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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-08-04
(54)【発明の名称】フラッシングカテーテル
(51)【国際特許分類】
   A61M 25/00 20060101AFI20220728BHJP
【FI】
A61M25/00 600
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021570843
(86)(22)【出願日】2020-05-05
(85)【翻訳文提出日】2022-01-28
(86)【国際出願番号】 US2020031534
(87)【国際公開番号】W WO2020242735
(87)【国際公開日】2020-12-03
(31)【優先権主張番号】16/424,969
(32)【優先日】2019-05-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】511014703
【氏名又は名称】ピナンブラ、インク
(74)【代理人】
【識別番号】100071010
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 行造
(74)【代理人】
【識別番号】100118647
【弁理士】
【氏名又は名称】赤松 利昭
(74)【代理人】
【識別番号】100123892
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 忠雄
(74)【代理人】
【識別番号】100169993
【弁理士】
【氏名又は名称】今井 千裕
(74)【代理人】
【識別番号】100173978
【弁理士】
【氏名又は名称】朴 志恩
(72)【発明者】
【氏名】ロックハート、キャスリーン
【テーマコード(参考)】
4C267
【Fターム(参考)】
4C267AA01
4C267BB02
4C267BB03
4C267BB04
4C267BB10
4C267BB11
4C267BB12
(57)【要約】
本発明は、フラッシングカテーテルデバイス、フラッシングカテーテルコンポーネント
、及びそれを製造するための方法に関する。フラッシングカテーテルは、カテーテル本体
の長さ方向に沿った1つ以上のフラッシュポートで構成される1つ以上のフラッシュセグ
メントを含む。フラッシングカテーテルを作製するための好ましい方法では、1つ以上の
フラッシングセグメントを含むレトロフィットを組み込む。フラッシングカテーテルは、
マルチカテーテルシステムを形成するために互いの管腔に入れ子にすることができる。フ
ラッシュセグメントは、マルチカテーテルシステムの多くの管腔と環状管腔との間の放射
状の流体連通、例えば、管腔内流体連通を可能にすることができる。フラッシングカテー
テルを含むマルチカテーテルシステムは、流体注入ステップ単一で、空気を完全にパージ
することができる。フラッシングカテーテルは、マルチカテーテルシステムでの処置をさ
らに容易にするために、先細の遠位端を含むことができる。
【選択図】図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
近位領域、中央領域、遠位領域、及びそれらを通って延びる中央管腔を有する細長いカ
テーテル本体と、
前記カテーテル本体の前記近位領域に接続されたハブであって、前記ハブは前記中央管
腔の近位端への唯一の接続を行う単一の注入ポートを有する、ハブと、
長さがあって、1つ以上のフラッシュポートを有するフラッシュセグメントであって、
前記フラッシュセグメントは、前記カテーテル本体の全長に沿って配置されている、フラ
ッシュセグメントと、
を具備し、
細長いカテーテル本体は、1つ以上の追加したカテーテルに同軸に挿入するよう構成さ
れ、前記細長いカテーテル本体の前記中央管腔に前記単一の注入ポートを通って流入した
フラッシング流体が、前記1つ以上のフラッシュポートを通って半径方向外向きに流れ、
前記細長いカテーテル本体の外面と、外側に追加したカテーテルの内面との間に形成され
た環状管腔に流入することを特徴とする、フラッシングカテーテル。
【請求項2】
前記中央管腔は、前記細長いカテーテル本体の前記中央管腔に前記単一の注入ポートを
通って流入したフラッシング流体が、前記開口した遠位端を通って軸方向に外向きに流れ
るだけでなく、前記1つ以上のフラッシュポートを通って半径方向に外向きに流れること
を特徴とする請求項1に記載のフラッシングカテーテル。
【請求項3】
前記遠位領域は先細の遠位端を含むことを特徴とする請求項1に記載のフラッシングカ
テーテル。
【請求項4】
前記細長いカテーテル本体は、少なくとも前記遠位領域において、最も外側のカテーテ
ルと内側のガイドワイヤとの間の容積の少なくとも70%を満たす壁を有することを特徴
とする請求項1に記載のフラッシングカテーテル。
【請求項5】
前記フラッシュポートは外側開口部及び内側開口部を有し、前記外側開口部は前記内側
開口部とは形状が異なり、前記細長いカテーテル本体の厚さは、前記内側開口部が前記外
側開口部の形状に徐々に融合してゆくだけの厚みを有することを特徴とする請求項1に記
載のフラッシングカテーテル。
【請求項6】
前記フラッシュセグメントは、前記フラッシュカテーテルの前記近位領域に配置されて
いることを特徴とする請求項1に記載のフラッシングカテーテル。
【請求項7】
前記フラッシュセグメントは、前記フラッシュカテーテルの前記中央領域に配置されて
いることを特徴とする請求項1に記載のフラッシングカテーテル。
【請求項8】
前記フラッシュセグメントは、前記フラッシュカテーテルの前記遠位領域に配置されて
いることを特徴とする請求項1に記載のフラッシングカテーテル。
【請求項9】
前記フラッシュセグメントは、近位領域、中央領域、および遠位領域のうちの2つ以上
にわたって、少なくとも部分的に延びることを特徴とする請求項1に記載のフラッシング
カテーテル。
【請求項10】
前記フラッシングカテーテルは2つ以上のフラッシュセグメントを含むことを特徴とす
る請求項1に記載のフラッシングカテーテル。
【請求項11】
前記近位領域は、他のカテーテル及び他のデバイスと連動するよう構成された1つ以上
の締結機構を含むことを特徴とする請求項1に記載のフラッシングカテーテル。
【請求項12】
前記近位領域は、大きいほうのカテーテルと連動する第1の締結機構と小さいほうのカ
テーテルと連動する第2の締結機構とを含み、連動している小さいほうのカテーテルは、
大きいほうのカテーテルの前記近位端を密封することを特徴とする請求項1に記載のフラ
ッシングカテーテル。
【請求項13】
前記フラッシュポートは、前記フラッシングカテーテルの前記管腔と隣接するカテーテ
ルの環状管腔との間で経管的流体連通を可能にするよう構成され、前記環状管腔の流体連
通により前記隣接するカテーテルからすべての空気をフラッシュすることを特徴とする請
求項1に記載のフラッシングカテーテル。
【請求項14】
前記フラッシュポートは、円形又は多角形の形状を有することを特徴とする請求項1に
記載のフラッシングカテーテル。
【請求項15】
前記フラッシュポートは、前記フラッシュセグメントの前記長さに沿って第1の形状か
ら、第2の異なる形状へ移行することを特徴とする請求項1に記載のフラッシングカテー
テル。
【請求項16】
前記フラッシュポートは、前記フラッシュセグメントの前記長さにわたって徐々に大き
さが増大し、それにより前記フラッシュセグメントの片側の流量をより大きくすることが
できることを特徴とする請求項1に記載のフラッシングカテーテル。
【請求項17】
前記フラッシュポートは、前記フラッシュセグメントの前記長さに沿って徐々に間隔を
隔てて配置され、それにより前記フラッシュセグメントの片側の流量をより大きくするこ
とができることを特徴とする請求項1に記載のフラッシングカテーテル。
【請求項18】
前記フラッシュポートは、角度をつけて流体を流すことでより大きな流量を流すことが
できる、角度をつけたポートであることを特徴とする請求項1に記載のフラッシングカテ
ーテル。
【請求項19】
前記1つ以上のフラッシュポート用のカバーを含み、前記カバーは前記フラッシュポー
トを通って流れる流体の流れを少なくとも部分的に制限するよう構成されていることを特
徴とする請求項1に記載のフラッシングカテーテル。
【請求項20】
前記カバーは、1つ以上のフラッシュポートの形状に整合する穴を含み、前記カバーは
、軸方向に並進するよう、又は回転しながら並進するよう、又はその両方となるよう構成
され、前記並進により、前記穴が前記1つ以上のフラッシュポートの配置からずれ、少な
くとも部分的に流れを制限することを特徴とする請求項19に記載のフラッシングカテー
テル。
【請求項21】
前記フラッシュセグメントは、隣接するカテーテルの管腔内に配置され、それにより、
前記フラッシュセグメントは、前記隣接するカテーテルの環状管腔と管腔内で流体連通す
ることを特徴とする請求項1に記載のフラッシングカテーテル。
【請求項22】
前記フラッシュセグメントは、前記ハブに配置されていることを特徴とする請求項1に
記載のフラッシングカテーテル。
【請求項23】
前記ハブは、フィンガーグリップを含み、前記フラッシュセグメントは、前記フィンガ
ーグリップの遠位に配置されていることを特徴とする請求項22に記載のフラッシングカ
テーテル。
【請求項24】
前記ハブは、前記細長いカテーテル本体の近位端に取り付けられるように構成された遠
位端を含むことを特徴とする請求項1に記載のフラッシングカテーテル。
【請求項25】
前記フラッシュセグメントの外径は、直径の大きい近位から直径の小さい遠位に向かっ
て先細になっていることを特徴とする請求項1に記載のフラッシングカテーテル。
【請求項26】
前記先細は、漸進的であることを特徴とする請求項25に記載のフラッシングカテーテ
ル。
【請求項27】
前記先細は一連の段を有し、第1の段では先細の程度が少なく、第2の段では先細の程
度が大きくなっていることを特徴とする請求項25に記載のフラッシングカテーテル。
【請求項28】
内側のフラッシングカテーテル及び隣接するカテーテルを具備し、
前記内側のフラッシングカテーテルは、
近位領域、中央領域、遠位領域、及びそれらを通って延びる中央管腔を有する内側の細
長いカテーテル本体と、
前記内側の細長いカテーテル本体の前記近位領域に接続された内側のハブであって、前
記ハブは、前記中央管腔の近位端への唯一の接続を行う単一の注入ポートを有する、内側
のハブと、
長さ及び1つ以上のフラッシュポートを有するフラッシュセグメントであって、前記フ
ラッシュセグメントは、前記内側の細長いカテーテル本体の全長に沿って配置されている
、フラッシュセグメントと、
を具備し、
前記隣接するカテーテルは、
近位領域、中央領域、遠位領域、及びそれらを通って延びる中央管腔を有する内側の隣
接する細長いカテーテル本体と、
前記隣接する細長いカテーテル本体の前記近位領域に接続された隣接するハブと、
を具備し、
前記内側の細長いカテーテル本体は、前記隣接するカテーテル及び隣接するハブに同軸
に挿入して、前記内側の細長いカテーテル本体の外面と隣接する細長いカテーテル本体の
内面との間に環状管腔を形成し、前記単一の注入ポートを通って前記内側の細長いカテー
テル本体の前記中央管腔に流入するフラッシング流体が前記1つ以上のフラッシュポート
を通って半径方向外向きに流れるように構成されていることを特徴とするマルチカテーテ
ルシステム。
【請求項29】
前記隣接するカテーテルは、中間のカテーテル又は外側のカテーテルであることを特徴
とする請求項28に記載のマルチカテーテルシステム。
【請求項30】
前記内側のフラッシングカテーテルの前記遠位領域は、先細の遠位端を含むことを特徴
とする請求項28に記載のマルチカテーテルシステム。
【請求項31】
前記隣接するカテーテルは、少なくとも1つのフラッシュセグメントを有し、前記内側
のフラッシングカテーテル及び前記隣接するカテーテルの両方が外側の管腔内に入れ子に
なっていることを特徴とする請求項29に記載のマルチカテーテルシステム。
【請求項32】
中間のカテーテルは、前記隣接するカテーテルと前記外側のカテーテルとの間に入れ子
になっており、前記中間のカテーテルは、少なくとも1つのフラッシュセグメントを含む
ことを特徴とする請求項31に記載のマルチカテーテルシステム。
【請求項33】
前記内側のフラッシングカテーテルは、大きいほうのカテーテルと連動する第1の締結
