーの内容物をこぼさないように注意する。溶液を注意深く清潔で乾燥した1000mLメスフラスコに移す。ビーカーを濯ぎ、濯ぎ液をメスフラスコに移す。濯ぎを4~5回繰り返す。別の清潔で乾燥した250mLビーカーに、正確に約5.8440gの塩化ナトリウムを秤量する。秤量した塩化ナトリウムを50mLの水に溶解し、メスフラスコ内のリン酸ナトリウム溶液に移す。ビーカーを濯ぎ、濯ぎ液をメスフラスコに移す。リン酸で溶液のpHを7.0±0.2に調整する。メスフラスコ内の量をHPLC水で1000mLにし、激しく振とうして溶液を均一に混合する。0.45μmのポリアミドメンブレンフィルタで溶液を濾過する。溶液を清潔で乾燥した溶媒ボトルに移し、ボトルにラベル付けする。溶液の量は、リン酸水素二ナトリウム七水和物及び塩化ナトリウムの量を対応して変更することにより、必要に応じて変えることができる。
【0076】
B)デキストラン分子量標準溶液の調製
試験サンプルの期待値が使用される標準の値の範囲内に収まるように、実行するサンプルの各バッチに少なくとも5種類の異なる分子量標準を使用する。分子量標準に対応する6つの20mLシンチレーションガラスバイアルにラベル付けする。デキストラン分子量標準をそれぞれ約5mg正確に秤量し、その重量を記録する。デキストラン分子量標準を5mLの移動相に溶解して、1mg/mL標準溶液を作製する。
【0077】
C)サンプル溶液の調製
サンプル溶液を調製する際に、利用できるサンプル量に制限がある場合には、比率が維持されている限り、調製物をスケールアップすることができる。サンプルのタイプとサンプル中の絹タンパク質含量に応じて、分析用バランスで50mLディスポーザブル遠心分離管に十分量のサンプルを秤量し、分析用の1mg/mLサンプル溶液を作製する。
サンプルを等量の移動相に溶解し、1mg/mL溶液を作製する。チューブにしっかりと蓋をして、サンプルを(溶液中で)混合する。サンプル溶液を室温で30分間放置する。サンプル溶液を再度1分間穏やかに混合し、4000RPMで10分間遠心分離する。
【0078】
D)サンプルのHPLC分析
全ての標準とサンプル溶液1.0mLを個々のHPLCバイアルに移す。分子量標準(各1回注入)と各サンプルとを2連で注入する。以下のHPLC条件を使用して、全ての標準とサンプル溶液を分析する。
【0079】
E)データ分析と計算-Cirrusソフトウェアを使用した平均分子量の計算
標準及び分析サンプルのクロマトグラフィーデータファイルをCirrusSECデータ収集及び分子量分析ソフトウェアにアップロードする。サンプルの各注入について、重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)、ピーク平均分子量(Mp)、及び多分散性を計算する。
【0080】
クモシルク断片
クモシルクは、タンパク質鎖の主成分である繰り返しミドルコアドメインと、非繰り返しのN末端及びC末端の各ドメインの3つのドメインで構成される天然ポリマーである。大きなコアドメインは、ブロックコポリマー様配置で構成されており、結晶性の[ポリ(A)又はポリ(GA)]と結晶性の低い(GGX又はGPGXX(配列番号7))ポリペプチドの2つの基本配列が交互に存在する。ドラグラインシルクは、大瓶状ドラグラインシルクタンパク質1(MaSp1)と大瓶状ドラグラインシルクタンパク質2(MaSp2)で構成されるタンパク質複合体である。いずれのシルクも、約3500アミノ酸長である。MaSp1は、繊維コアとその周辺に見られますが、MaSp2は、特定のコア領域でクラスターを形成する。MaSp1とMaSp2の大きな中央ドメインは、ブロックコポリマー様配置で構成されており、結晶性の[poly(A)又はpoly(GA)]と結晶性の低い(GGX又はGPGXX(配列番号7))ポリペプチドの2つの基本配列がコアドメインで交互に存在する。具体的な二次構造は、それぞれ、β-シート、α-ヘリックス、及びβ-スパイラルを含むポリ(A)/(GA)、GGX、及びGPGXX(配列番号7)モチーフに割り当てられる。繰り返しコアドメインの一次配列、組成、及び二次構造要素は、クモシルクの機械的特性を司り、一方で、非繰り返しN末端ドメイン及びC末端ドメインは、液体シルクドープを内腔に貯蔵し、紡糸ダクトで繊維を生成するために不可欠である。
【0081】
MaSp1とMaSp2の主な違いは、MaSp1がプロリン(P)を含まないのに対して、MaSp2の総アミノ酸含量の15%を占めるプロリン残基の存在である。N. clavipesドラグラインシルクのプロリン残基の数を計算することにより、繊維中の2つのタンパク質の存在を推定することができ、81%のMaSp1及び19%のMaSp2である。クモが異なれば、MaSp1とMaSp2の比も異なる。例えば、コガネグモArgiope aurantiaのドラグラインシルク繊維は、41%のMaSp1と59%のMaSp2を含む。大瓶状シルクの比の係る変化は、シルク繊維の性能を記述し得る。
【0082】
1つのコガネグモ種のクモについて、少なくとも7種類の絹タンパク質が知られている。絹は、一次配列、物理的性質、及び機能が異なる。例えば、フレーム、半径、ライフラインの構築に使用されるドラグラインシルクは、強度、靭性、及び弾性を含む優れた機械的特性で知られている。等重量ベースで、クモシルクは、スチール及びKevlarよりも高い靭性を有する。キャプチャスパイラル(capture spirals)に見られる鞭毛上シルクは、最大500%の伸長性を有する。コガネグモの補助スパイラル(auxiliary spirals)及び獲物のラッピング(prey wrapping)に見られる小瓶状シルクは、大瓶状シルクとほぼ同程度の高い靭性と強度を有するが、水中では超収縮(supercontract)しない。
【0083】
クモシルクは、高い引張強度と靭性で知られている。組換え絹タンパク質はまた、化粧品又は皮膚科学的組成物に有利な性質を付与し、特に、水和又は軟化作用、良好な膜形成性、及び低表面密度を改善することができる。多様でユニークな生体力学的性質と生体適合性及び緩慢な分解速度により、クモシルクは、組織工学、ガイド付き組織修復及び薬物送達用、化粧品(例えば、ネイル及び毛髪強化剤、スキンケア製品)用生体材料、及び工業材料(例えば、ナノワイヤー、ナノファイバー、表面コーティング)用として優れた候補になる。
【0084】
実施形態では、絹タンパク質は、天然のクモシルクタンパク質に由来するポリペプチドを含み得る。ポリペプチドは、天然のクモシルクタンパク質に由来する限り、特に限定されず、ポリペプチドの例としては、天然のクモシルクタンパク質、及び天然のクモシルクタンパク質のバリアント、アナログ、誘導体などの組換えクモシルクタンパク質が挙げられる。優れたテナシティ(tenacity)の観点から、ポリペプチドは、クモの大瓶状腺で生成される主要なドラグラインシルクタンパク質に由来することができる。主要なドラグラインシルクタンパク質の例としては、Nephila clavipes由来の大瓶状スピドロインMaSp1及びMaSp2、並びにAraneus diadematus由来のADF3及びADF4などが挙げられる。主要なドラグラインシルクタンパク質に由来するポリペプチドの例としては、主要なドラグラインシルクタンパク質のバリアント、アナログ、誘導体などが挙げられる。更に、ポリペプチドは、クモの鞭毛状腺で生成される鞭毛状絹タンパク質に由来し得る。鞭毛状絹タンパク質の例としては、Nephila clavipesなどに由来する鞭毛状絹タンパク質が挙げられる。
【0085】
主要なドラグラインシルクタンパク質に由来するポリペプチドの例としては、式1:REP1-REP2(1)で表されるアミノ酸配列を2ユニット以上含むポリペプチド、好ましくは、その5ユニット以上を含むポリペプチド、より好ましくは、その10ユニット以上を含むポリペプチドが挙げられる。或いは、主要なドラグラインシルクタンパク質に由来するポリペプチドは、式1:REP1-REP2(1)で表されるアミノ酸配列のユニットを含み、且つC末端に、米国特許第9,051,453号明細書の配列番号1~3のいずれかで表されるアミノ酸配列又は米国特許第9,051,453号明細書の配列番号1~3のいずれかで表されるアミノ酸配列と90%以上の相同性を有するアミノ酸配列を有するポリペプチドであり得る。主要なドラグラインシルクタンパク質に由来するポリペプチドにおいて、式1:REP1-REP2(1)で表されるアミノ酸配列のユニットは、同一であっても互いに異なっていてもよい。Escherichia coliなどの微生物を宿主として組換えタンパク質を生産する場合、主要なドラグラインシルクタンパク質に由来するポリペプチドの分子量は、生産性の観点から、500kDa以下、又は300kDa以下、又は200kDa以下である。
【0086】
式(1)において、REP1は、ポリアラニンを示す。REP1において、連続して配置されるアラニン残基の数は、好ましくは2個以上、より好ましくは3個以上、更に好ましくは4個以上、特に好ましくは5個以上である。更に、REP1において、連続して配置されるアラニン残基の数は、好ましくは20個以下、より好ましくは16個以下、更に好ましくは12個以下、特に好ましくは10個以下である。式(1)において、REP2は、10~200個のアミノ酸残基から構成されるアミノ酸配列である。アミノ酸配列に含まれるグリシン、セリン、グルタミン、及びアラニン残基の総数は、それに含まれるアミノ酸残基の総数に対して、40%以上、好ましくは60%以上、より好ましくは70%以上である。
【0087】
主要なドラグラインシルクでは、REP1は、結晶βシートが形成される繊維の結晶領域に対応し、REP2は、大部分が規則的な構成を欠き、より柔軟性のある繊維のアモルファス領域に対応する。更に、[REP1-REP2]は、ドラグラインシルクタンパク質の特徴的な配列である結晶領域とアモルファス領域からなる繰り返し領域(繰り返し配列)に対応する。
【0088】
組換え絹断片
いくつかの実施形態では、組換え絹タンパク質は、組換えクモシルクポリペプチド、組換え昆虫シルクポリペプチド、又は組換えムール貝シルクポリペプチドを意味する。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される組換え絹タンパク質断片は、Araneidae又はAraneoidsの組換えクモシルクポリペプチド、又はBombyx moriの組換え昆虫シルクポリペプチドを含む。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される組換え絹タンパク質断片は、Araneidae又はAraneoidsの組換えクモシルクポリペプチドを含む。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される組換え絹タンパク質断片は、Araneidae又はAraneoidsの天然のクモシルクポリペプチドに由来する繰り返し単位を有するブロックコポリマーを含む。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される組換え絹タンパク質断片は、Araneidae又はAraneoidsのクモシルクポリペプチドに由来する合成の繰り返し単位と、Araneidae又はAraneoidsのクモシルクポリペプチドの天然の繰り返し単位に由来する非繰り返し単位とを有するブロックコポリマーを含む。
【0089】
遺伝子工学の最近の進歩は、様々な種類の組換え絹タンパク質を生産するための方法を提供している。組換えDNA技術は、絹タンパク質のより実用的な供給源を提供するために使用されている。本明細書においては、「組換え絹タンパク質」は、遺伝子工学的方法を使用して原核生物又は真核生物の発現系において異種的に産生される合成タンパク質を意味する。
【0090】
組換え絹ペプチドを合成するための様々な方法が知られており、参照により本明細書に援用するAusubel et al., Current Protocols in Molecular Biology § 8 (John Wiley & Sons 1987,(1990))に記載されている。グラム陰性の桿菌であるE. coliは、タンパク質の工業規模での生産のための十分に確立された宿主である。したがって、組換え絹の大部分はE. coliで生産されている。E. coliは、マニピュレーションが簡単で、発生時間が短く、比較的低コストで、大量のタンパク質生産のためにスケールアップすることができる。
【0091】
組換え絹タンパク質は、絹タンパク質、前記タンパク質の断片、又は係るタンパク質のアナログをコードするcDNAを含む形質転換された原核生物又は真核生物系によって産生することができる。組換えDNAアプローチにより、プログラムされた配列、二次構造、アーキテクチャ、及び正確な分子量を有する組換え絹の生産が可能となる。このプロセスには4つの主要な工程がある:(i)合成シルク様遺伝子の遺伝子「カセット」への設計とアセンブリ、(ii)前記セグメントのDNA組換えベクターへの挿入、(iii)前記組換えDNA分子の宿主細胞への形質転換、及び(iv)選択されたクローンの発現及び精製。
【0092】
本明細書においては、用語「組換えベクター」は、プラスミドベクター、コスミドベクター、ラムダファージなどのファージベクター、アデノウイルス又はバキュロウイルスベクターなどのウイルスベクター、又は細菌人工染色体(BAC)、酵母人工染色体(YAC)、又はP1人工染色体(PAC)などの人工染色体ベクターなど、当業者に知られた任意のベクターを含む。前記ベクターは、発現ベクター及びクローニングベクターを含む。発現ベクターは、プラスミド及びウイルスベクターを含み、一般に、特定の宿主生物(例えば、細菌、酵母、又は植物)又はインビトロ発現系における動作可能に結合されたコード配列の発現に必要な所望のコード配列及び適切なDNA配列を含む。クローニングベクターは、一般に、特定の所望のDNA断片を操作及び増幅するために使用され、所望のDNA断片の発現に必要な機能的配列を欠いていることがある。
【0093】
原核生物系は、グラム陰性菌又はグラム陽性菌を含む。原核生物の発現ベクターは、宿主生物によって認識され得る複製起点、前記宿主において機能的である同種又は異種プロモーター、クモシルクタンパク質、前記タンパク質の断片、又は類似のタンパク質をコードするDNA配列を含むことができる。原核生物発現生物の非限定的な例としては、Escherichia coliBacillus subtilisBacillus megateriumCorynebacterium glutamicumAnabaenaCaulobacterGluconobacterRhodobacterPseudomonasParacoccusBacillus(例えば、Bacillus subtilis)、BrevibacteriumCorynebacteriumRhizobiumSinorhizobium)、FlavobacteriumKlebsiellaEnterobacterLactobacillusLactococcusMethylobacteriumPropionibacteriumStaphylococcus又はStreptomyces細胞が挙げられる。
【0094】
真核生物系は、酵母及び昆虫、哺乳動物又は植物の細胞を含む。この場合、発現ベクターは、酵母プラスミド複製起点又は自律複製配列、プロモーター、クモシルクタンパク質、断片、又は類似タンパク質をコードするDNA配列、ポリアデニル化配列、転写終結を部位、最後に、選択遺伝子を含むことができる。真核生物発現生物の非限定的な例としては、Saccharomyces cerevisiaePichia pastorisbasidiosporogenousascosporogenousなどの酵母、Aspergillus nigerAspergillus oryzaeAspergillus nidulansTrichoderma reeseiAcremonium chrysogenumCandidaHansenulaKluyveromycesSaccharomyces(例えば、Saccharomyces cerevisiae)、SchizosaccharomycesPichia(例えば、Pichia pastoris)又はYarrowia細胞などの糸状菌、HeLa細胞、COS細胞、CHO細胞などの哺乳動物細胞、Sf9細胞、MEL細胞などの昆虫細胞、Spodoptera frugiperda又はTrichoplusia ni細胞などの「昆虫宿主細胞」、SF9細胞、SF-21細胞、又はHigh-Five細胞(SF-9及びSF-21は、Spodoptera frugiperda由来の卵巣細胞であり、High-Five細胞は、Trichoplusia ni由来の卵細胞である)、タバコ、ポテト、又はエンドウマメ細胞などの「植物宿主細胞」が挙げられる。
【0095】
様々な種類の組換え絹を生産するために、様々な異種宿主系が検討されている。組換え部分スピドロイン及びエンジニアードされた絹は、細菌(Escherichia coli)、酵母(Pichia pastoris)、昆虫(silkworm larvae)、植物(タバコ、大豆、ポテト、シロイヌナズナ)、哺乳動物細胞株(BHT/ハムスター)、及びトランスジェニック動物(マウス、ヤギ)でクローン化及び発現されている。絹タンパク質の大部分は、精製を容易にし、十分量のタンパク質を生成するために、N末端又はC末端のHisタグを使用して生成される。
【0096】
いくつかの実施形態では、異種系を使用して組換えクモシルクタンパク質を発現するのに適した宿主は、トランスジェニック動物及び植物を含み得る。いくつかの実施形態では、異種系を使用して組換えクモシルクタンパク質を発現するのに適した宿主は、細菌、酵母、哺乳動物細胞株を含む。いくつかの実施形態では、異種系を使用して組換えクモシルクタンパク質を発現するのに適した宿主は、E. coliを含む。いくつかの実施形態では、異種系を使用して組換えクモシルクタンパク質を発現するのに適した宿主は、ゲノム編集技術(例えば、CRISPR)を使用して生成されたトランスジェニックB. moriカイコを含む。
【0097】
本開示における組換え絹タンパク質は、天然絹タンパク質の繰り返し単位に基づく合成タンパク質を含む。合成繰り返し絹タンパク質配列に加えて、これらは更に、1以上の天然の非繰り返し絹タンパク質配列を含むことができる。
【0098】
いくつかの実施形態では、「組換え絹タンパク質」は、組換えカイコ絹タンパク質又はその断片を意味する。絹フィブロインと絹セリシンとの組換え生産が報告されている。各種宿主が生産に用いられ、例えば、E. coliSacchromyces cerevisiaePseudomonas sp.、Rhodopseudomonas sp.、Bacillus sp.、及びStrepomycesが挙げられる。参照により本明細書に援用する欧州特許第0230702号を参照。
【0099】
本明細書においては、B. mori絹重鎖(H鎖)の繰り返しドメインに由来するGAGAGXヘキサペプチド(Xは、A、Y、V、又はSである)(配列番号1)を含む絹フィブロインタンパク質様マルチブロックポリマーの設計及び生合成も提供される。
【0100】
いくつかの実施形態では、本開示は、GAGAGSヘキサペプチド(配列番号2)繰り返し単位を含むB. mori絹重鎖(H鎖)の繰り返しドメインに由来する絹タンパク質様マルチブロックポリマーを提供する。GAGAGSヘキサペプチド(配列番号2)はH鎖のコアユニットであり、結晶性ドメインの形成に重要な役割を果たす。GAGAGSヘキサペプチド(配列番号2)繰り返し単位を含む絹タンパク質様マルチブロックポリマーは、天然の絹フィブロインタンパク質と同様に、自発的にβシート構造に凝集する。前記絹タンパク質様マルチブロックポリマーは、本明細書に記載の任意の重量平均分子量を有する。
【0101】
いくつかの実施形態では、本開示は、B. mori絹重鎖のH鎖に由来するGAGAGSヘキサペプチド(配列番号2)繰り返し断片と、E. coliによって産生される哺乳動物エラスチンVPGVG(配列番号3)モチーフとから構成される絹ペプチド様マルチブロックコポリマーを提供する。いくつかの実施形態では、本開示はB. mori絹重鎖のH鎖に由来するGAGAGSヘキサペプチド(配列番号2)繰り返し断片と、E. coliによって産生されるGVGVP(配列番号4)とから構成される融合絹フィブロインタンパク質を提供する。前記絹タンパク質様マルチブロックポリマーは、本明細書に記載の任意の重量平均分子量を有する。
【0102】
いくつかの実施形態では、本開示は、(GAGAGS)16繰り返し断片(配列番号5)から構成されるB. moriカイコ組換えタンパク質を提供する。いくつかの実施形態では、本開示は、(GAGAGS)16繰り返し断片と、E. coliによって産生される非繰り返し(GAGAGS)16-F-COOH、(GAGAGS)16-F-F-COOH、(GAGAGS)16-F-F-F-COOH、(GAGAGS)16-F-F-F-F-COOH、(GAGAGS)16-F-F-F-F-F-F-F-F-COOH、(GAGAGS)16-F-F-F-F-F-F-F-F-F-F-F-F-COOHとから構成される組換えタンパク質を提供する。ここで、Fは、アミノ酸配列SGFGPVANGGSGEASSESDFGSSGFGPVANASSGEASSESDFAG(配列番号6)であり、前記絹タンパク質様マルチブロックポリマーは、本明細書に記載の任意の重量平均分子量を有する。
【0103】
いくつかの実施形態では、「組換え絹タンパク質」は、組換えクモシルクタンパク質又はその断片を意味する。部分的なcDNAクローンに基づく組換えクモシルクタンパク質の生産が報告されている。そのように生産された組換えクモシルクタンパク質は、クモNephila clavipesに由来するドラグラインクモシルクタンパク質、スピドロイン1に由来する繰り返し配列の一部を含む(Xuら(Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.,87:7120-7124(1990))参照)。Nephila clavipesのドラグラインシルクに由来する第2のフィブロインタンパク質、スピドロイン2の繰り返し配列の一部をコードするcDNAクローン及びその組換え合成物は、J.Biol.Chem.,1992,volume 267,pp.19320-19324に記載されている。形質転換したE. coliに由来するNephila clavipesのタンパク質断片及びバリアントを含むクモシルクタンパク質の組換え合成物は、米国特許第5,728,810号明細書及び同第5,989,894号明細書に記載されている。小瓶状腺(minor ampullate)クモシルクタンパク質をコードするcDNAクローン及びその発現は、米国特許第5,733,771号明細書及び同第5,756,677号明細書に記載されている。コガネグモ(orb-web spinning spider)由来の鞭毛状絹タンパク質をコードするcDNAクローンは、米国特許第5,994,099号明細書に記載されている。米国特許第6,268,169号明細書は、E. coliBacillus subtilis、及びPichia pastoris組換え発現系によるNephila clavipesの天然のクモドラグラインに見られる繰り返しペプチド配列に由来するクモシルク様タンパク質の組換え合成を記載している。国際公開第03/020916号は、Nephila madagascariensisNephila senegalensisTetragnatha kauaiensisTetragnatha versicolorArgiope aurantiaArgiope trifasciata、Gasteracantha mammosa、及びLatrodectus geometricusの大瓶状腺(major ampullate glands)、Argiope trifasciataの鞭毛状腺、Dolomedes tenebrosusの瓶状腺、Plectreurys tristisの2組の絹糸腺、及びmygalomorph Euagrus chisoseusの絹糸腺に由来する繰り返し配列を有するクモのクモ絹タンパク質をコードするcDNAクローン及び組換え生産について記載している。前記文献はいずれも、参照によりその全体を本明細書に援用する。
【0104】
いくつかの実施形態では、組換えクモシルクタンパク質は、クモシルクタンパク質と昆虫シルクタンパク質、クモシルクタンパク質とコラーゲン、クモシルクタンパク質とレシリン、又はクモシルクタンパク質とケラチンのハイブリッドタンパク質である。クモシルク繰り返し単位は、ドラグラインクモシルクポリペプチド、小瓶状腺ポリペプチド、鞭毛状ポリペプチド、凝集クモシルクポリペプチド、房状クモシルクポリペプチド、又は洋ナシ状クモシルクポリペプチドなどの、天然に存在する大瓶状腺ポリペプチド中で繰り返し生じる少なくとも1つのペプチドモチーフを含む又はからなる領域のアミノ酸配列を含む又はからなる。
【0105】
いくつかの実施形態では、本開示における組換えクモシルクタンパク質は、天然のクモシルクタンパク質の繰り返し単位、コンセンサス配列、及び任意に、1以上の天然の非繰り返しクモシルクタンパク質配列に由来する合成クモシルクタンパク質を含む。天然のクモ絹ポリペプチドの繰り返し単位は、Araneidae又はAraneoidsのドラグラインのクモシルクポリペプチド又は鞭毛状のクモシルクポリペプチドを含み得る。
【0106】
本明細書においては、、クモシルクの「繰り返し単位」は、ドラグラインクモシルクポリペプチド、小瓶状腺ポリペプチド、鞭毛状ポリペプチド、凝集クモシルクポリペプチド、房状クモシルクポリペプチド、又は洋ナシ状クモシルクポリペプチドなどの、天然に存在する大瓶状腺ポリペプチド中に繰り返し生じる少なくとも1つのペプチドモチーフを含む又はからなる。「繰り返し単位」は、天然に存在するシルクポリペプチド(例えば、MaSpI、ADF-3、ADF-4、又はFlag)中に繰り返し生じる少なくとも1つのペプチドモチーフ(例えば、AAAAAA(配列番号21)又はGPGQQ(配列番号16))(即ち、同一のアミノ酸配列)又はそれに実質的に類似するアミノ酸配列(即ち、変異アミノ酸配列)を含む又はからなる領域にアミノ酸配列が対応する領域を意味する。天然に存在する絹ポリペプチド内の対応するアミノ酸配列に「実質的に類似する」アミノ酸配列を有する「繰り返し単位」(即ち、野生型繰り返し単位)もまた、その性質に関して類似しており、例えば、「実質的に類似した繰り返し単位」を含む絹タンパク質は、依然として不溶性であり、その不溶性を維持する。例えば、天然に存在する絹ポリペプチドのアミノ酸配列と「同一」であるアミノ酸配列を有する「繰り返し単位」は、MaSpI、MaSpII、ADF-3、及び/又はADF-4のうちの1以上のペプチドモチーフに対応する絹ポリペプチドの一部であり得る。例えば、天然に存在する絹ポリペプチドのアミノ酸配列に「実質的に類似する」アミノ酸配列を有する「繰り返し単位」は、特定のアミノ酸位置に1以上のアミノ酸置換を有することを除き、MaSpI、MaSpII、ADF-3、及び/又はADF-4のうちの1以上のペプチドモチーフに対応する絹ポリペプチドの一部であり得る。
【0107】
本明細書においては、用語「コンセンサスペプチド配列」は、特定の位置に高頻度で存在するアミノ酸(例えば、「G」)を含み、特定されない他のアミノ酸が、プレースホルダ「X」によって置換されるアミノ酸配列を意味する。いくつかの実施形態では、コンセンサス配列は、(i)GPGXX(配列番号7)(Xは、A、S、G、Y、P、及びQから選択されるアミノ酸である)、(ii)GGX(Xは、Y、P、R、S、A、T、N、及びQ、好ましくは、Y、P、及びQから選択されるアミノ酸である)、(iii)Ax(xは、5~10の整数である)の少なくとも1つである。
【0108】
コンセンサスペプチド配列GPGXX(配列番号7)及びGGX(即ち、グリシンに富むモチーフ)は、絹ポリペプチドに柔軟性を与え、したがって、前記モチーフを含む絹タンパク質から形成された糸に柔軟性を与える。詳細には、繰り返されたGPGXX(配列番号7)モチーフは、絹ポリペプチドに弾力性を与えるターンスパイラル構造を形成する。大瓶状腺シルクと鞭毛上シルクはいずれも、GPGXX(配列番号7)モチーフを有する。繰り返しGGXモチーフは、1ターン当たり3個のアミノ酸を有する螺旋構造に関連しおり、大部分のクモシルクに見られる。GGXモチーフは、シルクに更なる弾性特性を与えることがある。繰り返しポリアラニンAx(ペプチド)モチーフは、例えば国際公開第03/057727号に記載されるように、絹ポリペプチドに強度を与える結晶性βシート構造を形成する。
【0109】
いくつかの実施形態では、本開示における組換えクモシルクタンパク質は、レシリンに由来するGGRPSDTYG(配列番号8)及びGGRPSSSYG(配列番号9)からなる群から選択される少なくとも1つ、好ましくは1つのアミノ酸配列をそれぞれが含む2つの同一の繰り返し単位を含む。レシリンは、大部分の節足動物に見られるエラストマータンパク質であり、低剛性と高強度を提供する。
【0110】
本明細書においては、「非繰り返し単位」は、天然に存在するドラグラインポリペプチド(即ち、野生型非繰り返し(カルボキシ末端)単位)中、好ましくはADF-3(配列番号1)、ADF-4(配列番号2)、NR3(配列番号41)、NR4(配列番号42)、米国特許第8,367,803号明細書に記載されるクモAraneus diadematusのADF-4、A. diadematus由来のADF4の天然配列に由来する適合されたアミノ酸配列である配列GSSAAAAAAAASGPGGYGPENQGPSGPGGYGPGGP(配列番号10)を16リピート含むC16ペプチド(クモシルクタンパク質eADF4、分子量47.7kDa、AMSilk)中の対応する非繰り返し(カルボキシ末端)アミノ酸配列に「実質的に類似」するアミノ酸配列を意味する。非繰り返しADF-4及びそのバリアントは、効率的なアセンブリ挙動を示す。
【0111】
合成クモシルクタンパク質の中で、本開示における組換え絹タンパク質は、いくつかの実施形態では、米国特許第8288512号明細書に記載される配列番号1のポリペプチド配列を有するC16タンパク質を含む。配列番号1に示されるポリペプチド配列に加えて、特に、前記配列の機能的等価物、機能的誘導体、及び塩も含まれる。
【0112】
本明細書において、「機能的等価物」は、前記アミノ酸配列の少なくとも1つの配列位置において、具体的に記載されたもの以外のアミノ酸を有する変異体を意味する。
【0113】
いくつかの実施形態では、本開示における組換えクモシルクタンパク質は、有効量において、クモシルクタンパク質を含む少なくとも1つの天然又は組換え絹タンパク質を含み、これは、Xuら,PNAS,USA,87,7120,(1990)によって記載されるスピドロインメジャー1、Hinman及びLewis,J.Biol.Chem.,267,19320,(1922)によって記載されるスピドロインメジャー2、米国特許出願第2016/0222174号明細書及び米国特許第9,051,453号明細書、同第9,617,315号明細書、同第9,689,089号明細書、同第8,173,772号明細書、同第8,642,734号明細書、同第8,367,803号明細書、同第8,097,583号明細書、同第8,030,024号明細書、同第7,754,851号明細書、同第7,148,039号明細書、同第7,060,260号明細書に記載される組換えクモシルクタンパク質、又は国際公開第95/25165号に記載されマイナースピドロインに対応する。前記引用文献はいずれも、参照によりその全体を本明細書に援用する。本開示の組換えRSPFに適した更なる組換えクモシルクタンパク質は、Araneus diadematusの「大瓶状(Major Ampullate)」腺由来のADF3及びADF4を含む。
【0114】
組換え絹は、参照により本明細書に援用する、以下の他の特許及び特許出願にも記載されている:米国特許出願第2004590196号明細書、米国特許第7,754,851号明細書、米国特許出願第2007654470号明細書、米国特許第7,951,908号明細書、米国特許出願第2010785960号明細書、米国特許第8,034,897号明細書、米国特許出願第20090263430号明細書、米国特許出願第2008226854号明細書、米国特許出願第20090123967号明細書、米国特許出願第2005712095号明細書、米国特許出願第2007991037号明細書、米国特許出願第20090162896号明細書、米国特許出願第200885266号明細書、米国特許第8,372,436号明細書、米国特許出願第2007989907号明細書、米国特許出願第2009267596号明細書、米国特許出願第2010319542号明細書、米国特許出願第2009265344号明細書、米国特許出願第2012684607号明細書、米国特許出願第2004583227号明細書、米国特許第8,030,024号明細書、米国特許出願第2006643569号明細書、米国特許第7,868,146号明細書、米国特許出願第2007991916号明細書、米国特許第8,097,583号明細書、米国特許出願第2006643200号明細書、米国特許第8,729,238号明細書、米国特許第8,877,903号明細書、米国特許出願第20190062557号明細書、米国特許出願第20160280960号明細書、米国特許出願第20110201783号明細書、米国特許出願第2008991916号明細書、米国特許出願第2011986662号明細書、米国特許出願第2012697729号明細書、米国特許出願第20150328363号明細書、米国特許第9,034,816号明細書、米国特許出願第20130172478号明細書、米国特許第9,217,017号明細書、米国特許出願第20170202995号明細書、米国特許第8,721,991号明細書、米国特許出願第2008227498号明細書、米国特許第9,233,067号明細書、米国特許第8,288,512号明細書、米国特許出願第2008161364号明細書、米国特許第7,148,039号明細書、米国特許第1999247806号明細書、米国特許出願第2001861597号明細書、米国特許出願第2004887100号明細書、米国特許第9,481,719号明細書、米国特許第8,765,688号明細書、米国特許出願第200880705号明細書、米国特許出願第2010809102号明細書、米国特許第8,367,803号明細書、米国特許出願第2010664902号明細書、米国特許第7,569,660号明細書、米国特許第1999138833号明細書、米国特許出願第2000591632号明細書、米国特許出願第20120065126号明細書、米国特許出願第20100278882号明細書、米国特許出願第2008161352号明細書、米国特許出願第20100015070号明細書、米国特許出願第2009513709号明細書、米国特許出願第20090194317号明細書、米国特許出願第2004559286号明細書、米国特許出願第200589551号明細書、米国特許出願第2008187824号明細書、米国特許出願第20050266242号明細書、米国特許出願第20050227322号明細書、及び米国特許出願第20044418号明細書。
【0115】
また、組換え絹は、参照により本明細書に援用する、以下の他の特許及び特許出願にも記載されている:米国特許出願第20190062557号明細書、米国特許出願第20150284565号明細書、米国特許出願第20130225476号明細書、米国特許出願第20130172478号明細書、米国特許出願第20130136779号明細書、米国特許出願第20130109762号明細書、米国特許出願第20120252294号明細書、米国特許出願第20110230911号明細書、米国特許出願第20110201783号明細書、米国特許出願第20100298877号明細書、米国特許第10,478,520号明細書、米国特許第10,253,213号明細書、米国特許第10,072,152号明細書、米国特許第9,233,067号明細書、米国特許第9,217,017号明細書、米国特許第9,034,816号明細書、米国特許第8,877,903号明細書、米国特許第8,729,238号明細書、米国特許第8,721,991号明細書、米国特許第8,097,583号明細書、米国特許第8,034,897号明細書、米国特許第8,030,024号明細書、米国特許第7,951,908号明細書、米国特許第7,868,146号明細書、及び米国特許第7,754,851号明細書。
【0116】
いくつかの実施形態では、本開示における組換えクモシルクタンパク質は、本明細書で定義されるGPGXX(配列番号7)、GGX、及びAxからそれぞれ独立して選択される2~80個の繰り返し単位を含む又はからなる。
【0117】
いくつかの実施形態では、本開示における組換えクモシルクタンパク質は、以下からなる群からそれぞれ独立して選択される繰り返し単位を含む又はからなる:GPGAS(配列番号11)、GPGSG(配列番号12)、GPGGY(配列番号13)、GPGGP(配列番号14)、GPGGA(配列番号15)、GPGQQ(配列番号16)、GPGGG(配列番号17)、GPGQG(配列番号18)、GPGGS(配列番号19)、GGY、GGP、GGA、GGR、GGS、GGT、GGN、GGQ、AAAAA(配列番号20)、AAAAAA(配列番号21)、AAAAAAA(配列番号22)、AAAAAAAA(配列番号23)、AAAAAAAAA(配列番号24)、AAAAAAAAAA(配列番号25)、GGRPSDTYG(配列番号26)、及びGGRPSSSYG(配列番号27)、(i)GPYGPGASAAAAAAGGYGPGSGQQ(配列番号28)、(ii)GSSAAAAAAAASGPGGYGPENQGPSGPGGYGPGGP(配列番号29)、(iii)GPGQQGPGQQGPGQQGPGQQ(配列番号30):(iv)GPGGAGGPYGPGGAGGPYGPGGAGGPY(配列番号31)、(v)GGTTIIEDLDITIDGADGPITISEELTI(配列番号32)、(vi)PGSSAAAAAAAASGPGQGQGQGQGQGGRPSDTYG(配列番号33)、(vii)SAAAAAAAAGPGGGNGGRPSDTYGAPGGGNGGRPSSSYG(配列番号34)、(viii)GGAGGAGGAGGSGGAGGS(配列番号35)、(ix)GPGGAGPGGYGPGGSGPGGYGPGGSGPGGY(配列番号36)、(x)GPYGPGASAAAAAAGGYGPGCGQQ(配列番号37)、(xi)GPYGPGASAAAAAAGGYGPGKGQQ(配列番号38)、(xii)GSSAAAAAAAASGPGGYGPENQGPCGPGGYGPGGP(配列番号39)、(xiii)GSSAAAAAAAASGPGGYGPKNQGPSGPGGYGPGGP(配列番号40)、(xiv)GSSAAAAAAAASGPGGYGPKNQGPSGPGGYGPGGP(配列番号41)、又は米国特許第8,877,903号明細書に記載されるそれらのバリアント、例えば、ペプチド鎖中にGPGAS(配列番号11)、GGY、GPGSG(配列番号12)の順序、又はペプチド鎖中にAAAAAAAA(配列番号23)、GPGGY(配列番号13)、GPGGP(配列番号14)の順序、ペプチド鎖中にAAAAAAAA(配列番号23)、GPGQG(配列番号18)、GGRの順序を有する合成クモペプチド。
【0118】
いくつかの実施形態では、本開示は、Spidroin major 1ドメイン、Spidroin major 2ドメイン、又はSpidroin minor 1ドメインなどの天然クモシルクタンパク質に由来するアミノ酸の繰り返し単位を模倣するシルクタンパク質様マルチブロックペプチド、及びそれらの三次元構造を変えない繰り返し単位間の変動のプロファイルを提供する。これらの絹タンパク質様マルチブロックペプチドは、以下の配列(I)、(II)、(III)、及び/又は(IV)のうちの1つに対応するアミノ酸の繰り返し単位を含む。
[(XGG)(XGA)(GXG)(AGA)(G)AG] 式(I)(式中、Xは、チロシン又はグルタミンに対応し、wは、2又は3に等しい整数であり、xは、1~3の整数であり、yは、5~7の整数であり、zは、1又は2に等しい整数であり、pは整数であり、本明細書に記載される任意の重量平均分子量を有する。)及び/又は
[(GPGYGPGQ(X’)S(A) 式(II)(式中、X’は、アミノ酸配列GPS又はGPGに対応し、aは、2又は3に等しく、bは、7から10の整数であり、pは整数であり、本明細書に記載される任意の重量平均分子量を有する。)及び/又は
[(GR)(GA)(A)(GGX)(GA)(A) 式(III)及び/又は[(GGX)(GA)(A) 式(IV)(式中、X’’は、チロシン、グルタミン、又はアラニンに対応し、lは、1~6の整数であり、mは、0~4の整数であり、nは、1~4の整数であり、pは、整数である。)
【0119】
いくつかの実施形態において、組換えクモシルクタンパク質又はクモシルクタンパク質のアナログは、配列(V)のアミノ酸繰り返し単位を含む。
[(Xaa Gly Gly)(Xaa Gly Ala)(Gly Xaa Gly)(Ala Gly Ala)(Gly)Ala Gly] 式(V)(式中、Xaaは、チロシン又はグルタミンであり、wは、2又は3に等しい整数であり、xは、1~3の整数であり、yは、5~7の整数であり、zは、1又は2に等しい整数であり、pは整数である。)
【0120】
いくつかの実施形態では、本開示における組換えクモシルクタンパク質は、米国特許第8,367,803号明細書に記載される、ADF-3又はそのバリアント、ADF-4又はそのバリアント、MaSpI(配列番号43)又はそのバリアント、MaSpII(配列番号44)又はそのバリアントからなる群から選択される。
【0121】
いくつかの実施形態では、本開示は、哺乳動物細胞において産生される水溶性組換えクモシルクタンパク質を提供する。哺乳動物細胞で産生されたクモシルクタンパク質の可溶性は、これらのタンパク質中の、より親水性を高くするCOOH末端の存在に起因していた。これらのCOOH末端アミノ酸は、微生物宿主で発現するクモシルクタンパク質に存在しない。
【0122】
いくつかの実施形態では、本開示における組換えクモシルクタンパク質は、GCGGGGGG(配列番号46)、GKGGGGGG(配列番号47)、GCGGSGGGGSGGGG(配列番号48)、GKGGGGGGSGGGG(配列番号49)、及びGCGGGGGGSGGGG(配列番号50)からなる群から選択されるアミノ又はカルボキシル末端で修飾された水溶性組換えクモシルクタンパク質C16を含む。いくつかの実施形態では、本開示における組換えクモシルクタンパク質は、タンパク質の分子量が本明細書に記載される範囲となるように、C16NR4、C32NR4、C16、C32、NR4C16NR4、NR4C32NR4、NR3C16NR3、又はNR3C32NR3を含む。
【0123】
いくつかの実施形態では、本開示における組換えクモシルクタンパク質は、合成繰り返しペプチドセグメントと、米国特許第8,877,903号明細書に記載されるA.diadematus由来のADF4の天然配列から適合されたアミノ酸配列とを有する組換えクモシルクタンパク質を含む。いくつかの実施形態では、本開示におけるRSPFは、Spidroin major 1ドメイン、Spidroin major 2ドメイン、又はSpidroin minor 1ドメインなどの天然クモシルクタンパク質に由来する繰り返しペプチド単位を有し、繰り返しペプチド配列は、米国特許第8,367,803号明細書に記載されるGSSAAAAAAAASGPGQGQGQGQGQGGRPSDTYG(配列番号51)又はSAAAAAAAAGPGGGNGGRPSDTYGAPGGGNGGRPSSSYG(配列番号52)である組換えクモシルクタンパクを含む。
【0124】
いくつかの実施形態では、本開示は、GPGGAGPGGYGPGGSGPGGYGPGGSGPGGY(配列番号53)繰り返し断片で構成され、本明細書に記載される分子量を有する組換えクモタンパク質を提供する。
【0125】
本明細書においては、用語「組換え絹」は、組換えクモ及び/又はカイコ絹タンパク質又はその断片を意味する。実施形態では、クモシルクタンパク質は、捕帯絹((swathing silk)房状腺絹(Achniform gland silk))、卵嚢絹((egg sac silk)円筒状腺絹(Cylindriform gland silk))、卵鞘絹((egg case silk)(管状絹(Tubuliform silk))、非粘着性ドラグライン絹((non-sticky dragline silk)瓶状絹(Ampullate gland silk))、付着する絹糸((attaching thread silk)洋ナシ状腺絹(Pyriform gland silk))、粘着性絹コア繊維((sticky silk core fibers)鞭毛状腺絹(Flagelliform gland silk))、及び粘着性絹外繊維((sticky silk outer fibers)凝集腺絹(Aggregate gland silk))からなる群から選択される。例えば、本明細書に記載される組換えクモシルクタンパク質は、米国特許出願第2016/0222174号明細書及び米国特許第9,051,453号明細書、同第9,617,315号明細書、同第9,689,089号明細書、同第8,173,772号明細書、及び同第8,642,734号明細書に記載されているタンパク質を含む。
【0126】
いくつかの生物は、ユニークな配列、構造要素、及び機械的特性を有する複数の絹繊維を作る。例えば、コガネグモは、環境又は生活環のニッチに適合するように調整された繊維に重合される様々な絹ポリペプチド配列を生成する6種類のユニークなタイプの腺を有する。これらの繊維は、それらが由来する腺に因んで命名され、ポリペプチドは、腺の略語(例えば「Ma」)及びスピドロイン(スパイダーフィブロインの略)は「Sp」で標識される。コガネグモにおいては、これらのタイプは、大瓶状(MaSp、ドラグラインとも称される)、小瓶状(MiSp)、鞭毛状(Flag)、房状(AcSp)、管状(TuSp)、及び洋ナシ状(PySp)を含む。繊維の種類、ドメイン、及び生物の異なる属及び種間の変化に亘るポリペプチド配列の前記組合せは、組換え繊維の商業的生産によって利用することができる膨大な数の潜在的特性をもたらす。今日まで、組換え絹を使った研究の大部分は、大瓶状スピドロイン(MaSp)に着目している。
【0127】
房状(AcSp)シルクは、適度に高い強度と適度に高い伸展性の結果として、高い靭性を有する傾向がある。AcSpシルクは、ポリセリンとGPXのモチーフを含むことが多い大きなブロック(「アンサンブルリピート」)サイズを特徴とする。管状(TuSp又は円筒状)シルクは、直径が大きく、適度な強度と高い伸展性を有する傾向がある。TuSpシルクは、ポリセリンとポリスレオニン含量及びポリアラニンの短い領域を特徴とする。大瓶状(MaSp)シルクは、強度が高く、適度な伸展性を有する傾向がある。MaSpシルクは、MaSp1とMaSp2の2つのサブタイプのいずれかになり得る。MaSp1シルクは、一般に、MaSp2シルクよりも伸びが少なく、ポリアラニン、GX、及びGGXモチーフを特徴とする。MaSp2シルクは、ポリアラニン、GGX、及びGPXモチーフを特徴とする。小瓶状(MiSp)シルクは、適度な強度と適度な伸展性を有する傾向がある。MiSpシルクは、GGX、GA、及びポリAモチーフを特徴とし、多くの場合、約100個のアミノ酸のスペーサ要素を含む。鞭毛状(Flag)シルクは、非常に高い伸展性と適度な強度を有する傾向がある。Flagシルクは、通常、GPG、GGX、及び短いスペーサモチーフを特徴とする。
【0128】
絹ポリペプチドは、非繰り返し領域(例えば、C末端及びN末端ドメイン)に隣接する非繰り返しドメイン(REP)から構成されることを特徴とする。実施形態では、C末端ドメイン及びN末端ドメインの両方が、75~350アミノ酸長である。リピートドメインは、階層アーキテクチャを示す。リピートドメインは、一連のブロック(繰り返し単位とも称される)を含む。ブロックは、絹リピートドメイン全体に亘って、時には完全に、時には不完全に(準リピートドメインを構成して)繰り返される。ブロックの長さと組成は、絹のタイプ及び種によって異なる。その全体を本明細書に援用する米国特許出願公開第2016/0222174号明細書の表1は、選択された種及び絹タイプに由来するブロック配列の例を示しており、更なる例が、Rising, A. et al., Spider silk proteins: recent advances in recombinant production, structure-function relationships and biomedical applications, Cell Mol. Life Sci., 68:2, pg 169-184 (2011);及びGatesy, J. et al., Extreme diversity, conservation, and convergence of spider silk fibroin sequences, Science, 291:5513, pg. 2603-2605 (2001)に示されている。いくつかの場合では、ブロックは、規則的なパターンで配置され、絹配列のリピートドメインに複数回(通常、2~8回)表われる、より大きなマクロリピートを形成することがある。リピートドメイン又はマクロリピート内で繰り返されるブロック、及びリピートドメイン内で繰り返されるマクロリピートは、スペーシング要素によって分離されることがある。
