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特表2022-534924パワートランジスタの製造方法およびパワートランジスタ
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  • 特表-パワートランジスタの製造方法およびパワートランジスタ 図1
  • 特表-パワートランジスタの製造方法およびパワートランジスタ 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-08-04
(54)【発明の名称】パワートランジスタの製造方法およびパワートランジスタ
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/336 20060101AFI20220728BHJP
   H01L 29/12 20060101ALI20220728BHJP
   H01L 29/78 20060101ALI20220728BHJP
【FI】
H01L29/78 658E
H01L29/78 652T
H01L29/78 652J
H01L29/78 653C
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021570343
(86)(22)【出願日】2020-05-26
(85)【翻訳文提出日】2022-01-26
(86)【国際出願番号】 EP2020064504
(87)【国際公開番号】W WO2020239725
(87)【国際公開日】2020-12-03
(31)【優先権主張番号】102019207761.7
(32)【優先日】2019-05-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】591245473
【氏名又は名称】ロベルト・ボッシュ・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100161908
【弁理士】
【氏名又は名称】藤木 依子
(72)【発明者】
【氏名】マルティネス-リミア,アルベルト
(72)【発明者】
【氏名】フィンク,フランツィスカ・フェリーツィタス
(72)【発明者】
【氏名】アルスマイヤー,ヤン-ヘンドリク
(72)【発明者】
【氏名】シュバイガー,シュテファン
(72)【発明者】
【氏名】ファイラー,ボルフガング
(57)【要約】
半導体基板の表側に第1のドーピング濃度をもつ第1のエピタキシャル層を施すステップ(111)と、第1のエピタキシャル層内に配置されている拡張層を生成するステップ(112)と、半導体基板の表側から様々な注入された範囲を生成するステップ(113)と、半導体基板の表側から溝構造を生成するステップ(114)と、溝構造の周辺に第1の絶縁範囲を生成するステップ(115)と、トランジスタヘッドを生成するステップ(116)と、金属層を施すステップ(117)とを有する、パワートランジスタの製造方法(100)。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
・半導体基板の表側に第1のドーピング濃度をもつ第1のエピタキシャル層を施すステップ(111)と、
・前記第1のエピタキシャル層内に配置されている拡張層を生成するステップ(112)と、
・前記半導体基板の前記表側から様々な注入された範囲を生成するステップ(113)と、
・前記半導体基板の前記表側から溝構造を生成するステップ(114)と、
・前記溝構造の周辺に第1の絶縁範囲を生成するステップ(115)と、
・トランジスタヘッドを生成するステップ(116)と、
・金属層を施すステップ(117)と
を有する、パワートランジスタの製造方法(100)。
【請求項2】
前記拡張層が、前記第1のエピタキシャル層を施している最中に、ある特定の期間、前記第1のドーピング濃度を上昇させることで生成されることを特徴とする請求項1に記載の方法(100)。
【請求項3】
前記拡張層が、ドーパントの注入によって生成されることを特徴とする請求項1または2に記載の方法(100)。
【請求項4】
前記溝構造が、二酸化ケイ素から成るハードマスクを使って生成され、すなわち前記ハードマスクが構造化に従って高くされ、かつドライエッチングによって減少することを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の方法(100)。
【請求項5】
前記第1の絶縁範囲が、溝開口部の範囲およびゲート接触部の下で、構造化されたマスクを使って拡大されることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の方法(100)。
【請求項6】