機構、及び小さいほうのカテーテルと連動する第2の締結機構を含み、連動している小さ
いほうのカテーテルが大きいほうのカテーテルの近位端を密封することを特徴とする請求
項28に記載のマルチカテーテルシステム。
【請求項34】
内側のフラッシングカテーテルは2つ以上のフラッシュセグメントを含むことを特徴と
する請求項28に記載のマルチカテーテルシステム。
【請求項35】
前記内側のフラッシングカテーテルの前記フラッシュセグメントは、前記内側の細長い
カテーテル本体の前記近位領域、前記中央領域、前記遠位領域、又はこのような領域の2
つ以上の組み合わせ中に配置されていることを特徴とする請求項28に記載のマルチカテ
ーテルシステム。
【請求項36】
前記隣接するカテーテルの前記少なくとも1つのフラッシュセグメントは、前記隣接す
る細長いカテーテル本体の前記近位領域、前記中央領域、前記遠位領域、又はこのような
領域の2つ以上の組み合わせ中に配置されていることを特徴とする請求項31に記載のマ
ルチカテーテルシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2019年5月29日に出願された米国特許出願第16/424,969号
(代理人整理番号41507-736.201)に基づく優先権を主張し、その全体が参
照により本明細書に組み込まれるものとする。
(技術分野)
【0002】
本発明は、体内の解剖学的空間にアクセスするためのカテーテル挿入システム及び方法
に関し、さらに詳細には、マルチカテーテルシステムの同時フラッシングに関する。
【背景技術】
【0003】
多くの医療処置でカテーテルを利用する。カテーテルは通常、患者の解剖学的空間にア
クセスするための作業チャネルを提供する細長い管状構造である。カテーテルは多くの病
気にとって最良かつ最も安全な治療選択肢かもしれないが、リスクがないわけではない。
カテーテルの作業チャネルにより、医療機器だけでなく外気にも簡単にアクセスできる。
カテーテルは、空気塞栓症を引き起こす大きなリスクをもたらす。例えば、周囲の空気に
開放された15フレンチ(直径5mm)のカテーテルシースでは、場合によって、300c
cの空気がわずか0.5秒で血管系に入ることができる。静脈系での少量の空気は無症状
となることがあるが、動脈系ではわずか200~300ccの空気が致命的となることが
ある。
【0004】
空気塞栓症は、カテーテルの任意の内部空洞から空気を追い出す流体フラッシュでカテ
ーテルをプライミングすることによって、少なくとも部分的に回避される。場合によって
は、虚血性脳卒中の患者は緊急治療室に入院する。医師は血栓の位置を特定し、それに到
達するために適切な大きさのカテーテルを選択する必要がある。次に、個々のカテーテル
をパッケージから取り出し、生理食塩水で個別にフラッシュして、カテーテルから空気を
パージする必要がある。これは時間のかかるプロセスであり、時間的制約のある命にかか
わる多くの手順で貴重な時間を費やす。虚血性脳卒中の場合、血餅は脳の一部への血流を
遮断している。脳組織は短時間の虚血では回復することがあるが、閉塞が未治療では、最
終的に脳組織の死につながる。したがって、虚血性脳卒中処置の時間とカテーテルを個別
に洗い流すのに費やされた時間は、患者の脳が修復不可能な損傷に苦しめられる原因とな
る時間となるかもしれない。
【0005】
したがって、本発明の目的は、マルチカテーテルシステムのフラッシング効率を改善す
ることであり、これにより、時間的制約のある命にかかわる準備作業を加速することがで
きる。
【発明の概要】
【0006】
1.本発明の分野。本発明は、1つ以上のフラッシュポートで構成されるフラッシュセ
グメントを含むカテーテル又はカテーテルコンポーネントによって具体化される。フラッ
シュセグメントは、一般に、カテーテル本体の長さ方向に沿って配置される。好ましくは
、フラッシュセグメントは、内側のカテーテルの管腔と隣接するカテーテル又は外側のカ
テーテルの環状管腔との間の半径方向への流体連通、例えば、管腔内流体連通を可能にす
る。
【0007】
1つの例では、本発明は、1つ以上のフラッシュセグメントと一体化したフラッシング
カテーテルによって具体化される(図1A)。他の例では、本発明はレトロフィットとし
て具体化される。このレトロフィットは、1つ以上のフラッシュセグメントを備えたカテ
ーテルサブコンポーネントである(図4A、5A、及び6Aを参照)。このレトロフィッ
トは、カテーテル本体、カテーテルハブ、又はその両方に取り付けることができる。ある
いは、このレトロフィットは、両側のカテーテル本体に取り付けることができる。取り付
けられると、フラッシングカテーテルが形成され、このレトロフィットのフラッシュセグ
メントが管腔内の流体連通を可能にする。
【0008】
1つの使用例では、内側のフラッシングカテーテルが外側のカテーテルの内側に配置さ
れて、マルチカテーテルシステムを形成する(図1C)。近位端を通って内側のカテーテ
ルに導入される流体は、少なくとも2つの出口経路を有し、内側のフラッシングカテーテ
ルの遠位端から軸方向に、又はフラッシュセグメントを半径方向に流れ、次いで外側のカ
テーテルの遠位端から軸方向に出る。このようにして、1回のフラッシュで内側と外側の
両方のカテーテルがフラッシュされる。さらに、すべての内部カテーテルが本発明による
フラッシュセグメントの特徴をもつ限り、マルチカテーテルシステム内のあらゆる管腔を
同時にフラッシュすることができる。
【0009】
本発明の新規なフラッシュセグメントは、準備ステップの数を減らすことによって、カ
テーテル挿入手順の効率を改善する。フラッシュセグメントにより、マルチカテーテルシ
ステムは、単一の注入ポートを介してフラッシュするという単一の動作で空気をフラッシ
ュすることができる。通常、マルチカテーテルシステムでは、すべてのカテーテルを個別
に洗浄してから入れ子にするか、又はすべてのカテーテルに独立した注入ポートがあって
、それぞれを個別に洗浄する必要がある。本発明では、個別のフラッシングを必要性をな
くしている。本発明の新規なフラッシュポートでは、単一ステップでのフラッシュで2つ
以上のカテーテルを同時にフラッシュすることが可能となる。
【0010】
フラッシングカテーテルは、フラッシングカテーテルの近位領域、中央領域、及び遠位
領域を通って延びる長さを有するカテーテル本体で構成することができる。このカテーテ
ル本体は、このフラッシングカテーテルの近位端と遠位端との間に延びる管腔を少なくと
も部分的に取り囲んでおり、管腔は単一の注入ポートを有する。このフラッシングカテー
テルは、長さを有するフラッシュセグメント及び1つ以上のフラッシュポートを含み、こ
のフラッシュセグメントは、カテーテル本体の長さ方向に沿って配置される。このフラッ
シュポートは、さまざまな形状及び構成によって具体化することができる。このフラッシ
ュポートは、いくつかのタイプの流体の流れを少なくとも部分的に制限することができる
。フラッシングカテーテルは、小さなカテーテルと大きなカテーテルとカテーテルコンポ
ーネントと連動させるための締結機構を含むことができる。
【0011】
フラッシングカテーテルサブコンポーネントは、第1の端部と第2の端部との間に延び
る管腔及び長さを有する流体チャネルにより構成することができる。第1の端部及び第2
の端部は、カテーテルハブ又はカテーテル本体のいずれかに取り付けるように構成される
。このフラッシングカテーテルサブコンポーネントは、長さを有するフラッシュセグメン
ト及び1つ以上のフラッシュポートを含み、このフラッシュセグメントは、流体チャネル
の長さ方向に沿って配置される。フラッシングカテーテルサブコンポーネントの管腔は、
遠位末端での流体連通を可能にし、このフラッシュセグメントは、少なくとも、フラッシ
ュセグメントの長さ方向に隣接し、それに沿って外部空間への流体連通を可能にする。
【0012】
フラッシングカテーテルは、曲がりくねった血管系におけるナビゲーションを改善する
先細の遠位端及び先端形状を含むことができる。フラッシングカテーテルは、カテーテル
本体の少なくともいくつかの領域に厚い壁を含むことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】米国特許番号5,207,648
【特許文献2】米国特許番号5,425,723
【特許文献3】米国特許番号5,800,408
【特許文献4】米国特許出願公開番号2004/0097880(参照による組み込み)
【0014】
本明細書で言及するすべての刊行物、特許、及び特許出願は、これ等各々の刊行物、特
許、又は特許出願が詳細にかつ個別に示された場合と同程度に、参照により本明細書に組
み込まれるものとする。
【図面の簡単な説明】
【0015】
本発明の新規性のある特徴は、添付の特許請求の範囲に詳細に記載されている。本発明
の原理が利用される例示的な実施形態を説明する以下の詳細な説明、及びその添付の図面
を参照することによって、本発明の特徴及び利点をよく理解することができる。
【0016】
図1A】流体注入デバイスに取り付けられたフラッシングカテーテルの斜視図を示す。
【0017】
図1B】マルチカテーテルシステムを形成するためのステップを示す
【0018】
図1C】流体注入デバイスに取り付けられた2カテーテルシステムの部分透視図を示す。
【0019】
図1D】4カテーテルシステム及びその中の流体経路の部分透視図を示す。
【0020】
図2A】カテーテルをカテーテルハブ及びカテーテル本体に分割するためのステップを示す。
【0021】
図2B】フラッシングカテーテルハブの部分透視図を示す。
【0022】
図2C】連動するカテーテルの取り付け領域及び締結機構を示す。
【0023】
図3A】フラッシングカテーテルの様々な実施形態を示す。
図3B】フラッシングカテーテルの様々な実施形態を示す。
図3C】フラッシングカテーテルの様々な実施形態を示す。
図3D】フラッシングカテーテルの様々な実施形態を示す。
図3E】フラッシングカテーテルの様々な実施形態を示す。
図3F】フラッシングカテーテルの様々な実施形態を示す。
【0024】
図4A】フラッシングカテーテル本体レトロフィットを取り付けるための方法を示す。
【0025】
図4B】フラッシングカテーテル本体レトロフィットの様々な実施形態を示す。
図4C】フラッシングカテーテル本体レトロフィットの様々な実施形態を示す。
図4D】フラッシングカテーテル本体レトロフィットの様々な実施形態を示す。
図4E】フラッシングカテーテル本体レトロフィットの様々な実施形態を示す。
【0026】
図5A】フラッシングカテーテル延長レトロフィットを取り付けるための方法を示す。
【0027】
図5B】フラッシングカテーテル延長レトロフィットの様々な実施形態を示す。
図5C】フラッシングカテーテル延長レトロフィットの様々な実施形態を示す。
図5D】フラッシングカテーテル延長レトロフィットの様々な実施形態を示す。
【0028】
図6A】フラッシングハブレトロフィットを取り付けるための方法を示す。
【0029】
図6B】フラッシングハブ延長レトロフィットの様々な実施形態を示す。
【0030】
図7A】少なくとも部分的に限流可能なフラッシュポートの例を示す。
図7B】少なくとも部分的に限流可能なフラッシュポートの例を示す。
図7C】少なくとも部分的に限流可能なフラッシュポートの例を示す。
図7D】少なくとも部分的に限流可能なフラッシュポートの例を示す。
【0031】
図8】ブレンドスペースフラッシュポートの様々な実施形態を示す。
【0032】
図9】先細のフラッシングカテーテルを備えた多要素カテーテルシステムの部分断面を示す。
【発明を実施するための形態】
【0033】
本発明は、以下の詳細な説明及び関連する図により良く理解することができる。この説
明において、同様の番号は、本発明の様々な実施形態における同様の要素を指す。この詳
細な説明の中で、請求項に係る発明は、好ましい実施形態に関連して説明する。しかしな
がら、当業者であれば、ここに記載の方法及びシステムが単なる例示であり、本発明の精
神及び範囲から逸脱することなく変更を加えることができることが容易に理解できる。
【0034】
本発明のいくつかの態様は、一連のステップとして提示されている。このステップにお
ける個々の順序は、可能性のある順序の単なる例示である。本発明の精神及び範囲から逸
脱することなく、ステップがスキップされたり、ステップが結合されたり、ステップが分
割されたり、ステップの順序が変更されたりする可能性があることを理解すべきである。
(フラッシングカテーテル及びマルチカテーテルシステム)
