IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ リヒター ゲデオン エヌワイアールティー.の特許一覧

特表2022-534974選択的ヒスタミンH3アンタゴニスト酸付加塩およびその調製方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-08-04
(54)【発明の名称】選択的ヒスタミンH3アンタゴニスト酸付加塩およびその調製方法
(51)【国際特許分類】
   C07D 401/12 20060101AFI20220728BHJP
   A61K 31/454 20060101ALI20220728BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20220728BHJP
   A61P 25/00 20060101ALI20220728BHJP
【FI】
C07D401/12 CSP
A61K31/454
A61P43/00 113
A61P25/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021570822
(86)(22)【出願日】2020-05-29
(85)【翻訳文提出日】2022-01-28
(86)【国際出願番号】 IB2020055105
(87)【国際公開番号】W WO2020240490
(87)【国際公開日】2020-12-03
(31)【優先権主張番号】P1900193
(32)【優先日】2019-05-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】HU
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】310008859
【氏名又は名称】リヒター ゲデオン ニュイルヴァーノシャン ミューコェデー レースヴェーニュタールシャシャーグ
【氏名又は名称原語表記】Richter Gedeon Nyrt.
(74)【代理人】
【識別番号】100094640
【弁理士】
【氏名又は名称】紺野 昭男
(74)【代理人】
【識別番号】100103447
【弁理士】
【氏名又は名称】井波 実
(74)【代理人】
【識別番号】100111730
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 武泰
(74)【代理人】
【識別番号】100180873
【弁理士】
【氏名又は名称】田村 慶政
(72)【発明者】
【氏名】シェボク、フェレンツ
(72)【発明者】
【氏名】メイステリーツ、アニコー
(72)【発明者】
【氏名】デメテル、アーダーム
【テーマコード(参考)】
4C063
4C086
【Fターム(参考)】
4C063AA01
4C063BB06
4C063BB08
4C063CC03
4C063DD10
4C063EE01
4C086AA01
4C086BC21
4C086GA07
4C086GA15
4C086GA16
4C086MA01
4C086MA04
4C086NA03
4C086ZA02
4C086ZA08
4C086ZA16
4C086ZA18
4C086ZA36
4C086ZA70
4C086ZC13
(57)【要約】
本発明は、選択的ヒスタミンH受容体アンタゴニスト化合物である式(1)の1-[4-(4-{3-[(2R)-2-メチル-ピロリジン-1-イル]-プロポキシ}-フェノキシ)-ピペリジン-1-イル]-エタノンの物理的および化学的に安定な塩、および/またはそれらの多形体、および/またはそれらの水和物/溶媒和物、それらの調製方法、それらを含む、ヒスタミンH受容体の調節を必要とする病状(例えば、アルツハイマー病、肥満、統合失調症、心筋虚血(miochardial ischaemia)、片頭痛、自閉症スペクトラム障害)の治療および/または予防における使用のための医薬組成物に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
25℃での動的水蒸気吸着(DVS)分析に基づいて、
a.)相対湿度が70%を超えるときのみ潮解性を示す、すなわち、潮解の発生を示す、吸着曲線の10~90%のRHの範囲内で決定される臨界相対湿度(CRH)値が、少なくとも70%である;または
b.)潮解性を示さない、すなわち、吸着曲線の10~90%のRHの範囲内でΔm/ΔRHの値が0.5未満である
(ここで、Δm=m2-m1、すなわち相対湿度値RH2およびRH1に対応する疑似平衡相対質量変化m2およびm1の差であり、ΔRH=RH2-RH1=10である。)
ことを特徴とする、1-[4-(4-{3-[(2R)-2-メチル-ピロリジン-1-イル]-プロポキシ}-フェノキシ)-ピペリジン-1-イル]-エタノン塩。
【請求項2】
前記塩が、臭化水素、硫酸、シュウ酸およびクエン酸と形成された塩からなる群から選択される、請求項1に記載の塩。
【請求項3】
前記塩が、一クエン酸塩である、請求項1または2に記載の塩。
【請求項4】
その粉末X線ディフラクトグラムにおける特徴的な反射が、9.4;11.1;13.5;18.0;19.5;19.8;21.5°±0.2°の散乱角2θの範囲に存在することを特徴とする、請求項3に記載の1-[4-(4-{3-[(2R)-2-メチル-ピロリジン-1-イル]-プロポキシ}-フェノキシ)-ピペリジン-1-イル]-エタノン一クエン酸塩の結晶形態A。
【請求項5】
その粉末X線ディフラクトグラムが、図15に示される粉末X線ディフラクトグラムに相当することを特徴とする、請求項3に記載の1-[4-(4-{3-[(2R)-2-メチル-ピロリジン-1-イル]-プロポキシ}-フェノキシ)-ピペリジン-1-イル]-エタノン一クエン酸塩の結晶形態A。
【請求項6】
その赤外線スペクトルにおける吸収帯が、3466;3011;2962;1731;1618;1594;1507;1217;1043;665cm-1±4cm-1の範囲に存在することを特徴とする、請求項3に記載の1-[4-(4-{3-[(2R)-2-メチル-ピロリジン-1-イル]-プロポキシ}-フェノキシ)-ピペリジン-1-イル]-エタノン一クエン酸塩の結晶形態A。
【請求項7】
そのラマンスペクトルにおける吸収帯が、3065;2961;2931;1715;1618;1480;1242;1134;859;840;722cm-1±4cm-1の範囲に存在することを特徴とする、請求項3に記載の1-[4-(4-{3-[(2R)-2-メチル-ピロリジン-1-イル]-プロポキシ}-フェノキシ)-ピペリジン-1-イル]-エタノン一クエン酸塩の結晶形態A。
【請求項8】
その粉末X線ディフラクトグラムにおける特徴的な反射が、9.5;11.3;13.4;13.7;14.0;17.8;19.1;20.4;22.3°±0.2°の散乱角2θの範囲に存在することを特徴とする、請求項3に記載の1-[4-(4-{3-[(2R)-2-メチル-ピロリジン-1-イル]-プロポキシ}-フェノキシ)-ピペリジン-1-イル]-エタノン一クエン酸塩の結晶形態B。
【請求項9】
その粉末X線ディフラクトグラムが、図18に示される粉末X線ディフラクトグラムに相当することを特徴とする、請求項3に記載の1-[4-(4-{3-[(2R)-2-メチル-ピロリジン-1-イル]-プロポキシ}-フェノキシ)-ピペリジン-1-イル]-エタノン一クエン酸塩の結晶形態B。
【請求項10】
その赤外線スペクトルにおける吸収帯が、2962;2872;1732;1637;1595;1508;1217;1068;1043;818cm-1±4cm-1の範囲に存在することを特徴とする、請求項3に記載の1-[4-(4-{3-[(2R)-2-メチル-ピロリジン-1-イル]-プロポキシ}-フェノキシ)-ピペリジン-1-イル]-エタノン一クエン酸塩の結晶形態B。
【請求項11】
そのラマンスペクトルにおける吸収帯が、3086;2930;2881;1718;1628;1476;1251;857;718cm-1±4cm-1の範囲に存在することを特徴とする、請求項3に記載の1-[4-(4-{3-[(2R)-2-メチル-ピロリジン-1-イル]-プロポキシ}-フェノキシ)-ピペリジン-1-イル]-エタノン一クエン酸塩の結晶形態B。
【請求項12】
前記塩が、二クエン酸塩である、請求項1または2に記載の塩。
【請求項13】
その粉末X線ディフラクトグラムにおける特徴的な反射が、10.2;12.0;12.8;14.1;19.0;19.3;20.5;22.8°±0.2°の散乱角2θの範囲に存在することを特徴とする、請求項12に記載の1-[4-(4-{3-[(2R)-2-メチル-ピロリジン-1-イル]-プロポキシ}-フェノキシ)-ピペリジン-1-イル]-エタノン二クエン酸塩の結晶形態。
【請求項14】
その粉末X線ディフラクトグラムが、図22に示される粉末X線ディフラクトグラムに相当することを特徴とする、請求項12に記載の1-[4-(4-{3-[(2R)-2-メチル-ピロリジン-1-イル]-プロポキシ}-フェノキシ)-ピペリジン-1-イル]-エタノン二クエン酸塩の結晶。
【請求項15】
その赤外線スペクトルにおける吸収帯が、3523;3038;2521;1727;1687;1587;1507;1216;782;661cm-1±4cm-1の範囲に存在することを特徴とする、請求項12に記載の1-[4-(4-{3-[(2R)-2-メチル-ピロリジン-1-イル]-プロポキシ}-フェノキシ)-ピペリジン-1-イル]-エタノン二クエン酸塩の結晶。
