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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-08-04
(54)【発明の名称】触媒系の改善された調製
(51)【国際特許分類】
   C08F 4/6592 20060101AFI20220728BHJP
   C08F 10/00 20060101ALI20220728BHJP
【FI】
C08F4/6592
C08F10/00 510
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021570535
(86)(22)【出願日】2020-05-20
(85)【翻訳文提出日】2022-01-25
(86)【国際出願番号】 EP2020064183
(87)【国際公開番号】W WO2020239598
(87)【国際公開日】2020-12-03
(31)【優先権主張番号】19177308.4
(32)【優先日】2019-05-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(31)【優先権主張番号】19177307.6
(32)【優先日】2019-05-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】511114678
【氏名又は名称】ボレアリス エージー
(74)【代理人】
【識別番号】100085545
【弁理士】
【氏名又は名称】松井 光夫
(74)【代理人】
【識別番号】100118599
【弁理士】
【氏名又は名称】村上 博司
(72)【発明者】
【氏名】レスコーニ,ルイジ マリア クリストフォロ
(72)【発明者】
【氏名】レニチェンコ,アレクサンドル
(72)【発明者】
【氏名】ヴィルックネン,ヴィレ
【テーマコード(参考)】
4J128
【Fターム(参考)】
4J128AA01
4J128AC00
4J128AC01
4J128AC10
4J128AC20
4J128AC28
4J128AC49
4J128AD02
4J128AD06
4J128AD07
4J128AD08
4J128AD11
4J128AD13
4J128BA03A
4J128BB02A
4J128BC12A
4J128BC13A
4J128BC15A
4J128BC25A
4J128CA24A
4J128CA27A
4J128CA28A
4J128EA02
4J128EB04
4J128EC01
4J128ED02
4J128ED08
4J128EF06
4J128FA01
4J128FA09
4J128GA01
4J128GA05
4J128GA06
4J128GA19
4J128GB01
(57)【要約】
ホウ素含有助触媒及びアルミノキサン助触媒を組み合わせた特定のクラスのメタロセン錯体を含む、担持された触媒系の為の改善された調製方法、並びに新規な、改善された触媒系の使用に関する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
担持された触媒系を調製する方法であって、前記触媒系が、
(i)メタロセン錯体;
(ii)ホウ素含有助触媒とアルミノキサン助触媒とを含む助触媒系;及び
(iii)多孔質無機支持体
を含み、
前記方法が、
a)多孔質無機支持体をアルミノキサン助触媒と、炭化水素溶媒中で処置すること、引き続き、該アルミノキサン処置された支持体の熱処理をしてもよい;
b)メタロセン錯体を、ホウ素含有助触媒と及び任意的にアルミノキサン助触媒と、炭化水素溶媒中で一緒にすること;
c)工程b)の溶液を工程a)の前記処置された該支持体上に付与すること;
の工程を含み、
ここで、工程a)において添加されたアルミノキサン助触媒の量が、アルミノキサン助触媒の総量の75.0~100.0重量%であり、及び工程b)において添加されたアルミノキサン助触媒の量が、アルミノキサン助触媒の総量の0.0~25.0重量%である、
前記方法。
【請求項2】
前記メタロセン錯体が、下記の式(I)~(III)のものである
【化1】
各Xは独立して、シグマドナーリガンドであり;
Mは、Ti、Zr、Hf、Y、Sc、La又は、ランタニドからの元素、好ましくはTi、Zr又はHf、であり;
各Cpは独立して、置換されていない若しくは置換されたシクロペンタジエニルを含有するリガンド、又は置換されていない若しくは置換された縮合シクロペンタジエニルを含有するリガンドであり;
Qは、-O又は-NW又は-PWであり;
Wは、有機基又はHであり;
Lは、炭素、ケイ素又はゲルマニウムに基づく架橋であり、該架橋において、1~4個の骨格原子が複数の該リガンドを結合する;及び
rは、金属の酸化状態が満たされるような整数である、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記メタロセン錯体が、下記の式(VI)のものである
【化2】
各Xは独立して、シグマドナーリガンドであり;
Mは、4族の金属、例えばZr又はHf、であり;
Lは、炭素、ケイ素又はゲルマニウムに基づく架橋であり、該架橋において、1~4個の骨格原子が複数の該リガンドを結合する;及び
各Indは、置換された若しくは置換されていないインデニル、又は置換された若しくは置換されていない縮合インデニル、例えば置換された若しくは置換されていないインダセニルリガンド、又は置換された若しくは置換されていないフルオレニルリガンド、である、
請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記メタロセン錯体が、下記の式(IV)のものである
【化3】
ここで、
各Xは独立して、シグマドナーリガンドであり;
Mは、Zr又はHfであり;
Lは、炭素、ケイ素又はゲルマニウムに基づく二価架橋であり、該二価架橋において、1つ又は2つの骨格原子が複数の該リガンドを結合する;
各Arは、3~20個の炭素原子を有する、アリール又はヘテロアリール基、例えばフェニル環又は5或いは6員環のヘテロアリール環、であり;
各R1は独立して、同じであってもよく又は異なっていてもよく、且つ水素原子、直鎖状若しくは分岐状のC1~C6-アルキル基、C7~20-アリールアルキル基、C7~20-アルキルアリール基若しくはC6~20-アリール基又はOY基であり、ここで、Yは、C1~10-ヒドロカルビル基であり、及び2つの隣接するR1基が、それらが結合しているフェニル炭素を含む環の一部であってもよい;
各R2は独立して、同じであってもよく又は異なっていてもよく、且つCHR8’-R8基であり、ここで、R8は、H又は、直鎖状若しくは分岐状のC1~6-アルキル基、C3~8-シクロアルキル基、C6~10-アリール基若しくは、1~3個のR11基によって置換されていてもよい3~20個の炭素原子を有するヘテロアリール基であり、及びR8’はH又はC1~6アルキルである;
R3は、直鎖状若しくは分岐状のC1~C6-アルキル基、C7~20-アリールアルキル基、C7~20-アルキルアリール基若しくはC6~C20-アリール基であり;
R4はC(R9)3基であり、ここで、R9は、直鎖状若しくは分岐状のC1~C6-アルキル基である;
R5は、水素原子又は、元素の周期表の14~16族からの1以上のヘテロ原子を含んでいてもよい脂肪族C1~C20-ヒドロカルビル基であり;
R6は、水素原子又は、元素の周期表の14~16族からの1以上のヘテロ原子を含んでいてもよい脂肪族C1~C20-ヒドロカルビル基であり;又は
R5及びR6は、一緒になって、n個のR10によって置換されていてもよい5員環の飽和炭素環を形成してもよく、ここで、nは0~4である;
各R10は、同じであってもよく又は異なっていてもよく、且つC1~C20-ヒドロカルビル基又は、元素の周期表の14~16族に属する1以上のヘテロ原子を含んでいてもよいC1~C20-ヒドロカルビル基であってもよい;
R7は、H又は、直鎖状若しくは分岐状のC1~C6-アルキル基、又は1~3個のR11によって置換されていてもよい、3~20個の炭素原子を有する、アリール若しくはヘテロアリール基、例えばフェニル環又は5或いは6員環のヘテロアリール環、であり;及び
各R11は独立して、同じであってもよく又は異なっていてもよく、且つ水素原子、直鎖状若しくは分岐状のC1~C6-アルキル基、C7~20-アリールアルキル基、C7~20-アルキルアリール基若しくはC6~20-アリール基又はOY基であり、ここで、Yは、C1~10-ヒドロカルビル基である、
請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記メタロセン錯体がC2対称である、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記メタロセン錯体が、下記の式(XIX)のものである
【化4】
各Xは独立して、シグマドナーリガンドであり;
Mは、Zr又はHfであり;
Lは-R'2Si-であり、ここで、各R'は独立して、C1~C6-アルキル、C5~6-シクロアルキル、C1~10-アルキル-O-C1~10アルキル又はC6-アリール基である;
各R1は独立して、同じであってもよく又は異なっていてもよく、且つ水素原子、直鎖状若しくは分岐状のC1~C6-アルキル基であり;
各R2は独立して、同じであってもよく又は異なっていてもよく、且つCH2-R8基であり、ここで、R8は、H又は、直鎖状若しくは分岐状のC1~6-アルキル基R2、例えばメチル、である;
R6は、O-C1~C6-アルキル基であり;
R5はC(R9)3基であり、ここで、R9は、直鎖状若しくは分岐状のC1~C6アルキル基であり;
R5’はO-C1~C6-アルキル基であり;
R6’は、C(R9)3基であり、ここで、R9は、直鎖状若しくは分岐状のC1~C6アルキル基であり;又は
R5及びR6は、一緒になって、5員環の飽和炭素環を形成してもよく;又は
R5’及びR6'は、一緒になって、5員環の飽和炭素環を形成してもよく;
R7は、H又は、1~3個のR11基によって置換されていてもよいフェニル基であり;
各R11は独立して、同じであってもよく又は異なっていてもよく、且つ水素原子、直鎖状若しくは分岐状のC1~C6-アルキル基である、
請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記メタロセン(i)が、下記から選択されたものである、請求項1に記載の方法
rac-ジメチルシランジイル-ビス-[2-メチル-4-(3’,5’-ジメチルフェニル)-5-メトキシ-6-tert-ブチルインデン-1-イル]ジルコニウムジクロリド、
rac-アンチ-ジメチルシランジイル[2-メチル-4-(4’-tert.-ブチルフェニル)-インデン-1-イル][2-メチル-4-(4’-tert.-ブチルフェニル)-5-メトキシ-6-tert-ブチルインデン-1-イル]ジルコニウムジクロリド、
rac-アンチ-ジメチルシランジイル[2-メチル-4-(4’-tert.-ブチルフェニル)-インデン-1-イル][2-メチル-4-フェニル-5-メトキシ-6-tert-ブチルインデン-1-イル]ジルコニウムジクロリド、
rac-アンチ-ジメチルシランジイル[2-メチル-4-(3’,5’-tert-ブチルフェニル)-1,5,6,7-テトラヒドロ-s-インダセン1-イル][2-メチル-4-(3’,5’-ジメチル-フェニル)-5-メトキシ-6-tert-ブチルインデン-1-イル]ジルコニウムジクロリド、
rac-アンチ-ジメチルシランジイル[2-メチル-4,8-ビス-(4’-tert-ブチルフェニル)-1,5,6,7-テトラヒドロ-s-インダセン1-イル][2-メチル-4-(3’,5’-ジメチル-フェニル)-5-メトキシ-6-tert-ブチルインデン-1-イル]ジルコニウムジクロリド、
rac-アンチ-ジメチルシランジイル[2-メチル-4,8-ビス-(3’,5’-ジメチルフェニル)-1,5,6,7-テトラヒドロ-s-インダセン1-イル][2-メチル-4-(3’,5’-ジメチルフェニル)-5-メトキシ-6-tert-ブチルインデン-1-イル]ジルコニウムジクロリド、
rac-アンチ-ジメチルシランジイル[2-メチル-4,8-ビス-(3’,5’-ジメチルフェニル)-1,5,6,7-テトラヒドロ-s-インダセン1-イル][2-メチル-4-(3’,5’-ジtert-ブチル-フェニル)-5-メトキシ-6-tert-ブチルインデン-1-イル]ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシランジイルビス[2-メチル-4-(3,5-ジメチルフェニル)-1,5,6,7-テトラヒドロ-s-インダセン1-イル]ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシランジイルビス[2-メチル-4-(3,5-ジtertブチルフェニル)-1,5,6,7-テトラヒドロ-s-インダセン1-イル]ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシランジイルビス[2-メチル-4-(4’-tert-ブチルフェニル)-1,5,6,7-テトラヒドロ-s-インダセン1-イル]ジルコニウムジクロリド
又はそれらのハフニウム類似体。
【請求項8】
工程a)において、支持体/溶媒/アルミノキサンの混合物が、工程b)の前に、60℃~120℃の範囲の温度で加熱される、請求項1~7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記アルミノキサン助触媒が、下記の式(A)のものである、請求項1~8のいずれか1項に記載の方法
【化5】
ここで、nは6~20であり、及びRは、C1~C10-アルキル、好ましくはC1~C5-アルキル、若しくはC3~C10-シクロアルキル、C7~C12-アリールアルキル若しくは-アルキルアリール、及び/又はフェニル若しくはナフチル、好ましくはMAO、であってもよい。
【請求項10】
前記ホウ素含有助触媒が、下記の式(B)のもの
BY3 (B)
ここで、Yは独立して、同じであってもよく又は異なっていてもよく、且つ水素原子、1~約20個の炭素原子を有するアルキル基、6~約15個の炭素原子を有するアリール基、アルキルアリール、アリールアルキル、ハロアルキル若しくはハロアリールであり、ここで、該アルキルラジカルのそれぞれが1~10個の炭素原子を有し、且つ該アリールラジカルのそれぞれが6~20個の炭素原子を有する、又はフッ素原子、塩素原子、臭素原子若しくはヨード原子を有する、
又は、下記式の、アニオンを含むボレートのもの
(Z)4B- (C)
ここで、Zは、置換されていてもよいフェニル誘導体、ここで、該置換基はハロo-C1~6-アルキル又はハロ基である、及び対イオンとして、プロトン化されたアミン又はアニリンの誘導体、例えば、メチルアンモニウム、アニリニウム、ジメチルアンモニウム、ジエチルアンモニウム、N-メチルアニリニウム、ジフェニルアンモニウム、N,N-ジメチルアニリニウム、トリメチルアンモニウム、トリエチルアンモニウム、トリ-n-ブチルアンモニウム、メチルジフェニルアンモニウム、ピリジニウム、p-ブロモ-N,N-ジメチルアニリニウム、p-ニトロ-N,N-ジメチルアニリニウム、又はトリフェニルカルベニウムイオン、である、
のうちのいずれかである、請求項1~9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記ホウ素含有助触媒が、トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、N,N-ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、N,N-ジメチルシクロヘキシルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、又はN,N-ジメチルベンジルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、より好ましくはトリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、である、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記メタロセン錯体中の金属イオンMに対するホウ素の供給量のモル比が、0.1:1~10:1モル/モル、好ましくは0.3:1~7:1、より好ましくは0.3:1~5:1モル/モル、特に0:3:1~3:1、の範囲にあり、及び前記錯体中の金属イオンMに対する前記アルミノキサン助触媒中のアルミニウムのモル比が、1:1~2000:1モル/モル、好ましくは10:1~1000:1、より好ましくは50:1~600:1モル/モル、の範囲にある、請求項1~11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
前記支持体、例えばシリカ支持体、の平均粒子サイズが、10~100μm、好ましくは15~80μm、である、請求項1~12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
前記支持体、例えばシリカ支持体、の平均孔サイズが10~100nmの範囲であり、孔容積が1~3mL/gの範囲である、請求項1~13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
前記触媒系が、シリカ支持体の1グラム当たり5~500マイクロモル、好ましくは10~100マイクロモル、のジルコニウム又はハフニウムと、支持体、例えばシリカ支持体、の1グラム当たり5~15ミリモルのAlとを含む、請求項1~14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
前記アルミノキサン助触媒の97.1~100%が、工程a)において添加される、請求項1~15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
工程b)において、
ホウ素含有助触媒、前記アルミノキサン及び前記メタロセンが、同時に一緒にされる;又は
前記アルミノキサンが、前記メタロセンとホウ素含有助触媒との組み合わせに添加される;又は
前記アルミノキサン及び前記ホウ素含有助触媒が一緒にされ、そして前記メタロセンに添加される、
請求項1~16のいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
工程a)において、前記アルミノキサン助触媒で処置された支持体、例えばシリカ支持体、が好ましくは、1以上の回数、例えば1回若しくは2回、より好ましくは2回、トルエンで、そして任意的に、ヘプタンで1回以上、70℃~115℃、好ましくは80℃~110℃、より好ましくは90℃~100℃、の範囲の高められた温度で洗われ、その後乾燥工程に付される、請求項1~17のいずれか1項に記載の方法。
【請求項19】
工程a)において、アルミノキサン助触媒の総量の好ましくは77.0~95.0重量%、より好ましくは85.0~92.0重量%、が添加され、及び工程b)において、アルミノキサン助触媒の総量の好ましくは5.0~23.0重量%、より好ましくは8.0~13.0重量%、が添加される、請求項1~18のいずれか1項に記載の方法。