【0035】
図1Aは、近位端180、近位領域181、中央領域182、遠位領域183、及び遠
位端184を含むフラッシングカテーテル100の例示的な実施形態を示す。この例では
、フラッシングカテーテル100は、近位端180と遠位端184との間に延びる管腔1
26を囲む円筒形の中空管101を含む。フラッシングカテーテル100は、近位領域1
81にハブ109Aを含み、近位領域181、中央領域182、及び遠位領域183にカ
テーテル本体110を含むことがきる。このフラッシングカテーテル100は、好ましく
は、その長さ方向に沿って少なくとも1つのフラッシュセグメント102を含む。各フラ
ッシュセグメント102は、このフラッシングカテーテル100の壁に穴を開け、流体チ
ャネルとして機能する1つ以上のフラッシュポート103を含む。このフラッシングカテ
ーテル100は、他のカテーテルに接続し、流体注入デバイス104に接続するために、
近位取り付け領域108A、遠位取り付け領域108B、近位締結機構118A、及び/
又は遠位締結機構118Bを含むことができる。流体注入デバイス104は、近位端18
0に取り付け、締結機構118Aと係合し、流体111を導くことができる。フラッシン
グカテーテル100に導入された流体111は、フラッシングカテーテル100を通って
遠位端184に軸方向に流れ、最も遠位の外部へ流体連通112し、そしてこの流体11
1は、フラッシングカテーテル100の一部を通り、フラッシュポート103を通って半
径方向に流れる。フラッシュポート103を通ってフラッシュする流体111は、所定の
フラッシュセグメント102に隣接する外部のフラッシュ領域107に入る。この例では
、フラッシュセグメント102は、隣接する外部へと流体連通114を行う。
【0036】
いくつかの実施形態では、本発明のフラッシュセグメントは、マルチカテーテルシステ
ムの多くの管腔間での流体通信を容易にする。マルチカテーテルシステムの個々のカテー
テルは、少なくとも4つの位置的名称、例えば、内側のカテーテル、外側のカテーテル、
中間のカテーテル、及び隣接カテーテルによって個別に識別することができる。
【0037】
内側のカテーテルは、少なくとも1つの他のカテーテルの内側に入れ子になっているカ
テーテルを指す。好ましい実施形態では、マルチカテーテルシステムの最も内側のカテー
テルは、単一の流体注入ポートであることを特徴とする。単一のフラッシングデバイスを
取り付けることにより、本発明のフラッシュセグメントは、任意の数のカテーテルの同時
フラッシングを可能にする。フラッシュセグメントは、本発明のマルチカテーテルシステ
ムにおいて、隣接するカテーテル管腔同士の直接的な経管腔流体連通、及び他のすべての
カテーテル管腔同士の間接的な経管腔流体連通を可能にする。
【0038】
外側のカテーテルは、マルチカテーテルシステムの最も外側のカテーテルを指す。外側
のカテーテルは、シース、ガイドカテーテル、再灌流カテーテルなどを含むことができる
。ただし、場合によっては、外側のカテーテルがフラッシングカテーテルであることもあ
る。外側のカテーテルは、内側のカテーテル、隣接するカテーテル、又は中間のカテーテ
ルから直接的な又は間接的な流体連通を受け入れることができる。
【0039】
中間のカテーテルは、外側のカテーテルの内側にあるカテーテル、例えば2番目に大き
いカテーテルを指す。1つの例では、中間のカテーテルは、内側のカテーテルと外側のカ
テーテルとの間に入れ子になっている。各カテーテルは、通常、オスの締結機構、メスの
締結機構、又はその両方を含む。これらの締結機構により、カテーテルを互いに入れ子に
したまま、密封された構成で一緒にロックすることができる。例えば、この例での中間の
カテーテルは、通常は、近位のメスの締結機構がより小さなカテーテルに取り付けられ、
遠位のオスの締結機構がより大きなカテーテルに取り付けられる。
【0040】
隣接するカテーテルは、マルチカテーテルシステムにおける次の内側又は次の外側のカ
テーテルを指すことがある。言い換えれば、「隣接するカテーテル」は状況に依存し、単
にマルチカテーテルシステム内の隣接カテーテルを意味する。隣接するカテーテルは、2
つの内側のカテーテルの間、内側のカテーテルと中間のカテーテルとの間、又は内側のカ
テーテルと外側のカテーテルとの間のいずれかに入れ子になっているカテーテルである可
能性がある。状況に応じて、隣接するカテーテルが外側のカテーテルに言及する場合があ
る。
【0041】
図1Bは、4カテーテルシステムの例示的な構成を示し、この4カテーテルシステムは
、カテーテル117及び3つのフラッシングカテーテル100で構成される。場合によっ
て、カテーテル処置は、いくつかのカテーテルから空気をパージする前に、本発明による
、いくつかのカテーテルの第1の連動により準備時間を短縮することができる。さらに、
連動構成により事前にパッケージ化されたそのようなマルチカテーテルを用意することで
、準備においてさらに多くの時間を節約することができる。簡単に言えば、フラッシング
ステップを単一とすることは、多くのデバイスを個別にフラッシングするよりも時間を効
率的に使用することとなる。したがって、本発明は、時間的制約のある処置において特に
有用となる。
【0042】
図1Bの第1のステップは、所望のマルチカテーテルシステムを構築するために必要な
カテーテルを組み立てるか、又は選択することである。カテーテル117は、近位締結機
構138A、遠位締結機構138B、カテーテルの全長にわたって延びる管腔、カテーテ
ルハブ141、カテーテル本体140、及びフィンガーグリップ128を含むことができ
る。フラッシングカテーテル100は、全長にわたって、近位締結機構118A、遠位締
結機構118B、カテーテルの全長にわたって延びる管腔126、カテーテルハブ109
A、カテーテル本体110、フィンガーグリップ201、及び1つ以上のフラッシュセグ
メント102を含むことができる。
【0043】
図1Bの第2のステップは、同心の同軸配置でカテーテルを互いの中に入れ子にするこ
とである115。この例では、より小さなフラッシングカテーテルがより大きなフラッシ
ングカテーテル内に配置され、すべてのフラッシングカテーテルがカテーテル117内に
配置される。
【0044】
図1Bの第3のステップは、マルチカテーテルシステムの個々のカテーテルを連動させ
ることである116。小さいカテーテルが大きいカテーテルの中に進入すると、通常は、
小さいカテーテルの遠位締結機構が大きいカテーテルの近位締結機構と係合する。例えば
、フラッシングカテーテル100の遠位締結機構118Bは、カテーテル117の近位締
結機構138Aと係合することができ、それにより、2つの締結機構が密封されて、2つ
のカテーテル間に閉鎖系を形成する。締結機構の作動は、軸方向の並進運動及び/又は回
転運動の形でのユーザー入力によって開始することができる。
【0045】
図1Bの第3のステップの後、結果として生じるのは、密封構成のマルチカテーテルシ
ステム119である。このシステムは、最も内側のカテーテルの単一の注入ポート及びす
べてのカテーテルの開口した遠位端への、流体のアクセスが近位端に限定されるという点
で密封されている。好ましい実施形態では、本発明によるマルチカテーテルシステムの各
カテーテルは、開口し遮るもののない遠位端を含み、流体は、各環状管腔の遠位端から自
由に流れ出ることができる。マルチカテーテルシステムが形成されると、個々のカテーテ
ルは、マルチカテーテルシステム119内における相対位置に基づいてさらに区別するこ
とができる。図1Bのマルチカテーテルシステム119は、内側のカテーテル120、隣
接するカテーテル121、中間のカテーテル122、及び外側のカテーテル123で構成
される。これらのカテーテルのハブは、同じように区別することができる。別の実施形態
では、外側のカテーテル123は、フラッシュポート103が閉じているフラッシングカ
テーテル100で構成される。この概念を、図7A~Cを参照してより詳細に論じる。
【0046】
図1Cは、内側のフラッシングカテーテル124が外側のカテーテル125内に入れ子
になって、連動するマルチカテーテルシステムを形成する例を示している。この例では、
内側のフラッシングカテーテル124は、図1Aに示されるようなフラッシングカテーテ
ル100である。内側のフラッシングカテーテル124に導かれる流体111は、少なく
とも2つの別個の経路をたどることができる。流体111は、内側のフラッシングカテー
テル124の全長に沿って軸方向に流れ、遠位端184から出て、最終的に最も遠位の外
部へと流体連通112することができる。流体111はまた、内側のフラッシングカテー
テル124の長さ方向の一部を通って軸方向に流れ、次いで、フラッシュセグメント10
2のフラッシュポート103を通って半径方向に流れ、それによって、流体111は、所
定のフラッシュセグメント102に隣接する外部のフラッシュ領域107に流れ込む、す
なわち、フラッシュ領域の流体連通151を行う。この例では、フラッシュポート102
のフラッシュ領域107は、外側のカテーテル125の環状管腔127内にある。環状管
腔127は、内側のフラッシングカテーテル124の外面と外側のカテーテル125の内
面との間円周方向空間である。いくつかの例では、環状管腔127は、大量の流体を洗い
流す必要のない狭い同心円状の空間である。流体111がフラッシュセグメント102を
通って流れるとき、流体は最初にフラッシュ領域107を満たし、次いで環状管腔127
の残りを満たし、そして外側のカテーテル125の遠位端から出て最も遠位の外部へと流
体連通112する。マルチカテーテルシステムのこの2つの流体経路はフラッシュセグメ
ントにより可能となり、単一のフラッシング動作によりこれらの2つのカテーテルを同時
にフラッシングすることができる。
【0047】
図IDのマルチカテーテルシステム177は、内側のカテーテル120、隣接するカテ
ーテル121、中間のカテーテル122、及び外側のカテーテル123で構成される。通
常は、流体のそのようなマルチカテーテルシステムへのアクセスは、内側のカテーテル1
20の近位端にある単一の注入ポートに限定される。流体は、矢印130に従ってデバイ
スに入り、すべてのカテーテルを洗い流し、最も遠位の外部に流体連通112し、それに
よって、すべての空気がマルチカテーテルシステム177からパージされる。マルチカテ
ーテルシステム177の各カテーテルのフラッシュセグメントは、中央管腔127A、隣
接する環状管腔127B、中間の環状管腔127C、及び外側の環状管腔127Dの間で
管腔内での流体連通を行う。これらの管腔の拡大された全体像は、詳細105に示される
【0048】
ここで図IDの詳細105を参照すると、フラッシュポート103を通って流れる流体
は、経管的流れ131(ブーメラン矢印によって示される)、逆行性流れ132(空の三
角形によって示される)、及び/又は主要な流れ133(塗りつぶされた三角形で示され
る)となることができる。経管的流れ131は、管腔同士、環状管腔同士、又はその両方
の間の流れである。逆行性流れ132は、一般に遠位から近位方向に移動する流れ、すな
わち逆流である。主要な流れ133は、概して近位から遠位方向に移動する流れ、すなわ
ち順方向の流れである。
【0049】
図IDの詳細105は、フラッシング流体が本発明のマルチカテーテルシステムに注入
されると、フラッシング流体がたどることができる流体経路のいくつかの例を示している
。流体経路130Aは、中央管腔127Aで始まり、隣接する環状管腔127Bへの経管
流れ131を有し、逆行性流れ132に続いて主流133を提供するループを作り、中間
の環状管腔127Cへの付加的な経管腔流131を提供し、逆行性流れ132に続いて主
要な流れ133を提供するためのループを作り、外側の環状管腔127Dに付加的な経管
的流れ131を提供し、逆行性流れ132に続いて主流133を提供するループを作り、
最終的に、外側の環状管腔127Dから最も遠位の外部に流体連通112する。流体経路
130Bは、経管的流体連通131の2つのステップを経て、すなわち、中央管腔127
Aから隣接する環状管腔127Bへ、そして中間の環状管腔127Cへ、次いで中間の環
状管腔127Cから、最終的に、最も遠位の外部に流体連通112する主要な流れ133
を提供する。流体経路130Cは、2つの方向に経管的流れ131を提供し、最初に隣接
する環状管腔127Bから中間の環状管腔127Cに、次に中間の環状管腔127Cから
隣接する環状管腔127Bに戻る2つの方向に経管腔流131を提供し、最終的に、隣接