【請求項16】
そのラマンスペクトルにおける吸収帯が、3070;2971;2933;1611;1489;936;854;782;720;660cm-1±4cm-1の範囲に存在することを特徴とする、請求項12に記載の1-[4-(4-{3-[(2R)-2-メチル-ピロリジン-1-イル]-プロポキシ}-フェノキシ)-ピペリジン-1-イル]-エタノン二クエン酸塩の結晶。
【請求項17】
前記塩が、二臭化水素酸塩である、請求項1または2に記載の塩。
【請求項18】
その粉末X線ディフラクトグラムにおける特徴的な反射が、5.6;11.3;16.4;16.7;17.0;24.7;28.5°±0.2°の散乱角2θの範囲に存在することを特徴とする、請求項17に記載の1-[4-(4-{3-[(2R)-2-メチル-ピロリジン-1-イル]-プロポキシ}-フェノキシ)-ピペリジン-1-イル]-エタノン二臭化水素酸塩の結晶形態。
【請求項19】
その粉末X線ディフラクトグラムが、図26に示される粉末X線ディフラクトグラムに相当することを特徴とする、請求項17に記載の1-[4-(4-{3-[(2R)-2-メチル-ピロリジン-1-イル]-プロポキシ}-フェノキシ)-ピペリジン-1-イル]-エタノン二臭化水素酸塩の結晶。
【請求項20】
その赤外線スペクトルにおける吸収帯が、3419;2930;2614;1685;1616;1508;1232;817cm-1±4cm-1の範囲に存在することを特徴とする、請求項17に記載の1-[4-(4-{3-[(2R)-2-メチル-ピロリジン-1-イル]-プロポキシ}-フェノキシ)-ピペリジン-1-イル]-エタノン二臭化水素酸塩の結晶。
【請求項21】
そのラマンスペクトルにおける吸収帯が、3072;3022;3045;2935;1613;1265;1164;852cm-1±4cm-1の範囲に存在することを特徴とする、請求項17に記載の1-[4-(4-{3-[(2R)-2-メチル-ピロリジン-1-イル]-プロポキシ}-フェノキシ)-ピペリジン-1-イル]-エタノン二臭化水素酸塩の結晶。
【請求項22】
前記塩が、硫酸塩である、請求項1または2に記載の塩。
【請求項23】
その粉末X線ディフラクトグラムにおける特徴的な反射が、7.8;11.7;15.6;18.0;18.5;19.6;19.9;22.9°±0.2°の散乱角2θの範囲に存在することを特徴とする、請求項22に記載の1-[4-(4-{3-[(2R)-2-メチル-ピロリジン-1-イル]-プロポキシ}-フェノキシ)-ピペリジン-1-イル]-エタノン硫酸塩の結晶形態。
【請求項24】
その粉末X線ディフラクトグラムが、図30に示される粉末X線ディフラクトグラムに相当することを特徴とする、請求項22に記載の1-[4-(4-{3-[(2R)-2-メチル-ピロリジン-1-イル]-プロポキシ}-フェノキシ)-ピペリジン-1-イル]-エタノン硫酸塩の結晶。
【請求項25】
その赤外線スペクトルにおける吸収帯が、3389;2955;2615;2513;1590;1507;1220;1044;855;591cm-1±4cm-1の範囲に存在することを特徴とする、請求項22に記載の1-[4-(4-{3-[(2R)-2-メチル-ピロリジン-1-イル]-プロポキシ}-フェノキシ)-ピペリジン-1-イル]-エタノン硫酸塩の結晶。
【請求項26】
そのラマンスペクトルにおける吸収帯が、3076;3059;2935;1613;1584;1453;1257;1053;854;723cm-1±4cm-1の範囲に存在することを特徴とする、請求項22に記載の1-[4-(4-{3-[(2R)-2-メチル-ピロリジン-1-イル]-プロポキシ}-フェノキシ)-ピペリジン-1-イル]-エタノン硫酸塩の結晶。
【請求項27】
前記塩が、シュウ酸塩である、請求項1または2に記載の塩。
【請求項28】
その粉末X線ディフラクトグラムにおける特徴的な反射が、8.5;14.8;15.4;16.5;17.4;20.8;22.5°±0.2°の散乱角2θの範囲に存在することを特徴とする、請求項27に記載の1-[4-(4-{3-[(2R)-2-メチル-ピロリジン-1-イル]-プロポキシ}-フェノキシ)-ピペリジン-1-イル]-エタノンシュウ酸塩の結晶形態。
【請求項29】
その粉末X線ディフラクトグラムが、図34に示される粉末X線ディフラクトグラムに相当することを特徴とする、請求項27に記載の1-[4-(4-{3-[(2R)-2-メチル-ピロリジン-1-イル]-プロポキシ}-フェノキシ)-ピペリジン-1-イル]-エタノンシュウ酸塩の結晶。
【請求項30】
その赤外線スペクトルにおける吸収帯が、3431;2513;1987;1706;1693;1507;1220;832;722cm-1±4cm-1の範囲に存在することを特徴とする、請求項27に記載の1-[4-(4-{3-[(2R)-2-メチル-ピロリジン-1-イル]-プロポキシ}-フェノキシ)-ピペリジン-1-イル]-エタノンシュウ酸塩の結晶。
【請求項31】
そのラマンスペクトルにおける吸収帯が、3077;2935;2883;1611;1477;1443;858;842;725cm-1±4cm-1の範囲に存在することを特徴とする、請求項27に記載の1-[4-(4-{3-[(2R)-2-メチル-ピロリジン-1-イル]-プロポキシ}-フェノキシ)-ピペリジン-1-イル]-エタノンシュウ酸塩の結晶。
【請求項32】
請求項1~31のいずれか一項に記載の化合物の調製のための方法であって、1-[4-(4-{3-[(2R)-2-メチル-ピロリジン-1-イル]-プロポキシ}-フェノキシ)-ピペリジン-1-イル]-エタノン塩基を、適切な溶媒または当該溶媒の混合物に溶解し、続いて、得られた溶液に、1-[4-(4-{3-[(2R)-2-メチル-ピロリジン-1-イル]-プロポキシ}-フェノキシ)-ピペリジン-1-イル]-エタノンよりも弱い塩基によって形成されるその酸もしくは塩またはその溶液を添加し、次いで、反応混合物の濃度を、場合により上昇させ、もしくは上昇させず、室温で、または冷却後に、沈殿した生成物を、濾過によって単離することを特徴とする、方法。
【請求項33】
請求項1~31のいずれか一項に記載の化合物の調製のための方法であって、1-[4-(4-{3-[(2R)-2-メチル-ピロリジン-1-イル]-プロポキシ}-フェノキシ)-ピペリジン-1-イル]-エタノン塩基を、適切な溶媒または当該溶媒の混合物に溶解させ、続いて、得られた溶液に、1-[4-(4-{3-[(2R)-2-メチル-ピロリジン-1-イル]-プロポキシ}-フェノキシ)-ピペリジン-1-イル]-エタノンよりも弱い塩基によって形成されるその酸もしくは塩またはその溶液を添加し、次いで、得られた溶液に添加される適切な逆溶媒を使用して結晶化させ、室温で、または冷却後に、沈殿した生成物を、濾過によって単離することを特徴とする、方法。
【請求項34】
請求項32に記載の方法であって、
請求項3~16のいずれか一項に記載の1-[4-(4-{3-[(2R)-2-メチル-ピロリジン-1-イル]-プロポキシ}-フェノキシ)-ピペリジン-1-イル]-エタノン一クエン酸塩および二クエン酸塩を、下記工程:
(i)1-[4-(4-{3-[(2R)-2-メチル-ピロリジン-1-イル]-プロポキシ}-フェノキシ)-ピペリジン-1-イル]-エタノン塩基をアセトンに溶解させる工程;および
(ii)アセトン中のクエン酸の溶液をアセトン中の前記塩基の溶液に添加することによって、前記クエン酸塩を結晶化させる工程
により調製することを特徴とする、方法。
【請求項35】
請求項32に記載の方法であって、
請求項3~16のいずれか一項に記載の1-[4-(4-{3-[(2R)-2-メチル-ピロリジン-1-イル]-プロポキシ}-フェノキシ)-ピペリジン-1-イル]-エタノン一クエン酸塩および二クエン酸塩を、下記工程:
(i)1-[4-(4-{3-[(2R)-2-メチル-ピロリジン-1-イル]-プロポキシ}-フェノキシ)-ピペリジン-1-イル]-エタノン塩基をアセトンに溶解させる工程;および
(ii)アセトン中の前記塩基の溶液をアセトン中のクエン酸の溶液に添加することによって、前記クエン酸塩を結晶化させる工程
により調製することを特徴とする、方法。
【請求項36】
請求項32に記載の方法であって、
請求項12~16のいずれか一項に記載の1-[4-(4-{3-[(2R)-2-メチル-ピロリジン-1-イル]-プロポキシ}-フェノキシ)-ピペリジン-1-イル]-エタノン二クエン酸塩を、下記工程:
(i)1-[4-(4-{3-[(2R)-2-メチル-ピロリジン-1-イル]-プロポキシ}-フェノキシ)-ピペリジン-1-イル]-エタノン二塩酸塩から出発して、塩基を放出させ、溶液を、アセトン溶媒交換後に蒸発させる工程;および
(ii)アセトン中の前記塩基の溶液をアセトン中のクエン酸の溶液に添加することによって、前記二クエン酸塩を結晶化させる工程
により調製することを特徴とする、方法。
【請求項37】
ヒスタミンH受容体の調節を必要とする病状の治療および/または予防における使用のための、請求項1~31のいずれか一項に記載の1-[4-(4-{3-[(2R)-2-メチル-ピロリジン-1-イル]-プロポキシ}-フェノキシ)-ピペリジン-1-イル]-エタノン塩。
【請求項38】
