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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-08-04
(54)【発明の名称】局所用組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/60 20060101AFI20220728BHJP
   A61K 8/891 20060101ALI20220728BHJP
   A61K 8/27 20060101ALI20220728BHJP
   A61K 8/06 20060101ALI20220728BHJP
   A61Q 17/04 20060101ALI20220728BHJP
【FI】
A61K8/60
A61K8/891
A61K8/27
A61K8/06
A61Q17/04
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021568376
(86)(22)【出願日】2020-06-05
(85)【翻訳文提出日】2022-01-14
(86)【国際出願番号】 EP2020065661
(87)【国際公開番号】W WO2020245383
(87)【国際公開日】2020-12-10
(31)【優先権主張番号】19178934.6
(32)【優先日】2019-06-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】503220392
【氏名又は名称】ディーエスエム アイピー アセッツ ビー.ブイ.
【氏名又は名称原語表記】DSM IP ASSETS B.V.
【住所又は居所原語表記】Het Overloon 1, NL-6411 TE Heerlen,Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100128381
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 義憲
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【弁理士】
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(72)【発明者】
【氏名】デラウネ, マチルド
(72)【発明者】
【氏名】ヤンセン, アン
(72)【発明者】
【氏名】ラドムスキー, カリーナ
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AB211
4C083AB212
4C083AC071
4C083AC072
4C083AC122
4C083AC172
4C083AC181
4C083AC182
4C083AC212
4C083AC302
4C083AC342
4C083AC422
4C083AD092
4C083AD161
4C083AD162
4C083AD201
4C083AD202
4C083BB46
4C083CC19
4C083DD33
4C083EE17
(57)【要約】
本発明は、異性化糖と、ポリシロキサン系UVフィルターと、極細酸化亜鉛とを含む局所用組成物、並びにポリシロキサン系UVフィルターと、極細酸化亜鉛とを含む局所用組成物の粘着性を低減するための異性化糖の使用に関する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
異性化糖と、ポリシロキサン系UVフィルターと、極細酸化亜鉛とを含む局所用組成物。
【請求項2】
前記異性化糖の量は、前記局所用組成物の総重量に基づいて、0.01~10重量%の範囲、好ましくは0.1~7.5重量%の範囲、最も好ましくは0.2~5重量%の範囲で選択される、請求項1に記載の局所用組成物。
【請求項3】
前記ポリシロキサン系UVフィルターは、ベンザルマロネート型の発色団残基を有する、請求項1又は2に記載の局所用組成物。
【請求項4】
前記ポリシロキサン系UVフィルターは、式Ia又はIb:
【化1】

(式中、
Xは、R又はAであり、
Aは、式IIa、IIb又はIIc:
【化2】

から選択され、
Rは、水素、C1~6-アルキル又はフェニルであり、
及びRは、それぞれ独立して、水素、ヒドロキシ、C1~6-アルキル又はC1~6-アルコキシであり、
は、C1~6-アルキルであり、
は、水素又はC1~6-アルキルであり、
及びRは、それぞれ独立して水素又はC1~6-アルキルであり、
rは、0~250であり、
sは、0~20であり、
r+sは、少なくとも3であり、
tは、0~10であり、
vは、0~10であり、
v+tは、少なくとも3であり、
nは、1~6であり、
但し、sが0の場合、少なくとも1つのXは、Aである)による化合物である、請求項1~3のいずれか一項に記載の局所用組成物。
【請求項5】
前記ポリシロキサン系UVフィルターは、ポリシリコーン-15である、請求項1~4のいずれか一項に記載の局所用組成物。
【請求項6】
前記ポリシロキサン系UVフィルターの量は、前記組成物の総重量に基づいて、0.1~15重量%の範囲、好ましくは0.5~10重量%の範囲、最も好ましくは1~5重量%の範囲で選択される、請求項1~5のいずれか一項に記載の局所用組成物。
【請求項7】
前記極細酸化亜鉛は、300nm未満、好ましくは200nm未満の一次粒子サイズを有する、請求項1~6のいずれか一項に記載の局所用組成物。
【請求項8】