する環状ルーメン127Bから最も遠位の外部に流体連通112する、2つの方向に経管
的流れ131を提供する。流体経路130Dは、経管的流れ131の1つのステップのみ
を提供した後、最も遠位の外部に流体連通112する。流体経路130Eは、最終的に、
中央管腔127Aから最も遠位の外部に流体連通する前に、経管的流れ131、及び/又
は逆行性流れ132の1つ以上のステップを行うことができる。
【0050】
いくつかの従来技術の設計では、マルチルーメンシステムは、個々の管腔及び環腔ごと
に注入ポートを有する。これらの注入ポートは通常、マルチルーメンシステムの長さ方向
に対して角度が付けられている(45度や90度など)。これらの多くのポートは、デバ
イスの近位端を邪魔し、煩雑さと複雑さを増大させる。加えて、流体を導くためには、各
注入ポートに各ルーメンを取り付けるステップが必要となる。各注入ポートに独自の注入
装置がある場合でも、単にホースが共通の注入装置に取り付けられている場合でも、マル
チルーメンシステムに複数のコンポーネントを取り付けると、そのようなシステムの近位
端を乱雑にし、邪魔となる。対照的に、本発明のフラッシュセグメントは、マルチルーメ
ンに単一の注入ポートへの単一の取り付けステップのみで流体をフラッシュするためにア
クセスすることを可能にする。好ましい実施形態では、単一の注入ポートは一般にフラッ
シングカテーテルの長さ方向と直線的に揃えられている。さらに、本発明では、単一の流
体注入ステップで、マルチカテーテルシステムのすべてのカテーテルを洗い流すことを可
能にしている。したがって、フラッシュセグメントと単一の注入ポートにより、煩雑さが
軽減され、使いやすさが向上し、煩わしさの少ないマルチカテーテルシステムが可能にな
る。
【0051】
カテーテル又はマルチカテーテルシステムを洗い流すために、システム内の空気を液体
で置換しなければならない。カテーテル又はマルチカテーテルシステムは、「有効量」の
液体を注入することによって洗い流される。有効量は監視することにより決定できる。監
視アプローチでは、ユーザーは、すべてのカテーテルの遠位端から液体が出てくるのを観
測するまで、液体を注入する。
【0052】
一緒に入れ子にされたフラッシングカテーテルは、置換すべき内部容積が少ないので、
必要とするフラッシング流体が少なくなる。したがって、本発明は、流体のフラッシング
に関するコストの削減を容易にし、不必要な廃棄物を削減する。
(フラッシングカテーテルの構造とサブコンポーネント)
【0053】
図2Aは、フラッシングカテーテル100及びその主要なコンポーネントのいくつかを
示している。フラッシングカテーテル100は、一般に、カテーテルハブ109A及びカ
テーテル本体110で構成される。カテーテルハブ109Aは、ユーザーの手によって保
持されるように構成され、カテーテル本体110は、ヒト血管系に入るように構成される
図2Aは、カテーテルハブ109Aをカテーテル本体110から分割するための方法を
例示し、それにより、単一のカテーテルが1つのカテーテルハブ(109B/109C)
及び1つのカテーテル本体110となる。フラッシングカテーテル100は、オプション
のフィンガーグリップ201の近くで分離することができ、カテーテル本体がほとんど又
は全く残っていない短いカテーテルハブ109Bを作り出すか、又はカテーテル本体11
0の長さ方向に分離し、取り付けられたカテーテル本体212の長さの一部を含む長いカ
テーテルハブ109Cを作り出すことができる。短いカテーテルハブ109Bは、近位端
285及び遠位端286Bを含む。長いカテーテルハブ109Cは、近位端285、遠位
端286Cを含み、そして、カテーテル本体212の長さ方向の一部に沿って1つ以上の
フラッシュセグメント102を含むことができる。いくつかの実施形態では、短いカテー
テルハブ109Bは、フラッシングカテーテル本体レトロフィット400に取り付けるた
めのものであり、長いカテーテルハブ109Cは任意のカテーテル本体に取り付けるため
のものである。
【0054】
カテーテル又はカテーテルコンポーネントを分離又は分割することは、ブレード(例え
ば、はさみ、かみそりの刃など)又は集中させた放射エネルギー(例えば、レーザー、熱
など)を用いて達成することができる。
【0055】
カテーテル本体110がカテーテルハブ109Aから分離されると、カテーテル本体1
10は、近位端280、近位領域281、中央領域282、遠位領域283、及び遠位端
284を含むこととなる。カテーテル本体110は、長さ方向に沿って1つ以上のフラッ
シュセグメント102を含むことができる。図2Aは、近位領域281にフラッシュセグ
メント102を備えたカテーテル本体110を示している。
【0056】
図2Bは、長いカテーテルハブ109C、又は単に「カテーテルハブ」109Cのいく
つかの変形例を示している。そのようなカテーテルハブ109Cは、カテーテルハブとし
て製造することができ、又は図2Aに示されるプロトコルに従って全長カテーテルを分割
することによって得ることができる。第1の例261では、カテーテルハブ109Cは、
近位端285、遠位端286C、近位取り付け領域108A、遠位取り付け領域108B
、1つ以上のフラッシュセグメント102を含み、フィンガーグリップを含まない。いく
つかの例では、ハブは、一緒に入れ子にしてマルチカテーテルシステムを形成するときに
2つ以上のカテーテル間の中間物として機能する締結機構を含む。第2の例262では、
カテーテルハブ109Cは、近位締結機構118A及び遠位締結機構118Bを含み、フ
ィンガーグリップを含まない。他の例(263、264、265、266)では、カテー
テルハブ109Cは、長方形のフィンガーグリップ201A、円形のフィンガーグリップ
201B、三角形のフィンガーグリップ201C、及び/又は涙滴形のフィンガーグリッ
プ201Dを含むことができ、そして、取り付け領域及び/又は締結機構を含むことがで
きる。さらなる代替案では、フィンガーグリップ201は、楕円形、長円形、正方形、5
辺以上の多角形又は凸多角形、星型などの形状をとることができる。一般に、フラッシン
グカテーテルのハブ部分は、保持しやすく、操作しやすいような形状となるように設計さ
れている。いくつかの実施形態では、フラッシングカテーテルのハブは、人間工学的形状
のグリップを有することができる。このようなフィンガーグリップは、カテーテルハブ1
09Cの近位端と遠位端286Cとの間に配置される。
【0057】
図2Cは、2つ以上のカテーテルを容易に連動させてマルチカテーテルシステムを形成
させるような、例示的な取り付け領域及び締結機構を示している。締結機構は、円筒形及
び内側にめねじ240を有する回転締結機構230によって具体化することができる。あ
るいは、締結機構は、その長さ方向に沿って旋回して開くことによってロックが解除され
、閉じることによってロックされるクラムシェル締結機構231によって具体化すること
ができる。クラムシェル締結機構231は、内側にめねじ240を有することができ、当
該技術分野で知られているような「スナップ」により閉じる構造を有することができる。
取り付け領域(例えば、108A/108B)は、アイデント248、リップ249、ス
レッド250、又はそのようなオプションの組み合わせによって具体化することができる
。これらの取り付け領域により、回転締結機構230、クラムシェル締結機構231、又
は当該技術分野で知られているような他の類似する締結機構の軸方向の動き及び回転方向
の動きを、制限し、制御し、又は容易にすることができる。
【0058】
ここで説明する実施形態のいずれかにおいて、デバイスは、閉鎖系を作り出すための1
つ以上のシール及び/又は皮膜を含むことができる。シール及び皮膜は、内側のカテーテ
ルが通過することを可能にすると同時に、外側装置の内面と内側装置の外面との間にシー
ルを形成して、閉鎖系の形成を容易にする。このようなシールは、流体フラッシュで空気
をパージした後、空気がデバイスに入らないようにするのに特に有益である。
【0059】
フラッシングカテーテル100のフラッシュセグメント102は、通常は、フラッシン
グカテーテルのカテーテル本体110の長さ方向領域の1つ以上の領域に配置される。フ
ラッシングカテーテル100は、(以下でより詳細に論じられるように)1つ以上のフラ
ッシュセグメント102で製造することができて、1つ以上のフラッシュセグメント10
2を追加するために後処理を受けることができ、或いはフラッシングカテーテル100又
はカテーテル117は、1つ以上のフラッシュセグメント102を含むカテーテルサブコ
ンポーネントを組み込むことができる。
【0060】
本発明の各フラッシュセグメントは、1つ以上のフラッシュポートに特徴がある。フラ
ッシュポートは、カテーテルの内腔とカテーテルの外部にあるフラッシュ領域との間の流
体連通を行う。一般に、フラッシュポートは、形状(例えば、大きさ、形状、パターン)
及びフラッシュセグメントの長さに沿った向きが互いに異なることがある。繰り返される
パターンを表すフラッシュポートのグループは、フラッシュセクターと呼ぶことがある。
フラッシュポートの変動性は、フラッシュセグメントの長さ方向に沿って、したがってフ
ラッシング中のフラッシングカテーテルに沿って、可変量の流体移動量を容易に変化させ
ることができる。図3A~5D(より詳細に後述)は、本発明によりフラッシュポートが
どのように変化することができるかについての多数の例を示している。
【0061】
フラッシュポートは、フラッシュセグメントの長さ方向全体にわたって変化することが
でき、及び/又は1つのフラッシュセグメントと別のフラッシュセグメントとで変化する
ことができる。同様に、カテーテル本体は、カテーテル本体の長さ方向に沿って交互に替
わる1つ以上の様々な種類のフラッシュセグメントの複数のコピーを含むことができる。
ここで説明するフラッシュポートは、近位から遠位方向、遠位から近位方向、第1の端か
ら第2の端の方向、又は第2の端から第1の端の方向に行くにつれて、フラッシュセグメ
ントの長さ方向に沿って変化する傾向を持たせることができる。例えば、フラッシュセグ
メントは、前述の方向の1つに従い、フラッシュセグメントの長さ方向に沿って大きさが
増加する丸いフラッシュポートを含むことができる。フラッシュポートとフラッシュセグ
メントの変化は、方向的に滑らかで、段階的で、均一とすることができ、或いは、これら
の変化は、急激なものとすることができ、それは、所定のフラッシュセグメントにおける
フラッシュポートの小グループで、少なくとも一時的に方向が反転することがある。
【0062】
フラッシュポートは、多くの異なる形状をとることができ、フラッシュセグメントのフ
ラッシュポートは、フラッシュセグメントの一端から他端までで形状を変化させることが
できる。各フラッシュポートは、円、楕円形、長円形、三角形、長方形、五辺形以上の多
角形、凸多角形、星形、涙滴形などの形状をとることができる。1つの例では、フラッシ
ュセグメントのフラッシュポートは、フラッシュセグメントの長さ方向に沿って、より長
方形の形状からより正方形の形状に移り変わる。一般に、フラッシュポートの形状は、高
さ、幅、半径、直径、短軸、及び/又は長軸を含む、1つ以上の寸法が隣接するポートと
は異なるようにすることができる。別の例では、外面のフラッシュポートの形状は、同じ
フラッシュポートの内面の形状と異なり、これにより、フラッシュセグメントを構造的に
支持するカテーテル本体の壁又は厚さは、2つの形状間のブレンドスペースとして機能す
る(図8を参照)。
【0063】
フラッシュセグメントのフラッシュポートの向きは、フラッシュセグメントの長さ方向
に沿って変化することができ、及び/又はカテーテル全体の長さ方向に沿って隣接するフ
ラッシュセグメント間で変化することができる。フラッシュポートは、隣接するフラッシ
ュポート同士の間隔が異なる場合がある。例えば、フラッシュポート同士の間隔は、フラ
ッシュセグメントの長さ方向に沿った向きに従って増加する場合がある。フラッシュポー
トは列として配置される場合がある。列は、指定されたフラッシュセグメントの円周の周
りに等間隔で配置できる。列は、フラッシュセグメントの縦軸に平行又は垂直に向けるこ
とができ、又は列は、そのような軸に沿ってねじれさせ、又は傾斜させることができる。
列は、フラッシュセグメントの長さ方向に沿って徐々に変化する場合もあれば、複数の繰
り返しフラッシュセクターで構成されたパターンに従って変化する場合もある。ある場合
には、フラッシュセグメントからフラッシュセグメントへの列の数を増加又は減少させて