医薬組成物の製造のための、請求項1~31のいずれか一項に記載の1-[4-(4-{3-[(2R)-2-メチル-ピロリジン-1-イル]-プロポキシ}-フェノキシ)-ピペリジン-1-イル]-エタノン塩の使用。
【請求項39】
治療有効量の請求項1~31のいずれか一項に記載の1-[4-(4-{3-[(2R)-2-メチル-ピロリジン-1-イル]-プロポキシ}-フェノキシ)-ピペリジン-1-イル]-エタノン塩を1つ以上の医薬的に許容される賦形剤とともに含む医薬組成物。
【請求項40】
ヒスタミンH受容体の調節を必要とする病状の治療および/または予防における、請求項39に記載の医薬組成物の使用。
【請求項41】
自閉症スペクトラム障害の治療および/または予防における、請求項40に記載の医薬組成物の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、選択的ヒスタミンH受容体アンタゴニスト化合物である式(1)の1-[4-(4-{3-[(2R)-2-メチル-ピロリジン-1-イル]-プロポキシ}-フェノキシ)-ピペリジン-1-イル]-エタノン
【化1】
の物理的および化学的に安定な塩、および/またはそれらの多形体、および/またはそれらの水和物/溶媒和物、それらの調製方法、それらを含む、ヒスタミンH受容体の調節を必要とする病状(例えば、アルツハイマー病、肥満、統合失調症、心筋虚血、片頭痛、自閉症スペクトラム障害)の治療および/または予防における使用のための医薬組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
ヒスタミンH受容体アンタゴニストは、アルツハイマー病、肥満、統合失調症、心筋虚血、片頭痛、鼻閉など様々な疾患の治療を可能にし得る薬物を製造する目的で広く研究された(Leursら,Nat.Rev.Drug.Disc.2005,4(2):107-120;Berlinら,J.Med.Chem.2011,54(1):26-53)。多くの化合物が、見込みのある前臨床結果を示し、パーキンソン病と関連する日中の過剰な眠気(EDS)、閉塞性睡眠時無呼吸、てんかん、統合失調症、認知症および注意欠陥多動性障害などの疾患において、臨床フェーズに入った(Kuhneら,Exp.Opin.Inv.Drugs 2011,20(12):1629-1648)。ヒスタミンH受容体アンタゴニスト/インバースアゴニストはまた、睡眠障害の薬物療法治療のために好適であり得るが(BarbierおよびBradbury,CNS Neurol.Disord.Drug Targets 2007,6(1):31-43)、これまでに、ヒスタミンH受容体アンタゴニストであるピトリザント(ブランド名:Wakix)1つだけが、成人において、脱力発作を伴う又は伴わないナルコレプシーの治療のために販売承認されている(Kollb-Sieleckaら,Sleep Med.2017,33:125-129)。
【0003】
WO2014/136075には、化学修飾可能な、選択的な薬物様Hアンタゴニストおよびインバースアゴニストの合成が開示されている。この特許文献には、高親和性および高選択性でH受容体に結合し、薬物様なフェノキシピペリジン誘導体化合物の調製および特徴が開示されている。
【0004】
WO2014/136075に開示されている化合物のうち、式(1)の1-[4-(4-{3-[(2R)-2-メチル-ピロリジン-1-イル]-プロポキシ}-フェノキシ)-ピペリジン-1-イル]-エタノンの塩酸塩が強調されている。実施例11に記載されている化合物の調製において、出発物質は、4-(4-{3-[(2R)-2-メチル-ピロリジン-1-イル]-プロポキシ}-フェノキシ)-ピペリジン二塩酸塩であった。塩基を放出させた後、反応混合物を、ジクロロメタン中の塩化アセチルで処理し、反応混合物を水性抽出処理した後、ジクロロメタン中の得られた式(1)の塩基の乾燥溶液を蒸発させた。ジクロロメタン中の粗生成物の溶液に、過剰の酢酸エチル中の塩酸を添加した。沈殿を、酢酸エチルを用いて濾別し、ジエチルエーテルで洗浄して、結晶性生成物である1-[4-(4-{3-[(2R)-2-メチル-ピロリジン-1-イル]-プロポキシ}-フェノキシ)-ピペリジン-1-イル]-エタノンの塩酸塩を得た。
【0005】
医薬組成物の開発における活性成分に対する一般的な要件は、当該活性成分が、適切な物理的、物理化学的および化学的パラメーターを有することである。このようなパラメーターの例としては、溶解度、特に、水に対する溶解度が挙げられる。工業的スケールの製造において考慮すべき別の重要な特性は、取り扱い容易性および良好な単離性であり、これらは、製造プロセスの経済性のために極めて重要である。さらに重要な側面は、固体形態の活性成分が、適切な物理的および化学的安定性を有すること、例えば、吸湿性ではなく、著しく分解しないことである。さらに、ある塩の異なる多形形態の中には、異なる固相特性、物理的および化学的安定性を有するものがある。
【0006】
薬物開発の視点から、ある物質が水と結合する傾向、つまり吸湿性の程度(吸収の能力)では、温度とともに周囲湿度が重要な相互作用を及ぼすため、最も重要である。活性成分の吸湿性の程度は、物質の取り扱い性、貯蔵性、安定性、製剤性および他の多くの性質に影響を及ぼす。活性成分の吸湿性を特徴付けるため、および吸湿性の程度を分類するためのいくつかの手法および方法があり、Newmanら(Newmanら,J.Pharm.Sci.2007,97(3):1047-1059)によって詳細にまとめられている。典型的には、非吸湿性、わずかな吸湿性、中程度の吸湿性、非常に吸湿性、さらには潮解性のカテゴリーも同文献において使用されている。他方、薬局方(欧州薬局方9.0,5.11 Character Section in Monographs)において、低い吸湿性、吸湿性、高い吸湿性、および潮解性のカテゴリーが、所定の時間における、試験条件下の所定の温度および相対湿度での重量増加に応じて、使用されている。吸湿性の傾向の研究のための静的および動的測定法がある。動的測定のうち、動的水蒸気吸着(DVS)分析は、医薬品産業において一般に使用される技法であり、これは、典型的には、等温条件下での相対湿度の関数として物質の質量変化(吸着および脱着曲線)を測定し、そこから、吸着プロセスの性質、メカニズムおよび相転移を推測することができる。
【0007】
活性物質の吸湿性を試験するために、当該物質が、潮解に対して影響を受けやすいかどうか、すなわち、周囲湿度と相互作用するとき、当該固体材料が溶解状態にあるポイントは何であるかを決定することは特に重要である(Mauerら,Pharm.Dev.Techn.2010,15(6):582-594)。物質の潮解は、相対湿度(RH)が、当該固体物質の表面上に当該物質の飽和溶液に対応する膜が形成される時、臨界相対湿度(CRH)に達する又は超える場合に起こる。湿度がさらに上昇すると、当該物質は継続的に水分を吸収し、その結果、当該物質の完全な溶解および生じた溶液の希釈に起因する急激な重量増加がもたらされる。典型的には、酸性または塩基性の性質を有する化合物の場合において、酸またはアルカリに敏感な化合物の分解がもたらされるような微環境が生じる可能性があるため、当該物質のわずかな表面潮解でさえ、当該化合物の化学的安定性に対してかなりの影響を与える可能性がある。結晶性薬物の潮解性および水分を吸収する強い能力は、典型的には、それらの良好な溶解度に起因する。
【0008】
臨界相対湿度の決定は、重量測定法により、例えば、相対湿度を適切に選択された工程において変化させ、疑似平衡の開始のために十分長い時間を使用する、DVSを用いて行うことができる。臨界相対湿度に達した後、吸着曲線は、程度の差はあるが傾きの急激な変化を示し、その後、典型的には、質量の単調な増大および著しい増加が続き、その程度および吸着曲線の形状は、水和物形態の形成と関連付けることはできない。
【発明の概要】
【0009】
本発明による式(1)の1-[4-(4-{3-[(2R)-2-メチル-ピロリジン-1-イル]-プロポキシ}-フェノキシ)-ピペリジン-1-イル]-エタノンの塩の塩基形態は、結晶形態で単離することができないが、油状物として単離することができる。
【0010】
本発明の目的は、十分な物理的および化学的安定性、わずかな吸湿性、非潮解性を示し、それにより単離が容易であり、取り扱い性が良好であり、優れた溶解度を有する、上述した種々の側面に関連する適切な性質を持つ、1-[4-(4-{3-[(2R)-2-メチル-ピロリジン-1-イル]-プロポキシ}-フェノキシ)-ピペリジン-1-イル]-エタノンの固体形態(塩および/または多形)を得ることである。
【0011】
1-[4-(4-{3-[(2R)-2-メチル-ピロリジン-1-イル]-プロポキシ}-フェノキシ)-ピペリジン-1-イル]-エタノン塩基の塩酸付加塩の結晶形態の調製の間に、一塩酸塩の2つの結晶多形(形態Aおよび形態B)を化学量論的に生成させることができることを見出した。また、当該化合物の結晶性二塩酸塩は、一塩酸塩とともに生成させることもできる。
【0012】