レーザー回折により決定される、50~200nmの範囲、好ましくは75~150nmの範囲、最も好ましくは90~130nmの範囲で選択される平均粒子サイズとしての前記極細酸化亜鉛である、請求項1~6のいずれか一項に記載の局所用組成物。
【請求項9】
前記極細酸化亜鉛は、好ましくはジメチコン、メチコン又はトリエトキシカプリリルシランで、最も好ましくはトリエトキシカプリリルシランで表面コーティングされる、請求項1~8のいずれか一項に記載の局所用組成物。
【請求項10】
前記極細酸化亜鉛の量は、前記組成物の総重量に基づいて、0.1重量%~20重量%の範囲、好ましくは0.5重量%~10重量%の範囲、最も好ましくは5重量%~10重量%の範囲で選択される、請求項1~9のいずれか一項に記載の局所用組成物。
【請求項11】
前記組成物は、O/W乳化剤の存在下で水性相に分散された油性相を含む水中油型(O/W)エマルジョンの形態である、請求項1~10のいずれか一項に記載の局所用組成物。
【請求項12】
前記O/W乳化剤は、セテアレス-25、並びにセテアレス-6及びステアリルアルコール、並びにこれらの混合物からなる群から選択される、請求項11に記載の局所用組成物。
【請求項13】
日焼け止めとしての、請求項1~12のいずれか一項に記載の局所用組成物の使用。
【請求項14】
ポリシロキサン系UVフィルターと、極細酸化亜鉛とを含む局所用組成物の粘着性を低減するための異性化糖の使用。
【請求項15】
ポリシロキサン系UVフィルターと、極細酸化亜鉛とを含む局所用組成物の皮膚における粘着性及び/又は砂の付着を低減するための方法であって、前記組成物を皮膚に適用する前に前記局所用組成物に異性化糖を組み込む工程を含む方法。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は、異性化糖と、ポリシロキサン系UVフィルターと、極細酸化亜鉛とを含む局所用組成物、並びにポリシロキサン系UVフィルターと、極細酸化亜鉛とを含む局所用組成物の粘着性を低減するための異性化糖の使用に関する。
【0002】
太陽光の紫外線(UV)が肌に損傷の影響を与えることはよく知られている。よく知られている急性の損傷(日焼け)に加えて、皮膚がんを発症する危険性の増加などの長期的な損傷もある。更に、紫外線への曝露は、私たちの顔のしわ及びシミのほとんどの原因である。従って、紫外線の有害な影響から皮膚を保護するために、局所用日焼け止め製剤に組み込むことができる一連の光防護UVフィルター物質が開発されてきた。
【0003】
現代の日焼け止めは、紫外線の有害な影響から肌を効果的且つ安全に保護する必要がある。従って、日焼け止めは、一般に、様々なUV-B(波長:280~320nm)及びUV-A(波長:320~400nm)フィルターを含む。しかしながら、これらのフィルターは、日焼け止めを粘着性にすることが多く、これは、特にビーチでの使用では、クリームが塗布された皮膚の部分に砂が付着してしまうことを意味する。製剤のUVフィルター含有量が多いほど、この問題は大きくなる。粘着性の問題に対処するために、消費者は、日焼け止めの使用量を減らす傾向があるが、これは不十分な保護につながる。
【0004】
粘着性が低減した日焼け止め組成物を開発する試みが不足しているというわけではないが、この問題は、まだ最終的な満足を得るまでには解決されていない。
【0005】
従って、粘着性が低減した新規の日焼け止め配合物を開発することが継続的に必要とされている。
【0006】
驚くべきことに、ポリシロキサン系UVフィルターと、極細酸化亜鉛とを含む日焼け止め組成物への異性化糖の添加が、粘着性の著しい低減をもたらすことが今や見出された。
【0007】
従って、第1の態様では、本発明は、異性化糖と、ポリシロキサン系UVフィルターと、極細酸化亜鉛とを含む局所用組成物に関する。
【0008】
本明細書で使用される「局所用」という用語は、特に皮膚、頭皮、まつげ、眉毛、爪、粘膜及び毛髪、好ましくはヒトの皮膚であるケラチン物質への外用を意味するとここでは理解される。
【0009】
異性化糖(CAS 100843-69-4)は、短期及び長期の保湿に使用される皮膚への独自の結合メカニズムを備えたよく知られた化粧用薬剤である。異性化糖は、例えば、DSM Nutritional Products LtdのPENTAVITIN(登録商標)又はLipotecのHyanifyの商標で市販されている。本発明の全ての実施形態では最も好ましい異性化糖は、活性成分として、実質的にグルコース、フルクトースマンノース及びガラクトースからなる異性化糖を含むPENTAVITIN(登録商標)である。
【0010】
本発明による局所用組成物中の異性化糖の量は、局所用組成物の総重量に基づいて、好ましくは0.01~10重量%の範囲、より好ましくは0.1~7.5重量%の範囲、最も好ましくは0.2~5重量%の範囲である。更に適切な範囲は、0.25~2.5重量%及び0.5~2重量%である。
【0011】
更なる実施形態によれば、局所用組成物中のポリシロキサン系UVフィルターは、ベンザルマロネート型の発色団残基を有する。
【0012】
更なる実施形態によれば、局所用組成物中のポリシロキサン系UVフィルターは、式Ia又はIbによる化合物である:
【化1】

(式中、
Xは、R又はAであり、
Aは、式IIa、IIb又はIIc:
【化2】

から選択され、
Rは、水素、C1~6-アルキル又はフェニルであり、
及びRは、それぞれ独立して、水素、ヒドロキシ、C1~6-アルキル又はC1~6-アルコキシであり、
は、C1~6-アルキルであり、
は、水素又はC1~6-アルキルであり、