、流体量すなわち流量を変化させて移送することを可能にすることができる。「流量」と
いう句は、所定のフラッシュポート又はフラッシュセグメントを横切るある増分時間あた
りの流体移動の量を指す。流量とは、フラッシュポート又はフラッシュセグメントが流体
通信を提供する量と速度を指す。流量とは、フラッシュポート又はフラッシュセグメント
が流体連通を行う量と速度を指す。
【0064】
フラッシュポート及びフラッシュセグメント間での変化により、本発明の長さ方向に沿
って容易に流量を変化させることができる。フラッシュポートの大きさ、形状、及び向き
は、フラッシュセグメントの長さ方向に沿って徐々に変化させ、ある領域では大きな流量
を、他の領域では低い流量を流すことを可能にすることができる。流量の変動量は、フラ
ッシュセグメントの長さ方向に沿って漸進的に変化する場合があり、又は流量は、流量が
フラッシュセグメントの長さ方向全体にわたって1回以上増加し、その後減少するような
場合もある。ある特定の例では、フラッシュセグメントには3列のフラッシュポートがあ
る。2つの列には、近位から遠位方向に大きさが大きくなるフラッシュポートがあり、3
番目の列には、近位から遠位方向に大きさが小さくなるフラッシュポートがあり、これに
より、フラッシュセグメントは長さ方向に沿って流量を変化させる。さらなる代替案では
、いくつかのフラッシュセグメントが、カテーテルの長さ方向に沿って流量を段階的に増
加又は減少させる。
【0065】
フラッシュポート及びフラッシュセグメント間で変化させることができるのでは、本発
明の長さ方向に沿って一定の流速とすることが容易になる。フラッシュポートの大きさ、
形状、及び向きは、フラッシュセグメントの長さ方向に沿って徐々に変化し、1つ以上の
領域で一定の流速とすることができる。例えば、フラッシュポートの開口部は、フラッシ
ュセグメントの長さに対して一定の流量とすることを可能にするために、近位から遠位方
向にわずかに大きさを大きくすることができる。大きさのこのような変化により、フラッ
シングカテーテルの長さに沿って、注入された流体の圧力ヘッドの損失が生じる。流体が
カテーテルの内腔に導かれると、圧力ヘッドは注入部位の近くで最大になる。流体がカテ
ーテルの管腔の長さ方向に沿って流れると、管腔の摩擦、流体の粘度、及び流体が移動し
た距離により流体の圧力ヘッドが減少する。したがって、2つの同一のフラッシュポート
は、一方が他方よりも注入部位から離れているという理由だけで、異なる流量を流す可能
性がある。近位から遠位方向に大きさ又は密度が増加するフラッシュポートは、圧力ヘッ
ド損失を補償して、フラッシュポートのグループ全体にわたって流量を一定にすることを
可能にする。
【0066】
圧力ヘッド損失により、フラッシングカテーテルの近位領域のフラッシュセグメントは
、遠位に配置されている同一のフラッシュセグメントよりも流量が大きくなる。さらに、
近位領域のフラッシュセグメントを通って流れる流体は、より遠位に配置されているフラ
ッシュセグメントと比較して、環状内腔から空気を完全に除去するために、逆流の程度を
限定させるようなものでなければならない。したがって、本発明のフラッシングカテーテ
ルは、近位領域のフラッシングセグメントを含むことが好ましい場合がある。近位領域の
フラッシュセグメントは、より高い流量を可能にし、空気を除去するためのより直接的な
流体経路を可能にする。
(フラッシングカテーテルの例)
【0067】
本発明によるフラッシングカテーテルは、1つ以上のフラッシングセグメントを含むこ
とができる。各フラッシュセグメントには、少なくとも上述した変動に応じて異なる可能
性のある1つ以上のフラッシュポートが含まれる。フラッシュポートにより流体連通が可
能となる。流体連通とは、通常、フラッシュポートを通って一方の側からもう一方の側に
流れる流体を指す。この流体連通は、管腔又は環状管腔から管腔、環状管腔、フラッシュ
領域、及び/又はカテーテルに隣接する外部空間に流れることができる。流体連通はまた
図1Dを参照して説明するように、管腔内流れ、経管的流れ131、逆行性流れ132
、及び/又は主要な流体133の流れを指す場合がある。本明細書で使用される場合、「
流体連通」という語句は、そのようなすべての流れを想定している。
【0068】
所望のタイプの流体連通を行うために、フラッシュセグメントは、フラッシングカテー
テルの長さ方向に沿った1つ以上の場所に配置することができる。例えば、フラッシング
カテーテルの近位領域のフラッシュセグメントは、直接かつ即時に近位又は最も近位の流
体連通を行うことができ、そして、中央、遠位、及び/又は最も遠位の流体連通を、例え
ば、近位領域から分散する流れを介して、間接的に行うことができる。フラッシングカテ
ーテルの中央領域のフラッシュセグメントは、直接かつ即時に中央の流体連通を行うこと
ができ、そして、最も近位、近位、遠位、及び/又は最も遠位の流体連通を、例えば、中
央領域から分散する流れを介して、間接的に行うことができる。フラッシングカテーテル
の遠位領域のフラッシュセグメントは、直接かつ即時に遠位又は最も遠位の流体連通を行
うことができ、そして、中央、近位、及び/又は最も近位の流体連通を、例えば、遠位領
域から分散する流れを介して、間接的に行うことができる。
【0069】
一般に、「最も遠位の」及び「最も近位の」という用語は、それぞれ、遠位領域内及び
近位領域内のサブセクションを指す。例えば、最も遠位の領域は、遠位領域のより遠位の
部分を指し、最も近位の領域は、近位領域のより近位の部分を指す。流体連通に関して、
最も遠位の流体連通は、カテーテルの遠位端から出るか、又は遠位領域のより遠位の部分
、すなわち最も遠位の領域のフラッシュセグメントから出る流体を指すことがある。一方
、遠位流体連通は、カテーテルの遠位領域のフラッシュセグメントから出る流体を指す。
同じことが近位及び最も近位の流体連通にも当てはまる。
【0070】
図3Aは、フラッシングカテーテル100の例を示す。このフラッシングカテーテル1
00は、近位のフラッシュセグメント301、すなわち、近位領域181に配置されてい
るフラッシュセグメント102を含む。この例では、近位のフラッシュセグメント301
は、フラッシングカテーテル100の縦軸に平行に走る4つの列に向けられたラウンドフ
ラッシュポート351を含む。この図及びそれ以降の図では、いくつかの列が見えるが、
他の列は見えない場合がある。この例では、列は、フラッシングカテーテル100の外周
の周りに等間隔に配置され、列は互い違いに配置され、列は、列ごとに3つのフラッシュ
ポートと4つのフラッシュポートとが交互になっている。1つの実施形態では、フラッシ
ュポートは、大きさが均一であり、間隔も均一である。
【0071】
図3Bは、フラッシングカテーテル100の別の例を示す。このフラッシングカテーテ
ル100は、中央のフラッシュセグメント302、すなわち、中央領域182のフラッシ
ュセグメント102を含む。この例では、中央のフラッシュセグメント302は、それぞ
れが6つのフラッシュポートを含む3つの等間隔で、互い違いにはなっていない列に方向
づけられており、フラッシュポートは、フラッシュセグメントの長さ方向に沿って大きさ
及び方向の両方ともが変動する、三角形のフラッシュポート352を含む。図3Bの三角
形のフラッシュポート352は、大きくて密に詰まったものから小さく間隔を隔たてもの
へ、近位から遠位方向に配置されている。すなわち、フラッシュポートは近位から遠位方
向に大きさが小さくなり、フラッシュポート間のスペースは近位方向に大きくなる。この
例の中央のフラッシュセグメント302は、フラッシュセグメントの近位側では流量が多
く、遠位側では流量が少ない。
【0072】
図3Cは、フラッシングカテーテル100の別の例を示す。このフラッシングカテーテ
ルは、近位のフラッシュセグメント301及び中央のフラッシュセグメント302を含む
。この例では、近位のフラッシュセグメント301は、1つ以上の列に方向づけられたス
リットフラッシュポート353を含み、隣接するスリットが互いにずらされたりオフセッ
トされたりしている。この例では、中央のフラッシュセグメント302は、2列に方向づ
けられた六角形のフラッシュポート354を含む。図3Cに示されるように、六角形のフ
ラッシュポート354は、中央のフラッシュセグメント302の中央で最大であり、中央
のフラッシュセグメント302の両端に行くにつれて徐々に小さくなっている。この例に
おける中央のフラッシュセグメント302は、フラッシュセグメントの中央では流量が多
く、フラッシュセグメントの末端に向かって徐々に流量が少なくなってゆく。
【0073】
図3Dは、フラッシングカテーテル100の別の例を示す。このフラッシングカテーテ
ル100は、近位のフラッシュセグメント301及び遠位のフラッシュセグメント303
、すなわち、遠位領域183のフラッシュセグメント102を含む。この例では、近位の
フラッシュセグメント301は、密に詰めこまれ、オフセットされた菱形のフラッシュポ
ート355の列を含み、遠位のフラッシュセグメント303は、密に詰めこまれ、オフセ
ットされた円形のフラッシュポート351の列を含む。
【0074】
図3Eは、フラッシングカテーテル100の別の例を示している。このフラッシングカ
テーテル100は、近位のフラッシュセグメント301、中央のフラッシュセグメント3
02、及び遠位のフラッシュセグメント303を含む。さらなる実施形態において、フラ
ッシングカテーテルの所定の領域は、2つ以上のフラッシュセグメントを含むことができ
る。図3Eは、いくつかのねじれた又は傾斜した列をなす楕円形のフラッシュポート35
6を有する近位のフラッシュセグメント301を示す。この近位のフラッシュセグメント
301のフラッシュポートは、カテーテル本体の縦軸の周りでねじれ又は傾斜する帯方向
に方向付けされている。中央のフラッシュセグメント302は、長方形のフラッシュポー
ト357のいくつかの千鳥状の列で示されている。遠位のフラッシュセグメント303は
、フラッシュセクター358、すなわち、フラッシュポートの繰り返しパターンで示され
ている。このフラッシュセクター358は、第1のスリットフラッシュポート353、第
2の方形のフラッシュポート359、及び第3の円形のフラッシュポート351を含む。
この遠位のフラッシュセグメントは、3列のフラッシュポートを含み、各列は4つのフラ
ッシュセクターを含む。
【0075】
図3Fは、フラッシングカテーテル100の別の例を示している。この例では、フラッ
シングカテーテル100は、カテーテル本体110の全長にわたって延びるフラッシュセ
グメント102を含む。図3Fは、全長フラッシュセグメント304の例を示している。
全長フラッシュセグメント304は、カテーテル本体110の全長にわたるフラッシュ領
域107への流体連通を行う。全長フラッシュセグメントは、その全長に沿って流体連通
する。マルチカテーテルシステムでは、全長フラッシュセグメントは、より大きなカテー
テルの環状管腔の全長にわたって流体連通を行うことができる。図3Fに示すように、全
長フラッシュセグメント304は、近位方向から遠位方向に行くにつれて大きさが増大す
る円形フラッシュポート351を含み、フラッシュポートは、近位方向から遠位方向に行
くにつれて間隔が広がる。大きさ及び間隔のこのような変化によって、フラッシングカテ
ーテル100の長さに沿って流量を可変にすることができる。
【0076】
さらなる実施形態では、フラッシングカテーテル100は、カテーテル本体110の1
つ以上の領域よりも長いフラッシュセグメント102を含む。例えば、フラッシングカテ
ーテル100は、その全長に沿ってフラッシュセグメントを含むことができ、又は2つ以
上の領域に部分的又は完全に広がるフラッシュセグメンを含むことができる。このタイプ
のフラッシュセグメントは、一部の領域への部分的な流体連通及び他の領域への完全な流
体連通、又は2つ以上の領域への部分的な流体連通を行うことができる。
(フラッシングカテーテルのレトロフィット)
【0077】
フラッシングカテーテル100は、いくつかの方法で組み立てることができる。上記の
実施例では、本発明は、一体化したフラッシュポート103を備えたフラッシングカテー
テル100を含んでいた。以下の実施例では、フラッシングカテーテルは、2つ以上のサ
ブコンポーネントで構成される。これらの例では、本発明は、少なくとも1つのフラッシ
ュセグメント102を有するカテーテルサブコンポーネントによって具体化される。これ
