(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-08-04
(54)【発明の名称】ポリエチレンを分解可能材料に転換するための組成およびその生産プロセス
(51)【国際特許分類】
C01F 11/18 20060101AFI20220728BHJP
C08J 11/12 20060101ALI20220728BHJP
【FI】
C01F11/18 Z
C08J11/12 ZAB
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021571461
(86)(22)【出願日】2020-05-28
(85)【翻訳文提出日】2022-01-17
(86)【国際出願番号】 IB2020055075
(87)【国際公開番号】W WO2020240465
(87)【国際公開日】2020-12-03
(32)【優先日】2019-05-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521521286
【氏名又は名称】バラ インダストリーズ アンド エンターテインメント プライベート リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100125184
【氏名又は名称】二口 治
(74)【代理人】
【識別番号】100188488
【氏名又は名称】原谷 英之
(72)【発明者】
【氏名】ラオ、バラジ バンダ
(72)【発明者】
【氏名】ワドゥワ、サンジャイ サトナム シン
(72)【発明者】
【氏名】ベージ、ミルザ モハマド イドリース ウル ハク
(72)【発明者】
【氏名】ラオ、ジャグディシュ バラジ
(72)【発明者】
【氏名】ダル、ナシラ アクテル
【テーマコード(参考)】
4F401
4G076
【Fターム(参考)】
4F401AA09
4F401AA11
4F401AA12
4F401AA30
4F401AB05
4F401AB07
4F401AB10
4F401CA69
4F401CA77
4F401EA34
4F401EA76
4F401EA90
4F401FA07Y
4F401FA07Z
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4G076AA16
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4G076BF10
4G076DA01
4G076DA30
(57)【要約】
本発明は生物非分解性材料を分解可能材料に転換するための画期的組成を開示する。一つの実施形態において、生物非分解性材料はプラスチックでありうる。組成は炭酸塩または重炭酸化合物、植物エキス、加湿剤、着色料から構成される。炭酸塩または重炭酸化合物、植物エキス、加湿剤を着色料とともに所定の重量比で混合し、水性媒質の中に維持する。一つの実施形態において、本画期的組成を生物非分解性材料に塗布し分解可能な形態に劣化させる。もう一つの実施形態において、本画期的組成を生物非分解性材料と混合し、分解可能な形態に劣化させる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
生物非分解性材料を分解可能材料に転換するための組成であって、前記の組成は一つまたは複数の成分を含む:
a) 炭酸塩または重炭酸化合物、ここに炭酸塩または重炭酸化合物は本組成の重量パーセンテージ30%以上70%以下を占め、
ここに炭酸塩または重炭酸化合物は化学式XCO
3またはXHCO
3(Xはアルカリ土類金属)である。
b)ミソハギ科の植物エキス。ここに植物エキスは本組成の重量パーセンテージ3%以上70%以下を占める。
【請求項2】
請求項1に請求する組成であって、ここに組成は一つまたは複数の成分を均質に溶解するための加湿剤を含む。
【請求項3】
請求項2に請求する組成であって、ここに加湿剤は一つまたは複数の成分を溶解し、準固形物の溶液または完全な水溶液または固形混合物である。
【請求項4】
請求項1に請求する組成であって、ここに組成は着色料を含み、着色料は組成の一つまたは複数の成分と結合する。