及びRは、それぞれ独立して水素又はC1~6-アルキルであり、
rは、0~250であり、
sは、0~20であり、
r+sは、少なくとも3であり、
tは、0~10であり、
vは、0~10であり、
v+tは、少なくとも3であり、
nは、1~6であり、
但し、sが0の場合、少なくとも1つのXは、Aである)。
【0013】
「C1~6-アルキル」という用語は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、セク、ブチル、イソブチル、ペンチル及びネオペンチルなどの基を指す。「C1~6-アルコキシ」という用語は、対応するアルコキシ基を指す。
【0014】
本発明の全ての実施形態では、Rは、好ましくはメチルである。
【0015】
残基R及びRは、好ましくは、水素、メトキシ又はエトキシ、より好ましくは水素であり、或いはR及びRの1つは、水素であり、もう1つは、メチル、メトキシ、又はエトキシである。
【0016】
残基Rは、好ましくはメチル又はエチル、より好ましくはエチルである。
【0017】
好ましくは、Rは、水素又はメチルであり、R及びRは、水素であり、nは、1である。
【0018】
一般式IIa及びIIbの基Aを有するポリシロキサン化合物及びそれらの製剤は、欧州特許出願公開第A0538431号明細書に記載されている。これらのポリシロキサン化合物が、最も好ましい。
【0019】
一般式IIcの基Aを有するポリシロキサン化合物及びそれらの製剤は、欧州特許出願公開第A0358584号明細書に記載されている。
【0020】
式Iaによる直鎖ポリシロキサン化合物において、残基Aを有する発色団は、ポリシロキサン(X=A)の末端基に結合され得る、又はポリマーに渡り統計的に分布し得る。
【0021】
残基Aを有する発色団が統計的に分布している直鎖ポリシロキサン化合物が好ましい。前述の好ましいポリシロキサン化合物は、発色団残基(s=1)を有する少なくとも1つの単位を有し、好ましくは、sは、約2~約10の値を有し、より好ましくは、約4の統計的平均を有する。ポリシロキサン化合物に存在する他のシリコーン単位のrの数は、好ましくは約5~約150、より好ましくは約60の統計的平均である。
【0022】
全シロキサン単位の20%以下、好ましくは10%未満が発色団残基を有する単位であるポリシロキサン化合物が、化粧品特性に関して好ましい。
【0023】
式IIaの発色団残基Aを有するポリシロキサン単位の、式IIbの発色団残基Aを有するものとの比は、重要ではない。前述の比は、約1:1~約19:1、好ましくは約2:1~約9:1、より好ましくは約4:1であり得る。
【0024】
Aが式IIa又はIIbの存在であるポリシロキサン化合物Ia又はIbは、以下の反応スキームによる対応するベンザルマロネートをシリル化することにより、欧州特許第B0538431号明細書に記載されるように調製することができる:
【化3】

(式中、R、R及びRは、上記で定義された通りである)。
【0025】
4-(2-プロピニルオキシ)フェニルメチレンジエチルエステルのシリル化は、脂肪族不飽和を含む基にケイ素結合水素原子を付加するための公知の手順を使用して実施することができる。このような反応は、一般に、白金族金属又はこのような金属の錯体によって触媒される。使用できる触媒の例は、炭素担持白金、クロロ白金酸、白金アセチルアセトネート、白金化合物と不飽和化合物との錯体、例えば、オレフィン及びジビニルジシロキサン、ロジウム及びパラジウム化合物の錯体、並びに無機基板に担持された白金化合物の錯体である。付加反応は、減圧、大気圧、又は増圧で実施することができる。例えば、溶媒の存在は必須ではないが、反応混合物中のトルエン又はキシレンなどの、溶媒を使用することができる。例えばまた、約50℃~約150℃などの、高い反応温度で反応を実施することが好ましい。
【0026】
特に好ましいのは、一般式Iaの化合物であり、式中、
Xは、メチルを意味し、
Aは、式IIa又はIIbの基を意味し、
Rは、メチルを意味し、
及びRは、水素、メトキシ又はエトキシを意味し、或いは1つ又はR及びRは、水素であり、もう1つは、メチル、メトキシ、又はエトキシであり、
は、メチル又はエチルを意味し、
は、水素又はメチルを意味し、
及びRは、水素を意味し、
rは、約5~150であり、
sは、約2~約10であり、
nは、1の値を有する。
【0027】
最も好ましいのは、一般式Iaの直鎖ポリシロキサンであり、式中、
Xは、メチルを意味し、
Aは、式IIa又はIIbの基を意味し、
Rは、メチルを意味し、
及びRは、水素を意味し、
は、エチルを意味し、
は、水素を意味し、
及びRは、水素を意味し、
rは、約60の統計平均であり、
sは、約4の統計平均であり、
nは、1の値を有する。
【0028】
本発明の全ての実施形態におけるこれらの最も好ましいポリシロキサン系UVフィルターは、ポリシリコーン-15(INCI)であり、DSM Nutritional Products Ltd.で商標名PARSOL(登録商標)SLXとして市販されている。
【0029】
本発明による組成物中のポリシロキサン系UVフィルターの量、特にポリシリコーン-15の量は、組成物の総重量に基づいて、好ましくは0.1~15重量%の範囲、例えば、0.5~10重量%の範囲、例えば、最も好ましくは、1~5重量%の範囲で選択される。更に適切な範囲は、0.2~10重量%、0.3~10重量%、又は0.4~10重量%である。
【0030】