前記第1のエピタキシャル層を施す前に、前記半導体基板の前記表側に第2のエピタキシャル層が施され、したがって前記半導体基板の前記表側と前記第1のエピタキシャル層の間に前記第2のエピタキシャル層が配置されており、これに関し前記第2のエピタキシャル層が、前記半導体基板の前記表側と前記第2のエピタキシャル層との移行部から前記第2のエピタキシャル層と前記第1のエピタキシャル層との移行部へと減少していくドーパント推移を有することを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の方法(100)。
【請求項7】
表側および裏側を有する半導体基板(201)を備えたパワートランジスタセル(200)であって、前記表側が前記裏側に向かい合っており、前記表側にはエピタキシャル層(202)が配置されており、前記エピタキシャル層(202)上にはチャネル領域(203)が配置されており、かつ前記チャネル領域(203)上にはソース領域(204)が配置されており、溝(205)および電界遮蔽領域(208)が、前記半導体基板(201)の前記表側から前記エピタキシャル層(202)内まで延びており、これに関し、前記電界遮蔽領域(208)がそれぞれ前記溝(205)に対して横に離隔して配置されており、かつ前記溝(205)が、前記電界遮蔽領域(208)より小さな深さを有するパワートランジスタセル(200)において、前記溝(205)の下に、ある特定の厚さで拡張領域(212)が配置されており、この場合、前記溝(205)の周辺の特定の箇所で第1の絶縁範囲(206)が高くされており、かつ前記溝(205)が300nm~1200nmの間の溝幅、とりわけ850nm未満の溝幅を有していることを特徴とするパワートランジスタセル(200)。
【請求項8】
前記半導体基板(201)がシリコンカーバイドまたは窒化ガリウムを含んでいることを特徴とする請求項7に記載のパワートランジスタセル。
【請求項9】
請求項7または8に記載の多数のパワートランジスタセル(200)を備えたパワートランジスタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パワートランジスタの製造方法、パワートランジスタセル、およびパワートランジスタに関する。
【背景技術】
【0002】
nチャネルトレンチ型Mosfetのゲート酸化物は、深くて高濃度にドーピングされたp型領域により、遮断動作中に高い電界強度から保護される。この高濃度にドーピングされた領域は、溝より大きな深さを有する。
【0003】
この場合の欠点は、順動作中のトランジスタの伝導度が低下することである。
順動作中のトランジスタの伝導度を改善するために、溝の下の拡張層が知られている。これに関してはドーピング濃度の調整に問題がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の課題は、この欠点を克服することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
パワートランジスタを製造するための本発明による方法は、半導体基板の表側に第1のドーピング濃度をもつ第1のエピタキシャル層を施すこと、および第1のエピタキシャル層内に配置されている拡張層を生成することを含む。この方法は、半導体基板の表側から様々な注入された範囲を生成すること、半導体基板の表側から溝構造を生成すること、および溝構造の周辺に第1の絶縁範囲を生成することを含む。この方法は、トランジスタヘッドを生成すること、および金属層を施すことをさらに含む。
【0006】
この場合の利点は、順動作中のパワートランジスタの伝導度が高く、同時に高い遮断強度が保証されていることである。
一変形形態では、拡張層が、第1のエピタキシャル層を施す際に、ある特定の期間、第1のドーピング濃度を上昇させることで生成される。
【0007】
この場合に有利なのは、拡張層が簡単かつ安価に製造され得ることである。
さらなる一形態では、拡張層が、ドーパントの注入によって生成される。
この場合の利点は、拡張層のドーピング濃度が正確に調整できることである。
【0008】
一変形形態では、溝構造が、二酸化ケイ素から成るハードマスクを使って生成され、すなわちハードマスクが構造化に従って高くされ、かつドライエッチングによって減少する。
【0009】
この場合に有利なのは、非常に細長い溝が簡単かつ安価に生成でき、それによりパワートランジスタの帰還容量が低下することである。
さらなる一形態では、第1の絶縁範囲が、溝開口部の範囲およびゲート接触部の下で、構造化されたマスクを使って拡大されるかまたは高くされる。
【0010】
この場合の利点は、ゲート酸化物破壊が遅延または阻止され得ることである。