【請求項20】
請求項1~19のいずれか1項に記載の方法に従って得られた触媒系。
【請求項21】
ポリエチレンホモポリマー又は1以上のC3~8のアルファオレフィンコモノマーを用いてポリエチレンコポリマーを調製する方法であって、エチレン、及び任意的に1以上のC3~C8のアルファオレフィンコモノマー、を請求項20に記載の触媒系の存在下で重合させることを含む、前記方法。
【請求項22】
ポリプロピレンホモポリマー又は1以上のC2~8アルファオレフィンコモノマーを用いてポリプロピレンコポリマーを調製する方法であって、プロピレン、及び任意的に1以上のC2~C8アルファオレフィンコモノマー、を請求項20に記載の触媒系の存在下で重合させることを含み、特に前記ポリプロピレンが、プロピレンホモポリマー、プロピレンランダムコポリマー又はヘテロ相プロピレンコポリマー、好ましくはプロピレンホモポリマー、である、前記方法。
【請求項23】
任意的に1以上のC2~8コモノマーとのポリエチレン又はポリプロピレンポリマー、特にプロピレンホモポリマー、プロピレンランダムコポリマー又はヘテロ相プロピレンコポリマー、好ましくはプロピレンホモポリマー、を製造する為の、請求項1~19のいずれか1項に記載の方法によって得られた触媒系の使用方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ホウ素含有助触媒及びアルミノキサン助触媒を組み合わせた特定のクラスのメタロセン錯体を含む、シリカ担持された触媒系(silica supported catalyst systems)の為の改善された調製方法に関する。本発明はまた、新規な、改善された触媒系の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
メタロセン触媒は、長年にわたり、ポリオレフィンを製造する為に使用されてきている。数え切れないほどの学術文献及び特許公報が、オレフィン重合におけるこれら触媒の使用を記載している。メタロセンは今日工業的に使用されており、及びポリプロピレン並びにポリエチレンは特に、しばしば、異なる置換パターンを有するシクロペンタジエニル系触媒系を使用して製造される。
【0003】
メタロセン触媒は、幾つかの所望されるポリマー特性を達成する為に、プロピレン重合において使用される。好適なメタロセン触媒は、高い活性及び高い生産性を有しているべきである。
【0004】
幾つかの試みが特許文献に記載されている。
【0005】
国際公開第2002/040549号パンフレットは、メタロセン化合物と、担持された活性剤(supported activator)、例えばMAO、と、イオン化活性剤、例えばジメチルアニリニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)ボレート及びトリフェニルカルベニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)ボレート、と、支持体とを含むオレフィン重合触媒を開示する。
【0006】
米国特許出願公開第2006/0116490号明細書は、支持体及び助触媒としてのイオン性化合物、例えばアルミノキサン及びテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートの組み合わせと、メタロセン化合物とを備えている、オレフィン重合の為のメタロセン触媒を開示する。これらの触媒は、低い活性の不利点を有する。
【0007】
改善として、欧州特許出願公開第2545084号明細書は、高活性の担持されたメタロセン触媒を提供することを示唆し、該高活性の担持されたメタロセン触媒において、アルコキシド又はアリールオキシドで置換されたリガンドを有するメタロセン化合物が、慣用的な担持されたメタロセン触媒中に取り込まれ、及び且つボレート化合物が第2の助触媒として取り込まれて、かなり優れた触媒活性を示す。
【0008】
該触媒系は、支持体、該支持体上に積層された第1の助触媒(例えば、MAO)層、該第1の助触媒層上に積層された第1のメタロセン化合物層、及び該第1のメタロセン化合物層上に積層された第2の助触媒層を含み、ここで、該第2の助触媒層は、N,N-ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートである。
【0009】
そのような触媒系は、国際公開第2002/040549号パンフレット及び米国特許出願公開第2006/0116490号明細書に記載された触媒と比較して改善された触媒活性を示し、且つ高い分子量、狭い分子量分布を有し、且つ調製プロセスにおけるファウリングを防止するポリオレフィン、特にポリエチレン、を製造することができるが、さらに高い活性及び生産性の観点から、触媒の挙動を改善する余地がなおある。加えて、欧州特許出願公開第2545084号明細書を考慮して調製プロセスを単純化すること、例えば調製工程の数を減らすこと、が望ましいであろう。
【0010】
従って、特にプロピレンと4~8Cの原子のα-オレフィン及び/又はエチレンとの間の共重合の場合に、高い活性及び生産性を提供してプロピレンコポリマーを形成する触媒系を見つけることが望ましい。該所望の触媒はまた、高分子量ポリプロピレンポリマー、特に高い融点温度を有するホモポリマー、の製造において改善された性能を有するべきである。様々な先行技術の参考文献が、これらの特徴の1以上を目的としている。
【0011】
国際公開第02/02576号パンフレットはなかんずく、rac-Me2Si[2-Me-4-(3,5-Me2Ph)Ind]2ZrCl2、及び高Mw且つ高融点ポリプロピレンの製造におけるその使用を記載する。
【0012】
国際公開第02/02576号パンフレットのメタロセン触媒は、MAO又はボレートのいずれかで活性化され、それはシリカ支持体上に担持される。60℃又は70℃の重合温度で、それらは、Tmが156℃~159℃を有するが、非常に貧弱な触媒活性のiPPを与える。
【0013】
国際公開第2013/007650号パンフレットは、複数の環のうちの1つの5位にアルコキシ基を含む或る非対称触媒、例えばジメチルシリレン(η5-6-tert-ブチル-5-メトキシ-2-メチル-4-フェニル-1H-インデン-1-イル)-(η5-6-tert-ブチル-2-メチル-4-フェニル-1H-インデン-1-イル)ジルコニウムジクロリド、を記載する。該触媒は、特定のエマルジョン/固化技術で調製され、そしてMAOのみで活性化される。
【0014】
その優れた性能にもかかわらず、この参考文献に基づく触媒は、ポリプロピレンホモポリマーの溶融温度、低MFRでの生産性の点において制限される。加えて、該触媒の全体的な生産性が改善される必要がある。その上、該触媒系の製造を単純化することが望ましいであろう。国際公開第2013/007650号パンフレットに従うと、追加の予備重合工程が、該触媒系を使用する前に必要である。
【0015】
国際公開第2018/122134号パンフレットはなかんずく、錯体であるrac-アンチ-ジメチルシランジイル[2-メチル-4-(3’,5’-ジメチルフェニル)-1,5,6,7-テトラヒドロ-s-インダセン1-イル][2-メチル-4-(3’,5’-ジメチルフェニル)-5-メトキシ-6-tert-ブチルインデン-1-イル]ジルコニウムジクロリドを記載し、それは、MAOのみで活性化され、且つシリカ上で担持される。
【0016】
国際公開第2014/060540号パンフレットはなかんずく、MAO及びボレート助触媒と組み合わせて、錯体であるジメチルシリレン(2-メチル-4-フェニル-5-メトキシ-6-tert-ブチル-インデニル)(2-メチル-4-(4-tert-ブチル-フェニル)インデニル)ジルコニウムジクロリドを使用することを記載する。該触媒は、特別なエマルジョン/固化技術で調製され、それは、上記で述べられている通り、使用前の該触媒系のオフライン予備重合工程を含む。加えて、予備重合された触媒系の活性は非常に低い。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
多くの研究がメタロセン触媒の分野においてなされてきているが、主に該触媒の生産性又は活性に関連する幾つかの問題がなお残っている。加えて、簡単で且つ費用効果の高い触媒調製手順が望まれている。
【0018】
本発明者等は、ホウ素含有助触媒及びアルミノキサン助触媒と組み合わせて、メタロセン錯体を構成する担持された触媒系の為の改善された調製プロセスを特定し、それは、高分子量のプロピレンポリマーの、例えばプロピレンホモポリマー及びプロピレンランダムコポリマーの、製造において、改善された重合挙動、より高い触媒生産性、改善された性能をもたらし、従って、高分子量のプロピレンホモポリマー、プロピレンランダムコポリマー、特にはプロピレン-エチレンランダムコポリマー、及びまた好適にはヘテロ相プロピレンコポリマー、の製造の為に理想的である。加えて、プロピレンホモポリマーの高められた溶融温度が達成されることができる。該特定の触媒系は、従来技術の触媒系よりもプロピレンポリマーの設計においてより高い柔軟性/自由度を与える。
【0019】
加えて、新規の調製手順は、従来技術と比較してより堅牢であり、且つより少ない工程しか必要としない。
【課題を解決するための手段】
【0020】
一つの観点から見ると、本発明は、担持された触媒系を調製する方法であって、該触媒系が、
(i)メタロセン錯体;
(ii)ホウ素含有助触媒とアルミノキサン助触媒とを含む助触媒系;及び
(iii)多孔質無機支持体
を含み、
該方法が、
a)多孔質無機支持体をアルミノキサン助触媒と、炭化水素溶媒中で処置すること、引き続き、該アルミノキサン処置された支持体の熱処理をしてもよい;
b)メタロセン錯体を、ホウ素含有助触媒と及び任意的にアルミノキサン助触媒と、炭化水素溶媒中で一緒にすること;
c)工程b)の溶液を工程a)の該処置された該支持体上に付与すること;
の工程を含み、
ここで、工程a)において添加されたアルミノキサン助触媒の量が、アルミノキサン助触媒の総量の75.0~100.0重量%であり、及び工程b)において添加されたアルミノキサン助触媒の量が、アルミノキサン助触媒の総量の0.0~25.0重量%である、
上記方法を提供する。
【0021】
該方法の工程b)において、成分は任意の順序で混合されることができる。ホウ素含有助触媒が、
メタロセン錯体と混合され、引き続き、炭化水素と任意のアルモキサンとを添加されるか、又は
該メタロセン錯体は、任意のアルモキサン及び炭化水素と混合され、引き続き、ホウ素含有助触媒を添加されることができる。幾つかの実施態様において、全ての成分が同時に混合されることができる。本発明の方法に従うと、1つの含浸工程のみが使用される、すなわち、工程a)の処理された支持体は、メタロセン及び1以上の助触媒を1つの工程でのみ付与される。
【0022】
本発明に従って触媒系を調製することによって、該触媒系の非常に高い活性及び生産性、並びに好ましくはまた、該プロピレンホモポリマーの高められた溶融温度が得られることができる。
【0023】
更なる観点において、本発明は、本明細書において定義された方法に従って得られた触媒系を提供する。
【0024】
更なる観点において、本発明は、ポリエチレンホモポリマー又は1以上のC3~8のアルファオレフィンコモノマーを用いてポリエチレンコポリマーを調製する方法であって、エチレン、及び任意的に1以上のC3~C8のアルファオレフィンコモノマー、を該触媒系の存在下で重合させることを含む、上記方法を提供する。
【0025】
更なる観点において、本発明は、ポリプロピレンホモポリマー又は1以上のC2~12のアルファオレフィンコモノマーを用いてポリプロピレンコポリマーを調製する方法であって、プロピレン、及び任意的に1以上のC2~C12アルファオレフィンコモノマー、を請求項20に記載の触媒系の存在下で重合させることを含み、特に該ポリプロピレンが、プロピレンホモポリマー、プロピレンランダムコポリマー又はヘテロ相プロピレンコポリマー、好ましくはプロピレンホモポリマー、である、上記方法を提供する。
【0026】
従って、更なる実施態様に従うと、本発明は、本発明の特定の触媒系を使用してオレフィンポリマーを製造する為の方法であって、ここで、オレフィンは、2~12個のC原子、好ましくは2~8個のC原子、のオレフィン、又はそれらの混合物、典型的に2~6個のC原子のモノマーから選択されるモノマーとのエチレンオレフィン若しくはプロピレンオレフィン、を含む、上記方法に関する。特に、本発明は、上で定義された通りの特定の触媒系を用いて、プロピレンポリマー、例えばプロピレンホモポリマー、プロピレンランダムコポリマー又はヘテロ相プロピレンコポリマー、を製造する為の方法に関する。
【0027】
一つの実施態様において、該メタロセン錯体は、架橋されていてもよいビスシクロペンタジエニルタイプのメタロセン錯体又は拘束されたジオメトリのメタロセン錯体である。好ましいメタロセン錯体は、下記の式(I)~式(III)のものである:
【0028】
【化1】
【0029】
各Xは独立して、シグマドナーリガンドであり;
Mは、Ti、Zr、Hf、Y、Sc、La又は、ランタニドからの元素、好ましくはTi、Zr又はHf、であり;
各Cpは独立して、置換されていない若しくは置換されたシクロペンタジエニルを含有するリガンド、又は置換されていない若しくは置換された縮合シクロペンタジエニルを含有するリガンドであり;
Qは、-O又は-NW又は-PWであり;
Wは、有機基又はHであり;
Lは、炭素、ケイ素又はゲルマニウムに基づく架橋であり、該架橋において、1~4個の骨格原子が複数の該リガンドを結合する;及び
rは、金属の酸化状態が満たされるような整数である。
【0030】
いずれかのCpリガンドは好ましくは、置換された若しくは置換されていないシクロペンタジエニル、置換された若しくは置換されていないインデニル、置換された若しくは置換されていないインダセニルリガンド、又は置換された若しくは置換されていないフルオレニルリガンド、である。
【0031】
Lは好ましくは、炭素、ケイ素又はゲルマニウムに基づく二価架橋であり、該架橋において、1つ又は2つの骨格原子が複数の該リガンドを結合する。
【発明を実施するための形態】
【0032】
定義
【0033】
発明の詳細な説明全体を通して、下記の定義が使用される。
【0034】
語「C1~20-ヒドロカルビル基」は、C1~20-アルキル、C2~20-アルケニル、C2~20-アルキニル、C3~20-シクロアルキル、C3~20-シクロアルケニル、C6~20-アリール基、C7~20-アルキルアリール基若しくはC7~20-アリールアルキル基、又はこれらの基の組み合わせ、例えばアルキルによって置換されたシクロアルキル、を包含する。直鎖及び分岐のヒドロカルビル基は、環単位を含むことが出来ない。脂肪族のヒドロカルビル基は、アリール環を含むことが出来ない。
【0035】
特に明記されない限り、好ましいC1~20-ヒドロカルビル基は、C1~20-アルキル、C4~20-シクロアルキル、C5~20-シクロアルキル-アルキル基、C7~20-アルキルアリール基、C7~20-アリールアルキル基又はC6~20-アリール基、特にC1~10-アルキル基、C6~10-アリール基若しくはC7~12-アリールアルキル基、例えばC1~8-アルキル基、である。最も特に好ましいヒドロカルビル基は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、tert-ブチル、イソブチル、C5~6-シクロアルキル、シクロヘキシルメチル、フェニル又はベンジルである。
【0036】
語「ハロ」は、該錯体の定義に関連する場合、フルオロ基、クロロ基、ブロモ基及びヨード基、特にクロロ基又はフルオロ基、を包含する。
【0037】
「元素の周期表の14~16族に属する1以上のヘテロ原子」を含む任意の基は好ましくは、O、S又はNを意味する。N基は、-NH-又は-NR"-として存在し得、ここで、R"はC1~C10-アルキルである。例えば、1~4個のヘテロ原子が存在しうる。元素の周期表の14~16族に属する1以上のヘテロ原子を含む該基はまた、アルコキシ基、例えばC1~C10-アルコキシ基、でありうる。
【0038】
語「ヘテロアリール」は、周期表の14~16基に属する1以上のヘテロ原子が1以上の環に存在する芳香族の単環式基又は多環式基を定義する。そのような基は、3~20個の炭素原子と、O、S及びNから選択される1以上のヘテロ原子を含みうる。
【0039】
金属イオンの酸化状態は、問題の金属イオンの性質と各金属イオンの夫々の酸化状態の安定性とによって主に支配される。
【0040】
本発明の錯体において、該金属イオンMは、該金属イオンの原子価を満たし、且つその利用可能な配位部位を満たすように、リガンドXによって配位されることが理解されるであろう。これらのσ-リガンドの性質は、大きく変わることができる。
【0041】
触媒活性は、本出願において、生成されたポリマーの量/g触媒/時間であると定義される。触媒金属活性は、本明細書において、生成されたポリマーの量/g金属/時間であると定義される。語 生産性はまた、触媒活性を示す為に使用されることがあるが、本明細書において、語 生産性は触媒の単位重量当たりの生成されたポリマーの量を示す。
【0042】
語「分子量」は、本明細書において、特に明記されていない限り、重量平均分子量Mwを云う為に使用される。
【0043】
本発明は、ホウ素含有助触媒及びアルミノキサン助触媒と組み合わせたメタロセン錯体を含み、従ってオレフィン、例えばプロピレン及びエチレン、の重合の為に理想的である触媒系の為の、担持された触媒系の改善された調製方法に関する。
【0044】
本発明のメタロセン触媒錯体は、対称又は非対称のいずれかであることができる。非対称は、該メタロセンを形成する2つのリガンドが異なることを単に意味し、すなわち、各リガンドは化学的に異なる1セットの置換基を持つ。
【0045】
本発明のメタロセン触媒錯体は、それらのアンチ配置にあるキラルな、ラセミの架橋されたビスインデニルメタロセンでありうる。本発明の該メタロセンは、C2対称又はC1対称のいずれかである。本発明の該メタロセンがC1対称である場合、それらは、リガンドの周辺ではなく、金属中心のすぐ近くでC2対称性を維持する故に、疑似C2対称性を維持する。それら化学の性質により、該錯体の合成の間に、メソ型とラセミ体とのエナンチオマー対(C2対称錯体の場合)又はアンチエナンチオマーとシンエナンチオマーとの対(C1対称複合体の場合)の両方が形成される。本発明の目的の為に、下の図に示されている通り、ラセミ体のアンチ形は、2つのインデニルリガンドがシクロペンタジエニル-金属-シクロペンタジエニル面に関して反対方向に位置していることを意味し、一方、ラセミ体のシン形は、2つのインデニルリガンドがシクロペンタジエニル-金属-シクロペンタジエニル面に関して同じ方向に位置していることを意味する。
【0046】
【化2】
【0047】
本明細書における式は、シス配置とアンチ配置との両方をカバーすることが意図されている。好ましいメタロセン触媒錯体、アンチ配置にある。
【0048】