極細酸化亜鉛という用語は、UVフィルターとしての使用に適した任意の酸化亜鉛粒子、即ち、日焼け止め組成物への組み込みに主に有用な粒子サイズを有する酸化亜鉛を指す。有利には、極細酸化亜鉛は、約300nm未満、例えば、約200nm未満、又は約150nm未満の一次粒子サイズを有する粒子からなる。最も好ましくは、本発明の全ての実施形態では、本発明による極細酸化亜鉛の平均粒子サイズは、50~200nmの範囲、好ましくは75~150nmの範囲、最も好ましくは90~130nmの範囲で選択される。
【0031】
本明細書で使用される「平均粒子サイズ」という用語は、例えば、Horiba粒度分布アナライザーLA-960又はMalvern Mastersizer2000(ISO 13320:2009)を用いた、レーザー回折によって決定される、平均数系粒子サイズ分布Dn50(Dn0.5としても知られる)を指す。
【0032】
本発明によれば、酸化亜鉛粒子が表面コーティングされることも有利である。表面コーティングは、本質的に公知の方法によって金属酸化物粒子に薄い親水性又は疎水性の無機又は有機層を提供することを含み得る。本発明によれば、様々な表面コーティングはまた、水を含み得る。表面処理の結果、金属酸化物には親水性、両親媒性、又は疎水性の特性が与えられる。
【0033】
本発明の目的に適した無機表面コーティングの例は、酸化アルミニウム(Al)、水酸化アルミニウムAl(OH)、酸化アルミニウム水和物(また:アルミナ、CAS番号:1333-84-2)、ヘキサメタリン酸ナトリウム(NaPO、メタリン酸ナトリウム(NaPO、二酸化ケイ素(SiO)(又:シリカ、CAS番号:7631-86-9)、及び酸化鉄(Fe)を含む。これらの無機表面コーティングは、それ自体で、組み合わせて、及び/又は有機コーティング材料と組み合わせて存在し得る。
【0034】
本発明での使用に適した有機表面コーティングの例には、植物性又は動物性ステアリン酸アルミニウム、植物性又は動物性ステアリン酸、ラウリン酸、ジメチルポリシロキサン(また:ジメチコン)、メチルポリシロキサン(メチコン)、シメチコン(約200~約350のジメチルシロキサン単位の平均鎖長を有するジメチルポリシロキサンとシリカゲルの混合物)、トリエトキシカプリリルシラン、及びオクチルトリメトキシシランが含まれる。これらの有機表面コーティングは、それ自体で、組み合わせて、及び/又は無機コーティング材料と組み合わせて存在し得る。好ましくは、本発明による酸化亜鉛は、コーティングされていない、又はジメチコン、メチコン又はトリエトキシカプリリルシランでコーティングされており、最も好ましくは、本発明による酸化亜鉛は、トリエトキシカプリリルシランで表面コーティングされている。
【0035】
更に、酸化亜鉛は、ウルツ鉱結晶構造体として存在する酸化亜鉛からなる白色粉末であることが好ましい。
【0036】
本発明による使用のための酸化亜鉛粒子及び酸化亜鉛粒子の予備分散物が入手可能であり、例えば、BASFからZ-Cote又はZ-Cote HP1(2%ジメチコンコーティング)として、TaycaからMZ-505S(5%メチコンコーティング)として、又はDSM Nutritional Products LtdからPARSOL(登録商標)ZX(2~3.5%トリエトキシカプリリルシランコーティング)として入手可能である。
【0037】
最も好ましくは、本発明による全ての実施形態では、酸化亜鉛は、ウルツ鉱結晶構造体として存在する酸化亜鉛からなる白色粉末であり、トリエトキシカプリリルシランでコーティングされ、酸化亜鉛含有量は96~98%、トリエトキシカプリリルシラン含有量は2~3.5%、平均粒子サイズは90~130nmである。
【0038】
本発明の全ての実施形態では、極細酸化亜鉛の量は、局所用組成物の総重量に基づいて、好ましくは0.1重量%~20重量%の範囲、より好ましくは0.5重量%~15重量%の範囲、最も好ましくは1重量%~10重量%の範囲、例えば、5重量%~10重量%の範囲で選択される。
【0039】
別の態様では、本発明は、日焼け止めとして使用するための本明細書に記載の実施形態による局所用組成物、又は、日焼け止めとして本明細書に記載の実施形態による局所用組成物の使用に関する。
【0040】
更に別の実施形態では、本発明は、ポリシロキサン系UVフィルターと、極細酸化亜鉛とを含む局所用組成物の粘着性を低減するための異性化糖の使用に関する。
【0041】
本発明の更なる実施形態は、ポリシロキサン系UVフィルターと、極細酸化亜鉛とを含む局所用組成物の皮膚における粘着性及び/又は砂の付着を低減するための方法に関し、前述の方法は、前述の局所用組成物を皮膚に適用し、任意選択で効果を評価する前に、異性化糖を前述の局所用組成物に組み込む工程を含む。
【0042】
本発明による局所用組成物は、局所適用を意図しているので、本発明による局所用組成物は、生理学的に許容される媒体、即ち、皮膚、粘膜、及びケラチン繊維などのケラチン物質と適合性のある媒体を含むことがよく理解される。特に、生理学的に許容される媒体は、美容的に許容される担体である。
【0043】
本明細書で使用される「美容的に許容される担体」という用語は、特にスキンケア製剤などの局所用化粧品組成物で従来使用されている全ての担体及び/又は賦形剤及び/又は希釈剤を指す。
【0044】
本発明による局所用組成物は、好ましくは、本明細書に記載の全ての定義及び選好を伴い、異性化糖、ポリシロキサン系UVフィルター、及び極細酸化亜鉛を、美容的に許容される担体と混合することによって調製される。
【0045】
担体の正確な量は、異性化糖、ポリシロキサン系UVフィルター、及び極細酸化亜鉛、並びに当業者が担体とは異なるものとして分類するであろういかなる他の任意選択の成分(例えば、他の活性成分)の実際のレベルに依存する。