【請求項5】
請求項2に請求する組成であって、ここに加湿剤はpH範囲が7から9の飲料水または蒸留水である。
【請求項6】
請求項2に請求する組成であって、ここに加湿剤はpH範囲が7から9の茶水である。
【請求項7】
請求項4に請求する組成であって、ここに着色料は無毒着色料である。
【請求項8】
請求項4に請求する組成であって、ここに着色料は天然着色料である。
【請求項9】
請求項1に請求する組成であって、ここに組成はpH範囲7から9の準固形物の溶液、完全な水溶液または固形混合物として維持される。
【請求項10】
請求項1に請求する組成であって、ここに生物非分解性材料は限定することなくポリエチレン (C
2H
4)n化合物、ポリスチレン (C
8H
8)n化合物、ポリ塩化ビニル (C
2H
3Cl)n化合物である。
【請求項11】
生物非分解性材料を分解可能材料に転換するための組成の生産方法であって、前記の組成は一つまたは複数の成分を含む:
a) 炭酸塩または重炭酸化合物。ここに炭酸塩または重炭酸化合物は本組成の重量パーセンテージ30%以上70%以下を占め、ここに炭酸塩または重炭酸化合物は化学式XCO
3またはXHCO
3(Xはアルカリ土類金属である。
b) ミソハギ科の植物エキス。ここに植物エキスは本組成の重量パーセンテージ3%以上70%以下を占め、
ここに、前記の成分を混合して均質な混合物を作る。
【請求項12】
請求項11に請求する組成の生産方法であって、ここに組成は一つまたは複数の成分を均質に溶解するための加湿剤を含む。
【請求項13】
請求項12に請求する組成の生産方法であって、ここに加湿剤は一つまたは複数の成分を溶解し、準固形物の溶液または完全な水溶液または固形混合物を形成する。
【請求項14】
請求項11に請求する組成の生産方法であって、ここに組成は着色料を含み、着色料は組成の一つまたは複数の成分と結合する。
【請求項15】
請求項12に請求する組成の生産方法であって、ここに加湿剤はpH範囲が7から9の飲料水または蒸留水である。
【請求項16】
請求項12に請求する組成の生産方法であって、ここに加湿剤はpH範囲が7から9の茶水である。
【請求項17】
請求項14に請求する組成であって、ここに着色料は無毒着色料である。
【請求項18】
請求項14に請求する組成であって、ここに着色料は天然着色料である。
【請求項19】
請求項11に請求する組成であって、ここに組成はpH範囲7から9の準固形物の溶液または完全な水溶液、固形混合物として維持される。
【請求項20】
請求項11に請求する組成の生産方法であって、ここに生物非分解性材料は限定することなくポリエチレン (C
2H
4)n化合物、ポリスチレン(C
8H
8)n化合物、ポリ塩化ビニル(C
2H
3Cl)n化合物である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連申請との相互参照
本出願は出願日2019年5月28日である米国一時特許出願第62/853,293号の優先権を主張するものであり、以下にその明細書の全容を記載する。
発明技術の分野
本発明は概して廃棄物管理組成およびそのプロセスに関するが、より具体的に、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニルおよび同類の複雑な化合物(人工)等の生物非分解性廃棄物を分解可能材料に転換するために使用することが可能な画期的組成に関する。
【背景技術】
【0002】
発明技術の背景
近年の研究によるとプラスチックは環境悪化の主な原因であり、人間が生む全廃棄物の約10%を占める。発生したプラスチック廃棄物は海洋に到達し、水系を汚染し、食物連鎖および人間の健康に有害な影響を及ぼしている。プラスチック材料が分解するまで500年から1,000年を要する。その結果、製造されたプラスチックは大部分がある形状または形態のまま留まる。
【0003】
ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレンおよび同類の単量体を重合化すると特定の合成化合物、主にプラスチックを形成する。生産費が低く製造し易く、柔軟性があり、非腐食性、水不透過性によってプラスチックは異なる規模で多くの目的のために使用される。プラスチックは高価ではなく耐久性があるが、プラスチックに関連する主な欠点は非生物分解性であり、このため地球に生きる生物に生存に関わる問題を生んでいる。