驚くべきことに、1-[4-(4-{3-[(2R)-2-メチル-ピロリジン-1-イル]-プロポキシ}-フェノキシ)-ピペリジン-1-イル]-エタノン一塩酸塩および二塩酸塩とは対照的に、新規の二臭化水素酸塩、硫酸塩、シュウ酸塩、一クエン酸塩および二クエン酸塩は、極めて優れた特性、すなわち吸湿性が低く、単離が容易であり、物理的および化学的安定性がより好ましく、そして優れた溶解度を有することを見出した。この新規な1-[4-(4-{3-[(2R)-2-メチル-ピロリジン-1-イル]-プロポキシ}-フェノキシ)-ピペリジン-1-イル]-エタノンの二臭化水素酸塩、硫酸塩、シュウ酸塩、一クエン酸塩および二クエン酸塩の上記すべての有利な特性が、それらを、H受容体の選択的調節を目的とする疾患治療のための医薬組成物の開発のための好適なものにする。
【0013】
本発明は、1-[4-(4-{3-[(2R)-2-メチル-ピロリジン-1-イル]-プロポキシ}-フェノキシ)-ピペリジン-1-イル]-エタノンの二臭化水素酸塩、硫酸塩、シュウ酸塩、一クエン酸塩および二クエン酸塩、および/またはそれらの多形、および/またはそれらの水和物/溶媒和物、それらの調製方法、それらを含む医薬組成物、さらにヒスタミンH受容体の調節を必要とする病状(例えば、アルツハイマー病、肥満、統合失調症、心筋虚血、片頭痛、自閉症スペクトラム障害)の治療および/または予防におけるそれらの使用に関する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】1-[4-(4-{3-[(2R)-2-メチル-ピロリジン-1-イル]-プロポキシ}-フェノキシ)-ピペリジン-1-イル]-エタノン一塩酸塩の形態A(例6)の粉末X線回折(XRPD)パターン。
図2】1-[4-(4-{3-[(2R)-2-メチル-ピロリジン-1-イル]-プロポキシ}-フェノキシ)-ピペリジン-1-イル]-エタノン一塩酸塩の形態A(例6)の動的水蒸気吸着(DVS)等温線プロット。
図3】1-[4-(4-{3-[(2R)-2-メチル-ピロリジン-1-イル]-プロポキシ}-フェノキシ)-ピペリジン-1-イル]-エタノン一塩酸塩の形態B(例7)の粉末X線回折(XRPD)パターン。
図4】1-[4-(4-{3-[(2R)-2-メチル-ピロリジン-1-イル]-プロポキシ}-フェノキシ)-ピペリジン-1-イル]-エタノン一塩酸塩の形態B(例7)の赤外線スペクトル(IR)。
図5】1-[4-(4-{3-[(2R)-2-メチル-ピロリジン-1-イル]-プロポキシ}-フェノキシ)-ピペリジン-1-イル]-エタノン一塩酸塩の形態B(例7)のラマンスペクトル(ラマン)。
図6】1-[4-(4-{3-[(2R)-2-メチル-ピロリジン-1-イル]-プロポキシ}-フェノキシ)-ピペリジン-1-イル]-エタノン一塩酸塩の形態B(例7)の動的水蒸気吸着(DVS)等温線プロット。
図7】1-[4-(4-{3-[(2R)-2-メチル-ピロリジン-1-イル]-プロポキシ}-フェノキシ)-ピペリジン-1-イル]-エタノン二塩酸塩(例2)の粉末X線回折(XRPD)パターン。
図8】1-[4-(4-{3-[(2R)-2-メチル-ピロリジン-1-イル]-プロポキシ}-フェノキシ)-ピペリジン-1-イル]-エタノン二塩酸塩(例2)の熱重量分析(TG)曲線。
図9】1-[4-(4-{3-[(2R)-2-メチル-ピロリジン-1-イル]-プロポキシ}-フェノキシ)-ピペリジン-1-イル]-エタノン二塩酸塩(例2)の示差走査熱量測定(DSC)サーモグラム。
図10】1-[4-(4-{3-[(2R)-2-メチル-ピロリジン-1-イル]-プロポキシ}-フェノキシ)-ピペリジン-1-イル]-エタノン二塩酸塩(例2)の赤外線スペクトル(IR)。
図11】1-[4-(4-{3-[(2R)-2-メチル-ピロリジン-1-イル]-プロポキシ}-フェノキシ)-ピペリジン-1-イル]-エタノン二塩酸塩(例2)のラマンスペクトル(ラマン)。
図12】1-[4-(4-{3-[(2R)-2-メチル-ピロリジン-1-イル]-プロポキシ}-フェノキシ)-ピペリジン-1-イル]-エタノン二塩酸塩(例2)の動的水蒸気吸着(DVS)等温線プロット。 25℃で試験された塩の動的水蒸気吸着曲線(相対重量変化%-相対湿度%)、(a)潮解性の塩、(b)潮解性ではない(非潮解性の)塩。
図15】1-[4-(4-{3-[(2R)-2-メチル-ピロリジン-1-イル]-プロポキシ}-フェノキシ)-ピペリジン-1-イル]-エタノン一クエン酸塩の形態A(例17)の粉末X線回折(XRPD)パターン。
図16】1-[4-(4-{3-[(2R)-2-メチル-ピロリジン-1-イル]-プロポキシ}-フェノキシ)-ピペリジン-1-イル]-エタノン一クエン酸塩の形態A(例17)の赤外線スペクトル(IR)。
図17】1-[4-(4-{3-[(2R)-2-メチル-ピロリジン-1-イル]-プロポキシ}-フェノキシ)-ピペリジン-1-イル]-エタノン一クエン酸塩の形態A(例17)のラマンスペクトル(ラマン)。
図18】1-[4-(4-{3-[(2R)-2-メチル-ピロリジン-1-イル]-プロポキシ}-フェノキシ)-ピペリジン-1-イル]-エタノン一クエン酸塩の形態B(例18)の粉末X線回折(XRPD)パターン。
図19】1-[4-(4-{3-[(2R)-2-メチル-ピロリジン-1-イル]-プロポキシ}-フェノキシ)-ピペリジン-1-イル]-エタノン一クエン酸塩の形態B(例18)の赤外線スペクトル(IR)。
図20】1-[4-(4-{3-[(2R)-2-メチル-ピロリジン-1-イル]-プロポキシ}-フェノキシ)-ピペリジン-1-イル]-エタノン一クエン酸塩の形態B(例18)のラマンスペクトル(ラマン)。
図21】1-[4-(4-{3-[(2R)-2-メチル-ピロリジン-1-イル]-プロポキシ}-フェノキシ)-ピペリジン-1-イル]-エタノン一クエン酸塩(例17)の動的水蒸気吸着(DVS)等温線プロット。
図22】1-[4-(4-{3-[(2R)-2-メチル-ピロリジン-1-イル]-プロポキシ}-フェノキシ)-ピペリジン-1-イル]-エタノン二クエン酸塩(例20)の粉末X線回折(XRPD)パターン。
図23】1-[4-(4-{3-[(2R)-2-メチル-ピロリジン-1-イル]-プロポキシ}-フェノキシ)-ピペリジン-1-イル]-エタノン二クエン酸塩(例20)の赤外線スペクトル(IR)。
図24】1-[4-(4-{3-[(2R)-2-メチル-ピロリジン-1-イル]-プロポキシ}-フェノキシ)-ピペリジン-1-イル]-エタノン二クエン酸塩(例20)のラマンスペクトル(ラマン)。
図25】1-[4-(4-{3-[(2R)-2-メチル-ピロリジン-1-イル]-プロポキシ}-フェノキシ)-ピペリジン-1-イル]-エタノン二クエン酸塩(例20)の動的水蒸気吸着(DVS)等温線プロット。
図26】1-[4-(4-{3-[(2R)-2-メチル-ピロリジン-1-イル]-プロポキシ}-フェノキシ)-ピペリジン-1-イル]-エタノン二臭化水素酸塩(例9)の粉末X線回折(XRPD)パターン。
図27】1-[4-(4-{3-[(2R)-2-メチル-ピロリジン-1-イル]-プロポキシ}-フェノキシ)-ピペリジン-1-イル]-エタノン二臭化水素酸塩(例9)の赤外線スペクトル(IR)。
図28】1-[4-(4-{3-[(2R)-2-メチル-ピロリジン-1-イル]-プロポキシ}-フェノキシ)-ピペリジン-1-イル]-エタノン二臭化水素酸塩(例9)のラマンスペクトル(ラマン)。
図29】1-[4-(4-{3-[(2R)-2-メチル-ピロリジン-1-イル]-プロポキシ}-フェノキシ)-ピペリジン-1-イル]-エタノン二臭化水素酸塩(例9)の動的水蒸気吸着(DVS)等温線プロット。
図30】1-[4-(4-{3-[(2R)-2-メチル-ピロリジン-1-イル]-プロポキシ}-フェノキシ)-ピペリジン-1-イル]-エタノン硫酸塩(例10)の粉末X線回折(XRPD)パターン。
図31】1-[4-(4-{3-[(2R)-2-メチル-ピロリジン-1-イル]-プロポキシ}-フェノキシ)-ピペリジン-1-イル]-エタノン硫酸塩(例10)の赤外線スペクトル(IR)。
図32】1-[4-(4-{3-[(2R)-2-メチル-ピロリジン-1-イル]-プロポキシ}-フェノキシ)-ピペリジン-1-イル]-エタノン硫酸塩(例10)のラマンスペクトル(ラマン)。
図33】1-[4-(4-{3-[(2R)-2-メチル-ピロリジン-1-イル]-プロポキシ}-フェノキシ)-ピペリジン-1-イル]-エタノン硫酸塩(例10)の動的水蒸気吸着(DVS)等温線プロット。
図34】1-[4-(4-{3-[(2R)-2-メチル-ピロリジン-1-イル]-プロポキシ}-フェノキシ)-ピペリジン-1-イル]-エタノンシュウ酸塩(例13)の粉末X線回折(XRPD)パターン。
図35】1-[4-(4-{3-[(2R)-2-メチル-ピロリジン-1-イル]-プロポキシ}-フェノキシ)-ピペリジン-1-イル]-エタノンシュウ酸塩(例13)の赤外線スペクトル(IR)。
図36】1-[4-(4-{3-[(2R)-2-メチル-ピロリジン-1-イル]-プロポキシ}-フェノキシ)-ピペリジン-1-イル]-エタノンシュウ酸塩(例13)のラマンスペクトル(ラマン)。
図37】1-[4-(4-{3-[(2R)-2-メチル-ピロリジン-1-イル]-プロポキシ}-フェノキシ)-ピペリジン-1-イル]-エタノンシュウ酸塩(例13)の動的水蒸気吸着(DVS)等温線プロット。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明による式(1)の1-[4-(4-{3-[(2R)-2-メチル-ピロリジン-1-イル]-プロポキシ}-フェノキシ)-ピペリジン-1-イル]-エタノンの塩の塩基形態は、結晶形態で単離することができないが、油状物として単離することができる。WO2014/136075の実施例11に記載されている手順による塩基は、生じた生成物のジクロロメタン溶液を蒸発させることによって、または当業者に自明の方法である塩酸塩の単離後に、塩基放出によって、得ることができる。