本発明のメタロセン触媒錯体は、ラセミ-アンチ異性体として用いられうる。それ故に、理想的には、該メタロセン触媒錯体の少なくとも95モル%、例えば少なくとも98モル%、特には少なくとも99モル%、がラセミ-アンチ異性体形である。
【0049】
本発明のメタロセン触媒錯体において、下記の好適なものが適用される。
【0050】
該メタロセン錯体は、任意のビスシクロペンタジエニルタイプの錯体、特に架橋されたビスシクロペンタジエニルタイプの錯体であることができ、又はそれは、拘束されたジオメトリの(constrained geometry)メタロセン触媒でありうる。
【0051】
本発明の任意の式において、下記の好ましい特徴が適用される。
【0052】
Mは、任意の3族若しくは4族の金属、又はランタニド系由来の金属でありうる。Mは好ましくは、Zr又はHf、好ましくはZr、である。
【0053】
各Xは独立して、シグマドナーリガンドである。すなわち、各Xは独立して、同じであってもよく又は異なっていてもよく、且つ好ましくは、水素原子、ハロゲン原子、直鎖状若しくは分岐状、環式若しくは非環式の、C1~20-アルキル若しくは-アルコキシ基、C6~20-アリール基、C7~20-アルキルアリール基又はC7~20-アリールアルキル基であり;これらの基は、周期表の14~16族の1以上のヘテロ原子を含んでいてもよい。
【0054】
一つの実施態様において、該X基は、トリヒドロカルビルシリル、C1~10-アルコキシ、C1~10アルコキシ-C1~10-アルキル-基、又はアミド基でありうる。
【0055】
語「ハロゲン」は、フルオロ、クロロ、ブロモ及びヨード基、好ましくはクロロ基、を包含する。
【0056】
語「周期表の14~16族に属するヘテロ原子」は例えば、Si、N、O又はSを包含する。
【0057】
より好ましくは、各Xは独立して、水素原子、ハロゲン原子、直鎖状若しくは分岐状のC1~6-アルキル若しくはC1~6-アルコキシ基、フェニル基又はベンジル基である。
【0058】
なおより好ましくは、各Xは独立して、ハロゲン原子、直鎖状若しくは分岐状のC1~4-アルキル若しくはC1~4-アルコキシ基、フェニル基又はベンジル基である。
【0059】
最も好ましくは、各Xは独立して、塩素原子、ベンジル基又はメチル基である。
【0060】
好ましくは、両方のX基は同じである。
【0061】
両方のX基について最も好ましい選択肢は、2つの塩化物、2つのメチル基、又は2つのベンジル基である。
【0062】
Wは好ましくは、C1~20ヒドロカルビル基、特にC1~10アルキル基、である。
【0063】
Lは、炭素、ケイ素原子又はゲルマニウムに基づく架橋である。2つのリガンド間に、1~4個の、例えば1又は2個の、骨格を結合する原子、例えば構造、例えばリガンド-C-リガンド(1つの骨格原子)又はリガンド-Si-Si-リガンド(2つの骨格原子)、がある。
【0064】
架橋原子は他の基を有することができる。例えば、好適な架橋リガンドLは、-R'2C-、-R'2C-CR'2-、-R'2Si-、-R'2Si-SiR'2-、-R'2Ge-、から選択され、ここで、各R'は独立して、水素原子又は、周期表の14~16族の1以上のヘテロ原子若しくはフッ素原子を含んでいてもよいC1~C20-ヒドロカルビル基であり、或いは2つのR’基が一緒になって環を形成してもよい。一つの実施態様において、R’は、1~10個の炭素原子を有するアルコキシで置換された1~10個の炭素原子を有するアルキルでありうる。
【0065】
語「周期表の14~16族に属するヘテロ原子」は例えば、Si、N、O又はSを包含する。
【0066】
好ましくは、Lは、-R'2Si-、エチレン又はメチレンである。
【0067】
式-R'2Si-において、各R'は独立して、好ましくは、C1~C20-ヒドロカルビル基である。それ故に、語 C1~20-ヒドロカルビル基は、C1~20-アルキル、C2~20-アルケニル、C2~20-アルキニル、C3~20-シクロアルキル、C3~20-シクロアルケニル、C6~20-アリール基、C7~20-アルキルアリール基若しくはC7~20-アリールアルキル基、又はもちろん、これらの基の組み合わせ、例えばアルキルによって置換されたシクロアルキル、を包含する。特に明記されない限り、好ましいC1~20-ヒドロカルビル基は、C1~20-アルキル、C4~20-シクロアルキル、C5~20-シクロアルキル-アルキル基、C7~20-アルキルアリール基、C7~20-アリールアルキル基、又はC6~20-アリール基である。
【0068】
一つの実施態様において、式-R'2Si-は、シラシクロアルカンジイル、例えばシラシクロブタン、シラシクロペンタン又は9-シラフルオレン、を表す。
【0069】
好ましくは、両方のR'基が同じである。R'が、C1~C10-ヒドロカルビル若しくはC6~C10-アリール基、例えばメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、tertブチル、イソブチル、C3~8-シクロアルキル、シクロヘキシルメチル、フェニル又はベンジルであり、より好ましくは、両方のR'が、C1~C6-アルキル、C5~6-シクロアルキル若しくはC6-アリール基であり、最も好ましくは、両方のR'がメチルであり、又は一つがメチルであり、且つ他がシクロヘキシルである。最も好ましくは、該架橋が-Si(CH3)2-である。
【0070】
Arは、3~20個の炭素原子を有する、アリール又はヘテロアリール基、例えば、フェニル環又は5或いは6員環のヘテロアリール環、である。Arは好ましくは、フェニル基又は、5或いは6員環のヘテロアリール環、例えばフラニル環、チオフェニル環若しくはピリジル環である。しかしながら、Ar基がフェニル基である場合が好ましい。
【0071】
Ar基がフェニル基である場合、R1置換基は環の3,4,5位(ここで、1位はインデニル環に結合されている)にあることが好ましい。
【0072】
各R1は独立して、同じであってもよく又は異なっていてもよく、且つ水素原子、直鎖状若しくは分岐状のC1~C6-アルキル基、C7~20-アリールアルキル基、C7~20-アルキルアリール基若しくはC6~20-アリール基又はOY基であり、ここで、Yは、C1~10-ヒドロカルビル基であり、及び2つの隣接するR1基が、それらが結合しているフェニル炭素を含む環の一部であってもよい。
【0073】
好ましくは、各R1は独立して、同じであってもよく又は異なっていてもよく、且つ水素原子又は、メチル又はtert-ブチルのような、直鎖状若しくは分岐状のC1~C6-アルキル基である。
【0074】
例えば、Ar環、例えばフェニル環、が置換されていないこと(すなわち、R1が水素原子である)、4’-tert.-ブチルフェニルのようにパラ位のみで置換されていること、3’,5’-ジメチルフェニル若しくは3’,5’-ジtert.-ブチルフェニルのように3’及び5’位において置換されていることがありうる。その上、両方のフェニル環が同じ置換パターンを持っていること、又は2つのフェニル環が異なる置換パターンを持っていることがありうる。
【0075】
それ故に、1つ又は2つのR1基がHである場合が好ましい。2つのR1基がHである場合、残りのR1基は好ましくは、パラ位にある。1つのR1基がHである場合、残りのR1基は好ましくは、メタ位置にある。
【0076】
各R2は独立して、同じであってもよく又は異なっていてもよく、且つCHR8’-R8基であり、ここで、R8は、H又は、直鎖状若しくは分岐状のC1~6-アルキル基、C3~8-シクロアルキル基、C6~10-アリール基、1~3個のR11基によって置換されていてもよい3~20個の炭素原子を有するヘテロアリール基であり、及びR8’はH又はC1~6アルキルである。
【0077】
好ましくは、R8’は、H又は、特にHである。
【0078】
好ましくは、各R2は独立して、同じであってもよく又は異なっていてもよく、且つCH2-R8基であり、ここで、R8は、H又は、直鎖状若しくは分岐状のC1~6-アルキル基、C3~8-シクロアルキル基、C6~10-アリール基である。
【0079】
好ましくは、R2の両方が同じであり、且つCH2-R8基であり、ここで、R8は、H又は、直鎖状若しくは分岐状のC1~C4-アルキル基、より好ましくは、R2の両方が同じであり、且つCH2-R8基であり、、ここで、R8は、H又は、直鎖状若しくは分岐状のC1~C3-アルキル基である。最も好ましくは、両方のR2がメチルである。
【0080】
R3は、直鎖状若しくは分岐状のC1~C6-アルキル基、C7~20-アリールアルキル基、C7~20-アルキルアリール基若しくはC6~C20-アリール基である。
【0081】
R3は好ましくは、直鎖状若しくは分岐状の、C1~C6-アルキル基又はC6~20-アリール基、例えばメチル、エチル、n-プロピル、i-プロピル、n-ブチル、i-ブチル、sec.-ブチル及びtert.-ブチル、好ましくは直鎖状のC1~C4-アルキル基、より好ましくはC1~C2-アルキル基、最も好ましくはメチル、である。
【0082】
R4は好ましくはC(R9)3基であり、ここで、R9は、直鎖状若しくは分岐状のC1~C6-アルキル基である。
【0083】
好ましくは、各R9は同じであってもよく又は異なっていてもよく、ここで、R9は、直鎖状若しくは分岐状のC1~C4-アルキル基であり、より好ましくは、R9は同じであり且つC1~C2-アルキル基である。最も好ましくは、R4はtert.-ブチル基であり、且つ従って全てのR9基がメチルである。
【0084】
本発明の一つの実施態様において、R5及びR6は独立して、同じであってもよく又は異なっていてもよく、且つ水素原子又は、元素の周期表の14~16族からの1以上のヘテロ原子を含んでいてもよい脂肪族C1~C20-ヒドロカルビル基であり、例えば、アルキル若しくはアルコキシ基、例えばC1~C10-アルキル若しくはアルコキシ基、である。
【0085】
好ましくは、R5及びR6は独立して、同じであってもよく又は異なっていてもよく、且つ水素原子又は、直鎖状若しくは分岐状のC1~C6アルキル基又はC1~C6-アルコキシ基である。
【0086】
より好ましくは、R5及びR6は独立して、同じであってもよく又は異なっていてもよく、且つ水素原子又は、直鎖状若しくは分岐状のC1~C4-アルキル基又はC1~C4-アルコキシ基である。
【0087】
他の実施態様において、R5及びR6は、インデニルと縮合して5員環の一部として結合してもよく、該5員環はn個のR10基によって置換されていてもよく、ここで、nは、0~4、好ましくは0又は2、より好ましくは0、である;ここで、各R10は、同じであってもよく又は異なっていてもよく、且つC1~C20-ヒドロカルビル基又は、元素の周期表の14~16族に属する1以上のヘテロ原子を含んでいてもよいC1~C20-ヒドロカルビル基であり;好ましくは、直鎖状若しくは分岐状のC1~C6-アルキル基であり;好ましくは、直鎖状若しくは分岐状のC1~C6-アルキル基である。
【0088】
R7は、H又は、直鎖状若しくは分岐状のC1~C6-アルキル基又は、6~20個の炭素原子を有する、1~3個のR11基によって置換されていてもよい、アリール若しくはヘテロアリール基である。
【0089】
好ましくは、R7は、H又は、1~3個のR11基によって置換されていてもよい6~10個の炭素原子を有するアリール基であり、より好ましくは、R7は、H又は、1~3個のR11基によって置換されていてもよいフェニル基である。
【0090】
R7が、6~10個の炭素原子を有する置換されていてもよいアリール基、例えばフェニル、である場合に、各R11は独立して、同じであってもよく又は異なっていてもよく、且つ水素原子、直鎖状若しくは分岐状のC1~C6-アルキル基、C7~20-アリールアルキル基、C7~20-アルキルアリール基若しくはC6~20-アリール基又はOY基であり、ここで、Yは、C1~10-ヒドロカルビル基である。
【0091】
より好ましくは、R7が、1~3個のR11基によって置換されていてもよいフェニル基であり、より好ましくは、R7が1~2個のR11基によって置換されていてもよいフェニル基である。
【0092】
好ましくは、各R11は独立して、同じであってもよく又は異なっていてもよく、且つ水素原子、直鎖状若しくは分岐状の、C1~C6-アルキル基若しくはC6~20-アリール基又はOY基であり、ここで、YはC1~4-ヒドロカルビル基であり、より好ましくは、各R11は独立して、同じであってもよく又は異なっていてもよく、且つ水素原子又は、直鎖状若しくは分岐状のC1~C4-アルキル基又はOY基であり、ここで、Yは、C1~4-ヒドロカルビル基である。さらにより好ましくは、各R11は独立して、同じであってもよく又は異なっていてもよく、且つ水素原子、メチル、エチル、イソプロピル、tert.-ブチル又はメトキシ、特に水素原子、メチル又はtert.-ブチル、である。
【0093】
さらにより好ましくは、各R11は独立して、同じであってもよく又は異なっていてもよく、且つメチル、エチル、イソプロピル、tert.-ブチル又はメトキシ、特にメチル又はtert.-ブチル、である。
【0094】
アリール基、例えばフェニル基、が置換される場合、それは好ましくは、1又は2個のR11基、例えばHでないR11基、によって置換されている。
【0095】
4位の基とR7基とが同じである場合が最も好ましい。それ故に、R7が3,5-ジメチルフェニル基である場合、該リガンドの4位上の基は3,5-ジメチルフェニル基であるべきである。これは、該環がインダセニル環である場合に特に当てはまる。
【0096】
好ましい実施態様において、該メタロセン錯体は、下記の式(I)~式(III)のうちの一つである:
【0097】
【化3】
【0098】
各Xは独立して、シグマドナーリガンドであり;
Mは、Ti、Zr、Hf、Y、Sc、La又は、ランタニドからの元素、好ましくはTi、Zr又はHf、であり;
各Cpは独立して、置換されていない又は置換されたシクロペンタジエニルを含有するリガンド及び/又は置換されていない又は置換された縮合シクロペンタジエニルを含有するリガンドであり;
Qは、-O又は-NW又は-PWであり;
Wは、有機基又はHであり;
Lは、炭素、ケイ素又はゲルマニウムに基づく架橋であり、該架橋において、1~4個の骨格原子が複数の該リガンドを結合する;及び
rは、金属の酸化状態が満たされるような整数である。MがTi、Zr又はHfである場合、rは2である。
【0099】
語 シクロペンタジエニルを含有するリガンドは、シクロペンタジエニル環が存在する任意のリガンドを意味し、それはシクロペンタジエニルそれ自体でありうる、又はそれはインデニルのようなものを作る他の環に縮合されたシクロペンタジエニルでありうる。
【0100】
より好ましい実施態様において、該メタロセン錯体が下記の式(VI)のものである。
【0101】
【化4】
【0102】
各Xは独立して、シグマドナーリガンドであり;
Mは、4族の金属、例えばZr又はHf、であり;
Lは、炭素、ケイ素又はゲルマニウムに基づく架橋であり、該架橋において、1~4個の骨格原子が複数の該リガンドを結合する;及び
各Indは、置換された若しくは置換されていないインデニル、又は置換された若しくは置換されていない縮合インデニル、例えば置換された若しくは置換されていないインダセニルリガンド、又は置換された若しくは置換されていないフルオレニルリガンド、である。
【0103】
更に好ましいメタロセンは、下記の式(VII)のものである。
【0104】
【化5】
【0105】
各Xは独立して、シグマドナーリガンドであり;
Mは、4族の金属、例えばZr又はHf、であり;
Lは、炭素、ケイ素又はゲルマニウムに基づく二価架橋であり、該二価架橋において、1つ又は2つの骨格原子が複数の該リガンドを結合する;
R2及びR2’は互いに独立して、H、-OSi(C1~10-ヒドロカルビル)3、CHR8’-R8基であり、ここで、R8は、H又は、直鎖状若しくは分岐状のC1~6-アルキル基、C3~8-シクロアルキル基、C6~10-アリール基又は、3~20個の炭素原子を有する、置換されていてもよいヘテロアリール基である;及び
R8’は、H又はC1~6アルキルであり;
R4~6は独立して、水素原子又は、元素の周期表の14~16族からの1以上のヘテロ原子を含んでいてもよいC1~C20-ヒドロカルビル基であり;
R4’~6’は独立して、水素原子又は、元素の周期表の14~16族からの1以上のヘテロ原子を含んでいてもよいC1~C20-ヒドロカルビル基であり;又は
R5及びR6は、一緒になって、置換されていてもよい5或いは6員環の炭素環を形成してもよく;及び/又は
R5’及びR6’は、一緒になって、置換されていてもよい5或いは6員環の炭素環を形成してもよく;
R7は、水素原子又は、2以下のケイ素原子又はヘテロ原子を含んでいてよい、C1~20ヒドロカルビル基であり;及び
R7’は、水素原子、C1~3ヒドロカルビル基又はC1~10アルコキシ基である。
【0106】
更に好ましいメタロセンは、下記の式(VIII)のものである。
【0107】
【化6】
【0108】
各Xは独立して、シグマドナーリガンドであり;
Mは、4族の金属、例えばZr又はHf、であり;
Lは、炭素、ケイ素又はゲルマニウムに基づく二価架橋であり、該二価架橋において、1つ又は2つの骨格原子が複数の該リガンドを結合する;
R2及びR2’は互いに独立して、H、-OSi(C1~10-ヒドロカルビル)3、CHR8’-R8基であり、ここで、R8は、H又は、直鎖状若しくは分岐状のC1~6-アルキル基、C3~8-シクロアルキル基、C6~10-アリール基又は、置換されていてもよい、3~20個の炭素原子を有するヘテロアリール基であり、及びR8’はH又はC1~6アルキルである;
R5~6は独立して、水素原子又は、元素の周期表の14~16族からの1以上のヘテロ原子を含んでいてもよいC1~C20-ヒドロカルビル基であり;
R5’~6’は独立して、水素原子又は、元素の周期表の14~16族からの1以上のヘテロ原子を含んでいてもよいC1~C20-ヒドロカルビル基であり;又は
R5及びR6は、一緒になって、n個のR10によって置換されていてもよい5員環の飽和炭素環を形成してもよく、ここで、nは0~4である;又は
R5’及びR6’は、一緒になって、n個のR10によって置換されていてもよい5員環の飽和炭素環を形成してもよく、ここで、nは0~4である;
各R10は、同じであってもよく又は異なっていてもよく、且つC1~C20-ヒドロカルビル基又は、元素の周期表の14~16族に属する1以上のヘテロ原子を含んでいてもよいC1~C20-ヒドロカルビル基であってもよい;
R7は、水素原子又は、2以下のケイ素原子又はヘテロ原子を含んでいてよい、C1~20ヒドロカルビル基であり;
R7’は、水素原子、C1-3ヒドロカルビル基、又はC1~10アルコキシ基であり;
Ar及びAr’は独立して、は、5以下のR1基によって置換されていてもよい、C6~C22アリール基又はC3~C20ヘテロアリール基であり;及び
R1は独立して、同じであってもよく又は異なっていてもよく、且つ水素原子、直鎖状若しくは分岐状のC1~C6-アルキル基、C7~20-アリールアルキル基、C7~20-アルキルアリール基若しくはC6~20-アリール基又はOY基であり、ここで、Yは、C1~10-ヒドロカルビル基である。
【0109】
更に好ましいメタロセンは、下記の式(IX)のものである。