らのフラッシングレトロフィット(400、500、600)は、カテーテル117及び
/又はカテーテル部品と組み合わせて、レトロフィットされたフラッシングカテーテル(
407、507、607)を形成することができる。これらのレトロフィットされたフラ
ッシングカテーテル(407、507、607)は、上記の一体化したフラッシングカテ
ーテルと少なくとも同じ流体連通を行う。ここで使用される場合、「レトロフィット」は
、フラッシングカテーテルを形成するためにカテーテルに組み込むことのできるフラッシ
ング成分を指す名詞として使用することができる。さらに、「レトロフィット」の語は、
例えば、カテーテルコンポーネントを交換すること、及び/又はフラッシングサブコンポ
ーネントを他のカテーテルサブサブコンポーネントに取り付けることとして、動詞として
使用することができる。
【0078】
フラッシングレトロフィットは、多くの方法で具体化することができる。フラッシング
レトロフィットは、カテーテル本体の全長(例えば、フラッシングカテーテル本体レトロ
フィット400)又はカテーテル本体の長さの一部のみ(例えば、フラッシングカテーテ
ル延長レトロフィット500)を含むことができる。フラッシングレトロフィットは、カ
テーテルハブ(例えば、フラッシングハブレトロフィット600)を含むことができる。
フラッシングレトロフィットは、カテーテルハブ、ハブ及びカテーテル本体にのみ、カテ
ーテル本体にのみ、又は両側のカテーテル本体に取り付けることができる。フラッシング
カテーテルは、通常ハブを必要とするので、ハブを含まないフラッシングレトロフィット
は、ハブ又はハブを含むコンポーネントに取り付けることが好ましい。
【0079】
以下のいくつかの例では、レトロフィットは、第1の端部及び第2の端部を含む。レト
ロフィットは、カテーテル、又は第1の端部又は第2の端部のいずれかのカテーテルサブ
コンポーネントに取り付けることができる。第1の端部及び第2の端部は、取り付けられ
たカテーテル又は取り付けられたサブコンポーネントに対するレトロフィットの向きに応
じて、近位領域、中央領域、又は遠位領域に関係付けることができる。近位とは、カテー
テルのユーザーに最も近い側を指し、通常、これはカテーテルのハブを備えた側であり、
遠位とは、カテーテルのユーザーから最も遠い側を指し、通常、通常の使用で人間の血管
系に挿入される端部となる。
【0080】
マルチカテーテルシステムでは、フラッシングレトロフィットは、隣接するカテーテル
によって部分的に覆われることがある。例えば、フラッシングレトロフィットのハブは、
通常覆われていないが、カテーテル本体の近位及び中央領域は、通常より大きな隣接する
カテーテルによって覆われている。遠位領域は、より大きな隣接するカテーテルの相対的
な長さに応じて、覆われる場合と覆われない場合がある。フラッシュセグメントは、マル
チカテーテルシステムにおける互いの相対的な方向付けに応じて、あらゆるカテーテルの
外側の外部空間及び/又は1つ以上の他のカテーテル内の環状領域への流体連通を行うこ
とができる。
(フラッシングカテーテル本体のレトロフィット例)
【0081】
実施例の第1の一組において、本発明は、1つ以上のフラッシュセグメント102、す
なわち、フラッシングカテーテル本体レトロフィット400を含む全長にわたるカテーテ
ル本体110によって具体化される。これらのフラッシングカテーテル本体レトロフィッ
ト400は、カテーテルハブ又はカテーテルハブを含むカテーテル本体に取り付けること
ができる。いずれの場合も、必要なカテーテルサブコンポーネントがフラッシングカテー
テル本体レトロフィット400に取り付けられると、フラッシングカテーテル407が作
り出される。
【0082】
図4Aは、カテーテル117及びフラッシングカテーテル本体レトロフィット400か
らの部品、すなわちレトロフィットステップを使用することによって、レトロフィットさ
れたフラッシングカテーテルを構成するための例示的な手順を示す。第1のステップは、
カテーテル117を分離402して、カテーテルハブ141及びカテーテル本体140を
形成することである。代替的に、ステップ1の代わりに、カテーテルハブ141が単に提
供される。第2のステップは、カテーテル本体140をフラッシングカテーテル本体レト
ロフィット400と交換403することである。第3のステップは、カテーテルハブ14
1をフラッシングカテーテル本体レトロフィット400に取り付けること404である。
いったん取り付けられると、レトロフィットされたフラッシングカテーテル、又は単に「
フラッシングカテーテル」407が形成される。
【0083】
図4Bは、フラッシングカテーテル本体レトロフィット400の例を示す。フラッシン
グカテーテル本体レトロフィット400は、第1の端部480、第1の側481、中央領
域482、第2の側483、及び第2の端部484を含む。フラッシングカテーテル本体
のレトロフィットは、第1の端部480又は第2の端部484のいずれかで、カテーテル
ハブを含むカテーテルコンポーネントに取り付けることができる。図4Bは、第1の側4
81、すなわち第1の側のフラッシュセグメント401にフラッシュセグメント102を
備えたフラッシングカテーテル本体レトロフィット400を示す。第1の端部480に取
り付けられた場合、第1の側のフラッシュセグメント401は、近位の流体連通を可能に
することができる。第2の端部484に取り付けられた場合、第1の側のフラッシュセグ
メント401は、遠位の流体連通を可能にすることができる。この例では、第1のサイド
フラッシュセグメント401は、カテーテル本体の縦軸に対して角度が付けられた2列の
フラッシュポートを含み、それにより、2列は、カテーテル本体の周りでねじれたり傾い
たりするように見える。第1の列は、楕円形のフラッシュポート356で構成され、第2
の列は、長方形のフラッシュポート357で構成される。
【0084】
図4Cは、フラッシングカテーテル本体レトロフィット400の別の例を示している。
この例は、中央領域482、すなわち中央のフラッシュセグメント402にフラッシュセ
グメント102を含む。この中央のフラッシュ領域402は、菱形のフラッシュポート3
55のいくつかのオフセット列を含む。中央のフラッシュセグメント402を備えたフラ
ッシングカテーテル本体レトロフィット400が必要なカテーテルカテーテルコンポーネ
ントに取り付けられると、結果として生じるフラッシングカテーテル407により、フラ
ッシングポート103を介して中央流体連通を可能にすることができる。
【0085】
図4Dは、フラッシングカテーテル本体のレトロフィット400の別の例を示している
。この例は、第1の側のフラッシュセグメント401及び中央のフラッシュセグメント4
02を含む。この例が第1の端部480に取り付けられるとき、第1の側のフラッシュセ
グメント401は、近位の流体連通を可能にすることができる。この例が第2の端部48
4に取り付けられている場合、第1の側のフラッシュセグメント401は、遠位の流体連
通を可能にすることができる。いずれの場合も、中央のフラッシュセグメント402は、
中央の流体連通を可能にすることができる。この例では、第1の側のフラッシュセグメン
ト401は、1つの円形のフラッシュポート351から放射状に広がる4つの長方形のフ
ラッシュポート357からなるフラッシュセクター451を含む。このようなフラッシュ
セクター451は、それぞれが第1の側のフラッシュセグメント401の長さ方向に沿っ
た4つのフラッシュセクター451を有する2つの列とすることができる。この例では、
中央のフラッシュセグメント402は、それぞれが互いに90度回転している4つの長方
形のフラッシュポート357からなるフラッシュセクター452を含む。このようなフラ
ッシュセクター452は、それぞれが中央のフラッシュセグメント402の長さ方向に沿
った4つのフラッシュセクター452を有する2つの列とすることができる。代替的に、
中央のフラッシュセグメント402は、2つの垂直な長方形のフラッシュポート357か
らなる、いくつかのフラッシュセクター453を含むことができる。
【0086】
図4Eは、フラッシングカテーテル本体のレトロフィット400の別の例を示している
。この例は、第1の側のフラッシュセグメント401、中央のフラッシュセグメント40
2、及び第2の側のフラッシュセグメント403を含む。この例では、第1の側のフラッ
シュセグメント401は、第1の側から第2の側に向かって徐々に増大する三角形のフラ
ッシュポート352が特徴となる。この例での中央のフラッシュセグメント402は、涙
滴形フラッシュポート454を含み、後続のフラッシュポートとの間隔は、第1の側から
第2の側に向かって減少する。図4Eの第2の側のフラッシュセグメント403は、片側
に正方形のフラッシュポート359、反対側にスリットフラッシュポート353、及び中
央領域に長方形のフラッシュポート357があることを特徴とし、それにより、第1の側
から第2の側に向かって、フラッシュポートは、徐々に正方形の形状から長方形の形状、
次に非常に狭い長方形(又はスリット)の形状に移行又はブレンドし、後続のフラッシュ
ポートとの間隔も増加する。この例では、フラッシングカテーテル本体レトロフィットは
、取り付けられると、遠位の流体連通、中央の流体連通、及び近位の流体連通が可能なフ
ラッシングカテーテル407を形成する。
【0087】
別の例では、フラッシングカテーテル本体レトロフィット400は、その全長に沿って
フラッシュセグメントを含むことができ、又は2つ以上の側又は領域にわたって部分的又
は完全に延びるフラッシュセグメントを含むことができる。
(フラッシングカテーテル延長レトロフィットの例)
【0088】
別の例の一組において、本発明は、1つ以上のフラッシュセグメント、すなわち、フラ
ッシングカテーテル延長レトロフィット500を含む部分的長さのカテーテル本体によっ
て具体化される。これらのフラッシングカテーテル延長レトロフィット500は、カテー
テルハブ及びカテーテル本体、カテーテル本体のみ、又は2つのカテーテル本体に取り付
けることができる。いずれの場合も、必要なカテーテルサブコンポーネントがフラッシン
グカテーテル延長レトロフィットに取り付けられると、フラッシングカテーテルが作り出
される。
【0089】
図5Aは、カテーテル117及びフラッシングカテーテル延長レトロフィット500か
らの部品、すなわちレトロフィットステップを使うことによって、レトロフィットされた
フラッシングカテーテルを組み立てるための例示的な手順を示す。第1のステップは、カ
テーテル117をカテーテルハブ141とカテーテル本体140とに分離すること502
である。あるいは、第1のステップの代わりにカテーテルハブ141及びカテーテル本体
140が単に提供される。第2のステップは、カテーテルハブ141とカテーテル本体1
40との間にフラッシングカテーテル延長レトロフィット500を配置すること503で
ある。第3のステップは、カテーテルハブ141及びカテーテル本体140をフラッシン
グカテーテル延長レトロフィット500に取り付けること504である。一旦取り付けら
れると、レトロフィットされたフラッシングカテーテル、又は単に「フラッシングカテー
テル」507が形成される。
【0090】
上で紹介した分離ステップ502は、多くの異なる方法で実行することができる。カテ
ーテル117は、近位領域、中央領域、又は遠位領域で分離することができる。フラッシ
ングカテーテル延長レトロフィット500は、分離が行われるところならどこにでも取り
付けることができる。フラッシングカテーテル延長レトロフィット500が近位領域で分
離されたカテーテル117に取り付けられている場合、レトロフィットは近位の流体連通
を可能にすることができる。フラッシングカテーテル延長レトロフィット500が、中央
領域で分離されたカテーテル117に取り付けられている場合、レトロフィットは、中央
の流体連通を可能にすることができる。フラッシングカテーテル延長レトロフィット50
0が、遠位領域で分離されたカテーテル117に取り付けられている場合、レトロフィッ
トは、遠位の流体連通を可能にすることができる。場合によっては、フラッシングカテー
テル延長レトロフィット500は、2つ以上の領域にわたって流体連通を行うために、2
つ以上の領域を通って少なくとも部分的に延びるのに十分な長さを有する。代替的な構成
では、カテーテルハブ141及びカテーテル本体140が、分離ステップの代わりに単に
提供される。そのようなコンポーネントは、上述した変更可能な分離ステップによって生