【0129】
本開示の特定の実施形態によれば、ブロック及び/又はマクロリピートドメインからの特定のクモシルクブロックコポリマーポリペプチドの構築は、米国特許出願公開第2016/0222174号明細書に示されている。
【0130】
組換え原核又は真核生物系における遺伝子発現によって生成されたクモシルク配列に基づく組換えブロックコポリマーポリペプチドは、当技術分野で知られた方法にしたがって精製することができる。好ましい実施形態では、市販の発現/分泌系を使用することができ、それにより、組換えポリペプチドが発現され、その後、宿主細胞から分泌されて、周囲の培地から容易に精製される。発現/分泌ベクターを使用しない場合、代替アプローチは、ポリペプチドが発現された原核細胞又は真核細胞に由来する細胞溶解物(細胞完全性の破壊後の細胞の残骸)から組換えブロックコポリマーポリペプチドを精製することを含む。係る細胞溶解物を生成するための方法は、当業者に知られている。いくつかの実施形態では、組換えブロックコポリマーポリペプチドは、細胞培養上清から単離される。
【0131】
組換えブロックコポリマーポリペプチドは、組換えポリペプチドに特異的に結合する抗体との免疫学的相互作用又はN末端又はC末端で6~8個のヒスチジン残基のタグが付された組換えポリペプチドを単離するためのニッケルカラムなどによる、親和性分離によって精製することができる。別のタグとしては、FLAGエピトープ又はヘマグルチニンエピトープを含み得る。係る方法は、熟練者によって一般に使用されている。
【0132】
次いで、係るポリペプチド(即ち、組換え絹タンパク質)の溶液を、本明細書に記載されるように調製、使用することができる。
【0133】
別の実施形態では、組換え絹タンパク質は、その全体を本明細書に援用する米国特許第8,642,734号明細書に記載の方法にしたがって調製することができ、本明細書に記載されるように使用される。
【0134】
実施形態では、組換えクモシルクタンパク質が提供される。クモシルクタンパク質は、典型的には、170~760アミノ酸残基、例えば170~600アミノ酸残基、好ましくは280~600アミノ酸残基、例えば300~400アミノ酸残基、より好ましくは340~380アミノ酸残基からなる。より長いクモシルクタンパク質はアモルファス凝集体を形成する傾向があり、可溶化及び重合のために過酷な溶媒の使用を必要とするため、小サイズが有利である。組換えクモシルクタンパク質は、特にクモシルクタンパク質がクモシルクタンパク質のN末端部分に由来する2個超の断片を含む場合、760個を超える残基を含み得る。クモシルクタンパク質は、クモシルクタンパク質の対応する部分に由来する少なくとも1つの断片(NT)と、クモシルクタンパク質の対応する内部断片に由来する繰り返し断片(REP)とからなるN末端断片を含む。任意に、クモシルクタンパク質は、クモシルクタンパク質の対応する断片に由来するC末端断片(CT)を含む。クモシルクタンパク質は、典型的には、クモシルクタンパク質のN末端部分に由来する単一断片(NT)を含むが、好ましい実施形態では、N末端断片は、少なくとも2つ、例えば、クモシルクタンパク質のN末端部分に由来する2つの断片(NT)を含む。したがって、スピドロインは、式NT-REP又はNT-REP-CTによって概略的に表すことができ、式中、mは、1以上、例えば2以上、好ましくは1~2、1~4、1~6、2~4、又は2~6の整数である。好ましいスピドロインは、式NT-REP若しくはNT-REP又はNT-REP-CT若しくはNT-REP-CTによって概略的に表すことができる。タンパク質断片は、通常、ペプチド結合を介して共有結合する。一実施形態では、クモシルクタンパク質は、REP断片に結合されたNT断片からなり、このREP断片は、任意に、CT断片に結合される。
【0135】
一実施形態では、単離されたクモシルクタンパク質のポリマーを製造する方法の第1の工程は、Escherichia coliなどの好適な宿主において、クモシルクタンパク質をコードするポリ核酸分子を発現させることを含む。このようにして得られたタンパク質は、標準的な手順を使用して単離される。任意に、リポ多糖及び他のパイロジェンが、この段階で積極的に除去される。
【0136】
単離されたクモシルクタンパク質のポリマーを製造する方法の第2の工程において、液体媒体中のクモシルクタンパク質の溶液が提供される。「可溶性」及び「溶液中」という用語は、タンパク質が視覚的に凝集せず、60,000×gでも溶媒から沈殿しないことを意味する。液体媒体は、水性媒体、好ましくは生理学的媒体、典型的には、10~50mMのTris-HCl緩衝液又はリン酸緩衝液などの緩衝水性媒体などの任意の好適な媒体であることができる。液体培地は、6.4以上のpH及び/又はクモシルクタンパク質の重合を防止するイオン組成を有する。即ち、液体媒体は、6.4以上のpH又はクモシルクタンパク質の重合を防止するイオン組成のいずれか、又はその両方を有する。
【0137】
クモシルクタンパク質の重合を防止するイオン組成は、本明細書に開示される方法を利用して当業者によって容易に調製することができる。クモシルクタンパク質の重合を防止する好ましいイオン組成は、300mM超のイオン強度を有する。クモシルクタンパク質の重合を防止するイオン組成の具体的な例としては、300mM超のNaCl、100mMのリン酸塩、及びクモシルクタンパク質の重合に対して所望の防止効果を有するこれらのイオンの組合せ(例えば、10mMのリン酸塩と300mMのNaClとの組合せ)を含む。
【0138】
NT断片の存在により、溶液の安定性を改善し、これらの条件下でのポリマー生成を防止する。これは、即時の重合が望ましくないことがある場合、例えば、タンパク質の精製中、大量バッチの準備中、又は他の条件を最適化する必要がある場合などに有利であることがある。クモシルクタンパク質の高い溶解度を達成するために、液体培地のpHを6.7以上、例えば7.0以上、又は8.0以上、例えば最大10.5に調整することが好ましい。液体培地のpHが6.4~6.8に調整されることも有利であることがあり、これは、クモシルクタンパク質の十分な溶解性を提供するが、その後の6.3以下へのpH調整を容易にする。
【0139】
第3の工程では、液体媒体の性質が、pH6.3以下、重合を可能とするイオン組成に調整される。即ち、クモ絹タンパク質が溶解している液体培地のpHが6.4以上の場合、pHを6.3以下に低下させる。熟練者は、これを達成するための様々な方法を熟知しており、典型的には、強酸又は弱酸の添加を含む。クモシルクタンパク質が溶解している液体媒体が、重合を防止するイオン組成を有する場合、イオン組成は、重合を可能にするように変更される。熟練者は、これを達成するための様々な方法を熟知しており、例えば、希釈、透析、又はゲル濾過などがある。必要に応じて、この工程は、液体媒体のpHを6.3以下に低下させることと、重合を可能にするためにイオン組成を変更することの両方を含む。液体媒体のpHは、6.0以下などの6.2以下に調整することが好ましい。特に、実用的な観点から、前の工程における6.4又は6.4~6.8から本工程において6.3又は6.0~6.3(例えば、6.2)へのpH低下を制限することが有利であることがある。好ましい実施形態では、本工程の液体媒体のpHは、3以上、例えば4.2以上である。結果として生じるpH範囲、例えば4.2~6.3は、急速な重合を促進する。
【0140】
第4の工程では、クモシルクタンパク質は、6.3以下のpHと、クモシルクタンパク質の重合を可能にするイオン組成とを有する液体媒体中で重合される。NT断片の存在により、6.4以上のpHでのクモシルクタンパク質の溶解性及び/又はクモシルクタンパク質の重合を防止するイオン組成が改善されるが、イオン組成がクモシルクタンパク質の重合を可能にする場合、pH6.3以下でのポリマー形成が加速される。得られたポリマーは、好ましくは固体で巨視的であり、6.3以下のpHと、クモシルクタンパク質の重合を可能にするイオン組成とを有する液体媒体中で生成される。好ましい実施形態では、この工程の液体媒体のpHは、3以上、例えば4.2以上である。結果として生じるpH範囲、例えば4.2~6.3は、急速な重合を促進する。得られたポリマーは、本明細書に記載の分子量で提供でき、物品のコーティングに必要に応じて使用できる溶液形態として調製することができる。
【0141】
クモシルクタンパク質の重合を可能にするイオン組成は、本明細書に開示される方法を利用して当業者によって容易に調製することができる。クモシルクタンパク質の重合を可能にする好ましいイオン組成物は、300mM未満のイオン強度を有する。クモシルクタンパク質の重合を可能にするイオン組成の具体的な例は、150mMのNaCl、10mMのリン酸塩、20mMのリン酸塩、及びクモシルクタンパク質の重合に対する防止作用がないこれらのイオンの組合せ(例えば、10mMのリン酸塩又は20mMのリン酸塩と150mMのNaClとの組合せ)が挙げられる。この液体媒体のイオン強度は、1~250mMに調整されることが好ましい。
【0142】
特定の理論に拘束されることを望むものではないが、NT断片は反対に帯電した極を有し、pHの環境変化はタンパク質の表面の電荷バランスに影響を及ぼした後、重合する一方で、塩は、この事象を阻害すると考えられる。
【0143】
中性pHでは、酸性極の過剰な負電荷を埋める(burying)エネルギーコストが、重合を妨げると予想され得る。しかし、二量体がより低いpHで等電点に近づくにつれて、引き付ける静電力が最終的に優勢となり、観察される塩、並びにNT及びNT含有ミニスピドロインのpH依存的重合挙動を説明する。いくつかの実施形態では、pH誘導性NT重合、及びNT-ミニスピドロインの繊維組織化の効率の上昇は、表面静電ポテンシャル変化によるものであり、NTの1つの極での酸性残基のクラスター化は、重合転移が6.3以下のpH値で生じるように、その電荷バランスをシフトすることが提案されている。
【0144】
第5の工程では、得られた、好ましくは固体のクモシルクタンパク質ポリマーが、前記液体媒体から単離される。任意に、この工程は、スピドロインポリマーからリポ多糖及び他のパイロジェンを積極的に除去することを含む。
【0145】
特定の理論に拘束されることを望むものではないが、スピドロインポリマーの生成は、水溶性スピドロイン二量体の生成を介して進行することが観察されている。したがって、本開示はまた、単離されたクモシルクタンパク質の二量体を生成する方法を提供し、最初の2つの方法工程は前記した通りである。クモシルクタンパク質は、pH6.4以上及び/又は前記クモシルクタンパク質の重合を防止するイオン組成の液体媒体中、二量体として存在する。第3の工程は、第2の工程で得られた二量体を単離し、任意に、リポ多糖やその他のパイロジェンを除去することを含む。好ましい実施形態では、本開示のクモシルクタンパク質ポリマーは、重合されたタンパク質二量体からなる。したがって、本開示は、クモシルクタンパク質の二量体を生成するための、クモシルクタンパク質、好ましくは本明細書に開示されるものの新たな使用を提供する。
【0146】
別の態様によれば、本開示は、本明細書に開示されるクモシルクタンパク質のポリマーを提供する。実施形態では、このタンパク質のポリマーは、本開示に係るそのための方法のいずれか1つによって得ることができる。したがって、本開示は、組換えシルクベースコーティングとしてクモシルクタンパク質のポリマーを製造するための、組換えクモシルクタンパク質、好ましくは本明細書に開示されるものの様々な使用を提供する。一実施形態によれば、本開示は、組換えシルクベースコーティングとして単離されたクモシルクタンパク質のポリマーを生成するための、クモシルクタンパク質の二量体、好ましくは本明細書に開示されるものの新たな使用を提供する。これらの使用では、ポリマーは、6.3以下のpH及び前記クモシルクタンパク質の重合を可能にするイオン組成を有する液体媒体中で製造されることが好ましい。一実施形態では、液体媒体のpHは、3以上、例えば4.2以上である。得られるpH範囲(例えば4.2~6.3)は、急速な重合を促進する。
【0147】
本開示の方法を使用して、重合プロセスを制御することが可能であり、これにより、望ましい性質及び形状を有する絹ポリマーを得るためのパラメータの最適化が可能になる。
【0148】
実施形態では、本明細書に記載の組換え絹タンパク質は、参照によりその全体を援用する米国特許第8,642,734号明細書に記載されているものを含む。
【0149】
別の実施形態では、本明細書に記載の組換え絹タンパク質は、参照によりその全体を援用する米国特許第9,051,453号明細書に記載される方法にしたがって調製することができる。
【0150】
米国特許第9,051,453号明細書の配列番号1で表されるアミノ酸配列は、C末端のADF3のアミノ酸配列の50アミノ酸残基から構成されるアミノ酸配列と同一である(NCBI Accession No.:AAC47010,GI:1263287)。米国特許第9,051,453号明細書の配列番号2で表されるアミノ酸配列は、C末端から20残基を除去した米国特許第9,051,453号明細書の配列番号1で表されるアミノ酸配列と同一である。米国特許第9,051,453号明細書の配列番号3で表されるアミノ酸配列は、C末端から29残基を除去した配列番号1で表されるアミノ酸配列と同一である。
【0151】
式1:REP1-REP2(1)で表されるアミノ酸配列のユニットを含み、且つC末端に、米国特許第9,051,453号明細書の配列番号1~3のいずれかで表されるアミノ酸配列又は配列番号1~3のいずれかで表されるアミノ酸配列と90%以上の相同性を有するアミノ酸配列を有するポリペプチドの例は、米国特許第9,051,453号明細書の配列番号8で表されるアミノ酸配列を有するポリペプチドである。米国特許第9,051,453号明細書の配列番号8によって表されるアミノ酸配列を有するポリペプチドは、以下の変異によって得られる:そのN末端に、開始コドン、His10タグ、及びHRV3Cプロテアーゼ(ヒトライノウイルス3Cプロテアーゼ)認識部位から構成されるアミノ酸配列(米国特許第9,051,453号の配列番号5)が付加されたADF3(NCBI Accession No.:AAC47010,GI:1263287)のアミノ酸配列において、1番目から13番目の繰り返し領域が約2倍であり、翻訳が第1154番目のアミノ酸残基で終了する。米国特許第9,051,453号明細書の配列番号8で表されるアミノ酸配列を有するポリペプチドにおいて、C末端配列は、配列番号3で表されるアミノ酸配列と同一である。
【0152】
更に、式1:REP1-REP2(1)で表されるアミノ酸配列のユニットを含み、且つC末端に、米国特許第9,051,453号明細書の配列番号1~3のいずれかで表されるアミノ酸配列又は米国特許第9,051,453号明細書の配列番号1~3のいずれかで表されるアミノ酸配列と90%以上の相同性を有するアミノ酸配列を有するポリペプチドは、1つ又は複数のアミノ酸が置換、欠失、挿入、及び/又は付加され、且つ結晶領域とアモルファス領域とから構成される繰り返し領域を有する米国特許第9,051,453号明細書の配列番号8によって表されるアミノ酸配列を有するタンパク質であり得る。
【0153】
更に、式1:REP1-REP2(1)で表されるアミノ酸配列を2ユニット以上含むポリペプチドの例は、米国特許第9,051,453号明細書の配列番号15で表されるアミノ酸配列を有するADF4に由来する組換えタンパク質である。米国特許第9,051,453号明細書の配列番号15で表されるアミノ酸配列は、開始コドン、His10タグ、及びHRV3Cプロテアーゼ(ヒトライノウイルス3Cプロテアーゼ)認識部位から構成されるアミノ酸配列(米国特許第9,051,453号の配列番号5)を、NCBIデータベースから取得されるADF4(NCBI Accession No.:AAC47011,GI:1263289)の部分アミノ酸配列のN末端に付加することによって得られるアミノ酸配列である。更に、式1:REP1-REP2(1)で表されるアミノ酸配列を2ユニット以上含むポリペプチドは、1つ又は複数のアミノ酸が置換、欠失、挿入、及び/又は付加され、且つ結晶領域とアモルファス領域とから構成される繰り返し領域を有する米国特許第9,051,453号明細書の配列番号15によって表されるアミノ酸配列を有するポリペプチドであり得る。更に、式1:REP1-REP2(1)で表されるアミノ酸配列を2ユニット以上含むポリペプチドは、1つ又は複数のアミノ酸が置換、欠失、挿入、及び/又は付加され、且つ結晶領域とアモルファス領域とから構成される繰り返し領域を有する米国特許第9,051,453号明細書の配列番号15によって表されるアミノ酸配列を有するポリペプチドであり得る。更に、式1:REP1-REP2(1)で表されるアミノ酸配列を2ユニット以上含むポリペプチドの例は、米国特許第9,051,453号明細書の配列番号17で表されるアミノ酸配列を有するMaSp2に由来する組換えタンパク質である。米国特許第9,051,453号明細書の配列番号17で表されるアミノ酸配列は、開始コドン、His10タグ、及びHRV3Cプロテアーゼ(ヒトライノウイルス3Cプロテアーゼ)認識部位から構成されるアミノ酸配列(米国特許第9,051,453号の配列番号5)を、NCBIウェブデータベースから取得されるMaSp2(NCBI Accession No.:AAT75313,GI:50363147)の部分配列のN末端に付加することによって得られるアミノ酸配列である。更に、式1:REP1-REP2(1)で表されるアミノ酸配列を2ユニット以上含むポリペプチドは、1つ又は複数のアミノ酸が置換、欠失、挿入、及び/又は付加され、且つ結晶領域とアモルファス領域とから構成される繰り返し領域を有する米国特許第9,051,453号明細書の配列番号17によって表されるアミノ酸配列を有するポリペプチドであり得る。
【0154】
鞭毛状絹タンパク質に由来するポリペプチドの例としては、式2:REP3(2)で表されるアミノ酸配列を10単位以上含むポリペプチド、好ましくはその20単位以上を含むポリペプチド、より好ましくは30単位以上を含むポリペプチドが挙げられる。Escherichia coliなどの微生物を宿主として組換えタンパク質を作製する場合、鞭毛状絹タンパク質由来のポリペプチドの分子量は、生産性の観点から、好ましくは500kDa以下、より好ましくは300kDa以下、更に好ましくは200kDa以下である。
【0155】
式(2)において、REP3は、Gly-Pro-Gly-Gly-Xから構成されるアミノ酸配列を示し、ここで、Xは、Ala、Ser、Tyr、及びValからなる群から選択されるアミノ酸を示す。
【0156】
クモシルクの大きな特徴は、鞭毛状の絹が結晶領域を有さず、アモルファス領域からなる繰り返し領域を有することである。主要なドラグラインシルクなどは、結晶領域とアモルファス領域からなる繰り返し領域を有するので、高い応力と伸縮性の両方を有することが予想される。一方、鞭毛状シルクは、主要なドラグラインシルクに比べて応力は劣るものの、伸縮性は高い。この理由は、鞭毛状のシルクの殆どが、アモルファス領域で構成されると考えられるからである。
【0157】
式2:REP3(2)で表されるアミノ酸配列を10単位以上含むポリペプチドの例は、米国特許第9,051,453号明細書の配列番号19で表されるアミノ酸配列を有する鞭毛状の絹タンパク質に由来する組換えタンパク質である。米国特許第9,051,453号明細書の配列番号19で表されるアミノ酸配列は、NCBIデータベースから得られるNephila clavipesの鞭毛状の絹タンパク質の部分配列(NCBI Accession No.:AAF36090,GI:7106224)、具体的には、繰返し部分及びモチーフに対応するN末端から第1220番目の残基~第1659番目の残基のアミノ酸配列(PR1配列と称する)を、NCBIデータベースから得られるNephila clavipesの鞭毛状の絹タンパク質の部分配列(NCBI Accession No.:AAC38847,GI:2833649)、具体的には、C末端から第816番目の残基~第907番目の残基のC末端アミノ酸配列と組み合わせ、その後、開始コドン、His10タグ、及びHRV3Cプロテアーゼ認識部位で構成されるアミノ酸配列(米国特許第9,051,453号明細書の配列番号5)を、前記組み合わせた配列のN末端に付加することによって得られる。更に、式2:REP3(2)で表されるアミノ酸配列の10単位以上含むポリペプチドは、1個又は複数のアミノ酸が置換、削除、挿入、及び/又は付加されており、アモルファス領域から構成される繰り返し領域を有する、米国特許第9,051,453号明細書の配列番号19で表されるアミノ酸配列を有するポリペプチドであり得る。
【0158】
ポリペプチドは、ポリペプチドをコードする遺伝子を含む発現ベクターによって形質転換された宿主を使用して産生することができる。遺伝子の作製方法は特に限定されず、クモ由来の細胞から天然のクモ絹タンパク質をコードする遺伝子をポリメラーゼ連鎖反応(PCR)などにより増幅し、クローニングすることにより作製することができる、又は化学的に合成することもできる。また、遺伝子を化学的に合成する方法は、特に限定されず、例えば、NCBIウェブデータベースなどから得られる天然のクモ絹タンパク質のアミノ酸配列の情報に基づき、AKTAオリゴパイロットプラス10/100(GEヘルスケアジャパン株式会社)を用いて自動合成されたオリゴヌクレオチドを、PCRなどで結合させることにより合成することができる。このとき、タンパク質の精製及び観察を容易にするために、アミノ酸配列のN末端に開始コドンとHis10タグからなるアミノ酸配列が付加されたアミノ酸配列を有するタンパク質をコードする遺伝子を合成することができる。
【0159】
発現ベクターの例としては、DNA配列に基づいてタンパク質を発現することができるプラスミド、ファージ、ウイルスが挙げられる。プラスミド型発現ベクターは、標的遺伝子を宿主細胞で発現させ、それ自体を増幅することができる限り、特に限定されない。例えば、Escherichia coli Rosetta(DE3)を宿主として使用する場合、pET22b(+)プラスミドベクター、pColdプラスミドベクターなどを使用することができる。これらの中でも、タンパク質の生産性の観点から、pET22b(+)プラスミドベクターを使用することが好ましい。宿主の例としては、動物細胞、植物細胞、微生物などが挙げられる。
【0160】
本開示で使用されるポリペプチドは、好ましくは、Araneus diadematusの2種類の主要なドラグラインシルクタンパク質の1つであるADF3に由来するポリペプチドである。このポリペプチドは、基本的に、高強度の伸長性と靭性を有し、合成が容易であるという利点を有する。
【0161】
したがって、本明細書に記載の実施形態、物品、及び/又は方法にしたがって使用される組換え絹タンパク質(例えば、組換えクモシルクベースのタンパク質)は、前記した1以上の組換え絹タンパク質、又はその全体を参照により本明細書に援用する米国特許第8,173,772号明細書、同第8,278,416号明細書、同第8,618,255号明細書、同第8,642,734号明細書、同第8,691,581号明細書、同第8,729,235号明細書、同第9,115,204号明細書、同第9,157,070号明細書、同第9,309,299号明細書、同第9,644,012号明細書、同第9,708,376号明細書、同第9,051,453号明細書、同第9,617,315号明細書、同第9,968,682号明細書、同第9,689,089号明細書、同第9,732,125号明細書、同第9,856,308号明細書、同第9,926,348号明細書、同第10,065,997号明細書、同第10,316,069号明細書、及び同第10,329,332号明細書;米国特許公開第2009/0226969号明細書、同第2011/0281273号明細書、同第2012/0041177号明細書、同第2013/0065278号明細書、同第2013/0115698号明細書、同第2013/0316376号明細書、同第2014/0058066号明細書、同第2014/0079674号明細書、同第2014/0245923号明細書、同第2015/0087046号明細書、同第2015/0119554号明細書、同第2015/0141618号明細書、同第2015/0291673号明細書、同第2015/0291674号明細書、同第2015/0239587号明細書、同第2015/0344542号明細書、同第2015/0361144号明細書、同第2015/0374833号明細書、同第2015/0376247号明細書、同第2016/0024464号明細書、同第2017/0066804号明細書、同第2017/0066805号明細書、同第2015/0293076号明細書、同第2016/0222174号明細書、同第2017/0283474号明細書、同第2017/0088675号明細書、同第2019/0135880号明細書、同第2015/0329587号明細書、同第2019/0040109号明細書、同第2019/0135881号明細書、同第2019/0177363号明細書、同第2019/0225646号明細書、同第2019/0233481号明細書、同第2019/0031842号明細書、同第2018/0355120号明細書、同第2019/0186050号明細書、同第2019/0002644号明細書、同第2020/0031887号明細書、同第2018/0273590号明細書、同第20191/094403号明細書、同第2019/0031843号明細書、同第2018/0251501号明細書、同第2017/0066805号明細書、同第2018/0127553号明細書、同第2019/0329526号明細書、同第2020/0031886号明細書、同第2018/0080147号明細書、同第2019/0352349号明細書、同第2020/0043085号明細書、同第2019/0144819号明細書、同第2019/0228449号明細書、同第2019/0340666号明細書、同第2020/0000091号明細書、同第2019/0194710号明細書、同第2019/0151505号明細書、同第2018/0265555号明細書、同第2019/0352330号明細書、同第2019/0248847号明細書、及び同第2019/0378191号明細書に記載された1以上の組換え絹タンパク質を含むことができる。
【0162】
絹フィブロイン様タンパク質断片
本開示における組換え絹タンパク質は、天然の絹タンパク質の繰り返し単位に基づく合成タンパク質を含む。合成繰り返し絹タンパク質配列に加えて、これらは更に、1以上の天然の非繰り返し絹タンパク質配列を含むことができる。本明細書においては、「絹フィブロイン様タンパク質断片」は、本明細書で定義される分子量及び多分散性、並びにネイティブな絹タンパク質、フィブロイン重鎖、フィブロイン軽鎖、又は1以上のGAGAGSヘキサアミノ酸(配列番号2)繰り返しユニットを含む任意のタンパク質から選択されるタンパク質と一定程度の相同性を有するタンパク質断片を意味する。いくつかの実施形態では、相同性の程度は、約99%、約98%、約97%、約96%、約95%、約94%、約93%、約92%、約91%、約90%、約89%、約88%、約87%、約86%、約85%、約84%、約83%、約82%、約81%、約80%、約79%、約78%、約77%、約76%、約75%、又は75%未満から選択される。
【0163】
本明細書に記載されるように、ネイティブの絹タンパク質、フィブロイン重鎖、フィブロイン軽鎖、又は1以上のGAGAGSヘキサアミノ酸(配列番号2)繰り返し単位を含む任意のタンパク質などのタンパク質は、約9%~約45%のグリシン、又は約9%のグリシン、又は、約10%のグリシン、約43%のグリシン、約44%のグリシン、約45%のグリシン、又は約46%のグリシンを含む。本明細書に記載されるように、ネイティブの絹タンパク質、フィブロイン重鎖、フィブロイン軽鎖、又は1以上のGAGAGSヘキサアミノ酸(配列番号2)繰り返し単位を含む任意のタンパク質などのタンパク質は、約13%~約30%のアラニン、又は約13%のアラニン、又は約28%のアラニン、又は約29%のアラニン、又は約30%のアラニン、又は約31%のアラニンを含む。本明細書に記載されるように、ネイティブの絹タンパク質、フィブロイン重鎖、フィブロイン軽鎖、又は1以上のGAGAGSヘキサアミノ酸(配列番号2)繰り返し単位を含む任意のタンパク質などのタンパク質は、9%~約12%のセリン、又は約9%のセリン、又は約10%のセリン、又は約11%のセリン、又は約12%のセリンを含む。
【0164】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される絹フィブロイン様タンパク質は、約5%、約6%、約7%、約8%、約9%、約10%、約11%、約12%、約13%、約14%、約15%、約16%、約17%、約18%、約19%、約20%、約21%、約22%、約23%、約24%、約25%、約26%、約27%、約28%、約29%、約30%、約31%、約32%、約33%、約34%、約35%、約36%、約37%、約38%、約39%、約40%、約41%、約42%、約43%、約44%、約45%、約46%、約47%、約48%、約49%、約50%、約51%、約52%、約53%、約54%、又は約55%のグリセリンを含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される絹フィブロイン様タンパク質は、約13%、約14%、約15%、約16%、約17%、約18%、約19%、約20%、約21%、約22%、約23%、約24%、約25%、約26%、約27%、約28%、約29%、約30%、約31%、約32%、約33%、約34%、約35%、約36%、約37%、約38%、又は約39%のアラニンを含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される絹フィブロイン様タンパク質は、約2%、約3%、約4%、約5%、約6%、約7%、約8%、約9%、約10%、約11%、約12%、約13%、約14%、約15%、約16%、約17%、約18%、約19%、約20%、約21%、又は約22%のセリンを含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される絹フィブロイン様タンパク質は、天然のフィブロインに含まれることが知られている任意のアミノ酸を独立して含むことができる。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の絹フィブロイン様タンパク質は、天然のフィブロインに含まれることが知られている任意のアミノ酸を独立して含まないことができる。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の絹フィブロイン様タンパク質中、平均して、6アミノ酸のうち2個、6アミノ酸のうち3個、又は6アミノ酸のうち4個がグリシンである。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の絹フィブロイン様タンパク質中、平均して、6アミノ酸のうち1個、6アミノ酸のうち2個、又は6アミノ酸のうち3個がアラニンである。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の絹フィブロイン様タンパク質中、平均して、6アミノ酸のうち0個、6アミノ酸のうち1個、又は6アミノ酸のうち2個がセリンである。
【0165】
SPFの他の性質
本開示の組成物は、「生体適合性」である、又は組成物が、毒性を示さず、有害でなく、生理学的に反応性でもなく且つ免疫学的拒絶も炎症反応も引き起こさないことによって、生体組織又は生体系と適合性であることを意味する「生体適合性」を示す。係る生体適合性は、参加者が、本開示の組成物を長期間に亘って、皮膚に局所的に適用することによって証明することができる。実施形態では、前記長期間は、約3日間である。実施形態では、前記長期間は、約7日間である。実施形態では、前記長期間は、約14日間である。実施形態では、前記長期間は、約21日間である。実施形態では、前記長期間は、約30日間である。実施形態では、前記長期間は、約3日間である。実施形態では、前記長期間は、約1ヶ月間、約2ヶ月間、約3ヶ月間、約4ヶ月間、約5ヶ月間、約6ヶ月間、約7ヶ月間、約8ヶ月間、約9ヶ月間、約10ヶ月間、約11ヶ月間、約12ヶ月間、及び無期限からなる群から選択される。例えば、いくつかの実施形態では、本明細書に記載のコーティングは、生体適合性コーティングである。
【0166】
いくつかの実施形態では、生体適合性組成物(例えば、絹を含む生体適合性コーティング)であり得る本明細書に記載の組成物を評価し、「Biological evaluation of medical devices - Part 1: Evaluation and testing within a risk management process」と題する国際規格ISO 10993-1を遵守することができる。いくつかの実施形態では、生体適合性組成物であり得る本明細書に記載の組成物は、細胞毒性、感作、血液適合性、発熱性、着床、遺伝子毒性、発癌性、生殖及び発生毒性、並びに分解のうちの1以上について、ISO 106993-1の下で評価することができる。
【0167】
本開示の組成物は、「低アレルギー性」であり、これは、それらがアレルギー反応を比較的、引き起こしにくいことを意味する。係る低アレルギー性は、参加者が、本開示の組成物を長期間に亘って、皮膚に局所的に適用することによって証明することができる。実施形態では、前記長期間は、約3日間である。実施形態では、前記長期間は、約7日間である。実施形態では、前記長期間は、約14日間である。実施形態では、前記長期間は、約21日間である。実施形態では、前記長期間は、約30日間である。実施形態では、前記長期間は、約1ヶ月間、約2ヶ月間、約3ヶ月間、約4ヶ月間、約5ヶ月間、約6ヶ月間、約7ヶ月間、約8ヶ月間、約9ヶ月間、約10ヶ月間、約11ヶ月間、約12ヶ月間、及び無期限からなる群から選択される。
【0168】
実施形態では、本開示の組成物の安定性は、約1日間である。実施形態では、本開示の組成物の安定性は、約2日間である。実施形態では、本開示の組成物の安定性は、約3日間である。実施形態では、本開示の組成物の安定性は、約4日間である。実施形態では、本開示の組成物の安定性は、約5日間である。実施形態では、本開示の組成物の安定性は、約6日間である。実施形態では、本開示の組成物の安定性は、約7日間である。実施形態では、本開示の組成物の安定性は、約8日間である。実施形態では、本開示の組成物の安定性は、約9日間である。実施形態では、本開示の組成物の安定性は、約10日間である。
【0169】
実施形態では、本開示の組成物の安定性は、約11日間、約12日間、約13日間、約14日間、約15日間、約16日間、約17日間、約18日間、約19日間、約20日間、約21日間、約22日間、約23日間、約24日間、約25日間、約26日間、約27日間、約28日間、約29日間、又は約30日間である。
【0170】
実施形態では、本開示の組成物の安定性は、10日間~6ヶ月間である。実施形態では、本開示の組成物の安定性は、6ヶ月間~12ヶ月間である。実施形態では、本開示の組成物の安定性は、12ヶ月間~18ヶ月間である。実施形態では、本開示の組成物の安定性は、18ヶ月間~24ヶ月間である。実施形態では、本開示の組成物の安定性は、24ヶ月間~30ヶ月間である。実施形態では、本開示の組成物の安定性は、30ヶ月間~36ヶ月間である。実施形態では、本開示の組成物の安定性は、36ヶ月間~48ヶ月間である。実施形態では、本開示の組成物の安定性は、48ヶ月間~60ヶ月間である。
【0171】
実施形態では、本開示のSPF組成物は、タンパク質の結晶性のために水溶液に可溶ではない。実施形態では、本開示のSPF組成物は、水溶液に可溶である。実施形態では、本開示の組成物のSPFは、約3分の2の結晶部分と、約3分の1のアモルファス領域とを含む。実施形態では、本開示の組成物のSPFは、約2分の1の結晶部分と、約2分の1のアモルファス領域とを含む。実施形態では、本開示の組成物のSPFは、99%の結晶部分と、1%のアモルファス領域とを含む。実施形態では、本開示の組成物のSPFは、95%の結晶部分と、5%のアモルファス領域とを含む。実施形態では、本開示の組成物のSPFは、90%の結晶部分と、10%のアモルファス領域とを含む。実施形態では、本開示の組成物のSPFは、85%の結晶部分と、15%のアモルファス領域とを含む。実施形態では、本開示の組成物のSPFは、80%の結晶部分と、20%のアモルファス領域とを含む。実施形態では、本開示の組成物のSPFは、75%の結晶部分と、25%のアモルファス領域とを含む。実施形態では、本開示の組成物のSPFは、70%の結晶部分と、30%のアモルファス領域とを含む。実施形態では、本開示の組成物のSPFは、65%の結晶部分と、35%のアモルファス領域とを含む。実施形態では、本開示の組成物のSPFは、60%の結晶部分と、40%のアモルファス領域とを含む。実施形態では、本開示の組成物のSPFは、50%の結晶部分と、50%のアモルファス領域とを含む。実施形態では、本開示の組成物のSPFは、40%の結晶部分と、60%のアモルファス領域とを含む。実施形態では、本開示の組成物のSPFは、35%の結晶部分と、65%のアモルファス領域とを含む。実施形態では、本開示の組成物のSPFは、30%の結晶部分と、70%のアモルファス領域とを含む。実施形態では、本開示の組成物のSPFは、25%の結晶部分と、75%のアモルファス領域とを含む。実施形態では、本開示の組成物のSPFは、20%の結晶部分と、80%のアモルファス領域とを含む。実施形態では、本開示の組成物のSPFは、15%の結晶部分と、85%のアモルファス領域とを含む。実施形態では、本開示の組成物のSPFは、10%の結晶部分と、90%のアモルファス領域とを含む。実施形態では、本開示の組成物のSPFは、5%の結晶部分と、90%のアモルファス領域とを含む。実施形態では、本開示の組成物のSPFは、1%の結晶部分と、99%のアモルファス領域とを含む。
【0172】
本明細書においては、用語「無機残留物を実質的に含まない」は、組成物が、0.1%(w/w)以下の残留物を示すことを意味する。実施形態では、無機残留物を実質的に含まないことは、0.05%(w/w)以下の残留物を示す組成物を意味する。実施形態では、無機残留物を実質的に含まないことは、0.01%(w/w)以下の残留物を示す組成物を意味する。実施形態では、無機残留物の量は、0ppm(「検出不能」又は「ND」)~1000ppmである。実施形態では、無機残留物の量は、ND~約500ppmである。実施形態では、無機残留物の量は、ND~約400ppmである。実施形態では、無機残留物の量は、ND~約300ppmである。実施形態では、無機残留物の量は、ND~約200ppmである。実施形態では、無機残留物の量は、ND~約100ppmである。実施形態では、無機残留物の量は、10ppm~1000ppmである。
【0173】
本明細書においては、用語「有機残留物を実質的に含まない」は、組成物が、0.1%(w/w)以下の残留物を示すことを意味する。実施形態では、有機残留物を実質的に含まないことは、0.05%(w/w)以下の残留物を示す組成物を意味する。実施形態では、有機残留物を実質的に含まないことは、0.01%(w/w)以下の残留物を示す組成物を意味する。実施形態では、有機残留物の量は、0ppm(「検出不能」又は「ND」)~1000ppmである。実施形態では、有機残留物の量は、ND~約500ppmである。実施形態では、有機残留物の量は、ND~約400ppmである。実施形態では、有機残留物の量は、ND~約300ppmである。実施形態では、有機残留物の量は、ND~約200ppmである。実施形態では、有機残留物の量は、ND~約100ppmである。実施形態では、有機残留物の量は、10ppm~1000ppmである。
【0174】
本開示の組成物は、「生体適合性」を示し、これは、組成物が、毒性を示さず、有害でなく、生理学的に反応性でもなく且つ免疫学的拒絶も炎症反応も引き起こさないことによって、生体組織又は生体系と適合性であることを意味する。係る生体適合性は、参加者が、本開示の組成物を長期間に亘って、皮膚に局所的に適用することによって証明することができる。実施形態では、前記長期間は、約3日間である。実施形態では、前記長期間は、約7日間である。実施形態では、前記長期間は、約14日間である。実施形態では、前記長期間は、約21日間である。実施形態では、前記長期間は、約30日間である。実施形態では、前記長期間は、約3日間である。実施形態では、前記長期間は、約1ヶ月間、約2ヶ月間、約3ヶ月間、約4ヶ月間、約5ヶ月間、約6ヶ月間、約7ヶ月間、約8ヶ月間、約9ヶ月間、約10ヶ月間、約11ヶ月間、約12ヶ月間、及び無期限からなる群から選択される。
【0175】
本開示の組成物は、「低アレルギー性」であり、これは、それらがアレルギー反応を比較的、引き起こしにくいことを意味する。係る低アレルギー性は、参加者が、本開示の組成物を長期間に亘って、皮膚に局所的に適用することによって証明することができる。実施形態では、前記長期間は、約3日間である。実施形態では、前記長期間は、約7日間である。実施形態では、前記長期間は、約14日間である。実施形態では、前記長期間は、約21日間である。実施形態では、前記長期間は、約30日間である。実施形態では、前記長期間は、約1ヶ月間、約2ヶ月間、約3ヶ月間、約4ヶ月間、約5ヶ月間、約6ヶ月間、約7ヶ月間、約8ヶ月間、約9ヶ月間、約10ヶ月間、約11ヶ月間、約12ヶ月間、及び無期限からなる群から選択される。
【0176】
以下は、本開示の絹溶液中及びその調製のための様々なパラメータに適した範囲の非限定的な例である。本開示の絹溶液は、これらのパラメータの必ずしも全てではなく1以上を含むことができ、係るパラメータの範囲の様々な組合せを使用して調製することができる。
【0177】
実施形態では、溶液中のSPFパーセントは、30.0重量%未満である。実施形態では、溶液中のSPFパーセントは、25.0重量%未満である。実施形態では、溶液中のSPFパーセントは、20.0重量%未満である。実施形態では、溶液中のSPFパーセントは、19.0重量%未満である。実施形態では、溶液中のSPFパーセントは、18.0重量%未満である。実施形態では、溶液中のSPFパーセントは、17.0重量%未満である。実施形態では、溶液中のSPFパーセントは、16.0重量%未満である。実施形態では、溶液中のSPFパーセントは、15.0重量%未満である。実施形態では、溶液中のSPFパーセントは、14.0重量%未満である。実施形態では、溶液中のSPFパーセントは、13.0重量%未満である。実施形態では、溶液中のSPFパーセントは、12.0重量%未満である。実施形態では、溶液中のSPFパーセントは、11.0重量%未満である。実施形態では、溶液中のSPFパーセントは、10.0重量%未満である。実施形態では、溶液中のSPFパーセントは、9.0重量%未満である。実施形態では、溶液中のSPFパーセントは、8.0重量%未満である。実施形態では、溶液中のSPFパーセントは、7.0重量%未満である。実施形態では、溶液中のSPFパーセントは、6.0重量%未満である。実施形態では、溶液中のSPFパーセントは、5.0重量%未満である。実施形態では、溶液中のSPFパーセントは、4.0重量%未満である。実施形態では、溶液中のSPFパーセントは、3.0重量%未満である。実施形態では、溶液中のSPFパーセントは、2.0重量%未満である。実施形態では、溶液中のSPFパーセントは、1.0重量%未満である。実施形態では、溶液中のSPFパーセントは、0.9重量%未満である。実施形態では、溶液中のSPFパーセントは、0.8重量%未満である。実施形態では、溶液中のSPFパーセントは、0.7重量%未満である。実施形態では、溶液中のSPFパーセントは、0.6重量%未満である。実施形態では、溶液中のSPFパーセントは、0.5重量%未満である。実施形態では、溶液中のSPFパーセントは、0.4重量%未満である。実施形態では、溶液中のSPFパーセントは、0.3重量%未満である。実施形態では、溶液中のSPFパーセントは、0.2重量%未満である。実施形態では、溶液中のSPFパーセントは、0.1重量%未満である。
【0178】
実施形態では、溶液中のSPFパーセントは、0.1重量%超である。実施形態では、溶液中のSPFパーセントは、0.2重量%超である。実施形態では、溶液中のSPFパーセントは、0.3重量%超である。実施形態では、溶液中のSPFパーセントは、0.4重量%超である。実施形態では、溶液中のSPFパーセントは、0.5重量%超である。実施形態では、溶液中のSPFパーセントは、0.6重量%超である。実施形態では、溶液中のSPFパーセントは、0.7重量%超である。実施形態では、溶液中のSPFパーセントは、0.8重量%超である。実施形態では、溶液中のSPFパーセントは、0.9重量%超である。実施形態では、溶液中のSPFパーセントは、1.0重量%超である。実施形態では、溶液中のSPFパーセントは、2.0重量%超である。実施形態では、溶液中のSPFパーセントは、3.0重量%超である。実施形態では、溶液中のSPFパーセントは、4.0重量%超である。実施形態では、溶液中のSPFパーセントは、5.0重量%超である。実施形態では、溶液中のSPFパーセントは、6.0重量%超である。実施形態では、溶液中のSPFパーセントは、7.0重量%超である。実施形態では、溶液中のSPFパーセントは、8.0重量%超である。実施形態では、溶液中のSPFパーセントは、9.0重量%超である。実施形態では、溶液中のSPFパーセントは、10.0重量%超である。実施形態では、溶液中のSPFパーセントは、11.0重量%超である。実施形態では、溶液中のSPFパーセントは、12.0重量%超である。実施形態では、溶液中のSPFパーセントは、13.0重量%超である。実施形態では、溶液中のSPFパーセントは、14.0重量%超である。実施形態では、溶液中のSPFパーセントは、15.0重量%超である。実施形態では、溶液中のSPFパーセントは、16.0重量%超である。実施形態では、溶液中のSPFパーセントは、17.0重量%超である。実施形態では、溶液中のSPFパーセントは、18.0重量%超である。実施形態では、溶液中のSPFパーセントは、19.0重量%超である。実施形態では、溶液中のSPFパーセントは、20.0重量%超である。実施形態では、溶液中のSPFパーセントは、25.0重量%超である。
【0179】
実施形態では、溶液中のSPFパーセントは、約0.1重量%~約30.0重量%である。実施形態では、溶液中のSPFパーセントは、約0.1重量%~約25.0重量%である。実施形態では、溶液中のSPFパーセントは、約0.1重量%~約20.0重量%である。実施形態では、溶液中のSPFパーセントは、約0.1重量%~約15.0重量%である。実施形態では、溶液中のSPFパーセントは、約0.1重量%~約10.0重量%である。実施形態では、溶液中のSPFパーセントは、約0.1重量%~約9.0重量%である。実施形態では、溶液中のSPFパーセントは、約0.1重量%~約8.0重量%である。実施形態では、溶液中のSPFパーセントは、約0.1重量%~約7.0重量%である。実施形態では、溶液中のSPFパーセントは、約0.1重量%~約6.5重量%である。実施形態では、溶液中のSPFパーセントは、約0.1重量%~約6.0重量%である。実施形態では、溶液中のSPFパーセントは、約0.1重量%~約5.5重量%である。実施形態では、溶液中のSPFパーセントは、約0.1重量%~約5.0重量%である。実施形態では、溶液中のSPFパーセントは、約0.1重量%~約4.5重量%である。実施形態では、溶液中のSPFパーセントは、約0.1重量%~約4.0重量%である。実施形態では、溶液中のSPFパーセントは、約0.1重量%~約3.5重量%である。実施形態では、溶液中のSPFパーセントは、約0.1重量%~約3.0重量%である。実施形態では、溶液中のSPFパーセントは、約0.1重量%~約2.5重量%である。実施形態では、溶液中のSPFパーセントは、約0.1重量%~約2.0重量%である。実施形態では、溶液中のSPFパーセントは、約0.1重量%~約2.4重量%である。実施形態では、溶液中のSPFパーセントは、約0.5重量%~約5.0重量%である。実施形態では、溶液中のSPFパーセントは、約0.5重量%~約4.5重量%である。実施形態では、溶液中のSPFパーセントは、約0.5重量%~約4.0重量%である。実施形態では、溶液中のSPFパーセントは、約0.5重量%~約3.5重量%である。実施形態では、溶液中のSPFパーセントは、約0.5重量%~約3.0重量%である。実施形態では、溶液中のSPFパーセントは、約0.5重量%~約2.5重量%である。実施形態では、溶液中のSPFパーセントは、約1.0重量%~約4.0重量%である。実施形態では、溶液中のSPFパーセントは、約1.0重量%~約3.5重量%である。実施形態では、溶液中のSPFパーセントは、約1.0重量%~約3.0重量%である。実施形態では、溶液中のSPFパーセントは、約1.0重量%~約2.5重量%である。実施形態では、溶液中のSPFパーセントは、約1.0重量%~約2.4重量%である。実施形態では、溶液中のSPFパーセントは、約1.0重量%~約2.0重量%である。