【0004】
これらの合成化合物の従来式処分方法はリサイクル、廃棄物処理場、焼却である。しかし、これらの方法には欠点がある。リサイクル工程は初期投資費用が高く、人間の健康に多くの脅威を及ぼす。さらに、リサイクルプロセスにおいてプラスチック化合物は揮発性有機化合物および発煙を生じ、動植物の生命に害悪が及ぶ。リサイクルのため溶融するのに必要な熱も炭素を排出し、結局地球温暖化に輪をかける。
【0005】
さらに、廃棄物処理場へのこうした合成化合物の破棄では利用可能な空間が限られており、毎年重度の汚染材料を数十億トンも安全に堆積するのでは持続しうる方策ではない。 結局は処分に適合させた焼却プロセスには極めて高温が必要であり、有毒金属、ダイオキシン等の副産物を発生する。また、こうした焼却システムは極めて高価である。
【0006】
米国特許第8,153,094号はポリテンを炭素質粒子に転換するための等容的プロセスを開示している。この場合形態を持つ廃棄物をプロセス中の圧力上昇を抑止するように適合された環境において加熱し、形態を一定温度で、形態内の大部分のC-H結合とC-C結合を分解させるに十分な時間維持し、同環境を冷ます。しかし、前記の先行技術において実施されたプロセスは到達して維持するのが困難な高温範囲650℃から700℃を使用し、機能状態のために高価な基盤が必要であった。
【0007】
したがって、現行技術における前記の問題に鑑み、生物非分解性プラスチックを分解性材料に変換するための高価でなく環境破壊を最小限とし、容易に実施しうるシステムが必要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
発明の要約
先行技術の一つまたは複数の欠点を克服し、さらに優位性を本発明によって追加する。追加的特長は本発明の技術によって実現される。本発明のその他の実施形態および側面を本明細書において詳説し、本発明の一部をなすものと見なされる。
【0009】
本発明の一側面は生物非分解性材料を分解可能材料に転換するための画期的組成を開示する。ここに前記の組成は限定することなく炭酸塩または重炭酸化合物、植物エキス、加湿剤、着色料である。
本発明のもう一つの側面は生物非分解性材料を分解可能材料に転換するための組成の生産方法を開示する。ここに炭酸塩または重炭酸化合物、植物エキス、加湿剤を規定重量比で着色料とともに混合して均質な混合物を作る。
【0010】
本発明の一実施形態において、生物非分解性材料をポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリスチレン、すなわちプラスチック化合物から派生させることが可能である。
本発明はさらに生物非分解性材料を分解可能材料に変換するための調製した組成の一つまたは複数の使用方法も開示する。
【0011】
本発明の一実施形態において、画期的組成が所定比率で製造され、生物非分解性材料の表面に塗布される。塗ると同時に、生物非分解性材料を放置して乾燥させ、さらに、生物非分解性材料が灰に変換されるまで熱分解すると、灰は分解可能となる。
本発明による別の実施形態において、本組成をもう一つの所定比率で作成し、生物非分解性材料に混合する。混合してから、生物非分解性材料が分解性物質である灰に変換されるまで混合物を熱分解する。
上記の要約は解説のためのみであって、いかなるしかたでもこれに限定することを意図していない。上記の解説的側面、実施形態、特長に加え、さらに他の側面や実施形態、特長は図面および以下の詳細な説明を参照すると明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1は本発明の一実施形態による組成の調製に使用する比率を示す。
【
図2】
図2は生物非分解性材料を本発明の一実施形態による分解可能材料に転換するプロセスを示す。
【
図3】
図3は重量パーセンテージ対温度の関係をプロットした炭酸カルシウムの熱重量分析を示す。
【
図4】