一変形形態では、第1のエピタキシャル層を施す前に、半導体基板の表側に第2のエピタキシャル層が施され、したがって半導体基板の表側と第1のエピタキシャル層の間に第2のエピタキシャル層が配置されており、これに関し第2のエピタキシャル層は、半導体基板の表側と第2のエピタキシャル層との移行部から第2のエピタキシャル層と第1のエピタキシャル層との移行部へと減少していくドーピング推移を有する。
【0011】
この場合に有利なのは、半導体基板の表側と第1のエピタキシャル層の間のドーピング濃度が緩やかに移り変わることである。
パワートランジスタセルは、表側および裏側を有する半導体基板を含んでおり、これに関し表側は裏側に向かい合っている。表側にはエピタキシャル層が配置されている。エピタキシャル層上にはチャネル領域が配置されている。チャネル領域上にはソース領域が配置されている。溝および電界遮蔽領域は、半導体基板の表側からエピタキシャル層内まで延びており、これに関し、電界遮蔽領域はそれぞれ溝に対して横に離隔して配置されている。溝は、電界遮蔽領域より小さな深さを有する。本発明によれば、溝の下に、ある特定の厚さで拡張範囲が配置されており、この場合、溝の周辺の特定の箇所で第1の絶縁範囲が拡大されているかまたは高くされており、かつ溝は300nm~1200nmの間の溝幅、とりわけ850nm未満の溝幅を有している。
【0012】
この場合の利点は、順動作中のパワートランジスタの伝導度が高く、同時に高い遮断強度が保証されていることである。これに加えて帰還容量が低い。
一変形形態では、半導体基板がシリコンカーバイドおよび窒化ガリウムを含んでいる。
【0013】
さらなる利点は、以下の例示的実施形態の説明または従属特許請求項から明らかである。
以下に、好ましい実施形態および添付の図面に基づいて本発明を解説する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】拡張領域を有するパワートランジスタの製造方法を示す図である。
図2】拡張領域を有するパワートランジスタセルを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1は、拡張領域を有するパワートランジスタの製造方法100を示している。この方法は、半導体基板の表側に第1のドーピング濃度をもつ第1のエピタキシャル層が施されるステップ111でスタートする。その際、第1のエピタキシャル層は、エピタキシーによって施される。第1のエピタキシャル層は、半導体基板と同じ半導体材料を含んでおり、これに関し第1のエピタキシャル層のドーピング濃度は半導体基板のドーピング濃度とは相違している。
【0016】
次のステップ112では、第1のエピタキシャル層内に配置されている拡張層が生成される。1つの例示的実施形態では、拡張層は、第1のエピタキシャル層を施している最中に、ある特定の期間、第1のドーピング濃度が上昇することによって生成される。言い換えれば、拡張層はエピタキシーによって生成される。その代わりにまたはそれに加えて、ドーパントとしての窒素の注入が実施される。この場合、ある特定のドーピング濃度をもつ拡張層が注入されるか、またはエピタキシャルに生成された拡張層のドーピング濃度が調整される。注入エネルギーは0MeV~5MeVを含んでおり、これに関しては複数の注入エネルギーおよび1e11atoms/cm~1e15atoms/cmの範囲内のドーズ量が使用される。
【0017】
次のステップ113では、様々な範囲が、半導体基板の表側から注入される。これに関しては、電界遮蔽構造、縁範囲、チャネル領域、およびソース領域が、標準プロセスによって生成される。電界遮蔽構造は、例えば1e13atoms/cm~1e16atoms/cmの範囲内のドーズ量および0MeV~5MeVの間の注入エネルギーでのAlドーピングによって注入され、したがって電界遮蔽構造はp型ドーピングされている。半導体チップの縁範囲も、0MeV~5MeVの間のエネルギー範囲内でのAlドーピングによって生成され、ドーピングドーズ量は電界遮蔽構造の場合より低い。ソース領域は、1e14atoms/cm~1e16atoms/cmの間のドーズ量での窒素ドーピングによって生成される。これは200keV未満の注入エネルギーで行われる。チャネル領域は、1e12atoms/cm~1e14atoms/cmの間のドーズ量でのAlドーピングによって生成される。注入エネルギーは1MeV未満である。
【0018】
注入されたドーパントを活性化するため、注入後に、半導体基板または半導体ウエハの表側に炭素含有層、例えばフォトレジストが施され、これにより、続く1600℃~2100℃の間の温度での高温ステップにおいて、半導体ウエハ表面の粗化が阻止または最小化される。
【0019】