【0180】
実施形態では、溶液中のSPFパーセントは、約20.0重量%~約30.0重量%である。実施形態では、溶液中のSPFパーセントは、約0.1重量%~約10.0重量%である。実施形態では、溶液中のSPFパーセントは、約1.0重量%~約10.0重量%である。実施形態では、溶液中のSPFパーセントは、約2重量%~約10.0重量%である。実施形態では、溶液中のSPFパーセントは、約0.1重量%~約6.0重量%である。実施形態では、溶液中のSPFパーセントは、約6.0重量%~約10.0重量%である。実施形態では、溶液中のSPFパーセントは、約6.0重量%~約8.0重量%である。実施形態では、溶液中のSPFパーセントは、約6.0重量%~約9.0重量%である。実施形態では、溶液中のSPFパーセントは、約10.0重量%~約20.0重量%である。実施形態では、溶液中のSPFパーセントは、約11.0重量%~約19.0重量%である。実施形態では、溶液中のSPFパーセントは、約12.0重量%~約18.0重量%である。実施形態では、溶液中のSPFパーセントは、約13.0重量%~約17.0重量%である。実施形態では、溶液中のSPFパーセントは、約14.0重量%~約16.0重量%である。実施形態では、溶液中のSPFパーセントは、約1.0重量%である。実施形態では、溶液中のSPFパーセントは、約1.5重量%である。実施形態では、溶液中のSPFパーセントは、約2.0重量%である。実施形態では、溶液中のSPFパーセントは、約2.4重量%である。実施形態では、溶液中のSPFパーセントは、約3.0重量%である。実施形態では、溶液中のSPFパーセントは、約3.5重量%である。実施形態では、溶液中のSPFパーセントは、約4.0重量%である。実施形態では、溶液中のSPFパーセントは、約4.5重量%である。実施形態では、溶液中のSPFパーセントは、約5.0重量%である。実施形態では、溶液中のSPFパーセントは、約5.5重量%である。実施形態では、溶液中のSPFパーセントは、約6.0重量%である。実施形態では、溶液中のSPFパーセントは、約6.5重量%である。実施形態では、溶液中のSPFパーセントは、約7.0重量%である。実施形態では、溶液中のSPFパーセントは、約7.5重量%である。実施形態では、溶液中のSPFパーセントは、約8.0重量%である。実施形態では、溶液中のSPFパーセントは、約8.5重量%である。実施形態では、溶液中のSPFパーセントは、約9.0重量%である。実施形態では、溶液中のSPFパーセントは、約9.5重量%である。実施形態では、溶液中のSPFパーセントは、約10.0重量%である。
【0181】
実施形態では、溶液中のセリシンパーセントは、検出不能~25.0重量%である。実施形態では、溶液中のセリシンパーセントは、検出不能~5.0重量%である。実施形態では、溶液中のセリシンパーセントは、1.0重量%である。実施形態では、溶液中のセリシンパーセントは、2.0重量%である。実施形態では、溶液中のセリシンパーセントは、3.0重量%である。実施形態では、溶液中のセリシンパーセントは、4.0重量%である。実施形態では、溶液中のセリシンパーセントは、5.0重量%である。実施形態では、溶液中のセリシンパーセントは、10.0重量%である。実施形態では、溶液中のセリシンパーセントは、25.0重量%である。
【0182】
いくつかの実施形態では、本開示の絹フィブロインタンパク質断片は、貯蔵条件、絹のパーセント並びに出荷の数及び出荷条件に応じて10日間~3年間の保管安定性を有する(即ち、水溶液中で貯蔵した場合、それらは、徐々に又は自然発生的にゲル化することはなく、断片の凝集及び経時的な分子量の上昇がない)。更に、pHを変化させて、絹の未成熟な折り畳み(folding)及び凝集を防止することによって、保管寿命を延長させることができる及び/又はシッピング条件を支援することができる。実施形態では、LiBr-絹断片溶液の安定性は、0~1年間である。実施形態では、LiBr-絹断片溶液の安定性は、0~2年間である。実施形態では、LiBr-絹断片溶液の安定性は、0~3年間である。実施形態では、LiBr-絹断片溶液の安定性は、0~4年間である。実施形態では、LiBr-絹断片溶液の安定性は、0~5年間である。実施形態では、LiBr-絹断片溶液の安定性は、1~2年間である。実施形態では、LiBr-絹断片溶液の安定性は、1~3年間である。実施形態では、LiBr-絹断片溶液の安定性は、1~4年間である。実施形態では、LiBr-絹断片溶液の安定性は、1~5年間である。実施形態では、LiBr-絹断片溶液の安定性は、2~3年間である。実施形態では、LiBr-絹断片溶液の安定性は、2~4年間である。実施形態では、LiBr-絹断片溶液の安定性は、2~5年間である。実施形態では、LiBr-絹断片溶液の安定性は、3~4年間である。実施形態では、LiBr-絹断片溶液の安定性は、3~5年間である。実施形態では、LiBr-絹断片溶液の安定性は、4~5年間である。
【0183】
実施形態では、本開示の組成物の安定性は、10日間~6ヶ月間である。実施形態では、本開示の組成物の安定性は、6ヶ月間~12ヶ月間である。実施形態では、本開示の組成物の安定性は、12ヶ月間~18ヶ月間である。実施形態では、本開示の組成物の安定性は、18ヶ月間~24ヶ月間である。実施形態では、本開示の組成物の安定性は、24ヶ月間~30ヶ月間である。実施形態では、本開示の組成物の安定性は、30ヶ月間~36ヶ月間である。実施形態では、本開示の組成物の安定性は、36ヶ月間~48ヶ月間である。実施形態では、本開示の組成物の安定性は、48ヶ月間~60ヶ月間である。
【0184】
実施形態では、SPFを有する本開示の組成物は、検出不能なレベルのLiBr残留物を有する。実施形態では、本開示の組成物中のLiBr残留物の量は、10ppm~1000ppmである。実施形態では、本開示の組成物中のLiBr残留物の量は、10ppm~300ppmである。実施形態では、本開示の組成物中のLiBr残留物の量は、25ppm未満である。実施形態では、本開示の組成物中のLiBr残留物の量は、50ppm未満である。実施形態では、本開示の組成物中のLiBr残留物の量は、75ppm未満である。実施形態では、本開示の組成物中のLiBr残留物の量は、100ppm未満である。実施形態では、本開示の組成物中のLiBr残留物の量は、200ppm未満である。実施形態では、本開示の組成物中のLiBr残留物の量は、300ppm未満である。実施形態では、本開示の組成物中のLiBr残留物の量は、400ppm未満である。実施形態では、本開示の組成物中のLiBr残留物の量は、500ppm未満である。実施形態では、本開示の組成物中のLiBr残留物の量は、600ppm未満である。実施形態では、本開示の組成物中のLiBr残留物の量は、700ppm未満である。実施形態では、本開示の組成物中のLiBr残留物の量は、800ppm未満である。実施形態では、本開示の組成物中のLiBr残留物の量は、900ppm未満である。実施形態では、本開示の組成物中のLiBr残留物の量は、1000ppm未満である。実施形態では、本開示の組成物中のLiBr残留物の量は、検出不能~500ppmである。実施形態では、本開示の組成物中のLiBr残留物の量は、検出不能~450ppmである。実施形態では、本開示の組成物中のLiBr残留物の量は、検出不能~400ppmである。実施形態では、本開示の組成物中のLiBr残留物の量は、検出不能~350ppmである。実施形態では、本開示の組成物中のLiBr残留物の量は、検出不能~300ppmである。実施形態では、本開示の組成物中のLiBr残留物の量は、検出不能~250ppmである。実施形態では、本開示の組成物中のLiBr残留物の量は、検出不能~200ppmである。実施形態では、本開示の組成物中のLiBr残留物の量は、検出不能~150ppmである。実施形態では、本開示の組成物中のLiBr残留物の量は、検出不能~100ppmである。実施形態では、本開示の組成物中のLiBr残留物の量は、検出不能~500ppmである。実施形態では、本開示の組成物中のLiBr残留物の量は、100ppm~200ppmである。実施形態では、本開示の組成物中のLiBr残留物の量は、200ppm~300ppmである。実施形態では、本開示の組成物中のLiBr残留物の量は、300ppm~400ppmである。実施形態では、本開示の組成物中のLiBr残留物の量は、400ppm~500ppmである。
【0185】
実施形態では、SPFを有する本開示の組成物は、検出不能なレベルのNaCO残留物を有する。実施形態では、本開示の組成物中のNaCO残留物の量は、100ppm未満である。実施形態では、本開示の組成物中のNaCO残留物の量は、200ppm未満である。実施形態では、本開示の組成物中のNaCO残留物の量は、300ppm未満である。実施形態では、本開示の組成物中のNaCO残留物の量は、400ppm未満である。実施形態では、本開示の組成物中のNaCO残留物の量は、500ppm未満である。実施形態では、本開示の組成物中のNaCO残留物の量は、600ppm未満である。実施形態では、本開示の組成物中のNaCO残留物の量は、700ppm未満である。実施形態では、本開示の組成物中のNaCO残留物の量は、800ppm未満である。実施形態では、本開示の組成物中のNaCO残留物の量は、900ppm未満である。実施形態では、本開示の組成物中のNaCO残留物の量は、1000ppm未満である。実施形態では、本開示の組成物中のNaCO残留物の量は、検出不能~500ppmである。実施形態では、本開示の組成物中のNaCO残留物の量は、検出不能~450ppmである。実施形態では、本開示の組成物中のNaCO残留物の量は、検出不能~400ppmである。実施形態では、本開示の組成物中のNaCO残留物の量は、検出不能~350ppmである。実施形態では、本開示の組成物中のNaCO残留物の量は、検出不能~300ppmである。実施形態では、本開示の組成物中のNaCO残留物の量は、検出不能~250ppmである。実施形態では、本開示の組成物中のNaCO残留物の量は、検出不能~200ppmである。実施形態では、本開示の組成物中のNaCO残留物の量は、検出不能~150ppmである。実施形態では、本開示の組成物中のNaCO残留物の量は、検出不能~100ppmである。実施形態では、本開示の組成物中のNaCO残留物の量は、100ppm~200ppmである。実施形態では、本開示の組成物中のNaCO残留物の量は、200ppm~300ppmである。実施形態では、本開示の組成物中のNaCO残留物の量は、300ppm~400ppmである。実施形態では、本開示の組成物中のNaCO残留物の量は、400ppm~500ppmである。
【0186】
本開示のSPF組成物のユニークな特徴は、貯蔵条件、絹のパーセント並びに出荷の数及び出荷条件に応じて10日間~3年間の保管安定性を有する(即ち、水溶液中で貯蔵した場合、それらは、徐々に又は自然発生的にゲル化することはなく、断片の凝集及び経時的な分子量の上昇がない)。更に、pHを変化させて、絹の未成熟な折り畳み(folding)及び凝集を防止することによって、保管寿命を延長させることができる及び/又はシッピング条件を支援することができる。実施形態では、本開示のSPF溶液組成物は、室温(RT)で、最大2週間の保管安定性を有する。実施形態では、本開示のSPF溶液組成物は、RTで、最大4週間の保管安定性を有する。実施形態では、本開示のSPF溶液組成物は、RTで、最大6週間の保管安定性を有する。実施形態では、本開示のSPF溶液組成物は、RTで、最大8週間の保管安定性を有する。実施形態では、本開示のSPF溶液組成物は、RTで、最大10週間の保管安定性を有する。実施形態では、本開示のSPF溶液組成物は、RTで、最大12週間の保管安定性を有する。実施形態では、本開示のSPF溶液組成物は、RTで、約4週間~約52週間の保管安定性を有する。
以下の表18は、本開示のSPF組成物の実施形態についての保管安定性試験結果を示す。
【表18】
【0187】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の絹フィブロインタンパク質断片に由来する絹フィルムの水溶性は、溶媒アニーリング(水アニーリング又はメタノールアニーリング)、化学架橋、酵素架橋、及び熱処理によって変化させることができる。
【0188】
いくつかの実施形態では、アニーリングのプロセスは、コーティング材料として使用される絹フィブロインタンパク質断片溶液においてベータシート形成を誘導することを伴い得る。アニーリング(例えば、結晶化度の上昇)又は絹フィブロインタンパク質ベースの断片の「分子パッキング」を促進する技術が記載されている。いくつかの実施形態では、アモルファスシルクフィルムは、水又は有機溶媒の群から選択される溶媒の存在下でベータシートを導入するためにアニールされる。いくつかの実施形態では、アモルファスシルクフィルムは、水の存在下でベータシートを導入するためにアニーリングされる(水アニーリングプロセス)。いくつかの実施形態では、アモルファス絹フィブロインタンパク質断片フィルムは、メタノールの存在下でベータシートを導入するためにアニーリングされる。いくつかの実施形態では、アニーリング(例えば、ベータシート形成)は、有機溶媒の添加によって誘導される。好適な有機溶媒としては、メタノール、エタノール、アセトン、イソプロパノール、又はそれらの組合せが挙げられるが、これらに限定されない。
【0189】
いくつかの実施形態では、アニーリングは、いわゆる「水アニーリング」又は「水蒸気アニーリング」によって実施され、水蒸気は、ベータシートのパッキングを促進するための中間可塑剤又は触媒として使用される。いくつかの実施形態では、水アニーリングのプロセスは、真空下で実施することができる。好適な係る方法は、Jin H-J et al. (2005), Water-stable Silk Films with Reduced Beta-Sheet Content, Advanced Functional Materials, 15: 1241-1247; Xiao H. et al. (2011), Regulation of Silk Material Structure by Temperature-Controlled Water Vapor Annealing, Biomacromolecules, 12(5): 1686-1696に記載されている。
【0190】
水アニーリングプロセスの重要な特徴は、絹フィブロインタンパク質断片ペプチド鎖における結晶性ベータシートの形成を促進して、絹フィブロインが連続膜に自己組織化することを可能にすることである。いくつかの実施形態では、絹フィブロインタンパク質断片フィルムの結晶化度は、水蒸気の温度及びアニーリングの持続時間を制御することによって制御される。いくつかの実施形態では、アニーリングは、約65℃~約110℃で行われる。いくつかの実施形態では、水の温度は、約80℃に維持される。いくつかの実施形態では、アニーリングは、約65℃、約70℃、約75℃、約80℃、約85℃、約90℃、約95℃、約100℃、約105℃、及び約110℃の群から選択される温度で実施される。
【0191】
いくつかの実施形態では、アニーリングプロセスは、約1分間~約40分間、約1分間~約50分間、約1分間~約60分間、約1分間~約70分間、約1分間~約80分間、約1分間~約90分間、約1分間~約100分間、約1分間~約110分間、約1分間~約120分間、約1分間~約130分間、約5分間~約40分間、約5分間~約50分間、約5分間~約60分間、約5分間~約70分間、約5分間~約80分間、約5分間~約90分間、約5分間~約100分間、約5分間~約110分間、約5分間~約120分間、約5分間~約130分間、約10分間~約40分間、約10分間~約50分間、約10分間~約60分間、約10分間~約70分間、約10分間~約80分間、約10分間~約90分間、約10分間~約100分間、約10分間~約110分間、約10分間~約120分間、約10分間~約130分間、約15分間~約40分間、約15分間~約50分間、約15分間~約60分間、約15分間~約70分間、約15分間~約80分間、約15分間~約90分間、約15分間~約100分間、約15分間~約110分間、約15分間~約120分間、約15分間~約130分間、約20分間~約40分間、約20分間~約50分間、約20分間~約60分間、約20分間~約70分間、約20分間~約80分間、約20分間~約90分間、約20分間~約100分間、約20分間~約110分間、約20分間~約120分間、約20分間~約130分間、約25分間~約40分間、約25分間~約50分間、約25分間~約60分間、約25分間~約70分間、約25分間~約80分間、約25分間~約90分間、約25分間~約100分間、約25分間~約110分間、約25分間~約120分間、約25分間~約130分間、約30分間~約40分間、約30分間~約50分間、約30分間~約60分間、約30分間~約70分間、約30分間~約80分間、約30分間~約90分間、約30分間~約100分間、約30分間~約110分間、約30分間~約120分間、約30分間~約130分間、約35分間~約40分間、約35分間~約50分間、約35分間~約60分間、約35分間~約70分間、約35分間~約80分間、約35分間~約90分間、約35分間~約100分間、約35分間~約110分間、約35分間~約120分間、約35分間~約130分間、約40分間~約50分間、約40分間~約60分間、約40分間~約70分間、約40分間~約80分間、約40分間~約90分間、約40分間~約100分間、約40分間~約110分間、約40分間~約120分間、約40分間~約130分間、約45分間~約50分間、約45分間~約60分間、約45分間~約70分間、約45分間~約80分間、約45分間~約90分間、約45分間~約100分間、約45分間~約110分間、約45分間~約120分間、及び約45分間~約130分間からなる群から選択される期間継続する。いくつかの実施形態では、アニーリングプロセスは、約1分間~約60分間の期間継続する。いくつかの実施形態では、アニーリングプロセスは、約45分間~約60分間の期間継続する。より長い水アニーリングポストプロセスにより、絹フィブロインタンパク質断片の結晶化度の上昇がもたらされた。
【0192】
いくつかの実施形態では、アニーリングされた絹フィブロインタンパク質断片フィルムは、湿った絹フィブロインタンパク質断片フィルムを100%メタノールに60分間室温で浸漬している。メタノールアニーリングは、絹フィブロインタンパク質断片フィルムの組成を、主にアモルファスのランダムコイルから結晶性の逆平行ベータシート構造に変化させた。
【0193】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のSPFを使用して、メタノールで沈殿させることによりSPF微粒子を調製することができる。代替のフラッシュ乾燥、流動床乾燥、噴霧乾燥、又は真空乾燥を適用して、絹溶液から水を除去することができる。次いで、SPF粉末を、冷蔵又はその他の特別な取扱い手順なしに、保管及び取り扱うことができる。いくつかの実施形態では、SPF粉末は、低分子量の絹フィブロインタンパク質断片を含む。いくつかの実施形態では、SPF粉末は、中分子量の絹フィブロインタンパク質断片を含む。いくつかの実施形態では、SPF粉末は、低分子量の絹フィブロインタンパク質断片と中分子量の絹フィブロインタンパク質断片との混合物を含む。
【0194】
コラーゲンブースティング組成物及びその方法における絹タンパク質断片
本開示は、それを必要とする対象における、コラーゲン発現の刺激又は調節によって軽減される障害、疾患、又は状態の治療又は予防の方法であって、約1kDa~約5kDa、約5kDa~約10kDa、約6kDa~約17kDa、約10kDa~約15kDa、約15kDa~約20kDa、約14kDa~約30kDa、約17kDa~約39kDa、約20kDa~約25kDa、約25kDa~約30kDa、約30kDa~約35kDa、約35kDa~約40kDa、約39kDa~約54kDa、約39kDa~約80kDa、約40kDa~約45kDa、約45kDa~約50kDa、約60kDa~約100kDa、及び約80kDa~約144kDaの平均重量平均分子量と、1~約5の多分散性とを有する絹フィブロイン断片、又は限定するものではないが、本明細書に記載の任意の他の絹タンパク質断片を含む組成物を、前記対象に投与することを含む方法を提供する。絹フィブロイン断片の任意の他の分子量、分子量範囲、及び多分散、又は限定するものではないが、本明細書に記載の任意の他の絹タンパク質断片を、本開示の方法及び組成物に使用することができる。
【0195】
いくつかの実施形態では、組成物は、0~500ppmの臭化リチウムを更に含む。いくつかの実施形態では、組成物は、0~500ppmの炭酸ナトリウムを更に含む。いくつかの実施形態では、絹フィブロイン断片、又は限定するものではないが、本明細書に記載される任意の他の絹タンパク質断片は、1~約1.5の多分散性を有する。いくつかの実施形態では、絹フィブロイン断片、又は限定するものではないが、本明細書に記載される任意の他の絹タンパク質断片は、約1.5~約2.0の多分散性を有する。いくつかの実施形態では、絹フィブロイン断片、又は限定するものではないが、本明細書に記載される任意の他の絹タンパク質断片は、約1.5~約3.0の多分散性を有する。いくつかの実施形態では、絹フィブロイン断片、又は限定するものではないが、本明細書に記載される任意の他の絹タンパク質断片は、約2.0~約2.5の多分散性を有する。いくつかの実施形態では、絹フィブロイン断片、又は限定するものではないが、本明細書に記載される任意の他の絹タンパク質断片は、約2.5~約3.0の多分散性を有する。いくつかの実施形態では、絹フィブロイン断片、又は限定するものではないが、本明細書に記載される任意の他の絹タンパク質断片は、組成物中、組成物の総重量に対して約0.001重量%~約10.0重量%で存在する。いくつかの実施形態では、組成物は、組成物の総重量に対して約0.001%(w/w)~約10%(w/w)のセリシンを更に含む。いくつかの実施形態では、組成物は、絹フィブロイン断片、又は限定するものではないが、本明細書に記載される任意の他の絹タンパク質断片に対して約0.001%(w/w)~約10%(w/w)のセリシンを更に含む。いくつかの実施形態では、絹フィブロイン断片、又は限定するものではないが、本明細書に記載される任意の他の絹タンパク質断片は、組成物に製する前の少なくとも10日間の期間、自然発生的に又は徐々にゲル化せず、水溶液中において、色又は濁度が視覚的に変化しない。いくつかの実施形態では、絹フィブロイン断片、又は限定するものではないが、本明細書に記載される任意の他の絹タンパク質断片は、組成物中、組成物の総重量に対して約0.01重量%~約10.0重量%で存在する。いくつかの実施形態では、絹フィブロイン断片、又は限定するものではないが、本明細書に記載される任意の他の絹タンパク質断片は、組成物中、組成物の総重量に対して約0.01重量%~約1.0重量%で存在する。いくつかの実施形態では、絹フィブロイン断片、又は限定するものではないが、本明細書に記載される任意の他の絹タンパク質断片は、組成物中、組成物の総重量に対して約1.0重量%~約2.0重量%で存在する。いくつかの実施形態では、絹フィブロイン断片、又は限定するものではないが、本明細書に記載される任意の他の絹タンパク質断片は、組成物中、組成物の総重量に対して約2.0重量%~約3.0重量%で存在する。いくつかの実施形態では、絹フィブロイン断片、又は限定するものではないが、本明細書に記載される任意の他の絹タンパク質断片は、組成物中、組成物の総重量に対して約3.0重量%~約4.0重量%で存在する。いくつかの実施形態では、絹フィブロイン断片、又は限定するものではないが、本明細書に記載される任意の他の絹タンパク質断片は、組成物中、組成物の総重量に対して約4.0重量%~約5.0重量%で存在する。いくつかの実施形態では、絹フィブロイン断片、又は限定するものではないが、本明細書に記載される任意の他の絹タンパク質断片は、組成物中、組成物の総重量に対して約5.0重量%~約6.0重量%で存在する。
【0196】
いくつかの実施形態では、組成物は、注射可能な組成物又は局所組成物として製せられる。いくつかの実施形態では、組成物は、限定するものてはないが、コラーゲンをブーストする(例えば、限定するものてはないが、コラーゲン発現を刺激又は調節する)ことなどによって、皮膚の外観及び感触を改善するために製せられる。いくつかの実施形態では、組成物は、皮膚上のコラーゲンをブーストするために製せられる。いくつかの実施形態では、組成物は、皮内のコラーゲンをブーストするために製せられる。いくつかの実施形態では、組成物は、頭皮上のコラーゲンをブーストするために製せられる。いくつかの実施形態では、組成物は、コラーゲンをブーストするための液体溶液として製せられる。いくつかの実施形態では、組成物は、コラーゲンをブーストするためのフィルムとして製せられる。いくつかの実施形態では、組成物は、コラーゲンをブーストするための個体として製せられる。いくつかの実施形態では、組成物は、コラーゲンをブーストするための粉末として製せられる。いくつかの実施形態では、組成物は、コラーゲンをブーストするためのゲルとして製せられる。いくつかの実施形態では、組成物は、コラーゲンをブーストするためのシルクゲルとして製せられる。いくつかの実施形態では、組成物は、コラーゲンをブーストするための、リドカイン含有又は不含シルク/HAゲルとして製せられる。いくつかの実施形態では、組成物は、コラーゲンをブーストするための石鹸として製せられる。いくつかの実施形態では、組成物は、コラーゲンをブーストするためのクリームとして製せられる。いくつかの実施形態では、組成物は、コラーゲンをブーストするためのローションとして製せられる。いくつかの実施形態では、組成物は、コラーゲンをブーストするためのシャンプーとして製せられる。いくつかの実施形態では、組成物は、コラーゲンをブーストするためのコンディショナーとして製せられる。いくつかの実施形態では、組成物は、コラーゲンをブーストするための栄養剤として製せられる。いくつかの実施形態では、組成物は、コラーゲンをブーストするためのマスクとして製せられる。いくつかの実施形態では、組成物は、コラーゲンをブーストするためのオーバー・ザ・カウンター製品として製せられる。いくつかの実施形態では、組成物は、コラーゲンをブーストするための医薬として製せられる。いくつかの実施形態では、組成物は、コラーゲンをブーストするための治療薬として製せられる。いくつかの実施形態では、組成物は、コラーゲンをブーストするための絹コーティング織物として製せられる。いくつかの実施形態では、組成物は、コラーゲンをブーストするための絹コーティング不織材料として製せられる。
【0197】
いくつかの実施形態では、組成物は、薬学的に許容される担体を更に含む。いくつかの実施形態では、組成物は、皮膚科学的に許容される担体を更に含む。いくつかの実施形態では、組成物は、注射可能な許容可能な担体を更に含む。いくつかの実施形態では、薬学的に許容される担体は、懸濁液、乳濁液、粉末、溶液、分散液、又はエリキシルのうちの1以上を含む。いくつかの実施形態では、薬学的に許容される担体は、ゲル、ゼリー、クリーム、ローション、フォーム、スラリー、軟膏、オイル、ペースト、坐剤、スプレー、半固体組成物、固体組成物、スティック、又はムースのうちの1以上を含む又は製せられる。いくつかの実施形態では、薬学的に許容される担体は、ゴマ油、コーン油、綿実油、又は落花生油のうちの1以上を含む。いくつかの実施形態では、薬学的に許容される担体は、マンニトール又はデキストロースのうちの1以上を含む。いくつかの実施形態では、薬学的に許容される担体は、約0.001%~約10%(w/v)のヒアルロン酸を含む。いくつかの実施形態では、薬学的に許容される担体は、約1%~約10%(w/v)、約10%~約25%(w/v)、約25%~約50%(w/v)、又は約50%~約99.99%(w/v)のヒアルロン酸を含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるHAは、100,000ダルトン以上、150,000ダルトン以上、100万ダルトン以上、又は200万ダルトン以上の分子量を有する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるHAは、100,000ダルトン以下、150,000ダルトン以下、100万ダルトン以下、又は200万ダルトン以下の分子量を有する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のHAは、高分子量(例えば、約1MDa~約4MDaのHA分子量)を有する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるHAは、低分子量(例えば、約1MDa未満のHA分子量)を有する。いくつかの実施形態では、HA源は、例えば、ヒアルロン酸ナトリウムなどのヒアルロン酸塩であることができる。いくつかの実施形態では、HAは架橋されている。架橋HAは、膜、ゲル、セミゲル、スポンジ、又はミクロスフェアなど、様々な形状に製することができる。いくつかの実施形態では、架橋されたHAは、流体ゲル形態である、即ち、その容器の形状になる。HAゲル又はセミゲルの粘度は、非コンジュゲートHA及び/又はヒアルロネートの添加によって変えることができる。粘度は、本明細書に記載されるように、SPF-SPF、SPF-HA、及び/又はHA-HA架橋の程度を変えることによって調整することもできる。いくつかの実施形態では、HAの約4%~約12%が、HA-HA又はHA-SPFとして架橋され得る。
【0198】
いくつかの実施形態では、薬学的に許容される担体は、脂肪族油、脂肪アルコール、脂肪酸、グリセリド、アシルグリセロール、及びリン脂質のうちの1以上を含む。いくつかの実施形態では、薬学的に許容される担体は、モノグリセリド、ジグリセリド、又はトリグリセリドのうちの1以上を含む。いくつかの実施形態では、薬学的に許容される担体は、水相を含む。いくつかの実施形態では、薬学的に許容される担体は、水中油型エマルジョン又は油中水型エマルジョンを含む。いくつかの実施形態では、薬学的に許容される担体は、炭化水素油、脂肪酸、脂肪酸油、脂肪酸エステル、又はカチオン性第4級アンモニウム塩のうちの1以上を含む。いくつかの実施形態では、薬学的に許容される担体の一部は、ポリエポキシリンカー、ジエポキシリンカー、ポリエポキシ-PEG、ジエポキシ-PEG、ポリグリシジル-PEG、ジグリシジル-PEG、ポリアクリレートPEG、ジアクリレートPEG、1,4-ビス(2,3-エポキシプロポキシ)ブタン、1,4-ビスグリシジルオキシブタン、ジビニルスルホン(DVS)、1,4-ブタンジオールジグリシジルエーテル(BDDE)、UV光、グルタルアルデヒド、1,2-ビス(2,3-エポキシプロポキシ)エチレン(EGDGE)、1,2,7,8-ジエポキシオクタン(DEO)、ビスカルボジイミド(BCDI)、ペンタエリスリトールテトラグリシジルエーテル(PETGE)、アジピン酸ジヒドラジド(ADH)、ビス(スルホスクシンイミジル)スベレート(BS)、ヘキサメチレンジアミン(HMDA)、1-(2,3-エポキシプロピル)-2,3-エポキシシクロヘキサン、カルボジイミド、及びそれらの任意の組合せから選択される架橋剤、架橋前駆体、又は活性化剤で修飾される。いくつかの実施形態では、ポリエポキシリンカーは、1,4-ブタンジオールジグリシジルエーテル(BDDE)、エチレングリコールジグリシジルエーテル(EGDGE)、1,6-ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリテトラメチレングリコールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル、ジグリセロールポリグリシジルエーテル、グリセロールポリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル、及びソルビトールポリグリシジルエーテルから選択される。
【0199】
いくつかの実施形態では、組成物は、麻酔薬化合物を更に含む。いくつかの実施形態では、化合物は、ベンゾカイン、クロロプロカイン、コカイン、シクロメチカイン、ジメトカイン、ピペロカイン、プロポキシカイン、プロカイン、プロパラカイン、テトラカイン、アルチカイン、ブピバカイン、シンコカイン、エチドカイン、レボブピバカイン、リドカイン、メピバカイン、プリロカイン、ロピバカイン、及びトリメカインから選択される。いくつかの実施形態では、組成物は、リドカインを更に含む。いくつかの実施形態では、組成物中のリドカインの濃度は、0.01%の任意の増分を含めて、約0.01%~約1%である。いくつかの実施形態では、組成物中のリドカインの濃度は、約0.3%である。
【0200】
特定の実施形態では、本明細書に記載の組成物は、組成物注射部位での痛み又は不快感を改善又は軽減するのに有効な量の1以上の麻酔薬を含むことができる。局所麻酔薬は、アンブカイン、アモラノン、アミロカイン、ベノキシネート、ベンゾカイン、ベトキシカイン、ビフェナミン、ブピバカイン、ブタカイン、ブタンベン、ブタニリカイン、ブテタミン、ブトキシカイン、カルチカイン、クロロプロカイン、コカエチレン、コカイン、シクロメチカイン、ジブカイン、ジメチソキン、ジメトカイン、ジペロドン、ジシクロミン、エクゴニジン、エクゴニン、塩化エチル、エチドカイン、ベータ-ユーカイン、ユープロシン、フェナルコミン、フォルモカイン、ヘキシルカイン、ヒドロキシテトラカイン、イソブチルp-アミノ安息香酸、ロイシノカインメシレート、レボキサドロール、リドカイン、メピバカイン、メプリルカイン、メタブトキシカイン、塩化メチル、ミルテカイン、ネパイン、オクタカイン、オルソカイン、オキセタザイン、パレトキシカイン、フェナカイン、フェノール、ピペロカイン、ピリドカイン、ポリドカノール、プラモキシン、プリロカイン、プロカイン、プロパノカイン、プロパラカイン、プロピポカイン、プロポキシカイン、シュードコカイン、ピロカイン、ロピバカイン、サリチルアルコール、テトラカイン、トリカイン、トリメカイン、ゾラミン、及びそれらの塩からなる群から選択することができる。
【0201】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される組成物は、約0.01%~約0.02%、又は約0.03%~約0.04%、又は約0.05%~約0.06%~約0.07%、又は約0.08%~約0.09%、又は約0.1%~約0.2%、又は約0.3%~約0.4%、又は約0.5%~約0.6%、又は約0.7%~約0.8%、又は約0.9%~約1.0%、又は約1%~約1.5%、又は約1.5%~約2.0%、又は約2.0%~約2.5%、又は約2.5%~約3.0%、又は約3.0%~約3.5%、又は約3.5%~約4.0%、又は約4.0%~約4.5%、又は約4.5%~約5.0%、又は約5.0%~約5.5%、又は約5.5%~約6.0%、又は約6.0%~約6.5%、又は約6.5%~約7.0%、又は約7.5%~約8.0%、又は約8.0%~約8.5%、又は約8.5%~約9.0%、又は約9.5%~約10%の重量濃度で、リドカイン又は本明細書に記載される他の麻酔薬を含むことができる。
【0202】
いくつかの実施形態では、薬学的に許容される担体は、ゲルを含む、又はゲルとして製せられる。ゲルは、注射可能なゲル、例えば、限定するものではないが、組織フィラー又は局所投与用ゲルであることができる。好適なゲルは、例えば、参照により本明細書に援用する国際公開第2019005848号に記載される。いくつかの実施形態では、ゲルは、絹フィブロイン若しくは絹フィブロイン断片、又は本明細書に記載の任意の他のSPF、ヒアルロン酸(HA)、及びポリエチレングリコール(PEG)及び/又はポリプロピレングリコール(PPG)を含む。いくつかの実施形態では、HAの一部は、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリプロピレングリコール(PPG)、及び第2級アルコールのうちの1以上を含む1以上のリンカー部分によって修飾又は架橋され、リンカー部分は、リンカーの一端でHAに結合する。いくつかの実施形態では、絹フィブロイン若しくは絹フィブロイン断片、又は本明細書に記載の任意の他のSPFの一部は、修飾又は架橋されている。いくつかの実施形態では、絹フィブロイン若しくは絹フィブロイン断片、又は本明細書に記載の任意の他のSPFの一部は、遊離している。いくつかの実施形態では、絹フィブロイン若しくは絹フィブロイン断片、又は本明細書に記載の任意の他のSPFの一部は、HAに架橋されている。いくつかの実施形態では、絹フィブロイン若しくは絹フィブロイン断片、又は本明細書に記載の任意の他のSPFの一部は、絹フィブロイン若しくは絹フィブロイン断片、又は本明細書に記載の任意の他のSPFに架橋されている。いくつかの実施形態では、絹フィブロイン又は絹フィブロイン断片は、実質的にセリシンを欠いている。いくつかの実施形態では、ゲルは、約5%、約6%、約7%、約8%、約9%、約10%、約11%、約12%、約13%、約14%、又は約15%の修飾度(MoD)を有する。いくつかの実施形態では、修飾又は架橋は、架橋剤として、ジエポキシ-PEG、ポリグリシジル-PEG、ジグリシジル-PEG、ジエポキシ-PPG、ポリグリシジル-PPG、ジグリシジル-PPG、又はそれらの任意の組合せを使用して得られる。いくつかの実施形態では、修飾又は架橋は、約200Da、約500Da、1000Da、約2000Da、又は約6000DaのMWを有するポリエチレングリコールジグリシジルエーテルを使用して得られる。いくつかの実施形態では、修飾又は架橋は、約380Da又は約640DaのMWを有するポリプロピレングリコールジグリシジルエーテルを使用して得られる。いくつかの実施形態では、ゲルは、ヒドロゲルである。いくつかの実施形態では、ゲルは、水を更に含む。いくつかの実施形態では、ゲルは単相である。いくつかの実施形態では、ゲル中のHA及び絹の総濃度は、約18mg/mL、約19mg/mL、約20mg/mL、約21mg/mL、約22mg/mL、約23mg/mL、約24mg/mL、約25mg/mL、約26mg/mL、約27mg/mL、約28mg/mL、約29mg/mL、又は約30mg/mLである。いくつかの実施形態では、ゲル中の絹フィブロイン又は絹フィブロイン断片に対するHAの比は、約92/8、約93/7、約94/6、約95/5、約96/4、約97/3、約18/12、約27/3、約29.4/0.6、約99/1、約92.5/7.5、又は約90/10である。いくつかの実施形態では、ゲルは、真皮フィラーである。いくつかの実施形態では、ゲルは、生分解性である。いくつかの実施形態では、ゲルは、注射可能である。いくつかの実施形態では、ゲルは、30G又は27Gの針を通して注射可能である。いくつかの実施形態では、ゲルは、約5Pa~約500Paの貯蔵弾性率(G’)を有する。いくつかの実施形態では、G’は、約1Hz、約5Hz、又は約10Hzの振動応力で測定される。いくつかの実施形態では、ゲルは、約1Pa・s~約10Pa・sまでの複素粘度を有する。いくつかの実施形態では、複素粘度は、約1Hz、約5Hz、又は約10Hzの振動応力で測定される。いくつかの実施形態では、ゲルは、ヒアルロン酸(HA)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、デンプン、アルギネート、コンドロイチン-4-硫酸塩、コンドロイチン-6-硫酸塩、キサンタンガム、キトサン、ペクチン、寒天、カラギーナン、及びグアーガムからなる群から選択されるグリコサミノグリカンを含む。
【0203】
いくつかの実施形態では、組成物は、非経口投与される。いくつかの実施形態では、組成物は、注射可能な組成物である。いくつかの実施形態では、組成物は、注射によって投与される。いくつかの実施形態では、組成物は、皮下注射、皮内注射、経皮注射、又は真皮下注射によって投与される。いくつかの実施形態では、組成物は、筋肉内注射、静脈内注射、腹腔内注射、骨内注射、心臓内注射、関節内注射、又は海綿体内注射によって投与される。いくつかの実施形態では、組成物は、デポー注射によって投与される。いくつかの実施形態では、組成物は、浸潤注射によって投与される。いくつかの実施形態では、組成物は、留置カテーテルによって投与される。いくつかの実施形態では、組成物又はその一部は、生体適合性、生分解性、生体吸収性、生体再吸収性、又はそれらの組合せである。いくつかの実施形態では、本明細書に提供される組成物は、流体成分、例えば、単一の流体又は実質的に1以上の流体を含む溶液を含む。いくつかの実施形態では、組成物は、水又は水溶液を含む。いくつかの実施形態では、組成物は、例えば、組織の外科的切除後など、当技術分野で知られた任意の手段によって、皮下に注射可能、移植可能、又は送達可能である。いくつかの実施形態では、組成物は、皮膚フィラーである。いくつかの実施形態では、組成物は、無菌である。
【0204】
実施形態では、本明細書に記載の組成物中の重量パーセント含水量は、約1%、又は約2%、又は約3%、又は約4%、又は約5%、又は約6%、又は約7%、又は約8%、又は約9%、又は約10%、又は約11%、又は約12%、又は約13%、又は約14%、又は約15%、又は約16%、又は約17%、又は約18%、又は約19%、又は約20%、又は約21%、又は約22%、又は約23%、又は約24%、又は約25%、又は約26%、又は約27%、又は約28%、又は約29%、又は約30%、又は約31%、又は約32%、又は約33%、又は約34%、又は約35%、又は約36%、又は約37%、又は約38%、又は約39%、又は約40%、又は約41%、又は約42%、又は約43%、又は約44%、又は約45%、又は約46%、又は約47%、又は約48%、又は約49%、又は約50%、又は約51%、又は約52%、又は約53%、又は約54%、又は約55%、又は約56%、又は約57%、又は約58%、又は約59%、又は約60%、又は約61%、又は約62%、又は約63%、又は約64%、又は約65%、又は約66%、又は約67%、又は約68%、又は約69%、又は約70%、又は約71%、又は約72%、又は約73%、又は約74%、又は約75%、又は約76%、又は約77%、又は約78%、又は約79%、又は約80%、又は約81%、又は約82%、又は約83%、又は約84%、又は約85%、又は約86%、又は約87%、又は約88%、又は約89%、又は約90%、又は約91%、又は約92%、又は約93%、又は約94%、又は約95%である。
【0205】
いくつかの実施形態では、組成物は、コラーゲン発現をブーストすることに加えて、軟組織内及びその周辺に投与して、ボリュームを与え、支持を与え、又は軟組織欠損を治療することができる。本明細書に記載の組成物は、真皮下の複数レベルに投与することができる。本明細書においては、用語「軟組織」は、体の他の構造及び器官を結合、支持、又は囲むものを意味することができる。例えば、本明細書に記載の軟組織は、限定するものではないが、皮膚、真皮組織、真皮下組織(subdermal tissues)、皮膚組織、皮下組織、硬膜内組織、筋肉、腱、靭帯、線維組織、脂肪、血管や動脈、神経、及び滑膜(皮内)組織を含むことができる。いくつかの実施形態では、本開示は、個体の軟組織状態を治療する方法であって、本明細書に開示される1以上の組成物を前記個体の軟組織状態の部位に投与することを含み、前記組成物の投与が、前記軟組織状態を改善して前記軟組織状態を治療する方法を提供する。いくつかの実施形態では、軟組織状態は、乳房組織の状態、顔面組織の状態、頸部の状態、皮膚の状態、上腕の状態、下腕の状態、手の状態、肩の状態、背部の状態、腹部を含む胴体の状態(torso including abdominal condition)、臀部の状態、上腿の状態、脹脛の状態を含む下腿の状態、足底脂肪体の状態を含む足の状態、眼の状態、生殖器の状態、又は体の別の部分、領域、若しくは場所に影響を与える状態である。
【0206】
いくつかの実施形態では、本開示は、限定するものではないが、表皮-真皮接合部を含む皮膚の領域、並びに表層真皮(乳頭領域)及び深部真皮(網状領域)を含む真皮を含む真皮領域に関する組成物及び治療方法を提供する。皮膚は、3つの主要な層で構成される。即ち、防水性を提供し、感染に対するバリアとして機能する表皮、皮膚の付属器官の場所として機能する真皮、及び皮下組織(皮下脂肪層)の3層から構成される。表皮には血管がなく、真皮からの拡散によって栄養が与えられる。表皮を構成する主な種類の細胞は、ケラチノサイト、メラノサイト、ランゲルハンス細胞、及びメルケル細胞である。
【0207】
実施形態では、本明細書に記載の組成物を、それを必要とする患者の1以上の状態を治療する方法に提供することができる。いくつかの実施形態では、治療有効量の組成物を、状態又は他の組織欠損を治療するために、それを必要とする患者の組織に送達することができる。
【0208】
本明細書においては、用語「治療している」、「治療する」、又は「治療」は、患者において、軟組織状態などの状態の美容的又は臨床的症状を軽減又は排除すること、又は個体において、状態の美容的又は臨床的症状の発症を遅延又は予防することを意味する。
【0209】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の組成物によって治療される状態は、軟組織の状態を含むことができる。軟組織の状態としては、限定するものではないが、身体の一部、部分、又は領域のオーグメンテーション、再建、疾患、障害、欠陥、又は不完全性が挙げられる。一態様では、開示の組成物によって治療される軟組織の状態は、限定するものではないが、顔面のオーグメンテーション、顔面の再建、顔面の疾患、顔面の障害、顔面の欠陥、又は顔面の不完全性を含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の組成物によって治療される軟組織の状態は、限定するものではないが、皮膚の脱水、皮膚弾力の欠如、肌荒れ、皮膚の張りの欠如、皮膚のストレッチライン又はマーク、皮膚の蒼白、皮膚ディボット(dermal divot)、窪んだ頬、窪んだこめかみ、薄い唇、尿道の欠陥、皮膚の欠陥、乳房の欠陥、後眼窩欠陥、顔面の折り目、又は皺を含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の組成物によって治療される軟組織の状態としては、限定するものではないが、乳房の不完全性、欠陥、疾患、及び/又は障害、例えば、豊胸、乳房再建、乳房固定、小乳房症、胸部発育不全、ポーランド症候群、莢膜収縮及び/又は破裂などのインプラント合併症に起因する欠陥;顔面の不完全性、欠陥、疾患、又は障害、例えば、顔面のオーグメンテーション、顔面再建、パリー・ロムベルグ症候群、深在性エリテマトーデス、皮膚ディボット、窪んだ頬、窪んだこめかみ、薄い唇、鼻部の不完全性又は欠陥、後眼窩不完全性又は欠陥、顔面の折り目、ライン、又は皺、例えば、眉間ライン、鼻唇ライン、口周囲ライン、及び/又はマリオネットラインなど、及び/又は顔面の他の輪郭変形又は不完全性;頸部の不完全性、欠陥、疾患、又は障害;皮膚の不完全性、欠陥、疾患、及び/又は障害;他の軟組織の不完全性、欠陥、疾患、及び/又は障害、例えば、上腕、下腕、手部、肩部、背部、腹部、臀部、上腿、ふくらはぎを含む下腿、足底脂肪体を含む足部、眼球、生殖器、又は他の身体の一部、部分、又は領域を含む胴体のオーグメンテーション又は再建、又はこれらの身体の一部、部分、又は領域に影響をおよぼす疾患又は障害;尿失禁、便失禁、他の失禁形態;及び胃食道逆流症(GERD)が挙げられる。