図4には指甲花 (ヘナ) の植物エキスの熱重量分析を重量パーセンテージ対温度の関係としてプロットした。
【
図5】
図5にはコーティングしていない黒いポリエチレンシートの示差走査熱量測定(DSC)分析を熱流量(W/g)対温度(℃)のプロットとして表す。
【
図6】
図6はコーティングしていない黒いポリエチレンシートの熱重量分析を重量パーセンテージ対温度の関係としてプロットした。
【
図7】
図7には調製した組成でコートした黒いポリエチレンシートの熱重量分析を重量パーセンテージ対温度の関係としてプロットした。
【
図8】
図8に調製した組成を塗布した白いポリエチレンシートの熱重量分析を重量パーセンテージ対温度の関係としてプロットした。
【
図9】
図9にはポリエチレンシートの熱分解後に得られる分解性サンプル (灰) の熱重量分析を示す。
【
図10】
図10に本発明のもう一つの実施形態に従う生物非分解性材料から分解可能材料への転換工程を示す。
【
図11】
図11にはポリプロピレンの熱重量分析を重量パーセンテージ対温度の関係としてプロットした。
【
図12】
図12は調製した組成と65:35 (w/w)の比で混合したポリプロピレンの熱重量分析を示し、ここに調製した組成はCaCO
3と指甲花を1:3 (w/w)の比で含む。
【
図13】
図13にはポリプロピレンと調製した組成を65:35 (w/w)の比で混合した熱重量分析を示す。ここに調製した組成はCaCO
3と指甲花を1:1 (w/w)の比で含む。
【
図14】
図14にはポリプロピレンに」調製した組成を65:35 (w/w)の比で混合した熱重量分析を示す。ここに調製した組成はCaCO
3と指甲花を3:1 (w/w)の比で含む。
【
図15】
図15はCaCO
3と指甲花、ポリプロピレンの熱重量分析グラフと並べてCaCO
3と指甲花の三つの比について積層表示した熱重量分析グラフである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
発明の詳細な説明
本発明の以下の実施形態に関する詳しい解説において、本開示の実施形態を完全に理解するためにいくつもの具体的詳細を説明する。しかし、本技術分野の技能を有する者には本発明の実施形態が以下の具体的詳細なしに実施しうることは明白である。
本発明における「一つの実施形態」または「ある実施形態」を参照する場合、実施形態に関連して説明される組成または方法は少なくとも一つの本発明の実施形態に含まれることを意味する。
本発明において「例」という用語は「一例、一インスタンス、図解として用いる」という意味で使用する。本発明の「例」としてここに説明される実施形態または実施は他の実施形態より優先または優位なものとして必ずしも解釈されるべきではない。
本発明は様々な変更および代替的形態によっても実現しうるため、その具体的実施形態は図面に例として示し、下記に詳しく解説する。しかし、承知しておくべき点として、本発明を開示形態に限定する意図はなく、反対に、本発明はその範囲での全ての修正や同等の内容、代替的形態を含む。
【0014】
「含む」「構成される」その他これらの変化形による用語は非排他的包含を意図した表現であって、化合物または手順のリストからなる組成または方法はそうした化合物や手順を含むにとどまらず、明示的にリストに記載されていないあるいは組成または方法に内在的なその他の化合物または手順も含む場合がある。言い換えると、組成または方法の一つまたは複数の要素が「成す」という場合、より広い制約無く、組成または方法からその他の要素や追加的要素の存在を除外するものではない。
本発明の実施形態に関する以下の詳細な解説において、本発明の一部を成す図面を参照し、これらの図面においては、図解を用いて本発明を実施しうる具体的な実施形態を示す。本技術分野の技能を有する者であれば本発明を実施しうるほどこれらの実施形態を十分詳細に解説し、その他の実施形態を利用し、本発明の範囲から乖離せずに変更を加えうるものと理解すべきである。このため以下の記述は限定的意味でとらえるべきではない。
【0015】