【0016】
1-[4-(4-{3-[(2R)-2-メチル-ピロリジン-1-イル]-プロポキシ}-フェノキシ)-ピペリジン-1-イル]-エタノン塩基の塩酸付加塩(例1)は、結晶形態で調製される(例2~例8)。一塩酸塩によって特徴付けられる塩の2つの結晶多形(形態Aおよび形態B)を化学量論的に生成させることができることを見出し(例4~例8)、その粉末X線回折(XRPD)パターン、赤外線(IR)およびラマンスペクトル、ならびに動的水蒸気吸着(DVS)等温線プロットを、図1図6に示す。一塩酸塩の多形(形態Aおよび形態B)は双方とも、吸湿性が高く、潮解する傾向がある。25℃でのDVS分析に基づいて、形態Aは、40%を超える相対湿度を有し、形態Bは、30%を超える相対湿度を有し、吸着プロセスにおける高く、連続的な重量増加は、当該物質の潮解によって引き起こされる。
【0017】
さらなる実験において、一塩酸塩とともに、化合物の結晶性二塩酸塩(diHCl)も生成させることができることを見出し(例2および例3)、その粉末X線回折(XRPD)パターン、熱重量分析(TG)曲線、示差走査熱量測定(DSC)サーモグラム、赤外線(IR)およびラマンスペクトル、ならびに動的水蒸気吸着(DVS)等温線プロットを、図7図12に示す。1-[4-(4-{3-[(2R)-2-メチル-ピロリジン-1-イル]-プロポキシ}-フェノキシ)-ピペリジン-1-イル]-エタノン化合物は、1つの強い塩基性中心(ピロリジン窒素)を含有し、これは、等モルの塩酸と化学量論的な塩を形成することができ、したがって、二塩酸塩の化学量論的な形成は、当該化合物の酸/塩基の性質を考慮すると、予測されない。TGおよびDSC分析に基づいて、第2モル量の塩酸は、結晶格子にあまり強く結合せず、揮発性成分として振る舞う。当該化合物は、TG分析によれば、熱的に安定性が低く、揮発性HClの喪失は、室温で既に観察することができるが、約70~80℃で集中的になる(図8)。このプロセスと並行して、DSCおよび顕微鏡分析によれば、試料は、およそ100℃から融解を開始し、分解の間に融解する(図9)。
【0018】
二塩酸塩形態のさらなる欠点は、それが非常に吸湿性であることであり、25℃でのDVS(動的水蒸気吸着)分析によれば、著しい単調な重量増加が、吸着曲線において、60%を超える相対湿度で観察され、これは当該物質の潮解性を示す(図12)。
【0019】
1-[4-(4-{3-[(2R)-2-メチル-ピロリジン-1-イル]-プロポキシ}-フェノキシ)-ピペリジン-1-イル]-エタノンの一塩酸塩および二塩酸塩の吸湿性は、当該化合物の医薬開発、取り扱い、貯蔵性、安定性および製剤性の観点で多くの課題を有する。塩酸塩は、単離の条件下で、潮解に対して既に影響を受けやすいことが観察されており、したがって、それらの濾過および取り扱いは問題がある。当該化合物の脱アセチル化が水分の存在下での酸への曝露に起因して起こり得るため、当該物質の分解傾向は、その吸湿性にも明確に関連する。
【0020】
したがって、吸湿性が低く、取り扱いが容易で、一塩酸塩および二塩酸塩よりも物理的および化学的により安定な、1-[4-(4-{3-[(2R)-2-メチル-ピロリジン-1-イル]-プロポキシ}-フェノキシ)-ピペリジン-1-イル]-エタノンの塩を生成することが必要である。
【0021】
本発明者らの実験において、1-[4-(4-{3-[(2R)-2-メチル-ピロリジン-1-イル]-プロポキシ}-フェノキシ)-ピペリジン-1-イル]-エタノンの二臭化水素酸塩(例9)、硫酸塩(例10~例12)、シュウ酸塩(例13および例14)、一クエン酸塩(例15~例18)、および二クエン酸塩(例19~例22)を、結晶形態で調製し、これらは、塩酸塩および二塩酸塩に比べて、吸湿性がより低く(第1表)、したがって単離および取り扱いがより容易であり、また安定性がさらにより良好であり(第2表)、より好ましいものであった。
【0022】
1-[4-(4-{3-[(2R)-2-メチル-ピロリジン-1-イル]-プロポキシ}-フェノキシ)-ピペリジン-1-イル]-エタノンの結晶性塩の多形を特徴付けるために好適な粉末X線回折、IRおよびラマンデータを、第3表~第5表に示す。
【0023】
したがって、本発明は、有機酸または無機酸と形成され得る、医薬的に許容され、吸湿性が低い、1-[4-(4-{3-[(2R)-2-メチル-ピロリジン-1-イル]-プロポキシ}-フェノキシ)-ピペリジン-1-イル]-エタノンの酸付加塩、および/またはそれらの多形、および/またはそれらの水和物/溶媒和物に関する。このような有機酸または無機酸と形成され得る酸付加塩の例としては、臭化水素、硫酸、シュウ酸またはクエン酸に由来する塩が挙げられる。
【0024】
本発明は、好ましくは、1-[4-(4-{3-[(2R)-2-メチル-ピロリジン-1-イル]-プロポキシ}-フェノキシ)-ピペリジン-1-イル]-エタノンの二臭化水素酸塩、硫酸塩、シュウ酸塩、一クエン酸塩および二クエン酸塩、および/またはそれらの多形、および/またはそれらの水和物/溶媒和物に関する。
【0025】
本発明はまた、有機酸または無機酸と形成され得る、医薬的に許容され、吸湿性が低い、1-[4-(4-{3-[(2R)-2-メチル-ピロリジン-1-イル]-プロポキシ}-フェノキシ)-ピペリジン-1-イル]-エタノンの酸付加塩、好ましくは、二臭化水素酸塩、硫酸塩、シュウ酸塩、一クエン酸塩および二クエン酸塩、および/またはそれらの多形、および/またはそれらの水和物/溶媒和物の調製に関する。
【0026】
本発明はまた、ヒスタミンH受容体の調節を必要とする病状の治療および/または予防における使用のための、1-[4-(4-{3-[(2R)-2-メチル-ピロリジン-1-イル]-プロポキシ}-フェノキシ)-ピペリジン-1-イル]-エタノンの二臭化水素酸塩、硫酸塩、シュウ酸塩、一クエン酸塩および二クエン酸塩に関する。
【0027】
本発明は、医薬組成物の製造における、1-[4-(4-{3-[(2R)-2-メチル-ピロリジン-1-イル]-プロポキシ}-フェノキシ)-ピペリジン-1-イル]-エタノン塩の使用に関する。
【0028】
本発明はまた、治療有効量の1-[4-(4-{3-[(2R)-2-メチル-ピロリジン-1-イル]-プロポキシ}-フェノキシ)-ピペリジン-1-イル]-エタノンの二臭化水素酸塩、硫酸塩、シュウ酸塩、一クエン酸塩および二クエン酸塩を、医薬的に許容される賦形剤とともに含む医薬組成物に関する。
【0029】
本発明は、ヒスタミンH受容体の調節を必要とする病状の治療および/または予防における、好ましくは、自閉症スペクトラム障害の治療および/または予防における、前段落に記載の医薬組成物の使用にも関する。
【0030】
例えば、塩基からの塩の調製は、以下の通り行うことができる:1-[4-(4-{3-[(2R)-2-メチル-ピロリジン-1-イル]-プロポキシ}-フェノキシ)-ピペリジン-1-イル]-エタノン塩基を、適切な溶媒または当該溶媒の混合物に溶解し、続いて、得られた溶液に、1-[4-(4-{3-[(2R)-2-メチル-ピロリジン-1-イル]-プロポキシ}-フェノキシ)-ピペリジン-1-イル]-エタノンよりも弱い塩基によって形成されるその酸もしくは塩またはその溶液を添加する。また、1-[4-(4-{3-[(2R)-2-メチル-ピロリジン-1-イル]-プロポキシ}-フェノキシ)-ピペリジン-1-イル]-エタノン塩基を、その塩から調製することができ、塩基を放出させた後、適切な分離および/または溶媒交換後、所望の塩を、塩基を単離せずに、酸の添加によって形成させる。必要により、反応混合物を濃縮し、沈殿した生成物を、室温で、または冷却後に、濾過によって単離し、次いで、必要に応じて、適切な温度で乾燥させる。必要に応じ、得られた塩を、室温で、または還流後に、その溶液から適切な逆溶媒の添加によって結晶化させ、沈殿した生成物を、濾過によって単離し、次いで、必要に応じ、適切な温度で乾燥させる。
【0031】
本発明の塩は、十分に単離することができ、また高純度で得ることができる方法の結果として、それらを医薬用途のためにとりわけ価値あるものにする。本発明の実施の観点から、一クエン酸塩および二クエン酸塩は、医薬組成物の調製のために特に好ましく、この場合において、最良の品質および最高に安定な生成物が、優れた収率で得られる。一クエン酸塩および二クエン酸塩は、吸湿性が低く、潮解性を示さず、それらの物理的および化学的安定性ならびに溶解度が優れている。
【0032】
双方のクエン酸塩は、二塩酸塩よりも高い融点を有する。一クエン酸塩の場合、およそ15℃、他方、二クエン酸塩の場合、およそ30℃の融点の上昇を観察することができ、このことは、より高い安定性を示し、医薬組成物の調製のためにより有利である。一クエン酸塩は、一水和物の形態で(一クエン酸塩の形態A)、通常の実験室条件下で安定であるが、室温からおよそ70~90℃の温度の上昇により、弱く結合した構造水を失い、無水形態(一クエン酸塩の形態B)に変換される。乾燥した試料はまた、周囲湿度と相互作用するとき、比較的速やかに、その化学量論的な水分量を吸収する。二クエン酸塩は、無水物の形態で安定であり、水和物形態に変換されず、開発の観点で、好ましく、十分に高い融点を有する。