【0046】
有利な実施形態では、本発明による化粧品又は医薬組成物は、局所用組成物の総重量に基づいて、50%~99%、好ましくは60%~98%、より好ましくは70%~98%、例えば特に80%~95%の担体を含む。
【0047】
特定の有利な実施形態では、担体は、更に、少なくとも40重量%、より好ましくは少なくとも50重量%、最も好ましくは少なくとも55重量%の水、例えば特に55~90重量%の水からなる。
【0048】
特に、本発明による局所用組成物は、化粧品又は医薬組成物、好ましくは化粧品(非治療)組成物である。
【0049】
一実施形態では、本発明による局所用組成物は、特にヒトの皮膚又はヒトの頭皮及び毛髪などの哺乳動物の角質組織に適用される。
【0050】
本出願で使用される「化粧品組成物」という用語は、Roempp Lexikon Chemie、10th edition 1997、Georg Thieme Verlag Stuttgart、New Yorkの「Kosmetika」という見出しの下で定義される化粧品組成物、及びA.Domsch,“Cosmetic Compositions”,Verlag fuer chemische Industrie(ed.H.Ziolkowsky),4th edition,1992に開示される化粧品組成物を指す。
【0051】
本発明による好ましい局所用組成物は、スキンケア製剤、装飾製剤、及び機能性製剤である。
【0052】
スキンケア製剤の例は、特に、光保護製剤、老化防止製剤、光老化を治療するための製剤、ボディーオイル、ボディーローション、ボディージェル、トリートメントクリーム、皮膚保護軟膏、スキンパウダー、保湿ジェル、保湿スプレー、フェイス及び/又はボディー用保湿剤、日焼け製剤(即ち、ヒトの皮膚の人工的/太陽光を使わない(sunless)日焼け及び/又は褐色化のための組成物)、例えばセルフ・タンニング(self-tanning)クリーム並びに皮膚美白製剤である。
【0053】
装飾製剤の例は、特に、口紅、アイシャドウ、マスカラ、乾燥及び湿潤したメイクアップ配合物、ルージュ及び/又は粉末である。
【0054】
機能性製剤の例は、ホルモン製剤、ビタミン製剤、植物抽出物製剤、老化防止製剤、及び/又は抗菌性(抗菌性又は抗真菌性)製剤などの活性成分を含む化粧品又は医薬組成物であるが、これらに限定されない。
【0055】
特定の実施形態では、本発明による局所用組成物は、SPF(日焼け防止係数)を有する、日焼け止めミルク、日焼け止めローション、日焼け止めクリーム、日焼け止めオイル、日焼け防止剤又はトロピカルのもの(tropical’s)又はデイケアクリームなどの光保護製剤(サンケア製品)である。特に関心が高いのは、日焼け止めクリーム、日焼け止めローション、日焼け止めミルク及び日焼け止め製剤である。
【0056】
本発明の組成物(担体を含む)は、保存剤/酸化防止剤、脂肪性物質/油、有機溶媒、シリコーン、増粘剤、軟化剤、乳化剤、消泡剤、芳香剤などの美的成分、界面活性剤、充填剤、陰イオン性、陽イオン性、非イオン性又は両性のポリマー又はこれらの混合物、噴霧剤、酸性化又は塩基性化剤、染料、着色物/着色剤、研磨剤、吸収剤、キレート剤及び/又は金属イオン封鎖剤、エッセンシャルオイル、皮膚感覚剤、収斂剤、顔料、又は通常こうした組成物に配合される任意の他の成分などの従来の補助剤及び添加剤を含み得る。
【0057】
本発明によれば、本発明による組成物はまた、化粧品又は医薬組成物において従来使用されている更なる化粧用活性成分を含み得る。例示的な活性成分には、UVフィルター、炎症の予防又は軽減のための薬剤、安定剤、保湿剤、鎮静剤、及び/又はエネルギーを供給する薬剤、並びに弾力性及び皮膚のバリアを改善する薬剤が含まれる。
【0058】
本発明の化粧品組成物での使用に適した、スキンケア業界で一般的に使用される化粧品賦形剤、希釈剤、補助剤、添加剤、並びに活性成分の例は、これらに限定されないが、例えば、the online INFO BASE(http://online.personalcarecouncil.org/jsp/Home.jsp)からアクセスできるPersonal Care Product Council(http://www.personalcarecouncil.org/)によるthe International Cosmetic Ingredient Dictionary&Handbookに記載されている。
【0059】
活性成分並びに賦形剤、希釈剤、補助剤、添加剤などの必要な量は、所望の製品形態及び用途に基づいて、当業者が容易に決定することができる。追加の成分は、適切であると考えられる通りに、油性相に、水性相に、又は別々に添加されることが可能である。
【0060】
本明細書で有用な化粧用活性成分は、場合によっては、1つ以上の利益を提供することができる、1つ以上の作用機序を介して作用することができる。
【0061】
当然ながら、当業者は、本発明による組み合わせに本質的に関連する有利な特性が、想定される1つ以上の添加によって悪影響を受けない、又は悪影響を実質的に受けないように、上記の任意選択の追加の成分、補助剤、希釈剤及び添加剤、並びに/又はそれらの量を選択するように注意する。
【0062】