【0110】
【化7】
【0111】
各Xは独立して、シグマドナーリガンドであり;
Mは、4族の金属、例えばZr又はHf、であり;
Lは、炭素、ケイ素又はゲルマニウムに基づく二価架橋であり、該二価架橋において、1つ又は2つの骨格原子が複数の該リガンドを結合する;
R2及びR2’は互いに独立して、H、-OSi(C1~10-ヒドロカルビル)3、CHR8’-R8基であり、ここで、R8は、H又は、直鎖状若しくは分岐状のC1~6-アルキル基、C3~8-シクロアルキル基、C6~10-アリール基又は、3~20個の炭素原子を有する、置換されていてもよいヘテロアリール基である;及び
R8’は、H又はC1~6アルキルであり;
R5~6は独立して、水素原子又は、元素の周期表の14~16族からの1以上のヘテロ原子を含んでいてもよいC1~C20-ヒドロカルビル基であり;
R5’~6’は独立して、水素原子又は、元素の周期表の14~16族からの1以上のヘテロ原子を含んでいてもよいC1~C20-ヒドロカルビル基であり;又は
R5及びR6は、一緒になって、n個のR10によって置換されていてもよい5員環の飽和炭素環を形成してもよく、ここで、nは0~4である;又は
R5’及びR6’は、一緒になって、n個のR10によって置換されていてもよい5員環の飽和炭素環を形成してもよく、ここで、nは0~4である;
各R10は、同じであってもよく又は異なっていてもよく、且つC1~C20-ヒドロカルビル基又は、元素の周期表の14~16族に属する1以上のヘテロ原子を含んでいてもよいC1~C20-ヒドロカルビル基であってもよい;
Ar及びAr’は、は、5以下のR1基によって置換されていてもよい、フェニル、ナフチル、アントラセニル、ピリジル、チオフェニル、2-アルキルチオフェニル、ベンゾチオフェニル、ピロリル、フラニル、2-アルキルフラニルであり;及び
R1は独立して、同じであってもよく又は異なっていてもよく、且つ水素原子、直鎖状若しくは分岐状のC1~C6-アルキル基、C7~20-アリールアルキル基、C7~20-アルキルアリール基若しくはC6~20-アリール基又はOY基であり、ここで、Yは、C1~10-ヒドロカルビル基である。
【0112】
更に好ましいメタロセンは、下記の式(X)のものである。
【0113】
【化8】
【0114】
各Xは独立して、シグマドナーリガンドであり;
Mは、4族の金属、例えばZr又はHf、であり;
Lは、炭素、ケイ素又はゲルマニウムに基づく二価架橋であり、該二価架橋において、1つ又は2つの骨格原子が複数の該リガンドを結合する;
R2及びR2’は互いに独立して、H、-OSi(C1~10-ヒドロカルビル)3、CHR8’-R8基であり、ここで、R8は、H又は、直鎖状若しくは分岐状のC1~6-アルキル基、C3~8-シクロアルキル基、C6~10-アリール基又は、3~20個の炭素原子を有する、置換されていてもよいヘテロアリール基である;及び
R8’は、H又はC1~6アルキルであり;
R5~6は、水素原子又は、元素の周期表の14~16族からの1以上のヘテロ原子を含んでいてもよいC1~C20-ヒドロカルビル基であり;
R5’~6’は、水素原子又は、元素の周期表の14~16族からの1以上のヘテロ原子を含んでいてもよいC1~C20-ヒドロカルビル基であり;又は
R5及びR6は、一緒になって、n個のR10によって置換されていてもよい5員環の飽和炭素環を形成してもよく、ここで、nは0~4である;又は
R5’及びR6’は、一緒になって、n個のR10によって置換されていてもよい5員環の飽和炭素環を形成してもよく、ここで、nは0~4である;
各R10は、同じであってもよく又は異なっていてもよく、且つC1~C20-ヒドロカルビル基又は、元素の周期表の14~16族に属する1以上のヘテロ原子を含んでいてもよいC1~C20-ヒドロカルビル基であってもよい;
Arは、5以下のR1基によって置換されていてもよいフェニルであり;
Ar’は、5以下のR1基によって置換されていてもよい、フェニル、ナフチル、アントラセニル、ピリジル、チオフェニル、2-アルキルチオフェニル、ベンゾチオフェニル、ピロリル、フラニル、2-アルキルフラニルであり;及び
R1は独立して、同じであってもよく又は異なっていてもよく、且つ水素原子、直鎖状若しくは分岐状のC1~C6-アルキル基、C7~20-アリールアルキル基、C7~20-アルキルアリール基若しくはC6~20-アリール基又はOY基であり、ここで、Yは、C1~10-ヒドロカルビル基である。
【0115】
更に好ましいメタロセンは、下記の式(XI)のものである。
【0116】
【化9】
【0117】
各Xは独立して、シグマドナーリガンドであり;
Lは、炭素、ケイ素又はゲルマニウムに基づく二価架橋であり、該二価架橋において、1つ又は2つの骨格原子が複数の該リガンドを結合する;
各R1は独立して、同じであってもよく又は異なっていてもよく、且つ水素原子、直鎖状若しくは分岐状のC1~C6-アルキル基、C7~20-アリールアルキル基、C7~20-アルキルアリール基若しくはC6~20-アリール基又はOY基であり、ここで、Yは、C1~10-ヒドロカルビル基であり、及び2つの隣接するR1基が、それらが結合しているフェニル炭素を含む環の一部であってもよい;
各R2は独立して、同じであってもよく又は異なっていてもよく、且つCHR8’-R8基であり、ここで、R8は、H又は、直鎖状若しくは分岐状のC1~6-アルキル基、C3~8-シクロアルキル基、C6~10-アリール基、若しくは1~3個のR11基によって置換されていてもよい、3~20個の炭素原子を有するヘテロアリール基である;及び
R8’は、H又はC1~6アルキルであり;
R5は、水素原子又は、元素の周期表の14~16族からの1以上のヘテロ原子を含んでいてもよい脂肪族C1~C20-ヒドロカルビル基であり;
R6は、水素原子又は、元素の周期表の14~16族からの1以上のヘテロ原子を含んでいてもよい脂肪族C1~C20-ヒドロカルビル基であり;又は
R5及びR6は、一緒になって、n個のR10によって置換されていてもよい5員環の飽和炭素環を形成してもよく、ここで、nは0~4である;
R5'は、水素原子又は、元素の周期表の14~16族からの1以上のヘテロ原子を含んでいてもよい脂肪族C1~C20-ヒドロカルビル基であり;
R6'は、水素原子又は、元素の周期表の14~16族からの1以上のヘテロ原子を含んでいてもよい脂肪族C1~C20-ヒドロカルビル基であり;又は
R5’及びR6’は、一緒になって、n個のR10によって置換されていてもよい5員環の飽和炭素環を形成してもよく、ここで、nは0~4である;及び
各R10は、同じであってもよく又は異なっていてもよく、且つC1~C20-ヒドロカルビル基又は、元素の周期表の14~16族に属する1以上のヘテロ原子を含んでいてもよいC1~C20-ヒドロカルビル基であってもよい。
【0118】
より好ましい実施態様において、該メタロセン錯体は下記の式(XII)のものでありうる。
【0119】
【化10】
【0120】
各Xは独立して、シグマドナーリガンドであり;
Mは、Zr又はHfであり;
Lは、炭素、ケイ素又はゲルマニウムに基づく二価架橋であり、該二価架橋において、1つ又は2つの骨格原子が複数の該リガンドを結合する;
各Arは、3~20個の炭素原子を有する、アリール又はヘテロアリール基、例えばフェニル環又は5或いは6員環のヘテロアリール環、であり;
各R1は独立して、同じであってもよく又は異なっていてもよく、且つ水素原子、直鎖状若しくは分岐状のC1~C6-アルキル基、C7~20-アリールアルキル基、C7~20-アルキルアリール基若しくはC6~20-アリール基又はOY基であり、ここで、Yは、C1~10-ヒドロカルビル基であり、及び2つの隣接するR1基が、それらが結合しているフェニル炭素を含む環の一部であってもよい;
各R2は独立して、同じであってもよく又は異なっていてもよく、且つCHR8’-R8基であり、ここで、R8は、H又は、直鎖状若しくは分岐状のC1~6-アルキル基、C3~8-シクロアルキル基、C6~10-アリール基若しくは、1~3個のR11基によって置換されていてもよい3~20個の炭素原子を有するヘテロアリール基であり、及びR8’はH又はC1~6アルキルである;
R3は、直鎖状若しくは分岐状のC1~C6-アルキル基、C7~20-アリールアルキル基、C7~20-アルキルアリール基若しくはC6~C20-アリール基であり;
R4はC(R9)3基であり、ここで、R9は、直鎖状若しくは分岐状のC1~C6-アルキル基である;
R5は、水素原子又は、元素の周期表の14~16族からの1以上のヘテロ原子を含んでいてもよい脂肪族C1~C20-ヒドロカルビル基であり;
R6は、水素原子又は、元素の周期表の14~16族からの1以上のヘテロ原子を含んでいてもよい脂肪族C1~C20-ヒドロカルビル基であり;又は
R5及びR6は、一緒になって、n個のR10によって置換されていてもよい5員環の飽和炭素環を形成してもよく、ここで、nは0~4である;
各R10は、同じであってもよく又は異なっていてもよく、且つC1~C20-ヒドロカルビル基又は、元素の周期表の14~16族に属する1以上のヘテロ原子を含んでいてもよいC1~C20-ヒドロカルビル基であってもよい;
R7は、直鎖状若しくは分岐状のC1~C6-アルキル基又は、3~20個の炭素原子を有する、1~3個のR11基によって置換されていてもよい、アリール若しくはヘテロアリール基、例えばフェニル環若しくは5或いは6員環のヘテロアリール環、であり;
各R11は独立して、同じであってもよく又は異なっていてもよく、且つ水素原子、直鎖状若しくは分岐状のC1~C6-アルキル基、C7~20-アリールアルキル基、C7~20-アルキルアリール基若しくはC6~20-アリール基又はOY基であり、ここで、Yは、C1~10-ヒドロカルビル基である。
【0121】
より好ましい実施態様において、該メタロセン錯体は下記の式(XIII)のものでありうる。
【0122】
【化11】
【0123】
各Xは独立して、シグマドナーリガンドであり;
Mは、Zr又はHfであり;
Lは、-R'2C-、-R'2C-CR'2-、-R'2Si-、-R'2Si-SiR'2-、-R'2Ge-から選択される二価架橋であり、ここで、各R'は独立して、水素原子又は、周期表の14~16族の1以上のヘテロ原子若しくはフッ素原子を含んでいてもよいC1~C20-ヒドロカルビル基であり、或いは2つのR’基が一緒になって環を形成してもよい;
各R1は独立して、同じであってもよく又は異なっていてもよく、且つ水素原子、直鎖状若しくは分岐状のC1~C6-アルキル基、C7~20アリールアルキル基、C7~20アルキルアリール基若しくはC6~20アリール基又はOY基であり、ここで、Yは、C1~10-ヒドロカルビル基であり、及び2つの隣接するR1基が、それらが結合しているフェニル炭素を含む環の一部であってもよい;
各R2は独立して、同じであってもよく又は異なっていてもよく、且つCH2-R8基であり、ここで、R8は、H又は、直鎖状若しくは分岐状のC1~6-アルキル基、C3~8シクロアルキル基、C6~10アリール基である;
R3は、直鎖状若しくは分岐状のC1~C6-アルキル基、C7~20アリールアルキル基、C7~20アルキルアリール基若しくはC6~C20-アリール基であり;
R4はC(R9)3基であり、ここで、R9は、直鎖状若しくは分岐状のC1~C6アルキル基である;
R5は、水素原子又は、元素の周期表の14~16族からの1以上のヘテロ原子を含んでいてもよい脂肪族C1~C20-ヒドロカルビル基であり;
R6は、水素原子又は、元素の周期表の14~16族からの1以上のヘテロ原子を含んでいてもよい脂肪族C1~C20-ヒドロカルビル基であり;又は
R5及びR6は、一緒になって、n個のR10によって置換されていてもよい5員環の飽和炭素環を形成してもよく、ここで、nは0~4である;
各R10は、同じであってもよく又は異なっていてもよく、且つC1~C20-ヒドロカルビル基又は、元素の周期表の14~16族に属する1以上のヘテロ原子を含んでいてもよいC1~C20-ヒドロカルビル基であってもよい;
R7は、直鎖状若しくは分岐状のC1~C6-アルキル基又は、1~3個のR11基によって置換されていてもよい、6~20個の炭素原子を有する、アリール又はヘテロアリール基であり;
各R11は独立して、同じであってもよく又は異なっていてもよく、且つ水素原子、直鎖状若しくは分岐状のC1~C6-アルキル基、C7~20アリールアルキル基、C7~20アルキルアリール基若しくはC6~20アリール基又はOY基であり、ここで、Yは、C1~10-ヒドロカルビル基である。
【0124】
より好ましい実施態様において、該メタロセン錯体は下記の式(XIV)のものでありうる。
【0125】
【化12】
【0126】
各Xは独立して、シグマドナーリガンドであり;
Mは、Zr又はHfであり;
Lは、-R'2C-又は-R'2Si-から選択される二価架橋であり;ここで、各R'は独立して、水素原子又は、周期表の14~16族の1以上のヘテロ原子若しくはフッ素原子を含んでいてもよいC1~C20-ヒドロカルビル基であり、或いは2つのR’基が一緒になって環を形成してもよい;
各R1は独立して、同じであってもよく又は異なっていてもよく、且つ水素原子、直鎖状若しくは分岐状のC1~C6-アルキル基、C7~20アリールアルキル基、C7~20アルキルアリール基若しくはC6~20アリール基又はOY基であり、ここで、Yは、C1~10-ヒドロカルビル基であり、及び2つの隣接するR1基が、それらが結合しているフェニル炭素を含む環の一部であってもよい;
各R2は独立して、同じであってもよく又は異なっていてもよく、且つCH2-R8基であり、ここで、R8は、H又は、直鎖状若しくは分岐状のC1~6-アルキル基、C3~8シクロアルキル基、C6~10アリール基である;
R3は、直鎖状若しくは分岐状のC1~C6-アルキル基、C7~20アリールアルキル基、C7~20アルキルアリール基若しくはC6~C20-アリール基であり;
R4はC(R9)3基であり、ここで、R9は、直鎖状若しくは分岐状のC1~C6アルキル基である;
R5は水素原子であり;
R6は水素原子であり;又は
R5及びR6は、一緒になって、n個のR10によって置換されていてもよい5員環の飽和炭素環を形成してもよく、ここで、nは0~4である;
各R10は、同じであってもよく又は異なっていてもよく、且つC1~C20-ヒドロカルビル基又は、元素の周期表の14~16族に属する1以上のヘテロ原子を含んでいてもよいC1~C20-ヒドロカルビル基であってもよい;
R7は、直鎖状若しくは分岐状のC1~C6-アルキル基又は、1~3個のR11基によって置換されていてもよいアリールであり;
各R11は独立して、同じであってもよく又は異なっていてもよく、且つ水素原子、直鎖状若しくは分岐状のC1~C6-アルキル基、C7~20アリールアルキル基、C7~20アルキルアリール基若しくはC6~20アリール基又はOY基であり、ここで、Yは、C1~10-ヒドロカルビル基である。
【0127】
より好ましい実施態様において、該メタロセン錯体は下記の式(XV)のものでありうる。
【0128】
【化13】
【0129】
各Xは独立して、シグマドナーリガンドであり;
Mは、Zr又はHfであり;
Lは、-R'2C-又は-R'2Si-から選択される二価架橋であり、ここで、各R'は独立して、C1~C6-アルキル、C5~6-シクロアルキル、C1~10-アルキル-O-C1~10アルキル又はC6-アリール基である;
各Arは、フェニル環、又は5或いは6員環のヘテロアリール環であり;
各R1は独立して、同じであってもよく又は異なっていてもよく、且つ水素原子、直鎖状若しくは分岐状のC1~C6-アルキル基であり;
各R2は独立して、同じであってもよく又は異なっていてもよく、且つCHR8’-R8基であり、ここで、R8は、H又は、直鎖状若しくは分岐状のC1~6-アルキル基であり、及びR8’はH又はC1~6アルキルである;
R3は、直鎖状若しくは分岐状のC1~C6-アルキル基、C7~20-アリールアルキル基、C7~20-アルキルアリール基若しくはC6~C20-アリール基であり;
R4はC(R9)3基であり、ここで、R9は、直鎖状若しくは分岐状のC1~C6-アルキル基である;
R5は水素原子であり;
R6は水素原子であり;又は
R5及びR6は、一緒になって、5員環の飽和炭素環を形成してもよく;
R7は、直鎖状若しくは分岐状のC1~C6-アルキル基又は、3~20個の炭素原子を有する、1~3個のR11基によって置換されていてもよい、アリール若しくはヘテロアリール基、例えば1~3個のR11基によって置換されていてもよい、フェニル環若しくは5或いは6員環のヘテロアリール環、であり;及び
各R11は独立して、同じであってもよく又は異なっていてもよく、且つ水素原子、直鎖状若しくは分岐状のC1~C6-アルキル基である。
【0130】
より好ましい実施態様において、該メタロセン錯体は下記の式(XVI)のものでありうる。
【0131】
【化14】
【0132】
各Xは独立して、シグマドナーリガンドであり;
Mは、Zr又はHfであり;
Lは、-R'2C-又は-R'2Si-から選択される二価架橋であり;ここで、各R'は独立して、C1~C6-アルキル、C5~6-シクロアルキル、C1~10-アルキル-O-C1~10アルキル又はC6-アリール基である;
各Arは、フェニル環、又は5或いは6員環のヘテロアリール環であり;
各R1は独立して、同じであってもよく又は異なっていてもよく、且つ水素原子、直鎖状若しくは分岐状のC1~C6-アルキル基であり;
各R2は独立して、同じであってもよく又は異なっていてもよく、且つCHR8’-R8基であり、ここで、R8は、H又は、直鎖状若しくは分岐状のC1~6-アルキル基であり、及びR8’はH又はC1~6アルキルである;
R3は、直鎖状又は分岐状のC1~C6-アルキル基であり;
R4はC(R9)3基であり、ここで、R9は、直鎖状若しくは分岐状のC1~C6-アルキル基である;
R5及びR6は、一緒になって、5員環の飽和炭素環を形成してもよく;
R7は、1~3個のR11基によって置換されていてもよい、フェニル環又は5或いは6員環のヘテロアリール環であり;及び
各R11は独立して、同じであってもよく又は異なっていてもよく、且つ水素原子、直鎖状若しくは分岐状のC1~C6-アルキル基である。
【0133】
より好ましい実施態様において、該メタロセン錯体は下記の式(XVII)のものでありうる。
【0134】
【化15】
【0135】
各Xは独立して、シグマドナーリガンドであり;
Mは、Zr又はHfであり;
Lは、-R'2C-又は-R'2Si-から選択される二価架橋であり、ここで、各R'は独立して、C1~C6-アルキル、C5~6-シクロアルキル、C1~10-アルキル-O-C1~10アルキル又はC6-アリール基である;
各R1は独立して、同じであってもよく又は異なっていてもよく、且つ水素原子、直鎖状若しくは分岐状のC1~C6-アルキル基であり;
各R2は独立して、同じであってもよく又は異なっていてもよく、且つCH2-R8基であり、ここで、R8は、H又は、直鎖状若しくは分岐状のC1~6-アルキル基である;
R3は、直鎖状又は分岐状のC1~C6-アルキル基であり;
R4はC(R9)3基であり、ここで、R9は、直鎖状若しくは分岐状のC1~C6アルキル基である;