【0033】
研究された、1-[4-(4-{3-[(2R)-2-メチル-ピロリジン-1-イル]-プロポキシ}-フェノキシ)-ピペリジン-1-イル]-エタノンの塩の25℃で測定された動的水蒸気吸着曲線の比較をに示し、これは、相対湿度(RH%)の関数として相対重量変化(相対湿度0%での重量に対する重量変化のおよそのパーセンテージ)を示す。
【0034】
一塩酸塩の形態Aの吸着曲線において(図2)、約3%の水が、40%のRHまで結合し、次いで、より高い湿度で液化する(95%のRH-相対重量変化:97%)。
【0035】
一塩酸塩の形態Bの吸着曲線において(図6)、わずか0.3%の水が、表面吸着によって推測されるように、30%のRHまで結合し、次いで、より高い湿度で液化する(95%のRH-相対重量変化:61%)。
【0036】
二塩酸塩の吸着曲線において(図12)、約0.7%の水が、乾燥質量に対して、60%のRHまで結合し、次いで、より高い湿度で液化する(70%のRHは、17%の相対重量増加を既に示し、90%のRHの相対重量変化は63%である)。二塩酸塩のDVS測定の場合において、一般的な方法の説明とは異なって、5%および95%の相対湿度での測定サイクルで測定を行わなかったが、この相違は、潮解の発生の決定に著しい影響を与えない(下記参照)。
【0037】
二臭化水素酸塩の吸着曲線において(図29)、これは、70%のRHまで、約6%の水分を吸収し、次いで、より高い湿度で液化する(95%のRH-相対重量変化:90%)。
【0038】
硫酸塩の吸着曲線において(図33)、約5%の水が、80%のRHまで結合し、次いで、より高い湿度で液化する(95%のRH-相対重量変化:53%)。
【0039】
シュウ酸塩の吸着曲線において(図37)、乾燥重量に対して約4.7%の相対重量増加が、10~50%のRH範囲で観察され、これは、およそ70%のRHまで定常であるように見える。この重量変化は、一水和物のものと近い化学量論を有する水和物形態の形成を指す。さらなる水の吸収は、80%を超えるRHで開始するが、シュウ酸塩は、試験条件下、90%を超えるRHでさえ潮解性を示さない。20~70%のRHの脱着サイクルにおいて、これは、7.1~7.3%の相対重量で安定化され、二水和物形態に相当する化学量論の形成を示す。したがって、シュウ酸塩は、湿度に応じて、異なる組成を有する水和物の形態で安定化される。
【0040】
一クエン酸塩のDVS曲線において(図21)、試料の一水和物(形態A)および無水物(形態B)の状態を、十分に分離することができる。30%を超えるRHで、それは、物質の乾燥状態に対して、2.6~4.3%の水を吸収し、これは、一クエン酸塩一水和物の理論上の計算値(3.2%)に近い。一水和物形態は、脱着の間に、一水和物形態Aが、10%未満のRHでのみ無水物形態Bに変換されるように安定であることが判明した。一クエン酸塩は、90%を超えるRHでさえ、潮解性を示さなかった。
【0041】
二クエン酸塩の吸着曲線において(図25)、3.2%の水が、80%のRHまで、6.8%の水が、90%のRHまで結合し、90%を超えるRHで潮解性を示さず、その重量は、脱着段階の間に、可逆的に減少する。
【0042】
1-[4-(4-{3-[(2R)-2-メチル-ピロリジン-1-イル]-プロポキシ}-フェノキシ)-ピペリジン-1-イル]-エタノン塩の一般に観察される吸湿性は、とりわけ、それらの良好な溶解度に関連する。模擬胃液(ペプシンなしのSGF、pH=1.3)中で、二塩酸塩は、59mMよりも高い溶解度を有し、一クエン酸塩の溶解度は、44mMよりも高く、二クエン酸塩の溶解度は、469mMである。
【0043】
それぞれの塩の潮解傾向は、臨界相対湿度(CRH)値によって特徴付けられ(第1表)、これは、以下にしたがって、25℃の等温条件でのDVS分析を用い、下記の測定パラメーター設定にしたがって測定された吸着曲線に基づいて決定された。
【0044】
吸着曲線の導関数を、10%のRH変化に対する相対重量変化における差を決定することによって、10~90%のRHの吸着曲線において形成した:
Δm=m2-m1
(式中、m1およびm2は、吸着曲線の相対湿度RH1およびRH2の所定のパーセンテージについての、疑似平衡相対質量変化(相対湿度0%での重量に対する重量変化のおよそのパーセンテージ)である)、および
ΔRH=RH2-RH1=10。
【0045】
ある吸着工程が、Δm/ΔRH≧0.5のとき、RH1は、物質の物理的安定性のエンドポイントを示す臨界相対湿度(CRH)値であると考えられる。このようにして決定された値は、吸着曲線において目視で観察される著しい単調な重量増加の発生と良好に一致する。臨界相対湿度値を超えると、これは、吸着曲線において観察される重量増加を決定する、物質の潮解のプロセスである。
【0046】
【表1】
【0047】
一塩酸塩と比較すると、二臭化水素酸塩、硫酸塩は、かなり高い臨界相対湿度で潮解を示し始めることが立証され、これは、後者のより高い物理的安定性と関連する低減された吸湿傾向を示す。驚くべきことに、シュウ酸塩、一クエン酸塩および二クエン酸塩は、DVS分析の条件下で潮解性ではなく、物理的に最も安定なものである。
【0048】
周囲湿度に対する増加した安定性は、活性成分の長期の物理的および化学的安定性のために有益である。低減された吸湿性およびそれと関連する増加した化学的安定性の間の関係は、二塩酸塩との比較において、最も好ましいクエン酸塩において示される。
【0049】
第2表は、二塩酸塩、一クエン酸塩および二クエン酸塩の10日の固体ストレス安定性研究のHPLC純度試験結果を示す。二塩酸塩は、熱によってわずかに分解するが、熱および湿度の組み合わせ効果の下では著しく分解することが結果から明らかである。対照的に、一クエン酸塩および二クエン酸塩は、これらの条件下で安定であり、著しくより有利である。
【0050】
【表2】
【0051】
【表3】
【0052】
【表4】
【0053】
【表5】
【0054】
【表6】
【0055】
【表7】
【0056】
【表8】
【0057】
【表9】
【0058】
【表10】
【0059】
【表11】
【0060】
FT-IR分光法測定のパラメーター:
装置 Thermo-Nicolet 6700
フェーズ KBrパスティル
スペクトル分解能 4cm-1
検出器 DTGS
ビームスプリッター XT-KBr
ミラー移動速度 0.6329
スキャン数 100
【0061】
FT-ラマン分光法測定のパラメーター:
装置 Thermo-Nicolet NXR9650
測定範囲 3500~200cm-1
スペクトル分解能 4cm-1
検出器 Ge
ビームスプリッター CaF
ミラー移動速度 0.1581
スキャン数 256
レーザー性能 500mW
【0062】
粉末X線回折測定のパラメーター:
装置 PANanalytical X’Pert PRO MPD
放射線 CuKα
加速電圧 40kV
アノード電流 40mA
ゴニオメーター PW3050/60
スキャン速度 0.0305°/秒
増分 0.0131°
試料ホルダー
PW1818/25 & 40
(透過、ホイルの間の試料)
試料ホルダースピナー PW3064/60(反射/透過スピナー)
試料ホルダーのスピン速度 1スピン/秒
検出器 PIXcel(PW3018/00)
2θ測定値の不確実性 ±0.2°
【0063】
TG測定のパラメーター:
装置 TA Instruments TGA Q5000または
Discovery TGA 5500
加熱速度 10℃/分
試料重量 およそ5~10mg
雰囲気 60mL/分のN
【0064】
DSC測定のパラメーター:
装置 TA Instruments DSC Q1000または
Discovery DSC 2500
加熱速度 10℃/分
試料重量 およそ1~2mg
ジャーのタイプ オープンAlジャー
雰囲気 50mL/分のN
【0065】
DVS測定のパラメーター:
装置 SMS DVS Advantage 1
dm/dt基準 0.002%/分
時間制限 最大/最小 360分/10分
温度 25℃
サイクル 0-5-10-20-30-40-50-60-70-80-90-95-90-80-70-60-50-40-30-20-10-5-0%RH
ガス流量 150mL/分のN
溶媒 水
【0066】
医薬組成物
本発明の塩は、医薬組成物の製剤に対して適切に、任意の医薬的に許容される方法、例えば、経口、非経口、頬側、舌下、経鼻、直腸または経皮で投与されてもよい。治療有効用量は、0.01~40mg/日である。
【0067】
以下の製剤例は、本発明の医薬組成物を示す。しかしながら、本発明は、これらの組成物に限定されるものではない。
【0068】
A)固体経口剤形
錠剤
活性成分 0.005~90%
フィラー 1~99.9%
バインダー 0~20%
崩壊剤 0~20%
潤滑剤 0~10%
他の特定の賦形剤 0~50%
【0069】
B)非経口剤形
静脈内注射剤
活性成分 0.001~50%
溶媒 10~99.9%
共溶媒 0~99.9%
浸透圧剤 0~50%
緩衝液 適量
【0070】
C)他の剤形
坐剤
活性成分 0.0003~50%
坐剤基剤 1~99.9%
界面活性剤 0~20%
潤滑剤 0~20%
保存剤 適量
【実施例
【0071】
本発明を、本発明の範囲を限定することなく、以下の参照例および実施例によって例示する。
【0072】