【0210】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の組成物は、限定するものではないが、皮膚、真皮組織、真皮下組織、皮膚組織、皮下組織、硬膜内組織、筋肉、腱、靭帯、線維組織、脂肪、血管、動脈、神経、及び滑膜(皮内)組織を含む軟組織に送達することができる。
【0211】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の組成物は、細胞接着、遊走、及び増殖シグナルと共に人工生分解性マトリックスを提供することによって、創傷内に直接配置して治癒を助けることができる。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の組成物は、生分解性メッシュ又は他の移植材料上にコーティングすることができる、又はそれ自体をシート又は他の構造に形成することができる、又は水和形態で維持することができる。
【0212】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される方法のいずれかで使用される組成物の量は、所望の変化及び/又は改善、所望の状態症状の低減及び/又は排除、個人及び/又は医師によって所望される臨床的及び/又は美容的効果、及び治療される身体部分又は領域に基づいて決定される。組成物投与の有効性は、以下の臨床的及び/又は美容的尺度の1以上によって表すことができる:軟組織形状の変化及び/又は改善、軟組織サイズの変化及び/又は改善、軟組織輪郭の変化及び/又は改善、組織機能の変化及び/又は改善、組織内部成長サポート、及び/又は新たなコラーゲン沈着、組成物の持続移植、患者の満足度及び/又は生活の質の改善、及び移植可能異物の使用の低減。例えば、豊胸の手順について、組成物及び方法の有効性は、以下の臨床的及び/又は美容的尺度の1以上によって表すことができる:乳房サイズの増大、乳房形状の変化、乳房輪郭の変化、持続生着、莢膜収縮のリスク低減、リポネクローシスによる嚢胞形成速度を低下、患者の満足度及び/又は生活の質を改善、及び乳房インプラントの使用の低減。
【0213】
いくつかの実施形態では、組成物を投与することにより、対象における1以上のメタロプロテイナーゼ(MMP)の発現を低減する。いくつかの実施形態では、コラーゲン発現を刺激又は調節することは、コラーゲン発現を上昇させることを含む。
【0214】
いくつかの実施形態では、コラーゲン発現は、ベースレベルに対して、約1%、約2%、約3%、約4%、約5%、約6%、約7%、約8%、約9%、約10%、約11%、約12%、約13%、約14%、約15%、約16%、約17%、約18%、約19%、約20%、約21%、約22%、約23%、約24%、約25%、約26%、約27%、約28%、約29%、約30%、約31%、約32%、約33%、約34%、約35%、約36%、約37%、約38%、約39%、約40%、約41%、約42%、約43%、約44%、約45%、約46%、約47%、約48%、約49%、約50%、約51%、約52%、約53%、約54%、約55%、約56%、約57%、約58%、約59%、約60%、約61%、約62%、約63%、約64%、約65%、約66%、約67%、約68%、約69%、約70%、約71%、約72%、約73%、約74%、約75%、約76%、約77%、約78%、約79%、約80%、約81%、約82%、約83%、約84%、約85%、約86%、約87%、約88%、約89%、約90%、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%、約99%、又は約100%上昇する。
【0215】
いくつかの実施形態では、コラーゲン発現は、ベースレベルに対して、約101%、約102%、約103%、約104%、約105%、約106%、約107%、約108%、約109%、約110%、約111%、約112%、約113%、約114%、約115%、約116%、約117%、約118%、約119%、約120%、約121%、約122%、約123%、約124%、約125%、約126%、約127%、約128%、約129%、約130%、約131%、約132%、約133%、約134%、約135%、約136%、約137%、約138%、約139%、約140%、約141%、約142%、約143%、約144%、約145%、約146%、約147%、約148%、約149%、約150%、約151%、約152%、約153%、約154%、約155%、約156%、約157%、約158%、約159%、約160%、約161%、約162%、約163%、約164%、約165%、約166%、約167%、約168%、約169%、約170%、約171%、約172%、約173%、約174%、約175%、約176%、約177%、約178%、約179%、約180%、約181%、約182%、約183%、約184%、約185%、約186%、約187%、約188%、約189%、約190%、約191%、約192%、約193%、約194%、約195%、約196%、約197%、約198%、約199%、又は約200%上昇する。
【0216】
いくつかの実施形態では、コラーゲン発現は、ベースレベルに対して、約225%、又は約250%、又は約275%、又は約300%、又は約325%、又は約350%、又は約375%、又は約400%、又は約425%、又は約450%、又は約475%、又は約500%、又は約525%、又は約550%、又は約575%、又は約600%、又は約625%、又は約650%、又は約675%、又は約700%、又は約725%、又は約750%、又は約775%、又は約800%、又は約825%、又は約850%、又は約875%、又は約900%、又は約925%、又は約950%、又は約975%、又は約1000%上昇する。
【0217】
いくつかの実施形態では、組成物を投与することにより、対象における皺の予防又は改善、対象における加齢性色素斑の予防又は改善、対象における乾燥肌の予防又は改善、対象における不均一な皮膚の色調の上昇、又は皮膚の外観及び感触の改善の1以上がもたらされる。皮膚の外観及び感触の改善は、限定するものではないが、損傷した皮膚の外観及び感触を改善するだけでなく、視覚的には損傷していない皮膚の外観及び感触を改善することも含む。いくつかの実施形態では、組成物を投与することにより、対象における皮膚のたるみの予防又は改善、対象における皮膚の老化の予防又は改善、対象における皮膚の引張強度の低下の予防又は改善、対象における光損傷した皮膚の予防又は改善、又は対象における皮膚伸展線条(ストレッチマーク)の予防又は改善の1以上がもたらされる。いくつかの実施形態では、障害、疾患、又は状態は、皺、加齢性色素斑、乾燥肌、不均一な皮膚の色調、皮膚のたるみ、皮膚の老化、皮膚の引張強度の低下、光損傷した皮膚、又は皮膚伸展線条(ストレッチマーク)を含む。いくつかの実施形態では、障害、疾患、又は状態は、皮膚の状態を含む。いくつかの実施形態では、皮膚の状態は、皮膚の脱水、皮膚弾力の欠如、肌荒れ、皮膚の張りの欠如、皮膚のストレッチライン、皮膚のストレッチマーク、皮膚の蒼白、皮膚ディボット、窪んだ頬、窪んだこめかみ、薄い唇、後眼窩欠陥、顔面の折り目、又は皺であることができる。
【0218】
いくつかの実施形態では、開示される治療方法は、オーグメンテーション、再建、疾患の治療、障害の治療、身体の一部、部分、又は領域の欠陥又は不完全性の治療である。いくつかの実施形態では、開示される治療方法は、顔面のオーグメンテーション、顔面の再建、顔面の疾患の治療、顔面の障害の治療、顔面の欠陥の治療、又は顔面の不完全性の治療である。
【0219】
いくつかの実施形態では、提供される治療方法は、レーザー治療前後又はレーザー治療中に本開示の組成物を投与すること、皮膚剥離前後又は皮膚剥離中に本開示の組成物を投与すること、放射線治療前後又は放射線治療中に本開示の組成物を投与することの1以上を含む。いくつかの実施形態では、提供される治療方法は、火傷、限定するものではないが、任意のタイプの火傷(例えば、熱傷、日焼け、火による火傷、熱水火傷、放射線熱傷、化学火傷など)を含む火傷を治療するために本開示の組成物を投与することの1以上を含む。いくつかの実施形態では、提供される治療方法は、限定するものではないが、第1度、第2度、又は第3度の火傷を含む火傷を治療するために、本開示の組成物を投与することの1以上を含む。いくつかの実施形態では、提供される治療方法は、加齢による皮膚状態を治療するための本開示の組成物を投与することの1以上を含む。
【0220】
いくつかの実施形態では、障害、疾患、又は状態は、甲状腺ホルモン誘発性心筋肥大を含む。いくつかの実施形態では、障害、疾患、又は状態は、腱の断裂、損傷、又は裂傷を含む。いくつかの実施形態では、腱は、小円筋腱、棘下筋腱、棘上筋腱、肩甲下筋腱、三角筋腱、二頭筋腱、三頭筋腱、腕橈骨筋腱、回外筋腱、橈側手根屈筋腱、尺側手根屈筋腱、長橈側手根伸筋腱、短橈側手根伸筋腱、腸腰筋腱、内閉鎖筋腱、長内転筋腱、腓骨又はマグナス筋腱、大殿筋又は中殿筋腱、四頭筋腱、膝蓋腱、膝窩腱、縫工筋腱、腓腹筋腱、アキレス腱、ヒラメ筋腱、前脛骨筋腱、長腓骨筋腱、長指屈筋腱、骨間筋腱、深指屈筋腱、小趾外転筋腱、母指対立筋腱、長母指屈筋腱、母指伸筋又は外転筋腱(Extensor or abductor pollicis tendons)、長母趾屈筋腱、短趾屈筋腱、中様筋腱、母趾外転筋腱、長趾屈筋腱、小趾外転筋腱、眼筋腱、眼瞼挙筋腱、咬筋腱、側頭筋腱、僧帽筋腱、胸鎖乳突筋腱、頭半棘筋又は頭板状筋腱、顎舌骨筋又は甲状舌骨筋腱、胸骨舌骨筋腱、腹直筋腱、外腹斜筋腱、腹横筋腱、広背筋腱、及び脊柱起立筋腱から選択される。幾つかの実施形態では、障害、疾患、又は状態は、ウェルナー症候群を含む。いくつかの実施形態では、障害、疾患、又は状態は、糖尿病性の皮膚完全性の低下を含む。いくつかの実施形態では、障害、疾患、又は状態は、関節炎を含む。いくつかの実施形態では、障害、疾患、又は状態は、関節リウマチを含む。いくつかの実施形態では、障害、疾患、又は状態は、腫瘍の進行又は腫瘍の成長を含む。いくつかの実施形態では、障害、疾患、又は状態は、心機能の低下を含む。いくつかの実施形態では、障害、疾患、又は状態は、エーラス・ダンロス症候群を含む。いくつかの実施形態では、障害、疾患、又は状態は、腹部大動脈瘤を含む。いくつかの実施形態では、障害、疾患、又は状態は、創傷を含む。いくつかの実施形態では、障害、疾患、又は状態は、皮膚又は結合組織の疾患を含む。いくつかの実施形態では、障害、疾患、又は状態は、軟骨の疾患を含む。いくつかの実施形態では、障害、疾患、又は状態は、再発性多発軟骨炎、ティーツェ症候群、蜂巣炎、エーラス・ダンロス症候群、ケロイド(にきびケロイドを含む)、ムコポリサダリドーシスI(mucopolysaddaridosis I)、壊死性障害(環状肉芽腫、リポイド類壊死症を含む)、骨形成不全症、皮膚弛緩症、皮膚筋炎、デュピュイトラン拘縮、ホモシスチン尿症、エリテマトーデス(皮膚、円板状、深在性、全身性、及び腎炎を含む)、マルファン症候群、混合性結合組織疾患、ムチン沈着症(濾胞性を含む)、ムコ多糖症(I、II、UU、IV、IV、及びVII)、粘液水腫、成年性浮腫性硬化症及び滑液嚢腫、結合組織新生物、ヌーナン症候群、骨斑紋症、硬結性紅斑を含む脂肪織炎、結節性非化膿性及び腹膜(nodular nonsuppurative and peritoneal)、陰茎硬化症、弾性線維性仮性黄色腫、関節炎を含むリウマチ性疾患(関節リウマチ、若年性関節リウマチ、カプラン症候群、フェルティ症候群、リウマトイド結節、強直性脊椎炎、及びスチル病を含む)、骨増殖症、リウマチ性多発筋痛症、限局性強皮症、及び全身性強皮症(CREST症候群)から選択される。いくつかの実施形態では、障害、疾患、又は状態は、好酸球性血管リンパ球増殖症;瘢痕(cicatix)(肥大を含む);皮膚瘻、皮膚弛緩症(cuis laxa);先端皮膚炎、アトピー性皮膚炎、接触性皮膚炎(アレルギー性接触、光アレルギー性、ウルシ皮膚炎)を含む皮膚炎、刺激性皮膚炎(光毒性、おむつ皮膚炎)、職業性皮膚炎;剥離性皮膚炎、疱疹状皮膚炎、脂漏性皮膚炎、薬疹(例えば、中毒性表皮壊死症、結節性紅斑、血清病)、湿疹(異汗性湿疹、間擦疹、神経皮膚炎、及び放射線皮膚炎を含む);皮膚筋炎;紅斑(慢性遊走性、硬結性、伝染性、多形性(スティーブンス・ジョンソン症候群)、及び結節性(Sweet症候群)を含む);発疹(突発性を含む);顔面皮膚疾患(ざ瘡様発疹(ケロイド、酒さ、尋常性、及びFavre-Racouchot症候群)を含む);足部皮膚疾患(足部白癬を含む);手掌皮膚疾患;角化棘細胞腫;角化症(肥厚を含む)、真珠腫(中耳を含む)、魚鱗癬(先天性魚鱗癬様紅皮症、表皮溶解性角化症、葉状魚鱗癬、尋常性魚鱗癬、X連鎖魚鱗癬、及びシェーグレン・ラルソン症候群を含む)、膿漏性角皮症、掌蹠角化症、毛包角化症、脂漏性角化症、錯角化症、及び汗孔角化症;脚部皮膚疾患、肥満細胞症(色素性蕁麻疹)、類壊死症(環状肉芽腫及び脂肪類壊死症)、光線過敏症(光アレルギー性又は光毒性皮膚炎)、種痘様水疱症、日光皮膚炎、及び色素性乾皮症);色素異常症(銀皮症、色素増加症、メラニン沈着症、黒色表皮腫、黒子、ポイツ・ジェガース症候群、色素脱失、白皮症、まだら症、白斑、色素失調症、色素性蕁麻疹、色素性乾皮症、痒疹を含む);そう痒症(肛門及び外陰部を含む);膿皮症(膿瘡及び壊疽性膿皮症を含む);頭皮疾患;成年性浮腫性硬化症;新生児強皮症;皮膚付属器疾患(毛髪障害(脱毛症、毛包炎、多毛、多毛症、捻転毛髪症候群)を含む)、爪疾患(爪膝蓋骨症候群、陥入爪又は爪形成異常、爪真菌症、爪囲炎)、皮脂腺疾患(鼻瘤、新生物)、汗腺疾患(汗腺炎、多汗症、乏汗症、深在性、フォックス・フォアダイス病、新生物);遺伝性皮膚疾患(アルフィニズム(alfinism)、皮膚弛緩症、良性家族性天疱瘡、ポルフィリン症、先端皮膚炎、外胚葉異形成症、エリス・ファンクレフェルト症候群、部分皮膚低形成、エーラス・ダンロス症候群、表皮水疱症、魚鱗癬を含む);伝染性皮膚疾患(皮膚真菌症、ブラストミセス症、カンジダ症、黒色分芽菌症、マズラ菌症、パラコクシジオイデス症、スポロトリクム症、白癬症を含む);細菌性皮膚疾患(例えば、顔面頸部放線菌症、細菌性血管腫、膿瘡、丹毒、慢性遊走性紅斑、紅色陰癬、鼠径肉芽腫、化膿性汗腺炎、マズラ菌症、爪囲炎、ピンタ、鼻硬化症、ブドウ球菌皮膚感染症(せつ腫症、癰、膿痂疹、熱傷様皮膚症候群)、皮膚梅毒、皮膚結核、イチゴ腫);皮膚寄生虫症(幼虫移行症、リーシュマニア症、及び疥癬を含む);ウイルス性皮膚疾患(伝染性紅斑、突発性発疹、単純ヘルペス、伝染性軟属腫、いぼ)から選択される。
【0221】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される方法のいずれかで使用される組成物の量は、典型的には、治療有効量である。本明細書においては、用語「治療有効量」は、「有効量」、「治療有効用量」、及び/又は「有効用量」と同義であり、それを必要とする患者の、予想される生物学的、美容的、又は臨床応答を引き起こす組成物量を意味する。非限定的な例として、有効量は、本明細書に開示される臨床的及び/又は美容的手段のうちの1以上を達成するのに十分な量である。開示された方法の特定用途のために投与される適切な有効量は、本明細書に提供される指針を使用して、当業者によって決定され得る。例えば、有効量は、本明細書に記載されるように、あらゆるインビトロ及びインビボアッセイから外挿することができる。当業者は、個体の状態を、治療過程を通してモニターすることができ、投与される本明細書に開示の組成物の有効量を、それに応じて調整することができることを認識する。
【0222】
いくつかの実施形態では、投与される組成物の量は、限定するものではないが、少なくとも0.001g、又は少なくとも0.002g、又は少なくとも0.003g、又は少なくとも0.004g、又は少なくとも0.005g、又は少なくとも0.006g、又は少なくとも0.007g、又は少なくとも0.008g、又は少なくとも0.009g、又は少なくとも0.01g、又は少なくとも0.02g、又は少なくとも0.03g、又は少なくとも0.04g、又は少なくとも0.05g、又は少なくとも0.06g、又は少なくとも0.07g、又は少なくとも0.08g、又は少なくとも0.09g、又は少なくとも0.1g、又は少なくとも0.2g、又は少なくとも0.3g、又は少なくとも0.4g、又は少なくとも0.5g、又は少なくとも0.6g、又は少なくとも0.7g、又は少なくとも0.8g、又は少なくとも0.9g、又は少なくとも1g、又は少なくとも2g、又は少なくとも3g、又は少なくとも4g、又は少なくとも5g、又は少なくとも6g、又は少なくとも7g、又は少なくとも8g、又は少なくとも9g、又は少なくとも10g、又は少なくとも11g、又は少なくとも12g、又は少なくとも13g、又は少なくとも14g、又は少なくとも15g、又は少なくとも20g、又は少なくとも25g、又は少なくとも30g、又は少なくとも35g、又は少なくとも40g、又は少なくとも45g、又は少なくとも50g、又は少なくとも55g、又は少なくとも60g、又は少なくとも65g、又は少なくとも70g、又は少なくとも75g、又は少なくとも80g、又は少なくとも85g、又は少なくとも90g、又は少なくとも95g、又は少なくとも100gである。
【0223】
いくつかの実施形態では、投与される組成物の量は、限定するものではないが、最大0.001g、又は最大0.002g、又は最大0.003g、又は最大0.004g、又は最大0.005g、又は最大0.006g、又は最大0.007g、又は最大0.008g、又は最大0.009g、又は最大0.01g、又は最大0.02g、又は最大0.03g、又は最大0.04g、又は最大0.05g、又は最大0.06g、又は最大0.07g、又は最大0.08g、又は最大0.09g、又は最大0.1g、又は最大0.2g、又は最大0.3g、又は最大0.4g、又は最大0.5g、又は最大0.6g、又は最大0.7g、又は最大0.8g、又は最大0.9g、又は最大1g、又は最大2g、又は最大3g、又は最大4g、又は最大5g、又は最大6g、又は最大7g、又は最大8g、又は最大9g、又は最大10g、又は最大11g、又は最大12g、又は最大13g、又は最大14g、又は最大15g、又は最大20g、又は最大25g、又は最大30g、又は最大35g、又は最大40g、又は最大45g、又は最大50g、又は最大55g、又は最大60g、又は最大65g、又は最大70g、又は最大75g、又は最大80g、又は最大85g、又は最大90g、又は最大95g、又は最大100gである。
【0224】
いくつかの実施形態では、投与される組成物の量は、限定するものではないが、約0.001g、又は約0.002g、又は約0.003g、又は約0.004g、又は約0.005g、又は約0.006g、又は約0.007g、又は約0.008g、又は約0.009g、又は約0.01g、又は約0.02g、又は約0.03g、又は約0.04g、又は約0.05g、又は約0.06g、又は約0.07g、又は約0.08g、又は約0.09g、又は約0.1g、又は約0.2g、又は約0.3g、又は約0.4g、又は約0.5g、又は約0.6g、又は約0.7g、又は約0.8g、又は約0.9g、又は約1g、又は約2g、又は約3g、又は約4g、又は約5g、又は約6g、又は約7g、又は約8g、又は約9g、又は約10g、又は約11g、又は約12g、又は約13g、又は約14g、又は約15g、又は約20g、又は約25g、又は約30g、又は約35g、又は約40g、又は約45g、又は約50g、又は約55g、又は約60g、又は約65g、又は約70g、又は約75g、又は約80g、又は約85g、又は約90g、又は約95g、又は約100gである。
【0225】
いくつかの実施形態では、投与される組成物の量は、限定するものではないが、0.001g~0.01g、又は0.01g~0.1g、又は0.1g~1g、又は1g~10g、又は10g~20g、又は20g~30g、又は30g~40g、又は40g~50g、又は50g~60g、又は60g~70g、又は70g~80g、又は80g~90g、又は90g~100gである。
【0226】
いくつかの実施形態では、投与される組成物の体積は、限定するものではないが、少なくとも0.01mL、又は少なくとも0.02mL、又は少なくとも0.03mL、又は少なくとも0.04mL、又は少なくとも0.05mL、又は少なくとも0.06mL、又は少なくとも0.07mL、又は少なくとも0.08mL、又は少なくとも0.09mL、又は少なくとも0.10mL、又は少なくとも0.15mL、又は少なくとも0.20mL、又は少なくとも0.25mL、又は少なくとも0.30mL、又は少なくとも0.35mL、又は少なくとも0.40mL、又は少なくとも0.45mL、又は少なくとも0.50mL、又は少なくとも0.55mL、又は少なくとも0.60mL、又は少なくとも0.65mL、又は少なくとも0.70mL、又は少なくとも0.75mL、又は少なくとも0.80mL、又は少なくとも0.85mL、又は少なくとも0.90mL、又は少なくとも0.95mL、又は少なくとも1mL、又は少なくとも2mL、又は少なくとも3mL、又は少なくとも4mL、又は少なくとも5mL、又は少なくとも6mL、又は少なくとも7mL、又は少なくとも8mL、又は少なくとも9mL、又は少なくとも10mL、又は少なくとも15mL、又は少なくとも20mL、又は少なくとも25mL、又は少なくとも30mL、又は少なくとも35mL、又は少なくとも40mL、又は少なくとも45mL、又は少なくとも50mL、又は少なくとも55mL、又は少なくとも60mL、又は少なくとも65mL、又は少なくとも70mL、又は少なくとも75mL、又は少なくとも80mL、又は少なくとも85mL、又は少なくとも90mL、又は少なくとも95mL、又は少なくとも100mL、又は少なくとも110mL、又は少なくとも120mL、又は少なくとも130mL、又は少なくとも140mL、又は少なくとも150mL、又は少なくとも160mL、又は少なくとも170mL、又は少なくとも180mL、又は少なくとも190mL、又は少なくとも200mL、又は少なくとも210mL、又は少なくとも220mL、又は少なくとも230mL、又は少なくとも240mL、又は少なくとも250mL、又は少なくとも260mL、又は少なくとも270mL、又は少なくとも280mL、又は少なくとも290mL、又は少なくとも300mL、又は少なくとも325mL、又は少なくとも350mL、又は少なくとも375mL、又は少なくとも400mL、又は少なくとも425mL、又は少なくとも450mL、又は少なくとも475mL、又は少なくとも500mL、又は少なくとも525mL、又は少なくとも550mL、又は少なくとも575mL、又は少なくとも600mL、又は少なくとも625mL、又は少なくとも650mL、又は少なくとも675mL、又は少なくとも700mL、又は少なくとも725mL、又は少なくとも750mL、又は少なくとも775mL、又は少なくとも800mL、又は少なくとも825mL、又は少なくとも850mL、又は少なくとも875mL、又は少なくとも900mL、又は少なくとも925mL、又は少なくとも950mL、又は少なくとも975mL、又は少なくとも1000mLである。
【0227】
いくつかの実施形態では、投与される組成物の体積は、限定するものではないが、最大0.01mL、又は最大0.02mL、又は最大0.03mL、又は最大0.04mL、又は最大0.05mL、又は最大0.06mL、又は最大0.07mL、又は最大0.08mL、又は最大0.09mL、又は最大0.10mL、又は最大0.15mL、又は最大0.20mL、又は最大0.25mL、又は最大0.30mL、又は最大0.35mL、又は最大0.40mL、又は最大0.45mL、又は最大0.50mL、又は最大0.55mL、又は最大0.60mL、又は最大0.65mL、又は最大0.70mL、又は最大0.75mL、又は最大0.80mL、又は最大0.85mL、又は最大0.90mL、又は最大0.95mL、又は最大1mL、又は最大2mL、又は最大3mL、又は最大4mL、又は最大5mL、又は最大6mL、又は最大7mL、又は最大8mL、又は最大9mL、又は最大10mL、又は最大15mL、又は最大20mL、又は最大25mL、又は最大30mL、又は最大35mL、又は最大40mL、又は最大45mL、又は最大50mL、又は最大55mL、又は最大60mL、又は最大65mL、又は最大70mL、又は最大75mL、又は最大80mL、又は最大85mL、又は最大90mL、又は最大95mL、又は最大100mL、又は最大110mL、又は最大120mL、又は最大130mL、又は最大140mL、又は最大150mL、又は最大160mL、又は最大170mL、又は最大180mL、又は最大190mL、又は最大200mL、又は最大210mL、又は最大220mL、又は最大230mL、又は最大240mL、又は最大250mL、又は最大260mL、又は最大270mL、又は最大280mL、又は最大290mL、又は最大300mL、又は最大325mL、又は最大350mL、又は最大375mL、又は最大400mL、又は最大425mL、又は最大450mL、又は最大475mL、又は最大500mL、又は最大525mL、又は最大550mL、又は最大575mL、又は最大600mL、又は最大625mL、又は最大650mL、又は最大675mL、又は最大700mL、又は最大725mL、又は最大750mL、又は最大775mL、又は最大800mL、又は最大825mL、又は最大850mL、又は最大875mL、又は最大900mL、又は最大925mL、又は最大950mL、又は最大975mL、又は最大1000mLである。
【0228】
いくつかの実施形態では、投与される組成物の体積は、限定するものではないが、約0.01mL、又は約0.02mL、又は約0.03mL、又は約0.04mL、又は約0.05mL、又は約0.06mL、又は約0.07mL、又は約0.08mL、又は約0.09mL、又は約0.10mL、又は約0.15mL、又は約0.20mL、又は約0.25mL、又は約0.30mL、又は約0.35mL、又は約0.40mL、又は約0.45mL、又は約0.50mL、又は約0.55mL、又は約0.60mL、又は約0.65mL、又は約0.70mL、又は約0.75mL、又は約0.80mL、又は約0.85mL、又は約0.90mL、又は約0.95mL、又は約1mL、又は約2mL、又は約3mL、又は約4mL、又は約5mL、又は約6mL、又は約7mL、又は約8mL、又は約9mL、又は約10mL、又は約11mL、又は約12mL、又は約13mL、又は約14mL、又は約15mL、又は約16mL、又は約17mL、又は約18mL、又は約19mL、又は約20mL、又は約21mL、又は約22mL、又は約23mL、又は約24mL、又は約25mL、又は約26mL、又は約27mL、又は約28mL、又は約30mL、又は約35mL、又は約36mL、又は約37mL、又は約38mL、又は約39mL、又は約40mL、又は約41mL、又は約42mL、又は約43mL、又は約44mL、又は約45mL、又は約46mL、又は約47mL、又は約48mL、又は約49mL、又は約50mL、又は約51mL、又は約52mL、又は約53mL、又は約54mL、又は約55mL、又は約56mL、又は約57mL、又は約58mL、又は約59mL、又は約60mL、又は約61mL、又は約62mL、又は約63mL、又は約64mL、又は約65mL、又は約66mL、又は約67mL、又は約68mL、又は約69mL、又は約70mL、又は約71mL、又は約72mL、又は約73mL、又は約74mL、又は約75mL、又は約76mL、又は約77mL、又は約78mL、又は約79mL、又は約80mL、又は約81mL、又は約82mL、又は約83mL、又は約84mL、又は約85mL、又は約86mL、又は約87mL、又は約88mL、又は約89mL、又は約90mL、又は約91mL、又は約92mL、又は約93mL、又は約94mL、又は約95mL、又は約96mL、又は約97mL、又は約98mL、又は約99mL、又は約100mL、又は約110mL、又は約120mL、又は約130mL、又は約140mL、又は約150mL、又は約160mL、又は約170mL、又は約180mL、又は約190mL、又は約200mL、又は約210mL、又は約220mL、又は約230mL、又は約240mL、又は約250mL、又は約260mL、又は約270mL、又は約280mL、又は約290mL、又は約300mL、又は約310mL、又は約320mL、又は約330mL、又は約340mL、又は約350mL、又は約360mL、又は約370mL、又は約380mL、又は約390mL、又は約400mL、又は約410mL、又は約420mL、又は約430mL、又は約440mL、又は約450mL、又は約460mL、又は約470mL、又は約480mL、又は約490mL、又は約500mL、又は約510mL、又は約520mL、又は約530mL、又は約540mL、又は約550mL、又は約560mL、又は約570mL、又は約580mL、又は約590mL、又は約600mL、又は約610mL、又は約620mL、又は約630mL、又は約640mL、又は約650mL、又は約660mL、又は約670mL、又は約680mL、又は約690mL、又は約700mL、又は約710mL、又は約720mL、又は約730mL、又は約740mL、又は約750mL、又は約760mL、又は約770mL、又は約780mL、又は約790mL、又は約800mL、又は約810mL、又は約820mL、又は約830mL、又は約840mL、又は約850mL、又は約860mL、又は約870mL、又は約880mL、又は約890mL、又は約900mL、又は約910mL、又は約920mL、又は約930mL、又は約940mL、又は約950mL、又は約960mL、又は約970mL、又は約980mL、又は約990mL、又は約1000mLである。
【0229】
いくつかの実施形態では、投与される組成物の体積は、限定するものではないが、0.01mL~0.10mL、又は0.10mL~1mL、又は1mL~10mL、又は10mL~100mL、又は50mL~100mL、又は100mL~150mL、又は150mL~200mL、又は200mL~250mL、又は250mL~300mL、又は300mL~350mL、又は350mL~400mL、又は400mL~450mL、又は450mL~500mL、又は500mL~550mL、又は550mL~600mL、又は600mL~650mL、又は650mL~700mL、又は700mL~750mL、又は750mL~800mL、又は800mL~850mL、又は850mL~900mL、又は900mL~950mL、又は950mL~1000mL、又は1mL~25mL、又は1mL~50mL、又は1mL~75mL、又は1mL~100mL、又は10mL~25mL、又は10mL 50mL、又は10mL~75mL、又は100mL~250mL、又は100mL~500mL、又は100mL~750mL、又は100mL~1000mLである。
【0230】
コラーゲン刺激組成物としての絹フィブロインタンパク質断片
カイコBombyx moriの生絹は、絹フィブロイン(約75%)とセリシン(約25%)の2種類の主要タンパク質で構成される。絹フィブロインは、剛性と強度を提供する半結晶構造を有する繊維状タンパク質である。本明細書においては、用語「絹フィブロイン」は、約37万Daの重量平均分子量を有するBombyx moriの繭の繊維を意味する。カイコの粗繊維は、フィブロインの二重の糸からなる。これらの二重繊維を互いに保持する接着物質がセリシンである。絹フィブロインは、重量平均分子量が約35万Daの重鎖(H鎖)と、重量平均分子量が約25,000Daの軽鎖(L鎖)から構成される。
【0231】
これらのフィブリル絹フィブロインの、水溶性絹フィブロインタンパク質断片への変換は、濃縮重塩(concentrated heavy salt)(例えば、8~10Mの臭化リチウム)の添加を必要とし、これが、フィブロインタンパク質を水に対して不溶性にする、分子間及び分子内のイオン結合及び水素結合に干渉する。絹フィブロイン又は絹フィブロイン断片の製造方法、及び/又はその組成物は知られており、例えば、米国特許第9,187,538号明細書、同第9,511,012号明細書、同第9,517,191号明細書、同第9,522,107号明細書、同第9,522,108号明細書、同第9,545,369号明細書、及び同第10,166,177号明細書に記載されている。
【0232】
本明細書では、未処理の未精製、部分精製、又は精製されたカイコ繊維を、中性臭化リチウム塩で溶解することによって得られる絹タンパク質断片(SPF)混合溶液が提供される。未処理のカイコ繊維は、セリシンを除去し、断片混合物の所望の重量平均分子量(M)及び多分散性(PD)を達成するために、選択された温度及び他の条件下で処理される。選択した方法のパラメータは、使用目的に応じて異なる最終絹タンパク質断片の特性を達成するように変更することができる。得られる最終断片溶液は、プロセス汚染物質のPPMから検出不能なレベル、医薬、医療、消費者化粧品市場で許容されるレベルを有する絹タンパク質断片と水である。溶液中の絹タンパク質断片の濃度、サイズ、及び多分散性は、所望の用途及び性能要件に応じて更に変更することができる。
【0233】
実施形態では、以下の工程にしたがって、コラーゲン刺激組成物並びにその製造及び使用方法に有用な絹タンパク質断片が調製される。即ち、カイコBombyx moriから絹繭の断片を形成する工程と;NaCO水溶液中、約100℃で約60分間、その断片を抽出する工程(ここで、水の体積は約0.4×未加工の絹重量と等しく、NaCOの量は約0.848×絹フィブロイン抽出物を形成させるための断片重量である)と;濯ぎ水の体積で、1濯ぎ当たり約60℃で約20分間、絹フィブロイン抽出物を3回濯ぐ工程と(各サイクルについての濯ぎ水は約0.2L×断片重量に等しい);過剰の水を、絹フィブロイン抽出物から除去する工程と;絹フィブロイン抽出物を乾燥する工程と;乾燥絹フィブロイン抽出物をLiBr溶液に溶解する工程と(LiBr溶液を最初に約100℃に加熱して絹及びLiBr溶液を作製し、これを維持する);絹及びLiBr溶液を、乾燥オーブン中に約100℃で約60分間置いて完全な溶解、並びに所望の分子量及び多分散性を有する混合物への天然の絹タンパク質構造の更なる断片化を達成する工程と;その溶液を濾過してカイコから残留する残骸を除去する工程と;その溶液を水で希釈して1.0重量%絹溶液を得る工程と、接線流濾過(TFF)を使用してその溶液から溶媒を除去する工程とを含む。一実施形態では、絹溶液を精製するために10kDaの膜を利用し、最終的な所望の絹と水の比をもたらす。次いで、TFFを使用して、絹溶液を、水中2.0重量%の濃度の絹に更に濃縮することができる。
【0234】
何ら特定の理論に拘束されることを望むものではないが、抽出(即ち、時間及び温度)、LiBr(即ち、絹フィブロイン抽出物に添加する又はその逆の場合のLiBr溶液の温度)及び溶解(即ち、時間及び温度)パラメータを変動させると、異なる粘度、均一性及び色を有する溶媒及び絹溶液がもたらされる。また、何ら特定の理論に拘束されることを望むものではないが、抽出のための温度を上昇させること、抽出時間を延長すること、絹を溶解させる場合、出現時及び長期に亘って、より高い温度のLiBr溶液を使用すること(例えば、ここで示すようなオーブン中、又は代替の熱源)の温度での時間を延ばすことは、いずれも、粘性がより低く、より均一な溶媒及び絹溶液をもたらす。
【0235】
実施形態では、約6kDa~約17kDaから選択される重量平均を有する絹フィブロインベースのタンパク質断片の溶液は、以下の工程にしたがって調製される:絹源を沸騰(100℃)炭酸ナトリウム水溶液に、約30分間~約60分間の処理時間添加することによって絹源を脱ガムする;溶液からセリシンを除去して、検出不能なレベルのセリシンを含む絹フィブロイン抽出物を生成する;絹フィブロイン抽出物から溶液を排出させる;臭化リチウム溶液に絹フィブロイン抽出物を入れるときの開始温度約60℃~約140℃を有する臭化リチウムの溶液に絹フィブロイン抽出物を溶解する;絹フィブロイン-臭化リチウムの溶液を約140℃のオーブンで少なくとも1時間維持する;絹フィブロイン抽出物から臭化リチウムを除去する;絹タンパク質断片の水溶液を生成する。ここで、前記水溶液は、約6kDa~約17kDaから選択される重量平均分子量を有する断片を含み、絹フィブロインベースのタンパク質断片の前記水溶液は、約1.5~約3.0の多分散性を含む。前記方法は、溶解工程の前に絹フィブロイン抽出物を乾燥させることを更に含むことができる。絹フィブロインベースのタンパク質断片の水溶液は、高速液体クロマトグラフィー臭化リチウムアッセイを使用して測定したとき、300ppm未満の臭化リチウム残留物を含み得る。絹フィブロインベースのタンパク質断片の水溶液は、高速液体クロマトグラフィー炭酸ナトリウムアッセイを使用して測定したとき、100ppm未満の炭酸ナトリウム残留物を含み得る。絹フィブロインベースのタンパク質断片の水溶液は凍結乾燥することができる。
【0236】
実施形態では、約17kDa~約39kDaから選択される重量平均分子量を有する絹フィブロインベースのタンパク質断片の溶液は、以下の工程にしたがって調製される:絹源を沸騰(100℃)炭酸ナトリウム水溶液に、約30分間~約60分間の処理時間添加することによって脱ガムする;溶液からセリシンを除去して、検出不能なレベルのセリシンを含む絹フィブロイン抽出物を生成する;絹フィブロイン抽出物から溶液を排出させる;臭化リチウム溶液に絹フィブロイン抽出物を入れるときの開始温度約80℃~約140℃を有する臭化リチウムの溶液に絹フィブロイン抽出物を溶解する;絹フィブロイン-臭化リチウムの溶液を約60℃~約100℃のオーブンで少なくとも1時間維持する;絹フィブロイン抽出物から臭化リチウムを除去する;絹フィブロインベースのタンパク質断片の水溶液を生成する。ここで、絹フィブロインベースのタンパク質断片の水溶液は、約10ppm~約300ppmの臭化リチウム残留物を含み、絹タンパク質断片の水溶液は、約10ppm~約100ppmの炭酸ナトリウム残留物を含み、絹フィブロインベースのタンパク質断片の水溶液は、約17kDa~約39kDaから選択される重量平均分子量を有する断片を含み、絹フィブロインベースのタンパク質断片の前記水溶液は、約1.5~約3.0の多分散性を含む。前記方法は、溶解工程の前に、絹フィブロイン抽出物を乾燥させることを更に含むことができる。絹フィブロインベースのタンパク質断片の水溶液は、高速液体クロマトグラフィー臭化リチウムアッセイを使用して測定したとき、300ppm未満の臭化リチウム残留物を含み得る。絹フィブロインベースのタンパク質断片の水溶液は、高速液体クロマトグラフィー炭酸ナトリウムアッセイを使用して測定したとき、100ppm未満の炭酸ナトリウム残留物を含み得る。
【0237】
いくつかの実施形態では、約39kDa~約80kDaから選択される重量平均分子量を有する絹フィブロインベースのタンパク質断片の溶液は、以下の工程にしたがって調製される:絹源を沸騰(100℃)炭酸ナトリウム水溶液に、約30分間の処理時間添加することによって脱ガムする;溶液からセリシンを除去して、検出不能なレベルのセリシンを含む絹フィブロイン抽出物を生成する;絹フィブロイン抽出物から溶液を排出させる;臭化リチウム溶液に絹フィブロイン抽出物を入れるときの開始温度約80℃~約140℃を有する臭化リチウムの溶液に絹フィブロイン抽出物を溶解する;絹フィブロイン-臭化リチウムの溶液を約60℃~約100℃のオーブンで少なくとも1時間維持する;絹フィブロイン抽出物から臭化リチウムを除去する;絹フィブロインベースのタンパク質断片の水溶液を生成する。ここで、絹フィブロインベースのタンパク質断片の水溶液は、約10ppm~約300ppmの臭化リチウム残留物、約10ppm~約100ppmの炭酸ナトリウム残留物、約39kDa~約80kDaから選択される重量平均分子量を有する断片を含み、絹フィブロインベースのタンパク質断片の前記水溶液は、約1.5~約3.0の多分散性を含む。前記方法は、溶解工程の前に、絹フィブロイン抽出物を乾燥させることを更に含むことができる。絹フィブロインベースのタンパク質断片の水溶液は、高速液体クロマトグラフィー臭化リチウムアッセイを使用して測定したとき、300ppm未満の臭化リチウム残留物を含み得る。絹フィブロインベースのタンパク質断片の水溶液は、高速液体クロマトグラフィー炭酸ナトリウムアッセイを使用して測定したとき、100ppm未満の炭酸ナトリウム残留物を含み得る。
【0238】
実施形態では、溶液中の絹フィブロインベースのタンパク質断片は、セリシンを実質的に欠いており、約6kDa~約17kDaから選択される重量平均分子量を有し、約1.5~約3.0から選択される多分散性を有する。実施形態では、溶液中の絹フィブロインベースのタンパク質断片は、セリシンを実質的に欠いており、約17kDa~約39kDaから選択される重量平均分子量を有し、約1.5~約3.0から選択される多分散性を有する。実施形態では、溶液中の絹フィブロインベースのタンパク質断片は、セリシンを実質的に欠いており、約39kDa~約80kDaから選択される重量平均分子量を有し、約1.5~約3.0から選択される多分散性を有する。
【0239】
本明細書においては、用語「実質的にセリシンを含まない」又は「実質的にセリシンを欠いている」は、セリシンタンパク質の大部分が除去された絹繊維を意味する。実施形態では、セリシンを実質的に欠いている絹フィブロインは、約0.01重量%~約10.0重量%のセリシンを有する絹フィブロインを意味する。実施形態では、セリシンを実質的に欠いている絹フィブロインは、約0.01重量%~約9.0重量%のセリシンを有する絹フィブロインを意味する。実施形態では、セリシンを実質的に欠いている絹フィブロインは、約0.01重量%~約8.0重量%のセリシンを有する絹フィブロインを意味する。実施形態では、セリシンを実質的に欠いている絹フィブロインは、約0.01重量%~約7.0重量%のセリシンを有する絹フィブロインを意味する。実施形態では、セリシンを実質的に欠いている絹フィブロインは、約0.01重量%~約6.0重量%のセリシンを有する絹フィブロインを意味する。実施形態では、セリシンを実質的に欠いている絹フィブロインは、約0.01重量%~約5.0重量%のセリシンを有する絹フィブロインを意味する。実施形態では、セリシンを実質的に欠いている絹フィブロインは、約0重量%~約4.0重量%のセリシンを有する絹フィブロインを意味する。実施形態では、セリシンを実質的に欠いている絹フィブロインは、約0.05重量%~約4.0重量%のセリシンを有する絹フィブロインを意味する。実施形態では、セリシンを実質的に欠いている絹フィブロインは、約0.1重量%~約4.0重量%のセリシンを有する絹フィブロインを意味する。実施形態では、セリシンを実質的に欠いている絹フィブロインは、約0.5重量%~約4.0重量%のセリシンを有する絹フィブロインを意味する。実施形態では、セリシンを実質的に欠いている絹フィブロインは、約1.0重量%~約4.0重量%のセリシンを有する絹フィブロインを意味する。実施形態では、セリシンを実質的に欠いている絹フィブロインは、約1.5重量%~約4.0重量%のセリシンを有する絹フィブロインを意味する。実施形態では、セリシンを実質的に欠いている絹フィブロインは、約2.0重量%~約4.0重量%のセリシンを有する絹フィブロインを意味する。実施形態では、セリシンを実質的に欠いている絹フィブロインは、約2.5重量%~約4.0重量%のセリシンを有する絹フィブロインを意味する。実施形態では、セリシンを実質的に欠いている絹フィブロインは、約0.01重量%~約0.1重量%のセリシンを有する絹フィブロインを意味する。実施形態では、セリシンを実質的に欠いている絹フィブロインは、約0.1重量%未満のセリシン含量を有する絹フィブロインを意味する。実施形態では、セリシンを実質的に欠いている絹フィブロインは、約0.05重量%未満のセリシン含量を有する絹フィブロインを意味する。実施形態では、絹源が、沸騰している(100℃)炭酸ナトリウム水溶液に約30分間~約60分間の処理時間添加されるときに、約26.0重量%~約31.0重量%の脱ガム損失(degumming loss)が得られる。
【0240】
以下は、本開示の絹溶液の調製における及び調製のための種々のパラメータの好適な範囲の非限定的な例である。本開示の絹溶液は、これらのパラメータの1以上(必ずしも全てを含んでいなくてもよい)を含み、かかるパラメータの範囲の種々の組合せを用いて調製することができる。
【0241】
実施形態では、溶液中の絹(%)は、限定するものではないが、30重量%未満である。実施形態では、溶液中の絹(%)は、25重量%未満である。実施形態では、溶液中の絹(%)は、20重量%未満である。実施形態では、溶液中の絹(%)は、19重量%未満である。実施形態では、溶液中の絹(%)は、18重量%未満である。実施形態では、溶液中の絹(%)は、17重量%未満である。実施形態では、溶液中の絹(%)は、16重量%未満である。実施形態では、溶液中の絹(%)は、15重量%未満である。実施形態では、溶液中の絹(%)は、14重量%未満である。実施形態では、溶液中の絹(%)は、13重量%未満である。実施形態では、溶液中の絹(%)は、12重量%未満である。実施形態では、溶液中の絹(%)は、11重量%未満である。実施形態では、溶液中の絹(%)は、10重量%未満である。実施形態では、溶液中の絹(%)は、9重量%未満である。実施形態では、溶液中の絹(%)は、8重量%未満である。実施形態では、溶液中の絹(%)は、7重量%未満である。実施形態では、溶液中の絹(%)は、6重量%未満である。実施形態では、溶液中の絹(%)は、5重量%未満である。実施形態では、溶液中の絹(%)は、4重量%未満である。実施形態では、溶液中の絹(%)は、3重量%未満である。実施形態では、溶液中の絹(%)は、2重量%未満である。実施形態では、溶液中の絹(%)は、1重量%未満である。実施形態では、溶液中の絹(%)は、0.9重量%未満である。実施形態では、溶液中の絹(%)は、0.8重量%未満である。実施形態では、溶液中の絹(%)は、0.7重量%未満である。実施形態では、溶液中の絹(%)は、0.6重量%未満である。実施形態では、溶液中の絹(%)は、0.5重量%未満である。実施形態では、溶液中の絹(%)は、0.4重量%未満である。実施形態では、溶液中の絹(%)は、0.3重量%未満である。実施形態では、溶液中の絹(%)は、0.2重量%未満である。実施形態では、溶液中の絹(%)は、0.1重量%未満である。
【0242】
実施形態では、溶液中の絹(%)は、限定するものではないが、0.1重量%超である。実施形態では、溶液中の絹(%)は、0.2重量%超である。実施形態では、溶液中の絹(%)は、0.3重量%超である。実施形態では、溶液中の絹(%)は、0.4重量%超である。実施形態では、溶液中の絹(%)は、0.5重量%超である。実施形態では、溶液中の絹(%)は、0.6重量%超である。実施形態では、溶液中の絹(%)は、0.7重量%超である。実施形態では、溶液中の絹(%)は、0.8重量%超である。実施形態では、溶液中の絹(%)は、0.9重量%超である。実施形態では、溶液中の絹(%)は、1.0重量%超である。実施形態では、溶液中の絹(%)は、2.0重量%超である。実施形態では、溶液中の絹(%)は、3.0重量%超である。実施形態では、溶液中の絹(%)は、4.0重量%超である。実施形態では、溶液中の絹(%)は、5.0重量%超である。実施形態では、溶液中の絹(%)は、6.0重量%超である。実施形態では、溶液中の絹(%)は、7.0重量%超である。実施形態では、溶液中の絹(%)は、8.0重量%超である。実施形態では、溶液中の絹(%)は、9.0重量%超である。実施形態では、溶液中の絹(%)は、10.0重量%超である。実施形態では、溶液中の絹(%)は、11.0重量%超である。実施形態では、溶液中の絹(%)は、12.0重量%超である。実施形態では、溶液中の絹(%)は、13.0重量%超である。実施形態では、溶液中の絹(%)は、14.0重量%超である。実施形態では、溶液中の絹(%)は、15.0重量%超である。実施形態では、溶液中の絹(%)は、16.0重量%超である。実施形態では、溶液中の絹(%)は、17.0重量%超である。実施形態では、溶液中の絹(%)は、18.0重量%超である。実施形態では、溶液中の絹(%)は、19.0重量%超である。実施形態では、溶液中の絹(%)は、20.0重量%超である。実施形態では、溶液中の絹(%)は、25.0重量%超である。
【0243】