本発明はポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリスチレン、すなわちプラスチック化合物から派生させた生物非分解性材料を分解可能材料に変換することを可能にする画期的組成を開示する。
本組成は準固形物の溶液、完全な水溶液、固形混合物、または物理的にその他の任意の形態に限定することなくこれらの形態を取りうる。前記の組成は等質な密度から成る。
【0016】
前記の組成は限定することなく以下のものを含む:
i 炭酸塩または重炭酸化合物
ii 植物エキス
iii 加湿剤
iv 着色料。
【0017】
炭酸塩または重炭酸化合物は限定することなく化学式XCO3またはXHCO3を持ち、ここにXはベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウムまたはアルカリ土塁金属の周期律表分類に属する任意の金属であってよい。炭酸塩または重炭酸化合物はCaCO3 (以下、炭酸カルシウム)であってもよい。複数の実施形態において、炭酸カルシウムは限定することなくチョーク粉、卵の殻、貝殻その他類似の物を含む複数のソースから取得することができる。
【0018】
複数の実施形態において、植物エキスを生産するため使用しうる植物はミソハギ科の物であってよい。さらに、植物エキスはヒナとかヘナ、ヘナツリーやミニョネットツルー、エジプシャンプリベットとも呼ばれる指甲花の種から取得する。この植物は灌木ないし低木(高さ2mから6m)でとげがあったり、複数に枝分かれした先にとげがある小枝を有する場合がある。比較的若い枝は四角形で緑色をしているが年を経るにつれ赤くなる。この植物種は世界の熱帯から亜熱帯地方に分布し、具体的には西アジアや南アジア例えばインド、パキスタン、亜乾燥地帯、北アフリカ、北オーストラリア等に生息する。
【0019】
複数の実施形態において、組成に使用しうる加湿剤は飲料水でも蒸留水または茶水であってよい。さらに、加湿剤は水性媒質内の組成を生産するために使用しうる。
複数の実施形態において、前記の組成に含まれる一つまたは複数の成分を結合する着色料を使用することができる。着色料は無毒または天然着色料とすることができる。さらに、使用する着色料は限定することなくアルーラレッド、ブラックPN、アゾ基をもつ染料、カルモイシン、組成を生物非分解性材料と結合するための接着剤として使用しうる任意のその他の無毒天然着色料とすることができる。
複数の実施形態において、組成は炭酸塩または重炭酸化合物、植物エキス、加湿剤を着色料とともに所定の重量比で混合し、pH範囲が7から9の中性の水性媒質に均質な混合物として作成することが可能であり、ここに炭酸塩または重炭酸化合物は本組成の重量パーセンテージ30%以上70%以下を占め、植物エキスは本組成の重量パーセンテージ3%以上70%以下を占める。
【0020】
本発明はさらに生物非分解性材料を分解可能材料に変換するための調製した組成のいくつかの使用法および関連実施形態も開示する。
本発明の一実施形態において、本組成は
図1に示す3つの所定重量比によって重炭酸塩または炭酸化合物、植物エキス、加湿剤を混合し、この混合物に着色料を添加して均質な混合物として調製することができる。掲載した比率を使用して組成を調製し、いかにその内容を説明する:
a ) (XHCO
3またはXCO
3) : (指甲花) : (加湿剤) = 1500 : 150 : 3000 (w/w)
b ) (XHCO
3またはXCO
3) : (指甲花) : (加湿剤) = 2000 : 200 : 4000 (w/w)
c ) (XHCO
3またはXCO
3) : (指甲花) : (加湿剤) = 2500 : 250 : 5000 (w/w)
【0021】
前記の組成を調製したら直ちに組成を使用して生物非分解性材料を分解可能材料に変換することができる。同組成物に関しては
図2にも生物非分解性材料を分解可能材料に転換する工程を図解した。
図2でステップ201に示す通り、調製した組成を生物非分解性材料の平坦な表面に塗布する。ステップ202で組成が生物非分解性材料に残留するための最適なしきい値が見つかるように生物非分解性材料を日光乾燥するか自然乾燥する。さらに、組成の乾燥後、ステップ203のように生物非分解性材料を限定することなく熱分解、燃焼、その他高温を発するメカニズムに暴露して生物非分解性材料を分解可能材に変換する。 最後にステップ204で取得された最終残留物は灰等の分解可能材料である。