参照例
例1
1-[4-(4-{3-[(2R)-2-メチル-ピロリジン-1-イル]-プロポキシ}-フェノキシ)-ピペリジン-1-イル]-エタノン
WO2014/136075の実施例11にしたがって調製された40gの1-[4-(4-{3-[(2R)-2-メチル-ピロリジン-1-イル]-プロポキシ}-フェノキシ)-ピペリジン-1-イル]-エタノン塩酸塩を、480mLのジクロロメタンに0~5℃で溶解し、次いで、168mLの1M NaOH水溶液を添加した。10分間撹拌した後、水相および有機相を分離し、有機相を120mLの脱イオン水で2回洗浄し、25gの硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過した。溶液を、真空中、油状物まで濃縮した。蒸発残渣:32.8gの油状物。
【0073】
例2
1-[4-(4-{3-[(2R)-2-メチル-ピロリジン-1-イル]-プロポキシ}-フェノキシ)-ピペリジン-1-イル]-エタノン・二塩酸塩
2.0g(5.55mmol)の1-[4-(4-{3-[(2R)-2-メチル-ピロリジン-1-イル]-プロポキシ}-フェノキシ)-ピペリジン-1-イル]-エタノンを、20mLのアセトンに室温で溶解した。混合物を0~5℃に冷却し、0.8mLの37%以上の塩酸溶液を滴下した。0~5℃で30分間撹拌した後、結晶を、濾過し、1.5mLの冷アセトンで覆い、室温で乾燥させた。白色の結晶物質。収量:1.7g。
【0074】
例3
1-[4-(4-{3-[(2R)-2-メチル-ピロリジン-1-イル]-プロポキシ}-フェノキシ)-ピペリジン-1-イル]-エタノン・二塩酸塩
0.548gの1-[4-(4-{3-[(2R)-2-メチル-ピロリジン-1-イル]-プロポキシ}-フェノキシ)-ピペリジン-1-イル]-エタノンを、1.1mLのイソプロパノールに室温で溶解した。塩基の溶液に、0.391gの30%塩酸イソプロパノールを、室温で滴下した。沈殿したスラリーを濾過し、次いで、窒素下の真空下、40℃で2時間乾燥させた。収量:0.42g。
【0075】
例4
1-[4-(4-{3-[(2R)-2-メチル-ピロリジン-1-イル]-プロポキシ}-フェノキシ)-ピペリジン-1-イル]-エタノン・一塩酸塩形態A
11.831mgの1-[4-(4-{3-[(2R)-2-メチル-ピロリジン-1-イル]-プロポキシ}-フェノキシ)-ピペリジン-1-イル]-エタノン二塩酸塩を、白金ジャーに秤量し、TA Instruments TGA Q50装置において、1モルのHClの脱離まで、以下のプログラムにしたがって、熱処理した。
1.10℃/分の加熱速度で、90℃まで加熱
2.103.7分間、90℃で維持
3.10℃/分の加熱速度で、95℃まで加熱
4.12.9分間、95℃で維持
5.10℃/分の加熱速度で、100℃まで加熱
6.180分間、100℃で維持
【0076】
例5
1-[4-(4-{3-[(2R)-2-メチル-ピロリジン-1-イル]-プロポキシ}-フェノキシ)-ピペリジン-1-イル]-エタノン・一塩酸塩の形態A
0.4mLの重炭酸ナトリウム水溶液(97.5mgのNaHCO/1mLのHO)を、0.2gの1-[4-(4-{3-[(2R)-2-メチル-ピロリジン-1-イル]-プロポキシ}-フェノキシ)-ピペリジン-1-イル]-エタノン・二塩酸塩に添加した。等モルの塩基を使用して、1モルのHClを、溶液の沸騰の間に遊離させた。1mLの1,4-ジオキサンを溶液に添加し、油状物を、蒸発後に得た。20~30mgの油状物を、0.5mLのメチルエチルケトンと混合し、濾過し、0.5mLのジイソプロピルエーテルを用いて沈殿させて、油状物を得た。例4における熱処理によって得られた1-[4-(4-{3-[(2R)-2-メチル-ピロリジン-1-イル]-プロポキシ}-フェノキシ)-ピペリジン-1-イル]-エタノン・一塩酸塩をシードした。結晶化後、生成物を濾過し、室温で乾燥させた。収量:27mg。
【0077】
例6
1-[4-(4-{3-[(2R)-2-メチル-ピロリジン-1-イル]-プロポキシ}-フェノキシ)-ピペリジン-1-イル]-エタノン・一塩酸塩の形態A
0.1gの1-[4-(4-{3-[(2R)-2-メチル-ピロリジン-1-イル]-プロポキシ}-フェノキシ)-ピペリジン-1-イル]-エタノン・二塩酸塩を、0.2mLの脱イオン水に溶解し、0.2mLの重炭酸ナトリウム水溶液(97.5mgのNaHCO/1mLのHO)を添加した。得られた溶液を、50℃、70mbarで濃縮し、次いで、5mLのメチルエチルケトンに溶解し、濾過し、1mLのメチルエチルケトンで洗浄した。溶液に、11.5mLのジイソプロピルエーテルを添加し、例4の生成物をシードし、油状の沈殿物が観察された。溶液を濃縮して乾固させ、「残渣」を1mLのジメチルホルムアミドに溶解し、15mLのメチルtert-ブチルエーテルを添加し、次いで、例5の生成物をシードした。翌日、沈殿した結晶生成物を、濾過によって単離した。収量:25mg。
【0078】
例7
1-[4-(4-{3-[(2R)-2-メチル-ピロリジン-1-イル]-プロポキシ}-フェノキシ)-ピペリジン-1-イル]-エタノン・一塩酸塩の形態B
2.0gの1-[4-(4-{3-[(2R)-2-メチル-ピロリジン-1-イル]-プロポキシ}-フェノキシ)-ピペリジン-1-イル]-エタノン塩基を、20mLのアセトンに室温で溶解した。混合物を0~5℃に冷却し、0.4mLの37%以上の塩酸溶液を滴下した。0~5℃で30分の撹拌後、それを、真空下、40℃の水浴中で、一定重量まで濃縮した。次いで、30mLのトルエンを2回蒸発させた。白色の結晶物質。収量:1.5g。
【0079】
例8
1-[4-(4-{3-[(2R)-2-メチル-ピロリジン-1-イル]-プロポキシ}-フェノキシ)-ピペリジン-1-イル]-エタノン・一塩酸塩の形態B
0.548gの1-[4-(4-{3-[(2R)-2-メチル-ピロリジン-1-イル]-プロポキシ}-フェノキシ)-ピペリジン-1-イル]-エタノン塩基を、0.55mLのメチルtert-ブチルエーテルに室温で溶解した。ゆっくりと、0.18gの30%の塩酸イソプロパノールを、塩基の溶液に、室温で滴下した。最初の二相の混合物は、撹拌とともに混和し、次いで、濃厚な結晶懸濁液に変化した。沈殿した懸濁液を濾過し、窒素下の真空下、40℃で2時間乾燥させた。収量:0.33g。
【0080】
実施例
例9
1-[4-(4-{3-[(2R)-2-メチル-ピロリジン-1-イル]-プロポキシ}-フェノキシ)-ピペリジン-1-イル]-エタノン・二臭化水素酸塩
0.53gの1-[4-(4-{3-[(2R)-2-メチル-ピロリジン-1-イル]-プロポキシ}-フェノキシ)-ピペリジン-1-イル]-エタノン塩基を、5mLの酢酸エチルに室温で溶解し、続いて、0.8mLの臭化水素酸で飽和された酢酸の溶液を添加し、塩を形成させた。濾過後、これを、1mLの臭化水素酸で飽和された酢酸で2回洗浄した。乾燥生成物の重量は0.65gであった。
【0081】
例10
1-[4-(4-{3-[(2R)-2-メチル-ピロリジン-1-イル]-プロポキシ}-フェノキシ)-ピペリジン-1-イル]-エタノン・硫酸塩
0.1gの1-[4-(4-{3-[(2R)-2-メチル-ピロリジン-1-イル]-プロポキシ}-フェノキシ)-ピペリジン-1-イル]-エタノン塩基油状物を、9mLのアセトンに室温で溶解し、次いで、0.125mLの20.4%のHSO溶液をゆっくりと滴下した。得られた溶液は、最初、乳白色になり、次いで、結晶懸濁液を得て、これを室温で2時間撹拌した。生成物を、濾過し、0.5mLのアセトンで2回洗浄した。これを、窒素下の真空下、40℃で2時間、乾燥させた。収量:0.08g。
【0082】
例11
1-[4-(4-{3-[(2R)-2-メチル-ピロリジン-1-イル]-プロポキシ}-フェノキシ)-ピペリジン-1-イル]-エタノン・硫酸塩
0.99gの1-[4-(4-{3-[(2R)-2-メチル-ピロリジン-1-イル]-プロポキシ}-フェノキシ)-ピペリジン-1-イル]-エタノン塩基油状物を、20mLのアセトンに溶解し、次いで、1.3mLの18.4%のHSO溶液を添加した。混合物は、例10の生成物をシードした(0.05mLの水の添加を伴って)。生成物を、20mLのアセトンで沈殿させ、1時間半撹拌し、濾過し、洗浄し、窒素下、40℃で乾燥させた。収量:0.814g。生成物の融点(DSCピークに基づく):79.5℃。
【0083】
例12
1-[4-(4-{3-[(2R)-2-メチル-ピロリジン-1-イル]-プロポキシ}-フェノキシ)-ピペリジン-1-イル]-エタノン・硫酸塩
1.008gの1-[4-(4-{3-[(2R)-2-メチル-ピロリジン-1-イル]-プロポキシ}-フェノキシ)-ピペリジン-1-イル]-エタノン塩基油状物を、0.935mLの3MのHSOと混合し、15分間撹拌した。20mLのアセトンを添加し、例11の生成物をシードし、次いで、室温で終夜撹拌した。濾過し、窒素下、40℃で一定重量まで乾燥させた。収量:0.895g。生成物の融点(DSCピークに基づく):79.3℃。
【0084】
例13
1-[4-(4-{3-[(2R)-2-メチル-ピロリジン-1-イル]-プロポキシ}-フェノキシ)-ピペリジン-1-イル]-エタノン・シュウ酸塩