次のステップ114では、溝構造が、半導体基板の表側から生成される。その際、例えば二酸化ケイ素から成るハードマスクを使って溝が生成され、すなわちハードマスクが構造化に従って高くされ、かつドライエッチングによって減少する。個々の溝の溝幅は300nm~1200nmの間である。この溝は500nm~2000nmの深さを有する。これに加え、溝エッジを1300℃~1600℃の間の温度によって丸めることができ、これにより、溝の傍での高い電界ピーク、したがって電流破壊が軽減される。
【0020】
次のステップ115では、溝構造の周辺に第1の絶縁範囲が生成される。その際、第1の絶縁範囲が、溝開口部の範囲およびゲート接触部の下で、構造化されたマスクを使って拡大される。このために溝表面に、層厚が30nm~400nmの間の第1の誘電体が堆積され、続いて溝が多結晶シリコン、結晶シリコン、またはアモルファスシリコンで充填される。その後、シリコンが構造化され、したがってこのシリコンがマスクとして機能する。これにより、第1の誘電体の複数の範囲が露出しており、したがって第1の絶縁範囲を厚くするためにさらなる酸化物が堆積され得る。続いてシリコンが除去され、かつゲート酸化物の第2の部分内で、堆積プロセスによりウエハ上に30nm~100nmの厚さが施される。したがってゲート酸化物は、特定の箇所、つまり溝端およびゲート接触部の下の範囲では20nm~350nmの間の層厚を有する。活性範囲では、ゲート酸化物の厚さは、第2の部分内に堆積された酸化物の厚さに相当する。言い換えれば、ゲート誘電体は、パワートランジスタの動作中に高い電界強度に曝される特定の箇所で厚くされ、これによりパワートランジスタの酸化物破壊が阻止または遅延され得る。続いて半導体ウエハは、N、NO、またはNO雰囲気中で、1150℃~1400℃の温度範囲で加熱される。これにより、ゲート誘電体と半導体基板の間の界面が変化する。それによりチャネル内の電気移動度が改善される。
【0021】
次のステップ116では、トランジスタヘッドが標準プロセスによって生成される。その際、例えば多結晶で高濃度にドーピングされたシリコンから成るゲート電極が堆積され、かつマスクを使って構造化される。例えばホウ素またはリンがドーピングされたまたはされていないSiOを有する第2の絶縁層が堆積される。続いて、適切なマスクを使ってコンタクトが開口およびエッチングされる。
【0022】
次のステップ117では、最初に半導体ウエハの表側に金属層が施される。この金属層は、例えばTi/TiN/AlCu、Ti/TiW/AlCu、またはTi/AlCuから成る金属積層を含んでいる。層厚は、Tiに関しては20nm~200nm、TiNまたはTiWに関しては0nm~150nm、AlCuに関しては3μm~5μmである。AlCuの銅成分は最大1%であり得る。AlCuの代わりにAlSiCuを使用することができ、この場合、シリコン成分は最大5%である。続いて半導体基板の表側に、窒化ケイ素層または酸窒化ケイ素層およびポリイミド層が施され、これらが電気接触のために開口される。
【0023】
任意選択で、Ni/Pd/Auの無電解堆積部が、ゲート端子上のオーバーパッドメタライゼーションとして作製され得る。このNi/Pd/Auの無電解堆積部は、Auが、半導体ウエハのさらなる加工において焼結され得るという利点を有する。層厚は、Niに関しては例えば500nm~3000nm、Pdに関しては最大500nm、Auに関しては10nm~100nmである。
【0024】
続いて、半導体基板のうち表側に向かい合っている裏側にさらなる金属層がスパッタリングプロセスによって堆積される。場合によっては、予め半導体基板の層厚が100μm~200μmの間の厚さに、例えば研削によって減らされる。この場合の金属層はTi/Ni/AuまたはTi/Ni/Agを含んでおり、これに関しニッケルは微量のバナジウムを有し得る。
【0025】
方法100は任意選択で、半導体基板の表側に第2のエピタキシャル層が施されるステップ110でスタートする。その後、方法100はステップ111で続行される。
半導体基板の表側でのオーミック接触は、ステップ116と117の間で、高温プロセスにより、前もってパワートランジスタの上面に堆積されたNiまたは堆積された不純物を含むNiがケイ化されることによって生成される。残っているNi、つまりケイ化されていないNi成分は、湿式化学的に除去される。続いてさらなる温度ステップが行われる。同時に、半導体基板の表側に向かい合っている半導体基板の裏側でオーミック接触が生成され得る。
【0026】