本発明による局所用組成物は、溶媒中の懸濁剤又は分散剤又は脂肪物質の形態で、或いはエマルジョン又はマイクロエマルジョン(特に、水中油(O/W)型又は油中水(W/O)型、水中シリコーン(Si/W)型又はシリコーン中水(W/Si)型、PIT-エマルジョン、多重エマルジョン(例えば、油中水中油(O/W/O)型又は水中油中水(W/O/W)型)、ピッケリングエマルジョン、ヒドロゲル、アルコール性ゲル、リポゲル、単相又は多相溶液又はベシクル分散物(vesicular dispersion)の形態で、或いはマスク又はスプレーとして、ペンによっても適用できる他の通常の形態であり得る。
【0063】
本発明による局所用組成物は、有利には、O/W乳化剤の存在下で水性相に分散された油性相を含む水中油型(O/W)エマルジョンの形態にある。
このようなO/Wエマルジョンの調製は、当業者によく知られており、実施例に例示されている。
【0064】
1つの有利な実施形態では、O/W乳化剤は、リン酸エステル乳化剤である。リン酸エステル乳化剤という用語は、式(II)のリン酸エステル乳化剤を指す
【化4】

(式中、R、R及びRは、水素、1~22の炭素、好ましくは12~18の炭素のアルキルであり得る、又は、1~22の炭素、好ましくは12~18の炭素を有し、1以上、好ましくは2~25、最も好ましくは2~12モルのエチレンオキシドを有するアルコキシル化アルキルであり得、但し、
、R及びRの少なくとも1つは、前述で定義されるが、前述のアルキル又はアルコキシル化アルキル基に少なくとも6つのアルキル炭素を有するアルキル又はアルコキシル化アルキルである)。
【0065】
及びRが水素であり、Rが、10~18の炭素のアルキル基、及び10~18の炭素及び2~12モルのエチレンオキシドのアルコキシル化脂肪アルコールから選択されるモノエステルが好ましい。好ましいリン酸エステル乳化剤の中には、C8~10アルキルエチルホスフェート、C9~15アルキルホスフェート、セテアレス-2ホスフェート、セテアレス-5ホスフェート、セテス-8ホスフェート、セテス-10ホスフェート、セチルホスフェート、C6~10パレス-4ホスフェート、C12~15パレス-2ホスフェート、C12~15パレス-3ホスフェート、DEA-セテアレス-2ホスフェート、DEA-セチルホスフェート、DEA-オレス-3ホスフェート、カリウムセチルホスフェート、デセス-4ホスフェート、デセス-6ホスフェート、及びトリラウレス-4ホスフェートがある。本発明による特定のリン酸エステル乳化剤は、例えば、DSM Nutritional Products LtdKaiseraugstでAmphisol(登録商標)Kとして市販されているセチルリン酸カリウムである。
【0066】
本発明による更に適切なO/W乳化剤は、PEG-30ジポリヒドロキシステアレート、PEG-4ジラウレート、PEG-8ジオレート、PEG-40ソルビタンペロレート、PEG-7グリセリルココエート、PEG-20アーモンドグリセリド、PEG-25水素化キャスターオイル、グリセリルステアレート(及び)PEG-100ステアレート、PEG-7オリベート、PEG-8オレエート、PEG-8ラウレート、PEG-60アーモンドグリセリド、PEG-20メチルグルコースセスキステアレート、PEG-40ステアレート、PEG-100ステアレート、PEG-80ソルビタンラウレート、ステアレス-2、ステアレス-12、オレス-2、セテス-2、ラウレス-4、オレス-10、オレス10/ポリオキシル10オレイルエーテル、セテス-10、イソステアレス-20、セテアレス-20、オレス-20、ステアレス-20、ステアレス-21、セテス-20、イソセテス-20、ラウレス-23、ステアレス-100、グリセリルステアラトシトレート、グリセリルステアレート(自己乳化)、ステアリン酸、ステアリン酸の塩、ポリグリセリル-3-メチルグリコセジステアレートを含む。更に適切な乳化剤は、オレイン酸ソルビタン、セスキオレイン酸ソルビタン、イソステアリン酸ソルビタン、トリオレイン酸ソルビタン、ラウリルグルコシド、デシルグルコシド、ステアロイルグルタミン酸ナトリウム、ポリステアリン酸スクロース及び水和ポリイソブテンである。更に、1つ以上の合成ポリマーを乳化剤として使用することができる。例えば、PVPエイコセンコポリマー、アクリレート/C10~30アルキルアクリレートクロスポリマー、アクリレート/ステアレス-20メタクリレートコポリマー、PEG-22/ドデシルグリコールコポリマー、PEG-45/ドデシルグリコールコポリマー、及びこれらの混合物。本発明による局所用組成物で使用される特定の好ましい乳化剤は、ポリヒドロキシステアリン酸、任意選択で、ステアリルアルコールと混合されたセテアレス-6、セテアレス-25、並びにこれらの混合物である。
【0067】
別の特定の適切な部類のO/W乳化剤は、例えば、(INCI名)セテアリルオリベート及びOLIVEM1000の商標名で販売されているソルビタンオリベート(化学組成:オリーブオイル脂肪酸のソルビタンエステル及びセテアリルエステル)として知られているオリーブ油に由来する非イオン性自己乳化システムである。
【0068】
更に適切なのは、NoveonによるPemulen(登録商標)TR-1及びTR-2の商標名で市販されているアクリレート/C10-30アルキルアクリレートクロスポリマーなどの疎水性修飾ポリアクリル酸などの市販のポリマー乳化剤である。
【0069】
特に適切な乳化剤の別の部類は、ポリグリセリルエステル/ジエステル(即ち、脂肪酸がポリグリセリンとのエステル化によって結合されるポリマー)とも呼ばれる脂肪酸のポリグリセロールエステル又はジエステルであり、例えば、Isolan GPS[INCI名、ポリグリセリル-4ジイソステアレート/ポリヒドロキシステアレート/セバケート(即ち、イソステアリン酸、ポリヒドロキシステアリン酸、及びセバシン酸とポリグリセリン-4の混合物のジエステル)]としてEvonikで市販されているものなど、又はCognisで市販されているDehymuls PGPH(INCI、ポリグリセリル-2ジポリヒドロキシステアレート)である。