0.1gの1-[4-(4-{3-[(2R)-2-メチル-ピロリジン-1-イル]-プロポキシ}-フェノキシ)-ピペリジン-1-イル]-エタノン塩基油状物を、0.1mLのアセトンに室温で溶解し、0.5mLのアセトン中の0.055gのシュウ酸の溶液を添加した。生成物を、0.3mLの酢酸エチルで沈殿させた。濾過し、次いで、窒素下、一定重量まで乾燥させた。収量:128mg。生成物の融点(DSCピークに基づく):54.2℃。
【0085】
例14
1-[4-(4-{3-[(2R)-2-メチル-ピロリジン-1-イル]-プロポキシ}-フェノキシ)-ピペリジン-1-イル]-エタノン・シュウ酸塩
0.5gの1-[4-(4-{3-[(2R)-2-メチル-ピロリジン-1-イル]-プロポキシ}-フェノキシ)-ピペリジン-1-イル]-エタノン塩基油状物を、0.5mLのアセトンに溶解し、次いで、1.5mLのアセトンおよび0.05mLの水中の0.275gのシュウ酸の溶液を添加した。沈殿した物質を、濾過し、次いで、0.05mLの水および2.75mLのアセトンの混合物中、0.1755gのシュウ酸の存在下で撹拌した。得られた生成物を、濾過し、乾燥させた。収量:392mg。
【0086】
例15
1-[4-(4-{3-[(2R)-2-メチル-ピロリジン-1-イル]-プロポキシ}-フェノキシ)-ピペリジン-1-イル]-エタノン・一クエン酸塩の形態A
0.13gの1-[4-(4-{3-[(2R)-2-メチル-ピロリジン-1-イル]-プロポキシ}-フェノキシ)-ピペリジン-1-イル]-エタノン塩基油状物に、0.081gのクエン酸一水和物を、撹拌しながら、室温で添加した。0.5mLのアセトンを添加し、オーバーナイトで撹拌した。翌日のさらなる1mLのアセトンの添加後、混合物をさらに30分間撹拌し、次いで、濾過し、0.5mLのアセトンで洗浄した。得られた試料を、窒素下の真空下、25℃で乾燥させた。収量:0.163g。
【0087】
例16
1-[4-(4-{3-[(2R)-2-メチル-ピロリジン-1-イル]-プロポキシ}-フェノキシ)-ピペリジン-1-イル]-エタノン・一クエン酸塩の形態A
0.513gの1-[4-(4-{3-[(2R)-2-メチル-ピロリジン-1-イル]-プロポキシ}-フェノキシ)-ピペリジン-1-イル]-エタノン塩基油状物に、5mLのアセトン中の0.315gのクエン酸一水和物の溶液を、撹拌しながら、室温で添加した。溶液を、例15の生成物でシードした。2時間撹拌した後、さらに2mLのアセトンを添加し、週末の間撹拌した。混合物を、濾過し、5mLのアセトンで洗浄した。得られた結晶物質を、窒素下の真空下、25℃で乾燥させた。収量:0.63g。カールフィッシャー水分含量:3.1%。
【0088】
例17
1-[4-(4-{3-[(2R)-2-メチル-ピロリジン-1-イル]-プロポキシ}-フェノキシ)-ピペリジン-1-イル]-エタノン・一クエン酸塩の形態A
1.020gの1-[4-(4-{3-[(2R)-2-メチル-ピロリジン-1-イル]-プロポキシ}-フェノキシ)-ピペリジン-1-イル]-エタノン塩基油状物を、100mLの反応器に秤量し、15mLのアセトンとともに室温で撹拌した。この溶液に、15mLのクエン酸一水和物の溶液(20mLのアセトンに溶解された0.872gのクエン酸一水和物)を室温で添加した。その間に、例16において調製された一クエン酸塩の懸濁液(0.5mLのアセトン中に0.0767gを懸濁)をシードした。得られた懸濁液を、室温で1時間撹拌し、次いで、沈殿した塩を、濾過し、10mLのアセトンで洗浄した。得られた結晶物質を、窒素下、25℃で乾燥させた。収量:1.385g。生成物の融点(DSC 開始):114.3℃。カールフィッシャー水分含量:3.5%。
【0089】
例18
1-[4-(4-{3-[(2R)-2-メチル-ピロリジン-1-イル]-プロポキシ}-フェノキシ)-ピペリジン-1-イル]-エタノン・一クエン酸塩の形態B
例17の一クエン酸塩形態Aを、窒素下、70℃~90℃で一定重量まで乾燥させた。
【0090】
例19
1-[4-(4-{3-[(2R)-2-メチル-ピロリジン-1-イル]-プロポキシ}-フェノキシ)-ピペリジン-1-イル]-エタノン・二クエン酸塩
0.5gの1-[4-(4-{3-[(2R)-2-メチル-ピロリジン-1-イル]-プロポキシ}-フェノキシ)-ピペリジン-1-イル]-エタノン塩基油状物を、1mLのアセトンに溶解し、これに、4mLのアセトン中の0.962gのクエン酸一水和物の溶液を添加した。還流温度で1時間15分間撹拌した後、室温に冷却し、次いで、濾過し、10mLのアセトンで洗浄した。得られた試料を、窒素下の真空下、25℃で終夜乾燥させた。収量:0.832mg。
【0091】
例20
1-[4-(4-{3-[(2R)-2-メチル-ピロリジン-1-イル]-プロポキシ}-フェノキシ)-ピペリジン-1-イル]-エタノン・二クエン酸塩
1.928gのクエン酸一水和物を、100mLの反応器に添加し、15mLのアセトンに室温で溶解した。この溶液に、例19において調製された二クエン酸塩のアセトン懸濁液(0.1039g/0.5mL)を添加した。この溶液に、15mLのアセトン中の塩基の溶液(17.5mLのアセトンに溶解された1.695gの1-[4-(4-{3-[(2R)-2-メチル-ピロリジン-1-イル]-プロポキシ}-フェノキシ)-ピペリジン-1-イル]-エタノン塩基油状物)を、添加した。溶液を、室温で1時間撹拌し、次いで、濾別し、10mLのアセトンで洗浄した。得られた試料を、25℃で、窒素下、1日間乾燥させた。収量:2.81g。生成物の融点(DSC 開始):133.1℃。カールフィッシャー水分含量:0.4%。
【0092】
例21
1-[4-(4-{3-[(2R)-2-メチル-ピロリジン-1-イル]-プロポキシ}-フェノキシ)-ピペリジン-1-イル]-エタノン・二クエン酸塩
17.6kgのジクロロメタンを、反応器に導入し、次いで、窒素で不活性化し、温度を0~5℃に設定した。1.1kgの1-[4-(4-{3-[(2R)-2-メチル-ピロリジン-1-イル]-プロポキシ}-フェノキシ)-ピペリジン-1-イル]-エタノン二塩酸塩を添加し、次いで、5.7kgの精製水および0.19kgのNaOHの混合物を、温度を0~5℃で維持しながら、添加した。15~20分の反応時間後、有機相を別の反応器に導き、これも窒素で不活性化した。2200mLのジクロロメタンを有機相に添加し、30~40分間撹拌した後、有機相を再度分離した。以下の工程を2回繰り返した:3300mLの精製水を有機相に添加し、30~40分の撹拌後、有機相を再度分離した。2.6Lの精製水中の0.66kgのNaClの溶液を、分離した有機相に添加し、30~40分間撹拌した後、有機相を再度分離した。有機相を、0.5barの真空下、最高35℃で、撹拌の限界まで濃縮した(3~4リットルまで)。3回繰り返し、8.8kgのアセトンを添加し、遊離した塩基を、0.7barの真空下、最高45℃で、撹拌の限界まで濃縮した(3~4リットルまで)。1.1kgのクエン酸一水和物を、溶液の温度を20~25℃で維持しながら、7.0kgのアセトンに溶解した。得られたクエン酸溶液に、5.0gの1-[4-(4-{3-[(2R)-2-メチル-ピロリジン-1-イル]-プロポキシ}-フェノキシ)-ピペリジン-1-イル]-エタノン・二クエン酸塩の種結晶を添加した。得られた溶液に、アセトン中の濃縮された1-[4-(4-{3-[(2R)-2-メチル-ピロリジン-1-イル]-プロポキシ}-フェノキシ)-ピペリジン-1-イル]-エタノン塩基の溶液を、20~25℃の温度を保って、110~130分にわたって添加した。添加後、混合物を、55℃~60℃に加熱し、この温度で10~12分間撹拌し、次いで、さらに10時間、20~25℃に冷却した。撹拌時間の最後に、物質を遠心分離し、乾燥させた。収量:1.398kg。生成物の融点(DSC 開始):132.7℃。
【0093】
例22
1-[4-(4-{3-[(2R)-2-メチル-ピロリジン-1-イル]-プロポキシ}-フェノキシ)-ピペリジン-1-イル]-エタノン・二クエン酸塩
70gの1-[4-(4-{3-[(2R)-2-メチル-ピロリジン-1-イル]-プロポキシ}-フェノキシ)-ピペリジン-1-イル]-エタノン・二塩酸塩を秤量し、840mLのジクロロメタンに0~5℃で溶解し、続いて、350mLの脱イオン水中の11.9gのNaOHの溶液を添加した。15分間撹拌した後、混合物を分離し、水相を140mLのジクロロメタンに移した。ひとまとめにした有機相を、210mLの脱イオン水で2回、次いで、210mLの飽和ブラインで抽出した。溶液を、真空中、油状物まで濃縮した(最高35℃で)。混合物を、700mLのアセトンで3回希釈し、蒸発させた。蒸発残渣に、560mLのアセトンを補充した。アセトン中の1-[4-(4-{3-[(2R)-2-メチル-ピロリジン-1-イル]-プロポキシ}-フェノキシ)-ピペリジン-1-イル]-エタノンの溶液を、560mLのアセトンおよび6mLの水中の64gのクエン酸無水物の溶液(20~25℃)に、20~25℃を保って、2時間にわたって添加した。還流で15分間撹拌した後、懸濁液を室温に冷却して戻し、さらに2時間撹拌した後、沈殿物を、濾別し、60mLのアセトンで2回洗浄し、真空下、50℃で乾燥させた。収量:101.6g。生成物の融点(DSC 開始):132.6℃。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29
図30
図31
図32
図33
図34
図35
図36
図37
【国際調査報告】