R5は水素原子であり;
R6は水素原子であり;又は
R5及びR6は、一緒になって、5員環の飽和炭素環を形成してもよく;
R7は、1~3個のR11基によって置換されていてもよいフェニル基であり;
各R11は独立して、同じであってもよく又は異なっていてもよく、且つ水素原子、直鎖状若しくは分岐状のC1~C6-アルキル基である。
【0136】
より好ましい実施態様において、該メタロセン錯体は下記の式(XVIII)のものでありうる。
【0137】
【化16】
【0138】
各Xは独立して、シグマドナーリガンドであり;
Mは、Zr又はHfであり;
Lは-R'2Si-であり;ここで、各R'は独立して、C1~C6-アルキル、C5~6-シクロアルキル、C1~10-アルキル-O-C1~10アルキル又はC6-アリール基である;
各R1は独立して、同じであってもよく又は異なっていてもよく、且つ水素原子、直鎖状若しくは分岐状のC1~C6-アルキル基であり;
各R2は独立して、同じであってもよく又は異なっていてもよく、且つCH2-R8基であり、ここで、R8は、H又は、直鎖状若しくは分岐状のC1~6-アルキル基R2、例えばメチル、である;
R3は、直鎖状又は分岐状のC1~C6-アルキル基であり、
R4はC(R9)3基であり、ここで、R9は、直鎖状若しくは分岐状のC1~C6アルキル基である;
R6は、O-C1~C6-アルキル基であり;
R5はC(R9)3基であり、ここで、R9は、直鎖状若しくは分岐状のC1~C6アルキル基であり;又は
R5及びR6は、一緒になって、5員環の飽和炭素環を形成してもよく;
R7は、H又は、1~3個のR11基によって置換されていてもよいフェニル基であり;
各R11は独立して、同じであってもよく又は異なっていてもよく、且つ水素原子、直鎖状若しくは分岐状のC1~C6-アルキル基である。
【0139】
より好ましい実施態様において、該メタロセン錯体は下記の式(XIX)のものでありうる。
【0140】
【化17】
【0141】
各Xは独立して、シグマドナーリガンドであり;
Mは、Zr又はHfであり;
Lは-R'2Si-であり;ここで、各R'は独立して、C1~C6-アルキル、C5~6-シクロアルキル、C1~10-アルキル-O-C1~10アルキル又はC6-アリール基である;
各R1は独立して、同じであってもよく又は異なっていてもよく、且つ水素原子、直鎖状若しくは分岐状のC1~C6-アルキル基であり;
各R2は独立して、同じであってもよく又は異なっていてもよく、且つCH2-R8基であり、ここで、R8は、H又は、直鎖状若しくは分岐状のC1~6-アルキル基R2、例えばメチル、である;
R6は、O-C1~C6-アルキル基であり;
R5はC(R9)3基であり、ここで、R9は、直鎖状若しくは分岐状のC1~C6アルキル基であり;
R5’はO-C1~C6-アルキル基であり;
R6’は、C(R9)3基であり、ここで、R9は、直鎖状若しくは分岐状のC1~C6アルキル基であり;又は
R5及びR6は、一緒になって、5員環の飽和炭素環を形成してもよく;
R5’及びR6'は、一緒になって、5員環の飽和炭素環を形成してもよく;
R7は、H又は、1~3個のR11基によって置換されていてもよいフェニル基であり;
各R11は独立して、同じであってもよく又は異なっていてもよく、且つ水素原子、直鎖状若しくは分岐状のC1~C6-アルキル基である。
【0142】
より好ましい実施態様において、該メタロセン錯体は下記の式(XX)のものでありうる。
【0143】
【化18】
【0144】
各Xは独立して、シグマドナーリガンドであり;
Mは、Zr又はHfであり;
Lは-R'2Si-であり;ここで、各R'は独立して、C1~C6-アルキル、C5~6-シクロアルキル、C1~10-アルキル-O-C1~10アルキル又はC6-アリール基である;
各R1は独立して、同じであってもよく又は異なっていてもよく、且つ水素原子、直鎖状若しくは分岐状のC1~C6-アルキル基であり;
各R2は独立して、同じであってもよく又は異なっていてもよく、且つCH2-R8基であり、ここで、R8は、H又は、直鎖状若しくは分岐状のC1~6-アルキル基である;
R3は、直鎖状又は分岐状のC1~C6-アルキル基であり、
R4はC(R9)3基であり、ここで、R9は、直鎖状若しくは分岐状のC1~C6アルキル基である;
R7は、1~3個のR11基によって置換されていてもよいフェニル基であり;
各R11は独立して、同じであってもよく又は異なっていてもよく、且つ水素原子、直鎖状若しくは分岐状のC1~C6-アルキル基である。
【0145】
より好ましい実施態様において、該メタロセン錯体は下記の式(XXI)のものでありうる。
【0146】
【化19】
【0147】
各Xは独立して、シグマドナーリガンド、例えばハロゲン原子、直鎖状若しくは分岐状のC1~4-アルキル若しくはC1~4-アルコキシ基、フェニル基又はベンジル基、であり;
Mは、Zr又はHfであり;
Lは-R'2Si-であり;ここで、各R'は独立して、C1~C6-アルキル、C5~6-シクロアルキル、C1~10-アルキル-O-C1~10アルキル又はC6-アリール基である;
各R1は独立して、同じであってもよく又は異なっていてもよく、且つ水素原子、直鎖状若しくは分岐状のC1~C6-アルキル基であり;
R3は、直鎖状又は分岐状のC1~C6-アルキル基であり;
R4はC(R9)3基であり、ここで、R9は、直鎖状若しくは分岐状のC1~C6アルキル基である;
R7は、1~3個のR11基によって置換されていてもよいフェニル基であり;
各R11は独立して、同じであってもよく又は異なっていてもよく、且つ水素原子、直鎖状若しくは分岐状のC1~C6-アルキル基である。
【0148】
より好ましい実施態様において、該メタロセン錯体は下記の式(XXII)のものでありうる。
【0149】
【化20】
【0150】
各Xは独立して、シグマドナーリガンド、例えばハロゲン原子、直鎖状若しくは分岐状のC1~4-アルキル若しくはC1~4-アルコキシ基、フェニル基又はベンジル基、であり;
Lは-Me2Si-であり;
各R1は独立して、同じであってもよく又は異なっていてもよく、且つ水素原子、直鎖状若しくは分岐状のC1~C6-アルキル基であり;
R3は、直鎖状又は分岐状のC1~C6-アルキル基であり、
R4はC(R9)3基であり、ここで、R9は、直鎖状若しくは分岐状のC1~C6アルキル基である;
R7は、1~3個のR11基によって置換されていてもよいフェニル基であり;
各R11は独立して、同じであってもよく又は異なっていてもよく、且つ水素原子、直鎖状若しくは分岐状のC1~C6-アルキル基である。
【0151】
本発明の特に好ましい錯体は、下記を包含する:
rac-ジメチルシランジイル-ビス-[2-メチル-4-(3’,5’-ジメチルフェニル)-5-メトキシ-6-tert-ブチルインデン-1-イル]ジルコニウムジクロリド、
rac-アンチ-ジメチルシランジイル[2-メチル-4-(4’-tert.-ブチルフェニル)-インデン-1-イル][2-メチル-4-(4’-tert.-ブチルフェニル)-5-メトキシ-6-tert-ブチルインデン-1-イル]ジルコニウムジクロリド、
rac-アンチ-ジメチルシランジイル[2-メチル-4-(4’-tert.-ブチルフェニル)-インデン-1-イル][2-メチル-4-フェニル-5-メトキシ-6-tert-ブチルインデン-1-イル]ジルコニウムジクロリド、
rac-アンチ-ジメチルシランジイル[2-メチル-4-(3’,5’-ジtert-ブチルフェニル)-1,5,6,7-テトラヒドロ-s-インダセン1-イル][2-メチル-4-(3’,5’-ジメチル-フェニル)-5-メトキシ-6-tert-ブチルインデン-1-イル]ジルコニウムジクロリド、
rac-アンチ-ジメチルシランジイル[2-メチル-4,8-ビス-(4’-tert-ブチルフェニル)-1,5,6,7-テトラヒドロ-s-インダセン1-イル][2-メチル-4-(3’,5’-ジメチル-フェニル)-5-メトキシ-6-tert-ブチルインデン-1-イル]ジルコニウムジクロリド、
rac-アンチ-ジメチルシランジイル[2-メチル-4,8-ビス-(3’,5’-ジメチルフェニル)-1,5,6,7-テトラヒドロ-s-インダセン1-イル][2-メチル-4-(3’,5’-ジメチルフェニル)-5-メトキシ-6-tert-ブチルインデン-1-イル]ジルコニウムジクロリド、
rac-アンチ-ジメチルシランジイル[2-メチル-4,8-ビス-(3’,5’-ジメチルフェニル)-1,5,6,7-テトラヒドロ-s-インダセン1-イル][2-メチル-4-(3’,5’-ジtert-ブチル-フェニル)-5-メトキシ-6-tert-ブチルインデン-1-イル]ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシランジイルビス[2-メチル-4-(3,5-ジメチルフェニル)-1,5,6,7-テトラヒドロ-s-インダセン1-イル]ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシランジイルビス(2-メチル-4-(3’,5’-ジtertブチルフェニル)-5-メトキシ-6-tert-ブチルインデン-1-イル)ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシランジイルビス[2-メチル-4-(4’-tert-ブチルフェニル)-1,5,6,7-テトラヒドロ-s-インダセン1-イル]ジルコニウムジクロリド、
又はそれらのHf類似体Hf類似体。
【0152】
疑いを避けるために、上記で提供された置換基の任意のより狭い定義は、任意の他の置換基の任意の他の広い又は狭くされた定義と組み合わせられることができる。上記記載の全体にわたって、置換基のより狭い定義が示されている場合には、より狭い定義が、本出願における他の置換基の全てのより広い及びより狭い定義と関連して開示されているとみなされる。
【0153】
錯体を形成する為に必要とされるリガンド、従って本発明の触媒は、任意のプロセスによって合成することができ、当業者である有機化学者は、必要なリガンド材料の製造の為の様々な合成プロトコルを考案することができるであろう。例として、国際公開第2007/116034号パンフレットが、必要な化学的性質を開示している。合成プロトコルはまた、一般的に、国際公開第2002/02576号パンフレット、国際公開第2011/135004号パンフレット、国際公開第2012/084961号パンフレット、国際公開第2012/001052号パンフレット、国際公開第2011/076780号パンフレット、国際公開第2015/158790号パンフレット、及び国際公開第2018/122134号パンフレットに開示されている。実施例の部がまた、当業者に十分な指示を提供する。
【0154】
助触媒
【0155】
活性な触媒種を形成する為に、当技術分野において周知である助触媒を使用する必要が通常ある。
【0156】
本発明に従うと、ホウ素含有助触媒とアルミノキサン助触媒とを含む助触媒系が、上記で定義されたメタロセン触媒錯体と組み合わせて使用される。
【0157】
該アルミノキサン助触媒は、下記の式(A)のものでありうる:
【0158】
【化21】
【0159】
ここで、nは6~20であり、及びRは下記の意味を有する。
【0160】
アルミノキサンは、有機アルミニウム化合物の部分的加水分解、例えば式AlR3、AlR2Y及びAl2R3Y3の部分的加水分解、で形成され、ここで、Rは例えば、C1~C10-アルキル、好ましくはC1~C5-アルキル若しくはC3~C10-シクロアルキル、C7~C12-アリールアルキル若しくはアルキルアリール、及び/又はフェニル若しくはナフチルであり得、及びここで、Yは、水素原子、ハロゲン、好ましくは塩素原子若しくは臭素原子、又はC1~C10-アルコキシ、好ましくはメトキシ若しくはエトキシ、でありうる。結果として生じる酸素含有アルミノキサンは一般的に、純粋な化合物でなく、しかし、式(A)のオリゴマーの混合物である。
【0161】
好ましいアルミノキサンは、メチルアルミノキサン(MAO)である。助触媒として、本発明に従って使用される該アルミノキサンは、それらの製造の様式の為に、純粋な化合物ではない故に、本明細書の下記においてアルミノキサン溶液のモル濃度は、それらのアルミニウム含有量に基づく。
【0162】
本発明に従うと、また、ホウ素含有助触媒が、アルミノキサン助触媒と組み合わせて使用される。関心のあるホウ素含有助触媒は、下記の式(B)のものを包含する。
BY3 (B)
ここで、Yは、同じであってもよく又は異なっていてもよく、且つ水素原子、1~約20個の炭素原子を有するアルキル基、6~約15個の炭素原子を有するアリール基、アルキルアリール、アリールアルキル、ハロアルキル若しくはハロアリールであり、ここで、該アルキルラジカルのそれぞれが1~10個の炭素原子を有し、且つ該アリールラジカルのそれぞれが6~20個の炭素原子を有する、又はフッ素原子、塩素原子、臭素原子若しくはヨード原子を有する。Yについての好ましい例は、フッ素原子、トリフルオロメチル、芳香族フッ素化基(aromatic fluorinated group)、例えば、p-フルオロフェニル、3,5-ジフルオロフェニル、ペンタフルオロフェニル、3,4,5-トリフルオロフェニル、及び3,5-ジ(トリフルオロメチル)フェニルである。好ましい選択肢は、トリフルオロボラン、トリス(4-フルオロフェニル)ボラン、トリス(3,5-ジフルオロフェニル)ボラン、トリス(4-フルオロメチルフェニル)ボラン、トリス(2,4,6-トリフルオロフェニル)ボラン、トリス(ペンタ-フルオロフェニル)ボラン、トリス(3,5-ジフルオロフェニル)ボラン、及び/又はトリス(3,4,5-トリフルオロフェニル)ボランである。
【0163】
トリス(ペンタフルオロフェニル)ボランが特に好ましい。
【0164】
しかしながら、ボレート、すなわち、ボレートを含有する化合物、が使用されることが好ましい。
【0165】
これらの化合物は一般的に、下記の式(C)のアニオンを含む:
(Z)4B- (C)
ここで、Zは、置換されていてもよいフェニル誘導体であり、ここで、該置換基はハロo-C1~6-アルキル又はハロ基である。好ましい選択肢は、フルオロ又はトリフルオロメチルである。最も好ましくは、該フェニル基が、フッ素化されている。
【0166】
そのようなイオン性助触媒は好ましくは、弱く配位するアニオン(weakly-coordinating anion)、例えば、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート又はテトラキス(3,5-ジ(トリフルオロメチル)フェニル)ボレート、である。
【0167】
好適なカチオン性対イオンは、トリフェニルカルベニウムを包含し、又はプロトン化されたアミン若しくはアニリンの誘導体、例えば、メチルアンモニウム、アニリニウム、ジメチルアンモニウム、ジエチルアンモニウム、N-メチルアニリニウム、ジフェニルアンモニウム、N,N-ジメチルアニリニウム、トリメチルアンモニウム、トリエチルアンモニウム、トリ-n-ブチルアンモニウム、メチルジフェニルアンモニウム、ピリジニウム、p-ブロモ-N,N-ジメチルアニリニウム、若しくはp-ニトロ-N,N-ジメチルアニリニウムである。
【0168】
本発明に従って使用されうる好ましいイオン性化化合物は、下記を包含する:
トリブチルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、
トリブチルアンモニウムテトラキス(トリフルオロメチルフェニル)ボレート、
トリブチルアンモニウムテトラキス(4-フルオロフェニル)ボレート、
N,N-ジメチルシクロヘキシルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、
N,N-ジメチルベンジルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、
N,N-ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、
N,N-ジ(プロピル)アンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、
ジ(シクロヘキシル)アンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、
トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、又は
フェロセニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート。
【0169】
好ましくは、下記が与えられる:
トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、
N,N-ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、
N,N-ジメチルシクロヘキシルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、又は
N,N-ジメチルベンジルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート。
【0170】
或るホウ素含有助触媒が特に好ましいことが驚くべきことに見出された。それ故に、本発明において使用する好ましいボレートは、トリチル、すなわちトリフェニルカルベニウムイオン、を含む。従って、Ph3CB(PhF5)4及びそれらの類似体の使用が特に好まれる。
【0171】
助触媒の適切な量は、当業者に周知であろう。
【0172】
好ましくは、助触媒の量は、定義されたモル比未満に達するように選択される。
【0173】
該メタロセンの金属イオンM(好ましくは、ジルコニウム)に対するホウ素(B)の供給量のモル比 ボロン/Mは、0.1:1~10:1モル/モル、好ましくは0.3:1~7:1、特には0.3:1~5:1モル/モル、の範囲にある。
【0174】
さらにより好ましくは、該メタロセンの金属イオンM(好ましくは、ジルコニウム)に対するホウ素(B)の供給量のモル比 ボロン/Mは、0:3:1~3:1である。
【0175】
該メタロセンの金属イオンM(好ましくは、ジルコニウム)に対する該アルミノキサンからのアルミニウムのモル比 Al/Mが、1:1~2000:1モル/モル、好ましくは10:1~1000:1、より好ましくは50:1~600:1モル/モル、の範囲にある。
【0176】
触媒系
【0177】
上記された該メタロセン錯体は、上記された適切な助触媒の組み合わせと一緒に使用される。
【0178】
本発明の触媒系は、担持された形態で使用される。使用される粒子状支持体材料は、シリカ、無機多孔質支持体、例えば、シリカ、アルミナ、又は混合された酸化物(mixed oxide)、例えばシリカ-アルミナ、であり、特にシリカ、である。
【0179】
シリカ支持体の使用が好ましい。
【0180】
特に好ましくは、国際公開第94/14856号パンフレット、国際公開第95/12622号パンフレット、国際公開第2006/097497号パンフレット及びヨーロッパ特許出願第EP18282666号明細書に記載されている方法に類似した方法を使用して、該錯体が粒子状支持体の孔内に付与されうるように該支持体は多孔質材料である。