実施形態では、溶液中の絹(%)は、限定するものではないが、約0.1重量%~約30.0重量%である。実施形態では、溶液中の絹(%)は、約0.1重量%~約25.0重量%である。実施形態では、溶液中の絹(%)は、約0.1重量%~約20.0重量%である。実施形態では、溶液中の絹(%)は、約0.1重量%~約15.0重量%である。実施形態では、溶液中の絹(%)は、約0.1重量%~約10.0重量%である。実施形態では、溶液中の絹(%)は、約0.1重量%~約9.0重量%である。実施形態では、溶液中の絹(%)は、約0.1重量%~約8.0重量%である。実施形態では、溶液中の絹(%)は、約0.1重量%~約7.0重量%である。実施形態では、溶液中の絹(%)は、約0.1重量%~約6.5重量%である。実施形態では、溶液中の絹(%)は、約0.1重量%~約6.0重量%である。実施形態では、溶液中の絹(%)は、約0.1重量%~約5.5重量%である。実施形態では、溶液中の絹(%)は、約0.1重量%~約5.0重量%である。実施形態では、溶液中の絹(%)は、約0.1重量%~約4.5重量%である。実施形態では、溶液中の絹(%)は、約0.1重量%~約4.0重量%である。実施形態では、溶液中の絹(%)は、約0.1重量%~約3.5重量%である。実施形態では、溶液中の絹(%)は、約0.1重量%~約3.0重量%である。実施形態では、溶液中の絹(%)は、約0.1重量%~約2.5重量%である。実施形態では、溶液中の絹(%)は、約0.1重量%~約2.0重量%である。実施形態では、溶液中の絹(%)は、約0.1重量%~約2.4重量%である。実施形態では、溶液中の絹(%)は、約0.5重量%~約5.0重量%である。実施形態では、溶液中の絹(%)は、約0.5重量%~約4.5重量%である。実施形態では、溶液中の絹(%)は、約0.5重量%~約4.0重量%である。実施形態では、溶液中の絹(%)は、約0.5重量%~約3.5重量%である。実施形態では、溶液中の絹(%)は、約0.5重量%~約3.0重量%である。実施形態では、溶液中の絹(%)は、約0.5重量%~約2.5重量%である。実施形態では、溶液中の絹(%)は、約1.0重量%~約4.0重量%である。実施形態では、溶液中の絹(%)は、約1.0重量%~約3.5重量%である。実施形態では、溶液中の絹(%)は、約1.0重量%~約3.0重量%である。実施形態では、溶液中の絹(%)は、約1.0重量%~約2.5重量%である。実施形態では、溶液中の絹(%)は、約1.0重量%~約2.4重量%である。実施形態では、溶液中の絹(%)は、約1.0重量%~約2重量%である。
【0244】
実施形態では、溶液中の絹(%)は、約20.0重量%~約30.0重量%である。実施形態では、溶液中の絹(%)は、約0.1重量%~約10.0重量%である。実施形態では、溶液中の絹(%)は、約1.0重量%~約10.0重量%である。実施形態では、溶液中の絹(%)は、約2重量%~約10.0重量%である。実施形態では、溶液中の絹(%)は、約0.1重量%~約6.0重量%である。実施形態では、溶液中の絹(%)は、約6.0重量%~約10.0重量%である。実施形態では、溶液中の絹(%)は、約6.0重量%~約8.0重量%である。実施形態では、溶液中の絹(%)は、約6.0重量%~約9.0重量%である。実施形態では、溶液中の絹(%)は、約10.0重量%~約20.0重量%である。実施形態では、溶液中の絹(%)は、約11.0重量%~約19.0重量%である。実施形態では、溶液中の絹(%)は、約12.0重量%~約18.0重量%である。実施形態では、溶液中の絹(%)は、約13.0重量%~約17.0重量%である。実施形態では、溶液中の絹(%)は、約14.0重量%~約16.0重量%である。実施形態では、溶液中の絹(%)は、約1.0重量%である。実施形態では、溶液中の絹(%)は、約1.5重量%である。実施形態では、溶液中の絹(%)は、約2.0重量%である。実施形態では、溶液中の絹(%)は、約2.4重量%である。実施形態では、溶液中の絹(%)は、約3.0重量%である。実施形態では、溶液中の絹(%)は、約3.5重量%である。実施形態では、溶液中の絹(%)は、約4.0重量%である。実施形態では、溶液中の絹(%)は、約4.5重量%である。実施形態では、溶液中の絹(%)は、約5.0重量%である。実施形態では、溶液中の絹(%)は、約5.5重量%である。実施形態では、溶液中の絹(%)は、約6.0重量%である。実施形態では、溶液中の絹(%)は、約6.5重量%である。実施形態では、溶液中の絹(%)は、約7.0重量%である。実施形態では、溶液中の絹(%)は、約7.5重量%である。実施形態では、溶液中の絹(%)は、約8.0重量%である。実施形態では、溶液中の絹(%)は、約8.5重量%である。実施形態では、溶液中の絹(%)は、約9.0重量%である。実施形態では、溶液中の絹(%)は、約9.5重量%である。実施形態では、溶液中の絹(%)は、約10.0重量%である。
【0245】
実施形態では、溶液中のセリシン(%)は、検出不能~30.0重量%である。実施形態では、溶液中のセリシン(%)は、検出不能~5.0重量%である。実施形態では、溶液中のセリシン(%)は、1.0重量%である。実施形態では、溶液中のセリシン(%)は、2.0重量%である。実施形態では、溶液中のセリシン(%)は、3.0重量%である。実施形態では、溶液中のセリシン(%)は、4.0重量%である。実施形態では、溶液中のセリシン(%)は、5.0重量%である。実施形態では、溶液中のセリシン(%)は、10.0重量%である。実施形態では、溶液中のセリシン(%)は、30.0重量%である。
【0246】
いくつかの実施形態では、本開示の絹フィブロインタンパク質ベースの断片は、貯蔵条件、絹のパーセント並びに出荷の数及び出荷条件に応じて10日間~3年間の保管安定性を有する(即ち、水溶液中で貯蔵した場合、それらは、徐々に又は自然発生的にゲル化することはなく、断片の凝集及び経時的な分子量の上昇がない)。更に、pHを変化させて、絹の未成熟な折り畳み及び凝集を防止することによって、保管寿命を延長させることができる及び/又はシッピング条件を支援することができる。実施形態では、LiBr-絹断片溶液の安定性は、0~1年間である。実施形態では、LiBr-絹断片溶液の安定性は、0~2年間である。実施形態では、LiBr-絹断片溶液の安定性は、0~3年間である。実施形態では、LiBr-絹断片溶液の安定性は、0~4年間である。実施形態では、LiBr-絹断片溶液の安定性は、0~5年間である。実施形態では、LiBr-絹断片溶液の安定性は、1~2年間である。実施形態では、LiBr-絹断片溶液の安定性は、1~3年間である。実施形態では、LiBr-絹断片溶液の安定性は、1~4年間である。実施形態では、LiBr-絹断片溶液の安定性は、1~5年間である。実施形態では、LiBr-絹断片溶液の安定性は、2~3年間である。実施形態では、LiBr-絹断片溶液の安定性は、2~4年間である。実施形態では、LiBr-絹断片溶液の安定性は、2~5年間である。実施形態では、LiBr-絹断片溶液の安定性は、3~4年間である。実施形態では、LiBr-絹断片溶液の安定性は、3~5年間である。実施形態では、LiBr-絹断片溶液の安定性は、4~5年間である。
【0247】
実施形態では、本開示の組成物の安定性は、10日間~6ヶ月である。実施形態では、本開示の組成物の安定性は、6ヶ月~12ヶ月である。実施形態では、本開示の組成物の安定性は、12ヶ月~18ヶ月である。実施形態では、本開示の組成物の安定性は、18ヶ月~24ヶ月である。実施形態では、本開示の組成物の安定性は、24ヶ月~30ヶ月である。実施形態では、本開示の組成物の安定性は、30ヶ月~36ヶ月である。実施形態では、本開示の組成物の安定性は、36ヶ月~48ヶ月である。実施形態では、本開示の組成物の安定性は、48ヶ月~60ヶ月である。
【0248】
実施形態では、本開示の組成物は、6kDa~17kDaから選択される重量平均分子量を有する絹フィブロインベースのタンパク質断片を含む。実施形態では、本開示の組成物は、17kDa~39kDaから選択される重量平均分子量を有する絹フィブロインベースのタンパク質断片を含む。実施形態では、本開示の組成物は、39kDa~80kDaから選択される重量平均分子量を有する絹フィブロインベースのタンパク質断片を含む。実施形態では、本開示の組成物は、40kDa~65kDaから選択される重量平均分子量を有する絹フィブロインベースのタンパク質断片を含む。実施形態では、本開示の組成物は、1kDa~5kDaから選択される重量平均分子量を有する絹フィブロインベースのタンパク質断片を含む。実施形態では、本開示の組成物は、5kDa~10kDaから選択される重量平均分子量を有する絹フィブロインベースのタンパク質断片を含む。実施形態では、本開示の組成物は、5kDa~15kDaから選択される重量平均分子量を有する絹フィブロインベースのタンパク質断片を含む。実施形態では、本開示の組成物は、15kDa~20kDaから選択される重量平均分子量を有する絹フィブロインベースのタンパク質断片を含む。実施形態では、本開示の組成物は、20kDa~25kDaから選択される重量平均分子量を有する絹フィブロインベースのタンパク質断片を含む。実施形態では、本開示の組成物は、25kDa~30kDaから選択される重量平均分子量を有する絹フィブロインベースのタンパク質断片を含む。実施形態では、本開示の組成物は、30kDa~35kDaから選択される重量平均分子量を有する絹フィブロインベースのタンパク質断片を含む。実施形態では、本開示の組成物は、35kDa~40kDaから選択される重量平均分子量を有する絹フィブロインベースのタンパク質断片を含む。実施形態では、本開示の組成物は、40kDa~45kDaから選択される重量平均分子量を有する絹フィブロインベースのタンパク質断片を含む。実施形態では、本開示の組成物は、45kDa~50kDaから選択される重量平均分子量を有する絹フィブロインベースのタンパク質断片を含む。実施形態では、本開示の組成物は、50kDa~55kDaから選択される重量平均分子量を有する絹フィブロインベースのタンパク質断片を含む。実施形態では、本開示の組成物は、55kDa~60kDaから選択される重量平均分子量を有する絹フィブロインベースのタンパク質断片を含む。実施形態では、本開示の組成物は、60kDa~65kDaから選択される重量平均分子量を有する絹フィブロインベースのタンパク質断片を含む。実施形態では、本開示の組成物は、65kDa~70kDaから選択される重量平均分子量を有する絹フィブロインベースのタンパク質断片を含む。実施形態では、本開示の組成物は、70kDa~75kDaから選択される重量平均分子量を有する絹フィブロインベースのタンパク質断片を含む。実施形態では、本開示の組成物は、75kDa~80kDaから選択される重量平均分子量を有する絹フィブロインベースのタンパク質断片を含む。実施形態では、本開示の組成物は、80kDa~85kDaから選択される重量平均分子量を有する絹フィブロインベースのタンパク質断片を含む。実施形態では、本開示の組成物は、85kDa~90kDaから選択される重量平均分子量を有する絹フィブロインベースのタンパク質断片を含む。実施形態では、本開示の組成物は、90kDa~95kDaから選択される重量平均分子量を有する絹フィブロインベースのタンパク質断片を含む。実施形態では、本開示の組成物は、95kDa~100kDaから選択される重量平均分子量を有する絹フィブロインベースのタンパク質断片を含む。実施形態では、本開示の組成物は、100kDa~105kDaから選択される重量平均分子量を有する絹フィブロインベースのタンパク質断片を含む。実施形態では、本開示の組成物は、105kDa~110kDaから選択される重量平均分子量を有する絹フィブロインベースのタンパク質断片を含む。実施形態では、本開示の組成物は、110kDa~115kDaから選択される重量平均分子量を有する絹フィブロインベースのタンパク質断片を含む。実施形態では、本開示の組成物は、115kDa~120kDaから選択される重量平均分子量を有する絹フィブロインベースのタンパク質断片を含む。実施形態では、本開示の組成物は、120kDa~125kDaから選択される重量平均分子量を有する絹フィブロインベースのタンパク質断片を含む。実施形態では、本開示の組成物は、125kDa~130kDaから選択される重量平均分子量を有する絹フィブロインベースのタンパク質断片を含む。実施形態では、本開示の組成物は、130kDa~135kDaから選択される重量平均分子量を有する絹フィブロインベースのタンパク質断片を含む。実施形態では、本開示の組成物は、135kDa~140kDaから選択される重量平均分子量を有する絹フィブロインベースのタンパク質断片を含む。実施形態では、本開示の組成物は、140kDa~145kDaから選択される重量平均分子量を有する絹フィブロインベースのタンパク質断片を含む。実施形態では、本開示の組成物は、145kDa~150kDaから選択される重量平均分子量を有する絹フィブロインベースのタンパク質断片を含む。実施形態では、本開示の組成物は、150kDa~155kDaから選択される重量平均分子量を有する絹フィブロインベースのタンパク質断片を含む。実施形態では、本開示の組成物は、155kDa~160kDaから選択される重量平均分子量を有する絹フィブロインベースのタンパク質断片を含む。実施形態では、本開示の組成物は、160kDa~165kDaから選択される重量平均分子量を有する絹フィブロインベースのタンパク質断片を含む。実施形態では、本開示の組成物は、165kDa~170kDaから選択される重量平均分子量を有する絹フィブロインベースのタンパク質断片を含む。実施形態では、本開示の組成物は、170kDa~175kDaから選択される重量平均分子量を有する絹フィブロインベースのタンパク質断片を含む。実施形態では、本開示の組成物は、175kDa~180kDaから選択される重量平均分子量を有する絹フィブロインベースのタンパク質断片を含む。実施形態では、本開示の組成物は、180kDa~185kDaから選択される重量平均分子量を有する絹フィブロインベースのタンパク質断片を含む。実施形態では、本開示の組成物は、185kDa~190kDaから選択される重量平均分子量を有する絹フィブロインベースのタンパク質断片を含む。実施形態では、本開示の組成物は、190kDa~195kDaから選択される重量平均分子量を有する絹フィブロインベースのタンパク質断片を含む。実施形態では、本開示の組成物は、195kDa~200kDaから選択される重量平均分子量を有する絹フィブロインベースのタンパク質断片を含む。実施形態では、本開示の組成物は、200kDa~205kDaから選択される重量平均分子量を有する絹フィブロインベースのタンパク質断片を含む。実施形態では、本開示の組成物は、205kDa~210kDaから選択される重量平均分子量を有する絹フィブロインベースのタンパク質断片を含む。実施形態では、本開示の組成物は、210kDa~215kDaから選択される重量平均分子量を有する絹フィブロインベースのタンパク質断片を含む。実施形態では、本開示の組成物は、215kDa~220kDaから選択される重量平均分子量を有する絹フィブロインベースのタンパク質断片を含む。実施形態では、本開示の組成物は、220kDa~225kDaから選択される重量平均分子量を有する絹フィブロインベースのタンパク質断片を含む。実施形態では、本開示の組成物は、225kDa~230kDaから選択される重量平均分子量を有する絹フィブロインベースのタンパク質断片を含む。実施形態では、本開示の組成物は、230kDa~235kDaから選択される重量平均分子量を有する絹フィブロインベースのタンパク質断片を含む。実施形態では、本開示の組成物は、235kDa~240kDaから選択される重量平均分子量を有する絹フィブロインベースのタンパク質断片を含む。実施形態では、本開示の組成物は、240kDa~245kDaから選択される重量平均分子量を有する絹フィブロインベースのタンパク質断片を含む。実施形態では、本開示の組成物は、245kDa~250kDaから選択される重量平均分子量を有する絹フィブロインベースのタンパク質断片を含む。実施形態では、本開示の組成物は、250kDa~255kDaから選択される重量平均分子量を有する絹フィブロインベースのタンパク質断片を含む。実施形態では、本開示の組成物は、255kDa~260kDaから選択される重量平均分子量を有する絹フィブロインベースのタンパク質断片を含む。実施形態では、本開示の組成物は、260kDa~265kDaから選択される重量平均分子量を有する絹フィブロインベースのタンパク質断片を含む。実施形態では、本開示の組成物は、265kDa~270kDaから選択される重量平均分子量を有する絹フィブロインベースのタンパク質断片を含む。実施形態では、本開示の組成物は、270kDa~275kDaから選択される重量平均分子量を有する絹フィブロインベースのタンパク質断片を含む。実施形態では、本開示の組成物は、275kDa~280kDaから選択される重量平均分子量を有する絹フィブロインベースのタンパク質断片を含む。実施形態では、本開示の組成物は、280kDa~285kDaから選択される重量平均分子量を有する絹フィブロインベースのタンパク質断片を含む。実施形態では、本開示の組成物は、285kDa~290kDaから選択される重量平均分子量を有する絹フィブロインベースのタンパク質断片を含む。実施形態では、本開示の組成物は、290kDa~295kDaから選択される重量平均分子量を有する絹フィブロインベースのタンパク質断片を含む。実施形態では、本開示の組成物は、295kDa~300kDaから選択される重量平均分子量を有する絹フィブロインベースのタンパク質断片を含む。実施形態では、本開示の組成物は、300kDa~305kDaから選択される重量平均分子量を有する絹フィブロインベースのタンパク質断片を含む。実施形態では、本開示の組成物は、305kDa~310kDaから選択される重量平均分子量を有する絹フィブロインベースのタンパク質断片を含む。実施形態では、本開示の組成物は、310kDa~315kDaから選択される重量平均分子量を有する絹フィブロインベースのタンパク質断片を含む。実施形態では、本開示の組成物は、315kDa~320kDaから選択される重量平均分子量を有する絹フィブロインベースのタンパク質断片を含む。実施形態では、本開示の組成物は、320kDa~325kDaから選択される重量平均分子量を有する絹フィブロインベースのタンパク質断片を含む。実施形態では、本開示の組成物は、325kDa~330kDaから選択される重量平均分子量を有する絹フィブロインベースのタンパク質断片を含む。実施形態では、本開示の組成物は、330kDa~335kDaから選択される重量平均分子量を有する絹フィブロインベースのタンパク質断片を含む。実施形態では、本開示の組成物は、350kDa~340kDaから選択される重量平均分子量を有する絹フィブロインベースのタンパク質断片を含む。実施形態では、本開示の組成物は、340kDa~345kDaから選択される重量平均分子量を有する絹フィブロインベースのタンパク質断片を含む。実施形態では、本開示の組成物は、345kDa~350kDaから選択される重量平均分子量を有する絹フィブロインベースのタンパク質断片を含む。
【0249】
実施形態では、本開示における絹フィブロインベースのタンパク質断片の組成物は、約1~約5.0から選択される多分散性を有する。実施形態では、絹フィブロインベースのタンパク質断片の組成物は、約1.5~約3.0から選択される多分散性を有する。実施形態では、絹フィブロインベースのタンパク質断片の組成物は、約1~約1.5から選択される多分散性を有する。実施形態では、絹フィブロインベースのタンパク質断片の組成物は、約1.5~約2.0から選択される多分散性を有する。実施形態では、絹フィブロインベースのタンパク質断片の組成物は、約2.0~約2.5から選択される多分散性を有する。実施形態では、絹フィブロインベースのタンパク質断片の組成物は、約2.0~約3.0から選択される多分散性を有する。実施形態では、絹フィブロインベースのタンパク質断片の組成物は、約2.5~約3.0から選択される多分散性を有する。
【0250】
いくつかの実施形態では、凍結乾燥絹粉末は、貯蔵後に水、ヘキサフルオロイソプロパノール(HFIP)、又は有機溶液に再懸濁して、最初に生成されたものよりも高濃度の溶液を含む様々な濃度の絹溶液を調製することができる。別の実施形態では、絹フィブロインベースのタンパク質断片は、回転熱蒸発器、又は10質量%未満の水を含む乾燥タンパク質形態を調製するための当技術分野で知られた他の方法を使用して乾燥される。実施形態では、有機溶液における本開示の絹フィブロインベースのタンパク質断片の溶解性は、約50.0%~約100%である。実施形態では、有機溶液における本開示の絹フィブロインベースのタンパク質断片の溶解性は、約60.0%~約100%である。実施形態では、有機溶液における本開示の絹フィブロインベースのタンパク質断片の溶解性は、約70.0%~約100%である。実施形態では、有機溶液における本開示の絹フィブロインベースのタンパク質断片の溶解性は、約80.0%~約100%である。実施形態では、有機溶液における本開示の絹フィブロインベースのタンパク質断片の溶解性は、約90.0%~約100%である。実施形態では、本開示の絹フィブロインベースのタンパク質断片は、有機溶液における不溶である。
【0251】
いくつかの実施形態では、コラーゲン刺激組成物並びにその製造及び使用方法における適用に有用な絹フィブロインタンパク質断片はまた、絹フィブロインタンパク質断片の水性ゲルを含む。絹フィブロインタンパク質断片溶液のゲル化は、ソニケーション、ボルテックス、加熱、溶媒処理(例えば、メタノール、エタノール)、電気ゲル化、超音波処理、化学物質(例えば、ビタミンC)などによって引き起こすことができる。
【0252】
絹ペプチドは、天然の絹フィブロイン加水分解物から得た抽出物である。絹ペプチドは、パーソナルケア製品に含有させると、真珠の光沢と絹のような感触を示す。絹ペプチドの構造は、ヒトの毛髪及び皮膚組織に類似している。絹ペプチドは、10個以上のアミノ酸残基及び本明細書に記載される重量平均分子量を有するセリンに富むポリペプチドである。いくつかの実施形態では、絹ペプチド抽出物は、皮膚、例えば、ヒトの皮膚によって容易に吸収されることができ、皮膚に栄養素を与えて、皮膚の代謝を促進することができる。
【0253】
いくつかの実施形態では、コラーゲン刺激組成物並びにその製造及び使用方法における適用に有用な絹フィブロインタンパク質断片溶液はまた、低分子量絹フィブロインペプチド(約200Da~5kDaの重量平均分子量)を含む。絹フィブロインタンパク質加水分解物に由来する低分子量絹フィブロインペプチドは、遊離アミノ酸の天然の保湿因子を補完して、頭皮の水分含量を改善することができる。いくつかの実施形態では、低分子量の絹フィブロインペプチドは、毛包の奥深くに浸透して、修復し、水を補充し、毛髪に栄養を与え、水分バランスを改善し、ふけの発生を防ぐことができる。
【0254】
いくつかの実施形態では、コラーゲン刺激組成物並びにその製造及び使用方法における用途に有用な絹フィブロインタンパク質断片溶液はまた、加水分解された絹フィブロインに由来する絹フィブロインタンパク質アミノ酸を含む。 いくつかの実施形態では、絹フィブロインアミノ酸は、市販の加水分解絹(CAS番号:96690-41-4)から得られるものである。Bombyx moriの絹フィブロインタンパク質に由来するアミノ酸組成は、主に、Gly(43%)、Ala(30%)、及びSer(12%)からなる。
【0255】
いくつかの実施形態では、コラーゲン刺激組成物並びにその製造及び使用方法は、任意に、絹フィブロインタンパク質断片の有益な効果を向上させる植物抽出物を含む。いくつかの実施形態では、植物抽出物は、米、オート、アーモンド、Camellia Sinensis(緑茶)エキス、Butyrospermum Parkii(シアバター)、ココナッツ、パパイヤ、マンゴー、ピーチ、レモン、小麦、ローズマリー、アプリコット、藻類、グレープフルーツ、サンダルウッド、ライム、オレンジ、アカシア、Acacia concinnButea parvifloraButea superbButea frondosaCampanulata(ファイヤーチューリップ)、Adansonia Digitata(バオバブ)、Phoenix Dactylifera(デーツ)、Hibiscus Sabdariffa(ハイビスカス)、Aframomum Melegueta(アフリカンペッパー)、Khaya Senegalensis(マホガニーウッド)、Tamarindus Indica(タマリンド、即ち、クルクミン)、Cyperus Papyrus(パピルス)、Ageratum spp.、バーチ、ごぼう、ホーステイル、ラベンダー、マジョラム、イラクサ、テールキャット、タイム、オークバーク、エキナセア、セイヨウイラクサ、マンサク、ホップ、ヘンナ、カモミール、セイヨウサンザシ、ライムツリーブロッサム、アーモンド、松葉、ホースチェスナット、ジュニパー、キウイ、メロン、マロウ、ハナタネツケバナ、ワイルドタイム、ヤロウ、メリッサ、レストハロー、コルツフット、マシュマロ、ライスメリステム、モリンガ、ジンセン及びジンジャー根、アロエベラ、aloe barbadensis葉エキス、lavandula angustifolia(ラベンダー)花エキス、sambucus nigra(エルダーベリー)果実エキス、phoenix dactylifera(デーツ)種子エキス、avandula stoechas(スパニッシュラベンダー)エキス、spiraea ulmaria(メドウスイート)葉エキス、chamomilla recutita(カモミール)葉エキス、及びSymphytum officinale(コンフリー)葉エキス、及びそれらの組合せから得られる抽出物からなる群から選択される。これらの植物の抽出物は、種子、根、茎、葉、花、樹皮、果実、及び/又は植物全体から得られる。
【0256】
いくつかの実施形態では、植物抽出物は、コラーゲン刺激組成物並びにその製造及び使用方法において、組成物の総重量に対して約0.001重量%~約10.0重量%の範囲の重量パーセントで存在する。いくつかの実施形態では、植物抽出物は、コラーゲン刺激組成物並びにその製造及び使用方法において、組成物の総重量に対して約0.005重量%~約5.0重量%の範囲の重量パーセントで存在する。いくつかの実施形態では、植物抽出物は、コラーゲン刺激組成物並びにその製造及び使用方法において、組成物の総重量に対して約0.01重量%~約2.0重量%の範囲の重量パーセントで存在する。いくつかの実施形態では、植物抽出物は、コラーゲン刺激組成物並びにその製造及び使用方法において、組成物の総重量に対して約0.0045重量%~約0.0055重量%の範囲の重量パーセントで存在する。
【0257】
いくつかの実施形態では、コラーゲン刺激組成物並びにその製造及び使用方法は、任意に、290~329nmの波長の紫外線を吸収するUVフィルタを含む。いくつかの実施形態では、コラーゲン刺激組成物並びにその製造及び使用方法は、パラアミノ安息香酸、パラアミノ安息香酸エチル、パラアミノ安息香酸アミル、パラアミノ安息香酸オクチル、サリチル酸エチレングリコール、サリチル酸フェニル、サリチル酸オクチル、サリチル酸ベンジル、サリチル酸ブチルフェニル、サリチル酸ホモメンチル、シンナミン酸ベンジル、パラメトキシシンナミン酸2-エトキシエチル、パラメトキシシンナミン酸オクチル、モノ(2-エチルヘキサノエート)ジパラ-メトキシシンナミン酸グリセリル、パラ-メトキシシンナミン酸イソプロピル、ジイソプロピル-ジイソプロピルシンナミン酸エステル混合物、ウロカニン酸、ウロカニン酸エチル、ヒドロキシメトキシベンゾフェノン、ヒドロキシメトキシベンゾフェノンスルホン酸及びその塩、ジヒドロキシメトキシベンゾフェノン、ジヒドロキシメトキシベンゾフェノンジスルホン酸ナトリウム、ジヒドロキシベンゾフェノン、テトラヒドロキシベンゾフェノン、4-tert-ブチル-4’-メトキシジベンゾイルメタン、2,4,6-トリアニリノ-p-(カルボ-2’-エチルヘキシル-1’-オキシ)-1,3,5-トリアジン、及び2-(2-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)ベンゾトリアゾールからなる群から選択されるUVフィルタを含む。いくつかの実施形態では、2-エチルヘキシル-p-メトキシシンナメート、4-tert-ブチル-4’-メトキシジベンゾイルメタン、オクトクリレン、2,4-ビス-[{4-(2-エチルヘキシルオキシ)-2-ヒドロキシ}-フェニル]-6-(4-メトキシフェニル)-1,3,5-トリアジン、メチレンビス-ベンゾトリアゾリルテトラメチルブチルフェノール、2,4,6-トリス-[4-(2-エチルヘキシルオキシカルボニル)アニリノ]-1,3,5-トリアジン、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル、オキシベンゾン、2,2’-ジヒドロキシ-4,4’-ジメトキシベンゾフェノン、及びそれらの組合せからなる群から選択される水溶性紫外線吸収剤である。
【0258】
いくつかの実施形態では、UVフィルタは、ブチルメトキシジベンゾイルメタン、エチルヘキシルメトキシシンナメート、エチルヘキシルサリシレート、オクトクリレン、エチルヘキシルメトキシシンナメート、イソアミル-p-メトキシシンナメート、エチルヘキシルトリアゾン、ジエチルヘキシルブタミドトリアゾン、メチレンビス-ベンゾトリアゾリルテトラメチルブチルフェノール、フェニルジベンズイミダゾールテトラスルホン酸二ナトリウム、ビス-エチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン、ベンゾフェノン-3、及びそれらの組合せからなる群から選択される。
【0259】
いくつかの実施形態では、コラーゲン刺激組成物並びにその製造及び使用方法は、TiO、SiO、Fe、ZrO、MnO、Al、及びそれらの組合せから選択されるUVフィルタとしての無機顔料を含む。
【0260】
いくつかの実施形態では、UVフィルタは、組成物中、コラーゲンブースティング組成物の総重量に対して約0.001重量%~約20.0重量%の重量パーセントで存在する。いくつかの実施形態では、UVフィルタは、組成物中、組成物の総重量に対して約0.01重量%~約10.0重量%の重量パーセントで存在する。いくつかの実施形態では、UVフィルタは、組成物中、組成物の総重量に対して約0.05重量%~約8.0重量%の重量パーセントで存在する。
【0261】
いくつかの実施形態では、コラーゲン刺激組成物並びにその製造及び使用方法は、任意に、炭化水素油、炭化水素ワックス、シリコーン油、アセトグリセリドエステル、エトキシル化グリセリド、脂肪酸のアルキルエステル、脂肪酸のアルケニルエステル、脂肪族アルコール、脂肪族アルコールエーテル、エーテルエステル、ラノリン、ラノリン誘導体、多価アルコール、ポリエーテル誘導体、多価エステル、ワックスエステル、ミツロウ誘導体、植物ワックス、天然又はエッセンシャルオイル、リン脂質、ステロール、アミド、及びそれらの組合せからなる群から選択される皮膚軟化剤を含む。
【0262】
いくつかの実施形態では、コラーゲン刺激組成物並びにその製造及び使用方法に組み込まれる皮膚軟化剤は、(1)炭化水素油及びワックス、例えば、鉱油、ペトロラタム、パラフィン、オゾケライト、マイクロクリスタリンワックス、ポリエチレン、スクアレン、及びペルヒドロスクアレン;(2)シリコーンオイル、例えば、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、水溶性及びアルコール可溶性シリコーングリコールコポリマー;(3)アセトグリセリドエステル、例えば、アセチル化モノグリセリド;(4)エトキシル化グリセリド、例えば、エトキシル化グリセリルモノステアレート;(5)10~20個の炭素原子を有する脂肪酸のアルキルエステル、例えば、ヘキシルラウレート、イソヘキシルラウレート、イソヘキシルパルミテート、イソプロピルパルミテート、デシルオレエート、イソデシルオレエート、ヘキサデシルステアレート、デシルステアレート、イソプロピルイソステアレート、ジイソプロピルアジペート、ジイソヘキシルアジペート、ジヘキシルデシルアジペート、ジイソプロピルセバケート、ラウリルラクテート、ミリスチルラクテート、脂肪酸のメチル、イソプロピル、ブチルエステル;(6)10~20個の炭素原子を有する脂肪酸のアルケニルエステル、例えば、オレイルミリステート、オレイルステアレート、及びオレイルオレエート;(7)10~20個の炭素原子を有する脂肪酸、例えば、ペラルゴン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、ヒドロキシステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リシノール酸、アラキジン酸、ベヘン酸、及びエルカ酸;(8)10~20個の炭素原子を有する脂肪族アルコール、例えば、ラウリル、ミリスチル、セチル、ヘキサデシル、ステアリル、イソステアリル、ヒドロキシステアリル、オレイル、リシノレイル、ベヘニル、エルシルアルコール、及び2-オクチルドデカノール;(9)脂肪族アルコールエーテル、例えば、10~20個の炭素原子のエトキシル化脂肪族アルコール、ラウリル、セチル、ステアリル、イソステアリル、オレイル、及び1~50個のエチレンオキシド基又は1~50個のプロピレンオキシド基が結合したコレステロールアルコール;(10)エーテル-エステル、例えば、エトキシル化脂肪族アルコールの脂肪酸エステル;(11)ラノリン及びその誘導体、例えば、ラノリン油、ラノリンワックス、ラノリンアルコール、ラノリン脂肪酸、イソプロピルラノレート、エトキシル化ラノリン、エトキシル化ラノリンアルコール、エトキシル化コレステロール、プロポキシル化ラノリンアルコール、アセチル化ラノリン、アセチル化ラノリンアルコール、ラノリンアルコールリノレート、ラノリンアルコールリシノレート、ラノリンアルコールリシノレートのアセテート、エトキシル化アルコールエステルのアセテート、ラノリンの水素化分解、エトキシル化水素化ラノリン、エトキシル化ソルビトールラノリン、及び液体及び半固体ラノリン吸収塩基;(12)多価アルコール及びポリエーテル誘導体、例えば、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール2000及び4000、ポリオキシエチレングリコール、ポリオキシプロピレンポリオキシエチレングリコール、グリセロール、ソルビトール、エトキシル化ソルビトール、ヒドロキシプロピルソルビトール、ポリエチレングリコール200~6000、メトキシポリエチレングリコール350、550、750、2000、及び5000、ポリ[エチレンオキシド]ホモポリマー(重量平均分子量:100,000~5,000,000Da)、ポリアルキレングリコール及び誘導体、ヘキシレングリコール(2-メチル-2,4-ペンタンジオール)、1、3-ブチレングリコール、1,2,6-ヘキサントリオール、エトヘキサジオールUSP(2-エチル-1,3-ヘキサンジオール)、C15-C18ビシナルグリコール、及びトリメチロールプロパンのポリオキシプロピレン誘導体;(13)多価アルコールエステル、例えば、エチレングリコールモノ及びジ脂肪酸エステル、ジエチレングリコールモノ及びジ脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール(200~6000)モノ及びジ脂肪酸エステル、プロピレングリコールモノ-及びジ脂肪酸エステル、ポリプロピレングリコール2000モノオレエート、ポリプロピレングリコール2000モノステアレート、エトキシル化プロピレングリコールモノステアレート、グリセリルモノ及びジ脂肪酸エステル、ポリグリセリンポリ脂肪酸エステル、エトキシル化グリセリルモノステアレート、1,3-ブチレングリコールモノステアレート、1,3-ブチレングリコールジステアレート、ポリオキシエチレンポリオール脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、及びポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、スクロースココエート、スクロースジラウレート、スクロースジステアレート、スクロースヘキサエルケート、スクロースラウレート、スクロースミリステート、スクロースオレエート、スクロースパルミテート、スクロースペンタエルケート、スクロースポリベヘネート、スクロースポリコットンシーデート、スクロースポリラウレート、スクロースポリリノレート、スクロースポリオレエート、スクロースポリパルメート、スクロースポリソイエート、スクロースポリステアレート、スクロースリシノレート、スクロースステアレート、スクローステトライソステアレート、スクローストリベヘネート、スクローストリステアラット;(14)ワックスエステル、例えば、ミツロウ、鯨ろう、ミリスチルミリステート、及びステアリルステアレート;(15)ミツロウ誘導体、例えば、ミツロウと様々なエチレンオキシド含量のエトキシル化ソルビトールとの反応生成物であるポリオキシエチレンソルビトールミツロウ;(16)植物性ワックス、例えば、カルナウバ及びキャンデリラワックス;(17)天然又はエッセンシャルオイル、例えば、柑橘系オイル、非柑橘系フルーツオイル、ナッツオイル、フレーバー、芳香、又は香りを有するオイル、カノーラオイル、コーンオイル、ニームオイル、オリーブオイル、綿実油、ココナッツオイル、ヤシ油(fractionated coconut oil)、パームオイル、ナッツオイル、サフラワーオイル、ゴマオイル、大豆オイル、ピーナッツオイル、アーモンドオイル、カシューオイル、ヘーゼルナッツオイル、マカデミアオイル、ピーカンオイル、パインナッツオイル、ピスタチオオイル、クルミオイル、グレープフルーツシードオイル、レモンオイル、オレンジオイル、スイートオレンジオイル、タンジェリンオイル、ライムオイル、マンダリンオイル、オメガ3オイル、亜麻仁オイル(リンシードオイル)、アプリコットオイル、アボカドオイル、キャロットオイル、ココアバターオイル、ココナッツオイル、ヤシ油、ヘンプオイル、パパイヤシードオイル、ライスブランオイル、シアバターオイル、ティーツリーシードオイル、及び小麦胚芽オイル、ラベンダーオイル、ローズマリーオイル、桐油、ホホバオイル、ポピーシードオイル、シアバター、キャスターオイル、マンゴーオイル、ローズヒップオイル、トールオイルカモミールオイル、シナモンオイル、シトロネラオイル、ユーカリオイル、フェンネルシードオイル、ジャスミンオイル、ジュニパーベリーオイル、ラズベリーシードオイル、ラベンダーオイル、プリムローズオイル、レモングラスオイル、ナツメグオイル、パチョリオイル、ペパーミントオイル、パインオイル、ローズオイル、ローズヒップオイル、ローズマリーオイル、ユーカリオイル、ティーツリーオイル、ローズウッドオイル、サンダルウッドオイル、サッサフラスオイル、スペアミントオイル、ricinus communis(キャスター)シードオイル、ウィンターグリーンオイル;(18)リン脂質、例えば、レシチン及び誘導体;(19)ステロール、例えば、コレステロール及びコレステロール脂肪酸エステル;(20)脂肪酸アミド、エトキシル化脂肪酸アミド、及び固体脂肪酸アルカノールアミド、(21)ラノリン、テオブロマカカオ(ココア)シードバター、ペトロラタム、ユーフォルビアセリフェラ(キャンデリラ)ワックス、ハチミツ、ゲラニオール、メントール、カンファー、セチルエステル、鉱油、サリチル酸、フェノール、パルミトイルイソロイシンのうちの1以上を含む。
【0263】
いくつかの実施形態では、コラーゲン刺激組成物並びにその製造及び使用方法は、任意に、水溶性低分子量保湿剤、脂溶性低分子量保湿剤、水溶性高分子量保湿剤、及び脂溶性高分子量保湿剤、ヒューメクタント、及びそれらの組合せからなる群から選択される保湿剤を含む。
【0264】
いくつかの実施形態では、保湿剤は、ヒューメクタントを含む。本明細書においては、用語「ヒューメクタント」は、ものの湿った状態を維持するために使用される吸湿性物質を意味する。ヒューメクタントは、近傍の空気中の水分を引き付け、吸収により保持し、水蒸気を生物又は物体の表面の内部又は下部に引き込む。
【0265】
いくつかの実施形態では、コラーゲン刺激組成物並びにその製造及び使用方法は、任意に、ヒューメクタントとして、水溶性絹フィブロインペプチドを含む。絹フィブロインタンパク質断片に由来するアミノペプチドは、皮膚によって容易に吸収され得る。いくつかの実施形態では、水溶性絹フィブロインペプチドを組成物に添加して、使用後の感触を高めることができる。
【0266】
いくつかの実施形態では、絹フィブロインタンパク質断片に由来するアミノ酸は、コンディショニング剤としてコラーゲン刺激組成物並びにその製造及び使用方法に添加され得る(例えば、湿った感触、柔らかさ、滑らかさ、光沢などの優れた状態効果を発揮する目的で)。
【0267】
いくつかの実施形態では、コラーゲン刺激組成物並びにその製造及び使用方法は、ハチミツ、アロエベラ、アロエベラリーフジュース、アロエベラ液汁、ソルビトール、尿素、乳酸、乳酸ナトリウム、ピロリドンカルボン酸、トレハロース、マルチトール、アルファ-ヒドロキシ酸、ナトリウムピログルタメート、ピロリドンカルボキシレート、N-アセチル-エタノールアミン、乳酸ナトリウム、イソプロパノール、ポリアルキレングリコール(例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ヘキシレングリコール、1,3-ブチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール)、1,3-プロパンジオール、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、グリセリルココネート、ヒドロキシステアレート、ミリステート、オレエート、ナトリウムヒアルロネート、ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸、リン脂質、コラーゲン、エラスチン、セラミド、レシチンソルビトール、PEG-4、及びそれらの組合せからなる群から選択される1以上の更なるヒューメクタントを含み得る。
【0268】
いくつかの実施形態では、コラーゲン刺激組成物並びにその製造及び使用方法は、任意に、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3ブチレングリコール、グリセリン、ソルビトール、ポリエチレングリコール、グルタミン、マンニトール、ピロリドン-ナトリウムカルボキシレート(重合度n=2以上)、ポリプロピレングリコール(重合度n=2以上)、ポリグリセリン(重合度n=2以上)、乳酸、ラクテート、及びそれらの組合せからなる群から選択される多価アルコールを、保湿剤として含む。
【0269】
いくつかの実施形態では、コラーゲン刺激組成物並びにその製造及び使用方法は、任意に、コレステロール及びコレステロールエステルからなる群から選択される脂溶性低分子量保湿剤を含む。いくつかの実施形態では、組成物は、任意に、カルボキシビニルポリマー、ポリアスパルテート、トラガカント、キサンタンガム、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、水溶性キチン、キトサン、及びデキストリンからなる群から選択される水溶性高分子量保湿剤を含む。いくつかの実施形態では、組成物は、任意に、ポリビニルピロリドン-エイコセンコポリマー、ポリビニルピロリドン-ヘキサデセンコポリマー、ニトロセルロース、デキストリン脂肪酸エステル、及び高分子シリコーンからなる群から選択される脂溶性高分子量保湿剤を含む。
【0270】
更なる好適な保湿剤としては、本質的に水溶性及び/又は水膨潤性であるポリマー保湿剤が挙げられる。いくつかの実施形態では、ヒアルロン酸又はキトサンを保湿剤と組み合わせて、それらの性質を向上させる。
【0271】
いくつかの実施形態では、コラーゲン刺激組成物並びにその製造及び使用方法は、コラーゲンブースティング組成物の総重量に対して約0.1重量%~約30.0重量%で保湿剤を含む。いくつかの実施形態では、組成物は、コラーゲンブースティング組成物の総重量に対して約0.5重量%~約25.0重量%で保湿剤を含む。いくつかの実施形態では、組成物は、組成物の総重量に対して約1.0重量%~約20.0重量%で保湿剤を含む。
【0272】
本明細書に記載の組成物は、薬剤などの更なる活性剤を含む。幾つかの実施形態では、活性剤は、酵素阻害剤、麻酔剤、医療用神経毒、酸化防止剤、抗感染剤、抗炎症剤、血管拡張剤、紫外(UV)光遮断剤(例えば、入れ墨用染料、インク、又は顔料)、反射剤、ホルモン、免疫抑制剤、及びこれらの組合せが挙げられる。本明細書に記載の組成物は、酵素阻害剤、麻酔剤、医療用神経毒(例えば、ボツリヌス毒素及びクロストリジウム毒素)、酸化防止剤、抗感染剤(例えば、抗生物質)、血管拡張剤、染料(例えば、入れ墨用インク又は顔料、反射剤、抗炎症剤、紫外(UV)光遮断剤、染料、ホルモン、免疫抑制剤、及びこれらの組合せからなる群から選択される活性剤であることができる。いくつかの実施形態では、免疫抑制剤は、ラパマイシン、又はラパマイシン様化合物である。いくつかの実施形態では、活性剤は、ペニシリン(例えば、ペニシリンV、アモキシシリン)、エリスロマイシン(例えば、エリスロマイシンステアレート)、リンコサミド(例えば、クリンダマイシン)、及びセファロスポリン(例えば、セファレキシン)、及びこれらの組合せからなる群から選択される抗生物質であることができる。
【0273】
いくつかの実施形態では、更なる活性剤は、ニトログリセリン、ラベタロール、チアジド(thrazide)、二硝酸イソソルビド、四硝酸ペンタエリスリトール、ジギタリス、ヒドララジン、ジアゾキシド、アムリノン、L-アルギニン、硫酸バメタン、フマル酸ベンシクラン、ヘミコハク酸ベンフロジル、ニコチン酸ベンジル、塩酸ブフロメジル、塩酸ブフェニン、塩酸ブチルアミン(butalamine hydrochloride)、クエン酸セチエジル、シクロニカート、マレイン酸シネパジド、シクランデラート、ジクロロ酢酸ジイソプロピルアンモニウム、ニコチン酸エチル、ヘプロニカート、ニコチン酸ヘキシル、酒石酸イフェンプロジル、ニコチン酸イノシトール、塩酸イソクスプリン、カリジノゲナーゼ、ニコチン酸メチル、シュウ酸ナフチドフリル、クエン酸ニカメタート、ニセリトロール、ニコボキシル、ニコフラノース、ニコチニルアルコール、酒石酸ニコチニルアルコール、一酸化窒素、ノニバミド、オキシペンチフィリン、パパベリン、パパベロリン、ペンチフィリン、過酸化亜硝酸、ピナシジル、ピプラテコール、プロペントフィルチン、ラウバシン、スルオクチジル、テアスプリン、塩酸チモキサミン、ニコチン酸トコフェロール、トラゾリン、ニコチン酸キサンチノール、ジアゾキシド、ヒドララジン、ミノキシジル、ニトロプルシドナトリウム、及びこれらの組合せからなる群から選択される血管拡張剤であることができる。
【0274】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の組成物は、約0.01%~約0.1%、又は約0.05%~約0.15%、又は約0.1%~約0.2%、又は約0.15%~約0.25%、又は約0.2%~約0.3%、又は約0.25%~約0.35%、又は約0.3%~約0.4%、又は約0.35%~約0.45%、又は約0.4%~約0.5%、又は約0.45%~約0.55%、又は約0.5%~約0.6%、又は約0.55%~約0.65%、又は約0.6%~約0.7%、又は約0.65%~約0.75%、又は約0.7%~約0.8%、又は約0.75%~約0.85%、又は約0.8%~約0.9%、又は約0.85%~約0.95%、又は約1%~約2%、又は約1.5%~約2.5%、又は約2%~約3%、又は約2.5%~約3.5%、又は約3%~約4%、又は約3.5%~約4.5%、又は約4%~約5%、又は約4.5%~約5.5%、又は約5%~約6%、又は約5.5%~約6.5%、又は約6%~約7%、又は約6.5%~約7.5%、又は約7%~約8%、又は約7.5%~約8.5%、又は約8%~約9%、又は約8.5%~約9.5%、又は約9%~約10%、又は約10%~約15%、又は約15%~約20%、又は約20%~約25%、又は約25%~約30%、又は約30%~約35%、又は約35%~約40%、又は約40%~約45%、又は約45%~約50%の重量濃度で、更なる活性剤を含むことができる。
【0275】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の組成物は、線維症阻害剤を含む。幾つかの実施形態では、本明細書に記載の組成物は、治療部位内又はその周囲の病理学的プロセスに対する阻害効果を発揮するように作用する化合物を更に含むことができる。特定の態様では、活性剤は、次の化合物のクラスのいずれかから選択することができる:抗炎症剤(例えば、デキサメタゾン、コルチゾン、フルドロコルチゾン、プレドニゾン、プレドニゾロン、6α-メチルプレドニゾロン、トリアムシノロン、ベタメタゾン、及びアスピリン)。
【0276】
いくつかの実施形態では、コラーゲン刺激組成物並びにその製造及び使用方法は、任意に、粒子を含み、前記粒子は、高分子粒子、雲母、シリカ、泥、及び粘土を含み得る。コラーゲン刺激組成物並びにその製造及び使用方法における粒子は、滑らかさ、摩擦の低減、滑りやすい感触の利点をもたらす一方で、毛髪を清潔で軽く、風通しの良い状態に保ち、手及び/又は髪に広げたときに改善された感触を与える。