【0070】
また、Brij72(ポリオキシエチレン(2)ステアリルエーテル)又はBrij721(例えば、Crodaで入手可能であるポリオキシエチレン(21)ステアリルエーテルなどのポリエチレングリコールエーテルも適している。
【0071】
少なくとも1つのO/W又はSi/W乳化剤は、組成物の総重量に基づいて、好ましくは0.5~10重量%の量で、例えば、特に0.5~5重量%の範囲でなど、最も特に0.5~4重量%の範囲でなどで使用される。
【0072】
本発明による適切なW/O又はW/Si乳化剤は、ポリグリセリル-2-ジポリヒドロキシステアリン酸、PEG-30ジポリヒドロキシステアリン酸、セチルジメチコンコポリオール、オレイン酸/イソステアリン酸のポリグリセリル-3ジイソステアリン酸ポリグリセロールエステル、ポリグリセリル-6ヘキサリシノレート、ポリグリセリル-4-オレイン酸、ポリギルセリル-4オレイン酸/PEG-8プロピレングリコールココ酸、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸ナトリウム、ラウリン酸カリウム、リシノール酸カリウム、ココ酸ナトリウム、タロウ酸ナトリウム、カストリン酸カリウム、オレイン酸ナトリウム、及びこれらの混合物である。更に適切なW/Si乳化剤は、ラウリルポリグリセリル-3ポリジメチルシロキシエチルジメチコン及び/又はPEG-9ポリジメチルシロキシエチルジメチコン及び/又はセチルPEG/PPG-10/1ジメチコン及び/又はPEG-12ジメチコンクロスポリマー及び/又はPEG/PPG-18/18ジメチコンである。少なくとも1つのW/O乳化剤は、組成物の総重量に対して、好ましくは約0.001~10重量%の量で、より好ましくは0.2~7重量%の量で使用される。
【0073】
本発明による局所用組成物は、更に有利には、例えば、モノグリセリド及びジグリセリド及び/又は脂肪アルコールの群から選択されるなどの、少なくとも1つの共界面活性剤を含む。共界面活性剤は、一般に、組成物の総重量に基づいて、0.1~10重量%の範囲、特に0.5~7重量%の範囲など、最も特に1~5重量%の範囲などで選択される量で使用される。特定の適切な共界面活性剤は、セチルアルコール(LorolC16、Lanette16)、セテアリルアルコール(LanetteO)、ステアリルアルコール(Lanette18)、ベヘニルアルコール(Lanette22)、ステアリン酸グリセリル、ミリスチン酸グリセリル(Estol 3650)、水素化ココグリセリン(Lipocire Na10)、及びこれらの混合物などのアルキルアルコールのリストから選択される。
【0074】
本発明によるO/Wエマルジョンの形態の組成物は、例えば、O/Wエマルジョンの全ての配合物形態、例えば、血清、ミルク又はクリームの形態で提供することができ、それらは、通常の方法に従って調製される。本発明の主題である組成物は、局所適用を意図しており、特に、皮膚科学的又は化粧品の組成物を構成することができ、例えば、紫外線の悪影響(しわ防止、老化防止、保湿、日焼け止めなど)からヒトの皮膚を保護することを意図としている。
【0075】
本発明の有利な実施形態によれば、組成物は、化粧品組成物を構成し、皮膚への局所適用を意図している。
【0076】
最終的に、本発明の主題は、特に皮膚などの角質物質の美容的治療のための方法であり、上記で定義される組成物が、特に皮膚になど前述の角質物質に適用される。この方法は、特に日焼け及び/又は光老化などの紫外線の悪影響から皮膚を保護するのに特に適している。
【0077】
本発明によれば、本発明による組成物は、皮膚美白、日焼け防止、色素沈着過剰の治療、にきび、しわ、筋、萎縮及び/又は炎症を防止又は軽減するための成分、キレート剤及び/又は金属イオン封鎖剤、抗セルライト及び痩身(例えば、フィタン酸)、安定化、保湿及びエネルギー供給、セルフ・タンニング、鎮静、並びに従来から局所用組成物で使用される弾性及び皮膚のバリアを改善するための薬剤及び/又は更なるUVフィルター物質及び担体及び/又は賦形剤又は希釈剤などの更なる成分を含み得る。他に何も記載されていない場合、以下に記載される賦形剤、添加剤、希釈剤などが、本発明による局所用組成物に適している。化粧品の及び皮膚科学的補助剤及び添加剤の必要量は、所望の製品に基づいて、当業者が容易に決定することができる。追加の成分は、適切であると考えられる通りに、油性相に、水性相に、又は別々に添加されることが可能である。追加の様式は、当業者によって容易に適合させることができる。
【0078】
本明細書で有用な化粧用活性成分は、場合によっては、複数の利益を提供することができる、又は複数の作用機序を介して作用することができる。
【0079】
また、本発明の局所用化粧品組成物は、防腐剤/抗酸化剤、脂肪性物質/油、水、有機溶剤、シリコーン、増粘剤、軟化剤、乳化剤、日焼け止め剤、消泡剤、保湿剤、香料などの美的成分、界面活性剤、充填剤、金属イオン封鎖剤、陰イオン性、陽イオン性、非イオン性又は両性のポリマー又はこれらの混合物、噴霧剤、酸性化剤又は塩基性化剤、染料、着色物/着色剤、研磨剤、吸収剤、エッセンシャルオイル、皮膚感覚剤、収斂剤、消泡剤、顔料又はナノ顔料、例えば、紫外線を物理的に遮断することで光防護効果を発揮するのに適したもの、又は通常化粧品組成物に配合される任意の他の成分などの通常の化粧品補助剤及び添加剤を含み得る。本発明の組成物での使用に適した、スキンケア産業で一般的に使用されるこのような化粧品成分は、例えば、the CTFA Cosmetic Ingredient Handbook、Second Edition(1992)、The Cosmetic、Toiletry and Fragrance Association、Inc.に記載されているが、これらに限定されない。