【0181】
該支持体、例えばシリカ支持体、の平均粒子サイズが、10~100μmでありうる。しかしながら、該支持体が15~80μm、好ましくは18~50μm、の平均粒子サイズを有する場合に、特別な利点が得られることができることが判明した。
【0182】
該支持体、例えばシリカ支持体、の平均孔サイズは10~100nmの範囲であってもよく、及び、孔容積が1~3mL/gの範囲であってもよい。
【0183】
適切な支持材料の例は、例えば、PQコーポレーション(PQ Corporation)によって製造及び販売されているES757、グレース(Grace)によって製造及び販売されているSylopol 948、又はAGC Si-Tech Coによって製造されたSUNSPERA DM-L-303 silicaである。最適なシラノール基含有量に到達する為に、触媒調製において使用する前に、支持体は任意的に焼成されることができる。
【0184】
これらの支持体の使用は、当技術分野において日常的である。
【0185】
該触媒は、シリカの1グラム当たり5~500マイクロモル、例えば10~100マイクロモル、の遷移金属と、シリカの1グラム当たり3~15ミリモルのAlとを含むことができる。
【0186】
調製工程:
【0187】
工程a)
工程a)において、該多孔性無機担体は、アルミノキサン助触媒で処置される。
【0188】
好ましくは、該支持体はシリカである。好ましくは、該反応は、3~12ミリモルのAl/gの支持体の範囲の支持体に対するアルミノキサン中のAlの合成化学量論で行われる。
【0189】
該支持体は好ましくは、その表面から水分を除去する為に、工程a)の前にか焼される。該か焼の温度は通常、200~800℃の範囲、好ましくは400~650℃の範囲、である。
【0190】
次に、該多孔性無機担体、好ましくはシリカ支持体、は、適切な炭化水素溶媒、例えばトルエン、中に懸濁される。該懸濁は、例えば、15℃~25℃の温度で、不活性気体雰囲気下、例えば窒素下、行われうる。
【0191】
該支持体/溶媒、好ましくはシリカ/トルエン、の懸濁液が、数分間、好ましくは5~60分間、より好ましくは10~30分間、攪拌される。
【0192】
次に、アルミノキサン助触媒、好ましくはMAO(例えば、トルエン中の30重量%溶液として)が、好ましくはSiO2の1g当たり3~12ミリモルのAlの化学量論で、支持体/シリカ/トルエン懸濁液に添加される。
【0193】
本発明に従うと、アルミノキサン助触媒の全部又は大部分が、工程a)において添加される。従って、アルミノキサン助触媒の総量の75.0~100.0重量%、好ましくは77.0~95.0重量%、より好ましくは85.0~92.0重量%、が、工程a)において添加される。
【0194】
一つの実施態様において、該アルミノキサン助触媒の97.1~100%が、工程a)において添加される。
【0195】
アルミノキサン助触媒、支持体/溶媒/アルミノキサンの添加後、混合物は、例えば60℃~120℃、好ましくは70℃~120℃、より好ましくは80℃~120℃、なおより好ましくは80℃~100℃、の範囲の温度に任意的に加熱されてもよい。該支持体は好ましくは、シリカであり、及び溶媒は好ましくはトルエンである。
【0196】
該混合物は、この温度で、数分から数時間、好ましくは60分~5時間、より好ましくは90分~3時間、撹拌されうる。
【0197】
その後、攪拌が停止され、そのようにして得られたスラリーが沈降され、そして母液が、例えばフィルターで取り除く又はデカンテーションによって、除去される。
【0198】
引き続き、残りのアルミノキサン助触媒で処置された支持体は好ましくは、1以上の回数、例えば1回若しくは2回、より好ましくは2回、トルエンで、そして任意的に、ヘプタンで1回以上、70℃~115℃、好ましくは80℃~110℃、より好ましくは90℃~100℃、の範囲の高められた温度で、固体の活性化された支持体を得る為に洗われる。
【0199】
好ましくは、引き続き、該アルミノキサン助触媒で処置された支持体、好ましくはアルミノキサン助触媒で処置されたシリカ支持体、は好ましくは、最初に適切な温度で、例えば40~80℃で、好ましくは50~70℃で、より好ましくは58~62℃で、窒素雰囲気下、そして引き続き真空下で、乾燥される。
【0200】
工程b)
工程b)において、該メタロセン錯体は、ホウ素含有助触媒と、及び任意的にアルミノキサン助触媒と、適切な炭化水素溶媒、例えばトルエン、と一緒にされる。好ましくは、工程a)と同じ炭化水素溶媒が使用される。
【0201】
任意の混合順序が可能である。該ホウ素含有助触媒、好ましくはボレート助触媒、が添加されて、メタロセン錯体の溶液を得ることができる。次に、該溶液が任意的に、アルモキサン助触媒と一緒にされうる。
【0202】
しかしながら、任意の他の混合順序が可能である。代替的には、該メタロセン錯体は、任意のアルモキサン及び炭化水素と最初に混合され、続いてホウ素含有助触媒が添加される。
【0203】
全ての成分は、同時に一緒にされうる。
【0204】
該ホウ素含有助触媒、好ましくはボレート助触媒、は好ましくは、0.1:1~10:1の範囲の、供給量のホウ素/Mのモル比が達成される量で添加される。好ましくは、供給量のホウ素/Mのモル比は好ましくは、0.3:1~7:1、より好ましくは0.3:1~5.0:1、最も好ましくは0.3:1~3:1、例えば1:1、の範囲である。Mは好ましくは、Hf又はZr、より好ましくはZr、である。
【0205】
そのようにして得られた溶液は適切な時間、好ましくは10~180分間、より好ましくは20~100分間、さらにより好ましくは40~80分間、攪拌される。攪拌は、10℃~30℃、好ましくは15℃~25℃、の温度で行われる。
【0206】
この工程において、添加されたアルミノキサン助触媒、好ましくはMAO、(例えば、トルエン中の30重量%溶液として)の量は、アルミノキサン助触媒の総量の0.0~25.0重量%、好ましくは5.0~23.0重量%、より好ましくは8.0~13.0重量%、である。一つの実施態様において、アルミノキサンの0~2.9重量%が、工程b)において添加される。
【0207】
一つの実施態様において、ホウ素含有助触媒、アルミノキサン及びメタロセンが同時に一緒にされる。一つの実施態様において、該アルミノキサンは、メタロセンとホウ素含有助触媒との組み合わせに添加される。一つの実施態様において、該アルミノキサンとホウ素含有助触媒とが一緒にされ、そして、該メタロセンに添加される。別の実施態様に従うと、アルミノキサンは一緒にされないが、ホウ素含有助触媒及びメタロセンのみが工程b)において一緒にされる。
【0208】
工程c)
次に、工程b)において得られた溶液が、工程a)において得られた、アルミノキサン助触媒で処置された支持体に添加されて、担持された触媒系を得る。
【0209】
工程d)
任意の最終工程において、そのようにして得られた担持された触媒系は、適切な炭化水素溶媒、例えばトルエン又はヘプタン、で洗われてもよく、そして次に、好ましくは真空中で乾燥されて、自由流動性粉末を得ることができる。
【0210】
必要に応じて、該得られた担持された触媒系は、所望の固形含有量を有する油スラリーとして提供されうる。該スラリー中の固体触媒含有量は例えば、30重量%以下、例えば25重量%以下、でありうる。
【0211】
支持体、アルミノキサン、好ましくはMAO、ホウ素含有助触媒及びメタロセン、の量は、所望された上記で定義された比(ホウ素/M、Al/M、Al/SiO2、M/SiO2)に依存する。
【0212】
他の観点から見ると、本発明は、担持された触媒系を調製する方法であって、該触媒系が、
(i)メタロセン錯体;
(ii)ホウ素含有助触媒とアルミノキサン助触媒とを含む助触媒系;及び
(iii)多孔質無機支持体
を含み、
ここで、該方法が、
a)多孔質無機支持体をアルミノキサン助触媒と、炭化水素溶媒中で処置すること、引き続き、該アルミノキサン処置された支持体の熱処理すること;
b)メタロセン錯体を、ホウ素含有助触媒と及び任意的にアルミノキサン助触媒と、炭化水素溶媒中で一緒にすること;
c)工程b)の溶液を工程a)の該処置された該支持体上に付与すること;
の工程を含み、
ここで、工程a)において添加されたアルミノキサン助触媒の量が、アルミノキサン助触媒の総量の75.0~100.0重量%であり、及び工程b)において添加されたアルミノキサン助触媒の量が、アルミノキサン助触媒の総量の0.0~25.0重量%である、
を含む、上記方法を提供する。
【0213】
重合
【0214】
本発明に従って調製される触媒系は、高活性レベル、高分子量、従って低MFRを有する、且つ理想的な融点を有する、且つ好ましくはプロピレンホモポリマーの高められた融点を有する、プロピレンホモポリマー又はコポリマー、特にエチレンとのコポリマー、の形成に特に適している。
【0215】
本発明の方法における重合は、慣用的な重合技術、例えば、気相、液相、スラリー若しくは塊状重合、又はそれらの組み合わせ、例えば、スラリーと少なくとも1つの気相反応器との組み合わせ、を使用して、1以上の、例えば1、2又は3個の、重合反応器中で行われうる。
【0216】
この方法はまた、予備重合工程を含みうる。この予備重合工程は、ポリマー合成において日常的に使用される慣用的な工程であり、且つ当技術分野において論じられている通り、エマルジョン/固化技術で調製される触媒の為に使用される触媒オフライン予備重合工程(catalyst off-line prepolymerization step)とは区別されるべきである。
【0217】
一般的に、使用される触媒の量は、触媒の性質、反応器のタイプ及び条件、並びにポリマー生成物に所望される特性に依存するであろう。当技術分野で周知である通り、水素が、ポリマーの分子量を制御する為に使用されることができる。
【0218】
本発明に従って調製された触媒系は特に、優れた触媒活性を有し、且つまた、高重量平均分子量Mwのポリマーを提供することができる。
【0219】
バルク及び気相の共重合反応の場合、使用される反応温度は一般的に60~115℃(例えば、70~90℃)の範囲であり、塊状重合がわずかに高い圧力で操作される気相反応の場合、反応器圧力は一般的に、10~25バールの範囲である。滞留時間は一般的に、0.25~8時間(例えば、0.5~4時間)である。使用される気体は、任意的に非反応性気体、例えば窒素又はプロパン、との混合物としての、モノマーである。重合が少なくとも60℃の温度で生じることは、本発明の特定の特徴である。
【0220】
ポリマー
特許請求の範囲に請求された触媒が高分子量を有するポリマーの形成を可能にすることが本発明の特徴である。これらの特徴は、商業的に興味深い重合温度、例えば60℃以上、で達成されることができる。本発明の触媒が、少なくとも60℃、好ましくは少なくとも70℃、例えば少なくとも80℃、の温度でプロピレンを重合する為に使用されることが本発明の好ましい特徴である。特定の実施態様において、本発明の触媒を使用して得られるプロピレンポリマーは、2.0以上、例えば2.2~4.5、の多分散度指数(polydispersity index)(Mw/Mn)を有する。
【0221】
ポリプロピレンホモポリマー
本発明に従って調製された触媒系によって製造されたポリプロピレンホモポリマーは、Mw調節剤として使用される水素の使用及び量に応じて、50~2000kg/モルの範囲、好ましくは100~1500kg/モルの範囲、より好ましくは150~1000kg/モルの範囲、さらにより好ましくは200~800kg/モルの範囲、でのMw(重量平均分子量)値で製造されることができる。本発明の触媒は、高融点を有するポリプロピレンホモポリマーの形成を可能にする。好ましい実施態様において、本発明の方法によって形成されたプロピレンホモポリマーは、149.0℃超、好ましくは149.5℃超、特に150.0℃超、の融点を有する。158.0℃以下、又は160.0℃以下の融点を有するプロピレンホモポリマーが可能である。
【0222】
本発明の触媒によって製造されるポリマーは、あらゆる種類の最終製品、例えば、パイプ、フィルム(キャスト、ブロー(blown)又はBOPPフィルム、例えばコンデンサフィルムのBOPP等)、繊維、成形品(例えば、射出成形、ブロー成形、回転成形品)、押出コーティング等、に有用である。
【0223】
本発明は、下記の非制限的な実施例及び図を参照することによって説明されるだろう。
【0224】
測定方法
【0225】
(a)メルトフローレート(MFR)
該メルトフローレートは、ポリプロピレンについて、ISO 133 15(230℃,2.16kg荷重(load))に従って、MFR2として測定される。該MFRはポリマーの流動性を示し、従って加工性を示す。メルトフローレートが高いほど、ポリマーの粘度が低い。
【0226】
(b)数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw)、及び多分散度(Mw/Mn)
平均分子量(Mz、Mw及びMn)、分子量分布(MWD:Molecular weight distribution)及び多分散性指数、PDI=Mw/Mn(ここで、Mnは数平均分子量であり、且つMwは重量平均分子量である)によって記されるその幅広さは、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC:Gel Permeation Chromatography)によって、ISO16014-1:2003、ISO16014-2:2003、ISO16014-4:2003及びASTM D6474-12に従って、下記の式を使用して決定された。
【0227】
【数1】
【0228】
一定の溶出容量間隔(constant elution volume interval)ΔViの場合、ここで、Ai及びMiはそれぞれ、溶出容量Viに関連付けられたクロマトグラフィーピークスライス面積及びポリオレフィン分子量(MW)であり、ここで、Nは、複数の統合限界(integration limits)の間のクロマトグラムから得られたデータポイントの数に等しい。
【0229】
赤外(IR)検出器(PolymerChar(Valencia,スペイン)製のIR4若しくはIR5、又は3×Agilent-PLgel Olexis及び1×Agilent-PLgel Olexis Guardカラムを備えられたAgilent Technologies製の示差屈折率計(RI)、のいずれかを備えられた高温GPC機器が使用された。溶媒及び移動相として、250mg/Lの2,6-ジtertブチル-4-メチル-フェノール)で安定化された1,2,4-トリクロロベンゼン(TCB)が使用された。該クロマトグラフィーシステムは、160℃で、1mL/分の一定流速で動作された。サンプル溶液200μLが、分析ごとに注入された。データ収集が、Agilent Cirrusソフトウェアバージョン3.3又はPolymerChar GPC-IR制御ソフトウェアのいずれかを使用して実施された。
【0230】
該カラムのセットは、ユニバーサル較正(ISO 16014-2:2003に従う)を使用して、0.37kg/モル~13,200kg/モルの範囲の12の狭いMWDポリスチレン(PS)標準を用いて較正された。該PS標準は、数時間にわたって室温で、又は代替的には30分間、160℃で、溶解された。ポリオレフィン分子量へのポリスチレンピーク分子量の変換は、下記のMark Houwink等式及び下記のMark Houwink定数を使用することによって達成される。
【0231】
【数2】
【0232】
較正データをフィットさせる為に、三次多項式フィット(third order polynomial fit)が使用された。
【0233】
全てのサンプルが、0.5~1mg/mlの濃度範囲で調製され、そして、穏やかな連続的振盪下で、160℃で、PPについては2.5時間、PEについては3時間、溶解された。
【0234】
(c)DSC分析、主なピーク融解温度(Tm)
示差走査熱量測定(DSC)実験が、ISO 11357/1に従ってインジウム、亜鉛、及びスズで較正されたメトラートレド(Mettler Toledo)DSC2デバイスで実行された。該測定は、窒素雰囲気下(50mL min-1)で、6±1mgのサンプルにおいて、ISO 11357/3に従って30℃~225℃で、10℃/分のスキャン速度で、加熱/冷却/加熱サイクルで実行された。結晶化温度(Tc)及び融解温度(Tm)がそれぞれ、冷却サイクル及び2番目の加熱サイクルにおける吸熱及び発熱のピークとして採られた。
【0235】
(d)触媒活性
該触媒活性が、下記の式に基づいて計算された。
【0236】
【数3】
【0237】
(e)金属活性
金属活性(M活性)が、下記の式に基づいて計算された。
【0238】
【数4】
【0239】
ここで、該触媒ローディング(catalyst loading)は、触媒中に存在する遷移金属(M)のグラムを云う。
【0240】
(f)Al、B及びZr決定(ICP法)
グローブボックスにおいて、該触媒(約40mg)のアリコートが、分析天びんを使用してガラス製の秤量用ボート(glass weighting boat)の中に秤量された。次に、空気取り入れ口を備えられた鋼製の二次容器に入れられながら、サンプルが一晩空気に暴露された。次に、5mLの濃(65%)硝酸が、該ボートの内容物をXpress電子レンジ容器(20mL)内に注ぎ入れるために使用された。次に、サンプルが、MARS 6ラボラトリーマイクロ波ユニットを使用して、150℃で35分間にわたってマイクロ波支援分解(microwave-assisted digestion)に付された。分解されたサンプルが少なくとも4時間冷やされた後、100mL容量のガラス製メスフラスコに移された。1000mg/L Y及びRh(0.4mL)を含む標準溶液が添加された。次に、フラスコが蒸留水で満たされ、そして十分に振盪された。該溶液が0.45μmのナイロンシリンジフィルターを通してろ過され、そして次に、Thermo iCAP 6300ICP-OES及びiTEVAソフトウェアを使用して分析に付された。
【0241】
該機器は、ブランク(5%HNO3の溶液)と0.005mg/L、0.01mg/L、0.1mg/L、1mg/L、10m/L及び100mg/Lの、5%HNO3蒸留水の溶液中のAl、B、Hf、Mg、Ti及びZrの6つの標準液を使用して、Al、B、Hf、Mg、Ti及びZrについて較正された。しかしながら、全てのキャリブレーションポイントが各波長に使用されたわけではない。各キャリブレーション溶液は、4mg/LのY及びRh標準液を含んでいた。Al 394.401nmが、下記のキャリブレーションポイントを使用して較正された:ブランク、0.1mg/L、1mg/L、10mg/L、及び100mg/L。Al 167.079nmが、ブランク、0.01mg/L、0.1mg/L、1mg/L、10mg/L、及び100mg/Lの標準を使用して、100mg/L及びZr339.198nmを除いて、Al 394.401nmとして較正された。曲線フィッティング(Curvilinear fitting)及び1/濃度の重み付けが、検量線の為に使用された。