成されたものと同じ変更可能な大きさを有することができる。したがって、本発明は、近
位の流体連通、中央の流体連通、遠位の流体連通、及び/又は、代替的な組み立て方法で
のこのような流体連通の組み合わせも想定している。
【0091】
図5Bは、フラッシングカテーテル延長レトロフィット500の例を示す。この例では
、フラッシュセグメント102は、フラッシングカテーテル延長レトロフィット500の
全長にわたって延びる。このフラッシュセグメント102は、ジグザグパターンに方向付
けられた円形のフラッシュセグメント351からなるフラッシュセクター520を含む。
ジグザグフラッシュセクター520は、図5Bに示したフラッシングカテーテル延長レト
ロフィット500の長さ方向に沿って数回繰り返される。フラッシングカテーテル延長レ
トロフィット500は、第1の端部580、第1の側581、中央領域582、第2の側
583、及び第2の端部584を含む。
【0092】
図5Cは、フラッシングカテーテル延長レトロフィット500の例を示す。この例は、
2つの別個のフラッシュセグメント102を含む。第1の側581の第1の側のフラッシ
ュセグメント501及び第2の側583の第2の側のフラッシュセグメント503である
。第1の側のフラッシュセグメント501は凹多角形のフラッシュポート510を含み、
この第2の側のフラッシュセグメント503は三日月形のフラッシュポート511を含む
図8を参照してより詳細に説明されているように、フラッシュポートの開口部の形状に
起因して、この例のフラッシュポートの流量は、他と比べて一方向に流れる内部流体の流
れにつれて大きくなる。
【0093】
図5Dは、フラッシングカテーテル延長レトロフィット500の例を示している。この
例は、3つの別個のフラッシュセグメント102を含む。すなわち、第1の側のフラッシ
ュセグメント501、中央のフラッシュセグメント502、及び第2の側のフラッシュセ
グメント503である。第1の側のフラッシュセグメント501は、2列512の円形の
フラッシュポート351を含む。中央のフラッシュセグメント502は、3列513の円
形のフラッシュポート351を含む。第2の側のフラッシュセグメント503は、4列5
14の円形のフラッシュポート351を含む。このフラッシングカテーテル延長レトロフ
ィット500がカテーテルハブに最も近い方向に向けられた第1の端部58で取り付けら
れた場合、このフラッシングカテーテル延長レトロフィット500において、フラッシュ
セグメントからフラッシュセグメントへと、フラッシュポート列の数が変化するので、近
位から遠位方向へと、流量の段階的な増加が可能となる。このフラッシングカテーテル延
長レトロフィット500がカテーテルハブに最も近い方向に向けられた第2の端部584
で取り付けられた場合、このフラッシングカテーテル延長レトロフィット500において
、フラッシュセグメントからフラッシュセグメントへと、フラッシュポート列の数が変化
するので、近位から遠位方向へと、流量の段階的な減少が可能となる。
(フラッシングカテーテルハブレトロフィットの例)
【0094】
別の一組の例では、本発明は、カテーテル本体の一部の長さのカテーテルハブによって
具体化され、カテーテル本体の一部の長さは、1つ以上のフラッシュセグメント、すなわ
ち、フラッシングハブレトロフィット600を含む。これらのフラッシングハブレトロフ
ィットはカテーテル本体に取り付けることができる。そのようなハブは、一般に、近位端
285及び遠位端(286B/286C)を含む。必要なカテーテルサブコンポーネント
に取り付けられると、フラッシングカテーテル607が作り出される。
【0095】
図6Aは、カテーテル117及びフラッシングハブレトロフィット600からの部品、
すなわちレトロフィットステップを使用することによって、レトロフィットされたフラッ
シングカテーテルを組み立てるための例示的な手順を示す。第1のステップは、カテーテ
ル117をカテーテルハブ141とカテーテル本体140とに分離すること602である
。代替的に、ステップ1の代わりにカテーテル本体140が単に提供される。第2のステ
ップは、カテーテルハブ141をカテーテル本体140に隣接して配置することにより、
フラッシングハブレトロフィット600と交換すること603である。第3のステップは
、カテーテル本体140をフラッシングハブレトロフィット600に取り付けること60
4である。レトロフィットされたフラッシングカテーテル、又は単に「フラッシングカテ
ーテル」607が形成される。
【0096】
図6Bは、フラッシングハブレトロフィット600のいくつかの実施形態を示す。フラ
ッシングハブレトロフィット600は、一般に、長いカテーテルハブ109Cに属する種
類のものであるため、カテーテル本体640の長さの一部にフラッシュセグメント102
のための余地が十分にある。しかしながら、場合によっては、短いカテーテルハブ109
Bを使用して、フラッシングハブレトロフィット600及び/又はフラッシングカテーテ
ル607を形成することができる。カテーテル本体640の長さの一部は、様々な形状に
なることができる。一般に、カテーテル本体の長さの一部は、概念的に3つの領域に分割
できる。近位領域はオプションのフィンガーグリップに最も近く、中央領域はカテーテル
本体の長さの一部の中心にあり、遠位領域はオプションのフィンガーグリップから最も遠
い領域である。
【0097】
1つの例では、フラッシングハブレトロフィット600のカテーテル本体640は完全
に真っ直ぐであり、端から端まで同一の内径及び外径を維持している。図示の第1の例で
は、フラッシングハブレトロフィット600は、比較的真っ直ぐなカテーテル本体620
を有する。代替的実施形態では、フラッシングハブレトロフィット600のカテーテル本
体は、直径を近位の比較的大きな直径から遠位の比較的小さな直径へと徐々に変化させる
ことができる。このような直径の変化は、滑らかで漸進的な場合もあれば、1つ以上の階
段状の変化が生じる場合もある。図示の第2の例では、フラッシングハブレトロフィット
600は、比較的浅い第1のテーパー621Aを備えたカテーテル本体を有し、次に、比
較的急な第2のテーパー621Bにステップダウンする。図示の第3の例では、フラッシ
ングハブレトロフィット600は、詳細図630によって拡大されている、角度付きカテ
ーテル本体622を含む。角度付きカテーテル本体622は、水平軸631に対して鋭角
632をなす。フラッシングハブレトロフィットのカテーテル本体の角度について言及す
る場合、詳細図630に示されるように、水平軸とカテーテル本体との間の角度を言う。
場合によっては、特定の角度では、選ばれた鋭角の面をなすフラッシュポート全域でより
大きな流量をうまく流すことができる。あるいは、流量が減るような角度を選択すること
もできる。角度は1度から45度の範囲とすることができる。図示の第4の例では、フラ
ッシングハブレトロフィット600は、近位領域に比較的浅い第1の角度623Aを有し
、次に中央領域の比較的急な第2の角度623Bに移り、次いで遠位領域の比較的浅い第
3の角度623Cに移行する、カテーテル本体を含む。1つの特定の例では、フラッシン
グハブレトロフィット600は、5°~10°の範囲の第1の角度、15°~25°の範
囲の第2の角度、及び0°~5°の範囲の第3の角度を有する。もちろん、これらの角度
は単なる例示であり、これらの様々な実施形態の一般的な説明と調和する他の角度も、本
発明の範囲内であると理解される。例えば、他の実施形態では、外径は、様々な好ましい
角度に従って、近位方向から遠位方向へ向かって増加と減少を1回以上繰り返すことがで
きる。
(制限可能なフラッシュポート)
【0098】
ここで論じられる実施形態のいずれにおいても、フラッシュポートは、特定のタイプの
流体の流れに対して少なくとも半ば制限的となることがある。流量制限は、バルブなどの
制限手段、及び圧力応答スリットを使用して実現できる。そのような制限手段は、個々の
フラッシュポートを横切る流れを選択的に制限することができる。例えば、逆Tuohy
シールでは、個々のフラッシュポートの開口部の大きさを操作することができる。圧力応
答スリットは、カテーテル内の圧力がカテーテル外の圧力よりも大きい場合など、特定の
圧力差の下で開閉することができる。
【0099】
流れの制限はまた、個々のフラッシュポート用のカバー又はフラッシュセグメント全体
用のカバーを用いて達成することができる。個々のフラッシュポートのカバーは、個々の
フラッシュポートへの流体のアクセスを選択的に制限することができるフラップ又はハッ
チによって具体化することができる。例えば、カテーテルフラッシュポートの外面のフラ
ップは、内部の流体圧力が外部圧力よりも大きい場合に開き、内部の流体圧力が外部圧力
よりも低い場合に閉じたままになることができる。このようなフラップは、一方向の流れ
のみを可能にするように構成することができる。フラッシュセグメント全体のカバーは、
フラッシュポートのグループ全域でのアクセスを選択的に制限できる細いチューブ、シー
ス、又はライナーによって具現化することができる。フラッシュポートの大きさの穴を備
えた外側シース又は内側ライナーは、ハブで制御可能なコード又はワイヤー機構を介して
軸方向に移動及び/又は回転方向に移動して、シース又はライナーの穴をフラッシングカ
テーテルのフラッシュポートの穴との整合状態を、少なくとも部分的に外すことができる
。他の実施形態では、フラッシングカテーテルの壁内の構造は、(例えば、ムーンルーフ
のように)軸方向及び/又は回転方向に移動して、一組のフラッシングポートを通る流体
の流れを少なくとも部分的に制限することができる。
【0100】
一般に、流体の流れは、自動化されたメカニズム又はユーザー制御によって制限するこ
とができる。流体の流れは、センサー制御のフラッシュポート又は機械設計によって自動
的に制限することができる。流体の流れは、スライド、スイッチ、ノブのようなユーザー
制御を使用して、流体の流れを手動で制限できる。例えば、スライドで双方向フラッシュ
ポートと一方向フラッシュポートを閉じることができる。スイッチでは、一方向への流体
の流れのみを許可するように双方向フラッシュポートを制限することができる。ノブをひ
ねって、1つ以上のフラッシュポートを横切る流体の流れを調整又は部分的に制限するこ
とができ、ここで、ノブをひねる程度は、流体の流れが制限される程度に対応させる。そ
のような制御機能は、当業者によって容易に実施することができる。
【0101】
図7Aは、フラッシュポートがいくつかのタイプの流れに対して少なくとも半ば制限的
とすることができる方法のいくつかの例を示している。図示の第1の例では、フラッシュ
セグメント701は、流体が一方向にのみ流れることを可能にする一方向フラッシュポー
ト730を含み、この場合、流体は内側から外側に、すなわち、出口流710に従って流
れる。代替的に、フラッシュポートは、そうしないで反対方向への流体の流れを可能にす
ることもできる。図示の第2の例では、フラッシュセグメント702は、出口フロー71
0及び、外側から内側への流れを示す入口フロー711を可能にする双方向フラッシュポ
ート731を含む。第3の図示の第3の例では、フラッシュセグメント703は、両方向
への流体の流れを制限する完全に制限されたフラッシュポート732を含む。
【0102】
図7Bは、回転運動のために構成された内側可動シース720の半径方向断面を示して
いる。内側可動シース720は、フラッシュセグメントのフラッシュポートと同じ形状の
穴を含むことができる。第1の配置では、内側可動シース720の穴は、詳細図715A
に示されるように、個々のフラッシュポートと位置合わせされ、それによって、内側可動
シース720は、位置合わせされたフラッシュポートを横切る出口流710及び入口流7
11を可能にすることができる。第2の配置では、詳細図715Bに示されるように、穴
は個々のフラッシュポートと位置合わせられておらず、それにより、内側可動シース72
0は、流体の流れを少なくとも半ば制限している。この例では、内側可動シース720は
回転して、開いた位置と閉じた位置との間を動く。さらなる代替案では、内側可動シース
720は軸方向に並進し、開いた位置と閉じた位置との間を動く。
【0103】
図7Cは、軸方向に移動するように構成された外側可動シース721を示している。外
側可動シース721は、フラッシュセグメントのフラッシュポートと同じ形状の穴を含む
ことができる。第1の配置では、外側可動シース721の穴は、詳細図716Aに示され