【0277】
いくつかの実施形態では、コラーゲン刺激組成物並びにその製造及び使用方法は、アニオン性及び/又は非イオン性及び/又は双性イオン性ポリマーからなる群から選択されるポリマーから形成されるポリマー粒子を含む。いくつかの実施形態では、組成物は、ポリスチレン、ポリビニルアセテート、ポリジビニルベンゼン、ポリメチルメタクリレート、ポリ-n-ブチルアクリレート、ポリ-n-ブチルメタクリレート、ポリ-2-エチルヘキシルメタクリレート、6,12-ナイロン、ポリウレタン、エポキシ樹脂、スチレン/酢酸ビニルコポリマー、スチレン/トリメチルアミノエチルメタクリレートクロリコポリマー、及びそれらの組合せからなる群から選択されるポリマーから形成されるポリマー粒子を含む。
【0278】
いくつかの実施形態では、コラーゲン刺激組成物並びにその製造及び使用方法は、ポリエチレンホモポリマー、エチレン-アクリル酸コポリマー、約6,000Da~約12,000Daの範囲の分子量を有するポリアミドポリマー、ポリエチレン-酢酸ビニルコポリマー、シリコーン-合成ワックスコポリマー、シリコーン-天然ワックスコポリマー、カンデリラ-シリコーンコポリマー、オゾケライト-シリコーンコポリマー、合成パラフィンワックス-シリコーンコポリマー、及びそれらの組合せからなる群から選択される疎水性ポリマーから形成されるカチオン性ポリマー粒子を含む。
【0279】
いくつかの実施形態では、コラーゲン刺激組成物並びにその製造及び使用方法は、別個の粒子を沈着させるための膨潤したポリマー粒子を含む。いくつかの実施形態では、膨潤したポリマー粒子は、粒子状シリコーンポリマー及び表面アルキル化球状シリコン粒子からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、膨潤したポリマー粒子を形成するシリコーンポリマーは、ポリジオルガノシロキサン、ポリモノオルガノシロキサン、及び架橋ポリジメチルシロキサン、ヒドロキシル又はメチルなどの末端基を有していてもよい架橋ポリモノメチルシロキサン、及び架橋ポリジメチルシロキサン(DC2-9040シリコーン液(Dow Corning))からなる群から選択される。ポリジソルガノシロキサン(polydisorganosiloxanes)は、好ましくは、RSiO0.5繰り返し単位とRSiO繰り返し単位の好適な組合せから誘導される。ポリモノオルガノシロキサンはRSiO1.5から誘導される。各Rは、独立して、アルキル、アルケニル(例えば、ビニル)、アルカリル、アラルキル、又はアリール(例えば、フェニル)基を表す。いくつかの実施形態では、Rはメチル基である。
【0280】
いくつかの実施形態では、ポリマー粒子は、1000nm未満のメジアン粒子サイズを有するナノ粒子である。いくつかの実施形態では、ポリマー粒子は、約5nm~約600nmのメジアン粒子サイズを有する。いくつかの実施形態では、ポリマー粒子は、約10nm~約500nmのメジアン粒子サイズを有する。いくつかの実施形態では、ポリマー粒子は、約10nm~約400nmのメジアン粒子サイズを有する。いくつかの実施形態では、ポリマー粒子は、約20nm~約300nmのメジアン粒子サイズを有する。いくつかの実施形態では、ポリマー粒子は、約50nm~約600nmのメジアン粒子サイズを有する。
【0281】
いくつかの実施形態では、コラーゲン刺激組成物並びにその製造及び使用方法は、本明細書に開示されるように、皮膚科学的に許容される担体中に分散液又は懸濁液を形成する粘土粒子を含む。本明細書全体を通して、用語「粘土」は、水と混合すると塑性になる細粒の土の材料を意味することが意図される。粘土は、天然、合成、又は化学的に修飾された粘土であり得る。粘土は、不純物(例えば、少量のカリウム、ナトリウム、マグネシウム、又は鉄)を含む含水ケイ酸アルミニウムを含む。
【0282】
一実施形態では、粘土は、38.8%~98.2%のSiO及び0.3%~38.0%のAlを含む材料であり、更に、Fe、CaO、MgO、TiO、ZrO、NaO、及びKOから選択される金属酸化物の1以上を含む。いくつかの実施形態では、粘土は、八面体配位のアルミニウム、マグネシウム、若しくは鉄、又は四面体配位のシリコンの含水シートを含む層状構造を有する。
【0283】
一実施形態では、粘土は、カオリン、タルク、2:1フィロケイ酸塩、1:1フィロケイ酸塩、スメクタイト、ベントナイト、モンモリロナイト(ベントナイトとしても知られる)、ヘクトライト、ボルコンコイト、ノントロナイト、サポナイト、バイデライト、ソーコナイト、及びそれらの混合物からなる群から選択される。一実施形態では、粘土は、カオリン又はベントナイトである。いくつかの実施形態では、粘土は、合成ヘクトライトである。別の実施形態では、粘土は、ベントナイトである。
【0284】
いくつかの実施形態では、粘土は、約0.7meq/100g~約150meq/100gのカチオン交換容量を有する。いくつかの実施形態では、粘土は、約30meq/100g~約100meq/100gのカチオン交換容量を有する。
【0285】
いくつかの実施形態では、コラーゲン刺激組成物並びにその製造及び使用方法は、任意に、本明細書に開示される、カチオン性に帯電したヘアコンディショニング剤と静電的に複合体を形成したアニオン性に帯電した粘土を有する複合粒子を含む。
【0286】
市販の合成ヘクトライトとしては、商品名Laponite(登録商標)RD、Laponite(登録商標)RDS、Laponite(登録商標)XLG、Laponite(登録商標)XLS、Laponite(登録商標)D、Laponite(登録商標)DF、Laponite(登録商標)DS、Laponite(登録商標)S、及びLaponite(登録商標)JS(Southern Clay products,Texas,USA)で販売されているものが挙げられる。市販のベントナイトとしては、商品名Gelwhite(登録商標)GP、Gelwhite(登録商標)H、Gelwhite(登録商標)L、Mineral Colloid(登録商標)BP、Mineral Colloid(登録商標)MO、Gelwhite(登録商標)MAS 100 (sc)、Gelwhite(登録商標)MAS 101、Gelwhite(登録商標)MAS 102、Gelwhite(登録商標)MAS 103、Bentolite(登録商標)WH、Bentolite(登録商標)L10、Bentolite(登録商標)H、Bentolite(登録商標)L、Permont(登録商標)SX10A、Permont(登録商標)SC20、及びPermont(登録商標)HN24(Southern Clay Products,Texas,USA);Bentone(登録商標)EW及びBentone(登録商標)MA(Dow Corning);並びにBentonite(登録商標)USP BL 670及びBentolite(登録商標)H4430(Whitaker、Clarke & Daniels)で販売されているものが挙げられる。いくつかの実施形態では、粒子は、約1μm~約100μmのメジアン粒子サイズを有する。いくつかの実施形態では、粒子は、約2μm~約50μmのメジアン粒子サイズを有する。いくつかの実施形態では、粒子は、約2μm~約20μmのメジアン粒子サイズを有する。いくつかの実施形態では、粒子は、約4μm~約10μmのメジアン粒子サイズを有する。いくつかの実施形態では、粒子は、約1μm、約1.1μm、約1.2μm、約1.3μm、約1.4μm、約1.5μm、約1.6μm、約1.7μm、約1.8μm、約1.9μm、約2.0μm、約2.1μm、約2.2μm、約2.3μm、約2.4μm、約2.5μm、約2.6μm、約2.7μm、約2.8μm、約2.9μm、約3.0μm、約3.1μm、約3.2μm、約3.3μm、約3.4μm、約3.5μm、約3.6μm、約3.7μm、約3.8μm、約3.9μm、約4.0μm、約4.1μm、約4.2μm、約4.3μm、約4.4μm、約4.5μm、約4.6μm、約4.7μm、約4.8μm、約4.9μm、約5.0μm、約5.1μm、約5.2μm、約5.3μm、約5.4μm、約5.5μm、約5.6μm、約5.7μm、約5.8μm、約5.9μm、約6.0μm、約6.1μm、約6.2μm、約6.3μm、約6.4μm、約6.5μm、約6.6μm、約6.7μm、約6.8μm、約6.9μm、約7.0μm、約7.1μm、約7.2μm、約7.3μm、約7.4μm、約7.5μm、約7.6μm、約7.7μm、約7.8μm、約7.9μm、約8.0μm、約8.1μm、約8.2μm、約8.3μm、約8.4μm、約8.5μm、約8.6μm、約8.7μm、約8.8μm、約8.9μm、約9.0μm、約9.1μm、約9.2μm、約9.3μm、約9.4μm、約9.5μm、約9.6μm、約9.7μm、約9.8μm、約9.9μm、及び約10.0μmから選択されるメジアン粒子サイズを有する。
【0287】
いくつかの実施形態では、カチオン性に帯電したヘアコンディショニング剤の、粘土に対する重量比は、0.05:1~20:1である。いくつかの実施形態では、カチオン性に帯電したヘアコンディショニング剤の、粘土に対する重量比は、0.1:1~10:1である。いくつかの実施形態では、カチオン性に帯電したヘアコンディショニング剤の、粘土に対する重量比は、0.2:1~5:1である。いくつかの実施形態では、カチオン性に帯電したヘアコンディショニング剤の、粘土に対する重量比は、0.05:1、0.1:1、0.2:1、0.5:1、0.75:1、1:1、1.5:1、2:1、2.5:1、3:1、3.5:1、4.0:1、4.5:1、5.0:1、5.5:1、6.0:1、6.5:1、7.0:1、7.5:1、8.0:1、8.5:1、9.0:1、9.5:1、10.0:1、10.5:1、11.0:1、11.5:1、12.0:1、12.5:1、13.0:1、13.5:1、14.0:1、14.5:1、15.0:1、15.5:1、16.0:1、16.5:1、17.0:1、17.5:1、18.0:1、18.5:1、19.0:1、19.5:1、及び20.0:1から選択される。
【0288】
いくつかの実施形態では、粒子は、コラーゲン刺激組成物並びにその製造及び使用方法において、コラーゲンブースティング組成物の総重量に対して約0.01重量%~約10.0重量%の範囲の重量パーセントで存在する。いくつかの実施形態では、粒子は、コラーゲン刺激組成物並びにその製造及び使用方法において、コラーゲンブースティング組成物の総重量に対して約0.1重量%~約10.0重量%の範囲の重量パーセントで存在する。いくつかの実施形態では、粒子は、コラーゲンブースティング組成物中、組成物の総重量に対して約0.1重量%~約2.0重量%の範囲の重量パーセントで存在する。いくつかの実施形態では、粒子は、コラーゲンブースティング組成物中、組成物の総重量に対して約1.0重量%~約9.0重量%の範囲の重量パーセントで存在する。いくつかの実施形態では、粒子は、コラーゲンブースティング組成物中、組成物の総重量に対して約1.0重量%~約5.0重量%の範囲の重量パーセントで存在する。いくつかの実施形態では、粒子は、コラーゲンブースティング組成物中、組成物の総重量に対して約0.01重量%、約0.1重量%、約0.2重量%、約0.3重量%、約0.4重量%、約0.5重量%、約0.6重量%、約0.7重量%、約0.8重量%、約0.9重量%、約1.0重量%、約1.1重量%、約1.2重量%、約1.3重量%、約1.4重量%、約1.5重量%、約1.6重量%、約1.7重量%、約1.8重量%、約1.9重量%、約2.0重量%、約2.1重量%、約2.2重量%、約2.3重量%、約2.4重量%、約2.5重量%、約2.6重量%、約2.7重量%、約2.8重量%、約2.9重量%、約3.0重量%、約3.1重量%、約3.2重量%、約3.3重量%、約3.4重量%、約3.5重量%、約3.6重量%、約3.7重量%、約3.8重量%、約3.9重量%、約4.0重量%、約4.1重量%、約4.2重量%、約4.3重量%、約4.4重量%、約4.5重量%、約4.6重量%、約4.7重量%、約4.8重量%、約4.9重量%、約5.0重量%、約5.1重量%、約5.2重量%、約5.3重量%、約5.4重量%、約5.5重量%、約5.6重量%、約5.7重量%、約5.8重量%、約5.9重量%、約6.0重量%、約6.1重量%、約6.2重量%、約6.3重量%、約6.4重量%、約6.5重量%、約6.6重量%、約6.7重量%、約6.8重量%、約6.9重量%、約7.0重量%、約7.1重量%、約7.2重量%、約7.3重量%、約7.4重量%、約7.5重量%、約7.6重量%、約7.7重量%、約7.8重量%、約7.9重量%、約8.0重量%、約8.1重量%、約8.2重量%、約8.3重量%、約8.4重量%、約8.5重量%、約8.6重量%、約8.7重量%、約8.8重量%、約8.9重量%、約9.0重量%、約9.1重量%、約9.2重量%、約9.3重量%、約9.4重量%、約9.5重量%、約9.6重量%、約9.7重量%、約9.8重量%、約9.9重量%、及び約10.0重量%から選択される重量パーセントで存在する。
【0289】
いくつかの実施形態では、コラーゲン刺激組成物並びにその製造及び使用方法は、特により大きなサイズの粒子の粒子分散安定性を維持するために、コロイド安定剤を任意に含む。好適なコロイド安定剤は、プロピレンオキシド-エチレンオキシドコポリマー又はエチレンオキシド-プロピレンオキシドグラフト化ポリエチレンイミン、ポリオキシエチレン(20~80ユニットPOE)イソオクチルフェニルエーテル、脂肪族アルコールエトキシレート、ポリビニルピロリドンを含むポリエトキシル化ポリテレフタレートブロックコポリマー、ビニルピロリドン繰り返し単位を含むコポリマー、及びそれらの組合せからなる群から選択される。
【0290】
いくつかの実施形態では、コラーゲン刺激組成物並びにその製造及び使用方法は、皮膚科学的に許容される担体としてエマルジョンを含む。いくつかの実施形態では、皮膚科学的に許容される担体は、従来のエマルジョンとして存在する。いくつかの実施形態では、皮膚科学的に許容される担体は、マイクロエマルジョンとして存在する。いくつかの実施形態では、皮膚科学的に許容される担体は、油中水型エマルジョンとして存在する。いくつかの実施形態では、皮膚科学的に許容される担体は、水中油型エマルジョンとして存在する。いくつかの実施形態では、皮膚科学的に許容される担体は、ナノエマルジョンとして存在する。いくつかの実施形態では、皮膚科学的に許容される担体は、シリコーン油中水型エマルジョンとして存在する。いくつかの実施形態では、皮膚科学的に許容される担体は、水中シリコーン油型エマルジョンとして存在する。
【0291】
本明細書においては、従来のエマルジョンは、1つの連続相及び1つの分散相を有し、これは、界面活性剤によるコーティングにより安定化された非常に小さな球体として存在する。連続相の性質に応じて、エマルジョンは、水中油型又は油中水型として記述される。これらのエマルジョンは、理想的な場合には速度論的に安定している。即ち、無限にはないが、長期間保持される。特に温度変動時には、沈降、クリーミング、増粘、又は凝集の結果として相分離する傾向がある。
【0292】
本明細書においては、マイクロエマルジョンは、熱力学的に安定であり、等方性であり、流体であり、油性成分、水性成分、及び界面活性剤の3成分を有する三元系を含む光学的に透明な単一液相である。マイクロエマルジョンは、界面活性剤、又はより多くの場合、界面活性剤と共界面活性剤の混合物が、油/水界面張力を非常に低い値、多くの場合、10~10、好ましくは10~10N/mの範囲に低下させ、2つの不溶性相は、熱攪拌の結果として、それ自体が均一に分散された状態になる。マイクロエマルジョンは、平衡領域(いわゆる、サブフェーズ)を有する双連続構造(bicontinuous structures)が、100~1000オングストロームのオーダーであることが多い。マイクロエマルジョンは、油がミセルによって可溶化されるO/W(水中油)型のマイクロエマルジョンの1つの状態、又は水相と油相の両方が連続構造を有するように界面活性剤分子の会合の数が無限になる双連続マイクロエマルジョンのいずれかを意味する。
【0293】
性質については、マイクロエマルジョンは透明又は半透明に見え、全ての配合成分及びコンポーネントが、その中に均一に溶解している単相状態の溶液として存在し得る。
【0294】
製造プロセスに関わらず、マイクロエマルジョンは、同一の配合成分を有し、同一温度で調製されると、同一の状態になることがある。したがって、前記の3成分(油、水、及び界面活性剤)及び残りの成分は、必要に応じて任意の順序で添加及び混合することができ、任意の力で機械力を使用して攪拌し、結果として実質的に同一の状態(外観、粘度、使用感など)を有するマイクロエマルジョンを生成することができる。
【0295】
双連続マイクロエマルジョンは、水相と油相の2つの相を、広がり隣接し絡み合ったドメインの形態で含み、その界面で、安定化界面活性界面活性剤(stabilizing interface-active surfactants)が単分子層として濃縮されている。個々の成分、水、油、及び好適な乳化剤系が混合されると、通常、非常に低い界面張力のために、双連続マイクロエマルジョンが非常に容易に形成される。ドメインは、少なくとも一次元でナノメートルオーダーの非常に小さな広がりしか有しないため、マイクロエマルジョンは視覚的に透明に見え、使用される乳化剤系に応じて、熱力学的、即ち、無限に、特定温度範囲で安定である。
【0296】
本明細書においては、用語ナノエマルジョンは、それらのナノ粒子サイズ、1000nm未満のために透明又は半透明の外観を示すエマルジョンを意味する。
【0297】
乳化剤(例えば、界面活性剤)は、互いに混和しない液相、多くの場合、水と非極性の有機相との間の界面張力を低下させて、それらの相互溶解度を高める物質である。界面活性剤は、少なくとも1つの親水性及び1つの疎水性構造単位の特徴的な構造上の特徴を有する。この構造上の特徴は、両親媒性とも称される。
【0298】
アニオン性、カチオン性、両親媒性、及び非イオン性の各界面活性剤は、水及び油性物質の乳化による乳化化粧品材料の製造用の乳化剤として従来から使用されている。しかし、合成界面活性剤は皮膚表面組織の破壊に関わり、体内に入ると、肝臓損傷の原因となるため、その高い安全性から、天然タンパク質ベースの乳化剤を含む多くの天然由来のタンパク質ベースの乳化剤が使用されている。
【0299】
タンパク質ベースの乳化剤を使用して得られる乳化化粧品材料は、一般に、使用時に柔らかくしっとりとした感触を有するが、完成品は、崩れ感があり、広がりがないことが多い。化粧品に使用される乳化剤の重要な要素としては、安全性及び乳化力だけでなく、使用時の感触も含む。本開示は、本明細書に開示されるコラーゲンブースティング組成物用の乳化担体を安定化するための乳化剤(以下、シルク乳化剤)としての絹フィブロインタンパク質断片の使用を提供する。
【0300】
実施形態では、コラーゲン刺激組成物並びにその製造及び使用方法は、乳化剤系内にシルク乳化剤を有する担体として、エマルジョンを含む。絹フィブロインは、高分子量のポリマーの主成分を占める大きな疎水性ドメインを有する両親媒性ポリマーである。疎水性領域は、小さい親水性スペーサによって中断されており、鎖のN末端とC末端も非常に親水性である。H鎖の疎水性ドメインは、Gly-Ala-Gly-Ala-Gly-Serの繰り返しヘキサペプチド配列と、Gly-Ala/Ser/Tyrジペプチドの繰り返しを含み、これにより、安定な逆平行シート結晶体を形成することができる。L鎖のアミノ酸配列は非反復性であるため、L鎖はより親水性で比較的弾力性がある。絹フィブロイン分子の親水性(Tyr,Ser)及び疎水性(Gly,Ala)鎖セグメントは、絹フィブロイン分子の自己組織化が可能となるように交互に配される。
【0301】
いくつかの実施形態では、乳化剤系は、絹乳化剤と、高HLB値を有する低分子とを含む。疎水性反復基の組成は、親水性-Ser-ごとに1つのペンタペプチド-Gly-Ala-Gly-Ala-Gly-であり、絹フィブロインタンパク質の親水性-疎水性バランス(HLB)は、高HLB値(即ち、>10)を有する親水性分子の添加により作製された親水性環境において、7.95~16.74の範囲に変更することができる。絹フィブロインタンパク質断片のHLB値の前記範囲は、O/W型エマルジョンからW/O型エマルジョンまでの広範囲のエマルジョンの調製を可能にする。いくつかの実施形態では、高HLB値を有する親水性分子は、グリセロール(HLB11.28)、ブタンテトラオール(HLB12.7)、キシリトール(HLB14.13)、D-ソルビトール(HLB15.55)、イノシトール(HLB16.74)、ヒアルロン酸、ヒアルロネート、カラギーナン、プルラン、アルギン酸、アルギネート、微生物エキソポリサッカライド、グルコサミン、コンドロイチン硫酸、グリコサミノグリカン、グルコマンナン、及びそれらの組合せを含む多糖からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、乳化剤系は、絹乳化剤及びグリセロールを含む。
【0302】
いくつかの実施形態では、シルク乳化剤及び高HLB値を有する親水性分子は、1:1~1:10のシルク乳化剤対親水性分子の重量比でエマルジョン担体に含有される。いくつかの実施形態では、シルク乳化剤及び高HLB値を有する親水性分子は、1:1、1:1.1、1:1.2、1:1.3、1:1.4、1:1.5、1:1.6、1:1.7、1:1.8、1:1.9、1:2、1:2.1、1:2.2、1:2.3、1:2.4、1:2.5、1:2.6、1:2.7、1:2.8、1:2.9、1:3.0、1:3.1、1:3.2、1:3.3、1:3.4、1:3.5、1:3.6、1:3.7、1:3.8、1:3.9、1:4、1:4.1、1:4.2、1:4.3、1:4.4、1:4.5、1:4.6、1:4.7、1:4.8、1:4.9、1:5.0、1:5.1、1:5.2、1:5.3、1:5.4、1:5.5、1:5.6、1:5.7、1:5.8、1:5.9、1:6、1:6.1、1:6.2、1:6.3、1:6.4、1:6.5、1:6.6、1:6.7、1:6.8、1:6.9、1:7、1:8、1:9、及び1:10から選択されるシルク乳化剤対親水性分子の重量比でエマルジョン担体に含有される。いくつかの実施形態では、シルク乳化剤及び高HLB値を有する親水性分子は、1:1のシルク乳化剤対親水性分子の重量比でエマルジョン担体に含有される。いくつかの実施形態では、乳化剤系は、シルク乳化剤及びグリセロールを、1:1~1:3のシルク乳化剤対グリセロールの重量比で含む。いくつかの実施形態では、乳化剤系は、シルク乳化剤及びグリセロールを、1:1、1:1.1、1:1.2、1:1.3、1:1.4、1:1.5、1:1.6、1:1.7、1:1.8、1:1.9、1:2、1:2.1、1:2.2、1:2.3、1:2.4、1:2.5、1:2.6、1:2.7、1:2.8、1:2.9、1:3.0から選択されるシルク乳化剤対グリセロールの重量比で含む。
【0303】
実施形態では、本開示は、前記したように、絹フィブロインタンパク質ベースの断片の水溶液又はエマルジョン担体用の乳化剤(以下、シルク乳化剤)としての絹フィブロインタンパク質ベースの断片の水性ゲルを提供する。絹フィブロインタンパク質ベースの断片の水溶液又は絹フィブロインタンパク質ベースの断片の水性ゲルを油性成分と混合し、絹フィブロインタンパク質ベースの断片の水溶液又は水性ゲル中の水と、油性成分との間の均一な乳化を達成することができる。
【0304】
いくつかの実施形態では、乳化剤として使用される絹フィブロインタンパク質断片は、約5kDa超の重量平均分子量を有する。いくつかの実施形態では、乳化剤として使用される絹フィブロインタンパク質は、約5kDa~約350kDaから選択される重量平均分子量を有する。いくつかの実施形態では、乳化剤として使用される絹フィブロインタンパク質は、約20kDa~約80kDaから選択される重量平均分子量を有する。いくつかの実施形態では、乳化剤として使用される絹フィブロインタンパク質は、約40kDa~約60kDaから選択される重量平均分子量を有する。他の実施形態では、本明細書に記載の任意の絹フィブロイン断片を、乳化剤として使用することができる。
【0305】
いくつかの実施形態では、エマルジョン担体中に存在するシルク乳化剤の量は、エマルジョン担体の総重量に対して約0.1重量%~約15.0重量%である。いくつかの実施形態では、エマルジョン担体中に存在するシルク乳化剤の量は、エマルジョン担体の総重量に対して約0.75重量%~約10.0重量%である。いくつかの実施形態では、エマルジョン担体中に存在するシルク乳化剤の量は、約0.1重量%、約0.2重量%、約0.3重量%、約0.4重量%、約0.5重量%、約0.6重量%、約0.7重量%、約0.8重量%、約0.9重量%、約1.0重量%、約1.25重量%、約1.50重量%、約1.75重量%、約2.0重量%、約2.25重量%、約2.5重量%、約2.75重量%、約3.0重量%、約3.25重量%、約3.5重量%、約3.75重量%、約4.0重量%、約4.25重量%、約4.5重量%、約4.75重量%、約5.0重量%、約5.25重量%、約5.5重量%、約5.75重量%、約6.0重量%、約6.25重量%、約7.5重量%、約7.75重量%、約8.0重量%、約8.25重量%、約8.5重量%、約8.75重量%、約9.0重量%、約9.25重量%、約9.5重量%、約9.75重量%、約10.0重量%、約10.25重量%、約10.5重量%、約10.75重量%、約11.0重量%、約11.25重量%、約11.5重量%、約11.75重量%、約12.0重量%、約12.25重量%、約12.50重量%、約12.75重量%、約13.0重量%、約13.25重量%、約13.50重量%、約13.75重量%、約14.0重量%、約14.25重量%、約14.50重量%、約14.75重量%、及び約15.0重量%からなる群から選択される。
【0306】
水溶液中の絹タンパク質は、高分子量であると、振動又は攪拌のせん断によってより容易にフィブリル化する傾向がある。フィブリル化タンパク質は、水不溶性の塊からなり、化粧品材料の使用時の心地よさ低下させる。
【0307】
いくつかの実施形態では、絹フィブロインタンパク質断片は、より親水性の環境とするために高HLB値を有する親水性物質とブレンドされ、係る親水性物質としては、絹フィブロイン溶液のゲル化を防ぐグリセロール、ブタンテトラオール、キシリトール、D-ソルビトール、イノシトールポリエチレングリコール、ポリエチレンオキシド、ポリ乳酸、セルロース、キチン、及びポリビニルアルコールが挙げられる。ランダムコイルからβシート構造(フィブリレート)へのフィブロインの形状変化を防ぐことが重要である。
【0308】
いくつかの実施形態では、HLB値>10を有するスクロース脂肪エステルベースの乳化剤が、絹フィブロインタンパク質の乳化効率を高めるために、乳化安定剤として絹フィブロインタンパク質に添加される。
【0309】
いくつかの実施形態では、コラーゲン刺激組成物並びにその製造及び使用方法の乳化系は、スクロース脂肪酸エステルベースの乳化剤、及び絹フィブロインタンパク質の水溶液又は絹フィブロインタンパク質の水性ゲルを含み得る。
【0310】
いくつかの実施形態では、絹フィブロインタンパク質断片を含む水溶液又は水性ゲルは、コラーゲン刺激組成物の共乳化剤として使用することができ、絹タンパク質の水溶液又はゲルは、未洗浄(unscoured)、部分洗浄(partially scoured)、又は洗浄済み(scoured)の紡績カイコ繊維(繭フィラメント)を中性塩(例えば、臭化リチウム)で溶解することによって得られる。いくつかの実施形態では、スクロース脂肪酸エステルは、スクロースパルミテート及びスクロースラウレートエステルである。いくつかの実施形態では、絹タンパク質は、向上した乳化効率を有するコラーゲン刺激組成物のための界面活性剤として使用することができる。いくつかの実施形態では、リン脂質(例えば、レシチン)を使用して、絹フィブロインタンパク質断片に由来する共乳化剤と複合体を形成させ、その乳化力(界面活性剤の効率)を高めることができる。
【0311】
いくつかの実施形態では、絹フィブロインタンパク質断片ベースの乳化剤を使用して得られたマイクロエマルジョンを含むコラーゲン刺激組成物は、一般に、使用時に、良好な展延性、滑らかで湿った感触を有する。いくつかの実施形態では、コラーゲン刺激組成物並びにその製造及び使用方法のためのエマルジョン担体は、共乳化剤として1以上のイオン性界面活性剤を更に含むことができる。
【0312】
イオン性界面活性剤は、水溶液中で電荷を有するようにイオン化される界面活性剤であり、電荷の種類に応じて、両性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、又はアニオン性界面活性剤に分類される。アニオン性界面活性剤と両性界面活性剤、又はアニオン性界面活性剤とカチオン性界面活性剤を水溶液中で混合すると、油に対する界面張力が低下する。
【0313】
両性界面活性剤は、少なくとも1つのカチオン性官能基及び1つのアニオン性官能基を有し、溶液が酸性の場合はカチオン性であり、溶液がアルカリ性の場合はアニオン性であり、等電点付近で非イオン性界面活性剤と同様の特性を呈する。
【0314】
両性界面活性剤は、アニオン性基の種類により、カルボン酸型、硫酸エステル型、スルホン酸型、リン酸型に分類される。本発明の場合、カルボン酸型、硫酸エステル型、及びスルホン酸型が好ましい。カルボン酸型は、更にアミノ酸型とベタイン型に分類される。特に好ましいのは、ベタイン型である。
【0315】
具体的な例としては、イミダゾリン型両性界面活性剤(例えば、2-ウンデシル-1-ヒドロキシエチル-1-カルボキシメチル-4,5-ジヒドロ-2-イミダゾリウムナトリウム塩及び1-[2-(カルボキシメトキシ)エチル]-1-(カルボキシメチル)-4,5-ジヒドロ-2-ノルココアルキルイミダゾリウムヒドロキシド二ナトリウム塩);及びベタイン型界面活性剤(例えば、2-ヘプタデシル-N-カルボキシメチル-N-ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、アルキルベタイン、アミドベタイン、及びスルホベタイン)が挙げられる。
【0316】
カチオン性界面活性剤の例としては、セチルトリメチルアンモニウムクロリド、ステアリルトリメチルアンモニウムクロリド、ベネニルトリメチルアンモニウムクロリド、ベヘニルジメチルヒドロキシエチルアンモニウムクロリド、ステアリルジメチルベンジルアンモニウムクロリド、及びセチルトリメチルアンモニウムメチルサルフェートなどの四級アンモニウム塩が挙げられる。他の例としては、ステアリン酸ジエチルアミノエチルアミド、ステアリン酸ジメチルアミノエチルアミド、パルミチン酸ジエチルアミノエチルアミド、パルミチン酸ジメチルアミノエチルアミド、ミリスチン酸ジエチルアミノエチルアミド、ミリスチン酸ジメチルアミノエチルアミド、ベヘン酸ジエチルアミノエチルアミド、ベヘン酸ジメチルアミノエチルアミド、ステアリン酸ジエチルアミノプロピルアミド、ステアリン酸ジメチルアミノプロピルアミド、パルミチン酸ジエチルアミノプロピルアミド、パルミチン酸ジメチルアミノプロピルアミド、ミリスチン酸ジエチルアミノプロピルアミド、ミリスチン酸ジメチルアミノプロピルアミド、ベヘン酸ジエチルアミノプロピルアミド、及びベヘン酸ジメチルアミノプロピルアミドなどのアミドアミン化合物が挙げられる。
【0317】
いくつかの実施形態では、コラーゲン刺激組成物並びにその製造及び使用方法のための乳化剤系は、1以上のアニオン性界面活性剤を更に含み得る。アニオン性界面活性剤は、脂肪酸石鹸、N-アシルグルタメート、及びアルキルエーテルアセテートなどのカルボキシレート型、α-オレフィンスルホネート、アルカンスルホネート、及びアルキルベンゼンスルホネートなどのスルホン酸型、高級アルコール硫酸エステル塩及びリン酸エステル塩などの硫酸エステル型に分類される。カルボン酸塩型、スルホン酸型、及び硫酸エステル塩型が好ましく、特に好ましくは、硫酸エステル塩型である。
【0318】
いくつかの実施形態では、コラーゲン刺激組成物並びにその製造及び使用方法のためのアニオン性界面活性剤は、高級アルキル硫酸エステル塩(例えば、ラウリル硫酸ナトリウム及びラウリル硫酸カリウム);アルキルエーテル硫酸エステル塩(例えば、POE-トリエタノールアミンラウリルサルフェート及びナトリウムPOE-ラウリルサルフェート);N-アシルサルコシン酸(例えば、ナトリウムラウロイルサルコシネート);高級脂肪酸アミドスルホン酸塩(例えば、ナトリウムN-ミリストイルN-メチルタウレート、ナトリウムN-ココイル-N-メチルタウレート、及びナトリウムジャウロイルメチルタウレート(Sodium jauroylmethyl taurate);リン酸エステル塩(例えば、ナトリウムPOE-オレイルエーテルホスフェート及びPOEステアリルエーテルリン酸);スルホスクシネート(例えば、ナトリウムジ-2-エチルヘキシルスルホスクシネート、ナトリウムモノラウロイルモノエタノールアミドポリオキシエチレンスルホスクシネート、及びナトリウムラウリルポリプロピレングリコールスルホスクシネート);アルキルベンゼンスルホネート(例えば、ナトリウム線状ドデシルベンゼンスルホネート、トリエタノールアミン線状ドデシルベンゼンスルホネート、線状ドデシルベンゼンスルホネート、及び線状ドデシルベンゼンスルホン酸);高級脂肪酸エステルサルフェート(例えば、水素化ココナッツオイル脂肪酸グリセリル硫酸ナトリウム);N-アシルグルタメート(例えば、モノナトリウムN-ラウロイルグルタメート、二ナトリウムN-ステアロイルグルタメート、及びナトリウムN-ミリストイル-L-グルタメート);硫酸化油(例えば、ターキーレッドオイル);POE-アルキルエーテルカルボン酸;POE-アルキルアリールエーテルカルボキシレート;α-オレフィンスルホネート;高級脂肪酸エステルスルホネート;sec-アルコールサルフェート;高級脂肪酸アルキルアミドサルフェート;ナトリウムラウロイルモノエタノールアミンスクシネート;ジトリエタノールアミンN-パルミトイルアスパルテート;及びカゼインナトリウムからなる群から選択される。
【0319】
いくつかの実施形態では、コラーゲン刺激組成物並びにその製造及び使用方法のための乳化剤系は、共乳化剤として1以上の非イオン性界面活性剤を更に含み得る。非イオン性界面活性剤は、好ましくは、8.9~14のHLB値を有する。HLBが7のときの、水への溶解度及び油への溶解度のバランスが一般に知られている。即ち、本発明に好ましい界面活性剤は、油/水中で中程度の溶解度を有する。
【0320】
非イオン性界面活性剤は、以下を含み得る:(1)ポリエチレンオキシドエクステンディッド(extended)ソルビタンモノアルキレート(例えば、ポリソルベート);(2)ポリアルコキシル化アルカノール;(3)ポリアルコキシル化アルキルフェノール(少なくとも約14のHLB値を有するポリエトキシル化オクチル又はノニルフェノールを含み、これらは、ICONOL(登録商標)及びTRITON(登録商標)の商品名で市販されている);(4)ポロキサマー(polaxamers)。エチレンオキシド(EO)とプロピレンオキシド(PO)のブロックコポリマーに基づく界面活性剤も効果的であり得る。EO-PO-EOブロック及びPO-EO-POブロックの両方が、HLBが少なくとも約14、好ましくは少なくとも約16である限り、十分に機能すると予想される。そのような界面活性剤は、PLURONIC(登録商標)及びTETRONIC(登録商標)(BASF)の商品名で市販されている;(5)ポリアルコキシル化エステル:エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセロールなどのポリアルコキシル化グリコールは、部分的又は完全にエステル化され得る、即ち、1以上のアルコールが、(C8~C22)アルキルカルボン酸でエステル化され得る。少なくとも約14、好ましくは少なくとも約16のHLBを有する係るポリエトキシル化エステルは、本発明の組成物における使用に好適であり得る;(6)アルキルポリグルコシド。これは、(C8~C16)アルキル鎖長を有するグルコポン425を含む;(7)高HLB値を有するスクロース脂肪酸エステル(8~18):スクロースココエート、スクロースジラウレート、スクロースジステアレート、スクロースヘキサエルケート、スクロースヘキサオレエート/ヘキサパルミテート/ヘキサステアレート、スクロースヘキサパルミテート、スクロースラウレート、スクロースミリステート、スクロースペンタエルケート、スクロースポリベヘネート、スクロースポリコットンシーデート、スクロースポリラウレート、スクロースポリリノレエート、スクロースポリオレエート、スクロースポリパルメート、スクロースポリソイエート、スクロースポリステアレート、スクロースリノオレエート、スクロースステアレート、スクローステトライソステアレート、スクローストリラウレート。
【0321】
いくつかの実施形態では、乳化剤系は、ソルビタン脂肪酸エステル(例えば、ソルビタンモノオレエートモノオレエート、ソルビタンモノイソステアレートモノイソステアレート、ソルビタンモノラウレートモノラウレート、ソルビタンモノパルミテートモノパルミテート、ソルビタンモノステアレートモノステアレート、ソルビタンセスキオレエート、ソルビタントリオレエート、ジグリセリルソルビタンペンタ-2-エチルヘキシレート、ジグリセリルソルビタンテトラ-2-エチルヘキシレート);グリセリル及びポリグリセリル脂肪酸(例えば、モノコットンシードオイル脂肪酸グリセリン、グリセリルモノエルケート、グリセリルセスキオレエート、グリセリルモノステアレート、α,α’-グリセリルオレエートピログルタメート、モノステアレートグリセリルリンゴ酸);プロピレングリコール脂肪酸エステル(例えば、プロピレングリコールモノステアレート);硬化ヒマシ油誘導体;グリセリルアルキルエーテル、及びそれらの組合せからなる群から選択される親油性非イオン性界面活性剤を含む。
【0322】
いくつかの実施形態では、乳化剤系は、POE-ソルビタン脂肪酸エステル(例えば、POE-ソルビタンモノオレエート、POE-ソルビタンモノステアレート、POE-ソルビタンモノオレエート、及びPOE-ソルビタンテトラオレエート);POEソルビトール脂肪酸エステル(例えば、POEソルビトールモノラウレート、POE-ソルビトールモノオレエート、POE-ソルビトールペンタオレエート、及びPOE-ソルビトールモノステアレート);POE-グリセリル脂肪酸エステル(例えば、POE-グリセリルモノステアレート、POE-グリセリルモノイソステアレート、及びPOEグリセリングリセリルトリイソステアレートなどのPOE-モノオレエート);POE-脂肪酸エステル(例えば、POE-ジステアレート、POE-モノジオレエート、及びエチレングリコールジステアレート);POE-アルキルエーテル(例えば、POE-ラウリルエーテル、POE-オレイルエーテル、POE-ステアリルエーテル、POE-ベヘニルエーテル、POE2-オクチルドデシルエーテル、及びPOE-コレスタノールエーテル);プルアロニクス(pluaronics)(例えば、プルアロニック(pluaronic));POE-POP-アルキルエーテル(例えば、POE-POP-セチルエーテル、POE-POP-デシルテトラデシルエーテル、POE-POP-モノブチルエーテル、POE-POP-ラノリン水和物、及びPOE-POPグリセリングリセリルエーテル);テトラPOE-テトラPOP-エチレンジアミノ濃縮物(例えば、テトロニック);POE-ヒマシ油水素化ヒマシ油誘導体(例えば、POE-ヒマシ油、POE-水素化ヒマシ油、POE-水素化ヒマシ油モノイソステアレート、POE-水素化ヒマシ油トリイソステアレート、POE-水素化ヒマシ油モノピログルタミン酸モノイソステアリン酸ジエステル、及びPOE-水素化ヒマシ油マレイン酸);POE-ミツロウラノリン誘導体(例えば、POE-ソルビトールミツロウ);アルカノールアミド(例えば、パーム油脂肪酸ジエタノールアミド、ラウレートモノエタノールアミド、及び脂肪酸イソプロパノールアミド);POE-プロピレングリコール脂肪酸エステル;POE-アルキルアミン;POE-脂肪酸アミド;スクロース脂肪酸エステル;アルキルエトキシジメチルアミンオキシド;及びトリオレイルリン酸からなる群から選択される親水性非イオン性界面活性剤を含む。
【0323】
親水性界面活性剤は、イオン性又は非イオン性であることができる。好適なイオン性界面活性剤としては、限定するものではないが、アルキルアンモニウム塩;フシジン酸塩;アミノ酸、オリゴペプチド、及びポリペプチドの脂肪酸誘導体;アミノ酸、オリゴペプチド、及びポリペプチドのグリセリド誘導体;レシチン及び水素化レシチン;リゾレシチン及び水素化リゾレシチン;リン脂質及びその誘導体;リゾリン脂質及びその誘導体;カルニチン脂肪酸エステル塩;アルキル硫酸塩;脂肪酸塩;ドキュセートナトリウム;アシルラクチレート;モノグリセリド及びジグリセリドのモノアセチル化及びジアセチル化酒石酸エステル;スクシニル化モノグリセリド及びジグリセリド;モノグリセリド及びジグリセリドのクエン酸エステル;及びそれらの混合物が挙げられる。
【0324】
前述の群において、イオン性界面活性剤としては、例として、レシチン、リゾレシチン、リン脂質、リゾリン脂質及びその誘導体;カルニチン脂肪酸エステル塩;アルキル硫酸塩;脂肪酸塩;ドキュセートナトリウム;アシルラクチレート;モノグリセリド及びジグリセリドのモノアセチル化及びジアセチル化酒石酸エステル;スクシニル化モノグリセリド及びジグリセリド;モノグリセリド及びジグリセリドのクエン酸エステル;及びそれらの混合物が挙げられる。
【0325】
イオン性界面活性剤は、レシチン、リゾレシチン、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルグリセロール、ホスファチジン酸、ホスファチジルセリン、リゾホスファチジルコリン、リゾホスファチジルエタノールアミン、リゾホスファチジルグリセロール、リゾホスファチジン酸、リゾホスファチジルセリン、PEG-ホスファチジルエタノールアミン、PVP-ホスファチジルエタノールアミン、脂肪酸のラクチル酸エステル、ステアロイル-2-ラクチレート、ステアロイルラクチレート、スクシニル化モノグリセリド、モノ/ジグリセリドのモノ/ジアセチル化酒石酸エステル、モノ/ジグリセリドのクエン酸エステル、コリルサルコシン、カプロエート、カプリレート、カプレート、ラウレート、ミリステート、パルミテート、オレエート、リシノレート、リノレート、リノレネート、ステアレート、ラウリル硫酸塩、テラセシル硫酸塩、ドキュセート、ラウロイルカルニチン、パルミトイルカルニチン、ミリストイルカルニチン、並びにそれらの塩及び混合物の形態でイオン化することができる。
【0326】
親水性非イオン性界面活性剤としては、限定するものではないが、アルキルグルコシド;アルキルマルトシド;アルキルチオグルコシド;ラウリルマクロゴルグリセリド;ポリエチレングリコールアルキルエーテルなどのポリオキシアルキレンアルキルエーテル;ポリエチレングリコールアルキルフェノールなどのポリオキシアルキレンアルキルフェノール;ポリエチレングリコール脂肪酸モノエステル及びポリエチレングリコール脂肪酸ジエステルなどのポリオキシアルキレンアルキルフェノール脂肪酸エステル;ポリエチレングリコールグリセロール脂肪酸エステル;ポリグリセロール脂肪酸エステル;ポリエチレングリコールソルビタン脂肪酸エステルなどのポリオキシアルキレンソルビタン脂肪酸エステル;グリセリド、植物油、水素化植物油、脂肪酸、及びステロールからなる群の少なくとも1つのメンバとポリオールの親水性エステル交換生成物;ポリオキシエチレンステロール、誘導体、及びそれらの類似体;ポリオキシエチル化ビタミン及びその誘導体;ポリオキシエチレン-ポリオキシプロピレンブロックコポリマー;及びそれらの混合物;ポリエチレングリコールソルビタン脂肪酸エステル、及びトリグリセリド、植物油、及び水素化植物油からなる群の少なくとも1つのメンバとポリオールの親水性エステル交換生成物が挙げられる。ポリオールは、グリセロール、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、ソルビトール、プロピレングリコール、ペンタエリスリトール、又は糖類であることができる。
【0327】
他の親水性-非イオン性界面活性剤としては、限定するものてはないが、PEG-10ラウレート、PEG-12ラウレート、PEG-20ラウレート、PEG-32ラウレート、PEG-32ジラウレート、PEG-12オレエート、PEG-15オレエート、PEG-20オレエート、PEG-20ジオレエート、PEG-32オレエート、PEG-200オレエート、PEG-400オレエート、PEG-15ステアレート、PEG-32ジステアレート、PEG-40ステアレート、PEG-100ステアレート、PEG-20ジラウレート、PEG-25グリセリルトリオレエート、PEG-32ジオレエート、PEG-20グリセリルラウレート、PEG-30グリセリルラウレート、PEG-20グリセリルステアレート、PEG-20グリセリルオレエート、PEG-30グリセリルオレエート、PEG-30グリセリルラウレート、PEG-40グリセリルラウレート、PEG-40パーム核油、PEG-50水素化ヒマシ油、PEG-40ヒマシ油、PEG-35ヒマシ油、PEG-60ヒマシ油、PEG-40水素化ヒマシ油、PEG-60水素化ヒマシ油、PEG-60コーン油、PEG-6カプレート/カプリレートグリセリド、PEG-8カプレート/カプリレートグリセリド、ポリグリセリル-10ラウレート、PEG-30コレステロール、PEG-25フィトステロール、PEG-30大豆ステロール、PEG-20トリオレエート、PEG-40ソルビタンオレエート、PEG-80ソルビタンラウレート、ポリソルベート20、ポリソルベート80、POE-9ラウリルエーテル、POE-23ラウリルエーテル、POE-10オレイルエーテル、POE-20オレイルエーテル、POE-20ステアリルエーテル、トコフェリルPEG-100スクシネート、PEG-24コレステロール、ポリグリセリル-10オレエート、Tween40、Tween60、スクロースモノステアレート、スクロースモノラウレート、スクロースモノパルミテート、PEG10-100ノニルフェノールシリーズ、PEG15-100オクチルフェノールシリーズ、及びポロキサマーが挙げられる。
【0328】
好適な親油性界面活性剤としては、ほんの一例として、脂肪アルコール;グリセロール脂肪酸エステル;アセチル化グリセロール脂肪酸エステル;低級アルコール脂肪酸エステル;プロピレングリコール脂肪酸エステル;ソルビタン脂肪酸エステル;ポリエチレングリコールソルビタン脂肪酸エステル;ステロール及びステロール誘導体;ポリオキシエチル化ステロール及びステロール誘導体;ポリエチレングリコールアルキルエーテル;糖エステル;糖エーテル;モノグリセリド及びジグリセリドの乳酸誘導体;グリセリド、植物油、水素化植物油、脂肪酸、及びステロールからなる群の少なくとも1つのメンバとポリオールの疎水性エステル交換生成物;油溶性ビタミン/ビタミン誘導体;及びそれらの混合物が挙げられる。この群のうち、好ましい親油性界面活性剤としては、グリセロール脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、及びそれらの混合物が挙げられる、又は植物油、水素化植物油、及びトリグリセリドからなる群の少なくとも1つのメンバとポリオールの疎水性エステル交換生成物である。
【0329】
いくつかの実施形態では、乳化剤系は、モノグリセロール誘導体及び/又はジグリセロール誘導体を含む。具体例としては、モノグリセロールモノオクタノエート、モノオクチルモノグリセリルエーテル、モノグリセロールモノノナノエート、モノノニルモノグリセリルエーテル、モノグリセロールモノデカノエート、モノデシルモノグリセリルエーテル、モノグリセロールモノウンデシレネート、モノウンデシレニルグリセリルエーテル、モノグリセロールモノドデカノエート、モノドデシルモノグリセリルエーテル、モノグリセロールモノテトラデカノエート、モノグリセロールモノヘキサデカノエート、モノグリセロールモノオレエート、及びモノグリセロールモノイソステアレート、並びにジグリセロールモノオクタノエート、モノオクチルジグリセリルエーテル、ジグリセロールモノノナノエート、モノノニルジグリセリルエーテル、ジグリセロールモノデカノエート、モノデシルジグリセリルエーテル、ジグリセロールモノウンデシレネート、モノウンデシレニルグリセリルエーテル、ジグリセロールモノドデカノエート、モノドデシルジグリセリルエーテル、ジグリセロールモノテトラデカノエート、ジグリセロールモノヘキサデカノエート、ジグリセロールモノオレエート、及びジグリセロールモノイソステアレートなどのジグリセロール誘導体が挙げられる。