【0022】
図3に重量パーセンテージ対温度の関係をプロットした炭酸カルシウムの熱重量分析を示す。ある実施形態において、炭酸カルシウムの熱重量分析は温度の増減と比較した化合物の重量変動を列挙することができる。この分析は温度範囲50℃-900℃、スキャン増分10℃/分として窒素パージ雰囲気下で行った。
図3から推論できることとしては、炭酸カルシウムの重量変化率は基準温度661.97℃から発生し始めるようである。さらにこのグラフから分析中の最大減量が炭酸カルシウムサンプルの総重量の42.06%であることも推論しうる。
【0023】
図4は重量パーセンテージ対温度の関係をプロットした植物エキス指甲花の熱重量分析を示す。ある実施は温度の増減と比較した化合物の重量変動を列挙することができる。この分析は温度範囲50℃-900℃、スキャン増分10℃/分として窒素パージ雰囲気下で行った。 このグラフからは(指甲花)の最大重量変化は240.77℃から発生し始めるようであると推論される。さらに、このグラフから分析中に発生した最大減量が指甲花のサンプル総重量の46.28%であることも推論しうる。
【0024】
作業事例1-ポリエチレンシートのサンプル
ある実施形態において、ポリエチレンのサンプルを採取して異なる温度での生物非分解性材料の分解について説明することができる。複数の実施形態において、ポリエチレンのサンプルはシートや円筒物、固形物あるいは同類の物であってよい。本発明の一実施形態において、ポリエチレンシートの色は(R,G,B)値が(0,0,0)の黒であってよい。
【0025】
図5にはコーティングしていない黒いポリエチレンシートの示差走査熱量測定(DSC)分析を熱流量(W/g)対温度(℃)の関係としてプロットしてある。示差走査熱量測定(DSC)分析においては化合物内の温度増減に対する熱流量の偏差を数値化することができる。示差走査熱量測定(DSC)による解析はコーティングしていない黒いポリエチレンシートの融点は126.5℃であることを示す。
【0026】
図6にコーティングしていない黒いポリエチレンシートの熱重量分析を重量パーセンテージ対温度の関係をプロットした。複数の実施形態において、ここで言及されているコーティングしていない黒いポリエチレンシートはコートや組成を塗布していない黒いポリエチレンシートの試料を示す。使用したポリエチレンはおおよその充填材料を充填した低密度ポリエチレン(LDPE)である。 充填材料は限定することなくポリエステル繊維、カーボンフィラー等を含む有機物であってよい。充填材料は基本的に低密度ポリエチレン(LDPE)に添加され、パーセンテージ範囲20~25% (w/w)での物性および機械的特性を改善する。サンプルサイズ4.4510 mgを窒素パージ雰囲気下において温度範囲40℃~900℃、スキャン増分10 ℃/分で分析した。グラフから900℃において残留物が総重量の21.24%であることが推論できる。コーティングしていない黒いポリエチレンシートの熱重量分析からは合計重量減少量が約77%であり、残留物は21.24%であることが示されている。
【0027】
図7ではコートした黒いポリエチレンシートの熱重量分析を重量パーセンテージ対温度の関係をプロットした。複数の実施形態において、ここで言及しているコートした黒いポリエチレンシートは本発明の一実施形態に従い調製した組成を塗布した黒いポリエチレンシート試料を示す。サンプルサイズ8.5360 mgを窒素パージ雰囲気下において温度範囲40~900℃、スキャン増分10℃/分で分析した。グラフから900℃において残留物が総重量の44.58%であることが推論できる。
【0028】
ポリエチレンシートのもう一つのサンプルを採取して異なるレベルでの材料劣化を解析した。本発明の一実施形態において、ポリエチレンシートの色は(R,G,B)値(255,255,255)の白であってよい。