るように、個々のフラッシュポートと位置合わせされ、それによって、外側可動シース7
21は、位置合わせされたフラッシュポートを横切る出口流710及び入口流711を可
能にすることができる。第2の配置では、詳細716Bに示されるように、穴は個々のフ
ラッシュポートと位置合わせられておらず、それにより、外側可動シース721は、流体
の流れを少なくとも半ば制限している。この例では、外側可動シース721は、軸方向に
、開いた位置と閉じた位置との間を動く。さらなる代替案では、内側可動シース720は
回転し、開いた位置と閉じた位置との間を動く。
【0104】
図7Dは、カテーテル本体の外面に配置され、出口流710を可能にし、入口流711
を制限するハッチ722を含むフラッシュセグメントを示す。さらなる代替案では、ハッ
チ722は、フラッシュセグメントに隣接する内面のカテーテルの管腔内に配置され、こ
こで、ハッチ722は、反対方向の一方向弁であり、例えば、入口流711を可能にし、
出口流710を制限する。
【0105】
本発明の1つの実施形態では、2つ以上のカテーテルが連動して、マルチカテーテルシ
ステムを形成する。最も外側のカテーテルは、上記の方法のいずれかによって選択的に制
限可能であるフラッシュポート103を備えたフラッシュセグメント102を含む。内側
のカテーテルは、少なくとも1つのフラッシュセグメント102を含み、それらのフラッ
シュポートを横切る流れを選択的に制限するためのメカニズムを含むことも含まないこと
もある。そのような実施形態では、フラッシングを、特定のカテーテル管腔に限定し、他
のものを除外することができる。別のオプションは、システムが液体フラッシュで空気を
パージした後、フラッシュポートの少なくとも一部を閉じることである。
【0106】
1つの例では、フラッシングカテーテルは、選択的に制限可能なフラッシュポートを備
えた少なくとも1つのフラッシュセグメントを含む。この例を吸引源とともに使用する場
合、フラッシングポートを開閉して、フラッシングカテーテル内の圧力を操作することが
できる。
【0107】
図8は、ブレンドスペースフラッシュポートのいくつかの例を示している。標準のフラ
ッシュポートは、所定のフラッシュセグメントの外面での開口部と内面での開口部の両方
で同じ形状、大きさ、及び向となっている。加えて、標準のフラッシュポートは、カテー
テル本体の縦軸軸に垂直に向けられた、カテーテル本体の厚さ806を通る穴を開けてい
る。ブレンドスペースフラッシュポートは、形状、大きさ、及び向きに応じて、内面の開
口部とは異なる外面の開口部を有する場合がある。第1の例では、ブレンドスペースフラ
ッシュポート801は、形状が三角形である外面開口部852と、形状が円形である内面
開口部851とを特徴とする。カテーテル本体の厚さ806は、ブレンドスペースフラッ
シュポート801の形状が三角形の形状から円形の形状に徐々に移行する移行長さを提供
する。
【0108】
図8の第2の例では、ブレンドスペースフラッシュポート802は、大きさ及び向きに
ついて内面での開口部とは異なる外面での開口部を有する。外面での開口部は大きく、第
1の端部880に近づいている。内面での開口部は小さく、第2の端部884に近づいて
いる。ブレンドスペースフラッシュポート802は、内側開口部と外側開口部との間のカ
テーテル本体の幅806だけではなく、2つの開口部の間のカテーテル本体の長さ807
の一部を含む。同時に、幅806及びカテーテル本体の長さの部分は、ブレンドスペース
フラッシュポート802が2つの開口部の異なる大きさ及び向きの同士でブレンドするこ
とができる余地を提供し、この例では、フラッシュポートの傾いた円錐形のブレンドスペ
ースを形成する。ブレンドスペースフラッシュポート802の可変サイズ及び非垂直又は
オフセットを持つという性質により、他のタイプの経管的流体の流れを制限しながら、い
くつかのタイプの経管的流れを容易にすることができる。例えば、フラッシュポートの角
度(822/811)の方向に流れる流体は、ブレンドスペースフラッシュポート802
を通ってより容易に流れることができる一方、フラッシュポート(812/821)の角
度に逆らって流れる流体は、ブレンドスペースフラッシュポート802を横切るのを部分
的に制限することができる。一般に、「角度を伴って」流れる流体は、フラッシュポート
を横断するために流路が鋭角を形成しなければならない流体を指す。さらに、大きい方の
開口部(821/822)の側を流れる流体は、小さい方の開口部(811/812)の
側を流れる流体よりも容易にフラッシュポートに入ることができる。このように、ブレン
ドスペースフラッシュポート802は、流体の流れのいくつかの方向を優先し、流体の流
れの他の方向を少なくともわずかに制限する角度の付いたフラッシュポートである。
【0109】
図8は、分離したブレンドスペースフラッシュポートのみを示しているが、本発明によ
るフラッシュセグメント及びフラッシュセクターは、多数のブレンドスペースフラッシュ
ポートから構成することができることを理解すべきである。多くのブレンドスペースフラ
ッシュポートは、少なくとも前述の標準フラッシュポートのすべての要因に応じて異なる
場合がある。
(遠位テーパー)
【0110】
特定の血管内デバイスで治療部位に到達するために、アクセスカテーテル、ガイドカテーテル、再灌流カテーテル、マイクロカテーテル、ガイドワイヤ、及び他の同様のデバイスのようないくつかの同軸のコンポーネントを協調して使用することが一般的な方法である。通常、ガイドワイヤは、血管系を完全にナビゲートして治療部位に到達する最初のデバイスとなる。ガイドワイヤは、他のデバイスを治療部位に導くレールとして機能する。ただし、他のデバイスがガイドワイヤを追跡すると、意図せずに分枝血管に引っ掛かり、血管系の損傷を引き起こしたり、前進できなくなったりする可能性がある。このリスクは、レールガイドと追跡デバイスの直径の違いに比例して増加する。
【0111】
図9は、外側のカテーテル911、オプションの先細の遠位端915を備えた内側のフ
ラッシングカテーテル100、及びガイドワイヤ905がすべて同軸関係に配置されてい
る3装置システムの部分透視図を示す。先細の遠位端915は、ガイドワイヤとカテーテ
ルとの間のギャップを低減又は排除することにより、血管系の突起に引っ掛かるリスクを
実質的に低減する。フラッシングカテーテル100のテーパーは、理想的には、カテーテ
ル911の遠位端の直後に始まり、カテーテルを越えて遠位に延びる。好ましい実施形態
では、テーパーは、非常に曲がりくねった血管系を横断している間でさえ、カテーテル9
11の遠位端の後に始まる。場合によっては、フラッシングカテーテルのハブ109Aは
、前述した手段により、外側のカテーテル911のハブ909に固定されている。第1の
切断面940では、外側のカテーテル911が切り取られ、フラッシュセグメント102
及びそのフラッシュポート103が、内側フラッシングカテーテル100上に見える。第
2の切断面950では、外側のカテーテル911が切り取られ、内側のフラッシングカテ
ーテル100が部分的に切り取られ、ガイドワイヤ905が見える。内側の環状管腔93
1は、ガイドワイヤ905の外面とフラッシングカテーテル100の内面との間に見える
。隣接する環状管腔930は、フラッシングカテーテル100の外面とカテーテル911
の内面との間に見える。この例では、フラッシングカテーテル100は、オプションの厚
い壁914を含み、一方、カテーテル911は、薄い壁924を有する。1つの例では、
フラッシングカテーテル100の壁は厚さが0.010~0.050in(0.254~
1.27mm)である。これらの厚い壁914は、ガイドワイヤ905の外面とカテーテ
ル911の内面との間の容積を満たすのに役立つ。この容積が満たされると、両方のカテ
ーテルから空気をパージするために必要なフラッシング流体の量が少なくなる。場合によ
っては、フラッシングカテーテルの100の外径が外側のカテーテルの内径と一致し(0
.005in(0.127mm)以内)、フラッシングカテーテルの内径がガイドワイヤ
ーの外径と一致する(0.005in(0.127mm)以内)。
【0112】
1つの例では、本発明は、カテーテルを改造するための方法によって具体化され、この
方法は、予め作製されたカテーテルの一覧表からカテーテルを選択するステップを含み、
前記選択されたカテーテルは、近位領域、中央領域、遠位領域、及びそこを通って延びる
中央管腔とカテーテル本体の近位領域に接続されたハブを有する細長いカテーテル本体を
含み、前記ハブは、中央管腔の近位端への唯一の接続を行う単一の注入ポートを有する。
そのような方法はまた、近位領域、中央領域、及び遠位領域のうちの少なくとも1つにフ
ラッシュポートを形成するステップを含むことができ、このフラッシュポートは、細長い
カテーテル本体の壁を通って放射状に流体を流す。このような方法はさらに、ラッシング
カテーテルに開けられた穴と一致する穴を内側シースまたは外側シースに導入し、シース
をフラッシングカテーテルに固定するステップをさらに含むことができ、シースは、軸方
向に並進するか、回転しながら並進するか、またはその両方であるように構成される。
【0113】
別の例では、本発明は、フラッシングカテーテルを製造するための方法によって具体化
され、その方法は、(1)カテーテルハブ又はカテーテル本体を選択するステップ、2)
フラッシングカテーテル本体レトロフィット、フラッシングカテーテル延長レトロフィッ
ト、又はフラッシングハブレトロフィットの中からフラッシュレトロフィットを選択する
ステップ、及び(3)フラッシュレトロフィットをカテーテルハブ、カテーテル本体、又
はその両方に取り付けるステップ、を含む。
【0114】
ここで説明した実施形態のいずれも、1つ以上の材料で組み立てることができる。例え
ば、コンポーネントは、シリコン、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、ナイロン、又はポリ
エーテルブロックアミドのようなポリマーで組み立てることができる。あるいは、コンポ
ーネントは、ステンレス鋼、白金、タングステン、及びニチノールなどの合金で組み立て
ることができる。いくつかの実施形態では、所定のレトロフィットはポリマーベースとし
他のコンポーネントは合金ベースとすることができる。1つの例では、レトロフィットは
、フラッシュポート用のパンチ穴を備えた硬化プラスチックで形成される。別の例では、
レトロフィットは、合金ベースのハイポチューブで形成され、フラッシュポートはハイポ
チューブに刻み込まれる。
【0115】
ここで説明した実施形態のいずれにおいても、レトロフィットは、1つ以上の方法によ
って取り付け固定することができる。カテーテル本体、ハブ、又はその両方を、接着剤(
UV接着剤など)、ポリマージャケットオーバーモールド、コンポーネント同士の溶接、
加熱による溶融、摩擦接合、固定連結器、回転コネクタースナップフィットクランプ機構
又は前述の方法の任意の組み合わせにより、レトロフィットに取り付けることができる。
いくつかの実施形態では、締結機構は、最初にカテーテル本体、ハブ、又はその両方に取
り付け固定することができ、次いで、それは、所定のレトロフィットの構造部に嵌合する
。代替的に、締結機構は、最初にレトロフィットの複数の側面に取り付けた後、他のコン
ポーネントに取り付ける。
【0116】
本発明のいくつかの好ましい実施形態及びその変形例を詳細に説明したが、他の変更及
び使用方法並びにそのための医学的応用は、当業者には明らかであろう。したがって、本
発明の精神又は特許請求の範囲から逸脱することなく、様々な応用、変更、及び置換を均
等物で行うことができることを理解されたい。
【0117】
本発明の好ましい実施形態をここに示し、説明したが、そのような実施形態が例示とし
てのみ提示されていることは当業者には明らかであろう。本発明から逸脱することなく、
当業者は、多数の変形、変更、及び置換を思い浮かべるであろう。ここに記載の本発明の
実施形態に対する様々な代替案が、本発明を実施する際に使用することができることを理
解すべきである。以下の特許請求の範囲により本発明の範囲を定義し、これらの特許請求
の範囲内の方法及び構成、並びにそれらの均等物を、特許請求の範囲によりカバーするこ
とを意図している。
図1A
図1B
図1C
図1D
図2A
図2B
図2C
図3A
図3B
図3C
図3D
図3E
図3F
図4A
図4B
図4C
図4D
図4E
図5A
図5B
図5C
図5D
図6A
図6B
図7A
図7B
図7C
図7D
図8
図9
【国際調査報告】