【0242】
分析の直前に、ブランクと、4mg/L Y及びRhを有した、10mg/L Al、B、Hf、Mg、Ti、及びZrの標準を使用して、該較正が検証及び調整された(機器の再傾斜機能(instrument reslope function))。品質管理サンプル(QC:1mg/L Al、Au、Be、Hg及びSe;2mg/L Hf及びZr;2.5mg/L As、B、Cd、Co、Cr、Mo、Ni、P、Sb、Sn及びV;4mg/L Rh及びY;5mg/L Ca、K、Mg、Mn、Na及びTi;10mg/L Cu、Pb及びZn;25mg/L Fe及び37.5mg/L Ca,蒸留水中の5%HNO3の溶液中)が実行されて、Al、B、Hf、Mg、Ti及びZrについての再傾斜を確認した。該QCサンプルはまた、スケジュールされた分析セットの最後で実行された。
【0243】
Zrについての含有量が、Zr 339.198nm {99}ラインを使用してモニタリングされた。アルミニウムの含有量は、試験部分におけるAl濃度が2重量%以下である場合には167.079nm {502}ラインを介して及びAl濃度が2重量%超である場合には394.401nm {85}ラインを介してモニタリングされた。Y 371.030nm {91}が、Zr 339.198nm及びAl 394.401nmについての内部標準として使用され、及びY 224.306nm {450}がAl 167.079nmについての内部標準として使用された。Bの含有量が、B 249nmラインを使用してモニタリングされた。
【0244】
Bの含有量は、B 249nmラインを使用してモニタリングされた。報告された値は、該触媒アリコートの元の質量と希釈量とを使用して、元の触媒サンプルに逆算された。
【0245】
触媒錯体
【0246】
本発明の実施例IE1及びIE2の為に並びに比較例CE1~CE5の為に使用されるプロピレンホモポリマーの重合プロセスにおいて使用された触媒錯体MC1は、下記の通りであった。
【0247】
【化22】
【0248】
該メタロセン(MC1) (rac-アンチ-ジメチルシランジイル(2-メチル-4-フェニル-5-メトキシ-6-tert-ブチル-インデニル)(2-メチル-4-(4-tert-ブチルフェニル)インデニル)ジルコニウムジクロリド)が、国際公開第2013/007650,E2号パンフレットに記載された通りに合成された。
【0249】
該触媒系は、メタロセンMC1と、MAO及びトリチルテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートの助触媒系とを使用して調製された。該触媒は、シリカ上に担持された。
【0250】
本発明の実施例IE3の為の並びに比較例CE6~CE7の為のプロピレンホモポリマーの重合プロセスにおいて使用された触媒錯体MC2は、国際公開第2019/007655号パンフレット,pp 49ffに記載された通りの手順に従って合成された、下記の(rac-アンチ-ジメチルシランジイル(2-メチル-4-(3’,5’-ジメチルフェニル)-1,5,6,7-テトラヒドロ-s-インダセン1-イル)(2-メチル-4-(3’,5’-ジメチルフェニル)-5-メトキシ-6-tert-ブチルインデン-1-イル)ジルコニウムジクロリド)であった。
【0251】
【化23】
【0252】
該触媒系は、メタロセンMC2と、MAO及びトリチルテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートの助触媒系とを使用して調製された。該触媒は、IE3について、シリカ上に担持された。
【0253】
本発明の実施例IE4、IE5の為の並びに比較例CE8の為のプロピレンホモポリマーの重合プロセスにおいて使用された触媒錯体MC3は、国際特許出願PCT/EP2019/056737号明細書(MC-3の合成)に記載された通りの手順に従って合成された、下記のrac-アンチ-ジメチルシランジイル[2-メチル-4,8-ビス(3’,5’-ジメチルフェニル)-1,5,6,7-テトラヒドロ-s-インダセン1-イル][2-メチル-4-(3’,5’-ジメチルフェニル)-5-メトキシ-6-tert-ブチルインデン-1-イル]ジルコニウムジクロリドであった。
【0254】
【化24】
【0255】
触媒錯体MC4は、下記のrac-ジメチルシランジイルビス[2-メチル-4-(3,5-ジメチルフェニル)-1,5,6,7-テトラヒドロ-s-インダセン1-イル]ジルコニウムジクロリドである。
【0256】
【化25】
【0257】
触媒錯体MC5は、下記のrac-ジメチルシランジイルビス(2-メチル-4-(3’,5’-ジメチルフェニル)-5-メトキシ-6-tert-ブチルインデン-1-イル)ジルコニウムジクロリドである。
【0258】
【化26】
【0259】
助触媒:
トリチルボレート=Bolder Corpによって提供されたトリチルテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート
【0260】
MAO-シリカ支持体の調製(オプションA)
【0261】
メカニカルスターラーとフィルターネットとを備えられた鋼製反応器が窒素でフラッシュされ、そして、反応器温度が20℃に設定された。次に、600℃で事前に焼成された、AGC Si-Tech CoからのシリカグレードDM-L-303(7.4kg)が供給ドラムから添加され、そして、手動バルブを使用して窒素で注意深く加圧及び減圧された。次に、トルエン(32.2kg)が加えられた。混合物が15分間撹拌された(40rpm)。次に、ランクセス(Lanxess)からのトルエン中のMAOの30重量%溶液(17.5kg)が、70分以内に該反応器の上部における12mmのラインを介して加えられた。次に、反応混合物が90℃まで加熱され、そして90℃でさらに2時間撹拌された。スラリーが沈降され、そして母液がフィルターで除かれた。MAOで処置されたシリカ支持体が90℃でトルエン(32.2kg)で2回洗われ、引き続き、沈降、そして濾過された。該反応器が60℃に冷やされ、そして固体がヘプタン(32.2kg)で洗われた。最後に、MAOで処置されたSiO2が60℃で2時間、窒素流下2kg/時間、圧力0.3バールgで乾燥され、そして次に、5rpmで撹拌しながら真空(-0.5バールg)下で5時間乾燥された。MAOで処置された支持体は、自由流動性の白色粉末として集められ、12.7重量%のAlを含むことがわかった。
【0262】
この支持体は、本発明の実施例1~4(ICS1、ICS2、ICS3及びICS4)、並びに全ての比較例1~5(CCS1~CCS5)の為に使用される。比較例CE6及びCE7において、シリカは使用されなかった。
【0263】
MAO-シリカ支持体の調製(オプションB)
メカニカルスターラーとフィルターネットを備えられた鋼製反応器が窒素でフラッシュされ、そして、反応器温度が20℃に設定された。次に、600℃で予備焼成したAGC Si-Tech CoのシリカグレードDM-L-303(5.0kg)が供給ドラムから添加され、そして、手動バルブを使用して窒素で注意深く加圧及び減圧された。次に、トルエン(21.8kg)が加えられた。混合物が15分間撹拌された(40rpm)。次に、ランクセス(Lanxess)からのトルエン中のMAOの30重量%溶液(9.0kg)が、70分以内に該反応器の上部における12mmのラインを介して加えられた。次に、反応混合物が90℃まで加熱され、そして90℃でさらに2時間撹拌された。スラリーが沈降され、そして母液がフィルターで除かれた。触媒が、トルエン(21.8kg)で、90℃で2回洗われ、引き続き、沈降、そして濾過された。該反応器が60℃に冷やされ、そして固体がヘプタン(21.8kg)で洗われた。最後に、MAOで処置されたSiO2が、60℃で2時間、窒素流下2kg/時間、圧力0.3バールgで乾燥され、そして次に、5rpmで撹拌しながら真空(-0.5バールg)下で5時間乾燥された。MAOで処置された支持体は、自由流動性の白色粉末として集められ、13.0重量%のAlを含むことがわかった。
【0264】
この支持体Bは、本発明の実施例(ICS5~ICS12)、並びに比較例(CCS8~CCS13)の為に使用される
【0265】
ICS1(本発明の触媒系1):触媒の調製
窒素を満たされたグローブボックスにおいて、乾燥トルエン(1mL)中のMAO 0.25mL(トルエン中30重量%,AXION 1330 CA Lanxess)の溶液が、メタロセンMC1(30.0mg,38マイクロモル)のアリコートに加えられた。混合物が、室温で60分間撹拌された。次に、トリチルボレート(35.6mg,38マイクロモル)が該混合物に加えられ、そして、該混合物が室温でさらに1時間撹拌された。上記された通りに調製された、1.0gのMAO処置されたシリカ(オプションA)がガラスフラスコ内に入れられた。次に、トルエン中の、メタロセン、ボレート及びMAOの該溶液が、穏やかに混合されながら5分間かけて該支持体にゆっくりと添加された。結果として得られた混合物が十分に振盪され、そして一晩放置された。結果として得られたケーキが真空中で1時間乾燥されて、ICP分析に従うと、13.4重量%のAl及び0.27重量%のZrを含むピンク色の自由流動性粉末として1.1gの触媒を得た。
【0266】
ICS2(本発明の触媒系2):触媒の調製
ICS2が36.0mgのトリチルテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートが添加され、そして、該触媒が、一晩の放置後に5mLのトルエンで洗われ、そして次に、乾燥に供されたことを除いて、ICS1について記載された通りに調製された。
【0267】
CCS1(比較例の触媒系1):触媒の調製
窒素を満たされたグローブボックスにおいて、乾燥トルエン(1mL)中のMAO 0.25mL(トルエン中30重量%,AXION 1330 CA Lanxess)の溶液が、メタロセンMC1(30.0mg,38マイクロモル)のアリコートに加えられた。混合物が、室温で60分間撹拌された。次に、該溶液が、上記された通りに調製された、1.0gのMAO処置されたシリカ(オプションA)にゆっくりと加えられ、それがガラスフラスコ内に入れられた。該混合物が一晩放置され、そして次に、1時間真空乾燥に付されて、ピンク色の自由流動性粉末を得た。次に、1mlのトルエン中のトリチルボレート(35.6mg,38マイクロモル)の溶液が、メタロセン-MAOを含浸された支持体にゆっくりと加えられた。該混合物が十分に振盪され、そして一晩放置された。結果として得られたケーキが真空中で1時間乾燥されて、ピンク色の自由流動性粉末として1.1gの触媒を得た。
【0268】
CCS2(比較例の触媒系2):触媒の調製:
窒素を満たされたグローブボックスにおいて、1mlのトルエン中のトリチルボレート(35.6mg,38マイクロモル)の溶液が、上記された通りに調製された、1.0gのMAO処置されたシリカ(オプションA)にゆっくりと加えられ、それがガラスフラスコ内に入れられた。該混合物が一晩放置され、そして次に、1時間真空乾燥に付されて、白色の自由流動性粉末を得た。別のフラスコにおいて、乾燥トルエン(1mL)中のMAO 0.25mL(トルエン中30重量%,AXION 1330 CA Lanxess)の溶液が、メタロセンMC1(30.0mg,38マイクロモル)のアリコートに加えられた。混合物が、室温で60分間撹拌された。次に、トルエン中の、メタロセン及びMAOの該溶液が、穏やかに混合されながら5分間かけてボレート処置された支持体にゆっくりと加えられた。結果として得られた混合物が十分に振盪され、そして一晩放置された。結果として得られたケーキが真空中で1時間乾燥されて、ピンク色の自由流動性粉末として1.2gの触媒を得た。
【0269】
CCS3(比較例の触媒系3):触媒の調製:
窒素を満たされたグローブボックスにおいて、乾燥トルエン(1mL)中のMAO 0.25mL(トルエン中30重量%,AXION 1330 CA Lanxess)の溶液が、メタロセンMC1(30.0mg,38マイクロモル)のアリコートに加えられた。混合物が、室温で60分間撹拌された。次に、該溶液が、上記された通りに調製された、1.0gのMAO処置されたシリカ(オプションA)にゆっくりと加えられ、それがガラスフラスコ内に入れられた。該混合物が一晩放置され、5mLのトルエンで洗われ、そして次に、1時間真空乾燥に付されて、ピンク色の自由流動性粉末を得た。次に、1mlのトルエン中のトリチルボレート(35.6mg,38マイクロモル)の溶液が、メタロセン-MAOを含浸させた支持体にゆっくりと加えられた。該混合物が十分に振盪され、そして一晩放置され、そして次に、5mLのトルエンで洗われた。結果として得られたケーキが真空中で1時間乾燥されて、ピンク色の自由流動性粉末として1.0gの触媒を得た。
【0270】
CCS4(比較例の触媒系4):触媒の調製:
窒素を満たされたグローブボックスにおいて、1mlのトルエン中のトリチルボレート(35.6mg,38マイクロモル)の溶液が、上記された通りに調製された、1.0gのMAO処置されたシリカ(オプションA)にゆっくりと加えられ、それがガラスフラスコ内に入れられた。該混合物が一晩放置され、5mLのトルエンで洗われ、そして次に、1時間真空乾燥に付されて、白色の自由流動性粉末を得た。別のフラスコにおいて、乾燥トルエン(1mL)中のMAO 0.25mL(トルエン中30重量%,AXION 1330 CA Lanxess)の溶液が、メタロセンMC1(30.0mg,38マイクロモル)のアリコートに加えられた。混合物が、室温で60分間撹拌された。次に、トルエン中の、メタロセン及びMAOの溶液が、穏やかに混合されながら5分間かけてボレート処置された支持体にゆっくりと加えられた。結果として得られた混合物が十分に振盪され、そして一晩放置された。結果として得られたケーキが5mLのトルエンで洗われ、そして次に、真空中で1時間乾燥されて、ピンク色の自由流動性粉末として触媒1.1gを得た。
【0271】
CCS5(比較例の触媒系5):触媒の調製:
窒素を満たされたグローブボックスにおいて、乾燥トルエン(1mL)中のMAO 0.25mL(トルエン中30重量%,AXION 1330 CA Lanxess)の溶液が、メタロセンMC1(30.0mg,38マイクロモル)のアリコートに加えられた。混合物が、室温で60分間撹拌された。次に、該溶液が、上記された通りに調製された、1.0gのMAO処置されたシリカ(オプションA)にゆっくりと加えられ、それがガラスフラスコ内に入れられた。該混合物が一晩放置され、5mLのトルエンで洗われ、そして次に、1時間真空乾燥に付されて、ピンク色の自由流動性粉末を得て、ピンク色の自由流動性粉末として1.1gの触媒を得た。
【0272】
ICS3(本発明の触媒系3):触媒の調製
窒素を満たされたグローブボックスにおいて、乾燥トルエン(2.5mL)中のMAO 0.2mL(トルエン中30重量%,AXION 1330 CA Lanxess)の溶液が、メタロセンMC2(2.5mg,28マイクロモル)のアリコートに加えられた。混合物が、室温で60分間撹拌された。次に、トリチルボレート(25.6mg,28マイクロモル)が該混合物に加えられ、そして、該混合物が、室温でさらに1時間撹拌された。上記された通りに調製された、2.0gのMAO処置されたシリカ(オプションA)がガラスフラスコ内に入れられた。次に、トルエン中の、メタロセン、ボレート及びMAOの溶液が、穏やかに混合されながら5分間かけて支持体にゆっくりと添加された。結果として得られた混合物が十分に振盪され、そして1時間放置された。結果として得られたケーキが真空中で1時間乾燥されて、ICP分析に従うと、12.9重量%のAl及び0.095重量%のZrを含むピンク色の自由流動性粉末として2.1gの触媒を得た。B/Zrモル/モル=1;17ミリモルZr/g SiO2
【0273】
ICS4(本発明の触媒系4):触媒の調製
窒素を満たされたグローブボックスにおいて、乾燥トルエン(1mL)中、MAO 0.12mL(トルエン中30重量%,AXION 1330 CA Lanxess)の溶液が、メタロセンMC3(17.6mg,19マイクロモル)のアリコートに加えられた。混合物が、室温で60分間撹拌された。次に、トリチルボレート(18.0mg,20マイクロモル)が該混合物に加えられ、そして、該混合物が、室温でさらに1時間撹拌された。1.0gのMAO処置されたシリカ(オプションA)がガラスフラスコ内に入れられた。次に、トルエン中の、メタロセン、ボレート、及びMAOの溶液が、穏やかに混合されながら5分間かけて支持体にゆっくりと添加された。結果として得られた混合物が十分に振盪され、そして一晩放置された。結果として得られたケーキが室温で5mLのトルエンで洗われ、そして次に、真空中で1時間乾燥されて、ICP分析に従うと、11.3重量%のAl及び0.089重量%のZrを含むピンク色の自由流動性粉末として1.2gの触媒を得た。
【0274】
CCS6(比較例の触媒系6)
ICS3と同じ触媒錯体(すなわち、MC2)が使用されたが、シリカ支持体は使用されなかった。
【0275】
グローブボックスにおいて、234.3mgの乾燥及び脱気された界面活性剤S2(0.2mLのトルエン中)が5mLのMAOに滴下された。該溶液が30分間撹拌されたままにされた。次に、95.6mgのMC2が、MAO/界面活性剤溶液に加えられた。60分間撹拌した後、104.9mgのトリチルテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートが加えられた。
【0276】
60分間の撹拌後、5mLの界面活性剤-MAO-メタロセン-ボレート溶液が、40mLのPFC(パーフルオロ-1,3-ジメチルシクロヘキサン)を含み且つオーバーヘッドスターラー(攪拌速度=600rpm)を備えられた50mLの乳化ガラス反応器内に、-10℃で連続して添加された。赤いエマルジョンがすぐに形成され、そして、-10℃/600rpmで15分間撹拌された。次に、該エマルジョンが2/4テフロン(登録商標)チューブを介して、90℃で、100mLの高温PFCに移され、そして、移し替えが完了するまで600rpmで攪拌され、次に、速度が300rpmに下げられた。15分間の撹拌後、油浴が取り除かれ、そして、撹拌機がオフにされた。該触媒はPFCの頂部上に沈殿され、そして、35分後に溶媒が吸い上げられた。該触媒はPFCの頂部上に沈殿され、そして35分後に溶媒が吸い上げられた。残りの触媒がアルゴン流の下、50℃で2時間乾燥された。0.70gの赤色の自由流動性粉末が得られた。(Al 28.7重量%,Zr 0.53重量% Al/Zr(モル濃度(molar))182;B/Zr(モル濃度)0.98)
【0277】
S2:1H,1H-パーフルオロ(2-メチル-3-オキサヘキサン-1-オール)(CAS 26537-88-2) Unimatecから購入され、活性化されたモレキュラーシーブで乾燥(2回)され、そして、使用前に、アルゴンバブリングで脱気された。
【0278】
CCS7(比較例の触媒系7)(オフライン予備重合)
比較例の触媒系7(CCS7)は、上記のCCS6について記載された通りに調製されたが、その後のオフライン予備重合工程を伴った。
【0279】