【0330】
いくつかの実施形態では、乳化剤系は、絹乳化剤と、ラウリン酸スクロース及びパルミチン酸スクロースのうちの1以上とを含む。いくつかの実施形態では、乳化剤系は、絹乳化剤と、ラウリン酸スクロースとを含む。いくつかの実施形態では、乳化剤系は、絹乳化剤と、パルミチン酸スクロースとを含む。いくつかの実施形態では、乳化剤系は、絹乳化剤と、ラウリン酸スクロースと、パルミチン酸スクロースとを含み、エマルジョン担体中のラウリン酸スクロース及びパルミチン酸スクロースは、1:1~1:3のラウリン酸スクロース対パルミチン酸スクロースの重量比を有する。いくつかの実施形態では、乳化剤系は、絹乳化剤と、ラウリン酸スクロースと、パルミチン酸スクロースとを含み、エマルジョン担体中のラウリン酸スクロース及びパルミチン酸スクロースは、1:1、1:1.1、1:1.2、1:1.3、1:1.4、1:1.5、1:1.6、1:1.7、1:1.8、1:1.9、1:2、1:2.1、1:2.2、1:2.3、1:2.4、1:2.5、1:2.6、1:2.7、1:2.8、1:2.9、及び1:3.0から選択されるラウリン酸スクロース対パルミチン酸スクロースの重量比を有する。いくつかの実施形態では、乳化剤系は、絹乳化剤と、ラウリン酸スクロースと、パルミチン酸スクロースとを含み、エマルジョン担体中のラウリン酸スクロース及びパルミチン酸スクロースは、1:1、1:1.1、1:1.2、及び1:1.3から選択されるラウリン酸スクロース対パルミチン酸スクロースの重量比を有する。いくつかの実施形態では、乳化剤系は、絹乳化剤と、ラウリン酸スクロースと、パルミチン酸スクロースとを含み、エマルジョン担体中のラウリン酸スクロース及びパルミチン酸スクロースは、1:1のラウリン酸スクロース対パルミチン酸スクロースの重量比を有する。
【0331】
いくつかの実施形態では、乳化剤系は、絹乳化剤と、グリセロールと、ラウリン酸スクロースと、パルミチン酸スクロースとを含み、エマルジョン担体中のラウリン酸スクロース及びパルミチン酸スクロースは、1:1、1:1.1、1:1.2、1:1.3、1:1.4、1:1.5、1:1.6、1:1.7、1:1.8、1:1.9、1:2、1:2.1、1:2.2、1:2.3、1:2.4、1:2.5、1:2.6、1:2.7、1:2.8、1:2.9、及び1:3.0から選択されるラウリン酸スクロース対パルミチン酸スクロースの重量比を有し、エマルジョン担体中の絹乳化剤及びグリセロールは、1:1、1:1.1、1:1.2、1:1.3、1:1.4、1:1.5、1:1.6、1:1.7、1:1.8、1:1.9、1:2、1:2.1、1:2.2、1:2.3、1:2.4、1:2.5、1:2.6、1:2.7、1:2.8、1:2.9、及び1:3.0から選択される絹乳化剤対グリセロールの重量比を有する。
【0332】
いくつかの実施形態では、乳化剤系は、絹乳化剤と、グリセロールと、ラウリン酸スクロースと、パルミチン酸スクロースとを含み、エマルジョン担体中のラウリン酸スクロース及びパルミチン酸スクロースは、1:1、1:1.1、1:1.2、及び1:1.3から選択されるラウリン酸スクロース対パルミチン酸スクロースの重量比を有し、エマルジョン担体中の絹乳化剤及びグリセロールは、1:1、1:2、及び1:3.0から選択される絹乳化剤対グリセロールの重量比を有する。
【0333】
いくつかの実施形態では、乳化剤系は、コラーゲンブースティング組成物の総重量に対して0.1重量%~5.0重量%の範囲の重量パーセントでエマルジョン担体に含有される。いくつかの実施形態では、乳化剤系は、コラーゲンブースティング組成物の総重量に対して0.1重量%~3.0重量%の範囲の重量パーセントでエマルジョン担体に含有される。いくつかの実施形態では、乳化剤系は、コラーゲンブースティング組成物の総重量に対して0.1重量%~2.0重量%の範囲の重量パーセントでエマルジョン担体に含有される。
【0334】
いくつかの実施形態では、エマルジョン担体は、前記シルク乳化剤を含む乳化剤系で乳化された油相を含む。脂肪性材料は、油相を形成するのに有用であり得る。脂肪性材料は、炭化水素油、シリコン油、高級脂肪酸、高級アルコール、合成エステル油、シリコーン油、液体油脂、固体油脂、ワックス、及びそれらの組合せからなる群から選択される。
【0335】
実施形態では、脂肪性材料は、任意に、ワックスを含む。ワックスは、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、ミツロウ、カンデリラワックス、パラフィンワックス、オゾケライト、マイクロクリスタリンワックス、カルナウバワックス、コットンワックス、エスパルトワックス、カルナウバワックス、ベイベリーワックス、ツリーワックス、鯨ワックス、モンタンワックス、ライスワックス、ラノリン、カポック(kapok)ワックス、酢酸ラノリン、液体ラノリン、サトウキビワックス、ラノリン脂肪酸イソプロピルエステル、ラウリン酸ヘキシル、還元ラノリン、ホホバワックス、硬質ラノリン、シェラックワックス、POEラノリンアルコールエーテル、POEラノリンアルコールアセテート、POEコレステロールエーテル、ラノリン脂肪酸ポリエチレングリコール、POE水素化ラノリンアルコールエーテル、及びそれらの組合せからなる群から選択される。
【0336】
実施形態では、脂肪性材料は、任意に、エステル油を含む。エステル油は、コレステリルイソステアレート、イソプロピルパルミテート、イソプロピルミリステート、ネオペンチルグリコールジカプレート、イソプロピルイソステアレート、オクタデシルミリステート、セチル2-エチルヘキサノエート、セテアリルイソノナノエート、セテアリルオクタネート、イソノニルトリイソナノエート、イソトリデシルイソナノエート、グリセリルトリ-2-エチルヘキサノエート、グリセリルトリ(カプリレートカプレート)、ジエチレングリコールモノエチルエーテルオレエート、ジカプリリルエーテル、カプリル酸/カプリン酸プロピレングリコールジエステル、及びそれらの組合せからなる群から選択される。
【0337】
実施形態では、脂肪性材料は、任意に、グリセリド脂肪エステルを含む。本明細書においては、用語「グリセリド脂肪酸エステル」は、グリセロールとC-C30カルボン酸などの長鎖カルボン酸との間に形成されるモノ-、ジ-、及びトリ-エステルを意味する。カルボン酸は、飽和又は不飽和であることができ、又はヒドロキシルなどの親水性基を含むことができる。好ましいグリセリド脂肪酸エステルは、C10~C24、好ましくはC10~C22、最も好ましくはC12~C20の範囲の炭素鎖長のカルボン酸に由来する。
【0338】
実施形態では、脂肪性材料は、任意に、合成エステル油を含む。いくつかの実施形態では、合成エステル油は、ミリスチン酸イソプロピル、オクタン酸セチル、ミリスチン酸オクチルドデシル、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸ブチル、ラウリン酸ヘキシル、ミリスチン酸ミリスチル、オレイン酸デシル、ジメチルオクタン酸ヘキシルデシル、乳酸セチル、乳酸ミリスチル、酢酸ラノリン、ステアリン酸イソセチル、イソステアリン酸イソセチル、12-ヒドロキシステアリン酸コレステリル、エチレングリコールジ-2-エチルヘキシレート、ジペンタエリスリトール脂肪酸エステル、N-アルキルグリコールモノイソステアレート、ネオペンチルグリコールジカプレート、ジイソステアリルマレート、グリセリルジ-2-ヘプチルウンデカノエート、トリメチロールプロパントリ-2-エチルヘキシレート、トリメチロールプロパントリイソステアレート、ペンタンエリスリトールテトラ-2-エチルヘキシレート、グリセリルトリ-2-エチルヘキシレート、トリメチロールプロパントリイソステアレート、セチル2-エチルヘキサノエート、2-エチルヘキシルパルミテート、グリセリルトリミリステート、トリ-2-ヘプチルウンデカン酸グリセリド、ヒマシ油脂肪酸メチルエステル、オレイルオレエート、セトステアリルアルコール、アセトグリセリド、パルミチン酸2-ヘプチルウンデシル、アジピン酸ジイソプロピル、N-ラウロイル-L-グルタミン酸-2-オクチルドデシルエステル、アジピン酸ジ-2-ヘプチルウンデシル、ラウリン酸エチル、ジ-2-エチルヘキシルセバケート(cebatate)、ミリスチン酸2-ヘキシルデシル、パルミチン酸2-ヘキシルデシル、アジピン酸2-ヘキシルデシル、ジイソプロピルセバケート(cebatate)、コハク酸2-エチルヘキシル、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸アミル、クエン酸トリエチル、及びそれらの組合せからなる群から選択される。
【0339】
実施形態では、脂肪性材料は、任意に、エーテル油を含む。いくつかの実施形態では、エーテル油は、アルキル-1,3-ジメチルエチルエーテル、ノニルフェニルエーテル、及びそれらの組合せからなる群から選択される。
【0340】
実施形態では、脂肪性材料は、任意に、高級脂肪酸を含む。本明細書においては、高級脂肪酸は、8~22の炭素数を有する。いくつかの実施形態では、高級脂肪酸は、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、オレイン酸、12-ヒドロキシステアリン酸、ウンデシレン酸、トールオイル、イソステアリン酸、リノール酸、リノレン酸、エイコサペンタエン酸(EPA)、ドコサヘキサエン酸(DHA)、及びそれらの組合せからなる群から選択される。
【0341】
実施形態では、脂肪性材料は、任意に、高級脂肪アルコールを含む。本明細書においては、高級脂肪族アルコールは、8~22の炭素数を有する。いくつかの実施形態では、高級脂肪酸は、直鎖アルコール(例えば、ラウリルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、ミリスチルアルコール、オレイルアルコール、及びセトステアリルアルコール)及び分岐鎖エチルアルコール(例えば、モノステアリルグリセリルエーテル(バチルアルコール)、2-デシルテトラデシノール、ラノリンアルコール、コレステロール、フィトステロール、ヘキシルドデカノール、イソステアリルアルコール、及びオクチルドデカノール)、及びそれらの組合せからなる群から選択される。
【0342】
いくつかの実施形態では、脂肪相は、液体油脂を含む。いくつかの実施形態では、液体油脂肪は、アボカド油、椿油、カメ油、マカデミアナッツ油、トウモロコシ油、ミンク油、オリーブ油、菜種油、卵黄油、ゴマ種子油、杏仁油、小麦胚芽油、ササンクア油、ヒマシ油、亜麻仁油、サフラワー油、綿実油、ペリラ油、大豆油、ピーナッツ油、茶種子油、カヤ油、ライスブラン油、中国木油、日本木油、ホホバ油、胚芽油、トリグリセロール、トリオクタン酸グリセリル、及びトリイソパルミチン酸グリセリル、並びにそれらの組合せからなる群から選択される。
【0343】
いくつかの実施形態では、脂肪相は、固形油脂を含む。いくつかの実施形態では、固形油脂は、カカオバター、ココナッツ油、ウマ獣脂、パーム脂、硬化ココナッツ油、パーム油、牛獣脂、羊獣脂、硬化牛獣脂、パーム核油、豚獣脂、牛骨獣脂、ジャパニーズコアワックス(Japanese core wax)、硬化油、ニートフット(neetfoot)獣脂、ジャパニーズワックス、及び水素化ヒマシ油、並びにそれらの組合せからなる群から選択される。
【0344】
いくつかの実施形態では、脂肪相は、植物油を含む。いくつかの実施形態では、植物油は、ブリチ油(buriti oil)、大豆油、オリーブ油、茶樹油、ローズマリー油、ホホバ油、ココナッツ油、ゴマ種子油、ゴマ油、パーム油、アボカド油、ババス油、米油、アーモンド油、アルゴン油、ヒマワリ油、及びそれらの組合せからなる群から選択される。いくつかの実施形態では、植物油は、ココナッツ油、ヒマワリ油、及びゴマ油からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、油性成分は、カカオバター、パームステアリン、ヒマワリ油、大豆油、及びココナッツ油から選択される。
【0345】
いくつかの実施形態では、コラーゲン刺激組成物並びにその製造及び使用方法のための油相は、脂質材料を含む。いくつかの実施形態では、脂質材料は、セラミド、リン脂質(例えば、大豆レシチン、卵レシチン)、糖脂質、及びそれらの組合せからなる群から選択される。
【0346】
いくつかの実施形態では、コラーゲン刺激組成物並びにその製造及び使用方法のための油相は、炭化水素油を含む。本明細書においては、炭化水素油は、20個未満の炭素原子の平均炭素鎖長を有する。好適な炭化水素油としては、環状炭化水素、直鎖脂肪族炭化水素(飽和又は不飽和)、及び分枝鎖脂肪族炭化水素(飽和又は不飽和)が挙げられる。直鎖炭化水素油は、典型的には、約6個~約16個の炭素原子、好ましくは約8個~約14個の炭素原子を含む。分枝鎖炭化水素油は、通常、より多くの炭素原子を含むことができ、例えば、約6個~約20個の炭素原子、好ましくは約8個~約18個の炭素原子を含む。本発明の好適な炭化水素油は、一般に、周囲温度(25から30℃)で、0.0001~0.5Pa・s、好ましくは0.001~0.05Pa・s、より好ましくは0.001~0.02Pa・sの粘度を有する。
【0347】
いくつかの実施形態では、水素炭素油は、液状ペトロラタム、スクアラン、プリスタン、パラフィン、イソパラフィン、セレシン、スクアレン、鉱油、軽質鉱油、軽質鉱油と重質鉱油の混合物、ポリイソブテン、水素化ポリイソブテン、テルペンオイル、及びそれらの組合せからなる群から選択される。
【0348】
いくつかの実施形態では、水素炭素油は、軽質鉱油である。本明細書においては、鉱油は、石油から得られる透明な油性液体であり、そこからワックスが除去され、より揮発性の高い留分が蒸留によって除去される。250℃~300℃で蒸留される留分は鉱油と呼ばれ、炭化水素の混合物からなり、炭化水素分子当たりの炭素原子の数は、通常、C10~C40である。鉱油は、その粘度により特徴付けることができ、軽質鉱油は、重質鉱油よりも比較的粘度が粘度が低く、これらの用語は、U.S. Pharmacopoeia, 22nd revision, p. 899 (1990)により具体的に定義されている。本発明における使用のための好適な軽質鉱油の市販品の例としては、Silkoleneから入手可能なSirius(登録商標)M40(炭素鎖長C0~C28、主にC12~C20、粘度4.3×10Pa・s)である。本発明において使用できる他の炭化水素油としては、テトラデカン、ヘキサデカン、及びオクタデカンなどの線状飽和炭化水素、ジオクチルシクロヘキサン(例えば、HenkelのCETIOL(登録商標)S)などの環状炭化水素、分岐鎖炭化水素(例えば、Exxon CorpのISOPAR(登録商標)及びISOPAR(登録商標)V)を含む比較的低分子量の炭化水素が挙げられる。
【0349】
いくつかの実施形態では、油相用の脂肪性材料は、ネオペンチルグリコールジヘプタノエート、プロピレングリコールジカプリレート、ジオクチルアジペート、ココカプリレート/カプレート、ジエチルヘキシルアジペート、ジイソプロピルダイマージリノレエート、ジイソステアリルダイマージリノレエート、butyrospermum parkii(シア)バター、C12-C13アルキルラクテート、ジ-C12-C13アルキルタートレート、トリ-C12-C13アルキルシトレート、C12-C15アルキルラクテート、ppgジオクタノエート、ジエチレングリコールジオクタノエート、メドウフォームオイル、C12-15アルキルオレエート、トリデシルネオペンタノエート、セテアリルアルコール及びポリソルベート60、C18-C26トリグリセリド、セテアリルアルコール&セテアリルグルコシド、アセチル化ラノリン、vp/エイコセンコポリマー、グリセリルヒドロキシステアレート、C18-36酸性グリコールエステル、C18-36トリグリセリド、グリセリルヒドロキシステアレート、及びそれらの混合物からなる群から選択される。また、セチルアルコール&グリセリルステアレート&PEG-75、ステアレート&セテス-20&ステアレス-20、ラウリルグルコシド&ポリグリセリル-2ジポリヒドロキシステアレート、ベヘネス-25、ポリアミド-3&ペンタエリスリチルテトラ-ジ-t-ブチルヒドロキシシンナメート、ポリアミド-4及びPEG-100ステアレート、セチルホスフェートカリウム、ステアリン酸、及びヘクトライトも適切で好ましい。
【0350】
いくつかの実施形態では、油相用の脂肪性材料は、液体パラフィン、液体イソパラフィン、ネオペンチルグリコールジカプレート、イソプロピルイソステアレート、セチル2-エチルヘサノエート、イソノニルイソノナノエート、グリセリルトリ(カプリレートカプレート)、アルキ-1,3-ジメチルブチルエーテル、分子量100~500のメチルポリシロキサン、デカメチルシドペンタシロキサン、オクタメチルシドテトラシロキサン、炭素数12~22の高級脂肪酸、炭素数12~22の高級アルコール、セラミド、糖脂質、及びテルペン油からなる群から選択される。
【0351】
いくつかの実施形態では、油相の脂肪性材料は、パラフィン油、ステアリン酸グリセリル、ミリスチン酸イソプロピル、アジピン酸ジイソプロピル、セチルステアリル2-エチルヘキサノエート、水素化ポリイソブテン、ワセリン、カプリル酸/カプリン酸トリグリセリド、マイクロクリスタリンワックス、ラノリン及びステアリン酸、シリコーンオイル、並びにそれらの組合せからなる群から選択される。
【0352】
実施形態では、油相用の脂肪性材料は、ホホバ油、オリーブ油、カメリア油、アボカド油、カカオ油、ヒマワリ油、杏仁油、パーム油、ヒマシ油、ブリチ油、中鎖トリグリセリドを含む植物油からなる群から選択される。
【0353】
実施形態では、絹乳化剤によって乳化可能な油性材料は、植物油、イソドデカン、及びイソヘキサデカン、並びに脂肪酸の1以上の油性エステルからなる群から選択され、植物油は、ホホバ油及び/又はカメリア油から選択され、前記油性エステルは、イソノニルイソノナノエート及びココカプリレートから選択される。
【0354】
いくつかの実施形態では、油相は、コラーゲン刺激組成物並びにその製造及び使用方法の総重量に対して1.0重量%~約95重量%の重量パーセントでコラーゲンブースティング組成物中に存在する。いくつかの実施形態では、油相は、コラーゲンブースティング組成物の総重量に対して45.0重量%~約95重量%の重量パーセントでコラーゲンブースティング組成物中に存在する。いくつかの実施形態では、油相は、コラーゲンブースティング組成物の総重量に対して45.0重量%~約65.0重量%の重量パーセントでコラーゲンブースティング組成物中に存在する。いくつかの実施形態では、油相は、コラーゲンブースティング組成物の総重量に対して5.0重量%~約45重量%の重量パーセントでコラーゲンブースティング組成物中に存在する。いくつかの実施形態では、油相は、コラーゲンブースティング組成物の総重量に対して5.0重量%~約35重量%の重量パーセントでコラーゲンブースティング組成物中に存在する。いくつかの実施形態では、油相は、コラーゲンブースティング組成物の総重量に対して10.0重量%~約25重量%の重量パーセントでコラーゲンブースティング組成物中に存在する。
【0355】
いくつかの実施形態では、油相は、エマルジョン担体の総重量に対して50.0重量%~約95.0重量%の重量パーセントでコラーゲン刺激組成物並びにその製造及び使用方法中に存在する。いくつかの実施形態では、油相は、エマルジョン担体の総重量に対して約5重量%~45重量%の重量パーセントでコラーゲンブースティング組成物中に存在する。その理由は、係る含有量により、エマルジョン担体は、室温付近のより広い温度範囲に亘って安定性を有し、良好な感触を有することができるからである。
【0356】
いくつかの実施形態では、エマルジョン担体用の水相は、水、水溶液、アルコールと水のブレンド、又は水性担体としてのリオトロピック液晶相を含む。本発明のコラーゲン刺激組成物並びにその製造及び使用方法に含まれる水の選択は、特に限定されない。具体的な例としては、精製水、イオン交換水、水道水が挙げられる。いくつかの実施形態では、水性は、エタンジオール、プロパンジオール、グリセロール、ブタンジオール、ブタンテトラオール、キシリトール、ソルビトール、イノシトール、エチレングリコール、ポリエチレングリコールからなる群から選択される1以上の低分子多価アルコールを更に含む。いくつかの実施形態では、水相は、メタノール、エタノール、及びイソプロパノールを含む1以上の低アルコール溶媒を更に含む。
【0357】
水と多価アルコールのブレンド比は、エマルジョンの配合の種類に基づいて適切に決定される。
【0358】
いくつかの実施形態では、エマルジョンは、組成物の総重量に対して約50重量%~約98重量%の水相を含む。いくつかの実施形態では、エマルジョンは、組成物の総重量に対して約60重量%~約90重量%の水相を含む。いくつかの実施形態では、エマルジョン中の水相の量は、組成物の総重量に対して約50.0重量%、約51.0重量%、約52.0重量%、約53.0重量%、約54.0重量%、約55.0重量%、約56.0重量%、約57.0重量%、約58.0重量%、約59.0重量%、約60.0重量%、約61.0重量%、約62.0重量%、約63.0重量%、約64.0重量%、約65.0重量%、約66.0重量%、約67.0重量%、約68.0重量%、約69.0重量%、約70.0重量%、約71.0重量%、約72.0重量%、約73.0重量%、約74.0重量%、約75.0重量%、約76.0重量%、約77.0重量%、約78.0重量%、約79.0重量%、約80.0重量%、約81.0重量%、約82.0重量%、約83.0重量%、約84.0重量%、約85.0重量%、約86.0重量%、約87.0重量%、約88.0重量%、約89.0重量%、約90.0重量%、約91.0重量%、約92.0重量%、約93.0重量%、約94.0重量%、約95.0重量%、約96.0重量%、約97.0重量%、約98.0重量%から選択される。
【0359】
いくつかの実施形態では、シルク含有乳化剤系は、水相に存在する。
【0360】
いくつかの実施形態では、コラーゲン刺激組成物並びにその製造及び使用方法は、粘度調整剤及び/又は増粘剤を含む。いくつかの実施形態では、増粘剤は、エチレングリコールモノステアレート、カルボマーポリマー、カルボキシビニルポリマー、アクリルコポリマー、メチルセルロース、ラクチド及びグリコリドモノマーのコポリマー、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カラギーナン、疎水性変性ヒドロキシエチルセルロース、ラポナイト、セルロースエーテル(例えば、ナトリウムカルボキシメチルセルロース及びナトリウムカルボキシメチルヒドロキシエチルセルロース)の水溶性塩、カラヤガム、アラビアゴム、グアーガム(Guars)、HPグアーガムなどの天然ガム、ヘテロ多糖ガム(例えば、キサンタンガム)、及びトラガカントガムからなる群から選択される。
【0361】
いくつかの実施形態では、増粘剤は、タルク、ヒュームドシリカ、ポリマーポリエーテル化合物(例えば、1個~約18個の炭素原子を含むアルキル又はアシル基でキャップされたポリエチレン又はポリプロピレンオキシド(MW300~1,000,000))、エチレングリコールステアレート、16個~22個の炭素原子を有する脂肪酸のアルカノールアミド、ポリエチレングリコール3ジステアリン酸、ポリアクリル酸(例えば、Carbopol(登録商標)420、Carbopol(登録商標)488、又はCarbopol(登録商標)493)、アクリル酸の架橋ポリマー、アクリル酸と疎水性モノマーとのコポリマー、カルボン酸含有モノマーとアクリルエステルとのコポリマー(例えば、Carbopol(登録商標)1342)、アクリル酸とアクリレートエステルとの架橋コポリマー、及び多官能剤で架橋されたポリアクリル酸(例えば、Carbopol(登録商標)910、Carbopol(登録商標)934、Carbopol(登録商標)940、Carbopol(登録商標)941、及びCarbopol(登録商標)980、Ultrez(登録商標)10)、及び結晶性長鎖アシル誘導体からなる群から選択される。
【0362】
いくつかの実施形態では、コラーゲン刺激組成物並びにその製造及び使用方法は、組成物の総重量に対して約0.1重量%~約15.0重量%の増粘剤/粘度調整剤を含む。いくつかの実施形態では、コラーゲン刺激組成物並びにその製造及び使用方法は、組成物の総重量に対して約0.1重量%~約10.0重量%の増粘剤/粘度調整剤を含む。いくつかの実施形態では、コラーゲン刺激組成物並びにその製造及び使用方法は、組成物の総重量に対して約0.5重量%~約6.0重量%の増粘剤/粘度調整剤を含む。いくつかの実施形態では、コラーゲン刺激組成物並びにその製造及び使用方法は、組成物の総重量に対して約0.9重量%~約4.0重量%の増粘剤/粘度調整剤を含む。いくつかの実施形態では、コラーゲン刺激組成物並びにその製造及び使用方法は、組成物の総重量に対して約2.0重量%の増粘剤/粘度調整剤を含む。いくつかの実施形態では、コラーゲン刺激組成物並びにその製造及び使用方法に存在する増粘剤/粘度調整剤の量は、組成物の総重量に対して約0.1重量%、約0.2重量%、約0.3重量%、約0.4重量%、約0.5重量%、約0.6重量%、約0.7重量%、約0.8重量%、約0.9重量%、約1.0重量%、約1.25重量%、約1.50重量%、約1.75重量%、約2.0重量%、約2.25重量%、約2.5重量%、約2.75重量%、約3.0重量%、約3.25重量%、約3.5重量%、約3.75重量%、約4.0重量%、約4.25重量%、約4.5重量%、約4.75重量%、約5.0重量%、約5.25重量%、約5.5重量%、約5.75重量%、約6.0重量%、約6.25重量%、約7.5重量%、約7.75重量%、約8.0重量%、約8.25重量%、約8.5重量%、約8.75重量%、約9.0重量%、約9.25重量%、約9.5重量%、約9.75重量%、約10.0重量%、約10.1重量%、約10.2重量%、約10.3重量%、約10.4重量%、約10.5重量%、約10.6重量%、約10.7重量%、約10.8重量%、約10.9重量%、約11.0重量%、約11.1重量%、約11.2重量%、約11.3重量%、約11.4重量%、約11.5重量%、約11.6重量%、約11.7重量%、約11.8重量%、約11.9重量%、約12.0重量%、約12.1重量%、約12.2重量%、約12.3重量%、約12.4重量%、約12.5重量%、約12.6重量%、約12.7重量%、約12.8重量%、約12.9重量%、約13.0重量%、約13.1重量%、約13.2重量%、約13.3重量%、約13.4重量%、約13.5重量%、約13.6重量%、約13.7重量%、約13.8重量%、約13.9重量%、約14.0重量%、約14.1重量%、約14.2重量%、約14.3重量%、約14.4重量%、約14.5重量%、約14.6重量%、約14.7重量%、約14.8重量%、約14.9重量%、約15.0重量%からなる群から選択される。
【0363】
いくつかの実施形態では、コラーゲン刺激組成物並びにその製造及び使用方法は、水性担体として、水、水溶液、アルコール、アルコールと水とのブレンド物、又はリオトロピック液晶相を含む。組成物に含まれる水の選択は、特に限定されない。具体的な例としては、精製水、イオン交換水、水道水などが挙げられる。いくつかの実施形態では、コラーゲン刺激組成物並びにその製造及び使用方法は、エタンジオール、プロパンジオール、グリセロール、ブタンジオール、ブタンテトラオール、キシリトール、ソルビトール、イノシトール、エチレングリコール、ポリエチレングリコールからなる群から選択される1以上の低分子多価アルコールを更に含む。いくつかの実施形態では、コラーゲン刺激組成物並びにその製造及び使用方法は、メタノール、エタノール、及びイソプロパノールを含む1以上の低アルコール溶媒を更に含む。
【0364】
いくつかの実施形態では、コラーゲン刺激組成物並びにその製造及び使用方法は、組成物の総重量に対して約50重量%~約98重量%の水性担体を含む。いくつかの実施形態では、コラーゲン刺激組成物並びにその製造及び使用方法は、組成物の総重量に対して約60重量%~約90重量%の水性担体を含む。いくつかの実施形態では、コラーゲン刺激組成物並びにその製造及び使用方法中の水性担体の量は、組成物の総重量に対して約50.0重量%、約51.0重量%、約52.0重量%、約53.0重量%、約54.0重量%、約55.0重量%、約56.0重量%、約57.0重量%、約58.0重量%、約59.0重量%、約60.0重量%、約61.0重量%、約62.0重量%、約63.0重量%、約64.0重量%、約65.0重量%、約66.0重量%、約67.0重量%、約68.0重量%、約69.0重量%、約70.0重量%、約71.0重量%、約72.0重量%、約73.0重量%、約74.0重量%、約75.0重量%、約76.0重量%、約77.0重量%、約78.0重量%、約79.0重量%、約80.0重量%、約81.0重量%、約82.0重量%、約83.0重量%、約84.0重量%、約85.0重量%、約86.0重量%、約87.0重量%、約88.0重量%、約89.0重量%、約90.0重量%、約91.0重量%、約92.0重量%、約93.0重量%、約94.0重量%、約95.0重量%、約96.0重量%、約97.0重量%、約98.0重量%から選択される。
【0365】
いくつかの実施形態では、コラーゲン刺激組成物並びにその製造及び使用方法は、非水性液体担体を含む。本明細書においては、非水性液体担体は、液体担体が実質的に水を含まないことを意味する。本発明において、「液体担体は実質的に水を含まない」とは、液体担体が水を含まない、又は、液体担体が水を含む場合でも、水の量は非常に少ないことを意味する。本発明において、含まれる場合の水の量は、組成物の重量に対して1重量%以下、好ましくは0.5重量%以下、より好ましくは0.3重量%以下、更により好ましくは0.1重量%以下、更により好ましくは0重量%である。
【0366】
いくつかの実施形態では、非水性液体担体は、鉱油、炭化水素油、水素化ポリデセン、ポリイソブテン、イソパラフィン、イソドデカン、イソヘキサデカン、揮発性シリコーン油、不揮発性シリコーン油、イソヘキサデカン、スクアレン、スクアレン、エステル油、及びそれらの組合せからなる群から選択される油性材料を含む。いくつかの実施形態では、非水性液体担体は、白色鉱油、スクアラン、水素化ポリイソブテン、イソヘキサデカン、及びイソドデカンからなる群から選択される油性材料を含む。いくつかの実施形態では、非水性液体担体は、スクアラン及び水素化ポリイソブテンを含む。いくつかの実施形態では、非水性液体担体は、白色鉱油、イソヘキサデカン、及びイソドデカンを含む。
いくつかの実施形態では、炭化水素油は、液体パラフィン、液体イソパラフィン、スクアレン、鉱油、飽和及び不飽和ドデカン、飽和及び不飽和トリデカン、飽和及び不飽和テトラデカン、飽和及び不飽和ペンタデカン、飽和及び不飽和ヘキサデカン、ポリブテン、ポリデセン、ペルメチル置換異性体、例えば、ヘキサデカン及びエイコサンのペルメチル置換異性体(例えば、2,2,4,4,6,6,8,8-ジメチル-10-メチルウンデカン及び2,2,4,4,6,6-ジメチル-8-メチルノナン)、イソブチレンとブタンとのコポリマー、ポリ-α-オレフィン(例えば、エチレン、プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、1-オクテン、1-デセン、1-ドデカン、1-テトラデセンのポリマー)、及びそれらの組合せからなる群から選択される。
【0367】
いくつかの実施形態では、コラーゲン刺激組成物並びにその製造及び使用方法は、イソプロピルイソステアレート、ヘキシルラウレート、イソヘキシルラウレート、イソヘキシルパルミテート、イソプロピルパルミテート、デシルオレエート、イソデシルオレエート、ヘキサデシルステアレート、デシルステアレート、イソプロピルイソステアレート、ジヘキシルデシルアジペート、ラウリルラクテート、ミリスチルラクテート、セチルラクテート、オレイルステアレート、オレイルオレエート、オレイルミリステート、ラウリルアセテート、セチルプロピオネート、オレイルアジペート、イソプロピルミリステート、グリコールステアレート、及びイソプロピルラウレート、イソセチルステアロイルステアレート、ジイソプロピルアジペート、トリステアリルシトレート、トリオレイン、トリステアリングリセリルジラウレート、トリメチロールプロパンのC-C10トリエステル、3,3ジエタノール-1,5ペンタジオールのテトラエステル、アジピン酸のC-C10ジエステル、エチレングリコールモノ及びジ脂肪酸エステル、ジエチレングリコールモノ及びジ脂肪酸エステル、ポリエチレングリコールモノ及びジ脂肪酸エステル、プロピレングリコールモノ及びジ脂肪酸エステル、ポリプロピレングリコールモノオレエート、ポリプロピレングリコール2000モノステアレート、エトキシル化プロピレングリコールモノステアレート、グリセリルモノ及びジ脂肪酸エステル、ポリグリセロールポリ脂肪酸エステル、エトキシル化グリセリルモノステアレート、1,3-ブチレングリコールモノステアレート、1,3-ブチレングリコールジステアレート、ソルビタン脂肪酸エステル、及びポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル(例えば、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノオレエート、ポリソルベート80、Tween80(登録商標))、及びそれらの組合せからなる群から選択される脂肪酸エステル油を含む有機性油を含む。
【0368】
いくつかの実施形態では、非水性液体担体は、約8個~約20個の炭素原子を有する揮発性イソパラフィンを含む。いくつかの実施形態では、非水性液体担体は、約8個~約16個の炭素原子を有する揮発性イソパラフィンを含む。いくつかの実施形態では、非水性液体担体は、約10個~約16個の炭素原子を有する揮発性イソパラフィンを含む。いくつかの実施形態では、揮発性イソパラフィンは、イソブテンの三量体、四量体、及び五量体、並びにそれらの混合物からなる群から選択される。市販のイソパラフィン炭化水素は、その重合度の分布を有することができ、例えば、三量体、四量体、及び五量体の混合物であることができる。本明細書においては、四量体とは、四量体が最も高い含量である市販のイソパラフィン炭化水素、即ち、四量体が、好ましくは70%以上、より好ましくは80%以上、更により好ましくは85%以上の量で含有されることを意味する。
【0369】
いくつかの実施形態では、揮発性イソパラフィンは、いくつかのグレードのイソパラフィンの混合物である。いくつかの実施形態では、揮発性イソパラフィンは、37.8℃で、約0.5mm・s-1~約50mm・s-1、約0.8mm・s-1~約40mm・s-1、約1mm・s-1~約30mm・s-1、約1mm・s-1~約20mm・s-1、及び約1mm・s-1~約10mm・s-1から選択される粘度範囲を有する。2以上のイソパラフィン炭化水素溶媒を使用する場合、イソパラフィン炭化水素溶媒の混合物が前記粘度を有することが好ましい。
【0370】
いくつかの実施形態では、非水性液体担体は、エステル油を含む。いくつかの実施形態では、エステル油は、3以下のHLBを有し、室温で液体である。いくつかの実施形態では、エステル油は、パルミチン酸メチル、ステアリン酸メチル、オレイン酸メチル、リノール酸メチル、及びラウリン酸メチルからなる群から選択される。実施形態では、エステル油は、ステアリン酸メチルである。
【0371】
いくつかの実施形態では、エステル油は、コンディショニングされた感触と製品の安定性との間のバランスに鑑みて、及び/又は発泡の防止に鑑みて、コラーゲンブースティング組成物の総重量に対して約0.1重量%~約25重量%、約0.5重量%~約15重量%、約1.0重量%~約10重量%、約1.0重量%~約5.0重量%から選択される重量パーセントで非水性液体担体に含まれる。
【0372】
いくつかの実施形態では、非水性液体担体は、トリメチロイルプロパントリカプリレート/トリカプリレート、C12-C15アルキルベンゾエート、エチルヘキシルステアレート、エチルヘキシルココエート、デシルオレエート、デシルココエート、エチルオレエート、イソプロピルミリステート、エチルヘキシルパーラゴネート(ethylhexyl perlagonate)、ペンタエリスリチルテトラカプリレート/テトラカプレート、PPG-3ベンジルエーテルミリステート、プロピレングリコールジカプリレート/ジカプレート、エチルヘキシルイソステアレート、エチルヘキシルパルミテート、及びglycine soja、helianthus annuus、simmondsia chinensis、carthamus tinctorius、oenothera biennis、及びrapae oleumなどの天然油からなる群から選択される脂肪酸エステルを含む。
【0373】
いくつかの実施形態では、非水性液体担体は、グリセリド脂肪酸エステルを含む。いくつかの実施形態では、本発明におけるヘアオイルにおける使用に好適なグリセリド脂肪酸エステルは、周囲温度(25~30℃)で0.01~0.8Pa・s、好ましくは0.015~0.6Pa・s、より好ましくは0.02~0.065Pa・sの粘度を有する。
【0374】
実施形態では、脂肪性材料は、グリセリド脂肪酸エステルを含む。本明細書においては、用語「グリセリド脂肪酸エステル」は、グリセロールと、C6-C30カルボン酸などの長鎖カルボン酸との間に形成されるモノ-、ジ-、及びトリ-エステルを意味する。カルボン酸は、飽和又は不飽和であることができ、又はヒドロキシルなどの親水性基を含むことができる。好ましいグリセリド脂肪酸エステルは、C10~C24、好ましくはC10~C22、最も好ましくはC12~C20、最も好ましくはC12~C18の範囲の炭素鎖長のカルボン酸に由来する。いくつかの実施形態では、グリセリド脂肪酸エステルは、C6-C12脂肪酸鎖を有する中鎖トリグリセリドである。
【0375】
いくつかの実施形態では、グリセリド脂肪エステルは、カメリア油、ココナッツ油、ヒマシ油、サフラワー油、ヒマワリ油、ピーナッツ油、綿実油、コーン油、オリーブ油、タラ肝油、アーモンド油、アボカド油、パーム油、ゴマ油、ラノリン、及び大豆油などの様々な植物性及び動物性油脂から供給される。合成油としては、トリミリスチン、トリオレイン、及びトリステアリングリセリルジラウレートが挙げられる。植物由来のグリセリド脂肪エステルとしては、アーモンド油、ヒマシ油、ココナッツ油、パーム核油、ゴマ油、ヒマワリ油、及び大豆油が挙げられる。
【0376】
いくつかの実施形態では、グリセリド脂肪酸エステルは、ココナッツ油、ヒマワリ油、アーモンド油、及びそれらの混合物から選択される。
【0377】
非水性液体担体は、コラーゲンブースティング組成物の総重量に対して約50%~約99.9%、約60%~約99.8%、より好ましくは約65%~約98%の、コラーゲンブースティング組成物の重量ベースの量で含まれる。
【0378】
いくつかの実施形態では、ヘアケア製品は、非シルク界面活性剤を実質的に含まない水性液体担体を含む。いくつかの実施形態では、水性液体担体は、水、水溶液、アルコール、アルコールと水との混合物、又はリオトロピック液晶相から選択される。組成物に含まれる水の選択は、特に限定されない。具体的な例としては、精製水、イオン交換水、水道水が挙げられる。
【0379】
いくつかの実施形態では、水性液体担体は、エタンジオール、プロパンジオール、グリセロール、ブタンジオール、ブタンテトラオール、キシリトール、ソルビトール、イノシトール、エチレングリコール、ポリエチレングリコールからなる群から選択される1以上の低分子多価アルコールを含む。いくつかの実施形態では、水性液体担体は、水及びグリセロールを含む。いくつかの実施形態では、水性液体担体は、水対グリセロールの重量比1:10で水とグリセロールを含む。いくつかの実施形態では、水性液体担体は、1:10、1:9、1:8、1:7、1:6、1:5、1:4、1:3、1:2、及び1:1から選択される水対グリセロールの重量比で水とグリセロールを含む。いくつかの実施形態では、水性液体担体は、水対グリセロールの重量比1:1で水とグリセロールを含む。いくつかの実施形態では、水性液体担体は、水対グリセロールの重量比1:10で水とグリセロールを含む。いくつかの実施形態では、水性液体担体は、1:10、1:1、9、1:8、1:7、1:6、1:5、1:4、1:3、1:2、及び1:1から選択される絹フィブロインタンパク質断片対グリセロールの重量比で、絹フィブロインタンパク質断片及びグリセロールを含む。いくつかの実施形態では、水性液体担体は、絹フィブロインタンパク質断片及びグリセロールを、絹フィブロインタンパク質断片対グリセロールの重量比1:1で含む。
【0380】
いくつかの実施形態では、水性液相のpHは、約4.0~約9.0の範囲で調整される。いくつかの実施形態では、水性液相のpHは、約4.5~約8.5の範囲で調整される。いくつかの実施形態では、水性液相のpHは、約5.0~約7.0の範囲で調整される。pH調整剤は、緩衝液(例えば、PBS緩衝液)、アルカリ金属塩、酸、クエン酸、コハク酸、リン酸、水酸化ナトリウム、水酸化アンモニウム、エタノールアミン、炭酸ナトリウム、及びそれらの組合せを含み得る。
【0381】
いくつかの実施形態では、組成物は、組成物の総重量に対して約1.0重量%~約99.0重量%の水性液体担体を含む。いくつかの実施形態では、組成物は、組成物の総重量に対して約5.0重量%~約45.0重量%の水性液体担体を含む。いくつかの実施形態では、組成物は、組成物の総重量に対して約5.0重量%~約35.0重量%の水性液体担体を含む。いくつかの実施形態では、組成物は、組成物の総重量に対して約10.0重量%~約30.0重量%の水性液体担体を含む。いくつかの実施形態では、組成物は、組成物の総重量に対して約45.0重量%~約95.0重量%の水性液体担体を含む。いくつかの実施形態では、組成物は、組成物の総重量に対して約60.0重量%~約90.0重量%の水性液体担体を含む。いくつかの実施形態では、組成物は、組成物の総重量に対して約45.0重量%~約75.0重量%の水性液体担体を含む。いくつかの実施形態では、組成物は、組成物の総重量に対して約60.0重量%~約75.0重量%の水性液体担体を含む。いくつかの実施形態では、組成物中の水性液体担体の量は、組成物の総重量に対して約1.0重量%、約2.0重量%、約3.0重量%、約4.0重量%、約5.0重量%、約6.0重量%、約7.0重量%、約8.0重量%、約9.0重量%、約10.0重量%、約11.0重量%、約12.0重量%、約13.0重量%、約14.0重量%、約15.0重量%、約16.0重量%、約17.0重量%、約18.0重量%、約19.0重量%、約20.0重量%、約21.0重量%、約22.0重量%、約23.0重量%、約24.0重量%、約25.0重量%、約26.0重量%、約27.0重量%、約28.0重量%、約29.0重量%、約30.0重量%、約31.0重量%、約32.0重量%、約33.0重量%、約34.0重量%、約35.0重量%、約36.0重量%、約37.0重量%、約38.0重量%、約39.0重量%、約40.0重量%、約41.0重量%、約42.0重量%、約43.0重量%、約44.0重量%、約45.0重量%、約46.0重量%、約47.0重量%、約48.0重量%、約49.0重量%、約50.0重量%、約51.0重量%、約52.0重量%、約53.0重量%、約54.0重量%、約55.0重量%、約56.0重量%、約57.0重量%、約58.0重量%、約59.0重量%、約60.0重量%、約61.0重量%、約62.0重量%、約63.0重量%、約64.0重量%、約65.0重量%、約66.0重量%、約67.0重量%、約68.0重量%、約69.0重量%、約70.0重量%、約71.0重量%、約72.0重量%、約73.0重量%、約74.0重量%、約75.0重量%、約76.0重量%、約77.0重量%、約78.0重量%、約79.0重量%、約80.0重量%、約81.0重量%、約82.0重量%、約83.0重量%、約84.0重量%、約85.0重量%、約86.0重量%、約87.0重量%、約88.0重量%、約89.0重量%、約90.0重量%、約91.0重量%、約92.0重量%、約93.0重量%、約94.0重量%、約95.0重量%、約96.0重量%、約97.0重量%、約98.0重量%から選択される。
【0382】
いくつかの実施形態では、コラーゲン刺激組成物並びにその製造及び使用方法は、任意に、天然又は合成の芳香性エッセンシャルオイルを含む。いくつかの実施形態では、芳香性エッセンシャルオイルは、ユーカリオイル、ラバンディンオイル、ラベンダーオイル、ベチバーオイル、リトシークベバオイル、レモンオイル、サンダルウッドオイル、ローズマリーオイル、カモミールオイル、セイバリーオイル、ナッツメグオイル、シナモンオイル、ヒソップオイル、キャラウェイオイル、オレンジオイル、ゲラニオールオイル、ケイドオイル、アーモンドオイル、アルガンオイル、アボカドオイル、スギオイル、小麦胚芽オイル、ベルガモットオイル、及びそれらの組合せからなる群から選択される。
【0383】
いくつかの実施形態では、コラーゲン刺激組成物並びにその製造及び使用方法は、任意に、ビタミンA、ビタミンB、ビタミンE、ビタミンD、ビタミンK、リボフラビン、ピリドキシン、補酵素チアミンピロホスフェート、フラビンアデニンジヌクレオチド、葉酸、ピリドキサールホスフェート、テトラヒドロ葉酸(tetradrofolic acid)、及びそれらの組合せからなる群から選択されるビタミンを含む。
【0384】
いくつかの実施形態では、コラーゲン刺激組成物並びにその製造及び使用方法は、組成物の総重量に対して約0.01重量%~約8.0重量%でビタミン及び/又は補酵素を含む。いくつかの実施形態では、組成物は、組成物の総重量に対して約0.001重量%~約10.0重量%でビタミン及び/又は補酵素を含む。いくつかの実施形態では、組成物は、組成物の総重量に対して約0.05重量%~約5.0重量%でビタミン及び/又は補酵素を含む。
【0385】
いくつかの実施形態では、コラーゲン刺激組成物並びにその製造及び使用方法は、任意に、トリアゾール、イミダゾール、ナフタレン誘導体、ベンズイミダゾール、モルホリン(morphline)誘導体、ジチオカルバメート、ベンズイソチアゾール、ベンズアミド、ホウ素化合物、ホルムアルデヒド供与体、イソチアゾロン、チオシアネート、四級アンモニウム化合物、ヨウ素誘導体、フェノール誘導体、殺菌剤、ピリジン、ジアルキルチオカルバメート、ニトリル、パラベン、アルキルパラベン、及びそれらの塩からなる群から選択される防腐剤を含む。
【0386】
いくつかの実施形態では、コラーゲン刺激組成物並びにその製造及び使用方法は、水溶液、エタノール溶液、オイル、ジェル、エマルジョン、懸濁液、ムース、液晶、固体、ジェル類、ローション、クリーム、エアゾルスプレー、ペースト、フォーム、及びトニックからなる群から選択される形態で処方される。いくつかの実施形態では、組成物は、クリーム、スプレー、エアロゾルムース、又はジェルからなる群から選択される形態である。
【0387】
実施形態では、組成物は、本開示の化合物の良好な可溶化及び/又は溶解を確実にし、本開示の化合物の沈殿を最小限にするための可溶化剤を含むことができる。これは、非経口使用のための組成物、例えば、注射用組成物にとって特に重要であり得る。可溶化剤を添加して、親水性薬物及び/又は界面活性剤などの他の成分の溶解度を高める、又は組成物を安定又は均質な溶液又は分散液として維持することもできる。
【0388】
好適な可溶化剤の例としては、限定するものではないが、アルコール及びポリオール、例えば、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、ベンジルアルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール及びそれらの異性体、グリセロール、ペンタエリスリトール、ソルビトール、マンニトール、トランスクトール、ジメチルイソソルビド、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリビニルアルコール、ヒドロキシプロピルメチルセルロース及び他のセルロース誘導体、シクロデキストリン及びシクロデキストリン誘導体;約200~約6000の平均分子量を有するポリエチレングリコールのエーテル、例えば、テトラヒドロフルフリルアルコールPEGエーテル(グリコフロール)又はメトキシPEG;アミド及び他の含窒素化合物、例えば、2-ピロリドン、2-ピペリドン、ε-カプロラクタム、N-アルキルピロリドン、N-ヒドロキシアルキルピロリドン、N-アルキルピペリドン、N-アルキルカプロラクタム、ジメチルアセトアミド、及びポリビニルピロリドン;エステル、例えば、エチルプロピネート、トリブチルシトレート、アセチルトリエチルシトレート、アセチルトリブチルシトレート、トリエチルシトレート、エチルオレエート、エチルカプリレート、エチルブチレート、トリアセチン、プロピレングリコールモノアセテート、プロピレングリコールジアセテート、ε-カプロラクトン及びその異性体、δ-バレロラクトン及び異性体、β-ブチロラクトン及びその異性体;及び当技術分野で知られている他の可溶化剤、例えば、ジメチルアセトアミド、ジメチルイソソルビド、N-メチルピロリドン、モノオクタノイン、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、及び水が挙げられる。