図8にコートした白いポリエチレンシートの熱重量分析を重量パーセンテージ対温度の関係としてプロットした。ここで言及されているコートした白いポリエチレンシートは本発明の一実施形態に従い調製した組成を塗布した白いポリエチレンシート試料を示す。サンプルサイズ8.3820 mgを窒素パージ雰囲気下において温度範囲40~900℃、スキャン増分10℃/分で分析した。グラフから900℃において残留物が総重量の19.25%であることが推論できる。
【0029】
本発明の一実施形態において、分析したポリエチレンシートのサンプルは複数の色をしている。本発明のもう一つの実施形態において、分析したポリエチレンシートのサンプルは透明度や府透明度が異なる。
ここのポリエチレンシートの事例では残留物は分解可能材料(灰)である。
図9は分解可能材料 (灰のサンプル)の熱重量分析を示す。8.0190 mgのサンプルを最高温度1000℃までとしてスキャン増分10℃/分で窒素パージ雰囲気下において分析した。分析の結果、灰のサンプルからプラスチック素材は検出されなかった。
【0030】
本発明による別の実施形態において、組成を炭酸塩または重炭酸化合物(XHCO3またはXCO3)を植物エキス(指甲花)と混合するように所定の三つの比で調製し、次にこの混合物を着色料と加湿剤(蒸留水/飲料水/茶水)と混合する。炭酸塩または重炭酸化合物対指甲花の比を以下に示す:
a ) (XHCO3またはXCO3) : (指甲花) = 1:3 (w/w)
b ) (XHCO3またはXCO3) : (指甲花) = 1:1 (w/w)
c ) (XHCO3またはXCO3) : (指甲花) = 3:1 (w/w)
【0031】
組成の調製後、生物非分解性材料を分解可能材料に変換するために使用することが可能な方法を実行する。
図10は本発明の実施形態に従う生物非分解性材料を分解可能材料に転換する工程を図解したものである。ステップ901において調製した組成は生物非分解性材料と混合される。ステップ902でこの混合物を熱分解または燃焼あるいはその他の高温メカニズムに投入して生物非分解性材料を分解可能材料に転換する。ステップ903が終了したときに取得される生成物は灰である分解可能材料である。
【0032】
作業事例2-ポリプロピレンのサンプル
異なる分解度について説明するためポリプロピレンのサンプルを取り上げる。
図11は重量パーセンテージ対温度の関係をプロットしたポリプロピレンの熱重量分析を示す。この分析は温度範囲が50℃から900℃、スキャン増分を10℃/分として窒素パージ雰囲気下で行った。このグラフからは重量の最大変化が363.19℃で開始されることが推論しうる。
【0033】
図12に調製した組成を65:35 (w/w)の比で混合したポリプロピレンの熱重量分析を示す。ここに調製した組成はCaCO
3 と指甲花 (ヘナ)を1:3 (w/w)の比で含む。熱重量分析は重量パーセンテージ対温度の関係でプロットしたものである。この分析は温度範囲が50℃から900℃、スキャン増分を10℃/分として窒素パージ雰囲気下で行った。
【0034】
図13に65:35の比(w/w)で調製した組成と混合したポリプロピレンの熱重量分析を示す。ここに調製した組成は1:1 (w/w)の比でCaCO
3と指甲花 (ヘナ)を含む。熱重量分析は重量パーセンテージ対温度の関係でプロットしたものである。この分析は温度範囲が50℃から900℃、スキャン増分を10℃/分として窒素パージ雰囲気下で行った。
【0035】
図14に調製した組成と65:35 (w/w)の比で混合したポリプロピレンの熱重量分析を示す。ここに調製した組成はCaCO
3と指甲花 (ヘナ)を3:1 (w/w)の比で含んでいる。熱重量分析は重量パーセンテージ対温度の関係でプロットしたものである。この分析は温度範囲が50℃から900℃、スキャン増分を10℃/分として窒素パージ雰囲気下で行った。
【0036】
図15は指甲花 (ヘナ)とポリプロピレンの三つの比に対応するCaCO
3、指甲花 (ヘナ)、ポリプロピレンの熱重量分析グラフと並べて積層式に表す熱重量分析グラフである。このグラフから組成が1:3 (w/w)の比で指甲花とCaCO3を含むときに残留物の品質が高くなることがわかる。ここから組成が1:3 (w/w)の比で指甲花とCaCO3を含むときに最も熱可塑性成分が少ない物が得られることもわかった。
【国際調査報告】