図2は、表側および裏側を有する半導体基板201を備えたパワートランジスタセル200を示しており、これに関し表側は裏側に向かい合っている。トランジスタセル200は、広さW、いわゆるピッチを有する。半導体基板201の表側にはエピタキシャル層202が配置されている。エピタキシャル層202上にはチャネル領域203またはボディ領域が配置されている。チャネル領域203上にはソース領域204が配置されている。溝205および電界遮蔽領域208は、半導体基板201の表側からエピタキシャル層202内まで延びている。溝205は、300nm~1200nmの溝幅および500nm~1500nmの深さを有する。電界遮蔽領域208は、溝205より大きな深さを有する。言い換えれば、電界遮蔽領域208はエピタキシャル層202内に溝205より深く達している。電界遮蔽領域208は、溝205に対して横の間隔を有している。これは、電界遮蔽領域208がある特定の間隔をあけて溝の横に配置されていることを意味する。溝205の下に、ある特定の厚さで拡張領域212が配置されている。この特定の厚さは100nm~200nmの間である。拡張領域212は、エピタキシャルに堆積させることができ、注入することができ、またはエピタキシャルに堆積させて、それに続く注入ステップで拡張領域212のドーピング濃度を正確に調整することができる。したがって拡張領域212は電界遮蔽領域208の間に配置されており、これに関し電界遮蔽領域208は、拡張領域212を覆っているかまたは拡張領域212に部分的に重なっている。電界遮蔽領域208は、拡張領域212より明らかに高濃度にドーピングされており、したがって電界遮蔽領域208が拡張領域212を相殺する。拡張領域212は、半導体基板201の表側から0.5μm~3μmの間の深さに配置されている。拡張領域212は溝205に対し、主要延び方向yに沿ってある特定の間隔を有する。代替策として、拡張領域212は溝205に触れており、したがって溝205に対する間隔を有さない。拡張領域212は、エピタキシャル層202と同じ電荷キャリアタイプを有しており、これに関し拡張領域のドーピング濃度はエピタキシャル層202のドーピング濃度より高い。ドーピングは両方の場合に窒素で行われ、これに関し拡張領域212のドーピング濃度は1e15 1/cm^3~1e18 1/cm^3の間であり、エピタキシャル層のドーピング濃度は1e15atoms/cm~1e17atoms/cmの間である。
【0027】
溝205の溝表面には、第1の絶縁層または第1の絶縁範囲206が配置されている。第1の絶縁範囲206はゲート酸化物として機能し、かつ溝の周辺の特定の箇所で拡大されているかまたは高くされており、つまり第1の絶縁範囲は所々で高い層厚を有する。この特定の箇所は、溝端、つまり溝開口部の周りの範囲およびゲートパッドの下の範囲である。溝206は、例えばポリシリコンで充填されており、このポリシリコンがゲート電極207として機能する。溝205の上には第2の絶縁範囲209が配置されている。半導体基板201の表側には金属層210が配置されている。金属層210は、表側メタライゼーションとして機能し、ソース端子である。金属層210は、例えばTi/TiN/AlCu、Ti/TiW/AlCu、またはTi/AlCuから成る金属積層を含んでいる。層厚は、Tiに関しては20nm~200nm、TiNまたはTiWに関しては0nm~150nm、AlCuに関しては3μm~5μmである。AlCuの銅成分は最大1%であり得る。半導体基板201の裏側にはさらなる金属層211が配置されている。さらなる金属層211は、裏側メタライゼーションとして機能し、ドレイン端子である。さらなる金属層211は、例えばTi/Ni/AuまたはTi/Ni/Agを含んでいる。
【0028】
半導体基板201、エピタキシャル層202、チャネル領域203、および拡張領域212がn型ドーピングされている。ソース領域204および電界遮蔽領域208はp型ドーピングされている。
【0029】
代替策として、半導体基板201、エピタキシャル層202、チャネル領域203、および注入された拡張領域212がp型ドーピングされている。ソース領域204および電界遮蔽領域208はn型ドーピングされている。
【0030】
半導体基板201は、シリコン、シリコンカーバイド、とりわけ1e18atoms/cm超で窒素ドーピングされた4H SiC、または窒化ガリウムを含んでいる。
パワートランジスタは、多数のパワートランジスタセル200を含んでいる。これに関しパワートランジスタセル200は、第1の主要延び方向yに垂直に配置された第2の主要延び方向xに沿って並べられる。このパワートランジスタは、溝のごく近辺でのドーピングされた領域の特殊な形成、溝のセンシティブな区域での比較的大きな層厚、および特に細長い溝を有する。このようなトランジスタは、例えばMosfetである。
【0031】
このパワートランジスタは、パワーエレクトロニクス部品、例えば電気車両またはハイブリッド車両用のインバータ、光起電力設備および風力設備用のインバータ内で、ならびにトラクションドライブおよび高電圧整流器内で適用される。
図1
図2
【国際調査報告】