【0080】
化粧品の及び皮膚科学的補助剤及び添加剤の必要量は、所望の製品に基づいて、当業者は、容易に選択することができ、実施例において例示されるが、これらに限定されない。
【0081】
当然ながら、当業者は、本発明による組み合わせに本質的に関連する有利な特性が、想定される1つ以上の追加によって、悪影響を受けない、又は実質的に悪影響を受けないように、上記の任意選択の追加の1つ以上の化合物及び/又はそれらの量を選択するように注意する。
【0082】
本発明の1つの有利な態様では、本発明による局所用組成物は、3-(4-メチルベンジリデン)-カンファー、2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン(INCI:オキシベンゾン)、及びエチルヘキシル2-シアノ-3,3-ジフェニルアクリレート(INCI:オクトクリレン)を含まない(即ち、有さない)。
【0083】
本発明の別の有利な態様では、本発明による局所用組成物は、ジブチルアジペート、ジカプリリルカーボネート、C12~C15アルキルベンゾエート、カプリリルカーボネート、カプリン酸/カプリルトリグリセリド、並びにこれらの混合物のうちの1つ以上を更に含む。
【0084】
本発明の更に有利な態様では、本発明の局所用組成物は、好ましくは、フェノキシエタノール、エチルヘキシルグリセリン、ヘキシルグリセリン、グリセリルカプリレート、カプリリルグリコール、1,2-ヘキサンジオール、プロパンジオール、プロピレングリコール、p-ヒドロキシアセトフェノン、及びこれらの混合物からなる群から選択される、最も好ましくは、p-ヒドロキシアセトフェノン及びヘキシルグリセリン並びにこれらの混合物の群から選択される防腐剤及び/又は防腐剤ブースター(booster)を更に含む。存在する場合、防腐剤又は防腐剤ブースターは、組成物の総重量に基づいて、好ましくは0.01~2重量%の量で、より好ましくは0.05~1.5重量%の量で、最も好ましくは0.1~1.0重量%の量で使用される。
【0085】
別の有利な態様では、本発明による局所用組成物は、任意のパラベン、塩化ベンゼトニウム、ピロクトンオラミン、ラウロイラルギナト、メチルイソチアゾリノン、クロルメチルイソチアゾリノン、ブロノポール、塩化ベンザルコニウム、ホルムアルデ放出化合物、サリチル酸、トリクロサン、DMDMヒダントイン、クロルフェネシン及びIPBC(ヨードプロピニルブチルカルバメート)を有さない。
【0086】
更に有利な態様では、本発明の局所用組成物は、1つ以上のグリセリン又はポリヒドロキシステアリン酸、並びにこれらの混合物を更に含む。
【0087】
更に有利な態様では、本発明の局所用組成物は、増粘剤、好ましくはキサンタンガム又はカエサルピナスピノサガムなどのガム、又はポリアクリレートクロスポリマー-6及びこれらの混合物などのポリアクリレートを更に含む。
【0088】
本発明による局所用組成物は、一般に、3~10の範囲のpH、好ましくは4~8の範囲のpH、最も好ましくは4~7の範囲のpHを有する。
pHは、当技術分野における標準方法に従って、適切な酸、例えばクエン酸、又は塩基、例えばNaOHによって所望の通りに容易に調整可能である。
【0089】
本発明による局所用組成物は、皮膚を落ち着かせ、柔らかくする1つ以上の皮膚軟化剤を更に含み得る。一例として、皮膚軟化剤は、ジカプリリルカーボネート又はC12~15アルキルベンゾエートであり得る。更なる皮膚軟化剤は、シリコーン(ジメチコン、シクロメチコン)、植物油(ブドウ種子、ゴマ種子、ジョジョバなど)、バター(ココアバター、シアバター)、アルコール(ステアリルアルコール、セチルアルコール)、及びワセリン誘導体(石油ゼリー、鉱油)である。
【0090】
以下の実施例は、本発明の組成物及び効果を更に例示するために提供される。これらの例は、例示に過ぎず、いかなる方法でも本発明の範囲を限定することを意図するものではない。
【0091】
[実施例]
全ての官能的評価は、当技術分野の標準方法に従って調製された、表1に示されるエマルジョンを使用して実施された。次いで、官能的特徴の決定は、以下に概説されるプロトコルに従った記述的官能評価プロセスに従って行われた。
-十分に訓練されたパネリストは、このスケールを較正するために使用された参照と比較して、0~100のスケールで粘着性パラメータを評価した。
-前腕掌側表面に塗布した。
-50マイクロリットルのそれぞれのエマルジョンを、2.5mg/cmの局所塗布に対応する20cm(半径は2.5cmである)の塗布面積のスポットに塗布した。
-塗布後、製品が皮膚に吸収されるまで、それぞれのエマルジョンをこすり込んだ。
-パラメータの粘着性は、相におけるこすり込みの直後に評価した。
-統計分析は、p値計算(ANOVA p値)を介して行った。p値が0.05未満の場合、大きな差が存在する。
【0092】
【表1】
【0093】
上記の結果から読み取れることができるように、PARSOL(登録商標)SLXと、PARSOL(登録商標)ZXとを含む組成物に異性化糖を添加することにより、粘着性の大幅な低減が達成された。
【国際調査報告】