【0389】
可溶化剤の混合物も使用することができる。例としては、限定するものではないが、トリアセチン、トリエチルシトレート、エチルオレエート、エチルカプリレート、ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン、N-ヒドロキシエチルピロリドン、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルシクロデキストリン、エタノール、ポリエチレングリコール200-100、グリコフロール、トランスクトール、プロピレングリコール、及びジメチルイソソルビドが挙げられる。特に好ましい可溶化剤としては、ソルビトール、グリセロール、トリアセチン、エチルアルコール、PEG-400、グリコフロール、及びプロピレングリコールが挙げられる。
【0390】
含有させることができる可溶化剤の量は、特に制限されない。所定の可溶化剤の量は、生物学的に許容可能な量に限定されることがあり、この量は、当業者によって容易に決定され得る。場合により、例えば薬物濃度を最大にするために、生物学的に許容可能な量を遥かに超える量の可溶化剤を含有させることが有利であり、過剰の可溶化剤は、患者への組成物の投与に先立ち、蒸留又は蒸発などの従来の技術を使用して除去される。したがって、存在する場合、可溶化剤は、薬物及び他の賦形剤の合計重量に基づいて、10重量%、25重量%、50重量%、100重量%、又は最大約200重量%の重量比でることができる。必要に応じて、5%、2%、1%、又はそれ以下などの非常に少量の可溶化剤を使用することもできる。典型的には、可溶化剤は、約1重量%~約100重量%、より典型的には、約5重量%~約25重量%の量で存在することができる。
【0391】
組成物は、1以上の薬学的に許容される添加剤及び賦形剤を更に含むことができる。かかる添加剤及び賦形剤としては、限定するものではないが、粘着除去剤、消泡剤、緩衝剤、ポリマー、抗酸化剤、防腐剤、キレート剤、粘度調節剤、張性調節剤、香味料、着色剤、臭気剤、乳白剤、懸濁剤、結合剤、フィラー、可塑剤、潤滑剤、及びそれらの混合物が挙げられる。
【0392】
注射による投与用に本開示の組成物を製することができる形態としては、水性若しくは油性懸濁液又はエマルジョンが挙げられ、ゴマ油、コーン油、綿実油、又は落花生油、並びにエリキシル剤、マンニトール、デキストロース、又は滅菌水溶液、及び類似の医薬ビヒクルを含有する。
【0393】
生理食塩水中の水溶液もまた、従来、注射用に使用されている。エタノール、グリセロール、プロピレングリコール、及び液体ポリエチレングリコール(及びそれらの好適な混合物)、シクロデキストリン誘導体、及び植物油も使用することができる。適切な流動性は、例えば、分散液の場合に必要な粒子サイズを維持するためのレシチンなどのコーティングの使用によって、及び界面活性剤の使用によって維持することができる。微生物の作用の防止は、様々な抗菌剤及び抗真菌剤、例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノール、ソルビン酸、及びチメロサールによってもたらされ得る。
【0394】
本開示の組成物は、ゲル、水溶性ゼリー、クリーム、ローション、懸濁液、フォーム、粉末、スラリー、軟膏、溶液、オイル、ペースト、坐剤、スプレー、エマルジョン、生理食塩水、ジメチルスルホキシド(DMSO)ベースの溶液などの、局所又は外用投与に適した固体、半固体、又は液体形態の調製物に製することができる。一般に、より高密度の担体は、領域に、有効成分への長時間の曝露を提供することができる。対照的に、溶液製剤は、選択された領域に、有効成分のより即時性の曝露を提供することができる。
【0395】
医薬組成物はまた、好適な固相又はゲル相担体又は賦形剤を含むことができ、これらは、皮膚の角質層透過性バリアを透過する治療用分子の浸透を上昇させる、又はその送達を助ける化合物である。外用製剤の分野で訓練された者に知られているこれらの浸透促進分子が多く存在する。かかる担体及び賦形剤の例としては、限定するものではないが、保湿剤(例えば、尿素)、グリコール(例えば、プロピレングリコール)、アルコール(例えば、エタノール)、脂肪酸(例えば、オレイン酸)、界面活性剤(例えば、イソプロピルミリステート及びラウリル硫酸ナトリウム)、ピロリドン、グリセロールモノラウレート、スルホキシド、テルペン(例えば、メントール)、アミン、アミド、アルカン、アルカノール、水、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、様々な糖、デンプン、セルロース誘導体、ゼラチン、及びポリエチレングリコールなどのポリマーが挙げられる。
【0396】
本開示の方法における使用のための別の例示的な製剤は、経皮送達デバイス(「パッチ」)を使用する。かかる経皮パッチを使用して、別の活性医薬成分の有無にかかわらず、制御された量で、本明細書に記載の連続又は不連続の注入組成物を提供することができる。薬剤送達のための経皮パッチの作製及び使用は、当技術分野でよく知られている。例えば、参照によりその全体を本明細書に援用する米国特許第5,023,252号明細書;同第4,992,445号明細書及び同第5,001,139号明細書を参照されたい。かかるパッチは、薬剤の連続性、拍動性、又はオンデマンド送達用に作製することができる。
【0397】
医薬組成物はまた、本明細書に記載の組成物と、舌下、バッカル、直腸、骨内、眼内、鼻腔内、硬膜外、又は脊髄内投与に適した1以上の薬学的に許容される賦形剤とから調製することもできる。かかる医薬組成物の調製は、当技術分野でよく知られている。例えば、参照によりその全体を本明細書に援用するAnderson, et al., eds., Handbook of Clinical Drug Data, Tenth Edition, McGraw-Hill, 2002;及びPratt and Taylor, eds., Principles of Drug Action, Third Edition, Churchill Livingston, N.Y., 1990を参照されたい。
【0398】
これらの方法としては、経口経路、十二指腸内経路、非経口注射(静脈内、動脈内、皮下、筋肉内、血管内、腹腔内、又は注入を含む)、外用(例えば、経皮適用)、直腸投与(カテーテル又はステントによる局所送達)又は吸入、脂肪内又は髄腔内が挙げられる。
【0399】
本開示の組成物はまた、含浸又はコーティングされたデバイス(例えば、ステント、即ち、動脈内に挿入された円筒形ポリマーなど)を介して送達することができる。かかる投与方法は、例えば、バルーン血管形成術などの施術後の再狭窄の予防又は改善を助けることができる。理論に拘束されるものではないが、本開示の化合物は、再狭窄に寄与する動脈壁における平滑筋細胞の遊走及び増殖を遅延させる又は阻害することができる。本開示の化合物は、例えば、ステントのストラットから、ステントグラフトから、グラフトから、又はステントのカバー若しくはシースからの局所送達によって投与することができる。いくつかの実施形態では、本開示の化合物は、マトリックスと混合される。かかるマトリックスは、高分子マトリックスであることができ、化合物をステントに結合させるのに役立ち得る。かかる使用に適した高分子マトリックスとしては、例えば、ラクトンベースのポリエステル又はコポリエステル、例えば、ポリラクチド、ポリカプロラクトングリコリド、ポリオルトエステル、ポリ無水物、ポリアミノ酸、多糖類、ポリホスファゼン、ポリ(エーテル-エステル)コポリマー(例えば、PEO-PLLA);ポリジメチルシロキサン、ポリ(エチレン-酢酸ビニル)、アクリレートベースのポリマー又はコポリマー(例えば、ポリヒドロキシエチルメチルメタクリレート、ポリビニルピロリジノン)、ポリテトラフルオロエチレン及びセルロースエステルなどのフッ素化ポリマーが挙げられる。好適なマトリックスは、非分解性であることができる、又は経時で分解して、化合物又は複数の化合物を放出することができる。本明細書に開示の組成物は、ディップ/スピンコーティング、スプレーコーティング、ディップコーティング、及び/又はブラシコーティングなどの様々な方法によってステントの表面に適用することができる。化合物を溶媒中で用い、溶媒を蒸発させて、ステント上に化合物の層を形成することができる。或いは、組成物を、ステント又はグラフとの本体、例えば、マイクロチャネル又はマイクロポアに配することができる。移植されると、組成物は、ステントの本体から拡散して動脈壁に接触する。かかるステントは、かかるマイクロポア又はマイクロチャネルを含むように製造したステントを、好適な溶媒中の本開示の化合物の溶液に浸漬した後、溶媒を蒸発させることによって調製することができる。本明細書に開示の組成物は、血管形成術中に使用されるバルーンから血管内に投与することができる。本開示の組成物の心膜を介する又は外膜適用を介する血管外投与も、再狭窄を低減するために行うことができる。
【0400】
例示的な非経口投与形態としては、無菌水溶液、例えば、プロピレングリコール水溶液又はデキストロース水溶液の溶液又は懸濁液が挙げられる。かかる剤形は、必要に応じて、適切に緩衝化することができる。
【0401】
本開示は、キットも提供する。キットは、適切なパッケージ内に、本明細書に開示の組成物を含み、使用説明書、臨床試験の内容、及び副作用のリストを含み得る文書を含む。かかるキットは、科学文献の参考文献、添付文書、臨床試験結果、及び/又はこれらの要約などの情報も含むことができ、これらは、組成物の活性及び/又は利点を示す又は確立する、及び/又は用量用法、副作用、薬物相互作用、又は医療提供者に有用なその他の情報を記述する。かかる情報は、様々な研究、例えば、インビボモデルを含む実験動物を使用した研究、及びヒトの臨床試験に基づく研究の結果に基づき得る。キットは、別の活性医薬成分を更に含むことがある。使用に適したパッケージング及び更なる物品(例えば、液体調製物用の計量カップ、空気への曝露を最小限にするためのフォイル包装)は当技術分野において知られており、キットに含まれ得る。本明細書に記載のキットは、医師、看護師、薬剤師、処方官(formulary officials)などを含む医療提供者に提供、販売、及び/又は宣伝することができる。キットはまた、いくつかの実施形態では、消費者に直接販売され得る。キットは、好ましくは、本明細書に記載の疾患及び状態の治療における使用を目的とする。
【実施例
【0402】
本明細書に含まれる実施形態は、以下の実施例を参照して説明される。これらの実施例は、例示のみを目的としており、本明細書に含まれる開示は、これらの実施例に何ら限定されると解釈されるべきではなく、むしろ、本明細書に与えられる教示の結果として明らかになるあらゆる変形を包含すると解釈されるべきである。
【0403】
一般的手順
本発明の組成物は、当技術分野で知られた様々な方法によって調製することができる。係る方法としては、以下の実施例の方法、及び以下に具体的に例示される方法が挙げられる。
【0404】
実施例1:絹フィブロインによるコラーゲン刺激
皮膚の健康と老化における絹とコラーゲンの関係-薬用化粧品が増えている。アンチエイジングスキンケア製品及び敏感肌の消費者による使用に適した製品に対する需要の高まりに応え、スキンケア業界は「薬用化粧品」を開発している。これらの化粧品は、皮膚の健康を増進し、美化するために、生物学的に有効な成分を含有している。その目的は、覆うのではなく、皮膚の欠陥の原因を解消することである。薬用化粧品の需要の高まりは、若々しい外観を維持したいという欲求を持つ世界人口の高齢化の結果である。過去10年間で人口が急増し、40歳以上の人口が著しく増加し、これらの高齢者群での化粧品の使用も増えている。その結果、皺、加齢性色素斑、乾燥肌、肌の色むらを予防又は改善する製品の需要が高まり、新たな処方の開発と業界の成長に拍車をかけている。[Mordor Intelligence (2019). Cosmeceuticals Market - Segmented by Product Type (Skin Care, Hair Care, Injectable, Oral Care), Active Ingredients (Antioxidants, Botanicals, Exfoliants, Peptides, Retinoids), and Regions - Growth, Trends, and Forecast (2019 - 2024). Available at www.mordorintelligence.com/industry-reports/global-cosmeceuticals-market-industry. Accessed May 5, 2019. Archived at web.archive.org/web/20190506184300/https://www.mordorintelligence.com/industry-reports/global-cosmeceuticals-market-industry.]これらの製品は、皮膚の疾患状態を治療するための薬物を含有していないので、米国食品医薬品局(FDA)などの機関によって規制されておらず、医師の処方箋を必要としない。[Martin KI, Glaser DA (2011) Cosmeceuticals: The new medicine of beauty. Missouri Medicine108:1; Report Linker (2018) Global Cosmeceuticals Market Outlook 2022. Available at www.reportlinker.com/p01103487/Global-Cosmeceuticals-Market-Outlook.html. Accessed Mary 5, 2019. Archived at web.archive.org/web/20190506184758/https://www.reportlinker.com/p01103487/Global-Cosmeceuticals-Market-Outlook.html.]それらの高い人気とアクセサビリティのために、薬用化粧品の世界市場は、2017年に470億米ドルであり、2023年までに800億米ドルに達すると予想されている。[Mordor Intelligence (2019). Cosmeceuticals Market - Segmented by Product Type (Skin Care, Hair Care, Injectable, Oral Care), Active Ingredients (Antioxidants, Botanicals, Exfoliants, Peptides, Retinoids), and Regions - Growth, Trends, and Forecast (2019 - 2024). Available at www.mordorintelligence.com/industry-reports/global-cosmeceuticals-market-industry. Accessed May 5, 2019. Archived at web.archive.org/web/20190506184300/https://www.mordorintelligence.com/industry-reports/global-cosmeceuticals-market-industry.]米国では、薬用化粧品市場の小売売上高は、近年、100億ドルを遥かに超えており、成長を続けている。[Packaged Facts (2012) Cosmeceuticals in the US. 6th ed. Available at www.packagedfacts.com/Cosmeceuticals-Edition-6281775/. Accessed May 5, 2019. Archived at https://web.archive.org/web/20190506183806/https://www.packagedfacts.com/Cosmeceuticals-Edition-6281775/.]
【0405】
皮膚の健康と老化におけるコラーゲン、線維芽細胞、及び細胞外マトリックスの役割。
真皮は皮膚の最も大きな部分であり、主に、皮膚の強度、復元性、及び弾性に関与する、高密度でコラーゲンが豊富なタンパク質性細胞外マトリックス(ECM)で構成されている。[Rittie L, Fisher GJ (2015) Natural and sun-induced aging of human skin. Cold Spring Harb Perspect Med 5: a015370; Quan T, Fisher GJ (2015) Role of age-associated alterations of the dermal extracellular matrix microenvironment in human skin aging: A mini-review. Gerontology 61: 427-434.]数十年もの間、科学者らは、薄化、乾燥、細かい皺などの皮膚の老化の目に見える特徴が、加齢に伴う皮膚コラーゲンの分解の増大を反映することを知見している。[Smith JG, Davidson EA, Sams WM, Clark RD (1962) Alterations in human dermal connective tissue with age and chronic sun damage. J Invest Dermatol 39: 347-350; Lavker RM (1979) Structural alterations in exposed and unexposed aged skin. J Invest Dermatol 73: 59-66; Varani J et al (2000) Vitamin A antagonizes decreased cell growth and elevated collagen-degrading matrix metalloproteinases and stimulates collagen accumulation in naturally aged human skin. J Invest Dermatol 114: 480-486; Varani J et al (2000) Vitamin A antagonizes decreased cell growth and elevated collagen-degrading matrix metalloproteinases and stimulates collagen accumulation in naturally aged human skin. J Invest Dermatol 114: 480-486.]コラーゲンは、皮膚の結合組織の主成分として、皮膚の強度と復元性を維持する上で重要な役割を果たす。その変性は、脆く、傷付つき易く、概して若々しい外観を失った皮膚をもたらす。[同上]。より具体的には、真皮に対する加齢の影響は、コラーゲンベースの細胞外マトリックスの構造と組織への有害な変化を伴う。[Rittie L, Fisher GJ (2015) Natural and sun-induced aging of human skin. Cold Spring Harb Perspect Med 5: a015370; Quan T, Fisher GJ (2015) Role of age-associated alterations of the dermal extracellular matrix microenvironment in human skin aging: A mini-review. Gerontology 61: 427-434.]
【0406】
皮膚におけるこのコラーゲンの変性は、コラーゲン自体の発現の、通常の加齢に伴う減少と併せて、マトリックスメタロプロテイナーゼ(MMP)と呼ばれるコラーゲン分解酵素の発現の、通常の加齢に伴う増加の結果として生じる。酵素的MMP作用の増加は、時間の経過に伴って、真皮ECMに断片化されたコラーゲンフィブリルの蓄積をもたらす。このコラーゲンの断片化に伴うECMの構造的完全性の喪失は、メカノトランスダクションとして知られる現象を介して、コラーゲンを生成する皮膚線維芽細胞の形状の完全性の喪失に生物学的に変換される。[Rittie L, Fisher GJ (2015) Natural and sun-induced aging of human skin. Cold Spring Harb Perspect Med 5: a015370; Quan T, Fisher GJ (2015) Role of age-associated alterations of the dermal extracellular matrix microenvironment in human skin aging: A mini-review. Gerontology 61: 427-434.]真皮線維芽細胞とその周囲のECMとの相互作用は、細胞表面のインテグリンとして知られる膜貫通型結合及びシグナル伝達受容体を介して生じる。健康で若い皮膚に見られる、正常な組織張力などの適切な機械的応力を受けている「伸ばされた」コラーゲンマトリックスに付着した線維芽細胞では、コラーゲン産生が高い。しかし、コラーゲン発現は、老化した皮膚のECMに見られるような、より「弛緩した」ECM環境内の線維芽細胞では抑制されており、断片化されたコラーゲンが多く蓄積する。[Chiquet M (1999) Regulation of extracellular matrix gene expression by mechanical stress. Matrix Biol 18: 417-426.]したがって、適切な線維芽細胞の形状の喪失は、その細胞機能の喪失に関連しており、これは、コラーゲン産生の更なる減少に至り、その後、MMP発現の増加につながる。[Rittie L, Fisher GJ (2015) Natural and sun-induced aging of human skin. Cold Spring Harb Perspect Med 5: a015370; Quan T, Fisher GJ (2015) Role of age-associated alterations of the dermal extracellular matrix microenvironment in human skin aging: A mini-review. Gerontology 61: 427-434.]これらのコラーゲンベースの効果に加えて、皮膚の皮膚線維芽細胞のポピュレーション(数)自体も加齢を通して減少する。若年者の皮膚と高齢者の皮膚とでは、コラーゲン含量が68%減少すること示されており、線維芽細胞の数は35%減少した。[Varani J et al (2000) Vitamin A antagonizes decreased cell growth and elevated collagen-degrading matrix metalloproteinases and stimulates collagen accumulation in naturally aged human skin. J Invest Dermatol 114: 480-486; Varani J et al (2006) Decreased collagen production in chronologically aged skin roles of age-dependent alteration in fibroblast function and defective mechanical stimulation. AmJ Pathol 168: 1861-1868.]コラーゲンとMMPの発現及び線維芽細胞の細胞機能の変化のその後のフィードバックループは、コラーゲンマトリックスの密度低下がECMタンパク質産生のダウンレギュレーションサイクルを永続させるので、老化した皮膚の目に見える特徴をもたらす、コラーゲンの恒常性の変化を引き起こす。[Rittie L, Fisher GJ (2015) Natural and sun-induced aging of human skin. Cold Spring Harb Perspect Med 5: a015370; Quan T, Fisher GJ (2015) Role of age-associated alterations of the dermal extracellular matrix microenvironment in human skin aging: A mini-review. Gerontology 61: 427-434.]
【0407】
特定の理論に拘束されることを望むものではないが、皮膚の老化の顕在化の重要な決定因子は、皮膚線維芽細胞の年齢ではなく、ECMの構造的な質であると考えられる。[Quan T et al (2013) Enhancing structural support of the dermal microenvironment activates fibroblasts, endothelial cells, and keratinocytes in aged human skin in vivo. J Invest Dermatol 133: 658-667.]したがって、ECMと線維芽細胞の健康を促進する老化又は損傷した皮膚の治療は、皮膚の外観の年齢依存性変化を成功裏に改善することができる。事実、研究によれば、老化した皮膚で観察されたコラーゲン産生の減少は、皮膚線維芽細胞を刺激する処置によって幾分改善され得る。[Varani J et al (2000) Vitamin A antagonizes decreased cell growth and elevated collagen-degrading matrix metalloproteinases and stimulates collagen accumulation in naturally aged human skin. J Invest Dermatol 114: 480-486; Varani J et al (2006) Decreased collagen production in chronologically aged skin roles of age-dependent alteration in fibroblast function and defective mechanical stimulation. AmJ Pathol 168: 1861-1868; Nusgens BV et al (2001) Topically applied vitamin C enhances the mRNA level of collagens I and III, their processing enzymes and tissue inhibitor of matrix metalloproteinase 1 in the human dermis. J Invest Dermatol 116: 853-859;Quan T et al (2013) Enhancing structural support of the dermal microenvironment activates fibroblasts, endothelial cells, and keratinocytes in aged human skin in vivo. J Invest Dermatol 133: 658-667; Rittie L, Fisher GJ (2015) Natural and sun-induced aging of human skin. Cold Spring Harb Perspect Med 5: a015370.]更に、日焼けで損傷した皮膚に見られる、より顕著な皮膚外観の変化は、コラーゲン産生線維芽細胞自体の損傷の結果ではないので、この損傷の改善も可能であると予想される。[Smith JG, Davidson EA, Sams WM, Clark RD (1962) Alterations in human dermal connective tissue with age and chronic sun damage. J Invest Dermatol 39: 347-350; Lavker RM (1979) Structural alterations in exposed and unexposed aged skin. J Invest Dermatol 73: 59-66; Varani J et al (2000) Vitamin A antagonizes decreased cell growth and elevated collagen-degrading matrix metalloproteinases and stimulates collagen accumulation in naturally aged human skin. J Invest Dermatol 114: 480-486; Varani J (2001) Inhibition of Type I procollagen synthesis by damaged collagen in photoaged skin and by collagenase-degraded collagen in vitro. Am J Pathol 158: 931-942; Varani J et al (2006) Decreased collagen production in chronologically aged skin roles of age-dependent alteration in fibroblast function and defective mechanical stimulation. AmJ Pathol 168: 1861-1868.]
【0408】
絹ベースのスキンケアは、コラーゲン発現を促進し、老化及び損傷した皮膚を改善する。
絹繊維は、そのコアが、フィブロインとして知られる天然タンパク質で構成されている。皮膚の結紮に利用された最初の埋め込み型生体材料として、絹フィブロインは、十分に確立された使用の歴史と、ヒトの皮膚との適合性を誇る。2003年に、著者らは、線維芽細胞によるコラーゲン産生を誘発する絹フィブロインタンパク質の能力について報告した。改変された絹タンパク質ベースのマトリックスを用いた線維芽細胞の培養は、コラーゲン発現を促進すると共に線維芽細胞密度を増加させた。[Chen J et al (2003) Human bone marrow stromal cell and ligament fibroblast responses on RGD-modified silk fibers. J Biomed Mater Res A 67: 559-570.]絹フィブロインとECM産生細胞との間の直接的相互作用が、これらの好ましい結果の要因であると考えられる。
【0409】
本明細書に記載されるように、絹フィブロインの液体製剤(ACTIVATED SILKTM)は、線維芽細胞に影響を与える。即ち、絹フィブロインを添加すると、培養中の線維芽細胞が刺激され、コントロール線維芽細胞より20~30%超多いコラーゲンを生成する(絹フィブロインの添加濃度に依存、図2を参照)。前記した有害なフィードバックループを考慮すると、この結果は、老化及び/又は損傷した皮膚の薬用化粧品治療法の開発に非常に有望な発見である。
【0410】
スキンケア成分として、液体絹フィブロインは、ECMタンパク質の皮膚の知覚濃度を一時的に上昇させると考えられる。線維芽細胞上のインテグリンとの相互作用を介した分子シグナル伝達に加えて、絹フィブロインのタンパク質配列は、コラーゲンに存在するアミノ酸と容易且つ迅速に結合する水素が豊富なアミノ酸が主体となっている。具体的には、シルクフィブロインのβシートが豊富な構造は、可逆的な水素結合で主に構成されており、そのタンパク質配列は、非極性アミノ酸のグリシンとアラニンが主体となっている。[Marelli B et al (2012) Silk fibroin derived polypeptide-induced biomineralization of collagen. Biomaterials 33: 102-108; Schroeder WA et al (1955) The Amino Acid Composition of Bombyx mori Silk Fibroin and of Tussah Silk Fibroin. J Am Chem Soc 77: 3908-3913.]これらの水素が豊富なアミノ酸は、健康な皮膚、筋肉、及び骨の形成に関与するコラーゲンに存在する、密に存在する極性及び荷電アミノ酸と容易且つ迅速に結合する。[Lodish H et al. (2000) Collagen: The Fibrous Proteins of the Matrix. Molecular Cell Biology. Macmillan Publishers, New York.]コラーゲンと絹フィブロインとの結合は、ECMの完全性と安定性を更に高め得る、元来安定した相互作用である。[Saxena T et al (2014) Chapter 3 - Proteins and Poly(Amino Acids) A2 - Kumbar, Sangamesh G. In Natural and Synthetic Biomedical Polymers, Laurencin CT, Deng M (eds), pp 43-65. Oxford: Elsevier.]インテグリンの絹フィブロインとの関与、及びECMの安定化によって刺激される、その後の正のフィードバック生物学的ループは、コラーゲン産生を促進し、より健康的で若々しい皮膚をもたらす(図1)。ACTIVATED SILKTMフィブロインは、ヒトの皮膚を引き締め、しっかりとしたものにすることが臨床的に証明されている。
【0411】
ACTIVATED SILKTMは、絹フィブロインタンパク質の液体製剤である。絹フィブロインタンパク質を精製及び可溶化するプロセスは、有毒な化学物質を含まず、純粋な絹の繭、毒性のない塩、及び水のみを必要とする。これは、絹の調製に従来使用されていた過酷な加水分解法を、使用される塩と生分解性ACTIVATED SILKTMがいずれも水路に流入しても安全であるため、廃水管理を必要としないグリーンケミストリー法に置き換えたものである。即ち、ACTIVATED SILKTMは、ヒトの皮膚に接触する、合成された毒性を有し得る成分を、毒性がなく、再生可能で、生成に必要なエネルギーが少なく、廃棄物の発生が少ない成分に置き換える。ACTIVATED SILKTMは、生体適合性でもあり、即ち、敏感肌の対象でも、あらゆるタイプの皮膚に対しても安全である。事実、様々な形態の絹が、創傷被覆材及びグラフトの足場として使用されており、創傷治癒を改善することが見出されている。[Altman GH et al (2003) Silk-based biomaterials. Biomaterials 24:401-416. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4573254/; Thurber AE, Omenetto FG, Kaplan DL (2015) In vivo bioresponses to silk proteins. Biomaterials 71:145-157. www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4573254/pdf/nihms717107.pdf.]
【0412】
米国環境保護庁(EPA)によれば、グリーンケミストリーは、ソース削減のための化学の使用、即ち、化学試薬、溶媒、及び製品の危険性を最小限にする又は排除することにより、そのソースでの汚染を削減する。これは、かかる有害物質の使用又は生成を削減又は排除する化学製品及びプロセスの設計によって達成される。グリーンケミストリーの原則は、製造、使用、及び廃棄を含む、化学製品のライフサイクル全体に適用される。
【0413】
液体の絹のフィブロイン単位は、様々な二次構造で堅牢な生体材料に自己組織化する能力を有し、即ち、通常、生物及び環境に悪影響を与える溶媒、可塑剤、又は触媒を必要とすることなしに、絹を、より高次のポリマーに重合することができる。更に、タンパク質の疎水性と結晶化の傾向は、温度と湿度の変化に対する復元性を与え、ゲル及びフィルムなどの構造の形成を促進する機会を提供する。[Li AB et al (2015) Silk-based stabilization of biomacromolecules. J Control Release 219: 416-430. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4656123/.]pHの変動が効能を大幅に阻害し得る薬物及び生体分子と異なり、絹フィブロインの水素が豊富なアミノ酸構造は、pH変化によって悪影響を受けない。[Schroeder WA et al (1955) The Amino Acid Composition of Bombyx mori Silk Fibroin and of Tussah Silk Fibroin. J Am Chem Soc 77: 3908-3913.]低pHは、コラーゲンの機械的構造の「捻じれを戻す」ことができると仮定されている[Coffey JW et al (1976) Digestion of native collagen, denatured collagen, and collagen fragments by extracts of rat liver lysosomes. J Biol Chem 251: 5280-5282; Fine NA et al (2015) SERI surgical scaffold, prospective clinical trial of a silk-derived biological scaffold in two-stage breast reconstruction: 1-year data. Plastic Reconst Surg 135: 339-351](皮膚の密な角質層に位置する機械的構造など)。その結果、表皮及び真皮内への輸送を高めるプロトン化戦略は、ACTIVATED SILKTMの機能性を妨げない。臨床スキンケア試験は、この仮説を支持しており、低pHの薬用美容液を塗布して、ACTIVATED SILKTMでアイトリートメントを行った後、僅か7日間で小皺や皺が減少する。
【0414】
ACTIVATED SILKTMは、ハイドラント、乳化剤、エクスフォリアント、クレンザー、ゲル/フィラー、ビタミンCなどの生物活性物質又は(フタレートを含まない)香料、更には静菌剤のための担体としての役割を果たすことができる。したがって、ACTIVATED SILKTMは、スキンケアにおいて非常に効果的な有効成分である。
【0415】
実施例2:コラーゲン産生に対する活性化絹の効果:研究の説明
研究目的:治療後24時間での、線維芽細胞培養物のコラーゲン濃度に対する試験物質(ACTIVATED SILKTM)の効果の評価。初代ヒト線維芽細胞(継代5)を、24ウェル培養プレートに50000細胞/cmで播種し、一晩インキュベートした(37℃,5%CO)。培地を廃棄し、500μlの様々な濃度の試験品又は参照物質で置き換えた。プレートを24時間インキュベートした(37℃,5%CO)。培養培地を除去し、細胞をリンスし、回収した。細胞内及び細胞外コラーゲンを、シリウスレッド色素(ネイティブコラーゲンの三重らせん(Gly-X-Y)n構造に対して特異的な親和性を示す)で定量化した。色素-コラーゲン複合体の吸光度は、540nmで分光光度的に測定した。超音波処理後、ブラッドフォード法を使用して総タンパク質を評価した。
【0416】
試験系:細胞-現行の作業指示書にしたがって調製された初代ヒト線維芽細胞;試験前に、細胞を、培地DMDM 4.5g/lのグルコース、2mMのL-グルタミン又は安定化グルタミン、10%熱不活化胎児子牛血清(FCS)、50UI/mlのペニシリン、50μg/mlのストレプトマイシンで培養する。試験中、FCSを、参照物質と試験物質の両方の希釈のために、1%に低下させる。細胞は、マイコプラズマが除去されている。マイコプラズマの評価は、現行の作業指示書にしたがって行った。
【0417】
参照物質:ネガティブコントロール:1%熱不活化FCS培養培地;ポジティブコントロール:1%FCS培養培地中のトランスフォーミング増殖因子β1(TGFβ)20ng/ml。
【0418】
材料及び試薬
材料:細胞培養用の24ウェルプレート;吸光度を読み取るための96ウェルプレート;セルスクレーパー;超音波プローブ;MULTISKAN EXプレートリーダー(サーモライフサイエンス)-読み取り範囲:吸光度0~3.5単位-線形範囲:吸光度0~2.000単位;細胞培養実験室で使用される従来の材料。
【0419】
試薬:培養培地:DMEM 4.5g/lグルコース、2mM Lのグルタミン又は安定化グルタミン、10%熱不活化FCS、50IU/mlのペニシリン、50μg/mlのストレプトマイシン)(5℃±3℃で保存);ダルベッコPBS Ca2+及びMg2+フリー(室温20℃±5℃で保存);ダイレクトレッド80 CAS2610-10-8(室温20℃±5℃で保存);プロテアーゼ阻害剤カクテル(5℃±3℃で保存);ブラッドフォード試薬(5℃±3℃で保存);BSA溶液(ウシアルブミン血清)(5℃±3℃で保存);HCl(室温20℃±5℃で保存);NaOH(室温20℃±5℃で保存);TGFβ1(-20℃±5℃で保存);3mg/mlコラーゲン溶液(5℃±3℃で保存)。
【0420】
手続の定義:8種の濃度の試験物質を試験した。コラーゲンの評価は、細胞毒性のない4種の最高濃度で行った。各試験物質又は参照物質の状態は、少なくとも3つの培養ウェルで試験される。
【0421】
試験プロトコル
細胞播種:細胞を24ウェル培養プレートに50000細胞/cmで播種し、一晩インキュベートした(37℃、5%CO)。
【0422】
細胞と試験物質との接触:試験物質と参照物質の希釈は、1%FCS培地で行った。培地を廃棄し、500μlの様々な濃度の試験物質又は参照物質で置き換えた。ネガティブコントロールのウェルは、1%FCS培養培地で満たした。プレートを、48時間±1時間(37℃,5%CO)インキュベートした。
【0423】
コラーゲン合成と細胞密度の評価:各ウェルから培養培地を除去し、細胞層を500μlの2×濃縮プロテアーゼ阻害剤カクテルでリンスした。全ての培地+阻害剤を、同一チューブ内にプールした。
【0424】
500μlの1×濃縮プロテアーゼ阻害剤カクテル中でスクレーピングすることにより細胞層を回収し、ウェルを500μlの1×カクテルで再度リンスした。細胞外マトリックスを構成する2つのボリュームを、同一チューブ内にプールし、超音波プローブで40秒間処理した。
【0425】
細胞内及び細胞外コラーゲンは、ネイティブコラーゲンの三重らせん(Gly-X-Y)n構造に対して特異的な親和性を示すシリウスレッド色素(ダイレクトレッド80)で定量した。複合色素コラーゲンの吸光度は、分光光度計を使用して540nmで測定する。較正範囲は、コラーゲン0~10μgで確立する。
【0426】
総タンパク質量は、ブラッドフォード法(Bradford et al Anal Biochem 1976;72:248-54)を使用して評価し、較正範囲は、BSAのPBS溶液0~400μg/mlに設定した。30μlの各サンプル(試験物質、参照物質、標準の希釈物)を、96ウェルプレート中で、280μlのブラッドフォード試薬と混合した。プレートは、遮光下、室温にて約15分間インキュベートする。吸光度は、ブランクとしてのブラッドフォード試薬に対して620nmで測定した。
【0427】
絹フィブロインを添加すると、培養物中の線維芽細胞が刺激され、添加された絹フィブロインの濃度に応じて、コントロール線維芽細胞より20~30%超多いコラーゲンを生成した。また、コラーゲン生成は、絹の組成に依存する(図2)。様々な絹濃度での細胞内コラーゲン産生は、絹の種類の関数として示される。刺激(%)は、ネガティブコントロールと比較したコラーゲン生成の増加である。絹の平均MW組成:絹A=低MW(約14kDa~約30kDaから選択される平均重量平均分子量);絹B=中MW(約39kDa~約54kDaから選択される平均重量平均分子量)。
【0428】
結果の計算と解釈
細胞密度:タンパク質濃度は、確立した検量線にしたがって計算する。吸光度=f(タンパク質量(単位:μg))。1ウェル当たりのタンパク質のμgで表される。
【0429】
コラーゲンの決定:ウェルごとのコラーゲンの量は、確立された検量線にしたがって決定する(吸光度=f(μg単位のコラーゲン量)。1ウェル当たりのコラーゲンのμgで表される。結果は、ウェル中のコラーゲン量とタンパク質量との比で表される。
【0430】
実施例3:組織断面を使用した透過分析
回収した組織を10%ホルマリン中で18~24時間インキュベートした後、ホルマリンをDPBSに交換した。組織を一連の勾配エタノール(70~95%)で脱水し、キシレンで脱水し、パラフィンに包埋した。断面を含むスライドを、標準的な手順にしたがって調製した。各組織の3つの切片を各スライド上に調製した。組織ごとに1つの未染色の脱パラフィンスライドを、蛍光透過分析用に準備した。スライドを、dHOで5~10分間再水和した。DAPIストック溶液を、dHOで1:47,000希釈し、スライドを希釈溶液中で10分間インキュベートした。スライドをdHOで3回リンスした。組織切片を、イムノマウントマウンティング溶液(Thermo cat#9990402)で覆い、カバースリップを適用した。スライドは、10×対物レンズを使用するOlympus VS100スライドスキャナーで画像化して、蛍光シグナルを視覚化した。
【0431】
組織断面を使用した透過分析
各時点で、蛍光標識された試験物質で処理したEFT-400組織を、中性緩衝ホルマリンで固定し、標準的な組織学的方法を使用して断面を含むスライドを調製した。未染色の脱パラフィンされたスライドを、(核を視覚化するために)DAPIで対比染色し、XM10蛍光カメラを備えたOlympus VS-120自動スライドスキャナーシステムを使用して画像化した。切片はいずれも、DAPI(455nm)、FITC(518nm)、及びTRITC(615nm)フィルタを使用して画像化した。蛍光標識された物質を含まないdHOコントロール組織を使用して、処理済みの組織の蛍光シグナルを評価するためのスケーリング閾値を確立した。図3A及び図3Bは、DAPIで対比染色された2×5時間の低MW絹(RITC標識)に曝露させたEFT-400組織の断面を示す。5×倍率の画像(図3A)は、組織の厚み全体を示し、10×倍率の画像(図3B)は、表皮に焦点を合わせている。図4A及び図4Bは、DAPIで対比染色された2×5時間の中MW絹(FITC標識)に曝露させたEFT-400組織の断面を示す。5×倍率の画像(図4A)は、組織の厚み全体を示し、10×倍率の画像(図4B)は、表皮に焦点を合わせている。
【0432】
この研究の結果は、EFT-400組織におけるRITC標識低MW絹試験材料の時間依存性透過の証拠を示している。対照的に、FITC標識中MW絹で処理されたEFT-400組織では、殆ど透過が観察されなかった。この研究では、組織断面の画像で行われた観察と、各時点でEFT-400組織から回収した培地で測定された蛍光シグナルの定量化との間に非常に良好な相関関係がある。
【0433】
本明細書で引用される特許、特許出願、及び公開された文献はいずれも、参照によりその全体を本明細書に援用する。本開示の方法について、その特定の実施形態に関連して記載しているが、それは、更なる変更が可能であることが理解される。更に、本願は、本開示の方法が関係する技術分野における知られた又は習慣的なプラクティスの範囲内にあるような本開示からの逸脱を含む、本開示の方法の任意の変形、使用、又は適合を包含することが意図される。
図1A
図1B
図1C
図2
図3A
図3B
図4A
図4B
図5
図6
【配列表】
2022534802000001.app
【国際調査報告】