オフラインの予備重合工程は、気体供給ラインとオーバーヘッドスターラーとを備えられた125mLの圧力反応器内で行われた。乾燥及び脱気されたパーフルオロ-1,3-ジメチルシクロヘキサン(15cm3)及び予備重合されるべき所望の量の触媒がグローブボックス内の反応器内にロードされ、そして該反応器が密閉された。次に、該反応器が該グローブボックスから取り出され、そして25℃に保たれた水冷浴内に置かれた。オーバーヘッドスターラーと供給ラインとが接続され、そして攪拌速度が450rpmに設定された。該実験は、プロピレン供給を該反応器内に開放することによって開始された。該反応器内の全圧が約5バールgに上げられ、そしてマスフローコントローラーを介したプロピレン供給によって、目標の重合度に達するまで一定に保たれた。反応が、揮発性成分をフラッシュすることによって停止された。グローブボックス内で該反応器が開かれ、そして内容物がガラス容器内に注がれた。パーフルオロ-1,3-ジメチルシクロヘキサンが、一定の重量が得られるまで蒸発されて、予備重合された触媒を得た。(Al 4.4重量%,Zr 0.082重量% Al/Zr(モル濃度) 182;B/Zr(モル濃度) 0.98)
【0280】
予備重合度(ポリマーの重量/予備重合工程前の固体触媒の重量)は、5.47であった。
【0281】
CCS8(比較例の触媒系8)
メタロセンMC3(17.6mg,19マイクロモル)及びトリチルテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート(18mg,19マイクロモル)が使用されたことを除いて、比較例の触媒系CCS8がCCS3の調製に従って調製されたた。1.1gの触媒が、ピンク色の流動性粉末の形態で単離された。
【0282】
ICS5(本発明の触媒系5)
窒素を満たされたグローブボックスにおいて、乾燥トルエン(2.3mL)中のMAO 0.2mL(トルエン中30重量%,AXION 1330 CA Lanxess)の溶液が、メタロセンMC3(17.6mg,19マイクロモル)のアリコートに加えられた。混合物が、室温で30分間撹拌された。次に、トリチルボレート(26.5mg,28マイクロモル)のアリコートが加えられ、そして、該混合物がさらに30分間撹拌された。次に、上記された通りに調製された、2.0gのMAO処置されたシリカ(オプションB)がガラスバイアル内に入れられた。次に、トルエン中の、メタロセン、トリチルテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート及びMAOの溶液が、穏やかに混合されながら5分間かけて該支持体にゆっくりと添加された。結果として得られた混合物が十分に振盪され、そして、1時間放置された。結果として得られた固体が真空中で1時間乾燥されて、ピンク色の自由流動性粉末として2.0gの触媒を得た。
【0283】
ICS6(本発明の触媒系6):触媒の調製
窒素を満たされたグローブボックスにおいて、乾燥トルエン(2.5mL)が、メタロセンMC3(17.6mg,19マイクロモル)のアリコートに加えられた。混合物が、室温で30分間撹拌された。次に、トリチルボレート(27.0mg,29マイクロモル)のアリコートが加えられ、そして、該混合物がさらに30分間撹拌された。次に、上記された通りに調製された2.0gのMAO処置されたシリカ(オプションB)が、ガラスバイアル内に入れられた。
【0284】
次に、トルエン中の、メタロセン及びトリチルボレートが、穏やかに混合されながら5分間かけて支持体にゆっくりと添加された。結果として得られた混合物が十分に振盪され、そして1時間放置された。結果として得られた固体が真空中で1時間乾燥されて、ピンク色の自由流動性粉末として2.6gの触媒を得た。
【0285】
ICS7-(本発明の触媒系7)
窒素を満たされたグローブボックスにおいて、MC3のアリコート(17.7mg,19マイクロモル)及びトリチルボレート(27.0mg,29マイクロモル)のアリコートが、攪拌子を備えられたガラスバイアル内に入れられた。トルエン(2.3mL)が、攪拌下でバイアルに加えられ、引き続き、MAO(0.20mL,トルエン中30重量%)が加えられた。混合物が室温で60分間撹拌された。上記された通りに調製された2.0gのMAO処置されたシリカ(オプションB)がガラスフラスコ内に入れられた。次に、トルエン中、メタロセン、トリチルボレート及びMAOの溶液が、穏やかに混合されながら5分間かけて該支持体にゆっくりと添加された。結果として得られた混合物が十分に振盪され、そして1時間放置された。結果として得られたケーキが真空中で1時間乾燥されて、ピンク色の自由流動性粉末として2.0gの触媒を得た。
【0286】
ICS8-(本発明の触媒系8)
窒素を満たされたグローブボックスにおいて、乾燥トルエン(2.3mL)中のMAO 0.2mL(トルエン中30重量%,AXION 1330 CA Lanxess)の溶液が、トリブチルボレート(26.5mg,28マイクロモル)のアリコートに加えられた。混合物が、室温で30分間撹拌された。次に、メタロセンMC3(17.6mg,19マイクロモル)のアリコートが加えられ、そして、該混合物がさらに30分間撹拌された。次に、上記された通りに調製された、2.0gのMAO処置されたシリカ(オプションB)がガラスバイアル内に入れられた。次に、トルエン中の、メタロセン、MAO及びトリブチルボレートの溶液が、穏やかに混合されながら5分間かけて支持体にゆっくりと添加された。結果として得られた混合物が十分に振盪され、そして1時間放置された。結果として得られた固体が真空中で1時間乾燥されて、ピンク色の自由流動性粉末として2.0gの触媒を得た。
【0287】
CCS9(比較例の触媒系9)
窒素を満たされたグローブボックスにおいて、乾燥トルエン(2.3mL)中のMAO 0.2mL(トルエン中30重量%,AXION 1330 CA Lanxess)の溶液が、メタロセンMC3(17.6mg,19マイクロモル)のアリコートに加えられた。混合物が、室温で30分間撹拌された。次に、上記された通りに調製された、2.0gのMAO処置されたシリカ(オプションB)がガラスバイアル内に入れられた。次に、トルエン中の、メタロセン及びMAOの溶液が、穏やかに混合されながら5分間かけて支持体にゆっくりと添加された。得られた混合物が十分に振とうされ、1時間放置された。得られた固体が真空中で1時間乾燥されて、ピンク色の粉末を与えた。次に、トリブチルボレート(26.5mg,28マイクロモル)のアリコートが新しいバイアルに加えられ、トルエン(2mL)中に溶解された。トルエン中のトリブチルボレートの溶液が、穏やかに混合されながら5分間にわたって、前に得られた固体に加えられた。結果として得られた混合物が十分に振盪され、そして1時間放置された。結果として得られた固体が、真空中で1時間乾燥されて、ピンク色の自由流動性粉末として2.0gの触媒を得た。
【0288】
ICS10(本発明の触媒系10)
窒素を満たされたグローブボックスにおいて、乾燥トルエン(2.3mL)中のMAO 0.20mL(トルエン中30重量%,AXION 1330 CA Lanxess)の溶液がメタロセンMC4(40.5mg,53マイクロモル)のアリコートに加えられた。混合物が、室温で30分間撹拌された。次に、トリチルボレート(48.9mg,53マイクロモル)が該混合物に加えられ、そして、該混合物が室温で30分間撹拌された。2.0gのMAO処置されたシリカ(オプションB)がガラスフラスコ内に入れられた。次に、トルエン中の、メタロセン、ボレート及びMAOの溶液が、穏やかに混合されながら5分間かけて支持体にゆっくりと添加された。結果として得られた混合物が十分に振盪され、そして1時間放置された。結果として得られたケーキが真空中で1時間乾燥されて、ピンク色の自由流動性粉末として2.0gの触媒を得た。
【0289】
ICS11-(本発明の触媒系11)
窒素を満たされたグローブボックスにおいて、MC4(40.0mg,52マイクロモル)のアリコート及びトリチルボレート(48.9mg,53マイクロモル)のアリコートが攪拌子を備えられたガラスバイアル内に入れられた。トルエン(2.3mL)が、攪拌下でバイアルに加えられ、引き続き、MAO(0.20mL,トルエン中30重量%)が加えられた。混合物が室温で60分間撹拌された。2.0gのMAO処置されたシリカ(オプションB)がガラスフラスコ内に入れられた。次に、トルエン中の、メタロセン、ボレート及びMAOの溶液が、穏やかに混合されながら5分間かけて該支持体にゆっくりと添加された。結果として得られた混合物が十分に振盪され、そして1時間放置された。結果として得られたケーキが真空中で1時間乾燥されて、ピンク色の自由流動性粉末として2.0gの触媒を得た。
【0290】
CCS10(比較例の触媒系10)
窒素を満たされたグローブボックスにおいて、乾燥トルエン(2.3mL)中のMAO 0.20mL(トルエン中30重量%,AXION 1330 CA Lanxess)の溶液が、メタロセンMC4(40.4mg,53マイクロモル)のアリコートに加えられた。混合物が、室温で60分間撹拌された。2.0gのMAO処置されたシリカ(オプションB)が、ガラスフラスコ内に入れられた。次に、トルエン中、メタロセン及びMAOの溶液が、穏やかに混合されながら5分間かけて支持体にゆっくりと添加された。結果として得られた混合物が十分に振盪され、そして1時間放置された。結果として得られたケーキが、真空中で1時間乾燥されて、ピンク色の自由流動性粉末として2.0gの触媒を得た。
【0291】
CCS11(比較例の触媒系11)
窒素を満たされたグローブボックスにおいて、乾燥トルエン(2.3mL)中のMAO 0.20mL(トルエン中30重量%,AXION 1330 CA Lanxess)の溶液がメタロセンMC4 (40.0mg,52マイクロモル)のアリコートに加えられた。混合物が、室温で60分間撹拌された。次に、2.0gのMAO処置されたシリカ(オプションB)がガラスフラスコ内に入れられた。該溶液が、穏やかに混合されながら、5分間かけて支持体にゆっくりと添加された。該混合物が、1時間放置され、そして次に、1時間真空乾燥されて、ピンク色の自由流動性粉末を得た。次に、トルエン中の2mlのトリチルボレート(48.8mg,53マイクロモル)の溶液が、メタロセン-MAOを含浸された支持体にゆっくりと添加された。該混合物が十分に振盪され、そして1時間放置された。結果として得られたケーキが真空中で1時間乾燥されて、ピンク色の自由流動性粉末として2.0gの触媒を得た。
【0292】
ICS12-(本発明の触媒系12)
窒素を満たされたグローブボックスにおいて、乾燥トルエン(2.3mL)中のMAO 0.20mL(トルエン中30重量%,AXION 1330 CA Lanxess)の溶液がメタロセンMC5(44.3mg,52マイクロモル)のアリコートに加えられた。混合物が、室温で30分間撹拌された。次に、トリチルボレート(48.9mg,53マイクロモル)が該混合物に加えられ、そして、該混合物が室温で30分間撹拌された。2.0gの処置されたシリカ(オプションB)がガラスフラスコ内に入れられた。次に、トルエン中の、メタロセン、ボレート及びMAOの溶液が、穏やかに混合されながら5分間かけて支持体にゆっくりと添加された。結果として得られた混合物が十分に振盪され、そして1時間放置された。結果として得られたケーキが真空中で1時間乾燥されて、ピンク色の自由流動性粉末として2.0gの触媒を得た。
【0293】
ICS13-(本発明の触媒系13)
窒素を満たされたグローブボックスにおいて、MC5(44.6mg,52マイクロモル)のアリコート及びトリチルボレート(48.9mg,53マイクロモル)のアリコートが攪拌子を備えられたガラスバイアル内に入れられた。トルエン(2.3mL)が、攪拌下でバイアルに加えられ、引き続き、MAO(0.20mL,トルエン中30重量%)が加えられた。混合物が室温で60分間撹拌された。2.0gのMAO処置されたシリカ(オプションB)がガラスフラスコ内に入れられた。次に、トルエン中の、メタロセン、ボレート及びMAOの溶液が、穏やかに混合されながら5分間かけて該支持体にゆっくりと添加された。結果として混合物が十分に振盪され、そして1時間放置された。結果として得られたケーキが真空中で1時間乾燥されて、ピンク色の自由流動性粉末として2.0gの触媒を得た。
【0294】
CCS12(比較例の触媒系12)
窒素を満たされたグローブボックスにおいて、乾燥トルエン(2.3mL)中のMAO 0.20mL(トルエン中30重量%,AXION 1330 CA Lanxess)の溶液が、メタロセンMC5(45.0mg,53マイクロモル)のアリコートに加えられた。混合物が、室温で60分間撹拌された。2.0gのMAO処置されたシリカ(オプションB)が、ガラスフラスコ内に入れられた。次に、トルエン中、メタロセン及びMAOの溶液が、穏やかに混合されながら5分間かけて支持体にゆっくりと添加された。結果として得られた混合物が十分に振盪され、そして1時間放置された。結果として得られたケーキが、真空中で1時間乾燥されて、ピンク色の自由流動性粉末として2.0gの触媒を得た。
【0295】
CCS13(比較例の触媒系13)
窒素を満たされたグローブボックスにおいて、乾燥トルエン(2.3mL)中のMAO 0.20mL(トルエン中30重量%,AXION 1330 CA Lanxess)の溶液がメタロセンMC5(44.8mg,52マイクロモル)のアリコートに加えられた。混合物が、室温で60分間撹拌された。次に、MAO処置されたシリカ(オプションB)がガラスフラスコ内に入れられた。該溶液が、穏やかに混合されながら、5分間かけて支持体にゆっくりと加えられた。該混合物が、1時間放置され、そして次に、1時間真空乾燥されて、ピンク色の自由流動性粉末を得た。次に、トルエン中の2mlのトリチルボレート(48.8mg,53マイクロモル)の溶液が、メタロセン-MAOを含浸された支持体にゆっくりと加えられた。該混合物十分に振盪され、1時間放置された。結果として得られたケーキが真空中で1時間乾燥されて、ピンク色の自由流動性粉末として2.1gの触媒を得た。
【0296】
【表1】
【表2】
【0297】
バルクにおけるプロピレンホモ重合化の為の重合化手順
【0298】
該重合は、攪拌機、モノマー及び水素用のライン、排気ライン、並びに触媒及びスカベンジャー用の供給システムを備えられた5リットルのジャケット付きステンレス鋼反応器内で実施された。
【0299】
触媒フィーダーは、直列の2つのステンレス鋼シリンダーを備えている。グローブボックスにおいて、表3及び表4に示されている通り、所望の量の触媒が、該フィーダーの下部スチールシリンダー内にロードされ、そして、5mlの乾燥ペンタンを含む2番目のシリンダーが上部に取り付けられた。スカベンジャーフィーダーのスチールシリンダーが、250μlのトリエチルアルミニウム(Lanxessから購入;商品名TEA-S)と5mlの乾燥ペンタン(Scharlauから購入;試薬等級,≧99%)とで充填された。グローブボックスの外側において、供給シリンダーが該反応器に取り付けられ、そして、接続部が窒素でフラッシュされた。該反応器の温度が20℃に制御された。該スカベンジャーフィーダーの内容物が、窒素過圧で反応器内にフラッシュされた。
【0300】
次に、所望の量の水素(25ミリモル,表3;15ミリモル,表4;6ミリモル,表5)、引き続き、1400gの液体プロピレンが、該反応器に供給された。攪拌速度は400rpmに設定された。該反応器の温度が20℃に安定され、そして、最低5分後、重合が、下記に記載された通り、触媒を反応器内に注入することによって開始された。触媒フィーダーの2つのシリンダーの間のバルブが開かれ、そして次に、触媒が窒素過圧で反応器に直ちにフラッシュされた。該フィーダーが窒素で3回加圧され、そして該反応器内にフラッシュされた。
【0301】
20°Cでの5分間予備重合の後、該反応器の温度が15~18分間かけて70℃に上げられた。該重合が、70℃で60分間継続され、そして次に、該反応器を常圧にフラッシュすることにより停止された。該反応器を窒素で数回フラッシュした後、ポリマーが集められ、一晩かけて乾燥され、そして次に、秤量されて、収率を記録した。
【0302】
触媒活性が、下記の式に従って60分間に基づいて計算された。
【0303】
【数5】
【0304】
【表3】
【0305】
上記の表は、メタロセンMC1と、メタロセンMC3で調製された2つの触媒(IE4,CE8)とを同じ負荷で使用して、同一のMAO-シリカ支持体から調製された触媒系ICS1、ICS2、及びCCS1~CCS5を開示する。
【0306】
比較例CE5は、低い金属活性を有するトリチルボレート無しで調製された触媒を示す。触媒系ICS1及びICS2を使用する本発明の実施例1及び2は、MC1と同時に添加された1当量のトリチルボレートを使用して調製されて、活性において最高の改善をもたらした。比較例の触媒系CCS3(CE3)及びCC8(CE8)は、活性化された支持体にメタロセンを添加した後、第2の含浸工程においてボレートが添加されるように、先行技術文書の教示に従って、すなわち逆含浸順序を使用して、調製される。上記表に見られる通り、本発明の添加順序は、金属活性の最高の改善を結果として生じる。
【0307】
メタロセンMC3を含む触媒ICS4を使用する本発明の実施例4は、MC3と同時に添加されたトリチルボレートを用いて調製される。上記表に見られる通り、本発明の添加順序は、CE8と比較して明らかにより高い金属活性を結果として生じる。
【0308】
バルクにおけるプロピレンホモ重合化の為の重合化手順
該重合化手順は上記と同じであるが、15.0ミリモルの水素が使用されていたという唯一の違いがある。
【0309】
【表4】
【0310】
上記の表から、本発明に従って調製された触媒系は、乳化/固化プロセス技術によって調製された触媒系と比較して、明らかにより高い金属活性を有することが分かる。加えて、本発明に従う調製方法ははるかに簡単である、すなわち、1つの含浸工程のみが、該調製において使用される。
【0311】
本発明者等はまた、MAO/メタロセンを該指示体に施与した後に、ホウ素が添加されるCCS9を使用して得られたポリマーよりもより高い融点を観察する。
【0312】
バルクにおけるプロピレンホモ重合化の為の重合化手順
該重合化手順は上記と同じであるが、6.0ミリモルの水素が使用されていたという唯一の違いがある。
【0313】
【表5】
【0314】
上記の表は、メタロセンMC4/を同じローティングで使用して、同一のMAO-シリカ支持体から調製された触媒系ICS10、ICS12及びCCS10~CCS13を開示する。
【0315】
触媒系ICS10及びICS12を使用する本発明の実施例10及び12は、活性において最高の改善を与える。比較例の触媒系CCS10及びCCS12はホウ素原子を有しない。CCS11及びCCS13は、活性化された支持体にMCを添加した後、第2の含浸工程においてボレートが添加されるように、先行技術文書の教示に従って調製される。本発明の方法に従うと、触媒系の調製において、1つの含浸工程のみが使用される。上記表に見られる通り、本発明の添加順序は、金属活性の最高の改善及び最高の融点を結果として生じる。
【国際調査報告】